<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?><FictionBook xmlns="http://www.gribuser.ru/xml/fictionbook/2.0" xmlns:l="http://www.w3.org/1999/xlink"><description><title-info><genre>antique</genre><author><first-name/><last-name>GinSanRei</last-name></author><book-title>pure2</book-title><lang>ru</lang></title-info><document-info><author><first-name/><last-name>GinSanRei</last-name></author><program-used>calibre 8.4.0, fb2cut 2.5.4, fb2cut 2.6.2</program-used><date>26.7.2025</date><id>357cbe83-d23f-438f-be4f-5b454224e848</id><version>1.0</version></document-info><publish-info><year>0101</year></publish-info></description><body><section><p>211．放課後バトル✕フィールド</p><p>ノーマちゃあーん敵はどこん家の子か判るぅ</p><p>工藤父は、ふざけた態度でノーマさんに尋ねた</p><p>どう見ても、ノリンコ・コネクションですね</p><p>ノーマさんが、パソコンのモニターを見ながら答えた</p><p>車三台でこっちに向かってますどの車も、戦闘要員でギューギュー詰めにしてこんなの、誰だってアブナイ連中だって、すぐに判りますよ車の中に青竜刀持ってる人がいますもんっ</p><p>青竜刀</p><p>なるほどいよいよ日本人の暴力団組織からは協力して貰えなくなったからやつら、不法滞在の不良外国人系の裏組織を雇ったんだな</p><p>はい、ボスあの方々は、お金次第で何でもやりますからね</p><p>つまり日本人でない、カンフー・マスターみたいのが大挙して襲ってくるってこと</p><p>知んないあいつら、最近でも、新宿の繁華街での外国人組織同士の抗争事件で、青竜刀で殺し合いとかしてんだぜ残虐性って面では、日本人よりも遥かにヤバイ連中さ</p><p>そんなやつらがここへ向かっている</p><p>近くの主要な大通りにアルバイトのやつらに監視カメラを持たせて配置してあるわけだわでおかしな奴らが来たら、すぐに通報してくれるって仕組みなんだな</p><p>工藤父は、そういうけれど</p><p>そのアルバイトだって、普通の人では無いんだろう</p><p>香月セキュリティ・サービスの警護課は、工藤父とトニーさんノーマさんの三人しかいないことになっているけれど</p><p>工藤父は、実際には裏で多くのスタッフを動かしている</p><p>ノーマ、第一級警戒態勢発令</p><p>はい、ボス第一級警戒態勢発令します</p><p>ノーマさんがパソコンに何やら打ち込む</p><p>作戦コードネームは、何としますか</p><p>工藤父は、答えた</p><p>作戦名は幻影ハリケーンだ</p><p>ミッチィが、うんと頷く</p><p>オレは、どうしたらいい</p><p>少年あの不良外国人集団、雇ったのはどっちだと思う</p><p>今、オレたちが敵対しているのは</p><p>シザーリオ・ヴァイオラと、白坂本家</p><p>ヴァイオラの方でしょう</p><p>どうして、そう思う</p><p>白坂本家はここまでマスコミの注目を集める状態になって、不良外国人の組織なんて雇わないと思います</p><p>そりゃお金を払ったら、何でもする連中なんだろうけれど</p><p>微妙なコントロールは効かないだろうから、暴走されたら止めようがない</p><p>そんな連中と白坂家の関係がマスコミにバレたらまた世間から責められるだけだし</p><p>白坂家には、今、真っ正面からオレたちを攻撃するメリットは無いと思います</p><p>やるならこっそり、忍び込んでミナホ姉さんを暗殺するぐらいしか手が無い</p><p>車三台で殴り込みとかやるわけがない</p><p>ならやつらが、シザーリオ・ヴァイオラの雇った連中だとしたら襲撃の目的は何だ</p><p>陽動ですか正面から、アブナイ連中に攻撃させている間に他の場所から別働隊が侵入するとか</p><p>工藤父は、ククッと笑った</p><p>いいねぇその可能性は、大いにあるよ</p><p>だから第一級警戒態勢なんだ</p><p>学校の周囲に配置された工藤父の部下が、全員で警戒に当たる</p><p>いえそうではないと思います</p><p>ミッチィが口を開いた</p><p>シザーリオ・ヴァイオラには別働隊に戦力を廻す余力がありません</p><p>現在確認されているアメリカから来たシザーリオの配下は、5人ですそのうち、マネージャーのロレンザッチョ・バンディーニには戦闘能力がありません一人は、先日、わたくしが倒しました残りは３名うち２名は、ロミオ・モンタギューとジュリアーノ・ジェンカと目されています</p><p>そして、最後の一人がシザーリオ・ヴァイオラ本人</p><p>確証は無いけれど</p><p>シザーリオ・ヴァイオラは日本語が堪能ですが後の二人は英語しか話せませんこの日本では、その二人が指揮をとることのできる様な人材は確保できないと思います</p><p>確かに英語でコミュニケーションが取れて、一緒に敵地に潜入してくれるような人間を見つけるのは大変かもしれない</p><p>ヴァイオラ自身が出張ってくるって可能性はどうなんだ日本語ペラペラなんだから、自分で一軍を率いて突入してくるかもしれないぞ</p><p>工藤父が娘に問う</p><p>シザーリオ・ヴァイオラは、慎重な人間ですこの段階で自ら、突入してくることは無いと思います</p><p>いやヴァイオラが司令塔になれば、ロミオもジュリアーノも使えるだろ日本のやつらには日本語で、ロミオたちには英語で指示すればいいんだからここで、一気に総攻撃で片を付けてくるっていう可能性はあるだろう</p><p>まさかの全員突撃か</p><p>それも、ありえません</p><p>ミッチィは即座に否定した</p><p>この地で、わたくしたちを倒してもヴァイオラには、何のメリットもありませんから</p><p>シザーリオ・ヴァイオラは、寧さんを取り戻すために来日したんだろ</p><p>なら、その目的さえ果たせばどんな強硬手段を執っても構わないじゃないか</p><p>ふふっ</p><p>工藤父は笑った</p><p>そうだよな香月のジィさんが、でかいニンジンをぶら下げちまったもんな</p><p>オレは尋ねる</p><p>今回の日本遠征はヴァイオラの個人的な私怨から始まっているあのヴァイオラが、アメリカから少人数の部下しか連れて来られなかったのが、何よりの証拠だ経費はみんなシザーリオ・ヴァイオラ個人の負担なんだよ今の日本は、円高だからな滞在費が相当掛かるもんな</p><p>そうか寧さんを取り戻したり</p><p>ミナホ姉さんやマルゴさんを殺したって</p><p>ヴァイオラたちには、全く金にならない</p><p>そこへ香月さんが、ゲームを仕掛けた自分の命を賭けたゲームだ</p><p>今夜のホテルでの対決</p><p>こりゃ効くぜ香月さんを出し抜いたとなれば、日本での良い宣伝になるそれどころかすでに香月さんの敵対者から、暗殺を請け負っているかもしれない</p><p>寧さんには金銭的な価値は無いけれど</p><p>香月閣下にはある</p><p>ヴァイオラ本人がどう主張しようともマネージャーのロレンザッチョ・バンディーニが、儲け話を見逃さないさ他の二人もな</p><p>なるほどヴァイオラ本人以外は、寧さんには特に興味が無いんだ</p><p>ヴァイオラに雇われて一緒に来日したけれどどうせなら、お金になって、名を高めることのできる方がいい</p><p>では何で、今から不良外国人の集団が襲ってくるんですか</p><p>決戦が夜なら今、わざわざそんなやつらを雇って突っ込ませる必要は無い</p><p>威力偵察わたくしたちの戦力を知るために、捨て駒として突入させようということですか</p><p>それもあるだろうが重要なのは、もう一つの方だろうな</p><p>夜の決戦までに、少しでもオレらの戦力を削いでおきたいんだよ</p><p>不良外国人たちは囮でやつらは隙を付いて、オレたちを襲って来る</p><p>敵のターゲットは工藤父や、ミッチィそれから、できればマルゴさん</p><p>つまりオレたちの側の戦闘要員だ</p><p>だからこっちは全力でそれを阻止する</p><p>工藤父は、言った</p><p>不良外国人の集団と闘っている間にやつらは、オレたちを狙って来るだろう多分、狙撃だな今、この付近で狙撃可能なポイントは、全て監視させているそして可能ならば狙撃者を始末する</p><p>カウンター攻撃ですね</p><p>そうだロミオ・モンタギューでも、ジュリアーノ・ジェンカでも、どちらでもいいここで始末しておけば夜の闘いが楽になる</p><p>もっともこれは、一つの想定でしか無い</p><p>工藤父は、さらっと言った</p><p>シザーリオ・ヴァイオラは、オレたちが考えている以上にバカかもしれないこの段階で全勢力でバンザイ・アタックを仕掛けてくるような男だったら目も当てられないそれに</p><p>もしヴァイオラが、アメリカから連れて来た部下が他にもいたらどうする</p><p>そうかその可能性もある</p><p>オレらは、ヴァイオラの部下の来日を５人確認しているけれど</p><p>もし、他の便ですでに来日しているメンバーが居たら</p><p>この想定は、根本から覆されることになる</p><p>だから別働隊が攻撃してくるっていう可能性も、やっぱり考慮しておかなきゃならねぇんだよ</p><p>１パーセントでも可能性が残っているのなら、対応策は考えておかないと</p><p>ゲームじゃねぇんだミスったら、誰かが死ぬ自分が死ぬのは諦めが付くが自分の判断の甘さで、誰かが命を落とすってのは気分が悪いだろ少年</p><p>工藤父が、オレに言った</p><p>ロミオ・モンタギュークラスの熟練犯罪者が、もう５人も居たらこっちは対応し切れないぞ香月さんが、昨日の今日でホテル決戦を決めたのも、やつらにこれ以上の増員をさせないためだしな</p><p>決戦までの期日を延ばせばヴァイオラは、確実に香月さんを殺せるだけの戦力をアメリカから日本に呼ぶだろう</p><p>そうなる前に今夜という日付で設定したんだ</p><p>さすがに、アメリカは遠いからな</p><p>でも、お父様ロサンゼルスでしたら、十二時間でこちらに辿り着けます</p><p>ミッチィが言った</p><p>香月閣下がホテル決戦を明言したのは昨夜の深夜だ</p><p>今日の夜までは十二時間以上ある</p><p>ロサンゼルスから、増援部隊を呼ぶことは物理的には不可能では無い</p><p>バカ言え、時差ってもんがあるだろこっちへ送る部隊を編成するんだって、あっちが夜中じゃ何もできねぇよ犯罪者ってのは、軍隊じゃないんだ希望の人数を言えば、すぐにパッケージされて送られて来るってわけにはいかないさその上能力があって使えるやつほど、プライドも高いからな今すぐ荷物をまとめて日本へ行けっ命令したって、そういう奴らがその日のうちに飛行機に飛び乗るわけが無い</p><p>うん早くても一晩寝て、翌朝の出発だな</p><p>というのもあくまでも、こっちの勝手な想定だ</p><p>工藤父は、あっさりと前言を翻す</p><p>もしかしたら、すでにヴァイオラの手下が２００人くらい成田に向かって飛び立っているかもしれないそういう可能性も、一応は考えておかないといけない</p><p>決めつけてはダメってことか</p><p>どんなことでも全部、考えておくんだそうじゃないと強気の時は自分たちに有利な想定しかしねぇし、弱気の時にはついつい不利な想定ばかり考え込んじまう人間てのは、そういう生き物だからな</p><p>工藤父は、ニヤッと笑った</p><p>だからとりあえず、あの不良外国人たちはオレとミッチィくんで対処するいいな</p><p>敵は、銃器を持っていることを想定して闘え工藤流レベル３のGだ</p><p>オレはどうしたらいいでしょうか</p><p>工藤父が、オレを見た</p><p>このタイタンボーイは、完全防弾仕様だこの中で待っていろ</p><p>トニーとノーマは、先に食事にしてくれオレの分ちゃんと残しておくんだぞ</p><p>トニーさんが、そう言ってオレたちの持って来た昼食を拡げる</p><p>さ、ノーマさん食べよう</p><p>あら、お素麺ちゃんと氷で冷やしてあるのねっ</p><p>ボス氷が溶けないうちに、帰って来て下さいよ</p><p>と道の向こうから、明らかに怪しい車が三台、こっちに向かって爆走してくる</p><p>行くぞ、ミッチィくん</p><p>二人がタイタンボーイの外へ飛び出していく</p><p>ちょっちょっと待てよ</p><p>トニーくん、ポチッとな</p><p>アラホラサッサー</p><p>トニーさんが、何かのスイッチを入れた</p><p>ズババババーンッ</p><p>暴走してくる車の前の地面が、轟音と共に吹っ飛ぶ</p><p>三台の車が、急停止した</p><p>先手必勝ナリィィィッ</p><p>工藤父が手にした鉄パイプで、戦闘の車のフロントガラスを砕く</p><p>中に乗っていた不良外人たちが、何やらわけの判らない言語で喚きながら下りてくる</p><p>青竜刀を持った男が、威嚇しようと刀を振り上げた瞬間工藤父の鉄パイプの餌食になる</p><p>ふはははっ必殺・砂塵風車ぁぁッッ</p><p>工藤父は、鉄パイプをブンブン振り回しながら、敵をブッ飛ばしていく</p><p>うちのボスは特別な武器は使わないんですよ</p><p>素麺を食べながらトニーさんが言った</p><p>工藤探偵事務所の看板も背負ってますしいつも派手な格好しているでしょ毎日の様に、警察に職務質問されるわけです車の中の物も、チェックされたりね</p><p>だから、あんな風にどこにでもある物で闘うことにしているみたいですよ</p><p>ノーマさんも、ちゅるちゅると素麺を食べながらそう言った</p><p>もっともあれも外見が普通の鉄パイプみたいなだけで、材質の強度も軽さも戦闘用に厳選したもんなんですよね</p><p>一見ふざけているようで、根が真面目なのが工藤父という人間らしい</p><p>でも、鉄パイプの穴を工夫して振り回すとビュンビュン音が鳴るようにしてあるんでしょ</p><p>そうそう、いい感じで音が鳴るように色々工夫したらしいよ</p><p>変なことには人一倍こだわるのよね</p><p>あの鉄パイプも名前があるんだよな</p><p>確かダグラス・キューとかって呼んでたと思う</p><p>工藤父が、連続技で二人の敵をブッ飛ばす</p><p>秘技、ダブルヘッド・スネーク</p><p>二人の部下は、素麺をすすりながらボスを見つめて</p><p>ああいう名前は、どこから思い付くんだろうねぇ</p><p>一方、娘のミッチィの方は</p><p>レッド・ビュート</p><p>ミッチィは、マルゴさんから貰った赤いムチを使う</p><p>すっかり、慣れたらしい</p><p>敵の接近を許さず叩きのめしていく</p><p>しっかし工藤流ってのは</p><p>うん、いつ見てもデパートの屋上のヒーロー・ショーっぽいよね</p><p>トニーさんノーマさん</p><p>あなたたちが、それを言うんだ</p><p>あれなら遠目に見ると遊んでるようにしか見えないからね</p><p>そういう意味では、あんなんで正解なんだろうけれど</p><p>でもちょっとバカっぽくない</p><p>まあねボスの上のお嬢さんが工藤流を受け入れられないのはよく判るよ</p><p>下のお嬢さんは楽しそうだけど</p><p>美智さんはお父さん子だからね</p><p>ミッチィの赤いムチが踊る様に敵を蹴散らしていく</p><p>ハイハイハイハイッイヤアハッ</p><p>技が決まった後に、スッとポーズを決めるあたりが実に工藤流らしい</p><p>ホント見た目は可愛らしいのにね</p><p>戦闘民族だよな</p><p>ていうか戦闘脳</p><p>どう格好良く闘うかしか、考えてないもんな</p><p>その半分でも、お洒落のこととか考えればいいのに</p><p>うんとても残念な感じがする</p><p>ところでトニーさんとノーマさんは、闘わないんですか</p><p>オレは思い切って聞いてみた</p><p>そりゃ、あたしたちは</p><p>そういう契約はしていないから</p><p>契約</p><p>頭脳労働専門なんですボクたちは</p><p>得意じゃないんですね闘うのは</p><p>ボクは格闘術の基本的なことしか習得してないんですけれど、ノーマさんの方は</p><p>いやノーマさんは、昔、地元でケンカ鬼の嫁と呼ばれた方ですから</p><p>もう昔のことよ</p><p>だから、本当にどうしょもなくヤバそうな時は、ノーマさんも出撃することになると思いますけれどそういうのは、本当に状況がサイアクな時だと思って下さい</p><p>あたしは戦闘はやりませんそういう契約なんだからっ</p><p>ノーマさんは、ぷりぷり怒りながら素麺をすすっている</p><p>あ、危ない</p><p>後方に居る不良外人がピストルを取り出した</p><p>はい、ポチッと</p><p>トニーさんが、何かのスイッチを押す</p><p>シュババババッとタイタンボーイの車体から火花が噴き上がる</p><p>ただの花火目眩ましだよ</p><p>トニーさんは平然とそう言うがピストルを持った敵は、一瞬気を削がれる</p><p>ミラー・ナイフ</p><p>工藤父が、落ちていた石を拾って思いっきり、その男の頭に投げ付ける</p><p>どこがミラーでどこがナイフなのか全く判らないが石は男の頭にヒットして、後ろに倒れる</p><p>秘技、駝鳥の湖</p><p>そのまま工藤父は、鉄パイプを振り回しながら敵の中へ躍り込むッ</p><p>ガブラッチョガブラッチョガブガブゥゥッッ</p><p>訳の判らない奇声を上げながら敵を粉砕しつつ、地面に落ちていたピストルを確保する</p><p>何でぇ中国製のコピー品かと思ったら、マジモンのＰ２２８じゃねぇか</p><p>スッと、工藤父がピストルを構える</p><p>シグサウエルＰ２２８こりゃあ、当たるぜ</p><p>そのまま平然と撃つ、工藤父</p><p>ダキュウンッ</p><p>バリリンッ</p><p>後方の敵の車の窓が割れる</p><p>もっともオレの腕じゃあ、弾がどこに飛ぶか判らねぇがな</p><p>二発目を撃つ</p><p>ドュキュゥゥン</p><p>弾が地面にビシュッとめり込むッ</p><p>不良外国人たちは怯む</p><p>さあまだ続けるかい</p><p>工藤父は、じりじりと敵との距離を詰めていく</p><p>右手にピストル、左手に鉄パイプ唇から真っ赤な嘘、背中に人生だぜぇい</p><p>お父様何ですの、それ</p><p>ミッチィも、シュパッシュッパッとムチを叩き付けて鳴らしながら敵に寄っていく</p><p>若い子は知らなくていいのっ</p><p>工藤父が、再びピストルを構えると</p><p>不良外人の一人が、廻りの連中に指示をする</p><p>どうやら撤退の指令らしい</p><p>ふん</p><p>気絶した仲間を車に乗せる外国人集団</p><p>元からギュウギュウ詰めだった車内をさらにギュウギュウ詰めにして</p><p>車をバックさせて逃げて行く</p><p>車の中から、口々に何かを喚いている</p><p>どうせ捨て言葉で、罵詈雑言を言っているのだろう</p><p>うるせぇんだよ</p><p>ダキュゥゥンッ</p><p>さらに一発工藤父が、威嚇射撃をすると</p><p>不良外人たちは、黙り込んでしまう</p><p>オレたちから３０メートルぐらい距離を取ると</p><p>そのまま車をターンさせて逃げて行った</p><p>さぁってと</p><p>工藤父が、さあっと周囲を見廻す</p><p>美智、隠れろ</p><p>その瞬間工藤父とミッチィが、草むらの中に飛び込むッ</p><p>さっきまで工藤父が居た場所に銃弾が撃ち込まれたッ</p><p>狙撃されているっ</p><p>４２の３です</p><p>トニーさんが、無線機で誰かにそう告げた</p><p>はい、片付けたわよ</p><p>次の瞬間無線機から、そんな女の人の声がした</p><p>各監視ポスト確認をお願いします</p><p>トニーさんの指示に</p><p>１番から１２番異常なし</p><p>１２番から２６番何もなし</p><p>２６番から３８番異常なし</p><p>３８番から５０番４２で一人確保他は異常ないわ</p><p>５０番から６０番全て見落とし無し</p><p>少なくとも、５人の人間がこの周囲を監視している</p><p>トニーさんが、ガラッと車のスライド・ドアを開ける</p><p>ボス狙撃者一名確保他に伏兵はいないようです</p><p>了解だトニー</p><p>工藤父とミッチィが起き上がる</p><p>さっき飛び込んだ草むらから、かなり離れた場所から顔を出した</p><p>こういう訓練もしているんだ</p><p>あの不良外国人どもを撤退させた時に狙われることは判っていたからな狙撃者ってのは、心の隙を突いてくるもんだから</p><p>はい、戦闘中は狙いを付けられないように常に移動し続けておりましたし</p><p>そうかそれで</p><p>工藤父も、ミッチィも決して立ち止まらずに、攻撃し続けていたんだ</p><p>あっちも狙撃する瞬間には、全て集中するからな隙が出来る</p><p>ライフルの引き金を引こうとする瞬間を狙って工藤父の配下の人が、狙撃者を倒したのか</p><p>トニー、誰が確保したんだ</p><p>ネコ先輩です</p><p>あいつかよ</p><p>今、こっちに向かってます</p><p>ネコんとこの警戒は</p><p>それは、水谷さんが代わりに入るそうです</p><p>ならいいが</p><p>道の先からど派手な軽自動車が走って来た</p><p>紫とピンクのラメ・カラーに塗られた軽自動車</p><p>中に乗っているのは</p><p>小さな子供が、ハンドルを持っているけれど</p><p>軽自動車は、オレたちの前に到着した</p><p>お待たぁ狙撃犯を一人、捕まえてきたよーんっ</p><p>車から降りて来たのはどう見ても、中学生にしか見えない少女だった</p><p>というか下手すりゃ小学生</p><p>今、流行りの女子小学生向けブランドの派手なシャツに短パンを履いている</p><p>どっちも黒地にピンクのラメが光っている</p><p>この人本当に、工藤さんの部下なんですか</p><p>と、オレがトニーさんに尋ねると</p><p>はい、ネコ先輩こと金子佳菜子さん３８歳です</p><p>さんじゅうはっさい</p><p>バシッっと、オレの横にスニーカーが飛んでくるッ</p><p>そこっ歳を言わないっ</p><p>ネコ先輩が、履いていたスニーカーを投げ付けてきたらしい</p><p>そんなことはどうだっていいから確保した狙撃手の顔を見せろ</p><p>工藤父が、ネコ先輩に言う</p><p>ロミオ・モンタギューかジュリアーノ・ジェンカか</p><p>シザーリオ・ヴァイオラがアメリカから連れてきた殺し屋のどちらかだったら今夜の闘いは楽になる</p><p>ネコ先輩が車の後部座席に転がした、敵を工藤父に見せる</p><p>こりゃロレンザッチョ・バンディーニじゃないか</p><p>シザーリオ・ヴァイオラのマネージャーの</p><p>ロレンザッチョ・バンディーニは、戦闘には参加しないんじゃなかったのか</p><p>工藤父の言葉にノーマさんは</p><p>あははは、思いっきりガセ情報だったみたいですねそれっ</p><p>ということで、戦闘終了です</p><p>昔少年ジャンプのキャラクターが闘うファミコン・ジャンプというゲームがありましたが</p><p>少年マガジンで同じ様なのを作ったら、どうなるんでしょうね</p><p>やっぱりガクラン８年組とかと闘うんでしょうか</p><p>おがみマツゴローとノン・ストップ恭平は、どっちが強いんでしょうか</p><p>ミスター味っこと中華一番の料理対決とかあるんでしょうか</p><p>バッド・エンドは、マーズが反陽子爆弾を破裂させて全滅エンドでしょうか</p><p>ううむ</p><p>212．オハイオ州6位の男</p><p>そう言えば今、思い出したんですけれど</p><p>ノーマさんが、ハッとする</p><p>確か、ロレンザッチョ・バンディーニのファイルに、1990年度全米ライフル選手権オハイオ州大会６位という記述があったような</p><p>オハイオ州大会の６位</p><p>それって、どの位の腕前なんだ</p><p>それＬＡＰＤのファイルか</p><p>工藤父が、ノーマさんに尋ねる</p><p>いいえ、ロサンゼルス市警じゃありませんＦＢＩの方の調査資料です</p><p>工藤父は、チッと舌打ちして</p><p>何で、そんな大事なことをチェックしとかなかったんだ</p><p>だって1990年のことですしオハイオ州で６位ですよ</p><p>工藤父が、鉄パイプを地面に叩き付ける</p><p>お前、オハイオ州ナメてんのかっ</p><p>いえオハイオ州はナメてませんけど２０年以上前のことですし</p><p>２０年経ったら、もっと上手くなってるかもしんねぇだろ今じゃ、オハイオ州で３位の腕前かもしれねえ</p><p>オハイオ州は、そんなに関係ない気がするけれど</p><p>ちょっとしたことでも、リストアップして報告しろってオレはお前に言ったよななあ、トニーくん、オレはノーマくんにそう、お願いしたよねぇ</p><p>ヒートアップする工藤父にネコ先輩が</p><p>まあまあ、工藤ちゃぁんいいじゃんか今回は、問題無く敵を確保できたんだし</p><p>うるせぇ、ロリババァ</p><p>工藤父の言葉にネコさんは、キレる</p><p>ロリババァ言うなぁっ</p><p>だったら黙ってろ今は、とっても重要な話をしているんだッ</p><p>工藤父がノーマさんをギッと見る</p><p>ノーマくんは香月セキュリティ・サービスの正社員で、オレんとこの警護課に出向しているいずれは、オレの下からいなくなることになる</p><p>ノーマさんは、真面目な顔で工藤父の言葉を聞いている</p><p>ノーマくんが自分の責任で、仕事を担当する役職についた後ならどうでも、自分の好きにやってくれて構わねぇだが今は、オレの下に居るんだオレのやり方に従って貰う</p><p>工藤父の言葉は、厳しかった</p><p>オレのやり方は下調べに時間を掛けすぎるとか、ありとあらゆる事態を想定し過ぎて無駄が多いとか言われている別に、今に始まったことじゃねぇオレはノーマくんが、幼稚園に通っている頃から、この稼業をやっているんだからな</p><p>シンとした空気に辺りは静かになる</p><p>別に、同業者にバカにされても構わないクライアントから、無駄を省けと言われても絶対に止める気は無いオレの取り分がどれだけ減っても調査には時間と金を掛けるそれが、オレの方針だどんな小さな見落としもしないオレを笑ったやつで下らないミスで命を落とした連中を何人も知っているからな</p><p>いいや判ってねぇたった一つの見落としが、決定的なミスを産むことだってあるオレらの仕事では、ミスはすぐに誰かの死に直結するんだオレやノーマくんの命じゃねぇ大切な仲間の命だ他人の命を預かるってことが、どんなことなのかもう一度、よく考えてみるんだな</p><p>ノーマさんは</p><p>半泣きで、頭を下げる</p><p>オレに頭を下げてどうすんだよっ別働隊の警戒をしていたネコたちに謝れっ</p><p>ノーマさんが、ネコさんに頭を下げる</p><p>ネコ先輩済みませんでしたいいかげんな調査報告を上げて、本当に申し訳ありませんっ</p><p>うんまあ、これからは気を付けて</p><p>ネコさんは、優しくそう答えた</p><p>他の警戒中のやつらにも、謝るんだ</p><p>ノーマさんが、無線機に向かおうとすると</p><p>そうじゃねぇちゃんと、一人一人のところを廻って謝って来い</p><p>缶コーヒーぐらい、自腹で買って手渡すんだぞ判ってるな</p><p>はいっ行ってきますっ</p><p>ノーマさんは、トコトコと駆け出して行く</p><p>学校の周囲で警戒活動している人たちに直接、謝罪しに行くのか</p><p>スパルタ教育だねぇ</p><p>ネコさんが、ハァと溜息を吐いてそう言った</p><p>ノーマとトニーは、情報解析のスペシャリストに育成するように香月のジィさんに頼まれている</p><p>それで二人は、戦闘はしないんだ</p><p>今が一番悪い時期だ仕事と現場に慣れてきて、勘が働く様になってきているついつい、調査の基本を無視するこれぐらいは無視しても平気だろうと思い込む落とし穴にハマる時期だ</p><p>確かにね</p><p>ネコさんは、小さくなっていくノーマさんの背中を見て、そう呟いた</p><p>オレもネコも仲間が何人も死んでから、色んなコトに気付いたろ生き残るために必要なことをオレは、トニーにもノーマにも、誰かが死ぬ前に気付いて欲しいんだよできれば自分からね</p><p>相変わらず、あんたは面倒見がいいねぇ</p><p>悪いかい</p><p>いいや、悪くないさあんたのそういう所は、気に入っているよ</p><p>ネコさんは、ニッと笑った</p><p>飯食ってけよ差し入れで素麺を貰ったんだ</p><p>あんたたちの分しか無いんだろ</p><p>ノーマの分を食っちまってくれあいつが帰って来た時には、素麺はなくなっている方がいい</p><p>それも教育かい</p><p>ネコさんが、自分の軽自動車を指差す</p><p>あの中のロレンザッチョ・バンディーニはどうする</p><p>ほっとく</p><p>マジで</p><p>気絶させて、拘束してあるんだろ</p><p>ああ２時間は目覚めないよ</p><p>なら、そのままだシザーリオ・ヴァイオラが、捕まったロレンザッチョ・バンディーニの奪回に動くかどうか知りたい</p><p>ネコさんは、笑った</p><p>トニー、無線で連絡第一級警戒態勢は、そのまま維持だ外の連中には、それだけ伝えれば判る</p><p>トニーさんが、運転席の無線に向かう</p><p>工藤父が、車の中のオレを見て</p><p>少年少し、話をしよう</p><p>ミッチィくんも車に乗ってくれ</p><p>ネコさんが、工藤父に囁く</p><p>黒い森のルーキーさんだ</p><p>マジチンポ奴隷にもカード役にも見えないけれど</p><p>初めまして吉田ですオレはただの高校生です</p><p>ホント、オレは役立たずだ</p><p>自分でも、そう思う</p><p>ああ、こんちわあたしのことはネコって呼んで</p><p>声は優しいがネコさんの眼は、オレを警戒している</p><p>まあ犯罪組織としても、売春がメインの黒い森に、オレが在籍しているのは場違いなんだろう</p><p>そんなオレの横にミッチィが、寄って来る</p><p>怯まないで平然としていなさい、吉田</p><p>吉田は今、黒い森を代表してここに居るんですから</p><p>オレはダメだな</p><p>そういう顔をするなと言っているんです</p><p>何だいミッチィちゃんに叱られている男の子なんて初めて見たよ</p><p>ネコさんが笑った</p><p>というかミッチィくんが、こんなに親しそうに男と喋っているなんてパパは、ちょっとショックだなぁ</p><p>そんな父の言葉に</p><p>し、親しくなんかありませんわっ</p><p>ミッチィは、全否定をした</p><p>ま、いいけど女の子は、いずれいなくなるもんだしな</p><p>全員が車内に入ったところで工藤父は、車のスライド・ドアを閉めた</p><p>このタイタンボーイは、完全防弾仕様だって言っていた</p><p>とりあえずこの中から、安全だ</p><p>トニーくんは、もう食ったんだな</p><p>では、トニーくんは周囲の監視だ</p><p>耳だけは、こっちに傾けておくんだぞ</p><p>ノーマくんも聞こえているな</p><p>はい、ボス</p><p>スピーカーから、声がした</p><p>携帯電話をハンズフリーの状態にして、歩きながら車内の会話が聞けるようにしているんだろう</p><p>ネコは、素麺を食っててくれオレは、こいつらの相手をするから</p><p>工藤父が、ネコさんに素麺を勧める</p><p>あら、美味しそういただきまーすっ</p><p>ネコさんは、ちゅるちゅると食事を始める</p><p>さてとまず、少年何でオレが、ノーマくんをあんなに叱ったか理由が判るか</p><p>工藤父が、オレをジロリと見る</p><p>それは今までの情報では、ロレンザッチョ・バンディーニは、マネージャーで戦闘能力は無いっていうことだったから警戒態勢に居る人たちは、バンディーニが来ることは想定していなかったでしょうから警戒に対する心構えが違ったと思います</p><p>それだけか</p><p>バンディーニに、ライフル射撃の経験があると判っていたら狙撃についての対策をもっと充実させる必要があったわけで</p><p>とりあえずはそれだけだな</p><p>でも、大きなことだ警戒対象者がどんな人間かってのは大切だしライフルの方は、もっと重要だな</p><p>ていうかさライフルによる狙撃ってのは、ちゃんと習わないと身につかねいもんなんだよ</p><p>素麺をすすりながら、ネコさんが言った</p><p>今回の敵はロサンゼルスの殺し屋集団だろほとんどが、ロサンゼルスの貧困地区の少年ギャング上がりだそりゃみんな、銃を撃つことには慣れちゃているがそりゃ、ピストルで人を撃ったり、近距離で銃撃戦をするっていう経験が豊富なだけでライフルで射撃なんてのは基本的にはできないのが普通なんだよ</p><p>今時は、猟師のセガレで子供の頃からライフルを撃ってましたなんてやつはまずいないからね軍隊でそういう部隊に居たか、今回のケースみたいにライフル競技の経験がある人間で無いとスナイパーになんてなれないんだよ</p><p>狙撃用は、ライフルも弾も高いしな普通の犯罪者は、なかなか足を踏み入れないんだよ</p><p>ネコさんの解説に、工藤父が付け足す</p><p>だから前もって敵対勢力のファイルを調べて、軍歴のある人間がいなければ普通は、狙撃の可能性は消去する今回、それを無視しなかったのは、工藤ちゃんだからだよこの人は、可能性が１パーセントでもあったら、無駄だと判っていても対応するオトコだからね</p><p>それでネコさんたち警戒部隊は、狙撃可能ポイントをあらかじめ特定していた</p><p>だから、ライフルを持って現れたロレンザッチョ・バンディーニにすぐ気付いたし、捕らえることもできたわけだ</p><p>でもやっぱり、あたしたちも人間だからねえ狙撃の可能性が少ないと思い込んでいれば、チェックの手を抜くこともある正直、みんな別働隊による襲撃の方を予想して行動していたよ</p><p>ああネコの担当地域じゃなかったら、バンディーニは捕まえられなかったかもしれないつーか、オレとミッチィくんは狙撃されて死んでた可能性もある</p><p>だからシザーリオ・ヴァイオラの手下に、競技ライフル経験者が居るって情報を見落としたのはデカイんだよ</p><p>いや、工藤父ですら、狙撃者の現れる可能性は少ないと思っていたんだ</p><p>もしスナイパーが現れたとしても、そっちは別働隊の行動を成功させるための陽動で、射撃の腕は大したことがないって踏んでたんだろ</p><p>ネコさんが、工藤父にニヤッと笑う</p><p>そうさだから、オレは確実に狙撃者を捕獲するために、射撃の瞬間を狙って捕まえろって指示していたんだ</p><p>それで銃弾が一発だけ、飛んで来た</p><p>工藤父もミッチィも、上手く避けたけれど</p><p>でもオハイオ州で6位の腕前なら、銃撃する前に捕らえさせたよそんなやつにスコープで覗かれるのは、危なくていけねぇや</p><p>だからさぁ香月セキュリティ・サービスのあのお嬢さんが、一番謝らないといけないのは工藤ちゃんとミッチィちゃんなんだなのに、あたしたち外回りの人間に謝りに行かせることを優先するなんて工藤ちゃんは、大人だねぇ</p><p>そういうことじゃねぇよきちんとネコたちに謝罪しないと、今後ノーマくんは仲間内でナメられるだろ困るんだよそういう部下が居るってことが噂になると、今後のオレの活動に支障が出るオレは、てめぇのことしか考えていねぇからな</p><p>何言ってんだい工藤ちゃんは甘いよあたしの部下だったら、即刻、クビにしているところだよ</p><p>そうもいかねぇんだよ香月のジィさんからの大切な預かり物だからな</p><p>工藤父は、ハァと溜息を吐いた</p><p>ところであたしにだけ素麺をご馳走してくれた理由は何</p><p>ネコさんが、ジロッと工藤父を見る</p><p>ネコお前、あの車気に入っているか</p><p>工藤父はロレンザッチョ・バンディーニを捕縛したままのネコさんの軽自動車を見て、そう言った</p><p>気に入っているけれどどうせ、仕事用のカムフラージュに使っている車だよ工藤ちゃんが必要ならやるよ</p><p>弁償はするよ</p><p>えどういうことなんだ</p><p>工藤ちゃんは、やっぱり凄いねあたしは、そこまで考えなかったのこのこと、あの外人を連れてきちまった</p><p>ネコさんは、口惜しそうにそう言った</p><p>トニー警戒している連中から、他にシザーリオ・ヴァイオラの部下らしいやつを見掛けたっていう情報は入っているか</p><p>いいえ、何もありません</p><p>工藤父が、ネコさんを見る</p><p>シザーリオ・ヴァイオラの右腕でマネージャーっていうことになっている男が敵に捕まったんだもしこれが、やつらの想定外のことなら、何らかのアクションが無いとおかしいだろ</p><p>そうだ普通なら、必死で取り返しに来るはず</p><p>マネージャーなら、ヴァイオラに関する様々な情報を知っているだろうし</p><p>トニー、タイタンボーイを移動させろ学園側に、３０メートルほどだネコの車から離れるんだゆっくりだぞ</p><p>トニーさんが、車のエンジンを掛ける</p><p>この車は、対爆仕様にはしてあるが少しでも安全な方がいい</p><p>ロレンザッチョ・バンディーニに、爆弾が取り付けてあるということですか</p><p>確証は無ぇがオレなら、そうするなロレンザッチョ・バンディーニが捕まれば、普通なら、情報を聞き出すための尋問するだろその瞬間に、爆発させれば</p><p>尋問者たちは、全員爆死だ</p><p>しかしシザーリオ・ヴァイオラが、そこまでするかい自分の右腕だろ</p><p>ネコさんの言葉に工藤父は</p><p>ロレンザッチョ・バンディーニは、戦闘には参加しないっていう情報はガセだったてことはロレンザッチョ・バンディーニは、シザーリオ・ヴァイオラの右腕でマネージャーっていう情報も嘘なんじゃねぇか</p><p>罠なのか</p><p>ロレンザッチョ・バンディーニは、わざと敵に捕まるように、こちらに送り込まれた</p><p>昨日捕まえたヴァイオラの部下は尋問させたが、有益な情報は何も知らなかったヴァイオラは、そういう対策をきっちりとやっているなら自分のマネージャーにライフルを持たせて、一人だけ行かせるわけが無いだろ</p><p>バンディーニが、本当にマネージャーとして重要な人間なら</p><p>そんな危険なことをさせるわけがない</p><p>でも、ヴァイオラの殺人組織の中で、広く顔が知られているのはバンディーニだけだろ仕事の依頼は、バンディーニを通さないとできないんだから</p><p>ネコさんは、そう言うけれど</p><p>ただの顔繋ぎ役なら、誰でもできる別にバンディーニじゃなくっても、適当なやつと交代させれば良い結局バンディーニは、それだけの存在でしかなくて仕事についての判断は、全てヴァイオラ本人がやっているんじゃないのかな</p><p>となると</p><p>お父様それでしたら、ロレンザッチョ・バンディーニと一緒にセントレア空港から来日した５人組というのは</p><p>わざと顔の知られているバンディーニと一緒に来させたんだこちらの眼を惹き付けるためのフェイクだ</p><p>そもそも全員、ビートルズのメンバーの名をもじった偽名を使っていた</p><p>つまり最初から、フェイク（偽物）であることを示していた</p><p>シザーリオ・ヴァイオラは、あの５人とは別に来日しているな手下を何人連れてきているかも判らねぇ</p><p>振り出しに戻っちまったってことかい</p><p>残念そうにネコさんは言った</p><p>おそろく、バンディーニは自分が人間爆弾にされていることも気付いていないだろうな</p><p>そうだろうねえシザーリオ・ヴァイオラが、オハイオ州６位の男の狙撃に期待するはずが無いし</p><p>やっぱり、ダメなんじゃんオハイオ州６位</p><p>ボス皆さん、居ませーん</p><p>スピーカーから、ノーマさんの声がした</p><p>謝りに来たんですけれど皆さん、どこにもいらっしゃらないんです</p><p>その声に工藤父は</p><p>当たり前だ第一級警戒態勢の状態で、仲間同士で直接のコンタクトなんてできるかっ</p><p>誰が警戒担当者なのか敵に知られてしまう</p><p>叫ぶノーマさんに、工藤父は</p><p>いいから、戻って来い慌てず、ゆっくりだぞそれからネコの車には近付くないいなっ</p><p>と、ノーマさんが返事した瞬間</p><p>ボス信号出ました</p><p>トニーさんが、こちらに叫ぶ</p><p>誰からだ</p><p>ガンさんです</p><p>思った通りだノーマを尾行しているやつを見つけたんだな</p><p>やはり、ノーマさんはヴァイオラの部下に尾行されていた</p><p>ノーマを行かせて正解だったなさっきの状態だと、敵がいつ人間爆弾を爆発させるか判らなかったからなノーマを行かせることで、敵の集中を二分したんだ</p><p>そうねノーマちゃんを追っ掛けて、うちのメンバーの人数と顔を把握するまでは、敵さんも爆発は控えるもんね</p><p>ネコさんが、そう呟く</p><p>ガンには、ブルーのサインを出しとけ尾行はしても、手出しはするなそれから、ラスカルをフォローに廻せまさかとは思うが、ガンにも尾行が付いているかもしれん</p><p>尾行者を尾行する人間を特定してさらに尾行されているかもしれないから、確認の人間を派遣する</p><p>敵の総人数が判らなくなったんだ全ての可能性を想定しろ</p><p>トニーさんは、ノートパソコンに向かった</p><p>今は楽になったよね電子メールでやり取りできるから</p><p>でも、具体的なことは書けないけどなメモリーから消しても、簡単に再生できるから</p><p>暗号しか送れないのは、しょうがないよ詳しい指令書を出したって、読解力の無くてトンデモナイことをしでかすやつだっているしさ</p><p>まあ、そうだなさてと</p><p>ここまでこっちの手の内を明かしたのは少年の意見が聞きたかったからだ</p><p>オレの意見</p><p>いやでも、オレは普通の高校生だし頭悪いし</p><p>少年の眼から見て、思ったことを言ってくれりゃあいい分析と判断は、こっちでやる</p><p>実はな朝飯を届けて貰った時に、ミッチィくんから黒い森とシザーリオ・ヴァイオラのいきさつについては報告して貰った寧っていう女の子の話だ</p><p>夜中の寧さんの話を聞いていた</p><p>それを朝工藤父に話したんだ</p><p>おそらくミナホ姉さんは、ミッチィが工藤父に報告すること理解した上で、ミッチィに朝食を届けさせたんだ</p><p>ならば今回、マルゴさんがオレをここに送ったのも</p><p>工藤父に、ある程度の情報が渡るのは仕方ないと思っているんだろう</p><p>むしろ、オレの様な素人の方が適任だと思っているのかもしれない</p><p>オレには、裏社会の人間としての専門的な知識は無いのだから</p><p>オレに何を聞きたいんですか</p><p>なあに簡単なことだシザーリオ・ヴァイオラって人間をどう思う</p><p>どうって</p><p>えっと何か、得体が知れないですイメージが合わないっていうか</p><p>イメージが合わない</p><p>はい寧さんの話を聞く限りだと、シザーリオ・ヴァイオラって粗野で粗暴なだけのホモのオッサンなんですよねですけど工藤さんの話を聞いていると、何かとっても几帳面で頭が良さそうに見えて</p><p>うんイメージが合わない</p><p>お前もそう思うかオレもなんだよ</p><p>工藤父は、呟いた</p><p>ヴァイオラの人物像が、今ひとつ掴めねぇんだまるで、ヴァイオラは二人居るみたいな気がする</p><p>ヴァイオラが二人</p><p>さっきまでは粗暴がヴァイオラの実態なら、細かい計画立案なんかはマネージャーのロレンザッチョ・バンディーニがやっているんだろうと思っていたしかも、バンディーニには、ヴァイオラを制御できるぐらいの才覚があるんだろうってな</p><p>ヴァイオラは、バンディーニを使い捨てにしたつまり、奴らの組織内では大した力は持ってなかったってことだとなると、全ての計画は、立案も実行も含めてヴァイオラが自分でやっているってことになる</p><p>でも何か、寧さんの話に出てくるヴァイオラって、エキセントリックで衝動的で全然知的な人物に思えないんですよね</p><p>だろでも、ヴァイオラのような組織はトップの人間が、それなりの才覚がないと成立しない</p><p>エキセントリックで衝動的なだけじゃあ誰も付いてこないよなあ</p><p>あんたたちさあ一回、頭の中を空っぽにして考えてみなよ</p><p>ネコさんがオレたちに言った</p><p>シザーリオ・ヴァイオラってのは本名じゃ無いんだよね</p><p>ああそうらしい本名は、</p><p>ファビアーノ・カトゥイタリア系、アメリカ人でしたよね</p><p>寧さんは確か、そう言っていた</p><p>そういうのも全部忘れてシザーリオ・ヴァイオラって名前だけ、考えてみな</p><p>ネコさん</p><p>シザーリオ・ヴァイオラって女の名前だよ</p><p>こういうのはトニーくんが詳しかったよね</p><p>ネコさんが、トニーさんに話を振る</p><p>はいシェイクスピアの作品の登場人物ですよね</p><p>トニーさんが、ニコニコしてオレたちに言った</p><p>シェイクスピアの喜劇の十二夜の中で、主人公の少女ヴァイオラが男装して、男の振りをして名乗ったのがシザーリオでした</p><p>つまりさシザーリオとヴァイオラは、一人の女の子の名前なんだよ女の子としての名前がヴァイオラで、男としての名前がシザーリオ</p><p>ヴァイオラの死んだ妹が名乗っていた偽名もやっぱりシェイクスピアですロザリンド・オーランドーロザリンドはお気に召すままの主人公でやっぱり、男装して男に化けるキャラクターですオーランドーは、その恋人の名前です</p><p>オーランドーは、シェイクスピアだけじゃないよヴァージニア・ウルフの作品にもある確か、３００年生き続ける両性具有者だよ</p><p>ネコさんはそう言った</p><p>ヴァイオライコールシザーリオも、ロザリンドもオーランドーも男女両方の性を持つ、トランス・ジェンダーの象徴だよ</p><p>何だって、そんなコードネームを付けたんでしょうかね</p><p>トニーさんが、不思議そうに言った</p><p>いずれにせよファビアーノ・カトゥなんてオッサンの犯罪者が、自分から名乗る名前じゃないってことさ</p><p>工藤父が呟く</p><p>誰だかは判らないけれど、シザーリオ・ヴァイオラというコードネームを考えた人間がさらに高い位置に居るんだろうね</p><p>ネコさんは、そう言った</p><p>そうなんだろうなファビアーノ・カトゥは、ただの実行部隊のリーダーで組織全体をまとめている頭の良いボスは別にいるって思うべきだ</p><p>組織のボスはシザーリオ・ヴァイオラとは別にいる</p><p>ようやく、ヴァイオラ側の話に入れました</p><p>今までのは、寧さんの視点から見た一部の話でしかありません</p><p>213．父娘鷹</p><p>現在までに判っているシザーリオ・ヴァイオラの特徴をトニーくん、簡単にまとめてくれるかな</p><p>ネコさんがトニーさんに尋ねた</p><p>えっとまず、本名が</p><p>トニーさんは、ヴァイオラのプロフィールを暗唱しようとするが</p><p>違う違うそれは、ヴァイオラの情報あたしが聞いているのは、特徴だよ</p><p>ネコさんが、ニタァと微笑む</p><p>特徴ですか</p><p>そうヴァイオラって、どういう犯罪者</p><p>えっと人から仕事を受けて、脅しや暴力事件、殺人などを行う犯罪組織のボスで現場に出る時にはいつも必ず変装していて、本当の顔は誰も知らない</p><p>そうヴァイオラの素顔は、組織の幹部クラスの人間しか知らないと言われているどうして、そんな面倒なことをするんだろうね</p><p>それはヴァイオラに変装癖があって性的にも倒錯していますし変身願望がとても強い人間だから</p><p>トニーさんの返答に、ネコさんは</p><p>本当にそう思っているの</p><p>工藤父が、助け船を出す</p><p>あんまりイジメてやるなよ大学で犯罪心理学を専攻して、ＦＢＩ方式のプロファイルなんてものをカジったやつほど頭が固くなるんだよ</p><p>ネコさんがオレを見る</p><p>あんた、どう思う</p><p>いつでも別の人間に挿げ替えられるようにでしょう顔が判らないのなら、別人になっても誰も気付かれないから</p><p>正解</p><p>ネコさんが、真顔になる</p><p>どうして、そう思ったの</p><p>だってやつらは、ロレンザッチョ・バンディーニを捨て駒にしたでしょそれって、バンディーニは、組織の重要人物でヴァイオラのマネージャーだっていう話が全部フェイクだったってことですよねそれなら、シザーリオ・ヴァイオラ自身もフェイクの可能性があるつてことじゃないですか</p><p>ネコさんが、頷く</p><p>ああ本物のシザーリオ・ヴァイオラ本名、ファビアーノ・カトゥは、とっくに死んでいてあたしたちが相手をしているのは、何代目かのシザーリオ・ヴァイオラなのかもしれないね</p><p>謎のボスによってすでに何人も、ヴァイオラは交代させられているのかもしれない</p><p>でもそれなら誰がどうやって、組織の中でこの人がシザーリオ・ヴァイオラだってことを保証していたんですか</p><p>トニーさんが、そんな疑問を投げ掛ける</p><p>それは寧さんの話だと、昔は、妹のロザリンドとロレンザッチョ・バンディーニだけは変装したヴァイオラの正体が判ったっていう話ですけれど</p><p>組織のメンバーとの待ち合わせ場所にヴァイオラは変装して現れる</p><p>他のメンバーには、誰がヴァイオラなのか判らないほど精巧な変装だ</p><p>それをロザリンドとバンディーニが指し示し、保証することでヴァイオラは、組織のリーダーとして機能していた</p><p>ロザリンドは、ケイさんと撃ち合いになって死んだ</p><p>ロレンザッチョ・バンディーニは、人間爆弾になって向こうの軽自動車の中に居る</p><p>変装したヴァイオラがどいつなのか見極められるやつが、他にも居るってことだろ知っていても、バンディーニたちが指摘するまで判らないフリをしていたのさあくまでも、表に出るのはロザリンドとバンディーニに任せて、組織の内側に隠れていたやつがいるってことだ</p><p>他の手下たちの中に紛れて影からヴァイオラに指示を出していた人間がいる</p><p>ロレンザッチョ・バンディーニが、組織の重要人物で無いってことは判ったんだバンディーニの他に、ヴァイオラへの指示出し役がいるとすればそういうことになるだろおそらく、ヴァイオラの部下の中に組織の大ボスと直接、繋がっているやつがいるんだろうな</p><p>いやそいつこそが、大ボス本人なのかもしれないよ</p><p>ネコさんが言った</p><p>そうですよね部下のフリをして、いつも側に居て実際は、組織のトップでヴァイオラに指示しているのかもしれませんっ</p><p>トニーさんが、興奮して話すが</p><p>可能性はあるが少し、突飛過ぎるんじゃないか本物のボスってのは、自分で手を汚す様な仕事はしないもんだぜ</p><p>工藤父は、ネコさんのボスが部下に化けている説に反対するが</p><p>もっとも今の段階じゃ、何とも判断のしようがねぇ今は、全ての可能性に対応しておくべきなんだろうな</p><p>工藤父はハァ、と大きく溜息を吐いた</p><p>であたしの車とロレンザッチョ・バンディーニはどうする</p><p>ネコさんが、工藤父の判断を仰ぐ</p><p>あのまんまだ</p><p>あのまま放っておくのかい</p><p>とにかく２時間は、あのまま放置して本当に敵が、バンディーニを奪回しに来ないのかどうか確認する誰も来ないようなら、この道を完全封鎖して、そのまま夜まで放置だ</p><p>ロレンザッチョ・バンディーニに、本当に爆弾が付けられているとしたら、厄介だ香月セキュリティ・サービスの爆弾撤去班は、こういうケースは慣れていないし総合警備部の山岡は脳筋だうかつにバンディーニを連行しようとしてボカンとなるぞ</p><p>そうですよね香月セキュリティ・サービスのビルが吹っ飛んだら、困りますものねえ</p><p>トニーさんが、そう言う</p><p>バンディーニの監視は、シゲのグループにやらせろあいつらはどうせ、今夜の戦闘には連れて行かない予定だったんだから</p><p>了解、工藤ちゃん</p><p>ネコさんが、答える</p><p>丸一日ぐらい、あのまま拘束しておいたって、バンディーニは死にはしないだろう今は捨て駒の尋問なんてやっている余裕は無いし逆に偽情報を掴まされたら、メンドくせぇことになる</p><p>まあ大人だから車の中に閉じ込めておいても平気だろうし</p><p>今日は晴れているけれど、そんなに暑くはないし</p><p>どうせ、明日になりゃあ全部解決しているんだいや、解決させないといけねぇ</p><p>明日</p><p>さてとここまで、オレの手の内を晒したわけだが</p><p>工藤父は、ミッチィを見た</p><p>どう思う、ミッチィくん</p><p>お父様が、普段からどれだけ深く物事を考え準備していらっしゃるのか、改めて理解致しました大変、良い勉強をさせていただいていると思っています</p><p>そういうことを言っているんじゃねぇ</p><p>工藤父は冷たく答えた</p><p>ミッチィくんは、こういう世界に入りたいか</p><p>わたくしは、できればお父様の跡を継いで、工藤流を</p><p>こんなのは、工藤流とは関係ねぇ今のオレのやっていることは、ただの裏稼業だそれも危険なだけで、実入りは少ない割の合わない職業だ</p><p>ネコさんがスッと、工藤父を見る</p><p>あたし外そうか</p><p>いや、居てくれネコにも、この場に居て欲しいんだ</p><p>工藤父は、ネコさんにそう言う</p><p>オレみたいな裏稼業じゃなくて悦子や真一や遙花みたいに、香月セキュリティ・サービスの正社員になるって手もあるんだぜあっちは、正式なボディガードだ給料も休みも保証されている無茶な仕事には拒否権もある社会的な地位もあるだが</p><p>工藤父は、ジッと脇に置いた自分の鉄パイプを見つめた</p><p>オレの方には何も無い公の世界に出ることは決して許されないしそれなのに、常に死と隣り合わせだ</p><p>お父様はそれを後悔なさっていますか</p><p>工藤父は、ククッと笑う</p><p>バカ言えオレは好きでこっちの道に来たんだ何百回生まれ変わったとしても、オレは裏の世界へ行くよこれが、オレの天職なんだ</p><p>それでしたらわたくしも</p><p>ミッチィの言葉を工藤父は、堰き止めた</p><p>簡単に親子の情に流されるなはっきり言っておくオレは、オレの生き方にこれっぽちの後悔もねえしかし自分の娘にオレと同じ道を辿って欲しいとは、思わねぇよ</p><p>何よりお前には、もう決めた道があるんだろう</p><p>はいわたくしは、生涯をみすず様のために捧げたいと考えています</p><p>なら、その道を行けオレとは、ここまでだ</p><p>ですがわたくしにはまだ、お父様に教えていただかなければならないことがたくさんあります</p><p>ミッチィは、必死で父親に食い下がる</p><p>そんなもんは、ねぇ</p><p>工藤父は一言で突き放した</p><p>ここから先は、修羅の道ださっき言ったろ明日までに全て解決するってあれ、どういう意味だと思う</p><p>オレたちも山岡や悦子たち、香月セキュリティ・サービスの本社の連中も香月のジィさんからシザーリオ・ヴァイオラの駆除を命じられているだがあいつらとオレたちとでは、駆除って言葉の意味が違うんだよ</p><p>意味が違う</p><p>本社のやつらは香月のジィさんや、お偉方を守って、シザーリオ・ヴァイオラをアメリカに追い返せばそれでいい撃退するってのが、あいつらの駆除だしかし、オレたちの駆除は</p><p>ネコさんが暗い眼をした</p><p>シザーリオ・ヴァイオラとその仲間たちを、全員殺す来日したメンバーは、全員だそれも、今夜中に明日の朝には、一人も生かしてはおかないそれが、オレたち裏の人間が、香月さんから受けた駆除指令だ</p><p>本気の殺し合いをするつもりなんだ</p><p>美智オレは、お前に人を殺して欲しくはない</p><p>工藤父は穏やかな顔で、そう言った</p><p>ミッチィはうつむく</p><p>みすずお嬢さんの警護役として生きていくのならオレが、今までに教えた工藤流だけで充分だ工藤流古武術の本質は、戦場で鍛え上げられた戦闘武術だお前に教えたことの先にあるのは、確実に人を殺すための技だけだオレは、それをお前に教えたくはない</p><p>だから、工藤父はいつも、ふざけた風の技しか見せなかったんだ</p><p>いいえわたくしは、すでに知っております工藤流の奥義も極意も</p><p>ミッチィは、スッと顔を上げて父の眼を見た</p><p>お父様が隠しておられた秘伝の書を拝見しましたまだ、実戦で使うことはできませんが鍛錬は続けています</p><p>工藤父が言葉を詰まらせる</p><p>申し訳ございませんお父様のお心も知らずに、つい盗み見てしまいましたご無礼をお許し下さい</p><p>ミッチィが、スッと父親に頭を下げる</p><p>いやいいんだ知ることと、それを使うことは別だ学んだ技をどう生かしていくかはお前が決めることだからな</p><p>工藤父は、そう言って娘を許した</p><p>しかしオレを追って、裏稼業をすることは断じて許さないお前は、みすずお嬢様に付いていけそれがお前の工藤流古武術だ</p><p>お前にこれまで、オレの裏稼業を見せてきたのはお前がみすずお嬢様の警護役になったら、今のオレやネコみたいな裏の人間を使う立場になるからだ</p><p>正規のガード役として裏稼業の人間を取り仕切らなければならない</p><p>そのためには、裏稼業の人間の生活、考え方、行動様式なんかをよく知っておいた方がいいそれで、今日までお前をオレの側に置いていた</p><p>工藤父が、ミッチィの赤いムチを見る</p><p>それ見せてみろ</p><p>ミッチィがレッドビュートを父に手渡す</p><p>いいムチだな誰に貰った</p><p>黒い森のマルゴ様です</p><p>工藤父は、ビッとムチを引っ張って強度を確かめる</p><p>わたくしには、ハンマーよりもこの様な武器の方が向いているとアドバイスしていただきました</p><p>妥当な判断だこれは、人を守る武器だ敵を寄せ付けないための武器だ色も派手で良い警護役には、相応しい武器だと思うよ</p><p>工藤父は、ムチをミッチィに返す</p><p>オレたち、裏稼業の人間は外から見て、武器だと判る武器は持たない敵に警戒されないためと潜入工作のためだ途中でボディ・チェックを受けたらアウトだからなだがガードの人間は、これくらい判りやすい武器を持っていた方がいいお前のムチの凄さを誰もが知るくらいに広めろみすずお嬢様の警護役の赤いムチは、とんでもなく恐ろしいっていうイメージを世間に広めるんだそれがお前とお嬢さんにとっての最初の防御壁になる</p><p>ミッチィの強さが世間に伝われば半端なやつらは、みすずを襲って来ない</p><p>だがムチ以外に、別の技も身に付けておけ隠し技だ敵が、お前はムチで攻撃してくると思った時に使う、一撃必殺の技だそういう隠し技があれば、いざという時に役立つ</p><p>判りましたお父様</p><p>ミッチィくんに、オレがアドバイスできるのはこれが最後だな</p><p>工藤父は、ニッと微笑んだ</p><p>ということだからネコミッチィくんは、オレの娘だが裏稼業には引き込まない悪いが、ネコたちもそういう対応をしてくれこっそりオレの知らないところで、スカウトとかしたら、ただじゃおかねぇぞ</p><p>判ってるよ工藤ちゃん</p><p>ネコさんは言った</p><p>あたしにも息子がいるあたしだって自分がこんな稼業をするハメになったことは、今更とやかく言うつもりは無いけれど息子には、この仕事はやって欲しくない他のやつらには、あたしから言っておくよ誰にも、美智ちゃんを裏稼業に引き入んだりはさせないから絶対にね</p><p>済まんが、頼む</p><p>工藤父はネコさんに頭を下げた</p><p>最後に工藤父は、オレを見て</p><p>娘をよろしく頼む</p><p>黒い森を代表してお嬢さんをお預かりします</p><p>工藤父に、一礼した</p><p>とっても良いお父さんだね</p><p>工藤父の車からの帰り道</p><p>オレは、ミッチィに言った</p><p>お父様は、私の誇りです</p><p>ミッチィは寂しそうに、そう言った</p><p>わたくしこれから、どうすれば良いのでしょうか</p><p>オレは空を見上げた</p><p>五月の空は雲一つ無い快晴だった</p><p>大丈夫だよミッチィには、オレもみすずもいるから</p><p>一人じゃないいいや、一人にはさせないよ</p><p>オレはミッチィの手を取る</p><p>ミッチィは黙って、オレの手を握った</p><p>本当にマルゴさんのおっしゃる通りですね</p><p>小さな手が、ギュッとオレを手を掴む</p><p>吉田には女の心を癒やす力があります</p><p>美智と呼んで下さい</p><p>美智は真剣な顔で、そう言った</p><p>わたくしの美智という名は、お父様が付けて下さいました美智は、未知であり、道に通じるのだそうです</p><p>うんいい名前だね</p><p>はい、お父様の付けて下さった名前ですから</p><p>そうして美智は、ニコッと笑う</p><p>オレの手をギュッと握りしめる</p><p>その強さが美智の心を示している</p><p>このレズっ気の強い、武士娘は精神的には、とても幼い</p><p>多分、年下のマナよりも</p><p>戦闘能力は大人以上だが、心の成長はまだまだだ</p><p>ずっと工藤父の側に居たせいもあるのだろう</p><p>父と別れた今美智は、緊張している</p><p>不安な気持ちが、現れている</p><p>誰かが美智の心のケアをしないといけない</p><p>それはオレの仕事だ</p><p>さあ、戻ろう学校から脱出して、国立劇場へ行き着けば、みすずに会えるよ</p><p>はい吉田</p><p>ミッチィは、美智になったけれど</p><p>吉田は、そのまんまらしい</p><p>急ぎますよ吉田</p><p>ああ美智</p><p>手を握ったまま、オレたちは走り出す</p><p>監視室に戻るとそこは女の園だった</p><p>みんな、ドレスアップしてみすずの発表会に行く準備をしていた</p><p>ヨシくんどうかな</p><p>メグが二人で選んだグリーンのドレスに身を包んでいる</p><p>うん、とっても綺麗だよ</p><p>メグが、ドレスの下から伸びた長い足をオレに見せる</p><p>ヨシくんの言ってた通り、このドレスはあたしの足が強調されてとっても良いって克子姉さんが褒めてくれたわ</p><p>メグは、とっても嬉しそうだった</p><p>髪の毛も、克子姉さんにしてもらったのアクセサリーも借りちゃった</p><p>ドレスアップしたメグは上品で清楚な雰囲気に溢れていた</p><p>華やかだけれど安っぽくは無い</p><p>克子姉のセンスは、さすがだ</p><p>お兄ちゃん、あたしどうかなあ</p><p>マナが現れる</p><p>マナの方は逆に間違ったセクシー路線だった</p><p>黄色いドレスで背中とお腹も出して、肌を大胆に露出させている</p><p>髪の毛もアップしてそのトンボみたいな大きなサングラスは何だ</p><p>何か、ちびっ子が高級クラブのホステスさんのコスプレをしている様な</p><p>寧さんにやって貰ったんだけどね</p><p>ロリ・ビッチがテーマなんだって</p><p>しかし、14歳の健康的な肉体が表面的な下品さを打ち消している</p><p>元々の育ちが良いからだろうか</p><p>エグいイヤらしさは、全く無い</p><p>これはこれでとっても可愛い</p><p>このセクシーと可愛らしいの微妙なバランスがとっても、寧さんらしい</p><p>ああ、可愛いよマナ</p><p>オレが褒めると、マナはオレの胸に飛び込んで来た</p><p>そういう時は、ギュッと抱き締めてくれないとダメなのっ</p><p>うん、そうだな</p><p>甘えるマナをオレは、抱き締めてやる</p><p>清楚なメグと、セクシー路線のマナが並ぶと不思議と良い感じにバランスが取れていた</p><p>それぞれが、相手の魅力を引き立てている</p><p>ちゃんと美人姉妹に見えた</p><p>それぐらい派手でセクシーな方が、マナちゃんには正解なんだよ</p><p>寧さんが、奥の部屋から現れる</p><p>それに、その姿だったら白坂家の人間だって、マナちゃんのことは判らないと思うよっ</p><p>確かに今、世間で騒がれている白坂創介の娘が、こんな派手でセクシーな衣装で公の場に出てくるとはみんな思わないだろう</p><p>うん学校のお友達に出会っても気付かれないと思う</p><p>マナ自身が、そう言った</p><p>マナちゃんは、これからどんどん派手目なものを着た方がいいよ華やかな格好が映えるんだからさ</p><p>そういう、寧さんは黒のパンツスーツだった</p><p>やっぱりシザーリオ・ヴァイオラに対して男装することにこだわっているわしい</p><p>ただし、さっきと違って今は胸を締める様な服ではない</p><p>寧さんの豊かな胸や、くびれたウェスト柔らかそうなお尻が強調されている</p><p>素地がすでにグラマー美少女の寧さんには黒いシンプルなスーツが、よく似合っていた</p><p>オレは、そう言って寧さんを抱き締める</p><p>温かくて柔らかい肉体を、全身で感じた</p><p>うふふっありがとうヨッちゃんっ</p><p>寧さんが、オレの頭を撫でてくれた</p><p>ちょうど良かったわこっちへ来て</p><p>と克子姉が、奥からオレを呼ぶ</p><p>克子姉はワインレッドのスーツにタイトスカート</p><p>大企業の美人秘書風に仕上げていた</p><p>眼にも伊達眼鏡を掛けている</p><p>あたしは、ほらお客様とお会いしてしまうかもしれないから</p><p>みすずの発表会には上流階級の人たちがたくさん来る</p><p>その中には黒い森の娼館の客もいる</p><p>だから、もしお会いしてしまっても問題の無い姿でいないとね</p><p>うんあっちは、奥さんや子供を連れている可能性が大きい</p><p>挨拶を交わさないといけないような場面になっても、秘書っぽい格好なら誤魔化せるだろう</p><p>いいから、こっちへ来てあなたも着替えないといけないでしょ</p><p>克子姉が、オレのサイズに直してくれた紺スーツがあるんだっけ</p><p>待って、ヨシくんあたしも行くわ</p><p>ヨシくんの着替えは、あたしの仕事だもの</p><p>えーっ、マナは</p><p>マナちゃんは、あたしとこっちの部屋で待ってようねっ</p><p>寧さんがマナに言う</p><p>マナちゃん、ちょっとだけお化粧してあげるから</p><p>えっ、寧さん本当</p><p>マナが喜ぶ</p><p>寧さん、あんまり派手にしないで下さいよ</p><p>大丈夫よさっきも言ったでしょマナちゃんは、少し派手目な方が可愛いんだって</p><p>とにかくマナは寧さんに任せて</p><p>メグと奥の部屋に行く</p><p>そこは、ドレッシング・ルームだった</p><p>直したスーツは、新しいＹシャツと一緒にそこに置いてあるから</p><p>はい、ヨシくん脱ぎ脱ぎしましょうね</p><p>メグが嬉しそうに、オレの制服を脱がそうとする</p><p>うふっ</p><p>笑うメグ</p><p>男の人の上着を脱がせるってとってもゾクゾクするわあたし、ヨシくんの奥さんなんだって、実感が湧いてくるの</p><p>でしょだから彼の着替えは、みんなで交代でしましょうね恵美ちゃんだけには、任せないからねっ</p><p>はぁい、克子姉さんっ</p><p>オレの背中側に立って、上着を脱がせながらメグはそう言った</p><p>ネクタイを締めるのは、今日はあたしがやるわ男の人のネクタイを締めてあげるやり方、恵美ちゃんは知らないでしょ</p><p>はい、教えて下さい練習してできる様にしますから</p><p>メグが、克子姉に微笑む</p><p>ヨシくんは、覚えなくていいからねこれからは、ヨシくんのネクタイはあたしたちが締めるんだからっ</p><p>ところで、克子姉オレの髪型なんだけど</p><p>どんな風にしたいの</p><p>ちょっとワイルドな感じにしてくれないかな</p><p>ワイルド</p><p>みすずがそういう方が、好きらしいんだ</p><p>マナを最初にレイプした日にみすずが、そう言っていた</p><p>今日はこれから、みすずの晴れ姿を観に行くんだ</p><p>なるべく、みすずの気に入ってくれる様な格好で行きたい</p><p>判ったわ良い感じにまとめてあげる</p><p>克子、ちょっといいかしら</p><p>ドアを開けて、ミナホ姉さんが部屋に入って来た</p><p>ミナホ姉さんはいつもと同じ黒い服だ</p><p>長袖で、首まで隠しているロングのワンピース</p><p>いや普段学校で着ている服とは、生地が違う</p><p>キラキラしているから、シルクなのか</p><p>まあシルエット的には、何も変わらないんだけど</p><p>はいどうしました、お嬢様</p><p>克子姉が、尋ねると</p><p>この子、こんな感じでいいかしら</p><p>ミナホ姉さんの後ろから現れたのは</p><p>克子姉は、吹きだして笑った</p><p>うん何だこりゃ</p><p>雪乃は朝の登校時と同じ、地味地味モードの顔をしていた</p><p>髪の毛は、真ん中分けの三つ編み</p><p>顔には、太いフレームの黒縁眼鏡</p><p>そこまでは、朝と同じだったけれど</p><p>着ているものが</p><p>お嬢様テーマはミツバチとかですか</p><p>眼に痛い黄色と黒の縞々のワンピース</p><p>また縞が太い囚人服のイメージもある</p><p>どういうセンスなんだ、これ</p><p>いいえテーマは、道路工事現場よ</p><p>ど道路工事現場</p><p>ミナホ姉さんのセンスは恐ろしい</p><p>確かにこの色使いは、道路工事のバリケードだ</p><p>周囲の歩行者に、常に警告を発するように黄色と黒でまとめてみたの</p><p>雪乃は、真っ青な顔で放心状態になっていた</p><p>この格好で、セレブたちの集まる劇場に雪乃は連れて行かれる</p><p>次回は、みすずの登場まで行けると思います</p><p>雪乃はこんな感じで、晒し者として連行して行きます</p><p>まあ、校内に残していくわけにもいきませんので</p><p>国立劇場は現実の建物のイメージて行くか、フィクションとして別の建物を登場させることにするかは、今日中に考えます</p><p>初台の新国立劇場という手も無いな</p><p>214．ゲートを越えて</p><p>ドレッシング・ルームから戻ると寧さんが、美智のおめかしをしていた</p><p>と言っても、別にドレスアップしているわけではない</p><p>美智はいつもの超お嬢様学園の制服姿だ</p><p>みすずの発表会の様な場では、この制服は相当なステイタスがあるはずだ</p><p>安物のドレスなんかよりも、よっぽど格調があるし</p><p>こんな感じでどうかな</p><p>美智のおめかしは長い黒髪を、赤いリボンでまとめて</p><p>それとほんのりと、薄くお化粧している</p><p>ナチュラル・メイクってやつだろう</p><p>寧さんが、美智の眉を整えて唇も、リップクリームを塗っているな</p><p>元から日本人形の様な端正な顔立ちの美智は、そんなちょっとしたことでも美少女度がグンと増していた</p><p>これって寧さんがメイク・アップしようって言い出したの</p><p>と、オレが寧さんに尋ねると</p><p>うんうん、違うよミッちゃんから</p><p>美智が自分から寧さんに頼んだんだ</p><p>手鏡の中に映る自分の姿を見て、美智が寧さんにお礼を言った</p><p>工藤さんとっても綺麗</p><p>マナが、感嘆する</p><p>そうでなくては困ります</p><p>わたくしは、みすず様のガードですそして、わたくしの目指すべきガードの役割とは、自らの存在を目立せて敵をわたくしに集中させることだと考えました</p><p>美智は、すでに父から離れ自分なりの道を模索し始めている</p><p>でもご主人様であるみすずさんより、工藤さんが目立つのは良くないんじゃないですか</p><p>メグが、オレの代わりに美智に疑問を投げ掛けてくれた</p><p>それは問題有りませんみすず様は、わたくしの三十倍はお綺麗な方でいらっしゃいますから</p><p>三十倍ときたか</p><p>わたくしは、みすず様のお美しさの輝きの中に埋没してしまわぬ様精一杯、目立つように頑張るだけです</p><p>うんまあ</p><p>みすずも美智も綺麗でいてくれるのなら、それでいいか</p><p>はい、吉田くん恵美マナさん</p><p>ミナホ姉さんが、オレたちに封筒を手渡してくれる</p><p>何、これ</p><p>何か、固いカードとかも入っているけれど</p><p>お金よ10万円ずつ入っているわそれと、公共交通機関のカードも1万円ずつチャージしてあるわ</p><p>ミナホ姉さんが、真剣な眼でオレたちを見る</p><p>今日、これからの状況次第だけれどもし最悪、他の人たちと離れ離れになってしまった場合は、迷わずにそのお金を使いなさい10万円持っていれば、たいていのことは何とかなるわ電車やバスに乗らなくてはいけなくなった時は、必ずカードを使って切符を買ったりしてはダメよ料金から行き先を予想されることもあるから尾行されていると思ったら、いつでも途中下車できるようにしておくの</p><p>本当に、ミナホ姉さんは、いつもオレたちのことを考えてくれている</p><p>不測の事態の時の集合場所は、珠代のホテルよあそこへ行きなさいもしもの時は匿ってくれるように、あの子に話してあるわ</p><p>一昨日泊まった、珠代さんのラブホテルか</p><p>オレとメグとマナが、一緒に一晩を過ごした</p><p>珠代のホテルの地図は、ここにあるわこの間は車で行ったから、あなたたちは正確な位置は判らないかもしれないと思ったから</p><p>ミナホ姉さんが、プリントアウトした地図をテーブルの上に置く</p><p>三人とも今、この場で暗記して珠代のホテルの位置と、住所と電話番号をこの紙は、持って行ってはダメよあなたたちが暗記したら、シュレッダーに掛けて処分するから</p><p>ミナホ姉さんはオレたちが留守にした後に、この監視室に敵が潜入する可能性すら想定している</p><p>だから、絶対に知られたくない情報は処分していくつもりなんだろう</p><p>オレたちは、頭を寄せ合って必死に暗記する</p><p>ミナホ姉さんは、後ろに控えている雪乃に振り向き</p><p>雪乃さんには、何もあげないから財布も身分証明書も持たせないわ無一文のまま、決死の覚悟であたしたちに付いて来なさいね</p><p>もし、あたしたちから逃げたら今まで撮った雪乃さんの恥ずかしい映像は、全てインターネット上に流出することになりますからね昨日は、白坂創介のエロ動画が流出して今日は、娘の卑猥な画像となったらマスコミもネットの人たちも、また大騒ぎになるでしょうね</p><p>雪乃は酷く沈んだ顔をしている</p><p>もう、文句を言う気力も残っていないのだろう</p><p>ミナホ姉さんは、そんな雪乃を嘲笑いながらオレに腕時計を差し出す</p><p>これ吉田くんが付けていて雪乃さんの腕にも同じ物が付けてあるから１０分に一回、お互いの腕時計から微弱な電波を発信して、相手の位置を確認するわもし、２０分以上、電波が届かない場合は大きな音でアラームが鳴るから</p><p>雪乃が、オレたちから逃げ出したらすぐに判る</p><p>もし雪乃さんの姿が見えなくなって、時計のアラームが鳴ったら吉田くんは、すぐにあたしに報告しなさいその段階で、自動的に雪乃さんは逃亡したと見なして、全てのファイルをネットとマスコミに流すわ</p><p>ミナホ姉さんが、クククと笑った</p><p>つまりオレと雪乃は、ずっとお互いの電波の届く距離にいなくてはならない</p><p>まあ、微弱な電波って言っても、同じ建物の中に居るぐらいなら電波は届くわよでも、片方が地下とかだとダメかもね吉田くん腕時計の赤いのボタンを押してみて</p><p>オレは、リューズの脇のボタンを押す</p><p>ピピッ１０メートル以内に、感知しました</p><p>オレと雪乃の腕時計が、ほぼ同時にそんなメッセージを発する</p><p>もし、相手の居場所が判らなくなったら、そのボタンを押しなさいだいたいの距離は教えてくれるから</p><p>こうなると雪乃は、絶対に、オレの腕時計に電波が届く距離に居なくてはならなくなる</p><p>黄色と黒の工事現場カラーのドレスを着た雪乃が、絶望の眼でオレを見ていた</p><p>さて、そろそろ行こうかみんな、トイレとか平気</p><p>マルゴさんが、やって来る</p><p>マルゴさんは、黒いスーツ姿にサングラスを掛けていた</p><p>遠目には、男の警護係しか見えない</p><p>いやわざと、そうしているんだ</p><p>これから行く国立劇場では日本舞踊紺碧流の家元の教室の発表会が行われる</p><p>発表会で踊るのはみすずを始め、みんな日本有数の名家の子女たちばかりだ</p><p>子供たちの発表を見ようと、政財界の名だたる大物たちが会場に訪れる</p><p>当然各家からの護衛が集結する</p><p>ならば、マルゴさんは護衛の中に溶け込んでしまおうという考えなんだろう</p><p>いや、マルゴさんだけでない</p><p>オレたちの中で、黒い服を着ているのはミナホ姉さんとマルゴさんと寧さんの３人だけ</p><p>ミナホ姉さんも寧さんも一人だけでは、黒が目立つけれど、３人並べば一つのチームに見える</p><p>マルゴさんがボディ・ガードで、寧さんは子供のお守り役、ミナホ姉さんはマネージメント担当の事務方</p><p>３人とも、どこかの名家に雇われていてもおかしくない風格があった</p><p>これに、ワインレッドのスーツ姿の美人秘書風の克子姉が加わるとますます超一流の名家に雇用されている一流の使用人たちという感じがする</p><p>問題なのはこの一流の人たちと一緒に会場に行く、オレたち年少組が、全然名家の子供っぽくないことだろう</p><p>雪乃が地味顔＋工事現場ドレスではなく、精一杯お洒落したとしてもミナホ姉さん＋克子姉＋マルゴさん＋寧さんのチームにかしずかれるのに相応しいエレガントさは出せないだろう</p><p>オレはただの貧乏高校生だし</p><p>メグは美人だけど野に咲く可憐な花だ</p><p>今日のマナは可愛いロリビッチだし</p><p>美智は美少女だけど、お嬢様のオーラは出していないむしろ、殺気が出ている</p><p>この４人に囲まれて絵になるのはみすずぐらいだろうな</p><p>みすずには、お姫様らしい風格があるから</p><p>では、出発しましょう</p><p>これが、最後の勝負になるわ今日の夜で、全てが決まるだから、全員で討って出るのごめんなさいね今のあたしたちには、攻撃と防御に人を分ける余裕は無いから</p><p>まずはみすずの発表会へ</p><p>それから香月氏の指定したホテルで、白坂家との最終決着</p><p>オレにとっては、香月閣下との対決もある</p><p>そしてそのホテルで、シザーリオ・ヴァイオラを迎え撃つ</p><p>だから、みんな揃って元気な姿でこの部屋に帰ってきましょうね</p><p>ミナホ姉さんの言葉に、雪乃以外の全員が頷く</p><p>背水の陣を敷いてオレたちは出発する</p><p>ここに再び戻って来る時には、オレたちの敵は完全に消滅していなければならない</p><p>シザーリオ・ヴァイオラも白坂家も</p><p>あたしたちが退出したら、この部屋にはロックを掛けるよミナホの生体認証が無い限り、二度と開かないからねミナホ絶対に生き残るんだよ生体認証は、生きているミナホじゃないと作動しないからね</p><p>マルゴさんが、そうミナホ姉さんに言った</p><p>判っているわあなたたたちを残したままでは、死ねないものね</p><p>弓槻御名穂はオレたち全員の姉であり、母でもある</p><p>地下通路を通って教職員用の駐車場の隠しガレージへ</p><p>一号車が、あたしの青いマセラッティで、２号車がミナホの黒いベンツ３号車は克子さんの運転する白いバンだ</p><p>学校から脱出の指示は、全てマルゴさんがする</p><p>今日の白いバンには、丸子舞台衣装という文字がマグネットで貼られている</p><p>白いバンを持って行くのは、不測の事態の時のために、いつもより多めに装備を用意しているからだろう</p><p>常に１号車と３号車で、２号車を囲んで走るから信号は必ず、３台まとめて走り抜けるいいね</p><p>マルゴさんが、克子姉にそう言う</p><p>ええ、了解したわ</p><p>こっちは、ミナホと寧を敵に獲られたら負けだからねだから、寧は２号車工藤さんは、直近のガードだから当然同じく２号車メグちゃんとマナちゃんもね</p><p>ベンツは運転席に、ミナホ姉さん助手席に、美智後部座席に、寧さん、メグとマナこれで定員だ</p><p>吉田くんは、あたしと一緒に１号車雪乃さんは、克子さんと３号車だ</p><p>オレと別れることになって、早速、雪乃の顔が曇る</p><p>さあ、乗りなさい</p><p>克子姉が、冷たい眼で雪乃に指示した</p><p>雪乃は、暗い顔でバンに乗り込む</p><p>すぐに克子姉が、雪乃の手に手錠をはめた</p><p>バンの中の鋼管のバーに繋ぐ</p><p>あたし、運転中にゴチャゴチャ言われるのは嫌いだから静かにしていてねこれ、何だか知っているわよね</p><p>克子姉は、雪乃にスタンガンを見せた</p><p>わ、判っていますから</p><p>この数日で何度か電撃も体験している雪乃は、すぐに大人しくなった</p><p>さあ、吉田くんはこっちだよ</p><p>マルゴさんが、雪乃を見ていたオレに優しく声を掛けてくれた</p><p>じゃあ、お兄ちゃん、また後でねっ</p><p>マナが、窓から顔を出して、明るくオレにそう言った</p><p>ヨシくん、気を付けてね</p><p>大丈夫だよ別々の車でも、三台一緒に行動するんだから</p><p>オレはメグに、そう言ってやった</p><p>美智みんなのことを頼むよ</p><p>オレは、マセラッティの助手席に座る</p><p>ごめんね、吉田くん</p><p>シートベルトをしながら、マルゴさんが言った</p><p>後ろのベンツとバンは、防弾装備になっているんだけどこの車は、車体を重くして機動性を殺すわけにはいかないから銃撃されたら、防ぎようがないんだよ</p><p>そうか後ろの２台は、頑丈なんだ</p><p>仕方ありませんよその時は、その時です</p><p>吉田くんは、周囲の監視を頼むよ特に、信号待ちなんかの時に歩行者の振りをして近付いて来るかもしれないから、注意して</p><p>まあ、工藤さんのお父さんたちもガードに加わってくれると思うけどね</p><p>マルゴさんは、革の手袋をはめる</p><p>さて</p><p>マセラッティのエンジンが、軽やかに始動した</p><p>すぐに、後方の２台もエンジンを掛ける</p><p>マルゴさんの無線操作で隠しガレージのシャッターが開く</p><p>五月の陽光が、オレたちに降り注ぐ</p><p>OKLet’s go</p><p>三台の車が外へ</p><p>学校の裏門の外で工藤父がオレたちを出迎えてくれた</p><p>トニーさんの運転するタイタンボーイとノーマさんの運転する、黄色いプリウス</p><p>そして、工藤父はベスパに乗っている</p><p>オレたちが学校の敷地から出ると何も言わずにノーマさんのプリウスが、１号車のマセラッティの前を走り始めた</p><p>ノーマさんが先導するんだな</p><p>国立劇場へ向かうルートは、工藤父に一任しているからオレたちは、ノーマさんのプリウスの後をひたすら追い掛けることになる</p><p>ノーマさんは決してスピードを早めることなく、早め早めにウインカーを出して、オレたちに曲がる方向を示してくれた</p><p>工藤父のベスパは、２号車のベンツの脇にぴったりと付いていてくれた</p><p>これなら、信号待ちで不審者が近付いてきてもすぐに対処できる</p><p>タイタンボーイは、３号車のバンの後ろを追っている後ろから突然攻撃してくる車があっても、タイタンボーイとバンの２台の防弾車輌があれば、どうにかなるだろう</p><p>オレたちは、車５台＋ベスパ１台で固まって、都心に向かって走っていく</p><p>もちろん、今見えているのは直接のガード車輌であってオレたちの車列に付かず離れずしながら、ネコさんら工藤父の配下の人たちの車も追って来てくれているのだろう</p><p>敵が路上で襲撃してくる可能性ってどれくらいあるんです</p><p>この場合は、可能性なんて考えたって意味がないさ襲撃が有るか無いかは、敵次第だからね</p><p>マルゴさんは、笑ってそう言った</p><p>ただ、今は少しでも早く国立劇場に着くことだけを祈っているよ国立劇場に近付けば近付くほど敵は襲撃が難しくなるからね</p><p>国立劇場ってどこにあるのか、吉田くん知っている</p><p>皇居のお堀端だよ隣が最高裁判所だ日本の中枢国会議事堂や霞ヶ関の官庁街にも近い</p><p>ああそれだけに、警備が厳重なんだ</p><p>それにさっき聞いた情報だと、今日の紺碧流の発表会には来日中のアメリカの商務省の事務次官も来るそうだよ</p><p>大使</p><p>次官のお嬢さんが、アメリカで日本舞踊を習っているそうなんだその先生が紺碧流の家元のお弟子さんなんだそうだよだから、ご家族で表敬訪問にいらっしゃるというのが建前で</p><p>建前</p><p>実際は、香月さんや日本の政財界の重鎮とこっそり歓談したいんだよ今日、集まる人たちなら、日米経済サミットが開ける顔ぶれだからね</p><p>国立劇場の廻りは、警察から公安関係者、さらにはアメリカのシークレット・サービスや米軍まで居るはずだよ</p><p>それに名家の護衛役が加わる</p><p>シザーリオ・ヴァイオラのことは</p><p>当然、香月セキュリティ・サービスから公安に通報が行っているよヴァイオラは、アメリカの犯罪者だからねついで、あたしがヴァイオラは、アメリカの事務次官を暗殺する可能性があるという偽情報も流しておいたから</p><p>来日中のアメリカ政府の高官が殺されたら日本の面目は丸潰れだアメリカから警護に付いて来ている連中もねみんな、必死でヴァイオラを阻止してくれると思うよ</p><p>マルゴさんの口元は笑っているけれど</p><p>眼は、真剣なままだった</p><p>だから正直、国立劇場まで行ってしまえば、そんなに心配はしていないよ決戦は、やっぱり夜のホテルになるだろうね</p><p>香月家の所有する都心の一流ホテル</p><p>あそこでは、香月セキュリティ・サービスしか守り手はいないから</p><p>マルゴさんの言うとおり</p><p>都心に近付くにつれ、警察のパトカーをよく見掛ける</p><p>あちこちで、検問もしているらしい</p><p>オレたちの車列も、警察に止められた</p><p>工藤父が若い警官とちょっとモメたけれど、どうにか、通り抜けて</p><p>何とか、５台の車＋ベスパは国立劇場の前へ到着する</p><p>劇場の入り口ゲートにも当然、検問が行われている</p><p>まずは、ノーマさんが検問の係と会話していた</p><p>どうにか、ここまでは無事に来れたね</p><p>マルゴさんが、ホッと溜息を吐く</p><p>やはり、相当緊張していたんだ</p><p>あたしは、まだまだ修行が足りないね</p><p>そんなことを言う</p><p>恭子さんなら、こんな時にはジョークの一つも言って場を和ませるんだろうけれど今のあたしには何も思い付かないよ</p><p>マルゴさんは普段から、冗談なんて言わないじゃないですか</p><p>恭子さんて今、オーストラリアで白坂創介を監禁しているんですよね</p><p>恭子・ドスノメッキーさんは、マルゴさんの師匠で黒い森の護衛役だ</p><p>今はミナホ姉さんの命を受けて、白坂創介の身柄を拘束している</p><p>いや、多分、もう日本に向かって来ていると思うよただ、恭子さんの動きは本当に読めないから</p><p>あたしには想像もできなかった様な、行動を平然とするからあの人に比べたら、あたしは駆け出しの小娘だよ本当に、そう思う今回も、きっとトンデモない方法で帰って来ると思うよ</p><p>オーストラリアの警察に釈放されたとはいえ白坂創介は、現在も行方不明だ</p><p>まともに飛行機に乗って、帰国するとは到底思えないし</p><p>どうやって、戻って来るつもりなんだろう</p><p>さ、あたしたちの番だ</p><p>ノーマさんのプリウスが検問を終えて、国立劇場の駐車場へ入って行く</p><p>続いて、オレたちの車が、検問ゲートへ</p><p>検問係は、香月セキュリティ・サービスの制服を着ていた</p><p>会場警備は、香月セキュリティ・サービスが中心になってやっているらしい</p><p>お前たちも、警護課の人間か</p><p>ノーマさんの車の次だから３０歳過ぎの検問係は、そう思ったらしい</p><p>ひどくぞんざいな、ナメた口調でオレたちにそう言った</p><p>黒い森</p><p>マルゴさんは、静かにそう答えた</p><p>検問係は、意味が判らないっていう顔をする</p><p>警備本部に、そう連絡してみるんだね黒い森が来たって</p><p>黒い森って何だよ</p><p>こんな係員が黒い森のことなんて、知っているはずがないか</p><p>いいから、確認して御覧よあたしたちは、香月さんの客だよ</p><p>マルゴさんがサングラスを外し、冷たい眼で係の男を見た</p><p>お前たちが招待者リストには、載っていないぞ</p><p>係の男は、なおも強く出た</p><p>だから、警備本部に聞いて見ろって言っているんだよ何で、あたしたちが香月セキュリティ・サービスの警護課の連中と一緒に居ると思う</p><p>お前らも、警護課の下請けなんじゃないのか</p><p>バカじゃないの、あんたあたしたちは、香月閣下が、わざわざあんたの会社の警護課に送迎させるような特別な客なんだけど</p><p>いやまさか、そんな</p><p>いいからさっさと黒森御名穂って名前で、警備本部に問い合わせてみなよ</p><p>い、今、確認する</p><p>検問係が、トランシーバーで本部と交信する</p><p>いいんですか黒い森を名乗っちゃって</p><p>いいんだよこういう場面では、権威の力を見せつけた方がいい</p><p>マルゴさんが、ククッと笑った</p><p>昔、そう教わったんだよ恭子さんに</p><p>ああ変な感じたね自分の師匠から教わったことを、人に話すのは何か、くすぐったい感じがするよ</p><p>すぐに係の男が、血相を変えて戻って来た</p><p>し、失礼致しましたっお通り下さい</p><p>すっかり態度が一変している</p><p>香月閣下かみすずか判らないけれど警備本部には、オレたちが来ることはちゃんと伝えてくれていたらしい</p><p>あたしたちはいいよあたしたちは、あんたと同じセレブなご主人様の警護役だからね</p><p>マルゴさんは、サングラスを掛け直して笑いながらそう言った</p><p>だけどうちのご主人様に対して、そんな態度を取ったらあんたの首なんて、簡単に飛ぶからね</p><p>検問係は、真っ青になる</p><p>あのどの方が黒森御名穂様なんでございますか</p><p>３台目の白いバンに乗っている、黄色と黒のドレスを着たお嬢さんだよ</p><p>それは雪乃</p><p>え、２台目のベンツじゃないんですか</p><p>マルゴさんは、クククと笑って</p><p>うちのご主人様は、ちょっと変わり者なんだよ</p><p>そう言うとマセラッティを国立劇場の駐車場に入れた</p><p>すぐに車を停めて、後続を待つ</p><p>２号車のベンツは、すぐに通して貰えた</p><p>ドレス姿のメグ・マナに、黒いパンツスーツの寧さんが乗っているし美智の制服も効いている</p><p>でも、運転しているのが黒森御名穂だとは気付いていないだろうな</p><p>３台目のバンの番になると検問係は、車内の雪乃にペコペコしていた</p><p>雪乃は地味化された顔に工事現場カラーのドレスで、バンの中の鋼管パイプに手錠で繋がれているんだけど</p><p>マルゴさんのちょっと変わり者発言で、全部スルーされているようだ</p><p>克子姉が、いつもの愛想の良さでニコニコと応対しているし</p><p>とりあえず、黒い森の３台は、無事にゲートを通過する</p><p>続いてタイタンボーイも</p><p>まあ、トニーさんは香月セキュリティ・サービスの正社員だし</p><p>オレのどこが怪しいってんだよっ</p><p>そりゃあ、黒のスーツに赤いカラーシャツで</p><p>ベスパに乗って、やってくる中年男性は怪しいでしょう</p><p>いいんだ、そいつは</p><p>劇場の方からやって来た男性が検問係に声を掛けた</p><p>いいんですか、部長</p><p>そうだその男は</p><p>香月セキュリティ・サービス総合警備部の山岡部長だ</p><p>美智の母親と、不倫関係にある</p><p>覚えておけそいつが、警護課の名物課長、工藤優作だよ</p><p>小馬鹿にした口調で山岡部長はそう言った</p><p>検問係が大きく頷く</p><p>何だよ、そのああってのはよっ</p><p>工藤父は、すっかりおかんむりだ</p><p>山岡部長は、コンコンとベンツの運転席の窓を叩いた</p><p>ミナホ姉さんが、パワーウインドゥを開く</p><p>何か</p><p>車を置いたら、ちょっと話をするお時間がいただきたいのですが</p><p>ええ判っています</p><p>山岡部長は、香月セキュリティ・サービスの警備部門のトップだ</p><p>ミナホ姉さんも、対シザーリオ・ヴァイオラに関して打ち合わせしないといけないことがあるのだろう</p><p>警備本部は、どちらに</p><p>１階のロビーの奥に設置しています</p><p>では後ほど、お伺い致しますわ</p><p>ミナホ姉さんは、窓を閉める</p><p>さとにかく、車を置きに行こう</p><p>マルゴさんが、マセラッティを駐車場に向けると他の車もオレたちに続いた</p><p>最近、国立劇場に行って無いので、嘘ホント半々でいきます</p><p>国立劇場が、スケジュールの空いている日に、日舞の大きな流派の発表会などに会場を貸しているのは本当です</p><p>私は観に行ったことがあります</p><p>検問のこと</p><p>昔、岡山県のサーキットでＦ１が開催された時に（日本グランプリの他にパシフィック・グランプリというのが２年だけありました）、警備員のアルバイトに行きました</p><p>そこでは、やっぱりゲート前で検問していまして</p><p>国際イベントなので、みんな各種のクレデンシャル（ＩＤ）カードを首から提げていて、それの区分けによって入れる場所が決まっています</p><p>で検問していると</p><p>オレは、Ｆ１レーサーだ、中に入れろ</p><p>と、何も持たないで現れたオッサンが入り口で捕まってました</p><p>チケットも無いのに、ついやって来た家出少年も居ましたし</p><p>ゲートには、色々とドラマがある様です</p><p>ちなみに、それはアイルトン・セナが亡くなる直前のグランプリで</p><p>当日の朝、私がたまたま正面ゲートの警備を担当していたら、</p><p>小さなルノーの大衆車に（その時は、ウイリアムズ・ルノーに所属していたため）、友達を二人乗せて</p><p>セナは、自分で運転して走って来ました</p><p>ゲート前のコーナーを曲がる時、レースの時みたいに頭をククッと傾けて</p><p>この人は、本当に運転が好きなんだなあと思いました</p><p>ちなみに、シューマッハは毎日ヘリコプターでサーキット入りしていたはずです</p><p>215．劇場の中</p><p>今更なんですけれどいいんですか</p><p>国立劇場の立体駐車場に停止したマセラッティの中でオレは、マルゴさんに尋ねた</p><p>何のこと</p><p>マルゴさんが、車のエンジンを切りながら尋ねる</p><p>いや、あのまだ、４時前ですよね</p><p>ミナホ姉さんから貰った腕時計を見る</p><p>みすずの出る紺碧流の家元の教室の発表会は、夜の開催のはずだ</p><p>開場前の劇場って、関係者以外は入れないんじゃ</p><p>こんなに早くに来ちゃってマズくないですか</p><p>マルゴさんは、ニコッと微笑んで</p><p>まあ、その辺は気にしないでみすずさんも、もう来ているはずだしね</p><p>みすずも、もう会場に来ている</p><p>香月セキュリティ・サービスのタイムテーブルだと、出演者は午後１時に全員集合１時３０分から順番に舞台稽古ロビーとかでも、それぞれお稽古しているはずだよ</p><p>発表会は、夜なのに</p><p>午後１時集合って、ちょっと早くないか</p><p>今日、発表会に出るお弟子さんは、全部で５０人を超えるからね</p><p>えそんなに出るんですか</p><p>そりゃあ、一番下は６歳からだからね小さい子たちは、何人か合同で踊ることになっているらしいし</p><p>そうか家元の教室って言っても、小学生のお弟子さんとかも居るんだよな</p><p>規模は大きくても、日舞教室であることに変わりは無いんだし</p><p>ただみんな、政財界の大物の子供たちっていうだけで</p><p>だから本番前の舞台稽古に、時間が掛かるんだよ</p><p>舞台稽古</p><p>本番通りに、舞台の上で踊るんだけど音響とか照明の都合もあるよねだから、何度か繰り返すことになるし小さい子は、こんな大きな舞台で踊るのは初めてだろうから、会場に慣れる必要もある教室のお弟子さんは、プロの舞踊家じゃないんだから余裕を持ってスケジュールを組むと、それだけ時間が掛かるんだろう５０人以上もいるんだし</p><p>本番の発表会は長くても３時間くらいだろう</p><p>なのに、舞台稽古はその倍以上の時間が、掛かるんだ</p><p>でもちろん、お弟子さんたちはみんな良家の子女なんだから、一人では劇場に来ていないよね</p><p>みんな、それぞれの保護者や護衛も一緒に来ている</p><p>だからあたしたちが紛れ込んでも、誰も変だとは思わないよ</p><p>ミナホ姉さん、克子姉、マルゴさん、寧さんは、どこかの家から派遣された人たちに見えるだろうし</p><p>メグ・マナ・美智はお弟子さんのお友達に見えるだろう</p><p>問題はオレと雪乃か</p><p>オレ何に見えます</p><p>正直に、尋ねてみた</p><p>オレは、護衛とかにはとても見えないだろうし</p><p>かといって、名家の人たちのお友達っていう柄でもない</p><p>吉田くんはみすずさんの何なの</p><p>オレは、みすずの男だ</p><p>胸を張って堂々と会場の中を歩くんだねそうでないと、みすずさんに失礼だよ</p><p>廻りの人たちがどう思うかなんて、関係無い</p><p>オレとみすずの間には、絆がある</p><p>それだけでいい</p><p>まあ、君が思っている以上に、いいとこの坊ちゃんぽい感じには仕上がっているから安心して</p><p>マルゴさんがオレの姿を見てそう言った</p><p>その背広仕立てもいいし、克子さんの直しも完璧だよ靴も用意して貰ったんでしょ</p><p>この背広はミナホ姉さんのお祖父さんの物を、克子姉がオレのサイズに直してくれた</p><p>革靴は、Yシャツなんかと一緒に、いつの間にか用意してくれていた</p><p>克子姉には、感謝している</p><p>まあ会場には、すでにそこそこ人が来ているし出演者のお供の他に、香月セキュリティ・サービスの人たちがウジャウジャ居るからねそんなに気にしなくても平気さ香月セキュリティ・サービスの検問を通っ会場にて入って来たってだけで、身分が保証されているってことだからね</p><p>えあんな検問で</p><p>でも、ゲートの前には３人しかいませんでしたよ</p><p>そりゃあ、あんまりたくさんの人が居たら今日、ここに重要人物が集まることがバレちゃうじゃない見た目も良くないしね偉い人って、そういうことを気にするから実際には、何かトラブルが起きた時に対処する人たちが、ゲートの近くに何班にも別れて待機しているんだと思うよ</p><p>じゃあ、簡単な検問に見えたのは</p><p>あくまでも見せ掛けだけだよ検問係の態度が悪かったのも、怪しい相手にはわざとああしろと指導されているんだよああやって、こっちの出方を見るわけ</p><p>怪しい相手って</p><p>工藤父なら判るけれど</p><p>オレたち、そんなに怪しいかな</p><p>本来ならこんな時間に来場する人間は、全部シャットアウトなんだよ今日みたいな会だとマスコミとか、ジャーナリストとかあるいは、スパイとか名家の人に近付きたいだけの山師とかそういう人が何とか会場に忍び込もうと、次から次にゲートにやって来るからね警備の人たちも大変なんだよ</p><p>そうか出演者とお供の人たちは、午後１時の集合時間に合わせて来ているはずだし</p><p>こんな中途半端な時間に来場する人間は、怪しまれてもしょうがないんだ</p><p>それに香月セキュリティ・サービスの山岡部長がすぐに現れたでしょ監視カメラで観ていたんだろうね</p><p>実際には、あれで二重三重のチェックを同時にしているんだよ</p><p>だからこの会場にヴァイオラの関係者は紛れ込まないから安心してね</p><p>マルゴさんは、オレに微笑みかけてくれる</p><p>でも劇場って、たくさんの人が働いていますよね掃除や売店の人とか、レストランの関係者に成りすませば</p><p>オレの心配を、マルゴさんは笑う</p><p>吉田くんここ、国立劇場だよそういうことに対するセキュリティは万全だよ</p><p>今日は、紺碧流が借り切っているからね売店もレストランもお休みそれから、今日は、劇場のスタッフも掃除の人も、照明や音響の人たちまで全部香月セキュリティ・サービスの人間を配置してあるよ</p><p>上流家庭の人たちってさ、劇場へ行くのが割と好きなんだよ客席から観るのも、子供を舞台に出すこともねだから香月セキュリティ・サービスには、劇場の仕事のできるスタッフを抱えた部門があるんだよ</p><p>みんな香月セキュリティ・サービスの人間なんだ</p><p>本物のプロのお芝居とか、オペラやミュージカルなら、専門のスタッフじゃないと音響・照明はこなせないだろうけれど日本舞踊の発表会ぐらいなら、香月セキュリティ・サービスの人たちでもできるよ</p><p>そういうことだから、この劇場内に居る限りはヴァイオラのことは心配しなくていいからね</p><p>そういうことなら</p><p>シザーリオ・ヴァイオラの襲撃については、一先ず頭の隅に置いて</p><p>別の問題に集中しよう</p><p>みすずのこと</p><p>みすずの祖父の香月閣下は</p><p>さすがに、まだ来場してはいないだろう</p><p>それと</p><p>今日は、みすずの婚約者も来るんだよな</p><p>オレとマルゴさんが、いつまでも車から降りてこないのでマナが心配そうな顔で、マセラッティの窓をコンコンとノックした</p><p>ああ、今、降りるよ</p><p>オレは笑顔を作って、助手席のドアを開ける</p><p>ミナホ姉さんや寧さん、メグも美智もすでに車外に居た</p><p>克子姉と雪乃も</p><p>慌てて、マセラッティから降りる</p><p>寧さんとマルゴさん、同じ靴を履いていますね</p><p>二人とも、そっくりな黒い革靴を履いている</p><p>かかとの低い</p><p>ああ、あたしたちは動きやすい様にね機能性を重視しているんだよ</p><p>そう、何かあった時に走り回れるようにねっ</p><p>二人は、顔を見合わせてニコッと微笑んだ</p><p>これ特注なんだよちゃんと、あたしたちの足の形に合わせて作って貰ったんだから</p><p>最新のスポーツ用シューズの技術を採り入れてあるんだよ見た目は、普通の革靴だけどね</p><p>工藤さんの靴も、そうだよね</p><p>マルゴさんが、美智に言う</p><p>はいお判りになられましたか</p><p>美智は、静かにそう答えた</p><p>あたしは、職業柄、人に会うと最初に靴を見るから</p><p>吉田くんも、これからは人の靴に注目してみなさいすぐに判るわ</p><p>とりあえず美智の靴を、改めて見てみる</p><p>これ靴底が</p><p>普通の革靴みたいに平らじゃない</p><p>はいわたくしの靴は、戦闘用ですから革でなく、ラバー製のソールになっていますしかも、わたくしの戦闘は都市部に限定されていますから軍用のソールでは無く、特殊な靴底パターンをオーダーメイドしています</p><p>あたしたちのも、そうだよっ</p><p>寧さんが、靴底を見せてくれる</p><p>見た目は、きちんとした革靴なのに靴底は、ジョギング・シューズの様になっていた</p><p>アスファルトやコンクリートの床面ならいいけれど滑りやすいリノリウムや、ワックスを塗った木の床なんかの上でもグリップしてくれないと困るからね靴底のゴム自体、特別製のを使っているよその分、減りも早いんだけれどね</p><p>今、工藤さんが履いている靴底は、あたしが前に使っていたのと同じ種類の材質だと思うなこっちのゴム底も試してみたら何なら、あたしが使っている職人さんを紹介してあげるよ</p><p>護衛の専門家は靴のことに、こんなに考えているんだ</p><p>さあ、そろそろ行きましょう</p><p>ミナホ姉さんが、みんなに声を掛ける</p><p>オレたちは駐車場棟から、劇場へと向かった</p><p>劇場の入り口にも、香月セキュリティ・サービスの警備員が立ち番していたけれど何も言わずに、オレたちを通してくれた</p><p>もうオレたちの来場情報は、警備員全体に知らされているらしい</p><p>旦那様ぁっ</p><p>広い劇場ロビーで、みすずが出迎えてくれた</p><p>みすずは、稽古用の浴衣姿だ</p><p>お待ちしていましたぁっ</p><p>みすずは、スッとオレに寄って来る</p><p>弓槻様も皆様も、本日はありがとうございます</p><p>みんなに頭を下げるみすず</p><p>少し、早く着きすぎてしまったわごめんなさいね</p><p>ミナホ姉さんは、そう言うが</p><p>皆様は、わたくしの家族ですからどうぞ、お気になさらないで下さい</p><p>つまりオレたちは、みすずのお供として正式に登録された</p><p>これで開場前の劇場に居ることは、全く問題なくなる</p><p>ロビーを見渡すとあちこちで、浴衣姿の少女が自主練習していた</p><p>それぞれの子の周囲にはお付きの人や、護衛が居る</p><p>みすずは、家から誰か来ているの</p><p>お祖父様や両親は、開場時間に合わせていらっしゃいますが</p><p>いや、そうじゃなくって護衛の人とか</p><p>みすずは、ククッと笑う</p><p>あたしにとっては、香月セキュリティ・サービスの方全員が身内ですから</p><p>確かに、香月セキュリティ・サービスは今日の発表会の護衛を担当しているけれど</p><p>そもそもは、香月家の人間の護衛が最優先なわけで</p><p>山岡警備部長まで来ているのなら、他の人は必要無いんだ</p><p>それに美智が戻って来てくれましたし</p><p>美智が、みすずの前にスッと立つ</p><p>みすず様の護衛に戻ります</p><p>頼みます美智</p><p>みすず専用の護衛が、任務に復帰する</p><p>じゃあ、あたしたちは山岡部長さんとお喋りしてくるわ</p><p>香月セキュリティ・サービスとの情報交換</p><p>しかし山岡部長は、こちらの知りたいような情報は持っていないと考えているんだろう</p><p>ミナホ姉さんは、お喋りと言っているのだから</p><p>克子とマルゴは一緒に来て</p><p>寧は吉田くんたちと一緒に居なさい</p><p>寧さんが、おどけてミナホ姉さんに敬礼する</p><p>遠目には、ミナホ姉さんがみすずのお付きの人で寧さんは、その部下に見えるだろう</p><p>判っていると思うけれど窓には近付かないで望遠レンズで、見ているやつがいるかもしれないから</p><p>マルゴさんが、心配そうにそう言った</p><p>大丈夫だよっちゃんと判ってるから</p><p>じゃあ吉田くん、頼むね</p><p>ミナホ姉さんら年長組３人はそのまま、警備本部へと向かって行った</p><p>みすずさぁーん</p><p>ロビーの入り口から、台車で荷物を運んで来た少女がみすずを呼ぶ</p><p>どうしました、加奈子さん</p><p>お手すきだったら、お手伝いしていただけませんお稽古場から今日、お客様にお配りするパンフレットが届いたんですけど、二つに折らないといけないんです</p><p>そういうのも、お弟子さんの仕事なんだな</p><p>舞台稽古の合間に、そういう準備もするんだ</p><p>あの、みすずさん</p><p>メグが、みすずに声を掛ける</p><p>そのお手伝いあたしたちにも、させて下さいませんか</p><p>マナもニコッと笑う</p><p>だって、あたしたちみすずさんの身内じゃないですか</p><p>みすずとメグが、眼を合わせてそして、笑い合う</p><p>では、お願いします</p><p>あ、あたしもやるからねっ</p><p>寧さんも、そう言ってくれた</p><p>雪乃さんも、お手伝いするんだからねっ</p><p>マナが、姉に意地悪くそう言った</p><p>雪乃は、ずっと黙り込んだままだ</p><p>さあ、参りましょう</p><p>美智が、スッと雪乃の背後に立って強制的に前方へ進ませる</p><p>オレたちは、全員で台車の少女の方へ向かった</p><p>初めまして、わたくし洞口加奈子と申します</p><p>とても大人っぽくて上品な少女が、オレたちに頭を下げた</p><p>この人も多分良家のお嬢さんなんだろう</p><p>みなさんみすずさんのお身内の方ですか</p><p>ニッコリ笑って、はっきりとそう答えた</p><p>こんにちわ、吉田マナです</p><p>マナが、大きな声で挨拶する</p><p>よ、吉田恵美です初めまして</p><p>マナに対抗してメグも、吉田を名乗った</p><p>あたし、吉田寧よろしくねっ</p><p>いや、いいのか</p><p>シザーリオ・ヴァイオラの件があるんだから無闇に、本名を名乗るべきではない</p><p>みなさん、ご姉妹なんですの</p><p>加奈子さんが、驚いてそう尋ねる</p><p>そうでーすっ</p><p>寧さんが、楽しそうに嘘を吐くが</p><p>あ、この人だけは違いまぁーす</p><p>マナが実の姉を指差す</p><p>ここで白坂の名前が出るとマズイんだろうな</p><p>さすがに昨日からの騒ぎだから、白坂家の人間がやって来ることは無いだろうけれど</p><p>こんなセレブばかりの場所じゃ白坂を名乗ったら、誰だってあの白坂家の血縁だと思うだろうし</p><p>と、オレが躊躇していると</p><p>この人は、黃縞黒子さん</p><p>美智がそう言った</p><p>って美智</p><p>見た目のまんまじゃねぇか</p><p>き、黄縞です</p><p>雪乃が、加奈子さんに挨拶する</p><p>じゃあ、しょうがない</p><p>雪乃はここでは、黄縞黒子だ</p><p>黄縞さんはちょっと変わっているけれど、気にしないでねっ海外での生活が長かっただけだからっ</p><p>寧さんがワルノリする</p><p>帰国子女なんですの</p><p>加奈子さんに質問に、寧さんは</p><p>そうそう去年まで、１０年間、バル・ベルデ共和国で暮らしていたんだよねっ</p><p>それどこにあるんですか</p><p>それからこの人は、黒森公之助さん</p><p>美智が、オレを指してそう言った</p><p>な、何で</p><p>しかしここで否定するのは変だし</p><p>美智って、冗談とか言いそうに見えない子だから</p><p>ええい、仕方ない</p><p>黒森です</p><p>加奈子さんのお父さんは、俳優さんの洞口文弥さんなのよ</p><p>みすずが、そう紹介してくれた</p><p>そうなんですかうちの父がファンなんです</p><p>メグが、大きな声を出す</p><p>うちの父とは山峰の養父のことだろう</p><p>加奈子さんは、こういう反応には慣れているらしい</p><p>へぇ、そうなんだあたしもよく観るよ、洞口さんの映画</p><p>寧さんまで、そう言うんだから有名な俳優さんなんだろう</p><p>オレは、よく知らないけれど</p><p>テレビも映画も、ほとんど観てないからな</p><p>加奈子さんは、今、幾つなの</p><p>寧さんが、年齢を尋ねる</p><p>１５歳です中学３年生ですわ</p><p>えっそんなに若いの</p><p>とっても大人っぽいから、みすずと同い年かと思った</p><p>あたしは１８歳でも、まだ高２なの理由は聞かないでね</p><p>寧さんが笑って、そう言った</p><p>あたしとこの子と彼は、高校一年生です</p><p>メグがオレと雪乃を指して、そう言った</p><p>あたし、中２ですっ１５歳ってことは、工藤さんと同い年ですね</p><p>みすずは、高校２年生だから</p><p>１８歳から１４歳まで、一通り揃ったことになる</p><p>じゃあ、パンフレットの作業みんなでやりましょうか</p><p>一番年長のみすずが、そう言った</p><p>全部で、何部あるの</p><p>３５００部です</p><p>うわ結構あるな</p><p>この人数でやれば、すぐに終わるわよ</p><p>どこでやります</p><p>メグが尋ねると、加奈子さんは</p><p>あっちの机を使っていいって、斉藤さんに言われました</p><p>見ると受付用らしい机が、幾つか並んでいる</p><p>じゃあ、あっちでやりましょう</p><p>あ、台車はオレが押します</p><p>オレは、加奈子さんに代わって、パンフレットの載った台車を押す</p><p>すみません黒森さん</p><p>加奈子さんが、そう言った</p><p>そうだ、オレは今は黒森さんなんだ</p><p>あたしたち、机を並べているね</p><p>マナとメグが小走りで、机へ向かう</p><p>ほらっ、黒子もこっちへ来て</p><p>相変わらず、マナは姉には厳しい</p><p>机に、パンフレットの入った包みを並べて</p><p>真ん中から二つに折ればいいのよね</p><p>はい、それだけで結構です</p><p>今日は、折り込みのチラシとかあるの</p><p>ええあたしが聞いているのは吉永さんの主演舞台と江美子ちゃんの出た映画のチラシが入るそうです他にも、持っていらっしゃる方がいるかもしれませんけれど</p><p>それも一緒にやる</p><p>あ、吉永さんと江美子ちゃんのは、それぞれマネージャーの方が後で持ってみられて、ご自分で折り込みなさるそうです５時頃にならないと届きません</p><p>さすが紺碧流の家元の教室</p><p>芸能関係の仕事をしているお弟子さんたちもいるんだ</p><p>加奈子さんもうすぐ、あなたの舞台稽古よ</p><p>別の浴衣姿の女の子が舞台の方からやって来る</p><p>え、愛美ちゃんあたしの番は、まだのはずだけど</p><p>真弓ちゃんと敏子ちゃんの踊りが、予定よりも時間が掛かっちゃって晶さんの道成寺を後回しにすることになったのだから、繰り上がりであたしと加奈子さんの明かり合わせを先にするってお祖母様が</p><p>明かり合わせってことはちゃんと衣装を着ないといけないじゃない</p><p>そうよ色の加減をチェックしたいそうなのメイクはいいから本番通りに衣装だけは着てないと</p><p>二人の会話に、みすずは</p><p>加奈子さん、早く行ってこっちは、あたしたちだけでやっておくから</p><p>済みませんみすずさん</p><p>気にしないで全部、折ったらこのまま、この机の上に置いておけばいいのかしら</p><p>はい、後は斉藤さんがやって下さいはずです</p><p>じゃあ、すみません</p><p>加奈子さんが、呼びに来た少女の方へ向かう</p><p>お願いします、みすずさん他の方々も、よろしくお願いします</p><p>もう一人の少女がオレたちに深々と頭を下げた</p><p>そのまま、浴衣の少女たちは楽屋に向かって急ぐ</p><p>着物だと、走れないから大変だよねっ</p><p>寧さんが、裾を気にしながら小走りで歩く二人を見て、そう言った</p><p>今、いらっしゃった方は、愛美さん家元様のお孫さんよ</p><p>包みからパンフレットの束を取り出しながらみすずが言った</p><p>これをどうすればいいんです</p><p>メグが、みすずに尋ねる</p><p>こっち側が表紙になりますからここで二つ折りにして下さい</p><p>オレたちは、それぞれパンフレットの束を拡げて折り始める</p><p>雪乃だけは眼の前に置かれたパンフレットを、呆然と眺めていた</p><p>ほら、黒子さん手が止まっててるのはダメだからねっ</p><p>マナにそう言われてようやく、雪乃も作業を始める</p><p>ところで美智何で、オレは黒森公之助なんだ</p><p>パンフレットを折りながら、オレは尋ねた</p><p>あの状況で、黒子さん以外全員が吉田なのは変です</p><p>確かに雪乃以外は、同じ家の人ってのは妙だ</p><p>４人姉弟ってのもな</p><p>それに今着ている背広の内側に、そう刺繍されています</p><p>オレは、背広の内側を見る</p><p>確かに内側のポケットの上に、金糸で黒森公之助と刺繍がされていた</p><p>この背広は、元々はミナホ姉さんのお祖父さんの物だから</p><p>よく気付いたな美智</p><p>オレは、美智の観察力に驚く</p><p>あらあらこんなところで、何をしているのかしら</p><p>不意にそんな声が聞こえてきた</p><p>売春婦たちとその家族なんてこの場所に来るのには、相応しく無いと思いますけれど</p><p>悪意のこもった、その声の主は</p><p>もう遅刻、ギリです</p><p>216．姉との勝負</p><p>オレたちに悪意のある言葉をぶつけてきた、その少女は</p><p>ピンク色の活動的なパンツスーツに身を包んでいた</p><p>みすず様どういうおつもりで、そんな方々をお連れになられたのかは知りませんが</p><p>みすずに対して、冷たい言葉を投げ掛ける</p><p>香月家の方は、それなりに相応しい身分の方々とお付き合いべきだと思いますわ</p><p>オレはその少女を、前に見たことがあった</p><p>姉上、みすず様に対して失礼な発言はお控え下さい</p><p>美智が、口を開く</p><p>そうこの悪意に溢れた少女は、美智の姉</p><p>工藤遙花</p><p>高校生空手日本一で、香月閣下のもう一人の孫である香月瑠璃子さんのボディ・ガードだ</p><p>あら、わたくしにそんな口を効くなんて、あなたも随分偉くなったものね美智</p><p>工藤遙花は、妹にも侮蔑の視線を投げ付ける</p><p>美智は、グッと怯えた様子でうつむいた</p><p>姉のことが、苦手なんだ</p><p>わたくしは、みすず様とお話ししているのよあなたは黙ってなさい</p><p>そして再び、侮蔑の視線がみすずに向かう</p><p>わたくしはただ、みすず様をお諫めしたいだけですわ</p><p>美智よりも、遥かに高い身長</p><p>美少女空手家として、テレビニュースでも紹介された美貌</p><p>オレたちやみすずに対する態度を見る限り</p><p>工藤遙花は、相当な自信家なんだろうと感じられた</p><p>みすずよりも一つ年上の高校３年生だし</p><p>わたくしはただ、みすず様にご自分のお立場をよく理解していただきたいだけですのみすず様が、売春組織の人間たちと仲良くなさっているなんてことが世間に知られれば、大変なスキャンダルになりますそうなればみすず様だけでなく、瑠璃子様のご評判にまで傷を付けることになりますから</p><p>工藤遙花が、みすずを責める</p><p>みすず様には、すでに婚約者がいらっしゃるのですし下賤な人間たちとのお付き合いは、お止めいただきたいですわね</p><p>あくまでも、高圧的に</p><p>臣下として言葉を選びながらも、あからさまに見下した態度で</p><p>工藤遙花は、話し続けた</p><p>寧さんが、噴き出す</p><p>へぇ、あたしたちって下賤なんだ</p><p>工藤遙花に負けない嘲笑を、寧さんは返す</p><p>売春組織の人間が下賤でないとでも言うのですか</p><p>少なくとも、あんたみたいな女よりはねっ</p><p>二人の視線が、交錯する</p><p>姉上は黒い森という組織の方々のことを、少しも判っておられません</p><p>美智が、うつむいたまま小声で姉にそう言う</p><p>そんなの判るわけがないでしょう身を売って生活するなんて、最低の女のすることじゃない</p><p>工藤遙花の言葉にメグが、怒る</p><p>みんな好きでそうなったんじゃないわっ勝手なことを言わないでッ</p><p>娼館の中で生まれたメグには、彼女の言葉は許せない物だったらしい</p><p>あら、ごめんなさいでも、別にいいのよわたくしは、あなたたちみたいな下劣な方々のことなんて何の興味も無いからあなたたちのことなんて、知りたくもないし見たくもないわ</p><p>工藤遙花の顔は、まだ嘲笑に歪んでいる</p><p>そんならあっちへ行ってよこっち来ないで</p><p>マナが大声で叫ぶ</p><p>わたくしだって、できるものならそうしたいわよでも、そうはいかないの判る</p><p>工藤遙花が軽く、肩を回す</p><p>このまま、あなたたちがこの会場に居ると瑠璃子様の視界に入ってしまうでしょうわたくしね瑠璃子様には、汚い物はなるべく見ていただきたくないのだから</p><p>空気が鎮まる</p><p>無理矢理にでも、排除させていただくわ黒い森の人間は、全て</p><p>この空手少女は</p><p>オレたちを、この会場から叩き出すつもりなのか</p><p>正直わたくしは、香月家の瑠璃子様のことしか考えていないわみすず様には、申し訳無いんだけれど</p><p>工藤遙花は、ニッと笑う</p><p>でも瑠璃子様は、次代の香月家の当主となるお方ですからみすず様にも、瑠璃子様を第一に行動していただく必要があると思うのよ</p><p>ふーん瑠璃子って子は、ミィちゃんがあたしたちと関係していることが、ご不満なの</p><p>寧さんが工藤遙花に探りを入れる</p><p>そういうことでは無いわよこれは、わたくしの独断ですわたくし、瑠璃子様には何の憂いも無く過ごしていただきたいの瑠璃子様は、とてもお優しい方ですからみすず様の不良行為をお知りになったら、とってもお心を痛めることになられると思うの</p><p>不良行為</p><p>オレと黒い森と付き合っていることが</p><p>ですから瑠璃子様がお知りになる前に、わたくしがみすず様の眼を醒まして差し上げようと思って出向いて参りました</p><p>工藤遙花は、ニッと微笑んだ</p><p>１０分以内に黒い森の人間は、この会場から全員退去なさいそして、二度とみすず様の前には姿を現さないように誓っていただくわ</p><p>工藤遙花の眼がオレたちに向けられる</p><p>特にあなたにはね</p><p>オレとみすずの関係を知っているんだな</p><p>あなたの男性器悪いんだけれど、この場で潰させて貰うわ二度と、性的な機能が働かないようにね</p><p>オレのチンコを潰すっていうのか</p><p>そうすればハレンチなみすず様でも、あなたのことを諦めて下さるでしょう</p><p>触ると気持ち悪いから、靴底で踏みつぶすわわたくし力尽くで蹂躙するって言葉、大好きなのよ</p><p>胸の前で、パンと拳と手の平を合わせる</p><p>オレはサッと前に出る</p><p>相手が暴力を使うと宣言しているんだ</p><p>他の女たちを危険に晒すわけにはいかない</p><p>あら女の影に隠れるかと思ったら、そこそこの勇気はあるみたいねただの格好付けかもしれないけれどそれとも、あたしの空手の力も判らないような、お馬鹿さんなのかしら</p><p>侮辱されるのはいい</p><p>とにかくみんなを守らないと</p><p>これ以上の無礼は、姉上といえども許しません</p><p>美智がスッと立ち上がる</p><p>あら、あなた本気なの驚いたわね</p><p>工藤遙花は、妹を笑った</p><p>判っているの、美智あなた、今まで一度もあたしに勝ったことがないのよ弱い癖に、無理をするとケガをするわよ</p><p>姉と妹の年齢差は３つ</p><p>高３と中３身体能力の違いは大きいだろう</p><p>その上お互いの手の内は知り尽くしているだろうし</p><p>本気でやったら、美智が勝つよ</p><p>美智が、ハッとしてオレを見る</p><p>馬鹿なことを言わないでよその子は、空手の練習から逃げ出したような半端な人間よわたくしが工藤遙花が負けるわけがないでしょう</p><p>工藤遙花は父親の工藤流古武術を認めていない</p><p>その真の実力も知らない</p><p>空手ではなく、工藤流を選んだ妹を練習の辛さから逃げ出しただけだと思っているらしい</p><p>それともあの下らない武術モドキで、わたくしに勝てると思っているわけ</p><p>自信満々に、そう言う工藤遙花に</p><p>そうかなあ、あたしもミッちゃんの勝ちだと思うけれど</p><p>あたしも、美智さんが勝つと思いますっ</p><p>生真面目なメグが、美智のためにそう言ってくれた</p><p>美智今まで一度もお姉さんに勝ったことが無いってどうせ、空手か何かの試合でのことだろ</p><p>美智が、オレを見る</p><p>当たり前じゃないあたしは、空手家よ</p><p>工藤遙花が、凄むが</p><p>なあんだじゃあ、やっぱり美智さんが勝つじゃん</p><p>マナが、カハッと笑う</p><p>そうだよねぇミッちゃんの敵じゃないよねこんな空手女</p><p>寧さんも、薄ら笑いを浮かべている</p><p>でもわたくしは</p><p>美智自身は姉に対して、どうしようもなく苦手意識があるらしい</p><p>激しく緊張している様子が見えた</p><p>大丈夫だよ美智の工藤流なら</p><p>オレは、ハッキリと美智に言う</p><p>そうよ、美智さんはとっても強いんだからっ</p><p>メグも美智にエールを送る</p><p>うんミッちゃんなら、やれるよ</p><p>ほらっ、黒子ちゃんも何か言いなさいっ</p><p>マナに頭をはたかれた、雪乃は</p><p>が、がんばって</p><p>何じゃ、そりゃあ</p><p>判りましたみなさま</p><p>美智が覚悟を決める</p><p>姉上勝負致しましょう</p><p>工藤遙花は、ニヤッと笑った</p><p>本気なのね</p><p>みすずが緊迫した空気を完全に無視して</p><p>いきなりオレに、甘えてくる</p><p>身体全体でオレに、もたれてくる</p><p>オレの手を取って指先に、そっとキスをする</p><p>あのね、旦那様浴衣って、色々なところに穴が開いているんですよ</p><p>そして、オレの手を</p><p>浴衣の脇から、内側に招き入れる</p><p>みすずのおっぱい、触って下さい</p><p>浴衣の中下着の上から、みすずの乳房を触る</p><p>うふふ日舞用の下着なんです布地が、つるつるしているでしょう着物が滑ってもつれないようになっているんです</p><p>滑らかな布地の上に指を這わす</p><p>みすずの柔らかな乳房の上で、オレの指先がスケートする</p><p>うふふ旦那様に触られるの、気持ちいいっ</p><p>みすずが、熱い息を漏らす</p><p>あんっそこが、乳首です</p><p>布地の下に、コリコリとした感触</p><p>みすずの乳首が、急速に勃起していく</p><p>あはっ気持ちいいっ</p><p>みすずの痴態に、すっかりみんな息を呑まれてしまっていたが</p><p>ななななな、何をなさっているのですみすず様ハ、ハレンチなっ</p><p>工藤遙花が、大きな声で喚き出す</p><p>あら、遙花さん人と人が愛し合う行為を、ハレンチなんて言ってはいけないわよ</p><p>みすずは、艶やかな眼で笑う</p><p>みんないいのこのままだと、みすずが旦那様を独り占めしちゃいますよ</p><p>そのみすずの笑顔に</p><p>ヤダヤダ、ヨッちゃんはあたしのだもーんっ</p><p>寧さんが、前からオレに飛び込んで来るッ</p><p>豊かな胸を、オレに押しつけてきた</p><p>あああマナもッ</p><p>マナが、オレの足に抱きついて来る</p><p>可愛いおっぱいを擦り付けて</p><p>よ、ヨシくんあたしも</p><p>メグがオレの左手を握りしめる</p><p>オレの手に何度もキスする</p><p>黒子ちゃんはいいの</p><p>寧さんの言葉に雪乃は</p><p>えっとあ、あの</p><p>じゃあ、黒子ちゃんは抜きってことで</p><p>マナが、ニヒヒと笑う</p><p>雪乃スカートを捲って、パンツを見せろ</p><p>自分から入って来られないのなら、せめて参加する余地ぐらいは作ってやらないと</p><p>雪乃が自分でスカートを捲り上げて、オレにパンツを見せる</p><p>パンティまで、縞々かよ</p><p>黄色と黒の</p><p>お前は、雷様の娘か</p><p>ハハハ、ハレンチよっハレンチ何をやっているのよ、あんたたち</p><p>工藤遙花がキレる</p><p>その様子さえみすずは、無視する</p><p>美智こっちへ来なさい</p><p>姉と交戦寸前の状態だった美智がハッとする</p><p>いいからこっちへいらっしゃい</p><p>美智は、まだ姉を気にしている</p><p>その人は何もできないわ無視して、こっちへいらっしゃい</p><p>美智がオレたちの方へやって来る</p><p>旦那様美智の頭を撫でてあげて下さい</p><p>みすずが、笑顔でオレに言う</p><p>オレの右手は、みすずのおっぱいを揉んでいる</p><p>左手は、メグが握りしめているし</p><p>そのお優しい手をあたしの胸から、美智の頭に</p><p>みすずは、優しくそう言った</p><p>オレはみすずの浴衣から右手を抜き、美智の頭へ</p><p>輝く１５歳の少女の黒髪をゆっくりと、撫でる</p><p>美智あたしが愚弄されているのに、よく耐えてくれました</p><p>みすずが、美智を褒める</p><p>そして仲間のために、よく立ち上がってくれました</p><p>みすずはオレたちを仲間と呼んだ</p><p>苦手な姉に対して、立ち向かう勇気を見せてくれましたありがとう今日の美智は、あたしの誇りです</p><p>オレに撫でられている美智がうっすらと涙を浮かべる</p><p>あなたはもう、あたしの仲間です妹ですよ</p><p>もったいないお言葉です</p><p>１５歳の武士娘の眼からポロポロと、涙が零れた</p><p>工藤遙花</p><p>みすずが美智を見たまま、工藤遙花に声を掛ける</p><p>事態の進展に戸惑っている工藤遙花が、慌てて返事をする</p><p>許しませんからね</p><p>あなたのことは、許さないと言ったのです</p><p>みすずの声には、圧倒的な強い意志が感じられた</p><p>わ、わたくしをどうする、おつもりですか</p><p>工藤遙花は、平静を装うが</p><p>その声は、震えていた</p><p>あなたはあたしを愚弄しましたあたしの仲間を愚弄しましたあたしの世界で一番大切な旦那様に危害を加えると宣言しました絶対に許しませんからね</p><p>みすずの顔は、笑っていた</p><p>しかしその眼は、怒りに燃えていた</p><p>ゆ、許さないからどうすると、おっしゃるんですかわたくしの無礼を、香月閣下にご報告なさるおつもりですか</p><p>あなたの様な小者お祖父様のお力をお借りしなくとも、あたし一人で処分できます</p><p>冷たい眼で工藤遙花を見る</p><p>そうだ、この眼は</p><p>ミナホ姉さんの眼だ</p><p>そんなことがみすず様は、まだただの高校生でいらっしゃいますし</p><p>あなただって、ただの高校生でしょ、遙花さん高校生が、高校生を許さずに罰するただ、それだけのことですよ</p><p>みすずの口調は、完全にミナホ姉さんと同じになっていた</p><p>わたくしは高校生である前に、一人の空手家です瑠璃子様のボディーガードです</p><p>みすずは、そんな工藤遙花の言葉をハッと鼻で笑う</p><p>あなたなんて、何の価値も無い人間よあたしにとっては</p><p>みすずの言葉が、工藤遙花に深く突き刺さる</p><p>み、みすず様あ、あなたは</p><p>以前のままのあたしならあなたの脅しに屈したかもしれないわいいえあなたの企てにまんまと乗せられたかもしれないでも、残念だったわねあたし、変わったのこの数日間で、自分でもびっくりするほど強くなったの</p><p>みすずが、工藤遙花に微笑む</p><p>そこに隠れている人、出て来なさい</p><p>みすずが、ロビーの衝立の向こうに声を掛けた</p><p>もう判っているのだから早くなさい</p><p>みすずの鋭い言葉に衝立から、４人の少女が現れる</p><p>みんな工藤遙花と同じ、パンツスーツを着ていた</p><p>伏兵がいたのか</p><p>オレが、そう呟くと</p><p>違うよ、ヨッちゃんそこの女は、ミッちゃんをあたしたちから引き離したかったんだよだから、わざとミッちゃんを挑発してこの場から連れて行こうとしていたんだ</p><p>美智を、連れて行く</p><p>判ったわ美智さんが席を外した隙に、他の人たちが力尽くであたしたちを追い出すつもりだったのね</p><p>なるほどやっぱり、美智の戦闘力が怖いから</p><p>ううんそうじゃないんだなあ</p><p>あたしたち追い出すのは、別に自分たちでやらなくてもいいんだよ</p><p>あたしたちとケンカになった振りとかしてさ適当に騒いで、香月セキュリティ・サービスの警備員を呼ぶつもりだったんだよそしたら今日は、財界の重鎮やアメリカの次官が来るわけでしょ</p><p>今、この場でメッチャクチャに騒いだらどんなことになると思う</p><p>オレたちと伏兵の４人はおそらく、全員退場させられる</p><p>この会場には、居られなくなる</p><p>とにかく、この場で何か騒ぎを起こそうと企てたんだよそうしたら、あたしたちを追い出す名目ができるでしょ</p><p>でも何で、わざわざ美智を</p><p>そりゃあ自分の妹が退場処分になるのは、みっともないって思ったんでしょうよ</p><p>自分の世間体のためかよっ</p><p>でもみすずはいいのオレたちと一緒に居たら、みすずも退場処分になっちゃうだろ</p><p>美智を、連れ出す前に</p><p>みすずを、連れ出すべきなんじゃあ</p><p>判った、お兄ちゃん</p><p>マナが、叫んだ</p><p>この人みすずさんに恥をかかせるつもりだったんだよ</p><p>みすずに恥を</p><p>そうねあたしたちのことなんて、二の次だったのね</p><p>メグも、そう言い出す</p><p>誰かオレに説明してくれよ</p><p>だぁかぁらぁ</p><p>この女の目的は、最初っからみすずさんの退場処分だったわけ</p><p>なにぃ</p><p>退場処分になったらみすずさん、今日の発表会に出られなくなるでしょパンフレットに名前は載っているし香月さんや知り合いの人もみんな観に来るのに、みすずさんが不祥事で出場できなくなったら、どうなる</p><p>みすずにとって不名誉なことになる</p><p>そしてこの女のご主人様の瑠璃子さんだけが香月家からの唯一の出演者ということになる</p><p>みすずは呆然としている、工藤遙花を睨んだ</p><p>あたしと瑠璃子さんの後継者争いにも、影響が出ると思ったんですよね工藤遙花さん</p><p>だからみすずは</p><p>オレたちが、美智に姉との対決を覚悟させたところで</p><p>わざと気を削ぐような方向に持って行ったんだ</p><p>なぁるほどねぇ</p><p>側から不意に声がした</p><p>ハッとして、振り向くと</p><p>マルゴさんが居る</p><p>マルゴさん、いつの間に</p><p>気配を消すのは、あたしの仕事の基本だからね</p><p>みすずさん、この子を処分する前にさ</p><p>マルゴさんが、提案をする</p><p>美智さんとの勝負は、やっぱりさせてあげるべきなんだと思うよ</p><p>美智は、姉へのコンプレックスから抜け出るため</p><p>正々堂々と勝負して、姉に勝つべきだ</p><p>こういうのはどうかな工藤遙花さんだっけこの子が勝ったら、処分は無しにするみすずさんに対しての無礼な行為も全て忘れてあげる</p><p>美智が勝ったら、どうしますか</p><p>メグが口を開いた</p><p>売春して貰いましょう</p><p>その人お屋敷の女の人たちを侮辱したんですからあたし、絶対に許さないわ</p><p>美智が勝ったら工藤遙花は、売春婦になる</p><p>一度だけで構いませんから売春婦の辛さを体験して貰いたいの</p><p>どうかな、みすずさん</p><p>マルゴさんが尋ねた</p><p>それで良いと思いますどうかしら、遙花さん</p><p>工藤遙花は</p><p>勝てばいいんでしょわたくしが勝つわよ美智に、姉のあたしが負けるはずがないじゃない</p><p>毎日更新で書いていると日々の健康状態や精神状態が、あからさまに出てしまいます</p><p>なかなか、難しいですね</p><p>この２週間は、私にとってかなり厳しい時期でした</p><p>やっと抜けられた気がします</p><p>最後は自分の作ったキャラクターたちに救われました</p><p>とても、良い子たちで心から感謝しています</p><p>217．イン・ザ・ボックス</p><p>美智も、いいですね</p><p>みすずが、美智を見る</p><p>美智は、姉との勝負に乗り気では無いらしい</p><p>美智お父さんに言われたこと、覚えているか</p><p>オレは美智に言った</p><p>美智は、もう自分の工藤流を作っていかなければいけないんだぞ</p><p>例え、相手が自分のお姉さんだとしても美智は闘うべきだ</p><p>オレの言葉に、マナが</p><p>そうだよっお姉ちゃんとか、血の繋がりとか関係ないよっボッコボコにしちゃえばいいんだよっ</p><p>マナすぐ横に雪乃が居る状態で、それを言うか</p><p>こいつのコンプレックスも、複雑だからなあ</p><p>ミナホ姉さんが、今朝から徹底して雪乃に酷い格好をさせている理由が判ってきた</p><p>マナもメグも雪乃に対するコンプレックスが強く根付いているから</p><p>マナとメグはドレス・アップ、雪乃はドレス・ダウンさせることで、劣等感を刺激しないようにしているんだな</p><p>せめて雪乃は、自分よりも美人という先入観が崩れれば、二人のコンプレックスは大幅に改善されるだろうし</p><p>工藤遙花さんあたしのことは、知っている</p><p>マルゴさんが不意に、工藤遙花に声を掛ける</p><p>マルゴ・スタークウェザーさん黒い森の警護役の方ですよね</p><p>工藤遙花は、一応、オレたちについては調べているようだ</p><p>あたしは君よりも一つしか年上で無いけれどもう３年以上、この仕事やっている同じ業界の先輩として忠告しておくけどさ君、才能が無いから、ボディーガードは辞めた方がいいよ</p><p>工藤遙花の表情が、厳しくなる</p><p>ただの売春組織の警護役が、香月セキュリティ・サービスの人間であるわたくしを侮辱するつもりですか</p><p>マルゴさんは、ククッと笑って</p><p>ごめんねあたしは心の冷たい人間だからさ、才能の無い人間には、はっきりそう言うことにしているんだよ香月セキュリティ・サービスに迷惑を掛けないうちに、足を洗った方がいいよこの世界は、君みたいな鈍い子が生きていける世界じゃないから</p><p>わたくしは、空手のインターハイ優勝選手ですっそのわたくしの何処に才能が無いとおっしゃるんですか</p><p>だから、ずっとアスリートをやっていた方がいいと思うよ君には人を守ることはできないよだって、君は守られる方の側の人間だからね</p><p>マルゴさんの眼は、冷たかった</p><p>無礼なッッ</p><p>工藤遙花が、マルゴさんに殴りかかろうとするが</p><p>その瞬間、寧さんが机の上にあったボールペンを工藤遙花に投げつける</p><p>はいよっ</p><p>工藤遙花が、そのペンを避けると</p><p>マルゴさんの拳が、工藤遙花の顔面すれすれに出現する</p><p>寸止め</p><p>後一歩、踏み込んでいたら</p><p>工藤遙花の顔は、粉砕されていただろう</p><p>相変わらず、マルゴさんと寧さんの連携は凄い</p><p>まだやるかい</p><p>ひ、卑怯ですわ</p><p>そう言う、工藤遙花に</p><p>君不意に敵に襲われたら、相手にそう言うのかい</p><p>工藤遙花は、空手選手であって</p><p>裏の仕事には、向いていない</p><p>い、今のはちょっと気が緩んでいただけですっ実戦では、こんな失態は致しません</p><p>本当に、ダメだこの人</p><p>あたしは今、実戦をやっているんだけれど</p><p>マルゴさんの言葉に工藤遙花は、ゾクッと震える</p><p>君と美智さんなら、ただの姉妹ケンカなのかもしれないけれど香月セキュリティ・サービスに籍のある人間が、黒い森の人間に殴りかかったら、それはもう実戦だよね</p><p>マルゴさんが、穏やかに話す</p><p>黒い森は、香月さんには大変お世話になっているけれど香月さんの部下ではないんだよあたしたちは独立した組織だあたしは最初に聞いたよねあたしのことを知っているかって</p><p>そうだマルゴさんが</p><p>あたしが黒い森の警護役っていう看板を背負っているって知っていた上で君は、ケンカを売ってきたわけだ</p><p>それはあなたが、わたくしを侮辱したからですっ</p><p>それを言うのなら</p><p>工藤遙花は、さっきから散々、オレたちやみすずのことを侮辱している</p><p>でも、殴りかかってきたのは、君の方だろあれ知らないのこういう時は、先に手を出した方が負けなんだよね</p><p>そ、そんなのは言い掛かりです</p><p>そうかなあこれだけ目撃者がいたら、どうしようも誤魔化し様が無いんじゃない</p><p>マルゴさんが工藤遙花の手下の一人の少女を指差す</p><p>ねえ、そこの君はどう思う今のは、どっちが悪い</p><p>マルゴさんは、余裕たっぷりに尋ねた</p><p>少女は、チラッと工藤遙花を見るが</p><p>君自身の忌憚の無い意見を聞いているんだけれとね</p><p>マルゴさんの言葉は穏やかだが殺気は隠していない</p><p>少女は</p><p>遙花様今回のことは、全て私たちの負けですわ</p><p>な何を言うのよ</p><p>手下の答えに、工藤遙花は驚く</p><p>そもそも先に侮辱的なことを言って、相手を挑発しトラブルを引き起こそうとしたのは私たちですし</p><p>それがバレた上に、そちらの方に同じ様に挑発されて殴りかかってしまう遙花様は、ちょっとどうかと思います</p><p>それにその方は、わざわざ寸止めにして下さいましたし</p><p>道義的にも、その方のおしゃっていることの方が正当だと思います</p><p>４人の手下全員にたしなめられる工藤遙花</p><p>と皆さんは、言っているけれど</p><p>何重にもマルゴさんは、工藤遙花の上を行っている</p><p>根本的な、経験値が違いすぎる</p><p>美智あなたがお姉さんに引導を渡すべきだわ</p><p>みすずが、ここまでの様子を見て言った</p><p>このままボディガードを続けたら、遙花さんは死ぬわ瑠璃子さんも、きっと酷いことになると思うの</p><p>美智が、ジッとみすずを見る</p><p>だから、あなたが遙花さんを倒しなさい</p><p>ポケットから、白い手袋を取り出すと姉に叩き付けた</p><p>な、何をするのよ美智</p><p>驚く、姉</p><p>姉上いえ、こうなったからには、血縁は関係ありません我が主、香月みすず様の命により、工藤遙花あなた様に決闘を申し込みます</p><p>馬鹿なこと言わないで、姉妹で決闘だなんて</p><p>姉妹だからこそこれ以上、工藤家の恥を晒さぬ様、あなたを処罰致します</p><p>その言葉に工藤遙花は</p><p>美智あなた、本気であたしに勝てると思っているの</p><p>あなた程度の人間に勝てないようでしたら、みすず様の警護役は務まりません</p><p>絶対に１対１の勝負でしょうねそちらの方が、加勢するなんてことは無いですわね</p><p>疑り深そうな眼で工藤遙花は、マルゴさんを見る</p><p>決闘なんでしょなら、手は出さないよだいたい、君ぐらい彼女一人で倒せるし</p><p>マルゴさんは、軽くそう答えた</p><p>わたくしが弱いとおっしゃるのですか</p><p>ギッと強い視線で睨む工藤遙花</p><p>そうだよ君は、自分がどれくらい弱いか気付かないくらい弱い</p><p>うん弱い上に、ちょっと頭が悪いよね空手の練習ばっかりやっていたからそうなんだろうけれど</p><p>マルゴさんの言葉に、寧さんが付け加える</p><p>奈落とか、今日は使わないんだよね</p><p>はい、今日は日舞の発表会ですからセリや回り舞台は使いませんし</p><p>奈落って何</p><p>ああ、旦那様舞台の真下の地下の部屋のことです</p><p>みすずが、教えてくれた</p><p>じゃあ、そこにしようかこの劇場の中で、他に決闘できる場所なんて無いよね</p><p>はい場内は、どこも警備の方がいらっしゃいますから</p><p>だからって今、劇場の外に出て行くのは嫌だしね</p><p>わざわざ、シザーリオ・ヴァイオラの標的になりに出るようなものだ</p><p>じゃあ、決闘は舞台地下の奈落ってことで発表会の始まる前にカタを付けておこう</p><p>はい見届け人は、あたしが務めますよろしいですね、遙花さん</p><p>みすずが、工藤遙花に言った</p><p>判りました、鍵はわたくしが開けていただきます</p><p>工藤遙花が、そう言った</p><p>じゃあ、準備ができたら声を掛けてねっそれから君が負けたら、売春して貰うペナルティはそのまんまだからねっ</p><p>寧さんの言葉に、工藤遙花は</p><p>構いませんどうせ、わたくしが勝つのですからその代わり、わたくしが勝つたならば、美智を返していただきます</p><p>美智を返す</p><p>美智は、もう一度わたくしが空手で鍛え直します姉に逆らうような妹は、徹底的に制裁しなければなりませんわっこれもみんな、あの愚かな父と工藤流などという下らない武術をやっているからです美智は、堕落してしまいました</p><p>姉の言葉に美智は</p><p>あなたは、何も判っていらっしゃらないお見せ致しますわたくしの成長を</p><p>もう美智に、迷いは無い</p><p>ふんっギッタギタにしてあげるから覚えてなさいねっ</p><p>工藤遙花は、どこまでも妹をナメ切っている</p><p>こんなところに居たのですか</p><p>ロビーの向こうから、二人の少女が現れる</p><p>一人が主人で、もう一人がお付きの少女であることはすぐに判った</p><p>美子と楽屋で練習をしていたらいつの間にか姿が見えなくなってしまうのですもの困りますね</p><p>工藤遙花にニコッと微笑む長い黒髪の美少女</p><p>マナと同じくらいの背丈で顔は、みすずによく似ている</p><p>やっぱり、飛びっ切りの美少女だがみすずよりも、おっとりとした感じがする</p><p>何か優雅という言葉がとても似合いそうな</p><p>この娘もオレは前に見ている</p><p>瑠璃子さんちょっと、遙花さんをお借りしていました</p><p>みすずが従妹香月瑠璃子に、声を掛ける</p><p>確か、１５歳中学３年生だっけ</p><p>あら何か御用をなさっていたのですか</p><p>瑠璃子さんは、机の上に並べられたパンフレットの山を見てそう言った</p><p>はい加奈子さんに、パンフレットを二つに折るように頼まれました</p><p>今までの険悪な空気を打ち消してみすずは、にこやかに瑠璃子さんにそう告げた</p><p>まあ、そうでしたかでは、わたくしたちもお手伝い致しましょう美子</p><p>はい瑠璃子様</p><p>お付きの美子さんは高校生ぐらいに見えた</p><p>ご主人の瑠璃子さんに似て、とっても穏やかそうな人に見える</p><p>遙花さんたちは、警備本部にお戻りにならないといけないのよね</p><p>みすずが、平然とそう言った</p><p>舞台の奈落への通路を適当な理由を作って、開けさせないといけない</p><p>まあそうなの、遙花さん</p><p>瑠璃子さんが、自分の警護役を見る</p><p>では、早く行ってらっしゃいわたくしと美子は、ここでみすずさんのお手伝いをしておりますから</p><p>主人を残して行くことに工藤遙花は逡巡している</p><p>ここは、あたしが守っているから何の問題も無いと思うよ</p><p>マルゴさんが、ニコッと微笑む</p><p>だから、さっさと行って、すぐに戻ってくればいいんじゃないのかな</p><p>瑠璃子様わたくしは、すぐに戻って来ますから美子さん、頼みますねみすず様も卑怯なことはなさらないで下さいねみんな、行くわよ</p><p>工藤遙花は、ぷりぷりしながら立ち去る</p><p>４人の手下の少女たちも従って行く</p><p>何ですの卑怯なことって</p><p>瑠璃子さんの言葉にみすずは</p><p>さあ遙花さんは、いつもあたしの前ではぷりぷりなさっていますから</p><p>うん、ホント、言いたい放題、やりたい放題だよねっあの子</p><p>寧さんが、工藤遙花の後ろ姿を見て、そう言う</p><p>ごめんなさい、みすずさん</p><p>瑠璃子さんがみすずに頭を下げる</p><p>そんなことなさらないで瑠璃子さんが、頭を下げるようなことでは無いわ</p><p>でも遙花さんが、何か失礼なことをなさったのでしょうあの人は、人一倍、わたくしに忠節を誓って下さっているけれど方向が間違っていますし、あの人の行動はいつも過剰ですから</p><p>この子工藤遙花の本質に気付いているんだ</p><p>わたくしとみすずさんは決して対立する様な立場に居るわけではないのに遙花さんの頭の中では、ライバルだということになっているみたいなんです</p><p>やっぱり工藤遙花の独断専行だったんだ</p><p>わたくしが、もっとしっかりしていれば事前にあの人の行動を止めることもできるのでしょうけれどごめんなさいみすずさんに、またご迷惑をお掛けしたのでしょう</p><p>瑠璃子さんは、心からみすずを心配している様に見えた</p><p>悪い子では無いのだと思う</p><p>それこそ、気にしないで従姉妹でしょあたしたちそれに、あたしのことはみんなが助けてくれましたから</p><p>みすずが、オレたちを瑠璃子さんに紹介する</p><p>そちらから、マルゴさん寧さん恵美さんマナさん</p><p>一人一人、瑠璃子さんに一礼する</p><p>瑠璃子さんも、一人一人に頭を下げてくれた</p><p>雪乃のところで、みすずの言葉が止まる</p><p>黃縞黒子さんです</p><p>みすずの代わりに、美智が答えた</p><p>そうそう、黒子さん</p><p>まあ、黄色に黒だなんて、とても素敵なお名前ですね</p><p>雪乃は何とも言えない、やるせなさそうな顔をしていたが</p><p>それでも、瑠璃子さんに一礼する</p><p>瑠璃子さんは、香月閣下の長男の一人娘</p><p>名家のお嬢様中のお嬢様であるということは、知っているのだろう</p><p>つーか、瑠璃子さんてこうやって近くで話を聞いてみると</p><p>超箱入り娘なんだな、きっと</p><p>おっとり、ふんわかしていて</p><p>全然、邪心が無い</p><p>無邪気な笑顔で、雪乃に微笑んでいる</p><p>そして</p><p>みすずの眼が、オレを見る</p><p>黒森公之助です</p><p>オレは、そう自己紹介した</p><p>瑠璃子さんだけなら、本名を名乗ってもいいけれど</p><p>お付きの美子さんが居る</p><p>この場では、黒森を名乗っていた方が良いと思った</p><p>みすずが、女の子たちの苗字を言わなかったことも気になるし</p><p>みなさま、みすずさんのお友達なんですね</p><p>瑠璃子さんが、そう言った</p><p>身内です</p><p>みすずは、一言、そう答える</p><p>お身内</p><p>はい身内です</p><p>みすずは、それ以上は語らずに、パンフレットを拡げる</p><p>では作業を致しましょうか</p><p>テーブルに並んで座ってみんなで、パンフレットを折る作業を開始する</p><p>この人数でやれば、すぐに終わりますわね</p><p>美子さんが、おっとりと言った</p><p>ちょっと、マルちゃん曲がってるよちゃんと角を合わせて折って</p><p>あ、ごめんごめん</p><p>こういうのが苦手なところだけは、アメリカ人なんだからっ</p><p>寧さんとマルゴさんが、じゃれ合っている</p><p>ちょっとちょっと黒子さん、もっとしっかりやって</p><p>ホント、ブッ器用なんだからっ</p><p>また、マナが実姉を叱責している</p><p>物凄いスピードで、作業を続けているしかも、正確で丁寧だ</p><p>あ何ヨシくん</p><p>なんか、凄い手際がいいんだけれど</p><p>ほらっ、あたし昔っから、学級委員長になることが多かったら、こういうの慣れているのそれに集中すると、没頭しちゃうタイプだから</p><p>そう言えば、さっきから無言で誰とも会話せずに、黙々とパンフレットを折り続けている</p><p>何かこんな単純作業だと、それぞれの人の性格が出て来るんだな</p><p>みすずも、メグと同じで作業が早い</p><p>でも、作業しながら瑠璃子さんたちに話し掛ける余裕がある</p><p>この辺が、性格の違いなんだろう</p><p>瑠璃子さんはものすごく丁寧だけれど、ものすごく遅い</p><p>他の人が５枚仕上げる時間で１枚、どうにか完成するというスピードだ</p><p>ほらほら、瑠璃子様こことここの角を合わせると、スムーズにできますよ</p><p>そういう美子さんもものすごく遅いはてしなく丁寧だけど</p><p>作業を続けながら、瑠璃子さんが口を開いた</p><p>撫子先生が、この数日のみすずさんのご上達を大変褒めていらっしゃいましたわ</p><p>あたし上達なんてしていませんよ</p><p>みすずが、そう言うが</p><p>いいえわたくしが見ていても、みすず様は格段に上達なさっていますわ</p><p>美子さんが、そう言う</p><p>そうですともそれで、撫子先生がおっしゃっていたのですけれど</p><p>みすずさんは恋をなさっているのではないかと</p><p>瑠璃子さんの言葉にみすずは、頬を赤らめる</p><p>それはたまたま、今日、あたしが踊る踊りが、恋の踊りということで</p><p>撫子先生のお話ですと先週までは、みすずさんの踊りは恋に恋する、幼い少女にしか見えなかったのだそうですそれが今では恋に苦しむ、大人の女をしっかりと表現できていると</p><p>恋に苦しむ</p><p>みすず苦しんでいるのか</p><p>それで、わたくし</p><p>瑠璃子さんが、チラッとオレを見た</p><p>この間、みすずさんがお稽古場に入られる時に、黒森さんと手を繋いでいらっしゃるのを拝見していましたから</p><p>紺碧流の稽古場ビルの２階の窓から</p><p>瑠璃子さんと工藤遙花がオレとみすずを見下ろしていた</p><p>ええ瑠璃子さん</p><p>みすずは従妹に隠し事をする気は無いようだった</p><p>あたしはこの方を愛しています</p><p>ギュッと、オレの手を握りしめる</p><p>黙々と作業していたメグの手が止まった</p><p>雪乃があんという顔で、こっちを見る</p><p>マルゴさんと寧さんは、にっこりと微笑んでいた</p><p>マナがスッとメグの肩に触れる</p><p>この方の子供を産みたいと思っています</p><p>まあやっぱり、そうなんですね</p><p>瑠璃子さんは、眼を輝かせてオレたちを見ている</p><p>しかしみすず様ご婚約者の方は、どうなさるんですか</p><p>美子さんがみすずに尋ねる</p><p>そうですわねみすずさんにも、わたくしと同じでお祖父様のお決めになった婚約者がいらっしゃるのでしたね</p><p>瑠璃子さんの顔が、暗くなる</p><p>お祖父様には、今日、会の後にお話し致しますそれでこの方とのお付き合いをお許しいただきます</p><p>みすずは、はっきりとそう言った</p><p>まあ、何て素晴らしいわたくしも、応援致しますわみすずさん</p><p>15歳の従姉妹は、すっかり感激していた</p><p>ところでみすず様のご婚約者は、どなただったんです</p><p>美子さんがそんなことを尋ねる</p><p>それは今は、言えません</p><p>みすずは、そう答えてそれから、オレたちの方を見た</p><p>作業を続けながらみなさん、あたしの話を聞いて下さい</p><p>あたしと瑠璃子さんは香月重孝の孫です他には、孫はいません現在の香月家は、お祖父様が全てを掌握していますから香月家の跡継ぎは、あたしか瑠璃子さんということになりますですからあたしたちと、結婚して香月の財産を狙っている人間はたくさんいます</p><p>みすずか瑠璃子さんと結婚すれば莫大な富と権力を継承することができる</p><p>もちろん、香月家の傍系には男子も居ますし香月家と親しい名家の方々政治家や外国の方までご親族をあたしたちに婿入りさせたいとのお申し入れが、数多くあったそうですあたしと瑠璃子さんの産まれたその時から</p><p>赤ん坊の段階ですでにそんな話があったんだ</p><p>そのままでは、いずれ争いがおきますあたしや瑠璃子さんの安全も脅かされますですからお祖父様は、ご自分で香月の一族の中からあたしたちの婚約者をお決めになりました</p><p>婚約者を決めてしまえば変な諍いはなくなる</p><p>しかし一族の中の誰が、婚約者なのかは公表なさいませんでした</p><p>あたしたちがまだ若いうちに公表すれば婚約者は一族の中から強い妬みを受けます殺そうとする人が現れるかもしれませんですから、婚約者が決まっていることは発表されましたがそれが誰なのかは、知らされなかったのです</p><p>みすずさんは、知っているのですか</p><p>メグが聞いた</p><p>はい16歳の誕生日に、その方とお会いしました</p><p>つまり婚約者の男の方も、自分がそういう立場になっていることを知っているんだね</p><p>みすずは小さな声で、そう言った</p><p>わたくしはまだ15歳ですから自分の婚約者のことは知らされておりません</p><p>今日、来るんだよね婚約者の人</p><p>だったらちゃんと話して、婚約破棄して貰おう</p><p>瑠璃子さんが眼をキラキラさせて、感動している</p><p>すごいですわ素晴らしいですわわたくし、応援しますっみすずさん</p><p>瑠璃子さんは、能登声で</p><p>これだけおっとりとした、超箱入り娘なので工藤姉の暴走が止められないということです</p><p>15歳ですし、そういう感じでいきます</p><p>セックスの存在すら知らないぐらいの、箱入り娘です</p><p>ちなみに、お付きの美子さんも</p><p>218．セックスって何ですか</p><p>しかし御前様は、お許し下さいますでしょうか</p><p>瑠璃子さんのお付きの美子さんが、そう言った</p><p>香月家の家臣の家柄なんだろうか、香月閣下を御前様と呼ぶ</p><p>御前様は、一度、ご自分でお決めになられたことは、簡単には覆されないお方ですみすず様はまだお若いのですから、しばらく様子を見られて、時間を掛けてゆっくり説得なされて、ご理解いただく方がよろしいのではございませんか</p><p>美子さんの言うことは、もっともだけど</p><p>それでは今、定められている婚約者の方に失礼ですわ</p><p>みすずは、そう言った</p><p>確かに、みすずは将来的に結婚する気は無いのにそれを知らされないで、ずっと自分は婚約者だと思っている男が可哀想だ</p><p>それにあたし自身も、この方の他に、自分に婚約者が居るという現実には、もうガマンできません</p><p>みすずが、オレをみる</p><p>あたしはこの方と生きていきたいんです</p><p>寧さんとマルゴさんは、微笑ましく見てくれている</p><p>メグとマナは少し、複雑な顔をしていた</p><p>雪乃は、ぽかーんと口を開けている</p><p>オレは今、どんな顔をしているのだろう</p><p>もしかしたらあたしは、このことでお祖父様に勘当されるかもしれません今日限りで、あたしは香月の家から追放されるかもしれませんそれでも、構わないんです例え、この身一つになったとしても、この方があたしを受け入れて下さることは判っていますから</p><p>みすずはそこまで覚悟しているんだ</p><p>香月家から勘当されたら家には居られなくなる学校へも行けなくなる日舞だって、もう無理だろう</p><p>みすずは、何もかも失うことになる</p><p>それでもオレと一緒に居たいと言ってくれた</p><p>わたくし感動しております</p><p>瑠璃子さんがそう言った</p><p>何て素晴らしいんでしょうねえ、美子</p><p>しかし、美子さんは</p><p>本当に、それでよろしいんですかみすず様</p><p>みすずが、香月の家を追放になるかもしれないという事態にショックを受けていた</p><p>黒森様も、いいのですかみすず様が、香月の家から離れられても</p><p>ああこの人は</p><p>オレが、みすずを香月家の人間だと知って、口説いたんだと思ってるんだ</p><p>オレは初めて、みすずと会った時は、みすずがどんな家の生まれなのか全然知りませんでした</p><p>正直に話そう</p><p>今でも香月家のことは、よく判っていませんそれでいいと思ってますオレは、みすずのことが好きになったんです香月の家が好きなわけでは、ありませんから</p><p>旦那様今日の髪型、素敵ですよ</p><p>ああ、これみすずは、こういう方が好きだと思って、克子姉にやってもらったんだ</p><p>そうだと思いました</p><p>オレに身体を寄せるみすず</p><p>大好きです旦那様</p><p>みすずは、マルゴさんや寧さん、メグ、マナの方へ振り向く</p><p>みなさんにもお願い致しますもし、香月家を追放されたらみすずが、旦那様のお側で暮らすことを、みなさんはお許し下さいますか</p><p>一人一人の眼を見てみすずは尋ねていく</p><p>あたしは、全然構わないよっ家族が増えるのは楽しいものっ</p><p>寧さんは、率先してそう言ってくれた</p><p>あたしはあたし自身がそういう立場ですからみすずさんがいらっしゃるのなら、喜んでお迎え致します</p><p>それを言うなら、マナだってそうだよマナだって、お兄ちゃんに居場所を作ってもらっているんだもん全然、オッケーだよ</p><p>ミナホの意見は判らないけれどあたし個人としては、歓迎するよあたしは、家柄なんかより、よっぽどみすずさんの性格や才能が気に入っているから彼の側に居るってことは、当然あたしたちの仕事を手伝ってくれるってことだよね</p><p>はい、もちろんですっ</p><p>みすずは、笑顔で答えた</p><p>あのみすず様</p><p>恥ずかしそうに美智が口を開く</p><p>どの様な事態になったと致しましてもわたくしは、生涯、みすず様の護衛ですどこまでも、お供します</p><p>もし、みすずが香月閣下に勘当されたら</p><p>みすずも、美智も黒い森のメンバーになる</p><p>すば抜けて頭が良くて社交性もある、みすずと</p><p>特殊な戦闘能力を持つ美智</p><p>二人が正式なメンバーになってくれたら、とても助かる</p><p>香月閣下は、そんなことを簡単に許すような、甘い相手では無い</p><p>みすずをどこかに監禁して、オレと引き離すかもしれない</p><p>いや、いっそオレを殺すかも</p><p>香月閣下にとっては、オレみたいな男の命は紙くず同然だろう</p><p>黒い森が香月閣下と敵対するような事態を招いてしまっていいのだろうか</p><p>そちらの方には、お尋ねしないのですか</p><p>瑠璃子さんが、雪乃を指す</p><p>確か黄色で黒子さんでしたわね</p><p>美子さんの言葉に、雪乃は</p><p>黄縞黒子ですっ</p><p>いや、お前は白坂雪乃だ</p><p>つーか、何でそんなに堂々と偽名を名乗っている</p><p>意外に気に入っているのか</p><p>そうね黒子さんにもお尋ねしておこうかしら</p><p>みすずが、雪乃を見る</p><p>あっあたしは</p><p>困惑する、雪乃</p><p>あたしは別に関係ないわよ好きにすればいいじゃないあんたたちの好きにどうせ、あたしが何て言ったって、思った通りにするんでしょ</p><p>はいでは、好きにさせていただきますわ</p><p>みすずが、雪乃に微笑んで答えた</p><p>瑠璃子さんが、そんなみすずを見て</p><p>判りました、みすずさん香月の家の未来は、どうぞわたくしにお任せ下さい</p><p>彼女の顔は晴れ晴れとしていた</p><p>わたくしとっても嬉しいですわ香月の家のために、何もかも遠慮なさっていたみすずさんが、ご自分の幸せを第一になさろうと決心して下さったことがこれで、もうわたくし、思い残すことはありません</p><p>思い残すって</p><p>わたくしがお祖父様のお望み通りに生きます人生を香月の家に捧げますわたくしは、みすずさんがお幸せに暮らされる姿を拝見できればそれで満足です</p><p>おい待てよ</p><p>瑠璃子さんはそれでいいの</p><p>思わず、オレは尋ねてしまった</p><p>はいわたくしは、香月の家のために生まれた娘ですから</p><p>瑠璃子さんは何の迷いも無い笑顔で、そう答えた</p><p>元々、わたくしは香月重孝の長男、香月重秋の長女です嫡流の血を受けた以上、わたくしが次代の香月家を引き継ぐことは生まれた時より覚悟しております</p><p>そうだ彼女は、長男の娘</p><p>みすずは次男の娘</p><p>現在の香月家の当主、香月重孝閣下には他に、孫はいない</p><p>瑠璃子さんとみすずで、後継者争いということになっているけれど</p><p>血統から言えば、嫡流の瑠璃子さんが継ぐのが正統なんだ</p><p>みすずさんは、とてもお綺麗ですし、才能も豊富でいらっしゃるから一族の者の中には、わたくしとみすずさんのどちらが後継者になるか判らないなどと、言う者が居ることは知っていますわたくしと、みすずさんに後継者争いをさせて香月家を二分させようと企む者もいることも知っております実際わざと、わたくしとみすずさんを仲違いさせようと、わたくしの耳に良からぬことを吹き込もうとする者もおります</p><p>瑠璃子さんが、悲しそうな眼をする</p><p>わたくしは、もちろん風聞のたぐいは一切、信用しておりませんわたくしは、子供の時分からみすずさんのことを良く存じ上げておりますし従姉妹として敬愛しています</p><p>あたしもあなたのことが好きよ、瑠璃子さん</p><p>ありがとうございますしかし勝手なことを言う方々が増えるばかりです酷い噂が拡がっていきますと、わたくしの側に居る者の中でも勘違いをする者が出て参ります本当に、わたくしとみすずさんが争っていると思い込む者まで現れて</p><p>ああ、あの人か</p><p>先程遙花さんが、みすずさんに何かご迷惑をお掛けしたのも、そういう理由だと思いますわたくしには、判っております遙花さんにとっては、わたくしに対する忠節のおつもりなのでしょうが大変、申し訳ございませんでした</p><p>瑠璃子さんは、また頭を下げる</p><p>頭をお上げ下さい遙花さんのことは、気になさらないであの方のことについては、こちらでもきちんと対処致しましたから</p><p>対処ですか</p><p>瑠璃子さんが、みすずを見る</p><p>あたし遙花さんは、前々からボディーガードの仕事には向いていらっしゃらないと思っていましたあの方は、最初はあたしの警護役に推薦されたのですけれどあたしがそれを断って、美智を選びました</p><p>はいそれで遙花さんは、わたくしの護衛役ということになりました</p><p>工藤遙花は、高校3年生</p><p>本当なら、高校2年生であるみすずの警護に就くべきなんだ</p><p>そうすれば、学校の中でも警護できるし</p><p>なのにみすずは、工藤遙花を拒絶した</p><p>だから、中3の美智が年上のみすずを警護するということになって</p><p>それだって、本来なら中３同士なんだから、美智が瑠璃子さんを警護する方が正しい姿なんだろう</p><p>そのことで、遙花さんはあたしを恨んでいらっしゃいます何かと、あたしや美智に辛く当たられるのは、それが原因です瑠璃子さんには、関係ありません</p><p>みすずは、スッと瑠璃子さんに頭を下げる</p><p>とんでもございません年長者とはいえ、遙花さんはわたくしの下にいらっしゃるのです遙花さんのなさったご無礼は、わたくしが幾重にもお詫び致します</p><p>いえいえ、わたくしが悪いのですわたくしが、同い年でありながら遙花さんをお諫めできなかったことがみすず様も瑠璃子様も悪くはございません全ての責は、この美子にございます</p><p>美子さんまで加わって三人で頭を下げる大会になってしまった</p><p>でも、もう大丈夫ですわあたし遙花さんには、ボディーガードの仕事をお辞めいただこうと思っているんです</p><p>遙花さんは空手の選手に専念なさった方が良いと思いますあの方は競技者であって、警護役の様な仕事が勤まる感性の持ち主ではありません</p><p>スバッと、一言で切り捨てる</p><p>それはわたくしも、そう思います遙花さんは、空手に専念なさった方が</p><p>美子さんが言った</p><p>実際現在でも、空手のお稽古と試合の方に時間を取られて、瑠璃子様の警護がおろそかになっておられますし</p><p>はい、学校内ではわたくし美智さんに警護していただいています</p><p>え、美智が瑠璃子さんを</p><p>いつもありがとうございます</p><p>瑠璃子さんが、美智に頭を下げる</p><p>それは同級生でございますから同級生を親しく警護するのは、当然のことです特に、みすず様より瑠璃子様を警護せよという様なご指示をいただいたわけではございませんっ</p><p>まったく、この武士娘は嘘を吐くのが下手くそだな</p><p>そうかみすずが、空手が忙しくて仕事にならない工藤遙花の代わりに</p><p>校内に居る間はずっと美智に、瑠璃子さんの警護をさせていたんだ</p><p>香月の家の人間があの学校の中でどれだけ息苦しい思いをするのかは、あたしが一番良く知っていますから</p><p>みすずが２歳年下の従妹に言う</p><p>はい誰からも妬みそしりを受けないよう常に鷹揚な態度でいなければなりませんしどんな方とも親し過ぎる関係になってはなりません</p><p>香月家の後継者と親しくなればその人間は、他の人から妬まれる</p><p>だから、瑠璃子さんは周囲の人間は全員平等に扱わないといけない</p><p>親しい友人は、できない</p><p>今のわたくしが本当に心を許せるのは、美子だけです</p><p>瑠璃子さんは、お付きの美子さんにニコッと微笑む</p><p>工藤遙花は警護役なのに、全然信頼されていないんだ</p><p>以前のあたしもそうでした</p><p>みすずが言う</p><p>しかし、あたしにはお付きはいませんでしたからあたしの父は、そういう香月の古いしきたりを嫌いますし</p><p>そうか瑠璃子さんの父親は、長男だから香月家の企業グループの中に居るんだろうけれど</p><p>みすずのお父さんは確か、文部科学省の高級官僚だ</p><p>旧華族の血を受け継ぐ、香月家の伝統を嫌ったんだろう</p><p>だから、みすずにお付きを付けることを断った</p><p>お察ししますわたくしは、３歳の時より美子と共に暮らしております美子がいてくれなければ、孤独に打ちのめされていたと思いますみすずさんは、さぞお辛い思いをされたことでしょう</p><p>父の意志とは関係無くみすずは、香月閣下の孫として、香月家の人間として世間と闘わなくてはならなかった</p><p>妬みやそしり押しつけがましい優しさに、たった一人で立ち向かって</p><p>孤独だったんだろうと思う</p><p>あたしは平気です一番辛い時に、お祖父様に助けていただきましたから</p><p>みすずは、そう言ってオレの手の平に、指で渚という文字を書く</p><p>だから、香月閣下はみすずを渚に托したのか</p><p>渚なら、みすずの孤独を癒やしてくれると信じて</p><p>それで、今ではこんなにたくさん、心を許せる方々ができましたわ</p><p>みすずが、オレたちを見る</p><p>渚から、オレ</p><p>そしてメグ、寧さん、マルゴさん、マナ</p><p>みんな、みすずの身内だ</p><p>雪乃だけが、ブスッとしているけれど</p><p>だからみなさんが、みすずさんのお身内なのですね</p><p>羨ましいですわ</p><p>瑠璃子さんは、そう言った</p><p>瑠璃子さんも、あたしたちの身内になりましょうよっ</p><p>マナ、急にそんなことを言うのは失礼よ</p><p>メグが、マナをたしなめる</p><p>マナが、ペコリと頭を下げる</p><p>もう瑠璃子さんも身内ですよ</p><p>はっきりと、そう言った</p><p>瑠璃子さんはみすずの従姉妹ですなら、オレにとっては身内ですそうだろみすず</p><p>そして、瑠璃子さんを見て</p><p>あたしの旦那様は、信用のできる方ですお優しい方です絶対にあたしのことを裏切ることはありませんですから瑠璃子さんのことも、決して裏切りません</p><p>瑠璃子さんが、オレを見る</p><p>みすずの人を見る眼を、信用して下さい</p><p>それは信用しておりますけれど</p><p>瑠璃子さんは、戸惑っている</p><p>あたしずっと、瑠璃子さんを自分の妹だと思ってきました</p><p>従姉妹ですけれど今、香月の家の重さを背負っている娘は、あたしと瑠璃子さんだけですあなたの苦しみも辛さも、同じ立場にいるあたしが一番判っています</p><p>みすずお姉さんと呼んで下さい</p><p>みすずお姉様</p><p>どんな感じです</p><p>瑠璃子さんの顔が、和らいでいく</p><p>不思議です今まで以上に、みすずさんが親しく感じられます</p><p>みすずお姉さんでしょ</p><p>はいお姉様</p><p>それなら、あたしの旦那様は瑠璃子さんのお兄様になりますよろしいですわね、旦那様</p><p>うんこれからは、幾らでもオレに頼って下さい、瑠璃子さん</p><p>オレの言葉に瑠璃子さんは、顔を赤くして</p><p>は、はいお兄様</p><p>みすずが、美子さんを見て</p><p>美子さんこういうことになりましたこれ以上、あたしと瑠璃子さんが仲違いしているという噂を広めないためにも、この方が良いと思うのだけれど</p><p>みすずは瑠璃子さんの長年のお付きである美子さんを気遣って、声を掛ける</p><p>はいそうですねわたくしは、よろしいかと思います</p><p>美子さんは、そう言いながらも少し考え込んでいる</p><p>言葉に歯切れが無い</p><p>これがみすずの策略で瑠璃子さんを籠絡しているのではないかと疑っているらしい</p><p>さっきお話しした通りあたしは、この方と添い遂げます香月の家に対する野心はありません今まで通り瑠璃子さんを香月家の未来の当主として、盛り立てていくつもりです</p><p>みすずは自分には香月家の当主になる野心は無いと、明言した</p><p>あなたが瑠璃子さんを３歳の時から、見守って来て下さったことは感謝していますどうか、ずっと瑠璃子さんの側に居て下さいしかしあたしも、瑠璃子さんが産まれた時から、親しい気持ちで見守って参りましたあたしは、瑠璃子さんの年上の従姉妹です年の近い親族は、瑠璃子さんしか居ないのですからずっと、妹同然に思ってきましたあなたと同じです</p><p>美子さんは</p><p>ご無礼をお許し下さい</p><p>心の中で、一瞬でもみすずを疑ったことを謝罪した</p><p>お姉様よみすずさんが、わたくしのお姉様になって下さったの素晴らしいわ美子も、そう思うでしょ</p><p>瑠璃子さんは、幸せそうに微笑んでいる</p><p>美子さんも、主人に微笑んだ</p><p>話を元に戻します遙花さんをこのまま瑠璃子さんの護衛にしておくのは、危険ですあの方は、とても考えの浅い人ですから</p><p>みすずが、そう言うと</p><p>確かにここのところ、増長なさっている様な気がします</p><p>打ち解けた美子さんは、いきなり遙花さんに対しての苦情を述べる</p><p>インターハイで優勝なさって自信を持たれたからでしょうかマスコミに美人空手少女と取り上げられてからは、勝手なことばかりなさっています今日も、瑠璃子様の警護部隊を作ったとおっしゃって、空手部のお仲間を４人もお連れになってなのに、全然瑠璃子様の廻りにはいらっしゃらないのです</p><p>あの４人の手下はそういうことか</p><p>今日の紺碧流の発表会は、セレブな方々がたくさん来場致しますものね</p><p>みすずが、溜息を吐く</p><p>はいその方々の前で、良い格好をなさろうとお揃いのスーツ姿でいらっしゃって</p><p>あのピンクのパンツ・スーツは、そういうことだったのか</p><p>本当に小者というか考えが幼い</p><p>みすずが、瑠璃子さんに言う</p><p>このまま増長が続けば、いずれ瑠璃子さんの顔に泥を塗るような失態をすることは目に見えています遙花さんには、空手に専念するということで瑠璃子さんの警護からは退いていただきましょう</p><p>しかし、あの意固地な方が簡単に、お辞め下さいますでしょうかあの方は、瑠璃子様の警護役であることを誇りに思っていらっしゃいますし</p><p>美子さんが、心配そうに言う</p><p>誇りというかステイタスだと思っているんだろう</p><p>にも関わらず主人を守るという本業は、おろそかになっている</p><p>大丈夫ですあたし先程、遙花さんがあたしたちに働いた無礼に対して美智と決闘する様に申しつけました</p><p>遙花さんが美智さんと決闘なさるんですか</p><p>驚く、瑠璃子さん</p><p>はい姉上と勝負致します</p><p>美智が、ギラッとした眼で答える</p><p>その手は、ちゃんとパンフレットを折り続けていた</p><p>ちなみに、この段階でも作業を続けているのは</p><p>美智と、メグと、寧さんとマルゴさんだけ</p><p>マナは、こっちの話を聞くのに夢中になっている眼をキラキラさせて他人の家の事情に興味があるんだろう</p><p>寧さんは、こういう時に手を抜いたりしない根は真面目な人だから耳はこっちに傾けながらも、ちゃんと手は動かし続けている</p><p>メグは、生真面目過ぎる子だから黙々と作業している香月家の事情を聞いても、自分にはどうすることもできないと割り切っているのだろう</p><p>マルゴさんはちゃんと話を聞きながら、作業している同時に二つのことをすることができる人なんだ手は動かしながら、頭では現在の状況を冷静に分析しているのだろう</p><p>オレはみすずと一緒にいるから、何か作業しながらだと瑠璃子さんに失礼な感じがして申し訳無いけれど、手を止めている</p><p>そして雪乃はただ、ポーっとして机の上を見ていた何で、あたし、こんなところにいるんだろうという顔をしてその気持ちもまあ、判る</p><p>妹の美智に負けて、鼻が折れれば遙花さんの増長も止まりますご自分が、ボディーガードに不向きなことに気付いて、空手の世界だけに専念して下さるでしょうそこまで、徹底的に彼女を追い詰めます</p><p>みすずが可愛い従姉妹にそう言った</p><p>美智さんが、遙花さんに勝たれる</p><p>美子さんが、驚いている</p><p>無理も無い</p><p>美智と遙花さんでは、年齢も体格も全然違うし</p><p>遙花さんのことは、空手の試合なんかでその強さも知っているだろうけれど</p><p>美智の工藤流の闘いは、見たことが無いのだろう</p><p>はい美智が、圧倒的に勝ちます</p><p>みすずが、断言した</p><p>ああそれで決闘なんですね</p><p>瑠璃子さんが、納得する</p><p>大丈夫よ、美子決闘なら、遙花さんには勝ち目は無いわ</p><p>瑠璃子様</p><p>遙花さん、あんな靴で警護に来るような方ですから</p><p>瑠璃子さんは、ちゃんと気付いている</p><p>今日の遙花さんパンプスでしたわ</p><p>瑠璃子さんが、みすずに言った</p><p>ええあんな脱げやすそうで、カカトの脆そうな靴でボディガードだなんて、人を小馬鹿にしているとしか思えません</p><p>みすずが、怒りを込めてそう言った</p><p>仕方ありませんわ遙花さんは、わたくしの警護というより、ご自分のプロモーションのつもりで、今日はいらしているのですから</p><p>瑠璃子さんは、そう答える</p><p>ですからそんな警護役には、退いていただかないと</p><p>みすずの言葉に瑠璃子さんは</p><p>判りました全て、みすずお姉様にお任せします</p><p>瑠璃子さんの承諾を得た</p><p>これで、美智は正々堂々と遙花さんをブチのめすことができる</p><p>そういうことだから美智、いいわね</p><p>美智の迷いも、フッ切れる</p><p>ところで瑠璃子さん</p><p>みすずが、１５歳の従姉妹に尋ねる</p><p>はい、何でしょうみすずお姉様</p><p>瑠璃子さんは、もうすっかりみすずを姉として受け入れている</p><p>瑠璃子さんセックスって言葉、知っているかしら</p><p>お前いきなり、なんてことを</p><p>いいえ申し訳ありません聞いたことがございません</p><p>聞いたことが無い</p><p>美子あなたは知っている</p><p>すみませんわたくしも、寡聞にして存じません</p><p>美子さんも知らない</p><p>美子さん、高３だろ</p><p>いや、この顔はマジだ</p><p>本当に、この人たちセックスって言葉を知らないんだ</p><p>セックスって、どのようなことですか</p><p>瑠璃子さんは、ニコニコしながらみすずに尋ねる</p><p>ということで頭も良くて、判断力もあり、おっとりとした鷹揚な性格のお嬢様なのに性的な知識が一つもない瑠璃子さんなのでした</p><p>この辺は、香月閣下の趣味です</p><p>わざとそういう環境にして、育てています</p><p>電車で会った不思議な人たちについて</p><p>１．山手線に乗っていたらオートバイの革のライディングスーツを着て、ヘルメットを被った人が座席にちょこんと座っているのを見たことがあります</p><p>これは、そんなに不思議じゃないですね</p><p>多分、どっかでコケてバイクが壊れたので、電車に乗っていたのでしょう</p><p>何で、電車の中でヘルメットまで被っていたのかは判らないですけど</p><p>２．高田馬場の駅でテンガロンハットで、完全に西部劇の格好で電車に乗って来た人を見たことがあります足もウェスタンブーツで何より、腰にホルスターを付けて、２丁拳銃を下げていました</p><p>いや、多分、モデルガンだと思いますけれど</p><p>マジで、ピストルまで付けてました</p><p>そこまで徹底的にウエスタンな格好をしているその人は</p><p>なぜか、伊勢丹の紙袋を持っていました</p><p>理解ができません</p><p>３．車内のオバサンが、男の子に言っていた言葉</p><p>あんたは何で人殺しの道具ばっかり欲しがるのよっおもちゃ屋さんで売っている男の子の玩具って、どうして人殺しの道具ばっかりなのかしらっ納得いかないわ</p><p>219．好き好き大好き</p><p>えっ、瑠璃子さん知らないのっ</p><p>マナが、大きな声で叫ぶ</p><p>いや、待て</p><p>マナは、マズイ</p><p>絶対に危険なことを言い出すんじゃないのか</p><p>海外旅行に行った時の入国カードとかに書いてあるじゃん</p><p>はいぃぃぃ</p><p>入国カードって何だよ</p><p>思わず、尋ねた</p><p>お兄ちゃん海外旅行、したこと無いの</p><p>あるわけない</p><p>今度、行きましょうね旦那様っ</p><p>みすずが、オレの腕に寄り添う</p><p>いや今は、そんな話をしている場合じゃ</p><p>ほら、よその国へ行く時に書く入国カードの名前を書く欄の後に男か女かって、印をつけるところがあって</p><p>おいマナ</p><p>お前が言っているのは性別の方のSEXかよ</p><p>そうでしたっけ、美子</p><p>瑠璃子さんが、三つ年上のお付きの少女に尋ねる</p><p>さあ、覚えていませんわわたくしたちが、海外に行く時はそういう物は全て、あらかじめ、秘書の方が全てご用意して下さいますし</p><p>そうよねわたくしたちは、自筆で署名しなければいけないところにサインするだけですものね</p><p>あの、海外旅行って家族旅行とかじゃ無いんですか</p><p>もちろん、家族で参りますわ</p><p>瑠璃子さんは、答えた</p><p>わたくしたちは、まだ未成年ですから旅行は、お父様たちとしか参りません</p><p>何人ぐらいで、行かれるのですか</p><p>怖いが聞いてみる</p><p>そうですわね家族旅行の場合は、お父様とお母様と、秘書の方が数人それに</p><p>ボディーガードの方も、４、５人はいらっしゃいますよね</p><p>そうよねだから、毎回、大体１５人前後ですわね</p><p>海外旅行もですか</p><p>海外の場合は、国によっては通訳の方も付きますし</p><p>現地でガイドの方に同行していただくこともありますよ</p><p>まあ、それでも２０人は越さないですわ</p><p>そんな家族旅行は無い</p><p>わたくしの家では、毎年２回の海外旅行は個人秘書やボディガードの方々の慰安旅行も兼ねていますから</p><p>断じて、家族旅行では無いぞ</p><p>と、とにかく性別の方のSEXの文字も見たことが無いんだ</p><p>あの瑠璃子さんて、普段、テレビとか観る</p><p>寧さんが、恐る恐る尋ねる</p><p>いいえ一切、観ません</p><p>あやっぱり</p><p>ニュースとかも観ないの</p><p>寧さんがさらに尋ねる</p><p>はいわたくしは、政治的なことや、社会的なことは知ってはならないことになっています</p><p>え、どうしてっ</p><p>瑠璃子さんは</p><p>わたくしは、香月家の象徴ですわたくしが、世事に詳しくなると将来、わたくしの夫になる方が煩わしく思われるかもしれませんわたくしは、香月の家を継承しますが香月の影響下にある各企業については、一切口出しは致しません経営は全て専門の方たちにお任せするその様に教育を受けておりますから</p><p>世の中についての情報を閉ざされている</p><p>あでも、学校のお勉強の範囲なら許されていますから社会や政治の仕組みは、知っていますわ現代史も、教科書に出ているところまででしたら</p><p>理論だけは知っているってやつか</p><p>本とか小説は、お読みにならないんですか</p><p>いえ、本は好きですよ家の図書室にある本を楽しんでおります</p><p>おうちに図書室があるんですか</p><p>はいわたくしが読むべき本は、全てお祖父様がお選び下さっていますのでわたくしと美子は、図書室の本を順番に楽しんでおります</p><p>本まで香月閣下の選んだものしか、読ませて貰えない</p><p>ちなみに瑠璃子さんが一番好きな本て何</p><p>寧さんが尋ねる</p><p>トルストイの人はなんで生きるかですわ</p><p>残念ながら、オレは読んだことがない</p><p>雑誌とかも読まないんですか</p><p>はい、そういうものは見ないようにしております</p><p>あのお洋服とか、髪型とかは、どうやって決めているんですか</p><p>今度は、メグ</p><p>それはわたくしと美子には、お父様がスタイリストの方に似合う洋服を探していただいていますからわたくしたちは、その方の指示通りに着ています</p><p>髪の毛も美容院の先生にお任せです</p><p>この二人には選択の自由が無い</p><p>いや、自分一人にだけ自由が無いのなら不満にも思うだろうが</p><p>瑠璃子さんと美子さん二人揃ってそうだと、違和感を感じないのだろう</p><p>今日は、楽しいですわね美子</p><p>瑠璃子さんが、お付きの少女に言った</p><p>こんなに色んな方とお話しできるなんて</p><p>あたしたちの学校は、幼稚舎からずっと顔触れが同じですから</p><p>みすずが、説明してくれる</p><p>小中高の１年生の時に、多少の新入学生もいらっしゃいますがほとんどは、幼稚舎からの持ち上がりですわね</p><p>美子さんが補足する</p><p>わたくし、こんな性格ですし人様のような流行などには詳しくないですから、段々、学校の中でお話しする方も減っております</p><p>まあそうだろうな</p><p>女の子同士じゃ、年齢が上がっていくに従って、次第に会話が噛み合わなくなっていくだろう</p><p>お寂しくは、無いのですか</p><p>メグが聞く</p><p>寂しいわたくし授業中以外は、いつも美子と一緒ですしクラスには、美智さんがいらっしゃいますから、心細く思ったことはございませんわ</p><p>いつも一緒なんですか</p><p>はい、美子とは一緒に暮らしておりますしあ、寝室は別ですよ</p><p>瑠璃子様が小学生の時までは同じベッドで寝起きしておりましたが中学生からは大人ですので、今は別の部屋で休ませていただいております</p><p>わたくしは、ちょっと寂しいのですが</p><p>美子さんという人は、完全に瑠璃子さんに人生を捧げている</p><p>いや、それが当然だと思い込んでいる</p><p>瑠璃子さんが３歳、美子さんが６歳の時からずっと一緒に居るんだから</p><p>マナ、この間、メグお姉ちゃんとお兄ちゃんと同じベッドで朝まで一緒だったよ</p><p>マナが、突然、そんなことを言い出す</p><p>それって珠代さんのラブホテルに泊まった時のことかよ</p><p>朝まで一緒って言うよりセックスしっぱなしだったじゃないか</p><p>それを言うなら、あたしなんかヨッちゃんと二人っきりで抱き合って寝たもんっ</p><p>寧さんが、クシシッと笑う</p><p>そんなこともありましたね</p><p>雪乃が、チラッとこちらを見た</p><p>ああ雪乃と最初に犯した夜は、朝まで一緒だったっけ</p><p>オレのそんな表情にみすずが気付く</p><p>旦那様みすずとも、一緒にお泊まりして下さいっ</p><p>うんじゃないですみすずも夜中、旦那様を独占してみたいですっ</p><p>ああ、判ったよ</p><p>オレは、笑って返答した</p><p>あーっ、マナもお兄ちゃんと二人だけでお泊まりしたいーっ</p><p>均等にスケジュールを組みましょう</p><p>マナとメグが、そんなことを言う</p><p>そうだよね克っつんと渚さんの日も作らないといけないし</p><p>寧さんが、真剣な顔でそう答えた</p><p>でも、みんな一緒の夜も楽しそうだと思う</p><p>マナが意見を言う</p><p>そういう日も作りましょうでもヨシくんを独占できる夜は、欲しいです</p><p>うん、それは絶対にいるよっ</p><p>一度、姉妹会で相談致しましょうね</p><p>うん、姉妹会の総会だぁ</p><p>メグ、マナ、みすず、寧さんで盛り上がる</p><p>何だか、楽しそうですよね</p><p>瑠璃子さんが、４人を見て微笑む</p><p>本当に仲の良い姉妹のようですわ</p><p>美子さんも、４人の様子に驚いている</p><p>香月家の人間であるみすずが、他の３人に溶け込んでいるのが意外なんだろう</p><p>ええ、姉妹なんですあたしたち、姉妹になる誓いをしたんです</p><p>まあ、そうですのそれで、みなさん、みすずさんのお身内なんですね</p><p>はいですから、あたし今は、全然寂しくありませんみんな、あたしの家族同然いえ、家族以上に親しい姉妹たちですから</p><p>みすずは、会心の笑顔でそう言った</p><p>とっても羨ましいですみすずさん</p><p>瑠璃子さんが、微笑ましく見ている</p><p>みすずさんには、愛し合う男性がいらして姉妹の方々もいらっしゃるなんて</p><p>瑠璃子さんにだって、美子さんがいらっしゃるわご姉妹同然の</p><p>メグが、言った</p><p>滅相もございませんわたくしは、瑠璃子様にお仕えする身分でございます</p><p>美子さんは、激しく否定する</p><p>そんなこと言わないで瑠璃子さんも美子さんも姉妹会に入ろうよっみんなで一緒にお泊まりしたり、ご飯食べたり、お喋りしたりしよっきっと、楽しいよっ</p><p>寧さんが人懐っこい笑顔で、そう言う</p><p>うんうん、そうだよそれがいいとマナも思いますっ</p><p>マナもヒートアップしている</p><p>お言葉は嬉しいですが</p><p>わたくしたちは</p><p>瑠璃子さんと、美子さんは寂しそうに顔を見合わせた</p><p>わたくしには、香月の娘という立場がございますし</p><p>そういうの別にどうでもいいんです、オレたち</p><p>みすずが、にこやかにオレを見る</p><p>はいあたしたちには、関係の無いことです</p><p>身分も立場もそういうのは一切無いんですあたしたちだから姉妹なんです姉妹になったんですそういう姉妹会を結成致しました</p><p>最初にお話しした通り旦那様は、あたしが香月の家の娘だということは、全く知らずにみすずを愛して下さいました</p><p>うんそういうの全然関係無いあたし、ミィちゃんのこと大好きだもんっ</p><p>みすずも、寧さんが大好きです</p><p>マナだって、みすずさんのこと大好きだよっ</p><p>みすずも、マナちゃんのこと好きよ</p><p>それぞれが、それぞれに好きを告げる</p><p>あたしもみすずさんのこと好きです</p><p>みすずも、恵美さんのことが好きです</p><p>メグちゃん大好きぃぃぃぃっもう、抱き締めちゃう</p><p>あたしも寧さんが好きですっ</p><p>メグお姉ちゃん、いつも優しいしマナ、感謝してるよ大好きっ</p><p>あたしも、マナが大好きっとっても、大好き</p><p>マルちゃん、愛してるぅぅっ</p><p>あたしも寧のことが好きだよ</p><p>マルゴさん、格好いいから、マナ大好きっ</p><p>マナちゃんは、可愛いね</p><p>うふふふ旦那様、愛してますっ</p><p>あーっ、ミィちゃんずるーいあたしもヨッちゃんが好きぃぃぃ</p><p>ヨ、ヨシくんあ、愛しているからねっ</p><p>お兄ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃん好きぃぃぃ</p><p>吉田くん、好きだよ</p><p>まったくこの姉妹たちは</p><p>オレも好きですマルゴさん好きだよ、みすず寧さん、大好きですメグオレも好きだよマナもとっても、大好きだ</p><p>オレは、一人一人にそう告げる</p><p>ほらほらほーら</p><p>寧さんが雪乃を見る</p><p>黒子ちゃんはどうなわけ</p><p>雪乃はいきなり、ハッとして</p><p>パンフレットを折る作業を再開する</p><p>いや、それはいいからあんたの今の気持ちを言ってミソ</p><p>き、嫌いよ</p><p>手が震えている</p><p>好きなわけないじゃないそんな男嫌いよ</p><p>嫌い嫌いも好きのうち</p><p>その言葉に、カッとする雪乃</p><p>嫌いですっ嫌い嫌い、大嫌いっ</p><p>オレは好きだよ最初に会った時から</p><p>ああたしは嫌いよあんたのことなんて</p><p>モジモジする雪乃</p><p>むふふ、瑠璃子さん、覚えておいて下さいこういう症状をツンデレと言いますっ</p><p>寧さんが、また変なことを言い出す</p><p>ツンデレどこの国の言葉ですか</p><p>イタリア語です</p><p>相手のことが好き過ぎて、逆に嫌いと言ってしまうことを古代ローマの哲学者ツンデレアヌスの名前を取ってツンデレと呼ぶようになったのですっ</p><p>そうなんですの一つ、勉強になりましたわねぇ、美子</p><p>はいわたくしも始めて知りました</p><p>寧さんみたいな、無邪気な悪戯っ子に会ったことが無いんだな</p><p>超箱入りのお嬢様だもんな</p><p>ち、違うわよあたしは、本当にその男が嫌いなのっ大っ嫌いなんだからっ</p><p>雪乃は叫ぶ</p><p>ツンデレなんですね</p><p>興味津々に雪乃を見る瑠璃子さん</p><p>はい、ツンデレでーすっ</p><p>寧さんが、クフフフと笑う</p><p>本当にみなさんお互いのことが、大好きなんですね</p><p>美子さんが、オレたちを見て、そう言った</p><p>あらあたしは、美子さんのことも好きですよ</p><p>もちろん瑠璃子さんのことも</p><p>瑠璃子さんの頬が、赤くなる</p><p>あたしも好きだよっ瑠璃子さんも美子さんもっ</p><p>寧さんが突貫するっ</p><p>あたしも好きです瑠璃子さん、美子さんあたしとお友達になって下さいませんか</p><p>メグがニコッと微笑む</p><p>マナも好きですっ瑠璃子さん美子さんマナはまだ１４歳の中学２年生なんでマナのお姉さんになって下さいませんかっ</p><p>マナがそんなことを申し出る</p><p>あたしも好きだな瑠璃子さんも美子さんも、とっても素直で良い人たちだと思うし</p><p>黒子ちゃんは、どう思うこの二人</p><p>また寧さんが、雪乃に振る</p><p>うええ</p><p>今度こそ、戸惑う雪乃</p><p>黒子ちゃんは、どう思うかって聞いているのよ</p><p>寧さんの言葉にみんなの視線が、雪乃に集中する</p><p>い、いいんじゃないの</p><p>何がいいのよ、黒子ちゃん</p><p>いやこの子たち、お金持ちの娘なのに偉ぶってないし、素直だしちょっと、世間知らずなのが心配だけど悪い子たちじゃないと思うわ</p><p>どうして上から目線なのか判らないが</p><p>お前だって、白坂家のお嬢様だったくせに</p><p>しかも、いつも偉そうにしていて廻りに迷惑を掛けまくっていた女がよく言う</p><p>そういう感想じゃなくってさ好きか嫌いかを聞いているのっ</p><p>寧さんの強い言葉に、雪乃は</p><p>こんな可愛い子嫌いなわけがないでしょっ</p><p>その言葉に瑠璃子さんは</p><p>顔を真っ赤にさせて</p><p>トドメは旦那様が刺して下さい</p><p>瑠璃子さん美子さん</p><p>二人が、オレを見る</p><p>好きです瑠璃子さん美子さんも、大好きです</p><p>瑠璃子さんは、顔を紅潮させたまま</p><p>それはあたしたちが香月の家の人間だからですか</p><p>オレは笑って答えた</p><p>あなたたちが、可愛らしい女の子だからです</p><p>二人の眼がハッとする</p><p>オレはここにいる、他の子と同じくらいあなたたちが好きです</p><p>みすずと寧さんとメグとマナとマルゴさんと雪乃と</p><p>みなさんと同じ</p><p>瑠璃子さんが、驚いている</p><p>はい同じです瑠璃子さんと美子さんも</p><p>いえそんなのはいけませんっわたくしが、瑠璃子様と同格になるなんて許されないことですわ</p><p>常に瑠璃子の下に居た美子さんは同じという言葉に、抵抗があるようだった</p><p>オレの心の中でのことですから仕方無いじゃありませんか瑠璃子さんも、美子さんも同じくらい好きです</p><p>素晴らしいわ何て、素敵なのわたくしみなさんと同じなんですねっ</p><p>はい、同じです</p><p>あたしそんなことを言っていただくのは、生まれて初めてです</p><p>感激している瑠璃子さん</p><p>瑠璃子さん旦那様もあたしたちも、あなたたちを愛していますみんな等しく同じくらいあなたは、どうですか</p><p>瑠璃子さんがオレたちを見る</p><p>あ、あたしも愛していますっ愛してもいいですか</p><p>もちろんですどんどん好きなって下さいあたしたちも、瑠璃子さんたちをどんどん好きになりますから</p><p>みすずの言葉に、瑠璃子さんは</p><p>ああみすずお姉様お姉様のお言葉の意味が、ようやく判りましたわあたし、なりますみなさんの姉妹にいいえ、姉妹にして下さいっわたくしと美子を</p><p>心配そうに、主人の顔を見る美子さん</p><p>大丈夫よこの方たちは信頼できるわずっと、あたしたちに心を開いて下さっているじゃない</p><p>これからは美子もあたしのお姉様になるのよ</p><p>他の方が居る時は、これまで通りにしますでも、二人だけや、他の姉妹の方と一緒の時はねっ</p><p>美子さんとずっと二人だけで、寂しかった瑠璃子さんは</p><p>姉妹会への加入に、すっかり喜んでいる</p><p>美智良い機会だから、あなたも姉妹会に入りなさい</p><p>みすずはわざと放置していた美智に、声を掛ける</p><p>いえあの、わたくしはみすず様の家臣ですから</p><p>一人だけ蚊帳の外に置かれていて、寂しい思いをしていた美智は</p><p>それでも自分は警護役なんだと言い張る</p><p>あたしの妹にしてあげると言っているのこれが、最後のチャンスよ</p><p>その言葉に美智は</p><p>は、入ります入らせていただきますですっ</p><p>語尾がおかしくなっているぞ</p><p>これでお姉さんとの決闘に迷いは無いわね</p><p>血の繋がった本物の姉を失うことになったとしても姉妹会の絆は、永遠ですあたしは一生、あなたの姉になりますそのつもりで付いて来なさいっ</p><p>はいっみすず様ぁ</p><p>楽しい時間になった</p><p>再び、みんなでパンフレットを折る作業に戻る</p><p>今度はみんなが、瑠璃子さんに自分の話をした</p><p>特に、マナが自分の中学校での、ダンス部での話をして</p><p>瑠璃子さんは生まれて初めて、姉という立場で妹の話を聞くことを楽しんだ</p><p>それからメグの陸上部の話も、興味深く聞いていた</p><p>マルゴさんがアメリカの話をすると瑠璃子さんも、海外旅行の時の話をした</p><p>楽しそうに</p><p>嬉しそうに</p><p>あたし美子以外の方と、こんなに心を開いてお話したの初めてです</p><p>それからみすずが、マルゴさんと美智に武術の話を振って</p><p>二人がそれぞれ、護身術についての簡単な話をする</p><p>美智さんは幼稚舎の頃から、ずっとクラスメイトでしたのに、こんなにお喋りをするのは初めてですね</p><p>また、瑠璃子さんが感嘆する</p><p>わたくしは、武術に関する話しかできませんが</p><p>いいえ、とっても面白いですわ</p><p>祖父に定められた範囲の知識しかないのだ</p><p>その上、超お嬢様校で非常に幅の狭い交友関係しかなかったわけだし</p><p>どんな話だって、新鮮で興味深く感じるらしい</p><p>みんなで楽しく話ながら、作業しているうちに</p><p>３５００枚のパンフレットの作業は、無事に終了した</p><p>瑠璃子様もうそろそろ、舞台稽古の順番になります一度、楽屋に戻りましょう</p><p>美子さんが瑠璃子さんに、そう告げる</p><p>そうねでは、みすずお姉様、みなさま</p><p>立ち上がる、瑠璃子さんにみすずは</p><p>待ってみんなと握手して行きなさい美子さんも</p><p>これからはみんなあなたの姉妹なんですからね</p><p>まず、みすずが瑠璃子さんと握手する</p><p>よろしくね、瑠璃子さん</p><p>はいありがとうございますみすずお姉様</p><p>それからは、年の順だ</p><p>みんなと仲良くしてあげてね、瑠璃子さん</p><p>はいマルゴお姉様</p><p>よろしくっ大好きだよ、ルリちゃんっ</p><p>あの最初にお会いした時から、綺麗な人だなって思ってました寧お姉様</p><p>次はオレか</p><p>うんと、よ、よろしく</p><p>こちらこそお兄様可愛がって下さい</p><p>よろしくお願いします、瑠璃子さん</p><p>はい、恵美お姉様</p><p>お願いしますっ瑠璃子お姉ちゃん</p><p>はいマナさんっ</p><p>よろしくお願いします</p><p>こちらこそ美智さん</p><p>こっちへいらっしゃい、黒子さん</p><p>みすずに言われてすごすごと、雪乃が来る</p><p>よろしく、お願いします黒子お姉様</p><p>よ、よろしく</p><p>握手する二人</p><p>オレたちは、美子さんとも同様の挨拶と握手を交わした</p><p>瑠璃子さんとの間に差は付けない</p><p>完全に同格の姉妹として扱う</p><p>では、お先に楽屋へ戻りますお姉様</p><p>瑠璃子さんが、みすずに一礼する</p><p>あたしもすぐに行きますから</p><p>みすずが、そう返事をすると</p><p>ところでみすずお姉様</p><p>瑠璃子さんが尋ねた</p><p>あのセックスというのは、何だったのですか</p><p>あその話を忘れていた</p><p>その話はまた今度みんなでお泊まりした時に教えてあげるわ</p><p>お泊まりで教えるって</p><p>他の方に聞いてはダメよあたしと旦那様が、あなたと美子さんにじっくり教えてあげるから</p><p>みすずは、笑顔で妹にそう言った</p><p>はい、お姉様楽しみしていますねっ</p><p>瑠璃子さんは、無邪気な笑顔でそう答えた</p><p>黒い森の子たちは連携プレーを覚えました</p><p>今後は、集団で困難を乗り越えていく機会も多いと思います</p><p>220．香月重孝の退屈</p><p>瑠璃子さんと美子さんの姿が見えなくなると</p><p>マルゴさんが、自分の上着の胸ポケットに向かってささやく</p><p>もう平気だよ</p><p>ミナホ姉さんと克子姉がやって来る</p><p>集音マイクを携帯電話に繋げて、音声を送信していたんだよ</p><p>ミナホ姉さんと克子姉は、耳に挿したイヤホンを外しながら、ククッと微笑む</p><p>二人とも今の瑠璃子さんたちとの会話を聞いていた</p><p>いいのかしら、みすずさん香月様のご意志に背くことになるのではなくって</p><p>そう言いながらも、ミナホ姉さんの口元は微笑んでいた</p><p>構いませんわあたしたちが、幸せになるにはこれしか方法がありませんから</p><p>お祖父様のご意志に沿って決められた婚約者と結婚し、香月の家の奴隷となるのは我慢できません瑠璃子さんもその運命から解放します</p><p>瑠璃子さんとっても可愛らしいし、聡明そうなお嬢様だったわねいいの、みすずさん下手をすると、吉田くんを獲られちゃうかもしれないわよ</p><p>そのミナホ姉さんの言葉に、みすずは</p><p>そんなことはありません旦那様は、ちゃんとどの女も平等に愛して下さいますわ</p><p>あら随分と自信があるようね</p><p>はいあたしの旦那様ですから</p><p>いやオレは</p><p>みすずオレは、何の取り柄も無いただの高校生だぞ</p><p>頭だってそんなに良くないし</p><p>そこがいいんですっ</p><p>えいいのか</p><p>馬鹿がいいのかみすず</p><p>でも、旦那様には勇気があります決して、あたしたちを裏切らない清廉さがあります旦那様みたいな方で無いとダメなんですあたしや瑠璃子さんみたいな娘には</p><p>みすずさんと同じくらい聡明で、想像力も洞察力のある子だったよね</p><p>うんただのお嬢様では無いわちゃんと、自分の立場とか廻りの状況とかが判っていて色んな人の思惑とか、野心とかも感じながら、それでもきちんと自分が生きるべき道を進もうとしていたわ</p><p>メグが、そんな風にまとめる</p><p>確かに想像していたよりも、何倍もしっかりとした子だった</p><p>そうだね自分の見えている範囲のことについては、ちゃんと判っているバランス感覚もあるとっても良い子だったよ</p><p>自分の見えている範囲って</p><p>彼女たちは香月閣下に徹底的に情報遮断されているからね本物の超・箱入り娘なんだよ</p><p>確かに性的な知識は、皆無だったし</p><p>政治や経済なんかの社会問題にも疎そうだった</p><p>そうよ世間の人たちからは、世間知らずで何も判らないお嬢様にしか見えないようになっているのよ</p><p>ミナホ姉さんが、そう分析した</p><p>あなたたちにみたいにちゃんと、時間を掛けてお話しすれば、瑠璃子さんたちの本当の聡明さが判るんでしょうけれどほとんどの人たちは、ほんのちょっと話しただけで頭の中が天国の可哀想なお嬢様たちと思い込むわ</p><p>テレビは観ませんだし、流行とかは知りません</p><p>服や髪型はスタイリストと美容師に任せていますだもんな</p><p>同年代の子とは、そこで会話が終了だ</p><p>あげくに、愛読書はトルストイの人はなんで生きるかだし</p><p>普通の子たちとは、会話が成立しない</p><p>簡単に超・箱入りのお嬢様のレッテルを貼って祭り上げて、おしまい誰も近寄ろうとしない香月の家の恐ろしさは知っているからみんな悪口さえ言わないでしょうね</p><p>存在していることは認めながらの無視</p><p>そうして瑠璃子さんは、美子さんだけを友人にして成長して来た</p><p>みんな、あの子たちの本質には気付かないんだろうねっだから、工藤遙花みたいな子にナメられるんだよっ</p><p>工藤遙花は瑠璃子さんをナメている</p><p>鷹揚なだけのお嬢様たちだからさ自分の好き勝手にできると思ったんだよねだから、今日みたいな華やかな席に着飾ってやって来てさ瑠璃子さんのボディーガードってことで、セレブの人たちに名を売ろうとしたわけでしょ</p><p>あのピンクのスーツやパンプス</p><p>４人の手下は、そういうことか</p><p>姉上も、前からああでは無かったんですやはり、インターハイで優勝し、マスコミに取り上げられたことが大きかったんだと思いますそれまでは、細々と地道に鍛錬を重ねてまいりましたが最近は、華やかな場所に行くことを楽しみにしてしまって</p><p>真面目で地味な生活をしていた人ほどついつい、足を踏み外してしまうんでしょうね</p><p>あ、高３でようやくデビューしたんだそりゃ、浮き足立っちゃうよね</p><p>中２で大人の世界に憧れていたマナが、笑う</p><p>情けない話ですテレビを観た方から、ファンレターなどをいただいて、すっかり舞い上がってしまって最近では、化粧品だの洋服だのに凝るようになってしまいました</p><p>美智の言葉に、マナは</p><p>お姉さんがそんなになっちゃうとツライよねマナも、お姉さんがお洒落キチガイな人を知っているからよく判るけれど</p><p>いやそれ、自分のことだろ</p><p>オレは、洋服と化粧品でぐちゃぐちゃだった雪乃の部屋を思い出す</p><p>マナの中で、白坂舞夏の記憶はどうなってんだ</p><p>二重人格とかになっているんじゃないだろうな</p><p>ちょっと、心配になる</p><p>そういえば遙花さんたち、戻って来ませんね</p><p>確かに遅すぎるような気がする</p><p>美智さんが怖くなって、逃げたんじゃないの</p><p>マナが意地悪そうに言った</p><p>それはありません姉上は、わたくしを弱いと思っていますから</p><p>美智が、穏やかにそう言う</p><p>それに今夜の発表会が始まる前に、尻尾を丸めて逃げ帰るということは姉上の頭には無いはずです</p><p>死んでもセレブの方々への売り込みは果たすということか</p><p>おそらく確実にわたくしに勝つ策をろうじているのでしょう</p><p>策</p><p>姉上は、黒い森のみなさまを信用しておりません</p><p>そうか、途中でマルゴさんが乱入するとか考えているんだ</p><p>本当に、とことんナメられたものだね</p><p>マルゴさんが、ニヤッと笑う</p><p>まあどんな手を考えているのか、だいたい想像がつくよ</p><p>うわぁマルゴさん、にこやかに怒っているぅぅ</p><p>それは、マルゴに任せるわ話を瑠璃子さんたちに戻すけれどね</p><p>ミナホ姉さんが、話を戻す</p><p>あたしと克子が姿を現さなかったのはね瑠璃子さんたちに、警戒心を起こさせないためよ</p><p>警戒心</p><p>吉田くんや、恵美やマナさんは同世代だから問題無いしマルゴや寧は、性格的には素直で、ある意味ピュアだから</p><p>ある意味じゃなくっても、ピュアですぅ</p><p>ミナホ姉さんの言葉に、寧さんがプーたれる</p><p>まあ、あたしは多少怪しくても、吉田くんのボディ・ガードなんだろうって思ってくれるだろうし</p><p>マルゴさんがオレのボディ・ガード</p><p>みすずさんの交際相手として紹介されたんだから瑠璃子さんは、吉田くんのことをどこかの名家のお坊ちゃんだと思っているよ</p><p>いや何で</p><p>オレは、こんなに庶民丸出しの顔をしているのに</p><p>今、吉田くんが着ているスーツ、本当に良い物なんだよ</p><p>このスーツはミナホ姉さんのお祖父さんの物を借りた</p><p>まさか１０万円とかするんですか</p><p>オレの問いに、マルゴさんは笑う</p><p>１００万円払ったって買えないよ</p><p>そ、そんなに</p><p>その布地はビンテージ物だから今では、もう作れないんじゃないかなだから値段は付けられないよ</p><p>そんな高価な物をミナホ姉さんは、オレに貸してくれた</p><p>元々、体型が似ていたんでしょうねそんなに時間が掛けられなかったのに、良い感じに仕上がったわ我ながら、会心の出来映えよ</p><p>克子姉が自分の仕立て直ししたスーツを見て、嬉しそうにそう言った</p><p>瑠璃子さんや美子さんならそのスーツの価値は一目で判るよ</p><p>そういう一流の観察力を持った子たちだったからあたしと克子は、姿を現せなかったの</p><p>一度でも、売春婦に堕ちてしまった女には、どうしても暗い影が付いてしまうから判る人には判るのよ</p><p>マルゴさんと寧さんは裏の世界の人間でも、娼婦では無い</p><p>だけど、ミナホ姉さんたちは</p><p>さすがにみすずさんが娼婦と一緒に居るのは変でしょうあたしたちが近づいて、瑠璃子さんが警戒してしまったらよくないでしょうせっかく、みすずさんが瑠璃子さんたちの心を開いて、あなたたちと仲良くなったのに</p><p>ご配慮、痛み入ります</p><p>みすずが、ミナホ姉さんに頭を下げた</p><p>では、聞かせていただけますか香月閣下が、みすずさんと瑠璃子さんについて企てていることについて</p><p>はいあたしも、みなさまにご報告するつもりでした</p><p>さっき、瑠璃子さんが香月の家の中で、あたしと瑠璃子さんを争わせようとする人たちがいるという話がありました</p><p>うんそんな話を聞いた</p><p>それはお祖父様が、そう仕向けていることなんです</p><p>香月閣下がわざと二人の孫娘を対立させようとしている</p><p>やはりね</p><p>ミナホ姉さんが、そう呟いた</p><p>そこまで香月様は、ご退屈なさっているのね</p><p>退屈</p><p>退屈しているからって孫娘を対立させて、争わせる</p><p>はいお祖父様は、香月の家を内部分裂させて争わせその過程で、悪い人間を排除なさるおつもりなんだと思います</p><p>みすずは、暗い顔でそう答えた</p><p>半分はそれが目的なんだと思います</p><p>もう半分は</p><p>後はお祖父様の趣味ですあたしと瑠璃子さんを、わざと歪めて育ててどう成長するかを楽しんでおられるのです</p><p>あたしと瑠璃子さんは２歳違いですあたしたち以外に、お祖父様に孫がいないのはお祖父様がそう命じられたからですご自分の長男と次男にそれぞれ、娘を一人ずつ産むように２歳違いも、最初からの計算です</p><p>でも娘を産むったって、男の子が生まれてくる可能性だってあるだろ</p><p>今は、性別は産み分けできるんですよそういう技術が確立されています</p><p>どうして、娘でないといけなかったんだ普通は、跡継ぎには男の子を欲しがるもんなんじゃないのか</p><p>お祖父様は香月の家に、わざと波乱を起こしたかったんだと思います</p><p>波乱</p><p>後継者が女ならば後々、問題になる要素が増えます誰を嫁にするかより、誰が婿になるかの方がモメる要素は大きいですから</p><p>みすずや瑠璃子さんの結婚相手は香月家の次の支配者になれる</p><p>一族の誰もが自分の息子を、送り込もうと画策するだろう</p><p>でもみすずさんと瑠璃子さんの婚約者はすでに決定しているんだろう</p><p>はいあたしは、それがどなたなのか知っています自分の婚約者だけは瑠璃子さんのお相手は知りませんしかもあたしの相手すら、まだ公表されていませんから</p><p>誰が婚約者なのかということで一族の中は、疑心暗鬼になる</p><p>本当に、モメさせたいんだ</p><p>香月家は大きくなりすぎてしまいました今の半分の規模、六分の一の人数で良いというのが、お祖父様の持論です</p><p>香月の家そのものをリストラしたいんだね</p><p>リストラ</p><p>リストラクチャー、再構築って意味だよ無駄な人員を省いて、スリムな組織にしたいんだよ</p><p>それにお祖父様は、男の人を信用していませんから</p><p>男を信用していない</p><p>今の若い男たちは信頼できないと常々、おっしゃっていますお祖父様は、もう八十歳を越えていらっしゃいますから</p><p>今生きているほとんどの男は香月閣下から見れば若い男たちだ</p><p>女の子の方が閣下の信頼に足るってこと</p><p>寧さんが尋ねると</p><p>そこにお祖父様の趣味が組み込まれます</p><p>さっき御覧になられた通り瑠璃子さんには、性的な知識は全く与えられていません他の女の子から、そういうことを知らされないために美子さんという、唯一無二の友人兼姉を、３歳の時からお付けになっています</p><p>美子さんがいつも一緒に居ることで瑠璃子さんは孤独にならない</p><p>そして、美子さんも一緒に情報を制限されて生活しているから自分の置かれた状況に疑問を抱かない</p><p>そういうものなんだと、思い込んでいる</p><p>二人だけで寄り添って他に友人がいないことにも疑問を抱かない</p><p>お祖父様は女の子を純粋培養で育ててみたかったんだと思います</p><p>確かに瑠璃子さんも美子さんも、素直で良い子に成長している</p><p>しかし情報制限されて成長させられるということは、歪まされているということに代わりは無い</p><p>みすずの場合は、どうだったんだ</p><p>オレは思い切って、尋ねてみる</p><p>あたしの場合はその逆です</p><p>逆</p><p>あたしは八歳の時に、お祖父様に男女のセックスの場面を見せられました</p><p>それに、お父様が愛人の方とセックスしている姿も映像で見せられました</p><p>八歳で男女が絡む姿を見せられた</p><p>それで、あたしすっかり気分が悪くなってしまって男の人が苦手になったんです</p><p>香月閣下はわざと、みすずに性的なトラウマを作った</p><p>お祖父様はあたしをレズにしようとなさっていたんだと思います</p><p>みすずのレズ嗜好は香月閣下が仕向けたことなのか</p><p>本当に苦手なんです男の人のケダモノの様な姿を、何度も見せられましたあたしダメなんです男の人に対して、嫌悪感が拭えないんです</p><p>みすずオレは</p><p>あ、旦那様は別ですというより旦那様しかダメなんです、あたしあたし男性の方とお話しするのは、お祖父様と旦那様だけですから学校の先生やお医者様でも、男性の方とは直接口を利きません</p><p>えお父さんとは</p><p>父とは八歳の時から、会話していませんお話しがある時は、母を通してかメールということにしていただいています</p><p>あたしが香月の家の娘として、学校で孤立して精神的に一番辛かった時にお祖父様は、あたしを渚様に引き合わせてくれました渚様のおかげで、あたしは救われたんです</p><p>えっと渚のお店でアルバイトしているよね</p><p>男の客は、来ないのか</p><p>あのお店は九割が女性客ですし男の方がいらしたら、他の方が代わって下さいます</p><p>そうか渚がちゃんと気遣ってくれているんだ</p><p>お祖父様は渚様が、あたしを癒やして下さると思われたんでしょうそして、渚様によって、あたしのレズ嗜好が完成すると</p><p>渚は娼婦を引退した後</p><p>白坂創介に父親が誰だか判らない子を妊娠させられて、お屋敷を追放されたことで</p><p>男性不信になっていた</p><p>それで男を嫌い、お店の女の子とのレズ行為だけにハマっていた</p><p>まさか渚様が、旦那様にあたしをペットとして譲渡するとは想像なさっていなかったんだと思います</p><p>渚に任せている限りみすずのレズ嗜好は、強化されると思っていた</p><p>なのに渚は</p><p>みすずをオレにくれた</p><p>あたしすごい怖かったんですでも、渚様のご命令には逆らえませんし</p><p>みすずを最初に抱いた時のことを思い出してオレは、謝る</p><p>旦那様はとっても、優しくして下さいましたみすずのこと、好きって言って下さいました</p><p>あたしも旦那様のこと、どんどん好きになってしまいましたもう、ダメですみすずは、一生、旦那様のペットです</p><p>うん大切にするから</p><p>愛しています旦那様</p><p>みすずが、オレにそっと寄り添う</p><p>あたし旦那様でないとダメです他の男の人はダメです言葉を交わすことも嫌なんです旦那様だけです</p><p>あたしは、お祖父様によって、歪んで成長してしまいましたお祖父様は、あたしを男性嫌いのレズに仕立て上げたかったのでしょうがみすずは、旦那様だけの女になってしまいました</p><p>すでにオレたちは香月閣下の望んでいない関係になっている</p><p>そうかだから</p><p>みすずは、もう祖父と闘うしかないんだ</p><p>でもどうして、香月さんはみすずをレズにしたり、瑠璃子さんに性的な情報を教えようとしないんだろう</p><p>オレの疑問にミナホ姉さんは</p><p>そんなの決まっているでしょう二人の孫娘を他の男に獲られたくないのよ</p><p>他の男に獲られる</p><p>うんずっと、香月さんの管理下に置いておきたいんだろうね</p><p>孫娘を他の男に獲られたくないというだけで、無理矢理レズにしようとしたり、情報制限してセックスのことを教えないで囲い込んでいるというのか</p><p>ですから趣味なんですよ</p><p>みすずの眼が辛そうだった</p><p>でも、まだギリギリ救いはあるよ自分で、自分の孫娘を犯そうとはしないんだから</p><p>いや、白坂創介がそういうことを企てていたっけ</p><p>自分の好み通りの娘を育てて犯す計画を</p><p>アニエスという女の子は、お屋敷の地下に今も居るんだろうか</p><p>だけどこの先はどうなるのみすずさんも瑠璃子さんたちも、香月さんの思い通りになっていて幸せになれるの</p><p>マナが、そんなことを言った</p><p>お祖父様は楽しんでいらっしゃるんですよあたしたちの悦びも悲しみも上から見下ろして、面白がっておいでなんです</p><p>生き物の観察でもするかのような気分で</p><p>二人の孫娘の苦難を眺めて面白がっているのか</p><p>いやわざと対立する様な要因まで作り出して</p><p>孫娘たちに、さらに苦難の波を浴びせようとしている</p><p>ですから瑠璃子さんと美子さんにも、旦那様が必要なんです</p><p>みすずが、強い眼でオレを見る</p><p>オレ</p><p>オレは何の力も無い</p><p>頭の悪い、ただの高校生だ</p><p>このまま何の性的な知識も無い、あのお二人が婚約者に引き会わされたら、どうなると思います</p><p>セックスの知識が無いままメチャメチャにされるかもしれない</p><p>でも、香月さんがそんなことにはさせないだろ</p><p>香月閣下は、孫娘たちを独占したいんだから</p><p>お祖父様はご高齢ですいつまでも、お元気とは限りません</p><p>それにおそらくお祖父様は、ご自分が亡くなられた後のことはどうなってもいいと思われているんだと</p><p>今は香月閣下が、家の全てを支配しているからバランスが取れているけれど</p><p>もし、急に倒れたりでもしたら閣下が退屈を紛らわすために行った波乱の要因が、一気に問題化して噴き出す</p><p>香月家は、メチャメチャになる</p><p>その中でみすずも、瑠璃子さんたちも、酷い状況に押し潰されることになる</p><p>お祖父様は自分が死んだら、香月家も一緒に潰れてもいいぐらいに思われているんでしょうね</p><p>みすずが、寂しそうに言った</p><p>だから、あたしは闘うしかないないんですお祖父様と自分の運命と</p><p>判ったオレのできることは何でもするよみすずのために</p><p>ありがとうございます旦那様</p><p>それから、オレはみんなに振り向く</p><p>みんなも協力して欲しい香月さんと対立するなんて自殺行為かもしれないけれど</p><p>オレの言葉に、マルゴさんは</p><p>黒い森としてどうするかは、リーダーであるミナホが決めるべきだよ</p><p>あたしは、吉田くんとみすずさんを応援するわどうせ黒い森は、なくすつもりだからできる限り早くね</p><p>黒い森に対する香月閣下の影響力のことは気にしなくて良いとミナホ姉さんは言ってくれた</p><p>ミナホがそういう方針なら、あたしは黙って従うよ</p><p>ま、あたしもそうですわねあたしはただのパン屋さんになるんですから香月家と対立しても問題はありませんっ</p><p>克子姉は、ニコッと微笑む</p><p>あのみすずさん</p><p>メグが、顔を赤くしてみすず言う</p><p>あたしも同じなんですヨシくんでないと、ダメなんです</p><p>あたしは、娼館で育ちましたから将来、自分が男の人に愛されるとは思っていませんでした実際白坂さんに、あたしは娼婦として売られる寸前でしたから</p><p>メグは白坂創介の計画では、ゴールデンウィークが開けたら娼婦として働かされることになっていた</p><p>でも、みなさんに助けていただいてあたしは娼婦にならずに済みましたそして、ヨシくんがあたしのことを愛してくれてだからあたしも、ヨシくんしか愛せませんヨシくん以外の男の人に抱かれるのは、絶対に嫌なんです</p><p>それなら、マナもそうだよっお兄ちゃん以外の人なんて、気持ち悪くてエッチできないよっ</p><p>メグもマナもオレしか知らない</p><p>あたしももあたしもっヨッちゃんがいい</p><p>寧さんあなたは処女でしょ</p><p>だからみすずさんとヨシくんを引き離すようなことになるのは、絶対に嫌です</p><p>うん、みすずさんのお祖父さんにマナが抗議してあげるよっ</p><p>あたしも、あたしも抗議するぅ</p><p>みなさん</p><p>みすずが、感動している</p><p>わたくしは何があっても、みすず様の警護役ですから</p><p>美智は香月家でなく、みすずに付いていくと言ってくれた</p><p>一応、聞くけれど黒子ちゃんは、どう</p><p>寧さんが笑って、雪乃にそう言う</p><p>雪乃は、遠くを見ている</p><p>あそこの外人の３人組が、さっきからずっとこっちを見ているなぁって</p><p>外人の３人組</p><p>雪乃の視線を追うと</p><p>そこにはスラッとした長身の体型の３人の女性が居た</p><p>３人とも２０代後半から３０代前半に見える</p><p>そのうち二人は双子なのか、全くそっくりな顔をしていた</p><p>顔を体型もそっくり</p><p>同じ白いパンツスーツを着ている</p><p>黒い靴に、黒い革手袋</p><p>眼にはサングラス髪の毛は、真っ白に染めていた</p><p>そして、二人の間に居る女性は</p><p>こちらも真っ白なタイトスカートのスーツを着ている</p><p>やっぱり、サングラスで髪の毛は白</p><p>みすず奥へ行って</p><p>オレはその３人組に危険な匂いを感じた</p><p>うんミナホも奥へ</p><p>マルゴさんと美智が前に出る</p><p>３人組の外人美女たちは、ニヤッと笑うとこちらに近付いてきた</p><p>私の祖母は、９１歳で亡くなりました</p><p>あんまり高齢で死ぬのも大変だなと思ったのはお葬式に、祖母の友人がほとんどいらっしゃらなかったことです</p><p>７８歳のお祖父さんからあなたのお祖母さんにはお世話になりましたと言われましたその方が最高齢だったみたいです</p><p>９１歳じゃお友達は、みんなもう亡くなっているんですね</p><p>祖母はとても友達の多い人でした</p><p>私が子供の頃に祖母の家に行くと、毎日、色んな人が尋ねてきました</p><p>和室に二十人くらい、祖母のお友達のオバチャンたちが集まったこともあります</p><p>ああ、あの人たちはみんなもう死んでしまったんだろうなと思うと</p><p>ちょっと、ゾッとします</p><p>なんか、悲しいですね</p><p>221．白いヴァイオラ</p><p>白いパンツスーツに黒い革手袋サングラスに白髪の若い双子の外人女性</p><p>それと、同じく白いタイトスカートの白髪の女性その人もサングラスを掛けている</p><p>三人が、オレたちの前に立つ</p><p>全員、モデルとしか思えない様な体型と美貌</p><p>双子の一人が、スッと前に出る</p><p>コンニチハワタシハ、あめりかノ商務省ノオ役人サンデース名前ハキャサリンデース彼女ハ妹ノオードリーデース</p><p>確かに、彼女が首から下げているカードには</p><p>ゲスト／　アメリカ商務省という文字が書かれている</p><p>香月セキュリティ・サービスのチェックを受けて、ゲートで渡された物なんだろう</p><p>しかし、自分で言うかお役人さんとか</p><p>とにかく、一人だけがカタコトの日本語を喋る</p><p>後の二人は、日本語が判らないらしく微笑を湛えながら、こちらの様子を伺っている</p><p>スミマセン警備本部ハ、ドチラデスカ</p><p>それなら</p><p>口を開くマナを、オレは制する</p><p>マナ喋るな</p><p>変だ</p><p>違和感を感じる</p><p>この三人には、決して隙を見せてはいけない</p><p>お遊びは、それぐらいにして下さい子供が怖がりますから</p><p>ミナホ姉さんが、日本語でそう言った</p><p>オ遊ビデハアリマセンワタシハ、スミブル真面目ニオ話ヲシテイマース</p><p>オレは寧さんを守るように、大きく手を広げる</p><p>メグは、みすずを克子姉はマナを抱き締めるようにしていた</p><p>雪乃は、おどおどとしている</p><p>美智さん、こちらから手を出してはダメだよ</p><p>心得ております</p><p>そういう美智の手は、すでに赤いムチの柄を握っている</p><p>マルゴさんが三人の女性たちに言った</p><p>もう一度お名前をちゃんと伺いましょうかね</p><p>たどたどしい日本語で喋る双子の片割れは、ニヤッと微笑んで</p><p>ワタシハキャサリン・ヘップバーンですソチラガ妹ノオードリー・ヘップバーンソシテ、ソチラノ方ガ、国際交流課長サンノビビアン・リーデス</p><p>うんよく判らないけれど</p><p>とにかく、偽名だってことは判った</p><p>自分の本当の名前を言うのなら、こんなにニヤニヤしたりはしない</p><p>この人たち相当、性格が悪い</p><p>その設定でここまで入って来られるってことは香月セキュリティ・サービスも大したことはないみたいね</p><p>ミナホ姉さんが、吐き捨てる様に言った</p><p>その鬱陶しい喋り方止めてくれるかな本当は、日本語ができるんでしょあなたたち</p><p>マルゴさんが、言った</p><p>ナゼ、ソウ思ワレマスカ</p><p>外人オンナは、ニヤニヤと笑いながらそう言う</p><p>シザーリオ・ヴァイオラは、子供時代を沖縄の米軍基地で過ごして、日本語がペラペラだっていう設定だからだよ</p><p>マルゴさんは、そう答える</p><p>あなたたちのどちらが、シザーリオ・ヴァイオラなんだい</p><p>マルゴさんは双子だけを見た</p><p>もう一人、スカートの女性は無視する</p><p>ちょっと、待って違うよ、マルちゃん</p><p>寧さんが、後方から叫ぶ</p><p>シザーリオ・ヴァイオラは、こんな女の人じゃないよ</p><p>オレもマルゴさんの言葉に驚いていた</p><p>ヴァイオラは、変装の名人だって聞いていたけれど</p><p>こんな若くて綺麗な女の人にまで化けられるのか</p><p>いやそうじゃないよ寧</p><p>マルゴさんが、落ち着いた口調で話す</p><p>この人たちは、寧を狙って来日してきたシザーリオ・ヴァイオラじゃないんだよ</p><p>前にあたしたちが闘ったのとは別のシザーリオ・ヴァイオラなんだよ</p><p>ヴァイオラは複数いる</p><p>三人の女たちは、クククっと笑い出した</p><p>全員日本語が判っている</p><p>一人がカタコトの日本語で喋って、他の二人は日本語が判らない振りをしていたけれど</p><p>全部、フェイクかよ</p><p>よく判りましたね、ミス・マルゴ・スタークウェザーキョウコ・メッサーの教育が良いということかしら</p><p>一番後ろに立っていた、タイトスカートの女性が流暢な日本語でそう言った</p><p>キョウコ・メッサーとは、マルゴさんの師匠の恭子・ドスノメッキーさんの裏の世界での通り名だ</p><p>その名前を知っているということは</p><p>恭子さんからは、ちゃんと自己紹介のできない人とは会話するなとも教えられているよ</p><p>あら、失礼</p><p>マルゴさんの言葉にタイト・スカートの女性が双子たちに眼で指示する</p><p>さっきまで、カタコトの日本語で喋っていた方の女が口を開く</p><p>初めましてあたしは、シザーリオ・ヴァイオラ本名、ファビアーノ・カトゥよ</p><p>そして、今まで黙ってた方の双子も</p><p>こんにちわあたしは、ロザリンド・オーランドー本名、ファビアーナ・カトゥよ</p><p>寧さんが、反発する</p><p>違うわロザリンドは、あんたみたいな女じゃないし死んだのよケイちゃんに撃たれて</p><p>寧さんの中で、過去がフラッシュ・バックしているのだろう</p><p>強い言葉で、寧さんは叫んだ</p><p>そうね第４のシザーリオ・ヴァイオラのところで、そんな事件があったみたいね</p><p>第４のシザーリオ・ヴァイオラ</p><p>でも、あそこのヴァイオラには、ちゃんと次のロザリンド・オーランドーが補充されているわよ</p><p>もう一人のシザーリオ・ヴァイオラが、そう言った</p><p>そうよねシザーリオ・ヴァイオラには、妹のロザリンド・オーランドーがいないと格好が付かないもの</p><p>もう一人のロザリンド・オーランドーがクククと笑う</p><p>どうなっているんだ</p><p>旦那様敵の言うことを一々真に受けてしまってはいけません</p><p>みすずが、オレの迷いを払ってくれる</p><p>そうだこんな話は、全部嘘かもしれない</p><p>まああなたたちが、別のシザーリオ・ヴァイオラとロザリンド・オーランドーだとしても、全然構わないけれどね</p><p>マルゴさんが、平然と敵に対する</p><p>ところでその二人を統べるあなたは誰</p><p>マルゴさんの眼がタイトスカートの女性に向かう</p><p>その女はフフッと笑って</p><p>どうせ、シェイクスピア絡みのコード・ネームなんだろさしずめ、レディ・マクベスってところじゃないのかな</p><p>あら、あたしそんな年齢ではないわよ</p><p>タイトスカートの女性は、笑って否定する</p><p>カタリーナ・ミノーラなら、助かるんだけれど</p><p>あたしは、そんなにじゃじゃ馬ではないわ</p><p>ではクレシダとか</p><p>そんな浮気者の小娘でもないの</p><p>二人は、笑い会う</p><p>じゃあ、オフィーリアとか</p><p>幾ら何でも、何も知らない無垢なお嬢様を名乗るほど、恥知らずでもないの</p><p>では、あなたは誰なの</p><p>女は答えた</p><p>コーデリア・フランスよ</p><p>つまりあなたず組織のトップではなく、まだ上に誰かがいるってこと</p><p>そういうことねあたしはただの使いでしかないわ</p><p>ミス・コーデリアは、そう答えた</p><p>であたしたちに何の用なのかな</p><p>マルゴさんが、女たちに言う</p><p>ただの表敬訪問よ一度、あなたたちの顔が見ておきたくて</p><p>殺す相手の顔を確認に来たってことかい</p><p>雪乃が、ヒイッと声を上げる</p><p>ミス・コーデリアは、フフフと笑って</p><p>あたしたちは、別にあなたたちと闘うつもりはないわ１円にもならない闘いをしても、意味はないもの</p><p>じゃあ何をしに来たわけさ</p><p>別のシザーリオ・ヴァイオラが、答える</p><p>あたしたちは見届け役だよ</p><p>そうよ、あなたたちと第４のシザーリオ・ヴァイオラとの闘いのね</p><p>別のロザリンド・オーランドーが、そう付け加えた</p><p>おかしいな第４のシザーリオ・ヴァイオラにとってだって、あたしたちとの闘いは、お金にはならないと思うんだけれど</p><p>そうだ寧さんを捕らえても、金銭的な補償は無い</p><p>これは完全に、彼女らが言う第４のシザーリオ・ヴァイオラの私怨から始まった行動だから</p><p>組織は日本へのプロモーション活動ということで、第４のシザーリオ・ヴァイオラの渡航を許可しました</p><p>ミス・コーデリアが、そう言った</p><p>やはり日本に、アメリカ西海岸の殺人組織シザーリオ・ヴァイオラの力を示すのが狙いか</p><p>しかし第４のシザーリオ・ヴァイオラは、すでに日本で依頼者との契約を済ましているそうですよ</p><p>依頼者</p><p>殺人の</p><p>白坂守次という人物があなたたち、今回の事件に関わる全ての人間の抹殺を要請したそうです</p><p>ミス・コーデリアは、楽しそうに言った</p><p>白坂本家の当主がオレたちを</p><p>敵同士が、結びついた</p><p>第４のシザーリオ・ヴァイオラが、自分で白坂家に営業を掛けたんだろう</p><p>プロモーションの無料奉仕より少しでも金になる仕事にした方が良い</p><p>ヴァイオラの手下たちの、モチベーションが変わる</p><p>この際だから、リストをあげるわ</p><p>別のロザリンド・オーランドーが、ハンドバックから一枚の紙を取り出した</p><p>それは英語で名前の書かれた、一覧表だった</p><p>ロザリンドが、紙を差し出す</p><p>美智さん、受け取って注意して</p><p>マルゴさんの指示に美智が、落ち着いて紙を受け取る</p><p>大丈夫よあたしは、とって喰ったりしないから</p><p>ロザリンドが、クスクスと笑った</p><p>あら、あんたはこんな子がタイプなんじゃないの</p><p>双子の妹をからかう、もう一人のヴァイオラ</p><p>そうね黒髪の子って、まだ食べたことは無いかも</p><p>ロザリンドの言葉に、美智は</p><p>わたくしは毒がありますから食べても美味しくはないですよ</p><p>ロザリンドは、楽しそうに</p><p>あらあら、また可愛いことを言うのね</p><p>美智が、受け取った紙をマルゴさんに手渡す</p><p>マルゴさんは、紙を確認し後ろの、ミナホ姉さんへ</p><p>あら案外、甘いのねその紙に放射性物質のポロニウムでも付いていたら、あなたたち全員死ぬわよ</p><p>ミス・コーデリアが、そう言う</p><p>ロシア・マフィアじゃあるまいし、そういう無粋な暗殺はしないでしょポロニウムやVXガスは、仕掛ける方にとっても危険な物だしそんなつまらない殺し方は、あなたたちはしないでしょう</p><p>あら、どうしてそう思うのあたしたち、見た目よりも粗暴でメチャクチャかもしれないじゃない</p><p>綺麗なお姉さんたちは、自分の美貌を損ねるかもしれないような真似はしないってことさそれに</p><p>コーデリアって、名前に聞き覚えがある恭子さんに、コーデリア・プリスケンという人の話をよく聞かされたよ</p><p>マルゴさんがジッと、ミス・コーデリアを見る</p><p>キョウコ・メッサーは、あたしのことを何て</p><p>さあ本人から直接聞けば</p><p>やはりキョウコ・メッサーは、すでに日本国内に居るのね</p><p>恭子さんのやり方は、あなたもよく知っているでしょ自分の見せ場になるまでは、誰からも見えないところに隠れているよ</p><p>それを聞いて安心したわあたし、キョウコ・メッサーには借りがあるの</p><p>借り</p><p>そうよ貸しでなくて借りがね早いとこ、返してしまいたいのよこういうのは、ずっとそのままにしておきたくは無いから</p><p>ミス・コーデリアは、そう言った</p><p>それで見届け役として来てくれたのかな</p><p>そうねそれも理由の一つだわ</p><p>見つめ合うマルゴさんとミス・コーデリア</p><p>第４のシザーリオ・ヴァイオラにはこの劇場には、襲撃しないように厳命してあるわ</p><p>ここには日本の家柄の良い子供たちが集まっているんでしょ下手に巻き込んでしまったら、プロモーションにはならないわ</p><p>彼らは、シザーリオ・ヴァイオラの組織の力を、日本の上流階層に宣伝したいんだ</p><p>下手に関係の無い名家の子供を殺してしまったら悪名しか残らない</p><p>それに今日は、あたしたちの母国のお役人さんも来るんでしょう</p><p>ミス・コーデリアは、自分の首から下げた名札のアメリカ商務省の文字を指差す</p><p>合衆国〈ステイツ〉の権威を落とすような真似はしないわあたしは、愛国者だから</p><p>お心遣いを感謝するよ</p><p>第４のシザーリオ・ヴァイオラにはここの後の、みなさんがホテルに移動した後に襲撃させますそうね、そういうレクリエーションは、夕ご飯の後がいいわよね戦闘開始は、午後８時以降ってことでどうかしら</p><p>午後８時</p><p>戦闘はしなくてもその時間までに、潜入工作はしてくるんだろ</p><p>当然よ戦闘開始までに、どこまであなたたちに接近できるかも、見所の一つでしょ</p><p>ミス・コーデリアは、また笑った</p><p>では、そういうことでキョウコ・メッサーによろしく言っておいてねあたしとは、会えないままかもしれないら</p><p>ミス・コーデリアは、立ち去ろうとするが</p><p>恭子さんが、あなたに挨拶しないはずが無いだろ</p><p>コーデリアの足が止まる</p><p>マルゴさんに振り返る</p><p>キョウコ・メッサーは、あなたにあたしのことを何て言っていたの</p><p>あなたほど愛した人はいないと言っていたよ</p><p>コーデリアが、ギッとマルゴさんを見る</p><p>あなたはキョウコ・メッサーの今の恋人なの</p><p>マルゴさんは、アハハと笑った</p><p>あたしは、恭子さんの弟子だよ今でも、子供扱いされている</p><p>子供</p><p>あたしも施設の出身なんだ</p><p>その言葉にミス・コーデリアの顔が和む</p><p>そうだったの</p><p>恭子さんが、ブラジルの犯罪結社マランドロを離れて、黒い森の警護役になったのも同じ理由だよあの人にとっては、あたしたち全員が自分の娘みたいなものなんだ</p><p>何となく、判ったわ</p><p>だから恭子さんを恨まないで欲しい</p><p>恨んではいないわただ、あの人の才能を惜しんでいるだけキョウコ・メッサーなら第１のシザーリオ・ヴァイオラにも勝てるでしょうに</p><p>コーデリアは、寂しそうにそう言った</p><p>ご機嫌ようあなたとは、また会いたいわね</p><p>そうだね恭子さんと３人でカルフォルニア・ワインでも開けたいね</p><p>それは無理よ</p><p>あなたの気持ち次第だと思うけれど</p><p>とにかく第４のシザーリオ・ヴァイオラに勝ちなさい話の続きは、あなたが生き残っていたらってことにしましょう</p><p>幸運を祈るわ</p><p>ミス・コーデリアは、スッと歩き出す</p><p>双子の白い二人が、その後を追う</p><p>じゃあね、みなさん</p><p>がんばって下さいね</p><p>そして三人の白い死に神が、姿を消す</p><p>マルゴさん、あの人たちの話、どこまで信じられます</p><p>何一つ信用できないさ</p><p>でもあの人、わざわざマルゴさんに会いに来たみたいでしたけれど</p><p>メグが不安そうな顔で、そう尋ねた</p><p>あの人が、本当にコーデリア・プリスケンなら恭子さんの最初の弟子で、一番長く組んでいた相棒のはずなんだ</p><p>ならって</p><p>コーデリア・プリスケンは、死んだはずだからあたしは、恭子さんからそう聞いている</p><p>オレたち死んだはずの人と会話していたのか</p><p>まあいいよあの人たちは味方ではないけれど、完全な敵ではないから</p><p>どうしてそう言い切れるんです</p><p>本当の敵ならあたしたちは今、殺されているよ３人とも、相当な戦闘力の持ち主だったからね</p><p>見逃してくれたんだと思う</p><p>シザーリオ・ヴァイオラの上に、誰か支配者がいることは想定していたし今のヴァイオラがオリジナルでは無い可能性も想像していたまさか複数のシザーリオ・ヴァイオラが一つの組織の中に存在するとは思っていなかったけれどね</p><p>あの人たち、あたしたちを狙っているのは第４のシザーリオ・ヴァイオラと言ってました最低でも、４組のシザーリオ・ヴァイオラとロザリンド・オーランドーが居るってことなんでしょうか</p><p>メグの問いにマルゴさんは</p><p>その辺は誤魔化されているかもしれないよ今の双子だって、本当にシザーリオ・ヴァイオラなのかどうかは判らないし</p><p>でも合理的な説明は付きますね今までのことについて</p><p>克子姉が言う</p><p>あたしたちを狙っているシザーリオ・ヴァイオラは彼女たちの言い方に合わせて第４のシザーリオ・ヴァイオラと呼びますけれど粗暴なだけの小者のイメージが強い相手でした</p><p>寧さんの話で聞いたヴァイオラは危ないだけのオッサンだった</p><p>緻密な計画性などは、全く感じられませんでしたあたしは、そんな粗野な犯罪者がずっと野放しにされていた理由が判らなかったんです</p><p>克子姉の言葉にミナホ姉さんは</p><p>複数のシザーリオ・ヴァイオラを一つの組織が同時に操作しているというのは本当なんでしょう仕事の内容によって出動させるヴァイオラを変えているんでしょうね</p><p>あたしたちを狙っている第４のシザーリオ・ヴァイオラは、一番粗暴なだけの暴力的な仕事を請け負っていたチームなんじゃないかしら</p><p>そうですね今の三人の方が、遥かに洗練された雰囲気を持っていました</p><p>色んな人から、様々な犯罪行為を請け負い実行する</p><p>現実には、それぞれの仕事に適任の人間が担当するが</p><p>それぞれのチームのトップは、全員シザーリオ・ヴァイオラとロザリンド・オーランドーを名乗っているんだ</p><p>そうして、ヴァイオラの犯罪伝説が強化されていく</p><p>殺されたって、逮捕されたって問題は無い</p><p>別のシザーリオ・ヴァイオラが健在なんだから</p><p>警察署でオレがシザーリオ・ヴァイオラだと、自白しても嘘だとしか思われない</p><p>シザーリオ・ヴァイオラを名乗る犯罪者の事件は、続いていくからだ</p><p>本当に４組以上もヴァイオラが存在するとは思えないけれど２組以上はいるのかもしれないね</p><p>ところでさっき貰ったリストだけど</p><p>マルゴさんの言葉にミナホ姉さんが、紙を広げる</p><p>コーデリアの言葉を信じるなら</p><p>これは、白坂守次が第４のシザーリオ・ヴァイオラに要請した殺して欲しい人間のリストだ</p><p>吉田くんの名前が無かったよね</p><p>オレはリストを覗き込む</p><p>確かに、オレの名前は無い</p><p>白坂家は吉田くんの存在に気付いていないのよ</p><p>そうかオレは</p><p>白坂本家には、全然知られていないんだ</p><p>それより白坂守次は、本気の様ですわね</p><p>克子姉が、リストを見てそう言った</p><p>白坂家の中の守次氏に抵抗する人間の名前も書いてあります市川氏や、白坂創介と夫人の名前も</p><p>今回の事件に関係する全員を殺してしまいたいんだ</p><p>白坂守次は</p><p>全員死んで全てを、ウヤムヤにしたいんだ</p><p>最後の手段として</p><p>あたしの名前もあるわ</p><p>山峰さんの名前は無い</p><p>メグが白坂創介の娘だと知っているんだ</p><p>今回の事件の原因白坂創介の関係者を全員抹殺しようとしている</p><p>だからメグだけを殺害要請したんだ</p><p>舞夏さんもだよ</p><p>白坂守次は白坂舞夏も殺すつもりだ</p><p>そんな大叔父様</p><p>リストには</p><p>白坂雪乃の名前もあった</p><p>こんなの嘘よ</p><p>雪乃が悲嘆に暮れる</p><p>白坂雪乃は白坂家当主・白坂守次から見捨てられた</p><p>眠いデス眠いデスむちゃくちゃ、眠いDEATH</p><p>222．　敵また敵</p><p>これで一つ判ったよ</p><p>マルゴさんが嘆息する</p><p>ミス・コーデリアは、あたしたちの敵だ</p><p>あの人が、恭子さんの話をしたのは過去の郷愁だけじゃないってことね</p><p>ミナホ姉さんが、そう言う</p><p>吉田くん白坂守次が、今一番始末したい人間て、このリストの中の誰だと思う</p><p>ミナホ姉さんが、オレの前にリストを拡げる</p><p>みすずやメグたちも、テーブルの上の紙に眼を落とした</p><p>殺害要請リストの中に載っているのは</p><p>まず白坂本家に敵対する黒い森の人間</p><p>ミナホ・クロモリ</p><p>白坂守次は、ミナホ姉さんを黒い森のリーダーとしてしか知らない</p><p>だから弓槻ではなく黒森の姓なんだろう</p><p>続いてカツコ・タカナシマルゴ・スタークウェザー</p><p>二人は黒い森の人間として表に出ているから認知されている</p><p>寧さんの名前は無い</p><p>当たり前だ白坂守次は、寧さんを知らない</p><p>寧さんは、黒い森では一度も客の前に姿を現していないのだから</p><p>寧さんに用があるのは第4のシザーリオ・ヴァイオラだけだ</p><p>渚の名前も無いホッとする</p><p>うん渚は、黒い森を引退して、もう４年だもんな</p><p>リストには続いて、シラサカという苗字の名前が、何人も並ぶ</p><p>全部、知らない名前だ</p><p>おそらく、この人たちは今、白坂本家で当主の白坂守次を追い落とし、香月閣下と手打ちをしようとしている白坂家内部の反抗者たちだろう</p><p>最後に白坂創介とその家族</p><p>市川老人の名前で、リストは終わっていた</p><p>あなたが白坂守次なら誰を最優先で殺して欲しいと願う</p><p>ミナホ姉さんなのかな</p><p>今回の事件の首謀者は、ミナホ姉さんだ</p><p>白坂守次が一番恨みを抱いているとすればミナホ姉さんだろう</p><p>残念そうじゃないよ</p><p>白坂創介さんですわ</p><p>みすずが、そう呟いた</p><p>何で</p><p>白坂守次にとっては、白坂創介は甥だろう</p><p>今まで、何かと面倒を見てきたっていうし</p><p>そうね白坂創介さんの口を封じないことには、どうにもならないものね</p><p>今回の白坂家のスキャンダルはぶっちゃけて言えば、全部白坂創介が一人でやった悪事がバレたってことだよねだから白坂創介が死ねば、何もかもウヤムヤにすることができる</p><p>そうねむしろ、白坂創介がこの先も生きているのは、白坂本家としてはマズいことなんだと思うわマスコミに捕まって、白坂創介がペラペラ喋り出したら</p><p>克子姉の言う通りだ</p><p>今はまだ、ミナホ姉さんの流した証拠映像と奈生実さんの遺骨しか公表されていない</p><p>色んな芸能記者が、白坂創介にまつわる悪い噂をテレビで流しているが</p><p>白坂創介本人のコメントは、まだ取れていない</p><p>もし、白坂創介のインタビューとか、記者会見があれば</p><p>このスキャンダルは、さらに燃え上がるだろう</p><p>だからそうなる前に、白坂守次氏としては、可愛い甥には死んで貰いたいんだと思うよこのスキャンダルの火消しには、その方法しか残っていないから</p><p>不審な死に方でも構わない</p><p>白坂創介が死ねばこのスキャンダルの火種は消える</p><p>マスコミの追求も止まるだろう</p><p>マルゴさんの言葉に、雪乃が小さく呟いた</p><p>マナは何も言わないメグの手をギュッと握りしめている</p><p>だからミナホは、恭子さんに白坂創介を行方不明にするように指示したんだ</p><p>うん白坂創介の現在の所在地は、誰も知らない</p><p>だからあの女の人は、マルゴさんに恭子さんのことを聞いたんですね</p><p>そういうこと白坂創介と恭子さんが一緒に居るってことは、知っているんだよあの人たち</p><p>白坂創介も恭子さんも、オーストラリアに出国している</p><p>出国記録からそのことを知れば後は、簡単に想像できる</p><p>ミス・コーデリアが、あたしたちに日本語でしかも、親しげに話してきたのも策の内だよ誰かがうっかり、ヒントになる様なことを喋るかもしれないって思ったんだろうね</p><p>でも、残念ながらあたしたちは、誰一人、恭子さんと白坂創介の現在位置を知らないもんねっ</p><p>寧さんが、くふふと笑う</p><p>ちょっと、待って下さいあの３人組が、白坂創介の居場所を知りたがっているっていうことは</p><p>悪い予感が心によぎる</p><p>そういうことだよ、吉田くんミス・コーデリアともう一組のヴァイオラたちが、ただの見届け役っていうのは、嘘なんだよ</p><p>マルゴさんが明言した</p><p>あの３人組も白坂守次との契約に従って、本気であたしたちを殺しに来ているってこと</p><p>やっぱりそうなんだ</p><p>あの３人が、まさか第4のシザーリオ・ヴァイオラの命令で動いているとは思えないどう見たって、あの３人の方が格上だよなのに白坂創介の居場所を探っているってことは</p><p>彼女たちも白坂創介の命を狙っている</p><p>白坂創介の消息を知るためにあたしたちのことは、今回は見逃してくれたっていうのが現実なんだろうね</p><p>マルゴさんは、溜息を吐きながらそう言った</p><p>じゃあ、いずれはあたしたちのことも殺すつもりなんですか</p><p>そうなんでしょうね白坂守次は、第４のシザーリオ・ヴァイオラでは無く、あの人たちの組織と契約したんでしょうから</p><p>つまり敵は第４のシザーリオ・ヴァイオラだけではない</p><p>敵の組織全てが</p><p>他のシザーリオ・ヴァイオラまでもが、オレたちを襲いに来る</p><p>その契約を破棄させる方法は無いんですか</p><p>やっぱり依頼人では無い人が大金を支払って、契約を無効にするってことはできないんですよね</p><p>うん、残念だけれど裏の世界は、信用第一だからね一度結んだ契約は、何があっても実行されるよ</p><p>マルゴさんが、答えた</p><p>途中での契約破棄の方法は二つだけよ白坂守次が、違約金を払って殺害要請を取り下げるか</p><p>もう一つは何です</p><p>白坂守次が、成功報酬を支払えない状態になればね</p><p>マルゴさんが、ミナホ姉さんの言葉を解説してくれる</p><p>依頼人が、報酬の支払いができないと判断されれば殺人契約は、自動的にキャンセルされるわお金にならないのに、仕事をするのは馬鹿らしいでしょ</p><p>そういうルールを作っておかないとね私怨を晴らすためなら何でもする人は、後で自分も殺されたって構わないっていう覚悟で犯罪組織に頼ってくるからね</p><p>そうかお金を持っている振りをして、殺人依頼をする様な人間がいるんだ</p><p>依頼通りに人を殺した後で、金は無いと言われたら組織は丸損だからね人を一人殺すんだって、下調べなんかでかなりのお金が掛かるんだから</p><p>依頼人の命なんかじゃ全然、割が合わないのか</p><p>だから依頼人の懐具合を組織は常に監視しているよそして、もし依頼人に支払い能力が無くなったと判明したらその時点で、契約はキャンセルだよ</p><p>白坂守次はこれだけの人数の殺害要請をしたんだ成功報酬は、数億円規模になると思うよだけど、白坂守次が失脚して白坂家の当主の座から滑り落ちたなら、そんな大金を自由に使うことはできなくなるよね</p><p>数億円という金を白坂守次が、個人で支払うことは不可能だろう</p><p>いや、そもそもこの殺害依頼は、白坂守次が当主の地位に固執しているからこそ行われたもので</p><p>当主の座を追われてしまった後では何の意味も無い</p><p>だから、あたしたちの当面の作戦は白坂守次の失脚を確実にすることだね</p><p>夜のホテルでの白坂家の反抗勢力と香月閣下の手打ちを成功させるってことですか</p><p>オレの問いに、マルゴさんは</p><p>逆を言えば夜のホテルは修羅場になるよそのリストに載っている人間が、全員集まるんだから</p><p>合理的に全員を抹殺できる</p><p>ホテルごと、ミサイルとかで吹っ飛ばされることとかって無いんですか</p><p>さっき、ミス・コーデリアとの会話で放射性物質とか殺人ガスとかが出て来たせいだろう</p><p>マナが心配そうに、そんなことを言った</p><p>マナちゃんビジネスには、費用対効果が大切なんだよ</p><p>マルゴさんが、マナに優しく微笑み掛ける</p><p>数億円稼ぐのに数億円掛けてミサイルを撃ち込むのは馬鹿らしいよね敵がこの仕事に使う経費は、精々数千万円単位だよ</p><p>それでもかなりの金額だ</p><p>さっき襲って来た不良外国人とかなら、何百人でも動員できるだろう</p><p>これでミス・コーデリアが、あたしたちに接触してきた理由は大体判ったけれど</p><p>ミナホ姉さんが、考え込む</p><p>それでもわざわざ、あんな風に挨拶してくれたってことは、恭子さんに対して借りがあるって話は本当なんだろうと思うのよ</p><p>マルゴさんが、暗い顔答える</p><p>でも、ミス・コーデリアの言う借りが、恩義なのか恨みなのか判らないしねいずれにせよ敵は増えたってことよね</p><p>オレたちは、ゾクッと身震いする</p><p>でもどうして、このリストに恭子さんの名前が入って無いのかしら</p><p>ずっとリストを見続けていた、克子姉が言った</p><p>そう言えば一番名の知られた裏社会の住人である、恭子・ドスノメッキーの名前が抜けている</p><p>白坂守次が、見落としたからじゃないですか</p><p>いいえ恭子さんは黒い森の警護役だってことは、白坂守次は知っているはずよ</p><p>そうだ恭子さんは、マルゴさんや克子姉が加入する前からの黒い森の警護役だ</p><p>白坂守次が知らないはずがない</p><p>ミス・コーデリアが、白坂守次と交渉してリストから外させたとしか思えないね</p><p>マルゴさんは、そう結論を出した</p><p>オレには、その理由が判らない</p><p>どうしてそんなことをしたのかあたしにも、判らないけれど</p><p>そんなの決まっているじゃない</p><p>雪乃が口を開いた</p><p>その人のことは仕事としてでなく個人的に殺したいからでしょ</p><p>うん雪乃さんの言う通りかもね</p><p>マルゴさんが同意する</p><p>それ以外、考えられないわよっ</p><p>雪乃、お前は自分の立場を判っているのか</p><p>はぁ何か、お腹空いてきちゃったわ</p><p>雪乃、雪乃さん</p><p>こんなの、ここで考えていてもどうにもならないじゃないどうせ、なる様にしかならないんだからさ</p><p>雪乃の登山ロープ並みにブッ太い神経が、時々羨ましくなる</p><p>そうだね雪乃さんの言う通りだミス・コーデリアの約束してくれた、この劇場では事件を起こさないというのと、襲撃は午後８時以降っていうのは信用できると思うよもっとも、あの３人だけで無く工作員は限りなく侵入しているんだろうけれど</p><p>そうだミス・コーデリアは言っていた</p><p>襲撃は８時からだとしても工作員は、その前から潜入させると</p><p>午後８時になった途端たまたま隣に居た人に撃ち殺される可能性はある</p><p>まあ今は香月セキュリティ・サービスの警備員と、子供たちの護衛しかいませんけれどこれからこの会場はどんどん各家の警護人が集結して来ますから</p><p>そうだ、開場時間になれば香月閣下を始め、様々な名家の人たちがこの劇場にやってくる</p><p>もちろん最高クラスの重要人物たちには、最高クラスの警護役が就いているんだろう</p><p>会場の安全度は高まる</p><p>全員、なるべく固まっていて離れないように少しでも怪しいと思った人には近寄らない変だなと感じることがあったら、すぐにあたしかミナホに報告していいね</p><p>マルゴさんの言葉に</p><p>判っているわよ</p><p>いや雪乃</p><p>お前はオレたちの何なんだ</p><p>段々、心配になってきたぞ</p><p>ミス・コーデリアの件香月セキュリティ・サービスに報告した方がいいかしら</p><p>いやアメリカ商務省の身分証を使われたんじゃ、山岡部長たちには対処できないよあの３人は特別だよ同じ手を使って工作員を潜入させては来ないと思うむしろ、工藤さんに知らせておいた方がいいと思うなあの人は、今日来場するアメリカ政府関係の人間のチェックもやっているだろうから</p><p>美智さん、お父様は今どこに居ると思う</p><p>克子姉に、美智は</p><p>お父様は、どうせ劇場の周り飛び回っていると思います正面入り口にノーマさんがいらっしゃいますから、ノーマさんに呼び出していただいたら良いと思います</p><p>うんこちらから劇場外へ出向くのは止した方がいい</p><p>判ったわそちらは、あたしが連絡に行って来ます</p><p>よろしくね克子</p><p>ミナホ姉さんに一礼して、克子姉が入り口へ向かう</p><p>さてあたしたちは、どうしようか</p><p>マルゴさんが、ミナホ姉さんに尋ねる</p><p>とみすずが</p><p>あのあたし、そろそろ自分の舞台稽古の準備に入らないと</p><p>衣装に着替えたりしないといけないんだな</p><p>うん楽屋に行くんだね</p><p>はい皆様もいらっしゃいませんか</p><p>そうね恵美やマナさんたちは、しばらくみすずさんと一緒の方がいいかもしれないわね</p><p>今、この劇場内で一番安全な場所だからよ外で自主練習している子たちも居るけれどほとんどの出演者は、楽屋に居るんでしょ</p><p>そうか出演者を守る警護役の人間も、楽屋に居るはずだ</p><p>はい、ですから皆さんで参りましょうよ</p><p>そう言うみすずにミナホ姉さんは</p><p>そうもいかないのよ今日の出演者の中には、小さなお子さんも居るでしょ警護役だけでなく、保護者の方も来ているんじゃない</p><p>はい、何人かはいらっしゃると思います</p><p>それがお母様ならいいんだけれどもし、お父様で、あたしたちの顔を知っている人なら</p><p>あ黒い森の顧客が居るかもしれないんだ</p><p>こんな所でしかも、開場時間前にミナホ姉さんと顔を合わすのはマズイだろう</p><p>だから、もうしばらくロビーに居るわ</p><p>オッケー、なら、あたしもこっちに居るよ</p><p>マルちゃんが居るなら、あたしもっ</p><p>あたしにとってはさ、マルちゃんが居る所が一番安全なんだもんっ</p><p>寧さんは、そう言って微笑む</p><p>後は、オレと美智と雪乃か</p><p>雪乃さんは楽屋には、いらっしゃらない方が良いと思いますよ</p><p>そのお姿ではさすがに変です</p><p>雪乃は、黄色と黒の工事現場カラーだ</p><p>決して品の悪い服装では無いが</p><p>どうみても、頭が弱い子にしか見えない</p><p>趣味が悪すぎて目立ちすぎている</p><p>それに今日は、高林清子さんがいらしています</p><p>みすずの話に、雪乃がスットンキョな声を上げる</p><p>雪乃さんの中学校時代のクラスメイトです</p><p>マナが、教えてくれた</p><p>お昼からずうっと、楽屋で雪乃さんのお話しをなさっていますよ白坂創介さんの家に遊びに行ったことがあるっていう話で家の間取りから、おやつに何が出たかまでずっと話していらっしゃいますわ</p><p>みすずが、苦笑する</p><p>白坂創介だって、一流広告代理店の部長だ</p><p>白坂家の一員だし雪乃だって、中学まではお嬢様校に通っていた</p><p>紺碧流の家元の弟子に、一人ぐらい知り合いがいてもおかしくはない</p><p>あの女</p><p>雪乃が、苦々しい顔をする</p><p>それなら、顔を合わせない方がいいかもね</p><p>幾ら変装しているとはいえ元のクラスメイトなら、雪乃の正体を見破るかもしれない</p><p>マナは、その人と会っても平気なのか</p><p>舞夏さんは、その人とは一度くらいしか会ってないしそもそも、マナは舞夏さんじゃないもんっ</p><p>マナは、そう言ってニタァと笑う</p><p>大丈夫よあたしが付いているから</p><p>メグが、そう言ってくれた</p><p>旦那様は、どうなさいます</p><p>こっちに数人やって来る</p><p>前を歩いているのはオレたちにパンフの作業を頼んだ、加奈子さんだ</p><p>その後ろに居るのは</p><p>工藤遙花と４人の手下だった</p><p>ごめんなさい舞台稽古の後、また本番用の衣装を脱がないといけなかったから</p><p>稽古様の浴衣に着替えた加奈子さんは、ハァハァ息を切らしてやって来た</p><p>わたしの今日の衣装は、家元様からお借りした物だから汚すわけにはいかないんです</p><p>加奈子さんは、小さなハンドタオルで汗を拭きながらそう言った</p><p>まあもう、全部終わっているのごめんなさい、みすずさんとお客様にみんなやらせてしまって</p><p>あたしたちだけじゃないわ瑠璃子さんと美子さんにも手伝っていただいたから</p><p>本当申し訳ないです</p><p>みんなを代表してオレが、加奈子さんに言った</p><p>オレたちみんな、みすずの身内ですから</p><p>オレの言葉に加奈子さんは、びっくりする</p><p>みすずさんもしかして、この方</p><p>あしまった</p><p>加奈子さんは、オレを現在非公開になっているみすずの婚約者だと勘違いしてしまったらしい</p><p>違うのよ加奈子さん</p><p>この人は、お祖父様がお決めになったあたしの婚約者ではないの</p><p>メグとマナが、オレの背中をトントンと叩く</p><p>ここはみすずさんのテリトリーだから</p><p>うん仕方無いよね</p><p>もう、鈍いなぁ早く、ミィちゃんの隣に行きなっての</p><p>寧さんが、オレを後ろからドンッと突き飛ばす</p><p>オレはみすずの横に並ぶ</p><p>みすずがニコッと微笑んで、オレを見た</p><p>この人はあたしが選んだ、あたしの大好きな人よ</p><p>まあそうだったんですか</p><p>加奈子さんの顔が、パッと明るくなる</p><p>ええ加奈子さんだけに、教えてあげるわねっ</p><p>この二人の感じだと加奈子さんは、とっても大人っぽい顔立ちをしているけれど</p><p>みすずより、年下なんだな</p><p>愛美ちゃんには、話してはダメですか</p><p>うふふいいわよでも、愛美さんだけにしてね</p><p>和やかに微笑み合う、みすずと加奈子さんの後ろで</p><p>工藤遙花は、苦々しい顔でオレたちを睨んでいた</p><p>じゃあ、パンフレットのことは加奈子さんにお任せしていいのね</p><p>はいもうすぐ、撫子先生の内弟子の皆さんがいらっしゃいますから</p><p>あれ、内弟子なら清香さんがもういらしているはずなんじゃ</p><p>清香さんは、今、緑子さんと牧恵さんの自主練習を見て下さっています</p><p>そっか内弟子の皆さんも、大忙しなのね</p><p>みすずと加奈子さんは、紺碧流の弟子同士にしか判らない会話をしている</p><p>そろそろ、みすずさんも準備なさらないといけない時間ですよね</p><p>そうだったわ急がなくちゃ</p><p>加奈子さんが、オレを見る</p><p>パンフレットの順番、御覧になりました</p><p>順番</p><p>みすずさん今日は、最後から３番目に踊るんですよ</p><p>最後から３番目って</p><p>一番最後は家元の撫子先生が踊られますから</p><p>今日の会は、紺碧流の家元がやっている日舞教室の発表会だ</p><p>最後は先生自らが踊るんだな</p><p>撫子先生の前はお教室の中で一番上手な、愛美ちゃんです</p><p>確か愛美さんは、家元先生の孫娘だって言ってたっけ</p><p>みすずは、その前</p><p>ということはみすずは、今日の出演するお弟子さんの中で２番目の腕前ってことか</p><p>大抜擢なんですよみすずさん、とってもがんばっていらっしゃいましたから</p><p>そんなこと言わないで恥ずかしいわ</p><p>みすずは、照れている</p><p>うんとっても、楽しみだよみすず</p><p>今日はあたし旦那様のために踊ります</p><p>オレはみすずにキスしたくなった</p><p>でもここではマズイな</p><p>加奈子さんの眼があるし</p><p>その後ろで、睨んでいるやつらもいる</p><p>悪いんだけれど、あたしとの約束、忘れたわけじゃないでしょうね</p><p>工藤遙花が、オレに言った</p><p>次話から遙花との決闘に入ります</p><p>ここのところ、蒸し暑くていけませんね</p><p>じわじわと体力を削られている気がします</p><p>とにかく今日さえ乗り切れば週末が来ます</p><p>がんばろうっと</p><p>駅前が七夕に合わせて、竹に願い事の短冊が吊されています</p><p>どうも近所の幼稚園の子に書いて貰ったのを集めて、駅員さんが吊しているようです(高い場所にも吊してあるので)</p><p>幾つか見て、面白かったのが</p><p>弟が良い子になりますように</p><p>幼稚園児の字だと、何ともいえない味わいがあります</p><p>あと、</p><p>キュア・メロリーになりたい</p><p>多分、キュア・メロディだと思います</p><p>そんな短冊を見て、思い出したのですが</p><p>私が小学生の時、先生に大きくなったら何になりたい聞かれて、</p><p>と答えた、田代くん</p><p>クラス全員が小さくなってるじゃないかと突っ込んだのは、言うまでもありません</p><p>(この話、前にも書いたかもしれません)</p><p>223．エム</p><p>どなたですこの方</p><p>工藤遙花のただならぬ雰囲気に加奈子さんが、みすずに尋ねる</p><p>みすずは、平然と微笑んで</p><p>瑠璃子さんの警護役です加奈子さんは、気にしないで</p><p>香月家の中できちんと、解決致しますから</p><p>そう言われてしまえば加奈子さんは黙るしかない</p><p>みすずさんは、とにかく自分のお稽古を優先して後は、あたしたちに任せてくれていいから</p><p>先にみすずさんを楽屋口まで送る構わないよね</p><p>鋭い目で、工藤遙花に告げるマルゴさん</p><p>ええ、構いませんわ</p><p>工藤遙花も、了承した</p><p>とにかく心配しないで、加奈子さん</p><p>みすずが、もう一度加奈子さんにそう言う</p><p>ホントに大丈夫だからっ</p><p>寧さんが、不安そうな加奈子さんにニカッと微笑む</p><p>それでも、加奈子さんか心配そうな表情を浮かべていた</p><p>全員でゾロゾロと劇場ロビーから、楽屋口へ向かう</p><p>劇場横の通路を、舞台側に歩いて行くと</p><p>関係者以外立ち入り禁止と書かれたドアが、大きく開かれていた</p><p>あの向こうが、楽屋になります今日は、あのドアは開けっ放しです</p><p>みすずがオレに説明してくれた</p><p>そうか、今日は日舞の発表会だし</p><p>50人以上も出演するから</p><p>観に来たお客さんが、楽屋を訪問するし</p><p>出演者も自分の出番でない時に、他の人の踊りを観に行ったりするから</p><p>観客席と楽屋を隔てるドアは、開け放しにしているんだな</p><p>そのドアの辺りには、いかつい男たちがたくさん待機していた</p><p>あの方たちは、みんな護衛の人たちですわ</p><p>みすずがそっと、オレの耳に囁く</p><p>今日の出演者は、みんな名家の子女たちだ</p><p>女性の警護役なら、楽屋の中まで入ることもできるけれど</p><p>男の警護役は、そうはいかない</p><p>だから、ここで待機しているんだな</p><p>みすず様、また随分不思議な連中と一緒にいらっしゃいますね</p><p>一人の５０過ぎくらいのオールバックの男性が、みすずに声を掛ける</p><p>ミナホ姉さんをジロッと見ている</p><p>まあ、谷沢さんもういらしたの</p><p>ニッコリと微笑むみすず</p><p>今日は、先乗りなんですわここの警備体制の確認もしときたかったんでね</p><p>谷沢と呼ばれた男が、口をニッと歪めてみすずに答える</p><p>旦那様こちら、谷沢さんお祖父様の専任警護部隊のチーフですわ</p><p>香月閣下の専任警護役</p><p>そうか、工藤父は外回りで色んな調査や工作活動をしているから</p><p>閣下の身の回りに張り付いて警護しているのは、別の人たちなんだ</p><p>山岡部長たちの、工藤父に対する評価が低い理由が判った</p><p>香月セキュリティ・サービスの正社員たちからすれば工藤父たち警護課の人間は、香月閣下に信頼されていないようにしか見えないんだろう</p><p>専任の護衛部隊が、すでにあるんだから</p><p>谷沢さんこちら、黒森さんです</p><p>みすずはオレを黒森と紹介した</p><p>香月閣下の身辺にずっと張り付いている部隊のチーフだ</p><p>それだけでオレが黒い森の人間だということは判る</p><p>オレは谷沢チーフに一礼する</p><p>谷沢チーフは、冷たい眼でオレを見下ろしているだけだった</p><p>売春組織の人間に挨拶する気は無いらしい</p><p>みすず様変な連中とのお遊びは、そこそこになさっておいて下さい閣下がご心配なさります</p><p>まあ、何のことかしら</p><p>みすずは、笑顔のままそう答えた</p><p>お祖父様は、ご存じですよ</p><p>それなら、いいんですがね</p><p>谷沢チーフが、マルゴさんを見る</p><p>お、姉ちゃん、久しぶりだな師匠は今日はどうした</p><p>やっぱりマルゴさんの顔を知っているということは、黒い森のお屋敷に来たこともあるんだろう</p><p>恭子さんなら別件で出張しているよだから、今日はあたしだけだよ</p><p>あんな鬼みたいな女の下で働いてないでうちの会社へ来いよ売春宿の警護なんて、面白く無いだろ</p><p>谷沢チーフは、ミナホ姉さんの前で堂々と勧誘する</p><p>こっちは香月セキュリティ・サービスよりも給料が良いんでね</p><p>マルゴさんは、笑って答えた</p><p>バカ言え、こっちは厚生年金と雇用保険が付くんだぞ後々の福利厚生を考えたら、まっとうな会社の正社員になっておいた方が得なんだぜ</p><p>香月セキュリティ・サービスが、まっとうな会社だっての</p><p>売春宿よりはマシだろオレは、こう見えても香月セキュリティ・サービスの役員なんだ今ならオレの鶴の一声で、無試験で入社させてやるぞ</p><p>役員て山岡部長よりも、上の立場なんだ</p><p>残念だけれどその気は無いよ</p><p>何でぇ、つれねぇなまあ、いい気が変わったら、いつでも連絡してくれよ</p><p>谷沢チーフは、そう言った</p><p>旦那様谷沢さんがいらっしゃっていますから、あたしと瑠璃子さんは安全です</p><p>いや、香月閣下が専任の護衛部隊のチーフにしている人間だ</p><p>仕事は完璧なんだろう</p><p>お祖父様が心配なさって、先に谷沢さんを派遣して下さったんですわね</p><p>みすずの言葉に、谷沢チーフは苦笑する</p><p>そういうこってすわ山岡や工藤みたいな若造どもは頼りにならねえしね</p><p>谷沢チーフにとっては、山岡警備部長も工藤父もまだまだ半人前らしい</p><p>おい工藤の小娘大切な任務をほっぽらかして、ご主人様から離れるってのはどういう了見だ</p><p>谷沢チーフが、工藤遙花を叱責する</p><p>工藤遙花も香月セキュリティ・サービスに籍のある人間だ</p><p>谷沢チーフは、会社の上の人間に当たる</p><p>頭を下げる工藤遙花</p><p>谷沢さん悪いんだけど、この子、ちょっと借りるね</p><p>マルゴさんが、そう告げる</p><p>どういうことだい</p><p>この子がねあたしたちにケンカを売ってきたんだよ</p><p>ほお</p><p>谷沢チーフが、呆れた顔で工藤遙花を見下ろす</p><p>それで姉ちゃんが、きっちりと教育してくれるって</p><p>いいや相手は、そっちの子がするよ</p><p>マルゴさんが、美智を指した</p><p>美智はうつむいている</p><p>その子はこいつの妹じゃないのかい</p><p>谷沢チーフが驚く</p><p>はい、美智に姉と闘わせます必ず勝てと厳命しました</p><p>みすずが、チーフに言った</p><p>工藤遙花が侮辱した相手にあたしも入っていますから</p><p>谷沢チーフは、はぁと溜息を吐いて</p><p>判った処分は、姉ちゃんに任せる親父に似て、馬鹿なんだなこの娘は</p><p>いいえ、似ているのはお母様の方ですわ</p><p>いやありゃ、工藤のやつがちゃんとカミサンの相手をしてやらねぇからおかしくなっちまったんですわ</p><p>谷沢チーフは工藤母と山岡部長の不倫関係を知っている</p><p>そのまま、チーフは工藤遙花を見て</p><p>いずれにしても香月セキュリティ・サービスの看板を背負ったまま、他の組織にケンカを売る、仕事はいい加減、みすず様のご機嫌を損ねるじゃあ、話になりませんわ構わねぇから、姉ちゃんがガツンとやってくれよオレが許可するから</p><p>谷沢チーフは、美智の腕前を信用していないらしい</p><p>美智でなくマルゴさんに、工藤遙花の制裁を許可する</p><p>工藤遙花と４人の手下はすっかり真っ青になっていた</p><p>いいえ谷沢さんそれでは、困ります</p><p>みすずが、真顔で言う</p><p>工藤遙花が妹に勝てば全て不問にするということにしていただけませんか</p><p>この勝負が工藤美智には、必要なんです</p><p>美智が、ハッと顔を上げる</p><p>みすずお嬢さんは、この小さい子を随分買っておられるようですね</p><p>はい美智には、生涯あたしの護衛をさせるつもりですから</p><p>谷沢チーフが、工藤遙花に告げる</p><p>おい、お前その小さい子に勝ったら、今までの不始末は全部忘れてやる死ぬ気で勝ていいな</p><p>その命令に工藤遙花は</p><p>もし勝ったらあたしを谷沢チーフのチームに入れて下さい</p><p>あたし子供のお守りなんて嫌なんです本気になれませんどうせ警護するなら、重要人物でないと</p><p>ホントに馬鹿なんだこの女</p><p>あたしには、それだけの才能があります</p><p>空手で高校日本一になったということが、工藤遙花に変な自信を持たせている</p><p>お前な</p><p>叱責しようとする谷沢チーフを、マルゴさんが止める</p><p>後は、あたしに任せてよ</p><p>しかし、姉ちゃん</p><p>こういう才能の無い子はどうせ、身体でしか理解できないんだろうから</p><p>谷沢チーフが、マルゴさんを見てみすずを見てもう一度、工藤遙花を見る</p><p>馬鹿は死ななきゃ直らねえもんなおい、空手娘負けたらクビだそれだけは覚えておけ</p><p>あたしが妹に負けるはずがありません</p><p>工藤遙花は、どこまでも馬鹿丸出しだった</p><p>では、あたしは楽屋に参ります恵美さんとマナさんは、あたしと一緒に来て下さい</p><p>みすずが、そう言うがマナは、決闘に興味があるらしい</p><p>あたしやっぱり、お兄ちゃんと一緒にいようかな</p><p>マナあたしたちが居ると、美智さんが自由に闘えないわ</p><p>マナさんみすずの楽屋は、瑠璃子さんと同じお部屋なんです</p><p>瑠璃子さんと美子さんに旦那様の素晴らしさをお話しするの恵美さんとお手伝いして下さいませんか</p><p>瑠璃子さんと美子さんにオレとのセックスを勧めるってことか</p><p>マナは、ニタッと笑って</p><p>判ったマナは瑠璃子さんとお話しするねっ</p><p>旦那様、ちょっと</p><p>みすずがオレを他の連中から引き離す</p><p>みすずは、他の人に聞こえないようにオレの耳に、小さな声で囁いた</p><p>美智を見て下さい</p><p>美智は姉と闘うということで、すっかり意気消沈している</p><p>どうにも、工藤遙花が苦手らしい</p><p>美智はあの子は、精神的にとても子供です弱い子です本質的に、誰かに支配されていないとダメな子なんです</p><p>ですから、旦那様が美智をご支配下さいみすずのいない場所で</p><p>オレが美智を支配する</p><p>美智はＭなんです信頼できる人間に、支配されることを望んでいます</p><p>Ｍって</p><p>マゾなんですよ</p><p>みすずと同じです</p><p>みすずも旦那様に支配されたい女の子なんですから</p><p>確かにみすずは</p><p>最初は、オレのペットだったし</p><p>オレに、支配されることを望んでいたような気がする</p><p>オレに犯されるような受け身のセックスを好むし</p><p>恵美さんとマナさんは違いますよねお二人は、どっちかっていうとサディスティックな傾向がありますから</p><p>メグとマナを見る</p><p>きょとんとした顔で、オレたちの方を見ている二人</p><p>この二人は、自分から積極的にセックスを求めてくる</p><p>確かに、ＭでなくＳっぽい</p><p>この機会に美智の心を完全にご支配下さい美智には、旦那様が必要なんです</p><p>みすずが、美智に強い声で話し掛ける</p><p>は、はいみすず様</p><p>美智は、慌てて顔を上げた</p><p>あたしのいない間は、旦那様があなたの主人です何でも、旦那様のお言いつけに従って行動なさい</p><p>みすずの指令が美智の心に突き刺さる</p><p>ははいかしこまりました</p><p>では、旦那様美智をよろしくお願いします</p><p>みすずがオレにニコッと微笑む</p><p>楽屋口でみすずとメグとマナと別れる</p><p>克子姉は、工藤父に連絡しに行ったまま、まだ帰らない</p><p>じゃあ行こうか</p><p>マルゴさんが、工藤遙花に声を掛けた</p><p>あたし負けないわいいえ、負けられないのよ</p><p>工藤遙花は、そんなことを呟いている</p><p>で、決闘場へはどう行くのかな</p><p>工藤遙花が、舞台へ通じる扉を開いた</p><p>オレたちは、彼女に続く</p><p>舞台では照明合わせの途中の様だった</p><p>舞台スタッフが何人も働いている</p><p>舞台袖から地下に降りる階段へ</p><p>舞台の地下奈落へ向かう</p><p>うわっ、何かヒンヤリするねっ</p><p>地下だけあって、階上の冷気が溜まっているらしい</p><p>奈落は非常灯が灯るだけの薄暗い場所だった</p><p>今は誰も居ない</p><p>それが回り舞台の軸だねあ、ここはセリ上がる様にできているんだっ</p><p>寧さんが、劇場の機構を興味深そうに見ている</p><p>黒子ちゃん、こっちにおいでっ</p><p>寧さんが、雪乃の腕を引っ張る</p><p>いいから、あたしの側に居てっ</p><p>そう言って寧さんはマルゴさんの後ろに立つ</p><p>ミナホ姉さんも、スッとマルゴさんの背後に回った</p><p>工藤遙花と４人の手下と距離を取る</p><p>マルゴさんの前にオレ</p><p>美智はまだうつむいたままだ</p><p>さてちょっと確認しておきましょうか</p><p>ミナホ姉さんが、工藤遙花に言う</p><p>あなたが美智さんと闘って負けたら、香月セキュリティ・サービスはクビうちで売春して貰うそういうことでいいかしら</p><p>いいわどうせ、あたしが勝つんだから</p><p>工藤遙花は、そう言いながら４人の手下に目配せする</p><p>今よっ</p><p>４人がサッと動いて、オレを取り囲む</p><p>オレは、逃げようとするが、４人の空手少女の動きは速い</p><p>あっという間に捕まってしまう</p><p>一番体格の良い娘が、背後からオレを羽交い締めにした</p><p>あ、姉上</p><p>驚く美智</p><p>ちょっと保険を掛けさせて貰うわ</p><p>工藤遙花は、そう言った</p><p>美智と闘っている最中にその女が、変な真似をしないようにね</p><p>オレを人質にしてマルゴさんの介入を防ぐつもりか</p><p>構わないよどうせ、そんなことだろうと思っていたし</p><p>マルゴさんは、平然とそう言った</p><p>その背後で、寧さんが雪乃を抱き締めて、ニコッと微笑む</p><p>そうかだから寧さんは先に、雪乃を確保したんだ</p><p>工藤遙花が、人質作戦を取ることに気付いていて</p><p>彼だって黒い森の人間よ覚悟はできているわ</p><p>オレは、それぐらいの覚悟は定まっている</p><p>美智オレのことは気にしないで、精一杯闘え</p><p>美智がハッとして、オレの顔を見る</p><p>蹴散らせ、命令だ</p><p>美智は戸惑っている</p><p>さて、始めましょうか美智</p><p>工藤遙花はパンプスを脱いだ</p><p>裸足になって、空手の構えを取る</p><p>判っているわよねあんたは、あたしに一度も勝ったことが無いこれからも、永遠にそうよ</p><p>姉の言葉に美智は、怯えている</p><p>どうしてそんなに、姉を怖がっているのか</p><p>何か、トラウマがあるんだろうか</p><p>さあ構えなさい、美智</p><p>美智は震える手で、構えを取る</p><p>何やっているんだよ、美智</p><p>オレは思わず、そう言った</p><p>美智がオレを見る</p><p>それは空手の構えだろ</p><p>は、はい姉上との対決は、いつも空手ですから</p><p>美智は、そう答えた</p><p>空手じゃねえだろ</p><p>オレは、怒鳴った</p><p>お前は、工藤流だっ</p><p>美智がハッとする</p><p>そうか判った</p><p>美智が、何に怯えているのかが</p><p>工藤流では姉に圧勝してしまう</p><p>工藤遙花のプライドを粉々にしてしまうどころか</p><p>姉の肉体を傷付けてしまう恐れがある</p><p>美智は工藤遙花が、二度と空手ができない様な身体にしてしまうことが怖いんだ</p><p>美智殺す気でやれ</p><p>美智が、ブルッと震える</p><p>吉田じゃねぇご主人様って呼べ</p><p>さっき、みすずに言われたろうみすずが居ない場所ではオレがお前の主人だ</p><p>美智はまだ震えている</p><p>オレのためにやれ</p><p>オレは美智を支配する</p><p>そう腹を括る</p><p>姉を捨てろお前の家族は、オレとみすずだ</p><p>美智の眼が大きく見開かれる</p><p>オレとみすずのためだけに生きろっ</p><p>美智は</p><p>スゥと大きく息を吸い</p><p>そして吐く</p><p>姉上申し訳ありません</p><p>美智の身体の震えが止まる</p><p>覇気が溜まっていく</p><p>わたくし姉上を殺さなくてはならなくなりました</p><p>そう言ってスカートの下に隠した、赤いムチを取り出す</p><p>ムチの先端が、空気を切り裂いて、奈落の床を叩く</p><p>あ、あんた何やっているのよ</p><p>工藤遙花が、驚く</p><p>まさかそれを使うつもりじゃないでしょうね</p><p>何か問題でも</p><p>美智の冷たい眼が姉を見入る</p><p>馬鹿なこと言わないでよっあんたとあたしの勝負なら、素手でやるに決まっているでしょう</p><p>残念ですが、わたくしは勝たなければなりませんから</p><p>武器を捨てなさいその男が、どうなってもいいの</p><p>工藤遙花が、オレを取り囲む手下に目配せする</p><p>ドシュッ</p><p>手下の足下ギリギリに、投げナイフが突き刺さる</p><p>今のはわざと外しましたご主人様を解放しなさいでないと</p><p>美智はムチを持った反対の手に、別の投げナイフを握っていた</p><p>ひ、卑怯よ美智</p><p>工藤遙花が、そう言った瞬間</p><p>美智のムチが、姉を襲う</p><p>ズバシュッ</p><p>遙花のピンクのスーツの胸元が切り裂かれた</p><p>白いブラジャーが剥き出しになる</p><p>遙花の肉体を傷付けることなく正確に服だけを裂いた</p><p>美智の技量に誰もが驚く</p><p>ご主人様を守らねばならない闘いに卑怯も何もありません</p><p>右手にムチ、左手に投げナイフ</p><p>もう一度言いますわたくしのご主人様を離しなさい</p><p>オレを捕まえていた遙花の手下が手を離す</p><p>ゆっくりと４人から離れて美智の背後に廻る</p><p>申し訳ございませんでしたご主人様</p><p>美智が言った</p><p>すぐにこの女は処罰致します</p><p>すっかりぐったりして、夕方まで寝込んでいました</p><p>そしたら夢の中で</p><p>みすずと美智は、Ｍメグとマナは、Ｓ</p><p>という、お告げがありました</p><p>そうしたら、迷っていた展開がサッと開けました</p><p>こんなことも、あるんですね</p><p>224．工藤美智</p><p>マルゴ様、ご主人様をお願い致します</p><p>美智が姉を睨んだまま、そう言う</p><p>了解吉田くん、あたしの後ろへ来て</p><p>オレはマルゴさんの背後へ</p><p>寧さんが、スッとオレに寄って来てくれた</p><p>大丈夫だよっ</p><p>オレを見て、ニッと微笑む</p><p>ミナホ姉さんはジッと美智を見ている</p><p>雪乃が、オレの側に近寄って来た</p><p>オレの背広の裾を、キュッと握りしめる</p><p>雪乃、怖いのか</p><p>雪乃が、オレをチラッと見上げ</p><p>うるさいわねっ</p><p>雪乃は小さく、震えていた</p><p>卑怯者武器に頼るなんて、武道家じゃないわよっ</p><p>工藤遙花は、ヒステリーを起こしていた</p><p>わたくしは武道家ではございませんから</p><p>鋭い目で姉を見据える</p><p>わたくしは、主を守る楯主の命のままに動く、一振りの剣</p><p>スゥハァ</p><p>美智の独特の呼吸音が、暗い舞台下の奈落に響く</p><p>本来の工藤流古武術とは自らの意志をもたぬ一塊の凶器と化す業でございます</p><p>自分の意志を持たぬ凶器</p><p>姉上今生の最期に、お見せ致しましょう姉上も、工藤の家に生まれし者ならばこの業の神髄を見ずして死ぬのは、もったいのうございます</p><p>そう言って美智は</p><p>赤いムチと手投げナイフを床に捨てた</p><p>驚く、工藤遙花</p><p>改めて素手でわたくしと勝負するつもり</p><p>美智は、そんな姉を無視して姉の４人の手下に向かう</p><p>掛かって来なさい</p><p>スススッと滑るように美智が、４人の前へ進む</p><p>４人まとめて仕留めて差し上げます</p><p>何の躊躇もなく接近する美智に４人の空手少女はビクッと震える</p><p>人間にはね他人に踏み込まれると、反射的に拒絶してしまう距離感というものがあるんだよ</p><p>それは基本的に、手を真っ直ぐに伸ばして届く範囲自分の腕のリーチの長さと同じ距離だよ誰でも、その内側に他人に入られることを嫌う生存本能が危険のシグナルを発信してしまうんだ</p><p>正に美智が、一人の空手少女の拒絶距離に侵攻する</p><p>ヒッ</p><p>空手少女は、反射的に美智に拳を突き出す</p><p>少女の身体が、くるんと宙を飛んで肩から床に倒れる</p><p>美智が正拳突きの勢いを利用して、投げたんだ</p><p>受け身ぐらいは、きちんとできますよねお姉様方</p><p>美智の冷たい眼が、残りの３人の空手少女の恐怖心を一気に煽った</p><p>トァァァァッ</p><p>一斉に、美智に襲いかかる</p><p>スゥハァァスゥゥゥ</p><p>美智の身体が波間に揺らぐクラゲの様に、ゆらりゆらりと３人の攻撃を避ける</p><p>あんんんどぅぅとろぁぁ</p><p>１人の少女の蹴り足の美智は、足首を下から極めて掬い上げる</p><p>別の少女の突き出して伸びきった腕の肘の関節をクルッと捻る</p><p>最期の少女が、美智に掴み掛かろうとした瞬間身体を翻して、その少女の喉を下から突き上げるッ</p><p>グヘェェッ</p><p>３人の少女の苦悶の悲鳴が重なった</p><p>それぞれが床に倒れて、痛みに唸る</p><p>４人とも、戦闘不能に致しました競技者としては、支障を来たさぬ程度の負傷に留めましたので、一週間ほど安静にしていれば直りますどうか、これからも４人で仲良く空手のお稽古をお続け下さい</p><p>肩を足首を肘を喉を押さえて、苦しむ年上の空手少女たちに、美智は無表情で言った</p><p>工藤遙花さんに、そそのかされて来たんだろうけれど、これに懲りたら君たちはスポーツの世界に帰るんだね</p><p>マルゴさんが、少女たちに言う</p><p>君たちはルールがあって、審判の居る場所で１対１で闘うことしかしてきていないだろあたしたちの世界は、そうじゃない反則有りで、審判はいないそして相手の数は、時と場合で違う</p><p>ニッと笑ってマルゴさんが、工藤遙花を見る</p><p>あたしも美智さんも１対多数のトレーニングを積んできているそれもガードすべき人間を守りながらのね</p><p>マルゴさんは夜の街で、不良やチンピラヤクザを狩り続けていた</p><p>寧さんを守りながら、必ず複数の敵を相手していた</p><p>あれは実戦形式のトレーニングだったんだ</p><p>雪乃がオレにしがみついてくる</p><p>オレは、雪乃の肩をギュッと抱き締めてやる</p><p>さて姉上</p><p>美智が改めて、姉を見上げる</p><p>工藤流古武術の奥義は、その呼吸法にあります</p><p>また、ゆらゆらと不規則に揺れながら、美智が姉に近付いていく</p><p>全ての武術は敵の気を感じ、その気の途切れる隙を狙って攻撃を行うことに奥義があります</p><p>気</p><p>ほら日本人は空気を読むっていう言葉が好きだよね</p><p>この場合の空気とは気の流れだよ人間は個として別々の意志を持ちながら、群れを作らないと生活することができない群生動物だよだから、他者と気を通じさせる気を合わせるということを大事にする群れとは気の合致した集団だ他者の気を感じ取り、自らの気とシンクロさせていく能力は、人間誰もが生まれながらにして持っている力なんだよ</p><p>そして気の本質は、呼吸にあります相手と呼吸を合わせ鼓動、脈拍のリズムさえ合わせる完全に気の通じた者同士は、生物的な肉体のリズムそのものがシンクロするのです</p><p>マルゴさん美智</p><p>何を言っているんだ</p><p>ゆえに武術の奥義は、敵との気のシンクロと、シンクロからの離脱を自由にコントロールすることにあります</p><p>相手を自分の気の世界に引きずり込むこと相手を呑むって言ってもいいかなそれが気のシンクロそして呑み込んだ瞬間に、自分だけシンクロから離脱して敵を討つそれが敵の隙を突くということだよ</p><p>そうだ、マルゴさんの闘い方はいつも、相手の意表を突く</p><p>心の隙を作って、一気に刈り取る</p><p>しかし工藤流古武術は違います</p><p>美智の身体がまた、ゆらりと揺れる</p><p>工藤流古武術は、相手の気とは決してシンクロしません気を合わすことを拒絶します常に、相手の気を反らし焦点をズラしていくだからこそ他の流派の人々には決して真似のできない、特殊な呼吸を行います</p><p>しゅるるるるすぅぅしゅははははぁぁすぁすぅぅ</p><p>不規則で不安定な息遣い</p><p>不気味なリズムで、美智の息吹が薄闇に拡がっていく</p><p>お父様が常にふざけているとしか思えない闘い方をなさっているのはこの呼吸法の神髄を敵に悟られぬためです</p><p>わざと派手な格好をしおかしな武器で、不格好に闘うのは</p><p>特殊な呼吸法を、相手に気付かせないためか</p><p>では姉上わたくしどもの先祖伝来の技によって、そのお命、頂戴致します</p><p>美智の身体が、ブンッと歪んだ</p><p>物凄いスピードで、姉の懐に飛び込むッ</p><p>ひゃあああっ</p><p>怯えた姉が、不用意に右の拳を突き出した瞬間</p><p>工藤遙花の右腕が、ありえない方向に曲がるッッ</p><p>ギャッ</p><p>オレは人の骨の折れる音を、始めて聞いた</p><p>雪乃が、オレにしがみつく</p><p>マルゴさんとミナホ姉さんは平然と見ていた</p><p>お覚悟ッッ</p><p>美智の手が、工藤遙花の首に迫るッッ</p><p>このままでは、美智は本当に姉を殺してしまう</p><p>止めないと</p><p>しかししがみつく雪乃が邪魔になって</p><p>オレは、咄嗟に動けなかった</p><p>あんたたち何をやっているのッッ</p><p>階段の方から、女の絶叫の声がした</p><p>動かないでッ撃つわよッッ</p><p>階段の途中でピストルを構えている、一人の女性</p><p>美智ぃぃやめなさいぃぃッッ</p><p>美智と遙花の母親</p><p>香月セキュリティ・サービス総合警備部工藤悦子だった</p><p>美智、ストップだ</p><p>工藤母の作ってくれた気の隙間を使ってオレは美智に告げる</p><p>まだこの敵を殺しておりませんが</p><p>美智は自分に銃を向ける母親を無視して、オレに答える</p><p>オレは殺す気でやれって言ったんだ殺せと言ったわけじゃない</p><p>美智は姉の喉笛を狙っていた手を、下ろす</p><p>ご主人様のご命令に従います</p><p>そのままゴミクズを投げ捨てるように、姉の身体を奈落の床に突き倒した</p><p>ヴガァァァァッッ</p><p>右腕を骨折した工藤遙花は激しい悲鳴を上げる</p><p>何てことをするのあんたはっ</p><p>工藤母が、慌てて姉娘に駆け寄る</p><p>あれほど言ったじゃない遙花と本気で闘ってはいけないって</p><p>工藤母は工藤父とは、幼馴染みの関係だ</p><p>当然工藤流古武術の全てを知っている</p><p>美智が姉と本気で闘えば、どうなるかも</p><p>姉上は、わたくしの敵となりましたゆえ</p><p>あんたは、お姉ちゃんを殺すつもりなのっ</p><p>主を守るためならば、致し方ございません</p><p>馬鹿なこと言うんじゃないわよっ</p><p>母が美智を引っぱたく</p><p>美智は、その手を避けずに受けた</p><p>あんたは、あの人そっくりね工藤流古武術なんて、どうでもいいもののために、平気で家族をないがしろにするのよっ</p><p>工藤母が、鬼の形相で美智を叱る</p><p>わたくしはあなた様の娘である前に、工藤流古武術継承者でございますから</p><p>美智は顔色一つ変えずに、そう答えた</p><p>わが主の敵ならばわたくしの姉であろうと、母であろうと、お父様が相手でも、わたくしは闘います</p><p>キチガイよあんたは</p><p>工藤母は美智を罵る</p><p>遙花、大丈夫</p><p>妹に腕を折られた姉に母親は声を掛ける</p><p>上腕部の骨をきれいに折っただけだから、すぐに直るよ全治に半年以上は掛かるだろうけれど空手だって、またできるさ</p><p>マルゴさんが、笑ってそう言った</p><p>売春組織の警護人が、偉そうなこと言わないで</p><p>工藤母が、怒りの矛先をマルゴさんに向ける</p><p>そういうあんただってただの警備会社の社員じゃないだろ裏の世界に少しでも顔を突っ込んで生活している人間が、偉そうなことを言うもんじゃないよ</p><p>あたしは香月セキュリティ・サービスの人間ですあんたたちとは、違うわ</p><p>工藤母は、黒い森への蔑視をあからさまにした</p><p>夫以外の男と不倫している様な女が、勝手なことをおっしゃらないで下さい</p><p>美智が、静かに母に告げる</p><p>子供のくせに、親を批判しないでよっ</p><p>カッとなった工藤母が、再び美智を平手打ちしようとする</p><p>今度は、美智は母の手を避ける</p><p>母の首元をドンと突いた</p><p>工藤母は、そのまま後ろに尻餅をつく</p><p>美智ぃぃあんたぁぁ</p><p>工藤遙花が、折れた腕の痛みに耐えながら妹を見上げる</p><p>そんなに強いくせに今まで、あたしに隠していたの</p><p>工藤遙花は悔し涙を流していた</p><p>妹に圧倒的な力の差で負けたことが、どうしても納得できないようだ</p><p>姉上に勝つなというのがこの方のご命令でしたから</p><p>美智は母親をこの方と言った</p><p>もはや工藤悦子を自分の母親とは認めたくないらしい</p><p>お母さん何で</p><p>工藤遙花が、泣きながら母親を見上げる</p><p>この子は美智は、工藤流古武術の申し子なのよこの子は、生まれつき工藤流の考え方をしていたの誰にも教えられないのに、工藤流の闘い方を理解していたいいえ、何度あたしが教えても、普通の格闘技のルールが理解できなかったの工藤流しかできない子なのよ</p><p>わたくしには、スポーツとしての格闘技に対する興味はありません必ず１対１で闘うとか、時間制限や、禁じ手の有無審判による判定など、理解ができませんそんなもの実戦には全て関係ないではありませんか</p><p>美智は実戦、本気での殺し合いにしか、興味が無い</p><p>この子は天才よあの人も、そう言っているわ工藤流古武術の歴代の継承者の中でも、この子ほど早熟な人間はいないってでも</p><p>工藤母は、憎々しげに話す</p><p>この子の力は現代では裏の世界でしか使えない無意味な天才なのよ</p><p>工藤遙花が、妹を見上げる</p><p>じゃあ今まで空手の試合で、一度もあたしに勝てなかったのは</p><p>マルゴさんが、口を開く</p><p>美智さんだって、もう大人なんだ空手の試合ってことなら、ルールを尊重しようとするさだから、混乱してしまうんだろうねルールとは関係無く、美智さんには相手を確実に倒すための道筋が見えているそれが空手という格闘技の枠からは大きく外れているから実際にその通りにするわけにはいかなくて、それで負けてしまうんだろう</p><p>はい空手という枠の中では、わたくしは自由に動けません</p><p>美智が、そう告白する</p><p>美智あんた、いつからあたしに勝てると確信していたの</p><p>三歳年上の姉が妹に尋ねた</p><p>わたくしは物心がついてより今まで、一度たりとも姉上に劣っていると感じたことはございません</p><p>生まれてからずっとあたしのことを弱いと思っていたのねずっとずっと、あたしのこと馬鹿にしていたのね</p><p>口惜しさと憎しみの涙がボロボロと零れる</p><p>申し訳ありません</p><p>美智はスッと姉に頭を下げた</p><p>どっちにしても君には、この世界は無理だよ他のお友達と一緒にスポーツの世界へ戻るんだね</p><p>マルゴさんが冷たく、工藤遙花に言った</p><p>ちくしょうみんなして、わたくしを弱いと嘲笑うのねちくしょう</p><p>震えながら泣く工藤遙花</p><p>どうせ、あたしの才能なんてこんなものよ妹にすら勝てない、弱い身体の持ち主なのよ</p><p>こうなるのが判っていたから美智には、本気で遙花と闘わないように言い聞かせてきたのに</p><p>工藤母がマルゴさんとミナホ姉さんを睨む</p><p>恨むわよ、あんたたち絶対許さないから</p><p>違うよその子が弱いのは、才能が劣るからでも、身体が弱いからでもないさ</p><p>工藤母と姉娘が怒りの眼で、マルゴさんを見上げる</p><p>弱いのは心だよ</p><p>心なら</p><p>美智だって、決して強くはない</p><p>オレの呼び掛けに、美智がスッと反応する</p><p>はいご主人様</p><p>今、この瞬間に家を捨てろお前の残りの人生は、オレとみすずに捧げるんだ</p><p>美智は母親と姉に振り向く</p><p>お別れでございますこれまで、わたくしを育てて下さってありがとうございましたお二人には、大変感謝致しております</p><p>美智あんた、何を言っているの</p><p>驚く母</p><p>わたくしは身も心も完全に工藤流古武術継承者になってしまいましたもう、あなた様たちと一緒の家族には戻れませぬ</p><p>美智</p><p>わたくしの私物は全てご処分下さいお手数をお掛けして、大変申し訳ございませんが</p><p>美智馬鹿なこと言わないで</p><p>姉が、叫ぶ</p><p>武人として生涯を捧げるべき主に巡り会えましたわたくしは、この道を参りますどうぞ、ご達者で</p><p>美智は、オレとみすずが貰いますこいつには、オレたちのために生きて貰いますオレの子を産ませます</p><p>ずっと母親と姉に対して無表情だって美智が背筋をゾクッとさせる</p><p>ご主人様</p><p>美智はさっき本来の工藤流古武術とは自らの意志をもたぬ一塊の凶器と化す業だと言った</p><p>つまり美智は、自分の圧倒的な戦闘力を自分でどうつかうべきなのかは、考えられない</p><p>武人として力は全て、主に捧げるものだと信じ切っている</p><p>それは、みすずが言っていた通り</p><p>美智には、常に彼女を支配する人間が必要だってことだろう</p><p>そういう相手がいないと美智は、自分の武力に押し潰される</p><p>ずっと、オレとみすずの側に居ろお前は、オレとみすずのことだけ考えていればいいんだ</p><p>そういう顔はするなオレやオレの仲間に対しては、愛想良くしろお前、オレやみすずに可愛がられたいんだろ</p><p>なら、オレやみすずが喜びそうな態度を取れオレたちの喜びが、お前の悦びだそうだろ美智</p><p>肝に銘じます</p><p>そして、美智は不器用そうに、ニコッと笑った</p><p>まあ初めは、こんなもんでいいか</p><p>キスするぞ美智</p><p>オレは、美智を抱き寄せる</p><p>どうぞわたくしの全ては、ご主人様のものですお好きになさって下さい</p><p>オレは美智に唇を重ねた</p><p>工藤母と姉が苦々しく、オレたちを見ている</p><p>絶対に許さないわあたしの生涯を掛けて、あんたたちをブッ潰してやるから黒い森</p><p>工藤母は、オレではなくミナホ姉に呪詛の言葉を吐いた</p><p>あたしたちは誰からも許されるつもりはないわ</p><p>ミナホ姉さんが、冷たい眼で答えた</p><p>あたしたちはあたしたちで自らの生存を賭けて、サバイバルしているだけよ美智さんが、彼とみすずさんの支配下でなくては生きていけないというのならあたしたちは、彼女を受け入れるだけだわ</p><p>工藤美智さん黒い森にようこそっ</p><p>寧さんが、ニッと笑ってそう言ってくれた</p><p>そう言ってスッと頭を下げた</p><p>工藤母が、香月セキュリティ・サービスの医療隊を奈落に呼んだ</p><p>４人の空手少女と工藤遙花が、緊急治療を受ける</p><p>工藤遙花は、折れた腕に添え木をされた</p><p>他の少女たちも、美智に痛められた箇所を固定される</p><p>痛いと思うけれど今、この劇場内で騒ぎを起こすわけにはいかないの自分の足でしっかり歩いて、建物の外に出て貰うわいいわね</p><p>工藤母は、姉娘たちにそう言った</p><p>日舞発表会の開場前だ</p><p>劇場に救急車を呼ぶわけにはいかないし</p><p>出演者たちや、他の名家の護衛たちに見られる場所で香月セキュリティ・サービスの関係者がタンカで運ばれるわけにもいかない</p><p>会社の名誉に傷が付く</p><p>ごめんなさいお母さん</p><p>工藤遙花は自分の母にだけ、謝罪の言葉を述べた</p><p>大丈夫よ山岡部長が、あなたたちのために車を一台用意して下さったから</p><p>その車で工藤遙花たちは、病院に運ばれるのだろう</p><p>ところで、遙花さんさあ</p><p>寧さんが声を掛ける</p><p>最初の約束、覚えているよねっうしししっ</p><p>最初の約束</p><p>もし、妹に負けたら工藤遙花は、一度だけ黒い森で売春をする</p><p>工藤母が、強い警戒心を見せるが</p><p>あたしだって空手家のつもりです二言は無いわ</p><p>妹に腕を折られた空手少女は約束の履行を約束した</p><p>昨夜からまた、体調不良です</p><p>ちょっと一日、ぐったり状態です</p><p>明日になっても不調なら、医者に行きます</p><p>遙花の処女喪失は、美智の後にします</p><p>妹が先という方が、いいような感じがして</p><p>225．罰して下さい</p><p>奈落から、再び舞台袖に上がる</p><p>工藤遙花と４人の怪我人は、痛む箇所を押さえながらも何とか自分の足で歩いている</p><p>工藤母と救急要員が、彼女たちに付いている</p><p>楽屋口の方から劇場外へ</p><p>人目を避けて、病院へ向かうのだろう</p><p>オレたちは、そんな彼女らを見送って再び、みすずの居る楽屋の方へ向かう</p><p>一度、楽屋の前を通り抜けないと、劇場ロビーには戻れない構造になっていた</p><p>また、随分派手にやったらしいな</p><p>楽屋の並ぶ廊下香月セキュリティ・サービスの谷沢チーフがオレたちを待っていた</p><p>この子の圧倒的な勝ちさ関節を極めて、躊躇無く腕を折ったよ</p><p>マルゴさんが、チーフに闘いの様子を語る</p><p>実の姉の腕をへし折るたぁ、大した度胸だな</p><p>谷沢チーフは、小柄な美智を見下ろして驚嘆する</p><p>いやそれぐらいの根性の方が、将来有望だ工藤遙花は、技のキレだけは優れていたからなあれをかい潜って、一発で勝負を決めたってのなら、なかなか大したもんだと思うよ</p><p>谷沢チーフは、工藤遙花を採用する時に一応能力をチェックしていたらしい</p><p>高校生空手日本一の姉を仕留めた美智の技量を、チーフなりに分析する</p><p>技は時間を掛ければ何とか身に付くが心の方は、そうはいかねぇその年齢で、一端の度胸があるんなら、今後の成長が楽しみだよ姉の方の正式採用は見送るつもりだが嬢ちゃんの方は、育成枠で正式採用だな</p><p>どうやら美智も工藤遙花も、香月セキュリティ・サービスには仮採用という状態だったらしい</p><p>谷沢様お願いがございます</p><p>美智がスッと香月セキュリティ・サービスの役員に告げる</p><p>わたくの籍を抹消して下さい</p><p>驚く、谷沢チーフ</p><p>お嬢ちゃん、うちの会社から抜けると言うのかい</p><p>わたくしは今後は、個人として、みすず様にお仕えして参ります</p><p>しかし香月セキュリティ・サービスに属していなければ、給料は出ないぞ</p><p>その子の報酬は、うちで払いますわ</p><p>ミナホ姉さんが、谷沢チーフに言った</p><p>あんたのところが</p><p>黒い森が、みすずの警護の費用を支払うという理屈が谷沢チーフには理解できない</p><p>はいわたくしは、黒い森に所属することにいたしました</p><p>美智は、真顔でそう答える</p><p>なんだぁお前たちのところは、売春部門だけじゃなくって、警備部門も開業するつもりかよ</p><p>皮肉交じりの谷沢チーフに、マルゴさんは</p><p>そういうわけではないけれどこの子は、香月セキュリティ・サービスみたいな大きな所じゃ、才能を伸ばせきれないよだから、うちで預かることにしたんだ</p><p>まさか姉ちゃんの弟子にするのか</p><p>この子の師匠は、父親だけだよあたしは、一緒に研鑽するお姉さんぐらいの立場かな</p><p>谷沢チーフは、美智の移籍について、どう返事するべきか悩んでいるようだった</p><p>谷沢さん、オレは構わないからミッチィくんの好きなようにさせてやってくれないか</p><p>そんな声に振り向くと</p><p>工藤父が克子姉と一緒に立っていた</p><p>父に一礼する美智</p><p>悦子と遙花には、今、そこで会った悦子に、睨まれたよ</p><p>工藤父は、そう答える</p><p>父親のお前がそう言うのなら、仕方無いのかもしれねぇが正直、うちの会社の将来の戦力になりそうな子を他の組織にブン取られるのは面白くねぇな</p><p>谷沢チーフは、そう言う</p><p>チーフは、さっきの美智の闘いぶりを見ていない</p><p>チーフにとっては、美智はまだ将来有望な女の子ぐらいの存在なんだろう</p><p>それにちっぽけな売春組織なんかに任せて、この子が大成するとは思えないしな</p><p>谷沢チーフは、ミナホ姉さんを睨んでそう言った</p><p>あたしや恭子さんじゃ、美智さんの指導はできないって言うの</p><p>そうは言わねぇが姉ちゃんはともかく、恭子は規格外だ</p><p>規格外</p><p>マルゴ姉ちゃんみたいな人材ならオレは、喜んで香月セキュリティ・サービスに迎える姉ちゃんの技には癖が無い応用力も買うやっぱり、重要人物の警護は正統派でないと勤まらねぇからな</p><p>恭子さんだって、正統派だよ</p><p>嘘吐けあいつは、底抜けの規格外じゃねぇか護衛対象の重要人物を餌に、敵対勢力を炙り出しにするくらいのことは平気でやるだろう</p><p>それは誤解だよ恭子さんは、仕事に関してはとことん真面目だからね目的と方法を取り間違える様なことはしないさ護衛対象をわざと危険に直面させる様なことはしないよただ護衛対象以外の人は、平気で陥れるだろうけれど</p><p>そうね恭子さんが、今、ここに居たら劇場内の人間の安全は絶対に守るだろうけれど、香月セキュリティ・サービスの警備の人たちについては平然と楯にするでしょうね警護役を職業に選んだ人たちですもの当然の覚悟はできているはずだって、恭子さんなら割り切るわ</p><p>ミナホ姉さんが、フフっと笑う</p><p>それみろ大組織には向かない人材だ</p><p>警備会社の役員としては社員の安全にも配慮しないといけないのだろう</p><p>命を投げ出す覚悟はできているはずだという前提で、行動指示を出されたら困る</p><p>谷沢チーフと恭子・ドスノメッキーさんは根本的に立場と考え方が異なるんだ</p><p>そういう意味なら工藤美智さんは、あたしたちに近い人材なんだと思うよ</p><p>マルゴさんは、チーフにそう言うが</p><p>馬鹿言えまだ、こんなに小さい子だぞそんなもん、今後の教育次第で幾らでも修正できる</p><p>谷沢チーフからすれば香月セキュリティ・サービスの様な大会社の社員として、規律のある行動ができる人材が一番なのだろう</p><p>残念ながらこの子の戦闘思想は、もう完成されているよ工藤流古武術の継承者だからね</p><p>そうなのか、工藤</p><p>マルゴさんの言葉にチーフが工藤父を見る</p><p>オレよりもよっぽど工藤流古武術の精神に迫ってますよこの子は</p><p>それじゃあ</p><p>はいこっから矯正するのは無理だと思いますねうちの会社に所属させてもオレのとこの警護課みたいな裏仕事しかできない人間になっちまいます</p><p>だから外に出したいのか</p><p>はいオレみたいな器の小さな人間じゃ、この子の指導はできません</p><p>恭子が、そんなに器のでかい女とも思えないがな</p><p>谷沢チーフは、考え込む</p><p>一つだけ、約束してくれ絶対にこの子には、客を取らせないと</p><p>チーフが、ミナホ姉さんを見る</p><p>約束するわ工藤美智は、娼婦の仕事はさせません</p><p>ミナホ姉さんは、はっきりと断言した</p><p>判った移籍を認めよう</p><p>谷沢チーフが、美智に言う</p><p>ただしみすずお嬢さんの許可はちゃんと取ることそれと、黒い森に愛想が尽きたら、いつでも香月セキュリティ・サービスに戻って来ることこの二つは、守って貰うぜ</p><p>美智は、そう返事した</p><p>で、何だって外回り担当のお前がここに居るんだ</p><p>谷沢チーフが、工藤父に告げる</p><p>それなんですがね</p><p>工藤父は、チーフに何やら耳打ちした</p><p>おそらくミス・コーデリアと白いヴァイオラたちの話だろう</p><p>それでそいつらはどうした</p><p>すでにここの敷地の中からは出て行ったよオレの配下の予備の連中に尾行させている</p><p>でこの件は、もう山岡には伝えたのか</p><p>それなんだけど</p><p>工藤父は、困った顔をする</p><p>あいつは固すぎるからこんな事態を知ったら、守りをガチガチにしちまうでしょう</p><p>そうは言っても山岡警備部長が、ここの現場責任者だ命令系統ってものがある</p><p>工藤父が山岡部長を飛ばして、その上の立場である自分に報告してきたことに谷沢チーフは苦言を呈する</p><p>オレは、あいつは苦手なんですよ</p><p>判ったとにかく、警備本部に行こう山岡には、オレから話してやる</p><p>お前の娘が二人とも、うちの会社の管理下から消えたってのもあるしなみすずお嬢さんと瑠璃子お嬢さんの警護に、誰か廻して貰わないとな</p><p>それこそ、谷沢さんの部下の方にお願いできませんか</p><p>それが狙いか</p><p>はい山岡のとこの連中じゃ、経験も実力も足りません</p><p>確かに山岡の組んだ何重ものガードを潜り抜けて敵に侵入されたんだ並みの相手じゃねぇんだろうな</p><p>子供のお守りと兼務しているようなレベルの警護役じゃあ対応しきれません</p><p>そうかやっぱり、子供の警護役というのは格が低いんだ</p><p>判ったそれもオレに任せろ</p><p>谷沢チーフは、近くに居た黒スーツの男に声を掛ける</p><p>菅井、ここの警護は任せるオレはちょっと警備本部まで行ってくるから</p><p>それと藤宮を警備本部まで呼んでくれ</p><p>菅井と呼ばれた男が、すぐに携帯電話を取りだした</p><p>え藤宮にお嬢様たちの警護をさせるんですか</p><p>驚く、工藤父</p><p>藤宮じゃ、不服か</p><p>逆です藤宮は、谷沢さんの部隊のトップ・エースじゃないですか</p><p>他に女の隊員で空いている人間がおらん</p><p>谷沢チーフが、苦笑する</p><p>でも、藤宮は攻守でいったら、徹底して攻な女じゃないですか</p><p>あいつはそれだけ危険に対する感度が良い今の状況なら、適任だよ</p><p>他の家の警護役の連中がビビっちまいますよ</p><p>構わん、ビビらせとけそれぐらいの緊張感があった方がいいだろう</p><p>藤宮という人は、そんなに怖い人らしい</p><p>それにオレが藤宮を出したということが、効果的なメッセージになる他の家の連中にも、山岡にもな</p><p>谷沢チーフは、会場全体に良い意味でのプレッシャーが掛けるつもりなんだ</p><p>あの警備本部に報告に行くのなら、あたしも同行しましょうか</p><p>克子姉が気を利かせてそう言うと</p><p>いや、あんたらが来ると山岡が変に誤解する可能性があるここは、オレに任せて貰おう</p><p>谷沢チーフが、そう言った</p><p>うん変に誤解されてオレたちが、ミス・コーデリアと繋がっていると思い込まれたりしたら厄介だ</p><p>ここは、山岡部長の上司である谷沢チーフに任せた方がいい</p><p>行くぞ工藤</p><p>うっす</p><p>早足で、谷沢チーフと工藤父は警備本部へ向かう</p><p>あたしたちも、一旦、ロビーに戻るわ</p><p>あなたは美智さんと、みすずさんの楽屋へ行ってらっしゃい</p><p>みすずさんに報告しないといけないでしょ</p><p>確かにそうだけど</p><p>ついでに、恵美ちゃんととマナちゃんを回収して来てよ</p><p>いつまでも、楽屋に居るのはみすずや瑠璃子さんの迷惑になるだろうし</p><p>黒子ちゃんなら、あたしが預かっていてあげるからさっ</p><p>寧さんがオレにくっ付いている雪乃を見て、そう言った</p><p>雪乃は、さっきの闘いの最中から、ずっとオレの背広の裾を握りしめたままだったのだ</p><p>ほらっ、黒子ちゃんはこっちに来るのっ</p><p>寧さんが、オレから雪乃を引き剥がす</p><p>こっちは、あたしが付いているから安心して美智さんは、そのまま楽屋に残って、谷沢チーフの部下の人が来るまで、みすずさんと瑠璃子さんの警護に入って</p><p>マルゴさんが、指示をする</p><p>美智と二人だけでみすずと瑠璃子さんの楽屋へ向かった</p><p>廊下には、稽古用の浴衣姿や、すでに舞台衣装に着替えた女の子たちがたくさんいた</p><p>それぞれがスーツ姿の大人の女性を連れている</p><p>ああ、これがさっき谷沢チーフたちの言っていた、お守り役兼護衛の人たちなんだな</p><p>確かに、楽屋の入り口でたむろしていた、いかつい男の護衛たちとは感じが違った</p><p>それなりに訓練されているのだろうが戦闘能力だけに特化している様子は無い</p><p>小さな子供たちの警護となると、穏やかな女性らしさも必要なんだろう</p><p>ご主人様、こちらです</p><p>美智が、スッと歩いて行く</p><p>美智は、前にも来たことがあるの</p><p>はいこの発表会には、毎年来ていますお嬢様たちは、いつも、同じ楽屋をお使いになっておられますから</p><p>楽屋にはそれぞれ、使用者の名前が紙にプリントされて貼られていた</p><p>ほとんどの出演者は、大部屋を共同で使っていたけれど</p><p>みすずと瑠璃子さんは、二人で個室をあてがわれていた</p><p>オレが外から声を掛けると</p><p>楽屋の中からマナが顔を出す</p><p>あっ、お兄ちゃんっ美智さんも</p><p>嬉しそうにオレを見る、マナ</p><p>今、入っても平気か</p><p>みすずたちが、着替えているといけない</p><p>オレはマナに一応、尋ねてみた</p><p>楽屋の中へ戻る、マナ</p><p>みすずさぁん、お兄ちゃんと美智さんが来てくれたよっ</p><p>どうぞ、お入り下さいませっ</p><p>中から、みすずの声がする</p><p>お邪魔します</p><p>オレと美智は揃って、楽屋の中へ</p><p>楽屋の中は、６畳ほどの広さがあった</p><p>鏡台が二つありそれぞれの前に、みすずと瑠璃子さんが座っていた</p><p>二人とも、すでに衣装の和服に着替えている</p><p>いらっしゃいませ</p><p>瑠璃子さんが、オレに挨拶してくれた</p><p>あ本番前に、済みません</p><p>お気になさらないで下さいまだ開場前ですしわたくしも、みすずさんも出番はずっと後です</p><p>みすず舞台稽古は</p><p>今、舞台監督さんが呼びに来て下さるのを待っているところですちょっと、全体的に時間が押しているみたいですね</p><p>間に合うのか</p><p>開場時間まで、もうそんなに残っていないけれど</p><p>最悪、明かりの調整だけで舞台で、あたしの踊りを頭から通して確認する時間は、いただけないかもしれません</p><p>そんな状態で大丈夫なのか</p><p>はい出番の遅い出演者に、しわ寄せが来るのはいつものことですから</p><p>みすずは、こういう事態に慣れているようだった</p><p>一番最後に踊られる家元先生は、いつもぶっつけ本番でいらっしゃいますし</p><p>そりゃ全員の稽古を見て、細かくチェックしているんだから</p><p>すでに相当くたびれているだろうし、自分の踊りの確認までしていられないんだろう</p><p>だけど家元先生は、踊りのプロなわけだし</p><p>どんな状況でも観客の前で問題無く踊ってみせるだけの技量はあるんだろう</p><p>それでいかがでした</p><p>みすずは、美智と工藤遙花の勝負の結果を尋ねた</p><p>うん、どうだったの、お兄ちゃん</p><p>マナも興味津々で、オレの顔を見る</p><p>みすずの横で、メグもオレに注目していた</p><p>美智が勝ったよ圧勝だ</p><p>オレの答えにマナが</p><p>やっぱりねぇ絶対、そうだって思ってたよっ</p><p>マナが、はしゃぐ</p><p>いやマナが想像している様なレベルじゃなかったぞ</p><p>もう、とんでもないレベルでの完全勝利だったんだから</p><p>それで遙花さんは、どうなさいました</p><p>瑠璃子さんが、オレに尋ねる</p><p>遙花さんはちょっと、腕を痛めたので早退しましたあの、お母さんが来てくれて</p><p>さすがに、美智が工藤遙花の腕の骨を折ったことは、言わない方がいいだろう</p><p>瑠璃子さんたちには、刺激が強すぎる</p><p>ああ、お母様も香月セキュリティ・サービスに在職なさっておられるのでしたね</p><p>美子さんが、穏やかにそう言った</p><p>はい、大事を取って病院へ向かいました４人のお友達が、付き添っていますから</p><p>正確には、その４人も美智によって病院送りになっているんだけれど詳細は述べない</p><p>それでこの後の瑠璃子さんの護衛なんだけど</p><p>オレの言葉を、瑠璃子さんと美子さんが真面目な顔で聞いていた</p><p>谷沢チーフの部下の人で、藤宮さんて人が来てくれるらしいよ</p><p>まあ、藤宮さんが</p><p>驚く瑠璃子さん</p><p>わたくしの護衛には、もったいない方ですわ</p><p>あ、何か他に今、護衛のできる女の人がいないみたいで</p><p>とにかく聞いた話をオレは話す</p><p>それなら仕方ありませんけれど何だか、申し訳ないわねえ、美子</p><p>はい、瑠璃子様</p><p>お嬢様二人が、顔を見合わせる</p><p>あの、みすず様</p><p>美智が主に言う</p><p>どうしました美智</p><p>美智がまっすぐにみすずを見上げる</p><p>しかし、緊張しているのか声が出ない</p><p>美智はオレとみすずだけを主人にして、生涯生きていく覚悟を決めたんだよ</p><p>代わりにオレが、みすずに告げる</p><p>そうあたしと旦那様だけに忠節を誓うのね</p><p>はいわたくしは、生涯をお二人に捧げます</p><p>緊張にかすれた声で美智は言った</p><p>それで香月セキュリティ・サービスからは、離れることになったんだ</p><p>香月セキュリティ・サービスに籍を置いている限り</p><p>社内での命令系統に束縛される</p><p>みすずにだけ忠誠を誓っているから、上司の命令は聞けないなんていう我が儘は許されないだろう</p><p>そうねその方がいいわね</p><p>みすずも、納得してくれた</p><p>当面は対外的には、黒森様のところに所属しているということに致します</p><p>瑠璃子さんと美子さんの前だから美智は黒い森という組織名を避けた</p><p>みすずは、嬉しそうに微笑む</p><p>よく決心してくれましたあなたのことは、あたしと旦那様がずっと可愛がってあげますからね</p><p>家族や香月セキュリティ・サービスから切り離された、自由な美智を手に入れたことにみすずは、心から満足しているようだった</p><p>そのことなのですがみすず様</p><p>美智がみすずを見上げる</p><p>実はわたくしは、先程、ご主人様のお言いつけを守らないという失態を犯してしまいました</p><p>そんなことあったっけ</p><p>ご主人様ってヨシくんのこと</p><p>メグが、美智の変化に驚く</p><p>はい、わたくしにとってのご主人様でございますから</p><p>美智どういう失態をしたのか、詳しく説明しなさい</p><p>みすずは、ご主人様という言葉に関する話を断ち切る</p><p>メグが、美智に対して変な嫉妬心を起こさないか、気にしているのだろう</p><p>みすずの問いに、美智は</p><p>はいご主人様はわたくしに、姉を殺すつもりで闘えと叱咤激励して下さいましたがわたくしは、つい殺せと命じられたものと勘違いしてしまいました</p><p>そんなことも、あったような</p><p>幸い敵の喉笛を断ち切る前に、母が勝負に介入して参りましてその場で、ご主人様がわたくしの誤解を正して下さいました</p><p>いや、別に大きな問題は起こらなかったんだよ遙花さんだって、ケガはしたけれどちゃんと生きているし</p><p>慌てて、オレがそう言うと美智は</p><p>いいえご主人様の命を、曲解するなど万死に当たる過ちでございました</p><p>美智お前、何でそんなことを言い出すんだ</p><p>オレには、美智の真意が判らない</p><p>判りました美智</p><p>みすずがニヤッと笑う</p><p>つまり、あなたは旦那様に罰していただきたいのね</p><p>オレが美智を罰する</p><p>はいできましたら</p><p>美智が、オレに頭を下げた</p><p>旦那様美智にどんな罰を与えましょうか</p><p>みすずが、オレに囁いた</p><p>美智はどんな罰が、相応しいと思う</p><p>オレが返答しないので、みすずは美智自身に希望を尋ねる</p><p>お尻を</p><p>尻</p><p>わたくしのお尻を激しく打擲して下さいませ</p><p>打擲</p><p>どういう意味の言葉だ</p><p>お尻を強く叩いて欲しいって言っているんですわ</p><p>みすずが、興奮した顔でオレに言った</p><p>昨日よりはましですがまだ体調不良のままです</p><p>されど、働かないとジッと手を見る</p><p>次話は、美智の公開お尻叩きです</p><p>226．お尻を出した子一等賞</p><p>美智のお尻を叩く</p><p>オ、オレが</p><p>美智は、旦那様にそうしていただくのを望んでいるのね</p><p>みすずが、ニッコリと微笑んだ</p><p>はい、みすず様の前で処罰されたいのです</p><p>美智が、顔を赤くしてそう言った</p><p>その瞬間、オレには全てが理解できた</p><p>これはお仕置きではない</p><p>美智は、ご褒美を欲しているんだ</p><p>瑠璃子さんどんな、些細なミスも警護役には許されませんしかし、美智はまだ子供ですしお尻を叩くということで、罰を済ませたいと思います</p><p>みすずが、驚いている瑠璃子さんにそう言う</p><p>瑠璃子さんに美智の痴態を見せるというのもどうやら、みすずの作戦らしい</p><p>あ、あのわたくしと美子は、お外に出ていましょうか</p><p>瑠璃子さんが、恥ずかしそうにそう言った</p><p>いいえ、できれば瑠璃子さんにも見ていててただきたいの今はまだ瑠璃子さんには美子さんしかお付きの方はいらっしゃらないし美子さんは、とてもよく出来ておられる方だからこんな失敗はなさらないと思いますけれど</p><p>滅相もございません</p><p>美子さんが、慌てて否定する</p><p>わたくしなど、まだまだ未熟者です</p><p>そんなことないわ美子さんの瑠璃子さんへの忠節がどれほどのものか、みすずはよく知っていますでも瑠璃子さんは、いずれ香月の家を継がれるお方なのだから、今後は美子さん以外にもたくさんの人間を従えることになります美子さんの様に何でもこなされる人たちばかりではありません無様な失敗をする者も、出ると思います</p><p>確かにいつまでも瑠璃子様のお付きが、わたくしだけということは無いと思いますが</p><p>美子さんが困惑した表情で、そう答えた</p><p>ミスを犯した者には、主が直接罰を与えなくてはいけませんしかも、内々で決して、外の者に不名誉な姿を見せることなく処理してやらないと、罰を受ける者が可哀想ですこれは罰を与えることで、その者が奮起してくれるだろうという主人の期待と愛情を示すものなのですから</p><p>はい、なるほど</p><p>みすずのもっともらしい言葉に、瑠璃子さんは引き込まれていく</p><p>ですから美智の様な年頃の少女には、お尻叩きというのは適切な罰だと思います瑠璃子さんも、いずれは誰かを処罰しないといけない時が来るでしょうからご見学なさって下さい美智、構わないわね</p><p>はいどうぞ、御覧下さい</p><p>美智も、瑠璃子さんにそう言う</p><p>そうおっしゃられるのでしたら見学させていただきます</p><p>瑠璃子さんが、緊張気味に答えた</p><p>そうしましょうねえ、美子</p><p>瑠璃子様が、そうおっしゃるのでしたら</p><p>美子さんも、みすずの妙な論理に引っぱられる</p><p>恵美さんもマナさんも、あたしの身内ですから当然、美智の処罰は見ていて下さりますよね</p><p>みすずが、メグ・マナに言った</p><p>これは内々の処罰ですので美智の名誉のために、他言は厳禁でお願い致しますそして、お尻叩きの終了をもって、美智の今回の罪は抹消致しますみなさん、よろしいですね</p><p>みすずが、部屋の中の人たちをぐるっと見渡す</p><p>うん、判った美智さんが叩かれたことは、誰にも言わないねっ</p><p>マナが、明るい顔でそう言った</p><p>あたしもちゃんと見ていますから</p><p>メグも恥ずかしそうな顔で、そう答えた</p><p>では、美智旦那様には、何回、お尻を叩いていただきたい</p><p>美智が、ちらっとオレを見る</p><p>10回、お願いします</p><p>あら、それはちょっと多すぎるんじゃないかしら</p><p>みすずが、すぐに却下する</p><p>旦那様には、力一杯思いっきり叩いていただくのよ10回も叩いたら、美智のお尻が腫れ上がってしまうわ</p><p>腫れ上がっても構いませんっ</p><p>美智は、そう言うが</p><p>ダメよ５回にしなさい</p><p>旦那様は、とてもお優しい方なのよあなたのお尻を１０回も叩くのは、可哀想だと思っていらっしゃるわ</p><p>オレは、この展開にただ驚いているだけで</p><p>正直、５回も１０回も変わらないと思います</p><p>では、５回で力一杯、お願い致します</p><p>その眼は熱く潤んでいた</p><p>美智そうじゃないでしょ</p><p>みすずが、さらに指導をする</p><p>そういう時は痛くして下さいって、お願いするのよ</p><p>美智が、ごくんと唾を呑む</p><p>ご、ご主人様い、痛くして下さい</p><p>判った美智</p><p>こうなったらやるしかない</p><p>美智自分でスカートを捲って、お尻を出しなさい</p><p>みすずが命じる</p><p>美智が、ゆっくりと名門女子中学校の制服のスカートを捲っていく</p><p>美智の細い足</p><p>美智の肌は、透けるように白い</p><p>15歳のまだ肉の付いていない太ももに、黒革の器具で、電撃警棒と赤いムチを固定している</p><p>それがまるでガーター・ベルトの様だ</p><p>今日の美智のパンティは黒だった</p><p>未成熟な中学3年生の肉体に、黒い下着というのが何とも言えない不道徳な感じを醸し出している</p><p>美智は丸いお尻を、ぷりんとオレに向ける</p><p>子犬の様に、四つん這いになりなさい</p><p>お尻を出したまま、犬のポーズを取る美智</p><p>顔は上げて鏡台の鏡を見なさい鏡の中に、旦那様の姿が見えるでしょ</p><p>鏡越しにオレと美智の眼が合う</p><p>美智は、罰を受ける悦びにすっかり溶けた顔をしていた</p><p>オレが、美智のお尻の前に近付くと</p><p>何をしているの美智</p><p>みすずの叱責の声が響く</p><p>まさかそのまま、旦那様にお尻を叩いていただくつもりじゃないでしょうね</p><p>みすず何を言っているの</p><p>ちゃんとパンティを脱ぎなさい直接、肌を叩いていただかなければ、罰にならないじゃないの</p><p>パンティを脱ぐ</p><p>それって生尻を叩くってこと</p><p>も、もうしわけございませんっ</p><p>早くパンティを下ろしなさい</p><p>た、ただ今、致しますっ</p><p>美智が、片手で黒いパンティに手を伸ばして</p><p>つるんと下ろす</p><p>ちゃんと脱ぎなさい</p><p>美智は、四つん這いのままパンティから足を抜いた</p><p>白いお尻に小さな肛門と、無毛の割れ目がはっきりと見える</p><p>その二つだけがサーモンピンクに色づけされていた</p><p>ぬ、脱ぎましたっ</p><p>美智の黒いパンティは、右の足首に丸まっている</p><p>旦那様、まずは美智のお尻の感触をお確かめ下さい</p><p>触ってみないと、どこを叩くと効果的か判らないでしょ</p><p>美智、触るぞ</p><p>どうぞ、ご堪能下さい</p><p>オレの手が美智の尻に触れる</p><p>はぁっ</p><p>美智は敏感だった</p><p>少女のお尻は、ひんやりとしていた</p><p>傷一つ無い、つるつるのお尻</p><p>美智の尻には、生ゴムの様な柔らかな弾力があった</p><p>あ、あああっ</p><p>鏡の中で美智が切なそうな顔をしている</p><p>美智見ているわよ</p><p>みすずが、美智の耳に囁く</p><p>見ていて下さいませみすず様</p><p>これは、オレを介したレズプレイなんだろうか</p><p>いや、今は美智の尻の感触を楽しもう</p><p>オレは尻の肉を揉んでみる</p><p>あっ恥ずかしい恥ずかしいです、みすず様</p><p>あたしを見てはダメよ鏡の中の旦那様のお顔を見なさい</p><p>美智の眼が、オレを見る</p><p>そ、そろそろ下さいませ</p><p>熱い眼がオレを見ている</p><p>い痛くしてっ</p><p>美智の尻をもう一度、ギュッと握りしめてから</p><p>思いっきり、手を振り上げるッ</p><p>いくぞっ</p><p>オレの手が、振り下ろされるッ</p><p>風を切って、平手が美智の尻を打ち鳴らすッ</p><p>バチィィッ</p><p>ひぃあああっ</p><p>一発目から、美智は歓喜の涙を零した</p><p>ふたーつッ</p><p>ビチィィィッ</p><p>美智の白い尻にオレの手形が赤く浮き上がる</p><p>みっつ</p><p>バシシィィッ</p><p>痛いぃぃぃ</p><p>美智の肌にしっとりと汗が浮く</p><p>ビシィィッッ</p><p>尻を叩くオレの手に熱い液を感じる</p><p>美智は割れ目から熱い汁を垂らしていた</p><p>いつつゥゥッッ</p><p>バシィイッ</p><p>きゃあああんっ</p><p>最期の一撃が、美智の尻に食い込むッ</p><p>オレは、手をぐりぐりと押し込むようにして</p><p>最期まで美智の尻を楽しんで、手を離した</p><p>美智の尻は真っ赤に腫れ上がっていた</p><p>ヴァギナから、ツーッと愛液が糸を引いて床に垂れる</p><p>へなへなと力が抜けて、床に倒れ込んでいく</p><p>ね、五回で正解だったでしょ</p><p>みすずが、美智ににっこりと微笑む</p><p>みすず様ぁぁ</p><p>美智は、軽い放心状態だった</p><p>旦那様しっかり、美智を抱き締めてあげて下さい</p><p>美智は、きちんと処罰に耐えたのですから褒めてあげて</p><p>床に突っ伏した小さな肉体を抱え上げ抱き締める</p><p>華奢な小さな身体</p><p>よく頑張ったな偉いぞ、美智</p><p>ご主人様ぁぁ</p><p>美智の張り詰めていた心が、一気にほぐれる</p><p>オレの胸の中で、美智はワーッと一気に泣いた</p><p>やはり、堪えていたのですね</p><p>姉との対決</p><p>姉の肉体とプライドを根底から破壊尽くした美智</p><p>母に決して姉に勝ってはいけないと厳命されていたにもかかわらず、美智はオレの命令に従ってくれた</p><p>その後母親から冷たい言葉を浴びせられても、美智は無表情のままだった</p><p>この15歳の少女は全ての感情をこの小さな身体に押し込んで、耐えていた</p><p>それが尻叩きの処罰を経て、一気に噴き出した</p><p>美智ずっと一緒だからな</p><p>オレは小さな身体を、ギュッと抱き締める</p><p>美智とみすずとオレとずっとずっと一緒だ離さないからな</p><p>うぁぁっ</p><p>美智が泣く</p><p>大きな声で</p><p>押し込んでいた思いが、涙に変わって溢れ出る</p><p>美智もまた自分の本当の家族を失ってしまったんだ</p><p>ヨシくんあたしたちも、居るわよ</p><p>メグが、にっこり微笑む</p><p>そうだよお兄ちゃんマナだって、ずっと一緒だよ</p><p>マナが、オレたちに寄って来る</p><p>美智お姉ちゃん</p><p>マナが、美智に話し掛ける</p><p>美智がハッとして、マナを見る</p><p>マナはまだ２年生で年下だからお姉ちゃんて、呼んでいいよねっ</p><p>わ、わたくしは</p><p>美智は涙目のまま、戸惑っている</p><p>あたしは美智さんて呼ぶけれどあたしのことは、恵美お姉さんて呼んでね</p><p>メグも、そう言った</p><p>わ、わたくしはみすず様の警護役でございますから</p><p>そんな美智にみすずは言う</p><p>そうよ美智は、あたしの警護役家族ですからねっ</p><p>一生あたしのことを守ってくれると誓ってくれたわよね</p><p>はいお誓い致しました</p><p>美智が、オレに抱き締められたまま答える</p><p>一生、一緒にいるんですものそれは家族ということでしょ</p><p>よろしいのですか</p><p>美智が尋ねた</p><p>美智はどうしたいの</p><p>みすずは逆に美智に問い返す</p><p>主とか家臣とか忠節という言葉しか頭に無かった武士娘は、言葉に詰まっているようだった</p><p>もう、お前は家族なんだよマナはお前の妹で、メグはお姉さんだこれからは、そう思って生きろ</p><p>オレが主として、美智に命令する</p><p>ははい、かしこまりました</p><p>結局この子は、壮絶な戦闘能力を持っていながら、心が弱い</p><p>誰かが、いつも後ろから支えてやらないといけない</p><p>前に向かって押してあげないと前進できない</p><p>美智はオレが見ていてやらないとダメな子なんだ</p><p>何か困ったことや判らないことがあったら、いつでもどんな時でもオレに相談しろ美智はもう、一人で悩む必要は無いんだぞ</p><p>美智は、また熱い涙を零す</p><p>美智は泣き虫だな</p><p>オレは、美智の涙を唇で吸う</p><p>しょっぱくて少し苦い</p><p>みすずも笑って、オレたちに顔を近づける</p><p>美智の目尻をペロッと舐める</p><p>あたしたちの前では、堪えなくていいのよ美智はあたしたちの前ではいっぱい泣いていいの笑ってもいいのよ</p><p>うん家族なんだからな</p><p>オレとみすずが夫婦で、美智が娘の様な気がしてきた</p><p>可愛い小さな娘</p><p>あたしたちだって、いるんだからねっ</p><p>オレたちが良い雰囲気になったのを見てマナが割り込んでくる</p><p>にっこりと、美智に微笑むマナ</p><p>思いっきり、可愛がって差し上げます大事に致しますからマナさん</p><p>それでも妹に敬語を使っていた</p><p>まあ、実の姉の遙花とも敬語で喋っていたから</p><p>美智にとっては、これが当たり前なのかもしれない</p><p>そろそろ、お放し下さい</p><p>美智が泣き腫らした眼で、オレに言った</p><p>もう平気ですから</p><p>少し恥ずかしそうにオレに言う</p><p>オレが、美智の身体を放そうとすると</p><p>美智、そうじゃないでしょ</p><p>みすずの教育的指導がまた、入る</p><p>主人に命令するのは、間違っているわ</p><p>旦那様美智の身体を抱き締めるのは、気持ち良いですか</p><p>オレは素直に答える</p><p>では、お気の済むまで、じっくり抱き締めて下さい美智の身体は、旦那様の物なんですから</p><p>オレは、美智の身体をもう一度ギュッと抱き締めた</p><p>美智も旦那様のお身体を抱き締めなさい</p><p>美智もオレの背中に手を廻してギュッと抱き締める</p><p>どう抱き締めていただくのも、自分から抱き締めるのも気持ちがいいでしょう</p><p>はいみすず様でも</p><p>美智は答えた</p><p>気持ちがよくて癖になってしまいそうです</p><p>みすずは、うふふと笑った</p><p>いいのよ、癖になって家族なんだからあたしも大好きよ、旦那様と抱き合うのは</p><p>マナも好きっお兄ちゃんにギュッてして貰うは</p><p>あたしも癖になっているわ</p><p>みんな来いっ</p><p>右腕で美智を抱いたまま左の腕を大きく拡げる</p><p>みすずとマナが、オレの胸に飛び込んで来る</p><p>メグは、背中からオレを抱き締めてくれた</p><p>みんな、一緒ですっ</p><p>みすずがそっと、呟いた</p><p>オレたちは、身体を離した</p><p>みんな、それぞれからエネルギーを貰ったようだ</p><p>ニコニコ微笑んで、元気になっている</p><p>いつもは無表情の美智さえ、さっぱりと晴れやかな顔をしていた</p><p>ご主人様実は、ご相談したいことがございます</p><p>美智が、オレに言う</p><p>うん何だ</p><p>わたくしはご主人様に抱いていただきとうございます</p><p>今、思いっきり抱き締めてやったろ</p><p>そういう意味ではございません</p><p>みすず様に御覧になっていただきながら捧げたいと思います</p><p>捧げるのは、やっぱり</p><p>美智の純潔</p><p>マナとメグが、ジロッとオレを見る</p><p>お前そういうことは</p><p>いつでも、どんな時でも相談せよとお命じになられました</p><p>確かにそう言ったけれど</p><p>いいわよ、今夜にも機会を作りましょう</p><p>その代わり生涯、旦那様だけですよ</p><p>判っております</p><p>美智は工藤流古武術を何人に伝えるつもりかしら</p><p>みすずが遠回しに尋ねた</p><p>できましたら３人</p><p>あたしにではなく、旦那様にお願いなさい</p><p>はいご主人様３人、よろしいでしょうか</p><p>美智が耳まで真っ赤になって、オレに言う</p><p>３人も産むのか</p><p>いや美智が産みたいのなら、仕方が無い</p><p>し、仕方無いな</p><p>オレが答えると</p><p>お兄ちゃん、マナは女の子が一人でいいな</p><p>ヨシくん、あたしも</p><p>感動致しました</p><p>困っているオレの背後から、そんな声がする</p><p>振り向くと、瑠璃子さんと美子さんが、オレたちを見て泣いていた</p><p>素晴らしいですわみすずさん何という美しい主従愛なんでしょう</p><p>瑠璃子さんは生まれながらにして、香月家の中核にいる</p><p>祖父は香月家当主の閣下で父親は、その長男</p><p>他に家族は無く３歳の時から、年上の美子さんがお付きの家臣として側に居る</p><p>瑠璃子さんにとっては人間関係は、全て主従でしかないんだ</p><p>家臣を家族の様に愛するというのは、こういうことなんでございますね</p><p>わたくしも勉強させていただきました</p><p>美子さんも、そう言う</p><p>人と人の関係に様々なパターンがあるということを、この二人は知らない</p><p>主の瑠璃子さんと家臣の美子さんの二人だけの世界にずっと、隔離されて来たのだから</p><p>自分たち以外の人間とはほとんど接触せずに、成長して来た二人</p><p>例外は香月閣下とみすずだけだ</p><p>オレたちの今の抱擁も主従関係という観点でしか理解していない</p><p>みすず様と黒森様がご結婚なさったら本当に素晴らしい家庭をお築きになられるのでしょうね</p><p>瑠璃子さんはオレもどこかの名家の人間だと思っている</p><p>昨日、街で見たカップルの会話</p><p>男すっげぇ、でっけぇマンションだな何LDKあるんだろう</p><p>女え部屋によって違うんじゃないの</p><p>男そうじゃねーえ、バーカマンション全体で何LDKあるのかって話をしているんだよっバーカ</p><p>い、意味が判らない</p><p>227．ハグの練習</p><p>瑠璃子さんも、あたしの旦那様にギュッと抱き締めていただいてはどうですか</p><p>みすずが、そんな提案をした</p><p>はいわたくしが、黒森様にですか</p><p>ハグですよ、ハグ</p><p>みすずは、そう言ってにっこりと微笑む</p><p>古来より、西洋では親愛の情を示す行為です</p><p>ここは日本ですし男性の方と抱擁するというのは</p><p>お付きの美子さんも、困惑している</p><p>あたしの旦那様ですよ瑠璃子さんの親族になられるお方ですから親愛のハグをするのは、何の問題も無いはずですわ</p><p>みすずは、論理的に攻めていく</p><p>瑠璃子さんは、香月の家の代表としてこれからは外国の方ともたくさんお会いにならないといけなくなるのですから今から、男性とのハグにも慣れておかれるべきですよ</p><p>何としてもオレと瑠璃子さんを抱き合わせたいようだ</p><p>全然平気ですよっお兄ちゃんは、怖くないですからっ</p><p>マナが、オレの胸に飛び込んで来る</p><p>しょうがないな抱き締めて、頭を撫でてやる</p><p>えへへお兄ちゃん、大好きっ</p><p>続いて、メグも</p><p>ヨシくんあたしも、もう一回</p><p>はい、メグお姉ちゃん、どうぞっ</p><p>マナが身体を離して今度は、メグと抱擁する</p><p>背中、撫でて</p><p>メグの希望に応えて、抱き締めたまま背中を擦ってやる</p><p>うんヨシくんに、こうして貰うの、好きなの</p><p>メグが、美智を見る</p><p>美智さんももう一回、して欲しいんでしょ</p><p>あ、あのできましたら</p><p>美智が、恥ずかしそうに言う</p><p>ヨシくんしてあげて</p><p>メグが美智と交代する</p><p>美智の身体は、本当に小さいな</p><p>わ、わたくしは力一杯、ギュッとされる方が好きです</p><p>美智の身体を、思い切り抱き締める</p><p>美智ははぁと大きく息を吐いた</p><p>ご主人様に抱かれていると、安心します</p><p>美智は可愛いな</p><p>戦闘中の姿は、凜としているけれど</p><p>こうして抱いている美智は、日本人形みたいに可愛らしい</p><p>黒髪に白い肌大きな眼に、整った鼻筋</p><p>美少女だよなあ</p><p>わ、わたくしか、可愛くはございませんっ</p><p>オレの腕の中で、身体をビクッと震わせて美智が言う</p><p>美智主の言葉を否定してはダメよそういう時は、ありがとうございますこれからも、ずっと可愛い女でいますから、どうぞ可愛がって下さいってお答えするものよ</p><p>美智が、顔を真っ赤にしてオレを見上げる</p><p>可愛いと言って下さって、ありがとうございますどうか、ずっとわたくしを可愛がって下さいませ</p><p>オレは、美智の髪を撫でてやる</p><p>美智は、気持ち良さそうに背筋を伸ばした</p><p>猫みたいだな</p><p>美智そろそろ交代よ</p><p>あたしも、旦那様に抱き締めて欲しいから</p><p>美智が、スッと身体を離す</p><p>みすずがオレの胸に</p><p>舞台用の綺麗な和服を着たみすず</p><p>着物からはお香の良い匂いがした</p><p>今日は、旦那様のためだけに踊りますからね</p><p>ああ、がんばれよ</p><p>みすずが、オレを抱き締める</p><p>オレも、みすずをガッと抱く</p><p>みすずの絹の衣装が、衣擦れでキュッと音を鳴らした</p><p>うふふ旦那様から、元気をいただいちゃいました</p><p>それから、瑠璃子さんを見て</p><p>いかかです、瑠璃子さんあたしたちと旦那様のハグは怖い感じは、全くしないでしょう</p><p>はい黒森様とみなさんの親愛の感情だけが伝わってまいりました</p><p>あたしの旦那様は、とってもお優しい方ですあたしや他の女性たちを敬って下さいます力尽くで無理矢理に女性の身体を抱き締めるようなことはなさいません</p><p>それはわたくしにも、よく判りましたわ黒森様は、どの方に対しても優しくご抱擁なさっていらっしゃいました</p><p>瑠璃子さんには、そう見えたらしい</p><p>オレはいつも通りに、一人ずつ抱き締めただけなんだけれど</p><p>ですからあたしの旦那様は、瑠璃子さんがハグの練習をするのには最適な方だと思いますわ</p><p>みすずが、攻め込む</p><p>瑠璃子さんも、もう15歳ですし本当に、外国の方とお会いする時には、ハグは必要になりますから</p><p>どうしましょう美子</p><p>瑠璃子さんは、３歳年上のお付きの少女に尋ねる</p><p>わたくしには、何とも</p><p>６歳の時から、ずっと瑠璃子さんと一緒に居るんだ美子さんにも、男性経験は無い</p><p>瑠璃子さんは、今までにどなたかとハグなさったことはありますか</p><p>お祖父様とはあります父とは、ありません美子とは、たまに抱き合います</p><p>瑠璃子さんが、答えた</p><p>夜、寂しくなったりした時には美子と抱き合って寝ますから</p><p>本当に香月閣下に、女の子二人だけで、隔離されて暮らしているんだ</p><p>若い男性とハグなされたことは</p><p>ありません</p><p>では、ハグの練習相手には、あたしの旦那様が最適じゃありませんか</p><p>みすずが、オレを売り込んでいく</p><p>それはそうかもしれませんけれど</p><p>困惑している、瑠璃子さん</p><p>では、まず先に美子さんが旦那様とハグしてみましょうか</p><p>みすずが、矛先を変える</p><p>わ、わたくしですか</p><p>戸惑う、美子さん</p><p>美子さんだって瑠璃子さんのお付きなんですから、これからは外国の方とお会いすることが増えますよパーティの席などで、ハグを求められる機会もあると思いますし</p><p>徹底してこの二人が男性と接触する機会を、香月閣下は断ってきた</p><p>それは、これからも変わらないだろう</p><p>しかし、瑠璃子さんたちはそれは、自分たちがまだ子供なので、大人の社交の席には呼ばれなかっただけだと思っている</p><p>もう少し成長すればパーティなどにも出席しなければならないのだろうと</p><p>みすずは、そういう瑠璃子さんたちの気持ちを知っている</p><p>みすず自身が瑠璃子さんたちと同じ立場で、男性から隔離されてきたのだから</p><p>瑠璃子さんが社交界デビューなさった後は、美子さんも一緒に公式の場に出られるのでしょう美子さんの方が大人なんですし、ハグしないわけにはいきませんよ</p><p>みすずは、美子さんから落とすつもりだ</p><p>わたくし社交界デビューなんてしたくはありません</p><p>瑠璃子さんは、言う</p><p>ずっと美子さんと二人きりの世界に居たんだ大人の世界へ出て行かなくてはいけないというのは、恐ろしいのだろう</p><p>香月の家の後継者には、そんな我が儘は許されないことは判っていますね</p><p>みすずが、瑠璃子さんを見る</p><p>暗い顔の瑠璃子さんを見て、美子さんが奮起する</p><p>判りましたわたくし、ハグを経験してみますわっ</p><p>美子さんが、緊張した面持ちでオレを見る</p><p>これも瑠璃子様のためですから</p><p>美子さんが、オレの方へやって来る</p><p>美子さんは、紫色の和服を着ている小さな歩幅でそそそと歩く</p><p>絶対に裾を乱さないこの人も、お嬢様だ</p><p>確か、１８歳だっけ</p><p>近くで見るとこの人も相当の美人だ</p><p>お、お願い致しますっ</p><p>身体を固くして震えている</p><p>オレは穏やかに、美子さんを抱き締める</p><p>美子さんが、小さく声を上げた</p><p>怖がらないで、大丈夫ですから</p><p>オレは、美子さんの耳元に囁く</p><p>美子さんの緊張は、解けない</p><p>美子さん大きく深呼吸して下さい</p><p>深呼吸ですスゥッと吸って</p><p>美子さんが、大きく息を吸う</p><p>胸が空気を吸って拡がるのをオレは感じる</p><p>はいゆっくり、吐きます</p><p>息を吐く美子さん</p><p>まだです肺の中の空気を全部吐ききって下さい</p><p>緊張しているから少ししか空気が吸えないし、全部吐き切れない</p><p>だから、深い呼吸を意識してさせる</p><p>大きく息を吸ってはい、吐いて下さい全部、吐き切って</p><p>何度か、深呼吸を繰り返すうちに</p><p>美子さんの身体が、柔らかくなっていく</p><p>身体の固さが取れていく</p><p>はいいい感じですよ</p><p>オレは背中の黒髪を撫でてやった</p><p>緊張が取れると美子さんの肉体の量感が、はっきりと伝わって来る</p><p>和服で胸を押し潰されているから、よく判らなかったけれど</p><p>この人すごい巨乳だ</p><p>お尻も大きく発達している</p><p>それでいて、腰はキュッと細い締まっている</p><p>さすが１８歳大人になる寸前の肉体だ</p><p>いやいや</p><p>邪念が湧いてくると、美子さんに伝わる</p><p>オレは美子さんの魂を優しく抱き締めることだけに集中する</p><p>初めて男に抱き締められて怯えている魂を</p><p>美子さん</p><p>美子さんの身体柔らかくて、あったかくて気持ちいいです</p><p>オレは、そっと美子さんの耳に囁く</p><p>黒森様のお身体もがっしりなさっていて、わたくしの身体をしっかりと抱き留めて下さっていらっしゃいます</p><p>いつの間にか、美子さんの身体から力が完全に抜けていた</p><p>オレに肉体を委ねきっている</p><p>男の方に抱き締めていただくってこんなに安らかな気持ちになるんですね</p><p>美子さんの言葉に、みすずが</p><p>旦那様は、とてもお上手なんですよどんな男性も、そんな風に優しく抱いて下さるわけではありません</p><p>はいそうなんでしょうね黒森様のお優しさが、わたくしに伝わって参ります</p><p>１８歳まで男性との接触を禁じられていた少女が、初めてのスキンシップにそんな感想を述べた</p><p>美子さんそろそろ、瑠璃子さんと交代なさって下さい</p><p>あはい申し訳ありません</p><p>美子さんが、慌ててオレから身体を離す</p><p>また抱いていただきたくなったら、いつでも旦那様にお願いして下さい旦那様は、いつでも抱いて下さいますから</p><p>みすずの言葉に、美子さんは</p><p>顔を赤くして、そう答えた</p><p>さあ瑠璃子さんの番ですよ</p><p>瑠璃子さんは緊張していた</p><p>わわたくしは</p><p>どうしたんです瑠璃子さん</p><p>あの、やっぱり</p><p>恥ずかしいのか、怖いのか</p><p>もじもじしている、瑠璃子さん</p><p>瑠璃子さんが来ないのならオレの方から、瑠璃子さんの方へ行く</p><p>こ、来ないでこ、怖いです</p><p>怯えている、瑠璃子さん</p><p>オレの顔を見て下さい</p><p>瑠璃子さんがえっという顔をする</p><p>１５歳の大きな瞳がオレの顔を見上げる</p><p>怖いですか</p><p>隔離されてきた中学３年生には男というだけで怖いのかもしれない</p><p>怖くないですから</p><p>オレは、言い切った</p><p>いいえ怖いです</p><p>瑠璃子さんは、震えている</p><p>怖くないですよ</p><p>みすずが近寄って来て瑠璃子さんの見ている前で、オレの頬にキスをする</p><p>ええ、怖くないわ</p><p>メグも来るオレの反対の頬にキスをした</p><p>うんっ、怖くないですからっ</p><p>マナが、オレの耳にキスをした</p><p>はいご主人様は、怖い方ではございません</p><p>美智が、オレの首にキスをする</p><p>オレの４人の女たちはそのまま、瑠璃子さんの背中に廻った</p><p>あたしたちが一緒です怖くないですからね</p><p>みすずが、瑠璃子さんの耳にそう囁く</p><p>抱きます、瑠璃子さん</p><p>オレは大きく手を広げて</p><p>怯えている小さな肉体を抱き締めた</p><p>オレが瑠璃子さんを抱き締めると</p><p>みすずたちが、さらにオレと瑠璃子さんを抱き締めてくれる</p><p>瑠璃子さん、心臓がドキドキしていますね</p><p>抱き締めた華奢な肉体から激しい鼓動が伝わって来る</p><p>は、はいわたくし</p><p>緊張している瑠璃子さんの背中を、オレはそっと撫でていく</p><p>ゾクッと震える瑠璃子さん</p><p>とっても感度が良いんだ</p><p>委ねて下さい</p><p>オレは、瑠璃子さんの耳に囁いた</p><p>委ねる</p><p>はい瑠璃子さんの心と身体を、オレに</p><p>瑠璃子さんは、怖がっている</p><p>瑠璃子さん</p><p>瑠璃子さんはオレが守ります</p><p>オレとみすずとオレの家族たちが瑠璃子さんを幸せにします</p><p>な、何をおっしゃっているんですか</p><p>瑠璃子さんには意味が判らないらしい</p><p>オレは瑠璃子さんの心臓の音に集中します瑠璃子さんは、オレの心臓の音を聞いていて下さい</p><p>黒森様の心臓の音</p><p>はいオレの胸に耳を当てて、聞いて下さい</p><p>瑠璃子さんがオレの胸に耳を当てる</p><p>ドックン、ドックンて言ってます</p><p>ええ、生きてますから</p><p>わたくし他の人の心臓の音を聞くのは、生まれて初めてです</p><p>オレは静かに、瑠璃子さんの髪を撫でる</p><p>ゆっくりと、穏やかに</p><p>少しずつ瑠璃子さんの身体の固さが、取れていく</p><p>力が抜けていく</p><p>オレ一人の力ではない</p><p>周りから瑠璃子さんとオレを抱いてくれている４人の肉体の温かさが</p><p>瑠璃子さんの緊張を緩めているんだ</p><p>瑠璃子さんの心臓の音穏やかになってきたねっ</p><p>瑠璃子さんを背中から抱く、マナがそう言った</p><p>旦那様と瑠璃子さんの鼓動が同調していますよ</p><p>みすずの言葉に瑠璃子さんが、驚く</p><p>わたくし</p><p>はい、オレたち今一つになっています</p><p>鼓動が重なる</p><p>まるで一つの動物になったみたいに</p><p>不思議な気分ですわ</p><p>瑠璃子さんが言った</p><p>わたくし黒森様をとっても親しく感じます</p><p>抱き合っているオレたち</p><p>みすず様や、他のみなさまも</p><p>みすずが、美子さんに声を掛ける</p><p>美子さんもいらっしゃい</p><p>そうよみんなで一つになりましょう</p><p>メグが、美子さんに手を差し出す</p><p>さあ、いらして下さい</p><p>美子さんもオレと瑠璃子さんを囲む中に入る</p><p>みなさん心臓の音を聞いて下さい</p><p>全員の鼓動を重ね合わせましょうあたしたち、一つになるんです</p><p>マナ、メグ、美智がみすずの指示に従う</p><p>お互いの身体に耳を押し当てて鼓動を聞く</p><p>美子さんも、真似をして参加した</p><p>マナ、ちょっと鼓動が速いわよ</p><p>メグがマナに言う</p><p>えー、どうしたらいいのかな</p><p>深呼吸なさい穏やかな気持ちになるの今、抱き合っている相手に対して愛おしい気持ちを持つんです</p><p>みすずが、マナに言った</p><p>美子さんの心音も、少し大きいと思います</p><p>美智の言葉に</p><p>す、すみません</p><p>謝らないで下さい委ねてオレたちに、心と身体を委ねて下さい</p><p>あ重なった</p><p>うん同じリズムで心臓が鳴っているわ</p><p>オレたちの鼓動がシンクロする</p><p>こんなことできるものなんですね</p><p>瑠璃子さんが、感動していた</p><p>ええ、あたしたち一つになってしまいましたですから瑠璃子さん</p><p>あなたはもう、美子さんと二人だけではありませんよ</p><p>あたしたちみんなあなたの身内ですから</p><p>一人でも邪念があったらこんな風に、鼓動が重なったりはしませんよ</p><p>確かにみすずの言う通りだ</p><p>あたしたちは、瑠璃子さんと美子さんが大好きなんですから</p><p>わたくしお祖父様に、人の言葉は信じるなと言われて参りました特に優しい言葉には気を付けろと</p><p>オレはそれまでと変わらぬリズムで、瑠璃子さんの髪を撫で続ける</p><p>ですから言葉は、よく判りませんでも、この心臓の音とこの温かさは信じます</p><p>瑠璃子さんが、オレの胸に頬を寄せる</p><p>みなさんわたくしの身内なんですね</p><p>オレはもう一度、キュッと瑠璃子さんの小さな肉体を抱き締めた</p><p>瑠璃子さんも、抱き返してくれる</p><p>みすずが、マナが、メグが、美智が美子さんが</p><p>オレと瑠璃子さんを、外側から抱き締めてくれた</p><p>どうしましょうわたくし</p><p>瑠璃子さん</p><p>黒森様に抱き締めていただくの好きになってしまったかもしれません</p><p>それなら、いつでも抱き締めてあげますよ</p><p>でも黒森様は、みすず様の恋人でいらっしゃいますし</p><p>いいのよ、瑠璃子さんあたしたち、姉妹みたいな関係じゃないですかあたしは、全然構わないから</p><p>初めての男性とのスキンシップを体験して</p><p>瑠璃子さんの心が、揺れている</p><p>みすずの瑠璃子さん誘い込み計画は、順調に進んでいる</p><p>ハグの練習は、いっぱいして下さいあたしの旦那様がいつでも、お相手しますから</p><p>よろしいんですか</p><p>その代わり、こっそりとですよ人に見られると誤解されますから練習は、旦那様とだけいいですね</p><p>ハグの次は、キスですね</p><p>え、みすずさん</p><p>ご存じないのですか西洋の方とは、挨拶でキスをしなくてはならないこともあるのですよキスの練習もしておかないと</p><p>みすずのレッスンは、どんどんエスカレートしていく</p><p>練習です大丈夫ですみすずの旦那様が、しっかりとお相手して下さいますからお手本をお見せしますね</p><p>みすずが、オレにキスしようとする</p><p>オレたちの居る楽屋のドアが、ノックされた</p><p>藤宮です</p><p>凜とした女性の声がした</p><p>ふ、藤宮さんて</p><p>そ、そうだった</p><p>谷沢チーフが、瑠璃子さんに新しい護衛の人を送ってくれるって言ってたっけ</p><p>失礼致しますっ</p><p>藤宮さんは女性だから平然と、楽屋のドアを開く</p><p>オレは瑠璃子さんと抱き合ったまま</p><p>ほかの女の子たちも、オレたちを取り囲んで抱き合っている</p><p>こんな状況</p><p>な、何て説明したらいいんだ</p><p>ガチャリとドアを開いて、部屋に入って来た長身の女性が</p><p>オレたちを見て、眼を白黒させる</p><p>何をなさっているんです</p><p>メグが、叫んだ</p><p>ファイトォォ</p><p>オレとマナとメグが、同時に叫ぶ</p><p>ファイト</p><p>オー</p><p>オッ、オーッ</p><p>そして、パッと身体を離す</p><p>途中から、みすずと美智も参加してくれた</p><p>瑠璃子さんと美子さんは、呆然としている</p><p>ほ、本番前にみんなで気合いを入れていましたっ</p><p>さすが、運動部員</p><p>メグが、藤宮さんにそう断言した</p><p>部活の掛け声と言えば</p><p>ランニングの時の</p><p>ファミコン・ウォーズが出ぇたぞぉ</p><p>こいつはすげぇ、シミュレーション</p><p>古い人間ですみません</p><p>あと、一休さんの歌を歌いながらというのもあったな</p><p>愛してるのところだけ、一人が歌います</p><p>228．撲殺剣士</p><p>藤宮麗華です瑠璃子様、みすず様の警護役に着任致しましたよろしくお願い致します</p><p>香月セキュリティ・サービスのトップ・エースの一人だという、藤宮さんは</p><p>まるで、タカラヅカの男役の様な格好をしていた</p><p>男装それも英国紳士の装い</p><p>グレーのスーツに、茶色のベストテン青いネクタイ</p><p>革靴も茶色だ</p><p>細身で長身の女性なのに男装がよく似合っている</p><p>少しも変じゃないどころか彼女の魅力をアップさせている</p><p>このスーツも高級品なんだろうオレが見ても判る</p><p>完全に彼女の身体にフィットしているオーダーメイドなんだ</p><p>髪は短髪で綺麗に撫でつけてある</p><p>物凄い美人だ</p><p>その上優雅さと気品がある</p><p>スッと背筋を伸ばした立ち振る舞いは肉体の軽やかさと、強靱さを伝える</p><p>この人は強いだろう</p><p>手には茶色の革手袋を填め</p><p>そして太めのステッキを持っていた</p><p>藤宮さんに来ていただくなんて、光栄ですわ</p><p>瑠璃子さんが、そう言って微笑んだ</p><p>すみませんちょっと面倒な賊が、潜入するかもしれないという情報がございまして</p><p>藤宮さんは、穏やかにそう言った</p><p>そうなのですか</p><p>美子さんが、心配そうな顔をする</p><p>ご安心下さいわたくしたちのチームが出動しておりますから</p><p>藤宮さんが、ニッと微笑んだ</p><p>はい藤宮さんに来ていただいたんですもの、何も心配は致しませんわ</p><p>瑠璃子さんが、そう答えた</p><p>しかし、わたくしの身体は一つですので申し訳ございませんが、瑠璃子様とみすず様は、しばらくは常に一緒に行動なさって下さいもちろん、美子さんもです</p><p>藤宮さんはみすずと瑠璃子さんには様、美子さんにはさんと、明確に差を付ける</p><p>警護対象は、あくまでみすずと瑠璃子さんであり美子さんは、ついでなのだということだろう</p><p>美子さんを利用して賊が接近して来る可能性もあります何か御用がありましたら、うちの会社の者に行かせますので、美子さんは常に瑠璃子さんのお側にお付き下さい</p><p>美子さんは、そう返事をした</p><p>それから藤宮さんは、オレたちを無視して美智を見る</p><p>あなたが、みすず様の警護役ですか</p><p>美智は、スッと頭を下げ</p><p>工藤美智と申します</p><p>藤宮さんは、美智の様子をジッと見て</p><p>うむ立ち振る舞いは良いちゃんと鍛えていることが判る品も良いし真っ直ぐに育っている</p><p>美智を見ただけで、分析する</p><p>これは、工藤氏の教育によるものではありませんねみすず様のご指導でしょう</p><p>藤宮さんは、そう結論を出した</p><p>はい美智は、あたしの警護役としてうちの学校に入学させましたなるべく、あたしの側に居るように申しつけて、一流のものに触れさせるようにしています</p><p>美智を、超お嬢様女子校に入れたのはみすずだったんだ</p><p>小さな時から一流のものに出会って、一流の人たちに混じっていなければ本当の品は身に付きませんから</p><p>みすずは、この小柄な３つ年下の武士娘を本当に愛しているんだ</p><p>工藤氏は、一流のスキルを持っているお方ですが残念ながら、気品に欠けますその欠点さえなければ、今のように裏方専門でなく、表のトップにもなれるお方ですのに</p><p>藤宮さんが、残念そうにそう言った</p><p>申し訳ございません父は裏の仕事が好きなんです</p><p>美智が、恥ずかしそうに答える</p><p>裏の仕事は、柄の悪い方々と交渉していかなければなりませんから工藤氏も、自然にそういう態度になっていかれるのでしょう長く身を置けば、それだけ立ち振る舞いに品の無い人間になっていってしまいます</p><p>ですから、美智は早い段階で工藤さんから引き離しました</p><p>技のお稽古こそは、工藤さんに付けていただきましたが日常生活の大半は、あたしに帯同させましたから</p><p>的確なご判断だと思います品というものは、毎日の生活の中でしか培われませんから</p><p>藤宮さんは、そう言った</p><p>きっと、３年後には、素晴らしい警護役に育っているでしょうね谷沢チーフの眼に適うような逸材に成長していることでしょう</p><p>いいえ、美智は香月セキュリティ・サービスには属しません</p><p>みすずは、はっきりと言った</p><p>美智は、ずっとあたし専属の護衛です</p><p>はいわたくしは、みすず様にお仕え致します</p><p>藤宮さんは</p><p>そうですか残念ですわね香月セキュリティ・サービスに属するということは、香月の家に忠誠を誓うということと同じことですが確かに、みすず様だけの家臣というのも、必要なのかもしれませんね瑠璃子様には、美子さんがいらっしゃいますし</p><p>はい、ですからみすずには美智が必要なんです</p><p>瑠璃子さんは、三つ年上の美子さんをお付きにしている</p><p>みすずは、逆に三つ年下の美智を護衛役として側に置く</p><p>何かあったら、いつでもわたくしに相談なさいあなたが、香月セキュリティ・サービスの人間でないとしても香月の家を守る後輩ですから</p><p>藤宮さんが、優しく美智に言った</p><p>もっとたくさん食べて、身体を作りなさい今のままでは、持久力が足りないでしょう</p><p>はいありがとうございますあの、藤宮様</p><p>何でしょう</p><p>一度、わたくしに稽古を付けていただけませんか</p><p>わたくしに</p><p>はい氷の剣士と呼ばれる藤宮様の技を、拝見させて下さいませ</p><p>美智が、藤宮さんに頭を下げる</p><p>わたくしはもう一つの、通り名の方が気に入っています</p><p>藤宮さんが、グッとステッキを握りしめる</p><p>一度と言わず時間のある時は、何度でも相手を致しますわなぜ、わたくしが撲殺剣士と呼ばれているのか技の全てを見せてあげるわ</p><p>撲殺剣士</p><p>まさかそのステッキで、殴り殺すのか</p><p>藤宮さんは、剣士として一流の力を持っていらっしゃるのにどうして刀剣をお使いにならないのですか</p><p>みすずが、尋ねる</p><p>今の時代の警護には刀剣類は、相応しくありません</p><p>藤宮さんは、答えた</p><p>刀で肉体を切れば、血が出ますしそうなると、複数の人間との戦闘には支障が出ます血で滑ることもありますし、刀の切れも悪くなります何度も振るっていれば、どんな名剣でも刃こぼれしますし、折れたり曲がったりします何より、刀での闘いは惨いです警護対象である、名家の方々にお見せするべきものではありません</p><p>藤宮さんは、自分のステッキを見る</p><p>ステッキとは、西洋では剣を持ち歩く代わりに使用されたのが起源ですそもそもは武器なのですしかし、現代ではステッキを持ち歩くことは、武装しているとは見なされないでしょうそこに、ステッキの利点があります見た目も優美ですし</p><p>藤宮さんがステッキの柄に、そっとキスする</p><p>このステッキは特別製で重さが３キロあります特殊な合金製で、絶対に折れたり曲がったりすることはありませんわたくしは、このステッキの打撃力が気に入っています</p><p>打撃力</p><p>賊が、防弾チョッキを着けていてもわたくしのステッキの打撃力ならば、骨折させ戦闘不能に追い込むことができます素早く、打ち払えば警護対象者に気付かれることなく、賊を倒すことさえできます</p><p>だから、撲殺剣士なのか</p><p>わたくしたちは警護人です暗殺者ならば銃器を使い、血が流れることも恐れないのでしょうがわたくしたちは、血が流れることを徹底して避けなければなりません警護対象者の方の血はもちろん、わたくしたち自身さらには、賊さえ血を流させない赤い血を、警護対象の方に見られてしまうということは、わたくしたちの仕事では恥辱を意味しますですから、わたくしは打撃に全てを掛けていますわたくしの全力の一撃で、砕けぬものはございませんから</p><p>なるほど、何事も優美にこなそうという思想が工藤父とは、根本的に違っている</p><p>工藤父は、何もかも蹴散らかしていく感じだもんな</p><p>確かに、工藤父では名家の人の警護は任せられない</p><p>ところで、藤宮さん</p><p>あなたはどうして、あたしの大切な方々にご挨拶なさらないの</p><p>藤宮さんは、オレやメグやマナには挨拶していない</p><p>というか完全に無視している</p><p>やっぱり、オレたちが黒い森だからか</p><p>藤宮さんは、当然、オレたちの素性を知っているんだろう</p><p>藤宮さんはあたしの警護役になられたんですよね</p><p>みすずが、強い眼で言う</p><p>それならあたしの大切な皆さんにも、ご挨拶なさるのが道理だと思います</p><p>失礼を致しました香月セキュリティ・サービスの藤宮麗華でございます</p><p>スッと、オレたちに頭を下げる</p><p>藤宮さんは、一流のプロの警護人だ</p><p>心の中では黒い森を蔑視していたとしても</p><p>みすずが主人の一人になった以上は、その命に従う</p><p>オレは偽名で挨拶する</p><p>どうせ、藤宮さんはオレの正体は知っているんだろう</p><p>だからここは黒い森の人間として、名乗ることにした</p><p>吉田恵美です</p><p>吉田マナです</p><p>二人も頭を下げた</p><p>山峰と白坂の名前も、この場では出せない</p><p>色々とお考えもあるとは思いますがどうか、みすずと瑠璃子さんをよろしくお願い致します</p><p>オレは、そう藤宮さんに言った</p><p>お任せ下さいませ</p><p>藤宮さんは、そう答えてくれた</p><p>コンコンとノックの音がする</p><p>美子さんが返事をする</p><p>加奈子です</p><p>加奈子さんか</p><p>瑠璃子さんの声に、ドアが開く</p><p>加奈子さんが、顔を出す</p><p>お待たせしましたみすずさんもうすぐ、みすずさんの前の方の舞台稽古が終わりますから、舞台袖にスタンバイして下さいっ</p><p>加奈子さんは、焦り気味に言った</p><p>開場時間が迫っているからだろう</p><p>判りました、ありがとうございます</p><p>ドアを閉める、加奈子さん</p><p>舞台監督の助手さんでなく、どうして加奈子さんが知らせに来て下さったのかしら</p><p>瑠璃子さんが、不思議そうに言う</p><p>気を遣って下さったのよあたしと瑠璃子さんが一緒に居て、その上藤宮さんまでいらしたんだから</p><p>香月家の後継者候補の娘二人に香月セキュリティ・サービスのトップ・エースの一人</p><p>普通の人なら、ちょっと畏れ多くて近寄りにくい</p><p>だから二人の友人である加奈子さんが、わざわざ呼びに来てくれたんだ</p><p>良い人だな加奈子さん</p><p>では、行って参ります旦那様</p><p>わたくしたちも、舞台袖へ参りましょうか美子</p><p>さっき、藤宮さんにできる限り一緒に固まっていろと言われたから</p><p>瑠璃子さんたちも、みすずと一緒に舞台袖へ行くことにしたらしい</p><p>うん、オレたちもロビーに戻るよ</p><p>オレは、みすずに微笑む</p><p>オレたちも一緒に舞台袖に行くわけにはいかない</p><p>みすずの踊りは稽古で無く、本番を楽しく見たいし</p><p>客席から応援していますみすずも瑠璃子さんも頑張って下さい</p><p>はい、ありがとうございます黒森様</p><p>瑠璃子さんが、そう言ってくれた</p><p>発表会が終わったら待っていて下さいね</p><p>もうすぐ、この劇場には香月閣下も</p><p>みすずの婚約者も来る</p><p>オレは対決しなくてはならない</p><p>判っているから</p><p>もう一度みすずを抱き締めた</p><p>旦那様大好きです</p><p>みんなが見ている前でみすずがオレに、そう言ってくれた</p><p>美智あたしと瑠璃子さんは、藤宮さんが付いて下さいますあなたは、旦那様たちをお守りして</p><p>美智が、主に答えた</p><p>メグ、マナ、美智とロビーに戻る</p><p>黒い森の一団は、ロビーのソファーを占拠していた</p><p>お帰り、コーヒー飲む</p><p>さっきまでと違い、ロビーには人が増えてきている</p><p>もうすぐ開場時間だ</p><p>受付では、紺碧流の人たちが準備を始めているし</p><p>発表会の出番の早い子たちは、ロビーで最後のお稽古をしていた</p><p>もちろん、その子たちの警護とお付きの人もいる</p><p>香月セキュリティ・サービスの制服姿の警備員も数を増やしていた</p><p>そんなロビーの中で</p><p>黒い森のみなさんは、明らかに異彩を放っていた</p><p>何が変なんだろう</p><p>マルゴさん、寧さんはそんなに変じゃない</p><p>克子姉はギリギリ、オッケーだ</p><p>ミナホ姉さんはちょっと、変かも</p><p>着ているものとかは、おかしくないんだけれど</p><p>明らかに、子供たちの日舞の発表会を観に来たという雰囲気が無い</p><p>そして雪乃</p><p>何じゃ、お前は</p><p>この黄色と黒の太い縞々のドレスは破壊力があり過ぎる</p><p>晴れの場にこれを着て来るという、趣味が判らない</p><p>というか意味が判らない</p><p>三つ編みの髪型と太い黒縁の眼鏡で、さらに強化してあるから</p><p>うん、遠くから見ると何かの宣伝キャラクターみたいに見える</p><p>それも地方の小さな食品会社とかのハチミツ製品の宣伝キャラというか</p><p>ハチミツ戦士、ユキノちゃんだなこりゃ</p><p>ホットケーキが食べたくなってきた</p><p>この一団が集合しているとものすごく目立つ</p><p>舞夏開場になったら、あんまりあたしに近付かないでよ</p><p>雪乃が、マナに言う</p><p>何でよ</p><p>舞夏と呼ばれたことで、マナは不機嫌そうに実姉に言う</p><p>あたしたちが、二人並んでいるとさ白坂の娘だって、気付かれるかもしれないじゃない今日の会は、あんたと友達だって観に来るんでしょ</p><p>雪乃そんなことを心配しているんだ</p><p>大丈夫だお前を、白坂雪乃と気付く人間はいない</p><p>父親の不祥事がテレビで報道されている時に</p><p>そんだけ面白い姿で、公の場に出てくる娘はいないぞ</p><p>もし、お前に気付いた人が居たとしても確実に、避けると思う</p><p>寧さーん、マジックペン持ってませんか</p><p>マナは、姉の言葉を無視して、寧さんに呼び掛ける</p><p>持ってないけれど、どうしたの</p><p>雪乃さんのおでこに、大きく白坂って書いておこうかと思って</p><p>相変わらず、雪乃には酷い</p><p>どうだった、みすずさんたちの方は</p><p>ミナホ姉さんも、オレの方を見た</p><p>みすずと瑠璃子さんは、藤宮さんにお任せしてきました</p><p>会ったの彼女と</p><p>はいちょうど、楽屋にいらっしゃいましたから</p><p>君はどんな印象を持った</p><p>凛としてて、格好いいですよね着ているものも一流品だって判りましたし靴もしっかりしていました</p><p>オレは、見てきた印象を一気に話す</p><p>立ち振る舞いも綺麗でしたし、言葉遣いも何より、すっごく強そうで、頼りになる感じでした</p><p>藤宮という人は、香月セキュリティ・サービスの中でもトップ・エースの一人だからね一流なんだよ</p><p>何か、香月セキュリティ・サービスって不思議ですよね工藤さんも、谷沢チーフも、山岡部長も、藤宮さんも全然、タイプが違っていて</p><p>本当に、雰囲気がみんな違う</p><p>それはそれぞれの配置されている部署が違うからさ</p><p>香月セキュリティ・サービスみたいに、要人警護を専門にやっている会社だとさ</p><p>ええっとどういうことなんだろう</p><p>吉田くん、香月セキュリティ・サービスの仕事って、どうしたら完遂だと思う</p><p>ミナホ姉さんが、オレに尋ねた</p><p>例えばある人物から依頼を受けるとするわねどうも、悪いやつに狙われているみたいだから、警護して欲しい香月セキュリティ・サービスが、その要請を受けたとしてどうすれば、仕事は完了になるのかしら</p><p>依頼した人物を守りきったら</p><p>どうしたら、守りきったって確認できるの</p><p>それは悪い人の襲撃から、その人を守って、敵を撃退するとか</p><p>残念それでは、ビジネスにならないんだよ</p><p>香月セキュリティ・サービスでは、一定期間で警護の契約をする１ヶ月間とか、３ヶ月とか、半年とかずっととかねその警護期間に、警護対象者が襲撃を受けたら、香月セキュリティ・サービスの負けだよ</p><p>襲撃されるってのは、警護対象者が危険な状態になるってことだろできることなら、誰だって襲撃なんてされたくないよね</p><p>それは確かに、そうだ</p><p>だから、警護契約をしたら香月セキュリティ・サービスでは、対象者の警護と同時に、外回りの活動をする別働隊を出すその連中が、警護対象者を襲撃する予定の人間を割り出し、徹底して駆逐する</p><p>そうよ工藤さんは、そういう担当の仕事をしているわけだよ</p><p>徹底的に調べ上げて事前に、襲撃者を排除してしまう</p><p>契約期間１ヶ月なら１ヶ月以内に、警護対象者を狙っている人間たちを全て処理するってことなんだよ</p><p>工藤さんたち裏のチームが、実は仕事の中核を果たしているわけもっとも、みんながみんな、そのことを知っているわけではないよ警護を要請してくるような人だって、知らないこともある実務は、秘書に任せている人も多いしね</p><p>襲撃も何もないまま契約期間が終了して、もう大丈夫でしょうっ報告されるのが、顧客にとっては一番なのよ</p><p>裏の部隊のことは顧客からは、見えない顧客に見えているのは、身近で自分の警護をしてくれる人だけだだから、山岡部長の総合警備部は、みんな見た目が良くて、判りやすい実績を持っている人を雇っているんだよ</p><p>体格が良くて、格闘技の段位を持っているってのが最低条件だよねそれで、何かの大会で入賞したとかってのがあれば、もっといい</p><p>警護対象者に張り付いている警護の人は見た目だけってことですか</p><p>そこまでは言わないよ訓練はちゃんと厳しくやっているし能力のある人間でないと、そもそも雇われないよただ仕事内容が違うってだけ</p><p>山岡部長たち、総合警備部の人たちには工藤さんたち裏の舞台の活動は一切教えていないのよ</p><p>裏の人間が、襲撃の可能性を事前に潰しているって知ったら実際に、顧客を警護している警備員たちから緊張感がなくなっちゃうからだから、教えないんだよ</p><p>そして谷沢チーフの率いている部隊は、別格よ最高レベルの重要人物を警護するためのカウンター・テロリズムのエリート部隊だから</p><p>確かに藤宮さんは、雰囲気からして違った</p><p>谷沢さんたちは、一流の戦闘力があってなおかつ、超一流の人たちのお相手をするための気品と教養を身に付けているんだ</p><p>でも藤宮さんは確かにそうでしたけれど、谷沢さんは</p><p>結構砕けた態度の人だったけれど</p><p>あれは、あたしが黒い森の人間だから、ああいう態度をしていたってだけのことだよ谷沢チーフは、一流の人たちと裏の人たちとで、それぞれ的確な別々の対応ができる人なんだよあたしや工藤さんに対して、あんな感じに対していたのはあくまでも、あたしたちには、気軽に話し掛けた方がいいって判断しているからだよ</p><p>そうか藤宮さんは、オレを黒い森だと知っていて無視しようとした</p><p>一流の世界の人間ならそれが当然の反応なんだ</p><p>しかし、谷沢チーフは香月セキュリティ・サービスの役員として</p><p>工藤さんたちの裏の部隊にも指示をするし</p><p>オレたちみたいな組織の人間とも交渉しないといけない</p><p>だから気安い感じで話してくれていたんだ</p><p>香月閣下や、自分のチームの人間とはちゃんと一流の世界の人間として話しているよ谷沢チーフは</p><p>なるほど大変なんだ</p><p>遅刻しそうです</p><p>229．スーパーフラット</p><p>吉田くん品格ていうのが、どんなものなのか考えたことはある</p><p>品格</p><p>何が上品で、何が下品なのか一流と二流の差はどこにあるのか</p><p>そういうのは考えたことないな</p><p>オレはそんなのとは、全然関係無い世界に生きていた</p><p>上流階級に属していても、下品な人は居るわその逆もねでは、何が人の品格を決めるのかしら</p><p>ミナホ姉さんの質問は、難しい</p><p>吉田くんピカソでも、ゴッホでもいいけれど、本物の絵を見たことはある</p><p>本物</p><p>印刷されたものとか、テレビで映されているものじゃなくて実物を自分の眼で見たことは</p><p>じゃあ、今度観に行きましょう</p><p>観に行くって</p><p>一流を越えた、超一流の芸術家の作品は本物を肉眼で見れば、どんな素人にもその凄さが伝わって来るものよ</p><p>だから、まず超一流の作品の凄さを感じてそこから、一流、二流の作品と比較していくのよ</p><p>ピカソは晩年の作品を吉田くんに見せるのは、避けた方がいいんじゃないあれは、別の闘いだから</p><p>横から、マルゴさんが口を挟む</p><p>別の闘いって</p><p>ピカソは長生きしたし、ずっと巨匠だったらね走り書きの落書きみたいのも、全部画商が回収して高値で売っちゃったんだよだからって、酷い作品では無いんだけれど審美眼を身に付けるのには、あんまり良いとは思えないから</p><p>ちゃんと初期の作品から、青の時代、ばら色の時代、キュビズムと観せていくわよ</p><p>大変だ一ヶ月くらいのヨーロッパ旅行になるんじゃない</p><p>それでも、本物を実際に観る体験は大切だから</p><p>そんなに本物を観るのって、大事なことなんだ</p><p>オレの問いに、マルゴさんが</p><p>本物を観ないと、作者が実際にどういうつもりでその作品を作ったか判らないからね</p><p>あたしの経験で言うとさ美術の教科書に、ヨーロッパの王様の騎馬像が載っていてねその馬の絵が、何かちょっと変なんだ馬にしては首が太くて頭が大きすぎてね</p><p>でその教科書を見てみると、馬の首を太く描くことで、ダイナミズムを表現しているとか、書いてあるんだそれを読んだ時は、そんなものかなあって思っていたんだけれど</p><p>マルゴさんが、ニコッと笑う</p><p>ミナホに連れられて、ロンドンのナショナル・ギャラリーへ行ったらね、その絵の実物があったんだよそしたら</p><p>この人はあんなに強いのに</p><p>美術とか音楽とかの話をする時は、本当に楽しそうだな</p><p>その騎馬像は、物凄く巨大な絵でね下から、見上げて観る絵だったんだよ</p><p>大きな絵を下から見上げる</p><p>そう下から見上げると、教科書の小さな写真では太すぎると思った馬の首が、しっくりとしているんだ遠近法のトリックなんだよ作者は、最初からその絵がどの距離のどんな角度から観られるか計算して描いているってこと大きさもねこういうのは、やっぱり実物を観ないと判らないもんだなって、あたしは感心したんだよ</p><p>写真で小さくされたのでは、判らないことだってあるのか</p><p>もう、マルちゃんそもそもさ、本物の絵と写真じゃ発色が違うでしょ</p><p>寧さんもやって来る</p><p>ヨッちゃん実物の油絵って、本当にキラキラしていて綺麗なんだよっ</p><p>そうねどれだけ印刷技術が発達しても、本物の色は再現できないかもね</p><p>ミナホ姉さんも、そう言う</p><p>それにさ本物には、画家の筆の跡がしっかり残っているんだよ本当に、人間が手で作ったっていうのがよく判るの人間てスゴイなって思うよ筆のスッとした点や線で、色んなものを表現しているんだから</p><p>寧さんも、眼をキラキラさせて話す</p><p>あたしは絵だけでなく、吉田くんを写真の展覧会に連れて行きたいな</p><p>本当の一流の写真家が撮って、焼いた写真は深みが全然違うからあれこそ、印刷だと魅力が半減するよ本物のオリジナル・プリントを観ないと価値が判らないと思うね</p><p>とにかくまずは、彼を超一流の物に触れさせましょう本物の凄さを体感させて一流、二流の差を理解するのは、その先ね</p><p>そうだね半端な物を先に観ると、眼が曇るからね</p><p>あのどうして、マルゴさんも寧さんも、そんなに美術とかに詳しいんですか</p><p>マルゴさんが笑う</p><p>そんなの決まっているだろあたしと寧は、ミナホの教育を受けたんだから</p><p>恭子さんの趣味も入っているけどねあの人も、一流のものを観て審美眼を磨けって、うるさいから</p><p>まだ会ったことはないけれど恭子さんという人も、多彩な趣味を持っているんだ</p><p>物の価値を見抜く力が身に付けば人の価値も判ってくるわ</p><p>ミナホ姉さんが、言う</p><p>例えばあなたが今着ている背広どうしてそれが高級品なんだと思う</p><p>これはマルゴさんに、布の生地がビンテージだって教えてもらいましたけれど</p><p>確かそんなことを聞いた</p><p>じゃあ、どうしてその生地がビンテージなんだと思う</p><p>それはえっと</p><p>今じゃあ、もうその生地を織る様な機械は、残っていないんだよ</p><p>今は、もっと合理的な織機を使っているからその生地はね、織るのにかなりの手間の掛かるんだよ</p><p>物の価値を知ろうと思ったら最初に、どれだけの手間が掛かっているかを想像して一流の職人さんが手間と時間を掛けて作った物は、絶対に高価だよ</p><p>次にその作品に、天才や熟練の職人でしか思い付かないアイデアが入っているのかどうかを感じてひらめきってやつだよ</p><p>あくまでも、手間と時間が掛かってるって方に重点を置きなさいひらめきに注目するのは、その後よ</p><p>ひらめきとか斬新なアイデアは、目立つけれど手間と時間を掛けて作ったものには、適わないわ何百回も、別のアイデアを試みて失敗を取り除いて、経験を積み上げて作った物なんだから</p><p>現代アートがつまんないのって、そういうことだよねパッと思いついたアイデアだけで、チャッチャと作品を発表しちゃうから時間を掛けて練り上げた重みが感じられないんだものっ</p><p>寧さんの意見はオレには、よく判らない</p><p>例えばここにボールペンが一本あるわ</p><p>ミナホ姉さんがペンを取り出す</p><p>こんな物だって製作するためには、誰かが何十枚も設計図を描いているのよ</p><p>設計図</p><p>長さは何ミリにしようかとかインクはどんな調合の物を、どれくらい入れるかとかねボールペン１本を世に出すためにだって、たくさんの図面が描かれ何本も試作されていくの</p><p>物を作るって、簡単なことじゃないんだ</p><p>そうやって製品化されて、売り出されても購買者たちから、使いやすさや見た目の美しさで、また選別されるわ受け入れられなかった物は、淘汰されるそして、どんなデザインが好まれるかというデータが残って次の製品に生かされていく</p><p>そうやって時間を掛けて、多くの人の手で洗練されていくのよそうやって作り上げられた物は、やっぱり美しいと思わない</p><p>物を見る度に想像なさい一つの物が作られるまでに、どれだけの時間と人の労力が掛かっているかを</p><p>オレは、周囲を見廻す</p><p>劇場の建物ロビーのソファ天井の照明器具カーペット受付の机椅子</p><p>みんな、誰かが時間を掛けて考えて作り上げた物だ</p><p>そう考えると人間の世界って凄いな</p><p>世の中の物は、みんなそうやって作り出されているのよまずは、そういう人間たちの努力と時間の積み重ねを感じなさい芸術家だって本来は、基本的な技術を身に付けるまでに何年も掛かるし、師匠や兄弟子と交流することで先達のトライ＆エラーを引き継いでいくんだけれどね</p><p>まあ、今は誰かの弟子とかにならなくても、簡単にデビューできる時代だし長い時間を掛けて修練しなくても、作品っぽい物を作れる環境も整っているからね</p><p>ミナホ姉さんとマルゴさんが、顔を見合わせる</p><p>確かに若い内にしか出て来ないひらめきっていうのもあるんだろうけれど技術や経験の裏打ちの無いまんま、ひらめきだけで作品を作っていってもね</p><p>そんなことばっかりしていて、結局まともな経験値を身に付けないまま、オジサンになっちゃったアーティストもいるじゃない</p><p>マルゴさんの言葉に、寧さんが吐き捨てるように言った</p><p>そんなに怒る必要は無いよそういうアーティストは、ちゃんと消えて行くから</p><p>消えてないわよエラソーにしているじゃないっ</p><p>そりゃ美術業界なんて狭い世界だからね特に日本はムラの中の理屈で、威張っている人ってのは、そりゃあいるよ</p><p>そんなの頭に来るじゃないっ</p><p>でもあたしには、そういう中身の伴わないアーティストが、死ぬまでずっと今の地位を保っているとは、とても思えないよ美術史上には、何の足跡も残さないで消えて行くだろうね１９世紀に、印象派を馬鹿にしていたアカデミーの画家たちが、現在ではすっかり忘れ去られているようにね</p><p>それはそうなんでしょうけれど</p><p>マルゴさんと寧さんの会話に、ミナホ姉さんが割り込む</p><p>寧現代アートの批判は、それぐらいにしておきなさい吉田くんが、困っちゃってるじゃない</p><p>あっ、ごめーん、ヨッちゃんには興味が無い話だよね</p><p>うんアートなんて、よく判らない</p><p>ていうか、何でみんな、こんなに詳しいんだよ</p><p>話を戻すわ吉田くん、もうすぐ開場時間になるわそうしたら、この劇場には一流の名家と呼ばれる家柄の人たちがたくさん来るわね</p><p>良い機会だから、よく観察なさいそして比較するの品格をね</p><p>さっき、ミナホ姉さんは一流の名家に属する人でも、上品な人と下品な人がいると言った</p><p>その違いが何なのか実際に観て、考える</p><p>吉田くんだけじゃなく、あなたたちもよ</p><p>ミナホ姉さんは、オレだけでなく今までジッと話を聞いていた年下組の子たちにそう言った</p><p>うん、やってみる</p><p>メグ、マナ、美智がそう答えると</p><p>ふーん、あんたって、本当に人に何かを教えるのが好きよねそれで、先生になったわけ</p><p>雪乃はそう、ミナホ姉さんを評する</p><p>ミナホ姉さんの顔が、クッと陰る</p><p>ジロッと、雪乃を睨むが</p><p>違うよミナホは、学校の先生には向いていない性格だよ</p><p>そうだよね先生は、自分の気に入った子にしか教えてあげないもんね</p><p>寧さんも、意地悪そうにミナホ姉さんを見る</p><p>気に入った子に対しては、とことん教育してくれるんだけれどさ</p><p>確かにミナホ姉さんは、クラス全員に等しく教えるっていうタイプじゃないかも</p><p>学校の先生じゃなくて家庭教師向きなんだよガヴァネスとかの方が合っているんじゃないかな</p><p>何です、ガヴァネスって</p><p>昔、イギリスの貴族の子供たちに初等教育を施した、住み込みの家庭教師のことさ</p><p>ああ、ミナホ姉さんは、そういう方が合っているかもしれない</p><p>あなたたち、覚えておきなさいね</p><p>ミナホ姉さんは、少しご立腹のようだった</p><p>克子姉が、コーヒーのカップを持って戻って来る</p><p>はい、あなたの分よ</p><p>オレはカップを受け取る</p><p>ミナホ姉さんにさもうすぐ開場だから、来客を見て品格の違いをよく観察しろって課題を出されたんだよ</p><p>オレは、そう説明した</p><p>そうねあたしとお嬢様には、苦難の時間になるわね</p><p>今日の観客の中には黒い森の顧客だった人も来る</p><p>自分の娘や孫が踊るのを楽しみにして来た名家の人たちはここで、娼館の女と会うとは思っていないだろう</p><p>無視されるか警備本部を通じて、出て行く様に言われるかもしれない</p><p>あたし３階席の隅っこの方へ行ってようかしら</p><p>克子姉は、気弱な感じでそう言った</p><p>今日の発表会は全席自由席だし満席になるほどのお客様は来ないから、３階には誰も上がって来ないと思うのよ</p><p>紺碧流の家元の会ったって、基本は子供たちの踊りの発表会だもんな</p><p>親族か友達しか観に来ないわけだし</p><p>今日の出演者の中には、加奈子さんみたいに芸能人の娘さんもいるんだから芸能マスコミや追っ掛けみたいな人が入り込まない様に、香月セキュリティ・サービスの警備員がゲートでチェックしている</p><p>克子堂々としていなさい</p><p>あなたはもう、娼婦を引退したんでしょ</p><p>一生、過去に引きずられてうつむいて暮らしていくつもり</p><p>そういう気持ちはありません</p><p>なら、平然としていなさい娼婦でないのなら、ただの女でしょう</p><p>その言葉に克子姉は</p><p>お嬢様、申し訳ございません克子が、間違っておりました</p><p>ミナホ姉さんに、スッと頭を下げる</p><p>判ればいいわ</p><p>そういうミナホ姉さんも黒い森の娼館は閉ざすつもりなんだ</p><p>だから平然と、公の場に立とうとしている</p><p>この劇場ロビーは二人の戦場になる</p><p>マナちゃんは、あたしとメグちゃんの側に居てねっ</p><p>寧さんが、不安そうなマナに言った</p><p>大丈夫よマナちゃんも、メグちゃんもお洒落しているし二人が並んだら、姉妹にしか見えないから</p><p>うんあたしが警護役で、寧がお付き、美智さんがお友達にしか見えないよ</p><p>確かに、マルゴさんと寧さんは二人とも使用人ぽい、黒のスーツで揃っているし</p><p>美智はみすずと同じ超お嬢様校の制服姿で、身分保証されている</p><p>さぁって、黒子ちゃんはもう一つアイテムを増やしてみようかっ</p><p>そう言って寧さんは、バッグから黒い物を取り出した</p><p>それはカチューシャだった</p><p>丸くて黒い円盤が二つくっ付いたカチューシャ</p><p>これってネズミの国の遊園地で売っているやつですよね</p><p>はいはーい、黒子ちゃんはこれを付けてっ</p><p>びったり真ん中分けの三つ編み頭に、地味メイクに、ぶっ太い黒眼鏡</p><p>黄色と黒の大きな縞々のワンピース</p><p>これにネズミ耳のカチューシャが付いて</p><p>うん完璧だ</p><p>雪乃は完璧に場違いな少女になっている</p><p>場違いというか間違いというか</p><p>どこの世界の住人なんだお前</p><p>どうあたしの正体、バレないわよね</p><p>雪乃が、オレに尋ねた</p><p>雪乃は黒い森のみんなが苦手だから、オレに話し掛けるしかない</p><p>実の妹に話し掛けても、酷い対応をされることは判ったようだし</p><p>うんまあ、誰も雪乃だとは思わないよ</p><p>正直にそう答える</p><p>ならいいわどんな格好でもあたし</p><p>投げやりな感じで、雪乃はそう言った</p><p>あとさ、眼鏡もつけっ鼻にヒゲの生えているのがあるんだけれど</p><p>寧さんが、バッグから鼻ヒゲ黒眼鏡を取り出すが</p><p>そんなの嫌よあたし、イロモノじゃないんだからっ</p><p>雪乃はそう怒り出す</p><p>いやすでに充分、イロモノだろう</p><p>イロモノでなければ、何なんだ</p><p>まもなく開場しまーす出演者は、楽屋に戻って下さぁい</p><p>紺碧流の受付の女性が、大きな声で叫ぶ</p><p>はい、急いで下さぁいお客様、外でお待ちでーす</p><p>すでに劇場前に客が来ているのか</p><p>ロビーで最後の練習をしていた子たちが、急いで楽屋に戻って行く</p><p>それらの子のお付きと護衛役も</p><p>子供の衣装を持ったり、練習に使っていた音響器具を抱えて、ロビーを出る</p><p>舞台の方からは、黒衣の格好をした人が顔を出す</p><p>劇場内、オッケーです緞帳も下りてます</p><p>楽屋の方からも、女性が走って来る</p><p>出演者、全員楽屋に入りました</p><p>受付のチーフらしい人が宣言する</p><p>それでは開場します</p><p>劇場の正面の扉が開かれる</p><p>すぐに３０人くらいの人が、ワッと入場して来た</p><p>受付の人たちも紺碧流のお弟子さんたちなんだろう</p><p>一斉に、大きな声で来客に挨拶する</p><p>いらっしゃいませチケットを拝見致しますっ</p><p>花束を抱えた観客</p><p>踊りの会ということで、華やかな和服で来場した婦人</p><p>みすずや美智と同じ制服の女学生たちもいる</p><p>ロビーが一気に華やかになる</p><p>受付でこっちに向かって、手を振っている二人は</p><p>やんわりとした穏やかな笑顔で、ニコニコ微笑んでいる美女</p><p>そして、天使みたいに可愛い幼女</p><p>このコンビは</p><p>渚と真緒ちゃん</p><p>ちょっと、待ってねぇ</p><p>待っててぇぇ</p><p>二人は受付を済ませると</p><p>パタパタとオレに向かって、走って来る</p><p>渚が、オレに抱きつく</p><p>真緒ちゃんが、オレの足にしがみついた</p><p>えへへ来ちゃった</p><p>真緒も来ちゃった</p><p>親娘二人して、オレにニッと微笑む</p><p>大丈夫だったか</p><p>昨日から全然、連絡が取れていなかったから</p><p>うん今のところはね</p><p>渚は、言った</p><p>今日はもう、お店は閉めてきちゃったお店の子も全員帰らせたわ</p><p>うんっそれで真緒とママも吉田くんのとこに来たのっ</p><p>こうなったら全員一緒に居る方が、安全でしょ</p><p>安全だよねぇっ</p><p>渚と真緒ちゃんが、微笑む</p><p>あたしと一緒じゃなければ悪い人だって、お店の子を浚ったりはしないでしょうし</p><p>確かにシザーリオ・ヴァイオラの兵力には限りがある</p><p>オレたちの動きを制するために渚や真緒ちゃんを人質にすることはあるだろうが</p><p>オレたちが全員、この場に集合している今</p><p>さらに、渚のお店の子たちまで付け狙っている余裕は無いだろう</p><p>そんなことで戦力を分散するくらいなら、全力で一気にオレたちを攻めた方が良い</p><p>ミナホさんからはねあなたの映像は、ずっと送って貰っていたのよ</p><p>渚は言った</p><p>だから全部知っているわよ学校内でのエッチとか</p><p>まさか雪乃の全校放送レイプとか</p><p>うふふっ知ってるよーんっ</p><p>真緒ちゃんが、笑う</p><p>あたしも後でレイプしてねっ</p><p>渚が、可愛くオレに言う</p><p>ビデオも撮ろうっうん、それがいいわっ</p><p>それがいいですっ</p><p>このハイテンション親娘は</p><p>でも、渚たちが合流してくれて安心だ</p><p>ホッとする</p><p>ところでこの女芸人さんは何</p><p>渚が、雪乃を見て言った</p><p>きゃはは、面白ーいっ</p><p>真緒ちゃんも笑う</p><p>芸人じゃありませんっ黃縞黒子ですっ</p><p>雪乃がムッとして叫ぶが</p><p>黒子ちゃん黒子ちゃん黒子ちゃん面白ーいっ</p><p>すっかり、真緒ちゃんの玩具になっている</p><p>今日も、遅刻ギリです</p><p>230．渚にまつわるエトセトラ</p><p>恵美ちゃんとマナちゃんは、１日ぶりね真緒、ご挨拶なさい</p><p>母の言葉に、３歳の真緒ちゃんがお辞儀する</p><p>こんにちわっ真緒ですっ</p><p>な、何だこの可愛い生き物は</p><p>こんにちわ、真緒ちゃん</p><p>メグが、挨拶する</p><p>それから、マナに</p><p>あたしとは前にも会っているけれど、マナとは初めてよね</p><p>メグがマナちゃんに微笑み掛ける</p><p>うんこんにちわ、真緒ちゃんあたし、マナですっ</p><p>マナが腰を屈めて、真緒ちゃんと視線を合わせて挨拶した</p><p>お姉さん、マナさんあたしは、真緒だよっ</p><p>そうねちょっとだけ違ってるわよね</p><p>渚が娘に、にっこり微笑む</p><p>真緒とマナマナマオ</p><p>真緒が、クククっと微笑んだ</p><p>それから、あなたは初めてよね</p><p>渚が美智を見る</p><p>わたくしはお名前とお姿は、存じ上げております</p><p>事前の徹底調査を怠らない工藤父のことだ</p><p>ファイルの中に、渚の資料もあったんだろう</p><p>工藤美智でございますこの度ご主人様の下僕の末席に加えていただきました</p><p>スッと頭を下げる、美智</p><p>あら、そうなの</p><p>渚が、オレを見る</p><p>うん美智はみすずの警護役なんだけれどオレとみすずの二人を、主にすることにしたんだって</p><p>何かイマイチ、説明しづらいな</p><p>まあいいわ妹はたくさん居る方が楽しいしあなたが受け入れた子なら問題は無いでしょうしね姉妹会に歓迎するわ</p><p>そっだった渚も姉妹会の結成メンバーだ</p><p>こんにちわっ、真緒です</p><p>真緒ちゃんが、ニコニコと美智にご挨拶する</p><p>美智ですよろしくお願い致します</p><p>武士娘は、幼女にも礼儀正しく頭を下げる</p><p>ご主人様この幼な子も、ご主人様の</p><p>おい美智</p><p>真緒ちゃんは、まだ３歳だぞ</p><p>いずれは、そのつもりよ１０年位したら、彼に愛して貰うつもり</p><p>ちょっと渚</p><p>だから、美智ちゃんも真緒の情操教育を、手伝ってちょうだいねっ</p><p>いやいや美智に情操教育なんて、されたら</p><p>武闘派になっちゃうよ、真緒ちゃんが</p><p>ところで、御名穂さん</p><p>渚が、話し掛ける</p><p>こんな隅っこに居てはダメですよ</p><p>穏やかに笑う渚</p><p>今、この会場内には昔からのお客様が、たくさん居らしていますわ皆さんに、ちゃんとご挨拶しませんと</p><p>あの渚</p><p>確かに、黒い森の顧客が来ていることは知っているけれど</p><p>みんな、奥さんや家族と一緒の場所で娼館の人間に会うのは嫌だろうし</p><p>だから、こんなロビーの隅っこにオレたちは固まっているわけで</p><p>こういう時こそ人様との縁は大切にしないといけないと思うんです</p><p>渚はほんわかとした口調で、そう言った</p><p>あたしと真緒が先にご挨拶しますから御名穂さんと克子は、呼んだらすぐに来て下さいね</p><p>渚</p><p>驚くミナホ姉さんを残して、渚は真緒ちゃんに</p><p>行くわよっ真緒っ</p><p>はーい、ママっ</p><p>今、入り口から入って来た背広のお爺さんあの人から、行くわよっ</p><p>うんっロック・オンだねっ</p><p>そして美人ママと天使の娘が、突撃するっ</p><p>まぁぁ、ヤマシロさん、お久しぶりですぅぅ</p><p>にっこり、やんわり声を掛ける、渚</p><p>き、君は</p><p>奥さんらしい女性と秘書を連れた老人が、驚いた表情を見せる</p><p>片貝ですわ、ご無沙汰しておりますこの子は、あたしの娘の真緒、ご挨拶なさい</p><p>こんにちわっ片貝真緒ですっ３歳ですっにひひひっ</p><p>真緒ちゃんが、微笑む</p><p>あなた、どちらの方</p><p>奥さんが、不審な顔で渚を見る</p><p>渚は平然と、にこにこ笑って</p><p>あたくし、以前、黒森興業の秘書室におりまして会社員時代には、ヤマシロ会長にとってもお世話になりましたこの子が生まれて退職致しましてからは、すっかり子育てが忙しくなりまして会長とお会いするのも、３年４年ぶりですわねっ懐かしいですわっ</p><p>渚は、ハイテンションで押し切るッ</p><p>う、うんまあ、そういうことなんだよ</p><p>老人も、とりあえず話を合わせてくれた</p><p>とってもお元気そうで何よりですわ今日は、お孫様の康江さんがご出演なさるんですよね</p><p>娼婦時代からもう、何年も経っているというのに</p><p>渚は、顧客たちの情報を完全に記憶しているようだった</p><p>そうだが君は、どうしてここへ</p><p>老人は、まだ戸惑っている</p><p>今日のセレブの子供たちの日舞発表会に、引退した娼婦が現れるのは変に感じるのだろう</p><p>あたしは香月みすずさんのご招待で参りましたわ</p><p>渚は、スッと勝負のカードを切る</p><p>香月さんの</p><p>はいあたし、みすずさんとは、お花の師匠が同じなんです</p><p>渚は、わざと大きな声で言った</p><p>すでに、渚と真緒ちゃんの突撃は周囲の人たちに注目されている</p><p>特にそわそわしている何人かの男たちは、みんなかつて黒い森に来館したことのある人たちなんだろう</p><p>あたし、退職した後に独立しまして今は、お花屋さんを経営しているんです会社の設立の時には、香月さんに大変助けていただきましたわ</p><p>自分と香月閣下の関係を強くアピールする</p><p>それで奥さんの旦那さんへの疑惑が消える</p><p>渚を香月閣下の愛人の一人だと認識したのだろう</p><p>そう思い込めば自分の夫とは関係していないと信じ込む</p><p>まさか渚が娼婦だったとは、想像しない</p><p>あら香月さんのお知り合いでしたの</p><p>奥さんの態度が一転する</p><p>お前ちょっと、この人と香月さんのことで話があるから</p><p>老人は妻にそう言った</p><p>判りましたあたしは先に席に行ってますから失礼致します</p><p>老妻は、秘書と共に先に劇場内へと向かう</p><p>本当勇気がある子なのよね</p><p>克子姉が、渚を見てそう呟いた</p><p>あたしと渚高校１年で白坂創介に拉致されたでしょ</p><p>それは渚と克子姉の暗い過去だ</p><p>あたしは弱い人間だから渚みたいな、強い子が一緒じゃなかったら精神的におかしくなっていたと思うわあの子の勇気と明るさにいつも、あたしは助けられていたのよ</p><p>渚には適わないわあたし、ずっと思っていたの渚みたいな人になりたいって</p><p>克子姉が、寂しそうに微笑む</p><p>あの子はあの穏やかさと優しさで、あっという間にお屋敷の女の稼ぎ頭になったわあの子は、本当に誰からも愛される女だったわ</p><p>渚が、老人をキープしたままどんどん周りの男たちに声を掛ける</p><p>お久しぶりですっウメミヤ様っ</p><p>こんにちわっ、真緒ですっ</p><p>まあ、ヤスオカ先生っあたしです、渚ですっ</p><p>初めましてっ真緒ですっ</p><p>綺麗なママと幼児の声掛けに</p><p>どんどん、年輩の男性たちが集まって来る</p><p>邪念の全く無いたおやかな渚の微笑と</p><p>天真爛漫な真緒ちゃんの笑顔に</p><p>昔の顧客たちが、吸い寄せられていく</p><p>あの子の実働期間は１年しか無かったのにね</p><p>克子姉が、言った</p><p>なのに今でも、あれだけの名士の方々があの子の側に集まってくるのね</p><p>正直、スゴイと思う</p><p>気が付くと、渚の周りには15人以上の中高年の紳士たちが集まっていた</p><p>ここまで増えるともう、紳士たちの連れは、渚が元娼婦だとは思わないだろう</p><p>こんな公の場で、名士ばかりが一組の母娘を囲んでいるんだ</p><p>どこかの名家の力のある婦人だと勘違いする</p><p>あの子が、白坂創介に追放された後あたしは、渚の代わりになれるように一生懸命頑張ったけれどダメだったわお屋敷の稼ぎ頭の１位にはなれたけれど渚みたいに、お客様の全てから愛される様な女にはなれなかったわ</p><p>そんなの、もういいじゃないか、克子姉</p><p>克子姉にも渚にも、もうオレが居るだろ他の男のことなんか、どうでもいいんだよ</p><p>克子姉が、オレにニコッと微笑む</p><p>あなただけ居てくれればいいわあなたが、あたしたちを心の底から愛してくれるんだもの</p><p>オレは克子姉も渚も好きだよ同じくらい好きだ</p><p>ありがとうあなた</p><p>その時渚が、こっちに振り向いた</p><p>御名穂さん、克子こっちへいらっしゃい早く皆さんにご挨拶してっ</p><p>この段階で渚は、ミナホ姉さんたちを呼ぶ</p><p>やってくれるわね、渚</p><p>ミナホ姉さんが呟いた</p><p>お嬢様参りましょう</p><p>そうね渚の好意を無にすることはできないわ</p><p>ミナホ姉さんと克子姉が渚を囲む群れへと向かう</p><p>警護役として、マルゴさんも後ろから追う</p><p>ヨッちゃんこっち、こっち</p><p>寧さんが、オレを呼んだ</p><p>オレにイヤホンを差し出す</p><p>マルちゃんが、集音マイクを隠しているから</p><p>寧さんは、自分もイヤホンを填めた</p><p>オレも慌ててイヤホンをした</p><p>渚を囲む群れでの会話を盗聴する</p><p>ご無沙汰致しております皆様</p><p>これはミナホ姉さんの声だ</p><p>君たち、こんなところに居てもいいのかね</p><p>男の声がする</p><p>君たちの組織は今、とても大変なことになっていると思うんだが</p><p>昨夜から白坂創介にまつわる醜聞が、激しく報道されている</p><p>白坂創介は、かつて、わたくしたちの組織のメンバーでしたが今は、違いますわたくしたちは、白坂創介を追放致しました</p><p>信じられないね</p><p>うむ彼は君たちの組織の代表者だったんじゃないのか</p><p>いいえ、白坂創介は共同運営者の一人でしたが代表ではありません</p><p>しかし我々にとっては、君たちと白坂創介氏は同じ組織の人間であって</p><p>顧客たちは黒い森と白坂創介の関係を知っている</p><p>簡単に誤魔化すことはできない</p><p>ではなぜ、これまで報道された白坂創介の醜聞に、わたしたちの存在が一切語られていないと思われますか</p><p>白坂創介の犯した犯罪については、次々にネット上でもマスコミでも情報が流れている</p><p>しかし黒い森という組織については、その名前さえ語られていない</p><p>もしかして香月氏のご意志かね</p><p>一人の紳士が尋ねた</p><p>はいご存じの様に、昨年の秋よりわたくしたちの組織は運営を停止しております以後は、香月様に組織全体をお預けしております</p><p>ということは今回の白坂創介氏の醜聞は</p><p>香月様の狙いは白坂創介本人ではなく、ご実家の方にあるんでは無いでしょうか</p><p>ミナホ姉さんが、ブラフをぶち上げる</p><p>白坂家を</p><p>白坂家の新聞社とテレビ局を狙っているというのかね</p><p>驚く、紳士たち</p><p>白坂家のご当主白坂守次氏の世間への影響力が無くなるだけでも、香月様にとってご都合の良い状況になると思いますが</p><p>ミナホ姉さんの一言に紳士たちは息を呑む</p><p>白坂守次氏を潰すのが狙いか</p><p>確かに、守次氏は香月さんに対しては友好的では無いしな</p><p>いや、やはり新聞社とテレビ局を手に入れようとなさっているんじゃないか</p><p>実際、昨日の記者会見での失態でグループ内でも、白坂守次氏の求心力は低下していると聞いている</p><p>反・守次氏のグループが、クーデターを画策しているという噂もあるぞ</p><p>いずれにせよ、あそこの新聞社は酷いことになるだろう</p><p>紳士たちが、口々に語る</p><p>やはり企業経営者たちが多いのだろう</p><p>とにかくこれは、全て香月さんが関わっていることなんだな</p><p>紳士の一人が、ミナホ姉さんに強く詰問する</p><p>もちろんですわわたくしや克子のような、若い女たちに大それたことは思い付きませんし、実行する力もございません</p><p>ミナホ姉さんは、平然と大嘘を吐く</p><p>あの私が聞いた話なんですがね</p><p>一人の紳士が、口を開いた</p><p>白坂創介が君たちの組織の顧客名簿を、暴力団に売り飛ばそうとしてそれで、香月様に処罰されたというのは</p><p>事実でございますわ</p><p>ミナホ姉さんは、はっきりと言った</p><p>白坂創介は、皆様のお名前とその他の資料を、裏社会の人間に売ろうと致しましたですので香月様の組織のお力を借りて、処分致しました徹底的に、社会から抹殺せよというのも、香月様のご命令です</p><p>ミナホ姉さんは、徹底して自分たち黒い森をか弱い女たちの集団だとイメージさせる作戦らしい</p><p>何もかも、香月閣下の力で行われたことにして香月家の威光の影に、隠れようという考えなんだ</p><p>待ってくれそれで、その名簿とか資料は今どうなっているんだ</p><p>最終的には白坂創介の手には渡っておりませんので、どうぞご安心下さい組織内にあった資料は、わたくしたちが保管しております白坂創介が隠し持っていたと思われる物に関しましては、昨日、屋敷ごと燃やしました</p><p>すると昨夜ニュースでやっていた、白坂創介の隠れ家が全焼したというのは</p><p>はい香月様の裏の部隊の方たちに、やっていただきました</p><p>ミナホ姉さんも現場まで行って、資料に火を付けたじゃないか</p><p>では私たちは心配しないでもいいんだろうね</p><p>はい、現時点では何も問題はございません今までマスコミにリークされた中に、わたくしどもやお客様の情報が一切流れていないのは、香月様のお力です</p><p>そのミナホ姉さんの声に、何人かの紳士がホッとする</p><p>本当に、もう大丈夫なんだろうね</p><p>そのことに関しましては白坂家、特に白坂守次氏がご健在の内は何とも申し上げられません窮鼠猫を噛むの例えではございませんが追い詰められたあのお方が、どのようなことをなさるかは判りませんし</p><p>ミナホ姉さんは、わざと煽る様なことを言った</p><p>判った私は中間派を気取っていたが、香月さんに付くことにするよ</p><p>うむ白坂守次氏から、新聞とテレビを奪わないと安心はできないということだな</p><p>わたしの方でも動いてみようあそこの新聞社の株なら、そこそこ持っているからね</p><p>株を持っているのなら、急いで処分した方がいいぞこれからドンと値下がりするだろうから</p><p>値下がりしたところで香月さんが買い漁るんだろう</p><p>そうか、それなら持ったままの方がいいな</p><p>塩漬けにされるのがオチだぞ</p><p>うむ、香月さんのことだテレビ局はともかく、新聞社の方は潰すつもりかもしれん</p><p>ああ、あの方は日本の新聞社は数を減らした方がいいというご意見だものな</p><p>紳士たちの会話が活発になる</p><p>とりあえず黒い森への疑念は消えたようだ</p><p>ところで黒森くん</p><p>一人の老紳士が態度を変えて、言った</p><p>君のところはいつ、再開するんだね</p><p>私たちの様な身分になると君のところみたいに、全ての秘密を守って遊べる場所が必要なんださっきの話で、白坂創介の暴挙に対して、君が香月さんの力に縋って私たちの個人情報を死守してくれたことはよく判った感謝する</p><p>ああ昔から、白坂は信用できない男だったが黒森くんのことは信頼しておるよ</p><p>君は、お祖父さんによく似ているなあの老人も、信用のためならどんな犠牲も惜しまない人だった</p><p>ミナホ姉さんの祖父黒森公之助</p><p>オレが、今、借りて着ている背広の持ち主</p><p>名前も借りている</p><p>申し訳ございませんが今は、まだ何とも</p><p>口籠もる、ミナホ姉さん</p><p>そうか、それも香月さんのお考え次第なんだね</p><p>なら、私から香月さんにお話ししよう</p><p>僕もお話しますよ</p><p>何なら、全員で嘆願署名しますか</p><p>いいですな香月さんは、そういうのがお好きでしょう</p><p>いずれにせよ、白坂創介という不埒者が居なくなったんだこれで、昔の様な私たちが安心して楽しめる場所を取り戻すことができる</p><p>渚が、声を掛けた紳士たちがみんな年輩なのは</p><p>この人たちは、昔の黒森楼時代からの古い顧客なんだ</p><p>そしておそらく黒い森にとっては、一番大切な上客たち</p><p>そうなったらわたしはまた、克子くんにお相手して欲しいね</p><p>一人の老人が、笑ってそう言う</p><p>うん私もお願いしたい</p><p>私もです</p><p>その声に克子姉は</p><p>申し訳ございません克子は引退致します</p><p>何故だね</p><p>克子姉は一同を見渡して</p><p>ここにいらっしゃる方たちは、皆様本当に素晴らしいお客様でしたから申し上げますがあたしと渚は、白坂創介に拉致され娼婦に堕とされました</p><p>黙り込む紳士たち</p><p>家族から無理矢理引き離され学校へも行かせて貰えず、暴力と脅迫を受け、何度もレイプされ娼婦として働かされていました</p><p>知らなかったよ</p><p>ああ、私たちは君たちは、てっきり自分の意志で娼婦になったものだと</p><p>ミナホ姉さんが、口を開く</p><p>祖父が運営していました頃はそのようにしていました田舎から、親の借金のある美しい娘を連れてきて本人の意志を確認した上で、店に出していましたしかし白坂創介が運営に携わってからは、全てがメチャクチャで娼婦へはきちんとした報酬の支払いさえ行われていませんでした</p><p>それじゃあ、奴隷じゃないか</p><p>はいわたくしもかつては娼婦だったことを、どなたかご存じですか</p><p>ミナホ姉さんの問いに、数人の老紳士が</p><p>私は知っているよ</p><p>うん、わしもだ</p><p>私は、その頃は君たちの組織とは疎遠だったから</p><p>白坂が運営に入ってメチャクチャになった娼館を嫌った人も多かったんだっけ</p><p>ミナホ姉さんが運営者になってから、昔の顧客を何人も呼び戻したっていう話だからこの人は、また戻って来てくれた人なんだろう</p><p>私も拉致された一人です優花姉さんたちが、白坂の悪行に対して香月様に抗議なさって下さってわたくしが運営者に加わり、香月様の監査役も来て下さいましたそれで随分と改善したのですが</p><p>香月閣下の監査役が恭子・ドスノメッキーさんだ</p><p>あたしお嬢様と渚がいなかったら、発狂していたと思いますわ</p><p>あたしこそ克子が居てくれなかったら、自殺していたわよっ</p><p>渚が、叫ぶ</p><p>あたしなんて気が弱いからすぐにヘラヘラしちゃうし、無理にでもニコニコしちゃうでしょでも、克子は強いから克子がどっしり構えていてくれたから、あたしは絶望しないで我慢できたのよ</p><p>何言っているのよ渚の方が強いわよあたしはただ、腰が引けて怖くてぶるぶる震えていただけよ渚がいつもあいつらがどんなに酷いことをしてきたって、ニコニコ笑ってくれていたから自分から率先して、あたしを守ってくれたからだから、あたし</p><p>あたしは、そんなに強くないわよっ全部、克子のおかげなんだからっ!</p><p>違うわよっ渚がいなければ、あたしは死んでいたわよっ</p><p>そこへ真緒ちゃんが割り込む</p><p>ケンカしなーいっうーっ</p><p>メッと二人を叱る真緒ちゃん</p><p>真緒ちゃん</p><p>ママも克子ちゃんも、仲良くぅ仲良しでしょ二人はっ</p><p>渚と克子姉が顔を見合わす</p><p>うん、克子</p><p>ええ、渚</p><p>キュッと抱き締め合う二人</p><p>あの頃もよく、こうして二人で抱き合ったわね</p><p>ええそうやって、恐ろしい夜を耐えたのよね</p><p>真緒ちゃんが、ニヒッと笑う</p><p>これにて、一件落着っうひひひっ</p><p>一人の老紳士が、真緒ちゃんを見る</p><p>渚くんこの子の父親は</p><p>はい誰かは判りません</p><p>調べるつもりはないのかね</p><p>ええDNA鑑定とか、方法はあるのでしょうがそういうことは致しません</p><p>この子にはこの子の父親になってもいいと、心の底から思ってくれる男性を父と呼ばせようと思っていますわ生物学上の父親なんて、意味がありませんから</p><p>白坂創介は渚に、父親不明の娘を産ませた</p><p>その時に渚を犯した男たちを調べても意味が無い</p><p>白坂の猟奇的な企画に乗って、渚を犯した男なんてロクな人間なはずはない</p><p>判った渚くんも克子くんも、何かあったら私に相談してくれたまえ決して、悪いようにはしない</p><p>いや、タツナミさんだけに良い顔はさせませんよ僕もできる限りの助力はする</p><p>私だって協力するよできることなら、何でもする</p><p>私もです妻にバレない限りは</p><p>紳士たちの中に笑いが起きた</p><p>確かに家の者に知られるのはマズい</p><p>だが、まっとうなことだったら幾らでも援助は惜しまないよ</p><p>黒森さん、あんたの方もだよ</p><p>ああ私たちは、あの屋敷には相当世話になったからね</p><p>オレは渚の凄さを改めて知る</p><p>渚はかつての自分の顧客の中でも、まともな感覚の人たちを選んだんだ</p><p>今後の自分と黒い森に助力してくれる人間を</p><p>オレたちは、また強い味方を得た</p><p>土曜日です</p><p>231．晴れ着の価値</p><p>お兄ちゃん、ちょっと</p><p>寧さんと盗聴マイクの音声を聞いていたオレの肩を、マナがちょんちょんと突っつく</p><p>んどうしたんだ</p><p>メグお姉ちゃんの様子が変なの</p><p>慌ててメグを見ると、何か落ち込んでいる</p><p>ソファに座って、頭を抱えて小さく丸まっていた</p><p>寧さんごめん</p><p>オレは寧さんにイヤホンを返してメグの元へ</p><p>メグの前にしゃがんで、視線を合わした</p><p>手を握ると酷く、冷たい</p><p>メグは、緊張している</p><p>ごめんねちょっと、怖くなっちゃって</p><p>暗い顔でそれでも無理に微笑もうとしながら、メグがオレを見る</p><p>シザーリオ・ヴァイオラのことか</p><p>白いヴァイオラたちが劇場内に潜入して来たことが、恐ろしくなったんだろうか</p><p>そうじゃないわ今の状況が</p><p>メグはロビーを見渡す</p><p>正面の入り口から次々と来場してくる今夜の観客たち</p><p>今、ミナホ姉さんたちが話をしているような老人ばかりでは無い</p><p>もちろん出演者の友達である、若い女の子たちも多い</p><p>そのお母さんやお祖母さんたちも</p><p>あたしここに居て、いいのかしら</p><p>ロビーに居る人たちの大部分は、お金持ちのセレブの家族だ</p><p>残りは、その警護役やお付きの人</p><p>紺碧流の事務局員と香月セキュリティ・サービスの警備員</p><p>そしてオレたち</p><p>よくよく考えてみれば貧しい生活をしてきた子供は、オレとメグしかいないんじゃないだろうか</p><p>雪乃とマナは、白坂家の一族だし</p><p>何か急に、怖くなってきちゃったの</p><p>メグの言葉にオレも改めて、会場を見渡す</p><p>うんオレもメチャクチャ、場違いな人間だ</p><p>こんなお金持ちばかりの世界に居るのはおかしい</p><p>ここはオレとは無縁なはずの世界だ</p><p>そう気付くと急にゾゾゾと怖くなってきた</p><p>あたし、せっかくヨシくんに可愛いドレスを買って貰ったけれど他の子みたいに綺麗に着こなせてないよね</p><p>メグが、泣きそうな眼でオレを見る</p><p>メグは、白坂家の集まりでも、ずっと晴れ着を着せて貰えなかった</p><p>いつも、一人だけ学校の制服姿で部屋の隅に追いやられていた</p><p>山峰の家の娘として、差別されていた</p><p>メグには晴れ着に対する根深いコンプレックスがある</p><p>あたし可愛くないからドレスなんて着ても似合わないし</p><p>お前って、やつは</p><p>いい加減にしろ、メグオレと二人で選んで買ったドレスだろ</p><p>オレは少し強い口調で、メグに言った</p><p>オレも少し緊張していた</p><p>似合ってるよ似合ってるに、決まってるだろ</p><p>オレは、メグをギュッと抱き締める</p><p>ヨシくん恥ずかしいよ</p><p>恥ずかしくない愛し合っているんだから、オレたち</p><p>オレの腕の中でメグの身体の固さが取れていく</p><p>少女の肉体が、柔らかく解れていく</p><p>まるでオレの体温で溶けていくように</p><p>メグも、オレを抱き締める</p><p>少しは、落ち着いたか</p><p>オレは身体を離す</p><p>真っ直ぐに、メグを見る</p><p>オレはメグが可愛いと思う綺麗だと思うだから、いいんだよこれでメグは、ここに居てもいいんだ</p><p>大丈夫だよメグに文句を言うやつは、みんなオレがブン殴ってやるから今、この開場の中に居る誰にだって、オレは胸を張って言ってやるよオレのメグは可愛いって</p><p>メグの瞳が潤む</p><p>そのドレスミナホ姉さんが、オレに買わせた理由がよく判るよそれは、オレが身体を張って働いたことに対してミナホ姉さんがくれた報酬で買ったんだオレの支払える金額のドレスを買ったんだ</p><p>今、ここに居る女の子は、もっと高級なドレスを着ているのかもしれないけれどそんなのは関係ない</p><p>もしももっと高級品のドレスをメグが今、着ていたら多分、ミナホ姉さんは、メグのために高級ドレスを用意することなんて簡単にできたと思うんだ</p><p>なのにわざわざ、オレとメグにドレスを買いに行かせた</p><p>所持金の金額を定めて</p><p>だけど今、この場でそんな借り物の高級ドレスを着ていたとしたら、メグはどう思う</p><p>多分、もっと恥ずかしい思いをしていたと思うわドレスの値段に自分が合っていないことが耐えられなかったと思うの</p><p>今着ているドレスについては、どう思う</p><p>オレの問いにメグは自分のドレスを触る</p><p>これだって本当はあたしみたいな女の子には高級すぎる服だって思うよ本当はでも、これはヨシくんが買ってくれたドレスなんだよね</p><p>そうだよ二人で選んだドレスだ値段だって知っているだろ</p><p>うん判っているこのドレスは今のあたしには、一番相応しい晴れ着なんだってこと</p><p>そうだよだから、胸を張って堂々としていてくれよメグ</p><p>オレはメグの手を握りしめる</p><p>オレのためにメグ自身のためにメグを思って、色々と考えてくれたミナホ姉さんのために</p><p>メグがオレの手の甲に口づけする</p><p>ありがとうヨシくん</p><p>オレは自分の背広を見る</p><p>オレだってこの服は、借り物だよ借り物で良かったオレの物じゃなくってこれはミナホ姉さんのお祖父さんの背広だしそれを、克子姉が愛情込めてオレのサイズに直してくれたんだそういう服で本当に良かった</p><p>オレも新品の高級品は、与えられなかった</p><p>いや、高級な背広を買ってあげると言われたらオレは多分、拒絶していたろう</p><p>ミナホ姉さんと克子姉はすでに亡くなっている、黒森公之助さんの背広を借りるというプランを選択してくれたんだ</p><p>故人の物を借りるというのならオレが受け入れると思って</p><p>しかも、オレに内緒で克子姉はサイズ直しまでしてくれた</p><p>そこまでしてくれなかったらオレは今日、いつもの学生服のままこの劇場へ来ていただろう</p><p>今のオレには借り物を着ることしかできないものそれが、オレの現実だよだからその現実をオレは受け入れる受け入れた上で、この上流な人たちの中で堂々と生きてやるよ</p><p>メグは、安物のドレス</p><p>オレは、借り物の背広</p><p>それが、オレたちの現実</p><p>認めようこの現実を</p><p>そして自分のみっともなさを自覚した上で、高級な人たちの世界に立ち向かおう</p><p>恥ずかしくなんかないさ今の自分に相応しい服を着ているだけなんだから</p><p>あたしは貧しい家で育ったわ晴れ着なんて着るのは、これが初めてこれは、ヨシくんが買ってくれたあたしのドレス今のあたしに、相応しいドレスはこれしかないわ</p><p>メグが愛しげにドレスの布地に指を滑らせていく</p><p>あたしは、ここに居ていいのねううんどんなに恥ずかしくても、胸を張ってここに居るわこれが今の自分に相応しい一番の晴れ着なんだから</p><p>そうだよメグ</p><p>オレはミナホ姉さんの深い考えに感謝する</p><p>克子姉の愛情に感謝する</p><p>これでいいんだ</p><p>マナが、ニコッと笑って顔を出す</p><p>メグお姉ちゃんだけ、お兄ちゃんからドレスを買って貰っていいなあ指輪もでしょ</p><p>メグの指にオレたちの婚約指輪が輝いていた</p><p>マナにも買ってやるよドレスも指輪も</p><p>オレは、約束する</p><p>え本当</p><p>っていうかオレが頑張って稼がないとお前の生活費は、オレが出すんだから</p><p>ドレスとか指輪とかってレベルの話ではない</p><p>靴下とか下着まで今後は、オレが買うしか無いんだ</p><p>マナも、改めて思い出したようだ</p><p>白坂の家にはもう帰れない今の学校にも、もう通えない</p><p>マナはオレと暮らすしかないんだ</p><p>そういう現実が、一気にマナの頭に再浮上する</p><p>ヨシくん、あたしは自分の分は自分でバイトするからマナのことだけ考えてあげてね</p><p>オレはメグにだって、精一杯部活をやって欲しい</p><p>マナだってアルバイトするよ</p><p>マナは、しょんぼりしている</p><p>中学生には、バイトは無理だろとりあえず、克子姉のお手伝いはしろよ</p><p>オレは、両腕を拡げて二人を抱く</p><p>そんなに心配するなよ細かいことは今の騒ぎが全部収まってから考えようミナホ姉さんにも、相談しないといけないことだし</p><p>そうだねヨシくん</p><p>判ったお兄ちゃん</p><p>二人は、そう返事してくれた</p><p>だから今は、不安なことは全部忘れて、みすずの応援をしてやってくれみすずは姉妹会のお姉さんだろ</p><p>うんマナ、一生懸命応援する</p><p>オレたちの背後で、女の子の声がした</p><p>そんな、まさか</p><p>どうしたの、菅原さん</p><p>いえあそこのソファの人、白坂舞夏さんじゃないわよね</p><p>その声にマナは</p><p>顔色を変える</p><p>知り合いか</p><p>オレが小声で尋ねると</p><p>同じクラスの子菅原さんと滝さん</p><p>マナもそこそこのお嬢様女子校に通っている</p><p>同級生とこの会場で出くわす可能性は高い</p><p>そういう状況は、想定はしていたけれど</p><p>実際に、そうなるとどう対応したら良いのか判らない</p><p>まっさかぁ舞夏さんが、来るわけないじゃない</p><p>そうよねえお父様があんなことになられて、こんな公の席に出て来られるはずがないわよね</p><p>それが、世間の認識だろう</p><p>何しろ、マスコミは昨夜から白坂創介の醜聞事件一色なのだから</p><p>白坂家というセレブな家系の人間による犯罪</p><p>芸能界を巻き込んだ、セックス・スキャンダル</p><p>さらには、少女誘拐・強姦・殺人</p><p>センセーショナルな話題には、事欠かない</p><p>マナは、その極悪犯人・白坂創介の実の娘なんだ</p><p>白坂家の方々は、今日は皆さんいらっしゃらないそうよ</p><p>えーっ、貴子さんも</p><p>そうよ同じ白坂って家系だけで、恥ずかしいじゃない</p><p>まあ、それはそうでしょうけれど</p><p>守次様が、あんな記者会見をして白坂創介さんを庇うような発言をしなければって、貴子さん、電話の向こうで泣いていらっしゃったわ</p><p>あの方今日の発表会、楽しみにしていたものね</p><p>その話し声にマナは</p><p>貴子ちゃんごめん</p><p>親戚なのか</p><p>従姉妹日舞をやっているのよ流派が違うんだけれど今日、観に来るつもりだったんだ</p><p>マナは落ち込む</p><p>それにしても似ていないあそこの子</p><p>うん、似ているって言えば似ているけれどでも</p><p>白坂舞夏さんなら、あんな品の無い格好はなさらないと思うのよ</p><p>今日のマナは自前のドレスを、克子姉のアレンジで肌を露出気味にして着ている</p><p>メイクも髪型も、割と派手目だ</p><p>決して下品だとは思わないけれど</p><p>克子姉はセクシー路線が好きだから</p><p>そうねえ、お父様が事件を起こされている時にあんな馬鹿みたいな格好は、なさらいわよね</p><p>別人よお隣にいらっしゃる人も、随分と安っぽいドレスを着ていらっしゃるし白坂家の人間なら、もっと高級なお洋服を着ていらっしゃるわよ</p><p>おいおい今度は、メグのドレスまで批評し始めた</p><p>しかし、このお金持ちのお嬢さん二人は声が大きいなあ</p><p>どこの家の方かしら</p><p>何か庶民が無理してやって来ましたって感じよね</p><p>日舞をやっている一般庶民の子なんじゃないの</p><p>そうねたまたま招待券を手に入れて、間違って来ちゃった方々なんでしょうね</p><p>今日の発表会は、そういう会じゃないのにね</p><p>マナのクラスメイト二人の言葉は、どんどんエスカレートしていく</p><p>マナは、グッと膝を掴んで青い顔で震えている</p><p>マナ、しっかりなさいっ</p><p>年下の少女たちの無遠慮な言葉にカッとしたのか、メグが大きな声を出す</p><p>あなただって、黒森の娘でしょうさあ、マナ、お兄様にお謝りなさい</p><p>何で、マナがオレに謝らないといけないのか判らないが</p><p>とにかく、メグがそういう芝居をオレたちに求める</p><p>ごめんなさいっお兄ちゃんマナは、悪い子でしたっ</p><p>マナが大きな声で、オレに謝る</p><p>う、うん判ればいいんだよ判れば</p><p>適当なことしか言えないオレ</p><p>メグお姉ちゃんも、ごめんなさいっ</p><p>いいことあなたも、伝統ある黒森の家の一員でしょうどんな時でも、黒森の家の娘として凛とした態度でいなさいっいいわねっ、マナ</p><p>オレたちの小芝居を見て少女たちは</p><p>やっぱり、違うみたいね</p><p>白坂舞夏さんじゃないわね</p><p>そうよ、黒森とか言っているし</p><p>そう言えば舞夏さんて、お姉さんだけでお兄さんは居なかったわよね</p><p>お姉さんだって、あの人とは違う人よあたし、前に会ったことあるから</p><p>え、いつ</p><p>何かのパーティの時よメトロ・ホテルだったわ</p><p>じゃあ、本当に別人なのね</p><p>納得したのか、少女たちはオレたちから離れて行った</p><p>お兄ちゃんお姉ちゃん</p><p>マナが、オレたちにしがみつく</p><p>しばらくは、３人で固まっていよう３人一緒なら、バレないだろうから</p><p>変に思って近付いて来る人がいれば、また３人で寸劇すればいいんだ</p><p>あたし間違っていたわ</p><p>落ち込んでいる暇なんて無いのねいつでも感覚を研ぎ澄ませて、闘う準備をしていないとここでは、打ちのめされちゃうわ</p><p>そうだね、メグお姉ちゃんここは、あたしたちの戦場なんだね</p><p>だから、マナ胸を張りなさい平然としていましょう</p><p>うんにっこり笑うよ闘うよマナっ</p><p>一人きりならさっきのメグの様に、場に呑まれてしまうだろう</p><p>だから、オレたちは寄り添い合って闘う</p><p>このセレブな空間に迷い込んでしまったことに正々堂々と</p><p>君たちは、ホント根が真面目だよねぇ</p><p>寧さんは平気なんですかこういう雰囲気</p><p>うんっ、平気っだって、あたしいつでもどこでも場違いなんだものっもう慣れたわよ</p><p>学校中で知る人の居ない、伝説の不良少女だもんな</p><p>授業出ないし</p><p>わたくしも、平気です</p><p>他人からの気を反らせるのが、工藤流の神髄ですから</p><p>美智お前は、もう少し他人と心を合わせた方がいい</p><p>周りの空気に合わせるのが普通なんだそれを、わざと外せるから工藤流はスゴイんだろうでも、お前の場合は最初の合わせることの方ができていないじゃないか</p><p>オレの説明に美智は、きょとんとした顔をしている</p><p>気を合わせるということが、そんなに重要ですか</p><p>オレが喋る前に、マナが口を開いた</p><p>美智さんも、お兄ちゃんとエッチしてみれば判るよ</p><p>あのねお兄ちゃんと一緒にイけた時が、一番気持ちいいんだよ</p><p>イケるとは</p><p>美智さんイッたことないの</p><p>マナが尋ねると</p><p>よく判りませんっ</p><p>美智は顔を赤くする</p><p>これは、本当はイッたことがあって恥ずかしくて誤魔化しているんじゃないな</p><p>本当の絶頂まで、はっきりと達した経験が無いから、判らないんだろう</p><p>とにかくさお兄ちゃんにして貰った方がいいと思うよ</p><p>マナがそう言うと</p><p>そうだねあたしもそういう経験をした方が、美智さんはもっと強くなると思うな</p><p>マルゴさんが、背後から話に加わった</p><p>黒い森の旧顧客たちとの会話は終わったらしい</p><p>ミナホ姉さんと克子姉も戻って来ている</p><p>ご主人様とのセックスが、鍛錬になると</p><p>真剣な顔で、美智は尋ねた</p><p>工藤流が敵からの気を自由に反らしたり、外したりする技ならピンポイントで、気を合わせることもできた方がいいよ合わせて外すそういうのが、自由自在になった方が良いんじゃないかな</p><p>なるほどお父様が隠しておられた秘伝書に、その様な奥義が書かれていたと思いますっ</p><p>美智は興奮気味で、マルゴさんに話す</p><p>しかもできれば、カメラのピントを絞り込む様に、瞬間的に鋭く気を合わせる技術を身に付ければ、もっと凄くなる</p><p>そんなことがセックスで身に付くと</p><p>あたしには、よく判らないよあたしは、ここ７年はセックスしていないから</p><p>マルゴさんは１２歳の時に、インディアン居留地でレイプされた</p><p>それ以来セックスしていないんだ</p><p>でも確か、恭子さんが持っていた資料にそういうのがあったよセックスによる気の鍛錬についてのレポートが</p><p>拝見したいです</p><p>うん、探しておくよ</p><p>ご主人様大変申し訳ございませんが、そういうことになりましたので、わたくしの鍛錬にどうぞお付き合い下さい</p><p>美智の気の鍛錬のためにセックスするの</p><p>いいと思うよ吉田くんにとっても、いい訓練になると思うし</p><p>マルゴさんは、ニヤニヤ笑っている</p><p>マ、マナも、その訓練するっ</p><p>ヨシくん、あたしもするからねっ</p><p>当然あたしもするわよっ</p><p>えっえっえーっじゃあ、あたしもっ</p><p>寧様はいい加減にしないと怒りますよっ</p><p>克子姉が、寧さんを睨んだ</p><p>もおっ克っつんの意地悪っ</p><p>意地悪じゃありませんっ寧様に勇気が無いのがいけないんでしょっ</p><p>マナが驚いた顔で、オレに尋ねる</p><p>寧さんが処女だってことはいつ公表すればいいんだろう</p><p>あれっそう言えば、雪乃はどこへ行った</p><p>マナのクラスメイトが、来ていたんだ</p><p>雪乃の知り合いとかだって、来ているかもしれない</p><p>黒子ちゃんならあそこよ</p><p>克子姉が、指を指す</p><p>きゃははは黒子ちゃぁぁんっ</p><p>がおーっ捕まえちゃうぞぉっ</p><p>真緒、捕まらないもんっ</p><p>パクパクパクパク食べちゃうぞおっ</p><p>くふふっ負けないんだからっ</p><p>近くのソファの周りを走り回っている</p><p>真緒ちゃんと</p><p>ほぅらっ捕まえたぁぁ</p><p>きゃああんっ捕まっちゃったえへへ</p><p>何だこの、ほのぼのとした光景は</p><p>雪乃さん、昔からああなんですよねえ</p><p>余所の子供には、とっても優しいんですいっぱい遊んであげて親戚の小さな子とかが遊びに来ると、いつもあんな感じなんです</p><p>雪乃子供好きなんだ</p><p>実の妹には、昔から少しも構ってくれないんですけれど</p><p>マナが不満そうに言った</p><p>外面がいいんです妹は身内だから、相手にしなくていいって思っているんですいつも、余所の子ばっかり可愛がって</p><p>言葉に敬語が入っている</p><p>これは舞夏だマナでは無い</p><p>いや雪乃は、優しいよ</p><p>高校に入学して一人ぼっちだったオレに、最初に声を掛けてくれてたのは雪乃だったから</p><p>そうだ白坂雪乃は</p><p>あいつは本質的には、優しい女の子なんだよ</p><p>気がどうのという話は、最近の演劇のレッスンから採り入れています</p><p>人間は群がなくては生きていけない動物である以上、集団で気を作ることができます</p><p>しかしながら、人間は個として別々の意志を持ってもいますから集団の中での気から脱することもできます</p><p>９０年代以降の演劇レッスンは、その技能について大きく採り上げています</p><p>232．雪乃の心</p><p>真緒、騒いじゃダメよ</p><p>渚が幼い娘に声を掛ける</p><p>はーい、ママ</p><p>真緒ちゃんが、ちょこちょこと渚に向かって走っていく</p><p>渚の足にしがみついて</p><p>黒子ちゃん、騒ぐと周りの人の迷惑になるからダメですよっにひひっ</p><p>お姉さんぶって、雪乃にそう言う真緒ちゃん</p><p>判ったわよっまた、後でね</p><p>うん、また遊んであげるからねっ黒子ちゃん</p><p>それじゃあ真緒ちゃんの方が、雪乃の面倒をみていたみたいだ</p><p>いや、ある意味そうなんだけれど</p><p>雪乃は白坂本家から命を狙われている以上、もうオレたちと一緒に居るしかない</p><p>だけど黒い森の年長組の人たちは、基本的に雪乃に冷たいし</p><p>雪乃の方も、ミナホ姉さん、克子姉、寧さんとことごとく苦手にしている</p><p>その上、実の妹のマナが、一番雪乃への対応が酷いし</p><p>メグと雪乃はお互いにコンプレックスがあるから、二人だけでは一切口を利かない</p><p>となると、雪乃がまともに話をする相手はオレしかいないってことになるんだけれど</p><p>ほら他の女たちを避けて、オレの方に寄ってきた</p><p>子供の相手をするの、好きなのか</p><p>仕方無いから、話し掛けてみる</p><p>好きじゃないわよメンドくさいしでも、少し慣れておこうかと思って</p><p>慣れるって</p><p>雪乃が太い黒縁の眼鏡越しに、オレを見る</p><p>ほらあたし、あんたの子供を産むわけでしょ</p><p>もう、諦めたわよ白坂の一族から見捨てられたんじゃ、どこにも帰る場所は無いしねあんたたちにくっ付いていくしか、あたしの生きる道は無いんでしょなら仕方無いわ赤ちゃんぐらい産んであげるわよ</p><p>雪乃は底抜けに前向きな精神の持ち主だ</p><p>思い切りが良い</p><p>もう、白坂雪乃としては平穏な生活ができないと理解してオレたちに従うことを選んだのか</p><p>それにケンジに襲われた時ね</p><p>ケンジに触られても、全然気持ち良くなかったのあいつ、力任せなだけだから、痛いだけでさ気持ち悪くて仕方なかった</p><p>雪乃が、不快感一杯の表情でそう言う</p><p>あんたの時だって、最初は気持ち悪いだけだったんだけどさケンジに襲われてみて、判ったのよあんたの方は、あんたなりに一応、あたしのことも気持ち良くしてくれようとしているんだなってあんたは、あたしをレイプした極悪人だけれど悪いところばかりじゃないんだなって</p><p>あたしあんたみたいな男、大っ嫌いよあんたは全然格好良く無いし勉強ができるわけでもないし家柄が良いわけでもないわよねあんたみたいなのと付き合っていても、何の特典も無いじゃないクラスの子には、あたしがあんたと一緒にいるところを見られたくないって思う</p><p>そうだろうな</p><p>何回生まれ変わったって、あたしは絶対にあんたみたいな男を好きになったりはしないわそれだけは判っていてね</p><p>良かったじゃあ、産んであげるわあんたの子</p><p>好きじゃないけれど仕方無いものあたしがこの先弓槻先生に保護されるためには、あんたの子供を産むしかないんだから</p><p>もういいわよあんたのことは好きじゃないけれど自分の子供は、愛せると思うし可愛がって育てるわよこうなったら、あたしにはそれぐらいしか生きる楽しみが無いもの</p><p>雪乃は甘やかされて育てられて、我が儘だし、プライドが高い</p><p>だけど馬鹿じゃない</p><p>自分の現状をきちんと見据えて絶望しないで、生きていくための道筋を考えている</p><p>雪乃は残りの人生を、オレとの子供を育てることで充足させようというのだろう</p><p>あら、あなたは産むだけでいいのよ</p><p>ミナホ姉さんが冷たく、雪乃に言った</p><p>育てるのはあたしがやるから雪乃さんとは、出産した時点で、あたしたちとはお別れね</p><p>雪乃がギッとミナホ姉さんを見る</p><p>赤ちゃんだけ置いてあなたには、出て行って貰うわそうねあなたが、それまで良い子だったなら、少しは慰労金も出して解放してあげるわでも、もし悪い子ちゃんのままなら</p><p>ミナホ姉さんの口元が微笑む</p><p>悪い子ちゃんのままということはミナホ姉さんは、現在の雪乃を少しも評価していないということだ</p><p>東南アジアのスラム街でのお仕事やって貰うからね</p><p>スラム街の最悪の環境で売春宿に売られる</p><p>そんな生活殺されるよりも、辛いだろう</p><p>嫌よあたし</p><p>雪乃の目が怒りに燃えている</p><p>ゆっくり考えなさいもう、きっちり妊娠していると思うけれど、出産までは１０ヶ月も掛かるんだからあなたは最初っから、マイナス評価なのよよほど努力して挽回しなければ、海外に売り飛ばす計画は変更しないから覚悟なさい</p><p>あたし、許さないわあんたのことは絶対</p><p>あら奇遇ねあたしも絶対に許さないからあなたのことはあたし、あなたが悔しがって泣いている顔を見るのが大好きなのよ雪乃さん</p><p>そう言って、ミナホ姉さんは雪乃から離れて行った</p><p>雪乃は眼に涙を溜めている</p><p>何よっ</p><p>雪乃は怒りの矛先をオレに変えて、涙目でギッと睨む</p><p>オレが、お前のことを好きなのは</p><p>オレの言葉に雪乃は戸惑う</p><p>雪乃は嘘を吐かない女だから</p><p>お前本当に、これっぽっちも嘘の無い女だよな</p><p>いやお前、自分勝手だし、いつもオレのことを見下しているけれど本当に、心の底から思っていることしか言わないな泣いても、怒っても本当に思っていることしか言わない</p><p>そんなの当たり前のことじゃない</p><p>いいや他の人間だと、結構、嘘を吐くんだよ</p><p>マナは舞夏の時に、自分の立場を良くしようと散々、オレたちに本心で無い言葉を言った</p><p>メグは運命を受け入れるために、何度も自分の心を誤魔化そうとした</p><p>それが普通の人間だ</p><p>他人に良く思われようと力ある人たちの仲間に入れて貰おうと、必死に嘘を吐く</p><p>自分の心を偽ってでも現実に妥協しようとする</p><p>それは心の平穏を得るためのバランス感覚だ</p><p>決して、糾弾すべきことではない</p><p>白坂雪乃は違う</p><p>この女には親が犯罪者として世間に晒されようと、自分のレイプ場面を全校放送されようと絶対に現実に屈しない自我がある</p><p>自分の心に従って、率直に生きるのが当然であり自分を世間や、現実の状況に合わせる必要は無いと確信している</p><p>家も地位も名誉も友人も家族すら失っても雪乃には雪乃が残っている</p><p>雪乃が信じている白坂雪乃という女の自我が</p><p>だから、雪乃は絶対に悲観しない絶望しない</p><p>どんな時でもブレることなく、前向きに生き抜くことだけを考えている</p><p>雪乃にはいつも心の中の雪乃が付いているから</p><p>雪乃は、孤独に打ちのめされない女なんだ</p><p>オレ尊敬するよお前のそういうところ正直、スゲェと思う</p><p>な、何よ何を褒められているんだか、全然判らないわよ</p><p>うん雪乃自身には、判らないんだろう</p><p>彼女には、当たり前のことだから</p><p>それに褒めたからって、あんたのことを好きになったりはしないからねっ</p><p>うん判っている</p><p>雪乃の心の中の雪乃にとって吉田という人間は、最初っから恋愛対象から除外されている</p><p>だから今後、どんなに状況が変わろうとも、雪乃がオレを愛することは無い</p><p>オレと今後もセックスし、オレの子供を産むということが決定的になっても仕方ないから、愛してみようとか好きになる努力をしようという考えは生まれない</p><p>雪乃は雪乃であることから、一歩も動かないのだから</p><p>雪乃には黒い森の中での居場所が無い</p><p>ここはミナホ姉さんがリーダーの組織だ</p><p>みんながミナホ姉さんを信頼して相互に助け合い、成立している組織だ</p><p>雪乃一人だけで、成立している</p><p>雪乃は、雪乃が中心になって我が儘放題言っても許されるような世界でしか、生きていけないだろう</p><p>昨日までの白坂家の様な</p><p>雪乃お前、どうする</p><p>オレは、思わずそう尋ねてみた</p><p>雪乃は、けろりとした顔でそう答えた</p><p>お前どうすんだよ、この先</p><p>人のことを心配できるような身分じゃないでしょあんただって</p><p>そうだけど</p><p>弓槻先生は、あんなこと言ってたけれどあの人が、割と甘い人間だってこと、ここ数日一緒に居て判ってるから大丈夫よあたしを売り飛ばしたりはしないわよ、あの人</p><p>オレは、白坂創介に対するミナホ姉さんの冷酷な復讐も見てきているぞ</p><p>あたしを放り出すにしたって裸のままってことは無いと思うわ１０ヶ月経ったって、あたしはまだ１６歳のままよ幾らでも、やり直せるわ白坂家が相手してくれなくても、市川のお祖父様を頼れば、どうにかなると思うし</p><p>雪乃は市川老人がマナを見捨てた経緯を知らない</p><p>一年遅れて、もう一回高校へ入って名前も変えるわ白坂雪乃って名前は捨てるのそしてあたし、恋をするわ今度こそ本当の恋をするの</p><p>雪乃はどこまでも、前向きだった</p><p>それが逆に心に痛い</p><p>ねいつまで、そんな人と喋っているのよ</p><p>そうだよそんな人、放っておけばいいんだよっ</p><p>マナもオレに身体を寄せる</p><p>ヨシくんにはあたしたちが居るんだからね</p><p>そのメグの言葉は重い</p><p>オレは雪乃の様に、自分自身のためだけには生きられない</p><p>オレにはオレの女に対する責任がある</p><p>この女たちをオレは幸せにしなくてはいけない</p><p>早く妊娠が判ればいいのにそうしたら、お兄ちゃんはもう雪乃さんとセックスしなくてよくなるから</p><p>マナが姉をジロッと見る</p><p>何よ、それ</p><p>反発する、雪乃</p><p>へえ、雪乃さんお兄ちゃんと、そんなにセックスしたいんですか</p><p>マナがオレの胸に抱きついて、さらに雪乃を挑発する</p><p>したいわよ</p><p>だって、その男、セックスの巧さだけしか取り柄がないじゃない舞夏だって、それでその男にくっ付いているんでしょ</p><p>カッとなる、マナ</p><p>違いますっあたしは</p><p>マナ止めなさい</p><p>メグが、マナを制した</p><p>どう説明したって、雪乃にはあたしたちの絆は判らないわよヨシくんの魅力の判らない人に何を言ったって</p><p>あたし判ってるわよその男の魅力ぐらい</p><p>雪乃が、ニッと微笑む</p><p>判ってる</p><p>うんまず、その男は何から何まで平均以下の男で自分でも、そのことをよく判っているから、あんたたちにもあたしにも一生懸命尽くしてくれるじゃないあんたたちは、そうやってこの男にチヤホヤされるのが快感なんでしょ</p><p>違うわよあたしは</p><p>あんたも舞夏も今まで、チヤホヤしてくれる男なんていなかったら、舞い上がっちゃっているんでしょまあ、いいんじゃないあんたたちみたいな女には、これぐらいの男で丁度良いんでしょうし良かったわね、可愛がってくれる男が見つかって</p><p>雪乃が、力一杯の毒舌を、血の繋がった姉妹たちにぶつける</p><p>あなた全然判っていないわヨシくんの魅力は</p><p>そんなの判らないし、判りたくないわよっ</p><p>雪乃は、とことん突っぱねる</p><p>あたしが本当に愛する価値があるのは家柄も才能もある格好良い人だけよこの男なんて、ホントにセックスだけじゃない</p><p>雪乃とメグ・マナたちの対立は、どんどん酷くなるだけだ</p><p>ねえ、そろそろ終わりにしてくれないかなっそんな話</p><p>寧さんが間に入ってくれた</p><p>最初は、ちょっと興味深い意見もあったから黙って聞いていたけれどさこっから先は、どこまで行っても平行線だろうし</p><p>仕方無いわよあたしの気持ちなんて、あんたたちに判るはずがないんだからっ</p><p>ちょっと感情に火が付いてしまった雪乃が憎しみを露わにしている</p><p>あのさ黒子ちゃん</p><p>今のあなたは、黃縞黒子ちゃんでしょっ</p><p>寧さんが、鋭い言葉で雪乃の心を刺すっ</p><p>久々に不良少女モードの強テンションで雪乃を見据える</p><p>それ以上続けると私は白坂創介の娘ですってプラカード持って、皇居を一周して来て貰うよ</p><p>だ、黙るわよ黙ればいいんでしょ</p><p>相変わらず、寧さんたち年上のプレッシャーには弱い</p><p>メグちゃんもマナちやんも一々、黒子ちゃんにケンカをフッ掛けない</p><p>そんなあたしたち</p><p>ケンカなんて、フッ掛けてません</p><p>どう思うヨッちゃん</p><p>寧さんが、オレに振る</p><p>メグもマナも雪乃には、負の感情を持ち過ぎだと思うそりゃあ、今までの経緯で色んなことがあったからだっていうのは判るけれど</p><p>メグはずっと雪乃にイジメられてきたし</p><p>マナは妹だけれど、ほとんど構って貰ってきていない</p><p>一々、雪乃に絡みすぎだよ</p><p>でも、ヨシくん</p><p>そうだよお兄ちゃん</p><p>納得しない、二人</p><p>いいや自分で思っている以上に、雪乃のことになると目くじらを立てているよもうちょっと、スルーしろよ雪乃はどうせ雪乃なんだから</p><p>雪乃は雪乃</p><p>メグが、不思議そうな顔でオレを見る</p><p>雪乃は自分の考えから一歩も外に出ないから雪乃なんだ相手したって無理だよ雪乃自身の世界観がぶっ壊れない限り、雪乃が変わることはないから</p><p>でも頭にくるじゃない</p><p>マナが、オレに言う</p><p>お兄ちゃんのこととか、酷いこと言うんだもの許せないよ</p><p>オレは、マナを抱き締める</p><p>許さなくていいからただ、一々、雪乃に反発してぶつかっていくのはやめろ</p><p>オレがどんな人間でオレとお前が、どういう関係なのかなんてのは、オレたち自身が判っていればいいことだろ人に説明して、理解を求める必要は無いんだ</p><p>オレとお前がどう出会って二人の間に何があって、それで今どういう関係になっているかなんてどれだけ言葉で説明したって判らないことなんだから</p><p>オレはお前が好きだよそれだけでいいだろ</p><p>そうだね判った</p><p>マナが納得する</p><p>メグもだよ一々、雪乃に突っかからないと不安か</p><p>何が不安なんだ</p><p>雪乃はあたしよりも美人だからヨシくんを獲られちゃうみたいな気がするの</p><p>そんなことはない</p><p>オレは、はっきりと言った</p><p>雪乃はオレのことは好きじゃないんだ何回生まれ変わっても、好きにはならないそうだよ今さっき、そう言っていたろ</p><p>でもヨシくんは、雪乃のことが好きなんでしょ</p><p>さっき、そう言ってたじゃない</p><p>オレは確かに雪乃のことも好きだけれどお前たちほど、大切じゃない</p><p>優先順位だよ沈没する船に乗っていたとしたら、オレはメグやマナを先に救命艇に乗せる雪乃は一番最後だ</p><p>オレの言葉に雪乃の顔が暗くなる</p><p>ホントヨシくん</p><p>ああオレが、メグに嘘を言ったことがあるか</p><p>判った雪乃には、もう突っかかったりしないわ何を言われても無視します</p><p>うん、そうだね雪乃さんなんて、もうシカトだよシカト</p><p>マナそれもどうかと思うぞ</p><p>まあ、正面からケンカになるよりはいいか</p><p>いいわよ、あたしは別にあんたたちと口を利かないですむ方が、よほど清々するわよ</p><p>ぶつくさと、そんなことを言った</p><p>さあ開演１５分前よそろそろ、劇場の中へ入りましょう</p><p>ミナホ姉さんが、オレたちに声を掛けた</p><p>真緒ちゃんが、声を上げる</p><p>メグちゃんとマナちゃんで、先に人数分の席をキープしてきてくれる固まって座っていたいから、１列ズラッと並ぶんじゃなくって、３列ぐらいでまとまって座れた方がいいなあ</p><p>判りましたマナ、行きましょっ</p><p>オレは美智を見て</p><p>こっちはマルゴさんが居るから美智は、メグとマナを警護して</p><p>メグ・マナ・美智の三人が劇場の中へ駆けていく</p><p>吉田くん、さっきの優先順位の件だけどさ</p><p>恵美ちゃん、マナちゃんは先に救命艇に乗せて雪乃さんは最後それは判ったんだけどさ</p><p>マルゴさんがニヤッと笑って、雪乃を見る</p><p>雪乃は、何よっという顔をして、マルゴさんの視線を外した</p><p>吉田くん自身はその時にどこに居るの</p><p>最後に雪乃さんを救命艇に乗せる時吉田くん自身は、もう救命艇に乗っているそれとも、沈没する船の上にまだ居る</p><p>沈没する船の上です</p><p>マルゴさんが、笑って雪乃に言った</p><p>そういうことだから雪乃さんは、吉田くんには少しも見捨てられていないからね</p><p>雪乃があっと驚いた顔でオレを見た</p><p>あたしなら、とっとと救命艇に乗り込んでそれで隙間があったら、雪乃ちゃんも乗せてあげるって感じだねっ</p><p>あたしは絶対に救命艇には乗せてあげません雪乃様が沈没していく姿を、救命艇の上から見ているわそうね、浮き輪ぐらいは持たせて上げる</p><p>渚が言った</p><p>あたしはちゃんと、雪乃さんが逃げ出さない様に沈没船の船底に雪乃さんを鎖で縛り付けてから、救命艇に乗るわよ絶対確実じゃないことって、嫌いなのよ</p><p>ミナホは、どう</p><p>マルゴさんの問いに、ミナホ姉さんは</p><p>あたしなら、船が沈没していなくても雪乃さんを海に突き落とすわよそうねサメがうじゃうじゃいる海域を狙ってね</p><p>もう、仮定そのものが違っている</p><p>みんな雪乃には手厳しい</p><p>いいわよっ鎖で縛られたら、鎖抜けするわよ海に突き落とされたら必死で泳ぐわよサメに襲われたら、サメよりも速くね絶対に生き残るからっあたし、絶対に殺されないからねっあんたたちにはっ</p><p>この不貞不貞しい生命力は本当に素晴らしいと思う</p><p>そんなことを考える前に、吉田くんのことを大切にしてあげればいいのに</p><p>マルゴさんが、クスッと笑ってそう言った</p><p>え何でよ</p><p>雪乃には意味が判らないらしい</p><p>判らなければ、それでいいよそれが雪乃さんらしさなんだろうから</p><p>そして、オレの肩をポンと叩いた</p><p>吉田くんも大変だねっ</p><p>さて、行きましょうか</p><p>ミナホ姉さんの言葉に、全員でロビーのソファから離れる</p><p>ここだよっ、お兄ちゃんっ</p><p>マナが手を振る</p><p>一階席の前から１０列目くらいの右の方の一角を、マナたちは押さえていた</p><p>もうかなり観客は来場しているのに、客席はそんなに埋まっていない</p><p>オレがキョロキョロしていると</p><p>今日みたいな発表会だと初めから終わりまで、全部観る人はそんなにいないのよ</p><p>ミナホ姉さんが、説明してくれた</p><p>そうね、自分の知っている出演者の踊りしか観ない人も多いしね</p><p>それよりロビーで、色々な名家の人たち同士で挨拶し合ったり、交流したりすることの方が大切なのよ</p><p>なるほど色々な名士の人たちが来ているんだ</p><p>娘や孫の発表を観に来たついでに色々な人たちとの交歓をするというのも意味があるんだろう</p><p>さすがに、最後の家元先生の踊りの時は超満員になるわよ</p><p>渚が、そう言った</p><p>紺碧撫子先生は、人間国宝の候補になっていらっしゃる方だから</p><p>日本舞踊で、国宝っていうのはよく判らないけれど</p><p>きっと、スゴイんだろうな</p><p>そういうことだからあたしは、ずっと劇場の中にいるわ</p><p>渚のおかげで、お屋敷の昔からのお客の皆様には、ご挨拶できたし後は、あの方たちが、あたしたちの言葉を広めて下さるわ</p><p>うんあたしたちは、これ以上動かない方がいいだろうね</p><p>マルゴさんも、そう分析する</p><p>用がある方は、向こうから話し掛けて来て下さるでしょうしね一々、色んな人に話し掛けるんじゃなくって、ここにドスンと座ってあれが黒森御名穂だって指差される方が楽でいいわよ</p><p>ミナホ姉さんは見世物になる覚悟をしているらしい</p><p>いずれにせよこの状況で黒い森のトップがこの会に現れたってことは、あたしたちと白坂創介が完全に切れているっていうことを示してくれるからね</p><p>白坂創介と関係しているならこんな公の場に姿を現せるはずがない</p><p>それに香月様のご許可がなければ、あたしたちがこの劇場内にいられるはずがないんだよそのことは、みんな判っているから</p><p>うん劇場の警備は、香月セキュリティ・サービスが行っている</p><p>オレたちが、白坂創介の身内ならとっくの昔に叩き出されているはずだ</p><p>ということであたしたちは、ここで見世物になっているから、あなたたちは少し離れて座りなさい</p><p>ミナホ姉さんと、克子姉、渚、真緒ちゃんが並んで座る</p><p>マルゴさんと寧さんは、警護とお付きの振りをして、その後ろへ</p><p>そう言えばロビーのソファでも</p><p>ミナホ姉さんたちは、わざとオレたち年少組とは離れて座っていた</p><p>用のある時だけ、近付いてきて</p><p>そんなあたしたちも、一緒に座ります</p><p>そういうメグにミナホ姉さんは</p><p>ダメよあなたがあたしたちと一緒に座ったら、娼館の新しい女だと勘違いする人が出るかもしれないでしょ</p><p>メグ、こっちに座ろう</p><p>通路を挟んだ少し離れた席にオレは座る</p><p>その時劇場の外から、歓声が上がった</p><p>劇場入り口の方が騒がしいけれど</p><p>香月閣下のご来場だよ</p><p>三連休なれど体力を回復するだけで精一杯</p><p>というか暑すぎますはぁ</p><p>現状の人間関係を整理しました</p><p>雪乃は黒い森には受け入れられていませんし、本人も受け入れられる気はありません</p><p>雪乃はホント雪乃自身がお姫様で、我が儘放題できる集団でないとダメでしょうね</p><p>今までのストーリーを＊＊編という形で区切りました</p><p>日付だけよりも判りやすいと思います</p><p>こうやって見るとちゃんと雪乃がメイン・ヒロインなんですけれどね</p><p>一番出番が多いですし</p><p>最新の登場人物リストも今、やっていますが終わりません</p><p>233．開演</p><p>やがて香月閣下は２階席に向かったらしい</p><p>２階席の奥の入り口辺りが、ざわついている</p><p>何で、２階席なんです</p><p>その方が警護しやすいからですそれに、高貴なる身分の方は昔から高い場所って決まっています</p><p>美智が、オレに教えてくれた</p><p>すでにオレたちは、ミナホ姉さんら年長組の人たちとは離れて座っている</p><p>オレの右の席にマナ、左にメグが座っている</p><p>オレの後ろの座席に、美智が雪乃を見張りながら座っていた</p><p>だから、美智は背中からオレの耳に囁くようにして話してくれる</p><p>高貴な方は舞台を観ると同時に、ご自分も他のお客様たちに見られるということを理解なすっていますから</p><p>そしてオレたちの視界に香月閣下の姿が見える</p><p>閣下は、薄いライトグレーのスーツを着ていた</p><p>背筋がしっかり伸びている頭は白髪を短く刈り込んでいる</p><p>若い頃は、何かスポーツでもやっていたのだろうか</p><p>８０過ぎとは思えない、がっちりとした体格をしていた</p><p>微笑をたたえて、劇場内を見廻しているが眼は笑っていない</p><p>現在でも現役の経営者として、最前線にいる人物らしい威厳と力強さを持っていた</p><p>あこっちも見ている</p><p>ミナホ姉さんたちが、スッと頭を下げて挨拶した</p><p>閣下はうむといった感じで、首を振る</p><p>それだけでミナホ姉さんが閣下に許されてこの場に居ることが、劇場内の観客たちに伝わる</p><p>すごい、影響力だ</p><p>閣下の座席は２階席の最前列だ</p><p>うん正しく王様の席</p><p>香月様の周囲にいらっしゃる３人の黒いスーツの方々が護衛役です</p><p>美智が、オレに囁く</p><p>なるほど、男２人に女１人の黒スーツの人たちが、閣下の周囲に付いている</p><p>その後ろに谷沢チーフの姿も見えた</p><p>谷沢チーフが、閣下の直接の身辺警護を任せている人たちだ</p><p>この３人が、香月セキュリティ・サービスの中で最強の警護人なんだろう</p><p>男性が大徳さんと、張本さん女性が関さんです</p><p>美智の視線を追う背の高い美男子が大徳さんだな張本さんは、ヒゲを生やしたマッチョマンタイプ関さんは、綺麗な黒髪の美人だった</p><p>場内はスッと静まりかえる</p><p>拍手とかしなくていいのかな</p><p>オレが美智に尋ねると</p><p>香月様は、そういうことをとても嫌われますから</p><p>そっか名家ったって、どこかの国の王族とかじゃないんだし</p><p>普通の反応をしないと、ヘソを曲げるんだな</p><p>閣下が２階最前列のシートに着席すると</p><p>次に、数人の若い男性たちがぞろぞろと入って来る</p><p>全部で２０人くらいか</p><p>みんな高価そうな派手な色の背広を着て行儀良く、頭の良さそうな顔をしていた</p><p>その若い男たちのグループが、閣下の後ろの席を占める</p><p>あれは香月様が、日頃から可愛がっておられる方々です</p><p>男を可愛がっているって</p><p>えまさか、閣下ってホモなの</p><p>男の子も、イケル人なの</p><p>あそういう意味ではありません</p><p>美智が、赤くなって訂正する</p><p>そういう意味って</p><p>オレが、わざと意地悪な質問をすると</p><p>ご主人様、わたくしは今、大変イケナイ想像をしてしまいましたどうか、美智に罰を与えて下さい</p><p>耳まで赤くして、オレにねだる</p><p>どうして欲しいんだ</p><p>美智は、答えた</p><p>お尻をつねって下さい</p><p>美智は、お尻好きだな</p><p>違います、わたくしは胸に自信がないから</p><p>美智つるぺたなのを気にしていたのか</p><p>そっちも、オレが揉んで大きくするよ</p><p>美智が座席からお尻を浮かす</p><p>ご主人様、どうぞ、</p><p>オレは美智のお尻とシートの隙間に右手を伸ばし美智の柔らかいお尻の感覚を楽しんでから、一回だけキュッとつねってやった</p><p>美智が、切なそうな声をあげる</p><p>もう二人だけで、楽しそうなことしてないでよっ</p><p>マナがプンプンして、オレに言う</p><p>そんなことしている暇があったら、マナのお尻も触ってよっ</p><p>マナが無理矢理、オレの左手を自分の尻に引っ張る</p><p>もうしょうがないな</p><p>オレはマナのお尻を揉み揉みしながら、美智の話を聞く</p><p>あの若い男性たちは香月様が直接、教育をなさっておられる方々です香月の家の血筋の方もいらっしゃいますし香月様の側近や支配下の会社の重役のお子様も混じっています</p><p>みすずの婚約者も、あの中に居るのか</p><p>はい、わたくしはどの方なのかまでは知っておりませんが香月様のすぐ後ろに座られた６人があのグループの中でも特に香月様がご期待なさっておられる方々ですおそらく、みすず様と瑠璃子様の婚約者はその中にいらっしゃると推察致します</p><p>オレは下の名前だけ知っている</p><p>みすずが処女喪失の後に、オレにだけ話してくれたから</p><p>その６人名前、判る</p><p>美智が答えた</p><p>はい右より、香月操様、香月仁様、香月昴様、夏木惇様、司馬貴彦様、嘉田奉孝様です</p><p>貴彦左から二人目か</p><p>司馬貴彦こいつが、みすずの婚約者だ</p><p>うん、大学生ぐらいだな</p><p>銀縁の眼鏡を掛けて、背が高くて勉強もできそうだ顔も良い</p><p>オレには勝てそうな要素が一つも無い</p><p>お気になさることはありませんみすず様は、ご主人様を心から愛しておられます</p><p>オレの顔を見て美智が、そう言ってくれた</p><p>閣下のご来場で一旦は静まり帰った場内がまた、ざわざわしてくる</p><p>今日の客席は、小さい子供も多いから仕方が無い</p><p>閣下に挨拶しようとする人たちが列を作っている</p><p>香月セキュリティ・サービスの制服警備員が、サッと列をまとめて</p><p>すでに、閣下の周りには警護役とエリート子弟たちが座っているからみんな４メートルくらい離れたところから、挨拶の言葉を述べている</p><p>閣下は、うんうんと挨拶する人に対して頷くだけ</p><p>香月様とあのグループの方々は、発表会を最初から最後まで御覧になります</p><p>どうしてみすずと瑠璃子さんを観に来たんだろ</p><p>香月様に観ていただいたことがあるというのは、出演者にとってはステイタスとなりますし力を持つ者の義務として、香月様は全員の踊りを御覧になって下さいますそれに今日の出演者が、あのグループの方々の婚約者候補となることもありますし</p><p>今日の出演者は、全員、紺碧流の家元の教室に通う女の子たちだ</p><p>みんなそれなりの地位にある有力者の娘</p><p>血筋も家柄も良い子ばかりだ</p><p>香月閣下が直接教育している若者グループの嫁に相応しい相手なのだろう</p><p>だからあの男たちも、最初から最後まで観ているわけ</p><p>はい、どなたが自分の相手に指名されるか判りませんし誰と結婚することになったとしても、日舞との縁は切れないわけですから</p><p>うん今日、出演している子はずっと日舞を続けるだろうし</p><p>いつか、子供が生まれたらその子も紺碧流の家元の教室に通わせたいと思っているだろう</p><p>そうやって、代を重ねることで家元の教室に入ることが、権力者たちのステイタスになっていく</p><p>そこに通っているっていうだけで、スゴイって言われるのは、この紺碧流の家元様のお教室ぐらいだよね</p><p>バレエやダンスの教室じゃ、ここまで格の高いお教室は無いし紺碧流は、本当に別格なんだよね</p><p>どうしてそうなんだ</p><p>歴史が違うもん</p><p>歴史</p><p>日舞の家元制度なんて、みんな明治時代にできたものですが紺碧流は、早い段階から政治家や財界のトップの人たちの娘さんたちをお弟子さんにしていましたそれに、初代、二代目、三代目と歴代の家元様が傑出した舞踊家でいらっしゃいますし</p><p>美智が、そう説明してくれた</p><p>傑出した舞踊家ってどういうこと</p><p>日本舞踊家にとって、一番大切なお仕事はその時代一番の歌舞伎俳優さんの踊りの踊りの振り付けを任されることです紺碧流は、明治以来、ずっとその地位を担ってきています</p><p>なるほど判りやすい</p><p>一番人気があって、踊りの上手い歌舞伎俳優の踊りを任されている流派が隆盛を極める</p><p>みすずや瑠璃子さん香月家の継承者ですら、日舞を習うとしたら、この教室に入るしかなかったんだろう他に選択肢は無い</p><p>あたしは日舞なんて嫌いよ芸者さんじゃあるまいし着物を着て踊るなんてさ和服って、身体をギュッと締め付けるじゃないあんな状態で、踊るなんてどうかしているわよ血の巡りが悪くなるわよ</p><p>雪乃がそう言うが</p><p>メグもマナも美智も、無視している</p><p>完全スルーだ</p><p>あたしは、あんたに話しているのよっ</p><p>お、オレか</p><p>そうよっどうせ、他の人はあたしと会話する気なんて無いんでしょっ</p><p>雪乃が、プンプン怒っている</p><p>美智さん舌切り雀って話があったでしょ</p><p>はい、ございました</p><p>雪乃さんも舌をチョン切ったら、少しは静かになるんじゃないかな</p><p>猿轡で充分だと思います</p><p>美智さん持っているの、猿轡</p><p>あのような物荒縄があればすぐに作れますご要望とあれば、すぐに用意致しますが</p><p>いや、いい雪乃の今の格好に、荒縄で猿轡したらホラー映画だ猟奇的過ぎる</p><p>おっしゃる通りです</p><p>わ、判ったわよ、あたしは黙ってればいいんでしょっ何よっ個人的に日舞は嫌いだって話をしただけじゃないっ</p><p>雪乃さんいいから黙って、そこで趣味のオナニーでもしていれば</p><p>マナの言葉に雪乃は黙り込む</p><p>マナ品が悪すぎるぞ</p><p>オレは、マナを叱った</p><p>雪乃のことはスルーしろって、言ったよな</p><p>罰として</p><p>お仕置きしてくれるのお兄ちゃん</p><p>マナが嬉しそうに微笑む</p><p>逆だマナとのエッチは一回抜きにする</p><p>罰なんだから、仕方無いだろ</p><p>その点、メグは偉いなちゃんと雪乃のことはスルーしたから</p><p>当たり前よその人のことを話すだけで、口が汚れるもの</p><p>この姉妹たちが和解する日なんて、永久に来ないのかな</p><p>突然、場内にブーと開演を知らせるブザーが鳴った</p><p>ヨシくん始まるみたいよ</p><p>メグが、オレにそう教えてくれた</p><p>拍子木の音が鳴る</p><p>舞台の緞帳がスルスルと上がった</p><p>場内から、拍手が起こる</p><p>舞台の上には小学校低学年の女の子たちが、１０人ほど並んで居た</p><p>発表会は、一番小さい子供たちの合同舞踊からスタートするようだ</p><p>三味線と歌に合わせて女の子たちは踊り始める</p><p>藤のぉ花っ藤の花ぁ</p><p>さすが、家元の教室の発表会だ</p><p>録音で無く、三味線も歌も専門の人がその場で演じている</p><p>１０人の女の子たちはそれぞれで、面白い</p><p>気張りすぎで、ガチガチになっている子</p><p>ニコニコ笑いながら、ふわふわと踊っている子</p><p>他の子を見ながら踊っているため、一人だけタイミングが１テンポ遅れている子</p><p>逆に何でだか、一人だけテンポが早い子</p><p>振り付けを間違えたらしくあっと叫んでしまう子</p><p>それでも、みんな一生懸命に踊っている</p><p>いい加減に踊っている子は、一人もいない</p><p>みんな可愛いわね</p><p>ヨシくんあんな子が欲しい</p><p>メグがオレの耳に囁く</p><p>オレは想像する</p><p>オレとメグの間に、女の子が生まれて</p><p>それで、こんな風に自分の娘の発表会を観ることができたら</p><p>すごい幸せな気持ちになれるだろう</p><p>うん欲しいな</p><p>あたしも、欲しい</p><p>マナが、オレとメグの良い雰囲気を感知して</p><p>もうこっちの手は、マナのねっ</p><p>マナが反対の手を握った</p><p>二人とも、オレにべったりと寄り添っている</p><p>ホント可愛いね、お兄ちゃんっ</p><p>マナも、子供たちの踊りを観てそう言った</p><p>マナもお兄ちゃんに観て欲しかったな</p><p>マナはダンス部だったっけ</p><p>確か中学で、創作ダンスの部活に入っていたはずだ</p><p>うん学園祭で発表するはずだったんだけどマナ、もう今の中学へは行かれないから</p><p>白坂創介の娘としてお嬢様学校に通い続けるのは、もう不可能だ</p><p>新しい学校へ入ったら、そこでまたダンスを始めればいいじゃないか</p><p>えー、２年生のこんな中途半端な時期に入部したって、ロクなことにはならないよ</p><p>でもマナはダンスが好きなんだろ</p><p>それは、そうだけどあ、創作ダンスは嫌いだよあれは変な踊りだから</p><p>そう言った後マナは、オレの顔を見る</p><p>何か変だねこういう話、あたしママにもパパにもしなかったのに</p><p>お兄ちゃんが、一番家族みたいな気がする何でも話せるし、何でも相談できるの</p><p>ああ、何でもオレに相談しろよどんなことでも、一緒に考えてやるから</p><p>マナは、オレの手をギュッと握りしめて、そう言った</p><p>あ、でも恋愛相談だけはしないからねっ</p><p>マナが顔を赤くして、そう言った</p><p>あたしはもうお兄ちゃんだけなんだから</p><p>そう言ってオレの手を自分の素肌の足に触れさせる</p><p>他に好きな人ができたらオレのことなんて気にしなくてもいいんだぞ</p><p>オレが、そう言うとマナは怒って</p><p>そういうことは、冗談でも言わないでっ</p><p>あたし身も心も、もうお兄ちゃんの物なんだからお兄ちゃんに助けて貰ったことに対して、マナは一生掛けてご奉仕しなくちゃいけないのよっあたし、お兄ちゃんのセックス奴隷にして貰ったことに誇りを感じているんだから</p><p>マナにはマナのプライドがある</p><p>女としての人間としての</p><p>お兄ちゃんがマナのことをもう、いらない、他の人にあげるって言うのなら諦めるけれど</p><p>オレはそっと、マナを抱き締める</p><p>そんなことはしないよ絶対に何があっても、オレはマナを捨てない</p><p>だったら一生、側に居ろって命令してよ他の男のことは好きになるなって、命令して</p><p>マナが、女の顔でオレを見る</p><p>あたし、お兄ちゃんにメチャクチャ束縛されたいの奴隷なんだから</p><p>このセックス奴隷は、いつも注文が多い</p><p>判ったずっと、オレの側に居ろオレだけを好きになれ他の男とは、口もきくな</p><p>はいっ、お兄ちゃんっ</p><p>マナの顔が、明るくなる</p><p>あっあたし、どうしよう</p><p>えへへマナ、濡れちゃった</p><p>オレの束縛の言葉に、愛液を漏らしてしまったらしい</p><p>この１４歳は、とっても汁が多い</p><p>エッチな娘だなマナは</p><p>お兄ちゃんだから、エッチになるんだよっ</p><p>マナが、オレの耳の後ろにチュッとキスする</p><p>マナ、そこまでにしなさいっ</p><p>メグが注意する</p><p>一生懸命踊っている子たちに失礼でしょ</p><p>そう言いながら、マナは小声でオレの耳に囁く</p><p>お兄ちゃんどこかで隠れて、エッチしようか</p><p>マナの身体に火が付いてしまっているらしい</p><p>劇場内は無理だよどこもかしこも、警備の人間が居るよ</p><p>おトイレの中とかは</p><p>そういうところこそ、厳重警戒されているよ白い方のヴァイオラが潜入したことで、警備体制が強化されたはずだから</p><p>ちぇっ残念</p><p>それにマナ忘れたのか</p><p>マナがへという顔で、オレを見上げる</p><p>お前は、エッチは一回休みだからな</p><p>そうださっき、そういうことにした</p><p>もうお兄ちゃんの意地悪っ</p><p>マナが怒る</p><p>だから今は我慢しろ夜には、いっぱい可愛がってやるから</p><p>オレは、一回休みの分をマナの現在のセックスへの欲求と相殺してやることにした</p><p>本当なら、今は我慢するっ</p><p>マナは機嫌を直してくれた</p><p>夜か</p><p>本当のところ、オレたちが今夜どうなるのかは想像が付かない</p><p>この発表会が終わったらホテルで、白坂家との交渉がある</p><p>香月閣下とも話をしないといけない</p><p>そしてシザーリオ・ヴァイオラとの対決もある</p><p>長い夜になることだけは覚悟している</p><p>心配しないできっと、上手くいくわよ</p><p>オレの心を察してそう言ってくれた</p><p>ああそうだな</p><p>オレは、メグにそう返事をした</p><p>いけない、いけない</p><p>オレが心配そうな顔をしたら、メグやマナの顔を暗くしてしまう</p><p>オレは、平然としていないと</p><p>そうミナホ姉さんのように</p><p>ミナホ姉さんのいつもの冷たい微笑の下にどれだけの感情が隠れているか</p><p>尊敬できる姉が身近にいることに、オレは感謝する</p><p>あもう、おしまいみたいね</p><p>そして１０人の小学校低学年生による発表が終わる</p><p>最後はみんな並んで正座してススッとご挨拶</p><p>ここだけは全員、ピシッと揃った</p><p>会場全体から拍手が起こる</p><p>閣下も満足そうな顔で拍手している</p><p>みすずの婚約者の司馬貴彦も</p><p>会場のあちこちから、花束を持った人が現れ舞台前に行く</p><p>陽子ちゃん、はいっ</p><p>久実ちゃんこっちよ</p><p>みんな出演者の知り合いらしい</p><p>踊り終わった子たちに舞台下から花束を手渡す</p><p>本当は、あんまりお行儀の良いことでは無いのですがフィギュア・スケートの大会の放送を観て、こんな風に踊り終わった後に花束を手渡すのが最近流行っているんです</p><p>後ろのシートから、美智が教えてくれた</p><p>確かに、１０人の子が均等にお花を貰えるわけではないから見ていてあんまり、気持ちの良いものではない</p><p>一人で３つも４つも花束を貰っている子もいるし一つも貰ってない子もいるし</p><p>そもそも、ここで花束を渡すかどうかは、それぞれ家によって意見が違うだろうし</p><p>でもまあ止めろとも言えないよな</p><p>なかなか難しい、問題だ</p><p>ひとしきり、花束贈呈が終わったところで女の子たちは、もう一度会場に礼をして退場した</p><p>次が小学校の中学年の子たちの踊りその後が、高学年合同の踊りは小学生までみたいね中学生からは、一人だけで踊る人も出てくるようね二人とか三人の踊りもあるみたいだけど</p><p>メグが、パンフレットを見て、そう言った</p><p>発表会が始まっても、客席側の明かりが暗くならないよな</p><p>こういうのって、普通、舞台だけが明るくなって観客席側は真っ暗になるもんじゃないのか</p><p>こういう発表会だと、場内の出入りが激しいですし</p><p>なるほど、最初の踊りが終わったばかりなのに、もう場外へ出て行く人がたくさんいる</p><p>今踊った１０人の小学生の家族や知り合いなんだろう</p><p>早速、楽屋に会いに行くのか</p><p>逆に、慌てて入って来るのは今から踊る次の組に子供がいる家族のようだ</p><p>元々、日本舞踊は歌舞伎の踊りが独立したものですから歌舞伎は、基本的に客席を暗くしませんし</p><p>美智が言う</p><p>どうしてさ</p><p>歌舞伎というものは、お弁当を食べたり、お酒を飲みながら見るのが普通ですから暗くしてしまっては、お客様が手元が見えなくてお困りになります</p><p>そういうものなのか</p><p>ですから特別な演出効果の時以外は、客席の明かりを絞るようなことはしないんです</p><p>美智すいぶん、詳しいんだな</p><p>この子は武道一筋だと思っていた</p><p>みすず様のご教育です</p><p>みすずの</p><p>わたくしは警護役として、みすず様のご観劇にお付きしますからその時に、色々とお教え下さるんです</p><p>みすず様はわたくしが、武芸のみしか知らない偏った人間にならないように、色々とご教育下さっているんです</p><p>みすずのそういうところはミナホ姉さんに似ているな</p><p>二人とも、教育計画を立てたりするのが好きそうだし</p><p>そんなことを考えているうちに</p><p>２組目の踊りが始まった</p><p>小学校中学年の踊りもやっぱり、可愛い</p><p>そんな風に踊りのプログラムが一つずつ進行していく</p><p>中学生の踊りに差し掛かった時</p><p>事件は起きた</p><p>何か、物凄く暑いですね</p><p>新キャラは三国志でいくことにしました</p><p>閣下の護衛部隊は、大徳備（ダイトク・ソナエ）、張本益徳（ハリモト・マスノリ）、関羽（セキ・ショウ）の三人です</p><p>関さんだけ女性です意味は特にありません</p><p>ちょっと仕事のスケジュールの関係で、明日は更新できるかどうか判りません</p><p>なるべく頑張ってみますが</p><p>いつもよりも量が減るかもしれません</p><p>234．誰</p><p>中学生の女の子、二人の踊りが終わる</p><p>場内に拍手が起こり踊り手たちが礼をする</p><p>その子らの友達らしい子が、舞台下から花束を渡している時に</p><p>一人の太った初老の男性が、突然香月閣下の方へつかつかと近寄って</p><p>大声で叫ぶ</p><p>香月重孝さんよぉぅっ折り入って、あんたさんに内々で話がしたいんじゃけぇんのぉうっ</p><p>金縁眼鏡に、禿頭、でっぷりと太ったスーツ姿の男は額から汗をダラダラと流している</p><p>ガタガタと震えてただごとでは無いことが判った</p><p>つーか、ちょっとお酒が入ってるっぽい</p><p>なあにっ、絶対に損はさせねぇっわしゃあ、あんたさんにとっても良い話を持って来たんじゃ</p><p>訛りの強い男の声は、緊張の余り甲高く裏返っていた</p><p>顔は強張り眼は血走っている</p><p>あんたさんも得をする、わたしも得をする対等にWIN－WINな関係になるんじゃけぇ判りますのおうウィン・ウィンじゃ</p><p>突然起こった状況に場内は、静まり返った</p><p>場内の全ての観衆が２階席の閣下に注目する</p><p>太った初老の男は、何とか閣下に接近しようとするが</p><p>閣下とその男の間には、数列に渡って閣下の指導するエリート青年たちの層がある</p><p>だから男は２階最前列に座った閣下の背後から、座席で言うと４列分くらい後ろから必死に声を投げ掛けていた</p><p>どなたですのあの方</p><p>どこの家の人かしら</p><p>香月様に、あんな無礼を働くなんて</p><p>どういうことなんだこれは</p><p>ようやく小さな声で囁かれる、疑念</p><p>閣下は不快な顔をして決して、乱入して来た男に振り向こうとはしなかった</p><p>美智あれが誰だか判るか</p><p>父親の調査ファイルを見ているはずの美智に、尋ねてみた</p><p>いいえわたくしにも判りません</p><p>美智も知らない人物となると何者なんだ</p><p>んあたし、知ってるわよ</p><p>雪乃が、軽く答えた</p><p>知っているのか</p><p>何で、雪乃が</p><p>で誰なんだ</p><p>雪乃は、ケロッとした顔で答えた</p><p>金子信男さんよ</p><p>雪乃はそう言う</p><p>へえそうなんだ</p><p>そうよ金子信男さん</p><p>金子信男</p><p>マジで、誰なんだ</p><p>どこの金子さんなんだ</p><p>オレがそう尋ねると雪乃は</p><p>大叔父様の側近よ新聞社の役員の金子さん</p><p>雪乃の大叔父というのは、白坂家当主・白坂守次氏だ</p><p>つまり白坂家に仕えている人間か</p><p>側近の順位で言うとねええっと、２０番目より下くらいね金子さんは、平取りだから</p><p>平取り</p><p>ただの取締役専務とか常務とか肩書きが付いていないのよ</p><p>それってどんな立場なんだ</p><p>会社組織の中での偉い順とかオレには、よく判らない</p><p>まあ、役員なんだから一応、経営陣の一人なんだけれど金子さんは、元々は社会部の記者から叩き上げで出世した人で、長いこと中国支社の支社長をしていた人よ去年ぐらいに、ようやく本社に呼び戻されて役員に昇格したって話よ</p><p>中国って海外に居たのか</p><p>何か国際派には、全然見えないけれど</p><p>違うわよ広島よ</p><p>広島</p><p>中国地方広島にずっと居た人よ</p><p>ああそれで、訛っているんだ</p><p>お前そんな人のこと、よく知っているな</p><p>パーティーの時に、うちのパパが馬鹿にしていたから覚えていたのよ</p><p>白坂創介が馬鹿にしていた</p><p>中国支社長なら、現地でイバっていられたけれどあの年で平取りじゃあ、誰からも相手にされなくて本社でペコペコしてるしかないって見た目では出世なんだけれど、実際には今期限りで退職させられることが決まっているから、リストラなんだって</p><p>そういう立場の人なんだ</p><p>でその平取りでリストラ候補の金子さんが、何しに来たんだよ</p><p>そんなの、あたしが判るわけが無いでしょ</p><p>さすが、雪乃だ</p><p>白坂家の関係者の力関係については、よく知っているくせに</p><p>今、この現場で何が起きているのかについては興味が無いらしい</p><p>おそらく香月様に交渉に来たのでしょう</p><p>美智が、言った</p><p>でも金子さんは、そんな権限は持っていないはずよ</p><p>このままでは香月様と白坂守次氏の直接対決になってしまいそうなので、現状に危機感を感じたのでしょう自らの保身のために、香月様に近付いて来たのだと思います</p><p>どういうことだ美智</p><p>例えば白坂守次氏に関する秘匿情報を、香月様にお知らせするとかいずれにせよ、香月様に取り入ろうとなさっているのだと思います</p><p>つまり裏切り</p><p>白坂守次のグループは、そこまで追い詰められているのか</p><p>あたしゃあねぇあんたさんに、どうしてもお話ししたいことがあるんですわっなあに、五分で構いませんわっいいや２分でいい３０秒でもわたしの真摯な言葉にどうか耳を傾けて下さいませんかねぇ</p><p>興奮した男が、必死で閣下に叫ぶ</p><p>しかし香月様は、お聞き届けにはならないでしょう</p><p>美智は、言った</p><p>取締役会の下位の人間が知っている情報なんて、大したものではないでしょうしこの裏切り行為そのものが、白坂守次氏の策かもしれません</p><p>わざと裏切り者を送り込んできた</p><p>偽情報を掴まされる可能性が高いということか</p><p>そもそも香月様は、こういう不躾な行為がお嫌いです</p><p>香月閣下は男を無視したまま、警護役に手で合図する</p><p>スッと空中を撫でるように払う</p><p>追い払えのサインだ</p><p>失礼ですが、お客様</p><p>女性警護人の関さんが、スッと立ち上がって金子信男に近付く</p><p>関さんの身のこなしは、優雅でエレガントだった</p><p>穏やかな笑みを端正な顔に浮かべている</p><p>あらかじめ、美智に警護人と教えて貰っていなかったら香月閣下専属の秘書かコンパニオンだとしか思えないほどの超美人だ</p><p>そんな関さんが優雅に微笑む</p><p>申し訳ございませんお話でしたら、あちらでわたくしがお聞き致しますわっ</p><p>それじゃあ、ダメなんじゃよぉぉぉっあんたじゃのうて、あたしゃあ香月重孝さんと、二人っきりで差しで話したいんじゃっ姉ちゃん、お願いだからぁ、取り次いでくれんかのぉっ</p><p>ヒステリックに叫ぶ、金子信男</p><p>男の様子が、急におかしくなる</p><p>むぎっ</p><p>あら、どうなさったんです</p><p>関さんが、ニッコリと微笑むと</p><p>金子信男は突然、口から泡を噴いて、その場に卒倒した</p><p>まあ、大変ですわっ救護の方を早くっ</p><p>すでに、香月セキュリティ・サービスの制服組が近くまで来ていた</p><p>警備員によって、すぐに担ぎ出される金子信男</p><p>驚きましたわぁっまあ、あの方、とても興奮なさっていたようでしたしお酒もたくさん飲まれていたみたいでしたからねぇ</p><p>劇場の外に運ばれる男を見送りながら関さんが、言い訳じみたことを言う</p><p>美智、今のは</p><p>はい関さんが、一瞬であの老人のボディに３発拳を打ち込んでいます</p><p>美智がそう告げる</p><p>これだけの観衆に注目されている中で</p><p>誰にも気付かれることなく、関さんは金子信男をノック・アウトした</p><p>関さんは、香月セキュリティ・サービスの中では、最も優雅な技の持ち主ですから右腕で観衆の視線をブラインドして、左の拳で流れるように急所を３カ所打ち抜きました</p><p>怖ぇぇ</p><p>関さん、マジ怖い</p><p>金子信男が場外へ連れ出されると同時に香月閣下が、スッと立ち上がる</p><p>みなさん申し訳ありませんなあにこんなことは、私の日常生活では、よくあることですどうか、ご心配なさらないで下さい</p><p>穏やかに威厳のある声で、閣下は言った</p><p>それから、突然起こった事件に舞台の上で怯えている、踊りを終えたばかりの少女たちに向かって</p><p>おかしな人の乱入で、君たちの踊りの余韻を壊してしまって、申し訳無いね真下香苗さん大畑麻里乃さんでも、私はちゃんと君たちの踊りを覚えていますよ良い踊りでしたよく、お稽古をしていますね</p><p>閣下はパンフレットを確認することなく、少女たちの名前をフルネームで呼んだ</p><p>偉大なる香月閣下から直接、名前を呼ばれて少女たちの顔が微笑む</p><p>また来年の発表会を楽しみにしていますよこれからも、研鑽を続けて下さい</p><p>舞台上の少女たちが、閣下に礼をする</p><p>その瞬間場内に拍手が起こった</p><p>閣下も拍手する</p><p>場内の観客たちの拍手は閣下のスピーチに対するものだったのに</p><p>閣下も拍手に加わることで少女たちの踊りに対する賞賛の拍手にすり替えられる</p><p>拍手の続く中閣下は、スッと席に座った</p><p>舞台から黒衣が現れて、少女たちに袖に引っ込むようにサインを出す</p><p>もう一度、観客席にペコッと頭を下げて少女たちが退場する</p><p>舞台の進行が、元に戻る</p><p>まるで金子信男の乱入など、無かったみたいに</p><p>本日の警備責任者の山岡部長は始末書に減給処分だねっ</p><p>寧さんがオレたちの席の方に移って来て、そう言った</p><p>ミス・コーデリアと白いヴァイオラが、場内に潜入したという知らせを聞いて警備体制を、そちらに大きく振ったのでしょう</p><p>つまりヴァイオラ対策に気を取られて</p><p>白坂家関連の人間が入場したことに、気付かなかった</p><p>多分さ、外国人や、大使館アメリカ商務省のルートに重点を置いたんじゃないのかなまあ、白坂家の一族の人間も、一応チェックしていたんだろうけれど</p><p>金子信男は、見逃しちゃったんだ</p><p>新聞社の取締役の下の方の人までは、チェックしきれなかったんじゃないかなどうせ、今日の会に白坂家関連の人は来ないだろうって思い込んでいたんだろうし</p><p>まあ金子信男は、ノー・チェックだったんだろう</p><p>大変な失態です</p><p>美智は冷たく、そう言った</p><p>まあ、そう言わないでガチガチに警備員を固めているつもりでも、こういうことは起こるんだよ</p><p>うん緊張状態を続けている時の方が、ミスは多い</p><p>まさかと思うところからちょっとした不注意で、とんでもない事態になる</p><p>むしろ、こんなミスは今のうちにやっておいてくれた方が助かるよ本番は夜だからね</p><p>この劇場に居る間はヴァイオラの襲撃は無いってことですか</p><p>ミス・コーデリアが、そう約束してくれたでしょっ</p><p>信用できるんですかあの人</p><p>信用できるわけないじゃんあのシザーリオ・ヴァイオラの元締めだよ</p><p>なら</p><p>ヨッちゃん大丈夫だって今はまだ、あの人たちもあたしたちも仕込みの時間だから</p><p>仕込みの時間</p><p>周りの人によく注意して一般のお客さんもそうだし、香月セキュリティ・サービスの制服を着た人たちにもね多分白坂本家のスパイとか、ヴァイオラの配下の人間はもう潜入しているから</p><p>でも今はまだ蜂起の時間じゃ無い状況が煮詰まって、爆発するまでには時間が掛かるってこと</p><p>寧さんたちはすでに次の事態を想定して、行動している</p><p>周りを見て、変だなって思う人が居たらすぐにマルちゃんに報告してそれから一人では決して出歩かないおトイレも、みんなで行ってねミッちゃん、頼むよ</p><p>寧さんの言葉に、美智が頷く</p><p>以上先生とマルちゃんからの伝言でしたっ</p><p>ミナホ姉さんとマルゴさんが、そういう指示を出して来たということは</p><p>二人はすでに潜入している敵を確認しているんだ</p><p>この会場にすでに敵は居る</p><p>変な人ってあの人とあの人のことでしょ</p><p>雪乃が平然と、観客席後方の出口近くに居た男を指差した</p><p>雪乃、お前</p><p>だって大叔父様のお家のパーティで見たことがあるもの</p><p>その瞬間雪乃が指差した二人に、香月セキュリティ・サービスの警備員が向かって行く</p><p>あっという間に二人の男が、連れて行かれる</p><p>誰かがオレたちの様子を見ている</p><p>ここに居る黄色と黒のワンピースを着た女が、白坂雪乃だと知っている人間が、オレたちの様子を監視している</p><p>ご主人様、上です</p><p>美智の言葉にオレは２階席を見上げた</p><p>香月閣下の後ろの席で専任警護チームの谷沢チーフが、オレたちを見ていた</p><p>オレを見てニッと笑っている</p><p>さすが谷沢チーフ</p><p>オレたちを泳がせて敵を釣り上げていくつもりなんだ</p><p>雪乃変な人を見つけても、もう指すな</p><p>え、どうしてよ</p><p>そんなことを続けていると潜入している敵がお前に注目するぞ白坂雪乃がここに居るって、バレてもいいのか</p><p>わ、判ったわよ</p><p>不承不承、納得してくれた</p><p>さて発表会のスケジュールは、中学生の二人組や三人組の踊りまで終わった</p><p>ここで今日の主催者である、紺碧流家元のご挨拶の時間になる</p><p>何で半分終わったところで、ご挨拶なんだろうそういうのって、一番始めにやるものなんじゃないのか</p><p>オレがそう言うと美智が</p><p>会の始めですとお客様が、まだ揃っていらっしゃいませんから</p><p>最初の小学生の踊りから御覧になる方ばかりではありませんし遅れていらっしゃる方もいます皆様、ご自分のお知り合いの踊りの時間に合わせて、ご来場なさりますから</p><p>なるほど普通の芝居とかとは、勝手が違うんだ</p><p>このご挨拶の後はお一人で踊られる方ばかりです家元様のお教室の中でも、腕前を認められた方ばかりになりますので</p><p>そう言えばいつのまにか、観客席が満席になっている</p><p>もちろん皆様、名家のお嬢様たちですから</p><p>ここから先は、名家の年頃のお嬢さんたちの品評会にもなっているんだ</p><p>香月閣下の後ろに並んで居るエリート青年たちにとっては、未来の嫁候補を探す時間でもある</p><p>今までの小中学生の発表とは、見る側の気合いが違ってくる</p><p>今年もまた、わたくしどもの教室の発表会を行うことができましたこれも皆様のご支援おかげでございますありがとうございます</p><p>日本舞踊紺碧流の家元紺碧撫子先生は、小柄なお婆さんだった</p><p>細身で背筋がスッと伸びている</p><p>とっても上品で、優しそうな人だった</p><p>紺碧流も来年で、流派設立より百年目を迎えますここまで流派が発展したことに、初代も大変喜んでいらっしゃると思いますわたくしどもも、これからも日々の研鑽を重ねさらに二百年、三百年と日本舞踊の伝統を次の世代に受け継いで行きたいと思っております</p><p>家元先生のご挨拶は、数分で終わった</p><p>大きな拍手の後に後半の発表会が始まる</p><p>最初の出演者は</p><p>加奈子さん、綺麗</p><p>うん格好いい</p><p>マナも絶句している</p><p>さっきロビーで少しお話した加奈子さん</p><p>その踊りはとっても大人っぽくて、艶やかだった</p><p>確かに前半の出演者とは、腕前が段違いだ</p><p>しかし本当に色っぽいな、加奈子さん</p><p>幾つなんだろう</p><p>ロビーや楽屋で見た時は、高校生ぐらいに見えたんだけれど</p><p>みすずに敬語で喋っていたから、もしかしたらオレと同い年くらいかもしれない</p><p>加奈子さんの踊りが終わる</p><p>万雷の拍手が場内に鳴り響いた</p><p>おっ前半と同じく、花束を持った人が舞台に向かう</p><p>加奈子さんのお父さんの映画俳優の洞口文弥</p><p>娘の発表会を観に来ていたんだ</p><p>うんやっぱり、本物の映画俳優は華やかだな</p><p>足が長いし背も１８０センチを軽く越えている</p><p>舞台下から花束を手渡されると加奈子さんは、お父さんの頬にチュッとキスをした</p><p>それで、また会場内に拍手が起きる</p><p>いいよねこういう時に、お父さんが来てくれるなんて</p><p>マナの父親は今、オーストラリアで地獄巡りをさせられている</p><p>マナが何かする時はオレが必ず観に行くから花束も持って行くよ</p><p>お兄ちゃん、本当</p><p>ああ約束する</p><p>マナにはもう、オレしかいない</p><p>オレがマナの家族の全てをやってやらないと</p><p>お兄ちゃん、大好きだよ</p><p>マナがオレの耳に、そっと囁いた</p><p>それから次々に、少女たちが踊っていく</p><p>うん、これぞ正しく家元の教室の発表会に相応しい見事な踊りばかりだった</p><p>出演者は、みんな１０代後半の少女たちで綺麗な子ばかりだった</p><p>２０代の人は、この発表会には出ないのかい</p><p>オレは美智に尋ねてみる</p><p>２０歳を越えるとお教室ではなく、家元先生の踊りの会の方へご出演なさることになりますから</p><p>子供向けの日舞教室とは、別に大人のお弟子さんのための踊りの会があるんだ</p><p>そちらはまた別の意味で、華やかになりますから</p><p>何が華やかになるんだ</p><p>オレの言葉に美智は答えた</p><p>踊りの衣装からして違います大人の会は、名取り以上の方しか出演できませんし</p><p>ああ、判った</p><p>もう、発表会に掛かるお金が段違いになるんだ</p><p>そうだよな、みんなお金持ちの家のお嬢さんたちだもんな</p><p>この日舞教室の発表会は、ほほえましく観ていられるけれど</p><p>大人の会は、ちょっと怖そうだ</p><p>みすずはずっと、日舞を続けたいんだろうな</p><p>オレはそっと呟いた</p><p>はいみすず様は踊りを愛していらっしゃいますから</p><p>もし、みすずがオレと付き合うことで、香月の家を追放されたとしたら</p><p>紺碧流の家元の教室は、辞めなくてはいけないだろう</p><p>ここは香月閣下の影響力が強すぎる</p><p>しかも、今の聞いた話だと日舞を続けるのにも、お金が掛かるみたいだし</p><p>オレそんなに稼げるだろうか</p><p>みすずが安心して、日舞を続けられるほど</p><p>メグが、オレの顔を覗き込む</p><p>うんうん何でも無い</p><p>経済的なことは、今は考えないでおこう</p><p>オレは２階席を見上げる</p><p>みすずの閣下の決めた婚約者</p><p>司馬貴彦か</p><p>楽しそうに横の青年と話をしながら舞台を観ている</p><p>うん真面目そうな、お坊ちゃんだ</p><p>家柄良し、顔良し高身長、多分、学歴も良いんだろう</p><p>オレとは、比較にならないぐらいのハイレベルな青年</p><p>こいつからとにかく、みすずとの結婚権を奪わないといけない</p><p>どんな手を使っても</p><p>話は、それからだ</p><p>ヨシくんそろそろ、みすずさんたちの番よ</p><p>はい美子さん、瑠璃子様、みすず様の順で踊られます</p><p>色んなことを考えているうちに</p><p>みすずたちの踊る番になる</p><p>何かドキドキしてきたぞ</p><p>楽しみだよねお兄ちゃん</p><p>楽しみとかっていうより</p><p>とにかく、何もトラブルが起こらずに、無事にみすずが踊ってくれることを祈る</p><p>みすずには、悔いなく精一杯踊って欲しい</p><p>思わず、溜息が零れた</p><p>どうしたのよ</p><p>ん何か、ちょっと心配で</p><p>みすず緊張していないだろうか</p><p>たくさんの観客に呑まれたりしないだろうか</p><p>そう言えば観客席は、すっかり満員だ</p><p>こんなにたくさんの人の前で踊りを披露するなんて</p><p>オレならビビッて縮み上がると思う</p><p>大丈夫かみすず</p><p>どうしたのよそわそわして</p><p>だってもうすぐ、みすずの出番だから</p><p>お兄ちゃんが緊張することは無いでしょ</p><p>そうよ、馬鹿じゃないのあんた</p><p>雪乃にまで、笑われてしまった</p><p>ご主人様は、心底みすず様を愛していらっしゃるのですね</p><p>ご安心下さい、ご主人様</p><p>美智は、後ろからオレの首筋を手で触る</p><p>大きく深呼吸なさって下さい</p><p>美智に言われるまま大きく息を吸い、吐く</p><p>何も問題はございませんよ</p><p>美智は言った</p><p>ご主人様のみすず様です</p><p>オレのみすず</p><p>みすず様は本当に強くなられました</p><p>物凄く暑いですそして眠いデス</p><p>私の知り合いが、数年の前、某超有名ロックスターのコンサートにダンサーの一人として出演しました</p><p>それは、５万人の観客の前で行われた大きなコンサートで</p><p>彼はそのロックスターのフェイクの役を受け持っていました</p><p>コンサートが開演して最初に、帽子で顔を隠した彼が迫り上がって登場します</p><p>お客さんは、当然彼をロックスター本人だと思う</p><p>すると、少し離れた場所からまた顔を隠した別の人が迫り上がって</p><p>数人のフェイクのダンサーが迫り上がった最後にロックスターが登場するという演出だったそうです</p><p>彼はその最初に登場する役を仰せつかったわけで</p><p>でも、やっぱり初回のコンサートの時は、５万人の前にいきなり登場すると、ついビビッて腰が引けてしまったそうです</p><p>とその出番が終わった途端に、彼はいきなりスタッフに呼び出されて</p><p>ボスが呼んでるから付いてこい</p><p>そしてロックスターの楽屋へ連れて行かれたそうです</p><p>スターは、彼を見るなり</p><p>あんさぁいきなり、眼の前に人が５万人もいたら、ビビッちまうのは判るんだけどさぁそれじゃあ、やっぱマズイっしょ</p><p>はいすみませんでした</p><p>そこんとこよろしくぅ</p><p>彼曰く５万人の観客より、そのロックスターに呼ばれた方がビビッたそうです</p><p>235．スタンディング・オベーション</p><p>総出演者５０人の紺碧流家元の日舞教室発表会もそろそろ、クライマックスに近付く</p><p>プログラムでは、一番最後に家元の紺碧撫子先生が踊ることになっている</p><p>その前が家元先生の孫娘である愛美さん</p><p>愛美さんは、紺碧流の家元継承者候補ということだから、この二人の踊りは別格の扱いだろう</p><p>本来の日舞教室に通うお弟子さんたちの発表会という意味ではこの後の３人が最後の踊り手ということになる</p><p>美子さん、瑠璃子さんそして、みすずという順</p><p>つまり香月家の孫娘たちが、今日会場に集まった政財界の重鎮たちに披露される</p><p>美子さんもどこかの名家の人なの</p><p>もちろんです香月様の側近の一人小森様のご息女ということになっています</p><p>なっている</p><p>香月様のお子という、噂もございます</p><p>閣下はみすずと瑠璃子さんを、自分の暗い楽しみのために歪めて育てた</p><p>二人が生まれる時期２歳の年の差まで、閣下の指示通りだ</p><p>ならばお付きとして、子供の頃から瑠璃子さんに仕えている美子さんも、閣下の計画の中で誕生した可能性がある</p><p>現在１８歳、高校３年生の美子さん</p><p>１７歳、高校２年生のみすず</p><p>１５歳、中学３年生の瑠璃子さん</p><p>始まるわよ</p><p>そしてまずは、美子さんの踊りが始まる</p><p>照明ライトの白い光の中の美子さん</p><p>三味線の生の演奏が空気を振るわせる</p><p>うわっ華やか</p><p>マナが感嘆する</p><p>赤い着物に、カツラを付け白く顔を化粧した美子さんは</p><p>さっきまでの瑠璃子さんのお付きの控え目な人とは、まるで別人だった</p><p>こんなに存在感のある人だったんだ</p><p>普段は瑠璃子さんの前では、なるべく自分の気配を消しているんだろう</p><p>それは美子さんの意図的な行動で無く子供の頃から、そうするのが当たり前だとして生活してきたから</p><p>習慣的に身に付いてしまっていることでしかないんだ</p><p>だから美子さんが、一人だけで日舞を踊ると、彼女本来の魅力が一気に露わになる</p><p>美人で、スタイルも良く、素直で真面目そうな理想的な少女が、姿を見せる</p><p>踊るとは、演じることです何かを演じれば、逆にその方の本来の姿が浮き上がってきます</p><p>丁寧な性格の方は、丁寧に踊ります普段は誤魔化していても、粗雑な方には雑な踊りしかできません心の広い方は、大きく踊ります立派な体格をなさっていても、心の狭い方は、小さな踊りしかできません</p><p>踊りが人の心を示す</p><p>踊りの振り付けは、伝統的なものですから昔から変わりませんそれなのに、踊る方によって表現に優劣があるのは、心が違うからです</p><p>うん定められた動きを、音楽に合わせてしているだけなのに</p><p>個性がはっきりと見えてくる</p><p>美子さんは主の瑠璃子さんに似て、鷹揚でほんわかとした性格の人だと思っていたけれど</p><p>美子さんの踊りは、丁寧できめ細かい</p><p>手の指先や、足先まで気を抜かずに踊っているのが判る</p><p>なのに息苦しい感じはしない</p><p>大きな大輪の花の様な艶やかな、華やかさを感じる</p><p>美子さんは今まさに成熟しようとしている年頃の美少女なんだ</p><p>踊りが終わり美子さんが、観客に礼をする</p><p>マナが、溜息を吐いた</p><p>ズルイよこんなに綺麗で、大人っぽいなんて</p><p>最初の小学生の踊りとは、遙かに違うレベルの踊りを見せられた</p><p>大きな拍手とともに花束を持った人たちが、舞台前に集まって来る</p><p>若い男性も７、８人いた</p><p>美子さんはとても、おモテになられるんです</p><p>毎回、この踊りの会ではあの様に、何人もの男性が花を差し出されます</p><p>しかし美子さんは、小学生くらいの女の子の花束だけを受け取って、もう一度会場に頭を下げる</p><p>みすず様や瑠璃子様と違い美子さんには、香月様の定められた婚約者はいらっしゃいませんから</p><p>単に美子さんのことが好きな男ばかりじゃないんだ</p><p>美子さんと結婚すれば瑠璃子さんを通じて、香月家と親しくなることができる</p><p>そういうことを企んで近付いて来る者も多いんだろう</p><p>ですから美子さんは、男性からの花束は決してお受け取りになりません</p><p>こんな公の場で男からの花束を受け取れば色々と勘違いされることになる</p><p>それを避けて美子さんは、男たちの花を拒絶する</p><p>毎回そうなのに今日も、８人もの若い男が花束を抱えてやって来る</p><p>それほど</p><p>香月家の懇意になるということは、魅力的なことなんだろう</p><p>美子さんが退場して舞台照明が変化する</p><p>今度は瑠璃子さんの番だねっ</p><p>マナがオレを見て、微笑む</p><p>薄闇の中を白い衣装を着た、瑠璃子さんが現れる</p><p>舞台上の定位置に付いて顔を伏せて座す</p><p>ビィィンと三味線の音</p><p>ライトの強い光が、カッと瑠璃子さんを照らす</p><p>瑠璃子さんの衣装は、銀糸で刺繍されている</p><p>その銀の糸が光を反射して、キラキラと輝いた</p><p>スッと顔を上げる瑠璃子さん</p><p>踊りが始まる</p><p>観客席の空気が一瞬にして変わった</p><p>踊る瑠璃子さんは可憐だった</p><p>誰も辿り着くことのできない山の頂上に咲く清廉な花の様だった</p><p>人の手に触れた瞬間粉々になってしまいそうな、聖なる花</p><p>人間の住む下界とは、相容れない澄み切った清らかな魂</p><p>美子さんの踊りは彼女が、大人になりかけている一人の魅力的な少女であることを示していたけれど</p><p>瑠璃子さんは妖精だ人では無い</p><p>清らかないや、清らかすぎる魂だけが感じられた</p><p>あの子、可哀想ね</p><p>あんなに一人ぼっちなのにそれが、当たり前だと思っているみたい</p><p>雪乃の言葉に、オレはハッとする</p><p>瑠璃子さんはみんなとは違う</p><p>違う世界に生きている</p><p>同じものを見ても他の人とは、違うように見えている</p><p>ずっとお付きの美子さんが側に居てくれていても</p><p>香月家の継承者である瑠璃子さんは違う次元で生きているんだ</p><p>そこまで閣下は瑠璃子さんを、現世から隔離して育ててきた</p><p>観客たちは、舞台の上の少女を可憐で清らかな妖精の様に見ている</p><p>オレもそうだった</p><p>ただ雪乃だけが</p><p>瑠璃子さんを、あくまでも１５歳の一人の人間の少女として見ていた</p><p>あの子の世界には、あの子しかいないのね</p><p>瑠璃子さんの踊りが続く</p><p>舞台の上だけが別の世界の様だった</p><p>瑠璃子さんは、本当はとても遠い場所に居て</p><p>オレたちは、衛星中継の映像を観ているようだった</p><p>そう地球と月ぐらい離れている</p><p>なのに瑠璃子さんは、自分一人しか居ない聖域で、楽しそうに踊っている</p><p>異世界から、オレたちに手を振っている</p><p>一方通行の通信を送り続けている</p><p>何て悲しい踊りなんだろう</p><p>観客たちは、そんな彼女の踊りを違和感さえも、素晴らしい表現力と勘違いして、驚嘆しながら鑑賞している</p><p>瑠璃子さんとっても寒そう</p><p>マナの呟きが、全てを表現していた</p><p>瑠璃子さんには一緒に温め合う相手がいない</p><p>寒そうなのに笑っているね</p><p>自分が孤独であることにすら、気付いていない無邪気な魂</p><p>孤独な世界しか知らないから</p><p>孤独であることが、当たり前で生きてきたから</p><p>極限の孤独の中で瑠璃子さんは、一人で笑って、一人で遊んでいる</p><p>それなのに顔をオレたちに向けて</p><p>遠い世界に棲むオレたちに笑いかけてくれていた</p><p>香月閣下が彼女に強いてきた生き方</p><p>香月家の娘としての</p><p>遠い世界からの通信が終わる</p><p>瑠璃子さんの踊りが</p><p>ワーッ</p><p>瑠璃子さんが最後の礼をした瞬間</p><p>会場全体から、大きな歓声と拍手が起きた</p><p>みんな今観たものを</p><p>ただの素晴らしい舞踊だとしか思っていない</p><p>瑠璃子さんの孤独な魂の表現であることに気付いてはいない</p><p>オレは、驚いた</p><p>踊り終わった瑠璃子さんには</p><p>誰も花束を渡しに来ない</p><p>オレは、美智に尋ねる</p><p>この様な場で、瑠璃子さんに花を贈るのは悪質なパフォーマンスだと思われますから</p><p>香月閣下の孫娘に公の場で花束を贈ろうとするとやっかまれたり、陰で文句を言われたりするのだろう</p><p>だからいつの間にか、瑠璃子さんには誰も花を贈らないというのが、非公式な取り決めになっていったんだ</p><p>こういうおかしな特別扱いで瑠璃子さんのためになるのか</p><p>一生懸命に稽古して、踊り切った瑠璃子さんに</p><p>遠くからの拍手だけでなく気持ちを、思いをちゃんと届けるべきではないのか</p><p>瑠璃子さぁぁんっ素晴らしかったですっ</p><p>オレは席を立って、大きな声で叫んだ</p><p>下品な行為なのかもしれない</p><p>馬鹿丸出しなのかもしれない</p><p>でも、他に思い付かなかった</p><p>ちょっと、止めなさいよみっともないでしょ</p><p>雪乃がオレを制しようとするが</p><p>構うもんか</p><p>とっても、綺麗でしたぁぁ</p><p>オレは立ったまま、大きく瑠璃子さんに拍手する</p><p>警備員に摘み出されるかもしれない</p><p>だけど何かしないわけにはいかなかった</p><p>瑠璃子さんは、舞台の上で驚いた顔をしている</p><p>観客席も、オレの蛮行に一瞬にして静まり返った</p><p>ブラボーブラボー瑠璃子さーんっ</p><p>寧さんがオレに続いて、立ち上がって拍手しながら叫んだ</p><p>オレの気持ちを判ってくれて</p><p>瑠璃子さーんっ格好良かったよぉぉぉ</p><p>次にマナが拍手しながら、立ち上がる</p><p>素敵でしたぁぁっ</p><p>堪能させていただきましたっ</p><p>美智も</p><p>オレ一人なら、変な小僧の悪ふざけのパフォーマンスみたいだったけれど</p><p>みんなが立ってくれると賞賛のスタンディング・オベーションになる</p><p>BRAVO</p><p>マルゴさんが、英語の発音で叫びながら立ち上がってくれた</p><p>ミナホ姉さんたちは、黒い森の顧客だった人たちの眼があるから動けないことは判っている</p><p>雪乃は呆れた顔をしていた</p><p>OHBRAVOBRAVOBRAVO</p><p>オレたちと全然違う場所から外人さんの賞賛の声がした</p><p>見ると外国人が集まっている座席の真ん中で、一人の白人のオッサンがスタンディング・オベーションしてくれていた</p><p>多分今日の会を観に来た、アメリカの政府の偉い人なんだろう</p><p>マルゴさんのBRAVOに反応したらしい</p><p>すぐに周囲のアメリカ人たちも席を立って、拍手する</p><p>そこから会場の空気が変わった</p><p>日本人の普通の観客たちも、みんなどんどん立ち上がって瑠璃子さんに拍手する</p><p>最後には香月閣下まで</p><p>もちろん、閣下の周囲のエリート青年団も空気を読んで立ち上がる</p><p>ついに会場全体が、スタンディング・オベーションの嵐となる</p><p>ミナホ姉さん、克子姉、渚に真緒ちゃんも立って拍手していた</p><p>座ったままなのは雪乃ぐらいだ</p><p>それと閣下の３人の警護人も</p><p>瑠璃子さんは最初は戸惑っていたようだったが、すぐに落ち着いて場内の三方に何度も礼をしていた</p><p>ご主人様、他の方よりも先に座って下さい</p><p>美智がオレに言った</p><p>こういう場合は、先に座ってしまった方が目立たずに済みます</p><p>確かに最初にスタンディング・オベーションを始めたやつがずっと立っているのは目立ちすぎる</p><p>オレが席に座るとメグやマナたちも座る</p><p>徐々に拍手が収まっていき立ち上がった観客たちが座っていく</p><p>瑠璃子さんは、にっこりと微笑んで、もう一度客席に礼をしてから舞台袖の中へ退場して行った</p><p>みすずさん、大変だねこの後じゃ</p><p>スタンディング・オベーションの後じゃ、踊りにくいかもね</p><p>しまったそういうのは、考えていなかった</p><p>大丈夫でございます</p><p>美智がオレに言う</p><p>みすず様はかえって燃えていらっしゃると思います</p><p>はいみすず様をご信頼下さい</p><p>うんそうしよう</p><p>みすず頑張ってくれ</p><p>舞台に、みすずが現れる</p><p>会場がスーッと静かになる</p><p>みすずは、舞台の真ん中に手を付いて座る</p><p>観客席の空気が完全に穏やかになったのを感じてから</p><p>三味線が、静かに鳴り響く</p><p>舞台の照明がゆっくりと明るくなっていく</p><p>ビビィィーンッ</p><p>みすずが顔を上げた</p><p>深紅の衣装を着たみすず</p><p>白く塗られた顔</p><p>紅を差した唇</p><p>美しい</p><p>オレのみすずは神々しいほど、美しかった</p><p>場内から瑠璃子さんの時と、また違った溜息が漏れる</p><p>みんな、みすずの美しさに見とれている</p><p>スッと立ち上がって舞扇を開く、みすず</p><p>みすずの踊りは恋の踊りだった</p><p>恋を知ったばかりの少女の舞</p><p>大人になろうと背伸びする１７歳のみすずに相応しい、踊りだった</p><p>口惜しいわ</p><p>どうして、みすずさんはあたしより一つ年上であんなに、綺麗なのかしら</p><p>メグが、みすずの美しさに嫉妬している</p><p>あたし、敵わないわ</p><p>敵わなくていいんだよ</p><p>みすずにはみすずのメグにはメグの魅力があるんだ競い合って闘う必要なんて無いんだから</p><p>うんそれは判っているんだけど</p><p>メグは、黙り込む</p><p>舞台の上のみすずは瑠璃子さんとは違った</p><p>みすずはちゃんと、オレたちと同じ世界に居る</p><p>オレたちと同じ空間で恋を知り、恋に悶える少女を踊る</p><p>みすずの細かい心の揺れが、踊りに見える</p><p>人を愛することに戸惑う少女</p><p>それでも、少女の中で恋の炎が熱く燃えていく</p><p>熱情に焼かれるように激しく、少女は舞い踊る</p><p>みすずとのセックスを思い出していた</p><p>最初の初々しい、処女喪失から</p><p>少しずつ女として目覚めていったみすず</p><p>今ではセックスの快感に全身で喜ぶ、みすず</p><p>舞台のみすずの中にオレとのセックスが、見える</p><p>少女から女に変わっていったみすずが踊りの中で、再現されていく</p><p>オレの頭の中で</p><p>みすずの着ている豪奢な衣装が消えて行く</p><p>みすずの踊りには衣装の下のあの柔らかな肉体が、はっきりと透けて見えた</p><p>白足袋の中のピンク色の足の指先さえ、オレには判る</p><p>オレはみすずの全身を知っている</p><p>みすずの身体の中で知らない場所はない</p><p>肌の感触を抱き心地を肉体の柔軟さを知っている</p><p>みすずの中に何度も射精したオレだけが悦びに震えるみすずを知っている</p><p>見たことがある、触れたことがある、抱いたことがある</p><p>愛している女の肉体表現を観るというのはとても、不思議だ</p><p>多分この会場の中で、オレだけが違う踊りを観ている</p><p>みすずが舞う度にみすずの肉体を思い出す</p><p>いや肉体だけじゃない</p><p>心も</p><p>みすずの火の様に熱い心を感じる</p><p>言葉は丁寧で穏やかなのにみすずは、いつも燃えている</p><p>そういうみすずの熱情が踊りの中に、見えてくる</p><p>うんこれは、みすずだ</p><p>みすずにしかできないみすずの踊りだ</p><p>すごく愛おしい</p><p>この時間があの肉体があの心が</p><p>両腕で、しっかりと抱き締めてやりたい</p><p>こいつはオレの女なんだって世界中に宣言してやりたい</p><p>今日のみすず様最高です</p><p>心身ともに充実なさって踊っていらっしゃる</p><p>うんすごいよ、みすず</p><p>恋する少女の踊る姿に会場全体が、息を呑む</p><p>愛する相手を求めて舞台のみすずが、激しく舞い踊る</p><p>熱情が滴り零れるまま踊りは、クライマックスを迎える</p><p>扇の向こうに恋する相手を見上げたまま</p><p>恋の熱風の踊りが終わる</p><p>扇を閉じて客席に頭を下げる、みすず</p><p>一瞬の間</p><p>もう、オレが何かする必要は無かった</p><p>観客席は、自発的にスタンディング・オベーションの嵐となる</p><p>あたし、もっと自分を磨く</p><p>マナみすずさんに、負けてるもんこのままじゃ、お兄ちゃんを取られちゃうよ</p><p>おいおい、変な心配をするなよ</p><p>いいのっとにかく、あたしも頑張るよっみすずさんに負けたままじゃ嫌だもんっ</p><p>何にせよ、前向きなのはいいことか</p><p>あたしも次の大会で自己ベストを出すわ</p><p>メグも口惜しそうに、そう言った</p><p>あたしには、走ることしかできないからでも、負けないみすずさんみたいに、充実してみせるわ</p><p>二人にはみすずの踊りが、そう見えたらしい</p><p>後ろから、オレを呼ぶ声がした</p><p>そうだここでのオレは、黒森公之助を名乗っている</p><p>振り向くと加奈子さんが立っていた</p><p>加奈子さんは大きな花束を抱えていた</p><p>みすずさんが、これを黒森さんにお願いしますって</p><p>加奈子さんは、オレにニコッと微笑む</p><p>舞台の方を見るとみすずが、真剣な顔でオレを見ていた</p><p>さっきの瑠璃子さんの時と同じだ</p><p>賞賛の拍手はあるがみすずに、花を贈ろうとする人間はいない</p><p>香月家の娘に公の場で花束を渡す行為はやはり、タヴーなんだろう</p><p>その禁忌をみすずは、オレに犯せという</p><p>祖父の香月閣下と、名家の人々の前で、自分に花束を渡せと</p><p>マナも、オレを見上げる</p><p>みすずが望むのならどんなことでも受け入れる</p><p>加奈子さんありがとうございます</p><p>オレは加奈子さんから、花束を受け取る</p><p>このためにあらかじめみすずが自分で用意していたのだろう</p><p>花束は全て、真っ赤な薔薇だった</p><p>オレは舞台前に向かって、歩き出す</p><p>オレの周囲から客席に動揺が走る</p><p>タヴーを犯す者が現れたことに対する驚きが</p><p>動揺の波は、観客席全体に波の様に拡がっていく</p><p>オレは真っ直ぐに、舞台へと向かう</p><p>みすずが待っている</p><p>みすずオレを</p><p>舞台の下からみすずに向かって、花束を捧げる</p><p>来て下さるって、信じていましたっ</p><p>嬉しそうに花束を受け取った</p><p>えーっななな、なんでぇぇぇっ</p><p>スットンキョな悲鳴が２階席から発せられた</p><p>声の主はみすずの婚約者</p><p>司馬貴彦が、大きく口を開けて驚いている</p><p>もうこっちを見て下さい旦那様</p><p>みすずの声にオレは振り返る</p><p>みすずの顔は美しい</p><p>みすず大好きだよ</p><p>あたしこそ愛しています</p><p>みすずが、オレに手を伸ばす</p><p>オレは、その手を掴んだ</p><p>舞台に上がって、旦那様</p><p>オレはみすずに引き上げられる様にして、舞台の上に上った</p><p>人々の熱い視線がオレ立ち二人に集中している</p><p>旦那様好きっ</p><p>みすずはオレの胸に飛び込んできた</p><p>今日も遅刻寸前</p><p>236．心のヌード</p><p>花束を持ったみすずと舞台の上で抱き合う、オレ</p><p>満員の劇場はシンとしている</p><p>みんな、どう反応したら良いのか判らなくなっているのだ</p><p>観客たちの視線は、舞台上のオレたちと２階席正面の香月閣下に集中していた</p><p>旦那様、ギュッと抱いていて下さい</p><p>みすずには閣下の定めた婚約者がいることは広く公表されている</p><p>誰が婚約者かまでは、知らされていないが</p><p>だからこの状態について、観客たちが想像するのは、次の２つのケースだ</p><p>ケース１・オレがみすずの婚約者でこのパフォーマンスは、オレを披露するための演出である</p><p>ケース２・みすずが閣下の意に反し婚約者以外の恋人を作って、既成事実として公表しようとしている</p><p>しかしケース１は無い</p><p>観客の中で、オレがみすずのその婚約者だとは思う人間はいないだろう</p><p>オレは見た目からして、閣下の目に適うような血筋の良い人間では無いし</p><p>頭も悪そうだしさっきから、場を乱す様な行為を連発している</p><p>この会場の中にいるほとんどの人々上流階級の人たちの独自のルールを、守らない人間だ</p><p>こんな危険で馬鹿な男に香月閣下ともあろう人が、大事な孫娘を托すはずがない</p><p>もし、この場にみすずの婚約者が居るとすれば閣下が自ら教育している、お気に入りエリート青年団の中にいるはずだ</p><p>実際真の婚約者司馬貴彦は、そこにいる</p><p>どどど、どうなっちゃっているんだよっ</p><p>２階席でスットンキョな声で叫ぶ声</p><p>眼鏡をかけた知的な印象の美男子が呆然としている</p><p>うんやっぱりエリートの人は、急なアクシデントには弱いんだな</p><p>みすずの婚約者に指名されて、さっきまでは２０歳前後ですでに人生勝ち組だと思っていたんだろうし</p><p>申し訳ないけれど</p><p>みすずは、もうオレのものだ</p><p>絶対にあんたには渡さない</p><p>オレは、さらに力強くみすずを抱き締める</p><p>会場は、まだ静まり返ったままだ</p><p>香月閣下は無表情で、オレたちを見下ろしている</p><p>閣下がどう動くか判らないうちは誰も反応できない</p><p>ブーイングどころか、ざわめきもなくみんな息を殺して、閣下に注目している</p><p>ミナホ姉さんたちも動かなかった</p><p>今ここでオレが黒い森の関係者であることが知れるのはマズイ</p><p>メグやマナたちも黙り込んで、舞台を見つめていた</p><p>パチパチと拍手の音がする</p><p>観客席からでは無い</p><p>その音は舞台袖から、聞こえた</p><p>スッと舞台にさっき自分の出番を終えたばかりの瑠璃子さんが現れた</p><p>にっこりと微笑んで</p><p>オレとみすずに、拍手してくれる</p><p>続いて美子さんも</p><p>拍手の音が二人になった</p><p>それから観客席からも</p><p>寧さんだった</p><p>黒い森の人間であることを世間に知られていない寧さんが満面の笑みで、オレたちに拍手してくれる</p><p>その拍手にメグとマナと美智が加わる</p><p>雪乃だけは憮然とした表情で、こっちを見ていた</p><p>他の観客たちは戸惑っている</p><p>瑠璃子さんが意を決して、オレたちに向かって歩いて来てくれた</p><p>瑠璃子は、みすずお姉様の勇気に感動しております</p><p>みすずに、そう言ってくれた</p><p>みすずが、顔を上げる</p><p>お前の花瑠璃子さんにも、分けてあげていいか</p><p>オレはやりたいことをいや、やるべきことを全てやってしまおうと思った</p><p>みすずは、すぐにオレの意図に気付いた</p><p>にっこりと笑ってオレに薔薇の花束を差し出してくれる</p><p>その中から、オレは花を一輪、抜き取った</p><p>瑠璃子さんはい</p><p>オレは大観衆の前で、瑠璃子さんにも一輪の薔薇を捧げる</p><p>あのわたくしにですか</p><p>瑠璃子さんも、一生懸命にお稽古して今日の舞台で踊ったんでしょう</p><p>はっきりとオレは言った</p><p>小学生の子たちまで頑張って練習して出した成果に対して、お花を貰っているのに瑠璃子さんだけ誰からもお花を貰えないのは、おかしいと思います</p><p>オレの言葉にみすずが続く</p><p>みすずも一輪の花を抜き取って</p><p>あたしからも受け取って頂戴</p><p>オレとみすずからの２輪の花を大切そうに受け取ってくれた</p><p>わたくしこんな風にお花をいただくのは、生まれて初めてです</p><p>ニコッと微笑む、瑠璃子さん</p><p>ありがとうございますお姉様お兄様</p><p>瑠璃子さんが観客たちに聞こえる声で、オレのことをお兄様と呼んでくれた</p><p>香月閣下の二人の孫娘二人だけの香月家の後継者</p><p>閣下の長男の娘瑠璃子さん</p><p>閣下の次男の娘みすず</p><p>香月家には他に直系の子孫はいない</p><p>閣下によって、後継者争いをしているように見せ掛けられている娘二人が仲良く微笑み合う</p><p>みすずの恋人であるオレを瑠璃子さんが認めているということを、世間に示した</p><p>劇場内に動揺の波紋が拡がる</p><p>パチパチパチ</p><p>新たな拍手が起こる</p><p>閣下だった</p><p>閣下が、オレたちに向かって拍手する</p><p>その顔は無表情のままだ</p><p>おそらくオレとみすずの暴挙に腹を立てているのだろう</p><p>しかしここで拍手をして</p><p>自らの度量の深さを示さねばならないと、閣下は考えたのだろう</p><p>閣下の周囲のエリート青年たちも、拍手に加わる</p><p>さすがに司馬貴彦は、拍手に加わっていない</p><p>みんな苦虫を噛み潰したような顔をしている</p><p>彼らにとっては、オレはとんでもない無法者なんだろう</p><p>そんな男がみすずと瑠璃子さんに手を出している</p><p>本来なら、オレみたいな身分の人間には、絶対に許されない行為だ</p><p>しかしとにかく、この場を取り繕うため</p><p>閣下や香月家の面子を潰さないために嫌嫌ながら、拍手をしてみせる</p><p>その拍手に、会場の何割かの人間が続いた</p><p>香月家に対する追従として心の無い拍手が起こる</p><p>後の何割かは、呆然としたままで</p><p>残りの人たちは、今後の事態を考えて何も見ていない振りをしている</p><p>これが大人の上流階級の人たちの世界か</p><p>そんな中で寧さんやメグたちだけが、心からオレたちを応援する拍手を打ち鳴らし続けてくれた</p><p>お兄様は、本当に勇気のある方なのですね</p><p>瑠璃子さんが、２輪の薔薇を見ながら、そう言った</p><p>違うわ瑠璃子さん勇気だけではないのよ</p><p>これは愛よ</p><p>自分の花束を見てみすずは、そう言った</p><p>瑠璃子さんはという顔をしている</p><p>そろそろお戻り下さいこのままでは、舞台の進行に差し障ります</p><p>美子さんが、オレたちに言った</p><p>そうだまだ、愛美さんと家元先生の踊りが残っているんだっけ</p><p>オレは、慌てて舞台から降りようとした</p><p>がみすずが、オレの手を握ったまま、離さない</p><p>旦那様そっちはダメです</p><p>このまま客席に帰ったら、マズイか</p><p>メグたちまで、他の観客たちから注目されることになるし</p><p>ミナホ姉さんたちとも合流できなくなる</p><p>一緒に、舞台袖へ</p><p>みすずに手を引かれてオレは舞台袖へ</p><p>瑠璃子さんと美子さんも</p><p>オレたちが退場したことで、黒衣さんたちが慌てて次の踊りの準備をする</p><p>次の踊り手家元先生の孫娘である愛美さんは、すでにスタンバイしていた</p><p>ごめんなさい、愛美さん場の雰囲気を乱してしまって</p><p>みすずが、愛美さんに謝罪する</p><p>大丈夫です気になさらないで下さい</p><p>これから出番だと言うのに愛美さんは、和らいだ表情でオレたちに微笑んでくれた</p><p>それより感動しました好きな人が来て下さってその胸に自分から飛び込むことができるなんて羨ましいですみすずさん、お幸せになって下さいね</p><p>愛美さん</p><p>愛美も自分では結婚相手を決めることのできない身の上ですから</p><p>そうかこの人も</p><p>紺碧流のために自分の意志とは関係無く、結婚することを強いられているのか</p><p>それを自分の運命だって思い込んではいけませんわ</p><p>あたしもずっと、そうだと思っていました自分はお祖父様の敷いたレールの乗って望まれるまま、求められるままに生きるしかないってでも、そんなのは間違いでした</p><p>みすずの本気が愛美さんに伝わる</p><p>すぐ横で、二人の会話を聞いている瑠璃子さんにも</p><p>それではあたしが幸せになれません</p><p>みすずの幸せ</p><p>家が安泰でもあたしがあたしたちが、幸せにならなくては何の意味もありませんあたしたちはみんな、幸せになるために生まれてきたんですから</p><p>だから愛と勇気ですその二つだけあれば、どんなことになっても、幸せに生きて行かれます</p><p>愛美さんの身体が震えている</p><p>そうですね、みすずさん運命だから仕方無いなんて、勝手に決めつけてはいけないんですね</p><p>愛美さんが、ニコッと微笑む</p><p>幸せになるための愛と勇気愛美、教えていただきましたありがとうございます</p><p>スッキリとした表情の愛美さんに対して瑠璃子さんの顔は晴れない</p><p>愛美さんお願いします</p><p>黒衣さんが、愛美さんに声を掛ける</p><p>はい今、参りますっ</p><p>愛美さんが、みすずと瑠璃子さんに振り向く</p><p>行って参ります愛美、精一杯踊ります愛と勇気を持って</p><p>そして愛美さんは、舞台に向かう</p><p>舞台袖から観る愛美さんの踊り</p><p>それは何から何まで、すば抜けていた</p><p>踊り始めた瞬間から観客の心を掴む</p><p>３０秒後には誰もが愛美さんの踊りに集中していた</p><p>もうオレとみすずのことなんて、誰も考えていない</p><p>いや考えられない</p><p>将来の家元候補の踊りは今までの日舞教室のお弟子さんたちの踊りとは、根本的にレベルが違う</p><p>さっきまでオレは踊りを見れば、その人の本性が見えてくると思っていた</p><p>日本舞踊の踊りには、全てストーリーがある</p><p>踊り手はそのストーリーの中の登場人物を演じている</p><p>自分ではない人間を演じて踊っているはずなのに</p><p>どうしてだが、現在の踊り手自身が透けて見えた</p><p>美子さんの踊りには現在の美子さんが</p><p>瑠璃子さんの踊りには現在の瑠璃子さんが</p><p>みすずの踊りには現在のみすずの肉体と心が</p><p>露わになって、見えてきた</p><p>演じれば演じるほど一枚、一枚、衣服を脱いでいくように</p><p>踊り手自身の心と身体が、裸になっていく</p><p>みすずの踊りに至ってはオレには、全裸のみすずが見えていた</p><p>だから表現するということは、身も心もヌードになることだとオレは思っていた</p><p>でも愛美さんの踊りを観ると</p><p>オレのその考えは、間違いだった</p><p>あたしたちの踊りは所詮、素人のお稽古事にすぎません</p><p>みすずがそっと呟いた</p><p>愛美さんは一流の日本舞踊家になられる人だから</p><p>舞台の上の愛美さんは</p><p>一度、完全にヌードになって</p><p>愛美さんの本性を、完全に露わにした上で</p><p>さらに、踊りで表現するべきストーリー上の人物を着込んでいた</p><p>人はみんな本性の上に見せ掛けの服を着ています</p><p>裸の自分の上に社会的にそうしなければいけないという見せ掛けの服や、みんなに良く思われたいからって心を隠すための服を着ますそうやって服を着込んで本当の裸の自分を隠しているのが、あたしたちの日常の姿です</p><p>何かを表現しようとする時その偽りの服が邪魔になりますついついずるをして、日常生活で着込んでいる服の上に、表現のために演じなくてはいけない人物の服を着ようとするでも、それでは着ぶくれするだけで自由な表現はできません</p><p>愛美さんの踊りを真剣に観ながら瑠璃子さんも、みすずの話を聞いている</p><p>ですから家元先生は、あたしたちに踊りに向き合う時には、まず心と身体を解き放ちなさい普段、着込んでいる偽りの衣服を全て脱いでしまいなさいとおっしゃられています</p><p>こうやって舞台袖から観ているとよく判る</p><p>愛美さんは、完全に劇場全体の空気を掴んでいる</p><p>愛美さんが発している気と全ての観客が、愛美さんに集中する気が等しく吊り合っている</p><p>舞台の場の重さと、観客席の場重さがイコールになる</p><p>一人の少女の踊りにこんなにたくさんの人たちの心が呑まれている</p><p>あたしたちは、まだ未熟ですから脱いでいくことだけで手一杯ですでも、愛美さんは本物の舞踊家だから全部脱ぎ捨てて、裸になった上でさらに演じる人物の服を着るんです</p><p>今、踊っている愛美さんは全然、愛美さんに見えなかった</p><p>さっき話していた人とは全く、別の人間としか思えない</p><p>いや現代の日本に生きている少女ではなくなっている</p><p>踊りのストーリーの中の大昔の時代に生きていた女性に成りきっている</p><p>初めて見るその人物はとても、魅力的だった</p><p>愛美さんではないその魅力的な女性が、舞台の上で舞い踊る</p><p>わたくしもあんな風に踊りたい</p><p>わたくしでない、わたくしになってみたい</p><p>瑠璃子さんもやはり</p><p>香月の家の娘として強いられる生活に苦しんでいるんだ</p><p>かつてのみすずの様に</p><p>瑠璃子さん次第ですわ</p><p>あたしは変われましたいいえ本質的には、何も変わっていませんあたしが脱ぎ捨てたのは、偽りの衣服の方であたしの旦那様は、裸になったみすずをそのまま受け入れて下さいましたから</p><p>みすずの言葉に瑠璃子さんが振り向く</p><p>あたし旦那様の前では、いつも裸ですとっても気持ちいいですもう、離れられません</p><p>みすずが、オレに寄り添う</p><p>そして旦那様もあたしの旦那様は、いつでも誰に対しても裸のままでいてくださる方なんですあたし、大好きなのっ</p><p>みすずが、オレの胸に頬ずりした</p><p>瑠璃子さんは、何も答えなかった</p><p>少し考え込んだ顔をして</p><p>それから、再び、愛美さんの踊りに眼を戻す</p><p>愛美さんの時空を越えた表現力の踊りは続いている</p><p>水の流れの様に</p><p>何一つ、滞ることなく愛美さんの踊りが終わる</p><p>愛美さんが最後の礼をした瞬間</p><p>場内は割れんばかりの拍手と歓声に包まれた</p><p>オレとみすずの事件は、完全に吹っ飛ばされた</p><p>愛美さんには小さな子供たちが、花束を持って来た</p><p>若い男性が来ないのはみすずや瑠璃子さんと同様に、愛美さんも男性との自由な交際が許されない立場だからだろう</p><p>花束を抱えて、愛美さんがもう一度客席に礼をする</p><p>再び大きな拍手が、劇場内に涌き起こった</p><p>歓声に押されるようにして愛美さんが、舞台袖に戻って来る</p><p>素晴らしかったわ愛美さん</p><p>みすずの言葉に、愛美さんは</p><p>愛と勇気ですみすずさんの言葉で、何かフッ切れました</p><p>そう言って、笑ってくれた</p><p>いつもより、伸び伸びと踊れていましたね良い踊りでしたが慢心してはいけませんよ</p><p>声に振り向くと紺碧流家元・紺碧撫子先生が、舞台衣装で立っていた</p><p>そうだ、今日の会の締めとして</p><p>この後、家元先生が踊る</p><p>はいお祖母様</p><p>愛美さんが、祖母に頭を下げる</p><p>撫子先生お騒がせする様なことを致しまして、申し訳ございません</p><p>みすずが家元先生に深く詫びる</p><p>あら何かありましたっけ</p><p>撫子先生は、とぼけてくれた</p><p>あたしもう、お教室には通えなくなるかもしれません</p><p>閣下の逆鱗に触れて、香月の家を追われることも覚悟している</p><p>オレは、みすずの手をそっと握った</p><p>いままでありがとうございました先生のご恩は、一生忘れません</p><p>みすずは閣下によって、オレと無理矢理引き離されるという可能性を全く考えていない</p><p>何があってもオレの側にいるつもりなんだって、はっきり判った</p><p>撫子先生は</p><p>みすずさん和服の着物って、人間の身体を包み込む様な構造になっているでしょ</p><p>家元の突然の言葉に戸惑う、みすず</p><p>踊っている時に、踊り手はついつい自分の肉体の状態に気を取られるけれどお客様から見えるのは、着物を着た踊り手の身体のラインなのよ</p><p>家元先生は、ニコッと微笑む</p><p>だから着物のラインをはっきりと見せるように工夫して踊ってみなさいそれから廻り込む時に、足の親指にもっと集中してそこに軸があると思って</p><p>撫子先生</p><p>やめる必要はありませんそうねもしもの時は、あなたのお月謝は出世払いでいいわよこれからも、いつも通りお稽古にいらっしゃいそれだけ踊れるんですもの、もったいないわ</p><p>撫子先生は、そう言ってくれた</p><p>みすずが、感激している</p><p>瑠璃子さんに美子さん愛美さんまで</p><p>あなたお名前は</p><p>家元先生がオレを見た</p><p>ここでは、そう答えるしかない</p><p>みすずさんを助けて上げて下さいね</p><p>はい、絶対に幸せにしますっ</p><p>その間に舞台上のセッティングが終わったらしい</p><p>では行ってくるわね</p><p>若い弟子たちの見守る中撫子先生が、舞台へと進んでいく</p><p>分量少なめで済みません</p><p>次話で日舞の会は終了です</p><p>香月閣下との対決編に入って行く予定です</p><p>劇場編ではできなかったエッチ・シーンもそろそろ増えていきます</p><p>長らく、お待たせしています</p><p>今日も遅刻寸前です</p><p>237．終演</p><p>撫子先生が口伝を下さった</p><p>みすずが眼に涙を溜めている</p><p>日本舞踊の世界には、教則本とか奥義書みたいなものは無いんです大切なことは、全て師から弟子へ直接、口伝えで教えていただきます</p><p>みすずが香月家を追われ家元先生の教室を辞めなくてはいけなくなるかもしれない現状で</p><p>それでも、撫子先生がみすずに口伝を下さったということは</p><p>良かったですわねお姉様撫子先生は、お姉様をご自分の弟子と認めて下さいました</p><p>瑠璃子さんが、そう言う</p><p>みすずはもう、政財界の子女のための日舞教室に通う生徒さんではない</p><p>撫子先生の正式にお弟子さんに認められたのだ</p><p>だから、月謝も出世払いで良いと言ってくれた</p><p>香月の家とは関係無くこれからも、みすずの指導をして下さると</p><p>みすずが、オレの胸の中で泣く</p><p>みすずが一生懸命、頑張ったからだよそれが、撫子先生に伝わったんだよ</p><p>オレの言葉に、みすずはうんうんと頷いた</p><p>正直ちょっと、羨ましいですねえ、美子</p><p>主人と３つ年上のお付きの少女が、笑い合う</p><p>二人ともみすずのために微笑んでくれている</p><p>ほらもう泣かないで撫子先生の踊りが始まるよ</p><p>潤んだ瞳を輝かせて、オレを見上げた</p><p>舞台の準備は整ったらしい</p><p>紺碧流家元・紺碧撫子先生の踊りが始まる</p><p>三味線の音が鳴り先生が、顔を上げた瞬間から</p><p>身体の中を、ゾクッという衝動が突き抜ける</p><p>いや、オレだけじゃない</p><p>満席の会場全体が撫子先生の一挙手一投足に、打ち震えた</p><p>な、何なんだ、これ</p><p>撫子先生は踊りの中で、若い乙女に変化する</p><p>どう見ても、１０代の少女だ</p><p>愛も恋も知らない無邪気な少女</p><p>立ち振る舞いが動きがそして、心が</p><p>うら若き乙女、そのものになっている</p><p>少女はやがて恋を知る</p><p>羞じらう仕草</p><p>恋しい男性を見つめる瞳</p><p>そして、少女も愛する男性に見つめられている</p><p>そこから、一気に母になる</p><p>小さな子供のいる若い母親</p><p>その色気</p><p>艶やかさと子供への愛情</p><p>夫への愛情</p><p>女盛りの肉体と心を見事に踊っていく</p><p>そこから照明がスーッと絞り込まれる</p><p>その明かりの変化に合わせて老境の女に変わる</p><p>孫を愛おしく見つめている老女</p><p>孫と遊んでやりたいのだが老女の周りを走り回る孫の動きに、いつしか身体が追いついていかなくなる</p><p>腰に手を当てスッと立ち止まる老女</p><p>昔のことを回想する</p><p>まだ、幼く少女だった頃の自分を</p><p>老女が再び、少女に戻る</p><p>無邪気な明るい少女時代に帰って、踊る踊る</p><p>そして、クライマックス</p><p>三味線の音が途絶えた瞬間</p><p>少女は老女に戻る</p><p>老女のまま、観客に礼をして</p><p>撫子先生の踊りは、終わった</p><p>余りにも感動的な踊りの余韻に</p><p>場内はシンと静まり返っていた</p><p>アメリカからの賓客が、まず最初に立ち上がってスタンディング・オベーションする</p><p>その声に、他の観客たちもバッとする</p><p>盛大な拍手と歓声が劇場内を包み込む</p><p>たくさんの子供たちや大人の人も何人も</p><p>舞台下に花束を持って現れる</p><p>撫子先生はその全ての花束を、にっこり微笑んで受け取っていった</p><p>持てなくなった花束は、若いお弟子さんに預けて</p><p>撫子先生は、一人一人から直接、花を受け取る</p><p>みすずや瑠璃子さんの逆なんだ</p><p>撫子先生は、お花を持って来てくれたお客様に均等に接するために</p><p>全ての花を受け取る</p><p>ありがとう牧恵ちゃん</p><p>ありがとう、吉川さん久しぶりね</p><p>ありがとう、田野さんお元気でした</p><p>毎年、ありがとう川崎さん</p><p>必ず　にこにこと笑顔で、何かしらの言葉を添える</p><p>これが流派の上に立つ者家元の義務なんだろう</p><p>花束の贈呈が一段落したところで黒衣が、家元先生にマイクを持って来る</p><p>みなさん最後まで御覧下さいまして、ありがとうございます</p><p>撫子先生が頭を下げるとまた大きな拍手が起こった</p><p>この会はわたくしのお教室の生徒さんたちの発表会です正直、わたくしの年齢になると、子供たちの若さと元気の良さには敵いません</p><p>撫子先生は、にっこりと微笑んでそう言った</p><p>普段の踊りでしたら、わたくしの様なお婆さんが無理をして若作りして踊っているだけでも、皆様、年寄りが一生懸命に頑張っているよく化けたなとお褒めいただいたりするのですがこの会は、本物の若い子たちが一生懸命頑張って、皆様に日頃の成果をお見せする場ですから、わたくしもいつもの若作りだけでは負けてしまいますですので、毎年、普段とは違った趣向の踊りをご披露させていただいています</p><p>それが楽しみで、毎年来ているんだぁ</p><p>２階席から、年輩の人の声がする</p><p>毎年毎年、ありがとうございます</p><p>家元先生の言葉に、観客たちはまた拍手する</p><p>一年間という期間は長いようで、あっという間です子供たちは、どんどん上達していきます今日、皆様の前で踊りを披露した子供たちも来年には、さらにお稽古を重ねて、一回りも二回りも大きく進歩した踊り手になってくれると思います</p><p>あれ、今日の出演者が全員舞台に上がって、ご挨拶とかしないの</p><p>普通、こういう会って、最後はそんな感じで締めるんじゃないのか</p><p>それはもう、帰っちゃっている子もいますから</p><p>最初の方に出た小学生の子とかは自分の出番が終わったら、そのままご家族が迎えにいらして、ご一家でお食事に行かれたりします</p><p>他の人の踊りは一切観ないで</p><p>ご自分のお孫さんにしか興味の無い方がいるんです</p><p>ああ上流階級のお金持ちだと</p><p>そういう人もいるわけだ</p><p>もちろん、ほとんどの子は最後まで残っていますしこの後、懇親会を兼ねたパーティもありますから</p><p>でも出演者全員が揃わないんじゃ、最後のご挨拶は無理だな</p><p>むしろ何で、あそこの家の子供は居ないんだとかそういうのが、バレちゃうし</p><p>あの家は礼儀知らずだとか噂になって、家同士のおかしな対立に発展することになるかもしれない</p><p>色々と大変なんだな家元先生は</p><p>では、また来年子供たちのさらなる成長を、どうかお楽しみになさっていて下さいませ本日は、ありがとうございました</p><p>撫子先生が、観客席に深くお辞儀をする</p><p>客席からは、万雷の拍手</p><p>舞台の緞帳がスーッと下りてくる</p><p>家元先生は、緞帳が完全に閉まりきるまでお辞儀したままだった</p><p>緞帳が閉まり、観客席の拍手が鎮まりかけたところで顔を起こす</p><p>笑顔で周りのスタッフに声を掛ける</p><p>お疲れ様でした皆さん</p><p>家元先生の廻りに今日の出演者の少女たちが集まって来る</p><p>まだ舞台衣装のままの子も着替え終わった子もいた</p><p>顔だけ白いメイクのままで着替えの途中なのかガウン姿の子も</p><p>お疲れ様でした先生</p><p>ありがとうございました先生</p><p>ちゃんとこういう子たちもいる</p><p>全員が自己中な親の子供というわけでは、決してない</p><p>はい、お疲れ様ここは、これからスタッフのお兄さんたちがお片付けをしますからね危ないですから、みなさんはお兄さんたちのお仕事の邪魔にならないように、楽屋の方へ行きましょうね</p><p>そう言って子供たちと一緒に楽屋へ向かう</p><p>途中で、オレたちに向かって、ニコッと微笑んでくれた</p><p>オレたちは、全員揃ってペコリと頭を下げる</p><p>本当に良い人だな</p><p>あたしたちの先生ですから</p><p>幕の下りた舞台の中では黒衣さんたちが、どんどん片付けを始めている</p><p>小道具を整理したり袖幕を外したり</p><p>背景のホリゾント幕を照らすライトから、カラー・フィルターを抜き取っていったり</p><p>ここに居ると邪魔になるな</p><p>オレたちも取りあえず人のいない、舞台袖の奥の方へ行く</p><p>今日は、お疲れ様でした瑠璃子さん美子さん</p><p>みすずが改めて、従妹とそのお付きに挨拶する</p><p>お疲れ様ですみすずお姉様</p><p>お疲れ様でございますみすず様</p><p>二人も、みすずに挨拶を返してくれた</p><p>今年の発表会は、素晴らしかったですお姉様と、とっても仲良しになれました</p><p>瑠璃子さんは、そう言ってくれた</p><p>お兄様もお花、ありがとうございます</p><p>オレにも、そう言って微笑んでくれる</p><p>瑠璃子さんの手にはオレとみすずからの２本の薔薇が握られている</p><p>美子このお花は、ドライフラワーにして大切に残しておきたいわ</p><p>それは良いお考えですね</p><p>そんなに喜んでくれて良かった</p><p>みすずオレ、そろそろ客席に戻るよ</p><p>みすずも瑠璃子さんも、まだ舞台衣装のままだし</p><p>顔も白くメイクしている</p><p>楽屋の片付けなんかもあるんだろうし</p><p>オレが居るのは邪魔だろう</p><p>観客席のみんなのことも心配だし</p><p>旦那様今は無理ですっ</p><p>みすずが、強い眼でオレにそう言う</p><p>そうですよっお兄様</p><p>瑠璃子さんまで</p><p>ていうか何が無理なの</p><p>今はまだお客様が残っていらっしゃいます今、観客席へ戻られたら、旦那様は皆様の注目を浴びることになりますよ</p><p>オレは瑠璃子さんの踊りの後に、スタンディング・オベーションのパフォーマンスを仕掛け</p><p>誰もが花を捧げてはいけないことになっていた香月家の娘であるみすずに、花束を手渡しその上、みすずに抱きつかれて、二人で舞台袖に消えた謎の男だ</p><p>みんなオレの正体を知りたがっているだろうし</p><p>いや、オレを半殺しにしたいやつだっているだろうな</p><p>特にみすずの婚約者とか</p><p>しばらくはあたしたちの楽屋に隠れていらしたら良いと思います</p><p>でも３人とも着替えとかがあるだろ</p><p>みすずはともかく瑠璃子さんと美子さんは、男の居る部屋で着替えるのは嫌だろう</p><p>あら、構いませんわ</p><p>黒森様は、お兄様ですものちょっと恥ずかしいですけれど、気には致しませんそうよね、美子</p><p>はい黒森様は、みすず様がお心を許したお相手ですから信頼しておりますわ</p><p>そういうことを信頼されても困る</p><p>まあ、ずっと眼を瞑っていろと言われたら、そうするけれど</p><p>それにわたくしたちは、これからシャワー室へ参りますし着替えも、そちらで行いましょうか</p><p>そうですわね、瑠璃子様</p><p>顔にお化粧していますし舞台のライトの光は、熱いですから着物の下は、汗でベットリなんです</p><p>すぐにシャワーを浴びてきますから旦那様は、楽屋でお待ち下さい</p><p>それはいいけれどでも、ミナホ姉さんたちに連絡したいな</p><p>楽屋から携帯でお電話したらいかがですロビーでしたら、電波が届いているはずですから</p><p>そうするか</p><p>はい客席にお戻りになる必要はございませんわ</p><p>背後から不意に、そんな声がした</p><p>背筋がゾクッとする</p><p>これは殺気だ</p><p>お二人を、閣下がお待ちになっていらっしゃいますから</p><p>振り向くとにたぁっと微笑む、美女が立っていた</p><p>香月閣下の三人の専属警護人の一人</p><p>確か関さん</p><p>さっき、突然閣下に話し掛けた男を一撃で倒した</p><p>みすずが関さんを睨んだ</p><p>今、申し上げた通りですわたくし閣下から指令をいただいて参りましたお二人を、お連れするようにともし、抵抗なさった場合は男の方の首をねじ切っても構わない死体にしてでも連れて来るようにと、命じられております</p><p>関さんがオレを見る</p><p>オレを殺してでも連れて来いって</p><p>それでどうなさいますか</p><p>関さんの美しい顔が、微笑む</p><p>どうするって何をですか</p><p>オレが尋ねると関さんは</p><p>あら、残念抵抗なさるんですね</p><p>関さんの身体がオレに近付く</p><p>殺される</p><p>そう思った瞬間</p><p>オレと関さんの間に小柄な人影が飛び込んで来る</p><p>そこまでです</p><p>あら気配を殺していたの、あなた</p><p>美智の登場に関さんは、口元をニッと歪める</p><p>違うわねあたしに気取られないで接近するなんて、普通の人には無理だものあなた、何だか面白そうな子ね</p><p>工藤流古武術の奥義は、敵の気を反らし、集中を外すことにある</p><p>すでに関さんは、工藤流を掴み始めている</p><p>美智、やめろ</p><p>それ以上、手の内を見せるなこの人には、全て見透かされるぞ</p><p>美智は関さんを睨んだまま</p><p>ですが全力で立ち向かわねば、この方は倒せませんっ</p><p>関さんの発する殺気に美智は、怯えている</p><p>倒さなくていいんだっ</p><p>美智が驚く</p><p>それが、この人の手だ自分から殺気を放って相手に攻撃させるそれで、正当防衛で相手を叩きのめすんだろうこちらから、攻撃したら負けだ</p><p>オレの言葉に関さんは、驚く</p><p>あらあなたみたいな男の子に見抜かれるなんて、わたくしも焼きが回ったみたいですね</p><p>関さんから殺気がスッと消える</p><p>美智も釣られて、構えを解いた</p><p>判りました閣下には、わたくしから報告しておきます</p><p>ニコッと微笑む関さん</p><p>件の少年はどうしても、抵抗を止めなかったと</p><p>瞬間殺気を消したまま、関さんの身体がオレに向かって飛ぶ</p><p>ドンッ</p><p>舞台全体が揺れた</p><p>な、何地震</p><p>舞台の中の方から、働いていたスタッフの驚きの声が聞こえる</p><p>見てみろよ、照明のライトが揺れてるぜ</p><p>でも、地震にしては短すぎるよな</p><p>外で、爆発でもあったのかな</p><p>いやそうではない</p><p>オレの眼の前に</p><p>ブッ太い特殊金属製のステッキが</p><p>ステッキの先は舞台袖の柱を抉って</p><p>穴を開けて突き刺さっている</p><p>やり過ぎですよ、藤宮さん</p><p>関さんが不機嫌な表情をして、同僚を見る</p><p>関さんによる、オレへの攻撃を止めるために</p><p>藤宮さんはステッキで思い切り殴りかかったらしい</p><p>関さんを</p><p>そして、関さんがギリギリで避けたために</p><p>ステッキの先が、劇場の柱を突き込んだらしい</p><p>もし、その鈍器がわたくしに当たったら、どうするつもりなんですっ</p><p>関さんは藤宮さんに、強く抗議する</p><p>あなたのお葬式には、１００万本の薔薇を用意するよ</p><p>藤宮さんは、平然とそう言った</p><p>柱からステッキを引き抜き再び、正眼で構える</p><p>それよりやりすぎなのは、君の方だろ関さん</p><p>オレたちと関さんの間に入ってガードの体勢を作る、藤宮さん</p><p>わたくしたち警護人の仕事の本分は守ることだ君はいつから、暗殺者になったんだい</p><p>藤宮さんの言葉に関さんは</p><p>ちょっとしたサービスですわ閣下は、それをお望みなんですから</p><p>閣下はオレを殺すことを望んでいる</p><p>そうでなければわたくしのような女に、抵抗したら、首をねじ切っても良いなどとご命令はなさらないでしょう</p><p>藤宮さんはクッと鼻で笑う</p><p>抵抗したらってその子は、全然、抵抗なんてしていないじゃないか</p><p>それは見解の相違ですねわたくしには、とっても抵抗なさっているようにしか見えませんけれど</p><p>おい、ちょっと待て</p><p>抵抗していませんつーか、まったく、全然、少しも抵抗する気はありませんからっ</p><p>オレは、はっきりと断言する</p><p>と彼は言っているけれど</p><p>口では何とでも言えますわ</p><p>無理にオレに襲いかかって、オレが少しでも動揺したらそれを抵抗の意志があったと見なすつもりなんだろう</p><p>それでオレを殺す気だ</p><p>それより関係の無いあなたが、どうしてわたくしの邪魔を致しますの</p><p>あれ聞いていないのかいわたくしは今、みすず様と瑠璃子様の警護を担当しているんだけれどね</p><p>その少年は関係ないじゃありませんか</p><p>藤宮さんがみすずに言う</p><p>みすず様どういたしますか</p><p>守って下さいその方は、みすずの大事な旦那様ですお願いですから、守って下さい</p><p>関さんがこの子を殺すとねみすず様のお心が傷つくんだよお心まで守ることがわたくしの警護人としてのプライドだ</p><p>藤宮さんがスッとステッキの先を、関さんに向ける</p><p>相変わらず頭が固いのね腕はいいのに、もったいないこともう少し、柔軟な思考の持ち主なら、閣下の専属警護人に推薦されたでしょうに</p><p>わたくしには、わたくしの覚悟がある君みたいな俗物には、判らないだろうけどね</p><p>二人が距離を詰める</p><p>まずい、まずいぞ</p><p>オレを助けてくれるのは、ありがたいけれど</p><p>それで、藤宮さんと関さんが殺し合いをするのは、本末転倒だ</p><p>下手をすれば、ミナホ姉さんたちにも迷惑を掛けることになるだろうし</p><p>藤宮さん、下がって下さい</p><p>君どういうことだい</p><p>驚く藤宮さん</p><p>抵抗はしません約束します</p><p>オレはつかつかと、関さんの方へ行く</p><p>旦那様、危険です</p><p>みすずが叫ぶが</p><p>大丈夫だよ関さんだって、香月セキュリティ・サービスのトップにいる人だろ一流の警護人なんだから</p><p>オレは藤宮さんの前へ出た</p><p>抵抗しませんから試して下さい</p><p>１日ぐったり寝てしまいました</p><p>先週の熱波は、やっぱり身体にきていますね</p><p>眼が覚めたら、夕方５時でした</p><p>238．仲の悪い二人</p><p>本気で言っているの君</p><p>関さんが、不機嫌そうに言った</p><p>どんな人間でも、恐怖を感じた瞬間は身が竦みますそれを抵抗したと受けとめられたら、ご主人様の破滅です</p><p>オレを信じろ美智</p><p>オレは関さんを見る</p><p>オレは関さんを信じるから</p><p>ギョッとする関さん</p><p>わたくしを信じる</p><p>みすずや瑠璃子さんや藤宮さんの眼の前で無抵抗なオレを殺すほど、恥知らずな人ではないでしょう</p><p>オレはゆっくりと関さんに向かって歩いて行く</p><p>同じ歩幅同じスピードで</p><p>待て近寄らないで</p><p>関さんは、そう言うがオレは歩みを止めない</p><p>どうしてですあなたに投降しようとしているだけですオレは格闘技とかやっていないし危険な人間じゃないことは判っているはずですよね</p><p>１、２、１、２</p><p>頭の中でワンツーのリズムを反復する</p><p>もう、それしか考えない</p><p>考えない方がいい</p><p>来ないでそれ以上、近寄らないでっ</p><p>ですからオレは何も抵抗しませんってば</p><p>思い出せ</p><p>子供の頃のことを</p><p>バァちゃんが死んだばかりの頃</p><p>父親も母親もオレの相手をしてくれなかった</p><p>オレが存在していることが二人とも、不満そうで</p><p>いつも、家の中で気配を殺していた</p><p>どこにもいない</p><p>誰にも見えない</p><p>オレは空気なんだ</p><p>そう思って両親の視線から、身を隠していたあの頃</p><p>あの頃に戻るんだ</p><p>オレはここにいない</p><p>オレなんて人間は最初から、この世に存在しないんだ</p><p>ただ、１と２の数字だけをカウントしながら</p><p>オレは同じリズムを刻んで、関さんに向かって前進し続ける</p><p>いよいよ関さんの攻撃が届く距離に突入する</p><p>このっ</p><p>立ち止まらずに、近付くオレに関さんが、シュッと拳を突き出す</p><p>でも判っている</p><p>関さんの拳はオレには当たらない</p><p>オレはここにいないんだから</p><p>関さんの拳の発する風を頬に感じる</p><p>それでもオレは前進する</p><p>オレはついに、関さんの懐に飛び込んだ</p><p>関さんが恐怖を感じて、悲鳴を上げる</p><p>このままじゃあ、関さんとゴッツンコしちまうな</p><p>だけど、オレもこうなるとブレーキが利かない</p><p>オレはそのまま</p><p>関さんの身体を両腕でしっかりと抱き締めた</p><p>何で投降した方の立場の人間が、抱き締めないといけないのかは判らないが</p><p>こうでもしないと、前進していたエネルギーを止められない</p><p>モニュウ</p><p>背の高い関さんの豊かな胸にオレは顔を埋める</p><p>うん柔らかい</p><p>き、君</p><p>オレの腕の中で関さんの成熟した肉体が、緊張して固まる</p><p>な何をしているんですかっ</p><p>関さんに抵抗しないで投降してみたんですが</p><p>関さんは顔を真っ赤にして、震えていた</p><p>わわたくしを放しなさいっ</p><p>オレが関さんに抵抗する意志がないことは、判って下さいましたか</p><p>関さんは</p><p>わ、判りましたそれはもう判りましたから、放しなさいっ</p><p>関さんの言葉にオレは身体を離す</p><p>関さんは、ギロッとオレを睨んで</p><p>あなたわたくしの肉体を抱きましたね</p><p>関さんの右腕が、大蛇の頭の様にオレの首元に伸びるッ</p><p>関さんが掴んだのは、オレの喉笛でなく</p><p>太い金属製のステッキだった</p><p>そこまでにしておいた方が良いと思いますよ関さん</p><p>英国紳士の装いの麗人が先輩のエリート警護人に告げる</p><p>ここで彼を傷付けたら香月閣下直衛警護人、関羽《セキ・ショウ》の名前が泣きますよ</p><p>撲殺剣士・藤宮さんがニッと笑った</p><p>判りましたわ</p><p>関さんは手を下ろした</p><p>この場はわたくしの負けです</p><p>ふー、助かった</p><p>振り返ると、みすずたちもホッとしている様だった</p><p>でもどういうことですわたくしが攻撃の間合いに、するりと入り込まれるなんて</p><p>関さんは、今起きたことに納得できないようだった</p><p>それはこの子がさっき言っていた通りなんだと思いますよ</p><p>藤宮さんが、オレを見る</p><p>言っていた通り</p><p>はいこの子には、関さんに抵抗する意志は全くありませんでしたそして、無抵抗の人間を関さんが攻撃することは無いと信じていたのでしょう</p><p>関さんも、オレを見下ろす</p><p>なぜ、敵であるわたくしをそこまで信用できるのですか</p><p>そもそも関さんは、敵じゃないですし</p><p>何て説明したらいいんだろう</p><p>関さんはこの子を、みすず様をたぶらかしている不届きな不良少年ぐらいにしか考えていらっしゃらなかったのでしょう</p><p>藤宮さんが、オレの代わりに話してくれた</p><p>でも、どうやら違うようですね</p><p>みすず様も日頃から閣下のご教育を受けておられる才女ですただの不良少年に騙されるような愚かな方ではないということですよ</p><p>みすずが藤宮さんの言葉に、スッと前に出る</p><p>はい関さんお祖父様に対する忠義には感謝しますが、余り出過ぎたことをなさるようでしたら処分致しますよ</p><p>ミナホ姉さんの真似だ</p><p>オレには、判る</p><p>みすずも、黒い森で色々な人々に出会ったことで変化している</p><p>強くなっている</p><p>みすずの威厳にスッと膝立ちになって、その場に控える関さん</p><p>お祖父様はあなたをけしかけて、あたしや藤宮さんがどう反応をするかを御覧になりたかっただけですわわざとケンカになる様に仕組んで、面白がっておられるだけです本当に、この場であたしの旦那様の命を奪えと命令しているわけではありません</p><p>小さくなる関さん</p><p>もう充分でしょうアメリカから、凶悪な犯罪者が来日してきているというのに、身内同士が争い合うなんて馬鹿げています</p><p>お姉様今のお話は、本当なのですか</p><p>はいシザーリオ・ヴァイオラという犯罪者とその一党があたしたちの周囲に近付いています今日の厳戒態勢は、そのためです</p><p>まあ確かに、いつもの発表会と比べて、今年の警備は物々しいと思っておりましたが</p><p>美子さんも、驚いている</p><p>関さん、あなたの本来の仕事にお戻りなさい</p><p>みすずは、そう年上の警護人に命じた</p><p>わたくしはみすず様とその少年を、閣下の前にお連れするように命じられております</p><p>じゃあ、すぐに行きましょうそんなこと、すぐに終わらせて</p><p>ヴァイオラの襲撃に備えた方がいい</p><p>オレが、そう言おうとすると</p><p>お祖父様はすぐに劇場をご出発なされるのね</p><p>みすずが関さんに尋ねる</p><p>はい他の方とは別の出入り口からまもなく</p><p>そうか閣下ほどの重要人物となると</p><p>来場してきたのも開演時間ギリギリだったし</p><p>劇場から出るのも、特別ルートで急いで出るんだ</p><p>みすず様には帝都ホテルで合流なさる様にとのことです</p><p>関さんは、そう言った</p><p>そうだ今夜は、この後、帝都ホテルで白坂家との最後の交渉をしないといけない</p><p>そしてシザーリオ・ヴァイオラも襲来するだろう</p><p>あたしはまだこんな格好ですからね劇場を出るまでには、少し時間が掛かります</p><p>みすずは、まだ舞台衣装のままだ</p><p>メイクだってしている</p><p>判っております警護には、わたくしが付きます</p><p>関さんは、そう言うが</p><p>お待ち下さいみすず様の警護は、わたくしが付いております</p><p>藤宮さんが不満そうに言った</p><p>あなたは、瑠璃子様の護衛をなさればいいではありませんか</p><p>谷沢チーフからは、みすず様、瑠璃子様、お二人の警護をする様にと命じられています</p><p>では、命令を変更しますみすず様はわたくし瑠璃子様はあなたということにしましょう</p><p>申し訳ありませんが関さんは、わたくしの上司ではございません</p><p>あら藤宮さんは、先輩の命令がきけないとおっしゃるの</p><p>きけませんねぇ</p><p>藤宮さんが、鋼鉄ステッキを正眼で構える</p><p>関さんが、拳を構える</p><p>いいかげんになさいっ</p><p>瑠璃子さんが怒った</p><p>お二人ともお姉様のおっしゃったことを聞いていたのですか</p><p>普段は大人しくて、鷹揚な性格の瑠璃子さんの苦言に二人のエリート警護人は、構えを解いた</p><p>わたくしたちが、浅はかでございました</p><p>関さん、藤宮さん二人とも瑠璃子さんに頭を下げる</p><p>わたくしもみすずお姉様と一緒に、お祖父様にお会いしますですから、関さんも藤宮さんも、わたくしとお姉様、二人の護衛として供をなさい</p><p>御意</p><p>瑠璃子さんお祖父様とお会いする帝都ホテルは危険です外国の悪人が襲撃してくるという予測があるのですよ</p><p>お祖父様やみすずお姉様が居らっしゃる場所が、危険なはずがありませんわ</p><p>瑠璃子さんは、はっきりとそう言った</p><p>わたくしもお祖父様にお話があるんです</p><p>香月の家の中の悪い噂わたくしとみすずお姉様が敵対しているという嘘を、お祖父様のお力で振り払っていただきますわたくしは、お姉様を敬愛しておりますしお姉様もわたくしに優しくして下さっていますわたくしたち従姉妹は、仲良しなのですから</p><p>みすずが、感嘆する</p><p>香月の家の中で争い合うことなど無意味ですあってはならないことだと思います</p><p>瑠璃子さんは、そう言うが</p><p>香月の家の中に争いの火種を撒き散らしている張本人は閣下だ</p><p>さっき関さんと藤宮さんが闘いそうになったのだって、閣下がわざと対立しそうな命令をしたからだし</p><p>まったく困った人だ</p><p>判りましたとにかく、急いで楽屋へ戻って着替えましょう</p><p>みすずは、そう返事した</p><p>美智、お前はどうしてこっちに来たんだ</p><p>廊下を歩きながら美智に尋ねた</p><p>黒森様がご主人様をお守りするようにと</p><p>ミナホ姉さんがオレの身を案じて、美智を送ってくれたのか</p><p>そうかさっきの関さんみたいに</p><p>みすずの恋人として公の舞台に上がってしまったオレがいきなり、閣下の配下に暗殺される可能性を考えて</p><p>ホントミナホ姉さんには、頭が上がらない</p><p>お電話してみた方がいいですよ</p><p>旦那様ご心配でしょう</p><p>向こうには、護衛としてはマルゴさんがいるし</p><p>克子姉も目が利く</p><p>もちろん、ミナホ姉さんが状況を見誤ることは無いだろうし</p><p>メグやマナは、安心して任せておける</p><p>ミナホ姉さんは、雪乃のことは徹底して嫌っているからなあ</p><p>まさか、劇場に見捨てていくとは思わないけれど</p><p>それでも、心配だ</p><p>大丈夫ですよ</p><p>みすずが、オレの心を察してくれた</p><p>白坂家との最後の交渉が終わるまではマナさんも、雪乃さんも大事な切り札ですから</p><p>でも白坂守次は二人を見捨てたんだぞシザーリオ・ヴァイオラに、殺害要請までして</p><p>はい、ですから重要なカードになります</p><p>白坂家の当主が家の名誉を守るために、一族の未成年の娘まで殺そうと企んだそんな事実が公表されれば、白坂家はおしまいです</p><p>今はまだ白坂創介という個人の犯罪を、家の力で揉み消そうとしたというだけの話だ</p><p>大スキャンダルだが白坂本家の根幹に関わる問題ではない</p><p>しかし白坂家の当主が、外国の殺人組織と手を組んだということ</p><p>しかも、よりによって口封じとして一族の人間である雪乃やマナまで殺そうとしていることは</p><p>スキャンダルなんていうレベルを超える</p><p>家そのものの権威が崩壊する</p><p>ですからちゃんと雪乃さんも連れて行って下さるはずです</p><p>みすずの考察は正しいだろう</p><p>ご心配なら、あたしたちがシャワーを浴びている間に、お電話なさってみて下さい</p><p>うんその方がいいだろう</p><p>みすずたちの楽屋に戻る</p><p>今日の出演者たちみすず、瑠璃子さん、美子さんの３人は、すぐにシャワーに行く準備をする</p><p>シャワー室には、関さんが付いて来て下さい藤宮さんと美智は、楽屋に残って旦那様を警護して下さい</p><p>さっきの関さんの様にお祖父様に対して、気を利かせたおつもりで旦那様のお命を奪おうとする方がいらっしゃるといけませんから</p><p>みすずは、関さんに対する嫌味っぽく言ったが</p><p>確かに、その可能性はある</p><p>オレをみすずを騙している悪い男だと考えて暗殺しようとする人間が、他にもいるかもしれない</p><p>閣下に取り入るためなら、何でもする人間はたくさんいるだろう</p><p>それにここには、色んな名家の警護役が集まっている</p><p>警護役って言っても守るよりも、殺す方が得意な人だっているだろうし</p><p>暗殺者の人材には、ことかかないはずだ</p><p>あたしがこの方たちのお守りでも構いませんわよ</p><p>関さんが、妖しい眼でオレを見た</p><p>一度お約束した以上閣下の前にお連れするまでは、もうこの方に手は出しませんわ</p><p>妖艶な眼でにっこりと笑う</p><p>それにわたくし、この方には少し興味が湧いて参りましたの</p><p>そんな関さんに、みすずは</p><p>その方はあたしの大切な旦那様です無礼を働くと許しませんよ</p><p>無礼だなんてそんなことは致しませんわ</p><p>いややはり、みすず様のご命令通り、わたくしが楽屋に残ろう関さんは、お二人の警護をお願いします</p><p>藤宮さんが、関さんに言う</p><p>なあにあなた、わたくしに指図するつもりなの</p><p>どうして、この二人はとことん仲が悪いんだろう</p><p>相性の悪さを知ってて、閣下は関さんを派遣したな</p><p>そういうつもりは無いですよただ、他の家の警護役をこの部屋に近づけないためには、わたくしの悪名が役に立つと思いますので</p><p>藤宮さんの悪名</p><p>そうねあなたの方がお似合いかもね</p><p>はい関さんは、余所の家の方からのご評判だけはよろしいお方ですし</p><p>それどういう意味かしら</p><p>外面がとてもおよろしいと申し上げています</p><p>妖艶な美女と男装の麗人</p><p>二人の間の空気が、また緊迫する</p><p>さあ、シャワーに参りますよ関さん</p><p>瑠璃子さんが、強い声でそう言った</p><p>はい、参りましょうね関さん</p><p>美子さんは、穏やかに二人の間に入る</p><p>藤宮さん、覚えていなさいね</p><p>まあいずれ決着を付けないといけないのでしょうね</p><p>顔は笑っているが二人とも眼が怖い</p><p>では、旦那様行って来ますね</p><p>場の雰囲気を変えるためか</p><p>すぐ帰って来ますから待っていて下さいね</p><p>そう言って、オレにキスをした</p><p>ま、まあっ</p><p>驚く、関さん</p><p>ほほうっ</p><p>感嘆する、藤宮さん</p><p>み、みすずお姉様っ</p><p>瑠璃子さんと美子さんは、絶句している</p><p>いつものことです</p><p>美智が、落ち着いた声でそう言った</p><p>いつものこと</p><p>関さんが、美智に聞き返す</p><p>はい愛し合っておられるお二人ですから</p><p>瑠璃子さんは、耳まで真っ赤にしている</p><p>愛し合っている方たちが接吻するというのは、物語では読んだことがありましたが本当だったのですね美子</p><p>はいわたくしも初めて拝見いたしました</p><p>徹底して性的な知識を与えられてこなかった二人は呆然としている</p><p>旦那様ぁんっ</p><p>みすずが、オレに舌を差し出す</p><p>オレは、その舌を舐めしゃぶる</p><p>舌と舌を絡ませ合う</p><p>よ、美子、あれは何をなさっておられるの</p><p>さ、さあ判りません</p><p>みすずは、チュッとオレの口から唇を離して</p><p>また後でいっぱいご奉仕致しますね</p><p>うん楽しみにしているよ</p><p>みすずが、困惑している美智以外の女性陣に告げる</p><p>お待たせ致しましたさあ、行きましょう</p><p>みすずたちがシャワー室に向かうと</p><p>では、わたくしはドアの外で警護しております</p><p>藤宮さんが、そう言った</p><p>いや、そんないいですよ廊下に立って貰うなんて悪いですよここに居て下さい</p><p>廊下に立って姿を見せていないとわたくしがあなたを警護しているという示威効果はありません</p><p>確かに楽屋の中に居たら、藤宮さんが居るってことは外の人には判らない</p><p>それは、そうなんだけれど</p><p>黒森様は、どなたかにお電話なさるのではありませんか</p><p>あ、さっきのみすずとの話を聞いていたのか</p><p>わたくしには、盗み聞きをするような習慣はございませんので席を外しております</p><p>すみませんお気遣いいただいて</p><p>藤宮さんは、オレをジッと見て</p><p>本当に変わった方ですね黒森さんは</p><p>わたくしが拝見したところ裏の世界の人間らしいところが、まるでありません</p><p>裏の世界って</p><p>黒森というのが、どういうお家なのかわたくしは存じ上げております</p><p>そうだこの人は、香月セキュリティ・サービスのエリート警護人だ</p><p>黒い森のことを知らないはずがない</p><p>しかし黒森様には、あなたの様な年齢の男性はいらっしゃらないと記憶していますが</p><p>香月セキュリティ・サービスの黒い森のファイルには</p><p>オレの存在はまだ記入されていないようだ</p><p>まあ、いいでしょうあなたがどこの誰であろうとわたくしは、みすず様の命に従って、あなたをお守りするだけです</p><p>藤宮さんは、フフッと笑う</p><p>それに今日は、あなたのお陰で何度もスカッとする思いをさせていただきました</p><p>一つ目は瑠璃子様のために、立ち上がって拍手して下さったこと二つ目は、みすず様のためにお花を持って舞台に上がって下さったこと三つめは、瑠璃子様にもお花を捧げて下さったことそして、最後は</p><p>あの関さんを慌てさせたことあの方の間合いに素手で飛び込んで、抱き締めてしまわれるなんて正直、心の中で大笑いさせていただきましたわ</p><p>藤宮さんは、関さんと仲が悪いらしい</p><p>撫子先生が人間国宝の候補なんて話を書いていたら</p><p>歌舞伎の玉三郎さんが、本当に人間国宝に推薦されてしまいました</p><p>玉三郎さんはお芝居も素晴らしいですが、踊りの名手でもあります</p><p>昔、歌舞伎座で玉三郎さんの鷺娘を拝見しましたが</p><p>あの弁当を食べてお酒を飲みながらの、ほんわかとした歌舞伎座の客席が</p><p>ホントにシンとなって、みんな玉三郎さんに集中していました</p><p>本当に素晴らしいものを観せていただいたと思います</p><p>さて、香月セキュリティ・サービスのエリート・チームは仲が悪いながらも、お上品な雰囲気で行こうと思いますが</p><p>これに工藤父の配下の実戦部隊が加わりますこっちは、７０年代東映映画というか、輝ける石川賢世界というかとにかく、下品チームでいきます</p><p>両チームで、ヴァイオラの一党と闘うことになります</p><p>ご期待下さい</p><p>239．楽屋の中で</p><p>では、わたくしは</p><p>そう言って藤宮さんは、席を外してくれた</p><p>楽屋の中はオレと美智だけになる</p><p>みすずがここに美智を残したということは</p><p>藤宮さんだって、いつ敵になるか判らないということなんだろう</p><p>例えば今、香月閣下の命令で谷沢チーフがやって来て</p><p>藤宮さんにオレを始末しろと命じたら</p><p>彼女の中では、閣下の命令はみすずの命令の上位にある</p><p>そうなればオレは殺される可能性が高い</p><p>だからこそ万が一に備えて、みすずは美智を置いていってくれたのだろう</p><p>みすずや瑠璃子さんたちは関さんが完璧にガードしてくれるはずだし</p><p>美智が心配そうに、オレを見る</p><p>ちょっと疲れた</p><p>ここ３０分ばかり精神的にハードなことが続いている</p><p>美智、こっちに来い</p><p>ちょっと、抱き枕になってくれ</p><p>美智が、ハッとする</p><p>はいっかしこまれましたっ</p><p>美智が、ちょこちょこと進み出て小さな身体をオレに寄せる</p><p>オレは楽屋の椅子に座って、立ったままの美智の身体を抱き寄せた</p><p>そんなに緊張するな力を抜け</p><p>美智の肉体がふわっと柔らかくなる</p><p>オレは、平たい胸に頬ずりした</p><p>手を後ろに回して美智の小ぶりなお尻を揉む</p><p>はぁぁ怖かった</p><p>溜息ともに、そんな言葉が口から出る</p><p>そうですよね関様は、恐ろしい方ですから</p><p>美智がオレの頭を撫でてくれた</p><p>ご主人様はご立派でした</p><p>美智の胸の中で一分ほど心を落ちつかせた</p><p>こうやって心の切り替えをしていかないと</p><p>この先は保たない</p><p>わたくしの肉体は女性的な魅力に乏しいですからご主人様がお安らぎになれないのではご不満でしょう</p><p>オレはすぐに答えた</p><p>今、ここに居るのが美智じゃなかったらオレは発狂しているよ</p><p>美智は、いつも控え目だ必要が無ければ、黙って側に居てくれる優しい女の子だ</p><p>恥ずかしそうに美智は言った</p><p>想像してみろよもし、ここに二人きりになったのがマナだったらオレはあの子の不安を取り除くために、必死で喋り続けなくてはならなくなる</p><p>うんオレは、マナの保護者として全力で動き回らないといけない</p><p>心を休ませるヒマは無いな</p><p>メグだったらもう少し控え目にしていてくれるだろうけれどメグはメンタルが弱いからなさっきの関さんとの勝負みたいのに直面したら、失神しちまうかもしれない</p><p>メグには、もう少し神経のブッ太い女の子になって欲しい</p><p>雪乃ほどゴツイ神経の持ち主にならなくてもいいから</p><p>ましてやもしも、ここでオレが雪乃と二人きりになっちまったら</p><p>どうなりますでしょうか</p><p>美智が上からオレを見下ろす</p><p>オレは嫌だよこんなところで、あいつのヒステリーの相手をするのは</p><p>オレの微笑に美智の顔も緩む</p><p>わたくしはご主人様のお役に立っておりますか</p><p>うん美智が居てくれて心強い</p><p>美智は、そう言ってくれた</p><p>このお尻もいい</p><p>オレは、美智のお尻の感触を楽しむ</p><p>本当でございますか</p><p>ああ、鍛え上げられていて生ゴムみたいにプリプリしている今まで触った、誰のお尻よりも感触がいいよ</p><p>オレは美智のお尻を褒める</p><p>全て、ご主人様のものでございます</p><p>赤い顔をして美智が答えた</p><p>コンプレックスを持っている自分の肉体について褒められて興奮している</p><p>美智のM心に、火が付きそうになっている</p><p>まずいまずい</p><p>うん時間ができたら、たっぷり可愛がってやるからな</p><p>今は我慢しろと美智に告げる</p><p>はいお望みの時に、いつでも美智の操をを捧げます</p><p>息を荒くしながら美智は言った</p><p>みすずが見ている前でだろ</p><p>ああ可愛いな、美智</p><p>美智キスしてくれ</p><p>美智からオレにキスしてくれ</p><p>緊張した唇がオレに接近して来る</p><p>唇と唇が合わさる</p><p>うん、よくやった偉いぞ</p><p>恥ずかしそうな美智の頭を撫でてやる</p><p>美智は耳まで赤い</p><p>オレの膝の上に座れ</p><p>胸も揉んでやるミナホ姉さんに電話しながら</p><p>美智がオレの膝の上に座る</p><p>スカートを捲って生のお尻と膝をオレに押し当てろ</p><p>美智の柔らかい足とお尻を膝で感じる</p><p>オレはそのまま後ろから右手で美智を抱きかかえ</p><p>美智の胸を触る</p><p>何だつるぺただと思っていたけれど</p><p>皮膚の上に、むにっと薄く脂肪の層があるのが判る</p><p>これから、おっぱいが発達していく基礎はできているんだ</p><p>うんこれはきっと、揉めば揉むほど育っていくに違いない</p><p>オレはグリグリと美智の胸をまさぐる</p><p>あんまり乱暴にしないで下さい</p><p>少し強く触らないと、刺激にならないだろ</p><p>オレは、制服の上から美智の胸を揉みしだく</p><p>あっ、恥ずかしいです</p><p>楽屋の鏡の中にオレたちの姿が映っている</p><p>見ろよ鏡の中</p><p>あああっ恥ずかしいです</p><p>マゾッ子の美智が震えている</p><p>恥ずかしいのが好きなんだろ</p><p>はい好きです大好きなんですご主人様ぁぁ</p><p>ホント美智で良かった</p><p>オレの心は、すっかりリラックスできた</p><p>少し静かにしていろミナホ姉さんに電話するから</p><p>絶対に声を出すなよ我慢してろ</p><p>右手で美智の胸をまさぐりながら</p><p>左手で携帯を取り出す</p><p>電波のアンテナは２本立っている</p><p>まあ、何とか届くだろう</p><p>オレはミナホ姉さんにコールする</p><p>もしもし吉田くん</p><p>ミナホ姉さんは、すぐに出た</p><p>うんオレは何とか無事だよみすずや瑠璃子さんたちと一緒に居る美智とも合流できた</p><p>オレは、手短に報告する</p><p>状況はどうなの</p><p>香月閣下の命令でみすずと一緒に、帝都ホテルへ来いって護衛には、谷沢チーフの配下の関さんと藤宮さんが付いてくれることになった</p><p>香月セキュリティ・サービスのトップ・エリートが二人も</p><p>ミナホ姉さんは、驚く</p><p>閣下直衛警護人の関さんと、撲殺剣士の藤宮さんの組み合わせというのはやはり、破格なんだろう</p><p>それは瑠璃子さんたちも一緒に行くことになったから瑠璃子さんも、閣下に話があるんだって</p><p>そうなのまあ、トップ・エリートのお二人が警護して下さるのなら心配は無いと思うけれど</p><p>それでミナホ姉さんたちは、今どこに居るの</p><p>あたしたちは劇場の駐車場よこれから出発するところ香月様の隊列に加えていただけることになったわ</p><p>隊列</p><p>香月様は、十数台の車で列を作ってパトカーの先導で、ご出発なさるそうだから、あたしたちもそれに加えていただくことになったの</p><p>閣下と一緒に移動するのなら充分な警護体勢が敷かれているはずだ</p><p>まず、安全だろう</p><p>その代わり車を一台、劇場に残して行くことになったけれどね</p><p>車を</p><p>行きは車３台に分乗して来たけれどあなたと美智さんが、みすずさんたちと帝都ホテルに向かうのなら、２台で済むし香月セキュリティ・サービスの山岡部長からも、車列に加わるのなら車の数を減らせって言われたのよ</p><p>閣下の移動は山岡部長の管理下か</p><p>だから、ベンツにあたしが運転して、マルゴが助手席後ろに、寧とマナさんと恵美が乗っているわ</p><p>本来ならミナホ姉さんは、白坂守次の要請でヴァイオラのターゲットになっているのだから、後ろの席に座るべきだろう</p><p>しかし何かあった時に、警護役のマルゴさんが自由に動けた方がいい</p><p>だから、ミナホ姉さんが運転席で、マルゴさんが助手席なんだ</p><p>あ、そう言えば</p><p>あのミナホ姉さん</p><p>判っているわよ、雪乃さんでしょ</p><p>雪乃は、どうなったんだ</p><p>彼女は克子と一緒に、マセラッティの方に乗って貰ったわ大丈夫よあなたの見ていない時にどこかに捨てて来たりはしないから</p><p>はぁ克子姉と一緒か</p><p>まあメグやマナと一緒にしておくよりは、平穏だろう</p><p>克子には申し訳ないけれどあの子のヒステリーの相手をするのは、たまらないから</p><p>あららオレと同じことを言っている</p><p>雪乃は、克子姉が苦手だからその組み合わせで正解だと思うよ</p><p>とにかくこちらのことは心配しないで劇場の外に出れば、工藤さんのチームもフォローしてくれるでしょうし</p><p>工藤父の裏工作部隊も閣下の警護に動き出してくれる</p><p>まあ警備体制の堅固な本隊を、ヴァイオラが襲撃してくるとは考えられないか</p><p>ここは日本</p><p>ヴァイオラは、東京の土地勘は無いのだし</p><p>閣下の車列が走るのは、大通りだけだろう</p><p>どこからにせよ、攻撃してくるのは難しいはずだ</p><p>帝都ホテルで合流しましょういいわね</p><p>判ったミナホ姉さん</p><p>あマナさんたちが、あなたと話したがっているわ</p><p>電話の向こうの人物が変わる</p><p>お兄ちゃん大丈夫</p><p>ああ、こっちは平気だよみすずや瑠璃子さんたちと一緒だから、香月セキュリティ・サービスの最強の警護人が二人も付いてくれている</p><p>良かった先にホテルに行っているからね</p><p>すぐに追い掛けるよ</p><p>うんメグお姉ちゃんに変わるね</p><p>メグの声が聞こえる</p><p>そんな心配そうな声をするなよこっちは大丈夫だからすぐに追い掛けるよ</p><p>うん待ってるね</p><p>もしもし、ヨッちゃぁん</p><p>はい、オレは無事ですよ寧さん</p><p>えへへ良かった心配してたんだからっ</p><p>すぐにホテルへ合流します待ってて下さい</p><p>急いで追っ掛けてくるんだよっ判った</p><p>もしもし、吉田くん</p><p>はい、オレはここにいます</p><p>君を脅かすつもりは無いんだけれどもしかしたら、敵は、あたしたちの方より、君たちを狙うかもしれない</p><p>あたしたちが、白坂創介の身柄や、雪乃さん、マナさんを確保した様に敵も、みすずさんや瑠璃子さんを狙ってくるかもしれないよね</p><p>閣下に対する交渉カードとしては、二人の孫娘は申し分が無い</p><p>でも、大丈夫ですよこっちには関さんも藤宮さんもいるし美智もいてくれているから</p><p>マルゴさんを安心させるために、オレはそう言った</p><p>マルゴさんなら、香月セキュリティ・サービスのエリート警護人の実力は知っているだろう</p><p>関さんたちの能力は疑っていないけれどそれでも、３人で君とみすずさんたちを護衛するとなると最低２人は、直衛で君たちにべったり付いていないといけないから、自由に闘えるのは１人だけになっちゃうよね戦力的には、少し厳しいと思うよ</p><p>プロの護衛としてマルゴさんは、そう結論づけた</p><p>オレとみすずと瑠璃子さんと美子さん４人を守るのには、確かに２人は必要だ</p><p>残った一人しか、敵と戦えないとすると厳しいかもしれない</p><p>工藤さんに、こっちから連絡しておくよ誰かしら、人を廻してくれるように</p><p>工藤さんのところの人ですか</p><p>ああ、工藤さんのところには、戦闘にだけ特化した人が何人か居るからねそういう人を廻して貰うよ</p><p>ガードは、関さんたちで充分</p><p>今のオレたちにさらに必要な人材は純粋な戦闘要員ということか</p><p>あ、この話は関さんたちにはしないでねあの人たちは、エリートだから工藤さんのチームの人が助けにくることを嫌うと思うんだ</p><p>うん工藤父の裏工作チームは</p><p>関さんや藤宮さんのお上品さとは、相容れないと思う</p><p>とにかく、充分に気をつけてね</p><p>はい、マルゴさんミナホ姉さんたちをよろしくお願いします</p><p>こっちは、あたしに任せておいてじゃあね</p><p>そして、電話は切れた</p><p>克子姉の声も聞きたかったな</p><p>あいつは喚くか、文句を言うかしかしないんだろうけれど</p><p>美智が真っ赤な顔で、囁く</p><p>うん、どうした美智</p><p>わたくし濡れてしまいました</p><p>携帯を上着のポケットにしまって左手で、美智のスカートの中に手を伸ばす</p><p>美智のパンティは、びしょびしょになっていた</p><p>美智は興奮すると、濡れやすいんだな</p><p>楽屋の鏡越しに美智と会話する</p><p>オレの膝上の美智</p><p>今は大きく開脚して濡れた股間も、鏡の中にはっきりと映っている</p><p>わたくし淫乱なのかもしれません淫乱な美智は、お嫌いですか</p><p>潤んだ瞳で、鏡の中の美智が言う</p><p>好きだよオレの美智だもの可愛いよ、美智</p><p>オレは後ろから美智の耳の裏をペロッと舐めた</p><p>オレの膝の上で、美智が震える</p><p>パンティにまた、ジロロッと熱い汁が溢れていく</p><p>キスしよう、美智</p><p>オレに向かって、首を回す美智</p><p>鏡でよく見えるように体勢を少し直して、オレは美智の唇を吸った</p><p>舌と舌を絡ませる</p><p>美智は自分の痴態を鏡で見て、また興奮している</p><p>ご主人様、わたくし</p><p>もっと、ご主人様に物みたいに扱われたいんですご主人様の所有物になりたい</p><p>オレとみすずのだろ</p><p>はいお二人の玩具になりたい玩具みたいに弄ばれたいんです</p><p>情熱的に、オレの舌を求める美智</p><p>もう玩具だよ美智は、おれとみすずの玩具なんだ</p><p>ああん嬉しいです</p><p>でももうちょっとだけ、我慢しろよみすずが居る場所でちゃんとしてやるから</p><p>みすずのいない場所での悪戯はここら辺が限度だろう</p><p>そろそろ、みんなシャワーから戻って来るだろうし</p><p>もう一回、キスしようここでは、そこまでにしておこう</p><p>あのわたくし、いいんですよ</p><p>ご主人様のものを舐めたり飲んだりもできます</p><p>オレは、美智が愛おしくなって、そっと頬を撫でてやる</p><p>美智の１５歳の肌はつるつるしている</p><p>そういうのも今はいい帝都ホテルに着くまでは、緊張していたいんだここで射精すると、気が緩む</p><p>美智が、そう言ってくれるのは嬉しいし本当は、美智にして貰いたいんだでも、状況が状況だから判ってくれ</p><p>そう言ってオレに頬ずりしてくれた</p><p>シャワー組が帰って来たのは、その数分後だった</p><p>オレと美智の痴態は見られていない</p><p>瑠璃子さん、美子さん、みすず、関さんが楽屋の中に入って来る</p><p>藤宮さんは、廊下の外で立ち番したままだ</p><p>旦那様、ただ今戻りました美智、旦那様のお世話はちゃんとしてくれた</p><p>みすずが、美智に言う</p><p>はいわたくしがお世話というよりご主人様にわたくしがお世話していただきました</p><p>まあそれはまた、美智を処罰しなくてはいけないポイントが増えてしまいましたね</p><p>はいご処罰下さいみすず様</p><p>今夜は覚悟なさいどんなお世話をしていただいたのか、全て白状させますからね</p><p>ああマゾッ気のあるこの二人は</p><p>こうして、後でのセックスの楽しみを増加させているのか</p><p>何となく、判ってきた</p><p>瑠璃子さんと美子さんは、シャワー室で着替えまで済ませてきた</p><p>今は普段、みすずが着ているのと同じ、お嬢様校の制服を着ている</p><p>うん和服から制服に着替えると</p><p>美子さんの巨乳さがよく判る</p><p>瑠璃子さんも１５歳にしてはスタイルが良い</p><p>というかすっごい足が細くて長いな、この子</p><p>それはさておき</p><p>みすず何で、お前だけバスローブ姿なんだ</p><p>ごめんなさいすぐに着替えますから</p><p>みすずは、瑠璃子さんたちにそう言った</p><p>自分のカバンの中から着替えを取り出す</p><p>そこには、下着もあった</p><p>みすずまさか</p><p>バスローブの下は、裸か</p><p>旦那様お願い致します</p><p>みすずがそれが当然のことのように、自分の新しい下着を持ってオレの前に来る</p><p>オレにパンティとブラジャーを手渡す</p><p>瑠璃子さんと美子さんは驚いている</p><p>みすずは二人に、オレとの仲を見せつけたいのだろう</p><p>オレもいつものこととして、下着を受け取る</p><p>みすずが、バスローブの前を開く</p><p>白い裸身桜色の乳首</p><p>そして、無毛の恥部が露わになる</p><p>そのままみすずはローブを後ろに落とした</p><p>ほら、パンツから穿かせてやるから</p><p>みすずの足下に跪いて片足ずつ、パンティを穿かせてやる</p><p>それから、みすずの柔らかい足を滑らせるように引き上げて</p><p>キュッと締まったお尻を、薄い布地で包み込む</p><p>次はブラだ</p><p>ブラジャーをみすずのおっぱいに当ててお肉がちゃんとカップの中に収まるように</p><p>そして、背中のホックを填めてやる</p><p>全裸のみすずもセクシーだが下着だけというのも、なかなかいい</p><p>オレはチュッと唇にタッチする</p><p>みすずは、そんな軽いキスは嫌だとオレに抱きついて、長いキスを求めた</p><p>舌と舌を吸い合う</p><p>いつも黒森様は、みすず様のお着替えをお手伝いなさっているのですか</p><p>美子さんが呆然とした顔で尋ねる</p><p>二人で居る時は、必ずですね、旦那様っ</p><p>必ずってことは無いんだけれどみすずは、オレとの仲を自慢したいみたいだから</p><p>まあそうですね</p><p>女性の着替えを手伝うなんて、嫌ではないんですか</p><p>瑠璃子さんが、そんなことを尋ねてくる</p><p>いいえ、別にオレのみすずですから</p><p>瑠璃子さんは、釈然としていない</p><p>彼女のこれまでの世界観では、考えられないことらしい</p><p>瑠璃子さんだって、美子さんに着替えを手伝っていただいているでしょ</p><p>美子は女性ですしわたくしのお付きですから</p><p>あたしと旦那様だってとても親しい関係にありますあたしは旦那様に何一つ隠し事はありませんし旦那様は、あたしに嘘を吐かれたことは一度もありません</p><p>下着姿のみすずが瑠璃子さんに胸を張って告げる</p><p>裸になっても、恥ずかしくない間柄ということですか</p><p>むしろ、裸にならないと旦那様と愛し合えませんわ</p><p>裸でないと、愛し合えない</p><p>セックスの知識が無い瑠璃子さんにはみすずの言葉は、判らない</p><p>お戯れはそれ位になさって下さいお早く、お着替えを</p><p>関さんがみすずに言った</p><p>はい、済みません関さん旦那様着せて下さい</p><p>みすずが、カバンから制服を取り出す</p><p>ああ、判った</p><p>オレは、言われるままみすずに服を着せていく</p><p>瑠璃子さんの前で、オレに着替えさせられることにみすずは上機嫌になっている</p><p>関さん親しい男性に、着替えを手伝っていただくというのは、世間ではよくあることなのですか</p><p>瑠璃子さんが、関さんに尋ねる</p><p>上流階級の方々は皆様、それぞれ違う趣味をお持ちですから何が一般的なのかは、わたくしにはよく判りませんっ</p><p>うん関さんも、閣下の直衛になるまでは、色んな人の護衛に付いたんだろう</p><p>ま色んな人を見てきたんだろうな</p><p>だからみすずの行動を、止めることはできない</p><p>着替えているだけだし</p><p>でもみすず様が、本当に黒森様をご信頼なさっているということは判りましたわ</p><p>美子さんが、オレたちを見てそう言った</p><p>そうね黒森様も、とっても献身的でいらっしゃるし</p><p>瑠璃子さんも、そう言う</p><p>みすずの着替えを手伝うオレは、献身的に見えるらしい</p><p>月曜日ですもう</p><p>楽しい部屋と書いて楽屋と読みますが</p><p>あんまり楽しかった思い出は無いです</p><p>私は、裏方でしたから楽屋は入らないし</p><p>裏方の居る部屋は、スタッフルームと言うんですが</p><p>とある演出家の先生は、そこを自分の楽屋と言い張って</p><p>スタッフが肩身の狭い思いをしたことがあります</p><p>うーんわざわざ劇場へ来てから、立派な背広に着替える様な人でした</p><p>パンフレットに載せる写真を、有名な写真家に撮って貰ったり</p><p>演出家が前に出すぎる舞台はあんまり良くないですね</p><p>今日は、また暑くなりそうですね</p><p>240．出発前点検</p><p>いいえ、献身というのとは少し違いますわ</p><p>みすずが、瑠璃子さんに言った</p><p>今は旦那様が、あたしの着替えをお手伝い下さいましたけれど、あたしも旦那様には精一杯ご奉仕致します旦那様に尽くすことは、あたしの喜びですあたし自分は、この方を幸せにしてさしあげるために生まれてきたんだと思っていますから</p><p>みすずの答えに瑠璃子さんは、驚く</p><p>みすずお姉様にとってお兄様の存在は、そんなに大きいのですか</p><p>はい心から愛しています</p><p>みすずが、ニッコリとオレに微笑む</p><p>愛家族愛や、主従愛ならばわたくしも理解できますが男女の愛というのは、よく判りません</p><p>瑠璃子さんが知っているのは彼女が読んだ小説の一部に出てくる恋愛描写だけだ</p><p>それも、閣下が性的な表現のあるものは全て除外しているから</p><p>本当に、子供向けのおとぎ話レベルの恋愛物語しか知らないのだろう</p><p>あたし夜、寝る前と朝、目覚めた時に、必ず旦那様にお電話しています</p><p>まさかみすず</p><p>おしっこ許可の話をするのか</p><p>あれは瑠璃子さんに話すには、まだちょっと早いんじゃないか</p><p>そして旦那様の声を聞くだけで、あたし、安心できるんです嬉しくなります旦那様が、元気で居て下さるだけで嬉しいんです</p><p>こうやって、直にお会いするともっと嬉しくなります一緒に並んで歩くだけで、ドキドキします旦那様は、あたしがどんなお話をしても一生懸命聞いて下さいますあたしが何を望んでいるのか、何を求めているのかいつも、察して下さいますいつも本当に一生懸命であたしの心の壁を、飛び越えて来て下さるんです</p><p>みすずは、ニコニコと微笑んでいる</p><p>心の壁ですか</p><p>瑠璃子さんが真剣な眼で尋ねる</p><p>はいあたしも香月の家の娘として生を受けましたから人に対しては、心に壁を作って接して参りましたあたしの周囲の方々は大人の方も、学友の皆さんも、決して悪い方ではありませんがどうしても、あたしと接する時には、香月の家の力を感じてしまわれるようで</p><p>それはよく判ります</p><p>瑠璃子さんが、頷く</p><p>閣下の孫娘である二人は、同じ悩みを抱えて生きてきたのだろう</p><p>あたしは皆さんに祭り上げられるのも、疎まれるのも嫌でしたからとにかく、どなたにもニコニコと微笑んで、優しく穏やかに接することに務めてきましたそれでいて特に親しい関係の人間を作らないようにあたしと親しくし過ぎた方は、他の方に妬まれて、苦労なさいますから</p><p>はいわたくしも、お姉様と同じですなるべく機嫌良く、いつも笑っていてそれでいて、どなたとも親しくならないようにして参りました</p><p>しかし瑠璃子さんには、美子さんがいらっしゃいました</p><p>ええわたくし、美子の存在に、本当に助けられて参りました</p><p>瑠璃子さんは、３歳年上のお付きの少女にねぎらいの言葉を投げ掛けた</p><p>もったいないお言葉ですわたくしなぞ</p><p>いいえ美子が居てくれたからこそ、わたくしは今日まで元気にやってこれたのだと思います</p><p>見つめ合う主従</p><p>羨ましいですわあたしには、美子さんの様なお付きはいただけませんでしたから</p><p>みすずが二人を見る</p><p>正直高等部に進んだ頃から、あたしは息苦しくなってしまって心がすっかりくたびれていましたずっと一人ぼっちで誰にも気を許せない生活に</p><p>瑠璃子さんも美子さんも真剣な顔で、みすずの話を聞いている</p><p>同じ立場にいる二人だからみすずの話は、人事で無い</p><p>あ関さんと美智も、興味深そうに聞いている</p><p>そうしたらあたしの心の苦しみを判って下さったのでしょうねお祖父様がある方をご紹介して下さってあたし週に何時間かは、その方のところで心を解放することができました</p><p>渚のお店でのアルバイトと</p><p>渚とのレズプレイか</p><p>アルバイトといっても、渚はみすずには店の奥に居させて、接客させなかったらしいし</p><p>それでも、香月の家や名門お嬢様校の生活とは関係の無い仕事をするのは良い、気分転換になったろう</p><p>それはセラピーとか、そういうことをなさっている先生ですか</p><p>美子さんが、みすずに尋ねた</p><p>そうですねそんな様な感じですわ</p><p>まあ、花屋で綺麗な花に囲まれるのは、確かに心が和むだろう</p><p>その後のレズ・プレイはどうかと思うけれど</p><p>その方があたしに、旦那様を紹介して下さいました</p><p>旦那様はあたしが香月の家の人間だということを全く知らずに、あたしを受け入れて下さいましたいいえ、香月の血筋だと知った後でも、旦那様は何一つ変わらずに、あたしを愛して下さいます家の格とか血縁とかこの方は、一切、拘りが無いんですよ</p><p>それでは本当に、みすずお姉様だけを愛しておられるのですね</p><p>はい例え、あたしが香月の家を追放になったとしても、旦那様は変わらずあたしを愛し続けて下さいます</p><p>みすずがどうなろうとオレは、一生、みすずに対して責任を持ちます幸せにします</p><p>どうしてですの、みすず様それでは、閣下のご意志に反することになりますわその様なことをするなんて自殺行為ですわ</p><p>関さんが思わず、口を開いた</p><p>自殺行為なんかじゃありませんオレは何が何でも生き延びますオレには、幸せにしなくちゃいけない家族がたくさんいますから</p><p>そうだオレには</p><p>みすずもオレの家族ですもう、家族なんですだから、守ります絶対に幸せにします</p><p>君は馬鹿なの現実は、そんなに甘くはないですわ</p><p>関さんは、そう言うけれど</p><p>現実が厳しいのは、判っていますでも、もう家族になってしまったんですもう引き返せませんオレたちは、前に進むしか無いんです</p><p>はいみすずは旦那様の家族ですっ</p><p>みすずが、嬉しそうにオレを見る</p><p>美智お前も家族だからな</p><p>美智が、眼を潤ませる</p><p>はいご主人様みすず様</p><p>瑠璃子さんが</p><p>お姉様お姉様たちのおっしゃる家族ってどんな関係ですの</p><p>瑠璃子さんは香月の家、一族、血族は知っている</p><p>しかし家族は知らない</p><p>オレたちの言っている様な類いの家族は</p><p>どんなに大変な時でも、メンド臭がることなく、全力で助けてあげたい幸せにしたいそういう風に思い合う相手の関係です</p><p>それがオレにとっての家族の定義だ</p><p>はい、ですから旦那様はいつも、あたしや美智や他の家族の幸せを考えて下さってますあたしも旦那様や美智や、他の家族の幸せを考えていますお互いに依存し合っているのではありません協力して相手のことを慮っているだけですその関係が、幸せなんですあたし、旦那様の家族にしていただいたことを神様に感謝しています</p><p>香月家よりもその方の家族の方がよろしいのですか</p><p>美子さんが、びっくりした顔で尋ねる</p><p>はいただただ、幸せですから旦那様の家族であることは</p><p>みすずの言葉はオレには重い</p><p>頑張らなきゃオレ</p><p>みすずを、もっともっと幸せにしてやらないと</p><p>わたくしにはよく判りません</p><p>瑠璃子さんが、寂しそうに言った</p><p>あら瑠璃子さんだって、美子さんと二人きりで過ごされている時は快適でしょう</p><p>はい美子と二人でしたら、気が楽ですから</p><p>それと同じですただ違うのはあたしたちは主従関係ではなく、対等だということと家族はたくさんいるということだけです</p><p>何が、たくさんおられるのです</p><p>姉妹です</p><p>今のあたしには敬愛する姉と、可愛がってあげたい妹がたくさんいますみんな、旦那様を通してあたしの家族になって下さった方々ですあたしたち家族は、運命共同体です個人の幸せが、家族の幸せに繋がることを、全員が理解していますからいつも信頼し合って、協力し合っています</p><p>それが黒い森</p><p>オレたちの家族に、血縁関係はありません生まれも育ちも違う人間が自らの意志で、家族になったんです互いを受け入れ合っている家族なんです</p><p>オレの言葉に、関さんは</p><p>そういう秘密結社なんですか</p><p>みすずは、笑う</p><p>そんな大それた物ではありませんよ弱い人間たちがそれでも強い人間に屈することなく、運命と闘い続けようとしている人間たちが肩を寄せ合ったら、たまたま家族としてまとまったというだけのことです</p><p>はいみすずの言う通りだと思います</p><p>あたしにはよく判りません香月の血筋よりも大切な人間関係なんて</p><p>でも、瑠璃子さんだってあたしの旦那様が信頼できる方だということは、ご理解下さいますよね</p><p>それは判ります今までの黒森様の言動を見ていればきちんと御自分の考えを持っていらっしゃるしとても勇気のある方だということは</p><p>今はそれだけ判って下されば結構ですわ</p><p>みすずは、満足そうに言った</p><p>みすずの着替えが終わる</p><p>さあそろそろ、参りましょうか</p><p>瑠璃子さんと美子さんは、考え込んでいる</p><p>関さんも</p><p>オレや黒い森が、みすずに悪影響を与えているのではないかと疑っているのだろう</p><p>それがさらに瑠璃子さんに拡大するのではないかと</p><p>あなたが、そんなにご心配なさる必要はありませんよ</p><p>みすずが、関さんに微笑む</p><p>香月の家の中の問題は、きちんとお祖父様にご相談して解決致しますから瑠璃子さんも、あたしと旦那様のお付き合いについてはお許し下さいますよね</p><p>それはみすずお姉様と黒森様が、本当に愛し合われているということは、わたくしにもよく判りますからしかし</p><p>口籠もる、瑠璃子さん</p><p>香月の家のことは</p><p>ですからそれは、お祖父様と談判致しますそれなら、構いませんよね</p><p>お姉様本当に、香月の家を出られるおつもりですか</p><p>瑠璃子さんはみすずがオレと駆け落ちすると思っているらしい</p><p>閣下の意志に反して生きるということは、そういうことなのか</p><p>その覚悟はできていますあたしの人生は旦那様と共にありますから</p><p>そういうお覚悟がおありなのでしたら瑠璃子はもう、何ももうしませんみすずお姉様の信じていらっしゃる道を存分にお進み下さい</p><p>瑠璃子さんには自分の運命を自分で決めるという発想は無いだから、みすずの言葉に戸惑っている</p><p>関さんははっきりとした自分の意見を持っているのだろうが、強く自分から主張するということはしないだから、今は黙っている</p><p>二人とも閣下の命令に従うのが当然だと考えている人たちだから</p><p>みすずが閣下と直接談判すると言っている以上彼女たちには、どうすることもできない</p><p>お祖父様との話し合いの場には瑠璃子さんにも居ていただきたいの</p><p>はいその方がよろしいですわねわたくしも、ことの次第をよく知っておきたいですし</p><p>瑠璃子さんは、そう答えた</p><p>楽屋を出る</p><p>藤宮さんが、ステッキを持って立っていた</p><p>随分時間が掛かりましたね</p><p>申し訳ありません少し、瑠璃子さんとお話しをしていました</p><p>旦那様済みません</p><p>オレはみすずと瑠璃子さんの衣装や荷物を載せた台車を押している</p><p>構わないよこういうのは、男の仕事だ</p><p>美智や警護人の二人には、しっかり周囲の監視をしていて欲しいし</p><p>自分の女の荷物ぐらい、オレが運ぶのが当然だろう</p><p>わたくしの使う車楽屋口に廻してくれるように頼んでおいたのですけれど</p><p>楽屋側の出口で関さんが、香月セキュリティ・サービスの制服を着た警備員に尋ねた</p><p>はい表に停めてあります</p><p>警備員が、キーを差し出す</p><p>関さんは、鍵を受け取る</p><p>最新式の要人警護車ですね</p><p>外の車を見て、藤宮さんが感嘆する</p><p>車は、大型のリムジンだった</p><p>ええ、今月納車して貰ったばかりの車ですよわたくしの専用車として</p><p>胸を張る関さん</p><p>だからか関さん専用車だからなのか</p><p>その車のボディはピンク色に塗られていた</p><p>ピンク・キャデラックってことなのかしら</p><p>藤宮さんが、ニッと笑う</p><p>外装だけですわ中身は違います車体もエンジンも特別製ですから</p><p>関さんは、得意げに語る</p><p>新技術による防弾装甲に防弾ガラス衝撃にも強い様に設計してもらいましたのよ</p><p>藤宮さんが、革手袋をした手で車のボディをコンコンと叩く</p><p>中身の詰まった音</p><p>洒脱なアメリカ車の外観は完全なフェイクだ</p><p>これ装甲を乗せた分、車が相当重くなっているでしょう</p><p>藤宮さんが関さんに尋ねる</p><p>ええその分、エンジンもハイ・パワーなのに換装してありますわ燃費が少々悪いですけれどそれは、仕方ありませんわよねサスペンションなども、全て特注です</p><p>高出力のエンジンに変えたんなら、エンジンも重いんですね車体も重い、エンジンも重いやはり、使用なさる方が重い方だと、専用車も重くなるのですわね</p><p>藤宮さん言葉にカチンとなる、関さん</p><p>わたくしそんなに重くはございません</p><p>あらわたくし、そういう意味で言ったのではございません関さんは、閣下や谷沢チーフに重用されていらっしゃいますからそういう意味での重いです</p><p>でもわたくしの言葉に、そんな反応をなさるなんてもしかして、関さんは最近、体重ついて特に気になさっていらっしゃるのですか</p><p>気にしていませんっ気にするわけないですわっ</p><p>そうですよね関さんの様なトップ・エリート中のエリート警護人が、日々増加していく体重のことなど気にしていらっしゃるはずがございませんよね</p><p>この二人は、まったく</p><p>どっちも良い年齢の大人なのにこの仲の悪さは何なんだ</p><p>ところでこの最新式の装甲、試してみてもよろしいですか</p><p>藤宮さんが関さんに微笑む</p><p>試す</p><p>はい、新技術の効果に興味がありますわたくしの一撃にどれくらい耐えるか車体の頑健さを確かめたいと思います</p><p>藤宮さんが、重さ３キロの特殊金属のステッキを振り上げる</p><p>特に、ここのフェンダーの辺りの装甲の強さが知りたいですね</p><p>や、やめなさい</p><p>大丈夫ですよわたくしが全力で一撃を加えるだけです装甲が凹むだけですよ万が一、装甲に穴が開いたとしても、車の走行には支障の無い程度で止めておきます</p><p>藤宮さんが、フンッと気張る</p><p>ステッキを握った手に力が入る</p><p>ダ、ダメよっ藤宮麗華っ</p><p>関さんが慌てて、藤宮さんのフルネームを叫んだ</p><p>そう言えば、藤宮さんて麗華って名前だっけ</p><p>こんなに凛々しい男装の麗人で麗華宝塚の男役みたいだな</p><p>お遊びは、それくらいしておいて下さい、藤宮さん</p><p>あたしも瑠璃子さんも車体を凹ませた車に乗りたいとは思いません</p><p>瑠璃子さんも、みすずの後ろでうんうんと頷いている</p><p>御意では、装甲のテストは別の機会に致します</p><p>藤宮さんは、二人に颯爽と礼をする</p><p>もう</p><p>関さんは、プンプン怒りながら車のドアを開ける</p><p>さあみすず様、瑠璃子様、どうぞ</p><p>二人が車に乗り込もうとする</p><p>待って下さい</p><p>オレは乗り込む二人を止めた</p><p>どうしました</p><p>瑠璃子さんが驚いて、オレに振り返る</p><p>この車香月セキュリティ・サービスの人に回送して貰ったんですよね</p><p>誰だか知らないけれど駐車場から、ここまで運んで来たのは警備員の一人のはずだ</p><p>そうでございますが</p><p>関さんが、オレを見る</p><p>一応車のチェックをした方が良いと思います</p><p>香月セキュリティ・サービスの仕事が信用できないとおっしゃるのですか</p><p>オレの言葉に関さんは不快感を示す</p><p>そうじゃないですけれどオレが敵なら、警備員の中に紛れ込んで、この車に何か仕掛けます</p><p>発信器とか盗聴器とか</p><p>関さんと藤宮さんが顔を見合わせる</p><p>旦那様のお言葉に従いなさいすぐにチェックして</p><p>二人の警護人が、車内に飛び込む</p><p>シートや内装の中をくまなくチェックしていくと</p><p>ありましたわ</p><p>こちらにもです</p><p>次々に隠されていた機器が出てくる</p><p>藤宮さんがポケットから、携帯電話サイズの機械を取り出す</p><p>不審な電波が発信されていないか、チェックする機械です</p><p>オレたちに説明しながら、機械を持って車の周りを廻っていく</p><p>もう大丈夫です他には、発信機器は取り付けられていないようです</p><p>香月セキュリティ・サービスの中に、すでに敵が入り込んでいるとは</p><p>関さんが、苦々しい顔でそう言った</p><p>敵も本物のプロフェッショナルってことなんでしょうどうします、山岡部長に報告しますか</p><p>藤宮さんが、関さんに尋ねる</p><p>止しましょう誰が敵なのか判らなくて、制服組が全員、互いに疑心暗鬼になってしまいます</p><p>現場が混乱して、パニックになるだけですね</p><p>おそらくそれも敵の狙いなんでしょう</p><p>関さんが言った</p><p>今のままなら敵に入り込まれていても、制服組の中の命令系統は完全なままです潜入されたとはいえ班長・リーダークラスにまでは浸透していないはずです人数もせいぜい数人程度でしょうし</p><p>敵が紛れ込んでいるという情報だけが一人歩きをしたらそれだけで、制服組の機能はマヒする</p><p>実際には、一番下っ端のレベルに数人が入り込んだだけなのに過剰反応をすれば、組織全体がダメージを受ける</p><p>専用回線で谷沢チーフにだけ報告します潜入工作員の特定は、谷沢チーフにお願いしましょう</p><p>そうですね山岡部長では、現場を混乱させるだけでしょうから</p><p>関さんが、携帯で谷沢チーフに連絡する</p><p>その間に、オレは車に荷物を積み込み</p><p>みすずや瑠璃子さんも車内に乗り込む</p><p>助手席に藤宮さん</p><p>リムジンの２列目の席に、オレと美智</p><p>後部座席に、みすずと瑠璃子さん、美子さんと座る</p><p>リムジンの座席は、２列目の座席が後ろ向きになっていて、後部座席の人たちと向かい合って座れるようになっていた</p><p>なので、オレと美智は瑠璃子さんたちと膝を合わせて座っている</p><p>電話を終えた関さんが運転席のドアを開け</p><p>でどうして、あなたが助手席に座っているのかしら</p><p>藤宮さんに言う</p><p>この車は、関さんの専用車でございますから</p><p>こういう時の運転は香月セキュリティ・サービスでは、目下の人間がするルールになっていると思うんですけれど</p><p>えっと関さんも藤宮さんも、谷沢チーフの部下で香月セキュリティ・サービスのトップ・エリートだ</p><p>関さんは、閣下の直衛警護人に選ばれているけれど</p><p>どっちが上とか下とか、あるのか</p><p>ですから運転は、関さんにお任せします</p><p>藤宮さんは、平然とそう答えた</p><p>あなたわたくしよりも年下のはずよね</p><p>ですが香月セキュリティ・サービスへの入社は、わたくしの方が先ですわたくしは１６歳で谷沢チーフ直々にスカウトしていただきましたから</p><p>わたくしはね大学を卒業した後に、ヨーロッパに留学していたんですのっ高度な専門教育を受けた実務家として入社したのですから入社年度は関係在りませんわっ</p><p>関さんも藤宮さんも譲らない</p><p>関さんが、どうしてもということでしたらわたくしが運転しても構いませんが、わたくしの運転は荒いですよ関さんの大事なお車に傷を付けてしまうことになるかもしれませんそれでも、よろしいですか</p><p>そんな藤宮さんの言葉に関さんは</p><p>もうっ判ったわよっわたくしが運転すればいいんでしょっ</p><p>ぶんぷん怒りながら運転席に乗り込んでくる</p><p>チームの中に仲の悪い二人がいるというのは昔からの伝統です</p><p>古くは、１９５０年代のキャプテン・フューチャーシリーズ</p><p>さらには、アメリカのＳＦ小説の起源とされる、連続新聞小説のフランク・リード・ジュニアシリーズまで遡れるそうです</p><p>野田昌宏氏のSF英雄群像が新刊で買えない時代って悲しいですね</p><p>241．３人揃って</p><p>皆様シートベルトは、きちんとなさいましたね</p><p>関さんが、ルームミラーでオレたちを確認する</p><p>ちょっと走り出しが揺れますが気にしないで下さいね</p><p>エンジンが掛かる</p><p>トルルルンンッ</p><p>軽やかに廻るエンジンさすが、特注車だ</p><p>エンジン音が野太い</p><p>相当の高出力エンジンなんだろう</p><p>では参りますわっ</p><p>動き出した車はいきなり、ガクッと大きく揺れる</p><p>後ろ向きに座っている、オレと美智は前のめりになる</p><p>みすずたちは、逆にみすずたちはシートに強く押しつけられる</p><p>あ確かに、これは車が重いんだ</p><p>重い車を高出力のエンジンで無理矢理動かしているから挙動が荒い</p><p>そうでないと、こんなにドスンとはならない</p><p>わたくし車は穏やかな方が好きですわねロールスロイスでしたら、発進時の挙動でコップの水が零れることさえありません</p><p>藤宮さんが、嫌味を言う</p><p>申し訳ないですわねわたくし、車はアメリカのワイルドなテイストが気に入っておりますので</p><p>キャデラックなんて、車としての完成度はとても低いと思いますが昔も今も、アメリカ製の高級車なんて、趣味の悪さの代名詞じゃありませんか</p><p>藤宮さんの言葉に、関さんの闘争心が燃える</p><p>藤宮さんロールスロイスって、今は、どこの国の会社でございますか</p><p>ドイツのＢＭＷの傘下ですね</p><p>ベントレーは</p><p>ドイツのフォルクスワーゲングループの傘下です</p><p>ロータスは</p><p>マレーシアの国営企業に買収されましたっ</p><p>オースチンは</p><p>中国企業に買収されましたっ</p><p>ジャガーとランドローバーは</p><p>今はもう、インドの会社の傘下ですっ</p><p>藤宮さんが、ギロッと関さんを睨む</p><p>関さんあなたは、国際経済にもご堪能ですから、もちろん全て知っていてお尋ねになっているんですよね</p><p>いーえそんなに、わたくしを買いかぶらないで下さいなわたくしにも、不得意な分野というものがございます世界の自動車業界のことなんて</p><p>嘘だ絶対に詳しいに決まっている</p><p>でも、まあそうですか藤宮さんのお話でよーく判りましたわかつては大勢力を誇った英国ブランドの自動車メーカーも今では、見る影もございませんのねもう、イギリス国内には、車のメーカーなんて一つも残ってはいないのではありませんか</p><p>ま、まだ、アストンマーチンが残っていますっ</p><p>強い眼で睨む藤宮さん</p><p>ああ、そんな会社がありましたよね確かアメリカのフォード自動車の傘下だったのを、テヴッド・リチャーズが中東の資本家にお金を出していただいて何とか買い戻したってでも、売れているんですか</p><p>くっ</p><p>それでも英国内に一社だけでも残って、良かったですわね藤宮さん</p><p>関さんの勝利の笑み</p><p>まあ国家の基幹産業である自動車産業を、それも長年に渡って名の知られた国家を代表するブランドをポイポイ他国に売り払ってしまう英国人の神経は、理解できませんね貧すれば鈍するということですか</p><p>耐える藤宮さん</p><p>その点ゼネラル・モータースはキャデラックもビュイックもコルベットもカマロも、現行で製造・販売していますしね自動車というものに対する、国民の愛情が違います</p><p>赤字続きで、政府に税金を投入して貰ってようやく維持している様な状況をアメリカ国民の愛情とおっしゃるのですか</p><p>自国の自動車産業を維持し続けるというのは、国家戦略においてはとても重要なことですわ</p><p>わたくし英国を愛するものとして、アメリカの自動車産業を悪く言うつもりはないのですが</p><p>藤宮さんの反撃が始まる</p><p>アメリカは、経済の調子が良いときはイギリスの名門ブランドを欲しがりますよねロータスも、ジャガーも、ランドローバーも、一時はアメリカの自動車会社が保有していました</p><p>そうですわねそういう時代もございましたわね</p><p>ですから経済の調子が悪くなった途端に、英国の自動車ブランドを新興国に叩き売ったのは、当時の持ち主のアメリカですわよねっ</p><p>憎悪の眼で、関さんを見る藤宮さん</p><p>仕方ありませんわ名前だけしか残っていないイギリスの自動車産業なんて、自動車産業の歴史の浅い新興国ぐらいしか買って下さいませんものっ</p><p>関さんは、ニヤッと笑う</p><p>まさか大切なアメリカの自動車ブランドを売るわけにはいきませんものそんなの国の魂を売り渡す様なものですからね</p><p>IBMのコンピューター部門は、中国に売り払ったくせに</p><p>コンピューター部門だけですわっIBMは健在ですっ</p><p>関さんと藤宮さんの睨み合いが続く</p><p>この人たち、イギリス人でもアメリカ人でも無いくせになぜここまで、対立する</p><p>そんな話をしているうちにオレたちの車は、劇場を廻り込んで正面玄関のゲートに到着する</p><p>もう、すっかり夜だ辺りは暗い</p><p>香月セキュリティ・サービスの制服警備員がやって来る</p><p>申請してありますわＳ３です</p><p>関さんが、窓を開けて警備員に告げる</p><p>了解です帝都ホテルまでは、２台お付けします</p><p>見ると劇場前の道に、香月セキュリティ・サービスのロゴの入った車が２台停車している</p><p>１台は普通サイズのセダンで１台は、大きめのライト・バンだ</p><p>関さんが了承すると警備員が、停車している車の運転手に手でサインを出した</p><p>２台の車のライトが点く</p><p>参りましょう</p><p>関さんが、車を発進させる</p><p>オレたちの車が、香月セキュリティ・サービスの２台の車に挟まれる形で車列を組む</p><p>先導車はセダンの方</p><p>ライト・バンは、後ろから付いてくる</p><p>こうやって３台でまとまって走れば帝都ホテルまでの道程での危険は減るだろう</p><p>心配そうな顔をしている瑠璃子さんたちに、みすずが微笑む</p><p>帝都ホテルまでは、そう遠くはありませんし</p><p>どれくらいの距離なの</p><p>申し訳無いがオレは、そんな高級ホテルなんて行ったことが無いから</p><p>どこにあるのかだって知らない</p><p>お台場ですわこの時間でしたら、１５分くらいで着くと思います</p><p>ああ、東京湾の埋め立てエリアか</p><p>最近、たくさん高級ホテルができたっていうから、帝都ホテルもその一つなんだろう</p><p>運転席で関さんが呟く</p><p>どうしたんですか</p><p>さっきの車論争に負けて、ブスッとしていた藤宮さんが警護人の顔に戻る</p><p>先導車が、予定とは違うルートに入ったのよ</p><p>予定と違うルート</p><p>しかしオレたちの車は、前後を香月セキュリティ・サービスの車でぴったり固められている</p><p>すぐ後ろから、ライトバンが追い掛けて来ているから先導車に従って、オレたちの車も曲がらざるえない</p><p>何かルートを変更せざるえない事情が起きたのかしら</p><p>関さんが、首を捻る</p><p>それなら、わたくしたちにも連絡されるはずですが</p><p>藤宮さんも、不思議そうな顔をしている</p><p>何やら、胸騒ぎを感じる</p><p>変だなと思ったら、すぐに対応しろとマルゴさんは、オレに言っていた</p><p>うまくいっているという感覚は、間違っていることもあるが</p><p>おかしい、変だと思った感覚は絶対に、間違っていない</p><p>後は違和感の原因を探せ</p><p>関さん、藤宮さん</p><p>オレは、ハッとして口を開いた</p><p>どうなさいました</p><p>前の車も後ろの車も、何か人がたくさん乗っていませんか</p><p>前方の先導車は、後部座席にも３人乗っている</p><p>後ろのバンも、人がびっしり乗っている様に見える</p><p>警備する場所が、劇場から帝都ホテルに変わるから警備員の輸送も兼ねているんじゃないのかしら</p><p>関さんが、そう言うが</p><p>みすず様と瑠璃子様の移送の警護車輌で、そんなことはありえません</p><p>藤宮さんが答える</p><p>重要人物の警護車輌の乗員は、専門の訓練を受けている警備員しかなれません一般の警備員を同乗させることなど、ありえません</p><p>さっきり劇場で警備員の中に敵が入り込んでいることが判りましたよね</p><p>そいつらって香月閣下とオレたちが劇場を出発したら、もう劇場には用無しですよね</p><p>香月閣下とミナホ姉さんたちは、すでに車列を組んで帝都ホテルへ行った</p><p>オレたちは、遅れて帝都ホテルに向かっている</p><p>もう劇場内には敵がターゲットにしている人間は残っていない</p><p>前後の車わたくしたちが劇場を出る前から、路上で待機していましたよね</p><p>藤宮さんが関さんに言う</p><p>乗員が、入れ替わっている可能性がございますわね</p><p>関さんが呟く</p><p>オレたちの前後を抑え込んでいる２台の車は劇場内に潜入していた、敵が乗っている</p><p>関さん何人乗っていると思います</p><p>後ろのバンの後部座席が見えないですけれど軽く十人は越えてますわね</p><p>また、随分潜り込まれたものですね</p><p>これはかなり前から浸透された可能性があるわ</p><p>今回の突発的な、シザーリオ・ヴァイオラ来日とは関係無く</p><p>それ以前から香月セキュリティ・サービスに、多数の敵が潜り込んでいた</p><p>となると敵の狙いは、閣下の暗殺でしょうか</p><p>みすず様、瑠璃子様の拉致かもしれませんわ</p><p>となると今、起きているのは、敵の計画のメイン・イベントだ</p><p>いずれにせよこのまま敵の車に付いていくのは、得策では無いと思いますが</p><p>藤宮さんが言った</p><p>そうですわね行き着く先は敵の巣ですものね今のうちに自力で脱出するしかありませんわね</p><p>関さんも覚悟を決める</p><p>車は夜のオフィス街を走っている</p><p>幸い、通行人は一人もいない</p><p>ここなら、多少の騒ぎになっても一般の人たちには、迷惑はかからない</p><p>一か八か脱出を試みますみなさん、シートに捕まっていて下さい舌を噛みますから、口は閉じていて下さい</p><p>関さんが、車内の人物に告げる</p><p>まもなく３台の車は、交差点に入る</p><p>先導車は直進した</p><p>関さんは大きくハンドルを回して、左折しようとする</p><p>後ろからライトバンが急加速して、オレたちの車のお尻にガンッとバンパーをぶつけるっ</p><p>曲がっている時に、変な角度で車をぶつけられたから</p><p>オレたちの車は、押されてスライドするッ</p><p>ぐっ</p><p>オレは踏ん張って耐える</p><p>みすずや瑠璃子さんたちも、眼を瞑って必死で耐えていた</p><p>ドガッ</p><p>車は交差点の歩道に乗り上げて止まった</p><p>下手くそすぎますっこんなことなら、わたくしが運転するべきでしたっ</p><p>藤宮さんが、関さんに怒鳴る</p><p>あー、絶対にボディに傷が入ったわぁっ新車なのにぃぃぃ</p><p>関さんは、怒りを敵に向けて誤魔化す</p><p>その間に香月セキュリティ・サービスの２台の車が、オレたちの背後を塞ぐ</p><p>バックでは脱出できない</p><p>歩道を突っ切りましょうそれしかないですわ</p><p>と、藤宮さんが提案する間に</p><p>２台の車から警備員たちが降りてくる</p><p>そのうちの何人かは銃を持っていた</p><p>サッと敵の一団が、オレたちの車を取り囲む</p><p>もうっ関さんが、ボヤボヤしているからですっ</p><p>わたくしっ、ボヤボヤなんてしておりませんわっ</p><p>怒鳴り合う二人</p><p>もう、こうなったら仕方ありません</p><p>藤宮さん何とかしてきて下さいなっ</p><p>何とかって</p><p>わたくしですか</p><p>その粉砕ステッキで、敵を攪乱して来て下さいその隙に、わたくしたちは脱出致します</p><p>関さんは、平然とそう言った</p><p>わたくしは、どうなるんですか</p><p>それは、独力でどうにかして下さいわたくしたちは、ここから脱出するので精一杯ですから</p><p>藤宮さんが車から降りて、あの銃を持っている人もいる十人以上の敵と一人で闘って</p><p>車が抜け出せる状態になったら、藤宮さんを置き去りにして全速で脱出するってこと</p><p>わたくしインドアでの闘いの方が得意なのですが</p><p>うん藤宮さんの闘い方は、基本は剣道だから屋外での銃を持った敵との戦いは苦手だろう</p><p>今は、そんなことを言っている場合では無いでしょう</p><p>関さんが突っぱねる</p><p>でしたら、車の運転はわたくしが致しますから敵の攪乱は、関さんにお任せします</p><p>わわたくしが</p><p>閣下の直衛警護人に選出された関さんの実力存分に発揮して下さい</p><p>関さんが、ハンドルにしがみつく</p><p>これはわたくしの車ですからっ</p><p>だから何ですか</p><p>だから、あなたが行きなさいよっ</p><p>二人の女性警護人が、いがみ合っている間に</p><p>藤宮さんの側の窓がノックされた</p><p>銃を持った男が、藤宮さんに言う</p><p>開けろ</p><p>すでに、車は敵に包囲されていた</p><p>瑠璃子さんと美子さんは抱き合って、震えている</p><p>みすずは、まだ平然としていた</p><p>美智は、ジッと様子を見ている</p><p>ほら藤宮さん、お呼びよ</p><p>関さんが、ニッと笑ってそう言った</p><p>はぁ仕方ありませんね</p><p>藤宮さんが、ドアのロックを解除する</p><p>今、出ますわ</p><p>ガチャリとドアを開けた瞬間</p><p>藤宮さんのステッキが、銃を持った男の喉を突くっ</p><p>グエエエッ</p><p>吹っ飛ぶ、男</p><p>サッと車の外に転げ出る藤宮さん</p><p>車のドアを閉めた瞬間関さんが運転席から、再度、ドアをロックする</p><p>この車の装甲でしたら、敵の銃弾は貫通致しません車内に居る限りは、安全でございますっ</p><p>関さんが、叫んだ</p><p>タァァァァッ</p><p>その間に藤宮さんのステッキが、二人目を倒す</p><p>銃を持った男が、何とか藤宮さんを狙い撃とうとするが</p><p>藤宮さんは、巧みに敵の群れの中に飛び込んで狙いをつけさせない</p><p>そうなると、間合いの長い武器を持っている藤宮さんは強い</p><p>あっという間に、数人をのしてしまう</p><p>もう、あの子、敵を右に引きつけてくれたら左側から車が出せますのにっ</p><p>関さんは、藤宮さんを置いていく気満々のようだった</p><p>藤宮さんのステッキが、五人目の敵を屠った時</p><p>ダダダダダダダダッ</p><p>銃弾の雨が藤宮さんの足下に</p><p>藤宮さんは、身体を翻してオレたちの車の陰に飛び込む</p><p>カンカンカンカンッ</p><p>車のボディが弾丸を跳ね返す</p><p>さすが特注車</p><p>みすずも、瑠璃子さんたちもシートベルトを外して、身を伏せている</p><p>もちろん、オレと美智も</p><p>リムジンの床に身を寄せ合う</p><p>防弾ガラスと判っているけれど銃撃を受けるのは、やっぱり怖い</p><p>ああーんっわたくしの新車がぁぁ</p><p>関さんだけは、絶叫しているが</p><p>連続した銃声が止まる</p><p>顔を上げ防弾ガラス越しに、外を見ると</p><p>バンから降りて来た男が、自動小銃の弾倉を詰め替えている</p><p>あんな物まで持って来ていたのか</p><p>これでは、藤宮さんも迂闊には動けない</p><p>おらぁぁ諦めて、出て来いっオレたちは、お嬢様方に用があるんだぁぁ</p><p>自動小銃の男がオレたちに向かって叫ぶ</p><p>ああ、美子</p><p>る、瑠璃子様</p><p>瑠璃子さんたちは、すっかり怯えて抱き合ったまま、震えている</p><p>瑠璃子さんに、声を掛ける</p><p>怯えながら、瑠璃子さんがオレを見る</p><p>大丈夫ですきっと大丈夫ですから</p><p>オレは瑠璃子さんの手をしっかりと握る</p><p>はい大丈夫ですよ</p><p>その手の上にみすずが、手を重ねる</p><p>美智も、手を重ねてくれた</p><p>皆様</p><p>最後に、美子さんの手が重なる</p><p>４人で手を重ねて見つめ合う</p><p>絶対に平気です敵は、人質としてみすずと瑠璃子さんを必要としています無茶なことはしてこないでしょう</p><p>車ごと、オレたちを爆破するとかオレたちを撃ち殺すとかは、しないだろう</p><p>ただ敵に捕まった場合</p><p>オレや関さんたちは、その場で殺される可能性はあるけれど</p><p>みすずや瑠璃子さん、美子さんは傷付けられることは無いと思う</p><p>多分美智も</p><p>美智は、瑠璃子さんたちと同じ名門女子校の制服を着ているし</p><p>見た目は、小柄な可愛い女の子だ</p><p>瑠璃子さんたちの友人の名家のお嬢様にしか見えない</p><p>美智お前は、ギリギリまで正体を明かすなみすずや瑠璃子さんを守ることに集中しろ</p><p>オレがそう言うと美智は</p><p>判っておりますしかし、その前に助けが来るはずです</p><p>助けですか</p><p>瑠璃子さんは、怯えたままそう言う</p><p>はい、わたくしの父が援軍を送って来ているはずです</p><p>美智が強い眼で、瑠璃子さんを見る</p><p>どうか、わたくしの父を信じて下さいませ</p><p>遠くから、甲高いエンジンの音が複数聞こえてくる</p><p>何かが、こちらに近寄って来る</p><p>間違いない助けが来たんだ</p><p>何という、ベスト・タイミング</p><p>さすがは、工藤父だ</p><p>オレが、スッと顔を上げて防弾ガラスから外を覗くと</p><p>道の向こうから、こちらにやって来るのは</p><p>３台の３輪バイクだった</p><p>確かトライクって、いうんだっけ</p><p>３台のトライクに半裸の女性が、３人乗っている</p><p>トライクには、何故か旗が翻っていた</p><p>それぞれのトライクのハンドルの前にはバッファローの角が括り付けてあったり、、虎やパンダの頭を模していたりする</p><p>どきな、どきなどきなっ</p><p>キャッホー</p><p>闘いのお時間よーんっ</p><p>訳の判らないことを叫びながら、乱入してくるトライクの女たち</p><p>何だ、お前たちは</p><p>自動小銃の男が、そう叫ぶと</p><p>何だとは、何だっ</p><p>一番右の半裸の女が、そう叫ぶと</p><p>トライクのフロントの虎の口が開いて</p><p>火を吹いた</p><p>ブァァァァァァァァァァオゥゥゥゥッ</p><p>か、火炎放射器</p><p>う、生まれて初めて見た</p><p>夜の闇の中を噴き上がる火焔が、オレンジ色に染めていく</p><p>うわわわわっ</p><p>突然、放射された火焔に男は驚き、小銃を落としてしまう</p><p>いや敵も味方も、全員呆気に取られていた</p><p>ぎゃはははははっ</p><p>誰もが息を呑む状況に合って三人の女だけが、下品に大声で笑う</p><p>みんな２０代半ばから、後半に見える</p><p>ロングブーツに、ホットパンツ</p><p>太もも丸出し</p><p>おへそも丸出し</p><p>右のリーダーらしい女性は、豊満なバストを黒い極小ビキニに隠している</p><p>真ん中の女性は、同じビキニを着けているが隠していない</p><p>ビキニの紐がしばっていないので乳首丸出し</p><p>一番左の女性はなぜか、剣道の胴を、裸身に直接着ていた</p><p>三人とも首に派手な色のマフラーを巻いて</p><p>背中に、紐で日本刀を差している</p><p>間違いない</p><p>工藤父の部下だこりゃ</p><p>よりによって、あの３人なんてお父様の馬鹿</p><p>美智が呟いた</p><p>我が名は、バービー</p><p>リーダー格の女が、叫んだ</p><p>我が名は、ルビー</p><p>真ん中の女も、叫ぶ</p><p>あたしは、番場よーんっ</p><p>剣道の胴の女が叫ぶ</p><p>何で、バービー、ルビーで最後が番場なんだ</p><p>いや、工藤父のところの人に突っ込んでも意味がない</p><p>三人揃ってバンバルビー３</p><p>ポーズを決める３人のお姉様たち</p><p>ほらもう、どうしようもない</p><p>暑いです死にそうです</p><p>ダンガイザー３て何でしたっけ</p><p>242．ファイトバンバルビー３</p><p>行くわよーっ</p><p>オオーッ</p><p>そしてバンバルビー３の戦闘が始まる</p><p>ルビーちゃん</p><p>あいよっ</p><p>ルビーと呼ばれた、おっぱい丸出しのお姉さんがトライクのシートからショットガンを取り出す</p><p>暴動鎮圧用のゴム弾だけど、こいつは痛いわよーんっ</p><p>何の躊躇もなく、敵に向かってブッ放す</p><p>バミュゥゥゥゥンッ</p><p>ドンガッシャ</p><p>バュゥゥゥゥンッ</p><p>銃を持っている敵を優先して、ショットガンを連射するルビーさん</p><p>余りの連射のスピードに、敵は対応できない</p><p>どはははっ</p><p>その間隙を突いて、リーダーのバービーさんと番場さんが敵の中へ飛び込む</p><p>番場さんは、長い金属棒の先に鉄の鎖と鋼球の付いた武器を持っている</p><p>バービーさんは、何と素手だ</p><p>日本のカルフォルニア・ドールズと呼ばれた、あたいの多彩な技受けてみなさーいっ</p><p>そう叫びながら、バービーさんは手近な敵に組み付く</p><p>両手で敵に掴み掛かりこれって、プロレスの技だよな</p><p>一方、番場さんは鋼球の付いた鉄棒をブンブン振り回している</p><p>あれは、フレイルという武器です</p><p>棒を振るった後、ワンテンポ遅れて鋼球が敵を攻撃しますその時間差で、攻撃を避けるのが大変難しい武器ですしかも鉄鎖に繋がれた鋼球は、遠心力で加速した状態で相手の身体の裏に廻って背面部を直撃しますから、与えるダメージはとても大きいですその代わり、熟練するのがとても難しい武器なのですが</p><p>番場さんは、その使い勝手が難しいフレイルを器用に扱っている</p><p>敵を一人一人確実に打ち倒していく</p><p>大声でこんなことを叫びながら</p><p>はじめまして、みなさまあたくし、番場でございまーすっ</p><p>また一人敵が、フレイルの鉄球でノック・アウトされる</p><p>もちろん番場というのはコード・ネームでございまぁぁすっあたくし、本名は木下涼子と申しますっ水瓶座の２４歳でーすっ</p><p>何故か、自己紹介しながら番場／木下涼子さんは、フレイルで敵を蹴散らして行く</p><p>木の下の涼しい子両親が、こんなに素晴らしい名前を付けて下さったのにどーして、この麗しいあたくしが番場なんでございましょう</p><p>仕方無いだろっあんたが番場でないと、チーム名がバンバルビー３にならないんだよっ</p><p>そう叫ぶリーダーのバービーさんはまだ、最初に組み付いた敵と闘っていた</p><p>というかコブラ・ツイストを掛けていた</p><p>だあってぇぇぇ、お姉様たちはバービーにルビーでしょだったら、あたくしもバンビちゃんとかになるのが普通じゃないですかぁぁ</p><p>番場さんの怒りの鋼球が、敵の頭に炸裂するっ</p><p>あんたがバンビだとチーム名がバンビルビー３になっちまうじゃないかっ</p><p>ルビーさんが、そう言いながらショットガンで逃げ出そうとする敵を威圧していた</p><p>バンバルビーだってバンビルビーだって、大して変わりませんわよっ</p><p>うんオレもそう思う</p><p>というかわざわざコードネームとかチーム名とか、付ける必要があるのか</p><p>とにかくっあたしたちとチームを組んでいる間は、あんたは番場よっ番場蛮子よそう決まっているんですからねっ</p><p>バービーさんは、そう叫びながらまだ最初の敵と闘っている</p><p>闘っているというか一方的に、プロレス技を掛けている</p><p>もおおおっお姉様の意地悪っっ</p><p>ブンブンと振り回されるフレイルの鋼球</p><p>はいはい、意地悪でいいからっ</p><p>バービーさんは、ずっと同じ敵に３種目のプロレス技を掛けていた</p><p>今は、地面に倒した敵に馬乗りになってキャメル・クラッチをかましている</p><p>相手の喉を締め上げながら</p><p>今年の２月１４日あんたは何をしていたぁぁ</p><p>く、苦しい</p><p>答えなさいよぉぉぉ</p><p>強く敵を締め上げるバービーさん</p><p>そ、そんなの覚えていない</p><p>バレンタインよっ覚えていないわけがないだろっ</p><p>オレは、ずっと独り身だぁぁ</p><p>そうかっなら、あんたにはもう用は無いっっ</p><p>グギッと敵を締め上げる、バービーさん</p><p>敵の男は失神する</p><p>次は、どいつ</p><p>ようやく最初の敵を倒して、立ち上がるバービーさん</p><p>いやルビーさんのゴム弾・ショットガンと</p><p>番場さんのフレイルの攻撃でもう、敵は残っていない</p><p>彼女たちが来る前に藤宮さんが４人くらい倒していたし</p><p>ギュルルルルンッ</p><p>敵のバンのエンジンが、うなりを上げる</p><p>車内に誰か残っていたのか</p><p>そのまま、ターンして逃げようとする</p><p>お任せっ</p><p>小銃から身を守るために、オレたちの車の陰に隠れていた藤宮さんが飛び出す</p><p>ハァァァァッッ</p><p>特殊金属の粉砕ステッキを正眼に構え斜め後ろから、敵の車に突撃していく</p><p>チェストォォォォッッ</p><p>ズコォォォッ</p><p>藤宮さんのステッキは運転席のドアを貫通して、中の運転手を討つッ</p><p>ぐぇぇぇぇっ</p><p>叫び声と共にバンは、止まった</p><p>藤宮さんは、ドアに開けた穴からズボッとステッキを引き抜く</p><p>ふぅ</p><p>ステッキを２、３回軽く振ってみる、藤宮さん</p><p>さすが特別製のステッキ今の衝撃でも、曲がったり、変形したりはしていないようだ</p><p>なかなかやるわね、あんた</p><p>バービーさんが、藤宮さんを見る</p><p>うんルックスも良いし、技も切れるどうあんた、あたしたちのチームに入らない</p><p>こんなところでスカウト活動を始めちゃったよ</p><p>そうだねコードネームはポン太ポン太にするわそして、あたしたちはバンバルビー３からバンバルビーDEポン４にクラス・アップするんだわ</p><p>バービーさん、そしたらその人に番場をやって貰いましょうよあたくしがポン太でいいですからぁ</p><p>番場さんが、ワクワクした顔でそう言う</p><p>そんなに番場が嫌なんだ</p><p>うるさい、黙れ、貧乳あんたは、死ぬまで番場なんだよこの番場蛮子いい加減に諦めなっ</p><p>バービーさんは、番場さんには酷い</p><p>貧乳じゃないもんっそりゃあ、バービーさんやルビーさんみたいな豊乳じゃありませんけれどぉあたしだって、Dカップはありますからっ</p><p>番場さんは、自分の胸を覆っている剣道の胴をコンコンと叩く</p><p>だいたい、バービーさんたちはマイクロ・ビキニであたくしだけ、素肌に剣道の胴ってどうかしてると思いますぅぅこれって、差別ですよおっ</p><p>いいんだよ、あんたの面白味の無い乳は、防具で隠しておいた方が世間のためなんだよどうせ、赤紫色で直径３０センチの楕円形の乳輪なんだろっ</p><p>そんな変な乳輪じゃありませんっ</p><p>その点、ポン太はうん、乳は問題なさそうだねあんたには、あたしたちと同じマイクロ・ビキニが似合いそうだ</p><p>バービーさんは、藤宮さんの胸をエロ親父の眼でしげしげと見つめる</p><p>ここまで絶句していた藤宮さんは</p><p>申し訳ありませんがわたくしは、どなたともチームを組むつもりはございませんから</p><p>不快感を丸出しにして、そう告げた</p><p>ええーっ、何でぇぇ</p><p>驚く、バービーさん</p><p>そうよっ、これはビッグ・チャンスなのよっ</p><p>番場さんも、藤宮さんに翻意を促す</p><p>そりゃ、無理ですよリーダー</p><p>ずっとトライクの上で、ニヤニヤ笑いながら状況を見ていたルビーさんが</p><p>ショットガンを片付けながら、言った</p><p>え、何でよルビーちゃん</p><p>その女、藤宮麗華じゃないですか香月セキュリティ・サービスのトップ・エリートの一人の</p><p>あっれぇ、そうだったかしら</p><p>あっ、そう言えばそうかも</p><p>番場さんが、藤宮さんをジロジロと見る</p><p>うんバービーさんは、判っていてわざとやっていて</p><p>番場さんは天然なんだな</p><p>給料があたしらより高いらしいですよ</p><p>ルビーさんは、藤宮さんを見下ろして笑っている</p><p>そりゃ、仕方無いわよ工藤のダンナはシブチンだからね</p><p>バービーさんは、そう言う</p><p>でもさすがに倍も違うってことは無いでしょ会社が大きかろうが、警備員なんて碌な商売じゃないんだからさそれにあたしは、やっしぱり諦められないんだよねあたしさ、最終的にはバンバルビーを最強の女の子チームにするのが夢なのよそうね、４８人くらい集めてさ</p><p>４８人の女チーム何だ、そりゃ</p><p>わたくしは、そういう話には興味ございませんので</p><p>藤宮さんは、ハッキリと断る</p><p>そう言わないでさぁポン太ちゃあーんっ</p><p>バービーさんは、藤宮さんに擦り寄る</p><p>いい加減になさって下さいっ</p><p>車から、美智が降りてバービーさんに言う</p><p>あら、シブチンのところの貧乳娘じゃないあんた、居たの</p><p>バ、バービーさん</p><p>あんたも腕は良さそうだけどその貧乳じゃねえもうちょっと、おっぱいが育ってからいらっしゃいそしたら、うちのチームに入れてあげるから</p><p>もう、バービーさんっ美智ちゃんにそういうことを言うのは、可哀想じゃないですかっ美智ちゃんだって、好きで貧乳をやっているわけじゃないんですよっだいたい、美智ちゃんは、まだ子供なんですからっ</p><p>天然の番場さんが美智を見る</p><p>えっと美智ちゃん、今、小学何年生なんでしたっけ</p><p>美智はジロッと番場さんを睨む</p><p>中学３年になりました</p><p>中３だったらあたし、Dカップくらいあったわよ</p><p>バービーさんが、言う</p><p>あたしは、Fだったわーん</p><p>と、ルビーさん</p><p>ごめんなさい中３の時は、あたしも、もうCでした</p><p>番場さんが、小声で言う</p><p>でポン太ちゃんは</p><p>藤宮さんは答えない</p><p>確かに、わたくしは貧乳ですし、お父様はシブチンかもしれませんしかし、皆様もお父様の配下でいらっしゃるのなら、節度ある振る舞いをなさって下さい</p><p>美智が、静かに言う</p><p>節度節度って何ですか、バービーさんっ</p><p>ドロップと間違えて、おはじきを舐めることよんっ</p><p>それ節度やない節子や</p><p>バービーさんとルビーさんが、ギャハハと笑う</p><p>あたしたちはただのブッ壊し屋だしさ正直、お堅いことは苦手なんだよ男どもをブン殴るのが金になるってのが楽しいだけだしねメンドくさいことは、やりたくないんだよっ</p><p>オレは辺りの惨状を見る</p><p>敵は、全員失神していた</p><p>普通なら、何人かは捕らえて情報を聞き出したりするよな</p><p>そういう発想は無いんだ</p><p>とにかく暴れて全員、ブッ飛ばすことしか考えていない人たちなんだ</p><p>貧乳のお嬢さん見て思い出したわ工藤のダンナに報告しないと</p><p>バービーさんが、携帯を取り出す</p><p>もう、バービーさんこの間も報告しないで帰っちゃって、ビール飲んで大騒ぎしてたって、工藤さんに怒られたばかりじゃないですかぁ</p><p>あの時は、一人ターゲットを見落としていたんだよね</p><p>工藤さん、カンカンに怒ってましたよね</p><p>しょうがないよリーダーが、今日はもう仕事は終わりだって飲み屋に飛び込んじゃったんだからさ</p><p>番場さんとルビーさんが、何か恐ろしい話をしている</p><p>もしもーし、工藤のダンナぁこっちは終わったよーんっ敵は全員、ブッ飛ばしたから、回収よろぴくぅで、あたしら、これからどーすればいいの</p><p>電話しているバービーさんの口調は、軽い</p><p>えー、超過勤務ぅぅま、いいけどさ臨時手当３倍ねうんこの車と一緒に帝都ホテルに行けばいいのねっオッケーよーんっじゃあねーっ</p><p>この３人も、オレたちと帝都ホテルへ</p><p>工藤父は、この戦闘力のみの３人の力を必要している</p><p>電話を切るバービーさん</p><p>何かさこの車と一緒に、帝都ホテルへ来いってさ</p><p>バービーさんが、不機嫌な顔で言った</p><p>帝都ホテルって、一流ホテルですよねぇいいんですか、あたくしたちみたいのが乱入しても</p><p>その辺は、工藤のダンナに責任を取って貰えばいいさ</p><p>ルビーさんが、番場さんに言った</p><p>何かさ、ホテル全体が戦場になる大バトル大会だってさ</p><p>あ、何か楽しそうですね</p><p>敵を倒すためなら、ホテルの備品も壊し放題だって</p><p>うん面白そうだ</p><p>シザーリオ・ヴァイオラとか、白坂本家の刺客とかこの人たちには、関係無いらしい</p><p>とにかく思い切り闘って、お金になればそれでオッケーなんだな</p><p>もちろんポン太ちゃんも行くんでしょ</p><p>そう言われた、藤宮さんは</p><p>一応、お伝えしておきますが</p><p>三人をギロッと見つめて言う</p><p>香月セキュリティ・サービスでのわたくしの年俸は、３６００万円です</p><p>仲間扱いされるのが嫌だってのは判るけれど</p><p>そこで、年収を言うんだ藤宮さん</p><p>バービーさーんっポン太ちゃんの年収、あたしの２０倍ですよぉぉぉ</p><p>騒ぐな番場っあたしだって、１０倍近く離されているっ</p><p>数倍どころか、１０倍とはあたしたち、３人まとまっても敵わないみたいですね</p><p>ちっくしょう、ポン太ちゃんなんて嫌いだぁぁっ</p><p>バービーさんは、自分のトライクに向かう</p><p>お待ち下さい</p><p>何よっお金持ちが、あたしたちに何の用っ</p><p>稼ぎが１０倍も違うと知った途端バービーさんは、藤宮さんに冷たくなる</p><p>工藤さんは、わたくしたちと一緒に帝都ホテルへ向かうようにご命令なさったのですね</p><p>そうよ並走して行くから、遅れないで付いていらっしゃい</p><p>藤宮さんは、バービーさんたちにスッと頭を下げるとオレたちの車に戻って来る</p><p>美智も帰って来た</p><p>二人が、車に乗り込む</p><p>あの方たちには、護衛の仕事は無理ですが一緒に居る限りは、襲撃者が現れれば勝手に撃退してくれるでしょう</p><p>藤宮さんはそう言った</p><p>確かにバービーさんたちには、護衛人に必要な配慮とか心配りというような心の感覚は欠けている</p><p>それが判っているから工藤父は一緒に帝都ホテルまで来いとだけ命令を下したのだろう</p><p>とりあえずお疲れ様</p><p>関さんが、藤宮さんに言った</p><p>次は関さんが行って下さい敵との戦いはともかく、ああいう方々との交流はわたくしには合いません</p><p>あら、奇遇ねわたくしも、ああいう人たちは苦手なの</p><p>関さんは苦笑する</p><p>ところで、藤宮さんあなた、ご存じ</p><p>わたくしは年俸４２００万円よ</p><p>関さんが微笑む</p><p>やっぱり閣下の直衛警護人だと、お手当の付き方が違うのよ</p><p>藤宮さんが、グッという顔をする</p><p>警護人の世界の評価は金銭が全てでは、ございませんから</p><p>そうねじゃあ、あなたはあちらのチームへ移籍する</p><p>関さんが、クククと笑った</p><p>ねポン太ちゃん</p><p>その名前では呼ばないで下さい</p><p>そうそう、さっきあなたがステッキで穴を開けた車だけれど</p><p>関さん</p><p>盗まれたとはいえ、あの車は香月セキュリティ・サービスの資産ですからね車の修理は、あなたのお給料から弁償していただきますわよっ</p><p>どうぞ、ご勝手に</p><p>相変わらずこの二人は、仲が悪い</p><p>発車致しますわ</p><p>関さんが歩道に乗り上げた車を、車道に戻す</p><p>失神している男たちを残して再び、夜の道へ</p><p>オレたちのピンク色のキャデラックの横を</p><p>３台のトライクが走る</p><p>バンバルビー３のお姉さんたちは風にマフラーをなびかせて</p><p>エンジンの揺れに、お姉さんたちの豊乳がブルブル揺れている</p><p>ノーブラのルビーさんの生乳が、特に激しく</p><p>旦那様あんな方々の胸に見とれるのはやめて下さい見るのなら、みすずの胸にして下さいっ</p><p>みすずが怒っている</p><p>いや、ごめん別に胸に見とれていたわけじゃないんだけれどさ</p><p>どういう方々なんですあの人たち</p><p>瑠璃子さんが、心配そうに言った</p><p>闘うことそれも攻撃することばかりに、特化してしまった方々なのです</p><p>闘いの技術を研鑽し日々、敵を叩きのめすことばかり考え続けていたのでちょっと、頭が変になってしまっているのです</p><p>美智それは言い過ぎだろう</p><p>いや、ほぼ正解だけど</p><p>まあお可愛そうに</p><p>瑠璃子さんは、言った</p><p>ですが戦闘能力だけは、一級品な方々です帝都ホテルまでは、無事に辿り着けると思いますわ</p><p>ハンドルを握る関さんが、そう答えた</p><p>バンバルビー３の３人は、みすずや瑠璃子さんたちには一切興味が無いらしい</p><p>オレたちの車を覗き込んだりすることはなく真っ直ぐ前だけを向いて、トライクを疾走させていく</p><p>オレたちは、夜のレインボーブリッジを渡りお台場へと向かう</p><p>その後は、敵の襲撃も無くオレたちは無事に帝都ホテルに着いた</p><p>ここは１ブロックの敷地全てがホテルですし他の建物からは、離れていますお台場に入るルートは限られていますから敵の襲来もすぐに判ります</p><p>関さんが、そう説明してくれた</p><p>夜だからなのかホテルの周りは、人気が無かった</p><p>本日は宿泊客を、全て系列の別のホテルに移しましたホテルの従業員も、最低限の社員以外は、全て休ませています</p><p>うんヴァイオラとの闘いに、無関係な人たちを巻き込むわけにはいかない</p><p>オレたちの車と３台のトライクはホテルの正面玄関に滑り込む</p><p>普段なら、ドアマンやベルボーイが居る辺りには、香月セキュリティ・サービスの制服警備員が並んでいる</p><p>もっともオレたちは、それと同じ制服の男たちに襲われたばかりだが</p><p>あ、総合警備部の山岡部長も来ている</p><p>こちらでお降り下さい</p><p>関さんが車を停めた</p><p>みすずと瑠璃子さんが礼を言う</p><p>まず、助手席の藤宮さんが先に車から降り</p><p>瑠璃子さんの側の後部座席のドアを開ける</p><p>ふわりと優雅に降りる瑠璃子さん</p><p>続いて、美子さん</p><p>それからみすず</p><p>オレと美智は、その後に降りた</p><p>私の部のミスです申し訳ございません</p><p>山岡部長が、みすずと瑠璃子さんに詫びる</p><p>制服組に敵が紛れ込んでいたこと</p><p>２人を送迎する護衛車が、敵に乗っ取られていたこと</p><p>山岡部長の責任は重い</p><p>あたしも瑠璃子さんも無事ですわ</p><p>山岡さんのご処分は、追ってお祖父様がなさると思いますしかし、今は緊急事態です敵の本隊がまだ健在だという状況で辞表を出されたりはなさりませんよね</p><p>みすずが、山岡部長に釘を挿す</p><p>はい現場放棄は致しません</p><p>結構ですわご活躍を期待しております山岡さん</p><p>こういう時のみすずは本当に、香月家のお嬢様なんだと思う</p><p>気高く強い少女だ</p><p>おい、何なんだお前たちは</p><p>その横で早速、バンバルビー３のお姉さんたちが、制服警備員と揉めている</p><p>ここは一流ホテルなんだぞっそんな格好で入れるはずがないだろっ</p><p>あたしたちの格好の何が変だってのさっ</p><p>何なんだ、その刀はっ</p><p>そうだった３人とも、背中に日本刀を背負っている</p><p>あ、これ</p><p>ルビーさんが、背中の刀を取る</p><p>これは傘よ</p><p>傘ぁ</p><p>ほらっ</p><p>バサッと拡げる、ルビーさん</p><p>確かに、傘だ閉じたときに日本刀に模しているだけなのか</p><p>あたしのは、孫の手だよ</p><p>バービーさんが言った</p><p>孫の手</p><p>サウナに入った時に、垢すりに使うんだよっ竹べらだよっ竹べらっ</p><p>ええっとそんなマンガがあった様な気がする</p><p>ええーっバービーさんも、ルビーさんも本物じゃなかったんですかぁぁ</p><p>番場さんが、叫ぶ</p><p>番場ちゃんあんた、まさか</p><p>はい本物の刀ですぅぅ</p><p>番場さんが、刀を引き抜く</p><p>ギラッと輝く銀色の刀身</p><p>本物の真剣だ</p><p>周囲の警備員たちが、ワッと驚く</p><p>どうしましょうこれ</p><p>抜き身の日本刀を持ったまま、右往左往する番場さん</p><p>いいから、しまっときなっ</p><p>バービーさんが、言った</p><p>でもぉ</p><p>いいからっ黙ってりゃ、あんたが日本刀背負ってるなんて、誰にも判らないよ</p><p>いや今、みんなに注目されていますよ</p><p>そうですねぇ</p><p>番場さんが、刀を鞘にしまうカチン</p><p>みなさぁん、今のは見なかったことにして下さいねぇ</p><p>よりによって山岡部長の居る場で、番場さんは笑ってそう言った</p><p>あの人たちが来て下さらなければ、あたしたちは敵から脱出できませんでしたわ</p><p>みすずが、山岡部長に言った</p><p>何者なんです</p><p>お父様の配下です</p><p>美智が、答えた</p><p>工藤のあいつも変な人間を集めてきたんだな仕方無いおい、そいつらは通してやれ</p><p>山岡部長が、警備員に指示をする</p><p>しかし部長</p><p>警備員の一人が、反論する</p><p>これはまずいでしょう</p><p>その警備員の指す先にはルビーさんの剥き出しの乳首があった</p><p>ルビーちゃん、生乳首はダメだってさ</p><p>バービーさんが笑って言う</p><p>えー、何でよっあたしは開放的で気に入っているのに</p><p>とにかく乳首だけ、隠してあげなさい</p><p>はーい、姉さん</p><p>ルビーさんは、ポケットからニプレスを取り出して、乳首に張る</p><p>しかしそのニプレスがなぜかピンク色だから</p><p>まるで乳輪のように見える</p><p>何か、あたし陥没乳首の女みたいね</p><p>ルビーさんが自分の胸を見て、そう言った</p><p>そうだわ、これだったら</p><p>そう言ってニプレスの上に、何かを貼った</p><p>何なんです、それ</p><p>番場さんが、覗き込む</p><p>ん付け乳首よ</p><p>本物の乳首の上に、ニプレスを貼って</p><p>そのニプレスの上に、付け乳首って</p><p>外見的には、元のままじゃないか</p><p>これでいいでしょっ本物は隠しているんだからさっ</p><p>ルビーさんは、自信満々にそう言った</p><p>まあ、ギャグ回ということで</p><p>バンバルビー３は、最初はバラバンバかバラバンバラという名前にしようと思ったのですが</p><p>どっちも、すでに存在していました</p><p>次にビランビーというのを考えたのですがこれも、もうありました</p><p>バンブルビーもすでにあって</p><p>最終的にバンバルビー３になりました</p><p>ギャグ回は終わりで、次話からは閣下との対決となります</p><p>243．ホテルのロビーにて</p><p>とにかくホテルの中へ入る</p><p>明るく広いロビーは、通常通りの光景だった</p><p>フロントには、ホテルマンが立っているし周りのお店も普通に営業している</p><p>ホテルのロビーは、パブリック・スペースですし敵がどう侵攻してくるか判りませんので、普段通りの状態にしてあります</p><p>山岡部長が、みすずと瑠璃子さんに報告する</p><p>ホテルの従業員や、お店の店員さんは</p><p>全て、うちの警備員と入れ替えてありますこのホテルは、香月グループの主催する国際会議などでも、よく使いますから普段から、うちの警備員がホテルの従業員に混じって業務していますホテルのカウンター業務も、研修済みですしあちらのお店の品も、問題無く購入できますよ</p><p>このホテル自体が香月家のセキュリティ部門に属しているんだ</p><p>現在のこのホテルのロビーには、客がほとんどいない</p><p>ミナホ姉さんたちは、どこに居るんだろう</p><p>まあ外と繋がっているロビーに居るのは、危ないもんな</p><p>電話してみようか</p><p>あのロビーの端っこの方で、ソファを占拠している一団は</p><p>何か異様に派手な連中が、高級ホテルのロビーで弁当を食べているみたいなんだけれど</p><p>ん見たことのある黒いスーツに黒帽子の男がいるし</p><p>あ、こっちに来る</p><p>おう、お前らよく来てくれたなっ</p><p>それは工藤父</p><p>工藤父は弁当を食い終わったのか、爪楊枝を咥えたまま、バービーさんに声を掛けた</p><p>来てやったよっシブチンっ</p><p>バービーさんが、工藤父にそう返事する</p><p>おい、工藤何なんだ、こいつらは</p><p>早速、山岡部長が工藤父に突っかかるが</p><p>柳生美都子さんと、西園寺ひろみさんと、木下涼子さんだよ</p><p>工藤父は、平然とそう答える</p><p>やーねぇ、本名で呼ばないでよっ</p><p>あたくしは、本名の方が嬉しいですぅぅ</p><p>あたしはルビーでもひろみでも、どっちでもいいけどね</p><p>三者三様の反応をするバンバルビー３の面々</p><p>柳生美都子ってまさか、あの</p><p>驚く、山岡部長</p><p>そういう顔をするヤツがいるから、本名は嫌なんだよっ</p><p>不機嫌になる、バービーさん</p><p>だって死んだって聞いたぞ</p><p>柳生美都子なら死んだよ今、ここに居るのはコード・ネーム不死鳥のバービーだからねっ</p><p>そう言って、バービーさんは山岡部長の胸を突く</p><p>そういうことだわはっきり言って、この３人は１人でお前の１０倍は強い３人合わさったら、１００倍だ</p><p>工藤父は、真顔でそう言った</p><p>だが柳生美都子って言えば、壊し屋だろう</p><p>ここまできちまえば、純粋に戦闘力のある人間に来て貰った方が良いこのホテルに敵が襲撃して来るのは、判っているんだからよ</p><p>うむ</p><p>口籠もる、山岡部長</p><p>まあ、いいやとにかく、三人ともこっちへ来てくれ弁当用意してあるから</p><p>あロビーで弁当を食っている派手な集団は、みんな工藤父が集めた人たちなんだ</p><p>オレたちに気付いて、手を振ってくれるのはネコさんだ</p><p>オレと美智は、ペコリとお辞儀をする</p><p>ふうんネコさんに、ハッピーさんに、ラスカルさんに、ヘルシーさんカールさんに、マサルさんまで居るとはね</p><p>バービーさんが、弁当を食べている一団を見て、そう言う</p><p>姉さんあれ、ハンバーガーの哲とクレープのマミですよっ月見そばのコスイネンまでいるっ</p><p>大騒ぎする番場さん</p><p>お前たちも、早いところ弁当を喰ってくれ腹ぺこじゃ仕事にならねえだろ</p><p>まさかまた、ノリ弁なんじゃないでしょうね</p><p>バービーさんが、工藤父を睨む</p><p>安心しろよ今日は、焼き肉弁当も、ハンバーグ弁当もあるコールスロー・サラダ付きだペット・ボトルのお茶も一人２本ずつ持っていっていい</p><p>う、嘘っどうしちゃったのよシブチンの工藤ちゃんにしては、やけに気前がいいじゃない</p><p>バービーさんが、探る様に工藤父を見る</p><p>それだけ、大きなヤマなんだよ</p><p>ふうんどれくらいヤバイわけ</p><p>最上級だと思ってくれ支払いも、一人２本ずつだいつもより、一桁上の数字で</p><p>ヒューそいつは、また大盤振る舞いねさっきブッ倒してきた連中とは、比較にならない</p><p>ああこれから、化け物クラスのアメリカ人が攻めてくるんだわ</p><p>男のヴァイオラの方はやることにムラがあるし、連れてきている配下の連中も判っている</p><p>しかし、女のヴァイオラは</p><p>底が知れない</p><p>さっきの香月セキュリティ・サービスの警備員に化けていた連中だってどっちの指示で動いていたのか判らないし</p><p>ヴァイオラが２チームになったことで予測が立てられなくなっている</p><p>あたしの方からの条件は二つよ一つは、工藤ちゃんからの要請は聞くけれど、指揮下には入らないからあたしたちは、独自の判断で闘うリアルタイムでの情報は、送って貰いたいけれど</p><p>そいつは構わねえあんたたちが、オレに従うとは思っていねえよその代わり充分な援護はできないからな他のやつらと組ませるには、あんたらは自由人すぎる巻き添えで、ケガさせるわけにはいかないからな</p><p>判ってるわよむしろ近くに味方がいると、好き勝手ににブッ壊せないからねっこのホテルのブッ壊しは、どこまでやっていいの</p><p>上階に閣下がいらっしゃる閣下に危険が及ばない限りはどこまでもOKだ</p><p>ワンフロア、全部ブチ壊しちゃっても</p><p>全然オッケービルが倒壊しない限りはなただ、火災は勘弁してくれ</p><p>了解それと、もう一つの条件なんだけどね</p><p>マジでヤバくなったら番場ちゃんは、現場から撤退させるから工藤ちゃんの方で、面倒を見てあげてちょうだい</p><p>えー、そんなぁぁ、バービーさぁぁんっ</p><p>そんな番場さんに、ルビーさんが</p><p>いや、バービーの判断は正しいと思うねあんたはまだ、最凶レベルの敵と闘った経験が無いだろヤバイと思ったら、すぐに引くんだ足手まといを抱えたまんまじゃあ、あたしたちも命が危ういからね</p><p>その真剣な瞳に、番場さんは</p><p>わ、判りましたぁぁでも、あたくし、精一杯頑張りますからねぇぇ長ぁぁい眼で見て下さぁぁいっ</p><p>あんたは将来的にはうちのセンターをやって貰おうと、大事に育てている子なんだから無理はするんじやないよっ</p><p>さっきの戦闘では、番場さんばっかり闘っているみたいにみえたけれど</p><p>あれは、教育だったのか</p><p>そんじゃあ、まあお弁当タイムにするわよっ</p><p>おっー</p><p>ネコさんたちの方へ走っていく３人娘</p><p>しかしバンバルビー３は、本当に仲が良いな</p><p>それに比べて</p><p>敵に潜入されたのは、総合警備部の失態なんですからっわたくしの車の修理費用は、山岡部長に請求致しますからねっ</p><p>関さんが山岡部長を怒鳴っている</p><p>は、はい全て、私の責任として処理させていただきます</p><p>谷沢チーフの配下のトップ・エリート警護人である関さんに山岡部長は、ペコペコと頭を下げている</p><p>２０代の美女に、いい年のオッサンがタジダジだ</p><p>だいたい敵に潜入されたのはいつの時点だったんです</p><p>関さんが、尋ねる</p><p>はい、調査致しましたところ昨年の秋に、中途入社させた社員３名がが潜入工作員だったようです</p><p>山岡部長は、そう報告した</p><p>その３人の手引きで１５人の敵が、うちの警備員になりすましていたようです</p><p>その３人は、すで拘束してあります現在、別室で尋問中です</p><p>このホテルの警備体制は</p><p>一度でも、その３人と接触した可能性のある社員は、現場から外しましたその結果、予定の３分の２の人員で警備するしかなくなりましたが</p><p>身内の中から敵が出てくるよりはマシですわよっ</p><p>関さんが、皮肉をこめてそう言う</p><p>しかし昨年の秋からとなると、穴が大きいですわね</p><p>藤宮さんが、穏やかに言った</p><p>総合警備部のかなりの情報が流出していると考えるべきなんでしょうね</p><p>関さんも、真剣に考えている</p><p>今現在、動いているヴァイオラたちの行動が</p><p>寧さんについての情報を知った、ここ数日に突発的に起きたことでないとしたら</p><p>状況は、深刻だ</p><p>敵は、長期的な計画で今日の襲撃の準備をしてきている</p><p>これは、香月セキュリティ・サービスに対する挑戦いえ、敵の狙いは香月家そのものなのかもしれませんね</p><p>いずれにしても、閣下にご采配いただかないと</p><p>関さんと藤宮さんが山岡部長を見る</p><p>閣下は今、どちらに</p><p>ご案内します</p><p>何階のどの部屋に居るのかは口にはしない</p><p>お願いしますわみすず様、瑠璃子様、お待たせ致しました参りましょう</p><p>藤宮さんが、２人に声を掛ける</p><p>瑠璃子さんと美子さんはセットだから美子さんも付いて行く</p><p>オレと美智も後を追おうとすると</p><p>待って下さい何なんですか、この子らは</p><p>山岡部長の言葉に関さんが</p><p>この少年も連れて来るようにと閣下からご命令を受けております</p><p>みすずも、振り向き</p><p>美智はあたしの護衛です問題はありません</p><p>そ、そういうことでしたら</p><p>納得する山岡部長</p><p>美智が工藤父を見る</p><p>わたくし姉上を倒してしまいました</p><p>ああ悦子から聞いたよ悦子はカンカンに怒ってるオレとお前の顔は、しばらく見たくないってさ</p><p>気にするなどうせ、こうなると判っていたよ遙花は競技者としてはそこそこだが実戦には向いていない遙花を香月セキュリティ・サービスに引っ張り込もうとした、悦子が間違っていたんだお前のせいじゃない</p><p>逆にお前は、実戦しかできない娘だもんな悦子だって、それが判らないような女じゃないはずなんだがあいつは、最近、すっかり眼が曇っているから</p><p>ママ上様はわたくしのことが、お嫌いなんだと思います</p><p>姉上の様にわたくしは、ママ上様に従順ではございませんでしたから子供の頃から</p><p>仕方無いさ親子にだって、相性というものがある</p><p>寂しそうな美智</p><p>オレたちは左右から美智の手を握る</p><p>オレたちの顔を見上げる美智</p><p>お母様やお姉様のことは気にしないで</p><p>うんお前には、オレたちが付いているんだからな</p><p>ギュッとオレたちの手を強く握りかえしてくれた</p><p>お父様わたくしは今、人生の中で一番充実した時間を送っております生涯を懸けてお守りする主を得て美智は幸せです</p><p>そうかならいいお前はお前の道を突き進め</p><p>美智は、燃える眼で父に宣誓した</p><p>そのまま、工藤父だけをロビーに残して</p><p>オレたちは、山岡部長の後に付いてエレベーターへ</p><p>１７階で一度降りて別のエレベーターへ</p><p>幾ら大型のエレベーターだからって</p><p>山岡部長＋関さん＋藤宮さん＋みすず＋瑠璃子さん＋美子さん＋オレ＋美智だと、少し狭い</p><p>あ、みすずがオレに抱きついて来る</p><p>美智も、背中からオレにぺったりくっ付いてくるし</p><p>そうやって、８階まで降りてまた、違うエレベーターに乗り換え</p><p>最終的に、２３階で降りた</p><p>閣下の居場所を特定されないためにここまでやるのか</p><p>エレベーターを降りると山岡部長が先を進む</p><p>追う、オレたち</p><p>ご主人様、フロアの様子をよくご観察なさっておいて下さい</p><p>美智が、オレに耳打ちした</p><p>うん</p><p>ワインレッドのカーペットの敷かれたホテルの廊下</p><p>階段はあっちで非常口はそっち</p><p>トイレがここで</p><p>フロア上の配置を、頭の中に叩き込んでいく</p><p>このお部屋です</p><p>２３０７号室の前で山岡部長は立ち止まった</p><p>コンコンと、ノックする</p><p>ガチャッとドアを開けて出て来たのは渚</p><p>まあ随分、遅かったわねえ心配してたのよ</p><p>そして真緒ちゃんが、ドアから顔を出す</p><p>えへへへっ待ってたよおっ</p><p>どうして、ここに居るの</p><p>渚が微笑む</p><p>そんなのあなたとみすずが心配だからに決まっているでしょ</p><p>渚はオレの女であり</p><p>みすずの初代飼い主だ</p><p>あたしも自分の車でここまで来ようかと思ったんだけれどそれじゃあ、中に入れて貰えないでしょだから、香月様のお車に乗せていただいたの</p><p>閣下の車に</p><p>渚は、どうして克子姉の車に同乗して来なかったんだ</p><p>克子姉の車なら渚と真緒ちゃんの二人は、問題無く乗れたはずなのに</p><p>あたしの車は劇場に置いて来たわ明日にでも、取りに行かないとね</p><p>キーをお預けいただきましたら、私の部下がこちらまで回送致しますが</p><p>山岡部長が、そう申し出る</p><p>そうしていただくと、とてもありがたいんですけれど香月様が、山岡さんのお仕事は信用できないっておっしゃっているのよ</p><p>渚の言葉に失態続きの山岡は凹む</p><p>その様子で判った</p><p>渚は山岡部長に、自分を閣下の愛人だと思わせようとしている</p><p>渚が黒い森の所属であったことは古い顧客しか知らない</p><p>みすずをわざと山岡部長の前で、呼び捨てにしていたし</p><p>自分が閣下やみすずと特別な関係であることを、山岡部長に示しているんだ</p><p>だからわざわざ閣下の車に乗せて貰った</p><p>総合警備部でなく、わたくしの部隊のサポート・メンバーにさせましょうか</p><p>関さんが、そう言ってくれた</p><p>まあ、助かるわお願いします</p><p>渚が車のキーを取り出す</p><p>劇場の駐車場の１階の右の奥に置いてあります赤のプジョーですから、すぐに判ります</p><p>お預かりしますお車は、こちらのホテルの地下駐車場へお回しします</p><p>いえここでは困るわここはもうすぐ戦場になるんでしょせっかく運んでもらって、壊されるんじゃ困りますからプラザホテルの駐車場の方に廻して下さいあたし、そこのお仕事をしていますから管理の方に花屋の片貝の車って言っていただければ判りますから</p><p>かしこまりましたわ</p><p>関さんは、渚の鍵を受け取る</p><p>山岡部長は、面目丸潰れだ</p><p>ねっ、ママ早くっ香月さんが、早くって言っているよっ</p><p>真緒ちゃんが、閣下の伝言を運んでくれる</p><p>ああ、そうねっごめんなさいみなさんお入りになって</p><p>その部屋は会議などのために貸し出している特別室の様だった</p><p>ベッドやバスルームは、付いていないらしい</p><p>二部屋続きで閣下は奥の部屋に居るようだ</p><p>えへへへっ早くっ早くっ</p><p>真緒ちゃんが、ニコニコしながらオレたちを急かす</p><p>渚が、奥の部屋のドアをノックする</p><p>閣下の声だ</p><p>皆様、ご到着なさいましたわっ</p><p>渚の声に、閣下は</p><p>渚がドアを開ける</p><p>ドアの向こうは</p><p>２０畳ぐらいの大きさの部屋だった</p><p>本当に会議室っぽい</p><p>グレーのパンチカーペットの上に椅子が並んで居る</p><p>ドアの向こう側に、机が置かれていて</p><p>そこに閣下が座っていた</p><p>何かまるで、高校の面接試験会場みたいだった</p><p>閣下の後ろには谷沢チーフが控えていた</p><p>その横に、ちょこんと座っているのは</p><p>みすずの婚約者である司馬貴彦だ</p><p>司馬貴彦は、恐ろしい眼でオレを睨んでいる</p><p>ご苦労山岡くん</p><p>最初に閣下は山岡部長に声を掛けた</p><p>君は自分の仕事に戻り給えこれ以上、私を失望させることの無いように願いたいねえ</p><p>はっ申し訳ございません</p><p>深く頭を下げる山岡部長</p><p>人間というのは、間違いを犯す生き物ですだから、失敗することについて私はとやかく言うつもりはありませんただ似たような失敗を何度も犯す人間に関しては、私はその仕事の適性を疑います</p><p>はい二度と同様のミスは繰り返しません</p><p>閣下は、恐縮する山岡部長を無視して谷沢チーフを見る</p><p>谷沢、お前の方でフォローしてやりたまえ</p><p>谷沢チーフはスッと一礼する</p><p>今夜の来客には粗相の無いようにどんな相手でも、きちんと歓迎してあげるんだよ</p><p>はい準備は整っております工藤のやつも、良いメンバーを揃えてくれました</p><p>彼は今夜の様な時のために居る人材だ思い切り活躍してもらおう</p><p>あいつには、閣下からのお言葉としてそう伝えます</p><p>谷沢チーフは、永年仕えている執事のように恭しく主に答えた</p><p>では、現場へ向かいたまえ私の警護は、関くんと藤宮くんだけで良い</p><p>では閣下、失礼致します</p><p>スーッと、足音を立てずに退室していく谷沢チーフ</p><p>それから閣下は、汚いものを見るような眼で、山岡部長を見る</p><p>まだそこに居るのかね、山岡くん君も、君の仕事に戻り給え</p><p>あの、私は</p><p>早く下がりなさい君がそこ居たままでは彼女たちとの本題に入れないよ</p><p>閣下はみすずたちに視線を戻す</p><p>はっ失礼致しますっあの精一杯、職責を全う致しますどうか、ご期待下さい</p><p>山岡部長が、カチンコチンになりながら部屋を退出して行く</p><p>体育会系の人はいいねえあんまり、頭で深く物を考えないようだからちょっと意地悪く、脅してやるだけで命懸けで頑張ってくれるようになる</p><p>閣下は、そんな嫌味を言った</p><p>君たちみたいに、一々、言葉の裏の裏まで読もうとする相手だと会話をするだけでくたびれるよ</p><p>関さんと藤宮さんを見て閣下は、そう言った</p><p>まあ君たちの様な美女と、そういう知的な対話を楽しむことが、私のボケ防止策なんだがね座りなさい、君たち</p><p>閣下は椅子を勧めてくれる</p><p>関くんはそこ藤宮くんはそこ瑠璃子と美子くんは、そっちの席みすずとお前は、そこだ</p><p>オレだけお前かよ</p><p>まあ、いいけれど</p><p>あたしたちは、被告席ですかお祖父様</p><p>そう言えばこの椅子の並びは</p><p>お祖父様が座っていらっしゃる場所が裁判官の席だとしたらあたしたちの席は被告人の席関さんが検事で、藤宮さんが弁護士ですか瑠璃子さんと美子さんは、証人ということですか</p><p>不快そうにみすずは、言う</p><p>ちょっと違うな</p><p>閣下は答えた</p><p>瑠璃子と美子くんは傍聴人だよ二人は、この裁判には関係無いからね</p><p>やっぱり裁判のつもりなんだ</p><p>それから、二人の美女はあくまでもオブザーバーだ検事はここにいる貴彦くんにやって貰うそして</p><p>みすずお前たちには、弁護士はいない</p><p>毎日、汗だくで働いていますヤバイです</p><p>冷えたビールとか飲みたいですけれど</p><p>この作品が完結するまでは、禁酒と決めているので</p><p>ああ、もう半年以上飲んでいません</p><p>早く、完結させて別の作品も書きたいんですけどねえ</p><p>８月のお盆期間に、３日間ほど夏休みをいただいたので</p><p>マボロシの時みたいに、過去作を直してアップするかもしれません</p><p>しかし、この期間てコミケかぁ</p><p>多分、行かないと思いますけれど</p><p>いや、私の住居はビッグサイトとドア・トゥ・ドアで４０分圏内なんですが</p><p>この週末のワンフェスも行かないなぁ</p><p>行きたくても、金と時間と体力が</p><p>今年の夏は、ガッカリです</p><p>244．無駄な努力</p><p>あたしも、被告人席へ行った方がいいですわね</p><p>渚が、閣下にニコッと微笑む</p><p>ああ、今回の件では君が一番の罪人だからね</p><p>閣下は薄ら笑いを浮かべて、答えた</p><p>さあ、真緒お兄ちゃんたちの方へ行きましょうね</p><p>渚が、３歳の娘に言う</p><p>はーいっねえ、ママ</p><p>ひこくにんて、なあに</p><p>悪いことをしたかどうか、調べられる人のことよ</p><p>えーっ、ママや真緒、悪いことをしたかどうか調べられるの</p><p>そうよっ</p><p>渚は、平然と微笑んでいる</p><p>まあ、いっか真緒たち、何も悪いことなんてしていないもんねっ</p><p>そうよだから、調べられても全然平気よねっ</p><p>そして二人が、オレの横へ来る</p><p>前方では、関さんと藤宮さん</p><p>背後では、瑠璃子さんと美子さんが</p><p>心配そうな顔で、オレたちを見ている</p><p>みんな閣下がオレたちをどう処分するのか恐れているのだ</p><p>この空間では、閣下が絶対の支配者であるとみんな信じている</p><p>大丈夫よ安心してね</p><p>そんな張り詰めた空気の中オレとみすずに、渚はそう言ってくれた</p><p>渚の微笑みがみすずに勇気をくれる</p><p>お祖父様、あたしはこの様な裁判に掛けられることには納得できません</p><p>裁判長席の祖父に言った</p><p>あたしは何も咎を受ける様なことはしておりませんわっ</p><p>閣下が切り返す</p><p>私の決めた婚約者が居るというのに他の男と情を交わすのは、罪では無いというのかね</p><p>はいもちろんですわ</p><p>みすずは、すぐにそう答えた</p><p>ぼ、僕のどこにご不満があるというのですかっみすず様っ</p><p>緊迫した空気にいたたまれなくなったのか婚約者の司馬貴彦が口を開く</p><p>そういうところです</p><p>４つも年下のあたしに様を付けたりなさるところ</p><p>ですがそれは</p><p>司馬貴彦は、言葉を続けようとするがハッとして、閣下の顔を見る</p><p>申し訳ございませんあの僕なんかが、閣下のお許しも無く、勝手に発言してしまいまして</p><p>みすずの４つ上ということは大学生か</p><p>閣下よりも背が高いし、体格も良いのに司馬貴彦は、閣下に怯えていた</p><p>そんな彼に閣下は</p><p>構わんよ先に、検事による被告人質問をやってしまおう心の中にあるわだかまりを、全てブチまけてしまいなさい</p><p>貴彦くんは、みすずの夫になるのだろう妻に頭が上がらないままでは香月グループの重鎮にはなれないよ</p><p>閣下は、司馬貴彦を煽る</p><p>口元は微笑んでいるが眼は真剣だ</p><p>は、はいっ頑張ります真剣に努力させていただきますっ</p><p>司馬貴彦は、閣下のカリスマの支配下にある</p><p>最初に申し上げておきます</p><p>みすずが、司馬貴彦に言う</p><p>あたしの勝手な都合で大変申し訳ありませんがお祖父様の決められた貴彦さんとの婚約は、破棄させていただきますごめんなさい</p><p>みすずが、スッと司馬貴彦に頭を下げる</p><p>オレもとりあえず、一緒に頭を下げる</p><p>幸いまだ内々の話でしたし貴彦さんがあたしの婚約者であることは、一般には公表されていません貴彦さんの経歴を傷付けるようなことにはならないと思います</p><p>みすずは、きっぱりと言った</p><p>それはそこに居る男のせいですか</p><p>司馬貴彦が口を開く</p><p>そうですあたしはこの人とお付き合いしています</p><p>まだ子供じゃないですか</p><p>年齢はあたしの一つ下です高校一年生です</p><p>あのどちらの家の方なんですかお父様は、香月グループのどちらの部署の</p><p>司馬貴彦はオレもどこかの名家の一員だって思っているらしい</p><p>それも香月グループの</p><p>この人はどちらの家の人でもありません</p><p>オレは庶民ですというか、普通の庶民よりも貧乏かもしれません</p><p>うん親父は失踪中だし</p><p>庶民どうして、そんな人が</p><p>司馬貴彦の言葉にみすずは、カチンときたらしい</p><p>あたしがどんな男性と恋をしようとあなたには関係のないことです</p><p>関係ありますっ僕はあなたの婚約者ですよっ</p><p>興奮する司馬貴彦</p><p>それも閣下に選んでいただいた正式な婚約者ですっ</p><p>その婚約は、たった今、破棄させていただきましたっ</p><p>香月の家に生まれた方は、香月グループの発展のために閣下の決められた婚約者と結婚するべきですっそれが、義務でしょう</p><p>あたしの人生を勝手に決めないで下さい</p><p>きっぱりと言うみすず</p><p>みすずの徹底した拒絶に司馬貴彦は、小刻みにプルプル震えながら</p><p>それでも何とか、自分のペースに持ち込もうとする</p><p>み、みすず様いやっ、みすずさんあの、みすずさんてお呼びしてもよろしいでしょうか</p><p>親しげな関係を築こうというのか</p><p>貴彦くんそこはビシッと、みすずと呼び捨てにするべきではないのかね</p><p>閣下が、苦虫を噛み潰したよう顔で言う</p><p>はっ、か、かしこまりました閣下</p><p>震えながら司馬貴彦は再び、みすずを見る</p><p>誠に申し訳ございませんが、閣下のご要望に付き今からは、お名前を呼び捨てにさせていただきますっみ、</p><p>司馬貴彦が、そこまで言った瞬間</p><p>お断りしますあたしは、あなたに呼び捨てにされたくはありませんっ</p><p>みすずは、きっぱりと拒絶した</p><p>いや、でも、その閣下のご要望が</p><p>あなたとあたしをどう呼ぶかなんていうことにまで、お祖父様が口を出されるのは間違っています</p><p>司馬貴彦は、閣下の権威を笠に着てみすずの上位に立とうとした</p><p>だから、みすずは閣下の権威そのものを否定する</p><p>ええっとその</p><p>みすずと閣下を交互に見る司馬貴彦</p><p>困ったあげくに</p><p>ぼ、僕は、これまでたくさんの努力をしてきましたっ</p><p>え何の話だ</p><p>関さんや藤宮さん部屋の中の傍聴者たちも、呆然としている</p><p>一年前閣下にあなたの婚約者に指名していただいてから、ずっと僕は努力を重ねてきたんですよっ</p><p>何が言いたいんだ、この人</p><p>一体、どんな努力をなされたって言うんです</p><p>みすずが興味なさげに尋ねた</p><p>そ、それは、もう何から何まで</p><p>司馬貴彦は、必死に話し続ける</p><p>あ、あなたの夫になるということは香月グループの中枢を担うということですから僕は、今まで以上に必死になって経営学の勉強を進めています大学は、首席で卒業します絶対に約束します努力します来年には、アメリカへ留学してMBAの資格を取りながら、各国の経済人とのコネクションを築きますそうしますそういう予定なんです</p><p>そんなことあたしには、全然関係の無いことですわ</p><p>みすずは、冷たく答えた</p><p>貴彦さんはお父様が、香月グループの重役でいらっしゃいますあたしとのお話が無かったとしてもご自分のご意志で香月グループに入社なさったはずですし、貴彦さんのお力ならば将来、経営部門のトップに立たれるでしょうあたしと結婚する意味なんて無いじゃないですか</p><p>司馬貴彦は</p><p>ええただの重役まででしたら、独力で行き着く自信はあります</p><p>しかし重役のその上グループのトップを目指すためには、あなたとの結婚がどうしても必要なんです</p><p>この男は</p><p>みすずに対して愛を感じていないのか</p><p>最初っから、これが政略結婚での婚約だということを認めてしまっている</p><p>香月家の一員になることで僕の人生の勝利は、１２０パーセント確実になります逆を言うともし、あなたと結婚できなかったとしたら、僕が人生に勝利する確率は半減すると思います</p><p>貴彦さんにとって、人生の勝利とはどんなことなんですか</p><p>そんなの決まっているじゃないですか</p><p>香月グループの企業の社長になることですか会長になることですか</p><p>閣下の様な素晴らしい経済人になることですっ</p><p>司馬貴彦が断言する</p><p>閣下みたいな日本の、いや世界経済をも動かすような力強い経済人になりたいんですよっ僕はっ</p><p>あなたがどんな夢を持とうとあなたの自由ですしかし、あなたのその夢ではあたしは幸せになれません</p><p>だから僕は、こんなに努力しているじゃないですかっ</p><p>司馬貴彦がドンと机を叩く</p><p>僕だって簡単にあなたに受け入れられるとは思っていませんどうせ、僕は</p><p>ギロッと一瞬、オレを睨む</p><p>僕みたいな男が、あなたみたいなお嬢様に好かれるはずがないんですからっだから、僕は努力するしか無いんですいいえ、僕は努力することしか自信がありませんから生まれてからずっと、僕は努力努力努力の努力漬けで生きてきたんですあなたに受け入れていただけるような男になるためにだって、真剣に努力しているんですよっ</p><p>努力って、どんな努力なんです</p><p>みすずが尋ねる</p><p>うんオレも知りたい</p><p>例えば僕この間の夜、あなたとフレンチ・レストランでディナーを楽しみましたよねっ</p><p>え二人きりで</p><p>そうですねあたしと両親と、あなたのご家族とでお食事しましたわね</p><p>みすずが訂正する</p><p>何だ家族揃っての会食か</p><p>その時あなたが、僕が温野菜のニンジンを残したのを残念そうな眼で御覧になったから</p><p>あたしそんな眼はしていません</p><p>いいえっ、していらっしゃいましたっしていらしたんですっもお、ものすごーく、可哀想な人を見るような眼で、僕のことを見たんですっ</p><p>それ被害妄想じゃないか</p><p>だから、僕今、ニンジンを食べられるようになるためのプログラムを、医師と心理療法士に依頼して立案させていますっ</p><p>これから、２年間の長期プログラムを経て僕は、ニンジンが食べられるようになりますっ絶対に、なってみせますっもう、あなたにあんな眼で見られることは二度とありませんっ無いですからね２年後には</p><p>多分、その時よりも酷い目で</p><p>みすずは今、司馬貴彦を見ているような気がするけど</p><p>そ、それから僕を、あなたのことを真剣に勉強していますっ</p><p>あたしを勉強</p><p>はいっ、僕は勉強するのは大好きですからっ</p><p>意味が判りません</p><p>つまり、僕はっあなたが、何がお好きなのか食べ物の嗜好や、音楽の好み、あなたに関する情報を何から何まで調べさせていますっ</p><p>司馬貴彦は、分厚いレポートを取り出した</p><p>机の上に、ドンと置く</p><p>ここにこうやっていつも持ち歩いて、時間のある時に見ていますっ一つ一つ、暗記していますっ例えば今日、暗記したページだとあなたは、南青山のラディゲ本店のチョコレートがお好みですねっ</p><p>司馬貴彦はニッと微笑んで、そう言った</p><p>はい確かに、そうですけれど</p><p>みすずが答えると</p><p>ほーら、やっぱりそうだそれは、このレポート３２ページの上の段に乗っています僕の調査させた興信所は、優秀なんですっ僕は、あなたのこといっぱい調べさせましたしホントに何でも知っていますからねっ</p><p>勝利の笑みを浮かべる司馬貴彦</p><p>それで貴彦さん、ラディゲのチョコレート、食べてみたんですか</p><p>みすずの問いに司馬貴彦は</p><p>いいえっ甘い物を食べると、虫歯になるって母に言われていますからっ</p><p>素晴らしい、笑顔なんだけれど</p><p>あたしの好きなラディゲのチョコレートを食べたことが無いのにあたしの好きなものが何でも判るっておっしゃるんですか</p><p>司馬貴彦はレポートの束を指先で叩いて</p><p>だってあなたの好物は、ここにこうやってリストアップされているんですからこれを暗記することは、イコール、あなたの好みを熟知するということでしょうほら、僕、こんなにあなたのために努力しているんですっ</p><p>貴彦さんあたしが、メンデルスゾーンのピアノが好きなことはご存じですね</p><p>当然です確か、このレポートの２４ページの右上の欄に、その情報が載っているはずです</p><p>ですがあたしは、絶対にあなたとピアノのコンサートに行きたいとは思いません</p><p>みすずの言葉に司馬貴彦は</p><p>問題ありません僕はコンサートに行っているような時間はありませんしそもそもピアノに興味がありませんから</p><p>どうなんだろそれ</p><p>そして司馬貴彦は、オレを見る</p><p>そこの君</p><p>そうだよ、君だ今の話を聞いて、判ったろう僕は、こんなに努力して、この人のことを理解しているんだよところで君は、何を知っているっていうんだこの人の僕は、知識では絶対に負けないからねそれだけの努力を重ねてきているんだからっ</p><p>そうだよく考えてみると</p><p>みすずのことを知らない</p><p>どんな物が、好きかなんて</p><p>ごめんみすず</p><p>オレは、みすずに謝った</p><p>オレみすずのこと、知らないままだよな</p><p>司馬貴彦が、フンッと鼻で笑う</p><p>ほら、どうだっ僕の方が、努力しているんだよっ</p><p>そうだオレ</p><p>みすずのために、何か努力したことなんてあるんだろうか</p><p>みすずオレ</p><p>オレの手をみすずの温かい手がギュッと握る</p><p>そしてニコッと笑った</p><p>旦那様はいつも、あたしのために一生懸命して下さっています</p><p>自信を持って下さいそれに</p><p>まだ、お互いのことを良く知らないなんて当たり前じゃないですか</p><p>あたしたち、まだ出会ったばかりですこれから、ゆっくり時間を掛けて、一つ一つ判っていけばいいんですよ</p><p>今度、ラデイゲのチョコレートを食べましょうピアノのコンサートにも一緒に行きましょう旦那様、メンデルスゾーンって作曲家知っていますか</p><p>名前だけは</p><p>音楽の時間に習った様な気がするけれど</p><p>どんな曲を作ったのかまでは、知らない</p><p>では、一緒に聴きに行きましょううふふ楽しみです</p><p>あたしの好きな物美味しい物、素敵な物、美しいと思う物を一つ一つ旦那様にご紹介します一緒に観ましょう、聴きましょう、食べましょう二人でね、旦那様</p><p>旦那様の好きな物も教えて下さい</p><p>オレはそういうの特に無いから</p><p>じゃあ、一緒に居る時に教えて下さいこの曲はいいねとかこの味は好きだとかそれで、旦那様のお好みが判ります</p><p>はは時間が掛かりそうだな</p><p>掛かっていいんですずっと、一緒なんですから</p><p>急ぐ必要は無いんだ</p><p>慌てて、みすずの好きな物のリストを暗記する必要も</p><p>時間を掛けて少しずつ、知っていけばいい</p><p>その方がきっと楽しい</p><p>オレもみすずも</p><p>楽しみなことでいっぱいですねっ旦那様</p><p>みすずがオレに抱きつく</p><p>ちょ、ちょっとみ、みすず様離れて君、みすず様から離れなさいっ</p><p>司馬貴彦が、慌ててそう言うがみすずはさらにオレにしがみつく</p><p>ていうかまた、呼び方がみすず様に戻っている</p><p>香月家の臣下という気持ちは、一生抜けなそうだ</p><p>ごめんなさい、貴彦さんあたし、あなたのことはどうしても受け入れらませんあたしは、この人と生きていきたいんですこの人を愛していますから</p><p>ぼ、僕は僕は、こんなに努力しているっ努力しているのにっ</p><p>その努力がたまらなく嫌なんです</p><p>努力しなくちゃどうにもならない人間関係なんてあたしは嫌です</p><p>ですがビジネスの世界ではそういう努力をして、顧客とのコネクションを築き上げていくというのが</p><p>ですから得意先が釣りが趣味なら、自分も釣りをするとかゴルフの時は、必ず相手を勝たせるとか</p><p>男と女の関係をビジネスと一緒にしないで下さいっ</p><p>みすずの声は司馬貴彦を通り越して、閣下に向けられている</p><p>オレを抱き締めたまま</p><p>閣下はニヤニヤと笑っていた</p><p>みすずと司馬貴彦の対決を見世物として楽しんでいる</p><p>いいえ、変わりませんよっ僕たちの世界では誰の娘と結婚するかということだって大事なビジネスですよ</p><p>そんなのあたしには、受け入れられません今のあたしには、心から愛している相手がいるんですから</p><p>みすずの言葉に、司馬貴彦がブチ切れる</p><p>そいつだってみすず様の家柄を手に入れたいだけに決まってますっそれで、みすず様に近付いた悪いやつですよっそうだそうに決まってるっだって、そいつは庶民ですよっ</p><p>大声で喚く婚約者にみすずは</p><p>それは、あなたのことなんじゃないですの司馬貴彦さん</p><p>凍り付く司馬貴彦</p><p>あなたのお家だってお父様が香月グループの重役になるまでは、普通のお家だったはずですあなたの言葉を借りるなら庶民ですよね</p><p>その冷たい言葉に、司馬貴彦はさらに反発した</p><p>昔と今は違いますっ僕には現在、香月グループの重役である父がいますっそれに、僕は、一流大学に通っているし、頭だって良い才能もある何より、努力している僕は、誰よりも努力しているんですよっ僕は、そういう特別の人間なんだっ</p><p>切れてしまった司馬貴彦が次々と心の中をさらけ出す</p><p>僕みたいな高学歴でハイスペックな人間がここまで我慢しているっていうのにっそれもこれも、あなたと結婚すれば、香月グループのトップになれるからですよっあなたが香月の家の娘でなければ、僕は絶対にこんなに下手には出ないんだっだいたい僕、こう見えても、とってもモテるんですからねっ</p><p>ああ、もう言ってることの訳が判らない</p><p>そうでしょうね</p><p>そうですよっ父が重役で一流大学に通っていて、車だってポルシェなんですよポルシェのカイエンですポルシェな上に四駆ですレベルが違うんですそれだけで、大学じゃあ僕に近寄って来る女がわんさかいるんですっみんな、僕の車の助手席に座りたがるんですっ僕の支払いで、高級レストランに行くのを楽しみにしているんですでも、僕は絶対に、その子らの誰とも付き合わないし特別な関係にはなりませんっどうしてだか判りますか</p><p>そんなの判るはずがない</p><p>変な女と付き合ったら僕の将来に傷が付きますから僕は、子供の頃から父と母に厳しく言われているんですっもし間違いを起こして、子供でもできたらあんな浪費にしか能の無い下らない馬鹿女と結婚しなくちゃならなくなるっそんな人生は、ゴメンですっだから、僕はそいつらをみんな振り切って本気で努力しているんですっ</p><p>眼を血走らせて、司馬俊彦が喚く</p><p>ええ、そうです僕は、童貞ですでも、女に縁が無くて童貞なんじゃないです自分から努力して童貞であることを守り抜いているんです自ら童貞である運命を選んだ、誇りある童貞です名誉童貞なんです童貞紳士ですそこまで徹底して努力しているんですよぉっ僕はっ</p><p>胸を張って、力強く童貞をアピールする司馬俊彦</p><p>結局、この男は</p><p>自分にしか興味が無いんだな</p><p>だから、これまでも他の人間とまともに付き合ってきていないし</p><p>多分これからも、そうなんだろう</p><p>こんなにまで努力している童貞の僕をどうして、あなたは認めてくれようとしないんですかっ</p><p>オレを憎しみの眼でギーッと睨む</p><p>そんな何の価値も無さそうな庶民の高校生にこんなに努力している僕が、負けるはずがないんですよっ</p><p>貴彦さんでは、どうすることもできない魅力がこの人にはあるんです</p><p>司馬貴彦が、怒りに叫ぶ</p><p>僕が、庶民に負けるはずがないっいったい、そいつの何が良いっていうんですかっ</p><p>セックスです</p><p>司馬貴彦が凍り付く</p><p>いや、部屋中が</p><p>ママ、セックスってなあに</p><p>真緒ちゃんが渚に尋ねる</p><p>とっても気持ちのいいことよっ</p><p>えー、そうなの真緒もやってみたいっ</p><p>大きくなったらね</p><p>渚が、真緒ちゃんの頭を撫でる</p><p>聞きましたか美子</p><p>はいあの方は、セックスというものについて知っていらっしゃるみたいですね</p><p>この部屋でセックスの意味を知らないのは</p><p>３歳の真緒ちゃんと、瑠璃子さん美子さんペアだけか</p><p>あ関さんと藤宮さんは、真っ赤な顔をしている</p><p>意外と純情なんだな二人とも</p><p>みすずが、オレの頬をチュッとキスをする</p><p>この人とのセックスはとても素晴らしいですこの人は、一人の男として心と身体を目一杯使って、あたしのことを愛して下さいますあたしも一人の女として、精一杯ご奉仕致しますセックスしている時は二人とも裸ですから自分の生身の肉体が、この人を悦ばせてあげられるということが、本当に嬉しいんですこの人の生身の身体があたしの身体を感じさせてくれることもあたし、この人と裸で抱き合っていると生まれてきて良かったって思います女で良かったって</p><p>みすずの言葉に渚が</p><p>ええ、判るわあたしにも</p><p>見つめ合って、微笑むみすずと渚</p><p>あたしこの人と一緒に居ると楽なんですこの人は、絶対にあたしの前で自分を偽りませんというよりそういう発想が無いんですだからあたしも裸になれます香月家の娘でも何でも無い一人の女に</p><p>みすずは瑠璃子さんを見る</p><p>あたし子供の頃から香月の家の娘として生きてきていつも、辛かったですいつでもどこでも、人目を気にしないといけないですしお祖父様や両親の期待に背いてはいけないって、思っていましたから友人にも妬まれてもいけないし、崇拝されてもいけないから微妙な距離を取るしかありませんでしたいつも明るくニコニコして機嫌の良い、明るい女の子でいなくてはいけませんでした外でも家の中でも</p><p>わたくしも、そうですわ</p><p>瑠璃子さんが、そっと呟く</p><p>でも、わたくしには美子がおりますからお付きのいらっしゃらないみすずお姉様は、さぞかしお辛い思いをなさったと思います</p><p>暗い顔をする瑠璃子さんに美子さんが、そっと身を寄せる</p><p>以前のあたしはそうでした顔は笑っていても、心はずっと曇っていましたでも、今は違いますっ</p><p>みすずが、ギュッとオレを抱き締める</p><p>あたしようやく、身も心も裸になって付き合える男性に出会いましたからもう、絶対に離れませんっお祖父様に背くことになったとしてもあたしはこの人と添い遂げます</p><p>オレは、みすずのことであなたの知らないことを知っています</p><p>司馬貴彦が、ギョッとしてオレを見る</p><p>そんなことが、あるわけないっ僕の努力が、君みたいな庶民の男に負けるはずが無いんだっ</p><p>オレはみすずの背中を指差す</p><p>みすずはここにホクロがあります</p><p>あとお腹のここにも</p><p>司馬貴彦は凍り付いていた</p><p>みすずの身体でオレの知らない場所はありません</p><p>うんみすずの裸は、もう何度も見た</p><p>全身をくまなく</p><p>こうやって服を着ていてもみすずの裸身が詳細に思い出される</p><p>あと、みすずはキスする時いつも、オレの右側から顔を近づけます自分の鼻をオレの頬に擦り付けるのが好きです</p><p>オレは真っ直ぐに、司馬貴彦を見た</p><p>オレとみすずは知り合ってまだそんな時間は経ってなくて一緒に居る時間も、あなたよりは短いのかもしれませんけれどでも、オレだって知っていますオレしか知らない、みすずの好きなことみすずの、可愛いところをたくさん</p><p>オレに抱きついたままみすずは言った</p><p>はいあたしはもうこの人の女ですから</p><p>司馬貴彦が小者なのはそういう人物をみすずの婚約者にすることで、香月家の中に波乱を起こそうという閣下の計画があるからです</p><p>困ったものです</p><p>あんまり暑いんで、思い出したこと</p><p>学生時代に警備員のアルバイトをしていたことは、何回か書きましたが</p><p>やっぱりこんな暑い頃に東名高速道路の補修工事の現場に送られたことがあります</p><p>それは高速道路の中の数カ所で、同時に工事が行われる集中工事で</p><p>私たちは、警備会社のバスでそれぞれの工区に連れて行かれて、</p><p>はい、ここで５人降りて</p><p>とか言われながら、現場に着かされました</p><p>さて夕方の３時頃に、私たちの担当していた工区の工事は終わったのですが</p><p>工事車両は、みんな帰ってしまい警備員６人だけ、高速道路の中央分離帯に残されました</p><p>すぐに警備会社の迎えが来ると思ったのですが</p><p>来なかった</p><p>ずーっと、車がバンバン走る中央分離帯に、６人だけ残されました</p><p>それも全員初顔の人ばかりで</p><p>暑いし飲み物も無いし</p><p>だいたい、自分のいるところが何処だか判らないし</p><p>下手に移動すると、迎えの人間が見つけられなくなるおそれもあります</p><p>ちなみにまだ携帯が普及する前の話で、ポケベルを持った人はいても、携帯を持っている人は一人もいませんでした</p><p>みんな、直射日光のグリーンベルトにグテッとしている中</p><p>なぜか、一人の男の子だけが異常に元気で</p><p>延々と、自分がこれまで体験してきた風俗店での体験談と</p><p>自分の地元のお勧めの店の話をしてくれました</p><p>５時間ほど</p><p>ええ、警備会社が私たちが戻っていないことに気付いて</p><p>迎えの車が着いたのはすっかり日の暮れた午後８時過ぎでした</p><p>あの５時間は何だったんだろう</p><p>245．心理ゲーム／ブラフ対ブラフ</p><p>ふはははははははっ</p><p>不意に閣下が笑い出した</p><p>日本有数の名家の当主であり、権力者である老人がオレと孫娘を笑う</p><p>面白いとても、面白いねお前たちは、どこまで私の予想を裏切ってくれるんだ</p><p>閣下は声と口元は楽しそうだが、眼は鋭い</p><p>怒っている</p><p>怒っている時に笑っている人間は怖い</p><p>貴彦くん</p><p>閣下は、自分が直に教育しているエリート青年に声を掛ける</p><p>は、はい閣下</p><p>恐る恐る司馬貴彦は、老カリスマに振り返った</p><p>申し訳無いねみすずのことは、諦めてくれ</p><p>サラッと語る閣下に、司馬貴彦は</p><p>しかしそれでは、僕はど、どうなるんですか僕</p><p>ここまで来ても司馬貴彦は、自分のことにしか興味が無いらしい</p><p>君には相応しい女性を、別に見つくろってあげようだから、みすずのことは忘れなさい</p><p>閣下の眼が、司馬貴彦の心を射貫く</p><p>これ以上、みすずには関わらない方がいいと思うよこのまま、みすずと結婚したら君は香月グループにおいて、むしろ不利な立場になるだろうね</p><p>閣下は、みすずに何らかのペナルティを課そうとしている</p><p>あるいは</p><p>君も嫌だろうすでに他の男によって汚された、破廉恥極まりない娘と結婚するのはこんな娘が居るのは香月の家にとって、不名誉なことだとは思わないかい</p><p>閣下は、意地悪そうにニタァと微笑む</p><p>みすずを処罰するどころか閣下は、香月家からみすずを追放しようというのか</p><p>いずれにせよ閣下に見捨てられたみすずと結婚したところで、香月グループの中で出世の目は無い</p><p>むしろみすずの夫だということが、足枷になる</p><p>わ、判りましたそ、そういうことでしたら僕は閣下に全てをお任せ致します</p><p>司馬貴彦は、閣下の提案をあっさりと受け入れた</p><p>結局この男は、最初からみすずを香月家と縁続きになるための道具としてしか見ていない</p><p>みすずがこんな不良娘に育ってしまったのは、全て私の不手際だ大変申し訳ない</p><p>いえそんな、閣下</p><p>だからねもし、貴彦くんがどこかの私の顔の効く家の娘さんで気に入っている子がいるのなら私が話してあげてもいいんだよ</p><p>閣下が、ニヤリと微笑む</p><p>閣下直々の縁談となれば香月グループの中の家は断れないだろう</p><p>自分に特別の恩恵を施してくれると知って司馬貴彦の顔が、明るくなる</p><p>ほう誰か、見初めている子がいるのかな</p><p>閣下の言葉に、司馬貴彦は</p><p>あの閣下、それはあの、例えば瑠璃子さんとかでは、ダメなんでしょうか</p><p>にやけ顔の司馬貴彦</p><p>瑠璃子さんは、その言葉にひっと怯える</p><p>次の瞬間閣下の顔に怒りが走る</p><p>君、分をわきまえ給えっ</p><p>はっあの、申し訳ございませんっ</p><p>瞬間沸騰した閣下の怒りに司馬貴彦は驚く</p><p>瑠璃子は、香月家の嫡男の娘だぞ正統な香月家の後継者だ君の様な外様の息子の若輩者にくれてやるわけがないだろうっ臣下の分際で、何という不敬をっ</p><p>す、すみませんっし、失礼を致しましたっ</p><p>司馬貴彦は椅子からワッと飛び降り、床に土下座するっ</p><p>申し訳ございませんっ申し訳ございませんっ申し訳ございませんっ</p><p>床のカーペットに額を擦り付けて必死に謝り続ける、司馬貴彦</p><p>もういいっ下がりたまえ君には失望したよっそこまでの身の程知らずとは思っていなかった</p><p>閣下は、湧き上がる怒りを無理矢理に抑え込む</p><p>とにかく君とみすずとの婚約は破棄する幸い、この件は外には漏れていないから、婚約解消となっても何も問題はあるまい君の父上には、私から話をするいいなっ</p><p>では他の友人たちの待つ部屋に戻り給え今の不敬な発言については、忘れてやる今後も勉学に励めいいな</p><p>はい閣下</p><p>司馬貴彦は、がっくりとうな垂れている</p><p>何をしている私は、この部屋から出て行けと言っているんだよっ</p><p>はっただ今</p><p>へろへろとなりながらそれでも司馬貴彦は立ち上がり、外へと続くドアへと向かう</p><p>これからも香月の家に忠節を尽くし給えそれが君の生きる道だ</p><p>閣下は、司馬貴彦にそう言った</p><p>き、肝に銘じますし、失礼致しますっ</p><p>ドアを開けて、出て行く司馬貴彦</p><p>全身がブルブルと震え腰はヘロヘロになっている</p><p>まるで、逃げ出して行くとしか見えない様な不安定な足取りだった</p><p>バタン</p><p>ドアが閉まるとみすずが、オレに言った</p><p>旦那様あの方を、どう評価なさいますか</p><p>オレは人の評価なんて</p><p>何でもいいですから貴彦さんについて、思ったことをおっしゃって下さい</p><p>オレは自分で自分は努力しているなんて言う男は信用できないよ</p><p>正直に感想を述べた</p><p>だってそんなのは努力じゃないから</p><p>久しぶりに嫌な記憶が蘇る</p><p>オレの母親がそういう人間だからあたしは、こんなに努力している、あたしは、いつも努力しているって、誰でも構わず喚き散らす性格で</p><p>ああ思い出したくない</p><p>でも仕方無い</p><p>オレの母親は、店を２軒経営していてそりゃあ、女が社長をやるのは大変なのかもしれないけれどオレの母親の言う努力は、お客からクレームが来たとか店員の働きが悪いとかアルバイトが予定通りに集まらないとかお店を経営する人なら、誰だって直面する問題でそれを一つ一つ解決しなくちゃいけないのは、経営者として当たり前のことで全然努力じゃない自分で選んだ仕事なんだから</p><p>オレは、やっぱりあの人が嫌いだ</p><p>社長として、やらなくてはならないことをするのを努力と言い張り</p><p>それをこなすのが大変だからって妻として、母としては何もしなかった、あの人が</p><p>家族の中での役割を、果たそうとしないでオレや親父やバァちゃんを責め続けた、あの女が</p><p>今の人だって同じだよ香月グループのお偉いさんになりたいっていう目標は、自分で決めたんだろだったら、夢のために頑張るのは当たり前のことだよそんなの、自分から僕はこんなに努力しているなんて言っていいことじゃないんだ</p><p>オレはああいう人は嫌いだし、絶対に信用しないよ</p><p>あたしも同感ですわ旦那様</p><p>と、ニッコリ微笑んだ</p><p>お前はいつからそういう考えになったんだ</p><p>閣下がオレに尋ねる</p><p>いつからって</p><p>あの多分、ミナホ姉さんや克子姉たちと出会ってからです</p><p>ミナホ姉さんも克子姉もマルゴさんもやらなくてはならないことをするのに、絶対に愚痴は言わないですからいつも、ニッコリ微笑んで文句一つ言わずに対処していくみんな判っているんですやらなくちゃいけないことならメンド臭がってはいけないってこと</p><p>オレは姉たちの背中を見て、それを学んだ</p><p>ふむ確かに、あそこの娘たちは働き者が揃っておるからな</p><p>閣下はオレを見ているいや、上からの視線で見下ろしている</p><p>オレがどんな人間なのか、解析しようとする冷たく、鋭い視線</p><p>お祖父様はどうして、あんな脆弱な方をあたしの婚約者にしようとなさったんです</p><p>みすずが祖父に言った</p><p>お前自身は、どう思う</p><p>祖父は、質問に質問で返した</p><p>貴彦さんのお父様司馬さんが香月グループの中で担当なさっている部門は全てここ数年で大きく成長した分野ばかりで、現在のグループの中では大きな勢力を持っていらっしゃいますいずれは、企業グループの経営陣のトップになられるかもしれませんですから司馬さんの息子さんと香月一族の娘であるあたしを婚約させようという話が起こるのは理解できます</p><p>何だちゃんと判っているんじゃないか</p><p>閣下は、フンと鼻を鳴らす</p><p>貴彦くんの父親司馬沖達くんは、有能な人物だあれほどの人材は、私の企業家生活の中でも出会ったことはないあの通り、息子は少し頼りないが彼に任せておけば、香月グループは安泰だよだから、お前と貴彦くんの婚約は必要だったんだ</p><p>閣下は、わざと過去形で言った</p><p>みすずとオレのせいでこの婚約が壊れてしまったことが、大変なダメージだと言わんばかりに</p><p>しかし司馬さんは名家のご出身ではありません司馬さんは、お一人のお力で現在の地位にまでご出世なさってきた方香月家にとっては、新参の外様の家臣というべき存在です香月家の分家や名家の血筋を引かれる方たちからは、決して好かれてはいらっしゃいません</p><p>あたしと貴彦さんが結婚すれば司馬さんの勢力が強化され、古くからの血筋の方々と全面戦争になります香月グループが真っ二つに割れます</p><p>閣下は何も答えない</p><p>ただ不機嫌そうな顔でみすずを見ている</p><p>また司馬さんは、野心家というお噂もあります香月の家臣として我慢なさっておられるお方では無いとこのままでは</p><p>閣下が割り込む</p><p>その結果どうなろうと私は関知しないよどうせ、その争いが起きる頃には私は死んでいるいやみんな、私が死ぬのを待っているんだよ私が元気なうちには、家の中に争いを起こすべきでは無いと思っているのだから</p><p>閣下の不機嫌は、ますます強くなる</p><p>側に居る、関さんと藤宮さんがそわそわしている</p><p>これほどのご不興は見たことが無いらしい</p><p>私の死んだ後のことなど知ったことか生きている連中で、殺し合い、壊しあればいい</p><p>それが閣下の本音なのか</p><p>判りましたわ、わたくしっ</p><p>突然瑠璃子さんが、口を開いた</p><p>つまりお祖父様は、わたくしたちに試練をお与えになろうとしているのですねっ香月の家の苦境をわたくしたちの手で救えと</p><p>ある意味そうなんだろうけれど</p><p>この老人の行動は、もっと投げやりな感じがする</p><p>あたしは、嫌ですそんな試練なんか欲しくはありません</p><p>お祖父様のなさっていることは次の世代の苦労を増やすだけですあたしはそんな意味の無い苦労なんてしたくありませんお祖父様が壊していった人間関係や信頼関係を修復するためにあたしの大切な人生の時間を消耗したくはありません</p><p>あたし幸せになりたいですから旦那様と幸せな時間をたくさんたくさん過ごしたいんですそんな下らないことに時間を消耗するのは嫌です</p><p>みすずと閣下が睨み合う</p><p>それならお前は、香月の家から出て行って貰う</p><p>即答するみすずに瑠璃子さんは</p><p>みすずお姉様何てことを</p><p>みすずは、瑠璃子さんに振り返り</p><p>いいのよとっくに覚悟はできていたから</p><p>そう言いながらみすずの身体は震えている</p><p>オレは、みすずの手をギュッと握りしめた</p><p>みすずも、強く握り返してくれる</p><p>香月の家は香月グループは、私の物だ私がここまで育て、大きくしてきた物だ私の物である以上引っ繰り返そうが、打ち壊そうが全て私の自由のはずだ</p><p>閣下の冷たい眼がみすずを見下ろしている</p><p>しかしお前は私の意志の外に居る許しがたいぞみすず</p><p>みすずの震えが止まる</p><p>ですから香月の家からは出て行きますどうぞ、お祖父様は御自分の小さな世界の中で一人遊びをお続け下さい</p><p>みすずは平然と言葉を返した</p><p>香月の家を出てどうするどうやって生活する学校だって、続けさせんぞ</p><p>祖父の言葉にみすずは</p><p>しばらくは黒森御名穂様にお縋りします</p><p>閣下は、クククと笑った</p><p>娼館の経営者ごときに御名穂くんに圧力を掛けて、黒い森という組織そのものが立ち行かないようにさせるのは簡単だぞ私の力なら</p><p>みすずのことでミナホ姉さんや黒い森に迷惑が掛かるのは</p><p>心配になったオレの耳にに渚がそっと囁く</p><p>大丈夫だから平気な顔をしていて</p><p>男でしょあたしたちを信用して</p><p>渚が、ニコッと微笑む</p><p>うん判った</p><p>オレも腹を決める</p><p>お祖父様ともあろうお方が何も判っていらっしゃらないのですね</p><p>みすずは祖父に、そう言った</p><p>どういうことかね</p><p>黒森御名穂という方の強かさと逞しさをですわ</p><p>ミナホ姉さんの</p><p>あたしは、ここ数日黒森さん達と行動を共にして判りましたわお祖父様が、全ての力をお使いになったとしても黒森さんたちは絶対に潰されませんあんまりお暴れになられるようなら、しばらく国外へ逃げるだけですおそらく、黒森さんは海外にお祖父様には発見できない資金を何カ所もプールしているはずです</p><p>うんミナホ姉さんなら、それくらいはやっているだろう</p><p>その前に国家権力を動かして、御名穂くんたちを逮捕させるよ国外へは逃がさない</p><p>閣下が手持ちのカードを切る</p><p>お祖父様が、警察関係者を動かした時点であたしたちは行動を起こします今回の白坂家の事件を観ていらしたというのに、お判りにならないようですね黒森さんの判断力と実行力の素晴らしさを</p><p>うんミナホ姉さんなら</p><p>ネットで世論を動かす</p><p>マスコミも操作する</p><p>ゴタゴタしているうちにささっと、オレたち全員を海外逃亡させてくれるだろう</p><p>ならば、裏の力も使うよお前たちがどこへ逃げようと香月セキュリティ・サービスの人間に追わせる</p><p>閣下は次のカードを切る</p><p>お祖父様こちらには、マルゴさんもいらっしゃいますし美智もいますどんな方がいらしても、撃退致しますわ</p><p>みすずはそう言うが関さんや藤宮さんクラスの人が何人も追ってくるとしたら</p><p>それどころか、工藤父とかまで駆り出されたらこちらには勝ち目が無い</p><p>うふふふそう言えば、みすずは知らなかったのよね</p><p>渚がニコッと微笑む</p><p>香月様、お忘れですか恭子さんは、あたしたちの仲間ですよ</p><p>閣下に笑いかける渚</p><p>恭子は私が派遣した女だ君たちの味方になるとは</p><p>慌てて閣下がそう言うが</p><p>恭子さんは、あたしたちの仲間ですね、真緒</p><p>うん真緒、恭子ちゃん、大好きっ</p><p>真緒ちゃんも、恭子さんの名前を聞いて嬉しそうに叫んだ</p><p>恭子さんとは、まさか</p><p>藤宮さんがハッとして呟く</p><p>はい恭子・メッサーと言えば、お二人はお判りですね</p><p>渚の笑顔に藤宮さんと関さんは愕然とする</p><p>ブラジルの裏組織の大幹部ですよね</p><p>いえ、彼女に協力する裏組織は全世界にあるわ</p><p>海外では香月セキュリティ・サービスの力だけでは対抗できないわ</p><p>二人のトップ・エリートが、名前を聞いただけでこれだけ反応するんだから</p><p>恭子さんという人は、本当に凄い人なんだ</p><p>ま、実際には恭子さんに協力していただく必要は無いでしょうけれどね御名穂さんも海外逃亡なんてしなくても済むわよっ</p><p>渚がニコニコしてオレたちを見る</p><p>あなたもみすずもあたしの家に来なさいっ</p><p>うちのお店には、空いてる部屋があるから二人とも、そこで寝起きして学校に行きなさいお店の手伝いはしてねそれから、みすずは家事もね一通りのことは、あたしが全部仕込んであげるから</p><p>閣下は、物凄い権力を持っているわけで</p><p>それこそ黒い森を瞬殺して、ミナホ姉さんが海外逃亡を考えなくてはいけないような力を</p><p>渚の花屋さんなんて、それこそあっという間に</p><p>香月様まさか、あたしのお花屋さんを潰そうとしたり、なさらないですわよね</p><p>しないですよねっいひひひっ</p><p>渚の言葉に真緒ちゃんが被せる</p><p>あたしさっきの劇場でも、よーく判ったんですけれど昔のファンの方たちにとっても愛されているみたいですよもし、閣下があたしのお店を潰そうなんてなさったら皆さん、何ておっしゃることか</p><p>黒い森は、非合法の犯罪組織だから</p><p>閣下が圧力を掛ければ国内での活動は維持できない</p><p>それこそ、海外に逃げ出さなくてはならなくなる</p><p>今の渚は娼婦をとっくに引退した、ただのお花屋さんだ</p><p>一般人となって、小さな娘を抱えて頑張っている渚に不当な圧力を掛ければ</p><p>渚の昔の顧客たちが黙っていない</p><p>みんな閣下ほどの権力者ではないだろうが</p><p>政財界では、そこそこの力を持つ人たちだ</p><p>集団になれば閣下でも無視することはできなくなる</p><p>それに、あたしって口の軽い女ですからね香月様がみすずに酷い仕打ちをなさって、家から追い出されたって、みなさんに告げ口しちゃうかもしれませんよっ</p><p>これには閣下も、グゥの音も出ない</p><p>とりあえず、渚の家に逃げ込めば閣下は手出しできないということだ</p><p>みすずの学校なら、転校すればいいし御名穂さんの学校でいいんじゃない克子が理事長なんだから、問題は無いわ</p><p>渚がツラツラと話を進めていく</p><p>登下校時の安全は、わたくしが確保致します</p><p>美智が当然の様に言った</p><p>そうね、もちろんマルゴちゃんや恭子さんにも助けていただくわ</p><p>みすずが祖父を見る</p><p>皆さんに助けていただいてあたしは生きていきますさようなら、お祖父様</p><p>ま、待って下さいみすずお姉様もっと、お祖父様とお話し合いをなさるべきです</p><p>瑠璃子さんが、引き留めようとしてくれるが</p><p>いいえお祖父様は、どうせ何を言ってもお判りになっては下さらないと思います心配しないでほんのちょっとのことですそうね１０年だけ、待っていて瑠璃子さん</p><p>年下の麗しい従妹にみすずは、言った</p><p>１０年ですか</p><p>言葉の意味が判らない瑠璃子さん</p><p>はいお祖父様に今日、香月の家を追放になりましたがあたしの人生設計は、何も変わりません予定が、１０年ばかり延びただけです</p><p>黙り込んでいた老人が尋ねる</p><p>あたし東大へ進みますそして、父の後を追って国家公務員に上級試験に合格して、高級官僚になりますそこで政財界とのコネクションを繋ぎますあたしはあたしの力だけで這い上がって見せます香月の家から追われても、何の支障もありません</p><p>みすずの眼には、力がみなぎっていた</p><p>確かに東大に進むのに、香月家の名前はいらない</p><p>国家公務員の試験を受けるのも</p><p>１０年経てばお祖父様は９２歳ですご健在だとしても、経営の最前線にいらっしゃれるはずがございませんその時あたしが政府の中で有能な存在として際立っていれば、香月家の方からあたしに近付いて来るはずです</p><p>うん閣下の威光が衰えたなら</p><p>香月家は再び、みすずを受け入れようとするだろう</p><p>そういう人間になれるように頑張るわ、あたし</p><p>みすずは、瑠璃子さんにニコッと微笑む</p><p>だから１０年だけのお別れよきっとまた、戻って来るわ</p><p>みすずが、瑠璃子さんに近付く</p><p>抱き合う二人</p><p>わたくしはみすずお姉様のように強い人間ではありません</p><p>瑠璃子さんが、悲しげに言う</p><p>だからきっとわたくしは、お祖父様の選ばれた方と結婚して、その方のおっしゃる通りに生きていくと思いますやがて、香月の家の中に争いが起きたとしてもわたくしには、きっと何もできないできないと思います</p><p>あなたはそういう人生を選ぶの</p><p>瑠璃子さんが、心からそういう人生を受け入れるのならあたしは何も言わないわでも、そんな人生が嫌なのなら</p><p>嫌なのなら</p><p>みすずを見上げる瑠璃子さんの必死な眼差し</p><p>反逆なさい</p><p>お祖父様にですか</p><p>みすずは笑う</p><p>違うわ運命に従容として流されている、自分自身の弱い心によ</p><p>お姉様</p><p>うなだれる瑠璃子さん</p><p>さあ、閣下とのお話は終わったみたいだから、そろそろ行きましょうっ御名穂さんたちが待っているわ</p><p>渚が、ニッコリと微笑む</p><p>うん、行きましょうっ</p><p>真緒ちゃんも元気だ</p><p>美子さん、瑠璃子さんをお願い</p><p>みすずは、瑠璃子さんを美子さんに托す</p><p>すぐに答えは出ないでしょうけれどあたしが今言ったことを、よく考えてみて</p><p>そして祖父に振り向く</p><p>それでは、お祖父様</p><p>さわやかに微笑む</p><p>おさらばでございますっ</p><p>さあ行きましょう、旦那様</p><p>いいんだろうか</p><p>こんな形でみすずと閣下を別れされてしまって</p><p>瑠璃子さんたちを、置き去りにして</p><p>待て</p><p>鋭い声で閣下は言った</p><p>何でございますか香月様</p><p>みすずは祖父を香月様と呼んだ</p><p>お前は私に家から追放されるのではなく、自ら家を出ることを選ぶのだな</p><p>はいおっしゃる通りですわ</p><p>みすずは、強い眼で祖父を睨む</p><p>ならばお前が、香月の家から与えられた物は全て置いていけ</p><p>この部屋からは、身に付けている物を全て脱いで裸で出て行くがいい</p><p>この祖父と孫娘の対決は、意地っ張り通しのブラフの張り合いですのであんまり、気にしないで下さい</p><p>渚だけは、その辺の家族の心情を理解しています</p><p>さてこれも警備員のバイト時代の話</p><p>そこは、羽田の埋め立て地のダンプカーの重さを量る計量所でした</p><p>私は、そこでその日ダンプの誘導の仕事を命じられていました</p><p>さて、昼になり事務所でコンビニ弁当を食べていると</p><p>所長と２０代後半ぐらいの若いダンプの運転手さんが話をしています</p><p>横で話を聞いているとその人はまだ若いのに、１０台以上のダンプを持っている会社の社長さんなのだそうです</p><p>で、その若社長さんが言います</p><p>うちの下の連中には、何があっても挨拶だけはしっかりしろと言っていますやっぱり、挨拶は全ての基本ですからねだから、うちの社員はどこへ行っても挨拶が良くできているって褒められるんですよ</p><p>その若社長さんが帰った後食後の缶コーヒーを飲んでいる私に、所長さんが言いました</p><p>君今の人、どう思った</p><p>いや、何かまだ若いのに、しっかりしたことをおっしゃる方でしたね</p><p>そしたら所長さんは、物凄く不機嫌そうに</p><p>社長があんなことばっかり言っているからあそこの会社のドライバーはダメなんだよっ</p><p>その時は意味が判らなかったんですが</p><p>１０年ほどして、判りました</p><p>自分でうちの会社は、挨拶が良いから褒められているって自慢する人が、まともなわけないですよね</p><p>それも２０歳以上年上の所長さんに向かって</p><p>246．愛の誓い</p><p>そうですわねっ失礼致しました</p><p>みすずが制服のボタンに手を掛ける</p><p>えまさか</p><p>閣下の言う通り裸になるのか</p><p>裸でこの部屋から出て行くのか</p><p>部屋中の女達が顔面蒼白になる</p><p>お祖父様、それは余りにもご無体ですっ</p><p>瑠璃子さんが、そう言ってくれるが</p><p>いやみすずには、香月の家から施された物は全て置いていって貰う</p><p>と閣下は強い表情で言う</p><p>それだけで、瑠璃子さんと美子さんは怯えてうつむいてしまう</p><p>関さんと藤宮さんは、戸惑っているが</p><p>主人である閣下に文句を言うことはできない</p><p>美智は閣下を睨み付けている</p><p>渚と真緒ちゃんは、何故かニコニコして</p><p>みすずのストリップし始めるのを楽しそうに見ていた</p><p>旦那様あたしを隠して下さい</p><p>ボタンを外しながらみすずが、オレに言う</p><p>お祖父様には、あたしの裸をお見せしたくはありません</p><p>みすずが、オレを眼を見る</p><p>決意の籠もった眼</p><p>オレはみすずの前に立って、閣下の視線にみすずの身体が入らないようにする</p><p>背広の上着を脱いでそれを大きく拡げてカバーする</p><p>あたしたちも、みすずを隠すわよっ</p><p>渚が、真緒ちゃんに言う</p><p>渚と真緒ちゃんもみすずを隠すのに協力してくれた</p><p>美智もサッとカバーの位置に入る</p><p>旦那様よく聞いて下さい</p><p>パサッと制服を脱ぎ捨て下着姿になった、みすずが言った</p><p>あたしが裸になったら今、旦那様がお持ちの上着を貸して下さい</p><p>これは男物だから何とかみすずの裸体を包むことはできるだろう</p><p>でも、裾がみすずのお尻を隠すギリギリくらいだろうな</p><p>歩いたらお尻も秘部も丸見えになる</p><p>それを羽織ってあたしはこの部屋を出た後、一旦、廊下の女子トイレに隠れます</p><p>トイレ</p><p>このホテルの１階には女物の洋服を扱うお店がありました旦那様も御覧になりましたね</p><p>ああ、確かにあった</p><p>山岡部長は言っていた１階のお店は、通常通り営業させていると</p><p>店員は、香月セキュリティ・サービスの人間かもしれないが</p><p>洋服を買うことはできるはずだ</p><p>そこで洋服と履き物を買って来て下さいお土産品のＴシャツと短パンで構いません履き物も、安いサンダルで結構ですとりあえず、ここを出るための服ですから</p><p>うん下着なんかは、後で買えばいい</p><p>今は、みすずの裸身を隠せる衣服と履き物があれば</p><p>そうかオレが買ってくればいいんだな</p><p>お金はありますか</p><p>ミナホ姉さんから、１０万円渡されている大丈夫だ</p><p>Ｔシャツは、白地だと透けますから色の濃い物にしてくださいサイズはＭで短パンはゴムの入っているフリーサイズの物を無ければＭでサンダルは、ビーチサンダルみたいな物でも構いませんから</p><p>下着姿のみすずは、先に革靴を脱ぎ靴下に手を掛ける</p><p>あたしも行きましょうかその方が買いやすいでしょう</p><p>真緒も行ってもいいよっ</p><p>女物の服を買うのなんて、恥ずかしいでしょ</p><p>渚と真緒ちゃんが、そう言ってくれるけれど</p><p>いや１階に降りるのは、危険だ</p><p>まだミス・コーデリアの約束した午後８時にはなっていないけれど</p><p>すでにヴァイオラの手下が入り込んできているかもしれない</p><p>渚や真緒ちゃんを連れて行くわけにはいかない</p><p>これはオレが一人でやるよ渚と真緒ちゃんは、みすずに付いていてあげてくれ</p><p>判ったわ、あなた</p><p>美智オレが居ない間、みすずと渚と真緒ちゃんを守ってくれっ</p><p>スカートの下から赤いムチと電撃警棒を取り出し、大きく構える</p><p>美智が武器を出したことで、関さんと藤宮さんがスッと立ち上がる</p><p>いつでも動き出せるように</p><p>関さん、藤宮さん美智は、みすずたちが危険な状態にならない限り、絶対に手を出しませんそうだな、美智っ</p><p>はいご主人様のおっしゃる通りです</p><p>ですからオレが居ない間は、絶対にみすずたちに近付かないで下さい</p><p>オレは二人の警護人を見る</p><p>わたくしたち二人なら、その子なんて簡単に戦闘不能にすることができますわよ</p><p>関さんがそう言うが</p><p>わたくしが、命を捨てて立ち向かえばご主人様がお戻りになるまで、みすず様たちをお守りすることだけはできます</p><p>美智の闘志がめらめらと燃えている</p><p>守るだけですね</p><p>藤宮さんが美智に言う</p><p>はいわたくしが命じられたのは、それだけですわたくしの方から、皆様を攻撃することは絶対にありません工藤流古武術の名誉に誓って、お約束致します</p><p>藤宮さんはその言葉を聞いて、席に座る</p><p>あなたの言葉を信用致しましょう</p><p>ちょっと藤宮さん</p><p>関さんが驚いて、同僚を見る</p><p>警護人の本分は守ることわたくしも、そう思っておりますこの少女に攻撃の意志が無いのでしたら、問題は無いと思いますが</p><p>しかしもし、閣下がお望みになったらどうするつもり</p><p>オレのいない間にみすず達を力尽くで連れて行けと命じたら</p><p>わたくしは香月セキュリティ・サービスとは警護人として勤務しております閣下の私兵ではございませんから</p><p>もうどうして、あなたは頭が固いのよっ</p><p>関さんこそ節操が無さ過ぎると思いますわ</p><p>もし、あたしがこの子と闘うことになったら邪魔だけはしないで下さいね</p><p>関さんは嫌味たっぷりにそう言った</p><p>はいどうぞわたくしは、ここで閣下をお守りしておりますから</p><p>藤宮さんは、フフンと笑った</p><p>本当なら下着は全て、旦那様に脱がせていだきたいんですけれど</p><p>裸足になったみすずが、今度はブラのホックに手を廻しながら言った</p><p>うん、残念だな</p><p>オレは背広を拡げて、みすずの裸身を隠しているから</p><p>下着を脱がせてやるわけにはいかない</p><p>次からは旦那様にお任せしますからね</p><p>うん、判っている</p><p>そこで見ていて下さいみすずの裸</p><p>ホックが外れると同時にみすずの形の良いおっぱいが零れる</p><p>桜色の乳首が外気に触れる</p><p>綺麗だみすず</p><p>あたしの身体は全て旦那様の物ですわ</p><p>そしてオレの身体越しに、祖父に言う</p><p>お祖父様にはお見せ致しませんから</p><p>それから、両手でパンティに手を掛け</p><p>ススッと太ももの下に下ろしていく</p><p>みすずの秘部</p><p>チンコの付いていない女の股間はとても美しいと思う</p><p>何度見ても</p><p>みすずは、そのままくるっとオレに背を向ける</p><p>オレは拡げた背広をの上着を、みすずに着せてやる</p><p>全裸の上に背広の上着だけを身につけたみすずはセクシーだった</p><p>そのままオレの胸に飛び込んで来る</p><p>好きですあなたが好きなの</p><p>オレを抱き締めてキスを求める</p><p>オレは、みすずの生の肉体を感じながら唇を重ねた</p><p>わーおっ</p><p>真緒ちゃんが、歓声を上げる</p><p>このままでは胸元がスースーしますから、ネクタイも下さい</p><p>オレは、ネクタイを外してみすずの裸の首に掛けてやった</p><p>みすずは器用に、自分でネクタイを結ぶ</p><p>じゃあ、行こうか</p><p>まずは部屋を出て廊下のトイレだ</p><p>そうね、行きましょうか</p><p>渚がそう言った</p><p>ご主人様は先鋒をお願い致しますわたくしは、殿を務めます</p><p>美智が関さんを牽制する</p><p>うん、行くぞみんな</p><p>真緒ちゃんが大きな声で返事をする</p><p>それでは失礼致します、お祖父様瑠璃子さんもお達者で</p><p>瑠璃子さんは、捨てられる子犬の様な顔でみすずを見ている</p><p>ほんのしばらくのお別れよ大丈夫、安心して</p><p>あたしも旦那様も絶対にあなたと美子さんのことは見捨てないわ</p><p>瑠璃子さんにはその言葉の意味は判らないようだった</p><p>行きましょう旦那様</p><p>オレが、ドアノブに手を掛けた瞬間</p><p>待ち給え</p><p>閣下がオレたちの退場を止める</p><p>お祖父様まだ、あたしに御用がお有りですか</p><p>閣下は</p><p>すぐそこのトイレの中に隠れるとはいえホテルの廊下は、戸外の公共道路と同じだ誰に見られるか判らん</p><p>そんなことは覚悟しております</p><p>お前は恥ずかしく無いのか</p><p>そういう思いをしろというのがお祖父様のご命令では</p><p>私はお前のそんな破廉恥な姿を、世間のやつらにに見せたいわけではないその男が服を買ってくるまでならこの部屋で待てばいいではないか</p><p>嫌なんです、あたし</p><p>みすずが冷たい眼で、祖父を見上げる</p><p>何がだ</p><p>これ以上、お祖父様と同じ空気を吸っていることがですわっお祖父様の様な心の冷たい方とは、言葉を交わすのももう嫌です</p><p>絶句する香月老人</p><p>渚がオレの背中をトントンと叩く</p><p>このままでいいのかしら</p><p>オレの耳にそう囁いた</p><p>閣下のお言葉に甘えようみすず</p><p>廊下のトイレよりここで待っていてくれる方が安全だ</p><p>藤宮さんは美智から手を出さない限りは、動かないと約束してくれている</p><p>関さんも閣下を守りながら、美智に攻撃してくることは無いだろう</p><p>むしろ、美智と関さんが牽制し合っている緊張感が続く限り</p><p>みすずや渚や真緒ちゃんの安全は保証されるはずだ</p><p>オレは、すぐに戻って来るだから</p><p>そうね、このままこの部屋で待たせて貰いましょうみすず</p><p>渚が、みすずにそう言ってくれた</p><p>あなたは嫌だろうけれどあたしと真緒にとっては、廊下のトイレよりもここに居る方が安全だから</p><p>閣下のことだから廊下の外に、香月セキュリティ・サービスの警備員を固めているかもしれないわ</p><p>この部屋を出た途端オレたち全員を拘束するかもしれない</p><p>どうでしょう閣下お言葉通りみすずとあたしたちは、ここで彼を待ちますですから彼が１階まで行って、みすずのために買い物してくることに邪魔はしないでいただけますか</p><p>渚がニコニコと閣下にそう言った</p><p>判った私も、おかしな真似はしないよ</p><p>お誓い下さいます</p><p>誓うよ約束する</p><p>その言葉に渚がみすずに</p><p>どうする閣下はこうおっしゃっているけれど</p><p>判りましたあたしは、ここで旦那様のお戻りをお待ちしています</p><p>行って来るよ、みすず</p><p>オレは一人で部屋を飛び出した</p><p>廊下を走ってエレベーターの前へと急ぐ</p><p>とにかくみすずに、いつまでもあんな格好をさせておくわけにはいかない</p><p>エレベーターまで行ってハッと気付く</p><p>そうだこの階から、乗り込むのはマズイ</p><p>オレは階段へ飛び込み４フロアほど、駆け下りる</p><p>その階でエレベーターに乗って１階へ</p><p>もう、１階には香月セキュリティ・サービスの制服組と工藤父の配下の人しか居ない</p><p>それでもお店は何とか営業していた</p><p>洋服を売ってそうな店を探す</p><p>あ、近くに２軒ある</p><p>ちゃんとした洋服店と</p><p>お土産物の店</p><p>オレは迷わずに土産物の店に飛び込む</p><p>Ｔシャツのコーナーで黒地にTOKYOの文字と浅草の大提灯の描かれているシャツをゲットする</p><p>腰がゴムになっている、フリーサイズの短パンみたいなのも見つけた</p><p>ビニール製のスポーツサンダルも</p><p>急いでレジに持って行く</p><p>これ下さいっ大至急</p><p>店員さんは本当は、香月セキュリティ・サービスの人なんだろうけれどこんな状況の中で買い物客が来たことに驚いていた</p><p>がとにかく売ってくれた</p><p>３点で合計７８５０円</p><p>高いんだか、安いんだかオレには、よく判らない</p><p>まあ、高級ホテルの中のお店なんだから市価よりは、高いんだろうけど</p><p>店員さんがありがとうございましたと言う前に、オレが礼を言って商品を受け取る</p><p>すぐに店から飛び出すまたエレベーターへ</p><p>あらどうしたの</p><p>廊下で、ネコさんにばったり出会った</p><p>ごめんなさい、今、急いでいるんで</p><p>オレは、それだけ言って廊下を全速力で走る</p><p>よく判んないけれど頑張ってねっ</p><p>背中にネコさんの声援を受ける</p><p>はいっネコさんもご無事でっ</p><p>オレは、それだけを叫んだ</p><p>エレベータ前に着く</p><p>早く来い早く</p><p>到着したエレベーターに飛び乗る</p><p>さあどうする</p><p>このまんま、さっきと乗ったのと同じ階へ行くか</p><p>それとも実際に閣下のいる階よりも上の階へ行って、階段で降りるか</p><p>どういうのが、一番良いカモフラージュになるのかオレには、判らない</p><p>最初に、山岡部長に連れ行かれた時は、どういう方式だったっけ</p><p>確か３回に分けてエレベーターに乗ったな</p><p>各階でわざわざ、少し離れた場所の違うエレベーターに乗り換えて</p><p>オレはまず１０階まで、エレベーターで行く</p><p>そこから、階段で２フロアほど、駆け上がって</p><p>違うエレベーターで、２８階へ</p><p>そして、５フロアほどまた駆け下りる</p><p>これでカモフラージュになるのかよく判らないけれど</p><p>とにかく、オレのできるベストを尽くす</p><p>元の部屋のドアをノックする</p><p>帰って来たぞ開けてくれ</p><p>オレは全身汗だくだ</p><p>額から汗が、たらたら垂れてくる</p><p>お帰りなさい</p><p>ドアを開けてくれたのはやっぱり渚だった</p><p>部屋の中へ飛び込む</p><p>さらにみんなの居る奥の部屋へ</p><p>みすず買って来たぞ</p><p>オレが部屋の中に入ると</p><p>お帰りなさいませっ旦那様</p><p>みすずが、嬉しそうにオレを出迎えた</p><p>部屋の中は薄暗くなっていた</p><p>元々、大手の企業用の会議室として作られている部屋だ</p><p>スクリーンに映像が映し出されていた</p><p>そこにオレの顔がアップで映っている</p><p>画面の中には小さく、廊下や１階のお店の映像も映っていた</p><p>ホテル内の監視カメラで今までのオレの行動を全部、この部屋で観察していたってことか</p><p>渚は笑っている</p><p>こういうことだってのは、判っていたんだな</p><p>オレにしがみついたまま祖父をジッと見つめている</p><p>気にしないで閣下もみすずも、意地の張り合いをしているだけなんだから</p><p>本当にどこまでも性格が似ているんだから</p><p>似ているみすずと閣下が</p><p>そう言えば確かに、そっくりな眼で、お互いを睨んでいる</p><p>１１分３６秒です</p><p>関さんが閣下に言った</p><p>それは予想よりも早いのかね、遅いのかね</p><p>閣下が、関さんに尋ねる</p><p>目的物を購入するまでは、予想よりも遥かに早いですが、その後はこの部屋に戻るのに、あそこまで周到な行動をするとは思っていませんでしたから</p><p>うむそうだな</p><p>何か、よく判らないが</p><p>みすず、とにかくこれを着ろ</p><p>オレは買い物のビニール袋をみすずに手渡す</p><p>そんな格好でいつまでもいると、風邪を引くぞ</p><p>これがただの試練だったとしても</p><p>今更、閣下に脱げと言われて脱いだ服は着て欲しくない</p><p>もう、凄い汗ね</p><p>渚がハンカチを出して、オレの汗を拭ってくれた</p><p>ごめんなさいねあなたに内緒にしていて</p><p>いいんだ渚にも考えがあったんだろありがとう</p><p>オレは渚に礼を言う</p><p>みすずが、オレにまた背中を向ける</p><p>オレはみすずに着せた、背広の上着を脱がせてやり</p><p>閣下の眼からみすずをガードする</p><p>みすずは、すぐにＴシャツを着て</p><p>下着を付けていないまま、短パンを穿く</p><p>素足にサンダル</p><p>うんどうにか、外に出られる格好になったぞ</p><p>しかし、随分、趣味の悪い服を買ってきたな</p><p>閣下が着替えたみすずを見てそう言った</p><p>このホテルには、もう少しセンスの良い服を売っている店もあったろう</p><p>閣下がオレに言う</p><p>今は、少しでも早くそして、安く買い物することを心掛けました</p><p>オレは閣下に言った</p><p>安く何だね、君はまた随分ケチな男なんだな</p><p>閣下がフンと鼻を鳴らす</p><p>オレを挑発していることは判っていた</p><p>ええ少しでも、お金を残しておかないといけませんから</p><p>それが、君の生き残るための知恵かね</p><p>みすずのためです</p><p>みすずの眼が大きく見開かれる</p><p>閣下がオレを見る</p><p>オレには女の子の洋服のことは判りませんどうせこの後、下着とかも買いに行かないといけないんですからみすずが、気に入った服を買えるように、お金はなるべく残しておきたかったんです</p><p>まだ９万円以上ある</p><p>これだけあれば何とか、みすずの好きな服を買ってやれるだろう</p><p>何という忠誠心</p><p>藤宮さんがオレをそう評した</p><p>違いますわ藤宮さん</p><p>みすずがニコッと笑って、オレを見る</p><p>旦那様はいつも、あたしのことを心から愛して下さっているんです</p><p>愛しげに自分の着ている服に触れる</p><p>あたしはこの服好きです旦那様が、初めてあたしに買って下さった服ですから一生大切にします</p><p>そうねあたしたちの関係は、主従関係じゃないわよね彼はいつも、あたしたちに優しいもの</p><p>はい旦那様があたしを愛して下さる様にみすずも旦那様を愛しています</p><p>みすずがそう言ってくれた</p><p>さて閣下どうなさいます二人の絆は、御覧の通りですわ彼がどんな男の子なのかも、もうよくお判りになったでしょう</p><p>渚が閣下に笑って告げる</p><p>今のオレが、みすずの服を買いに行ったのは</p><p>全てオレという人間を評価するための試験だったってことか</p><p>そいつの判断力と行動力については、よく判ったこの状況でまっすぐに買い物に行かずに、私たちの部屋の位置を悟られない工作がちゃんとできたことは認める大した気遣いだ後で、みすずに自由に服を選ばせるために、条件に適した安物の服を急いで買うことだけに集中したのも評価するしかし</p><p>閣下が、オレを見る</p><p>香月の家のみすずの婿に相応しい男とは、思えんな</p><p>冷たい眼でオレを見る</p><p>みすずの愛人恋人としてなら、これで申し分の無い男なんだろうが香月の家の人間として生きるためには、この実直さは問題だな企業経営者は、もっと鈍い方が良いトップに立つ人間はエゴイストでないと勤まらんよ</p><p>ジッとオレを値踏みする</p><p>判ったいいだろうみすずが、その男を個人的に愛人として囲うことは認めてやろうしかし、正式な夫としては、やはり香月の家に相応しい家柄の人物を迎えて貰わねば困るなに、偽装夫婦で構わん戸籍上のだけの関係でも、みすずの夫になりたいという男はたくさんいるまあやはり跡取りだけは、正式な夫の子供を産んで貰わないと困るか</p><p>閣下はそんなことを言い出す</p><p>オレとの愛人関係を認める代わりに他の男と結婚しろだって</p><p>しかもその男の子供を産めって</p><p>冗談じゃないっみすずは、オレの女ですオレ以外の男に抱かせるつもりはありませんしオレの子供以外は、産ませませんっ</p><p>オレははっきりと閣下に言った</p><p>部屋の中の女たちがオレに注目していた</p><p>こいつはもう、オレのものですっあなたの玩具じゃないっ</p><p>閣下の冷たい眼をオレは睨み返す</p><p>負けるもんか</p><p>お祖父様何か、勘違いをなさっておられるようですわね</p><p>あたしの旦那様は、どんな形でも、香月の家には入ってはいただきません</p><p>判っているそいつは、香月グループの適当な会社に入れて、そこそこの給与は保証してやるそれでいいんだろう</p><p>そういうことではありませんわ</p><p>バカにしやがって</p><p>オレはパン屋になりますからっ</p><p>パン屋だと</p><p>はいですからあなたの施しは受けませんっ</p><p>渚がオレを見る</p><p>あなたぁあたしのお花屋さんは</p><p>パン屋とお花屋さんと両方、頑張りますいずれにしても香月グループの助けは要りません</p><p>オレは、強く突っぱねる</p><p>はい旦那様には、旦那様のお仕事を頑張っていただきますわ</p><p>みすずが祖父に告げる</p><p>ですからご安心下さい香月の家の舵取りは、あたしがします</p><p>お前が馬鹿なことを言うな女に何ができる</p><p>閣下は、みすずを笑おうとするが</p><p>お祖父様にできることがどうして、あたしにはできないとおっしゃられるんですか</p><p>みすずの挑発に閣下が乗る</p><p>私を愚弄するつもりかね</p><p>お祖父様がなさっていることは優秀な人材の管理とグループ内外の利害関係の調整だけですわ本当の創造的な仕事をして下さっているのはグループの各会社の方たちで、お祖父様ではありませんお祖父様は、グループ内の問題について調整を行い才能ある人間を抜擢し、問題のある人間を排除するそれだけをなさっていらっしゃるのでしょう</p><p>それくらいお前でもできると言うのか</p><p>できなくてはなりませんいずれ、お祖父様はいなくなられるのですから</p><p>みすずは祖父と対立する</p><p>瑠璃子さんは素直で優しい方ですからそういう役割は無理でしょうかといって、お祖父様が選ばれる婚約者が調整役に付いてもグループ内に亀裂が走ることは決まっています各企業の経営は、有能な方々にお任せするとしてもグループ全体の調整は、香月の血筋のそれも、お祖父様の血を受け継いだ、あたしがするしかないと思っています</p><p>さっきお話しした通りあたしは東大へ進んで、国家官僚になりますそして、中央と政財界にパイプを作って３０歳前後で、香月グループに戻ります香月グループのどこの派閥にも属さず国と政財界に独自のルートを持っているとなれば、グループ内の方々は黙って、あたしの帰参をお許し下さるでしょうトップが香月の本家筋の人間であることの方がグループ全体が安定することは、皆さんお判りでしょうし</p><p>しかし、それではお前が、大変だろう香月のトップになるということは、様々な野心家に常に付け狙われて生きていくということだぞ</p><p>だからあたしには、旦那様が必要なんです</p><p>この人さえいればあたしは、どんな困難も乗り越えられますこの人に抱かれているだけで、心が安らぐんです大好きなんですっ</p><p>みすずはずっと香月の家全体のことを考えてきて</p><p>自分や瑠璃子さんたちの未来を案じて</p><p>ずっとずっと、苦しんでいたんだ</p><p>オレは何をしてあげれるんだろう</p><p>判ったみすずオレ絶対に、お前を離さないからずっとずっと、オレが側に居てやるから</p><p>そしてみすずは</p><p>スッと、オレの前に跪く</p><p>お手を</p><p>オレの手をみすずが掴みキスをする</p><p>香月みすずは晴れた日も、雨の日も健やかなる時も、病める時も富める時も、貧しき時もあなただけの女としていつも変わらぬ愛を、あなただけに捧げることを神様に誓います</p><p>ニコッと笑って、オレを見上げるみすず</p><p>みすずの瞳に、キラキラと喜びの涙が光っていた</p><p>みすずはあなたのものですもう、絶対に、絶対に離れませんからっ</p><p>そう言ってみすずは、立ち上がりオレに熱い口づけをした</p><p>オレたちの抱擁に瑠璃子さんと美子さんが感激している</p><p>関さんと藤宮さんは呆然としている</p><p>今のってどっちかって言うと、男の人が女性にするべき行動ですよね</p><p>まあ、一般的にはそうよねみすず様の方が、主導的過ぎるわね</p><p>こ、これってけ、結婚しちゃったっていうことなんでしょうか</p><p>そんなの知らないわよっ結婚て神父様もいないのに、勝手に自分で宣誓しちゃってもいいものなの</p><p>でも、みすず様は神様に誓われましたよ</p><p>法律的にはオレはまだ高１だし、全然ダメなんだよな多分</p><p>そういう現実的なこととは関係無く神様の前での愛の宣誓ということにこだわっている辺りが、関さんも藤宮さんも乙女なんだなあと感じる</p><p>しかし、閣下は</p><p>はあ今日も暑そうですね</p><p>私は、大学一年生の夏休みはエキストラのバイトをしていました</p><p>テレビや映画の後ろを歩いている係ですね</p><p>私は、大きなエキストラ事務所に所属したのですが（今は潰れて無くなったそうです）</p><p>そこの会社だと、１番組につき８０００円ぐらいのギャラだったのですが</p><p>同じ番組に来た子でも、下請けの事務所の子だと５０００円</p><p>孫請けだと、３０００円</p><p>一番可哀想なのは、俳優養成所の子で勉強だと思って行きなさいと言われてノー・ギャラだったそうです</p><p>撮影待ちの時間に、その場に居たエキストラの人の話の中で判ったことで</p><p>同じことをしているのに、余りのギャラの違いに全員驚いていました</p><p>緑山スタジオに行った時に、時代劇の幕末の敗残兵の幕府軍の格好をさせられて全員、顔に血糊を塗られたまんま６時間待たされたのも、良い思い出です</p><p>トイレから出た時に、ドスンとぶつかってしまった女性に</p><p>まあ、気を付けなさいね</p><p>と怒られたのですが大原麗子さんでした</p><p>と、声を掛けていたのが、いかりや長介さんでした</p><p>お二人とも、すでに亡くなれているといるんですね</p><p>暑いけど</p><p>247．後継者宣言</p><p>みすず許さんぞ、私は</p><p>祖父の声に、みすずは</p><p>はい許して下さらなくて結構ですあたしは家を出て、旦那様と暮らしますから</p><p>それでどうするつもりだ</p><p>さっきお話しした通りです渚様の家で旦那様と暮らします東大へ進みますし国家官僚になりますお祖父様がお元気でなくなる頃には香月の一族の皆様が、あたしを必要としますわほんの１０年間の我慢です１０年香月の家を出るだけのことですそしたら、また瑠璃子さんとも仲良くできます</p><p>私が老いるのを虎視眈々と待ち続けるというのかっ</p><p>お祖父様、本当に判ってらっしゃらないみたいですね</p><p>みすずは強い眼で、祖父を睨む</p><p>お祖父様は、もうすでに充分年老いていらっしゃいます</p><p>みすずこの私に対して、何てことを</p><p>渚が真緒ちゃんにささやく</p><p>ほら、真緒アレをやって</p><p>そして真緒ちゃんが、とことこと二人の間に立って叫ぶ</p><p>ダーメケンカしちゃ、ダぁーメッ</p><p>可愛い幼女の乱入に呆気に取られる二人</p><p>ホント性格がそっくりなんだから</p><p>渚が祖父と孫娘を見て、そう言う</p><p>強情で意地っ張りいつでも、精神的に自分が優位な立場に立とうとするそれでいて二人とも、頭の回転が速いからどうしようもない、口喧嘩を続けることになるのよ</p><p>閣下は渚を見る</p><p>みすずは前は、こんな子じゃなかった明るくて、優しくて、大人しい子だったぞお前のところに行かせてからだこんな生意気な娘になってしまったのは</p><p>みすずが、祖父に抗議する</p><p>あたしは昔からこういう娘ですっ渚様の所に行くまでは誰にも本当のあたしを見せることができなかったのよっ渚様と旦那様が素のままのあたしでいられるようにしてくれたんですっ</p><p>言葉の最後は涙声になっていた</p><p>あたしやっと、思っていることを自由に言うことができるようになったんですっお祖父様や一族の皆さんが喜んで下さる様な良い子を演じるのは、もう疲れたんです</p><p>この人が素のままのあたしを、受けとめてくれたんですあたし、この人の前ならどんな姿もさらけ出せますどんなあたしでもみすずがみすずである限り、この人は笑って抱き留めてくれますっあたしっ、絶対に離れないんだからっ</p><p>オレはみすずの背中を擦る</p><p>落ち着け、なオレはここに居るから大丈夫だから</p><p>渚が閣下に言った</p><p>みすずは心が優しすぎる上に、頭が良すぎるからずっと、香月様や周りの方々の望まれる様な娘を演じてきたのよねいつも自分の感情を押し殺して、我慢してよく頑張ったわねみすず</p><p>でも香月様は、みすずがそうやって無理をしていたことをちゃんとご存じだったわだからあなたをあたしのところへ行かせたのよ</p><p>閣下が口を開く</p><p>ああ君なら、みすずの傷ついている心を癒やせると思ったんだ君の力を信用していたなのに私の期待を裏切って、男を宛がうとは</p><p>渚は、フフッと笑う</p><p>あら彼と出会ったことで、みすずの心の悩みは全て解消しましたわみすずに本当に必要だったのは、あたしという女ではなく彼の様な男の子だったんですよ</p><p>オレを見る渚</p><p>男なんぞに誑かされおってしかも、そいつは黒森の男じゃないか</p><p>黒森の男ですけれど彼が、あたしたちのところに来たのはつい最近で、黒森の本業には一切関わっていないということは、香月様はすでにお調べになっておられますよね</p><p>うぐっ</p><p>どうやら図星らしい</p><p>渚の言う通りオレは、黒い森の本業娼館の仕事には、一切関わっていない</p><p>もちろん、男娼でもない</p><p>彼は、ただの高校生です普通の少年ですわ</p><p>普通では困るのだよ香月の家のためには</p><p>祖父の言葉に、みすずが叫ぶ</p><p>みすずにはこの方が必要なんですっ</p><p>ああ、堂々巡りだ</p><p>このままじゃあ、ラチがあかない</p><p>渚が抑えた声で、言った</p><p>そんなに口惜しいのですかこの少年に、みすずを奪われたことが</p><p>香月の家のためとか全て、言い訳でございますよね閣下は、ただいつまでも、孫娘たちを自分の支配下に置いておきたいだけなのでございましょうなのに、みすずが自分の知らないところで男を作って、独立してしまいそうだから、閣下は焦っておられるのでしょう</p><p>渚がニッと微笑む</p><p>私が、そんなに小さな男かね</p><p>肉親のこととなると、どんな人間でも執着してしまうものですよ特にそれが、愛しい孫娘のことだったら</p><p>みすずが大きく眼を見開く</p><p>お祖父様</p><p>渚はみすずに話し掛ける</p><p>香月様のお気持ちも、ちょっとは考えてみてねみすずはまだ、閣下のことにを一面的にしか見ていないわ</p><p>渚様、それはどういうことですか</p><p>あたしは色々な名家のご当主の方々とも、お付き合いがあったでしょうだから、よく知っているの二人きりになった時に、そういう方たちは、あたしだけに愚痴を零されるから</p><p>渚はかつて黒い森で一番人気のある娼婦だった</p><p>もちろん香月様の愚痴も、たくさん聞いたわよ</p><p>おい、君</p><p>閣下は慌てる</p><p>ご安心下さい別にあたしの口からは申しませんからでも、みすず、ちょっと想像してご覧なさい</p><p>渚が優しく、みすずの眼を見る</p><p>さっきあなた自分は子供の頃から、周囲の期待に応えるために良い子であることを演じ続けなくてはいけなくて、辛かったって言ってたわよね</p><p>そういう辛さはあなただけが、感じていると思う</p><p>いいえきっと瑠璃子さんも、同じお気持ちだと思います香月の本家の血筋の子供はみんな</p><p>みすずの言葉に瑠璃子さんは、小さく頷く</p><p>瑠璃子さんだけなのかしら</p><p>渚が、クスッと笑う</p><p>香月様もね今はこんな、ご立派なお顔をなさっているけれどやっぱり、ご幼少の頃があったのよ香月本家の嫡流の子供だった頃がね</p><p>ハッとするみすず</p><p>香月様がお若い頃は、今とは世相も違うしねあなたが体験したことよりも、もっと厳しい環境の中でご成長なさったんだと思うわよ</p><p>二人の孫娘が祖父を見る</p><p>私が幼い頃はまだ封建時代の古い因習がたくさん残っていたからね私は香月家当主の嫡男として生まれた私には２人の弟と、３人の妹がいたが私はいつも、父と一緒の座敷で二人だけで食事をした母や弟妹は、別の座敷で食事をしていたよ弟妹たちとは、ろくに会話をしたこともないね嫡男、跡取り息子というのは、その頃は特別な存在だったんだ</p><p>閣下は苦々しい表情で、話を続ける</p><p>親戚の集まる場でも私だけ父の隣の上座に座らせられる周りはみんな大人たちだ</p><p>私は大人たちの中で邪魔にならぬよう、常に静かにしていなくてはならなかったそれでいて、威厳のある堂々とした態度でいないといけない絶対に笑ってはいけない表情を見せてはいけない心の内を見透かされてはいけないよく、父にそう言われたよ隙を見せれば、香月の家を奪おうとするような輩がたくさんいるそういう悪人たちから、家を守るために当主は強くならねばならないとね</p><p>オレにはそういう人生はよく判らない</p><p>ただ閣下が孤独で寂しい少年時代を送ったということだけは、よく判った</p><p>古の昔より名家の当主の仕事は、変わらない家の内外の利害関係の調整だよ臣下たちを安堵させ、味方からは絶対の信頼を敵には、冷酷で手強い相手であると思い込ませないといけない何より、公正さが求められる公正で無い当主は、臣下によって打ち殺される彼らの期待にそぐわなかった当主は座敷牢に押し込められ、憤死しさせられる香月家の長い歴史の中には、そういう人物も何人もいる心身が弱かったり、自己中心的だったり、疎かすぎると臣下に判断された当主は、闇に抹殺されるそういうシステムがあるからこそ香月の家は、現代まで残ったのだ１０００年もの長い時をね</p><p>京都の王朝貴族を祖として明治以降は、華族戦後の動乱期も生き延びた、日本有数の名家</p><p>香月家はそうして保たれてきたのか</p><p>臣下たちの求める公正さとはどんなものか判るか単に、働きの良い者には相応の褒美を与えるということだけではない敵対者、裏切り者には徹底的な罰を与えるそして眼の前に力の衰えた、弱った相手がいれば情け容赦無く、確実に屠るということだよ臣下たちは貪欲だだからこそ、当主は臣下以上の貪欲さを見せなければならない非情な貪欲さだよ当主のそういうアグレッシブな姿があればこそ臣下たちの貪欲さを満足させることができる</p><p>閣下という人間は香月家の当主であるために、そういう人格を演じているのか</p><p>いや、違う閣下の場合は</p><p>周囲から要求されているような人格の人間に閣下はならざるえなかったんだ</p><p>ある意味においては私は、何もかも自分の思い通りに勝手気ままに生きている何人もの人間の人生を良くも悪くも変えている世間や、臣下たちがそう思っているように</p><p>みすずも瑠璃子さんも真剣な顔で、祖父の話を聞いている</p><p>もちろん、オレたちも</p><p>関さんや、藤宮さんまで</p><p>しかし、別の意味においては私は何一つ、自分の好きにはさせて貰えない勝手きままに見えても私の行動の全ては、香月家当主としての公正さが規範となっている人々の人生を左右するのもあくまでも、家というものを生かし続けていくためだ臣下たちの求める公正さで、私は調整を続けているだけだ非情で無慈悲な、恐ろしい権力者の仮面を付けて</p><p>苦笑する閣下</p><p>いや私は楽しんでいるよこの人生をね香月家当主という生き様この孤独をね</p><p>閣下がみすずと見る</p><p>私がさっきの司馬の息子のように一族や部下の子供たちを教育と称して、集めているのも親たちは、自分の子供を私に人質として差し出しているつもりなんだよその代わりいずれ、全員、香月グループの要職に就けて貰えるものだと思っているとんでもない話だ私は正直あんな若造たちの面倒を見るために、大事な時間を取られるのは、たまらないと思っているよ</p><p>では、なぜあの方たちを集められているんです</p><p>仕方無いだろう香月家の未来のためだ</p><p>閣下は、答えた</p><p>瑠璃子の父親は私の後継者ということになっているが、強い性格ではないこのまま当主になったら、家は分裂してしまうだろう現在の香月家は、一族の分家や古くからの臣下のグループと、この３０年で新しく臣下となった者たちの新興勢力つまり、司馬くんのグループに分かれている瑠璃子の父親では、両グループの対立を解消することはできまいむしろ両方のグループに利用されて、香月本家の権威が失墜するだけだろう</p><p>閣下は、香月の家の中の問題を簡潔に話した</p><p>だから私は引退できないし、強い当主であり続けなくてはならない私が教育するという名目で両グループの子供たちを集めているのはどんな形でもとにかく交流し合ってしまえば、対立軸は解消されていくということを知っているからだ息子たちのレベルでは、すでに守旧派閥も新興派閥もなくなっている気安く話のできる友人として親の世代の枠組みを超えているもちろん若造たちの最初の話題は、私にたいする恨み言だろうがねそんなことでも、交流のキッカケになればいい子供の世代の混交は、いずれ親たちに波及する私は、それを狙っているのだよ</p><p>だからあたしを新興グループのトップである、司馬さんの息子さんと婚約させたんですねそして、おそらく瑠璃子さんの婚約者は、守旧派の方の中から選ばれるおつもりですね</p><p>祖父は答えた</p><p>仕方無かろう香月家内の融和を計るためには、それしかない</p><p>両方のグループの顔を立てるために孫娘を、それぞれの派閥の息子と婚約させる</p><p>みすずの婚約者が司馬貴彦だったのは年齢の近さと、新興グループである司馬の方の顔を、先に立てようという配慮だろう</p><p>瑠璃子さんの方が、嫡男の娘なんだから守旧派の顔も立つ</p><p>瑠璃子さんとみすず婚約者が誰になったのかは、二人の成人を待って、一斉に公表するつもりだったんだ</p><p>果たしてそうでしょうか</p><p>それで今は時間が稼げてもいずれは、あたしと瑠璃子さんの婚約者を旗頭にして、両グループの対立はさらに激化するのではありませんか</p><p>そうなるかもしれんならないかもしれんそれは、これからの舵取り次第だろう</p><p>いいえ司馬沖達さんは野心家で、香月家全体の支配を狙っていらっしゃるのですからお祖父様の望んでいらっしゃる様な融和は、まず不可能ですわ</p><p>みすずは、そう分析する</p><p>確かに対立するグループの片方の長が、徹底抗戦派ならどんな融和政策を施しても無駄かもしれない</p><p>ではお前なら、どうする</p><p>簡単ですわ司馬さんのグループを、香月家から独立させます</p><p>二つの派閥が対立するのはどっちも、香月家の企業全部の主導権を握りたいからでしょうならば、香月の家の企業を二分します司馬さんの方は、香月家は株主という立場だけで経営は全て、司馬さんにお任せすればよろしいではありませんか</p><p>それではいずれ司馬くんが株を増資して、香月家の持ち株比率を下げるだろう会社ごと司馬くんに奪われるぞ</p><p>祖父は、そう返答する</p><p>そんなことはありませんわ司馬さんと香月家との関係が良好ならばわざわざ、優良株主の力を弱めて、別の投資家を呼び込んだりすることはありませんわ司馬さん自身は、株を買い漁る財力はお持ちで無いのですから野心のある新規の投資家に株の大半を押さえられる方が、司馬さんにとっては嫌なはずです</p><p>しかし香月の企業が二分化されるということは、対外的な力が</p><p>持ち株数で支配しているのですから対外的な評価は、変わりませんお祖父様は、御自分がお育てになった香月の企業グループの見た目がほんの少しでも、小さくなるのがお嫌なだけでしょう自分の影響力が及ぶ範囲が減ることに、ご納得できないだけですつまらない、こだわりですわ</p><p>みすずの言葉は厳しい</p><p>司馬さんたちを独立させると言ってもオーナーは香月家のままです経営の全てを、司馬さんたちにお任せするだけで利益は、もちろんいただきます司馬さんが失敗すれば、責任を取ってお辞めいただけばいいだけのこと経営責任者になる以上は、そういう覚悟はお持ちになるばずです</p><p>淡々とみすずは語る</p><p>香月家が、直接全ての支配下企業の経営を行うという形式はもう、止めるべきですわ才能ある方に、各企業をお任せするそういう形に変更していくべきです</p><p>お前は判っておらんのだ企業経営というものは</p><p>お祖父様のお若かった頃とは、もう違うんです</p><p>祖父と孫娘の討論に渚が割り込む</p><p>はーいそこまでっ</p><p>緊迫していた部屋の空気が弾ける</p><p>そういう経済に関する討論は、お祖父様とこれからもどんどんやりなさいねっ</p><p>渚がみすずに言う</p><p>香月様もみすずが、後継者に相応しい娘だっていうこと、お判りになって下さいましたよね</p><p>そうか渚の目的は</p><p>閣下とみすずが、腹を割って話す場を作ることだったのか</p><p>お前が女で残念だよみすずお前が男なら安心して、私は引退するよ</p><p>お祖父様現代では、男も女も関係ありませんわ世界の政財界では、女性が何人も活躍しています</p><p>みすずは、祖父に反論する</p><p>ふんっ今の時代ならば、女の当主も有りかそうだな私は、日本の古い規準で物事を考えすぎていたのかもしれない</p><p>しかしお前の経済や企業経営に関する洞察は、まだまだだそれについては、これから徹底的に教え込んでやる</p><p>渚くんの言う通りだみすずが一番、私に性格が似ているよ</p><p>みすずが香月家の後継者になる</p><p>みすずお姉様わたくしは、お姉様を支持いたしますっ</p><p>瑠璃子さんが大きな声で言った</p><p>お姉様が、お祖父様の後継者になられるのが一番ですわ</p><p>ありがとう瑠璃子さん</p><p>みすずは、祖父に向かう</p><p>では、お祖父様あたしと瑠璃子さんの婚約者を指名するという方針は、撤回して下さい</p><p>オレの手をギュッと握る</p><p>あたしはもう、この人の女ですし瑠璃子さんにも、自分の好きになった方と結婚していただきます</p><p>血縁を結ぶというのは過去でも現在でも、集団形成においては最強の方策だぞ</p><p>しかしそれでは、あたしたちが幸せになれません</p><p>オレの手を握る力が増す</p><p>そうかなら仕方ないなお前たちを解放しよう</p><p>そんなみすずの様子を見て</p><p>ついに閣下が、みすずに折れる</p><p>正直その若造のどこが良いのか、私にはさっぱり判らんがただのお人形だったみすずを、快活な少女に変えてくれたというのは本当なんだろうみすずに対して誠実だということも判っている従順で大人しい亭主を持つ方が、お前には良いのだろうな</p><p>従順で大人しい亭主ってオレのことか</p><p>オレってそんな風に見えているの</p><p>ありがとうございますお祖父様</p><p>ただし結婚式だけは、きちんとしろ香月の家を継ぐつもりなら、そういうことだけはしっかりとやれ私も出てやる政財界の連中が、ズラッと並ぶことになるが構わないな</p><p>はいもちろんです</p><p>オレはギョッとする</p><p>オレメグとも結婚式をする約束をしているんですけれど</p><p>えみすずとも、結婚式</p><p>それも政財界の大物って</p><p>楽しみですねっ旦那様</p><p>オレどうなるの</p><p>おめでとうございますっみすずお姉様</p><p>おめでとうございますっみすず様黒森様</p><p>瑠璃子さんと美子さんが早速、祝福の言葉をくれた</p><p>おめでとうみすず、あなた</p><p>おめでとうっ</p><p>渚と真緒ちゃんも</p><p>っていうか渚、いいのか、お前はそれで</p><p>関さん、藤宮さんお判りだとは思いますが、この件は一切、外には漏らさないで下さいあたしはお二人の能力と香月家への忠誠心については、よく理解しているつもりですこれからも、どうかよろしくお願いします</p><p>香月家の次代の後継者としてみすずは、二人にそう告げた</p><p>は、かしこまりました</p><p>藤宮さんは、即座に返答する</p><p>わわわ、わたくしも判っております判っておりますから</p><p>眼の前で香月家の後継者が決定してしまったことに、関さんは戸惑っていた</p><p>お二人ともずっと、あたしの下で働いていただきたい方だと思っています香月セキュリティ・サービスという会社とは関係無しに香月家の警護人になっていただきたいと</p><p>みすずは二人を自分の直属にしたいと考えている</p><p>ずっと黙って様子を見ていた美智が寂しそうな眼で美智を見る</p><p>安心なさい別に美智の働きに不満があるわけではないわこれからは家族がどんどん増えるでしょ美智は、ずっとあたしと旦那様の側に居るんだから警護の人だって増やさないといけないのよ</p><p>ニコッと微笑むみすず</p><p>美智は、ホッとしたようだった</p><p>お返事は今すぐでなくても結構ですわ現在、わたしちはシザーリオ・ヴァイオラという犯罪者に狙われている最中ですしその件が解決した後に改めて、お話致しましょうお祖父様もよろしいですね</p><p>うむこの二人を引き抜かれるのは辛いが今後のみすずの警護には、彼女たちぐらいの手練れの者は必要だろう香月家の未来の当主に、何かあってはいけないからな私からも頼むしばらくは、香月セキュリティ・サービスからの出向ということになるだろうが</p><p>閣下の言葉に二人は</p><p>拝命致します</p><p>あっ、わたくしも</p><p>こうして、藤宮さんと関さんはみすずの専任警護人となった</p><p>正式な辞令が出るのは、先だろうけれど</p><p>さってとそしたら、申し訳無いんだけれどお二人はお隣の部屋で、あたしの子と遊んでいて下さらない</p><p>渚が関さん、藤宮さんに言った</p><p>渚くん、どういうことかね</p><p>閣下の言葉に、渚は</p><p>家族だけでちょっとした儀式をやりまーすっ</p><p>え、儀式</p><p>ママ真緒は、家族じゃないの</p><p>真緒ちゃんの言葉に渚は</p><p>真緒ももちろん家族だけれど真緒はまだ小さし、真緒が居るとお兄ちゃんが恥ずかしがると思うのだから、今回はお姉さんたちに遊んでもらってて</p><p>もうちょっと大きくなったら、真緒もちゃんと入れてあげるわ約束するから</p><p>ママが真緒に嘘を吐いたことある</p><p>じゃあ、いいでしょママを信じて</p><p>渚が関さんたちを見る</p><p>ということですのでこの子と、隣の部屋へ行っていて下さい</p><p>あ、あのどういうことなんでしょうか</p><p>関さんの問いに渚は</p><p>香月家の様な名家ですと色々あるんです</p><p>ニコニコ微笑む渚</p><p>いえあのあなたは、どういう関係の方でございますか</p><p>関さんは渚が、香月家とどういう関係なのか判らないようだった</p><p>まあ、普通は判らないよな</p><p>みすずとこの人の家族ですわ</p><p>渚はそう答えた</p><p>何をするつもりなのかね</p><p>閣下までが、不思議そうに渚に尋ねた</p><p>だから家族の儀式ですよっ</p><p>みすずが、関さんと藤宮さんを見る</p><p>とにかく席を外して下さいこの女の子をよろしくお願いします</p><p>お願いしマースっ</p><p>真緒ちゃんが、トコトコと二人のところへ向かう</p><p>判りました参りましょう、関さん</p><p>じゃあ、ねぇっ</p><p>関さん、藤宮さん、真緒ちゃんがドアから隣の部屋へ行く</p><p>さーてと</p><p>渚がオレとみすずを見る</p><p>判っているわよね二人</p><p>香月様の前でセックスしなさい</p><p>これまでもエロだけでなく、アクション物になったり、青春物になったり色々とやってきましたが</p><p>まさか、企業物になるとは</p><p>うーむどういう作品なんだ</p><p>エキストラの思い出の続き</p><p>私が夏休みにバイトしていた頃は、まだ時代劇とか刑事物とかの番組がレギュラー放送されていた時代だったので、色々と面白い体験をしました</p><p>東京でも、小田急線の生田に時代劇のオープン・セットが残っていましたし</p><p>刑事物でも、予算の少ない作品ですと同じエキストラが衣装を変えて、何度も出て来ます</p><p>ある日、オンエアーされた作品を見ていますと</p><p>殺人現場の部屋の前で、黄色いロープの前に立っている警官（私）がやってきた主人公の刑事に敬礼します</p><p>主人公刑事が現場に入ると中で、写真を撮っている鑑識課員がやっぱり私</p><p>場面が変わって、警察署に戻った主人公刑事と擦れ違う警察官も私と</p><p>自分がクローン人間になったみたいに、３分ぐらいの間に、３回現れたのは笑いました</p><p>ただ夏休み期間の撮影は、すでに十月以降に放映の分を撮っていますから</p><p>真夏なのに冬服なんですよねぇ</p><p>それが厳しかったです</p><p>ちなみに、その時の主役のタ＊ヒロ＊さんが、撮影の待ち時間に上半身は黒いスーツに黒ネクタイなのにもかかわらず下半身はパンツ一丁で、足をタライの水に浸けて暑いなって、呟いていたのを見たことがあります</p><p>248．香月重孝の裏と表</p><p>えっとどういうこと</p><p>オレは、思わず渚に尋ねる</p><p>何で、ここで閣下の眼の前で、セックスしないといけないんだ</p><p>渚は</p><p>人間て多面的なのよ心には、表もあれば裏もあるよく、ほら、上半身と下半身では、思いが違うとか言うでしょ</p><p>うんとよく意味が判らないけれど</p><p>今、香月様は喜んであなたとみすずの仲を認めて下さったけれど、それは心の表側というか、上半身での思考よね下半身では、まだあなたのことを認めて下さっていないわ</p><p>下半身</p><p>これとても、重要なことなのよ今、この問題を解決しておかないとこの後ずっと、香月様はあなたに対して悪い感情を抱き続けるわ顔は笑っていても心の中では、あなたのことを憎むと思う</p><p>どういうことですか渚様</p><p>みすずも、真剣な顔で渚に尋ねる</p><p>まあ大事な孫娘を、余所の男に奪われるというのは、男性としてはとても辛いことなのよ普通の人でもねだけど香月様はみすずと瑠璃子さんに特別な感情をお持ちになっていらっしゃるから</p><p>特別な感情って</p><p>おい、君何てことを言うんだっ</p><p>慌てる閣下</p><p>あらもういいじゃないですかここには、親しい家族しかいないんですし香月様のお心の全てをブチ撒けてしまわれたらどうです</p><p>ニコニコ笑いながら渚は言う</p><p>すっかり困惑している閣下</p><p>あたしは全部知っていますだって５年前に、香月様自身があたしにお話して下さいましたものね</p><p>５年前渚は黒い森の現役の娼婦だった</p><p>閣下も、渚の顧客の一人だ</p><p>二人きりの個室の中で閣下は何かを渚に語った</p><p>あの屋敷の中で話したことを、勝手に公表するのは職業倫理に触れるのではないか</p><p>少し怒りを込めて強い眼で閣下は、渚を睨む</p><p>だったら、自分から白状なさいっシゲちゃんっ</p><p>しシゲちゃんて</p><p>先生、判ったのって聞いているのよシゲちゃん</p><p>は、はいいっ先生ぃぃ</p><p>渚の叱責に香月家当主・香月重孝８２歳が、高い声で返事をする</p><p>小学校低学年の男子児童が綺麗な女教師に怒られた時の様に、小さく身を屈める</p><p>素直じゃない子先生は、大嫌いよっ</p><p>も、申し訳ないです先生</p><p>閣下渚と、どういうプレイをやっていたんですか</p><p>みすずはあんぐりと大口を開けて、驚いている</p><p>瑠璃子さんと美子さんも普段、どっしりと構えている祖父の豹変に驚いている</p><p>あのあなたは、お祖父様の先生なのですか</p><p>瑠璃子さんが渚に尋ねた</p><p>そうですねえ昔香月様の様な政財界の重鎮の皆様の個人的な心理カウンセラーというか、セラピーみたいなことをしていたんです</p><p>セラピーですか</p><p>はい、全身を使って汗をかくセラピーです主にやっていたのは</p><p>それって、セックスだろ</p><p>渚は、黒い森での特権階級の老人たちとの売春行為を心理セラピーだと言い切った</p><p>ですから香月様の本当のお心を、あたしは直接聞かせていただいたのです</p><p>渚が閣下を見る</p><p>さあ自分で話しなさいシゲちゃん</p><p>閣下はうつむいて呟く</p><p>で、できないです先生</p><p>どうしてなの、シゲちゃん</p><p>話したら孫娘たちは、私を嫌いになります</p><p>お祖父様どんなことがあろうとも、みすずはお祖父様を嫌いになったりは致しませんっ</p><p>わたくしもですわお祖父様</p><p>瑠璃子さんも、みすずと一緒に祖父の顔を見つめる</p><p>しかし私は</p><p>逡巡する閣下</p><p>お祖父様みすずは、性的にはマゾです</p><p>みすずが、はっきりと祖父に告げる</p><p>はい、マゾなんですお祖父様には、お話し致します</p><p>お前何を言い出すんだ</p><p>オレもみすずの言葉に戸惑う</p><p>だが、みすずは真剣だった</p><p>あたしはマゾでアブノーマルなセックスをすることを好む女ですですけれど絶対に旦那様としか、セックス致しませんこの人は、あたしのどんな性癖もニッコリ微笑んで受け入れて下さいましたから</p><p>１７歳の孫娘の告白祖父は驚いている</p><p>それが、みすずの秘密です家族以外の人間には、絶対に明かさない内緒の秘密ですあたしが秘密を打ち明けたのですからお祖父様も、あたしたちに秘密を打ち明けて下さい</p><p>閣下は、悩んでいる</p><p>わ、わたくしもマゾですっ</p><p>突然、大きな声をあげたのは美智</p><p>わたくしは、まだ未経験ですがみすず様に見ていただきながら、アブノーマルなセックスをしていただくのが夢ですっ</p><p>何か知らないがみすずの告白が、美智の心に火を付けてしまったらしい</p><p>顔を真っ赤にして確実に、興奮している</p><p>あ、あのみすずお姉様</p><p>逆に瑠璃子さんと美子さんは、きょとんとした顔をしている</p><p>セイ的にマゾというのは、どういう意味なのでしょうかアブノーマルなセックスというのは</p><p>性についての知識を一切与えられていない二人にはみすずと美智の告白の意味が全く判っていない</p><p>大丈夫よ、二人にも判るようにゆっくり説明してあげるから</p><p>渚が二人に微笑む</p><p>まあお手数をお掛けして申し訳ございません</p><p>瑠璃子さんが渚にペコリと頭を下げた</p><p>でもその前に香月様に２０年前の出来事について、お話していただかないとね</p><p>２０年前</p><p>閣下は黙って、うつむいている</p><p>お願いしますお祖父様</p><p>みすずの声に閣下は、顔を上げる</p><p>みすず、瑠璃子よく聞いてくれお前たちの父親たち以外に、私にはもう一人息子が居た</p><p>それは初耳でございますわお祖父様</p><p>驚くみすずと瑠璃子さん</p><p>無理も無いお前たちには、教えないように徹底したのだよ</p><p>閣下は孫娘たちを見る</p><p>瑠璃子の父親、重秋みすずの父親、重冬その上に、重春という長男が居たのだよ</p><p>その方が香月様の本当の跡取り息子だったのですわね</p><p>そうだ私は、長男の重春を香月家の後継者に、次男の重秋を政治家に、三男の重冬を国家官僚にするつもりだった</p><p>閣下は、苦しげに話す</p><p>重春は二人の弟とは、１０歳以上年が離れていた２０年前にすでに４０歳を過ぎ、香月グループの中での地位も固めていた私から重春への権力の継承も、すでに始めていたのだしかし</p><p>閣下は溜息を吐く</p><p>２０年前重春は、家族旅行で滞在していたロサンゼルスで殺された重春の妻と３人の子供たちも一緒だ</p><p>殺された</p><p>武装した強盗に襲われたという話だが詳しいことは、判らない重春に付けていたボディ・ガードも一緒に殺されたからな私が、香月家の警備部門を、香月セキュリティ・サービスに拡充し、優秀な警護人を集めるようになったのはそれからだ</p><p>アメリカで長男を失ったことが香月セキュリティ・サービスという要人警護専門の警備会社を作ることに発展した</p><p>しかし問題は、香月家の後継者をどうするかということだった重秋も、重冬もまだ３０前後で将来の道を変えることはできるとはいえ香月という大きな責任を持った家の当主となるための教育を施すには、少し年を取りすぎていたまた重春が亡くなったばかりだというのに、重秋と重冬をそれぞれ担ぎ上げようとする連中が現れ香月グループの屋台骨が、大きく軋んだ</p><p>そんなことがあったんだ</p><p>とりあえず官僚は辞めてしまったら終わりだ私は、重冬は霞ヶ関に残すことにしたそもそも、末の息子はちまちまと机に向かうのが好きな内向的な性格だ国家官僚としては良いのだろうが名家の当主には向いていない</p><p>それがみすずの父親</p><p>しかし次男の重秋は子供の時から政治家になるための教育を受けさせ、与党の有力議員の秘書をやって政治の実態を学び次の衆議院選挙に出馬する予定だったからなこの段階で家に戻って、死んだ兄の代わりに後継者になるということに、随分抵抗があったようだ</p><p>初めて聞く、父たちの話をみすずと瑠璃子さんは、真剣な顔で聞いている</p><p>私も堪えたよ６０を過ぎて、息子を失うというのはしかも、いい歳をした次男を再び１から後継者として再教育しなくてはならないいや重秋には政治家として大衆に好かれる大らかさはあるが企業経営者としての抜け目の無さに欠けることは判っていた</p><p>閣下は苦悩の表情で語る</p><p>浮ついている家臣たちの心を一つにまとめるためには、私が次男の重秋を後継者に指名するしかないが重秋には、当主としての才覚はないだから重秋を取りあえずの時期当主に指名しながら２０年私は、ついに重秋に当主の地位を譲ることができなかったんだよ</p><p>８２歳の現在に至るまで閣下は引退できずにいる</p><p>いささか私も嫌になってしまってねいや、何もかもが嫌になってしまった大事に育ててきた長男が異国の地で家族ごと憤死してしまったということその長男の死に弔意を見せることなく、後継者争いに湧いた家臣たち当主の資質の無い、次男、三男しかし、その様に教育したのは、私なのだ長男を絶対的な後継者にするために、弟たちとは差を付けて育てたのだから私自身が、そうやって育てられたように</p><p>人は自分が受けた教育を、次の世代に施す</p><p>閣下は香月家の嫡男として、弟妹たちとは隔離されて育てられた</p><p>だから閣下も自分の長男だけを特別扱いして、弟たちには最初から別の道を示して特化した教育を施した</p><p>なのに長男が急逝する</p><p>私はあの頃全てに絶望していたよそして香月の家がそれまでの自分の人生が、急に空虚な意味の無いものに思えてきてねもう何もかも、破壊してしまいたくなった香月家を守り育み、未来の世代へと繋げていかなければいけない当主としての生活を続けながら同時に、香月家という古いものを全て破壊し尽くしてしまいたいという衝動に駆られた２０年前の私は、６０代に入ったばかりだ肉体も精神も、まだまだ衰えていなかった財界人としての確固たる地位も築いていた香月の家の中にも、私の意に反するようなことをする人間は一人もいなかったいや、私の敵対者は全て葬ってきた私は人生の絶頂期だったんだだから魔が差す</p><p>魔が差す</p><p>私は、残った二人の息子に二人とも、結婚はまだだったそれぞれ、香月家に相応しい名家から、美しい娘を嫁に迎えたそして、それぞれ女の子一人だけを産むことを命令したそれ以上の、子供は絶対に産んではならないと厳命した年齢差も三男の嫁が先に出産して、次男の嫁はその２年後というのも、私が計画した</p><p>それがみすずと、２歳年下の従妹、瑠璃子さん</p><p>どうしてですお祖父様</p><p>当時の私の心は、表と裏に完全に別れていた表の理由は香月家を守るためには、次世代の後継者教育をするには、もう私には時間が残っていないと感じた名家の当主は少なくとも３０代半ばを過ぎていなければ、他家から舐められる私は当時すでに６０代男の子が生まれたとしても、孫が当主を継ぐ時には９０過ぎだそこまで、私が権力を維持できるとは思えない</p><p>閣下は、正直に当時の気持ちを語る</p><p>だから息子たちには娘を産ませる娘しか産ませないそれならば、一族の分家や家臣たちの息子で有能な人物が居れば孫娘に婿入りさせることができる孫娘が２０の時に結婚させれば、３０以上の男でも何とか釣り合うそれならギリギリ、私が生きているうちに当主の継承ができるかもしれない私は自分の手で、次の後継者を決めたかったんだよ</p><p>何という妄執</p><p>閣下は当主の地位と、自分の権威に囚われている</p><p>娘が二人居ればもしまた、重春の様な事件が起きたとしても、片方は残る私は、長男の死に学んだんだよ</p><p>だから次男と三男、それぞれの夫婦が一人ずつ娘を産んだ</p><p>それが表向きの理由だ</p><p>じゃあ裏の理由は</p><p>裏の理由は私は、もう香月の家の中を、どこまでもメチャクチャにしてしまいたかったんだよ家臣や息子たちを混乱させ困らせたてやりかった私に全ての責任を押しつけてくるだけの彼らに、すっかり閉口していただから、彼らが、どこまで私の高圧的な要求を呑むのか、知りたかったんだよ</p><p>正直に言うよ私は、重秋も重冬も、本当に私の命令を守るとは思わなかったのだどちらかが先に男の子を作れば自動的に、その子が後継者だ自分の息子を香月家の当主にするという誘惑に息子たちが堪えられるはずがないと思っていた実際、私は二人が私の命令に背いて二人目の子供を作っても出産を許すつもりだったそれが男の子なら、喜んで後継者として認めるつもりだったしかし</p><p>閣下が嘆息する</p><p>二人とも私を恐れていた私は、彼らにとって脅威であり過ぎだ二人とも、お前たち以降の子供は作らなかったし外の女との間にも、絶対に隠し子ができないように徹底して避妊していた</p><p>自分の子を当主にするという誘惑より父親の怒りに触れることを恐れた</p><p>何より、息子たちが許されないのは二人とも、私を盲信して、お前たち娘に関する教育を全て私に丸投げしたことだよきっと、お父様には、深いお考えがあるのでしょうからあの子のことは、全てお父様にお任せ致します息子の一人は、私にそう言ったよどちらの息子とまでは、言わんがねまるで、貢ぎ物の様にあいつらは、お前たちを私に差し出したんだ</p><p>当主である父と次男、三男との溝も深かったんだ</p><p>威厳のある父に命じられるまま娘を産んで</p><p>それ以上の子供は、絶対に作らないようにして</p><p>理由も聞かずに娘の将来を当主に託す</p><p>何もかも丸投げする</p><p>結局息子たちも、香月の家臣たちも、混乱することは無かったあいつらは、私をスーパーマンだと思っているからな最後は、私がどうにかしてくれると信じているだから私がどんなに無茶な命令をしても、従ういや、彼らを責めることはできない全ては、私自身の責任だ私がそういう父親、そういう当主であったがゆえにそのような息子たち、家臣たちが出来上がってしまったのだから</p><p>閣下は当主として有能過ぎたのだ</p><p>家臣たちのイメージする強大な、頼りがいのある当主を長年に渡って勤めた結果</p><p>みんな思考停止してしまった</p><p>閣下の言う通りにやっていれば、問題無いと思い込んでしまった</p><p>正直さっき、みすずとした様な口論は、私には新鮮だったよ事業に関することでも、他のことでも今では、私と直接、口論しようという人間はいない下の人間は、私の顔色をうかがいながら、何種類ものプランを持って来るだけだ私はそれを検討し、評価し採用、不採用を決める不採用にされた人間が、そのプランを捨てきれない場合は、私が指摘した問題点を克服して再度、私に提出してくる学校の先生になった様な気分だよ献策はされるが、討論にはならない</p><p>絶対者に祭り上げられた閣下はずっと孤独だったんだ</p><p>さてそろそろ、お前たちに嫌われる覚悟をしないといけないな息子たちに、娘を産ませた理由は、もう一つある私の心の中の暗い理由だ</p><p>閣下は、二人の孫娘を見てそれから、うつむいた</p><p>私はもしどうしても、お前たちの婿に相応しい男が見つからなかった場合は私自身の手で、お前たちを妊娠させるつもりだった</p><p>軽蔑してくれて構わん私はずっと、お前達を邪な眼で見ていたのだ</p><p>閣下は、孫娘たちに頭を下げる</p><p>私は人の道に外れた男だよお前たちを犯して私の子供を産ませたいと思っていたその子を後継者として育てたいとも考えていた二人ともだ私は、お前たちが男と接触しないように、徹底して隔離してきたそれは全て私自身が、お前たちを抱きたいと思っていたからだ</p><p>閣下の赤裸々な告白に部屋の中は、シンとする</p><p>はーい、シゲちゃんっやっと白状してくれましたねっ</p><p>小学校の先生モードの渚がにこやかに閣下に言う</p><p>私は最低な人間だよ</p><p>渚が、つかつかと閣下の前へ進んでその頭をコツンと叩く</p><p>もうっシゲちゃんそんな風に、自分を卑下してはいけませんっ</p><p>そして、オレたちにクルっと振り向く</p><p>はい、みんな先生に注目ぅぅこれからする先生の話を、よーく聞いて下さぁーい</p><p>渚先生のお話が始まる</p><p>昔イエス・キリスト様が、こうおっしゃいました心の中で、邪なことを考えてしまえば、それはもう実際にその罪を犯したのと同じだ罪深いみすずは、知っているわよね</p><p>マタイによる福音書の第５章ですね誰でも情欲をいだいて女を見た者は、すでに心の中で姦淫を犯したのだ</p><p>さすが、よく知っているわねそうねキリスト教的には、それは罪なのかもしれないけれどあたしは、そうは思わないわっ</p><p>渚が閣下に微笑む</p><p>渚くん</p><p>心の中で思ってしまったことと実際にそれをしてしまうことの間には、大きな隔たりがあります人間はみんな、心の中に湧き上がる衝動を我慢することによって、社会を築いているわそうでしょうシゲちゃん</p><p>それは確かに、そうだが</p><p>今更孫娘の前だからって、道徳家ぶることはないのよっシゲちゃん、あたしたちにいっぱいエッチでいやらしいことを要求したくせにっ</p><p>あ、あれはそういうことが許された場所での、そういう時間だったから</p><p>お気に入りだった元娼婦の前では閣下もタジダジだ</p><p>とにかくそういう邪な気持ちを抱いていたことがあったとしてもシゲちゃんは、実際に孫娘には手を出していないんだから無罪よ</p><p>無罪でも孫たちからすれば、気持ちの悪いことだろうそのために私は、この子らの生活を抑制した絶対に他の男には奪われないように</p><p>あたしは今となっては、感謝していますお祖父様がそうして下さったお陰であたしは大切なものを全て、旦那様に捧げることができましたから</p><p>あたしのお祖父様への敬愛は、変わりませんわただあたしはもう旦那様のものですから、お祖父様のお相手をすることはできませんが</p><p>そのみすずの言葉に閣下は</p><p>すまないすまなかった、みすず</p><p>みすずが男性恐怖症になるように、みすずの人生を操作したことを</p><p>閣下は詫びた</p><p>あのわたくし、お祖父様のおっしゃる邪な気持ちというのがよく判らないのですが</p><p>セックスの知識の全く無い瑠璃子さんが口を開く</p><p>瑠璃子はお祖父様の赤ちゃんでしたら、喜んで産みます今までのお祖父様のお話を聞いたら、それが一番じゃないかって思うんです瑠璃子はお祖父様以外の男の方は苦手ですし</p><p>瑠璃子さんは、とんでもないことを言い出す</p><p>あの赤ちゃんて、どうしたら産めますか瑠璃子、急いで産みますから、お祖父様瑠璃子と一緒に赤ちゃんを育てましょう</p><p>そんな瑠璃子さんに、美子さんが</p><p>瑠璃子様、確か、すぐには産めないはずですよお母さんのお腹の中に居る期間がありますから</p><p>そうね、お腹の大きい妊婦さんを見たことがあるわあれって、どれくらいお腹の中に入れておかないといけないのかしら</p><p>わたくしもよく判りませんが多分、半年ぐらいは必要なんじゃないでしょうか</p><p>まあ、そんなにもっと、短くならないの</p><p>あの確か、１０ヶ月は掛かるはずです</p><p>オレがこっそりと教えてあげる</p><p>オレの中学の同級生に、１０月１０日が誕生日のやつがいてそいつの仇名が元旦早々でしたから</p><p>どういう意味でございます</p><p>瑠璃子さんは、きょとんとしている</p><p>女性が受精して実際に赤ちゃんが産まれるまでは、１０ヶ月と１０日掛かるって言われているんです</p><p>受精って何ですか</p><p>あの女の人が、お腹の中に男の人の赤ちゃんの種を受け入れることです</p><p>男の人の赤ちゃんの種</p><p>あ精子って言います</p><p>科学用語ですか</p><p>元は多分、そうだと思いますけれど今では、一般的に使います</p><p>あらわたくし、全く知りませんでした</p><p>これは小学校の理科まで戻った方がいいかな</p><p>あの、瑠璃子さん学校で、植物のおしべ、めしべって習いました</p><p>はい習いました</p><p>おしべから花粉が飛んで、それがめしべに付いて種になる</p><p>はいその仕組みは、知っております</p><p>後ろで、美子さんも興味深そうに聞いている</p><p>そういう仕組みが人間にもあるんです</p><p>人間にも</p><p>男は花粉の代わりに、その精子というものを出すんですそれを女性のお腹の中に注ぎます</p><p>えっどうやって</p><p>それは、まあ後で説明します</p><p>あ、はい先をどうぞ</p><p>すると女性のお腹の中には、子宮という赤ちゃんを作る場所がありまして、そこで男の精子が女性の卵子卵子というのは、女性の持っている赤ちゃんの元です子宮の中で、精子と卵子が結合しますそれを受精と言います</p><p>結合受精</p><p>はい精子とか卵子には、それぞれの男女の遺伝子かが入っているんですよだから、お母さんの産んだ子供が、お父さんの顔に似たりするのは、そういうことです</p><p>なるほどその精子というものにお父さん側の情報、卵子の方にお母さん側の情報が入っているんですね</p><p>そういうことですで、その結合が上手くいけば、子宮の中で１０ヶ月掛けて赤ちゃんになります出来上がったところで、出産になります</p><p>なるほどそういうことだったのですね</p><p>納得する瑠璃子さんの後ろで</p><p>美子さんも、感心している</p><p>黒森様って、物知りでいらっしゃるんですね</p><p>いや、そういうことではなく</p><p>あなたたちが、何も教えられてきていないんです</p><p>じゃあ瑠璃子、急いで受精しますからお祖父様の精子というものを下さい</p><p>真剣な顔で、祖父に進言する瑠璃子さん</p><p>シゲちゃん良かったわね瑠璃子さん、シゲちゃんの赤ちゃん、産んでくれるって</p><p>渚が、ふふんと笑うが</p><p>当の閣下は暗い顔をしている</p><p>でも、残念ねシゲちゃん、もう、無理なのよっ</p><p>シゲちゃん、８２歳ですもの５年前だって、あたしがお相手した時は、５回に１回くらいしか勃たなかったものねっ</p><p>閣下が、力なく渚を見上げる</p><p>あれだって渚くんだったからこそ、勃ったんだ他の女じゃあ、ああはならなかった</p><p>それって、あの</p><p>年齢的に、もう無理ってこと</p><p>邪な気持ちを抱いて計画した６０歳の頃は将来、自分が枯れてしまうとは少しも考えていなかったんだよあの頃はさっきも言った通り、私の心身は充実していた幾つになっても、自分の性的な能力は衰えないと過信していたしかし</p><p>閣下ははぁと大きく溜息を吐く</p><p>人の肉体は衰えるのだよ</p><p>渚が、みすずたちを見る</p><p>そういうことだから香月様は、あなたたちが女らしい身体になってきた頃には、もう性的な能力はなくなってしまわれていたの邪な眼では見ていないから、安心なさいね</p><p>いや、邪な眼で見ているよ勃たなくなったし、勃っても今の私の身体では激しい運動には耐えられない医者にも止められているからなだが生きている限り、性欲は尽きないよ私は今だって、渚くんの乳房や尻に興味があるしみすずたちの肉体にも眼が行ってしまう</p><p>閣下は、そう告白した</p><p>香月様その様なお身体になられた以上は、見るだけで我慢していただけませんか</p><p>香月様はご自分が狙っていたみすずの純潔を肉体を、彼に奪われてしまったことに納得されていないでしょう</p><p>ああ、納得していないねみすずとの仲は許しても、そのこととは別だその小僧のことは好きになれんよ私は</p><p>うんみすずの男になったオレを</p><p>閣下が快く受け入れてくれるはずがない</p><p>考え方を変えて下さい</p><p>渚が閣下に告げる</p><p>どうしたところで閣下の肉体はもう、女性を抱くことはできないんですだから、これからは</p><p>妖艶に微笑む渚</p><p>彼のペニスを自分のペニスだと思って彼のセックスを御覧下さい</p><p>みすずがハッと気付く</p><p>判りましたっ渚様</p><p>祖父にニコッと微笑むみすず</p><p>あたしお祖父様がお望みなら、いつでも旦那様とお祖父様の前で、セックス致しますっ</p><p>肉体は衰えても心の性欲は、解消できないんですよねそれでしたらあたしたちのセックスを御覧になって、お祖父様の性欲を解消して下さいっ</p><p>さて、長かったですが、やっとエロ小説に回帰します</p><p>次話は、祖父の前で瑠璃子さんと美子さんに、セックス見学させます</p><p>これで、閣下から、瑠璃子さんの処女喪失の許可を得るところまで行けるか</p><p>もう７年くらい前ですが</p><p>夏の３ヶ月間繁忙期の歌舞伎座で働いていたことがあります</p><p>マボロシの方の後書きでも書きましたけれど</p><p>特に８月は、人気のカンザブロウさんの公演なので全日売り切れの超満員でした</p><p>普通は歌舞伎は、昼の部、夜の部の２部興業なんですけれど</p><p>カンザブロウさんの時だけ、３部制で完全入れ替えという</p><p>朝９時から、夜１０時までずっと劇場が稼働しているという忙しさでした</p><p>そして、カンザブロウさんの公演だと、色々な芸能人が見にいらっしゃいます</p><p>ある晩の公演でお見掛けしたのが全然バラバラの状態で</p><p>ミワアキヒロ→落語のウタマル師匠→野球のエガワ</p><p>というコンボだった時は</p><p>ここは魔界かと、思いました</p><p>あと、話で聞いたのですが某、すでに亡くなった有名なニュースの人が、毎晩１１時からニュースがあるのに、いつも終演まで居たそうです</p><p>下準備とか、打ち合わせとかしないでニュースやってたんですね</p><p>249．瑠璃子さんのためのセックス勉強会・１</p><p>私の前でセックスだと</p><p>孫娘の申し出に閣下は戸惑う</p><p>何よシゲちゃんは、見たくないのっ</p><p>渚は巧みに先生キャラを使って、閣下の心を煽る</p><p>お祖父様みすずは、４日前に処女を卒業したばかりですそれから毎日、旦那様に愛していただいてようやくセックスで絶頂に達するようになりました</p><p>みすずは、祖父に報告する</p><p>多分お祖父様に、悦んでいただける様なセックスができると思いますっ</p><p>にっこりと微笑むみすず</p><p>閣下は呆然としている</p><p>お前いいのか、そんな破廉恥な姿を</p><p>お祖父様にでしたら、喜んでお見せ致しますそれにみすずはマゾですし、見ていただける方が興奮しますっ</p><p>そんな赤裸々な発言を、みすずは続ける</p><p>旦那様もよろしいですよね</p><p>うんみすずが、いいならオレは構わないよ</p><p>こう返事をしながらああ、オレもすっかりアブノーマルな人間になっているのだなと自覚した</p><p>よくよく考えたらオレ自身も、初体験から一週間も経っていない</p><p>なのにもう、何十回もセックスをして</p><p>その全てが他の人に見られながらか、複数プレイだ</p><p>カメラなんかの監視の無い場所で、女の子と二人っきりのセックスなんて一度もしていない</p><p>いつも誰から見られている</p><p>どう考えても異常だよな</p><p>異常が普通になっている</p><p>今更閣下に見られるぐらい、どうってことは無い</p><p>ししかし</p><p>困惑している閣下に渚が、言った</p><p>シゲちゃん、いい加減素直になりなさいっみすずのセックス見たいの見たくないのっ</p><p>そりゃあ見たいさ見たいけれど</p><p>じゃあ見なさいっみすずも彼もいいって言ってくれてるんだからこんなチャンス二度と無いかもしれないわよっ</p><p>だが</p><p>シゲちゃんは、もうセックスできないんだから見るだけで満足しなさいっしょうがないでしょっ</p><p>それはそうなのだろうが</p><p>閣下は瑠璃子さんと美子さんを見る</p><p>あの二人にも、見せるのかね</p><p>閣下の指令によりこれまで一切のセックスに関する情報を教えられなかった二人</p><p>二人とも、ことの成り行きに呆然としている</p><p>そりゃ、見せますわよっ先生、これ以上の、性教育は無いって思うのっ</p><p>渚は、ニタッと微笑む</p><p>だがこの子らは</p><p>閣下はどうするべきか戸惑っている</p><p>シゲちゃんこのままセックスについて何も知らないこの子らを放っておくつもりシゲちゃんが始めたことでしょ</p><p>瑠璃子さんと美子さんをセックス情報から完全隔離したのは、閣下だ</p><p>シゲちゃんが実地でセックスを教えてあげることは、もうできないんだからシゲちゃんの身体じゃ、押し倒すのは無理よ諦めて、この子たちも解放してあげなさい</p><p>それは、確かに君の言う通りだと思う私も、どうにかしないといけないとは、ずっと思っていたんだ</p><p>この子たちだってもう色を知る年頃よ</p><p>瑠璃子さんは１５歳</p><p>美子さんは１８歳</p><p>恋の一つも経験していているべき年齢だ</p><p>セックスについても当然知っていなくてはいけない</p><p>全く性知識が無い、この子らにオレとみすずがいきなり生々しいセックスを見せてしまっても平気なんだろうか</p><p>かえって悪いトラウマになってしまったら申し訳が無い</p><p>それはあたしがきちんと説明しながら、致しますから</p><p>みすずが堂々と祖父に言った</p><p>瑠璃子さんたちに振り向く</p><p>瑠璃子さん、美子さんそれでは、これよりあたしと旦那様が、実際にセックスを致しますじっくり、ご観察なさって下さいね</p><p>よ、よろしくお願い致します</p><p>緊張している瑠璃子さんと美子さん</p><p>二人ともこれまでの会話では、これから何が行われるのか、さっぱり判らないだろう</p><p>セックスというのは簡単に言うと、赤ちゃんを作る行為そのものを指します</p><p>さっき、旦那様が瑠璃子さんに説明をした男性の赤ちゃんの素である精子を、女性の赤ちゃんの素である卵子がある子宮に受け入れる行為です</p><p>では今から、みすずお姉様は黒森様の赤ちゃんをお作りになるのですか</p><p>驚きの表情で瑠璃子さんが尋ねる</p><p>いつかは必ず、旦那様の赤ちゃんを産みますでも、みすずはまだ高校２年生ですから赤ちゃんを産むのには、早過ぎます</p><p>みすずは、穏やかな笑顔で答える</p><p>ですからみすずは今は、セックスをしても赤ちゃんができない薬を呑んでいます</p><p>不思議そうな顔をする瑠璃子さん</p><p>赤ちゃんをお作りになるわけではないのになぜ、そういう行為をなさるんですか</p><p>それはセックスというのが、愛の行為だからです</p><p>愛</p><p>きょとんとする、瑠璃子さん</p><p>美子さんと顔を見合わせる</p><p>神様は人間が、赤ちゃんを作る行為を祝福して下さいましたセックスって、とっても気持ちが良いんですよ</p><p>気持ちがいい</p><p>瑠璃子さんは美子さん以外の人間とは、ほとんど接触したことがない</p><p>他者との肉体の接触というものが、理解できないらしい</p><p>瑠璃子さんはよく知らない男性に肌を触れられるのはお嫌ですよね</p><p>それは怖いですゾッとしますわ</p><p>瑠璃子さんは、ブルッと身体を震わせる</p><p>でも美子さんや、お母様に触れられるのは嫌いではないでしょう</p><p>そうですね美子と手を繋ぐと、安心できますホッとすることが、よくありますわ</p><p>みすずは瑠璃子さんを誘導していく</p><p>それと同じです心から愛している男性に触れられると、心が満たされます幸せな気持ちになりますセックスというのは、究極の肌と肌の接触であり、肉体の抱擁ですから幸福感も最大になります</p><p>興味深そうにみすずの言葉を聞いている瑠璃子さんと美子さん</p><p>ですから、心から愛している男性でないとセックスは気持ち良くなりません</p><p>というか愛している人としか、セックスはしちゃいけないのよっ</p><p>みすずの言葉に渚が補足する</p><p>まず最初に瑠璃子さんたちの心に、倫理的な結界を張ってしまおうということらしい</p><p>こうしておけば、セックスの快感に目覚めた後誰彼構わずなセックスに溺れることは無い</p><p>あくまでもセックスは赤ちゃんを作るための神聖な行為なんだから本当に心から愛している人、好きな人この人の赤ちゃんなら産んでみたいという人でないと、セックスは気持ち良くならないのよ</p><p>でも気持ちがいいというだけで、本来は赤ちゃんを作るための行為をしても良いのでしょうかもっと、大人になって結婚してからでも、そういう行為をするのは遅くは無いと思います</p><p>瑠璃子さんの言葉は正論だ</p><p>それはそうなんだけれど若いうちから、きちんとセックスしていないと、将来、赤ちゃんができた時に困ることになるのよ</p><p>渚は平然と大嘘を吐く</p><p>瑠璃子さんの問いに、渚は</p><p>古い童謡で十五で姉やは嫁に行きっていうのが、あったわよね知っているかしら</p><p>はい、知っております</p><p>十五でっていうけれどこれは、昔の数え年だから満年齢に直すと１４歳よほんの百年前まで、女の子はみんな１４、５歳で結婚するのが普通だったのみすずの年齢では、すでに出産を経験していたわっ</p><p>渚が、とんでもないカードを切る</p><p>今よりも平均寿命が低いのに昔の女性は多産だったでしょどうして、５人も６人も子供を産めたかって言うと、初産の年齢が若かったからよ</p><p>確かにおっしゃる通りだと思います</p><p>瑠璃子さんは、納得している</p><p>今でも、アジアやアフリカの発展途上国では、１４、５歳で女の子が結婚するのは珍しくないわつまり、生物学的には人間の女性は１４、５歳で結婚し、子供を産むのが正しい姿なのよっ</p><p>強引に論理を展開していく渚</p><p>でも現代の日本では、そうはいかないわ大人になるまでに覚えなくてはいけないこと学ばないとがどんどん増えているから明治なら、小学校を出たらすぐに働きに出るのが国民のほとんどだったのよ中学なんて、そこそこ裕福な家庭じゃなかったら行かせて貰えなかったでしょそれが、戦後に義務教育が中学までとなって今では、高校を卒業するのが普通になっているわよね大学なんて、５０年前まではお金持ちの子供しか行かれなかったのに</p><p>渚は、ニコッと微笑む</p><p>成人するまでの教育期間が増えたから平均的な結婚年齢も上がったわもちろん、そればっかりが理由では無いのよ知的に成熟した近代社会は、晩婚化していくものだから十九世紀でもヨーロッパの上流階級では、結婚適齢期が２５歳を過ぎていたわ庶民が１４、５歳で結婚しているのにより裕福で、文化的に進んでいる知的階級の結婚は遅かったのよ</p><p>しかし渚は、よくそんなことを知っているな</p><p>あ、これ全部、昔のあたしのお客様だった大学教授の先生に聞いたんだけれどねその人、あたしにこういう講義をするのが、お好きだったのよ</p><p>オレの顔を見て渚が言う</p><p>何で講義</p><p>ゼミで講義しているうちに、女子大生とというプレイがお好みだったの</p><p>でねその先生がいつもおっしゃってたわ生物としての人間の女の子の結婚適齢期が１４、５歳である以上成長期にきちんとセックスをしておかないと、将来、安心して赤ちゃんの産める身体にならないって完全に大人に成長しきった身体になってからセックスを体験すると身体がびっくりしてしまって、よくないことになるって、おっしゃるのよ</p><p>いやそれって、その大学教授がロリコンだっただけなんじゃないのか</p><p>だって、１６歳ぐらいの渚を抱きにお屋敷に通っていたやつなんだろそいつ</p><p>自分の性癖に都合の良い理屈をこね回しただけなんじゃ</p><p>そういうものなんですか</p><p>心配そうに、瑠璃子さんが言う</p><p>そりゃそうよ成長期に定期的にセックスしておけば、身体がセックスというものを受け入れて成長するってことでしょセックス未体験のままで大人になってしまったら、もうそこからの身体の適応は間に合わないじゃない</p><p>理屈的には、合っている様な感じに聞こえるが</p><p>２０歳を過ぎても処女だったせいで、身体を壊した人の話なんて聞いたことがない</p><p>まして男はどうなる</p><p>３０過ぎて童貞のままなら死ぬのか</p><p>魔界に転生するのか</p><p>そうですそれで、みすずは旦那様にセックスしていただいているんですっ</p><p>渚の謎理論にみすずが、乗る</p><p>でもセックスの素晴らしさは、それだけじゃないんです</p><p>旦那様みすずとのセックスは、気持ちいいですか</p><p>ああいつも、とっても気持ちいいよ</p><p>みすずもですいつも、気持ち良くして下さって、ありがとうございます</p><p>微笑みながらみすずは、瑠璃子さんたちに視線を戻す</p><p>地位も名誉もお金も関係無くセックスでは、あたしはこの裸の身体一つだけで旦那様を気持ち良くして差し上げることができます旦那様も生身のお身体だけで、あたしを気持ち良くして下さいます旦那様に愛していただく時間だけは香月の家、その他のしがらみも何も無くみすずは裸のみすずになれますそれは本当にとっても幸せなことなんですよ</p><p>みすずは妖艶に微笑む</p><p>そのみすずの美しさに瑠璃子さんは息を呑む</p><p>じゃあ、あなたの前でしてみるわねしっかり見学してね</p><p>そしてオレとみすずのセックスが始まる</p><p>旦那様脱がせて</p><p>みすずがオレに甘える</p><p>オレはみすずの着ている安物のTシャツを脱がせる</p><p>シャツの下は裸だ</p><p>ツンとした桜色の乳首が現れる</p><p>形の良いみすずの乳房が</p><p>肌の白いみすず</p><p>１７歳の水を弾くつるんとした肌</p><p>下もお願いします</p><p>オレはひざまづいて、みすずの短パンを脱がす</p><p>無毛の秘部は、すでにトロトロと濡れている</p><p>柔らかい太ももに短パンを滑らせ片足ずつ脱がせる</p><p>サンダルも脱がしてやりみすずを全裸にする</p><p>綺麗だよみすず</p><p>頬を赤く染めるみすず</p><p>さっきは隠していた裸身を今度は、堂々と祖父に見せつける</p><p>セックスをする時には、なるべく裸になるのよあ、お外に居る時に、急にしたくなっちゃった場合は、全部脱がなくてもいいんだけれどね</p><p>みすずは、瑠璃子さんへの講義を忘れない</p><p>シゲちゃんネクタイ貸して</p><p>渚が閣下のネクタイを外す</p><p>何に使うんだね</p><p>そう尋ねる閣下に渚は</p><p>今は瑠璃子さんたち中心にセックス見学会をしているけれどちゃんとシゲちゃんのことを忘れていないって、証拠にね</p><p>渚はそう言って閣下の銀色のネクタイを、みすずの首に結わえる</p><p>全裸にネクタイだけの背徳的な姿</p><p>二つの胸の谷間にネクタイが揺れる</p><p>おお、私も一緒に参加させてくれるのか</p><p>閣下は嬉しそうだった</p><p>旦那様ぁぁ</p><p>オレに甘えて抱きついて来るみすず</p><p>抱擁してキスする</p><p>舌と舌を絡める</p><p>その様子を瑠璃子さんたちに見せつける</p><p>舌をねペロッてして貰うのが、好きなのっ</p><p>みすずが瑠璃子さんに言った</p><p>オレはみすずの背中に廻り、瑠璃子さんたちに見えるように、後ろからみすずのおっぱいを揉む</p><p>乳首を捏ねる</p><p>ああっ気持ちいい</p><p>みすずが小さく喘ぐ</p><p>好きな男の人におっぱいをいじくって貰うのは、本当に気持ちいいのよたくさん揉んで好きにしてみすずの身体、旦那様の好きに弄んでぇぇ</p><p>食い入るように、オレたちを見ている瑠璃子さんと美子さん</p><p>美智は自分で自分の胸をまさぐっている</p><p>美智の中でも、快感に火が付いてしまったらしい</p><p>みすず乳首をしゃぶるぞ</p><p>どうぞみすずのおっぱい、好きなだけペロペロして下さい</p><p>オレは、みすずの前に膝立ちになる</p><p>片手でみすずの腰を抱いてみすずの左の乳首に舌を這わす</p><p>あっああんっ気持ちいい</p><p>舌で乳首を転がす吸う</p><p>みすずは、オレの頭を優しく抱き締めてくれた</p><p>んんぅっ旦那様に乳首を吸われるとあたし本当に女に生まれてきて、良かったって思うのああんっ</p><p>快感に、ゾクッと身体を反応させるみすず</p><p>将来、赤ちゃんができてお乳が出るようになったら毎日、飲んで下さいね赤ちゃんと一緒に、旦那様にもみすずのおっぱい飲んでいただくのぉぉぉ</p><p>オレは力強く、乳首を吸う</p><p>ああいい気持ちいいですぅぅ旦那様あたしの旦那様ぁぁんっ</p><p>みすずの顔は性的な興奮に蕩け始めている</p><p>はい、判っています</p><p>みすずが脱がせて差し上げますね</p><p>そして、みすずは美智に</p><p>美智手伝いなさい</p><p>美智は、片手で胸をもう片手で股間をまさぐっていた</p><p>みすずの声に、ハッとして</p><p>みすずと美智の二人かがりで、服を脱いで行く</p><p>瑠璃子さんたちは、眼を爛々とさせてみすずたちに脱がされるオレを眺めている</p><p>男の裸体なんて直接見るのは初めてなのだろう</p><p>瑠璃子さんも美子さんも、耳まで真っ赤になっているが眼は、オレをしっかり見ている</p><p>そんな二人に渚が話し掛ける</p><p>瑠璃子さんは日本神話のイザナギ神・イザナミ神の国産みの話は知っているわよね</p><p>はい読んだことはありますわ</p><p>瑠璃子さんは、興奮した赤い顔のまま答えた</p><p>イザナギ神があなたの体はどうなっていると聞くと、イザナミ神はわたしの体には、成り成りて成り合わぬ所がありますと答えるわすると、イザナギ神は、わたしの体には成り成りて成り余る所があるって言うそして、わたしの成り余る所とあなたの成り合わぬ所に合わせようって言って国を産む</p><p>渚が言う</p><p>はい、確か、その様な内容だったと思いますそうよね、美子</p><p>ええ、瑠璃子様</p><p>読書家の二人はさすがによく知っている</p><p>それってねセックスのことなの神様同士のセックスを意味しているのよ</p><p>渚がみすずを見る</p><p>みすずこっちにいらっしゃい</p><p>はい美智、お願いね</p><p>美智一人にオレの脱衣を任せてみすずは、渚の前へ</p><p>そこに座って大きく足を拡げて、瑠璃子さんたちにあなたの女性器を披露なさい</p><p>渚の命令に</p><p>みすずは、カーペットの上にしゃがみ込み大きくM字開脚をする</p><p>瑠璃子さんたちに女性器を晒す</p><p>ここがイザナミ神の言う、成り成りて成り合わぬ所よ女の子は、この穴に男の人を受け入れるの</p><p>愛液にテラテラと輝くみすずの割れ目</p><p>ゴクッと唾を呑む瑠璃子さん</p><p>あ、あのそこは、おしっこをするための穴なのでは</p><p>緊張しながら瑠璃子さんは、渚に尋ねる</p><p>それは、ここのこの小さい穴がそうよここがおしっこの出る穴その下の大きな穴は、セックスのために使うものなのこの奥に女性が赤ちゃんを作る場所子宮があるのよ</p><p>渚が説明する</p><p>あのみすずお姉様のそこ、透明な液体が滴っていらっしゃいますけれど</p><p>これは、これからここに男性を受け入れるための潤滑剤として、女性の身体から溢れ出てくるもので愛液と言います</p><p>みすずが自分の秘部を見せつけながら、説明する</p><p>愛液</p><p>みすずが勘付く</p><p>もしかして瑠璃子さんも、あたしと同じ部分から、温かいお汁が湧いていらっしゃるのではないかしら</p><p>瑠璃子さんは顔を真っ赤にして</p><p>は、はい先程、裸のみすずお姉様と黒森様が抱擁されて、キスしていらっしゃるのを見た時からお腹の下の辺りが、くぅーっと熱くなって汗の様なものが、股間から出ています</p><p>瑠璃子さん濡れている</p><p>わ、わたくしもでございます</p><p>美子さんまで</p><p>あら、それは大変ですねちょっと、診せて下さい</p><p>渚が二人に言う</p><p>困惑する二人</p><p>おそらくこれからセックスするみすずのセックスに対する感情が、お二人に伝播しただけだと思いますそういうことは、よくあるんですでも何か別の原因ですと、よくありませんから確認させて下さいっ</p><p>平然とそう言い切る渚</p><p>そうですねお二人とも、スカートを捲って、渚様に股間を診ていただいた方がいいですわ</p><p>みすずも二人にそう言う</p><p>スカートを腰まで、捲り上げてみすずと同じ格好をして下さい</p><p>美子さんが主人を見る</p><p>みすずお姉様のおっしゃる通りにしましょう何か身体に問題があることだと、いけないわ</p><p>おそらく二人ともオナニーも知らないのだろう</p><p>自分の身体の奥から愛液が染み出す状況に驚いている</p><p>判りましたわ瑠璃子様</p><p>そのまま椅子の上で、みすずと同じポーズをなさって</p><p>瑠璃子さんと美子さんは一度椅子から立ち上がって、スカートを捲っていく</p><p>恥ずかしそうに顔を真っ赤にして</p><p>あの黒森様、見ないで下さい</p><p>いいえ彼にも見ていただきましょうねこういうのは、たくさんの人の意見をいただいた方が確実よ</p><p>はいあたしの旦那様です瑠璃子さんにとっても、もう身内じゃないですか</p><p>M字開脚を続けたままみすずが、言う</p><p>むしろ、瑠璃子さんは旦那様にどうぞ、見て下さいってお願いするべきだと思います</p><p>瑠璃子さんは恥ずかしさに顔を真っ赤にしながら、オレに言った</p><p>どうぞ御覧下さい黒森様</p><p>久々のエロシーンなので、たっぷりとやります</p><p>暑すぎて、ヘバッてます</p><p>この状況で、平日にエロシーン書くのは大変です</p><p>まあ、しょうがない</p><p>250．瑠璃子さんのためのセックス勉強会・２</p><p>椅子の上で制服のスカートを捲り上げて、大きくM字開脚する瑠璃子さんと美子さん</p><p>二人とも耳まで真っ赤になっている</p><p>お揃いの純白のパンティ</p><p>股間のところがじっとりと濡れていた</p><p>えっとこれって横がヒモで結んであるけれど</p><p>いわゆるヒモパンてやつ</p><p>まあ、二人ともシルクのパンティを穿いているのねっ</p><p>渚が、クスッと微笑む</p><p>済みません肌触りが良いので</p><p>恥ずかしそうに、瑠璃子さんが言った</p><p>ちょっと失礼するわね触診するから</p><p>渚が細く長い指で、瑠璃子さんの股間を触る</p><p>あっああん</p><p>瑠璃子さんから声が漏れる</p><p>股間の濡れた布地に、じゅわっと愛液が拡がる</p><p>わたくし何か変ですここが、熱いの</p><p>瑠璃子さんは、自分の肉体の変化に戸惑っている</p><p>大丈夫よ女の子は、みんなこうなるんだから</p><p>渚は言う</p><p>そして、オレを見て</p><p>あたしは美子さんの検査をするからあなたは瑠璃子さんを触ってあげて</p><p>ギョッとする瑠璃子さん</p><p>黒森様に</p><p>怖くないですわ瑠璃子さん大丈夫です、あたしの旦那様ですから</p><p>床のカーペットの上で開脚したままみすずが、言った</p><p>にっこりと微笑んで自信満々に、オレを瑠璃子さんに勧める</p><p>瑠璃子さん触りますよ</p><p>オレの言葉に、瑠璃子さんは</p><p>は、はいお願いします</p><p>眼から熱い涙を零しながらそう答えた</p><p>オレは指を這わせる</p><p>シルクの布の上から、まずは割れ目の周りをそっと撫でる</p><p>ああっ黒森様の指が</p><p>ブルルッと震える瑠璃子さん</p><p>産まれてから一度も、満員電車なんかに乗ったことは無いだろうし</p><p>男とは徹底して隔離されてきた、究極の箱入り娘だ</p><p>男に局部を触られるのはこれが初めてだろう</p><p>ちょっと強くしますよ</p><p>オレは割れ目の上を撫でる</p><p>はっああんっ</p><p>クリトリスのある辺りをグリグリと</p><p>いやあんっ何ですのこれ</p><p>初めての快感が瑠璃子さんを襲う</p><p>ぴちゃぴちゃと、愛液が湿った音を立てる</p><p>どうです、瑠璃子さんあたしの旦那様の指は気持ちいいでしょう</p><p>みすずが艶やかに微笑む</p><p>瑠璃子さんは初めて味わう快感を、何と表現するべきか判らないようだった</p><p>気持ち良くないですか</p><p>オレが尋ねると瑠璃子さんは、熱い吐息を漏らしながら、上目遣いで</p><p>き気持ちいいです</p><p>ああっく、黒森様瑠璃子、気持ちいいですわ心臓がドキドキしますっ熱いの</p><p>涙目で、オレに自分の体内に湧いている熱波を語る瑠璃子さん</p><p>それが愛の味です恋の感覚ですわ</p><p>催眠術の様にみすずの言葉が、瑠璃子さんに染み込んでいく</p><p>これが愛の味なんですか恋の感覚</p><p>そうですよあたしの旦那様だから瑠璃子さんのことも、心の底から愛して下さっているんですだから、そんなに気持ち良く触って下さるんです</p><p>黒森様だからこんなに気持ちいいんですか</p><p>あたしの旦那様じゃなかったらそんなに優しく、丁寧に愛しては下さいませんよ</p><p>あ、愛愛なんですかこれは</p><p>瑠璃子さん失礼します</p><p>右手で瑠璃子さんの股間をまさぐったまま左腕で瑠璃子さんの身体を抱く</p><p>あ、あの何をなさるのですっ</p><p>オレの腕の中で瑠璃子さんが身体を硬直させる</p><p>そんなに驚かないで力を抜いて下さいオレに全部、身体を委ねて</p><p>瑠璃子さんの耳にオレはそっと囁く</p><p>あ、あの黒森様</p><p>瑠璃子さんはとっても可愛らしいお方ですね</p><p>わたくしが可愛らしい</p><p>はいとっても愛しい気持ちになっています</p><p>そんなでも、黒森様はみすずお姉様の</p><p>倫理的な思考が、瑠璃子さんの精神を守っている</p><p>だからみすずが告げる</p><p>はいですから、あたしの旦那様は、瑠璃子さんのお兄様ですよ</p><p>お兄様</p><p>お兄様に愛していただくことを恥ずかしがってはいけませんよ</p><p>こんな時にどうするべきかオレは、もう知っていた</p><p>そうだぞ瑠璃子</p><p>オレは瑠璃子と呼び捨てにする</p><p>二人の間の障壁を、吹っ飛ばす</p><p>瑠璃子はオレの妹だこれからずっと一生</p><p>一生</p><p>ああ、何でもオレに頼ってくれ瑠璃子のためなら、何でもしてやるから</p><p>オレは、瑠璃子の人生を背負う覚悟をする</p><p>でもわたくしは香月の香月の</p><p>オレの腕の中の瑠璃子</p><p>そんなことはどうでもいいんだ</p><p>どうでもいい</p><p>黙ってオレの妹になれ</p><p>オレは瑠璃子の眼を見て強く、命令した</p><p>お前はオレの妹にするそう決めたお前は、何も考えずオレについてくればいいんだっ</p><p>瑠璃子は</p><p>生まれてから、祖父以外に命令されたことの無い瑠璃子</p><p>祖父だって、強い言葉で瑠璃子に命令することは無かったろう</p><p>だから、オレは瑠璃子を支配する</p><p>力を抜けオレに身体を預けろ</p><p>オレは、瑠璃子に囁く</p><p>でも、それではお兄様が重いでしょう</p><p>オレは瑠璃子に微笑む</p><p>大丈夫だオレは瑠璃子の重さぐらい、平気で耐えられるていうか瑠璃子は、軽いよ</p><p>いいから全部、オレに委ねろ</p><p>オレの腕の中の瑠璃子から力が抜ける</p><p>ぐんにゃりとした柔らかい肉体をオレはしっかり抱き締める</p><p>うん１５歳の細身の少女の肉体は、軽い</p><p>ほら全然、平気だ</p><p>はいお兄様</p><p>瑠璃子がオレの胸に頬を寄せる</p><p>恥じらう顔が愛おしい</p><p>どうです、瑠璃子さんあたしの旦那様に抱き締めていただくのは</p><p>みすずが瑠璃子さんに尋ねる</p><p>はいとっても安心します穏やかな気持ちになるこのまま、ずっと抱き締めていていただきたいです</p><p>お前が抱き締めて欲しい時には、いつでも抱き締めてやるだから、オレが瑠璃子を抱き締めたい時には、いつでも抱き締めさせろよ</p><p>抱き締めたいお兄様は、瑠璃子のことを抱き締めたいと思われるのですか</p><p>こんなに可愛い妹なんだ毎日だって、抱き締めたいさ</p><p>では、毎日抱き締めて下さい瑠璃子も、毎日、お兄様に抱き締められたいです</p><p>そう言って今度は、瑠璃子の方からオレを抱き締めてくれた</p><p>瑠璃子のお兄様なんですね</p><p>そうだお前はオレの妹にしたんだから一生そうだからな</p><p>そんな瑠璃子を見てみすずは</p><p>あたしもそうだったんです、瑠璃子さん</p><p>あたしも自分の現在も過去も吹き飛ばして旦那様の女にしていただいたんですとっても、嬉しかった一人の女、一人の人間として旦那様に求められたことが</p><p>香月の家の娘であることは縛られているだけです学校のお友達も、踊りのお友達たちもまず、あたしが香月家の娘であるということを念頭にして話し掛けて来るみすずはずっと、香月家の束縛から逃れられませんでした</p><p>それは瑠璃子も同じです</p><p>でもみすずは、旦那様のものになりましたあたし生まれて初めて、香月家とは関係無く自分だけのものを手に入れたんですあたしの旦那様ですあたしが一生お仕えする方です旦那様は、裸のあたし自身を受け入れて下さってあたしに絆と信頼を下さいました</p><p>みすずが美しい従妹に言う</p><p>あたしの旦那様ですあたしの何て、素敵な言葉なんでしょうこのあたしの満たされた気持ち今の瑠璃子さんなら、お判りでしょう</p><p>はい、お姉様</p><p>そして、オレの顔を見る</p><p>あたしのお兄様ですあたしの</p><p>オレたちは、三人で見つめ合って微笑む</p><p>よかったわね瑠璃子さん</p><p>あうあっ無茶をなさらないでああんっあああ</p><p>横から美子さんの喘ぎ声が聞こえた</p><p>見ると渚が美子さんを責めている</p><p>美子さんはいつのまにか、制服も半脱ぎにさせられて</p><p>胸と股間を下着の上から同時に、責められていた</p><p>無茶じゃないでしょっ気持ちいいでしょ</p><p>ふんっふんっと渚の指が、強く薄い布越しにクリストスに細かく振動を与えていく</p><p>ああ、ああいうテクニックもあるのか</p><p>オレも真似してみよう</p><p>ああっお兄様、何をなさるのですっ</p><p>渚の真似だよ</p><p>あああっあああああんっ</p><p>どうだ、瑠璃子こういうの気持ちいいか</p><p>い、いいですぅぅ気持ちいいですぅぅ</p><p>可愛いわよ瑠璃子さん</p><p>みすずは、自分で自分の同じ箇所を触っていた</p><p>あのご主人様</p><p>美智が恥ずかしそうに、オレに言う</p><p>美智も自分を慰めてもよろしいでしょうか</p><p>ああ、好きなだけやれ</p><p>美智も自分のスカートの中に、手を突っ込んで身悶えする</p><p>あああご主人様ぁぁみすず様ぁぁ</p><p>切なそうな顔で、オレたちを見る</p><p>美子さんを指で責める渚</p><p>瑠璃子さんの股間をまさぐるオレ</p><p>瑠璃子さんはそんなオレを、ギュッと抱き締めている</p><p>みすずと美智は自慰をしている</p><p>女たちの嬌声が部屋の中に響いた</p><p>ああっ、ご無体ですそんなところを触らないでっ</p><p>そう、ここがいいのいいのねっ</p><p>瑠璃子ここはどうだい</p><p>お兄様お兄様気持ちいいですぅぅ</p><p>ああんっ旦那様も瑠璃子さんも可愛い可愛いのぉぉぉ</p><p>ご主人様ぁぁわたくしもあああ</p><p>しばらく、そんな痴態が繰り広げられた</p><p>はいはーい、それじゃあ一回ストップねっ</p><p>明るく小学校の先生の様に、渚がオレたちを制止する</p><p>えっ渚様</p><p>みすずが渚を見る</p><p>イクまでさせてはいただけないんですか</p><p>ダメよ瑠璃子さんや美子さんは、こういうこと初めてなんだからイクとこまでイッたら、その後の体力が続かないわっ</p><p>それより先に、あなたと彼のセックスを見せてあげないとねっ</p><p>あっはいっ</p><p>嬉しそうに微笑むみすず</p><p>渚は、閣下に</p><p>どうシゲちゃん楽しんでるぅ</p><p>閣下は小さく嘆息して</p><p>今ほど、肉体の老いを恨んだ時はないよあと、２０年若ければ私もそっちに参加するのだがね</p><p>やっぱり無理なのかしら</p><p>まず勃たんし勃ったところで、身体がもたんよ腹上死する前に、脳溢血だな</p><p>口惜しそうに、閣下は言う</p><p>しかし眼では楽しませて貰っているどれだけ肉体は老いてもスケベ心というものは抜けないものだな</p><p>じゃあ、見てるだけでも楽しんでいてねっ</p><p>そういう渚に閣下は</p><p>渚くん何を企んでいるこれは、御名穂くんの入れ知恵か</p><p>いいえ、あたしの独断です</p><p>渚は答えた</p><p>みすずだけでなく瑠璃子も、私の手から奪おうというのかね</p><p>ちゃんと香月様のお手の中でやっていますわ見えるところで</p><p>それにこの方が瑠璃子さんたちにとっても幸せなんじゃないかって思いますわ</p><p>香月様はこのまま、瑠璃子さんが何の性知識も無いままどこかの名家のバカ息子に政略結婚させられる姿を御覧になりたいのですか</p><p>私の眼の黒いうちはそんなことはさせん</p><p>閣下は不機嫌そうに、そう言った</p><p>では香月様の眼は、いつまで黒いままでいられるんですの</p><p>渚は笑顔のまま、切り返した</p><p>香月様はすでに８２歳です明日にでも、突然お倒れになられるかもしれない不謹慎は承知で申し上げます病院で寝たきりになって言葉を喋ることも、筆談をすることもできなくなったとしますそんな事態になった時に誰が、お孫さんたちをお守りするんですか</p><p>渚の言葉が閣下に刺さる</p><p>香月家の重役たちは閣下の影響力がなくなれば、勝手なことをし始めるでしょう瑠璃子さんのお父様には、彼らを止めるだけの力はありませんそうなったら重役のみなさんは、みすずさんや瑠璃子さんを自分たちの都合の良い相手に嫁がせようとするでしょうねそういう動きを誰が止められるというのです</p><p>や、谷沢がいる</p><p>ご冗談を谷沢さんは、警護役のチーフです敵対者から、お孫さんたちを守ることはできても香月家内部の問題には対処できません政略結婚でも結婚というのは慶事ですからねおめでたい話を、警護役の谷沢さんが壊すことはできませんわ</p><p>確かにその通りだ</p><p>だから香月様は、お孫さんお二人の婚約者を決められたのでしょうそれも、婚約者は決まっているが、お二人が成人するまでは公表しないということにわざわざなさったのは部下の暴走を防ぐためでしょう</p><p>ああ君の言う通りだ</p><p>しかし、このままでは瑠璃子さんたちの性教育は、誰がするのです香月様ご自身では無理となれば誰かが代わりにしないといけないではありませんか</p><p>それは判っているだから、今も私は黙って見ていたしかし</p><p>その小僧の言動を見ているとだな私は、君たちがみすずと瑠璃子を籠絡して、香月の家を乗っ取ろうとしているのではないかという疑念を抱くのだよ</p><p>オレが香月家を</p><p>あの何を言っているんですか</p><p>オレはただの高校生ですよ香月家とか別に興味は無いです</p><p>うんそんなの、オレにはよく判らないし</p><p>家とか、そういうのよりオレはみすずや瑠璃子の方がいいです可愛いですから、こいつらが</p><p>瑠璃子は、きょとんとしてる</p><p>あいけね</p><p>美子さんも、可愛い人だと思っていますよもちろん</p><p>二つ年上の瑠璃子の付き人のことも付け加える</p><p>瑠璃子を受け入れる以上は美子さんを見捨てるわけにはいない</p><p>美智もちろん、お前は可愛い</p><p>オレの言葉に美智は、尻尾を振る子犬の様な可愛い笑顔を見せる</p><p>渚のことも大好きだよ</p><p>渚はクスッと微笑む</p><p>どういう子なんだねこの小僧は</p><p>閣下が渚に尋ねる</p><p>御覧になった通りですわ彼は、とてもシンプルで判りやすい思考しかしませんから彼は底抜けに正直なんですあたしたち家族には、絶対に嘘を吐きませんから</p><p>渚の言葉に、みすずが付け足す</p><p>はい、旦那様はこれまで一度もあたしに嘘を吐かれたことはありませんどんな時でも、みすずの話は真剣に聞いて下さいますし約束したことは、絶対に守ろうとして下さいますあたしが嫌がるようなことは一つもなさいませんしご自分の欲求を押しつけることもなさいませんむしろ、あたしを喜ばせるためなら、どんなに面倒なことでも率先してなさって下さいます</p><p>まあ素晴らしいですわお兄様</p><p>瑠璃子さんが、感嘆する</p><p>みすずは、こんなに信頼できる方に出会ったのは生まれて初めてですですからこの方に生涯を捧げると決めました</p><p>わたくしもお兄様を信頼致しますっお兄様は、わたくしにずっと優しくして下さいますし</p><p>こんな男の方、なかなかいないんですよ瑠璃子さんも、あたしの旦那様なら全然怖くないでしょ</p><p>はいっみすずお姉様っ瑠璃子は、お兄様に抱き締めていただくのが大好きになりましたっ美子も聞いてわたくし、この方の妹にしていただくことになりましたからっ</p><p>そ、そうなんでございますか</p><p>渚に責められ続けていた美子さんはオレと瑠璃子の会話を聞いていなかったらしい</p><p>そうよっ美子も、お兄様に粗相の無いように気を付けてねっ</p><p>結局のところ彼はちょっと壊れているんですよ</p><p>壊れている</p><p>彼は、両親にも親戚にも、誰一人頼ることのできないまま孤独の中で成長しましたから自分に信頼を寄せる人の期待には、絶対に裏切らないと決めているんです</p><p>渚がオレという人間を説明する</p><p>そんな彼だからあたしたち大人も、彼を信頼していますし彼のことも絶対に裏切りません御名穂さんですら、そうなんですこの子はあたしたちが、ずっと昔に捨てて来た良心そのものですから大切にしたいんです</p><p>この少年がどういう人間なのかは、よく判った君を信用しようしかし御名穂くんが、彼を使って香月の家を手に入れようとしているという疑惑は拭えないね私は、彼女をよく知っている</p><p>渚はクククと笑い出した</p><p>何がおかしい</p><p>閣下が、ジロッと渚を見る</p><p>香月様はご自分の視点からだけで見ていらっしゃりますわ</p><p>私の視点</p><p>はい香月家という大きなピラミッドの、その一番上から見下ろしていらっしゃいます</p><p>それはそうだろう私は、現在の香月家の当主だ</p><p>あたしは未来の香月家の当主は、みすずだと思っていますわ</p><p>そして、みすずは彼を通して、あたしたちの身内です家族だと思っています</p><p>うんオレたちは家族だ</p><p>ですからあたしも御名穂さんも、家族であるみすずを精一杯応援しますわ香月家を乗っ取ることなんて考えておりません香月家はすでに、あたしたちの家族であるみすずの物ですから</p><p>みすずが家族なんだから乗っ取る必要なんてない</p><p>そして瑠璃子さんも、今、彼の家族になりましたあたしたちはこれからも香月様とは関係無く、香月家をお助けしますわ家族の実家なんですから</p><p>ううむ</p><p>閣下が、唸る</p><p>論理的に騙されているような気もするが信用してやろう</p><p>その言葉に、みすずは</p><p>お祖父様に信用していただかなくても結構ですわ</p><p>あたしたちの家族の絆は、お祖父様とは関係ありませんからお祖父様がどう思われましょうとあたしは旦那様の女ですし、瑠璃子さんは旦那様の妹ですあたしたちは、もう家族なんですだから、助け合って生きていくのは当然のことなんですっ</p><p>そうよねっ瑠璃子さん</p><p>はいっお姉様っ</p><p>みすずは、妹にニコッと微笑む</p><p>お祖父様のせいでちょっと脱線しちゃいましたけれど</p><p>あなたのお兄様とお姉様が本当のセックスを見せてあげるわね</p><p>男と女が愛し合うっていうことが、どういうことなのか瑠璃子さんに教えてあげるわ</p><p>はいよろしくお願い致しますっ</p><p>妹は、にっこり微笑んで答えた</p><p>瑠璃子さんの心のガードが、完全に取れました</p><p>吉田くん浸食、しまくってます</p><p>明日は、さらに深く浸食します</p><p>コミケの話</p><p>私が初めてコミケに行ったのは、まだ小学生の頃で</p><p>当時読んでた月刊アウトか、アニメックを見て、面白そうだと一人で出掛けたのでした</p><p>えー、８０年代のことです</p><p>当時のコミケは参加者がほぼ全員、２０代以下でしたね</p><p>主催の米澤さんですら、３０代だったはずです</p><p>そして、中学生以下はほとんどいませんでした</p><p>会場は晴海です</p><p>開催は１日限りでした（その代わり、夏コミ、冬コミの他に、春コミもありました）</p><p>規模的には、今のワンフェスぐらいでした</p><p>会場の全てのサークルの本を、私は見ましたから</p><p>端から端まで</p><p>当時の参加者は並んで居る途中で、話し掛けられて友達になった人とかも含めて</p><p>全員ガンダムだけは観ていましたガンダムの話だけは、誰でも通じました</p><p>２０代の女の人でも</p><p>そういう共通して、誰もが絶対に知っている物があったのは、良かったと思います</p><p>それと当時のコスプレは過激でした</p><p>今みたいに、規制がありませんでしたから</p><p>素肌にビキニそのまま着ているお嬢さんがいっぱいいました</p><p>既製品に手を加えている物はともかく</p><p>アニメの極小ビキニ・アーマーを自作してきたお嬢さんとかは</p><p>上も下も、ポロッとなってましたね</p><p>恐ろしい、時代です</p><p>１０代後半から、学校が忙しくなってコミケから足が遠ざかりました</p><p>晴海を最初に追い出された後の流通センターの時までは行ったのかな</p><p>大雪の朝に、高速道路の下に並んだ覚えがあります</p><p>幕張に行ってからは、一度も行っていません</p><p>エヴァ・ブームの時に、２回ぐらい行ってみましたがもう世代が違ってましたね</p><p>最近は、一昨年ぐらいに覗きに行っただけです</p><p>それでは、働いてきます</p><p>251．瑠璃子さんのためのセックス勉強会・３</p><p>旦那様、こちらにいらして下さい</p><p>全裸のみすずが、オレを誘う</p><p>脱がしてさしあげますね</p><p>みすずが、オレのシャツのボタンを一つ一つ外していく</p><p>笑うみすず</p><p>どうしたんだいみすず</p><p>いえあたし旦那様の奥さんらしいことをしているなって思ったら、嬉しくなったんです</p><p>みすずが、オレを見上げてそう言う</p><p>色々、命令して下さいみすず、旦那様に命令されるの好きです</p><p>マゾっ気の強い、みすずがそう言う</p><p>でもオレ、みすずに何を命令したらいいのか、判らないよ</p><p>エッチな命令でもいいんですよみすずは、旦那様に望まれたことなら、どんなことでもします</p><p>みすずは、どんなことがしたいの</p><p>オレは逆に質問してみた</p><p>命令だみすずのしてみたいセックスを教えろ</p><p>みすずは顔を赤くして答える</p><p>駅のおトイレの中で</p><p>トイレ</p><p>はい駅のおトイレの中で、旦那様に犯していただいてお腹に旦那様の精液を注いでいただいたまま、学校に行きたいです</p><p>判った、今度しようそれだけでいいのかい</p><p>うんと、安全面とかで問題があるかもしれないけれど</p><p>こういうのは、克子姉に相談だな</p><p>きっと良い方法を教えてくれるはずだ</p><p>克子姉も参加したがりそうだけど</p><p>まあ、それはそれで</p><p>いいえあの</p><p>ほら何でも言えよ</p><p>学校の中でセックスしてみたいです</p><p>みすずの学校って日本一の超お嬢様女子校だよな</p><p>そんなことできるのか</p><p>学園祭の時にその時なら、校外のお客様をお招きしていますから機会を作ります美智手伝いなさいね</p><p>みすずが、美智に命ずる</p><p>そうか美智も協力してくれるのならやるしかないんだな</p><p>よし学校の中で抱いてやる</p><p>ありがとうございますっ旦那様</p><p>みすずが、嬉しそうに微笑む</p><p>大好き本当に、あたしの望むことを全部受け入れて下さるんですものっ</p><p>そう言って、オレの唇にキスをした</p><p>オレはシャツを脱がされ</p><p>靴と靴下も脱がされ</p><p>みすずの手がズボンのベルトを外す</p><p>パンツの下のペニスは、すでに勃起している</p><p>みすずが、不思議そうな顔をした</p><p>いつもとは違う下着を付けていらっしゃるから</p><p>嘘はいけない</p><p>この下着は今日のためにメグが選んでくれたんだ</p><p>みすずの眼がちょっと怖い</p><p>それでメグの今日の下着は、オレが選んだんだ</p><p>さすが恵美さんです旦那様にお似合いの、良い下着を選んで下さいました</p><p>今度はみすずとも、お買い物に行きましょうみすずの下着も選んで下さいお好みなら、どんな下着でも付けますから</p><p>みすずは裸に首輪だけの方が、綺麗だよ</p><p>みすずが、大きく眼を見開く</p><p>旦那様どうして、そんなにあたしのことをお判りになっていらっしゃるんです</p><p>あたし裸に首輪だけで、旦那様に抱かれるのが一番好きなんですみすずを喜ばせようと思って、そうおっしゃって下さったんでしょ</p><p>違うよ本当に、好きなんだ</p><p>みすずの裸は可愛くて、セクシーで、大好きだそれに、首輪が付くと本当にオレの女なんだって感じがしてたまらなく愛おしくなる</p><p>あたしもです</p><p>あたし一生、旦那様のペットがいいペットとして可愛がっていただきたいご支配を受けたいの、あたし</p><p>ああ支配してやるぞ</p><p>オレはみすずの頭を撫でてやる</p><p>今日は、首輪は</p><p>本日は踊りの発表会でしたから家に置いてあります今日は安全第一ですから</p><p>残念そうにみすずは、答えた</p><p>そうか荷物を楽屋に置きっぱなしだったし</p><p>瑠璃子も美子さんも、出番が近かったから楽屋は無人になる</p><p>もしも、楽屋荒らしとかにやられたら大変なことになるものな</p><p>今日の出演者たちの中には香月家に敵対している家の子もいるんだろうし</p><p>みすずのカバンから、ＳＭ用の首輪が出て来たなんてことをネタにスキャンダルを起こされる可能性もある</p><p>ちょっと、残念だな</p><p>いいんだよまた、今度すればいい</p><p>そのネクタイもセクシーだ</p><p>今のみすずは、閣下のネクタイをしている</p><p>全裸に銀のネクタイというのもセクシーでいい</p><p>垂れたネクタイの間に、みすずのぷりっと張り詰めたおっぱいが揺れているのが何とも</p><p>はい旦那様たくさん可愛がって下さい</p><p>みすずの白くて細い指がオレのパンツにかかる</p><p>瑠璃子さん驚かないでね</p><p>みすずが瑠璃子たちに、振り向く</p><p>何をでございますか</p><p>不思議そうな顔をする瑠璃子</p><p>御覧になれば判るわ</p><p>みすずが、オレのパンツを下げる</p><p>固く怒張したペニスがぴょこんとみすずの顔の前に飛び出す</p><p>まあどうなさったのでございますかっ</p><p>瑠璃子が悲鳴を上げる</p><p>美子さんが、驚く</p><p>これが男の方のセックスをするための器官です</p><p>みすずが、さわさわと指でペニスを撫で上げながらそう言った</p><p>あのそんなに腫れて、大丈夫なのでございますか</p><p>美子さんが、尋ねる</p><p>えっと普通です</p><p>何か間抜けなことしか、答えられなかった</p><p>いつもそんなになっていらっしやるのですか</p><p>あ、普通という言葉を、美子さんが勘違いしている</p><p>いえセックスする時だけ、こうなります</p><p>旦那様があたしのことを愛おしいと感じられると、こうなるんですあたしたちの股間が濡れるのと同じですわ</p><p>みすずが、そう解説してくれた</p><p>さあ瑠璃子さん、怖がらずに見てちょっとグロテスクに感じられるかもしれないけれど、旦那様のお身体の一部ですから</p><p>瑠璃子が眼を開ける</p><p>そんなに腫れてしまわれて、痛くないのですか</p><p>恐る恐るオレのペニスを見ながら、瑠璃子は言った</p><p>特に痛くは無いよ</p><p>純真無垢な少女たちに勃起ペニスを観察されるというのは、何か変な気分だ</p><p>それはあの普段は、おしっこをなさる器官ですわよね</p><p>さすがの瑠璃子でも、おちんちんは知っているらしい</p><p>あら、瑠璃子さん男の人のこの器官を見るのは初めてよね</p><p>渚が尋ねる</p><p>分家の智子叔母が、赤ちゃんのおしめを取り替える時に見たことがあります</p><p>赤ちゃんのおちんちんしか見たことが無い</p><p>うん小さいときから、男と隔離されて</p><p>ずっと女子校育ちなんだから無理も無いか</p><p>そうですここは、おしっこの排泄器官を兼ねています神様は合理的に人間の身体を設計なさっているのですわ</p><p>みすずがそう答えた</p><p>あたしたちの股間も男の人を受け入れる器官と、排泄器官を兼ねていますし</p><p>そうだ、さっきみすずは自分の女性器を露わにして</p><p>膣口と尿道口を、瑠璃子たちに教えていた</p><p>旦那様あたしどうしたらいいですか</p><p>ねだる様な眼でみすずが、オレを見上げる</p><p>しゃぶってくれ</p><p>みすずは両手でオレのペニスを捧げ持ち舌で舐める</p><p>み、みすず様</p><p>ハッと声を上げる、美子さん</p><p>瑠璃子は驚きの余り声も出ない</p><p>みすずは、亀頭全体を口に含んで唾液でテラテラにしてくれる</p><p>チュパッチュパッと、水音を立ててペニスをしゃぶる</p><p>みすずの頭の動きに合わせて、ネクタイがぷらぷらと揺れる</p><p>み、みすずお姉様そこは、おしっこの出る器官ですわよ</p><p>ようやく瑠璃子がみすずに尋ねる</p><p>ええですから、本当に愛していないとこんな行為はできません</p><p>みすずが、オレの亀頭を自分の左右の乳首に擦り付ける</p><p>旦那様こういうのは、気持ちいいですか</p><p>みすず上達したわね</p><p>渚が、みすずを褒める</p><p>はい旦那様に教えていただいていますからっ</p><p>いや、別に</p><p>オレに教えることなんて何も無いんだけれど</p><p>オレだって、そんなに経験は無いんだし</p><p>みすずそのクビレているところをも舌でチョロチョロって舐めてみなさい</p><p>ほら渚の方が、良いコーチだ</p><p>はいこうですか</p><p>みすずの舌が亀頭のカリを重点的に責める</p><p>ウウッ</p><p>ほーら、彼気持ち良さそうよそうしながら、手で下の袋のところをサワサワッて撫で上げて</p><p>うふふ旦那様、もっと良くして差し上げますわねっ</p><p>渚のコーチングに従ってみすずがテクニックを学んでいく</p><p>このようなことが、気持ちいいのですか</p><p>驚いている瑠璃子が、渚に尋ねる</p><p>二人とも想像してご覧なさい自分の今、濡れている場所を舌でペロペロして貰ったら、気持ちいいと思わないっ</p><p>でもこの様な場所を舐めていただくなんて</p><p>あら舐めるのなんて平気よねっ</p><p>渚が、笑顔でオレを見る</p><p>うん、今度はオレの番だ</p><p>みすず舐めさせろ</p><p>みすずがカーペットの上で仰向けになる</p><p>大きく足を開くんだ瑠璃子たちに見えるように</p><p>開脚するみすず</p><p>女性器は、すでにトロトロになっている</p><p>舐めるぞ</p><p>お願い致します</p><p>オレは、割れ目を指で開いて舌を這わす</p><p>舌が触れた瞬間ゾクゾクゾクッと身悶えする、みすず</p><p>あっあああっ、気持ちいいですぅぅ</p><p>オレは、じゅぱっじゅぱっと舌を動かす</p><p>ほ、本当に舐めていらっしゃる</p><p>驚愕している瑠璃子と美子さん</p><p>あら愛があれば普通のことよ愛し合っている二人が、お互いの気持ちの良いところを刺激し合っているんだからこれは、愛の行為よ</p><p>渚がそう言う</p><p>る、瑠璃子さんこ、ここがねみすずは、ここを旦那様に舐めていただくのが大好きなのっ</p><p>みすずが自分でクリストスを擦りながら、妹に叫ぶ</p><p>みすず舐めて欲しいのか</p><p>ああんっ舐めてぇ舐めてぇぇ旦那様ぁぁ</p><p>瞳を潤ませながら、みすずが嘆願する</p><p>いきなり、ベロベロッと陰核を舐め上げるッ</p><p>いいっ気持ちいいっっ好きっ好きなのぉぉぉ旦那様ぁぁ</p><p>チュウチュウと吸うまた、舌先で小さな豆を転がしていく</p><p>ああっ気持ちいい気持ちいいですぅぅ</p><p>みすずが、両手でオレの頭を掴む</p><p>身体をギュッと固くしながらオレの舌での愛撫に酔っている</p><p>ほーら、気持ち良さそうでしょ女の子はみんな、ここを舐めて貰うのが大好きだものね</p><p>渚が瑠璃子たちに言った</p><p>こういうことってみなさん、なさっているのですか</p><p>瑠璃子が、身体をモジモジさせながら尋ねる</p><p>どうしたの、瑠璃子さんあなたも、舐めて欲しいの</p><p>顔を真っ赤にする15歳の箱入り少女</p><p>あなたも女なら判るでしょここを舐められたらどれだけ気持ちいいのか</p><p>渚が自分の股間を押さえながら、瑠璃子に言った</p><p>あああっわたくしも舐めていただきたいですっご主人様に、犯されたいですっ</p><p>美智が叫ぶ</p><p>美智はスカートの中に手を入れて完全にオナニーしている</p><p>自分で自分をまさぐっている</p><p>でもこれは愛している人同士でないと、やってはいけない行為なのよほら、見てご覧なさい彼、本当にみすずに対して献身的でしょ</p><p>渚の言葉に瑠璃子は</p><p>本当にお兄様は、みすずお姉様のことを愛していらっしゃるのですね羨ましいです</p><p>あら彼は瑠璃子さんのことも愛しているわよ</p><p>渚がケロッと言う</p><p>自分の大事な妹なんですもの瑠璃子さんがお願いしたら、瑠璃子さんのことも舐めてくれるわよそうよね、あなた</p><p>ああ、いつでも舐めてやるぞ</p><p>オレは、笑顔で答えた</p><p>身体が熱いすっかり汗をかいている</p><p>お、お兄様</p><p>びっくりしている瑠璃子</p><p>もう瑠璃子さんには、後でしてあげて下さいっ今は、みすずを見てっ</p><p>そう言って、みすずがオレの頭をギュッと自分の股間に押しつける</p><p>あ悪い、悪い</p><p>ああっあああんっいいですっそこ気持ちいい</p><p>クリトリスを舐められて、全身を震わせるみすず</p><p>だ旦那様ぁぁ</p><p>みすずが切ない顔で、オレを見る</p><p>欲しいです</p><p>みすず求める</p><p>みすずを犯してぇぇ</p><p>オレは頷く</p><p>みすずの股間から顔を離し起き上がる</p><p>オレも、みすずの中に入りたくて仕方が無い</p><p>犯すというのは、どういう意味なんですか</p><p>瑠璃子が渚に尋ねる</p><p>セックスというのが英語で日本語では犯すと言います</p><p>渚がまた嘘知識を教えている</p><p>ですから、瑠璃子さんも男性とセックスいる時は、犯して下さいとお頼みしなくてはいけません</p><p>まあそうなのですか</p><p>その辺の誤知識の訂正は、そのうちにまとめてしよう</p><p>今はオレもみすずを犯したくて、仕方が無い</p><p>瑠璃子さんはプラトンの饗宴はもちろんお読みですよね</p><p>はい読んでおります</p><p>オレはもちろん知らない</p><p>その中にこんな話があったのを覚えていらっしゃいますか古代人間は、男と女が合体した完璧な生き物だったそれが、神の罰を受けて男と女に分離してしまっただから、男と女は別れてしまった自分の半身を求め続けるのだと</p><p>はい、そういう一節があることは覚えています</p><p>二人の話を聞いていたみすずが瑠璃子に言う</p><p>では男と女が合体した、完全な人間をあなたにお見せしますわ</p><p>みすずは、オレに微笑む</p><p>来て</p><p>オレは勃起をみすずの膣口に宛がう</p><p>入れるよみすず</p><p>早くぅぅ早く、来て下さい旦那様ぁ</p><p>みすずは、身を捩ってオレの挿入を待ち焦がれている</p><p>あれって、まさか</p><p>美子さんがオレたちの行為を想像して、声を上げた</p><p>そうよ男の大きくなったアレを、女のココに受け入れることそれが、セックスよ</p><p>渚が、二人に言った</p><p>ジュププププッと膣内の愛液を押し出すように、突き入れる</p><p>ああっ入って来たぁぁ旦那様の熱いのぉぉ来たぁぁ</p><p>ゆっくりとオレたちは、深く繋がっていく</p><p>お奥まで奥まで来てぇぇ</p><p>濡れた眼でみすずがねだる</p><p>一番奥をツンツンして欲しいの</p><p>オレは一気に根元までブチ込むっ</p><p>みすずがあああっと身体を反らせる</p><p>ぐちょぐちょに濡れまくっている膣内はねっとりと熱い</p><p>熱い肉の襞にオレのペニスがキュッと締め付けられている</p><p>亀頭の先がぼってりとした肉壁に当たる</p><p>ここが子宮口</p><p>ああ今、トンって突いた</p><p>オレの下でみすずが微笑む</p><p>す、すごいあんな太いものが、全部入ってしまったわ</p><p>みすずお姉様痛くはないんですかお苦しいのでは</p><p>瑠璃子さんがみすずに尋ねる</p><p>最初にした時は痛かったけれど今は、とっても気持ちいいの</p><p>みすずは、オレと繋がったまま瑠璃子に答えた</p><p>心の中の空っぽだった部分にね旦那様が入って来て下さって、全部満たして下さった感じなのあたし、幸せよ</p><p>みすずがオレの手を自分の手と絡ませる</p><p>旦那様に犯していただくためにあたしは生まれてきたの</p><p>そして祖父を見る</p><p>お祖父様御覧下さいみすずは、今、こんなに幸せですっ</p><p>みすず私のみすずが</p><p>何とも言えない複雑な感情に捕らわれている</p><p>もう、シゲちゃん、そんな顔しないのっ女の子が大人になるのは、仕方のないことでしょ</p><p>渚が笑って、声を掛けた</p><p>さあ男と女のクライマックスを、楽しみなさい</p><p>動いて旦那様</p><p>みすずの身体を思いっきり犯してそして、みすずのお腹の中に、旦那様の赤ちゃんの種をいっぱい出して下さい</p><p>ずんっずんっと律動を始める</p><p>ああんっいい擦って擦って下さい</p><p>みすずが、オレの背中に手を廻す</p><p>自らオレを抱き締めて奥に奥にとオレを求める</p><p>結合部から、ちゃぷっ、ちゃぷっと水音が跳ねる</p><p>オレは、少しずつピストンを強めていく</p><p>みすずのおっぱいとネクタイが揺れている</p><p>お、お二人とも何をなさっているんですか</p><p>お互いの気持ち良い部分を擦って刺激し合っているのよ快感が高まったところで男の人のあの部分から、精子赤ちゃんの素が、女の子のお腹の底に流れ出すのよ</p><p>渚が二人に解説する</p><p>あなたたちも、将来、自分の赤ちゃんを産むためには、この行為をしなくてはいけないのよっ</p><p>この様なことをわたくしが</p><p>瑠璃子はオレたちのセックスを見ながら、戸惑っている</p><p>そうよ赤ちゃん欲しいでしょ</p><p>赤ちゃんは産みたいですでも、わたくしにはこんなことは</p><p>うつむく、瑠璃子</p><p>男の人が怖い</p><p>渚が、尋ねる</p><p>そうね、あなたが結婚したら美子さんとも別れて、一人きりで男の人とこれをしないといけなくなるのよ</p><p>そんなことできません</p><p>男というものに、全く免疫の無い瑠璃子</p><p>たった一人で男の前で裸になって開脚して、男性器を受け入れるというのは、恐ろしくてたまらないのだろう</p><p>でもこれをしないと、赤ちゃんは産まれないのよ</p><p>渚が瑠璃子の心を責める</p><p>怖くはないわとっても、気持ちいいのよっ</p><p>オレの突き込みを受け入れながらみすずが叫ぶ</p><p>見てぇぇこれは愛の行為よあたし、今、裸よ香月の娘じゃないっただの裸の女なのっあたしの愛する旦那様にあたしは、あたしの肉体の全てを捧げているのっ旦那様も、裸で身体だけであたしのことを愛して下さっているのっ幸せよすっごい、幸せなのっ</p><p>熱い涙を零しながらみすずが叫ぶ</p><p>オレの突き込みに、身体を揺らしながら</p><p>みすずの可愛いおっぱいがぷるぷるとうねっている</p><p>興奮して尖ったピンクの乳首が腰の律動に踊る</p><p>みすずオレのみすず</p><p>全部、あなたのものよあなたに捧げたのっみすずの身体好きにしてぇぇメチャクチャにしてぇぇ</p><p>オレはみすずの舌を求める</p><p>みすずは、舌を絡ませてくれた</p><p>みすずのおっぱいを強く揉む</p><p>指の間に、乳首を挟んで、ギュッと握りしめる</p><p>好きっ好き好きっ愛してるっ愛してるんだからぁぁ</p><p>ああ熱いものが、オレの底からこみ上げてくる</p><p>出ちゃいそうなのみすずのお腹の中に旦那様の赤ちゃんの素、出ちゃいそうなの</p><p>ああオレ</p><p>耐えるオレの顔を見てみすずは</p><p>可愛い一生懸命なあなたの顔大好きっ</p><p>みすずみすず</p><p>あっ待ってあたしもイキそうイキそうだから</p><p>みすずもクッと切なさに顔をしかめる</p><p>見ていてみすずのイクところを見ていてみすずの一番恥ずかしい顔を見ながらみすずの中に出してぇぇ</p><p>うん判ったよ</p><p>オレたちはすっかり汗で、ぐちゃぐちゃになっている</p><p>優しいあなたみすずの旦那様ああああんっ</p><p>みすずが駆け上がっていく</p><p>みすず、イッちゃうのぉぉぉイクのぉぉぉイク、イク、イクぅぅ</p><p>身体をギュッと捻ってみすずが絶頂に羽ばたく</p><p>お、オレもオレも、出るよぉぉ</p><p>出してぇぇみすずのお腹にちょうだいっみすずの名前、呼んでぇぇ</p><p>みすずぅぅッッ</p><p>どぷッ</p><p>どぷっ、どぶっ、どぷどぶぅぅ</p><p>あ、熱いっ</p><p>みすずは胎奥に、白濁液の灼熱を感じる</p><p>届いてるぅぅみすずの赤ちゃんの部屋に、旦那様の入ってるぅぅ</p><p>みすずが、ブルルルッと身体を痙攣させる</p><p>オレのペニスを絞り上げる</p><p>まだ出るよ出ているよみすず</p><p>ああっ判るっ出ているの判るっ旦那様ぁぁ</p><p>最後の一滴までオレは、みすずの中に注ぎ込んだ</p><p>まず、お詫びの件</p><p>感想欄の方で、谷沢チーフの現在地に付いて、ご指摘を受けました</p><p>谷沢チーフは、山岡部長と同じ時間に、この部屋から退出しています</p><p>現在は、この部屋には居ません</p><p>谷沢チーフの退出の描写を書き忘れていました申し訳ありません</p><p>該当の243話の方に、加筆しておきました</p><p>昔のコミケの話</p><p>80年代は拡大期だったので、コミケ以外の同人誌即売会も数多く行われるようになりました</p><p>そして、様々な公的な施設で問題を起こして、使用禁止になりました</p><p>まあ、基本的には地元の人たちが使うような公民館みたいな場所とかでも平気で開催していましたし</p><p>そういう場所に、突然、普段では現れないような異様な一団が大挙して押し寄せコスプレとかするわけですから</p><p>コスプレの着替え場所とかもありませんでしたし</p><p>トイレで着替えるのは迷惑行為ですがもっとすごい、会場内の角で平気で着替えていたり</p><p>甚だしい人は、コスプレのまま来場していました</p><p>その上規制前のコスプレは数多くの問題があり</p><p>昨日書いた、露出度の問題だけで無く</p><p>某サッカーマンガのコスプレの方が、会場の照明器具をサッカーボールで破壊したり（確か、横浜）</p><p>金属製の武器を持ったコスプレの方が、大理石の床石を砕いたり（確か、新宿）</p><p>本物の鉄の鎖を巻いたアンドロメダ瞬とか</p><p>コスプレが巨大すぎて、会場の通行の邪魔とか</p><p>ロボのコスプレの人で一歩歩く度に、部品が取れるので、危なくて近寄れないとか</p><p>まあ規制されるわな</p><p>大昔は私も見たことは無いのですが、コミケの事務局の半公認でも毎回ヒーローショーをやっているロリコン漫画家さんとかも居たそうですけどそういう牧歌的な時代もあったみたいです</p><p>あと、今思い出したんですけれど</p><p>晴海のコミケで朝、列に並んでいたら家から自転車で来た人がいまして</p><p>そのロード用の自転車に、ロボットのコスプレのパーツが括り付けてあるんです</p><p>見た目が、完全にモスピーダでした</p><p>その人の持って来たコスプレは、アーマード・バルキリーでしたけれど</p><p>しかし、あの頃私は小学生から中学生で</p><p>毎回、交通費込みで3000円くらいしか持っていなかったのによく行ったなあ</p><p>コミケのパンフが、100円でした</p><p>同人誌もコピー誌が100円でオフセットも300円くらいだったです</p><p>カラーの表紙なんて、ほとんど無い頃でしたから</p><p>それでは、また明日</p><p>暑いです</p><p>252．家族の肖像</p><p>はぁはぁはぁ</p><p>短距離走を何本もこなした後のように</p><p>汗まみれになって、オレたちは絡み合っている</p><p>みすずと眼を合わす</p><p>とろけている濡れた瞳</p><p>気持ち良かったです</p><p>オレも気持ち良かったよ</p><p>お礼を気持ちを込めてみすずにキスをする</p><p>おっぱいも優しく揉んだ</p><p>汗を弾く17歳の肌が、火照っている</p><p>あふっそうして触られるの、気持ちいい</p><p>射精の後の緩んだ時間をオレたちは楽しむ</p><p>幸せだから</p><p>あなたに裸で抱かれてまだ、あなたのものがあたしの中に入っている幸せよ、あたし</p><p>うふふ旦那様ぁぁんっあたしの旦那様っ</p><p>みすずが、オレをギュッと抱き締めオレの鼻をペロッと舐める</p><p>あんっ旦那様のお鼻、汗でしょっぱい</p><p>旦那様が謝ることではないですみすずのために、一生懸命して下さったからこんなに汗だくになられて</p><p>みすずだって、汗だくだろ</p><p>オレはみすずの顔の汗の玉を舐める</p><p>美味しいですか</p><p>ああ美味い</p><p>オレの女の汗だ</p><p>うふっ大好きっ</p><p>みすずは、キラキラした眼でオレに微笑む</p><p>あたし旦那様に抱かれていると、どんどん裸になれるの</p><p>みすずは普段は心に分厚い服を纏っているからでも、旦那様と一緒に居ると安心して裸になれる今のみすずの心は、裸んぼですっ</p><p>無垢な子供の様な純真な微笑みでみすずは笑う</p><p>こういうみすず好きですか</p><p>どんな、みすずも好きだよ全部、みすずだもの</p><p>あたしも旦那様の全てが好きッ</p><p>今度は下からみすずがオレにキスしてくれた</p><p>二人ともそろそろあたしたちのことも、思い出してちょうだいっ</p><p>渚が、苦笑している</p><p>思い出すも何も、忘れてませんわ</p><p>みすずが、元気よく答えた</p><p>あたし渚様に見せつけているんですから</p><p>みすずがクスクスと笑う</p><p>あら覚えてなさいねっ</p><p>渚が口では怒った振りをするが顔は笑っている</p><p>男の世界ではセックスをして厄落としするという考えの人間もいるが</p><p>閣下が、絡み合ったままのオレたちを見下ろして言う</p><p>お前は本当に憑き物が落ちた様に、さっぱりとした顔をしているな、みすず</p><p>だって、本当に幸せなんですものっ</p><p>みすずが、オレを抱き締めて祖父に答える</p><p>あたしこの人だけ居ればいい後は、何も要りませんっ</p><p>オレの身体に縋り付く、みすず</p><p>おい、あんまり動くとみすずの中でまた大きくなっちゃうよ</p><p>そしたら、またみすずの中に出せばいいんですっ何回でも、気持ち良くなって</p><p>男の精を受けとめたばかりの少女の眼はセクシーに潤んでいる</p><p>そこまで、みすずを惚れさせるとはな確かに、どこかの名家の碌でもないドラ息子と結婚させるよりは、この黒森の小僧と掛け合わせた方が、みすずのためになるのかもしれん</p><p>閣下はまだオレとみすずの関係を、よく理解していない</p><p>香月家の立場からだけオレたちを見ている</p><p>みすず１回、彼と離れなさい</p><p>渚が命じる</p><p>もうちょっと、こうしていたいです</p><p>みすずはそう言って、オレを受け入れたままグイグイと腰を動かす</p><p>おい本当に復活しちゃうって</p><p>ダメよ今は、瑠璃子さんにセックスを見せてあげているんでしょ彼の精子があなたの中に入っているところを確認させてあげないとねっ</p><p>はーい、判りました</p><p>渚の言葉にみすずは、答える</p><p>抜くよ、みすず</p><p>旦那様と離れるのは、寂しいです</p><p>また、後ですればいいさ</p><p>オレはじゅぽっと愛液と精液で塗れたペニスを引き抜く</p><p>ペニスは半勃ちの状態だった</p><p>瑠璃子さん見てぇ</p><p>みすずが、瑠璃子に向かって大きく開脚する</p><p>今から旦那様の精子が、溢れてきますからね</p><p>そしてお腹に力を込める</p><p>細いみすずの腰とまだ肉の乗りきっていない少女のお尻がキュッと締まる</p><p>膣口からトロッと白い液が零れる</p><p>これが精子です旦那様の赤ちゃんの種です精液ともいいます</p><p>瑠璃子は眼の前で起きている動物的な状況に、すっかり強ばっている</p><p>これがみすずのお腹の奥の子宮と呼ばれる場所の卵子と結合することで、赤ちゃんになります</p><p>みすずは、人差し指と中指で零れた精子を拭う</p><p>そしてペロッと舐めた</p><p>うん美味しい</p><p>その様子を瑠璃子は、緊張して見つめている</p><p>舐めても、平気なのですか</p><p>旦那様があたしのために出して下さった赤ちゃんの素です汚くはありませんむしろ、神聖なものです零れたままにしておくのは、もったいないですわ</p><p>みすずは、にっこり微笑んでそう答える</p><p>そして、自ら膣口に指を入れさらに精液を掻き出す</p><p>瑠璃子さんも舐めてご覧なさい</p><p>わわたくしが、舐めるのですか</p><p>怯えている瑠璃子</p><p>はいみすずの旦那様の精子です舐めてごらんなさい</p><p>みすずは瑠璃子に精液の付いた指を差し出す</p><p>瑠璃子は椅子から腰が上がらない</p><p>みすずが忠臣を呼ぶ</p><p>はい失礼致します</p><p>美智はススッと前に出てみすずの指先の精子を、自分の指に移す</p><p>そして瑠璃子の顔の前に差し出し</p><p>お舐め下さいませ</p><p>瑠璃子は緊張に震えている</p><p>おいみすず</p><p>閣下が口を挟むが</p><p>あらシゲちゃんは見たくないの瑠璃子さんが、初めて男の精子を舐めるところを</p><p>渚が、先生モードで牽制する</p><p>わ、私は</p><p>引き下がる閣下</p><p>旦那様も瑠璃子さんに味わって欲しいですよね</p><p>みすずが、オレに振る</p><p>瑠璃子が、どうしても嫌なら無理しなくてもいいよでも、オレは舐めて欲しいな</p><p>素直な気持ちを述べる</p><p>この純真無垢な美少女に自分の精子を舐めさせたい</p><p>半勃起のペニスがまた、強ばっていく</p><p>お兄様がお望みでしたら</p><p>瑠璃子がビクビクしながら、小さなピンク色の舌を美智の指に伸ばす</p><p>ペロッと白濁した液を舐め取る</p><p>に、苦いです</p><p>顔をしかめて瑠璃子は、そう言った</p><p>それが赤ちゃんの素の味よこれから何回も味わないといけないんだから慣れなさいね</p><p>あたしは、もう大好きになりました毎日でもペロペロしたいですっ</p><p>みすずは言う</p><p>精子はね男の人の体調によって味が変わるのよだから、毎日味を確認していると彼の健康状態が判るようになるわよっ</p><p>渚が、そんなことを言い出す</p><p>じゃあ、毎日舐めますみすずに飲ませて下さいね、旦那様っ</p><p>確か、マナも毎日飲みたいって言ってたんだよな</p><p>美子さんには、差し上げませんからね</p><p>美子さんはまだ、自由になる道が残っていらっしゃいますから</p><p>どういう意味なんだ</p><p>オレが尋ねる前に美智が</p><p>切なそうな顔で、主人の前に跪く</p><p>判っているわあなたも欲しいのね</p><p>恥ずかしそうに美智が答える</p><p>美智は直接、旦那様からいただきなさい</p><p>旦那様のものを美智の口と舌で綺麗にするのよ中に残っている精子も、綺麗に吸い取りなさい</p><p>美智にお掃除フェラをさせようというのか</p><p>美智がオレの前にかしずく</p><p>ご主人様わたくしが綺麗に致します</p><p>オレの股間にしゃがみこんで、ペニスに触れようとする美智</p><p>美智ちょっと待て</p><p>美智がオレを見上げる</p><p>て、抵抗とか無いのか嫌ならしなくてもいいんだぞ</p><p>美智はご主人様の物です所有物です道具の様に使われたいんです</p><p>このマゾっ子もかなり歪んだ性癖を持っている</p><p>ただの道具じゃつまらないだろ</p><p>せめてオレのお気に入り愛玩物ぐらいにはならないとな</p><p>愛おしい玩具ですか</p><p>美智がブルッと震える</p><p>それ良いです素敵ですわたくしは、ご主人様の玩具《おもちゃ》になりたい</p><p>愛しい玩具というイメージが、ツボにハマったらしい</p><p>顔を真っ赤にして悦びに震えている</p><p>じゃあ、何をするにしてもまずキスからにしろキスが先だ</p><p>美智がオレにキスする</p><p>オレは舌を美智の口に押し込む</p><p>美智は受け入れ舌を絡める</p><p>小柄な身体をオレは抱き締めた</p><p>充分に堪能して</p><p>美智から唇を離す</p><p>では、ご奉仕致します</p><p>ああ頼むよ</p><p>美智が、再びオレの前に跪き</p><p>両手でペニスを捧げ持ち</p><p>口に含む</p><p>ペニスに付いていた愛液と精液が</p><p>美智の唾液に溶けていく</p><p>美智の可愛い唇が</p><p>オレの亀頭を優しくブラッシングしていく</p><p>そんなオレたちを見て、閣下は</p><p>みすずは、工藤の娘を下僕にしたのかまあ、いいお前は、元々レズの傾向があったものな</p><p>閣下の脳内ではあくまでも、みすずが美智にフェラチオをさせている</p><p>オレという黒森の男もみすずの支配下にいる人間としか思っていない</p><p>閣下の意識は、変わらない</p><p>つまり香月の人間が、それ以外の人間を支配する</p><p>その構図でしか全ての状況を理解できないから</p><p>オレとみすずと美智の関係が判らない</p><p>ご主人様わたくし、この様なことをするのは初めてですから</p><p>恥ずかしそうに美智が囁く</p><p>あまり上手くできません申し訳ございません</p><p>そんなことはない気持ちいいよ</p><p>オレは、優しく美智の髪を撫でてやる</p><p>きっと上達致します上達致しますから</p><p>わたくしをお見限りにならないで下さい</p><p>大丈夫だ一生大切にする可愛がってやるから</p><p>美智のフェラチオは、みすずのよりも丹念で丁寧だった</p><p>みすずのフェラチオは、オレと快感を楽しもうという心の連帯感があったが</p><p>美智は、奉仕精神の方が強い</p><p>探るような眼でオレを見上げてている</p><p>二人とも魅力的で、気持ちの良いことに変わりはないけれど</p><p>あの強い美智が、小動物の様にオレを見つめているのが可愛らしい</p><p>亀頭の先を、チュウッと啜る美智</p><p>尿道に残った精液まで、吸い取ってくれる</p><p>ああ半勃起だったペニスが</p><p>みるみる勢いを取り戻していく</p><p>美智は今はまだ見習い期間なんです</p><p>みすずが瑠璃子さんたちに言った</p><p>何の見習い期間なのでございますか</p><p>美子さんが尋ねる</p><p>瑠璃子はオレのペニスにフェラする美智に、すっかり集中している</p><p>旦那様の女になるためのですわ</p><p>みすずは平然と、そう言った</p><p>黒森家は、一夫多妻制ですから旦那様は、何人妻を迎えてもいいんですの</p><p>そんなの初耳だぞ</p><p>というかオレは本当は、黒森じゃないし</p><p>みすずの言葉を訂正したいけれど</p><p>美智のフェラチオが気持ち良すぎて言葉が出ない</p><p>一夫多妻って日本の法律では、許されていないはずなのではございませんか</p><p>美子さんが驚いて尋ねる</p><p>法律上はそうですがそんな物は、どうにでもなりますお役所の戸籍の上の紙の上だけの問題ですから</p><p>すると黒森様は、イスラム教徒でいらっしゃるのですか</p><p>ええっと美子さん</p><p>どうして、そういう発想になるの</p><p>いいえ宗教は関係在りません黒森という家が旦那様を中心とした、一夫多妻制でやっていくと決めたのです</p><p>オレはそんなの知らないけれど</p><p>ではみすず様の他にも、黒森様の奥様に成られる方がいらっしゃるのですか</p><p>その美子さんの声にフェラ見学に気を取られていた瑠璃子がハッとする</p><p>はいあたしは旦那様の妻の一人です一人にしていただきます</p><p>驚く瑠璃子、美子さんそして、閣下</p><p>おい、どういうことなんだねそれは</p><p>話に割り込もうとする閣下に、渚は</p><p>シゲちゃんは、しばらく黙っていてっ</p><p>おい私は</p><p>先生の言うこと、聞けないのっ</p><p>先生モードの強権で、閣下を黙らせる</p><p>あのみすずお姉様</p><p>黙らされた祖父の代わりに、瑠璃子がみすずに尋ねる</p><p>それでよろしいのですか、お姉様は</p><p>ええあたしは、全て納得しています</p><p>でもお姉様は、香月の家の娘ですわ妻の一人だなんて</p><p>瑠璃子にも日本有数の名家、香月家のプライドがある</p><p>あらどうしていけないの</p><p>みすずは、笑って答えた</p><p>旦那様の他の女って瑠璃子さんが知っている人もいるのよ</p><p>わたくしが知っている</p><p>ええさっき、劇場で会っているわ</p><p>考え込む、瑠璃子</p><p>香月の一族の方ですかそれとも他の名家の方</p><p>みすずが、ニッと笑う</p><p>恵美さんとマナさんよ</p><p>恵美さんとマナさんて</p><p>そうよ夕方、あたしたちの楽屋に遊びにいらっしゃったでしょ</p><p>驚く瑠璃子</p><p>ですがマナさんなんて、わたくしよりも年下ではありませんか</p><p>みすずは、答える</p><p>人生を決めるのに年齢は関係ありませんあなただって、１５歳なのにお祖父様の決められた婚約者と結婚する覚悟をしていたではありませんか</p><p>みすずが、年下の従妹を叱る</p><p>はいそうでした</p><p>瑠璃子が、頭を下げる</p><p>苛酷な運命の中で生きているのは、あたしたち香月の家の娘だけではありません自分だけが辛い人生を生きていると思ってはいけないわ</p><p>恵美さんもマナさんもそれぞれ、辛い運命に遭われたのよそれを旦那様が受けとめて下さったの</p><p>黒森様が</p><p>美智ちょっとストップだ</p><p>美智が舌の動きを止める</p><p>ここから先はオレが話さないといけない</p><p>こんな大事な話をするのにフェラチオされている訳にはいかない</p><p>メグは実の父親に捨てられて、売り飛ばされる寸前だったんだ</p><p>性奴隷とか、売春婦という言葉は瑠璃子には、多分通じない</p><p>マナも家族から見捨てられましたあいつはもう、オレが守ってやるしかないんだ</p><p>渚が、フフッと笑う</p><p>あたしも彼の女よ彼の奥さんになりますっあたしももう、本当の家族のところへは帰れない女なのそんなあたしを彼は家族にしてくれるって約束してくれたのよっ</p><p>瑠璃子に美子さん、閣下までが渚の告白に驚いている</p><p>見た目は平凡な高校生のオレが、年上の渚を女にしているとはさすがの閣下も想像していなかったらしい</p><p>あたしだって同じですあたしは、香月の家の娘ですが香月の家には、家族の絆はありません本家も分家も心からは、信用できない互いに利用し合って、いつでも損得の駆け引きをしているそういう関係じゃないですかあたしは正直、自分のお父様すら信用できないんですあたしのこと香月家の中での地位を守るための道具としか思っていらっしゃらないから</p><p>瑠璃子がそっと呟く</p><p>あたしも本当の家族がうつろなんですだから黒森の旦那様の家族に入れていただいたんです</p><p>この人があたしの旦那様です世界中の人間があたしを見捨てたとしても、あたしの旦那様だけは絶対にあたしを助けに来て下さるそう信じられる、たった一人の家族です</p><p>あたしもそうよ自分が、今すぐ死んでしまうとしたら側に居て欲しい人それが彼なのあたしの主人よあたしの家族です</p><p>みすず、渚</p><p>わたくしはご主人様とみすず様をお守りする番犬です絶対にわたくしは、このお二人の幸せを守ります</p><p>番犬じゃないわあたしたちの家の中に入っていらっしゃい</p><p>美智だってもう、あたしたちの家族なんだから</p><p>オレが割り込む</p><p>みすず美智は、そういう言い方じゃダメなんだ</p><p>オレは、美智を見る</p><p>美智命令だオレの家族になれ</p><p>わたくしは下僕です忠犬です道具ですご主人様の玩具です家族なんて大それた</p><p>大それていない</p><p>オレは、きっぱりと言う</p><p>下僕でも玩具でも、何でもいいからオレたちの家の中にいろ家の中にいれば、犬でも猫でも玩具でも、みんな家族だ美智が幸せな気持ちにならないと、オレたちが幸せになれないんだそう思って一生懸命、幸せになれ</p><p>美智が身体を震わせる</p><p>もったいのうございますっ</p><p>もったいなくないっ</p><p>オレは、眼の前の美智を思いっきり抱き締める</p><p>どこにも行くなずっと、オレの側にいろっ</p><p>はいはいかしこまりましたぁぁ</p><p>美智がオレの腕の中で震えている</p><p>命令だからなっ美智は、オレの家族だっ</p><p>はいっ家族ですっ家族になります</p><p>そんなオレたちを見て渚が、瑠璃子に言った</p><p>こういう関係よあたしたち本当の家族ではどうすることもできない女たちを彼は受け入れてくれているの</p><p>そうですそれに旦那様は、誰でも見境なく受け入れていらっしゃるわけではありません旦那様が家族になさるのは心の美しい、だけど傷ついている娘だけですから</p><p>瑠璃子さんがお会いになった人たちでも旦那様は黒子さんは受け入れませんから</p><p>雪乃を受け入れていない</p><p>黒子さんだって身の回りの状況は、他の娘たちと大して変わらないんです</p><p>いや、みすず雪乃はマナの実の姉なんだから</p><p>状況が大して変わらないどころか同じくらいヤバイ</p><p>白坂本家は、雪乃にも抹殺指令を出しているんだから</p><p>でも旦那様は、ああいう下品な女性は家族にはなさいません</p><p>あんな面白衣装に、変なメイクをしているのは雪乃の趣味じゃないんだから</p><p>そこまで言うのは、可哀想なんじゃないか</p><p>そこまで、他の女たちと雪乃に差を付けているか</p><p>いや、みすずは自信満々に言っているし</p><p>渚も美智も、うんうん頷いているから</p><p>みんなからは、そう見えているんだ</p><p>自分では全然、気付かなかったけれど</p><p>今のお話をお聞きして、安心しました黒森様は、ちゃんと女性の本質を見る眼をお持ちなんですね</p><p>る、瑠璃子</p><p>他の人たちから見て、雪乃ってどんな女に映っているの</p><p>時間のある時に、じっくり聞かせて欲しい</p><p>しかしわたくしには、まだ納得できませんみすずお姉様は黒森様を独占なさりたいとは思われないのですか</p><p>瑠璃子の問いは、もっともだ</p><p>時々は、独占したいと思います</p><p>でも、あたし旦那様に相応しい女にならないといけませんから</p><p>相応しい</p><p>みすずの答えに瑠璃子は驚く</p><p>そうですあたしにはやらなければならないことがありますそれを一生懸命やらなければ、旦那様に愛していただくのに相応しい女になれません</p><p>あたしも、そうよあたしは今、お花屋さんをやっているの一生懸命、お店で働いてそして、あたしの可愛い娘今、隣の部屋で遊んで貰っている子ねあの子を幸せに育てていかないとねそれが、あたしのやらなくてはいけないことあたしの現実一人だけだと心細くって、夜にベッドの中で泣いたこともあるわでも、今は平気彼がいるから本当に心が辛くなった時は、彼が慰めてくれるって判っているから毎日、一生懸命生きられるの</p><p>あたしはそれでもやっぱり、香月の娘であることからは逃げられませんこれが、あたしの現実だから闘います香月の家に関すること恨みも妬みも陰謀も、全部きれいに吹き飛ばして、みんなが幸せになれるようにするそれがあたしの夢よ</p><p>あたしは香月の娘に生まれたという運命に流されないわ誰が従容として運命に負けるものですかあたしは闘いますそしてあたしだけでなく、香月の人間全てが幸せになるように努力しますもう、どんな相手も怖くはないわ本当に辛くなったり、悲しくなった時には旦那様にいっぱい甘えますからそして、旦那様からエネルギーをいただいて、またあたしは闘いに行くの</p><p>だからあたしは瑠璃子さんのことも決して見捨てないわあたしと旦那様は、あなたも幸せにするそう決めたんだから</p><p>みすずお姉様は、本当に香月の家を変えられると</p><p>変えるわあたし一人の闘いじゃないものあたしには、旦那様がいる旦那様の家族もいてくれるみんな、あたしを助けてくれるわ</p><p>みすずから渚へ</p><p>ええ何でも助けるわよあたしたちは彼を通して、みすずの家族だから血の繋がりは無いけれど命懸けで助けるわよ大切な家族だもの</p><p>渚から美智へ</p><p>はい何でもご命令に従いますわたくしたちには、掛け替えのない絆がございますから</p><p>瑠璃子の香月家を頂点とした、世界観がゆっくりと崩壊していく</p><p>そんな家族が世の中にはあるのですね</p><p>そうよ彼の他の女にはねこれからパン屋さんを始める子もいるわもちろん、あたしたち全員でバック・アップするわ</p><p>今日だってあたしの発表会のために、家族みんなで応援しに来てくれたのよっ恵美さんは、陸上部の部活を頑張っているんですって今度は、あたしが応援するわっマナさんは、スーパーモデルになりたいんだってだから、あたしこれから良い先生を探してあげないと</p><p>みすずに、渚が言う</p><p>家族ですものっ何でもしてあげたいものねっ</p><p>はいっだからあたしは、旦那様を独占しないし他のみんなも同じ気持ちなのよもう家族なんですものっその時に旦那様を必要としている人に旦那様は、元気を与えて下さるんだからあたしたちは自分の夢に向かってそれから、家族の夢のサポートに、精一杯突き進めばいいんですものっ</p><p>みすずの言葉に、美智がうんと大きく頷く</p><p>本当にオレの女たちは良い人ばっかりだ</p><p>頭が良くて素直で優しくて</p><p>オレにはもったいない</p><p>ごめんみんな、オレ</p><p>オレこそ頑張るからみんなに相応しい男になるから</p><p>みすずと渚が顔を見合わせる</p><p>それから、二人で美智を見て</p><p>馬鹿ね</p><p>渚が、オレにキスをする</p><p>そうです旦那様は、そのままドシッとしていて下さればいいんです</p><p>みすずが、オレにキスをする</p><p>わたくしたちを信じて下さい</p><p>美智もオレにキスをした</p><p>瑠璃子が言った</p><p>みなさん本当に信頼なさっていてそれが、本物の家族なんですね</p><p>寂しそうに瑠璃子が言う</p><p>だったら、瑠璃子さんもこっちにいらっしゃい</p><p>そうよあなたも黒森の家族になりましょうっ</p><p>な、渚</p><p>あの、渚黒森の家族って</p><p>オレは渚に囁く</p><p>オレは吉田だ</p><p>今は黒森公之助の偽名を使っているけれど</p><p>黒森ではない</p><p>あなたも、そろそろ気付きなさい</p><p>渚がオレの耳にそっと囁く</p><p>あなたはもう黒森の人間なのよ</p><p>暑さが止みませんね</p><p>今までやった、一番暑かったバイト</p><p>１．花火大会の警備員</p><p>なぜか、午前中に現地に集合</p><p>午後７時からの花火大会にやって来るお客さんが会場の周りに車を路駐しないように、見張れと命じられる</p><p>昼過ぎから２０メートルおき位に、一人ずつ、警備員が配置される</p><p>灼熱の中絶対に持ち場を離れるな住人以外の車は停めさせるなとの指示</p><p>一人、また一人と、熱中症で倒れていく警備員たち</p><p>持ち場に自販機のある人間は、缶ジュースも買えるが</p><p>何も無い民家に配置された私たちは、水分補給もできない</p><p>倒れた警備員の代員もいないので周りの警備員の持ち場が拡がる</p><p>そのまま７時まで、頑張る</p><p>地獄というのは、こういう場所なんだろうなと思った</p><p>２．チョコレート工場の煮釜係</p><p>チョコレート工場で、半生チョコレートの中身を作れと言われる</p><p>最初は２人体勢だったのに８月の猛暑の中で、さらにグツグツと大釜で煮る係だから暑すぎて</p><p>私のコンビになるバイトは、どんどん逃げて行く</p><p>ほぼ全員次の日から、来なくなる</p><p>代わりに来た正社員さん、こんな暑いのやってやれっかと、意味不明なことを言っていなくなった</p><p>気が付いたら半月後には、一人きりで煮ていた</p><p>こっちも初めてなので完成品がどんなものかよく判らないのに作らされる</p><p>材料を大釜に数十キロ単位でブチこんで、煮て、途中で薬品を足したりする</p><p>プリント一枚渡されて材料や薬剤の量も、バイトの私が自分で量って入れる</p><p>最後は、材料を倉庫に取りに行くのから、ポンプでコンテナに移し替えて運ぶのまで一人でやっていた</p><p>最初は１日限りで逃げたやつを根性ねえなあと思っていたが</p><p>ある日、パートの叔母さんがこんな非人間的な工場、あたし初めてよとブチ切れて辞めていく声を聞いて</p><p>ああ、そうか初日で逃げる方が、正しい対応なんだって気付いた</p><p>正社員も誰もいなくてバイト一人に作らせてるって異常だもんなあ</p><p>心が折れて、私も辞めました</p><p>以来その会社のチョコレートは死んでも買いません</p><p>ちなみに、３勤制でしたので３チームで作っていたのですがバイトのところは何故か一人体勢で、正社員だけ二人でやっている</p><p>ある日、交代したらなぜかすでに計り終わった薬剤が、ボールに入れられて残っていた</p><p>もしかしてと、思って、正社員に報告</p><p>案の定前のチームが入れ忘れていた</p><p>で正社員の対応</p><p>入れ忘れた完成品を煮釜に戻して、適当に薬剤を混ぜて終わり</p><p>絶対に、他の製品と味が違うと思う</p><p>本当にいい加減なところでしたね</p><p>この２つが、一番ブラックな思い出です</p><p>暑いなあ</p><p>253．ショウ→ウマ</p><p>あなた自身が本当の家族に捨てられた男の子でしょ</p><p>瑠璃子たちに聞こえるように少し大きな声で、渚が言った</p><p>だから、あたしたち家族になったのよ</p><p>弓槻いや、黒森御名穂に拾われた子供だ</p><p>だからあなたは、あたしたちに目一杯甘えなさい</p><p>渚の豊満な肉体がオレを抱き締める</p><p>そうです旦那様は、もっともっとあたしたちに甘えていいんですよ</p><p>オレはみんなに愛されるのに相応しい男なのかな</p><p>オレには自信が無い</p><p>急に不安が、オレを襲う</p><p>もう、馬鹿、馬鹿、馬鹿</p><p>渚がオレに言う</p><p>あなたは、いつも考え過ぎなのよ</p><p>オレ考えすぎ</p><p>まずあたしたちは、あなたが必要なの寂しくなったり、心が弱くなった時に、あなたに側に居て欲しいと思っているそれは判るわね</p><p>渚が、先生モードでオレに言う</p><p>うんもちろん</p><p>それは判っている</p><p>あたしがあなたを欲している時には、いつでも来てくれるわよね抱いて欲しい時には、いつでもセックスしてくれるわよね</p><p>うんそれは絶対にオレは渚が望むことなら、何でもするよ</p><p>渚がニッコリと微笑む</p><p>じゃああなたも、寂しくなったら思いっきり、あたしに甘えて</p><p>あたしのお願い聞いてくれるわよね</p><p>大人の情熱的なキス</p><p>あたしはあなたに縋りたい時ばかりじゃないのあなたに、たっぷり甘えて欲しい時もあるのよ</p><p>旦那様みすずもです</p><p>カーペットの上で全裸のまま座り込んでいる、みすずがオレを見上げて言う</p><p>みすずも甘えて欲しいです</p><p>でも、オレそんなのどうしたらいいのか、判らないよ</p><p>女に甘えるってどうしたらいいんだ</p><p>あら、簡単よもっと素直になってくれればいいのよっ</p><p>素直に</p><p>あたしのこと、抱き締めたくなったらいつでも、どこでも抱き締めてキスしたくなったら、その瞬間にキスして遠慮はいらないわあたしはあなたの女なんだから</p><p>そうですもっと、もっと心の壁を取り払って下さい旦那様って、まだまだあたしたちに遠慮なさっていらっしゃいますよね</p><p>二人がオレに言う</p><p>だって、それは</p><p>だってなあに</p><p>渚がオレに詰め寄る</p><p>だって、みんなオレにはもったいないくらい、綺麗で可愛くて優しくてオレなんかより、ずっとずっと頭だって良い人たちだから</p><p>オレの中でずっと溜め込んできた感情が、溢れる</p><p>オレこそみんなには、相応しく無い男なんじゃないかっていつもいつも思っているんだよオレなんかが、みんなの役に本当に立つのかなって</p><p>心の壁が壊れる</p><p>恐怖がオレを襲う</p><p>オレ本当にみんなを幸せにできるんだろうか</p><p>オレには確信が無い</p><p>オレメグやマナのために、生活費を稼がないといけないしでも、オレ、本当にちゃんとできるのかなオレみたいな男の働きで、幸せに暮らせるぐらい稼げるのかな</p><p>心の中の心配が一気に噴き出す</p><p>オレ寧さんを心の暗闇から救ってあげられるのかなミナホ姉さんの役に立っているのかなマルゴさんの足手まといになっているだけなんじゃないかな</p><p>それだけじゃない</p><p>オレメグが胸を張れる彼氏になれるのかなマナの良いお兄ちゃんになれるのかな寧さんの良い弟に克子姉の弟に渚の良い夫に美智の良い主に真緒ちゃんの良いパパになれるのかな</p><p>真緒のことまで、あなた</p><p>渚が、ハッとイキを呑む</p><p>オレみすずが恥ずかしくない相手になれるのかな</p><p>ダメだ、ダメだ、ダメだ</p><p>これ以上気弱になっちゃいけない</p><p>オレの心が、危険のシグナルを鳴らしている</p><p>こんなところで負けてたまるか</p><p>いやなるんだならなくちゃオレみすずが誰にでも恥ずかしくなく紹介できる立派な男に</p><p>オレの心中に光明が見える</p><p>吉田のままじゃ、もうダメなんだ</p><p>黒森になろう</p><p>吉田という情けないだけの男の人生は捨てて</p><p>オレは黒森になる</p><p>オレなるよメグの最高の彼氏にマナの素敵なお兄ちゃんに寧さんの弟克子姉の弟渚の夫美智の主真緒ちゃんのパパみんな、勤めてみせるから絶対に</p><p>オレにはもう家族がいるんだ黒森の家族が絶対に、くじけるもんか</p><p>負けるわけにはいかない</p><p>渚がオレを抱き締める</p><p>ごめんなさいあたしたちあなたの気持ちを、判ってなかったのね</p><p>申し訳ありませんっ旦那様</p><p>裸のままのみすずもスッと立ち上がり背中から、ギュッとオレを抱き締める</p><p>そんなに真剣に、あたしたちのことを一生懸命に考えていて下さっているなんてあたし、判っていませんでした</p><p>あなた、一人で溜め込みすぎなのよ</p><p>二人の言葉がオレの心に染み込んでくる</p><p>そうよねあなたも、ただの寂しがり屋の男の子で一人ぼっちで孤独だった少年でそれがいきなり、こんなことに巻き込まれちゃってずっと、無理していたのよね</p><p>オレの心を濡らしていく</p><p>何でだか判らないけれど涙が出て来た</p><p>オレオレ渚ぁぁ</p><p>涙がぼろぼろと零れる</p><p>あなたも苦しんでいたのにあなたは、傷だらけのあたしたちを受け入れてくれて必死にあたしたちを愛してくれたのよねごめんなさい</p><p>オレは渚の腕の中で泣く</p><p>背中から、みすずも抱いてくれている</p><p>苦しくて声が出ない</p><p>音を立てずに静かに泣く</p><p>大丈夫よあたしたちがいるからもう、絶対にあなたは一人にはならないわ一人になんてしてあげないんだから</p><p>渚がオレを強く抱き締めてくれる</p><p>裸のみすずが背中からオレの涙をペロッと舐めた</p><p>驚くオレにみすずが、ニコッと微笑んでいる</p><p>旦那様の涙は、みすずのものですだから旦那様の涙は、あたしが全部呑んで差し上げます旦那様が、みすずの涙を呑んで下さるように</p><p>みすずの言葉に涙が止まった</p><p>何もかも、重く考えないで下さいあたしは旦那様がいいんです旦那様でないとダメなんです側に居て下さるだけでいいんです世間体のことなんて、考えないで旦那様のことを悪く言う人なんて、みすず、絶交しちゃいますから</p><p>優しく微笑んでくれているみすず</p><p>そういう輩はわたくしが全員ブチのめしますっ</p><p>美智が叫んだ</p><p>ご主人様こそわたくしの生涯の主ですどうか、わたくしが粗相をした時はいつでも、ご処罰なさって下さいわたくしは、ご主人様に折檻されたいのですっ</p><p>いやご処罰に折檻て</p><p>それは、お前の性癖だろ</p><p>ご主人様じゃないとダメなんです</p><p>そうかじゃあ、折檻してやらないと</p><p>でも良かった</p><p>渚が、フフッと微笑む</p><p>あなたがあたしたちに心を開いてくれて</p><p>はい旦那様が、あたしたちに本当のお心を見せて下さいました</p><p>今度は、みんなのいないところでね二人っきりの部屋で、いっぱい、あたしの胸でお泣きなさいあたしも一緒に泣くから</p><p>あ、渚様、ずるいですみすずも、旦那様の涙をもっとペロペロします</p><p>みすずも微笑む</p><p>あなたまず、お金のことは、あなたが成人するまでは考えなくていいわ御名穂さんや克子やあたしに任せておきなさい</p><p>でもじゃないの恵美ちゃんやマナちゃんの生活費だって、ちゃんと出してあげるからあなたが大人になってから、返してくれればいいわ今は、あなたも精一杯、高校生活を楽しみなさい</p><p>だけどじゃありませんあなたの女に甘えなさいそれにね前も言ったけれど、あたしと克子は高校を途中で止めさせられたでしょだから、あなたたちにはあたしたちの分まで、高校生活を楽しんで欲しいのううん楽しみなさい今しかできないことを、今楽しむの</p><p>そんな顔しないであなたに甘えて貰えることが、あたしの幸せなのよ家族なんですもの</p><p>旦那様本当に、みすずに相応しい男性になって下さるんですね</p><p>みすずが、背後からオレの耳に囁く</p><p>ああみすずが満足してくれる男になるためなら、何でもするよ</p><p>もうお腹いっぱい満足していますでも、旦那様がそうおっしゃってくれるのなら</p><p>みすずと一緒に一流の世界へ行きましょう</p><p>一流の世界</p><p>はい一流のレストランへ行って、一流のお料理の味を学びましょう一流のマナーと一流の立ち振る舞いも一流の服も身につけましょう一流の音楽も美術も学びましょう一流の教養を身に付けますそうしないと一流の人たちに認められる様な、一流の人間にはなれません</p><p>みすずのためですから頑張って下さいますよね</p><p>ああみすずのためなら</p><p>何でもするよ</p><p>どんなことだって</p><p>うふふ旦那様っ</p><p>みすずが、オレに頬ずりする</p><p>楽しみです、あたしああ、どんどん幸せになる旦那様と一緒に、あたし、もっともっと幸せになっていくんですね</p><p>どうして、オレに一流の教育をすることがみすずの幸せになるのかオレには判らない</p><p>しかしみすずが、幸せならそれでいい</p><p>どうですっ瑠璃子さん</p><p>みすずが瑠璃子に振り返る</p><p>あたしたちの旦那様って、こういう人よ本当に純粋で、優しくて、真っ直ぐで、責任感があって一度受け入れた人間は、絶対に裏切らない人こういう人だからあたしたちは、一生一緒にいるって決めたのよ</p><p>ええあたしもそう</p><p>わ、わたくしもです</p><p>美智はちょっと違うだろう</p><p>でも、この難しい性格の娘のご主人様を本気でやろうとする人間は、オレぐらいしかいないんだろうな</p><p>こいつもオレが、一生面倒を見ないといけない子だって、思う</p><p>美智がちょこちょこと寄って来る</p><p>オレは、美智の頭を撫でる</p><p>どうしたのですご主人様</p><p>いや美智は可愛いな</p><p>いいから、撫でさせろ</p><p>ど、どうぞご存分に</p><p>美智は、恥ずかしそうに言った</p><p>それでどうしますか瑠璃子さんも、あたしたちの家族に入りませんか</p><p>みすずが瑠璃子を誘う</p><p>瑠璃子は祖父を見る</p><p>閣下は、暗い顔でジッとこちらを見ていた</p><p>わたくしはお祖父様の望まれるように、生きなくてはなりませんから</p><p>瑠璃子は自分の支配権は閣下にあると思っている</p><p>幼い頃から、それが当然として育てられてきたのだ</p><p>あたしもそうでした香月の家の娘として生まれこの身は、香月の家のためお祖父様のご意志のままに捧げなくてはならないって、ずっと思っていました</p><p>みすずが従妹に言う</p><p>でも違いましたあたしの人生は、香月ではなく黒森の家族のもとにあります</p><p>瑠璃子さんは、ジッとみすずの話を聞いている</p><p>閣下は、打ちのめされたように動かない</p><p>もちろんそれで、あたしが香月家に生まれた呪縛から、逃れられるわけではありませんしかしこの家族がいるから、あたしには運命と闘う力が湧いてくるんです</p><p>瑠璃子さんも、こっちにいらっしゃい旦那様とあたしとたくさんの姉妹があなたを待っていますよ家族の絆は、血よりも濃いですあたしたち家族は、絶対にあなたを見捨てません裏切りませんどんなことがあっても、助け合いますもう、一人じゃないのよ</p><p>みすずの必死の勧誘に瑠璃子は</p><p>で、でもわたくしには美子がいます</p><p>美子さんは悲しそうな顔で、瑠璃子を見ていた</p><p>美子さんは、これから幾らでも自由になれます美子さんは香月の血筋の方では無いのですから</p><p>ハッとする瑠璃子</p><p>美子さんは瑠璃子さんが自由にしてさえあげれば、本当に好きな方と恋に落ちて、普通の結婚をすることができますあたしたちとは、違うのよ</p><p>美子さんはあくまでも瑠璃子のお付きだ</p><p>香月の家の呪縛には縛られない</p><p>瑠璃子がお付きの役から解き放てば美子さんは、自由な恋愛をすることができる</p><p>でもわたくしは、ずっと瑠璃子さんのお側に居たいのです</p><p>美子さんが苦しそうに、呟く</p><p>美子さんのお気持ちは判るわでも、現実にはもし、瑠璃子さんがどこかの名家に嫁ぐことになったら、あなたたちは別れないといけないわ</p><p>香月家では無い家の嫁になるとしたら</p><p>その家は、お付きの美子さんまでは引き取らないだろう</p><p>瑠璃子と香月家の連絡を遮断するために</p><p>瑠璃子の夫となる男は、瑠璃子を自分の家の中に閉じ込めようとするだろうから</p><p>瑠璃子から自家の情報が、香月家に流れることを恐れて</p><p>また、瑠璃子が夫以外の人間を頼れない様に追い込んで、自分に依存させようとするだろう</p><p>後々の香月家との駆け引きに、妻である瑠璃子を手駒として利用できるように</p><p>もちろん瑠璃子さんとの繋がりだけを狙って、美子さんに求婚する馬鹿な男もいるでしょうしかし、美子さんには自分の人生を自分で決めることができますいいえ瑠璃子さんは、美子さんが自由に自分の人生を生きられるようにしてあげないといけないわ</p><p>瑠璃子は美子さんを見る</p><p>おっしゃる通りですわたくしは、いずれ美子を解放してあげないといけないのですね</p><p>瑠璃子様わたくしは</p><p>美子さんの言葉を、瑠璃子は遮る</p><p>美子あなたの忠節には、いつも感謝していますでも、あなたは香月の血筋ではないのだからあたしの宿命に付き合って、あなたまで不幸になることはないわわたくしは、そんなことは望んではおりません</p><p>瑠璃子の言葉に美子さんは黙り込む</p><p>あたしたちはただ生きているだけで、香月家と他の名家との力関係に利用されますだから生まれてからずっと、あたしたちは親友を作ることができませんでした男の人とは喋ることさえ許されなかった</p><p>はいそれが、香月の家の娘の宿命です</p><p>でも、そのままではあたしたちは幸せにはなれません</p><p>だからあたしは、黒森の家族になりました今のあたしは幸せですあたしには愛している人がいます信頼のできる家族がいます姉や妹たちが、たくさんみんなで幸せになります幸せになろうって、心を一つにしている家族なんです</p><p>あたしは、みすずお姉様が羨ましいですわ</p><p>瑠璃子は言った</p><p>お姉様の勇気と黒森様という素晴らしい男性に出遭われた幸運が家族と呼べる優しい人たちがいらっしゃることが本当に羨ましい</p><p>しかし瑠璃子は拒絶する</p><p>わたくしは香月家の嫡男の娘です本家の血筋の娘ですお姉様の様には、生きられません</p><p>瑠璃子</p><p>わたくしはすでにこの身を香月の家に捧げていますお祖父様のおっしゃる様に生きていきますお祖父様の決められた方に嫁いで結婚後は、夫の言う通りに生きていきます</p><p>瑠璃子さんそれでは、あなたは人形ではありませんか</p><p>みすずが叫ぶ</p><p>はい人形です人形の人生で構いません</p><p>瑠璃子は悲しげに微笑む</p><p>そんな人形の人生の中で美子やお姉様が、つかの間でも人間らしい思いをさせて下さいました感謝していますこの思い出だけで瑠璃子は、生きていけます</p><p>瑠璃子お前は</p><p>どこまでも香月家に人生を捧げる気なのか</p><p>人間的な感情を全て投げ捨ててまで</p><p>これでいいのシゲちゃん</p><p>香月の家って、そんなに大切なものなの家って言ってるくせにあなたたちには家族がいないじゃない</p><p>そうだ香月家は、普通の家とは違う巨大で複雑な人間関係のシステムがそこにはあるが私たちは家族ではない血が繋がっているからといって、それだけで心を許すことは決してできないいつ、裏切られるか判らない関係だ香月の家を束ねているものは利であって血縁者の信頼ではない</p><p>暗い眼で</p><p>だからシゲちゃんは、みすずと瑠璃子さんを息子さんたちから取り上げたんでしょ自分の家族にするために</p><p>渚の言葉に閣下の眼が大きく開く</p><p>子供の頃からずっと香月家の当主として、孤独だったんでしょシゲちゃんは一緒に笑い合う仲間が、一人もいなかったんでしょ心を許せる相手がだから、シゲちゃんは孫娘たちとお友達になりたかったのね</p><p>部屋の中の全員が閣下に注目する</p><p>長男を亡くした時に手塩に掛けて育ててきた後継者を失った時何もかもが虚しくなったんだ</p><p>閣下が呟く</p><p>なるほど渚くんの言う通りかもしれないな私は、みすずと瑠璃子に家族を求めていたのかもしれないな</p><p>フフッと笑う閣下</p><p>そうかだから、私は男の子ではなく、女の子を希望したのか男の子ならまた後継者作りのやり直しだ私の心は安まらない他の男たちから隔離したのも二人を私だけの家族にしたかったからかふふふ、ふはははは</p><p>閣下が、自分を笑う</p><p>何という愚かなことを香月重孝ともあろう男が、何と器の小さい</p><p>シゲちゃんの人間らしい一面が見えて先生は、とっても嬉しいわよ</p><p>そして渚は、切り札のカードを切る</p><p>ねシゲちゃんあたしたちの家族にならない</p><p>部屋の空気が強ばる</p><p>黒森の家族のお祖父さんにならない今なら、可愛い孫娘たちが揃っているわよ</p><p>渚を見る閣下</p><p>私を籠絡するつもりかね</p><p>シゲちゃんあたしとあなたの関係で、籠絡も何も無いでしょ先生、シゲちゃんのお尻の穴だって見たことがあるんだから</p><p>言っておきますけれど今、募集しているのは家族のお祖父さん役だけよ旦那様の役はもう、彼って決まっているんだから</p><p>閣下がジロッとオレを見る</p><p>でも、仕方無いでしょシゲちゃんはもう枯れちゃって男はやれないんだから実際、彼は大変なのよあたしたち全員の相手をしないといけないんだから</p><p>そのことは判っているさっきの様子も見たこいつは、とても頑張っているようだな</p><p>言葉では褒めているけれど閣下の言葉には、険がある</p><p>その点、お祖父さん役はお徳よ孫娘たちを、可愛がってあげるだけでいいんだから</p><p>渚の勧誘が続く</p><p>あたしたちシゲちゃんの孫娘になるわシゲちゃんに甘えるし優しくしてあげる家族として、シゲちゃんを受け入れるわ想像してみて</p><p>ニッと微笑む渚</p><p>黒森御名穂が、高梨克子が、片貝渚がシゲちゃんの孫娘になるのよ損得関係無く、シゲちゃんを慕い、シゲちゃんのために働くわもちろん、あたしたちの１番は彼だけどシゲちゃんのことは２番目に大事にしてあげるマルゴ・スタークウェザーが、奈島寧がシゲちゃんの孫娘になるのよ吉田恵美に、吉田マナ、工藤美智、片貝真緒っていう、今が可愛い盛りの女の子たちも、みんなシゲちゃんをお祖父ちゃん、お祖父ちゃんて慕ってくれるわよ</p><p>可愛くない男の孫も付いてくるのだろ</p><p>しょうがないでしょうその子が核なんだからそしてねシゲちゃんあなたの可愛い、香月みすずがあなたの孫娘として帰ってくるわよ</p><p>はいっお祖父様お祖父様があたしたちの家族に入られるのなら、みすずは喜んで歓迎致しますっ</p><p>みすずも、勧誘に加わる</p><p>孫娘全員でシゲちゃんを歓迎するわ</p><p>そうよね美智</p><p>みすずが美智に振る</p><p>はいっわたくしはそんなに可愛くないですが</p><p>美智に閣下が言う</p><p>いや、お前も可愛いぞ黙っていればな</p><p>ポッと赤くなる、美智</p><p>褒められたところだけ受け入れたらしい</p><p>黙っていればの部分は、無視か</p><p>さーてどうするシゲちゃんそうそう忘れていたけれど</p><p>お祖父ちゃんには、あたしたちと彼のセックスは全部、公開しますわよっいつでも、見放題</p><p>みすずの処女喪失の時の映像もお見せします渚様に撮っていただいた映像があるんですっ</p><p>あそう言えば、撮ったな</p><p>その後のもお祖父様には、みすず感じているところ、全部お見せしますからっ</p><p>みすずの言葉に閣下は</p><p>多少騙されているような気もするがふん確かに悪い申し出ではないな</p><p>閣下の口元が緩む</p><p>君たちがどういう人間なのかは良く判った信頼できる取引のできる人間の集まりだということを何より、みんな美人揃いだいいだろう、君たちを私の孫として受け入れるよ</p><p>渚が反発する</p><p>そうじゃないでしょ、お祖父ちゃんお祖父ちゃんが、あたしたちの家族に入るのあたしたち、別に香月家とかどうでもいいんだからっ</p><p>判った、判ったでは、私を黒森の家族に入れてくれ</p><p>はい、いらっしゃいお祖父ちゃん</p><p>渚がニコニコ笑って、返事をする</p><p>ようこそお祖父様</p><p>よ、よろしくお願いしますお、お祖父様</p><p>美智も閣下を受け入れる</p><p>オレは閣下に頭を下げた</p><p>いや私の方が新参者だよろしく頼むぞ</p><p>閣下はオレに、そう言ってくれた</p><p>こうして閣下が、オレたち家族の一員となる</p><p>ではお祖父ちゃん今、あたしたち孫が、お祖父ちゃんに何を求めているか判るわよね</p><p>瑠璃子さんお祖父様のご命令なら、何でも聞くのよね</p><p>みすずが瑠璃子に</p><p>閣下が瑠璃子を見る</p><p>瑠璃子お前も、黒森の家族に入りなさい</p><p>しかし、お祖父様</p><p>お前は勘違いをしておるよ</p><p>祖父が穏やかに、言った</p><p>香月の家の将来などどうでもいいことだ私の代で潰してしまったって構わんよ家族の機能しない家など家では無い</p><p>瑠璃子はジッと祖父の言葉を聞いている</p><p>だが香月の家の呪縛が、お前には幾重にも掛けられているお前は、普通の結婚は出来ない普通の恋愛もだ</p><p>ですからわたくしは</p><p>もし、瑠璃子が幸福になる選択肢があるとしたらそれは香月でなく、黒森の家族に飛び込むことだろう少なくとも、ここにはお前を愛し、受け入れようとしている人間が何人も居る</p><p>それで香月の家は、どうなるのですか</p><p>瑠璃子の問いに、閣下はみすずを見る</p><p>お前は、どうするつもりだどうせ、もう何か思い付いているのだろ</p><p>はい、瑠璃子さんにはヴァージン・クィーンになっていただきます</p><p>ヴァージン・クィーンというのは、英国のエリザベス１世の愛称だったな</p><p>はい１７世紀のエリザベス女王は、生涯結婚をしませんでしたもっとも、若い時分にはロンドン塔に幽閉されていましたし、寵臣たちとの浮き名も多かったですからエリザベス１世が本当にヴァージンだったと思っている者はおりません</p><p>エリザベス１世が、結婚しなかったのは国際的な戦略のためだったな</p><p>はい、お祖父様何度も、他の国家の元首と結婚を考えているという素振りをしてみせて巧みに、ヨーロッパ内での英国の立場を強化致しました</p><p>周囲の者どもに結婚を匂わせることだけで緊張感を保ったまま、優位を築くか</p><p>はい瑠璃子さんの場合も、その戦略が有効だと思います</p><p>元々瑠璃子には、閣下の定めた婚約者がいることになっている</p><p>しかしそれが誰なのかは、誰にも公表されていない</p><p>本人も知らない</p><p>うむ内外の連中に、誰が瑠璃子の婚約者なのかを匂わせたり、否定したりすることでこちらの優位に立つことができるな</p><p>それで時間を稼ぎます</p><p>みすずが瑠璃子を見る</p><p>あたしが香月家の全権を握ります３０歳無理でも、３５歳までには今は晩婚ですから瑠璃子さんが、その年まで結婚なさらなくても、別に誰も文句は言わないはずですそれまでに、婚約者候補の方々に散々潰し合いをしていただきます</p><p>そしてみすずが、香月家の当主となり</p><p>瑠璃子を香月家の呪縛から、解放する</p><p>良い計画だ私も協力する</p><p>閣下が言った</p><p>あたしたちも全力でお手伝いするわ</p><p>渚もそう言ってくれた</p><p>じゃあそういうことで、いいわね瑠璃子さん</p><p>みすずが瑠璃子を追い詰める</p><p>そうそう瑠璃子さんが、あたしたちの家族になるということは旦那様だけを愛して、旦那様の赤ちゃんを産むって約束することなんだけれどもちろん、構わないわよね</p><p>チョコレート工場の秘密</p><p>チョコレート工場は、あちこちにチョコレートが落ちている</p><p>床の泥みたいな染みも、チョコレートだ</p><p>だから、お湯で擦るとみんな綺麗に取れる</p><p>チョコだから</p><p>私がバイトしていた時は、なぜか現場責任者の正社員さんは、５０過ぎの正社員さんだった</p><p>普通は、５０過ぎたら夜勤のある工場は担当しないんだけどよ会社は、オレを辞めさせたいもんだから、わざとこういう仕事につけているんだ</p><p>と、本人は言っていた</p><p>その人は、ずっと同じ会社のアイスクリーム工場に勤めていて、チョコレートのことは何も知らないという</p><p>だからさ、機械のことなんて全然判らないんだよ</p><p>ということで１週間に１度くらい、チョコが洪水になる</p><p>タンクの栓を開けるのを忘れてタンクの縁から、トバーッと溶けたチョコが２トンぐらい溢れたとか</p><p>途中の機械からチョコが漏れて、床中チョコ塗れとか</p><p>その度に全身チョコまみれになって掃除する</p><p>本当に作業員全員で、茶色くなる</p><p>作業着が真っ茶色になる</p><p>もうバケツとか、ちりとりとかで、チョコをかき集めて捨てる</p><p>甘い匂いが、身体から取れなくなる</p><p>タンクに余ったチョコは、セメント袋に入れて捨てる</p><p>私たちが袋を持っているところに、直接溶けたチョコを落としていく</p><p>チョコは結構重い</p><p>で、熱いチョコでたぽたぽになった袋を冷蔵室で冷やして固まったら捨てる</p><p>運ぶ途中で転ぶとまたチョコの掃除大会になる</p><p>賞味期限の切れていないチョコは、他のチョコにブチ込んだりする</p><p>だいたい工場プラントで、他のブロックからチョコがパイプで圧送されて来たりする時は</p><p>プラントの中のパイプなんて、一々洗えないので最初は、パイプに残っている前のチョコと混じったチョコが出てくる</p><p>それを全部捨ててチョコの色が完全に変わるのを確認して、次のチョコの作成に入る</p><p>もう無駄だらけ</p><p>毎回、トン単位でチョコ捨てさせられていたもんなあ</p><p>254．瑠璃子、心を開く</p><p>わたくしはお祖父様が、お望みになることに従うだけです</p><p>瑠璃子はそう答えた</p><p>全身が緊張している</p><p>心からの言葉ではない</p><p>うん、良い答えねこれであなたもあたしたちの家族よ</p><p>と渚は言うけれど</p><p>瑠璃子私はもう年だこの先、そう長くは無い</p><p>閣下が、瑠璃子に言う</p><p>お祖父様、何をおっしゃるんです</p><p>本当のことだよ８２歳というのは、明日倒れてもおかしくない年齢だ</p><p>閣下は立ち上がり、瑠璃子のところまで歩いてくる</p><p>お前とみすず私の我が儘で、人生をねじ曲げてしまった許しておくれ</p><p>そんなこと、おっしゃらないで下さい</p><p>悲しそうな顔で、うつむく瑠璃子</p><p>私が死んだ後の、お前たちの行く末だけが心配だったしかし御名穂くんたちに託すというのは、良い選択だと思う彼女たちは、身内を命懸けで守るきっと、お前たちのことも守ってくれる</p><p>ふふふと、閣下は笑う</p><p>思えば私が黒森の屋敷へ行くことを楽しんでいたのも、彼女たちにもてなされている間は香月の当主であることを忘れられたからだ渚くんも克子くんも数十年前に初めて接した黒森の女もみんな、私をただの一人のエロジジィとして受け入れてくれた</p><p>それが初代・黒森公之助の遺訓でございますから</p><p>渚が、答える</p><p>ミナホ姉さんの祖父高級娼館黒森楼の創設者、黒森公之助</p><p>あたしたちは、お屋敷にいらっしゃったお客様には絶対に差を付けませんどんな身分の方でも、お屋敷にいらっしゃえば等しく、あたしたちのお客様です</p><p>うむ公之助翁の作られた世界は、素晴らしかったあの暗愚な二代目と白坂のところの小僧が全てを破壊してしまったが御名穂くんは、よく再生してくれた</p><p>それも香月様のお助けがあったからですわ</p><p>白坂創介がミナホ姉さんの父親をそそのかして黒森楼にクーデターを起こし、黒森公之助を追放した</p><p>後は、やりたい放題でお屋敷の中は、メチャクチャになった</p><p>ほとんどの昔からの顧客はお屋敷に来なくなり白坂創介の変態仲間だけが、たむろする救いようのない時期がしばらく続いたらしい</p><p>それを救ったのが閣下の介入だった</p><p>閣下が、追い払われていた黒森公之助時代の番頭、森下さんを呼び戻し、女たちの警護役兼監査役として恭子・ドスノメッキーさんを送り込みそして、黒森御名穂を運営者の一人に抜擢した</p><p>以後お屋敷は白坂創介の変態路線と、ミナホ姉さんの高級娼館復古路線の２本柱で運営されてきた</p><p>しかしまさか、自分の孫たちを託すことになるとは思わなかったよ</p><p>閣下は、自嘲気味に笑う</p><p>ご安心下さいみすず様も瑠璃子様も、屋敷の女には決して致しませんからこの子たちは、彼の女ですあたしたちの妹ですわ</p><p>渚が閣下にみすずたちを娼婦にしないことを誓う</p><p>信用しよう君たちはみな望んで現在の運命を受け入れた女たちではないものな</p><p>はい運命の巡り合わせで苛酷な状況に陥りましたがでも、幸せになります彼と一緒に</p><p>みすずが、オレの手を握って、ニコッと微笑む</p><p>美智はオレが長い黒髪を撫でてやっている</p><p>この小僧は黒森の礎石か</p><p>はいあたしたちの幸せの起点であり終着点ですわ</p><p>閣下と渚の言葉はオレには、よく判らない</p><p>暗い顔の瑠璃子が椅子から降りて、床に手を付く</p><p>ふつつか者でございますがどうぞ、よろしくお願い致します</p><p>声と手が震えている</p><p>祖父に売られた様な心境なんだろう</p><p>いきなり黒森の家族になって、オレの女になれって宣告されたんだから</p><p>瑠璃子</p><p>はい黒森様</p><p>瑠璃子が怯えた表情で、顔を上げる</p><p>黒森様じゃないお兄様だろオレは、お前のお兄様だ</p><p>瑠璃子はジッとオレを見上げている</p><p>そうお望みでしたらその様にお呼び致します</p><p>そういうことじゃない</p><p>オレは、お前を女奴隷みたいにしたいわけじゃないんだよっ</p><p>ちょっと怒りを込めてオレは瑠璃子に言った</p><p>は、はい申し訳ございませんお兄様</p><p>瑠璃子はすっかり、心を閉ざしている</p><p>このままじゃあいけない</p><p>瑠璃子立て</p><p>オレは命じた</p><p>おそるおそる立つ瑠璃子</p><p>１５歳の少女はまだ小柄だ</p><p>とっても色白の綺麗な肌をしている</p><p>でも、つるぺたの美智と違って出るところは出ている</p><p>美智は、日本人形みたいな美少女だけれど</p><p>瑠璃子は綺麗だな</p><p>オレは、心の中に浮かんだ言葉をそのままぶつけることにした</p><p>瑠璃子は巫女さんみたいなんだな神聖な神々しい感じの美少女なんだ</p><p>うん瑠璃子の純真無垢さは</p><p>聖域の巫女の美しさに通じている</p><p>わたくし美少女などではございません</p><p>瑠璃子は謙遜して、そう言う</p><p>オレの眼には美少女にしか見えないよ本当に綺麗だ</p><p>瑠璃子が頬を赤く染める</p><p>抱き締めるよ</p><p>瑠璃子が答える前にオレは、彼女の身体を抱く</p><p>ギッと身体を強ばらせる瑠璃子</p><p>オレが怖いのか</p><p>怖いですわ</p><p>瑠璃子が小声で言った</p><p>大丈夫だみすずも渚も見ているお前のお祖父さんもいるし美子さんもいる美智もいる無茶なことはしないよ</p><p>オレはそう言って抱き締めたまま、瑠璃子の黒髪を撫でる</p><p>さらさらとした艶やかな髪から緊張している背中を撫でていく</p><p>瑠璃子はまず、オレに抱き締められることになれないとな</p><p>瑠璃子が綺麗だから可愛いから、抱き締めたくなっちゃうんだぞ</p><p>抱き締めて、髪と背中を撫でる以外はしない</p><p>今は</p><p>キスしたり胸やお尻を触ると、きっと酷い拒絶反応が出る</p><p>いいなあ、瑠璃子さんあたしもそんな風にだっこされたいなあ</p><p>いつでもするよ渚</p><p>うふっあなたなら、そう言ってくれるって思ってたわっ</p><p>あっあたしもお願いします旦那様っ</p><p>みすずも言う</p><p>判っているよみすず</p><p>美智はジトッとこっちを見ている</p><p>美智お前もやってやるからな</p><p>ニッと笑う、美智</p><p>子犬が尻尾を振っているみたいな笑顔をしている</p><p>あ、あのお兄様</p><p>瑠璃子がオレに言う</p><p>わ、わたくしはもう結構ですからどうぞ、他の方にして差し上げて下さい</p><p>馬鹿なことを言うな瑠璃子</p><p>今は、お前の時間だ</p><p>オレはもう一度、ギュッと瑠璃子を抱き締める</p><p>でもいつまで、わたくしを抱き締めていらしゃるおつもりですか</p><p>心配そうに瑠璃子が尋ねる</p><p>瑠璃子が納得するまでだ</p><p>オレが瑠璃子のことを、本当に可愛いって思っているってことをだ</p><p>瑠璃子がハッとする</p><p>はっきり言っておくけれどオレは世間のことに疎い人間だそんなに頭が良くないだから、香月家っていうのがどれぐらい凄い家なのか、全然知らないんだ</p><p>っていうか一週間前には、存在すら知らなかったし</p><p>だからそこにいるお祖父さんも、みんながスゲェ、スゲェ言うから、きっと凄い人なんだろうってことは判るけれど具体的に、何がどうスゲェのかは全然判らない</p><p>うんどうしてみんな閣下の言うことを聞くんだろう</p><p>権力者の力ってどこから湧いて来るんだ</p><p>金なのかコネなのか</p><p>でも、金をたくさん持っているからってそれをどう使ったら力になるのか、オレにはよく判らない</p><p>ミナホ姉さんなら、そういうことに詳しいんだろうけれど</p><p>つまりつまりだオレはそこの爺さんの命令には従わないよ</p><p>ハッキリと言う</p><p>爺さんの話に一理あると思ってそうした方が良いと思えば、言われた通りにするかもしれないけれどでも、単純に頭ごなしに命令されたって、絶対に従わないだって、オレ香月の家とは関係無いんだから</p><p>香月の家とは関係無い</p><p>うんオレは普通のどこにでも居るありきたりの高校生なんだから別に名家がどうとか、そんなこと一々考えていられないよ馬鹿馬鹿しい</p><p>でもお兄様は、みすずお姉様の</p><p>オレは、みすずが好きなんだ香月家のみすずを好きになったんじゃなくってオレの好きなみすずが、たまたま香月家の娘だっただけだからもちろん、みすずのことは応援するけれどオレと香月家は関係無いないだろ</p><p>みすずお姉様の夫として香月家を支配しようとは、思わないんですか</p><p>瑠璃子がオレの腕の中で、そう尋ねる</p><p>だから、言ったろオレは頭良く無いんだからそういうのは向いて無いし、興味も無いんだ</p><p>ではお兄様は、何に興味がお有りなんですの</p><p>それはえーと</p><p>どうしたらみんなで幸せになるかだな</p><p>オレさつい、この前まで一人ぼっちだったんだ親に捨てられてね自分一人だけだと何だか何もかも、もうどうでもいいって投げやりな気分になっちゃうだけなんだよだから、全然一人の時は幸せになる努力をする気になんてなれなかった</p><p>あの頃</p><p>誰も帰って来ない暗い家で</p><p>一人でソファで寝起きしていた頃</p><p>まだ一週間も経っていないのに遠い過去になっている</p><p>今は違うオレには家族がいるから幸せになるために、頑張らなきゃぶーたれてらんないよ一人じゃないんだもの幸せにしてあげなきゃならない家族が何人もいるんだもの</p><p>家族ですか</p><p>オレは腕の中の瑠璃子をジッと見る</p><p>もう一度しっかりと、この娘を見よう</p><p>流されないでちゃんと</p><p>そうでないと間違える</p><p>な、何を見ているんですか</p><p>恥ずかしそうな瑠璃子</p><p>確認しているんだ</p><p>オレはお前のこと、本当に好きかどうかって</p><p>これから一生瑠璃子の面倒を見るんだもの香月さんに言われたからじゃないみすずや渚に勧められたからでもないちゃんと、オレがオレの意志で瑠璃子のことを好きだから受け入れるんじゃなけりゃ瑠璃子に失礼だろ</p><p>うん瑠璃子は</p><p>瑠璃子は、可愛い</p><p>マジで可愛い</p><p>瑠璃子、お前すっげぇ、いい女だなあっ</p><p>改めて見るといや、改めて見なくても</p><p>瑠璃子は、美少女中の美少女だ</p><p>わ、わたくしいい女ですか</p><p>うん美少女ってだけなら、みすずや美智だって、とっても綺麗だけど瑠璃子は、清楚さと羞じらいが良いすっげぇ、可愛いよお前</p><p>瑠璃子は耳まで赤くなる</p><p>それに頭も良いし、優しいし全然、悪いところが無い</p><p>そ、そんなことないですわたくしにも、心の汚いところはあります</p><p>瑠璃子はそう言う</p><p>判ったじゃあ、それは今度見せてくれ</p><p>瑠璃子の心のそういう部分まで含めて、好きになるから</p><p>瑠璃子の眼が大きく見開かれる</p><p>オレは、瑠璃子の頭を抱き締める</p><p>うん大丈夫だオレ、やっぱり瑠璃子のことが本当に好きみたいだからお前を幸せにするためなら、何でもできるよ</p><p>ようやくオレの中で、確信が湧く</p><p>と、同時に他の家族への愛も強く感じる</p><p>愛の感情が爆発的な連鎖反応を起こしていく</p><p>みすずオレ、お前のこと大好きだっ幸せになろうなっ</p><p>みすずは即答する</p><p>渚大好きだよっ真緒ちゃんのことも好きだっ二人とも幸せにするからなっ</p><p>もうあたしがあなたを幸せにするのよっ</p><p>渚も、ニコニコと微笑む</p><p>美智大好きだぞっいっぱい粗相しろお前が満足するまで、お仕置きしてやるからっ</p><p>はいっわたくしもご主人様をお慕いしておりますっ</p><p>子犬少女が尻尾を振る</p><p>香月さんオレは正直、名家とか血筋とか後継者とか、全然判りませんっ興味も無いですでもあなたが、本当にみすずや瑠璃子のことを愛しているってことは判りましたっ</p><p>オレは閣下を見る</p><p>ですから歓迎しますようこそあなたも、オレの家族です</p><p>改めて瑠璃子を受け入れたことで</p><p>何もかもが、客観的に見えた</p><p>うんオレは、この状況を全て受け入れられる</p><p>何もかもオール・オッケーだ</p><p>ふんっそうかなら、私もお前の祖父さんになってやる</p><p>閣下は、そう答えた</p><p>お前は頭の働きは遅いが、身の程知らずでは無いのだな状況に流されることなくちゃんと、自分の心を確認する努力を怠らない自分が納得できることなのかどうか、ギリギリまで判断するそういうことのできる男なんだな</p><p>はい、あたしたちの旦那様ですから</p><p>みすずが、祖父に答えた</p><p>オレは瑠璃子を見る</p><p>で瑠璃子は、どうなんだ</p><p>瑠璃子は戸惑っている</p><p>瑠璃子もじっくり考えて、答えを出してくれ瑠璃子はオレでいいのかオレたちの家族になりたいか</p><p>瑠璃子はジッとオレの眼を見上げている</p><p>香月さんの命令とかそういうのは抜きだ瑠璃子自身の気持ちを教えてくれ</p><p>もし、わたくしが嫌だと申し上げたらお兄様は、どうなさいます</p><p>残念だけれどその時は、諦めるよそれが、瑠璃子の選択なら瑠璃子が自分の人生をどう生きるのかは瑠璃子自身が決めるべきことだから</p><p>わたくしがその結果、不幸になったとしても</p><p>瑠璃子がオレたちの家族に加わらないとしたら</p><p>瑠璃子は、香月家の中の後継者争いでメチャクチャにされるだろう</p><p>できる限りのことはするオレが瑠璃子を好きなことには変わりないからみすずや他の人たちにも協力して貰って精一杯のことはするでも</p><p>家族でないのならオレは、瑠璃子のために命は懸けられないオレは何よりもまず、自分の家族を守らないといけないから</p><p>それを聞いて安心しましたお兄様は、本当に正直なお方なのですね</p><p>もう一度、お尋ねしますお兄様は、瑠璃子のことをお好きですか</p><p>ああオレは、瑠璃子が好きだ</p><p>一点の曇りも無くはっきりと答える</p><p>瑠璃子はどうだオレのこと、好きか</p><p>わたくしはまだ、よく判りません瑠璃子は男の方とお喋りするのも初めてですから</p><p>そそうか</p><p>愛とか恋とか無縁な人生だったんだもんな</p><p>でも、わたくしの生涯はお兄様と共にあるということは、今、はっきりと確信できました</p><p>お側において下さいませわたくしも、お兄様の家族になります</p><p>今度は瑠璃子からオレを抱き締めてくれた</p><p>オレの子供を産んで貰うぞ</p><p>はい、喜んで</p><p>オレは瑠璃子に、キスをする</p><p>震えながら瑠璃子はキスを受けた</p><p>あたしこんなこと、初めてです</p><p>顔を赤くして瑠璃子は言った</p><p>純真無垢な真っ白な美少女を</p><p>オレはこれからオレの色に染め上げていく</p><p>これからいっぱい初めてのことに挑戦してもらうぞ</p><p>はいよろしくお願いします、お兄様</p><p>こうして瑠璃子もオレの女になった</p><p>ま、待って下さい</p><p>美子さんがいたたまれなくなって、声を上げる</p><p>わ、わたくしもどうか、黒森様の家族にして下さい</p><p>美子さん</p><p>わたくしも連れて行って下さい</p><p>どうしたら、いいんだろう</p><p>美子時間を掛けてゆっくり考えなさい簡単にそんなことを言ってはダメよ</p><p>オレの腕の中から瑠璃子が言った</p><p>今のあなたは状況に流されているだけですから</p><p>そうだ美子さんは</p><p>自分だけ、置き去りにされてしまいそうな気がして</p><p>それで、思わずこんなことを言い出しただけだ</p><p>美子はお兄様のことをお慕いしているわけでは無いのでしょう</p><p>それはこれからお慕いします</p><p>無理をすることは無いのよあなたには、あたしやみすずお姉様と違って、別の選択肢もあるのですから</p><p>瑠璃子様のお側にいられない未来など、意味はありません</p><p>美子さんは、キッパリと答える</p><p>その言葉は嬉しいけれどやはり、もっと良く考えるべきだと思います</p><p>今のままのあなたではわたくしのお兄様に失礼ですよ</p><p>瑠璃子の言葉がお付きの少女に刺さる</p><p>はいご無礼致しました</p><p>何もかも急いで決めるのは止めましょう美子さん</p><p>笑顔で、美子さんにそう言った</p><p>どんなことも熟成するまでには、時間が掛かるんですから</p><p>タイム・イナフ・ラブか</p><p>閣下が呟いた</p><p>何ですの、お祖父様</p><p>愛に時間をということさ</p><p>老人は、ククッと笑う</p><p>さて家族になったわけだし瑠璃子さんっ</p><p>渚が瑠璃子に言う</p><p>は、はい渚、お姉様</p><p>早速、瑠璃子は渚を姉と認めた</p><p>うん、可愛いっいっぱい、可愛がってあげるからねっ</p><p>恥ずかしそうに、瑠璃子は身を捩る</p><p>だから瑠璃子さん、パンティを脱いでっ</p><p>あ、いきなりセックスしろとかは言わないから安心してね大切な物は、もっと良い機会が来るまで取っておきましょうね今はまだ、みんな揃っていないし</p><p>じゃあ何でパンティを脱ぐ</p><p>せっかく、彼の女になったんですもの女の悦びを、少しでも教えてあげないと可哀想でしょ</p><p>そうださっき瑠璃子の局部を下着越しに触ったけれど</p><p>イクまでには至らなかった</p><p>あなた瑠璃子さんのアソコ、舐めて上げてっ</p><p>渚がオレにニコッと微笑む</p><p>今度はちゃんと絶頂までねっ</p><p>うんそういうことか</p><p>勇気を奮って、あたしたちの家族になってくれたのよ瑠璃子さんの男として、ちゃんとご褒美をあげないとね</p><p>シゲちゃんも見たいでしょ</p><p>ああ、もちろんだとも</p><p>オレは瑠璃子に命じる</p><p>瑠璃子スカートを捲れ下着は、オレが脱がしてやるから</p><p>白い肌を耳まで真っ赤にする、瑠璃子</p><p>大丈夫だオレを信頼して、身を任せろ</p><p>オレは瑠璃子に言った</p><p>気持ち良くなるだけだから</p><p>瑠璃子は、真っ赤な顔で怯えている</p><p>ということで、次話は瑠璃子の初絶頂です</p><p>処女喪失は、もう少し後</p><p>一気にやるのは、もったいないです</p><p>美子さんの焦らしプレイも、しばらく続けます</p><p>暑いけれど</p><p>255．瑠璃子、身体を開く</p><p>あのこ、こうですか</p><p>瑠璃子が恥ずかしそうに、制服のスカートを捲っていく</p><p>瑠璃子の細くて白い足が剥き出しになる</p><p>瑠璃子の足は、綺麗だな</p><p>オレがそう感想を述べると</p><p>そんなことないです</p><p>瑠璃子はまた、頬を赤らめる</p><p>オレが綺麗だって感じて、そう言っているんだから、本当に綺麗なんだよ</p><p>オレがそう言うと瑠璃子は</p><p>あの済みません、お兄様</p><p>何のことだ</p><p>わたくしにお気遣いしていただいて</p><p>瑠璃子お前は、自分がどれぐらい可愛いのか、全然判っていないんだな</p><p>やっぱり全然判っていない</p><p>瑠璃子オレはお前の大きな眼は、可愛いと思う形の良い鼻も小さな口もとっても綺麗だ耳の形も良いな</p><p>あの何をおっしゃっているんですか</p><p>そのサラサラとした黒髪も素敵だ瑠璃子の白い肌に合っているそうそれから</p><p>オレは続ける</p><p>オレは瑠璃子の声も気に入っている喋り方も丁寧で、礼儀正しいところも好きだその上、瑠璃子は芯のしっかりした子だものな瑠璃子の性格も、とっても良いって思っている</p><p>瑠璃子は耳まで真っ赤になって、オレを見下ろしている</p><p>どうしてそんなことをおっしゃるんですか瑠璃子恥ずかしいです</p><p>もっと、自分に自信を持って欲しいからだ</p><p>オレは、きっぱりと告げた</p><p>オレの眼から見た瑠璃子は間違いなく、綺麗で、可愛くて、魅力的なんだ</p><p>お前にはお前が気付いていないだけで、良いところがいっぱいあるんだこれからオレがお前の良いところを見つけたら、全部、言葉にして報告してやるからな</p><p>とにかく瑠璃子の美点は、全部口に出して褒めることにする</p><p>そういう方針で行く</p><p>瑠璃子は、香月の娘というだけで、周りの人たちから敬遠されてきている</p><p>美点を美点として正当に褒められていない</p><p>それは、日舞の発表会の時によく判った</p><p>だから、まずオレは、瑠璃子の良いところを褒めてやらないといけない</p><p>悪いところもご指摘下さい</p><p>世間からやたらと注目される香月家の娘として、生まれた瑠璃子は常に、控えめな態度で居るように教育されてきたのだろう</p><p>それはそれで美点だが</p><p>家族と一緒の時まで、謙遜し続けるのはやり過ぎだ</p><p>もちろん、悪いところがあれば、言うだが今のお前には、良いところしかない</p><p>もっと気楽に、心を開いて欲しい</p><p>オレは、瑠璃子という人間が大好きだ</p><p>うんこの足も最高だ</p><p>オレはつるんとした生足に、ツーっと指を走らせる</p><p>あっな、何をなさいます</p><p>触っただけだよ本当に綺麗な足だから</p><p>おっお兄様あんっ</p><p>ぷにっとした太ももの感触を楽しむ</p><p>ほらもっと、スカートを上まで引き上げて</p><p>あっはい</p><p>するすると引き上げられるスカート</p><p>ついに白い布地が見えてくる</p><p>瑠璃子の純白のシルクのパンティは</p><p>さっき受けた刺激で、大きなしみを作っている</p><p>さあ下着を脱ごうな</p><p>不安げに、オレを見下ろす瑠璃子</p><p>大丈夫だオレには判ってる瑠璃子のここは、絶対に綺麗だって</p><p>そんなこと、ないです</p><p>いいから脱がすぞ</p><p>オレは、瑠璃子のパンティに手を掛ける</p><p>ピクッと震える瑠璃子</p><p>ど、どうぞお兄様</p><p>１５歳のお尻は、まだ肉が付ききっていない</p><p>そのお尻を越えてパンティを引き下ろす</p><p>秘部が見えてくる</p><p>瑠璃子は生えているんだな</p><p>薄い陰毛が割れ目の上にある</p><p>うんちょろっとした茂みだけど</p><p>瑠璃子には、要らないな</p><p>瑠璃子この毛は、剃るからな</p><p>そ、剃るんですか</p><p>ああ、瑠璃子のここはつるつるの方が可愛い</p><p>オレは、瑠璃子の陰毛を指でなぞる</p><p>毎回、オレが綺麗に剃ってやるから</p><p>わ、判りましたお願い致します</p><p>瑠璃子は了承する</p><p>それから女性器を見る</p><p>温かい汁がとろとろと垂れている</p><p>瑠璃子は、もうぐっしょり濡れているな</p><p>あ、あのどうしてそうなるのか判らないのですけれどお腹が、きゅんと熱くなっているんです</p><p>大丈夫だ女の子の身体は、こうなるようにできているんだから</p><p>うん瑠璃子は、他の子よりもよく濡れる体質かもしれないけれど</p><p>わたくし変なんですか</p><p>そうじゃないよむしろ、よく濡れる方が良いんだとっても、敏感てことなんだから</p><p>オレは恥じらう瑠璃子を見上げる</p><p>何でございましょうお兄様</p><p>お前の身体は最高だオレが保証する</p><p>最高</p><p>最高にいい女だってことだよここも</p><p>瑠璃子の割れ目の周りに指を這わす</p><p>あ、あんっ</p><p>また、割れ目からとろりと愛液が零れる</p><p>気持ちいいか瑠璃子</p><p>まだよく判りません</p><p>瑠璃子は、熱い眼でそう答える</p><p>じゃあ判るまで、とことんやってやる</p><p>オレは命じる</p><p>椅子に浅く座って大きく足を拡げろ</p><p>椅子に腰掛ける瑠璃子</p><p>ほら、早く足を拡げるんだ</p><p>いえあの</p><p>怖いのか身体をもじもじさせているだけの瑠璃子</p><p>じゃあ、オレが開いてやるよ</p><p>オレは、瑠璃子の前に跪き</p><p>細くて柔らかい足を掴む</p><p>ほら開くぞ</p><p>瑠璃子はオレの前に身を開く</p><p>恥ずかしさの余り顔を背ける</p><p>オレを見ろ瑠璃子</p><p>羞恥に耐えながら開脚した瑠璃子が、オレを見下ろす</p><p>これからお前のここを舐めしゃぶってやるお前は、ちゃんとオレが舐めているところを見ていろよ</p><p>み、見ないといけませんか</p><p>他の誰でもないオレに舐められるってことを、しっかり心と身体に刻みつけて欲しいんだ</p><p>お前はもう、オレの女なんだからな</p><p>瑠璃子は震えている</p><p>みすず瑠璃子の手を握ってやってくれ</p><p>みすずが瑠璃子の右手を掴む</p><p>大丈夫よあたしが付いていてあげるから怖くはないわ旦那様は、瑠璃子さんに女の悦びを教えて下さるだけだから</p><p>女の悦び</p><p>そうよ女の子に生まれてきた幸せを、身体全体で感じさせて下さるわ</p><p>美子さん瑠璃子さんの左手を握っていてあげて</p><p>みすずが、美子さんにそう言った</p><p>呆然とオレと瑠璃子を見ていた美子さんが、そそくさと瑠璃子の左手を両手で握りしめる</p><p>ほらあたしがいる美子さんもいるお祖父様も見ていて下さる何も怖くないわ</p><p>みすずが瑠璃子に優しく言った</p><p>旦那様も瑠璃子さんの身体を傷付けるようなことは絶対になさらないから旦那様の愛に思いっきり溺れなさい</p><p>愛に溺れるのですか</p><p>あたしたちの旦那様の愛は、それくらい深くて大きいんですよ</p><p>さあ、始めよう</p><p>舐めるよ、瑠璃子</p><p>まずは、太ももの内側から唇を付ける</p><p>ひゃあっんく、くすぐったいです</p><p>瑠璃子の太ももは柔らかい</p><p>女の子の足は、男よりも体温が低いのだろうか</p><p>ちょっとひんやりしていて舌触りがいい</p><p>オレの舌は太ももから局部に向かう</p><p>割れ目の周りを大きく円を描くようにして、ぐるっと舐めた</p><p>陰毛が舌に引っ掛かって、しゃりしゃりする</p><p>わたくし何か、とてもいけないことをしているような気がします恥ずかしいです</p><p>自分の淫部を舐めるオレを見下ろして瑠璃子が羞恥の言葉を述べる</p><p>いけないことをするのは、気持ちいいだろ</p><p>お前はオレとだけは、どれだけいけないことをしてもいいんだ恥ずかしいことも、いっぱいするんだからな</p><p>恥ずかしいって気持ちいいだろ</p><p>だけどでも、こんなこと神様がお許しになりませんわ</p><p>瑠璃子は身体を震わせる</p><p>だから神様にも秘密でやるんだ</p><p>オレたちだけの秘密で気持ち良くなるんだ</p><p>瑠璃子の理性はまだ、抵抗している</p><p>瑠璃子さん神様の愛と人間の愛は違うのよ</p><p>人間の愛</p><p>そうよ神様は、瑠璃子さんの感じるところを、舐めて下さったりはしないでしょ</p><p>フフっと微笑む、みすず</p><p>肉体の愛瑠璃子さんの身体を気持ち良くして下さるのは、この地上であたしたちの旦那様だけなのよ</p><p>肉体の愛</p><p>ほーら、いっぱい愛していただきなさいね</p><p>今だ</p><p>オレは瑠璃子の割れ目に、むしゃぶりつく</p><p>大きく身体を反らす瑠璃子</p><p>反射的に太ももを閉じようとする</p><p>オレは手でギュッと瑠璃子の足を押さえつける</p><p>オレの舌は瑠璃子の秘部にロック・オンしたままだ</p><p>瑠璃子のお汁は美味しいよ</p><p>舌で瑠璃子の愛液を味わう</p><p>ツンとした酸味のある刺激</p><p>そ、そんな汚いですわ、お兄様</p><p>瑠璃子の身体から湧き出してくるものが、汚いわけないだろ</p><p>オレは瑠璃子に見えるように、舌で割れ目をほじる</p><p>そ、そんなこと</p><p>瑠璃子の身体は神聖なんだから</p><p>うん瑠璃子には、聖女の色気がある</p><p>巫女さんの清らかな雰囲気が</p><p>わたくし神聖なんかではありません</p><p>判っているだから、降りてこい</p><p>瑠璃子はずっと孤高に居すぎた少女だ</p><p>香月家の娘として誰も近寄れない、高みに</p><p>身も心も完全に、オレに捕まってしまえよ</p><p>オレは瑠璃子のお尻に手を廻す</p><p>柔らかい尻肉をギュッと掴んでオレの顔面に陰部を開かせる</p><p>瑠璃子の淫臭を鼻に感じる</p><p>お前は一人の女の子なんだとっても、綺麗で可愛いオレの女なんだから</p><p>舌でクリトリスを剥く</p><p>ひっな、何ですっ</p><p>ゾクッとする快感に戸惑う、瑠璃子</p><p>可愛く啼くんだぞ</p><p>オレは瑠璃子の紅玉色の小さな核を、舌で責める</p><p>あっあああっな、何ですこれ</p><p>今まで、オナニーもしたことが無いのだろう</p><p>その純潔の肉体に女の快感を教え込む</p><p>クリトリスを舐めるしゃぶる吸う</p><p>いやぁお兄様もう、やめてやめて下さい</p><p>やめるわけが無い</p><p>さらに激しくオレは舌を使う</p><p>ああっあっ何これ怖い怖いです</p><p>キュウッと身体を捻って耐える瑠璃子</p><p>瑠璃子の左手を握る美子さんが心配そうに、みすずを見る</p><p>大丈夫よ何も問題は無いわ旦那様は、優しくして下さっているから</p><p>みすずは美子さんに微笑み問題は無いことを示す</p><p>ああっああっやめて下さいお願いですお兄様もう、止めてぇぇ</p><p>そんな簡単にギブ・アップされてたまるか</p><p>どう瑠璃子さん、どんな気持ち</p><p>みすずが中学3年生の従妹に尋ねる</p><p>判らない判らないです身体が熱くてビクビクしちゃうんですああんっ瑠璃子変になっちゃうぅぅ</p><p>いいのよ変になってそれが、気持ちいいってことですから</p><p>瑠璃子の耳にみすずは囁く</p><p>瑠璃子さん気持ちいいって、言ってご覧なさい</p><p>そ、そんなああんっああ</p><p>気持ちいいんでしょ旦那様に舐めていただいて</p><p>あっああそれはああんっ</p><p>認めなさい気持ちいいって言うのよ</p><p>瑠璃子は羞恥と快感に悶えている</p><p>真っ赤な顔と熱い吐息おでこと首筋に、汗が玉になって流れていく</p><p>ほら旦那様を見て旦那様は、一生懸命、瑠璃子さんを気持ち良くして下さっているんだからちゃんと感謝の言葉を言いなさい気持ちいいですって、報告するのよ</p><p>瑠璃子の熱い眼がオレを見る</p><p>ああんお、お兄様き、気持ちいいですぅぅ</p><p>その言葉にオレは一気にスパートを掛ける</p><p>堪えきれなくなった瑠璃子が、全身を強ばらせる</p><p>みすずと美子さんに握られている手に、力が入る</p><p>絶頂は近い</p><p>気持ちいいっ気持ちいいのおぅルリちゃん、気持ちいいよぉぉぉぅ</p><p>初めての性の快感に瑠璃子は、幼児退行していく</p><p>普段は大人びた聖少女は心の裏側に、こんな可愛い幼女を隠していたのか</p><p>ちくしょう、可愛いぜルリちゃん</p><p>あああっあああんっルリちゃん、変になってくよぉぉ怖い、怖いよああああんっ</p><p>怖くないわあなたの大好きなお兄様がして下さっていることよ何もかも、お兄様に身を任せなさいもっともっと気持ちよくなるわ</p><p>みすずの言葉が瑠璃子の心に染み込んでくる</p><p>ああんっお兄様んっルリちゃ、変なのぉ白いのぉ白い光がこっちに来るのぉぉ</p><p>それは、絶頂の予感だ</p><p>オレは、最後の力を振り絞って瑠璃子の秘部を責める</p><p>舌はクリトリスを</p><p>両手でお尻とふとももを揉みほぐす</p><p>ああんっああんっ白いの白いのが来るのぉぉあっあああああああっいやぁぁっいやぁぁんっああああんっ</p><p>全身を痙攣させ</p><p>瑠璃子が生まれて初めての絶頂に舞う</p><p>オレは、顔中を愛液塗れにしながら</p><p>エクスタシーの海に溺れる瑠璃子の身体を、しっかりと抱き締める</p><p>舌の愛撫はまだ止めない</p><p>ああっあああーっルリちゃん、飛んでるのぉぉ気もちいいよぉぉ</p><p>女の絶頂は男の射精と違って、しばらく続く</p><p>だからその間も愛撫は続ける</p><p>ああっあああーっああーんっ</p><p>やがて瑠璃子の肉体の中で大きく輝いた打ち上げ花火が、シュッと暗い海に落ちていく</p><p>絶頂の快感が治まっていく</p><p>はぁ、はぁはぁ</p><p>心臓はバクバクしているだろう</p><p>瑠璃子は、肩で大きく息をしている</p><p>とろんと溶けた眼をしている</p><p>快感にとろけた瑠璃子にはあの人を寄せ付けない孤高さが抜けていた</p><p>うんただの１５歳の少女だ</p><p>飛びきりの美少女だ</p><p>瑠璃子さん旦那様を見て</p><p>みすずに促されて瑠璃子の眼が、オレを見下ろす</p><p>気持ち良かったか</p><p>は、はいぃぃお、お兄様ぁん</p><p>瑠璃子は、身体に力が入らないらしい</p><p>脱力したまま、椅子に座っている</p><p>心は半分まだ悦楽の中で溺れている</p><p>美智バケツを持って来て</p><p>みすずが美智に言う</p><p>美智はスカートの中に手を入れて</p><p>また、オナニーしていたんだな</p><p>ちょっとぐったりしているところを見ると、美智もイッたのか</p><p>そこの壁の物入れの中にあると思うから急いで</p><p>美智が、ハッとして立つ</p><p>この部屋は元々、貸し会議室として作られている</p><p>部屋の片隅にお茶をいれるための給湯施設があった</p><p>そこの壁が物入れになっていた</p><p>きっと、掃除道具なんかも置いてあるはずだ</p><p>美智がガチャガチャと、備え付けの物入れの扉を開けていく</p><p>ありました</p><p>こっちへ持って来て</p><p>美智が急いで、ブリキのバケツを持って来る</p><p>オレはすぐにみすずの意図が判った</p><p>瑠璃子は、みすずの従妹だ</p><p>体質も似ているはずだ</p><p>オレは、美智からバケツを受け取ると</p><p>瑠璃子の開かれた足の間に差し入れる</p><p>お、お兄様何</p><p>とろけたままの瑠璃子がぼんやりとオレを見ている</p><p>さあ、ルリちゃんシーシーしよう</p><p>オレは幼女に話し掛けるように、瑠璃子に言った</p><p>ルリちゃんおしっこでちゃいそうなんだろ</p><p>オレのその言葉に瑠璃子は</p><p>うんあのねぇ、ルリちゃん、お腹の中がゾクゾクしているのぉぉ</p><p>やっぱり幼児退行は、そのままだ</p><p>生まれて初めて女性器を弄くられた快感が排泄の欲求に転化している</p><p>そうかじゃあ、ここにオシッコ全部出しちゃおうな</p><p>えルリちゃん、恥ずかしいよう</p><p>大丈夫だオレがちゃんとバケツを持っててやるから</p><p>オレは足と左手で、しっかりバケツをキープする</p><p>右手で瑠璃子の体勢を直して柔らかいお腹をそっと撫でてやる</p><p>ほーら出してごらん気持ちいいぞ</p><p>半分夢の世界にいる瑠璃子が気持ちいいと言う言葉に惹かれる</p><p>うんルリちゃん、オシッコしちゃうオシッコが出ちゃうのぉぉ</p><p>ジョロ、ジョロロロ</p><p>熱い噴流が瑠璃子の股間が弧を描き、ブリキのバケツを底を叩く</p><p>ほら気持ちいいだろ、ルリちゃん</p><p>オレの言葉に、瑠璃子は</p><p>うんお兄様、気持ちいいルリちゃん、オシッコ気持ちいい</p><p>香月老人が太い声で孫娘を呼ぶ</p><p>おい、瑠璃子</p><p>祖父の声に、瑠璃子はハッと我に返る</p><p>はいあ、わたくし</p><p>自分が何をしているのかに気付く</p><p>いやぁぁっみ、見ないで見ないで下さい</p><p>それでも放尿は止まらない</p><p>ダメだ最後まで見せるんだ</p><p>オレは、瑠璃子に命じる</p><p>そうよほら、あなたのお兄様がじっくり見て下さっているのよ</p><p>みすずが、瑠璃子に微笑む</p><p>そんなわたくし</p><p>瑠璃子がオレを見る</p><p>わたくしもう、お嫁に行けません</p><p>羞恥に震えるがオシッコは止まらない</p><p>お嫁には行かなくていいんだ瑠璃子は、もうオレが貰ったんだから</p><p>気持ちいいでしょ、瑠璃子さんあたしもいつも、旦那様の前でおしっこしているのよ</p><p>みすずの言葉に瑠璃子が驚く</p><p>旦那様には、心も身体も隠し事は無しよどんな恥ずかしい姿も、みっともない姿もあたしたちの旦那様は、平然と受け入れて下さるから本当にあたしたちのこと、愛して下さっているのよ</p><p>そうじゃなかったら瑠璃子さんのオシッコしているバケツを持って下さったりはしないわ</p><p>そうだ今、瑠璃子は</p><p>オレの差し出しているバケツに向かって、放尿している</p><p>だから、旦那様には何でもさらけ出していいのよさあ正直になりなさい旦那様にオシッコする姿を見ていただくのは、気持ちいいでしょ</p><p>瑠璃子は、オレを見ている</p><p>放尿がちょろちょろと小さくなり止まった</p><p>最後の一滴までオレはバケツで受けてやる</p><p>気持ちいいです</p><p>瑠璃子は自分の中の快感を、認めた</p><p>瑠璃子オレに舐められるの、気持ち良かったか</p><p>おしっこも</p><p>はい、お兄様</p><p>瑠璃子が羞恥に頬を染める</p><p>また、しようないつでも舐めてやるしおしっこも、いつでも見てやる毎日だっていい</p><p>そうよみすずは毎日、旦那様にお見せしていますセックスだって、あたしが欲しい時に、満足するまでしていただいてますからっ</p><p>セックスはね慣れるまでは、痛いけれど今、舐められたのの何百倍も気持ちいいのよっ</p><p>みすずの言葉に瑠璃子は息を呑む</p><p>でも毎日なんて癖になったら困ります</p><p>瑠璃子は恥じらって、そう答えた</p><p>癖になっていいんだオレたち、一生一緒にいるんだから</p><p>瑠璃子が真顔でオレを見る</p><p>本当に本当に、いいんですね</p><p>約束するよルリちゃん</p><p>オレの言葉に、瑠璃子の背中がビクッと震える</p><p>ああわたくしお兄様にルリちゃんて呼ばれると、背筋がゾクゾクするんです</p><p>オレと居る時はお前は、ルリちゃんだいいだろ、ルリちゃん</p><p>瑠璃子が身体を起こす</p><p>そして、自分からオレにキスしてきた</p><p>はいルリちゃん、お兄様にいっぱい可愛がって欲しいのぉっ</p><p>この幼女のままの心が瑠璃子の隠してきた本当の姿なんだろう</p><p>オレは、抱えたままのバケツを見る</p><p>これどうしよう</p><p>バケツの中には、瑠璃子のオシッコがたんまりと入っている</p><p>ちゃぽんと音を立てて</p><p>いやぁん、恥ずかしいですぅぅ</p><p>瑠璃子が、身を捩る</p><p>うん瑠璃子のオシッコはツンと臭うな</p><p>ということで瑠璃子、完全陥落です</p><p>長かったですが論理的な理詰めの頭による攻防から、最後は身体を開かせました</p><p>もう、吉田くん以外の男はダメでしょうね</p><p>次話はこの部屋でのストーリーの伏線回収をして家族集合となります</p><p>チョコレート工場の思い出・補話</p><p>そういえば、最初から変だったんですよね</p><p>バイトの契約をする時にサインさせられた紙の中に</p><p>＊以下の項目に該当しないことを誓います</p><p>１．身体の一部（指など）に欠損がある</p><p>２．入れ墨のある</p><p>３．正社員に対して反抗的な態度を取らない</p><p>ええっと、１と２は普通に、元ヤクザの人が受けに来るってことで</p><p>３は</p><p>反抗的な態度って誰が判断するのでしょうか</p><p>しかも、反抗的だと判断されたら即、首ですか</p><p>ちなみにチョコレート工場が夏場に大量にバイトを雇うのは、正社員に順番に夏休みを取らせるためです</p><p>なので８月も終盤になると</p><p>使えないと判断されたバイトの人から順番に、８時間ずっと重さ３０キロのココアやグラニュー糖の袋を人力で積み上げるだけの現場に送られます</p><p>そして本人が辞めるか、身体を壊して仕事に来られなくなる（一定日数以上休むと自動的に解雇）ようにして人数調整をしていました</p><p>ブラック企業ですねホワイト・チョコレートも作ってましたけれど</p><p>256．美子の秘密</p><p>ほら、あなたこれで顔を拭いて</p><p>渚がニコニコ微笑んで、オレに小さなハンド・タオルを差し出してくれた</p><p>オレは一先ず、瑠璃子のオシッコ入りのバケツを床に置いて、タオルを受け取る</p><p>自分の顔についた愛液や、汗を拭う前に</p><p>ほら、ルリちゃん拭いてやるからな</p><p>オレは瑠璃子の股間にタオルを当てる</p><p>そんなお兄様、自分でできますっ</p><p>瑠璃子は、恥ずかしがるが</p><p>いいんだオレにやらせてくれ</p><p>これからは、ルリちゃんの面倒はオレが見るんだから</p><p>有無を言わさず瑠璃子の足を再び開脚させて、濡れた股間を拭いてやる</p><p>丁寧に</p><p>そのタオルは、ルリちゃん用ねあなたは、こっちを使って</p><p>渚は、オレ用にもう一枚別のタオルをくれた</p><p>渚は、何枚もタオルを持っているんだな</p><p>オレが尋ねると、渚は</p><p>小さな子を連れて歩く時は、必要なのよいつも、３、４枚は持ち歩いているわ</p><p>判ったオレも、そうするよ</p><p>オレは真緒ちゃんのパパになるんだから</p><p>うん真緒ちゃんは３歳でも、しっかりした子だから</p><p>連れて歩くのも、そんなに困らないけれど</p><p>保育園への送り迎えとかオレも手伝うから公園に連れてって、一緒に遊ぶとか渚はお店があるからさそういうことは、どんどんオレに言ってくれよ</p><p>渚が、じーんと感動している</p><p>他にもさ、小さい子の面倒を見るのに気を付けないといけないことがあったら教えておいてオレ、弟妹とかいないから、よく判らないんだ</p><p>オレ自身は親に放置されて育ったし</p><p>子供の頃から両親に遊んで貰ったことなんて、無いもんな</p><p>うん、うんありがとう、あなた</p><p>渚が、そう答える</p><p>さてオレは足下のバケツに眼を落とす</p><p>このバケツの中のオシッコをどうしよう</p><p>ツンと臭う液体が、ブリキの容器の中に、たっぷんたっぷんしているけど</p><p>わたくしが、捨てて参りましょうか</p><p>美智が、そう言ってくれるが</p><p>いやいいよオレが自分でやるから</p><p>オレは、バケツをひょいと持ち上げる</p><p>うんあそこのシンクに流してしまおう</p><p>給湯施設の壁まで、えっちらおっちら運んで行く</p><p>よいしょっと</p><p>オレは、ザバーッと流しにおしっこを捨てる</p><p>水道の蛇口を捻っておしっこを洗い流す</p><p>バケツの中も、たわしで擦って綺麗にした</p><p>シンクの中も、ちゃんと洗って</p><p>うん、これでいい</p><p>綺麗になった</p><p>自分の手も綺麗に洗って、渚のくれたタオルで拭く</p><p>瑠璃子さんあたしね、旦那様のああいうところが一番好きなの</p><p>みすずが、瑠璃子に言う</p><p>はいお兄様は、心の底から尊敬できるお方です</p><p>おいおい、瑠璃子</p><p>褒めすぎだよただバケツの中のおしっこを処理して、洗っただけじゃないか</p><p>オレはバケツを元の場所にしまってみんなのところへ戻る</p><p>いや、なかなかできることではないぞ私なら、自分では始末しないな</p><p>閣下までが、そんなことを言う</p><p>だから、シゲちゃんは女の子にモテなかったのよ</p><p>渚が、ニコッと閣下に微笑む</p><p>さもありなんこいつの方が、私よりも人間ができているな</p><p>閣下も、オレのことを褒め殺しにしようとする</p><p>止めて下さい香月さんには、何でもやって下さる部下の人がいっぱい居らっしゃるからでしょオレは何でも自分のことは自分でやらないといけませんから</p><p>自分のこと</p><p>当たり前だろ瑠璃子はもう、オレの家族なんだから</p><p>家族の世話をするのは、当然のことだ</p><p>彼の中では、それが普通みたいね</p><p>渚が笑う</p><p>わたくし本当に愛していただいているのですね</p><p>瑠璃子が、感慨深くそう言った</p><p>でどうだった瑠璃子さん最後のオシッコはともかく、初めて絶頂に達した感想は</p><p>渚がニッと笑って、瑠璃子に尋ねる</p><p>絶頂</p><p>彼にアソコを舐められて頭の中が爆発したみたいになったでしょ</p><p>瑠璃子は、まだ裸の股間を晒したままだ</p><p>ぐったりとして、椅子にもたれて座っている</p><p>はい何か身体が白い光に包まれたみたいな感じになりましたとても気持ち良かったんですけれどちょっと疲れました</p><p>瑠璃子は、微笑む</p><p>でも、気分がスッキリしたでしょうあたしは旦那様に気持ち良くしていただくと、その後、何をするのも、とっても集中してできるのよ</p><p>あ、判りますそうですわね何か、気分が落ち着いて今は、どんなことでも頑張れそうな気がしています</p><p>にこやかに、瑠璃子は答える</p><p>それが、旦那様の愛の力よ今は舐めていただいただけだけど早く本当のセックスをなさい</p><p>セックスですか</p><p>そうよ、旦那様をお腹の中に受け入れて精子をたっぷり注いでいただくのとっても気持ちいいのよ</p><p>最初はちょっと痛いけれど、すぐに慣れるわそうしたら、とっても気持ち良くなるから旦那様の精子を、子宮に注いでいただく瞬間には幸せな気持ちで一杯になれるのよ</p><p>あのセックスというものは、どれくらいの頻度でするべきものなのですか</p><p>あたし今は、一日一回は、必ずしていただいているわ旦那様に抱いていただくようになってからは、お肌がしっとりするようになったし、夜はスッと眠れて、朝もスッキリ眼が覚めるの身体もどんどん、女らしくなっている気がするしいいことばっかりよ</p><p>確かにみすずは、どんどん魅力的になっている</p><p>わたくしにもできるでしょうか</p><p>瑠璃子がオレの半勃起したままのペニスを見る</p><p>そういや、オレもずっと裸のままだな</p><p>家族の前で裸でいるのには、すっかり慣れてしまった</p><p>大丈夫よ瑠璃子さんは、とっても濡れやすい体質だし問題無いと思うわ</p><p>渚が、瑠璃子にそう言う</p><p>でもわたくしはまだ１５歳ですし</p><p>あら、マナちゃんなんて１４歳だけど彼とガンガン、セックスしているわよそうよね</p><p>うんマナとは、１日１回どころじゃないな昨日ぐらいからは、あいつの方からやりたがって来るし</p><p>最初は、無理矢理レイプで中出し３連発だったんだけど</p><p>いつの間にか、マナの方が主導的になってきているような気がする</p><p>羨ましいですみすずも早く、旦那様と一緒に住みたいですそうしたら、いつでもお相手していただけるのに</p><p>オレの身体が保つのか</p><p>そんなことになったら</p><p>瑠璃子さん、セックスというものは毎日したくなった時に、したいだけした方がいいのよどんどんセックスなさいそうすれば、身体も赤ちゃんを産むの相応しい、魅力的な体型に成長していきますからねっ</p><p>渚が、また嘘知識で瑠璃子を誘う</p><p>あもちろん、彼としかしちゃダメよ他の男の人とは、絶対にしないでね</p><p>お兄様以外の男性なんて、考えられません</p><p>瑠璃子は頬を赤らめて、そう答える</p><p>わたくし決めましたもう、お兄様以外の男性とは決して口を利きません</p><p>わたくしはお兄様のものですから瑠璃子の全てを、お兄様に捧げます</p><p>上目遣いでオレを見上げる</p><p>あ判った</p><p>瑠璃子もみすずの血筋だ</p><p>こいつもマゾッ気が強いんだ</p><p>おいおい、私とも口を利かないつもりかね</p><p>慌てて閣下が口を挟む</p><p>瑠璃子は祖父に返事をせずオレを見て</p><p>お兄様お祖父様との会話は、お許し下さいますか</p><p>すでにオレに全てを委ねている</p><p>うん、もちろんオレたちのお祖父さんなんだから、喋っていいよ</p><p>閣下は、少し不機嫌な様子で</p><p>私も、お前に礼を言うべきなのかな</p><p>シゲちゃん、そういうことでヒガまないのっ孫娘たちの好感度が下がるわよっ</p><p>おっと、それはいかん</p><p>香月老人は、口を閉ざす</p><p>それから学校の先生とか、お店の人とか、どうしても話す必要がある時は、他の男と喋ってもいいからな</p><p>こう言っておかないと瑠璃子の生活に支障が出るかもしれない</p><p>ありがとうございますうちの学校は既婚で子供のいる年輩の方しか、男性の教師は採用されませんので、ご安心下さい</p><p>うん前に、みすずもそんなことを言っていた気がする</p><p>日本一の超お嬢様校というのは、そんなことまで徹底してやっていると</p><p>それにわたくしは、女性店員の居る店でしか買い物は致しません通学には、自家用車を使っておりますし絶対に、他の男性と会話しないように心して生活致しますお兄様に、ご安心していただけますよう努力致します</p><p>瑠璃子は、元々、閣下によって男とは徹底的に隔離されてきたんだっけ</p><p>今更、そういう生活は変えられないか</p><p>これからの瑠璃子は、お兄様のためだけに生きて参りますから</p><p>ちょっとだけ軌道修正しないといけないな、こりゃ</p><p>じゃあ、オレのためにもっともっと、魅力的な女の子になれ</p><p>瑠璃子はどんな女の子が、魅力的だと思う</p><p>はい、お兄様そうですね、いつも綺麗で、服装のセンスも良くて、お料理や裁縫が上手でいつもお友達に対して優しい</p><p>瑠璃子が、自分の理想の女の子の要素を数えていく</p><p>それなら、そういう女の子を目指せどうしたら、そういう女の子になれるのかを考えて頑張ってみろオレのために</p><p>始めはオレのためということでいい</p><p>それがきっと瑠璃子のためになるはずだ</p><p>はい、お兄様のために瑠璃子は、頑張りますっ</p><p>瑠璃子は可愛らしい笑顔で、オレに微笑み掛けてくれた</p><p>お一人だけ、先に行ってしまわないで下さい</p><p>横からの声に、みんなハッとする</p><p>その悲しげな声の主は美子さんだった</p><p>瑠璃子様美子を置いていかないで下さいませ</p><p>美子さんは、すっかり泣き顔になっていた</p><p>美子わたくしは別に、あなたを見捨てるつもりはありませんよ</p><p>瑠璃子が急いで、年上のお付きに近寄る</p><p>美子さんの手を握って</p><p>美子にはまだ、しばらくはわたくしの側に居てもらいます</p><p>しばらくは</p><p>驚く美子さん</p><p>美子は、もう高校３年生１８歳ですそろそろ、わたくしと離れてお嫁入りの支度を始めるべきです</p><p>瑠璃子はオレの家族になったことで決心が付いたらしい</p><p>美子さんを解放してあげることに</p><p>わたくしは嫌ですどこかの家に嫁になんて行きたくはありませんわたくしはずっと死ぬまで、瑠璃子様にお仕えしたいのです</p><p>美子さんは、必死で嘆願する</p><p>美子の言葉は、本当に嬉しいですでもあなたは、わたくしとは立場の違う人間ですこれからのわたくしは、みすずお姉様と香月の家の中で闘っていかねばなりませんその争いに、香月の血筋では無い美子を巻き込みたくないのです</p><p>うん瑠璃子がオレたちの家族になったのには</p><p>香月家の中での後継者争いの問題が大きく関係している</p><p>みすずや瑠璃子は閣下の後釜を狙う一族や重役たちに狙われている</p><p>みんな自分の息子や血縁を、みすずたちと結婚させようとしている</p><p>だからそいつらの思惑を躱すために、みすずと瑠璃子は結託し黒森の家族になることとなった</p><p>しかし美子さんは、香月の血縁者では無い</p><p>瑠璃子さんとのコネを狙うやつはいるだろうが</p><p>自由意志で好きな相手と結婚し、幸せな家庭を築くことは許されている</p><p>そんなことをおっしゃらないで下さい美子は、美子は</p><p>美子さんは、捨てられた子犬の様に泣く</p><p>お祖父様お尋ねしたいことがございます</p><p>何だね</p><p>美子さんのご出生についてです</p><p>美子さんにはかねてより、お祖父様の隠し子では無いかという噂がございます</p><p>そんな噂もあるんだっけ</p><p>どうか、あたしたちに真実をお話下さい</p><p>美子さんも、香月の血筋の娘となれば話は別だ</p><p>みすず、瑠璃子そして、美子</p><p>香月老人は三人の少女たちを見る</p><p>本当のことを教えようその噂は、間違っている美子は、私の子供ではない</p><p>がっくりとうな垂れる美子さん</p><p>美子は私の死んだ長男、重春が秘書に産ませた娘だ</p><p>じゃあ、美子さんはみすずと瑠璃子の従姉</p><p>さっきも話した通り重春は、アメリカで家族共々謀殺された美子は、その時まで母親の胎内に居た重春が自分の若い女秘書に手を付けたんだ重春が生きていればあいつは、堕胎を命じていたかもしれんしかし、私は重春が残した最後の子供を何としてもこの世に残してやりたかっただから美子の母親を、信頼できる部下である小森雄三に引き取らせ、その家の娘として戸籍に登録させたんだ</p><p>ではわたくしの本当のお母様は</p><p>美子が乳母だと思っている人が実の母親だよ</p><p>浩美さんがわたくしのお母様</p><p>そうだ美子間違いなく、お前も私の孫娘だお前が産まれた後に、DNA鑑定も行っている重春の娘であることは証明されている</p><p>瑠璃子が美子さんの肩を抱く</p><p>美子もあたくしのお姉様なのですね</p><p>みすずも、真実に喜んでいる</p><p>しかし３人目の後継者候補が現れるのは、香月の家を混乱させることになるしかも、美子は故人の隠し子だ真実が明るみになれば、世間からどう評価されるか判らない</p><p>苦しげに、閣下は言った</p><p>隠し子というのは、そんなに立場が弱いのか</p><p>守ってくれる存在の父親が、すでにこの世にいないのでは香月家の中でのパワー・ゲームでグシャグシャにされる可能性は高いだろう</p><p>幸い美子の養父である小森は、忠節な男だ誰がどれだけ詳しく調べようと、美子が小森の娘であることが、動かしようのない事実になる様徹底して、工作してくれただから、美子は香月の家に縛られてはいない</p><p>香月重春の隠し子というのが真実だとしても世間にそのことが知られていない以上</p><p>美子さんは、今後の人生を自分で自由に決めることができる</p><p>お前は好きに生きていいのだぞ金なら、私が幾らでも出してやるしたい勉強があるのなら、留学でも何でもさせてやる気に入った男がいるのなら、持参金付きで妻合わせてやってもいい</p><p>香月老人は、３人目の孫娘にそう言った</p><p>わたくしはこのまま、ずっとこのままがいいのです</p><p>美子さんは、そう答えた</p><p>瑠璃子様のお付きとして一生涯、お仕えしたいんですそれが、わたくしの定められた運命なのでございますから</p><p>美子さんあんまり、思い込んじゃいけないよ</p><p>美子さんがオレを見る</p><p>絶対にこうだとかそうでないといけないとかそういう定めなんだとかそういうのって、単なる思い込みだから</p><p>あなたに何が判るというのですっ</p><p>美子さんが、オレに怒りをぶつける</p><p>判るよオレもつい最近、自分の人生観が引っ繰り返ったばかりだから</p><p>オレは、真剣な眼で美子さんを見る</p><p>オレはほんの一週間前まで、オレの人生はもうダメで、オレにはもう何も無いって思い込んでいたんだから</p><p>誰も帰ってこない、あの暗くて冷たい家で</p><p>一人ぼっちのソファで、毎晩、朝になるのを待っていた</p><p>だから、落ち着いて冷静になって、ゆっくり考えた方がいいよ</p><p>オレは、みすずと瑠璃子を見る</p><p>二人もまずは、美子さんに一人で考える時間をあげてくれ自分たちの意見を、美子さんに押しつけるようなことはしないで美子さんのためを思ってしたことでも、そういうのは美子さんを苦しめるだけだから</p><p>お兄様のおっしゃる通りに致します</p><p>二人は、即決で了承してくれた</p><p>香月さんも今はそれ以上は、お話にならないで下さい合理的な提案も、今すぐでは美子さんを混乱させるだけです</p><p>閣下も納得してくれた</p><p>美子さんどんな未来を選ぶのも、美子さんの自由ですから、ゆっくりと穏やかな心で考えてみて下さい大丈夫です美子さんがどんな結論を出したしても、瑠璃子が美子さんを見捨てることはありません瑠璃子と美子さんの絆は、今まで通りですそれは、オレが約束します</p><p>美子さんが少し落ち着いて、オレを見る</p><p>オレは美子さんから瑠璃子を取るつもりはありません瑠璃子も、美子さんを捨ててオレのところに飛び込んできたわけでもありませんオレと瑠璃子の関係と、瑠璃子と美子さんの関係は全然別のことですから安心して下さいね</p><p>はい取り乱しまして、申し訳ございません</p><p>美子さんが、一同に頭を下げる</p><p>では、この件はしばらく保留ということにしよう</p><p>閣下が話をまとめる</p><p>しかし、お前見た目は普通の子供なのに、調整者としては完璧な判断をするのだな</p><p>香月老人が、オレに言う</p><p>毎日、鍛えられていますから</p><p>オレは笑って、答えた</p><p>閣下もニヤッと微笑む</p><p>じゃあ、それはそういうことにしておいてとりあえずの今すぐに解決しなくてはならない問題は何もないわね</p><p>渚が、確認する</p><p>閣下とみすずの対立は解消された</p><p>オレとみすずの仲も許して貰ったしというか、瑠璃子と閣下まで、黒森の家族に入ることになった</p><p>美子さんの問題は、美子さんがじっくり時間を取るということでとりあえず、保留</p><p>うむ早急の問題は、何も無い</p><p>あ、急ぎの問題が一つありますわ</p><p>みすずが、渚に言う</p><p>え、どんなことだい</p><p>オレが尋ねるとみすずは</p><p>美智が気配を消して、隣の部屋とのドアへ向かう</p><p>何をするんだ</p><p>いきなり、ドアをガチャっと開ける美智</p><p>ドアの向こうにへばりついていた関さんと、藤宮さんと、真緒ちゃんが</p><p>ころろんと、こちらの部屋に転がり込む</p><p>あらら</p><p>あれれっ</p><p>床に、どしんと転がる三人</p><p>三人とも、盗み聞きしていましたね</p><p>みすずがニッと笑う</p><p>い、いつから</p><p>えへへへっ</p><p>笑って頭を擦る、真緒ちゃん</p><p>わっわたくしは</p><p>盗聴の指摘に動揺する、藤宮さん</p><p>わたしは別に藤宮さんが、聞き耳を立てていたから</p><p>関さんは、藤宮さんのせいにしようとする</p><p>先に、ドアに耳を当てたのは関さんのはずですっ</p><p>藤宮さんも、必死で関さんに罪を押しつけようとする</p><p>ごめんなさい、真緒なの</p><p>真緒ちゃん</p><p>真緒がね絶対に、お部屋の中でお兄ちゃんたちがエッチなことをするから、こっそり聞こうってお姉さんたちに言ったのっ</p><p>言い出しっぺは、真緒ちゃんなのか</p><p>幼女にそそのかされてお姉さんたちは、ついつい盗み聞きに参加してしまった</p><p>あら関さんも藤宮さんも、そんなにエッチなことに興味がお有りでしたの</p><p>みすずが、二人の警護役を責める</p><p>わたくしは別に、興味はありませんが藤宮さんが</p><p>関さんの方が、興奮して聞いていたじゃないですか</p><p>この二人は</p><p>仲が良いのか、悪いのか</p><p>でどこから聞いていらっしゃったのですか</p><p>今、この部屋で話されたことは香月家の今後を決める、とても大切な機密事項ばかりだったのですが</p><p>緊張する二人</p><p>ああ、確か美子様が、香月重春様の忘れ形見だという辺りからですわそうですよね、藤宮さん</p><p>関さんその嘘は無いだろ</p><p>それって、ほんの２、３分前の会話じゃないか</p><p>あのねえママが香月さんのことをシゲちゃんて言い出したぐらいから</p><p>それってかなり前だよな</p><p>それから、お兄ちゃんとみすずさんのエッチの声とかそこのお姉さんのエッチな声とか、ずっと聞いていたよっえへへっ</p><p>オレとみすずのセックスも</p><p>瑠璃子の絶頂も全部聞かれていた</p><p>瑠璃子が、顔を真っ赤に染める</p><p>うひひねっ、ルリちゃん</p><p>真緒ちゃんが瑠璃子にニコッと微笑む</p><p>真緒もお姉さんのこと、ルリちゃんて呼んでもいい</p><p>瑠璃子は、オレの顔を見る</p><p>オレは、うんと頷いた</p><p>真緒ちゃんもオレたちの家族だ</p><p>よろしいですわ</p><p>あたし真緒ちゃんよろしくねっ</p><p>ええよろしくお願い致します</p><p>私も、真緒ちゃんのお祖父さんになったんだぞ</p><p>閣下が真緒ちゃんに近寄る</p><p>どれ、抱っこしてやる</p><p>香月老人が、真緒ちゃんを抱こうとすると</p><p>お祖父ちゃん、お口くちゃーい</p><p>真緒ちゃんは、閣下から逃げてオレの方へ</p><p>お兄ちゃん、抱っこして</p><p>オレは仕方無く、真緒ちゃんを抱いてやる</p><p>あ閣下が凍り付いている</p><p>ファイトだ頑張れ</p><p>ごめんなさい香月様入れ歯の良い消臭剤を探しておきますねっ</p><p>渚が、そう言うが閣下は、まだ再起できないでいた</p><p>幼女の一撃は、ダメージが深い</p><p>さて関さん、藤宮さんあなたたちは、本来知るべきでない、あたしたちの秘密を知ってしまいましたね</p><p>みすずが、二人に言う</p><p>もう戻れませんよ、お二人とも</p><p>ハッとして二人が、みすずを見る</p><p>ご処分は、いかほどでも</p><p>藤宮さんが、頭を下げる</p><p>慌てる、関さん</p><p>警護人の本分を忘れついつい、自らの興味から主の秘密を盗み聞きしてしまったのですもはや死んでお詫びするしか無いでしょう</p><p>いや何で、死ぬところまでいくんだよ</p><p>いやよ、わたくしはこんなことで死にたくはありませんっ</p><p>ならば、わたくしが介錯致します</p><p>藤宮さんが、撲殺ステッキを握る</p><p>関さんも、すぐに撃退の体勢に入って</p><p>あなたに殺されるのだけは、ごめんよあたしの美貌が、その馬鹿棒でぶっ潰されちゃうわ</p><p>では、原形を留めないほど破壊致します</p><p>睨み合う、二人</p><p>やめなさいあたしはあなたたちにそんなことは命じていません</p><p>香月家後継者の威厳を持ってみすずが、二人に言った</p><p>は、申し訳ございません</p><p>平伏する藤宮さん</p><p>ごごめんなさい申し訳ありませんでした</p><p>関さんも頭を下げる</p><p>ところでお二人にお尋ねします</p><p>お二人ともまだ処女でいらっしゃいますよね</p><p>二人が警護の仕事も忘れて、盗み聞きしてしまったのは</p><p>二人とも処女で、セックスに興味のあるお年頃だったからです</p><p>257．やったね麗華ちゃん家族が増えるよ</p><p>みすずにいきなり処女かと聞かれて、関さんが戸惑う</p><p>藤宮さんは、黙ってみすずを見上げている</p><p>お二人は、処女ですかとお尋ねしているのです</p><p>みすずは、絶対統治者の貫禄でもう一度、問い直す</p><p>あ、あのそりゃあ、藤宮さんはどうせ処女だろうと思いますけれどわ、わたくしは</p><p>関さんが、裏返った声で返答する</p><p>何だ、このおかしなテンションは</p><p>ああ、やっぱり処女なんですね関さんも</p><p>みすずが、ニヤリと微笑む</p><p>あたし、ずっと女子校育ちですから、こういうことには鼻が利くんです関さん、男性との交際経験が一度も無いですよね</p><p>えっそれはあの</p><p>しどろもどろになる関さん</p><p>関さんて優秀すぎて、男性と恋愛するチャンスを逃して来られた方独特の雰囲気がありますから</p><p>そういうの判るんだ</p><p>あははは、うふふふえへへへ</p><p>笑って誤魔化そうとする、関さん</p><p>せっかくの美貌が台無しだ</p><p>関さん一流大学を出て、海外留学までしたのに、そういう経験は一度も無かったんですか</p><p>藤宮さんが、フフッと同僚を笑う</p><p>だって、男ってみんな馬鹿だしみんな、わたくしのことは避けていくんですもの</p><p>関さんが、ムッとして答える</p><p>他の女の子はデートに誘ったりするのに誰も、わたくしには声を掛けて来ないんですから</p><p>あっそうか関さんの場合は頭が良過ぎる上に、武術も強いときている</p><p>いくら美人でも男の人からは敬遠される様な存在なんだろう</p><p>それは、関さんが学ばれたのが、全て頭の良い人ばかりの学校だったからですよ</p><p>藤宮さんが、クールに言った</p><p>藤宮さんそれ、どういうことっ</p><p>もっと、程度の低い男子のいる学校なら関さんぐらいの美貌の持ち主なら、なりふり構わずアタックしてくる子も多いでしょうね</p><p>藤宮さんの代わりに渚が答える</p><p>そういう子は、最初っから勉強でも運動でも関さんには敵わないって判っているんですから関さんみたいな才媛に憧れて、ダメ元でも一か八かに賭けるっていう子は、割といると思うわよ</p><p>逆に関さんの様な高嶺の花を、騙してでも毟り取ってやろうという下劣な男もいるでしょうしね</p><p>藤宮さんが、そう付け足す</p><p>しかし関さんが学ばれた大学や、留学先は超一流のエリートしかいませんからそういう所の男たちにとっては関さんはライバルというより、むしろ目の上のタンコブでしょう</p><p>ククッと笑う、藤宮さん</p><p>エリートで将来が嘱望されていて、能力のある男性はプライドも高いです関さんの存在は、その方たちのプライドを傷付けるだけで</p><p>香月セキュリティ・サービスに入社なさった後も、言い寄ってくる人はいなかったの社内には、関さんよりも能力のある男性はいるでしょう</p><p>関さんは香月セキュリティ・サービスのトップ・エリートの最高峰、香月様の三人の直衛警護人のお一人ですから</p><p>藤宮さんが、答える</p><p>つまり他の連中はみんな、関さんよりも立場が下ってことか</p><p>しかも関さんは、入社後半年でその地位まで昇り詰めてしまわれましたし</p><p>ああ、関さんは本当に能力は抜群の人なんだ</p><p>こうして見ていると、面白いお姉さんなのに</p><p>ころころ表情が変わってとっても、愉快だ</p><p>直衛警護人の他のお二方は</p><p>大徳さんも、張本さんも男性しか愛されません</p><p>渚の質問に、藤宮さんが答える</p><p>ホモかホモなのか</p><p>お二人で、深く愛し合っておられますそういう方たちとチームを組んでいらっしゃいますから社内の男性たちは、関さんとはなるべく近付かないようにしています</p><p>藤宮さんの説明に、関さんが暴発する</p><p>ああっ、もういいわよっどうせ、わたくしはモテない女ですっ</p><p>逆ギレする関さん</p><p>あたしのことなんて、どうでもいいわよっそういう藤宮さんは、どうなのよ</p><p>わたくしは、ずっと剣一筋の女でございますから</p><p>だから処女なのか</p><p>そう言うと何だか、格好良く見えるけれど</p><p>あなたのは剣じゃないでしょ撲殺女</p><p>失敬なわたくしにとっては、これも剣です</p><p>藤宮さんは、撲殺ステッキを構える</p><p>剣一筋って男から、相手にされないだけじゃないっ</p><p>わたくしの方から、男性を遠ざけるようにしているんですっ</p><p>あーら、言葉は言いようねっだから、いつもそんなおかしな格好をしているわけ</p><p>英国趣味は、わたくしの人生のメイン・テーマですっ</p><p>とにかく藤宮さんも、男からは敬遠されるタイプだよな</p><p>デートに誘おうと思っても</p><p>藤宮さんの方が、颯爽と英国紳士の出で立ちで現れるんだろうし</p><p>男よりも、徹底して男装がキマっている女性って</p><p>うん一緒に歩くのは大変だよな</p><p>二人とも、すごい美人なのに</p><p>何て、もったいないコンビなんだ</p><p>はいはい、ケンカはしないでねめんどくさくなるから</p><p>渚が、二人を止める</p><p>うん、年の近い渚でないとこの二人は捌けない</p><p>そうですねこんな人を相手にしている場合では、ございませんね</p><p>藤宮さんは、みすずを見る</p><p>みすず様わたくしたちが処女であるということが、どんな意味を持つのですまさか</p><p>藤宮さんの視線が、みすずからオレに向かう</p><p>わたくしたちも黒森様の女になれという、ご命令ですか</p><p>ビクッとする、関さん</p><p>えっな、な、何よ、それ</p><p>みすずはふふんと、微笑む</p><p>いきなり、あたしたちの家族になれとは言いませんあたしたちの旦那様が、あなたたちを愛されるかどうか判りませんしあなたたちの意志も尊重致しますただ仲間になっていただけませんかあたしたちの部下でも、臣下でもなく仲間に</p><p>みすずは、そう言って二人を勧誘する</p><p>仲間でございますか</p><p>関さんは言葉の意味が、判らないらしい</p><p>はいお二人とも、盗み聞きをなさっていたのですから、すでにご存じでしょうがあたしは、これから香月家の一族や各派閥の重役たちを騙して香月家全体を手中に収めなくてはなりませんもちろん、お祖父様はあたしたちにご協力して下さいますでしょうがまだまだ仲間が足りません</p><p>香月様がご命令下さればわたくしは、みすず様に従いますが</p><p>藤宮さんがそう、閣下に言う</p><p>藤宮さんの魂は、武士だ</p><p>主の命には、絶対に従う</p><p>いいえ、あたしたちが必要としているのは臣下ではありません仲間ですあたしは、あなたたち二人にご自分の意志で、あたしたちの仲間になっていただきたいと願っています</p><p>どうしてですのわたくしも、藤宮さん同様、ご命令でしたら従いますわ</p><p>不思議そうに関さんが、みすずに尋ねる</p><p>命令されれば従うのになぜ、わざわざ仲間になれというのか</p><p>言葉が足りていないようですねごめんなさいあたしはいいえ、あたしたち家族には、臣下はいらないんですあたしたち家族は運命共同体ですだから、全員で協力して幸せになるしかないんです</p><p>幸せ</p><p>藤宮さんが、ぽつりと言う</p><p>はいあたしが香月家を乗っ取るというのは、男性的な野心からではありませんあたしや瑠璃子さんがこの先幸せに生きていくためには、それが必要だからやるしかないのですもちろん、あたしが香月家の当主となった暁には、香月グループに関わる全ての人間が幸せになるように必死に努力しますそのことは、お約束します</p><p>みすずは、真剣な顔で話す</p><p>あたしたちが求めているものは幸福な生活だけです心を許しあい、いつも笑い合って、家族で安心して暮らすことのできる生活が欲しいんですそこには、臣下は要りませんそういう人が一緒だと常に気を引き締めていないといけないですから</p><p>うん判るような気がする</p><p>みすずお前、彼女らが盗み聞きすることを最初から判っていたな</p><p>閣下が、ククッと微笑む</p><p>主は、常に臣下を監視しなくてはいけないしかしそれは同時に、臣下からも監視し続けられることも意味するこれは、主従関係の基本だこの部屋の中で、香月家の機密に関わる会話がされるなら真緒ちゃんにそそのかされなくても、そこの二人は盗み聞きしようとするだろう警護人という立場の臣下なら、当然のことだ</p><p>そうか、内密の話で閣下の中でのみすずや瑠璃子の重要度が変わったら</p><p>今後の警護体勢に影響する</p><p>緊急事態での警護対象の優先順位を変えなくてはならないかもしれないし</p><p>新たな警護対象が増える可能性もある</p><p>常に閣下の意志の先回りをして、率先して最適な警護体勢を築くのが、関さんたちトップ・エリートだ</p><p>閣下に命じられる前に判っていなければならないし行動していなければならない</p><p>そういう飛び抜けた仕事ができるからトップ・エリートなんだ</p><p>だからこっそりと、会話を盗み聞きしているぐらいのことは当然なんだ</p><p>盗み聞きしていることが判っていてその上で、彼女たちがただの警護人としては、知ってはならない以上の話をした全て、お前の策だな</p><p>みすずは初めから、この二人を仲間に引き入れるつもりだったんだ</p><p>はいお祖父様このお二人が知ってしまったことは今後の香月家に関わる重大な事柄ばかりですただの臣下警護人が知って良い範疇を遥かに超えています</p><p>うんオレとみすずの関係</p><p>瑠璃子との関係</p><p>瑠璃子をヴァージン・クィーンとして擁立し、その間にみすずが香月家の全権を握るという計画</p><p>香月老人の黒森の家族加入</p><p>美子さんの秘密</p><p>全てが絶対に外部に漏らすわけにはいかないトップ・シークレットだ</p><p>みすず様は意図的に、全ての秘密をわたくしたちに聞かせて下さったのですか</p><p>はいあたしは、あなたたちを信じていますから</p><p>みすずは、ニッと微笑む</p><p>ありがとうございますみすず様</p><p>藤宮さんが、みすずに礼を言う</p><p>それから、関さんをチラッと見て</p><p>関さんはどうなさるのか判りませんが</p><p>みすずを見上げる、藤宮さん</p><p>わたくしはみすず様たちの仲間になりますわたくしごときの力でお役に立てるかどうか判りませんが、精一杯努力します</p><p>ニッと微笑む撲殺剣士</p><p>ちょっと、藤宮さんいいの、あなた</p><p>関さんは、戸惑っている</p><p>いいも悪いもありませんみすず様のご計画は結局、香月の家を女の帝国に造り替えるということでしょう面白そうじゃないですかロマンがある</p><p>藤宮さんは、同僚にそう言う</p><p>正直最近のわたくしは、いささか退屈していたのです武の道で身を立てようとしても、日本国内では香月セキュリティ・サービスのトップ・エリートの警護人以上の道はありませんかといって、自衛官や警察官となって国家に縛られるのは嫌ですし人殺しがしたいわけではありませんから、他国で軍務に就くわけにも参りません実戦の緊張感を知った身で、今更競技者に戻るつもりもありませんし、わたくしには指導者は向いておりませんこの先の人生をどう生きるべきか、悩んでいたところなのです</p><p>藤宮さんの言葉に、関さんは驚いている</p><p>あなたそんなことを考えていたの</p><p>そんなトップ・エリート中のトップ、直衛警護人になれないくせに、偉そうなことを言わないで</p><p>関さんは直衛警護人が、トップ・エリートの最上級者だと考えておられるのですか</p><p>藤宮さんは、意外そうに尋ねる</p><p>当たり前でしょう香月様の一番お近くでお守りするお役目よ</p><p>それはそういう任務に適している人材が、選ばれているだけだと思いますが</p><p>馬鹿なことを言わないで頂戴っ</p><p>関さんは、直衛警護人であることにプライドがあるらしい</p><p>すまん関くん</p><p>君がなぜ、私の直衛に選ばれたかということなんだが</p><p>な、何だ</p><p>君の前に着任していた警護人は若い男性でね</p><p>はいそうだと聞いています何か、問題があって退職なさったとか</p><p>関さんが答える</p><p>その若い人に問題があったわけではない問題を起こしたのは、大徳くんと張本くんたちだ</p><p>ほら二人とも同性愛者だろうあの二人が、若い男の取り合いをしてね</p><p>それで、その若い人はいたたまれなくなって退職したんだよ勤務中にお尻を触られるのは、もう耐えられないってね</p><p>ホモのセクハラか</p><p>しかし大徳くんも張本くんも、警護人としてはビッグ・ネームだしね実際、非常に能力は高いその上、ホモだから私の気に入っている女性たちに色目を使ったりしないしねいや、昔、そういう事件があったんだ私の警護人が、私の愛人と通じるという事件がその警護人には、オホーツク海の底の方へ行って貰ったそれ以来、私はなるべく、ホモか女性の警護人を選んでいるんだどうしてもノンケの男を選ばざる得ない場合は、なるべくブサイクで口下手な男に決めているしかしまさか、あんなブサイクな男を大徳くんたちが取り合いするとは思わなかったんだ</p><p>関さんの眼が点になっている</p><p>ではわたくしが、その方の次に選ばれたのは</p><p>うん入社半年で早過ぎるという意見もあったが大徳くんたちと上手くやってくれそうな女性というと、君ぐらいしか見当たらなかった藤宮くんだと、絶対にケンカになるからな</p><p>うんホモ男二人と、このマイペース英国男装女史は合わないだろうなあ</p><p>それに君は綺麗だし、あとフランス語とドイツ語が堪能だろういつも助かっているよ</p><p>閣下の言葉に関さんは</p><p>はははあ、ありがとうございます</p><p>関さんは、プライドを打ち崩されてがっくりしている</p><p>もちろん君の能力は高く評価しておるんだよ私は</p><p>いや、閣下今更、そんなフォローをしても</p><p>あのお祖父様</p><p>瑠璃子が尋ねる</p><p>ホモとは何ですがドーセイアイシャとはノンケというのは、どういう意味なのでございますか</p><p>ルリちゃんそれは、後でオレが教えてあげるから</p><p>はい、お兄様では、後ほどお教え下さい</p><p>純真な笑顔で瑠璃子はニコッと微笑む</p><p>いいのか</p><p>こんな子に、教えても</p><p>あ、あたしの方が詳しいからあたしがちゃんと教えてあげますっ</p><p>渚が、立候補してくれる</p><p>きっとまた嘘知識を教えるんだろうけれど</p><p>この純真な瞳が曇るよりはいいか</p><p>オレが説明すると、ドギツクなりそうだし</p><p>じゃあ、頼むよ、渚</p><p>そこへ真緒ちゃんが</p><p>ママ、真緒にも教えてっ</p><p>真緒はダメよっもっと大きくなってからね</p><p>えー、どうして</p><p>そんな年から、変な趣味に目覚められては困りますっ今はダメっ</p><p>むむーっママのけちんぼ</p><p>真緒様、こちらへ</p><p>美智が、真緒を抱き締めて頭を撫でてくれる</p><p>すぐに大きくなりますよ</p><p>うん何か</p><p>美智って、いいお母さんになりそうな気がしてきた</p><p>さて話を戻しますが</p><p>藤宮さんの言葉に場の注目は、再び彼女に戻る</p><p>わたくしは、皆様の仲間になりますいえ、仲間にして下さいわたくしも、みすず様を擁立する計画に参加させていただきたいと思います</p><p>藤宮さんは、はっきりとそう言ってくれた</p><p>あたしの方からの条件は一つだけです仲間である間は、外部の男性と交際なさらないで下さい女性は特に処女の方は、お付き合いしている男性には弱いと聞いています秘密が漏れるような危機は、絶対に避けたいのです</p><p>別に構いませんこの身を捧げたいと思うような男性とは、今までも巡り会っておりませんし今後も無いと思います</p><p>藤宮さんは答える</p><p>それと仲間から家族の一員には、いつでもなれますから藤宮さんが、ご希望なさったら</p><p>みすずは、艶やかに微笑む</p><p>それは確か、黒森様と契って、黒森様の子供を産むというのが条件でしたね</p><p>はいあたしたちの旦那様の女になるというのが決まりです生涯、他の男性は愛さないと約束していただきます</p><p>しかしわたくしだけでなく、黒森様のお気持ちもお聞きになさるべきでは黒森様は、わたくしの様な暴力女はお好きでは無いでしょう</p><p>そんなことはありませんあたしたちの旦那様は、藤宮さんの様な真っ直ぐな性格の方はお好きですから</p><p>そうですわよね旦那様</p><p>あ、あのオレは、藤宮さんはとっても綺麗なお姉さんだって思っています暴力女とか、思ってません</p><p>しょうがないから、正直に答える</p><p>こんなこと嘘は言いません</p><p>藤宮さんがオレを見る</p><p>少し考え込んでそして、言った</p><p>いいでしょう黒森様の女になりましょうみなさんの家族になります</p><p>藤宮さんは真顔でそう答えた</p><p>ちょっちょと、藤宮さん</p><p>関さんが呆然としている</p><p>人生には、ターニング・ポイントというものがあります今がわたくしの人生を賭けるポイントなのでしょうみなさんの家族になる方がこのまま警護人をやっていくよりも楽しそうですから</p><p>でもこの子にヤられちゃうのよっこんな子の赤ちゃんを産むのあなた</p><p>あたふたしている関さん</p><p>関さん何も判っていらっしゃらないですね</p><p>藤宮さんは、ククっと嘲笑う</p><p>この家族が香月グループの次の王族になるんですよ</p><p>そうだオレたちの家族には、閣下も二人の後継者候補の孫娘たちも入っている</p><p>わたくしの産む子はみすず様、瑠璃子様のお子様の兄弟姉妹になるんですよ</p><p>オレたちは黒森の家族であり香月ではない</p><p>しかしみすずや瑠璃子が、オレの子供を見捨てるはずがない</p><p>みすず様のお誘い臣下ではなく、仲間仲間を越えて家族それが、どれほど光栄なお申し出なのか、関さんの頭では理解できないのですか</p><p>あなたの女になりますわたくしの純潔を捧げますよろしいですね主様</p><p>藤宮さんは、オレを主様と呼んだ</p><p>彼女の眼に迷いは無い</p><p>元々、さっぱりとした性格の人だ</p><p>一度約束したことはこの人は生涯守る</p><p>あなたを受け入れます、藤宮さん</p><p>オレは彼女の眼を見て、そう誓った</p><p>麗華とお呼び下さい</p><p>うん麗華か</p><p>うん、よろしく頼むよ、麗華</p><p>オレはみんなに振り向く</p><p>瑠璃子、美智、真緒ちゃんこれからは麗華お姉ちゃんだからな</p><p>麗華お姉様</p><p>綺麗ですお姉様</p><p>麗華お姉ちゃんっうっふっふー</p><p>妹たちは喜んでいる</p><p>あたしは麗華さんとお呼びしていいですか</p><p>はい、構いませんわたくしも、公式な場では今まで通り、みすず様、瑠璃子様とお呼びさせていただきます</p><p>普段はどうするんだ</p><p>普段はどういたしましょう</p><p>麗華は兄弟はいないだろう</p><p>はい、わたくしは一人っ子です両親を早く亡くしましたから子供の頃から、祖父と二人きりで育ちました</p><p>うん兄弟がいたら、こういう人にはならない</p><p>堅い性格は、お祖父さんと二人暮らしだったからか</p><p>この人も家族というものをよく知らないで成長した人なんだな</p><p>じゃあ、普段はみすずちゃん、瑠璃子ちゃんと呼ぶんだ</p><p>ちゃんですか</p><p>驚く麗華</p><p>それから美智ちゃんと真緒ちゃんだみんな、麗華の妹なんだからな</p><p>麗華は、戸惑っている</p><p>みんな家族なんだからそれが当たり前だろ</p><p>あー、あたしも麗華ちゃんて呼ぼうっ</p><p>そう言えば、麗華ちゃんて幾つ</p><p>２２歳です</p><p>えー、あたしよりもお姉さんじゃないじゃあ、あたしもやっぱり麗華お姉ちゃんにするわ</p><p>そんな麗華と呼び捨てで構いませんから</p><p>渚の言葉に麗華は照れている</p><p>いーえ、そうはいかないわよっ麗華お姉ちゃん</p><p>渚も嬉しそうだ</p><p>ずっと克子姉と家族の姉役をやってきたから</p><p>年上の姉の加入は嬉しいんだろう</p><p>うむ私も家族の一員だからなお祖父ちゃんと呼んで貰おう</p><p>閣下が強面で麗華に迫る</p><p>お祖父様ではないぞお祖父ちゃんだ</p><p>そんな香月様、それは</p><p>さすがに、麗華もあたふたする</p><p>麗華家族だから</p><p>呼んであげるんだ</p><p>麗華が閣下を見る</p><p>お、お祖父ちゃん</p><p>顔を真っ赤にして麗華は言った</p><p>うわっ何これ</p><p>あの男装の麗人が何だ、この可愛らしさは</p><p>どういうことだか閣下まで顔を赤くしている</p><p>成人の美女にお祖父ちゃんて呼ばれるのは照れるよな</p><p>これでみんな家族ですよ</p><p>みすずが麗華に言う</p><p>はいとても良いものですね、家族ってみすず様</p><p>麗華が返事する</p><p>みすずちゃんでしょ</p><p>渚が、クスッと笑ってそう言った</p><p>あ、はいみすずちゃんわたくし何だかとても、楽しいですわ</p><p>新しい家族得たことで藤宮さんの中で、何かが変わろうとしている</p><p>さあところで</p><p>渚が関さんを見る</p><p>あなたはどうするのかな</p><p>思ったよりもスッキリと藤宮さんが家族入りしました</p><p>やっぱ性格が真っ直ぐな人は、楽ですね</p><p>それに比べて、関さんは</p><p>私事ですが、父が急に入院・手術することになりました</p><p>明日入院で、月曜日手術です</p><p>コミケとか行ってる余裕なくなりました</p><p>せっかくの夏休み期間も吹っ飛びそうです</p><p>ちょっと、付き添いとかに行かないといけないので</p><p>ここ数日は、枚数が減るかもしれません</p><p>更新は続けるつもりです</p><p>258．恋愛の才能</p><p>わたくしは少し、考えさせて下さい</p><p>関さんは答えた</p><p>というかここまで、香月家の秘密を知ってしまった以上、わたくし、もう抜け出せませんよねぇ</p><p>関さんが、上目遣いで閣下を見る</p><p>当たり前だ私が情報漏洩を見逃す様な人間だと思うかね</p><p>香月家の現当主が、厳しい眼で彼女を睨む</p><p>やっぱりそうですよねぇ</p><p>関さんは、トホホという顔をする</p><p>でどうなさいます関さん</p><p>みすずが、穏やかに尋ねた</p><p>いや、あのとにかく、皆様の仲間にはなりますもちろん、これが良いお話で、香月様やみすず様、瑠璃子様にお味方するべきだということは、わたくしにも良く判っておりますから</p><p>力なく、彼女は答える</p><p>ああ、良かった関さんが、それさえも判らないようなトンチンカンな方だったらどうしようかと心配しておりました</p><p>先に、一気に家族入りしてしまった麗華が、ニヤリと笑う</p><p>関さんは、そんな麗華を睨み返し</p><p>でも、わたくしは藤宮さんの様に簡単に人生を決めてしまいたくはないんですっあの家族になるというのは、大変なことですし</p><p>うむ、君の気持ちはよく判る</p><p>麗華みたいに、即決する方が変わっている</p><p>まあ、麗華は竹を割ったような異常に思いきりの良い性格だから、こうなったんだけど</p><p>普通の女性ならやっぱり、相当悩むことだろう</p><p>関さんは、チラッとオレを見る</p><p>こちらの方とその、生殖行為をして子供を孕むというのも</p><p>オレを見て関さんは、顔を赤らめた</p><p>判りましたでは、とりあえず関さんは、あたしたち家族の仲間にだけなっていただきます家族の件は、保留のままで構いません</p><p>ホッとする、関さん</p><p>仲間になっていただくのですから、報酬は今まで以上にお支払い致しますし将来的な地位も保証しますお祖父様、よろしいですわね</p><p>みすずが、祖父に確認する</p><p>ああ構わない関くんは、もはや私の臣下ではなく同じ目標を達成するための仲間だその代わり私たちに君の人生を懸けてもらうことになる</p><p>ただの臣下や使用人なら主が変わっても、地位や役職は保証される</p><p>閣下やみすずたちが香月家内での権力闘争に敗れて、支配権を誰かに奪われても臣下のままなら、関さんの地位は揺るがない</p><p>しかし仲間になった以上、閣下が失脚したり、みすずが家から追放されたりすれば関さんも運命を共にしなければならない</p><p>逆を言えば</p><p>臣下のままなら、みすずが香月家の全権を握ったとしても、順当な出世しか望めないが</p><p>仲間になった以上はみすずの身近な存在として、香月グループの運営に関わることになる</p><p>覚悟はできておりますわたくしの命、お預け致します</p><p>関さんは、凛とした顔でそう答えた</p><p>関さんて、本当に真面目な方なんですねえ</p><p>オレは、思わず感想を述べてしまった</p><p>はいわたくしが真面目</p><p>関さんは、きょとんとした顔をしている</p><p>真面目も真面目鉄壁のくそ真面目だよ、彼女は</p><p>閣下が、オレに言う</p><p>あの自分では、ごく普通なつもりなのですが</p><p>関さん自身は、真面目と言われたことに納得できないらしい</p><p>いや、だって関さん、真面目に考えて、とりあえず仲間にだけなって、家族になるかどうかは保留にしたんですよね</p><p>オレは、尋ねる</p><p>ええそれが普通の一般的な判断だと思います</p><p>チラッと麗華を見て</p><p>わたくし藤宮さんほど、安直な人間ではございませんからっ</p><p>関さんオレは、関さんの判断が一般的だとは思えないんですけれど</p><p>関さんは、意外そうな顔をする</p><p>だって、ほらこの場では、軽く仲間になります、家族にもなりますって約束だけしておいてその後の状況の変化に合わせて、身の振り方を変えることだって、できるでしょ</p><p>まだ舞夏だった頃のマナが、そうだった</p><p>オレたちの仲間になるというような言動をしていながら実際には、オレたちから逃げ出すことを考えていた</p><p>あの時の舞夏の経験があるからオレには、よく判る</p><p>そんな卑怯な振る舞いは、わたくしにはできません</p><p>関さんは、ムッとしてそう言う</p><p>いやでも、普通の人はそうしますよみんな香月さんのことは怖いんですからとりあえず、香月さんを喜ばせるために仲間になることも家族になることも承諾して、状況を見るというのが、普通の人の考え方だと思います</p><p>ふっふふーん、それはちょっと違うのよね</p><p>渚がオレたちの会話に割り込んで来る</p><p>あなたが今言ったのは特定の集団に属している人の中でも、特に自分の能力に自信があって、それでいてズルい人の取る行動ねそういう人は、シゲちゃんのご機嫌を損ねることを恐れるから何でも、ハイハイ従うわよ言葉だけはねそして、無責任なのどこの集団にも一人や二人は、そういう困ったちゃんはいるわでも、そういう人って、決して多くはいないわよ</p><p>渚が、オレたちに微笑む</p><p>企業の様な集団に属している大半の人たちは自分に自信が無くて、善良なのよだから、シゲちゃんみたいな立場の人から仲間になれ、家族になれって言われてもほぼ全員、辞退するわよ</p><p>辞退</p><p>自分にはできませんとか、そんな才能はありませんとか、責任が取れませんとかねシゲちゃんの仲間になるなんて普通の人には、恐ろしくてできないわよ</p><p>何が、恐ろしいのです</p><p>誰かに使われている立場なら、命じられた仕事に対する責任だけ果たしていればいいのよそれでお給料が貰えるし、家族も養えるそれだけで充分なのもちろん集団内での出世はしたいって、みんな思っているわよでも香月家みたいな大きな家の権力争いに巻き込まれてまで、出世したいかって言われればそういう苦労をわざわざしたいと思う人は、なかなかいないわよ</p><p>そういうものか</p><p>オレ自身は、学校以外の集団を知らないから、よく判らないけれど</p><p>普通の人には、閣下の仲間になるのは、重荷よましてや、家族なんていったら、卒倒してしまうわ</p><p>渚が、微笑む</p><p>というか自分がそうなっている姿が想像できないでしょうね</p><p>想像できない</p><p>知ってる人間は、何かの行動を起こす前には、必ずその行動をする自分の姿を想像するのよ具体的に行動するイメージが湧くことしか人は、自分の意志で行動できないわ</p><p>それはよく判る</p><p>ほとんどの人はシゲちゃんに家族になれと言われても、自分がそうなっている姿を想像できないわ想像できないから行動できないのそれが、とんでもないビッグ・チャンスに見えたとしても辞退するわ</p><p>それが普通の人の反応</p><p>では渚様は、関さんのご判断をどう思われます</p><p>そうだ関さんはどういうタイプの人なんだ</p><p>関さんはとてつもないレア・ケースねこの人は、自分に自信があって、なおかつとても善良な人なのよ</p><p>ぜ、善良わたくしがですかっ</p><p>言われた本人が、スットンキョな声を上げる</p><p>そうよだから、あたしたちの家族になるということについて、本気で悩んでいるのよ</p><p>即答しないのはそんなことで、閣下の機嫌を損ねても、自分の価値は変わらないから問題無いという、自信の表れなんだ</p><p>そして本気で悩んでいるのは</p><p>そうか、今、関さんの中では</p><p>オレたちの家族になるという可能性もきちんとあるからなんだ</p><p>何パーセントか判らないけれど</p><p>家族になっている姿が想像できている</p><p>だからこの人は、本気で悩んでいる</p><p>こういう状況で、茶化したり、誤魔化したりしないで本気で悩んでいるんですもの、それだけでもこの人は善良な人だって思うわ</p><p>関さんは、ぽかーんと大口を開けている</p><p>そんな評価を得たのは、初めてなんだろう</p><p>というよりもわたくし、思うのですが</p><p>麗華が、関さんを見る</p><p>関さんて多分重い女ですよね</p><p>関さんの表情が、一転する</p><p>わたくしそんなに重くはないですわっ</p><p>違います体重のことではなくて</p><p>麗華が、低い声で言う</p><p>関さんて男の人にお茶に誘われただけで、この人、わたくしに気があるとか思われているんじゃないですか</p><p>男の人と社内の廊下を歩くだけで噂になったらどうしようとか</p><p>あ覚えがあるんだ</p><p>あ何でもかんでも、恋愛の導火線に見えちゃうタイプなのね</p><p>渚が、納得する</p><p>直衛警護人に選ばれた後しばらく、張本さんにベタベタなさっていましたよね</p><p>張本さんと服の色を合わせようとかなさったり社員食堂で、同じメニューを注文したり退社時間を無理矢理合わせようとかなさってましたよね</p><p>どうして、あなたがそれを知っているのっ</p><p>社内で、知らない人はおりません</p><p>うぐぐぐぐ</p><p>ふーん、同僚にときめいちゃったんだぁ</p><p>渚が茶化す</p><p>だってぇあんなホモ野郎だって、思わなかったんだもんっ</p><p>関さんは、ドンと机を叩く</p><p>いつもは、違うんですからっホモに当たってしまったのは、これが初めてですっ</p><p>いつもはでも、関さん確か、男性とお付き合いしたことは無いんですよね</p><p>そうです、ありませんっみんな、絶対にわたくしの方に寄って来ては下さいませんからっだからわたくしの方から、近寄る努力をするんですけれどそうすると、男性はますますわたくしから遠ざかっていくんですっ</p><p>近寄る努力って</p><p>服の色を合わせるとか同じメニューを頼むとか</p><p>何と、判りにくい</p><p>そして判ると、どう反応したらいいのか困る行動ばかりだ</p><p>なるほど関さんは、恋に恋する乙女のままなのですね頭の中が</p><p>麗華が、そう言った</p><p>関さんて、意外と恋愛体質なんだ</p><p>なのに、男性側からは一切アプローチが来ないから</p><p>自分の方から、訳の判らないアピールをする</p><p>それで、男の方が引いてしまって</p><p>うん確かに重い女だ</p><p>この年齢まで処女だったのも、よく判る</p><p>何よぉぉぉあなたにだけは言われたくないわよっあなただって処女でしょおっ</p><p>関さんが、麗華に怒る</p><p>わたくしはそういうことには、一切興味がありませんでしたから</p><p>麗華は笑う</p><p>それにわたくしは、もうすぐ経験致しますし</p><p>オレを見る麗華</p><p>もう彼女の中ではオレとセックスして、子を孕むことは決まっている</p><p>麗華は割り切りが良すぎる</p><p>ちょっと、ストップ</p><p>オレは麗華に言った</p><p>麗華は、もうオレたちの家族だそれは、もう変わらないけれどオレとセックスするかどうかは、まだ保留にしよう</p><p>何故です主様</p><p>麗華が、驚いた顔をする</p><p>麗華は関さんもそうだけど、まだちゃんとした恋愛を経験してきていないから</p><p>恋愛を経験してきていないのにセックスだけしちゃうのは、よくないよ</p><p>わたくしは構いませんが</p><p>麗華はそう言う</p><p>もう、一生、この身は主様に捧げると誓いましたから</p><p>オレは麗華と関さんを見比べる</p><p>麗華は、割り切りが良すぎる</p><p>関さんは、考えすぎて自爆する</p><p>二人とも、極端過ぎる性格なんだよな</p><p>だけど、二人とも恋愛というものを知らないまま、大人になってしまった女性だ</p><p>麗華の気持ちは嬉しいし、オレも尊重するけれどでも、少し様子を見よう</p><p>主様</p><p>今の麗華に家族が必要だってことは、よく判っているんだだから、今は家族に溶け込むことにだけ集中してセックスのことは後回しにしよう</p><p>麗華が、今求めているものは家族愛だ</p><p>まずは、それを充足させよう</p><p>オレとのことはそれからでいい</p><p>しかし、わたくしは</p><p>オレは愛が無いのにセックスしてしまって、後悔している相手がいるんだ</p><p>オレが、雪乃とだけは関係がグチャグチャになっているのは</p><p>最初のレイプのせいだ</p><p>自暴自棄だったオレが愛するのではなく、雪乃を肉欲のまま犯してしまったから</p><p>オレたちの関係は、最初から躓いてしまった</p><p>ああいうことは二度としてはいけない</p><p>オレも麗華のことをもっと好きになるからだから、麗華もオレの色んな部分を見てくれそして心がちゃんと合ったなら、その時には抱き合おう無理矢理でなく、自然にそうなったら</p><p>それが主様のご命令でしたら従います</p><p>麗華は、そう答える</p><p>そういうことじゃないんだよな</p><p>さっきは麗華さんは、あたしと旦那様のセックスは、声しか聞いていらっしゃらなかったんですよね</p><p>みすずが、麗華に尋ねる</p><p>では旦那様とあたしのセックスを御覧に入れます愛のあるセックスというものを、実際に間近で御覧になった方がいいですわ</p><p>それはいい考えかもしれない</p><p>みすずあなたばっかりはズルいわよっ次はあたしよっ</p><p>渚が、ムッとして言う</p><p>このまま、ここで絞り取られるわけにはいかない</p><p>いや、一度家族全員と会わせようセックスを見て貰うのは、その後にしよう</p><p>ミナホ姉さんたちの姿をしばらく見ていないし</p><p>とにかく、麗華は早く家族たちと引き合わせた方がいい</p><p>関さんも今居るメンバーよりも、克子姉やマルゴさんの方が気が合うんじゃないだろうか</p><p>オレは、閣下に振り向く</p><p>麗華と関さんが、こういう人だってことは当然、ご存じだったんですよね</p><p>香月老人は、ふふんと笑う</p><p>はて何のことかな</p><p>閣下は、瑠璃子と美子さんを男から徹底的に隔離していた</p><p>みすずに対しても、似たようなことをやっていた</p><p>そういう方針のみすずと瑠璃子に恋愛経験ゼロの二人が送り込まれてきたのは、偶然なわけがない</p><p>当然閣下の意志が介在しているはずだ</p><p>このお二人が恋愛経験が皆無でそれでいて、善良な性格の持ち主だからそれで、二人をみすずと瑠璃子の警護役にしたのでしょう</p><p>それだけではないこの二人は飛び抜けて優秀なんだよ香月セキュリティ・サービスのトップ・エリートの中でもね肉体と技能は抜群だ精神的には、まだ未熟なところがあるがそれは、発展の余地があるのだと大目に見てやって欲しいまあ、エリート特有の読みの甘さや、性格が善良すぎて真面目過ぎる欠点もあるがその辺は、上手く御名穂くんがコントロールしてくれるだろう</p><p>そう言って、老人は笑っている</p><p>いずれにせよ私たち家族にとっては、必要な人材だと私は考えているが君はどう思う</p><p>オレも、そう思います香月さんの人を見る眼は、正しいです</p><p>麗華も関さんも、最初から閣下のお墨付きなんだ</p><p>そうじゃなけりゃ、大事な孫娘たちに接触させるはずがない</p><p>心の薄汚い人であるはずがない</p><p>恋愛経験欠乏症なのはちょっと、問題だけど</p><p>さてでは、そろそろ御名穂くんの顔を見に行くかきっと、びっくりするだろうよ</p><p>閣下は、悪戯っ子の様な顔をしてそう言った</p><p>急いで、身支度を整えて</p><p>全員で部屋を出る</p><p>先頭が麗華と関さん</p><p>オレとみすずがその次に続く</p><p>瑠璃子と美子さん</p><p>渚と真緒ちゃんが閣下に付いて</p><p>殿は美智が守る</p><p>また、エレベーターを何度も乗り換える</p><p>違うエレベーターで降りたり上がったりを繰り返して</p><p>２７階で降りる</p><p>ここは、普段は結婚式場になっておるんだよ</p><p>閣下がみんなに言った</p><p>御名穂くんたちは、ここで待たせている軽食も用意させてあるから、君たちも食べなさい</p><p>助かったそう言えば、ちょっと腹が減っていた</p><p>香月セキュリティ・サービスの制服警備員は全然見掛けないな</p><p>２０階から３０階までは、今日は私専用にしてある私は、それらの階のどこかに居るということだ山岡の部下は、ここには入れさせんよ</p><p>閣下が、オレの心を察して、そう説明してくれた</p><p>制服組の仕事は、私専用のエリアに敵を上がってこさせないことだ</p><p>そういう風になっているんだ</p><p>あの大徳さんと張本さんは</p><p>関さんが、閣下に尋ねる</p><p>私が呼べば、すぐに来るようにはなっている今は、素晴らしい孫娘たちとの時を楽しんでいるんだあの二人の顔は、今は見たくない</p><p>まあホモだし</p><p>そこだ鷺の間ドアを開けてくれたまえ</p><p>麗華と関さんがドアを開く</p><p>広い結婚式場の真ん中に、寧さんだけが居た</p><p>他の人の姿は、見えない</p><p>んー、何何、どうしたのっ</p><p>寧さんがオレたちに振り返って、愛嬌のある顔でそう言うから</p><p>これは、マルゴさんのいつもの手だ</p><p>寧さんを囮にして</p><p>脱出のキッカケを狙っている</p><p>マルゴさん、オレたちです大丈夫ですから問題なしですっ</p><p>大きな声で、そう叫ぶ</p><p>オレたちの入って来たドアの近くの丸テーブルの下から、メグとマナが顔を出す</p><p>香月さんとの交渉は上手くいきました全て、オッケーです</p><p>本当です、嘘ではありませんお祖父様は、あたしと旦那様を認めて下さいました</p><p>みすずも一緒に、叫んでくれた</p><p>御名穂さん本当に、問題はありませんから</p><p>渚の呼びかけでようやく、他の人たちも顔を出した</p><p>みんな、あちこちの机や演壇の後ろに隠れていた</p><p>克子姉ミナホ姉さん雪乃もいる</p><p>上に居た</p><p>照明の機材を吊す鉄パイプの間からスッと姿を見せる</p><p>ロープを使って、スルスルスルッと降りてくる</p><p>みんな揃っているわね</p><p>ミナホ姉さんがオレとみすずと渚と真緒ちゃんを見て、ホッとした表情をする</p><p>うむちゃんと連れて来たぞ</p><p>閣下が、ニヤッとミナホ姉さんに微笑む</p><p>ありがとうございます香月様</p><p>恭しく頭を下げる、ミナホ姉さん</p><p>寧さんたちは、まだ不安そうな顔をしている</p><p>閣下との交渉の結果が、判らないからだろう</p><p>それでどうなりましたか</p><p>ミナホ姉さんが、代表して閣下に尋ねた</p><p>彼とみすずさんを、お許しになって下さったと聞きましたが</p><p>うむ実は、そのことでな</p><p>閣下は、もったいぶって喋る</p><p>君たちに要求したいことがある</p><p>ミナホ姉さんたちは息を呑む</p><p>これは今後の香月家と君たちにとってとても重大な影響を及ぼすことだ</p><p>どのようなご用件でございましょう</p><p>真剣な顔でミナホ姉さんが、尋ねる</p><p>ああよく聞いてくれ</p><p>香月家当主香月重孝は、言った</p><p>私のことはお祖父ちゃんと呼んでくれ</p><p>次話で、家族懇親会です</p><p>しかし、まさかの鷲羽ちゃんネタとは</p><p>朝から入院する父に付き添っていました</p><p>医師の手術の説明に立ち会ったり親族の承諾書にサインしたり</p><p>そのまま夕方まで、ドタバタしていました</p><p>手術は、月曜日に決まりました</p><p>早ければ、翌日には退院できるそうですが</p><p>大変ですけど、しょうがない</p><p>頑張ります</p><p>259．家族結集</p><p>突然の閣下のお祖父ちゃん発言に</p><p>克子姉も寧さんも、ぽかーんとした顔をしている</p><p>メグとマナに至ってはの嵐だ</p><p>どういうことでございましょう</p><p>ミナホ姉さんが、無表情で閣下に尋ねる</p><p>どんな時でもポーカー・フェイスでいられることが、ミナホ姉さんの強さだ</p><p>言葉の通りだ私も、黒森の家族に参加することにしたお祖父ちゃん役としてな</p><p>閣下は楽しそうに、笑っている</p><p>渚、あなたの仕業ね</p><p>ミナホ姉さんが、渚を見る</p><p>うふふ何もかも、うまくいきましたっ</p><p>渚は、満足そうに笑っている</p><p>克子くんが良く知っていると思うが現在の私には、もう男性的な機能は無いいや、私は、克子くんには大変感謝しておるのだよここ数年克子くんは、わたしのお気に入りの女性であることを演じ続けてくれた</p><p>閣下の言葉に、克子姉は寂しそうに微笑む</p><p>今、この部屋に居る人間の中で最近まで、娼婦として閣下の相手をしていたのは、克子姉だけだ</p><p>克子姉はすでに、香月老人がセックスできない身体になっていることは、誰にも言わなかったのだろう</p><p>閣下の自尊心を傷付けないように閣下は自分の生殖能力が枯れてしまったことを臣下たちに知られたくなかったから、平然とそれまで通りお屋敷通いを続けていたに違いない</p><p>克子姉は、そういう閣下の気持ちがよく判っていたから外部の人間たちには、ずっと閣下とセックスしている振りをし続けていたのだと思う</p><p>私が、すでに女を抱けない身体であることは谷沢すら知らない私の大切な秘密の一つだよ</p><p>わたくしも知りませんでした</p><p>申し訳ございません、お嬢様</p><p>克子姉が、ミナホ姉さんに頭を下げる</p><p>いいのよお屋敷の女としては、正しい対応です</p><p>ミナホ姉さんは、穏やかにそう答える</p><p>君や克子くんのそういう実直さが私が君たちを信用するに値する人間たちだと判断させたのだ克子くんを責めないでくれ</p><p>責めたりは致しませんむしろ、誇らしく思っております</p><p>実際のところ私は、無理をしたらできないこともないのだよ今は良い薬もあるしなしかし８２歳にもなって、心臓に負担を掛けるのは良く無いどうしても私は長生きせんといけないのだみすずや瑠璃子、そしてお前たちのために</p><p>閣下はオレたちを優しい眼で見た</p><p>だから、大変残念ではあるが黒森の一家の主人が、こいつであることを受け入れることにした黒森の家族が、こいつを要にして成立していることは判っておるしな</p><p>そう言ってオレを見る</p><p>こいつとか言っているがオレを見る視線には、親しさがあった</p><p>こいつは私の孫である、みすずの心を射止めたしかし、どうもこいつはあんまり賢そうでは無いし野心家でも無い香月家の婿として香月家の当主となるのなら、知性、品格、家柄、全てに渡って失格だがこいつは、香月家に入り込む気は全く無いという</p><p>閣下がミナホ姉さんたちに心の中を説明していく</p><p>そして香月家の未来は、みすずが背負うこととなったみすずが女当主として君臨するのならその亭主には、こいつの様な穏やかな性質の方が良いこいつは、基本的に控え目だしみすずや瑠璃子の話を良く聞くそれでいて、本当に必要だと思うことは物怖じせずに話す何より、自分の欲求を満たすことよりも女たちの希望に応えることに喜びを感じているようだみすずのバック・アップには適任な男だと思う香月の血筋と私が偏った教育をしたせいでどうせ、まともな結婚は望めまいそれならば、こいつに任せるのは間違っていない選択だと思った</p><p>閣下の言葉にみすずが続く</p><p>みすずは旦那様の女ですですから、あたしはすでに黒森の人間のつもりです今後は、黒森の一員として、みなさまの家族にしていただいて、生きていきます黒森の一員のまま香月の当主を目指します</p><p>みすずは自分の中の優先順位は、香月家よりも黒森の家族の方が上位なのだとはっきりと発言した</p><p>みすずにそう言われて私はハッしたよ私はこの世に生まれてからずっと、香月家の中心に居た香月の家こそが、他の何よりも重大なものだと思っていたしかしこうして今、みすずとこいつの関係を見てみると、黒森の家族の方が香月の家より楽しそうだ君たちは結束している受け入れ合っている溶け合っているとても、羨ましく感じたよそうしたら、渚くんが</p><p>閣下が、渚に話を振る</p><p>はいあたしが、シゲちゃんを誘いましたいっそのこと、シゲちゃんも香月から黒森に移籍しちゃわないって</p><p>ククッと微笑む渚</p><p>ということだ私は現在もなお香月家の当主であり、香月の家の全てを背負っているがその立場のまま、君たちの家族となる君たちの祖父役として私の持っている権限の全てを使って、君たちを庇護する約束しよう</p><p>ミナホ姉さんは閣下を見て</p><p>大変有り難いお申し出ですがそれで、香月様は何を得られるのです</p><p>慎重なミナホ姉さんは香月老人の言葉をまだ疑っている</p><p>それは家族だよ</p><p>オレが答えた</p><p>香月の家は巨大な家なのに、家族が成立していないお互いに疑心暗鬼で、心の許せない相手になってしまっているだからオレたちは香月さんの、穏やかに心を開くことができる家族になってあげればいいんだ</p><p>ジッと、オレの眼を</p><p>それから閣下に</p><p>そもそもこの子を弟にしたのは、わたくしです</p><p>今ではこの子がわたくしを姉さんと呼ぶことも許しています本当に心から愛しい弟と思っています健やかに育てていきたいと</p><p>だからこいつに黒森を名乗ることを許したのかね</p><p>閣下が、尋ねた</p><p>はい大切な弟ですから</p><p>その瞬間色々なことが判った</p><p>なぜ、ミナホ姉さんが亡くなった黒森公之助のスーツをオレに貸してくれたのか</p><p>劇場へ行ってから黒森と名乗らざるを得ない、状況が続いたこと</p><p>オレは黒森の男として、認識されている</p><p>それは、全てミナホ姉さんの意志なんだ</p><p>もう吉田じゃないミナホ姉さんの弟、黒森になったんだと伝えるために</p><p>ですから香月様が、彼と女たちの関係に家族を見出されたということは、よく判りますご自分も、それに参加なさりたいというお気持ちも</p><p>ミナホ姉さんが、閣下を見る</p><p>よろしゅうございます香月様をわたくしたちの家族として、受け入れます</p><p>うむ感謝する</p><p>満足そうに、閣下は笑った</p><p>というわけだから、メグもマナも香月さんに甘えてあげてくれ自分のお祖父さんだと思って</p><p>二人はまだ、呆然としている</p><p>まあ、仕方無いんだけれど</p><p>ああ私が君たちのお祖父ちゃんだたっぷり、甘えたまえ欲しい物は何でも買ってやるぞ</p><p>そういう閣下に、渚が</p><p>シゲちゃん甘やかせ過ぎるのはダメよ家族なんだから</p><p>厳しくするのは、渚くんたちでやってくれ私は孫娘を甘やかせることを専門でいくお祖父ちゃんなんだからな</p><p>閣下は、悪戯っ子の様に微笑んだ</p><p>うそうそ、ホントに何でも甘えちゃっていいのっ</p><p>寧さんが食い付く</p><p>いや、寧さんは戸惑っているメグやマナの気持ちを和らげるために、わざとおどけている</p><p>こういうところが寧さんの優しさだ</p><p>ああ君も今日からは私の家族だ何でも甘えなさい</p><p>うんっそんじゃあねえマンション買って</p><p>まあ、冗談なのは判っているけれど</p><p>いいとも今度、私の車で一緒に都内を廻ろう君が欲しいと指差したマンションをビルごと買ってやる</p><p>日本有数の名家・香月家の当主ってやつは</p><p>いや、あのビルまでは要らないかな</p><p>さすがの寧さんも、話のスケールのでかさに困惑している</p><p>それなら克子くん、私の所有している不動産のリストをこの子に見せてあげてくれどれでも好きな物件を君にあげよう都心部の高級マンションでも、湾岸部の高層マンションでも構わん</p><p>もしかして別荘とかもあったりするっ</p><p>寧さんの眼が、キラーンと光る</p><p>温泉が出て、お魚の美味しいところとか</p><p>それなら、伊豆の別荘がいいだろうな</p><p>うわぁぁ、ヨッちゃん、そこへ行こうよ温泉とお魚だよっ</p><p>寧さんは、大喜びだ</p><p>他の者たちも私の持ち物は、君たちの自由に使ってくれて構わん</p><p>うっわー、やったぁぁ</p><p>寧さんは喜んでいるがメグとマナは、ぽかーんとしたままだ</p><p>ただし未成年は必ず、御名穂くんの許しを得ることそれからたまには、お祖父ちゃんも連れてってくれ</p><p>うんうんっ連れてく、連れてくお祖父ちゃぁぁんっ</p><p>寧さんは、ニコニコと閣下に擦り寄る</p><p>ところで君は何という名前なのかね</p><p>老人は尋ねる</p><p>えーっ知ってるでしょあたしのことなんて</p><p>香月老人が、事前にオレたちのことを調べていないはずがない</p><p>しかも、寧さんは今回のシザーリオ・ヴァイオラの襲撃の中心人物だ</p><p>知っておってもちゃんと本人から名前を教えて貰いたいものだよ</p><p>閣下は、言った</p><p>あっ、そうだよねっごめーん、お祖父ちゃんあたしねっ、寧奈島寧って言うのっ</p><p>香月重孝だよろしく頼むよ、寧</p><p>みんな、お祖父ちゃんかシゲちゃんて呼んであげてねっ</p><p>じゃ、あたしもシゲちゃんて呼ぼうっと</p><p>ぬふふふと、寧さんが笑う</p><p>そうか家族全員の紹介をしないといけないよな</p><p>でも、メグとマナがまだ引いているから</p><p>先に</p><p>それからオレたちの家族になったのは、香月さんだけじゃないんだほらっ、瑠璃子と美智、こっちへ来て</p><p>まずはメグとマナが知っている人から、紹介した方がいい</p><p>瑠璃子もオレの女になってくれることになったんだ</p><p>その言葉にマナが反応する</p><p>えっ、本当</p><p>瑠璃子は、顔を赤らめて答えた</p><p>それから全員に一礼して</p><p>香月瑠璃子でございますわたくしも、黒森様に全てを捧げることに致しました若輩者でございますが、皆様の妹として精一杯頑張りますどうか、よろしくご指導下さいませ</p><p>礼儀正しく、深々と頭を下げる瑠璃子</p><p>やったぁマナ、瑠璃子さんみたいな綺麗な人が、お姉さんになってくれたらいいなあって思っていたんだっ</p><p>そんなマナに寧さんが</p><p>あれれっそれじゃあ、あたしたちが綺麗じゃないみたいじゃん</p><p>あっあの、そういう意味じゃ無くって</p><p>まったく、マナは</p><p>マナみんなに全裸土下座だ</p><p>えー、お兄ちゃん、またぁ</p><p>凹む、マナ</p><p>ほら、早くしろ</p><p>うん判ったぁ</p><p>服を脱いでいくマナ</p><p>瑠璃子は、驚いている</p><p>マナは、すぐに調子に乗る悪い癖があるから瑠璃子も、気が付いたことがあったらすぐに叱ってやってくれマナは、瑠璃子の妹なんだから</p><p>妹</p><p>そうだろ瑠璃子は中学３年で、マナはまだ２年生なんだから</p><p>わたくしに妹が</p><p>だから、マナが他の人に対して失礼な態度を取った時は、すぐに叱ってやってくれそれがお姉さんの仕事なんだから</p><p>は、はい判りましたっ</p><p>瑠璃子は、みんなの妹だけではなく姉にもなるということに感激している</p><p>あのあなた</p><p>克子姉がオレに尋ねる</p><p>みすずさんだけでなく瑠璃子さんまで</p><p>うん、そういうことになった</p><p>オレは、そう答えるしかない</p><p>みんな、びっくりしているまあ、そうだろうな</p><p>それじゃあ香月様のお孫さんは二人とも</p><p>ああ、こいつにくれてやることになったその方が瑠璃子にとっても幸せだろう</p><p>閣下が克子姉に、そう答える</p><p>みすずは、全然気にしていませんし瑠璃子さんと一緒に、旦那様を愛して差し上げることができて幸せです</p><p>はい瑠璃子も、とても幸せです</p><p>二人は、自分たちが納得していることをみんなに示す</p><p>それで、ミナホ姉さんや年上組の人たちは、一応納得してくれたみたいだけれど</p><p>メグは暗い顔をしている</p><p>おっと</p><p>話をしているうちにマナは全裸になった</p><p>ほほうまだ若いのに、よく発達しているきっと将来は素晴らしいプロポーションになるぞ</p><p>マナの裸体を見て閣下が楽しそうに言った</p><p>マナは、ウッと両手で胸と股間を隠す</p><p>うん、オレと居る時は、最近完全に羞恥心を無くしていたから</p><p>こういう反応は、新鮮だ</p><p>ほら、早くみんなに謝れ</p><p>はいっ、お兄ちゃん</p><p>マナが急いで土下座の体勢になる</p><p>マナは、軽はずみにもまるで、お姉さんたちがみんな、そんなに綺麗じゃないみたいな言葉を言ってしまいましたごめんなさいマナのお姉さんたちは、みんな綺麗です</p><p>綺麗で、優しくて、麗しいでしょ</p><p>寧さんが笑って、突っ込む</p><p>はいマナのお姉さんたちは、みんな綺麗で優しくて麗しい人ばかりですっ</p><p>マナは、額をカーペットに擦り付ける</p><p>うん許してやるでも、罰としてしばらくは、そのままの格好でいろ</p><p>オレは、マナに命じた</p><p>えー、でもお兄ちゃん</p><p>マナは床に土下座したまま、顔だけ上げて閣下を見る</p><p>だから、手で隠すのだけは許してやる自分で隠してろ</p><p>マナは、胸と股間を手で隠す</p><p>それから美智も、正式にオレの女になったから</p><p>美智がスッと前に出る</p><p>工藤美智はご主人様とみすず様の忠実な番犬となりました</p><p>こいつも面倒な性格をしている</p><p>美智番犬だけじゃないだろ</p><p>オレの言葉に、美智は</p><p>番犬だけでなくいつでもご主人様にご満足していただける様な玩具として玩具に玩具にしていただきます</p><p>赤面する美智</p><p>言ってることが、ワヤクチャだぞ</p><p>あ、気にしないで下さい美智は、あたしと同じでちょっとマゾなんです旦那様のことが大好きですっと、言っているだけですから</p><p>みすずが、そう美智の言葉を解釈してくれるが</p><p>あのうみすずお姉様</p><p>瑠璃子が、従姉に尋ねる</p><p>マゾとは何でしょう</p><p>ああこの子も性知識の欠如も、大変だ</p><p>それはね旦那様に対する愛情の求め方の違いを意味するのよ</p><p>自分から積極的に、旦那様を悦ばせようとする態度をサド自分が受け身になって、旦那様に気持ち良くしていただきたいという態度をマゾというの</p><p>学術的な言葉ですか</p><p>うーんと専門用語ではないわ一般的な言葉では無いから、あたしたち以外の人の前で使ってはダメよ</p><p>瑠璃子さんは自分はどっちのタイプだと思う</p><p>ちょっと考える瑠璃子</p><p>瑠璃子も割と受け身な方だと思いますので、マゾのタイプだと思います</p><p>それじゃあ、旦那様にそのことを報告なさい</p><p>可憐な瑠璃子がニコッと微笑んで、オレに言う</p><p>お兄様瑠璃子はマゾのようです</p><p>うんそうか</p><p>どうか、よろしくご指導下さいませっ</p><p>いいのか、こんな可愛い１５歳にそんなことをしてしまって</p><p>いや、やる</p><p>絶対にしてやるぞ瑠璃子</p><p>よ、ヨシくん</p><p>メグが不意に、口を開く</p><p>暗い顔で、心配そうにオレを見ている</p><p>あの、それってもう</p><p>メグはおどおどしながら、尋ねる</p><p>瑠璃子さんや美智さんともう、しちゃったの</p><p>メグは気になって仕方ないらしい</p><p>まだだよとりあえず、オレの女になるって約束してくれてみんなの家族になって貰ったんだそういうことは、これからだよ</p><p>ホッとしているメグ</p><p>やっぱり、自分の知らないところでオレが他の女と関係するのは嫌らしい</p><p>実際オレの女の中では、メグが一番独占欲が強すぎる</p><p>それでいてメンタルが弱くて、自己主張が下手な子だから</p><p>メグの中でグルグル感情が駆け回って、すぐにセックス依存症に陥る</p><p>何か、良い解決策を考えないとな</p><p>はい、わたくしの処女喪失はみすず様と皆様にお見せいたしますっよろしく、お願い致しますっ</p><p>そして美智も大変な子だ</p><p>まあ、大分慣れてきたけれど</p><p>まあ、みんなもう美智のことはよく知っていると思うしちょっと変わった子だけれど、素直で正直で真っ直ぐな子だからみんなの妹として可愛がってあげて欲しいんだ</p><p>美智の黒髪を撫でながら、オレはみんなにお願いした</p><p>とにかくこいつは、子犬を可愛がるように愛してやらないといけない</p><p>了解だ彼女のことは、あたしに任せて</p><p>マルゴさんが、そう言ってくれた</p><p>武の道に生きるこの少女の指導は、マルゴさんにお願いするのが一番だろう</p><p>美智ちゃんこれからは、本当の姉妹だからねそのつもりで鍛えてあげるから</p><p>よろしくお願い致しますマルゴ様</p><p>瑠璃子が、オレを見る</p><p>あのお兄様</p><p>何だい、瑠璃子</p><p>わたくしにも、家族の皆様をご紹介下さい</p><p>瑠璃子は、劇場でもミナホ姉さんや克子姉たちには会って無いんだっけ</p><p>お祖父様は、皆様をもうご存じのようですが瑠璃子は存じ上げませんので</p><p>黒森の家は一夫多妻と聞きましたが皆さん、お兄様の奥様でいらっしゃるのですか</p><p>オレは家族一人一人の顔を見る</p><p>違うよここにはオレのお姉さんと、オレの女の両方がいるんだ</p><p>まずはミナホ姉さんを示す</p><p>この人がミナホ姉さんオレたち全員の姉さんだよ</p><p>黒森御名穂ですようこそ、瑠璃子さん</p><p>ミナホ姉さんに、瑠璃子は一礼する</p><p>瑠璃子ですよろしくお願い致します</p><p>それから、マルゴさんオレの姉さんだよ</p><p>マルゴさんは、クスッと微笑む</p><p>いいのあたしも姉さんで</p><p>はい頭が良くって強い、とっても頼りになる姉さんなんだ</p><p>ああ、よろしく歓迎するよ</p><p>次が寧さんオレの姉さんだよ</p><p>と、オレが言うとマナが</p><p>ちょっと待って寧さんはお兄ちゃんの女でしょ</p><p>マナ見えてるぞ</p><p>いやぁん</p><p>閣下の視線を感じてマナが胸を隠す</p><p>今度は股間が丸見えだ</p><p>しばらく、そこで土下座してろ</p><p>いいからっ</p><p>土下座していた方が、恥ずかしいところを香月老人に見られないと思ったらしい</p><p>マナは再び、土下座の体勢へ</p><p>うふふっあたしは、寧っヨッちゃんのお姉ちゃんだよっ</p><p>本当に嬉しそうに、寧さんは言った</p><p>姉と名乗れることが、嬉しくてしょうがないようだ</p><p>瑠璃子です</p><p>うーんと、るーちゃんるーちゃんがいいねっ</p><p>寧さんは、家族に自分だけの仇名を付けるのが好きなんだ</p><p>まあ、そうでございますか</p><p>だから、るーちゃんて呼ぶからねっ</p><p>さてと姉の部は、これで終了だ</p><p>続いてオレの女だけれど</p><p>オレは克子姉を示す</p><p>この人が克子姉</p><p>よろしくお願いしますわ瑠璃子さん</p><p>克子姉は、にっこりと微笑んでくれた</p><p>克子姉は、とっても料理が巧いんだ</p><p>まあ瑠璃子にも教えて下さいませ</p><p>いいわよっ一緒に、美味しいものをいっぱい作りましょうね</p><p>渚は、もう知っているよね</p><p>はい、よろしくお願い致します</p><p>こちらこそ、よろしく</p><p>渚も微笑む</p><p>あれ、真緒ちゃんはどこに行ったんだろう</p><p>ぬふふふっ黒子ちゃん、みーつけたっ</p><p>しーっこっちに来ないで</p><p>丸テーブルに掛けられた白いテーブルクロスを、真緒ちゃんが捲っている</p><p>中には黄色と黒の頭の悪そうなドレスを着た女の、お尻が見える</p><p>あ、姿が見えないと思ったら</p><p>そんなところに隠れていたのかよ雪乃</p><p>黒子ちゃん、黒子ちゃん、黒子ちゃーんっ</p><p>雪乃に絡んでいく、真緒ちゃん</p><p>騒がないでってば、あたし隠れているんだからっ</p><p>いやもう隠れていないだろ</p><p>あの小さいのがあたしの娘の真緒あの子も、あなたの妹として、可愛がってくれる</p><p>渚が、瑠璃子に言った</p><p>瑠璃子は、素直にそう言ってくれた</p><p>ところでお兄様</p><p>黃縞黒子さんはお兄様とは関係ない方なのですよね</p><p>真緒ちゃんにぺしぺし叩かれて、テーブルの下で右往左往している雪乃</p><p>何か馬鹿みたいだぞ、お前</p><p>関係無いわけじゃないんだけどオレの女ではない</p><p>では、どういうご関係なんです</p><p>瑠璃子が小首をかしげる</p><p>うんと、それは話すと長くなるからまた今度にしよう家族の紹介は、まだ終わってないし</p><p>はい、そうでございました</p><p>オレはメグとマナを示す</p><p>で、メグとマナもオレの女だよ</p><p>よろしくお願い致しますわ</p><p>頭を下げる瑠璃子に合わせてメグも頭を下げる</p><p>マナは、土下座したまんまだ</p><p>メグはまだ暗い顔をしている</p><p>大丈夫です恵美お姉様</p><p>瑠璃子の言葉に、メグがという顔をする</p><p>わたくしは、恵美お姉様からお兄様を奪ったりは致しませんお兄様の愛情は、家族全員に注がれていますから</p><p>ニコニコと微笑む瑠璃子</p><p>ですから恵美お姉様も、お兄様を独り占めなさらないで下さいね</p><p>瑠璃子は、性知識だけが極端に乏しいのであって</p><p>人としての感受性には優れている</p><p>優しくて、気品があって、人の気持ちの判る女の子だ</p><p>メグの不満に、すぐに気が付いたらしい</p><p>わたくしは、恵美お姉様の妹ですどうか、よろしくご指導下さいませ</p><p>自ら、メグの下になってみせる瑠璃子</p><p>え、ええよろしくお願いします</p><p>メグも姿勢を正して、瑠璃子に一礼をする</p><p>あたしも、よろしくお願いしまーす</p><p>マナは土下座したまま、そう言った</p><p>こいつには、上品さというものを教えてやって欲しい</p><p>オレは、瑠璃子にそう言った</p><p>そうですねマナさんは、品格を身に付ければもっともっと魅力的な女性になりますものね</p><p>えっ、ホント瑠璃子お姉ちゃん</p><p>マナが、頭を上げる</p><p>ああ、本当だだから瑠璃子に色々と教わるんだぞ、マナ</p><p>うん、判ったお兄ちゃん</p><p>ニコッと微笑むマナ</p><p>おい見えているぞ</p><p>身体を起こしたから桜色の乳首も局部も、オレに丸見えだ</p><p>見せてるんだよお兄ちゃんだもんっ</p><p>確かにオレと瑠璃子が前にいるから、閣下には見えないけれど</p><p>じゃあ、あたしは瑠璃子お姉ちゃんにエッチなこと、いーっぱい教えてあげるねっ</p><p>エッチなことですか</p><p>瑠璃子は、エッチという言葉の意味も知らない</p><p>セックスのことだよっ</p><p>赤くなる瑠璃子</p><p>こらっマナちゃん、あなただってまだ教えてもらう方でしょ</p><p>克子姉が、マナに突っ込む</p><p>そういうのはあたしと渚が伝授しますっ</p><p>克子姉が、胸を張ってそう言う</p><p>そうそうあたしも教えてあげるからさっ</p><p>おいおい、寧さん</p><p>あなたは処女でしょうが</p><p>さてこれでみんな紹介したよね</p><p>瑠璃子も、ニコニコしている</p><p>皆さんがわたくしの家族になって下さるなんて、瑠璃子は本当に幸せですっ</p><p>可憐な美少女にそう言って貰うととても嬉しい</p><p>みんなも、嬉しそうな顔をしている</p><p>メグだけ、まだ複雑な表情だけど</p><p>うむ私も幸せじゃ</p><p>閣下も、楽しそうだった</p><p>ところでヨッちゃん</p><p>寧さんが言う</p><p>あたしたちを、るーちゃんに紹介してくれたのはいいんだけどさ</p><p>そろそろ、あたしたちにもその人たちを紹介してくれる</p><p>寧さんの言葉にオレは、背後を振り返る</p><p>自分の紹介される番を待って、ニコニコしている麗華と</p><p>すっかり暗い顔になっている、美子さんと</p><p>さらに、どんよりとした顔の関さんが居た</p><p>登場人物が多すぎる</p><p>色々、大変です</p><p>結局コミケは行かれませんでした</p><p>マケドニア国旗だけ欲しかったのですが</p><p>まあ、仕方無い</p><p>260．家族の時間・１　（戦闘チーム）</p><p>ええっと、まずこの人は</p><p>にっこりと微笑んで麗華が前に出る</p><p>香月セキュリティ・サービスの藤宮さんだよねっ</p><p>そうかメグとマナは、劇場の楽屋で会っているんだっけ</p><p>いえ今はもう、ただの警護人ではありませんっ</p><p>意気揚々と、麗華が言う</p><p>わたくし藤宮麗華は、みなさんの家族にしていただきましたっこれからは、わたくしを親しみを込めて麗華お姉ちゃんとお呼び下さいませっ</p><p>シーンとなる部屋の中</p><p>麗華は本当に嬉しそうだ</p><p>家族が欲しかったんだな</p><p>その気持ちは良く判る</p><p>あのどういうことなのかしら</p><p>絶句している一堂の中で、ミナホ姉さんがオレに尋ねた</p><p>さて何と説明しよう</p><p>あたしが勧誘しましたあたしたちの家族になりませんかと</p><p>みすずが、オレの代わりにみんなに答える</p><p>はいそれでわたくし、お誘いを受けることに致しました家族になりますみなさんは、わたくしの妹ですわたくしは、全身全霊を懸けて家族のために働きますっ</p><p>そんな麗華にミナホ姉さんは</p><p>あたしは、あなたよりも年上です</p><p>存じております黒森御名穂様どうぞ、お姉様とお呼びさせて下さい</p><p>スッと頭を下げる麗華</p><p>トップ・エリートの警護人なんだ黒い森についてのファイルは熟知している</p><p>彼女は、竹を割ったような真っ直ぐな性格の人ですこういう風に言ってくれた以上、絶対にオレたちを裏切ることはありません</p><p>オレは、麗華を信じている</p><p>彼女のことは、私も保証する類い希な戦闘力を持った人材だこれからの私たちにとって、有益な人材になってくれるだろう</p><p>閣下も、そう言ってくれた</p><p>でもあたしたちの家族になるということは、彼女も彼の女になるのですか</p><p>克子姉の問い掛けにメグがビクッと反応する</p><p>はい、私は構いません純潔だって捧げさせていただきますし、子供だってお望みでしたら何人でも産みますっ</p><p>うんと麗華</p><p>麗華はちょっと欠けているところがあるんだよ</p><p>オレがみんなに説明しようとするとメグが</p><p>麗華</p><p>そんなんで一々反応するな</p><p>麗華は、オレたちの家族になるそれはもう決定だただ、麗華は家族が欲しいだけの人なんだ男女の関係とか、恋愛とかそういうことは全く判っていない無頓着なまま、一人で生きてきた人なんだよ</p><p>オレは、一生懸命説明する</p><p>だから麗華を抱くとか、子供を作るとか、そういうことは今は保留にするそうしようと思っているんだ</p><p>わたくしは一向に構いませんが家族にしていただいた以上は、この身はすでに主様に捧げておりますし</p><p>麗華は、平然とそう言う</p><p>メグのどんより感が増している</p><p>男装の麗人、麗華もまた相当な美人だしなあ</p><p>しかも、大人の色香を持っている</p><p>なるほど彼女に欠けている部分があるっていう意味は、よく判ったよ</p><p>マルゴさんが口を開く</p><p>つまり彼女は、男女間のセックスを生殖行為以上には考えていないんだね</p><p>うんそういうことなんだろう</p><p>ただ、男の種を貰う</p><p>あるいは男の性欲を解消させてやるだけの行為だとしか認識していない</p><p>だから気安く、オレのセックス・パートナーになることを了承してしまった</p><p>麗華さんは彼のことを、どう思っていらっしゃるんです</p><p>どうって立派な主様だと思っていますわたくしたち家族の要になっていらっしゃる尊敬に値する人物だと思っておりますわ</p><p>彼のこと好き</p><p>克子姉の問い掛けに、麗華は少し考える</p><p>わたくしは、これまで男性との人間関係が、とても疎い女でございましたから正直、よく判りませんただ、この様な出会いをしたのは運命だと感じています</p><p>こりゃ、相当根が深いね</p><p>マルゴさんが、ククッと微笑む</p><p>ヨッちゃんのこと、好きかどうかはよく判らないけれど身も心も捧げるということなのっ</p><p>はい武士に二言はございません</p><p>いや武士じゃ無いだろ</p><p>英国紳士マニアの男装撲殺剣士でしょ</p><p>麗華は</p><p>ですから、オレは麗華がちゃんと、オレのことを好きになってくれるまでは麗華とはしないつもりなんだ</p><p>オレはみんなに告げた</p><p>そうじゃないと麗華とは、上手くやっていけないような気がするんだよ</p><p>主様は、ナイーブなお方なのですねわたくしが構わないと言っているのですから、好きになさって下さってよろしいのに</p><p>そうはいかない</p><p>あたしは彼女とは、さっさとセックスしてしまった方が良いと思うよ</p><p>失礼だけど麗華さんは、お幾つですか</p><p>２２歳ですあなたは</p><p>あたしは１９歳です</p><p>じゃあ、麗華さんじゃなくって麗華お姉ちゃんと呼んでっ</p><p>オーケー、麗華お姉さんあたしのことは、マルゴって呼び捨てにしてくれて構わないから</p><p>判ったわ、マルゴちゃん</p><p>判ってないじゃん麗華</p><p>とにかく麗華お姉さんは、もう２２歳だよ今更、男女間の恋愛とはなんて中学生女子みたいなところから始めるのは無理があると思うよ</p><p>そうね、あたしもそう思うわこれだけ素敵なプロポーションをしていらっしゃるんだから実際のセックスを体験してみて、男女の性愛の素晴らしさを理解して貰った方が早いと思うわ</p><p>克子姉もそう言う</p><p>でも、それじゃあセックスに溺れるだけの、偏った人間になってしまうんじゃないのかな</p><p>雪乃のように</p><p>あなたが相手なんですもの大丈夫よ</p><p>オレいや、オレ、そんなことできないよ</p><p>オレには自信はない</p><p>何を言っているのよあなた、あたしに何をしたのか忘れちゃったの</p><p>娼婦にさせられて、自暴自棄になってセックスの快楽に溺れることだけに陥ってしまっていたあたしを救い出してくれたのはあなたじゃない</p><p>そうよあなたが、優しく温かいセックスであたしを包んでくれたからあたしは、あの暗い海から出ることができたの</p><p>克子姉が、優しく微笑む</p><p>もっと自分に自信を持ちなさい</p><p>そうだよ、お兄ちゃんはマナのことだってガンガン、エッチして助けてくれたじゃない</p><p>裸のマナが、土下座から顔を上げてオレに言う</p><p>マナなんて、最初はレイプでエッチに対して凄く恐怖感があったのにお兄ちゃんが、何度も何度も一生懸命してくれたから、今はエッチ大好きだもんっもちろん、お兄ちゃんとしかしないよお兄ちゃんじゃないと、マナ、気持ち良くなれないもんっ</p><p>だから麗華お姉さんとも、ヤっちゃえばいいんだよ大丈夫だって、３０回ぐらい、お腹の中に出しててあげれば、そのお姉さんもお兄ちゃんのこと大好きになるから</p><p>マナが笑って、そう言った</p><p>うんうん、ヨッちゃん、実践あるのみだよっ</p><p>なるほどそういう考えも、確かに一理ありますね</p><p>みすずも、うんうんと頷いている</p><p>じゃあ、やりましょう主様っ</p><p>いやいやいや麗華</p><p>待ってちょっと考えさせて</p><p>オレにも考える時間が欲しい</p><p>つーか、メグがますます暗い顔になっているし</p><p>とにかく今はまだ、みんなに紹介していない人がいるから</p><p>うん関さんと美子さんが残っている</p><p>ああそうでございましたね</p><p>麗華は、さっぱりとした性格だから無理強いはしない</p><p>こういうところは助かるんだけれど</p><p>えっとこちらは、関さん</p><p>あっどうも関ですぅぅ</p><p>関さんは、すっかり暗ーくなっている</p><p>まさかこの人もあたしたちの家族になるの</p><p>ミナホ姉さんが、オレをジトッと見る</p><p>いえ関さんは、まだ家族じゃないよ</p><p>まだ</p><p>あメグが反応した</p><p>あの関さんも、みすずがお誘い致しましたっでも、関さんは、あたしたちの家族に加わるかどうかは保留なさっていますとりあえずは仲間になって下さることになりました</p><p>はい仲間になりますぅぅ</p><p>半泣きの顔で、関さんはそう答えた</p><p>確か劇場で、香月さんのすぐ側でガードしていた人だよね</p><p>マルゴさんが、颯爽としていたころの関さんを思い出してくれた</p><p>はい、関さんはお祖父様の３人しかいない直衛警護人の１人です</p><p>みすずが、説明してくれた</p><p>あたしたちの戦力になってくれるって期待してもいいんだよね</p><p>マルゴさんの言葉に、関さんは</p><p>ええ、こうなったら、やってやるわよっこのわたくしが仲間になった以上は、あなたたち大船に乗ったつもりで安心なさいねっ</p><p>半分逆ギレしたみたいな感じで、関さんは喚いた</p><p>うん助かるよ麗華お姉さんと関さんこれってつまり、香月セキュリティ・サービスの精鋭が２人、あたしたちの陣営に加わってくれたってことだよね</p><p>マルゴさんは、嬉しそうだった</p><p>これで連携して戦える戦闘要員が４人も要れば、色々なフォーメーションが組めるからね</p><p>マルゴさん美智麗華関さん</p><p>なるほど戦いの専門家が４人になった</p><p>じゃあ、早速連携の確認をしようか</p><p>マルゴさんが、麗華たちに言う</p><p>ちょっと待ってまさか、指揮はあなたが執るつもり</p><p>どんよりしていたはずの関さんが戦闘のことになると、ハッと元通りのきびきびした女性に戻る</p><p>そうだけど何か、問題がある</p><p>あなたまだ１９歳って言ってたじゃないしかも、素人でしょあたしはプロよプロが素人の指揮に従うわけが無いじゃないっ</p><p>ふーん、ちなみに関さんはお幾つなんですか</p><p>２４よ</p><p>じゃあ関さんのこともお姉ちゃんて呼ばないといけませんね</p><p>もうふざけないでっ</p><p>関さんが、マルゴさんに怒りを向ける</p><p>主様わたくしは、主様のご判断に従いますマルゴちゃんの指揮下に入った方がいいですか</p><p>麗華は、オレに尋ねた</p><p>それは麗華自身で判断してくれ</p><p>マルゴさんが、信頼できる指揮官かどうかは麗華が自分の眼で判断すべきことだ</p><p>そうじゃないと本当の信頼関係は生まれないだろ</p><p>心から信頼できる相手で無いと一緒には戦えないだろう</p><p>わたくしはどんな方でも別に構わないですけれど</p><p>麗華はそう言ってマルゴさんを見た</p><p>その眼に侮りが感じられたから</p><p>オレは麗華を叱責する</p><p>麗華お前、まだ１人で戦っているつもりになっているな</p><p>どんな苦境になっても、最後は自分自身の力でどうにかできると思っているんだろう</p><p>だからどんな人間が指揮官になっても平気だと言う</p><p>本当に苦しくなったら、指揮官なんか無視して麗華個人の力だけで戦うつもりなんだ</p><p>それでも、敵に勝てると思っているのだから</p><p>麗華は自分の戦闘力に自信があるのだろう</p><p>確かに麗華１人だけなら、それで切り抜けられるかもしれないでもな麗華にはもう家族がいるんだ小さい妹たち全員を守るためには警護メンバーの連携は必要だと思わないか</p><p>麗華も顔が、真顔になる</p><p>それまでの浮ついていた様子が消え元のクールビューティーな麗華に戻る</p><p>わたくしが間違っておりましたお許し下さいませ</p><p>麗華は、オレに頭を下げる</p><p>そして再び、マルゴさんを見る</p><p>マルゴちゃんは実戦での指揮経験はあるの</p><p>多少は細かいことは、師匠が見てくれたけど</p><p>師匠それってもしや</p><p>はい恭子・ドスノメッキーが、あたしの師匠です</p><p>ハッとなる麗華と関さん</p><p>恭子・メッサー</p><p>関さんが、恭子さんの異名を呟く</p><p>それは恭子・メッサーの所属しているマランドロの作戦だったの</p><p>はいマランドロのコロンビアの麻薬カルテル強襲作戦で、あたしも１小隊指揮しました</p><p>関さんの質問にマルゴさんは、明瞭に答える</p><p>マランドロというのは確か、恭子さんの所属していたブラジルの犯罪組織の名前だったと思う</p><p>３年前のティル・ドゥーン作戦に、あなたも参加してたというの</p><p>はいあたしは、１６歳でしたけれど恭子さんが、実戦を経験する良い機会だっていうから</p><p>信じられない</p><p>関さんと麗華が、驚きの表情を見せる</p><p>恭子のやつがマルゴくんには、指揮官として戦場を俯瞰して見る能力が備わっていると言っておったよ</p><p>閣下が２人のプロ警護人に言う</p><p>君たちに一番欠けている能力だ</p><p>ギロッと香月家当主の眼で、香月老人は二人を見る</p><p>君たちは二人とも抜群の戦闘能力を持っているが、客観的に状況を分析する力に欠けている瞬間、瞬間の的確な状況判断ができていない谷沢から、その様に報告を受けている</p><p>確かに劇場から、このホテルに来る途中</p><p>車に仕掛けられた機器の存在を二人は気付かなかった</p><p>先導車の警備員が、敵と入れ替わっていることにだって判っていなかったし</p><p>いや、私は別に君たちを責めているわけではない何事にも、人には向き不向きがあるつまり君たちは、純粋な戦闘要員だ適切な指揮官の下で働いてこそ、機能的に能力を発揮することができる</p><p>自分では、何も考えるなということですか</p><p>閣下の言葉に対して、関さんは不満そうに言う</p><p>そうは言わんよでも、関くんはさっきもこいつらに言われたろうちょっと考えすぎる傾向が強いと</p><p>うん関さんは、考えすぎて自爆するタイプ</p><p>その点麗華くんは、考えずに敵に飛び込む勇気はあるが、余りにも判断力に欠ける</p><p>そうだった偽警備員との戦いで、麗華は不用意にオレたちの車から離れすぎていたと思う</p><p>もしバンバルビー３のお姉さんたちが助けに来てくれなかったらオレたちは敵に分断されていただろう</p><p>一人で孤立した麗華は、それでも自力で敵の包囲から脱出できたかもしれないが</p><p>車の中に閉じ込められたオレたちはアウトだ</p><p>確かにわたくしたちには、指揮官が必要なことは認めますしかしこの子にその能力があるかどうかは</p><p>麗華の言葉にマルゴさんは、フフッと笑う</p><p>麗華お姉さんはその重そうなステッキが、メインウェポンですか</p><p>はいわたくしは、このステッキで全てを叩き潰します</p><p>麗華が答える</p><p>ちょっと構えてみてくれませんか</p><p>マルゴさんに言われるまま麗華は、撲殺ステッキを構える</p><p>剣道で言う中段の構えだ</p><p>判りました麗華お姉さんは、正面左側の敵を攻撃するのがお得意みたいですね</p><p>わたくしの癖が、判るのですか</p><p>構えの姿勢を見れば判りますあたしだったら、お姉さんを襲うのは正面右側からにします</p><p>つまり右側に苦手な死角がある</p><p>特にこの角度</p><p>スッとマルゴさんが、身体を動かす</p><p>麗華が一歩も動けないうちにその懐に飛び込む</p><p>マルゴちゃん、あなた</p><p>ほらこの角度で、タイミングを計って突入すればお姉さんの反応が追いつかなくなるでしょう</p><p>マルゴさんが、ニヤッと微笑む</p><p>麗華お姉さんは、ずっと独力でトレーニングなさってきたみたいですね手足の左右の筋肉のバランス特にこことこことが良くないんですだから、正面を向いているつもりでも、身体全体が捻れているんです思わぬ角度からの攻撃には、一瞬対応が遅れます</p><p>マルゴさんは、説明していく</p><p>そ、そう気付かなかったわ</p><p>ええ、自分では鏡を見てもなかなか判らないことってありますからあたしは恭子さんと、いつも互いの肉体の状態をチェックし合っています</p><p>恭子さんがいない時は、あたしが代わりにやってるよんっ身体のどこをチェックするべきかは、全部恭子さんに教わっているからっ</p><p>寧さんが、笑って答えた</p><p>オーケイ、筋肉バランスの矯正は、すぐにはできませんからお姉さんの右側に関しては、今日はあたしたちでフォローします</p><p>う、うんお願いするわ</p><p>麗華は、すっかりマルゴさんの言うなりになっている</p><p>次に関さん</p><p>マルゴさんの笑みが関さんを射る</p><p>関さんの力は、劇場で拝見しました</p><p>劇場で、閣下に近付いて来た不穏な人間を関さんは一撃で倒してしまったんだっけ</p><p>関さんは、スピードは素晴らしいですがパワーが足りないんですよね</p><p>だから的確に相手の急所を突くことで、確実に敵を倒している</p><p>フフンと笑ってマルゴさんが関さんを見る</p><p>そそうよ</p><p>ですが今夜の相手は、プロです関さんのスピードでも、確実に敵の急所に打ち込むことはできないかもしれません関さんのパワーでは、一撃で相手を倒すことができなければ、自分がやられます今夜は接近戦は避けて下さい</p><p>じゃあ、あたしにどうやって闘えっていうのよ</p><p>関さんが、ムッとしてマルゴさんを睨む</p><p>関さんあなた、本当は射撃の方がお得意でしょう</p><p>ニッと笑うマルゴさんに関さんは、黙り込む</p><p>その通りだ彼女は留学時代に、徹底的に射撃を仕込まれている</p><p>閣下</p><p>もう仲間だろう隠し事は無しにした方がいいだろう</p><p>香月老人の言葉に関さんは</p><p>愛用の銃はお持ちですか</p><p>ちゃんと持って来ているわよここに</p><p>関さんは上着をポンと叩く</p><p>その下に、銃を隠しているらしい</p><p>では、銃によるバックアップをお願いします決して、あたしたちからは離れない位置から敵と距離を取るようにして下さい</p><p>予備の弾倉は２本しか持ってないわよ</p><p>充分です敵を威嚇していただくだけでも、効果がありますから</p><p>関さんにマルゴさんは微笑み掛ける</p><p>マルゴお姉様わたくしは、いかがいたしましょう</p><p>スッと美智が、前に出る</p><p>こうなると接近戦の麗華お姉さんが前衛で、銃を持っている関さんが直衛のガードあたしと美智さんで、フォローするのが一番良いフォーメーションなんだけれど美智さんには、ギリギリまで死んだフリをしていて欲しいんだよね</p><p>死んだフリですか</p><p>ああ君はせっかく、みすずさんたちと同じ制服を着ているし小柄で可愛い子だから、美智さんが警護役だとは敵は気付かないと思うんだよだから、みんなと一緒にいて、ギリギリの状況に陥った時の最後の切り札になって欲しいんだよ</p><p>切り札ですか</p><p>美智さんが、前面に立って全力で闘いたい気持ちは判るんだけれど今は、家族全員の安全を確保する方が重要だからね</p><p>美智も納得してくれた</p><p>その代わり敵の接近をあたしたちに知らせて欲しいな美智さんは、あたしたちの中で一番感覚が鋭敏だと思うし特に背後から近寄って来る敵には注意して欲しい</p><p>すげえなマルゴさん</p><p>あっという間に、戦闘要員の３人を仕切ってしまった</p><p>あたしが全体のフォローをするから３人とも、いつでもあたしの位置だけは確認しておいて固まりすぎると、一気に撃滅されちゃうけれど離れすぎて、分断されたら各個撃破されてしまうあたしが見えなくなる場所へは行かないということを徹底的に守って欲しいんだ</p><p>マルゴさんが穏やかにそう言う</p><p>はあ、判ったわあなたが指揮官よ</p><p>関さんが、マルゴさんを認めてくれた</p><p>わたくしもマルゴちゃんに従うことに致します</p><p>麗華も</p><p>ご主人様たちは、わたくしが身体を張ってお守りします</p><p>美智もそう言ってくれた</p><p>うん戦闘グループの方は、これで安心だな</p><p>それならちょっと、実際に身体を動かしてみようか</p><p>悪いんだけれど、寧と二人で敵の役をやってくれないかな</p><p>オレは、軽く了承した</p><p>それじゃあ、あっち空いている空間で</p><p>マルゴさんが、そう言った瞬間</p><p>みすずが大きな声で言った</p><p>まだ紹介されていない人が残っていますっ</p><p>あっいけねえ</p><p>マルゴさんと、麗華、関さんの関係に気を取られてすっかり忘れていた</p><p>振り向くと美子さんが</p><p>どうにも暗い顔でうつむいていた</p><p>ご、ごめんつい、話に夢中になってしまって</p><p>オレの言葉に、美子さんは</p><p>いいんですよわたくしなんて皆様のお荷物でございますから</p><p>本日、父の手術が行われました</p><p>心臓のカテーテル・アブレーションという手術でした</p><p>無事に手術は終わり、術後の様子も大丈夫な様です</p><p>メスで切らないで、血管の中にカテーテルという機械を通して行われる手術なので、特に大きな外傷も残らず</p><p>今夜の容態が良ければ、明日には退院できるそうです</p><p>皆様には、ご心配いただきまして本当にありがとうございます</p><p>感謝致します</p><p>手術後は、４時間ほど身体を動かしてはいけないということだったのでずっと、病室で付き添っていました</p><p>たまたま夏休み期間だったのが私だけなので、二人っきりです</p><p>老齢の父と二人だけで何時間も過ごさないといけないというのはなかなか大変ですね</p><p>何か、国際情勢とか意味も無く話していました</p><p>他に話ができる共通項が無い</p><p>父は昔の私との思い出とかは、すっかり忘れていますので</p><p>小学生の時に、一緒に００７の映画を観に行ったねえ</p><p>覚えていない</p><p>オクトパシーだよ</p><p>日比谷だな</p><p>覚えているじゃん</p><p>映画館は覚えているがお前、いたっけ</p><p>父は手術も意識を失うことなくむしろ、お医者さんからこれ痛くないですかとか聞かれながら、手術されていたそうです</p><p>しかし、心臓を弄くられながらこれ痛くないですかとか</p><p>私も、以前入院を経験したことがあるので、判りますが</p><p>自分の死というものを真摯に見つめなくてはいけない時間を過ごした後はしばらく、心が日常に戻って来ません</p><p>退院しても、これからしばらくは大変だなと覚悟しています</p><p>色々、大変ですが</p><p>261．家族の時間・２　（立食パーティ）</p><p>マルゴさんと麗華＆関さんが、上手くいくか心配で</p><p>ついつい、美子さんのことを忘れてしまった</p><p>えっと瑠璃子のお付きをして下さっている、小森美子さんです</p><p>恐る恐るオレは、みんなに美子さんを紹介する</p><p>小森美子ですお世話になります</p><p>美子さんは暗い顔で、みんなに挨拶した</p><p>あれっ美子さんは家族にならないのっ</p><p>マナが、余計なことを言う</p><p>はいそれは、その</p><p>美子さんは家族になりたいと言ってくれた</p><p>しかし、それはあくまでも瑠璃子と離れたくないという思いからだ</p><p>オレや黒森の家族のことを受け入れているわけではない</p><p>だから、瑠璃子もみすずも美子さんの家族入りは保留にした</p><p>関さんの場合は、あくまでも関さん本人の意志で保留になっているけれど</p><p>美子さんの場合は美子さんの意志とは関係無く、保留になっている</p><p>だからこの問題はとってもデリケートだ</p><p>どうして美子さんも家族になろうよっマナ、美子さんがお姉さんになってくれたら、とっても嬉しいよっ</p><p>やれやれ</p><p>オレが、割って入る</p><p>お前はしばらく黙って土下座していてくれ</p><p>えー、何でよっお兄ちゃん何か理由があるのっもし、そうならマナにも教えてよっ</p><p>マナは、周りの空気を読む</p><p>うつむく美子さんや、困っている瑠璃子の様子から秘密の存在に気付く</p><p>美子さんが本当は、香月老人の長男の娘みすずや瑠璃子の従姉であることは秘密になっている</p><p>ここにいる家族たちにもオレの口から言うことはできない</p><p>そんなことをしたらオレは美子さんからの信用を失うだろう</p><p>今の美子さんは、まだ瑠璃子のお付きとして選ばれただけの、香月家の一家臣の娘として、普通に生きることもできる</p><p>香月の血筋であることがバレたらみすずや瑠璃子と同じ様に、後継者争いの渦の中に巻き込まれるだろう</p><p>だから閣下も、みすずも、瑠璃子も美子さんに、自分で将来を選択するための猶予を与えようとしている</p><p>今は何も言うべきではない</p><p>そんな態度のマナには何も教えられないよ</p><p>オレははっきりと言った</p><p>どうして家族でしょ</p><p>マナが、キッとしてオレを見る</p><p>美子さんは、まだ家族じゃないって言っているだろそれに</p><p>誰にだって、自分1人でじっくり考えて答えを出さないといけないことがあるだろオレは、家族の内の誰かが問題を抱えていて、オレに相談したいっていうのなら、喜んで話を聞くよ何時間だって、一緒に考えるでも、オレの方からお前、悩んでいることをオレに話せなんて、相談の押し売りはしないそういうのは、間違っていると思うんだ</p><p>何で何でマナだったら、悩んでいる人がいたら、どんどん話し掛けるよ自分から言い出しにくい子だって、いるんだしさ積極的に話し掛けたって、いいじゃないっ</p><p>マナはそう言う</p><p>マナちゃんそれじゃ、ダメなんだよ</p><p>マルゴさんがマナに言った</p><p>それじゃあマナちゃんに話し掛けて貰った方は、いつまでも強くなれないマナちゃんの優しさに縋るだけの弱い子のままになってしまうよ</p><p>別にいいじゃん家族なんだし</p><p>家族だからこそそれじゃあ、ダメなんだよ</p><p>はっきりとマルゴさんが、言った</p><p>麗華お姉さんも、よく聞いてあなたが、一番妹たちを甘やかしそうだから</p><p>はい、教えて下さい</p><p>戦闘チームの結成の過程で、マルゴさんを認めたのだろう</p><p>麗華は、素直にマルゴさんの話を聞く</p><p>家族って人の集まりだよねだったら、なるべく強い人たちの集まりになるようにしたいと思わない弱い人たちの集まりは、悲惨だよ特に心の弱い人たちの集団は、世間の迷惑にしかならないから</p><p>マルゴさんが穏やかに話していく</p><p>マナちゃん人にはね、自分で決めなきゃいけないこと自分でやらないといけないことが、たくさんあるんだよそれを、他の人に決めてもらったり、代わりにやってもらったりしてはいけないそんなんじゃ、いつまで経っても一人前の人間には成れないからね</p><p>でも家族じゃん悩んでいることがあるのなら、助けてあげたいじゃん</p><p>寂しそうにマナが言う</p><p>マルゴさんは、ニコッと微笑み</p><p>克子さんあなたは家族の誰かが苦しんでいたら、どうしますか</p><p>美味しい物を作るわそして、一緒に食べるわ</p><p>克子姉は、答えた</p><p>寧は</p><p>あたしはとにかく笑わすよくすぐってでも、笑わせる笑うと気持ちが楽になるもんっ</p><p>寧さんは、そう答えた</p><p>あたしは一緒にスポーツでもするなドライブもいいかもね</p><p>マルゴさんは、マナを見て微笑む</p><p>あたしたちは家族だだから、いつも寄り添ってあげることはできるというか寄り添うことしかできないでも、それが大事なんだと思う</p><p>苦しい時に、側に居てくれるだけで充分だ</p><p>それ以上は要らない</p><p>うつむくマナ</p><p>集まって、寄り添っているから家族なんだだけど、家族1人1人は、自分で自分の人生を決めていかないとね判るよね</p><p>オレは、しゃがんでマナと視線を合わす</p><p>思ったことをすぐに口に出すのはお前の悪いところだよ自分の意見を、物怖じせずにハキハキ言えるのはいいことだけれど、お前は相手の人の気持ちとかがまだよく判っていないのに平気で喋るだろそういうのは、相手に失礼だぞ</p><p>マナの眼を見て、はっきりと言う</p><p>そうだよヨッちゃんなんて、余計なことは絶対に言わないじゃんあたしたちの話はよく聞いてくれるし本当に必要な時にしか、自分の意見は話さないでしょ</p><p>いや、それはオレ、馬鹿だから何か言われても、瞬間的に言葉が出て来ないんです何か、相手の様子に違和感を感じてもその理由が、すぐに判らないからだから、判るまで様子を見ているしかなくって</p><p>それでいいのよダメな人は、違和感を無視して自分の感情だけで話を押し通そうとするわそうでなければ、違和感に反発して余計な言葉を言ったりね何が問題なのか具体的に理解できるまでは、じっくり相手の様子を見るというのは正しいことよ</p><p>ミナホ姉さんがそう言ってくれた</p><p>判ったあたし、余計なこと言い過ぎたんだね、お兄ちゃん</p><p>そうだな美子さんに謝れ</p><p>マナは全裸で美子さんに向かって、手を付く</p><p>ごめんなさい美子さん</p><p>それは心の籠もった全裸土下座だった</p><p>美子さんは、困惑している</p><p>美子さんマナのこと、許してあげて下さい</p><p>許すも何もわたくしは、気にしていません</p><p>美子さんは、そう言ってくれるが</p><p>いいえマナさんは、美子さんに無礼を働いたんです人の心に土足で侵入するのは、悪いことですちゃんと罰は受けないといけません</p><p>そうですねお尻を３回叩きましょう</p><p>みすずがオレを見て、ニコッと微笑む</p><p>もしや</p><p>オレがやるのか</p><p>お願い致します、旦那様</p><p>お嫌でしたら、わたくしが叩きますが</p><p>美智が赤いムチを出す</p><p>いや、そんなので叩いたら、マナのお尻が大変なことになるよ</p><p>主様、わたくしが叩いてもよろしいですよ</p><p>うんと麗華の力だと、骨が砕ける</p><p>いいよ、判ったオレがやるから</p><p>オレは、マナの後ろに廻り込む</p><p>ほら、四つん這いになってお尻を高くしろ</p><p>全裸の１４歳が尻を高く突き出す</p><p>オレの視線からは、肛門も陰部も丸見えだ</p><p>罰なんだからな思いっきり叩くのだぞ</p><p>閣下が楽しそうに、オレに言う</p><p>そう言われた以上は、手加減はしない</p><p>力一杯叩いてやる</p><p>１回目バシィッ</p><p>耐えるマナ</p><p>２回目ビシィィッ</p><p>ふぅッッ</p><p>３回目バシィッッ</p><p>あぅッッ</p><p>ほーら、これで終わりだ</p><p>オレはオレの手形が真っ赤に付いたマナのお尻を擦ってやる</p><p>大丈夫か痛いか</p><p>平気だよありがとう、お兄ちゃん</p><p>赤い顔でマナはオレを見上げた</p><p>お兄ちゃんが叩いてくれなかったらマナ、見捨てられたみたいで、悲しかったと思う</p><p>そ、そうか</p><p>手加減してくれなかったのもマナのことを考えてなんでしょう</p><p>いや、特にそういうわけでは無いんだけれど</p><p>嘘マナ、お兄ちゃんの愛をいっぱい感じたよ</p><p>お尻を叩かれて愛を感じるなんて</p><p>マナちゃん彼は普段から、マナちゃんのことをとっても深く愛しているからどんな時でも、普通に愛情の籠もった選択をしてしまうんだよ</p><p>でもそうなのか</p><p>あなた、罰を与えた後は優しくしてあげるのよそれがルールですからねっ</p><p>うんその理屈は、オレにも判る</p><p>ほら、マナ</p><p>オレはマナの身体を抱いてやる</p><p>背中と髪を撫でてやった</p><p>お兄ちゃんキスして</p><p>唇を重ねるとマナは自分から、オレの舌を求めた</p><p>う、羨ましいです</p><p>その呟きは美智か</p><p>羨ましいのはキスかお尻叩きか</p><p>両方なんだろうな美智の場合は</p><p>さてマナさんのお仕置きも終わったことですし</p><p>みすずが、美子さんを見る</p><p>美子さんあなたはまだ、あたしたちの家族ではありませんが</p><p>みすずお姉様そこから先は、わたくしから伝えます</p><p>瑠璃子がみすずの言葉を遮る</p><p>美子</p><p>瑠璃子が、美子さんに手を差し伸べる</p><p>美子さんが、その手を握る</p><p>繋がり合った２人の少女</p><p>わたくしは、黒森様に心と身体をお委ねする決心を致しましたしかしだからといって、わたくしとあなたの絆がなくなってしまったわけではありません</p><p>１５歳の美少女主人が１８歳のお付きに言う</p><p>これからも、今まで通り私に仕えなさい</p><p>それは当然、そう致しますですが</p><p>美子さんは、主人の真意が判らず困惑している</p><p>瑠璃子は、スッと顔を上げみんなを見る</p><p>皆様そういうことでございますから、申し訳ございませんが、美子も関さんの様にわたくしたち家族の仲間として受け入れてはいただけませんか</p><p>シンとなる室内</p><p>あたしは、構わないわ</p><p>最初にミナホ姉さんが、そう言ってくれた</p><p>うん仲間でいいんじゃないかな</p><p>はい、歓迎します</p><p>うん、いいと思うわ</p><p>うっふふーんまあ、とりあえずってことだよねっ</p><p>いいと思います</p><p>メグ元気出せよ</p><p>承認致します</p><p>美智は、相変わらず表情が固いなあ</p><p>わたくしも、歓迎します</p><p>麗華</p><p>えっ、わたくしはわたくしも、保留にしている立場ですから、いいんじゃないかと思いますけど</p><p>私に異論があろうはずが無いだろう何でも、君たちの決定に従うよ</p><p>閣下後は</p><p>ほら、マナはどう思う</p><p>マナは美子さんは、最初っから仲間だよ今更、仲間にするとかしないとかって話は変だと思います</p><p>お尻を叩かれても自分の意見を言うことは止めない</p><p>まあ、これはマナの良いところなんだろうな</p><p>さてオレは</p><p>オレもそう思うよ美子さんは仲間です</p><p>ありがとうございます皆さん</p><p>瑠璃子の手をギュッと握って嬉しそうに、そう答えた</p><p>あれ家族を１人忘れてない</p><p>あれ、うちの子どこへ行ったのかしら</p><p>渚が慌てる</p><p>そう言えば、真緒ちゃんの姿が見えない</p><p>というか雪乃も</p><p>まだテーブルの下で、かくれんぼしているのか</p><p>ねえ、ねえ、みんなこっち、こっち</p><p>見ると広い部屋の端のドアから、真緒ちゃんが顔を出している</p><p>真緒、勝手にそんなところへ入ってはダメよっ</p><p>えへへっこっちの部屋にね、ごはんがあるよっ</p><p>ごはん</p><p>そうなのよっ立食パーティの準備が出来ているんだけどこれって、食べてもいいのかしらっ</p><p>真緒ちゃんの開けたドアから雪乃がニョッと顔を出して叫ぶ</p><p>何をやっているんだ</p><p>まったく下品なんだから、あの人っ</p><p>マナが、実の姉を罵る</p><p>まあ今の雪乃は格好とメイクのせいで、お笑いタレントにしか見えないから</p><p>何をやっても許せる感じだけど</p><p>ああ食事の用意をさせておいたんだったみんな、向こうの部屋へ行こう</p><p>そう言えば、軽食の支度がしてあるって言ってたっけ</p><p>みんなそろそろ、お腹が減ったろう</p><p>閣下はフフッと笑った</p><p>隣の部屋もパーティ・ルームだった</p><p>確かに、食事の用意がされている</p><p>しかし軽食というには、余りにも豪華だぞこれ</p><p>色んな種類の料理が、量も半端なく置かれていた</p><p>オレたちだけでは、どうやっても食べきれないだろうこれ</p><p>すでに、料理人もボーイも避難させてしまったからねパーティ用のオードブル的な物ばかりで申し訳無い温かい料理が無いのは、許してくれ飲み物なんかも、自分で注いでくれたまえ</p><p>閣下は、オレたちにそう言ってくれた</p><p>はーい、では先にみんな、飲み物を持って</p><p>食事となると克子姉がみんなを仕切る</p><p>渚と２人でコップをみんなに配っていく</p><p>飲みたいものは、自分で注いでシゲちゃんは、何がいいの</p><p>酒は控えておいた方がいいだろうな</p><p>渚に、閣下は答える</p><p>一杯ぐらいはいいんじゃない戦闘要員じゃない、あたしたちは一杯だけ飲むわよ寧ちゃん、どのワイン開けるか決めた</p><p>うん、渚さんこれにするっ</p><p>寧さんが、器用にワインのコルクを抜いていく</p><p>では私も一杯、貰おう</p><p>ワイン組は閣下、ミナホ姉さん、克子姉、渚、寧さん</p><p>フレッシュ・オレンジ・ジュース組がマルゴさん、麗華、関さん、美智の戦闘チーム</p><p>ウーロン茶組がマナとメグ、瑠璃子と美子さん</p><p>アイス・ティがオレとみすず</p><p>アイス・コーヒーが雪乃と真緒ちゃん</p><p>真緒ちゃん、コーヒーとか飲むの</p><p>ミルクどばどば入れてっ</p><p>カフェオレにするの</p><p>かふぇおれ</p><p>真緒ちゃんは、小首をかしげる</p><p>あなた真緒のは、ミルクの方にコーヒーをちょっとだけ入れてあげてお砂糖もたっぷりね</p><p>横から、渚がオレに言う</p><p>ということで、オレは真緒ちゃんにコーヒー牛乳を作ってあげた</p><p>うひひっコーヒー、コーヒー</p><p>真緒ちゃんにはこれがコーヒーなんだ</p><p>大人の真似をしているつもりなのよこの子</p><p>渚が、愛娘を愛おしそうに見て言った</p><p>はーい、それではみんなグラスは持ったわね</p><p>克子姉が、確認する</p><p>では、乾杯の前に閣下、何かございますか</p><p>私に気を遣わないでくれ、克子くん私は、この家族ではお情けで参加させてもらっている私の様なお祖父ちゃんでは無く真の家長が一言挨拶するべきだ</p><p>そう言ってミナホ姉さんを見た</p><p>うんこの家族のトップは、ミナホ姉さんだ</p><p>では、お嬢様お願いします</p><p>えっあたし</p><p>ミナホ姉さんは困った顔をして、みんなを見る</p><p>ま、いいわこれが、この家族での最初の食事になりますみんな、懇親を深めてね必ず、全員と話をするのよ会話を楽しみなさいね</p><p>そしてミナホ姉さんは、オレを見た</p><p>乾杯の音頭は、任せたわよ</p><p>えオレ</p><p>そうよあたしがこの家族の家長なら、あなたは家族の要でしょ</p><p>家族たちの視線がオレに集中する</p><p>お兄ちゃん、早くぅ</p><p>ご主人様、どうぞ</p><p>ヨッちゃん、ほらっ</p><p>はあ仕方ないか</p><p>じゃあ、みんなグラスを持って</p><p>スッとみんな、グラスを掲げる</p><p>何か気の利いたことを言おうかと思ったけれど、何も思い浮かばなかった</p><p>シンプルにいこう</p><p>では乾杯</p><p>かんぱーいっ</p><p>そして家族の立食パーティが始まる</p><p>飲んだり食べたり</p><p>あ関さんと美子さんは、まだみんなに打ち解けてないな</p><p>でも、克子姉やマナが積極的に話し掛けてくれている</p><p>逆に麗華はノリノリ過ぎる</p><p>こっちは、マルゴさんと寧さんと美智が相手をしてくれている</p><p>メグが暗いままなのが心配だけど</p><p>しかも、周りに知らない人ばかりな上に、妹に邪険にされているから</p><p>雪乃が、暗いメグの後ろに背後霊みたいになって、へばりついているし</p><p>大丈夫よ、あたしが行って来るから</p><p>渚が、オレの耳に囁く</p><p>こういう時は、年上のお姉さんの方が良いと思うの</p><p>うんオレがフォローしに行くと、みんなの注目を浴びるし</p><p>メグも気にするだろうな</p><p>頼むよ渚</p><p>はい、頼まれましたっ真緒、行くわよっ</p><p>合点だぁぁっ</p><p>真緒ちゃんそれ、どこで覚えてきたの</p><p>旦那様お祖父様に椅子を</p><p>そうだ立食のままだと、老齢の閣下は大変だ</p><p>椅子は室内の壁際に幾つか並んでいるだけだ</p><p>オレは急いで、その一つを持って来る</p><p>はい香月さん</p><p>ああ、ありがとう</p><p>閣下は、椅子に腰掛けながら、オレを見て</p><p>そろそろその香月さんというのは、やめないかね</p><p>家族なんだろう公の席ではともかくこういう場では、堅苦しいそれに</p><p>お前が、私に堅苦しいままだと他の娘たちも、いつまでも私に対して堅苦しいまんまになる</p><p>今だって、実の孫のみすず以外は、みんな閣下に近寄って来ないもんな</p><p>じゃああの、ジッちゃんとか呼んでもいいですか</p><p>ジッちゃん</p><p>オレ母方の本当の祖父が、あんまり良い人じゃなくってもう亡くなっているんですけれどお祖父さんとかだと、その人のことを思い出すから</p><p>ふむ</p><p>それに、父方のバァちゃんが、とっても大好きだったんです父の方のお祖父さんは、オレ、会ったことが無いんでなら、ジッちゃんが良いかなって</p><p>閣下は、ジッとオレを見ている</p><p>お前は、本当に馬鹿正直だな私のご機嫌取りをしようという気は無いのか</p><p>あ確かに</p><p>天下の香月家の当主にジッちゃんはないか</p><p>いや、いいそこがいいこれからも馬鹿を貫けそこが、お前の良いところだ</p><p>香月のジッちゃんは、ククッと笑ってワインを飲んだ</p><p>お祖父様、ワインもっと飲まれます</p><p>いや、いいみすず、アイス・ティを持って来てくれそれから、何か食べ物も適当に見繕って来てくれ</p><p>はいお祖父様</p><p>みすずが、オレたちから離れる</p><p>オレ、大丈夫でしょうか</p><p>ん何が心配なんだ</p><p>あのオレみたいなのが家族の要で、いいんだろうかって</p><p>和気藹々と、楽しそうに食事している家族たち</p><p>正直オレには、自信が無い</p><p>ジッちゃんは、オレの顔を見て</p><p>お前１万円札、持っているか</p><p>オレは、ポケットをまさぐる</p><p>財布から１万円札を取り出す</p><p>あるけどどうしたの</p><p>貸してみろ</p><p>オレはジッちゃんに、お札を手渡した</p><p>おいこの１万円札は、本当に１万円の価値があるのか</p><p>意味が判らない</p><p>実際の話１万円札を一枚刷るのに、１０円もかからないただの紙だからな逆に１円玉を作るのには、１円以上掛かるアルミニウムだからな</p><p>そう言えばそうだな</p><p>このペラペラの紙が、１万円の価値があると決めているのは誰だなぜ、世界中の人間が、これが１万円の価値があると信じているんだ</p><p>全てはこのお札を発行している、日本という国家の信用だ日本国が信用されているから、この紙切れに１万円の価値があるということになる金融経済のルールが成立するんだこれがもし、日本国が潰れてみろ紙の上には１万円と書いてあるが、その価値は全て消え失せる</p><p>私たちの家族というシステムも結局は、みんながお前を信用しているということで成立している</p><p>オレですかミナホ姉さんの力の方が上ですよ</p><p>御名穂くんだけなら私は、この集団には加入せんよみすずだって、瑠璃子だって相手がお前だったから、信用しているんだろう</p><p>お前の馬鹿正直さは信じられるしかも、お前は馬鹿正直だが、決して馬鹿じゃない悪意のある者は、ちゃんと避けるし場の雰囲気に流されることも無いとりあえず、お前が身内にしても大丈夫だと思った人間は信じられる</p><p>そんなそこまでみんな、オレを信用してはいませんよ</p><p>ジッちゃんは、判っとらんなと、オレを笑った</p><p>私が、お前が要でなければ、この家族に参加しなかったように御名穂くんだって、お前が連れて来なければ私を受け入れなかったよ</p><p>私も御名穂くんも徹底的に相手を疑って、ようやく生き延びることができる世界に居るお前の存在が無ければ、私たちが家族になるなんて展開は起こり得なかったんだ</p><p>あたしも、そう思いますわ</p><p>振り向くとミナホ姉さんが居た</p><p>はいお祖父様、お飲み物とお食事です</p><p>みすずも、帰って来る</p><p>ちょうど良かったでは、少し込み入ったお話を致しましょうか</p><p>みすずが、祖父とミナホ姉さんに微笑み掛ける</p><p>込み入った話ってみすず</p><p>父は、無事に退院致しました</p><p>しばらくは自宅療養ですが術後の容態は良いようです</p><p>ご心配いただいて、本当にありがとうございます</p><p>シゲちゃんこと、閣下は亡くなった昭和の名優のTさんをイメージして書いています</p><p>その方は、声も良い方でコマーシャルのナレーションなどでも有名な方でした</p><p>声優としても、有名な作品に出ておられます</p><p>その方のエピソード</p><p>そのTさんが、地方公演に行かれたとき</p><p>本番で、セリフを忘れたとか何とかで、俳優のMさん（この方も名優です）とトラブルになったそうです</p><p>で、その日の公演の跳ねた後</p><p>Mさんは他の役者さんやスタッフと飲みに行かれて、ずっとTさんの悪口を言っていたそうです</p><p>その後宿泊先のホテルの部屋で、さらに飲み直そうという話になったのですが</p><p>あるスタッフの部屋に入ったら、たまたまTさんがそこで酔っ払って眠っていたのだそうです</p><p>その日ずっとTさんの悪口を言い続けていたMさんは寝ているTさんを見た瞬間、酒の力もあってこいつめ、こいつめと寝ているTさんを蹴り始めたそうです</p><p>それを若手の俳優とスタッフで何とか止めて別の部屋に連れ出して、その晩は収まったのですが</p><p>翌朝スタッフの1人が、朝食に行こうとホテルのエレベーターに乗ると、Mさんも乗ってきました</p><p>Mさん、昨夜は大変でしたよ</p><p>と、スタッフが笑って言うとMさんは、</p><p>いやあ、ごめんごめん酔った勢いで、ついあんなことをしてしまったしかし、これもみんなTのやつが悪いんだよ</p><p>などと、まだTさんの悪口を言っています</p><p>さて、エレベーターは１階の食堂へ向かうはずだったのですが</p><p>スタッフとMさんの乗ったすぐ下の階で止まり</p><p>そこにTさんが１人で乗って来ました</p><p>と、スタッフさんが身構えます</p><p>狭いエレベーターの中は、そのスタッフさんと、機嫌の悪いTさん、Mさんの３人しかいません</p><p>このまま、何事もなく１階へ着いてくれと、スタッフさんは神に願ったのですが</p><p>Tさんが渋いバリトンの声で、そっと呟きます</p><p>おい、Mお前は判っているのか</p><p>Mさんは意味が判らず、</p><p>するとTさんは、まるでシェイクスピアの歴史悲劇でも演じているような、朗々とした様子で</p><p>昨夜、お前たちが部屋に入って来た時、実は私は起きていたのだ私が、そのままそこに居ると大変なことになるだろうと思い慌てて寝たりをしたのだよなのに、お前はそんな私を蹴ったないや、蹴った何度も蹴ったなしかし、私はここで起き上がると、とても深刻なことになるのではないかと思い、ジッと耐えておったのだよ</p><p>エレベーターの中が、ゾゾっと凍ります</p><p>そういう私の心をM、お前は判っているのかと聞いているのだ</p><p>スタッフさんは、早くこのエレベーター止まってぇぇと、必死になって耐えていたそうです</p><p>そのスタッフさんから、この話は聞きました</p><p>では明日も頑張ります</p><p>262．家族の時間・３　（香月重孝）</p><p>ふん何のことだ</p><p>香月のジッちゃんは、不機嫌な顔で孫娘を見る</p><p>はいお祖父様このサワークリームのサーモン、お好きだったでしょ</p><p>みすずは、笑って祖父に取り皿を渡す</p><p>私の好物ばかりよく覚えているな</p><p>大好きなお祖父様のことですから</p><p>私に媚を売っても、何も出ないぞ</p><p>いいえ、あたしはお祖父様のお世話をするのは大好きなんですこれからも、ずっとお側におりますからね</p><p>みすずは、ジッとジッちゃんの顔を見ていた</p><p>ですからご無理はなさらないで下さい</p><p>ジッちゃんは、みすずの言葉を無視して皿に乗せられていたフォークでサーモンを食べる</p><p>美味い料理人の腕は落ちていないな</p><p>お祖父様ちゃんと、みすずの顔を見て下さい</p><p>ジッちゃんが、みすずを見上げる</p><p>何を心配しているこの小僧とお前たちの関係は、認めてやった私自身も君たちの家族の一員となって、御名穂くんたちの活動のバックアップも約束するそれどころか、お前が将来香月家の当主になることも保証してやるみすずにとっては、何から何まで万々歳な結果ではないのか</p><p>みすずは、真剣な表情で言った</p><p>良すぎる結果ですお祖父様が、あたしたちにここまで譲歩して下さるとは、予想していませんでした</p><p>良すぎて不満なのかね</p><p>不満ではありません不安なんです</p><p>不安てみすず</p><p>御名穂くんがやって来たのも、同じ理由かね</p><p>ジッちゃんは、ミナホ姉さんの顔を見る</p><p>はい先程の香月様のお言葉は、信用しております香月様は、一度お約束下さったことを翻すようなお方ではございませんしかし</p><p>ミナホ姉さんも、ジッちゃんの眼を見る</p><p>わたしには香月様が、何かお急ぎになられているようにしか見えません</p><p>ほう御名穂くん君がそういう結論に達した理由を詳しく教えてくれないかね</p><p>ジッちゃんは、ニヤッと笑ってそう言った</p><p>はいまず、第一に香月様がご自分を標的になさって、このホテルに敵を招き入れようとなさっているということ普段、慎重でいらっしゃる香月様とは思えない行動だと思います</p><p>何香月セキュリティ・サービスに対するちょっとした監査だよ緊急事態で、彼らがどれだけ機能的に活動できるかの</p><p>警備会社の能力テストのためということでしたらシザーリオ・ヴァイオラの相手をさせるというのは問題だと思いますが</p><p>シザーリオ・ヴァイオラは、アメリカでも大物の犯罪集団のボスだ</p><p>人の命を奪うことに躊躇が無い</p><p>その上、その組織は謎だらけだし</p><p>相手にするには、危険過ぎる</p><p>劇場からあたしたちを先導した警備員たちは、ヴァイオラの手下に入れ替わっていました香月セキュリティ・サービスの中に、敵が浸透していたのは事実です</p><p>この件寧さんのことが、アメリカに居たヴァイオラに知れる前から進行していたとしか思えません</p><p>ええ寧の情報が漏れたことが、ヴァイオラが来日するキッカケになったのでしょうが事件の根は、もっと深いところにあると思いますわ</p><p>ジッちゃんは</p><p>クククッお前たちは鋭いな素晴らしい判断力だ</p><p>ワイングラスを手に取り、グイッと飲む</p><p>お祖父様の真意をお聞かせ下さい</p><p>みすずの言葉に、ジッちゃんはニッと微笑む</p><p>真意など無いよ私は、ここにこの場所に、シザーリオ・ヴァイオラという人間をやって来させたいだけだ</p><p>ヴァイオラを呼び寄せるために</p><p>ここは湾岸地区東京の外れだからなここなら多少の騒ぎが起きても、関係の無い人間を巻き込むということは無いホテル内に居るのは、香月セキュリティ・サービスの精鋭と工藤の雇ったプロばかりだシザーリオ・ヴァイオラとその一党とは、真っ正面から戦える</p><p>このホテル内に居るのは、戦闘要員ばかりではありません</p><p>ああ申し訳無いが、君たちには私と一緒に特等席で見物して貰う敵を引きつけるためには、これしか方法が無かった申し訳ない</p><p>いいえわたしも、いずれヴァイオラの襲撃を受けていたと思いますいつまでも隠れているわけにもいきませんでしたし</p><p>うんあのまま学校の中に隠れていても</p><p>ゴールデンウィークが終われば、通常通りの授業に戻るのだし</p><p>生徒が居る日中に、ヴァイオラの襲撃を受ければ一般生徒にも、大変な被害が及ぶことになったろう</p><p>ここで、香月様とご一緒に警護の中心に置いていただけることに、感謝しています</p><p>そう言って貰えると嬉しいよ</p><p>ジッちゃんは、フッと笑った</p><p>しかしお祖父様</p><p>みすずが、キッとした眼で祖父を見る</p><p>ここにお呼び寄せになられたのはあたしたちだけではございませんね</p><p>オレたちだけでは無い</p><p>この部屋に用意していただいているお料理の量あたしたちには、多すぎます</p><p>オレたちが、３倍の人数になっても食い切れないぐらいの量がある</p><p>それにあたしたちとお祖父様の交渉は、決裂する可能性もありました最初から、お祖父様があたしたちのためだけに、このお料理を用意させていたとは思えません</p><p>みすずは、自分の感じたことを一気に言った</p><p>いや例え交渉が上手くいかなくても、私はお前たちには食事を提供するつもりだったよ年頃の女性たちがひもじい思いをしている様子など、私は見たくないからな</p><p>ジッちゃんは、そう答える</p><p>だが、みすずの言う通りだこの食事は、お前たちだけのために用意させたものではない</p><p>やはり、私塾の方たちもお連れになっているんですね</p><p>私塾って</p><p>オレが尋ねると、みすずは</p><p>お祖父様がなさっている香月家の分家や、重役たちの子弟を集めた勉強会のことです</p><p>ああ劇場で、ジッちゃんの後ろにズラッと座っていた</p><p>エリート青年団か</p><p>ここに連れていらしたのは、司馬貴彦さんだけではなかったのですね</p><p>ああ２１人中、元から見込みの無い人間は帰らせた司馬貴彦も帰ったから、残りは１５人だな</p><p>あのエリートの連中が、１５人も</p><p>どうして、私塾の方々をこのホテルにお連れになったのです</p><p>あいつらがどれくらい肝が据わっているか見てみたくてね</p><p>ご冗談は止めて下さいみすずは、真剣にお尋ねしています</p><p>ムッとする、みすず</p><p>そうだな本当のことを言おう１５人の青年たちだけでなくその親も呼んでいる</p><p>１５人の中には兄弟も何組かいるから、親は９人だ全員、香月グループの重鎮だ貴彦の弟も居るから、司馬沖達くんも来る</p><p>司馬沖達って香月グループの中の新興派閥のボスだっけ</p><p>名目は白坂家との交渉だこれから、ここに白坂家の代表者が来て、私たちと折衝することは知っているな重役たちには、この機に白坂家の新聞社とテレビ局を解体し、香月グループに組み込む布石を作るとだけ言ってある私塾の連中には、勉強のために私たちの交渉を見ておけとしか伝えていない</p><p>つまりここにシザーリオ・ヴァイオラの強襲があることは、誰も知らない</p><p>そうか、だから</p><p>１階のロビーやお店は、通常通りの営業をさせているんだ</p><p>ホテルマンや店員を、全て香月セキュリティ・サービスの警備員に入れ替えてまで</p><p>９人のジッちゃんの部下の重役と、残り１５人の重役の息子たちに異常事態を気付かれないように</p><p>ちょっと警備体制が厳重に見えるだろうがマスコミ対策だと言っておけば、やつらは納得する何しろ、御名穂くんのお陰で白坂家は大変なことになっておるからな</p><p>テレビやネットでは白坂創介と白坂家に関するスキャンダルで大騒ぎになっている</p><p>その渦中で、白坂家の今後を決める会議を開くのだから警備が厳重でも、不思議には思われないだろう</p><p>しかし重役の中には、個別に香月セキュリティ・サービスと接触している方もおられるのではありませんか外国の犯罪集団が襲撃してくるという情報が、すでに漏れているかもしれません</p><p>みすずが、心配そうに言った</p><p>問題は無い私が、ここに居るんだ何者かの襲撃が予想されようとも、私がすでにここに居るということは、必ず敵を撃退する用意ができているということだなのに、敵を恐れて、私の招集命令に逆らう重役が居るとしたらそいつはクビだよそれに</p><p>ジッちゃんが、溜息を吐いてオレたちを見る</p><p>来ないやつは、自分が裏切り者だということを自ら示すことになる</p><p>ヴァイオラとすでに繋がっていて、香月セキュリティ・サービスに手下を送り込んできた日本側の協力者は</p><p>９人の重役たちの中に居ると、ジッちゃんは考えている</p><p>みんな、何があってもやって来るだろうよ今はまだ、自分が裏切り者であることを知られたくはないはずだからな</p><p>やっとジッちゃんの計画の全貌が見えた</p><p>ジッちゃんは、一気に香月グループ内の裏切り者を炙り出すつもりなんだ</p><p>そのために自分自身を囮にして、このホテルに関係者全員を集めようとしている</p><p>私塾の小僧たちを連れてきたのも、同じ理由だ息子は人質だよ子供のことを考えたら、襲撃があることが判っているとしても来ないわけにはいくまい</p><p>それがジッちゃんの計画</p><p>悪いが、君の復讐を利用させて貰うことにした</p><p>ジッちゃんが、ミナホ姉さんに言う</p><p>構いませんわわたしたちも、香月様の計画を利用させていただきます</p><p>ミナホ姉さんは、そう答える</p><p>お祖父様のお考えは、よく判りました</p><p>みすずが、ジッと祖父を見る</p><p>でもまだ半分しか、お答えしていただいていないような気がします</p><p>今は、これ以上は話せんな</p><p>ジッちゃんは、そう答えるだけだった</p><p>だから、みすずは</p><p>瑠璃子さんの初体験はお祖父様のお好みのシチュエーションでしていただけないでしょうか</p><p>驚くジッちゃん</p><p>判ったジッちゃんのお好みの場所、状況、衣装でやろう瑠璃子、こっちに来てくれ</p><p>オレは、瑠璃子を呼ぶ</p><p>瑠璃子は、美子さんと一緒にマルゴさんと話していた</p><p>あメグを囲む輪が大きくなっている</p><p>渚と真緒ちゃんに加えて克子姉と寧さんと麗華に関さんまでいる</p><p>メグ、こんなにみんなから心配されているのに</p><p>自分では、気付いていないみたいだ</p><p>どうなさいましたお兄様</p><p>スッとやって来る瑠璃子</p><p>歩く姿も上品だ</p><p>えっと、あのさ</p><p>こんな上品で可愛い子にこんなことを言うのは忍びないんだけど</p><p>瑠璃子とオレの最初のセックスなんだけどジッちゃんが色々と考えてくれることになったから</p><p>ああ、お祖父さんて呼ぶのは何か照れるから</p><p>瑠璃子は、ニコッと微笑んで</p><p>お兄様は、すっかりお祖父様と仲良くなられたのですね</p><p>嬉しそうに、そう言った</p><p>ああそれで、ジッちゃんに全部お任せしちゃってもいいか</p><p>大丈夫よ心配しないできっと、お祖父様がロマンチックな体験にして下さるわ</p><p>みすずもフォローしてくれる</p><p>瑠璃子は、オレとジッちゃんを見て</p><p>わたくし、セックスをするのは初めてですし全て、お兄様とお祖父様にお任せ致しますわ</p><p>ジッちゃんは感激している</p><p>みすずもお祖父様のお好みのセックスを御覧にいれますわ旦那様、よろしいですよね</p><p>ああ、毎回は困るけれどたまになら</p><p>お前たち</p><p>みすず、瑠璃子オレたちの子供は、ジッちゃんに名前を付けてもらおうと思うんだけどどうかな</p><p>賛成ですわっ</p><p>わたくしもですお兄様</p><p>２人はニッコリ微笑んで、答えてくれた</p><p>みすずお前、何歳で出産したい</p><p>大学の卒業後がベストですけれどいいえ、大学へ入ってしまったら、いつでもいいです</p><p>みすずが、言葉の途中で意見を変えたのは</p><p>ジッちゃんの年齢を考えたからだろう</p><p>ジッちゃんは８２歳だひ孫の顔を見てもらうなら、早い方が良い</p><p>じゃあ、オレが２０歳になったらにしよう後、４年頑張って生きて下さいねっ</p><p>オレは、ジッちゃんに言う</p><p>瑠璃子は、今すぐでも構いませんわ</p><p>セックスや妊娠のシステムを知らない瑠璃子は、平然とそんなことを言う</p><p>それはダメだ</p><p>何故です、お兄様</p><p>高校を卒業するまでは、学生生活を思いっきり楽しむそういう決まりなんだ赤ちゃんが産まれたら、世話をするのが大変なんだから</p><p>それがオレたちのルールだ</p><p>そうですわねでは、いつ赤ちゃんを産むのかも、お兄様にお任せします</p><p>瑠璃子は、天使のような純真な笑顔で微笑む</p><p>瑠璃子は、もうお兄様のものですから</p><p>本当にいいのだろうかこんな純真な子をオレのものにしてしまって</p><p>いや、絶対に他の子に渡す気は無いんだけれど</p><p>そういうことですからお祖父様は、お命は大切にして下さい</p><p>みすずは、笑ってジッちゃんにそう言う</p><p>口は笑っているが眼は、真剣だ</p><p>判った無茶はせんよ約束する</p><p>ジッちゃんは、約束してくれた</p><p>御名穂お姉様</p><p>突然みすずがミナホ姉さんをお姉様と呼び出す</p><p>これからは、お姉様と呼ばせていただきますですからお姉様も、これ以降は香月様ではなくお祖父様とお呼び下さい</p><p>家族が家族として結束するそこにしか、あたしたちの勝機はありません色々と複雑なお気持ちがあると思いますがよろしくお願いします</p><p>そうかミナホ姉さんの本当のお祖父さんは、黒森公之助だ</p><p>ジッちゃんを、お祖父さんと呼ぶのは抵抗があるのかもしれない</p><p>あのミナホ姉さんオレも本当のお祖父さんが居るからしかも、その人のことそんなに好きじゃなかったからお祖父さんて呼ぶのは、何かシクッと来なくてそれでジッちゃんて呼ぶことにしたんだ</p><p>オレはミナホ姉さんに、そう言う</p><p>だから、ミナホ姉さんも呼び方を変えてみたら</p><p>ミナホ姉さんは、ニコッと微笑んで</p><p>ありがとうでも、あたしは隠し子だったから生前の黒森公之助には一度も会っていないのよだから、あなたのような抵抗は無いわ</p><p>純粋に、今まで有力な顧客として対峙してきた香月重孝を、お祖父さんと呼ぶのに抵抗があるんだ</p><p>でもみすずさんの言う通りねあたしたちは、もっともっと結束しないといけないわねお祖父様、よろしくお願い致します</p><p>ミナホ姉さんは、ジッちゃんに頭を下げた</p><p>うむこちらこそ、よろしく頼む御名穂</p><p>ジッちゃんもくん付けを止める</p><p>こんな些細なことでも、お互いの壁を壊すことができる今は疑似家族、家族ごっこでしかないかもしれんがやがて強い絆になるだろう</p><p>はいわたしも努力致します</p><p>御名穂お姉様、こちらへ少し、ご相談したいことがあります</p><p>みすずが、ミナホ姉さんにそう言う</p><p>はいわたしも、あなたとお話したいことがあるわ</p><p>お祖父様、失礼致します</p><p>みすずとミナホ姉さんは、席を外す</p><p>２人で、壁際へ行って真面目な顔で、話し始めている</p><p>残ったのは、オレとジッちゃんと瑠璃子の３人だ</p><p>今の私の説明に満足しておらんのだよ２人とも</p><p>ジッちゃんが、苦笑する</p><p>あの２人は鋭い感性の持ち主だいや、いささか鋭すぎるな</p><p>確かにミナホ姉さんも、みすずも頭が良い勘も冴えている</p><p>問題点を見つけて、すぐに対策を考えついて、実行する行動力も持っている</p><p>そこへ行くとお前と瑠璃子は、少し鈍い</p><p>ジッちゃんは、オレを見る</p><p>いや鈍いことは悪いことではない鋭すぎる人間は、ついつい人に余計な傷を付けるからなお前や瑠璃子の鈍さが、あの２人の鋭さにブレーキを掛けることもあるだろうそれはそれで必要な力だよ</p><p>ああ、鋭い人間だけの集団は自滅する鈍い人間が重しになってこそ、集団は機能するんだ</p><p>そこへ美智が、皿を持って現れる</p><p>お話は終わりましたか</p><p>ああみすずとミナホ姉さんとジッちゃんと、ずっと話していたから</p><p>オレに近寄らないようにしてくれていたんだ</p><p>うん、もう終わった</p><p>美味しそうなものを選んで参りました</p><p>美智はオレのために料理を運んできてくれたんだ</p><p>ありがとう美智</p><p>オレは礼を言って、皿を受け取る</p><p>そういや、オレはまだ全然食べていない</p><p>フォークで魚のフライを刺して、食べる</p><p>そういや、ホテルの料理だもんな</p><p>美智が、まだオレの前に突っ立っている</p><p>あ、あのご主人様</p><p>オレの前に跪いて上目遣いで、オレを見る</p><p>もしかして頭を撫でて欲しいのか</p><p>オレに頭を撫でられるの気に入ったのか</p><p>えっとこの子犬娘は</p><p>そういう時は頭を撫でて下さいって、ちゃんと言うんだ</p><p>美智は、恥ずかしそうに</p><p>美智の頭を撫で撫でして下さいご主人様</p><p>ちくしょう可愛いなあ</p><p>この１５歳、中学３年生は</p><p>ほら、ここへ来い撫でてやるから</p><p>オレはお皿を置いてしゃがんで美智を抱き締める</p><p>そして、長い黒髪を撫でてやる</p><p>お前、オレにして欲しいことがあったら、すぐに言えよ無茶なことじゃなかったら、何でもしてやるんだから</p><p>ありがとうございますご主人様</p><p>そんなオレたちの様子を、微笑ましく瑠璃子が見ている</p><p>良かったですね美智さん</p><p>美智と瑠璃子は、同い年だからどっちも姉さんにはならないんだな</p><p>瑠璃子も撫でてやろうか</p><p>はい、後ほどお兄様のお食事が終わった後にお願いします</p><p>美智は、瑠璃子のその言葉でオレが食事の途中だったことを思い出す</p><p>あっお食事を、なさって下さいっ</p><p>サッと、オレから離れる美智</p><p>そんなに慌てなくてもいいよ美智も、また後で撫でてやるからな</p><p>さて食事に戻ろう</p><p>皿を取るとマナが来る</p><p>マナも持ってきてあげたよっそれ食べ終わったら、マナのお皿も食べてねっ</p><p>いやそれは助かるんだが</p><p>マナ何でお前、まだ裸なんだ</p><p>だって何か、また服を着るのがメンドくさくなって</p><p>マナは、もう秘部を隠していない</p><p>かわいいおっぱいも、股間も丸見えだ</p><p>えっといいのか、見えてるぞ</p><p>さっきは、ジッちゃんに見られるのを嫌がっていたくせに</p><p>今は、ジッちゃんの前でも平然としている</p><p>うんもう気にするのやめたマナのお祖父ちゃんなんだって考えたら別にいいかって気になって</p><p>こいつも割り切りが早いんだよな</p><p>お祖父ちゃん、エッチな眼でマナのことを見てもエッチはできないんだしそんなら、少しサービスしておこうかなって</p><p>うん、それは実に良い考えだと思うぞ</p><p>ジッちゃんが、嬉しそうにそう言う</p><p>それにこういう時に少しでも、アピールしておかないとさっ</p><p>マナが、オレに肌を擦り付ける</p><p>魅力的なお姉ちゃんが、いっぱいいるんだもんマナ、負けちゃうでしょ</p><p>マナは、オレへ自分のセクシーさをアピールしているつもりらしい</p><p>マナ今、ご飯食べているんだからオレの眼の前で、乳首をチラつかせるな</p><p>もうご飯と一緒に、マナも食べてよっ</p><p>そんなことよりお前、早く服を着ないと大変なことになるぞ</p><p>えっ、何で</p><p>並んでいる食事の量を見てみろよオレたち用にしては多すぎるだろ</p><p>マナが、テーブルの方を見る</p><p>そう言えばそうかも</p><p>これから、他の人たちも食いに来るらしいぞ</p><p>他の人って</p><p>ほら、劇場でジッちゃんの後ろにズラッと並んでいた高そうなスーツを着ていた</p><p>えっ、あのお兄さんたちここへ来るの</p><p>驚く、マナ</p><p>そうだなそろそろ、あいつらも呼んでやらんといけないな</p><p>ジッちゃんが、とぼけた感じでそう言った</p><p>えー、うっそ</p><p>本当だよだから、急いで着て来い</p><p>慌てて自分の脱いだドレスのところに走っていくマナ</p><p>ふむ、面白い子だな</p><p>ちょっとあいつは、品の無いところがあるから瑠璃子、真似しちゃダメだぞ</p><p>裸でうろつくとかダメだからな</p><p>はい瑠璃子は、お兄様にしかお見せ致しませんっ</p><p>瑠璃子は品はあるんだが少し固すぎるんだよな</p><p>まあ、それが瑠璃子らしさなんだからいいけれど</p><p>もうっヨシくんのバカっバカっオチンチンっ</p><p>メグどうした</p><p>そんなに赤い顔をして</p><p>そんなにその子がいいのっいいわよっどうせ、あたしはお嬢様じゃないもんっあたしは、他の子よりも綺麗じゃないんだからっ</p><p>誰ですかメグにお酒を飲ませたのは</p><p>あ後ろで、寧さんがワインのボトルを持って立っている</p><p>オレの方に向かって、ごめんと頭をペコペコ下げている</p><p>寧さんか</p><p>これ相当、飲んでいるよな</p><p>もう、あたしのことなんて、嫌いになっちゃったんでしょっ</p><p>半べそでメグは叫んだ</p><p>えー、前に付き合っていた彼女が酒乱でした</p><p>一番酷い時は、飲み屋の他の客にケンカを売ってました</p><p>謝るのが大変でした</p><p>酔っている時の記憶が無いから、私の苦労はあんまり判って貰えませんでした</p><p>私はそんなに酒に強くないので、そもそも記憶を無くすほど飲めません</p><p>基本的に、みんなから会計してお店に払って、おつりを返す係でしたし</p><p>あの子今は、どこで飲んだくれているのでしょうね</p><p>結局、夏休み期間は何もしないまま終わってしまいました</p><p>明日から、仕事再開です</p><p>ずっと宿題になっている、最新の登場人物リストも終わってないし</p><p>263．家族の時間・４　（恵美とみすず）</p><p>酔っ払っているメグは、いつもとは全然様子が違う</p><p>もおっ、ヨシくんのバカバカ、バカ、バカうわぁぁーん</p><p>メグは、大きな声で泣き出した</p><p>その場にうずくまる</p><p>ちょっと大丈夫か</p><p>オレもしゃがんで、泣いているメグを覗き込む</p><p>近寄らないでよ、バカァ</p><p>嘘、嘘もっと、こっちに来てぇギュッとしてぇヨシくん</p><p>今度はオレに抱きついて来る</p><p>チューしよ、チューチューしたいのぉぉ</p><p>メグの唇がオレの唇を塞ぐ</p><p>メグの息は、ワインの香りがする</p><p>オレの口に入れられた舌も、ワインの味がした</p><p>どれだけ飲んだんだ</p><p>好き好き好きなのぉぉメグが一番、ヨシくんのこと好きなんだからぁぁ</p><p>とろんとした眼で、オレに言う</p><p>メグねヨシくんのこと、監禁したいロープで縛って、どこにも行かれなくするのご飯もおトイレも、メグがお世話するの夜はメグが、抱き締めてあげるからヨシくん、メグの抱き枕なんだよ</p><p>この酔っ払いは、どこまで暴走するんだ</p><p>もう、離さないんだからっ誰にもあげないのヨシくんは、メグのなんだからメグだけ見ていてよ</p><p>またオレの口に、メグの熱いキスが</p><p>ぷはっメグ、ヨシくんとチューするの大好きずっとしていたいよぉぉ</p><p>どれだけ溜め込んでいるんだよ、メグ</p><p>内面に澱んでいた感情が、一気に放出されている</p><p>あそっか</p><p>実際には、メグはそんなに飲んでいないな</p><p>こんな短時間で泥酔するのは無理だし</p><p>そもそも、そんな大量のワインを寧さんが開けているはずがない</p><p>実際には、３、４杯がいいとこだろう</p><p>ただ、メグは</p><p>酔っているという名目を求めていた</p><p>酔ってしまったから、オレに甘えてしまっていると自分に言い訳できるから</p><p>それで数杯のワインをあおっただけで、泥酔した気分になっているんだ</p><p>なぁによぉ</p><p>可愛いな、メグは</p><p>もぉぉ、みんなにそう言ってるんでしょメグは、可愛くないわよっ他の子の方が、もっともっと可愛いんだから</p><p>メグのコンプレックスは、根深い</p><p>単純な容姿の問題じゃないもんな</p><p>メグは山峰家という、庶民の家で育った</p><p>家は古かったし、決して裕福な家じゃない</p><p>その上、白坂家という金持ちの親族からずっとイジメられてきた</p><p>良家に対してはコンプレックスがある</p><p>何よ、みすずさんとか瑠璃子さんにデレデレしちゃってさいいのよあたしは、あんなお姫様じゃないものヨシくんは、お姫様のところへ行っちゃえばいいのよっ</p><p>さらに瑠璃子たちの家族参加で、色々と事情が変わった</p><p>これまでの黒い森はミナホ姉さんたち、元々からお屋敷にいる人たちに、オレやみすずやメグやマナが付け加えられただけだった</p><p>みすずとマナは、オレの女になったということで黒い森に特別に加えてもらっていたような感じだったけれど</p><p>メグはお屋敷生まれだから最初から、ミナホ姉さんたちに近い立場だった</p><p>ところが、瑠璃子たちの参加で今、この場に居る女たちに三つの系統が生まれてしまった</p><p>１．元からの黒い森のメンバー　ミナホ姉さん、克子姉、渚、マルゴさん、寧さん</p><p>２．白坂家絡みの人間　メグ、マナ、そして家族じゃないけれど雪乃</p><p>３．香月家の関係者　みすず、瑠璃子、美智、麗華そして、まだ家族じゃない、関さんと美子さん</p><p>かつては、オレの女の1人、あるいは渚の系列でしかなかったみすずが香月家の人々を連れて来て、一気に大派閥の長になってしまった</p><p>みすずには、そういうつもりは無いんだろうけれどメグには、そう見えるのだろう</p><p>しかも、ジッちゃんまで家族入りしたから</p><p>香月家派閥が、黒い森の中で大勢力になったことは間違いない</p><p>メグとしては自分の立場が急激に低下しているような気がするんだろう</p><p>メグだって、お姫様だよオレにとっては</p><p>嘘よあたし、可愛くないもんっ</p><p>可愛いよメグ</p><p>オレは、メグの背中を擦ってやる</p><p>子供をあやすみたいに言わないであたし、美智さんじゃないんだからっ</p><p>メグは難しいな</p><p>ごめんな</p><p>何がよ</p><p>年下の子や、年上の人だとどうしたら良いのか、何となく判ってきたんだけど</p><p>オレはメグの眼を見る</p><p>同い年の同級生だとどうしたらいいのか、判らなくなる時があるんだ</p><p>甘えればいいのか受けとめればいいのか</p><p>なかなか難しい</p><p>メグは、ツンとした顔でオレを見て</p><p>そんなのヨシくんの好きにすればいいのよっ</p><p>そんなこと言われてもオレの好きにやったら、メグはきっと不満だろう</p><p>今だって、こんなに感情を溜め込んでいたんだし</p><p>どうしたらメグは満足してくれるんだろうか</p><p>もうさ、メグお姉ちゃんがあんまりガタガタ言うようならさ、お兄ちゃん、お隣の部屋でエッチしちゃえばいいじゃない</p><p>急いでドレスを着たマナが、戻って来てそう言った</p><p>やっぱり、メグのことは気になるらしい</p><p>今まで、メグがマナのことをずっと気遣っていたから今度は、マナがメグを心配している</p><p>っていうかマナ</p><p>お前また、ドレスだけ着て下着を付けていないだろう</p><p>エッチしたらさ、だいたいの場合、ゴタゴタした気持ちはブッ飛んじゃうんだからさっ</p><p>マナの言葉に、メグがオレを見る</p><p>あたしはいいよヨシくん、隣の部屋行く</p><p>行かない</p><p>何でよっ</p><p>今、セックスで嫌な気分を解消しちゃうとメグがまたセックスに溺れちゃうだけになるから</p><p>いいじゃない溺れたって</p><p>メグが、熱い眼でオレを見る</p><p>オレはそういう後ろ向きのセックスはしたくないよ</p><p>現実逃避のための暗いセックスじゃなくってメグとは、明るくニコニコしてセックスしたい</p><p>メグは、オレの奥さんになるんだろ</p><p>ヨシくんの奥さんはメグよりも、みすずさんの方がいいんじゃない</p><p>メグはオレの奥さんになりたくないのか</p><p>なりたいよでも</p><p>みすずに対するコンプレックスがメグを押し潰そうとしている</p><p>なら、頑張れ諦めるな</p><p>だってあたし、みすずさんに勝てるところなんて一つも無いから</p><p>うつむくメグ</p><p>美人じゃないしお嬢様じゃないし日本舞踊だって踊れないし</p><p>でもメグは走れるだろ</p><p>メグが陸上をやっている姿は格好良くて好きだよメグの走っている姿は、綺麗だと思う</p><p>陸上の格好で、セックスする</p><p>馬鹿そういう意味じゃなくってメグにはちゃんと、メグの魅力があるんだよ</p><p>うんこれは、ちゃんと解消しとかないといけないな</p><p>みすずちょっと来てくれ</p><p>オレは、みすずを呼ぶ</p><p>ミナホ姉さんと話していた、みすずがこっちへ来る</p><p>はい、何です旦那様</p><p>オレは、メグを抱き締めたままみすずに言った</p><p>メグは、みすずにコンプレックスがあるらしいんだみすずが、綺麗でお嬢様だから</p><p>ヨシくんちょっと待って</p><p>本人の前で言われて、メグが慌てるが</p><p>オレは両腕でメグをギュッと掴んで、逃がさないようにする</p><p>だから、この際、はっきりさせておこうと思ってみすずも、メグにコンプレックスがあるだろう</p><p>オレは一か八か、そう言ってみた</p><p>いやみすずなら、判ってくれる</p><p>はいみすずにも恵美さんへのコンプレックスがあります</p><p>みすずさんどうして</p><p>あたしはただの女の子です普通の家の</p><p>はいですから、あたしは恵美さんには敵わないことがたくさんあるんです</p><p>みすずはメグにニコッと微笑む</p><p>みすずは、ずっと女子校生活ですし満員の電車やバスに乗ったことはありません普通の女子高校生がするみたいなことはそんなに知りませんから</p><p>みすずは超名門のお嬢様女学園に通っている</p><p>ですから旦那様と上手く生活ができるかどうか、とても心配なんです旦那様は、あたしに気を遣って下さって、あたしの生活の方に一生懸命合わせて下さるような気がしてとても、申し訳無いんです</p><p>みすずの言葉をメグは、ジッと聞いている</p><p>多分、恵美さんとの交際が旦那様にとっては、高校生らしい普通の恋愛なんだと思いますみすずはどうしても香月の家からは離れられませんからあたしは旦那様に、普通の高校生の恋愛は体験させてあげられませんあたしは、恵美さんがとても羨ましいんです</p><p>あたしは旦那様の同級生にはなれません学園祭も体育祭も恵美さんは、修学旅行も旦那様と一緒に行かれるんですよね</p><p>そうだ、そんなイベントもある</p><p>学校帰りに、２人でアイスクリームを食べながら歩いたりするんですかみすずは、そういうのがとっても羨ましいです香月の家の娘は、制服姿で買い食いとかできませんから</p><p>寂しそうに、みすずは微笑む</p><p>みすずのできないことを恵美さんは、旦那様にしてあげて下さいお願いします</p><p>みすずさんごめんなさい、あたし</p><p>メグは泣き出す</p><p>みすずみすずの学校の学園祭も体育祭も、オレ観に行くから応援する</p><p>はい、家族用のチケットをご用意致しますね</p><p>修学旅行も全部の日は無理だけど、１日ぐらいなら追っ掛けて行くよ自由行動の日があるだろ</p><p>うん１日学校をサボってでも、みすずのために行ってやりたい</p><p>旦那様ありがとうございますでも</p><p>いや、どこでも行くよみすずの学校の修学旅行ってどこへ行くの京都まさか、沖縄とか</p><p>イタリアです</p><p>い、イタリア</p><p>イタリアって、日帰りできたっけ</p><p>直行便で１２時間ぐらいですわ</p><p>えっと修学旅行って、一週間ぐらい行くんだよね</p><p>じゃあ、日曜日を入れれば何とか、往復できるよ</p><p>それではイタリアには、何時間も居られませんよ</p><p>いいよ、みすずと旅行先で一緒に歩きたいだけだから</p><p>泣いていたメグが、顔を上げる</p><p>みすずさん、ごめんなさいあたし、もう我が儘は言いません</p><p>いや、メグ、我が儘はいっぱい言ってくれメグの場合は、溜め込まれる方が困る</p><p>そうですよ、恵美さん旦那様は、あたしたちの我が儘は何でもきいて下さいますからねっ</p><p>何でもは困るけれどまあ、いいか</p><p>みすずさんいいえ、みすずお姉さん</p><p>メグはみすずを姉と呼ぼうとする</p><p>いいえ、恵美さんあたしのことは、お姉さんと呼ばないで下さい</p><p>みすずは、優しく微笑んでそう言った</p><p>みすずは、恵美さんとは対等なライバルでいたいんです</p><p>ライバル</p><p>はい旦那様の奥さんとしてのライバルです</p><p>ニコッと笑う、みすず</p><p>恵美さんはとっても手強い相手ですけれどみすず、負けませんからっ</p><p>恵美は、それでも自分に自信が無いようだった</p><p>みすずは、毎日ずっと旦那様と一緒に居ることはできませんでも、恵美さんは学校も教室もずっと同じで旦那様と高校生らしい普通の恋愛生活をなさっていてとても大きなハンデですが、絶対に負けませんみすずは頑張ります</p><p>みすずは自分の名家の娘としての価値よりも、恵美のオレと普通の高校生活を送れるということが遥かに大きな価値があると言ってくれた</p><p>恵美の方が、オレに近いと</p><p>判りましたあたしも負けませんっ</p><p>みすずの言葉に、ようやくメグは心の曇りを吹っ切ったらしい</p><p>強い眼で、みすずに誓う</p><p>それでこそ恵美さんですあたしのライバルです</p><p>みすずは、恵美に手を差し出す</p><p>２人の少女が握手する</p><p>ふむ青春しとるな、お前たち</p><p>ジッちゃんがオレたちを見て、そう言った</p><p>恵美は、みすずが連れて行った</p><p>改めて、瑠璃子や麗華たちと話している</p><p>さっきまでは、不機嫌だったメグはみすずの仲介で、みんなと打ち解け合っている</p><p>助かりましたみすずのおかげです</p><p>そうかな私は、お前の力だと思うが</p><p>いや、オレは何もしていないじゃないですか</p><p>まあそう思っておるのなら、それでいい</p><p>麗華が、こっちへやって来る</p><p>閣下、家族というものがこんなに楽しいものだなんてわたくし知りませんでしたわ</p><p>閣下はやめろお祖父ちゃんだ</p><p>はいお祖父ちゃん</p><p>恥ずかしそうに、麗華が言った</p><p>うむ麗華くんの様な美人から言われると、身体がゾクゾクするな</p><p>ジッちゃんは、満足そうにそう言った</p><p>では、もっと言いますお祖父ちゃんっ</p><p>私のことはいいから早く、この小僧とも家族になってやれ</p><p>麗華は、きょとんとしてオレを見る</p><p>主様は主様ですが</p><p>判っておらんようだな麗華くんは、妹がたくさんできたことに喜んで、肝心要のこいつとは家族になっておらんよ</p><p>そうでございましょうか</p><p>ああだいたい、麗華くんはこいつの妻になるのか、それとも姉になるのかどっちにするんだね</p><p>そうでございますね他の家族の皆様は、明確に決めていらっしゃるのですね</p><p>そうだみんな自分とオレとの関係を自分なりに決めている</p><p>でも、美智ちゃんは主様のことをご主人様と呼んでいらっしゃいますが</p><p>あの娘は、マゾなんだよこいつに犬の様に所有されたいと願っているのだから、あれでいいんだ</p><p>ジッちゃんは、そう言った</p><p>では、わたくしはどう致しましょうか主様のご希望は</p><p>正直オレも困っている</p><p>麗華は克子姉や渚よりも年長だけど</p><p>全然、姉さんぽくないんだよな</p><p>だからって、妻って感じでもないし</p><p>いや、この人の率直さやさっぱりした性格は、愛すべきものだと思っているし</p><p>オレたちの家族に入って貰ったことに、後悔は無い</p><p>ただオレとの関係がしっくり来ない</p><p>それが解消されないと</p><p>この人とは、セックスできないような気がする</p><p>おいおい、こいつにそれを言うのは可哀想だぞ麗華くんが自分で決めて、こいつに提案すべき事柄だぞ</p><p>ジッちゃんが、そう言ってくれた</p><p>そうなのでございましょうけれどわたくし、男性との交際経験がまったくありませんから</p><p>麗華は、困っている</p><p>それは時間を掛けて少しずつ、信頼関係を作っていきましょう</p><p>オレは、麗華にそう言った</p><p>信頼はしておりますわ主様は、わたくしたちを見捨てて、戦場から逃げ出すような方ではありませんから</p><p>あの戦場での信頼ではなくて男女関係にも信頼というのがあるんです</p><p>オレは何とか説明しようとするが、上手い例えが思い付かない</p><p>麗華くんはこいつとセックスすることは承諾しておるのだよな</p><p>オレの代わりに、ジッちゃんが麗華に尋ねた</p><p>はいいつでも構いません</p><p>しかし君は、男性に身体を触られるのは初めてだろう抵抗は無いのかね</p><p>我慢致します歯医者さんに行ったと思って</p><p>歯医者</p><p>麗華にとっては、オレとのセックスは歯医者の治療と同じレベルなのか</p><p>それでは信頼関係があるとは言えんよおい、寧、こっちへ来てくれ</p><p>ジッちゃんが、寧さんを呼ぶ</p><p>どうしたのあっ、ヨッちゃんごめんねぇまさか、メグちゃんがあんなに酔っ払っちゃうとは思わなかったからそんな大して飲ませたつもりは無いんだけど</p><p>いや、メグの場合は、本人が酔っ払いたがっていたから</p><p>数杯のワインでも充分だったんです</p><p>わびの代わりにその大きなおっぱいをこいつに揉ましてやってくれこいつは、寧の胸が触りたくて仕方ないそうだ</p><p>おいおいジッちゃん</p><p>えー、何だそうだったのヨッちゃん、あたしのこと触りたかったら、いつでも触っていいのにっ</p><p>どうしたのっ恥ずかしい</p><p>じゃあ、あたしが先に抱き締めてあげるねっ</p><p>寧さんが、オレをギュッと抱き締める</p><p>寧さんの豊満な胸にオレの顔が埋まる</p><p>うふふ可愛いっ</p><p>優しい笑顔で、オレの頭を撫でてくれる寧さん</p><p>麗華くんこれが男女間の信頼関係というものだ</p><p>ジッちゃんが言った</p><p>見てみたまえこいつも彼女も、肉体の接触に全然拒絶反応が無いだろう</p><p>確かに、おっしゃる通りでございます</p><p>麗華は、興味深そうにオレたちを見ている</p><p>もおっ、ヨッちゃんお姉ちゃんが抱き締めてあげている時は、お姉ちゃんにだけ注目</p><p>寧さんが、オレを叱る</p><p>よろしいっおっぱい揉む</p><p>オレは寧さんの胸に手を当てて、揉む</p><p>でかい柔らかい</p><p>みすずやメグとは、レベルが違う</p><p>つるぺたの美智に至っては、次元が違う</p><p>美智の胸は２次元で寧さんの胸は、ハイパー３次元だ</p><p>いや、自分でも何を言っているのかよく判らないが</p><p>直接触りたい脱ごうか</p><p>寧さんは、そう言ってくれるが</p><p>いえこのままで結構です</p><p>何かマヌケだが寧さんに抱き締められたまま、寧さんの胸を揉むオレ</p><p>うふふんっ</p><p>ヨッちゃんがあたしの腕の中にいてあたしの身体を求めてくれてるあのねあたし</p><p>寧さんが、オレの耳にそっと囁く</p><p>今、濡れちゃてるよ、アソコ</p><p>なるほどわたくしも、この様な境地にならないといけないのですね</p><p>麗華境地って</p><p>ああ麗華くんは、まだまだ心に壁が多すぎる家族の前では、そんな壁は無用だ特にこいつに対しての壁は大きく残っている</p><p>判りましたご指導ありがとうございます</p><p>麗華にとっては、恋愛やセックスも何かの道なのか修行なのか</p><p>はぁ大変だな、この人も</p><p>うちの家族で何とかしてあげないといけないよな</p><p>もおっ、また他のこと考えているっ</p><p>寧さんが、ムッとしてオレに言う</p><p>もうっ、キスしちゃうんだからっ</p><p>そして、寧さんがオレにキスした</p><p>あー、寧さんがお兄ちゃんとキスしてるぅぅ</p><p>うはっ、ホントだっ</p><p>マナと真緒ちゃんが、やって来る</p><p>あたしも、あたしも</p><p>真緒にもしてっ</p><p>子供か、お前ら</p><p>いや、本当に子供だけど</p><p>１４歳と３歳か</p><p>しょうがないなはいっ</p><p>寧さんも妹には弱い</p><p>オレのことを離してくれる</p><p>はい、お兄ちゃんっ</p><p>マナが、オレにキスをする</p><p>当然の様に舌も入れてくる</p><p>こいつの性感は、どんどん開発されていっている</p><p>いいのか、こんな中学２年生で</p><p>ああん、真緒も、真緒も</p><p>真緒ちゃんにはほっぺたにキスしてあげた</p><p>えー、真緒もお口にブチュッていうのがいいっ</p><p>真緒ちゃんは、そう言うが</p><p>前は、してくれたじゃん</p><p>うん前にお屋敷の風呂場で、真緒ちゃんとキスしたことがある</p><p>でも、あの時と今ではオレの中の決意が違う</p><p>オレは真緒ちゃんのパパになるんだ</p><p>これ以上は、いけない</p><p>真緒お口のキスは、もっと大人になってからね</p><p>渚が娘にそう言ってくれた</p><p>４歳になったらいい</p><p>そうね１２歳ぐらいかな</p><p>そんなの真緒、おばあちゃんになっちゃうよぉぉ</p><p>真緒ちゃんは、部屋中の女たちを敵に廻す様なことを言う</p><p>可愛いっ可愛いですっ</p><p>麗華だけは、ニコニコしてムッとしている真緒ちゃんを抱き締める</p><p>そんな顔しないで、麗華お姉ちゃんがキスしてあげますっ</p><p>麗華が真緒ちゃんにキスをする</p><p>ちょっと麗華お姉さん</p><p>慌てる渚</p><p>家族ですから</p><p>麗華は、澄まし顔でそう言った</p><p>突然、部屋のドアがガチャっと開いた</p><p>やっぱり、こんなところにいらっしゃった</p><p>ゾロゾロと入って来る高級スーツに身を包んだ若い男の一団</p><p>ジッちゃんの私塾の連中か</p><p>やれやれ見つかったか</p><p>ジッちゃんは不機嫌な顔をする</p><p>何だ食事があるじゃないですか</p><p>これって、オレたちもご相伴させていただいて構わないですよね</p><p>何か、すっげぇ綺麗なお姉さんばっかり居るじゃないですか</p><p>さっすが閣下のご趣味は素晴らしいですね</p><p>許可も得ずに、わらわらと入って来る男たち</p><p>何なんだこいつらは</p><p>メグも何とか治まりました</p><p>こういう作品だと、物分かりの良い女の子ばかりになるんですけれど</p><p>手間の掛かる女の子も可愛いんですよね</p><p>メグは普通の子なので色々大変です</p><p>普通って言うなあ</p><p>今日から、通常のお仕事です</p><p>はぁ暑そうだなあ</p><p>264．私塾のやつら</p><p>みすずがオレに寄って来る</p><p>今、騒いでいる人たちのことは気にしないで下さい奥の人が、わざとやらせています</p><p>オレの耳にそっと囁く</p><p>一番奥に居る背の高い人が、香月操さんお祖父様の上の弟の孫です</p><p>確かに、落ち着いた様子でオレたちを観察している男がいる</p><p>そのお隣が、操さんの弟の昴さんです今、騒いでいる人の真ん中に居るのが香月仁さんこの方は、お祖父様の下の弟さんの血筋になります仁さんの脇にいるのが、夏木惇さんお祖父様の妹の孫ですこの４人が香月家のプリンスたちと呼ばれています</p><p>操さんの周りに集まっている方たちが、操さんの派閥の人たちです惇さんのお隣にいるのが角田文和さん操さんの後ろにいらっしゃるのが、虎田知徳さん、谷楽進さん、大張遼さん 、嘉田奉孝さんみなさん、香月グループの昔からの重役の息子さんです</p><p>香月家のプリンスたちを中心として派閥を形成している</p><p>それと廊下の外にいらっしゃる方たち</p><p>うん、部屋の入り口付近に固まっている香月操の一派とは別に</p><p>ドアの外に、別の集団がいるのが見える</p><p>あちらが最近になって香月グループの中で台頭してきた、新興勢力の人たちの息子さんです司馬アキラさん貴彦さんの弟華岡侘介さん、孔守融さん、河藤晃司さん、香月健思さん健思さんは香月家の分家の出身ですが、操さんを嫌ってこちらの派閥についていらっしゃいますそれから、高木風太さん</p><p>ジッちゃんの私塾の１５人はプリンス派の９人と新興グループの６人に分かれているのか</p><p>親と同じで、子供たちも派閥を作って対立している</p><p>誰がここに入っていいと言った</p><p>ジッちゃんが強い眼で騒いでいる青年たちを睨み付ける</p><p>お、お祖父様それは、その</p><p>香月仁が、慌てふためく</p><p>お前は、私の弟の孫だろう私の孫ではない</p><p>ジッちゃんは、冷たくそう言った</p><p>いや僕は、実の祖父の様に閣下を敬愛しておりますので</p><p>嫡流でなければ、血族も臣下それが、香月家の定めだ私は、お前みたいな若造ごときに敬愛される程、落ちぶれてはおらんよ</p><p>ジッちゃんの言葉に香月仁は、黙り込む</p><p>仁、閣下に謝罪しろ</p><p>背後から、香月操が言った</p><p>わたくしからもお詫び致しますご無礼を致しました</p><p>香月操は、スッと頭を下げるが</p><p>それはポーズだけで、心の中では何とも思っていないことが態度で判った</p><p>こいつ嫌なやつだ</p><p>も、申し訳ございません閣下</p><p>香月仁も、頭を下げる</p><p>いや、仁だけではありません我々も、いささか礼を失した態度でした申し訳ございません猛省致します</p><p>そう言ったのは夏木惇か</p><p>この人が、一番年長に見えるそれでも２０代の前半だろう</p><p>夏木惇の謝罪には、心があるように見えた</p><p>ちゃんと心から謝罪と反省をしている</p><p>お前たちをここに連れてきたのは、誰だね</p><p>ジッちゃんが、私塾の若者たちに尋ねた</p><p>私でございます</p><p>廊下の外から、女の声がする</p><p>と、青年たちを掻き分け１人のタイトスカートに銀縁眼鏡の女性が、部屋の中に入って来る</p><p>君かね須藤くん</p><p>ジッちゃんは、憎々しげにそう言った</p><p>はい香月会長の秘書として、私がご案内致しました</p><p>どうして私に確認を取らなかった</p><p>タイム・スケジュール通りに行動致しましただけでございますが</p><p>眼鏡の女性秘書は、ツンとした態度でそう言った</p><p>多少の時間のズレなど、どうでもいいことだ</p><p>ジッちゃんは、そう言うが</p><p>すでに予定時間を２０分オーバーしております私の職業倫理では、２０分オーバーというのは多少の時間のズレではございません今後のスケジュール進行に、多大な影響を及ぼしかねませんから</p><p>この女性は香月家の当主であるジッちゃんの意志より、タイム・スケジュールの方を優先するというのか</p><p>一応、聞いておくが君の作った予定表では、今の時間は何になっているのかね</p><p>女秘書は、答えた</p><p>私塾の方々とのお食事・懇親会ということになっています</p><p>ふんだから君は、彼らを連れて来たのかね</p><p>はいこの時間は４５分に設定しておきましたが、すでに２０分オーバーです残り２５分でお食事していただかないと、次のスケジュールに響きます</p><p>女秘書は、平然とそう言った</p><p>ジッちゃんは、みすずを見る</p><p>みすず覚えておけ大きな企業の秘書となると、彼女の様な勘違いした人材も現れるもっともこれは、こういう人間に自分のスケジュールを任せきりにして平気でいられる鈍感なジィさんが、重役連中の中に多いからだがな</p><p>ムッとする女性秘書</p><p>悪感情が、完全に顔に出ている</p><p>私の作成したタイム・スケジュールには、会長もご承認下さったはずです</p><p>ああ、確かに私は承認しただから、私は自由に予定を変更する権限も持っている</p><p>静かにジッちゃんは、言った</p><p>須藤くん君は、この４月に私の秘書になったばかりだったね</p><p>はい４月１日より、香月会長付けとなりました</p><p>君を推薦してきたのは秘書課長の虎田くんだが彼も固すぎる男だからな</p><p>どういうお話でしょうか</p><p>ツンとしたまま、須藤秘書は言った</p><p>君を解任する本社に戻り給え</p><p>冷たい眼で、ジッちゃんは言った</p><p>不当解雇なさるおつもりですか</p><p>何だ、君は耳も悪いのか私の秘書の任を解くと言っているんだクビにするとは言っておらん本社に戻って、誰か無能な重役の秘書になりたまえ君には、私の秘書は勤まらんよ</p><p>ジッちゃんの言葉に、須藤秘書は</p><p>はい、私もそう感じておりました会長の様な、身勝手な方が相手では、秘書の仕事なんてやっていられませんわっ行き先を教えて下さらない、タイム・スケジュールは守らない他社の重役との会食の予定も、何度もキャンセルなさって私が先方に何度、お詫びの連絡をしたことか</p><p>そこで、キレるのかおい</p><p>会長は、私が作った綿密な予定を全て無駄にしてしまわれました私の方こそ、我慢ができませんっ</p><p>ジッちゃんがフンと鼻を鳴らす</p><p>気が変わった君を解雇する</p><p>横暴です私訴えますからね</p><p>怒る須藤秘書に、ジッちゃんは</p><p>先に言っておくが君の推薦者、上司、それから君が入社した時の保証人、全てにペナルティを支払って貰う君のご両親は、長野で精密部品の製造業を営んでいるのだったな</p><p>どうして、そんなことを</p><p>フッと笑うジッちゃん</p><p>私は、自分の部下の資料は必ず読み込むよ妹さんは、まだ女子大生だったね弟さんは、高校で軟式野球をやっているはずだ</p><p>黙り込む須藤秘書</p><p>君のお父さんの会社に圧力を掛ける取引先には、全て手を切らせる君のお父さんには、製品を作るための材料すら手に入らないようにする銀行にも貸付金を回収する様に指示する月末には、君のお父さんの会社は潰れることになるが、仕方無いことだ</p><p>な何をおっしゃっているんですか</p><p>怯える秘書</p><p>香月重孝を怒らせるということが、どういうことなのか身を持って、知り給え</p><p>そ、それって脅迫じゃないですか</p><p>脅迫では無い香月重孝がやると言っているんだ速やかに実行されることだよ</p><p>ジッちゃんはニッと微笑む</p><p>わ、私本当に警察に訴えますからねいいんですね私、マスコミの知り合いだっているんですからね</p><p>マスコミの知り合いなら、私にだって居るよそもそも、大手マスコミの何社かは、私の支配下にある私は大株主だからね</p><p>そそんな</p><p>君の様な身の程知らずの秘書を相手するのは、初めてだったからね楽しく遊ばせてもらったが、もう１ヶ月だそろそろ飽きたよ次の秘書は、もう少し仕事のできる仕事の判っている人に来て貰うことにしよう</p><p>そしてジッちゃんはゴミを見るような眼で、須藤秘書を見る</p><p>さっさと帰り給え本社へ戻って、私物をまとめるんだそして、香月重孝を怒らせてしまったことについて、周囲の人間に相談してみたまえ自分が何をしでかしたのかじわじわと判ってくるだろう怖くなるのは、それからだよ</p><p>私負けませんからっ</p><p>須藤秘書は、ジッちゃんを睨んでいる</p><p>何にだね勝つも負けるも無いよ私と君の間には、勝負なんて成立しないのだから</p><p>私は会長が私に何をしようとしても、絶対に成功してみせますいつか、見返してやりますからっ</p><p>ジッちゃんは、大声で笑う</p><p>彼女を嘲笑う</p><p>では君のせいで、君の推薦者たちや家族が不幸なことになるのは、構わないのだな</p><p>ひ、卑怯です会長は</p><p>そうやって、自分の置かれた現実の状況を考えずに、高いところから他人を見下している君の方が、よっぽど卑怯だよ君が大事にしているのは、君のちっぽけなプライドだけじゃないか</p><p>私は会長の様な方とは違います</p><p>それでも、須藤秘書はジッちゃんに屈しない</p><p>まあ、いい私は、明日にはもう君のことなんて覚えていないだろうからねしばらく経ってから、報告書を読むだけだ君か、君のお父さんの結末をねそれを読んで、ようやく思い出すああ、そうだ私に楯突いた馬鹿な秘書が居たまた随分、たくさんの人間を犠牲にしたものだなとね</p><p>ジッちゃんは、須藤秘書の言葉を無視して携帯電話を取り出す</p><p>谷沢かすまんが、私の秘書を解雇した本社まで誰かに送らせてくれ早急にだ二度と私は顔を見たくないからなそれから一度、こっちへ来てくれどうせ、この秘書には初めから大切な情報は伝えておらんのだろお前から、直接状況の説明を聞きたい</p><p>電話の内容を聞いて須藤秘書は、また屈辱に身震いする</p><p>電話を切ったジッちゃんが彼女に告げる</p><p>１階のフロントに、香月セキュリティ・サービスの山岡警備部長がいるそいつに言えば、帰りの車を手配してくれる５分以内にこのホテルから出て行けいいな</p><p>ジッちゃんの言葉は、どこまでも冷徹だった</p><p>はい、判りました失礼いたします</p><p>女秘書は、最後までジッちゃんを睨んで退室して行った</p><p>これから、このホテルで起こることを考えて今のうちに退去させてやったのだがあいつには、どうせ判らないだろうな</p><p>ジッちゃんは、小声でそう言った</p><p>御名穂くん今の女をどう思う</p><p>気が強い子でしたわね最後まで、睨んだままでしたから</p><p>それなりに優秀なんでしょうけれど秘書の様な、裏方の仕事には向いていませんね自分を前に出してアピールしたいという性格ですから</p><p>ああ企業家にでもなれば、そこそこの成功はするだろうだが、あの性格じゃ、敵もたくさん作るだろうし、イエスマン以外の部下とは上手くいくまい</p><p>ジッちゃんが、そう分析する</p><p>わたしに何かお望みですか</p><p>ミナホ姉さんがジッちゃんに尋ねる</p><p>君のところに向いているとは思わんか</p><p>あの子が</p><p>あんな性格だが容姿はいいスタイルも自分に自信があって、ちやほやしてくれる人間を求めているまあ、彼女ならちょっとやそっとのことでは挫けんよ</p><p>ジッちゃんはあの女秘書を、黒い森の娼婦に推薦しようとしている</p><p>確かに、ああいう子を好むお客様はいらっしゃいますが</p><p>そうだろう私も若ければ、顧客になっただろうよ正直この１月、あいつとケンカし続けるのは楽しかった</p><p>お気に入りだったんですね</p><p>私の予定は谷沢のやつが完全に管理しているからな女秘書なんて、ただ座っているだけでいいのだよそれをあいつは、ムキになりおってあいつをからかうのは、本当に面白かったよ</p><p>だから避難させたのですね</p><p>ああ巻き込むのは可哀想だからな</p><p>ジッちゃんは、寂しそうにそう言った</p><p>判りましたあの子のことは、わたしにお任せ下さい</p><p>まさか、本当に娼婦にするんじゃ</p><p>君のところで使ってくれるか</p><p>うちの女にはしませんあの性格のまま香月様のお世話のできる女に仕上げます</p><p>楽しみにしていて下さい</p><p>ミナホ姉さんは、言葉の最後をわざと喋らなかった</p><p>だけど、動いた口の形で判る</p><p>ミナホ姉さんはお祖父ちゃんと言った</p><p>シゲちゃん美人で気の強い女の子が大好きなのよあの子のこと、気に入っちゃったのね</p><p>渚が、そっとオレの耳に囁く</p><p>とにかく後々のお楽しみは、たくさんあった方がいいわ今を生き抜くためにはね</p><p>ジッちゃんは、須藤秘書の行く末を案じて、ミナホ姉さんに託そうとした</p><p>娼婦になるのは、決して良いことだとは思わないけれど</p><p>ジッちゃんも屈折しているから自分だけの女にならないくらいなら、いっそ娼婦にって思ったんだろう</p><p>でも、それではジッちゃんとあの女性との関係は、断ち切れたままだ</p><p>だから、ミナホ姉さんはジッちゃんに、あの女秘書との関係が継続する可能性を示した</p><p>そうやってジッちゃんの生き抜く気力に、燃料を足そうとする</p><p>さてと白坂家との交渉には、女の秘書は必要だ華がなければ、殺伐としてしまうからな御名穂くん、克子くんを貸してくれないかねまあ、お茶出しと機械の操作だけやって貰えばいいのだが</p><p>ジッちゃんは、ミナホ姉さんにそう言う</p><p>構いませんわ克子</p><p>克子姉は、立ち上がる</p><p>では、私と御名穂くんで段取りを詰めておこう向こうの部屋がいいな克子くんも来てくれそれから、警護には関くんを連れて行くがいいな、みすずお前たちの警護は、藤宮くんに任せる</p><p>はい、お祖父様</p><p>みすずが、澄まし顔で返事をした</p><p>判っていると思うが、この場を治められなくてはお前の未来は無いぞ</p><p>この場１５人の私塾の男たち</p><p>香月家の分家と、重役の子供たち</p><p>こいつらを御することができなければみすずが香月家の当主になることは、難しい</p><p>今はまだ、みすずの野心を勘付かれるのはマズイけれど</p><p>自分が彼らにとって手強い相手ということを、示さなければならない</p><p>だから、ジッちゃんはわざと席を外そうというのか</p><p>お待たせ致しました、閣下</p><p>谷沢チーフが、部屋に入って来る</p><p>お、待っておったぞあちらの部屋で話は聞こう</p><p>ジッちゃんが、谷沢チーフに声を掛ける</p><p>お前たちは、ここで飯でも食っていろ酒は飲むなよ白坂家との交渉の席には、お前たちの親も来るのだからな親が真剣に仕事している席を、子供が飲みながら眺めているというのはなどうも気分が悪い</p><p>ジッちゃんは、プリンス組にそう言った</p><p>はい、判りましたっ</p><p>軽く返事をするのは、香月仁か</p><p>それからこちらのお嬢さんたちは、みすずと瑠璃子のお友達だ私のガールフレンドも居る絶対に粗相の無いようにな</p><p>青年たちは、ジロジロとオレたちを見ている</p><p>やっぱり女たちに興味があるらしい</p><p>了解致しましたっみんな、判っているよなっ</p><p>これも、香月仁が代表して返事する</p><p>おい、廊下に居る連中も入って来い</p><p>ジッちゃんは、まだ部屋の外にいる新興グループの６人に声を掛ける</p><p>は失礼いたします</p><p>頭を下げて入室する６人</p><p>お許しがあるまでは、入室してはいけないと思い控えておりました</p><p>グループの１人が、そう言う</p><p>高木風太さんですあちらのグループのスポークス・マン担当ですわ</p><p>みすずが、こっそりオレに教えてくれた</p><p>両方の派閥でそれぞれ担当がいるのか</p><p>プリンス組はちょっと馴れ馴れしい感じの香月仁</p><p>新興組は高木風太</p><p>派閥のボスはどっしりと構えて直接前には出て来ない</p><p>あっちの組のボスは誰なの</p><p>さっきのみすずの話ではプリンス組は、香月操って人なんだろう</p><p>新興組は</p><p>本来なら、貴彦さんなんですけれど貴彦さんは、この場にいませんから</p><p>そうだ、みすずの婚約者だった司馬貴彦は</p><p>婚約破棄になったので、このホテルから帰らされた</p><p>まあ、残っていてもこのメンバーと顔を合わせるのはキツイだろうし</p><p>ですから、おそらく弟さんの司馬アキラさんになるだと思います</p><p>兄がいなければ弟</p><p>つまり、香月グループの新興勢力では、２人の父である司馬沖達の力が群を抜いているのだろう</p><p>どの人</p><p>一番奥の青いネクタイの人です</p><p>みすずが、小声で教えてくれた</p><p>オレと何歳も変わらないんじゃないかな</p><p>みすずと同い年ですわ</p><p>司馬アキラは高校２年生か</p><p>では、しばらくお前たちだけで歓談していろいいな</p><p>ジッちゃんは、そう言って部屋を出て行った</p><p>谷沢チーフ、ミナホ姉さん、克子姉、関さんが続いていく</p><p>ジッちゃんたちが、いなくなると</p><p>へぇ、可愛いじゃんどこの家の子みすずさんと瑠璃子さん、どっちの知り合い</p><p>いきなり青年の１人が、寧さんに声を掛ける</p><p>えっとプリンス組の方のやつだな</p><p>オレ角田文和つーか、知ってるだろオレのことはさ</p><p>ナンパ男に、寧さんはニッコリと笑って</p><p>ごめーん、口が臭いから、どっか行ってくれるかなっ</p><p>ムッとする角田</p><p>何だ、この野郎</p><p>おい、角田、やめろ</p><p>後ろから、香月仁が声を掛ける</p><p>失礼なのは、お前の方だぜ</p><p>でも仁さん</p><p>閣下は、女性たちに粗相はするなとおっしゃられていたろ</p><p>香月仁が、角田に言う</p><p>オレからも謝罪致します申し訳ありません、お嬢様</p><p>ギャハハと大声で笑い出した</p><p>香月仁が、寧さんを見据える</p><p>あんたたちさあ、チームワーク良すぎいっつも、そういう手で女の子を引っ掛けてるんでしょ</p><p>寧さんが、笑いながら言う</p><p>片方が強気でナンパして、もう１人が女の子を助ける振りをして気を惹くって作戦バッカみたい、そんなの引っ掛かる様な子は、ここにはいないわよっ</p><p>寧さんが、ニッと笑う</p><p>この野郎オレたちをバカにするつもりかっ</p><p>角田が寧さんに詰め寄る</p><p>そう思うのならバカにされるような真似は、しないことだね</p><p>ススッと、マルゴさんが前に出る</p><p>何だよ手前どこの家の警護役だ警護役は連れて来ちゃいけないルールだろっ</p><p>喚く角田</p><p>それ君たち私塾の子たちだけのルールなんじゃないあたしたちには、関係ないと思うけれど</p><p>お、オレはボクシングやっているんだぜ</p><p>角田が、マルゴさんに強がる</p><p>そうなら、打たれ強いのかなちょっと、あたしのサンドバッグになってくれないかな</p><p>拳を手の平にパンッと打ちつけて、マルゴさんが前に出る</p><p>おい、お前何とかしろよお前、香月セキュリティ・サービスの社員だろオレ、知っているんだぜ</p><p>香月仁が、麗華に言う</p><p>麗華は、真緒ちゃんを膝に抱っこして２人でお菓子を食べていた</p><p>そうでございますがなぜ、わたくしが何とかしないといけないのですか</p><p>麗華は、真緒ちゃんが可愛くて仕方ないらしい</p><p>真緒ちゃんの口にお菓子を運びながら、答えていた</p><p>香月仁に振り向きさえしない</p><p>だってオレの親父は、香月グループの重役だぞオレたちを守るのが、お前の仕事だろうっ</p><p>香月仁は、喚く</p><p>現在のわたくしは、みすず様、瑠璃子様の警護を命じられておりますですから</p><p>ですから、何だよっ</p><p>わたくしが敵対するとすればあなた方ということになりますが</p><p>麗華が、ギロッと強い眼で男たちを見る</p><p>はいあなたたちは、あたしの親しいお友達に無礼を働いているわけですからあたしが藤宮さんに命じて、あなたたちを処分させることもできます</p><p>みすずははっきりとそう言った</p><p>角田、仁、お前たちの負けだ</p><p>プリンス組のボス、香月操が先鋒役の２人に声を掛ける</p><p>みすず様、失礼致しました彼らの無礼は、私が謝ります</p><p>スッと頭を下げる香月操</p><p>こいつ相当、狡いやつだ</p><p>あくまでも悪いのは角田と香月仁であって</p><p>自分は関係無いという顔をしている</p><p>遅刻しマース</p><p>ヤバイです</p><p>265．プリンス派</p><p>角田が、わざと寧さんに馴れ馴れしく近寄り</p><p>寧さんを助ける振りをして、香月仁がやって来る</p><p>多分こいつら、いつもそういう風に分担して、女の子に声を掛けているんだろう</p><p>ごめん、ごめん別にこいつにも悪気は無いんだとか何とか言って</p><p>そうやって女の子の気を惹く作戦だ</p><p>ところが、その作戦をあっさり寧さんに見抜かれ</p><p>マルゴさん、麗華、みすずに糾弾されると</p><p>親玉の香月操が出てくる</p><p>結局同じパターンの繰り返しだ</p><p>そちらのお嬢さんが、あんまりにもお美しいので彼らもつい、気安い態度で声を掛けてしまったんでしょう彼らには、お嬢さんに謝罪させます</p><p>ほらこういうことになる</p><p>角田、仁</p><p>香月操が、２人を睨む</p><p>は、はい、操様</p><p>判ったよ操さん</p><p>２人は、寧さんに頭を下げる</p><p>香月操は、ニッと微笑む</p><p>どうです、みすず様これで全て、水に流してはいただけませんか</p><p>そして、オレたちをいや、女たちを順に見て</p><p>ちょっとしたトラブルがありましたが気になさらないで下さいどうですせっかくの機会ですし、私たちにみすずさんと瑠璃子さんのお友達をご紹介下さいませんか私たちも、ご挨拶致しますそういうプロセスさえ踏んでおけば、今あった様なつまらない揉め事は無かったでしょうし</p><p>狙いはそれか</p><p>香月操は、みすずに公式にオレたちを紹介させようとしている</p><p>一度紹介さえされれば後は、自由にオレたちと交流できる</p><p>それぞれの女たちから個別に、情報を探りだそうというのだろう</p><p>お断り致します</p><p>みすずははっきりと言った</p><p>何故です私たちは親族ではありませんかあなたや瑠璃子様のお友達なら、私たちも仲良くしておきたいさっき、閣下からもご指示いただきましたみすず様、瑠璃子様のお友達と仲良くするようにと</p><p>香月操は、さわやかな笑顔でそう言う</p><p>普通の女の子なら、この自信たっぷりの表情に誤魔化されてしまうかもしれない</p><p>しかしオレのみすずは、普通の女の子ではない</p><p>あらお祖父様がおっしゃられたのは、操さんたち私塾の殿方たちがあたしたちに粗相をすることの無いようにというご命令だけでしたわよ別に仲良くしろなんていうお言葉は無かったと思いますが</p><p>そうだジッちゃんは、そんなことは言っていない</p><p>直接のお言葉ではありませんが文脈を読めば、おのずと判ることです</p><p>文脈</p><p>文脈って何だ</p><p>香月家の後継者であられるお二人と香月グループの未来を担う、我々せっかくの機会だから、打ち解けて相互理解を深めろという閣下の思し召しだと推察いたしますが</p><p>香月操は、自説を押し通そうとする</p><p>それは、操さんの勝手な推論でしょう</p><p>みすずはそう言う</p><p>そうでしょうか私は、操様のご推測が正しいと思います</p><p>穏やかにそう言ったのはプリンス派の一人、嘉田奉孝だった</p><p>うむ、オレもそう思うこの部屋といい、料理といい閣下は、ここでオレたちにみすず様・瑠璃子様と懇親せよと命じられているのだろう</p><p>自信満々にそう言うのは、夏木惇だ</p><p>オレも、惇兄ィの言う通りだと思う</p><p>香月仁がうなづく</p><p>そうでしょうな閣下は、無駄なことはなさらない方だ我々に命じられることの全てに意味がある</p><p>言葉の裏を理解しなければ、閣下のお心は理解できない</p><p>大張遼と、谷楽進が言葉を繋げる</p><p>というよりオレは、腹が減りましたっ</p><p>そう言ったのは、虎田知徳だ</p><p>プリンス派の一党は、ガハハと笑う</p><p>まあ、待て待てまずは、お互いを紹介し合い、乾杯の一つもしてからだしばし待て虎田飯は逃げていかぬからな</p><p>夏木惇が、大きな声でそう言った</p><p>みすず様そういうことですので、みなさんをご紹介下さいお願いします</p><p>最後に、人懐っこそうな笑顔でみすずに声を掛けたのが香月昴</p><p>プリンス派のボス、香月操の弟だ彼らの中では一番年下だと思う</p><p>ね、いいでしょうお願いしますよみすず様</p><p>プリンス派のチームワークは良い良すぎる</p><p>それぞれが自分のポジションを理解した上で状況を香月操の望む方向へ持って行こうとしている</p><p>お断りすると言ったはずですあたしに、同じことを２度言わせないで下さい</p><p>みみすず様ぁ、どうしてです僕たちは、ただみすず様たちと仲良くしたいだけなんですよぉ</p><p>強攻策が外れた時は、年少の香月昴が下手に出る</p><p>そういうフォーメーションになっているんだな</p><p>あたしにはあなたたちと仲良くする必要は無いからです</p><p>みすずの顔は笑顔だったが眼は、真剣だ</p><p>本気で、そうおっしゃっているのですか</p><p>香月操が、そう言う</p><p>ええさっき、お祖父様がおっしゃっていましたわ香月の血族だとしても、嫡流で無い者はみな臣下ですあなたたちが、あたしたちにきちんと臣下の礼を取らない限りあたしはあなたたちを認めません</p><p>みすずの言葉にプリンス派の連中は、互いの顔を見る</p><p>アイコンタクトが嘉田奉孝に集まる</p><p>そうはおっしゃいますがみすず様とて、閣下のご次男様のお子様言わば分家のお嬢様です香月家の正当な嫡流では無いと存じますが</p><p>論理的に攻めてる、嘉田</p><p>こいつがプリンス派の参謀役なんだろう</p><p>お黙りなさい</p><p>ずっと口を閉じていた瑠璃子がおもむろに声を出した</p><p>みすずお姉様は、わたくしの心を代弁して下さっているのですみすずお姉様のお言葉は、わたくしの言葉と思いなさい</p><p>ジッちゃんの長男の一人娘香月家の正当な後継者である瑠璃子</p><p>本当はみすずと瑠璃子の親には、殺された兄がいるのだが私塾の連中もその存在は知らないらしい</p><p>ハッ申し訳ございません</p><p>嘉田は、さっと頭を下げて退く</p><p>いつからお二人は、そんなに仲が良くなられたのですか私はてっきり、お二人の関係はあんまりよろしくないと理解しておりましたが</p><p>香月操が、不審そうに尋ねる</p><p>そうだ香月家の中では、みすずと瑠璃子は不仲という設定になっていた</p><p>ずっと昔から仲良しですわっわたくしは生まれてからずっと、みすずお姉様を敬愛しております</p><p>瑠璃子は、みすずとの仲を悪く言われてちょっと怒っている</p><p>みすずが、サッと声を掛ける</p><p>一々、操さんたちの質問に答える必要はありませんそれが、この人たちの手です</p><p>うんこちらを感情的にさせて、色々と内情を喋らせようと言うのだろう</p><p>そもそもこの方たちは、形だけ謝ったからというだけで、寧さんのお気持ちを確認しないまま全ては水に流したことにしてしまおうとなさる様な方々です</p><p>そういや、そうだ</p><p>こいつらは、もう全部終わったことみたいにしているけれど</p><p>こっちの気持ちなんて、少しも気にしていない</p><p>寧様この方たちをお許しになられるおつもりは、ございますか</p><p>これっぽっちも無いよっこの子たち、女を馬鹿にしすぎていると思う</p><p>改めて謝罪させますか</p><p>それもいい頭だけ下げても、心の中で笑っているの判っているものこういう男たちって、あたし大っ嫌い</p><p>寧さんは、はっきりそう言った</p><p>そういうことですから、あなたたちはあたしたちに構わないで下さい</p><p>すみません、父の容態が急に悪くなったので</p><p>これから病院に連れて行きます</p><p>途中で済みません</p><p>※そのまま緊急手術となりました</p><p>8時間半という大手術で私が帰宅したのは、翌日の午後になりました</p><p>続きは、余裕があれば帰宅後に書きます</p><p>266．笑う女たち</p><p>いいでしょうみすず様が、その様なお考えでしたら我々も無理強いは致しません</p><p>香月操は、ジッとみすずを見る</p><p>しかし現状についての、ご説明だけはしていただきたいと思います私は分家であっても香月家の一員ですし私の味方は、香月グループの未来を担う有能な人材の集まりです当然我々にも、知る権利はあると存じますが</p><p>相変わらず、香月操は余裕のある表情を崩さない</p><p>自分の言っていることが正当であり、みすずは彼の希望に応えて説明する責任があると心の底から思っているようだ</p><p>何をお知りになりたいんです</p><p>探るような眼でみすずは、答えた</p><p>今日の紺碧流の発表会で、あなたが起こした政治的なパフォーマンスそこに居る正体不明の男を、あなたは舞台に引き上げられた</p><p>いやオレが、自分の意志で舞台に上がったんだ</p><p>しかし、香月操はみすずを自分たち同様、香月家に対して野心のある策略家だと考えているらしい</p><p>だからオレたちの恋愛を政治的と皮肉る</p><p>その後の司馬貴彦の反応また、我々がこのホテルに移動した後、司馬貴彦だけが閣下に呼ばれたという事実嘉田お前は、どう考える</p><p>香月操は、チーム・プレーに徹する</p><p>自分1人でみすずに対するより、グループ全体で圧力を掛けた方が効果的だと考えているのだろう</p><p>はいまず、間違いなく閣下が極秘裏に指名なさっていたみすず様の婚約者は、司馬貴彦だったのだろうと推察されます</p><p>嘉田は、恭しくボスに頭を下げてそう答えた</p><p>そして司馬貴彦は、閣下のお呼びから我々の待機している部屋に戻ってきた時、大変狼狽しておりました何か、精神的にショックなことがあったとしか思えません</p><p>ああ確かに、そうだった慌てふためくとしか言い様の無い状態だったな我々とは、一切接触せず我々のグループの人間に表情を見透かされるのを嫌ったのだろう弟の司馬アキラくんにだけ、何か呟いて気分が悪いからと１人だけ帰宅して行ったが</p><p>香月操は、司馬貴彦を嘲笑うようにニヤッと笑う</p><p>そうか婚約者の地位を剥奪された司馬貴彦は</p><p>敵対グループであるプリンス派の連中に、事情を探られるのが嫌で</p><p>１人だけ逃げ帰ったんだ</p><p>まああのギャーギャー喚いただけのエリートさんらしい行動だ</p><p>まさしく尾羽打ち枯らすといった風情でしたなっハッハッハ</p><p>プリンス派の夏木惇が、豪快に笑う</p><p>釣られて、香月仁、虎田知徳、谷楽進、角田文和、大張遼 と言った連中も笑う</p><p>面白いから笑っているのでは無い</p><p>あくまでも部屋の入り口の方に固まっている新興グループの連中、特に司馬アキラの心を傷付けるための笑い</p><p>意図的な悪意だ</p><p>アキラくんお兄様は君に、あの時何と言っていたんだね</p><p>これまた報告するのが当然だろうという態度で、夏木が尋ねる</p><p>もっとも、それを押し通せるだけの貫禄が夏木にはある</p><p>わざと軽薄かつ失礼な態度で、相手を誘発するのが角田なら</p><p>夏木は、偉そうな雰囲気で相手の心に迫って来る</p><p>家族の中での会話です皆様にお知らせすべきことではありません</p><p>司馬アキラは、穏やかに答えた</p><p>そう言わないで、アキラくん同じ私塾の仲間じゃないかっ</p><p>今度は明るく最年少者の香月昴が、話し掛ける</p><p>もし、みんなには言えないことなら後で、こっそり僕にだけ話してくれよっ僕たちは私塾の中では一番年少の仲間じゃないか何でも、相談に乗るよっ</p><p>うわぁ男性アイドルの様な薄っぺらい笑顔で、香月昴は微笑んでいる</p><p>剛の次は柔手取り足取り、次から次へとよくやる</p><p>昴無理を言うなアキラくんにも事情があるんだそこは推して察してあげるというのが、本当の友情というものだぞ</p><p>はい操お兄様アキラくん、ごめんね、君の気持ちも考えないで僕、ちょっと余計なことを言っちゃったみたいだねでも、本当に僕は君のことが心配なんだそのことだけは判って欲しいなっ</p><p>ああうぜぇ</p><p>何て、うざい笑顔なんだ</p><p>さてさりとて、我々は手持ちの状況から、現状を推察せねばならん嘉田、お前の推論を述べてみろ</p><p>ハッ、操様所見を申し上げますこれは、あくまで私の勝手な推論であり実際の状況とは違っているかもしれませんが</p><p>嘉田はあくまでも自分の推論を話すのだと、先に弁解する</p><p>つまり今から話すことはプリンス派の公式見解では無いし</p><p>個人の推論だから、多少失礼な見方になってしまっていても仕方ないという言い訳をしたのだ</p><p>閣下の指名なさっていたみすず様の婚約者が、司馬貴彦氏であったということは閣下はお二人のお孫様、瑠璃子様とみすず様の結婚相手を、我々の内部の二つのグループから輩出することによって、将来の融和を図っておられたのではないかと考えます</p><p>嘉田さんよぉ、オレにも判るようにもう少し判りやすく言ってくれないか</p><p>プリンス派の虎田が、大きな声で言う</p><p>はい、すなわちおそらく閣下は瑠璃子様の婚約者と致しましては、永年に渡り香月家の屋台骨を支えてきた臣下の子息である我々の中から指名なさるおつもりだったのだと思います瑠璃子様は、真の正当な香月家の継承者であらせられます新参の臣下の子を婿に迎えるというわけにはいかないとお考えだったのでしょう</p><p>そうか、その代わり瑠璃子様の次に高貴な血筋である、みすず様には、司馬貴彦を妻合わせようというお考えか</p><p>嘉田の説明に、夏木がそう言う</p><p>はい司馬貴彦は我々私塾のメンバーの中でも、一番の年長者でしたし司馬沖達氏ら香月グループ内の新興勢力の重役たちに対するガス抜きとしては、一番有効な策だと思われたのでしょう</p><p>嘉田はみすずと貴彦の婚約をガス抜きと表現する</p><p>ああみすず様との結婚で、新興勢力のオッサンたちには満足してもらおういや、あの方たちには、それだけで満足していただかなければならん</p><p>夏木が、そう言う</p><p>うむそれ以上、新興勢力に譲歩する必要などない</p><p>谷楽進が、真顔で頷く</p><p>いえちょっと、発想をお変え下さいみすず様の婿になるということは、司馬家も香月家と縁続きになるということですそれはすなわち司馬家が、新興勢力から我々代々の家臣のグループに移籍するということです</p><p>嘉田がそういう意見を言う</p><p>なるほど今後は、司馬家も譜代の家臣として認めてやるという閣下のご配慮なのか</p><p>まあ司馬沖達氏には、認めるべき功績はあるしな</p><p>それより司馬沖達氏が抜ければ、香月グループ内の新興勢力なぞ瓦解してしまうぞむしろ、閣下は、そちらを狙っていたのでは無いのか</p><p>香月仁、大張、夏木の順で勝手なことを言う</p><p>あくまでも自分たち香月グループの旧来からの家臣が偉くて、新興勢力は下劣だと考えているらしい</p><p>お前ら、分家や重役の子供だろ</p><p>自分自身が、香月グループ内で働いているわけでもないくせによくもまあ、偉そうにピーチク・パーチク話すもんだ</p><p>しかし、そこの男の登場で閣下の計画は変更せざるを得ない状況になったと思われます</p><p>嘉田がオレを指差す</p><p>嘉田それは、どういうことだ</p><p>香月操が、ニヤッと微笑む</p><p>はいみすず様が、今日の劇場でその男を観客に紹介なさいましたあれは紺碧流の家元の発表会であり観客席に居たのは政財界の主だった方々ばかりですあの会で、ああいうパフォーマンスをするということは、その男がみすず様の相手だと、広く知らしめることになります</p><p>しかし閣下の指名した婚約者は、司馬貴彦だったはずだ彼のその後の態度が、それを示していた</p><p>はい、操様みすず様のなさったことは、当然閣下の意志に反する行為です香月家に属する人間が、決して犯してはいけない第一級の反逆行為です</p><p>嘉田は、みすずを責める</p><p>だがさっき閣下は、笑ってこの場にいらした</p><p>香月操が呟く</p><p>みすず様との会話は、いつも通り何も変わらなかったそれどころか、そこの男がこの部屋に居ることも認められておられた</p><p>プリンス派の男たちの視線がオレに集まる</p><p>司馬貴彦の様子を見ればやつが、みすず様の婚約者から降ろされたのは確実だということは閣下は、みすず様とこの男の関係を許されたということになる</p><p>自分の推論を語る香月操</p><p>おい君は、どこの誰なんだ</p><p>うむこんなやつ、見たことは無いぞ</p><p>おい、お前、どこの家の人間なんだ</p><p>新興勢力の誰かの息子なんじゃないか我々が知らないだけで</p><p>うむそうとしか思えないな</p><p>いや、もしかしたら他の企業グループの人間かもしれないぞ</p><p>確かにそれなら閣下が、司馬貴彦を蹴って、こいつに挿げ替えられたのも理解できる</p><p>ったく勝手なことばかり言いやがって</p><p>お前ら、世界は香月グループを中心に廻っていると思っているのか</p><p>おい、早く答えろよ香月操さんがお尋ねになっているんだぞ</p><p>角田が、偉そうにオレに命令する</p><p>黒森だよっ</p><p>オレの代わりに寧さんが、答えた</p><p>あたしらはみんな、黒森の家の人間だからっ</p><p>ニタッと微笑む寧さん</p><p>そうよ、あたしも黒森だものそうよね、真緒</p><p>渚が、寧さんに続く</p><p>真緒ちゃんが、ニッコリ微笑む</p><p>うんそうだよねあたしも、黒森家にお仕えする警護役だから</p><p>マルゴさんも、笑ってそう答える</p><p>あっ、あたしも黒森の家の子でーすっ</p><p>マナまで、そう言う</p><p>ほらっ、メグお姉ちゃんも</p><p>あ、あたしも黒森家です</p><p>美智は、黙ったままでいる</p><p>きっと、私塾の連中の中に工藤父のことを知っているやつがいるからだろう</p><p>もちろん、香月セキュリティ・サービスの所属である麗華も黙ったままだ</p><p>雪乃は麗華の後ろに隠れている</p><p>みすずは、まっすぐにプリンス派たちと向き合ったまま</p><p>瑠璃子は美子さんと手を繋いで、椅子に座ったままジッと部屋全体の様子を見つめている</p><p>お前、聞いたことあるか</p><p>嘉田も知らないのか</p><p>プリンス派の連中は顔を見合わせる</p><p>彼らは、年長者でも２０代前半だ</p><p>親たちから、高級娼館である黒い森のことは聞いていないのだろう</p><p>いや黒い森は、白坂創介によって酷い状況になっていたから</p><p>かつての日本の政財界の重鎮たちの集う黒森楼の時代のことは彼らの祖父の代でないと知らないのかもしれない</p><p>僕は知っています</p><p>入り口の方から司馬アキラが、そう言った</p><p>ほう知っているのか、アキラくんは</p><p>香月操が、司馬アキラを見る</p><p>言葉は、余裕たっぷりだが声に内心のブレが見える</p><p>はい父に聞いたことがあります</p><p>司馬沖達という人が黒い森のことを知っていて、息子に話している</p><p>となればそれはジッちゃんに対する、対抗策の一環としてだろう</p><p>ジッちゃんはミナホ姉さんをサポートしたり、恭子さんを送り込んでくれたり、森下さんを番頭として復帰させてくれたり黒い森のことを何かと支援してくれてきた</p><p>しかし、それは同時にジッちゃんが、高級娼館の運営に関わっていたということであり</p><p>司馬沖達は、ジッちゃんを追い落とすカードとしようとしているのでは無いか</p><p>そんな疑惑が、オレの中に渦巻く</p><p>へえ、アキラくん知っているんだ良かったら、僕たちにも教えてくれないかっ</p><p>香月昴が、また薄っぺらいスマイルで、司馬アキラに話し掛ける</p><p>僕が聞いた話では戦後の日本の政財界の裏側の全てを知る家だと</p><p>司馬アキラの言葉に、プリンス派の連中は息を呑む</p><p>何だそりゃ</p><p>そんなマンガみたいな家、あるわけないだろう</p><p>うむお前の父は、冗談を言ったんだろうな</p><p>香月仁、角田、大張がそう感想を述べる</p><p>そっれが、あるんだよねぇっ</p><p>寧さんが、ケラケラと笑った</p><p>寧世間知らずの子供を笑ってはいけないよ</p><p>そういうマルゴさんも、笑っている</p><p>あっ、ごめーんでもさっ、この人たちがあんまりにもおかしくって</p><p>きゃははと嘲笑う寧さん</p><p>そうね馬鹿馬鹿しくて、笑えてくるわ</p><p>渚も笑い出す</p><p>えっ、どうしたのママ</p><p>真緒ちゃんが、渚に尋ねる</p><p>ほら、真緒、見てご覧なさいあのお兄ちゃんたち、あんなに真面目な顔で、さっきから馬鹿みたいなことばっかり言ってるでしょ</p><p>うんすっごい偉そうだよねっ</p><p>そうでしょ、笑っちゃうでしょだから、ママたち、笑っているのよっ</p><p>にゃはははっうんっ、おっかしいよねっ</p><p>真緒ちゃんも、笑い出す</p><p>ホント自分自身の力なんて、まだ何も持っていないのに、おかしな方たちですね</p><p>瑠璃子もこいつらの無礼が、本気で許せなくなってきたらしい</p><p>美子、わたくしたちも笑いましょう</p><p>こんな頭の悪い方たちでも、わたくしたちの身内ですせめて、笑ってあげなくては、可哀想ではありませんかふふふふ</p><p>瑠璃子はプリンス派のやつらを笑う</p><p>る瑠璃子様</p><p>驚く香月操</p><p>いや、プリンス派だけでなく、新興グループも含めた私塾全員が驚いている</p><p>司馬アキラさえ</p><p>あなたたちはお祖父様に従順なだけの、人形の様なあたしたちしか知らなかったんでしょうでも、あたしたちも人間です笑って差し上げるしか評価のしようが無い相手に対しては、心の底からの侮蔑を込めて嘲笑います</p><p>みすずも笑う</p><p>あはははははっうんっこれは、確かにおかしいですっ笑うべきことですねっ</p><p>麗華も笑う</p><p>ぬふふふふ、ぐふふふふふ</p><p>美智、笑うのが不得意なら、無理して笑う必要は無いんだぞ</p><p>メグお姉ちゃん、あたしたちも笑おうよっ</p><p>でも、あたし急に笑うなんてできないわ</p><p>そんなの簡単だよっ大きな声で、わっはっはって言えばいいんだよっさん、はいっわっはっはっはっはっは</p><p>わ、わっはっはっは</p><p>黒子ちゃんも今だけは一緒に入れてあげるから、ほらっ笑って</p><p>うわっはっはっは</p><p>マナにせっつかれて、雪乃までわっはっはを始める</p><p>何かオレの女たちが、メチャクチャにカオスな感じになっているけれど</p><p>みすずが、瑠璃子を見て微笑む</p><p>はいみすず、お姉様</p><p>瑠璃子も、みすずに微笑み返す</p><p>香月家の正当なる後継者として、あなたたち臣下に申し渡します</p><p>瑠璃子が立ち上がった</p><p>わたくしの相手はわたくし自身が決めますお祖父様は、わたくしに様々なご助言を下さいますでしょうが決めるのは、わたくしです</p><p>わたくしはあなたたちの勝手な争いの道具にはなりませんわたくしを手に入れたいのなら、その情けない集団から自立なさって、もっとご自分たちを磨く努力をなさるべきだと思います</p><p>プリンス派は、はっきり言って瑠璃子を舐めていたのだろう</p><p>その強い言葉に、みんな仰天している</p><p>みすずお姉様お姉様も、はっきりこの人たちに宣言なさって下さい</p><p>瑠璃子が、みすずにバトンを手渡す</p><p>あたしたちは、お祖父様の香月重孝の孫ですあなたたちみたいな弱い人間とは、生まれが、育ちが違います</p><p>みすずが、瑠璃子に寄り添うように近付く</p><p>美子さんの肩にも手を置いて</p><p>彼らに気付かれないように美子さんに、あなたも香月重孝の孫なのよとメッセージを送っている</p><p>あたしたちは生まれながらにして、香月の家を背負っているのですから</p><p>みすずの眼は、力強く輝いている</p><p>家を背負っているのなら、なんでそんな得体の知れない男を引き込もうとしているのですか</p><p>香月操がみすずを挑発しようとするが</p><p>あたしはこの方と結婚しますそれは、もうお祖父様にもご承諾いただきましたあなた方は、まさか香月家当主、香月重孝の決定に異議を唱えたりは致しませんわね</p><p>みすずが、私塾の連中をザッと見渡す</p><p>お祖父様にはこの方を、香月家には引き込まないという条件で、あたしとの交際を認めていただきました</p><p>司馬アキラが、ハッとする</p><p>それはどういうことですか</p><p>この方黒森様は、あたしと結婚しても香月家の企業、関連団体には入られません香月グループとは、完全に離れていただきます</p><p>それはみすず様が、香月家からお離れになられるということですか</p><p>司馬アキラの問いにみすずは、笑う</p><p>あたしと黒森様は、別の人格ですあたしは、ずっと香月家の中で生きてきた人間ですどうして、今更、香月家を離れることができます</p><p>みすずの言葉に、瑠璃子が補足する</p><p>はいみすずお姉様には、香月家の中でわたくしの補佐をしていただきます美子と一緒に</p><p>美子さんが顔を上げる</p><p>ずっと一緒よ美子</p><p>涙目で、瑠璃子さんに大きく頷いた</p><p>つまりそちらの男性は、香月家の中で何らかの役職に就くことは無くみすず様と瑠璃子様は、自ら香月グループの運営に関わられるおつもりなのですか</p><p>司馬アキラの言葉に、みすずは</p><p>今、そう申し渡したはずですアキラさんあたしは、あなたはもう少し理解力のある人だと思っていましたが</p><p>いえ申し訳ございませんっ</p><p>フッと、不敵にみすずは微笑む</p><p>あたしたちあなたたちの様なつまらない男性に、大切な香月グループをグチャグチャにされるのは嫌なんですあなたたちに期待できないのなら自分でやるしかありません</p><p>そうですね、お姉様この方たちの振る舞いには、瑠璃子もゲンメツいたしましたわ</p><p>香月家最高ランクの美少女２人が、エリートたちを罵る</p><p>あなたたちお父様が、重役だからと言って、このまま香月グループに入社できると思ったら大間違いですからね</p><p>しかしみすず様、オレたちは代々、香月家に仕えてきた</p><p>角田が、叫ぶ</p><p>ご先祖が忠義であったからといって、なぜ、あなたたちを雇わなくてはならないのですか</p><p>みすずが切り捨てる</p><p>はっきり言ってさきほどまでのあなたたちの態度には、我慢なりませんお父様たちがどうであれ、あなたたちが香月家に対して忠義の心を持っていないことはよく判りました</p><p>瑠璃子もそう言った</p><p>いや私たちは</p><p>香月操は、そう言うが</p><p>あなたたちは香月グループを、あなたたちがゲームする遊び場としか思っていません申し訳ないですがあたしは、あなたたちをプレイヤーとして受け入れる気はありません</p><p>みすずの言葉に香月仁は</p><p>ふざけんなっお前ら女に何ができるって言うんだっ</p><p>そうだ、馬鹿にしやがって閣下の孫だからって、オレたちをナメるんじゃねえぞ</p><p>角田も、喚き立てる</p><p>そうですとも今の当主は閣下ですそして、閣下は我々の才能を認めて下さっている</p><p>嘉田も、必死で叫ぶ</p><p>そうだっお前らなんか、関係ないっ全て閣下が決めることなんだからっ</p><p>香月仁の興奮は、治まらない</p><p>操様こうなったら、誰が瑠璃子様の亭主になるのか、はっきりさせちまいましょうよ</p><p>角田も煽る</p><p>そうだ、瑠璃子様と結婚して、香月家の当主となるのは操様以外には考えられないっ</p><p>大張も、そう言う</p><p>うん、オレもその意見に賛同するっ</p><p>オレもだぁっ</p><p>谷と虎田も</p><p>まったくまた、このパターンか</p><p>みんなで同じ方向の意見を叫んで無理矢理、多数決でそういう展開にしようとする</p><p>操さんだけは、絶対に嫌です</p><p>わたくしあなたの様な心の狭い方、大嫌いですから</p><p>瑠璃子の言葉が、香月操の心にズサッと突き刺さるが</p><p>操様瑠璃子様の意見なんて、どうでもいいんですよっ</p><p>そうだ、そうだ閣下が、操様をお認めになって下さればいいんだっ</p><p>うん、いずれ閣下のご命令で操様と瑠璃子様が結婚する絶対にそうなる</p><p>その時が来るのを、楽しみにしていろよ</p><p>希望的な予測だけでよく、そこまで言えるな</p><p>あのさぁあんたたちって、もしかして馬鹿ぁ</p><p>寧さんが呆れて、そう言った</p><p>なんだとぉ貴様、どういうつもりだっ</p><p>角田が、寧さんを睨み付けるが</p><p>あの香月のおジィちゃんがさこの部屋の様子を、モニターしていないと思うの</p><p>ご報告だけ</p><p>昨日、午後９時に父が身体に痛みを訴え</p><p>１０時に病院へ搬送しました</p><p>それから様々な検査をしていただき、</p><p>午前３時に、病名を告げられました</p><p>大動脈瘤破裂ということで今すぐ手術しないと助からない</p><p>手術しても、成功する確率は半分だと宣告されました</p><p>４時から緊急手術</p><p>手術終了は昼の１２時を過ぎていました</p><p>８時間半にも渡る大手術で</p><p>一応、手術は終わったのですが現在もICUの中で、父の意識は戻っていません</p><p>まだ予断を許さない状況が続いているそうです</p><p>家に戻ったのが午後３時過ぎで少し仮眠を取った後、今日の文を書きました</p><p>ちょっと、色々とどうなるか判らない状況が続きそうですので</p><p>更新の量や日時が、コンスタントにいかなくなることもあるかもしれません</p><p>ご心配をお掛けして、大変申し訳ございません</p><p>267．阿呆船</p><p>寧さんの投げ掛けた言葉に、プリンス派の連中は沈黙する</p><p>あの２人の孫娘が可愛くて可愛くて仕方が無いおジィちゃんがさあんたたちみたいのと同じ部屋に置いていて、何もしないと思う</p><p>寧さんがニヤッと微笑む</p><p>ここってさ、あのおジィちゃんのホテルなんでしょいつも会議とかで使ってるらしいし当然、盗聴システムとか監視カメラとか完備しているはずだよねっ</p><p>はいその通りでございます</p><p>麗華が、答える</p><p>このホテルは、香月グループのビジネス基地ですから</p><p>そうだね、あたしの見る限りそこの天井とあそこの壁、それからそこの柱の飾りの下にあるのは監視カメラだよ</p><p>マルゴさんも参戦する</p><p>マイクはそことそことそこかなうん、通常ならそういう配置で仕掛けるねもっとも、こういう施設だと、あからさまに監視システムだと判るものは全部フェイクで、それらとは別にカメラとマイクを仕掛ける場合もあるけれど</p><p>あーあプリンス派は、みんな真っ青な表情になっている</p><p>ジッちゃんに、女の子たちには粗相をするなと言われたはずなのに</p><p>やつらのしでかした無礼は、粗相の塊みたいなものだから</p><p>結局さあんたたちって、何もゲンジツが見えていないんだねっ</p><p>寧さんが、男たちを嘲笑う</p><p>いいあのおジィちゃんが、香月重孝が自分の決めた婚約者を拒絶されたっていうのにみぃちゃんとこの子との交際を認めてくれたんだよっ判る</p><p>ええっと寧さん</p><p>それって、どういうことです</p><p>そうですお祖父様は、この方をあたしの旦那様として承認して下さいました</p><p>みすずが、改めて宣言する</p><p>そうそうっあんたたちがみぃちゃんのことをみすず様って呼んでいるのは香月家のルールでは、あんたたちよりもおジィちゃんに血統の近いみぃちゃんの方が順列が上ってことでしょ</p><p>こいつらのルールではそういうことなんだろう</p><p>そのみぃちゃんの相手として、この子は認められたの香月重孝さんの決定だよっていうことはどういうことになるのか、判るよねっ</p><p>寧さんは、意地悪そうにそう言った</p><p>あんたたちはこの子よりも下の立場なんだよっみぃちゃんの旦那様なら、おジィちゃんの義理の孫だからねっ今すでに、あんたたちよりも全然上の存在なんだってのっ</p><p>いやそんなことはない</p><p>みすずはオレの女だけれど</p><p>オレは別に、香月家なんてものに興味は無いし</p><p>自分たちの血筋ルールにこだわる、プリンス派の連中にとっては</p><p>寧さんの発言は、深刻だったようで</p><p>全員集合だ、緊急協議を開催する</p><p>いきなり香月操が、そんなことを一派の連中に告げる</p><p>は、はい操様</p><p>うむ集合</p><p>わらわらと香月操の周りに集まるプリンス派９人</p><p>顔を合わせて、何やら小声で相談し始める</p><p>ホント態度は偉そうなのに</p><p>小者だよなこいつら</p><p>アキラさんそんな端の方にいらっしゃらないで、中へお入りなさい他のみなさんもお腹が空いていらっしゃるでしょうお食事なさったら</p><p>みすずがそんなプリンス派を無視して、司馬アキラと新興グループの連中に声を掛ける</p><p>彼らは、ずっとプリンス派に圧されて部屋の出入り口の前に固まっていた</p><p>はいありがとうございますお言葉に甘えさせていただきます</p><p>司馬アキラが、グループを代表してみすずに礼を言った</p><p>ただしあたしのお友達に話し掛けるのは止めて下さいそこのテーブルから、こちらには殿方はいらっしゃらないようにお約束していただけますか</p><p>司馬アキラは、みすずの指示を受け入れる</p><p>さあ、みなさんみすず様のお許しをいただきました食事に致しましょう</p><p>そう致しましょうか</p><p>ぞろぞろと料理のあるテーブルに向かう、新興グループの６人</p><p>彼らは、みんな言葉数が少ない</p><p>お互いに喋ったりもしていない</p><p>穏やかにみんな足音を立てないように、そろりそろり歩いていく</p><p>みんな、てんでバラバラに食事を摂っている</p><p>誰も、司馬アキラの相手はしていない</p><p>司馬アキラが特にこちらのグループのリーダーというわけでは無いんだ</p><p>やはり兄の司馬貴彦が脱落したのが、ダメージだったのだろうか</p><p>あの人たちは、操さんたちほどグループとしてのまとまりが無いんです</p><p>オレにみすずが囁く</p><p>操さんたちは、香月家の分家と何代にも渡って香月家に仕えている家臣の子供たちですから子供の頃から、お互いのことをよく知っているんです</p><p>だからあんなにチーム・ワークがいいのか</p><p>香月家では、血筋が全てだ</p><p>それ故グループ内で一番、当主であるジッちゃんに近い香月操を、最初から一派のボスと定めている</p><p>グループの中で一位が香月家の一族でお祖父様の弟の孫である操さん、二位が弟の昴さん三位が同じく香月家の分家である仁さんその次が香月家ではないけれど、親戚筋の夏木さんという様に最初から順列を決めてしまっているんです</p><p>血筋で最初から順列が決まっているから他の連中は、香月操を出し抜こうとはしない</p><p>ただそれぞれグループ内で自分が担当すべき役割を演じているだけだ</p><p>まあ連中が納得しているのなら、それでいいんだろうけれど</p><p>その彼らだけの狭い世界のルールを、オレたちに押しつけられるのは納得できない</p><p>こいつらは永遠に自分たちだけで閉じ籠もって、仲良しごっこをやっていればいいんだ</p><p>そしてアキラさんたちの方のグループは</p><p>みすずが小さな声で言う</p><p>こちらのグループのお父様たちは、一代で香月家の企業の中でご出世なさったりご自分の育ててこられた事業が認められて、香月グループに迎えられた方たちですから</p><p>親が香月グループの中で台頭してきたのが最近なら</p><p>子供の頃からの付き合いなんてあるはずがない</p><p>あちらのグループの方は、操さんたちほどまとまってはいないんです</p><p>うんあくまでもプリンス派に対抗して、何となく集まっているだけで</p><p>司馬貴彦や司馬アキラが、派閥のリーダーというわけでは無いんだ</p><p>むしろあちらのグループの中の人たちは、お互いに競い合っていらっしゃいますから</p><p>つまり全員が、瑠璃子の夫香月家の当主を狙っている</p><p>現実には香月家の古くからの家臣たちの勢力に立ち向かえるだけの実力をお持ちなのは、司馬沖達さんだけです</p><p>後の連中は、個別には大した勢力を持っていない</p><p>だから固まらざるを得ない</p><p>しかし、だからと言って一番勢力のある司馬沖達の子分になるつもりは無い</p><p>こっちも、相当にメンドくさい連中なんだな</p><p>ちょっと待ってさっき司馬貴彦さんがみすずの婚約者に選ばれたのは、司馬家を香月家の古参の臣下のグループに入れるためっていう話があったよね</p><p>みすずと縁付けて、香月家の親戚となる代わりに新興勢力である司馬沖達を、取り込んでしまおうという</p><p>それは、操さんたちの勝手な解釈ですわ</p><p>お祖父様の考えは、あくまでも古参グループと新興勢力の融和が狙いだったんだと思いますしかしどうやら、そのお話でアキラさんたちはギクシャクしてしまわれたみたいですね</p><p>ああ司馬貴彦が、プリンス派の言う通りの理由でみすずの婚約者になることを承認していたとしたら</p><p>司馬沖達は、他の新興グループの人たちを裏切って、古参はに鞍替えしようとしていたということになる</p><p>だから新興グループの青年たちは、司馬アキラと少し距離を置いて食事しているんだ</p><p>気を付けて下さいね旦那様</p><p>みすずが、心配そうにオレに言った</p><p>次にあの人たちが考えるのは旦那様を取り込むことです</p><p>オレを取り込む</p><p>はい、旦那様を自分たちの一派に引きずり込んだ方が優位になりますから</p><p>いや、だけどオレは香月グループとは関係無いんだし</p><p>オレが香月グループに入る気が無いことは、さっきみすずが宣言した</p><p>あの人たちは、あたしの言葉ぐらいでは納得してくれないですわみなさん、香月グループだけが全てという人たちですから</p><p>ホントメンドくせぇな、あいつら</p><p>気を引き締めて旦那様は、香月重孝に認められた男なんですから</p><p>みすずはニッコリと微笑む</p><p>あ、マルちゃんとあたしで、飲み物とサンドイッチのお皿とか、こっちに運んでくるよっ</p><p>あっちの連中を近寄らせない様にするとあたしたちも、食べ物や飲み物のお代わりを取りに行かれなくなっちゃうじゃない今のうちに、運んできちゃうっ</p><p>うんプリンス派が協議している今のうちに持って来ちゃった方がいいよな</p><p>あ、オレも行きますよ</p><p>こういうのは、数人で固まって一気にやった方がいい</p><p>では、わたくしも行きましょうっ</p><p>麗華がスッと立ち上がる</p><p>麗華お姉ちゃんあたし、オレンジジュースお代わりっ</p><p>真緒ちゃんが、にひひっと微笑む</p><p>まあ可愛いっうん、可愛いっ</p><p>麗華は、すっかり真緒ちゃんのことが気に入ったらしい</p><p>真緒ちゃんの頭を撫で撫でする</p><p>いいでしょ、子供って</p><p>渚が、麗華に微笑む</p><p>麗華お姉さんも、早く産んだらいいわよ、自分の子って</p><p>麗華は、真緒ちゃんを抱き締めながら言った</p><p>わたくしは現在が、気力も体力も一番充実している時期ですから今は警護人としての仕事を全うしたいのです</p><p>妊娠・出産したら現在の肉体は維持できないと、麗華は考えているらしい</p><p>そう、残念ね</p><p>残念ではありません真緒ちゃんを精一杯可愛がりますから</p><p>真緒ちゃんの柔らかそうなほっぺたを指で突っつく、麗華</p><p>真緒ちゃんは、嬉しいそうに笑っている</p><p>エプロン・ドレスが必要ですね</p><p>エプロン・ドレス</p><p>渚が、麗華の言葉に驚く</p><p>はい、やはり英国趣味で少女を育てるとしたら、エプロン・ドレスは外せないと思うんです</p><p>おい麗華</p><p>不思議の国のアリスとマザー・グースの唄はわたくしが言語で教えますもう少し大きくなったら、シャーロック・ホームズですねむふふ楽しみですわっ</p><p>麗華は、真緒ちゃんも自分と同じ英国趣味にしたいらしい</p><p>渚は、苦笑しているだけだし</p><p>問題になるようなら、ミナホ姉さんや克子姉に止めて貰えばいいか</p><p>じゃあ、行って来ようか</p><p>ちょっとお兄ちゃん</p><p>マナが、ちょこちょことオレに寄って来る</p><p>どうしたんだ何か取って来て欲しいものでもあるのか</p><p>飲み物か、食べ物で</p><p>うんっパンツ</p><p>パンツ</p><p>あのさあそこの椅子のところに、マナのパンティ置きっぱなしにしてきちゃったの</p><p>マナお前</p><p>さっき、全裸土下座した後急いでドレスを着るように言ったのに</p><p>また、下着だけ付けなかったんだな</p><p>あそこか</p><p>うわっよりによって、プリンス派が協議しているすぐ脇だ</p><p>あいつら、話し合いに夢中になって椅子の上に置いてあるパンティに気付いていない</p><p>ごめんなさいっ後で何でもお仕置きしていいから取って来て</p><p>マナはオレに手を合わす</p><p>でもあの男たちの中に、マナを行かせる訳にはいかないし</p><p>今ノーパンなんだもんな</p><p>判ったよ行ってくる</p><p>お兄ちゃん、ありがとう</p><p>マナが、オレの耳に囁く</p><p>後でいっぱいご奉仕するからねっマナのお腹の中で気持ち良くなってねっ</p><p>１４歳の美少女は、オレにニッコリと微笑んだ</p><p>とにかく行って来よう</p><p>マルゴさん、寧さん、麗華ととともに</p><p>男たちのゾーンへ侵入する</p><p>よし何気ない感じで、マナのパンティに近付こう</p><p>パンティではなく</p><p>テーブルの料理を見ている振りをして</p><p>３、２、１、０</p><p>よしゲット</p><p>オレは拾い上げたパンティを、ポケットの中に押し込む</p><p>おいっ、貴様っ</p><p>ドキッとするオレ</p><p>オレに声を掛けたのはプリンス派の夏木惇だった</p><p>操様が、貴様に話があるそうだこっちへ来い</p><p>とりあえず、マナのパンティを仕舞い込んだことは、バレていないようだ</p><p>ほらっ、早くしろっ</p><p>命令口調でそう言われるとちょっとムカッときた</p><p>だいたいオレの位置と香月操の位置は、そんなに離れていない</p><p>大声で喋れば、声が届く範囲じゃないか</p><p>そっちへ行くつもりは無い話があるなら、そこからすればいいじゃないか</p><p>オレは、強く突っぱねた</p><p>何だと生意気だぞ、貴様っ</p><p>香月仁が、オレを罵る</p><p>まあ、いい特に許す</p><p>操様</p><p>高圧的な態度では、建設的な会話はできないそうだろう、仁</p><p>はっ、操様</p><p>おい、貴様操様の寛大なお心に感謝するんだなっ</p><p>ああ、さすがは操様だ</p><p>また、そういう展開かよ</p><p>香月操の器をでかく見せようとする演出なんだろうけれど</p><p>こう何度もやられたら、小者っぽさの方がよっぽど強調される</p><p>とにかく、アホなんだなこいつら</p><p>１人１人は頭が良くってエリートなんだろうけれど</p><p>自分たちが選ばれた人間だと思い込んだ時から馬鹿の集団になってしまっている</p><p>でオレに何が言いたいんです</p><p>喋りながら退路を確認しておく</p><p>包囲されたら、逃げるのが大変になる</p><p>まさか、いきなりオレを攻撃してくることはないと思うが</p><p>いや警戒を怠ってはいけない</p><p>オレが死ねばみすずは再び、フリーな存在になる</p><p>香月操の思い通りの状況を作るため</p><p>一か八か、オレを殺そうとするやつもいるかもしれない</p><p>それぐらいの想定をし続けなければ</p><p>これからのオレは、生きていけない</p><p>ああ、ブン殴り棒があればなあ</p><p>シザーリオ・ヴァイオラ相手なら、下手に武装している方が危険だということでオレのブン殴り棒は、学校に残して来たんだっけ</p><p>では単刀直入に言おう</p><p>香月操が、オレに告げた</p><p>貴様我々の同士となれ</p><p>特別の恩情を持って、操様は貴様を我々の一派に入れてやろうとおっしゃっているのだ</p><p>夏木惇が、大きな声でそう言う</p><p>その代わり、今後は操様に忠誠を誓ってもらうぞ我々の盟主は操様だいいなっ</p><p>何、このドヤ顔で、オレを見下している人たちは</p><p>お前ら全員、脳みそ腐っているんじゃないか</p><p>我々の仲間になるということは、香月の次の世代を動かす中枢の人間になるということだ貴様にとっても、悪い話ではあるまい</p><p>一番貫禄のある夏木惇が、オレにそう言う</p><p>みすず様は、貴様を香月グループの企業に入れるつもりは無いとおっしゃったがお前も本心では、野心があるのだろういや、答えなくても良い私には判っている</p><p>嘉田が、もったいぶった態度でそんなことを言い出す</p><p>あのオレ、パン屋になるんですけれど</p><p>パン香月ゼネラル・フーズ社を狙っているのか</p><p>そう叫んだのは、大張だ</p><p>いや、違います普通のパン屋です街でパンを売っている</p><p>まさかフランチャイズ事業を</p><p>嘉田パンを主製品とした飲食店チェーンは、香月グループの中に幾つあるんだ</p><p>１８社、２６ブランドあります</p><p>おい、お前ら</p><p>人の話は、ちゃんと聞け</p><p>操様、いいんじゃないですかオレたちみんな、香月グループの中でも金融やマスコミ企業志望ですからこいつが食品関係がやりたいって言うんなら、任しちまったって問題は無いでしょう</p><p>角田が、また軽薄そうに言う</p><p>そうだな我々の興味の無い業種は、どうせ司馬貴彦たちに押しつけるつもりだったしいいだろう食品関係は好きにやらせてやるから、お前はオレの下になれ</p><p>香月操は、平然とそう言った</p><p>あダメだ、こいつら</p><p>こんなやつらが親の後を継いで香月グループの重役になったら</p><p>香月グループは、潰れる</p><p>ごめん、悪いんだけどオレはあなたたちの仲間になる気はないですから</p><p>なぜだこんな好条件を、なぜ断る</p><p>そうだ、幸運の女神には後ろ髪が無いぞ捕らえるなら、今だ</p><p>あのさ操様がせっかくチャンスを下さっているのに、乗っからないなんて馬鹿だぜ</p><p>うーんと</p><p>そうなんですよオレ、馬鹿なんですすみません</p><p>オレは、スッとその場から離れようとする</p><p>マルゴさん、寧さん、麗華の３人で必要な食べ物と飲み物は運び出したみたいだし</p><p>こんな馬鹿の群れの中に、いつまでもいられるか</p><p>オレは、みすずたちの方へ戻ろうとする</p><p>おい、ちょっと待て話は終わっていないぞ</p><p>夏木惇、大張遼、谷楽進らが、オレを捕まえようと動き出す</p><p>やばい、こいつらは動きが速い</p><p>このままだと囲まれるぞ</p><p>オレを助けに、美智が飛び込んで来る</p><p>そいつを近づけるな</p><p>香月操がそう命じる</p><p>そいつは、工藤の娘ですぞ</p><p>工藤閣下のお飼いになっておられる警護人の</p><p>その娘も父親と同じ奇妙な技を使うはずです</p><p>知っているのか、嘉田</p><p>はい私の妹の同級生でございますっ</p><p>はあ嘉田の妹も、あそこのお嬢様校か</p><p>そんな話をしているうちに美智は、あっという間にオレの前に到着する</p><p>ご主人様、お手を</p><p>オレは美智と手を繋ぐ</p><p>参りますっわたくしに付いて来て下さいっ</p><p>美智ケガはさせるなよっ</p><p>承知</p><p>オレと美智は手を繋いだままプリンス派の包囲をすり抜ける</p><p>な、何だこいつら動きが変だぞ</p><p>工藤流古武術の奥義は、敵の気を反らすことにある</p><p>相手の予想の裏をかきオレたちは、みすずたちの方へ戻った</p><p>ストップそれ以上、こちらに近寄ることを禁じます</p><p>みすずが男たちを制する</p><p>それ以上は、実力行使で制するよ</p><p>マルゴさんと麗華がみすずの脇に控えている</p><p>長身の２人の美女が並び立つ姿は凄みがあった</p><p>さてどうなさいます</p><p>撲殺ステッキをくるんと廻す麗華に香月操は</p><p>この場は引け</p><p>苦々しい顔で、そう命じた</p><p>一触即発にはならなかった</p><p>まあ、もし乱闘になったら</p><p>マルゴさんと麗華と美智で、あんなやつらは徹底的にノしてしまうんだろうけれど</p><p>怪我人が出なくて良かった</p><p>あれ仁さん、あの女</p><p>角田がオレたちの方を見て、何かに気付いた</p><p>どうした、角田</p><p>香月仁が、角田に寄って来る</p><p>やっぱり、そうだ間違いねぇっすよ</p><p>だから、何がだ</p><p>あの女白坂雪乃ですよっ</p><p>角田が雪乃に気付いた</p><p>何だとお</p><p>いや、絶対そうです変装していますが、オレの眼は誤魔化されません前に吉永家のパーティで見たことがありますからっほら、仁さんも一緒に行ったじゃないですか</p><p>パーティの席で雪乃と会っている</p><p>あっ、そうだこいつ、間違いねぇや白坂雪乃だぜ</p><p>香月仁が、喚き出す</p><p>はい、今、問題になっている白坂創介の娘です</p><p>マスコミは、行方不明だって言ってなかったか</p><p>だから、ここに居たんだよっ</p><p>プリンス派のやつらが、次々に口を開く</p><p>え、ちょっと待って下さいよ皆さん</p><p>一番年下の香月昴が、角田や香月仁を制して、そう言った</p><p>その人が、本当に白坂雪乃さんだとして</p><p>男たちの視線が、雪乃に集まっていく</p><p>遠くにいる司馬アキラたち新興グループの男たちも、興味深そうにこっちを見ていた</p><p>やばいぞ、これは</p><p>香月昴が、みすずに問う</p><p>どうして、白坂雪乃さんがみすず様と一緒に居るんですか</p><p>今日は、何とか書けました</p><p>いつもと執筆時間を変えています</p><p>このペースが続けられるかどうか</p><p>私塾の連中の名前は、三国志の魏の国の人たちから取っています</p><p>ただ、名前を貰った人をそのままモデルにはしていません</p><p>元の人物のエピソードは無視して下さい</p><p>そうしないと、高木風太が裏切り者ということになってしまいます</p><p>魏の国で反乱を起こした魏諷の名前から貰ってますから</p><p>同様に華岡侘介（華 佗）も医者じゃないですし、孔守融（孔融）も儒学者じゃないです</p><p>268．臣下の礼</p><p>部屋の中の視線が黄色と黒の縞々のドレスを着て、面白メイクさせられた雪乃に集中する</p><p>雪乃が、口を開く</p><p>白坂雪乃さんでは、ありませんナリ</p><p>ナリ</p><p>いや、間違いないオレは、パーティで出遭った名家の女は全部チェックしているんだっ訳の判んねぇ変装をしているけれど、絶対にお前は白坂雪乃だっ</p><p>香月仁が、叫ぶ</p><p>違うナリィィあたしは、黃縞黒子ナリぃぃ</p><p>そういうキャラ付けでいくんだ、雪乃</p><p>何だよっキジマクロコって</p><p>黄色と黒の縞々のドレスを着ているから、黃縞黒子なのナリィィ</p><p>雪乃それじゃあ、変装だって自分からバラしてるだろ</p><p>はあじゃあ、何だ赤白の服なら、赤井白子かッ</p><p>た、多分ッナリ</p><p>香月仁と、雪乃</p><p>お前ら、お笑いでコンビを組め</p><p>ていうか、白坂雪乃さんなんですよねあなた</p><p>呆れた表情で、香月昴が尋ねる</p><p>そうだよッお前は、白坂雪乃なんだよなっ</p><p>香月仁が、改めて雪乃に詰め寄る</p><p>ちゃうねん</p><p>あたしは、大阪で生まれた女やさかい、白坂雪乃はんでは無いんどす</p><p>どす</p><p>本当に違うのかよっ</p><p>さ、左様ッ</p><p>左様って</p><p>違うっちゅーたら、違うんでごわすあたしは、雪乃はんでは無いんでござるよ、ニンニン</p><p>新しい才能の誕生を目撃しているのかもしれない</p><p>だ、だいたい白坂雪乃さんのようなお洒落な人は、あたしみたいなオモロイ格好はなさりまへんどすえ雪乃さんは、お洒落で、お洒落で、お洒落することに人一倍気を遣っているお人なんでございますけん</p><p>クッと涙目になっていく雪乃</p><p>こんなお笑いタレントみたいな変な格好をさせられてこんな姿で、連れ回されるなんて屈辱よこんなの、絶対に納得できないわっあたし、あんたたち全員、絶対に許さないっ許さないんだからねっ</p><p>オレたちを睨んで雪乃は一気にヒート・アップする</p><p>それって、自分は白坂雪乃だって認めるってことなの</p><p>ほえっ</p><p>だって、そうでしょお笑いタレントみたいな格好をさせられて、屈辱感を抱いているって言うそんなら、あなたは誰なわけ</p><p>マナはサディスティックな笑みを浮かべる</p><p>本当にこいつは実の姉に対しては酷い</p><p>歪んだ愛情なんだと思うけれど</p><p>口を大きくパクパクさせて、困惑している雪乃</p><p>雪乃の中でアイデンティティが、ぐらぐら揺れまくっている</p><p>あったしは、黃縞黒子ナリィィ</p><p>それは、もうやったでしょ</p><p>マナは雪乃のネタが、振り出しに戻るのを許さない</p><p>雪乃の眼に、涙が溜まっていく</p><p>あたしはこんなのあたしじゃないわよっあたし、こんなの嫌なんだもんっこんなの違うわよっあたしは違うんですからっ</p><p>だから違うって言ってるあなたはだあれ</p><p>ハッと姉を鼻で笑ってマナが尋ねる</p><p>あんた、もういい加減にしなさいよねっ舞夏</p><p>雪乃がキレる</p><p>姉を馬鹿にして嬉しいの楽しいのそんな連中の仲間になって</p><p>その言葉にプリンス派の嘉田が</p><p>まさか白坂舞夏</p><p>うぬっどういうことだ、嘉田</p><p>大張遼が、嘉田に尋ねる</p><p>いえ、確か白坂創介には、白坂雪乃の他に白坂舞夏という娘がいたはずです</p><p>知っているか、仁</p><p>香月操が、香月仁に聞く</p><p>いやそいつとはパーティでは会ったこと無いですね</p><p>マナは、身体が弱くて数年前まで、東京の家族から離れて静岡の親戚の家で療養生活をしていた</p><p>だから、雪乃の様に名家のパーティに頻繁に顔を出したりはしていないはずだ</p><p>また、派手な場所に派手な衣装で行って脚光を浴びるのが好きな姉にマナは、コンプレックスを抱いていた</p><p>東京に戻ってきた後でも、マナが雪乃と一緒にパーティに行くことはほとんど無かったんだろう</p><p>あたしはマナですお兄ちゃんの妹よあんたみたいな人とは、全然関係無いんだからっ</p><p>父の悪行を知り母と祖父に見捨てられ</p><p>何より、オレにレイプされたことで</p><p>白坂舞夏という少女のアイデンティティは崩壊し吉田マナという別人格を再構成させてしまった</p><p>白坂家の娘雪乃の妹の白坂舞夏は、もう居ない</p><p>舞夏は、遠いところへ行ってしまった</p><p>今の彼女はオレの妹で、セックス奴隷</p><p>オレに求められている、オレの女になったということでマナは正気を保っている</p><p>オレはマナに対して、一生責任を取るつもりだ</p><p>こいつには、もうオレしか残っていないのだから</p><p>ふざけないでよっあんたは白坂舞夏でしょあたしの妹じゃないっ</p><p>雪乃はそんなマナの内面の変化を知らない</p><p>本当に、別人になってしまったんだ</p><p>今ここにいるのはマナ舞夏じゃない</p><p>ふーん、てことは自分が白坂雪乃だってこと、認めるんだね</p><p>良かったね、雪乃さんあなたがそんなに愉快で、お笑い芸人に向いているってことを世間の皆さんに知って貰えて</p><p>マナが笑う</p><p>マナにとって、雪乃は自分を見捨て、自分もまた捨て去った過去そのものなんだ</p><p>だから酷い対応をする</p><p>これもまたマナの中のコンプレックスが引き起こしている業なのか</p><p>許さない、絶対に許さないんだから</p><p>小声で雪乃は呟く</p><p>心の中は、マグマの様に怒りと憎しみで煮立っているだろう</p><p>しかし自分が白坂雪乃であることさえ人前で認めることができなくなった雪乃は</p><p>全マイナスの感情を、外部に放出することができなくなる</p><p>内に籠もるしかない</p><p>まずいな</p><p>このままでは、雪乃の心が壊れてしまう</p><p>おい雪乃</p><p>オレは、雪乃に声を掛ける</p><p>ビクッとする雪乃</p><p>お前は、白坂雪乃だその変な格好は、無理矢理オレにさせられたものだお前の意志に反して、オレに強要されたんだ</p><p>マナが、えという顔で、オレを見るが</p><p>いいから、お前は黙ってろ</p><p>オレは一言でマナを制する</p><p>そして、雪乃へ</p><p>馬鹿みたいな格好をさせられて、馬鹿みたいなことをさせられたのも、みんなオレに命じられたからだお前じゃないオレが強要しているんだ</p><p>雪乃の顔が変わる</p><p>オレの作った論理的な逃げ道に雪乃は、飛びついて来る</p><p>そうよ、みんなあんたのせいよっあたしがこんなに酷い目に遭っているのもみんなみんな、あんたのせいよっ</p><p>雪乃の内面の憎悪の矛先が、オレに向かう</p><p>溜まっていた感情が、一気に吐き出される</p><p>あんたのせいなんだからっあたしは、何も悪くないのにっあたしをこんな目に遭わせてっ</p><p>うんこれでいい</p><p>これで、雪乃のアイデンティティは崩壊しない</p><p>雪乃は白坂雪乃として、自分の人格を守ることができる</p><p>許さない一生、許さないわっあたし</p><p>雪乃が激しい憎悪の眼で、オレを見る</p><p>これが、正しい姿なんだ</p><p>オレと雪乃の</p><p>ああ許さなくていいよ</p><p>どうせ、これからもお前に、もっともっと酷いことをするんだから</p><p>黙っていたメグがオレを見る</p><p>ヨシくんもういいじゃない捨てちゃおうよ雪乃なんて</p><p>そうだよ、お兄ちゃん雪乃さんみたいな人、要らないよ</p><p>お前たちそしたら、雪乃は死ぬぞそれでもいいのか</p><p>オレの言葉に雪乃はハッとする</p><p>雪乃はプライドが高くて、自己中心的だが、馬鹿じゃない</p><p>オレに見捨てられたら家や親の後ろ盾のなくなった現在の雪乃は</p><p>死ぬしか無い</p><p>白坂本家からの依頼を受けた、シザーリオ・ヴァイオラに抹殺されるか</p><p>ミナホ姉さんに外国のスラム街の娼館に売り飛ばされるか</p><p>死んだっていいよそんな人</p><p>そんなこと言っちゃダメだ</p><p>オレは、マナの身体を抱く</p><p>マナもオレに縋り付く</p><p>マナの身体は、少し冷たい震えている</p><p>マナにはオレが、家族がいるじゃないか</p><p>でも、雪乃には誰もいないんだから</p><p>雪乃の顔が、恐怖に歪む</p><p>プリンス派を代表して香月昴が尋ねる</p><p>高圧的な他のメンバーではなく、ここは年少者が質問するべきだと思ったのだろう</p><p>その辺をアイコンタクトだけでやるのだからこの集団のチームワークは凄い</p><p>みすずは、冷ややかな態度で答えた</p><p>そろそろお教え下さいませんでしょうかどうして、この場に今、問題になっている白坂創介の娘が居るのか</p><p>香月昴は、気持ちの悪い作り笑いを浮かべている</p><p>その後ろで８人のプリンス派の連中が、偉そうにオレたちを見ていた</p><p>もちろん、司馬アキラと新興グループの６人も</p><p>興味深そうに、みすずの返事を待っている</p><p>そんなことは、あなたたちには教えません</p><p>みすずは、静かに言った</p><p>なぜです、僕たちにも知る権利があると思いますが</p><p>香月昴は、なおも食い下がるが</p><p>権利あなた、それ本気で言っているの</p><p>みすずは、突っぱねる</p><p>あここの言い方は、ミナホ姉さんだ</p><p>みすずは、ミナホ姉さんの口調を真似ている</p><p>だって僕たちは、あの</p><p>香月昴は、口籠もる</p><p>我々は、閣下の私塾のメンバーです将来の香月グループを支える人材です</p><p>香月操が、弟に代わってみすずに告げる</p><p>お祖父様が私塾をお作りになったのは、あなた方のお父様に頼まれたからです私塾のメンバーだからといって、将来香月グループの要職に就けると思ったら大間違いですよ</p><p>みすずはふふふと笑って、そう言う</p><p>ましてやあなたたちが香月グループに籍を置くということは、あたしたちの臣下になる覚悟をするということですよ臣下ならば、臣下としての義務を果たしなさい主を尊重すること無く、権利ばかり主張する臣下など、あたしは必要とは致しません</p><p>みすずは、そう言って瑠璃子を見る</p><p>みすずお姉様のおっしゃる通りですこれまでのあなた方の振る舞いには、呆れましたお祖父様も、きっとそう思っていらっしゃると思います私塾など解散して、お祖父様にはもっと有意義にお時間を使っていただくよう進言致します</p><p>ちょっと待って下さい瑠璃子様</p><p>香月操が、そう言った瞬間</p><p>臣下が主に命令するとは、何事かぁぁッッ</p><p>麗華の鋭い声が、プリンス派たちを突き刺す</p><p>貴様たちは臣下としての心構えが全くできておらぬっ恥を知れ、恥を</p><p>そうか麗華は、剣士としての修行を積んだ人だから</p><p>主とか臣下とかそういうことには、うるさいんだ</p><p>むむぅ麗華ちゃん、声大っきすぎ</p><p>そんな麗華の膝の上で、真緒ちゃんが耳を塞ぐ</p><p>あ、申し訳ございませんもう、大きな声は出しませんから</p><p>麗華は、真緒ちゃんに微笑む</p><p>うんっ、なら許してあげるっ</p><p>真緒ちゃんと麗華は、すっかり仲良しだな</p><p>あのみすず様、発言してもよろしいでしょうか</p><p>そう言ったのは司馬アキラだった</p><p>どうぞ、アキラさん</p><p>みすず様のお言葉はよく判るのですがしかし、現代の日本において主とか臣下という考え方は、少し時代錯誤では無いかと思います</p><p>司馬アキラは、堂々とそう言った</p><p>企業経営者と従業員は、対等な関係のパートナーであるべきです雇用関係と主従関係を混同なさるのは、大変危険なことだと思いますが</p><p>アキラさんは、お祖父様の私塾にどれくらいの間、通っていらっしゃいますか</p><p>２年ほど前より、兄と一緒に週２回夜の８時から１１時まで香月ホールディングスの本社ビルで、閣下のご指導を受けていますそれ以外に、今日の様に社交的な場に連れてきていただいたり、実際の企業内の業務を見学させていただいたりしています</p><p>社交的な場というのは、紺碧流の家元の発表会のことだろう</p><p>それから彼らは、この後の白坂本家との交渉を見学するという名目で、今日この場に連れて来られている</p><p>アキラさんは、私塾を有意義なものだと考えていらっしゃいますかお祖父様の年寄りの我が儘に付き合っているだけだと思っているのではないですか</p><p>いえ、僕は毎回、とても良い勉強をさせていただいていると思っています閣下のお話は、一つ一つがとてもためになりますし、様々な現場を見せていただけることもとっても刺激的です</p><p>ではアキラさんは、お祖父様にお月謝を支払っていらっしゃるのですね</p><p>お月謝は、払っていらっしゃらないのですか</p><p>みすずはミナホ姉さんの様な冷たい笑みを浮かべる</p><p>は、はい特にはいえ、むしろ閣下には、毎回、何かしらご馳走になっています</p><p>司馬アキラは、しどろもどろになる</p><p>でも、それはあの閣下がいつも、僕たちに気遣って下さっているからでその</p><p>お祖父様が気遣って下さっているのなら饗応を受けることは当然だと思っておられるのですね</p><p>対等なパートナーなどと口に出す前に自分の立場を知りなさい誰が誰に、どんな話をしているのか、理解できないのなら口を閉ざしなさい一般論なら、誰でも言えます</p><p>みすずの言葉は、厳しい</p><p>お祖父様とあなたのお父様の関係が、ただの雇用関係ならお祖父様は、あなたを私塾に入れて教育させたりはしませんあなたがここに居るのは、あなたのお父様がお祖父様の臣下だからですそのことは、あなたのお父様も理解していますそうでなければ、司馬沖達さんの様な立派な方が、お祖父様の無償の私塾にあなたを来させたりはしません</p><p>うん無料ってのは、普通じゃないもんな</p><p>臣下つまり自分の身内だと思っているからこそ、ジッちゃんは無償奉仕で私塾をやっている</p><p>お祖父様は自分の臣下と、ただ雇用しているだけの人との区別は、はっきりと付けていらっしゃいます</p><p>きっぱりと、みすず言う</p><p>それもお祖父様がご自分の臣下だと思っていらっしゃるのは、あなた方のお父様だけですあなた方は臣下の子供たちであって、現実にはお祖父様の臣下でも何でもありませんお祖父様は、お客様という扱いで、あなた方と接しておられます</p><p>みすずの言葉に、私塾のメンバーたちは愕然とする</p><p>もし、アキラさんが対等なパートナーとしての雇用関係をお望みなら、お祖父様の私塾をお辞めになられるべきですアキラさんが大人になってご自分の力で、お祖父様がお認めになられるぐらいの能力を身に付けられていたならそして、アキラさんが香月グループで働くことを希望なさるのなら香月グループは、あなたを雇用するかもしれませんでも、今のあなたは、雇用する価値がある人材なのかどうかは、まだ全く判らないただの少年です</p><p>みすずの言葉に、司馬アキラは</p><p>判りました、では僕は今日限りで私塾を辞めます将来、香月グループに入れていただく気もありませんし</p><p>彼の言葉が、私塾の連中に波紋をつくる</p><p>本気かアキラくん</p><p>そう急いで結論を出すべきことでは無いだろう</p><p>新興グループの華岡侘介と孔守融が、声を掛ける</p><p>いいんです僕は自分でやってみたい仕事があるんです大企業の一員になるより僕は自分で起業して、自分の意志で会社を動かしていきたいんです</p><p>司馬アキラは、そう言った</p><p>そうですか頑張って下さいね</p><p>みすずは、冷ややかに言う</p><p>アキラさんのお作りになられる会社が香月グループに利益をもたらしそうなら、それこそ対等なパートナーとして契約を交わすこともあるでしょうしかし、香月グループにとって不利益な存在となられたら、徹底的に潰します構いませんね企業と企業との争いなのですから</p><p>みすずの強い態度に司馬アキラは、言葉を失う</p><p>アキラくんお節介を承知で、君に言うが</p><p>そう言ったのは香月家の分家ながら、香月操には付かずに新興グループの側にいる、香月健思だった</p><p>みすずさんに謝って私塾に残りなさい君の誰かの臣下になりたくない、一国一城の主になりたいという気持ちは素晴らしいと思うが、現在の君は閣下の臣下の子供でしかない君の不躾な行動で、君のお父様にまで迷惑を掛けることになる</p><p>司馬アキラは</p><p>父は僕の気持ちを判ってくれますそれに、父だっていつかは、香月グループから独立したいって考えています</p><p>いつかはだろう司馬沖達さんだって、今すぐには何もできないはずだ</p><p>香月健思は言った</p><p>企業の持ち主は誰だそれが株式会社なら株主だ香月グループの企業の株の半分以上は、香月本家が握っているつまり閣下のものだ君のお父さんがどれだけ有能でも香月グループから独立することはできない</p><p>それは投資家を探します香月グループと関係無い人で父や僕の事業に投資してくれる人がいれば</p><p>香月家閣下と敵対してまで、君や君のお父さんに投資してくれる人なんて日本にはいないよ</p><p>それなら外国の投資家を探します</p><p>アメリカやヨーロッパの投資家は、ハゲタカだよ判っているだろうねそれとも、新興国の地下資源成金でも探すかい無理だよ日本に確固とした地盤の無い日本人に彼らが金を貸してくれるはずがないだろう</p><p>香月健思は穏やかに言った</p><p>大きな夢を持つことは良いことだが夢を叶えるためには、現実に膝を屈しないとねだから、君の父上だってあんなに才能のある方なのに、他者の臣下であることに甘んじている</p><p>父だって、ずっと臣下のままではありませんっ</p><p>そうかもしれないいずれはしかし、今は閣下の臣下だよ忠実な</p><p>司馬アキラを香月健思はなだめる</p><p>閣下は器のとても大きい方だ司馬沖達氏が、野心を持つことを許して下さっているだから、沖達氏も臣下として、香月グループの中で力をつけ閣下とは円満な状態で、グループから独立することを狙っている閣下に敵対し、睨み合った状態で独立すれば香月グループだけでなく、香月グループの競合社からも攻撃を受けるそしたら独立したばかりで体力の無い会社は、一瞬で潰される君のお父さんが、独立して成功するには閣下や香月グループと友好的な関係を保ち続けないといけないんだよ</p><p>だから今は、香月家の臣下として屈しろと言うんですか</p><p>そんなアキラにみすずは</p><p>心の中から臣下になれとは望みません心の中で何を考えようと、その方の自由ですからしかし臣下であるにも関わらず、表面上だけでも臣下としての正しい態度ができないような人間は無能ですそんな人間は、必要ありませんから香月グループから叩き出します</p><p>みすずを、司馬アキラは睨む</p><p>さっきから、色々偉そうなことをおっしゃっていますけれどみすず様だって、閣下じゃない閣下のただの孫娘じゃないですかあなたにゴチャゴチャ言われる筋合いはありません</p><p>確かにそれはそうなのだが</p><p>判らないのあたしも、瑠璃子さんも今、お祖父様に試されているんですよ</p><p>お祖父様はあたしたちのこの部屋での討論を、別室で笑いながら聞いていらっしゃいますあなたたちは、臣下に相応しい人材なのかお祖父様に試されていますそして、あたしと瑠璃子さんも香月本家、香月家の当主の側に立つ人間として、相応しいのかどうかを試されているんです</p><p>みすずの言葉に、瑠璃子も頷く</p><p>その通りです香月の家、香月グループには、たくさんの人々が集っていますわたくしたちは、それらの方々の生活を守らねばなりません直属の臣下から雇用契約を結んだ方たちまた、香月グループの製品やサービスを買って下さる方々、全ての取引先わたくしたちは、その全ての人たちの期待に応えなければなりません</p><p>ですから身内である臣下に対してこそ、あたしたちは強い態度で接するべきなのだと思います臣下を甘やかすようでは家全体が綻びます</p><p>２人の少女が私塾のエリート青年たちを見下ろす</p><p>ですからあなたたちは、この場でご自分の立ち位置を定めなさい</p><p>あなたたちは、お祖父様ではなくあたしたちと世代を共にする方々です本当に、自分の将来を香月グループの中に懸けるおつもりがあるのならあたしたちの臣下となりなさい</p><p>瑠璃子も言う</p><p>そうですわねわたくしたちに臣下の礼を取る気の無い者は、今すぐこの場より、立ち去りなさいわたくしとお姉様が、香月家の後継者ですそのことが認められない方は、家より排除致します</p><p>私塾の連中は息を呑む</p><p>誰よりも早く香月健思が、跪く</p><p>私は、お二人を主と認めます</p><p>そして、自分の仲間新興グループに振り向く</p><p>君たちはどうする</p><p>顔を見合わす青年たち</p><p>私も恭順致します</p><p>次に跪いたのも新興グループの河藤晃司だった</p><p>香月の次のトップが、こんなにもご聡明で強い意志をお持ちであることを私は、嬉しく感じております</p><p>わ、私も</p><p>僕も</p><p>次々に新興グループのメンバーが、みすずと瑠璃子の臣下となる</p><p>司馬アキラを残して</p><p>ぼ、僕はなりませんっ</p><p>司馬アキラは言った</p><p>僕は誰の臣下にもならない僕は僕の道を行きます父も、僕の思いをきっと判ってくれると思います</p><p>アキラくん今は形だけでも、臣下の礼を取っておきたまえきっと後悔するぞ</p><p>香月健思の言葉に、アキラは</p><p>後悔したって構いませんっ嫌なものは嫌なんだっ</p><p>そうですかでは、お一人で頑張って下さいね</p><p>さようなら、アキラさん</p><p>瑠璃子も無表情で、そう言った</p><p>あなたたちは、どうなさるおつもりですか</p><p>みすずは香月操らプリンス派を見る</p><p>わ、我々はその</p><p>香月操は、言葉を濁す</p><p>香月操は分家の中で一番本家に近い血筋という、訳の判らない理屈でイバッている男だ</p><p>ここでみすずと瑠璃子に屈すると立場を失う</p><p>プリンス派という派閥自体が、存在意義をなくしてしまう</p><p>自分も香月家の尊い血筋なのだという思いがあるからプリンスなのだ</p><p>自分が臣下だと認めてしまえばプリンスでも何でもない</p><p>みすずと瑠璃子を怒らせて、香月家から追放となれば</p><p>それこそ、何も残らなくなる</p><p>どうします、操様</p><p>香月操を旗頭にして徒党を組んでいるメンバーたちが、操の意志を問う</p><p>わ私は</p><p>そこまでだ一気に片を付けるべきではないぞ、みすず、瑠璃子</p><p>スピーカーから、ジッちゃんの声が聞こえてくる</p><p>父の容態ですが、まだ意識は戻っていません</p><p>集中治療室で、面会時間も制限されたままです</p><p>しかし、前日までは機械で無理矢理呼吸をしていたのが</p><p>昨日は、自分の力で普通に息をしていました</p><p>ですから眠っている父の姿は、いつもの睡眠状態の様で</p><p>まだ予断を許さない状態ですが</p><p>今日も、何とか書けました</p><p>感想欄の方に、ヴァイオラの襲撃はどうなったんだという質問がありましたが</p><p>現在のヴァイオラは、白坂本家より、閣下との交渉に応じた白坂家の裏切り者を抹殺する仕事も受けています</p><p>なので、全ての関係者がホテルに到着するまでは動きません</p><p>そろそろ動き始めるとは思いますが</p><p>次話より、交渉編に入る予定です</p><p>269．ジッちゃんの採点</p><p>香月の様な旧家を核とした企業は、成り上がりの新興企業よりも遥かに強いなぜか判るかね</p><p>スピーカーから流れるジッちゃんの声が問う</p><p>長く続いている名家は、特別な存在だからだ名家同士の繋がりで、信用もある力もある百年以上に渡って、香月は日本という国家の進展に寄与してきた表でも裏でも日本政府はおろか、アメリカ政府でも、香月家を潰すことは、もはやできない香月家が担ってきた政治的、経済的な活動が公表されれば国の方が転覆してしまうからな決して、何者でも侵すことの出来ない家それが、香月家だ香月家と取引をしている企業だというだけで、財界では絶対的な信頼を得ることができるのだよ</p><p>それが名家</p><p>さて私は、そういう家、香月グループの舵取りを永年に渡って行ってきた香月家の活動は、幅が広い</p><p>みすずと瑠璃子も香月操らプリンス派も司馬アキラと香月健思たち新興グループたちもジッちゃんの声に、真剣に耳を傾けている</p><p>それには家を守るということと、家を発展させるということ大きく分けて、二つの流れがある</p><p>守ること発展させること</p><p>守るという意志がなければ、時代の流れの中で旧家としての伝統や誇りは失われる新興勢力に何もかも踏みにじられるしかし守り続けるだけでは、弱体化は否めない現状維持とは、家が時の流れに晒されて疲弊損耗していくということだ成長を止めた瞬間に、全ては死に向かう人も家も企業もだ</p><p>ジッちゃんの言葉には、重みがあった</p><p>だからこそ守らなければならないものを保有しながら、私たちは常に時代に合わせて、家を成長・変化させていかねばならないこれは、本来、相矛盾する事柄だしかし、両立させることはできるいや、両立させなければ家は滅ぶ</p><p>スピーカーの声が、ククッと笑った</p><p>では、どうするか簡単だよ私は、グループ内の企業を２つに分けている守り続けることに重きを置く会社と発展させることに主眼を置く企業にね</p><p>みすずが、ハッとして私塾の連中を見る</p><p>プリンス派と新興グループ</p><p>みすず、瑠璃子今のお前たちの眼から見れば、私の私塾の教え子たちは、いがみ合っているだけの愚か者に見えるのだろうがね十代の頃からの知り合いお互いの性質を知り尽くしている相手がいるというのは、良いことだよ今は二つのグループに分かれているがもうしばらくすれば混交する反目している者ほど、仲良くなったりするものだよ</p><p>ジッちゃんは長期的な視野で私塾を運営している</p><p>まずは香月操</p><p>ジッちゃんに名を呼ばれ香月操は、緊張しながら返事をした</p><p>お前は守ることの方に向いているな</p><p>わ、私がですか</p><p>ああ、こういっちゃ何だがお前は、金融や財務には向いておらんよ次々と新しく起こった状況に対して、俊敏に判断して対応するような感性は、お前には無い</p><p>しかしすでに今あるものを、守り、次の世代に伝えていくということには向いているようだな</p><p>ジッちゃんはそう言った</p><p>お前には、香月家のトップに立つ才覚は無いしかし、上位５人になれる可能性はあるそれが、お前の限界だ</p><p>ジッちゃんに、はっきりと言われて香月操は、ショックを受けている</p><p>いやお前は、お前のグループをよくまとめ上げているその力は認めているよおそらく２０年、３０年経っても、お前たちのグループの結束は変わらないそれは香月グループの重要な基盤となるだろう</p><p>確かにこいつら、チームワークだけはいいものな</p><p>しかし、お前らの結束は内向き過ぎる少しも、外部の人間を受け入れようとしていない今のままのお前たちには、守る側の仕事しか任せられんな</p><p>ジッちゃんの眼は、香月操から他のプリンス派に移っていく</p><p>香月仁、夏木惇お前たちは、なぜ操を旗頭にしたなぜ、自分が率先してリーダーになろうとはしない</p><p>操様の才覚に私たちは懸けたのです</p><p>口籠もるだけの香月仁に対して、夏木惇ははっきりと答えた</p><p>それは嘘だろうお前たちは、楽がしたかったのだろうリーダーになって重圧にさらされるよりは、ナンバー２、ナンバー３になった方が気が楽だからな</p><p>そんなことはございません操様は、私よりも血筋が優れていらっしゃいますので</p><p>血筋のことを云々するのなら、盲目的に瑠璃子を崇拝しろ瑠璃子は、香月の血筋の嫡流だぞ</p><p>ジッちゃんは厳しく、問い詰める</p><p>それは、その</p><p>そこそこに血筋の良い操が、率先してリーダーをやろうしているなら、奉ってしまった方が楽だお前たちの考えは、実際のところその程度のことだろう</p><p>いや、決してそんなことはありません本当に、私たちは操様が素晴らしい方だと信じております操様は、１００年に１人の傑物です</p><p>食い下がる夏木惇</p><p>嘉田奉孝、虎田知徳、谷楽進、角田文和、大張遼 そして、香月昴お前たちも同じ考えか</p><p>ジッちゃんは、他のメンバーにも尋ねる</p><p>は、はい夏木の言う通りです</p><p>オレは、操様を信じてます</p><p>同じく</p><p>いや、ホント１００年に１人の人材ですってマジにそう思います</p><p>はい確信しています</p><p>お兄様は素晴らしいです僕なんて、足下にも及びません</p><p>そうかどうも、私の教育が悪かったようだな</p><p>おい、お前たち操が１００年に１人の人材なら、私はどうなんだ</p><p>プリンス派の連中は大口を開ける</p><p>私は何年に１人の人材なのかと聞いている</p><p>そ、それはその</p><p>せ、１０００年に１人というか</p><p>いや、閣下のご業績を見れば、１００００年に１人かと</p><p>もっとですよ他の人なんかとは比較になりませんっ</p><p>フンッと、ジッちゃんは嘆息する</p><p>軽い本当にお前たちは、軽いな</p><p>私なんぞ凡人にすぎんよ操もそうだ</p><p>し、しかし閣下</p><p>本物の天才を、お前たちは知らないのだよ</p><p>ジッちゃんは言った</p><p>１０年に１人の逸材などこの世には、掃いて捨てるほどいる１００年に一度の逸材だって、私は何人も出遭って来た本物の天才１０００年に１人、１００００年に１人の能力者というのも私は知っている</p><p>香月家という名家の当主として、何十年も生きてきたジッちゃんならばそういう人物たちとの交流もあったのだろう</p><p>本物を知れそして、もっと謙虚になれ自分がどこにでもいる平凡な人間道端の石っころでしかないと気付けば、世の中の見方も変わる</p><p>私は石っころですか</p><p>ああ、石っころだしかも、かなり使いどころに困る石だ丸くないし、ゴツゴツと尖っておるからなお前という石は</p><p>厳しい言葉ながら、ジッちゃんの声は笑っていた</p><p>それでも、この人は私塾の連中に愛情を持っているんだ</p><p>そんなに私は無能ですか</p><p>香月操は、ショックを受けている</p><p>操お前、アメリカのエックス社のジョン・ジェイコブズ社長を知っているか</p><p>金融経済の神様と呼ばれている方ですね</p><p>そうだ私は何度も会ったことがあるお前ジェイコブズ氏に金融投資で勝てるか</p><p>そんな相手は神様です私などが勝てるはずないではないですか</p><p>ジッちゃんは、フンと鼻を鳴らす</p><p>私は今、２勝８敗だよ大きく負け越しているが、傷は小さい彼には、日本の香月は手強い相手だと思わせなければ日本全体が彼に喰われる</p><p>プリンス派だけでなく、新興グループまでがジッちゃんの言葉を真剣に聞いている</p><p>いいかね香月家の経営に携わるということは、ジェイコブズ氏の様な獰猛な天才たちと同じフィールドで闘い続けるということなのだよしかもこの闘いは、フェアではないしばしば、やつらのルール、やつらの審判の元で勝負しないといけない時には、戦略的に負けてやることもある大事なことは、香月には並々ならぬ闘志があり、絶対にやつらに支配されるつもりはないことを示し続けることだ隙を見せれば、喉笛に嚙み付いてくる相手だと判れば、やつらも迂闊には攻撃してこない</p><p>自分よりも能力も財力もあり国家権力と結びついている連中に対して、ファイティング・ポーズを取り続けるんだジェイコブズ氏並みの知能の持ち主はたくさんいる投資家にも、企業経営者にも、政治家にもそして、詐欺師にもね自分よりも能力のある相手だからといって、闘いを避けて逃げ出すなどということは、私は決して許されないんだよ私の後ろには、香月グループがありその後ろには日本という国家そのものがあるのだからね</p><p>操も、他の者たちもお前たちには、そこそこの能力がある血筋がある縁故があるそれらは確かに、お前たちの力なのかもしれないしかしそれらは、お前たちがたまたまの幸運で与えられた力であってお前たちが自分で勝ち取った力では無いなのに自分たちよりも幸運でなかった人間を見下してどうする</p><p>そうだ、こいつらは下しか見ていない</p><p>自分たちより、力のある人間には最初から勝てないと思っている</p><p>戦う気が無いんだ</p><p>お前たちの上には、凄まじい能力の持ち主血筋も縁故も、お前たちとは比べ物にならないような傑物が何人もいるそして、そいつらは例え、恭順の意を示したからといって、ハゲタカどもはお前たちを見逃してはくれんぞ</p><p>ジッちゃんの言葉に、私塾の連中はブルッと身を震わせる</p><p>企業の中枢に立つということの恐ろしさを初めて自覚したのだろう</p><p>私が劣った能力でも、必死にジェイコブズ氏に食らいついていくようにお前たちが見下している相手も、死に物狂いでお前たちに牙を剥いてくるだろうこの世は単純な弱肉強食ではない命懸けの弱者が、強者であるはずの者たちを打ち負かすことなど、現実のビジネスの世界では日常茶飯事なのだよ</p><p>ジッちゃんは穏やかな声で言った</p><p>もっと謙虚になりたまえ自分より優れている者にも、劣っている者にも均等に細心の注意を払うんだ我々は凡人なのだそれを常に肝に銘じろ相手をナメてかかれば、酷いしっぺ返しを食らうぞ</p><p>ジッちゃんの視線が、さらに司馬アキラに移る</p><p>さて司馬アキラ</p><p>君の志の高さは買うが人生は有限だよ</p><p>例えば、私が新しい事業を始めようとすれば明日からでもスタートさせられる私には資金があるし必要な人材を集めることもできる有能な人間を他者からヘッド・ハンティングしたっていいんだ国の規制が厳しいと思えば、政府の誰に言えばよいのかも判っている私には、新しい法律を立案し、国会で決議させることだってできる</p><p>今の君がどんな企業プランを持っているのかは判らんが君が、それを実現させるのに何年掛かる君が底抜けに幸運だったとしても会社設立から１５年は掛かるだろう不運だったら、３０年経っても実現しないよいや成功目前で、誰かに足を引っ張られて何もかも失う可能性だってある</p><p>でも、僕は</p><p>司馬アキラは、それでも独立の意志を曲げない</p><p>君はどういう目的で、自分のプランを実現したいのだね</p><p>目的ですか</p><p>単純に個人的なロマンの追求、自分１人の力だけで企業家として成功してみたいというのなら、私は止めないよ勝手にやりたまえそういう人間の相手はしてられないからな</p><p>ジッちゃんは、言った</p><p>しかし君が君のプランに、社会的な意義を見出していて、何が何でもそれを実現させたいと思っているのなら利用できるものは全て利用すべきだと、私は考えるね</p><p>利用ですか</p><p>ああそれが本当に実現するべきものなら、どんな手段を使っても、可能な限り早く実現させるべきだとは考えないのか</p><p>まあいい君が社会に出るまでには、まだしばらくの猶予がある今は、私の私塾に残りなさいそして、私から利用できるものは無いのか、目をこらして探したまえついでに私を口説いてみるのだな君の提案が妥当なものだと感じたら、幾らでも利用されてやるから</p><p>司馬アキラは驚嘆している</p><p>他の連中もそうだ華岡侘介、孔守融、河藤晃司、香月健思、高木風太 、そして今はここにいないが司馬貴彦香月健思を除いて、お前たちは香月家の伝統を知らないお前たちには、守ることはできないだろう発展させることだけに興味がある人材だということは判っているだから、言っておく何かしらプランがあるのなら、学業が終わるまでに私に示せ良いプランだと思ったら、実現に向けて協力してやるまずはプランだプランを見れば、お前たちがどれだけ真剣なのか、世の中についてどう思っているのかが透けて見える甘えたプラン、舐めたプラン、いい加減なプランなら蹴飛ばすぞ自分自身の現在を評価される覚悟で、プランを持って来たまえいいな</p><p>新興グループのやつらが一斉に返事をした</p><p>司馬アキラだけは、まだ返答していなかったが</p><p>アキラくん僕たちは、まだまだ閣下には敵わないご指導していただこうよ学ぶべきことは、たくさんある</p><p>香月健思が、司馬アキラに言った</p><p>はい、そうですね健思さん閣下、失礼なことを申し上げて、すみませんもうしばらく、閣下の下で勉強させて下さい</p><p>司馬アキラもジッちゃんに恭順する</p><p>では最後に、みすず、瑠璃子</p><p>ジッちゃんは２人の孫娘に告げる</p><p>簡単に人を見捨ててはいけないぞ、２人とも人と人の縁というのは、大事にするべきだ今居る人材を切り捨てれば、もっと良い人材に巡り会うかもしれないしかしそんな人材に出遭わなかったらどうする前の人物よりも能力の乏しい、性根も良く無い人間しか採用できなかったなんてことは、よくあることなんだぞ</p><p>みすずが辛そうな顔をする</p><p>そんな顔をするな大事なのは、適材適所ということなのだ手元に居る人材について、いつも考えろどうしたら、その人材を上手く活用できるのかをね大抵の人材は、パズルのピースの様に上手くはめ込むことができるよ</p><p>判りました、お祖父様</p><p>わたくしも浅はかでした</p><p>みすずと瑠璃子が、祖父に謝罪する</p><p>気にするな今の内はどんどん失敗しなさい２人とも</p><p>ジッちゃんの声は、優しかった</p><p>私の私塾の生徒たち全員に告げる香月家の未来は、瑠璃子とみすずを中心にして進めてくれ香月の家は、血筋からは逃れられない瑠璃子が後継者であり、みすずがサポートするお前たちは、全力で２人を助けてやって欲しいこれは、私からの要請だよろしく頼む</p><p>閣下の言葉に香月操は</p><p>待って下さいそれでは、あの誰が瑠璃子さんのお相手になるのです</p><p>瑠璃子の夫になった男が、香月家の当主になれると香月操たちは、考えている</p><p>さあなとりあえず、お前たちには瑠璃子はやらんよ</p><p>お前たちの中の誰かが瑠璃子の夫になったら香月家は分裂する決して、上手くはいかんよ瑠璃子の夫は、瑠璃子自身に決めさせるそしてその人物には、香月家の運営には携わらせない</p><p>みすずの相手に対して、私はそういう決定をした本人もみすずも承諾しているならば、瑠璃子の方にも同じルールを適用しても構わないだろう瑠璃子の夫になっても、香月家の当主にはなれないと知れば財産目当ての求婚者もいなくなるだろうし</p><p>では香月家の当主には、誰がなるのです</p><p>香月操の問いにジッちゃんは</p><p>瑠璃子でも、みすずでもどちらでも構わないじゃないかこの子らには、当主になるだけの器量も風格もある私はそう判断しておるよ</p><p>しかしお二人とも女性です</p><p>香月家の長い歴史には女当主も何人かいるそれに、今は２１世紀だ男じゃなければ当主になれないという時代でもないだろう</p><p>ジッちゃんははっきりとそう言った</p><p>ということだからな諸君、これからは二人を盛り立てて行って欲しい</p><p>顔を見合わす私塾の連中</p><p>いや、私は良い考えだと思います女性当主というのは、これからの時代には受け入れられると思います何より、現在の香月家内の跡目争いが消滅する素晴らしいことだと思いますよ</p><p>香月健思がそう言った</p><p>確かに、瑠璃子やみすずの夫の座を狙う不埒者がいなくなるのは助かる</p><p>そ、そうですか私は、結婚相手にはなれないのですか</p><p>瑠璃子の夫は自分だと思い込んでいた香月操は相当なショックを受けているようだ</p><p>はいあなたたちは臣下ですよろしいですね</p><p>みすずが、強い眼で私塾の連中に言った</p><p>はい瑠璃子様、みすず様の下で結束することをお誓い致します</p><p>香月健思が、代表してそう言った</p><p>君たちもいいね</p><p>新興グループは、みな頷く</p><p>確かにお嬢様たちがトップの方が、グループ内の結束は高まるでしょうね</p><p>司馬アキラも、納得したらしい</p><p>お前たちも構わないね</p><p>香月健思が親族である、香月仁や夏木惇、さらにプリンス派の一党に尋ねる</p><p>まあ確かに、操様が瑠璃子様と結婚するというのは、あんまり良い策では無かったようですね</p><p>嘉田があっさりと負けを認める</p><p>おい、嘉田貴様</p><p>香月操が、睨むが</p><p>こうなってしまっては仕方ありますまい閣下のご意志もはっきり致しました香月家に忠誠を誓う家系としては、命懸けで瑠璃子様、みすず様を擁立するしかありませぬ</p><p>大張遼が、そう言った</p><p>香月家の分家筋よりも旧来からの家臣である家系の人たちの方が、あっさりと受け入れる</p><p>ちょっと待てよ操兄ィが瑠璃子様と結婚しないんならオレがお相手になるって可能性もあるってことか</p><p>香月仁が、そんなことを言い出すが</p><p>それはありません</p><p>瑠璃子が、笑顔で答えた</p><p>えこれっぽっちも</p><p>微粒子レベルでも</p><p>ありません仁さんとは</p><p>がっくりとなる仁</p><p>僕とは、どうですか</p><p>作り笑顔で、香月昴が立候補するが</p><p>昴さんの方が、仁さんよりももっとありえません</p><p>瑠璃子は、ニコニコ顔で却下する</p><p>ちょっと少なめの分量で済みません</p><p>とりあえず家族編は終了です</p><p>交渉編まで行けなかった</p><p>では、病院によってから働いてきます</p><p>270．マスコミ業界</p><p>仁さんあなたは分家であったとしても、香月の姓を持つお方です</p><p>あなたのご評判はそのまま、香月の家名に関わりますくれぐれも、軽はずみなことはなさらないように</p><p>そのまま、みすずは他のプリンス派の連中を見る</p><p>他の方々も同様です臣下になられた以上は、皆様はあたしたちの身内です皆さんは、常に香月の家名を背負っているとお考え下さいあたしも瑠璃子さんも、もう、あなたたちを見捨てようとは思いませんしかしあなた方が、香月の家名に傷を付ける様なことがあれば、厳しい処分をしなくてはならないのだということはご理解下さい</p><p>厳しい処分て、何ですか</p><p>香月昴が、尋ねる</p><p>死んでいただきます</p><p>みすずではなく麗華が言った</p><p>えとなる私塾の連中</p><p>そのための香月セキュリティ・サービスですから</p><p>あ、あんたたちは、オレたちを守るために居るんじゃないのか</p><p>香月仁が、麗華に叫ぶ</p><p>わたくしたちは香月の家を守ることを最優先にしております香月家の血族、代々の家臣のお子様であろうと、お家のためにならないお方は消えていただきます</p><p>麗華は、ニコッと微笑む</p><p>そういうことですから仁さん、女性とは分別のあるご交際をなさって下さいね</p><p>操さん監督してあげて下さいよろしくお願い致しますよ</p><p>みすずは、主として香月操に命じた</p><p>操ももう、臣下であることを認めるしかない</p><p>判りました私のグループの人間が粗相をしないよう、私が監督致します</p><p>もちろん普通の恋愛ならば、ご自由になさって下さいしかし、遊びで女性を弄び、傷付けたり何かしらの不名誉なスキャンダルの火種になられるようなことをなさった場合は判っていらっしゃいますね</p><p>その時は、香月家からの追放ぐらいでは許さない</p><p>殺すと、みすずは言っている</p><p>みすず、ようやく判ったようだな当主は、血族と臣下を決して見捨ててはならない不心得者を家から追い出したところで世間からすれば、そいつは香月の家名を背負ったままだ血族ならば当然代々の家臣の子も、不行跡は主家である香月家の責任となるどうやっても矯正できない者は、自らの意志で抹殺してやるのも主の勤めだ泣いて馬謖を斬るの例え通り私も何人もの血族、臣下を処分してきた</p><p>諸君できることならば、みすずや瑠璃子には、そういう辛さは体験させたくない身を律して、家名を守って欲しい</p><p>かしこまりました、閣下</p><p>ご命令に従います</p><p>プリンス派でも、忠誠心の強い大張遼、谷楽進、虎田知徳が真っ先に返答した</p><p>家を守るためには、それぐらいの犠牲はやむえないのでしょうな</p><p>参謀役の嘉田奉孝も承諾する</p><p>判りました仁さんと角田の監視は、私が致しましょう</p><p>夏木惇が、そう言った</p><p>角田が、げっという顔をする</p><p>お前たちが、不良学生たちのパーティに入り浸っていることは知っているぞあれの主催者は、ヤクザと通じている知っているよな</p><p>でも、オレたちはただの客ですし</p><p>角田は、弁解しようとするが</p><p>パーティの資金の一部を、お前たちが提供しているのだろ</p><p>夏木惇は言った</p><p>それは本当なのか、仁、角田</p><p>香月操が二人を責める</p><p>いや、それはそのなあ、角田</p><p>主催になった方が女のウケがいいって言われて</p><p>色々と便宜も計ってもらってますし</p><p>しどろもどろになる二人</p><p>そうやって取り囲んでいくんだよああいう手合いはな</p><p>パーティを隠れ蓑にして、裏では違法薬物の売買や売春などの違法行為を行っていくつもりなのではありませんか</p><p>嘉田が、そう予測する</p><p>そんなそんな酷いやつらじゃないですよ</p><p>だって、もしそんなことになったらオレたちだって、捕まっちゃうわけですし</p><p>あ、馬鹿だこいつら</p><p>自分は幸運な身の上で、特別な人間だと思っているから</p><p>悪い奴らに利用されそうになっていることに気付かない</p><p>いずれにせよ、香月家の人間がそんないかがわしいパーティに参加ましてや主催など、決して認められることではない</p><p>香月操の発想は、徹底して保守だ</p><p>家名に傷をつけそうな行為は、何一つ見過ごせない</p><p>でもあの操さん</p><p>あのホント、マジでヤバイんすよ</p><p>あいつら普通じゃないんですから</p><p>何だ、香月仁も角田も相手の危険性は、認識しているんじゃないか</p><p>すでにハマッちゃっているんだな</p><p>いや、悪い奴らにハメられたというべきか</p><p>藤宮くん</p><p>ジッちゃんが、言った</p><p>はい、お任せ下さい</p><p>麗華が答えた</p><p>特別事業部の方へ、連絡しておきます</p><p>そういう部署があるんだ</p><p>お友達が数人、遠いところへ旅立たれることになると思いますがお二人の方から、連絡をなさってはいけませんよ</p><p>冷たい眼で、麗華は仁と角田を見た</p><p>特別事業部が動く前にターゲットに連絡を取った場合はお二人も内通者として、遠いところへ行っていただくことになりますから</p><p>麗華ちゃん、遠いところって</p><p>真緒ちゃんが、ニコニコして尋ねる</p><p>お花がいっぱい咲いていて、とっても温かい場所ですよ</p><p>うわぁ、天国みたいだねっ</p><p>ゾッとする仁と角田</p><p>そこまでして家を守っているのですね</p><p>司馬アキラが、呟いた</p><p>当たり前だ長く続いた名家となれば、分家筋も増える家臣も多いとなれば悪い連中と付き合ったり、自ら犯罪組織の構成員となる者も出る徹底した防衛システムを持ってなければ、食い物にされるよ</p><p>香月家は日本有数の名家なのだからね白坂家の様な成り上がりではない</p><p>そうだ白坂家は</p><p>家の中から、白坂創介の様な悪人が出ることを許してしまった</p><p>それどころか、白坂創介の悪行が世間にバレた後でも</p><p>当主・白坂守次は白坂創介を庇おうとして、テレビ会見を行った</p><p>それが上手く行かなければ、今度は犯罪組織に依頼して抹殺しようとしている</p><p>永年、名家をまとめあげてきたジッちゃんからすれば全然、防衛体制がなっていないとしか思えないのだろう</p><p>香月家は内部の汚点の抹殺ために、香月セキュリティ・サービスの中に専門部署を設けている</p><p>外部の裏組織に依頼すれば相手に脅される材料を、自ら与えることになるからだろう</p><p>綺麗事では、済まないのだよ家を守るということは君たちが企業を興すとしたら、やはり同じだ企業は家だ君たちは、従業員という家族を背負う</p><p>ジッちゃんは、今度は新興グループの連中に話す</p><p>君たちの事業が成功すればいや、成功しなくても、少しでも君たちの企業から金をせしめられると思えば悪党どもは近寄ってくるよ彼らは金の匂いに敏感だからね常に注意深く周囲を監視し、いつでも対抗手段を執れるようにしておかないと一気に喰われるぞ</p><p>シンとなる新興グループのメンバーたち</p><p>今までは企業経営の表側しか教えてこなかったがこれからは、裏も教えてやろう力には、力でしか対抗できない政治家や警察関係者と繋がっている犯罪組織も多いならば、こちらはやつら以上の影響力を政府に対して持っていなくてはならないフェアな闘いなんて無いのだよ私たちは、常にサバイバルしているのだからね</p><p>サバイバル</p><p>最近読んだ本である教育評論家が、子供たちに生存競争させるような教育はするべきでないと言っていたよ私は、その評論家に唾棄してやりたいね人間は、生き続ける限りサバイバルだよ生き残り、自分と自分の家族の幸福を守りたいのなら闘い続ける意志を失ってはならない気を許せばいつでも、討たれる子供たちにこそ、サバイバルのための技術を教えるべきなんだよ</p><p>もちろん人だけではない企業にも、家にもサバイバルしていくために必要なことがある</p><p>犯罪者と戦うためには、香月セキュリティ・サービスの様な戦闘部隊を自ら組織する</p><p>香月仁、角田文和心配するなお前たちの懸念は綺麗に消してやるお前たちは、私の可愛い教え子だからな</p><p>ジッちゃんの言葉に、二人は震え上がった</p><p>この先この二人が、迂闊な行動をすることは無いだろう</p><p>もしまた、悪い連中が近寄って来ても</p><p>香月操や夏木惇たちが、監視してくれる</p><p>よっぽど悪辣な連中なら香月セキュリティ・サービスが撃退する</p><p>こうして、香月の家は守られる</p><p>血族に迂闊なお調子者が現れても、深刻な事態になることはない</p><p>さて今夜は、君たちのために、一つのプログラムを用意した</p><p>すでに知っているだろうがこの後、このホテルで私たちは白坂家の人間と会う誰か白坂博光氏について詳しく知っている者はいるかね</p><p>ジッちゃんは、講義を始めた</p><p>オレたちにも普段の私塾の様子を見せてくれるつもりなんだろう</p><p>白坂家の方ですが主流派では無い方と聞いています</p><p>新興グループの孔守融が答えた</p><p>そうだ大阪のテレビ局の代表取締役だ</p><p>大阪</p><p>日本のマスコミ業界というのは、面白い歴史を持っていてね元々は、大阪で創業した会社が全国規模になって、東京に本社を置いたというケースが多い白坂家の場合は、もっと複雑だ白坂家が新聞社を創業したのは東京だが各地方の小さな新聞社を買い取って全国展開を果たした大阪の場合も、地元に古くからあった新聞社を買収している大阪だけで販売しているスポーツ新聞には、まだ買い取られた新聞社の名前が残っているよ</p><p>大阪って行ったことが無いから、よく判らないけれど</p><p>さらにテレビ事業は、まず先に大阪の企業と出資し合って大阪にテレビ局を作った白坂家の単独でテレビ事業に乗り出す余裕が無かったんだろうな東京に系列のテレビ局を作ったのは、大阪の局の六年後だこちらは１００パーセント白坂家の新聞社の子会社だこれが何を意味するか、判るかね</p><p>ジッちゃんが、尋ねる</p><p>東京の新聞社やテレビ局と違って大阪のテレビ局は、白坂家の支配が弱いということですか</p><p>やはり新興グループの花岡侘介が答える</p><p>うんこっちのグループのやつらの方が、ビジネス感覚があるんだな</p><p>そういうことだ大阪のテレビ局は白坂家の株保有率は３０パーセントにも満たない後は地元の企業が株を持っている従って、系列ではあるが白坂家に完全に支配されているわけではない特にニュース番組は、東京の局の配信を断って、大阪で独自で製作している白坂家の意向に沿った報道ができないようにな</p><p>なるほど、そういうこともあるんだ</p><p>白坂家の現当主・白坂守次氏は、その様な状況を嫌って、これまでに何度も大阪の局の完全子会社化を目指したしかし、ことごとく地元企業の反発を食らって、頓挫している大阪は、東京に情報発信の全てを握られることを嫌っているんだよ</p><p>白坂家の野球チームも大阪だけは、人気が無いからな</p><p>しかし大阪の局の代表である白坂博光氏は、白坂家の一員じゃないですか</p><p>司馬アキラが、尋ねる</p><p>白坂博光氏は、白坂家でも傍系だ親の代に大阪に移って、父親は大阪の新聞社に勤めていた博光氏自身は、テレビ局の創設以勤務している白坂の名前はあるが、大阪で叩き上げで出世した人なのだよ</p><p>その人が今夜、交渉に来る</p><p>現在の白坂家の新聞・テレビネットワークは東京本社と地方で、激しい対立が起きているもはや、新聞社の野球チームの人気で視聴者を増やすことができる時代では無いからな</p><p>そんなに深刻なのですか</p><p>嘉田が尋ねた</p><p>ああ時代の変化に対応できなかったツケを、彼らは地方へのゴリ押しで支払おうとしているからね</p><p>ゴリ押し</p><p>新聞社とテレビ局ただの報道機関が、余計なものを持ちすぎている系列の出版社やレコード会社、今では大手タレント事務所の株まで買っているこうなると、始末が負えない</p><p>系列のレコード会社に所属するアーティストを売るために自局の音楽番組で取り上げる系列の出版社を儲けさせるためにその会社から出ている小説を、ドラマ化する投資しているタレント事務所の株価を下げないために積極的に、その会社のタレントを起用する全ては、東京本社だけの勝手な都合だ</p><p>あげくに売れない映画まで作るこれは全ての系列企業のゴリ押しの塊だ出版社が押してくる原作に、タレント事務所の押す俳優が出演し、主題歌は系列のレコード会社で売る宣伝は、テレビ局、新聞社、ラジオ、出版社、ありとあらゆる系列会社の力を駆使して行うそして大量の映画のチケットを系列会社に買わせる儲けは出ているが実際には客は入っていないそのツケは全て、宣伝の片棒を担がされ、無理矢理チケットを買わされる地方の系列会社に廻って来る</p><p>ああそういうシステムなんだ</p><p>１５年前なら、それでもまだどうにかなっていた当時の庶民は、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌からしか情報を受け取れなかったからなそれらを煽れば客は入った適当な流行やブームを生むことができた主要なメディアを抑えて、批判記事を書かせないようにすることは簡単だったからな</p><p>そっかネットがまだ無かったんだ</p><p>香月昴が、呟く</p><p>そういうことだよ今は、面白くないものは面白くないと、すぐに伝わってしまうからねどれだけステルス的な宣伝をしたところで世論の大筋は変えられない日本の庶民の感性は鋭いよ何が本物で何が偽物なのか彼らは簡単に見抜く</p><p>ジッちゃんの説明に、みんな頷いている</p><p>結果としてこの１０年の間に、マスコミは大衆への影響力を大きく削がれた今では、昔のようにマスコミが煽ったところで、大きなブームにはならない宣伝効果が少ないと判れば、スポンサーも減るそれなのにも関わらず、東京のマスコミ各社は昔が忘れられないのだちょっとテレビで火を付ければ、爆発的にヒットした時代がね</p><p>オレはまだ子供だから、昔のことはよく判らないけれど</p><p>現在のマスコミ各社は、広告代理店と組んで視聴者に物を売り込むだけの組織となっている情報発信ではなくただの商人だそれが、さらに庶民からテレビ・新聞を遠ざける結果になっている</p><p>うんオレも全然テレビ見ないけれど困らないもんな</p><p>歌手とかタレントとか、知らなくても生きていけるし</p><p>東京本社が、何ら有効的な対策を取ることができない現在地方の系列会社の方が酷いことになっている不況は地方の方が厳しいから、スポンサーも減っているし東京からは、様々なツケも負わされているなのに東京本社からのゴリ押しのコンテンツばかり放送せざるを得ない状況になっているその上、自社としての意見を持った報道は許されていない</p><p>それが東京と地方との対立</p><p>白坂博光氏の大阪のテレビ局は完全子会社でないがゆえに、白坂家の東京本社の意向に沿わずに独自の放送をすることができる関西の企業を個別にスポンサーにしているから、東京にも文句が言える各地方の系列会社としては、東京本社に対抗できる唯一の存在なのだ</p><p>その人がここへ来る</p><p>私の狙いは東京の白坂家が支配する報道ネットワークの解体だ今回のことを軸に、他の報道機関にも波及させるそして、日本のマスコミを再編成させたいのだ</p><p>マナがオレに寄って来る</p><p>マナはオレの手を取り</p><p>自分のお尻に当てる</p><p>パンツを穿いていない裸のお尻</p><p>触って</p><p>怖いの、あたし</p><p>マナも白坂家の娘だ</p><p>自分の生まれた一族が崩壊させられるという話に</p><p>マナは、怯えている</p><p>うん、マナ</p><p>オレは、マナの尻をキュッと摘んだ</p><p>あんっ痛いよっ</p><p>オレの耳に、マナは囁く</p><p>ごめんとっても良い感触だったから</p><p>今度は、優しく美尻を捏ねる</p><p>うん優しくしてあたし</p><p>マナの眼が、潤んでくる</p><p>お兄ちゃんの女だよね</p><p>ああ、お前はオレのマナだ心配するな</p><p>お尻を揉まれてマナは安心していく</p><p>マナはお兄ちゃんのセックス奴隷です一生、お仕えします</p><p>そんなこと言わなくても大事にするから</p><p>オレは、マナの腰を抱く</p><p>うんお兄ちゃんあたしのお兄ちゃん</p><p>私塾の連中は、ジッちゃんの話に夢中になって、オレとマナの様子に気付かない</p><p>そういう意味では割と真面目な連中なんだと思う</p><p>あ、ジッちゃんはダメそうなやつは５人ほど帰宅させたって言ってたよな</p><p>ってことは</p><p>香月仁や角田みたいなお調子者でも、見所があるとジッちゃんは思っているんだな</p><p>うん簡単に決めつけないで、理解しよう</p><p>相手の悪いところではなくいいところも</p><p>もう、何をしてんのよっ二人とも</p><p>寧さんが寄って来る</p><p>お兄ちゃんに、お尻をイジッて貰ってるの</p><p>赤い顔で、マナは答えた</p><p>そっ甘えているんだっ</p><p>でも、ほどほどにねみんな、マナちゃんのこと睨んでるよっ</p><p>周りを見回すと</p><p>メグが怖い顔で、こっちを見ている</p><p>みすずもちょっと冷ややかな表情だ</p><p>マナみんな見ているから、そろそろな</p><p>オレがそう言うとマナは</p><p>えー、いいじゃん見せつけちゃおうよ</p><p>小悪魔のように、微笑む</p><p>マナ、幸せだよ</p><p>父の意識が戻ったと母から連絡がありました</p><p>まだ喋れないようですしどれくらい、意識がはっきりしているのか判りません</p><p>これから病院へ寄ってそれから仕事へ行きます</p><p>271．コンプレックス（その１）</p><p>それで白坂博光氏だけが、交渉に来るのですか</p><p>香月操が、ジッちゃんに尋ねる</p><p>事態はそう単純では無い昨夜の白坂家当主・白坂守次の記者会見放送での失態で、地方の系列会社の連中は危機感を持った身内の犯罪者をトップが庇う様な放送をする報道機関を、誰が信用する東京のキー局や新聞の本社には、当然、視聴者からの抗議の電話やメールが殺到している</p><p>そうか、地方の人は地元のテレビ局やラジオ局新聞の支社に抗議するから</p><p>さらに、白坂家の新聞社、テレビ局は多数の関連企業・財団・研究機関を持っているそう言った、報道機関とは直接関係の無い部署にまで、今回のスキャンダルに対する波紋が広がり始めている</p><p>白坂創介は、白坂家の一族だけれど</p><p>本人は、広告代理店の社員であって、白坂家のグループ企業の人間では無い</p><p>そんなやつの起こした不祥事で、抗議電話の対応で業務がパンクしてしまったり、デモや不買運動を起こされたら関連会社としては、たまったもんじゃない</p><p>こうなってしまったからには普通の一般企業なら、白坂守次が引責辞任するしか無い何しろ、犯罪者を擁護し、犯罪事実を隠匿するような会見を自ら行ってしまったのだからねしかし白坂家はよくも悪くもこの２５年、当主・白坂守次のワンマン経営でやって来たこんなつまらないことで引退させられるということを、白坂守次は受け入れることができないだろう</p><p>しかし白坂守次氏が辞任しなければ、白坂家の関連企業に対する抗議運動は収まらないでしょう</p><p>だから地方のテレビ局や新聞販売店を中心に、東京本社に対して唯一独立を保っている大阪の白坂博光氏が推されたのだ博光氏は傍系でも、白坂家の人間だ白坂守次氏を当主から引きずり下ろすためには、本家筋の誰と手を結ぶべきか判っている</p><p>部屋の壁にスクリーンがツーっと降りてくる</p><p>この部屋は、本来はホテルの結婚式場として作られている</p><p>このスクリーンも、披露宴で映像を映すためのものなんだろう</p><p>白い画面にまず、一人目の人物が映し出される</p><p>まず、これが大阪の白坂博光氏だ</p><p>うん６０過ぎの恰幅の良い、ハゲで眼鏡のオッサンだ</p><p>口元が、ニヤッと笑っている</p><p>何となく、策士っぽさそうな雰囲気がある</p><p>映像が変わるやっぱり６０過ぎの派手なオバサン</p><p>何か、やたらと口がでかい</p><p>次が、白坂信子氏だ東京の白坂本家のそうだな、ナンバー６ぐらいの順列にいる白坂ホールディングス・専務取締役白坂国際政治研究所・所長、白坂平和基金・総裁、財団法人日本とアジアの子供が輪になって踊る会・理事長まあ、白坂本家の中で白坂守次氏に対抗する反主流派グループのボスだ</p><p>さらに、別の映像</p><p>チリチリパーマの４０過ぎの太った男が現れる</p><p>白坂富久志氏、信子の息子だ現在は、新聞本社の文化部部長これといって、めぼしい働きはしていないが、信子氏が連れて来るまあ、新聞社の内部事情を聞く相手としては、良い人選だろう</p><p>それから小柄なお爺さん</p><p>最後が山田ヒサシ氏新聞社の副社長の１人だ白坂守次氏側の人間だったが、白坂博光氏に説得され、白坂守次氏失脚計画に参画することとなった白坂守次氏を見限り始めた中間層を押さえてくれることになっている</p><p>なるほどすでに、白坂家内でクーデターの準備ができているんだ</p><p>今夜、私たちが交渉のテーブルを囲む相手は以上の４名だ彼らは、私たちに計画のサポートを求めている</p><p>ジッちゃんは、私塾の連中にそう説明しているが</p><p>実際は少し違う</p><p>彼らはミナホ姉さんと取引をしに来る</p><p>ミナホ姉さんが、白坂創介の悪事についての情報をリークし続ける限り</p><p>このスキャンダルの炎上は、終わらない</p><p>それどころか、ミナホ姉さんが、さらに大量の火種を持っている</p><p>彼らはその流出を恐れている</p><p>当主・白坂守次の方針は、真っ正面からの徹底抗戦だがそんなことをやっていたら、企業グループ全体で膨大な損害が出ることになる</p><p>地方と関連会社は、早急な消火を願っている</p><p>だからミナホ姉さんと手打ちをしなければならない</p><p>そのことをジッちゃんが私塾の連中に言わないのは</p><p>黒森御名穂と黒い森という裏組織について、彼らに教えるべきでは無いと思っているからだろう</p><p>彼らのサポートを引き受けることで香月家には、どんなメリットがあるのです</p><p>司馬アキラが尋ねた</p><p>香月家のメリットというより日本の国益の問題だな</p><p>ジッちゃんは、答えた</p><p>白坂創介による醜聞が明らかになってから白坂家の関連企業の株は、軒並み暴落している安くなった株を、外国人投資家が狙っているという情報がある</p><p>しかし外国人が直接、日本の報道機関の株式を買い漁るのは強い反発を受けることになると思いますが</p><p>嘉田が言った</p><p>そんなもの日本人が代表者になっている投資ファンドにでもやらせればいい間接的にでも、やつらは支配できれば良いのだからしかし日本国内の報道機関を、外国人に握られるのは良く無い彼らにとって都合の良い恣意的な報道をされるぞ</p><p>なるほど背後で動いているのが、アメリカ人投資家ならば、ただの金に群がるハゲタカですがそれ以外の国の人間だと、政治的な目的に利用されますね</p><p>香月健思が、解説してくれた</p><p>とりあえず私たちが救済してやる代わりに、白坂家の持つ株式を吐き出させる全てを奪うことはできないだろうが３割は、私たちで押さえるそうすれば、執行役員を送り込めるからな白坂守次氏が失脚すれば、次の新聞社・テレビ局のトップは、白坂家の人間ではなくなる白坂家の人間から白坂家の人間にバトン・タッチしたのでは世論は納得しないだろう新しい代表者と、私たちの送り込んだ役員で社内から、白坂家の影響を抹消させるよ</p><p>つまり白坂本家にはもう、経営には触れさせないと</p><p>香月操が、驚き顔で言った</p><p>ああ白坂の本家には、新聞社・テレビ局の大株主の１人という立場に甘んじて貰うもちろん白坂の一族でも、有能な人間には要職に就いて貰うが、トップには据えないそもそも、一つの家が巨大な報道企業グループを牛耳っているという状況が異常だったんだこの機に、それを正す</p><p>ジッちゃんはそう言う</p><p>ついでに関連企業も整理させる独立させられる会社は、全て独立させて新聞社とテレビ局は、報道機関としての業務だけを行わせる下らん商売は、もうさせんよ</p><p>ジッちゃんは、白坂家の企業グループを完全に解体してしまうつもりらしい</p><p>まあ、確かに新聞社やテレビ局が、レコード会社や芸能プロダクションまで運営しているのはおかしい</p><p>今午後の８時過ぎだ予定よりも、少し遅れているが白坂博光氏らは、そろそろ到着することになっている</p><p>劇場にやって来た白いヴァイオラと一緒に居た、ミス・コーデリアは、午後８時までは襲撃しないと約束してくれた</p><p>すでに、その時間を過ぎている</p><p>約束を守ってくれたということなのか</p><p>いや、敵はすでにオレたちの近くまで潜入していて</p><p>開戦の指令を待っているだけなのかもしれない</p><p>実態は、何も見えない</p><p>まあ、私が呼んだ連中も到着が遅れているからな</p><p>ジッちゃんは、交渉の場に私塾の連中の親たちを呼んでいる</p><p>そのうちの誰かが</p><p>裏切り者なのではないかと疑っている</p><p>香月セキュリティ・サービスに、敵が紛れ込んでいたことを考えると</p><p>シザーリオ・ヴァイオラ以外の敵が、身内にいることは想定できる</p><p>今しばらくは、そこで食事でもしていてくれ追ってまた連絡する</p><p>そして、ジッちゃんの音声は途切れた</p><p>スクリーンの映像は、ホテルの１階玄関に切り替わる</p><p>あ誰かが車で、ホテル内に入ってきた</p><p>あ、うちの親父だあれ</p><p>角田が、言った</p><p>高そうなスーツの男が、黒塗りの車から降りる</p><p>こうして１人ずつ、交渉のテーブルに着く人々がホテルに集まって来るのだろう</p><p>みんな、お腹は空いていない</p><p>オレはオレの女たちに声を掛けた</p><p>え、どうしたのヨッちゃん</p><p>寧さんが、驚いてオレに尋ねる</p><p>食べられる内にちゃんと食べておこうよ</p><p>さっきは食事の途中で、私塾の連中に乱入されたから</p><p>それにご飯を残すのは、もったいないよ</p><p>用意された食事は、まだかなり残っている</p><p>旦那様、そうですわね</p><p>今の内に、もう少しだけ食べておきましょう</p><p>うん実際にヴァイオラの襲撃が起これば、次の食事は何時になるのか判らない</p><p>ホテル内に孤立することも考えられる</p><p>そうだね食べる、あたし</p><p>あなたたちも、できる限り食べなさいいいですね</p><p>みすずが、私塾の連中に命じた</p><p>さて、部屋の中は、不思議なことになった</p><p>みすずの命令が効いているから私塾の連中は、オレたちには近付いてこない</p><p>そのかわり</p><p>プリンス派と新興グループで、交流している</p><p>一度、あなたとはお話してみたかったんです</p><p>司馬アキラが、プリンス派の参謀役の嘉田奉孝と会話している</p><p>その向こうでは、新興グループに居た香月健思が、虎田知徳や大張遼、谷楽進と言った香月家では無いプリンス派のメンバーと話している</p><p>華岡侘介、孔守融も、その輪に加わる</p><p>プリンス派の香月操をリーダーにした血の濃さによる順列が崩壊したため私塾の中のパワー・バランスが一気に変化しようとしているのだろう</p><p>プリンス派は、血族と親の世代の因縁に縛られていたし</p><p>新興グループも、後からの参入した人間の子供という負い目があった</p><p>それもまたコンプレックス</p><p>そういうコンプレックスが一気に解消されて一気に風通しがよくなっている</p><p>もっとも逆に孤立することにしたらしい者もいる</p><p>河藤晃司と高木風太の２人は、１人離れて全体の様子を眺めている</p><p>また、香月操、昴、仁の３人は血族だけで集まって、静かに食事をしている</p><p>オレたちの方も、少し変化がある</p><p>さっきまで暗い顔をしていた美子さんが今は、明るい顔で瑠璃子と食事している</p><p>瑠璃子の婚約者問題が片付いたことで、少しフッ切れたらしい</p><p>みすずと渚が場を取り持っている</p><p>麗華はあいかわらず、真緒ちゃんと遊んでいる</p><p>マナとメグは、２人で固まって食事していた</p><p>このコンビは、どうにか壊さないといけない</p><p>メグとマナのコンビは、あんまり良く無い気がする</p><p>雪乃は、１人でぐったりとしている</p><p>しかし、自分の正体を知る香月仁が居るからオレたちの側からは、離れられない</p><p>お前、ちゃんと食ってるか</p><p>オレが雪乃に尋ねると</p><p>もう、放っておいてよあたしのことなんて</p><p>オレは、サンドイッチと飲み物を持って行ってやった</p><p>とにかく食っとけよいざっていう時に力が出ないぞ</p><p>いいのよ、あたしもう死んだっていいんだから</p><p>雪乃は、暗い顔でそう言う</p><p>守次おじ様が失脚したらもう、あたしたちを助けてくれる人なんて、誰もいないわ</p><p>雪乃はあたしたちと言った</p><p>パパも見捨てられるママは市川の実家へ戻ればいいし舞夏は、まあ、あんたが助けてくれそうだけれど</p><p>雪乃には自分の家族がある</p><p>あんな酷い父親と責任放棄の母親も雪乃にとっては、家族なんだ</p><p>あたしはどうなるのかしら</p><p>とりあえず一年は、オレたちと一緒だよ</p><p>一年</p><p>雪乃は、怪訝な顔をする</p><p>お前は子供を産むんだから</p><p>ハッとして雪乃は、自分のお腹に触れる</p><p>あたしもう妊娠しているのかしら</p><p>今していなくても、必ず妊娠させるよそれがミナホ姉さんの意志だから</p><p>ミナホ姉さんは雪乃に、死んだ自分の妹の身代わりを産ませようとしている</p><p>赤ん坊が産まれなければミナホ姉さんの復讐は完成しない</p><p>ミナホ姉さんは、白坂創介によって二度と子供を宿すことのできない身体にされてしまったのだから</p><p>そうね、あんたたちが諦めるとは思えないものね</p><p>雪乃は、嫌悪感を露わにして呟いた</p><p>好きなだけ、あたしのことをレイプすればいいじゃない卑怯者</p><p>そんな雪乃にマナが近付く</p><p>お兄ちゃん、あたしが産もうか</p><p>おい、マナ</p><p>雪乃さんじゃなくてあたしが産んだって、黒森さんの復讐は果たされるでしょあたし、別にいいよどうせ、いつかはお兄ちゃんの赤ちゃんを産むつもりだし今すぐ、妊娠してもいいよマナ、どうせ学校へ戻れないし</p><p>マナは今通っている、名門女子中学には戻れないだろう</p><p>一年休学してマナが、赤ちゃん産むよそしたら、雪乃さんはもうお払い箱でいいよね</p><p>あ、あたしだっていいのよ</p><p>メグまで、寄って来る</p><p>あたしも白坂創介の娘なんだから</p><p>いいよ、メグお姉ちゃんマナが産むよメグお姉ちゃんは、学校があるんだし部活頑張って欲しいし</p><p>マナこそダメよ１４歳で出産なんて、身体によくないわそれに、あなたスーパーモデルを目指すんでしょ妊娠したら身体のラインが変わるのよ知ってるでしょ</p><p>メグが、マナに言う</p><p>でも夢は夢だもん夢よりも、あたしはお兄ちゃんとの絆が欲しい</p><p>絆</p><p>赤ちゃんができたらもう、絶対にお兄ちゃんとは離れなくていいんだって、信じられる気がするの</p><p>そっかマナは</p><p>不安なんだ</p><p>それにね雪乃さんが、お兄ちゃんの赤ちゃんを産むのは怖いの</p><p>雪乃さんにお兄ちゃんを取られるんじゃないかって</p><p>ヨシくんあたしもそう雪乃が怖い</p><p>この２人は</p><p>雪乃の実の妹と、腹違いの姉妹</p><p>ずっと、雪乃に対してコンプレックスを感じて生きてきた</p><p>その傷が２人の心に深く残っている</p><p>あたしはこんな男、大っ嫌いだから</p><p>雪乃が姉妹たちに言った</p><p>でも、この男どうも、あたしのこと好きみたいなのよね</p><p>意地の悪い笑みを浮かべて雪乃が囁く</p><p>知ってるわだから、怖いのよ</p><p>あーあ、あんたたちの落ち込んだ顔を見たらお腹が減ってきちゃった</p><p>雪乃は、オレの持って来たサンドイッチを食べる</p><p>そうねあんたを苦しませるためなら、この男の赤ちゃんでも産んであげようかしら</p><p>雪乃もまたメグに劣等感を抱いている</p><p>その悪感情が雪乃を暴走させる</p><p>あんたの泣く顔が見れるのならあたし、何でもするわ</p><p>雪乃お前、何も判ってないな</p><p>お前一度でも、オレとセックスしたいと思ったことはあるか</p><p>そんなのあるわけないじゃないあんたみたいな人、嫌いだものあたしはいつも、無理矢理あんたに犯されているのよ</p><p>プライドの高い雪乃はそう、答える</p><p>そうだお前はいつも、無理矢理犯されている今も、無理矢理、変な格好をさせられて無理矢理、連れ回されているお前の意志なんて、全然関係無く</p><p>そうよっあたしは被害者なのよっ</p><p>雪乃が怒りの眼で、オレに吠える</p><p>そういうことだ妊娠させられるのも、子供を産まさられるのも無理矢理だお前の意志なんか無視だ</p><p>泣かなきゃいけないのは、お前の方だお前の人生、オレがメチャクチャにしてやるからな</p><p>雪乃の眼にクッと涙が溜まる</p><p>な、何よ、何よ、何よ許さない、絶対に許さないからねあんたなんて</p><p>また、涙の粒が雪乃の頬を零れていく</p><p>ああ、許さなくていいよ許して貰おうとは思わないから</p><p>オレは、メグとマナを見る</p><p>お前たちは何があっても、雪乃を羨ましいと思うな</p><p>メグもマナもオレが幸せにするだから、お前たちは幸せになる</p><p>雪乃は、絶対に幸せにしないお前たちとは、違うんだ</p><p>雪乃とは判り合うことはできない</p><p>オレたちは、相容れない</p><p>オレを信じて、胸を張れいいな</p><p>暗い顔のままのメグ</p><p>お二人は、ご主人様を信用なさらないのですかでは、ご主人様の女であることを、ご辞退下さい</p><p>すっと美智が顔を出す</p><p>美智さんそれって</p><p>わたくしやみすず様はご主人様が、わたくしたちを幸せにして下さることを信じておりますしわたくしたちも、ご主人様を幸せにすると誓っております</p><p>美智が、はっきりと告げた</p><p>ご主人様にいつまでも甘えるばかりで、ご主人様を支えるおつもりがないのならお二人は、わたくしが排除します</p><p>おい、ちょっと美智</p><p>工藤流古武術で、メグやマナに襲いかかられては困るぞ</p><p>はいはいはーいっそこまでねぇっ</p><p>寧さんが、ニコニコ笑って登場する</p><p>メグちゃんもマナちゃんもそろそろ考え直してね君たち、昨夜からずっとヨッちゃんに甘えっぱなしなんだから</p><p>甘えてますかあたしたち</p><p>甘えるのは、いいんだよっ家族なんだからっでも、甘えるばかりになっちゃっててそれでいいの</p><p>よくないと思う</p><p>あたし、どうしたらいいんだろう</p><p>メグが呟く</p><p>いつのまにかみすずさんに追い越されてみすずさんは、ヨシくんのパートナーとしてどんどん魅力的になっていってるのにあたしは、お荷物のままであたしあたし</p><p>272．コンプレックス（その２）</p><p>ふーん仕方無いんじゃないの</p><p>落ち込むメグに寧さんは、カラッとした声で言った</p><p>メグちゃんは、ヨッちゃんの側にずっと居たいんでしょ</p><p>それは、そうですけれどでも</p><p>でも何さ</p><p>あたしヨシくんの役には、立っていないと思うから</p><p>ヨッちゃんに必要とされたいんだ</p><p>だって今のあたしには、ヨシくんが必要なんですだから、あたしもヨシくんに必要とされたいでもヨシくんには、みすずさんや寧さんや、あたしなんかよりも素敵で心の強いお姉さんたちが居てくれていてあたしは、足手まといなんじゃないかって思うんです</p><p>メグは暗い顔のままだ</p><p>さっきだってみすずさんは、わざわざあたしを慰めるようなことを言ってくれてみすずさんには、あんなに余裕があってあたしのことまで、気遣ってくれてあたし、負けてる全然、負けちゃっているんです</p><p>そうかしまった</p><p>さっき、みすずが落ち込んでいるメグを慰めてくれて</p><p>それでメグが泣いていたから</p><p>オレは、てっきりあれでメグの気持ちは収まったと思っていたけれど</p><p>逆なんだ</p><p>メグは心の中で、みすずに強いコンプレックスを感じていて</p><p>オレを取り合うライバルみたいに思っていて</p><p>そんなライバルであるみすずに優しくされたことが情けなくて泣いたんだ　コンプレックスを強化してしまったんだ</p><p>負けているのが、嫌なの</p><p>寧さんがメグに尋ねる</p><p>嫌です</p><p>じゃあ、どうするつもり</p><p>判らないですあたしはみすずさんみたいな素敵な女性じゃないしみすずさんみたいに、人に優しくできないし勇気も、強さもない</p><p>メグは、ブルッと身体を震わせる</p><p>メグちゃん君は大きな勘違いをしているよ</p><p>みぃちゃんだってメグちゃんが思っているほど、余裕は無いよ</p><p>でもみすずさんは強いですあたしより</p><p>だったらヨッちゃんは、みぃちゃんにお任せして、メグちゃんは身を引く</p><p>ハッと顔を上げるメグ</p><p>そんなことはできません</p><p>クスッと微笑む、寧さん</p><p>だったら必死で食らいついていくしかないよねっ</p><p>食らいついていく</p><p>あたしもさっ昔は、思ってた愛している人に、必要とされたいってケイちゃんが生きていた頃あたしは、ずっとケイちゃんに縋って、助けて貰っていたから</p><p>寧さんが過去を振り返る</p><p>でもあたしには、ケイちゃんにしてあげられることなんて何もなくて姉としても、女としても何もできなかった本当にケイちゃんの足手まといでさ</p><p>寧さんの殺されてしまった双子の弟さん</p><p>寧さんを守るためにシザーリオ・ヴァイオラに犯され続け</p><p>最後は、ヴァイオラの妹と相打ちになった</p><p>でもさ最近、思うんだよね生きていてくれさえしたら、それだけで良かったって何かしてあげたいとか、必要とされたいとかってさ結局は、自分の欲求でしか無いじゃんそういう思いを全部フッ飛ばしてさあたしのこと、好きでいてくれなくてもいいから、憎んでいたり嫌っていたりしてくれてもいいから生きていて欲しかったなあたし</p><p>寧さんは寂しく笑う</p><p>ケイちゃんは、クリスチャンだったんだけど話したっけ</p><p>寧さんが、オレを見る</p><p>はいヴァイオラに監禁されていた時、夜に寧さんとお祈りしたって話を聞きました</p><p>寧さんはその時自分の肉体を弟に捧げようとした</p><p>だけど、クリスチャンである弟はセックスを拒んで</p><p>二人で神にお祈りをして夜を明かした</p><p>あたしはさ、どれだけお祈りしても助けてくれない神様を憎んでいたけれどケイちゃんは、神様はいつも、ボクたちに寄り添っていて下さるって言ってたうん寄り添うだけ助けてはくれないんだよ</p><p>メグとマナは、真剣に寧さんの話を聞いている</p><p>アメリカのキリスト教の教会にはねよく壁にGOD　IS　LOVE．って書いてあるんだよね日本語にすると神は愛なりってことなんだけれどその言葉が、最近よく頭に浮かぶんだ</p><p>神は愛</p><p>人間に寄り添っているだけで、助けてはくれない神様が愛なら愛っていうのは、寄り添うだけの行為なんじゃないかってさ相手に必要とされるとか、助けてあげるとかそういうのは、無くてもいいんじゃないかなってただ、側に居る存在している生きていてくれるだけで、充分なんだと思うんだよ</p><p>ケイさんは、もういない</p><p>寧さん、オレずっと寧さんの側にいますから</p><p>オレはケイさんの代わりに、寧さんの弟になると約束した</p><p>判ってるってあたしも、ヨッちゃんとずっと一緒だよっ</p><p>寧さんは、微笑んでくれる</p><p>メグお姉ちゃんは、考えすぎなんだよ気持ちは判るけれど</p><p>マナなんてさお兄ちゃんに迷惑掛けっぱなしだよマナこそ、お兄ちゃんのお荷物だよいつ、お兄ちゃんに嫌われて捨てられても文句が言えないもん</p><p>マナが、オレに身体を寄せる</p><p>頭をオレの胸に当てて</p><p>マナが生きていく場所は、もうお兄ちゃんの側しか無いのに</p><p>だから、お兄ちゃんの赤ちゃんを産んだらずっと側に居てもいいって、パスポートが貰えるような気がしたんだよ</p><p>こいつの心の傷も、根深いな</p><p>恵美お姉様も、マナ妹《イモウト》も気にしすぎです</p><p>ずっと黙って二人の話を聞いていた美智が口を開いた</p><p>恵美お姉様はともかくマナ妹ってのは何だ</p><p>ご主人様は、大きな木のようなお方ですわたくしたちは、ただご主人様の木陰に入って、休ませていただければそれだけ良いのです</p><p>あたしもそう思うヨッちゃんは、側に居るだけであたしたちを癒やしてくれるからそれだけでいいんだよ</p><p>いや、だってオレこそ、何もできていないじゃないですか</p><p>実際の話オレは、みんなの役に立っている自信は無い</p><p>何でヨッちゃんは、いつもあたしたちの話を真剣に聞いてくれるじゃん一生懸命、一緒に考えてくれるしあたしのこと、好きだって言ってくれたよねっ</p><p>あたしもヨッちゃんのこと、大好きだよっそれでヨッちゃんは、メグちゃんや、マナちゃんに、ミッちゃん克っつんや、渚さんや、みぃちゃん、ルリちゃん、麗華さん先生やマルちゃん、シゲお祖父ちゃんに、関さんと美子さんみんな好きでしょ</p><p>はい好きです</p><p>うんヨッちゃんて、心の中が何もかも顔に出るし嘘吐かない子だもんね本当に好きだと思った人に対しては優しいし嫌いな相手には、徹底的に壁を作るしね</p><p>そうだよヨッちゃん、あっちのエリート軍団、嫌いでしょ</p><p>それはまあ</p><p>嫌いというか苦手というか</p><p>あっちの人たちも、ヨッちゃんのことを基本的に拒絶しているけどさヨッちゃんも、ヨッちゃんで心をシャット・アウトしているよホント判りやすいよね</p><p>寧さんが、オレに微笑む</p><p>というわけだからさヨッちゃんが、あたしたちを拒絶していないのならあたしたちは、ヨッちゃんの側に居ていいんだよヨッちゃんという大樹の木陰で、あたしたちは、のうのうとしていいんだよそんで、もしいつか、ヨッちゃんがあたしたちのことを受け入れきれなくなったらそういうのは、ヨッちゃんの顔を見ていれば絶対に判るからそしたら、あたしたちはヨッちゃんから離れて行けばいいんだよ</p><p>メグとマナに寧さんは、言う</p><p>でもあたしはあたしは、ヨシくんの役に立ちたいんです</p><p>メグは、苦しそうに言った</p><p>そんならささっきも言ったよね死に物狂いで食らいついていくしかないだろうね一生懸けてさ</p><p>一生ですか</p><p>寧さんの言葉にメグは驚く</p><p>そうヨッちゃんが死ぬ時に君がいてくれて本当に良かった、ありがとうって言わせれば、メグちゃんの勝ちだよ長い長ーい期間、ずっとずっと食らいついていくんだよそれしか無いんじゃない</p><p>ニコッと微笑む寧さん</p><p>あたしはケイちゃんの時みたいな後悔は二度としたくないからだから、ヨッちゃんには、ケイちゃんにしてあげられなかったことは何でもしてあげるのヨッちゃんが、どんなことでも迷惑がらずに受け入れてくれることは、もう判っているしさ後は、長い人生を一緒に楽しく過ごしていくだけだよっ</p><p>何かしてあげたいなって思ったら、その時にしてあげればいいしヨッちゃんが、あたしにしてくれることは、何でも受け入れるし今できないことは、無理にしない急がないし、慌てない人生長いんだから</p><p>寧さんはオレに処女を捧げてくれると約束した</p><p>でもシザーリオ・ヴァイオラのことが、解決するまでは</p><p>寧さんの中で、ケイさんの供養が終わらないから</p><p>オレたちは、抱き合うことができない</p><p>そのことはオレも寧さんも判っている</p><p>だから、慌てない</p><p>ゆっくりと時期を待てばいい</p><p>本当に大きくて立派な樹だね、ヨッちゃんはしっかり根を張って、動じない愛しているよヨッちゃん</p><p>オレもです寧さん</p><p>オレは、メグとマナと美智を見る</p><p>みんな大好きだからなオレ</p><p>美智とマナが、微笑む</p><p>判っておりますご主人様</p><p>マナもお兄ちゃんが大好きだよっ</p><p>ヨシくんは雪乃のことも、愛しているの</p><p>延々とオレたちの会話を聞いていた雪乃が、こちらに振り向く</p><p>うんと、オレは雪乃のことは好きだけど雪乃はほら、オレのこと好きじゃないから</p><p>だからオレと雪乃との距離は、これ以上は縮まらないんだ何回セックスしても、雪乃がオレの子供を妊娠したって変わらないと思う</p><p>雪乃は入学式の時と同じだ</p><p>同じだけ遠いところにいる女だ</p><p>オレがあの頃毎日、雪乃を遠くから眺めているだけで良いと思っていたのは</p><p>オレたちの間の心の距離は、永遠に近付かないままなんだと気付いていたからなんだろう</p><p>あたしさあんたたちの話していること、全然判らない何で、そんな男に夢中になれるのよ何考えているのか、全然判らない気持ちの悪い男じゃない</p><p>雪乃みたいな子には、オレみたいな男は判らないんだろう</p><p>判らないというより理解したくないっていう、嫌悪感があるんだろうな</p><p>確かに、この男はエッチが巧いんでしょうけれどでも、それだけじゃない頭の中がスッカラカンの、いつもオチンチン勃たせている種馬みたいな男なのよ</p><p>それが雪乃のオレに対する評価か</p><p>判った、じゃあもう雪乃さんは、お兄ちゃんとエッチしなくていいね</p><p>慌てる雪乃</p><p>気持ち悪いって思うんなら、もういいでしょ雪乃さんには、もうあげないからねあでも、妊娠だけは確実にして貰わないと困るよね</p><p>それだったらさ、注射器か何かでヨッちゃんの精液を採ってさこの子の子宮に流し込めばいいんだよっ克っつんに言えば、お屋敷の中からそういう注射器を出してくれると思うよ</p><p>白坂創介の変態プレー用にそういう器具も、置いてあるはずだ</p><p>うん、寧さん、そうしよう</p><p>マナが、ニヤッと微笑む</p><p>じゃあ、雪乃さんに精液を流し込む係はマナがするねっ</p><p>マナのサディスティックな血が燃え上がる</p><p>ということだから、お兄ちゃんは今までの倍、マナの中に射精してねっマナ、お兄ちゃんが出してくれた精液を注射器に入れて、雪乃さんを受精させるから</p><p>美智さん、ちょっとこっちに来てくれないか</p><p>オレが返答に困っているとマルゴさんが、美智を呼んだ</p><p>麗華と渚と真緒ちゃんもマルゴさんの周りに居る</p><p>みんなでスクリーンに投影された、1階ロビーの映像を観ていた</p><p>はい、ただ今、参ります</p><p>美智が返事をする</p><p>オレたちも行ってみよう</p><p>オレは、マルゴさんたちの方へ行こうとする</p><p>ヨシくんあたし、頑張るね</p><p>小声で、メグがオレに囁いた</p><p>何をどうしたら良いのかまだ判らないけれどでも、頑張るからあたし</p><p>寧さんが話をしてくれたことで少しはメグは、心を立て直すことができたみたいだ</p><p>頑張らなくて良いから側にいろよ</p><p>オレもメグの耳に囁く</p><p>居てくれればそれだけで、充分だよ</p><p>1階のロビーには香月セキュリティ・サービスの警備員と、工藤父の連れて来たフリーの人間が居る</p><p>スクリーンに映っている映像は監視カメラからのものか</p><p>麗華お姉さんが、監視システムの使い方を教えてくれたんだよ</p><p>マルゴさんが壁の中に仕込まれていた装置を引き出して、画面を次々切り替えていく</p><p>麗華は、香月セキュリティ・サービスのトップ・エリートの警護人だ</p><p>香月家の持ち物であり、重要な会議で何度も使用しているこのホテルのことは、よく熟知しているらしい</p><p>しかし工藤さんは、本当に凄いね東京で仕事している、裏の人間はほとんど集めているんじゃないかな</p><p>あ、バンバルビー３のお姉さんたちの姿も見える</p><p>おっ、あの女、乳首丸出しじゃん</p><p>スクリーンに映ったルビーさんの乳首を観て、角田が叫んだ</p><p>私塾の連中も歓談を止めて、映像に注目する</p><p>マルゴさんは、さっさとカメラを切り替える</p><p>しかし本当に個性的な方ばかりですね</p><p>呆れた様に、渚が言った</p><p>工藤父が集めた連中は、確かにみんな派手だ</p><p>たいていは、がっしりとした体型で革ジャンとかを着ているんだけれど</p><p>変な格好の人も多い</p><p>肩にトゲ付きの大きなプロテクターをしている、モヒカン頭の人とか</p><p>編み笠を被った、虚無僧とかどういう人なんだろう</p><p>他にも、何故かジェット戦闘機のパイロットの格好をしている人とか(パイロット用のヘルメットに、酸素マスクもしている)Ｆ１のレーシングスーツの人（ちゃんとスポンサーのロゴの入った、フルフェイスのヘルメットを被っている）とか</p><p>ホテルのロビーなのに、ウェットスーツを着て、アクアラングを背負って、足ひれを着けている人にいたっては目的が理解できない</p><p>こうなると工藤父とか、お母さんなのに女子中学生にしか見えないネコさんが、普通の人に見えてくる</p><p>バンバルビー３の、三角ビキニのブラにホットパンツに日本刀とか</p><p>ピンクのナース服に、巨大な注射器を持っているお姉さんは、アニメかマンガのコスプレみたいに見えるけれど</p><p>ていうか、全身真っ赤な服に白いマフラーの９人組のグループとか何なんだ</p><p>赤とか黄色とか緑とか、カラフルな和服を着た集団とか</p><p>真っ白なスーツを着て、片手で大きなブランデー・グラスを廻している紳士とか</p><p>おいおい１階は、仮装大会かよ</p><p>香月仁が、呟いた</p><p>へえ、伊藤志朗に駒津政夫、三波信介と山田高男まで来ているじゃないか</p><p>みんな、裏社会では知られた人物なんだろうか</p><p>はい、父は顔が広いですから</p><p>美智が、胸を張って答える</p><p>こういう人たちをよく知っているというのはどうなんだろ</p><p>まあ、工藤父も相当変わった人だけど</p><p>美智さんあれって、火星ダグ・ラムと宇宙ギャオス</p><p>見ると銀色のスーツを着た二人組の男が、画面に映っている</p><p>一人は白人でもう一人は日本人らしい</p><p>二人とも濃い色のサングラスを填めている</p><p>はい、そうですあのお二人にも、父は何度かお仕事を依頼していますから</p><p>美智が答える</p><p>へえ、あたしはファイルで見ただけなんだけど相当、腕の立つコンビなんでしょ</p><p>何なんですその、火星とか宇宙とか</p><p>あの二人のコード・ネームですわ</p><p>白人の方が、ダグラス・ラムゼイ氏元は、アメリカの特殊部隊の出身で、当時のコードネームがマルスだったんですそれで、日本の裏社会に身を寄せてからは、名前を略して火星ダグ・ラムと呼ばれているんです</p><p>え、何でマルスのままでいいじゃない</p><p>うんオレもマナの言う通りだと思う</p><p>それがマルスというコードネームの方が、日本の裏社会には昔からいらっしゃっいますので</p><p>正確にはゲッター・マルスさんです</p><p>麗華の説明に、美智が補足をする</p><p>ああ、コードネームが被ったので後から来た方の名前を変えたんだ</p><p>宇宙ギャオスさんは</p><p>宇宙ギャオスさんは、本名が内藤宇宙太さんとおっしゃるんです</p><p>マナに美智が答える</p><p>宇宙太だから宇宙</p><p>ギャオスは</p><p>内藤だからです</p><p>美智は、自信満々にそう言うが意味が判らない</p><p>しかし、火星ダグ・ラム氏だけじゃないね外国人が結構多いな</p><p>工藤さん、思い切ったことをするよね</p><p>あの中の何人かはシザーリオ・ヴァイオラと通じているはずだよ</p><p>マルゴさんは、ニヤッっと微笑む</p><p>この間、みすずにメグを慰めさせたのは大失敗でしたね</p><p>ライバル関係というかメグがみすずに対してコンプレックスを抱いているのに、</p><p>そのみすずから慰められるというのは、恵美のコンプレックスを拡大させるだけでした</p><p>なので寧さんに来て貰って、やり直すことにしました</p><p>展開が遅くて申し訳ないのですが</p><p>緊迫した交渉や戦闘の場面の前に、決着を付けてしまわないといけないので</p><p>父が意識を取り戻したのですがまだ、口や鼻に人工呼吸器を付けたままなので</p><p>会話はできません</p><p>何か、マスク割れしたダースベイダーみたいになっています</p><p>手も、点滴をしていて動かせないので筆談もできず</p><p>何か唸りながら訴えてくることを理解しようと頑張るのですが</p><p>しかし、今日は帰り際に笑っていたので大分、安心しました</p><p>疲労が大分溜まってきていますので、しばらくは枚数が少ないと思います</p><p>申し訳ございません</p><p>273．第2の交渉・１</p><p>工藤さんは、どうやら日本で活動している裏社会の人間に、片っ端から声を掛けたようですね実際名のある人物は、ほとんど揃っています</p><p>スクリーンの映像に映った１階ロビーの風景</p><p>奇抜な格好をした裏社会のフリーの人々を見て、麗華は言った</p><p>彼らには相当な額の報奨金を提示したのでしょうまた、このホテルでの闘いは閣下が主催者ですここで活躍すれば、閣下に認めていただけるかもしれません香月セキュリティ・サービスに正規雇用される可能性もありますし工藤さんの様に、閣下直属のエージェントになれるかもしれません</p><p>そうかフリーの人間からしたら、今日の仕事は大きな意味があるんだ</p><p>まあ香月家とアメリカの名高い犯罪組織との全面対決だからね実力不足の連中は、ブルッてしまって来ないだろうし逆に、そこそこ名前の通っている裏の連中は、今夜の闘いに参加しないと面子を失う工藤さんは裏社会中に情報を流して、そういう大イベントにしてしまったんだよ</p><p>ええこの先も裏社会で自分の看板を守って生きていくためには、今夜は工藤さんの要請に従ってこのホテルにやって来るしかありませんね来なければ、笑いものになりますフリーの人間は、自分の看板に傷が付くことを何よりも恐れますから</p><p>麗華が、そう説明してくれた</p><p>ただしわたくしたちの味方になるおつもりでいらっしゃるのか敵になられるおつもりなのかどっち側にお付きになられるのかは、今の段階では判りませんが</p><p>うん裏社会でもフリーの人間は、へそ曲がりな人も多いからね特に、強い人にはそんな傾向がある香月さんの味方になるんじゃ、面白くないってヴァイオラの方に賭けて、あたしたちと敵対することを選んだ人もいるはずだよ香月セキュリティ・サービスみたいな、大きな組織をメチャメチャに蹂躙してやりたいってさ</p><p>マルゴさんは、ニコッと笑ってそう言う</p><p>どうせヴァイオラの方も、寝返る人に対しては、それなりのギャランティは提示しているんだろうしこれをキッカケにしてヴァイオラと組んで、ロサンゼルスに拠点を移そうかなんて、考えているのかもしれない根無し草な人間は、どこへでも流れて行くから</p><p>あの人たちの中に、ヴァイオラの手下が居るってことですね</p><p>手下じゃないよあくまでも今夜だけ、ヴァイオラに雇われた現地雇用者さほら、前にも不良外国人の集団が襲ってきたろ</p><p>工藤父が車中泊していたグラウンド脇の道に突然、外人の集団が襲いかかって来たんだっけ</p><p>ヴァイオラは、絶対的に日本の中では動かせる人数に限りがあるからね兵力を増強させようと思ったら、使えそうな人員を現地雇用するしか手が無いんだよ</p><p>ヴァイオラがアメリカから、子飼いの自分の手下を、本当は何人連れて来たのか判らないけれどまあ、こうなってみると、そこそこの人数の兵隊は連れて来ていると考えるべきなんだろうね</p><p>ヴァイオラが、少人数で日本に来たって話は、もう信用できない</p><p>愛知の空港にヴァイオラたちらしい集団が降り立ったという情報は、やっぱりフェイクだったんだ</p><p>本当のヴァイオラは別の場所から、日本に入国したはずだ</p><p>ミス・コーデリアと、もう一組の白いヴァイオラなんていうやつらも居たし</p><p>ある程度の数の犯罪者一団が、バラバラに潜入して来ていると考えるべきだ</p><p>それでも精々三十人前後が限界なんじゃないかなそれ以上は、絶体に無理だよ全国の空港の入国審査の状況は、全て香月さんがチェックさせているからね</p><p>だから兵力の水増しのために、あの中の何人かはヴァイオラに現地雇用されているんだよっ</p><p>裏の世界のフリーの人間はお金で雇われれば、何でもするからねっ特に、外国人はビジネスとなれば、ドライだから適当に稼いだら、自分の母国に逃げればいいとしか考えてないだろうしさ</p><p>なるほど外国人なら、香月家の力なんて気にしないか</p><p>いや、日本人だって裏の世界で生きている人なら、香月家と敵対するぐらいのことを平然とやってのけるだろう</p><p>今は、工藤父の要請に従って、みんなこのホテルのロビーに集合したということになっているが</p><p>戦闘になった途端に、敵に寝返ろうとしているやつらが存在してるってことか</p><p>そう言われて見ると画面の中に居る奇抜な格好の連中が、みんな敵に見えてくる</p><p>お二人は、父の集めた人間の何割が敵だと想定なさいますか</p><p>美智がこの道の先達である、マルゴさんと麗華に尋ねた</p><p>この場合は人数は関係無いんだよ</p><p>マルゴさんは、苦笑して答える</p><p>その通りですね相手の戦闘能力のレベルによりますから</p><p>麗華も、そう答える</p><p>力の弱い雑魚が何人集まってもＡ級の戦闘能力を持った一人には敵わない</p><p>そして困っちゃうことにへそ曲がりな性格の持ち主に限って、割と強かったりするんだよね</p><p>はぁそりゃあ、ヤバイな</p><p>見て御覧よロビーにいる連中も、そういう事情には気付いているからほら、みんなお互いの様子を牽制し合っているだろ</p><p>マルゴさんの指摘通りロビーの裏社会の面々は、それぞれのチームで固まって他のチームとは、少しずつ距離を取っている</p><p>たまに、会話を交わしたりはしているがお互いに疑心暗鬼になっているようだ</p><p>いつ襲われても、迎撃できる態勢をそれぞれがキープしている</p><p>緊張感があっていいけれどあたしは、あの中に居たくはないね心がキリキリして、耐えられないよ</p><p>でもあの</p><p>オレの中に、疑問が湧く</p><p>こういう状況になったってことは工藤さんは、もちろん判ってやっているんですよね</p><p>あの何事に対しても徹底的に準備するオッサンが</p><p>こういう事態になることを想定してしないはずがない</p><p>それは、そうだよもちろん</p><p>ホント工藤さんは思い切りがいいよね</p><p>わざわざ、こんなキリキリとした空間を作る理由がオレには、判らない</p><p>え、ヨッちゃん、判んないの</p><p>寧さんが、驚いた顔をする</p><p>あ、寧さんマナも判んないです</p><p>マナが、笑って告白する</p><p>すると、後ろから</p><p>舞夏、あんた馬鹿じゃないの敵も味方も一カ所に集めちゃった方が、管理しやすいからに決まっているじゃない</p><p>お前、聞いていたの</p><p>つーか、お前いつのまにかオレたちの輪の中に入り込んでいるし</p><p>みんな、お互いにギリギリして睨み合っているからさこういう緊張感でいっぱいの状態なら、本当は敵の人だって迂闊な行動は取れないでしょ</p><p>雪乃は、オレたちに向かってべらべらと喋り出す</p><p>それにみんな、一応香月さんの味方になるって約束で、ここまで来ているんだからさ実際に、何かしらのアクションが起きた時には、寝返るタイミングを逸してしまったら、最後まで味方のままで居てくれるかもしれないしさ</p><p>物凄いドヤ顔で、オレたちに解説する雪乃</p><p>最初っから香月さんの味方になるつもりで来た人は、心に全く迷いが無いでしょうけれどさ敵に寝返ることを考えている人は、この状況ならギリギリまで迷うと思うわよ日和ってやっぱり、香月さんの側のままでいるって思い直す人も、結構多いんじゃないかしらっ</p><p>雪乃の推測は鋭い</p><p>それは、認める</p><p>雪乃は馬鹿じゃない</p><p>これで変な格好に、変なメイクをしていなければ格好良くキマったのに</p><p>馬鹿じゃないのに</p><p>馬鹿みたいに見える</p><p>雪乃自身は、現在の自分の姿のことは、すっかり忘れて喋っているし</p><p>ご明察雪乃さんの言う通りだよ</p><p>マルゴさんが、笑って答えた</p><p>敵になる可能性のある人たちを、ホテルの内側に入れるのは、とっても危険なことだけどねでも、これで寝返る人間をギリギリまで減らすことができるホテルの内側は、香月セキュリティ・サービスが完全に固めているからこの状況で寝返るのは、相当な勇気が要ることだろうし</p><p>改めて、画面を見ると</p><p>ロビーの周りには、異様な集団の四倍ぐらいの制服組が配置されている</p><p>この人数差は寝返り予定者にはプレッシャーになるだろう</p><p>それに父には、ネコさんやバンバルビー３の皆さんなど、確実に味方だと判っている人たちがいますその方たちを適所に配置しておけば、とっさの寝返りには確実に対処できますし</p><p>美智が自信満々に、そう言った</p><p>まあ工藤さんなりに、苦渋の選択をした上での作戦なんだろうあの人たちを外に放置していたら、それこそ同時進行で複数箇所から攻め込まれるだろうしヴァイオラの本隊と連携されたら、困るしね</p><p>ロビーに閉じ込めている限り寝返り組は、抑え込むことができるか</p><p>あ、また誰か来たみたいだね</p><p>ホテルの入り口に、黒塗りの高級車が停まる</p><p>オレたちが話をしている間にも</p><p>交渉に来る白坂家の反主流派のメンバーと</p><p>香月家の重役で私塾の連中の父親たちが次々とホテルに来場する</p><p>到着した人たちは工藤父の集めた連中の前を通らないように、別ルートでそのまま上階へ通じるエレベーターに乗せられる</p><p>スクリーンの画像は、強制的に大きな会議室に切り替わった</p><p>白坂さんの方も、私たちの方も予定通りのメンバーが全員揃っていないが、これ以上は待ってられんそろそろ始めよう</p><p>テーブルにどっしりと座ったジッちゃんが重い口を開く</p><p>ジッちゃんの脇には、ミナホ姉さん</p><p>そして、警護役の関さんが立っている</p><p>背後の席には、ずらっと香月グループの重役たち</p><p>彼らを取り囲むように香月セキュリティ・サービスの谷沢チーフと、ジッちゃんの専任警護人の大徳さんと張本さんが立っている</p><p>本当に申し訳ございませんわっうちの富久志ちゃんたら、一体どうしちゃったのかしらっ</p><p>ジッちゃんたちと向き合った反対側のテーブルで、そんなことを言うオバサンは</p><p>白坂家の分家の、白坂信子だろう</p><p>その横に地方の白坂家の企業を代表する、白坂博光氏と</p><p>白坂家の新聞社の東京本社の副社長である、山田ヒサシ氏が並んでいる</p><p>遅刻しているのは、信子の息子の白坂富久志らしい</p><p>ふん我々の方も、二人ばかり足りておらんな</p><p>ジッちゃんは、背後の重役たちを見てそう言った</p><p>麗華お姉さん、来ていない重役は誰と誰</p><p>マルゴさんが、麗華に尋ねる</p><p>麗華は、香月セキュリティ・サービスのトップ・エリートだ</p><p>香月グループの重役の名前と顔は、完全に記憶している</p><p>司馬沖達氏と香月昇氏ですわ</p><p>香月昇ってどの人のお父さん</p><p>ジッちゃんの私塾には香月家の分家から、香月操と昴の兄弟、香月仁、香月健思の４人が来ている</p><p>つまり、父親である香月姓の重役は３人</p><p>香月健思さんのお父様です</p><p>麗華は答えた</p><p>香月家の当主であり、香月グループの総帥であるジッちゃんが緊急招集をかけたというのに来ないというのは</p><p>その二人には、裏切り者の可能性がある</p><p>みすずや瑠璃子は劇場からの移動の際に、香月セキュリティ・サービスに成りすませた敵に襲撃された</p><p>そいつらは数ヶ月前に香月セキュリティ・サービスに入社した人間が盗み出した警備員の服を着ていた</p><p>こんなことは外国の犯罪組織の人間であるシザーリオ・ヴァイオラには、仕組むことはできない</p><p>香月グループの中に確実に裏切り者がいるのだ</p><p>そしてそいつらは、シザーリオ・ヴァイオラと手を組んだのかも知れない</p><p>今夜、このホテルに現れないとすれば</p><p>それは、今からここが戦場になることを知っているからだろう</p><p>ヴァイオラの襲撃が成功すればジッちゃんの命も危うい</p><p>とばっちりで、重役たちも殺される可能性がある</p><p>だから自らの命を惜しんで、ホテルに来ることを拒んでいる</p><p>そういうことなんじゃないのか</p><p>司馬は、羽田からこちらに向かっています</p><p>重役の一人がジッちゃんに、答えた</p><p>ああ、彼は中国工場の視察に行っていたんだな</p><p>ジッちゃんが、その重役に振り向く</p><p>はい少し、飛行機の到着が遅れたようですが、先程国際線ターミナルから、連絡がありました車で、こちらに向かっているそうですまもなく到着するでしょう</p><p>うむ昇の方は、どうした</p><p>ジッちゃんの問いに、その重役は</p><p>連絡は取れません携帯が繋がりませんし秘書や専属運転手も、居場所を知らないそうです</p><p>怪しいすごい怪しいけれど</p><p>まあ、いいとにかく話を始めよう</p><p>ジッちゃんは正面を向く</p><p>まずは君たちの方の提案を聞きたい</p><p>提案、ですか</p><p>山田副社長が、怪訝な顔をする</p><p>そうだ最初に、はっきり言っておくが、私は今回の白坂家のスキャンダルは、自業自得だと思っている白坂家の新聞社やテレビ局が、これで潰れることになったとしても私は別に困らんよ</p><p>その言葉に、山田副社長は</p><p>何をおっしゃいます我が社は、創業７５年の伝統ある新聞社です報道の自由を守り続けるために、これまでずっと闘い続けてきた歴史があります</p><p>君は、誰に物を言っているつもりだね</p><p>ジッちゃんは、冷たく言った</p><p>たかだか７５年続いたぐらいで、歴史や伝統などと言い出すとは</p><p>苦笑するジッちゃん</p><p>香月という家の伝統を、君は知っているだろう私の先祖を遡れば、古事記、日本書紀の中に記述されておるよ</p><p>香月家は日本有数の歴史ある名家だ</p><p>確実に実在したと検証できる先祖は、平安時代から居る香月の家名を名乗ったのは、室町時代からだ歴史とか伝統とかを語るなら、せめて百年は続いてから言って貰いたいね</p><p>こんな嫌味が言えるのも日本では、ジッちゃんぐらいだろう</p><p>今年で、ぴったり創業７５周年なのかね</p><p>はい４月に、記念式典をしたばかりです</p><p>ジッちゃんの剣幕に怯えながら、山田副社長は答えた</p><p>なら、ちょうどキリがいいじゃないか潰してしまっても</p><p>ジッちゃんは、ニヤリと微笑む</p><p>ビクッと震える山田副社長</p><p>あの香月様、発言をお許し下さい</p><p>白坂博光氏が手を挙げる</p><p>いいだろう発言を許可する</p><p>はありがとうございます</p><p>白坂博光氏は腰の低くそうな男性だった</p><p>あの初めてご尊顔を拝します大阪の白坂博光でございます</p><p>うむ、知っているよ君はなかなかの遣り手だと聞いている</p><p>白坂博光氏の額には、すでに大粒の汗が輝いていた</p><p>私はこの度、どうしても香月様にお願いしたいことがございまして大阪より、馳せ参じました</p><p>前置きはいい君の狙いは何だね</p><p>白坂博光氏は、大きく深呼吸してから言った</p><p>新聞社、テレビ・ラジオ局の東京本社のことは、私は何も判りませんそれは、こちらにいらっしゃる、白坂信子さんや山田副社長とご相談下さい</p><p>うむ君は、地方の関連会社を代表して、上京してきたと聞いているが</p><p>白坂博光氏は、まっすぐにジッちゃんを見つめる</p><p>地方にありますテレビ局とラジオ局、新聞の支社を代表して申し上げます香月様私どもの会社を全て、お買い上げになってはいただけませんか</p><p>白坂家の支配するマスコミ機関の地方の会社だけを買って欲しいって</p><p>短くて、済みません</p><p>274．第2の交渉・２</p><p>地方のテレビ局とラジオ局だけを私に買えと言うのかね</p><p>ジッちゃんは、大阪から来たテレビ局の社長白坂博光の発言に苦々しい表情で応える</p><p>博光くん、君は何ということを提案するんだね</p><p>白坂家の新聞社の東京本社副社長山田ヒサシ氏が、仰天して叫ぶ</p><p>そんなことをしたら私たちの新聞・テレビのネットワークは、崩壊してしまうぞ</p><p>それに対し大阪から来た、白坂博光氏は</p><p>構いません崩壊させましょう現在の、ネットワークは東京に集中し過ぎています東京からほとんどの情報が発信され、私たち地方に住む人間は、それをありがたく視聴させられているこんな状態は歪です正さねばならない</p><p>そんなことは無い、我々は地方の話題だって充分に報道している</p><p>山田副社長は、納得いかないらしい</p><p>私は充分だとはとても思えませんいや、問題なのは、地方の話題がそれなりに報道されているかどうかなのではありません必要以上に、テレビ・新聞に東京の話題ばかりが取り上げられ過ぎていることが大きな問題なのです</p><p>白坂博光氏は、頑として譲らない</p><p>例えば東京のテレビ局から発信される、夕方のニュース・ショー報道番組なのだから、ニュースだけ流していればいいのに、なぜか余計なコーナーがあるなぜ、地方に住む我々にまで、東京のデパート地下で評判の生産数限定の洋菓子だの、東京で人気のラーメン屋だの、東京にある500円で食えるランチの店の特集なんぞを見せ付けられるのですか東京に住んでいなければ、どれも必要の無い情報ばかりではありませんか</p><p>えそういう番組を、そのまま地方でも流しているんだ</p><p>確かに東京から遠く離れている地方の人には、そんな放送をされても困るよな</p><p>日常生活では、行かれないんだし</p><p>それは現在の東京での流行を、地方の人々にも知らせようということだよ</p><p>山田副社長は、そう言うが</p><p>それこそ大きなお世話ですあなた方は、情報の発信元は全て東京だと思っておられる地方には地方で、それぞれ独自のニュースがあります我々は、東京による情報支配に縛られること無く、もっとそれぞれの地方に合った報道を増やしたいのです</p><p>博光くんは判っておらんのだよ日本の政治・経済の中心は東京だ情報の発信が東京中心になるのは当然のことだろう</p><p>ええ、ですから国会中継と株式情報は東京から発信していただきますしかし、それ以外の情報コンテンツまで、全て東京で製作して全国に配信するのは間違っているもっと、地方局に権限をですね</p><p>そう言って君は、大阪で製作した番組を他の地方に売り付けたいだけなんじゃないのかね</p><p>大阪のテレビ局の代表と東京の新聞本社の副社長</p><p>二人の意見は、まったく噛み合わない</p><p>まあ、いい白坂博光氏が、私に地方の会社だけを買い取って欲しいというのは結局のところ、東京の本社さらに突き詰めれば、その代表である白坂守次氏の支配から脱したいと言うことなのだな</p><p>ジッちゃんが、そうまとめる</p><p>はい白坂守次氏による強権的な支配の下では、我々には自由な報道はできませんから</p><p>白坂博光氏は、ジッちゃんの眼を見て答える</p><p>しかしだ支配者が、白坂守次氏から私に変わったとして君たちは、本当に自由な報道ができると思っているのか私は、白坂守次氏以上に、私の思い通りの偏向した報道をするように君たちに迫るかもしれんぞ</p><p>ニヤッと、ジッちゃんは笑う</p><p>それは我々は、香月様を信用していますから</p><p>よく言う君が私の何を知っているというのかね</p><p>ジッちゃんは、白坂博光氏にプレッシャーを掛ける</p><p>いずれにせよ、君が何を考えてここへ来たのかはよく判った次に</p><p>ジッちゃんの眼が、白坂博光氏から白坂信子氏に移る</p><p>君の言葉を聞こう君は、私に何を要請しにここに来たのだね</p><p>白坂信子氏は</p><p>わたくしは白坂博光さんよりも、白坂本家に血筋の近い人間です</p><p>知っておるよ君は、白坂守次氏の兄上の娘さんなのだろう</p><p>はい父が若くして亡くなることがなければ、白坂家の当主に守次叔父が就くことはありませんでした白坂本家の正当な血脈は私にあります</p><p>なるほど、血筋の正当性を主張できるから白坂信子氏は、白坂の家の中で当主・白坂守次氏に対抗する勢力のボスでいられるんだ</p><p>昨夜の失態で守次叔父が、これ以上当主でいることは家のためにならないと、わたくしは判断致しました守次叔父には、引退していただきますそして、次の当主の座はわたくしの息子、白坂富久志に継がせたいのです</p><p>つまり、このオバサンは自分の息子を次の当主にしたいのか</p><p>やはり白坂の家は、白坂の正しい血筋の人間が治めなければ廻りませんわたくしの息子、富久志が当主となれば、白坂の家は正当な血筋に戻ります新聞社もテレビ局の皆さんたちも富久志を盛り立ててくれるはずです</p><p>それってこのオバサンの個人的な妄想なんじゃないだろうか</p><p>ですから、どうか香月様には、富久志の後ろ盾になっていただきたいのですもちろん、わたくしも富久志も香月様に対して絶対の服従を誓います白坂家の全てを、香月様の意のままに動かされて結構です</p><p>白坂信子は、下品な笑みを浮かべる</p><p>香月様にとっても、決して悪い取引では無いと思いますわ</p><p>このオバサンは、自分の息子が白坂家の当主にさえなれば、他のことはどうでもいいんだ</p><p>白坂家の新聞社やテレビ局の経営権もジッちゃんに渡してしまうつもりだ</p><p>白坂家の当主という名誉だけが欲しいんだ</p><p>君も、同じ意見かね</p><p>ジッちゃんは山田副社長を見る</p><p>と、とんでもございませんっ</p><p>山田副社長は、大きな声で答えた</p><p>わたくしはひとまず、白坂家の方には新聞社・テレビ局の経営陣から全員退いていただきたいと思っています</p><p>山田さん、それ、どういう意味ですっ</p><p>憤慨する白坂信子氏</p><p>あなた白坂家から受けた恩を忘れて、会社から白坂の人間を追放しようと言うの</p><p>山田副社長が答える</p><p>ひとまずと、申し上げました現在は、白坂創介氏の問題が明るみになり国民的な関心事になっていますそして、昨夜白坂守次主筆・会長が、まるで白坂創介氏を擁護するような記者会見をしてしまわれたこれでは、白坂家全体が身内の犯罪を隠蔽していると思われても仕方ありません</p><p>何を言うんです新聞社の一従業員風情のくせに、無礼ですよ、あなた</p><p>怒鳴る、白坂信子</p><p>わたくしは副社長です役員です従業員風情と言われる覚えはありませんっ</p><p>山田副社長も、白坂信子に食って掛かる</p><p>いずれにせよ白坂家の人間の起こした問題で、新聞社・テレビ局の信頼が損なわれているのです昨日から、どの関連会社も抗議の電話とファックスが殺到しているのですぞこうなってしまった以上は、白坂の家の方は全員、役員を退任していただかなければ世間が納得いたしませんっ</p><p>そう言って、あなたが新聞社とテレビ局を牛耳るつもりなんでしょ</p><p>わたくしには、そんな下心はございません新聞社・テレビ局の安泰を計るためには、そうするより手が無いと申し上げているのですっ</p><p>ふ、富久志は富久志はどうなるのですっ</p><p>富久志くんは、役員ではありません従業員の中に、白坂家の方が居るというだけなら、世間も許して下さるでしょう</p><p>そんなことを言ってあなた、いずれは富久志をイビリ出そうと考えているんでしょそうよそうなのねっ</p><p>お二人とも、いい加減にして下さい</p><p>白坂博光が、叱責する</p><p>香月様これが東京本社の内実です自分たちの権力争いのことばかり考えていて地方にいる我々のことなど、何も考えていないっ</p><p>そんなことはないぞわたくしは、全国を網羅した報道ネットワークは大切な財産だと考えている</p><p>山田さん我々は、東京本社の財産では無い我々は、何としても東京から独立する東京の顔色をうかがうのは、もうゴメンです</p><p>何だこりゃ</p><p>あいつらさ自分の立場ってものが判ってないんじゃね</p><p>映像スクリーンを見上げて、香月仁がそう言った</p><p>白坂博光氏は、地方の会社の独立のバックアップを白坂信子氏は、ご子息の富久志氏を当主に擁立するための支持を山田副社長は、新聞・ラジオの東京本社から白坂家の人間を一掃することを、それぞれ閣下にお願いに来たようですね</p><p>私塾の中の頭脳派の嘉田奉孝がそう、まとめる</p><p>結局のところ白坂守次氏を当主の座から失脚させるということだけは、三方の意見が合っているようですが</p><p>司馬アキラが、呆れ顔で呟く</p><p>しかしことごとく、自分のことしか考えていない方ばかりですね</p><p>さすが白坂家というか</p><p>白坂創介みたいな、エゴイストの犯罪者を排出しただけのことはある</p><p>君たちは誰一人として、交渉するに値する人間では無いな</p><p>ジッちゃんがそう言った</p><p>白坂博光くん君は、ずっと大阪にいたまえ君には、日本全国さらには世界全体を相手にしていくという気概は無いらしい</p><p>そんなことはありませんっ私はまず、何より地元のことを小さなことから、コツコツと積み上げていくべきだと思っているだけです</p><p>だから、地元に帰ってコツコツ積み上げていたまえ白坂家の新聞社やテレビ局地方の関連会社のことは、君とは関係無く処理しておくから</p><p>そんな地方に居る、我々はどうなるのです</p><p>そこまで言うのなら、大手の系列会社になぞ勤めないで、自分たちで資本金を集めて地方で独立した会社を興せばいいじゃないか</p><p>地方の不況は凄まじいのです大阪の私の局は、独立も可能ですが他の地方では、新たに新会社を興すことなんて無理です</p><p>東京との繋がりなければ、存続できないのなら東京本社に支配されるのは、仕方ないことだろう</p><p>そこは香月様のお力で何とか当座の資金だけでも、投資していただけませんか</p><p>金は出して欲しいが、口は出さないでくれというのは身勝手過ぎるんじゃないかね</p><p>地方の会社が東京に対して不満を抱いているということは、よく判ったしかし、私に援助を求めるのは筋違いだろう</p><p>次に、ジッちゃんは白坂信子を見る</p><p>それから私は誰が白坂家の当主になるかなんてことに興味が無いそんなことは、白坂家の中で勝手にやってくれ</p><p>そうおっしゃらないで富久志が当主になりましたら、香月様に尽くします絶対にご恩は忘れませんからっどうか、富久志をご支持下さい</p><p>白坂信子は、必死で訴える</p><p>私はね私に忠実だが愚かな人間より、不忠でも利口な人間を好むよ頭の良い人間は、何が自分にとって得かを常に理解して行動するからね私が利益を保証している限りは、彼らは絶対に私を裏切らないんだ逆に、愚かな人間は私に対して忠義を示すと言ってロクでもない行動を身勝手に行い、結果として、私にとんでもない損害をもたらすことが多々ある</p><p>富久志はわたくしの息子は、頭の良い人間です早稲田の政経を卒業していますから</p><p>本当に頭の良い人間なら、遅刻せずに今、この場に居るはずだよ人生には、絶対に外してはいけない重大なポイントがある</p><p>今、この場に来ていない以上私は白坂富久志という人間を信用することはできない</p><p>香月様もう少しだけ、お待ち下さい何かの手違いですきっと道が混んでいるんですわ</p><p>さらに言うと息子の将来に過度に干渉する母親というのも、どうかと思うがね</p><p>ジッちゃんの言葉は、冷たかった</p><p>ちなみに君の息子の富久志くんというのは、今年何歳なんだね</p><p>３８歳ですわ</p><p>うんそりゃ、ダメだ</p><p>ダメダメだ</p><p>さて最後に、山田副社長君の提案は、妥当なものだと思う白坂守次氏が新聞社の代表を辞すのと同時に役員全体も改選するべきだ</p><p>は、はいよろしくお願い致します</p><p>山田副社長は、自分の提案が受け入れられたのだと喜びの表情を浮かべる</p><p>もちろん君にも辞めて貰うことになるよ</p><p>山田副社長の顔が、一瞬にして青ざめる</p><p>君だって白坂守次氏の下で永年、役員として働いて来たのだろ彼にも能力を認められていたはずだそうでなければ、副社長というポストには就けないはずだ</p><p>それは確かに、そうなのですが</p><p>ならば君だって、白坂守次氏と一緒に退職するべきだとは思わないかね</p><p>黙り込む山田副社長</p><p>交渉というものは、取引だ価値のあるものと、価値のあるものの交換だしかし君たちの提示した条件は、どれも私にとって価値のあるものでは無かった</p><p>ジッちゃんは冷たく話す</p><p>だからここから先は、私の好きにやらして貰おう克子くん</p><p>ジッちゃんは、克子姉を呼ぶ</p><p>画面の外から、克子姉が現れる</p><p>その姿は、ジッちゃんの雇っている美人秘書にしか見えない</p><p>この人たちに見えるように、資料を提示してくれ</p><p>機械の端末を操作する克子姉</p><p>どうやら、ジッちゃんたちの居る会議室にも、映像を映し出すスクリーンがあるらしい</p><p>そこに資料が投影される</p><p>もちろん、オレたちの見上げているスクリーンにも連動して資料が示される</p><p>これが君たちの新聞社の株式の状況だ５１パーセントを白坂家が押さえている残りの４９パーセントは、様々な企業と個人株主で保有し合っている</p><p>白坂家が５１パーセントを保有していると言っても、本家の当主・白坂守次氏が持っているのは２８パーセントだけだ他は一族の人間で分けて保有している</p><p>あたしも６パーセント保有しています</p><p>白坂信子が言った</p><p>そうだ、君が６パーセント分の株式を持っているように白坂家の血筋で、ありながら当主・守次氏に反発している株主が何人かいる私はそういう人物から、２パーセント分だけ株を手に入れた</p><p>２パーセント</p><p>つまり白坂家の現在の株保有率は、４９パーセントだこれが、どういうことか判るかね</p><p>白坂家以外の株主の保有率が５１パーセントになったってこと</p><p>株というものは、半数以上を押さえれば、その企業を自由に動かすことができるようになるさて、連休が明ければ私は、君たちの新聞社を買収するために、TOB株式公開買い付けを行うことを発表する昨日からの一件で、今は君たちの新聞社の株価は大きく暴落しているすでに安くなった株を買い占めさせているがTOBとなれば、市場価格よりも高い値で株を買い取るということだみな、こぞって私に持ち株を売ってくれることだろう</p><p>ジッちゃんの話を三人は、びくびくしながら聞いている</p><p>特に各企業が持っている分の株は、みんな喜んで私に売ってくれるはずだよ私は香月重孝だからね私には恩を売っておきたいだろうし睨まれたくはないだろう</p><p>し、しかし白坂本家が、株式市場から２パーセント分の株を買い足せば再び、白坂家の新聞社支配は動かしようがなくなるはずです</p><p>白坂博光氏が、額の汗をハンカチで拭いながらそう言う</p><p>買い足す誰が、どうやって</p><p>ジッちゃんは、クククと笑う</p><p>私はすでに、白坂本家のメイン・バンクに指示しているどこの銀行も白坂本家には金を貸さない株の保有は個人の資産だから会社の資産を流用することもできない手持ちの個人の資金だけで白坂守次氏は、どこまでやれると思うね</p><p>すでにそういう攻撃をジッちゃんは準備している</p><p>何、私が本気だということが判れば本家以外の白坂家の株主も、みんな私の方へ付くよ白坂守次氏に未来が無いことは判っているんだ倒れることが判っている人間と心中する気は無いだろう</p><p>確かにこの様子なら</p><p>白坂家の他の連中だって、すぐにジッちゃんに降伏するだろう</p><p>君たちの新聞社の経営権を私は手に入れる新聞社本体には、系列会社の株式が付いてくる結局のところ君たちの報道ネットワークの全てを私は確保することになるだろう</p><p>ジッちゃんは、ニコッと微笑む</p><p>君たち３人の協力は、必要としていない今日は、わざわざ来て貰って済まなかったねさあ、帰ってくれたまえ</p><p>白坂家の反主流派の三人は互いに顔を見合わせ</p><p>ま、待って下さい香月さん</p><p>275．第2の交渉・３</p><p>さすがは、閣下だすでに、ここまでの準備をなさっておられるとは</p><p>白坂家の反主流派３人を圧倒するジッちゃんの映像を見て香月操が言った</p><p>いや実際には、どうなのでしょう白坂本家が、閣下の意志の通じない例えば、外資系の金融機関と組んだ場合白坂家が、株の過半数を抑えることはまだ可能なのでは無いでしょうか</p><p>嘉田が、真剣な顔でそう答える</p><p>その辺は、まだ閣下に秘策があるのではないかな</p><p>夏木惇も会話に加わる</p><p>外資でも、アメリカやヨーロッパの金融機関なら閣下と近い関係にあります白坂家が金を借りるとしても、新興国の金融機関は利用しないでしょう</p><p>司馬アキラが、そう分析する</p><p>しかし閣下と白坂本家との争いに気付いて、どこかの投資ファンドが株を買い漁るということは無いのでしょうか１０パーセント以下でも、株を保有されたらその方たちが、閣下と白坂本家の闘いを左右することになるのでは</p><p>香月健思が、懸念を述べる</p><p>そもそも株式市場に流れている株は、どれだけあるのでしょう白坂家内でも、本家と反目している人間の持ち株は</p><p>孔守融が、そう言うが</p><p>いや、白坂家内の反主流派でも、白坂家が新聞社に影響を及ぼせなくなるのは嫌なのではないでしょうか白坂家全体で、株を集め何としても過半数をキープする戦術に出ると僕は思いますね</p><p>香月昴が、そういう意見を述べる</p><p>だからといって今更、白坂守次に自分の持ち株を預けますか白坂守次が、当主として死に体だということは誰もが知っています白坂家が結束して、防衛するとしても新しいリーダーを決めてからということになるでしょう</p><p>そう言ったのは、華岡侘介だ</p><p>しかし、白坂守次の後継者争いは揉めるだろうそもそも、白坂守次氏自体は、引退の意志はあるまいやつらが家内でゴタゴタしている間に、全て閣下の思い通りになってしまうのではないか</p><p>大張遼は、そう言う</p><p>うむ閣下のなさることに、間違いがあろうはずないものな</p><p>谷楽進が、大きく頷く</p><p>大声で、議論を続ける私塾の連中</p><p>その会話を聞きながらマルゴさんが、オレに言った</p><p>君は、どう思う</p><p>あんなの全部、ブラフですよ</p><p>私塾の連中の眼が、オレに集まる</p><p>すでに２パーセントの株を押さえたっていうのも嘘だと思いますね</p><p>おい、お前、どういうことなんだぁそれは</p><p>虎田知徳が、大声でオレに尋ねる</p><p>だって株の買い占めなんて、金が掛かるじゃないですかこんなバカなことのために、あの人は無駄なお金は使いませんよ</p><p>オレの言葉に、雪乃が反応する</p><p>白坂の家から、新聞社を奪うことがバカなことだって言うの新聞社は、白坂家の要よあの新聞社は、できた時からずっとあたしたちのものなんだからっ</p><p>そういう話をしているんじゃないんだよ</p><p>今、相手をしているのは、あの３人で要は、あの３人がこっちの言うことを聞くようになってくれればいいんだろ</p><p>私塾の連中はオレの話にピンと来ないらしい</p><p>こいつらは奪うとか手に入れるとか、見栄えの良い結果を求めている</p><p>でもジッちゃんは違うと思う</p><p>あの人は、下らないことに金と労力を使うのは避けるだろう</p><p>白坂博光さんも、信子さんも、山田副社長も結局、当主の白坂守次を追い落としたいだけで、他のことは全然意見が合ってないですよね</p><p>博光氏は、自分たち地方の会社を白坂家の影響下から独立させたいだけだ東京の新聞社の本体については、どうでも良いと思っている</p><p>信子氏は、自分の息子を白坂家の当主にしたいだけ実際の経営権は、ジッちゃんに委ねてしまっても良いと思っている</p><p>山田副社長は、新聞社の経営から白坂家に出て行って欲しいと思っている地方の会社は、これまで通り東京から支配したいと考えている</p><p>少しも妥協できる関係は無い</p><p>それぞれが別の目的を持っていて意見が違うことは、判っているわけですだからみんな、香月さんにお願いしている対等な関係の交渉にならないんです３人が一致した目的で団結すれば、香月さんと対抗できる強い勢力になれるのかもしれないのに今のままでは、それぞれ地方の会社、白坂家の中の反主流派、東京本社の従業員という弱い勢力の代表でしかないんですから</p><p>ジッちゃんに支持して貰わないと自分たちの勢力を維持することすら、難しいだろう</p><p>香月さんは、相手のそういう弱さを感じ取ったからブラフで脅すだけでいいと判断したんだと思います</p><p>脅すだけって</p><p>角田には、判らないらしい</p><p>まあ、エリートでいつも威張っている連中には判らないか</p><p>このやり口は黒い森に近いもんな</p><p>判りませんかお祖父様は、相手に負けるかもしれないと思わせるだけで充分だと判断なさったんですよ</p><p>白坂家の新聞社の株保有率が過半数を割った５１パーセントから４９パーセントになったそう言うだけで、相手は心配になります実際にはまだ、白坂家がお祖父様に新聞社の経営権を奪われたわけではないのに奪われるかもしれないと思い込ませるだけで、あの３人は落ちます香月家には、財力も国家への影響力も充分にあることは判っているのですからしかしお祖父様は、実際には白坂家の新聞社に対して、株式公開買い付けなどなさりませんよ大金を支払ってまで、手に入れるような新聞社じゃありませんし先程、みなさんがご討議なさっていたように外資や投資ファンドが乗り込んできて、お金を毟り取られることは判っていますからね</p><p>しかし脅すだけでは、何も動きますまい</p><p>大張遼が、みすずに尋ねる</p><p>何故です白坂信子さんは、新聞社の６パーセントの株をお持ちなんですよ信子さんを屈服させれば、それだけで白坂家の保有率を過半数割れさせられますよね</p><p>そうだわざわざ大金を出して、実際に白坂家の内部の株保有者から２パーセントの株を手に入れる必要は無い</p><p>株式公開買い付けもそうですお祖父様が、TOBするらしいという噂を流すだけで充分です後は、あなたたちがおっしゃっていた通り内外の投資家たちが、白坂家の新聞社に襲いかかります現在の守次当主と反主流派に分かれた白坂家では、防衛しきれないでしょう白坂家が消耗し完全に体力がなくなったところで最後に、お祖父様が救済に乗り出すことになるのだと思いますそれが、お祖父様が一番楽にあの新聞社を手に入れる方法ですよ</p><p>救済ってどうするんです</p><p>香月昴がみすずに尋ねる</p><p>白坂家のメイン・バンクに手を廻してお祖父様の名前は出さずに、白坂家の方の株を買い取りますホワイトナイトの振りをした乗っ取りです買い取るというのも最初は、銀行から株を担保にしてお金を貸りるという形になるでしょうね投資ファンドとの防衛戦になった以上、それでも白坂家全体で過半数近い株を保有したままになっているでしょうしもう、その頃には、白坂家には株しか動かせる資産が残っていないでしょうから永らく懇意にしていた銀行が、貸し付けてくれるのなら白坂守次さんも特に疑ったりはしないでしょう</p><p>みすずの言葉を、私塾の連中は真剣に聞いている</p><p>そして株が担保になった段階で、白坂家の他の事業に別のトラブルを起こします何でもいいんです白坂家の返済を滞らせることができるのならその結果、担保となった新聞社の株は、銀行の物になりますそして、そのままお祖父様のものになります株式市場で買うよりも、遥かに安く大量の株を手に入れることができます</p><p>え、ちょっと待って下さいとなると新聞社の株を買い漁っていた投資家たちはどうなるんです</p><p>嘉田が、みすずに尋ねる</p><p>お祖父様は、過半数を抑えればそれ以上の株式は必要ではありません白坂家と競い合って、高い額で買い占められた投資家のみなさんは大変な損をなさるでしょうね</p><p>みすずは、笑った</p><p>しかし汚いやり方ですね銀行に仲介させるなんて、フェアではありません</p><p>理想主義の司馬アキラが、そう言った</p><p>そう思われるのなら、アキラさんはビジネスの世界に進まれるべきではありませんね</p><p>みすずは、きっぱりとそう言う</p><p>銀行を仲介させたらいけないなんてルールは、どこにもありませんよ</p><p>しかし、こんな不毛な殺し合いは</p><p>あのさ</p><p>香月さんがやっているのは殺し合いじゃないんだよこれは何としてでも生き残るための頭脳ゲームだけれど別に、相手を殺そうとしてやっていることじゃないんだ</p><p>どういうことです僕には理解できません</p><p>司馬アキラは、キッとした眼でオレを睨む</p><p>それはお祖父様が、この後、どう行動なさるかを見れば判りますわ</p><p>オレたちは、再び映像の中のジッちゃんたちに注目した</p><p>さていくら悩んだところで、君たちの方では結論が出まい私は忙しいんだ、さっさと帰ってくれないか</p><p>ジッちゃんに、お前たちに協力がなくとも、私は独力で白坂家の新聞社を乗っ取ることができると断言された３人は小さくなっていた</p><p>香月様あの、私は</p><p>白坂博光が口を開く</p><p>私は地方の会社の代表ですこのまま、帰るわけにはいきませんこのままでは白坂家のスキャンダルに巻き込まれて、全ての関連会社がダメージを負います</p><p>わ、わたくしもですわ</p><p>白坂信子も</p><p>わたくしが香月様にお会いしたことはもう、当主の守次氏には伝わっていると思いますこのままでは、わたくしと富久志は、白坂家から追放されてしまいます富久志は、新聞社も退職させられてしまうかもしれません</p><p>私もですこのまま帰社すれば、私の席は無くなるでしょう私も、香月様のお力を信じて新聞社の従業員たちを代表して、こちらへ参上したのですから</p><p>山田副社長も、ぐったりとしていた</p><p>全員ジッちゃんの助けがなければ、当主・白坂守次の勢力に潰される</p><p>どうか、お助け下さい</p><p>申し訳ございませんでした</p><p>３人は、ジッちゃんに頭を下げる</p><p>どうして、最初からそういう殊勝な態度が取れなかったのだね</p><p>ジッちゃんは、迷惑そうな顔でそう答えた</p><p>本当にそうだよなあいつら、何でもっと閣下にペコペコしなかったんだろ</p><p>香月仁が、そう言う</p><p>そんなの香月さんが、どうしても白坂家の新聞社を欲しがっていると思ってたからさ</p><p>そして自分たちの協力を、香月さんが強く望んでいると思い込んでいたからあんな強気の態度で来たんだ</p><p>はそういうことかバカな連中だ</p><p>角田が、にやけてそう言った</p><p>そうじゃないよ香月さんは、あの３人がそういう態度になるようにわざと仕向けたんだ</p><p>え、何でだよっ</p><p>角田はオレを睨む</p><p>角田さんあたしの旦那様に失礼な態度を取ることは許しませんよ</p><p>みすずが、角田を牽制する</p><p>旦那様角田さんに教えて差し上げて下さい</p><p>みすずが笑顔で、オレを促す</p><p>最初に少し無礼な態度を取ってしまったという気持ちがあるから今、あの３人は、あんなに神妙なんだよ</p><p>画面の中の３人は、みんな青い顔でジッちゃんに平伏している</p><p>今なら、あの人たち香月さんの提案は、何でも受け入れるだろうね</p><p>交渉を有利にするために、わざと相手がつけ上がるような隙を見せたということですか</p><p>司馬アキラが、驚いてオレに尋ねる</p><p>そんなの当たり前だろ</p><p>黒い森では、いつもそういう交渉術が使われている</p><p>さて映像画面に集中しよう</p><p>ジッちゃんは、３人に言った</p><p>もう一度君たちの気持ちを確認したいのだが</p><p>ジッちゃんは、ニヤリと笑う</p><p>白坂博光くん君はつまり、もっと地方の関連会社に独自の決裁権が増えればそれでいいのだろう東京本社からの支配が弱まればいい別に、企業グループからの完全独立までは狙っていないのだろ</p><p>は、はあええ、おっしゃる通りです報道各社のネットワークは、このまま維持されるべきだと思います東京本社からのゴリ押しさえ減れば</p><p>白坂博光は、答えた</p><p>次に白坂信子くん君は息子さんが、白坂家の次の当主になれればそれでいいんだな白坂家の新聞社やテレビ局の支配までは、望んでいないのだろう例えば、名誉職グループ全体の名誉会長とかに奉られるのでも構わんのだろう</p><p>は、はい富久志が当主になれるのでしたら正直、わたくしにも富久志にも、企業経営のことなどは判りませんし実権がなくとも、名誉だけいただけるのならわたくしどもは、それで構いません</p><p>白坂信子は、卑屈な笑みを浮かべてそう答えた</p><p>最後に、山田くん君は結局、新聞本社内から白坂守次氏の影響ひいては白坂家の役員がいなくなってくれればそれで良いんだな地方の会社の独立は、時代の趨勢だいつまでも東京が頭ごなしに地方を管理する時代でもあるまい諦めたまえ</p><p>山田副社長が、頭を下げる</p><p>では、そういうことにしよういずれにせよ、白坂守次氏は失脚させる次の白坂家の当主は、白坂富久志氏だが今後は、白坂家の当主が新聞社の代表に就くことはない名誉会長として実権は、放棄して貰う東京本社の運営は、白坂家を除いた現役員で行って貰う地方の関連会社には、自由な采配を許すただし、グループからの独立・離脱は許さないそれでいいな</p><p>克子くん、今言ったことを書類にまとめてくれ</p><p>画面には見えないが克子姉は、パソコンで文章を作っているらしい</p><p>では、この条件で君たちは、白坂守次氏失脚のために動いてくれもちろん、私も最大の努力を惜しまない君たちに協力しよう</p><p>フフフと笑う、ジッちゃん</p><p>なあに、君たちの新聞社はいずれ私のものになる先行投資だと思えば、大したことはない</p><p>みすずが司馬アキラに振り向く</p><p>いかがです、アキラさんお祖父様は、お三方の希望をお聞きになられてそれぞれが妥協できる所は妥協させて、一番良い形にまとめてしまわれましたこれが、香月重孝の調整です自分の意見を押し通すために、相手を殺すのではなく活かして共存する道を模索する</p><p>脅しも威圧も、そのための技術ということですか</p><p>結果的に全員が幸せになれれば、それでいいではありませんか</p><p>一時の個人的な感情を満足させるためだけに行動するのは、愚人のすることです人に好かれることは良いことですが相手に過度の期待を持たせるべきではありませんむしろ、人に恐れられていた方が、調整者としては有効な行動ができます</p><p>だから、ジッちゃんはわざと人を脅し、威圧する</p><p>そして、無理矢理自分の言うことをきかせるように見せて</p><p>実際は、相手にとって最良の解決策を提示している</p><p>本当は、ジッちゃんにとっては損なことも多いのだろう</p><p>しかし、人に憎まれ、嫌われることも厭わずにジッちゃんは調整する</p><p>古来調整は、高貴な人間の勤めです香月家は何百年にも渡って、日本の調整者として働いてきました私たちが持っている、財産も権力も全ては調整のためです世の中には、国や法では調整できない問題も多いのですから</p><p>それが香月家が、日本有数の名家として続いてきた理由なのか</p><p>書類です</p><p>あっという間に、克子姉は書類を作成しプリントアウトして持って来る</p><p>ありがとうでは、この覚え書きにサインをしてくれたまえ</p><p>ジッちゃんはまず、自分がサインをする</p><p>克子姉が、その紙を白坂博光に手渡し</p><p>順番に、サインしていく３人</p><p>その覚え書きは、私の方で管理する本来なら、君たちにも同じ書類にサインをして渡して、互いに持ち合うべきなんだろうがな状況が状況だ機密文書は、１枚限りにしておこう</p><p>ジッちゃんは３人の側に証拠書類が渡らないようにする</p><p>逆に３人の中の誰かが裏切ったら、ジッちゃんはこの書類を有効に活用するだろう</p><p>サインの終わった書類は、克子姉によって回収され</p><p>再び、ジッちゃんの元へ</p><p>ジッちゃんは、３人のサインを確認して</p><p>これで君たちは、後戻りできなくなったな</p><p>ニヤリと微笑むジッちゃん</p><p>私たちは運命共同体だこれからの行動は、全て私から指示するいいね</p><p>ジッちゃんの貫禄に３人は、うんうんと頷くだけだ</p><p>ところで君たち知っているかな</p><p>ジッちゃんが、次の切り札を切る</p><p>白坂守次氏は裏切り者である君たちに対し、すでに刺客を雇っている</p><p>し、しかく</p><p>白坂信子には意味が判らないらしい</p><p>殺し屋を雇ったんだよ白坂守次氏は</p><p>ハッとする３人</p><p>ジッちゃんは、後ろにずらっと控えている自分の臣下たちに振り向いた</p><p>お前たちにも、聞きたいのだが</p><p>ジッちゃんの眼がギラッと光る</p><p>シザーリオ・ヴァイオラという名前に心当たりのある者はいないかね</p><p>臣下たちは誰も反応しない</p><p>うむそうか知らないのなら良い</p><p>再び、白坂家の反主流派の３人に、ジッちゃんは顔を向ける</p><p>アメリカの犯罪組織の人間だ白坂守次は、こいつらを雇って君たちを亡き者にしようと企んでいるらしい</p><p>ま、まさかそんな</p><p>驚く、山田副社長</p><p>いや、そのまさかなのだよ</p><p>ジッちゃんは、笑う</p><p>このホテルはすでに、私の私設警護部隊によって厳戒態勢を取らせている君たちは、今夜、このホテルで私に会うことを誰かに喋ったかね</p><p>はい、秘書とそれから、同志である地方の会社の代表には、話してあります</p><p>白坂博光は答えた</p><p>私も家内とそれから、直属の部下には相談しました後、顧問弁護士にも</p><p>山田副社長も、そう言った</p><p>では君たちの行動は、すでに殺し屋たちに筒抜けになっていると考えるべきだね</p><p>ジッちゃんは、そう答えた</p><p>白坂信子くん君は、どうなのだね</p><p>白坂信子は</p><p>わ、わたくしも個人秘書と、母と、姉とそれから、うちのお手伝いさんとえっと、それから</p><p>喋りすぎだろおい</p><p>それから富久志ちゃんにも</p><p>ハッとする、白坂信子</p><p>そうだわ富久志ちゃん、どうしちゃったのかしら</p><p>今夜このホテルに来るはずだった、白坂富久志はまだ到着していない</p><p>ここに来る途中に、何らかのアクシデントに巻き込まれているのではありませんか</p><p>山田副社長が、白坂信子に言う</p><p>いえ、そんなことはうちはうちで、ちゃんと富久志ちゃんに警護を付けていますから何かあったら連絡があるはずです今、ちょっと電話してみますわね</p><p>携帯電話を取り出す信子</p><p>と、ジッちゃんの机の上のインターフォンがビーと鳴る</p><p>ジッちゃんは、スイッチを押し</p><p>私だ</p><p>インターフォンから、声が聞こえてくる</p><p>１階警備の山岡です白坂富久志氏の車が到着致しました</p><p>まあ、富久志ちゃん無事に着いたのね</p><p>克子くん</p><p>ジッちゃんの指示で克子姉が、スクリーンに１階正面玄関の映像を出す</p><p>黒塗りの大きな車に挟まれてオレンジ色のスポーツカーが停まっていた</p><p>前後の黒塗りの車には、警護員が乗っているんだろう</p><p>何だよ、TVRタスカンかよ</p><p>香月仁が呟いた</p><p>へえ、あの車そんな名前なのか</p><p>新聞記者が乗る車じゃねえよな</p><p>確かに芸能人とか、ＩＴ企業の社長とか、焼き肉チェーン店のオーナーに似合いそうな派手な車だった</p><p>これってやっぱり親に買って貰ったんだろうか</p><p>あ、間違いありません富久志ちゃんの車です</p><p>白坂信子が、オレンジの車を見てそう断言した</p><p>すぐにそちらにお連れ致します</p><p>インターフォンから、山岡部長の声が流れた</p><p>ホテルマンの衣装を着た、香月セキュリティ・サービスの警備員が３台の車に向かう</p><p>待て、山岡警備員を下がらせろ</p><p>ジッちゃんが、そう叫んだ瞬間</p><p>オレンジの車の窓が開き</p><p>中からマシンガンの銃身が飛び出すッッ</p><p>ズダダダダダダダダダッ</p><p>ホテルの入り口に向かって、オレンジの車の中からマシンガンが連射される</p><p>香月セキュリティ・サービスの警備員たちは、身を伏せる</p><p>待避だぁ、待避ッッ</p><p>山岡部長の怒号が響く</p><p>前後の黒塗りの車から完全武装の兵士が、わらわらと降りて来た</p><p>ビジネス小説は、書いてて辛いのでそろそろアクション物に</p><p>理屈で攻めないといけないので</p><p>アクションやエッチだと、流れで書けるんですけれど</p><p>ああ、そろそろエッチな場面も書きたいんですねえ</p><p>なのに、襲撃が始まってしまいました</p><p>さあ、どうしよう</p><p>それでは仕事へ行きます</p><p>276．開戦</p><p>黒マスクに黒い戦闘服の一団が、ピストルを片手に車から降りてくる</p><p>オレンジのスポーツカーの窓からは、ホテルに向かってマシンガンの銃撃が続く</p><p>大丈夫ですわこのホテルの１階は全て防弾ガラスを使用していますから</p><p>中継されている映像を見ながら麗華が、笑って言った</p><p>このホテルは、香月グループが各国の要人との会合に使うために建設したものですテロ対策は、設計時から徹底的に行われています</p><p>でも、入り口のドア開きっぱなしですよ</p><p>確かに、ホテルの内部に通じる２重のガラスの自動ドアが開いたままになっている</p><p>本来なら、襲撃を受けた段階で閉じられるはずのものだ</p><p>外にいる香月セキュリティ・サービスの警備の人を収容するためでしょうか</p><p>美智が、麗華に尋ねる</p><p>みすずがオレたちの輪に合流する</p><p>瑠璃子と美子さんも一緒だ</p><p>オレの周りに家族は集合する</p><p>いいえ、この場合は敵を内部に入れないのが鉄則ですからドアは自動で閉鎖されることになっています敵の襲撃時にホテルの外にいた警備員は、警備員詰め所の方へ待避する決まりですし</p><p>でもドア、開きっぱなしだよ</p><p>麗華の説明に、マナが呟く</p><p>香月セキュリティ・サービスの中に、裏切り者がいるということですね</p><p>みすずが、静かにそう言った</p><p>麗華は、肯定した</p><p>シュコココーンッ</p><p>シュコココーンッシュココココーンッ</p><p>と黒い戦闘服の男たちが、開いたままのドアに向かって何かを撃ち出す</p><p>白い煙を上げながら拳大の金属の塊が、ホテルのロビーに幾つも放出される</p><p>ガコココンッと床に転がると、ブワワワーッと一気に白い煙を吐いていく</p><p>ガス弾だ</p><p>待避一般警備員は、奥へ逃げ込めぇぇ</p><p>煙がロビー内に充満する前に、山岡部長が部下たちに退避指令を出す</p><p>制服組の警備員たちは、先を争ってホテルの奥へ逃げて行く</p><p>あれ、毒ガスとかじゃないですよね</p><p>違いますただの催涙弾ですよ煙の色と拡がり具合で判ります</p><p>トップ・エリートの警護人である麗華は、即座に分析する</p><p>有毒ガスなんて、こういう場所じゃ使えませんわ自分たちの行動にも影響が出ますから</p><p>なるほど、毒ガスなら自分たちもずっと、吸わないように気にしながら戦わないといけなくなる</p><p>ホテルみたいな建築物だと、空気が溜まる場所があるからいつまでも、残留したガスが残ることもあるだろうし</p><p>まあ、それ以前に毒ガス入りのガス弾なんて簡単に手に入らないですしねここ日本ですから</p><p>麗華は、言った</p><p>まあ、それを言ったら銃だって手に入れるのは難しいだろうけど</p><p>でも、確かに毒ガス入りのガス弾というのは、さらに入手困難な一品なんだろう</p><p>ただの催涙ガスでも、眼に入れば涙が止まらなくなりますし、肺に入れば呼吸も苦しくなります目眩ましの煙幕以上の効果はありますわ</p><p>１階ロビーは、もわもわと白い煙が充満していく</p><p>霧が掛かったように、真っ白になって見えなくなる</p><p>通常なら、すぐに換気システムが作動するはずなのですが</p><p>もちろん、香月セキュリティ・サービスは、こういう事態も想定している</p><p>ガス攻撃のテロを受けた時のために、換気するシステムがあるのだろう</p><p>しかし今は、入り口のドアが開いたままだったという現実がある</p><p>そっちのシステムも、ちゃんと機能するかどうか判らない</p><p>あ作動したようです</p><p>白い霧が薄くなっていく</p><p>天井と床と、両方に換気システムがあるんですガスには空気よりも軽いものと重いものがありますから</p><p>どっちにも対応できて、素早くガスを外に放出できる様になっているんだ</p><p>一気に煙がサーッと消えていく</p><p>白い煙の中からやつらが現れる</p><p>工藤父の呼んだフリーの警護人たち</p><p>その全員が、ガスマスクを付けてホテルのロビーに立っていた</p><p>ガスマスクはみんなバラバラのデザインのものだ</p><p>つまり、この人たちは全員自前でガスマスクを用意していたのか</p><p>さすがにバンバルビー３のお姉さんたちは、お揃いのマスクをしているけれど</p><p>何か、サファイアみたいなピンク色にキラキラ光っているんですけれど</p><p>あれ、スワロフスキーだよねおっしゃれー</p><p>何だよその、何とかスキーって</p><p>あれ、お兄ちゃん知らない携帯電話とかのデコレーションに使う、キラキラした素材だよっ</p><p>それでガスマスクをデコレーションしているんだ</p><p>何かガスマスクが光っていると、死の仮面みたいね</p><p>渚が呆れた風に、そう言った</p><p>ホテルの入り口にはマシンガンを抱えた男を中心に、ピストルで武装した黒い戦闘服の男たちが１０人ぐらい入って行く</p><p>それに相対するように</p><p>工藤父の呼んだフリーの人たちが、５０人くらい並んでいた</p><p>５０人の集団がゆっくりと二つのグループに分かれていく</p><p>同じくらいの人数で分かれていくのではない</p><p>全体の３分の１ぐらいが元の集団から離れていく感じか</p><p>じりじりとお互いを牽制しながら</p><p>離れた連中は黒い戦闘服の男たちに合流する</p><p>敵に付いたのは、３分の１かまあ、想定内だね</p><p>それより麗華お姉様</p><p>美智が、麗華を見る</p><p>気付いていますわたくしも、マルゴちゃんも</p><p>ニッと笑う麗華</p><p>黒い服の敵車から降りて来た時は、全部で１３人いました</p><p>麗華は敵の数を数えていた</p><p>今は９人しかいません</p><p>催涙弾の煙に紛れて侵入されたね</p><p>マルゴさんが呟く</p><p>まあ一筋縄ではいかない連中だってのは、判っていたんだけれど</p><p>その間に換気システムが全力運転する</p><p>煙は、完全に排気された</p><p>バンバルビー３のお姉さんが、毟り取るようにマスクを外す</p><p>ぷはっ、こんなん被っていたら、戦えないわよっ</p><p>それがルビーさんだと言うことは、マスクを付けている時から判っていた</p><p>３人のお姉さんたちの中で、一人だけ乳首丸出しだから</p><p>そうよねえ自分の美貌を隠して闘うのは、あたしの流儀に反するのよねえ</p><p>バービーさんも、マスクを外してそう言う</p><p>あら、おじ様はそっち側なんですかぁ残念ですぅぅ</p><p>番場さんも、マスクを外して敵側に付いた黒い背広の中年男に叫ぶ</p><p>ガチャガチャと、番場さんはすでに自分の打撃武器フレイルを構えていた</p><p>番場ちゃん、相変わらず良い動きをしているね</p><p>番場さんにおじ様と呼ばれた中年男はニッと微笑む</p><p>精一杯、掛かってきたまえ</p><p>はーい、よろしくお願いしまーすっ</p><p>相変わらず、番場さんはズレている</p><p>あの男もしかして</p><p>麗華が、美智を見る</p><p>はい異次元戦士ダダドムゥおじ様です</p><p>美智は、真顔で頷く</p><p>ダダドムゥおじ様死んだって聞いていたわ</p><p>おじ様は、異次元戦士ですから</p><p>オレが、美智の顔を見ると</p><p>ダダドムゥおじ様は、特殊な動きをすることで、対戦相手の距離感覚を混乱させるのですそこに居ると感じた場所にいないそれゆえ、異次元戦士の称号を得ているのです</p><p>いや美智</p><p>オレは別に、ダダドムゥおじ様には興味は無い</p><p>あんまり知り合いになりたい人ではないし</p><p>父からは、あいつはロリコンだから、絶対に近付くなと厳命されております</p><p>ロリコン</p><p>今日も、良い動きをしているねえと言いながら、女の子の身体を触ってくるそうですわたくしにも、近寄って来られたことがあります</p><p>まさか触られたのか、美智</p><p>わたくしは、工藤流古武術継承者ですから最終奥義を使って、拒絶致しました</p><p>最終奥義を使わないと逃げられないのか</p><p>何という異次元戦士</p><p>オレは、思わず息を吐く</p><p>ご安心下さいわたくしの身体に触れて良いのは、ご主人様とみすず様だけでございます他の男性には、絶対に触れさせませんからっ</p><p>美智が、ポッと赤くなる</p><p>えどうして</p><p>旦那様が、美智があの男性に触られたんじゃないかって嫉妬して下さったから美智は喜んでいるんですよ</p><p>みすずが、オレと美智を見てそう言った</p><p>嫉妬ってそういうつもりは無かったんだけれど</p><p>どうぞ、ご主人様</p><p>美智が、オレにお尻を突き出す</p><p>取りあえず、美智のお尻を揉む</p><p>あんいつでも、触って下さい美智は旦那様の玩具ですから</p><p>いや、このプリプリとしたお尻の感触は素晴らしいけれど</p><p>いいのか、こんなことしていて</p><p>敵に付いた方たちで、それなりに名前が通っていらっしゃるのはダダドムゥおじ様以外ですとタケシィズの方たち、それから電人Ｍさんと少女Ｍさんぐらいですあんっ</p><p>オレにお尻を揉まれながら、美智が言った</p><p>タケシィズ</p><p>はい下のお名前が、タケシの方たちで作られた５人チームです剛田タケシさん、日垣タケシさん、上杉タケシさん、村上タケシさん、大和タケシさんの５人です</p><p>画面を見ると確かに、同じ様な戦闘服を着た５人のオッサンが並んでいる</p><p>でも味方側に、タケシハンター・マチャヒコさんが居らっしゃいますから</p><p>た、タケシハンター</p><p>タケシィズの方たちと敵対していて、いつも闘っていらっしゃる方ですタケシ退治の専門家と自負されている方ですから、お任せできます</p><p>美智は、そう言った</p><p>この世にはびこるタケシども、今日こそ貴様らを葬り去ってやる</p><p>バービーさんの隣に立っている、この眼鏡の人がタケシハンターか</p><p>何か、見た目はそんなに強そうでも無いんだけれど</p><p>ふざけんなぁ、マチャヒコのくせにっ</p><p>男の嫉妬はみっともないのです私は毎日懸垂２００回やっていますふふんかかって来な、小僧やってやるです哲学</p><p>戦闘状態なう</p><p>強いストレスを感じています曲解ですもっと私のことを勉強して下さい</p><p>アノクタラサンミャクサンボダイ!</p><p>何か、楽しそうだなオッサンたち</p><p>Ｍ✕Ｍコンビも、そっちに付くのね</p><p>バービーさんが、背が高くて鉄のお面をしているオッサンと、小柄なお姉さんのコンビに行った</p><p>はいあたしたち、Ｍですから</p><p>まとにかく、みんなまとめてブッ飛ばしてあげるわーんっ</p><p>ルビーさんがショットガンを抱えて、叫ぶ</p><p>さあ、野郎ども、ヤッチマイナッ</p><p>バービーさんの一言で戦闘が開始される</p><p>バービーさんの後ろにいた男が、背中に隠し持っていた１メートルぐらいの長さの物体を侵攻者サイドに力一杯投げ付ける</p><p>これってブーメラン</p><p>空中をぐるんぐるんと大回転しながら、飛んでいく大きなブーメラン</p><p>異次元戦士やタケシィズたちフリーの面々は、サッと逃げるが</p><p>黒い戦闘服の連中は、避けきれない</p><p>ブーメランは、真ん中に居たマシンガンの男に命中する</p><p>ぐわわわっ</p><p>重いブーメランの直撃を受け、男は吹っ飛ぶ</p><p>マシンガンにも、ダメージを与える</p><p>見たかっオレは、ブーメラン使い人呼んでブーメラン直人</p><p>そのオッサンは、格好付けて叫ぶが次の瞬間、異次元戦士に襲われる</p><p>リュミューンッシュパパパパッドド、ドドムゥ</p><p>異次元戦士は、口で気持ちの悪い擬音を喋りながら気持ちの悪い動きで、ブーメラン使いに迫る</p><p>すげぇ、気持ち悪い</p><p>人間とは思えない、不思議な動きでしゅるしゅると距離を詰める</p><p>君は、あんまり良い動きをしてはいないねぇ</p><p>そう言うと、異次元戦士はブーメラン使いの首に手刀を放った</p><p>パパラバァァッ</p><p>うがぁぁ</p><p>吹っ飛ぶ、ブーメラン使い</p><p>こうやって、映像で見ている限りは、避けられない攻撃ではないのですが</p><p>実際に対戦するとおじ様の攻撃は、全てクリティカル・ヒットしおじ様への攻撃は、一つも当たらないのだそうですまるで、異次元人と闘っているみたいに</p><p>さらに３人異次元戦士・ダダドムゥおじ様は、防衛側の人間を倒していく</p><p>きゅるりりーんっビッタンコォ</p><p>ぐわぁぁっ</p><p>その頃タケシハンターは、タケシィズと闘っていた</p><p>哲学哲学哲学なのです</p><p>タケシィズの一人の空手技を、タケシハンターは、華麗に避けていく</p><p>今、攻撃しているのは、日垣タケシさんコード・ネームはガッキー・ソルジャーです</p><p>美智が解説してくれる</p><p>そんな攻撃が当たるかぁぁ</p><p>タケシハンターは、持っていた大きなライフル銃の台尻で、日垣タケシをブッ飛ばす</p><p>タケシハンターは、銃剣道の達人なんです</p><p>銃剣道</p><p>銃の先に剣を付けて闘う武道ですしかし、タケシハンターは剣は付けませんライフル銃全体を武器として、相手に打撃を加えます</p><p>でも暴発とかしたら危なくないの銃で人を殴るなんて</p><p>殴ったショックで、機械部分が破損したらライフルとしては使い物にならなくなるだろうし</p><p>はいですから、あのライフルには弾は入ってません</p><p>なぬ</p><p>危ないですから機械部分を全て溶接した無可動銃なんです、あれ強度を高めるために銃身には金属棒を埋め込んでいます徹底して、人を殴るためのライフル銃なんです</p><p>わざわざ、ライフル銃を使う必要があるのか</p><p>舐めるな、小僧私は日本で一番、空手で敵を倒した警護人なのでありますぞ</p><p>ガッキー・ソルジャーが叫ぶ</p><p>そんなの自称だろソースを出して見ろっての</p><p>男の嫉妬は醜いのでありますっ</p><p>適当なことを言って誤魔化すなっお前は、いつも自分をでかく見せるためのホラばかり呟きやがって</p><p>タケシハンターの一撃が、ガッキー・ソルジャーの喉元に炸裂</p><p>哲学ぅぅんっ</p><p>ガッキー・ソルジャーは悶絶して、失神する</p><p>ふんよくぞ、日垣タケシを倒したな</p><p>しかし、そいつは我らの中では最弱</p><p>タケシィズの面汚しよ</p><p>お前ら、そのパターンは</p><p>いいから、とっとと掛かって来い</p><p>タケシハンターは、無可動ライフルを構える</p><p>あの後ろの黒い服の連中、全然闘ってませんよね</p><p>さっきから、交戦しているのはフリーの人間ばかりだ</p><p>ピストルだって持っているのに全然、撃ってない</p><p>みんな、銃を片手にうろうろしているだけだ</p><p>マシンガンの人も倒れたきりででも、マシンガンを拾おうとしないし</p><p>しょうがないさみんな、素人なんだから</p><p>素人</p><p>最初のマシンガンの乱射で判ったよあいつら、全然、銃に慣れていない</p><p>マルゴさんの言葉に、麗華と美智が頷く</p><p>知ってるきちんとした射撃訓練を受けていない人間は、銃を持たせてもなかなか引き金を引けないんだよどこに弾が飛ぶのか、自分でも判らないんだからね</p><p>怖くて、撃てない</p><p>絶対に弾が当たる距離まで近付いて、プレッシャーを掛けたらつい引き金を引いてしまうだろうけれどこれだけ距離を取っていたら、あっちからは撃ってこないよ</p><p>バンバルビー３のお姉さんたちも、全員、黒服の連中が銃に慣れていない素人だって判っているんだ</p><p>だから、相手が破れかぶれになって乱射しないように距離を取って、刺激しないようにしている</p><p>最初のブーメランで、マシンガンの持ち主を倒したことで充分な牽制になっているんだ</p><p>水曜です</p><p>それでは、病院によって仕事へ行きます</p><p>277．次の手</p><p>第一次世界大戦の頃の話だけどさ</p><p>アメリカからヨーロッパに戦争に行った兵士の中で、実際に敵に向かって銃を撃ったことのある人間は実は、何割もいないんだよほとんどの兵士は、弾の入った銃を抱えて、敵軍と対峙しても引き金を引かなかったんだ</p><p>銃を撃たない</p><p>そりゃあ、激戦区とか生き残るかどうかの瀬戸際なら、撃つよそうしないと殺されるって思えばでも、敵と対峙していてもお互いに、いつでも撤退できるような戦場なら、本気で撃ち合ったりはしなかったんだよこれはデーターとして、ちゃんと残っているんだ</p><p>マルゴさんの言葉に、麗華が言う</p><p>はい19世紀の銃を持った兵士が列になって、指揮官の号令と共に一斉射撃する時代なら、撃たざるを得ませんが兵士が戦場に散開して、身を隠しながら撃ち合う時代になると、敵に接触しても撃つか撃たないかは兵士個人個人の判断に委ねられますから</p><p>自分の撃った弾で、人が死ぬかも知れないって思うと普通の人は、なかなか引き金を引けないんだよきちんと想像力のある、真っ当な人間ならね</p><p>戦場で英雄になるようなやつ敵を見たら、ためらわずにすぐに銃撃できるような人間は、やっぱりどこかが壊れているということか</p><p>だから、今のアメリカ軍では戦場で動くものを見たら、反射的に射撃してしまうような訓練をしているんだよ考える前に、身体が勝手に引き金を引くように徹底してそうでないと、中東の制圧作戦なんかはできないからねだけどその結果、誤射も増えている敵ではない地元の民間人を撃ってしまったり味方の兵士を撃ってしまったりね</p><p>とにかく銃というのは、取り扱いが難しい武器なんです普通の人は、いきなり銃を手渡されても、まず人に向けては撃てないですよね</p><p>麗華が、言った</p><p>でも、ほらアメリカじゃ、よく無差別発砲事件とか起こるじゃないですか軍人さんとかじゃない、学生とかでも平気で人を撃っていますよ</p><p>ああいう事件を起こす人たちは若い人でも、だいたいが銃に慣れている人たちだし少し精神的にイッちゃっている人が、武器を持っていない人たちを一方的に虐殺するというイメージだけで行動してるわけでしょう警察が来るまでは相手も武器を持っていて、反撃されるってことを考えていないから、自分が圧倒的に強くなった気になってバンバン撃てるんだよ虐殺したいだけで、戦争したいわけじゃないから</p><p>マルゴさんが、答える</p><p>確かに無差別発砲犯が、軍隊や警察の施設を攻撃したって話は聞いたことが無い</p><p>たいていは平和な公園や学校の中で事件を起こす</p><p>マルゴさんは再び、スクリーンを見上げる</p><p>あの連中は、間違いなく銃に関しては素人だよヴァイオラが、あの人たちをどこから連れて来たのか判らないけれどいきなり、ピストルやマシンガンを持たされて戸惑っているのが動きで判る</p><p>確かに黒い戦闘服の連中は、銃を持ったまま、あたふたしているだけで闘いには参加していない</p><p>でも、マシンガンは平気で撃ってませんでした</p><p>車が停まったら、外に向かって撃てみたいな、単純な指令なら、ノリの良い人間は従うよあのメンバーの中で、一番勢いの良いやつにマシンガンを任せたんだと思うよでも人のいないところに向けて撃っていたよね</p><p>確かにホテルマンに扮して、やつらの車に接していた香月セキュリティ・サービスの警備員も、誰一人撃たれてはいない</p><p>その後、マシンガンの担当者はブーメランの直撃を受けて倒れたままだし</p><p>マシンガンは床に転がったまま、誰も拾おうとしない</p><p>あれ、どうして回収しようとしないのかしら</p><p>そんなのさ拾ったら、使わないといけないでしょみんな、嫌なんだよマシンガンで、人の群れに向かって乱射とか、ゾッとするじゃない</p><p>マルゴさんは、ニコッと微笑む</p><p>それにあのマシンガンは、もう弾切れだと思いますわ</p><p>麗華が言った</p><p>美智ちゃんあのマシンガン、何回、弾倉を交換していたのか数えた</p><p>麗華の問いに、美智は</p><p>２回です最後の弾倉に交換した後、斉射して撃ち尽くした後は弾倉を交換していません</p><p>すげぇ、ちゃんと見ているんだ</p><p>美智の返答に、マルゴさんも頷く</p><p>そうだったよねということは、もう交換する弾倉が無いってことなんじゃない予備があれば、とりあえず差し替えるからね弾切れで空っぽのマシンガンなんて、何の意味もないし</p><p>ということはさあの黒服の連中も、そんなに弾は持ってないんじゃないのっ</p><p>寧さんが、マルゴさんに尋ねる</p><p>あああたしもそう思うよ今、ピストルの中に入っている弾が全部で、予備は無いそれも、あいつらが撃って来ない理由の一つだと思う銃に手慣れたプロだったら、威嚇に何発か使うぐらいの余裕はあるけれどあいつらは、一発たりとも無駄弾にはできないって思っているんだよ</p><p>はい一定の距離を保って、こちらから不用意に近付いて刺激しなければずっとあのまま突っ立っているだけでしょうねあの人たちは</p><p>麗華も、そう分析する</p><p>バルンバルバルバルルルルーンッリュミョョョーン</p><p>一方敵味方に分かれた、フリーの警護人たちの闘いは続いている</p><p>変な奇声を発して異次元戦士・ダダドムゥおじ様が、バンバルビー３の番場さんに迫る</p><p>うわわーんっこっちに来ないで下さぁーい、おじ様ぁぁ</p><p>長い棒の先に、鋼球の付いた武器フレイルを振る、番場さん</p><p>はーい、おじ様はここですよーんっフリフララランッ</p><p>しゅるり、しゅるりと気持ちの悪い動きで、異次元戦士は番場さんの懐に飛び込もうとする</p><p>来ないでぇぇ</p><p>番場さんが、フレイルをメチャクチャに振り回すが異次元戦士には、擦りもしない</p><p>うわわわーんっ届くはずなのに、届かないようっ</p><p>アリリャーン、コリリャーン、タリラリラーンッッ</p><p>まずい、異次元戦士が、一気に踏み込もうとしている</p><p>番場ちゃん、どいてっ</p><p>バービーさんの命令に、番場さんがスッと後方に飛ぶ</p><p>今よ、ルビーちゃん</p><p>あいよ、姐さんっ</p><p>ルビーさんが、ショットガンを腰だめにして構える</p><p>暴動鎮圧用のゴム散弾を食らいなっ</p><p>ダムゥッ</p><p>黒いゴムの小さな弾が、異次元戦士を吹っ飛ばす</p><p>痛い痛いじゃあ、あーりませんかっこりゃまた、ビックリ驚いたっ</p><p>異次元戦士は、すぐに起き上がってそんなことを言う</p><p>こいつはね、面で攻撃すれば撃退できるんだよっ</p><p>ルビーさんが、ショットガンをポンプアクションさせて、２発目を撃つ</p><p>ダウウッ</p><p>こ、こいつはたまらんたまりましぇーんピー、ガリガリピー、ガリガリ一時、撤退致しまぁーすっようそろう</p><p>異次元戦士は、ホテルの入り口の方へ向かって後退する</p><p>ピストルを持った黒い戦闘服の男たちが、行く手を塞いでいたが</p><p>ちょっと通りますよーんっ</p><p>男たちが、驚いている間にススッと、隙間を通り抜けていく</p><p>また会おうそれまでは、ずっといい動きでいてくれたまえよーん</p><p>ビッとポーズを決めて異次元戦士は、逃げて行く</p><p>はーい、おじ様ぁお達者でぇ</p><p>番場さんは、手を振って見送っていた</p><p>次に会った時は、殺そうあたし、あいつ嫌いだわ</p><p>姐さんあたしも、同感です</p><p>バービーさんとルビーさんは、顔を見合わせて頷く</p><p>一方、その頃</p><p>タケシハンターは、二人目のタケシを倒していた</p><p>ちくしょう、上杉この大嘘つき野郎日本での賞金稼ぎは引退するが、英語のBounty hunterは続けるとか、意味が判らないんだよっドイツで、日本の賞金稼ぎの代表みたいな顔をして、嘘ばっかりついてきやがって</p><p>それは、＊＊＊＊から＊＊＊に政治的な圧力がですね私はただ</p><p>うるさい、黙れっ</p><p>タケシハンターはライフルの台尻で、上杉タケシにトドメを刺す</p><p>次は、どのタケシだぁぁ村上タケシこと、タケシ・ポムかぁそれとも、剛田タケシ、またの名をタケシ・ギガンティア・アン・ブートン・プチ・兄貴貴様かぁタケシ・オブ・ザ・レインボー、大和タケシ貴様が来るのかぁ</p><p>タケシハンターが、タケシィズを睨み付ける</p><p>私がお相手しよう</p><p>眼鏡にヒゲの大男が、一歩前に出る</p><p>私の現代アーティステックな秘技には、定評があるぞ</p><p>誰の定評だどうせまた、自己評価で自分を高く売り付けているだけなんだろ</p><p>まだ、村上タケシがお嫌いですか</p><p>二人の戦闘が始まる</p><p>あああーっテルヤクン、テルヤクン、テルヤクンテルヤクンテルヤクンッ</p><p>謎の呪文を唱えながら、突っ込んで来る村上タケシをタケシハンターは一撃で倒す</p><p>わけわかんねぇんだよ、お前はっ</p><p>曲解です強い悪意を感じますもっと、私の書いた本を読んで、私のことを勉強して下さい</p><p>お前のことなんざ、世間の人間は、どうでもいいんだよっ</p><p>む、無念</p><p>村上タケシの巨体が、床に崩れ落ちる</p><p>タケシハンターは、その顔を靴で踏みつけて</p><p>さあ、次はどっちだ</p><p>ほぼ同数で始まった戦闘だったが</p><p>突入してきた黒い戦闘服の連中は、実質戦闘に加わっていないので</p><p>防衛側が、圧倒的に有利になっている</p><p>ていうかこのフリーの警護人たちの常識外れな闘いを見ていると、素人の黒服たちが呆然としているだけなのもよく判る</p><p>何なんだろうこの人たち</p><p>あよく見ると、敵も味方も倒れた人は、ネコさんが部下を使って回収している奥の部屋に運んでいるな救護室か何か、あるんだろうか</p><p>さてタイミング的には、そろそろだよね</p><p>マルゴちゃんもそう思う</p><p>何が、そろそろなんです</p><p>オレが尋ねてみると</p><p>最初に素人の連中を突っ込ませて来てでも、その連中がマシンガンを乱射して、催涙弾を放ったから今、１階のフロアには香月セキュリティ・サービスの正規の警備員は一人もいないよね</p><p>そうだ山岡部長は、自分の部下を全員待避させた</p><p>今、１階にいるのは工藤父の連れて来たフリーの警護人たちだけだ</p><p>そしてフリーの人たちも敵味方に分かれて、乱闘してしまったそろそろ疲労が出てくる頃合いだと思わない</p><p>確かにスクリーン上の番場さんたちは、戦闘開始の頃よりも動きが鈍っているように見える</p><p>シザーリオ・ヴァイオラの本隊が来るとしたら今だよね</p><p>今居る連中はみんな囮</p><p>ヴァイオラの本隊は、どんな風にやって来ると思われますか</p><p>みすずが、マルゴさんに尋ねる</p><p>あれじゃないのパラシュートとかで、屋上に降りてくるとか</p><p>マナが、興奮してそんなことを言い出す</p><p>飛行機やヘリコプターの状況は、常にチェックしています飛行計画がちゃんと提出されていないと、東京上空では飛行機もヘリも発着できませんし違反行動があれば、すぐに判ります</p><p>うん航空会社にチャーターすると、足が付くし</p><p>どこかから盗み出すというのも大変だつーか、すぐにバレる</p><p>外国人犯罪者のヴァイオラが、飛行機やヘリを使用して自分の兵隊たちを運ぶのは無理だろう</p><p>じゃあ、ハンググライダーとかでビュッと飛んで来るのは</p><p>あのね、マナちゃんハンググライダーって、結構風任せなんだよそれに、ここはお台場の外れで一番高い建物だよハンググライダーでこのホテルに降りるためには、相当に高い建物の上から飛ばないと無理だけどそんな場所、近くには無いしね</p><p>レインボーブリッジとかは</p><p>あんなところからハンググライダーで飛んだら、大騒ぎになると思わない</p><p>マルゴさんがマナに、丁寧に説明してくれた</p><p>そもそもパラシュートにしても、ハンググライダーにしても、数人ならここのホテルの屋上に降り立てるかもしれませんが何十人も降下するのは無理ですそれに、私たちは当然、ホテルの屋上にも、迎撃部隊を配置してありますし</p><p>じゃあさ、ホテルの壁をスパイダーマンみたいに昇ってくるっていうのは</p><p>マナが、さらに尋ねる</p><p>そんなフリークライミングみたいなことをした後で、体力が残っていると思う</p><p>マルゴさんが、優しく窘める</p><p>あたしは堂々と、ホテルの正面から来ると思うよ</p><p>ホテルの正面</p><p>あたしたちの知っている、男のヴァイオラは力尽くが好きだからね屋上とか別のルートから、特殊部隊を潜り込ませるみたいな手は使わないと思うよ</p><p>うん、あたしもそう思う</p><p>永年、ヴァイオラの犯罪を見て来た寧さんも小さく頷く</p><p>ええ来たようですわ</p><p>麗華の声に、オレたちはスクリーンに眼を戻す</p><p>あれは</p><p>ホテルの外部カメラが外の様子を捕らえた</p><p>やって来るのは</p><p>３台の大型の観光用リムジン・バスだった</p><p>今日も短めで、済みません</p><p>父の人工呼吸器が外れて普通に喋れるようになりました</p><p>病室も、今日からは集中治療室から一般病棟に移れるそうです</p><p>ちょっと、頭が呆けちゃっているみたいです</p><p>ここが何処なのか全然、判っていないようです</p><p>一応、家族のことは判るみたいですが</p><p>今は６月だと思っているらしいですし</p><p>夢と現実が、ごっちゃになっているようです</p><p>今だけの混乱なのか今後もずっと続くことなのか</p><p>現状では、まだ判らないようです</p><p>それでは、病院へ寄ってから仕事へ行きます</p><p>278．目方でドン</p><p>最初のマシンガンの掃射で、ホテルの外に居た制服の警備員は全て退避してしまっている</p><p>謎のリムジンバスが、ホテルの正面に突入して来るのを制止する人間はいない</p><p>緊急退避いいわねっ全員、ロビーの奥へ</p><p>負傷者の搬送をしていたネコさんが、味方のフリー警護人たちに叫ぶ</p><p>了解番場ちゃん、１回、ブレイクして場所を変えるわ</p><p>バービーさんが、番場さんに指令する</p><p>えー、姐さんどうしてですぅわたし、大分身体が温まってきたところなのに</p><p>また一人、フレイルの先の鋼球で敵側に付いたフリー警護人をブッ飛ばしながら番場さんが不満そうに言った</p><p>バカ言ってんじゃないよ第2波は、あれだけ人数がいるんだプロが混じっているよピストル撃ち慣れた連中が束になってくるんじゃあ、勝ち目は無いだろ</p><p>えっと大型バスって、確か1クラスの生徒が丸まる乗って、補助席が余るくらいだよな</p><p>てことは満杯になるくらいの人数を詰め込んで来たら、150人以上は居るってことか</p><p>マルゴさんは、ヴァイオラがアメリカ本国から連れて来ている手下は、30人程度だろうと言っていた</p><p>そいつらは、普段から銃による人殺しに慣れている連中だ</p><p>残りの120人が、第1波の黒戦闘服のやつらみたいな素人だったとしても</p><p>その中に30人のプロが紛れ込まれるとこちらは不利だ</p><p>すでにフリー警護人同士の戦闘で、味方の人数も削られているし負傷や疲労もしている</p><p>番場最初の予定通りに一旦引くよそいつも、引きずって来な</p><p>ルビーさんも叫ぶ</p><p>ラジャー姐さん</p><p>番場さんは、たった今気絶させた警護人の男を引きずって後退する</p><p>ロビーの奥へ</p><p>このホテルのロビーは、1階と2階が吹き抜けになっていて天井がとても高いがこの奥の部分は、１階も２階も、お店がぐるりと並んでいる回廊になっていた</p><p>しかもその回廊のある一角は、ロビーの柱や休憩用のベンチ・ソファの類なんかが邪魔をして、入り口からは直接攻撃できないように、巧妙に配置されている</p><p>みんな早く急いでっ</p><p>味方の警護人たちが退避している間に外のリムジンバスからは、次々に武装した黒い戦闘服の男たちがドカドカと降りてくる</p><p>全員、最初に現れた連中と同じ格好だ</p><p>頭には戦闘用のヘルメット、顔は黒いマスクをしている</p><p>これでは外観からでは、人物の特定ができない</p><p>この中にシザーリオ・ヴァイオラ本人も紛れているのだろうか</p><p>――ドゥウゥゥンッ</p><p>――ダウ、ダゥゥゥンッ</p><p>太い柱の陰から、ルビーさんが、暴動鎮圧用のゴム弾のショットガンを乱射する</p><p>黒服軍団と敵に付いたフリー警護人の連中に対して牽制を掛け退避の時間を稼ぐ</p><p>――ドァゥンッドゥゥンッッ</p><p>降りて来たばかりの黒服の中から、ルビーさんに向かって数発の銃撃がある</p><p>やはりアメリカから来たプロは、人を撃つことに躊躇しない</p><p>もういいよっルビーちゃん怪我人も全員、こっちに搬送したから</p><p>ネコさんが叫ぶが銃撃でルビーさんは柱から動けない</p><p>番場ちゃん、これを使って</p><p>バービーさんが、番場さんに手渡したのはブーメラン</p><p>さっきのブーメラン使いが落としていった物を、ネコさんたちが回収してくれていたんだ</p><p>了解援護します、ルビー姐さんっ</p><p>女性なのに、普段から鋼球付きの重いフレイルを振り回している番場さんの腕力は、とにかく物凄い</p><p>くおんっ、ちくしゅおおおおっ</p><p>ブーメランは、ぐわんぐわんっとトンデモない勢いで、黒戦闘服の連中たちの群れに飛び込んでいく</p><p>パニックになってしまって足が止まってしまう素人たちの中をすり抜けて、確実にブーメランの直撃から逃れようとする戦闘員が何人か居る</p><p>こいつらがヴァイオラの手下たちか</p><p>ルビーさんは、その隙にロビーの大きな柱から、仲間たちの方へダッシュする</p><p>回廊の下にルビーさんのしなやかな身体が飛び込んで来た瞬間</p><p>防弾扉、降ろしてっ</p><p>ネコさんが、監視カメラに向かって叫ぶ</p><p>回廊の２階の天井から分厚い鉄の板が、シャーッと降りてくる</p><p>ダズーンッ</p><p>回廊の１階部分は、完全に鉄扉で隔離される</p><p>慌てる敵の連中</p><p>回廊の２階部分バルコニーの様になっている場所に、工藤父が現れる</p><p>そう言えば、ずっと姿が見えないと思っていたけれど</p><p>ようこそ、シザーリオ・ヴァイオラとその愉快な仲間の皆さん歓迎するぜ</p><p>ニヤッと微笑む工藤父</p><p>黒服の男の一人が、工藤父をピストルで狙おうとするが</p><p>別の男に止められる</p><p>どうして、ここで工藤父が出て来たのか不思議に思ったのだろう</p><p>シザーリオ・ヴァイオラくんは、アメリカ人だが子供の頃に、日本に居たことがあるんだろだからきっと判ってくれると思うんだが</p><p>工藤父は、笑顔のまま黒服の軍団を見下ろしている</p><p>日本のコント番組は、時々大掛かりなセットを組むんだよ伝統的にね</p><p>黒い戦闘服の連中は、あいつは何を喋っているんだという顔で、工藤父を見上げている</p><p>ほんじゃま、いきますっ</p><p>スウっと右手の拳を握りしめてポーズを取る、工藤父</p><p>不思議の国のアリスちゃん、どうか願いを叶えてねぇ天国行きか、地獄へ堕ちるかここは一発</p><p>スバッと、大きく手を天に向かって突き上げる</p><p>炸裂ぅっ石破天井拳ッッ</p><p>バホォッッッ</p><p>その瞬間ロビーの天井に、亀裂が走る</p><p>ヒィィィト・エンドッ</p><p>ドバァァァァッ</p><p>割れた天井から大量の水が、一気に零れ落ちる</p><p>黒服の戦闘員たちの真上に</p><p>あわぁぁ</p><p>うわらばっ</p><p>突然、落下してきた噴流に戦闘員たちは、押し潰されて流されていく</p><p>うわっはっはっは諸君、また会おう</p><p>水責め地獄と化した１階ロビーを眺めて、高笑いしながら工藤父は去って行った</p><p>３階がスポーツジムで、プールもあるなんて変な作りだと思っていたけれどこういう仕掛けになっていたとはね</p><p>マルゴさんが、映像を見て苦笑している</p><p>本当は、ロビーに放火されたりした場合の消火用のシステムなんです</p><p>まさか、こんな風に使用するとは</p><p>美智が、ぺこりと頭を下げて</p><p>すみません、父は短絡的な傾向が強い上に、派手なことが好きなので</p><p>いや、ちょっと思い切りが良すぎるけれど良い作戦だと思うよ突入してきた大人数の敵の勢いを削ぐことができたしこれで、あちらさんは状態の立て直しにしばらく時間が掛かるよね</p><p>エレベーターの制御は、１階からではできませんし非常用の発電機も上階にありますから、１階を占拠されても私たちは困りませんここから先攻撃側は、複数のグループに分かれて１階ずつ階段を上がって侵攻して来なければならないでしょうねもっとも、防衛側の各階ごとの待ち伏せに遭遇することになるでしょうが</p><p>麗華が、そう説明する</p><p>１５０人以上は居た黒戦闘服の軍団が、今の水責めでどれくらいのダメージを負ったか判らないけれど</p><p>やっぱり、それなりの大人数だ</p><p>こちらは香月セキュリティ・サービスの制服組を入れれば、人数的には負けて無いんだろうけれど</p><p>実際に、やつらとの戦闘に耐えられるのは谷沢チーフの率いるトップ・エリートのチームと、工藤父の仲間だけだろう</p><p>階段を昇って来させることで、敵を分断し、疲弊させる敵にとっては、ちょっとしたダンジョン・クエストだと思うよ</p><p>非常階段を一気に上がってくるとか無いのかな</p><p>心配そうに、マナが尋ねる</p><p>各階の通路や非常階段は、何カ所ものポイントで防火扉を閉じて通れなくしてありますですから、彼らが真っ直ぐに上階へ上がることはできません１階から上階へ通じる階段は６カ所ありますがそれぞれの入り口から入った人たちが、さらに上の階へ行くルートは一つきりです彼らには、６班に分かれてうねうねと１フロアずつ上階へ通じる階段を探していただくことになります</p><p>麗華がそう言う</p><p>でもさ手榴弾とかで、閉じている扉に穴を開けるとかされたら</p><p>まず、今回の敵が手榴弾を持っているとは思えませんがもし、持っていたとしたら、防火扉の爆破なんかにはもったいなくて使えませんね</p><p>何カ所も防火扉で閉ざされている場所があるんだ</p><p>一々、爆破なんかしてられないか</p><p>それより、心配なのは最初の催涙弾の煙に紛れて、潜入した４人の敵だよあれ、香月セキュリティ・サービスの制服警備員と一緒に、すでにホテルの内部に居るはずだよね</p><p>マルゴさんが麗華に尋ねる</p><p>はいでも、わたくしたちが観ていたのと同じ映像を谷沢チーフも御覧になっていますからすでに対応はされていると思います</p><p>そうだといいけれど</p><p>スクリーンに投影されている映像がジッちゃんたちの居る会議室に映り変わる</p><p>また随分、大量の刺客を送り込んできたものだな白坂守次氏は</p><p>ジッちゃんは白坂家の反主流派と自分の臣下たちに対して、あくまでもシザーリオ・ヴァイオラの襲撃を白坂本家の要請だと印象づけようとする</p><p>富久志ちゃんはあたしの富久志ちゃんは</p><p>白坂信子氏は、自分の息子の安否が心配でしょうがないらしい</p><p>殺されてはないだろうと思うよ彼らにとっては、交渉のカードに使える人材だからね</p><p>ジッちゃんは、白坂信子を安心させようと穏やかに言った</p><p>私の警護人たちがすでに動いている富久志くんの身柄は、すぐに取り戻させるよ安心なさい</p><p>でも、あのわたくしが、あの人たちに投降すれば、富久志ちゃんを助けてくれるのでは</p><p>白坂信子は、気が動転しているらしい</p><p>敵の目的は、裏切り者の抹殺だ君も富久志くんもすでに、白坂守次氏の抹殺リストに載っている君が連中に投降したら、あいつらはすぐに君たち親子を殺害するだろう今、富久志くんが生きている可能性が濃厚なのは、君を誘き出すのに使えそうだからだ現状でノコノコと出て行くべきではないと思うね</p><p>白坂信子は、落ち着かない様子で返答する</p><p>私が白坂守次氏と話してみましょうか話をすれば、きっと判って下さいます殺し屋を雇って私たちを抹殺するなんて馬鹿げていますよ</p><p>白坂博光は、そう言うが</p><p>その馬鹿げた選択を、白坂守次氏はすでに選んでしまったんだそして、抹殺の要請をした相手は、アメリカでも名高い犯罪組織のボスだよ今更、話し合いでどうにかなるとは思えない</p><p>ジッちゃんは、博光氏の提案を蹴る</p><p>とにかく、君たちの安全は私が保証する富久志くんの救出にも、要員を割かせるよ</p><p>お、お願い致します</p><p>白坂信子が頭を下げる</p><p>さて、取りあえずは別室に移ろうこのまま、ここに居るのは良くない</p><p>ジッちゃんが、白坂家の反主流派の３人に言う</p><p>富久志くんが敵に捕まったということは、今夜このホテルで私たちが交渉するということを敵はすでに知っているということだこのホテルの内部は、ホテルのホームページを見ればすぐに判る会議室のあるフロアは、敵のターゲットになっているはずだ</p><p>そ、そうですな確かに</p><p>山田副社長が、頷く</p><p>最上階近くの部屋を用意させようそこなら、敵もおいそれと昇ってはこられんだろう</p><p>谷沢、３人の部屋にはエリート・チームから相応しい警護人を付けろなんなら、私の専任警護人大徳くんや張本くんを廻してれてもいいぞ</p><p>構わん、この３人の安全を第一にしろ</p><p>ジッちゃんの言葉に、白坂家の３人が感動している</p><p>かしこまりましたでは、選りすぐりの警護人を配置します</p><p>うむ部屋からは、外の状況をモニターできるようにさせます心配はいりませんよ</p><p>ジッちゃんは、３人にそう言った</p><p>谷沢チーフは、すぐにインターフォンを使って指令を出す</p><p>それからジッちゃんは、背後にいる臣下たちに振り向いて</p><p>そうそう、君たちすでにあらかじめ伝えてあった通り今夜は、このホテルには私塾の子供たちを連れてきているお前たちも心配だろうから、子供たちと一緒に居てやりなさい</p><p>ジッちゃんは、臣下の一人一人の反応を見ている</p><p>この中に裏切り者がいるはずだ</p><p>いや、まだ二人ほど来ていないけれど</p><p>谷沢、彼らを案内してやってくれ</p><p>かしこまりました皆様、このような緊急事態ですどんなことでも私の指示に従って下さいまず、携帯電話の使用はご遠慮下さい皆様の携帯は、盗聴されている可能性がありますちょっとしたことでも、敵に情報が漏れるかもしれません生命に関わることですから、徹底してお願い致しますそれから、これから行きます部屋にはトイレもありますので、全て、そちらをご利用下さい敵がすでに潜入している可能性がありますから、ホテル内の移動途中に廊下のトイレを使用することは厳禁とします</p><p>あの閣下も、私たちとご一緒に移動なされるのですよね</p><p>重役の一人が、ジッちゃんに尋ねる</p><p>私も、このホテルに瑠璃子とみすずを連れてきている二人が心配だ私は孫娘の方へ行くよ</p><p>さすがだね香月さん</p><p>いやね、あの重役たちの中に敵との内通者がいるとしたらねもちろん、いまだにホテルに到着しない２人の重役の方が怪しいんだけどそしらぬ顔をして、平然と裏切り者があの部屋に居るっていう可能性もあるわけじゃない</p><p>そしたらさずっと、その裏切り者と一緒にいるのはマズイわけだよね白坂家の反主流派の３人やミナホ、もしかしたら香月さんも敵のターゲットになっているかもしれないわけだし</p><p>裏切り者が敵に、ターゲットの所在地を伝えるかもしれないってことですか</p><p>そういうこと携帯とかで連絡しなくても、何かしらの発信器みたいなものを持っているかもしれないしね</p><p>だからさ白坂家の三人と、重役たち、香月さん自身を別々のフロアの別々の部屋に移す必要があるんだよ</p><p>そうですね裏切り者も、自分の息子が居る場所に敵を呼び込むことはしないでしょうから</p><p>だから重役たちと私塾の連中を一緒にする</p><p>あたしたちも、そろそろ移動するべきね</p><p>くたびれています眠いデス</p><p>目方でドンなんて若い人は知りませんよね</p><p>279．なからましかば</p><p>おい、これってどういうことなんだよ</p><p>今まで呆然として、スクリーンを見上げていた私塾の連中の中から香月仁が、オレたちに振り向く</p><p>御覧の通りです現在、このホテルは敵勢力による襲撃を受けております</p><p>真緒ちゃんを抱きかかえた麗華が、平然と答えた</p><p>だから何なんだよ、あの連中は</p><p>閣下がご説明下さった通り白坂守次氏の命を受けた、アメリカの犯罪組織だと思われます</p><p>麗華は、真緒ちゃんの頭を撫で撫でしている</p><p>真緒ちゃんは、ちょっと眠そうな感じだ</p><p>僕たち、あの、大丈夫なんですよね</p><p>心配そうに、香月昴が尋ねた</p><p>香月セキュリティ・サービスが対応しております</p><p>いや、だからオレたちは、安全なのかって聞いているんだ</p><p>夏木惇が、大きな声で喚いた</p><p>私塾の連中全員が、緊迫した状況に怯えている様子だった</p><p>1階の状況は、ご覧になられたのでしょう</p><p>みすずが、冷ややかな眼で答える</p><p>武装した百人を越す集団がこのホテルに襲来したんですセキュリティ・サービスの皆様は精一杯やって下さると思いますが、皆さんも一応の覚悟はしておいて下さいね</p><p>あの警察とかには、通報してあるんですよね</p><p>司馬アキラが、おそるおそる聞いてくる</p><p>今、警察が動いたとして何ができると思われますか</p><p>みすずは、質問に質問で返した</p><p>だって、それは警察の特殊部隊とか、そういう人たちに来て貰えば</p><p>警察の方々が、あたしたちの今の状況を理解して対テロ組織用の特殊部隊の出動が認可されるとしたらまあ、早くても２時間後だよね</p><p>マルゴさんが、笑って言った</p><p>それよりさ今、ここに警察が来たら色々とマズイと思わないこのホテルには、香月グループの重役がほとんど全員集結しているそれから白坂家の白坂守次当主を失脚させようとしている勢力の３人も揃っているそこに、謎の戦闘部隊が襲撃を掛けたなんてことが外に漏れるのは、よくないよね</p><p>警察からマスコミに情報が流れることって、よくありますものね</p><p>マルゴさんの言葉に、麗華が付け足しをする</p><p>白坂家のスキャンダルに香月グループが、全面的に巻き込まれることになります</p><p>私塾の連中が、ブルッと身体を震わせる</p><p>そうか、白坂家のスキャンダルは新聞社とテレビ局の経営権を奪い取るために、閣下が引き起こしたことと思われるかもしれませんね</p><p>嘉田奉孝が、香月操に言う</p><p>しかし、白坂守次が閣下に襲撃部隊を送り込んだというのはやつにとって、命取りになるのではないか</p><p>その辺は私は何も知らないを押し通すつもりなのでは</p><p>こういう場合は襲撃を受けた我々の方も、落ち度があったと報道するのがマスコミの常ですしね</p><p>大張遼、華岡侘介、香月健思が順番に語る</p><p>それにこれぐらいの襲撃を自力で撃退できなければ、香月セキュリティ・サービスの沽券に関わります</p><p>トップ・エリート警護人である麗華が、笑ってそう言った</p><p>警察の手など患わせることなくわたくしたちは、襲撃者全員を排除致します</p><p>そ、そうかでは、私たちの安全は保証してくれるのだな</p><p>私塾を代表して香月操が、麗華に尋ねる</p><p>わたくしたちが全力でお守りするのは、閣下とご家族だけですわ</p><p>麗華の返事に私塾の連中は、動揺する</p><p>それって、どど、どういうことだよ</p><p>角田文和が、慌てて叫んだ</p><p>閣下からは、皆様をお守りせよという命は受けておりませんから</p><p>でも、オレたちは閣下の臣下の子供だぞっ</p><p>香月仁も喚く</p><p>はい臣下の皆様はすでに、ご自分の命を犠牲にしてでも閣下をお守りするお覚悟をなさっているはずですわ主のために命を懸けるのが、臣下の勤めでございますから</p><p>麗華は、はっきりと言った</p><p>臣下は、幾らでも替えがききますが現在の香月グループは、当主である閣下を失うことはできませんまた、香月家の後継者である、みすず様、瑠璃子様のお命も絶対に守らなければなりませんそのことは、お判りですよね</p><p>麗華の言葉に、私塾の連中は黙り込む</p><p>自分たちを、選ばれたエリートだと信じていた彼ら</p><p>しかし、自分たちよりも上の立場の人間の前では絶対に守られるべき存在ではないのだということを思い知らされる</p><p>もちろん香月セキュリティ・サービスも、できる限り皆様をお守りするよう努力は致しますしかし最優先にすべき人物では無いと、認識されていることはご了承下さいもし、敵がホテルの上層部まで侵攻して来たとして味方の数が足りなければ、わたくしたちは閣下の安全を優先するために、皆さんの警護を放棄するという可能性もあります</p><p>そんなオレたちを見捨てる気かよっ</p><p>角田が叫んだ</p><p>最悪の事態になった場合は、そういうこともあるということですわ</p><p>麗華の声は、穏やかなままだった</p><p>あのこういうのは、どうですか僕たちも、僕たちの両親も全員、閣下と同じ部屋で警護して貰うっていうのはそれなら、警護の人たちも一カ所に集中できますし良い考えだと思うんですけれど</p><p>香月昴が、そう提案する</p><p>それでは敵の勢力も、一カ所に集中して攻撃してくることになるんじゃない</p><p>マルゴさんが、笑って答える</p><p>香月セキュリティ・サービスは、敵を分散させたいんだよ幾ら何でも、百人以上の敵がまとまってやって来るのを撃退するのは、大変だからね</p><p>はいそれに、閣下と閣下のご家族、臣下の方々、私塾の皆様、それに担当の警護人全員が収容できる部屋となれば、レストランや会議室、こちらのパーティルームなど、場所が限られてしまいますこのホテルの間取りは、敵は全て知っているでしょうし</p><p>うんレストランとか、会議室、結婚式場なんかが、どの階に幾つあるかなんてことはホテルの情報を調べれば、一発だろう</p><p>閣下の所在地を、敵に判らないようにするためには上層階のごく普通の客室にお隠れになっていただく方が良いと思いますわもちろん、警備はその部屋に集中させるのではなく、そのお部屋を中心にして幾重にも警護人を配置していくという形式で敵の一部に所在地を特定された場合には、すぐにまた別の階の別のお部屋に移動できるような態勢でいなければいけませんから</p><p>とにかく麗華は、香月セキュリティ・サービスがプロの警護集団であり、ジッちゃんの安全を守ることだけに集中しているということを私塾の連中に伝えた</p><p>では僕たちは、どうすればいいのですか</p><p>閣下がおっしゃっていた通りお父様たちと一緒のお部屋に退避して下さい普通の客室に、全員で居ていただきますギュウギュウ詰めで息苦しいでしょうがご容赦下さいその代わり、可能な限り多くの警護人を配置致します</p><p>どうします、操兄ィ</p><p>香月仁がグループのボスである香月操に尋ねた</p><p>仕方あるまい親父たちと一緒に居る方が、まだ安全だろう親父たちの方が、オレたちよりも、香月セキュリティ・サービスの優先度は上のはずだ</p><p>僕たちだけじゃあ、まともな警護はして貰えないでしょうね</p><p>司馬アキラも、そう言った</p><p>と麗華は、壁のインターフォンを取る</p><p>スイッチを操作して</p><p>藤宮です谷沢チーフ、指示をお願いします</p><p>麗華が、谷沢チーフと話している間にマルゴさんは</p><p>ああ、そうそう君たち、携帯電話を持っていると思うけれど、使っちゃダメだよ電源も切っておいてね</p><p>え、何でだよ</p><p>香月仁が、嚙み付いてくる</p><p>携帯電話の電波で居所が判るって話、聞いたことない</p><p>メグのドレスとオレのパンツを買いに行った時に、それで襲撃を受けたっけ</p><p>敵が、君たちの個人情報まで押さえているかどうか判らないけどさもし携帯が特定されていたら、敵は真っ先に襲って来ると思わない</p><p>ゾッとする私塾の連中</p><p>おい、全員、電源を切れバイブ・モードもダメだぞ</p><p>いっそ、バッテリー抜きましょうか</p><p>うん、それもいいかもしれん</p><p>慌てて携帯電話を取り出して、電源を切る</p><p>了解致しました指示に従います</p><p>その間に、麗華がインターフォンでの通話を終える</p><p>では、私塾の皆様は５分以内に、廊下の右側、奥の西・３階段を使って、３４階の３４４８号室へ向かって下さい</p><p>えっ、エレベーターは使えないの</p><p>角田が叫ぶ</p><p>全てのエレベーターは、電源をカットしていますそうでないと敵が自由に昇ってきますから</p><p>うんエレベーターを生かしておいたら、大変なことになる</p><p>また廊下や階段は、要所要所で防火扉を降ろしていますここから３４４８号室へのルートは、５分間限定で開いていただいていますお急ぎにならないと、階段の途中で閉じ込められることになります</p><p>オレたちが到着するまで開けといてくれればいいじゃないか</p><p>香月仁が、そう言うが</p><p>お忘れですか閣下は時間に厳しい方ですよ</p><p>麗華は冷たく微笑む</p><p>仕方無い行くぞ</p><p>香月操が、自分のグループに指示する</p><p>僕たちも急ぎましょう</p><p>司馬アキラも、新興グループのメンバーにそう言った</p><p>君みすず様と瑠璃子様のことをよろしく頼むよ</p><p>香月健思が、オレに言った</p><p>えー、ちょっと待てよそいつは、みすず様たちと一緒なのかよ</p><p>香月仁が絡んでくる</p><p>当然ですわあたしの旦那様ですから</p><p>みすずは、きっぱりと答えた</p><p>他の女性たちも、あたしと瑠璃子さんにとって大事な方々ばかりですあたしたちと一緒に避難致します</p><p>いや、でもみすず様と一緒ってことは、閣下と一緒ってことだろ何か、こいつだけズルくねぇ</p><p>香月仁の気持ちも判るが</p><p>オレには、自分の家族を守る義務がある</p><p>みすずたちはオレが守るから</p><p>死んでもみんな、守るから</p><p>みんなオレの家族なんだ</p><p>判りましたよろしくお願い致します</p><p>司馬アキラが、そう言ってくれた</p><p>とにかく貴様に任せるおのれの責務を全うしろよ</p><p>香月操は、命令口調でオレに言った</p><p>残り４分です</p><p>麗華が腕時計を見て、カウントする</p><p>さあ、急ごう</p><p>ところでさオレたちには、誰も警護人は付かないわけ</p><p>そっちにはちゃんとそいつの家の警護人が居るだろ</p><p>香月仁は、マルゴさんをオレの警護人だと思っているらしい</p><p>あんたは香月セキュリティ・サービスの人間なんだからさオレたちに付いて来てくれたっていいんじゃねえのか</p><p>自分たちだけで、上階へ避難するのが不安らしい</p><p>わたくしは、トップ・エリートです閣下より、みすず様、瑠璃子様の警護をするように厳命されております</p><p>それじゃあさお前、その警護人を貸してくんねえか</p><p>香月仁は、オレにマルゴさんを貸せと言い出す</p><p>悪いんだけどあたしの雇い人は彼じゃないんだあたしが受けている命令は、彼とこの子ら全員を守ることだから、君たちの警護はできないね</p><p>マルゴさんも突っぱねる</p><p>ちくしょう</p><p>悔しがる、香月仁</p><p>急がないと、間に合わなくなりますよ</p><p>みすずの言葉に、香月健思が</p><p>失礼します、みすず様、瑠璃子様みんな、全力疾走だ走れば間に合うぞ</p><p>そう言って、二人に頭を下げると部屋の外へと駆け出して行く</p><p>待て、私を置いていくな</p><p>追い掛ける、香月操</p><p>お供します操様</p><p>プリンス派の連中が後を追う</p><p>運動は苦手ですが、仕方無い失礼します</p><p>司馬アキラも、一礼してから走り去る</p><p>僕たちも行きます</p><p>残りの新興グループの連中も部屋から出て行った</p><p>ふう、やっと家族だけになったわね</p><p>あたしああいう、プライドだけ高い男の子って大嫌いなの</p><p>オレのことを後ろから抱き締める</p><p>あなたが好きっ</p><p>マナが飛び込んで来る</p><p>もおっ、あの人たちがいなくなったからって、ベタベタしないで下さいっ</p><p>いいじゃないマナちゃんは、妹っぽいから、あの人たちの前でも甘えていたけれどあたしが甘えると、色々とマズイでしょあの人たちにとっては、彼はみすずさんのお相手ってことになっているんだから</p><p>確かにあいつらの前で、渚とベタベタするのはマズいよな</p><p>そうそうあたしも甘えちゃおっと</p><p>寧さんが、前からオレを抱き締める</p><p>前後から巨乳に挟まれるオレ</p><p>渚の胸は、ふんわりと包み込む様なやわらかさで</p><p>寧さんのは、大きいけれど張りがある</p><p>おっぱいっというのも、人によって全然違うんだな</p><p>そうですねあたしも、あの人たちの相手をして、ちょっとくたびれちゃいました</p><p>みすずが、大きく伸びをする</p><p>みすず様、お肩でもお揉みしましょうか</p><p>みすずが大好きな美智が、するすると主人の側に寄っていく</p><p>うん、頼むわ</p><p>椅子に座ったみすずの肩を美智は、嬉しそうに揉んでいく</p><p>ご苦労様でした、みすずお姉様</p><p>瑠璃子が、みすずにねぎらいの言葉を掛ける</p><p>あたしもやっぱり、男の子は苦手です</p><p>あたしだって、そうよでも、旦那様や家族のためには、頑張らないとね</p><p>見つめ合って微笑むみすずと瑠璃子</p><p>そうだね、家族っていいねっ</p><p>寧さんが、ニコニコして巨乳をオレに押しつける</p><p>あ何か、無理して明るくしている気がする</p><p>寧さんみんなの不安を少しでも減らそうと、明るく振る舞ってくれているんだ</p><p>いや、寧さんだけでない</p><p>最初にオレに抱きついてきた渚も</p><p>真緒ちゃん、眠っちゃいました</p><p>麗華が、小さな声で渚に告げる</p><p>あらあら大変</p><p>渚はオレから離れて、小さな真緒ちゃんを抱え上げようとする</p><p>わたくしが運びます</p><p>麗華が、スッと真緒ちゃんを抱える</p><p>ごめんなさい、すっかり面倒を見て貰っちゃって</p><p>構いませんわたくし、力には自信がありますし家族ではありませんか</p><p>麗華は、そう言って微笑んでいる</p><p>本当にここに居るのが家族だけならいいんですけどねっ</p><p>マナが、ジロッと雪乃を見る</p><p>この女なからましかばと覚えしか</p><p>呪いの言葉じゃないよな</p><p>確か、古文の授業で習ったぞ</p><p>徒然草だっけ</p><p>ましかば→まし、いわんや→おや</p><p>あ、美子さんは居ていいんだからねっマナは、この人だけ嫌いなんだからっ</p><p>マナが、ハッとして美子さんに言う</p><p>気にしてませんから</p><p>気弱に答える、美子さん</p><p>美子はわたくしの家族ですだから、いいのよ</p><p>瑠璃子が、すぐに美子さんを慰める</p><p>オレが叱ると、マナは</p><p>すぐに土下座の態勢になるマナ</p><p>裸になる裸になって土下座した方がいい</p><p>裸にならなくていいからそこで反省していろ</p><p>マナが、妙にはしゃいでいるのは</p><p>不安だからだ</p><p>その気持ちはよく判るから、あまり責めないでおこうと思った</p><p>雪乃とメグは、どうしようもないほど落ち込んでいるな</p><p>えあ、ごめんなさいあたし、考え事していたから</p><p>うわ顔が真っ青だ</p><p>大丈夫か</p><p>オレは、メグに近寄る</p><p>うん平気だよ、あたし</p><p>全然、平気そうでは無い</p><p>雪乃は、もっと酷い</p><p>まだ、スクリーンを見上げたままポカーンと口を開いている</p><p>相当、ショックだったみたいだね</p><p>白坂家の反主流派との交渉に自分の話が出て来なかったことがさ</p><p>あの３人との交渉では</p><p>雪乃や白坂創介に関する話は、一切出なかった</p><p>ホント失礼しちゃうわよ</p><p>振り向くとさっき私塾の連中が入って来たのとは違うドアから</p><p>ミナホ姉さんが入って来る</p><p>ジッちゃんと、克子姉も一緒だ</p><p>え、どういうこと</p><p>白坂家ではもう、白坂創介とその家族のことは見捨てているってことなんだろ</p><p>マルゴさんが、答えてくれた</p><p>だから、交渉の題材に上がらない</p><p>彼らは、白坂創介の身柄について何も尋ねなかった</p><p>それどころか雪乃や、マナのことも</p><p>いやメグだって、白坂家にはオレたちに誘拐されたことになっている</p><p>誰のことも、返せとは言ってこなかった</p><p>もう、どうでもいい</p><p>好きにしろこちらは、どうなっても構わないという、意思表示だろう</p><p>白坂家は今回のことは全て、香月様の意志によるものだとすることにしたのよつまりあたしや黒い森の存在を、完全に無視するつもりなのよ</p><p>夢の中で住んでいる家ってありますか</p><p>夜、眠っている時に見る夢の中で私は、何度も同じ家が出てきたりします</p><p>その家は、夢の中の私の家なんでしょう</p><p>あんまり何度も出てくるので、大体の間取りが書けます</p><p>というかその家は、私の生家と祖父の家がゴッチャになった作りで</p><p>でも、広さは数倍あります</p><p>これは幼かった頃の、私の感覚での広さなんだと思います</p><p>とにかく、私には夢の中で住んでいる家があって</p><p>私の父は、手術後一週間近く眠っていてその後、一週間、集中治療室で全く身動きが取れない状態だったわけですが</p><p>やっと人工呼吸器が外れて、喋れる様になると奇妙なことを言います</p><p>敷地の角から順に家があってお前の家と、兄の家と、親父の家なんだよ</p><p>そんな家は、実際にはありません</p><p>それはおそらく父が夢で見た光景なのです</p><p>そこはな西口からしか行かれないんだ</p><p>どこの西口なのかは、不明</p><p>まあ、判っていると思うが０１、０２、０３のローテーションがな</p><p>手術する直前に会話した時は、明瞭な意識だったのに</p><p>変わってしまっているというのは、ちょっとショックです</p><p>時計が読めなくなっていました</p><p>文字もよく判らないみたいです</p><p>テレビも、何をやっているのか判らないようでした</p><p>今日、病院から帰る時に</p><p>じゃあ、また明日来るから</p><p>と言うと、父は</p><p>明日か明日は、オレは会場へは行かないかもしれないぞ</p><p>と、答えました</p><p>頭の中はまだ現役のサラリーマン状態なようです</p><p>お医者さんや看護士さんは、少しずつ頭がはっきりして来るだろうと言って下さるのですが</p><p>正直、心配です</p><p>280．パニック・ルームヘ</p><p>ミナホ、それはちょっと言い過ぎだよ</p><p>マルゴさんが、ミナホ姉さんをたしなめる</p><p>白坂創介とあたしたちの因縁を知らない人たちからすればさ白坂創介のスキャンダルが突然マスコミに暴露されて、白坂家の本体に飛び火していく様子は、香月さんが仕組んだものだとしか思えないだろうし</p><p>そうか世の中の人は、黒い森の存在を知らない</p><p>ミナホ姉さんたちが、どれほど白坂創介という人間を憎んで永年に渡り、復讐計画を練り続けてきたことも</p><p>本来ならば白坂家というマスコミ関係に多大な影響力を持つ一族に生まれた白坂創介の犯罪は、徹底的に外部に漏れないように秘匿されるはずだ</p><p>どれだけネット上に情報が公開されても、マスコミ業界の人間は記事として取り上げないというのが本来の流れだろう</p><p>なのに今回、同じマスコミ業界の人間ですら、白坂家を見捨てて、白坂創介の犯罪について報道した</p><p>最後まで報道することを拒んだのは、白坂家の新聞とテレビのネットワークだけだ</p><p>なぜ他のマスコミ各社が、白坂創介を守ろうとしなかったのかというと</p><p>それは、ジッちゃんが裏から手を廻したからだろう</p><p>香月家の力で白坂創介の犯罪に関する報道は、一大キャンペーンと化した</p><p>白坂家の反主流派の３人は</p><p>そこしか見ていないんだ</p><p>香月のジッちゃんの影響力にだけ、怯えて</p><p>そもそも白坂創介をオーストラリアで拉致し現地の警察に少女レイプの容疑で逮捕させ</p><p>白坂創介のこれまでの悪行の証拠を流出させネット上の世論を誘導した、ミナホ姉さんの活動については</p><p>どんなことが裏であったのかなんて、考えていない</p><p>なぜ、白坂創介が、こんな酷い目に遭わされているのかということさえ</p><p>彼らは、想像しようとはしない</p><p>疑問にも思わない</p><p>調べてみようとすらしない</p><p>現実には今回のことは、あたしたちと白坂本家とのケンカで香月さんは、仲介者でしかなかった</p><p>これは全部、ミナホ姉さんと黒い森の復讐だ</p><p>ジッちゃんは、手助けをしてくれただけに過ぎない</p><p>それなのにあの人たちは、全部香月様が主導している企業乗っ取り計画だと思い込んでしまったのよね</p><p>ミナホ姉さんが、ハァと溜息を吐く</p><p>まあねあの３人からしたら、香月さんが、どんな手を使ってでも白坂守次氏を失脚させ、新聞社とテレビ局を手に入れようとしているとしか、思えなかったんだろうね白坂創介の件は、白坂家に揺さぶりをかけるための作戦でもしかしたら、白坂創介の罪も香月さんがでっち上げたものかもしれないって想像しているかもしれないよ</p><p>ホント失礼しちゃうわ</p><p>あの３人は、ミナホ姉さんの復讐をジッちゃんの作戦の一部としか思っていないなんて</p><p>黒い森の人間の激しい復讐心に少しも気付いていないっていうのか</p><p>いずれにせよあの３人は白坂創介のことなんて、どうでもいいんだよ</p><p>そうですわね白坂博光さんや山田副社長にとっては自分たちの新聞社やテレビ局だけが、大切なんでしょうし白坂信子さんに至っては自分の息子が、名目だけでも白坂家の当主になれればそれでいいんですもの</p><p>一族の人間だとしても新聞社やテレビ局に籍を置いていない、広告代理店の一社員のことなど関心は無いのだろうね</p><p>白坂創介のスキャンダルで、社会的に致命傷を負うのは彼の近い親族つまり、ずっと白坂創介を可愛がっていた白坂守次だけだと思っているんじゃないかしら同じ白坂家でも、自分たちには、責任はないと思っているんでしょうね</p><p>だからさあの３人は、最初の段階では香月さんに対して強気だったんだよ</p><p>白坂守次の失脚が現実的になった今</p><p>次の白坂家のグループ企業を担うのは、自分たちだという思いがあったのだろう</p><p>自分たちには、白坂創介のスキャンダルは関係無い</p><p>むしろ、白坂守次失脚後のグループ企業をまとめるためには、絶対に自分たちの力を必要としてくるはずだと思い込んでいた</p><p>だから、私は思いきり尻を蹴飛ばしてやったんだああいう馬鹿な連中にナメられるのは仕方無い勝手に向こうが私の思惑を勘違いしているのだからなだから、そういう時は思いっきり蹴飛ばして、思い知らせてやるんだ二度と、私に対してナメた真似をしないようにね</p><p>でも情けないけれど、世の中のほとんどの人たちも、あの３人と同じ見方をしているんだと思うわ</p><p>世の中の一般の人たちはともかく政財界の人たちは、今回の件は、どこまでも香月様が白坂守次に仕掛けた闘いという風にしか見えないんでしょうね</p><p>見方によっては、ジッちゃんが無理矢理、白坂家の報道ネットワークを奪い取ろうとしているみたいで</p><p>ジッちゃんが、一方的に悪者にならないか</p><p>私はそれで別に構わんよ</p><p>君はもう私の家族になったんだ家族のためなら、私は多少の陰口ぐらいは我慢するよもっとも私は元々、敵の多い男だ今更一つぐらい罵られるネタが増えたところで、どうってことはないそれに</p><p>日本の報道機関の再編は、いずれ手を付けねばならないテーマだと思っていたせっかくの機会だから、着手するよ御名穂くんも克子くんも、協力して貰うぞいいね</p><p>ミナホ姉さんは、ジッちゃんに頭を下げ</p><p>ここまでしていただいた以上、あたしたちのできることは何でも致しますわ</p><p>ジッちゃんは、ジロッとミナホ姉さんを見て</p><p>しかし君は、まだまだ他人行儀だな早く、私をお祖父様と呼びたまえ</p><p>ミナホ姉さんは、緊張している</p><p>まあ少しずつ慣れてくれればいい君と克子くんには、経営について徹底的に仕込むからな</p><p>驚く、ミナホ姉さん</p><p>君たちがフォローしてくれなかったら、誰が、みすずと瑠璃子の補助をするんだね私塾の連中が使い物になるまで、まだしばらく時間が掛かるそれに、あいつらは表向きの仕事は任せられるが裏の方は上手くはやれんだろう君たちは、裏の世界にも顔が広いだろうし</p><p>しかし、あたしたちは黒い森の</p><p>元・娼婦という単語が出る前に、ジッちゃんはミナホ姉さんの言葉を遮る</p><p>過去は、過去だ気にするなむしろ、その過去のおかげで君たちには多くの人脈があるはずだ</p><p>ミナホ姉さんも克子姉も黒い森の顧客だった政財界の重鎮たちをたくさん知っている</p><p>ああいう大物たちと、どうやって渡り合っていけば良いのかも君たちは、よく知っているその能力をみすずと瑠璃子のために活かしてはくれぬか</p><p>ジッちゃんは、２人を見た</p><p>でもあたしはパン屋さんがやりたいんです普通のパン屋さんが</p><p>克子姉が、苦しそうに言う</p><p>克子姉パン屋の方は、オレに任せてくれよ</p><p>克子姉と同じくらい美味しいパンが作れるように、オレ、努力するから毎日、たくさんパンを作って克子姉には、味見して貰うからそれで、克子姉がオッケーしてくれたパンだけ売るからさ</p><p>あっ、あたしもヨッちゃんと一緒にパン作るよっ売り子もやってあげるっ</p><p>寧さんが笑って、そう言う</p><p>もちろん新商品とかは、全部、克っつんが作るんだよっそれから、もちろん忙しく無い時は、パン作りも売り子も手伝ってね克っつんのお店なんだからっ</p><p>うんあたしも手伝うよ</p><p>寧さんの言葉にマルゴさんも、そう言ってくれた</p><p>美智、あなたも手伝いなさい</p><p>みすずが、美智に言った</p><p>パ、パンでございますか</p><p>美智は不安そうな顔をしている</p><p>大丈夫だオレもこれから克子姉に作り方を習うんだから一緒に、教わろうどっちが先に美味いパンを作れるようになるか競争だ</p><p>競争となると美智の中の闘争心に火が付いたらしい</p><p>どっちにしろ</p><p>この子には、料理とか女の子らしい体験をもっとした方がいい</p><p>あたしも協力するわ今のうちのお店は移転させて克子のお店とお隣同士にすればいいのよそしたら、お店の経営はあたしが見てあげられるでしょ</p><p>渚も、そう言ってくれる</p><p>克子姉は、涙目で</p><p>バカね渚は、こっちよ</p><p>こっち</p><p>あんただって、大物の知り合いがいっぱいいるでしょ</p><p>克子姉は渚にも、みすずたち香月家のフォローに加わるように示唆する</p><p>そっかそうだわね</p><p>渚が、ニコッと笑う</p><p>仕方無いわね家族のためですものねっ</p><p>瑠璃子が、オレに言う</p><p>あの助けていただくばかりでは、申し訳ございませんわたくしにも、何かお手伝いできることはないでしょうか</p><p>じゃあ、瑠璃子もパンを作ってくれ</p><p>超お嬢様の瑠璃子をお店に出すのは色々と心配だけれど</p><p>店の中でパンを作るのは、問題無いだろう</p><p>判りました美子も一緒に作りましょうね</p><p>こう見えても美子は、お菓子作りが得意なんですよ</p><p>まあ、即戦力ね</p><p>渚が、ニコニコ笑って美子さんを見る</p><p>美子さんは瑠璃子と一緒にできることを見つけて、嬉しそうだった</p><p>麗華お姉さんはどうパン屋さんとか</p><p>マルゴさんが、麗華に振る</p><p>克子ちゃんのパン屋さんはパンを売るだけですか</p><p>麗華が、真顔で克子姉に尋ねる</p><p>ついでにカフェをやったりはしないのですか</p><p>そうね焼きたてのパンをその場で食べられるカフェも、いいわね</p><p>麗華お姉さんカフェに興味があるのっ</p><p>寧さんが、尋ねると麗華は</p><p>はい本格的な英国式のカフェでしたら</p><p>そうかこの人は、極端な英国被れだった</p><p>え、それってメイドさんとか執事さんみたいな格好をした人が、店員をやるっていうこと</p><p>寧さんが、食い付く</p><p>今の流行りの格好ばかりのメイド喫茶ではありません本当に英国の伝統に則した、貴族のティータイムを演出するようなお店でしたらやってみたいという気はあります</p><p>麗華は、微笑む</p><p>ああ、この撲殺剣士のお姉さんも</p><p>色々と歪んでいるけれど、中身は女の子なんだ</p><p>お洒落で可愛いカフェがやってみたいんだ</p><p>いい、いいっやろうよ、それっあたし、メイド服着るからっ</p><p>寧さんが、ノリノリでそう言った</p><p>花屋に、パン屋に、カフェね３店舗一緒にやるとなると、結構、大きな物件が必要ね</p><p>いっそのこと、ビル丸ごと買っちゃいましょうか</p><p>渚と克子姉で、そんな相談を始める</p><p>おいおい、私も一枚噛ませてくれ</p><p>ジッちゃんが、笑ってそう言う</p><p>出資は私がする良さそうな土地を探させるから、君たちでどこにするか決めたまえ</p><p>土地ですか</p><p>克子姉が、驚いて尋ねる</p><p>ああ建物は、新しく建てさせようどんな地震がきてもビクともしない頑丈な作りにしないと娘たちが心配だからな１階が店舗で、上階に君たちは住めばいい一流の設計士に依頼して、君たちの希望通りのビルを建てさせる君たちの城だよ</p><p>うわっ、あたしの永年の野望が一気に現実化しそうだわっ</p><p>黒森姉妹会のビルですね</p><p>そうなったら、もちろん、みすずさんや瑠璃子さんたちの部屋も作るわよお祖父ちゃんの部屋もねっ</p><p>渚が、ジッちゃんにウインクする</p><p>ふむそれはありがたいな</p><p>ジッちゃんも、満足そうにそう言った</p><p>お風呂はもちろん、全員で入れる大浴場を作ってああん、屋上に露天風呂もいいなあそれからベッドルームは、どうする</p><p>克子姉が、渚に尋ねる</p><p>どうするって</p><p>みんなで一緒に寝られる部屋にするそれとも彼と二人っきりで愛し合えるようにする</p><p>それは両方必要よみんなで一緒にセックスするのも気持ちいいけれど、二人きりでしっぽりっていう夜も大切だわ</p><p>そうよね、そうよね</p><p>うんと元・同級生の２１歳コンビが、妄想に暴走していく</p><p>いつも、こういう話に率先して乗ってくるはずのマナはどうした</p><p>それからメグ</p><p>雪乃も、全然喋らなくなっている</p><p>三人とも、ぐったりとした様子でただ呆然とオレたちの話を聞いていた</p><p>白坂家に、完全に見捨てられたというのはショックだったんだろうか</p><p>白坂守次の本家側はシザーリオ・ヴァイオラを使って、白坂創介の血族は抹殺しようとしているし</p><p>反主流派の３人は完全無視だ</p><p>とにかく、このままじゃマズイな</p><p>オレが、マナたちに話し掛けようとすると</p><p>今は、放っておいて</p><p>マルゴさんが、オレの耳に囁いた</p><p>いいから彼女たちは、自分のポジションが見えていないんだよ</p><p>ポジション</p><p>集団における自分の役割がね</p><p>マルゴさんの言葉は、オレにはよく判らない</p><p>それが見えてくるまではあたしたちと一緒に、未来を語る元気が湧いて来ないんだよ</p><p>しかし、このまま三人を放っておくわけにもいかないし</p><p>部屋のドアが開いて関さんが入って来た</p><p>閣下移動の準備が整いました</p><p>移動</p><p>そうか、オレたちもヴァイオラの軍勢に居場所を悟られないように、ホテルの中を移動しないといけないんだっけ</p><p>では、行こうみんな、いいな</p><p>ジッちゃんが、全員を見渡してそう言った</p><p>戦闘要員の４人は、さっき決めたフォーメーションで分散する</p><p>麗華が、一番前を集団から少し離れて歩く</p><p>前から急に襲撃を受けた時に後方の集団に被害を出さないためにだ</p><p>その後ろ集団の前に、関さんが付く</p><p>関さんは、愛用のピストルを抜いていた</p><p>オレたちの警護と同時に麗華が襲われた時に支援もする</p><p>その後ろにオレたちジッちゃんとみすずと瑠璃子を真ん中にして、後を追う</p><p>もちろん、ヴァイオラのターゲットである寧さんも中心部だ</p><p>美智は、みすず、瑠璃子、美子さんのすぐ後ろにいる</p><p>同じ学校の制服を着た４人だ</p><p>とっさの時には、影武者になれるし間近で、みすずたちを警護できる</p><p>最後に後方の様子をチェックしながら、マルゴさんが殿《しんがり》を勤める</p><p>オレは、マルゴさんの近くに居ることにした</p><p>前方からの攻撃は、トップ・エリートの二人で対処できるだろうけれど</p><p>今のままでは、後方からの攻撃に弱い気がする</p><p>オレなんかが、何かの役に立てるとは思わないけれど</p><p>銃撃された時の楯ぐらいは、できるだろうと思う</p><p>関さんルートはＢの４でいいのね</p><p>谷沢チーフからは、そう命じられているわ</p><p>麗華と関さんが、言葉を交わす</p><p>こういう緊急時の対応は、あらかじめ何パターンも決めてあるんだろう</p><p>オレたちは、結婚式場の部屋を出て</p><p>階段を使って、２フロアほど下へ降りた</p><p>オレたちの通るルート上の防火扉はすでに上がっていた</p><p>防火扉の上げ下げは、制御室から自由にコントロールできるようになっているんです</p><p>みすずが、オレに教えてくれた</p><p>このホテルの防火扉は、普通の小銃の弾ぐらいは防ぎますし爆発にも強い構造になっています</p><p>となれば侵入者の第一目標は、その制御室じゃないのか</p><p>廊下と階段の防火扉を全て開放しないと侵入者は、自由にホテル内をやって来られないし</p><p>大丈夫ですよ制御室は、香月セキュリティ・サービスの本部ですから警備部の人間が、一番居る場所です</p><p>ってことは山岡部長の管轄だろ</p><p>あの人ポカが多いからな</p><p>あのさ昔、ホテルの空気のダクトの中を這って、テロリストを撃退する映画があったんだけど</p><p>階段や廊下を防火扉で封じ込めても</p><p>ダクトの中を抜けてこられたら</p><p>それってかなり昔の映画ですよね</p><p>このホテルはその映画の上映された後に建てられていますだから、大丈夫ですよ</p><p>人間が通り抜けられるぐらい幅の広いダクトなんて、そんなにありませんし途中では、金網になっている所とかもあります光源の無い暗いところばかりですしそんな立体迷路、ホテル内の完全な配管図があったとしても抜けられないですよ</p><p>一本通るダクトを間違えただけで、迷子になっちゃうもんな</p><p>あの映画はやっぱり、フィクションか</p><p>すいすい通り抜けて、思った通りの場所に出るのは至難の業なんだな</p><p>麗華は備品室と書かれた部屋の前に到着した</p><p>はい、鍵よ</p><p>関さんが鍵を麗華に投げ渡す</p><p>この鍵も、谷沢チーフから預かって来たのだろう</p><p>麗華が鍵を開ける</p><p>どうぞ中へ</p><p>オレたちは、全員部屋の中へ入った</p><p>部屋の中は、可動式の大きな棚が何層も並んでいてホテルの普段使わない備品が置かれていた</p><p>可動棚が、普段は壁にぴったりくっついていて使用したい物が置かれている棚があれば大きなハンドルを廻して、棚と棚の間に人が入れるだけのスペースを作るという構造になっているらしい</p><p>麗華と関さんが、そのうちの棚の一つを動かす</p><p>人が入れるぐらいの幅が開くと奥の下の方に置かれている箱に向かう</p><p>よくあるプラスチック製の物入れだ</p><p>蓋を開くと中には、万国旗が詰まっていた</p><p>今時、こんなのこの近代的なホテルのどこで使うんだろう</p><p>麗華が、その万国旗をケースから出す</p><p>ケースの中からテンキーの付いたリモコンのスイッチが出てくる</p><p>貸して</p><p>関さんがスイッチを受け取り暗証番号を打ち込む</p><p>続いてジッちゃんが幾つかの数字を打ち込んだ</p><p>これでいいはずだ</p><p>関さんが、メインスイッチを入れると</p><p>部屋の奥の壁がスーッと開いていく</p><p>そこにあったのはエレベーターだった</p><p>緊急避難用の部屋に通じているエレベーターだこの階のこの部屋からしか、行かれないようになっている</p><p>このホテルは、最初から香月グループの重要な会議をするために作られている</p><p>だから、こういう避難システムは設計時から作られていたのだろう</p><p>ジッちゃんはいつも、この緊急避難エレベーターがあるフロアの近くに居て</p><p>突然の事態に対応するようにしているんだ</p><p>このエレベーターは、私の右手の静脈を確認しないと始動しない</p><p>ジッちゃんが、緊急エレベーターの横のパネルに右手を当てる</p><p>ヒピッ承認致しました</p><p>エレベーターからアナウンスの声が響きエレベーターが、スッと開く</p><p>このエレベーターは５人乗りだ順番に乗りたまえ</p><p>最初は瑠璃子、そして美子さんそれに、ミナホ姉さんと寧さん護衛として関さんが乗り込む</p><p>あり得ない可能性だが緊急避難室に、敵が忍んでいることを想定してだ</p><p>ジッちゃんとみすずと瑠璃子さんが一緒に乗らないのももしものことを考えてだ</p><p>全員が一挙に捕まったら、元も子も無い</p><p>さてさて、家族だけになって一旦避難します</p><p>それで、内側の問題を片付けて</p><p>その間に、工藤父たちに襲撃グループの数を削らせるという感じでしょうか</p><p>一応、エッチシーンも入れる予定です</p><p>今日は、東京は時々雨が降って蒸しましたが、気温が低くて助かりました</p><p>それでも夕方の雨の切れ目に、自転車で病院まで行ってきました</p><p>しばらくは、こういう生活が続きそうです</p><p>感想欄のお返事が、すぐに書けない状態が続いており、申し訳ありません</p><p>時間のある時に、少しずつお返事を書いております</p><p>どうか、ご容赦下さい</p><p>281．コンプレックス（その３）</p><p>数分後、エレベーターは戻って来る</p><p>緊急避難室というのが、ホテルの中のどこにあるのか判らないが</p><p>このフロアの近くでは無いのだな</p><p>スーッとドアが開く</p><p>次はジッちゃんと、克子姉と渚渚は、眠っている真緒ちゃんを抱いているそれに麗華が乗る</p><p>エレベーターが戻ってくるのを待って</p><p>みすずとメグとマナ、雪乃、美智が乗り込む</p><p>旦那様、先に行かせていただきます</p><p>うん、気を付けろよ</p><p>みすずは、オレに声を掛けてくれたが</p><p>メグとマナと雪乃は、無言のままだった</p><p>残ったのはオレとマルゴさんだけだ</p><p>別に二人きりになるつもりは無かったんだけれど</p><p>気が付いたら、こうなっていた</p><p>かなり重傷だねあの子たち</p><p>はいちょっとマズイですよね</p><p>オレも、困っている</p><p>さっきジッちゃんが、未来の話をしだしてみんなして、パン屋やビルの話をしたのってオレたちが怖がらないように、元気づけてくれようとしてくれたからですよね</p><p>もちろんそうだよ明るい未来の話は、良い気分転換になるからね</p><p>今、自分が居る建物の下階から、大人数の敵が侵攻して来ている</p><p>香月セキュリティ・サービスや工藤父の仲間が、それぞれ撃退してくれているとは思うけれどやっぱり、怖い</p><p>ガス弾の煙の中に消えた、４人のこともあるし</p><p>正直、オレたちの心には恐怖が渦巻いている</p><p>ちゃんと明日は来て、みんなで幸せになれるそう、信じているって語り合うことで、怖い気持ちに対抗するんだよ</p><p>はいみんな、そのことを判ってくれていましたよね</p><p>だから、寧さんも渚も克子姉も楽しそうに、明るく夢を語ってくれた</p><p>みすずも、瑠璃子も美子さんも話しにノッた振りをしてくれた</p><p>場を和ませ雰囲気を明るくするために</p><p>麗華お姉さんは、本気だったけれどねでも、ちょっと天然なところがあの人の可愛らしさだから、あれでいいと思うよ</p><p>確かに麗華は、トップ・エリートの警護人だから、肝が据わっている</p><p>これくらいの危険なシチュエーションなんて、全然平気なんだろう</p><p>だから、オレたちの不安な気持ちとかは、よく判らないんだ</p><p>きっと麗華は、敵との戦闘中にその日の夕食の献立について話したりできるだろう</p><p>自分が敵に負けるということを、これっぽっちも想定していない</p><p>絶対に守り通すという、強い意志を持っている</p><p>最悪の事態まで、あらかじめ全て想定して準備しておく、ミナホ姉さんや工藤父とは真逆の性格だ</p><p>しかし現場で闘う、プロの警護人としては、そういう考え方もアリなんだと思う</p><p>麗華が平然としている限り周りに居る人間は、安心できるし</p><p>あれ、待てよ</p><p>英国風カフェは本当にやりたいんだな</p><p>やらなきゃいけないお店が増えて君は大変だね</p><p>マルゴさんだって、手伝ってくれるんでしょ</p><p>メイドは嫌だけどギャルソンの格好はしてみたいかな</p><p>あ、それ人気出ると思います</p><p>ダメだよ、寧のメイドの方がお客には好評だと思うから</p><p>そんなことありませんよマルゴさんだって絶対に固定客が付きますって</p><p>でも、いいのそういうのって、麗華お姉さんがやりたい英国風カフェとは違うんじゃない</p><p>いいんですよ麗華は、ちょっと世間とはズレているからていうか、麗華自身がお店に立てば、すごい人気になるだろうし</p><p>英国紳士の男装をする超美人なお姉さん</p><p>見た目は凄いクールだし</p><p>女の子のファンが、いっぱいできると思う</p><p>そうだねお店は繁盛しそうだね</p><p>マルゴさんは、楽しそうに言った</p><p>ところでどうしようか</p><p>不意に、マルゴさんがオレに尋ねた</p><p>白坂家絡みの３人落ち込んだままだったけれど</p><p>白坂創介の娘雪乃、メグ、マナ</p><p>さっきの未来のお店話にも乗ってこなかった</p><p>３人だけ、暗い顔をして</p><p>まあ、雪乃さんは家族じゃないからちょっと置いておくとしてさ</p><p>メグちゃんとマナちゃん君は、どうするつもり</p><p>マルゴさんの綺麗な眼がオレを見る</p><p>どうするつもりって</p><p>何が問題なんだと思う</p><p>あたしは、こう思うんだよ家族の人数がどんどん増えて来たよね</p><p>美智や、瑠璃子、麗華、ジッちゃんまでオレたちの家族になった</p><p>そして家族の中で、みんなそれぞれの役割を見つけていっている</p><p>役割</p><p>例えば香月さんは、自分が家族のお祖父さん役であることに徹してくれているあの人は生まれてからずっと家の中心に居た人で自分の思い通りに全てを動かしてきた人だよ本当なら、あたしたち家族の家長になったっていい立場の人なのに家長はミナホに任せて、自分はお祖父さん役としてフォローする役に回ってくれている</p><p>うん確かにそうだ</p><p>オレたちの家長はミナホ姉さんだ</p><p>そして、ジッちゃんはミナホ姉さんをいつも立ててくれている</p><p>渚さんと克子さんは、家族の年長のお姉さんをやってくれている家族のお母さん代わりも兼ねてね</p><p>そうだ渚と克子姉はタイプは違うけれど家族の優しいお姉さんだ</p><p>克子姉は、ぐいぐいみんなを引っ張っていくタイプで</p><p>渚は、後ろからそっと後押ししてくれるタイプだ</p><p>寧は君が入って来る前は、１人でみんなの妹をやっていたんだけれどね君のおかげで、弟や妹の面倒を見る真ん中のお姉ちゃんになってくれた</p><p>うん寧さんは、いつもオレたちに優しい</p><p>スッとオレたちに近付いて、明るい笑顔を見せてくれる</p><p>あの子が、あたしやミナホや克子さんに守られているだけでなく自分から、弟や妹を守ろうって行動してくれるようになったこと、あたしはとっても嬉しいんだよ 君には感謝している</p><p>そんなオレは何もしていません</p><p>マルゴさんは、ニッと笑って</p><p>君が、そういう男の子じゃなかったら寧はまだ自分の殻に閉じ籠もったままだったよ</p><p>さて、メグちゃんたちの話に戻るけれどあの子たちは、今、家族の中での自分の役割が判らなくて苦しいんだと思うよ</p><p>メグとマナが</p><p>ほら、新しく家族になってくれた人たちって、みんな、みすずさんの系統でしょ</p><p>うん美智は、みすずの警護人瑠璃子は、みすずの従妹麗華は、香月セキュリティ・サービスのトップ・エリートジッちゃんはみすずの祖父だ</p><p>今までの家族は黒い森のメンバーと重なっていたじゃないそして、メグちゃんはお屋敷の生まれだから何となく、ミナホに近い存在だったでしょだから、メグちゃんは、黒い森のメンバーとして受け入れられていたけれどマナちゃんとみすずさんは、少し他のメンバーから浮いた感じになっていて君が他の人との橋渡しをしてあげていた</p><p>確かにみすずもマナも、オレを接触点としてしか黒い森と繋がっていなかった</p><p>みんな、気を遣って２人と接してくれていて</p><p>気を遣うということは身内としては、認められていないということか</p><p>ところが家族が拡大《エクスパンション》したよね香月さんは、ミナホや克子さんとの接点があるし麗華お姉さんは開けっぴろげな人だから、家族になると決めたら、あたしたちに心を全開で開いてくれているでも、ちょっと恥ずかしがり屋の子たちは</p><p>瑠璃子と美智</p><p>それに美子さんもだよ</p><p>美子さんも、まだ保留になっているだけで家族になる可能性がある</p><p>あの子たちが他の家族と上手く接することができるようにみすずさんは進んで橋渡し役になってくれているかつて、君がみすずさんやマナちゃんの橋渡し役をやっていたみたいにね</p><p>確かにみすずは、瑠璃子や美智たちに進んで話し掛けている</p><p>他の人から始まった話を、あの子らに振ったりして</p><p>あの子たちが、家族に溶け込むように気を遣っている</p><p>それが、メグちゃんたちには脅威なんだよ</p><p>脅威</p><p>２人にはみすずさんが自分のグループを作って、そのボスになった感じなんじゃないかな</p><p>いや、でもそんな風にも見えるでしょ見方を変えれば</p><p>っていうかメグちゃんとマナちゃんの方が、先にグループになっていたんだよ君は、マナちゃんが仲間になるまで、ずっとあの子に気遣っていたでしょ</p><p>メグちゃんも、マナちゃんは昔から知っていて妹だってことも知っていたから、マナちゃんには優しかったし</p><p>だからここのとこ、あの２人っていつも一緒に居たじゃない</p><p>そうだメグとマナは、ここしばらくコンビになっていた</p><p>いつも２人だけで固まっていて良くない傾向だなって、オレも思っていた</p><p>やっぱりね、１人より２人集団になっている方が、強い気がするんだよ</p><p>でも、強いってあいつら、何と闘っているんです</p><p>家族の中で２人だけ固まる意味が判らない</p><p>それはやっぱり、君のことを独占したいんだよあの２人は、独占欲が強いから</p><p>克子さんや渚さん、寧それから、みすずさんに対して強い対抗心があるんだよでも、２人とも自分の魅力には自信が無いから姉妹でコンビを組んで、君に積極的にアピールしていたんだよ</p><p>そう言えば明け方の教室で、３人でエッチしたよな</p><p>あれも、オレと雪乃のセックスを見て我慢できなくなったんだっけ</p><p>ところが家族が増えて、みすずさんのグループができてしまったしかも、瑠璃子さんも美智さんも可愛いし、麗華さんは美人香月さんは、あたしたちの後ろ盾として絶対に必要な人だってことは判っているメグちゃんとマナちゃんにとっては、どうしょもなくピンチなわけだよね</p><p>どうしてですオレは別に、家族が増えたからってメグやマナを大事にしないなんてことはありませんよ</p><p>これは、君の問題じゃないよ２人の心の問題だから</p><p>メグとマナの</p><p>みすずさんは頭の良い人だから最初から、君と自分の関係、自分の立場と役割を明確にしていたよね</p><p>旦那様</p><p>自分は君に女として仕える立場で絶対に、君を上から支配するようなことはしないまた、自分はあくまでも君の女の１人であり独占するつもりはないっていうことを、他の女たちに宣言しているわけだよ</p><p>みすずはいつも控え目で絶対に、出しゃばったことはしない</p><p>だから、みすずさんの系統の人たちは、みんなそれに習ったんだ美智さんにとって、君はご主人様、瑠璃子さんにとってはお兄様、麗華お姉さんにとっては主様どれも、君の支配下に入るっていう宣言だからね</p><p>みんな綺麗で可愛い人たちでしょしかも、礼儀正しくて、品もある頭も良いし、気遣いもちゃんとできる何より、どの子も君を独占しようとはしない</p><p>メグちゃんとマナちゃんからすれば自分と比較したら、酷いコンプレックスを感じていると思うよ元から自分に自信の無い子たちだしあの子たちは、君のことを独占したいって思って来たんだから</p><p>容姿でも、頭でも心の優しさでも、負けていると思っている</p><p>特に、マナちゃんはずっと、傍若無人に他の人と君の間に割り込んで、無理矢理に君との関係をキープするっていうキャラクターを演じていたでしょだから、心の敗北感のダメージは大きいと思うよ</p><p>えあのキャラって、作ったものだったんですか</p><p>オレは、驚く</p><p>君白坂舞夏だった頃のあの子を知っているよね今みたいな性格の子だった</p><p>舞夏だった頃のマナはお喋りするのは好きだったけれど、今みたいに強引に会話に割り込んで来るような性格じゃなかったと思う</p><p>あたしたちの中に居て自分の存在を君にアピールするのに、必死なんだよ</p><p>ああお尻を丸出しにして寄って来たりするのも</p><p>あいつにとっては、必死なアピールなんだ</p><p>それに、マナちゃんよく雪乃さんに対して、キツク当たっているでしょ</p><p>今のマナちゃんにとっては当たり散らせる相手は、本当のお姉さんの雪乃さんだけだからねそれに、マナちゃんが雪乃さんに酷い事を言うと、君が心配して寄って来るあの子は、君に自分の近くに来て欲しくて、雪乃さんに当たることも多いよ</p><p>マルゴさんは、そんな風に見ていたんだ</p><p>まあ、それでもマナちゃんは、まだ君に自分からアピールするだけの元気があるからいいよメグちゃんの方は内に籠もるタイプだからね</p><p>みすずや新しい女たちと自分を比較して劣等感に悶々としている</p><p>負の感情を溜めるだけ溜め込んで耐えきれなくなったら、君に向かって爆発させるその繰り返しだよね今日は</p><p>確かにメグに関しては、よくない連鎖が続いている</p><p>オレどうしたらいいんでしょう</p><p>オレは素直に、マルゴさんにアドバイスを求めた</p><p>家族の中での２人の役割を決めてあげて</p><p>それは同時に、あの子たちと君との関係、立場を規定してあげるってことだよ</p><p>関係、立場</p><p>ほら、さっきあたしが戦闘要員のフォーメーションを決めたでしょ</p><p>うんマルゴさんは自分と、関さん、麗華、美智が、どういうフォーメーションで組めばいいのかを示した</p><p>ああいうことをやっておかないと戦闘中に考え込んで、疑心暗鬼になってしまうんだよ</p><p>マルゴさんは、笑顔でそう言う</p><p>例えば、麗華お姉さんだったら自分は先鋒で、前方からの敵を警戒して排除すればいい後ろから関さんのフォローがあるし、状況の判断はあたしがするって判っているから、自分の役割だけに専念できるでしょ他のことは心配しなくていい</p><p>確かに役割が定まっていれば、それだけに集中できる</p><p>もちろん自分には、その役割が上手くできるっていう自信があって、他の人の能力が信頼できなきゃダメだよそれと自分の役割が必要とされているものだって、納得できないとね</p><p>必要とされている</p><p>うん愛している人たちから、必要とされているという思いが自分の役割を果たしていく上での糧になるんだから</p><p>今、メグちゃんとマナちゃんは自分たちは、家族のお荷物なんじゃないかって感じて、落ち込んでいる白坂家に、価値の無い人間として見捨てられたばかりだからねこういう時は、考え込ませてはいけないんだ考えれば、考えるほど落ち込むばかりだから彼女たちが自分の役割に専念して、他のことを考えている余裕をなくしてしまわないと何かをすることで君に必要とされていると感じることができれば、彼女たちのコンプレックスは解消されるはずだよ</p><p>でもしかし</p><p>メグやマナの家族での役割って、何だろう</p><p>役割はね普段から、やり慣れていることを振った方がいいよその方が自信が持てるはずだから</p><p>あエレベーターが戻って来たね</p><p>オレたちの前でエレベーターのドアが開く</p><p>中に入るオレたち</p><p>ええっとこの最終搭乗者のボタンを押すんだっけ</p><p>マルゴさんが、ジッちゃんに教わった通りにスイッチを押す</p><p>これで、このエレベーターは、オレたちが最初にこの部屋に入って来た時の様に壁の中に隠される</p><p>再びジッちゃんの静脈認証が無ければ、開かなくなった</p><p>すぐにエレベーターは動き出す</p><p>オレはエレベーターは上に行くものだと思っていた</p><p>ヴァイオラの軍勢は、下から襲って来ている</p><p>だから、ジッちゃんは白坂家の反主流派の３人も、重役と私塾の連中も、このフロアより上の階に逃がした</p><p>パラシュート降下やハンググライダーで、屋上から敵が攻めてくる可能性は無いのだから</p><p>オレたちの逃げ込む緊急避難室も、ビルの上層部にあるものだと思っていた</p><p>しかしエレベーターは、下に沈む</p><p>それどころか</p><p>これ、今、横に動いていませんか</p><p>当然だよまっすぐ上下に動くエレベーターなら、建物の構造から存在がバレちゃうもの直線のラインで結びつけることができないように時々、フロア中を横移動もするんだろうそれで機械室なんかの外からは見えないスペースを縫うようにして、このエレベーターは移動していくんだと思うよ</p><p>なるほど戻って来るまでに時間が掛かったわけだ</p><p>エレベーターは、幾つかのフロアを降下する度に、右に左に動いて、また降下する</p><p>この感じだと香月さんの緊急避難室は地下にあるんだろうね</p><p>地下</p><p>うん、地下五階とかここは埋め立て地に立てられたホテルだから、地盤の固いところまで掘り進んで、建物の基礎部分の中に作ってあるんだと思うよ核シェルターとかも兼ねているんじゃないかな</p><p>とにかく降下していくエレベーターの中で、メグとマナの役割について考える</p><p>ところでさ</p><p>君亭主関白になる気は無い</p><p>君とメグちゃんとのボタンの懸け間違いはねどこまでも、対等な関係になろうとしたことだよ</p><p>君と彼女は同級生だし元々は、君も彼女に対してコンプレックスがあったんだろ</p><p>オレがメグに</p><p>いやそうだ</p><p>メグはクラスの委員長で女子の友達の多い子だった</p><p>高校に入学したばかりの頃のオレは、女の子に不慣れで</p><p>メグとだって、口をきくことができなかったんだし</p><p>逆にさみすずさんと君との関係が上手くいっているのは、最初にみすずさんの方がへりくだってくれたからだよ本当は自分の方が年上なのに君を立ててくれたから</p><p>みすずはいつも、オレに敬語を使っているし</p><p>最初から君の支配下に入ることで君とのバランスを取っているんだよ</p><p>バランス</p><p>みすずさんが君よりも上なのは年齢だけじゃないよね</p><p>うんみすずは</p><p>綺麗だし、上品だし香月家という名家のお嬢さんだ</p><p>本当ならオレなんかが釣り合うはずがない</p><p>それをみすずの方から、オレを旦那様と立ててくれることでオレたちの関係は、バランス良く成立している</p><p>じゃあ、メグとマナの場合も</p><p>対等な関係であろうとするから苦しくなっているんじゃない</p><p>お待ちしておりました旦那様</p><p>みすずを筆頭にみんなエレベーターの前で、オレたちを待っていてくれた</p><p>あーあ、やっぱりメグとマナは落ち込んだまま、部屋の隅っこにいる</p><p>広いですね</p><p>緊急避難室は、２０畳ぐらいの部屋だった</p><p>ちょっとしたパーティルームみたいな作りになっている</p><p>少し空気が澱んでいる</p><p>今、空気の循環システムを作動させましたじきに気にならなくなりますよ</p><p>麗華が、そう言ってくれた</p><p>トイレは、そっちバスルームもあるみたいよ</p><p>缶詰とミネラルウォーターしか無いけれど、数日分の食料もあるみたいっ</p><p>克子姉と寧さんが、教えてくれた</p><p>ここは、どれくらい地下なんですか</p><p>フロアに換算すると、地下８階に位置するもっとも、ここには二つの部屋しか無いのだがな</p><p>オレの質問にジッちゃんは笑った</p><p>二つ</p><p>そっちの部屋がモニター室だホテルの上の全ての監視カメラの状況をチェックできる外部との連絡もな</p><p>ジッちゃんが関さんに指示する</p><p>関さんがドアを開くと部屋の中は、モニター画面だらけになっていた</p><p>私はそっちの部屋に行くよ全ての責任者である以上、状況のチェックはしておきたい</p><p>ジッちゃんは、モニタールームに向かう</p><p>あたしもご一緒します</p><p>ミナホ姉さんも、そう言った</p><p>あたしも付き合うよ</p><p>マルゴさんも、ジッちゃんの方へ</p><p>わ、わたくしもそちらに参りますわ</p><p>関さんがそう言うとジッちゃんは、振り返り</p><p>君と藤宮くんは、こっちに残ってみんなと親睦を深めなさい</p><p>親睦ですか</p><p>ああ、くつろいでくれ何なら、この部屋でセックスしていてくれても構わんよ</p><p>ジッちゃんの言葉に、関さんはギョッとする</p><p>そっちの奥の棚に色々な物が一通り入っているはずだそれから、そのソファは倒せばベッドになる</p><p>ジッちゃんは関さんを無視して、話を続ける</p><p>瑠璃子は、まだダメだぞ瑠璃子の初めては、私もじっくりと鑑賞したいからな</p><p>瑠璃子が返事をする</p><p>他の人ならよろしいですか</p><p>みすずが、祖父に尋ねる</p><p>映像と写真は撮っておいて欲しいね後で見たいから</p><p>ジッちゃんの返事にみすずは、スッと振り向いて言った</p><p>美智ロスト・ヴァージンしましょうか</p><p>はい喜んで、処女を捧げます</p><p>次話で、メグとマナの件を片付けて</p><p>それから、美智の初体験となります</p><p>282．乾杯</p><p>待ってジッちゃんも、ちょっと待って</p><p>オレは、みすずと美智それに、隣の部屋に行こうとしているジッちゃんたちに声を掛けた</p><p>不思議そうな顔で、オレを見るみすず</p><p>いやあのさとりあえず、ミネラルウォーターでもいいから、みんなで乾杯しよう</p><p>ジッちゃんも、驚いている</p><p>そうだよ、乾杯とにかく家族みんな、無事でここまで来られたことを乾杯しようそれから写真も撮ろう記念写真だよ克子姉、カメラ持ってない</p><p>カメラなら、奥の棚に一緒に置いてあるよ</p><p>ジッちゃんが答えた</p><p>私の性機能は、まだ現役ということになっているからなこの部屋にも、女を連れ込むだろうと谷沢のやつが気をきかせて一通りのものは置いてある</p><p>ちょっと、待ってこの緊急避難室のことを知っているのって谷沢チーフだけですか</p><p>克子姉が、ジッちゃんに尋ねる</p><p>ああそうだ谷沢と私の専任警護人の大徳、張本しか知らない</p><p>わたくしは、専任警護人に選出された時に、この部屋の存在は教えていただきましたが来たのは初めてです</p><p>関さんは、そう言う</p><p>ここに食料なんかを運び入れたのも谷沢と大徳、張本の３人だけでやったようだよ他の人間はタッチさせていないらしい</p><p>こう言っては何ですけれど</p><p>そのお三方は完全に信頼できますか</p><p>もしものことだけど</p><p>もし、その３人が敵と通じていたら</p><p>ここに逃げ込んだことが仇になってしまう</p><p>御名穂くんの言いたいことは判るしかし、人間は何から何まで、完全に他者に秘密にして生きていくことはできんからな何事にも、他者に委ねねばならないことはある確かに、あの３人に裏切られたら、私たちは破滅だだからこそ信頼するしかない</p><p>谷沢チーフ、大徳さん、張本さんが、白坂家、あるいはシザーリオ・ヴァイオラに与するメリットて何か考えられますか</p><p>特には思い付かんね私を裏切って、白坂守次に付いても意味はないし今更、あの３人がアメリカに渡って、無法者の仲間になるとも思えないしねだが人の裏側の事情というのは、なかなか見えて来ないものだよ私の知らないところで、とんでもないことが起きているという可能性はいつだってある</p><p>まあ、覚悟はしておいてくれ人生、ツキの悪い時もある</p><p>部屋の中の全員が黙り込む</p><p>まあこっちにも、切り札は残っているまず、ここへの直通エレベーターの電源はこちら側で切ることができる上の部屋からは、電源を入れられない取りあえず、エレベーターの箱は、下に置いたままにしておこう</p><p>ジッちゃんは、エレベーターのパネルを操作して電源を切る</p><p>これで上からは降りて来られない</p><p>エレベーターの空間を伝わって来るとかそういうことは無いのっ</p><p>寧さんが、尋ねた</p><p>あの途中で右に左に入り組んだ何百メートルもの暗い空間を、ロープか何かだけで延々と降りてくるのかねそんなことができるのは、特殊部隊の兵士でも何人もおらんよ何より、ここまで降りて来たとしてもこのエレベーターの箱が邪魔になるこのエレベーターの天井は鋼鉄製だからなまた上まで昇って、ガスバーナーでも持って来て焼き切らないと、下には降りられん</p><p>そっかそれでエレベーターは下りたままにしておくんだ</p><p>ここから外への脱出は、このエレベーターだけなんです</p><p>いや上の部屋からここに来るのは、このエレベーターだけだが、ここからは地上に出る秘密ルートが２本ある</p><p>秘密ルート</p><p>ルートの途中には、幾つもの扉があるそれらの扉は、全て地下の側からしか開かないように作られている無理に外側から開いて侵入しようとすれば、警報が鳴る</p><p>オレたちは、ここに閉じ込められたわけでは無いんだ</p><p>でも地上のどこに出るかは、谷沢チーフたちはご存じなんですよね</p><p>麗華が言う</p><p>ああ私たちが脱出したところを待ち伏せされるかもしれんそうなったら君と関くんの出番だ</p><p>わたくしとマルゴお姉様もおります</p><p>うむ最後の最後は、君たちの武に賭けるしかないね</p><p>ジッちゃんは、ニヤッと微笑む</p><p>うむお前の言う通りだなここで水でもいいから乾杯しておくべきだな記念写真も撮ろう確かに家族の結束には、そういうイベントも必要だろう</p><p>ジッちゃんは、オレを見て笑う</p><p>ずっと暗い顔で落ち込んでいたメグが、ビクッと反応する</p><p>みんなにグラスを配ってミネラルウォーターを注いで</p><p>あっ、あたしがやるよっ</p><p>寧さんと美子さんが、そう言ってくれるけれど</p><p>いいえ、これはメグにやって貰いますメグは今から、オレたちのクラス委員長だから</p><p>クラス委員長</p><p>びっくりした顔でメグがオレを見る</p><p>そうだよ今までは、オレたちの日常生活の色んなことだいたい克子姉にやって貰っていたじゃないかでも、これからは克子姉も忙しいんだからこれからは、メグがやってくれあ、もちろん一人で何から何までやれっていうんじゃないよ他の人に手伝って貰ってもいいけれど、メグが中心になってちゃんと家族全員の様子を見てくれ</p><p>家族全員の様子って</p><p>ちゃんと全員にグラスが行き渡っているかとか飲み物を注ぎ足してあげるとか元気の無さそうな子がいたら、話し掛けてあげるとかメグが普段、クラスの委員長としてやってきていることを、そのままやればいいんだよ</p><p>メグはとても気の利く、優しい女の子だ</p><p>クラス委員長としてみんなに笑顔で接してきた</p><p>それを家族の中でも、やって貰う</p><p>メグは高校に入学して、委員長に指名されてほとんど女子だけど、クラスの子たちと友達になるように頑張ってたじゃないか</p><p>それはあたし、ゴールデンウィークまでしか高校に居られないと思っていたから</p><p>メグは連休後、白坂創介によって娼婦にさせられる予定だった</p><p>理由なんか何だっていいメグは間違いなく素敵な委員長だっただから、家族の中でも委員長になってくれ</p><p>お姉さんとか妹とか呼び合う前にメグは、家族全員と友達にならないといけないよ</p><p>今のメグは家族のみんなの優しさに甘えすぎている</p><p>自分の方から積極的に家族に接していこうとは、していない</p><p>だけど、あたし</p><p>オレは切り札を切る</p><p>オレに反論するなオレがやれって言っているんだ言うとおりにしろ</p><p>責任は全部、オレが取るメグは、何も考えずにオレに従えばいいんだ</p><p>メグはジッとオレの眼を見ている</p><p>いいなあ、メグちゃんヨッちゃんが、全部責任取ってくれるんだって</p><p>寧さんが、明るい笑顔でメグに言った</p><p>メグちゃんはさでもとかだけどが多すぎる子なんだよいつもいつも考え過ぎなのそれも物事を暗い方にばかり考えているよねっ</p><p>うんそうだよメグ</p><p>だっからさ暗いことを抱え込む前に、もっともっと身体を動かせってヨッちゃんは言っているんだよっ</p><p>身体を動かすですか</p><p>そうだね取りあえず、自分がやれることにどんどん取り組んでみることは大切だと思うよ考え込むばかりじゃ、何も状況は変わらないからね</p><p>マルゴさんも、フォローしてくれた</p><p>家族のクラス委員長いいんじゃないかなメグちゃんらしくて</p><p>優しく微笑むマルゴさん</p><p>そうね立ち止まったまんま、考え込むのは恵美の悪い癖ね考え込む前に動く癖を付けるというアイデアは正しいと思うわしばらくは、彼に反論しないで、何でも彼の言う通りになさい</p><p>ミナホ姉さんも、メグにそう言ってくれた</p><p>まあ、ヨッちゃんのことだから平気だと思うけれどあんまりにも、メチャクチャな命令をしてきたら、あたしに言ってねあたしが、メッて叱ってあげるからっ</p><p>寧さんの言葉にメグは</p><p>いいえメチャクチャな命令でも構いません判りました、ヨシくんあたしもう悩まないし、考えないヨシくんがあたしを必要としてくれる限り、言われたことは何でもするから</p><p>メグこっちへ来いよ</p><p>オレは近付いて来たメグを、ギュッと抱き締める</p><p>ど、どうしたの</p><p>可愛いなって思ったんだよだからキスする</p><p>オレは、メグの唇を貪る</p><p>思い切り舌を押し入れメグの口内を舐め上げる</p><p>ちゅぽんと唇を離すとメグの眼が、とろんと溶けていた</p><p>ほらっ委員長としての仕事をしろ全員にグラスを配れミネラルウォーターを注ぐんだそれから</p><p>メグが、蕩けた眼でオレを見ている</p><p>瑠璃子さんや美子さん、麗華や関さん、美智もそうだなメグがまだ、あんまり話していない人たちと積極的に会話するようにしろお前がどんな女の子で、何が好きなのか伝えるんだ相手がどんな人なのか積極的に知って好きになれ友達になるんだいいな</p><p>オレは、メグのお尻をピシャリと叩く</p><p>ほら、行けっ</p><p>恵美行きます</p><p>メグが、再起動する</p><p>グラスは、そこの棚みたいよ</p><p>克子姉が、微笑ましい笑顔でメグに声を掛ける</p><p>さすがに人数分のグラスは無いみたいね</p><p>みすずがスッとフォローに入る</p><p>あっ、ここに紙コップがあるよどうする、メグちゃん</p><p>寧さんが、メグに声を掛ける</p><p>では、グラスは香月さんと年長の方を優先にしてあたしたちは紙コップを使いましょう</p><p>あ、紙コップに名前書くっ</p><p>そうですね、寧さんペンとかあるかしら</p><p>そこにあるわよ</p><p>渚が、教えてくれる</p><p>では、紙コップとペンを廻して美子さん、申し訳ありませんがあたしと一緒に、ミネラルウォーターを注ぐ係をやって下さい</p><p>はい喜んで</p><p>元々気の利く、素晴らしいクラス委員長だったんだ</p><p>役割を与えたらメグは、水を得た魚の様に活き活きとする</p><p>うんメグは、これでいい</p><p>うまくいったみたいだね</p><p>マルゴさんが、スッとオレに寄って来てくれた</p><p>はい、マルゴさんのアドバイスのお陰ですありがとうございます</p><p>オレは、お礼を言う</p><p>しばらくは、徹底しなくちゃダメだよ君、面倒だと思うけれど君の日常生活は何から何まで、メグちゃんに助けて貰うようにして</p><p>何から何までですか</p><p>そう例えば、飲み物のお代わりが欲しかったら、自分で取りに行かずにメグちゃんに取りに行かせて亭主関白でいいからあの子に悩む隙を与えないように自分は君に必要とされているんだっていうことを、日常生活の中から実感しないとまた悪いスパイラルに陥るからね</p><p>克子姉や渚みたいに、生活能力に富んで包容力のあるお姉さんたちが身近に居たからメグの悩みスパイラルは加速したように思う</p><p>他の人から見たら、君がメグちゃんに威張ってて嫌なやつに感じるかもしれないけれどメグちゃんの君に対する独占欲を抹消するには、君の方からメグちゃんを束縛してあげるしかないと思う面倒だと思うけれどあの子は、そういう風に愛してあげないと壊れちゃうから</p><p>メグが、オレに紙コップを持って来る</p><p>はい、ヨシくんのコップこのペンで名前を書いて</p><p>メグが書いてくれ</p><p>オレのコップは、メグが書いてくれ</p><p>紙コップにヨシくんと書く、メグ</p><p>ほら、みんなに早くミネラルウォーターを注いであんまり話したことの無い人から注いで、話し掛けるんだぞ</p><p>うん判っているよ</p><p>口答えするな</p><p>嬉しそうに、そう答えた</p><p>本当に、マルゴさんの言うとおりなんだな</p><p>クラスメイトだったからかつては、普通に話し掛けられない可憐な女の子だったから</p><p>オレはずっとメグと対等な関係になろうとしていたけれど</p><p>オレが亭主関白で、ちょっと威張っている感じの方がメグには、しっくりくるらしい</p><p>これはメグの性格とか、性質の問題でオレは亭主関白なんて柄じゃ無いし、ちょっと気疲れするんだけれど</p><p>これが一番良い関係ならこれで行くしかない</p><p>世界は巨大な舞台であり、人間はそこに居る役者に過ぎない</p><p>何です、それ</p><p>シェイクスピアさ人間てのは結局、いつでも自分に求められている役割を演じ続けるしか無いってことだよその場での自分の役割が判らない人は、集団から疎外されるしかない社会の中で生きていく力は、演技力だからね</p><p>そうですね覚悟します</p><p>オレはもう一人も何とかしないといけない</p><p>マナちょっと来い</p><p>オレは、マナに声を掛ける</p><p>暗い顔で寄って来るマナ</p><p>お前オレのセックス奴隷なんだよな</p><p>う、うんそうだよ、お兄ちゃん</p><p>それにしては最近、お前、ちょっと生意気過ぎないか</p><p>マナが、小さく震える</p><p>ご、ごめんなさいごめんなさい、お兄ちゃん謝るからマナのこと、見捨てないで</p><p>オレはマナを抱き締めて</p><p>お前身体はいつも、綺麗にしておけよ</p><p>オレがお前とセックスしたくなったら、いつでもやらせろよお前の気分なんか関係無いオレが抱きたくなったら、いつでもどこでも抱くからな</p><p>お腹の中にも、口にも出すオレが満足するまで、奉仕させるからな</p><p>マナのこと、必要</p><p>必要じゃなかったら、とっくに見捨てているよ</p><p>だってマナみすずさんみたいに綺麗じゃないし、寧さんや克子さんみたいにおっぱいだって大きくないし</p><p>そんなことは、お前が考えることじゃないんだよ</p><p>オレはマナの張りのあるお尻をギュッと握る</p><p>この子はセックスを基本としてしか、自分の存在をオレにアピールできないでいる</p><p>だから、オレはマナ以上に、マナに性的欲求を抱いていることを示さないといけない</p><p>オレがマナのことレイプするのが好きなことは知っているよな</p><p>え、お兄ちゃん</p><p>最初の時は、レイプだったろマナは、犯したくなるぐらい魅力的な女の子なんだ</p><p>マナの顔が羞恥に赤くなる</p><p>そうだ、こいつは無理をしていた</p><p>セックスでしか、オレを引き留めることができないと思っているから</p><p>羞恥心を吹き飛ばすために自ら、ビッチな女の子を演じていた</p><p>メグはしばしば、セックスの快感に逃げ込んでいたけれど</p><p>本当のマナはまだ、それほどセックスが楽めているわけがない</p><p>マナはまだ１４歳の未熟な少女だからだ</p><p>オレマナの方から、オレにセックスを求めてくるのは、あんまり好きじゃないんだ</p><p>そうだったのごめん</p><p>これからは、オレがヤリたくなった時に犯させろいいな</p><p>うんお兄ちゃん、あんまりエッチが好きじゃない女の子に無理矢理する方が好きなの</p><p>他の女の子はそうじゃないけれどマナとは、そういうセックスの方がいいな</p><p>あたしだけ</p><p>ああマナのことは、いつでもレイプしたいよ</p><p>マナが、オレを見上げている</p><p>判ったじゃあ、いつでも身体を綺麗にしておくねいつでも、どこでもお兄ちゃんにレイプして貰うねその代わり</p><p>どうした、マナ</p><p>毎日必ず、レイプしてね毎日してくれないと、マナ、心配になっちゃうから</p><p>オレは、マナの耳をペロッ舐める</p><p>耳たぶを噛んだ</p><p>それとお前、オレが楽しくやれるように協力しろ</p><p>協力</p><p>オレ、瑠璃子とも麗華ともヤリたいんだ</p><p>あ判った二人がエッチを怖がらないで、お兄ちゃんと早くする様にマナが、お兄ちゃんとのエッチは素敵なんだって、お話すればいいんだね</p><p>マナは賢いな</p><p>オレは、マナの頭を撫でる</p><p>ええっと関さんや美子さんはいいの</p><p>マナお前は、一々説明しないと判らない子なのか</p><p>ごめん判ったお兄ちゃんのために、マナ、頑張るね</p><p>みんなと仲良くなるんだぞ可愛がられるように努力しろ失礼の無いようにマナが場を乱すと、オレが困るからな</p><p>うん、そうだねお兄ちゃんが、みんなと楽しくエッチできるようにマナ、気を付けるね</p><p>こいつの中ではオレは、そこまでエッチ人間なのか</p><p>そうなんだろうな</p><p>オレは、マナとはセックスでしか繋がっていないんだな</p><p>それでも、それでマナが他の女たちと仲良くしてくれればそれでいい</p><p>お前のことも、今度、ゆっくり教えてくれ</p><p>マナのこと</p><p>ああ、お前がどんな女の子で、何が好きなのかセックスした後に、ベッドの中で質問するから答えろ</p><p>ああ、そういうシチュエーションなんだねわかったマナ、ベッドに縛られたりするのビデオも撮る</p><p>もちろん、縛るし、ビデオも撮るでも、嘘は無しだぞオレは、本物の素のままのマナが抱きたいんだから</p><p>それからお前は、これからどんどん綺麗になると思うから、オレのためにもっともっと美しくなれ</p><p>そうだね綺麗になっていかないと、お兄ちゃんに飽きられちゃうもんねっ</p><p>マナは、ニコッと微笑んだ</p><p>うん取りあえずは、これでいい</p><p>ホント人生は、演技力で決まるんだな</p><p>この後美智さんとエッチするの</p><p>ああ、美智を犯すよ</p><p>オレは覚悟できている</p><p>じゃあ、マナはその時にお手伝いするね美智さんに入れる前のお兄ちゃんのオチンチンは、マナが舐めてあげる</p><p>ああ、頼むぞ</p><p>オレは、マナの背中を優しく擦ってやった</p><p>はい、みなさんお水は揃っていますか</p><p>メグが、全員にミネラルウォーターが行き渡っているか、確認する</p><p>大丈夫みたいですねでは、御名穂さん、お願いします</p><p>メグは、家長であるミナホ姉さんを見るが</p><p>ちょっと待って雪乃がまだじゃないか</p><p>おいおいメグ雪乃だけ紙コップを渡していないぞ</p><p>何か、物凄ーく暗く落ち込んでいるんですけれど雪乃</p><p>でもその人は家族ではないわ</p><p>メグは、そう反論する</p><p>ここで、みんなで一緒になって、生きるか死ぬかの瀬戸際に立っているんだろっこういう時に、仲間外れとかにするのは良くないだろう</p><p>オレに反論するなっ</p><p>オレは、メグを黙らせる</p><p>そうねこういう時に、心の狭いことをすると運気が悪くなるって言うわね</p><p>ミナホ姉さんが、そう言ってくれた</p><p>メグがコップを渡して水を注いでやれ</p><p>メグは家族のクラス委員長だろ他の人の手を煩わせるな</p><p>こういう時に、甘やかしてはいけない</p><p>はい、ヨシくん判りました</p><p>メグは、紙コップに水を注いで雪乃に手渡そうとする</p><p>雪乃に紙コップだけ渡して、お酌をするのはどうしても嫌だったらしい</p><p>はい雪乃</p><p>雪乃は、キッとメグを見て</p><p>いらないわよっこんなの</p><p>雪乃、大人しく受け取れそして、みんなと一緒に乾杯しろ</p><p>嫌よっあたしに命令しないで</p><p>雪乃はオレを憎しみの眼で見る</p><p>じゃあ、ここから出て行って貰うぜ</p><p>一緒に乾杯できないんなら、雪乃はオレたちの敵だエレベーターに乗せて、上の階に放り出してやる</p><p>や、やれるもんならやってみなさいよあんたたちがここに隠れていること、襲って来ている連中に教えるわよっ</p><p>お前の舌を切って、喋れないようにしてから放り出す</p><p>まだ手があるわ書いて伝えるわよっ</p><p>両手の腱も切る指も切り落とす</p><p>冗談でしょ</p><p>家族が生き残るためなら、オレは何でもやるよどうしょも無いのなら雪乃を殺す</p><p>雪乃はガタガタ震え上がる</p><p>や、やめてよそんなのっあ、あたしは</p><p>いいから、メグから紙コップを受け取れよっお前のために、みんな待っているんだぞっ</p><p>オレは、雪乃を激しく叱責した</p><p>メグもさっさと手渡せ</p><p>う、うん雪乃、はい</p><p>最悪の仲の少女２人紙コップを受け渡す</p><p>よしジッちゃん、一言頼むよ</p><p>オレは、ジッちゃんに乾杯の音頭を任せる</p><p>ああとにかく、これが別れの水杯にならないことを祈ろうなあに、私たちが家族として結束すれば、何も怖いことは無い</p><p>そうだオレたちは、もっともっと結束するべきだ</p><p>私たちの幸福な未来を信じて乾杯</p><p>メグとマナはこんな感じになりました</p><p>本当に、世の中には亭主関白な相手で無いとダメという女の子がいますので</p><p>というか、優しさが男の価値では無いのですよね</p><p>男が強引じゃないと、ふらついてダメになる子もいるし</p><p>まあ、ケースバイケースなんですけど</p><p>次話こそ、美智のロストヴァージンに突入します</p><p>283．美智が処女を捧げる夜　（その１）</p><p>はい、クッキーをどうぞ</p><p>ミネラルウォーターで乾杯した後メグが、非常食の棚からクッキー缶を探してきて、みんなに勧める</p><p>乾パンとかじゃなくって良かったあれ、あんまり美味く無いから</p><p>お姉さんたちも、摘んで下さい</p><p>結局のところ家族の委員長という役割を与えた途端に、メグは活き活きと動き回っている</p><p>マルゴさんの言うとおり、身体を動かしている間は悩んだり考え込んだりすることは無いらしい</p><p>むしろ、自分から率先して色んなことを始めている</p><p>布巾の代わりに、綺麗なタオルがここにありましたから使って下さい</p><p>お水、もっと持って来ましょうか</p><p>他にどんな缶詰があるのか確認してきますね</p><p>元々、気遣いのできる優しい女の子だったんだ</p><p>うんメグは、もう大丈夫だろう</p><p>ヨシくんもお水のお代わり要る</p><p>オレは、椅子に座ったままメグを抱き締める</p><p>メグの形の良い胸に顔を埋める</p><p>ちょっと甘えたくなった</p><p>うん甘えて</p><p>メグはオレの頭を撫でてくれる</p><p>はーい、写真を撮るわよっ</p><p>克子姉が、そんなオレたちをカメラに収める</p><p>うーん、良い感じこれ、デジカメでも良いカメラねさすが、香月のお祖父ちゃん避難室の備品まで、一流品なのね</p><p>克子姉はそう言って、ジッちゃんたちも撮した</p><p>ジッちゃんは、みすずや瑠璃子たちに囲まれている</p><p>あらあら、真緒ちゃんはすっかり眠っちゃっているのね</p><p>真緒ちゃんは、ソファの一つをベッドにしてクークーと眠っていた</p><p>大きめのタオルを布団にしている</p><p>今日はずっと興奮していたのよ、たくさんの人と会ったでしょ</p><p>渚が、愛娘の頬を撫でながらそう言った</p><p>うん日舞の発表会から、ずっとだもんな</p><p>小さな子は寝るのが仕事ださて私はそろそろ隣の監視室へ移るよ</p><p>ジッちゃんが、腰を上げる</p><p>お供しますわ</p><p>ミナホ姉さんも</p><p>あたしも行くよそろそろ、恭子さんと定時連絡する時間だから</p><p>マルゴさんも立ち上がる</p><p>恭子さんて、まだオーストラリアに居るんですよね</p><p>白坂創介の身柄を拘束するためマルゴさんの師匠である恭子・ドスノメッキーさんはオーストラリアに行っている</p><p>２４時間前の連絡ではね</p><p>マルゴさんは、微笑む</p><p>あの人に丸一日時間をあげたら、地球の裏側からだって飛んで来るからこっちの状況は、リアルタイムで送信しているから日本に向かって飛んで来ていることは確実だよ</p><p>まさかここに助けに来てくれるとか</p><p>ありえるよ</p><p>うん、恭子さん、神出鬼没だもんねぇっ</p><p>寧さんも笑う</p><p>マルゴさんと寧さんは、心から恭子さんという人を信頼しているらしい</p><p>お屋敷に残っている森下さんにも連絡しないとね</p><p>森下さん、アニエスちゃんのご飯、ちゃんと出してくれているかしら</p><p>マルゴさんの言葉に克子姉が呟く</p><p>お屋敷の地下にはアニエスという１２歳の少女が監禁されている</p><p>というより、克子さん以外の人からご飯を出されてちゃんと食べているといいね</p><p>マルゴさんが、克子姉に言う</p><p>部屋に誰もいなくなれば、食べますわどうにも、お腹が空いて我慢できなくなったらそれは、判っているんですけれど</p><p>アニエスは白坂創介が、白人女性に産ませた娘だ</p><p>自分の性的な玩具にするために</p><p>生まれてからずっとお屋敷の中で監禁されて自分は、いつか白坂創介に身を捧げるということ以外は教わってきていない</p><p>一度も、学校には通ったことが無い</p><p>まあ、お屋敷の方は問題無いと思うけれど一応、あっちの防衛システムも確認しておくよ</p><p>マルゴさんはそう言って、先に隣の部屋へ入っていく</p><p>シザーリオ・ヴァイオラには、このホテルとお屋敷の両方を襲撃するだけの戦力は無い</p><p>そもそもヴァイオラがターゲットにしているメンバーは、全て、ここに集まっている</p><p>本人のターゲット、寧さんも白坂本家の当主・守次氏に要請された、雪乃もマナもメグも、みんなここに居る</p><p>劇場から、このホテルに入る過程を全て目撃させている</p><p>今更、誰もいないはずのお屋敷に手勢を送り込むことは無いはずだ</p><p>まあ、お前たちは心配しなくていいここで楽しんでいなさい</p><p>ジッちゃんは、穏やかにオレたちにそう言ってくれた</p><p>お祖父様こっちを見て下さい</p><p>みすずがジッちゃんに声を掛ける</p><p>とみすずは、自分の前の椅子に美智を座らせていた</p><p>ほら、美智お祖父様にご挨拶なさい</p><p>はいわたくしのロスト・ヴァージンをお見せできなくて大変残念ですせめて、わたくしのしょ、処女膜だけでもご確認下さい</p><p>旦那様もこっちへ来て美智のパンティ、脱がしてあげて下さい</p><p>みすずが、オレを呼ぶ</p><p>うふふ、美智ちゃんの恥ずかしい姿、撮影してあげるわ</p><p>渚あなたはビデオカメラをお願い</p><p>はーい、克子</p><p>渚は真緒ちゃんから離れて棚からビデオカメラを取り出す</p><p>オレが美智の前に行くと</p><p>みすずが笑って、そう言う</p><p>はいわたくしは、ご主人様の性的な玩具です玩具になります玩具にして下さい</p><p>美智が、顔を真っ赤にしてそう言った</p><p>あ、あんな小さな子が</p><p>驚いているのは麗華と関さんだ</p><p>２人の美女警護人はセックス未体験だ</p><p>美智スカートを捲り上げろ</p><p>美智は震える手で、制服のスカートを捲っていく</p><p>美智の可愛らしい太もも</p><p>純白のパンティが見えてくる</p><p>その股間は濡れていた</p><p>美智ぐっしょりしているな</p><p>はいご主人様が、焦らされるから</p><p>オレのせいなのか</p><p>はいわたくしはさっきから、ご主人様に犯していただくことで、頭の中がいっぱいです</p><p>どんな風に犯されたいんだ</p><p>痛く痛くして下さい</p><p>痛いのがいいです乱暴に犯されたい</p><p>美智は、熱い息を吐く</p><p>オレは、美智の股間に指を這わす</p><p>ぶちゅっと濡れた布地にまた、愛液が拡がる</p><p>脱がすぞ</p><p>オレは、美智のパンティに手を掛ける</p><p>美智は自分から腰を浮かせてオレに協力してくれた</p><p>あふっ</p><p>美智のまだ肉の薄いお尻を薄い布地が滑っていく</p><p>そのまま、太ももまでパンティをずり下ろす</p><p>全く恥毛の無い美智のヴァギナは、ぴっちりと閉じている</p><p>小さな女性器</p><p>スッと粘土にヘラで線を入れたような割れ目から、温かい汁が溢れ出している</p><p>こんなところにオレのペニスが入るのだろうか</p><p>美智は恥辱に、耳まで真っ赤になる</p><p>可愛いぞ、美智</p><p>オレはパンティを足下まで引き下ろした</p><p>片足だけ抜いてパンティは、足首に残したままにする</p><p>この方が犯している雰囲気がある</p><p>美智自分で大きく足を開け</p><p>オレは、命じた</p><p>恥ずかしさに震えながら美智は、椅子の上で大きく開脚していく</p><p>柔軟な美智の肉体この子、きっと抱き心地が良いと思う</p><p>ヴァギナを自分で開いて、中を見せろ</p><p>どうやったらいいのか、美智には判らないようだった</p><p>あたしがやってあげるわ</p><p>みすずが、優しい笑顔で美智に言う</p><p>美智の股間に手を伸ばし両手の指で、美智の女性器を開く</p><p>あああは、恥ずかしいです</p><p>震えないで旦那様に、美智の大事なところが見えないでしょ</p><p>震えが止まる</p><p>美智こういう時は、何てお願いするのかしら</p><p>みすずの言葉に、美智は</p><p>ご、ご主人様美智の一番恥ずかしいところをご覧下さい</p><p>ああ、見てやる</p><p>オレは中を覗き込む</p><p>愛液でびしょびしょでよく見えないな</p><p>あたしが舐め取ります</p><p>いいオレがするから</p><p>オレは美智の股間に顔を埋めて</p><p>美智の愛液を啜った</p><p>あああ、ご主人様ぁぁ</p><p>美智が、快感にブルッと震える</p><p>凄いあんなことしている</p><p>関さんの声が聞こえる</p><p>局部を舐められるとやっぱり、気持ち良いものなのでしょうか</p><p>麗華の疑問に、渚が答えた</p><p>愛してくれている相手にして貰うことならどんなことでも気持ちいいですよ</p><p>愛してくれている</p><p>はい彼は、あたしたち家族全員を愛してくれていますから</p><p>オレは、美智の割れ目の内側を掃除するように舌を這わせる</p><p>ついでに、クリトリスも吸ってやった</p><p>あふぅっ、あふぁぅいいですっそれっ</p><p>これから毎日してやるからな</p><p>はい弄んでわたくしの身体で、楽しんでくださいっ</p><p>ほら綺麗になったぞ</p><p>オレは一度顔を離す</p><p>さあ、美智さっきあたしがしてあげたみたいに、自分で開いて</p><p>美智が、大きく開脚したまま自分の指でヴァギナを開く</p><p>見てぇぇご主人様ぁ美智の処女膜見て下さい</p><p>美智が潤んだ瞳で、オレに訴える</p><p>うん見えているよ美智</p><p>美智の奥底にピンク色にぬめった肉の壁を確認する</p><p>うわっ、かなりぴっちりと膜が張り詰めている</p><p>これを破るのは痛そうだ</p><p>あたしにも見えているわお祖父様</p><p>うむ、私にも見えているよ綺麗な処女膜だこれが破られてしまうのは、ちょっともったいないな</p><p>仕方ありませんわ美智が大人の女旦那様の女になるためには必要な試練ですから</p><p>なるべく優しく優しくするから</p><p>オレが、そういうと美智は</p><p>いいえ、乱暴に破って下さい美智の中、グチャグチャにして下さい</p><p>オレは、美智にキスをする</p><p>美智は激しくオレの舌を求めた</p><p>ここで立ち去るのは、残念だが上の状況も心配だ続きは後で映像記録で見せて貰うよお前たちはこのまま楽しみなさい</p><p>藤宮くん関くん</p><p>ジッちゃんは、２人のトップ・エリート警護人を見る</p><p>彼女の処女喪失をよく見ておきなさい君たちもいずれは体験することなのだから</p><p>瑠璃子も、美子もよく見学しておくんだよ</p><p>はい、お祖父様美智さんは、わたくしと同い年ですししっかり拝見させていただきます美子もいいわね</p><p>瑠璃子は、美子さんの手をしっかりと握ってあげていた</p><p>克子、渚後はお願いね</p><p>ミナホ姉さんが、２人に言う</p><p>素敵な初体験を記録しておきますねっ</p><p>カメラとビデオをそれぞれ抱えて２人が返事する</p><p>そしてジッちゃんとミナホ姉さんも、隣の部屋へと向かった</p><p>メグ服を脱がせてくれ</p><p>オレはメグに命じる</p><p>えヨシくん</p><p>オレの服を脱がすのは、お前の仕事だろ</p><p>オレはもうメグの前では、亭主関白で通すことにした</p><p>どんなつまらないことでも、メグにやらせる</p><p>自分一人でできることもメグの手を煩わせる</p><p>そうやって、オレの行動にメグを一々参加させないと</p><p>こいつはまた、勝手に落ち込むから</p><p>わ、判ったわヨシくん</p><p>メグがオレの服に手を伸ばす</p><p>オレは、何もしない</p><p>石像のようにどっしりと構えて、メグに全てやらせる</p><p>上着とシャツを脱がされ</p><p>メグが、オレのベルトを外す</p><p>お前、まさか、オレが気持ち良くなることに嫉妬したりしていないだろうな</p><p>メグの耳にオレは囁く</p><p>えっヨシくん</p><p>メグが、オレを見上げる</p><p>オレが抱きたい女を抱いて、気持ち良くなるんだオレが気持ち良くなることは、メグだって嬉しいだろ</p><p>メグは、美智が嫌いか</p><p>き、嫌いじゃないです</p><p>オレは美智が抱きたい美智の処女を破って、美智の中に射精したら、すっげぇ気持ち良いと思う美智もいいんだよな</p><p>はいわたくしは、ご主人様に犯していただきたいですっ</p><p>美智は、開脚したまま答えた</p><p>メグ、お前がどう思おうとオレはこれからも他の女とセックスするからオレは、とっくにメグだけの男じゃないんだ受け入れろ</p><p>家族のクラス委員長だろメグは家族みんなのために、どうしたらいいかを一番に考えろ</p><p>その言葉が、メグの心を潤していく</p><p>判ったヨシくんがエッチするのは、家族だけだものね</p><p>違うぞ、メグ</p><p>家族が望むのならオレは、誰でもレイプするよ</p><p>ミナホ姉さんは雪乃の妊娠を願っている</p><p>だからオレは、妊娠するまで雪乃を犯し続けないといけない</p><p>そうだったわねヨシくんも、したいんでしょ雪乃と</p><p>雪乃が、ギロッとオレを睨む</p><p>うん判ったヨシくんがしたいことなら、メグは全部手助けするもう見ているだけは嫌あたし、ヨシくんが誰かとセックスしたいのなら、何でもするからね</p><p>その代わりあたしのことは捨てないでお願いお願いだから</p><p>オレは、メグの頭を撫でる</p><p>お前、お屋敷に戻ったらオレの部屋に住め</p><p>でも、オレはお前だけじゃないからなオレがベッドで他の女とセックスしている時も、ずっとそこに居て見ているんだぞ</p><p>他の女と二人っきりでセックスしたい時は、他の部屋でするよただ、オレの部屋でする時は、いつもお前も一緒だそれでいいな</p><p>メグは、誓ってくれた</p><p>わたくしもご主人様のお部屋がいいです</p><p>犬小屋みたいなのを下さい美智は首輪を付けていただいて、そこに縛られていたいですそして、ご主人様の気の向かれた時にいつでも犯して下さい</p><p>あ、あたしもお兄ちゃんの部屋がいいあたしもお兄ちゃんが好きな時に、いつでもレイプして欲しいから</p><p>マナも、そう言う</p><p>あたしは自分の部屋がいいわね自分の空間で、思いっきりあなたのことを愛してあげたいわもちろんたまには、あなたのお部屋で他の女の子たちと一緒に楽しむのもいいけれど</p><p>あたしは真緒とあたしの家があるから通って来て週に１回でもいいからあなたのためにご馳走を作って、待っているわ</p><p>渚は、そう言ってくれる</p><p>あたしは、どうしようかなっ</p><p>寧さんあなたはその前に、自分の処女を</p><p>あたしお祖父様にお願いして、お部屋を借ります</p><p>セキュリティのしっかりした、マンションがいいわ旦那様に抱いていただくためだけのあたしと旦那様のお部屋を作りますみなさんも招待しますけれどみすずはみすずの領地で、旦那様をお喜ばせしたいんです</p><p>うんみすずはお屋敷の中は、アウェーに感じるんだろうな</p><p>かといって、実家に両親と暮らしているんだから</p><p>オレを家に呼ぶことはできないし</p><p>しかしセックスするための高級マンションて</p><p>では、わたくしと美子も、お隣の部屋を借ります</p><p>わたくしまだ、セックスというものについては、よく判っていませんしみすずお姉様や、皆様のご指導を受けたいと思っていますから</p><p>ご指導とかそういうのはいいからっ</p><p>寧さんが、瑠璃子に言った</p><p>ヨッちゃんのやりたい様に、させてあげればいいんだよっ何でも、はいはいって返事してどんなに恥ずかしいことでもすればいいの大丈夫、ヨッちゃんは、女の子が本当に嫌なことは絶対にしないしルリちゃんのこと、絶対に気持ち良くしてくれるからねっ</p><p>はい楽しみです</p><p>いや寧さん、処女のあなたがそれを言うか</p><p>オチンチン外に出してあげるね</p><p>メグがオレのペニスを露出させる</p><p>すでにそれは最大限に勃起していた</p><p>それがわたくしの中に入るのですね</p><p>美智が、勃起を見て呟く</p><p>入るかな美智の小さそうだから</p><p>入れて下さい無理矢理でいいですから裂けちゃってもいいから美智のこと、イジメて下さい</p><p>美智の股間からまた愛液が滴る</p><p>みすず美智を裸にしろ</p><p>みすずが、美智の服を剥ぎ取っていく</p><p>そのストリップの過程を克子姉と渚が記録していく</p><p>その間に、メグがオレの靴下まで脱がしてくれた</p><p>マナしゃぶってくれ</p><p>はーい、お兄ちゃん</p><p>美智が全裸になる前に約束通り、マナにフェラチオさせる</p><p>瑠璃子さん、見ていて下さいねっマナがこれから、お兄ちゃんのオチンチンをペロペロしちゃいまーすっ</p><p>マナは、瑠璃子たちに見せ付けるようにあんむっ、とオレのペニスを頬張った</p><p>舌でペロペロと亀頭を舐め上げる</p><p>すごい、いやらしい</p><p>関さんが、声を漏らす</p><p>こういうのを見るのは初めてらしい</p><p>麗華は、ジッと観察していた</p><p>瑠璃子は、怯えている美子さんの手を握りしめたまま興味深そうに、マナのフェラチオを見ている</p><p>このご奉仕あたしたちも、きっとしなくちゃいけないのよ美子</p><p>あたしやマナさんも、実はまだそんなに経験が無いのよどうしたら、気持ちいいのか旦那様にたっぷり教えていただくわ</p><p>そんなオレだって、大した経験はないよ</p><p>経験の問題じゃありません旦那様は、どうしたら気持ちがいいのか教えて下さるだけでいいんですあたしも美智も瑠璃子さんも、どんなことでもしますから</p><p>みすずは、美智の服を脱がしながらそう言った</p><p>そうだ、あたし来期の生徒会長に立候補します</p><p>あたしたちの学校お嬢様学校で厳しいって話、いたしましたわよね</p><p>うん、それは聞いているけれど</p><p>学校には、若い男の先生は一人もいないんです校則も、とっても厳しいんです</p><p>だから校舎内でセックスした女生徒なんて、学校設立以来、一人もいないと思います</p><p>うちの学校体育祭と学園祭は、チケット制で外の方を校内にお呼びしていますその時に、生徒会室でしましょうねセックスもフェラチオも</p><p>みすずは、嬉しそうに言った</p><p>瑠璃子さんもするわね</p><p>はいお兄様がお望みでしたら、瑠璃子は何でも致します</p><p>美智もするのよ</p><p>はいしかし、ご主人様</p><p>美智はすでにブラジャーと黒いストッキングだけの姿になっていた</p><p>まずは、わたくしの処女を貫いて下さいませ</p><p>美智の股間から太ももにかけて透明な愛液がトロトロと溢れている</p><p>お腹の奥底が燃えるように熱いんです</p><p>ふふふ、美智</p><p>美智の子宮が欲しがっているのよ旦那様の精子を</p><p>うむエッチな話は、すいすい書ける</p><p>父の具合ですが、昨日ぐらいから急激に意識がはっきりとしてきています</p><p>それまでは、ほぼ痴呆状態だったのですが</p><p>声もはっきり出るようになりましたしやっと病院の位置も判ってくれました</p><p>毎日説明していたのですが全然、理解してくれなかったんですけれど</p><p>ただ、まだ意味不明なことは言いますし</p><p>記憶も繋がっていません</p><p>東京タワーは覚えていても、スカイツリーのことは忘れていたり</p><p>昨日、じゃあ、仕事に行くから帰るねと言ったら</p><p>お前が帰ってしまったらオレはどうやって帰ればいいバスかバスなのか</p><p>などと言います</p><p>いや、点滴したままバスには乗れないよ</p><p>じゃあ、どうすればいい明日の予定は</p><p>明日もここでリハビリだと思うよ</p><p>とにかく、何かあったら看護士さんに言ってちゃんと看護士さんに家の電話番号は伝えてあるから何かあったら、電話して貰えばいいんだからね</p><p>電話か少し、電話代に金を置いていけ</p><p>いや、動けないんだから、金はいらないだろ</p><p>いいから、５００円玉２枚置いていけ</p><p>いや、５００円玉じゃ電話掛けられないじゃん</p><p>あんまり言うのでお金を持ってないのかなと、心配になり</p><p>じゃあ、１０円玉置いていくから１０円あれば、電話掛けられるだろ</p><p>１０円じゃ何も買えないじゃないか</p><p>じゃあ１２０円置いていくよ</p><p>実は、父は今点滴と流動食で生きています</p><p>何か、味のする物を食べたくて仕方無いらしいです</p><p>缶コーヒーか、アイスクリームが食べたい</p><p>今はまだダメだからお医者さんの許可が出たら、買ってくるからさ</p><p>今は、そんな感じです</p><p>284．美智が処女を捧げる夜　（その２）</p><p>美智来い</p><p>マナにしゃぶられてオレのペニスは、すでに最大限に勃起している</p><p>はい、ご主人様</p><p>美智が震えながら立ち上がり、オレの方にやって来る</p><p>その小柄な身体を抱き締め荒々しく唇を重ねる</p><p>美智は、オレに体重を委ねる</p><p>美智旦那様に触れてごらんなさい</p><p>みすずが美智の白い手を掴んで、オレのペニスに導く</p><p>あ、熱いそれに太い</p><p>美智の指がオレの亀頭を優しく撫でる</p><p>これであなたは、女になるのよ誓いなさい、一生、旦那様のオチンチンだけを愛しますって</p><p>はいわたくしはご主人様のものだけを受け入れますこの逞しいもので、わたくしの処女を破って下さいわたくしの胎内に、お好きなだけご主人様の精液を出して美智を、美智を妊娠させて下さい</p><p>わたくしは、ご主人様だけのいやらしい玩具ですご主人様の性欲を、美智の身体に吐き出して下さいいつでも、どこでも美智を弄んで下さい</p><p>美智の呼吸が荒くなる</p><p>股間から床に、ぽたぽたと愛液の滴が垂れる</p><p>美智は濡れやすいらしい</p><p>ブラジャー、脱がすぞ</p><p>美智のブラはスポーツタイプで、身体にぴっちりとしている</p><p>それを脱がす</p><p>未成熟で、つるぺたな美智の胸</p><p>桜色の乳首だけが、興奮に固くなって存在をアピールしている</p><p>オレは、その乳首を指の腹でこね回す</p><p>あうっ申し訳ございませんご主人様</p><p>どうしたんだ、美智</p><p>何を謝っているのかオレには判らない</p><p>わたくしの胸物足りないでしょう</p><p>美智の平たい胸をぐいぐいと触る</p><p>肌の下に、それでも薄い層を確認する</p><p>成長する下地はできているのだこの胸は、これから膨らんでいくのだろう</p><p>馬鹿なことを言うな</p><p>オレは美智の耳に囁く</p><p>オレが、たくさん刺激してやる美智のこと、成熟させてやるから</p><p>美智には育てる楽しみがあるんだ</p><p>はい育てて下さいご主人様のお好み通りの女になりますから</p><p>オレは、美智の前に立て膝になる</p><p>小柄な美智の乳首を舐めるためには、こうするしかない</p><p>ちゅぱちゅぱと美智の乳首を舐める</p><p>あああっき、気持ちいいです</p><p>美智、旦那様に舐めていただくの、気に入ったの</p><p>みすずが、艶然と美智に微笑む</p><p>はいこれ、いいです毎日、舐めていただけば美智のおっぱい、きっと膨らみます</p><p>じゃあ、毎日しような</p><p>お願いしますご主人様だけですからご主人様とご主人様の赤ちゃん以外には、舐めさせません</p><p>あらあたしはいいの</p><p>美智は、みすずとも愛し合いたいんだろ</p><p>恥ずかしそうに、美智は答えた</p><p>旦那様美智と愛し合う時は、ちゃんと旦那様のお許しをいただきますみすずも美智も、もう旦那様の女ですから</p><p>みすずは他の女ともしたいんだろう</p><p>みすずは元々は渚のレズ・ペットだった</p><p>男よりも、女の方が好きなんだと思う</p><p>はい、旦那様がお許し下さるのなら旦那様に見ていただいて、愛し合いたいです</p><p>みすずは、正直に答える</p><p>今は誰としたいんだ</p><p>オレが意地悪く尋ねると</p><p>家族とは全員したいですわ渚様とも、克子さんとも、恵美さんともそれから、処女のままの関さんを責めてみたいです</p><p>えあたし</p><p>驚く関さん</p><p>はい関さんはマゾ奴隷の素質があると思うんですあたし、関さんの性感を開花させてみたい</p><p>みすずの言葉に、関さんは真っ赤になる</p><p>旦那様、これ浮気じゃないですから旦那様のお許しをいただかなければ、あたし、絶対にしませんし男性は、一生、旦那様だけです</p><p>判っているよ家族で愛し合うのは、浮気じゃないもんな</p><p>そんなことを言ったら</p><p>これから、美智を犯そうとしているオレはどうなる</p><p>みすずそれから、渚と克子姉も後で、メグとマナを抱いてやってくれないか</p><p>メグもマナもオレとだけの結びつきが強すぎるんだよ家族で愛し合って、家族の中なら、身体も心も安心して委ねられるようになったら不安定じゃなくなると思うんだ</p><p>そうね、そうかもしれないわね</p><p>もちろん、オレがちゃんと側に居るからいいな、メグ、マナ</p><p>うん判ったお兄ちゃん</p><p>マナは元々、克子姉や寧さんに憧れがあったから</p><p>問題無く受け入れてくれた</p><p>ヨシくんが望むならあたしは何でもするわ</p><p>でも、メグはレズッ気が、全然無いからなあ</p><p>ちょっと大変かもしれないけれど</p><p>あたしヨシくんが見たいって言うのなら、知らない男の人にだって身を委ねるからねどんな辛いことだって、耐えるから</p><p>ほらメグの意識は、違う方向に向かう</p><p>家族の中で女同士で愛し合うのと</p><p>オレの眼の前で、見知らぬ男に抱かれるという変態プレーが</p><p>メグの中では同格なんだ</p><p>男と女の一対一のセックス以外、メグの中では全部、アブノーマルな行為なんだろう</p><p>メグは、常識的な一般人の山峰夫妻に育てられたからモラルを守る気持ちが強い</p><p>そんなことは望んでいないメグを抱くどころか、メグの裸だって他の男には見せないメグの髪の毛一本だって、オレのものだからな他の男には、死んでも渡さない</p><p>ヨシくん、あたし</p><p>メグは、オレの宣言に感激している</p><p>メグも、やりたくないことはやりたくないって、きちんと主張しろそんなんでオレが喜ぶと思っているのかよ</p><p>ごめんなさいヨシくん</p><p>メグが床に土下座する</p><p>お願いしますメグは、ヨシくん以外の男の人とは、セックスしたくありません</p><p>当たり前だ他の男なんか、絶対に許さないからな</p><p>はい、ヨシくん</p><p>それで女はどうなんだ家族でオレが絶対に側に居て、見ていてやるから</p><p>それなら我慢できると思う</p><p>なら、我慢しろすぐに慣れる</p><p>メグは小さく頷いた</p><p>ね、あなた</p><p>女同士はいいけれどバイブや張り型は使いたくないのいいわよね</p><p>この子たちの胎内は、あなたのペニスで拡げてあげてあなたのものが、ジャスト・フィットする様にあたしたちの穴は、全部、あなた専用なんだもの膣での絶頂体験は、必ずあなたのペニスでねあなたの精液を、子宮で受けとめる感覚を身体に覚え込ませたいのよ</p><p>克子姉はお屋敷の娼婦として、色々な女を見て来たのだろう</p><p>機械を使ってのセックスにハマッて、おかしくなってしまった娼婦もいたに違いない</p><p>オレが女たちの唯一の男である以上性的な満足は、オレが感じさせてあげなくてはいけないということか</p><p>さあそろそろ美智に集中してあげて下さい</p><p>そうだな美智、そろそろ抱くよ</p><p>オレの腕の中で、小柄な少女は小さく頷く</p><p>はいこっちへどうぞっ</p><p>寧さんが、ソファの一つをベッドにしてくれていた</p><p>ちょっと待って、清潔なシーツがあったから</p><p>そこへメグが、奥からシーツを探して来てくれて拡げて敷く</p><p>家族のクラス委員長となったメグは、本当に気が利く</p><p>腰の下にクッションを入れましょうね</p><p>渚がオレと美智の初セックスの褥を作ってくれる</p><p>あなた、ちょっと待ってて</p><p>ビデオカメラを取って、渚がベッドの上の美智に向ける</p><p>克子姉も、処女時代最後の美智の裸体を記録していく</p><p>みすず美智さんの思い出作りに協力してあげて</p><p>はい、渚様っ</p><p>みすずもビデオの画面に入る</p><p>身体を起こして、カメラを見るのよ</p><p>美智がレンズを見上げる</p><p>工藤美智です</p><p>年齢と学年を言いなさい</p><p>15歳の中学3年生です</p><p>これから美智は、大好きなご主人様に処女を捧げるのよね</p><p>カメラに向かって、自分で言いなさいこの記録は、ずっと残して置くから将来、美智の娘に見せてあげましょうね</p><p>娘</p><p>美智は、女の子しか産む気はないものね</p><p>美智が、カメラに向かって宣言する</p><p>美智はこれからご主人様に犯していただいて処女を失います美智が大人の女になるところを見て下さいそれから</p><p>美智は、少し考えて言った</p><p>わたくし今、とっても幸せです</p><p>よく言えたわね可愛いわ、美智</p><p>そして、美智はオレを見る</p><p>ベッドの上に、全裸で正座して</p><p>身も心も全て、お捧げいたします美智を可愛がって下さい生涯、お側において下さい</p><p>美智は三つ指ついて、オレに頭を下げる</p><p>後はお願いします旦那様</p><p>ベッドへ向かう</p><p>美智は、顔を上げベッドに横たわって、オレを待つ</p><p>チュッ</p><p>まずは美智の唇にキスする</p><p>カメラのシャッターの音が聞こえる</p><p>克子姉は、決定的な場面を全て記録するつもりらしい</p><p>怖くないか美智</p><p>ちょっと怖いですゾクゾクしますそれがいい</p><p>もっともっと怖くして下さい</p><p>美智のつるんとした玉子のような額に、汗の玉が浮いていた</p><p>みすずは自分をマゾだと言ったけれど</p><p>とんでもない美智こそが、真正なマゾ娘だ</p><p>こいつは多分</p><p>美智、足を大きく拡げろ</p><p>美智が開脚する</p><p>ヴァギナは、すっかりグチョグチョに湿っている</p><p>オレに犯されるのを身体が待ち望んでいる</p><p>オレは、割れ目を開いて</p><p>もう一度、処女膜を確認した</p><p>もうすぐ、この膜は失われる</p><p>永遠に</p><p>この小さな15歳の少女の純潔は、汚される</p><p>克子姉のカメラが処女膜と美智の羞恥を、写し撮っていく</p><p>もう、挿れるぞ</p><p>オレは自分のペニスをしごいて、美智の割れ目に当てる</p><p>熱い</p><p>接触した鬼頭の熱に美智はブルッと身体を震わす</p><p>美智、ちゃんと旦那様のお顔を見ていないとダメよ</p><p>美智を女にして下さる瞬間のお顔を、しっかり見ておきなさい</p><p>美智の眼が、オレを見上げる</p><p>オレは、左手を美智の背中の下に入れて肩を掴む</p><p>右手は、美智の太ももの付け根をぐっと押さえて</p><p>美智が痛みに逃げて、身体がずり上がらないようにする</p><p>しかしこの態勢では</p><p>天を衝かんばかりに勃起したオレのペニスが美智の膣口から外れてしまう</p><p>みすずオレのを、美智の中に入るように導いてくれ</p><p>お前も欲しいんだろ美智のヴァージン</p><p>旦那様大好き</p><p>みすずが、オレのペニスを掴む</p><p>待っておまじないしますから</p><p>そう言ってもう一度、オレの亀頭を舌で舐めしゃぶった</p><p>はいいきますよ</p><p>みすずが、反り返ったオレのペニスを再び、膣口に当てる</p><p>美智力を抜いて</p><p>それでは、ダメよ大きく深呼吸して</p><p>スゥハァ</p><p>美智心臓がドキドキしているでしょ</p><p>あたしも、そうだったから</p><p>あたしも、このペニスでヴァージンを奪っていただいたのね</p><p>はいわたくしも、みすず様と一緒になります</p><p>そうねもう、一生、一緒に居るのね</p><p>心が治まりましたどうぞ、ご主人様</p><p>オレは、グイッと亀頭を美智の小さな割れ目に、押し込む</p><p>ぬぐっ</p><p>美智が痛みに、顔をしかめる</p><p>だけど、その眼はオレを見ている</p><p>美智の入り口は狭すぎる</p><p>亀頭すら入らない</p><p>力を抜いて深呼吸するのよ</p><p>みすずが、オレのペニスの根元を握ったまま美智に言った</p><p>美智の防御本能がオレのペニスの侵攻を阻んでいる</p><p>鍛え上げられた柔軟な肉体が、キュッと締まってこれ以上の狼藉は許さないとバリケードを張っている</p><p>美智人形になりなさい</p><p>あなたは旦那様の玩具になったのよ</p><p>美智がハァハァと大きく呼吸する</p><p>受け入れなさい旦那様に、犯され尽くしなさい</p><p>心がそう思っていても身体が拒絶の状態を崩さない</p><p>みすず一度、離れて</p><p>やり方を変えよう</p><p>オレも、美智の身体から離れる</p><p>も、申し訳ございませんご主人様</p><p>美智は、無念そうに言った</p><p>美智が、悪いんじゃない</p><p>永年、武術者として鍛錬してきた美智だ</p><p>普通の女の子より防御本能は強いし、筋肉も鍛え上げられている</p><p>美智四つん這いになって、お尻を突き出せ</p><p>お前の尻を叩く</p><p>はい思い切り、美智を罰して下さい</p><p>そそくさとベッドの上に四つん這いになる</p><p>オレは思い切り、平手で美智の尻を叩くっ</p><p>バシンッ</p><p>美智は、悲鳴を上げない</p><p>必死に耐えている</p><p>だから、何度も何度も尻を叩く</p><p>ビシッ</p><p>パシシィッ</p><p>ぬぬぅっ</p><p>あぅぅッ</p><p>そうやって、３０発は尻を叩いた</p><p>美智の白いお尻は、オレの手形で真っ赤に腫れる</p><p>オレの手もジンジンと痛む</p><p>これで最後だ</p><p>オレは、力一杯美智の尻を叩く</p><p>ビバシィィ</p><p>あかがっ</p><p>そのまま、美智はベッドに突っ伏す</p><p>はぁぁ、はぁぁ、はぁぁ</p><p>全身にじっとりと汗をかいて美智は、大きく肩で息をしている</p><p>みすずは、うんと頷いた</p><p>美智が、みすずに振り向いた瞬間</p><p>オレは、美智の身体をゴロンと転がす</p><p>美智は、尻叩きのショックで身体に力が入らない</p><p>旦那様、今ですっ</p><p>みすずが、美智の上半身を押さえつける</p><p>オレは美智の細い足を無理矢理、割り込んで</p><p>亀頭をヴァギナに押し入れるッ</p><p>うっぎゃぁぁあっ</p><p>突然のレイプに美智は、どうすることもできなかった</p><p>オレの亀頭が、美智の中に潜り込む</p><p>尻叩きで興奮した美智の愛液を絞り出すように亀頭がグリグリと押し入れられていくっ</p><p>美智オレの顔を見ろ</p><p>パクパクッと大きく口を開けながら怯えた表情の美智が、オレを見る</p><p>美智破るぞ</p><p>オレのペニスの侵攻を遮蔽物が妨げている</p><p>それはピンク色の肉の膜</p><p>美智の純潔そのもの</p><p>破って下さいって言うんだ</p><p>そのオレの命令が</p><p>美智の心を決壊させる</p><p>破って犯して汚して下さいっ</p><p>オレの顔を見上げたまま</p><p>美智の眼から、真珠の涙がツツッと零れる</p><p>美智をあなたのものにしてっ</p><p>ドヌゥゥッ</p><p>オレは、思いっきり腰を突き込む</p><p>ひぃあああああっっ</p><p>絶叫する美智</p><p>乱暴に、力任せに勃起した性欲の塊を、美智の小さな身体に叩き付ける</p><p>痛いィィ痛いぃぃ痛いッッああああっ</p><p>美智が、肺の中の全ての空気を吐ききった瞬間ッ</p><p>ズルルルッ</p><p>処女膜をこじ開けてオレのペニスが、未通の胎内に押し入るッッ</p><p>あうああああッッ</p><p>そのまま一気に根元までッ</p><p>ひぃぃぃぃ入ってくるぅぅ</p><p>ここが最奥だッ</p><p>亀頭の先がぽってりとした子宮口に接吻する</p><p>う奪われた犯されてる喪失したわたくし</p><p>大きく眼を見開いて美智は、強姦者であるオレを見ている</p><p>その眼からぽろりぽろりと、涙が零れる</p><p>みすずが、その涙をぺろぺろと舐める</p><p>美味しいわ美智のロストヴァージンの涙</p><p>みすずは、美智の手を握りしめている</p><p>美智の手が、処女喪失の痛みをみすずにギュッと伝えている</p><p>旦那様は旦那様は、いかがです美智のヴァージン</p><p>ああ、狭くてキツくてオレをジンジン締め付けているよ判るか美智</p><p>はいご主人様が、わたくしの中にいらっしゃいます</p><p>美智はハァハァと熱い息を漏らしながら、オレに言った</p><p>全身が、じっとりと汗で濡れている</p><p>いつもは白磁のように透明で滑らか肌が、火照って赤く染まっていた</p><p>そのまま動かないで</p><p>克子姉が繋がった、オレと美智を撮す</p><p>はい、ふたりともこっちを向いて</p><p>美智の処女喪失が永遠に記録される</p><p>痛いだろう美智、大丈夫か</p><p>撮影が一段落したところで、尋ねると美智は</p><p>もっと痛くして下さい</p><p>わたくし痛いのが好きなんです</p><p>オレは、ゆっくりと腰を動かす</p><p>ぬぐぅぅ</p><p>美智は痛みに耐えながら必死にオレの顔を見ている</p><p>痛い痛いのぉぉ痛いのいいっ</p><p>オレにゆさゆさと身体を揺さぶられながら美智が叫ぶ</p><p>あたしきっといい玩具に玩具になりますッッ</p><p>美智美智</p><p>だから、痛くしてご主人様もっと、美智を弄んで</p><p>オレはもう、我慢できなかった</p><p>一気にガシガシと腰を送り込む</p><p>はぁぁっああああっ</p><p>美智が、汗と涙を零してオレのレイプに耐えている</p><p>みすずが、そんな美智の手をギュッと握りしめて</p><p>旦那様我慢しないで下さいね思いっきり、美智の中に注いであげて下さい</p><p>美智に処女を破られたばかりの身体に射精したい</p><p>ああ美智っ</p><p>オレの中で熱い思いがこみ上げてくる</p><p>み、美智オレ、出そうだよっ</p><p>どうぞっわたくしをご主人様のご主人様の女にして下さいっお情けを下さいわたくしの中に、注いで下さいッ</p><p>激しい痛みに耐えながら、美智はそう叫んでくれた</p><p>その眼は、切なそうにオレを見つめている</p><p>あもう、ダメだ美智出ちゃうよ美智の中に、オレ射精しちゃうよ</p><p>美智はオレに告げた</p><p>ご、ご主人様わ、わたくし今日</p><p>ああペニスが、キュウキュウと締め上げられるっ</p><p>し、絞られているぅぅ</p><p>わ、わたくしあ、赤ちゃんが出来ちゃう日ですぅぅ</p><p>ちょ、ちょっと待てっ</p><p>あま、待てないっ</p><p>ドクドクドクゥゥッ</p><p>一撃目が迸るッッ</p><p>あああああ、熱いっ</p><p>美智が、子宮に染み込む熱液を感じるっ</p><p>あああわたくし、妊娠しますっ受精しますご主人様の赤ちゃん産むのぉぉぉ</p><p>どくっ、どくっ、どくぅぅっ</p><p>射精が止まらないぃぃぃぃ</p><p>わたくしの奥に熱いの拡がっていくぅぅ</p><p>美智さんが、一発で満足するはずがない</p><p>まだまだ続きます</p><p>285．ピロートーク</p><p>美智がオレの背中に手を廻す</p><p>わたくしのご主人様</p><p>ギュッとオレを抱き締める</p><p>オレのペニスは、美智の処女地を白濁した液で汚し続けている</p><p>わたくし女になってしまいました大人の女です</p><p>美智のヴァギナは、オレを締め付けている</p><p>最後の一滴まで、子宮に注いでくれと</p><p>わたくしの肉体はいかがですか</p><p>気持ちいいよ美智は、小さくても狭くて抱き締めると丁度良い</p><p>オレは、美智にキスする</p><p>美智は、オレの舌をちろちろと舐めてくれた</p><p>わたくし夢が全て叶いましたもう、何も怖くありません</p><p>美智がみすずを見る</p><p>ここにいるわあなたが旦那様に純潔を捧げる姿全て、見ていたわご苦労様これからも、旦那様にお仕えするのよ</p><p>はいわたくし、一生、ご主人様とみすず様のお側におりますお側にいさせていただいてよろしいですね</p><p>もちろんよ一生、可愛がってあげるから</p><p>嬉しいです、みすず様</p><p>美智が、再びオレを見る</p><p>これが、わたくしの第１の夢ですわたくしは、子供の時からみすず様をお慕いしていておりました警護役として生涯お仕えしたかったでも、みすず様が香月家から他家に嫁がれるなら警護役は、嫁がれた家の方に引き継がねばなりません</p><p>もう、大丈夫よあたしは旦那様との関係をお祖父様に認めていただいたんだから</p><p>はいそして、わたくしもご主人様の女となりました</p><p>そうねあたしと一緒ねずっと一緒に、旦那様にご奉仕致しましょうね</p><p>これでもう美智はみすずと生涯、別れなくて済む</p><p>オレの女になったことより、美智にとってはそのことの方が嬉しいのだろう</p><p>それから、第２の夢わたくしは工藤流古武術の継承者として、子供を産み次の世代に技を伝える義務がございます</p><p>子供</p><p>しかし工藤流古武術の存在意義を理解して下さり、わたくしに子種を授けて下さる殿方を探すのは困難だと思っておりました</p><p>普通の男は古武術の継承とか言われても、困惑するだけだろうな</p><p>ご主人様わたくしが、ご主人様の子種で孕み産まれた子供に工藤流古武術を教えることをお許し下さい</p><p>美智は真摯な眼で、オレを見上げている</p><p>それは、もちろん構わないけれど</p><p>オレが、そう答えると美智は、ニコッと微笑む</p><p>そう言って下さると思っていましたご主人様</p><p>でも別に、今すぐ妊娠する必要は無いだろ</p><p>美智は、まだ１５歳なんだし子供を産むのは、もう少し後でいいだろ</p><p>わたくしは今すぐでも構いません</p><p>美智が、お腹にキュッと力を入れる</p><p>うふふお腹の底に、ご主人様の子種が温かいです</p><p>こいつ、本気で今すぐ妊娠する気だ</p><p>ダメよ、美智旦那様のお申し付けを守りなさい</p><p>女の身体は妊娠・出産すると少女から母に体型が変わってしまうの旦那様は、もっと美智の少女のままの身体をお楽しみになりたいのよ</p><p>美智がオレに尋ねる</p><p>ああ、美智はこれからの数年でものすごく綺麗になっていくと思う成長していく美智の少女の身体をずっと抱いていきたい</p><p>そうよ旦那様の精液をどんどん注いでいただいてまずは、旦那様好みの身体に成長なさいお母さんになるのは、それからでも遅くは無いわ</p><p>判りましたでは、中学を卒業するまでは妊娠致しません</p><p>高校卒業までだ</p><p>制服を着ている間は妊娠させないぞ、美智</p><p>それでは３年以上もかかります</p><p>３年なんて、あっという間だよ</p><p>オレは、チュッとキスをする</p><p>工藤流古武術継承者としての使命の前に美智には、普通の女の子としての楽しみをいっぱい教えてやる</p><p>美智の顔を、オレはキスしまくる</p><p>可愛い鼻の頭をペロッと舐めた</p><p>命令だ学生の間は、思いっきり楽しめ若い時にしかできないことを、いっぱいするんだお前の継承者としての使命は、卒業してからゆっくりスタートさせればいいいいな</p><p>あたしからも命令しますあなたが人生を楽しんでくれないと、側に居る旦那様やあたしも楽しくないのよ一生、一緒にいるんだから楽しく暮らしましょうね、美智</p><p>美智が、潤んだ瞳でそう答える</p><p>わたくし幸せです</p><p>旦那様に処女を捧げられて良かったわね</p><p>はいこれが、恋なのですね</p><p>わたくし自分は一生、男の方との恋は無縁だと思っておりましたでも、ご主人様とこうして肌を重ねているととても、心地よいのですずっと、こうしていたいご主人様を受け入れていたいです</p><p>美智の中でオレの勃起が再び硬度を取り戻していく</p><p>そうよ美智も旦那様に恋しているのね</p><p>はいお慕いしておりますご主人様</p><p>バッカじゃないのそんなの、恋じゃないわよ本当の恋ってのは、そんなものじゃないわよ</p><p>ずっと部屋のすみで落ち込んでいた雪乃が喚き散らす</p><p>一人だけ家族の枠の外にいてみんなから、無視されていた雪乃</p><p>えっと雪乃さんは、本当の恋が何だか判っているんですか</p><p>オレに釘を差されたばかりだからいつもより、言葉に毒が無い</p><p>当たり前じゃないっあたしは、本当の恋をしているもの</p><p>雪乃えっと、それは</p><p>恋をしているってまさかアレのことっ</p><p>寧さんが呆れ顔で雪乃に言う</p><p>雪乃さんさあ自分の彼氏に、暴力を振るわれて、レイプされそうになったの忘れちゃったの</p><p>校長室の隣の部屋で雪乃は、遠藤に襲われた</p><p>いや、最後までレイプしたのは、オレだけど</p><p>だって最初は、好きだったんだもの今は、あんなやつダイッ嫌いだけど死ねばいいって思っているけれど付き合い始めた頃は、本当にあたし、大好きだったんだからっ</p><p>それはあなたの一方的な感情で恋ではないわ</p><p>恋っていうのは愛し、愛されることだから心からの信頼が繋がってないとねっ</p><p>寧さんも、そう言う</p><p>はいあたしたちは全員旦那様と恋していますから、よく判ります</p><p>うんマナもお兄ちゃんと恋しているよ</p><p>恵美ちゃんもそうでしょ</p><p>克子姉が、メグを見る</p><p>自分よりも他の女の方が魅力的に見えるから彼を取られてしまうかもって思っているだけで別に、彼があなたのことを裏切るとか、そういうことは思っていないでしょ</p><p>はいヨシくんは、絶対にあたしたちのことを裏切ったりはしませんそれは、判っています</p><p>そうよ恵美ちゃんの問題は、恵美ちゃんの内側だけのことなのちゃんと彼を信頼しているのなら、自分で立て直しなさいね</p><p>渚が、メグに言った</p><p>そうやって自分を追い詰めるなよ、メグそんなことを考えているヒマがあったら、今、やんなきゃいけないことをしろ</p><p>やんなきゃいけないこと</p><p>美智のために緊急避妊薬が要る</p><p>あそうねどなたか持っていらっしゃいますか</p><p>メグも、みすずも、マナも自分用に医者から貰って来た避妊ピルは、持っているけれど</p><p>緊急避妊薬のカプセルは、持っていない</p><p>あ、あたしが持っているよっ</p><p>黒い森の女たちは突然、レイプされた時のことを恐れて、いつでも緊急避妊薬を持ち歩いている</p><p>みんな暗い過去を抱えているから</p><p>寧様は、ご自分の分を持っていて下さいあたしのを美智ちゃんには飲ませます</p><p>まだ寧さんの敵は、健在だ</p><p>シザーリオ・ヴァイオラとその一党は、寧さんを狙って攻めてきている</p><p>寧さんにとっては、緊急避妊薬もお守りの一つだろう</p><p>持っていた方がいい</p><p>確か緊急避妊薬というのは、受精後２４時間以内に飲めば良いのでしたね</p><p>そうよでも、なるべく早い方が効果は確実なの</p><p>克子姉が、そう言うが</p><p>ご主人様今しばらくは、このままでいさせて下さい</p><p>美智は、オレを見上げる</p><p>ご主人様の子供を孕んだかもしれないという、可能性を抱いたままわたくしは、敵と対峙したいのです</p><p>きっと、守ってみせますご主人様をみすず様をわたくしの家族を</p><p>そして、美智は自分のお腹を触る</p><p>それからこのお腹の底の温かさも</p><p>受精の可能性が、美智の心を奮起させるのなら</p><p>判った薬は、今すぐ飲まなくてもいい</p><p>オレが、そう言うと美智は</p><p>ああ大好きですやっぱり、わたくしご主人様に恋しています</p><p>誰が何と言おうとわたくしにとっては、これが恋ですこれで、いいんですわたくし、一生、ご主人様に恋していきますっ</p><p>美智が、ギュッとオレを抱き締める</p><p>そっかなるほどね</p><p>不意に麗華が呟く</p><p>ちなみに、関さんと美子さんは生で処女喪失場面を観たショックでまだ呆然としている</p><p>瑠璃子は、興味津々でオレたちを見ていた</p><p>わたくしも、恋や結婚には、全然興味が無かったのですが子供は産みたいと思っていましたそうか、主様の子を孕めば、全て問題解決ですね</p><p>麗華は、麗華で色々と欠けているところの多い女だよなあ</p><p>うん真緒ちゃんに妹を作ってあげないといけませんからわたくしも、急いで妊娠しないといけませんね</p><p>すっかり、真緒ちゃんがお気に入りらしい</p><p>というか家族というものに、麗華は心から満足している</p><p>でも、麗華お姉様今は、そういう状況ではないですから</p><p>渚が、慎重に麗華に言った</p><p>判っています敵を排除するまではわたくしは、プロの警護人ですから家族の安全が何よりですね、関さん</p><p>しっかりして下さい</p><p>あ、ああごめんなさい</p><p>関さんは、顔を真っ赤にして謝る</p><p>お兄様の美智さんの中で、また大きくなっています</p><p>瑠璃子がオレたちの結合点をジッと見つめている</p><p>そんなに血が出ていて美智さん、痛くないんですか</p><p>痛いのがいいんですわたくしは、身を捧げているんですから</p><p>そして、オレを見上げて微笑む</p><p>わたくしにも判りますご主人様のわたくしの中で、大きくなっています</p><p>また、わたくしのお腹をかき混ぜて下さい熱いのたっぷり、出して下さい</p><p>短くて済みません</p><p>286．奥義セックス</p><p>また渚が繋がったままのオレと美智にデジカメを向ける</p><p>克子姉も、カシャッ、カシャッと数枚連続でシャッターを切った</p><p>わたくしが、お兄様にセックスしていただく時もやっぱり、あんな風に写真と映像の撮影をしていただくのでしょうか</p><p>瑠璃子がみすずに尋ねる</p><p>そうよこれは家族の決まりだからあたしの映像も、恵美さんやマナさんのも、ちゃんと取ってあるんですから</p><p>なあにルリちゃんは、恥ずかしいのっ</p><p>寧さんが瑠璃子に微笑む</p><p>いいえわたくしは、是非とも撮影していただきたいです</p><p>やっぱり一生の記念になることですし将来、わたくしとお兄様の子供たちに、見せてあげないといけませんものね</p><p>そうよね旦那様に愛していただくことは、本当に神聖で尊いことですものね</p><p>みすず、ちょっと</p><p>はい、お姉様わたくしも今日、初めて知ったことばかりですが、身体全部を使って男の方の愛を受けとめる姿は、なんて美しいことなんでしょう美子もそう思うでしょ</p><p>瑠璃子は、美子さんに話を振るが</p><p>わ、わたくしは少し怖いです</p><p>怖いことはないわみすずお姉様は、もう慣れておいでなのでしょうけれど美智さんは、わたくしと同い年ですそれなのにこんなにしっかりとお兄様を受けとめていらっしゃる</p><p>瑠璃子は、眼を爛々と輝かせオレたちの結合箇所を覗き込んでいる</p><p>どうぞ、触ってご確認下さい</p><p>美智が瑠璃子に言う</p><p>オレも改めて、覗き込むが美智の女性器は、キツイが柔軟性に富んでいたらしい</p><p>あんまり出血していない</p><p>深々と貫いているオレの肉茎には、さっき射精した白濁液と</p><p>美智の深部から湧きだしている愛液が、トロトロと溢れ続けている</p><p>では失礼いたします</p><p>瑠璃子が白い指を伸ばす</p><p>あ、熱いとっても熱いのですね</p><p>オレのペニスを撫でて、瑠璃子はそう感想を述べた</p><p>美智さんのこここんなに拡がってちゃんと、ぴっちり入るようにできているのですね</p><p>そうよ女の肉体は、愛する男性を全て受け入れることができるのよ</p><p>わたくしも、これを受け入れるのですね</p><p>そうよ瑠璃子さんよりも小柄な美智にできたことですものできるわ安心なさい</p><p>はいみすずお姉様</p><p>瑠璃子は、少し興奮している</p><p>あのわたくし、こんなことを申し上げて良いのか判らないのですが</p><p>なあに、瑠璃子さん</p><p>わたくしできれば、色んな場所でお兄様に抱いていただきたいのです</p><p>色んな場所</p><p>さっきみすずお姉様が、学校行事の時に校内でお兄様とセックスなさる計画についてお話下さいましたよね</p><p>ええするわよ本当に</p><p>そのお話をお聞きしていたらわたくし、何だかドキドキしてきてしまって</p><p>興奮しちゃったのね瑠璃子さん</p><p>はいわたくし、校内だけではなく、色々な場所でお兄様に愛していただきたいです</p><p>そう例えば、どんな場所</p><p>瑠璃子は、みすずの質問に答える</p><p>誰もいない海辺とか、夏の高原の湖のほとりとか</p><p>ロマンチックなところがいいのね</p><p>はいお月様を見上げながらとか</p><p>瑠璃子それって全部、屋外じゃないのか</p><p>お外でセックスがいいのかお前</p><p>旦那様と二人きりがいいの</p><p>いいえみすずお姉様や、他の方にも側にいていただきたいですあの写真を撮っていただきたいのです</p><p>まあ、瑠璃子さんは旦那様とお外でセックスする姿を、全て残しておきたいのね</p><p>はいあの構いませんでしょうか</p><p>野外セックス希望な上にハメ撮りが気に入っちゃったんだ</p><p>さっきまで性知識皆無な美少女だったのに</p><p>いや瑠璃子は、香月家直系だもんな</p><p>快楽への欲望には、素直なんだろう</p><p>いいに決まっていますあたしたちの旦那様が、瑠璃子さんの希望に応えないはずがありません</p><p>みすずが、胸を張って断言する</p><p>まあそうなんだけど</p><p>オレ、何でもオッケーし過ぎだろうか</p><p>あたしもね旦那様にしていただきたいセックスが、いっぱいあるのどんどんお願いして、早めに予定を立ててしまわないと</p><p>ああたしも、やりたいプレイあるなあ</p><p>克子姉が呟く</p><p>あたしだってあるわよでも、お店が休みで、真緒を預けられる日でないとダメだから</p><p>先に言っておいてくれたら、あたしが真緒ちゃんのベビーシッターしてあげるよっ</p><p>渚の言葉に、寧さんが答えた</p><p>本当じゃあ、頼んじゃおうかしら湘南の方に、ちょっと良い感じのホテルがあるのよ</p><p>えー、まさか泊まるつもりなの渚</p><p>克子姉が、渚に突っ込む</p><p>泊まらないわよそこは夕陽が綺麗で有名なところなの二人で海に沈んでいく太陽を見つめながら、愛し合いたいのっ</p><p>あ、いいなあそれっあたしも、してみたいっ</p><p>羨ましがっているけれど寧さん、あなたはまだ処女ですってば</p><p>車で行って、夜には帰って来るわよ次の日は、お店に出ないといけないし真緒を預けっぱなしにはできないもの</p><p>別に真緒ちゃんなら、ずっとお屋敷に居ても平気だよっ先生だって喜ぶと思うし</p><p>寧さんは、そう言うけれど</p><p>真緒の方がダメなのよあんまり長くあたしと離れると、心配で泣き出しちゃうから</p><p>本当心配なのは、渚の方じゃないの</p><p>克子姉が、渚に意地悪を言う</p><p>とにかくやっぱり、彼のスケジュール管理は必要ね</p><p>そうねみんな、なるべく公平に彼に愛して貰う時間を作るようにするべきよね</p><p>渚と克子姉が、顔を見合わせる</p><p>というわけだから恵美ちゃん、お願いね</p><p>渚に言われて驚く、恵美</p><p>あ、あたしですか</p><p>そうよあなたは家族の委員長なんだからしっかり、やってちょうだいね</p><p>克子姉は、ニヤッと微笑む</p><p>そうですね恵美さんは旦那様と学校も同じですし日常のことは一番側に居て、よくご存じだと思います適任ですよ</p><p>みすずもメグのスケジュール管理を認めてくれる</p><p>そうそうそれにメグちゃんなら、ちゃんと公平にスケジュール調整してくれそうだしねっ</p><p>寧さんも、ニコニコ笑っている</p><p>自分の予定も、ちゃんと入れるのよ他の人の予定の入っていない場所じゃなくってちゃんと、自分で彼と何をしたいのか考えて予定を組むのよいいわね</p><p>あなたも、きっちりみんなと同じだけの時間、彼に愛して貰うのよ</p><p>克子姉と渚は</p><p>メンタルの弱い恵美が他の女に気後れして、オレに何も要求できなくなることを見越して</p><p>そしてまた、一人だけ落ち込んでいくことが無いように</p><p>オレのスケジュール管理を恵美に託してくれたんだ</p><p>あ、メグお姉ちゃん一人で全部やるのは大変でしょあたしも、手伝うよ</p><p>マナが、そう言うが</p><p>ぬふふふーん、マナちゃんはダメよ</p><p>克子姉が、却下する</p><p>そうねマナちゃんだと、一人でずっと彼を独占するスケジュールとか平気で組みそうだわね</p><p>えー、酷いよぉ克子さん、渚さんマナ、そんなことしないよぉ</p><p>そうだよ、克っつんマナちゃんは、そんな見え透いたズルはしないってば</p><p>寧さんが、口を挟む</p><p>そうだよねっ一見、公平なように見えて一ヶ月でトータルしてみると、マナちゃんがヨッちゃんと二人きりの時間が、他の人よりも6時間ぐらい多いとかそういう、細々としたズルをする子だってばっマナちゃんはさっ</p><p>寧さんの言葉に、マナはガックリする</p><p>うわわわバレてるぅぅ</p><p>あいかわらず、マナは小狡い</p><p>ということだからメグちゃん、一人で頑張ってよろしくねっ</p><p>微笑む寧さんにメグは</p><p>判りましたでは、ヨシくんのスケジュール管理は、あたしがします</p><p>真剣な顔で、了承してくれた</p><p>よしこの件は、これで良い</p><p>メグの精神安定にも、良い効果があるだろうし</p><p>オレの下で美智が微笑む</p><p>あ、ごめん</p><p>美智と繋がっている最中なのに他の家族のことを考えていた</p><p>よくないよなこういうこと</p><p>いいんですご主人様は、本当に心の底からあたしたち家族を愛して下さっていることが伝わってきましたから</p><p>わたくしも試してみたいことがありますよろしいですか</p><p>試してみるって今か</p><p>はいこのまま、ご主人様と繋がったままで</p><p>美智は何をしようというのだろう</p><p>そのまま、わたくしの一番奥に入って下さい</p><p>オレは勃起ペニスを、深く押し込む</p><p>苦しくないか美智</p><p>さっきも申し上げましたわたくしは、少し苦しいぐらいの方が好きなんです</p><p>クスッと美智は微笑む</p><p>で次は、どうしたらいい</p><p>そのまま少しリラックスしてわたくしの顔を見て下さい</p><p>オレは、少し力を抜いて美智の顔を見る</p><p>どうですわたくしの顔は</p><p>可愛いよっていうか、綺麗だ美智は、顔の作りが端正なんだよな顔立ちからして、美人なんだよ</p><p>後数年で絶世の美女になる</p><p>そういうお話は、いいですから</p><p>え、美智</p><p>わたくしの眼を見て下さい</p><p>右手をわたくしの心臓の上に当てて下さい</p><p>こうか</p><p>そうですどんな感じですか</p><p>乳首が固くなっていてコリコリしている</p><p>それは気にしないで下さいわたくしの鼓動を感じて下さい</p><p>鼓動</p><p>どうなってますわたくしの心臓は</p><p>どっくんどっくん動いている判るよ美智</p><p>はいわたくし興奮していますご主人様とまぐわって心臓の激しさが止まりません</p><p>美智が下から手を伸ばし、オレの胸に触れる</p><p>ご主人様も心臓がバクバクしていますね</p><p>うん何か、とっても興奮してきた</p><p>性器だけの繋がりで無く</p><p>お互いの鼓動を感じ会うことで</p><p>美智の肉体全部生命の波動を感じる</p><p>わたくしの眼を見たままわたくしと呼吸を合わせて下さい</p><p>すぅ、すぅ、はぁーを繰り返しますなるべく深い呼吸をしてお腹の底に溜まっている悪い空気を吐き出すようにして下さい</p><p>すぅ、すぅ、はぁ</p><p>美智と繋がったまま呼吸をシンクロさせる</p><p>呼吸のタイミングも量も、美智にそっくり合わせていく</p><p>美智の美しい瞳を見ている</p><p>何だか、オレ</p><p>この瞳の中に、吸い込まれてしまいそうだ</p><p>すぅ、すぅ、はぁの呼吸に合わせて</p><p>オレの腰が、揺れている</p><p>身体が勝手にピストン運動を始めている</p><p>大丈夫ですそのまま、心と身体の流れに身を任せて下さいわたくしも、委ねます</p><p>さっきのぎこちないセックスとは、違う</p><p>美智もオレの動きに合わせて、下から腰を突き上げる</p><p>ぐっちゅっ</p><p>ちゅっぽり</p><p>オレの腰が、美智の奥を突き込む瞬間</p><p>美智も、下から自分の腰を突き上げる</p><p>亀頭と子宮口が何度も激突する</p><p>押し出された液が、オレと美智の結合点を濡らしていく</p><p>ああ美智、オレ</p><p>勝手に腰の動きが速くなる</p><p>オレの眼は美智の顔を見たままだ</p><p>美智も、オレを見上げたまま</p><p>流れに逆らわないでこのまま、このままですわたくしを感じて下さいわたくしも、ご主人様を感じます息と息鼓動と鼓動心と心全てを同調させます</p><p>オレ、美智と合致していく</p><p>何もかもがぴったりと合わさっていく</p><p>あ判りますご主人様の心が繋がっているわたくしと繋がっています</p><p>美智ぃぃ</p><p>お前は、オレのものだ</p><p>はいわたくしはご主人様のものです</p><p>そして、オレもお前の一部になっている</p><p>身体が勝手に美智の中に快感を求めていく</p><p>美智と繋がり、美智とセックスすることしかもう、考えられない</p><p>オレ美智に捕まっている</p><p>心と身体が</p><p>違います、ご主人様わたくしがわたくしが、ご主人様の一部になるのです</p><p>流れに身を任せてでも、流れに呑まれてはいけません見つけて下さいわたくしは、ここにいますっ</p><p>美智がオレの手をギュッと握りしめる</p><p>あ、あ、あ</p><p>判るぞ</p><p>み、美智痛いのか</p><p>オレは美智の奥を突く度に、快感を得るが</p><p>美智は激痛を感じている</p><p>痛みに耐えている</p><p>痛いですでも、この痛みがいいんですっ</p><p>繋がってはいても</p><p>オレたちの肉体は、別々のものだ</p><p>肉体の感じているものは違う</p><p>わたくしの心が、ここにあります</p><p>美智の心は感じられる</p><p>ご主人様を受け入れますわたくし全部全部、オープンにして何もかも、受け入れます</p><p>美智は女になった</p><p>オレも美智の中に全部、出し切るよ美智が溺れるくらい全部全部、流し込むから</p><p>だからオレも男になる</p><p>男と女は違う生き物なんだ</p><p>陽と陰</p><p>だけど、違う生き物だからこそ重なり合って、一つになることができる</p><p>判ります感じますご主人様の中に、大波が起きていく</p><p>ああっ、美智オレ、オレもう</p><p>判っています判っていますから</p><p>オレたちは、見つめ合ったまま激しいセックスを続けていく</p><p>もっと見て下さいわたくしを感じて</p><p>うん判る、判るよぉぉ</p><p>ご主人様溜めて、もっと溜め込んでそして、一気に破裂して</p><p>ああ、美智お前、オレを受けとめてくれるんだな</p><p>はい開いていますわたくしの何もかもがご主人様をウェルカムしていますっ</p><p>あっあああ、ああーっ</p><p>もっとですっもっと今は、我慢してっ</p><p>美智ぃぃ、美智ぃぃ</p><p>あああーっ、わたくし開いていくご主人様を受けとめるところが、開いていくのぉぉ</p><p>オレ、オレもう</p><p>わたくしを見て呼吸を、鼓動を、心を合わせて</p><p>その瞬間オレたちは、ぴったりとシンクロした</p><p>弾けますっ</p><p>くううぅぅ</p><p>オレが美智の中で、爆発した瞬間</p><p>美智も全てを弾けさせて、受けとめる</p><p>あああああいくぅぅ</p><p>出る、出る出る出る美智ぃぃぃ</p><p>熱いマグマの爆流が美智の子宮を襲い尽くす</p><p>びゅるるるる</p><p>びゅるるるぅぅっ</p><p>きゃあああああああっ</p><p>絶叫と共に美智は受精していく</p><p>まるで、オレと美智の腰が繋がってしまったようだ</p><p>溶けている</p><p>オレたち溶け合っている</p><p>工藤流古武術奥義心月</p><p>美智はそう、呟いた</p><p>父の病院までのバス代も馬鹿にならないので</p><p>毎日、自転車を漕いで通っています</p><p>それから仕事に行って帰りも自転車</p><p>何か、すっかりくたびれていますね</p><p>週の半ば以降は、ぐったりとしています</p><p>父は、今日一般病棟へ移る予定だったのですが</p><p>熱を出して、寝込んでしまいました</p><p>肺炎ぽいらしいので、院内感染かもしれません</p><p>やっと点滴が全部外れたのにまた、点滴生活です</p><p>呆けも治りませんね</p><p>ちゃんと話ができるようになったのですが突然、夢と現実の境が判らなくなります</p><p>丸っきり、呆けていた時よりも怖いです</p><p>たった1ヶ月で、人ってこんなに変わってしまうものなんですね</p><p>とにかく、頑張っていこう</p><p>前を向いて</p><p>人は、前にしか進めないのですから</p><p>287．奥義余話</p><p>はぁ、はぁ、はぁご、ご主人様ぁぁ</p><p>全身、汗だくの美智が涙目でオレを見上げている</p><p>できましたわたくし奥義を掴むことが</p><p>み美智ぃぃ</p><p>ギュッとオレの手を握りしめる</p><p>オレは美智と溶けたままだ</p><p>心と肉体が溶け合っている</p><p>もう一撃ビビュッと、一塊の精を吐き出す</p><p>身体の中の水門が崩壊したみたいだ</p><p>睾丸で製産されたばかりの精子がそのまま美智の子宮に注がれていく</p><p>しゃ射精が止まらないんだ</p><p>大丈夫です幾らでもお好きなだけ、わたくしの中に注いで下さい</p><p>美智も蕩けた表情で、受精の悦びに震えている</p><p>わたくしはご主人様の一部ですご主人様を受け入れるために、わたくしは存在しています一つなんですわたくしたちは</p><p>オレは、美智をギュッと抱き締める</p><p>美智もオレを</p><p>一つだ</p><p>身も心も一つに解けている</p><p>このままオレ美智の中に、沈んでいきそうだ</p><p>だ、ダメだよっ、ミッちゃんッ</p><p>耳元で、寧さんが叫ぶ</p><p>そのまま続けたらヨッちゃん、衰弱して死んじゃうよっ</p><p>とろとろと長い射精が続いている</p><p>射精が終わらない</p><p>１回、同調を断ち切りなさいッこのままでは、二人とも溺れきってしまいますっ</p><p>この声は麗華か</p><p>でも素敵なんですご主人様と一つになっているの</p><p>ダメよ戻っていらっしゃい、美智</p><p>みすずも、慌てている</p><p>しかし、そんな声も何だか、遠くの世界のことの様に感じた</p><p>オレは美智と完全に溶け合っている</p><p>ザッと立ち上がる麗華</p><p>ちょっと何をするつもりなの、藤宮さん</p><p>関さんの驚く声</p><p>や、やめなさいあなた、まさか</p><p>藤宮麗華参るッッ</p><p>麗華が撲殺ステッキを正眼に構える</p><p>よしなさい、藤宮さんッッ</p><p>はぁぁッっ</p><p>関さんの制止を聞かずに</p><p>麗華は、激しい裂帛の気合いとともに撲殺ステッキを振り降ろすッッ</p><p>ご主人様、危ないッッ</p><p>ハッと気付いた美智がオレを抱き締めたまま、身体をグリッと横に捻る</p><p>ズゴッッッ</p><p>ほんの数秒前まで、オレたちが寝転んでいたソファベッドの上に鋼鉄製のステッキが突き刺さる</p><p>美智の処女血の付いたシーツに穴を開けて</p><p>な、何てことをするのよッあなた</p><p>関さんが、麗華に叫ぶが</p><p>本物の殺気を感じさせなければ美智妹《イモウト》と主様の心の同調は、崩せないと判断しました</p><p>麗華は冷静な声で答えた</p><p>でも危うく、ブッ叩いちゃうところだったじゃないそんなので叩いたら、この子の背骨が粉々に砕けちゃうでしょ</p><p>美智妹は、本物の武人ですどんな状況でも、主を庇って身を躱すことは判っていましたから</p><p>関さんに、麗華は真顔で答える</p><p>はぁ、はぁ、はぁはい、ありがとうございます麗華お姉様</p><p>美智は、オレを抱き締めたまま答えた</p><p>この奥義はなかなか、制御するのが難しいようです</p><p>それから、オレを見て</p><p>大丈夫ですかご主人様</p><p>さっきまでの甘美な溶け合う感覚は途切れている</p><p>射精も治まった</p><p>とにかく、一度身体を離しなさいあなたたち</p><p>克子姉が、オレたちにそう言った</p><p>うん、そうだね美智、離れるよ</p><p>はい残念ですが</p><p>オレは美智の胎内から、ペニスを引き抜く</p><p>つっ</p><p>美智は、処女喪失の痛みが戻って来たらしい</p><p>痛みに額をしかめる</p><p>亀頭がチュポッとヴァギナから引き出されると大量の白濁液が、ドロリと零れ出す</p><p>その液には美智の処女血も混じっている</p><p>美智ちゃんもっと足を開いて、そうよ顔はカメラを見て</p><p>克子姉が、思い出したようにシャッターを切っていく</p><p>渚もビデオカメラで、女になった美智の裸体を記録する</p><p>お水いる</p><p>メグがグラスにミネラルウォーターを注いで持って来てくれた</p><p>ありがとう美智にもあげて</p><p>オレは、水をゴクゴクと飲む</p><p>ああすっかり、全身汗だくだ</p><p>美智何が起きたのか、説明なさい</p><p>奥義とか言っていたけれど</p><p>美智はグラスの水を一口飲んでから、答えた</p><p>はい工藤流古武術、奥義心月これまで、祖父によって伝授されておりましたもののわたくしには使いこなすことができなかった技を、初めて使用致しました</p><p>使いこなすことのできなかった奥義</p><p>工藤流古武術の神髄は敵の気を受け流し、反らすことにあります真っ正面から、相手の気と対峙することなく流水の様に身を翻して、気の隙を突く</p><p>それは知っている</p><p>美智とお姉さんの遙花との闘いで見た</p><p>人間は群集生物です従って、実は日常生活においては、しばしば他人と気を同調させますそうして群集心理を形成し集団として、社会を営むのが人間という生き物です</p><p>日本人は空気を読むというのが、大好きだ</p><p>というか集団の気が読めないで、周囲から浮き上がる人間は嫌われる</p><p>ですから工藤流の気を反らすという技は、群集心理から徹底的に逸脱するということです場の雰囲気に呑まれることなく常に、確固とした自我を持ち続けるということが要求されます</p><p>美智や工藤父が、マイペースな理由が判った</p><p>工藤流の人間は、絶対に周囲と歩調を合わすことを避けるんだ</p><p>人と群れないというと、格好良いけれど</p><p>常に他人から浮いているということでもある</p><p>しかし、代々の工藤流古武術継承者たちは、他人の気を反らす研究を重ねた結果五代目継承者、工藤君康は、逆に他人と気を融合させる技を開発致しました</p><p>他人と、気を融合させる</p><p>みすずが、美智に尋ねる</p><p>はい敵と完全に気を融合させれば敵を自分の意のままに操れる五代目様は、そう考えられたのです</p><p>うんさっきのオレと美智</p><p>オレは、美智と完全に同調していた</p><p>あの時に美智に何かを命じられたらオレは、どんなことでもしただろう</p><p>しかし実際に五代目様が、編み出された技は、実戦には使えないものでした</p><p>寧さんが、疑問を投げ掛ける</p><p>さっきのヨッちゃんとミッちゃんを見ていたら心がシンクロしちゃってて、気持ち良さそうだったけど</p><p>この奥義は心と心を繋げてしまいますから同調した相手とは、とても親しい間柄になってしまいます相手の心の全てを見ることができますが自分の心も全て見透かされてしまいますから</p><p>身も心も一つになった体験を交わした相手とはもう、敵対できない</p><p>相手は自分の一部であり自分は相手の一部なのだから</p><p>溶け合った感覚を共有した人間同士が闘うことなんてできるはずがない</p><p>それでも、この奥義は、工藤流の一族の結束を固めるのに有効でしたし融合の体験は、相手の気を読む能力を高め気を反らすという工藤流本来の能力の向上に役立ちました</p><p>確かに、この体験を重ねると気というものに対して、より敏感になるような気がする</p><p>わたくしも祖父から、この奥義のやり方は習っていたのですがこれまでは一度も技の神髄を掴むことができずにおりました</p><p>え、ミッちゃんお祖父ちゃんと</p><p>いえ、あのこの奥義は、本来、セックス中に行うものではありませんので</p><p>そそうだよな</p><p>美智は、処女だったんだし</p><p>本来は瞑想した状態で、向かい合って行います肉体の接触もありません</p><p>あ、やっぱり</p><p>ただ相手をよく観察し呼吸と鼓動を同調させていく呼吸は、心の動きに通じ鼓動は身体の動きに通じますこの二つが、完全に同調すれば心と身体の溶け合った境地に達するそれが、奥義心月です</p><p>言葉で言うのは容易いが</p><p>実際に身に付けるのは大変だな</p><p>わたくしは、何度も祖父との同調を試みましたがこれまで一度も、成功したことはございませんでした</p><p>なのにどうして、今回、旦那様とはできると思ったの</p><p>それはご主人様は、わたくしに完全に心を開いて下さっていましたから</p><p>美智が、恥ずかしそうに微笑む</p><p>このお方なら、わたくしも心の全てを開放することができると思いましたそれと身体です</p><p>身体</p><p>生まれて初めてセックスという行為をしてここまで、ご主人様に自分の全てをさらけ出してしまったのなら、もう何も怖くないという覚悟ができましたご主人様なら、どんなことが起きても、わたくしを受け入れて下さると信じておりましたし</p><p>それにわたくし、男と女の身体の違いを、セックスを通じて理解致しましたから</p><p>五代目君康様のお言葉に、こうあります杯に御神酒を注いで、満月を映す杯に映った満月を飲み干すことは天空に浮かぶ満月そのものを飲み干すことと同じである五代目様のそのお言葉が、奥義心月の名前の由来となっています</p><p>空の満月と杯の中に映った月</p><p>わたくしにはずっと、その心境が判りませんでしたしかし、今宵ご主人様に抱いていただいたことで、永年の疑問がスゥーッと氷解致しました</p><p>オレとセックスしたことで</p><p>夜空の月と、杯の中の月は違うものです違うと判った上で心で月を飲み干すそうすれば月を呑み込んだ境地に達することができる</p><p>オレには、全然よく判らないんですけれど</p><p>お祖父様と、奥義心月の修行をした時はわたくしは、自分の身体とお祖父様の身体の違いについて理解していませんでしたお祖父様は、男性ですし老齢ですなのに、わたくしは女でしかもまだ幼い肉体です</p><p>そうですそのまま、呼吸と鼓動を同調させようとしても合うわけがないのですお互いの肉体の基盤が違うのですから</p><p>自転車とレース用の大型バイクで足並みを合わせろっていうのと同じだ</p><p>そもそものお互いの差が判っていなければ合うわけが無い</p><p>逆を言えば違いが判っていれば、同調させるのは難しいことではないということですご主人様は、とっても素直で判りやすいお心の持ち主ですから、合わせることは簡単でした</p><p>そっか美智が、オレに合わせてくれたんだ</p><p>そうです違いを知って、合わせていくということお祖父様との時には、その加減が判りませんでしたわたくしが、お祖父様に甘えていてお祖父様は、まだ未熟なわたくしを完全には信頼して下さっていないということもあったと思いますしかしご主人様とは、一度、わたくしの中に射精していただいて心も身体も、よく判りましたから</p><p>奥義によって同調してみてさらによく判りましたご主人様のお心も身体もご主人様は、わたくしを理解して下さいましたか</p><p>うんオレすごくよく判ってる美智がどんな子で美智の身体が、どんななのか美智は、身体がしなやかで柔らかくてでも、とっても強靱なんだオレ、美智の身体がどこまで曲がるか、全身全部判るよ</p><p>うん同調の体験をした結果オレは、美智の肉体の何もかもが判っている</p><p>それからタイミングも美智が、どういうリズムで生きているのか判った</p><p>わたくしもですご主人様のお好きなリズムが、判りました</p><p>そのリズムでさっき動いてくれたろすごく、気持ち良かった</p><p>美智とのセックスはヤミツキになりそうだ</p><p>はい、お望みでしたらいつでも、何度でもお相手致します</p><p>美智は、ニコッと微笑んでくれる</p><p>ちょっと待って美智</p><p>みすずが、割り込んで来る</p><p>あのさっきの奥義あたしにも教えてくれないかしら</p><p>旦那様も美智もとっても、気持ち良さそうで本当に溶け合っているみたいだったわ</p><p>みすずはちょっと、興奮している</p><p>あたしも旦那様と、あんな風になりたいの</p><p>真っ赤な顔でみすずは言った</p><p>そうね、あたしも体験してみたいかも</p><p>うん何か気持ち良さそうよねそれに、彼と溶け合う感覚って、魅力的よね</p><p>克子姉と渚が顔を見合わせて、そう言う</p><p>うんうんっミッちゃん、あたしたちにも教えてよっ</p><p>と、処女の寧さんまでそんなことを言う</p><p>はい、お教えすることはできますが</p><p>何か問題があるの</p><p>いえ、特に問題はありません工藤流古武術に正式に入門していただいてみすず様なら、おそらく１０年以内には、身に付けることができると思います</p><p>１０年</p><p>まあ奥義だもんな</p><p>えっ、あたしはっ</p><p>寧様は今からですと、ちょっと</p><p>無理なのあたし</p><p>山ごもりとか、必死に研鑽を重ねていただければ、２０年くらいで身に付くかもしれません</p><p>寧さんに山ごもりとか</p><p>ていうことは</p><p>あたしたちは全然ダメってこと</p><p>克子姉と渚が、嘆息する</p><p>美智は、頭を下げる</p><p>あのあたしもやっぱり、山ごもりですか</p><p>そうですねマナさんなら、７年ぐらいで到達できますねわたくしが、マンツーマンで指導すれば</p><p>恐るべし工藤流古武術</p><p>あのわたくし、思うのですが</p><p>瑠璃子が口を開く</p><p>お兄様は特に何か修行をなさったわけではありませんよね</p><p>ああオレは別に何もやっていないよ</p><p>ということはお兄様と美智さんが溶け合うような心持ちに達せられたのは全て、美智さんの能力でございますよね</p><p>うんそうだと思う</p><p>瑠璃子が、美智を見る</p><p>美智さんのその奥義１対１でないと、使えないのですか</p><p>例えば美智さんと、お兄様と、みすずお姉様の三人で、愛し合われたらどうなんでしょう</p><p>みすずが、ハッとして美智を見る</p><p>どうなの美智</p><p>この奥義をセックスで活用したのは、おそらくわたくしが初めてだと思いますので正確には、何とも申し上げられませんが</p><p>美智は、真剣な顔で答える</p><p>わたくしの能力が拡大すれば可能だと思います</p><p>美智を媒介として三人で溶け合ったセックスをする</p><p>どうしたら、美智の能力は拡大するの</p><p>それはもっともっと、ご主人様とセックスして溶け合う感覚をコントロールできるようになりませんと</p><p>さっきは暴走して止まらなくなっちゃったし</p><p>しばらくは、どなたかに監視していただかないとこの奥義は、使えません</p><p>あたしが、必ず監視します</p><p>マルちゃんにも、付き合って貰った方がいいと思うよっマルちゃんなら、心理学的なことにも詳しいしもし暴走しちゃっても、さっきの麗華お姉さんみたいな危ない止め方はしないと思うから</p><p>はいあたしからマルゴさんにお願い致します</p><p>その代わり３人でする時の最初は、あたしよいいわね美智</p><p>美智は、みすずにニコッと微笑む</p><p>わたくしその次でいいですか</p><p>そう言ったのは瑠璃子</p><p>溶け合う感覚ってすごく興味があるんです</p><p>いいわよね、旦那様</p><p>みすずが、勝手に了承してしまう</p><p>それと美智さん、４人はできますか</p><p>４人</p><p>研鑽を続ければいづれは</p><p>美智は、はっきりとそう答えた</p><p>良かったその時は、美子、一緒に溶け合いましょうね</p><p>ハッとして瑠璃子を見る美子さん</p><p>わたくし美子と溶け合ってみたいの美子は嫌</p><p>そ、そんなことはございません</p><p>良かったじゃあ、約束よ美子</p><p>あのオレを抜いて、美智と瑠璃子と美子さんの三人で溶け合えばいいじゃないか</p><p>オレが瑠璃子にそう言うと</p><p>わたくしはお兄様と溶け合ってみたいですしそういうわたくしを美子に理解して貰いたいのです</p><p>だから溶け合うときは、４人です</p><p>瑠璃子は、ニコッと微笑む</p><p>えー、あたしはあたしも溶け合いたいよ</p><p>マナが喚くが</p><p>構いませんけれどまず、完全にわたくしにマナさんが心を開いて下さらないとできません</p><p>心と身体の全てを開放する覚悟がないと溶け合う境地まではいけませんよ</p><p>ううー、頑張る</p><p>小さく呟く</p><p>うふふいつのまにか、美智に追い越されてしまったみたいね</p><p>みすず一概にそうとは言えないわよ</p><p>あなたには、まだ美智さんに教えてあげれることがたくさんあるでしょ</p><p>みすずがハッとする</p><p>美智さんはさっきまで、処女だったんだから</p><p>みすずは美智を見て言った</p><p>美智セックスの後の、旦那様へのご奉仕の仕方を教えてあげるわ</p><p>お願い致しますみすず様</p><p>じゃあ、美智のお口で旦那様を綺麗にして差し上げましょうね</p><p>病院に行ったらまた父が呆けてました</p><p>なかなか大変です</p><p>食事も病院食から、鼻からの流動食に戻っていました</p><p>おい、昼飯はどうするオレは、天ぷらそばがいいなあ</p><p>とか言うのです</p><p>頭が上手く動かないみたいでテレビすら興味を示しません</p><p>針の時計が読めなくなってますデジタル時計すら、間違える</p><p>4時57分を、4時5分と言いました</p><p>よつばちゃんみたいになってます</p><p>さて次話から、またホテル内の戦闘に戻ります</p><p>というかこの先の展開をまだ考えていません</p><p>288．家族合わせ</p><p>メグが立ち上がり清潔なタオルを水道で濡らしてきてくれる</p><p>血が付いているから、これで拭いた方がいいわ</p><p>濡れタオルをみすずに手渡す、メグ</p><p>人間の血って、舐めたりするとよくないって部活の先輩に習ったことがあるんです</p><p>ありがとう恵美さん</p><p>みすずが、笑ってメグに礼を言う</p><p>旦那様、ではお拭き致しますね</p><p>ひんやりとした濡れタオルがオレの火照った肌に触れる</p><p>萎え始めたオレのペニスを、みすずは持ち上げて優しく拭いていく</p><p>楽しいなあって感じたんです</p><p>旦那様のお世話をすることですあたしがこうしていると、旦那様がとっても気持ち良さそうなお顔をなさっていらっしゃるから</p><p>恵美さんもどうぞしたいでしょ旦那様のお世話</p><p>メグが、みすずからタオルを受け取る</p><p>ヨシくん、ここも拭いてあげるね</p><p>メグは、オレのペニスの裏から睾丸にかけて、拭いてくれた</p><p>うん、気持ちいいよメグ</p><p>一通り、綺麗に拭き終わったところでみすずが言った</p><p>恵美さん、そこから先は美智にやらせます美智に、ご奉仕のやり方を教えてあげないといけませんから</p><p>メグが、オレから離れる</p><p>代わりに、美智が</p><p>さあ、美智お口で舐めて、綺麗にするのよセックスの最後には、必ずしなくてはいけないことですからね</p><p>美智がオレの亀頭に小さな舌を這わす</p><p>ペロリ</p><p>快感が、拡がる</p><p>チュウチュウ吸うのよ旦那様の体内に残っている精液を、ちゃんと吸い出して差し上げて</p><p>美智は、亀頭の先にキスしてチュッと吸う</p><p>ああ吸い出されていく</p><p>みすず様ご一緒に</p><p>わたくし、みすず様と一緒にご奉仕したいです</p><p>ありがとうでは、一緒にするわ</p><p>みすずも、オレの股間に顔を寄せる</p><p>あたしは下の方を舐めるから美智は先の方を、ね</p><p>みすずはオレのペニスの根元の方から舐めてくれた</p><p>美智は、亀頭にむしゃぶりついている</p><p>袋の中のタマタマを、舌で転がすようにするものいいのよ優しくね男の人の精子は、そこで作られているんだから強くはしないで、そっとするのよ</p><p>渚がみすずにアドバイスする</p><p>みすずの舌がふんわりとオレの玉袋の表面を優しく撫でる</p><p>ああむずむずする</p><p>美智ちゃんは、舐めているところが彼にはっきりと見えるように顔を上げてご奉仕している姿を、ちゃんと見て貰いましょうね</p><p>美智には、克子姉がアドバイスする</p><p>恥ずかしそうに、美智がオレを見上げる</p><p>フェラチオしている顔をオレに見られて、赤くなる</p><p>うん、良い顔だわ初々しくてちゃんと撮っておいてあげるわ</p><p>お掃除フェラする美智を克子姉は、カメラに収める</p><p>渚もビデオカメラで、オレの股間に顔を寄せる二人を記録していく</p><p>も、もういいよそれ以上されるとまた大きくなっちゃうから</p><p>わたくしは構いませんこのままお口の中でも、また子宮にでも何度でも、わたくしの中に射精して下さいませ</p><p>ちょっとちょっと美智さんばっかり、ずるいよっ</p><p>マナが、横から口を挟む</p><p>マナは、自分の股間をまさぐっていた</p><p>次は、マナやメグお姉ちゃんの番でしょそれから、寧さんだって全然していないじゃないっ</p><p>えあたしっ</p><p>スットンキョな声を上げる寧さん</p><p>そうだよ寧さんあたしたちが来てからずっと、お兄ちゃんをあたしたちに優先にしてくれててずっと、お兄ちゃんとしていないんだから寧さんだって、セックスしたいんでしょ</p><p>うんとあたしは</p><p>我慢しなくていいですから次は、寧さんがお兄ちゃんを思いっきり可愛がってあげて下さい</p><p>マナはオレと寧さんは、とっくに関係していると思っている</p><p>ええっとそれはね</p><p>寧さんは、あんぐりと大口を開けて困っている</p><p>いやあのとにかく、少し休ませてくれ</p><p>オレはみんなに言った</p><p>今、これ以上射精するとさすがに、今後の行動に差し支えるから</p><p>今、オレたちは敵の襲撃を受けて退避中だ</p><p>いつまた、ここから移動しないといけなくなるかも判らないし</p><p>とにかく１回、ストップだ</p><p>みすずが、オレのペニスを見て</p><p>残念ですけれど仕方ありませんね、美智</p><p>また今度、３人でしましょうねその時は、一晩中、旦那様に可愛がっていただきましょう</p><p>お願い致します、ご主人様</p><p>美智は、嬉しそうにオレに微笑む</p><p>うん、判った約束するから</p><p>オレは、美智とみすずを両腕で抱き締める</p><p>じゃあ、寧さんはマナとコンビを組んでくださいね</p><p>マナ寧さんとお兄ちゃんがしているところ見てみたいんですマナまだセックスには慣れていませんから、寧さんのテクニックを教えて下さい</p><p>マナは、寧さんを相当な性のテクニシャンだと思っているらしい</p><p>まあ見た目がセクシーでグラマーだからなあ</p><p>寧さんはマナと一緒にするのは嫌ですか</p><p>そ、そんなことはないよマナちゃん</p><p>困り顔で寧さんは答えた</p><p>じゃ約束ですよ</p><p>う、うん判った</p><p>さあどうなることやら</p><p>でも、メグにばかり、べったりとくっついたマナが、他の女と交流することは良いことだと思う</p><p>じゃあ、恵美ちゃんはあたしと一緒にしましょう彼が悶絶しちゃうようなテクニック、全部教えてあげるっ</p><p>克子姉が、メグに微笑む</p><p>メグは、素直にそう答えた</p><p>うん家庭的な克子姉に弟子入りするというのは、メグにとって悪くない選択だと思う</p><p>克子姉と一緒なら、一人で落ち込むことも無いだろうし</p><p>では、わたくしはどなたと組めばいいのですか</p><p>麗華の言葉に部屋の中はシーンとする</p><p>れ、麗華お姉様はええっと</p><p>困惑する克子姉</p><p>麗華お姉さんは、まだ誰かと組むとかは考えなくていいんだと思うよまだ、処女なんだし</p><p>寧さんが、笑顔で言う</p><p>とにかく、一度セックスしてみないとね</p><p>実際の問題としてセックスを体験したら、麗華がどうなるのか全然予想が立たない</p><p>感じたり、喘いだりする麗華の様子が全く想像できない</p><p>なるほど、判った確かに、いきなり三人での組み手は、わたくしには荷が重いかもしれない</p><p>麗華組み手って</p><p>まあ、慌てなくていいわよゆっくり、いきましょうどうせ、最後には家族全員で楽しむんだし</p><p>渚が、笑ってそう言う</p><p>ということだから、あたしもしばらくは誰とも組まないで彼としっぽり、二人っきりで楽しんじゃおうかなあっ</p><p>渚は笑うが</p><p>渚様は、あたしと美智の指導をお願いしますっあたしたちセックスに関しては、まだまだ未熟ですから渚様のお教えを必要としています</p><p>みすずが渚に言う</p><p>美智もそう思うわよね</p><p>はいわたくしとみすず様のセックスのお師匠様になって下さいませ</p><p>セックスのお師匠様</p><p>美智ちゃんお師匠様は、やめて何か、天竺までお経を貰いにいかないといけないような気分になるから</p><p>渚は苦笑して、そう言った</p><p>もう判ったわよあなたたちの面倒は、あたしが見るわでも、克子にも教えて貰いなさい一人だけから教わると、偏っちゃうからセックスについての色んな人の意見を聞いてその中から、自分のやり方を選んでいきなさいそれとやっぱり、彼が気持ち良くないと意味が無いんだから彼の好みに合わすのよ彼がどういうセックスが好きなのか、しっかり研究しなさいね</p><p>ご主人様は、わたくしのお尻が好きです恵美お姉様のお尻も、お好きですねいつも、ご覧になっていますから</p><p>美智の言葉にメグが反応する</p><p>そうなのヨシくん</p><p>うんヨッちゃん、キュッと締まったお尻が好きだよねいつも、ちろちろ見ているもの</p><p>寧さんがニッと笑う</p><p>おっぱいもお好きですよ寧さんや克子さんのおっぱいをジッと見ている時がありますから</p><p>そうよねたまにあたしの顔でなく、胸に向かって話している時があるもの</p><p>いいのよでも、そんなに気になるのなら、どんどんさわってくれていいのよ抱き締めてくれるとか</p><p>でも、ほらみんながいるから</p><p>関係無いよっみんな家族なんだからヨッちゃんは、もっと本能のままにあたしたちに襲いかかるべきだと思うよっ</p><p>本能のままにって寧さん</p><p>でも、羨ましいです旦那様は、そんな風にあたしの身体を見てはくださいませんから</p><p>みすずの呟きに寧さんは、答える</p><p>仕方無いじゃんヨッちゃん、ミィちゃんの顔が好きなんだから</p><p>ヨッちゃんミィちゃんやルリちゃんみたいな、綺麗な上に上品で純真そうな顔立ちの子、好きでしょ</p><p>自分の好みって、自分ではよく判っていないって本当なのね</p><p>昔のあたしのお客様にさ自分は、髪の毛が長くて清楚なタイプの女の子が好きだって公言している方がいらしたんだけど実際に、その方がお選びになるのはショートカットで、口が大きくて、ちょっと下品な感じの子ばかりなのそれがその方の本当の好みの女性のタイプなのよねだけどご本人だけが、ロングで清楚な子が好きだって思っていらっしゃるのよ</p><p>するとみすずや、瑠璃子の顔立ちは、オレの好みにジャストミートなのか</p><p>でも、好きな女性のタイプって裏表あるでしょだから彼、恵美ちゃんみたいな顔立ちも、結構好きなんだと思うわよ</p><p>恵美ちゃんて巫女さんの色気があるから</p><p>メグには、理解できないらしい</p><p>うん男性が女性に感じる魅力は、裏表あるって言われているんだよっ</p><p>寧さんが説明してくれた</p><p>神話的に言うと、ビーナスとダイアナセクシーで奔放な完成された美の女神と、純真無垢な未成熟な処女神どちらも、魅力的だよねっもう少し時代が下ると、金髪のイゾルデと白い手のイゾルデの対比なんかの例もあるよ</p><p>詳しいんですね寧さん</p><p>メグが感嘆する</p><p>いやあ、こんなの全部、マルちゃんの受け売りだよマルちゃん、そういうのに興味があって、研究している人だから</p><p>そう言えば一応、大学生なんだっけ</p><p>別にさ、どっちが優っているっていうわけでもないんだよ男性は、色んなタイプの女性に魅力を感じるものだってこと</p><p>遠回しにメグに何も落ち込む必要は無いんだと言ってくれている</p><p>とっても、ありがたい</p><p>いいなあ、みんなお兄ちゃんに気に入られているところがあるんだ</p><p>何言ってるのよマナちゃんはまだ若いんだから幾らでも、彼の好みの女になれるでしょ</p><p>そうよあたしたちなんて成長しきっちゃってるから、今更変われないもの</p><p>克子姉と渚が、マナを慰める</p><p>そっかメグお姉ちゃんや美智お姉さんみたいに、キュッと締まったお尻になって、克子さんや寧さんみたいなツンとしたおっぱいになればいいんだねっ</p><p>それと、みすずさんと瑠璃子さんのお上品で清楚な雰囲気よ</p><p>あと、メグちゃんの巫女の色気ね</p><p>克子姉と寧さんが、そう言うが</p><p>マナにはお上品とか、巫女さんとかは無理だよ</p><p>マナはマナでいいんだマナらしい女の子になるのが一番良い</p><p>オレは、そう言ってマナの頭を撫でる</p><p>オレは今のままのマナでも、充分好きだよ</p><p>マナが、オレにしがみつく</p><p>今のままのマナちゃんてロリ・ビッチだよね</p><p>あんまりロリコンになってしまわれるのは、心配です</p><p>うんあたしか渚にとっては、死活問題だわ</p><p>そこは、ほら大人のテクニックで、メロメロにしちゃいましょう</p><p>渚が、高校以来の親友に提案する</p><p>ええ、それしかないようね</p><p>美智ちゃんも、おっぱいが大きくなるようにあたしが指導するわとにかく、彼の興味がロリ方向だけに向かないようにしないと</p><p>全面的に協力するわ渚</p><p>２１歳の二人が、タッグを組む</p><p>オレどうなっちゃうんだろう</p><p>さてとは言うもののエッチなことは、ひとまずブレイクね</p><p>克子姉が、オレに振り向く</p><p>あなたたち、シャワーを浴びて来なさい</p><p>あ、ではわたくしが旦那様のお背中を流します</p><p>ここ、シャワールーム幾つあるの</p><p>２つあります</p><p>克子姉の質問に、メグが答えた</p><p>何人もこの退避室に籠もる場合を想定してトイレとシャワールームは複数用意されているらしい</p><p>じゃあ、一人ずつ入りなさい</p><p>克子姉の言葉に美智は、オレを見る</p><p>彼には少し、一人になる時間が必要よずっと、あたしたちのことで気を遣ってくれているんだから</p><p>ここで一人の時間を貰えるのはとても助かる</p><p>美智克子お姉様のおっしゃる通りになさい</p><p>みすずは部屋の中を見廻し</p><p>マナさん美智と一緒にシャワーを浴びて下さらない</p><p>あたしですかっ</p><p>ええ美智と仲良くしていただきたいんです</p><p>そうやって家族が少しずつ仲良くなるキッカケを増やしていくべきだ</p><p>判りました美智お姉さん、行こう</p><p>はい、マナ妹《イモウト》</p><p>えっとその呼び方は嫌だなあ</p><p>では、何と呼びましょう</p><p>マナでいいよっマナも、美智お姉ちゃんって呼ぶから</p><p>二人は、シャワー室へと向かう</p><p>オレも、隣のシャワー室へ</p><p>リフレッシュしてらっしゃい</p><p>シャワーから出るとオレの服が、綺麗に折りたたんで置いてあった</p><p>さすがにこの状況だから、替えの下着とかは無いけれど</p><p>こうやってきちんとして貰うと、気分が良い</p><p>ありがとう、メグ</p><p>えっと、あの</p><p>メグが畳んで置いてくれたんだろ</p><p>メグは、気が利く奥さんだよな</p><p>オレの言葉に、メグは赤くなる</p><p>うんやっぱり、役割を振って良かった</p><p>以前のメグならこういうことを思い付いても自分が勝手にやっていいのだろうか他の人に対して嫌味にならないだろうかと悩んでしまったと思う</p><p>今のメグは家族のクラス委員なんだから、どんどん思った通りに行動してくれていい</p><p>みんなのために身体を動かしている方が、メグの精神にとっては良いはずだ</p><p>なかなか、状況は緊迫しているようね</p><p>オレがシャワーを浴びている間に克子姉は、部屋のモニターを起動させていた</p><p>隣のジッちゃんやミナホ姉さんたちの居る監視室と回線を繋げたらしい</p><p>大型のモニターにはホテル内の映像が映し出されていた</p><p>敵は７階のフロアまで上がって来ているようね少しずつ、工藤さんの配下の人たちで撃破しているみたいだけれど</p><p>画面には、敵部隊と交戦しているバンバルビー３の姿が映し出されていた</p><p>地味に家族内交流が始まってます</p><p>意外な取り合わせで、3Pとかできそうですね</p><p>９月に入ったのに猛暑が続きます</p><p>はぁ頑張ろう</p><p>289．実写版</p><p>画面の中の闘いは</p><p>敵の部隊はおおよそ２０人前後か</p><p>敵部隊と交戦していると言っても相変わらず、闘っているのは番場さんだけだ</p><p>バービーさんとルビーさんはホテルの廊下にうんこ座りして、アンパンと牛乳でブレイクしている</p><p>ルビーさんの前には、なぜか大量の陶器の皿が置いてあった</p><p>ホテル内のどこかの厨房から持って来たのだろうか</p><p>ほっらー、番場ちゃん、後ろからも敵来てるわよーん</p><p>ほっらー、頑張れー</p><p>番場さんは、敵の群れの中に飛び込んで相手が迂闊に銃を使えない様な態勢にしておいて、確実に一人ずつ敵をフレイルで刈っていく</p><p>はーい、あらよっと</p><p>長い剛棒の先の鋼球が、また一人黒い戦闘服の男を薙ぎ倒す</p><p>おっと、危ない</p><p>番場さんの視界の外から、敵が襲いかかろうとしていたのをルビーさんがお皿をフリスビーの様に投げて牽制する</p><p>シュルルンッッッバリンッ</p><p>陶器のお皿が敵に当たって砕けた瞬間フレイルの鋼球が、そいつの頭を打ち倒す</p><p>ドカバキッ</p><p>ルビーさん、サポート、ありがとうございます</p><p>うん、気張って闘いなっ</p><p>番場さんは、一人だけ戦闘させられていることに少しも疑問を感じていないらしい</p><p>あたしっファイトっ</p><p>自分に自分でエールを送りながら、番場さんは闘い続ける</p><p>とっころでさあ番場ちゃぁん</p><p>バービーさんが、番場さんに声を掛ける</p><p>はーい、何ですかぁバービーさぁぁん</p><p>ドッカ、バキキッ</p><p>ドゥガッチャン</p><p>一撃で、二人の敵戦闘員が薙ぎ倒される</p><p>こんな時で何なんだけどさぁぁあたし、実写版・科学忍者隊ガッチャマンのキャスティングを考えてみましたぁぁ</p><p>おっバービー姐さん、それ面白そうっすね</p><p>ルビーさんは、乗り気だが</p><p>バービーさぁぁんガッチャマンて何ですかぁぁ</p><p>ドッガンッガツンッ</p><p>バービーさんは、番場さんの質問を無視して</p><p>それでは、発表しまーすっ</p><p>おー、いけいけ</p><p>バービーさんとルビーさんだけで、盛り上がっていく</p><p>まずさあG１号、大鷲のケンはやっぱり主役だから、貫禄のある大スターってことでマツダイラ・ケンさんで決まりよねっ</p><p>ふむふむ、なるほど</p><p>そんでさぁコンドルのジョーは、やっぱり渋い人の方がいいから、ジョー・ヤマナカさんが良いと思うのっ</p><p>なるほど、なるほど</p><p>それってもしかして</p><p>白鳥のジュンは、やっぱり可愛くてセクシーな女優さんがいいからミホ・ジュンさんがいいわよねっ</p><p>あの名前が同じ芸能人を探しているだけなんじゃ</p><p>そしたら、バービー姐さんミミズクのリュウは、やっぱりリュウ・ライタさんですか</p><p>ルビーさんの発言に、バービーさんは</p><p>そうね、あたしもさリュウ・ライタかリュウ・チシュウかで悩んだんだけどさほらその二人よりも、もっとビジュアル的にミミズクのリュウにぴったりな人がいるでしょう</p><p>え誰です</p><p>バービーさんは、自信たっぷりに答えた</p><p>リュウ・ホセイよ</p><p>あっ、確かに体型もぴったりだし、顔も似ていますねっ</p><p>でしょ、でしょルビーちゃんっ</p><p>ドンカッ、バキッ</p><p>番場さんが、また一人敵を屠りながら</p><p>バービーさぁぁんリュウ・ホセイって誰ですぅぅ</p><p>なぁにっ番場ちゃん、リュウ・ホセイを知らないの</p><p>済みませんっ知らないですぅぅ</p><p>勉強不足よっ明日までにリュウ・ホセイの業績についてレポート書いておいてっ４００字詰め原稿用紙で３０枚よっ</p><p>はぁぁい、判りましたぁぁ</p><p>こんな下らない会話をしながら番場さんは、さらに数人の敵を打ち倒していく</p><p>でバービー姐さん、最後に残ったツバクロのジンペイですけれど</p><p>ルビーさんが、バービーさんに話を振る</p><p>ああ、ジンペイはねジャン＝クロード・ヴァン・ダムでいくわっ</p><p>ジとンしか合ってないような</p><p>やっぱり実写版・ガッチャマンだからさ一人ぐらい、本格的なアクションのできる人がいないとねっ</p><p>さっすが、バービーさん考えが深いっすねぇ</p><p>いや、あのルビーさん</p><p>あたしだったら、ケン・ヌッツォに、ジョー・ヒグチ、イノウエ・ジュンに、ムラカミ・リュウノズエ・チンペイの取り合わせで行きますねっ</p><p>ルビーちゃん、そのメンバーじゃアクション映画にならないわよっ</p><p>まあ、その辺は主にＣＧ合成を多用するってことで</p><p>ああそれならアリか</p><p>はいでも予算の関係上、ＣＧが多用できるのは冒頭の場面だけなんですが</p><p>ということはラストシーンは</p><p>そこはやっぱりキャストの皆さんに身体を張って貰うしか</p><p>いいのあなたのキャスティング、凄い年齢の人ばかりじゃないていうか、故人もいるわよね</p><p>そんなこと言ったら、バービーさんのキャスティングだって</p><p>まあ、そこいら辺はＣＧ班に頑張って貰いましょう</p><p>ドカカッバキキッ</p><p>で、バービーさぁぁん結局、ガッチャマンて何なんですかぁぁ</p><p>話がまたループする</p><p>そんなことは、もうどうでもいいのよ番場ちゃん</p><p>穏やかにバービーさんは言う</p><p>そうですね姐さんこれで判りましたね</p><p>ええこいつら、日本人じゃないわねっ</p><p>普通の真っ当な日本男児なら今のあたしたちの話に、突っ込みを入れないはずがないものっ</p><p>間違いないっす姐さん</p><p>そ、そのための馬鹿話だったのか</p><p>番場ちゃん、ちょっとどいて少し、汗をかいて身体を温めたいから</p><p>はーい、バービー姐さん</p><p>番場さんが、スッと敵の集団から離れる</p><p>さぁっていくわよんっ</p><p>そしてバービーさんは、マシンガンを取り出した</p><p>ずばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばッ</p><p>黒い戦闘服の敵集団は、ことごとく倒れていく</p><p>んカ・イ・カ・ンっっ</p><p>もわっという硝煙の中</p><p>マシンガンを全弾撃ち切ってバービーさんが、呟く</p><p>姐さんそこは、もうちょっとボケて下さいよ海岸にガイガンとか</p><p>ルビーさぁん海岸にガイガンて、どういう意味の言葉ですぅ</p><p>意味なんてないわよ高原でマギーみたいなことなんだから</p><p>ルビーさんは、倒れている敵の方へ向かう</p><p>姐さん、ゴム弾でもこれ効きますねえ</p><p>まあねプロテクターを付けていても、身体の内部に衝撃を与える構造になっているから頭に当たったら、ヘルメット越しでも脳震盪を起こすのよ</p><p>すっごいですよねぇ</p><p>ゴム弾がベットリと張り付く感じで直撃するから衝撃の波で、激しく脳を揺らすようになっているのよほら、ボクシングでも大きなグローブの方が貫通力は減るけれど、相手にヒットする面積が大きくて脳震盪を起こす確率は上がるでしょあれと同じ理屈よ</p><p>バービーさんは、そう説明してくれた</p><p>ルビーさんが、倒れている男の覆面を剥がす</p><p>どう何人どこの国の人</p><p>これロシア人ぽいですね</p><p>バービーさんに、ルビーさんが答える</p><p>ルビーさんは、男の服を捲り上げて、腹を見る</p><p>やっぱりタトゥの文字がロシア語ですから</p><p>本当ルビーちゃん</p><p>はいＲの字が引っ繰り返ってます</p><p>ロシア人</p><p>アメリカの犯罪者がロシアのチンピラを使って、日本に侵攻してくるなんて、あたしの子供の頃には想像もできなかったわね</p><p>バービーさんが、溜息を吐く</p><p>これ、多分北海道か新潟ルートですねロシア人に紛れて、シザーリオ・ヴァイオラたちも日本に上陸したんじゃないですか</p><p>ルビーさんは、そう推測する</p><p>しかし３０人の部隊に、一人もヴァイオラの部下らしい人間はいなかったわ</p><p>襲来してきた敵って合計で１５０人くらいでしたっけ</p><p>ええ、大型バス３台に分乗してきたやつらとフリーの人間で、あっちに付いた連中と合わせて、それぐらいよ</p><p>工藤のオッチャンが、１階を水浸しにして上階に上がるのは、６ルートに分けたんですよね</p><p>そうよ敵は、２０人から３０人の班に分かれて侵攻してきているわ</p><p>普通なら各班に、ヴァイオラの子飼いの人間を配置しますよね</p><p>そうね指揮を取る人間だけは、自分の配下にやらせるわよね</p><p>それをしないってことはヴァイオラ自身の直属の部下はそんなに人数がいないんでしょうか</p><p>ロシア人の出稼ぎの連中は、最初から見殺しにするつもりなんじゃないのほら、こいつがカメラを持っているわ</p><p>指揮は、カメラの画像を見ながら通信でやっていたのか</p><p>だから、ロシア人だけの部隊で上階へ昇ってきた</p><p>ヴァイオラの精鋭部隊は、一人も欠けることなく健在ってことなんでしょうねそいつらがまだ１階に居るのか６つのうちのどれかのルートから、すでに昇ってきているのかは判らないけれど</p><p>バービーさんは、そう分析する</p><p>とにかく工藤のオッチャンに連絡しますか</p><p>ていうかどうせ、あいつ、あたしたちの闘いを監視カメラで観ているわよ</p><p>バービーさんの言葉に、ルビーさんが天井の監視カメラに向かって</p><p>ハロー、工藤のオッチャンあたしの乳首見てるぅぅ今日もほんのりピンク色よーん</p><p>番場ちゃんもカメラに向かって、尻文字をやりなさいっ</p><p>えー、バービーさん、尻文字ですかぁぁ</p><p>そうよっほらっ、♫番場のバの字は、どう書くのぉ♫</p><p>♫こうして－、こうして、こう書くのぉぉ♫</p><p>番場さんが、カメラに向かって腰をくねらせる</p><p>バンバルビーのお姉さんたちは相変わらず、やりたい放題だ</p><p>お前たちも、観ていたか</p><p>ドアが開いてジッちゃんたちが、入って来る</p><p>ミナホ姉さんも、マルゴさんも暗い顔をしている</p><p>はい、観ていました</p><p>みすずが、答える</p><p>この方たちの闘いだけですけれど</p><p>関さんが、補足した</p><p>他も同じだ１階から上がってきた、敵の３部隊をすでに撃破した全員、ロシア人だったよ極東のロシア・マフィアいや、マフィア以前のチンピラだな工藤が、ロシア語のできる部下を使って、すでに尋問もしているどうやら、ウラジオストックでヴァイオラに声を掛けられて、日本に来たらしい</p><p>バービーさんの分析は正しかったってことか</p><p>フェリーと、ロシアの商船に分乗して新潟港から来たらしいわ</p><p>となると私の部下の中で、新潟に地盤があるのは香月昇だ</p><p>香月昇って香月健思のお父さんで、何の連絡も無いままホテルに到着していない</p><p>普通に考えれば裏切り者は、彼ということになる私の招集指令を無視し姿を見せない上に、彼の力なら新潟の税関に圧力を掛けて、ロシア人たちを無検査で上陸させることもできる</p><p>香月グルーブ内の裏切り者は香月昇なのか</p><p>でも香月さんは、そうは思っていないんでしょ</p><p>ああ裏切り者が香月昇というのは、話が出来すぎている自分の影響下にある場所を使ってわざわざ、自分が疑われるような形で、敵を呼び寄せたりするだろうか</p><p>ジッちゃんは、深く考え込む</p><p>私や今、このホテルに居る重役たちを皆殺しにしたとしても香月グループには、まだ他の重役や関連会社の代表が居る香月昇が、私たちを謀殺したのが見え見えな状況ならば残された人間たちが、彼を許すはずがない</p><p>つまり香月昇が疑われるように、誰かが仕組んでいる</p><p>香月昇が、何の連絡もないままだというのも誰かにすでに拉致されているということなんじゃないかと思う</p><p>では本物の裏切り者は</p><p>みすずの問いにミナホ姉さんが、答える</p><p>おそらくすでにこのホテルに来ている重役の中に居るのでしょうね</p><p>平然とジッちゃんの招集に応じておきながら</p><p>裏では、ヴァイオラと通じているやつがあの中に</p><p>今、重役のみなさんは、私塾の子らと一緒に上層階の部屋に避難しているんだけれど</p><p>マルゴさんが、深刻な顔をして言った</p><p>このままじゃマズいよねあの中に裏切り者が居て、その人が敵を招き入れたら、他の重役たちと私塾の子らが全員、人質にされちゃうことになる</p><p>彼らは私の大切な臣下だまた、私塾の子らも殺したくは無い</p><p>苦しそうにジッちゃんは、言った</p><p>だから、急いで上層階まで戻って誰が裏切り者なのか判別して、他の人たちと隔離しないといけないんだよ可能な限り、速く</p><p>マルゴさんそれって</p><p>オレたちの中から、特殊任務の部隊を派遣しなくてはいけないってこと</p><p>もちろんこの部屋の警護態勢は、万全にしておかないといけないっていうか、この緊急避難室の存在を敵に知られるわけにはいかない少人数で、サッと上まで上がって任務をこなして、またすぐに戻って来るそうするしかないね</p><p>となればこの部屋には、最低１名は警護人を残して置かないといけませんね</p><p>それと、上のエレベーターの前にも敵が、エレベーターの存在を気付かないように見張っている人間がいる</p><p>もし、エレベーターが占拠されそうになったらこの部屋からでも、エレベーターを停止させることはできるけれどでも、そうなったら、上に上がった人間はこの部屋に戻って来られなくなる</p><p>うん避難室の人間を守るためなら、仕方が無い</p><p>さてチームの編成をしようか</p><p>暗い顔のマルゴさんに美智が言った</p><p>当然わたくしは、上へ参りますっ</p><p>えっと、メッセージボックスの方に、直接メッセージを下さっている方が数人いらっしゃいますが</p><p>すみません、感想は感想欄の方にお願い致します</p><p>現在の私は、とても忙しい状態で</p><p>感想欄の方の返信すら、一日遅れとかになっています</p><p>この上、メッセージボックスでの個人的な感想の返信までは、手が回りません</p><p>感想欄でしたら、オープンですので他の方にも観ていただけます</p><p>それなら、同じ様な疑問をお持ちな方への返答にもなります</p><p>しかし、クローズなメッセージボックスで感想をいただいてもその方だけに、返信しても他の方には判らないわけですし</p><p>あの、よっぽど特別なこと何かお仕事を下さるとか、そういうことでない限り、メッセージ・ボックスの方は使わないようにお願いします</p><p>マジに無理です</p><p>それとあの、私はアマチュアですし</p><p>この作品は、ネット投稿での最初の作品です</p><p>過度なご期待をなされても困ります</p><p>特定の読者の方のご希望通りには書けません</p><p>というか自分の使える時間内で、ギリギリの状況で書き続けています</p><p>よろしくお願い致します</p><p>昨日の父は大分、元気になり</p><p>現在の政治の話とか倒れる寸前までの記憶が、大分戻って来たみたいだったのですが</p><p>ところでさここの病院の位置って判る</p><p>と聞いたら</p><p>この病院は台北だろう</p><p>などと、言い出します</p><p>いや、台北って行ったことなないだろ</p><p>テレビで観た</p><p>それにしても、台北の病院に居るわけないだろ看護士さんとか、みんな日本語で喋っているじゃないか</p><p>それが、ずっと不思議だったんだ</p><p>父の妄想ワールドは、まだまだ続きそうです</p><p>290．遺言</p><p>美智上へ行くって</p><p>現在、ここにいる戦闘要員は、わたくし、マルゴお姉様、麗華お姉様、関様の４名です居残りが一人ならば、残りの３名が出撃するのは当然かと</p><p>美智は、平然とそう言う</p><p>でも、美智あなたは、まだ中学生なんだから</p><p>みすずが、口を挟む</p><p>他の皆さんにお任せして美智がここに残るべきではないの</p><p>確かに麗華と関さんは、香月セキュリティ・サービスのトップ・エリートだし</p><p>マルゴさんだって、恭子さんに鍛え上げられたプロだ</p><p>美智は工藤流古武術継承者とはいえ、任務としてみすずの警護役になってまだ日が浅い</p><p>順当に考えれば、ここには美智を残すべきなんだろう</p><p>ミナホ姉さんが、オレを見て言った</p><p>オレの意見</p><p>そうよ、あなた今何を考えているのいえ何を感じている</p><p>オレが感じていること</p><p>頭の中で理屈では判っているのだけれど</p><p>感覚的に、何か警報が鳴っている</p><p>あたしみたいに大人になるとね理屈と感覚の差に惑わされることが多いのよ現実的に考えれば、おかしいことなんだけれど感覚では大丈夫だと思って、行動して失敗することも多いわ経験から得た感覚って、間違っていることが多いからだから、大人になったら理屈で行動した方がいいの常識的に考えて、そんなことはありえないっていう判断ね</p><p>ミナホ姉さんは、言う</p><p>でも、あなたはまだ若くてこういう危機に直面した経験なんて、ほとんどないでしょだとしたら感覚を優先させた方がいいと思うのあなたの生存本能は、どうした方が良いって言っている</p><p>オレなんかが、自分の感覚で話をしてしまっていいんだろうか</p><p>何でもいいからあなたが、今、感じていることを言ってみて</p><p>ミナホ姉さんは、信頼の眼でオレを見てくれている</p><p>うんじゃあ</p><p>心に引っ掛かっていることを言ってみようか</p><p>上に行くのは今、心の中がテンパってないメンバーで行くべきだと思う</p><p>テンパる</p><p>ああっと男子学生的な表現だったな</p><p>マナには、判らないか</p><p>えっと今、心がいっぱいいっぱいで、テンションが上がりすぎになっている人は、判断力がおかしくなっていると思うんだだから、心が落ちついていて、判断力が鈍っていない人で部隊を組むべきだと思う</p><p>具体的に言ってご覧なさい</p><p>いいからみんなの安全に関わることだから、はっきりと言った方がいいわ</p><p>上に行くのはマルゴさん、関さん、美智の３人だよ麗華は、ここに残った方がいい</p><p>わたくしは、判断力を失ってなどおりません充分、闘えます</p><p>美しい男装の麗人が強い眼で、オレを睨む</p><p>そうやって何でも、平気そうな顔をするのが、麗華の悪いところだと思うよ</p><p>谷沢チーフが、麗華をジッちゃんの専任警護人に抜擢しなかった理由何となく、判ったよ</p><p>ど、どういうことでございますか</p><p>麗華がオレを問い詰める</p><p>麗華は自分の美学にこだわりすぎなんだよ</p><p>美学</p><p>部屋の中の人間が、全員オレと麗華に注目する</p><p>眠っちゃっている、真緒ちゃんを除いて</p><p>香月の家の内側の話を突然、聞かされてさそれで、これからも、警護人として仕えてくれなら問題はないけれど、家族にならないかって誘われたら普通は困惑するよ今の関さんみたいに関さんの反応が、当たり前なんだと思う</p><p>でも、麗華はそこではい、判りましたお受けしますって言った方が、自分の美学に合った行動だと思ったんだろだから、そうした</p><p>わたくしは、覚悟はできております自分の選んだ道を後悔してはおりません全て、納得した上で皆様の家族にしていただきました</p><p>麗華は、少し強い声でそう言う</p><p>ちょっと、興奮している</p><p>やっぱり冷静じゃない</p><p>うん、麗華が一度約束したことは死んでも守る人だってことは判っているだから、オレは家族として麗華を受け入れるでも、麗華の心は無理をしていると思う</p><p>そんなことは、ございません</p><p>そうかな麗華は、何かある度にオレたちの家族になったことを、自分に納得させるための言葉を言っているよ何度も何度も</p><p>自分の現在の状況を受け入れるためにわざと、少し過激な発言をしている</p><p>無意識的なもので本人は、気付いてないんだろう</p><p>でも、それは麗華の心が、急激に変わった麗華の状況に追いついていなくてアップアップしているからで</p><p>最初はさ麗華は、ものすごくマイペースな人で、少し鈍い人なのかと思った</p><p>いや、鈍いですよ藤宮さん</p><p>関さんが、ポロリと本音を言う</p><p>いいえ、違います麗華の本質は、繊細でデリケートなんですだから、わざと豪放で思い切りの良い人格を演じているんです</p><p>オレの視線から麗華は逃れる</p><p>その英国紳士の男装もそうだけれど割と形から入る人ですよねそして私はこういう人間だと他人に示すことで、自分の心を防御している麗華の心の中に、理想の麗華が居てその理想に近付こうと、いつも体当たりで突撃していくから、他の人には麗華は割り切りの良すぎるマイペースな人格に見えるんだと思うよ</p><p>わ、わたくしは何もかも、ちゃんと納得して受け入れています皆様の家族になったことだって</p><p>いや、だから麗華の気持ちは全然疑っていないし、今だってオレたちは麗華のことを歓迎しているよでも、頭では割り切れていても心は</p><p>心</p><p>ああ麗華の心はオレとセックスして、オレの子を産むということには戸惑っているだから、一生懸命、真緒ちゃんと交流して自分に子供ができた時のシミュレーションをしてみたりさっきから、子供を産むということについてばかり、話しているじゃないか</p><p>そうだ麗華は</p><p>無理して、オレとセックスするとか子供を産むとか、そういうことは考えなくていいよ</p><p>あ、主様わたくしは家族失格でございますか</p><p>そういうことを言っているんじゃないよ麗華はもう、みんなのお姉さんだよこのまま、家族の中に居てくれていいんだ</p><p>そうだ問題は、そこじゃない</p><p>別にオレの女にならなくてもいいよせっかく家族になったんだから</p><p>オレの言葉にみすずは</p><p>待って下さい旦那様あたしたちは本当には血縁の無い家族ですですから、旦那様との交わりを要として、家族としての結束を</p><p>いや、違うよみすず</p><p>それは最初は、オレとしか繋がりのない子が多かったから、たまたまそうなっただけのことで別に、これからもずっとそうでないといけないことでは無いんだよ</p><p>みすずが、オレを見ている</p><p>いいやもし、オレが死んでいなくなったとしてもこの家族は、続いていくよもうっていうかそうじゃないといけないんだよ</p><p>ミナホ姉さん、克子姉、渚、マルゴさん、寧さんそれから、ジッちゃんもし、オレが今日、この後、死んだとしてもメグやマナ、それからみすずに瑠璃子、美智と麗華オレたちの家族のこと、頼むよみんなが幸せに生活できるようにしてあげて欲しいんだ</p><p>旦那様何を言っているんです</p><p>みすずが、呆然としている</p><p>年長者を代表してミナホ姉さんが、オレに言ってくれた</p><p>あなたの家族は、あたしの家族よどんなことがあっても見捨てないわ全員、きっと幸せにするから</p><p>うんミナホ姉さん</p><p>オレはみすずたち、年少組の少女たちを見る</p><p>みんなもお互いに仲良くなって、本当の姉妹みたいに助け合っていって欲しい</p><p>ヨシくん、どういうことなの</p><p>メグとマナも心配そうに、オレを見る</p><p>オレはマルゴさんたちと、上へ行くから</p><p>オレの言葉に少女たちは愕然とする</p><p>ま、待って下さい旦那様</p><p>そうよ、ヨシくんが行かなくたって</p><p>いいや、オレは行く行かないといけないんだ</p><p>ジッちゃんが、オレを見る</p><p>別にお前が行く必要はない上には、わしが行こう</p><p>そう言うと、思った</p><p>重役の中の誰が裏切り者なのか、判断しないとならないし何より、あいつらは私の命令しか聞かないだろう私が行かなければ、どうにもなるまい</p><p>そこは黒い森流に片を付けるよそうだよね、マルゴさん</p><p>そうだね誰が裏切り者か判ったら、実力行使で黙らせればいいよねそれで、他の重役さんたちや私塾の子らと隔離してくればいいんでしょ</p><p>暴力で、無理矢理言うことを聞かせばいい</p><p>わざわざ、ジッちゃんに出張って貰う必要は無い</p><p>私が命令すれば、一言で済むのだぞ</p><p>敵は、ジッちゃんを狙っているむざむざ上に上がっていけば、敵の思う壺だよ</p><p>しかしだな</p><p>ジッちゃんは、納得しようとしない</p><p>ジッちゃん悪いんだけれど、みすずと瑠璃子のために、今は生き続けてくれないか</p><p>ジッちゃんが、どうして自分の命を危険に晒そうとしているのかは判らないけれどいや、きっとジッちゃんのことだから裏に意図があることは判っている</p><p>そうだ私は、私の計画に従って行動している</p><p>シザーリオ・ヴァイオラを、このホテルに呼び込むということ</p><p>ホテル一つを犠牲にするような、大胆すぎる行動</p><p>オレとみすずの仲を簡単に認めてくれたこと</p><p>自ら家族入りしてくれたことだってみすずと瑠璃子を、ミナホ姉さんに託すためだろうし</p><p>私塾の連中の前で、みすずを後継者にする宣言をしたことだって性急すぎる</p><p>ジッちゃんは何か隠している</p><p>自分の命の危険を感じてみすずと瑠璃子のために、急いで色んな事を決めた感じがする</p><p>でも今のジッちゃんは、少し焦っているよ冷静じゃないこのまま上に行って、裏切り者やヴァイオラと対決するべきでは無いと思う</p><p>だからと言ってなぜ、お前が上に行く</p><p>ジッちゃんが、叫ぶ</p><p>それはあたしが上に行くからでしょ</p><p>その声は寧さんだった</p><p>どどういうことかね</p><p>驚くジッちゃんに寧さんは</p><p>この緊急避難室は絶対に安全なんでしょ香月さんが、ミィちゃんやルリちゃんを避難させているんだから</p><p>ああ裏切り者にも、ヴァイオラにも気付かれない自信が無ければ</p><p>ジッちゃんは、大事な二人の孫娘をここに連れては来ない</p><p>でも、あたしがここに居る限りヴァイオラは、執拗にホテル内を探し回ると思うのもしかしたら、何かの拍子にこの部屋の存在に気付いてしまうかもしれない</p><p>それに敵のターゲットが、全員ここに集まっているというのは得策じゃないよね</p><p>だからあたしは上に行って、敵の前に姿を見せて攪乱するべきなんだと思う</p><p>うん寧が姿を見せることで敵をさらに分断することができる香月さんや白坂家の反抗勢力を狙う部隊と、寧を追う部隊に</p><p>寧さんなら、そう言い出すと思っていた</p><p>妹たちの安全を確実なものにするためには寧さんは、この部屋から出ないといけない</p><p>オレも寧さんと一緒に、上の階へ行かないといけない</p><p>寧さんを守るために</p><p>オレの強い意志を知ってみすずが不安そうに、そう言う</p><p>みすず今日は、頑張ったな凄いと思うよ</p><p>一度は、ジッちゃんに香月家から追い出される覚悟までしてそれで、ジッちゃんと対決して香月家を丸ごと引き受ける約束をして私塾の連中とも渡り合った</p><p>みんな旦那様のおかげです</p><p>違うよみすずの力だ大好きだよ、みすず</p><p>オレはみすずの身体を抱き締める</p><p>だから今日はもう、これ以上頑張らなくていい</p><p>お前が、家族のリーダーになる必要なんてないんだゆっくり休んでいろよ</p><p>みすずの身体が、震える</p><p>みすずはオレの女なんだよな</p><p>だったら今は、これ以上頑張るな</p><p>みすずには、オレの言葉の意味が判らないらしい</p><p>メグがさ、ちょっと前に、今のみすずと同じ症状だったんだよ</p><p>症状</p><p>オレとある程度、信頼関係ができた段階でずっと、その関係が続くのか不安になっちゃうんだよ不安だから、メグの場合はオレとのセックスに溺れようとしたセックスで、不安を消そうとしたんだみすずの場合は</p><p>あたしの場合</p><p>家族の年下組のリーダーになることで、オレとの関係を強化しようとしているんだよ無意識的に</p><p>そうだあの頃のメグと同じだ</p><p>みすずも不安なんだ</p><p>元々、黒い森のメンバーでないみすずは、コンプレックスがあった</p><p>だから自分に近い、美智や瑠璃子や麗華というメンバーを新たに家族に加入させようとした</p><p>そして、瑠璃子にオレとのセックスを見学させたり</p><p>美智の処女喪失を公開したりした</p><p>でもさ美智も瑠璃子も、みすずの支配下にはならないよ二人とも、強い女の子だもの麗華だって、命令されれば何でも従うような人間じゃない</p><p>オレは、みすずを抱き締めたまま瑠璃子を見る</p><p>瑠璃子はまだ、オレのこと信用していないだろ</p><p>信頼はいたしておりますお兄様の何事にもフェアなところは、瑠璃子、大好きですわ</p><p>うん、そんなものだろう</p><p>みすずが、どれだけオレを薦めたって瑠璃子の様な、しっかりした女の子が簡単にオレを受け入れるはずがない</p><p>こういうことはさすべて時間を掛けて、ゆっくり関係を作っていくしかないんだよみすずだって、最初からオレのことを信頼してくれていたわけではないだろ</p><p>みすずと本当に心が通じたのは２回目のセックスぐらいからだ</p><p>最初からでは無い</p><p>わたくしは、完全にご主人様を信頼しております</p><p>美智が、自信満々に言った</p><p>心と心が同調致しましたから自分自身と同じくらい、ご主人様を愛おしく感じています</p><p>まあ工藤流古武術奥義は、特別だ</p><p>普通の人間同士では、あんな心の交流はできないんだし</p><p>とにかくみすずは急ぐな今のまんまじゃ、みすずが他の子たちを急かして、みんなでオレの取り合いになってしまうよ</p><p>旦那様の取り合い</p><p>そうさみんな、他の女よりも、よりオレとの関係を強くしたいと思うからただオレを取り合うだけで、疲弊しちゃうよ</p><p>それはそうかもしれませんが</p><p>そんなことをしているヒマがあったらさどんどん、他の女の子と仲良くしろよ誰がリーダーで、誰と誰がグループとかそういう力関係のゴタゴタは抜きにしてくれみんな家族で姉妹なんだからさ</p><p>オレが死んでもお互いに助け合うことができる姉妹になってくれ</p><p>みすずがオレを見上げる</p><p>例え話だよオレとの関係を強化することばかりに、集中しないでくれってことさもっと家族として結束しろってこと</p><p>みすずは、うつむく</p><p>オレ、みすずのことを責めているんじゃないよみすずは、今日色んなことがあって神経が高ぶっているんだよ本当に今日のみすずは、一生懸命頑張ったもの</p><p>オレは、ギュッとみすずを抱き締める</p><p>だからしばらく大人しくして、心を落ちつかせてくれいいな</p><p>はいあの、旦那様</p><p>なんだいみすず</p><p>あたし申し訳ありませんでしたきっと、あたし、旦那様の良い奥さんになりますから</p><p>みすずは、とっくにオレの良い奥さんだよ</p><p>オレは、みすずにキスをする</p><p>ふんすっかりやられてしまったな</p><p>仕方無いお前たちの気の済むようにしろ</p><p>どうにか、自ら上階へ行くプランは諦めてくれたらしい</p><p>はいじゃあ、瑠璃子オレがいない間は、みすずやメグと相談してみんなのことを頼むよ</p><p>瑠璃子は、驚く</p><p>ああ、多分、瑠璃子が年少組では、今、一番冷静なんだと思うんだ</p><p>メグやマナは白坂家から見捨てられたこともあって、もっとテンパっている</p><p>マナがやたらとオレに擦り寄って来るのも見捨てられるのが怖いからだ</p><p>雪乃を責めるのも不安の裏返しだろう</p><p>何だかんだ言って血の繋がっている雪乃と話すのが、一番気楽なんだと思う</p><p>今のこの状況で必要なのは冷静な神経の持ち主だ</p><p>どんな事も、瑠璃子の視点で分析し直してみる方がいいと思うみんなも、瑠璃子の意見に注目して</p><p>オレは、みんなに言った</p><p>とにかく香月さんとみすずさんと瑠璃子さんの３人は、このままこの部屋に居て貰うよこの３人が敵に捕まったら、その段階でこっちの負けでゲームオーバーになるからね</p><p>上に行くのはあたしと寧と、関さんと美智ちゃんそれに君っていうことでいいのかな</p><p>マルゴさんの言葉にオレは</p><p>雪乃も連れて行きます</p><p>へあたし</p><p>雪乃が驚いてオレを見る</p><p>ああ雪乃の眼が、必要なんだ</p><p>毎日、父には同じ話をします</p><p>今、入院している病院の位置と、家からどれくらいの時間で来れるのかと</p><p>私は毎日、自転車で来ていること</p><p>しかし父は、毎日、忘れてしまいます</p><p>また今日も、同じ話をするのでしょう</p><p>291．遺言　（その２）</p><p>あ、あたしは、嫌よ</p><p>だってここに居れば、絶対に安全なんでしょ</p><p>雪乃のこういう割り切った視線が今のオレたちには、必要だ</p><p>お前、オレが居なくなったこの部屋に居るのって辛くないのか結構、針のムシロだと思うけれど</p><p>オレは、意地悪く脅す</p><p>雪乃は、みすずやメグ、マナを見る</p><p>みんな雪乃には好意的では無い</p><p>むしろ雪乃に対して反感を持っている</p><p>旦那様がお出かけになられるのでしたら、その人は連れて行って下さい</p><p>みすずが、フォローしてくれる</p><p>そうねあたしも、雪乃と同じ空気を吸うのは嫌よ</p><p>ミー・トゥーです</p><p>メグとマナも</p><p>わ、判ったよ出て行けばいいのね出て行けば</p><p>雪乃も本質的には、同世代の女子が苦手だ</p><p>雪乃は、男にちやほやされるのが好きだ</p><p>自分より綺麗で可愛い女の子が近くに居るのは好きではない</p><p>だから、白坂家内ではメグのことを徹底的にイジメていたし</p><p>妹のマナのことも、ずっと小馬鹿にしていた</p><p>その代わり絶対にあたしを守りなさいねいいわね</p><p>雪乃はプンプンしながら、そう言う</p><p>確約はできないねむしろ、雪乃さんの方こそ、あたしたちから離れないで姿が見えなくなっても、捜索する気はないから</p><p>マルゴさんは、冷たく言った</p><p>雪乃との交渉は、いつだって脅して言うことを聞かせるしか無い</p><p>雪乃はいつだって、自分優先で他人無視なんだからフィフティ・フィフティな取引は不可能だ</p><p>恐怖で縛るしか雪乃を繫ぎとめることはできない</p><p>ホント自分のことばかりで、他人には興味が無い女なんだよなあ雪乃は</p><p>雪乃は、このまんまの格好で連れて行く</p><p>今の雪乃は、黄色と黒の縞々のドレスに、変なメイク黄縞黒子状態のままだ</p><p>戦闘区域に連れて行くのは、ちょっと派手過ぎるんじゃないだろうか</p><p>いいんじゃない目立ってた方が</p><p>あ雪乃は完全に囮に使う気なんだ</p><p>マルゴさん、割り切っているな</p><p>いえ上には、工藤さんの配下の方たちもたくさんいらっしゃいますからその派手さでは、フリーの戦闘要員と勘違いされる恐れがありますわ</p><p>関さんが、そう言った</p><p>そうかヴァイオラの手下たちは、相当、バンバルビー３や他のフリーの人たちに煮え湯を飲まされているから</p><p>雪乃がこんな格好でウロウロしていたら、問答無用で銃撃されるかもしれない</p><p>えっとこの部屋に、着替えとかある</p><p>オレはジッちゃんを見る</p><p>そっちの棚を見てみろプレイ用に、幾つかコスチュームが入っているはずだ</p><p>ジッちゃんの部下は多分、谷沢チーフだと思うけれど</p><p>本当に用意がいい</p><p>ジッちゃんがここに避難してきた時に、女の子を連れ込むことを想定して</p><p>何でもセックス用のグッズを置いているんだ</p><p>ここまで用意されているとなると</p><p>ジッちゃんが、性的に枯れているという話は、本当だろうか</p><p>谷沢チーフって、ジッちゃんの健康状態だって熟知しているはずだろう</p><p>克子姉はジッちゃんは、もう何年もお屋敷の中でセックスしていないと言っていたけれど</p><p>どれがいいナース服に、ボンテージ、セーラー服もあるけれど</p><p>克子姉が、クローゼットを開けてこちらに振り向く</p><p>普通の服は無いの</p><p>不機嫌そうに言う雪乃に克子姉は</p><p>あなたには聞いてないわよ</p><p>雪乃を無視してオレを見る</p><p>雪乃さんには、どの服を着せる</p><p>セーラー服にしよう</p><p>ピンクのナース服やボンテージみたいなエロ衣装だと正直、バンバルビー３の仲間にしか見えない</p><p>雪乃は、現実に１６歳の少女なんだからセーラー服を着れば、年相応に見えるだろう</p><p>髪型やメイクは、どうする</p><p>校則遵守で</p><p>いやよ、あたし地味なのは</p><p>雪乃は、そう言うが</p><p>戦場で派手なのはどこから撃たれても文句が言えないけれど、いいんだね</p><p>マルゴさんの言葉に、黙り込む</p><p>それじゃあ克子は、雪乃さんの準備をして</p><p>あなたはあっちの部屋へ来てちょっと事前の打ち合わせがしたいの</p><p>打ち合わせ</p><p>そうね渚と寧、瑠璃子さんも来て克子も雪乃さんの着替えは、あっちの部屋でやってあなたにも居て欲しいから</p><p>克子姉が返事する</p><p>一緒に上階へ行く寧さんや関さんは判るけれどここに残る渚や瑠璃子さん、克子姉と何の話をするんだ</p><p>マルゴは</p><p>判っているよミナホこっちで美智ちゃんと打ち合わせしているよ</p><p>それでいて戦闘チームの2人だけは、こっちの部屋で打ち合わせさせるなんて</p><p>麗華お姉さんちょっと、真緒の様子を見ていてくれますか</p><p>渚が、落ち込んでいる麗華に優しく話し掛ける</p><p>この子、一度寝たらなかなか起きない子ですけれどちょっと心配だから</p><p>いいのわたくしで</p><p>力なく、麗華は呟く</p><p>はい家族ですから</p><p>渚は、癒やしの微笑で麗華に答えた</p><p>判った真緒ちゃんは、わたくしが見ています</p><p>お願い致しますお姉さん</p><p>美子では、ちょっと行ってきます</p><p>美子さんは、心配そうだった</p><p>大丈夫ですわたくしも、黒森様とはお話ししてみたかったから</p><p>瑠璃子は、お付きの年上の少女にそう告げる</p><p>お祖父様のことよろしくお願いね</p><p>いいから、ずっとお祖父様のお側に居て離れないでね</p><p>美子さんが、不思議そうな顔をして返事する</p><p>瑠璃子さんこちらへ</p><p>ミナホ姉さんが、隣の監視室へ続くドアを開いて瑠璃子を呼ぶ</p><p>今、参ります</p><p>瑠璃子が、立ち上がる</p><p>オレと渚と寧さんも</p><p>そしてオレたちは隣の監視室の方へ向かう</p><p>ちょっと、こっち見ないでよ</p><p>モニターとパソコンの並んだ部屋の奥に雪乃と克子姉が行く</p><p>雪乃は着替えのセーラー服を抱えていた</p><p>いや、見るよオレが見るのはもう判っているだろう</p><p>雪乃が着替えを見るなというのならオレは見る</p><p>オレがそういう性格だってこと、雪乃はいつになったら判るんだろう</p><p>判ったわよじゃあ、見てなさいよもおっ</p><p>ぷんぷん怒りながら雪乃は、黄色と黒のドレスを脱いで行く</p><p>お前身体のラインだけは綺麗だよな</p><p>おっぱいは大きく無いけれど雪乃はスタイルがいい</p><p>雪乃は、ギッとオレを睨む</p><p>今だけよもうすぐ、あなたの身体のラインは崩れちゃうんだから</p><p>克子姉が、雪乃に言った</p><p>妊娠して赤ちゃんを産むんだからね</p><p>雪乃がうつむいてブルッと震える</p><p>女の子らしい、綺麗な身体のラインも２、３ヶ月後には変わるからお母さんらしい体つきにね</p><p>ミナホ姉さんが、雪乃に冷たく宣言する</p><p>諦めなさい確実にもう妊娠しているってことは、あなたにだって判っているでしょう</p><p>うんこれだけ毎日膣内射精していれば</p><p>妊娠しないはずがない</p><p>避妊なんて、一度もしていないのだから</p><p>さて、瑠璃子様</p><p>ミナホ姉さんは、雪乃を無視して瑠璃子を見る</p><p>香月様の監視はマルゴにもやらせています</p><p>ドアを閉めた瞬間ミナホ姉さんが瑠璃子に言った</p><p>お心遣い、感謝致します</p><p>瑠璃子が頭を下げる</p><p>さっきは諦めたような口振りでしたがお祖父様のことですお一人で突然、上階へ向かわれようとするかもしれませんから</p><p>ミナホ姉さんも瑠璃子もジッちゃんの言葉を信用していない</p><p>ジッちゃんはまだ、危険を顧みず上の階へ戻ろうとしていると考えている</p><p>だから瑠璃子は、美子さんにジッちゃんから離れないように命じ</p><p>ミナホ姉さんは、マルゴさんに監視させている</p><p>香月様が、何をなさろうとしているのか瑠璃子様はお判りですか</p><p>ミナホ姉さんは、尋ねた</p><p>判りません黒森様こそ何かしらご存じなのでは</p><p>あたしは幾つかのケースを想像していますが、確証はありません</p><p>今回の騒ぎを起こした張本人はお祖父様なのでしょうか</p><p>このホテルに敵を誘導したり裏切り者と他の重役を同じ場所に集めたり何かしら関わっておられるのでしょうが、香月様が全ての黒幕では無いと思います</p><p>今回のシザーリオ・ヴァイオラというアメリカ人犯罪者の襲撃は、あくまでも突発的に起こったことです香月様は、この機会を利用しようとなさっているだけで全ての準備を香月様がなさったとは、あたしには考えられませんただ</p><p>香月様が、今回の騒ぎを利用して何かをなさろうしていることは確かですしかも急いでいらっしゃるこのホテル一棟丸ごと使い捨てることも覚悟して</p><p>確かに、普段の何事にも慎重なお祖父様からは考えられない性急さだと思います</p><p>瑠璃子も、ジッちゃんの行動が気になるらしい</p><p>なぜ、ご自分の専任警護人である大徳さんや張本さんをお側に置かれていないのか普段なら、谷沢さんだってお祖父様からは離れないはずです関さんや藤宮さんしか、お側に置かないなんて異常な状況としか、思えません</p><p>そう言えば香月セキュリティ・サービスは、何をしているんだ</p><p>ジッちゃんの護衛はどうなっているんだろう</p><p>しばらくは様子を見ましょう今、お尋ねしても、香月様は何もお答えにはならないと思いますし</p><p>はいわたくしもそう思います</p><p>本当にジッちゃんは何を企んでいるんだ</p><p>香月様の件は、一先ず置いておくとして瑠璃子様</p><p>さきほどのみすずさんのことですが</p><p>二人の会話に着替え途中の雪乃が口を挟む</p><p>さっきのあれ、面白かったわよね</p><p>面白かった</p><p>あんたさあのみすずって子が、ウザクなったんでしょ</p><p>雪乃が、見下す眼でオレに言う</p><p>ま判るけどねあんな風にやたらめったらにベタつかれたら、あんな可愛いお嬢様でも嫌になっちゃうわよねあんたの気持ちも判るわ</p><p>下卑た笑みで雪乃はオレを笑う</p><p>オレはメンドくさいとか、ウザったいとか、全然思ってないよ</p><p>嘘吐きそんなはずないじゃない</p><p>雪乃お前さ、この際はっきり言っておくけれどさ</p><p>一生懸命に頑張っている人間を馬鹿にするな</p><p>雪乃が、ギョッとした顔でオレを見る</p><p>死んだバァちゃんによく言われたんだ例えどんなことであろうと、一生懸命頑張っている人間は偉いんだ認めないといけないんだ</p><p>みすずはオレや、香月家や、オレたち家族のことを考えて、一生懸命頑張っているんだそりゃあ、ちょっとやり過ぎだったり強引なところもあるけれど、みすずなりに精一杯考えてやっていることなんだそのみすずの心は、無視しちゃいけないんだ認めてあげなきゃいけないんだ</p><p>黙り込む雪乃</p><p>ミナホ姉さんが、瑠璃子に言う</p><p>あなたはどう思いますか瑠璃子様</p><p>はい、わたくしもお兄様と同意見です</p><p>だからあたしたちの家族に参加することを同意して下さったのね</p><p>はいわたくしはどうせ自分の望む通りの結婚はできませんからわたくしとみすずお姉様が、同じ男性と結ばれるというのはいささか突飛な解決策だとは思いますが、それでみすずお姉様が幸せになられるのなら、良いだろうと判断しました</p><p>瑠璃子はみすずのために、家族になることを受け入れてくれた</p><p>わたくしとみすずお姉様二人とも望まぬ結婚をして不幸せになるよりも、みすずお姉様だけでもお好きな男性と結ばれた方が良いですわそれに、わたくし嬉しかったんです</p><p>みすずお姉様は昔からご自分のお心をお隠しになって、香月家や周囲の人たちのために行動なさる方でしたから何でも、人のことが優先でご自分のことは我慢なさってばかりでそんなみすずお姉様が、お兄様と結ばれるために遮二無二に頑張っていらっしゃる姿を見ていたら、とても嬉しくなって</p><p>それで、みすずのプランを受け入れたのか</p><p>はいそれに、決して悪いプランではありませんよ私塾の方と結婚することになったり、余所の名家の方と縁組みさせられるよりはマシですわたくしはずっと、香月の家の中に居たいと思っていましたし、美子とも離れたくありません何より、わたくし</p><p>瑠璃子は、言う</p><p>男の方に命令されるの大嫌いなんですお兄様みたいな方でしたら、わたくしに何かを強いることは無いと思いますし</p><p>いや、確かにオレは別に、瑠璃子に命令するつもりはないけれど</p><p>お兄様とみすずお姉様が結婚なさってでも、お兄様は香月家の経営には携わらないというのは、本当に良い選択だと思いますそして、経営の中枢はみすずお姉様が握り、わたくしは香月家の象徴として存在するわたくしとみすずお姉様による、共同支配というのはとても魅力的ですし実現させたいと思っています</p><p>この１５歳の美少女は強かだ</p><p>瑠璃子は生まれながらにして、香月家の正嫡の後継者として育てられてきているのだから</p><p>わたくしの様な不調法な女は、お兄様のお好みには合わないと思いますがどうぞ、末永く可愛がって下さいませ</p><p>瑠璃子はオレに頭を下げる</p><p>そのお行儀良すぎる態度にオレは、反発する</p><p>瑠璃子あのな</p><p>オレはなお前のこと、本当に抱きたいんだよお前は可愛いし、綺麗だから</p><p>お褒めいただいて、ありがとうございますお気遣いいただいて申し訳ありません</p><p>気遣いなんかじゃない</p><p>最初に見た時からお前とセックスしたいって思っていた</p><p>お前を抱いて、お前の中にオレの精子を流し込みたいって思っていたんだ</p><p>あの何をおっしゃっているんです</p><p>瑠璃子は、それくらい魅力的ってことだよっ</p><p>ご冗談を瑠璃子には、魅力なんてありません</p><p>そんなわけないだろ</p><p>皆様瑠璃子に良くして下さいますし、褒めて下さったりもしますがそれはあくまで、瑠璃子が香月の家の娘だからですわたくしには、判っています</p><p>こいつも</p><p>捻れているなあ</p><p>判った瑠璃子お前、香月家やめろ</p><p>このホテルの戦闘で、瑠璃子は死んだことにしよう</p><p>そんで、あらためてオレのとこに来い</p><p>あ、そんなんじゃ足りないな</p><p>黒い森の流儀で行こう</p><p>瑠璃子オレ、お前を誘拐することにする</p><p>でオレの女にする香月家には返さないはっきり言って、香月家なんてオレにはどうでもいいし</p><p>うんこれが正しいな</p><p>一生、可愛がってやるからお前はもう二度と、香月家のことなんて考えなくていいんだずっとずっと、オレに誘拐されたままなんだから</p><p>どうして、そんなことをおっしゃるんです</p><p>瑠璃子の仮面が剥がれていく</p><p>そんなのお前が可愛くて、お前とヤリたくて溜まらないからに決まっているだろ</p><p>香月家の後ろ盾の無いわたくしなんて何の価値も無い女でございますっ</p><p>価値が無いって思うんなら、オレにくれお前は、オレが磨き上げてやるっ</p><p>何も無しの素っ裸の瑠璃子がいいんだ丸裸で、オレに誘拐されろっ</p><p>オレたちの様子を、雪乃が呆れ顔で見ている</p><p>あいつにとっては、またオレが馬鹿げたことを言っているようにしか見えないのだろう</p><p>お前自分にあるのは香月家の名前だけで、自分自身には何の価値も無いと思っているんだろ</p><p>そうです香月家の後ろ盾が無ければ、わたくしなんて何の意味もありません</p><p>オレは香月家の部分はいらないんだお前が無意味だっていう瑠璃子の本質だけが欲しいんだ</p><p>わたくしの本質</p><p>瑠璃子は可愛いよ</p><p>オレたちの会話にミナホ姉さんが、介入する</p><p>また女の子と約束してしまったわね</p><p>これでもう簡単には死ねないわよ</p><p>いいえ絶対に、死なせないから</p><p>平日の後半はツライ</p><p>毎日、父にこの病院はどこにあるのか判ると聞いていますが</p><p>昨日の返答は仙台あたりかでした</p><p>台北よりは近くなったけれど</p><p>東京都内なんです</p><p>毎日、説明しているんですけどね</p><p>292．遺言　（その３）</p><p>あなた、今死ぬことを考えているでしょ</p><p>いや、別に死のうとか、死にたいとか、そういうんじゃないよ</p><p>オレは答える</p><p>ただ、オレ今、ここで死んじゃった方が、いいのかなって気がして</p><p>どういうことですお兄様</p><p>瑠璃子が、驚いて尋ねる</p><p>いやさみすずも、メグも、マナもさみんな、オレとの関係を強めることだけに意識を集中させて、ちょっと暴走気味になっているだろ</p><p>そうね、確かにあの子たちはあなたに依存し過ぎていると思うわ</p><p>ミナホ姉さんが、オレの言葉にそう言った</p><p>うんみんな悪い子じゃないんだけれど一生懸命で、必死なだけででも、このままじゃいけないと思う</p><p>切実にオレはそう感じる</p><p>確かにオレを接合点にして、家族が集まって来たっていうことはあるんだろうけれどこれからは、オレを抜きにして家族同士でもっと交流して、仲良くなっていくべきなんだと思うんだ</p><p>実際そういう方向になりつつある</p><p>メグやマナには、今まであんまり喋ったことのない人と交流しろって言ってあるし</p><p>みすずも、一人だけ突出することはもうないと思う</p><p>それでみんながちゃんと家族になって、お互いを支え合うようになったらオレはもう、いらないわけじゃないか</p><p>いらない</p><p>瑠璃子は、呆然としている</p><p>そうだよ今はみんな、寂しくて心を埋める相手がいないから、たまたまオレのところに来てくれているだけだろ家族がちゃんと機能して、みんな心に余裕が持てるようになったら、みんなオレなんかじゃなくもっと、良い人と付き合っていくべきだよ</p><p>あ、あんた自分が欠陥人間だってことは、判っているのね</p><p>雪乃が、ニヤッと笑う</p><p>判っているよオレ何も無い人間だもの</p><p>良かったわそれさえ判っていないような男だったら、こっちがたまらないもの</p><p>うんオレに犯され、人生をメチャクチャにされた雪乃には</p><p>何を言われても仕方が無いと思う</p><p>自分がさっさと死んだ方がいい、救いようのないクソ野郎だってことちゃんと判っているってことよね</p><p>死んだ方がいい人間だ</p><p>みすずやメグやマナにとっては今、ここでオレが死んだ方が良いような気がするんだオレが死んでも、ミナホ姉さんたちがあいつらを助けてくれることは判っているしジッちゃんだって、約束した以上は家族を見捨てたりはしないよ</p><p>ジッちゃんの真意は判らないけれど</p><p>香月重孝は、約束したことを反故にするような人間ではない</p><p>むしろ、オレがここで死んだ方があいつらは、オレのことを吹っ切れるしその方がいいんじゃないかって思ういや、別に本当に死にたいわけじゃないよただ、そんなことも考えるんだよオレ</p><p>今のオレはもう家族には不要なんじゃないかって</p><p>美智さんは、どうするの</p><p>美智はもう大丈夫だよこれからのあいつは、武道家として、自信を持って生きていくよみすずやオレに依存することはもうないと思う今のあいつは、しっかり自分の足で立っているもの</p><p>麗華お姉さんは</p><p>麗華は自分の家族が欲しい人であって、別にオレの女になりたいわけじゃないものこのまま、みんなで受け入れてあげたら、それでいいじゃないか</p><p>瑠璃子さんのことは</p><p>オレが答える前に瑠璃子が口を開く</p><p>お兄様が、そこまで正直にお話下さいましたから瑠璃子も、お話致します先程も言いましたが、わたくしはみすずお姉様と一緒に、お兄様にお仕えすることは構わないと思っています香月の家を守るための選択肢としては、アリだとでも、心の奥底で今ここで、お兄様が亡くなられたらなという気持ちも確かにあります</p><p>わたくしは今回の件でみすずお姉様のお心が良く判りました今後は何事も、みすずお姉様と共闘して、香月の家を盛り上げていくということについては異存はありません決して、敵対は致しませんわわたくしみすずお姉様が大好きですし</p><p>今までは、お互いの心の内がよく判らなくて疑心暗鬼だったんだろうけれど</p><p>現在のみすずと瑠璃子は、心と心の信頼関係が築けている</p><p>ですからわたくしとみすずお姉様の関係には、お兄様という仲立ちは必要ありませんみすずお姉様が、心底お兄様を愛しておられるということは判っておりますしわたくしも、そのことは尊重しておりますがお兄様が、この段階で亡くなられたらまた別の選択肢が生まれるということを、つい考えてしまいます</p><p>香月家を支配しようという野心を持っている男を排除して自分たちのパートナーには、企業グループの経営に参画させない</p><p>香月家は、みすずと瑠璃子で共同統治する</p><p>そこまではいいのだろう</p><p>しかし、瑠璃子にとっては別にオレでなくてもいい</p><p>どこの誰だか判らないオレよりも</p><p>家柄と血筋の良い男で野心の無い男を探して来た方が</p><p>この計画は、より堅固で完璧なものになる</p><p>うんそうだろうなよく判るよ</p><p>やっぱりオレ、ここで死んだ方がいいんだな</p><p>オレが死んだらあちこちに角が立たないで、丸く収まるような気がする</p><p>何だよ、瑠璃子</p><p>瑠璃子は困惑していた顔面蒼白だ</p><p>わたくし今、わざとお兄様を怒らせるために酷いことを申し上げました</p><p>本当にお兄様はみすずお姉様やわたくし、ひいては香月家全体のことまでお考えになって下さっているのですね</p><p>だってお前たちが幸せにならなきゃ、意味が無いじゃないか</p><p>わたくしのことも家族だと思って下さっているのですね</p><p>いつからいつからです</p><p>いつからわたくしを家族だと思って下さっていますか</p><p>いや、いつからだなんてはっきり覚えていないけれど瑠璃子のことを、瑠璃子さんでなく瑠璃子って呼んだ時から、腹は括っているよ</p><p>腹を括る</p><p>ああこいつはもう、オレの家族なんだから幸せにしなくちゃいけないんだって</p><p>覚悟はできている</p><p>結局あなたの頭の中には、いつも、あなた自身の幸せが欠落しているのね</p><p>さて、最後に尋ねるけれどあたしたちのことはどうする気あたしと、克子と、渚と寧は</p><p>４人の年上の女たちがオレを見る</p><p>そ、それはでも、ミナホ姉さんたちは強いから、オレがいなくても平気だろ</p><p>ミナホ姉さんが、ハァッと溜息を吐く</p><p>良い機会だから言っておくわ前に、あなたに言ったでしょ何があっても、最低一人の女は、あなたから離れないって</p><p>確かにそんなことを言われたと思う</p><p>そのことなんだけれどあなたの居ない時に、あたしと克子と渚の３人で取り決めをしたの</p><p>取り決め</p><p>もしあなたが死んだら、あたしたち３人の中でその時に一番あなたに近い場所に居た女は一緒に死ぬから</p><p>絶対にあなた１人では、死なせないから</p><p>大丈夫よ、残った２人が後のことはちゃんとするわみすずさんや、恵美やマナさんの面倒も見るわ美智さんや麗華お姉さん、瑠璃子さんたちのこともね</p><p>そうよ一番近い場所に居た１人だけが、あなたを追って死ぬの</p><p>あたしたち、そう決めたんだから</p><p>ミナホ姉さん克子姉渚</p><p>でも、渚は真緒ちゃんが</p><p>真緒のことも御名穂さんと克子にお願いしてあるわ</p><p>全部、あなたが死んだらってことが前提の話よあなたが、生きていてくれたら起こらないことなんですからね</p><p>渚が涙目でオレを見ている</p><p>あたしも死ぬよっヨッちゃんが死んだら、そっちの３人とは関係無しに</p><p>あたし弟が先に死ぬのを見るの、もう嫌だものヨッちゃんが死んだらあたしも一緒に死ぬとっくに、そう決めているよっ</p><p>寧さんは、ニコッと微笑んでくれた</p><p>だから、あなたは絶対に死んではダメなのよ</p><p>克子姉が瑠璃子に言う</p><p>告白するけれどあたしも渚もお嬢様も、元娼婦なの</p><p>娼婦</p><p>瑠璃子はジッちゃんによって性的な知識を制限されてきた</p><p>娼婦が何だか、判らないのだろう</p><p>悪い男に無理矢理誘拐されて奴隷のように働かされてきたのよ何年も</p><p>まあ、</p><p>あたし自分にはもう、人並みの幸せは来ないって思っていたわパン屋さんになるのがあたしの夢だったけれどそれはただの妄想で、絶対に実現する可能性は無いって思っていた</p><p>だってあたしの心も身体も、すっかり汚されていてこんなボロボロのあたしが、生き続けていて良いのかって、ずっと思っていたからあたしにはもう、誰からも愛される資格はないし、あたしも誰も愛してはいけないって思っていたあたしは汚れた女だから</p><p>そんなことは無いよ</p><p>あの頃のあたしは自暴自棄でパン屋さんになりたいっていう妄想だけで、何とか自分を保っていたわあなたに出遭うまでは</p><p>あたしという汚れた女に価値を見出してくれたのは、あなたよあなただけよあなたがいないと、あたしはダメなのまた、自暴自棄なだけの心が溺れた女に戻ってしまうわ</p><p>あたしも、そうよあたしは足を洗うことができてお花屋さんを始められたけれど、やっぱり自暴自棄になっていたあたしの過去は、あたしの心を蝕んでいたもの特に、真緒の存在は</p><p>真緒はあたしの宝よあの子のためなら、あたしどんな辛いことでも耐えられるでもあの子は、あたしが望んで産んだ子じゃないそのことがあたしの心にずっと突き刺さっていたの</p><p>真緒ちゃんは父親が誰だか判らない</p><p>渚が娼婦としてたくさんの男たちに避妊せずに犯され続けて、妊娠した子だ</p><p>あたし何度か、恋をしてみようと頑張ったの結婚相談所にも登録したのよお見合いもしたことがあるわでもどんなに素敵な人に出会っても、真緒のことを全て話すことはできなかったわいいえあたし自身のことも</p><p>渚は震えていた</p><p>あたしと克子は、高校一年生で誘拐されて娼婦に堕とされたあたし、一度も恋ってものを体験していなかったのだから、恋してみたかっただけど普通の男性には、あたしの過去も、真緒の出生についても、どうやっても話すことはできなくて</p><p>娼婦としての過去犯されて産んだ子</p><p>だから、あたしどうしても、恋ができなくてそれであたしも、自暴自棄で自堕落な生活をしていたわ</p><p>渚はお店の美少女店員たちをペットにしていた</p><p>男と恋愛できないから年下の女の子たちを誘惑していた</p><p>だけどねあたし、今、恋をしているのよあなたに</p><p>渚が、オレに言う</p><p>あなたはあたしを元娼婦では無く、真緒のお母さんでもなく１人の女の子として見てくれている愛してくれている</p><p>覚えているこの間あたしのお店を脅しに来たヤクザさんと交渉するのに、あなたが工場街の小さなお店にまで来てくれたじゃない</p><p>覚えているよ</p><p>お店に入る前に、あなた体操していたわよね</p><p>あれはちゃんと身体を慣らしておかないといけないかなって</p><p>すっごくおかしかった楽しかった一生懸命なあなたの気持ちが伝わってきて胸が熱くなったあの時、あたし高校生の頃に戻った気がしたの</p><p>あなたと一緒に居ることにドキドキしてあなたは絶対にあたしに嘘をつかないし、心の中が全部顔に出るでしょそれでいて、いつも思い切ったことばかりするんだものあなたを見ているとワクワクが止まらないの</p><p>ただ、頭の悪い、馬鹿な男っていうだけで</p><p>あたし、恋しているわ一生に一度の恋だと思うあなただけよあたしは、あなたの前でだけは、本当に心も身体も裸になれるのあなたじゃないとダメなのよ</p><p>渚は、ほろほろと涙を零した</p><p>だから死なないで生きていて他に何人女を作ってもいいわあなたのためなら、何でもするわお願いだから生きていて</p><p>うん、ヨッちゃん生きていてよ生きていてくれるだけでいいから死んじゃったら、もう会えないんだよ生きていてよ、ヨッちゃん</p><p>お願いあなた</p><p>渚寧さん克子姉</p><p>ごめん、オレみんなの気持ち、全然判っていなかった</p><p>みんなオレがいなくなっても、平気だって思い込んでいた</p><p>あなたがいるから、みんな救われてきているのよ</p><p>ミナホ姉さんが、穏やかに言った</p><p>むしろ、あたしたち年上組の方があなたがいないと生きていけないわ</p><p>だから自分を大事になさい</p><p>そうだよっ、ヨッちゃんが死んだら、ホントにあたしも死ぬからねっ</p><p>あたしたちだってねえ、克子</p><p>うん渚</p><p>判った生きるよ、オレ何があっても、必死になって生き残るよ</p><p>ここまで言ってもらった以上オレは、絶対に死ねない</p><p>それまでずっとオレたちの話を黙って聞いていた関さんが、口を開く</p><p>ど、どうしたの関さん</p><p>オレには関さんの言葉の意味が判らない</p><p>わたくしは、閣下の専任警護人ですからもちろん、皆様のプロフィールについては存じ上げています</p><p>つまり黒い森という売春組織と</p><p>そのメンバーである、ミナホ姉さんたちのことについて</p><p>ですが皆様のお気持ちというものを理解していませんでしたそれどころか娼婦であった皆さんを、心の中では見下げていました</p><p>仕方無いわ普通のお嬢さんには、そう思われても仕方無いですもの</p><p>ミナホ姉さんは、笑って関さんにそう答える</p><p>本当に、誘拐されたのですか</p><p>あたしは１２歳の時に、克子と渚は高校生になったばかりの時期に、誘拐・拉致・監禁されて無理矢理に娼婦にさせられました</p><p>ミナホ姉さんの答えに、関さんは震える</p><p>それは存じ上げませんでした</p><p>ええ、特に公表はしていませんから</p><p>香月セキュリティ・サービスの調査票にも、そこまでは書いてなかったのだろう</p><p>あたしたちを娼婦に堕としたのは白坂創介という人間ですですから、あたしたちは何年も掛けて、娼婦の世界を脱し、白坂創介に復讐する機会を狙っていたのです</p><p>それで、全て合点がいきました</p><p>関さんの中で今回の件での、黒い森の動きが繋がったらしい</p><p>閣下の思惑とは別に黒森様たちは、ご自分の復讐を遂行なさっておられるのですね</p><p>そういうことです付け加えると、今、ホテルを襲撃しているシザーリオ・ヴァイオラという悪党は、寧の両親を殺害し、寧と寧の弟を誘拐して奴隷にしていた男です寧は、あたしたちが奴隷の境遇から救い出しましたが、寧の弟はヴァイオラの配下に殺されましたヴァイオラがここを襲撃しているのは、白坂本家の要請もありますが寧を取り戻すためでもあります</p><p>関さんは、まっすぐにミナホ姉さんを見る</p><p>判りました充分ですわたくし全力を尽くします</p><p>それは香月セキュリティ・サービスのトップ・エリートとしてのお言葉ですか</p><p>ミナホ姉さんの言葉に関さんは</p><p>１人の女として皆さんのお気持ちに共感しました</p><p>関さんが、フッと微笑む</p><p>今まで、誰にも話したことはないのですがわたくしの父は酒乱で、いつも酔って暴れては母に暴力を振るうような人間でした</p><p>幸い、わたくしが小学校３年生の時に両親が離婚し父とは離れることができましたが実の父がそういう男であったことは、あたしの心に深く陰を落としました</p><p>フッと溜息を吐く関さん</p><p>わたくしが一度も恋愛をしなかったのは、それが原因だと思います普段は、温和しくて気弱な男性が、お酒を飲んだ途端に粗野で乱暴な人間に変貌するわたくしには、男というものが信用できないのです</p><p>あたしたちもそうよ男はもうこりごり</p><p>だから少年を愛することにしたの</p><p>それにこんな馬鹿正直な子、なかなかいないわだから、あたしたちもこの子の前では素直になれるの</p><p>克子姉が、優しい眼でオレを見る</p><p>うんっヨッちゃんは、ちょっとお馬鹿なところがいいんだよねっ</p><p>わたくしアメ車も好きですが、アメリカン・バイクも好きなんです</p><p>ハーレー・ダビッドソンて判る</p><p>名前ぐらいは</p><p>今度、乗せてあげるから</p><p>赤い顔で、関さんは言った</p><p>気持ちいいのよ風を切って走っていると</p><p>そうよわたくし、イライラすると中央高速をブッ飛ばすのあそこ、あんまり車が走っていない時があるから</p><p>大丈夫よ、あなたを乗せている時は、あんまり無茶しないから</p><p>何かよく判らないけれど</p><p>とにかく、関さんのハーレーに乗らないといけなくなったらしい</p><p>あ、判りましたよろしくお願いします</p><p>約束したからねっ</p><p>最近の父は、品川がブームです</p><p>昨日も、今日は、品川でパーティがあるから、行かないといけない</p><p>とか、突然言い出しました</p><p>品川のどこ</p><p>と、尋ねると多分、海の方だと言います</p><p>もちろん、そんなパーティはなく、全て妄想です</p><p>何かよく判らないのですが品川に何か、心残りがあるみたいです</p><p>ちなみに、毎日恒例のこの病院はどこにあるか判るを聞いてみたところ</p><p>品川のどこかだ</p><p>いや、都内ではあるんですが全然違うぞ</p><p>毎日、病院の場所と、自宅からどれくらいの距離なのか話しているんですけどねえ</p><p>あと、昨日は、リハビリ担当の＊＊と言う先生が来たと私に言うのを看護士さんが聞いていて</p><p>昨日じゃありません、２時間前のことじゃないですか</p><p>と言ったところ</p><p>いや、日本とは日付の切り方が違うんだ</p><p>との返事</p><p>父よ、あなたは今、どこに居るんだ</p><p>293．彼のこころ</p><p>関さん</p><p>わたくしには、あなたっていう男の子のことは、まだよく判らないけれどっていうか、わたくしには男の人全般がよく判らないけどでも、あなたが悪い子じゃないってことは、よく判ったわもっとよく知り合うべきだって</p><p>関さんの言葉に、克子姉が言う</p><p>何でも、関さんがこの子に教えてあげたいことを話して下さい今のこの子は、どんなことでも興味津々で吸収していますから</p><p>そうですよ、あたしたちの話はいつだって眼を見て、真剣に聞いてくれるんですから</p><p>渚も、笑っている</p><p>わたくしが話せることなんてアメ車とアメリカン・バイクと、アメリカ映画の歴史ぐらいよ</p><p>あ、教えて下さいオレ、そういうの全然知らないですから</p><p>関さんは克子姉たちを見て</p><p>あなたたちが男にうんざりして、少年を選んだっていうの何となく判るわわたくしもたまに、同じ趣味の男性と出会っても自分より知識が薄いくせに、偉そうな態度を崩さないバカ男か、馬鹿みたいに詳しすぎてこちらの話を重箱の隅を突っつくみたいに一々揚げ足を取るクソバカ男か、どっちかしか出会わなかったものわたくしの話を聞いてくれて、あたしの趣味を一つ一つ教えてあげられるっていいかもしれないわね</p><p>だから、あたしはこの子にパン作りを仕込むんですっ</p><p>克子姉は、クッククと嬉しそうに笑う</p><p>あたしは何を教えようかしらお花屋さんの仕事や、華道はちょっと違うわよねあっ、そうだじゃあ、あたし、この子にセックスを教えるわ</p><p>ちょっとちょっと渚っそれは、あたしもやるからっ1人で教え込まないでッ</p><p>そうだよっあたしもヨッちゃんにセックス教えるぅぅ</p><p>いや、もう突っ込むのも疲れた</p><p>３人とも、いい加減にしなさい</p><p>ミナホ姉さんが渚、克美姉、寧さんを叱った</p><p>コツコツと足音を立てて、オレに近付いて来る</p><p>ミナホ姉さんは、そのままオレをギュッと抱き締める</p><p>ミナホ姉さんの身体は、細くて肉が付いていない</p><p>普通の女性なら、幼い少女から大人の女へそして母へと、成長と共に肉体が変化していくのに</p><p>１６歳で二度とセックスできない身体にされてしまった、ミナホ姉さんは</p><p>少女のまま第二次性徴が止まって女性的な柔らかい肉体にはならなかった</p><p>そうだ、この骨張った細い身体は</p><p>少女の肉体だ</p><p>少女の体型のままミナホ姉さんは、年齢を重ねた</p><p>身長だけは高くなったけれどこの身体は、絶対に母親の肉体に変化することの無い少女のままだ</p><p>あたしに身体を預けて深呼吸なさい</p><p>ミナホ姉さんが、オレの耳にそう囁く</p><p>すぅはぁぁ</p><p>ごめんなさいね</p><p>あたしあなたに、色んなことを強いているわよね</p><p>そんなオレはただ、自分がしなくちゃいけないことをしているだけだよ</p><p>ミナホ姉さんに、何かを強いられてなんていない</p><p>そうじゃないわあなたが、自分がしなくちゃいけないと思っていることのほとんどは、本当はあなたがしなくてもいいことなの</p><p>普通の子だったらとっくに、放り出して逃げ出しているわ</p><p>だって逃げるわけにはいかないじゃないか</p><p>ミナホ姉さんが、オレの額にそっとキスをする</p><p>そう言ってくれるあなただからあたしたちは、ここまで来れたありがとう</p><p>そんなオレは、何もしていないよオレ、みんなの役には立っていないじゃないかオレには武術の能力も、コンピューターの知識も無いミナホ姉さんの復讐の手伝いだって、全然できていない</p><p>いいえあなたは、よくやってくれているわ</p><p>ミナホ姉さんが、オレの眼を見る</p><p>だからそんなに怖がらないで</p><p>怖がっている</p><p>克子、渚、寧</p><p>ミナホ姉さんが、３人に声を掛ける</p><p>どうしたの先生</p><p>３人とも不安げな表情でオレたちを見る</p><p>どうして、この子があたしたちに従順なのか判る何で、この子があたしたちの言うことを絶対に拒絶しないかどうして、何でも受け入れてくれるのか</p><p>この子怖がっているのよあたしたちに、見捨てられるんじゃないかってだから、あたしたちに嫌われないように、一生懸命頑張っているのよ</p><p>それじゃあ、マナみたいじゃないか</p><p>マナは、オレに見捨てられることを恐れてだから、いつもハイテンションでオレに迫って来る</p><p>この子もね必死なのよ</p><p>ミナホ姉さんはオレの眼をジッと見る</p><p>オレもマナと一緒</p><p>普通の高校一年生が両親に捨てられて、一人ぼっちになってしまって将来の展望が何一つ見えない状態で、あたしたちに出遭って</p><p>オレは両親に捨てられて</p><p>あの薄暗い家に、１人だけ取り残されて</p><p>親父が残した預金通帳の中の金しか持っていなくて</p><p>この後、どうなるのかどうすれば良いのか、何一つ判らなくなっていて</p><p>相談する人、助けてくれる人もいなくて</p><p>ただ、毎日雪乃を見て、雪乃でオナニーすることだけに現実逃避して生きていた</p><p>あたしは、この子をあたしの復讐のために利用したわなのに、この子はあたしを信頼してくれてあたしのためにあたしたちのために、頑張ってくれたあたし、いつもこの子に酷いことばかり強いてきたのに</p><p>ミナホ姉さんの計画のままに雪乃をレイプして</p><p>何度も何度も、繰り返しレイプして</p><p>それから克子姉や、寧さんや、マルゴさん黒い森の人たちと知り合って</p><p>渚、みすずメグマナ美智、瑠璃子麗華</p><p>しまいには、ジッちゃんまでが、オレたちの家族になってくれた</p><p>強いられてなんかいないよ楽しいよ、オレうん、楽しかった</p><p>何もかも、みんな夢みたいでさ</p><p>うんオレには、家族がいる</p><p>ホント夢みたいだ</p><p>夢じゃないわ</p><p>これは、みんな現実なのみんな、本当にあなたのことを愛しているの絶対に、あなたを見捨てていなくなったりしないからっだから</p><p>ミナホ姉さんの眼が潤んでいる</p><p>オレも、頭では判っているんだよでも</p><p>だけど、こんなことあんまりにも夢みたいだから、ずっと続かないような気がして</p><p>だから、せめてどの人に対しても一生懸命、精一杯、悔いが残らないようにしようって今のオレは、それだけだよ</p><p>ミナホ姉さんが、さらに強い力でギュッとオレを抱き締める</p><p>そんなに怖い信じられないあたしたち</p><p>ううん信じてるよむしろ、オレが信じられないのは、オレ自身だよ</p><p>あなた自身</p><p>だって今、オレの周りに居るのは、みんな魅力的な女の人ばかりじゃないかきっと、みんなオレなんかじゃなくって、もっと凄い男の人と付き合うべきなんだよ</p><p>そうなのかしら</p><p>前にミナホ姉さんは、雪乃のことを話した時に、オレに教えてくれたろ女の子だって、セックスを覚えたらもっと色んな、良い肉体の男性ともセックスしてみたくなるものだって</p><p>男が、色んな女の子とセックスしてみたいと思うように</p><p>女だって、色んな男の身体に目移りする</p><p>そうねそんな話をしたわね</p><p>みすずは男嫌いになるように育てられたし、レズッぽいところがあるから判らないけれどメグやマナは、きっと他の男にも興味を持つと思う特に、マナはアイドル歌手とか好きだったからオレよりも顔やスタイルの良い男の方が好きだと思うしいや、メグだってもっとスポーツマンの男の子の方が好きだと思うみすずだって、オレよりももっと頭が良くて格好いい男の人に惹かれていくと思うし</p><p>怖いのね他の男に、自分の女を取られるのは</p><p>だってオレは他の男よりも、全然劣っているんだからダメな男なんだから敵わないよ勝てるはずが無いんだ</p><p>誰があなたをダメな男だって言ったの</p><p>それはオレの母親が</p><p>あのオレを見下す顔を思い出す</p><p>母親がいつも言っていたオレは親父の遺伝子の方が強くて母親の遺伝子は全然伝わっていない、ダメ人間だって親父と同じ、ダメ人間で生きている価値が無い人間だって</p><p>オレの母親は不機嫌なことがあると、いつもオレと親父を罵った</p><p>オレと親父を罵り続けることで気分転換をした</p><p>子供の頃からずっと</p><p>あたしあなたのお母さん、ブチ殺してくるわっ</p><p>克っつん、あたしも行く</p><p>そう言う克子姉と寧さんに対しミナホ姉さんは</p><p>２人とも黙りなさい</p><p>そしてオレを見て</p><p>いいかげんにしなさいっ</p><p>あなたまだ吉田のつもりなのっあなたは、黒森よっどうして、あたしたちがあなたを吉田って呼ばなくなったか、判らないの</p><p>学校を脱出してから</p><p>みんな、オレを吉田と呼ばなくなっている</p><p>これってミナホ姉さんの指令だったのか</p><p>あなたは黒森の子ですっあたしの弟よここには、誰もあなたをダメだなんて思っている人間はいませんっあなたは、あたしの自慢の弟よあたしの誇りなの自信を持ちなさい</p><p>ミ、ミナホ姉さん</p><p>あなたが自分に自信が無いっていうのなら、あたしが自信を持てるようになるまで教育しますっあなたは、あたしの生徒でしょ先生を信じなさい</p><p>オレを抱き締めてミナホ姉さんが、囁いてくれた</p><p>あたしだって、お姉ちゃんだよっ何だって相談してくれていいし、甘えてくれていいんだからねっ</p><p>あたしだって、そうよ家族でしょ</p><p>他の３人に相談できないことは、あたしに言ってねそれから、あたしの家はあなたの家なんだから、いつでも寛ぎに来て真緒も待っているわ</p><p>来週中には、あなたのお父さんを見つけ出して正式にあなたを黒森の家に迎え入れますあたし、本気よあたしの戸籍に入って貰うわ本当に黒森の子になるのよいいわね</p><p>オレ、あのミナホ姉さん</p><p>言葉が出て来ない</p><p>戸籍に入ったら一生、あなたは黒森の子よあたしの弟よもう、何の遠慮もいらないからあたしの弟なんだからね</p><p>細い腕がオレを抱いている</p><p>ついでだから、寧もあたしの籍に入りなさいそしたら、彼とも本当の姉弟よ</p><p>やったぁ、先生大好きっ</p><p>寧さんが大喜びする</p><p>克子と渚も、入りたかったらいいのよいっそ、みんな、戸籍の上でも本当の家族になりましょうか</p><p>えっとあたしは、ご遠慮しておきます</p><p>あたしはこの子の恋人でいたいから近親相姦は、克子に任せるわ</p><p>そっか、同じ戸籍に入ったら、近親相姦よねそれ、いいわねっ</p><p>ちょっと、克子姉</p><p>まあ、ちょっとだけ考えさせて下さいでも、心配しなくてもいいわよあたしも渚も、もうあなただけだから他の男は、もういいわよ</p><p>そうね娼婦時代に散々、酷い目に遭ったものねあなただけがいいのよ</p><p>渚が、オレに優しく微笑んでくれる</p><p>とにかくあたしたちは、もう永遠にあなたの家族よあなたが嫌でも、離れないからそういう覚悟をしちゃっていますからね</p><p>克子姉も、そう言ってくれた</p><p>あたしたちは、あなたを見捨てて離れたりはしません約束するわ</p><p>だからあなたの中に、色んな感情を溜め込まないで辛いことは、全部、あたしたちに吐き出しなさい</p><p>ミナホ姉さんは、優しくそう言ってオレの頭を撫でてくれた</p><p>それであなたは、みすずさんや、恵美や、マナさんも、あなたから離れて行ってしまうんじゃないかって心配なのね</p><p>もしあの子たちが、あなた以外の男の子とセックスしたがったらヨッちゃん、どうする</p><p>寧さんが尋ねた</p><p>それはだって、オレの方は色んな女の人とセックスしているわけですから</p><p>あの子たちが、他の男と浮気するぐらいは許してあげる最後に、ヨッちゃんのところに戻って来てくれたら、それでいい</p><p>戻って来ませんよ</p><p>一度、他の男とセックスしたらオレなんかより、その男の方が良いに決まっているんですからオレのところには帰って来ませんよ</p><p>どうしてもそう悲観的なのかなあ</p><p>そう言われても寧さん</p><p>正直に答えてあなたは、あの子たちが他の男とセックスするのは嫌なの</p><p>渚がオレに尋ねる</p><p>そりゃあ嫌ですでも、たくさんの女と関係しているオレがそんなことを言うのは間違っているよね身勝手過ぎるよね</p><p>いいんじゃない身勝手で</p><p>克子姉は、言った</p><p>というかもっと、身勝手になりなさい</p><p>そんなことできないよ</p><p>うんとさヨッちゃんの気持ちも判るんだけれど、人間てさ理屈じゃ無いから</p><p>だって、ヨッちゃんはあの子らに浮気されたくないんでしょ一度でも浮気されたら、別れなきゃいけないって思っているんでしょ</p><p>オレ人間が小さいですよね</p><p>普通だよ普通こんなことの器がデカイ人なんて、かえって気持ち悪いよ博愛も度が過ぎれば、奇人変人だからねっ</p><p>それならさあらかじめルールを作っておけばいいのよ</p><p>渚がそういう提案をする</p><p>こういうルールよ女の子が浮気したら、その子は家族から離れるもちろん、裸で放り出したりはしないわ生活に困らない程度の保障はするけれどとにかく、家族の中からは出て行って貰うそうなったら、あなたはすっぱりその子を諦めるもう一生、その子とは関係しない</p><p>渚さん、それいいかもっあらかじめ、そういうルールになっているのに、それでも女の子が他の男と関係するってのは浮気じゃなくって、もう本気だってことだもんねそんなら、ヨッちゃんだって、スッパリ諦めなきゃいけないって思うでしょ</p><p>そりゃあ本気の恋なら</p><p>オレは身を引くしか無い</p><p>オッケー、そういうルールにして、みんなに伝えましょう</p><p>結局さ、他に男を作って出て行っちゃうような女は、ヨッちゃんが何をしたって変わりはしないのよヨッちゃん、そう思って割り切った方がいいと思うよ</p><p>割り切る</p><p>あなたは今いる女の子たちを全員キープしておきたいけれどでも、あの子らの何人かは、自分を捨てて出て行ってしまうって不安なんでしょ</p><p>それなら最初っから全員は残らないんだって割り切ってしまいなさい出て行く子がいるのが当然だって想定しておけば心が楽になるわ</p><p>そうだね、ヨッちゃんは身勝手になるのはできなくても割り切るならできるでしょ</p><p>そうか何もかも現状をキープしておきたいと思うから、辛いんだ</p><p>最初から、出て行く子もいると思っていたら耐えられる</p><p>どっちにしてもさ、今みたいにさヨッちゃんが、女の子たちに嫌われるのが怖いからって、何でもかんでも相手してあげているのは、サービス過剰だと思うよこのまんまだと、ヨッちゃんがアップアップして倒れちゃうよこんなのさ、ある程度のところで割り切らないと</p><p>あの寧さんの話はよく判るんですけれど具体的にどうしたら良いのか、オレには、それが判らなくて</p><p>そんなの簡単だよ今みたいに、女の子が求めて来たら何でも対応するのは続けてもいいけれどさ、あ、ちょっとこれは嫌だなと思ったことは、ちゃんと断るそれだけでいいんじゃない</p><p>でも断られたら、女の子は嫌じゃないですか</p><p>ちゃんと理由を言えば大丈夫だよみんな、意地悪な子じゃないもの今は時間が無いとかこれ以上疲れると、次の予定に差し障るとか、そういうのでいいからそれでも我が儘を言う子がいたら、あたしや克っつんがシメるよメグちゃんが家族の学級委員長なら、あたしは家族の番長をするからっ</p><p>寧さん、番長って</p><p>ていうか女の子たちだって、１００パーセント自分の希望通りになるとは思っていないわよとりあえず、勢いであなたに甘えているだけなのよ</p><p>なのに、ヨッちゃんが一生懸命、女の子に応えようと頑張っちゃうから</p><p>それで、最近ちょっといい気になっている子が若干名いるわよね</p><p>うんうんいるよねえ</p><p>ちょっとシメとこうか副番長</p><p>番長がそう仰るのならあたしは付き合いますけど</p><p>寧さんと克子姉番長と副番長が、ニヒヒと笑い合う</p><p>いや、あのあんまり無茶なことはしないで</p><p>大丈夫だヨッちょっとお灸を据えるだけだからっ</p><p>そう、そうそれなりにね</p><p>いや２人のそれなりは、怖いよ</p><p>その必要はないわ</p><p>え、先生どういうこと</p><p>あれを見なさい</p><p>ミナホ姉さんがモニターを起動させる</p><p>その画面に映ったのは隣の部屋</p><p>緊急避難室の居間が映し出される</p><p>あの、あれって</p><p>驚く、寧さん</p><p>まあびっくりですわ</p><p>ずっと大人しく話を聞いていた瑠璃子が、声を上げる</p><p>その画面の中では</p><p>みすずとメグとマナの３人が</p><p>全裸で、床に土下座をしていた</p><p>もしかしてミナホ姉さん</p><p>そうよ、この部屋の中での会話はずっと向こうの部屋に聞こえるようにしていたの</p><p>みすずも、メグも、マナもオレたちの話を聞いていた</p><p>それで、今全裸土下座</p><p>みすずたちだけでなく吉田くんもずっとギリギリで頑張っていたんです</p><p>一度、そのことを明らかにしておかないとマズイかなと思いました</p><p>吉田くんだって、ずっとみんなに見捨てられるんじゃないかって、不安だったんです</p><p>彼は、精神的に強い人間ではありません</p><p>普通の人間です</p><p>心の容量はそんなに大きくないです</p><p>今日の父は大分、喋れるようになりましたし</p><p>トイレも自分で行けるようになりました</p><p>ただ病院の位置だけが、何度教えても覚えられません</p><p>今日聞いたら横浜かと言いました</p><p>都内だっての</p><p>294．授業</p><p>３人とも、何か言いたいことはある</p><p>ミナホ姉さんが、マイクに向かって喋る</p><p>向こうの部屋とは、回線が繋がっているのだろう</p><p>あのあたしたち</p><p>代表して、全裸のみすずが土下座したまま話す</p><p>あたしたち旦那様が何でも応えて下さることに甘えていました</p><p>それで自分の不安を、ヨシくんにぶつけて</p><p>お兄ちゃんに相手して貰うことで心を落ち着けていたと思います</p><p>メグとマナも頭を下げたまま、そう言った</p><p>そんな、オレは別に</p><p>オレの言葉を、ミナホ姉さんが手で制止する</p><p>あなたは、今は黙っていて</p><p>お嬢様の言う通りよここで簡単に許してあげると、あの子たちのためにならないから</p><p>あたし旦那様も、あたしたちに嫌われたくないって一生懸命だったこと全然、判っていませんでした</p><p>うんヨシくんは、どっしりとあたしを受けとめていてくれているって信じていたから</p><p>マナたちのこと、大切に思ってくれているから幾らでも、甘えていいんだと思っていました</p><p>３人の謝罪の言葉は続く</p><p>渚様や克子さんたちは旦那様のご負担にならないように、適度に旦那様と接していらっしゃるのに</p><p>そうね年長の皆さんは、ヨシくんが本当に助けて欲しい時にだけ、手助けして自分の欲求だけを押しつけたりはしていないのにあたしたちは、いつも自分の心の渇きを潤して貰おうとヨシくんに寄り掛かるばかりで</p><p>うん寧さんなんて、あたしたちの前では、絶対にお兄ちゃんとイチャイチャしないもんね我慢しているんだよね</p><p>いや克子姉と渚は、節度を弁えていてくれているけれど</p><p>寧さんの場合は</p><p>もう、何て説明すりゃいいんだろう</p><p>あたし、本当に旦那様だけですから一生旦那様以外の男性とはしません旦那様じゃないとあたしダメなんです</p><p>あたしだって、そうよヨシくんヨシくんじゃないとダメなのっ</p><p>マナだって、そうだよお兄ちゃん以外の人なんて、気持ち悪いもの</p><p>３人は一斉にそう言うけれど</p><p>もし、どうしてもご心配でしたらあたしのお腹に、雪乃さんみたいに旦那様のお名前を入れ墨して下さいもう、絶対に旦那様以外の男の人とはできないようにあたしの恥ずかしい写真だって、いっぱい撮って下さい</p><p>あたしも、そうしてヨシくん以外の人の前では、恥ずかしくて裸になれない身体にして</p><p>マナも身体中にお兄ちゃんの名前を書いていいから</p><p>そんな３人にミナホ姉さんが、言う</p><p>そういう過度な要求が彼を苦しめているって判らないのあなたたち</p><p>ビクッと震える３人</p><p>だいたい身体に名前を刻んで貰えないと、あなたたちは自分の貞操も守れないぐらい弱い女の子なわけそんなの雪乃さん以下じゃない</p><p>ミナホ姉さんの発言に、雪乃が吠える</p><p>あたしは関係ないでしょ</p><p>ミナホ姉さんはククッと鼻で笑って</p><p>彼にレイプされたことを隠したまんま、遠藤くんとセックスしようとしていた子が何言ってるのよ</p><p>自分でもそろそろ気付いているでしょ白坂雪乃という女の子の本質は、淫乱の変態だってこと</p><p>違うわあたし、淫乱でも変態でもないわ</p><p>あらそうでも、あなたの身体は、もう変態的なセックスでないと満足できなくなっているわよ高校生らしい爽やかな恋愛をして、恋人とセックスする青春なんてもうあなたには来ないってこと、判っているでしょ</p><p>雪乃の眼に涙が溜まる</p><p>ホントよく喚くし、よく泣くわよね、あなた</p><p>呆れ顔でミナホ姉さんは雪乃を見下している</p><p>まあ、いいわ次の機会には、あなたの方が土下座して彼にセックスして下さいってお願いすることになるから</p><p>そんなこと、絶対にしないわよっ</p><p>するわよ雪乃さん気持ちいいことに弱いから雪乃さんが気持ち良くなるセックスをしてくれる相手は、この子しかいないかゆいところに手が届くっていうか気持ち良いところを擦ってくれる相手はね</p><p>ミナホ姉さんは、雪乃を挑発する</p><p>そんなの嫌よあたしこんな男ダイッ嫌いなんだから</p><p>そう言いながら雪乃は、ぽろぽろと涙を流した</p><p>オレは雪乃に、声を掛ける</p><p>雪乃がジロッとオレを睨む</p><p>いや何か、久しぶりに雪乃らしい雪乃に出遭った様な気がしたから</p><p>雪乃はお笑い芸人みたいな黄色と黒の縞々ドレスを脱いで、セーラー服に着替えていた</p><p>どこの学校の制服なのかは判らないけれど白地に濃紺の普通のセーラー服だ</p><p>髪型も普段通りだし、変なメイクも落としている</p><p>うん雪乃は、やっぱり美人なんだな</p><p>オレは、正直に感想を述べる</p><p>な、何よあんた、あたしをバカにしているわけっ</p><p>涙を流しながら雪乃がオレに怒りをぶつける</p><p>ああいつもの雪乃との会話だ</p><p>オレと雪乃の間には深くてでっかい溝がある</p><p>オレたちは、絶対に判り合えないし恋人にも、友人にもなれない</p><p>どれだけセックスを重ねても心と心は平行線のままだろう</p><p>この距離感が遠い距離から眺めているしかない心の隔たりが</p><p>とても、愛おしく感じる</p><p>ほーら、あなたたちがゴリ押しで彼をイジメている間に彼の方は、雪乃さんと一緒に居る方が気が楽になっちゃったみたいね</p><p>ミナホ姉さんの言葉に画面の中の全裸の３人は、ブルルッと震え上がる</p><p>判る今のまんまのあなたたちじゃ彼の負担が増えるだけなのよあなたたちと居ると、彼はずっとあなたたちを気遣うばかりで、心が安まらないんだもの</p><p>いや、別にいいんだよ、ミナホ姉さんオレは、みんなに頼りにされるのが嬉しいし、みんなのためになりたいんだから</p><p>オレは、そう言うが</p><p>でも、今のままではあなたの心と身体が参ってしまうわよこの子たちは、身勝手で我が儘だからよく、こんな子ばかり３人も相手にしているわね</p><p>画面の中の３人は小さく震えている</p><p>あなたたちの処遇は、彼と話し合って決めますあなたたちも、そちらの部屋で３人で話し合いなさい</p><p>そう言ってミナホ姉さんは、音声回線のスイッチを切った</p><p>あちらの部屋の画面には審議中の文字が浮かぶ</p><p>こちらから、向こうの部屋はモニターできるが</p><p>あちらからは、こちらの部屋の様子は見られないらしい</p><p>あみすずが中心になって、３人で相談を始めている</p><p>あっちの部屋にはマルゴがいるし３人での話し合いが、変にシリアスな方向へ行ったら修正してくれると思うわ</p><p>画面を見ながらミナホ姉さんが、言った</p><p>先生あたしも、あっちに行こうか</p><p>寧さんが、そう言うと</p><p>ダメよ寧や、渚や克子だとあの子たちは甘えてしまうからマルゴなら、優しさと厳しさと両方兼ね備えて、あの子たちと接することができるし</p><p>うんマルゴさんは、家族だけどオレの女じゃないから</p><p>あの３人とは、一線を画して対応することができる</p><p>寧さんや渚や克子姉だと妹に優しすぎるんだよな</p><p>それにしても美智さんは、成長したわね</p><p>ミナホ姉さんは、画面の奥の美智を見ている</p><p>美智はマルゴさんと素知らぬ顔で、上階へ行く打ち合わせを続けている</p><p>前の美智さんだったらみすずさんに付き合って、一緒に全裸土下座の輪に加わっていたでしょう</p><p>美智にとって、みすずは絶対的な主人だし</p><p>でも、今回のこれは自分が関わらない方が良いってことを理解して、後ろに引いてくれているわ</p><p>そうだこの全裸土下座に美智が加わるとややこしくなる</p><p>メグはみすずにコンプレックスを感じていたし</p><p>みすずは、自分が年少組のボスになろうとしていた</p><p>マナは、何かある度にオレに擦り寄り続けていたし</p><p>ここに、みすずの臣下である美智が加わると３人のバランスが崩れる</p><p>３人が正直に話し合いをするためには美智はいない方がいい</p><p>あなたとの処女喪失での同調で自信がついたみたいねあなたとの間に、はっきりと絆を感じているんだと思うわ</p><p>あっちの３人より今は、あなたと心が通じているって感じているのねだから、何の心配もしないでいられるのよ</p><p>渚もそう言う</p><p>まあたしたちが、とっくの昔に通った道だけどねっ</p><p>結局さ自分がどう思っているかってことが全部なんだよヨッちゃんの心がどうであろうと、自分は死んでもヨッちゃんを裏切らない自分で自分の心をそう決めたら、それだけでもう何の心配もいらなくなるんだよね</p><p>そうよ相手の心は、自分ではどうすることもできないものあの子たちは、あなたの心を自分の思い通りにしたいって思うからおかしな方向に行っちゃってるのよあなたの心はあなたのもので尊重しなければいけない大切にしてあげなきゃならないってことが判ればそれだけで楽になれるのにね</p><p>あたしや渚は娼婦だったから自分の心を抑え込んで、好きじゃない人の相手をすることも多かったし何よりもまず、自分の心を決めることが大切だってことが、よく判っているのよ相手の心に、変な工作活動をする前にね</p><p>そうね、克子</p><p>あたしは、あなたが好きあなたが、あたし以外の女の子とどれだけセックスしてもあたしは平気よあなたにいつ捨てられても構わないだって、あたしがあなたのことを好きなんだからあたしは何でも受け入れるしあなたが、幸せになるためだったら何でもするわ</p><p>あたしもそうよ渚と同じ</p><p>あたしだってそうだよっヨッちゃんは、あたしの弟だもんっヨッちゃんが幸せになってくれればそれでいいんだよっ</p><p>寧さんはシザーリオ・ヴァイオラによって、何年も監禁されていた</p><p>克子姉、渚、寧さんみんな自由を奪われ、悲惨な状況に耐えた時期がある</p><p>だから自分の欲求を抑えて、相手の幸福を第一に考える強さがある</p><p>ヨッちゃんだってあたしたちと同じでしょだから、いつも自分の心を抑えて、みぃちゃんや、メグちゃんや、マナちゃんの要求に応えてきたんでしょ</p><p>オレは単に、あの子たちに嫌われたくなかっただけです見捨てられるのが怖かっただけです</p><p>ミナホ姉さんがオレの手を握りしめて、言った</p><p>いいえそれだけじゃないわ判っているわよ、あたしたちは</p><p>そして画面の中の３人に視線を戻す</p><p>３人は真剣な顔で何かを話している</p><p>時々、マルゴさんが助言しているようだ</p><p>でも、あの子たちもそろそろ自立しないとね</p><p>自立</p><p>このままちょっとした心の不安まで、あなたに縋って解決する様になっちゃうと成長できない人間になっちゃうから</p><p>成長できない人間</p><p>雪乃さんみたいにね</p><p>ミナホ姉さんの言葉に、雪乃がギロッと強い眼でこっちを見る</p><p>そんな眼で見たってダメよホントどうしようも無いのね、あなた</p><p>本当ならあなたが一番の被害者なのよお父さんへの復讐に巻き込まれてレイプされて、誘拐されて、妊娠までさせられるんだからあなたは全然悪くないのに</p><p>そうよ、あたしは何も悪くないわよっなのにっ</p><p>また雪乃の眼に涙が溜まる</p><p>ほら、また泣く本当に雪乃さんて、よく泣くし、よく喚くわよねだから、あなたに同情する人が１人もいないのよ判る</p><p>ミナホ姉さんそれって</p><p>実際には、一番可哀想な雪乃さんなのに、あなたの態度がウザッたいから、みんなあなたには同情しないのもっともっと、イジメてやろうって気にさせるのよこれって全部、あなたのせいなのよ</p><p>何であたしがっ</p><p>ほらまた喚くそして、また泣くのね</p><p>ミナホ姉さんが、雪乃を嘲笑う</p><p>湧き上がった感情を溜め込まないで、すぐに発散するから涙や怒声でねだから、どんな酷い目に遭っても、雪乃さんはすぐにカラッとしているのよ一々、発散しているから感情を引きずらないで気持ちのレベルがゼロに戻っているある意味、強靱な精神の持ち主なんでしょうけれどそんなんじゃ、誰も同情しないわよこっちが同情する前に、１人で自己完結して、感情を全部吐き出し終わっているんだからしかも、湧き上がった感情は、周りを気遣わないで、いつでもどこでも全開で吐き出しまくるから、騒がしいだけだしね</p><p>雪乃は息を呑む</p><p>こんなこと、今まで一度も言われたことが無いでしょう</p><p>無いわよ</p><p>白坂家のお嬢さんで我が儘放題で成長してきたんだものねそういう性格になっちゃったのは仕方ないんだろうけれど今のままでは、一生、あなたの味方になってくれる人はいないわよ</p><p>お大きなお世話よ</p><p>ずっと名家のお嬢様のままなら、それでも良かったんでしょうけれど雪乃さんは、もう白坂家には戻れないんですからね</p><p>判ってるわよ、そんなことッ</p><p>ほらまた、反射的に喚いている</p><p>もう少し、感情を自分の内側に溜めなさいそうしたら、状況を考えて物を喋れる人間になれるから</p><p>雪乃は口惜しそうに黙り込む</p><p>もっともあんまり感情を溜め込み過ぎるのも問題なんだけれど</p><p>ミナホ姉さんは、画面の中の３人を見る</p><p>確かにメグは、すぐに感情を溜め込むそれで、後で暴発する</p><p>マナも内に溜めるタイプだけど、オレに甘えたり、雪乃に八つ当たりして、少しは発散しているからいいんだろうな</p><p>問題なのはみすずだ</p><p>みすずは、頭が良すぎるから色んな可能性を考え過ぎちゃうんだろうな</p><p>それで苦しんでついつい、色々と陰謀工作をしようとしてしまうんだろう</p><p>雪乃さん自分のことだと、よく判らないと思うから、一例をあげるわね</p><p>渚が雪乃に言った</p><p>あたしお花の教室に通っているんだけれど、そこの生徒さんでたまに集まって、フレンチ・レストランでランチを食べたりしているの</p><p>うわ渚の師匠は、みすずも通っている華道の師範だからきっとみんな、お金持ちのお嬢さんとか、奥様ばかりなんだろう</p><p>ある時ねその生徒さんの１人で、２０代半ばかなちょっと綺麗な女性が居てね、</p><p>その人が昨夜、彼氏と別れたのって、わんわん泣き出したのよ</p><p>うん、うん</p><p>みんな最初は、あら大変ねとか元気を出しなさいって声を掛けてあげていたんだけれどしばらくしたら、放置よね一人で泣いて、喚くだけなんだもの気弱な女の子が捕まっちゃって、ずっと話の聞き役にさせられていたけれどあたしたちは、なあに、あの子って冷ややかな眼で見ていたの</p><p>感情の垂れ流しで、泣き喚く人は誰にも相手にされない</p><p>それから、しばらくして生徒さんたちの集まりの時に、ちょっといつもより元気が無いかなぁって女の子がいて、どうしたのって尋ねたらその子が、こう言ったのよ</p><p>ふむふむ</p><p>昨夜、彼氏と別れたんですけれど、頭の中がすっかり空っぽでそれで、あたしどうしてだか大量にクリーム・シチューが作りたくなって、昨夜はずっとシチューを煮ていたんですよ大鍋いっぱい作っちゃったんですけれどよく考えたら、一緒に食べてくれる人はいないんですよねえって</p><p>大鍋いっぱい、シチュー</p><p>その時は、もうみんな、その子に同情しちゃってみんなで、その子の話を聞いて、ウルウル泣いちゃって、お昼なのに高いワイン開けちゃって飲んだくれたわみんな、それぞれの失恋話を語ったりすっごく盛り上がったのよその時のメンバーは、それからすっかり仲良くなっちゃったもの</p><p>つまりね悲しいから泣いた、喚いたっていうのは、人間の感情表現のレベルとしては低いのよそういうんじゃ、誰もまともに相手はしてくれないってこと悲しい気持ちが、別のことに昇華して初めて他人の心に通じるのよ</p><p>感情が別の行為に昇華する</p><p>その時の他の子の話ではね彼氏に裏切られた怒りで、その彼が好きだった音楽のCDを全部手で割った子の話とかとっても印象に残ってるわ一枚一枚、カッターでガリガリ傷を付けて切れ目を入れて、両手でグワシッて折って割ったらしいわ何十枚も</p><p>それはすげえ</p><p>普通の人はね人前で簡単に泣いたり、喚いたりすることは許されないから溜め込んだ感情が、別の行動に転換するのよただ、泣いた、喚いたでは済まないのよ感情そのものもそうよ余りにも悲しみが深かったら泣くを越えて、笑い出す人もいるし嬉しすぎて、怒る人もいるの溜め込んだ感情がレベルを超えた時に、別の感情表現に転換するそこまで表現して初めて、他人の心に通じるのよ</p><p>渚はそう言った</p><p>雪乃さんはただ泣く、喚くを繰り返している限りは、大人になれないってことだよねっ</p><p>寧さんが、笑う</p><p>そしてあの３人もそうよあの子たちは、今、自分の中に涌き起こった感情をすぐにあなたにぶつけて解消している不安な気持ちがなくなるのは、いいことだけれどもっと感情を自分の内側に溜め込んで、耐える能力を身に付けないとあなたに依存するだけの子になってしまうわ</p><p>だからミナホ姉さんは</p><p>オレとあの３人を隔離して</p><p>あの３人が、自分たちだけで相談する時間を設けている</p><p>この後あなたが上の階へ行かなければならないのなら、ここで後顧の憂いは断っておかないといけないでしょ</p><p>あの３人が、オレに依存しないで自立していく決意を見せてくれたら</p><p>オレは何の心配も無く上へ行かれる</p><p>これだけは今、やっておかないといけないことだものね</p><p>ミナホ姉さんの気遣いが有り難い</p><p>雪乃さんも今、言った通りよここで変わる気がないのならあたしたちは、今度こそあなたを見捨てるわよ</p><p>ミナホ姉さんは、雪乃を見る</p><p>し、知らないわよ、あたしはあたしはあたしだもの</p><p>雪乃は、それでも突っぱねる</p><p>そう、それが雪乃さんのお返事判ったわ</p><p>ミナホ姉さんは冷たく答えた</p><p>本当に黒森さんは、真面目でお優しい方なんですね</p><p>みすずお姉様たちや、お兄様や、白坂様のことを色々とお考えになってご指導下さって</p><p>ここまでのミナホ姉さんの行動に、すっかり感服したらしい</p><p>まるで学校の先生みたいですわ</p><p>先生なんだよ本当に</p><p>わたくしも、そう思いました</p><p>関さんもそう言ってくれた</p><p>さて、そろそろあっちの部屋に行きましょうかあの子たちの相談もまとまった頃でしょうし</p><p>そうだなそろそろ行ってあげないと可哀想だ</p><p>ところで、瑠璃子さん</p><p>判っております、黒森様お祖父様の件ですね</p><p>ジッちゃん</p><p>お祖父様がお一人で抜け出されないようわたくしも見張ります</p><p>頼みます</p><p>ジッちゃんは、何かを企んでいる</p><p>オレたちをこの安全な空間に退避させて自分は危険な上階に戻ろうとしている</p><p>とにかく皆様が、心から信頼できる方だということはよく判りましたお祖父様やみすずお姉様の意見ではなく、私自身の判断として皆様を受け入れます</p><p>そうか瑠璃子は、礼儀正しい女の子だから、ジッちゃんやみすずがオレたちを信頼しているとなれば、一応はそれに従う</p><p>しかしそれは、瑠璃子自身の判断ではない</p><p>心の底から、オレたちを信じているわけではなかったんだ</p><p>ミナホ姉さんは、そのことを理解していてわざわざ、瑠璃子と話す機会を作ったんだ</p><p>お兄様も決して、死ぬというようなことはお考えにならないで下さい</p><p>わたくしみすずお姉様のお申し出とは関係無く、お兄様を受け入れても良いと思い始めています</p><p>瑠璃子は、頬を赤らめる</p><p>どうやら、わたくしは香月の家の中で、ぬくぬくと成長し過ぎていたように思います今のお話でそれがよく判りました</p><p>瑠璃子の大きな瞳がオレを見る</p><p>わたくしお兄様に誘拐していただきますわ</p><p>ああ、三連休で良かった</p><p>ここで休んでおかないと死にます</p><p>今日の父は、やっと病院の位置がちゃんと言えました</p><p>でも、病院の名前が覚えられません</p><p>人間の記憶の回路って、色々と難しいですね</p><p>それでも、普通に色々な会話ができるようになってきたのですが</p><p>こうなると、今度は何を話したらいいのかよく判らない</p><p>老齢の父との話題を探すのは何とも難しいですね</p><p>結局、国際情勢とか、日本史の雑学とかを長時間話しているおかしな父子になっていました</p><p>看護士さんとか、どう思っているんだろうか</p><p>295.瑠璃子とルール</p><p>瑠璃子さん、その話はまた、後にしましょう</p><p>あの三人、相談がまとまったみたいだから</p><p>画面を見ると、全裸の美少女３人が心配そうにこっちを見ている</p><p>じゃあ、行こうかヨッちゃん</p><p>寧さんが、クフフと笑う</p><p>さあて、どうなりましたか</p><p>良い方向に意見がまとまってくれてると良いわね</p><p>克子姉と、渚が顔を見合わせる</p><p>大丈夫よ、あの子たちは頭が良いからそこのプライドばっかり高いお嬢さんとは違ってね</p><p>ミナホ姉さんが、雪乃を見る</p><p>ふんっ好きに言ってればいいじゃない</p><p>どこの学校か判らないセーラー服に着替えた雪乃が、プッとふくれる</p><p>さあ、向こうの部屋に行きましょう</p><p>関さんがオレに手を差し伸べてくれた</p><p>瑠璃子も、オレに手を差し出す</p><p>オレは右手で関さんの手左手で瑠璃子の手を握って、椅子から立ち上がる</p><p>ほらっ、一応はピシッとした顔をしてあの子たちのためにね</p><p>うん真剣に考えてくれたみすず、メグ、マナのために</p><p>いい加減な顔をして、向こうの部屋に行くことは許されない</p><p>じゃあドアを開けるわよ</p><p>全裸のままの三人は心配そうな顔で、オレを見ている</p><p>三人で話し合って何か結論は出た</p><p>代表して、みすずが言った</p><p>あたしたちは、まず自分たちのそもそもの立場に、戻ることにしました</p><p>そもそもの立場</p><p>あたしは旦那様のペットです</p><p>ペットの分際で旦那様に自分の望みを、無分別に押しつけていたと思います申し訳ございませんでした</p><p>土下座するみすず</p><p>マナはお兄ちゃんのセックス奴隷です奴隷だっていうのに、少しでも不安なことがあったら、お兄ちゃんに甘えて大きな声で騒いだりあたし、やりたい放題だったと思いますもう、あんなことは絶対にしませんだからマナを見捨てないで下さい</p><p>マナも床におでこを擦り付ける</p><p>あたしはヨシくんが、あたしに与えてくれた家族の中の学級委員長っていう役割が自分に合っていると思いますというかヨシくんは、あたしがどうしたら家族の中で居場所を作れるか必死に考えてくれていたのにそれなのに、あたしは、自分のことだけで精一杯になってヨシくんにずっと縋り付いていましたあたしすっごく重い女だったと思いますだけど、ヨシくんは全然あたしを嫌がったりもしないでごめんなさい本当にごめんなさい</p><p>メグもオレに全裸土下座する</p><p>いやオレ、別にそんな気にしていないから頭を上げてくれよ</p><p>好きな女の子たちに土下座されるというのは何か、困る</p><p>どう反応していいのか、判らなくなる</p><p>だいたい、３人とも全裸だし</p><p>それで、あたしたち３人で話し合って決めたんだけれど</p><p>メグが、顔を上げてオレに言う</p><p>まず第一にあたしたちは、ヨシくんがどんな女の子とセックスしても、絶対に嫉妬しません</p><p>旦那様は、お好みの女性とお好きなだけなさって下さい</p><p>何だったらマナたち、協力するから</p><p>あーんと</p><p>まったく、こいつらは</p><p>どうして、すぐ極端から極端へ走るんだよっ</p><p>ちょっと、頭にくる</p><p>オレは今までだって自分の女として、家族としてずっとずっと大切にする覚悟をしてお前たちを抱いてきたんだろっ</p><p>そうだよオレは</p><p>別に、興味のある女の子を全部口説き落として廻っているような、プレイボーイじゃないんだ</p><p>あのお兄ちゃん</p><p>雪乃さんは、どうなの</p><p>そういう覚悟は無しでレイプしちゃったかも</p><p>警察に捕まって、一生棒に振るとか</p><p>そのままもう死んでもいいとか</p><p>違う方向の覚悟はあったけれど</p><p>雪乃が、物凄い眼でオレを睨んでいる</p><p>さすがマナちゃん、いきなりタヴー中のタヴーに触れたねっくっふふ</p><p>寧さんが、おちゃらけて笑った</p><p>ゆ、雪乃は</p><p>マナが、オレの顔を覗き込む</p><p>雪乃さんは</p><p>うん雪乃はちょっと、例外なのかな</p><p>雪乃さん例外なの</p><p>マナは納得いかないという眼で、オレを見上げる</p><p>そ、そうだ例外中の例外かな</p><p>我ながら情けないそんな言い訳しか、出て来ないとは</p><p>とにかく超レアアイテムっていうことで今は、雪乃のことは除外しておいてくれ</p><p>不承不承ながら、マナは下がってくれた</p><p>よし雪乃のことは、一先ず棚に上げて置いて</p><p>もう、こうなったらオレの方からハッキリ言うけれど</p><p>場の空気が悪いから</p><p>オレは、勢いでこの場の雰囲気を誤魔化すことにする</p><p>まずオレたちの家族に誰か新しい人を参加させたいと思ったら事前に相談してくれそれもさいきなり、本人がいるところで勧誘するのは、もうナシにしよう一度、ちゃんとミナホ姉さんたちに相談して、勧誘するかどうか家族会議で決めてから、その人に伝えるそういうルールにしよう</p><p>これは、みすずへの釘刺しだ</p><p>瑠璃子や美子さん、麗華に関さん美智もだな</p><p>みすずの一存だけで、どんどん勧誘しちゃっていたから</p><p>まあ、みすずの眼だって確かだしみんな良い人ばかりだけれど</p><p>事前に挨拶が無いのは、年長組の人たちにしたら腹が立つことだろうし</p><p>判りましたもう、決してあたしの心だけで先走ったりは致しません</p><p>みすずが、オレに言ってくれた</p><p>それから家族になったからって、必ずオレの女にならなきゃいけないっていうのは変だと思うよ</p><p>えー、みんなお兄ちゃんのことが大好きで愛し合っているっていうのが良いんだと思います</p><p>いや、今だってミナホ姉さんとか、マルゴさんとか、純粋にオレの姉さんな人もいるんだし家族になってくれたら、それだけでいいじゃないか</p><p>セックスを強要しているみたいな関係がオレは良くないと思う</p><p>だから瑠璃子も、美子さんも、関さんも、もしオレたちの家族になってくれたとしても、オレが嫌だったらセックスとかしなくてもいいから家族になってくれる方が大切なんだから</p><p>オレは、部屋の中を見廻す</p><p>あれ一人足りない</p><p>麗華は</p><p>麗華お姉様なら、先程、お花を摘みに行かれました</p><p>美智が真顔で、オレに報告する</p><p>花を摘みに</p><p>ここ地下だぞ</p><p>え地上へ出て行ったってこと一人で</p><p>ま、まずいぞそれは</p><p>旦那様お花摘みというのは、おトイレに行くということの隠語です</p><p>みすずが、教えてくれたけど</p><p>インゴって何</p><p>言い換えよヨシくんほら、デパートの店員さんがちょっと、７番行って来ますとか言うでしょ</p><p>知らんそんなの</p><p>とにかく、麗華お姉さんならトイレに居るよ一人で上の階に行ったりしていないから、安心して</p><p>マルゴさんが笑って、そう言った</p><p>まあここに居るのなら、それでいいけれど</p><p>さっきの話に戻りますが、お兄様瑠璃子は、お兄様とセックス致しますよ</p><p>瑠璃子は、ケロッとそう言った</p><p>驚く、美子さん</p><p>だって、お兄様から赤ちゃんの素をいただかないと瑠璃子は子供を産むことができないのですよね</p><p>それはオレじゃなくって、別な男の人から貰ったっていいじゃないか</p><p>わたくしどんどん、お兄様という男性に興味が湧いてきました他の男性の子供を宿すのは、わたくしにとって色々な問題を引き起こすことになりますがお兄様の赤ちゃんなら、大丈夫でしょう</p><p>どどういうことだ</p><p>こっそり妊娠して３ヶ月ほど留学している振りをして、海外で赤ちゃんを産むこともできますよね</p><p>瑠璃子、お前</p><p>世間には内緒で、こっそり子供を産むつもりか</p><p>そうなったらわたくし、皆様と同じ家に住まわせていただきますわみすずお姉様もいらっしゃるでしょうから、わたくしが居住してもマスコミの眼は誤魔化せますわたくし、家族の皆様に協力していただいて皆様の中で子供を育てたいんです</p><p>確かにその頃には</p><p>雪乃のお腹の中の子も産まれているだろうし</p><p>渚だって、二人目の子供を産んでいるだろう</p><p>他の女たちも出産しているかもしれない</p><p>家族の協力があれば</p><p>一人ぐらい子供が増えていても世間にはバレないで済ませられるかもしれない</p><p>お前は私生児を産むつもりか</p><p>ジッちゃんが、瑠璃子に言った</p><p>大丈夫ですわ毎日、わたくしが愛情を込めて丹念に育てます世間の皆様に公表するのは成人してからということにすればいいですわ</p><p>わたくしは生まれながらにして、香月家の後継者ですがいささか、窮屈です何人もの大学教授の先生方から、帝王学を教え込まれるよりもこの家族で皆さんに磨き上げていただいた方が、より大きな人間に育つような気がわたくしはいたします</p><p>ふむ面白いな</p><p>ジッちゃんが、考え込む</p><p>はい家族の中に居れば、取り巻きもチヤホヤしてくれる騒がしい方たちもいません成人するまでは、一般の子供達と同じ目線で育てますただし本人にだけは、香月家の後継者であること大きな責任を背負って生まれてきたことは、幼い内から伝えておきます</p><p>なるほど世間にとっては隠し子だが、本人には香月の嫡男であることを教えて育てていくのか</p><p>やばいまた、ろくでもないプランだけが先行している</p><p>ジッちゃんも、瑠璃子もそこまでだっ</p><p>オレは、二人の間に介入する</p><p>他の家族の同意を得ないで勝手に話を進めないでくれよ</p><p>ああ、それは済まなかったな</p><p>ジッちゃんは、口では謝っているが</p><p>頭の中では、瑠璃子の言い出した計画を検討している</p><p>お兄様はわたくしに子種を授けては下さらないおつもりですか</p><p>あ判ってきた</p><p>鷹揚で世間知らずのぽわーんとした雰囲気のお嬢様は対外的なフェイクで</p><p>瑠璃子の本質はジッちゃんやミナホ姉さんに近い</p><p>色んな事を頭の中で計画し着実に実行するのが、好きなんだ</p><p>それもなるべく他人が思い付かないような、突飛なことを</p><p>お前のことは、ちゃんと誘拐してやるしその時に、何から何まで教えてやるから待ってろ</p><p>オレは、瑠璃子に言った</p><p>こういう強い性格の女の子は、真っ正面からぶつかって、引っ繰り返してやるしかない</p><p>ではその時を楽しみにしておりますお兄様</p><p>わたくしは本当は、この様な腹黒い女です心の醜い女ですこんなわたくしでも可愛がって下さいますか</p><p>瑠璃子は、もっと他の家族と交流していくべきだと思うよ</p><p>瑠璃子なんて、腹黒の内には入らないよ本当に、腹黒い女っていうのは寧さんのことをいうんだから</p><p>えっあたしっ</p><p>寧さんが、ズッコケる</p><p>ヨッちゃん、あたしそんなに腹黒ぉ</p><p>オレは克子姉と渚を見て</p><p>寧さんと瑠璃子で、腹黒対決をしたらどっちが勝つと思うどんなズルいことでも、何でもアリの闘いだったら</p><p>寧様に、有り金全部賭けるわね</p><p>克子姉は、ニコッと笑う</p><p>あたしも、寧ちゃんだなうちのお店を賭けてもいいわ</p><p>渚も、そう言う</p><p>瑠璃子さんは帝王学を施されているらしいけれど、厳しい現実に揉まれてきている寧には勝てないよ</p><p>えへっあたし、そんな凄い</p><p>寧さん腹黒対決ですよ</p><p>あっ、そうかアハハハハ</p><p>マナの突っ込みに大笑いする寧さん</p><p>その大らかな雰囲気の全てが作られたものだ</p><p>寧さんは頭もいいし、恐ろしい修羅場をたくさん潜り抜けてきている経験値も高い</p><p>そしてそれ以上に、誰よりも優しくて繊細だ</p><p>瑠璃子寧さんが、本当はどんな女性なのかじっくりと観察してくれ</p><p>寧さんの本質が判った時瑠璃子の孤独は消えるんだと思う</p><p>瑠璃子自分は孤独だと思っているんだろ</p><p>いいえ、わたくしには美子も居ますしお祖父様や、みすずお姉様、お兄様だって居て下さいますもの孤独なんて、感じたことはございませんわ</p><p>瑠璃子は、明るくにっこりと微笑む</p><p>瑠璃子の演技は、あんまり上手く無いんだよ</p><p>オレたちもっと、演技の上手い人と毎日一緒に居るからその人と毎日、心を支え合っているからだから、瑠璃子程度の演技には、もう誤魔化されないんだよ</p><p>仰る言葉の意味がよく判りませんが</p><p>瑠璃子はどこまでもトボケてみせる</p><p>この子も結局あたしたちの家族に入るしかない運命だったみたいだね</p><p>ジッちゃん瑠璃子は、オレたちが預かるよちょっと、荒療治することになるかもしれないけれど</p><p>お前に任せる何でも好きにしろただし処女喪失だけは、私の見ている前でしろ</p><p>瑠璃子は無言で、その場に立ち尽くしている</p><p>お祖父様、お兄様わたくし、何か粗相を致しましたか何か、ご不興を買うようなことを致しましたか</p><p>顔の口元は笑っているが、眼は真剣だ</p><p>ギュッと握りしめた手が震えている</p><p>額には小粒の汗が</p><p>お前に瑕疵は無い糾弾されるべきは、瑠璃子をそう育ててしまった私にある</p><p>ジッちゃんにミナホ姉さんは</p><p>香月様今は、そんなことをおっしゃるべき時ではございませんわ瑠璃子さんはまだお若いのですから幾らでも、修正はできます</p><p>そうだなこいつも、君たちも瑠璃子のために、動いてくれるのだろう</p><p>ミナホ姉さんは、笑って答えた</p><p>はい瑠璃子さんは、すでにあたしたちの家族ですから何でも致しますわもちろん同様に家族である、香月様のためにも</p><p>ほんの数秒ジッちゃんとミナホ姉さんの視線が合う</p><p>さっき、こいつが言っていた通りしばらく、そこに居る寧という少女の動向を観察しろ</p><p>きっと、お前にとっての良い発見があるだろう</p><p>当の寧さんは、ケラケラと笑って</p><p>何にも無いってばっあたし、普通の女の子なんだもんねっ</p><p>会話の切れたところでみすずがオレに声を掛ける</p><p>あたしたちへのお話が途中だったと思うんですけれど</p><p>あ、悪い</p><p>そうだったまだ途中だ</p><p>えっと何の話をしていたんだっけ</p><p>あのあたしたち、さっき話し合ったんですけれど</p><p>あたしたちの方から、旦那様にセックスを求めるの少し、控えようと思います</p><p>そうなのヨシくん何か、今のままだとあたしたちが求めるのに、ヨシくんが一生懸命応えてくれるばかりでしょ何か、良く無いって思うの</p><p>ていうかマルゴさんたちにも言われたんだけど、このままの勢いでマナたちがお兄ちゃんを求めると病気になっちゃうって</p><p>ここんとこ、やり過ぎって言えばやり過ぎだよな</p><p>だからねあたしたちは、どうしてもヨシくんに抱いて欲しい時以外は、できる限り我慢することにしたの</p><p>その代わり旦那様が、あたしたちをお求めになられる時には、いつでもお相手します</p><p>遠慮しないでねマナ、お兄ちゃんに求められたいの</p><p>あ、あのさ</p><p>オレも自分の意見を言う</p><p>オレなるべく一対一でしたいんだけれど</p><p>ヨシくんどういうこと</p><p>ほらオレ、まだセックスは覚え立てで決して、上達している訳ではないしさオレの身体は一つしか無いしできれば、一人の女の子を集中して抱いてあげたいんだ二人とか三人とかだとやっぱり、全員を気持ち良くしてあげないといけないって思うから</p><p>そうねヨシくんが、そう言うなら</p><p>マナは、みんなでエッチするの結構好きなんだけどな</p><p>旦那様はお一人で、全員のお相手をしているのですからあたしたちが我慢しないと</p><p>そうだねみすずさん</p><p>これで少しは落ち着いたセックスができる</p><p>本当に男が、オレ一人っていうのは色々とプレッシャーが掛かってくるから</p><p>それは克子姉の言葉だった</p><p>あなたは必ず、女の子２人と２人ずつ相手をなさいそれから、週一ぐらいで、多人数でのプレイも予定に入れますからね</p><p>克子姉がオレを見て、微笑む</p><p>家族の融和のためよ仕方無いでしょ</p><p>融和</p><p>一緒にセックスしたらみんな、すぐに打ち解け合えるわ裸と裸のお付き合いなんですもの</p><p>そうかあんまり親しくない女の子２人と、オレがセックスすれば</p><p>それがキッカケで仲良くなったりもする</p><p>それにねあなたは、自分では気付いていないようだけれど</p><p>克子姉ななな、何です</p><p>あなたは普通の男の子よりも、何倍も性欲が強いのよ一回に２人ずつ相手にしていかないと、女の子の方が参っちゃうんだから</p><p>そそそ、そうなの</p><p>あたしや渚も、もちろん加わるわあなたたちにも、色んなセックスのテクニックを教えてあげるからねっ</p><p>克子姉が、年少組にそう言った</p><p>東京には、ときおり雨が降るのですが妙に生温かい風が吹いています</p><p>フェーン現象というやつだそうです</p><p>アウトサイダー・アート(精神的に病んでいる人などの残したアート)の人に、ヘンリー・ダーガー(ダージャー説もあり)という人がいました</p><p>低賃金労働者で友人のいないダーガーは、自宅で数十年に渡り自分一人が読むためだけの、小説と挿絵を書き続けました</p><p>そして死後身寄りの無い彼の部屋を調べた大家さんによって、彼の作品は発見されました</p><p>その大家さんがたまたまアートに造形のある人だったため、彼のアートは紹介され世界中に知られるようになっています</p><p>(ただし、この大家さんが勝手に彼の作品を売却しているため彼の小説作品の全貌を知ることはすでに不可能となっています)</p><p>作品の内容は、架空の世界で少女たちが闘う物語なのですがなぜか、登場人物としてダーガー本人も出て来ます</p><p>ある時は、少女たちを助ける味方として</p><p>ある時は、少女たちを罠にはめる悪人として</p><p>少女たちも作中で良いダーガーと悪いダガーと、二人のダーガーが居るのかしらと語り合ったりしているそうです</p><p>それはつまりダーガー本人の内面、少女たちを保護したいという正の心と、少女たちを傷付けたい負の心が分裂して、二人のダーガーとして作品内に登場しているのです</p><p>毎日更新で、この作品を書いていると</p><p>ダーガーの気持ちが良く判ります</p><p>作品の中にその日その日の私の心が、やっぱり陰を落としています</p><p>ある意味小説の形をしたブログですねこれは</p><p>時々、思わぬ方向へ行ってしまってびっくりします</p><p>さてでは、また明日、お会いしましょう</p><p>296．麗華と通信機</p><p>というかヨシくん、お願いがあるんだけれど</p><p>三人の少女が、オレを見る</p><p>ヨシくんのオチンチンが、元気になっちゃった時は</p><p>いつでも、あたしたちが旦那様のお相手を致しますから</p><p>もう、お兄ちゃんは一人エッチとかしないでね</p><p>それはええっと</p><p>だけど男はさ、何かの拍子で突然勃起しちゃうこともあるんだよそれこそ、授業中とかでもさ</p><p>授業中なら、あたしとすればいいわ</p><p>二人で教室を抜け出して</p><p>マナも高校はお兄ちゃんと一緒の学校に行くから一年だけだけど、マナもするよ</p><p>学校外でしたら、あたしも電話で呼び出して下さいいつでも、どこへでも参ります学校だって早退します</p><p>いやそう言ってくれるのは嬉しいけれど</p><p>あたしたちヨシくんに我慢してほしくないの</p><p>むしろお兄ちゃんが我慢すると、心配なの</p><p>心配</p><p>性欲が高ぶった旦那様が他の女性に目移りなさるんじゃないかって</p><p>あ、もちろんヨシくんは、あたしたち以外の子を見て、エッチな気持ちになったりしてもいいのよ</p><p>お兄ちゃんが、どんどん新しい女の人とセックスするのはいいんだけれど</p><p>単純にエッチな気分が高まっちゃった時は、あたしたちで発散して欲しいのよ</p><p>マナお兄ちゃんのセックス奴隷だし</p><p>あたしだって、ペットです可愛がって欲しいんです</p><p>あたしだってヨシくんのお世話がしたいんだもの</p><p>オレ何て返事したらいいんだ</p><p>克子姉が、笑ってオレを見る</p><p>こういう時はね、笑って判ったやりたくなった時は、いつでもやらせろぐらいのことを言えばいいのよ</p><p>でも克子姉</p><p>この子たちは、あなたに約束して欲しいんじゃないのよ安心が欲しいの</p><p>何でもかんでも、大真面目に約束する癖そろそろ直しなさいこの子たちはあなたに求められている必要とされているってことを、確認したいだけなんだから</p><p>言葉の裏の心を見ないといけないのか</p><p>判ったセックスしたい気持ちになった時は、ちゃんと正直に言うからその時は、嫌がらずに相手をしてくれ</p><p>こんな感じでいいのかな</p><p>かしこまりました旦那様</p><p>三人は、満足そうに答えた</p><p>実際にはオレが勃起しちゃったって、言わなきゃ判らないんだろうし</p><p>その時の状況に合わせて行動すればいいんだから</p><p>ご主人様もし、不意に陰茎が勃起なさっても、わたくしたちが勘付かない場合もあるだろうなどと思っていらっしゃいますか</p><p>突然、美智がそう言った</p><p>申し訳ございませんがご主人様の心と肉体の状態は、全てわたくしが把握しておりますから</p><p>奥義心月による同調の結果ですご主人様がお隠しになられたとしても、性的な欲求が高まられば、わたくしにすぐ伝わります</p><p>そうね、その時はすぐにあたしに教えてちょうだい美智</p><p>みすずは、そう言うが</p><p>申し訳ございません、みすず様その時は、わたくしがご主人様にご奉仕致しますので</p><p>みすず様をお招きする場合もあるかもしれませんがわたくしも、ご主人様にたっぷり愛していただきたいと望んでおります</p><p>美智はみすずの支配から脱し、自立しようとしている</p><p>仕方無いわね</p><p>みすずは優しく微笑んだ</p><p>みすずと美智の絆がまた太くなる</p><p>主従から姉妹へ</p><p>これで安心して闘いに行けるね</p><p>そうだ、オレたちはこれより死地に向かう</p><p>ケガしないでね、ヨシくん</p><p>マナ、いい子にして待っているから</p><p>旦那様のお戻りをお待ちしております</p><p>メグマナみすず</p><p>ご主人様は、わたくしがお守り致します</p><p>美智が３人に言った</p><p>これを持って行って</p><p>ミナホ姉さんが、イヤホンのついた、ラジオみたいな機械を幾つか持って来る</p><p>そこの監視室にあったわこのホテル内で通信する機械よ携帯電話だと、逆探知される可能性があるから</p><p>位置を確認されたり会話を盗聴される可能性がある</p><p>この通信機は、ホテルの内部回線を利用しているからここから地上までは秘匿回線で、そこから上は各階ごとに壁に埋め込まれた中継器も通して電波を飛ばすのこの機械なら緊急避難室の存在を敵に知られずに、自由に連絡し合うことができるわ上に行く人たちに配って</p><p>オレは、上階へ行くメンバーに通信機を配っていく</p><p>マルゴさん関さん美智オレそれから</p><p>雪乃が、当然という顔をしてオレから通信機を受け取ろうとするが</p><p>あ、雪乃さんには渡さなくていいからね</p><p>通信機が一つ余っちゃうけれど</p><p>雪乃がギロッとオレを睨む</p><p>いいから、その子は放っといてはい、あたしの手元を見て電源スイッチがこれね音量がこれみんなと話がしたい時は、このスイッチを押して会話中はずっと押し続けるんだよ</p><p>マルゴさんが、オレに通信機の使用法を教えてくれる</p><p>関さんや美智は、すでに判っているらしい</p><p>通信機のこの部分がマイクになっているからまあ、よほど小さな声でなければ、機械の方で声を拾ってくれると思うよ</p><p>通話のスイッチを押すと、赤いランプが点く</p><p>全員で情報を共有したいからチャンネルは一つだけにしておく誰と個別に話そうとしても、会話内容は全員に聞こえるからね１人が喋っている間は、他の人は割り込めないから会話の最後にはどうぞとか、オーバーとか終了のサインを付けてね</p><p>ああテレビで見たことがあるな</p><p>わたくしたちが通信している様子を、敵に見られる可能性もあります上階では、お互いの名前を呼び合うのは止めましょう</p><p>関さんが、提案した</p><p>では、あたしがスペードで、関さんがダイヤ、美智さんがハート、寧がエースで、彼がジョーカーっていうことにしましょう</p><p>オレの問いに、寧さんが</p><p>ババよババに決まっているでしょ</p><p>雪乃の眼が怖い</p><p>スペード、ダイヤ、ハート、エース、ジョーカーにババ了解です</p><p>美智が、普通に返事をする</p><p>通信では、ミスター・ジョーカーとかミス・スペードとかも言っちゃダメよそういうことも、敵には大きな情報になりますからね</p><p>関さんが、そうオレに教えてくれた</p><p>あのババはちょっと可哀想じゃないのかなクローバーが空いてるし</p><p>オレが、そう言うとマルゴさんはニヤッと笑って</p><p>クローバーはもう、そろそろ出て来る頃合いなんじゃないかな</p><p>ドガッと大きな音がしてトイレのドアが開いた</p><p>わ、わたくしもッ連れて行って下さいませっ</p><p>それは、麗華</p><p>麗華は優雅な英国紳士のスーツを脱いで、何故か黄色いジャージ姿になっていた</p><p>顔もメイクを落としている</p><p>ど、どうしたんだよその姿</p><p>そちらのクローゼットにはわたくしが着られそうな服は、これしか入っていませんでした</p><p>そりゃ麗華は長身だけれど</p><p>先程の主様のお言葉にわたくしは、反省致しましたしばらく、自分の美学から離れて自分を見つめ直したいと思います</p><p>それで英国スーツを脱いだのか</p><p>麗華お姉さん、スーツの下に付けていたサポーターやプロテクターはそのまま</p><p>はい、この通りです</p><p>麗華が、ジャージの裾を引き上げる</p><p>足首には、黒いサポーター</p><p>脛には、プロサッカー選手が付けているような特殊樹脂のプロテクターが</p><p>膝や肘関節部分も、しっかりと守っているようだ</p><p>麗華は、上階へ戦闘に出るつもりなんだ</p><p>わたくしは武人ですプロの警護人です闘いの現場に立つことが、わたくしの使命ですどうか、わたくしも連れて行って下さい</p><p>麗華は、深々とオレに頭を下げる</p><p>どうしようか君はどう思う</p><p>戦闘班のリーダーであるマルゴさんが、オレに尋ねた</p><p>でもこの部屋に一人、警護役を残した方がいいんですよね</p><p>それはまあ、そうなんだけれどでも、麗華お姉さんは、切り込み隊長のタイプだからね本当のところ、守備向きの人ではないよね</p><p>確かにこの部屋に麗華を残して置いても、宝の持ち腐れかもしれない</p><p>麗華お姉さんの敵に対する打撃力は、魅力的だしね</p><p>だけどそうなると、誰をここに残す</p><p>リーダーであるマルゴさんは、外せない</p><p>通信機でここから指令を出して貰うっていう手もあるけれど</p><p>やっぱり、実際に現場に居て貰って、直接指揮して貰う方が良いに決まっている</p><p>ジッちゃんを連れて行かない以上重役たちや香月セキュリティ・サービスと渡り合うには、ジッちゃんの専任警護人である関さんの存在が必要だ</p><p>ということは美智を置いていくしか無いのか</p><p>麗華お姉様、わたくしを見て下さい</p><p>不意に美智が麗華に声を掛ける</p><p>麗華が美智を見た瞬間</p><p>美智は、招き猫の手をして空中をツイッと引き寄せるッ</p><p>麗華の身体が一歩前にズリッと釣り出される</p><p>まるで、美智に見えない糸で引っ張られたかのように</p><p>な、何なのこれ</p><p>工藤流古武術奥義心月の応用です眼の合った相手の心を捕らえて、身体のバランスを崩すことができますもっとも、いまはまだ、一歩前に踏み出させるか、逆に動きを止めるかぐらいしかできませんし、達人レベルの武道家には効かないかもしれません</p><p>美智は落ち着いて説明していく</p><p>しかし、この技上階での闘いでは、きっと役に立つものになると思います</p><p>美智は本当に変わったな</p><p>小さな身体に自信が満ちあふれている</p><p>前は戦闘力はあったけれど、心の弱い子だった</p><p>今は違う強い子になった</p><p>ヴァイオラの中核部隊と出遭った時は美智さんのその技があると助かるかもしれないね</p><p>マルゴさんは、オレを見る</p><p>美智まで連れて行くとなるとこの部屋には、警護役が残せなくなる</p><p>構いませんわ、旦那様美智も連れて行って下さい</p><p>旦那様のご無事が一番です</p><p>そうだよ、お兄ちゃんあたしたちは、ここでジッとしているから</p><p>そうね、美智さんが居てくれた方がヨシくんは安全でしょうし</p><p>オレの女たちは、そう言ってくれるけれど</p><p>でも、警護役が誰もいないっていうのは心配だろ瑠璃子</p><p>お兄様お祖父様にお尋ねしてみたらいかがですか</p><p>ジッちゃんに</p><p>この緊急避難室はわたくしたちが思っている以上に、安全が保たれているのだと思いますそうでなければお祖父様が、谷沢さんや大徳さんたちの居ない場所にいらっしゃるはずがありません</p><p>ジッちゃんにとっては</p><p>香月セキュリティ・サービスの谷沢チーフや、専任警護人の大徳さん張本さんの居ない場所は自分を防御する人員が居ないってことなんだ</p><p>関さんや麗華のことは、谷沢チーフたちほどは信頼していないみたいだし</p><p>ここが安全な場所だっていう認識が無ければジッちゃんは、ここには居ない</p><p>ジッちゃんこの部屋は、本当に安全なのかい警護役を全員、上に連れて行ってしまってもこの部屋に残ったみんなは平気だと思う</p><p>ジッちゃんは、苦笑して</p><p>大丈夫だ敵は絶体にこの部屋を見つけることはできんだろうしこの部屋に入ることもできん朝までなら、ここに居れば安全だやつらには手出しはできんよ</p><p>朝まで</p><p>朝になれば、政府機関が動き出すシザーリオ・ヴァイオラの手勢が好き勝手に動き回れるのは夜明けまでだ</p><p>何だかよく判らないけれど</p><p>ジッちゃんは、オレの知らない計画を幾つも同時進行で進めているらしい</p><p>じゃあみんなは、警護役抜きでここに居ても平気なんだね</p><p>それはお前たちが、自己責任で判断することだよ</p><p>ジッちゃんは、オレに微笑む</p><p>ここから外に出る脱出ルートは、表からは絶対に開かないんだよね</p><p>前に説明したとおりだ内側からしか外には出られないようになっているまた外部への出口は、外からは判らないようにカモフラージュしてある</p><p>となれば</p><p>よし麗華も連れて行くこの部屋には、警護役は残さないそれでいいねミナホ姉さん</p><p>ええ構わないわ</p><p>克子姉と渚も、うんと頷く</p><p>みんな覚悟してくれたらしい</p><p>ありがとうございます主様皆様</p><p>黄色いジャージの麗華が、みんなに頭を下げた</p><p>ついでだから聞くけれどジッちゃん</p><p>重役の中に居る裏切り者って誰だか判っているの</p><p>幾つか可能性は感じているが断定はできんよただし</p><p>ただし</p><p>他の重役や私塾の中に居る自分の子供まで巻き込んで敵を招き入れるなんていう真似は、普通の人間にはできんよ</p><p>重役というのも、様々なタイプがいる私塾はその縮小モデルだお前は私塾の連中を見て来て、どう思った</p><p>私塾の連中は</p><p>えっと、派閥があってボスが居て子分になっているやつもいれば、調整役を引き受けようとする人も居て</p><p>派閥でも何でも、ボスになる素質のある人間は自分の手は汚さんよ人を使うのが上手いから、ボスになるんだから</p><p>そうかそういう人間は、自分が危険を犯して敵を呼び寄せるようなことはしない</p><p>安全なところから見ているだけだろう</p><p>てことは香月操と香月昴の父親は、白ってことか</p><p>そういうことだ重役たちと私塾の子供たちはよく似ている子を見れば、親がどんな人間かよく判るだろうそうやって、誰が裏切り者なのかじっくりと調べていくんだな</p><p>短めで済みません</p><p>次話から、上階へ行きます</p><p>麗華にも、全裸土下座というプランはあったのですがまたの機会にします</p><p>それでは病院に寄って、仕事にいきます</p><p>297．エレベーターの中</p><p>私は、大学は京都に行ったんだがね</p><p>ああ京都にある大学へ行ったんだ</p><p>もう６０年も前のことだ当時の京都は、なかなか自立心に富んだ大学でね戦争から、まだそんなに経ってもいなかったから、学内でことある度に上級生が威張っていてね</p><p>懐かしそうな眼で、ジッちゃんは昔話をする</p><p>あそこだけは、香月という家名も関係無い私は、ずっと家のしきたりの中で育ってきたからねそういうのも面白がっていたが</p><p>家の影響力に関係無く学年だけで上下関係がある大学生活は、ジッちゃんには刺激的だったらしい</p><p>一年生の学祭の時だったかな我々、一年生は上級生の指示で講堂の仕込み作業をやらされてねみんな、上級生の奴隷の様にあれをしろ、それを持って来いと使われていたよそして、１人の上級生が私に命じたんだ寮に忘れ物をしたから、大至急取ってこいとね私は、走って講堂の裏口から飛び出したそしたらだ</p><p>講堂の裏口で、１人の１年生が作業をサボっていたんだよタバコなんか吸ってね他の一年が作業を命じられている間に、スッと逃げたんだなで、作業終了の時間まで隠れていようと思ったんだろうなかなか、要領の良いやつだった</p><p>はあそういう人間は、６０年前にも居たんだ</p><p>彼がサボっていたことは、何人かの１年生は気付いていたその日の作業後、他の１年生たちがこう言ったよああいう、団体行動の取れないやつは出世しない、今の内に先輩と良好な人間関係を築いておく方が、卒業後に大きな意味を持つことを、あいつは判っていないとか</p><p>大学ぐらいになると、人間関係が一生続くんだろうしな</p><p>ところがだ大学を卒業して、何十年も経ってみると、あの時に要領よく上級生の命令から逃げ出したやつは、その後大企業の社長にまで昇り詰めた逆に、積極的に自分から先輩の命令を聞いていたようなやつらは、みんな良くて役員止まりだよどうしてだか判るかね</p><p>いや判らないよ</p><p>組織の長になるような人間は、簡単に他人の命令に従ったりはしないんだよ上の人間の命令を、何でもハイハイ聞くいつも、上の人間の眼を気にしているような人間は得てしてトップにはなれないものだ</p><p>性格は、習慣を作り習慣は人生を定める１８歳でたかだか数年年上なだけの連中に、何でもかんでも命令されるのは馬鹿馬鹿しいと割り切れた男は、どんなことも自己判断でやって行くことになるしかし、それは、トップになるために必要な考え方だし色々と人間関係で困難にブチ当たるだろうが、それは全て経験になる逆に自分で考えることを捨てて、先輩の手足になった連中は社会に出ても、会社や上司の命令に従うだけで生涯、誰かの部下でいることから逃れられない人間関係は至って平穏だがね</p><p>ジッちゃんは、ニヤッと笑った</p><p>これは一例だよもちろん、協調性が無さ過ぎて組織から追放され、自分で起業した結果、事業に失敗するようなやつもいるしかし、組織のトップになる様な人間は、みんなある程度の傲岸さを持っていることは確かだ平気で目下の人間を使い潰しながら、自分は絶対に誰かの下僕にはならないそういう自意識の強い面が必ずある</p><p>さて、今回の件だが私を裏切って、なおかつ、自ら敵を呼び込むために死地に立とうとする様な男はどういうタイプの人間だと思う</p><p>それは相当意志が強くて、なおかつ信用できる人が居ない人ってことかな</p><p>信用できる部下が居るなら、自分で危険な場に立つようなことはしないだろう</p><p>自分の眼で確認したいから、わざわざ他の重役とともにこのホテルに来たんだろうし</p><p>トップ型と部下型どっちのタイプだと思うね</p><p>それは、もちろんトップ型だよね</p><p>典型的な部下タイプ香月仁や、角田、夏木みたいな人間は、こういうことはしない</p><p>すなわち、彼らの父親の重役たちは除外していい</p><p>また、トップ型でも何でも部下にやらせて、自分の手を汚そうとはしない香月操みたいなお山の大将になりたがるような人間もその父親も除外するべきだ</p><p>プリンス派には、裏切り者はいないってこと</p><p>そう考えるべきだろうな自立心があって、トップ型の思考で危険な任務を押しつける様な子飼いの部下を持っていないとすると</p><p>裏切り者は新興グループの中にいるってことか</p><p>もちろんこれは私の勝手な想像に過ぎない実際は、どうだか判らんぞ</p><p>でも、とっても参考になったよありがとう、ジッちゃん</p><p>オレは、ジッちゃんに礼を言った</p><p>あたしと克子で監視室からホテル内の状況をモニターして、あなたたちに逐一報告するわ</p><p>ミナホ姉さんが、オレにそう言った</p><p>それは助かるけれど</p><p>ミナホ姉さんと克子姉が、監視室に籠もるということは</p><p>ジッちゃんはまだ、自分自身で上階へ行くことを諦めていないと思う</p><p>瑠璃子、みすず２人でジッちゃんの世話をしてくれ頼むよ</p><p>ジッちゃんも２人の孫娘には弱いと思うし</p><p>他の子の面倒は、あたしが見るから安心して</p><p>渚がそう言ってくれた</p><p>マルゴさん、寧さん、関さん、美智、麗華準備はいいかい</p><p>マルゴさんと関さんは、薄手の革手袋を填めている</p><p>美智は、制服のスカートの下の武器を確認している</p><p>麗華は、撲殺ステッキを握りしめる</p><p>寧さんは、ニコニコ笑っている</p><p>うん大丈夫だな</p><p>雪乃もいいな</p><p>うっさいわね一緒に行けばいいんでしょ</p><p>セーラー服姿の雪乃が、ツンとしている</p><p>これもまあいつもの姿だ</p><p>オレは留守番組の女たちを見る</p><p>渚、メグ、マナ</p><p>じゃあ、行って来るよ</p><p>気を付けてねあなた</p><p>ヨシくん頑張ってね</p><p>お兄ちゃんあたし、待っているからね</p><p>うん絶体に生き抜いてやる</p><p>こいつらを残して今は死ねない</p><p>美子さん朝までの辛抱ですから</p><p>ほとんど喋らないで震えている美子さん</p><p>これが、普通の少女の反応なんだろう</p><p>それから、クークー眠っている真緒ちゃんの頭を撫でる</p><p>行って来るよ、真緒ちゃん</p><p>守らなきゃみんなを</p><p>良い顔をしているぞお前</p><p>ジッちゃんが、オレに微笑む</p><p>関くん、藤宮くん香月家当主として、改めて命じるこいつを死なせるなこいつに死なれると困るからな</p><p>ジッちゃんの命に２人のトップ・エリート警護人は</p><p>ジャージ姿になっても麗華の心は、武士のままらしい</p><p>行ってらっしゃいあなた</p><p>最後に克子姉が、そう言ってくれた</p><p>上階へ戻るエレベーターは、人数制限があるから</p><p>二度に分けて、乗らないといけない</p><p>第一陣は、あたしと関さんと美智ちゃんで行くよ</p><p>マルゴさんが、そう行った</p><p>ミナホ、上のエレベーターの部屋の近くに敵はいないね</p><p>早速、通信機を使う</p><p>大丈夫よあそこのフロアには、まだ誰も上がって来ていないから</p><p>イヤホンから、ミナホ姉さんの声がする</p><p>それでも一応は、警戒した方がいいだから、あたしたち３人が先に行くよ</p><p>うんマルゴさんと関さんは、プロだし</p><p>何かあったら、美智の奥義が役に立つ</p><p>先発組の３人が、エレベーターに乗る</p><p>残されたのはオレと雪乃と寧さんと麗華</p><p>麗華あのさ</p><p>はい何でございますか、主様</p><p>麗華は少し緊張しているみたいだった</p><p>ジャージ姿も似合っているよ</p><p>わたくしはあんまり好きではありませんわたくしは、身体を締め付けるスーツの方が性に合っています</p><p>ふーん、麗華お姉さん抱き締められたい派なんだねっ</p><p>何ですそれ</p><p>子供の頃にスキンシップの少なかった人はね自分の身体を締め付けるような服を好むんだって</p><p>笑いながら、寧さんは答える</p><p>人間だって動物だからね肌による触感ていうのも大切なんだよだから、ヨッちゃんは麗華お姉さんのこと、よーく抱き締めてあげてねっ</p><p>わたくしは別に</p><p>困惑する麗華</p><p>そんじゃあさっ、早速やってみようっあたしが背中から抱き締めるからヨッちゃんは、抱き締めてあげてっ</p><p>寧さんは、きゃはっと後ろから麗華を抱き締める</p><p>ほらほら、ヨッちゃんも早く</p><p>オレは、麗華を前から抱き締める</p><p>麗華の力なら、引き剥がすのは簡単だろうに</p><p>麗華は、オレと寧さんの抱擁を受け入れる</p><p>怖くなぁい怖くなぁいほら、大きく深呼吸してあたしもヨッちゃんも、抱き締めているだけだよ酷い事なんてしないから</p><p>寧さんが、麗華の耳に囁く</p><p>どう温かくて悪くないでしょ服で身体を締め付けるよりはさ</p><p>麗華の身体の緊張が解けていく</p><p>顔の中の暗さが消えて行く</p><p>麗華メイクしてない顔も、綺麗だよねやっぱり元が整っているからかなあ</p><p>オレは、長身の麗華の顔を見上げてそんな感想を述べてみる</p><p>そうだよねえ、麗華お姉さんて美少年顔だもんね</p><p>美少年顔</p><p>眼元が涼やかで、鼻が高くて格好いいよねあたし、大好きっ</p><p>オレも好きですよ</p><p>照れている麗華</p><p>それに肌が白くて綺麗だよねきっちりメイクしている時の凛々しい顔も素敵だけど今のすっぴん顔も良いよねっ</p><p>寧さんが、そう麗華を褒める</p><p>うんオレもそう思うよ英国紳士のかっちりした格好もいいけれど今の麗華も良いと思う</p><p>麗華の頬が赤く染まる</p><p>はいはいそうやってまた、あんたは女の子をダマしていくのね</p><p>雪乃がオレに嫌味を言う</p><p>一生、ちゃんと責任取っていくんだからさいいのよ、ヨッちゃんはこれで</p><p>やがてエレベーターが戻って来る</p><p>オレたちが乗り込むとエレベーターは浮上する</p><p>縦の上下移動だけでなくまた、横にも何度も複雑な軌道を描いて</p><p>秘密のエレベーターは、上昇していく</p><p>そのエレベーターの中でもオレと寧さんは、麗華にくっついていた</p><p>あっ、麗華お姉さんお尻がキュッとしてていいなあ</p><p>麗華のお尻を撫で回しながら寧さんが言う</p><p>あのそんなところは、触らないで</p><p>ヨッちゃんも触ってごらんよ小尻で弾力があって、とっても気持ちいいから</p><p>オレもお言葉に甘えて、麗華のお尻を触る</p><p>うわっ、鍛えているだけあって弾力が半端じゃない</p><p>麗華お姉さん本当にセクシーな身体だよね</p><p>わたくしがセクシー</p><p>寧さんの言葉に、驚く麗華</p><p>あたしはセクシーじゃないですよセクシーなのは、あなたみたいな身体の人のことでしょう</p><p>自嘲気味に麗華は言った</p><p>あたしなんて、お肉が付いててぷよぷよしているだけだもの麗華お姉さんの鍛え上げられてキュッと締まった身体の方がセクシーだってヨッちゃん、そうでしょ</p><p>オレは寧さんのグラマーな身体も好きだけど、麗華の締まった身体も好きだよ</p><p>うん中身が詰まっていて、抱き心地がいいんだ</p><p>オレは長身の麗華の胸に顔を埋める</p><p>小さめのおっぱいだけれど胸筋のせいか、弾力が違う</p><p>わたくしのこと好きですか</p><p>麗華はオレを見下ろして、言った</p><p>好きに決まっているじゃないかそうじゃなかったら、抱き締めないよ</p><p>わたくしのど、どこが気に入っていただけたのです</p><p>麗華は、見た目通りだから</p><p>あ、それじゃあ判らないか</p><p>オレもよく言われるんだけれど麗華は、すっごく判りやすいから綺麗な顔と鍛えられた身体が心とそのままシンクロしているからとっても、率直で嘘の吐けない性格だよね</p><p>嘘ぐらいは吐きますわたくし</p><p>嘘を吐いたって、すぐに嘘だって判るからだから、良いんだよ麗華は</p><p>そういう面では、オレによく似ている</p><p>判りやすいから、話しやすいし、付き合いやすい家族のみんなに愛されるお姉さんになれると思うよ</p><p>美学にこだわりすぎて、すぐに格好付けちゃうのはどうかと思うけれどっ</p><p>オレの言葉に寧さんが補足した</p><p>うん変に格好付けるのは麗華お姉さんの悪いところだと思うよ</p><p>わたくし、そんなことを言われたのは初めてです</p><p>麗華が、呟く</p><p>そりゃそうだよ家族じゃない人には、こんなアドバイスしないもの</p><p>寧さんが、微笑む</p><p>世の中の人は、赤の他人には厳しいからね特に二十歳を超えた社会人には家族か、直接の利害のある上司でも無い限り、多少、問題があっても社会生活ができていれば細かい注意はしてくれないよそういうものだから</p><p>そうかもな</p><p>特に麗華お姉さんは、特殊技能を活かした仕事に就いているから</p><p>香月セキュリティ・サービスのトップ・エリート</p><p>ほら、有名な小説家の先生とか、映画監督とかファッション・センスがおかしかったり、言動に問題があっても放っておいて貰えたりするでしょああいう感じで、麗華お姉さんも放置されていたんだよ</p><p>それで英国紳士趣味の撲殺剣士が生まれたのか</p><p>本人はこんなに綺麗なお姉さんなのに</p><p>まあ、英国紳士好きの趣味は趣味としてさこれからは、普通のお姉さんとして綺麗な格好もしようねっ</p><p>あたしも、ヨッちゃんもいや、みぃちゃんも、メグちゃんも、マナちゃんも、ルリちゃんも、真緒ちゃんだって綺麗なお姉さんと一緒に、街を歩きたいって思っているんだけどなっ</p><p>あ、もちろん英国スーツも続けていいんですよでも、他に綺麗なドレスを着た麗華も見てみたいって言っているだけだから</p><p>オレと寧さんで麗華を攻める</p><p>か、考えておきます</p><p>麗華は恥ずかしそうに、そう言った</p><p>やがてエレベーターが止まる</p><p>ドアが開くとマルゴさんたちが待っていた</p><p>問題は無いらしい</p><p>このエレベーターは、地下に戻そう</p><p>オレたちは地下の下りるボタンを押して、ドアが閉まる前に外に出る</p><p>これでエレベーターは再び、地階へ下りるだろう</p><p>完全にドアが閉まりエレベーターが下降したことを確認して</p><p>オレは麗華に言う</p><p>ブッ壊して、麗華</p><p>二度とこの階に、エレベーターを呼べないように回路を破壊して</p><p>それではわたくしたちは、緊急避難室に戻れなくなりますが</p><p>それでいいんだよ今は、地階に敵が下りられなくする方が優先だ</p><p>ジッちゃんがみすずたちの眼を盗んで、上階へ上がってくる可能性もあるし</p><p>さっきジッちゃんが言っていたろ朝まで、耐え切れたらオレたちの勝ちだオレたち５人は、下の階へ戻らなくていい</p><p>朝までこのホテルの中で、生きて闘い続ける</p><p>昨日、病院へ行ったら、母も来ていまして</p><p>母が病院の帰りに、買い物したいんだけれどこの病院の近くに商店街は無いのかしら</p><p>と行ったところ</p><p>父がああ、病院の前の通りを少し行くと、道がレンガ色に塗られた商店街があって、私鉄の駅まで続いているよ</p><p>と言い出しました</p><p>合っている</p><p>ちゃんと、病院の周囲の地理を思い出している</p><p>１週間前は、病院の位置がまったく判っていなかったのに</p><p>一瞬喜んだのですがそのあとまた、夢と現実が混じった話を始めます</p><p>それでも、良くはなっているようです</p><p>さてそれでは、今日も病院に寄ってから、仕事にいきます</p><p>298．楽しい約束</p><p>そうね覚悟を決めた方がいいかもね</p><p>関さんが、ニコッと微笑む</p><p>ちょっとあんたたち落ち着きなさいよ本当にいいの、それで</p><p>雪乃は、ビビっている</p><p>まあ、逃げ道をなくして朝まで危険な状況の中に身を置かなくてはならなくなるんだから</p><p>麗華お姉さん、やっちゃってぇぇっ</p><p>寧さんは、笑っている</p><p>まそれが一番の策だろうね</p><p>マルゴさんも、そう言った</p><p>美智は無言で、頷く</p><p>命令だやれ、麗華</p><p>ご命令ならば</p><p>スッと特殊合金製の撲殺ステッキを振り上げる</p><p>ヴァァッキッッ</p><p>金属棒の先が、エレベーターの電子回路を粉砕する</p><p>オーケイ、とりあえずエレベーターを隠していた壁を元に戻して</p><p>マルゴさんが、操作ユニットを使ってエレベーターの前面を壁で覆う</p><p>はい、麗華お姉さんこのユニットも壊して</p><p>了解です、ハァァッッ</p><p>グワッシャッ</p><p>これでもう、隠しエレベーターを開く方法は無い</p><p>ホテルの上層部から緊急避難室へ下りるルートは、完全に閉ざされた</p><p>暗い顔になる雪乃</p><p>ほんじゃあ行きますかっ</p><p>アッケラカンと寧さんは、笑った</p><p>君たちが来る前に話していたんだけれどね関さん、クルーザーを持っているんだって</p><p>マルゴさんが下から持って来たパッド式のパソコンで、ここから重役たちの居る部屋までの道筋を確認しながら、言った</p><p>ええクルーザーで海に出るのも、あたしの趣味だから</p><p>関さんは、ニコッと笑う</p><p>えーいいなあ今度乗せてぇぇ</p><p>寧さんが、関さんに擦り寄る</p><p>いいわよみんな乗せてあげるわハワイだけど</p><p>ハワイ</p><p>ハワイってあのハワイか</p><p>日本だと係留しておくだけでも、法外なお金を取られるしメンテナンスなんかを業者に頼んでも、向こうの何倍も掛かるのよだから、船はハワイに置いてあるのあそこなら一年中乗れるしね</p><p>はぁさすが、香月セキュリティ・サービスのトップ・エリートにして、ジッちゃんの専任警護人</p><p>スケールが違う</p><p>行く行く、ハワイまで行っちゃうよぉっヨッちゃんも、ミッちゃんも、マルちゃんも一緒に行こうねっ</p><p>寧さんは、嬉しそうに言った</p><p>そうね、いつもはあたし1人だけれどみんなで沖へ出るのも楽しそうね</p><p>関さんは、そう言って麗華の方へ行く</p><p>麗華は暗くうつむいたままだ</p><p>藤宮麗華、あなた、このままでいいの</p><p>関さんが、麗華を見下ろして言う</p><p>このままだとこの子たちのスポーティでアウトドア派で活発なお姉さんは、わたくしになってしまうけれど、それでいいの</p><p>関さん家族に入る覚悟をなさったんですか</p><p>そういうことではないわ</p><p>関さんは、オレを見る</p><p>さっき、この子が言っていたじゃない変な取り決めをして、無理に形にしようとするのが間違っているのよ別に家族のお友達のお姉さんから始めたっていいんでしょ</p><p>関さん色々と吹っ切れたらしい</p><p>あたしこの子たちに見せてあげたいものや教えてあげたいことが、いっぱいあるのよ車やバイクで疾走する楽しみもあるしハワイの夕焼けの海を、船上から見せてあげたいとも思うわみんなで、一緒にフィッシングもいいなあ海でも湖でも</p><p>うっとりとした眼で関さんは語る</p><p>あたし年上や同年代だと、意識し過ぎちゃって上手くできないけれど、年下が相手なら、ちゃんとやれそうな気がするのっていうか、こんなあたしでもこの子たちのお姉さんになれそうな気がするのよ</p><p>暗い顔で麗華は地面を見ている</p><p>わたくしは、剣だけに生きてきた女ですから関さんのように、年下の人たちに教えられるようなものは何もありません</p><p>嘘ばっかり</p><p>関さんは、ニコッと微笑む</p><p>あなた真緒ちゃんを見て言ってたじゃないシャーロック・ホームズとマザーグースは、自分が教えるって</p><p>この子に、あなたの英国趣味の話でもしてあげなさいこの子なら、何時間でも真剣にあなたの話を聞いてくれるわよ</p><p>関さんは、そう言ってオレを見た</p><p>あ、あたしも聞くよ、麗華お姉さんっ</p><p>寧さんが、麗華に微笑む</p><p>ハッとして顔を上げる</p><p>とにかくハワイでわたくしのクルーザーに乗る時には、藤宮さんも来なさいね</p><p>あなたも年下なのよあたしより</p><p>麗華は頭や心の整理が付く前に、家族への参加を表明してしまったが</p><p>関さんは、じっくりとオレたちと付き合って関係を深めてから、どうするか決めることにしたらしい</p><p>それでも、いつも孤立していた関さんがオレたちを受け入れてくれようとしているのは、嬉しい</p><p>でも、ちゃんと水着を着るのよいつもの男装スーツだったら、あたしのクルーザーには乗せてあげないからねっ</p><p>関さぁん、そもそもハワイの炎天下の洋上で、三つ揃いスーツは無理だよー暑すぎるっての</p><p>それも、そうねっ</p><p>寧さんと関さんは、カラカラと笑った</p><p>麗華お姉さんあんまり、自分には何ができるかとか考えない方がいいですよ</p><p>それよりみんなで、何がしたいかを考えて下さい</p><p>みんなで何をしたいか</p><p>その方が楽しいでしょ</p><p>爽やかにマルゴさんは、微笑む</p><p>あんたたち、バカじゃないのこんな状況でさ</p><p>雪乃が、吐き捨てる様に言った</p><p>こんな状況だから楽しい未来を考えるんだよ色んなことを約束するんだ絶対に全員無事で生き残るためにね</p><p>マルゴさんが、雪乃に答える</p><p>あれれれところでさあ誰か、雪乃さんと何か約束したぁヨッちゃんは</p><p>何もしていません</p><p>つまり誰も雪乃さんの未来は保障していないってことだよねっ</p><p>雪乃はゾッとして、震える</p><p>まあ何回言っても、雪乃さんは自分の立場を弁えない子だから、しょうがないよねっ</p><p>さて、ルートが決まったよそれから、このフロア周辺にはまだ敵は上がって来ていないようだおそらくは</p><p>おそらく</p><p>マルゴさんの言葉にオレは反応する</p><p>最初にホテルのロビーにガス攻撃してきた連中ガスが晴れたら、４人ほど消えていたよね</p><p>そうだそんなことがあった</p><p>その４人が今、どこにいるのかそれが一番心配だよ</p><p>その後に大型バス３台で乱入して来た敵は、班に分かれて上階に侵攻して来ているから動きが完全に把握できているけれど</p><p>最初に消えた４人の消息は丸っきり判らない</p><p>３人は判っているけれど最後の１人の正体が掴めない</p><p>判っているって</p><p>あれって、ミス・コーデリアと、白くて女のヴァイオラとロザリンドだよねっ</p><p>劇場に現れたミス・コーデリアと名乗る女性と、もう一組のヴァイオラたち</p><p>男のヴァイオラたちが、力任せに乱入してくる前に先に、ホテル内に潜入したんだと思うよ</p><p>なるほど男のヴァイオラの一党が、荒らした後では現場もメチャクチャだし、潜入しづらいだろうから</p><p>想像していた通りミス・コーデリアは、男のヴァイオラとは共闘していないヴァイオラと同じ組織の人間であることは間違いないけれど</p><p>何か、きっと、まだあたしたちの知らない秘密があるんだろうねっ</p><p>ああシザーリオ・ヴァイオラを名乗る犯罪者が複数居て、何者かが各ヴァイオラたちに指示を出しているのは間違いないと思うよそして、ミス・コーデリアは現場統括者なんだろうってこともでも、何の役割を命じられて、今回来日してきたのかその辺りが判らないね</p><p>それから４人目の潜入者が誰かってこともね</p><p>マルゴさんと寧さんで、どんどん考察を深めていく</p><p>２人とも、頭がいいしこういう状況に慣れているんだな</p><p>関さん、香月セキュリティ・サービスには、シザーリオ・ヴァイオラについての調査資料は無いのっ</p><p>調査部にはあるのかもしれませんが私も藤宮さんも現場の人間ですから、担当する警護に関わる資料しか開示してはもらえません香月セキュリティ・サービスの業務のメインは国内での警備ですし今回の様に、海外の犯罪組織が大挙して押し寄せてくるというケースは特異ですから</p><p>関さんは、そう答えた</p><p>谷沢チーフなら全てをご存じだと思いますがわたくしたちは、ロサンゼルスにシザーリオ・ヴァイオラという犯罪者のグループがあるという程度の一般的な知識しかありません</p><p>だって、今回の件はシザーリオ・ヴァイオラが襲って来るってことは判っていたんでしょっ</p><p>寧さんが、反論する</p><p>そうだ警備部の山岡部長は、数日前から動いていたはずだ</p><p>残念ながら、わたくしは閣下の専任警護人の中でも末席ですから閣下のご命令に逐次従うということ以外は命じられていません</p><p>わたくしもみすず様、瑠璃子様の警護しか命じられていません</p><p>麗華も、そう答えた</p><p>２人ともトップ・エリートだから、通常の香月セキュリティ・サービスのラインからは外れているんだ</p><p>山岡部長の部下では無いしヴァイオラの迎撃要員にも選ばれていないんだ</p><p>だからヴァイオラについての詳細な情報は知らされていない</p><p>ジッちゃんが、この２人をオレたちに接触させたのは</p><p>この２人が、詳細な情報を持っていないからなんじゃないのか</p><p>おそらくジッちゃんの専任警護人でも大徳さんと、張本さんには詳細な情報が伝えられているんじゃないだろうか</p><p>だから男の２人は、オレたちに接触させない</p><p>ジッちゃん自身も専任警護人の側を離れるという危険なことをしている</p><p>いや違うな</p><p>ジッちゃんが、そんな迂闊なことをするはずが無いし</p><p>大徳さんたちだって、ジッちゃんの警護を放棄するはずがない</p><p>多分、オレたちには見えない場所で、今も大徳さんと張本さんはジッちゃんを警護している</p><p>だから緊急避難室に警護役を残さなくてもいいと、ジッちゃんは言ったんだ</p><p>自分が最強の部下たちに護られていることを知っているから</p><p>あなたたちの知っているシザーリオ・ヴァイオラについての情報と、今言っていたミス・コーデリアだっけそれと白いヴァイオラって人たちのこと教えてくれるかしら</p><p>関さんが、マルゴさんに言った</p><p>じゃあ、重役たちの居る部屋に行く間に話します麗華お姉さんも聞いて下さい</p><p>寧これ</p><p>マルゴさんは、コンピューターのパッドを寧さんに手渡す</p><p>あたしはお姉さんたちに話しながら行くから寧がナビして</p><p>現在のホテル内はあちこちで防火扉やシャッターが下ろされ、通り抜けられるルートが決まっている</p><p>この赤く表示されたルートが、今通れる道だから</p><p>おそらく、地下の監視室から送られてきた情報なのだろう</p><p>先頭は美智さんが歩いてちょっとでもおかしなものがあったら、みんなを制止させて</p><p>寧たちは真ん中ねあたしたちが後ろを守るから</p><p>４人の潜入者が行方不明とは言えこのフロアには、大規模な敵はいない</p><p>なので、完全防御のフォーメーションを組まなくても良いとマルゴさんは判断したらしい</p><p>美智を先頭に廊下に出る</p><p>その後ろから、オレと寧さん</p><p>おい、雪乃くっつきすぎだよ</p><p>雪乃が、オレの背中にぴったりくっついている</p><p>い、いいじゃない怖いんだから、あたし</p><p>おどおどしている雪乃</p><p>その後ろにマルゴさんとお姉さん２人が、話ながら続く</p><p>あ、みっちゃんそこの角、右ね左の階段は途中で封鎖されているから</p><p>寧さんのナビに従ってみんなで進んでいく</p><p>階段で一つ上のフロアに到着するとさらに上の階へ行くためには、また別の階段を使わないといけない</p><p>階段から階段も、最短距離では行かれず大きく遠回りすることになる</p><p>ちょっとしたダンジョンだねこれ</p><p>寧さんが、ニコッと笑った</p><p>寧さんはどんな時でも、楽しそうな顔をしている</p><p>もちろんオレたちを心配させないための作り笑顔なんだろうけれど</p><p>この美少女の笑顔には、本当に心が癒やされる</p><p>寧さんの気遣いにオレはいつも助けて貰っている気がする</p><p>どうしたのヨッちゃん、あたしの顔ジロジロ見て</p><p>ん寧さん、大好きですよ</p><p>えへへあたしも、ヨッちゃんのこと大好きだよ</p><p>寧さんと一緒に歩いて行く</p><p>ずっとずっと、この人と歩いて行きたい</p><p>父上</p><p>角を曲がったところに廊下の向こうから、工藤父が居た</p><p>工藤父は、配下のフリー警護人を連れている</p><p>この人は確か</p><p>タケシ・ハンターさんだっけ</p><p>おお、ミッチーくんではないか元気にやっておるかね</p><p>工藤父が娘に笑いかける</p><p>父上こんなところでどうなされたのです</p><p>うん敵はまだ、ホテルの下層に居る</p><p>敵も工藤父の配下も分かれて闘っているはずだ</p><p>次の仕込みだそのうち、やつらもここまで上がって来るだろうしな</p><p>工藤父は敵が２０階以上のエリアまで昇ってくると想定している</p><p>現在、敵集団の４割を壊滅させたといっても、敵がロシアから連れて来た素人のチンピラ連中ばかりだシザーリオ・ヴァイオラが、アメリカから連れて来た本隊は健在だと考えるべきだろうな</p><p>工藤父は大きな声でマルゴさんや、トップ・エリートの２人にも聞こえるように言った</p><p>こっちもフリーのやつらを殉職させるわけにはいかないからな敵の数を削りながら、怪我しない程度のところで撤退するように指示しているちょっとずつ、上の階におびき寄せては叩くの繰り返しだ</p><p>そろそろ、交代で戦闘メンバーを休ませてやらないといけねぇし今は、１２階に防衛ラインを引いているが、すぐに突破されると思う</p><p>消耗戦は続くのか</p><p>んミッチィくん、どうしたんだ</p><p>工藤父が、娘の異変に気付く</p><p>何か腰の辺りを庇っているみたいだが、怪我でもしたのか</p><p>父上わたくし、さきほど、処女を喪失致しました</p><p>美智は真顔で、そう言った</p><p>それで、下腹部に違和感がございますが戦闘に支障があるほどでは、ございませんっ</p><p>工藤父は、凍り付いている</p><p>あのみ、ミッチィくん</p><p>わたくし、今日は危ない日でございますので確実に受精していると思います</p><p>じゅ受精</p><p>どうして、そんな生々しい言い方をするんだ、美智</p><p>ですから、父上産まれてくる子の名前を考えておいて下さいませ</p><p>工藤父がギロッとオレを見る</p><p>ええ</p><p>わたくし女の子を産みますので女の子の名前をお願いしますっ</p><p>昨日の父は、ずっと看護士さんに</p><p>まずい、このままでは鎌倉に連れて行かれる鎌倉にっ</p><p>と、言っていたらしいです</p><p>父よ鎌倉で何があった</p><p>父は昭和４０年代に、鎌倉に住んでいた時期があるらしいのですが</p><p>299．父よ、母よ</p><p>きっさまぁッッオレのミッチィくんにぃぃ</p><p>激高した工藤父が、オレに襲いかかるが</p><p>スススッとオレ前に移動してきた美智が工藤父の攻撃を全て受け流す</p><p>わたくしは父上のものではございませんっ</p><p>美智は、顔を赤らめて言う</p><p>身も心もすでに、ご主人様のものですから</p><p>なんですとぉぉ</p><p>シュシュシュシュババババッ</p><p>工藤父が、さらに廻り込んでオレに接近しようと試みるが</p><p>それも、美智に阻止される</p><p>あげくに</p><p>な、何だッ</p><p>眼と眼が合った瞬間美智は招き猫の手で、宙を掻くっ</p><p>わひっ</p><p>工藤父は、強く釣り出されるようにして態勢を崩す</p><p>その瞬間、美智が工藤父の足を払った</p><p>工藤父は、スデンッと床に尻餅をつく</p><p>ミッチィくんそ、その技は</p><p>工藤流古武術奥義心月でございます父上</p><p>痛めた尻を擦りながら、ハッとして娘を見上げる工藤父</p><p>工藤流古武術奥義心月だと</p><p>ギッと娘を睨む</p><p>その場に緊張感が走る</p><p>何じゃそりゃオレは、知らんぞそんな技</p><p>オレはズッコケた</p><p>はいお祖父様は、父上には伝授していないとおっしゃっていました</p><p>ちくしょう、あのクソ親父オレに教えてない技があんのかよっ</p><p>工藤父は、喚きながら立ち上がるが</p><p>それは父上が修行を途中で放り出して、家を出られてしまったからなのではございませんか</p><p>それはその悦子が真一を孕んじまったんで、稼がないといけないという止むに止まれぬ事情があったんだよミッチィくん</p><p>工藤父は、若くしてできちゃった結婚をしている</p><p>それで家を飛び出して、工藤流を使って裏稼業の仕事を始めた</p><p>えもしかして、オレの知らない技ってまだあるのか</p><p>おそらくは心月をご存じないということは、宇呂焼沼も、円月大回転も電光雷鳴崩しも稲妻重力落としもご存じないのでは</p><p>マジっすか全然、知らんです、はい</p><p>工藤父は、ガックリとしている</p><p>父上わたくしは、これから工藤流古武術・黒森派を名乗ろうと思います</p><p>わたくしに、お前はお前の工藤流を作れと仰ったのは父上です現在のわたくしはもう、黒森家の家中におりますし</p><p>香月家ではないのか</p><p>みすず様も、すでに黒森家にお入りになりましたわたくしも、黒森家の女でございますから</p><p>美智は、父に頭を下げる</p><p>父上、申し訳ございません</p><p>わたくしは父上には、花嫁衣装をお見せすることはできません</p><p>な、何でだこいつとお前は</p><p>工藤父が、オレと美智を見る</p><p>子細は今は申し上げられませんわたくしは、この方と正式な婚姻はいたしませんしかしわたくしの生涯はすでに、この方に捧げております</p><p>オレの他の女たちを気遣ってくれている</p><p>オレとの正式な結婚は、望んでいないと</p><p>そして父親に晴れ姿を見せられないことを侘びている</p><p>お前には驚かされっぱなしだな</p><p>工藤父は言った</p><p>何が何だか、全然よく判らんがお前の覚悟だけは、判った</p><p>お前はもうオレの手から離れたということなんだな</p><p>大切にしますっ大切にしますからっ</p><p>お嬢さんをオレに下さいという言葉が喉まで出かかったが</p><p>それを言うのは場違いだと思った</p><p>美智は、すでに自分の意志でオレの女になっている</p><p>今更、父親の許しを乞うことは美智の覚悟を汚すことになる</p><p>一生泣かせませんから美智をオレ</p><p>そんな言葉だけが、口から出た</p><p>泣きませんわたくし</p><p>泣きませんからご主人様は、どうぞご自由になさって下さい</p><p>わたくしは、いつも勝手にご主人様のお側におりますどんなことがあっても離れませんからわたくしのことは気になさらずに、ご主人様はご自身の道をお進み下さい</p><p>美智の言葉に工藤父は</p><p>そうかそいつはお前にとって、人生の伴侶じゃないんだな</p><p>はいこの方は、わたくしの主です一生お仕えすべきお方です</p><p>ミッチィくんの心は判ったよ主とは、結婚できないもんな</p><p>ご主人様は、わたくしを可愛がって下さっていますそれだけでわたくしは、充分です</p><p>美智の発想はどこまでも武人なんだ</p><p>主には仕えるもの絶対に対等な関係になっては、いけない</p><p>だからオレの女にはなっても、妻にはなれない</p><p>大切にしてやってくれいい加減なことをしたら、オレがお前をブッ殺す</p><p>その前にわたくしが父上を倒します</p><p>美智は、平然と言った</p><p>そうかもう、違う家の人間だものな</p><p>はい父上であろうと、わたくしたちの家の前に立ち塞がる者には容赦致しません</p><p>お別れでございます父上</p><p>美智は父と決別する</p><p>オレと黒森の家族としての道を進むために</p><p>工藤さん最後に、美智を抱き締めてやって下さい</p><p>えおい</p><p>美智もお父さんに抱き締めてもらえ</p><p>美智が、オレを見て</p><p>工藤父の前に身を寄せる美智</p><p>工藤父が、ギュッと美智を抱き締める</p><p>大きくなったなあ、ミッチィくん</p><p>わたくしは小柄です</p><p>赤ちゃんの時はあんなに小さかったのに</p><p>そんな前と比べられても困ります</p><p>お前が居てくれて、幸せだったよ美智</p><p>美智と工藤父は心の仮面を外す</p><p>ごめんなさいわたくし</p><p>オレこそ、ゴメンずっと親父にお前を預けっぱなしで、ろくに遊んでもやらなかった</p><p>わたくしは工藤流を通じて、お父さんとはずっと近しい気持ちになっていました</p><p>幼い頃から美智は家庭が貧しかったから、祖父の家に預けられていた</p><p>祖父の元で工藤流を必死で学んだのは</p><p>それが父との絆になると信じていたから</p><p>ちくしょう今じゃあ、お前の方が工藤流ではオレより上だとはな</p><p>お父さんだって、お祖父様のご指導を受ければ</p><p>この年で今更親父に頭を下げられるかいいさ、オレは邪道な工藤流で正当な武術は、お前が継承してくれればいい</p><p>いいんだ幸せになれよ、美智</p><p>もう幸せです、わたくしわたくし、今、人生の中で一番幸せなんです愛しています愛されています守るべき主が、家族が、仲間がいます</p><p>そうかうん</p><p>工藤父は、美智から身体を離す</p><p>一番下の娘が、一番先に親離れするとはなぁまだ15歳だろでも、仕方ねぇか年齢じゃねぇもんな、人生を決めるのはオレだって、そうだったもんなぁ</p><p>それから、オレとマルゴさんたちを見て</p><p>娘をよろしくお願い致します</p><p>深々と、頭を下げる</p><p>オレも頭を下げた</p><p>それ以上の言葉は出て来なかった</p><p>じゃあな気を付けろよこのホテルの中は、戦場だからな</p><p>父上もお気を付けて</p><p>父娘は、再び武人としての仮面を被る</p><p>そうだこのホテルには、悦子も来ているぞ</p><p>美智の母親が</p><p>劇場の警備から、ホテルの警備に移ったのか</p><p>ということは山岡部長の指示だな</p><p>あいつはオレと違って物分かりが悪いぞ</p><p>うんあの母親は、美智の自立を認めないだろう</p><p>はいママ上様には、ご理解いただけるとは思っていません</p><p>ママ上様はサラリーマンであって、武人ではございませんから</p><p>自分の母を、そう評する</p><p>とにかく気を付けろ</p><p>はい、ありがとうございます父上もご武運を</p><p>うんじゃあな</p><p>そして父娘は別れていく</p><p>父は、下階へ侵攻勢力の撃退へ</p><p>娘は、上階へ裏切り者の特定と、殲滅へ</p><p>何ですご主人様</p><p>手を繋いで歩こうか</p><p>オレは、そう提案した</p><p>申し訳ありませんが片手を繋いでいると、敵に急襲された時に対応が遅れます</p><p>オレたちの集団の先鋒として美智は答えた</p><p>そっかそうだよな</p><p>ですからわたくしの制服の端を</p><p>端っこを握っていて下さい</p><p>頬を赤らめて美智は言った</p><p>服の端の方を軽く握っているだけなら、何かあった時にはオレを振り払って対応することもできる</p><p>オレは、美智の制服の背中側をちょこんと掴む</p><p>美智が、笑った</p><p>嬉しいんですほんのちょっとだけ、ご主人様と接触しているだけでも、わたくし</p><p>この小柄な、武人美少女はどこまで可愛くなるんだろう</p><p>ほらほら、緊張感を持って行くよっ</p><p>後ろから寧さんが、オレたちに言った</p><p>そのまま、オレたちは廊下を抜け階段を昇る</p><p>そのまま何のトラブルも無く、香月グループの重役たちと私塾の連中が避難しているフロアに到着した</p><p>えっとねここの部屋のはずなんだけれど</p><p>寧さんがコンピューターのパッドを見て、確認する</p><p>フォーメーションを変えましょうわたくしが正面に立つわ</p><p>香月グループの人たちと対するにはジッちゃんの専任警護人として顔の知られている関さんが前面に立った方が良い</p><p>フォーメーション変更</p><p>先頭が関さん次が麗華ほぼツー・トップな感じ</p><p>次が、オレと美智</p><p>その後ろに寧さんと雪乃</p><p>殿《しんがり》がマルゴさん</p><p>関さんが、部屋のドアをノックする</p><p>ガチャッと、ドアが開いた</p><p>覗き穴から、関さんの顔を確認したらしい</p><p>どうなさったんです関さん</p><p>顔を出したのは美智の母の工藤悦子だった</p><p>この部屋の警備を担当しているのか</p><p>閣下の勅命で参りました</p><p>関さんは、それだけ答えた</p><p>重役の皆さんはこちらのお部屋にいらっしゃるのですね</p><p>はい、そうですがあら、美智どうしたのよ、あなた</p><p>工藤悦子は、関さんの後ろに続くメンバーの中に自分の娘の姿を見て驚く</p><p>とにかく、部屋の中へ入れていただけませんか</p><p>関さんの言葉に、工藤母は</p><p>あ、申し訳ございませんどうぞ</p><p>工藤母は、年齢が関さんよりも遥かに上だし香月セキュリティ・サービスでの勤務も、関さんや麗華より長いはずだ</p><p>なのに関さんに敬語で喋るってことは</p><p>トップ・エリートでジッちゃんの専任警護人という地位は、特別なものなのだろう</p><p>その部屋は最初にジッちゃんに通されたのと同じ作りになっていた</p><p>二間続きの会議室だ</p><p>奥の部屋は、３０人ぐらいが会議できそうな広い部屋になっているんだろう</p><p>避難している人たちは、そこに集められているはずだ</p><p>どうした何が来たんだ</p><p>この声は</p><p>香月セキュリティ・サービス警備部の山岡部長</p><p>わたくしです、山岡部長</p><p>関さんが、山岡部長に告げる</p><p>閣下の勅命でいらしたそうです</p><p>工藤母が、上司に報告する</p><p>勅命どういうことです</p><p>山岡部長は、ジロジロとオレたちを見る</p><p>関さんと麗華はともかく</p><p>他の面子は異常過ぎる</p><p>オレと寧さんと雪乃は高校生だし美智は中学生だ</p><p>しかも、山岡部長はオレたちが黒い森であることを知っている</p><p>あなたに説明する義務はありません奥の部屋に通して下さい</p><p>関さんは最初に会った頃の慇懃無礼さで、山岡部長に言った</p><p>そうか、若い女性が組織の中で年長者とやり合うためにはこういう強気な態度が必要なんだ</p><p>私は警備部の部長だぞ</p><p>山岡部長は、突っぱねるが</p><p>ええなぜ警備の責任者が、こんな場所にいらっしゃるのですあなたは、現場で陣頭指揮を執られる立場なのではございませんか</p><p>関さんが山岡部長に笑って言う</p><p>ああ襲撃して来た敵との交戦は、工藤さんの警護課が担当になられたので、山岡部長はお暇なんですね</p><p>関さんの毒のある言葉に山岡部長は、グッと耐える</p><p>いいですね、警備部の方たちは普段は華やかですが、本当の緊急事態になった場合は退避ですものねいつもあなたたちの尻ぬぐいをさせられる、警護課の人たちは可哀想ですわね</p><p>わ、我々だって一生懸命やっているんですっ</p><p>一生懸命やってこれですか</p><p>関さんは、山岡部長を追い詰める</p><p>敵は大型バス３台に分乗して突入してきましたホテル入り口での検問は、警備部の仕事では無かったのですか</p><p>検問していた制服組の警備員はどうなりました全員、敵の銃撃で死亡しましたか何の抵抗もしないまま、敵の侵入を許すことなどありえないと思いますが</p><p>関さんの問いに山岡部長は</p><p>不明です</p><p>不明</p><p>ホテルの周囲で検問していた警備員とは全員、連絡が取れません行方不明です</p><p>何だよそれ</p><p>わたくしと藤宮さんは瑠璃子様とみすず様を劇場からこのホテルに移送する途中香月セキュリティ・サービスの制服を着た警備員に襲われました</p><p>報告は受けています</p><p>恐縮する山岡部長</p><p>敵の襲来後警備部の制服組は、全員、ホテルから撤退させたのですね</p><p>はい閣下のご命令で、谷沢チーフが地下駐車場より、外へ退避させたそうです</p><p>制服組の中には、どれだけ敵が混じっているか判らないですものね今、このホテルの中にいらっしゃる警備部の方は</p><p>私と彼女を含めて管理職の人間が数名残っているだけです</p><p>口惜しそうに山岡部長は言った</p><p>部下がいなくなれば警備責任者としての仕事もなくなる</p><p>制服警備員の長である山岡部長のメンツは丸潰れなんだな</p><p>私は閣下に進退伺いを提出するべきなんでしょうね</p><p>そんなことは敵を全て撃退してから考えて下さい</p><p>関さんは、厳しい口調で言った</p><p>今もなお、工藤さんの配下の方々は闘っていらっしゃるのですよ</p><p>わたくしたちが、閣下の勅命でここに来たのもこれ以上敵の跳梁を許さないためです</p><p>関さんははっきりと、そう言った</p><p>一昨日、夕方に綺麗な虹を見ました</p><p>東京では、あちこちで見られたらしいです</p><p>完全な半円のアーチになった虹を見たのは、生まれて初めてでした</p><p>思わず、オーバー・ザ・レインボーを口笛で吹いてしまいました</p><p>何かよいことの兆候かと思ったのですが</p><p>その夜、交通事故の現場に出くわして、血まみれになった人を見ました</p><p>そういや虹は必ずしも良いことの兆候では無かったんでしたっけ</p><p>300．大人たちと</p><p>さて重役の皆さんに、お目に掛かりたいのですが</p><p>関さんは山岡部長を急かす</p><p>あの彼らも一緒にですか</p><p>山岡部長がオレたちを見る</p><p>勅命です山岡さんあなたも、香月セキュリティ・サービスの管理職なら、この言葉の意味はよくご存じだと思いますが</p><p>嘲りの眼で関さんは山岡部長を見る</p><p>判りましたおい、この人たちを中へ入れてやれ</p><p>山岡部長は、奥の部屋のドアの前で警護している紺スーツの巨漢2人に命じた</p><p>あのそれで、閣下は今どちらにいらっしゃるのです</p><p>恐縮して、山岡部長は関さんに尋ねる</p><p>教えられませんわ</p><p>私は警備部の部長です最重要警護対象者である閣下の現在地を知らないことには</p><p>ジッちゃんの居場所が判らないから山岡部長は、ジッちゃんよりも重要度の低い重役たちの警備をしているんだ</p><p>自主的に</p><p>襲撃者との戦闘は、工藤父たちがやっているし</p><p>そもそもホテル内に残った山岡部長の配下の警備員の数では、銃を持った敵との交戦は不可能だ</p><p>となれば、ジッちゃんの身辺を固めるぐらいしか、山岡部長にはできない</p><p>というかこの状況で、ジッちゃんの警護ができなくては、警備部長としてのメンツが立たない</p><p>なのに山岡部長には、ジッちゃんの所在地が知らされていない</p><p>仕方無いので山岡部長は、次善策として香月グループの重役たちの警護を自主的にしているのだろう</p><p>あなたには、教えられません</p><p>関さんは、キッパリと言った</p><p>私には教えられないと</p><p>少し興奮気味に、山岡部長は言う</p><p>あなただけではありませんから、ご安心ください工藤さんも、ご存じないですよ谷沢チーフはご存じだと思います閣下は、大徳さんと張本さんの警護で安全な場所に退避なさっています</p><p>関さんは、嘘を言う</p><p>地下の緊急避難室にジッちゃんの専任警護人の2人の男性はいない</p><p>しかし、ジッちゃんがその2人に護られていると知れば、取りあえず安心できるはずだ</p><p>普通の人間なら</p><p>あなたたちは、閣下の警護を専任警護人の方たちだけで独占しようというのですか</p><p>その山岡部長の言葉に関さんは</p><p>ハァと鼻で笑う</p><p>そういうお考えだから、あなたは信頼していただけないんですよ</p><p>全ては閣下のお考えですわたくしたち専任警護人は、常に閣下のご意志に従って行動していますあなた、本当に何も判っていらっしゃらないみたいですね</p><p>関さんが、山岡部長を睨む</p><p>山岡さんあなたは非常に考えの浅い方だし、無駄なお喋りがお好きの様ですそれに人の本質を洞察する眼にも欠けていらっしゃるみたいですねだから、警備部長ぐらいの軽い役職しか与えていただけないんでしょうね</p><p>山岡の表情が、強ばる</p><p>警備部をバカにするのか、あなたは</p><p>ご冗談をわたくしが小馬鹿にしているのは、あなただけです</p><p>小娘が</p><p>怒った山岡部長が、関さんに掴み掛かろうとするが</p><p>その瞬間に、関さんが高速で動く</p><p>フハッ</p><p>山岡部長の身体は空中をくるりと廻って</p><p>そのままドスッッンッ</p><p>強く、床に叩き付けられる</p><p>き、貴様ぁッ</p><p>起き上がろうとする山岡部長の眼前に麗華の撲殺ステッキがドスッと突き刺さった</p><p>特殊金属の石突きがカーペットを破って、コンクリートの床に突き刺さっている</p><p>マルゴさんは、寧さんを</p><p>美智は、オレを護っていた</p><p>雪乃は放っておかれている</p><p>あなた、今の見ていたわよね</p><p>関さんは、工藤母に言った</p><p>そこのあなたたちも</p><p>奥のドアをガードしている、2人の巨漢にも関さんは尋ねる</p><p>み、見ておりました</p><p>工藤母は呆気に取られて、答えられなかったが</p><p>山岡部長の部下の2人は、関さんに答えた</p><p>先に手を出したのは、山岡部長で今のは、わたくしの正当防衛よね</p><p>そ、そうだと思います</p><p>巨漢たちは、山岡部長の眼を気にしながら答えた</p><p>思いますでは困るわ後で、報告書を廻すから、サインして頂戴ね</p><p>関さんは、クールに言った</p><p>山岡部長が、関さんを見上げる</p><p>報告書だと</p><p>わたくしは、香月セキュリティ・サービスの人間ですけれど専任警護人である以上、社内の命令系統からは外れています直属の上司である谷沢チーフの命令よりも、閣下の勅命を優先することになっていますし事実上、閣下の直属の部下ですわですから香月セキュリティ・サービスの管理職社員であるあなたとトラブルを起こしたことは、閣下に報告する義務が生じます</p><p>私を脅迫するつもりか</p><p>関さんは、工藤母を見る</p><p>この頭の回転の鈍い人に、教えてあげて下さいませんかわたくし、もう相手をするのは嫌です</p><p>工藤母は情け無さそうな顔で、山岡部長を見て</p><p>関さんには、山岡部長を脅迫する理由も、メリットも無いわ</p><p>しかしこの小娘は今、この一件を閣下に報告すると言ったぞ閣下に、私のことを悪く吹聴するつもりなんだきっと</p><p>違いますわ</p><p>工藤母は、言う</p><p>関さんが報告しなければならないのは山岡部長とのトラブルを、あたしやこの部屋に居る人に見られたからです目撃者がいる以上は、きちんと閣下の裁定を仰がなければなりませんから</p><p>こんなことで、警備部と専任警護人の間にわだかまりを作るわけにはいかないじゃありませんかっそんなことも判らないの、あなたは</p><p>工藤母の言葉に、山岡部長は黙り込む</p><p>すみませんこの人、普段はこんなでは無いんです今日は、劇場以来失敗続きで閣下の信頼を損ねて見限られてしまったのでは無いかと感じて 、少しイライラして、気が立っていたんです申し訳ございません本当に申し訳ございません</p><p>工藤母が山岡部長のために、頭を下げる</p><p>山岡部長は、最初から考え違いをなさっていますわ</p><p>関さんが、言った</p><p>そもそも閣下は山岡部長には、最初から期待なさっておられません</p><p>その言葉に山岡部長は、深いショックを受ける</p><p>山岡部長に、閣下に信頼されるだけの能力がお有りならとっくの昔にトップ・エリートに選出されていますトップ・エリートだけが、香月セキュリティ・サービスの本当の仕事をする人間ですから</p><p>関さんは穏やかに言った</p><p>優秀な戦闘能力と、専門的な知識、素早い判断力を有しているだけでなく閣下の信頼に足る人間でなくては、トップ・エリートにはなれません谷沢チーフの推薦を受け、閣下自らの審査を受けて人間としての品格を認められなければ</p><p>人間としての品格</p><p>わたくしたちも人間ですからお金も欲しいですし、欲もありますしかし、だからといってわたくしたちは、主を裏切ったりは致しませんもし、わたくしが閣下の敵に廻ろうと思ったらまず、閣下にその旨を報告し、主従関係を破棄する許可をいただきますそのプロセスが済むまではわたくしは決して閣下を闇討ちしたりなどしませんし、閣下も何も言わずにわたくしを処分なさったりはしません</p><p>うん主従の信頼</p><p>それは、金銭とか、地位とか名誉で保たれているのでは無い</p><p>お互いにお互いの心を信頼しているから</p><p>品の無い、下衆な人間では裏切られるかもしれないけれど</p><p>そういう人間では無いと判っているから</p><p>だから信じられる絆がある</p><p>閣下は最初から、私のことを信用なさっていない</p><p>そうでしょうね信用なさっておられたら、山岡部長の今夜の失態について、直接、お叱りの言葉があるはずです閣下から何かお話はありましたか</p><p>ありません閣下だけでなく、谷沢チーフからも</p><p>もっとも今は、山岡部長を叱るための時間を取るのは難しいのかもしれないですわね何しろ敵の襲撃中の非常事態ですからみなさん、とてもお忙しいですものね</p><p>関さんは、皮肉っぽく笑う</p><p>その非常事態に現場から外される警備部って</p><p>そ、それでは私たちは警備部とは、何なのです閣下にとって</p><p>悲痛な叫びを上げる山岡部長</p><p>警備部は安全な時にこそ、必要なものです強そうな制服姿の警備員が並んで居るだけで、犯罪行為を諦めさせるのが、その存在意義の全てですですから、そこそこの格闘能力があって、制服の似合う体格の良い人間ならば誰でも構いません上司の命令を理解するだけの知能と、無闇に犯罪に走らない性質は必要でしょうが</p><p>関さんは、説明する</p><p>しかし警備員による厚い人壁を見ても、犯罪を諦めないような人間むしろ、その裏を掻いてやろうとするような極悪人には、わたくしたちトップ・エリートが立ち向かわなければなりませんわたくしたちは、ありとあらゆる方法で合法、非合法に関わらず、そういう悪人と闘い滅ぼします閣下より、それを可能とするだけの数々の権限を与えられる以上、戦闘力と同じくらい品格を重視されるのです</p><p>人としての品格</p><p>一応、お伝えしておきますが工藤さんも、閣下のトップ・エリートの1人ですよ工藤さんご本人はそのことを認めておられませんから、香月セキュリティ・サービスの中ではあの様な中途半端な形での在籍となっておられますが閣下は、工藤さんを完全に信頼なさっていますので</p><p>工藤父は警護課のトップっていうことになっているけれど</p><p>書類上は、香月セキュリティ・サービスとは別の会社である工藤探偵事務所の人間で、業務提携で出向しているということになっている</p><p>香月セキュリティ・サービスの正社員になることを、自ら拒んで</p><p>さてもう、よろしいですわねわたくしたちは、中に入りますよ</p><p>山岡部長は</p><p>私は私は今後、どうしたら良いのでしょうか</p><p>そんなことは私の知ったことではありません大人の男性なら、自分でお考えになって下さい</p><p>うなだれる部長に工藤母が、寄り添おうとする</p><p>こんな状態でもまだ工藤母は、山岡部長に気があるんだ</p><p>しばらく、放っておいてくれ</p><p>そんな工藤母を、山岡部長は拒絶する</p><p>君には私のみっともない所を、これ以上は見て欲しくない</p><p>つくづく、身勝手な男なんだな</p><p>こんな男だから、夫と子供のいる女性に手を出した</p><p>そしてそんな男にフラフラしてしまったのが、工藤母という女</p><p>美智がオレの眼を見て囁く</p><p>自分の母親のみっともないところって見るのは辛いよな</p><p>オレにも覚えがある</p><p>美智の小ぶりなお尻を触る</p><p>あふっご主人様</p><p>思い出せ、美智はもう全部オレのものだ</p><p>はいそうでございました</p><p>美智の眼から、戸惑いが消える</p><p>な、何だね何かあったのかね</p><p>隣の部屋に入った途端、スーツ姿のオッサンの１人がオレたちに言った</p><p>うん、この何でも食い付いてくる感じは</p><p>角田の親父だな</p><p>オレたちは、ゾロゾロと部屋に入っていく</p><p>最初にジッちゃんと会った会議室よりも、少し広い</p><p>ブロンズ像の彫刻が大理石の上に乗っていたりするしちょっと豪華な部屋だ</p><p>木の机が幾つか並んで居る</p><p>あれ山岡部長に１人にしてくれと言われた工藤母も、オレたちにくっついてこっちの部屋にやって来ている</p><p>関さんが、颯爽と宣言する</p><p>閣下はご無事なのかっ</p><p>これは香月操と昴と一緒にいるから、兄弟の父親だろう</p><p>この中では、ジッちゃんに一番近い血筋のはずだ</p><p>はい、現在は別室で退避していただいております</p><p>閣下にお会いしたいいや、電話でもいいとにかく閣下と連絡を取りたいのだが</p><p>そう言ったのは、夏木惇の父親だった</p><p>なるほど集団内の人間関係や、順列、役割が子供たちと同じだ</p><p>それはできません</p><p>関さんは強く言った</p><p>香月操の父が、尋ねる</p><p>ここからは、オレにやれって言うのか</p><p>まあそうだな</p><p>ジッちゃんは、オレにそう命じたんだし</p><p>あの、皆さんの中に裏切り者がいるみたいなんです</p><p>オレは、穏やかに言った</p><p>だから裏切り者の人を排除しないまま、香月さんに会わせるわけにはいきませんし香月さんの現在位置も教えられません裏切り者が、敵に知らせる可能性がありますから</p><p>オレの言葉に一堂はどよめく</p><p>バカなこと言うな</p><p>私たちの中に裏切り者がいるはずなんて無いだろう</p><p>そもそも誰なんだ、お前は</p><p>子供の相手をする気は無い早く、閣下に取り次いでくれ</p><p>一気に騒ぐのはやっぱり、プリンス派の親父たちだな</p><p>新興グループの親父たちは、様子見をして黙り込んでいる</p><p>プリンス派は親同士、子供同士で、ざわざわ勝手に話を始めて</p><p>このままでは、ラチがあかないな</p><p>麗華あそこのブロンズ像、ブッ壊してくんない</p><p>オレは麗華に、言った</p><p>何か一発ガツンと決めて、この人たちの度肝を抜いてやらないと</p><p>権威を笠に着るやつらには現実的な力で圧倒するしかない</p><p>ご主人様それには、及びません</p><p>スッと美智が、オレに近寄る</p><p>あの像は美術品ですその様な目的で破壊するべきものではございません</p><p>それに、麗華お姉様よりもわたくしの方が強い衝撃を、皆様に与えることができます</p><p>確かに麗華は、香月セキュリティ・サービスの人間だから</p><p>撲殺ステッキの威力を知っている人もいるだろう</p><p>どうか、わたくしにお任せ下さい</p><p>美智は真剣な眼で、オレを見る</p><p>何か考えがあるのか</p><p>オレは、美智に託すことにした</p><p>いざ</p><p>ススッと、美智が前に出る</p><p>小柄な愛らしい美少女の接近を重役たちは、気に留めない</p><p>ハァっ</p><p>瞬間、シュバッと風が巻き起こるッ</p><p>美智が、スカートの下に隠した赤いムチを引き放つッッ</p><p>ビシュッ</p><p>重役たちの前にあった木の机がバラバラに吹き飛ぶッ</p><p>シュバビュッ</p><p>空中に舞った机の破片を、さらにムチの先端が砕いていく</p><p>ズッ、シュバッ</p><p>グワッ、シュバッ</p><p>さらに細かく破片を弾いていくムチ</p><p>ハィィィッッ</p><p>美智のムチが、徹底的に机を破壊していく</p><p>重役たちも、私塾の連中も</p><p>あまりの破壊力に、呆然となっている</p><p>シュビュビュン</p><p>美智は、ムチを止めてスッと顔を上げる</p><p>呆然としている男たちに小さな美少女中学生は言った</p><p>黒森の家で、最も冷酷にして残忍と言われている女美智です</p><p>工藤母が、娘の変貌に驚いていた</p><p>時間がもったいありません裏切り者は名乗り出て下さい十数える間に、名乗り出なかった場合は</p><p>あなたたち全員を殺します</p><p>父はまた、自分が何処にいるのか判らなくなっていました</p><p>ここの病院の位置、判る</p><p>恵比寿か</p><p>全然違う</p><p>別の病院と間違えているらしい</p><p>毎日、説明しているのに</p><p>何か、楽しいことでも起きないかな</p><p>最近ちょっと、げっそりすることばかりで</p><p>301．裏切り者を探せ</p><p>ちょちょっと、待てよ</p><p>角田父が、そう言うが</p><p>残念ですが時間がございません早急に裏切り者を始末しなければ、現在ホテルの中にいる全員に危険が及びます</p><p>美智は鋭い目で、重役たちを見据える</p><p>美智の言葉に、関さんが慌てて補足をする</p><p>香月セキュリティ・サービスの制服警備員の中に敵が紛れ込んでいましたまた、こちらの情報が敵に筒抜けになっており、検問は勝手に解除され、ホテルの敷地内への敵の侵攻を簡単に許してしまっていますこれは重役の皆様の中に、裏切り者がいるかとしか思えません</p><p>お互いの顔を見合う重役たち</p><p>私塾の青年たちも、ざわめく</p><p>しかし私は、非合法組織や犯罪組織に、知り合いはいないぞ</p><p>香月操と昴の父親が、叫ぶ</p><p>今、襲って来ている連中は一体全体、何者なんだ閣下は、シザーリオ・ヴァイオラとか言っていたが</p><p>夏木父の問いに、関さんは答える</p><p>敵のボスは、アメリカの犯罪組織のシザーリオ・ヴァイオラという人間ですしかし、敵勢力の大半はロシアの極東地区のチンピラのようです新潟港から来日してきたことまでは判明しています</p><p>ロシアにコネがあって、新潟に地盤があるのは香月昇様では</p><p>発言したのは、プリンス派の大張父だった</p><p>ホント親も子も、プリンス派は遠慮無くポンポンと発言をする</p><p>一方、事態が見えてくるまでは、ジッと黙って様子を見ているのが新興グループの特色らしい</p><p>そう言えば昇様は、来ていらっしゃらないですね</p><p>角田父が言った</p><p>香月家の分家ながらプリンス派ではなく、新興グループに属しているのが香月昇だ</p><p>息子の香月健思は、この場に来ているが</p><p>父親の昇の方は、何の連絡もなくジッちゃんの呼び出しを無視したままで居る</p><p>ならば、裏切り者は昇くんだろう</p><p>不快そうに、香月操の父が言った</p><p>いや、閣下の緊急招集を無視しているのは昇様だけではありません</p><p>司馬さんも来ていらっしゃらないじゃないですか</p><p>新興グループの中で一番勢力があり香月グループからの独立も考えているという敏腕役員の司馬沖達は、中国への出張の帰りで羽田空港を出たという連絡を最後に消息を絶っている</p><p>やっぱり、怪しいのは今ここにいない人間でしょう私は、そう思いますがね</p><p>角田は強く、主張する</p><p>あのえっと、閣下はこう仰っていました</p><p>閣下の言葉ということで重役たちの眼が、オレに集中する</p><p>ロシア人を使ったり、わざわざ新潟港から入国した証拠を残したりしているのはちょっと、出来すぎている香月昇さんを陥れるための罠なんじゃないかって</p><p>私も、そう思います昇さんは、こういう破壊的なことをなさる様なお方ではありません</p><p>そう言ったのは</p><p>ええっと、新興グループの高木風太の父か</p><p>高木風太は、私塾の中で全然喋ったりしていないから父親の方の性格も、立場もよく判らない</p><p>むしろこのまま裏切り者と一緒にいると、他の重役や私塾の方たちが危険なんではないかと、ジッちゃんいえ、閣下はとても心配していらっしゃいました</p><p>どうして危険なんだ</p><p>夏木父が、オレに尋ねる</p><p>他の重役たちも、ポカンとしている</p><p>想像力ってものがないのか、この人たちには</p><p>ですからその裏切り者が、この場に敵を招き入れて、自分以外の重役を皆殺しにさせたらどうなります自分だけはかすり傷で、何とか助かったことにすれば</p><p>自動的に、生き残った裏切り者が香月グループの運営を取り仕切ることになる</p><p>ふんとても面白い想像だが、私はこの中にはそんな大それたことを考えている人間はいないと思うね私たちは、それぞれ異なった意見の持ち主だが閣下を敬愛し、香月グループを愛しているそんな欲望に身を任すような愚か者はいないよ</p><p>香月操の父は、そう言うが</p><p>それはきちんとした事実ではなくあなたの勝手な想像でしょう</p><p>論理的な推察だよ今までの私の経験に基づく疑わしきは罰せずと、昔から言うだろうなあ</p><p>自信満々に、香月操の父は言う</p><p>ああ、思い上がりでバカなのも父親譲りだったんだ</p><p>その通りでございます</p><p>お追従するのはやっぱり、角田父か</p><p>シュビビンッ</p><p>美智のムチが、激しく床を叩く</p><p>もう時間がございません、ご主人様こんな方々は、さっさと始末を付けてしまいましょう</p><p>って、お前、まさか</p><p>皆様激しい痛みを体感すると、ショックで気絶するということをご存じですか</p><p>シュバルルンッ</p><p>再び、美智のムチが鳴る</p><p>まさか、君そのムチで</p><p>恐る恐る尋ねる夏木父に、美智は言った</p><p>はいこのまま全員、激痛で気絶していただきますそうすれば、どなたが裏切り者であったとしても今後、敵と連携してわたくしたちを悩ませることはできなくなるわけですから</p><p>シュシュシュババッ</p><p>赤いムチが、空気を裂く</p><p>一応、お伝えしておきますが心臓の弱い方ですと、ショック死なさる場合もありますまた、当たり所が悪ければ神経や血流の流れを阻害して、障害が残ることもございますのでご了承下さい</p><p>美智の冷たい眼が、重役たちを射貫いていく</p><p>おい、ちょっと君</p><p>皆様も香月グループの重役ならば、お覚悟を決めて下さい</p><p>美智は、ムチを構えてじりじりと重役たちの方へ近付いていく</p><p>せ、関くん止めてくれ</p><p>重役の1人が、関さんに声を掛ける</p><p>そうだ、君は香月セキュリティ・サービスの人間だろう私たちを護る義務があるはずだ</p><p>残念ですわわたくしは、閣下の専任警護人ですしこの件に関しての処理について、閣下は全て、こちらの方にお任せになられましたからわたくしには、どうすることもできません</p><p>そう言って、オレを見る</p><p>こ、こんな子供に</p><p>はい閣下の勅命を受けたのは、この方でございますから</p><p>一堂の注目が、オレに集まる</p><p>おい、君その子を止めろ鞭打ちなんて</p><p>そんなことをされては、たまらん</p><p>そうだとも</p><p>重役たちは、口々にオレに言う</p><p>だいたい君は誰なんだ閣下とは、どういう関係なんだ</p><p>香月操の父の問いに子供の方の角田が、口を開く</p><p>ああ、こいつはですねぇみ</p><p>シュババババッ</p><p>みすずという言葉が発せられる前に、赤いムチが角田の足下を叩く</p><p>痛っぇぇぇぇぇ</p><p>ムチの先端で足の甲を叩かれた角田が飛び上がるッ</p><p>堅牢で分厚い革靴の表皮が裂けていた</p><p>今のはわざと護られている場所を叩きました</p><p>美智が、呟く</p><p>て、てめぇぇ</p><p>あなたは随分口が軽いようですね次は、口を引き裂きます</p><p>美智は赤いムチを構える</p><p>美智、本気か</p><p>ちくしょう、やれるもんならやってみろよっこの野郎</p><p>怒った角田が、美智に突進しようとする</p><p>部屋中の誰もが2人に集中したその時</p><p>ハァァァッ</p><p>不意に、美智のムチが斜め横に飛ぶ</p><p>美智はムチの方向を見ていない</p><p>見ていないのに赤いムチの先端は</p><p>確実に、高木風太の父親の腕を、打つッッ</p><p>ビシィィッ</p><p>うわぁぁッッ</p><p>高木風太の父親は、背広の内ポケットに手を入れたまま後ろに引っ繰り返る</p><p>動くな</p><p>次の瞬間麗華がササッと跳んで、撲殺ステッキを高木父に突き付ける</p><p>ゆっくり、ポケットの中の物を出しなさい</p><p>麗華の厳しい視線に高木父は、ポケットから手を引き出す</p><p>手に握られていたのは携帯電話だった</p><p>ちょっと、携帯を取り出そうとしただけじゃないか</p><p>そういう高木父に麗華は</p><p>部屋の中の人たちが、全員、あの子たちに注目した瞬間に</p><p>美智も口を開く</p><p>他の方たちの気は、全てわたくしに向かっていましたなのに、あなたの気だけは他のことに向かっていた</p><p>人間の気を察知する美智の能力は凄い</p><p>角田（子）と対峙する振りをしながら美智の心は、ずっと重役たちの気の方向を探っていたのだろう</p><p>関さんが、高木父の携帯電話を引き剥がす</p><p>画面を見て</p><p>ポケットの中で、画面を見ずにメールを打っていたみたいねきんきゅうじたいきゅうえんたのむ漢字に変換しようにも候補が読めないから、ひらがなだけで打っていたんだわ</p><p>送信先は</p><p>麗華の問いに、関さんは</p><p>ミスターとしか書いていないわ電話してみれば、すぐに判るでしょうけれど</p><p>まさかシザーリオ・ヴァイオラと直通なのか</p><p>いずれにせよ高木さん、あなたが裏切り者だったのね</p><p>関さんの言葉に高木父は、うな垂れる</p><p>高木さんが</p><p>いや、しかし</p><p>メールの文章が本当なら間違いないだろう</p><p>重役たちは、ざわざわとなる</p><p>父のすぐ後ろで、息子もガックリと肩を落としていた</p><p>確かに、高木父は新興グループの所属なのに、オレたちとの会話に絡んでこようとしたし</p><p>変な兆候はあった</p><p>そうかこいつだったのか</p><p>ジッちゃんも言ってたもんな</p><p>裏切り者は新興グループの中にいるだろうって</p><p>もちろん気絶なんかさせてあげませんからね高木さんには、別室で尋問を受けていただきます</p><p>ヴァイオラとの繋がりを何とか聞き出したい</p><p>とにかく、他の重役の方とは離れて貰います工藤さん</p><p>関さんは、美智でなく母親の方を見る</p><p>工藤母は、すっかり気が動転しているようだ</p><p>谷沢チーフと連絡を取って、尋問用の部屋を一つ用意して下さるように言って下さらないかしらこのフロアでは無い部屋よそれから重役の方たちも、この部屋から移送した方がいいわねこの部屋の位置は、すでに敵に特定されているでしょうから</p><p>工藤母は、慌てて壁のインターフォンを取る</p><p>谷沢チーフとは、ホテルの業務用の回線で連絡を取り合っているらしい</p><p>その間に、麗華が高木父を引き起こす</p><p>逃げたら手足を一本ずつ、破砕していきますいいですね</p><p>撲殺ステッキを床にドンと突いて麗華は、高木父を牽制した</p><p>あの僕も、父と一緒に行ってもいいですか</p><p>高木風太が、関さんに言った</p><p>僕はもう他の皆さんとは一緒にいられませんから</p><p>父親が裏切り者なら自分も、もう私塾にはいられない</p><p>そう判断したらしい</p><p>そうねあなたも、一緒にいらっしゃい</p><p>さてとりあえず、この部屋での任務は終了ね</p><p>関さんが、オレに微笑みかける</p><p>美智が、うんとオレに頷く</p><p>麗華も、ニコッとオレに微笑んだ</p><p>何か、釈然としない</p><p>心がまだワサワサしている</p><p>オレの反応に、不安になったのか関さんが、オレを覗き込む</p><p>いえ何か、気持ち悪くて</p><p>美智が、オレの言葉に再び室内の気を測る</p><p>麗華も、高木父を捕まえたまま重役たちの顔を見る</p><p>何がスッキリしないんだい</p><p>振り返るとマルゴさんと寧さんが、オレを見てにっこり笑っていた</p><p>2人とも、何かに気付いている</p><p>足りない気がするんです</p><p>ふぅん何が足りないんだい</p><p>それが判らないんですよ</p><p>オレは、マルゴさんに答えた</p><p>どうしてだか判らないんですけれど何か、まだ解決していないような気がするんです大きく何かを見落としている様な</p><p>まあ、そうやって勘が働いてくるようになっただけヨッちゃんも、進歩したってことだよっ</p><p>明るく寧さんが、微笑む</p><p>やっぱり見落としがあるんだ</p><p>えっ、嘘あんた、こんな簡単なことも気付かないの</p><p>オレたちの一番後ろに居た雪乃が、オレの困り顔を見て笑った</p><p>ああ、教えてくれよ</p><p>オレがそう言うと雪乃は</p><p>いつから、裏切り者は1人きりだと思い込んでいた</p><p>裏切り者が複数居るっていう可能性もあるんだ</p><p>しょうがないよ香月さんはわざと君に、そう思い込むように仕向けていたから</p><p>でももう一度、よく考えてご覧今日、君は香月さんを通して、色んなことを見て来たよね</p><p>香月家のこと</p><p>私塾のこと</p><p>白坂家の中のこと</p><p>そういうものを見て得てきたことを使って改めて、考えてご覧よ</p><p>何を考えるんです</p><p>裏切り者の目的さ</p><p>目的</p><p>裏切り者は最終的に何を狙っていると思う香月さんを殺そうとしていると思う</p><p>思いません裏切り者が重役の中にいるなら、谷沢チーフや専任警護人のガードの固さは判っているでしょうしそれに</p><p>それになんだい</p><p>マルゴさんは、楽しそうに笑っていた</p><p>今、すぐにトップが死んだら香月グループの屋台骨が崩れます</p><p>みすずや瑠璃子さんを狙ってはきたけれど</p><p>今まで、ジッちゃんを直接狙った攻撃は一つも無い</p><p>だったら裏切り者の狙いは、何</p><p>自分以外の後継者候補を全て殺すこと</p><p>そんな考えがオレの中に湧いて来る</p><p>ジッちゃん以外の重役たちはジッちゃんほど護られていない</p><p>重役たちだけなら殺そうと思えば、殺せる</p><p>そして、1人だけ生き残ったら</p><p>晴れて、ジッちゃんから香月グループのトップの座を引き継げばいい</p><p>正当に地位を受け継ぐためにジッちゃんは要る</p><p>つまり裏切り者のターゲットは</p><p>自分以外の重役とジッちゃんの血を継ぐ、瑠璃子とみすずと2人の両親それから、私塾の中の香月姓の連中</p><p>自分以外に、香月グループのトップに付く可能性のある人間は、この際まとめて全部始末してしまいたいと思っているはずだ</p><p>さてそういう大それたことをさ、そこに居る高木さんが1人で考えて、何から何まで行動していると思うっ</p><p>寧さんの言葉に、オレはハッとする</p><p>違和感の原因が判った</p><p>この高木風太の父親にはシザーリオ・ヴァイオラと契約してまで、香月家を乗っ取ろうとするような気概が見えない</p><p>とにかく小者っぽい</p><p>自分の意志で計画し行動するタイプでなく誰かの命令で動くタイプだ</p><p>あのさあたし気付いたことがあるんだけれど、言ってもいい</p><p>ああ、何でも言ってくれ何でもウェルカムだ</p><p>オレの言葉に、雪乃は</p><p>あたし、さっきからずっと少し離れて俯瞰して、この人たちを見ていたんだけどさこの人たちって、基本的には子供たちと同じグループ割りなわけじゃない</p><p>そうだ、雪乃は</p><p>ドアの近くから、ずっと部屋の中の人間の様子を見つめていた</p><p>なのにささっきから、時々、そのオジサンがそっちのオジサンに目配せするんだよね変な、アイコンタクトをしているのよ違うグループのくせに</p><p>雪乃が指差した2人の人物</p><p>1人は、すでに裏切り者であることが発覚している高木父新興グループに属している</p><p>そして、もう1人はプリンス派の角田父だった</p><p>角田、お前</p><p>ち、違います私が、香月家に弓を引く様なことをするはずがないですよねぇ</p><p>角田父は、必死で疑いを誤魔化そうとする</p><p>角田さんあなたの携帯を貸して下さい</p><p>通信履歴とアドレスを見ます今、高木さんがメールを送信しようとしたミスターという人物と同じものは無いかどうか確認します</p><p>ギョッとする角田</p><p>あるんだな</p><p>同じ送信先が</p><p>というかミスターという人物を知っている</p><p>ってことは</p><p>オレの中で幾つもの線が、繋がる</p><p>角田だって人に使われる方の人間だ</p><p>全ての支配者になろうとするような強い意志は無い</p><p>裏切り者のボスは、別に居る</p><p>オレの中で、一つの結論が閃く</p><p>ジッちゃん、言ってたっけ組織の上に立とうとする様な人間は、自分で手を汚さないって</p><p>オレの顔を関さんが見て、尋ねる</p><p>裏切り者のボスはわざわざ、ここに来たりはしないってことですよ何もかも、手下にやらせて、自分は安全な場所にいようとする</p><p>すなわち</p><p>高木父と角田にこの場を任せて自分は欠席している人物</p><p>裏切り者のボスは香月昇です</p><p>しかし、白坂創介といい、シザーリオ・ヴァイオラといい、香月昇といい中ボスが、姿を現さない不思議な作品になっています</p><p>白坂創介なんて、今はどこにいるのやら</p><p>えっといつの間にか300話を越えました</p><p>最初の数話は同じ日に投降しているので</p><p>300日経ったわけでは無いのですが</p><p>ほぼ300日、禁酒しているんですね私</p><p>この作品が完結したら、飲んだくれる予定なんですけれど</p><p>いつになることやら</p><p>最初の予定では、一月ぐらいの連載のつもりだったんですけどねぇ</p><p>どうなることやら</p><p>いや、とにかく絶対に完結はさせます</p><p>302．裏の裏</p><p>どうして、香月昇が裏切り者のボスだって思うんだい</p><p>オレは重役たちを見廻す</p><p>やはり香月家みたいな歴史と伝統のある名家を乗っ取ろうとするのは、それなりに覚悟のある人間じゃないと無理だと思うんです</p><p>誰かの臣下であることに満足している人間は主家を乗っ取ったりはしない</p><p>主の威を借りてナンバー2とか、ナンバー３であることの方が、組織内での生き方としては楽なんだろうから</p><p>だからプリンス派の人たちは、基本的に当主を裏切ったりはしません今すでに、香月家の威光を受けて、自分の地位を得ているんですから</p><p>そうだプリンス派のリーダーである香月操の父親そのものが、ジッちゃんと血縁があるということだけで威張っている</p><p>彼らの栄光は、ジッちゃんなくしてはあり得ない</p><p>つまり自分から、トップになる気は全然無い</p><p>でもそういうことなら、もう一人の欠席者、司馬沖達氏の方が怪しいんじゃないかな彼なら、トップに成り上がろうという強い意志があると思うけれど</p><p>マルゴさんは、そう言うけれど</p><p>それは息子さんの司馬アキラさんを見て、違うと思いました</p><p>司馬アキラさんには、いつでも香月グループを出て自立するという気概がありましたこれは、お父さんの影響だと思いますつまり、お父さんの司馬沖達さんも香月グループ、そのものに拘りは持っていない犯罪的な行為に手を染めて、無理をしてまで香月グループのトップになろうとは考えないと思います</p><p>うんジッちゃんと意見が合わなくなったら、さっさと独立する</p><p>別に香月グループを自分の物にしたいとは考えていない</p><p>だって香月グループには、香月家の様々な澱みが染みついていますから香月家意外の人間が乗っ取って、上手くいくはずがないんですしがらみだらけの大組織を手にするより小さくても、自分の意志がすんなり通る組織を作った方が良い司馬さんは、そう思っているはずです</p><p>つまり香月グループのトップを狙うのは、香月家の人間だけなんです香月の家名がなければ、やっぱりこの大組織を手中におさめることはできないはずです</p><p>オレはさっき出会った大阪の白坂博光氏を思い出す</p><p>白坂博光氏は、白坂家の新聞社の系列の大阪のテレビ局の代表にまで昇り詰めている</p><p>博光氏自身は自分は白坂家の傍系で、父親の代から大阪に住んでいたから、白坂家の影響は無いと言っていたけれど</p><p>それでも傍系でも何でも白坂家の一族であったことが、彼の出世の後押しをしていることは間違いない</p><p>家名血の繋がりは、やっぱり大きな意味があるんだ</p><p>そもそも香月昇氏が、香月家の人間なのにも関わらず新興グループの方に属していたことが、彼の野心を示していると思います</p><p>プリンス派は血筋の濃さが全てだ</p><p>だからジッちゃんに血縁の近い、香月操の父親が威張っている</p><p>同じ香月姓でも香月仁の父親は、香月操に従っている</p><p>こちら側に居たのでは香月昇は這い上がり様が無い</p><p>改めて、私塾の中での香月昇の息子、香月健思の役割を思い出してみると</p><p>彼は、新興グループに属していながら私塾全体の調整役の様な発言をしていたと思う</p><p>そうして、自分の存在感を私塾やジッちゃんに対してアピールしていた</p><p>まそういうことなんだろうね</p><p>論理的に考えて裏切り者の中枢にいるのは、香月昇さんなんだろうね他の人には、こんなことをしでかす理由が無いから</p><p>そして香月昇氏は、プリンス派と新興グループの両方に自分の手下になる人物を作っていたんだと思います</p><p>すなわち新興グループ内の工作員が、高木風太の父親で</p><p>プリンス派の方は、角田の父親を懐柔した</p><p>角田なぜ、お前が</p><p>香月操の父親が、角田父を責めるが</p><p>ああ、その人はさっボスは誰でもいいんだよっ自分にとって都合の良い人ならさっ</p><p>香月操の父親はジッちゃんの下にいることを良しとしている</p><p>みすずや瑠璃子の代になっても、その傾向はおそらく変わらないだろう</p><p>彼は、香月家全体の中でのナンバー２とか３であることに満足している人間だ</p><p>それ以下の地位に落ちるのは嫌がるだろうけれどとにかく、名目上だけでもナンバー２か３なら、家内に波風は起こさないだろう</p><p>そういう香月操の父親の様な人間に、下にくっついている限りは</p><p>角田の父はナンバー２（あるいは３）の側近以上にはなれない</p><p>しかし香月昇がクーデターを成功させたら</p><p>他の後継者候補を皆殺しにして、ジッちゃんから当主の地位を強奪すれば</p><p>その子分である角田の父は、一気に自分自身が組織内のナンバー２になれる</p><p>この誘惑に、角田父は負けたんだ</p><p>あらゆる可能性から推察してみても香月昇が裏切り者の中枢であることに間違いは無いと思うよ</p><p>マルゴさんが、そう断言した</p><p>でも閣下は香月昇様がご自分のコネクションのあるロシアや新潟を通じて、敵を引き入れたというのは余りに見え見えでは無いかと仰っていましたそんな証拠が残る様な真似を、わざわざするだろうかと</p><p>麗華が、疑問を放つ</p><p>それは、そういう風にこちらを考えすぎにさせるためのフェイクなんだと思うよまさかそんな見え見えのことはしないだろうと思わせて疑いの目を反らそうっていうことなんだろ</p><p>オレは、そう思う</p><p>しかし、マルゴさんは</p><p>違うよそれこそ考えすぎだってば</p><p>寧さんと二人クスクスと笑い出す</p><p>香月昇だってね今がチャンスだと思って、一か八かでやっているんだよだから、自分の使えるものは何でも使う証拠が残ったっていい何でもアリだよ要は、自分以外の勢力を皆殺しにしちゃえばいいんだから</p><p>あんまり深いことは考えずに</p><p>力で押し切っちまえっていう、タイプなんだ</p><p>覚えておいて人間はね、ついつい自分の考えを規準にして物事を考える香月さんは、慎重で何事も計画的にする人でしょだから裏切り者も、そういう深い考えがあって行動していると思ったんだろう</p><p>マルゴさんが解説してくれる</p><p>いや違うな香月さんは、わざとあたしたちに偏った見方を示して、あたしたちが真実に到達するかどうか試しているんだと思う</p><p>ジッちゃんはオレたちを試している</p><p>いずれにせよ今回の件は、香月昇にとっても突発的にやっていることのはずなんだ香月昇とシザーリオ・ヴァイオラが、以前から繋がっていたとは思えないもの</p><p>確かにヴァイオラの来日が決まったのは、寧さんのファイルが流出してからだ</p><p>それにしては香月昇との連携は、余りにも早過ぎる</p><p>多分香月昇は、個人的にずっと前からクーデターを企てていて、香月セキュリティ・サービス内に自分の駒を浸透させていたんじゃないかなそこへ、たまたまシザーリオ・ヴァイオラが日本に来るっていう情報が入ってそれで、両者を繋げる人間が誰かしらいて、急遽連動して行動することにしたんだと思うよ</p><p>うん香月セキュリティ・サービスの制服警備員の中に不審な人物が紛れ込んでいたのは、ずっと前からのことだ</p><p>それは、香月昇の仕込みで彼は以前から、クーデターの準備をしていた</p><p>角田父や高木父の懐柔工作も済んでいた</p><p>そしてシザーリオ・ヴァイオラの来日によって、香月昇に計画のスタートを踏ん切った</p><p>そういうこたなんだろう</p><p>香月昇とシザーリオ・ヴァイオラを繋げた人間がいるのですか</p><p>関さんの問いに寧さんが、笑って言う</p><p>そんなのミス・コーデリアに決まっているじゃないっ</p><p>もう一組の白いヴァイオラたちを連れて、突然現れた謎の女性</p><p>おそらくシザーリオ・ヴァイオラを統括している上部組織の幹部なんだろうけれど</p><p>関さんは、さっきオレたちのエレベーターを待つ間に、ミス・コーデリアのことについて説明されたらしい</p><p>それ以上の質問はしなかった</p><p>うむなかなかいい推理だな</p><p>振り返るとドアの前に、谷沢チーフが居た</p><p>オレたちに対して、パチパチと拍手をする</p><p>閣下の仰る通りお前たちは、なかなかの逸材なのかもしれないな</p><p>ジッちゃんは香月昇が裏切り者であることを、すでに知っていたってこと</p><p>知っていてオレたちが同じ推理に到達するかどうか、試しているのか</p><p>入れ</p><p>谷沢チーフが配下のトップ・エリート警護人らしいメンバーを部屋の中に呼ぶ</p><p>角田、高木両人は私の方で引き取ります他の方々は、別の部屋に退避していただきます警護は、警備部でなく私の配下に担当させましょう</p><p>谷沢チーフは、そう重役たちに告げた</p><p>はぁ、尋問ですかもう夜なのに大変ですな、あんたたちも</p><p>溜息を吐いて、角田父が軽口を叩いた</p><p>大したことはしませんよちょっとした確認だけですほとんどのことは、すでに判明していますからね</p><p>谷沢チーフは、穏やかに言う</p><p>箱根の別荘に潜伏している香月昇さんにも、そろそろ私の部下が接触する頃です</p><p>ジッちゃんは、最初から全て判っていたんだ</p><p>しかし、正直重役会から３人もの裏切り者が出てしまったことは残念ですよ</p><p>谷沢チーフが、眼で部下に指示する</p><p>二人の警護人が、角田父と高木父を連行しようとする</p><p>あ、僕も行きます</p><p>息子の高木風太が父に寄り添う</p><p>角田は、父の裏切りに呆然としていた</p><p>知らなかったんだなこいつ</p><p>角田、お前はここに居ろ</p><p>香月操が言った</p><p>閣下も仰っていたろう子供の頃からの絆は大切だ親父とお前は別個の人間だオレはお前の忠義を疑ったことは無いこれからも側に居ろ角田</p><p>プリンス派の青年ボスの言葉に、角田は</p><p>操様オレ、オレ</p><p>ポロポロと涙を零す</p><p>そんな角田の背中を、遊び仲間の香月仁がポンと叩く</p><p>うんお前はお前だ</p><p>角田父が、香月操に振り返り</p><p>申し訳ありません息子を、よろしくお願い致します</p><p>スっと頭を下げる</p><p>それこそ、お前の心配することではない気にするな</p><p>香月操は、角田父にそう言った</p><p>谷沢くんこの子は一体、何者なのかね君の部下か関くんや藤宮くんと一緒に居るが</p><p>香月操の父が、オレたちを見て尋ねる</p><p>まさか私は高校生は雇用致しませんよ</p><p>では、何者なんだ</p><p>部屋中の眼が、オレたちに集まる</p><p>黒森だヨッ</p><p>寧さんが、ニッと笑って言った</p><p>黒森ってあの黒森か</p><p>えっ父上、ご存じなのですか</p><p>父親に香月操が尋ねるが</p><p>まさか、黒森の娼館ことを息子に話すわけにはいかない</p><p>いや、それはお前には、まだ早い</p><p>何を仰っているのです、父上</p><p>ああ、さすがに香月グループの重役たちは、黒い森のことは知っているらしい</p><p>実際に、お屋敷の娼婦を買ったことのある人は何人もいないだろうけれど</p><p>しかし、黒森家がなぜ</p><p>売春婦の元締めが、こんな場に現れて美智が暴れたり、みんなで推理大会とかしているんだ</p><p>香月操の父親の疑問も判る</p><p>まあそれは閣下にお尋ね下さい</p><p>マルゴさんは、面倒ごとを全てジッちゃんに押しつける</p><p>とにかく、急いで避難を高木さんと角田さんの携帯電話から、この部屋の位置情報は、敵に特定されていると思うべきでしょう</p><p>関さんが、重役たちを急かす</p><p>さあ、こちらに居る者たちの指示に従って移動を始めて下さい後藤、鹿島田、頼むぞ</p><p>谷沢チーフの命令で、トップ・エリートの男たちが重役と私塾の青年たちの誘導を始める</p><p>やっぱり、白坂雪乃じゃねえか</p><p>香月仁が角田を連れて、雪乃の前にやって来る</p><p>だから、何よ</p><p>ウザッたそうに、雪乃は答えた</p><p>今度デートしようぜ良い店を知っているんだ</p><p>香月仁は、雪乃を誘うが</p><p>嫌よ、あんたたちみたいのタイプじゃないから</p><p>雪乃は冷たく、突っぱねる</p><p>そうかよところで、お前は判っているんだろうな</p><p>香月仁が、オレを見る</p><p>お前には、きっちりオトシマエを付けてもらうからな</p><p>な、何のことだ</p><p>判らないのバカなのあんた、この人たちのお姫様を墜としちゃった色男なのよ何かしら、オトシマエを付けないと許さないって言っているのよ</p><p>雪乃が、そう解説してくれた</p><p>ヨッちゃんの主催で、パーティでもやってあげればいいのよっ</p><p>寧さんが、横からそう言ってくれた</p><p>食べ放題で、飲み放題そういうんでいいんでしょ</p><p>香月仁は、にやけた顔で</p><p>もちろん、お姉さんも来てくれるんだろバニーガールとかの格好でさ</p><p>あたしはやんないわよっよっちゃんのオトシマエだものっ</p><p>ニヒヒと笑う、寧さん</p><p>ヨッちゃんがバニーガールの格好すれば</p><p>いや、オレは嫌ですよ</p><p>オレらだって、そんなのは見たくねえーよ</p><p>じゃあ、男同士の親睦パーティにするのねぇ</p><p>男だけのパーティかよ</p><p>まあ、いいやとにかく、オトシマエは付けろよ、いいなっ</p><p>そう言うと、香月仁は角田を連れて退避の列に並んで行った</p><p>でもオレ、パーティ開くような金はありませんよ</p><p>あいつら高級な店じゃないと、納得しそうにないし</p><p>先生か克っつんにお金を借りてでもやりなさいミィちゃんのためだからねっ</p><p>ヨッちゃんが太っ腹なところを見せないと、ミィちゃんが恥ずかしい思いをするってこと</p><p>みすずが、香月家の当主を目指すのなら</p><p>私塾の連中とは、これからも嫌でも付き合っていかないといけないんだよな</p><p>むしろ、私塾の連中には良い臣下になって貰わないといけない</p><p>オレのことで、あいつらにわだかまりを残すわけにはいかないんだ</p><p>ミィちゃんやルリちゃんにも相談してねっもちろん、あたしたちも相談に乗るけどさっ</p><p>あいつらが納得する様な格のお店はみすずたちでないと判らないものな</p><p>いや、あいつらの想像以上のもてなしをしないとオレだけでなく、みすずまでが小馬鹿にされてしまう</p><p>金なんて問題じゃないな</p><p>香月の後継者としての、やらなきゃいけないことだ</p><p>重役たちと私塾の連中たちが部屋から出て行くと</p><p>谷沢チーフは、オレたちの方へやって来る</p><p>大徳さんと張本さんの姿が見えない理由が判りました</p><p>関さんが、チーフに言う</p><p>ほう二人はどこに居ると思う</p><p>瑠璃子様とみすず様のご両親の警護に向かわれたのでしょう</p><p>そういうことだ</p><p>谷沢チーフは、認めた</p><p>香月昇がクーデータを起こしたということはホテルへの攻撃と同時に、瑠璃子様、みすず様のご家族への攻撃も行われるということだからな</p><p>後継者候補を全員皆殺しにするためには、同じタイミングで刺客を送り込まないといけない</p><p>劇場で、大徳や張本が閣下の警護する姿を見せ付けて置いて敵を油断させたのですね</p><p>劇場からそれぞれ秘密裏に、みすずたちの家族の警護に移ったんだな</p><p>だから、大徳さんたちの姿は見えなかった</p><p>閣下の警護は、君と藤宮くんを付けておけば大丈夫だと思っていたんだがね</p><p>谷沢チーフは、二人を見る</p><p>わたくしたちが外に出て来たのは、閣下の勅命です</p><p>麗華が、恐縮して上司に言う</p><p>それは判っている閣下からもご通知いただいたところで</p><p>チーフは、ジロッと麗華を見る</p><p>藤宮くんは何でそんな格好をしているんだね</p><p>麗華は、いつもの英国紳士の男装姿では無く</p><p>黄色のジャージの上下を着ている</p><p>顔もノーメイクだ</p><p>色々と思うところがありまして</p><p>麗華は、上司に頭を下げる</p><p>わたくしこれまでの自分に反省しております</p><p>反省</p><p>これまでの私は自分の美学に酔っているばかりの嫌な女でございました</p><p>ですから偽りの鎧は脱ぎ捨てて、このような姿からやり直そうと決めたのです</p><p>やっと秋っぽい感じになってきたのに</p><p>東京では、まだ蝉が鳴いています</p><p>なんじゃこりゃ</p><p>303．シザーリオ・ヴァイオラに告ぐ</p><p>一応聞いておくが男装はやめて、今後はそのジャージ姿で通すっていうんじゃないだろうな</p><p>谷沢チーフは、麗華に尋ねる</p><p>こ、これは着替えがこれしか無かったからですジャージに拘りがあるわけではございません</p><p>それを聞いて安心したよ藤宮くんの男装姿は凛々しくて、特定の顧客には人気があるんだがあのまんまじゃ、VIPの警護は任せられなかったからな</p><p>やっぱり英国紳士の男装では、警護できる顧客が限られていたんだ</p><p>VIPの警護はチームでなければできないが一人だけ突飛な格好じゃ、チームは組めん藤宮くんは、能力はあるがその能力は、誰かのサポートがあって活きる能力だしかし、今までの藤宮くんは誰かの下に付くという性格でも無かったしな</p><p>谷沢チーフの言葉に、麗華は恐縮している</p><p>おいおい本当に何があったんだ今までの藤宮くんなら、ここまでオレに一方的に言われたらチーフ、お言葉ですがとか何とか言い返してきたじゃないか</p><p>全て、チーフの仰る通りですから</p><p>赤い顔で、麗華は答える</p><p>うむさっきも、関くんと工藤の嬢ちゃんと藤宮くんの三人で、きちんとチームを組めていたいつもなら、関くんが喋っているところに乗っかって、しゃしゃり出て来るはずなのに控えに廻って、的確にフォローしていた</p><p>うんそれぞれが何を担当するか、判った上で行動していた</p><p>公式な応対を関さんがして場を混乱させて、裏切り者を炙り出す役を美智がしていたから</p><p>麗華は、自分を殺してもしもの時にすぐに闘えるように、身を潜めていた</p><p>ちゃんとチームになっている</p><p>あれだけ、オレが諭したって全然聞き入れなかったくせに藤宮くんは、誰ともチームは組まないで一人でやっていくと宣言していただろこいつは、一体どういう風の吹き回しなんだ</p><p>チームの言葉に、麗華は</p><p>何もかも主様のおかげでございます</p><p>麗華とオレ黒森の家族のことが知られるわけにはいかない</p><p>藤宮さんは正式にみすず様、瑠璃子様の専任警護人になりました</p><p>とっさに、関さんがそうフォローしてくれた</p><p>閣下が今回の件で、お二人にも専任の警護人を付けるべきだとご判断なさいまして</p><p>オレは何も聞いていないが</p><p>つい、さっきのことですからすぐに閣下がご通知されると思います</p><p>関さんは、部屋の中の監視カメラを見上げる</p><p>どうせ、ジッちゃんたちは地下でこの映像を見ているんだろう</p><p>上手く谷沢チーフに話してくれと眼で訴える</p><p>そうかみすず様、瑠璃子様という主を得て、藤宮くんの意識も変わったということか</p><p>主様には、恥ずかしい思いをしていただきたくありません</p><p>男装趣味が治ったのなら、トップ・エリートとしての仕事をもっとして欲しかったがみすず様、瑠璃子様の専任警護人なら仕方が無いオレの配下の若い連中から、何人か選抜してくれていいぞ</p><p>はいチーフ</p><p>驚く、麗華</p><p>みすず様、瑠璃子様の専任警護人になるのなら、部下が必要だろうああ、あのお二人だと女性警護人でないとダメなんだな工藤のお嬢ちゃんはおおっと、黒森家の方に所属するんだったな</p><p>美智は香月セキュリティ・サービスに仮採用という立場だったけれどすでに、谷沢チーフには黒い森への参加を了承して貰っている</p><p>しかし残念だなそれだけの技量があれば、うちのトップ・エリートの最年少記録を狙えるぜ</p><p>谷沢チーフは、そう言ってくれたが</p><p>チーフ、未成年は雇用しないんじゃなかったんですか</p><p>まあ、そうなんだが今までの最年少は藤宮くんだ高２の全国大会を観てスカウトしたそれでも、正式に入社させたのは卒業してからだがな</p><p>麗華はやっぱり剣士として優秀だったんだ</p><p>まあいいさ成人するまでは、マルゴお嬢ちゃんと恭子のやつに鍛えて貰おうこのお嬢ちゃんも、そのうち気が変わるかもしれないしそうしたら、うちに入社してくれたらいい</p><p>香月セキュリティ・サービスは、普通の会社だからやっぱり中学生の正式雇用は無理だろうしな</p><p>工藤父配下の裏部隊警護課の方ならともかく</p><p>しかし、恭子のやつ、閣下の命で黒森家に出向したはずなのにすっかり、そっちに根を張っちまいやがって</p><p>恭子さんは、元々、ジッちゃんに命令されて黒い森に来たんだった</p><p>気楽なんだと思いますようちは女ばっかりだからだいたいさ、恭子さんは基本的にはフリーだったはずだよ香月さんとは、個別に契約していたけれど香月セキュリティ・サービスの仕事をしたことは一度も無かったはずだよ</p><p>マルゴさんは、答える</p><p>オレは属して欲しいんだよ</p><p>谷沢チーフは、言った</p><p>恭子も、マルゴお嬢ちゃんも、工藤のお嬢ちゃんもな才能ある人間は、みんなうちの会社に居て欲しいと思うぜ</p><p>それはみんな、自分の配下にしたいってこと</p><p>よせやいオレは閣下とは違うよそんなにエロジジィじゃねぇうちの会社に籍が無いやつとはいずれ敵対する可能性もあるだろお前らとは闘いたくないからな</p><p>谷沢チーフもプロの警護人としての覚悟はできている</p><p>今日は味方でも明日には敵に廻るかもしれないということを</p><p>特に恭子みたいな危険な女は、なるべく野放しにはしておきたくないさ</p><p>谷沢チーフは、苦笑して言った</p><p>それは問題無いと思うよ香月さんと敵対する可能性は、みすずさんが全て失くしてくれたから</p><p>マルゴさんが答える</p><p>今のオレたちが、香月セキュリティ・サービスと対決する理由は何も無い</p><p>だいたい、ジッちゃんがオレたちの家族に入っちゃったんだし</p><p>もちろん、そのことは谷沢チーフには言えない</p><p>ジッちゃんが自分の判断で、谷沢チーフに伝えない限りは</p><p>内緒にしておくべき秘密事項だ</p><p>そうだと良いんだがな</p><p>チーフは、ハァと嘆息する</p><p>色々と心配事がいっぱいあるんだろうなこの人の立場だと</p><p>なるほど、興味深いですねえ売春組織でしかないはずの黒森家が、じわじわと拡大しているということですか</p><p>え、誰だ</p><p>振り向くとそれは</p><p>香月健思</p><p>あなたどうして、ここに残っているの</p><p>関さんの言葉に、香月健思は</p><p>行き場が無いんですよ僕は</p><p>ニヤッと笑う</p><p>実父が裏切り者であることが判った以上私塾の皆さんと同じ部屋には行かれませんしかといって、僕は父から何も聞かされていませんからね尋問されても、何も出て来ませんよだいたい、僕自身は閣下を裏切るようなことは何もしておりませんしほらさっき、操さんが言っておられたでしょう父親と息子は別人格ですから僕には、父の裏切り行為に対する責はありません</p><p>平然と香月健思は、そう言った</p><p>ですから、僕は皆さんに付いて行こうと思います</p><p>オレたちに付いてくる</p><p>冗談あたしたちの行く先は、危険でいっぱいだよっ</p><p>寧さんが、そう言うが</p><p>現在のこのホテルの中は、どこへ行っても危険だらけでしょうそれならば、皆さんの近くに居た方がまだ助かる可能性があると思いますが</p><p>あんたは知らないだろうけどさ敵は、あたしを狙って襲って来ているんだけどっ</p><p>それならそれで覚悟します僕、もう後が無いんですよ</p><p>僕自身が閣下に信頼していただくためには積極的に危険に身を晒すしかありません今のままじゃ、僕本当に身の置き場がありませんからね</p><p>どうするヨッちゃん</p><p>勝手に付いて来させればいいじゃないですかただし、オレたちはあなたを護りませんそれでいいのなら</p><p>第三者の眼がある方が緊張感があって良い気がする</p><p>それに香月健思は馬鹿では無い</p><p>雪乃みたいに健思の眼は、危険の察知に使えると思う</p><p>へぇ、やっぱり君がこの人たちのボスなんですね</p><p>その代わり危険も背負い込むことになるが</p><p>本当にいいのヨッちゃん</p><p>一人、オレたちと全然違う視点の人間が居た方がいいと思うんです</p><p>オレたち、何だかんだ言っても同じ方向からしか、状況を見ていない気がするから</p><p>マルゴさんや寧さんの洞察力や判断力は頼りになるけれど</p><p>もっと、突飛な視点があった方がいい</p><p>これからは何が起こるか判らないのだから</p><p>オーケー、彼も連れて行こう</p><p>マルゴさんが、了承してくれた</p><p>ただし、自分の身は自分で守ることあたしたちは、絶対に助けないからね</p><p>みんなも、絶対にこの人を助けないでこの人を助けようとして、自分が危険に陥ったり、チーム全員が窮地に陥る可能性もあるんだから</p><p>はいこの方はチームの一員では無いですし、警護対象でも無いですから</p><p>麗華は、そう割り切る</p><p>悪いんだけど見捨てる時は、見捨てるわよいいわね</p><p>不意に雪乃が口を開いた</p><p>あたしって、この中ではどういう立場になっているわけあたしが危ない時って、誰か助けてくれるわけ</p><p>関さんがハァと溜息を吐く</p><p>あなたはチームの一員よちゃんと助けてあげるわ</p><p>最初から、そう思っています</p><p>だからといって、わざと危険な方に行ったりはしないで下さいね</p><p>美智が、ジロッと雪乃を見る</p><p>嘘いいのあたし、ホントにチームの一員で</p><p>戸惑う、雪乃</p><p>そんなのさヨッちゃんが、そう決めたんだから仕方ないじゃないっ</p><p>寧さんの言葉に、雪乃はオレを見る</p><p>ヨッちゃんが、役に立つからってチームに入れてホントに役に立っているんだからさ</p><p>うん雪乃の眼は、役に立っている</p><p>だから香月健思さんの眼も、役に立つと思うんだ</p><p>どういうことなんだ関くんがリーダー・シップを握っているわけではないのか</p><p>谷沢チーフが、オレたちの様子を見て不思議そうに言った</p><p>あ合議制でやっていますほら、あたしたちと黒森家の合同チームですし</p><p>関さんは、誤魔化そうとするが</p><p>それにしては、そいつの発言権が大きいように見えるが</p><p>谷沢チーフは、オレを見る</p><p>それはだってたった一人の男の子ですから意見は尊重しないと</p><p>関さんの解答はわけが判らない</p><p>僕も男の子ですよ</p><p>香月健思が、突っ込んでくるが</p><p>あなたはチーム外の人間でしょっ</p><p>寧さんに即、拒絶される</p><p>それより谷沢さん現在の状況を確認しておきたいんですが</p><p>そうだなちょっと見てみるか</p><p>谷沢チーフは、この会議室に備え付けてあるコンピューターを立ち上げる</p><p>スリットに、個人認識のカードを差し込んでパスワードを打ち込んだ</p><p>そっちの大きいモニターに映すぞ</p><p>会議室のモニターに現在の状況が表示される</p><p>敵は16階まで上がって来ているただし、敵勢力の６割はすでに倒している工藤の連れて来た連中はかなり頑張ってくれて、脱落者は出ていないがそれでも、かなり消耗しているな</p><p>交代しながらでも連戦しているのだ</p><p>屈強なフリーの警護人たちもそろそろ疲労がピークになっている</p><p>倒した敵ですが例のロシア人のチンピラばかりですか</p><p>ああ確認できた限り、これまで交戦した連中はロシア人ばかりだ</p><p>つまりシザーリオ・ヴァイオラがアメリカから連れて来た本隊は、まだそのまま健在だ</p><p>まずいですわねこのまま敵の中核が判らないというのは</p><p>ちょっと揺さぶってみた方がいいかもね</p><p>マルゴさんが、寧さんを見る</p><p>うんあたしもそう思っていたとこだよっ</p><p>谷沢さんこのホテルでの、現在の防衛ラインは何階に設定していますか</p><p>マルゴさんの問いに、谷沢チーフは</p><p>22階と23階の間だなそれ以上は、突破されたくない</p><p>では21階ぐらいにしようか</p><p>オッケー、マルちゃんっ</p><p>マルゴさんが、会議室の中を見渡す</p><p>ここ当然、撮影機材はありますよねこの場で撮った映像を、全館放送することは可能ですか</p><p>オレのパスでやれば、可能だが</p><p>ここから全館放送する</p><p>じゃっ、シザーリオ・ヴァイオラを刺激してみようかっ</p><p>寧さんは、ニコニコと笑った</p><p>照明とか、こんなもんですかね</p><p>何かよく判らないけれど香月健思は喜々として働いている</p><p>どうしてそんな楽しそうなんだ、お前</p><p>会議室の倉庫にあった照明用のライトの角度を、調節している</p><p>あ、胸にあんまり明かりが当たらないようにしてなるべく顔だけ当てて</p><p>寧さんが、そう注文する</p><p>はいこうですね</p><p>うん胸元が暗くなった</p><p>寧さんの立派なおっぱいが闇に溶け込む</p><p>うんいいんじゃないかな</p><p>マルゴさんが、チェックしてくれた</p><p>はい、オッケー</p><p>寧さんは、頭髪をポニーテールにする</p><p>寧さん、ポーニーテールも似合いますね</p><p>これシザーリオ・ヴァイオラが好きでさいつも、ケイちゃんにさせていた髪型なんだ</p><p>寧さんはケイさんの姿で全館放送に出て</p><p>シザーリオ・ヴァイオラを挑発しようとしている</p><p>元々、今日は黒のパンツ・スーツで来ている寧さん</p><p>究極の美少女が美少年に化けようとしている</p><p>カメラも準備オーケーよ</p><p>関さんがビデオカメラを操作する</p><p>会議室のモニターに、寧さんの姿が映った</p><p>今はまだ、この部屋だけね全館放送のアクセス・キーは、谷沢チーフでないと</p><p>ちょっと待ってくれ</p><p>谷沢チーフは、端末を操作してこの部屋から全館放送できるように、アクセスしていく</p><p>ヨッちゃん、こっちに来て</p><p>はい、何です</p><p>オレが行くと寧さんは</p><p>ヨッちゃんあたしのために、命を懸けてくれる</p><p>もちろんです寧さん</p><p>ありがとうそれならさ</p><p>寧さんの手が、オレの手を掴む</p><p>ヨッちゃんも一緒に出て</p><p>寧さんの手は冷たかった</p><p>顔はいつも通り笑っているけれど手は震えている</p><p>シザーリオ・ヴァイオラの前に姿を現すと言うことに</p><p>寧さんの内面は、怯えている</p><p>寧さんのためなら</p><p>何でもしますよオレ</p><p>10秒前8、7、6、5、4キュー</p><p>関さんの声と同時にカメラに赤いランプが点く</p><p>撮影されている</p><p>この映像が音声が</p><p>ホテル内の全てのモニターにスピーカーから、放送されている</p><p>Attention</p><p>そして寧さんは、流暢な英語で喋り出した</p><p>いつもの寧さんの声とは違う少し低い声</p><p>オレの手を、ギュッと握りしめたまま</p><p>寧さんはケイさんを演じている</p><p>話している英語はオレには全然判らない</p><p>ただ寧さんの声はギュッと心を掻きむしられるような悲しみが込められていた</p><p>寧さんの英語のスピーチは、一分ほど続いた</p><p>最後に、寧さんがオレを引っ張る</p><p>カメラの画面の中にオレが映る</p><p>寧さんは、英語で何か言った後</p><p>オレにキスをした</p><p>そしてカメラに向かって、にっこりと笑う</p><p>残酷な笑みを</p><p>カット</p><p>カメラの赤いランプが消える</p><p>うふふふっヨッちゃん、ヨッちゃん、ヨッちゃーん</p><p>寧さんが、オレを抱き締める</p><p>ふくよかな胸を、オレにギュウギュウ押し寄せる</p><p>あたし言ってやったよヴァイオラに言ってやったんだぁぁ</p><p>寧さんは、オレに自分の頬を擦り寄せた</p><p>な何て言ったんです</p><p>寧さんはニヒッと笑って</p><p>最初はねケイちゃんの振りをして、ミスター・ヴァイオラ、どうしてボクに会い来てくれないのボク、さみしいよって言ったの</p><p>ふんふん</p><p>それでねボクはずっと21階で、ミスター・ヴァイオラが来るのを待っていたんだよでも、もう待ちくたびれちゃったって</p><p>もう、ミスター・ヴァイオラなんて大ッ嫌いだよ今のボクは、もっともっと好きな人ができたんだこれがボクの新しい彼氏だよボク、彼に夢中なんだ身も心も、彼に捧げたいって思っているんだよ</p><p>ボクは彼を愛しているんだ愛している、愛している、愛しているさようなら、ミスター・ヴァイオラもう二度と会うことは無いんだろうね</p><p>たはは</p><p>口惜しかったら、21階まで上ってくるんだねどうせ、あなたにはそんな勇気は無いだろうけれど</p><p>ニヤッと、寧さんは微笑む</p><p>それホントに言ったんですか</p><p>言ったよっぐふふふふっざまあみろってんだっヴァイオラのバーカバーカ</p><p>寧さんが、オレを抱き締めたまま大きく笑う</p><p>笑っている身体が震えている</p><p>ヨッちゃんも、抱き締めて</p><p>オレの耳元に寧さんは小さく、囁いた</p><p>もっと強くギュッとして</p><p>寧さんは今、必死で闘っている</p><p>ヴァイオラと</p><p>オレは全力で支えてあげたい</p><p>この人を</p><p>オレは寧さんを、愛している</p><p>ちょっと体調が厳しいので、今日は病院へ寄るのは止めます</p><p>病院が微妙な位置にあるので病院に寄ると毎日、往復で1時間自転車漕がないといけないので</p><p>さてそれでは、仕事にいきます</p><p>304．寧と寧子</p><p>どうです、谷沢さん敵の動きは</p><p>マルゴさんが、谷沢チーフに尋ねる</p><p>うむ、変化がある後方に待機していた一団が、物凄い勢いで上昇を始めた</p><p>うわそれが、シザーリオ・ヴァイオラの本隊か</p><p>となると、何て判りやすいやつなんだ</p><p>谷沢チーフが、ホテル内の監視カメラの映像をモニターに出す</p><p>ホテルの廊下を、３０人ぐらいの一隊が歩いている</p><p>外見だけなら、他の隊と同じ黒ずくめの戦闘服で全然判らないがな</p><p>谷沢チーフは、比較として他の階にいる別の敵部隊の映像を別のモニターに流した</p><p>それでもこの隊は、統率が取れているきちんと日頃から訓練されている部隊だってことは判る</p><p>確かに他の隊は、隊列も組まずにバラバラで、みんな姿勢悪く歩いているが</p><p>シザーリオ・ヴァイオラの本隊だと思われる部隊は、きちんとまとまっている</p><p>といってもちゃんとした軍事訓練を受けている連中じゃないなやっぱり、いかにも犯罪集団っていう感じのまとまり具合だ幹部の中に軍の経験者がいて、そいつが自分の知識を基に集団を形成しているってぐらいだな大したことはねえ</p><p>谷沢チーフは、そう判断した</p><p>監視カメラが、部隊の後方で、部下にあれこれ指示している人物を映し出す</p><p>そいつは黒い戦闘服に、赤い腕章を巻いていた</p><p>あれが部隊のリーダーっぽいですわね</p><p>て、ことはあいつがシザーリオ・ヴァイオラ本人か</p><p>関さんと谷沢チーフが画面から検討する</p><p>違うよっあれは、ジュリアーノだよ</p><p>シザーリオ・ヴァイオラの幹部の１人、ジュリアーノ・ジェンカか</p><p>谷沢チーフが、寧さんに確認する</p><p>寧は子供の頃に、シザーリオ・ヴァイオラに誘拐されて、しばらく彼らの中で生活していたんです</p><p>マルゴさんが告げる</p><p>だからあたし、判るよ体型や、歩き方だけで</p><p>寧さんは、さらに監視カメラの映像を凝視する</p><p>あその横に、青い腕章の人がいるでしょそいつが、ロミオ・モンタギューそれから、銀色の腕章の人がいるでしょその人が</p><p>シザーリオ・ヴァイオラか</p><p>谷沢チーフが、寧さんに詰め寄る</p><p>違うこの人</p><p>驚く寧さん</p><p>ロレンザッチョ・バンディーニだっ</p><p>ロレンザッチョ・バンディーニ</p><p>えっ、その人って確か</p><p>学校の野球部グラウンドの近くで、オレたちを狙撃しようとして工藤父の配下のネコさんに捕まったんじゃなかったっけ</p><p>しかも、身体に爆弾が仕掛けられていてなかなか大変なことになった様な気が</p><p>ああ、ロレンザッチョ・バンディーニなら、うちで身柄を抑えているといっても、ずっと無言で何の情報も吐いていないが</p><p>谷沢チーフは、そう答えた</p><p>そうかフェイクだったんだ</p><p>捕まった方のバンディーニは、偽者だったんだよ</p><p>どうして、そんなことをするんです</p><p>さあ、向こうの事情は判らないけれどあたしたちに、ロレンザッチョ・バンディーニはシザーリオ・ヴァイオラにとって重要な存在ではないと思い込ませたかったのかな</p><p>闘いの前に人間爆弾として使い捨てにするくらいの小者と思わせたかったのか</p><p>でも、それなら何で今、堂々と画面に映っているんです</p><p>オレは、疑問に思う</p><p>偽物をオレたちに捕獲させたのなら、ずっと隠れていた方がいいに決まっている</p><p>判らないな監視カメラの映像だけじゃ、判別つかないと思っているのかこうやって寧がチェックしているとは、考えていないいや、そんなことはないだろうし</p><p>マルゴさんも混乱している</p><p>こつちは、寧さんが全館放送でシザーリオ・ヴァイオラを挑発したばかりだ</p><p>こっちの中枢に、寧さんがいることを敵はよく熟知しているはずだし</p><p>ロレンザッチョ・バンディーニライフルを抱えているね</p><p>うわ、ホントだ</p><p>オハイオ州大会６位の腕前は、健在かよ</p><p>オレたちは、ライフル狙撃にも注意しないといけない</p><p>とにかく、ジュリアーノ・ジェンカ、ロミオ・モンタギュー、ロレンザッチョ・バンディーニの３人は確認できたんだなそれで、肝心のシザーリオ・ヴァイオラは</p><p>谷沢チーフが、寧さんを見る</p><p>判らない</p><p>寧さんは、必死で画面を見ているが</p><p>あの何の腕章もしていない黒服の中の１人だと思うけれど</p><p>シザーリオ・ヴァイオラは、一般戦闘員の中に溶け込んでいるのか</p><p>幹部たちの動向をチェックしていれば判るんじゃないそのうち、シザーリオ・ヴァイオラが彼らに指示するでしょう</p><p>ううんこういう部隊の指揮は、ジュリアーノが上手いから全部、ジュリアーノに任せて、ミスター・ヴァイオラは前には出て来ないと思うよ</p><p>この部隊そのものが僕たちの眼を誤魔化すための揺動でシザーリオ・ヴァイオラは、他の部隊に居るということは考えられませんか</p><p>ずっと話を聞いていた香月健思が、そんなことを言い出す</p><p>それは無いと思うヴァイオラ自身は、決して戦闘能力の高い人じゃないから幹部たちがこの部隊にいるのなら、ミスター・ヴァイオラもここにいるよ</p><p>あたしもそう思う多分、この３０人ぐらいの部隊だけがヴァイオラが、アメリカから連れて来た子飼いの連中だろうし１人だけ、言葉もろくに通じないロシア人のチンピラの中に混じるような勇気は、ミスター・ヴァイオラには無いと思うね</p><p>マルゴさんは、そう判断する</p><p>寧谷沢チーフや、関さんや麗華お姉さん、美智ちゃんに、ミスター・ヴァイオラやジュリアーノ・ジェンカたち幹部の情報を教えてあげて</p><p>マルゴさんが、寧さんに言う</p><p>マルちゃんでも</p><p>実際に、彼らと会ったことがあるのは寧だけなんだつまらないことでも、何かのヒントになるかもしれないしとにかく、話してあげて</p><p>ああ、貴重な情報だ聞いておきたいなすでにうちの情報部がまとめているファイルの内容と被っていても構わないお嬢ちゃんの知っていることを話してくれ</p><p>谷沢チーフも、寧さんに要請する</p><p>ううんえっとね</p><p>寧さんは、話し始めた</p><p>ちょっと来て</p><p>その隙にマルゴさんが、オレを呼ぶ</p><p>部屋の隅でマルゴさんは、オレに囁いた</p><p>君はずっと寧から離れないでね寧を寧のままにしておいて</p><p>寧さんを、寧さんのままに</p><p>名島寧《ナトウ・ネイ》を名島寧子《ナジマ・ヤスコ》に戻さないでってこと</p><p>真剣な眼でマルゴさんは、オレに言った</p><p>今の寧の明るくて、ひょうきんな性格は作ったものだよ双子の弟のケイが死んだ後にミナホや恭子さん、そして寧自身が長い時間を掛けて基の人格とは違う別の人格を作ったんだ寧の内側の悲しみや憎しみ、それに自己破壊衝動を覆い隠すために</p><p>自己破壊衝動</p><p>寧はいや、寧子はケイが死んだのは、自分のせいだと思っている自分もまた、ケイと同じ様に惨たらしく死ぬべきだと思っている</p><p>寧子は精神的に弱い子だよ両親をヴァイオラに殺されて、誘拐された日からずっと、恐怖の中で暮らしてきたから</p><p>誘拐され人殺しの犯罪者たちと生活する日々</p><p>しかもヴァイオラの目的は、双子の弟の方で、寧子は価値の無い女として放置されていた</p><p>ヴァイオラはホモでケイさんを性的なペットにするために、誘拐した</p><p>女の寧さんはヴァイオラにとっては何の価値も無い</p><p>むしろ、寧さんの生命を保障してもらうためにケイさんは、ヴァイオラの支配に屈した</p><p>そのことが寧さんの心を蝕んでいる</p><p>作った人格だって人格は人格だよあたしは、寧が好きだ君だってそうだろ</p><p>はいオレも、寧さんが好きです</p><p>寧さんにはいつも笑っていて欲しいと思う</p><p>昨夜、アメリカでの過去を語っていた寧さんは寧子さんに戻っていた</p><p>あんな弱々しくて、泣きっぱなしの寧さんはもう、見たくない</p><p>君が側に居る限りは寧は寧のままでいられると思うんだ</p><p>寧は潜在的に、依存できる相手を探しているしかも、それは弟的な存在でないといけない</p><p>寧さんは弟が欲しい人だ</p><p>君は、すでに寧の中で大きな存在になっているしかも、寧は、君がケイとは違う弟であることも、ちゃんと認識しているだから、身近に弟としての君を感じている間は寧は寧のままだ寧子には、戻らない</p><p>マルゴさんの強い眼が、オレを射す</p><p>判りました絶対に、寧さんから離れません</p><p>オレは約束する</p><p>頼んだよそれと</p><p>マルゴさんは言う</p><p>心理学的には、ありえることなんだけれど寧は、ミスター・ヴァイオラの前ではケイに成り切ろうとするかもしれない</p><p>ケイさんに</p><p>双子の姉弟だからね寧は、いつも鏡の中の自分に弟を感じていたわけだし</p><p>うん寧さんは、自分の顔にケイさんの面影を感じていた</p><p>今日、男性的なパンツスーツで来たこともさっきの放送で、ケイを演じて喋ったこともヴァイオラに対する恐怖と、ケイの無念を晴らしてあげたいっていう気持ちがゴッチャになってしていることだと思うんだ</p><p>ケイさんを演じることでケイさんを身近に感じ、ヴァイオラへの恐怖に打ち勝とうとしている</p><p>もし、寧さんが本格的にケイさんになり切ろうとしたらオレは、どうしたらいいんですか</p><p>マルゴさんは、しばらく考えて</p><p>寧子の人格に戻るよりは、良い寧子は心が繊細で弱すぎるからヴァイオラと対峙したら、心が張り裂けてしまうよケイになり切ることで、心を保つことができるのならそのままにしておいた方がいいかもしれない</p><p>だからマルゴさんは放送で、寧さんがケイさんに扮するのをそのままやらせんだ</p><p>でも寧は、寧なんだケイにはなれない寧は、女の子なんだから</p><p>寧さんの心も身体も女の子のものだ</p><p>男には成り切れない</p><p>悪いんだけれどずっと側に居て、見ていてあげて欲しい</p><p>あたしはここから先は、戦闘に集中しないといけないからそうでないと、みんなが生き残れない</p><p>マルゴさんも必死なんだ</p><p>寧さんのことは任せて下さいオレ、頑張ります</p><p>マルゴさんは、谷沢チーフたちに話している寧さんを温かい眼で見る</p><p>あの子はあたしの大切な妹だから</p><p>うむ大体、うちの情報部が調べた通りだな軍の経験があるのは、ロミオ・モンタギューだけかだが、部下を指揮する能力は、ジュリアーノ・ジェンカの方が上なんだな</p><p>凶暴性もねっ</p><p>谷沢チーフの言葉に、寧さんが答えた</p><p>しかしシザーリオ・ヴァイオラの趣味が、変装と聞いていたが、身内でも判らないほどだとはな</p><p>うん本当に、ロレンザッチョ・バンディーニと死んだ妹しか、誰が本物のヴァイオラかは判らなかったんだよ</p><p>お嬢ちゃんも判らないのか</p><p>谷沢チーフが、ギロッと寧さんを見る</p><p>あたしは同じ部屋に居て、話をしているのを聞いたら、何となく判るかもしれないでも、もう何年も経っているし</p><p>今の寧さんでは判らないかもしれない</p><p>あいつら自身はどうやっているんだ誰が、ヴァイオラか判らないんじゃ、色々と行動に支障があるだろう</p><p>それはロレンザッチョ・バンディーニが、話し掛けて指示を受けている人物がヴァイオラだから</p><p>ふんそれじゃあ、ロレンザッチョ・バンディーニが、誰がヴァイオラかコントロールできるな</p><p>谷沢チーフの言葉に、ハッとする</p><p>あらかじめ、隊の中にヴァイオラの偽者を数人配置して置いてヴァイオラから指示を受けている振りをして、実はロレンザッチョ・バンディーニが全隊の指揮をしているんじゃないのか</p><p>そういう可能性もある</p><p>でも、あたしはバンディーニも知っているけれど知的な人じゃないよ下品で粗野で派手好きでヴァイオラのマネージャーではあっても、戦闘部隊の指揮とかはできない人だと思う</p><p>寧さんは答える</p><p>ちっここからじゃあ判らないか考えているだけじゃあ、ラチがあかねえ工藤のやつに言って１部隊、強行偵察させてみるか</p><p>実際の戦闘になってみれば指揮系統は、はっきりとするし何より、あの３０人少し人数を削っておきたいしな</p><p>しかしシザーリオ・ヴァイオラの本隊だ</p><p>普通に正面から行ったのでは工藤父でも危ないんじゃあ</p><p>上階からの攻撃は難しいなルート上に、２部隊展開しているかこいつらを先に潰さないと、ヴァイオラの隊にぶつからないな</p><p>１階から上階へ侵攻するルートは、防火扉やシャッターを閉じることでいくつかのルートに分断している</p><p>ヴァイオラの本隊が現在いるのは７階だ</p><p>そのルート上11階と15階に、別の隊が居る</p><p>上階から攻めるには、先行している2部隊を倒してからでないと無理だ</p><p>下からではダメなのですか</p><p>香月健思が言った</p><p>下から</p><p>はい1階から確か、一般の制服警備員は、一度ホテル外へ避難させたはずですよねそれを、呼び戻して下から送り込めば敵もまさか、後ろから攻められるとは思っていないでしょうし</p><p>面白い案だが制服組のやつらじゃ、ヴァイオラには太刀打ちできないだろう</p><p>そこは人数で何とかするというのは２００人ぐらい、一遍に突入させればそのアメリカの犯罪集団も対応できないと思いますが</p><p>よせやい香月セキュリティ・サービスを殉職者だらけにする気か</p><p>敵を制するためなら、それぐらいの犠牲は必要でしょう香月セキュリティ・サービスに奉職している以上、社員の皆さんはいつでも殉職する覚悟はできていると思いますが</p><p>ああこいつも、お坊ちゃんなんだな</p><p>そんな理屈通るわけがない</p><p>死ぬと判っている連中を突っ込ませるほど、オレは鬼じゃねぇよ</p><p>谷沢チーフは、香月健思を軽蔑の眼で見てそう言った</p><p>そうだあいつを使ってみるか</p><p>それから、ふと思い付いたのか谷沢チーフは、携帯電話を取り出す</p><p>そう言えば、強行偵察にもってこいの人材がいたっけ</p><p>誰なんだ</p><p>うわわ、寝坊した</p><p>305．昭和の薫りを持つ男</p><p>おう、もしもしオレだお前のことだから、まだ近くに居るんだろ</p><p>谷沢チーフは、誰かに電話している</p><p>裏切ったことに関しては、気にしちゃいねぇこういう時に、お前がどう動く人間かってことはようく承知しているそれででだな</p><p>一瞬、息継ぎして谷沢チーフは本題に入る</p><p>もう一遍、こっちに付く気はねぇかそうだ、仕事の依頼だギャラは通常の倍だそうお前、ホテルから撤退した時点で、あちらさんとの契約は切れているんだろもう少し、稼いで帰れよ</p><p>一度ホテルから撤退して行った人となると</p><p>仕事内容は、強行偵察だ敵の本隊だと思われる部隊３０人くらいで固まっているから、お前、飛び込んでって２０人ぐらいにしてくれ幹部クラスを倒してくれたら、さらにボーナスも出すそれだけでいい殲滅しろとは言わん</p><p>少しの間の後</p><p>オーケイ、３倍出そうそれでどうだよし、交渉成立だなふふ、お前なら快く返事してくれると思ったぜホテルの１階ロビーに着いたら連絡してくれ直行ルートを確保しておく</p><p>谷沢チーフは、ニヤリと笑った</p><p>頼んだぞダダドムゥ</p><p>ダダドムゥつて</p><p>異次元戦士・ダダドムゥおじ様かよっ</p><p>電話を切ると、谷沢チーフはオレたちを見て言った</p><p>さあて、お前たちをオレの秘密基地に招待してやるぜ</p><p>秘密基地</p><p>さあ付いて来い</p><p>谷沢チーフを先頭に、会議室から出る</p><p>あれ山岡部長がまだ落ち込んでいる</p><p>何やっているんだ山岡</p><p>谷沢さん</p><p>力なく、チーフを見上げる山岡部長</p><p>オレ、もうダメです</p><p>ダメでも何でもいいがそんなところで落ち込んでられても迷惑なんだよ判るか、お前</p><p>お前、今まだ勤務中だろ何でもいいから、自分のできることをしろ身体を動かせ</p><p>しかしこのホテルには、もう私の部下は残っていません</p><p>谷沢チーフは入り口を警備していた巨漢二人と、工藤母を見る</p><p>３人も残っているじゃねぇか</p><p>３人じゃ何もできません</p><p>谷沢チーフは、ハァと溜息を吐く</p><p>これからたった１人で敵の本隊に突っ込むフリーの警護人もいるってのに馬鹿か、お前</p><p>私は今、自分が何をするべきなのか判らないんです</p><p>山岡部長は、うなだれたままだ</p><p>そうかじゃあ、お前に預けている人間は回収して行くからな</p><p>谷沢チーフは、巨漢二人を見る</p><p>お前たちは２５階のフロアに行け、オレの部下のトップ・エリートの進藤の顔は判るな進藤の配下に付け白坂家のお客さんたちの警備の方に廻って貰うルートは４のBを使え判るな</p><p>では急げ</p><p>了解ですッ</p><p>巨漢二人は、山岡部長をジロッと見下して小走りで退出して行く</p><p>工藤の悦っちゃんは、オレに付いて来い本部の方で仕事して貰う</p><p>しかし工藤母は</p><p>チーフ私は</p><p>何だ山岡が心配か</p><p>しゃがみ込んで、山岡部長の肩に手を置く工藤母</p><p>お前も職場放棄か</p><p>この人を放ってはいかれません</p><p>悦子</p><p>私が側に居てあげるからね</p><p>寄り添う、工藤母に山岡は抱き付いて、泣く</p><p>私は私は悦子</p><p>判っているからあなたが一生懸命やっていたことは、私は知っているわ私だけは、判っているから</p><p>山岡を工藤母は慰める</p><p>工藤の時といい、そいつといいどうして、お前はいつもダメ男にばっかり気を取られるんだ</p><p>呆れた口調で谷沢チーフは言った</p><p>あの人は工藤は、もう私を必要とはしていませんでも、この人は私がいないとダメな人ですから</p><p>工藤母は、そう言って山岡に縋り付く</p><p>本当にそうなのかね</p><p>谷沢チーフは、冷淡に言った</p><p>お前のそういう態度がそいつを益々ダメな男にしちまっているとは思わないのかね</p><p>どうだろうなそいつはホントは、誰も必要となんかしちゃいねぇよ男なら、仕事でミスすることもある失敗も、不運も、潮目の悪い時期だってあるだが、そういう時に自分１人で立ち上がれない様な男は、男じゃねぇ</p><p>辛い時だからこそ、あたしはこの人の側に居てあげたいんです</p><p>工藤母は、谷沢チーフを見上げる</p><p>そんなのは、お前の勝手な欲望じゃねぇかそうやって、また男を甘やかして腐らせるのかい工藤の時みたいに</p><p>あの人のことは、言わないで下さい</p><p>いいや、言うさお前から自立できるようになって、はじめて工藤は一人前の男として使えるようになった昔は能力はあったが、詰めの甘い、仕事にムラのある男だったからな</p><p>そんなこと、ないですあの人は今だってダメですよ</p><p>今は違うお前とコンビを解消して何でも一人でやるようになって、工藤は変わった良くなった</p><p>谷沢チーフはそう言う</p><p>お前たち夫婦はコンビを組んで、仕事するという関係としては良く無かった最悪だったお互いに甘え合って仕事に厳しさが無い荒れた粗い仕事をするだから、オレはお前たちのコンビを解消させたんだ</p><p>工藤父と工藤母は子供の頃からの幼馴染みだと言う</p><p>だから駆け出しの頃は、夫婦二人でコンビを組んでいたんだ</p><p>それを、谷沢チーフが解消させたのか</p><p>違います私が、あの人を見限ったんですあのまま、あの人に付いていったって私の幸福は、ありませんから</p><p>しかし、工藤母は認めないあくまでも、自分の意志で工藤父から離れたと主張する</p><p>そんなことは、どうでもいいとにかく、お前の男を甘やかす癖はよくねえな誰が相手だって、男の方が腐っていくだけじゃねぇか</p><p>そんなの私たちの勝手です谷沢さんに叱られることではありません</p><p>実際に山岡の仕事に影響が出ているんだ厳しいことは言わせて貰うぜ</p><p>部屋の中が、シンと静まり返る</p><p>山岡とお前が付き合いだしてから山岡は、オレや閣下の方を向いて仕事をしていねえ部下たちの方も見ていねえずっと、お前の方だけを見ているだから、こんな状況になっているんだよ</p><p>そんなことないですあたしたちは一生懸命やってきましたあたしたちは</p><p>一生懸命やってるかどうかは、他人が判断することなんだよっ自分で自分の評価をするんじゃねぇっ</p><p>あこれは、このままじゃラチがあかないな</p><p>時間の無駄だ</p><p>工藤母は、人の話を聞く気は全然無いから</p><p>あの工藤さんオレは、あなたのことをよく知らないしこんなこと、オレが言うべきことじゃないと思いますが</p><p>それでも、オレは言うしかない</p><p>自分の娘の前で平然と、浮気を正当化するようなことは言わないで下さいあなたは親のみっともない姿を見せられている美智の気持ちが判りますか</p><p>工藤母はハッとして美智を見る</p><p>お気遣いいただいてありがとうございますしかし、わたくしは平気です</p><p>美智は冷たい眼で、母を見る</p><p>こんな人もう母だとは思いませんから</p><p>美智親に向かって何てことを言うのよっ</p><p>工藤母が、美智に怒りをぶつける</p><p>尊敬できない人間を親だとは思いません</p><p>子供のくせにっ</p><p>激高した工藤母が、美智を引っ叩こうと、手を上げる</p><p>美智は母の平手を避けようとはしなかった</p><p>甘んじて母に叩かれる覚悟だったらしい</p><p>ガツンッ</p><p>足下のコンクリートの床にめり込んだ撲殺ステッキが工藤母の動きを制する</p><p>麗華が、ギッと工藤母を睨んだ</p><p>それ以上の無礼は許しません</p><p>何よ、あなた家族のことに口出ししないでっ</p><p>叫ぶ工藤母に麗華は</p><p>あなたのどこが家族だぁッッ</p><p>麗華の瞳が、真っ直ぐに工藤母を睨む</p><p>自分の都合で母親と女を使い分けるなっ</p><p>スッと、関さんが二人の間に割って入る</p><p>藤宮さん、落ち着いて工藤さんも</p><p>そして、関さんは山岡部長を見た</p><p>山岡さん、いいんですかあなたこんな女に取り憑かれて取り殺されてしまっても</p><p>取り殺される</p><p>はい男の生き方としては、一番みっともないですね軽蔑いたしますわわたくし</p><p>関さんの言葉は、冷たかった</p><p>いい年をした男女が情けないとは思わないのですかこんなの</p><p>ふふふふ、ははははは</p><p>マルゴさんが、笑い出す</p><p>みんな間違っているよこういう醜い大人の姿はね真剣に怒っちゃダメなんだよ笑うんだよ嘲り笑ってあげるべきなんだあたしは、そう教わったよ</p><p>うんっ、そうだね恭子さんが、ここに居たらきっとそう言うと思う</p><p>うははは、バッカみたいみっともないのっほら、ヨッちゃんも笑って</p><p>笑って下さいわたくしも笑うべきだと思います</p><p>美智が泣きそうな眼で、唇を歪めて無理矢理、笑おうとしている</p><p>こんなのこんな人、わたくしの母ではないです笑っちゃいます笑います笑わなければなりません</p><p>オレは、美智を抱き締める</p><p>チーフ、もう放っておいて行きましょうこんな人たち、相手にしていても無駄です</p><p>うむ、そうだな</p><p>谷沢チーフが、山岡部長を見る</p><p>今は下へ下りて退避することはできない３２階の退避室を使えルートは８のAだ敵を排除するまでは、そこに隠れていろ</p><p>そして宣告する</p><p>本日付で二人とも解雇する職場放棄と命令違反だ懲戒免職になるが仕方ないと諦めてくれ</p><p>山岡部長も工藤母も谷沢チーフを見ようとはしなかった</p><p>悪いが香月セキュリティ・サービスに在職していたことを看板にして就職活動されては困るからな今のお前らじゃ、同業他社には推薦できんよだから、懲戒処分にする要人警護の仕事には、もう付けないと思ってくれ</p><p>山岡部長と工藤母は、会議室に置き去りにして</p><p>オレたちは、ホテルの廊下を行く</p><p>緊急避難室から上がって来た最初のメンバーに、谷沢チーフと香月健思を足した大人数で、ゾロゾロと行く</p><p>ここだ、この部屋だ</p><p>あるドアの前で谷沢チーフは、立ち止まった</p><p>ここが第一次防衛ラインの作戦司令室通称本部だ</p><p>このフロアに、司令室があったんですか</p><p>マルゴさんが尋ねると谷沢チーフは</p><p>違う違うこの部屋はな、部屋全体がエレベーターになっていてな、２０階から２５階までの間を自由に上下移動できるんだ</p><p>つまり、２０階のフロアに敵が侵攻したら部屋ごと上階へ移動できる</p><p>まあ、入れ</p><p>部屋の中に入ると２０畳ほどの部屋に、１０人くらいの男女が居た</p><p>壁はたくさんのモニターで覆われている</p><p>各階の監視カメラの映像をこの部屋で分析しているらしい</p><p>どうだ、状況は</p><p>チーフが、眼鏡の女性に尋ねる</p><p>って工藤父の下にいた、ノーマさんじゃないか</p><p>あ、トニーさんもいる</p><p>そういえば二人とも香月セキュリティ・サービスの情報部門から出向していたんだっけ</p><p>ということは、この部屋に居る人のほとんどは情報部のメンバーなんだな</p><p>はい、先行部隊は１６階で食い止めています</p><p>ヴァイオラの本隊と思われる部隊は</p><p>急速に上昇しています今、９階ですね</p><p>ダダドムゥに、強行偵察をさせるルートを構築してくれ</p><p>チーフが、オレたちを見る</p><p>今、ホテル内は防火扉やシャッターを降ろして、自由に行き来できなくしてあるエレベーターも全て、ストップだその全てのコントロールは、この部屋から出来るようにしてある</p><p>ダダドムゥ氏、１階入り口の監視カメラで確認しました</p><p>来たか最短で、ヴァイオラに接触させるとしてどこが良いと思う</p><p>それでしたら、１１階のエレベーターホール前に敵を誘導しましょう</p><p>ノーマさんが、そう進言した</p><p>エレベーターを起動させますダダドムゥさんには、１階から直接１１階へ上がっていただきます</p><p>敵のど真ん中に、エレベーターで行って危なくないのか</p><p>よし、その作戦で行こうダダドムゥには、オレから話す</p><p>谷沢チーフは、携帯電話を取り出す</p><p>監視カメラが１１階を侵攻する、ヴァイオラの部隊を映し出す</p><p>うん、やっぱり他の部隊とは違って整然としている</p><p>軍事的な知識のある人間が指揮を執っている部隊であることは間違いない</p><p>防火扉であちこちが閉ざされた廊下を抜けて３０人ほどの隊列が、広いエレベーターホールに到着する</p><p>黒い戦闘服の男の１人がエレベーターの方を指す</p><p>全て電源が切られて、表示が消えていたはずのエレベーター３台のうち</p><p>真ん中の１台だけライトが点いている</p><p>ウィンウィンウィン</p><p>隠しマイクがエレベーターを引き上げる、ワイヤーの音を拾い上げる</p><p>このエレベーターは生きていて１階から上昇している</p><p>黒い戦闘服の男たちは、指揮官である赤い腕章の男ジュリアーノ・ジェンカを見る</p><p>ジュリアーノは、スッと手で男たちに指示する</p><p>銃を構えた男たちがエレベーターの前に展開する</p><p>その間にもエレベーターはこのフロアに向かって昇ってくる</p><p>チーン</p><p>音と共にエレベーターの扉が開く</p><p>黒い戦闘服の男たちは、その内部に注視しする</p><p>中に居たのは</p><p>その男は</p><p>金銀ギラギラのラメでできた和服の袴姿だった</p><p>頭は、チョンマゲののカツラで</p><p>顔は白塗り</p><p>これってもしかして</p><p>マ＊ケン・サンバ</p><p>イェイェェーイワオっイェイェェーイワオっ</p><p>白塗りギンギラ和服のオッサンはいきなり、大声で喋り出す</p><p>オレが昔、夕焼けニャンニャンだった頃弟は夕焼けロンちゃんだった</p><p>な、何を言っている</p><p>親父は夕焼け番長でオフクロは、東京谷中銀座商店街夕焼けだんだんだった判るかなぁ判らねぇだろうなぁぁイェイェェーイワオっイェイェェーイワオっ</p><p>何なんだ狙いは、何なんだ</p><p>おいおいそんな顔するなよブラザー世界は仲間、人類皆兄弟戸締まり用心、火の用心じゃねぇか昔の人が、こんなことを言っているぜぇいいつもバラ色に燃えて、この胸ときめくつぼみから花へわたしはマチコイェイ、イェイってないいこと言うじゃねぇかマチコ先生はよ教師生活２５年それは、マチコ先生じゃねぇ、マチダ先生だぁぁおい、誰か突っ込めよバックしますバックしますガッツ石松昇竜拳昇竜拳日照権コンチクショウゴラァァ</p><p>もう、わけが判らない</p><p>しかし敵は全員、アメリカ人なんだけれど</p><p>日本語で何言ってるんだ、あんた</p><p>つーか、日本語だけれど、オレにはさっぱり意味が判らないぞ</p><p>さてと、ほんじゃあ行きますか</p><p>そして、オッサンは懐から扇を取り出し、バッと開き</p><p>しずしずと、エレベーターの中から外へと摺り足で出て行く</p><p>二度目の登場に、衣装もメイクも一新してみたぜぇいオレが祭りと聞いて思わず駆けつけた、異次元戦士・ダダドムゥだあっ、お呼びとあらば即参上スビズバァパパパパパパーンッ</p><p>銃で武装した男たちの中へ、飛び込んで行くッッ</p><p>さあって、手前ら人間じゃねぇ叩き斬ってやる</p><p>ダダドムゥおじ様刀も剣も持たずに、どうやって斬るんだ</p><p>まさかのダダドムゥおじ様、再戦です</p><p>敵だったやつが味方になって助けに来るのは、ジャンプマンガの王道ですね</p><p>まいっちんぐ</p><p>306．ダダドムゥ、舞う</p><p>うまいスッと敵の中に入り込んでいったね</p><p>画面の中の異次元戦士・ダダドムゥおじ様を見てマルゴさんが呟く</p><p>最初にエレベーターから降りた時には、完全に銃を持った敵と真っ正面から対峙していたのに</p><p>訳の判らないパフォーマンスをしているうちにするすると敵の輪の中に入り込んでしまった</p><p>でもあれって、敵に囲まれているってことなんじゃないですか</p><p>３６０度、ぐるっと黒い戦闘服を着た男たちが、ダダドムゥおじ様を取り囲んでいる</p><p>いや、あいつはああやって接近戦で相手の懐に入った方が有利なんだよ異次元戦士だがらな</p><p>谷沢チーフが言った</p><p>距離を取られて、一斉射撃される方がヤバイからな逆にあの距離で囲まれたら、敵は銃が使えなくなる</p><p>そっか、味方に当たる可能性があるからうかつに銃撃なんてできなくなったんだ</p><p>HEYSAM</p><p>赤い腕章の男ジュリアーノ・ジェンカが、１人の大柄な戦闘員に声を掛ける</p><p>その戦闘員は、コンバット・ナイフを引き抜いて腰を落とした姿勢で前に出る</p><p>ナイフの達人というか格闘戦が得意なやつなんだろう</p><p>サムという名前らしいそいつは、英語でダダドムゥおじ様に何か言った</p><p>おそらく、挑発の言葉だったんだろうずっと無言だった敵の戦闘員の中から、小さな笑いが起きる</p><p>お前は、カブキ・スターかサムライ・ムービーでも撮っているのかって言っていますね</p><p>美智英語判るのか</p><p>はい、英会話は幼稚舎より必修で習っていますから</p><p>当たり前のこととして、美智はオレに答える</p><p>こいつはみすずと同じ超お嬢様校に通っているんだっけ</p><p>そういう学校じゃ生徒はみんな、外国へ行く機会が多いから試験用の英語教育よりも、より実践的な英会話の授業を大事にしているんだろうな</p><p>大したことを言っていないのによく笑いますね、あの人たち</p><p>香月健思が、呆れた口調で言う</p><p>笑いの沸点が低いんだよアメリカ人だから</p><p>寧さんが、そう答えた</p><p>あいつらダダドムゥのやつが一人っきりだから、舐めてやがるな</p><p>谷沢チーフは、そう分析した</p><p>ナイフをブンブン振り回して、威嚇するサム</p><p>後ろから黒い戦闘服の男たちが、次々にダダドムゥおじ様へ野次を飛ばす</p><p>不穏な空気の中</p><p>ダダドムゥおじ様は、手にした扇を開いてゆっくりと扇ぎながら、答えた</p><p>あいきゃん・のっと・すぴーく・いんぐりっし</p><p>いんぐりっし</p><p>れでぃす・あんど・じぇんとるまん・あんど・お父っつぁん、おっ母さんオレは強いでぇぇあんさんよりも強いですがな</p><p>サムに向かって扇を向ける、ダダドムゥおじ様</p><p>掛かってこんかい</p><p>サムの口元が、ニヤリと微笑む</p><p>サムではなく敵の群れの中から４人の戦闘員が、ナイフを握りしめてダダドムゥおじ様を襲う</p><p>はぁぁ、ちょいな、ちょいなっと</p><p>派手な和服姿のダダドムゥおじ様は、クルッと回転するように敵の攻撃を躱し戦闘員の１人の首元に扇を打ち込む</p><p>グゥエエッ</p><p>叩かれた男が、奇声を上げて崩れ落ちる</p><p>ひとぉぉぉーつ</p><p>ダダドムゥおじ様は、扇を拡げたまま呟く</p><p>人より、力持ち</p><p>な何だ</p><p>あれは鉄扇なのでございますね</p><p>美智が感嘆する</p><p>テッセンて</p><p>鉄でできた扇です古来より、武器として使われてきましたがあんなに軽々と持たれている上に、派手派手しく彩色されていますから鉄製だとは気付きませんでした</p><p>ただの鉄ではない</p><p>谷沢チーフが美智に言う</p><p>あいつの鉄扇は、特殊合金製だ鉄よりも硬いし、衝撃で歪んだりもしないその分、鉄よりも重いがな</p><p>そんなものをダダドムゥおじ様は、振り回している</p><p>あ、鉄扇が２人目の男を打ち倒す</p><p>ふたぁぁーつふるさと、後にして</p><p>左右から２人の男が同時にダダドムゥおじ様を斬り付けるが</p><p>１人の切っ先を避けて、もう一人の延髄に鉄扇を叩き込むッッ</p><p>みっつミラクル、みっくるんるんっ</p><p>そのまま４人目の喉元に、鉄の扇が食い込むッッ</p><p>よっつぅぅ横丁にハゲがあるっ</p><p>４人目が倒れると同時に</p><p>サムが凶暴な眼で、ダダドムゥおじ様に突進するッッ</p><p>ハッハッハッハッハァァッッ</p><p>ボクシングのラッシュの様に、サムは小刻みにナイフを突き出すが</p><p>うはは無駄無駄無駄無駄無無駄無駄無駄無駄ァァァァッッ</p><p>その全てを、ヒラヒラとダダドムゥおじ様は、避けていく</p><p>鉄扇がサムのナイフを握る手を打つ</p><p>握力を失った手からナイフが落ち、スザッと床に突き刺さる</p><p>サムは反対の手で、ピストルを引き抜こうとするが</p><p>次の瞬間には、鉄扇で額をカチ割られていた</p><p>ウガァァァァ</p><p>頭から流血しながらサムが倒れる</p><p>いつつーついつかはモノにチーフの娘</p><p>鉄扇を片手に四股を踏みながら和服姿のダダドムゥおじ様は言った</p><p>谷沢チーフ娘さんがいらっしゃるんですか</p><p>関さんが尋ねると、谷沢チーフは暗い顔で</p><p>いるよ今年９歳になる</p><p>あダダドムゥおじ様</p><p>ロリコンだって話は、本当なんだ</p><p>いや、でも強いですねさっきのロビーの時も凄いと思ったけれど、今の方が段違いじゃないですか</p><p>オレはとにかく、話を話題を変えてみる</p><p>あの時はバンバルビーの番場ちゃんがいたからな</p><p>谷沢チーフは、暗い声で言った</p><p>あいつは、番場ちゃんに気があるんだよだから、ロビーでの闘いではあいつは番場ちゃんとばっかり闘っていたろ</p><p>そう言えばそうだった</p><p>何か、すごい楽しそうに闘っていた記憶がある</p><p>あん時は、番場ちゃんと闘いたいためだけにわざわざ敵に寝返ったようなもんだからなだから、こっちから交渉すれば、またオレらの方に転ぶと思ったんだ</p><p>でも、番場さんて二十歳は越えていますよね番場さんのことが好きなのなら、ダダドムゥさん別にロリコンじゃ無いと思いますけれど</p><p>関さんの問いに、谷沢チーフは</p><p>あいつに言わせると番場ちゃんは、ロリ顔のロリ声で顔だけ見ていたら充分合法ロリータなんだそうだ番場ちゃんの身体には興味が無いらしい身体のラインを消すために番場ちゃんに幼児用のスモックを着せて、黄色い通学帽を被らせるのが夢だって言っていた</p><p>へ変態だ</p><p>それに番場ちゃんよりも、本当は工藤のお嬢ちゃんの方が好きなんだ</p><p>え、美智</p><p>確かに、美智は美少女でロリコンの人が好きそうな体型だけれど</p><p>しかし、あいつイエス・ロリータノー・タッチとか言って、現実のロリータに触れないのが、真のロリコンということで、番場ちゃんで我慢するって言っていた</p><p>谷沢チーフがそう言う</p><p>あの人あのまま敵と相打ちになって死ねば良いのに</p><p>関さんは、呟いた</p><p>殺せるものなら、殺したいといつも思っています</p><p>美智も、苦しそうに言う</p><p>しかし、ダダドムゥおじ様は相当な腕の持ち主だから</p><p>美智には、最終奥義を使って邪な視線から、逃げることしかできなかったらしい</p><p>あいつは確かに力はあるがオレは絶対に、香月セキュリティ・サービスには誘わないそう決めているんだ</p><p>画面を見る谷沢チーフの眼は毒々しい色の害虫を見る眼だった</p><p>その間にもダダドムゥおじ様は、敵を次々と倒していく</p><p>おっじゃま、じゃま、じゃまぁぁおじゃまんがっ</p><p>相変わらず訳の判らないことを叫びながら</p><p>あの人黙って闘えないのですか</p><p>麗華が、顔をしかめる</p><p>どうしてだか戦闘中はああなるんだよ番場ちゃんや、お気に入りの女の子が見ている場所なら、おじ様を気取っているから、あそこまで変にはならないんだがその代わり、戦闘への集中力も低くなる今はあいつ、番場ちゃんたちも戦闘中で自分の戦闘を監視しているのは、オレだけだと思っているから</p><p>ああダダドムゥおじ様は、まさかこんな大集団が自分の戦闘を観ているとは思っていない</p><p>谷沢チーフしか観ていないと思っているから、こんなにやりたい放題なんだ</p><p>うんこれで１０人食ったな</p><p>ダダドムゥおじ様の鉄扇が、また敵に炸裂する</p><p>幹部の３人は前に出て来ませんねしっかり、周りの戦闘員にガードさせています</p><p>なるほど、赤、青、銀の腕章を付けた三人ジュリアーノ・ジェンカ、ロミオ・モンタギュー、ロレンザッチョ・バンディーニの周りは、敵兵で固められている</p><p>そろそろ潮時だな</p><p>谷沢チーフは、そう決断する</p><p>回線を開け</p><p>ノーマさんがマウスを操作する</p><p>その間に、トニーさんがマイクを谷沢チーフに手渡す</p><p>当該フロアのエレベーターホールに、回線繋げました</p><p>谷沢チーフは</p><p>もういいぞ、ダダドムゥ残り、十秒だ撤退ルートは、Cの１</p><p>アナウンスがダダドムゥおじ様の闘うエレベーターホールに響く</p><p>ダダドムゥおじ様はスッと戦闘を中断して</p><p>自分を取り囲む、敵戦闘員たちをギロッと見つめる</p><p>そ・れ・で・はお別れしまーショゴ・キ・ゲ・ン、うるわしゅううううう</p><p>謎の歌と踊りを舞う</p><p>今だ、やれっ</p><p>谷沢チーフの指示に、ノーマさんの手がスイッチを押す</p><p>シュッコーンッッ</p><p>シュシュコーンッッ</p><p>エレベーターホールの天井から煙幕弾が放出される</p><p>じゃあなっアバヨ</p><p>スッと開いたエレベーターに、ダダドムゥおじ様は飛び乗る</p><p>ジュリアーノ・ジェンカが、戦闘員たちに銃撃するように命ずるが</p><p>エレベーターのドアは、あっという間に閉まる</p><p>バスッ</p><p>バスッバスッ</p><p>何人かの戦闘員が、エレベーターのドアに向かって発砲するが</p><p>無駄だよこのホテルは、徹底して対テロ対策が施されているエレベーターのドアは防弾だし対爆仕様になっている</p><p>谷沢チーフは、画面を見てそう言った</p><p>ついでだからスプリンクラーの水でも引っ掛けてやれ</p><p>ノーマさんの手が動くと同時に画面の中のエレベーター・ホールのスプリンクラーが散水し始める</p><p>水に濡れる敵の集団</p><p>よく見ておけダダドムゥの倒した連中の中に、死んだフリしているだけのやつはいないな</p><p>うん天井からの激しい散水を受けても</p><p>気絶している男たちは、ピクリとも動かない</p><p>これで敵の本隊は、残り２０人だな</p><p>チーフは、そう言った</p><p>さてダダドムゥの強行偵察の結果を検討してみようか</p><p>画面の中では黒い戦闘服の一団は、びしょびしょになってエレベーター・ホールから撤収している</p><p>それでもなお、上階を目指すらしい</p><p>何か気付いたことはあるか</p><p>チーフの問いに麗華は言った</p><p>やはり戦闘員への指示は、全てジュリアーノ・ジェンカが出していましたね</p><p>だけど、ジュリアーノ・ジェンカ自身は、時折、ロレンザッチョ・バンディーニの方を見ていたわよ</p><p>関さんは言う</p><p>うん、ロレンザッチョ・バンディーニの方から幾つか、ジュリアーノ・ジェンカに指示を出している様に見えた場面もあったもう一人のロミオ・モンタギューも、常にロレンザッチョ・バンディーニの動向を気にしているようだったね</p><p>すげぇなみんな、画面で戦闘を観ながら、そんなことを観察していたんだ</p><p>だからあの集団の指揮者は、やっぱりロレンザッチョ・バンディーニなんだと思うな</p><p>マルゴさんは、そう結論付ける</p><p>でもそしたら、シザーリオ・ヴァイオラは</p><p>オレは尋ねてみる</p><p>シザーリオ・ヴァイオラはあの集団の中にいないのか</p><p>ヴァイオラなら右奥の隅に居たよねっ</p><p>ちょっと再生画面て出るかな</p><p>寧さんの指示にノーマさんが、さっきの戦闘をモニターに映す</p><p>俯瞰で撮っている映像があったら出して</p><p>これでどうですか</p><p>天井から見下ろした監視カメラの映像</p><p>ほらここ３人で１人をずっと護っているこの３人は、ずっとこの１人の前から動かないんだよっジュリアーノの指示にも動かないし</p><p>確かに、その４人だけはずっと、同じ態勢でその場に居る</p><p>じゃあこの護られている人が、シザーリオ・ヴァイオラですか</p><p>オレの問いに、寧さんは</p><p>多分ねだって、この人だけ反応していたからっ</p><p>ダダドムゥさんのくっだらない親父ネタに</p><p>さすがに笑うところまでは行かなかったけれど間違いなく、反応していたよっ</p><p>寧さんそれ、どういうことです</p><p>シザーリオ・ヴァイオラは、日本語が判るんだよっ</p><p>ヴァイオラは米軍に勤務する親に連れられて、子供時代を日本で過ごした</p><p>だから、日本語が話せる</p><p>あの敵の集団の中にさ日本語の判る人、それも昔のテレビとかのネタで反応する人間はヴァイオラしかいないよ</p><p>も、もしかしてヴァイオラを炙り出すために、ダダドムゥさんは、あんな下らないことをずっと言い続けていたんですか</p><p>だとしたら何て、深い作戦なんだ</p><p>いやそれは無い</p><p>谷沢チーフが、厳しい声で言った</p><p>あれはあいつの趣味だ</p><p>ホント腕だけはいいのに残念すぎる性格だ</p><p>ハァとチーフは、溜息を吐く</p><p>チーフダダドムゥさん、１階フロアに到着しました</p><p>ノーマさんが、そう報告する</p><p>チーフと交信したがっているそうですが</p><p>繋げあ、音声だけでいいこっちの画像はあいつに見せるな</p><p>画面に１階フロアのダダドムゥおじ様が、映し出される</p><p>どうでしたぁぁ私のオンステージは決まってましたか</p><p>本当に残念な人だ</p><p>もう時間が全然無い</p><p>それでは、今日も病院に寄ってから、仕事にいきます</p><p>307．暗雲</p><p>うん少し休んでいてくれ最後のシメにもう一働きして貰うことになるかもしれんもちろん報酬は別に支払うし、休憩の間も時給で十万二千円出す</p><p>谷沢チーフは、通信画面のダダドムゥおじ様にそう告げた</p><p>だからここからさらに裏切るのは無しだぞ</p><p>そうかこの人の場合</p><p>この状況から、さらにシザーリオ・ヴァイオラ側に付く可能性もあるのか</p><p>だから、全ての戦闘が終わるまではこちら側にキープしていないといけない</p><p>ようござんすその条件でお受け致しましょう</p><p>ダダドムゥおじ様は、快諾してくれた</p><p>ではホテル1階の西側の警備員待機室が無事のはずだそこを使ってくれシャワーもあるし、冷蔵庫の中の物は好きに飲み食いしてくれていい</p><p>休憩なんかしないで、このまま、番場ちゃんのフォローに行っても構いませんぜ</p><p>ダダドムゥおじ様は、そう提案するが</p><p>バンバルビー３のお姉様２人は健在だぞそれでもいいか</p><p>バービーとルビーが怪我でもして脱落したら教えて下さいそしたら、すぐに出撃します</p><p>案の定ダダドムゥおじ様は、お姉様たちは苦手らしい</p><p>そいつは無理だなあの姉ちゃんたちは、ベテランだ番場ちゃんより先にリタイアするわけがねぇ</p><p>そうですね私も、そう思います</p><p>とりあえず、休め戦況は、１階の待機室でも判るように情報を転送する</p><p>かしこまって候でございます</p><p>和服姿のダダドムゥおじ様は、武士の様に返事をして通話回線を切った</p><p>ダダドムゥのやつは、とにかく強ぇぇんだけれどとにかく、行動が変態過ぎて味方との連携が全然できねぇんだよ味方にも、予想外な動きしかしねぇからなだから、１人きりで突っ込ませる仕事しか振れないんだ</p><p>残念そうに谷沢チーフが言う</p><p>あの人が、敵と闘っている時に後ろから撃っちゃえば、いいんですよあの人も敵もみんなまとめて</p><p>関さんはダダドムゥおじ様への嫌悪感から、そんなことを言い出す</p><p>前にそれをやった組織があったんだがなマシンガン10丁で掃射しても、何でだかダダドムゥのやつだけは無事であいつを裏切った組織は、そのまま殲滅されたらしい</p><p>さすが異次元戦士</p><p>あの方も気を読みますから殺気を感じれば、率先して反応できます</p><p>美智が、そう言った</p><p>なるほど敵の意表を突く異次元の動きは、相手の気を読んでいるからか</p><p>てことはダダドムゥさんの技は、工藤流に近いのか</p><p>オレが尋ねると美智は不快な顔をして</p><p>戦闘中に敵の気を読むことは武道では珍しいことではありません工藤流は、自らの気を消し、相手の気を反らすことに特徴がありますがダダドムゥ様の技は、自らの気を相手にぶつけることで成立しています</p><p>気をぶつける</p><p>あの方の気はとにかく、物凄く気持ち悪くて不快なんですだから、相手は自分で意識しないうちに、あの方を避けようとしてしまいます</p><p>気持ち悪い存在過ぎてついつい身体が、無意識に避けてしまう</p><p>その意識と無意識のズレに、猛スピードで相手の懐に入り込むのがあの方の技の神髄です神技だとは思いますが相手をして、あんなに不快な気持ちになる武人は、他にはいません</p><p>うん美智の気持ちは、判る</p><p>確かにダダドムゥおじ様が迫って来るのは、不快だ</p><p>あいつと交戦して耐えられるのは、番場ちゃんぐらいだろうな</p><p>そうですねあの子、頭の中がちょっとメルヘンですから</p><p>関さんが、溜息を吐く</p><p>純真すぎて、人を疑うことを知らないからあの子バービーさんとルビーさんが見ていなかったらホント、悪い大人にダマされまくっていると思いますよこの間も、アキハバラの駅前で訳の判らない高額な版画を買わされたらしいですし</p><p>え、そうなんですか</p><p>もっとも番場さんに押し売りしたギャラリーは、バービーさんとルビーさんの襲撃を受けて潰れたらしいわ今は更地になっているって</p><p>うわっそりゃ、大変だ</p><p>あ、そんなことより</p><p>ところでさ美智</p><p>美智は、気が読めるんだろそしたらさ、さっきのシザーリオ・ヴァイオラの部隊指揮の様子とか、判るんじゃないのか</p><p>ヴァイオラの部隊の指揮系統は謎ばかりになっている</p><p>戦闘員の指揮は、幹部のジュリアーノ・ジェンカが取り仕切っている</p><p>そのジュリアーノともう1人の幹部、ロミオ・モンタギューへの指示はヴァイオラのマネージャーと言われているロレンザッチョ・バンディーニが行っている</p><p>そして部隊の中に、シザーリオ・ヴァイオラ本人がいることも確認された</p><p>全てのボスであるシザーリオ・ヴァイオラがロレンザッチョ・バンディーニに指示を出している様子はまったく見られない</p><p>これではロレンザッチョ・バンディーニが部隊のトップで</p><p>シザーリオ・ヴァイオラは、数人の護衛を従えているだけで指揮権を持っていないように思える</p><p>実は、何らかの方法でヴァイオラがロレンザッチョ・バンディーニに指示を出しているとかそういうのは、気の流れで判らないのかい</p><p>オレの問いに美智は</p><p>残念ですが影像からでは、気は読めません同じ空間の中で肌で感じませんと</p><p>美智の気読みにはそういう弱点があるのか</p><p>いずれにしても、その問題は調査しないといけないよねシザーリオ・ヴァイオラと彼の組織の根幹に関わる問題だから</p><p>最初はあたしたちの前に、事前に偽物のロレンザッチョ・バンディーニを出して、バンディーニは組織の中では小者だと思わせていたなのに、今度はボスであるシザーリオ・ヴァイオラよりも大物であるかの様に振る舞っている女の白いヴァイオラたちの存在も含めて彼らの組織には、まだ謎が多いよね</p><p>全員、打ち倒してしまえばいいんですよ</p><p>全員打ち倒して壊滅させればそんな疑問は、後から調べればいいんです</p><p>そういう風にはいかないよ麗華お姉さん</p><p>マルゴさんが、麗華に微笑む</p><p>誰が組織の中枢なのかで状況が変わってしまうもの今、見えている状況が正しいのなら、ロレンザッチョ・バンディーニとジュリアーノ・ジェンカさえ倒してしまえば敵集団は壊滅する指揮系統が失われるんだから指揮官を失って烏合の衆になった戦闘員たちを、刈り取るのは簡単だよでも、もしも今、見えている状況がフェイクなら</p><p>全員の眼が、マルゴさんに集中する</p><p>あたしたちの攻撃をロレンザッチョ・バンディーニとジュリアーノ・ジェンカに集中させるための策だとしたら</p><p>なぜ、全隊のボスであるシザーリオ・ヴァイオラが指揮を執らないのかその理由が判らない</p><p>あたしたちはなるべく危険を犯したくは無いよねできる限り、こちらにダメージが無いように、あいつらを仕留めたいそれなら合理的に敵部隊を壊滅させるための手順を考えるべきだよ先に倒すべきは、シザーリオ・ヴァイオラなのか、ロレンザッチョ・バンディーニなのかこれは大きな問題だよ</p><p>うん無理して、ロレンザッチョ・バンディーニを先に倒しても</p><p>シザーリオ・ヴァイオラが、指揮官になって敵部隊が普通に機能するのなら、無理した意味が無い</p><p>かといってシザーリオ・ヴァイオラを先に倒そうとすれば、現在の強固な指揮系統がオレたちの攻撃を阻んでくるだろう</p><p>でも、敵の本隊はダダドムゥさんの活躍で、20人前後に減りましたこの数なら、一気に攻めれば</p><p>麗華は力押しの策を上申する</p><p>敵本隊14階で停止しました</p><p>ノーマさんが監視カメラの映像を、モニターに映し出す</p><p>同じルートで先行している２部隊を後退させています１４階での合流を狙っているようです</p><p>それはまずい</p><p>合流しようとしている部隊の人数は</p><p>谷沢チーフが、ノーマさんに尋ねる</p><p>最先端の部隊は、各階で何度も工藤さんの配下のチームと交戦していますから元の３０名から、今は１５名前後に減っていますその後ろの部隊は、３０名丸まる無傷です</p><p>先行している２部隊が合流すればヴァイオラの本隊は、１５＋３０＋２０の６５名になってしまう</p><p>別ルートで侵攻させている部隊も全て、下の階へ下降始めました一度、１階まで撤退させて、本隊と合流させるつもりの様です</p><p>ホテル内は、防火壁やシャッターで区切って幾つもの別のルートでないと上階へは上がれないようになっている</p><p>だから、ヴァイオラたちは部隊を分けて、個別のルートで侵攻を開始した</p><p>工藤父たちは、分かれた部隊のどれがシザーリオ・ヴァイオラの本隊か判らなかったから侵攻してくる全ての部隊を各階で迎撃して、少しずつ敵兵の数を削りながら情報を集めていた</p><p>しかし今、寧さんのアナウンスと、ダダドムゥおじ様の強行偵察で、ヴァイオラの本隊が判明した</p><p>ならば、ヴァイオラの本隊残り２０名だけを殲滅すれば、この闘いは終わる</p><p>そのことにヴァイオラたちも脅威を感じているから急いで、部隊の再集結することにしたのだろう</p><p>工藤、聞こえるか</p><p>谷沢チーフが無線機に向かう</p><p>オレたちが地下の緊急避難室から持って来たのと同じタイプのものだ</p><p>ホテル内の回戦を使用しているため盗聴される危険性が少ない</p><p>状況はこちらでも確認しています</p><p>スピーカーから、工藤父の声がする</p><p>敵を集結させるな転進した敵部隊を背後から叩け</p><p>了解です近場に居る者から、順次、攻撃させます</p><p>谷沢チーフの表情は険しい</p><p>攻撃チームの送り込みが、間に合えばいいんだが</p><p>各階で待ち伏せして、迎撃するっていうシステムになっていたから反転した敵を追っ掛けるのも大変なのよ</p><p>不思議そうな顔をしたオレに関さんが説明してくれた</p><p>ただでさえ、このホテルの中は今、迷路みたいになっているでしょ迎撃予定ポイントからの移動は大変なのよ</p><p>一度、防火壁を開放して、迎撃チームが真っ直ぐに敵に向かえるようにしたらどうですか</p><p>香月健思がにやけた顔で、そう言った</p><p>開放するのは、最短距離の防火壁だけにすれば敵の動きを制御したまま、こちらの部隊だけ移動させられると思いますが</p><p>香月セキュリティ・サービスのトップ・エリートだけなら、その手も使えるんでしょうけれどね</p><p>関さんは、苦笑する</p><p>あたしたちは、このホテルの内部構造も熟知しているし迷路化した状態のパターンも幾つか頭の中に入っているから、どのパターンになっているのか伝えて貰えば一部の防火扉を開放しても、何とか行動できるわでも工藤さんのチームの方たちは、そうでは無いでしょ</p><p>緊急事態が起きたときホテル内部が迷路化するのは、香月セキュリティ・サービスの中でもトップ・シークレットだったはずだ</p><p>どこがどう迷路化するのか、どこが開放されれば、どこへ通じるのか関さんたちなら、ある程度は判るんだろうけれど</p><p>工藤父の配下のフリーの警護人たちが、知っているわけがない</p><p>しかし皆さん、携帯などの電子機器はお持ちでしょうそちらにルートマップを提示すれば</p><p>香月健思は、さらにそう進言するが</p><p>その提示したルートマップを敵に知られたら、どうするの</p><p>関さんが呆れた口調で答える</p><p>そうだフリーの警護人が、逆に敵に倒されることにでもなったら、各階の迷路図の載った電子機器が敵に渡ってしまう</p><p>とにかく最先行していた部隊の１５人だけは、確実に倒した方がいいね２チーム目の３０人は諦めるしかないと思うよ</p><p>壁の大型モニターに映る敵部隊の様子を見ながらマルゴさんは、言った</p><p>それと他のルートから侵攻していた部隊は、下の方の階に降りて来たところで閉じ込めたりはできないのもう、ヴァイオラの本隊ではないただの不良ロシア人たちの隊だって判ったんだから一々、撃滅する必要は無いよね</p><p>マルゴさんの言葉に、谷沢チーフは</p><p>そうだな２、３階まで降りて来たら、全ての通路を遮断しよう</p><p>うんそれで、他の隊の合流は妨げられる</p><p>こうなったら少しでも、戦力が必要だ関くんと藤宮くんも、工藤くんのチームに合流して、敵部隊の迎撃に当たってくれ</p><p>谷沢チーフが、２人に命じる</p><p>２人は、顔を見合わせて</p><p>麗華が関さんに頷く</p><p>関さんは、微笑で麗華に応えた</p><p>チーフその命令は、お受けできません</p><p>なぜだね、関くん</p><p>わたくしたちはこの方たちの警護を命じられております</p><p>関さんと麗華はオレや寧さんを見る</p><p>それは、マルゴお嬢ちゃんや、工藤のお嬢ちゃんに任せればいいだろうそれに、ここは本部だぞオレだって居るし、他にもトップ・エリートの警護人がガードしている</p><p>チーフは、厳しい眼で２人に言う</p><p>しかし勅命でございますから</p><p>関さんは突っぱねた</p><p>藤宮くんも同じ考えかね</p><p>申し訳ございませんが</p><p>麗華も、オレたちの側から離れることを拒む</p><p>どうしてもか</p><p>麗華はオレを見て</p><p>はい何があっても、この方たちを護るとお約束して参りましたので</p><p>いや、でも谷沢さんのおっしゃっている通り、今、人手不足ならオレたちは別にマルゴさんや美智もいるし</p><p>え雪乃</p><p>今、このチームを壊したらダメよ</p><p>そうですかね僕はむしろ、このチームは解体した方が、みんな軽快に動けると思いますが</p><p>香月健思が、笑ってそう言う</p><p>違うわ今はダメだって</p><p>この部屋に来てから、ずっと黙り込んでいた雪乃が言う</p><p>この人たち、信用できないもの</p><p>雪乃の眼は谷沢チーフや、ノーマさんたちを見ていた</p><p>そんな信用できないって</p><p>寧さんがスッとマルゴさんを見て言う</p><p>マルちゃんあたし、どっかの部屋で休みたいな</p><p>マルゴさんも、寧さんの眼を見て</p><p>そうだねいつまでも、この部屋に居るのはお邪魔だろうしね</p><p>谷沢チーフに、マルゴさんは言う</p><p>谷沢さんどこか休める部屋を貸して下さいませんかご存じの様に、寧はシザーリオ・ヴァイオラの標的の１人ですさっきの放送で、精神的に疲れているようですし休ませたいのですが</p><p>谷沢チーフはノーマさんを見る</p><p>ノーマさんは、幾つかのキーを叩いて</p><p>２５０５号室を開けます</p><p>そしてカードキーを取り出す</p><p>この部屋ごと２５階へ行きます２５０５号室は、ドアを出てすぐ向かい側になりますから</p><p>この部屋は、丸ごとエレベーターになっている</p><p>スッと部屋が、上昇するのを感じた</p><p>まあ確かに、お前らは少し休んだ方がいいな敵との戦闘は、オレたちに任せておけ</p><p>谷沢チーフは、笑顔でそう言った</p><p>谷沢さんもちろん、２５０５号室でも、戦況が判るように館内の情報は転送して下さいますよね</p><p>マルゴさんも、笑顔でそう言う</p><p>状況が判らないとあたしたち、怖くてやっていられませんから</p><p>もちろんだノーマくん、端末を一つ貸してやれ２５０５号室でも回線が通じる様に</p><p>よろしいんですか、チーフ</p><p>ノーマさんが、谷沢チーフに聞き返す</p><p>ノーマさんは、こういう時の小芝居ができない人だった</p><p>ああ、もちろんだよ</p><p>谷沢チーフの笑顔は、強ばっている</p><p>あ、端末用のコンピューターは、こっちにありますからどれでも、使いやすそうなのを持って行って下さい</p><p>ノーマさんより、さらに場の空気の読めないトニーさんがマルゴさんに、そう言う</p><p>端末なんて、どれだって同じだろ</p><p>谷沢チーフは、そう言うが</p><p>いえ、やっぱり機器は、自分に合ったのを使うのが一番ですから</p><p>トニーさんは、カラッと言う</p><p>この人は工藤父の部下として、ここしばらく黒い森と行動しているから</p><p>オレたちのことは、完全に身内だと思い込んでいるのだろう</p><p>君の推薦の機器はどれ一番、情報の引き出しに使えそうなのは</p><p>マルゴさんが、トニーさんに尋ねる</p><p>オレならこれですね</p><p>じゃあ、それを借りていくよいいですね、谷沢さん</p><p>ああ持って行け</p><p>谷沢チーフは無表情で答えた</p><p>回線は、ライティングデスクの所に接続端子がありますから</p><p>うん、頼むよちゃんと、あたしたちにも情報を届けてね</p><p>判っていますよ</p><p>トニーさんは、笑顔で答える</p><p>では、谷沢さん失礼します</p><p>マルゴさんが、礼をする</p><p>オレや寧さんや美智も、一緒に頭を下げた</p><p>あたしたちも彼らの警護を続けます</p><p>関さんと麗華も一礼する</p><p>ああ気を付けろよ</p><p>谷沢チーフはそれだけ答えた</p><p>で何であんたもこっちに来るのよ</p><p>２５０５号室に移った途端に、雪乃が香月健思に言った</p><p>この部屋は通常の客室だ</p><p>ベッドが二つある</p><p>しかし、オレに寧さんにマルゴさんに美智、関さんと麗華、雪乃と香月健思</p><p>８人が入るにはいささか狭い</p><p>あんたはあのまま、あっちの部屋に居れば良かったじゃない</p><p>だってあなたたちと一緒に居る方が面白そうですから</p><p>香月健思は、平然とそう言う</p><p>雪乃、さっきのあれはどういうことなんだ</p><p>オレは、早速雪乃に尋ねた</p><p>さっきのって</p><p>谷沢さんたちが信用できないってことだよ</p><p>だっておかしいじゃない</p><p>だから、何が</p><p>どうして、あの人あたしたちを本部まで入れてくれたわけ何もかも、あたしたちに明け透けに見せすぎでしょだいたい、あたしたちって、あの人にあそこまで信用されるような存在</p><p>オレたちは黒い森は、売春を主な収益とする犯罪組織だ</p><p>それは関さんや麗華が一緒に居たからじゃないのかマルゴさんだって、谷沢さんには信用されていると思うし</p><p>そんなことは判っているわよでもさあたしやあんたまで、普通は入れてくれないわよあたしたちのことなんて、あの人は知らないはずなんだから</p><p>オレや雪乃は谷沢チーフにとって信用以前の存在だろう</p><p>自分の会社の部下が一緒だから、機密だらけの本部に入れて、何でも見せてくれたっていうより変な子供が混じっている集団を、入り込ませてくれるってのおかしいでしょ</p><p>そうだけどじゃあ、何で谷沢さんは、そんなことをしたんだ</p><p>雪乃は言う</p><p>決まっているじゃないあたしたちを油断させるためでしょ</p><p>油断させる</p><p>オレはこんなにお前たちに心を開いているってことを示すためにわざわざ、機密のある場所まで入れてくれたのよ</p><p>あたしもそう思うよ</p><p>マルゴさんがコンピューター端末を接続しながら、言った</p><p>もちろん、あの人はあたしたちの敵じゃない悪い人ではないでも、あたしたちに何かを隠そうとしているそれは、間違いない</p><p>ポケットに入れておいた無線機がぷるぷると振動する</p><p>地下の緊急避難室からの通信か</p><p>無線機を持っている全員がイヤホンを耳に入れる</p><p>もしもし、旦那様</p><p>その声は、みすず</p><p>大変です旦那様</p><p>みすずの声は、緊迫していた</p><p>お祖父様と黒森様がいなくなってしまいました</p><p>ジッちゃんとミナホ姉さんが</p><p>昨日、今日と東京は朧月が綺麗です</p><p>父の近況</p><p>院内感染で肺炎になったりして、長いこと入院していましたが</p><p>来週にようやく退院できることになりました</p><p>食事は、先週からお粥的なものになりました</p><p>それ以前は、アポロ時代の宇宙食みたいなご飯でしたから</p><p>ポタージュ味のゼリーと、どろっとした飲み物とか</p><p>手術から1ヶ月やっと、人間的な食事になってきて、父の様子も大分普通になってきました</p><p>やっぱり、食事って大事ですね</p><p>本当なら、病院でもう少しリハビリする方が良いのですが本人がどうしても帰宅したいということで、退院が早まりました</p><p>しかし、この1ヶ月寝たきりでしたから、足腰は衰えていますし呆けも完全には治っていません</p><p>帰宅してからも、苦労は続きそうです</p><p>皆様には、ご心配いただき、本当にありがとうございました</p><p>心より、感謝致します</p><p>308．香月健思</p><p>いなくなったってどうやって</p><p>オレが尋ねると通信機の向こうのみすずは</p><p>お祖父様が2人だけでお話がしたいとおっしゃって、監視室の方に黒森様とお二人だけで行かれたんですそのまま、ずっと出ていらっしゃらないので</p><p>ジッちゃんとミナホ姉さん</p><p>おかしいなと思って、お部屋のドアを開けてみたらお二人とも、いなくなっていたんです</p><p>二人だけで地下の緊急避難室から脱出した</p><p>もしもし、あたしよ判る</p><p>通信がみすずから、克子姉に変わった</p><p>部屋の壁のパネルの中に一人ずつ、上に脱出できる昇降装置が隠されていたわ下から上にしか行かれない造りになっているから、この装置を伝わって敵が降りてくることはできないと思うわ</p><p>そんな脱出経路が、隠されていたのか</p><p>どうする何なら、あたしが、この装置を使って追っ掛けてみるけれど</p><p>オレはマルゴさんを見る</p><p>克子さんはそのまま、そこに居て今から追い掛けても、ミナホと香月さんには追いつけないと思うよそれに、昇降装置の先がホテルのどこに通じているのか判らないしね無闇に追っ掛けて、敵の部隊と遭遇したら危ないよ</p><p>ジッちゃんは、ホテル内の構造を知っているから脱出装置で抜け出したんだろうけれど</p><p>ホテルのどこに通じていて、そこから先の秘密経路もあるんだろう</p><p>でも、克子姉にはそんな知識は無いのだから一人で追い掛けさせるわけにはいかない</p><p>でも、あたしお嬢様が心配なんです</p><p>克子姉は不安そうに、そう言う</p><p>気持ちは判るけれど克子さんは、そこで渚さんと一緒に他の子たちのメンタルをケアしてあげてきっと、みんな不安になっていると思うから</p><p>うんみすず、メグ、マナ、瑠璃子、美子さんみんな、怯えているはずだ</p><p>克子姉オレの声を部屋のみんなに聞こえるようにしてくれる</p><p>オレの提案に、マルゴさんが頷いてくれる</p><p>とにかく、安心できる言葉を言ってくれる相手をあの子らは求めているはずだ</p><p>ええ、ちょっと待って</p><p>克子姉が、通信回線を開くまでしばし待つ</p><p>もしもしオレだ状況は今、みすずと克子姉から聞いた</p><p>ヨシくん、そっちは大丈夫なの</p><p>緊急退避室の方は、一つのマイクで音声を拾っているんだな</p><p>マナとメグの声が、同時にオレの耳に飛び込んで来た</p><p>申し訳ありませんお兄様</p><p>オレに侘びるのは瑠璃子か</p><p>お兄様がお命じになられていたのにわたくし、お祖父様から眼を離してしまいました</p><p>済んだことは、もうしょうがないよ気にしないで</p><p>今更、そんな話をしてもラチが開かない</p><p>ジッちゃんは元々、オレたちだけを緊急避難室に退避させて、自分はホテルの上階へ戻るつもりだったそれは判っているよな</p><p>はい、そういう兆候がございましたからわたくしは、絶対にお祖父様を見張っていなければならなかったんです</p><p>瑠璃子、本当にその話は、もういいから瑠璃子たちの監視は、ちゃんとできていんだよだから、ジッちゃんはミナホ姉さんと二人きりになる口実を作って、瑠璃子たちの眼から逃れたんだろ</p><p>はい、まさか黒森様もご一緒に脱出なさるとは思いませんでしたので</p><p>ジッちゃんはミナホ姉さんに脱出を見逃して貰う代わりに、なぜどうしても上階へ行きたいのかの理由をミナホ姉さんに説明したんだと思うそして、それを聞いたらミナホ姉さんも、一緒に上階へ行こうと決心したんだよ</p><p>そうとしか思えない</p><p>いずれにせよジッちゃんも、ミナホ姉さんもオレたちを黙って見捨てるような人じゃないそうだろ瑠璃子</p><p>はい、お兄様それは判っているのですが</p><p>不安の暗い影が、瑠璃子を覆っている</p><p>みすず、瑠璃子のことを頼む美子さんもお願いします</p><p>瑠璃子は、ジッちゃんを信頼しきって成長してきているから</p><p>何か理由があるのだろうということは理解できてもジッちゃんが、自分を置いて無言で立ち去ったという現実に、心が対応できていない</p><p>とにかくジッちゃんとミナホ姉さんの行方は、オレたちで調べてみるから何か判ったら、すぐに連絡するよ</p><p>お願いしますお兄様</p><p>ああメグとマナも、みんな仲良くして待っていてくれ</p><p>判ったわ、ヨシくん</p><p>渚も頼むよ</p><p>はいこっちの部屋のことは任せておいてあなた</p><p>渚が部屋全体の様子を見てくれるなら、心配は無い</p><p>瑠璃子の不安は、これで少しは解消されるはずだろう</p><p>真緒ちゃんは、どうしてる</p><p>すっかり眠ちゃっているわ今日は、色んな人と会ったから、ハシャギ過ぎて疲れているんだと思うの</p><p>そうか今日は、一日、大騒ぎだもんな</p><p>小さな真緒ちゃんの一日は、もう終わってしまっているけれど</p><p>オレの一日はまだ終わらない</p><p>今が勝負の瀬戸際だ</p><p>克子さんそっちの監視室って、ホテル内の全てのデーターが送信されて来ている</p><p>それが全部は来ていないわもちろん、敵と交戦しているフロアの画像データなんかは届いているんだけれどホテル全館のデータは送られていないし完全に隠されているフロアもあるわ</p><p>マルゴさんは、さっき本部から借りてきたコンピューター端末を見ながら言った</p><p>こっちも同じだよ谷沢チーフ、あたしたちに見せてもいいデータしかアクセスさせてくれない気だね</p><p>どうしても、あたしたちには見せたくないものがあるってことなんだろうね</p><p>マルゴさんは、クッと苦笑する</p><p>谷沢チーフは、ジッちゃんの指示でオレたちアクセス制限をしていることは間違いない</p><p>何を隠そうとしているんだ</p><p>でも、こちらの機材はホテル外のネットに接続しているわ</p><p>書き込みはできないけれど外の情報は自由に見られるわ</p><p>現在のこのホテルの状況について報道で取り上げられているかどうか確認できる</p><p>待っていいえ、どこのニュース・サイトでも出ていないわ</p><p>マルゴさんの質問に、克子姉は答えた</p><p>報道管制されているなら香月さんが、やらせているってことなんだろうね</p><p>白坂家では自分の家の系列の報道機関しか抑えられない</p><p>ましてや、アメリカの犯罪者であるシザーリオ・ヴァイオラに、日本のマスコミを制御する力があるとは思えない</p><p>今、判っていることは香月さんは何かしらの企てがあって、シザーリオ・ヴァイオラをこのホテルに呼び寄せたってことしかも、自分の重役陣と私塾の連中も一緒に</p><p>あたしたちだって、そうでしょ</p><p>そうだオレたちも、ジッちゃんにここに呼び寄せられた</p><p>あたしたちはそうだけれど雪乃さんは違うよ</p><p>あたしたちが雪乃さんを連れてきたことは想定外のばずだよ普通なら、学校の監禁室にでも入れておくだろうからね</p><p>嫌よ、あんな狭い部屋</p><p>前に閉じ込められた校長室の地下の監禁室を思い出して、雪乃が不平を言う</p><p>とにかく、全ての人間をここに集めたのは、香月さんだそして、わざわざ集めて置いてあたしたちは、改めて安全な部屋に隔離している</p><p>安全な部屋</p><p>警護人を残さない上に、自分まで脱出しちゃったんだ地下の緊急避難室の防御には相当の自信があるんだよ、香月さんはそうじゃなければ、大事な孫娘を2人とも残して来たりはしないよね</p><p>うんあの地下の部屋は、完全に防御されているんだろう</p><p>そして、あたしたちもこの部屋に隔離されたんだよ寧ちょっとドアを確認してみて</p><p>判った、マルちゃん</p><p>寧さんが、部屋のドアノブに触れる</p><p>ガチャガチャ</p><p>開かない鍵が掛かっているよ</p><p>内側から鍵は掛けてないですよね</p><p>オレは一応尋ねてみる</p><p>もちろん何もしていないよ</p><p>ていうかこの部屋は、ホテルの通常の客室でオート・ロックだからさ部屋の内側からノブを回せば、ドアは開くはずだよね</p><p>ドアを閉めたら、外側からは開かないように自動的にロックされるが</p><p>ホテル内で火災などが発生した時に、すぐに避難できるように</p><p>内側からノブを回せば、ドアは開くはずだ</p><p>なのにこの部屋のドアには、鍵が掛かっている</p><p>これって、やっぱりジッちゃんが</p><p>香月さんていうより、谷沢さんだよさっきの本部から操作して、電子ロックを掛けているんだと思う</p><p>つまりオレたちは、閉じ込められた</p><p>さっき谷沢さんは、２１階に絶対防衛ラインを引くって言っていたよねここは２５階このフロアに居れば、あたしたちは絶対に護れるって考えたんだと思うよ</p><p>そう言えば、さっき谷沢さん、関さんと麗華お姉さんをあたしたちから引き離そうとしていたよねっ</p><p>うんこの部屋には、あたしたちだけを避難いや、監禁するつもりだったんだと思うよさっき、部屋に入る時に気付いたんだけれどこの部屋のドア、普通のホテルの客室ではありえない様な頑丈な造りになっていたから元々、敵の拘束を想定して造られている部屋なんだと思うよ、ここあたしや美智ちゃんが、本気で蹴飛ばしてもビクともしないんじゃないかなドアだけじゃなくて、壁や窓も、普通より強化されているんだと思う</p><p>でもさっ関さんや麗華お姉さんが居ればさっ</p><p>寧さんが、ニヤッと笑った</p><p>関さんはピストルを持っているからさっドアの電子ロックの回路を撃ち壊してしまうことだってできるだろうし、麗華お姉さんはつ</p><p>そうだ麗華の撲殺ステッキの力があれば、こんなドア簡単に打ち破れる</p><p>打ち壊しますか</p><p>麗華が、オレとマルゴさんを見る</p><p>待って今すぐ外に出たって、その後の行動の手掛かりが無いよもうちょっと、ここで情報の収集をしよう</p><p>マルゴさんは、通信機に向かって</p><p>克子さんそっちのコンピューターでアクセスができる範囲を全部チェックしてみて、そうしたら逆算的にアクセス制限されている領域が浮かび上がって来ると思うから</p><p>判ったわやってみます</p><p>あたしも、こっちの端末で同じことをやってみるよ</p><p>マルゴさんも、コンピューターの端末に向かう</p><p>うんオレたちに、ジッちゃんが何を見せないようにしているのかが判れば</p><p>今のままでは、どうにも動きようが無い</p><p>マルゴさんの肩越しに寧さん、関さん、麗華、香月健思が端末のモニターを覗き込む</p><p>オレはどうせ判らないから、覗き込まない</p><p>ね、お茶でも煎れない</p><p>そこにあるの、ポットでしょ</p><p>確かに、客室用の小さなポットがあった</p><p>水は入っている</p><p>えっとあ、入っている</p><p>チェックインして来る客のことを考えてあらかじめ、客室係が水を入れておいたんだろう</p><p>じゃあ、お茶煎れてよ</p><p>雪乃が、オレに言った</p><p>いや、でもさここ、元々は２人用の部屋みたいだからさお茶碗２つだけだし、ポットも全員分のお湯は沸かせないしそれに</p><p>お茶のティーパックも、二つしかない</p><p>二つあるんでしょじゃあ、あたしは飲むから、お茶煎れて</p><p>こういうところが雪乃だと思う</p><p>周りの空気とかは、考えない</p><p>ご主人様、そんな方の命令を聞く必要はありません</p><p>ずっとオレの横に侍っていた美智がそう言った</p><p>飲みたいのなら、ご自分でなさって下さい</p><p>美智の眼は冷たい</p><p>そうね、それじゃあそうするわ</p><p>雪乃は立ち上がってポットを沸騰させるスイッチを押し、ティーパックを茶碗に入れる</p><p>断固として飲みたいものは飲むんだな</p><p>一応、ホテルの館内の図面は全部見せてくれるみたいだね</p><p>モニター画面を見ながらマルゴさんが、言った</p><p>ここが現在地で迷路状になっているホテルの中を抜けて、１階に下りるルートが示されている緊急事態の時は、この図面に従って１階まで自力で降りて避難しろってことなんだろうね</p><p>ちょっと貸して下さい全部、記憶してしまいます</p><p>関さんが、前に出る</p><p>記憶って各フロアごとに違う迷路になっているんだろそれでここは２５階だから</p><p>憶えなければいけない地図は２５枚分だ</p><p>大したことないわ元々、このホテルの内部構造は熟知しているし各階ごとの迷路のパターンだけ憶えればいいんだから５分下さい全て、頭に入れておかないとね</p><p>形のある地図にしてしまっては、敵の手に渡った時が危ないから</p><p>頭の中に記憶してしまうしか無いんだ</p><p>大丈夫よあたし、こういうのは得意だから</p><p>さすがトップ・エリート警護人</p><p>マルゴさんから端末を受け取ると関さんは、物凄い勢いで画面上のマップを記憶していく</p><p>へぇ閣下は、こんなところまであなたたちには情報開示して下さるのですね</p><p>端末機器の画像を後ろから眺めながら香月健思が言った</p><p>それどういうことです</p><p>思わずオレが、尋ねてしまうと</p><p>いやねここよりも上の階に、重役たちや私塾の皆さんがいらっしゃいますが彼らには、こんな情報は開示されませんよまあ、下手にホテル内の地図なんか見せたら、あの人たちの場合はフラフラとその辺を歩き回ったりしそうですしね</p><p>確かに、香月操とプリンス派の一党なら、そんなこともやりかねない</p><p>あいつら、怖い物知らずだからなぁ</p><p>ホントみなさんは、閣下に信用されているみたいですね</p><p>香月健思は、ニヤッと笑う</p><p>信用されていて何で、こんなところに閉じ込められているのよ</p><p>お茶碗で熱いお茶をグビグビ飲みながら二つだけ用意されていた、お茶菓子を１人でバリバリ食べている</p><p>何かすげぇな、お前</p><p>信用しているからこそ大事になさっておられるのでしょう</p><p>香月健思は、そう答えた</p><p>前に閣下から伺ったことがあるのですが</p><p>ジッちゃんから</p><p>人間の世界には表と裏があります表しか知らない人間は弱いです香月操さんたちみたいにねでも裏の悲しさ、苦しさを知らないと言うことは屈託の無い、真っ直ぐな人間を形成します</p><p>確かに香月操は、香月家の表しか知らないで育ってきた</p><p>馬鹿だし、自尊心が強くて、迷惑な人間だけど真っ直ぐではあるひねくれた、嫌な人間では無い</p><p>逆に裏を知っている人間は強いが、裏ばかりを知りすぎた人は性根が曲がってしまいます意地の悪い、陰険な人間になってしまいます</p><p>それもそうだな</p><p>裏の世界ばかり見せられてきたらそれはそれで辛い</p><p>一番良いのは裏というものの存在を知っていながら、自分自身は表にいる人間なのだそうです裏との交渉は、誰か人を立てて自分自身では、決して裏世界とは接触しないそういう人間になれと、閣下は私塾の僕たちにいつもおっしゃっているのです</p><p>うんその意見は判る</p><p>裏なんてなるべく、関わらない方がいい</p><p>オレは黒い森という裏組織の人間だから、心からそう思う</p><p>結局大切なのは、バランス感覚です自分の所属している場所に従って裏と表をバランス良く、受け入れなければならないのです</p><p>表の人間は表の人間として</p><p>裏の人間は裏の人間として</p><p>ですから閣下は、ご自分がホテルにお呼び寄せになられた人々を、３つのグループに分けたのですね</p><p>それぞれのグループによって知らせるべき情報に差異を作るのは当然のことです裏と表の比率が違うのですから</p><p>香月健思は、モニターに提示されているホテルの図を指して</p><p>一番上の階に居る重役と私塾の連中には、ほとんど情報は伝えられていないはずです今、このホテルを襲撃している敵の目的さえ、知らされていないでしょうただ、下のフロアでの幾つかの戦闘をモニターで見せられて震え上がっているだけですあの人たちはみんな、表の人間ですからね今回は、裏の世界の恐ろしさを存分に知るだけで充分だと閣下はお考えなのでしょう</p><p>うん上の階のやつらは、今回の襲撃の真相の全てを知らなくていい</p><p>いや、知って欲しくない</p><p>寧さんの悲しい過去から続く、因縁のことなんて</p><p>それから皆様のお話を伺うと、みすず様や瑠璃子様たちは、ホテルの地下に避難なさっておられるようですねこの方たちは、上の階の方たちよりも裏の世界について、すでに知っておられるまたは、知っておいた方が良いと閣下がご判断なさったのでしょうしかし、完全に裏の世界に染まってしまってはいけないと、閣下はご心配なさっている</p><p>そうだみすずや瑠璃子が、今後、香月家を切り盛りしていくためには</p><p>裏の世界のことは、知らなくてはいけない</p><p>しかしだからといって、裏の世界の住人になってはいけない</p><p>これは、メグやマナもそうだ</p><p>黒い森の中に居たってオレは、あいつらに裏の世界の仕事はして欲しくない</p><p>これ以上は、染まらないで欲しい</p><p>娼婦を引退した克子姉や、渚だって</p><p>そして現在、この部屋にいらっしゃる皆さん皆さんは、下にいらっしゃる方たちより、さらに裏の世界に近い人なんだと思います</p><p>香月健思が、オレたちを見渡す</p><p>マルゴさんや、寧さんそれに、オレは</p><p>黒い森の中でも、直接、作戦行動をする実行部隊だ</p><p>関さんに、麗華、美智</p><p>警護人という名目ではあるけれど目的のためには、手段を選ばない</p><p>オレたちは全員法に触れることをすることに躊躇しないという意味では、同類だ</p><p>香月健思の言う通り裏の世界の方に寄っている人間なんだと思う</p><p>でも皆さんは、完全な裏の人間では無い悪に染まった人間ではないようですねここしばらく皆さんの言動を見て来てそう思いました</p><p>皆さんは裏の世界の深淵と対峙するために、あえて裏の側に寄られているのだと思います閣下にとっては、裏世界へカウンター攻撃を仕掛けるための人材として、皆様に期待なさっておられるのだと推察致します</p><p>オレたちはそんなんじゃねぇ</p><p>だからこそ完全な情報を開示してしまうと、皆様は裏の世界に堕ちてしまわれるのではないかと、閣下は思われているのでしょうだから、閣下は、皆様をここに閉じ込めこれ以上の情報が伝わらないようにしておられるのだと思います</p><p>自信満々に香月健思は言った</p><p>とても面白い意見だと思うけれどあたしは、そうは思わないよ</p><p>マルゴさんはそう応えた</p><p>それよりさあたしたちにそんなことを言う、君の立場はどこにあるんだい</p><p>そうだ香月健思は</p><p>彼自身は、自分がどのグループに属すると思っているんだ</p><p>僕は上の階へは、もう戻れません僕の父親は、香月グループの裏切り者ですからいえ最初から、僕には他の私塾の連中の様な野心はありませんでしただから、私塾を追放になることは、僕にとっては好機です僕は、やっと自分が行きたいと思っていたポジションに着くことができる</p><p>香月健思は、ニヤッと微笑む</p><p>僕は裏の側の人間になりたいのです</p><p>日曜日です</p><p>今、東京は台風接近で大風が吹いています</p><p>昔のドラマで奥さんが手術している間、バレエ教師の旦那さん（宇津井けん）がずっと病院の廊下で踊り続けるというシーンがありました</p><p>昔はよく、ネタとして懐かしのテレビ番組とかで取り上げられていたんですけれど</p><p>今回、自分の父が８時間半の緊急大手術になってみて</p><p>手術中私はずっと病院の廊下をウロウロウロウロ歩き続けていました</p><p>もし、私がバレエが踊れたらきっと踊っていたと思います</p><p>あのドラマの場面は実はリアルだったんだなあ</p><p>今だから、書けることですが</p><p>309．裏への憧れ</p><p>他の私塾の連中は、閣下のあるいは、香月家の表の側の重臣になろうとしていますいや、彼らは裏を知らないのですから、それでいいのでしょうが僕は、裏を司る閣下の重臣になりたいその方が面白そうですし表で出世争いするよりも、効率よく香月グループの中枢に入れます現在の閣下には、裏の仕事はほぼ谷沢さん一人に託しておられますから若くして、裏の担当者のナンバー２になることだって可能です</p><p>香月健思は、ニヤリと微笑む</p><p>それで君は、あたしたちに付いて来たわけ</p><p>はい将来的には、僕は皆さんのような裏の人材を使いこなさねばならないのですし谷沢さんの様に、自ら率先して危険地域に身を置く度量を示さないと、皆様の様な裏の人間は僕みたいな人間は信用して下さらないでしょう</p><p>こいつはオレたちをいずれ、自分の手駒にしたいと思っているんだ</p><p>あ、舐められてるんだ</p><p>オレたち</p><p>結局君は、私塾の子なんだね他の連中と一緒で、私塾の枠から一歩も出ていない</p><p>マルゴさんの言葉に、香月健思は反応する</p><p>君にとっては、香月グループの中で自分がどんな地位に就くかがとっても興味があるらしいけれどっていうか、それにしか興味が無いみたいだねでも、そんなことあたしたちには、何の関係も無いってことだよ</p><p>そんなことはないでしょう香月グループとの関わりは、皆さんにとっても有益なはずですいずれ、皆様は香月グループの裏の部隊に組み込まれていくのでしょうしそうなった場合に、私は閣下と皆様を繋ぐ役職を任されたいと思っているのです</p><p>それが香月健思の狙いか</p><p>そうして、裏の世界のことを学びいずれは、谷沢チーフの跡を継いで、香月グループの裏部門のトップに立つことが僕の希望する将来像です</p><p>平然と香月健思は、そう言う</p><p>香月健思さん閣下は、絶対にこの方たちを自分の裏の要員にはなさりませんよ</p><p>閣下は、この方たちを表の世界に返したいと思っておられますだからこそ、今、この部屋に閉じ込めて閣下ご自身の手で全てに決着をつけようとなさっているんですわ</p><p>そんなこと信じませんよ閣下が黒森家の人々に対して、そんな慈善事業みたいなことをなさるはずがないでしょうあくまでも、全ては黒森家をご自分の配下にするための策略だと考えるべきです</p><p>香月健思は、オレとみすずの関係は知っているが</p><p>オレたちの黒森の家族の全体像は知らない</p><p>オレたちの、心のことも</p><p>あなたには、無理です</p><p>あなたは裏の世界には入れませんその入り口に立つことすら</p><p>美智の涼やかな眼が香月健思を貫く</p><p>あなたには心の中に暗い部分が無いから</p><p>どういうことです僕にだって、心の闇ぐらいはありますよ煩悩も欲もある僕は、ごく普通の健康的な若者ですからね</p><p>香月健思は、まだ笑っている</p><p>そういう意味では無いですあなたは、暗い闇の中をたった一人で堪えたことは無いでしょうそういう思いをしたことが無い人に、わたくしたちの気持ちは判りません</p><p>暗い闇の中</p><p>オレの家電気の点いていない真っ暗な部屋</p><p>ソファの中で毛布にくるまって自分の体温だけで寒さを凌ぐ夜</p><p>一人ぼっちだったあの頃</p><p>あの一人きりの闇を苦しさを、切なさを振り払いたいという思いがあるからわたくしたちは、今、ここに居るんです</p><p>美智は両親と離れて、祖父に育てられた期間がある</p><p>マルゴさんは、インディアン居留地を追われて施設に入っていた時期があるし</p><p>寧さんは両親を殺され、弟のケイさんも失った</p><p>みんな孤独な夜を経験している</p><p>そりゃあ、確かに私は香月家の一族で皆さんからすれば、恵まれた生活をしているのかもしれませんがだから、何です辛い生活を体験した人間の方が偉いと思っていらっしゃるんですかそんなのナンセンスですよ</p><p>そういうことを言っているのではありません彼女は</p><p>関さんが、間に入ってくれる</p><p>単純に健思さんには、わたくしたちの気持ちはお判りにはならないと申し上げているだけです</p><p>自分には他の人たちと比べて、心の中に足りない部分があるという思いあるいは、何かをロストしてきてしまったという喪失感そういう満ち足りない気持ちの起こす焦燥感は、あなたはご存じないのでしょうね</p><p>関さんに続いて、麗華がそう言った</p><p>関さんはアル中のお父さんに苦しんだんだっけ</p><p>麗華も早くに家族と別れて、お祖父さんと暮らしてきたはずだ</p><p>麗華お姉さん、そんなこと口で説明しても無駄だよ判らない人には、どうせ判らないんだから</p><p>寧さんが、暗い瞳でそう言った</p><p>涙とともにパンを食べたものでなければ人生の味はわからないですか馬鹿馬鹿しいあなたたちは、自分が辛い過去を経験してきたということに酔っているだけですよそんな境遇から立ち上がった自分の素晴らしさに浸っているだけです</p><p>香月健思は、オレたちを小馬鹿にしたまま微笑んでいる</p><p>そんなことより頭の中を空っぽにして、単純に損得勘定だけで考えてみて下さい僕と組んだ方が、将来的には絶対に得ですよ僕が保証します</p><p>本当に金持ちの子供って、こんなやつしかいないのか</p><p>いやみすずや瑠璃子は、違う</p><p>あいつらは、心に深い闇を抱えている</p><p>だからオレたちは惹かれ合っているんだ</p><p>家族になりたいって思うんだ</p><p>君に付いて行ったって地獄に墜ちるだけだよどうせ君は、最後には一人で逃げ出そうとする人だろうしね</p><p>それは何事もギブ＆テイクですからねその代わり、皆さんも損だと思ったら僕のことをいつでも切り捨てて構いませんその辺はドライに行きましょう</p><p>ホント、君、裏の仕事には向いていないね</p><p>マルゴさんは軽蔑の眼で、香月健思を見る</p><p>ブラック企業とか起業して、色んな人をダマして搾取してみたら君には、そういう仕事の方が向いていると思うよ</p><p>寧さんも、汚い物を見る眼で香月健思に言う</p><p>常に自分は相手より上の立場にいて上から目線で何を言っても良いと思ってるんでしょ自分は人をダマす側の人間でダマされるのは情弱で頭の弱い人間なんだから、何をしてもいいって思っているんだよね</p><p>そう思われるのは心外です僕は、ただ自分らしく生きているだけですよ態度が尊大で偉そうだとは、よく注意されますが人の上に立つ覚悟のある人間は、これぐらいのハッタリは必要だと思っていますし</p><p>もう黙んなよくそ馬鹿</p><p>黙れって言ってるのあたしたちが許可するまで、二度と口を開くな</p><p>シュルルンッ</p><p>ズバッ</p><p>美智のムチと麗華の撲殺ステッキが、同時に香月健思の前の床を貫く</p><p>次は、当てます</p><p>力ずくでないと、判りませんか</p><p>美智と麗華の殺気にさすがの香月健思も黙り込む</p><p>裏の世界ではさ自分を舐めたやつは殺してもいいんだよ舐められたら、殺してでも仕返しするそうでないと、骨までしゃぶられるからね相手がどれだけ権力者だろうと嚙み付いて殺すよあたしたちは全員、自分の牙を持っている人間だからね</p><p>だから裏の世界では、礼儀はとても大切なんだよ礼儀を弁えない人間は、死んで詫びを入れて貰う表の世界みたいに、権力者は何をしてもいい強い人間にはペコペコ頭を下げて我慢するってことにはならないんだ最初っから、生きる、死ぬ殺すか、殺されるかの世界に居るんだから</p><p>というか、ここで殺しておいてあげようよその方が、この人のためなんじゃないの</p><p>寧さんの言葉に、関さんは</p><p>申し訳ありませんが生かしておいてあげて下さいここで死なれると、わたくしと藤宮さんが困ります</p><p>うん二人とも、香月セキュリティ・サービスの所属だもんな</p><p>眼の前で香月健思に死なれるのはまずい</p><p>そんじゃあさ、君、一人で敵の中に突撃してよそれなら、関さんたちの責任にはならないでしょ大丈夫よ、ダダドムゥさんはちゃんと生きて帰って来たから鉄扇の代わりに、ハリセンぐらいは持たせてあげるわっ</p><p>興奮気味に、寧さんは言った</p><p>いやそれは</p><p>香月健思が、口を開こうとすると</p><p>喋るな</p><p>ギロッと美智が睨む</p><p>この人の自分勝手な論理展開を聞いているのは、頭に来るけれどさでも、そのお陰でちょっと見えてきたよ</p><p>ミナホがどうして、香月さんと一緒に地下の部屋を抜け出したか</p><p>オレは、思わず尋ねる</p><p>ミナホ姉さんの真意をオレは知りたい</p><p>さっき、この人が言ってたでしょ重役や私塾のグループと、みすずさんたち、それにあたしたち香月さんは、それぞれのグループに対して、違った情報制限をしているという話それは本当だと思うんだ</p><p>それぞれにアクセスできる情報量を規制している</p><p>やっぱり上の階の人たちには、そんなに裏の世界のことを知って欲しくはないだろうしみすずさんたちにも、見せたくないことはあるんだと思うよ香月さんにとっては</p><p>あたしたちに見せないようにしていることが何なのかは判らないけれどあたしたちは、裏の実行部隊だからね今更、隠し事をされても困るんだけれどまあ、あたしたちのグループに対する情報制限は置いておいてそれでもとにかく、上階と地下の人たちに対する香月さんの気持ちは、この人の分析通りで正しいと思うんだ</p><p>マルゴさんは、香月健思の顔を見る</p><p>しかし、だとしたら香月さん自身は、自分をどういう立場の人間だと思っているんだろうって考えてみたんだよ</p><p>ジッちゃんはジッちゃん自身を、どう思っている</p><p>自分の身内に裏のことは、あんまり知って欲しくないと願っている香月さんはつまり、自分自身はとっても裏に詳しい人間だと思っているわけだよね</p><p>確かに香月さんは、裏の世界との接触は多いし、普通の表の世界の企業経営者よりは、遥かに裏に詳しいと思うよでも</p><p>マルゴさんは嘆息する</p><p>それは全て、間に谷沢チーフや美智ちゃんのお父さんみたいな人を入れての話だよね香月家の当主が自分一人で裏の人間と接触することなんてあるはずがないいつだって、谷沢チーフがしっかり後ろから見張っているはずだよ香月さんの知らないところで、根回し工作だってきっちりやっているはずだ</p><p>うんそれはそうだろう</p><p>どんな時でも、谷沢チーフはジッちゃんが危なくないように、陰から監視しているずだ</p><p>香月さんも頭ではそのことを判っているんだろうけれどでも</p><p>香月さんは、自分もまた他の重役たちと同じ表の人間だってことが、判っていないんだよあの人は、そこに居る香月健思さんと同じでずっと裏の世界に憧れてきた人だから</p><p>裏に憧れてきた</p><p>だから香月さんは黒い森に対して、優しいんだよあの人が昔から黒い森や黒森楼の娼館に寛容なのはお屋敷に来て裏の雰囲気を味わうのが楽しみだったからさ香月セキュリティ・サービスみたいな組織を自前で作ったのもそうだよ裏の世界に憧れているからそうやって裏と関わる機会を増やしたかったんだと思う</p><p>そうか普通は、自分の名前を冠した要人警護の会社は作らないよな</p><p>そういう会社が必要だと思ったら香月グループとは別に、こっそりと作る</p><p>香月家とその会社には、何の関係も無いように見せ掛けるはずだ</p><p>その方が対裏組織としては、自由に行動しやすい</p><p>あ、だから</p><p>工藤父は、香月セキュリティ・サービスには所属しないで自前で工藤探偵事務所をやっているんだ</p><p>事務所の車にあんなに大きく会社名を書いてあるのも香月セキュリティ・サービスとは仕事上の付き合いはあるが、自分は別会社の人間だということを、裏社会の人たちにアピールするためだろう</p><p>その方が裏の人間たちは、工藤父に気安く接してくれる</p><p>問題なのはさそうやって裏と接する機会が増えたことで、香月さんがいつのまにか自分も裏に近い人間だって思い込んでいるってことさ</p><p>ジッちゃんはそう思い込んでいる</p><p>自分はとっても裏に詳しいという気持ちが強くあるから</p><p>身内には余り裏について知って欲しくないという気遣いが生じる</p><p>それが情報の制限という形で示されている</p><p>でも香月さんの本質は表なんだ香月さんは、裏の人間じゃないその認識のズレはとても危ういと思う</p><p>ミナホは二人きりの部屋で、香月さんから本当の目的を聞いたんだと思うよ</p><p>本当の目的</p><p>香月さんがこのホテルを一棟丸ごと犠牲にしてでも、シザーリオ・ヴァイオラの一党をここに呼び寄せなければいけなかったわけをね</p><p>何かの意味が目的が、あるはずなんだ</p><p>そして、その目的の達成のためには香月さんは、地下から出て上階に戻る必要があったその理由をミナホに話してミナホを納得させたんだと思うだけど、ミナホは香月さんを一人だけで上階へ戻らせるのは危険だと感じたんだろう</p><p>だからミナホ姉さんも、一緒に上階へ向かった</p><p>ミナホは骨の髄まで、本物の裏の人間だからねちゃんと、裏の人間として思考し、行動することができる自分が香月さんの側にいた方が良いと判断したんだと思う</p><p>谷沢チーフがおられるじゃないですかその役は黒森様でなくても、今まで通りチーフが閣下のお側に付けば問題無いのではありませんか</p><p>関さんが、疑問を発する</p><p>地下を脱出した香月さんは、すぐに谷沢さんと合流できない理由があるんじゃないかな谷沢さんのいない場所で、誰かと交渉するとかそうじゃなかったら、ミナホが家族を残して香月さんに付いて行ったりはしないよ</p><p>うんミナホ姉さんは、そういう人だ</p><p>おそらく、その交渉にはオレたち家族の未来も関わっているんだろう</p><p>だから、ミナホ姉さんは誰にも告げずに、ジッちゃんと地下から脱出したんだ</p><p>さてここからが問題だけれど</p><p>あたしたちこれからどうする</p><p>このままここで谷沢さんの引いた絶対防衛ラインの内側で、制限された情報を見ながら朝まで過ごす</p><p>マルゴさんは、フッと笑う</p><p>もっとも、香月セキュリティ・サービスの防衛ラインが破られて、敵がこのフロアまで上がって来る可能性もあるけれどね</p><p>そんな敵の本隊は判別できましたし、他の隊の動きを封じ込めれば、全戦力を投入して一気にシザーリオ・ヴァイオラを駆逐することができます現状は、わたくしたちに有利だと思うわ</p><p>でも、行方不明の４人が居るでしょまだまだ、敵にも形勢逆転のチャンスは残っていると思うよ</p><p>そうだミス・コーデリアと白いヴァイオラたちそして謎の人物が居る</p><p>この先何が起こっても不思議ではない</p><p>とにかく、この部屋からは出た方がいいと思うよっ</p><p>あたしもそう思うよ待っているだけなんているのは、性に合わないしあたしは誰かに制限された情報なんかじゃなくって、真実が知りたいからね</p><p>マルゴさんは寧さんに微笑む</p><p>わたくしは谷沢チーフに確認しないことには</p><p>香月セキュリティ・サービスのトップ・エリートとして関さんは、そう言う</p><p>いえ、関さんと麗華がオレたちと一緒に行かせてくれた段階で谷沢さんにとっては、オレたちがこの部屋を脱出することは想定していると思います</p><p>さっき、谷沢さんは関さんと麗華をオレたちから引き剥がそうとしましたよね</p><p>でも最終的には、二人がオレたちに同行することを認めてくれました麗華の力があれば、こんなドアはブチ破れますもし、谷沢さんがオレたちをこの部屋に閉じ込めておきたいと考えているのなら、絶対に麗華を一緒には行かせないはずです</p><p>何か別の指令を与えるとかするはずだ</p><p>谷沢チーフは、麗華の直接の上司なんだから</p><p>それに迷路になっているホテル内の地図も、オレたちがアクセスできるようになっていますこれってオレたちがこの部屋を出て、外に出ることを想定して用意してくれたんだと思うんです</p><p>そうだ多分</p><p>谷沢チーフもきっと不安なんですよ</p><p>不安</p><p>関さんが、オレに聞き返す</p><p>はいジッちゃんが、ミナホ姉さんと二人きりでいることが谷沢さんも不安なんだと思いますだから、谷沢さんはオレたちがジッちゃんと合流してガードすることを、心の中では望んでいるんだと思うんです</p><p>台風一過で、温かい風が吹いています</p><p>310．暗夜行路</p><p>あたしも、そう思うよ谷沢さんは、あたしたちがこの部屋から出て行くだろうと判っているもちろん、公式に認めてくれているわけではないけれど</p><p>わたくしはそれでも、谷沢チーフに連絡するべきだと思います</p><p>関さんは、言った</p><p>推測だけで行動するのはよくないと思うわ</p><p>谷沢チーフの部下としては、何せよ上司の判断を仰ぐべきだと考えているらしい</p><p>公式に打診したら出て行っていいなんて言うわけないよ</p><p>寧さんは言う</p><p>このままこんな部屋に閉じ込められていたくないっていう、あなたたちの気持ちは判るのよでも、ここはとりあえず安全よ谷沢チーフの絶対防衛ラインよりも４フロアも上なんですからもし、万が一、敵が防衛ラインを突破したとしても、ここからならさらに上のフロアに退避できるし</p><p>あたしは逃げるために、ここに来たんじゃんじゃないよっ</p><p>関さんと、寧さんが真っ向から、対立する</p><p>さて困ったね</p><p>マルゴさんは、苦笑した</p><p>関さんはあたしたち全員の安全を第一に考えているもちろん、それはとても大事なことだよねだけど</p><p>マルゴさんの瞳が、寧さんを捉えた</p><p>寧は自分は、ヴァイオラと対決しなければならないと思っているそうでなければ、過去の苦しみから抜け出すことができないってあたし自身は、どこまでも寧の手助けがしたい地獄の底まで付き合うつもりだけれどみんなには、強制するつもりは無いよ</p><p>部屋中の視線が、マルゴさんに集まる</p><p>これからどうするかそれぞれの人が自分で決めて欲しい</p><p>オレはもちろん、寧さんとマルゴさんに付いて行きます最後まで</p><p>とっくに覚悟はできている</p><p>わたくしは、ご主人様をお護りするだけですみすず様にも、そうお約束致しました</p><p>美智も、即答してくれた</p><p>わたくしも一緒に行きます</p><p>藤宮さん</p><p>麗華の言葉に関さんは驚く</p><p>わたくしは、お姉さんですから、この子たちを護る義務があります</p><p>麗華は香月セキュリティ・サービスの警護人であることより、オレたちの姉であることを優先してくれた</p><p>雪乃はどうする</p><p>オレの問いに雪乃は飲んでいた茶碗をドンと置いて</p><p>もちろん、あんたたちと一緒に行くわよ</p><p>この部屋何か気持ち悪いのよこれ以上、長居したくはないわ</p><p>ふ、ふふふふふ</p><p>香月健思が笑い出す</p><p>なるほど、そういうことですか</p><p>この部屋ももちろん監視カメラは付いていますし、盗聴のシステムもあるんでしょう今のこの会話も当然、全て聴かれていると考えるべきでしょうね</p><p>聴かれている</p><p>誰に</p><p>監視システムを今、押さえているのは</p><p>谷沢チーフそして、ジッちゃんだ</p><p>この部屋の中でグダグダしている姿を、閣下たちに見られ続けるぐらいなら外へ出るべきなんでしょうね</p><p>香月健思が、オレを見る</p><p>さっきも言いましたけれど僕、もう後が無いんですよ</p><p>父親が裏切り者であることが発覚した香月健思は個人的にジッちゃんへの忠誠を示さなければ、香月グループの中に残れない</p><p>どっちにしても君は本物の裏の世界の恐ろしさを肌で感じた方がいいよね今のままじゃ、余りにも頭でっかちだから</p><p>マルゴさんは、香月健思をそう評した</p><p>怖い思いをした方が良いということは、自分でも判っていますよまあ、覚悟はできていますから</p><p>その軽口はいつまで続くだろう</p><p>しかしこれで、香月健思までが部屋を出る方に付いた</p><p>後は</p><p>判ったわよ、もう</p><p>関さんが溜息を吐く</p><p>わたくしが一緒じゃなかったらホテル中を動き回れないんでしょ行くわよあなたたちに付いて行ってあげればいいんでしょ</p><p>迷路化したホテル内の地図を暗記したのは関さんだけだ</p><p>本当のところ関さん抜きでは、オレたちは部屋の外へは出られない</p><p>谷沢チーフどうせ観ていらっしゃるんでしょわたくし、この子らに付いていきすから後で、命令違反で減俸でも、クビでも何でもして下さいっ</p><p>関さんは、監視カメラに向かって叫ぶ</p><p>ごめんね手間の掛かる妹と弟で</p><p>寧さんが、関さんに言った</p><p>お姉ちゃん、大好きっ</p><p>関さんは照れて顔を赤くしながら</p><p>わたくしはまだ、あなたたちの姉になると決めたわけではありません</p><p>それでももう、お姉さんだよあたしたちの</p><p>寧さんはニッコリ微笑んでそう言った</p><p>麗華ドアをブッ壊して</p><p>麗華が、撲殺ステッキを構える</p><p>こんなことしなくたって谷沢さんも、脱出を黙認しているのなら、ドアのロックを外してくれればいいんですよ</p><p>香月健思が、皮肉っぽく言う</p><p>谷沢さんだってサラリーマンだからねあたしたちが自力で抜け出したっていう証拠が残っていないと後で困るんだよ盗聴から脱走しそうな気配を感じたが、対処しようとした時にはすでにドアを壊されて、部屋を抜け出された後だったってね</p><p>参ります</p><p>ドゥガァァッッ</p><p>特殊合金製のステッキがドアの電子ロック部分を貫き、破壊する</p><p>オーケイ、開いた行こう</p><p>マルゴさんを先頭に部屋の外に出る</p><p>マルゴさんは、一応廊下の反対側にある、本部に通じるドアを探る</p><p>ドアノブは廻らない</p><p>金属製の分厚いドアをコンコンと叩く</p><p>うんこの階にはいないね</p><p>本部は、部屋ごとエレベーターになっていて、５フロア分くらいを自由に移動できる造りになっている</p><p>今は他の階に部屋ごと移動しているのだろう</p><p>このフロアが、本部が移動できる一番上の階だったよね</p><p>マルゴさんの問いに、寧さんがうんと頷く</p><p>ということは谷沢チーフたちは、下の階にいる</p><p>じゃあ、あたしたちも下りようか</p><p>シザーリオ・ヴァイオラと対決するとしても階下のフロアへ下りて行くしかない</p><p>もちろんそれはより危険な場所へ行くということだ</p><p>わたくしが先頭に立ちましょうか</p><p>地図マスターの関さんが、マルゴさんに提案するが</p><p>いいえフォーメーションは変えますが、関さんは２列目のままでお願いします</p><p>先頭は美智ちゃん、頼むよ</p><p>ちょっとでも変だなって思うことがあったら、報告していや、報告する前に攻撃しても構わないその辺は、美智ちゃんの判断に任せるよ</p><p>マルゴさんは、美智の気を感じる力を最大限に活用するつもりらしい</p><p>ムチは出しておいて危険な感じがしてから取り出していたら、間に合わないから</p><p>美智はスカートの下から、赤いムチを取り出す</p><p>２列目の関さんは、行き先のナビゲートと美智ちゃんのフォローをお願いします</p><p>わたくしも拳銃を出しておいた方がいいわね</p><p>関さんは、隠していたホルスターからリボルバー式のピストルを取り出す</p><p>へえ、オートマチックじゃないんだ装弾数だって、リボルバーよりオートマの方が上でしょ</p><p>マルゴさんが興味深そうに覗き込む</p><p>戦闘員なら、弾数の多い方がいいんでしょうけれどわたくしは、護衛人ですこちらから率先して攻撃することは想定していないでしょだから、装弾数の多いオートマチックよりも、どんな状況でも確実に機能するリボルバーをの方採用しているのよ</p><p>今は昔よりも機械のレベルが上がっているから、オートマチックでもジャムることは少ないでしょ</p><p>でもこの金属の塊っぽいピストルの方が、何か落ち着くのよ信頼できるっていうか</p><p>ああそういうのって大きいよね</p><p>関さんの言葉に、マルゴさんは納得する</p><p>で麗華お姉さんが、３列目寧と彼と雪乃さん、３人のガードをお願いします</p><p>麗華の武器は直接攻撃しか出来ない</p><p>この状況では、美智とポジションを交換するべきだとマルゴさんは判断したらしい</p><p>で、殿《しんがり》はあたし</p><p>マルゴさんが、一番後ろで周囲の様子を見ながら、指揮を執る</p><p>その辺は変わらないらしい</p><p>あの、僕はどうしたらいいんでしょうか</p><p>君は、あたしの３メートル後ろから付いてきて敵にヤられた時は、大声でギャーギャー喚いてね君が痛みにのたうち廻っている間に、迎撃態勢を作るからくれぐれも、一言も言葉を発さないまま即死しちゃったりしないでね君は、背後から敵に襲われた時のみんなの盾なんだから死ぬまでの間に、できる限り敵を引きつけておいてね</p><p>マルゴさんは笑顔でそう言う</p><p>あの僕、殺されちゃうんでしょうか</p><p>さあまあ、一人で頑張ってみて運が良ければ、大怪我だけで済むんじゃない</p><p>マルゴさんは、香月健思を護る気が無いことをはっきりと宣告する</p><p>あはは面白い冗談ですね</p><p>冗談じゃ無いよ本気だってば</p><p>マルゴさんの眼は冷たかった</p><p>悪いんだけれど、ここから先はあたしたちは、あたしたたちの家族を護ることだけで精一杯だから自分のことは自分でやって君を助ける義理なんか無いんだしね</p><p>あはははマジですか</p><p>うんマジ</p><p>香月健思は自分が、危険地帯にいる事に、始めて気付いたらしい</p><p>ずっと香月家の一員として特別扱いされてきた香月健思は</p><p>自分は常に他者に大事にされ、護られることが当然だと思い込んできた</p><p>しかしこの場では</p><p>そんな理屈は通じない</p><p>オレたちは、オレたち自身を守るだけで精一杯なんだから</p><p>他人を護る余裕なんか無い</p><p>やっぱり僕あっちの部屋に籠もっていようかな</p><p>それでもいいんじゃないの部屋のドア、ブッ壊しちゃったしずっと一人ぼっちだけど、別に構わないよね</p><p>皆さんと行きます</p><p>香月健思も覚悟を決める</p><p>よし、行こうフォーメーション組んで関さん、ナビ頼みます</p><p>下へ行くんですね</p><p>多分香月さんもミナホも、この階より下に居ますこの闘い全体が、香月さんが計画したものなら香月さんは、敵の戦力が疲弊し切った時に、シザーリオ・ヴァイオラと面談しようと考えているはずです</p><p>ジッちゃんはヴァイオラと会いたがっている</p><p>直接面談</p><p>それしかこのホテルにシザーリオ・ヴァイオラを呼び寄せた理由が思い付かないんだよ</p><p>マルゴさんはオレにそう言った</p><p>次正面の角を、右です</p><p>関さんが頭の中に写し撮った地図を基にオレたちを誘導する</p><p>先頭に立った美智が敵の気配を探り問題が無ければ、前に進む</p><p>時間が掛かっても仕方が無い</p><p>命には、変えられないのだから</p><p>どうせこの辺りには、敵なんていませんよ</p><p>２４階ですよ谷沢チーフの防衛ラインより上なんですから敵に遭遇するはずが無いんですちょっと考えたら、判ることじゃないですか</p><p>最初の戦闘で、敵が４人ほど潜入したことは話したよね</p><p>マルゴさんが、香月健思に言う</p><p>たった４人でしょうどうせ偵察に出した斥候ですよ無闇に戦闘を仕掛けて来たりはしないと思いますよ大体、そいつらだってまだこのフロアにまでは到達していないんじゃないですか</p><p>香月健思は、自論を述べる</p><p>さあ、どうだろうね</p><p>マルゴさんは、背後の様子をチェックしながら答える</p><p>ミス・コーデリアは恭子さんと組んでいた過去のある人だからねだとしたらどんなことだって有り得るとあたしは思うよ</p><p>マルゴさんは警戒を緩めない</p><p>先頭の美智が立ち止まった</p><p>どうした美智</p><p>何か変な気を感じます</p><p>美智はスッと腰を落とし、ムチを構える</p><p>後ろもだよ</p><p>来るっ</p><p>マルゴさんは、香月健思の腕を引っ張り隊列の内側へ押し込む</p><p>関さん、麗華お姉さんっ</p><p>関さんは前の美智のフォロー</p><p>麗華は後ろのマルゴさんの方を見る</p><p>違うわ、そこに何かいるっ</p><p>前でも後ろでもなくすぐ横の天井を、雪乃が指差した</p><p>ハッと見上げると</p><p>天井に、保護色のグレーの戦闘服を着た人間が貼り付いている</p><p>完全に気配を消していた</p><p>天井の戦闘員が上からオレたちに襲いかかるッッ</p><p>311．チーム</p><p>頭下げてッ</p><p>マルゴさんが振り返りながら、天井から襲って来る敵にナイフ型の手裏剣を投げ付けるッ</p><p>ドスッ、ドスッッ</p><p>手裏剣がグレーの戦闘服の敵の腹に突き刺さるが防刃チョッキを着込んでいるらしい</p><p>敵は態勢を崩しただけで、ダメージは無いようだ</p><p>オレは寧さんを庇う腰を落として、なるべく身体を小さくして</p><p>雪乃が後ろから、寧さんにしがみついていた</p><p>マルゴさんが全速で走って、グレーの敵に飛び掛かるッ</p><p>その瞬間オレたちの前後に潜んでいた敵も行動を起こす</p><p>やらせないッッ</p><p>マルゴさんと入れ違いに麗華が後方の敵に突進するッ</p><p>美智ちゃん、下がって</p><p>関さんが、前方に姿を現した敵に拳銃を向けるッ</p><p>ドゥンンッッッダァウンッッ</p><p>牽制として、２発銃撃するッッ</p><p>敵には当たらないが正確な射撃は、オレたちへの接近しようとする動きを止める</p><p>こちら、お任せします</p><p>美智は、その様子を確認するとマルゴさんと交戦しているグレーの敵の方へ向かう</p><p>イヤァァッ、ハァァァァッッ</p><p>マルゴさんは、金属製の伸縮式警棒みたいな物を引き抜いて、天井から降りて来たグレー敵に殴り掛かる</p><p>グレーの敵は、大きなコンバット・ナイフを抜いて、応戦す</p><p>ガキッバキキキッ</p><p>金属と金属が激しくぶつかり合い、火花を散らす</p><p>ハィィ、ハィィ、ハィィィーッッ</p><p>一方麗華は、後方の敵に撲殺ステッキで三段突きを放つッ</p><p>敵は、ギリギリで避けるがオレたちとの距離は遠くなる</p><p>ダウウッッッ</p><p>関さんが、もう一発、銃を撃つ</p><p>確実に前方の敵を足止めしている</p><p>お避け下さいっ</p><p>美智の赤いムチの切っ先が、グレーの敵に飛ぶッッ</p><p>グレーの敵は、後方に跳んで身を躱す</p><p>飛びながら、美智に小刀状の手裏剣を投げ付けるが美智はサッと一歩退いて避ける</p><p>美智の脇の床に、ズドッと敵の手裏剣が刺さった</p><p>そのためにムチの第２撃は出せない</p><p>こっちを見なさいっ</p><p>美智が、片手を招き猫のポーズにする</p><p>工藤流古武術奥義心月</p><p>ダメだ、美智</p><p>美智の集中が緩む</p><p>グレーの戦闘服の敵が、英語で何かを叫んだ</p><p>伏せてッ閃光弾くるよッ</p><p>マルゴさんの声に、オレはそのまま寧さんを押し倒して床に伏す</p><p>雪乃も一緒だ</p><p>廊下の前後がビカッと激しく輝くッ</p><p>顔を上げると三人の敵はすでに姿を消していた</p><p>みんな大丈夫かい</p><p>ハァハァと荒い息でマルゴさんが言った</p><p>あたしは平気ヨッちゃんが、護ってくれたからっ</p><p>寧さんが、オレを抱き締めたまま答えた</p><p>ちょっと涙目になっている</p><p>眼がチカチカします何も見えません</p><p>香月健思は、閃光を正面から見てしまったらしい</p><p>しばらく眼を瞑っていなさい少ししたら、治るわ</p><p>関さんが、撃った弾丸を補充しながら答えた</p><p>すみません、隊列を乱す様な行動をして</p><p>麗華が、マルゴさんに謝る</p><p>いや適切な判断だったと思うよ麗華お姉さんが飛び出してくれたから、後方の敵がこちらに近づけなかったし</p><p>本来ならば、隊列の真ん中に居たわたくしが天井から襲って来た敵を撃退するべきでした</p><p>麗華はグレーの敵が天井に居たことに気付かず、初動の対応が遅れたことを反省しているらしい</p><p>いや、あの人は特別だからだから、あたしもつい身体が動いちゃったんだ本当なら、麗華お姉さんに任せて、殿《しんがり》に居たあたしが後方の敵を相手するべきフォーメーションなのについ、あのグレーの敵と交戦しなくちゃって思って、隊列の真ん中へ飛び込んじゃったから麗華お姉さんが飛び出して、後方の敵を押さえてくれなかったらヤバかったと思うよゴメンなさい</p><p>マルゴさんも、麗華に詫びる</p><p>あのグレーの敵はマルゴお姉様でなければ、対応できませんでした</p><p>マルゴさんは、グレーの敵が放った手裏剣を床から引き抜いた</p><p>ああやっぱりね</p><p>どうしたの、マルちゃん</p><p>ほら、これ</p><p>マルゴさんは、寧さんに敵の手裏剣を見せる</p><p>続いて、自分の手裏剣を取り出して</p><p>２つの手裏剣はほぼ同じ形をしていた</p><p>材質や加工は、微妙に違うけれど</p><p>同門、てことだよねこれってさ</p><p>あたしの師匠は、恭子さんあたしの前に恭子さんと組んでいたのは</p><p>ミス・コーデリア</p><p>さっきのグレーの敵は、ミス・コーデリアか</p><p>となると、前後から襲って来たのが白い女のヴァイオラとロザリンドだな</p><p>同門同士の方が、相手の手の内が判りますからフォーメーションを崩すことになっても、マルゴお姉様が相手をしたのは正解だと思います</p><p>というより、藤宮さんも美智さんも突然のフォーメーションの変更に、よく対応したと思うわマルゴさんの判断も正しかったと思うしそれぞれが常に一番良いと思うポジションに移行して、互いにフォローし合えていたちゃんとチームとして機能できているわよ</p><p>関さんが、先頭チーム全体を褒めてくれる</p><p>関さんこそ３発だけの銃撃で、正面の敵を足止めするなんて、さすがです</p><p>まああちらは、本気じゃ無かったからね</p><p>関さんは苦笑した</p><p>本気では無かったってだって</p><p>本気なら敵は最初から銃を使っているよ最初の、完全に気配を消していた状態で銃撃されていたら、あたしたちの大半は死んでいたと思うな</p><p>今回の襲撃はオレたちの戦闘力をチェックしにきただけですよね</p><p>オレはマルゴさんに尋ねる</p><p>偵察というよりあたしたちに対する、挨拶って感じだね本気で潰しには来なかったし</p><p>四人目は出て来なかったですもんね</p><p>そうだホテル内に潜伏している、ミス・ヴァイオラたちのチームは４人のはずだ</p><p>最後の一人はまだ、姿を見せない</p><p>どうせ、どこかからあたしたちの様子を観察していたんだと思うよ</p><p>では、ご主人様がわたくしを止めたのは</p><p>うん敵の目的が、ただの様子見だけならこっちの手の内を全部見せるのはマズイだろそれに</p><p>オレの中に疑念がある</p><p>美智の心月は、武道の達人には効くかどうか判らないんだろそして美智は、天井に隠れていたミス・コーデリアの気には気付かなかったんだよな</p><p>オレたちは、美智を先頭に美智の気を関知する能力を頼りに進行していた</p><p>だが、美智はミス・コーデリアには気付かなかった</p><p>ミス・コーデリアが、完全に自分の気配を消すことのできるほどの達人なら美智の神月が通じない可能性がある</p><p>申し訳ございませんご主人様</p><p>美智は、口惜しそうだった</p><p>いや、これは美智ちゃんの能力に頼りすぎるフォーメーションを組んだあたしが悪かったんだよ</p><p>マルゴさんが、自分を責める</p><p>気にすることはないわあんな化け物みたいな相手なかなかいないんだから</p><p>関さんがニコッ微笑んで、マルゴさんをフォローする</p><p>フォーメーションは元に戻しましょう藤宮さんが先頭で、あたしが２列目美智さんは他の子を護りながら、前後の気を探ってで、マルゴさんが最後尾ね</p><p>関さんの提案に、マルゴさんはウンと頷く</p><p>藤宮さんも前みたいに一人だけで突出することはしなくなったし何か突発的に起きた場合は、今みたいにそれぞれの判断でポジションを変更してくれていいからもう、お互いの能力は判っているんだし上手にフォローし合っていきましょう</p><p>戦闘チームのコンビネーションは、確実に良くなっている</p><p>さすが香月セキュリティ・サービスのトップ・エリートですね、関さんあたしよりも、遥かにリーダーシップがある</p><p>ミス・コーデリアの襲撃でチームの指揮を執ることに、自信をなくしてしまっているのか</p><p>違うわわたくしも藤宮さんも、あなたたちのお陰で自分には何ができるか、チーム内で自分の付するべきポジションは何なのかを考えられる様になったのよちょっと前までのあたしたちはそりゃ、経験や技術はそこそこあるけれど、自分のことばっかり考えていて周りを見る眼に欠けていたわこうやって、このチームを組んでみて気付いたこと、判ったことがいっぱいあるのよ</p><p>わたくしも関さんと同じです</p><p>今までのわたくしは自分勝手でした反省しています</p><p>だからねこのチームの指揮は今まで通り、マルゴさんにお任せするわもちろん、あたしたちも気が付いたことがあったら、すぐに指摘するけれどでも、リーダーとしての視点で全隊を見る眼を持っているのは、マルゴさんだけだと思うから</p><p>ええ、気にしないでどんどんわたくしたちに指示を出して下さい</p><p>関さんと麗華の言葉に、美智が付け加える</p><p>わたくしも、マルゴお姉様を信頼しておりますこのまま参りましょう</p><p>みんなありがとう</p><p>マルゴさんは、感激している</p><p>うんうんっ大丈夫だよ、マルちゃんきっと良いチームになるよっ</p><p>寧さんが、ニッコリ笑ってそう言った</p><p>それからあなたも良い眼をしていたわね助かったわ</p><p>関さんは、雪乃を褒める</p><p>まあ、たまたま天井を見たら、何か人型が浮かんで見えただけなんだけどね</p><p>ドヤ顔で、フフーンと鼻高々な雪乃</p><p>これからも期待しているわ頼むわよ</p><p>任せなさいってっ</p><p>こいつは調子に乗りやすいからなあ</p><p>関さんは、雪乃とオレたちの関係の正確な関係は知らないし</p><p>白坂創介の娘を人質として連れているぐらいしか理解していないんだろう</p><p>まあ、人質にしては雪乃には自由な言動を許しているし</p><p>何となく、打ち解けてきているというかオレたちの中に溶け込んできているけれど</p><p>マナとメグがいないのが大きいんだな</p><p>あの二人は、雪乃に対する拒絶反応が強すぎるから</p><p>そう言えばあんた眼は平気ちょっとは見えてきた</p><p>雪乃が、香月健思に話し掛ける</p><p>あ、大分良くなってきましたもう平気です</p><p>雪乃本質的には、優しい子なんだよな</p><p>ただ自分は特別な存在だと思っているから</p><p>他の子と、理解し合えないギャップがあるわけで</p><p>それはさっきの香月健思の言動を見て気付いた</p><p>香月健思も何でか、自分は特別で、他人の上に君臨するものだと信じ込んでいる</p><p>だからこいつは、オレたちを束ねて、香月グループの裏部門の長に自分はなれると考えているわけで</p><p>オレたちに対し、信頼を得るとか</p><p>自分の能力をアピールするとということは一切、飛び越えて</p><p>最初っから、香月健思は自分をオレたちよりも上位の人間だと位置づけて</p><p>だから、何の問題も無くオレたちが自分の下に付くと思い込んでいる</p><p>雪乃もそうだ</p><p>自分は最初から他の人たちよりも特別な位置にいる人間だと思っているから</p><p>だから、メグをずっとイジメてきたんだし</p><p>妹にも酷かった</p><p>雪乃と香月健思は似ている</p><p>そういや二人とも、名家の一族の傍系の子だ</p><p>中途半端な位置に居る</p><p>ジッちゃんや、みすず、瑠璃子といった名家の本家の人間は家を護るという責任感がはっきりあって、他の人に対してきちんと応対するけれど</p><p>中途半端な傍系の人間は家の権威に縋り付くだけで、余計なことしかしないからなあ</p><p>自分のプライドを守るためだけに、家の恥となるようなことも平気でするし</p><p>あれちょっと待てよ</p><p>どうしたの、ヨッちゃん</p><p>寧さんが、オレの顔を覗き込む</p><p>あの私塾の連中とその親って、性格的にそっくりでしたよね</p><p>うん、どういうわけか考え方とか、シンクロしていたよねっみんな</p><p>香月健思さんとお父さんの香月昇さんもやっぱりそうですか</p><p>香月昇ミス・コーデリアにそそのかされて、シザーリオ・ヴァイオラと組んでいるって言うけれど</p><p>似ていませんよ父と僕とは、全然別の人間です</p><p>香月健思は、はっきりとそう言うが</p><p>そっくりですよそういう性格も含めて</p><p>関さんが、そう言う</p><p>関さんはジッちゃんの専任警護人だ</p><p>重役たちの集まるような場所でも、警護に付いてきているんだろうから</p><p>その意見は、正しいだろう</p><p>それがどうしたの、ヨッちゃん</p><p>何か気が付いたことがあったら、何でも言ってみて大切なヒントになるかもしれないから</p><p>寧さんとマルゴさんがオレを見る</p><p>オレ、思うんですけれど</p><p>オレは香月健思を見る</p><p>確かに健思さんみたいな人なら野心もあるし、思い切ったことをすると思うんです</p><p>香月健思は香月家の血筋でありながら、新興グループの方に属していた</p><p>そして、私塾内の両グループの調整役に徹していた</p><p>それは、彼がいずれ香月グループの裏のボスになりたいという想いがあったからだということは、すでに判っている</p><p>頭もいいし、色々と画策することが好きだし人を思い通りに動かす、才能だってあるんだろう</p><p>香月健思は、決して無能な人間では無い</p><p>健思さんお尋ねしますけれど、あなたがもしお父様の立場だったら今の状況で自分以外の重役を皆殺しにする計画なんて実行しますか</p><p>香月健思は</p><p>僕が父だったら、そんな馬鹿げたことはしないですよ自分と敵対する勢力の重役はともかく自分の下に付きそうな人まで殺すのは間違っていますから</p><p>そうだ香月健思は、他人を見下している</p><p>自分よりも愚かな人間は、いずれ支配すればいいと思っている</p><p>全員皆殺しなんていう、エキセントリックなことをするわけがない</p><p>自分と敵対するだけのどうしょうもない人間は処分してしまいたいと思うかもしれないですけれどそれ以外の人間は、助けてやって恩を売っておくことにしますねその方が長期的には、僕に都合の良い結果になると思いますし</p><p>頭は良いし、有能なのに</p><p>自分自身を高く評価しすぎているから現実と合わなくなる</p><p>それが、このタイプの人間だ</p><p>ではお父さんの昇さんの今回の行動は、少しやり過ぎだと思いませんか香月家内の裏切り者のトップがお父さんだっていうのは、変だとは感じませんか</p><p>いや、父がやったというのは間違いないと思います父は、他人の下に付くような人間ではありませんし</p><p>でも、誰かにそそのかされたって可能性はあるでしょう</p><p>もう一度聞きます香月昇さんは、ここまで過激な反乱を起こすような人間だと思いますか</p><p>香月健思は、しばらく考えて答えた</p><p>そう言われたら違う様な気がします父が計画・実行したにしては確かに、現状で起きていることは過激過ぎるような気がします父は、僕と違って気弱で小者なところがありますから</p><p>いやあんただって、小者だってのっ</p><p>とりあえず、父が帰宅しました</p><p>やっぱり痩せていますね</p><p>大動脈瘤破裂から、一ヶ月半で退院というのは中々無いケースだそうです</p><p>退院時にあなたは運が良かったと、医師に言われたらしいです</p><p>これからは、外出時に誰かしら付き添わないといけないようですしまだまだ大変ですが</p><p>皆様には、ご心配いただき本当にありがとうございます</p><p>これからも頑張ります</p><p>さてでは、仕事にいきます</p><p>312．分断工作</p><p>ちょっと、整理しよう</p><p>まず、ヴァイオラの来日は突発的に起きたことだこれは間違いない</p><p>寧さんのデータが裏社会に流出したのは、ほんの数日前だ</p><p>それをアメリカに居るヴァイオラが察知して、急遽来日した</p><p>香月セキュリティ・サービスの制服組に何ヶ月も前から工作員を忍ばせて、クーデターの準備をしていたのは、香月昇だこれも間違いないと思う</p><p>劇場からホテルに向かう途中で、オレたちを襲った警備員の入社日から香月昇のクーデター計画は、かなり前から下準備が始まっていたことが判る</p><p>ヴァイオラと香月昇を繋げたのは、ミス・コーデリアこれも間違っていないと思う</p><p>ヴァイオラの目的は寧さん</p><p>香月昇の目的は香月グループの支配</p><p>違う目的を持つ二人の人間を、ミス・コーデリアは引き合わせってことですよね</p><p>それでヴァイオラは、香月昇の仕込んだ工作員から情報を得、また利用し</p><p>香月昇は、ヴァイオラの侵攻そのものをクーデターのキッカケにした</p><p>二人じゃないわ３人よ守次様が居るもの</p><p>雪乃の大叔父白坂家当主、白坂守次もヴァイオラと契約している</p><p>この侵攻に合わせて白坂家の企業グループ内の反抗勢力の暗殺と、白坂創介とその家族の抹殺を、ヴァイオラに要請している</p><p>そのことは反白坂守次派の３人の会談の時に、ジッちゃんが話していた</p><p>そうか一つの戦闘で、それに関わる関係者たちから何重にも金を払わせるっていうのがシザーリオ・ヴァイオラの組織の手口なら</p><p>そうだオレたちは、男のヴァイオラの寧さんに対する私怨ばかりが気になっていたけれど</p><p>元々、シザーリオ・ヴァイオラの組織は、アメリカでも有数の犯罪組織だ</p><p>すでに敵の侵攻は、男のヴァイオラの私怨というレベルを超えている</p><p>これが犯罪組織としての、正式な活動なら可能な限り儲けようとするのは当然だ</p><p>４人目、５人目の顧客もいるかもしれないってことですよね</p><p>ああ香月昇の計画は多分、自分と合わない何人かの重役の暗殺ぐらいだったんだと思うよ</p><p>例えば、香月操の父親と香月仁の父親を殺害すれば</p><p>重役会の中での香月家の人間は、香月昇だけになる</p><p>プリンス派は瓦解することになるだろうしその時には、新興グループに居たはずの香月昇が一気に重役会のボスに躍り出ることとなる</p><p>そうですね父の考えることなら、そんなものだろうと思います</p><p>香月健思は、そう肯定した</p><p>落ち着いて考えてみれば自分以外の重役や、閣下のお子様まで皆殺しにするなんていう無茶な計画を、あの小者の父が思い付くはずがないですよね</p><p>うんそれはきっと別の人間の計画多分、４人目の人間がヴァイオラかミス・コーデリアに要請したことなんだと思うよ</p><p>しかし、おかしいなどうして僕は、全部父の命じたことだと思っていたんだろう</p><p>香月健思は、不思議そうに言う</p><p>そんなのこの男が、自信満々に犯人は香月昇だって言ったからよ</p><p>えっオレか</p><p>そうよ、あんたよあんたが、あんなに偉そうな口調で言い切るからみんな信じちゃったのよ</p><p>確かにオレのせいかもしれない</p><p>そうだよなオレ香月昇がどんな人間なのか、知りもしないくせに手元の情報からの思いつきで、全部の事件の黒幕はあいつだって言い切ってた</p><p>オレが間違っていた</p><p>どんな事件も１人の人間の思惑だけでは動かない</p><p>複数の人間の思惑が交錯し情念がぶつかりあうことで、事件はどんどん大きくなる</p><p>その事件に関わる人間が増えれば増えるほど複雑になっていく</p><p>ちょっと待って本当にヨッちゃんだけのせいなのかなっ</p><p>その男のせいよっあの時、偉そうに思いつきをペラペラ喋っていたのその男だったじゃない</p><p>そうだ香月昇・大ボス説を言い出したのは、オレだ</p><p>それはそうなんだけどさまず、ヨッちゃんが自説を述べてマルちゃんとあたしが、その説が論理的に正しいんじゃないかって検証してみてでも、その段階でもヨッちゃんの説は、裏付けとなる証拠の無いただの一考察でしか無かったんだよね</p><p>そうね本当にそうなのかしらって、思いながら聞いていた覚えがあるわ</p><p>そうだよでも、そこでさものすごーく良いタイミングで、ヨッちゃんの説を肯定してくれた人が現れたんじゃなかっけ</p><p>突然、谷沢チーフが現れた</p><p>オレの説に拍手してくれて褒めてくれた</p><p>あそこでさ、谷沢さんがまるでヨッちゃんの説が正しいみたいな感じで話を始めたからあたしたちは、香月昇が全ての黒幕だって思い込んじゃったんじゃないの</p><p>でもさ今思うと、谷沢さんはヨッちゃんの説が正しいとは言って無かったんだよ確か、谷沢さんが言ったのはなかなか良い推理だだけじゃなかったっけ</p><p>谷沢チーフは、オレの推理が当たっているとは言っていない</p><p>そうだねあたしたち、谷沢さんにミスリードさせられているのかもしれない</p><p>マルゴさんも、考え込む</p><p>ちょっと待って下さいでも谷沢チーフは、オレたちの味方じゃないですか</p><p>何でオレたちを欺くようなことをするんだ</p><p>頭の中をゼロにしてもう一度最初から、全てを検証してみようよ</p><p>でももし谷沢さんが敵なら、ジッちゃんは</p><p>ジッちゃんが</p><p>オレたちの家族になってくれたジッちゃんが</p><p>全ての思い込みを消し去るんだ</p><p>マルゴさんは冷たく言った</p><p>でもジッちゃんが、オレたち裏切っているなんて</p><p>それはみすずや瑠璃子まで、裏切っているということだ</p><p>そんなことがあるのか</p><p>そこじゃないよゼロにするべきポイントはさ</p><p>谷沢チーフが、何もかも香月さんの命令通りに動いているのではないとしたら</p><p>谷沢さんが忠実な部下でなく香月さんの命令に反して、自らの意志で行動しているとしたら</p><p>谷沢チーフが裏切り者だったら</p><p>そもそもさ香月さんは、何で谷沢チーフと離れて行動しているんだろう一度地下へ避難してそこから、また上階へ行くなんて面倒なことを何でしたんだろうそれってさ、もしかして谷沢チーフの監視の眼から逃れるためなんじゃないかな</p><p>ジッちゃんは２人の息子とその家族を護るため、自分の専任警護人を派遣した</p><p>何で、谷沢チーフの配下の他のトップ・エリートではいけなかったんだ</p><p>それから、関さんと麗華がオレたちのチームに入って、自分の側から離れることを許可した</p><p>それって、関さんも麗華と一緒だと谷沢チーフの監視網から逃れられないからなんじゃないのか</p><p>秘密の緊急避難室の中のさらに秘密の脱出通路は、谷沢チーフさえも存在を知らないものだったのでは</p><p>ならばジッちゃんの現在の所在地を、谷沢チーフは知らないということになる</p><p>そう考えたら谷沢さんが、あたしたちが２５０５号室から抜け出すのを黙認した理由が判るんだよわざわざ、迷路化したホテル内の地図まで見せてくれたのは</p><p>マルゴさんにみんなの眼が集中する</p><p>あたしたちに香月さんの居場所を探させる気なんだと思うよ</p><p>ヴァイオラ襲撃を受けている今谷沢チーフには、ジッちゃんを捜索に行かせる手駒がいない</p><p>いやもしかしたら、山岡部長にやらせるつもりだったのかもしれない</p><p>それであの時重役たちの避難している部屋に来た</p><p>だけど、山岡部長も工藤母も使い物にならなくなっていたから</p><p>谷沢チーフは、オレたちに眼を付けた</p><p>もちろん、これだって仮説だよ絶対にそうだとは思い込まないで</p><p>ええわたくしには信じられませんチーフが閣下を裏切っているなんてこと</p><p>わたくしも、そう思います谷沢さんは、忠節を尽くしておられる方ですから</p><p>谷沢チーフの部下である関さんと麗華は、戸惑っている</p><p>でも可能性がある以上は、注意を払うべきです</p><p>それはそうだと思うけれど</p><p>しかし３０年も閣下にお仕えしている方ですよ谷沢さんは</p><p>２人の警護人は、どうしても納得がいかないらしい</p><p>何十年も仕えていながら、ずっと裏切るチャンスを探していたとも考えられますよ</p><p>香月健思が言う</p><p>思いつきだけで勝手なことを言わないで</p><p>関さんがムッとして怒った</p><p>でもさ、あたしはやっぱり胡散臭いと思うわよあのオジサン最初に見た時から、そう感じたもの</p><p>雪乃は、そう言う</p><p>谷沢チーフが胡散臭いなら、工藤さんはどうなるんだよ</p><p>あのオジサンは、お笑い芸人系なんだと思うと納得できるけれど谷沢って人は、詐欺師っぽい感じがするのようちの家系にもいるから、ああいう人</p><p>うちの家系って白坂家か</p><p>誰にでも当たりが良くて、実際、学歴も能力もあるんだけれど色々と裏で画策して、周りの人を陥れていくのよ杉並の叔父さんが、あの人の雰囲気に良く似ているから</p><p>いや、だって谷沢さんは、香月セキュリティ・サービスの人なんだから、裏で工作活動するのは当たり前だろ人当たりが良いのだって</p><p>要人警護の専門家のチーフなんだから</p><p>コミュニケーション能力が高いのは、当然だ</p><p>でもさぁ何か、嫌な感じがするのよあの人は</p><p>雪乃は生理的に谷沢チーフが嫌いらしい</p><p>とにかく、今は何とも言えないけれど谷沢さんに注意するってことだけは、みんな頭の中に入れておいて今、あたしたちは瀬戸際にいるんだからどんな可能性も見逃すわけにはいかないよ</p><p>そうだ、ここは戦場だ</p><p>甘い考えでは些細なことで、すぐに命を落とすことになる</p><p>ではどう致しますか閣下を探して合流するのは、止めますか</p><p>麗華が、マルゴさんに尋ねる</p><p>いや、ジッちゃんとミナホ姉さんを見つけるのは最優先だと思うよ</p><p>本当に谷沢チーフが敵なら</p><p>誰も警護がいないまま、２人を放っておくのは危険過ぎる</p><p>そうだねっ早く合流した方がいいってそしたら、先生と香月さんの話も聞けるし</p><p>うん実際の所、ジッちゃんやミナホ姉さんから直接話をするべきだ</p><p>現在抱えている疑問の多くは、それで解決するんだし</p><p>ところで敵と関係している４人目の人物重役会の皆殺しを敵に要請したのは誰なのかという問題が残っていますが</p><p>香月健思が、そんなことを言い出す</p><p>その話は今は止めようあたしたちが、ここで推理しても正しいかどうか判らないしまた間違った方向に思い込む可能性の方が大きいよ</p><p>マルゴさんは、健思の問題提起を却下する</p><p>ミスリードは、もうゴメンだよねっていうかさ</p><p>寧さんが、香月健思の顔を覗き込む</p><p>君こそがあたしたちを混乱させるために敵が送り込んできたスパイなんじゃないのっ</p><p>香月健思は、大きく笑って</p><p>面白いことを言いますねあなた</p><p>違うって言い切れるわけ</p><p>そんなの、悪魔の証明じゃないですかここにいる誰一人、自分が裏切り者ではないなんて証明できないですよ</p><p>人間なんて皆、どこか怪しいところがあるものなんですから</p><p>いいやオレたち家族の中に裏切り者はいないよ</p><p>そんなの君の勝手な思い込みでしょ</p><p>香月健思は、オレを挑発する</p><p>わたくしはご主人様を決して裏切りません</p><p>ヨッちゃんだって、ミッちゃんを絶対裏切らないよ</p><p>ご主人様が、絶対に裏切らない相手はあなたです</p><p>美智が寧さんを見る</p><p>そうだね彼は絶対に、寧のことは裏切らないよ</p><p>マルゴさんだって、寧さんのことは裏切らないでしょ</p><p>麗華は家族は裏切らないよね</p><p>はいわたくしは絶対に妹たちを護ります</p><p>麗華の中でのオレの優先順位は低いんだな</p><p>麗華が欲しいのは家族であって男ではないから</p><p>わたくしだってみんなのことは護るわよ</p><p>今、谷沢チーフが別の指令をしたとしてもわたくしは受諾しないわみんなが安全な状態になるまでは、警護を続けるからあたしは人を護る警護人なのあたしの武器は、護るためのなんだから</p><p>そう言って関さんは手の中のピストルを見る</p><p>へえみなさん、なかなか信念をお持ちのようですね</p><p>香月健思は、小賢しい笑みを浮かべたままだ</p><p>では皆さんにとって怪しい人物なのは、僕と彼女だけってことですね</p><p>そう言って雪乃を見る</p><p>いいやオレは雪乃を信じているよ</p><p>オレの言葉に雪乃が驚く</p><p>雪乃は高飛車だし、我が儘だし、自分勝手だけれど悪いやつじゃない本質的には優しい子だよ</p><p>ああんた、何を言っているの</p><p>あたふたとする雪乃</p><p>高校の入学式の日暗く落ち込んでいたオレに声を掛けてくれたのは、雪乃だったじゃないか</p><p>入学式のあの日オレの親父は、失踪した</p><p>落ち込んで震えていたオレを気遣って、声を掛けてくれたのは雪乃だった</p><p>嘘よ!あたしがあんたみたいな人に、声なんて掛けるわけが無いじゃない</p><p>雪乃は覚えていないようだ</p><p>入学式の日のオレのことなんて</p><p>でも、オレは覚えている</p><p>あの日の雪乃が優しくて美しかったから</p><p>オレは、あの日からずっと雪乃に夢中になっていたんだ</p><p>でも、そうなんだ雪乃は優しかったんだよオレに</p><p>香月健思が、ジロッとオレを見る</p><p>あのこの子、白坂雪乃さんなんですよね</p><p>そうよ、あたしは白坂雪乃よそれがどうかしたの</p><p>不服そうに、雪乃が健思に言う</p><p>いやずっと不思議なんですよどうして皆さん、敵の勢力の女をみんなに野放しにしているんだろうかって</p><p>確かに白坂家は、オレたちの敵だ</p><p>香月家とも黒い森とも敵対している</p><p>雪乃は、敵じゃないからさ</p><p>だからって味方でもないよっ</p><p>そこんとこ間違えちゃダメだよ、ヨッちゃん</p><p>そうだ、雪乃は味方では無い</p><p>絶対にオレの味方にはならない</p><p>雪乃とオレは判り合うことなんてできないんだから</p><p>それぐらいオレたちの心は離れている</p><p>そうよあたしは、あんたなんて大っ嫌いなんだから</p><p>あたしを懐柔しようったって無駄よあたし、あんたみたいな男は生理的に嫌いなのもう、DNAの段階から嫌いだってマーキングされているんだからっ本当なら、口だってききたくないのよっでも今は</p><p>口惜しそうにオレを睨む</p><p>仕方無いからそうよ、仕方無いから、あんたと話してあげているだけなんだからねっ感謝しなさいよっ</p><p>オレはフフッと笑った</p><p>何よ何がおかしいのよっ</p><p>いやマナがここにいたら、また雪乃に酷いことを言うんだろうなって思ってさ</p><p>うんマナが雪乃を責めて</p><p>メグがきっと睨んでいる</p><p>あの子は馬鹿なのよあんたみたいな悪い男に引っ掛かってさまだ子供だから仕方無いんだけれど</p><p>雪乃はオレを見る</p><p>舞夏のこと頼んだわよちゃんと責任とってね</p><p>こうなっちゃったら仕方無いじゃないあたしの家はもう、潰れちゃうんだろうから</p><p>雪乃はうつむく</p><p>父が社会的に抹殺されたということ</p><p>例え白坂家が保ったとしても自分たちの居場所はもう無いということは、判っているんだ</p><p>情けないけれど舞夏のことは、あんたに任せるしかないと思うのよ弓槻先生や香月みすずや何より、恵美に頭を下げるのは、あたし絶対に嫌だから</p><p>雪乃のプライドがそれを許さない</p><p>だから、あんたが何とかしなさいよ舞夏のこといいわね</p><p>そういう雪乃さんは、どうするつもりなの</p><p>寧さんが、雪乃に尋ねた</p><p>そんなのあたしが知りたいくらいよっ</p><p>自嘲気味に雪乃は、答えた</p><p>自分の未来が全く見えないんだ</p><p>雪乃は、いら立っている</p><p>さあっ、もう話はいいでしょっ行きましょうよ上でも下でもあたし、こんな廊下で立ち話しているのは、もうゴメンよっ</p><p>そう言って、雪乃が小走りで前に駆け出す</p><p>おい、待てよ一人で勝手に行くなよ</p><p>オレは雪乃を追い掛ける</p><p>寧さんと美智がオレを追って前に出る</p><p>隊列が崩れた</p><p>シュココココーンッ</p><p>天井からガス弾が撃ち出される</p><p>これは、さっき見たぞ</p><p>ダダドムゥおじ様が、敵との戦闘から撤退する時に</p><p>て、ことはこれを操作しているのは</p><p>マルゴさんが、オレたちを追おうとした瞬間</p><p>ドダダダダダダダッッッ</p><p>背後から機関銃の銃撃</p><p>壁の上の方に銃弾が穴を開けていく</p><p>一射眼は、威嚇の牽制か</p><p>みんな、近くの遮蔽物に身を隠して</p><p>オレたちはそれぞれに身を隠すが</p><p>結果オレたちとマルゴさんたちの間の距離が開く</p><p>ギュイイイイインンンッ</p><p>突然、大きな音がして天井から防火壁が下りてきた</p><p>こ、このままでは</p><p>オレたち分断される</p><p>缶コーヒーのおまけに空母が付いているので、買って飲んだら、お腹が痛い</p><p>あれ、つい最近にもこんなことがあったと思ったら</p><p>缶コーヒーのおまけに、アストンマーチンが付いた時だった</p><p>ジャンボ旅客機のおまけの付いた、オレンジジュースに変えよう</p><p>313．壁を挟んで</p><p>ズダダダダダダッ</p><p>ドゥダダダダダッ</p><p>掃射される後方からのマシンガンの数が増えている</p><p>３丁いや、もっと多いかもしれない</p><p>ドゥガガガガガッ</p><p>トゥダダダダダッ</p><p>マシンガンの種類が違うのか、耳に飛び込んで来る銃声も異なる</p><p>激しすぎる銃弾の雨</p><p>これでは、関さんが撃ち返すこともできないし</p><p>マルゴさんや麗華も、動けない</p><p>その間も防火壁は、シャーッと高速で下りてくる</p><p>こちらからマルゴさんたちの居る方へ走って戻るべきか</p><p>しかし、頭を上げたら確実に撃たれる</p><p>な、何よこれっ</p><p>怯えた雪乃が、後ろからオレにしがみついてくる</p><p>おい、雪乃離れろよ</p><p>雪乃にくっつかれたら素早い行動はできない</p><p>いやよっ</p><p>半分パニックになった雪乃が、叫ぶ</p><p>防火壁が閉まってしまう</p><p>ウィィィーンドゥン</p><p>完全に閉じられた</p><p>オレたちはマルゴさんたちと分断された</p><p>物陰から、美智が顔を上げる</p><p>この防火壁は、マシンガンの銃弾を防ぎますもう、大丈夫です</p><p>美智はこっち側に来てくれていたか</p><p>あはは参っちゃったねこりゃ</p><p>寧さんもこっちか</p><p>そして、オレと雪乃と</p><p>いやはや困りましたねぇこの状況は</p><p>香月健思お前もこっちかよ</p><p>防火壁の向こうに分断されたのはマルゴさん、関さん、麗華の３人</p><p>やられたな完全に</p><p>向こうは、監視カメラで僕たちの隊列が崩れるのを待っていたんでしょう僕たちの進行ルート上の防火壁は、いつでも操作できるようにしていたんじゃないですかね</p><p>そんなことができるのは</p><p>ホテル内の全システムを制御している本部にいる人間だけだ</p><p>つまり谷沢チーフか</p><p>僕たちの会話も盗み聞きしているんじゃないですかね谷沢チーフに対する疑念を口に出した途端、アクションを起こしたんですからこの即断する判断力は、さすが谷沢さんてとこですよね</p><p>オレたちは谷沢さんが怪しいと口にしていながら、心のどこかで本当にそうだろうかと思っていた</p><p>それは、現実の谷沢さんを知っていて</p><p>あの人が、オレたちの敵になるということがどうしても半信半疑のままだったからだ</p><p>それはマルゴさんや、関さん、麗華たちもそうだろう</p><p>だから、オレたちは迂闊にもホテル内には監視網があることを判っていたのに、谷沢さんへの疑念をみんなで話し合ってしまった</p><p>まさか、こんなに早く敵が次の手を打ってくるとは</p><p>ドガァッ</p><p>防火壁に、反対側から何かがブチ当たる音がする</p><p>麗華か</p><p>しかし防火壁は、ビクともしない</p><p>本当に防弾・対爆仕様の特別製の壁なんだ</p><p>寧さんが、通信機を耳に付けようとしていた</p><p>そうだもしもの時のために、通信機を持っていたんだっけ</p><p>オレと美智も、寧さんの真似をして通信機を付ける</p><p>聞こえるかい寧、オーバー</p><p>聞こえるよ、マルちゃんオーバー</p><p>近くでの通信は混信を防ぐために、言葉の終わりにオーバーを付けるんだったな</p><p>それと誰に喋っているのか、誰の答えが聞きたいのか、はっきりと言わないといけない</p><p>そっちは大丈夫なの、マルちゃんオーバー</p><p>ああ防火壁が下りきったら、マシンガンの連中はすぐに撤退したよオーバー</p><p>かなりの距離から撃ってきていましたね美智妹《ミチ・イモウト》の気のセンサーが届かないぐらいですからオーバー</p><p>麗華が、そう言う</p><p>申し訳ございませんオーバー</p><p>別に美智ちゃんを責めているわけじゃないよ敵の方が上手だったんだよそれにどうやら、向こうはあたしたちを分断することだけが目的で、本気で撃ち殺しにはきていなかったからねオーバー</p><p>どういうことです、マルゴさんオーバー</p><p>あたしたちを狙った正確な照準じゃ無かったってこと確実に殺す気なら、もっと距離を詰めて来るはずだしそれなら、こっちにも対処のしようがあったんだけれどあの距離で当てずっぽうにバカバカ撃たれたら、どうしようもないよオーバー</p><p>銃撃は後方から人数は５人でしたね、オーバー</p><p>美智ちゃんと数えていたんだ</p><p>５人てことはミス・コーデリアたちじゃない</p><p>すると、やっぱり</p><p>うん、あたしも確認した３丁は同じタイプのマシンガンで残りの２丁は、別々のタイプだった銃声が全然違ったからねオーバー</p><p>はい全て、香月セキュリティ・サービスのトップ・エリートが使っている物でしたわ３丁が支給品で、２丁は私物です</p><p>関さんが言う</p><p>あたし具体的に誰が撃ってきたのか、まで判りました撃つときのリズムに癖がありますから５人とも、谷沢チーフ配下のトップ・エリートですオーバー</p><p>谷沢さんの指示なのか</p><p>はい、わたくしにも判りましたオーバー</p><p>麗華もそう言う</p><p>もう、間違いない</p><p>となればこの通信機でも、あんまり余計なことは言わない方がいいかもねこれってさ、地下で香月さんに借りてきた機械だよね</p><p>マルゴさんが、嘆息する</p><p>各階の壁の中に中継器があるから、地下とも通話できるっていうシステムだったでしょということは中継器から、盗聴するのは簡単だよねオーバー</p><p>システムを制御している人間なら</p><p>いや、このビックリ機巧のホテルのことだ</p><p>どうせ盗聴する仕組みは、最初から組み込まれているんだろう</p><p>判ったマルちゃんあたしたちの話は、全部筒抜けになっているって考えて、話をした方がいいのねオーバー</p><p>そういうことだよ、寧オーバー</p><p>壁で分断されてしまった以上どうしても、この通信機は必要だ</p><p>携帯電話じゃ、一対一の通話しかできないし</p><p>ていうかこのホテル内で声を出したら、何したって盗聴マイクで話を聞かれてしまうんだろ</p><p>だから、聴かれていることは覚悟の上で会話を続けるしかない</p><p>とにかくどうやら、今閉鎖された壁以外はフロア内のレイアウトは変わっていないみたいですここから、大廻りして壁の向こうに行くとなると１０分ぐらいは掛かると思うわでも、行けないことは無いから、安心して</p><p>関さんは迷路状になった各フロアの地図を、完全に記憶している</p><p>一カ所、封鎖されてもどこをどう抜ければ、オレたちの居る場所に出るのか判るらしい</p><p>あなたたちは、そこから離れないでいいわね、オーバー</p><p>そうだね下手に動いたら、現在位置が判らなくなるあたしたちが追い掛けようがなくなるからオーバー</p><p>関さんとマルゴさんは、そう言うけれど</p><p>でも、敵がオレたちの合流を許すとは思えませんよオーバー</p><p>マルゴさんたちは、迂回する間に何度も敵の襲撃を受けることになるだろう</p><p>今すでに、その準備を始めているはずだ</p><p>敵は、オレたちの通話を聴いているんだから</p><p>大丈夫だよあたしたちはプロだから何があっても、絶対に迎えに行くから、そこで待っていてオーバー</p><p>ねえねえ、あっちの人は何て言っているの</p><p>通信機を持っていない雪乃が、オレの顔を覗き込む</p><p>迂回して、ここまでオレたちを迎えに来るからここで待っていろってさ</p><p>えー、ここで</p><p>いや、仕方ありませんよ僕たちは、ホテル内を自由に歩き回ることはできないんですから</p><p>同じく通信機の無い香月健思が、そう言った</p><p>ちょいちょい</p><p>ん美智が、オレの肩を突っつく</p><p>美智は自分の携帯電話をオレに見せた</p><p>画面の上を手で隠している監視カメラに液晶画面が映るのを恐れているのだろう</p><p>オレだけに見えるようにして注意深く手を動かす</p><p>そうかメールの作成モードを使って</p><p>筆談か</p><p>実際にメールを送るのではなく直接、相手に打った文章を見せれば、盗聴されずに自分の意志を伝えられる</p><p>美智の携帯の液晶にはこう書かれていた</p><p>［わたくしは、ホテル内の全ての地図を覚えています］</p><p>美智が、素早く次の文を打つ</p><p>［先程、関さんが記憶なさっている時に、横から拝見して覚えました］</p><p>さっきの２５０５室で関さんがコンピューター端末の出したマップを見ている時に、一緒に暗記したっていうのか</p><p>さすがだ、美智</p><p>美智が居れば、オレたちはホテル内は自由に歩き回れる</p><p>［他の方には、言わないで下さい］</p><p>うんここで喋ってしまったら、盗聴されてしまうだけだ</p><p>今は、オレの心に閉まっておこう</p><p>何やってんのよ二人して</p><p>雪乃がオレたちに言う</p><p>何でもないよプライベートなことだ</p><p>これからはさ何か思い付いたことがあったら、携帯で筆談しよう読ませたい相手にだけ、携帯の画面を見せて監視カメラに映らないように気をつけるんだ</p><p>なるほど、それは良い考えですね</p><p>香月健思は頷く</p><p>でも、あたし携帯持って来て無いわよ</p><p>そうか、雪乃は</p><p>オレたちに誘拐されて来たから</p><p>いいんです、あなたはこれまで通り、思い付いたことを何でもベラベラ喋っていて下さい</p><p>何よあんた、あたしのこと馬鹿にしているわけ</p><p>そうではありませんあなたの場合は、その方が良いと思うだけですあなたの周りの空気を感じずに、何でも思ったことを言う力は、これまでも警報として有効に働いていますあなたは先入観を持っていませんから</p><p>先入観</p><p>最初に３人組に襲撃を受けた時マルゴお姉様も関さんも麗華お姉様も、わたくしの気を察知する力に全面的に信頼して下さっていましたわたくし自身も、自分の能力を過信していましただから、完全に気を消した敵の接近に気付かなかった天井に貼り付いていた敵に気付いたのはあなただけです</p><p>そうだ美智の能力を信じ切っていない雪乃だけが、敵に気付いた</p><p>あの時あなたの警告が、もう数秒遅れていたら、わたくしたちは敵に敗れていたと思いますありがとうございました</p><p>美智は、スッと雪乃に頭を下げる</p><p>えっそれは、あの</p><p>寧さんは、戸惑っている</p><p>うん、美智の言う通りだ</p><p>あの時は、ギリギリのところでマルゴさんが手裏剣を放ったから何とか敵を躱すことができたけれど</p><p>もし、雪乃が敵に気付かなかったら寧さんは、捕まっていただろうと思う</p><p>寧さんが敵の手に落ちることは、オレたちの敗北を意味する</p><p>ですから、これからも先入観を持たずに思い付いたことをどんどん言って下さいお願いします</p><p>美智の言葉に、雪乃は</p><p>わ、判ったわよ思ったことを言えばいいんでしょ何よ、それくらいするわよ、あたし</p><p>何で、照れてるんだお前</p><p>そうですねそれなら僕も、どんどん意見を言うようにしましょうか</p><p>香月健思が、ニタッと笑う</p><p>あなたの意見は結構です</p><p>美智は、きっぱりと言った</p><p>あなたは、先入観の塊ですから</p><p>そうだねっあたしたちは、今までの人間関係とか思い込みとかもちろん、そう思い込まされているっていうこともあるんだろうけれど、とにかく先入観に支配され過ぎているよね</p><p>雪乃ちゃんは、先入観が無いからうん、助かってるよ</p><p>ニコッと微笑む、寧さん</p><p>ご主人様、側に付いていてあげて下さい</p><p>美智が寧さんを見たまま、スッとオレの耳に囁く</p><p>かなり緊張なさっています</p><p>そうかマルゴさんと離れ離れになってしまったんだ</p><p>寧さんの心の中はパニックになっている</p><p>それでも年長の姉として、何とかオレたちを励まそうとしてくれているんだ</p><p>オレは寧さんの手を握る</p><p>冷たい手</p><p>やはり、過度の緊張下にいるんだ</p><p>別に寧さんの側に居たくなっただけ</p><p>オレは、寧さんに寄り添う</p><p>もう甘えんぼだねっヨッちゃんは</p><p>寧さんも、オレに身体を寄せる</p><p>甘えんぼは嫌いですか</p><p>嫌いじゃないよいっぱい、甘えて</p><p>今、様子を見ながら移動しているわここまでのところ、襲撃は無いわ思ったよりも早く、そっちへ着くかもしれないわオーバー</p><p>通信機から関さんの声がする</p><p>いや、何も無いなんてことがあるはずないよ集中していこうオーバー</p><p>そう言えばさ情報制限されているとはいえ、このフロアの映像、地下の緊急避難室では見れないのかなせめて、周囲に敵がいないかどうか確認するぐらいできたらいいんだけれどオーバー</p><p>そうだねちょっと聞いてみようかもしもし、克子さんみすずちゃんかもしれないけれど、地下の人、聞こえてる</p><p>マルゴさんが、地下と交信しようするが</p><p>残念ねえ地下との通信は、今、切断してあるのよオーバー</p><p>誰だ</p><p>ミス・コーデリア</p><p>マルゴさんが呟いた</p><p>ご名答</p><p>その瞬間美智が叫ぶ</p><p>正面から来ます</p><p>廊下の向こうから３人の人影がやってくる</p><p>黒い戦闘服の２人とグレーの戦闘服</p><p>今度は気を殺すことすらしない</p><p>平然と３人並んで歩いて来る</p><p>マルゴさんこっちに来ちゃったよさっきの三人組オーバー</p><p>オレはそう報告する</p><p>シットさっきの襲撃は、陽動だったのか</p><p>そういうことよ、マルゴ・スタークウェザー</p><p>もう通信機からの声ではなく</p><p>ミス・コーデリアの肉声が、はっきり聞こえた</p><p>ナジマ・ヤスコとシラサカ・ユキノターゲット対象者２名とオマケが３名ね</p><p>三人の眼がオレたちを見ている</p><p>じゃあ捕獲させて貰うわよ</p><p>三人の敵は、ホルスターから銃を引き抜いた</p><p>ということで、吉田くんたちのピンチは続きます</p><p>314．虜</p><p>美智が、スッと身を屈める</p><p>敵の隙を突いて、反撃に出るチャンスを狙っているんだろうけれど</p><p>止めろ、美智</p><p>背後は、分厚い防火壁で完全に塞がれている</p><p>前方の３人は本物のプロフェッショナルだ</p><p>心月で一瞬の隙を作ることができたとしても寧さん、オレ、雪乃、香月健思の４人を美智１人で護ることはできないだろう</p><p>何より美智の気の技は、まだ知られてはいけないと思う</p><p>お嬢ちゃん、何かおかしな技を使うらしいわね</p><p>ミス・コーデリアが、フフッと不敵に笑い声を上げる</p><p>知っているのか、こいつ</p><p>父上の前で披露したのが、浅はかだったようですね</p><p>そうだった工藤父に対して、美智は心月を使っている</p><p>その監視カメラの映像を見られたのか</p><p>となればミス・コーデリアたちは、このホテルの監視システムをすでに乗っ取っている</p><p>いや谷沢チーフは、本当にオレたちを裏切っていて、ミス・コーデリアたちに情報を流していると考える方が辻褄がある</p><p>下手に動かないで、まだ殺したくはないからあなたたちには、しばらく生きていて貰いたいのよ大切な役目があるからそう、人質っていうね</p><p>ミス・コーデリアは、顔を覆っていたゴーグルとマスクを外す</p><p>今日の午後、劇場に来た白人の女同じ顔だ</p><p>耳にはイヤホン、口元には小型マイクを付けている</p><p>ポケットから、通信機を取り出す</p><p>そういうことになったからマルゴ・スタークウェザー、早いところ取り返しにいらっしゃいね</p><p>ミス・コーデリアの持つ通信機は、オレたちの物と完全に同型だった</p><p>色も形も大きさも材質も</p><p>オレたちの通信機は、地下の緊急避難室に置かれていた物だ</p><p>つまり元々は、香月セキュリティ・サービスの備品なんだろう</p><p>それと完全に同じ機器を持っているということは</p><p>香月セキュリティ・サービスの誰かが、ミス・コーデリアにこの通信機を手渡したとしか考えられない</p><p>ますますミス・コーデリアと谷沢チーフが繋がっている可能性が、濃厚になっていく</p><p>マルちゃんちょっとヤバいかもあたしたち、捕まるしかないみたいオーバー</p><p>寧さんが、口惜しそうに言った</p><p>絶対に助け出す助け出すから</p><p>通信機の向こうから、マルゴさんの声がする</p><p>そうね、頑張ることね期待しているわよ</p><p>ミス・コーデリアが、通信機に向かって言った</p><p>あたしたちは最初の予定通り、２１階に居るから追い掛けてらっしゃいオーバー</p><p>２１階</p><p>あら、そういう計画だったんでしょシザーリオ・ヴァイオラを２１階で撃退するさっき、あなたたち全館放送でそう言っていたじゃない</p><p>寧さんは、ケイさんに扮して２１階で待っていると、ヴァイオラに言った</p><p>しかし、それはそこが香月セキュリティ・サービスのいや、谷沢チーフの設定した絶対防衛ラインであり、そこまでなら敵を引きつけられるギリギリのラインだから、暫定的にそう発言しただけでしかない</p><p>目的は、あくまでもヴァイオラに２１階フロアという目標を与えそれで突出した動きを見せた部隊を、ヴァイオラの本隊と見破るための作戦口実でしかない</p><p>本当に２１階で、寧さんがヴァイオラを待ち構える予定なんて無かった</p><p>一度決めたことは実行されないといけないわ日本語で何て言うんだっけそう、初志貫徹よね</p><p>あミス・コーデリアは</p><p>谷沢チーフと繋がっているかもしれないし、オレたちのこれまでの行動は全て監視しているオレたちの喋ったことの内容も</p><p>しかし、ミス・コーデリアはオレたちではない</p><p>どうして、そんなに自分たちの能力に自信があるのか判らないけれど隔離された部屋から脱出して、下の階へ向かったのはそういうことでしょ</p><p>オレたちが、２５０５室のドアを破って外に出て上階ではなく、下階へ進路を取ったことを、ミス・コーデリアはそう解釈している</p><p>もちろん、オレたちが下に向かう決意をした時にはヴァイオラと対決する可能性も覚悟したけれど</p><p>一番の目的は、ジッちゃんとミナホ姉さんの捜索だ</p><p>あたしねっ約束したことは護る女なんだよっ</p><p>寧さんがわざと嘘を吐く</p><p>じゃあ、ちゃんと２１階でちゃんと待っていてあげないとね</p><p>ちくしょう、喉が渇いたなお茶でも飲みたいよ</p><p>雪乃もそうだろ</p><p>雪乃はという顔でオレを見る</p><p>頼む、今は何も言うな</p><p>頼むから</p><p>お茶ぐらいは飲ませてあげるわよ人生、最後のお茶になるかもしれないけれどね</p><p>雪乃が２５０５室で、１人だけお茶を飲んでいたことを知らない</p><p>ミス・コーデリアも制限された情報しか、与えられていないんだ</p><p>おそらくホテルの廊下の映像や音声は、全てキャッチしているが</p><p>２５０５室の中での会話は知らない</p><p>何故だ</p><p>ミス・コーデリア、悪いんだけれど地下にいる香月閣下に、今後の対応について相談しないといけないんだ地下との回線、復旧してくれないかな</p><p>マルゴさんの声がそう言った</p><p>オレとミス・コーデリアの会話を聞いて</p><p>マルゴさんも、カマをかける</p><p>ダメよ香月重孝氏と黒い森《ブラック・フォレスト》は別組織でしょあなたたちは、あなたたちで判断して行動なさい</p><p>ミス・コーデリアは、ふんと鼻を鳴らしてそう答えた</p><p>うちのボスの黒森御名穂も地下に居るんだけれど</p><p>一々、ボスにお伺いを立てないと何の行動もできないのあなた、現場の指揮官でしょうあなたが判断しなさいマルゴ・スタークウェザー</p><p>これで決まった</p><p>ミス・コーデリアは、ジッちゃんとミナホ姉さんが地下から脱出したことを知らない</p><p>谷沢チーフは、巧妙に情報操作している</p><p>地下から、ジッちゃんたちの脱出の知らせがあったのはオレたちが２５０５室に居る時だった</p><p>その後のオレたちだけの相談も含めて２５０５室での様子は、ミス・コーデリアには見られていない</p><p>いや、廊下でのオレたちの会話だってミス・コーデリアに知らせたくないところはカットしているのかもしれない</p><p>とにかく地下との通信は許さないわ</p><p>オレたちと地下との通信を切断しているのも谷沢チーフだ</p><p>ミス・コーデリアではない</p><p>克子姉やみすずと会話したらジッちゃんたちの不在を、ミス・コーデリアに気付かれてしまうから</p><p>わざとそうやっているんだ</p><p>つまり谷沢チーフは、オレたちを裏切ったのかもしれないが</p><p>ミス・コーデリアと、完全にくっついているわけではない</p><p>そんなことより、いいのあなたたち、すんなりと２１階へは行かせて貰えないわよ</p><p>ミス・コーデリアは言った</p><p>谷沢チーフの配下がマルゴさんたちを追撃する</p><p>そんなことは判っているよ</p><p>マルゴさんの低い声がイヤホンから響く</p><p>あたしたちが行くまでは人質の命は、保障して欲しいな</p><p>いいわよ、約束しますマルゴ・スタークウェザー</p><p>美智ちゃん、みんなを頼む</p><p>判っておりますマルゴお姉様</p><p>こっちは、オレもいますからマルゴさん</p><p>オレなんて、何の役にも立たないけれど</p><p>寧さんの盾になりますからオレ</p><p>命ぐらいは張れる</p><p>頼むよあたしたちが、行くまでの辛抱だから</p><p>すぐに参ります主様</p><p>みんな、落ち着いて行動するのよいいわね</p><p>マルゴさん、麗華、関さんがそれぞれにメッセージをくれる</p><p>寧、絶対に諦めないでね</p><p>最後にマルゴさんが、寧さんを励ます</p><p>判ってる判っているからあたしがここでは一番のお姉ちゃんだもんねマルちゃん</p><p>ああお姉ちゃんらしく、みんなをケアしてあげて</p><p>うんマルちゃん</p><p>じゃあねすぐに行くからオーバー</p><p>うん、待ってるよオーバー</p><p>ミス・コーデリアと２人の部下</p><p>おそらく白い女のヴァイオラとロザリンド２人ともまだマスクを外していない</p><p>３人の敵に銃を突き付けられてオレたちは廊下を進んでいく</p><p>オレたちの左右と後ろを取り囲む様に敵はフォーメーションを組んでいる</p><p>これでは前にしか逃げられないそして、逃げたら確実に撃たれる</p><p>廊下の角に差し掛かった度にそこは右、左に曲がりなさいと後方からミス・コーデリアが指示を出す</p><p>角を曲がる瞬間に全力ダッシュで別方向に走って逃げることはできるかもしれないが</p><p>迷路化したホテル内を、その後どうやって進めばいい</p><p>どこに逃げても監視カメラで、谷沢チーフには見えているんだろうし</p><p>健思さんまさか、１人だけ逃げだそうとか考えていないでしょうね</p><p>ミス・コーデリアにとっても、谷沢チーフにとっても香月健思の優先度は低い</p><p>１人だけ逃げ出しても、捜索隊を出すようなことはしないだろう</p><p>朝までどこかの部屋で隠れていれば香月健思が助かる確率は高い</p><p>さっきから、それをずっと考えています</p><p>香月健思は、答えた</p><p>やめてよね、１人逃げ出したらトバッチリで全員殺されるわ</p><p>それは無いと思いますどうやら、この方たちにはこちらのお嬢さんナジマさんでしたっけナジマさんを生かしたまま有効活用したい理由がお有りのようですから</p><p>香月健思は、寧さんを見る</p><p>寧さんは一度も、香月健思に名乗っていないから</p><p>さっきミス・コーデリアの言ったナジマ・ヤスコというのが寧さんの名前だと思ったらしい</p><p>ナジマじゃないわよ奈島寧《ナトウ・ネイ》よその女の名前は</p><p>雪乃にとって、寧さんは同じ学校の不良でタブリの２年生だ</p><p>雪乃だって、昨日の夜に寧さんの昔話を聞いていたのだから寧さんの本名がナジマ・ヤスコなことは知っているはずなんだけれど</p><p>最初に認識したイメージは、なかなか覆るものではない</p><p>とにかく、この女は生かしておいて貰えるかもしれないけれどあたしやあんたは、殺したって構わないって思っているはずなんだから馬鹿なことはしないでよねっ</p><p>寧さんの過去シザーリオ・ヴァイオラとの関係</p><p>男のヴァイオラの目的が、寧さんであることを雪乃は知っている</p><p>というかあなたには、抹殺指令が出てるわよシラサカ・ユキノさん</p><p>ミス・コーデリアが言った</p><p>ゾクッとする雪乃</p><p>そうだ雪乃は、白坂家本家がヴァイオラに依頼した抹殺リストに名前が載っている</p><p>あたしの方で処分しちゃってもいいんだけれどあっちのヴァイオラに任せるわあたしが受けた仕事じゃないし</p><p>オレは通信機のスイッチを入れる</p><p>白坂家に働きかけて当主に反抗する勢力と、白坂創介の家族を抹殺する要請を受けたのは、あなたじゃないんですか</p><p>そうよ営業に行ったのは、あたしエーギョーでいいのよね日本語の表現として</p><p>ミス・コーデリアは、笑って答えた</p><p>あたしがしたのは、営業としてのオファーだけよ実際に仕事として受託したのは、あっちのヴァイオラなのほら、あたしたちは通常業務で日本に来たわけではないからあたしたちが自分で手を下すわけにはいかないのよ他の用事で出張しているのに、あたしたちが正規派遣された人の営業エリアで小遣い稼ぎしたらマズイでしょ</p><p>男のヴァイオラの来日が組織から正式に命じられた業務でミス・コーデリアはそうじゃないってことですか</p><p>オレはわざと声に出して言った</p><p>あなたはあちらのヴァイオラの監査のためにいらしたのですね</p><p>そういうことよ困っちゃうわよね偉くなると脅す・殺す・壊す以外に、そういうメンドウな仕事もしなくちゃならなくなるから</p><p>ミス・コーデリアは苦笑する</p><p>はっきり言っておくけれど男の子２人には、あたし興味が無いから逃げてもいいわよ確実に殺してあげるけれど</p><p>ややめておきます</p><p>僕体力には自信が無いんです</p><p>そうそっちの子は</p><p>ミス・コーデリアがオレを見る</p><p>逃げませんよ寧さんたちを置いて、オレは逃げたりはしません</p><p>あら、勇ましいのねあなた</p><p>ギッとオレを睨む</p><p>あなた何者なのあなたの資料だけ、どこを探しても見つからないんだけど</p><p>そりゃあ、そうだろう</p><p>オレはただの高校１年生だ</p><p>黒い森と接触してからだって、まだ１週間も経っていない</p><p>彼は黒森家の人ですよ</p><p>香月健思が、そう言うが</p><p>違うわ黒森家に、こんな年齢の男の子はいないわ香月家とも、白坂家とも繋がりが無い</p><p>白坂家とは関係ありますよオレは雪乃のクラスメートですから</p><p>クラスメート</p><p>不機嫌そうな顔で、ミス・コーデリアは答える</p><p>よく判らないけれど度胸は認めるわあたしたちの会話を、通信機を介してマルゴ・スタークウェザーに聞かせようとするところなんてね</p><p>やっぱりバレていたか</p><p>構わないでしょうあなたが、オレたちから無線機を取り上げなかったのはいつでも、自由に連絡を取れるようにするためなんじゃないんですか</p><p>おそらくミス・コーデリアも情報を欲しがっている</p><p>オレたちがマルゴさんと話す言葉の内容から色々と情報を吸い出そうとしているんだ</p><p>だから無線機を回収しなかった</p><p>ふんあなただけ先に殺しておいた方がいいのかしら</p><p>ミス・コーデリアが、オレに殺気を向ける</p><p>や、やめてよっ殺すなら、あたしを先に殺してっ</p><p>大丈夫ですよ寧さんブラフですから</p><p>オレは、寧さんに微笑みかける</p><p>あらどうしてそう思うのかしら</p><p>ミス・コーデリアは表情を変えない</p><p>オレ今、ここに居る人間の中では一番、頭が悪いんですよ鈍いんですだからこんなにペラペラ喋っちゃってますよね</p><p>美智や寧さんならジッと黙ったまま、こっそりと反抗のための準備をする</p><p>そうやってオレを脅して、プレッシャーを掛けてオレに色々と喋らせるのが目的なんでしょオレ、お調子者でオッチョコチョイだから、本当に何でもどんどん喋っちゃうかもしれませんね気を付けないといけないなぁ</p><p>だから、オレはミス・コーデリアの気を惹き付ける</p><p>ホント、いい度胸だわ</p><p>ミス・コーデリアが銃を持っていない方の拳で、オレを殴る</p><p>避けない</p><p>オレは顔を殴られて、フッ跳ぶ</p><p>平気です寧さん</p><p>口の中に血の味が拡がる</p><p>馬鹿にするんじゃないよっガキがっ</p><p>ミス・コーデリアが、オレを罵る</p><p>おやおや、ミス・コーデリアともあろう人がまた、随分と余裕が無いみたいだね</p><p>マルゴさんの声がイヤホンから聞こえてくる</p><p>オレと同じ様に美智もここでの会話を、マルゴさんたちに送信していたらしい</p><p>うるさいわねっマルゴ・スタークウェザー</p><p>あたしが恭子さんから聞いていたミス・コーデリアはもっと冷静沈着でクールな女性だったけどね恭子さんの評価が高すぎたのかなそれとも恭子さんと離れてから、劣化しちゃったの</p><p>黙れって言っているでしょ</p><p>あたしたちが行くまでは、人質の安全は保障してくれるはずだったよね</p><p>この子が突っかかってきたのよ</p><p>ダウトだあなたたちの会話は、ちゃんと聞いていたからねミス・コーデリア</p><p>オレたちだってやられっぱなしじゃない</p><p>今のはあたしが悪かったわごめんなさい</p><p>ミス・コーデリアは、オレを殴ったことを素直に謝った</p><p>いいんですよあなたみたいな人に対して、わざと怒らせる様な態度で挑発したオレが悪いんだから</p><p>オレはそう言って、笑う</p><p>あたし男って嫌いなのだから、あたしの直属の部下はみんな女なのよ特に若い男の子は見ているだけで虫酸が走るわ</p><p>ミス・コーデリアは、憎しみの眼でオレを見る</p><p>マルゴ・スタークウェザー早く来なさいこの子は、あなたの見ている前で殺すわなぶり殺しにしてやる</p><p>判ったよそれまでは傷一つ付けないってことだよね</p><p>もちろんあなたのプライドに懸けて約束してくれるだろうね、ミス・コーデリア</p><p>約束するわ</p><p>じゃあ急いで行くから、待っててオーバー</p><p>寧さんも、美智もオレより、何十倍も頭がいいけれど</p><p>メンタルはそんなに強くは無い</p><p>だからミス・コーデリアの発するプレッシャーは、全部オレが引き受けるべきなんだ</p><p>それなら２人とも、心を落ち着けてこれからの対応を考えることができる</p><p>２人よりも、力も知能も劣るオレができるのは</p><p>度胸で２人を守ることだけだ</p><p>さあ、行くわよ</p><p>オレは立ち上がる</p><p>大丈夫、ヨッちゃん</p><p>寧さんと美智にオレは微笑む</p><p>平気ですから全然オッケーですよオレ</p><p>三連休で助かります</p><p>父が退院してくれたおかげで、毎日の自転車移動1時間もなくなりましたし</p><p>しかし、病院に通っていた時は毎日会話していたのに家に帰ってきた方が会話時間が少なくなっているのはどういうことだろう</p><p>昔、少年ジャンプに載った読み切りで大飢饉というのがあったんですが</p><p>作者は、本宮ひろ志先生です</p><p>大飢饉というタイトル通り、江戸時代の飢饉を扱った作品ですので、グロ場面も多いのですが</p><p>それ以上にヒロインのネトラレ・ハラボテ・出産エンドで</p><p>当時のジャンプは、凄かったです</p><p>今調べたんですが1981年の読み切りですね</p><p>少年誌でセックスを暗示する描写があるというのは具体的な描写は無いのですが、おっぱいぐらいは露出していたと思います</p><p>まあ少年マガジンの方は、その前に永井豪先生の凄ノ王でヒロインのレイプ・輪姦描写をすでにやっているんですが</p><p>いや、今週の少年マガジンで久しぶりに、セックスシーンがあったので、ふと思い出してしまいました</p><p>そういや、少年マガジンは今年２回目ですね、セックス・シーン</p><p>描写は昔と比べて、遥かに大人しいんですけれど</p><p>315．ワルキューレ</p><p>通路を何度も曲がり、階段を下りる</p><p>あるドアの前で、ミス・コーデリアは止まれと命じた</p><p>何だ客室のドアじゃない</p><p>通路と同じ白い色のペンキで塗られた、鉄製のドア</p><p>これって、ホテルの従業員用のドアだよな</p><p>何の部屋に続くドアなんだ</p><p>２人の部下に、英語で何か命じる</p><p>部下の一人が、オレたちの使っているのとは違う通信機で何か喋る</p><p>３０秒ほどすると部屋のドアが、カチリと開いた</p><p>中から顔を出すもう一人の黒マスクの戦闘員</p><p>４人目だ</p><p>これで、一番最初の襲撃の現場から消えた４人が全員揃ったことになる</p><p>ミス・コーデリアが、銃を突き付けてオレたちに命じる</p><p>４人の敵、４つの銃口を向けられたら従わざる得ない</p><p>オレたちは、ドアを潜り抜ける</p><p>そこは廊下だったが表の客が通る廊下とは違い、壁紙も貼っていないし、カーペットも薄い全体的に簡素な造りになっている</p><p>そっちよ</p><p>ミス・コーデリアに促されてオレたちは、廊下を進む</p><p>廊下の途中に幾つかのドアがあった</p><p>ドアの上に書かれていた文字第２楽屋</p><p>楽屋</p><p>そのまま、まっすぐ奥のドアの向こうへ行きなさい</p><p>そこは</p><p>小さな劇場の様になっていた</p><p>そのステージにオレたちは、上がる</p><p>ふふふここは、普段は映画の試写会や、記者会見とか、トーク・ショーに使う施設なんですって</p><p>ミス・コーデリアは笑って言った</p><p>ステージの真ん中に大きな籐の椅子が置かれていた</p><p>その椅子に向かって、天井と舞台前からライトの光が集まっている</p><p>ヤスコさんあそこに座りなさい</p><p>ミス・コーデリアは、寧さんに命じた</p><p>寧さんは震えている</p><p>オレが、寧さんの手を握ると</p><p>うんヨッちゃん大丈夫あたしは大丈夫だから</p><p>ふらふらとしながらも寧さんは、椅子に向かって歩き出す</p><p>そして籐の椅子に腰を下ろす</p><p>もっと、お尻を深くどっしりと座りなさい足は組んでもっと剛胆な感じにあなた、エマニュエル夫人て映画観たことない</p><p>ミス・コーデリアが寧さんに色々と、注文を付ける</p><p>うんまあ、そんな感じでいいかしら</p><p>携帯電話を取りだしミス・コーデリアは、パチリと写真を撮る</p><p>はい送信</p><p>誰に寧さんの写真を送ったんだ</p><p>すぐに、ミス・コーデリアの携帯が鳴る</p><p>ワルキューレの騎行</p><p>美智が、呟いた</p><p>この着信音ワーグナーです</p><p>そんなことを言われても、オレには判らない</p><p>ミス・コーデリアは、電話に出る</p><p>あら随分早い返信ねあなた、今、とっても忙しいんじゃないの</p><p>ミス・コーデリアは、電話機を外部スピーカー・モードにする</p><p>電話をしてきた相手の声がオレたちにも、聞こえる</p><p>何でニホンゴなんだ</p><p>男の声</p><p>何の話をしているのか、あなたの部下たちに知られたくないでしょうだからよ、ミスター・ヴァイオラ</p><p>電話の相手は男のシザーリオ・ヴァイオラか</p><p>別に部下に隠さなくちゃいけないようなことは何も無いぜ、オレにはな</p><p>あらそう予定とは違う展開続きで、あなたの部下たちは相当不満が溜まっている頃合いなんじゃないの</p><p>オレの部下は何の問題もねえ大きなお世話だ</p><p>だってまさかこのホテルが、こんなビックリドッキリ機巧満載のホーンテッド・マンションだとは思っていなかったでしょ</p><p>ああ確かにこのホテルは、呪われている《ホーンテッド》よあんたから貰った情報とは、全然違うじゃねぇか</p><p>男のヴァイオラはここが、ジッちゃんの対テロ対策が施された特殊施設だという情報を知らなかった</p><p>知らないで、突入してきたということは</p><p>男のヴァイオラと、ジッちゃんあるいは、谷沢チーフとの間に繋がりは無い</p><p>ごめんなさいねぇあたしたちも、まさかこんな建物だとは思っていなかったのよ</p><p>ミス・コーデリアは、クククと笑う</p><p>笑いごとじゃねぇおかげでこっちは何度も水浸しになったり、ガスを被ったり大変なことになっているんだ</p><p>悪いんだけど、辛い思いをしているのはあなたたちだけじゃないのよあたしたちが、あなたたちより先にホテルに潜入したことは判っているわよね</p><p>て、ことはあんたたちも</p><p>そーよ、酷い目に遭ったわよ水が降ってきたり、ガスとかならまだいいわ大量の小麦粉とか、金だらいとか、灯油缶とか、とにかく次々とトラップが仕掛けられているんだから</p><p>ミス・コーデリアの話は、嘘だ</p><p>そんなバラエティ番組みたいなトラップがあるか</p><p>いずれにせよ、このホテルの事前調査はあんたの仕事だったろう何だこりゃ、あらかじめ受け取っていたホテル内の見取り図が役に立たねえ何だって、このホテルはＲＰＧのダンジョンみたいになっちまっているんだ</p><p>そうなのよあたしたちも、ビックリしちゃっているのよ</p><p>ミス・コーデリアは、平然とそう言う</p><p>しかも、このダンジョンは探検して行ったって、別に宝箱があるわけじゃねえ出て来るのは、モンスターばかりだしかも、かなり頭のおかしいお笑い芸人みたいなやつなんだぞ</p><p>まっさかぁそんな人がいるわけないじゃない</p><p>嘘じゃねぇオレにしか判らない、昭和のギャグばっかり喋っているくせにアホみたいに強ぇぇんだよ何だ、あのファンキー・モンスターはいつから日本は、あんなブラック・ジョークな存在を許すようになったんだ</p><p>夢でも見たんじゃないの勤勉で、感情を表すことが苦手な日本人に、そんな愉快な戦闘者がいるわけないじゃない</p><p>だって、いたんだもんっ</p><p>もんて</p><p>本当に居たんだよっゼネラル・アバレンボーみたいな格好して、チョンマゲで、タロウ・ザ・ピーチ・サムライみたいなことを言いながら、オレたちを蹴散らかすゴールデン・モンスターがきっと今夜の夢に出る</p><p>えっとダダドムゥおじ様のことは、正直済まんとしか言いようがない</p><p>あの人は日本人としても例外だ</p><p>しかもロリコンなんだ</p><p>本当に、申し訳無い</p><p>とにかく水に、ガスに、サムライ・モンスターだこっちの被害は甚大だぜおかげで下っ端の連中が、相当ムカムカきていやがるみたいだ正直士気に差し障っているマズイ状況だ</p><p>ダダドムゥおじ様意外と効果が出ているんだな</p><p>まああんな格好の人の異常行動で</p><p>ヴァイオラの部隊は丸まる、いいようにされちゃったんだからそりゃ、部下は動揺するよなあ</p><p>３０対１の闘いで、あっという間に１０人、倒されてそのまま、無傷で脱出されちゃったんだから</p><p>地獄の様な悪夢だな文字通り</p><p>オレも昔、日本に住んでいたことがあるがニンジャは全部死滅したって聞いていたぜあの話は嘘かやっぱり、ニンジャの里は現存するのか</p><p>そんなの、あたしは知らないわよあたしも前にキョーコに聞いてみたことがあるけれどあの人は笑って、教えてくれなかったわでも、あたしはキョーコの技は、ニンジャの伝統技術だと思っているからニホンには、まだニンジャはいると思うわよ</p><p>ごめん、ミスター・ヴァイオラさっきも言ったけれど、あたし今、忙しいのニンジャの話なら、また今度にしてくれるそれまでに、調査部に調べさせておくから</p><p>ニンジャなんてのは、どうでもいい</p><p>自分から話を振っていたくせにヴァイオラはキレる</p><p>ふーん、じゃあ早く、話の本題を言って</p><p>ミス・コーデリア、あんたが今、オレに送信して来たこの写真これは何なんだ</p><p>ヴァイオラは、怒気を込めて言った</p><p>見ての通りよナジマ・ヤスコは、あたしたちが確保したわ一応、あなたにお知らせしておこうと思って</p><p>確保所在地を確認したんじゃなくって、あんたが確保したんだな</p><p>ミス・コーデリアは、ニヤッと微笑む</p><p>ええ、そうよここにいるわ香月家のセキュリティとも分断したの完全にあたしたちの部隊で身柄を抑えているわ</p><p>ヴァイオラの声色が、変わる</p><p>何だよそれを先に言ってくれよ</p><p>あら、わざわざ写真を送信してあげたじゃない</p><p>これじゃあ居場所を見つけたのか、身柄を抑えたのか判らねぇじゃないかオレはてっきり、ヤスコの居場所が判ったんだと思ったから</p><p>慌ててミス・コーデリアに連絡してきたのか</p><p>いやあ、お手柄だ助かったぜミス・コーデリア恩に着る</p><p>ミス・コーデリアは、ケロッとして答える</p><p>え連れてきてくれるんだろオレたちの所まで、ヤスコをなあに、ヤスコの身柄さえ押さえちまったら、ヤスコを人質にしてこのホテルから撤退できる</p><p>あら、あなた他の用件はどうするの</p><p>ヴァイオラは白坂家の反抗勢力と、白坂家の家族、それとおそらく香月グループの重役の一部の殺害を請け負っている</p><p>オレたちが撤収した段階で、ホテルごとフッ飛ばす１階の何本かの柱を一斉に爆破すればホテル全体が一気に倒壊するってことは、あらかじめ計算してあるんだ建物全隊が崩壊すれば、上の方の階にいる連中は、絶対に助からねえだろう</p><p>されるわけにはいかない</p><p>たくさんの犠牲者が出るわね</p><p>今夜、このホテルの中に居たやつが悪いんだよ運が悪いっていうより、自業自得だな</p><p>あなたの他の部隊の人たちには撤退指令を出すの</p><p>ロシアの連中かいあいつらは最初から弾避けにするために呼んだんだオレたちが逃げ切るまで、抵抗を続けて貰うよそれでガレキの下敷きなってくれれば、一石二鳥だ今夜の日当を支払わずに済むからな</p><p>ヴァイオラは自分が連れて来たロシア人たちを見殺しにする気が</p><p>ふーん、そういう考えなのねあなた</p><p>ミス・コーデリアは、笑みを崩さない</p><p>あんた今、何階に居るんだ</p><p>２１階よ</p><p>じゃ、待っているからヤスコを連れて、とっとと降りてきてくれ</p><p>そういうヴァイオラにミス・コーデリアは</p><p>お断りよ</p><p>あたしはここに居るからあなたが、ここまで引き取りに来なさいシザーリオ・ヴァイオラ</p><p>手前オレを舐めてんのかっ</p><p>そうねどっちかっていうと、馬鹿にしているわね</p><p>この野郎《ファッキン・ビッチ》ブッ殺すぞ</p><p>あなたさあたしが何だか判っているわけ</p><p>関係ねぇだろオレは、お前より組織の中には長くいるんだぞ</p><p>そうよ、組織のことを考えなさいあたしは、監査部今回は、あなたの不祥事の監査に来ているのそりゃ、ちょっとぐらいは手助けもしてあげるけれど、一番大切なところはキチッと自分でキメなさい</p><p>組織の中ではヴァイオラとミス・コーデリアは、違う立場に居る</p><p>このまんまだとナジマ・ヤスコを確保したのはあたしってことで、報告しないといけなくなるんだけれどそしたらあなたは、ロサンゼルスに戻っても、結局無能って烙印を押されて組織に処分されることになるわそれでもいいの</p><p>小娘が舐めた口叩くと、承知しねぇぞ</p><p>あたしにそんな脅しは効かないわよ組織にとって、あなたはシザーリオ・ヴァイオラの一人でしか無いけれど、あたしはたった一人のミス・コーデリアですからね</p><p>判ったわあなたとの通話は、これで打ち切りますこれ以降は、ロレンザッチョ・バンディーニと話すことにするわ</p><p>その瞬間ヴァイオラの態度が変わる</p><p>待ってくれそれはオレを見捨てるってことか</p><p>監査部に従わないんじゃあ組織から、切り捨てられても仕方無いでしょあなたの指揮権を剥奪して、ロレンザッチョ・バンディーニに引き継がせますあなたたちの部隊は撤収ナジマ・ヤスコの身柄はすでに押さえてあるし残りの仕事も、あたしの監査部隊でやっておくわ１０人ぐらいの暗殺なんて、容易いことだもの</p><p>この迷路みたいになっているホテルの中でターゲットを全員殺すっていうのか</p><p>あんたたちにはできないでしょうけれどあたしには、できるわ</p><p>ミス・コーデリアの笑みには、狂気の色が見えた</p><p>今、この段階であたしたちは、あんたたちに先行して上階まで入り込み、ナジマ・ヤスコを確保しているあなたたちより、あたしたちの方が遥かに優秀だってこと、あんたの干涸らびたカランコロンの脳みそでも判るでしょ</p><p>オレたちの大部隊の襲撃を陽動に使ったんだろ</p><p>だから何あたしたちの商売は、結果が全てよいいかげんになさいっ</p><p>ミス・コーデリアは、キッパリと言う</p><p>そうねあたしたちは、２１階の星の間っていう部屋にいるわだから、あんたは自力で上ってきなさい</p><p>もうちょっと下まで降りて来いよなあ</p><p>ダメよ２１階まで、ナジマ・ヤスコを取りに来なさいあたしは、妥協してあげているのよ実際にヤスコを確保したのは、あたしたちなんだからでも、あなたたちの力で、その部屋まで来られたらヤスコは、あなたに渡してあげるし全て、あなたの功績として組織に報告してあげるわ</p><p>男のヴァイオラは</p><p>そんな口聞いてもいいのかいオレはこのまま１階へ下りてあんたたちが残っているまま、ホテルを倒壊させることもできるんだぜ</p><p>ミス・コーデリアは、負けない</p><p>へえあんたそんな大部隊を引き連れたまま、簡単に１階まで降りられると思っているの</p><p>不敵に意地の悪い笑みを唇に浮かべる</p><p>あたしたちは小部隊だしあんたの知らない秘密の通路を知っているのよあんたが部隊を反転させて、１階へ向かうようならあたしたちはさっさとこのホテルから撤収するわそれこそ、あんたたちがモタモタしている隙に、さっさと脱出するわよそれと言っておきますけれど、あんたたちが１階に爆弾を仕掛けるのなんて、まず無理だから</p><p>どうしてだ</p><p>ヴァイオラの太い声が尋ねる</p><p>さっきのサムライ・モンスター今、１階に居るのよあんたたちが降りてきたら、また相手をしてくれるわよ</p><p>そうだダダドムゥおじ様は、今は１階で待機している</p><p>谷沢チーフだって、ホテル倒壊の危機となれば、ダダドムゥおじ様に再出撃を命じるだろう</p><p>おっじゃまじゃまじゃまぁ－、おじゃまんがっ</p><p>ヴァイオラは、軽いパニックに陥ったらしい</p><p>ちきしょうっ判ったお前らの所まで行けばいいんだろっ２１階だな</p><p>逆ギレするヴァイオラ</p><p>星の間よね、ニホンゴで話して良かったでしょこんな下らない話、あなたの部下に聞かれるわけにはいかないものねぇ</p><p>ミス・コーデリアは、さらにヴァイオラを小馬鹿にする</p><p>待ってろすぐに行くヤスコだけじゃねぇお前も、ブッ殺してやるから覚えていろ</p><p>はいはい、待ってるから急いで来なさいねバイバーイ</p><p>ミス・コーデリアは、電話を切った</p><p>馬鹿な男よねこのホテルの中に誘い込まれた段階で、すでに負けているっていうのに</p><p>だって、そうでしょこんな変な機巧だらけのお化けホテルよさっき、ヴァイオラはＲＰＧのダンジョンみたいって言っていたけれどダンジョンなら、落とし穴は付きものよね</p><p>落とし穴</p><p>あたしは、このホテルの設計図から施工時の変更箇所まで全部調べたわこのホテルは、迷路化したり、催涙ガスが噴霧できるだけじゃないのそれこそ、落とし穴だってたくさんあるし廊下と廊下を防火壁で閉じきって、本物の殺人ガスを散布することもできる今、制御室に居る人は、わざとシザーリオ・ヴァイオラの部隊を生かしているのよ彼らを全滅させることなんて、簡単なんだから</p><p>谷沢チーフがわざとやっている</p><p>ヴァイオラは、１階の主要な柱を爆破したらホテルを倒壊させられると思っているみたいだけれどそれも無理このホテルが普通の建築物だと想定すれば、そんなことも可能だと思ったんでしょうけれどこのホテルは、柱の材質からしてモノが違うからホテルで使うような建材じゃないのよちょっとした要塞よね、ここヴァイオラが持ち込んできた爆弾ぐらいじゃ、ビクともしないわ</p><p>ジッちゃんが指示して造ったこのホテルはそこまで強固なんだ</p><p>あなたの目的は何なんですか</p><p>今のミス・コーデリアとシザーリオ・ヴァイオラの電話で色んなことが判った</p><p>ミス・コーデリアとヴァイオラは、同じ組織の人間だが</p><p>共闘はしていない</p><p>聞いていたでしょあたしは監査部の人間なのヴァイオラの監査に来ただけなのよ</p><p>それをどうして、オレたちに知らせるんですか</p><p>そうだヴァイオラとの電話内容を、わざわざオレたちに聞こえるようにして</p><p>暇つぶしよただの</p><p>ミス・コーデリアの笑みは、消えない</p><p>こうやって、あちこち突っついたりしてみないとただ見ているだけの監査は、退屈だからね</p><p>そうじゃないよねっ</p><p>寧さんが籐の椅子に座ったまま、言った</p><p>あなた恭子さんに会いたいんでしょっ</p><p>そうだミス・コーデリアは</p><p>恭子・ドスノメッキーさんの昔のパートナーだった</p><p>まあね個人的な思いとして、それもあるわ</p><p>ミス・コーデリアは、あっさりと認めた</p><p>あたしはキョーコに会いたいそして</p><p>ミス・コーデリアの唇が、ニッと歪む</p><p>あたしの手で殺してやりたいのよ</p><p>殺す</p><p>あなたは恭子さんのこと、好きなんじゃないのっ</p><p>寧さんの言葉に、ミス・コーデリアは</p><p>ええ、愛しているわだから、殺すそれだけよ</p><p>クククと、ミス・コーデリアは大きく笑う</p><p>あなたたちを捕らえていれば、いずれキョーコはあたしの前に現れるわあたしはそれを待っているの</p><p>恭子さんは、来ないわよっあの人は今、日本に居ないんだからっ</p><p>そうかしらあたしの調査では、昨日の夕方にはキョーコは日本に入国しているわ</p><p>ナジマ・ヤスコ、それから、マルゴ・スタークウェザー、クロモリ・ミナホこの３人にピンチになったらキョーコは絶対に、姿を現す</p><p>それがミス・コーデリアの本当の目的か</p><p>さてミスター・ヴァイオラがこの部屋に来るまで、退屈よねえ</p><p>ミス・コーデリアが、オレたちを見る</p><p>誰かここでセックスしなさい</p><p>あたしにセックスしている姿を見せなさいって、言っているのよ</p><p>さて、三連休なので明日はセックス・シーンです</p><p>この辺でやっておかないと</p><p>それと、旧作を一本ぐらいアップしたいと思っているんですけれど</p><p>本当は、お盆ぐらいにする予定だったのですが、父の入院で伸び伸びになっていたやつで</p><p>なろうの方ですね</p><p>今夜中に、直しが終わったら、アップします</p><p>316．頭突き</p><p>あら確か、あなたたちは売春組織の人間なんじゃないのセックス・ショーぐらい演じてくれてもいいんじゃない</p><p>ミス・コーデリアは、黒い森《ブラック・フォレスト》についても調べ尽くしているらしい</p><p>残念だけどここに娼婦はいないからっ</p><p>て言うか、僕は黒森さんのトコとは無関係ですし</p><p>香月健思が、余計なことを言う</p><p>あら、そうなのじゃあ、先に死ぬ</p><p>ミス・コーデリアは、平然と言った</p><p>いや、あのそういうつもりで申し上げたのではありませんぼ、僕は香月家の人間ですから</p><p>あなた、お名前は</p><p>ギロリと、ミス・コーデリアは香月健思を睨んだ</p><p>こ香月健思です</p><p>知らないわねそんな名前は、殺害要請のリストにも無いし、保護すべき人物のリストにも無いわ</p><p>保護すべき人物のリスト</p><p>つまりあなたは、ここで殺しちゃっても構わない人ってことよね</p><p>そんなこ、困ります</p><p>あらせっかく日本まで来たんだもの１人ぐらい殺さないと、わざわざ来た甲斐が無いって、うちの子たちも言っているわ</p><p>ミス・コーデリアが２人の黒戦闘服に英語で何やら言う</p><p>下卑た笑いを零す２人</p><p>女の声やっぱり、白い女のヴァイオラたちか</p><p>もう一人この部屋で待っていた方の戦闘員は何も喋らない</p><p>ただ落ち着いて、オレたちに銃を向けたままだ</p><p>本当にこいつは何者なんだ</p><p>ミス・コーデリアと親しい雰囲気の女のヴァイオラたちと比べて妙に緊張しているけれど</p><p>まあいいわ香月健思さんの処遇は、そのうち考えるとしてセックス・ショー、やりなさいあたしたち、退屈で死にそうなんだから</p><p>寧さんが、ミス・コーデリアを睨む</p><p>あたしたちを愚弄するつもりなんだねっ</p><p>当たり前でしょあたし、あなたたちが大嫌いなのよ</p><p>ミス・コーデリアは、フフフフと笑う</p><p>キョーコみたいな人を売春組織の用心棒《バウンサー》にするなんて、あんたたちは彼女の価値が全く判っていないわよね</p><p>恭子さんは、用心棒じゃないよっあたしたちの仲間なんだからねっ</p><p>なら、尚更よ売春婦の身内になったキョーコなんて、絶対に許せないわあたしが、キッチリお仕置きしてあげないとね</p><p>かつて、恭子・ドスノメッキーさんのパートナーだった、ミス・コーデリア</p><p>彼女には、恭子さんに対する複雑な愛憎があるらしい</p><p>いいいから、早く始めなさいあたしの前で盛りのついたイヌみたいにまぐわいなさいよっ笑って見ていてあげるから</p><p>とにかくオレたちを貶めたいんだな</p><p>オレたちの心を折ろうとしているんだ</p><p>始めないのなら、この男から殺すわまあ、あなたたちの仲間じゃないらしいから、彼が死んでもあんたたちは別に痛くもかゆくも無いでしょうしね</p><p>ミス・コーデリアは、銃を香月健思に向ける</p><p>ややめて下さいっ</p><p>わ、判ったわよっあたしがするから</p><p>あたしが、あなたたちの前でセックスすればいいんでしょ</p><p>ヨッちゃん、お願い</p><p>寧さんは、まだ処女だ</p><p>初めてが、こんな場所だなんて</p><p>あなたはダメよナジマ・ヤスコ</p><p>あなたは、ミスター・ヴァイオラの景品なのよあなたを求めて、ミスター・ヴァイオラは今、奮闘しているんだからあなたがメチャメチャにされるのは、彼が来てからよ何しろ、ヘンタイ的なセックスが大好きな連中が一個小隊でやって来るんだから</p><p>冷たい眼で、ミス・コーデリアは笑う</p><p>あなたは、彼らに犯されるのよその前に手を出したら、あたしがミスター・ヴァイオラに怒られちゃうわ</p><p>ミス・コーデリアにとって寧さんは、ミナホ姉さんやマルゴさんと一緒に自分から恭子さんを奪った対象になっているんだ</p><p>だからこのセックス・ショーの要求も、寧さんを苦しめるためにやっている</p><p>ということだからセックス・ショーは他の子でやってちょうだい</p><p>他の子美智と雪乃</p><p>ご主人様、わたくしは構いません</p><p>ダメだよミッちゃん</p><p>寧さんが、叫ぶが</p><p>ご心配には及びませんわたくしは、すでに身も心もご主人様に捧げていますどんな場所でも、誇りを失うこと無く、ご主人様にご奉仕致します</p><p>凛とした声で、美智は言った</p><p>そう言ってくれるのは、とても嬉しいけれど</p><p>でも、美智</p><p>それじゃあ、ダメなんだ</p><p>それは、ミス・コーデリアの求めているものではない</p><p>ミス・コーデリアは、オレたちが絶望に泣き喚く姿を求めているんだから</p><p>苦難の中でも、美智が凛とし続けていたら</p><p>オレたちに、もっと酷い要求をしてくることは判っている</p><p>オレたちを嘆き悲しませるためだけに、香月健思をなぶり殺しにするぐらいのことはするだろう確実に</p><p>美智、今はお前じゃない</p><p>お前の力を見せるのは、今じゃない</p><p>美智とオレの眼が合う</p><p>なあにこの子の力って</p><p>ミス・コーデリアが、オレたちに割り込んできた</p><p>こいつはまだセックスに慣れていないんですよだから、自分の世界に入り込んでしまうショーとしての、見世物になるようなセックスにはなりません</p><p>ここで、オレとセックスしたら</p><p>美智はまた、オレと心と心がシンクロしてしまうかもしれない</p><p>気の同調をミス・コーデリアには見られたくない</p><p>美智の気の力を、気付かれてはいけない</p><p>奥義心月は、オレたちの最後の切り札なのだから</p><p>とういうわけでお前の出番だ、雪乃</p><p>あたしぃ</p><p>不機嫌な顔で雪乃は答えた</p><p>お前だって判るだろここで、戦闘要員の美智の体力を消耗させるわけにはいかないってことはさ</p><p>美智が戦闘要員だってことは、オレたちが廊下を進んでいたときのフォーメーションと実際の戦闘で、ミス・コーデリアにはバレている</p><p>もちろん、だからと言ってミス・コーデリアの前で断言するのは馬鹿げている</p><p>だけど仕方が無い</p><p>雪乃の頭の悪さは、底抜けなんだから</p><p>はっきり言わないと、こいつは判ってくれない</p><p>こちらの気持ちを察するってことの無い女なんだからこいつは</p><p>だからって何であたしなのよっ</p><p>寧さんはダメで、美智も無理なら、お前しかいないだろ</p><p>あたしは嫌よだいたい、あたしはあんたたちの仲間じゃないんだからっ</p><p>今だけ入れてやるよ、特別にっ</p><p>いいです結構ですあんたの仲間なんて、死んでもゴメンよっ</p><p>なら、お前、先に殺されるかえ、白坂雪乃</p><p>その瞬間雪乃は、自分が殺されるべき人間のリストに入っていることを思い出す</p><p>香月健思さんよりも、お前の方には殺される理由があるんだよっギャーギャー喚いていたら、すぐに処分されるぞセックス・ショーでも何でもして、この人たちに媚を売らないといけないのはお前の方じゃ無いかっ</p><p>そうだ今のままでは、絶対に雪乃は殺される</p><p>何もしなければ今すぐだって</p><p>わ判ったわよ</p><p>やればいいんでしょやればいいわよ、どうせ全校生徒にだって観られているんだし今更、セックス・ショーぐらい恥ずかしくないわよっ</p><p>雪乃は口ではそう言うが</p><p>すでに眼に涙を溜めていた</p><p>プライドの高い名家の娘白坂雪乃</p><p>何度、酷い目に遭わされても心が屈しない少女</p><p>本当は嫌なんだ</p><p>こんな場所で見世物として、オレとセックスすることが</p><p>だが今は</p><p>これしか窮地を乗り切る手立てが無い</p><p>さっき、寧さんが写真を撮られた籐の椅子にオレと雪乃が進み出る</p><p>照明のライトが前方と真上から、オレたちを照らしている眩しい</p><p>さあて楽しませてちょうだい</p><p>寧さんたちは観客席に座らされている</p><p>舞台の左右から白いヴァイオラたちが、全員を監視している</p><p>ミス・コーデリアは、もう一人の黒服の戦闘員に英語で何か命じた</p><p>と戦闘員は、舞台の横に置いてあった冷蔵庫から、コーラの缶を出して、ミス・コーデリアに手渡した</p><p>何だってそんな所に、冷蔵庫があるんだ</p><p>何よこれアメリカのコーラと味が違うじゃない</p><p>缶を開けて、一口飲んでミス・コーデリアは文句を言う</p><p>何でも希望の物を用意するって言ったくせに気が利かないわね、あの人たちアメリカ製のコーラぐらい、簡単に見つけてこられるでしょうに</p><p>ミス・コーデリアの要求で、冷蔵庫に物が入れられ置かれていたというのなら</p><p>やはりこの小劇場は</p><p>ミス・コーデリアたちの待機所として、あらかじめ用意されていたんだ</p><p>ここは２１階</p><p>谷沢チーフが設定した、絶対防衛ラインにある</p><p>ここに待機所が用意されているというのは余りにも、準備が良すぎる</p><p>１階で姿を消したミス・コーデリアたちが、その後ホテル内を自由に行動しているのも見逃している人間がいるからだ</p><p>つまり、ホテル内の監視システムの全てを制御している人間</p><p>谷沢チーフ</p><p>これで谷沢チーフとミス・コーデリアの癒着は確定だ</p><p>もう一度、頭の中を整理しておこう</p><p>まず確実なこと</p><p>谷沢チーフとミス・コーデリアはどうやら、裏で繋がっているらしい</p><p>一方ミス・コーデリアと男のヴァイオラは、同じ組織の人間だが共闘はしていない</p><p>だから谷沢チーフと男のヴァイオラは、繋がっていない</p><p>谷沢チーフが、工藤父たちを使って男のヴァイオラと闘っているのはガチだ</p><p>ということで工藤父たちを疑う必要は無い</p><p>ミス・コーデリアは、ヴァイオラの監査に来ていると言っていたが、それが具体的にどんなことなのかは判らない</p><p>しかし、ミス・コーデリアは個人的に恭子さんに会いたいと思っている</p><p>また、恭子さんへの愛憎からオレたち黒い森のことは嫌っている</p><p>続いて判らないこと</p><p>谷沢チーフの目的これは、全く不明だ</p><p>どうして、ジッちゃんを裏切ったのかもちろん、谷沢チーフの行動は全てジッちゃんの意志に従っていて、ジッちゃん自身がオレたちを裏切っているという可能性もまだある</p><p>オレ個人としてはジッちゃんを信じているけれど</p><p>そのジッちゃんとミナホ姉さんの行方今、どこに居るんだろう</p><p>どうして急に姿を消さなければならなかったのか</p><p>その理由も判らない</p><p>男のヴァイオラの部隊の謎</p><p>何故、指揮はロレンザッチョ・バンディーニが執っているのか</p><p>男のヴァイオラの役割は何なのか</p><p>そして今、目の前に居る４人目の戦闘員の正体</p><p>ミス・コーデリアのチームの一員とは思えないが、彼女の命令には従っている</p><p>こいつは誰なんだ</p><p>希望あるいは、心配しなくていいこと</p><p>地下の緊急避難室に居る人たちに関しては、安全だと判断していい</p><p>ジッちゃんが警護人を残さずに脱出した以上、護りは完璧なんだろう</p><p>だから今は、みすずたちのことは心配しなくていい</p><p>逆に心配するべきこと</p><p>今、この部屋に居る人間特に寧さんのこと</p><p>それから、オレたちを救出するために、この部屋に向かって来ているはずのマルゴさんたち</p><p>谷沢チーフ配下の香月セキュリティ・サービスに、再襲撃されているのではないか</p><p>それと、男のヴァイオラたちの軍勢と闘っている工藤父たち</p><p>ミス・コーデリアは、男のヴァイオラが２１階のこの部屋にまで到着すると信じているようだ</p><p>だとしたら谷沢チーフが、工藤父たちを陥れる可能性が強い</p><p>何、ボサッとしているのっ早く始めなさい</p><p>ミス・コーデリアの声に、オレはハッとする</p><p>しまった、すっかりボケっとしていた</p><p>ヨッちゃん、雪乃ちゃんゴメン</p><p>寧さんがオレたちに、そう言ってくれる</p><p>こんな場所で晒し者になることを自分のせいだって思っているらしい</p><p>気にしないで下さい、寧さんオレたち、観られてするの大好きなんですから</p><p>寧さんの心を和らげたくてオレは、そう言った</p><p>あんたは、そうかもしれないけれどあたしは違うわよっ</p><p>雪乃が、憎しみの眼でオレを見る</p><p>いいからさっさと脱げよセックス・ショーじゃなくって、レイプ・ショーになっちまうぜ</p><p>オレは腹を括って、雪乃に言う</p><p>その方がお得意でしょあんたはさ</p><p>オレは別に構わないけれどお前、オレにレイプされた後、ずっとビリビリに破れた服でホテルの中を歩くつもりかよ</p><p>力尽くで破かれたくなかったら、早く脱げって言ってるんだよ</p><p>オレは、雪乃を恫喝する</p><p>あ、あの人あんな性格だったんですか</p><p>香月健思が、オレの豹変に驚く</p><p>ご主人様は、やるべき時には徹底的にするお方です</p><p>そうよ、ヨッちゃんは肝の据わった子なんだから</p><p>こんな時にそんなことを言われると、ちょっと困る</p><p>ぬ、脱ぐわよっ脱げばいいんでしょ</p><p>オレに大声で怒鳴られた雪乃は、すでに半べそになっている</p><p>本当に申し訳無いが助かる</p><p>何でもかんでもすぐに感情を垂れ流して、表情豊かな雪乃は</p><p>セックス・ショーのヒロインとしては、最適だ</p><p>ミス・コーデリアのご希望に沿うだろう</p><p>これが美智なら</p><p>美智は最初から最後まで屈辱に耐え無表情で我慢するだろう</p><p>根性は据わっているが見世物にはならない</p><p>あ、あたし男には興味が無いから、その後ろの方で脱いでなさいシラサカ・ユキノさんは、前でライトの光の中で、あたしたちによく見える様に脱ぎなさい</p><p>ミス・コーデリアは、雪乃にストリップを命じる</p><p>ほら、雪乃</p><p>オレは雪乃を前に押し出す</p><p>わ、判っているわよっ</p><p>雪乃は、潤んだ眼でオレを睨む</p><p>音楽でも欲しいわねエディ</p><p>ミス・コーデリアは、４人目の戦闘員に声を掛けた</p><p>４人目はエディって言うのか</p><p>英語で何やら命じる</p><p>エディは、さっと劇場の観客席の後方へ行った</p><p>そして、音響機器を操作する</p><p>さあ音楽に合わせて、踊りながら脱ぎなさい</p><p>スピーカーから、何やら変なダンスミュージックが流れる</p><p>ほらっ早く</p><p>ボロボロと涙を零しながら雪乃は制服を脱ぎ始める</p><p>雪乃は被虐の表情に色気がある</p><p>ミス・コーデリアは、満足げに雪乃のストリップを観ている</p><p>いいわ、あなた才能があるわよっラスベガスのお店を紹介してあげましょうかううんあなたじゃ、ラスベガスは似合わないわねそうね、もっと場末の品の無いお店の方がいいわティファナとかね国境付近のメキシコ人とかに喜ばれるわよあなたみたいな下品な女の子のストリップは</p><p>楽しそうに雪乃の脱衣を笑う、ミス・コーデリア</p><p>こんな風に女の子を見下すのが好きなんだろう</p><p>性格が良く判る</p><p>ミス・コーデリアの２人の部下白い女のヴァイオラとロザリンドも、楽しそうに雪乃を観ている</p><p>上司と趣味は同じか</p><p>問題なのは、エディだけだな</p><p>雪乃は裏の世界の人間じゃない</p><p>今、現在させられていることに精一杯でしかも、怒りと恥ずかしさで感情が爆発しそうになっている</p><p>だから最高の見世物として、ミス・コーデリアに饗される</p><p>うまくいけば隙が生まれるはずだ</p><p>客席で、美智がオレを見て小さく頷いている</p><p>美智は判っている</p><p>もちろん、寧さんも</p><p>ごめんねっ雪乃ちゃんごめんっ</p><p>これまで散々、雪乃が犯される現場を見て来た寧さんが</p><p>申し訳なさそうに、雪乃に謝罪する</p><p>これはフェイクだ</p><p>ミス・コーデリアを油断させるための</p><p>オレたちの潜ってきた修羅場は半端じゃない</p><p>ヨッちゃんもゴメン</p><p>寧さんの眼が訴えている</p><p>判っています判っていますから</p><p>そんな寧さんの手を、美智がギュッと握っている</p><p>美智ちゃんと寧さんの心のフォローをしてくれている</p><p>いつでも、反撃の準備はできている</p><p>後は、オレと雪乃が隙を作るだけだ</p><p>オレは急いで、服を脱ぐ</p><p>ちくしょうちくしょうバカァァ</p><p>泣きながら雪乃は、セーラー服の上を投げ捨てた</p><p>スカートをストンと落とす</p><p>下着だけの姿になる</p><p>オレもさっさと、パンツ一丁になる</p><p>あーら、おっぱいは小振りだけれどなかなか可愛い身体をしているじゃないっ</p><p>ミス・コーデリアは雪乃のスタイルを見て、そう言った</p><p>ほら次は、下着よ早くなさいっ</p><p>音楽とライトの光の中で雪乃はブラジャーのホックに、手を廻す</p><p>パツッと背中のホックが外れると同時に、雪乃のおっぱいが弾ける</p><p>桜色の乳首を見るのは今朝以来か</p><p>２人の白いヴァイオラたちから、嬌声が起きた</p><p>本当に場末の観光地のストリップ嬢を見ている様に、雪乃の裸を笑っている</p><p>ほらほら下も脱いで</p><p>涙を零しながらミス・コーデリアを睨む、雪乃</p><p>何やっているの早く</p><p>雪乃は白いパンティに手を掛け、一気に脱ぐ</p><p>何それおかしなタトゥをしているのね、あなたそれに、下の毛は剃っているの</p><p>雪乃の陰毛は数日前に、オレが剃った</p><p>そして下腹部には吉田という消えないタトゥが彫られている</p><p>それ何て言う文字だったかしらヨシ、タヨシタって何あなたの恋人の名前</p><p>ミス・コーデリアの言葉に、雪乃は</p><p>あたしが世界で一番嫌いな男の名前よっ</p><p>涙を零しながら、絶叫する</p><p>ふーん、どうしてそんな男の名前を彫っているわけ</p><p>忘れないようによこの憎しみの気持ちをねっ</p><p>雪乃は自分の下腹部にギュッと手を当てる</p><p>そうまあ、何でもいいけれどそっちの子は準備できたの</p><p>オレは、黙ってパンツを脱ぎ勃起しているペニスを露わにする</p><p>まあやる気満々ねさすが、売春組織の男ね</p><p>ミス・コーデリアにはオレを黒い森のチンコ奴隷ぐらいに思わせたい</p><p>彼女の警戒心を緩ませるためなら</p><p>エディ</p><p>ミス・コーデリアが、エディに音楽を返させる</p><p>軽妙なダンス・ミュージックからしっとりとしたバラードに音楽が変わる</p><p>じゃあ、始めて</p><p>ニタッと微笑むミス・コーデリア</p><p>２人の白いヴァイオラたちもオレたちを見ている</p><p>オレは、裸のまま雪乃の前に廻り込む</p><p>雪乃は、自分の股間と胸を手で隠していた</p><p>顔は羞恥に真っ赤に染まり眼は涙でグショグショだ</p><p>雪乃するぞ</p><p>オレが、雪乃の顔にキスしようとした瞬間</p><p>こっのぉぉぉッッ</p><p>ズガゴォッ</p><p>雪乃が、オレの額に頭突きをかました</p><p>痛ぇぇぇッッ</p><p>全裸の雪乃が、憎しみの眼を見開いてオレを見ている</p><p>嫌よっやっぱり、こんなの嫌よっ</p><p>ふざけんなっこのっ</p><p>オレも雪乃の額にゴツンと頭突きするッ</p><p>痛ッたぁぁい何をすんのよっ</p><p>ゴツッッ</p><p>また雪乃が、オレに頭突きするッッ</p><p>手で殴ったり、叩いたりしたら</p><p>そういうあからさまに反抗的な態度を取ったら、ミス・コーデリアの不興を買うことは判っている</p><p>オレも、雪乃も</p><p>だから、オレたちお互いの頭を頭突きし合うしか無い</p><p>痛いわよっいい加減にしなさいっ</p><p>そう言いながら、また雪乃はオレで本気の頭突きをカマす</p><p>お前こそっ</p><p>オレも雪乃に頭突きし返す本気で</p><p>ミス・コーデリアは</p><p>ゲラゲラと笑っている</p><p>白いヴァイオラたちも</p><p>でも、ダメだこれぐらいじゃあ、隙は生まれない</p><p>こんちくしょうっ</p><p>オレは、雪乃に足払いを掛けて、スッ転ばせる</p><p>そして彼女の裸体に覆い被さる</p><p>セックスは次話で行き着けなくて済みません</p><p>でも、ちゃんと最後までやりますので</p><p>いいとこで止めることは無いですから、もう一日お待ち下さい</p><p>旧作の直しは、まだ終わっていません</p><p>昔の作品を直すというのは、昔の自分に向き合うということでなかなか辛いです</p><p>317．オレと雪乃のミラクル・セックス・ショー</p><p>痛いじゃないのっ馬鹿っ</p><p>オレに押し倒されて背中から倒れた雪乃が、オレに怒鳴る</p><p>うるせぇなっ黙ってろよ、バカッ</p><p>オレも、雪乃に怒鳴る</p><p>上からのし掛かってああ、雪乃が逃げる</p><p>逃げんなよ、このっ</p><p>オレは、雪乃の身体を押さえにかかる</p><p>何よ、何よ、何よこのぉぉっ</p><p>もう、こうなったら頭に来た</p><p>こんのやろッッ</p><p>横四方固めだぁぁッッ</p><p>ちょっとちょっと、どこ触ってんのよっこの馬鹿ッッ</p><p>こんちくしょうッッ</p><p>痛たたたたたたッッ重いわよっどきなさいよ馬鹿ァッ</p><p>オレの身体の下で、ドテドテとのたうち回る雪乃</p><p>ミス・コーデリアは、笑っている</p><p>女のヴァイオラたちも笑っている</p><p>るーるる、るーるーるー</p><p>今日も良い天気だと良いなあ</p><p>このっ、バカッ</p><p>ゴツン</p><p>また雪乃に下から頭突きされた</p><p>痛ぇな、これ以上馬鹿になったら、どうすんだよっ</p><p>もういいから死んじゃいなさいよっあんたなんて、頭が砕けて死ねばいいのよ</p><p>オレたちの怒鳴り合いを見て香月健思が呟く</p><p>雪乃が声の主を、カッと睨んで</p><p>あんた、何ジロジロ見ているのよっ</p><p>いや、あの僕、セックスというのを見るのは、生まれて初めてなんで</p><p>ふざけたこと言ってるんじゃないわよっブッ殺すわよ、このっ</p><p>雪乃の怒りは、収まらない</p><p>僕見学してちゃダメですか</p><p>あったり前でしょうがっ眼を閉じて、耳を塞いでなさいよ、このクズのろまヘンタイ</p><p>そんな香月健思に、ミス・コーデリアは</p><p>あなた童貞なの</p><p>香月健思は、キッパリと</p><p>当たり前じゃ無いですか</p><p>こいつ、私塾の中でも年長だから大学生ぐらいだよな</p><p>結婚するまでは清い身体でいると、誓ったんです</p><p>誰にお母さんとか</p><p>違いますっ婚約者ですっ</p><p>こ、婚約者</p><p>はい、僕には許婚《いいなづけ》がいるんですそれで、お互いに結婚するまでは綺麗な身体でいようって約束したんですっだから、僕、童貞を守っているんです積極的にっ</p><p>積極的に守っているんだ</p><p>ふん、どうせあんたの彼女は、あんたに隠れて男とヤりまくっているのよっ</p><p>雪乃が、オレの下でさらに毒舌を吐く</p><p>そんなことはありません詩織さんは、絶対に嘘をつかない優しい人ですからあ、彼女は、香月仁くんと仲が良いんですよよく二人きりで遊びに行ってますから</p><p>香月仁って、角田と二人して私塾の中での遊び人なんじゃ</p><p>二人っきりって</p><p>ほら、僕は勉強が忙しくて、中々詩織さんの相手をしてあげられませんからその点、仁くんは、流行りのお洒落なお店とかも知っていますし先週も、二人で朝まで飲んでいたらしいですよ</p><p>朝まで</p><p>それって、あんた浮気されているわよ</p><p>雪乃が呆れる</p><p>香月健思は、アハハと笑って</p><p>そんなはずが、あるわけないじゃないですか詩織さんが僕の許婚だってことは、仁くんだって知っているわけですし</p><p>朝までどこで遊んでいたのよ</p><p>いや、最初はシティ・ホテルの屋上のバーで二人きりでお酒を飲んでいたらしいんですがね詩織さんが酔いすぎたらしくて、ホテルに部屋を取って、朝まで仁くんが看ていてくれたらしいですよ詩織さんが、そう言ってましたから</p><p>あダメだ</p><p>香月仁は、きっと全裸で看病している</p><p>ミス・コーデリアが、プッと噴き出す</p><p>ねえ、シラサカ・ユキノさんいっそのこと、この子とセックスしたらどう</p><p>いやだから、僕は結婚するまで童貞を守ると誓っているんですよ</p><p>その誓いを無理矢理破らせるのも、面白いかなぁって女が男を逆レイプするっていうのも、面白い気がしてきたのよ</p><p>ま、まずいぞ</p><p>あなたもそっちの男は、頭突きするぐらい嫌いみたいだし、その方がいいんじゃない</p><p>オレは、嫌ですこいつを、他の男に抱かせるなんて</p><p>雪乃はこれまでずっと、オレのチンコしか受け入れてきていない</p><p>雪乃の心は、絶対に手に入らない</p><p>こいつとは死んでも判り合えない</p><p>考え方も、人生観や、世界観が、全然違うんだから</p><p>だけど、こいつの身体はオレのものだっていう気持ちが強い</p><p>あんた</p><p>驚いた顔で、雪乃がオレを見ている</p><p>あたしもそっちの童貞男より、この男の方がいいわよ</p><p>あら嫌いなんじゃないの、その人のことは</p><p>小馬鹿にした顔で、ミス・コーデリアがオレたちを見る</p><p>嫌いよ大嫌いよ、こんな男</p><p>オレを見たまま雪乃は、ポロリとまた涙を零す</p><p>でもこの男、セックスだけはいいのよ身体の相性は合うのよだから、頭に来るのよっ</p><p>雪乃は、複雑な感情の籠もった眼でオレを見る</p><p>雪乃は肉体の快楽に弱い</p><p>元々、あんまり深く物を考えず、自分の気分次第で行動する女だ</p><p>理屈じゃ無く快感原理だけに従って、生きているから</p><p>ほら、あたしのこと、気持ち良くしなさいよっどうせ、あんたにはそれぐらいしか価値が無いんだから</p><p>そうだ雪乃にとっては</p><p>オレは、人間バイブぐらいの価値しか無い</p><p>いや、それさえも一番最初の段階と比べたら、凄い変化だ</p><p>かつてのオレは、クラスメートであっても雪乃にとっては、路傍の石と同じ</p><p>いないも同然の無価値な存在だったんだから</p><p>人間バイブとしてでも、存在を認識して貰えるようになったのは素晴らしい進歩だ</p><p>犯すぞ、雪乃</p><p>いいわ、犯しなさいよあたしあんたに犯されるの、結構好きなんだから</p><p>ふざけやがって</p><p>オレは、雪乃にキスをしながらのしかかる</p><p>雪乃は、すぐに舌を絡めてきた</p><p>セックスすると覚悟を決めてしまったら雪乃は、周りが見えなくなる</p><p>セックスに溺れるそういう女だ</p><p>ね、舌を吸ってあたしの舌、チュウッて吸って</p><p>オレは、雪乃の望みを叶えてやる</p><p>同時に、雪乃のおっぱいを揉んだ</p><p>もっと力を込めてギュっと握りなさいよ握りつぶすみたいにして荒々しくて、痛い方が好き好きなのよっ</p><p>なら、そうしてやるよっ</p><p>オレは、雪乃の胸の弾力を楽しむ</p><p>乳首が急速に尖っていくコリコリする</p><p>舐めてよ</p><p>乳首舐めなさいよイヌみたいに</p><p>そんなのはゴメンだね</p><p>じゃあ赤ちゃんみたいに、吸ってあんたに吸われるの気持ちいいのよ</p><p>オレは雪乃の乳首を口に含む</p><p>そうよそれよそれがいいのよっ</p><p>やればできるじゃないあっ、先っぽ、舌で嬲って</p><p>乳首の先を、舌で転がす</p><p>雪乃はそんなオレの顔を、興奮した眼で見ている</p><p>雪乃下も舐めてやるから、オレのも舐めろ</p><p>乳首から、そのまま雪乃の身体の上に舌を這わせる</p><p>おへその周りをベロッと一周して</p><p>吉田のタトゥの字の間を、舌は潜り抜ける</p><p>ほら足を開けよ</p><p>こ、これでいい</p><p>恥ずかしそうに、雪乃は股の力を緩めた</p><p>もっとだ</p><p>オレは力任せに、雪乃の足を全開にさせる</p><p>局部が、ミス・コーデリアの正面に来るように</p><p>これは、ミス・コーデリアに見せるためのセックス・ショーだ</p><p>そのことを忘れてはいけない</p><p>ほら、舐めるぞお前もやれっ</p><p>オレたちは男が上のシックス・ナインの態勢となる</p><p>何だよ、ビショビショじゃねぇか</p><p>うるさいわねあんただってビンビンに勃ってるじゃない</p><p>雪乃は、濡れやすい</p><p>オレは、勃ちやすい</p><p>それだけのことだ</p><p>あーあ、相変わらず臭うわね、あなたのここ</p><p>雪乃の股間だって、臭ってるぞ</p><p>いいのよ、あんたの匂いあたし慣れてきたし</p><p>夜、一人でオナニーとかする時はねいつも、あんたのこの匂いが頭の中に出て来るのよ</p><p>雪乃匂いフェチかよ</p><p>雪乃の唇がオレの亀頭を濡らす</p><p>オレも、雪乃の割れ目に舌を付ける</p><p>ぴちゃっぴちゃっ</p><p>酸っぱいな、雪乃の汁は</p><p>何よ、それってよくないことなの</p><p>そこから出る汁が酸っぱいと、身体の調子が悪いとかあるわけ</p><p>そんなの知らねぇよ</p><p>あんたは他の女ともヤッているんだから、判るでしょあたしの味って変じゃないどこか、おかしいところは無い</p><p>そんなことが気になるんだ</p><p>別に問題ねぇんじゃないのお前は身体は良いんだよ、身体だけは雪乃がダメなのは、性格の方だからさ</p><p>それはあんたのことじゃないセックスばっかり上手くてさ</p><p>オレのペニスをチロチロ舐めながら、雪乃は言う</p><p>そうじゃないわねあんたは、顔も頭も良くないもんねホント、セックス以外に取り柄のない男人間のクズよ、あんた</p><p>そうだな雪乃は顔も綺麗だもんなこれで性格が良ければ、完璧なのによっ</p><p>うるさいわねっあたしのこと、性格が悪いなんて言うのはあんたたちだけよパパなんて、雪乃は良い子だって、いつも褒めてくれるんだから</p><p>雪乃お前のパパは、変質者の強姦魔だ</p><p>そんな白坂創介に褒められて、嬉しいのか</p><p>ねぇそこの上、舐めなさいよ</p><p>上上ってどこだよ</p><p>わざと判らない振りをしてやる</p><p>もおっクリトリスよっクリトリス舐めて</p><p>よし、やってやる</p><p>ハァァッあっ、あっああああっ</p><p>雪乃の声が快感によがる</p><p>上手いわよっ上手いじゃないもっと、舌でお願い</p><p>こうかよっ</p><p>あああっいいっ自分で触るのと全然違うのあんたの舌、気持ちいいのぉっ</p><p>まるでスロットマシーンの大当たりが出たみたいに</p><p>雪乃の割れ目から、一気にたらたらと愛液が零れてくる</p><p>自分でする時は、指突っ込んで掻き回しているのかよっ</p><p>そうよそうそうなのっ</p><p>快感にビクビクッと震えながら雪乃は語る</p><p>ならオレも指を突っ込んでやろうか</p><p>ううんッ指じゃ、指じゃ、ダメなのいつもの</p><p>長さと太さが足りないのよっブチ込んでよっ</p><p>潤んだ瞳で、オレを見上げる</p><p>あんたのオチンチンあんたのオチンチンが、ちょうどいい大きさなのよっ一番奥まで、きっちり届くんだから</p><p>ああ、そうかよっ</p><p>オレは身体を起こす</p><p>雪乃、四つん這いになれよ</p><p>観客によく見えるように後ろからヤッてやるっ</p><p>変態</p><p>そう言いながら、雪乃は舞台の上に手を付く</p><p>尻をもっと上げろよほらっ</p><p>雪乃が１６歳の小さなお尻をくねらせる</p><p>ほらいくぞ</p><p>オレは、勃起を濡れた膣口に当てる</p><p>あっあんたの硬いの、熱い</p><p>雪乃だって、熱い上にグチョグチョじゃないかっ</p><p>は、早くあんたので奥まで埋めてぇぇっ</p><p>言われなくても</p><p>スブスブスブっと、雪乃の中に勃起を押し込む</p><p>愛液が押し出されて、トロトロと雪乃の太ももに滴っていく</p><p>ああっあんっっ</p><p>雪乃が、ビクッビクッと身体を震わす</p><p>軽く、イッちゃった</p><p>入れられただけで、軽くイッちゃったって言ってるのよッ</p><p>そうなのかよっ</p><p>オレは、ゴツッゴツッとピストンを始める</p><p>雪乃の最奥を突きまくる</p><p>愛液がびしゃびしゃと垂れる</p><p>四つん這いの雪乃の身体下を向いたおっぱいが、たぷんたぷんと揺れている</p><p>後ろからおっぱい掴んで</p><p>おっぱい、ギュッと握ってよ思いっきり</p><p>こうかッ</p><p>挿入したまま後ろから手を伸ばして、雪乃の胸をまさぐる</p><p>そうよっそういいわあんたの手、気持ちいいのっ</p><p>オレだって、気持ちいい</p><p>雪乃の身体の弾力肌の質感もっと貪りたい</p><p>そうだこの肉体は、愛したい身体ではない</p><p>貪りたい肉欲に溺れて、貪り合いたい身体だ</p><p>あんっああんっあああっ</p><p>オレのピストンに合わせて、雪乃が悦びに啼く</p><p>すでに身体全体に、じっとりと汗をかいている</p><p>セックスの汗はスポーツの汗と違う</p><p>ほんのりと、いやらしい性臭を含んでいる</p><p>雪乃の汗の匂いがオレの性感を高めていく</p><p>うううっああんっいいのっこれ、いいいいよおっ</p><p>セックスに溺れる雪乃は、いつも通り何も見えなくなる</p><p>ただただ、快楽に堕ちていくだけで</p><p>雪乃の乳首の先端から、汗の玉が舞台の床に滴って弾ける</p><p>いつも通りの雪乃とのセックスだ</p><p>気持ちいいだけで何の発展性もない、粘膜と粘膜の擦り合いだけの行為</p><p>ね、あたしこの格好嫌だわ</p><p>突然、四つん這いの雪乃が言った</p><p>何だよ後ろから犯されるのを人に見られるのが、急に恥ずかしくなったのかよっ</p><p>人に見られるのなんて、どうでもいいわよっ</p><p>あたしあんたの顔を見ながら、したいの</p><p>オレは一旦、雪乃からペニスを引き抜く</p><p>横になってあたしが、上になるから</p><p>オレは床に仰向けになる</p><p>そのオレの上に、雪乃は馬乗りになって</p><p>トロトロの股間を、オレの太ももに擦り付けていく</p><p>うふふ硬いままね</p><p>オレのペニスを手でしごく</p><p>亀頭を指で優しく撫でて</p><p>ほーらあたしの中に、入れちゃうわよっ</p><p>雪乃は、オレの顔を見下ろしたまま自分で自分の膣に、オレのペニスを当てる</p><p>食べちゃうんだからっ</p><p>勃起が吸い込まれる</p><p>あっ、ううんっうふふ、あんた気持ち良さそうな顔をしているわよっ</p><p>意地悪な笑みで、雪乃がオレに言う</p><p>ほらほらあっ、顔をしかめた気持ちいいのね、あたしの中</p><p>雪乃だって、気持ち良さそうだぞ</p><p>だっていつも、あんたに犯されるだけじゃない今度は、あたしがあんたを犯してやるのよっ</p><p>雪乃が、グイッと深く腰を振るッ</p><p>あはっここよ、ここがいいッいいのぉっ</p><p>雪乃は、自分の中の感じるポイントに、オレのペニスをぶつけていく</p><p>ここかよっ</p><p>オレも下から雪乃の尻をギュッと掴んで、突き上げる</p><p>まだ肉の付き切っていないだけど、柔らかい尻</p><p>ピンと張り詰めた少女の尻の感触が溜まらない</p><p>そうよっ上手いじゃないっこのぉぉあんっうふーんっ</p><p>いやらしく雪乃の裸体が、オレの上で踊る</p><p>おっぱいの肉が、回転するようにくるんくるんと揺れる</p><p>あっああんっああーっ</p><p>雪乃が身体を倒して、オレの口を求めてくる</p><p>何だよ、キスして欲しいのかよっ</p><p>あんたのキスなんて欲しくないわよっし、舌を、舌を舐めて舐めたいのあんたの舌を吸いたいのよっペチョペチョしたいのっ</p><p>雪乃の舌が、オレの唇に差し込まれる</p><p>キスより深いディープキスだ</p><p>その間も雪乃は腰を、うねうねと動かしていく</p><p>ああ雪乃の胎内が蠢く</p><p>オレのペニスをキュウキュウと締め付ける</p><p>熱い眼でオレを見下ろして雪乃は、言った</p><p>あんたなんて、大嫌いよ</p><p>そうかよ</p><p>でも、あたしもう、あんたとしかセックスできなくなっちゃってる</p><p>雪乃の手が、オレの手を求める</p><p>オレたちの手が重なる</p><p>右手も左手も、ギュッと互いの手を握りしめている</p><p>大嫌い、大嫌い、大嫌い</p><p>オレを真っ直ぐ見つめたまま雪乃は激しく腰を動かす</p><p>オレは雪乃のこと、結構、可愛いって思っているぞ</p><p>肉体と肉体が繋がり合っているから</p><p>つい、本音が出る</p><p>知っているわよ、そんなこと</p><p>あんたはあたしの外見しか、好きじゃないんでしょ</p><p>雪乃の心は受け入れられない</p><p>あたしもあんたとのセックスだけが好きっセックス以外は、大っ嫌いよあんたなんて</p><p>雪乃の中でオレのペニスが大きくなっていく</p><p>ゆ、雪乃オレ、もう</p><p>ダメよあたしもう、すぐだからっもうちょっと待ちなさいよ</p><p>ああ、待つから急げよ</p><p>結合箇所がさらに熱と潤いを帯びて、摩擦される</p><p>またあたしの中に出す気なんでしょ</p><p>ああ、雪乃の中に思いっきり、ブチ撒けてやる</p><p>オレたちは、まるで一つの機械になった様だ</p><p>そう蒸気で動く、大昔の機械のように</p><p>激しい熱と水分を放出しながら、荒々しくピストンを続ける</p><p>お互いの若い肉体を弾け合わさせていく</p><p>いいわ好きなだけ、出しなさいよ</p><p>雪乃が、オレを見ている</p><p>あたしのこと妊娠させたい</p><p>ああ孕ませてやるよ</p><p>ゾクゾクゾクッと、雪乃の背筋が震える</p><p>そうなら、妊娠してあげるわ</p><p>大っ嫌いな男の子供を孕むんだぞ</p><p>別にいいわあんたなら</p><p>ホントはそんなに嫌いでもないから</p><p>自分の口から零れた言葉に雪乃自身が驚く</p><p>ハッとなる雪乃</p><p>う、嘘よ今のは、嘘</p><p>オレの中で、一気に感情が高まる</p><p>ゆ、雪乃オレぇぇ</p><p>も、もう我慢できない</p><p>や、やっぱり嫌よあんたの子供なんて妊娠したくないっ抜いて抜いてよおっ</p><p>雪乃の心が決壊する</p><p>綺麗な瞳から一気に涙が、ボワッと溢れ出す</p><p>ダメだで、出るよ出るよ、雪乃</p><p>嫌、嫌、嫌ぁぁッッあたしの中に射精しないでっ</p><p>もう、出るぅッ</p><p>あああっ、うううゥゥゥッッ</p><p>ドビュウッ</p><p>雪乃の胎内で、オレは噴水みたいに熱い精を放出する</p><p>熱いィィィッッ子宮が焼けちゃうゥゥッッ</p><p>大きく眼を見開いて、雪乃が受精の熱をオレに伝える</p><p>オレは、雪乃の子宮に精子を送り込もうと、下からゴツンゴツンと雪乃を突き上げる</p><p>その激しい突き込みについに雪乃も</p><p>あああイクッあたしもイッちゃうゥゥゥゥゥッッ</p><p>オレのペニスを絞るように雪乃がオレの身体の上で、ピクピクピクッと痙攣するッッ</p><p>雪乃まだ出るよもっとだ雪乃ぉぉッッ</p><p>出、出てるようッッあたしの中で、ビュクビュクしてるよぉぉあたしぃぃあたしぃぃ</p><p>雪乃の若い肉体が汗を発しながら、小刻みに震えている</p><p>雪乃の熱い涙がオレの胸にぽたぽたと零れる</p><p>妊娠しちゃうぅぅ妊娠しながら、イッちゃってるのぉぉぉ</p><p>オレたちの手と手</p><p>お互い、力の限り握りしめ合う</p><p>完全に一つだ</p><p>妊娠する機械になった雪乃と、妊娠させる機械になったオレ</p><p>結合しているよオレたち</p><p>あああーっあああーんっいやぁぁ</p><p>雪乃は、悶え、よがり、啼き</p><p>そして、ドサリと雪乃の身体が、オレの上に重なる</p><p>ひぃ、ひぃ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ</p><p>雪乃の息を、顔で感じる</p><p>二人とも、全身汗だくだ</p><p>オレは、もう一度雪乃を抱き締めキスしようとする</p><p>キ、キスは嫌よ</p><p>雪乃はそう言うが、脱力し切った身体ではオレのキスは拒めない</p><p>オレは雪乃と唇を合わせ舌でペロペロと舐める</p><p>すっげぇ気持ち良かったよ雪乃</p><p>オレはそう感想を述べた</p><p>当たり前じゃないあたしの身体なのよ</p><p>はぁはぁ、肩で息しながら雪乃は答えた</p><p>く、首筋とおっぱいも舐めてよ</p><p>熱い溶けたままの眼で、雪乃がオレにねだる</p><p>まだ身体の中の火が鎮まらないのよ鎮めてよあんたの責任なんだからねっ</p><p>オレは、雪乃に挿入したまま首筋をペロッと舐めた</p><p>汗の味がしょっぱい</p><p>胸を揉む</p><p>雪乃のおっぱいは、興奮に張り詰めているままだ</p><p>尖った乳首を、ペロペロと舐めてやった</p><p>ああっ溶けるわ氷みたいに、あたし溶けるの</p><p>丁寧な後戯に雪乃の身体が悦んでいる</p><p>雪乃の身体の中で、下火になってもまだ快楽の炎は消えていない</p><p>あ、あのこんな時に何ですが</p><p>客席から香月健思の声がした</p><p>オレに身体をまさぐられたまま雪乃が返事する</p><p>セックスの絶頂で、もう羞恥心も何もブッ飛んでしまったらしい</p><p>あなたたちはその、どういう関係なんです</p><p>香月健思にとっては、オレはみすずのパートナーで</p><p>雪乃は白坂家の娘だ</p><p>ただのセフレよ</p><p>セフレ</p><p>そうよ、セックス・フレンドよっ</p><p>そう言ってから雪乃は改めて、オレの顔を見る</p><p>そうなのか雪乃</p><p>オレが問うと、雪乃は</p><p>いいえ違うわね</p><p>オレの顔を雪乃の手が、優しく撫でる</p><p>あたしたち友達ですらないものね</p><p>そうだオレたちは</p><p>あたしたちの関係はセックス何なのかしらね</p><p>オレがレイプ犯で、雪乃が被害者それでいいじゃないか</p><p>抱き合ったまま、オレは言った</p><p>それじゃダメよあたしももう、あんたとのセックスを望んでいるもの</p><p>雪乃がオレの背中に手を廻す</p><p>ホント、わけわかんないあたしたち</p><p>コツンと、軽く雪乃がオレの額に自分の額をぶつける</p><p>優しい、頭突き</p><p>フフフフフ中々、面白い見世物だったわよ</p><p>ミス・コーデリアがスッと立ち上がる</p><p>何なのあんたたちまだ子供のくせに、そんな濃厚なセックスを楽しんでいてさ</p><p>ミス・コーデリアは、オレと雪乃の激しいセックスが意外だったらしい</p><p>そりゃそうだ高校一年生のオレたちだ</p><p>脅されて、泣き喚きながら、嫌嫌ながら、無理してセックスするのを、嘲り笑ってやるつもりだったんだろう</p><p>それがこんな大人顔負けのセックスをするから</p><p>セックス・ショーをしろって言ったのは、あなたですよ</p><p>オレは、ゆっくりと身体を起こしながら答えた</p><p>そうだったわね売春組織の男をみくびっていたようね反省するわ</p><p>いや違う</p><p>この表情は</p><p>ミス・コーデリアは、明らかに戸惑っている</p><p>こんな男女の激しいセックスを観たのはこれが初めてなんだろう</p><p>そうだ、この人は裏社会の人間ではあるけれど</p><p>セックス絡みの仕事をしてきたわけではない</p><p>で、でも、素晴らしセックス・ショーだったわ褒めてあげるわよ</p><p>それでもミス・コーデリアは、オレたちに対し、余裕のある振りをしようとする</p><p>それが、この人のプライドとコンプレックス</p><p>思わず拳銃を横に置いて、オレたちに拍手する、ミス・コーデリア</p><p>白いヴァイオラたちもオレたちに銃を向けたままだから油断したんだろうな</p><p>隙が生まれた</p><p>ウハァァァァァァァッッ</p><p>瞬時に美智が強い気を発する</p><p>劇場中の人間が、思わず美智の気に注目する</p><p>オレたちも、ミス・コーデリアも、彼女の部下たちも</p><p>つい、美智の眼を見てしまう</p><p>心月ッ</p><p>美智が全員の気を捕らえる</p><p>セックス・シーンは、はかどるなあ</p><p>吉田くんと雪乃の仲は、セックスを通さないと変化しないし</p><p>何か父のリハビリ係を任じられたので足が萎えないように、毎日近所を散歩させないといけないようです</p><p>また微妙に時間を取られるまあ、仕方無いけれど</p><p>昨日、秋葉原で聞いた道端を歩いていた人たちの会話</p><p>何かさ、toらぶるの画集が東京中で完売らしくてさ、オレの知り合いがさっき新幹線で名古屋に向かったわ</p><p>兄貴が出会い系にハマッててさ、オレが帰宅しているのに気付かないで、隣の部屋で電話していたんだけどさいきなり電話の向こうの女に、名前と年齢を言えお前の目的は何だとか命令口調で言っててさ、そんで切られたらちっ、切れたかとか言ってんだよ誘拐犯と電話している大門軍団かよって、思ったね</p><p>この二つが、ちょっとツボに入りました</p><p>盗み聞きしていて、済みません</p><p>318．Edie　（その１）</p><p>美智が、両手で虚空を掴みグイッと手前に引き寄せるっ</p><p>その手の動きに合わせて気を捕まえられた全員が前にのけぞるっ</p><p>オレや雪乃も含めてドタンと前に倒れ込む</p><p>全身の力が抜ける手に力が入らない</p><p>全身が感電したみたいに痺れている</p><p>これが美智の全力の心月か</p><p>ノーッ</p><p>女の白いヴァイオラたちが、銃を落とす</p><p>銃は、劇場の観客席の段の下にカラカラと落ちていく</p><p>な、何これ</p><p>ミス・コーデリアは、あわてて傍らにあった銃に手を伸ばすが</p><p>身体が痺れて、銃が掴めない</p><p>悴んだ手に当たったピストルは、コロンと観客席の段に落ちていく</p><p>カラカラカランッ</p><p>美智が工藤父に心月を見せた様子は、隠しカメラで観ていたんだろうけれど</p><p>気を操るこの技の実態は実際の現場に居ないと判らない</p><p>前に美智は、映像では気の流れは読めないと言っていた</p><p>だから、ミス・コーデリアには心月の本当の恐ろしさは伝わっていないことは、判っていた</p><p>逃げますっご主人様っ</p><p>美智が、オレに叫ぶ</p><p>オレは、グッと身体に力を入れる</p><p>痺れる身体を、無理矢理起こすっ</p><p>行くぞ、雪乃っ</p><p>オレは、その辺に脱ぎ散らかした服を適当に掴んだ</p><p>最悪、パンツさえあればいい</p><p>裸の雪乃の手を掴んで舞台から、飛び降りる</p><p>ちょちょっと</p><p>雪乃は、まだ身体がふらつくようだ</p><p>死にたくなかったら、来いっ</p><p>寧お姉様っ参りますっ</p><p>美智が、寧さんに言う</p><p>寧さんもまだ身体が痺れたままのようだ</p><p>お姉様お願いですっ立ち上がって下さい</p><p>あう、うんミッちゃん</p><p>寧さんは姉力を振り絞って、立ち上がる</p><p>待ちなさい逃がさないわよっ</p><p>ミス・コーデリアは、必死に身体を起こして立ち上がろうとする</p><p>エイヤァァァッッッ</p><p>再度、心月の裂帛をミス・コーデリアに叩き付ける</p><p>うぎゃあっ</p><p>ミス・コーデリアは、相当な使い手だ</p><p>最初っから戦闘モードの気合いだったら、こんなに簡単に美智の気に負けたりはしない</p><p>心月の技の中身が判っていたらあらかじめ予測が付いていいたのなら、充分耐えることができたろう</p><p>完全に己の気配を消すことができるんだ美智の気を受け流すことも、遮断することもできるに違いない</p><p>しかし、今のミス・コーデリアは</p><p>オレと雪乃のセックス・ショーに心が緩んでいた</p><p>その心の隙を、美智に突かれた</p><p>美智が、出口のドアを指示する</p><p>美智は、関さんがホテルの図を見ている時に、横から眺めて暗記している</p><p>もちろん、このフロアこの小劇場のことだって</p><p>待ちなさい待ちなさい殺してやるわあんたたち</p><p>そんなミス・コーデリアの憎しみの声を聞きながら、オレたちは劇場のドアから外に飛び出した</p><p>こっちのドアです</p><p>美智は、従業員用の裏通路に続くドアを開ける</p><p>走って下さい早く</p><p>オレは雪乃の美智は寧さんの手を引っ張って、走る</p><p>もう片方の手で、服を抱えたままだ</p><p>足は裸足靴なんて履いているヒマは無かった</p><p>オレと雪乃は、全裸のまま走る</p><p>ここを曲がります</p><p>美智は、迷いなくオレたちを先導する</p><p>そこっ</p><p>美智の赤いムチが天井付近にあった監視カメラを破壊する</p><p>そうか、従業員用の裏通路は</p><p>このホテルは、テロ対策用に特化されて造られているから、内部は隠しカメラだらけだ</p><p>しかしそれは、外部からの人の通る表の通路がメインだ</p><p>本来なら、敵の襲来で防火壁を下ろして館内を迷路化した時に、裏通路は完全に封鎖してしまう設計になっているのだろう</p><p>だからここには、表の通路と比べて、圧倒的に監視カメラの数が少ないしカメラそのものも表の様に壁や天井に巧妙に隠されてはいない剥き出しだ</p><p>そこにカメラがあると、はっきり判る形で取り付けられている</p><p>ミス・コーデリアたちが、ホテル内を自由に行動できたのはこの裏通路を通り抜けてきたからだろう</p><p>裏通路から表通路に出る各階の特定のドアと、そのドアを開くアクセスキーさえ持っていれば神出鬼没に行動できる</p><p>美智この従業員通路の地図も、関さんの見ていたデータの中にあったのか</p><p>はい、ございましたわたくしは完全に記憶しておりますっ</p><p>そこまで、オレたちに開示してくれたということは</p><p>もちろん、ミス・コーデリアたちを導き入れたのは、谷沢チーフのはずだし</p><p>ミス・コーデリアたちと谷沢チーフが、何らかの取引をしていることは間違いない</p><p>しかし関さんに、２５０５室の端末で裏通路の図まで見せたのは</p><p>オレたちと、ミス・コーデリアたちを闘わせようという意図があるんじゃないのか</p><p>双方が潰し合って、壊滅するとかを狙っているんじゃ</p><p>ハァァッッ</p><p>美智がまた一つ、カメラを破壊する</p><p>さらに幾つかの角を曲がり、カメラを破壊する</p><p>そして、美智は火災報知器の赤い扉の前で止まった</p><p>この火災報知器は本物ですが、この赤いドアはフェイクです</p><p>美智が、床から１メートルぐらいの高さの赤い扉を開ける</p><p>本来なら、消防のホースとかが入っているはずだけど</p><p>扉の中はまた扉だった</p><p>しかも、銀行の金庫の様に電子ロックのテン・キーと静脈認証の手形のセンサーが付いている</p><p>わたくしは、みすず様の警護役ですからホテルの各階にある、VIP用の緊急避難室の位置を熟知しています</p><p>そう言いながら、美智はキーを押していく</p><p>地下の部屋は閣下専用だったのでしょうあの部屋のことは、知らされていませんでしたまた、防御力も地下ほどは無いでしょうがとにかく、一時しのぎにはなります</p><p>ああジッちゃん用の部屋なら、他の人間には気付かれないだろうけれど</p><p>ただのVIP用の避難所なら谷沢チーフも、ミス・コーデリアも判っているはずだ</p><p>しかし今は、少し休憩できる場所が欲しい</p><p>美智の心月を食らって雷に打たれたような状態で、走った</p><p>身体が疲労している</p><p>雪乃も寧さんも疲労困憊しているし</p><p>済みませんミス・コーデリアと、彼女の部下たちに目掛けて気を放ったのですがあの場合では、皆様も巻き込まざるを得ませんでした</p><p>オレの心を察して、美智が言う</p><p>気にするな敵に囲まれていたんだこうなるのは仕方無い美智はよくやってくれているよ</p><p>一人に集中するのでなく、銃を持っていた敵全員を相手にしたんだ</p><p>全方位で、気を放ったのだから</p><p>とばっちりで心月を食らったオレたちですら、こんなに身体に衝撃を受けるのなら</p><p>一対一で美智の全力の心月の直撃を食らったら、ショック死するかもしれない</p><p>ほんの一瞬でも、他人に心身のコントロールを奪われるというのは、そういうことなんだ</p><p>何か全身の血の流れが、無理矢理ストップさせられて、逆流するようなそういう激しい衝撃が全身に響いた</p><p>ピピーッ</p><p>暗証番号を入力した後、美智がセンサーに右手を当てる</p><p>承認サレマシタ</p><p>機械の音声が返答して扉のロックが解除された</p><p>みすずの警護役としての美智の登録は外されていないということか</p><p>ますます、谷沢チーフの心が判らなくなる</p><p>は、早く中へ入りましょうよ</p><p>裸の雪乃が、震えながら言った</p><p>誰です</p><p>美智が気を感じて振り向く</p><p>えまさか、香月健思</p><p>すまん香月健思</p><p>オレは、今の今まで存在を忘れていた</p><p>違います気の色が</p><p>廊下の角からスッと姿を現したのは</p><p>黒い戦闘服</p><p>ミス・コーデリアの部下ってことは</p><p>わたくしの後ろに</p><p>美智が、サッと前に出る</p><p>赤いムチを握りしめて</p><p>あんなに平然と歩いているってことはまさか、心月が効かなかったってことか</p><p>そんなことはございませんミス・コーデリアも二人の部下も、銃を落としていましたしばらくは、身体機能が低下するはずですわたくしたちを追って来られるはずはございません</p><p>ミス・コーデリアと二人の部下</p><p>白い女のヴァイオラとロザリンド</p><p>ミス・コーデリアの部下は、もう一人いたよな</p><p>４人目の黒戦闘服</p><p>確かミス・コーデリアは、エディって呼んでいた</p><p>エディは、オレたちに軽く右手を挙げて</p><p>Good　Evening</p><p>ぐっど・いぶにんぐ</p><p>オレは、今日の夜に起きたことをグッドだとは思わない</p><p>嫌、ちょっと待て</p><p>今のは</p><p>女の子の声じゃ無かったか</p><p>黒い戦闘服のエディはゴーグルと黒マスクを外した</p><p>ぱらりと拡がるボブカットの乳白色の金髪</p><p>そして褐色の肌</p><p>大きな青い瞳</p><p>褐色金髪の美少女は、ニコッと笑って、オレたちに言った</p><p>コンニチハワタシハ、イーディデスヨロシクネ</p><p>な、何</p><p>そこからは英語の判る寧さんが、話し掛ける</p><p>美智も確か、英語はできるんだっけ</p><p>何かさわたしは敵じゃない、仲間になりたいって言っているけれど、どうするヨッちゃん</p><p>寧さんは、疲れた表情でオレに言った</p><p>この方の気は、わたくしたちと敵対しておりません</p><p>美智が、イーディ嬢の気を読む</p><p>信じてもいいのかこの子</p><p>でもミス・コーデリアの部下だぞこの子は</p><p>この方かなりの手練れですそれに、どうやらこの方には心月が通じなかったようです</p><p>わたくし一人では、この方と闘いながら皆様を守りきる自信はございません</p><p>美智の表情は、強ばっていた</p><p>えっとね、この子の言ってることを要約するとね</p><p>寧さんが、オレたちに言う</p><p>ミッちゃんの技は、この子のお祖母さんと同じ技でとても親近感が湧いたんだって自分と同じ年齢ぐらいの子で、これができるのは凄いと思うとても感銘を受けたので、是非ともミッちゃんとお友達になりたいんだってさどうする</p><p>心月をこの子のお祖母さんも使う</p><p>だから、技に耐性があったのか</p><p>美智が最初に気を溜めて、オレたちの注意を惹いた瞬間に全力で心を塞いだ</p><p>気をあやつる技は、世界中にあります元々、群生生物である人間は、他の個体と精神的にリンクする能力がありますそれが気の同調ですから武道や宗教儀式など、精神を鍛錬していくと到達する場所は同じです</p><p>工藤流でなくとも、心月の様な技はあるっていうことか</p><p>この子を受け入れよう美智</p><p>寧さんの疲労が酷い</p><p>寧さんは普段は自分の心を隠して生きている人だから</p><p>心月のとばっちりを受けたダメージが、他の人より大きいんだろう</p><p>その状態で、心臓バクバクの全力疾走をしたから</p><p>ぐったりとして、唇から血の気が失せている</p><p>雪乃も、ちょっと元気が無い</p><p>そうだね、ヨッちゃん</p><p>それに、この子が仲間になってくれたら心強いよ</p><p>確かに心月に耐える逸材だ</p><p>しかし、この子はミス・コーデリアの連れてきた少女だ</p><p>どんな秘密を抱えているのか今の段階では、判らない</p><p>とにかく部屋の中に入りましょう</p><p>腰を屈めて、小さな扉から避難室に入る</p><p>４畳半ぐらいの部屋だ</p><p>椅子と緊急物資のロッカーしかない</p><p>全員が入室すると美智が分厚いドアを閉めた</p><p>これで外の状態は、普通の火災報知器</p><p>近くの監視カメラは壊したから、この辺りにオレたちが潜伏していることはバレているだろうけれど</p><p>具体的にどこに居るのかは、しばらくバレないだろう</p><p>ミス・コーデリアには</p><p>谷沢チーフには、気付いているだろうけれどそこは、チーフとミス・コーデリアの関係の微妙さに賭けるしかない</p><p>はい水です</p><p>オレは、ロッカーの中からミネラル・ウォーターのペットボトルを見つけて、寧さんに手渡す</p><p>ありがとう、ヨッちゃん</p><p>寧さんは、ボトルの蓋を開くのに手に力が入らないみたいだから、オレが代わりにやってあげる</p><p>その間に、美智は部屋の中の監視カメラとマイクを探して破壊していく</p><p>これで大丈夫です</p><p>うん監視を気にせずに喋れるのは助かる</p><p>ほい、美智</p><p>美智にもペットボトルを手渡す</p><p>ミス・イーディにも</p><p>Thank　You</p><p>ミス・イーディは、ニッコリと笑って微笑みそれから、何かを寧さんに言った</p><p>えっとね、早く服を着て下さいって恥ずかしいですって言っているよ</p><p>すっかり、人前で裸でいることに慣れちゃった気がするオレ</p><p>ちょっと、まずい傾向かも</p><p>ちょっとあんた、これどういうことよっ</p><p>あたしの服が無いじゃないっ</p><p>雪乃もセックス直後に全力疾走で逃げて来たから、素っ裸だ</p><p>オレが咄嗟に抱えてきた服を物色しているみたいだが</p><p>持って来たのはオレのＹシャツとパンツとズボンと靴下が片方</p><p>雪乃の服は丸ごと忘れて来た</p><p>パンツだけは、何として持って行かないとって思ったから</p><p>うんそれで、自分のパンツの近所の服だけ抱えてきたんだな</p><p>あたしのパンツをどうして忘れるのよっ</p><p>不機嫌に喚く雪乃に美智が言った</p><p>ご自分の物はご自分で持っていらっしゃるべきです持っていらっしゃらなかった、あなたが悪い</p><p>そんな余裕、無かったのよっ</p><p>雪乃が、美智に食い付くが</p><p>今だって余裕はございませんあんまりお騒ぎになられるようなら、外へ出ていただきますよ裸のまま</p><p>美智の気に負けて、雪乃は黙り込む</p><p>えっととにかく、パンツとズボンはオレが履くよだから、雪乃はこのＹシャツを着てくれあ靴下も穿くか</p><p>穿かないわよっあんたの靴下なんてしかも片方だけじゃないっ</p><p>オレ相手には思いっきり、突っ込むんだな雪乃</p><p>シャツだけ、借りておくわ</p><p>そしてオレは上半身裸でズボンに裸足</p><p>何かアマゾンの秘境で遭難した人みたいな格好になる</p><p>雪乃は全裸にＹシャツ</p><p>しかし香月健思、置いてきちゃったな</p><p>仕方無いじゃない今更引き返して連れて来るわけにもいかないんだし</p><p>冷たく、雪乃が言った</p><p>しかし大丈夫かな、あいつ</p><p>オレたちに逃げられて、ミス・コーデリアは怒り心頭だろう</p><p>八つ裂きにされてないといいんだけれど</p><p>平気よあの人、最初にあんたたちとは無関係だ自分は仲間じゃないって断言してたでしょ</p><p>雪乃は、コクコクとミネラルウォーターを飲む</p><p>あんたたちが、あの人のために引き返してくる義理は無いしあたしたちがどこへ逃げたのかの情報だって持っていない</p><p>確かに、そうだけど</p><p>だったら、なおさらミス・コーデリアに八つ当たりされて酷い目に遭っているんじゃないか</p><p>ギリギリなんとか無事なんじゃないあの人、一応は香月家の人間なんだし名乗っておいて正解よねあんたたちには人質に使えないけれど、香月家にはカードとして使えるでしょ</p><p>でも香月健思の親父は、香月家を裏切ったんだぞ</p><p>馬鹿ね香月家を裏切って、あの女と契約した張本人でしょ</p><p>香月健思の父親香月昇は、ミス・コーデリアと何かしら交渉している</p><p>取引相手の息子なら殺したりはしないわよ多分</p><p>多分としか言えないのがミス・コーデリアの恐ろしいところだ</p><p>今はオレたちには、香月健思の無事を祈ることしかできない</p><p>雪乃が手を滑らせてペットボトルの水を零す</p><p>さっきのあの子の技、効き過ぎよまだ手がブルブルするのよ</p><p>雪乃は、手の平を開いたり閉じたりする</p><p>シャツが少し、濡れちゃったわ</p><p>あ胸元から乳首が、透け透けだ</p><p>タオルか何かない</p><p>ちょっと待ってろ</p><p>オレは、ロッカーの中を見る</p><p>医療用のガーゼならある</p><p>それでいいから貸して</p><p>そら</p><p>オレがガーゼを手渡すと、雪乃は濡れたシャツを拭うが</p><p>こんなんじゃ全然だめね</p><p>裸Ｙシャツで、身体をくねらせる</p><p>お、お前、その格好、気を付けろよちょっと動いたら、お尻丸出しだぞ</p><p>こんなのもう、どうでもいいわよ</p><p>さっきは裸で着る物が無いと喚いていたくせに</p><p>一枚でも羽織る物があれば、この余裕だ</p><p>ていうかさあんたのが垂れてきているわ</p><p>見ると、雪乃の太ももに白い精液が垂れている</p><p>もうしょうがないわね</p><p>雪乃は、大きく足を開いて精液を拭った</p><p>まだ興奮が治まっていないんだろう割れ目は開いたまま</p><p>ピンク色の内側が丸見えになっている</p><p>雪乃、お前、それ</p><p>何よもう慣れたでしょあたしのなんて今まで散々、見て来たんだから</p><p>そりゃあ、まあそうだけど</p><p>でも、裸Ｙシャツの下から覗く割れ目というのはなかなか新鮮でセクシーだ</p><p>わたくしも、下着を脱ぎますから、わたくしのをご覧になって下さい</p><p>み、美智</p><p>美智がオレたちの間に割り込んでくる</p><p>わたくしちょっと嫉妬しております</p><p>ご主人様はどうして、白坂雪乃様とはそんなに仲がお宜しいのですか</p><p>え、仲いいか</p><p>オレと雪乃</p><p>わたくし、何でも致しますからどうか、この方と同じ様に親しく接して下さいませ</p><p>美智はそう言ってオレに土下座をする</p><p>OHSAMURAIHARAKIRI</p><p>いや、ミス・イーディ</p><p>別に美智は切腹とかしないから</p><p>美智、頭を上げてくれそんなんじゃ、益々親しくはできないよ</p><p>では、わたくしはどうしたらいいんでしょう</p><p>美智が、顔を上げる</p><p>ミッちゃんヨッちゃんと雪乃さんは、お互いに遠慮が無いだけなんだよ</p><p>寧さんが、優しく笑って言う</p><p>遠慮</p><p>ヨッちゃんは優しいからみんなにはいつも気を遣ってくれるでしょでも、雪乃さんには、そういう優しい気持ちが無いんだよだから、遠慮がないから仲良く見えているだけでさ心の絆は、ミッちゃんの方が遥かに優っていると思うよ</p><p>美智は真剣な顔で答える</p><p>でも、わたくしは口惜しいんです不安なんです寂しい気持ちになるんです</p><p>美智、こっちへ来い</p><p>オレは、美智を呼び寄せる</p><p>とてとてと、美智がオレに寄って来る</p><p>ほら、美智</p><p>オレは美智を抱き締め、頭を撫でてやる</p><p>寂しくなったら、いつでも来い</p><p>はいギュッとして下さい</p><p>美智を強く抱き締める</p><p>でも、美智が我慢しないでこういうことを言い出す様になったのは良いことだと思うよもっともっと、オレに甘えていいからな</p><p>ああ、美智だってオレに遠慮しないでいいんだからな</p><p>美智は、大きな瞳でオレを見上げ</p><p>わたくしともさっきの様なセックスをして下さい</p><p>え美智とも、頭突きするのか</p><p>お嫌ですか</p><p>いや、美智とはセックスしたいけれど頭突きは嫌だな</p><p>美智の可愛いおでこにコブができるのは見たくない</p><p>オレは美智の額にキスをする</p><p>頭突きはいいですからわたくしにも、ご主人様の性欲をぶつけて下さい</p><p>ご主人様の性欲のはけ口になりたいんですわたくし荒々しく、犯していただきたいんです</p><p>中学３年生の小さな身体が、オレの腕の中で強ばる</p><p>判った今度したくなったら、すぐ美智を押し倒すからな</p><p>はいお待ちしています</p><p>美智は、ニッコリと微笑んだ</p><p>敵側の美少女が味方に寝返るシチュエーションて好きなんです</p><p>まあ、ミス・イーディが本当に味方かどうか判りませんが</p><p>金髪で褐色の肌の外国人美少女となりました</p><p>ミス・イーディの詳細は、次話で明らかになります</p><p>319．Edie　（その２）</p><p>えっと、とにかくこの子の言ってることをまとめるとねっ</p><p>ていうか美智は英語が判るから、実際はオレと雪乃への説明だ</p><p>この子の名前は、イーディ・セクストンニューオリンズの近くの出身で裏社会の組織の中で生まれたらしいの</p><p>ミス・イーディは、ニコニコとオレたちに微笑んでいる</p><p>乳白色の金髪に褐色の肌大きなブルーの瞳の美少女だ</p><p>The　glove</p><p>ミス・イーディのぷっくりとした唇が囁く</p><p>どうやら、それが組織の名前らしい</p><p>グローブって、手袋って意味の方ね人を殺すときに、指紋が残らないように革の手袋をするところから名前が付いたんだって何て言うのかなThe　gloveってのは、どうやら暗殺教団みたいな組織らしいんだよね</p><p>暗殺教団て、何です</p><p>オレは、尋ねた</p><p>元々は、自分たちの宗教に敵対する人を暗殺する、危険な宗教結社のことですそこから様々な暗殺術が生まれ、裏社会に暗殺者を供給する組織となりました</p><p>アメリカにはさ、ハチャメチャな教義のびっくりするような宗教団体が山ほどあるんだよ普通では、考えられないような秘密結社とかも平気で存在しているからしかも、そんなトンデモ組織が百年以上も続いていたりするんだよね</p><p>とにかく、イーディは、The　gloveのことをAssassin　Guildって言っているから正確には暗殺教団じゃなくて、暗殺者組合とかなのかもしれないけれど詳しいことは、あたしにはちょっと判らないけなマルちゃんなら、色々と知ってるんだろうけれどとにかく、ニューオリンズの近郊に暗殺者を養成するコミュニティがあって、彼女はそこで生まれたみたい</p><p>こんな可愛い女の子が暗殺者として育てられた</p><p>彼女の話ではThe　gloveは、元々はアメリカ南部の奴隷が白人の支配に反抗するために秘密裏に結成した暗殺集団だったらしいですアフリカの伝統的な格闘技をルーツにしているようですが、アメリカに連れて来られてから様々な武術と混交したようです宗教的には熱心なキリスト教徒で、自分たちをアメリカにおける宗教騎士団だと考えていたようです</p><p>美智が、ミス・イーディの話を説明する</p><p>でも、それは組織の成立時の話でその後は、アメリカの公権力と裏社会の両方から暗殺を請け負ってきたみたい特殊な秘密結社だから、組織を大きく拡大するみたいな思考はなくて、ただ組織の存続だけを考えて、無節操に殺しの依頼に応じていたらしいわ</p><p>それに、組織内の教義も時代によって変遷があったたらしいの特に、戦後のカウンター・カルチャーの影響で、東洋思想なんかもも採り入れたらしいよその辺が、いかにもアメリカっていう感じなんだけれど時代ごとにトレンドを採り入れて、組織そのものが変化しているんだってさ</p><p>気を使った武術に関しても、元々アフリカの伝統武術の中にそういう技があったらしいのですが、すっかり忘れられていて彼女のお祖母様が、東洋の武術を研究して再現することに成功したのだそうです</p><p>ミス・イーディが、うんうんと頷く</p><p>何となくどういう話をしているのかは、判っているらしい</p><p>イーディのお祖母さんは、The　gloveの指導者の一人だったんだけれど、今年の初めに亡くなったんだってそしたら、イーディは現在のThe　gloveのボスに嫌われてそんで、シザーリオ・ヴァイオラの組織に売り飛ばされたみたい</p><p>売り飛ばされた</p><p>うんお金で買い取られたみたいよでも、イーディ自身は全然気にしていないみたい</p><p>英語で楽しそうにイーディが寧さんと美智に喋る</p><p>イーディのお祖母さんは、昔ながらのターゲットに接近して肉弾戦で相手を殺す暗殺術を堅持しようという考え方だったらしいのところが今の組織のボスは、車で接近してマシンガンでダダダダダッの方が手っ取り早いって思っているらしいから伝統的暗殺術の否定のために、お祖母さんの技を直接引き継いだイーディを追い出したがっていたんだって</p><p>彼女のお祖母様が亡くなる前に、外の世界に修行に行けと命じられたそうですだから、組織のボスが私を売って金を受け取ったとしても、私には関係無いそもそも彼に私を売る権利は無い私は自由だと言っています</p><p>なるほどミス・コーデリアは金でミス・イーディを買い取ったつもりだったから、彼女を奴隷みたいに扱っていたんだ</p><p>でも、ミス・イーディは修行のつもりで従っていただけで、自分自身は自由だと思っていたから</p><p>しかし奴隷制に反抗して生まれた組織が、２１世紀の現代で女の子を売り飛ばすって</p><p>組織を創設した人たちが聞いたら、お墓の下で泣くぞ</p><p>ミス・コーデリアの配下になったのは、先月のことらしいわでも、彼女に対してイーディはずっと不満だったみたい</p><p>不満</p><p>ミス・コーデリアの身体能力は認めるが、彼女は全然トレーニングに付き合ってくれなかったと、言っていますというか、シザーリオ・ヴァイオラの組織には彼女が一緒にトレーニングできる資質のある人間はいなかったようです</p><p>ミス・イーディが、嬉しそうに美智に何か言う</p><p>美智が口籠もる</p><p>ミッちゃんを見てこの子となら、きっと良い修行が出来るって思ったんだってだから、ミス・コーデリアを捨てて、あたしたちの方に来たらしいよこの子</p><p>How old are you ?</p><p>ミス・イーディが美智に尋ねる</p><p>Fifteen</p><p>Realy</p><p>美智が１５歳ということに、彼女は驚く</p><p>私は１６歳だどうして、あなたは私よりも年下なのに祖母と同じ技が使えるんだって言っているわ</p><p>わたくしは工藤流古武術の継承者ですから</p><p>工藤流古武術の話で、盛り上がっていく美智とミス・イーディ</p><p>結局暗殺術の求道者なのね、この子</p><p>寧さんが、ミス・イーディを見てそう言った</p><p>自分の暗殺術を高めることにしか興味が無いみたい</p><p>スポーツとか武道なら、それでもいいんだろうけれど</p><p>暗殺術ってのはなあ</p><p>NO、そうじゃありませんこうです</p><p>美智が立ち上がり、ミス・イーディの前で武術の型をやってみせる</p><p>OHExcellent</p><p>イーディは、食い付くように見ている</p><p>何よ似たもの同士じゃないこの子たち</p><p>結局、友達が欲しかったってだけでしょその子</p><p>友達</p><p>暗殺術の向上にしか興味の無いミス・イーディにとって、美智は同年代で研鑽し合えそうな初めての相手なんだろう</p><p>それは美智にとっても同じだ</p><p>美智も特殊過ぎて友達がいなかった</p><p>オレやみすずは、あくまでも主人だし</p><p>同い年の瑠璃子や年下のマナには、壁を作っている</p><p>美智にも親しい友達は、必要だと思う</p><p>美智ミス・イーディと友達になれると思うか</p><p>一緒に稽古を重ねて、お互いを向上させる相手になれるかって聞いているんだ</p><p>美智は、キッとした顔でオレを見て</p><p>ご命令とあれば、そう致します</p><p>そうじゃないミス・イーディと稽古したら楽しいと思うかって聞いているんだ</p><p>楽しい</p><p>美智が、困惑の表情を浮かべる</p><p>工藤流古武術の鍛錬は、厳しいものです決して、楽しいなどと感じてはいけません</p><p>美智もまた、求道者だ</p><p>ヨッちゃんは、そういうことを言っているんじゃないよちょっとイーディと軽く手合わせしてご覧部屋が狭いから、気を付けてだよ</p><p>寧さんが、美智に言った</p><p>ミス・イーディにも、英語で何か言う</p><p>Off Course</p><p>ミス・イーディはニコッと微笑む</p><p>スッと立ち上がって、美智と対峙する</p><p>美智は、スッと一礼して構える</p><p>ミス・イーディも</p><p>背はミス・イーディの方が高いな</p><p>ハァァ、ハッハッハーッ</p><p>美智が拳をラッシュする</p><p>ハッシュ、シュッシュッシュッ</p><p>ミス・イーディは、繰り出された美智の拳を巧みに捌いていく</p><p>次は、攻守交代だ</p><p>ミス・イーディが攻め、美智が捌く</p><p>うん拳の出し方、捌き方が全く違う</p><p>これが流派の違いってものか</p><p>ギアを上げますっ</p><p>また攻めに変わった途端、美智が動きを変える</p><p>工藤流独特の相手の気を反らす動きに</p><p>woow</p><p>ミス・イーディは、表情を険しくしながらも美智の動きに合わせていく</p><p>さらに攻守交代</p><p>今度は、ミス・イーディが不規則なリズムで美智を攻める</p><p>これがThe　gloveの伝統的な暗殺術なんだと思うよ常に相手の死角から攻めていくみたいな技だよねっ</p><p>寧さんは、ずっとマルゴさんと恭子さんのトレーニングを近くで観てきている</p><p>格闘術にも、それなりに造詣が深い</p><p>イヤハァッ</p><p>瞬間美智の裂帛が轟く</p><p>相手の技をすり抜けて</p><p>美智の拳がミス・イーディの顔面直前でピタッと止まる</p><p>今はまだ気を読む力がある分だけ、ミッちゃんの方が先に行っているみたいだね</p><p>寧さんの言葉に、美智は</p><p>いいえ肉体の鍛錬は、この方の方が上ですわたくしの一撃では、この方は倒せません</p><p>気の隙を突いても、一発位じゃミス・イーディは沈まないということか</p><p>つまり現状では、五分五分</p><p>Great</p><p>ミス・イーディは、歓喜して美智に抱きつく</p><p>早口な英語で、何か言っている</p><p>イーディ、すごく喜んでいるわ私はあなたと出会うために、生まれてきたのかもしれないなんて言っているわよっ</p><p>寧さんが通訳してくれる</p><p>わたくしたちの技は、全く源流の違うものですだからこそ、一緒に鍛錬し合い、お互いの技を吸収すれば二人とも、より強くなれると思います</p><p>美智は、ハンカチで汗を拭いながらそう言った</p><p>思うじゃなくって美智は、そうしたいのか</p><p>オレは、美智に彼女自身の意志を問う</p><p>ご主人様がお許し下さるのなら是非</p><p>美智はミス・イーディを気に入ったらしい</p><p>ミス・イーディの方は、表情を見ただけで充分だ</p><p>じゃあ、ミス・イーディを招待しろオレたちの家に</p><p>美智の家は、オレの家だそうだろ</p><p>嬉しそうに、オレに答える</p><p>はい一生、お側から離れませんっ</p><p>ならミス・イーディには、美智の稽古仲間として家に来て貰おうミス・イーディが居たいだけ居てくれていいそう伝えてくれ</p><p>うん先生には、あたしからも頼んであげるマルちゃんや克っつんも歓迎してくれるって思うよっ</p><p>美智が英語で、ミス・イーディに話す</p><p>彼女喜んで、滞在させていただきますって言ってくれました</p><p>美智とミス・イーディが、親しげに握手する</p><p>さらに二人で何か喋っている</p><p>イーディミス・コーデリアとは、全然合わなかったみたいだねミス・コーデリアはレズなんだってさ</p><p>だから、ミス・コーデリアの部下はみんな女なんだって組織に売り飛ばされてきたイーディをミス・コーデリアが引き取ったのもこの子に気があったみたい</p><p>寧さんが、ミス・イーディの話を翻訳してくれる</p><p>さらに彼女が英語で話す</p><p>ミス・コーデリアは彼女を次世代のヴァイオラの候補にするつもりだったみたい</p><p>次世代のヴァイオラ</p><p>最初はロザリンドのスペアの予定だったんだけれど戦闘能力が高いから、ヴァイオラを継がせた方がいいんじゃないかって、ミス・コーデリアが組織のボスに進言したらしいわ</p><p>やっぱりシザーリオ・ヴァイオラは何人も居て、組織が管理しているんですね</p><p>おなじシザーリオ・ヴァイオラの名前を使って複数の人間が、幾つもの犯罪を犯す</p><p>そういう組織なんだ</p><p>そういうことねそれで、ミス・コーデリアは、時間をかけてゆっくり彼女を育てるつもりだったみたいついでに、自分のレズ相手としても攻略するつもりだったようよそれでイーディを、今回の日本ヘの出張にも連れて来たらしいのあくまで見学者として</p><p>うんこれで、なぜミス・イーディが４人目の戦闘員で</p><p>ミス・コーデリアがオレたちを襲撃した時に参加していなかったが判った</p><p>現在のミス・イーディはミス・コーデリアたちと戦闘での連携が取れないんだ</p><p>というか彼女は最初から、ミス・コーデリアの指揮下に入る気は全然無いから</p><p>時間を掛けて訓練しても、連携するのは無理だろうけれど</p><p>まあ、暗殺者組織の中で育った子だし留守番していろとか機械の操作をしろとか、そういう普通の作業の命令なら、買い取られて来た手前従うんだろう</p><p>だから、ミス・コーデリアは、彼女を従順な少女だと誤解していた</p><p>しかしミス・イーディは、自分は自由だと考えてきたし</p><p>一番大切な戦闘についてミス・コーデリアに従う気が全く無かった</p><p>それで、ミス・コーデリアを放り出して、友達になれそうな美智を追ってオレたちの方にやって来てしまったんだ</p><p>なかなか面倒な人材だなこの子</p><p>間違いなく逸材ではあるんだろうけれど</p><p>何より、ミス・コーデリアが自分のことをエディと呼ぶのが気にくわなかったそうです</p><p>そうだ何でミス・コーデリアは、彼女をエディって呼んでいたんだろう</p><p>ミス・イーディが次に喋った言葉に美智は赤面する</p><p>ええっと、その</p><p>ミス・コーデリアは、イーディという名前はＥＤと同じだって馬鹿にして笑ったらしいよそれで、この子のことエディって呼んでたんだって</p><p>口籠もった美智の代わりに、寧さんが説明してくれた</p><p>ＥＤってどうして、馬鹿にされるんです</p><p>ＥＤというのはその</p><p>恥ずかしそうな美智を見て、ミス・イーディは</p><p>Erectile Dysfunction</p><p>エレクトリック・パレード</p><p>オレの返事にミス・イーディは爆笑する</p><p>そうじゃないよ、ヨッちゃんErectile Dysfunctionてのは、 Impotenzのことだよっ</p><p>え何が大切なんですか</p><p>大切</p><p>それぐらいの英語は、さすがにオレでも判りますよimportantでしょ</p><p>違うよ、ヨッちゃんImpotenzだよっ</p><p>インポート</p><p>もっと違うよっImpotenzってのはインポだよ、インポオチンチンが勃たなくなるってことなんだよ</p><p>えっ、importantってそんな意味があるんですか</p><p>そうじゃないって、importantじゃなくって Impotenzの話をしているのっ</p><p>何が何やらオレには判らない</p><p>何の話をしているのという顔で、ミス・イーディがこっちを見ているから美智が、恥ずかしそうに英語で解説する</p><p>ミス・イーディは、ギャハハとまた爆笑する</p><p>あんたって救いようがないほど頭が悪いのね</p><p>雪乃が、呆れ顔でオレに言う</p><p>その言葉に異論は無いが雪乃には、言われたくないと思う</p><p>ミス・イーディが、ヨッちゃんに興味を示しているよ</p><p>さっき、雪乃さんと二人でしていた行為は何だって言ってるけど</p><p>雪乃としていたのはただのセックスですが</p><p>寧さんが、さらに突っ込んで尋ねる</p><p>うーんどうやら、この子セックスのこと、何もしらないみたい</p><p>ミス・イーディは、相変わらずニコニコ笑っている</p><p>この子の居たThe　gloveという組織は、宗教的な戒律が多いところだったらしいわ男性と女性の居住区が完全に別れているんだって結婚するまでは、自分から男と口をきくことも許されない結婚も、組織から指示された相手としかできないみたいよ原理主義の団体だったみたい</p><p>そういやこの子今までオレとは直接会話をしていない</p><p>まあ、オレが英語が判らないせいの方が大きいんだろうけれど</p><p>その戒律って彼女はまだ、それに縛られているんですか</p><p>オレの問いを寧さんが英語で尋ねる</p><p>うんとねイーディは、もう戒律に縛られていないってThe　gloveから売り飛ばされた段階で、彼女は組織からは異端者の扱いにされてしまっているらしいのだから、もう二度とニューオリンズには帰れないらしいわその代わり、戒律を守る必要もなくなったらしいんだけれど</p><p>さらにミス・イーディが、何やら言う</p><p>ごめん戒律を守らないじゃなくって、守れないというのが正しいらしいわ組織では、日常生活の全てのことについて、宗教的な上位者が下位の人間を監督していたらしいから上位の者の言葉には常に従うというのが、戒律の根幹だったみたい</p><p>そうか結婚相手まで、指示されるんだもんな</p><p>組織の外に出たら、何もかも自分で決めなきゃいけなくなるから自分の意志で何でも決めるということは、戒律違反なんだけれど身近に監督者がいない以上、一人で生きていくしからいものね</p><p>なるほど組織を離れた段階で異端者とされる理由が判った</p><p>イーディの場合はずっと、お祖母さんが監督者だったらしいわそして、今のボスよりも亡くなったお祖母様の方が、宗教的には上位の立場に居たらしいのそれでイーディは、ボスの命令に従う義務が無かったらしいのよ</p><p>そういう存在が組織内に残っていることを嫌って</p><p>ボスは、ミス・イーディを売り払ったんだ</p><p>そして、そのままレズのミス・コーデリアに引き取られたから</p><p>男女の性愛なんて、学んでいるわけがない</p><p>彼女にとっては、組織に属していることよりも、お祖母さんとの絆の方が大事なんだって自分の監督者であったお祖母様の最後の指示が、組織の外に出て、修行しろだったから</p><p>だから、ミス・イーディは暗殺術の求道者なんだ</p><p>うん、この子のこと大分判ってきた気がする</p><p>いや、確か１６歳って言ってたから、オレや雪乃と同い年なんだよな</p><p>この子って言うのは、失礼か</p><p>どう、ヨッちゃんイーディのこと、信じられる</p><p>寧さんが、改めてオレに尋ねた</p><p>え、当たり前じゃないですかミス・イーディ、もの凄く開けっぴろげな性格だし</p><p>うん美智の正反対で</p><p>いつも笑っていて、感情豊かだ</p><p>感情が全て、顔に表れている</p><p>ミッちゃんはどう思う</p><p>彼女は嘘を言っていません信じられますいえ、信じますわたくし</p><p>美智も、そう言った</p><p>美智にとっては、初めての友達になれるかもしれない少女だ</p><p>雪乃さんは、どう思う</p><p>寧さんに意見を聞かれて、雪乃はビクッとする</p><p>うん、雪乃さんの意見も聞いておきたいの</p><p>寧さんは、はっきりとそう言った</p><p>この子は小細工とかできないわよいわゆる、格闘馬鹿でしょ深いこと考えていないもの</p><p>寧さんは、改めてミス・イーディを見て</p><p>三人のセンサーが安全て評価するのなら信じても平気みたいだね</p><p>そうか、寧さんはそれでも</p><p>ミス・イーディが、ミス・コーデリアの仕掛けて来たスパイという可能性を考えていたのか</p><p>この子と谷沢さんとの繋がりは、どう考えても無いだろうしスパイとして送り込んでくるにしては、彼女の設定は特殊すぎるものねそれに、ミッちゃんとの手合わせでも、邪気が無かったし</p><p>美智と手合わせさせたのもミス・イーディの本心を探るためだったんだ</p><p>うんこれなら、ここでマルちゃんたちと連絡を取っても平気だよね</p><p>ミス・イーディが味方だと判別できるまで寧さんは、待っていたらしい</p><p>通信機はミス・コーデリアに傍受されますよ</p><p>同じ機械を、ミス・コーデリアたちも持っているのだから</p><p>判ってるってでも、仕方無いよマルちゃんたち、あたしたちが捕まっていると思って、さっきの劇場に向かっているんだから</p><p>今のままでは、ミス・コーデリアたちの待ち伏せに遭う</p><p>この通信機は、壁の中の中継器を通しているでしょだから、この部屋から通信したら本部に居る谷沢さんにはあたしたちの居場所がバレちゃうと思うのよでも、多分、谷沢さんはミス・コーデリアには教えないと思うんだ</p><p>ミス・コーデリアと谷沢チーフの微妙な関係を考えて</p><p>寧さんは、一か八かの賭けに出るつもりらしい</p><p>えっえっえー、あのそれは</p><p>ミス・イーディと喋っていた美智が、突然大きな声を出す</p><p>どうしたんだ美智</p><p>美智は、困惑した顔でオレを見る</p><p>わたくしが心月を開眼したのはご主人様に抱いていただいたおかげだという話をしていたのです</p><p>何で、今、そんな話をしているんだ</p><p>それはイーディさんにも、ご主人様の素晴らしさを知っていただきたくて</p><p>オレは、全然素晴らしい人間じゃないぞ</p><p>そしたら彼女</p><p>ミス・イーディは、相変わらず無邪気な笑顔を浮かべている</p><p>自分もしたいって言うんです</p><p>したいって</p><p>オレとセックスを</p><p>ええっと一昨日までは、エディで男の子の予定でした</p><p>しかし、ミス・コーデリアが男を連れて来るはずがないよなあと思い</p><p>気が付いたら、こんなことに</p><p>イーディの設定は、この２４時間で思い付きました</p><p>320．スローにオリロー</p><p>美智が、真剣な顔でミス・イーディに話す</p><p>英語だからオレにはよく判らないけれど</p><p>セックスは、本当に信頼し合って愛し合っている男女でないとしてはいけないものだって言っているよ</p><p>寧さんが、美智の言葉を通訳してくれる</p><p>ミス・イーディが、驚いた顔でオレを見る</p><p>そして、美智に尋ねる</p><p>これはオレの拙い英語力でも判る</p><p>つまりこの男性は、あなたのハズバンドなのかって尋ねているんだな</p><p>NOHe　is　my　Master</p><p>マスターってああ、ご主人様か</p><p>さらに流暢な英語で、言葉を続ける</p><p>ミッちゃんは私はこの人に生涯を捧げ、お仕えして尽くすことにしたご主人様も、そういう私を受け入れて下さっているって話しているよ</p><p>美智の真剣な態度にミス・イーディの顔から微笑みが消える</p><p>sorry</p><p>ミス・イーディは、美智に謝罪した</p><p>あなたたちの関係を知らないまま、自分勝手な申し出をしてごめんなさいって、謝っているよこの子</p><p>えミス・イーディ</p><p>この子の中では、ご主人様とか一生お仕えするとかアリなのか</p><p>まあ、謎の暗殺者教団で育ってきた子だから、オレたちとは一般常識が違うんだろうけれど</p><p>ミス・イーディは、今度は寧さんに何かを尋ねている</p><p>うんとねあたしとミッちゃんの関係を尋ねているんだよ</p><p>この乳白色の金髪に褐色の肌の暗殺者美少女は</p><p>美智に対する興味だけで、オレたちに近付いて来た</p><p>美智と稽古友達になる約束をしてようやく寧さんやオレにも興味が湧いてきたんだろう</p><p>We　Are　familyっていうか、この場合はちょっと違うかなSisterhoodって言った方が判りやすいかもね</p><p>何ですか、シスターフッドって</p><p>思わず尋ねてしまう</p><p>直訳すると姉妹団てことなんだけれどキリスト教徒だと友愛の精神があるから、親しい間柄になると、すぐにお互いを兄弟って呼び合うんだよよう、兄弟とかさ</p><p>ああ、映画とかで観たことがる</p><p>それでね血が繋がっていなくても、みんな兄弟みたいに仲良い人たちの集まりだよねっていう団体をブラザーフッドって言うんだよそれの女性版がシスターフッドだよ</p><p>うん、オレたちの黒森の家族はそういう感じだよな</p><p>本当の血の繋がっている家族じゃないけれど信頼し合っているし、結束している</p><p>というか寧さんたち、前にそのまんま姉妹会っていう集まりも作ってましたよね</p><p>うんあれは本当に外国のシスターフッドを参考にしたからあ、姉妹会はこれからも健在だからねミッちゃんも入ってね</p><p>美智が、寧さんに振り向く</p><p>ヨッちゃんを愛する姉妹の会っていうのがあるの会員は、克っつんと、渚さんと、あたしと、ミィちゃんと、メグちゃんと、マナちゃん入会条件は、ヨッちゃんのことが大好きだっていうこと年会費とかは無いから安心して</p><p>みすず様も入会なさっていらっしゃるのならわたくしも入ります</p><p>美智は、即答する</p><p>オッケー</p><p>ミス・イーディが、美智と寧さんを見て何の話をしているのみたいなことを聞いている</p><p>寧さんはだから、あたしたちはシスターフッドなのよと答えている</p><p>それぐらいは、どうにか判る</p><p>あなたは、彼女のシスターなのかとミス・イーディは、寧さんに尋ねる</p><p>ミッちゃんあたし、ミッちゃんのお姉さんでいい</p><p>美智は主人であるオレを見る</p><p>寧さんは、オレのお姉さんだだから、美智も寧さんのことを自分のお姉さんだと思って敬愛しないといけない</p><p>美智が、改めて寧さんを見る</p><p>未熟な妹ですが、どうか存分にご指導下さいませ</p><p>こうして美智は、正式に寧さんの妹となる</p><p>うん、この二人の関係は微妙だったからこれで仲良くなってくれるといいな</p><p>ミス・イーディが、また美智に何か言う</p><p>雪乃を観ている</p><p>えっとね彼女は、雪乃さんもシスターなのかって尋ねて、ミッちゃんが否定したところそんでじゃあ、どういう関係なんだって聞くから、ミッちゃんがよく判らないって答えてるね</p><p>確かに雪乃は家族でも姉妹会でもない</p><p>寧さんや美智との関係どころか</p><p>オレとだって、どういう関係なのかよく判らない</p><p>でも、あなたのMasterととても親密じゃないかつてイーディが言うから、でも、判らないものは判らないんだってミッちゃんが答えて、そう、それはちょっと心配だねってイーディが慰めている</p><p>うんと何か、色々と申し訳無い</p><p>雪乃に関しては、オレもどういう判断をしたらいいのか現状では、どうしようもない</p><p>腐れ縁て英語で何て言うんだろうか</p><p>イーディが、ミッちゃんのことをシスターって呼んでもいいかって聞いてるよ</p><p>これから稽古仲間になるんだから是非とも、シスターって呼びたいってまあ、親愛の情を表しているんだと思うけれど</p><p>美智がいいんなら別にいいんじゃないか</p><p>美智は、ニコッと微笑み</p><p>判りました、これからは私をシスター・ミチと呼びなさい私もあなたをシスター・イーディと呼びます的なことを言っている多分</p><p>ミス・イーディは、オレと寧さんを見て、笑いながら何か言った</p><p>私のシスターの姉なら、あなたも私の姉ですだってでも、ヨッちゃんはマスターじゃないよって言っているよ</p><p>寧さんが、解説する</p><p>まあ美智とシスターになったと言っても、別にオレたちの家族になったわけではないし</p><p>だいたい今、知り合ったばかりの女の子から、いきなりご主人様なんて呼ばれるのも困る</p><p>しかし、あなたがシスター・ミチのマスターである以上、私も最大の敬意を払うだってさ</p><p>ミス・イーディと寧さんが会話する</p><p>ミス・コーデリアの追撃から、あたしたちを守ってくれるってそう約束してくれたよ</p><p>ああミス・イーディの中では</p><p>美智と友達になることと、美智を含めたオレたち全員を危機から救うことは、今の今まで別のことだったんだ</p><p>美智は自分と同じで力があるからミス・コーデリアの攻撃を躱して生き残るのは当然だと思っている</p><p>一緒にいるオレたちは、どうなってもいいっていうか特に関心は無かったんだろう</p><p>多分シスターフッドという言葉が、イーディの心を動かしたんだと思うよ</p><p>寧さんがオレに言う</p><p>彼女の居た暗殺教団にも、多分、兄弟っていう思想はあったんだと思うよ組織の中の人間は、みんな兄弟で助け合わなくてはいけないっていうのがだから、彼女の新しいシスターになったミッちゃんにとって、ヨッちゃんやあたしが特別な存在ならイーディにとっても守るべき存在ってことなんだと思う</p><p>それは、ありがたいけれど</p><p>そしたら、雪乃はどうなる</p><p>美智がイーディに示した感じでは雪乃のことを何とも思っていないことが明らかになっているし</p><p>美智雪乃も助けてくれって言ってくれ</p><p>美智はちょっと不快そうだ</p><p>雪乃は、ジッとオレを見ている</p><p>これで雪乃だけ死ぬ様なことになったら、寝覚めが悪いだろ</p><p>美智が、何やらミス・イーディに話す</p><p>OKI　see．</p><p>ミス・イーディは納得する</p><p>何て言ったんだ</p><p>彼女は私のご主人様の大切な家畜だから、死なせたくないって、言ったんです</p><p>ちょっと、家畜って何よっ</p><p>雪乃が、反発する</p><p>あなたが今、生きてこの場に居られるのは、ご主人様の思し召しだということをご自覚下さい</p><p>美智は、冷たく言い切った</p><p>香月健思さんと一緒であの場に置いてきても良かったんですよあなたなんて</p><p>まったくどうして、オレの女はみんな雪乃に厳しいんだろう</p><p>まあ気持ちは判るが</p><p>とにかくあなたは家畜ですペット以下ですお仕置きしないと、大人しくならないようでしたら、その大きなお尻をムチで叩きますよろしいですねっ</p><p>何事にも冷静沈着で感情を表に出すのを嫌う美智が雪乃に対しては、怒りの表情を隠さないんだな</p><p>ミス・イーディは、そんな美智を見てケラケラ笑っている</p><p>本当に、美智のことを友達だと思っているんだ</p><p>さっきのほんのちょっとの手合わせでミス・イーディの方も、美智のことを信頼できる相手だって判ってくれたんだ</p><p>完全に、心を開いている</p><p>ていうか、この子自分がミス・コーデリアを裏切ったということについては、何の罪悪感も感じていないんだな</p><p>すっごい割り切りだ</p><p>こういう考え方は、本当にアメリカ人ぽいけれど</p><p>こうなるとさ早いとこ、イーディをマルちゃんや関さんと会わせないといけないね</p><p>イーディが、ミス・コーデリアの作戦計画をどれぐらい知っているかは判らないけれど何かしらの指示は受けているはずだから</p><p>そうか敵の出方が判る</p><p>あたしじゃあ、話を聞いても判らないけれどマルちゃんや関さんなら、イーディの話の中のちょっとしたことをヒントにして色んなことが判ると思うんだ</p><p>え麗華は</p><p>って、思ったけれど</p><p>麗華は、純粋な戦闘要員なんだな</p><p>部隊指揮とか、作戦立案とかの訓練はマルゴさんや関さんでないと受けていないんだろう</p><p>一か八か通信してみるよ</p><p>寧さんと美智が、通信機を取り出す</p><p>オレのは上着と一緒に、さっきのステージの上に置いてきてしまった</p><p>こうなってみるとオレたちから通信機や、美智の武器を奪わなかったのは、ミス・コーデリアの失敗だったと思う</p><p>オレたちを舐めていたというか、絶対的優位に立っていると思って、余裕をカマしていたんだろうけれど</p><p>しかし、この通信機での会話は確実に傍受される</p><p>寧さんどうする気だ</p><p>ご主人様、こちらへ</p><p>美智が、オレを手招きする</p><p>一つのイヤホンを二人で聞くことができるように身を寄せ合う</p><p>もっと、ぴったりくっついて下さい</p><p>というか、美智は小柄なんだから</p><p>オレは、美智を抱きかかえる</p><p>嫌か、美智</p><p>いえむしろ嬉しいです</p><p>赤面して言う美智に、ミス・イーディが笑って何か言う</p><p>冷やかしているんですわたくしたちのこと</p><p>美智は恥ずかしそうに言った</p><p>ほんじゃ、ま行きますかっ</p><p>寧さんが自分に気合いを入れ通信機のスイッチを押す</p><p>チェックメイト・キング２、チェックメイト・キング２こちら、ホワイトロック通信を乞う</p><p>すぐに返信が来る</p><p>チェックメイト・キング２なんて、どこにもいないよオーバー</p><p>マルゴさんの声だ</p><p>うん、嘘だからこっちもホワイトロックじゃないし・オーバー</p><p>寧さんは、そう返す</p><p>こっちはハートのエースでブラックジャックだよもう一枚のババもこっそり隠し持っているしオーバー</p><p>そうだ地下の部屋から脱出する前に色々と決めたんだっけ</p><p>上階へ来てからのドタバタですっかり忘れていたけれど</p><p>マルゴさんがスペードで、関さんがダイヤ、美智がハート、寧さんがエースで、オレがジョーカー、雪乃がババだったっけ</p><p>つまり、寧さんと美智でハートのエース、それにジョーカーのオレで２１のブラックジャックだ</p><p>さらにババ追加で雪乃の無事も伝えている</p><p>あれお菓子のオマケはオーバー</p><p>オマケはどっかで落としてきちゃったもしかしたら、誰かに拾われたかもオーバー</p><p>と、寧さんは香月健思とはぐれてしまったことをマルゴさんに伝える</p><p>そう、そりゃ残念だこっちは、最初に配られたカードのまんまだよまだ何の勝負もしていないからオーバー</p><p>つまり、あの後マルゴさんたちに追撃は無かったんだ</p><p>でも、ダイヤのエースとクローバーの１０にスペードの２っていう持ち札だからねこのままじゃ、カードをドロウしないといけないねオーバー</p><p>えどういうことだ</p><p>エース１枚と１０のカードと２のカードですと、２３か１３ですこの場合、１３はありえませんから、マルゴお姉様たちは今、２３階にいらっしゃるということです</p><p>美智が、解説してくれる</p><p>こっちはよくも悪くもブラック・ジャックだよオーバー</p><p>つまりオレたちはブラックジャック２１階に居るということ</p><p>タイガー・リリイはどうしたのオーバー</p><p>うん、何とか虎の巣穴からは出て来られたでも、まだこっちのことを狙っている足跡を追っ掛けて来ているとは思うよオーバー</p><p>でも、タイガー・リリィから逃げられたのは幸いだよオーバー</p><p>まあ、落っことしてきちゃったオマケは可哀想だけど虎に食べられちゃってないといいんだけれどオーバー</p><p>遠回しにミス・コーデリアの手から逃げ出せたことを報告する</p><p>仕方無いよ、相手は凶暴な虎なんだから今、こうやって通信できているだけでもラッキーだと思わなきゃオーバー</p><p>そうだねところでさ、タイガー・リリィはマスクを外したら、お化粧が濃かったよちょっとベッタリ塗りすぎなんじゃないかなオーバー</p><p>それは言わないであげてよお肌の曲がり角なんだから色々と気にしているんじゃないのオーバー</p><p>そういえば、おっぱいとかも垂れ気味な気がしてきたなあの人オーバー</p><p>ミス・コーデリアが傍受していることを知っていて二人とも彼女を挑発するようなことを好き勝手に言っている</p><p>南の布団部屋wc-2123ですオーバー</p><p>美智が、二人の会話に割り込む</p><p>了解オーバー</p><p>返事は、関さんだった</p><p>布団部屋というのは、香月セキュリティ・サービスの隠語でVIP用の待避所を指しますミス・コーデリアは、おそらく布団部屋という言葉を知らないでしょうから</p><p>うん生粋のアメリカ人じゃ、布団部屋は判らないだろうな</p><p>南とか、その後の数字は何なんだよ</p><p>全部、フェイクですこのフロアにはVIP用の待避所は、ここしかありませんからそして、この部屋はフロアの東側にあります</p><p>なるほど敵を混乱させるための発言か</p><p>さすが、美智</p><p>ハートのエースは、避難訓練の経験はあるのオーバー</p><p>関さんが、美智に尋ねる</p><p>テキストは全て読んでいます、オーバー</p><p>緊急時の緩降機の使い方は判るわね、オーバー</p><p>もちろんです、オーバー</p><p>緩降機ってあれだろ</p><p>学校とかデパートとかの廊下の角によく置いてある、避難する時に高いところから降りるための</p><p>おりろーとかすろーだんとか</p><p>でもここは２１階だぞ</p><p>この高さから地上に降りるのは、無理なんじゃないか</p><p>せっかくブラックジャックなところ悪いんだけれどもう一枚、カードを引いてくれるかしらオーバー</p><p>関さんは言った</p><p>エースとジョーカーのブラックジャックなら、まだカードを引くことはできるでしょ勝負を下りないで、むしろ賭け金をアップなさいオーバー</p><p>もう一枚、ドロウですねオーバー</p><p>美智が、確認する</p><p>ええ、やってみてちょうだいオーバー</p><p>オーケイ、今回の通信はこれで終わりにしようこれからは３０分ごとに定期的に連絡し合ういいねオーバー</p><p>マルゴさんの声だった</p><p>了解よオーバー</p><p>最後は寧さんが締めくくった</p><p>前みたいに、通信に割り込んで来ませんでしたねミス・コーデリア</p><p>オレがそう言うと寧さんは</p><p>恥ずかしいんでしょこの通信、谷沢さんも聞いているでしょうから</p><p>そうか、谷沢チーフにオレたちに逃げられたことを話すのは嫌なのか</p><p>もちろん、谷沢チーフはあたしたちが脱出したことは、もう知っていると思うけれどそれでも、自分から公表するのは彼女のプライドが許さないんだと思うわ</p><p>ところでどうしてマルゴさんたちに、ミス・イーディのことは話さなかったんですか</p><p>それもミス・コーデリア絡みよあの人は、ミス・イーディが脱走しただけだと考えていると思うの</p><p>ミッちゃんの技を見てときめいちゃってミッちゃんとお友達になりに来たとか、ミス・コーデリアの発想には無いと思うのよ</p><p>オレたちだって、びっくりしているものな</p><p>イーディは、たまたまミス・コーデリアから逃げ出す隙があったから、脱走したそうとしか考えてないわよ</p><p>ミス・イーディが、ミス・コーデリアに全然懐いていないことは判っているわけだし</p><p>だから、この子があたしたちと一緒に居ることはまだ隠しておいた方がいいと思うわ</p><p>ところで、ミッちゃんは関さんと何の話をしていたの</p><p>オレも、それを知りたい</p><p>はい合流場所について、指示を受けました</p><p>合流</p><p>２２階で合流します</p><p>どういうことだ、美智</p><p>ブラックジャックの状態でさらに、もう１枚カードを引けと命じられましたつまり、２１＋１で２２階です</p><p>でも、どうやってここから上に行くんだよ</p><p>外に出ればミス・コーデリアに発見される</p><p>迷路状のホテル内を抜けて、上のフロアに行くためにはどうしても監視カメラの前を通ることになるだろうし</p><p>このVIP用の避難所は各フロア、同じ位置にあります</p><p>え美智</p><p>そして秘密のハッチで、各階上下に繋がっています</p><p>繋がっている</p><p>せっかく、VIPをこの部屋まで避難させることができてもこの部屋に封じ込められたままでは困りますここは、地下の閣下専用の緊急避難室とは違って、食料も衣料品も碌に備蓄されていませんからだから、この部屋からさらに上下の避難所に移動できるシステムがあるんですもちろん、香月セキュリティ・サービスでも、要人を警護する専任の警護役しか知りませんが</p><p>美智は、みすずの警護役だからそれを知っている</p><p>関様は、勝負を下りるな、むしろ賭け金を上げろと仰いましたつまり、この部屋から下ではなく上の部屋に移動しろと命じられたのです</p><p>２１階のVIP用避難所から２２階の避難所へ</p><p>そして、上下の部屋に移動するための装置が</p><p>美智は、備蓄ロッカーを動かして、その後ろの柱の陰に置かれた箱を示す</p><p>避難用の緩降機にそっくりなんです</p><p>その箱には、スローにオリローと書かれていた</p><p>まさか深夜にオリローについて調べることになるとは</p><p>321．プル・アップ</p><p>はいそこのパネルですご主人様</p><p>今、この部屋にいる人間ではオレが一番背が高いから椅子に乗って、天井に手を掛ける</p><p>天井は、全て同じ様な白い枠で区切られていたけれどなるほど、美智の指示したパネルだけククッと動く</p><p>そのまま、押しあげて、横にスライドさせてみて下さい</p><p>あ、動いたパネルが天井の中に滑って収納されていく</p><p>その上には金属製のハッチがあった</p><p>何か、潜水艦とかみたいだ</p><p>ロックされていますから、横のダイアル・ナンバーを合わせて下さい</p><p>なるほど、大昔の大金庫みたいな大きなダイヤルが付いているみたいだ</p><p>電気式ですと、緊急時に停電したら使えませんから機械式のダイアルになっているんです</p><p>なるほどしかし、暗くてよく見えないな</p><p>ダイヤルの文字なんて、小さいから</p><p>これで見えますか</p><p>オレがモジモジしていると美智が下から、LEDライトでオレの手元を照らしてくれる</p><p>さすが、工藤父の娘だ</p><p>こういう道具もきちんと持ち歩いているらしい</p><p>ああ、よく見えるよ</p><p>うん、数字とアルファベットの彫られたダイヤルがはっきりと見える</p><p>で、ナンバーは幾つなんだ</p><p>解錠ナンバーは、６７００《シックス・セブン・オー・オー》WAOです</p><p>オレはナンバーを合わせて、ハッチのレバーを開く</p><p>カチャッ</p><p>ハッチが開いた</p><p>ハッチの中は人一人が昇れる広さの煙突状の筒になっている</p><p>しかしハシゴとかはないぞ</p><p>筒の中はつるつるだし</p><p>これ、どうやって上に上がるんだ</p><p>ありがとうございますご主人様換わって下さい</p><p>もしもの場合がありますから、上の階の避難所の様子はわたくしが確かめて参ります</p><p>ミス・コーデリアには、この避難所のことも、上の階と繋がっていることも知られていないだろうけれど</p><p>谷沢チーフには、バレているはずだ</p><p>あらかじめ、谷沢チーフの配下のトップ・エリートが隠れている可能性もある</p><p>でも一人じゃ危ないぞ、美智</p><p>オレは、心配になる</p><p>しかし、美智は</p><p>この通路は、一人ずつしか通れませんし上の部屋から、皆様を引っ張り上げる装置は、わたくししか使えませんから</p><p>そう言って、美智はスローにオリローの箱を見る</p><p>このような避難器具は普通は、ゆっくりと安全なスピードで人を上から下へ吊して降ろすものなのですがこの機械は、下から上に引き上げることもできるようになっているんですこの機械は、ホテルの各階にあるVIP用避難所には全て置かれていますから</p><p>つまり美智が上の部屋に昇って行って、上の部屋にあるスローにオリローを使って、オレたちをロープで引き上げてくれるということか</p><p>１階ごとに、上の階に通じるハッチの位置はズラしてあるんですだから、特定の部屋から一気に幾つものフロアを移動することはできませんちょっと面倒ですがあんまりにもシンプルな構造にすると、敵に利用された場合、大変なことになりますから</p><p>なるほどハッチの位置が一直線なら、大人数の敵に使われたら大変なことになる</p><p>時間が掛かっても構わないから１階ごとに、別々のスローにオリローを使って移動するシステムになっているんだ</p><p>それなら、もしこの非常通路の存在を敵に察知されても途中の階で、阻止できる</p><p>ホテル内が火災とか上の方に飛行機がぶつかって、急いで逃げ出さないといけない場合とかは困るじゃない</p><p>雪乃が、皮肉っぽく言った</p><p>そういう場合には、そもそもこのVIP用の避難所は使われません普通に正常の避難経路を使って脱出しますこの部屋は、あくまでもテロ対策用の部屋ですから</p><p>うんテロ事件なら</p><p>この避難所に逃げ込んでしかも、事件解決まで時間が掛かることが予想されるなら</p><p>多少面倒でも、１階ずつ降りて行った方がいい</p><p>ていうか徹底的にテロ対策に偏ったホテルだよな、ここ</p><p>とにかく、わたくしが参りますお任せ下さい</p><p>そう言って美智は、靴と靴下を脱いで裸足になる</p><p>ご主人様、わたくしを肩車して下さい</p><p>美智の背では椅子に乗ったぐらいでは、ハッチに手が届かない</p><p>う、うん、判った美智</p><p>オレは椅子から降りて美智の前にしゃがむ</p><p>美智は制服のスカートを捲って、オレに乗っかってくる</p><p>美智の生足のふとももがオレのほっぺたを左右から包む</p><p>お願いします、ご主人様</p><p>オレは、美智を肩車して立ち上がる</p><p>は、はい何でございましょう</p><p>軽いなお前</p><p>１５歳の小柄な身体はびっくりするほど軽い</p><p>違う褒めているんだよ</p><p>どうせ、あたしは重いわよ</p><p>いや雪乃の重さは、嫌いじゃない</p><p>さっき騎乗位でセックスした時にそう思った</p><p>もちろん今はそんな話をする場合じゃ無いから、言わないけれど</p><p>そのまま、動かないで下さい</p><p>美智がハッチに取り付く</p><p>オレの肩に足を置いて、ハッチの中へ</p><p>ミッちゃん気を付けてね</p><p>寧さんが心配そうに、美智を見上げている</p><p>ミス・イーディはワクワク顔だ</p><p>これから何が起きるのか、楽しみで仕方が無いらしい</p><p>行きます</p><p>美智は両手と裸足の両脚をハッチ内に突っ張らせる</p><p>なるほどこれでハシゴ無しに、上まで這い上がっていくのか</p><p>こりゃ確かに、美智ぐらいの身体能力のある子じゃないと無理だ</p><p>あんた丸見えよ</p><p>雪乃が美智に言う</p><p>両脚を拡げて天井内のハッチに足を掛けているから美智のスカートの中は、完全にご開帳されている</p><p>可愛いパンティで覆われた股間も</p><p>いいんですご主人様に見ていただいているんですから</p><p>美智は、恥ずかしそうにそう言った</p><p>中学３年生のまだ肉の付ききっていないお尻と太もも</p><p>ぴんと伸びた裸足の足</p><p>ああ眼福だ</p><p>では、しばらくお待ち下さい</p><p>そのまま可愛い足がするすると狭い筒の中を昇っていく</p><p>滑って落ちないか心配だったが美智は、どんどん上に昇っていく</p><p>オレは、心配でジッと美智を見上げているが</p><p>ヘンタイ、そんなにあの子のパンツが見たいの</p><p>オレが心配しているのは、パンツじゃなくて中身の方だ</p><p>筒の上方で、LEDライトの光が輝く</p><p>美智が上の階のハッチに辿り着いたらしい</p><p>筒の中を３メートルぐらい上がった辺りか</p><p>そこにもダイヤル・ロックがあるようだ</p><p>美智は、筒の中に足を突っ張らせて身体を保ちダイヤル廻す</p><p>上の階のハッチが開く</p><p>ゆっくりと上階に這い上がる、美智</p><p>オレたちも緊張する</p><p>しばらくして上階の部屋の電灯が点く</p><p>大丈夫です部屋には誰もいません</p><p>美智の声が上の部屋から響く</p><p>待って下さい今、皆様をロープで引き上げる準備をします</p><p>ミス・イーディが、ニコッと笑ってオレに何か言う</p><p>自分も上に行くから、肩車してって言っているよ</p><p>寧さんが、通訳してくれた</p><p>いや、でもちょっと待っていれば、美智がロープで引き上げてくれるんでしょ</p><p>と、オレは答えるけれど</p><p>ミス・イーディは納得しない</p><p>どうしても、ミッちゃんみたいに自力で昇っていきたいんだって</p><p>寧さんは、言った</p><p>子供っぽい子なんだよこの子は</p><p>ミス・イーディは、早く早くとオレにせがむ</p><p>仕方無いなあ</p><p>オレは、ミス・イーディの前にしゃがむ</p><p>Thank You</p><p>ミス・イーディがオレに乗っかる</p><p>お、重い</p><p>これはミス・イーディの肉体の重さじゃない</p><p>この子黒い戦闘服の下に、色々付けている</p><p>サポーターとか、プロテクターとか</p><p>多分武器も</p><p>ういっしょッ</p><p>ふらつきながらも、何とか肩車したまま立ち上がる</p><p>ミス・イーディの筋肉質な肉体を感じる</p><p>全身がバネの様だ</p><p>こりゃマルゴさん並みに鍛え上げられているぞ</p><p>それでいて細い</p><p>体脂肪が全然付いていないんだ</p><p>Wawoo</p><p>ミス・イーディは、ハッチに手を掛けるとそのまま、スルスルと昇っていく</p><p>慣れている</p><p>美智と違って、戦闘ブーツを履いたままなのに</p><p>この子、こういう訓練も受けているみたいだね</p><p>そうだ、ミス・イーディは、暗殺教団で育った少女だ</p><p>潜入訓練なんて、普通にこなしてきているのだろう</p><p>ミス・イーディが上階に辿り着くと</p><p>美智の声と共にハッチの上にスローにオリロー機のアームが見える</p><p>ウィィィィィィィン</p><p>アームの先からロープがゆっくり下りてくる</p><p>ロープの一番下が輪になっていますからその輪に片足を掛けて下さいそれから、これを使って下さい</p><p>美智が上から、何かのパックを投げ落とす</p><p>安全帯のハーネスです脇の下を通して、しっかりとハーネスを固定して下さいそしてロープの途中のカラビナと繋いで下さい</p><p>パックのビニール袋を開けるとなるほど、金属の固定器具の付いたチョッキの様なものが入っていた</p><p>雪乃さん、お先にどうぞ</p><p>寧さんが、雪乃に言う</p><p>寧さんは、雪乃にハーネスを付けてあげる</p><p>オレのYシャツ１枚しか服を身に付けていない雪乃</p><p>ハーネスで上半身を締め上げられると妙にいやらしい</p><p>さここに足を入れてハーネスもロープに固定してあるけれど、自分でもしっかりロープを握ってね足を滑らせて、ハーネスだけで吊り下げられるととっても苦しいことになると思うから</p><p>寧さんは、そう雪乃に言った</p><p>ミッちゃんいいわよ、上げて</p><p>上から美智の声がする</p><p>ヴゥイィィィィィィィィン</p><p>そして、ロープが引き上げられる</p><p>足が床から離れた途端、雪乃の身体はロープに揺られて、ぶらんぶらんする</p><p>ほら、危ないぞ</p><p>オレは、雪乃の身体を押さえてやる</p><p>ちょっと、どこ触っているのよっ</p><p>雪乃は口では怒っているが顔は、緊張している</p><p>そのまま、雪乃の身体がハッチの中に収まるまで身体を保持してやった</p><p>あ雪乃はノーパンだったっけ</p><p>お尻も肛門も割れ目も丸見えだ</p><p>見るさよーく見ておくぜ、雪乃</p><p>もう変態っ</p><p>もう何度、この身体を抱いたんだろう</p><p>何回、この身体に射精したんだろう</p><p>今も雪乃の子宮の中には、オレの精液が詰まっている</p><p>何か不思議な気分だ</p><p>上階へ引き上げられていく雪乃の肉体を見ながら、そんなことを考えていた</p><p>雪乃の身体が完全に筒の中に入った段階で寧さんが、オレにキスする</p><p>抱き締めて</p><p>そうだ今</p><p>この部屋の中は、オレたちだけだ</p><p>この部屋は誰にも監視されていない</p><p>オレたちを見ている人間はいない</p><p>オレは思い切り、寧さんを抱き締めた</p><p>寧さん寧さん寧さん</p><p>オレも寧さんにキスを求める</p><p>寧さんは、舌で答えてくれた</p><p>力の限り寧さんを抱き締める</p><p>ありがとうヨッちゃんが側にいてくれているから、あたし、壊れないで済んでいるよ</p><p>そうだよあたしは、寧ヨッちゃんのお姉さんだよ</p><p>ナトウ・ネイとはナジマ・ヤスコが自分の心を守るために作った、人格だ</p><p>ミス・コーデリアにヤスコと呼ばれたことで、寧さんの心はぐらついている</p><p>この後シザーリオ・ヴァイオラと対面したら、もっと揺さぶられることになるだろう</p><p>気弱で温和しい女の子ナジマ・ヤスコでは、潰れてしまう</p><p>いつも明るくて、元気で、強気な少女ナトウ・ネイでないと</p><p>寧さん寧さんオレの寧さん</p><p>オレは、寧さんを抱いたまま寧さんの髪を優しく撫でる</p><p>うんあたしは、ここにいるからね</p><p>二つの人格が今、瀬戸際にいる</p><p>ご主人様、次、参りますっ</p><p>雪乃の引き上げが終わったらしい</p><p>美智が、ロープを再度下ろしてくれる</p><p>さあ、次は寧さんの番ですよ</p><p>寧さんを最後にするわけにはいかない</p><p>オレより先に、上階へ行ってもらおう</p><p>うんヨッちゃん、ごめんね</p><p>身体を離しながら寧さんはオレに謝る</p><p>え、何がですか</p><p>ほら、あたし今日、パンツ・スーツだから何も見せてあげられないよ</p><p>そんなの今度でいいですよ</p><p>そうだね下着も裸も、いつでも見せてあげるからね</p><p>寧さんのシザーリオ・ヴァイオラによって負ったコンプレックスは、何としても今晩中に克服する</p><p>シザーリオ・ヴァイオラを倒すことで</p><p>寧さんは、自由になるんだ</p><p>今夜</p><p>オレ寧さんのためなら、何でもしますから</p><p>オレたちは、もう一度しっかり抱き締め合った</p><p>お互いの心と熱さを確認する</p><p>寧さんを無事に引き上げ</p><p>最後は、オレの番だ</p><p>おっと、美智の脱いだ靴と靴下を忘れずに持って行ってやらないと</p><p>えっと靴下のもう片方は</p><p>しかし、靴も靴下も小さくて可愛いなあ</p><p>何をしているんですご主人様</p><p>開いたままの天井のハッチの遙か彼方</p><p>上階から、美智がオレを見下ろしている</p><p>いや、美智の靴下をさ</p><p>匂いは嗅がないで下さい</p><p>いえ嗅いでもいいですわたくしは、ご主人様のものですから何でも、ご主人様のお望み通りになさって下さい</p><p>いや、オレ別に、そんな趣味は無いんだけれど</p><p>わたくしのそんな物にまで興味を感じて下さいましてありがとうございます</p><p>ま、待てちょっと</p><p>あのオレはただ、お前に靴と靴下を届けてやりたいと</p><p>ハッチの向こうの小さな顔が、赤面するのが判る</p><p>失礼致しました</p><p>うん引き上げてくれ</p><p>ウィィィィィィン</p><p>ロープがオレの身体を引き上げていく</p><p>すぐに天井のハッチから筒状の通路へ</p><p>下で見上げている感じより、実際は広いな</p><p>まあ、これぐらいの幅がないとVIPのオッサンとか入らないだろうしな</p><p>この機械のウィンチで引っ張り上げたり、降ろしたりするのも判る</p><p>オッサンたちの体力じゃ、ハシゴを昇ったりするのは無理だろうし</p><p>何人か同時に昇って、途中で一人がコケたりしたらハシゴの下に居た人間が全員巻き添えを食って大ケガする</p><p>機械で一人ずつ移動させるっていうのが、やっぱり一番なんだろう</p><p>はい、お待たせ致しましたご主人様</p><p>上の階まで引き上げられると美智が、真剣な顔で出迎えてくれた</p><p>寧さんも笑っている</p><p>雪乃は、ブスッとしているがこれはここんとこずっとだし</p><p>ミス・イーディは、ニコニコ顔のままだ</p><p>ハッチ、閉じます</p><p>美智が、ガチャッと開いていたハッチを閉じる</p><p>同時に、下の階からもガチャッという音がする</p><p>上の階のハッチが閉じられると、連動して下の階のハッチも閉じられるようになっているんですダイヤル・ナンバーも自動的にアトランダムなものになります</p><p>美智が、説明してくれた</p><p>スライドさせた天井のパネルも、自動的に元に戻りますわたくしたちが上の階に脱出した形跡は残りません</p><p>本当に、よくできているな</p><p>このホテルは</p><p>もし、敵がVIP用避難所が上下に繋がっていることに気付いたとしてもわたくしは、２１階のスローにオリローの機械の箱を見える様に出しておきましたので、敵はわたくしたちが下階に脱出したと思い込むはずですこの機械、特殊な手続きをしないと、ロープを引き上げる機能は作動しませんから</p><p>うん普通の避難用の緩降器具は、ゆっくりと下に降りる機能しか付いていない</p><p>下に逃げたと思っても上の階へ行ったとは考えないだろう</p><p>それに、下の階のハッチに誰かが手を触れれば、こちらのハッチに反応が出ますから、すぐに判ります</p><p>そうか、上下のハッチは機械的に連動しているんだっけ</p><p>このハッチを開けるダイヤル・ナンバーを変更しておきますもしものことがあっても、それで時間が稼げます</p><p>美智が、ハッチに手を付いて作業をする</p><p>これで一息つける</p><p>さつきまでは、ミス・コーデリアたちと同じフロアに居たから</p><p>VIP用の避難所に居ても、気が気じゃなかった</p><p>違うフロアに居るっていうだけで大分、気分が違う</p><p>後はマルちゃんたちが迎えに来てくれるのを待つだけね</p><p>関さんは、表の廊下から従業員用の裏通路に入る秘密の入り口についてはご存じですからすぐに来て下さると思います</p><p>それまでに谷沢とか言う人の部下が、あたしたちを捕まえに来なければいいわね</p><p>谷沢さんオレたちが、ここに居ること判っているんだろうな</p><p>おそらくわたくしが、この部屋の電灯を付けた瞬間に本部にキャッチされていると思います</p><p>この部屋の監視カメラとマイクは、すでに殺しておきましたここでの会話は、聞かれませんのでご安心下さい</p><p>しかし監視システムを壊したことで、オレたちがここにいることは確定的になっているだろう</p><p>一つだけ谷沢さんにバレていないのはミス・イーディが、オレたちと一緒に居るっていうことだ</p><p>ミス・イーディの合流は誰にも知られていない</p><p>谷沢チーフだけでなく、マルゴさんたちにもミス・コーデリアにも</p><p>ミス・イーディが、本当にオレたちの味方になってくれるかどうかは確定的ではない</p><p>今は美智の友達になってくれている</p><p>ということは、美智とケンカしたら再び敵に戻ることだってありえる</p><p>この子供っぽすぎる少女の動向は判らなすぎる</p><p>ブブブブブブブ</p><p>美智と寧さんの通信機が、バイブ・モードで着信する</p><p>マルゴさんたち何かあったのか</p><p>最近驚いたこと</p><p>ガッチャマン実写化決定のニュース</p><p>何じゃ、あのキャスティングは</p><p>ゴーリキーは、ないだろ</p><p>おのーれ、おのーれ、ガッチャマン</p><p>322．あ・い・し・てーるっ</p><p>こちらハートのエースとジョーカーだよっオーバー</p><p>寧さんか、通信に出る</p><p>オレはまた、美智とイヤホンに耳を寄せ合う</p><p>いや、今度は雪乃も耳を近づけてくる</p><p>ミス・イーディは、キョトンとしたままそれでも、笑っている</p><p>こちらは、予定通り行動中そちらの状況はオーバー</p><p>マルゴさんの声が聞こえる</p><p>こっちも予定通り問題なしでいけたよっ</p><p>オーケイもう、まもなくだから</p><p>ということはこの２２階のVIP用待機所まで、もう近付いて来ている</p><p>あの後、交戦は無し敵の気配は、完全になくなっている</p><p>マルゴさんたちに、谷沢チーフの部下の追撃は無かったらしい</p><p>タイガー・リリィとお別れして２０分以上経つよもしかしたら、そっちへ来るかもしれないから気を付けてオーバー</p><p>うんミス・コーデリアたちの行動力なら、１フロア上がってマルゴさんたちの再襲撃をするのには、充分な時間だと思う</p><p>もちろんオレたちの追跡を諦めた場合だけれど</p><p>了解次の合図は、一休さんだからよろしく頼むよオーバー</p><p>寧さんは、通信を切った</p><p>寧さん、一休さんて何です</p><p>え、ヨッちゃん知らない一休さん</p><p>いや、あの確か、お坊さんですよね日本史でやりました</p><p>中学の時の教科書の室町時代の文化のページが思い出される</p><p>確か、肖像画も載ってたよなあ</p><p>うちの男子校のクラスメイトは、柄本明に似ているって言っていたけれど</p><p>パソコン部のやつは遺作さんと呼んでいた</p><p>遺作さんて誰なんだろう</p><p>そっか、ヨッちゃんはアニメの一休さんは知らないんだ</p><p>アニメ</p><p>あんな、オッサン顔のお坊さんがアニメになっているのか</p><p>こっちに帰って来てすぐの頃マルちゃんの日本語の勉強のためにさ、日本のアニメとかをよく観たのよあたしも一緒に日本語ちょっと、あやふやになっていたからそれで、マルちゃん、一休さんが大好きになったの</p><p>あたしが好きだったのは、ガンバと仲間たちとトム・ソーヤの冒険ね</p><p>え、それ日本の作品じゃ無いでしょ</p><p>トム・ソーヤはアメリカ人だろう確か</p><p>だから日本の人が、日本でアニメ化して、日本語なのっそういうのがあるのよっ</p><p>馬鹿じゃ無いの、あんた</p><p>ごめん、オレ子供の頃から、テレビとかあんまり観てきていないから</p><p>ご両親が厳しかったのですか</p><p>美智が尋ねる</p><p>教育熱心な御家庭だと、テレビなどの娯楽は一切禁止にされることもあると聞いていますが</p><p>そっか美智は、知らないんだっけ</p><p>逆よヨッちゃんは、両親に虐待されていたの</p><p>寧さんが、静かに答える</p><p>いや、虐待だなんて別に、殴られたり、蹴られたりしていたわれじゃないですから</p><p>もっとよくないわよ存在を、ずっと無視されるなんて</p><p>寧さんが、オレのために怒ってくれる</p><p>ええっとオレは、家の中では空気みたいになっていないといけなかったから喋っちゃいけないし、求めちゃいけないしできる限り、母親の前に姿を見せてはいけなかったから</p><p>美智が、驚いている</p><p>だから虐待されていたのよヨッちゃん</p><p>でも、中学は３年間、山奥の男子校で寮生活だったからそんなに辛い思いはしていないよまあ、テレビもラジオも禁止なところだったし携帯は、学校に申請すれば持っててもいいんだけれど、オレの携帯は非常用で親がネットに繋ぐ契約をしてくれなかったから本当に、電話する機能しか無かったしなあそれでも寮の友達が、読み終わったマンガや雑誌を貸してくれたりしたからうん、あの頃は、何でも読んだよ車の雑誌から、釣りや将棋の雑誌まで読んだ釣りなんて、道具持ってないから、一度もやったことないんだけれど</p><p>とにかく読めるものは何でも読みたかった</p><p>だから、マンガで読んだことがあったりする作品はあるんだけれどアニメは知らないなあ絵だけは、友達のアニメの雑誌とかで見たことあるけれど、絵が動いているのは知らないんだ同じ寮に居たアニメ好きのやつとかは凄いんだよ休みに自宅に帰った時に、録り溜めておいたアニメを一気に観て来るから今シーズンも何とか追いついたぜとか、言っていたなでも、オレは休み期間でも、自宅に帰れなかったから</p><p>春休みも、夏休みも、冬休みもオレは、ずっと寮に居た</p><p>だからこの春、中学を卒業して、ようやく家に帰って来たんだけれどテレビを点ける習慣がなくってさそれに、テレビを点けると怒られそうだし</p><p>いや電気の無駄使いだって、怒られそうでさ</p><p>実際はオレを叱りつける人間は、もう家には居ない</p><p>母親は、勝手に実家に戻ってしまった</p><p>親父は失踪中だ</p><p>それでもオレは、誰かに叱られそうな気がして、テレビは点けられない</p><p>いや家の中の電灯すら</p><p>寧さんがオレを抱き締める</p><p>昔のことは全部忘れてっヨッちゃんはもう、黒森の家の子なんだよあたしの弟なんだからね</p><p>張りのある柔らかい胸が、オレの頬を包み込んでいる</p><p>一緒に、いっぱい色んなものを観よう一休さん全話観るからねみんなで</p><p>全２９６話だからね</p><p>ミッちゃんも、一緒に観るんだよっ</p><p>あんなムサい顔のお坊さんのストーリーが２９６話もあるのか</p><p>どんな物語なんだ</p><p>やっぱり、天竺へお経を取りに行くのか</p><p>別の意味で興味が湧いてきた</p><p>んどうしたんだよ、雪乃</p><p>雪乃が、何か元気の無い顔をしている</p><p>別に何でもないわ</p><p>いや、何か暗いぞ</p><p>何でもないわよっあたしが、あんたのことなんかに興味を持つわけないでしょ</p><p>雪乃が、オレに嚙み付いてくる</p><p>何言っているんだろうそんなこと、言われなくたって判っている</p><p>雪乃がオレのことなんて知りたいわけがない</p><p>不意に部屋のドアが、ノックされた</p><p>鋼鉄製の分厚いドアだノックの音は鈍い</p><p>寧さんが、オレたちを制してそれから、通信機を取る</p><p>コホンと咳払いをしてから</p><p>寧さんは、通信機のマイクに向かって歌い出した</p><p>好き好き好き好き好き好っきあ・い・し・てーるっ♫</p><p>トンカトントンッ</p><p>ドアが、リズミカルな音で叩かれる</p><p>マルちゃんだっ</p><p>寧さんは、急いでドアのロックを開けた</p><p>大丈夫だったかい</p><p>開いたドアの向こうに、マルゴさん、関さん、麗華の３人の姿が見えた</p><p>みんな再開に、安堵した顔をしている</p><p>関さんの眼が、部屋の中のミス・イーディを捉える</p><p>ミス・イーディは</p><p>シザーリオ・ヴァイオラの軍勢と同じ、黒い戦闘服を着ていた</p><p>思わず関さんが発したその一言が</p><p>香月セキュリティ・サービスのトップ・エリートとしての反射的な警戒心が</p><p>ミス・イーディの闘争心に着火《イグニッション》してしまう</p><p>瞬間ミス・イーディが風の様にダッシュする</p><p>YEERAAA</p><p>どこに持っていたのか判らないが手にナイフを握って、関さんに襲いかかる</p><p>キーンッ</p><p>金属と金属のブチ当たる鋭い音</p><p>さすが関さん持っていたピストルで、ナイフを受けた</p><p>よし初撃は躱せた</p><p>しかし、この近距離では銃よりも、ナイフの方が有利だ</p><p>WOOOOOO</p><p>ミス・イーディが二撃を打ち込む前に麗華が、撲殺ステッキを突き出す</p><p>すわっとギリギリの距離を見切る、ミス・イーディ</p><p>その彼女をマルゴさんが、キックで迎撃しようとする</p><p>SEAAAE</p><p>ミス・イーディは、くるくるっと廊下を転がって一旦、３人と距離を取る</p><p>まずい、全面的な戦闘になってしまった</p><p>NOEdie</p><p>廊下に飛び出した美智が、大きな声でミス・イーディに叫ぶが瞬間沸騰してしまった血を、彼女は抑えきれない</p><p>マルちゃん敵じゃないのよっこの子っ</p><p>寧さんも叫ぶが再び、ミス・イーディが、３人に向かって疾走する</p><p>シャアアッ</p><p>ターゲットは、再び、関さんだった</p><p>ナイフは両手に２本に増えている</p><p>なのに関さんは、銃をホルスターにしまっている</p><p>トォアアアッ</p><p>手袋をした手でミス・イーディのナイフを受けとめた</p><p>右も左も</p><p>片手に一本ずつナイフの刃を掴む</p><p>これ、防刃手袋なのよ</p><p>関さんは体術も、高レベルの実力者だ</p><p>劇場で、オレたちはその実力を見ている</p><p>パワー勝負には自信が無いから、銃によるサポートに徹していたが</p><p>スピードと正確な動きは卓越したものがある</p><p>女の子の力なら、あたしでも止められるわ</p><p>そう言って関さんは、受けとめたナイフの刃をギュッと握りしめた</p><p>OH</p><p>ミス・イーディは、両手のナイフから手を離す</p><p>一旦、距離を取るために左に転がる、ミス・イーディ</p><p>立ち上がった時にはすでに新しいナイフを両手に握りしめていた</p><p>今度は、さっきのナイフよりも大きい大型のコンバット・ナイフだ</p><p>２本のナイフをかざして麗華の方へ走る</p><p>獣の様な、素早さだ</p><p>SEYEEA</p><p>撲殺ステッキで、ナイフを受ける麗華</p><p>麗華お姉さんッ</p><p>マルゴさんが、叫ぶ</p><p>キラッと空中で何かがきらめいた</p><p>鋼線</p><p>美智が呟く</p><p>ミス・イーディの２本のコンバット・ナイフその２つの柄から、金属の細い線が伸びていた</p><p>大きなナイフは目眩ましで実際には、細い鋼線で相手の首を切り落とす技なんでしょうが</p><p>麗華は撲殺ステッキの先で、鋼線を絡め取っている</p><p>WOO</p><p>ミス・イーディは、両手のナイフを引き絞る</p><p>撲殺ステッキの上を、鋼線が擦るジュッと煙が上がる</p><p>わたくしのステッキはそんな線では、切れません</p><p>HAWOO</p><p>ミス・イーディが、ナイフの刃を麗華に向けると</p><p>バシュッバシュッ</p><p>ナイフの刃が猛スピードで撃ち出されるっ</p><p>はいっはいぃぃッッ</p><p>麗華は、僅かな時間差で撃ち出された２本の刃を、確実に払い落とした</p><p>その時にはもう、ミス・イーディは次のナイフを握っている</p><p>このままじゃ、ラチが開かない</p><p>んもうっ</p><p>寧さんが雪乃のYシャツの裾を捲った</p><p>雪乃は裸にオレのYシャツ１枚を着ているだけだから</p><p>お尻と女性器が、丸見えになる</p><p>きゃああああああああっっ</p><p>雪乃は絹を引き裂く様な悲鳴を上げた</p><p>いつもオレに見せ放題になっているのに</p><p>突然やられると、やっぱり恥ずかしいらしい</p><p>人々の注意が、雪乃に向かう</p><p>心月</p><p>美智が気を放つ</p><p>闘っていた全員の動きが止まった</p><p>why　Sister　Michi</p><p>ミス・イーディは、驚いていた</p><p>美智とはもう友達になったから</p><p>自分に心月を放つとは、思っていなかったらしい</p><p>美智は、すぐに英語で話し始める</p><p>この人たちは私の家族だあなたは誤解をしているって、言っているわ</p><p>寧さんが、そう通訳してくれた</p><p>どういうことなのこれ</p><p>マルゴさんが、寧に聞く</p><p>関さんも麗華もほとんど、身体にはダメージが無いらしい</p><p>美智は心月を使ったがミス・コーデリアたちを足止めした時の様な、全身全霊を掛けたフル・パワーの心月では無かったようだ</p><p>闘っている４人の動きを止めるためだけのただ、びっくりさせるためだけの技だったらしい</p><p>ええっとね、マルちゃん関さんも、麗華お姉さんも聞いて</p><p>寧さんが、すぐにミス・イーディとのこれまでの経緯を話す</p><p>ミス・イーディが、アメリカ南部の暗殺教団の出身だということ</p><p>教団の指導者の一人だった祖母が死に、ボスによって、シザーリオ・ヴァイオラの組織に売られたこと</p><p>ミス・コーデリアが自分の部下にしたが、全然反りが合わなかったらしいこと</p><p>美智を見て、稽古仲間になりたくてオレたちの方へ寄って来たこと</p><p>とにかくね暗殺術しか習ってきてなくて、より強くなることしか考えていない子なのよ他のことは何も考えていない、シンプルな子なの</p><p>なるほど、判ったよ</p><p>この子暗殺教団から、ミス・コーデリアの部下になって多分、これが初めての現場なんじゃないかな</p><p>うんそんなことを言っていたと思う</p><p>ごめんなさい、あたしが格好だけで敵だと認識しちゃったからあの子が戦闘モードに入っちゃったのよね</p><p>関さんが、反省する</p><p>いや、関さんのせいじゃないですよミス・イーディが、オレたちと一緒だってことは通信では、言えなかったので</p><p>ミス・コーデリアには、まだ知られたくない</p><p>うん、この廊下の監視システムは、先に破壊しておいたから取りあえずは、大丈夫だと思うよ</p><p>マルゴさんは、天井のカメラを壊した場所を確認しながらそう言った</p><p>あれだけの腕前の子です敵にしたくはありません</p><p>麗華も、そう言う</p><p>うんフィジカルは相当なものだね物凄く鍛え上げられている暗殺者に特化し過ぎているけれど</p><p>それって、どういう意味なんですマルゴさん</p><p>それはね</p><p>マルゴさんが、説明してくれる前に</p><p>美智とミス・イーディの口論の声が、大きく響く</p><p>やれやれどうしたんだい</p><p>全員で二人の方へと行く</p><p>問題はこうだった</p><p>美智がマルゴさん、関さん、麗華の３人は自分の家族だと伝えた</p><p>これは、ミス・イーディも納得した</p><p>しかし美智が、３人のお姉さんは自分の先輩で、自分よりも強いと発言したことに、ミス・イーディは猛反発した</p><p>つまり３人は、そんなに強くないと</p><p>美智は、いや、充分に強い人たちだと再度言ったら</p><p>今、闘ってみたが、そんなことはないと言い切る</p><p>あげくに私の方が全然強いとミス・イーディが言ったから</p><p>美智がそれは思い上がりだと答えたので</p><p>ミス・イーディが、爆発してしまったらしい</p><p>ええっとどういうことなんです</p><p>今の闘い３対１で、五分五分だったから、自分の方が強いと思っているんだろうね</p><p>ミッちゃんは自分よりもフィジカルは弱いけれど、年下なのに気の技が使えるから認めているんだってでも、マルちゃんたちは大人なのに、自分よりも強くないから認めたくないって言っているよ</p><p>寧さんが、解説してくれてた</p><p>美智のことを認めているのも気に関する部分だけなんだ</p><p>むしろ、それ以外は自分よりも下のレベルだと思ったから</p><p>ミス・イーディは、美智を気に入って稽古仲間になりに来たのかもしれない</p><p>フィジカル面まで同等だったらライバル視して、倒しに来たかもしれないな</p><p>この子の性格だと</p><p>でも、本当に強いですよこの子あたし一人では、正直、負けるかもしれません</p><p>関さんが、言う</p><p>わたくしもそう思いますさすが、暗殺術のエキスパートだけあって、思い切りもいいですしこちらが少しでも気を許したら、狩られていたと思います</p><p>麗華も、そう言った</p><p>お二人とも買い被りすぎですまだ、ヒヨッコですよこの子は</p><p>あたしたちはチームなんだから今のは３対１だったとか、もし１対１だったらとか、そういうのは全然関係無いんですよお互いを庇い合って、助け合ってそれで確実に勝てばいいんですからこの子、闘うってことについて、まだ何も判っていない</p><p>それから英語でミス・イーディに何か言う</p><p>ちょっちょっと、マルちゃん</p><p>こういう子は、力で認めさせるしかないよ</p><p>明確に自分の弱さを自覚させてあげないとね</p><p>美智が真剣な顔で答えた</p><p>マルゴさん何て言ったんです</p><p>オレは寧さんに尋ねた</p><p>じゃあ、あたしと１対１で勝負しようってただし、武器は無し素手の勝負でコテンパンにのしてやるって言ったのよ</p><p>マルゴさんとミス・イーディの勝負</p><p>でも、そんなことで時間を取るわけには</p><p>関さんが、苦言を呈すが</p><p>悪いんだけれど、５分だけ時間をちょうだいそれで済ませるからとにかく、この子の頭をスッキリさせておかないと、この先、一緒に歩けないからね</p><p>確かにミス・イーディがマルゴさんたちを小馬鹿にしたままじゃあ、よくないと思う</p><p>この子、凄い動きだったもんなあ</p><p>さっきの闘いマルゴさんは、ほとんど動いていなかったし</p><p>マルゴさんが勝つって、オレは信じているけれど</p><p>この勝負のせいで、二人ともダメージを負ったら目も当てられない</p><p>そんな顔をしないで大丈夫だよあたしに任せて</p><p>心配顔のオレに、マルゴさんはそう言ってくれた</p><p>じゃあちょっと離れててね</p><p>マルゴさんとミス・イーディが対峙する</p><p>ミス・イーディが、ニヤッと不敵に笑って</p><p>マルゴさんに何か言った</p><p>多分、侮辱する様な言葉だろう</p><p>それに対し、マルゴさんもミス・イーディに何か言う</p><p>涼しい顔で</p><p>ミス・イーディの顔が、怒りに赤く燃える</p><p>WAWOOOO</p><p>ミス・イーディが、疾風になる</p><p>ということで、ミス・イーディ編続きます</p><p>戦闘馬鹿は、闘いでしか納得させられないということで</p><p>323．Edie　（その３）</p><p>マルゴさんは、５分で終わらせると約束したけれど</p><p>ミス・イーディとの勝負は、１分も掛からなかった</p><p>WRYYYYY</p><p>ハアッ</p><p>HASHOOOO</p><p>トォアッ</p><p>ミス・イーディは、マルゴさんに次々と攻撃を仕掛けるが</p><p>マルゴさんには、一発も当たらない</p><p>拳も蹴りも全て見透かされている</p><p>WESHZZZ</p><p>キックしたミス・イーディの足を躱すと同時に</p><p>マルゴさんがローキックで、彼女の軸足を刈る</p><p>体勢を崩して倒れる、ミス・イーディ</p><p>床を転がって、距離を取ろうとするが</p><p>マルゴさんは、その先にすでに移動している</p><p>まるでミス・イーディの次の動作が判るみたいだ</p><p>床の上のミス・イーディに馬乗りになって片手で押さえつける</p><p>もう片手の拳がミス・イーディの顔面を狙う</p><p>この距離でマルゴさんのパンチを食らえばとんでもないダメージになる</p><p>ハッ</p><p>ミス・イーディの眼前でマルゴさんは振り下ろした拳を止めた</p><p>そして低い声で、何か言った</p><p>今の闘いの中で、お前は５回死んだって、言っているよ</p><p>寧さんが、通訳する</p><p>床に倒れたままのミス・イーディは、怒り顔でマルゴさんを見上げている</p><p>イーディは、何で手加減するって怒っている</p><p>手加減</p><p>ミス・イーディと、マルゴさん・関さん・麗華の３人の勝負の時は、五分に見えたのに</p><p>何でマルゴさんとの１対１の勝負になると、そんなに差が出るんだ</p><p>君は、まだ成長途中だ伸びかけている芽を刈り取るつもりは無いだって</p><p>何より君は、美智ちゃんの友達なんだろうそれなら、私にとっても妹同然の存在だ</p><p>ミス・イーディが、床の上から美智を見上げて尋ねる</p><p>この人は、シスター・ミチの師匠《マスター》なのかって聞いているよ</p><p>美智がNoと答える</p><p>彼女は自分の姉一人だが、師匠では無いだって</p><p>寧さんの通訳のおかげで、とてもよく判る</p><p>ミス・イーディは、またマルゴさんを見上げる</p><p>どうしてさっきは、実力を隠していた３人の時は、あなたは全然動かなかったじゃないかって</p><p>それは、君の戦闘力を観察していたんだだって本当の強者は、最初から自分の全力は見せないものだって、言ってるよ</p><p>そうかマルゴさんは</p><p>関さんと麗華の闘いを観察してミス・イーディの能力を見極めていたんだ</p><p>君は、肉体はよく訓練されているフィジカル面では、あたしたちよりも強いかもしれないしかし、君には経験が余りにも不足している本当の実戦の場に出るのは、これが初めてだろうだってさ</p><p>ミス・イーディの表情が、変わる</p><p>なぜ判るって言っているね</p><p>関さんが、驚いていた</p><p>そんなのあたしは、全然気付かなかったわむしろ、常にこちらの死角から急所を的確に狙ってくる手強い相手だったわ</p><p>その常に的確ってのが、悪い癖なんですよ</p><p>マルゴさんは一瞬日本語で関さんに答えてまた、英語に戻る</p><p>君は、的確に急所を狙いすぎる暗殺術が専門だから、なるべく素早く相手を仕留めたいのは判るがそんな判りやすい攻撃では、素人しか倒せない戦闘のプロは、君のアクションから容易に次の動きを読み取る相手に先読みされるような、単純な攻撃をしてはいけない</p><p>寧さんが、英語の会話をどんどん通訳してくれる</p><p>今のは、私のトップ・スピードの攻撃ではない相手の予想など、スピードを速めれば、どうにでもなる</p><p>ミス・イーディは、そう反論しているらしい</p><p>マルゴさんは、低い声で答える</p><p>大切なのは、スピードではない闘いのリズムだ君の攻撃のリズムがいつも同じだとても単調だよリズムにバリエーションが無いこれはおそらく、いつも同じ相手としか訓練してきていないせいだと思うどんなに素早い攻撃でも、リズムが同じなら防御できる相手に攻撃の予想をされてしまったら負けだ</p><p>リズムが判れば、対処できる</p><p>的確に急所を攻めてくるのならばなおさらだ</p><p>むしろ、いつも親しい人としか手合わせしてことで、身体の動きに悪い癖が付いているあたしがわざと君のリズムを崩すように攻撃を受けたら、途端に君の動きは止まってしまった今の君では、絶対にあたしには勝てないよ</p><p>うん完全にマルゴさんが、ミス・イーディの攻撃を押さえ込んでいた</p><p>どうしたら、あなたに勝てるのか</p><p>ミス・イーディは、闘志を剥き出しにしてマルゴさんに言う</p><p>マルゴさんは、ニカッと微笑んで</p><p>あたし一人に勝ったって、何の意味も無いよあたしは、チームで闘っているんだからね</p><p>Team</p><p>ミス・イーディは、不思議そうな顔をする</p><p>そうだあたしは、今、１対１で君に勝ったみたいに見えるけれど実際は、そうじゃない前の闘いでそこの２人と君の闘いを見ていたからこそ、君のウイーク・ポイントを見つけることができたんだあたしたちは、チームだだから最終的に、チームとして、君に勝てばいい</p><p>もし、今の闘いであたしが君に敗れていたとしても残りの２人が、あたしの闘い方を見て、君の攻略法に気付くはずだよ何があっても、残った者が絶対に君を倒す君には、初めから勝ち目は無かったんだよ</p><p>倒せるものか今だって、この体勢から私は逆転してみせる</p><p>ミス・イーディの闘志は消えない</p><p>本当に、負けず嫌いだなこの子</p><p>いいえ、あなたには勝てません</p><p>美智がミス・イーディに言った</p><p>どうして、シスター</p><p>美智の言葉には、ミス・イーディも心を動かされたようだ</p><p>あなたは暗殺者だから誰かに命じられたまま、１人で敵地へ潜入して、指示された人物を殺すことしか教え込まれていないでしょうあなたの闘いには、相手を殺すか、自分が殺されるかの二択しかないわたくしたちとは、違います</p><p>違うミチ</p><p>わたくしたちの闘いは、護る闘いです１人が倒されても、残った人間がその意志を引き継いで闘いますわたくしたちは、絶対に負けるわけにはいかないのですからわたくしたちには、護りきるという未来しか許されていません</p><p>何を護っているの</p><p>わたくしたちのFamilyです</p><p>Family家族</p><p>私には家族がいないお祖母様は亡くなった教団は、私を見捨てた</p><p>ミス・イーディの顔が曇る</p><p>今の私にできることは、お祖母様から教わった暗殺術を磨き上げることしかできないこれだけが、私と祖母を繋ぐ絆だから</p><p>ミス・イーディの言葉に美智が言う</p><p>わたくしも、そういう風に考えていた時期がありましたしかしそうではありません</p><p>Sister</p><p>美智を見る、ミス・イーディ</p><p>技は、技ですあくまでも、何かをするためのものです技を磨くことを、目的にしてはいけませんわたくしの技は、祖父と父から継承したものですがわたくしはこの技を、わたくしの家族のために使いますそのために、さらなる研鑽を積みますわたくしの子供たちにも、この技を伝えますわたくしの子供たちが、自分の家族を護れるように</p><p>ミチの子シスター・ミチは、子供を産む気なの</p><p>はい、産みます</p><p>ミス・イーディは、暗い顔のまま</p><p>私は、子供が産みたくない自分の子供を、自分と同じ様な暗殺者にはしたくないから</p><p>暗殺者にしたくないならそう育てればいいんだよ</p><p>でも私は、暗殺者としての教育しか受けていない</p><p>君は今、何歳なの</p><p>シックス・ティーンです</p><p>なら、全然間に合うじゃないか今から、暗殺者になる以外のことを学べばいい</p><p>ミス・イーディは、キッとした眼でマルゴさんを睨み</p><p>私に、祖母から受け継いだ技を捨てろというのですか</p><p>そんなことは誰も言っていないよ君がお祖母さんから受け継いだ暗殺術を基に、暗殺以外のこともできる新しい武術を作ればいいんだよ</p><p>別の武術</p><p>わたくしの工藤流は古武術です元々は戦場での、人殺しの技でしたしかし、何代もの継承者が様々な試みをして改良することによって、人を殺すだけでない力を有することができました</p><p>わたくし今宵、初めて工藤流の技を、人を愛するために使いました</p><p>セックスでの心月開眼</p><p>愛する</p><p>そうですシスター・イーディあなたの技だって、きっと暗殺以外のことに活かせるはずです</p><p>ミス・イーディは、うつむき</p><p>そんなの判らないよ私は、暗殺以外のことは判らない</p><p>だから、あなたのお祖母様はあなたに教団の外に出て、修行しろとおつしゃったのだと思います</p><p>色々な人に出会って色々な技を知れと世界には、まだまだあなたの知らないことがたくさんありますできない、判らないは、世界を知るまでは言ってはならない言葉だと思います</p><p>マルゴさんが、クスッと微笑む</p><p>ミス・イーディあたしは君に倒されるわけにはいかないから、あたしに勝つ方法は教えてあげられないけれど今の君が、もっと強くなる方法は幾らでも教えてあげられるよ</p><p>ハッとする、ミス・イーディ</p><p>教えてくれるというのですか</p><p>ああ、君は美智ちゃんのお友達なんだろそれなら、あたしにとっては妹分みたいなものだから</p><p>マルゴさんは、優しく微笑む</p><p>それは、さっきそちらの女性にも言われました</p><p>ミス・イーディは、寧さんを見る</p><p>当ったり前じゃんあたしもマルちゃんも、同じFamilyの一員だものミッちゃんもねだから、みんなイーディのことは歓迎するよっ</p><p>寧さんが、答える</p><p>っていうかさイーディも、あたしたちのFamilyに入っちゃいなよっ</p><p>私が</p><p>驚く、ミス・イーディ</p><p>うんそれが一番だようちの子になりなさいっ</p><p>寧さんの言葉にミス・イーディは、美智を見る</p><p>本当のシスターになりましょうシスター・イーディは、わたくしの姉妹になるのは嫌ですか</p><p>そんなことないけれど</p><p>じゃあ、決まりだよっ</p><p>寧さんが笑って、言った</p><p>いいのですか私は暗殺者ですよ教団の出身ですよ</p><p>ミス・イーディが、不安そうに言う</p><p>って、言ってるけれどヨッちゃん、どう思う</p><p>そんなの関係ないって、言ってあげて下さい</p><p>そんなの関係ないってさイーディなら大歓迎だって、ヨッちゃんも言っているよ</p><p>他の方の意見も聞きましょうマルゴさんは</p><p>美智が、マルゴさんに尋ねる</p><p>あたしは、もちろん歓迎するよ</p><p>麗華お姉様は、いかがです</p><p>はい、家族なのですからお答え下さい</p><p>美智の言葉に麗華も、英語で答える</p><p>香月セキュリティ・サービスのトップ・エリートなんだから英語も堪能らしい</p><p>わたくしは妹が増えるのは、大歓迎です</p><p>恥ずかしそうに、麗華は言った</p><p>このお姉様も、さっきは様子見をしていただけです本気になられたら、あなたよりも遥かに強い方ですよ、シスター・イーディ</p><p>いや、わたくしは</p><p>否定しようとする麗華に、ミス・イーディは</p><p>いいえ、私以上の鍛え上げられた肉体をお持ちなことは判っています</p><p>家族、仲間になるということでミス・イーディは、冷静に相手を見ることができるようになったらしい</p><p>孤独な暗殺者であった間は誰もが否定すべき敵に見えたのだろう</p><p>ただ１人祖母と同じ技を使った美智を除いて</p><p>以前のわたくしはあなたと同じだったのです、ミス・イーディ</p><p>たった一人、孤高であろうとし自分のスタイルに頑なにこだわっていましたそして、１対１なら自分は最強だと自惚れていたそんな相手と二人だけで決闘するなんて状況は、現実の戦地ではまず無いのに</p><p>家族を持つことで、わたくしは様々なことを思い知りました自分一人でやれることの限界と孤高を守ろうとすることの無意味さを今のわたくしには、たくさんの姉と妹がいますみんなが、わたくしを助け、励ましてくれていますわたくしも、この身の尽きるまで家族のために闘いますわたくしは、家族に学ぶためのチャンスを貰ったんですミス・イーディにも同じキッカケを掴んで欲しいと願っています</p><p>イーディは</p><p>シスター・イーディと呼んで下さいお姉様</p><p>麗華の言葉を受けとめる</p><p>お姉様の言葉が身に染みます</p><p>そしてマルゴさん、関さん、美智を見る</p><p>私の姉妹たちはみんな、私よりも強い今は、よく判ります</p><p>祖母の死と、故郷からの追放ミス・コーデリアとの関係</p><p>ミス・イーディは、ずっと心を閉ざしていたんだ</p><p>祖母から学んだ暗殺術だけが、孤独な彼女の支えだったんだろう</p><p>だから、他の技を使う人間全てを否定して己の暗殺術だけしか、見ていなかった</p><p>美智と出会ったことで祖母と似た技を見た懐かしさから、心が開けて</p><p>マルゴさんに、負けたことと</p><p>オレたちの家族にならないかという誘いが</p><p>ミス・イーディの凍り付いていた心を溶かしている</p><p>この子の日頃の微笑みは全部、フェイクだったんだ</p><p>感情を押し殺す代わりに無理に笑顔を作っていたんだ</p><p>麗華お姉さんは、これでオッケーとして関さんは、どうなの</p><p>寧さんが、わざと日本語で関さんに尋ねた</p><p>いえ、あのわたくしは、まだ皆様の家族ではございませんから</p><p>関さんも、日本語で答える</p><p>そういうのはどうでもいいからさ闘いの先輩として、イーディに何か言ってあげてよ関さんも何か言わないと、この場がしまらないよっ</p><p>確かにさっきは、３対１で闘ったんだから</p><p>いまさら、関さんだけあたしは、ちょっと違うと言われたら、ミス・イーディが混乱する</p><p>関さんは、流暢な英語で喋り出す</p><p>確かにあなたは、まだ未成熟ねでも、とっても素質はあると思うし、今までの修行は絶対に無駄にはならないわきっと、もっともっと強くなるこれからも研鑽を積めば</p><p>関さん、そういうアドバイス的なことはいいのっ</p><p>寧さんが、メッと睨む</p><p>イーディを仲間として認めるかどうかそれだけを言ってあげてよっ</p><p>改めて、関さんはミス・イーディを見て</p><p>わたくしも、あなたを受け入れますこれからは仲間よミス・イーディ</p><p>ミス・イーディが、ニコッと微笑む</p><p>All　Right　Sister</p><p>再び、美智がミス・イーディに</p><p>シスター・イーディ、あたしたちが闘うのは護るべき人がいるからよあたしたちのFamilyシスター・寧と、あたしのご主人様それから、ご主人様の家畜のこの女性一緒に護ってくれるわよね</p><p>雪乃が、ブスッとする</p><p>また、あたしのことを家畜って言った</p><p>無視されなかっただけいいだろ雪乃は家族じゃないって言ったら、今のミス・イーディなら平気でお前を見殺しにするぞ</p><p>うん軽く想像できる</p><p>雪乃は美智に感謝するべきだ</p><p>I　Do</p><p>ミス・イーディは、答えた</p><p>シスター・美智の家族は、私の家族シスター・美智の護る人は、私の護るべき人です</p><p>そんな風に宣誓してくれたらしい</p><p>そしてちょっと考えてから、また口を開く</p><p>なるほど自分一人で闘うのとは違う護らなくてはいけない人がいるというのは、全然違う感覚なのですね</p><p>ミス・イーディの新しい修行が始まる</p><p>さて、オレたちはマルゴさんたちに、ミス・コーデリアに捕まった後のことを手早く話す</p><p>マルゴさんたちも、オレたちと別れた後のことを話してくれたが通信で話してくれていた通り、何の襲撃の気配も無いまま、このフロアまで降りて来られたらしい</p><p>続いて、マルゴさんと関さんが、ミス・イーディに質問する</p><p>しかし、ミス・コーデリアは新人の彼女にはほとんど作戦内容については教えていないようだ</p><p>まあミス・イーディは、ミス・コーデリアに全然懐いていなかったし</p><p>一応、命令は聞くけれど、本質的には反抗的だったんだから仕方無い</p><p>現在のホテル内の状況知りたいわね</p><p>ここVIP用の待避所でしょ館内情報を引き出すことはできないの</p><p>監視システムとリンクするためのコネクターはあるんだけれどここにはモニタリングできる端末用の機械が無いのよここにVIPが避難してくる時には、必ず香月セキュリティ・サービスの護衛人が一緒にいる手はずだから</p><p>そうかその担当警護人が、専用の端末機械を持ち歩いているのか</p><p>まあ、こんな部屋に機密事項の多い機会を置きっぱなしにしておくわけがないか</p><p>こんなことなら、２５０５室から端末の機械を持って来れば良かったね</p><p>あんな大きな機械を抱えていたら、最初にミス・コーデリアに襲撃された時にやられていたわよ</p><p>そうだねだから置いてきたんだったっけまったくトニーさんにやられたねわざと、あたしたちに一番大きな端末機を持たせたんだから</p><p>苦笑する、マルゴさん</p><p>オレたちが２５０５室から脱出する時には、持ち運びに困って置いていく様にわざわざ大きい機械を貸してくれたのか</p><p>２０階まで降りれば、警備員の分室があるわそこなら、ある程度の監視カメラの映像は見られるかもしれない</p><p>関さんが思い出したように言った</p><p>うんとりあえずは、そこを目指そうか</p><p>マルゴさんが、そう決定する</p><p>そろそろ良い時間だと思うんだ敵はみんな、あたしたちに構っていられないと思うよ</p><p>工藤さんたちが、シザーリオ・ヴァイオラの本隊に総攻撃を掛ける頃合いだと思うんだそうなったら、ミス・コーデリアたちはヴァイオラの支援に向かうしかないよね谷沢チーフだって、そっちの現場を注視するのが優先になる</p><p>これまでのところ</p><p>谷沢チーフとミス・コーデリアの間に繋がりがあることは予想されているが</p><p>谷沢チーフとシザーリオ・ヴァイオラの間には、何の裏も感じられない</p><p>抗争状態のままだ</p><p>どう考えても、ヴァイオラたちが２１階まで上がってくるのは無理だと思う</p><p>工藤父ら、フリー警護人たちに迎撃され人数を削られているんだ</p><p>少なくなった人数で、偵察しながら進むんだから</p><p>侵攻のスピードだって、極端に遅くなっているだろう</p><p>わたくししも、そう思います</p><p>関さんも、そう言った</p><p>おそらく決戦地は、１９階辺りのフロアになるでしょうね</p><p>ということで、ミス・イーディ編は終わります</p><p>家族入りしましたので、いずれ吉田くんとのエッチもあるでしょう</p><p>というかまた、月曜日か</p><p>324．友よ、なぜ</p><p>さて、再び隊列を組む</p><p>戦闘が麗華、サポートが関さん、真ん中に美智と寧さんと雪乃にオレ、殿《しんがり》がマルゴさん</p><p>ここまでは、前と同じだ</p><p>そのマルゴさんの後ろ１０メートルくらいの距離を取って、シスター・イーディが追っ掛けてくる</p><p>（本人の希望で、親愛の情を込めてオレたちはシスター・イーディと呼ぶことになった）</p><p>とりあえず、このVIP用の避難所の周りは、ホテルの従業員の裏廊下だから監視カメラも隠しマイクも数が少ないし、ほとんど剥き出しになっていた</p><p>２１階で、それらの機器を一個一個美智が破壊した様にこの２２階の裏廊下の監視システムはマルゴさんたちが壊して来たらしい</p><p>だから、今までのことオレたちの合流や、シスター・イーディの加入は、谷沢チーフにもミス・コーデリアにも知られていない</p><p>しかし、裏廊下から下のフロアに降りるルートは、全て封鎖されている</p><p>下階へ行くには、再び表の廊下に出るしかない</p><p>表廊下の監視システムは、こことは比べ物にならないほど数多く仕掛けられているし隠し方も巧妙だ</p><p>とても、一つ一つ監視装置を壊していくわけにはいかない</p><p>となればシスター・イーディとは距離を取るしかない</p><p>あたしたちを尾行しているフリをして、付いて来て</p><p>マルゴさんが、英語でそんな様なことをシスター・イーディに言っているのだと思う</p><p>それなら、シスター・イーディは小劇場からオレたちが逃げ出したのを、独断先行して一人で追っている様に見えるだろう</p><p>監視カメラの画像を見たミス・コーデリアには、そう見えるはずだ</p><p>いかにも、シスター・イーディのやりそうなことだし</p><p>少なくとも、オレたちと仲間になっているとは思わないはずだ</p><p>香月セキュリティ・サービスの警護人にだけ気を付けて</p><p>シスター・イーディには、暗殺者としてのスキルがある</p><p>気配を消して追尾するのは、得意らしい</p><p>ということで元々の7人プラス、ちょっと離れた後方にシスター・イーディという隊列で、オレたちは出発する</p><p>ここから、表廊下に出られます</p><p>そこは、洗濯に廻すシーツなんか集めて運ぶ業務用エレベーター・ホールだった</p><p>関さんが、エレベーターの脇の大きな金属製のドアのロックを開ける</p><p>ここが、表と裏の境界か</p><p>ガチャ、ギィ</p><p>思ったよりも遥かに分厚い扉だった</p><p>なるほど、これなら爆弾を仕掛けられても開くことは出来ない</p><p>まずは</p><p>美智が、外の気を探る</p><p>大丈夫です気配はありません</p><p>それでも、最初に麗華が飛び出し辺りを探る</p><p>関さんも銃を構えて、不測の攻撃に備える</p><p>さっき、美智はミス・コーデリアの気を捉えることができずに襲撃を受けた</p><p>だから、念には念を入れて行動する</p><p>前方、天井まで含めて、異常なしです</p><p>後方も、異常なしよ</p><p>関さんも確認する</p><p>二人の報告を受けてから美智、寧さん・雪乃・オレの真ん中グループが、分厚い金属製のドアを潜る</p><p>それから、マルゴさんが</p><p>今は敵の姿は見えないけれど、その辺に隠れているのかもしれないこの先で敵に遭遇したら、またこのドアから裏廊下に逃げるよだから、このドアはこのまま開けておくよ</p><p>オレたちに話す様な口振りでマルゴさんは、隠しマイクに言う</p><p>ドアを再度ロックしないのは、本当はシスター・イーディのためだ</p><p>だから、ドアは開けっ放しにしておく</p><p>藤宮さん、廊下を右に進んで二番目の角の奥に、下へ降りる階段があるわ</p><p>関さんの記憶は、完璧だ</p><p>麗華を先頭にオレたちは、歩き出す</p><p>そのまま関さんの指示に従っていく</p><p>美智は気を探り続ける</p><p>それとは別に、麗華たちはいつでも突然の襲撃に対処できるよう、心を集中させている</p><p>オレはシスター・イーディが、後ろからちゃんと追っ掛けてきているか心配だったが</p><p>もちろん、振り向いて後方を確認することは許されない</p><p>この表廊下でのオレたちの行動は、全て監視されていると考えるべきだからだ</p><p>武術も何もできないオレが、暗殺者のシスター・イーディの気配を感じ取るのはおかしい</p><p>大丈夫ですちゃんと付いて来ています</p><p>美智が、小声で教えてくれた</p><p>美智の気のセンサーは、シスター・イーディがちゃんとキャッチしているらしい</p><p>あたしたちまで神経を張り詰めているのは、良く無いよヨッちゃん</p><p>落ち着いてさ自然体でいこうよっさあ</p><p>そうは言うけれど</p><p>そうね、悩むだけ無駄よねどうせ、あんたは何もできないんだから</p><p>雪乃が小馬鹿にしたように、オレに言う</p><p>堂々としていて下さい絶対にわたくしがご主人様たちを護ります信じて下さい</p><p>美智がそう言ってくれるのがとても有り難い</p><p>そのまま２１階へ</p><p>小劇場星の間が、ミス・コーデリアたちの待機所になっていることは、すでに関さんに伝えてある</p><p>だから、関さんは星の間から一番遠くを通って、下の階へ行くルートを選んでくれた</p><p>そのルートから逆算して、さっきの２２階の業務用エレベーター・ホールから表廊下に出たそうだ</p><p>何しろホテルの中は迷路化されている上に、あちこちで分断されている</p><p>警戒しながら、フロア内を通り過ぎ下階への階段へ</p><p>とりあえず、ここでの襲撃は無かった</p><p>オレたちは、２０階のフロアに降りる</p><p>ミス・コーデリアたち、２１階には居なかったんでしょうか</p><p>オレは、後方のマルゴさんに尋ねた</p><p>多分ねあちらさんも色々と状況の変化に追われているんだよ</p><p>そしてオレたちは無事、２０階の警備員詰め所に到着する</p><p>はい、こちら七曲署捜査１係</p><p>内線電話を取っているのは工藤父</p><p>ネコさんもいる</p><p>馬鹿野郎それっくらい、そっちで何とかしろ６階G-4の敵は任せたからなメンドくさかったら、適当な部屋に監禁しちまえロシアのチンピラどもはロクなことは知らされてない尋問するだけ無駄だ</p><p>ガチャンと、電話を切る工藤父</p><p>おう、どうしたお前ら</p><p>オレたちに気付いて、声を掛けてくれる</p><p>そのまま、部屋の入り口から中を覗き込むオレたち</p><p>シスター・イーディは、後方で物影に隠れているようだ</p><p>ここで何をやっているんです</p><p>みんなを代表して、オレが尋ねる</p><p>見りゃ判るだろ陣頭指揮だよそろそろ大詰めだからな</p><p>工藤父は、部屋の中のたくさんのモニターを指差す</p><p>ホテル内のありとあらゆる監視カメラの映像が次々に、映し出されている</p><p>無線だと傍受されている可能性があるからなオレの仲間への連絡は、ホテルの内線電話を使っているんだ</p><p>ネコさんが、工藤父にモニターを示す</p><p>赤隼《レッド・ファルコン》さんたちのチーム、8階のB-6ゾーンに入りました</p><p>モニターを見ると、フリーの警護人のチームなんだろう派手な色使いの服装の５人が武装して廊下を歩いて行くのが見える</p><p>やつらに一番近い内線は</p><p>０８６０３です</p><p>ネコさんはフロアごとの内線リストを見て、即答する</p><p>すぐに工藤父は、内線電話をプッシュする</p><p>モニター画面の中ホテルの通路脇に設置された、内線電話がプルルルルと鳴る</p><p>チームの中で、緑の服の男が電話を取った</p><p>オレだ緑犀《グリーン・サイ》か赤に換わってくれ</p><p>電話に出る、赤い服の人この人がチームリーダーなんだな</p><p>お前らの前方、B-7のエリアにロシア人が２０人ほど溜まっている蹴散らしてくれブッ倒して、適当に拘束しておいてくれればいい</p><p>判ったぜ</p><p>赤い人は、そう返事すると内線電話を切る</p><p>行くぞ</p><p>５人の超獣戦士が、雄叫びを挙げる</p><p>あいつらは元々３人のチームだったんだが、死んだ仲間の弟を２人チームに加えたんだよまあ、それなりに頼りになるやつらだ</p><p>モニターを見て、工藤父が言う</p><p>これでヴァイオラの本隊以外のロシア人部隊は、全て追い込んだこっちはすぐに片が付く</p><p>こうやって、監視カメラで現在位置を確認して進行方向にある最寄りの内線電話を使って、指示を送っているんだ</p><p>なるほど、上手い手を考えましたね内線電話なら有線だから、少し手間が掛かるけれど外部から盗聴される心配は無いですものね</p><p>マルゴさんが、工藤父に言う</p><p>そうだろうオレのアイデアだぜ</p><p>それに内線での会話なら、谷沢チーフも本部で全てチェックしているんでしょ一々報告する手間が省けますもんね</p><p>ああ、ここみたいな中途半端な警備員詰め所と違って、谷沢のオッサンの部屋はホテルの監視システムの中枢だからなこうやって、オレと各チームとの会話を内線で喋っておけばノーマくん辺りがまとめて状況報告してくれるだろ</p><p>マルゴさんは、谷沢チーフと工藤父の関係を探っている</p><p>工藤父は、谷沢チーフの裏切りの可能性なんて全く考えていないみたいだ</p><p>谷沢のオッサンだってオレに何か指示したいことがあれば、この部屋に内線で連絡してくるだろうしな</p><p>あの後、谷沢さんから何か言ってきました</p><p>何もないよとりあえず、オレに任せてくれているんだろそっちはどうだった</p><p>重役の皆さんは、上の方の階に逃がしました情報漏洩の起点も、判明しました</p><p>関さんが、重役たちの中の裏切り者をそう表現する</p><p>そうか、まあ、そっちはオレの管轄外だからな閣下と谷沢のオッサンにお任せするよ</p><p>工藤父は、ジッちゃんが行方不明なことも知らないんだ</p><p>谷沢チーフは、工藤父に大事な情報は何も伝えていないということになる</p><p>ところで工藤さん２１階の星の間って、ここからモニターできますか</p><p>星の間ぁできるか、ネコ</p><p>そこは無理よ重要機密区域になっているから、この部屋からは無理ね</p><p>機密区域</p><p>ただの小劇場だったぞ</p><p>それが、どうしたんだ</p><p>例の最初に侵入して来たまま行方不明の４人組と、その近くで交戦したんですよ</p><p>マルゴさんは、さらに嘘を言う</p><p>ミス・コーデリアの襲撃を受けたのは、２１階では無い</p><p>そうなのか、ここからモニターしている限りでは、そんな戦闘は気付かなかったぞなあ、ネコ</p><p>これで判った</p><p>谷沢チーフは、オレたちがミス・コーデリアに襲撃されたり、香月セキュリティ・サービスのトップ・エリートに銃撃された映像は工藤父たちに見えないように細工している</p><p>一瞬でしたから見落とされたのかもしれませんとにかく、４人の敵がその星の間の方に逃げ込んだみたいでしたので</p><p>判ったネコ、谷沢のオッサンに伝えてくれ</p><p>ネコさんが、内線電話を取る</p><p>まあ、谷沢のオッサンの本部なら機密区域だろうが、全部モニターしているだろうからすぐに対処してくれるだろう</p><p>工藤父の谷沢チーフへの信頼は、大きい</p><p>あ、もしもしトニーくん谷沢さんいるえ、席を外している</p><p>谷沢チーフは本部にいない</p><p>ああ、そうなら伝えておいてマルゴちゃんたちが、２１階の機密区域星の間辺りで敵と遭遇したらしいからあ、谷沢さんの部下の方で、捜索部隊を出してくれる助かるわ、あたしたちそろそろ佳境だからじゃ、お願いね何かあったら、こっちに電話して工藤ちゃんもあたしも、まだしばらくはここに居るから</p><p>ネコさんは、電話を切る</p><p>谷沢のオッサン、どうしたって</p><p>んトイレに行ってるってさ</p><p>同時進行で、何かが起きている</p><p>きっと</p><p>まあいいさこっちは、もうすぐヴァイオラの本隊以外の部隊は、全て制圧できそうだ早いとこ、片付けてしまおうまあ、ことごとくロシアのチンピラばかりだがな</p><p>再び監視カメラの映像を次々と変えながら工藤父は言った</p><p>ヴァイオラの本隊の方は、どうなったんです</p><p>さっき３０人の部隊を、ダダドムゥおじ様が２０人に削った</p><p>その後、先行していたロシア人の２部隊と合流して、部隊の人数を補充しようとしていたはずだけれど</p><p>それが色々とヤバイことになった</p><p>合流する部隊に強襲を掛けて、人数を減らすことには成功したんだがそれでも、２０人以上がヴァイオラの本隊に吸収された５０人足らずぐらいの人数だな</p><p>かなりの人数がシザーリオ・ヴァイオラを護っているということか</p><p>そしたらだ部隊の幹部のやつら、腕章を外してしまったんだよ</p><p>ホテルに侵攻してきたヴァイオラの軍勢は、全員同じ黒い戦闘服に、ゴーグル、黒マスクをしている</p><p>外見からでは、ほとんど違いが判らない</p><p>シザーリオ・ヴァイオラの幹部、ロレンザッチョ・バンディーニ、ジュリアーノ・ジェンカ、ロミオ・モンタギューの３人だけは色違いの腕章をしていてそれで何とか、人物を特定することができたのに</p><p>腕章を外したら、他の戦闘員の中に紛れてしまう</p><p>しかもやつら分裂しやがった</p><p>分裂</p><p>今は上階へ侵攻するグループが１に、下階に降りて行くグループが２３グループに別れて行動している人数は、どれも２０人前後だ</p><p>上と下に、同時に進んでいる</p><p>マルゴさん、どう思います</p><p>関さんが、マルゴさんに意見を求める</p><p>元々、今回のことにこだわりがあるのは、シザーリオ・ヴァイオラだけだからねロレンザッチョ・バンディーニは、状況不利だと判断して撤退することに決めたんだと思うよ</p><p>じゃあ、上へ進んでいるのがヴァイオラで他の幹部たちは、下ですか</p><p>オレの言葉に、マルゴさんは苦笑する</p><p>そういう簡単なことじゃないんだよヴァイオラがアメリカから連れて来た子飼いの戦闘員は、本隊にいた３０人しか居なかったってことを思い出して</p><p>うんホテルに突入してきた、１５０人強の敵戦闘員のうち</p><p>３０人だけが、元からのヴァイオラの部下だ</p><p>残りの１２０人は、ロシアから拾って来たマフィア崩れのチンピラだった</p><p>その３０人が２０人に削られた仕方無いから、先行させていたロシア人たちを合流させたでもこのロシア人たちは、はたしてヴァイオラたちの指揮下で命令通りに動いてくれるだろうか</p><p>無理だと思いますあのロシア人の中で、英語の判る人なんて何人もいないでしょうし、軍隊経験のある人もそうはいないでしょうただの犯罪者予備軍の若者ですほとんど面識の無いアメリカ人の指揮に従うとは思えません</p><p>あたしもそう思うよだから、ヴァイオラたちは、せっかく集結させた戦闘員たちをまた分裂させるしかないんだ</p><p>２０人のアメリカ人は、そのまま固まって下階へ撤退を開始</p><p>４０人近いロシア人は、２つの部隊に分けて上と下に、ということか</p><p>上階へ向かった部隊は、囮だよ撤退グループが後ろから追撃されるのを防ぐための捨て駒にされたんだよ</p><p>ヴァイオラ本人も、おそらく撤退組の中に居ると思うよロレンザッチョ・バンディーニが撤退を決めた以上は、ヴァイオラも意志を曲げるしかないからたった１人、上の階に向かうロシア人の中に紛れて行くなんて度胸は、あの人には無いだろうさ</p><p>下へ向かった２グループのうち、先行しているのはロシア人ばかりだと思うこっちも、ヴァイオラたちの盾として利用するつもりなんだろうでも、このロシア人の中には、何人かアメリカ人も紛れ込ませていると思うよロシアのチンピラ兄ちゃんたちだけじゃ、すぐに壊滅しちゃうからね</p><p>ヴァイオラの組織の戦闘員が、補強として組み込まれている</p><p>合理的に考えれば、そういうことなんだろうな</p><p>工藤父は、マルゴさんの意見を肯定する</p><p>しかしオレはちょっと、疑問があるんだよ</p><p>どんなことでしょう、工藤さん</p><p>いやね何か、ちょっと、もろ過ぎるなって</p><p>もろい</p><p>やつら全然、下調べをしてきていないみたいだろこのホテルのことも、香月セキュリティ・サービスのことも、オレたちのことも全然、判っていないまま、無策で突っ込んできたとしか思えねぇんだよそれどころか、武装戦闘員１５０人で突入したら楽勝って思っていたような気配さえある</p><p>工藤父は、深く考え込む</p><p>何の調査もしていないなんてことが、あのシザーリオ・ヴァイオラの組織で有り得るんだろうか閣下がこのホテルを決戦地に指定してからだって、調査に充分な時間はあったオレなら、絶対に調べるぞ</p><p>いやヴァイオラたちだって、事前調査はしているはずだ</p><p>だから、ミス・コーデリアたちは、すんなりとホテル内への侵入することができたんだし</p><p>そもそも、ミス・コーデリアと谷沢チーフが繋がっているのも、作戦前の事前活動の一環だろう</p><p>谷沢チーフが、ジッちゃんを裏切っている可能性があるように</p><p>ミス・コーデリアも、ヴァイオラたちを裏切っているとしたら</p><p>マルゴさんも、その可能性に気付いている</p><p>ミス・コーデリアは、絶対にホテルや香月セキュリティ・サービスの情報は掴んでいる</p><p>これは間違いない</p><p>なのにシザーリオ・ヴァイオラには、嘘の情報を流していたとしたら</p><p>ホテル普通の建物ですセキュリティも、大したことはない</p><p>香月セキュリティ・サービスろくな人材はいないから、気にしなくていい</p><p>そういう報告をしてヴァイオラたちに、今夜の強襲を実行させたのだとしたら</p><p>どうにもオレには解せねぇんだよ</p><p>工藤父は、心がモヤモヤして仕方がない様子だった</p><p>オレだってモヤモヤしている</p><p>だから、さっきからあたしが言っているじゃありませんか</p><p>ネコさんが、工藤父に言う</p><p>最初に消えた４人が本物の暗殺部隊で後から来た１５０人が全員、囮なんですよ</p><p>しかしシザーリオ・ヴァイオラが、自ら囮になるかしかも、とんでもない窮地に陥っているし</p><p>それは判りませんけれどあたしたちがゴタゴタやっている間に、暗殺部隊の４人が目的を達すればいいんでしょう</p><p>ネコさんの勘は鋭い</p><p>ミス・コーデリアたちこそが、敵の要なのかもしれない</p><p>判らねえなそっちは、谷沢のオッサンの管轄だそれに、閣下には大徳と張本っていう２人の化け物が警護に付いているんだあいつらに任せるしかないな</p><p>その２人はジッちゃんの側に居ない</p><p>オレたちは、オレたちに指示された仕事に集中しようぜ</p><p>だがオレは</p><p>ジッちゃんとミナホ姉さんが、行方不明なことを知っている</p><p>谷沢チーフが、怪しいことも</p><p>結局、谷沢チーフとミス・コーデリアが、どんな取引をしているかが判らない限りは</p><p>真実は、見えて来ない</p><p>父上ママ上様が、香月セキュリティ・サービスを解雇されました</p><p>スッと、美智が話を変える</p><p>悦子が何でだ</p><p>驚く工藤父</p><p>命令違反と職場放棄で、谷沢さんに処分されました</p><p>関さんが、補足する</p><p>命令違反に職場放棄あいつは、そういうことをするような女じゃないぞ</p><p>ママ上様は仕事よりも、男性をお取りになりました</p><p>美智の言葉に工藤父は、絶句する</p><p>そうか、判った</p><p>そして、大きく深呼吸して</p><p>この話は、今は止そうネコ、味方のチームを集結させよう３つに分かれたヴァイオラの本隊を各個撃破する</p><p>そうね今は眼の前のことに集中しましょう</p><p>ネコさんが、各チームの現在地を確認していく</p><p>下に向かった方の先行グループ多分、ほとんどがロシア人だと思うけれど、そいつらにもうすぐバンバルビーの３人が追いつくわ</p><p>丁度良い先にバービーたちに、強行偵察して貰おうか</p><p>工藤父は、内線電話を取る</p><p>また遅刻ギリです</p><p>325．クイーン・ビー・ダイナマイト</p><p>しっかしさあ、ルビーちゃぁーん４</p><p>何です姐さん５</p><p>あたしから言い出したことだけどさ６</p><p>後悔しているんですか７</p><p>うんちょっと８</p><p>あたしは、覚悟してましたよこうなることは９</p><p>そうねダウト</p><p>画面の中のバンバルビー３の３人</p><p>ここはエレベーターホールだな</p><p>ちょっと広めのエントランスになっていて大理石の彫像や、ベンチがあちこちに置かれている</p><p>身を隠しながら乱戦するには、丁度良い様な空間だ</p><p>いや、このホテルのことだからそういう場所を意図的に散在させているんだろうけれど</p><p>大理石の床にどっしりと腰を下ろして年上の２人、バービーさんとルビーさんはトランプで遊んでいた</p><p>プレイヤー２人でダウトって相手の持っているカードが丸わかりだから、面白くないですよ</p><p>そうね自分の持ってないカードは、絶対に相手が持ってるんだもんねぇ</p><p>何をやってるんだこの人たち</p><p>ダウトは止めて別のゲームするインディアン・ポーカーとか</p><p>１人だけ武器のフレイルを持って立っている番場さんが、泣きそうな声で叫ぶ</p><p>あたしも入れて下さいよおっ３人ならきっと楽しいですよ無限の可能性が拡がりますってば</p><p>バービーさんは、番場さんをチラッと見て</p><p>ダメよ番場ちゃんは、警戒してなさい</p><p>そうだねあんたがあたしたちのトランプに加わるのは、１０年早い</p><p>ルビーさんも、番場さんのゲーム参加を却下する</p><p>いや戦闘中に、あんたたち何をしているの</p><p>つーか、ずっと番場さん一人に闘わせてバービーさんが、このホテルの中でまともに仕事しているのを観たことが無いんですけれど</p><p>ルビーさんは、たまに援護の射撃をしたりしているけど</p><p>しっかし、姐さん小腹が空いてきませんか</p><p>そうね工藤のオッチャンに、ピザでも届けさせようか</p><p>あたし、ラーメンとかがいいですね番場ちゃんは何がいい</p><p>あたしは、あの</p><p>判ってると思うけれど出前で届けてくれるものだよこんな深夜に、刺身定食とか持って来てくれるお店は無いからね</p><p>いえバービーさん</p><p>この戦場と化したホテルに、出前してくれる店なんかありません</p><p>いえ、あたしダイエット中なので間食は控えないとさっき、工藤さんの持って来て下さったお弁当、３つも食べちゃいましたから</p><p>そういや、１階のロビーで弁当配っていたな</p><p>番場ちゃんあんたがダイエットすると、あたしが困るんだよっ</p><p>バービーさんが、ギロッと睨む</p><p>え、何でですちゃんと体調管理はしますし、筋肉が落ちるようなことが無いように、トレーニングも頑張りますから</p><p>姐さんは、そういうことを言ってるんじゃないんだよっ</p><p>ルビーさんまでが、番場さんを叱る</p><p>えっとじゃあ、どういうことです</p><p>キョトンとした顔の番場さん</p><p>すっかり困っている</p><p>番場ちゃーん、あんた質量保存の法則って知っているわよね</p><p>はい、知っていますけれど</p><p>あたしとルビーちゃんさ、今、番場ちゃんに内緒でダイエットしているのよ</p><p>えっ、そうだったんですか</p><p>そうよそれであたしたちの要らないお肉は、番場ちゃんの身体に引き取って貰うことにしたから</p><p>何だ、何だ</p><p>だから、質量保存の法則よっあたしたちの身体から減ったお肉は、誰かの身体に増えないと宇宙のエントロピーが崩壊しちゃうでしょ</p><p>質量保存の法則って、そんなのだったか</p><p>えあたし、バービーさんたちが痩せた分だけ、太らないといけないんですか</p><p>逆よっあんたが太った分だけ、あたしたちが痩せるのよ</p><p>はいぃぃ</p><p>だから、あんたはガンガン食べて、どんどん肥え太りなさいっそれを横目で眺めながら、あたしたちはどんどんスリムになっていくからっ</p><p>うんうん、質量保存質量保存</p><p>バービーさんのトンデモ理論に、ルビーさんはケラケラ笑っている</p><p>ということなのでぇ、番場ちゃんは、今からギトギトのとんこつラーメンを食べなさい３杯食べなさい１００メートル先からでも、ぷーんとニンニク臭い女になりなさいっ</p><p>嫌ですよおっそんなのぉっ</p><p>とエレベーターホールの内線電話が鳴る</p><p>受話器を取る、バービーさん</p><p>はぁーいお電話ありがとうございまぁす愛の伝道師、あ・な・た・のバービーちゃんでーす</p><p>電話を掛けているのはもちろん、オレたちと同じ部屋に居る工藤父だ</p><p>ケンちゃんラーメン・新発売だ</p><p>あーら、ちょうど良かったラーメン食べたかったのよねぇでも、ケンちゃんラーメンじゃ、少し量が少ないかなあ</p><p>敵の本隊がお前らの方へ向かっている</p><p>工藤父は、とっとと本題に入った</p><p>てことはやつら反転して、撤退し始めたってこと</p><p>そういうことだ死に物狂いで、こっちの包囲をこじ開けに掛かってくるぞ</p><p>了解お化粧直して、お出迎えするわーんっ</p><p>バービーさんは、手に持っていたトランプの束を放り出す</p><p>お前らがこれからブチ当たる先遣隊は、どうせロシアのチンピラが主体だと思うが</p><p>判ってるわよーん撤退戦なら、やつらもエースのカードを使ってくるってことでしょん</p><p>そういうことだ油断すんなよ</p><p>あたしを誰だと思っているのよ例え、番場ちゃんが戦死したとしても、あたしとルビーちゃんは生き残るわっ</p><p>バービーさぁーん、あたし死んじゃうんですかぁもう、確定なんですかぁ</p><p>お遊びは、それまでだ来たぜ</p><p>工藤父が、監視カメラの映像を変える</p><p>バービーさんたちの向こう廊下の先に、黒い戦闘服の男たちがゾロゾロと現れる</p><p>２０人くらいか</p><p>てんでバラバラで綺麗な隊列は組んでいない</p><p>オレの眼から見ても、集団戦闘の訓練はしていないやつらだと判る</p><p>こいつらがヴァイオラの撤退部隊の先遣隊</p><p>あーららそんじゃあ、バービーさんまた、あたしが蹴散らしてきますね</p><p>番場さんが、自慢のフレイル棒を構える</p><p>番場ちゃんは、ちょっとお休みしてなさい</p><p>バービーさんは、クールに言った</p><p>えー、何でですぅ</p><p>一目見て、相手の実力が判らないとダメよ番場ちゃんド素人の中に、プロが５人ほど混じってるわ</p><p>ルビーさんもいつもの、ゴム弾の入ったショットガンを放り出し</p><p>近くに隠してあった、自動小銃を手にする</p><p>ルビーさん、そのAK《アーカー》、実弾入りですよ</p><p>番場さんが、驚いている</p><p>そうよマジで殺し合いしないと、生き残れない相手だからね</p><p>敵の黒い部隊は、ジリジリとバービーさんたちに近付いて来る</p><p>ルビーちゃん、あたしの武器取って</p><p>敵を睨み付けながらバービーさんが、ルビーさんに手を伸ばす</p><p>木《ウッド》ですか、鉄《アイアン》でいきますか</p><p>ルビーさんは、傍らのゴルフ用のキャリー・バッグを開けている</p><p>バービーさんゴルフの道具で闘う人なの</p><p>決まっているでしょうブラック・シャフトよ</p><p>ほいっ、姐さん</p><p>ルビーさんはバービーさんに、漆黒の長い棒状の物を手渡す</p><p>ジャキッ</p><p>一瞬にしてバービーさんの背丈ほどに伸びたそれは</p><p>釣り竿だった</p><p>ふん、ふん、ふんっ</p><p>受け取った漆黒の釣り竿をビュンビュンと振り回すバービーさん</p><p>黒い軸のロッドは、ギュンギュンしなって、バービーさんの周りに疾風を巻き起こしている</p><p>良い感じ、良い感じ爆釣りしてやるからね、あんたたち</p><p>ルビーさんは、乳首に貼っていたニプレスを剥がしている</p><p>やっぱり乳首は外気に晒していないと、敵の気配が察知できないんだわあたし</p><p>ガチャッと音を立てて、もう一度小銃の感触を確かめる</p><p>バービーさん、あたしどうしたらいいんですか</p><p>番場さんは、やる気満々の二人にすっかり戸惑っている</p><p>番場ちゃんは、そこで映画幻の湖についてのレポートを書いてなさい</p><p>はいぃぃぃ</p><p>テーマは、スペースシャトルと戦国時代の関連性について</p><p>無理ですよぉぉあたし、あの映画、難解過ぎて全然意味が判らなかったですからぁ</p><p>それじゃあ、今からテレビドラマ愛するために愛されたいを全話観て、スペースシャトルとタンゴとシャンペンと武田修宏を軸に、あらすじを簡潔にまとめなさい</p><p>無理ですよぉぉあのドラマ、ストーリー展開、メッチャクチャじゃないですかぁぁ</p><p>何で日本の実写物でスペースシャトルの出て来る話は、必ず脳みそお花畑な展開になっちゃうんですかねぇ</p><p>ルビーさんが、ぼそりと言った</p><p>敵の接近が止まる</p><p>黒い戦闘服の男たちは、全員ピストルを持っていた</p><p>番場ちゃん流れ弾に気を付けてね今は、生き残ることだけを考えるのよ</p><p>ダダァーンッッ</p><p>最初の銃声とともに、バンバルビーの３人は物影に飛び込むッッ</p><p>バービーさんっ</p><p>番場ちゃんは、出ちゃダメっ</p><p>今までの相手とは違うわ接近したら、同士討ちを恐れて銃撃を止めるなんてことはしない平気で味方も撃ってくるわよっ</p><p>ああロシア人のチンピラたちの中に、ヴァイオラの配下が混じっているのなら</p><p>バービーさんたちを、身内のロシア人ごと撃ち殺そうとするだろう</p><p>ルビーさんが、自動小銃を斉射する</p><p>敵もあわてて、物影に身を伏せる</p><p>ほらよっ</p><p>バービーさんが、ビュンッと釣り竿を振るっ</p><p>シュワッと空中に何かがキラッと光って</p><p>グワッ</p><p>大理石の大きな彫像の後ろに隠れた敵戦闘員が、悲鳴を上げるッ</p><p>エンジョイフィッシング</p><p>バービーさん敵を釣ってる</p><p>ちなみにこれ、ただの釣り針じゃないから刺さると即効性の猛毒が噴出する仕組みになっているのよね</p><p>釣り針から毒が出る</p><p>どこに隠れても無駄よーんっバービーさんのクィーン・ビー・ダイナマイト針が、あなたの心に忍び込むのよーんシャランラッ</p><p>また、ビュッと釣り竿を振るうバービーさん</p><p>竿の先から細くて強靱な糸そして、毒針がびゅわんと弧を描いて、敵の隠れている物影に飛び込むッ</p><p>アカカガッ</p><p>身体のどこでも毒針が刺されば、アウトらしい</p><p>何て恐ろしい武器なんだ</p><p>バービーさんが、針を戻そうと釣り竿を上げると同時に敵の１人が、糸を掴もうとする</p><p>残念ねっ</p><p>バービーさんは、ジャリジャリジャリッとリールを巻くッ</p><p>シュジュジュジュジュ</p><p>黒い手袋をしていた男の手の平が、糸の摩擦で煙を上げる</p><p>手の裂ける痛みに、男は糸を手放した</p><p>そこへ再びバービーさんは、毒針を叩き込むッ</p><p>その男も針を打ち込まれて、悶絶して倒れる</p><p>糸も針も特別製よーん簡単には切れないし、手袋無しで掴もうとすれば、指がズバッと切れちゃうわよん針も特殊合金だから、そんなチンケな戦闘服ぐらい平気でズブズブ貫くからねぇ</p><p>ルビーさんが小銃で牽制し</p><p>隠れた敵を、バービーさんの毒針が死角から襲う</p><p>そんな闘いが、しばらく続く</p><p>ズダダダダッ</p><p>ビビュン</p><p>ウガァァ</p><p>ほーら、そろそろ番場ちゃんにも見えてきたでしょ</p><p>バービーさんは、言った</p><p>烏合の衆の中に混じって連携して行動している人間が、５人ほどいるのがさ</p><p>その５人がヴァイオラの部下なのか</p><p>そろそろ仕掛けて来るでしょうね</p><p>そうバービーさんが言った瞬間</p><p>敵の１人が、ルビーさんに目掛けて、何かを投げ付ける</p><p>まさか手榴弾</p><p>こんな屋内で、手榴弾てこたぁ無いわよね</p><p>そう言いながらも、ルビーさんは小銃を抱えて別の物影に飛び込む</p><p>ジュワッ</p><p>白いガスが噴き出す</p><p>ルビーさんが体勢を崩している間に</p><p>敵の数人が、バービーさんに向かって突進する</p><p>この竿は、こんな風にも使えるのよーんッ</p><p>白い煙の中バービーさんは、竿をムチのようにしならせて、敵を一人一人打ち払って行くッ</p><p>ビシュッビシュッ</p><p>ビビビシュシュ</p><p>風を裂く鋭い音</p><p>竿の先のスピードは、音速を超えるからねぇぇ</p><p>敵の黒い戦闘服やマスクが切り裂かれ次々に倒れていく</p><p>ちなみに、竿先にも毒が塗ってありまーすっ</p><p>何という、毒竿</p><p>昔っから言うでしょセクシーなお姉さんには、毒があるって</p><p>いや言わないと思う</p><p>しかし、バービーさんが毒女だってことはよーく判った</p><p>つーことで、ほらあんたたちだけになったわよんっ５人組出てらっしゃいっ</p><p>竿をブンブン振って、敵を挑発するバービーさん</p><p>バービーさん、そんなこと日本語で言っても</p><p>番場さんが、突っ込む</p><p>あら、そうだったわね</p><p>そしてバービーさんは、とてつもなく流暢な英語で何か喋った</p><p>バービーさぁん、それは酷い、酷すぎますアメリカで訴えられたら、絶対に負けちゃうぐらいの酷い侮辱ですとんでもない罵倒ですよそれ</p><p>物影から番場さんが言う</p><p>何か、スラングとかでトンデモないことを言ったらしい</p><p>隠れていた敵が、スッと姿を現す</p><p>１人、２人、３人、４人５人</p><p>その全員が顔のゴーグルと黒マスクを外した</p><p>全員、金髪の白人の男たちだった</p><p>ロミオ・モンタギュー</p><p>男の中の１人を見て寧さんが呟いた</p><p>ヴァイオラは、撤退の先遣隊に幹部の１人を送り込んで来たらしい</p><p>残りの４人もロミオ・モンタギューの子飼いの部下なのだろう</p><p>おそらく、５人の連携は完璧のはすだ</p><p>まあっ揃いも揃って、金髪の良い男っ</p><p>バービーさんは、ニコッと微笑む</p><p>あたし子供の頃、キャンデイ・キャンディのアルバートさんが大好きだったのよねえだから、ある日、ママに言ったのママ、あたし大人になったら、アルバートさんと結婚するってそしたら、ママは</p><p>黒い釣り竿を握った手が、プルプルと震える</p><p>アルバイトさんじゃなくって、せめて定職のある人と結婚なさいって言ったわ天国のママ、ごめんなさいあなたのバービーは、アルバイトどころかもっとアコギな仕事に就いております</p><p>ま、アコギな商売って言うより、完璧にアウトローですからねあたしたち</p><p>ルビーさんが、苦笑する</p><p>５人の男のうち、２人がナイフを残り３人が銃を取り出す</p><p>ツー・トップで、フォローが３人てことね</p><p>ロミオ・モンタギューは、もちろんフォロー組の中央にいる</p><p>ロミオ・モンタギューの命令と共に、５人の男たちが一斉に行動を開始する</p><p>ザッとナイフの２人が、バービーさんとルビーさんの間に廻り込む</p><p>これでは、ルビーさんは牽制の銃撃はできない</p><p>はん教科書通りの行動ね</p><p>私の兄は、ちばあきお先生の名作野球マンガプレイボールのコミックス買ってきたら</p><p>あんた、小学生のくせにプレイボーイなんて買って来て</p><p>と母にビンタされたことがあります</p><p>表紙は、野球部のユニフォーム姿のタニグチくんの絵なのに</p><p>中ボス戦になりましたがここから先の展開をまだ考えていない</p><p>さあ、明日までにロミオくんの戦法を思い付かないと</p><p>えっと、幻の湖と愛するために愛されたいについては、興味のある方は検索してみて下さい</p><p>幻の湖がカルト的な人気もありますが愛するために愛されたいはマジで、某局テレビドラマの黒歴史になってますので公式サイトも、もう消えてますし</p><p>WIKIにあらすじだけが、載ってますが本当に恐ろしいドラマでした</p><p>326．バービーガールズ</p><p>しかし、あれでは敵も同士討ちを恐れて発砲できないでしょう</p><p>モニター画面の中の戦闘状況を見て、美智が言う</p><p>それはどうかな</p><p>ダダーンッ</p><p>バービーさんを取り囲んだ５人の男たちは味方がいるのも構わず、平然と銃を撃つ</p><p>およっと</p><p>銃口が自分に向いた瞬間に、バービーさんは身を躱す</p><p>そこへナイフの２人が突進してくる</p><p>バービーさんが、黒竿《ブラック・シャフト》でナイフを薙ぎ払うと</p><p>また、ピストルで狙われる</p><p>ドガッンッ</p><p>ズズゥゥン</p><p>今度は、２丁同時に発砲だ</p><p>それもバービーさんは軽やかに躱す</p><p>凄い素晴らしい反射神経ですね</p><p>麗華が驚嘆する</p><p>それだけでは無いわバービーちゃん、襲って来ている５人全員の動きを完全に把握しているわ事前に相手の次の行動が判っているからギリギリで躱せるのよ</p><p>ネコさんが、そう解説する</p><p>しかし、何であいつらあんなにバンバン撃ってくるんです</p><p>味方に流れ弾が当たるとか、全然考えていないみたいだけれど</p><p>あの５人も相当の訓練を積んでいるってことさフォーメーションでお互いの位置が判っているから平然と銃撃してくるんだよ</p><p>男のシザーリオ・ヴァイオラ本人には、あの馬鹿っぽい言動で、劣悪なイメージがあるだろうけれどね配下の処刑人は、みんな一流の腕前だよヴァイオラの組織を維持しているのは、彼らの力だからねロミオ・モンタギューは、その中でもビッグ・ネームの処刑人だ舐めてかかると命が無いよ</p><p>バービーさんは、番場さんに下がらせたんだ</p><p>今までは半分素人みたいなロシア人のチンピラが相手だったから幼稚園児と野球していたら、突然、メジャー級の剛速球エースが出て来たみたいなもんだよ闘いの感覚が、ロシア人で慣れてしまっているままでは、ロミオ・モンタギューに瞬殺されちゃうよそれも、もちろん敵の策略の１つなんだけれど</p><p>つまりヴァイオラたちが、戦闘員の人数稼ぎに連れてきたロシアのチンピラたちとずっと闘い続けてきた番場さんは、いきなり現れたロミオ・モンタギューのチームのスピードには、眼や身体がついていかないってことですか</p><p>オレの問いに、マルゴさんは苦笑する</p><p>スピードとコンビネーションだけじゃないよ一流のプロは、殺気が違うからね実戦経験の浅い人なら、あの人数のプロチームが相手じゃ気後れしちゃうよ</p><p>そうかそれで、バービーさんたちは今まで戦闘に参加していなかったんですねレベルの低いロシア人の相手は、ほとんど番場さんに任せて自分たちは、高レベルの敵が現れた時にすぐに対処できるように</p><p>低レベルの敵に、眼や感覚を慣らさないように</p><p>いや、それはねえな単に年のせいなんじゃねぇの長時間の闘いだと、腰が痛むんだと思うぜ、あいつ</p><p>工藤父が、茶化して言う</p><p>でも、この状況まずいわねあんまり時間が掛かると、さすがのバービーちゃんでも分が悪いかもね</p><p>ネコさんが、心配そうに言う</p><p>ずっと、あんなスピードで躱し続けられないでしょう幾ら、あの子でも</p><p>画面の中では、バービーさんがひたすらナイフの切っ先と銃弾を躱し続けている</p><p>もう５分近く一度も止まらずに、ハイ・スピードで動き続けている</p><p>馬鹿なこと言うんじゃねぇ敵が一流の処刑人なら、バービーは超一流の警護人だぜあいつのことだもう、次の手は考えているよ</p><p>工藤父は、バービーさんの逆襲を信じている</p><p>あはっはぁなかなかやるわねっあんたたち、コンビネーションと集中力は褒めてあげるわ５人で相当、訓練したみたいねでも</p><p>バービーさんの眼が、キラッと光る</p><p>こういう事態は、想定している</p><p>またナイフの男が、ズバッとバービーさんに斬り付ける</p><p>ギリギリで身を躱す、バービーさん</p><p>そこへ銃撃</p><p>これも避ける</p><p>最初のナイフの男が、ズッコケた</p><p>見るとバービーさんが、釣り竿で男の足を釣っている</p><p>身を躱す時に、男の足に針を引っ掛けていたんだ</p><p>ほらコンビネーションが崩れた</p><p>転んだ男の首に、ガキッっと蹴りを入れるバービーさん</p><p>悶絶してブッ飛ぶ男</p><p>はい、１人減ったぁぁッッ</p><p>ロミオ・モンタギューが、英語で何か指示する</p><p>拳銃の男が１人自分の銃をロミオ・モンタギューに投げて渡す</p><p>それから、腰のコンバット・ナイフを引き抜く</p><p>ナイフが２人に、ピストルが２人ロミオ・モンタギューは２丁拳銃</p><p>すぐにフォーメーションが、４人体勢に移行する</p><p>なるほど、メンバーが欠けた場合のコンビネーションも訓練済みってことね</p><p>苦笑しながら、再び敵の攻撃を躱していくバービーさん</p><p>大分、体力が消耗してきている</p><p>酷く汗をかいて息も荒い</p><p>うっひぃこのままじゃ、こっちがヤバいね</p><p>バービーさん、援護しますっ</p><p>番場さんが、そう言うが</p><p>冗談っあんたのトロい動きじゃ、こいつら２人のコンビネーションでもやられちゃうよっ</p><p>バービーさんは、叫ぶ</p><p>確かに長くて重いフレイルを振り回しながらじゃ、この敵のスピードには付いていけないだろう</p><p>あんたは、そこでしっかり見てなっいいわねっ</p><p>でも、バービーさんっ</p><p>姐さんの言う通りにするんだ番場ぁっ</p><p>ルビーさんが叫ぶ</p><p>姐さんが見てろって言ったら、言われた通りに見ているんだよっ</p><p>ルビーさんは、自動小銃のマガジンを交換している</p><p>今は流れ弾が当たる可能性があるから撃てないが</p><p>いつでも、形勢を逆転するチャンスは来ると信じているのだろう</p><p>とついに、バービーさんが足をもつれさせて、転びそうになる</p><p>バ、バービーさん</p><p>っていうのは、嘘ーんっ</p><p>バービーさんは、床に倒れる寸前にクルッと回転し接近してきたナイフの男に、何かを叩き付けるッ</p><p>ウガァァッ</p><p>それは黒竿の先の毒針か</p><p>悶絶して倒れるナイフの男</p><p>はいこれでさらに１人減った</p><p>残る敵は３人</p><p>バービーさんは、ニコッと微笑むがすでにふらふらの状態だ</p><p>ロミオ・モンタギューが、部下たちにまた何か命ずる</p><p>ピストル組の２人が銃をホルスターにしまう</p><p>そしてナイフを引き抜く</p><p>そろそろ残弾が少なくなってきたから、全員ナイフってことね</p><p>はぁはぁと肩で息をしながらバービーさんは言う</p><p>いいんじゃない銃が無い方が、あたしも助かるわ</p><p>バービーさんも黒竿を投げ捨て拳を握りしめる</p><p>ピストル無しなら、あたしも出ます</p><p>と、番場さんがフレイルを片手に、隠れていた物影から飛び出そうとする</p><p>ロミオ・モンタギューたちナイフの３人が、ササッと後退し</p><p>同時に、誰もいないはずの物影からマシンガンを抱えた男が２人飛び出して来る</p><p>バービーさんも、番場さんも撃たれるッツ</p><p>ビカッボムッボムッ</p><p>マシンガンの男たちの足下で激しい閃光と爆発音が起きる</p><p>ドゥガガガガガガッ</p><p>突然の目映い光に思わず足を止めたマシンガンの男たちを、ルビーさんが自動小銃の斉射で薙ぎ払う</p><p>同時に、バービーさんはロミオ・モンタギューの頭に回し蹴りを叩き込んでいた</p><p>ウグゥァァ</p><p>続いて、残りの２人も閃光に眼が眩んでいるうちに、急所に鉄拳を叩き込む</p><p>は、早い</p><p>さっきまでの動きよりさらに加速している</p><p>はいさっ</p><p>倒れたマシンガンの男２人にもバービーさんは、手裏剣を打ち込んだ</p><p>ウガァッ</p><p>ウゲェェ</p><p>悶絶する男たち</p><p>この反応は手裏剣にも、即効性の毒が塗ってあるのか</p><p>バービーさんは、敵が全員沈黙したのを確認すると床に四つん這いになる</p><p>ルビーちゃん、グッジョブよ</p><p>バービーさぁん</p><p>飛び出して来る、番場さん</p><p>ルビーさんも銃を抱えたまま、ゆっくりと立ち上がる</p><p>どうせボディアーマーだの、防弾チョッキだの着込んでいることは判っていましたからより打撃力の強いゴム弾にしといて正解でしたね</p><p>そうか、実弾の銃撃じゃ確実に相手を倒せないと思ったから</p><p>ルビーさんは、相手を打ち倒すことを優先してそういうタイプのゴム弾に弾倉を換えていたのか</p><p>そして、それにバービーさんは気付いていたから</p><p>倒れたマシンガンの男たちのトドメに毒手裏剣を打ち込んだ</p><p>うんルビーちゃんが、引っ繰り返してくれたから助かったわ</p><p>バービーさんは、まだ立ち上がれないでいる</p><p>あの突然床がピカッてなったのは</p><p>番場さんが、ルビーさんに尋ねる</p><p>ああ、どうせ伏兵がいるのは判っていたからね無線式の閃光地雷を仕掛けておいたんだ</p><p>えいつの間に</p><p>ルビーさんが苦笑する</p><p>番場ちゃんに気付かれないように、こっそりさ</p><p>えー、何であたしには教えてくれなかったんですぅ</p><p>だって番場ちゃんに教えると、敵の前でも平然とあそこの地雷を使いましょうとか言い出しそうだったから</p><p>むぅそんなことしないですよっあたしっ</p><p>ふーん、そう</p><p>ジトッとした眼で、ルビーさんは番場さんを見る</p><p>ええっと言っちゃうかもしれませんねあたし</p><p>顔を赤くして反省する番場さん</p><p>でも何で、敵に伏兵がいるって判ったんですか</p><p>そりゃあ判るわよプロだもの</p><p>あいつらプロの処刑人のくせに、真っ正面から攻めてきたでしょまあ、あたしたちを舐めてたってこともあるんだろうけれど本物のプロには、あるまじき行動だったわ</p><p>番場ちゃん、覚えておいて戦場で、一か八かの勝負を仕掛けて来るのは、素人だけなんだよ本物のプロは、自分たちが圧倒的に優位な状況を、何としても作ろうとする卑怯で上等アリンコ一匹潰すのに、戦車を持ち出すんだよオーバーキルでいいから、絶対に自分たちは負けない体勢を作ろうとする</p><p>最初は素人のロシア人の中に、プロの自分たちを隠しておいてこっちを油断させようとしたろそれと思想はおんなしさピストルを見せておいて、それ以上の強力な武器は無いって、あたしたちに思い込ませようとするそんで、残弾なくなってきたからって、銃をしまうだから、さっきの番場ちゃんは、もうこれで銃撃は無いって信じて、思わず、外へ飛び出したんだろそこへマシンガンを持った伏兵が飛び込んで来る実に卑怯で、よく考え込んである手だと思うよ</p><p>最初の５人のチームが、丸まる囮だったんだ</p><p>ただ、この作戦の場合使えるやつを前に出さないといけないからねあたしと直接闘った５人は、みんなそれなりの戦闘能力の持ち主だったけどマシンガン担当の２人は、戦闘経験の浅い子だったんだと思うよだから、閃光地雷にも引っ掛かってくれたし、毒手裏剣の一撃で倒せた</p><p>敵の指揮官が、伏兵の方にもそれなりの実力者を配していたら飛び出しちゃった番場ちゃんは、穴だらけになってたかもしれないですよねぇ</p><p>そんなぁ怖いこと言わないで下さいよぉっ、ルビーさぁん</p><p>まあ、その辺は向こうさんも人材不足って言うか指揮官が出たがりタイプだったんでしょうね</p><p>バービーさんは、そう言った</p><p>とにかく番場ちゃんは、まだまだ半人前ってこといいわね、一人前になるまでは、あたしたちから卒業させてあげないからねっ</p><p>はいっこれからも、ご指導下さいっバービーさんルビーさんっ</p><p>素直な番場さんが、２人の姐さんに頭を下げる</p><p>あんなこと言っちゃってさ一人前にして、手放す気なんて無いくせに</p><p>バンバルビーの３人をモニターで眺めながら、ネコさんが言う</p><p>そうよバービーもルビーも、番場ちゃんみたいな素直な子を育てるのが大好きなのよでも、一人前にして独り立ちはさせないの良い男性と出会わせて、寿引退させるのよいつも番場ちゃんは、まだ若いからもう２、３年は、今のままのチームだけれど</p><p>番場ちゃんの前の子は、今、どうしている確かガンちゃんだっけ</p><p>工藤父が、ネコさんに尋ねる</p><p>そうよその頃は、ガンバルビー３だったからガンちゃんは、今、山梨のぶどう農家の奥さんよお正月に年賀状貰ったから</p><p>ガンちゃんの前は、今みたいなコードネームも名乗ってないでおんな組てチーム名だったわよね</p><p>闘魂３銃士じゃなかったけ</p><p>それは、さらにその前</p><p>３銃士なのに、４人いた頃もあったよなあ</p><p>そうそう新人２人入れてね</p><p>そもそも、バービーとルビーが最初に組んだ当初は２人チームだったろう</p><p>ああ、最初は鈴々《リンリン》と蘭々《ランラン》って名乗ってわそう言えば</p><p>それから、新人が１人入ってきて</p><p>そうそう、乾々《カンカン》ちゃんね</p><p>リンリン、ランラン、カンカン</p><p>ルビーと反りが合わなくて、すぐに辞めちゃった子もいたろ</p><p>いっぱいいるわよ飛々《フェイフェイ》と童々《トントン》でしょ悠々《ユウユウ》っていう子も居た気がする</p><p>いつからあいつバービーって名乗り出したんだっけ</p><p>闘魂３銃士の時からよバービー、ルビー、グレートムタの３人コンビね</p><p>うん、人に歴史ありだな</p><p>麗華が、暗い顔をしている</p><p>わたくし、バービーさんにチームに誘われたことがあるんですけれど</p><p>ああ、それはあんたが素直でからかい甲斐のある子だって思ったんじゃないの</p><p>ネコさんは、笑って言った</p><p>からかい甲斐がありますか、わたくし</p><p>でもさあ、バービーちゃんは本当に素質のある子しか選ばないからあの人に認められたってことは、胸を張っていいことだと思うよ</p><p>麗華は、複雑な表情だ</p><p>素質を認められたって麗華自身は、香月セキュリティ・サービスのトップ・エリートで</p><p>すでに一人前の警護人のつもりなんだから</p><p>わたくしバービーさんには、半人前に見えているんですねぇ</p><p>昔の麗華なら、激しく反発しただろうが</p><p>今の麗華は、素直に自分の未熟を認める</p><p>麗華も変わってきている</p><p>これでシザーリオ・ヴァイオラの本隊は、２０人から７人減って１３人か</p><p>工藤父が、計算する</p><p>って言っても、シザーリオ・ヴァイオラ本人とロレンザッチョ・バンディーニには、大した戦闘能力は無いだろうから気を付けなきゃいけないのは１１人だけだな</p><p>工藤ちゃんでも、もう１枚の大看板のジュリアーノ・ジェンカが残っているし今のロミオ・モンタギューの処刑人チーム並みに訓練された凄腕が隠れていると思うわよ</p><p>ネコさんは、そう言う</p><p>ま、そうだろうな相手は、ロサンゼルスで名高い犯罪組織だとんでもねぇ隠し球が出て来る可能性もあるな</p><p>本当にオレが知る限りの、男のシザーリオ・ヴァイオラは、馬鹿で品の無いヘンタイ親父でしかないのに</p><p>ヴァイオラの組織の人間はミス・コーデリアたちといい、ロミオ・モンタギューのチームといい一流の処刑人が揃っている</p><p>このギャップは何なんだ</p><p>いえ何でこいつら、男のヴァイオラみたいな小悪党を組織のトップに掲げているんだろうって、疑問に思うんです</p><p>やっぱり、男のヴァイオラは見せ掛けだけのボスなんだと思うよ</p><p>前のダダドムゥさんとの戦闘の時だって部隊指揮は、ロレンザッチョ・バンディーニがしていたしね</p><p>誰も男のヴァイオラに従っていない</p><p>それなら何で、みんな日本へやって来たんだ</p><p>男のヴァイオラが来日したのは寧さんへの個人的な憎しみからでは無いのか</p><p>とにかくバービーは、休ませないとな</p><p>オレの心の中に渦巻く疑念とは関係無く工藤父は言った</p><p>画面の中のバービーさんは、まだへたり込んでいる</p><p>トップスピードを、あれだけ長く維持していたのは久しぶりでしょうしょうがないわよ</p><p>年なんだよ年</p><p>工藤父は、そう言って笑う</p><p>だが、こうなったら仕方ねぇヴァイオラの本隊との決戦は、オレが下に降りて直接指揮を執るしかねぇなここはネコに任すよ</p><p>残りは２つの部隊だけだ</p><p>上の階に向かっている、囮の部隊と</p><p>下の階へ向かうヴァイオラの本隊</p><p>さあてクライマックスだぜ</p><p>木曜です</p><p>遅刻ギリなので、もう出ます</p><p>327．トランスフォーメーション</p><p>今、手が空いているやつは何人いる</p><p>そうだね交代で休憩させてたのが、２チームいるよカップスとカーナビーズそれから、８階の制圧が終わったから、ジム・ボタンとエマのコンビ、タケシ・ハンター、タケシマ・タケヒデと中年探偵団も動かせるよチームフレンズのポールとミッシェルもいるね</p><p>ネコさんは、全員の配置状況を見て即答する</p><p>タケシ・ハンターはいいあいつは、接近戦しかできないからなカップスは、メンバーの脱落者はいないのか</p><p>コーちゃんとデイブは健在マーちゃんとマモルは、途中で逃げたみたい</p><p>ミッキーとケネスは</p><p>休憩所に居るから、呼べば来ると思うわ</p><p>じゃあ、呼んでくれあいつら、腕は良いんだがすぐにやる気をなくすのが困るマモルの代わりには、カーナビーズからモッチンを入れてくれ</p><p>８階のやつらは７－１４のルートで上がらせろ１０階のＤ－７ゾーンに集合だ</p><p>そこからだと、ヴァイオラの本隊の居るルートには入れないわよ</p><p>谷沢のオッサンに連絡して、Ｄ－７の防火壁だけ開けさせればいいんじゃねぇか</p><p>なるほどそれなら、近道になるわね</p><p>迷路状の館内マップを検討しながら、２人はそんな会話をしている</p><p>下手に防火壁を上げれば４人の潜入者が、ヴァイオラたちと合流してしまうかもしれませんが</p><p>関さんが、苦言を呈す</p><p>確かに、この厳しい状況ならミス・コーデリアたちがヴァイオラたちの救援に向かう可能性は高いと思う</p><p>おいおい、オレたちが１０人以上集結するんだぞその潜入チームが相当な腕前だとしても、簡単にはやられねぇぞそれに、Ｄ－７の防火壁は、オレたちが潜り抜ける時だけ、一瞬開けて貰えば充分だオレたちが通ったら、また閉めさせるさ谷沢のオッサンの居る本部なら、そういうコントロールは自由自在なんだぜ</p><p>工藤父は、そう言う</p><p>とにかく、オレは現場へ向かうからな谷沢のオッサンへの連絡は、ネコ、任したぞ</p><p>ええ、谷沢さんトイレから戻ってきているかしら</p><p>さっき本部に連絡した時谷沢チーフは、席を外していた</p><p>あたしたちも、行きましょうか</p><p>マルゴさんが、工藤父に申し出る</p><p>シザーリオ・ヴァイオラとは、因縁がありますできるなら、この手で倒したい</p><p>そうね、わたくしたちも参りましょうか戦力は少しでも、多い方がいいはずです</p><p>関さんも、マルゴさんに加勢してくれる</p><p>おいおい、冗談言っちゃいけねぇぜ外人の姉ちゃんや、関くん、藤宮くんの腕なら喜んで借りたいがそこのお嬢ちゃんたちや、この兄ちゃんも付いてくるんだろ</p><p>工藤父は、オレや寧さん、雪乃を見る</p><p>この方たちでしたら、わたくしが護ります</p><p>戦場を舐めるんじゃねぇ相手は、本物の殺し屋集団だぞ闘う力の無い人間を連れて行けるわけがねぇだろ</p><p>工藤父は、関さん、マルゴさんに</p><p>いずれにせよやつらの撃退は、オレたちが受けた仕事だ香月セキュリティ・サービスではない、フリーの警護人たちにもメンツがあるあんたらの手を借りたら、オレの看板に傷が付いちまうよ申し訳無いが、今回は遠慮してくれ</p><p>マルゴさんはフリーの人間では無い</p><p>黒い森という犯罪組織の看板を背負っている</p><p>関さんと麗華は、香月セキュリティ・サービスの所属だ</p><p>この土壇場で、彼女たちの手を借りるのは工藤父が集めてきたフリーの警護人たちの名誉を汚すというのは、よく判る</p><p>フリーのやつらだけではダメだったという評価が下る可能性があるからだ</p><p>こちらこそ、済みません勝手なことを言って</p><p>マルゴさんが、工藤父に謝罪する</p><p>いいってことよオレは知らねぇがあんたたちも、色々とあるんだろ自分たちの手で決着を付けたいって気持ちも判るしかし今の状況がオレたちに有利に見えている様でも、実際に現地へ行ってみたら些細なことで逆転しちまうのかもしれねぇのが、実戦の怖さだ悪りィが、今は部外者は連れて行かれねぇ判ってくれ</p><p>シザーリオ・ヴァイオラの本隊が壊滅する様子は、この部屋から観ていてくれそれが一番無難だろう</p><p>うんここなら、工藤父たちとヴァイオラの戦闘も観ることができるはずだ</p><p>もっとも最悪の事態が起きて、オレたちの方がやられちまった場合は</p><p>工藤父が、ニヤッと微笑む</p><p>その時は、谷沢のオッサンから正式にトップ・エリートの出動指令が出るだろうそうなったら、関くん、藤宮くん頼むぜ</p><p>まずは、工藤父とフリーの警護人が決戦に向かう</p><p>わざわざフリーの人間を呼んだ以上、最後のシメまでは任せるしかない</p><p>この期に及んで、香月セキュリティ・サービスの人間が出動したらフリーの人間のメンツを潰す</p><p>そんなことをしたらこれから先、フリーの警護人は香月セキュリティ・サービスからの仕事依頼を拒絶するようになるだろう</p><p>実力のあるフリーの人間を企業が雇うということは、なかなか大変なようだ</p><p>そして運悪く、本当にフリーの警護人たちだけでは手に負えない様な事態に陥った場合だけ</p><p>香月セキュリティ・サービスのトップ・エリートが、救援に向かう</p><p>オレたち黒い森が、決戦地に向かうことは絶対に無い</p><p>香月セキュリティ・サービスという表の世界の企業が、黒い森という裏社会の組織に貸しを作るわけにはいかないからだ</p><p>ほんじゃあ、行ってくらぁ</p><p>父上ご武運を</p><p>美智が、父に言う</p><p>お前もなパパの格好いいところを、ここから観ていてくれ</p><p>そして工藤父は、部屋を飛び出して行く</p><p>行くぜ行くぜ行くぜェェッドドンガドーンッ勇気プリプリまっぷりま</p><p>謎の奇声を発しながら</p><p>本当に、あんたの父ちゃんは愉快な男だねえ</p><p>ネコさんが、美智に言う</p><p>父は、わたくしの誇りです</p><p>できれば、寧の眼の前でヴァイオラを叩き潰したかったんだけどね</p><p>マルゴさんが、残念そうに寧さんに言う</p><p>寧のトラウマを取り除くには、それが一番だと思うから</p><p>寧さんはシザーリオ・ヴァイオラによって、両親を殺され</p><p>弟のケイさんも、寧さんの眼の前で死んでしまった</p><p>数年にわたる監禁生活も含めて</p><p>ヴァイオラは、根源的な恐怖として寧さんの心の中に、巣を作っている</p><p>でも、仕方無いここから観ているだけにしよう</p><p>マルゴさんが、寧さんに手を差し出す</p><p>寧さんは、その手をそっと握る</p><p>そうだよ闘いの現場なんて、あたしたちみたいな稼業の人間だけで充分さあんたたちまで、無理して危険に飛び込むことは無いんだから</p><p>ネコさんは、そう言ってくれた</p><p>さてと谷沢さんに連絡しないと</p><p>ネコさんは、館内通話の受話器を取る</p><p>もしもし、トニーくん谷沢さん戻って来た</p><p>オレたちは、ジッと聞き耳を立てる</p><p>本部で別れて以来オレたちは、谷沢チーフと話していない</p><p>谷沢チーフの本心を知るためにネコさんとの会話が聞きたい</p><p>谷沢チーフが、ミス・コーデリアと繋がっていることは判っている</p><p>えっまだ戻って来てないの</p><p>谷沢チーフは、本部から姿を消したままか</p><p>うんとねぇ、そうよそっちでもモニターで監視していると思うけれど、決戦隊を組織するから１０階のＤ－７に集結させているから、あそこの防火壁を一瞬だけ開けて欲しいのよええ、うちの大将もそっちへ行ったわ</p><p>ネコさんが話している間マルゴさんは、各階の監視のカメラの映像をジッと見ている</p><p>関さんは、コンピューターのモニター画面を</p><p>どの階のどこに、どれだけの部隊が展開しているのか、確認しているらしい</p><p>何よ、谷沢さんの許可が無いと無理だったら、早く谷沢さんを見つけてきてよこっちも急いでいるんだからノーマちゃんだって、そこにいるんでしょ</p><p>関さんが、何かにハッと気付く</p><p>ええ、あたしも気付いたところです</p><p>２人が、顔を見合わせる</p><p>ピピピピピピピ</p><p>部屋の中に、警告音のアラームが響く</p><p>いや、この部屋だけではない</p><p>ホテル全館に警告音が鳴り響く</p><p>ジジジジジ</p><p>見ると部屋の外の廊下の天井から、防火壁のシャッターが降りて来るッ</p><p>１つだけじゃない</p><p>廊下の向こうも、反対の角も</p><p>このフロアに敷設されている防火壁が、一斉に下りて来ている</p><p>美智が叫ぶとシスター・イーディが子犬の様に走り寄って来る</p><p>ネコさんに気付かれないように、部屋の入り口のドアの裏にササッと隠れる</p><p>完全に気配を消している</p><p>さすが、暗殺者だ</p><p>ジジジジジ、ガッチン</p><p>防火壁が、完全に下りた</p><p>オレたち、この場所に閉じ込められたのか</p><p>この階だけじゃないみたいだね</p><p>マルゴさんが、監視モニターをチェックする</p><p>各階の監視カメラがそれぞれのフロアの異常を映し出す</p><p>どの階でも、次々と防火シャッターが降りている</p><p>今までは特定の防火壁だけを閉じて、館内を迷路化していた</p><p>それが今は、全ての防火壁が、無差別に閉じていく</p><p>ジジジジジ、ガッチン</p><p>ジジジジジ、ガッシャン</p><p>ちょっとトニーくん、何をやっているのよっえっ本部では、何も操作していない</p><p>谷沢チーフが、どこかから遠隔操作している</p><p>ブルルルルルッ</p><p>別の館内電話が鳴る</p><p>はい、どうしました</p><p>トニーさんと電話しているネコさんの代わりに、麗華が受話器を取る</p><p>どうなってんだ、こりゃ防火壁の間に閉じ込められちまったぞ</p><p>工藤父の怒声は、オレたちにまで聞こえるほど響いていた</p><p>やられたね</p><p>館内にいる全ての人間敵の部隊も、フリーの警護人の各チームも、全部個別に閉じ込められてるこれじゃあ、完全に身動きが取れないね</p><p>マルゴさんが、監視カメラを次々と切り替えていくが</p><p>どの画面も、壁と壁の間に閉じ込められて困惑している人たちばかりだ</p><p>黒い戦闘服のヴァイオラの各部隊も</p><p>色取り取りの派手なコスチュームのフリー警護人たちも</p><p>いえ１部隊だけ、閉じ込められずに行動していますね</p><p>関さんがコンピュータのディスプレイを見て、そう言う</p><p>どっちの部隊です</p><p>黒か派手派手か</p><p>シザーリオ・ヴァイオラの本隊それも、上へ向かって侵攻している部隊です</p><p>マルゴさんが、サッとカメラを切り替える</p><p>黒い戦闘服の一団が、廊下を歩いている</p><p>この部隊の進行方向だけは、防火壁が閉じられていない</p><p>ってことは工藤さんの予想は、間違っていたってことだね</p><p>マルゴさんが唸る</p><p>ヴァイオラ本人や、ロレンザッチョ・バンディーニら幹部が居るのは下へ向かう部隊ではなく、上に向かう部隊の方だったってことですか</p><p>そういうことさこれかなり、まずいね本当にヤバイよ</p><p>この状況で、ロレンザッチョ・バンディーニが撤退ではなくさらに侵攻を命じたってことはさあらかじめ、何らかの密約があったってことだよね</p><p>ロシア人の各部隊が、次々に殲滅され</p><p>アメリカから連れて来た自分の子飼いの戦闘員も、残り少ない</p><p>工藤父は、上に向かう部隊が囮でヴァイオラたちは、撤退を念頭に下に向かう隊の中に居ると持っていた</p><p>下に向かっていた部隊は、どうなりました</p><p>マルゴさんは、パチパチと切り替えスイッチを弾く</p><p>カメラの映像が、モニターに映る</p><p>うん、やっぱり閉じ込められているね</p><p>これで確定だ</p><p>上に向かって移動している部隊は、ヴァイオラの本隊だ</p><p>谷沢チーフの裏切りも決定的になった</p><p>とにかくっ谷沢さんを捕まえて、状況確認してっこのままじゃ、どうにもならないよっ</p><p>ネコさんが、トニーさんに怒鳴る</p><p>えっ、あんたたちも本部に閉じ込められているのドアが外からロックされている</p><p>本部という名前に騙された</p><p>きっとホテルのどこかに、さらに館内のシステムを自由に操作できる部屋があるんだ</p><p>谷沢チーフは、そこに居る</p><p>驚いているみたいだなお前たち</p><p>天井のスピーカーから、谷沢チーフの声がする</p><p>ああ、この部屋の様子も真の制御室から、観えるんだ</p><p>そりゃあ驚きますよどういうおつもりなんです谷沢さん</p><p>マルゴさんが、大きな声で言った</p><p>黒い森の諸君君たちは、これから１９階へ向かい給え</p><p>１９階</p><p>そこで、シザーリオ・ヴァイオラが君たちと対面することになるだろう</p><p>最初からそういう計画だったのか</p><p>関くん、藤宮くん皆さんを連行して来るんだ</p><p>上司の命令に、関さんは</p><p>チーフである私の指示に従えないというのかね</p><p>今の谷沢チーフが、香月セキュリティ・サービスの正当な業務として、わたくしに命令なさっておられるのか、判断できません</p><p>関さんは、はっきりと言った</p><p>また、今のご命令の内容は未成年を含む一般人を危険な場所に連れて行くということですわ真っ当な会社組織の業務命令とは思えません</p><p>黒森の家の人間が、一般人とは言えないだろう裏世界の住人だ</p><p>いいえ、ここに居るのは普通の子供たちですわたくしは、そのことを知っています</p><p>そもそも、わたくしは閣下の直衛です谷沢チーフの部下ではございません</p><p>では、私の部下に命じよう藤宮くん、彼らを連れて来なさい</p><p>わ、わたくしは谷沢チーフの部下ですが、閣下より直々に彼らを護るように命じられております</p><p>凛とした態度で、麗華はそう返答した</p><p>そうかでは、黒森家の諸君には、自ら出向いて貰うことにしよう</p><p>１９階には黒森御名穂も居るぞ</p><p>ジッちゃんと一緒に姿を消したミナホ姉さんが何故</p><p>ミナホは、あなたに捕まっているってこと無事なんだろうね</p><p>マルゴさんの表情が強ばる</p><p>彼女の安否は、自分たちの眼で確かめるといい</p><p>谷沢チーフは、どうしてもオレたちを１９階に招待したいらしい</p><p>行くしかないみたいですね</p><p>うん、行こうマルちゃん</p><p>寧さんも、腹を括る</p><p>仕方無いですね</p><p>関さんが、自分のピストルを確認する</p><p>麗華も、ギュッと撲殺ステッキを握りしめる</p><p>美智は、スカートの下のムチに手を当てる</p><p>覚悟して貰えたようだねでは、その場所から１９階へ向かうルートを開こう</p><p>ウィィィィィィインッ</p><p>今閉ざされたばかりの防火壁の片側だけが、開かれていく</p><p>床から１メートル半ぐらいの高さまで</p><p>頭を下げれば、潜り抜けられる高さで防火壁は、固定された</p><p>ちっくしょふざけてるわよっあたしも行くわあなたたちだけじゃ危ないわ</p><p>ネコさんは、そう言ってくれるが</p><p>ネコさんは、ここに残って下さい閉じ込められているフリーの人たちに連絡しないといけないでしょそれに、もし防火壁が開いたら、ネコさんが指示しないといけないですよね</p><p>監視カメラ網と館内通話の回線は、この部屋にしか無い</p><p>ネコさんには、この部屋に居て貰うしかない</p><p>そうだねお呼びが掛かった以上ここから先は、あたしたちでやりますネコさんは、フリーの皆さんのサポートをね</p><p>雪乃、お前もここに残れ</p><p>金曜です</p><p>ああ、もう時間が無い</p><p>働いて来ます</p><p>328．邂逅　（オーパ）</p><p>雪乃が、絶句する</p><p>そうだね戦闘要員以外は、行くべきじゃないだろうね</p><p>ネコさんが、言った</p><p>あたしはあんたらが、売春組織だってことは知っているからお嬢ちゃんが、そんな格好をしていることも、今までずっと無視してあげていたけれど</p><p>雪乃は、全裸にオレのＹシャツ1枚だけを着ている</p><p>どう考えても、何かあったとしか思えない格好だ</p><p>お嬢ちゃんが黒森家とどういう関係で、ここに来る前に何をさせられていたのかは興味が無いし、理由は聞かないよただここから下へ行くのに、そんな格好をしていたらどんな目に遭うか想像してご覧</p><p>敵はまだ、１０人以上残っている</p><p>そうだ、雪乃だから、お前はここに残っていろ</p><p>オレがそう言うと、ネコさんは</p><p>あんたもだよ、少年</p><p>あんたも、何で上半身裸で裸足なのか判らないけれどさその鍛えられていない肉体を晒して、戦場に行くなんて馬鹿げている敵には、ホモもいるって判っているのかい</p><p>男のシザーリオ・ヴァイオラはホモ野郎なんだっけ</p><p>大丈夫だよっヴァイオラは、可愛らしい男の子にしか興味が無いからヨッちゃんのことは、タイプじゃないと思う</p><p>寧さんは、そう言ってくれるけれど</p><p>そう言っているお嬢さんあんただって、ここに残った方がいい戦闘要員じゃないだろ、あんた</p><p>ネコさんの追求は、厳しい</p><p>黒森家のマルゴちゃんだっけここから先があんたたちの仕事だって言うのなら子供たちは外して、プロだけで行きなさい美智ちゃんだって、腕があるって言ったってまだ中学生だよ罠だと判っている場所へ連れて行くべきじゃない</p><p>雪乃、オレ、寧さん美智</p><p>あたしはこう見えても、一児の母だからね大人の事情に子供を巻き込むのは許せないんだいやマルゴちゃんだって、あたしの眼から見れば、まだ子供だけれどあんたは、もうプロの警護役なんだろ</p><p>はいあたしはプロです</p><p>マルゴさんは、答えた</p><p>だったら護るべき対象である若年者の非戦闘要員を、戦地に連れて行ってはいけないよ子供たちは、あたしが預かってあげる絶対に、谷沢さんには渡さないからあたしの命に懸けて、護ってあげるから</p><p>あたしは行かなきゃいけないんですっ</p><p>シザーリオ・ヴァイオラの目的はあたしなんですから</p><p>マルゴさんが、すぐに寧さんの言葉にフォローする</p><p>いや、寧だけじゃないよ３年前にロサンゼルスで、シザーリオ・ヴァイオラの邪魔をした人間ヴァイオラの妹、ロザリンド・オーランドーの死亡に関わった人間は全員ターゲットにされているだろうさ</p><p>でもあたしが、その中心だっていうことに変わりないでしょ</p><p>寧さんは小さく息を吐く</p><p>あたしが行かなきゃヴァイオラもミス・コーデリアも、納得してくれないよきっと</p><p>寧さんが行くならオレも行きます</p><p>足手まといになったら、見殺しにしてくれていいですからオレ、寧さんの盾になります</p><p>ご主人様がいらっしゃのなら、わたくしもお供します</p><p>美智も即答してくれる</p><p>もし、ご主人様に何かあればわたくしも、同じ時間、同じ場所で死にます自死するくらいでは、みすず様にはお許しいただけないでしょうがそれでも、ここで闘わないという選択肢を選ぶことはできません</p><p>そして、ネコさんを見て</p><p>ご心配していただいたのは、大変嬉しいのですがわたくしたちは、チームですチームとして、敵と相対致します</p><p>美智は、マルゴさん、関さん、麗華に頭を下げる</p><p>マルゴお姉様、関様、麗華お姉様どうぞ、よろしくお願い致します</p><p>関さんは、フッと微笑み</p><p>そうねわたくしたちは、もうチームなのよねわたくしも、吹っ切るわ</p><p>何を吹っ切る</p><p>相手が誰であろうと舐められたままでは、プロの警護人の仕事はできないものね</p><p>はいわたくしも、プロとしての意地がありますこのままで済ませるわけには参りません</p><p>麗華も、言った</p><p>谷沢チーフ女を小馬鹿にしたこと、後悔させてやるわ</p><p>２人とも香月セキュリティ・サービスをクビになっても、谷沢チーフと敵対すると決めてくれた</p><p>判ったもう、何も言わないよ</p><p>ネコさんが、オレたちに言う</p><p>悔いの無いように精一杯やんなこれで、もし生き残ったらフリーの警護人の仕事なら、あたしが幾らでも世話してあげるからね</p><p>関さんが代表して、ネコさんに答えた</p><p>じゃあ、雪乃だけネコさん、お願いします</p><p>待ってちょっと、待ちなさいよっ</p><p>あたしもあんたたちと行くわ</p><p>ゆ雪乃</p><p>あたしだってチームの一員でしょあたしの眼が必要だって、あんた言ったじゃない</p><p>確かに地下から、このメンバーで上がって来る時にはそう言ったけれど</p><p>雪乃さん残念だけれど今はもう、そういう段階じゃ無いから</p><p>これから行く場所はもう、敵しかいないんだよ誰が怪しいかとか、そういうことを判別する眼は、もう必要無いんだ</p><p>でも、あたしは付いて行きたいのよっここに居るよりは、あんたたちと一緒の方が良いって思うのっ絶対に付いて行くわ死んでも付いて行くからね</p><p>そんなにヨッちゃんと離れるのが心配</p><p>寧さんが、雪乃に尋ねる</p><p>そ、そういうことじゃないわよっあんたたちと一緒の方が、安全だって思うだけよ</p><p>雪乃は否定する</p><p>この先はあたしたちは、自分たちのことで手一杯だからね雪乃さんを護るところまでは、できないと思うよ</p><p>何でもいいわよっとにかく、あたしも連れて行きなさいってのっ</p><p>論理的な思考でなく、その瞬間の感情がスパークするのが白坂雪乃という人間だ</p><p>ネコさんやっぱり、この子も連れて行きます</p><p>雪乃の様子を見て、マルゴさんは言った</p><p>どういうことなの</p><p>この子彼に対しての依存が強いんですこのまま、ここに残して行く方がパニック症状を引き起こすと思います今、彼と離す方が危険です</p><p>あたしこんな男に依存なんかしていないわよっ</p><p>さらに大きな声で、雪乃は喚く</p><p>そうは言うけれど雪乃さん今、この場に居る人間で雪乃さんが信頼している人間は、彼だけでしょ</p><p>マルゴさんの言葉に雪乃は、オレを見る</p><p>いやこの場に限ったことじゃないな雪乃さんの一族は、雪乃さんを見捨てた殺害要請さえ出している学校にはもう、居場所は無い全校生徒の前で、あんな放送をしてしまったんだからねその上実の妹にすら、邪険に扱われている今、雪乃さんのことを、まともに相手してくれるのは、世界中探しても彼しかいないってこと判っている</p><p>あたしにはまだ、パパがいるもの</p><p>雪乃にとっては白坂創介という男は、絶対的な存在らしい</p><p>ふうん君のパパが一度でも君を助けてくれたっていうより、白坂創介こそが全ての元凶だっていうこともう、君の頭でも把握できているよね</p><p>マルゴさんは、雪乃の心を抉る</p><p>もういいよ雪乃さん、頭で判っていないだけで心では彼のことを必要としているからだから、ここで彼と別れることに、とても大きな恐怖感を感じているんだよね</p><p>こ、心で必要となんかしていないわっ身体よ身体っあたしの身体が、この男は良いって感じているのよただ、それだけよっ</p><p>雪乃はマルゴさんの言う、オレへの依存心を必死で否定する</p><p>とにかく付いて来たいのなら、どうぞただし、足手まといにならないように、彼の側から離れないでね</p><p>美智ちゃん彼と雪乃さんと寧３人の直援警護、頼むよ</p><p>お任せ下さい、マルゴお姉様これまで通りのチーム体勢でございますから</p><p>ああ、今まで通りのチームで行こう</p><p>ネコさん、後をお願いします</p><p>部屋から出て、廊下に出たところで関さんが、ネコさんにそう挨拶した</p><p>気にしないでごめんね、何もサポートしてあげられなくて</p><p>いいえお気遣い感謝しています</p><p>オレたちは再び隊列を組んで、出発する</p><p>最初の角を曲がったところでオレは、マルゴさんに尋ねた</p><p>お気遣いって、何のことです</p><p>ああ、それはね</p><p>マルゴさんは隠しマイクに聞こえないように、オレに近付いてそっと耳に囁く</p><p>ネコさんシスター・イーディの存在に気付いていたんだ</p><p>ダメだよ後ろは、振り向かないで大丈夫、彼女はちゃんと付いて来ているから</p><p>ああオレが不用意に後ろを見たら、監視カメラで観ている人間に疑念を抱かれる</p><p>いや、シスター・イーディは完全に気配を消していたから最初はネコさんも気付いていなかったんだよでも、防火壁が緊急閉鎖した時に、美智ちゃんが彼女を呼んだでしょあれでバレたでもネコさんは、最後まで気が付かないフリをしてくれたんだ今だって、部屋の外まで見送りに出ては来なかったでしょ</p><p>確かに部屋の中に居たまま、外に出ようとはしなかった</p><p>こういう状況となった以上シスター・イーディの存在は、あたしたちの大事な切り札だからね</p><p>ミス・コーデリアも、谷沢チーフも</p><p>シスター・イーディがこの短時間で、オレたちの仲間になったことは知らない</p><p>しかし、あの子ずっと１人で大丈夫ですかね</p><p>ネコさんとも長話してしまったし</p><p>一人きりでしかも、オレたちは彼女の判らない日本語で話しているし</p><p>集中力が切れたりはしていないだろうか</p><p>問題無いと思うよ彼女は暗殺者としての教育を受けているからターゲットを尾行したまま、何時間も相手の隙を狙い続ける訓練とかしてきているだろうし</p><p>シスター・イーディみたいな、１人で行動するタイプの暗殺者は、チャンスが来るまではひたすらターゲットに集中したまま待ち続けないといけないのか</p><p>シスター・イーディと別れて、まだ１時間も経っていないだろあの子からしたら、まだ全然集中が切れるような時間じゃないよ</p><p>マルゴさんは、ニコッと笑う</p><p>そんな人と一緒に歩かないでこっちに来なさいよっ</p><p>雪乃が、オレを呼ぶ</p><p>ほら行ってあげて</p><p>マルゴさんが、オレの背中をポンと押す</p><p>オレは、雪乃の方に寄る</p><p>雪乃は、オレにぴっちりと身体を寄せてきた</p><p>どうしたんだよ怖いのか、雪乃震えているぞ</p><p>こ、怖いんじゃないわよっさ、寒いだけよっシャツ１枚だから、肌寒いのっ</p><p>そう言って、オレに密着する雪乃</p><p>シャツの下の胸がオレに当たる</p><p>あっ、いいなああたしも寒いのっヨッちゃあーんっ</p><p>寧さんも、オレにしがみついてくる</p><p>オレは両脇に２人の少女を抱える</p><p>寧さんも震えていた</p><p>この２人は自分の本当の気持ちを晒すのが苦手だ</p><p>ホテル内の温度調整は、保たれている</p><p>上半身裸のオレだって、特に寒さは感じない</p><p>ほらほら、寒くない寒くないですよ</p><p>オレは一生懸命、２人の背中を擦る</p><p>今のオレにできることは、これぐらいしか無い</p><p>うわぁ、温かいヨッちゃん、ありがとうっ</p><p>寧さんは、オレのほっぺたにキスをする</p><p>雪乃は、それを見て不機嫌にフンッと鼻を鳴らした</p><p>シザーリオ・ヴァイオラの幹部１人ぐらいは倒さないと、あなたのメンツが立たないわよ</p><p>二番目を歩く関さんが、先頭を行く麗華に言った</p><p>それは倒しますでも、もし谷沢チーフと敵対することになったら、関さんはどうしますか</p><p>麗華は暗い顔をしていた</p><p>高校剣道界のホープだった麗華を、香月セキュリティ・サービスにスカウトしたのは谷沢チーフだ</p><p>谷沢チーフに裏切られたことには色々と複雑な思いがあるのだろう</p><p>わたくしは、警護人です護るべき対象に降り掛かる火の粉は全て払うわそういうシンプルな考えで行くことにしたから</p><p>関さんは強いですね</p><p>わたくしは、香月セキュリティ・サービスの社員である前に、１人の警護人だからただ、それだけよ藤宮さんの方こそもっと簡単に割り切れるでしょ</p><p>わたくしが</p><p>関さんが、麗華に微笑む</p><p>あなたはもう、この子たちの家族なんでしょお姉さんが、妹や弟たちを護るのは当たり前のことじゃない</p><p>藤宮さんは警護人よりも、お姉さんの方が似合っていると思うわ</p><p>わたくしにはプロの警護人としての才能は無いと思われますか</p><p>そんなことは言っていないわあなたの打撃力と突進力は抜群よチームの先鋒としては、最高だと思う有能な指揮官の下ならねあなた、状況の分析と作戦立案は苦手でしょ</p><p>すみませんわたくし、頭が悪いですから</p><p>自分を卑下するのは止めなさい人にはただ向き、不向きがあるっていうことだけよまあ、自分の戦闘能力だけに慢心していた頃の藤宮さんよりは良いけれど</p><p>色々とご迷惑をお掛けしました</p><p>いいのよわたくしも、あなたに無闇に突っかかっていたからお互い様よごめんなさいねあたしも謝るわ</p><p>そんな全部、わたくしが悪いんです</p><p>そんなことないわあたしも悪かったから</p><p>これがあのトンデモなく仲が悪かった２人だろうか</p><p>人は変わるどんどん変わる</p><p>人と人の関係も</p><p>話を戻すけれど一流の警護人と、みんなのお姉さんは両立できるわよあたしが言いたかったのは今までの、男装して一匹狼っぽく孤高の警護人を演じていた藤宮さんは、あんまり良くなかったってことよ今みたいな可愛いお姉さんのキャラクターで警護人をやった方があなたに合っていると思うけれどな</p><p>そうでしょうかわたくしには、まだ良く判りません</p><p>麗華は恥ずかしそうに答えた</p><p>でも今、関さんがおっしゃった姉として弟妹を護るという気持ちは、大事に致しますそうですねこの闘い、負けられないんですものね</p><p>そうよ勝つわよ絶対に</p><p>今のこの人は、香月セキュリティ・サービスのトップ・エリート警護人じゃない</p><p>心の底からオレたちの仲間になってくれている</p><p>わたくしは頭が弱いですから関さんとマルゴ妹《イモウト》の指示に全て従いますこの身を一本の剣に変えてどんな危険な場所にも突撃しますから</p><p>麗華もそう言ってくれた</p><p>やがて１９階に降りる階段に到着する</p><p>足下に気を付けてね</p><p>マルゴさんが、身体の震えている寧さんと雪乃を気遣って、後ろから声を掛けてくれた</p><p>大丈夫よっヨッちゃんにしがみついているからっ</p><p>寧さんとオレと雪乃押しくらまんじゅう状態で、階段を下りて行く</p><p>高層ホテルだけあって各フロアの間の階段は長い</p><p>それでも１９階に到着する</p><p>それより下に向かう階段は、防火壁で閉ざされていた</p><p>開けます</p><p>１９階へ続く鉄の扉を先頭の麗華が開く</p><p>１９階の様子は他のフロアとは、全く異なっていた</p><p>何これわたくしが覚えてきたフロア・マップと違う</p><p>関さんも、絶句する</p><p>１９階には何も無かった</p><p>コンクリートの分厚い柱と壁があるだけで</p><p>天井も配管剥き出し</p><p>数百メートル先の反対側の壁まで見通せる</p><p>４面の壁は、全て灰色のコンクリートで窓も無い</p><p>高級ホテルの中と言うよりまるで、地下の駐車場みたいだ</p><p>壁際の照明灯のある場所以外は薄暗い</p><p>よう遅かったな、お前たち</p><p>ビカッと、強い光がフロアを照らす</p><p>オレたちから、２０メートルぐら離れた辺りに大きな丸い白テーブルがある</p><p>そこに座っている２人</p><p>谷沢チーフとミス・コーデリア</p><p>谷沢チーフは、三つ揃いの黒いスーツ</p><p>ミス・コーデリアは、真っ白なパンツスーツに着替えていた</p><p>黒と白の男女</p><p>２人ともオレたちの敵だ</p><p>ミナホは、どこだい</p><p>マルゴさんが階段の鉄のドアの所から、谷沢チーフに叫んだ</p><p>スッとドアの下に落ちていた段ボールの切れ端を差し込んで</p><p>ドアを開いたままにしようとしている</p><p>そこで何をやっているんだ</p><p>決まっているだろうこういうロケーションの場所なら、あらかじめ逃げ場は確保しておかないとね</p><p>無駄なこったお前らが階段へ飛び込んだら、上の階へ到着する前に階段内の隔壁を下ろすだけだこの端末から、そういうこともできるんだぜ</p><p>谷沢チーフは、白テーブルの上の端末機を指して、そう言った</p><p>そうでも、あたしは生き延びる可能性のあるものは、どんなものでも見逃すなって教わってきているんだよ恭子さんにね</p><p>マルゴさんが、このドアを開けたままにする本当の理由は</p><p>シスター・イーディのためだ</p><p>もし、遠隔操作でドアをロックされたらシスター・イーディは、このフロアに飛び込んでこれない</p><p>うん、これでいい</p><p>マルゴさんは、ドアが固定できたことを確認すると</p><p>もう一度聞くよミナホは、どこにいるんだい</p><p>オレたちの隊列は、すでに臨戦態勢だ</p><p>麗華は、撲殺ステッキを構えて谷沢チーフたちに飛び掛かる準備をしている</p><p>関さんも、ピストルを抜いてサポートの準備をしている</p><p>美智はオレたちの前に、スッと立つ</p><p>赤いムチを持った手は、背中に隠して</p><p>麗華お姉さんまだ、ターゲットを絞らないでミス・コーデリアの部下がどこに隠れているか判らないから</p><p>マルゴさんの指示に麗華は谷沢チーフへの突撃ではなく、どの方向にも踏み出せる様に体勢を変える</p><p>よく躾けたもんだな藤宮くんにチームプレイを教え込むとは</p><p>谷沢チーフが、感嘆する</p><p>寧たちは、周囲を監視して気配を殺しているはずだから眼で探すしかないよ</p><p>そうだミス・コーデリアたちには、美智が気を察知することなく強襲されている</p><p>ここは眼で見て、白い女のヴァイオラたちを見つけ出すしかない</p><p>雪乃探してくれっ</p><p>ら、らじあっ</p><p>雪乃が、言葉を噛んだ本当は多分、ラジャーと言いたかったんだと思う</p><p>慌てなくていいから何か変だ、気持ちが悪いと思った場所を見つけたら教えて</p><p>あらそんなに簡単に見つかるかしらあたしの可愛い子猫ちゃんたちは、隠れん坊が大好きなのよ</p><p>白いテーブルに座ったまま、ミス・コーデリアが怪しく微笑む</p><p>麗華お姉さんは、探さなくて良いから寧たちに任せてっ</p><p>ミス・コーデリアの言葉に、麗華も思わず敵の探索に眼を走らせてしまったのだろう</p><p>麗華お姉さんはあたしの指示で、いつでも最大加速で動けるように集中していて他のことは考えないでっ</p><p>は、はいっ</p><p>麗華は、邪念を断ち切る</p><p>ミスター・ヤザワ、隠れん坊で思い出したんだけれど</p><p>ミス・コーデリアは、隣の席の谷沢チーフに言う</p><p>クロモリ・ミナホは、どうしたのあたしも早く彼女に会いたいわね</p><p>今、オレの部下が連れに行っているまもなく来るさ</p><p>あたしたちの契約には彼女の身柄も含まれていること、忘れてはいないわよね</p><p>判っている黒森御名穂、マルゴ・スタークウェザー、奈島寧の引き渡しが、君たちの条件だったな</p><p>そうよどうでもいい子たちがオマケで付いて来ているけれどクロモリ・ミナホの身柄の引き渡しが無いままなら、あたしの側の契約条項は履行しませんからね</p><p>そう言うなすぐに到着するオレを信じろ</p><p>谷沢チーフは、ミナホ姉さん、マルゴさん、寧さんの引き渡しをミス・コーデリアに約束している</p><p>それよりあんたの方こそ、ちょっと遅いんじゃねぇのか</p><p>もう来るわよ</p><p>オレたちの居る壁の右</p><p>１５メートルほど離れた壁面にあるドアが、突然開いた</p><p>ギィィィ</p><p>ドアに向かって、ミス・コーデリアが叫ぶ</p><p>ドアの向こうから、ゾロゾロと黒い戦闘服の男たちが入って来る</p><p>１、２、３、４</p><p>オレは、眼で数えていく</p><p>１１、１２１３．</p><p>１３人の黒戦闘服の男たち</p><p>シザーリオ・ヴァイオラの本隊だ</p><p>麗華お姉さん、関さん</p><p>マルゴさんが、突然現れた敵に合わせてチームの体勢を変える</p><p>寧たちは、あたしが指示したら階段の中に飛び込んでそうしたら、弾は防げるから</p><p>この柱と壁しか無いフロアでは銃に対して防御するための遮蔽物が無い</p><p>ヴァイオラの本隊も混乱している</p><p>おかしなフロアに出てしまったと、周りを見回している</p><p>いいのよ、ここであたしが呼んだんだからシザーリオ・ヴァイオラ</p><p>ミス・コーデリアは、笑った</p><p>どういうことなんだ、こりゃあっ</p><p>黒戦闘服の１人が、日本語で叫んだ</p><p>この濁声のオッサンがシザーリオ・ヴァイオラ</p><p>寧さんの仇</p><p>悪いんだが、君たちには武装解除して貰おうか</p><p>谷沢チーフが、そう言いながら端末のスイッチを押す</p><p>ビカッビカビカ</p><p>薄暗かったフロアが目映いばかりの光線で満たされる</p><p>ガッチャッ</p><p>フロアの壁のあちこちのドアから</p><p>次々と黒スーツ姿の男たちが入って来る</p><p>全員手に大きなマシンガンを抱えていた</p><p>その人数おおよそ、百人</p><p>あれは香月セキュリティ・サービスの情報部員です</p><p>山岡部長が仕切っていた制服組の警備部が、香月セキュリティ・サービスの表の顔なら情報部は裏を担当しています</p><p>関さんの言葉に、オレは</p><p>その情報部って、トップはやっぱり</p><p>はい谷沢チーフです</p><p>１００人の黒スーツの一団が、オレたちとヴァイオラの部隊にマシンガンを向ける</p><p>別のドアから、また黒スーツが２０人ほど現れる</p><p>何だ、こいつら</p><p>巨漢もいれば、小柄な人も、女性もいるけれど</p><p>全然、情報部のやつらとは気が違う</p><p>物々しい雰囲気を背負っている</p><p>こんなことって</p><p>麗華が、絶句する</p><p>もしかして関さんたちの同僚の皆さんかな</p><p>はい全員、トップ・エリートです</p><p>そんな他家の警護に付いているはずの人まで、全員来ているなんて</p><p>谷沢チーフ配下の最強警護人集団</p><p>それが、フル・メンバー全て揃っている</p><p>１００人のマシンガン隊に２０人のトップ・エリート</p><p>横には、シザーリオ・ヴァイオラの本隊の１３人</p><p>さらに、隠れている白い女のヴァイオラたち</p><p>正面にはミス・コーデリアと谷沢チーフ</p><p>オレたちに、逃げ場は無い</p><p>本当かどうかは知らないのですが昔、あるマンガ家の先生が、ジャンプの週間連載マンガで富士の裾野で１対１万人のケンカという場面を描いて</p><p>いよいよ闘いが始まるというところで、翌週に続くとして</p><p>そのまま逃亡したそうです</p><p>どうやって１万人に１人が勝つか、思い付かなかったそうで</p><p>というか、荒野に１万人が主人公を取り囲んでいる場面が最後のページだったのですが</p><p>そこに完と書いたらしいです</p><p>もうこの場面で終わり、続きは読者が想像して下さいと</p><p>その完を、勝手に編集者がホワイトで消したという</p><p>今、そんな気分です</p><p>さて、ここからどうしましょうか</p><p>２４時間以内に思い付いて書かなくてはなりません</p><p>329．ロレンザッチョ・バンディーニ</p><p>全員、今持っている武器を捨てるように言ってくれよ</p><p>谷沢チーフがミス・コーデリアに言う</p><p>ミス・コーデリアは、ジロッと谷沢チーフを見て</p><p>あら、一方的な武装解除に応じるような人たちではないわよ</p><p>香月セキュリティ・サービス情報部員の１００丁を越えるマシンガン</p><p>その１００の銃口を向けられてなお、シザーリオ・ヴァイオラたち１３人の黒戦闘員たちは、戦闘態勢を崩さない</p><p>全員、手にギュッとピストルを握りしめている</p><p>武装解除しようってんじゃねぇどうせ、こいつら、何かしら武器を隠し持っているんだろそれまで出せとは言わねぇよとりあえず今、手に持っている武器だけ捨てさせろ</p><p>このまんまじゃ、落ち着いて話しもできねぇや</p><p>ククッと微笑んでミス・コーデリアは、英語で黒服たちに告げる</p><p>しかし黒戦闘服の１３人は、動こうとしない</p><p>何だよこいつら、あんたの命令は聞かねぇらしいぜ</p><p>今度は、谷沢チーフがミス・コーデリアを笑う</p><p>そうみたいねまあ、この子たちはロレンザッチョ・バンディーニの子飼いだからねボスの命令が無い限りは、動かないと思うわ</p><p>シザーリオ・ヴァイオラでなく</p><p>ボスは、ロレンザッチョ・バンディーニ</p><p>やっぱり、そうなのかじゃあ、しょうがねぇな</p><p>谷沢チーフは、１３人の敵に向かって言う</p><p>どいつがロレンザッチョ・バンディーニなんだちょっと手を挙げてくれ話がしたいから</p><p>え何で日本語で、話し掛けているの</p><p>この部隊で日本語が判るのは、シザーリオ・ヴァイオラだけじゃなかったのか</p><p>あんたが日本語が喋れるってことは、判っているんだよちゃんと調べたからなあんたが３０年前に住んでいた沖縄の米軍宿舎まで特定したんだぜオレの情報部は、とても優秀だからな</p><p>ちょっと、待て</p><p>子供の頃、親がアメリカ軍人で沖縄で暮らしていたことがあるのはシザーリオ・ヴァイオラじゃないのか</p><p>ロレンザッチョ・バンディーニもなのか</p><p>とても面白い報告書だったぜ</p><p>ニヤニヤ笑いながら、谷沢チーフは話す</p><p>今から３０年前二人のアメリカ人の少年が、沖縄の基地の中の学校で知り合う一人は、海兵隊の士官の息子もう一人は、基地内の洗濯屋で働くヒッピー崩れの流れ者のアメリカ人の子供だった世界放浪しているうちに、沖縄に流れ着いてアメリカ人ということで、基地に寄生して生きていたロクデナシとその息子</p><p>シザーリオ・ヴァイオラも、ロレンザッチョ・バンディーニも</p><p>二人とも、少年時代を沖縄で過ごしていて面識があった</p><p>それから１５年が経って大人になった二人は、ロサンゼルスの裏町で再会する子供の頃とは、完全に逆転した立場で</p><p>谷沢チーフは、話し続けるが</p><p>１３人の黒服たちは、銃を持ったままジッとして動かない</p><p>かつてのロクデナシの息子は、今やロサンゼルスの裏社会の一員それも、顔役の一人に成り上がろうとしていたしかし</p><p>谷沢チーフの口元が歪む</p><p>一方、かつての士官の息子はハリウッド・スターになる夢に破れ、みみっちぃに犯罪に手を染めて日々をしのぐ、チンケな小悪党と成っていた</p><p>隠されていた物語《ストーリー》が見えてくる</p><p>ロレンザッチョ・バンディーニ面白い名前だよなロレンザッチョアルフレッド・ミュッセの戯曲にもなっているよなメディチ家のハムレットと呼ばれたロレンツィーノ・デ・メディチの愛称だフィレンツェの専制君主アレッサンドロ・デ・メディチの親友にして、その暗殺者いかにも、ヒッピー崩れの親父が息子に付けそうな名前じゃねぇか</p><p>軍人の息子だったのはヴァイオラの方で</p><p>バンディーニの方が、ヒッピー崩れの流れ者の息子なのか</p><p>暗黒街でのし上がるためには、進んで自分の手を汚さなきゃならないしかし、ある程度までのし上がった後は、汚い仕事は信用できる部下に任せるしかなくなる何歳になっても、現場に通い続けるやつは人殺しとしては名を高めるだろうがそんな人間は、裏社会の大物にはなれない</p><p>特に大きな仕事を依頼してくるセレブとの関係に響く</p><p>ロサンゼルスのセレブ連中は、人殺しや危ない仕事を喜んで請け負う人間を日常的に求めているが</p><p>ただの人殺しとは、決してお友達になってはくれねぇからな</p><p>さっきまで誰かを殴り殺していたかもしれない手赤い血の臭う手と握手したがる金持ちはいねぇってことだ</p><p>自分自身が殺し屋である限りは、セレブからは見下される</p><p>腕が良ければセレブの皆様からの仕事は途切れないだろうが</p><p>良い様に使われているうちは、小者でしかない</p><p>谷沢チーフは、楽しそうに話し続ける</p><p>しかしロレンザッチョ・バンディーニは、人殺しの現場が大好きな男だったしかも、他人を信用しない性格だ自分の部下も心の底からは信じていない仕事の進展は、常に自ら現場に立って確認したいと考える男だ</p><p>さて、どうする</p><p>現場は楽しいがこのままじゃ、小物のまま終わってしまう</p><p>セレブたちの気まぐれで、いつでも切り捨てられる可能性があるし</p><p>いつまでも見下されたままじゃいけねぇ対等の存在、いやそれ以上にならなきゃいけねぇ</p><p>では、どうするか</p><p>若き日のロレンザッチョ・バンディーニは、裏社会に自分の地位を確立させるために、１つのシステムを考え出した</p><p>それがシザーリオ・ヴァイオラだ</p><p>シザーリオ・ヴァイオラという架空の犯罪者を産み出し、自らの犯罪は全てヴァイオラの仕事ということにしたんだろあんたは</p><p>そしてシザーリオ・ヴァイオラの名前を使って、ありとあらゆる犯罪に手を染めロサンゼルスの裏社会に名を売った売りまくった</p><p>そして自らは、シザーリオ・ヴァイオラのマネージャーということにしたんだよな</p><p>シザーリオ・ヴァイオラに犯罪を依頼する時は、どうぞ私に連絡して下さいってことだ</p><p>なるほどマネージャーなら、犯罪者本人では無い</p><p>セレブの印象も、それほど悪くは無い</p><p>しかも、犯罪の依頼を受けるためセレブと直接、面談する立場だ</p><p>何度か仕事を受けていけば、親しくもなる</p><p>裏社会への繋ぎ役として、信頼を集めていくことになる</p><p>そうして、ロレンザッチョ・バンディーニは実在しないシザーリオ・ヴァイオラのマネージャーとして、ロサンゼルスに確固たる地位を築いた</p><p>そういうことなんだよな</p><p>黒服の男の１人が鋭く叫ぶ</p><p>そいつは違うぜっ</p><p>この声は通信機で聞いた</p><p>オレが、シザーリオ・ヴァイオラだっシザーリオ・ヴァイオラは、ここに居るぜっ</p><p>男は、ドンと自分の胸を叩く</p><p>ああ、そうだなお前は、何人も居るシザーリオ・ヴァイオラの１人だからな</p><p>ミス・コーデリアがはっきりと、そう言った</p><p>ロレンザッチョ・バンディーニは、子飼いの手下を何人も抱えているわけでは無かったからな仕事によってフリーの人間を雇わないといけないしかし、フリーの人間を呼んだ現場では、ロレンザッチョ・バンディーニの他に、ちゃんとシザーリオ・ヴァイオラが存在していないといけないそうでないとシザーリオ・ヴァイオラという人物が、本当は実在していないということがバレるからな</p><p>ミス・コーデリアの言葉に、男のヴァイオラは</p><p>違うオレがヴァイオラなんだっシザーリオ・ヴァイオラロサンゼルスの暗黒街の伝説っ最悪最凶の犯罪者組織のボスオレが、シザーリオ・ヴァイオラなんだっ</p><p>ヴァイオラは叫ぶ</p><p>ミス・コーデリアは笑う</p><p>それ、英語でもう一回言ってご覧よみんな失笑するだろうさここに残った最後の人間はみんな、あんたの正体を知っているバンディーニの古参の部下だからね</p><p>ロシア人のチンピラ連中を始め</p><p>ダダドムゥおじ様の倒した、１０名</p><p>バンバルビー３の倒した、７名の戦闘員たちを除いて</p><p>残った１３人はロレンザッチョ・バンディーニの周りを固める、コアなメンバーだ</p><p>つまりバンディーニの昔からの配下</p><p>シザーリオ・ヴァイオラシステムの全ての裏を知っている人間だけになってしまっている</p><p>ロレンザッチョ・バンディーニが、シザーリオ・ヴァイオラシステムを思い付いた時に、たまたまあんたと再会したそれで、バンディーニはあんたを使うことにしたんだあんたとなら他の部下には判らない言葉日本語で話すことができるしねそれで、あんたは最初のシザーリオ・ヴァイオラ役者になったんだ</p><p>ミス・コーデリアが言う</p><p>や、役者じゃねぇオレがヴァイオラなんだ</p><p>なおも、男のヴァイオラは反発するが</p><p>役立たずが、何言ってるんだいあんたは弱い人間の脅迫や、無抵抗な人間の殺害はできたけれどね大きな仕事、武装勢力の幹部なんかを殺すような時には、全然使い物にならなかったじゃないかだからロレンザッチョ・バンディー二は、あんたを安い仕事専用のヴァイオラにして、大仕事用のヴァイオラは別に用意しないといけなかったんだ</p><p>確かにこの男のヴァイオラの言動は、安っぽ過ぎる</p><p>シザーリオ・ヴァイオラの伝説には、そぐわない</p><p>とっととあんたをクビにして、別のヴァイオラだけにしようかっていう話もあったらしいじゃないかところがあんたの妹、初代のロザリンド・オーランドーがなかなか使える人材だったらしいね彼女の取りなしがあってそれで、あんたのクビは繋がったんだよね</p><p>クククと、ミス・コーデリアは嘲笑った</p><p>逆にシザーリオ・ヴァイオラは複数いる方が良いっていう話になったのさなんてったって、本当は架空の存在だからねえシザーリオ・ヴァイオラの実像が世間に知られるのは困るある人間が見たヴァイオラは、あんたの様な下品で粗野でお喋りな馬鹿男別の人間が目撃したヴァイオラは狡猾で無口な男そうやって、ばらばらなイメージを広めた方が、シザーリオ・ヴァイオラの伝説を豊かになる</p><p>それでヴァイオラは、何人も居たのか</p><p>男のヴァイオラは、ケッと唾を吐き</p><p>こっちは、やってられねぇぜ現場には、いつも変装して来いって言うししかも、絶対にオレの素顔が判らねぇようなメイクをして来いって言うんだぞ毎回毎回、違う変装だ</p><p>ヴァイオラは仕事ごとに、映画のキャラクターの変装をしていた</p><p>集合場所に現れたヴァイオラに、ロレンザッチョ・バンディーニが声を掛けることでヴァイオラは、犯罪組織のボス・シザーリオ・ヴァイオラと認知される</p><p>逆を言えば、バンディーニが認めない限り、男のヴァイオラはヴァイオラになれない</p><p>そして、現場での指示は、オレが出している芝居だけして実際は、バンディーニかジュリアーノが指揮を執るオレには、現場で下っ端のやつらと直接話すことすら許されなかったんだぞ</p><p>男のヴァイオラが叫ぶ</p><p>仕事の無い時はほとんど屋敷の中に閉じ込められてオレは２４時間監視されていたようなもんじゃねぇか</p><p>男のヴァイオラが閉じ込められていた</p><p>いやこの性格なら</p><p>自由に外に出したら、何を口走るか判らない</p><p>だからか</p><p>そのあんたの長年の不満がシザーリオ・ヴァイオラシステムに綻びを作ったわけだな</p><p>ロレンザッチョ・バンディーニは、あんたのガス抜きのためにあんたの稚児遊びを許した子供の頃、日本で過ごしたあんたは日本人の美少年を犯すのが好きだったあんたは、日本企業の駐在員を中心に獲物を探したもちろん、監視は付いたままだったが</p><p>妹は、いつもオレを監視していたあいつは、バンディーニの忠実なイヌだったからな</p><p>それが死んだロザリンド・オーランドーの役割</p><p>そして、あんたは奈島景人《ナジマ・ケイト》、奈島寧子《ナジマ・ヤスコ》の姉弟を手に入れた</p><p>寧さんがブルッと震える</p><p>ああ最高だったぜ、ケイはヤスコを護るためならって、オレのためにどんなことでもやってくれた顔も綺麗だったし、肌触りが良かった味も最高さ何から何まで、オレが仕込んでやったんだからな</p><p>震える寧さんの身体をオレは、ギュッと抱き締める</p><p>しかしあんたが、あんまりにも奈島景人にのめり込んでいく様子に、ロザリンド・オーランドーは不安を覚えたあんた美少年に入れあげて、ついに仕事をすっぽかしたんだってな</p><p>谷沢チーフの問いに、男のヴァイオラは</p><p>別に構わねぇじゃないかどうせ、オレがいなくたって、バンディーニが自分で指示してやれる仕事だったオレなんて、必要無かったんだよそんなのにわざわざ出向くくらいなら、景のやつをイジメていたかったんだよッ</p><p>あんたは、そう思ったんだろうな重要な仕事じゃない上に、フリーの雇い人もいないシザーリオ・ヴァイオラ役が不在でも、問題の無い現場だと</p><p>谷沢チーフの言葉を、ミス・コーデリアが引き継ぐ</p><p>だが、あんたのそういう態度にロレンザッチョ・バンディーニは怒ったその様子を見た、ロザリンド・オーランドーは不安を覚えたんだろうねこのまま、あんたがナジマ・ケイトにハマったままなら、ロレンザッチョ・バンディーニに処分されるかもしれないってそうなったら、あんただけでなく妹の自分の立場も危ういって</p><p>ミス・コーデリアが、ニヤッと微笑む</p><p>そうさだから、あいつはオレに内緒でケイとヤスコを売り払おうとした</p><p>その時の買い手が白坂創介</p><p>そして、ミナホ姉さんと恭子さん、マルゴさんがケイさんと寧さんを助けた</p><p>そこからが最悪だったねその時、シザーリオ・ヴァイオラは、メキシコのティファナでの仕事を展開している最中だったあんたはロザリンドが、あんたの大事なペットを売り飛ばそうとしていることに気付くと、バンディーニの監視の眼を潜り抜けて、単身、ティファナからロサンゼルスに戻った</p><p>ロレンザッチョ・バンディーニは、小者のあんたがまさかそんなことをしでかすとは思っていなかったから、相当慌てたことだろう</p><p>普段、オレの監視役だったロザリンドが、その場に居なかったからな抜け出すチャンスがあったんだよ</p><p>バンディーニは、あんたがそこまで、ケイトっていう男の子に執着しているとは気付かなかったのさだから、致命的なミスを犯した</p><p>そして男のヴァイオラは、ロサンゼルスに戻り</p><p>街中で、恭子さんたちと闘う</p><p>どうしても、バンディーニ自身は、ティファナの現場かに離れられなかったメキシコでの仕事を果たさなければ、信用問題になるからねその間にあんたは、とんぼ返りしたロサンゼルスでシザーリオ・ヴァイオラの名前を使って、小悪党どもを山ほど掻き集めて大騒ぎをやった裏社会の人間が、みんな見ている前での馬鹿騒ぎさロザリンドが裏から止めようと画策したけれど逆に、彼女はクロモリの連中に殺されてしまった</p><p>ロザリンドを殺したのは、ケイさんだ</p><p>ケイさんも撃ち返されて、２人とも死んだ</p><p>あげくに奈島寧子には、逃亡されるロレンザッチョ・バンディーニが、何とかティファナから戻って来た時には、何もかももう手遅れさ長年積み上げてきたシザーリオ・ヴァイオラの伝説は、木っ端微塵に吹っ飛んでいた特に、ロザリンドの死亡は大きかったねあれから３年いまだにシザーリオ・ヴァイオラの評判は戻らない今では、２流以下の仕事依頼しか来ないんだってね</p><p>ミス・コーデリアは、アハハハと大きく笑う</p><p>そんなことに、なっていたのか</p><p>そうさ、だからわざわざ日本まで来たんじゃねぇか日本まで来て、借りを返すヤスコも、ヤスコを助けた連中もオレたちが殺すシザーリオ・ヴァイオラは、絶対に復讐を遂げるっていう姿を見せれば裏社会の信頼も回復するあんたたちだって、それを確認するために日本まで来たんだろう</p><p>ヴァイオラは、ミス・コーデリアに叫ぶ</p><p>確認するためって</p><p>ミス・コーデリアは、ヴァイオラの組織の人間じゃないのか</p><p>そうさあたしは、評議会から監査のために派遣されてきている</p><p>評議会</p><p>この３年間の減収で評議会の中には、シザーリオ・ヴァイオラに対する投資は取りやめようという意見も多いんだろうだから、オレたちは何としてもここで一発逆転しようとだななのに、お前はオレたちの邪魔ばかりしやがってオレたちに協力するって言うのが、評議会からの指令じゃねぇのかよっどうして、お前らは</p><p>そう言うヴァイオラの言葉を、ミス・コーデリアは堰き止める</p><p>全然違うわよ、バーカ</p><p>そして、パチンと指を鳴らした</p><p>するとガチャッと壁のドアが開き</p><p>白い女のヴァイオラとロザリンドが現れる</p><p>２人ともミス・コーデリアと同じ、白いスーツを着ている</p><p>紹介するわ新しいシザーリオ・ヴァイオラとロザリンド・オーランドーよ</p><p>白い丸テーブルに座ったミス・コーデリアの背後に２人の白髪の美女が立つ</p><p>男のヴァイオラにニコッと微笑む</p><p>ど、どういうことだよっ</p><p>評議会の決定を伝えるわ現状のシザーリオ・ヴァイオラシステムは、全て廃止するわだけど評議会は、あなたたちの作り出した架空の犯罪者を産み出して伝説を作るというアイデアは、いただくことにしたのよ</p><p>まさかオレたちを皆殺しにするつもりか</p><p>大丈夫よあんたは死んでも、シザーリオ・ヴァイオラは死なないから架空の存在なんですからねその名前と伝説だけ、貰ってあげるわよこの子たちは、あんたたちよりも優秀よ一応、世間には２代目シザーリオ・ヴァイオラっていう形で宣伝するけれど初代よりも人気者になると思うわ</p><p>シザーリオ・ヴァイオラのリニューアルをする気なのか</p><p>そういうことだからあんたたちは、この極東の地で安心して死になさいふはははは</p><p>白い２人の新しいヴァイオラたちも</p><p>ちくしょう、ハメやがったなぁぁちくしょうっちくしょうっちくしょうっ</p><p>喚く男のヴァイオラ</p><p>うるせぇナお前ハ、もう黙ってろヨ</p><p>黒い戦闘服の一団の中から低い男の声がした</p><p>このアメリカ人の集団の中で、日本語を話すもう一人の人物は</p><p>あら、やっとお喋りしてくれる気になったのロレンザッチョ・バンディーニ</p><p>オレが聞いてきた評議会の話トハ、全然違うじゃねェカミス</p><p>バンディーニの日本語は少し訛りがある</p><p>評議会との約束ハこいつを日本で処分するっていうことだけだゼ評議会は、シザーリオ・ヴァイオラシステムの運営者としてのオレの才能は、評価してくれているってハズだったンダ</p><p>こいつを処分するって</p><p>男のヴァイオラは、いずれにせよ殺される予定だったのか</p><p>ミスター・ロレンザッチョ・バンディーニあなた、今、お幾つでしたっけ</p><p>４３歳だ</p><p>メジャーリーグなら、そろそろ引退を考える年齢よね</p><p>なンだと</p><p>あなたには、この１５年大変稼がせていただいたと、評議会のサミュエル・スチーブンソンが言っていたわでも、次の１５年はあなたには無いのよ裏社会の中でシザーリオ・ヴァイオラシステムを運営して行くには、あなたは年を取りすぎているからね</p><p>そんなことハねぇ</p><p>３年前の失態はそこの男の暴走というより、きちんと管理ができなかったあなたに責任があると評議会は判断したのよ</p><p>オレもここで殺すって言うノカ</p><p>ミス・コーデリアは評議会という組織の命で、これまでのシザーリオ・ヴァイオラシステムに関わる人間を全員処分するために派遣されてきたのか</p><p>あなたは死んでも、ロレンザッチョ・バンディーニは死なないわ本物のロレンザッチョ・バンディーニは、今、ミスター・ヤザワの部下が保護しているもの</p><p>そうか学校に現れたロレンザッチョ・バンディーニの偽者は</p><p>工藤父によって、拘束されたままだ</p><p>ここで本物のロレンザッチョ・バンディーニを殺しても</p><p>拘束しているロレンザッチョ・バンディーニが居れば死亡は確認されない</p><p>何で、お前らがオレの偽者を用意したのか考えておくべきだったゼ</p><p>ロレンザッチョ・バンディーニは苦笑する</p><p>さあどうしましょうかねミスター・ヤザワとの契約もあるし別に、すぐには処分しないわ</p><p>ミス・コーデリアが、ロレンザッチョ・バンディーニに告げる</p><p>クロモリ・ミナホは、遅いわねここに来るのを愚図っているようなら、ちょっとアトラクションでも見せてあげようかしら</p><p>彼女はオレたちの方を見る</p><p>あなたたちの残存部隊には、クロモリ家と殺し合いでもして貰おうかしらきっと、面白いショーになると思うんだけれど</p><p>オレたちと闘わせる</p><p>死ぬか生きるか楽しそうでしょマルゴ・スタークウエザー</p><p>冷たい眼でマルゴさんに微笑む</p><p>演劇の裏方の仕事をしていた頃、アングラ演劇の有名な演出家の先生とお話ししたことがあるのですが</p><p>実は、これまた有名なロボットアニメの監督の娘さんが、当時、某劇団の演出部にいらして、その先生と面識があったそうです</p><p>この間会った時によう、一度、お父さんに会わせろって言ったんだけれど、断られたんだよ</p><p>え先生、ガ＊＊ムとか、ご覧になられたんですか</p><p>そんなの、観るわけねぇじゃないかたださ、会って話をしたら、何か仕事が繋がるかもしれねぇと思ってさ</p><p>いや、相手の仕事をちゃんと観てもいないのに</p><p>話が進むわけないじゃないですか</p><p>アングラ世代って、今の60歳前後でまあ、学生紛争世代の方たちなんですけれど</p><p>自分たちは、闘争しながら少年マガジンのあしたのジョーを読み続けていた世代なのに</p><p>どうして、それ以降のマンガとかアニメに一切興味が無いのか</p><p>もっというと、小馬鹿にしているのか不思議でした</p><p>あれだけエヴァンゲリオンが流行っても、これだけブームなんだから、一応観ておこうと言ったのは、80年代演劇ブーム以降の先生たちでしたから</p><p>映画は好きで、何でも観ているのに他の自分たちより若い世代の文化にどうして興味が無いのか、ずっと不思議でした</p><p>最近判ったのですがＳＦとロボットがダメみたいですね</p><p>いや、あしたのジョーだって、チョムチョムとかハリマオの一回転パンチとかあるので実際には、リアルな作品では無いんですマンガ的な要素は、ちゃんとあるんです</p><p>それは受けとめられて</p><p>でもロボとかは、最初から拒絶しているという</p><p>アングラ世代の人たちが、連載を読みながら矢吹ジョーに寄り添って行ったように</p><p>私たちも、アムロやシンジくんに寄り添ったんですけれどね</p><p>その寄り添うという感覚は、同じもののはずなのに</p><p>330．戦闘開始（コンバット・オープン）</p><p>どうして、谷沢チーフもミス・コーデリアも、日本語で喋っているのかしら</p><p>関さんが、小声で言う</p><p>アメリカ人の部下たちには、この話を聞かせたくないからなんじゃないですか</p><p>そうだろうかそれにしちゃ、ちょっと詳しく話しすぎていると思うんだけれどね</p><p>あたしたちに判るように、わざわざ説明してくれているのさ</p><p>オレたちに</p><p>谷沢チーフの目的は、まだよく判らないなしかし、ミス・コーデリアの方は想像できるよ</p><p>マルゴさんの言葉に、ミス・コーデリアはフフフと笑う</p><p>彼女あたしたちを皆殺しにするつもりなんだよ</p><p>そうよあなたたちには、これから死んで貰うわ何も知らないまま殺されるのは、可哀想でしょうだから、なるべくあなたたちが死ななくてはいけない事情を教えておいてあげようと思ってねうふふ優しいでしょ、あたしついでに質問があったら、どうぞ今なら何でも答えてあげるわよ</p><p>ミス・コーデリアの笑みに、オレたちは震撼する</p><p>じゃあ、お言葉に甘えてあたしたちを殺すっていうのは、あなたの所属している評議会の計画の内に入っているのそれとも、あなたの一存</p><p>マルゴさんは、尋ねた</p><p>あたしの一存というか、私怨ね個人的な感情によるものよ評議会とは一切関係ないわ</p><p>ミス・コーデリアの私怨</p><p>あんたたちみたいな売春組織にキョーコみたいな、才能の有る人間が関わっているのは、裏社会全体の損失よだから、潰すのあんたたちを皆殺しにしてキョーコには、もっと有意義に人生を生きて貰うわ</p><p>そう言った後、ミス・コーデリアはニヤッと微笑む</p><p>いえ、この際だからキョーコも殺してあげるべきなのかもね売春婦のお守りなんて下らないことをやっていることが知られないうちに、きっちり殺してあげれば彼女の尊厳は失われないもの</p><p>ミス・コーデリアは昔、恭子・ドスノメッキーさんのパートナーだったらしい</p><p>恭子さんの才能は、誰よりもよく知っている</p><p>黒い森の警護役をやっていることが許せないんだ</p><p>だから、あたしはこの機会にあなたたちを抹殺することにしたのロレンザッチョ・バンディーニたちを始末するついでだけれど、あたしにはあんたたちを殺すことの方が重要よ思いっきり、嬲って痛めつけて殺してあげるそのために、あたしはミスター・ヤザワと手を組んで</p><p>スッと谷沢チーフが、ミス・コーデリアの前に手を差し出す</p><p>黙れという意だろう</p><p>興奮しすぎているぜ喋りすぎだ</p><p>そうみたいね日本語で喋っていると、キョーコと暮らしていた頃を思い出して、ついつい気分が高揚してしまうのよ</p><p>マルゴさんが、谷沢チーフに声を掛ける</p><p>谷沢さんはあたしたちの質問に答えてくれるつもりはないんですか</p><p>谷沢チーフは、ニッと微笑み</p><p>オレはな死んでいくやつは、全部知らない方が幸せだっていう考え方なんだよ</p><p>谷沢チーフもオレたちを抹殺するつもりなのか</p><p>1つだけ教えて下さい</p><p>言ってみな答えるかどうかは判らんが</p><p>谷沢チーフの眼をオレはジッと見つめて口を開く</p><p>ミス・コーデリアの抹殺対象は黒い森の関係者全員ですか</p><p>そうだオレが聞いている限りでは、彼女はお前らを全員殺すつもりだ</p><p>それって、つまりミナホ姉さん、マルゴさん、寧さん、オレってことですよね</p><p>高梨克子もだ</p><p>谷沢チーフは、答える</p><p>オレはわざと克子姉の名前を省いたが</p><p>克子姉が黒い森の中核メンバーだってことは、バレている</p><p>克子姉は、ただの娼婦ですミス・コーデリアは、売春組織に搾取されている可哀想な女性まで、一緒に殺すつもりは無いですよね</p><p>ミス・コーデリアの考え方なら、きっと</p><p>彼女は、陥れられた女には同情的になってくれると思う</p><p>そうねタカナシ・カツコとカタガイ・ナギサは除外するわ</p><p>よしミス・コーデリアの言質を取った</p><p>香月家の二人のお嬢さんと、そのお友達たちも巻き添えにしないと約束して下さいあの女の子たちは、オレたちの犯罪に巻き込まれただけで黒い森とは関係無いんですから</p><p>オレは賭けに出る</p><p>それは、オレからもお願いするぜ香月のお嬢さんたちがいなくなったら、今後のオレの仕事に支障が出る</p><p>谷沢チーフが、ミス・コーデリアにそう言ってくれた</p><p>そうですよ大体、あの女の子たちは、恭子さんと会ったことも話したことも無いんですから</p><p>オレだって恭子・ドスノメッキーという人に会ったことは無い</p><p>しかし、ここはブラフで押し通す</p><p>そうね判ったわ殺すのは、クロモリ・ミナホ、マルゴ・スタークウェザー、ナジマ・ヤスコ、それにあなた４人だけにしてあげるわ実際、クロモリ・ミナホさえ殺せば、黒い森《ブラック・フォレスト》という組織は壊滅でしょうしねだけど</p><p>クスクスと、彼女は笑う</p><p>あなた一体誰なのあたしの依頼した事前調査では、全然、報告に上がって来ていないんだけれどミスター・ヤザワから貰ったレポートにも載っていないし</p><p>オレが黒い森に参加してから、まだ一週間も経っていない</p><p>オレも全然知らなかったのさ黒い森の秘密メンバーなんだろう</p><p>谷沢チーフは、すっとぼける</p><p>うんよしよし</p><p>オレの調査が間に合っていないのなら</p><p>メグやマナたちのことだって、正確には判っていないはずだ</p><p>みすずの友達で、押し通せる</p><p>そうねさっきのセックス・ショーの感じじゃあ、どう見たって娼婦の教育係か相当訓練を積んだプロの男娼よね普段は、お金持ちのオバサンのお相手でもしているんでしょうけれど</p><p>ああ、精一杯、あの場でセックス・ショーをやっておいて良かった</p><p>ミス・コーデリアは、オレが黒い森という売春組織の正式メンバーだっていうことについては疑問を持っていないようだ</p><p>まあそんなようなモノですよ</p><p>これでとりあえず地下に居る子たちに危害が加わることは無い</p><p>克子姉、渚、みすず、メグ、マナ、瑠璃子、美子さんは大丈夫だ</p><p>ジッちゃんは、朝まで籠城し続けることができれば、絶対に助かると言っていたけれど</p><p>谷沢チーフが敵となった今、保障は無い</p><p>あの地下室だって、まだ他に脱出路があるのかもしれないし</p><p>こいつもオレがコマした娼婦見習いですまだ客を取らせていませんオレが無理矢理レイプしてセックス浸けにしました</p><p>オレは、雪乃のことをそう説明する</p><p>こいつも、オレたちの被害者です仲間じゃありません勘弁してやって下さい</p><p>ミス・コーデリアが、雪乃に尋ねる</p><p>雪乃は白坂本家から、抹殺要請が出ている</p><p>それを小遣い稼ぎに、ミス・コーデリアは受けているはずだ</p><p>本名を答えるなよ</p><p>この場は黄縞黒子で誤魔化せ</p><p>白坂雪乃よ</p><p>バ、バカ雪乃っ</p><p>あたしは白坂雪乃白坂創介の娘よっ</p><p>ミス・コーデリアが、ニタァと笑う</p><p>あなたを殺すと、５万ドルになるのよちょっと安すぎるけれど、仕方無いわねあなたの値段は、お父さんよりも安く設定されているから</p><p>ゾゾッと震える、雪乃</p><p>雪乃、お前、後ろに下がっていろ</p><p>オレは、雪乃の前に出る</p><p>あら仲間じゃないんでしょ、その子どうして護ろうとするの</p><p>ミス・コーデリアが、皮肉を込めてオレに言う</p><p>死なせたくないだけですこいつだって</p><p>オレの後ろで、雪乃がオレの腕をギュッと掴む</p><p>大丈夫よあなたもその子もちゃんと一緒に殺してあげるから</p><p>本当に、嬲り殺しにする気なんだな</p><p>さあて、それじゃあ手始めにロレンザッチョ・バンディーニの手下と殺し合いでもして貰いましょうか</p><p>スッと、ミス・コーデリアは黒服の男たちの方を見る</p><p>そして、英語で何か話し出した</p><p>評議会は、ロレンザッチョ・バンディーニとシザーリオ・ヴァイオラの抹殺を決めたってことを話しているよ</p><p>寧さんが、小声で教えてくれる</p><p>だから、本来なら部下であるあんたたちも、この場で皆殺しにする予定だったけれど、使える人材はミス・コーデリアが再雇用して生かしておくって</p><p>腕に自信のある者は、手を挙げろって言っているよあたしたちと闘わせて、実力を見るって殺し合いして生き残ったなら、助けてやるってさ</p><p>黒い戦闘服の中の数人が、サッと手を挙げた</p><p>１３人のうちの５人か</p><p>思ったより少ないね今更、ロレンザッチョ・バンディーニに忠義を感じているわけは無いだろうし挙手しない人たちは、ミス・コーデリアの言葉を全然信じていないんだね</p><p>ミス・コーデリアに再雇用の意志なんか無いって、判っているのさあたしたちと闘って勝っても、やっぱり殺されると思っているんだだから隙を見て、この場から逃げ出す方に賭けているんだと思うよ</p><p>むしろ、オレたちと黒服の戦闘にミス・コーデリアが集中している時こそが、チャンスだと判断したんだな</p><p>なあに、たった５人なのまあいいか、そっちの人数と同じだものね結構、良い勝負になるんじゃない</p><p>オレたちの人数と同じ</p><p>マルゴさん、寧さん、オレ、雪乃それから</p><p>そこのニンジャ・ガールは、この子たちと一緒に闘うんでしょ</p><p>ミス・コーデリアは、美智を見る</p><p>当然ですわたくしは、ご主人様の下僕ですから</p><p>そうか美智が戦闘要員だということは、前の襲撃で知っているんだ</p><p>わたくしも闘います</p><p>あら、あなたはミスター・ヤザワの部下だって聞いていたけれど</p><p>ふんっこいつは一本気過ぎるんだよっもう少し、柔軟な思考になれば、気楽に生きられるってのにな、藤宮くん</p><p>そう言う谷沢チーフを、麗華は睨む</p><p>気安く話し掛けないで下さいあなたはもう、あたしたちの敵です</p><p>あたしたちそう、あなたはもうクロモリの一員なのね</p><p>ミス・コーデリアが微笑む</p><p>わたくしも、この子たちを護りますわ</p><p>わたくし、警護人としての誇りを失いたくはありませんので子供を見殺しにすることなど、できませんわっ</p><p>子供じゃないわよそいつらは、薄汚い売春組織のウジ虫たちなんだからっ</p><p>ミス・コーデリアは、黒い森の心底嫌っている</p><p>いいえこの子たちは、わたくしが命を懸けて護るべき存在です抱き締めて、慈しんであげたい子供たちですから</p><p>はんっウジ虫たちと一緒に居るうちに、情が移ったってのかい</p><p>ミス・コーデリアは、関さんを嘲笑う</p><p>あなたに、どう思われても構いませんわたくしは、一人の警護人としてこの子たちを守り抜くだけです</p><p>そうじゃあ、あたしも考えを変えないとね</p><p>ミス・コーデリアが再び英語で何かを言う</p><p>大きな声で、ヒステリックに黒い戦闘服の男たちに命令している</p><p>何て言っているんです</p><p>ロレンザッチョ・バンディーニとシザーリオ・ヴァイオラ以外の男は、全員、あたしたちと闘えってそうしないと、今すぐ殺すって言っているよ</p><p>つまり敵は１１人</p><p>こちらは７人</p><p>しかし、オレと寧さんと雪乃は戦力にはならない</p><p>むしろ、足手まといだ</p><p>あんたたちは、プロの処刑人たちなんでしょあんな女子供ぐらい、簡単に瞬殺できるわよねそんなこともできないような役立たずなら、今すぐここで銃殺するわ死体は、すぐそこの海に投げ込んであげる本国には、遺品１つだって持つ手帰らないわ極東の海に沈みなさいそれでも、いいの</p><p>言いたい放題だなミス・コーデリア</p><p>やつらには、拳銃は使わせるな</p><p>谷沢チーフが、ミス・コーデリアに言った</p><p>あら何故かしら</p><p>流れ弾が飛んで来るのが怖いさすがに、ロレンザッチョ・バンディーニの本隊となれば、みんなそこそこのキャリアのある処刑人だろこいつらと闘うフリをして、オレたちを狙ってくるかもしれん</p><p>そんなの、軽く避ければいいだけじゃない</p><p>ミス・コーデリアは、クフフと笑う</p><p>もし突然、自分を狙って来たとしても対処できる自信があるんだろう</p><p>あんたやあんたの子猫ちゃんたちはまだ若いから、俊敏に行動する自信があるんだろうがオレはいい年だぜ鉛の弾を撃ち込まれて、ササッと避けられる自信はもうねぇなあそれに、トバッチリがオレの部下たちに及ぶのも困るこいつらには、これからもオレの下で働いて貰わないといけないんだから</p><p>そうか、戦闘開始と同時に</p><p>ヴァイオラの部下たちは、全力でこの場から逃げだそうとするかもしれない</p><p>追い込まれた彼らが、出口を求めて無闇矢鱈に発砲してきたらマシンガンを構えて、オレたちを威嚇している情報部の人に当たるかもしれない</p><p>意外と小心者なのね</p><p>小心だからこそ、今まで生き延びてきたのさ</p><p>判ったわあなたのその正直さに免じて、言う通りにしてあげるわ</p><p>ミス・コーデリアが、白い女のヴァイオラとロザリンドに指示を出す</p><p>二人の女は、ニタニタ笑いながら</p><p>黒い戦闘服の男たちの方へ歩いて行きボディ・チェックをする</p><p>まあ、嬲り殺しにするのなら格闘戦の方が見応えがあるものね銃撃じゃ、すぐに片付いちゃうでしょうしバンって撃たれて即死じゃつまらないもの</p><p>白くて長い指が男たちの隠していた銃器を探し出し、弾倉を抜いて放り捨てる</p><p>一人の男が、白いロザリンドに触れられるのを拒絶する</p><p>ロザリンドは、もの凄い速さで男の額に頭突きする</p><p>ガッ</p><p>卒倒する男</p><p>ロザリンドは、ニヤニヤ笑っている</p><p>ミス・コーデリアが英語で何か言う</p><p>手間を掛けさせるなって反抗する人間は、容赦しない闘える人間の数が減ったら、困るのはお前たちだろうって言っているよ</p><p>とにかくこれで、敵は１０人になってくれた</p><p>こっちの銃器は、わたくしのこれだけよこの子に預けておくわこの子は戦闘訓練は何も受けていないんだからそれぐらいのハンデは、構わないでしょう</p><p>関さんはそう言って自分のピストルをオレに手渡す</p><p>そうねそれなら、特別に許可してあげるわ</p><p>ミス・コーデリアは、そう答える</p><p>撃つ時は、敵を引きつけてからね今のあなたでは、３メートル離れた相手にも弾が当たらないわナイフで刺す距離で、撃ちなさいでも、危ないと思ったら躊躇わないで撃つのよいいわね</p><p>重い金属の塊は関さんの体温で、すっかり暖まっていた</p><p>オレは銃のグリップを握りしめ</p><p>その間に黒い戦闘服の男たちの銃器の押収は完了した</p><p>ヴァイオラとバンディーニも銃を奪われている</p><p>さてそれじゃあ、初めて貰おうかしら殺し合い</p><p>楽しそうに、ミス・コーデリアは笑う</p><p>あんまり良い趣味とは思えんがね</p><p>あらとっとと出て来ない、クロモリ・ミナホが悪いのよ</p><p>ミス・コーデリアは天井付近の監視カメラを見上げる</p><p>早くいらっしゃい、クロモリのボスさん急がないと、あなたの大切な部下はみんな死んでしまうわよ</p><p>彼女はオレたちが家族だということを知らないのか</p><p>壁を背にして闘おう麗華お姉さんは、正面あたしは右、関さんは左をお願いします攻めてくる敵を、確実にカウンターで仕留めるよ美智ちゃんは、寧たち３人のガードをお願いそれから</p><p>本当に危なくなった時には美智の心月に頼るしかない</p><p>しかし最大パワーの心月は</p><p>味方の動きも止めてしまう</p><p>オレたちは劇場からの脱出の時に、それを経験している</p><p>接近戦は、そんなに得意じゃ無いけれど仕方無いわね</p><p>関さんは、隠していた伸縮式の警棒を取り出す</p><p>あいつらもボディ・アーマーぐらいは付けてるでしょうからねいちいち拳で殴っていたら、手が腫れあがっちゃうわ</p><p>そうだね急所を確実に打ち抜いていかないと</p><p>マルゴさんも両手に金属製の棍棒を持つ</p><p>野球部のグラウンド裏で闘った時に使っていたやつだ</p><p>上着の下に隠し持っていたらしい</p><p>わたくしのステッキには関係在りませんボディ・アーマーもヘルメットも、一撃で打ち砕きます</p><p>ギュギュッと撲殺ステッキを正眼に構える麗華</p><p>黒戦闘服の１０人は、一斉にコンバット・ナイフを引き抜く</p><p>ちょっと大丈夫なんでしょうね</p><p>雪乃と寧さんが、オレにしがみつく</p><p>平気ですオレたちの家族を信じましょう</p><p>いよいよの時はオレがこのピストルで、二人を護らないといけない</p><p>一人の黒服の男が戦闘員たちに、指示を出している</p><p>ほとんど言葉は使わない</p><p>手で、お前はそっちへ行け、お前とお前は組めと指差すだけだ</p><p>なのに１０人の男たちは、あっという間に戦闘態勢の陣形を組む</p><p>あれ、ジュリアーノ・ジェンカだよね</p><p>そうでしょうね幹部クラスで戦闘指揮のできる人間といったら、他にはいないでしょうから</p><p>関さんが、答える</p><p>双方とも用意はできたみたいねそれじゃあ、これで開戦《コンバット・オープン》のタイミングを決めましょうか</p><p>ミス・コーデリアは、ポケットからコインを取り出す</p><p>ニッケル硬貨小さくて、ちょっと見にくいよクオーターは無いの</p><p>マルゴさんが、おどけて言う</p><p>あんたたちの値打ちなら、５セントで充分でしょこれを投げて床に落ちた瞬間から、戦闘開始よ</p><p>ミス・コーデリアの手の中で、銀色の小さなコインが鈍く輝いている</p><p>今、オレたちに言ったのと同じ事を英語で黒戦闘服の男たちにも告げる</p><p>では、行くわよready</p><p>ミス・コーデリアの指が、銀のコインをチィィーンと弾く</p><p>コインは、キラキラと輝きながらくるくると回転して虚空に飛び</p><p>そして、落下し始める</p><p>コインが床に落ちる前に</p><p>シュッ</p><p>グゥエエエッ</p><p>ジュリアーノ・ジェンカと思われる黒戦闘服の男が、喉元を押さえて悶絶して</p><p>ドサッ</p><p>チィィィィィィン</p><p>男が倒れたのと、コインが着地したのはほぼ同時だった</p><p>関さんが投げナイフを打ち込んだ</p><p>わたくし、本当はこれが一番得意なんです</p><p>関さんが、次の投げナイフを取り出す</p><p>まさか卑怯とは、言わないですよね</p><p>香月セキュリティ・サービスは、日本人らしく融通の利かない、お行儀の良い表企業だって聞いていたけれどね</p><p>今更そんな流儀に捕らわれていては、命が幾つあっても足りないわ</p><p>関さんは、ギッと敵を睨み付ける</p><p>わたくしは、もう香月セキュリティ・サービスとは無縁の人間ですこうなった以上は、あなたたちも、わたくしたちも裏世界の住人犯罪組織同士の抗争ですここから先は、ルール無用よ</p><p>関さんも黒い森の一員になってくれたのか</p><p>HeyBoys</p><p>背後から、ロレンザッチョ・バンディーニが黒服たちに声を掛ける</p><p>ジュリアーノ・ジェンカが倒れた今、後方から戦闘員たちの指揮を執るつもりなんだろう</p><p>まさか、卑怯とは言わないヨな</p><p>次々に繰り出されるバンディーニの指示に従って、９人になった男たちが３人１組のフォーメーションを組む</p><p>戦意は消えていない</p><p>むしろバンディーニの外からのコーチングに、士気が高まっている</p><p>麗華お姉さん、突出しちゃダメだよっカウンターだけを狙って</p><p>いつもなら飛び出す麗華が、一歩退く</p><p>まいったねさすがにみんな、本物のプロだよもう奇襲は利かないと思う</p><p>寧さんが呟く</p><p>全員飛び道具を使われても平気なように、顔面と首を手でガードしているでしょボディ・アーマーを着込んでいるから、関さんのナイフで効果があるポイントなんて限られているしさっきはコインに集中して、相手の動きが止まっていたから正確に急所に</p><p>打ち込めたけれど、もう多分無理だよね</p><p>関さんのナイフは、牽制ぐらいにしか使えない</p><p>あれがもしアメリカ軍で採用されている最新式のアーマーなら、わたくしのムチでも一撃では砕けないかもしれません</p><p>そうか工藤父たちのフリー警護人が、ロシア人たちの掃討に時間を掛けていたのは</p><p>この防御力のせいだったのか</p><p>そう考えると、ダダドムゥおじ様やバンバルビー３のお姉さんたちの破壊力は凄まじい</p><p>元々さ、マルちゃんの一番得意な戦法は、奇襲から一気に刈り取るってパターンでしょやっぱり、女だからさ男に力押しで潰しに来られると弱いんだよる筋力でも体重でも、女の身体じゃ男の人には敵わないんだからさ</p><p>ガッチリと正面から組み合ったらプロの処刑人の男たちには、負けるというのか</p><p>人数もあっちの方が多いしね</p><p>敵は、３人でこちらの１人を潰していくつもりらしい</p><p>麗華、マルゴさん、関さんに３人ずつ、敵が接近していく</p><p>このまま一斉に襲いかかられたら</p><p>マルゴさんたちは、自分の眼の前の敵に対処するのが精一杯でお互いにフォローし合うことはできない</p><p>敵の３人チームは、高度に訓練されているらしい</p><p>完璧に連携の取れた動きをしている</p><p>Go</p><p>バンディーニが、大きな声で指示を発する</p><p>男たちは同時に飛び掛かって来る</p><p>佳境に入って参りました</p><p>何とか今月中には、ホテル編終わらせたいですねぇ</p><p>これが終わったら、エッチ・シーンのラッシュになると思います</p><p>欲求不満になっている女の子、多いですし</p><p>331．チーム・ワーク</p><p>麗華に３人</p><p>関さんに３人</p><p>マルゴさんに３人</p><p>３人１組のチームが３つ</p><p>一気に、オレたちを叩き潰すつもりか</p><p>ハァァ、お面んん胴ぉぉぉ</p><p>麗華は、一番最初に突進してきた男を撲殺ステッキでブッ飛ばす</p><p>ブッ叩かれた男は、そのまま後続の男たちのところまで弾き飛ばされる</p><p>重いステッキを軽々と振り回す麗華だけは男たちにも、パワー負けしていない</p><p>一撃を打ち込まれた男は平然と起き上がる</p><p>くっ闇雲に打ちかかるだけではダメなようですね確実に、急所を突くか全力でボディ・アーマーごと打ち砕くしかない</p><p>さすが、ロレンザッチョ・バンディーニの子飼いの処刑人たち</p><p>今までの敵とは、タフさが違うし</p><p>闘い慣れしている</p><p>打ち砕くって方の考えは捨ててっ大振りになるだけだよっそれに、そいつら３人で連携して攻撃してくるからっ</p><p>寧さんが、麗華に叫ぶ</p><p>はい確実に、急所だけに集中しますっ</p><p>いや現実問題として、３人組の連続攻撃をステッキで打ち払うだけで精一杯だ</p><p>思い切り振りかぶって、渾身の一撃なんてできるはずがない</p><p>サァァッサァサァァッッ</p><p>一方、マルゴさんは両手の棍棒を巧みに使って、自分を攻撃する３人チームと渡り合っている</p><p>こちらも眼の前の敵に対処することしかできない</p><p>ツァァァ、イヤッ、ハァァ</p><p>一番旗色が悪いのは、関さんだ</p><p>持ち前のスピードと正確な攻撃で、何とか凌いでいるが</p><p>パワー不足はオレの眼にも明らかだった</p><p>少しずつ黒服のやつらに押されている</p><p>クッ</p><p>特殊警棒で敵のコンバットナイフの攻撃を受けとめたがそのまま、押し飛ばされる</p><p>ぐらりと体勢を崩した瞬間別の男のナイフが、関さんを襲う</p><p>あ、危ないっ</p><p>オレが叫ぶと同時に</p><p>ビシュルルルンッ</p><p>美智の赤いムチが唸る</p><p>バシィィッ</p><p>ムチの先が、男の黒い戦闘服の胸元を切り裂くが</p><p>男にダメージは無い</p><p>破れた黒服の下から何か黒いモノが見える</p><p>あれがボディ・アーマーか</p><p>打撃や衝撃は、アーマーが受けとめてしまうタイプなんだよこうなったら、顔面か関節を狙うしかないね</p><p>寧さんは、そう言うが敵だってプロだ</p><p>弱点をそう易々と突かせてはくれない</p><p>そんなことを話している間も、黒戦闘員たちのの猛攻は続く</p><p>関さんが、足を滑らせた</p><p>うわわわっ</p><p>コンバット・ナイフの大きな刃先が、関さんを襲う</p><p>ガシッ</p><p>関さん腕の甲で、ナイフを受けとめている</p><p>あなたたちのボディ・アーマーほど、本格的ではないけれど</p><p>関さんは、敵のナイフを持つ手をむんずと掴むと合気道の投げで、相手を引っ繰り返す</p><p>わたくしたちだって簡易的なアーマーは付けて来ています</p><p>そうだ地下で、麗華がジャージに着替えた時に見せてもらったっけ</p><p>麗華は手足やお腹に、サポーターや補助的な防具を着けていた</p><p>関さんも、同じ物を付けている</p><p>このアーマーだって、ナイフの刃を通さないわよっそれにこの手袋だって、防刃グローブなんだからっ</p><p>関さんは、黒い手袋をギュッと握りしめる</p><p>でも気を付けてナイフを受けとめられたって、衝撃は消せないんだから</p><p>寧さんが、注意を喚起する</p><p>関さんは、叫んだ</p><p>でもアーマーのある場所なら受けとめられるって覚悟すれば、勝機はあります</p><p>今までは右手の警棒だけ受けていた敵のナイフを今度は、両腕を使って受ける</p><p>関さんの服の袖がズタズタになっていくがギリギリ敵の攻撃に対処できている</p><p>もおっこの服、お気に入りだったのにっ</p><p>生きて帰ったら、あたしが弁償してあげるよっ</p><p>マルゴさんも、腕の甲で敵のナイフを受けとめ始めている</p><p>やっぱり、補助アーマーを着込んで来ているんだ</p><p>美智ちゃんは、前に出ちゃダメだよ君は、あたしたちみたいな防具は着けていないんだから</p><p>そうだ美智は、制服の下に特殊なアーマーなんて着けていない</p><p>それは、裸にして抱いたオレが一番良く知っている</p><p>美智は、困惑している</p><p>舐めちゃダメだこいつら、思っていた以上にやる</p><p>ああ今までの敵とレベルが違う</p><p>ロレンザッチョ・バンディーニが、最後まで隠していた戦力だ</p><p>一瞬でも気を抜いたら確実に殺される</p><p>何か形勢逆転を狙える方法は無いのか</p><p>HEY　John</p><p>後ろから、ロレンザッチョ・バンディーニが何か指示を出す</p><p>すると突然さっき、白い女のロザリンドに頭突きされて昏倒していたはずの戦闘員がサパッと起き上がる</p><p>死んだフリをしていた</p><p>１０人目の黒服はそのまま、関さんに向かって突進する</p><p>３対１で容易に倒せないのなら</p><p>４対１で仕留めるつもりか</p><p>それも一番苦戦している関さんを狙って</p><p>こうなったら、心月で一瞬も敵の動きを封じ込めるしか</p><p>心月は、相手がわたくしの方に意識を向けなければ</p><p>戦闘中のプロの処刑人は、眼の前の相手に集中している</p><p>こちらに振り向かせることなんて、できるはずがない</p><p>ミッちゃんの切り札は、まだダメだよっ</p><p>寧さんが叫んだ</p><p>マルちゃんたちなら、一瞬の隙さえあれば何とかしてくれるから</p><p>雪乃ちゃん、ゴメンッッ</p><p>寧さんは、雪乃の着ているYシャツの裾をぺろんと捲り上げる</p><p>ぷりんとしたお尻と秘部が、世間に剥き出しにされた</p><p>きゃああああああああああッッッ</p><p>雪乃の絹を引き裂く様な悲鳴</p><p>３人とか、４人グループの戦闘員たちその全員では無いけれど</p><p>どのグループでも、１人２人は何だと思わず雪乃の方を見てしまう</p><p>やつらの連携に隙が生まれる</p><p>せぇぇいッさァァッッ</p><p>マルゴさんが、その隙を見逃すはずが無い</p><p>一瞬動きを止めた戦闘員の、膝関節に渾身の一撃を打ち込む</p><p>ギャアッ</p><p>ガクッと崩れる相手の頭を、力一杯蹴り上げるッッ</p><p>トイヤぁッ</p><p>その時にはもう別の敵が、ナイフで斬り付けてきているが</p><p>腕の甲の防具で刃先を弾き喉元に棍棒を叩き込むッッ</p><p>グヘェッッ</p><p>急所を突かれて、男は息を詰まらせバタバタと床に転がる</p><p>ちぇすとぉぉぉッッ</p><p>一方、麗華は動きの止まった敵に必殺の突きを打ち込むッッ</p><p>この猛撃ならばボディアーマーを砕いて、ステッキの石突きが敵の急所を確実に貫くッッ</p><p>ギィハァァァッ</p><p>フッ飛ばされた戦闘員は、後ろにいたもう１人を巻き込んで背後に引っ繰り返った</p><p>３人目が、麗華に襲いかかるが</p><p>ていやぁぁっ</p><p>麗華は、相手のヘルメットを撲殺ステッキで、思いっきり横殴りにするッ</p><p>敵のヘルメットが割れる</p><p>それでも相手の頭蓋骨にまでは届かないだろうが</p><p>斜めの角度からの強烈な一撃は、相手の首にグギッと深刻なダメージを与える</p><p>グゥハッ</p><p>泡を噴いて、男は倒れた</p><p>その頃、関さんを襲って来た４人組は</p><p>すぅえいっっ</p><p>雪乃の悲鳴に気を取られた１人を関さんが、腕を取って投げ飛ばすッ</p><p>くるっと空中で一回転した巨体は、受け身の取れない角度から地面に叩き付けられた</p><p>シュビュバババッ</p><p>同時に、美智のムチが関さんを狙った別の敵に炸裂する</p><p>赤いムチの先が男の黒マスクの鼻先を、ズバッと切り裂く</p><p>ウガガガガーッ</p><p>激しく出血する鼻を押さえて、男が地面に転げ回る</p><p>そうか、こいつらマスクの下、顔には防具は着けていないんだ</p><p>関さん顔面を狙って下さいませっ</p><p>了解ッッ</p><p>関さんは、倒れた男の顔面を靴の踵で蹴り抜くッッ</p><p>ギャアアアッ</p><p>悶絶する男</p><p>鼻の下って神経の集中しているポイントがあるからねそこを思いっきりヤられたら、どんな人だって失神するよ顔は鍛えられないからね</p><p>手を下ろしてっ早くっ</p><p>雪乃が、喚くっ</p><p>ああ寧さんの手は、まだ雪乃のシャツを捲ったままだ</p><p>雪乃は真っ赤になって、自分の手で股間と肛門を隠している</p><p>あ、ゴメンゴメン、メンゴっ</p><p>寧さんは、雪乃のお尻から手を離す</p><p>もおっバカ、バカ、信じられないっ</p><p>顔を真っ赤にして怒る、雪乃</p><p>みんなに見られちゃったじゃないっ</p><p>うん眼の前の敵だけでなく</p><p>ここには、谷沢チーフの配下が１２０人以上は居るから</p><p>でも、雪乃お前はすでに全校生徒にセックスシーンを公開しているんだし</p><p>あーんっめちゃくちゃ恥ずかしいわよっこんなのっ</p><p>マルゴさん　VS　３人</p><p>麗華　VS　３人</p><p>関さん　VS　４人だった敵は</p><p>マルゴさんが２人倒し</p><p>麗華が２人倒し</p><p>関さんと美智で、１人ずつ倒した</p><p>残りは４人</p><p>これで４対４だね</p><p>後ろから、ロレンザッチョ・バンディーニが何が叫んでいる</p><p>まだ闘える４人の戦闘員は集結して、１つのチームを組む</p><p>関さん麗華お姉さん美智ちゃん</p><p>マルゴさんは、１人１人に声を掛ける</p><p>同じ人数ならあたしたちの方が強いそうだよね</p><p>何も言わずに麗華が前に出る</p><p>関さんとマルゴさんが、側面へ</p><p>美智は、オレたちのガードの位置に立つ</p><p>当たり前の様にフォーメーションを組む</p><p>いつの間にか完璧なチームとなっている</p><p>こちらからは、攻めないあくまでもカウンターだよ</p><p>マルゴさんが、そう指示する</p><p>対峙する４人と４人</p><p>でも敵に攻め込ませるのも、手ではありませんか</p><p>関さんが警棒を右手から左手に持ち替えながら、言った</p><p>そうだねこのまま、この人たちとお見合いし続けるのも嫌だよね関さん、タイミングよろしく</p><p>スッと、関さんの手が動き出す</p><p>ひのふのみぃっ</p><p>瞬間、何も持っていなかったはずの関さんの右手から</p><p>投げナイフが、ビュワッと飛び出すッ</p><p>ナイフを避ける、敵の４人ッ</p><p>それが決戦の合図となった</p><p>秘剣・震電</p><p>麗華は、真っ正面の敵だけに集中して必殺の一撃を放つ</p><p>左右に飛んだ、敵にはマルゴさんと関さんが迎撃する</p><p>関さんは、右の敵に対峙するフリをして後方から時間差攻撃を仕掛けようとしている敵にナイフを投げるッ</p><p>右の敵は、隙のできた関さんに襲いかかるが</p><p>美智の赤いムチが迸るッ</p><p>一方、マルゴさんは的確に左の敵に照準を合わせていた</p><p>ガキィッ</p><p>音は１つだった</p><p>４人同時に、敵に攻撃を掛ける</p><p>この初撃はフェイントだ</p><p>グラッと体勢を崩した敵に</p><p>二の太刀・暗黒流れ星</p><p>麗華は、必殺の剣を打ち込むッッ</p><p>バゴギィッッ</p><p>ボディ・アーマーごと、敵を打ち破るッッ</p><p>グゥエエエエッッ</p><p>何かがグシャッと砕ける鈍い音がした</p><p>ハイゃぁぁッ</p><p>その頃マルゴさんは、左右の棍棒を同時に敵の首に叩き付けていたッッ</p><p>首元にも、防御パッドが入っているんだろうけれど</p><p>左右同時の猛撃打には、人間の肉体の方が耐えられないッッ</p><p>すぅリャアア</p><p>さらに、マルゴさんの回し蹴りが炸裂するッ</p><p>レッド・ビュートッッ</p><p>関さんと美智は、また標的を取り替えていた</p><p>関さんが投げナイフで牽制した敵の顔面に、美智の赤いムチが炸裂するッ</p><p>ウゴゴゴゲッッ</p><p>顔面から血を拭いて、苦しむ男</p><p>一方、初撃に美智のムチを食らった敵には、関さんの手が伸びる</p><p>すりゃあっ</p><p>関さんの合気道技</p><p>ブワッっと今まで見たよりも遥かに高い空間に、敵の肉体が跳ね飛ばされる</p><p>真空地獄車ァァッッ</p><p>宙でくるんと頭を下に回転したその敵の巨体に、グワッッと関さんが飛びつく</p><p>そのまま、自分の体重を乗せて</p><p>脳天杭打ち《パイル・ドライバー》</p><p>ギェェェッ</p><p>男は、そのまま昏倒した</p><p>これで終わりだッ</p><p>美智のムチを顔に食らって、痛みに喚いている男には</p><p>マルゴさんが鋭い蹴りで、トドメを刺した</p><p>シザーリオ・ヴァイオラのいや、ロレンザッチョ・バンディーニの最後の１０人の部下たちは、完全に沈黙している</p><p>麗華、マルゴさん、関さん</p><p>みんな、肩で息をしている</p><p>麗華と関さんは、片膝を地面に付いて</p><p>一気にどわっと流れてくる汗を手で拭う</p><p>かなり体力が消耗している</p><p>ひゅぅぅ</p><p>谷沢チーフが、口笛を吹く</p><p>こいつは驚いたなまさか、圧勝しちまうなんて</p><p>ミス・コーデリアに、ニヤッと微笑む</p><p>ふがいないわね女子供に負けるなんてこれが、伝説のシザーリオ・ヴァイオラの処刑部隊どうやら、評議会の処分すべしという審判は正しかったようね</p><p>ミス・コーデリアは、不機嫌そうに言った</p><p>こうなるとあなたたちは、やっぱりあたしとあたしの可愛い子猫ちゃんで殺してあげないといけないのかしら</p><p>ミス・コーデリアの脇に、白い女のヴァイオラとロザリンドが並ぶ</p><p>３人とも残酷な笑みを浮かべている</p><p>今の闘いを見て心の中の悪鬼が目覚めたのか</p><p>このままでは、やられる</p><p>マルゴさんたちの肉体は、まだ回復していない</p><p>♫　Twinkle, twinkle, little star,</p><p>How I wonder what you are!　♫</p><p>美智が、歌い出す</p><p>これって童謡のきらきら星</p><p>♫　Up above the world so high,</p><p>Like a diamond in the sky.　♫</p><p>広大な１９階のフロアに美智の可愛らしい歌が響いていく</p><p>１５歳の黒髪の美少女の歌声</p><p>美智の声は瑞々しく、どこまでも透き通っている</p><p>フロアの中で、オレたちを取り囲んでいる人々</p><p>１００人のマシンガンの情報部員たちも</p><p>２０人のトップ・エリート警護人たちも</p><p>ついつい、美智の歌声に引き込まれてしまう</p><p>♫　Twinkle, twinkle, little star,</p><p>天使の様に、人々に対してニッコリと微笑む</p><p>美智ちゃんを見ちゃダメだよ眼を瞑って心を閉じるんだ</p><p>マルゴさんが、オレたちにそっと囁いた</p><p>そうかこれは</p><p>美智この場に居る全員に仕掛けるつもりなのか</p><p>いくら、美智の心月が凄いからって</p><p>１２０人を越す人数に、気を放てるのか</p><p>Like a diamond in the sky.</p><p>Twinkle, twinkle, little star,</p><p>来るぞ</p><p>きっと来る</p><p>オレは、ギュッと眼を瞑り心を閉じる</p><p>それでも心にゾワっと気の風が流れ込む</p><p>予定通りに詰めています</p><p>著作権の切れている（というか、そもそも無い）歌を探していたら、きらきら星になってしまいました</p><p>最初は、うさぎ追いしのふるさとが良かったんですけれど</p><p>他には、メリーさんの羊とかロンドン橋とか</p><p>でも、よく考えたらロンドン橋は小説版のガンダムで使っているので止めました</p><p>メリーさんは長いんですよ実は歌詞が</p><p>キリの良いところで終わらないので、キラキラ星の採用となりました</p><p>332．ATTENTION</p><p>グゥエエッ</p><p>やっぱり、自分の心の中に強い他者の気が入って来るというのは</p><p>全身の血が一瞬で沸騰して逆流する様な、生々しいショックがある</p><p>来ると判っていたオレが、こうなのだから</p><p>不意打ちで、心月を喰らったやつらは</p><p>ウウウッ</p><p>アアッ</p><p>ドワアッ</p><p>１００人の情報部員たちはバラバラとマシンガンを落としていく</p><p>手に力が入らないのだろう</p><p>１９階のコンクリート剥き出しの無装飾の床面にガチャガチャと銃器が転がって行く</p><p>香月セキュリティ・サービスのトップ・エリートたちや</p><p>谷沢チーフまでもが、ぐったりとしている</p><p>みんな、しばらくは全員戦闘不能だな</p><p>や、やったぞ美智</p><p>今ならここから脱出できる</p><p>とにかく、この場から逃げないと</p><p>ミス・コーデリアは、オレたち黒森の家の人間を皆殺しにするつもりなんだから</p><p>寧さん雪乃</p><p>ううっ大丈夫、何とか身体は動かせるよっヨッちゃん</p><p>あたしも、動けるわ二度目だもの</p><p>しかし肝心の美智は</p><p>あううううご主人様</p><p>ブルブルと震えて、オレにしがみつく</p><p>この広大な部屋全体に、全力で気を放ったんだ</p><p>心と身体の限界を越えてしまったのか</p><p>どうした、美智大丈夫か</p><p>オレは、ギュッと美智の小さな身体を抱く</p><p>怖いぃぃ怖いのぉぉぉ</p><p>美智は、幼子の様にオレの腕の中で震えている</p><p>ご主人様ご主人様ご主人様ぁぁっ</p><p>こ、これは</p><p>オレたちの前に、白い人影がスッと立つ</p><p>うふふふふふその子が気を放ち切って、スッカラカンになった瞬間に逆に、あたしの念を叩き込んでやったのさ</p><p>ミ、ミス・コーデリア</p><p>な、何で、無事なんだ</p><p>その技は、さっき体験したからね</p><p>だからってミス・コーデリアは、全然ダメージを受けていない</p><p>平然とオレたちを見下ろして、笑っている</p><p>さっきは、まさかそんな小さな子が気の技を使うなんて思わなかったから、真っ正面から食らっちまっただけさ</p><p>美智に心月があると知っていれば</p><p>気を操作する技なんて、世界中にあるんだよその対処法もねあたしは、オリエンタルな闘技は、キョーコから教わっているしね</p><p>気に対する、受け流しの技をミス・コーデリアはマスターしていたのか</p><p>オレの腕の中で、美智は震えている</p><p>全力で気を放って心が無防備になったところに、ミス・コーデリアの邪念を叩き込まれたんだ</p><p>肉体と精神が同時に混乱して、激しい拒絶反応を引き起こしている</p><p>大丈夫だぞオレが、ギュッと抱き締めてやるからっ</p><p>おれは、美智に声を掛ける</p><p>はぃぃい、抱いて、もっと力強くご主人様ぁぁ</p><p>美智は、すぐには回復しない</p><p>オレは、関さんと麗華を見るが</p><p>うぐぐっ</p><p>くぅぅ</p><p>２人とも心月の直撃を受けて、ダウンしているぅぅ</p><p>この人たちは、美智のフル・パワーの心月は初体験なんだっけ</p><p>心のガードをしないで、敵と同じ様に美智の気の大波を受け入れてしまったんだ</p><p>さてそろそろお仕置きの時間よ</p><p>ミス・コーデリアが、ニカッと微笑む</p><p>そうはさせないよ</p><p>マルゴ・スタークウェザーがゆっくりと立ち上がる</p><p>あなたの前には、まだあたしがいる</p><p>マルゴさんも心月のダメージを受けている</p><p>身体は、小刻みに震えている</p><p>両手の棍棒も床に落としてしまっている</p><p>それでも、マルゴさんは闘志を露わにして</p><p>ミス・コーデリアの前に、ファイティング・ポーズをとる</p><p>さすがねそうじゃないと、面白く無いわ</p><p>ミス・コーデリアの言葉に、マルゴさんは</p><p>このまま無様にやられたら、恭子さんに会わせる顔が無いからね</p><p>あなたの口からキョーコの名前は聞きたくないわ</p><p>ミス・コーデリアは、あからさまに不快な表情をする</p><p>二度と、そんなことは言えない身体にしてあげる</p><p>すわっ</p><p>ミス・コーデリアは、風に舞う羽のようにマルゴさんを襲う</p><p>さぁいっふっはぁぁ</p><p>マルゴさんは、ミス・コーデリアの攻撃を避けずに腕の防具で、受け流す</p><p>思い切りがいいのねっ</p><p>今できることを精一杯やっているだけだよ</p><p>現在のマルゴさんには、俊敏に敵の攻撃を躱すことはできない</p><p>だから、敢えてその場に踏ん張って</p><p>避けずに、受ける</p><p>すぅぅはぁぁすぅぅ</p><p>深い呼吸を繰り返しながらマルゴさんは、全身を活性化させようとしている</p><p>ふーん、カラテの廻し受けねそれもキョーコの教え</p><p>そうさ</p><p>なるほどあなたの素質は認めるわこのまま、成長したらかなりの闘士なれるかもしれない</p><p>ここで殺しちゃうのが、もったいないわよね</p><p>ミス・コーデリアの攻撃が、さらにスピードアップして繰り出さられるッ</p><p>はぁぁッッ</p><p>マルゴさんは、敵の素早い攻撃を集中して全て捌いていく</p><p>はんっいつまで保つのかしら</p><p>一発でも有効打を打ち込まれたら</p><p>マルゴさんのピンチだ</p><p>美智オレの眼を見ろ</p><p>オレは、美智に言う</p><p>えっと確か</p><p>美智と、呼吸を合わせるんだっけ</p><p>呼吸を重ねて鼓動も同じにする</p><p>美智の声は、弱々しい</p><p>それでも、綺麗な瞳でオレを見上げる</p><p>オレの心とお前の心を繋げるんだ</p><p>気を放つ技は、心月を会得したことで偶然できるようになった派生技で</p><p>本来の心月とは違う</p><p>オレの心の中にお前の心の中の澱みを流し込むんだ</p><p>オレは、お前のどんな苦しみも分かち合うぞ</p><p>一生、一緒に居るんだからなオレたちッ</p><p>美智の瞳から、ぽろりと涙の粒が零れる</p><p>真珠の様な美しい水滴</p><p>ご主人様好き、好き大好き</p><p>オレは美智に、そっとキスをする</p><p>美智の呼吸と鼓動が落ち着いてくる</p><p>そのリズムとビートにオレは、同調《シンクロ》する</p><p>来い、美智</p><p>はいっご主人様っ</p><p>どぉぷっとミス・コーデリアの黒い邪念が、オレの中に流れ込んでくる</p><p>胃の中が逆流する</p><p>頭が痛い</p><p>だが、拒絶せずに受けとめる</p><p>ご主人様、大丈夫ですか</p><p>美智の方は険しかった表情が、少し楽になっている</p><p>邪念の全てをオレに流し込めたわけでは無いだろうが</p><p>それでも、身体の震えは止まっている</p><p>気にするなオレは男だこれぐらい、耐えてみせる</p><p>愛していますっわたくしのご主人様っ</p><p>美智は、オレに頬ずりした</p><p>行け、美智マルゴさんが、ピンチなんだっ</p><p>身体に変調が背筋にソゾッとくる</p><p>ミス・コーデリアの邪念の波動が、オレの内臓をジワジワと蝕む</p><p>身体に力が入らない</p><p>行きますここで、お待ち下さいご主人様</p><p>今度は美智の方から、オレにキスしてくれた</p><p>オレの身体を静かに床に横たわらせて</p><p>少女戦士がスッと、立ち上がる</p><p>黒森工藤流工藤美智、参るッッ</p><p>そして戦線に復帰する</p><p>オレは、コンクリートの床に転がったまま美智の姿を見上げていた</p><p>あんた、平気なの</p><p>寧さんと雪乃がオレに寄り添ってくれる</p><p>はぁぁッッレッド・ビュートッッ</p><p>赤いムチがミス・コーデリアを襲う</p><p>サッと、マルゴさんから離れて距離を取る、ミス・コーデリア</p><p>へえお嬢ちゃんには、飛びきり濃い念を叩き込んであげたのに</p><p>マルゴさんは、ニコッと美智に微笑む</p><p>さあこれで２対１だよミス・コーデリア</p><p>マルゴさんと美智でコンビネーションを組む</p><p>馬鹿ねえ３対２でしょ</p><p>ミス・コーデリアは、くくっと笑った</p><p>あたしの遊びは、もういいわもう、フィニッシュと行きましょう</p><p>とミス・コーデリアの両脇に、白い影がススッと現れる</p><p>この２人も、健在だったのか</p><p>まずは、２人の部下が襲いかかる</p><p>美智に襲いかかった白いロザリンドの攻撃は、早過ぎる</p><p>予備動作の必要なムチでは対抗できない</p><p>美智は、ムチを捨て身軽になる</p><p>工藤流の教えに従って、白いロザリンドの攻めの気を反らし、流していく</p><p>しかし美智は、防具は付けていない</p><p>些細なミスが、即、敗北に繋がる</p><p>一方、マルゴさんはまだ身体が回復していないようだ</p><p>白いヴァイオラの攻撃は、全て両手・両脚のプロテクターで受けている</p><p>何とか対応できてはいるが削られているという印象は、いなめない</p><p>はい、ストップ</p><p>ミス・コーデリアが、２人の部下に指示を出す</p><p>ススッと後退する白い女たち</p><p>こうやって正面からぶつかり合うっていのも、何か違うわよね</p><p>ミス・コーデリアは、言った</p><p>あたしは、あなたたちを蹂躙したいのよ圧倒的な力で、嬲ってやりたいの屈辱と絶望で、あなたたちを満たしてあげたいのよ這いつくばって泣きながらあたしに許しを乞うあなたたちを、思い切り踏みにじりたいのこんな、闘いはあたしの意に反しているわ</p><p>何をするつもりなんだ</p><p>あたしね、あなたたちのことはかなり調べ上げたのよ残念ながら、クロモリ・ミナホのデーターは、アメリカからじゃ充分には得られなかったけれどマルゴ・スタークウェザーあなたのことは、よーく知っているのよ</p><p>ミス・コーデリアは、テーブルの上の谷沢チーフの端末機を取り上げる</p><p>スイッチを操作するとこのフロアの壁に、プロジェクターによる巨大な映像が浮かび上がる</p><p>あたしの持って来たメモリーと繋ぐわはい</p><p>壁一面に浮かび上がる一枚の写真</p><p>これって、マルちゃん</p><p>寧さんが呟いた</p><p>それは１人の少女の、写真</p><p>身長を測るラインの引かれたボードの前に立つ１２歳ぐらいの少女</p><p>真正面からの写真と、真横からの写真</p><p>これって警察で撮られた写真じゃ</p><p>マルゴ・スタークウェザーインディアン居留地で生まれたが、生来の金髪碧眼で他のインディアンたちからは不当な差別を受けながら成長する１２歳で、複数の男たちに輪姦され男たちの１人が持っていた銃で、自分を犯した相手全てを射殺する</p><p>絶望に満ちた少女の暗い顔</p><p>どう見ても正当防衛なのにも関わらず地元の警察は、インディアン居留地を馬鹿にしているから被害者であるマルゴ・スタークウェザーを第一級殺人罪容疑で逮捕１０日後にキリスト教系の団体が保護するまで、殺人犯として扱われていた</p><p>マルゴさんはジッと耐えている</p><p>自らの過去を突き付けられても</p><p>そしてこれが、マルゴ・スタークウェザーの殺した男たち</p><p>壁一面に射殺された男の顔が映る</p><p>これも、警察の検視写真か</p><p>ジェームス・スプーキー・ライドン</p><p>また、別の男の死体写真</p><p>ロドリゴ・アル・パチーノ・メンデス</p><p>また</p><p>サミェエル・ビッグダディ・ペガマガボゥ</p><p>エミリオ・エル・サント・スタークウェザー</p><p>スタークウェザーって</p><p>壁に映った写真を見てマルゴさんは震える</p><p>エミリオ・スタークウェザーは、インディアンである自分の娘が金髪碧眼で生まれたことに、どうしても納得できなかったのよね実際、コミュニティの人間たちは、エミリオを白人に妻を寝取られた男だとして、馬鹿にし続けていただから、彼は自分の男としての威厳を取り戻すために、仲間と共謀してマルゴ・スタークウェザーをレイプした</p><p>マルゴさんはお父さんにレイプされた</p><p>警察の調書によると周りの男たちに命じられて、あなたのパパが最初にあなたにのしかかったみたいじゃないあなたの証言なんだろうけれど</p><p>マルゴさんは、ガクッと地面に崩れる</p><p>プルプルと身体を震わせて</p><p>もう、止めろっ止めてくれよっ</p><p>力一杯、叫んだ</p><p>こんなのマルゴさんが、可哀想だ</p><p>ミス・コーデリアは、ニタァと笑う</p><p>悪魔の様に</p><p>事実は事実よマルゴ・スタークウェザーは、１２歳で父親たちに犯され彼女は銃で復讐を遂げた自分の父親を撃ち殺したのよ父親殺し</p><p>うわわわわわわわぁぁッッ</p><p>マルゴさんが頭を抱えて絶叫する</p><p>どうしちゃったの</p><p>雪乃が怯えて尋ねる</p><p>マルちゃんは、いつもは屈強な精神力で自分の心を制御しているけれど</p><p>ううん普段、力尽くで押さえつけている分だけ、心がパンクしちゃうとダメなんだよコントロールが利かなくなるんだよっ</p><p>オレも一度だけ見たことがある</p><p>マルゴさんの心が破裂して苦しんでいる姿を</p><p>ほーら、見なさいマルゴ・スタークウェザーあなたの殺したパパの顔をふはははははっ</p><p>ミス・コーデリアは、高笑いする</p><p>２人の白い女も一緒に笑った</p><p>ウウウウッ</p><p>マルゴさんが吐く</p><p>それほど辛いんだ</p><p>ううううっMAMAHelp　Meあああああっ</p><p>髪の毛をグシャグシャに掻きむしりながら、地面にのたうち回る</p><p>マルゴさんの心がこのままでは危うい</p><p>あの時は</p><p>どうやって、マルゴさんを落ち着かせたんだっけ</p><p>寧さんが叫ぶ</p><p>そうだ、あの時はミナホ姉さんがマルゴさんをMARGUERITEと呼んで</p><p>それで、マルゴさんの心を繫ぎとめた</p><p>MARGUERITE</p><p>ううう、うがぁぁッッ</p><p>マルゴさんは、なおも苦しんでいる</p><p>あたしじゃダメだマルちゃんのママ役は</p><p>ミナホ姉さんじゃないとダメなのか</p><p>ミナホ姉さんは、今、どこに居るんだ</p><p>さあ、早く出て来なさいクロモリ・ミナホ</p><p>ミス・コーデリアが叫ぶ</p><p>みんな、まとめてブチ殺してあげるからうふふふふ</p><p>ちくしょうそれが狙いか</p><p>ミス・コーデリアは、ミナホ姉さんでないとマルゴさんの心を安定させられないことまで知っているんだ</p><p>それでミナホ姉さんを誘き出すために、こんな酷いことを</p><p>あなたの可愛い子猫ちゃんが苦しんでいるわよ早く来なさいっ</p><p>ダメだ、今来たら</p><p>美智しか闘える人間のいない状態では</p><p>間違いなく、全員屠られる</p><p>どうすりゃあいいんだっ</p><p>何やってんだいしっかりしなよ、マルゴ</p><p>まったく気配が無かったぞ</p><p>いつの間にかオレたちの背後に、誰か居る</p><p>コツ、コツ、コツ</p><p>その人物が倒れたままのオレの視界に入る</p><p>とても背の高い女性</p><p>いつも言っているだろう要は気の持ちようたいていのことは、気合いで何とかなるんだよッ</p><p>その女性は、黒いマントで身体を覆っていた</p><p>あこの人は、桁外れに強い</p><p>戦闘とかに関しては素人のオレでも判る</p><p>独特の雰囲気がある強者のオーラも</p><p>黒いマントで長身のその女性は</p><p>スウッと大きく息を吸い</p><p>ATTENTIONSOLDIER　MARGUERITE</p><p>気合いの籠もった裂帛で、マルゴさんを怒鳴りつける</p><p>YESCOMMANDER</p><p>マルゴさんは、ビクッと跳ね上がり大きな声で返事する</p><p>身体の震えは止まっていた</p><p>うんうん、元気があっていいねぇ</p><p>女性は、屈託の無い笑顔でニコッとマルゴさんに微笑む</p><p>つまらない過去なんか蹴散らしちまいなさあしっかり足を踏ん張って、立つんだよ</p><p>女性の言葉にマルゴさんは起き上がろうと、身体に力を込める</p><p>あんたらできるさもう一人前なんだろう、マルゴ</p><p>マルゴさんは、スッと立ち女性を見る</p><p>Thank You　COMMANDER</p><p>まだ表情は強ばっているが必死でその女性に微笑もうとしている</p><p>何言ってるんだいあんたちあたしの仲だろ</p><p>女性はニコッと微笑んでいる</p><p>この人は誰なんだ</p><p>そうクロモリ・ミナホじゃなくって、あなたが出て来たのね</p><p>ミス・コーデリアは、ギロッと彼女を見た</p><p>とても、残念そうな顔で</p><p>まあね大丈夫礼儀は、ちゃんと弁えているつもりだよッ</p><p>黒いマントを、バサッと投げ捨てる</p><p>彼女は真っ赤なタキシードを着ている</p><p>麗華よりも、男装がビシッと似合うその女性は</p><p>春の陽気に誘われて颯爽登場キョーコ・メッサー</p><p>こ、この人が恭子さん</p><p>本名、恭子・ドスノメッキー日系ブラジル人マルゴさんの師匠</p><p>世界的に有名な、裏社会の住人</p><p>その裏世界での通り名がキョーコ・メッサー</p><p>さあ、揚げていくよッッ</p><p>恭子さんの最初のコンセプトは、女波嵐万丈なので</p><p>赤いタキシードでないと、ダメですよね</p><p>味方のピンチに合わせて、遅れてやってくるところも仕様です</p><p>333．抱擁する女</p><p>キョーコ、久しぶりね</p><p>ミス・コーデリアが、恭子さんを見る</p><p>ホントだねあたしは、あなたは死んだって聞かされてたんだよ</p><p>恭子さんは、爽やかな笑顔でそう答える</p><p>死んだ方がマシだと思うような、地獄を見てきたわお陰様で</p><p>ミス・コーデリアの顔は暗い</p><p>でも、良かったじゃないか生きていたからこそこうやって、また会えたんだからさ</p><p>余りにも朗らかな恭子さんの様子にミス・コーデリアは、明らかに困惑している</p><p>頑張ったねぇ、マルゴ良くやったよ</p><p>恭子さんが、マルゴさんをギュッと抱き締める姿を見て</p><p>ミス・コーデリアの表情は、強ばる</p><p>改めて、恭子さんを敵と認識して、ギッと睨み付ける</p><p>よしよし偉いぞっ</p><p>ありがとう恭子さん</p><p>マルゴさんも、ガシッと恭子さんを抱き締める</p><p>寧も頑張った強くなったね</p><p>恭子さんは、マルゴさんから離れて寧さんもギュッと抱き締める</p><p>うん恭子さん</p><p>寧さんも、嬉しそうに抱き締め返す</p><p>お嬢さんは誰だか判らないけれどとにかく頑張ってたから、抱き締めてあげるっ</p><p>恭子さんは何でだか、雪乃のことも抱き締める</p><p>雪乃は当惑しているがこんな強そうな雰囲気の人に、ガバッと抱き締められたら逃げられるものではない</p><p>ええという顔をしながら、抱き締められている</p><p>お嬢ちゃんも、頑張ってたね偉いよ</p><p>次に恭子さんは、美智も抱き締める</p><p>美智は、黙って恭子さんに抱き締められる</p><p>つていうか</p><p>恭子さんて、とんでもなくハグ好き</p><p>もう、眼の前のミス・コーデリアとかを無視して順番にオレたちをハグしていく</p><p>そっちのお兄ちゃんも、頑張っていたけれどごめんねあたし、レズだから抱き締めてはあげないよっ</p><p>恭子さんは、ニコッと笑って床にブッ倒れているオレに言った</p><p>あんたの活躍は、マルゴから聞いて知っているよあたしとしては、色々と複雑な思いもあるんだけれど歓迎するよッ家族《ファミリー》の一員としてね</p><p>オレを認めてくれた</p><p>それから恭子さんは、ようやく心月のショックから抜け出して起き上がろうとしている関さんと麗華を見て</p><p>お姉さんたちも、頑張ったうんハグしてあげるハグハグ</p><p>関さんと麗華も、順番にハグする</p><p>な、何なんだこれ</p><p>体格の良い恭子さんが、長身の関さんをハグすると</p><p>まるで大型犬を抱擁している飼い主みたいに見える</p><p>どうやって、ここまで潜入して来たのホテル内の監視網には、何も引っ掛からなかったのに</p><p>いつまでも、こんな光景を見ていられないとミス・コーデリアが、恭子さんに尋ねる</p><p>ミス・コーデリアは、谷沢チーフから監視システムへのアクセスを許されていた</p><p>もちろん、地下の秘密の緊急避難室など一部のデーターは秘匿しているのだろうけれど</p><p>それでもホテルの１階フロアや侵入口などは、完璧にチェックしていたのだろう</p><p>もちろんあなたたちに見つからないように、こっそり忍び込んだのさッ</p><p>麗華を抱き締めたまま、ニィッと無邪気に微笑む恭子さん</p><p>おっお姉さん、良い筋肉をしているねっ抱き心地が最高だよっ</p><p>恭子さんは麗華の身体を撫でながら、そう言った</p><p>そんな撫で回さないで下さい</p><p>困惑している、麗華</p><p>まあまあ、減るもんじゃなしいいじゃないっ、いいじゃないっ</p><p>恭子さんは、さわさわっと麗華の肉付きを堪能している</p><p>こっそり忍び込んだって</p><p>ミス・コーデリアは、サッと白い女のヴァイオラを見る</p><p>彼女はそんなはずはないと言わんばかりに、首を横に振る</p><p>不可能よあたしたちは、ミスター・ヤザワに気付かれないように、ホテルの周囲に複数の監視員を置いてきたわ入り口は、全て見晴らせているの誰かがホテル内に侵入して来るようなら、即、連絡が来ることになっているしもし、あなたが監視員を倒しても判る様に、監視員全員に３分ごとにアラームの解除スイッチを押さなければならない警報装置を持たせてあったのに</p><p>そうか、そういう機械を持たせておけば不意に、恭子さんの攻撃を受けて失神してしまっても</p><p>３分後にアラーム解除スイッチが押されないことで、ミス・コーデリアたちに警報が発せられる</p><p>そういう機械をあらかじめ用意していたのはミス・コーデリアが、恭子さんの襲来をあらかじめ想定していたからか</p><p>ああ、そう言えば随分、ヤブ蚊が多かったね別に誰も、ブッ倒たりはしていないよあんたの手下は、みんな元気だろうと思うよそういうのは、体力の無駄遣いだからね</p><p>ミス・コーデリアは、ハッとして</p><p>まだテーブルに突っ伏して倒れたままの、谷沢チーフを見る</p><p>もしかしてあなた、ミスター・ヤザワとグルなの２人で、あたしを陥れようとしているの</p><p>恭子さんは、麗華のお尻をプニプニと揉みながらガハハハと笑う</p><p>冗談そりゃ、谷沢のオッチャンとは旧知の仲だけどさ毎年、クリスマスカードくらいは出すしねでも、こうやって会うのは一年ぶりくらいかな全然連絡を取り合っていないよ</p><p>では、どうやって</p><p>ミス・コーデリアは、キッと恭子さんを見る</p><p>簡単だよあんたたちが見張っていない方から来たんだっ</p><p>恭子さんは、ケロッとした顔で答える</p><p>海側からホテルの敷地に侵入してホテルの外壁を、素登りで屋上まで登って、屋上から通気ダクトを伝わってここまで来たそんだけのことだよっ</p><p>この高層ホテルを素手で屋上まで、壁面を登って来たぁぁ</p><p>そんなことをしていたら体力が保たないって、マルゴさんは言っていたけれど</p><p>いつも言っているでしょう他人がまさかそんなことはしないだろうって考えることを、敢えてやるんだよっ</p><p>この人何ていう体力だ</p><p>間違いなく、化け物だ</p><p>馬鹿な例え、屋上まで上れたとしても、このホテルのダクトに人間が通り抜けられるスペースなんてあるはずが</p><p>驚愕する、ミス・コーデリア</p><p>あたしが何のために、ヨガの秘法をマスターしたと思っているのっ</p><p>恭子さんは、ぐふふと笑う</p><p>まそれだけじゃないけれどね種明かしをすると、このホテルの設計には、あたしも関わっているからね屋上からダクトを伝わって各階に通じるルートを、１本だけ作ってあるんだよっもっともあたしじゃないと通れない箇所がいっぱいあるけれどねっ</p><p>立体迷路になっている通気ダクト完璧に把握している</p><p>いや、この人ならそれぐらいのことはできるだろう</p><p>ただ、予想外なことがあって中華レストランの上のダクトの中が油でベットベトだったんだよねそれで、着替えてシャワー浴びて来たから、遅くなっちゃったああ、ダクトのルートの途中に、あたし専用の控え室もあるのよ</p><p>そこで赤いタキシードに着替えてきたのか</p><p>これで薔薇の花束も持てば完璧だったのにね次の時には、用意して置くわっ</p><p>発想、実行能力、身体、体力、服装のセンスまで全てが規格外だ</p><p>何て、心も身体もでかい女なんだ</p><p>そうとしか言えない</p><p>とっころでさあ、コーデリア</p><p>恭子さんは、ぬふふふと微笑んで白い女のヴァイオラの方へ近寄って行く</p><p>この子たちはあなたの、今の子猫ちゃんたち</p><p>そうよあたしのLOVERSよ</p><p>ふーん、相変わらず良い趣味しているわね</p><p>そう言うと、恭子さんは白い女のヴァイオラまで、ガシッと抱き締める</p><p>そのスピードと威圧感に女のヴァイオラは、動けなかった</p><p>ビクッと固まったまま恭子さんに撫で回されている</p><p>どー、どー、どーそんなに緊張しなくていいからあら、こっちも鍛え上げられた良い筋肉ねうーんっ可愛いぞおっ</p><p>続いて、白いロザリンドも抱き締めに行く</p><p>こっちもなかなか良いわぁこれも良いなぁ可愛い可愛いぞおっ、お前コーデリア、あんたやっぱり見る眼があるわとっても良い子猫ちゃんたちじゃない</p><p>ミス・コーデリアは、ブスッとした表情で</p><p>褒めていただいてありがとうでもキョーコのLOVERSだって、なかなかの逸材じゃない</p><p>恭子さんは、ロザリンドを撫で回しながらへという顔をする</p><p>しらばくれても無駄よクロモリ・ミナホとマルゴ・スタークウェザー、それからナジマ・ヤスコのことよ</p><p>ミス・コーデリアはミナホ姉さんたちを恭子さんのレズ相手だと思っている</p><p>馬鹿なこと言わないでよあの子たちはさ</p><p>マルゴさんが開け放しにしていたままのドアから</p><p>疾風が飛び出して来る</p><p>恭子さんを目掛けて、斬り付ける</p><p>イーディあなた、今までどこに</p><p>驚くミス・コーデリア</p><p>うはははつこりゃまた元気の良い子が出てきたわねっ</p><p>恭子さんは、無言で打ち込まれるシスター・イーディのナイフを華麗なフットワークで躱す</p><p>シスター・イーディ、どうして</p><p>シスター・イーディは、オレたちと恭子さんの関係を知らない</p><p>白いヴァイオラたちをハグする姿を見て、敵だと認識したのか</p><p>ハグなら、美智たちにもしていたしな</p><p>血が燃えちゃったんだね</p><p>寧さんが、呟いた</p><p>恭子さんみたいな、もの凄く強そうな人が現れたからイーディの中の闘争心に火が付いちゃったんだと思う</p><p>そうだった、この子は</p><p>美智の心月を見てそれだけでミス・コーデリアたちを見限って、美智の友達になりに来た子だ</p><p>通常の理屈は通じない子だ</p><p>ミス・コーデリアやミッちゃんでは闘いたいとまでは感じなかったんだろうけれど恭子さんのオーラは底なしだから、闘わないといけないっていうスイッチが入っちゃったんだと思うよ</p><p>結局、シスター・イーディは独自の判断基準で生きている子だから</p><p>闘うこと、強くなることにしか興味の無い子だから</p><p>オレたちの切り札には、最初から成り得ない子だったんだ</p><p>ふっふーんっこれは、暗殺術の系統の技だねっなかなか良く鍛錬しているみたいだけれどまだまだだねっ</p><p>恭子さんは笑いながら、シスター・イーディの相手をしている</p><p>シスター・イーディの連続攻撃の息が切れてきた瞬間に、サスッと足払いをする</p><p>コロンと転げるシスター・イーディ</p><p>恭子さんは、英語で何か言った</p><p>もうおしまいなの、ヒヨッコちゃんって、言ってるよ</p><p>シスター・イーディは、ムッとした顔をすると</p><p>スタスタと美智の前に歩いてくる</p><p>それからもの凄い早口の英語で、美智に話し始めた</p><p>オレにはシンクロナイズって言う単語くらいしか、聞き取れない</p><p>うんとね２人で協力して、あいつをやっつけようみたいなことを言っているよ</p><p>シスター・イーディにとって、もう美智は無二の親友らしい</p><p>何か、イーディがお祖母さんと一緒に練習していた技があって絶対に、ミッちゃんならできるから、２人で闘おうって言ってるんだと思うちょっと早口で、南部訛りの英語だから、あたしにもよく判らないんだけれど</p><p>シスター・イーディに、美智は英語で静かに答える</p><p>寧さんが、通訳を続けてくれる</p><p>確かにイーディのお祖母さんの技と同じ様なものが、工藤流にもあるって言っているよでも</p><p>美智はスッと恭子さんを見る</p><p>いいからドーンと、掛かっておいでっ</p><p>ニッコリと微笑んで、美智に言った</p><p>どうせ、その子拳を交えてみなければ、判らない子でしょ遠慮無く、思いっきりどうぞっ</p><p>スッと、構える</p><p>あたしは強いぞおっ</p><p>美智は、シスター・イーディに何か言う</p><p>ギュッと自分の拳を握りしめて見せる</p><p>闘うのなら、素手でって言っているよ</p><p>ALL RIGHT</p><p>シスター・イーディは、両手のナイフを捨てる</p><p>美智は改めて、恭子さんにペコリと一礼して</p><p>それからシスター・イーディと向き合う</p><p>シスター・イーディと呼吸と鼓動を合わせて</p><p>工藤流奥義心月崩し双月</p><p>瞬間２人の小柄な少女が、跳ねるッッ</p><p>これは完全な同調</p><p>美智に心を委ね切った、シスター・イーディ</p><p>２人は丸で１つの生き物になったように</p><p>同調して恭子さんを襲う</p><p>あっはははーんっ面白いっ面白いねぇっあんたたち</p><p>上下左右から、美智とシスター・イーディが同時に攻撃する</p><p>素早く正確で完璧な連携技だ</p><p>でも２人とも、真面目過ぎるんだよねっ動きに遊びが無いから見透かされる</p><p>ぶわんっ</p><p>恭子さんの動きは２人よりも、さらに早い</p><p>ほらっとったどぉぉぉっ</p><p>恭子さんは、右腕で美智左腕でシスター・イーディを抱きかかえるっ</p><p>可っ愛いなあもおっ</p><p>シスター・イーディは、足をバタバタさせるが</p><p>恭子さんの力強い腕にガッシリ掴まれて、動けなくなっている</p><p>長身で大柄な恭子さんは、両腕に可愛いお人形さんを抱えたような姿に見えた</p><p>ねえ、コーデリアこのアメリカ人ぽい子も、あんたの子猫ちゃんなの</p><p>恭子さんが笑って、ミス・コーデリアに尋ねる</p><p>そうするつもりよ</p><p>キッと睨む、ミス・コーデリアに美智は、恭子さんに抱えられたまま口を開く</p><p>いいえシスター・イーディは、すでにわたくしの友人です</p><p>ミス・コーデリアは、憎しみの眼で美智を見る</p><p>さすが売春組織ね無垢な女の子を、もう墜としたってわけ</p><p>そういうことではありませんシスター・イーディは、あなたではなく、わたくしたちと成長する道を選んだだけです</p><p>２人の会話に、恭子さんが割り込む</p><p>ねえ、コーデリアこの子は、あたしに預けてよ多分この子は、あんたよりもあたしの下に居た方が伸びると思うわ</p><p>あたしから、この子を取り上げるつもり</p><p>もう、さっきから何をツンツンしているのよあんたとあたししの仲でしょそれっくらいいいじゃない</p><p>恭子さんは、相変わらずニコニコしている</p><p>そして、英語でシスター・イーディに何か言った</p><p>もっと強くなりたいかって尋ねているよ</p><p>喚くように返答する、シスター・イーディ</p><p>今のままでも、私は充分強いって虚勢を張っているよ</p><p>ガハハと笑って、恭子さんがまた話す</p><p>いいや、あんたはまだまだ弱いでも、見所はあるあたしの下で修行したら、今の１００倍強くなるだって</p><p>シスター・イーディの顔が変わる</p><p>Really</p><p>当ったり前だっちゅーのっこの恭子さんを誰だと思ってるっこらっ</p><p>そしてまた、英語で話し掛ける</p><p>あんたの技は、暗殺術に特化し過ぎている相手を確実に殺すということの前に確実に生き残るということさらには、確実に自分の大切な人を護るということを、あんたは学ばないといけないだって</p><p>シスター・イーディが、寂しそうに何か言う</p><p>私にはもう、護るべき大切な人はいないって</p><p>シスター・イーディは、たった１人の肉親である祖母を亡くし</p><p>生まれ育った暗殺教団の新ボスに、売り飛ばされた</p><p>美智が何か言う</p><p>わたくしがいますよだって</p><p>恭子さんも</p><p>あんたも、うちの子になんなさいって</p><p>その優しい笑顔</p><p>あんたは、どうだか知らないけれどあたしは、もうあんたのことが大切だし、護ってあげたいって思っているよ</p><p>美智も、何か言った</p><p>わたくしもですわたくしたち、シスターじゃないですかって</p><p>恭子さんが、美智を開放しシスター・イーディだけを両腕で抱き締める</p><p>ほらっあんたも辛かったんだろよく頑張った偉いよっ</p><p>頬を擦り寄せてシスター・イーディを抱擁する</p><p>What’s your name</p><p>恭子さんは尋ねた</p><p>Edie．Edie　Sexton</p><p>OK，EdieＩ　Love　You</p><p>澄み切った青空の様な、爽やかな笑顔だった</p><p>本当に、オレたちのお姉さんなんだ</p><p>Wao</p><p>シスター・イーディは恭子さんに抱き締められているうとに、泣き出した</p><p>この子は、本当はずっと寂しかったんだ</p><p>家族を失ってからずっと</p><p>だけど、本当の感情をさらけ出せる相手が身近にいなかったから</p><p>愛していると言ってくれる人は、もういなかったから</p><p>暗殺教団も、ミス・コーデリアの組織も心に隙を作ることのできない場所だったから</p><p>それで、シスター・イーディは、闘うことだけに没頭していた</p><p>祖母から受け継いだものが暗殺術しか無かったから</p><p>しかし、今</p><p>シスター・イーディは、恭子さんに心を開いた</p><p>拳を交えること闘うこと相手の力、存在を認めること</p><p>抱き締めてあげること愛していると言ってあげること</p><p>恭子さんは、常に全身を使って、真っ正面から相手に向き合う</p><p>あたしたちのシスターになろうっていう申し出は、ただの口約束だったけれど恭子さんはいつも体当たりで力強いからイーディは、これで本当にあたしたちの仲間になったね</p><p>そのまま、英語でシスター・イーディに何か言う</p><p>多分、ようこそ家族《ファミリー》へみたいな事なんだろう</p><p>変わらないのね、あなた</p><p>ミス・コーデリアが、恭子さんに言った</p><p>当たり前だろ人間の性格は、そんなにコロコロと変わったりはしないさ</p><p>恭子さんは、そう答える</p><p>それならどうして、あたしを裏切ったのよ</p><p>ジッと見つめるミス・コーデリアに</p><p>あたしは、あんたを裏切ったりはしないよ</p><p>嘘よだって</p><p>ミス・コーデリアの言葉を制して、恭子さんは言う</p><p>最初に言ったろあたしは、あんたは死んだって聞かされていたんだ</p><p>あんたはあたしが、あんたを裏切ったって聞かされたんだろ</p><p>そ、そうよっ</p><p>ミス・コーデリアは答える</p><p>誰にそう聞かされた</p><p>評議会のエルネスト・ホークよ</p><p>あたしもさエルネストが、アフリカの作戦であんたは死んだってあたしに言ったんだ</p><p>あいつあの頃、あたしたちが組んでいたのを表向きにはサポートしてくれていたけれど、内心では嫌がっていたんだろうねあたしたちは、あいつとは違って良心的な値段で仕事に応じるから</p><p>その男が恭子さんとミス・コーデリアのコンビを引き裂いた</p><p>そう言われれば思い当たることもあるわでも</p><p>ミス・コーデリアは、ギッと恭子さんを見る</p><p>だからって、どうして日本なんて地球の裏側に行ったのよその上、売春宿の警護員なんてあなたに相応しい仕事じゃ無いわっ</p><p>日本は、祖父母の故郷だからね先祖の墓参りをしに来たのさ死んだ祖父さんの遺言でねその時に、とある人から香月老人を紹介されてねしばらく、日本に腰を下ろすことにしたのさ</p><p>フッと笑う</p><p>あんたは、勘違いしているよあたしがやっているのは、売春宿のガードマンだけじゃないあたしは黒い森《ブラック・フォレスト》という組織の運営そのものに関わってきたんだ監査役としてね</p><p>どうしてあなたみたいな闘士が、そんな仕事を</p><p>あたしでないとできない仕事だったからさ野蛮で卑怯で恥知らずな男から、騙されて地獄に墜ちた可哀想な女の子たちを護るために</p><p>恭子さんは白坂創介が、黒い森の娼館を己の欲望のままにメチャクチャにしてしまった後ジッちゃんによって、送り込まれた</p><p>恭子さんが居ることで、白坂創介はもう暴力的な手段で娼婦たちを脅すことはできなくなった</p><p>それがミナホ姉さんの娼館の改革の後ろ盾になったのだろう</p><p>もちろん娼館の経営なんて、あたしには判らないことだらけなんだけどね</p><p>うんミナホ姉さんの才覚と、昔からの番頭だった森下さんの経営能力、恭子さんの圧倒的な戦闘力３つが合わさって、横暴な白坂創介の力を少しずつ削いでいったんだ</p><p>ゆっくりと、時間を掛けて</p><p>その集大成が今の白坂創介への復讐計画</p><p>ミス・コーデリアは、もう余裕のある態度は示さなかった</p><p>まるで、１人の恋する少女に戻ったように</p><p>恭子さんに、己の感情を叩き付ける</p><p>あなた娼館の仲に、自分のハーレムを作っていたんでしょ</p><p>恭子さんは苦笑する</p><p>クロモリ・ミナホも、マルゴ・スタークウェザーも、ナジマ・ヤスコもみんなみんな、あなたのLOVERSなんでしょ</p><p>コーデリアそれ、誰に聞いたの</p><p>その瞬間、コーデリアはハッとする</p><p>恭子さんは、スッとシスター・イーディを床に下ろした</p><p>ちょっと、預かっていて</p><p>美智が、恭子さんの代わりに泣いているシスター・イーディを抱き締める</p><p>御名穂も、マルゴも、寧もあたしの子猫ちゃんじゃないよ</p><p>嘘よそんなの</p><p>だってみんな若くて、綺麗で、可愛い子ばかりじゃない</p><p>残念だけれどこの子らはみんなレズじゃないんだ</p><p>恭子さんは、ゆっくりとミス・コーデリアに近付いていく</p><p>ちょっと来ないで</p><p>あの子たちは、みんなあたしの大切な家族《ファミリー》さ</p><p>恭子さんは、歩みを止めない</p><p>あんたを失ってあたしは、寂しかったそんな時、あの子らに出会ったんだ</p><p>あの子らも、みんな心に傷を負っていたみんな家族を亡くしていただから、思ったんだよ寂しいあたしたちが寄り添って新しい家族を作ろうって</p><p>それが新生黒い森《ブラック・フォレスト》の始まり</p><p>コーデリアあたしはね</p><p>恭子さんが大きく手を広げて、ミス・コーデリアの前へと進む</p><p>あんたほど、心の底から愛した女はいないよ</p><p>恭子さんは、格好は女ハラン・バンジョーですが</p><p>物の考え方は、限りなくフジオカ・ヒロシで</p><p>女の子に対する態度は、動物を見た時のムツゴロー先生です</p><p>で、強さはオーガと</p><p>334．謎解き　（その１）</p><p>本当に良かったあんたが生きていてくれてありがとう</p><p>恭子さんが力強くミス・コーデリアを抱き締める</p><p>嘘よあたしのことなんて、とっくに忘れてしまっていたんでしょうあなたが、LOVERS無しでいられるはずがないもの</p><p>ミス・コーデリアは、恭子さんに言う</p><p>嘘なんか言わないよあんたが死んだと聞かされたからあたしは、誰とも寝ていない</p><p>爽やかに微笑む、恭子さん</p><p>ミス・コーデリアは、マルゴさんや寧さんに振り向き</p><p>あんな子たちを囲っていて</p><p>だから言ったでしょあの子たちは、あたしの家族《ファミリィ》で妹分《シスター》なのだいたい、あの子たちレズじゃないし</p><p>寧さんが、倒れているオレを抱き起こし</p><p>はーいあたし、レズじゃないですっこっちの方が良いですっ</p><p>あたしも、レズじゃないよ</p><p>まだ精神にダメージの残っているマルゴさんは、ハァハァと息をしながら答えた</p><p>そんなわけないでしょあなたが一番、レズっぽい顔をしているわよっマルゴ・スタークウェザー</p><p>ミス・コーデリアが、執拗にマルゴさんを苦しめたのは</p><p>恭子さんのレズ相手だと思っていたからか</p><p>マルゴは、男も女も関係無く性的なことはダメなんだよ昔のことがトラウマになっちゃっているから</p><p>だって売春宿の女が、そんなことでやっていけるはずがないわ</p><p>ミス・コーデリアは、恭子さんの言葉に納得できないでいる</p><p>いいやそういう性質の女の子だから、娼館の中で宦官としての役割を果たしていたんだよ男に興味のある子なら、他の子の商売敵になるし娼婦は、そういうことをとても気にするからねでも、マルゴは男に興味がないことは、みんな知っているから女のおかしな嫉妬には巻き込まれないそのうえ、レズッ子の誘いにも乗らないからね娼館の警護役は、誰にでも公平な立場でいないといけないから適役なんだよ</p><p>恭子さんは、答えた</p><p>あたしが黒い森の女の子に手を出さなかったのも、同じ理由幹部が特定の子猫ちゃんを作ると、娼館内のバランスを崩すからねただでさえ、男に騙されて墜とされてきた可哀想な子たちばかりなのにそういう女の子たち同士がつまらないことで憎しみ合うのは、悲しすぎるから</p><p>キョーコ</p><p>あたしやあんたには人並み外れた武力があったから良かったけれどもし、あたしが闘う力を持っていなかったらやっぱり、娼婦に堕ちていたと思うあたしが生まれ育った環境ではね子供の頃、あたしが育ったリオのスラム街は、娼婦のお姉さんで一杯だったしあの安っぽい香水の匂いを思い出すんだよいつもだから、あたしは黒い森の女の子たちの力になってあげたいと思ったんだあの子たちの心を地獄から救い出すのは無理かもしれなくてもせめて、力になってあげたいって</p><p>それが恭子さんの本心</p><p>クロモリ・ミナホは彼女は、あなたの何なの</p><p>ミス・コーデリアは、尋ねる</p><p>あんたも調査して知っているだろうけれど御名穂は、元娼婦なんだでも、男たちに身体をメチャクチャにされてもう2度とセックスできない身体になっている最初に会った時のあの子は、酷く痩せていて絶望の眼をしていたあの子の妹も娼婦に堕とされて死んだんだよ</p><p>ミナホ姉さんの妹奈生実さん</p><p>白坂創介たちに身体を玩ばれて玩具にされて、殺された</p><p>あたし御名穂を助けてあげたくてねあの子の心を救ってあげたくてそれで、あの子に娼婦たちの待遇改善の計画を作らせてそれから、あの子自身と亡くなった妹のための復讐計画を考えさせた何だっていいそれが、今を生きていくための起爆剤になってくれれば</p><p>ミナホ姉さんに、白坂創介への復讐を決意させたのは恭子さんだったのか</p><p>その瞬間オレには、様々なものが見えてきた</p><p>ミナホ姉さんだけじゃない</p><p>マルゴさんの普段の冷静さは自分の心の不安定さを、何としても制御しようという強い意志からなんだろう</p><p>12歳で輪姦され、父親を含む暴漢たちを射殺してしまったマルゴさんの心を救うには強い克己心を育てるしかない</p><p>彼女がそうできる様に指導したのは恭子さんだ</p><p>マルゴさんが、恭子さんのたった一言で混迷から正気に戻れたのは</p><p>恭子さんが、今までに何度も何度もマルゴさんの心を救って来たからだろう</p><p>時間と手間を掛けて</p><p>その積み重ねが心と心を繋ぐ強い絆になっているんだ</p><p>気弱で繊細すぎる奈島寧子《ナジマ・ヤスコ》の心を覆い被すように、明るくてあっけらかんとした奈島寧《ナトウ・ネイ》の人格を作っている</p><p>寧《ネイ》の明るい人格が寧子《ヤスコ》の心を救っている</p><p>この寧さんという人格は</p><p>恭子さん、そっくりじゃないか</p><p>いつも明るくて、おどけていて、ひょうきんで強くて、優しいお姉さん</p><p>多分奈島寧子《ナジマ・ヤスコ》は、恭子さんみたいな女性になりたかったんだ</p><p>弟さんを失って失意のどん底にいた寧子は</p><p>だから恭子さんをモデルに、自分の新しい人格を作った</p><p>恭子さんもいや、ミナホ姉さんやマルゴさんたちも、寧さんの人格造りに協力したんだろう</p><p>寧子のままでは心が砕けたまま、息絶えてしまうから</p><p>骨折のした場所にギブスをはめる様に寧という新人格で覆って、内側の心が癒えるのを待っているんだ</p><p>恭子さんという強力な姉がずっと側に居て、的確な指導を続けてくれたから今のマルゴさんと寧さんがいる</p><p>ミナホ姉さんも、恭子さんの影響下で強い女になれた</p><p>みんなの一番の姉黒い森の最も太い精神的な支柱なんだ、恭子さんは</p><p>そう判った瞬間オレは、ゾッとした</p><p>そんな大切な人が今まで、ずっと不在だった</p><p>白坂創介という名家の一族で、社会的な地位もある人間をオーストラリアで誘拐し、しかも、警察や白坂家の派遣した追っ手から逃げ続けるというのは</p><p>本当に危険で大変な仕事だったんだ</p><p>恭子さんでなければ、任せられないくらい</p><p>だから、ミナホ姉さんは日本での復讐は、恭子さん抜きでやらなくてはならなかった</p><p>オレたち本当に厳しい状態に居たんだ</p><p>ずっと</p><p>どう、コーデリアあんたと別れてからのあたしのこと、判ってくれた</p><p>恭子さんは、穏やかな眼でミス・コーデリアを見る</p><p>判ったわ信じる</p><p>小さな声で、ミス・コーデリアは答えた</p><p>評議会のエルネスト・ホークにお仕置きしてやんないとね</p><p>そうね３倍返しにしてやるわ</p><p>愛しているよコーデリアこれまでもこれからも</p><p>あたしだってキョーコ</p><p>LOVERSが数年ぶりのキスを交わす</p><p>それは、それとして</p><p>恭子さんは、ミス・コーデリアの身体をヒョイと持ち上げる</p><p>あたしの妹たちをイジメた分はきっちりとお仕置きするよっ</p><p>恭子さんは、ミス・コーデリアを担ぎ上げそのお尻をオレたちに向ける</p><p>お尻叩き、２０発だっ</p><p>止めてぇぇキョーコお尻は止めてぇぇ</p><p>ほーら、一発目</p><p>恭子さんの尻叩きは強烈だった</p><p>大相撲の横綱の本気の張り手みたいなパワーだった</p><p>一発、引っぱたく度に、ミス・コーデリアはきゃあああんっと悲鳴を上げるが</p><p>恭子さんは、ニコニコと笑ったまま尻叩きを続ける</p><p>２０発叩き終わった時は、ミス・コーデリアはもう腰が抜けて、ヘロヘロになっていた</p><p>はい、これでおしまいっマルゴ、寧、それから他の子たちもこれで勘弁してあげてくれる</p><p>恭子さんに任せるよ、全て</p><p>寧さんは、オレを見て</p><p>いいよね、ヨッちゃん</p><p>これで、ミス・コーデリアの脅威がなくなるのなら、何でもいい</p><p>寧さんにうんと頷く</p><p>ごめんねこの子のあたしに対する執着から、みんなに迷惑を掛けたみたいで</p><p>恭子さんは、自分が叩いたミス・コーデリアのお尻を優しく撫で撫でしながら、オレたちに言った</p><p>いいんです恭子さん、来てくれたから</p><p>そうそう恭子さんが来てくれるって、信じていたよっあたしたち</p><p>マルゴさんと寧さんは、そう言って微笑む</p><p>もうあんたたちは、もっとあたしから自立しなさいっていうか助けに来ちゃうあたしも過保護なんだけれど今回は仕方ないよねコーデリアが出張ってきちゃったんだからシザーリオ・ヴァイオラとロレンザッチョ・バンディーニだけなら、あんたたちに任せて、あたしは静観していたんだろうけど</p><p>本当に、面倒見が良い人なんだな</p><p>ねえ、あんたはどう思うコーデリア</p><p>恭子さんは、まだ担ぎ上げたままのミス・コーデリアに尋ねた</p><p>彼女は</p><p>キョーコ、もっと</p><p>もっと、お尻ペシペシしてぇぇ</p><p>ミス・コーデリアは、もうずっと前から恭子さんにメロメロな様だった</p><p>寧さんが、オレに声を掛けてくれる</p><p>はい、もう平気です</p><p>心月のショックも美智から引き受けた邪念も、大分、霧のように拡散してくれている</p><p>オレは、ゆっくりと身体を起こす</p><p>まだ違和感はあるけれどどうにかなりそうだ</p><p>美智平気か</p><p>はい、ありがとうございますご主人様わたくしは大丈夫ですシスター・イーディが、ちょっと落ち込んでいますが</p><p>褐色の肌に金髪碧眼の美少女は元気が無い</p><p>あの方の強さは別格なんだと、今、説得しているところです</p><p>うんシスター・イーディは、ずっと暗殺教団の中に居て</p><p>自分のお祖母さん以上に強い人には会ってきていないものな</p><p>ミス・コーデリアたちですら、シスター・イーディには強く感じなかったみたいだし</p><p>恭子さんが、シスター・イーディに何か言っている</p><p>あたしが稽古を付けてやるあたしを倒せるぐらい強くなりなって言っているよ</p><p>寧さんが、即、通訳してくれた</p><p>シスター・イーディの眼が爛々と輝く</p><p>早口で、ワーワーと騒ぐ</p><p>望むところだ早く強くなって、ブッ倒してやるですって</p><p>この子は</p><p>どうにか闘い以外のことにも、興味を持つようにしないといけないな</p><p>マルちゃん、どう</p><p>心配そうに、寧さんが尋ねた</p><p>前に精神がオーバーヒートしてしまった時は</p><p>ミナホ姉さんが一晩ずっと付き添って、ようやく普段のマルゴさんに戻ったのに</p><p>ふふっ大丈夫心も身体もグチャグチャになっているけれど何とか自分をキープしていられるから</p><p>まだ青い顔のままマルゴさんは、答えた</p><p>恭子さんに軍事作戦に送り込まれた時のことを思い出したよあれも、恭子さんからしたら、あたしのリハビリの一環だったんだね戦場じゃ、パニックを引き起こしたら生き残れないからあたし１人ならいいけれど周りの兵士に迷惑が掛かるしだから、絶対にパニックにならないって気を引き締めていたし実際、大丈夫だったあの時の経験が自信になって、その後で随分気持ちが楽になったもの</p><p>マルゴさんが、恭子さんの所属していたブラジルの犯罪組織の軍事部門に送り込まれて南米で他の犯罪組織と闘ったというのは、そういう経緯だったんだ</p><p>恭子さんがあたしに叫んだATTENTIONて掛け声軍隊の号令なんだよ</p><p>軍隊?</p><p>どんなに意識が朦朧としていても、あの掛け声で名前を呼ばれたら、ハッとするよあの数週間の作戦期間に、徹底的に仕込まれたからね身体が反応しちゃうんだ</p><p>それでマルゴさんは混迷から目覚めたのか</p><p>関さん麗華お姉さん、大丈夫ですか</p><p>マルゴさんが２人に声を掛ける</p><p>フルパワーの心月を無防備で受けちゃったからなあ２人とも</p><p>平気よもう</p><p>関さんが起き上がる</p><p>美智が、２人に謝罪する</p><p>いいんだよ美智妹《イモウト》は、一瞬のチャンスに賭けたんだろう</p><p>麗華も、身体の節々の調子を確かめながら起き上がる</p><p>むしろこんなことで麻痺してしまって、闘いに加われなかった自分を恥じるよ</p><p>口惜しそうに、そう言った</p><p>恭子さんは、ミス・コーデリアが満足するので尻叩きをしてあげると</p><p>ミス・コーデリアの身体をひょいと下ろして丸テーブルの方へ行く</p><p>白い女のヴァイオラとロザリンドは、すっかり困惑しているが</p><p>恭子さんの破天荒な強さは、肌で判っているのだろう</p><p>２人とも黙って静観している</p><p>恭子さんは机に突っ伏している、谷沢チーフのところまで行き</p><p>オッチャン、オッチャンいつまで死んだフリしているわけ</p><p>キムチでもいいはっ何だ、夢か</p><p>まるで今まで眠っていたかのようなフリをして、起き上がる</p><p>そういうのはいいからさ</p><p>恭子さんは、谷沢チーフをギロッと見つめる</p><p>お前が出て来たおかげで、こちらの予定が狂ったぞ</p><p>谷沢チーフも、恭子さんをジロリと見上げる</p><p>あらオッチャン的には、どういう予定だったわけ</p><p>そうだオレたちも、それを知りたい</p><p>谷沢チーフは、ミス・コーデリアと組んで何をしようとしていたんだ</p><p>組んだといっても全面的な提携では無かったみたいだし</p><p>あたしの身内が、相当な危険に陥っていたみたいだけれど</p><p>恭子さんは、谷沢チーフの前でギュッと拳を握りしめる</p><p>返答次第では、交戦するという意思表示だ</p><p>香月セキュリティ・サービスの１００人のマシンガン部隊と、２０人のトップ・エリートはようやく心月のショックが抜けたらしく、床に落としていた銃を拾い上げている</p><p>しかし彼らの長である谷沢チーフを人質にされたら、オレたちに攻撃はできない</p><p>それを見越して恭子さんは、谷沢チーフに近付いたんだ</p><p>ふんっミス・コーデリアが、本当に黒森のお嬢ちゃんたちを殺害しようとしたらオレは全力で阻止するつもりだったんだそのためのマシンガン部隊とトップ・エリートが２０人だぞ</p><p>いや確かに、ヴァイオラの本隊やオレたちを潰すためには、この人数は大げさすぎる</p><p>トップ・エリートたちなんて、他で任務に就いていた人たちまで掻き集めているし</p><p>これは全てミス・コーデリア対策だった</p><p>だいたいお前らが優秀過ぎるんだよっオレはこんなに早く、お前らがここまで来るとは想定していなかったんだぞ</p><p>谷沢チーフは、オレたちに怒る</p><p>オレたちが出張って来なかったらお前らは、とっととミス・コーデリアとヴァイオラの本隊に殺されていたよ</p><p>ヴァイオラの本隊との闘いで、銃の使用を禁じたのは谷沢チーフだ</p><p>谷沢チーフの眼があったからミス・コーデリアは己の感情に任せて、一気にオレたちを殺さなかったんだし</p><p>余計なお世話さもし、オッチャンたちが来なくても、あたしが絶対にこの子らを助けていたからね</p><p>恭子さんが、笑ってそう言う</p><p>来るなら来るって連絡してくれオレだって、お前が来るって判っていたらこんな面倒なことはしねぇよ</p><p>不機嫌そうに、谷沢チーフは答える</p><p>こっちは時間稼ぎをしなくちゃならなかったんだからなッ</p><p>時間稼ぎだって</p><p>それってどういうことなんだ</p><p>そこから先は、私が説明しよう</p><p>この声はジッちゃん</p><p>ジッちゃんの声がスピーカーから響いている</p><p>君たちのおかげで急がされたが何とか間に合ったよ</p><p>と壁に映像が投射される</p><p>数分前に放送されたニュース映像だ</p><p>画面の文字白坂守次氏、緊急入院</p><p>ニュースキャスターが、カメラに向かって話す</p><p>マスコミ界のドンと呼ばれた、白坂守次氏、六十八歳が都内の大学病院に緊急搬送されたようです病名は、脳溢血とのことです守次氏に対しては、甥の広告代理店社員、白坂創介氏のスキャンダルについての先日の記者会見について、様々な論議が起きている最中でした</p><p>守次大叔父様</p><p>古来問題のある主人は、家来が座敷牢に押し込めて隠居させるのが習わしだ白坂家も、そういう判断をしたらしい</p><p>そういう風になるようにジッちゃんが、裏工作で仕向けたんだ</p><p>最後まで、白坂守次本人は納得しなかったらしいそれで彼らは、脳に障害をもたらす薬を使わざるを得なかったこれでもう、おそらく白坂守次氏は、生涯再起不能だろう自分の意志を言葉で正確に伝えることもできなくなった今後は、禁治産者扱いとなるだろう</p><p>禁治産者って</p><p>自分で自分の財産を管理できない人のことよまだ子供だとか、老齢過ぎて呆けているとか、精神的な病気を抱えているとか禁治産者という呼び名は、もう使っていなくて、今は成年後見というものに法制が変わっているけれどね</p><p>関さんが、教えてくれた</p><p>白坂本家内の守次氏を押し込めたグループから、私に親書が届いている私たちへの敵対行為を止めるそうだそれと白坂守次氏の出した殺害要請も取り消しだ</p><p>白坂守次氏は白坂家内の自分の反対派と、白坂創介とその家族について、ミス・コーデリアに殺害を要請していた</p><p>依頼人が、報酬を支払えない状況になった場合は契約は取り消しでいいのだろうね</p><p>ジッちゃんがミス・コーデリアに尋ねる</p><p>そうねまだこの段階では、判断できないけれど白坂守次氏の支払い能力を確認するまでは、白坂創介らの殺害計画は停止します</p><p>ミス・コーデリアは、そう断言した</p><p>彼らは違約金は払うと言っているよ</p><p>その方が助かりますあたしも評議会への報告がありますから</p><p>雪乃、メグ、マナの命の危険は無くなる</p><p>うむ賢明な判断に感謝するどうにかギリギリ間に合ったな</p><p>この状況を作るために</p><p>時間稼ぎが必要だったのか</p><p>何か、くたびれています</p><p>父は、リハビリを兼ねて兄と隣町の家電量販店まで行ったらしいのですが</p><p>あそこまで行けたもう平気だ</p><p>と、帰宅時には威張っていましたが</p><p>ううっ、人がいっぱいで疲れた</p><p>と、一時間後には寝込んでしまいました</p><p>駅まで十分歩いて、家電店はとに利の駅前だし</p><p>一時間も外を歩いていないのに</p><p>次は、新しくなった東京駅に行きたいと言っています</p><p>335．謎解き　（その２）</p><p>もう一つの方もようやく、準備が出来たよ</p><p>ジッちゃんの声が、１９階の何も無いフロアに響く</p><p>もう一つって</p><p>まだ何かあるのか</p><p>谷沢お前の部下たちは、下がらせろここからは身内の話だ</p><p>黒森家の諸君と、関くん、藤宮くんには居て貰おう</p><p>了解です情報部員は撤収だ１３階のフロアで待機いいな</p><p>谷沢チーフの命で、１００人のマシンガン部隊は入って来たドアから撤収し始める</p><p>安田と田淵と広岡が中心になって、ブッ倒れている敵の戦闘員を回収しろ死んだフリしているやつもいるだろうから、気を付けろよ</p><p>続いて２０人のトップエリートが、マルゴさんたちに倒されたバンディーニの手下たちを回収する</p><p>グゥエッ</p><p>気絶していなかったやつには、ゴキッと一撃を加えて確実に眠らせる</p><p>さすがトップ・エリート、みんな屈強な肉体の持ち主だ黒戦闘員の服の首元をガシッと掴んで、フロアの外へ引きずっていく</p><p>関くんと藤宮くんは申し訳無いが、ヴァイオラとバンディーニの監視を頼むミス・コーデリア、あなたの部下にもお願いできますかな</p><p>構わないわ</p><p>ミス・コーデリアは、眼で２人の部下に指示を出す</p><p>麗華は、まだ谷沢チーフが信用できないのか、オレをチラッと見るが</p><p>とりあえずは、信用してみよう</p><p>こっちは、恭子さんもあたしも、美智ちゃんとシスター・イーディもいるちゃんと護りきるよヴァイオラとバンディーニの身柄をあたしたちも押さえていた方がいい</p><p>判りましたみなさんの警護は、お願いします</p><p>そっちこそ、気をつけてあいつらのことだから、まだ何か隠しているかもしれないし</p><p>行って来るわ</p><p>オレの言葉に、関さんと麗華はそう返事してヴァイオラたちの方へと向かう</p><p>ほほう、坊やはちゃんとあの子らに信頼されているんだねぇ</p><p>恭子さんが、オレを見て言った</p><p>マルゴの報告を観ている限りはどんなもんだろうと思っていたんだけどその調子で、克っちゃんも渚ちゃんも安定させたんだって</p><p>その２人どころかミナホまで、変化してきているよ落ち着いてきた</p><p>あたしも、ヨッちゃん大好きだよっ</p><p>寧さんがオレに寄り添って、そう言った</p><p>寧は、この子のことどれくらい信じてるわけ</p><p>１２０パーセントだよっヨッちゃんは、あたしたちに絶対嘘は付かないし優しいし、絶対に裏切らないものっ</p><p>そうなのかい</p><p>恭子さんは、ジロジロとオレを見る</p><p>彼は彼でちょっと壊れているんです</p><p>自分の命が安いタイプなんだ</p><p>そうではございません</p><p>恭子さんの言葉に、美智が言った</p><p>ご主人様は、わたくしたちのためには平気でご自分のお命を投げ出されるお方ですでも、絶対にご主人様を死なせは致しませんわたくしたちと、末永く幸せに暮らしていただきますわたくしがいえ、わたくしたちが、そう致します</p><p>わたくしたちは家族ですから</p><p>美智の言葉に恭子さんは、ふーむと考え込む</p><p>黒い森の子たちに、あたしがしてきたことは、結局は対処療法だからね根源的な癒やしにはならなかったんだけれどそんな風に、あんたたちが自発的に変わろうとしているのなら、その家族療法っていうのは当たりかもしれないねぇ</p><p>家族療法</p><p>オレたちは本気で家族になるつもりなんです</p><p>オレは、ちょっとカチンときて言った</p><p>判っているよ本気でないと意味が無いことだものこういうのはさ</p><p>恭子さんは、ニコッと微笑む</p><p>ああそうか</p><p>オレは、恭子さんにオレの本気度を</p><p>オレが信頼に足る人物だと、納得させないといけないんだ</p><p>黒い森の中核の人だもんな</p><p>ミナホ姉さんや、マルゴさんや、寧さんが、何度もオレを試したように</p><p>恭子さんの試しをオレは、受けないといけない</p><p>今、この場でオレを信じてくれっていうのは無理だと思いますけれど時間を掛けて、オレのことチェックして下さいお願いします</p><p>馬鹿じゃないみたいだね</p><p>恭子さんは、ふふんと笑う</p><p>普通は、これだけ女の子たちに囲まれてちやほやされたら思い上がって、勘違いした男になるんだけれどねあんたは違うみたいだ</p><p>ううんヨッちゃん、馬鹿だよ</p><p>うんあんまり頭を良くないよね</p><p>ていうかすっごい馬鹿よこいつ</p><p>って雪乃が、ここぞとばかりに発言する</p><p>ご主人様はちょっと頭が弱いところが可愛いんです</p><p>美智まで</p><p>ああ、判ったよマルゴの言うこの子が壊れているって言葉の意味が</p><p>頭の中がinnocent なんだね</p><p>へイノセント</p><p>褒めているわけじゃないよ英語でinnocent て言ったら、見下し語だからね</p><p>小馬鹿にされているということは、よく判った</p><p>だけど確かに、今の黒い森には、必要な子なのかもしれないねみんな、人生に絶望して自暴自棄な子ばかりだったから</p><p>恭子さんあたしね、ヨッちゃんのこと幸せにしてあげたいの克っつんも、渚さんも、先生もそう思っているんだよっ</p><p>うんあんたたちに護ってあげたい人ができたってのは、良いことだと思うよ幸せにしたいだから、家族かなるほどね</p><p>恭子さんは、納得しているみたいだけれど</p><p>マルゴは、どう思っているわけ</p><p>あたしは、克子さんや渚さんみたいに彼に恋愛感情は無いけれど弟みたいに思っていますよ彼、とても良い子ですし</p><p>恋愛感情ってのも、ちょっと違うんだろうけどね克っちゃんも渚ちゃんも、若いうちから娼婦に堕とされたからねえ男の子に優しくしたいっていう思いが、セックスにしか結びつかないんだろうけれど</p><p>そうか２人とも、ろくな恋愛経験も無いまま娼婦になったから</p><p>人と人との関係に、どうしてもセックスが介在してしまうんだ</p><p>だから、ヨッちゃんみたいな子が必要なのよ克っつんたちに愛されたからって、全然いい気にならないし逆に、求められたら絶対に拒まないでがんばっちゃうんだからヨッちゃんは</p><p>そう言う寧は、どうなのさ</p><p>寧さんの思考が停止する</p><p>恭子さん、待って下さい寧は、この後の状況次第です</p><p>この後の状況</p><p>シザーリオ・ヴァイオラが、どう処分されるかか</p><p>オレは少し離れた場所に居る、ヴァイオラたちを見る</p><p>関さんと麗華白い２人の女に囲まれて監視されている</p><p>そうか、寧さんが今ちょっとはしゃぎすぎているのは</p><p>ヴァイオラの処遇が、どうなるか判らないからだ</p><p>ヴァイオラが生きている限り寧さんの心に平穏は訪れない</p><p>寧さんが、オレに寄り添う</p><p>オレはその身体を、しっかりと抱く</p><p>香月のジィさんや谷沢のオッチャンが、どう片を付けるのか判らないよあたしたちは、しばらくは見ているしかないだろうね</p><p>この間にマシンガン部隊の撤収と、昏倒したヴァイラの部下の搬出が終わる</p><p>２０人のトップ・エリートたちも退出する</p><p>フロアに残ったのは</p><p>オレたちと、谷沢チーフ、ミス・コーデリアたち３人、それから、シザーリオ・ヴァイオラとロレンザッチョ・バンディーニ</p><p>準備はできたようです取引は、ちゃんと顔を見てしたいですねミスター・コウヅキ</p><p>ミス・コーデリアは、叫んだ</p><p>その通りだな</p><p>フロアの壁の１つがゴゴゴゴと上昇する</p><p>中からエレベーターが現れ</p><p>ズシャァァと、開く</p><p>カッと明るいエレベーターの内側から、逆光で現れたのは</p><p>さて、では最後の取引をしよう</p><p>この取引は、身内以外の人間には見られるわけにはいかなかった工藤たち、外部の警護人たちを排除したのは、そのためだ</p><p>身内だけ</p><p>本来ならお前たちにも隠しておくつもりだったしかし、お前たちが危険を突破して、ここまで辿り着いた以上真実を明らかにするしかないだろう</p><p>そして、壁のスクリーンを見上げる</p><p>みすず、瑠璃子、美子、見えているか</p><p>スクリーンに、みすずと瑠璃子が映る</p><p>地下の監視室の映像だ</p><p>はい、お祖父様あたしも瑠璃子さんも、美子さんもここに居ます</p><p>画面の中のみすずが、答える</p><p>他には誰がいる</p><p>克子さんだけです渚様、恵美さん、マナさんは、お言いつけ通り、お隣の部屋に待機していただきました</p><p>うむ克子くんもうしわけないが、孫娘たちの様子を見てやってくれ</p><p>克子姉が答えた</p><p>これから何が始まるんだ</p><p>お前たちにもこれから始まることは、見せるつもりはなかったしかし、今日、お前たちの成長を見てもうお前たちは、どんなことにも耐えられる大人になったと確信した</p><p>みすずも、瑠璃子も、美子ももう孤独ではないお前たちには、何が起きてもしっかりと受けとめてくれる家族がいる</p><p>そして、ジッちゃんは、またオレを見る</p><p>お前頼むぞ</p><p>そんなの言われなくたってみすずも、瑠璃子も、美子さんも、オレがオレたちが護るよ</p><p>よろしく頼む</p><p>ジッちゃんは、正面を向く</p><p>さてでは、始めよう谷沢、待たせていた人たちに入って貰いなさい</p><p>待たせていたって</p><p>時間稼ぎが必要だったのは、白坂家への工作だけではなかったのか</p><p>全ての関係者を集めるのに、本当に時間が掛かったこのホテルを１つ丸ごと犠牲にするほどな</p><p>谷沢チーフが、マイクを取る</p><p>お連れしろ</p><p>ガチャと左右の壁のドアが、同時に開く</p><p>入って来たのは、知らないオッサンとジッちゃんの専任警護人、大徳さんと張本さんだ</p><p>右が、大徳さん＋知らないオッサン</p><p>左が、張本さん＋知らないオッサン</p><p>知らないオッサン２人は、スーツではなく普段着だった</p><p>まるで自宅でくつろいでいたところを、無理矢理拉致されたような</p><p>大徳、張本、ご苦労だった</p><p>ジッちゃんが、２人に言う</p><p>専任警護人の２人は劇場で見た時と雰囲気が違う</p><p>これって恭子さん並みに、強そうなオーラを感じるんですけれど</p><p>そうか、劇場の時は２人とも抑えていたんだ</p><p>本当に化け物みたいに強いんだろう</p><p>知らないオッサンたちは、すっかり怯えた表情だった</p><p>お父様も</p><p>画面の中で、みすずと瑠璃子が同時に驚く</p><p>この左右のオッサンは、２人の父親でジッちゃんの息子</p><p>僕の息子重秋と重冬だ</p><p>そうだオレは、専任警護人の２人は、ジッちゃんの息子たちを護りに行ったんだと思っていたけれど</p><p>実際は連れに行った</p><p>それから、もう１つ違うドアが開いた</p><p>また１人違うオッサンが、入って来る</p><p>ビシッと高級スーツを着た、知的な顔をしたオッサンだった</p><p>閣下これは、どういうことですか</p><p>知的なオッサンが、おかしな状況になっている１９階のフロアを見て、そう言った</p><p>うむ色々と、こちらの都合で迷惑を掛けて済まない司馬くん</p><p>司馬くんて</p><p>このオッサンが、ジッちゃんの重役の中で傑出した才能があるという司馬沖達氏か</p><p>今から始めるのは、香月家の問題だが君には、オブザーバーとしてこの場に居て貰いたい</p><p>最初に言っておくが私は先程、谷沢とここに居る黒森御名穂くんの立ち会いの下、遺言状を書き換えた</p><p>ミナホ姉さんが、ジッちゃんと一緒に姿を消したのは</p><p>遺言状の書き換えに立ち会うため</p><p>そう言えば、谷沢チーフも同じくらいの時期に行方不明になっていた</p><p>まずみすずと瑠璃子は、私の養女とする従って、私の財産はこの２人の娘と実子である香月重冬の３人に相続されることになる</p><p>もう一人の息子香月重秋は</p><p>何で無視される</p><p>法定配分というものがあるから私がどう望もうと、財産は均等に三分割されるしかし、分配する財産の内訳については私に決定権がある従って、香月グループの主要な企業の株式は、全てみすずに相続させる瑠璃子と重冬の相続分は、現金と土地がほとんどとなるだろう</p><p>それは香月家の後継者を、みすずさんにお決めになったということですか</p><p>司馬沖達氏が、ジッちゃんに尋ねた</p><p>そういうことだ今後の憂いをなくすため私は、そう決めたのだよ</p><p>ジッちゃんは、はっきりと答えた</p><p>あの私は、どうなるのでしょうか</p><p>瑠璃子の父親香月重秋が、心配そうに尋ねる</p><p>さあ、どうなるんだろうね重秋のことは後にして重冬</p><p>はいお父上</p><p>みすずの父親が、慌てて返答する</p><p>実のところお前にも、本当は相続権を放棄して貰いたいのだできるだけ、みすずと瑠璃子に多くを残してやりたい私の遺産を相続しないとしても、みすずは優しい子だから、お前を見捨てるようなことはあるまいどうだね重冬</p><p>ジッちゃんは、末の息子に遺産の相続放棄を求める</p><p>もちろん遺産相続は、お前の権利だ無理には求めんよお前が欲しければ、受け取って構わん</p><p>香月重冬は</p><p>お父上私は香月の家に生まれましたが、国家の官僚となり、香月グループの発展には何も寄与して参りませんでしたそんな私が、香月家の財産をいただくのは、確かに良いことでは無いと思います</p><p>みすずの父親はこういう人なんだ</p><p>私は私で将来の蓄えも、自分できちっとしておりますお父上の遺産を当てにはしておりませんみすずが、才能のある子だということも判っておりますしもし、みすずが香月家当主への道を望むのなら、喜んで応援したいと思います何より</p><p>香月重冬は、ニコッと微笑んだ</p><p>お父上から、みすずに直接相続させた方が相続税が一回で済みます</p><p>お父様、ありがとうございます</p><p>画面の中で、みすずが泣いている</p><p>では、今日中に相続放棄の書面を書いてくれみすずと瑠璃子の養女の手続きも、明日中には完了させる</p><p>ジッちゃんの言葉に、瑠璃子は</p><p>待って下さいお父様はわたくしのお父様は、どうなるのでしょうか</p><p>私より先に死ぬ者が私の遺産を相続するはずがないだろう</p><p>先に死ぬって</p><p>ち、父上わたしはぁっ</p><p>香月重秋が喚くが大徳さんが制する</p><p>さてでは、取引と行こう</p><p>ジッちゃんは、ミス・コーデリアに振り向く</p><p>おいどういうことなんだ</p><p>ロレンザッチョ・バンディーニが、ミス・コーデリアに小声で言う</p><p>ミス・コーデリアは、クスクスと笑って</p><p>もう随分前のことだけどあなたたちのチームが、ロサンゼルスで香月重春という人物を殺害したの覚えていない</p><p>そ、そんなの覚えていねぇよオレたちが殺した人間なんて、山ほどいるんだ一々、覚えちゃいねぇ</p><p>日本人の家族よ父親は、あんたが殺して母親はレイプしてから殺した男の子は、ヴァイオラが犯してから殺したのよね遺体は、モハベ砂漠に投げ捨てた</p><p>バンディーニとヴァイオラの表情が変わる</p><p>こいつらがジッちゃんの長男一家を殺した、実行犯だったのか</p><p>てめえ、仲間を売る気かっ</p><p>ロレンザッチョ・バンディーニが、憤るがミス・コーデリアの二人の部下に抑え付けられる</p><p>あら、まだ自分の立場が判っていないみたいね評議会は、もうあなたたちの処分を決めたのよどうせ処分するのなら、少しでもお金が儲かる方がいいじゃない</p><p>お前、まさか</p><p>そうよあたしたちは、最初からミスター・コウヅキ氏と契約していたのここにあなたたちを連行するのが、あたしたちの仕事だった</p><p>それで偽の情報をオレたちに伝えていたんだなホテルの警備態勢はちょろいとか、１９階に脱出経路があるとか</p><p>やっと判った</p><p>バンディーニの本隊が下の階でなく、真っ直ぐ１９階に向かって来たのも</p><p>ミス・コーデリアの嘘の情報のためか</p><p>あんたたちをここに連れて来る代わりに、クロモリの人間をここに集めるというのが最初の取引の内容だったんだけれどキョーコの本心が判ったなら、クロモリの方はもうどうでもいいわ白坂家からの殺害依頼も、違約金の方が倍額でふんだくれるしあたしの方は満足ね</p><p>張本</p><p>張本さんが、ジッちゃんの命でみすずの父親を置いて一度ドアの外へ出る</p><p>そして、重そうなアタッシュケースを２つ持って、戻って来る</p><p>そのまま、ミス・コーデリアの前へ行き</p><p>報酬は、金塊でということだったね</p><p>ジッちゃんの言葉に、張本さんが一つ目のケースを開ける</p><p>ギッシリと、輝く金の塊が入っていた</p><p>契約よりも、量が多いと思うけれど</p><p>ミス・コーデリアが、金塊を確認しながら言う</p><p>手間賃代わりのサービスだ気にしないでくれ</p><p>そういうことなら、貰っておくわ領収証は出せないけれど構わないわね</p><p>犯罪組織から証拠に残る様なものが貰えるとは思っていないよ</p><p>ではロレンザッチョ・バンディーニとシザーリオ・ヴァイオラ、それに彼らのチームの人員全てを、引き渡すわ</p><p>これが取引</p><p>ところで私の息子を殺した実行犯はこれで確保したが、殺人の依頼者が誰だったのか教えてはくれないか</p><p>ジッちゃんの言葉に、ミス・コーデリアは</p><p>残念だけれどあたしたちは、犯罪組織なのよ自分たちの身内は売っても、依頼者の情報は絶対に明かさないわ</p><p>では、今までのこととは別に私は君たちに、殺人を１つ依頼したい</p><p>ジッちゃんが眼で、張本さんに指示する</p><p>張本さんが、もう一つのアタッシュケースを開く</p><p>中には</p><p>やはり金塊が、ギッシリと詰まっている</p><p>どこのどいつだか判らないが犯罪組織に金を払って、私の息子一家を殺害させた輩がいるらしいのだよそれが何者なのか、私にはさっぱり判らない申し訳無いが、君たちの情報網を最大限に使って、その人物を探し出し殺して欲しい</p><p>背後で香月重秋が叫ぶ</p><p>お、お父上ぇぇぇーっ</p><p>大徳さんが、グワッと香月重秋を力尽くで抑え付ける</p><p>ミス・コーデリアは、ジッとジッちゃんの眼を見る</p><p>香月家の当主としてどうしても見過ごせんことだ私は</p><p>ジッちゃんは、眼を閉じる</p><p>一人の父親である前に巨大な組織の長なのだ</p><p>苦しませないで、逝かせてやってくれ</p><p>ミス・コーデリアはゆっくりと、香月重秋に向かう</p><p>お父上お父上父上ぇぇぇ待って下さい、私の話も聞いて下さい</p><p>コツコツと足音を鳴らして近付くミス・コーデリアに、香月重秋は怯える</p><p>重春が死んだら、香月家の跡取りは次男のお前だ普通はな私は、最初から判っていたよ</p><p>だから私は隠居せず、ずっと現役を続け後継者を明らかにしなかったみすずと瑠璃子も、お前の手が出せないように手元に置いたお前を香月グループの本流から外し主要な重役たちと関わらないようにした</p><p>父上、そうじゃない待って下さい</p><p>香月セキュリティ・サービスの様な組織を作ったのも、お前がまた犯罪組織と契約して殺人要請した時の対抗策にするためだ</p><p>私は、私はですね</p><p>今のお前にできることは、私の死を待つことだけだろうずっと、そう思っていたよだが、お前は</p><p>ジッちゃんが、真っ赤な眼で息子を見下ろす</p><p>裏で画策し続けることを止めなかった</p><p>香月重秋が、ハッと口を開ける</p><p>お前が恐れたのは私が、香月グループの経営を司馬くんに委ねることだ才能溢れる司馬くんが経営の要となってしまえば、私が死んでお前が香月家の当主となっても香月グループ全体を支配することはできない司馬くんが、才覚の無いお前の経営参画を許すはずないからな</p><p>司馬沖達氏が、息を呑んでジッちゃんを見る</p><p>だからお前は香月昇をたぶらかし、角田たちを使って、司馬くんの追い落としを企んだ</p><p>すると角田たちの携帯にあったミスターという人物は</p><p>ジッちゃんの次男、香月重秋だったのか</p><p>香月セキュリティ・サービスの制服警備員にスパイを送り込んだり今夜、空港で司馬くんを襲わせようとしたのもお前だな</p><p>司馬沖達氏が、このホテルに到着しなかったのも香月重秋の命令</p><p>司馬様は、私がお助け致しました</p><p>大徳さんが言う</p><p>ジッちゃんの専任警護人がずっと不在だったのは、司馬さんを助け身柄を隠し</p><p>その上で、ジッちゃんの二人の息子をこの場に連れて来るためだったんだ</p><p>お父上がお父上が、悪いんですよ</p><p>香月重秋が、喚く</p><p>私の方が兄上よりも、絶対に優秀だったんですっ先に生まれたからって、長男が家の全てを継承するなんて間違っていますよっ</p><p>追い詰められた彼は、もう止まらない</p><p>どうして兄弟なのに兄上に対して、家来みたいにペコペコ頭を下げないといけないんですっおかしいですよっだから、私は全てを引っ繰り返してやったんですよっ兄上さえ居なければ、私が香月家の継承者じゃないですかっそうじゃなきゃ、おかしいそういうルールでしょなのに</p><p>香月重秋は、憎しみの暗い眼で父親を見上げる</p><p>お父上は、わたしを無視し続けたっ馬鹿にしやがってちくしょうっ早く死ね、とっとと死ねって、毎日思っていますよっあんたなんてあんたなんてぇぇ</p><p>ミス・コーデリアが香月重秋の前に立つ</p><p>騒がしいよ、あんた</p><p>ミス・コーデリアの回し蹴りが香月重秋の頭に炸裂する</p><p>香月重秋の頭は、ありえない向きに曲がって</p><p>ぐらんと揺れた</p><p>昨日、仕事中から体調が悪く</p><p>重い身体を引きずって帰りました</p><p>この感じは、よく判ります</p><p>風邪ですね</p><p>そのまま、今日は一日寝込んでいました</p><p>眼が覚めたら、午後８時でしたので</p><p>それから、必死に今日の更新分を書きました</p><p>まだ具合が悪いので、もう寝ます</p><p>336．生と死と俗と欲</p><p>ズダァッ</p><p>香月重秋の身体は、ただの物体となって床に崩れ落ちる</p><p>お父様ぁぁっ</p><p>スクリーンの中絶叫する瑠璃子を、みすずと美子さんが抱き締めている</p><p>瑠璃子に、父の遺体を見せないように</p><p>済まない、瑠璃子恨むなら、この私を恨め全ては私の教育が間違っていたことに起因する</p><p>ジッちゃんが苦しそうに、画面の瑠璃子を見上げて言った</p><p>私は香月家の嫡男として生を受け、他の兄弟とは完全に区別されて育った生まれながら後継者はとても、孤独で寂しいものだっただから、私は自分の息子たちには、そういう思いをさせたくはないと思っていた</p><p>ジッちゃんは、泣かない</p><p>全ての感情を押し殺している</p><p>しかしその教育方針が、結果として重秋を歪めてしまった重秋に、望んではならない野心を抱かせてしまったあいつは弟が兄の家臣となるのが耐えられないと、言っていたが私の子供の頃と比べたら、あいつの体験したことなど何でも無い私の兄弟は、私と同じ部屋で食事を摂ることも、直接口をきくことすら許されてはいなかったのだから</p><p>ジッちゃんが香月家の嫡男とその他の子供の扱いの差をなくしたから</p><p>かえって、香月重秋は増長した</p><p>これは全て私の罪であり香月家本家の不祥事だだが、香月グループ全体の名誉を考えれば、この出来事は決して公にすることはできない</p><p>香月本家の次男がアメリカの殺人組織に依頼をして、当主の後継者である実兄を殺させたというのは確かに公表してはいけない話だと思う</p><p>ジッちゃんが、ミス・コーデリアに依頼して実の息子である香月重秋を処分させたということも</p><p>何より香月家は、長い歴史を持つ名家なのだ私たちはこの家を引き継ぎ、次の世代へ残して行くという義務がある私の代で、香月家を終わらせるわけにはいかないのだ</p><p>ジッちゃんは生まれてからずっと香月家に捕らわれている</p><p>それが当主として、生きるということ</p><p>だから私は全ての当事者を集め、事件を明らかにし、秘密裏に処理する方法をずっと模索していた香月セキュリティ・サービスも、このホテルも今日という日のために準備したものだ長かったこれでようやく、肩の荷が下りた</p><p>香月家の所有するホテルの中で、全てを終わらせたことも</p><p>工藤父やフリーの警護人たちに、最後の場面に立ち会わせなかったことも</p><p>香月セキュリティ・サービスの人員をこのフロアから撤収させたのも</p><p>何もかも、内々に処理したかったからか</p><p>本当なら、オレたちにも知らせるつもりは無かったんだ</p><p>みすずにも、瑠璃子たちにも後で、重秋の死だけを伝えるつもりだったんだろう</p><p>ジッちゃん、まさか死ぬつもりじゃないだろうな</p><p>オレは思わず叫んだ</p><p>ふふ実の息子を殺したんだ私も死ぬべきだろう</p><p>私はこの事件の全てを隠蔽しようとしている本来ならば、法的に、社会的に、絶対に許されぬ行為だそれを香月家の力で、断固としてねじ曲げるこの世の法と社会をないがしろにするのだならば、罪に対する罰は、法廷でも社会による制裁でもなく、自分自身で自分に下すしかあるまい死には死をもって償うしかないそれが古代以来の人間の定めた刑罰だろう</p><p>ジッちゃんは覚悟している</p><p>私の最後の心残りは美子、みすず、瑠璃子三人の孫娘たちのことだったしかし、みすずは立派に成長してくれたし谷沢と黒森くんに後を任せれば、問題はないだろうと思えたお前も居るしな重役たちと私塾の連中の捌きは見事だったぞ</p><p>ジッちゃん全て、観ていたんだ</p><p>これでもう、何の心配も無い</p><p>ジッちゃんは、司馬沖達氏に振り向く</p><p>司馬くん香月グループの経営は、君に託すさっき伝えた通り、私の持つ各企業の株式は全てみすずに譲る従って、香月家が株の過半数を堅持することに変わりは無いもちろん、君が新株を発行して、みすずの保有する株式の割合を下げることもできるしかしそれでも、みすずがグループ各社の筆頭株主であることには変わりないだろう</p><p>正直に言おう私は、香月グループの支配などどうでもいいのだ私は、香月家という名家を潰したくないただそれだけだだから、グループ全体の経営は、重役たちの中で一番力のある君に委ねたい君がトップとなった後、グループを私物化しようが、司馬グループと名前を変えようが自由だただ香月の家が破綻する様なことだけはしないと、約束してくれたまえ</p><p>ジッちゃんの言葉に、司馬沖達氏は</p><p>そのために私をこの場にお連れになったのですね</p><p>ああ、他の重役たちには真実は伝えないしかし君には、ありのままに起こったことの全てを知っていて貰いたかった</p><p>私が事のあらましを警察に通報するとはお考えにならないのですか</p><p>君はシビアな計算のできる男だ香月グループの値打ちの下がる様なことはしないよ</p><p>ではお言葉に従い、香月グループの最高経営責任者に私は就任致しますその代わり閣下、どうかこのまま顧問・相談役としてグループにお残り下さい</p><p>司馬沖達氏の申し出に、ジッちゃんは驚く</p><p>私はもう死ぬのだぞ</p><p>現在の香月グループは、閣下のカリスマ性によって１つにまとまっています今、閣下が亡くなられたら重役会は混乱するでしょうグループ内に亀裂が走ります香月家にとっては外様の私には、収拾できませんその結果、香月グループの株価が激しく下落することになると思います</p><p>真剣な眼で司馬沖達氏は、ジッちゃんに言う</p><p>経営面での失敗や、競合他社に負けて、株価が下落したのならまだ言い訳もできますしかし、グループ内のいざこざで株価を下げるというのは、あってはならないことです香月グループの各社は、株式会社です私たちは、株主の皆様から会社を預かっているのですから</p><p>グループのどの企業も、半数以上の株式は私がもっているのだぞ</p><p>それでも４割以上は、個別の株主がいるのですその皆様を裏切る様なことはできませんどうか、グループ内にお残り下さい今しばらくは、閣下が影響力を発揮していただかなければ私に経営権を委譲していただいても、グループ内は混乱するだけです</p><p>理路整然と司馬沖達氏はジッちゃんを説得する</p><p>私はシビアな計算をした上で、申し上げていますどうか今すぐお亡くなりになるのはお止め下さい</p><p>スクリーンからも声がする</p><p>あたしたちからもお願い致しますお祖父様</p><p>みすずが、ジッちゃんに言った</p><p>瑠璃子さんも耐えていますから</p><p>美子さんに抱き締められたままの瑠璃子が泣き顔で叫ぶ</p><p>どうかお願い致しますお父様に続き、お祖父様まで居なくなってしまったら瑠璃子は、悲しみで生きていけません</p><p>わたくしからもお願い致します</p><p>美子さんも祖父に嘆願する</p><p>ジッちゃんの心が揺れる</p><p>香月様、死をもって死に償うというは甘い考えでございます</p><p>どういうことかね黒森くん</p><p>生き続けるということの方が死んでしまうよりも、何倍も辛く大変だということを、わたくしたちは知っております</p><p>あたしも知っているわよ重ちゃん</p><p>スクリーンの中で克子姉が言った</p><p>お祖父様心残りがなくなったから死ぬというのは、余りに身勝手ですわ</p><p>みすずも、祖父に言う</p><p>今、お祖父様が亡くなられたらあたしたちは幸せにはなれません</p><p>お前たちは、私にこのまま生きろと言うのかこんな生き恥を晒した状態で次男が長男を殺し、その次男を私が殺したんだぞこんな破廉恥極まりない私に、生き続ける資格などあるはずがないじゃないか</p><p>ジッちゃんそれは違うよ</p><p>ジッちゃんが、オレに振り向く</p><p>生きることに、資格があるとか無いとかそんなのどうでもいいんだよっジッちゃんに死んで欲しくないって人がたくさん居るんだよっだから、ジッちゃんは生きていろ</p><p>オレはフロア全体をぐるっと見廻す</p><p>それぞれ理由とかはどうでもいいからこの中で、ジッちゃんに生きていて欲しいと思う人は手を挙げてくれっ</p><p>オレは、真っ先に手を挙げる</p><p>美智とマルゴさん寧さんもがオレに続く</p><p>美智の真似をして、シスター・イーディも</p><p>ミナホ姉さんは、もちろん手を挙げている</p><p>麗華関さんも手を挙げる</p><p>スクリーンの中では、みすずと瑠璃子と美子さん、克子姉が手を挙げた</p><p>あたしもお祖父ちゃんは死なない方がいいと思うよ</p><p>苦笑して恭子さんが手を挙げた</p><p>あたしも長い付き合いにして貰った方が儲かりそうだしね</p><p>恭子さんに合わせて、ミス・コーデリアも手を挙げる</p><p>それを見て、ミス・コーデリアの二人の部下も</p><p>司馬沖達氏も、当然手を挙げる</p><p>閣下の負けですよ</p><p>谷沢チーフも手を挙げる</p><p>大徳さんと張本さん二人の専属警護人も</p><p>フロアに居る人間で手を挙げなかったのは</p><p>シザーリオ・ヴァイオラとロレンザッチョ・バンディーニ</p><p>白坂雪乃だけだった</p><p>多数決で、生きる方に決定だよジッちゃん</p><p>グダグダ言ってないでいつもの不貞不貞しい不良老人の顔に戻りなよ</p><p>まだ全然、後片付けが終わっていないんだからさっ</p><p>まず最初に回線を重役たちと私塾の子供たちの居るフロアに繋ぐ</p><p>私だ敵は全て撃退したもう心配は無い</p><p>閣下ご無事でしたかっ</p><p>スクリーンの向こうで、香月操が叫んでいる</p><p>ああ私は無事だが、重秋が残念ながら敵の手に掛かり死亡した</p><p>重秋様が</p><p>上階のフロアは、騒然となる</p><p>それで裏切り者はやはり、香月昇様だったのでしょうか</p><p>それは、まだ判らない今、谷沢たちが調査しているところだ報告が上がり次第、諸君らにも伝達する</p><p>司馬は、どうなったんですこっちでは、司馬も昇さんと組んでいるんじゃないかという可能性について話していたんですが</p><p>司馬くんなら、ここに居る司馬くんは、羽田空港の国際線ターミナルを出たところで敵の襲撃を受けたらしいそれで、到着が遅れたということだ</p><p>あそうでしたか</p><p>身内から裏切り者を出してしまったということ重秋が死んだということで、私はいささか疲れたよこれを機に、私は経営の一線から身を退こうと思う</p><p>そんな閣下</p><p>いや身を退くと言っても、完全に隠居するつもりはないこれからも、香月グループ全体に眼を光らせるつもりだただグループの最高責任者として采配を振るうのには、もう私は高齢過ぎるよ私は代表権の無い、顧問か相談役に落ち着くと思うそれでも、私が香月グループ各社の株式の大半を有していることは忘れないでくれこれからもおかしな経営には口を出すし、無能な役員は罷免するそれだけの力は持ち続ける</p><p>院政を敷かれるということですか</p><p>そうではないそれでも、私は香月グループ少しずつ距離を取っていくつもりだいずれ、私がいなくなっても香月グループが立ち行くようにしなくてはならないこれまでの私は、君たちに対して過保護過ぎたこれからは、君たちが自立していく様、見守って行くつもりだよ</p><p>それで閣下の後任は最高経営責任者には、誰が就くのです</p><p>もちろん、司馬くんだよ決まっているじゃないか</p><p>私の決定に異論のある者は、香月グループを抜けてくれて構わんよ何しろ私は君たちに自立を促しているわけだからね</p><p>続いて白坂家のクーデター組の避難しているフロアに回線を繋ぐ</p><p>私だ襲撃犯は全て掃討したもう問題はない白坂富久志くんの身柄も確保した彼は無事だよすぐにそちらへ届ける</p><p>良かった富久志ちゃん</p><p>携帯電話の類は敵に奪われてしまって、どうしても連絡ができなかったそうだよ母上に早く会いたいと言っているそうだ</p><p>ありがとうございますありがとうございます</p><p>君たちも、最新のニュースは観たね私の工作が実を結び、白坂守次氏は側近たちの手によって強制的に引退させられた君たちに対する、守次氏の殺害要請も取り消しとなったもう何も心配は無い</p><p>ああ、良かった助かりましたわ</p><p>白坂家の次期当主の件だが私の方からは、富久志くんを強く推しておいたまあ、後は白坂家内部の問題だ君たちの方でしっかりやりたまえ</p><p>何から何まで、ありがとうございます</p><p>今、私の護衛を迎えに行かせる彼らに送らせるから、君たちはこのまま白坂本家に向かい給え鉄は熱いうちに叩くべきだ白坂家内部の問題については、今晩中に決着を付けなさい富久志くんとは１階玄関で合流できる様に手配しておこう</p><p>判りましたわっ</p><p>白坂信子しか喋っていないな</p><p>大阪のテレビ局の白坂博光氏と山田副社長はどうした</p><p>通信を切るとジッちゃんは、谷沢チーフに振り向く</p><p>白坂守次が、白坂家内の反対派に刺客を送っていた件今すぐ、マスコミにリークしろ</p><p>家庭内の問題を片付けるのにアメリカの殺し屋を雇うような家が日本有数の巨大な新聞社やテレビ・ネットワークを牛耳っているのは危険だというキャンペーンを張れ</p><p>ジッちゃんの顔がいつもの意地悪爺さんの顔に戻って行く</p><p>白坂家なんていう成り上がりの家系なんぞどうでもいい次の当主の地位は、あの女の息子に与えてやってもいいだろうしかし、これを機に白坂家からは、新聞社とテレビ局を奪い取る白坂家が、支配下のマスコミ各社の経営から手を引かなくてはならなくなる様に世論を動かせ</p><p>かしこまりました閣下</p><p>司馬くん大阪の白坂博光という人物には、見所がある大阪のテレビ局だけ、白坂家のグループから独立させられないかどうか画策してみてくれ資本関係から調べてみてくれ</p><p>そして後片付けが始まる</p><p>谷沢チーフが、信頼できる部下を数人呼んだ</p><p>そのうちの一人が、司馬沖達氏を連れて行く</p><p>司馬氏は重役たちのフロアへ</p><p>息子に会うことととにかく、一度、今後のことを重役たちと話し合うために</p><p>他の部下が香月重秋の遺体を片付ける</p><p>重秋は、自宅で死んだことにしてもらう</p><p>このまま、香月第一病院に搬送してくれ話は通してある</p><p>では、私が付き添います</p><p>ジッちゃんの三男みすずの父親の香月重冬が言った</p><p>こんなことになりましたが私の兄ですから</p><p>そして、地下と繋がっているスクリーンを見上げる</p><p>みすずも、瑠璃子ちゃんも心配しないで重秋兄さんは、私が連れて行くよ</p><p>叔父様、よろしくお願いします</p><p>大分落ち着いたのか瑠璃子は、そう返事をした</p><p>遅れてあたしたちも向かいますごめんなさいここからは、すぐには出られないんです</p><p>緊急避難室に通じるエレベーターは、オレが回路をブッ壊してしまったから</p><p>時間を掛けて内側から、脱出路を開いていくしかない</p><p>幾つもの閉鎖された扉を一つ一つ手作業で解除しないといけないから時間が掛かる</p><p>今、恵美さんやマナちゃんたちにも手伝って貰って、脱出の準備をしていますから</p><p>そう言うみすずに、ジッちゃんは</p><p>いや、谷沢にエレベーターの制御回路の方を交換させるその方が、結果的には早いお前たちは、そこで待機していなさい</p><p>はい、ユニットごとの交換なら、一時間もあればできるはずです</p><p>谷沢チーフが、関さんと麗華を見る</p><p>これは君たちでやってくれ君たちがブッ壊したんだからな</p><p>麗華は、恥ずかしそうに答えた</p><p>関さんこれ</p><p>オレは関さんにピストルを返そうと思った</p><p>ずっと預かったままというのも困る</p><p>もうしばらく持ってなさい</p><p>関さんは、少し怖い顔でオレに言った</p><p>もう何も問題はなくなったのに</p><p>わたくしまだ全然信用していないのよ</p><p>関さんは谷沢チーフの配下のトップエリートに監視されている、ヴァイオラとバンディーニを見る</p><p>それから恭子さんと歓談している、ミス・コーデリアたちを</p><p>あの人たちが眼の前からいなくなるまでは武器は持ってなさい</p><p>その通りですご主人様</p><p>見ると美智も赤いムチを持ったままだ</p><p>そうか野獣と同じ檻の中に居るようなもんだもんな</p><p>まだ全て解決したわけじゃないからね</p><p>マルゴさんが、寧さんを抱き締めている</p><p>どうしたんです寧さん</p><p>うんちょっとね変な感じなのあたしをずっと苦しめていた相手が、あそこで捕まっているのを見ているとね</p><p>シザーリオ・ヴァイオラは、寧の精神に深く傷を負わせているからね</p><p>こういう状況になったらあたし、どうしたら良いのか判らないんだっ</p><p>寧さんはぶるぶると震えていた</p><p>やっぱりあたしが殺してくるよ</p><p>きちんと寧が見ている前でシザーリオ・ヴァイオラは、死ぬべきなんだそうじゃないと寧の悪夢は永遠に消えない</p><p>オレは慌てて、ミナホ姉さんを探す</p><p>ミナホ姉さんはジッちゃんと話しているちょっとオレたちから離れているな</p><p>このままだとヴァイオラたちは、香月セキュリティ・サービスに連れて行かれて、どこかで処刑されるんだと思うよ寧の眼の前で殺すなら、チャンスは今しか無い</p><p>いやだから、マルゴさん、ちょっと待って</p><p>あんたたちみんな気が狂っているわよ</p><p>雪乃が、口を開いた</p><p>眼の前で人が死んだのに殺されたのにその上、まだ殺すって言うの</p><p>雪乃お前</p><p>あんたたちみんな、どうかしているのよっ</p><p>二日寝込んだので、大分良くなってきたのですが</p><p>熱がまだ下がりません</p><p>ちょっとフラフラしています</p><p>せっかくの土日が</p><p>337．銃声</p><p>人が殺されたのよちゃんと警察へ行くべきでしょ裁判を受けて、裁かれるべきよ何でもかんでも勝手に決めて、納得しておかしいと思わないの恥知らずよ、あんたたち</p><p>彼女には、ジッちゃんやオレたちの行動が納得できないらしい</p><p>ふうんお嬢ちゃんは、どうしてそう思うの</p><p>遠くから、恭子さんが面白そうに尋ねてきた</p><p>だって自分で自分のしたことを判断して、罪を裁くなんてやってはいけないことだわ公平な立場から判断して貰うために法律とか、警察とか、裁判所があるんでしょ</p><p>雪乃が答える</p><p>ちょっとちょっとあんた、ちゃんと脳みそ入っているの</p><p>呆れ顔で、恭子さんは言った</p><p>法律とか、警察とか、裁判所とかが公平なんて、そんなのファンタジーの世界だけじゃない</p><p>な、何を言っているのよ</p><p>愕然とする雪乃</p><p>恭子さん、この子は日本しか知らないから社会正義が幻想だっていうこと、判らないんですよ</p><p>ああリベラル勢力の言い分を、そのまま信じちゃっているわけね</p><p>法律も、警察も、裁判所も権力者の意志によって恣意的に利用される力の無い民衆は、いつも好き勝手に陵辱されるそれが世の中だよだからと言って、革命を起こせって言う無責任な連中もいるけれど本当に、革命なんかが起きてしまったら国家は根幹から壊れてしまって、無茶苦茶な状態になる革命を体験した国が、平穏な状態に戻るのには何十年も掛かるんだよ</p><p>あたしは別に、国とか法律とか、そんなことは言っていないわただ、あんたたちはみんな間違っているって言っているのよっ</p><p>なあに、国や法律や警察や裁判所は、間違いを起こさないっていうわけ</p><p>それは時には、間違うこともあるんでしょうけれど、でも誰にでも公平に、みんなのためを考えて、そういうものは作られているんでしょ</p><p>ふーん、あんたの言う公平ってのが、どういう基準ののものなのかあたしには全然判らないんだけれどもし、あんたの言う通りに世界中の法と警察と裁判所が機能しているとしたら、あたしはまだブラジルのリオで楽しく生活していると思うよ</p><p>何の話よ</p><p>あたしは知っているわ法律も警察も裁判所も、絶対に頼りにはならないって少なくても、あたしたちの味方じゃないってこといつも必ず敵っていうこともないんだけれど、でもあたしたちに優しい相手ではないわ子供の頃から、周りの人たちが何人も犠牲になっていく姿を見てきているから</p><p>だから自分と仲間の身は、自分で護らなければいけない敵が金と権力であたしたちを襲って来るのなら、あたしは金と暴力で対抗する目には目を力には力を金は奪えばいい表の公権力がやつらのものなら、あたしたちは闇の暴力で対抗するそうやって、あたしたちは生きてきたのよ</p><p>その恭子さんの重い言葉に、雪乃は</p><p>話を誤魔化さないで人が死んだのよそれを隠したまんまにしていいわけないじゃないちゃんと警察に名乗り出るのが、当たり前のことでしょ</p><p>いつもと同じパターンだ</p><p>理屈で問い詰められたら、自分の感情だけを爆発させる</p><p>残念だけれどここには、当たり前の人なんて1人もいないのよね</p><p>恭子さんの声が、空虚なフロアに響いた</p><p>まず、ここに居るのは、あたしと同じ国際的な犯罪組織の一員本物のアウトローたち</p><p>恭子さんの眼が、ミス・コーデリアたちを見る</p><p>ミス・コーデリアは妖しく微笑んでいる</p><p>それから国家組織と対抗できる力を持つ本物の権力者とその下僕たち</p><p>恭子さんは、ジッちゃんと谷沢チーフを見る</p><p>ジッちゃんは、恭子さんと雪乃の会話を面白がっているようだった</p><p>みんな、国の法律とかの支配の外に居る人間よ明確に自分の行使できる力を持っている人間法や国家の助けは必要としていないのよ</p><p>恭子さんは、ニッと微笑む</p><p>だからと言って、常に国家と対立しているわけではないわあたしたちは、共存できる限りは、国家とも権力者とも友好的な関係を保つわあたしたちは主義者でも革命家でもないから世の中を自分の思い通りにしたいなんて、大それた考えはないのよただ、愛している人たちと幸せに暮らしたいだけ</p><p>ジッちゃんが、恭子さんの言葉に続ける</p><p>残念ながら生まれ育った環境が、私たちに普通の国家市民の様に生きることを許してはくれなかったのだ私は、香月家という巨大な力を持つ家に生まれ日本国家は、これまで何度も香月家の持つ財力や支配力を奪おうと画策して来たよ私は、何度も彼らと闘い打ちのめしてきた香月の家は日本にあるが国家権力を振りかざす連中の力を、これ以上強化してやるのは良くないと思うからないや、国家と闘ってきたという言い方が悪いのだな国家などという物に明確な意志は無いのだから私が闘ってきたのは、いつも他人の財産や力を好き勝手に奪い取れると勘違いしている政治家と高級官僚だよ国家などという大きなものではないほんの数人の下劣な感性の持ち主が、国家権力を使って、私に戦争を仕掛けて来るだから、全力で叩き潰すそれだけのことだ</p><p>お嬢ちゃんの思い違いをしているポイントは、多分そこなんだろうね国とか法律とか司法制度とかが、NOBLEでQUITABLEで絶対的なものだと思っているんだろそうじゃないんだよ国も法律も司法も人間の使う道具、あるいは力でしかないからねそれを使う人間が腐敗していれば、正義が果たされるはずはないしかも、力を持った人間が腐敗するのは当たり前のことだからね</p><p>恭子さんは、雪乃に言った</p><p>あんたたちこそ何も判っていないのよ</p><p>雪乃は折れない</p><p>そうやってグチャグチャ小理屈をこねくり回しているけれどねあたしには、判っているわ</p><p>軽蔑の眼でフロアに居る全員を見る</p><p>あんたたちは全員、刑務所に入って縛り首になるべきなのよっそういう人間たちなのよっ何よっ極悪人が偉そうにさっ</p><p>恭子さんが、ニッコリと雪乃に微笑む</p><p>そうよやっと判ってくれた</p><p>だから、あんたこそ極悪人に正論を語るのが無駄だってことに、そろそろ気付きなさいね</p><p>雪乃は憤怒の表情でオレを見た</p><p>あんたはどうなのよっあんたも、この女たちと同じ考えなの</p><p>オレは、すぐ横の寧さんとマルゴさんを見る</p><p>美智とシスター・イーディを</p><p>麗華と関さん</p><p>それからスクリーンの中の、克子姉、みすず、瑠璃子、美子さん</p><p>オレは犯罪組織黒い森《ブラック・フォレスト》の一員だよこの人たちが、オレの家族なんだ</p><p>オレはもう覚悟ができている</p><p>この家族と共に生き死ぬ覚悟が</p><p>雪乃は、静かに言った</p><p>なら、あたしもう、こんなところには居られないわ</p><p>雪乃が、壁のドアに向かって歩いて行く</p><p>おい、どこへ行くつもりだよっ</p><p>帰るのよっこんなところもう一秒だって居たくないあんたたちと一緒には</p><p>帰るって、どこに</p><p>あたしの家に決まっているでしょ</p><p>お前の家なんて、マスコミだらけだぞ</p><p>昨日の白坂創介の大スキャンダルの発覚から、まだ二十四時間も経っていない</p><p>当主・白坂守次氏の緊急入院だって報道されたばかりだし</p><p>そんなのどうでもいいわよっあたしは帰りたいのっここから出たいのよ</p><p>雪乃はドアのノブに手を掛けるがドアは開かない</p><p>鍵の開いているドアは、どこよっ</p><p>待てよ雪乃そんな格好のまま、外に出るつもりかよっ</p><p>雪乃は全裸にオレのYシャツを1枚羽織っただけだ</p><p>足は裸足だし</p><p>何だっていいわよっ</p><p>だいたいここはお台場の外れだぞここから、どうやって帰るつもりだよっ</p><p>もうすっかり夜だし</p><p>雪乃は一銭も持って居ないし</p><p>うるさいわねっレインボーブリッジを歩いて帰ればいいんでしょっ</p><p>いやレインボーブリッジって、Yシャツ1枚で通れるのか</p><p>いいから、ここに居ろよせめて、着替えとか用意して貰うから靴だって要るだろ</p><p>いらないっ何もいらないっあんたたちにはもう、何もして欲しくない</p><p>ギギッと、憎しみの眼で雪乃はオレを見る</p><p>ダイッ嫌いよこっちに来ないで</p><p>もう二度と一生あたしに関わらないでっあんたの顔なんて、二度と見たくないわっ</p><p>雪乃がオレを拒絶する</p><p>オレはここ数日、ずっと雪乃を苦しめるだけの存在だった</p><p>この何回かのセックスで、心が通じ合ったような気になったけれど</p><p>そんなのは勘違いだ</p><p>白坂雪乃という女の子がオレを好きになるはずがない</p><p>初めから、判っていたことじゃないか</p><p>そんな言葉が口から漏れた</p><p>雪乃が不快な眼でオレを見る</p><p>いや何て言ったらいいのか判らないけれどとにかく、ごめん本当に、ごめん</p><p>すると、雪乃は</p><p>雪乃の心が爆発する</p><p>謝るくらいなら、最初からするなぁっ馬鹿ぁぁッッ</p><p>オレは白坂雪乃をレイプした</p><p>処女を無理矢理奪い何度も犯した</p><p>恋人との仲を裂き</p><p>雪乃から妹を奪い取り</p><p>学校中の生徒の前に痴態を晒させ</p><p>父親の失脚を手助けした</p><p>あげくに、危険な場所に連れ回し</p><p>今、雪乃にはもう何も残っていない</p><p>友人も、恋人も、家族も何一つ</p><p>ごめん、雪乃</p><p>雪乃は今オレとの絆も失おうとしている</p><p>いや、そんな絆は最初から無かったんだ</p><p>オレは強姦者で雪乃は被害者</p><p>それだけの関係でしか無かった最初から</p><p>謝るしかない</p><p>オレのその言葉に、雪乃は</p><p>冗談じゃないわよぉっ</p><p>雪乃の拳が、オレの顔をブッ叩いた</p><p>平手じゃ無い</p><p>ゲンコツで雪乃は、オレを殴った</p><p>女の子だから、体重の乗っていないペチッというパンチだったけれど</p><p>オレには、痛く響いた</p><p>ごめんで済むわけがないでしょうっ</p><p>フロアの壁に配置されたドアが、不意に開いた</p><p>ドアから現れたのは香月健思だった</p><p>みなさん、こちらにお出ででしたかぁ</p><p>場違いな、晴れ晴れとした笑顔で香月健思は、微笑む</p><p>いやぁ、やっと、ここのフロアまで降りて来られましたよ</p><p>ウワァァッッ</p><p>背後で、悲鳴が起きる</p><p>ハッと振り向くとロレンザッチョ・バンディーニが、監視していたトップ・エリートの１人を襲っていた</p><p>そんな身体検査はしたはずだろ</p><p>靴のヒールの中にナイフを隠していたようですっ</p><p>バンディーニは、トップ・エリートを突き飛ばし香月健思が開いたドアに向かって、突進する</p><p>逃がさないよっ</p><p>恭子さんやトップ・エリートたちが一斉にバンディーニを取り押さえようとする</p><p>誰もがロレンザッチョ・バンディーニに集中する</p><p>その隙をシザーリオ・ヴァイオラが見逃すはずが無い</p><p>ヴァイオラも、トップ・エリートの間をかい潜り逃亡を図る</p><p>しかも、脱出口に向かったバンディーニとは違う方法で、事態の打開を狙った</p><p>つまり人質を取ろうと試みる</p><p>ヴァイオラの視界の先に居たこのフロアの中で一番無防備な人物</p><p>それは雪乃だった</p><p>こっちへ来いっ</p><p>きゃああああっっ</p><p>ヴァイオラの血走った眼</p><p>雪乃の悲鳴</p><p>オレは、雪乃とヴァイオラの間に飛び込むッ</p><p>ヴァイオラの手が、雪乃を捕まえる前に</p><p>ビュシュツ</p><p>美智の赤いムチが、ヴァイオラの手を撥ね除けるッッ</p><p>トォイヤァァッ</p><p>マルゴさんの横からの跳び蹴りが、ヴァイオラに炸裂するッッ</p><p>グェェェッ</p><p>激しいキックに宙を舞い、ゴロッゴロッと床に転がるヴァイオラの肉体</p><p>ピクピクッと痙攣してガクッと力を失う</p><p>死んだの</p><p>さあならいいんだけどね</p><p>ゆっくりと近付いて</p><p>マルゴさんは、ヴァイオラのマスクを剥いだ</p><p>マスクの下の顔は、白目を剥いていた</p><p>何かのメイクをしていたらしい</p><p>付けヒゲが、曲がっていた</p><p>こんな顔だったっけシザーリオ・ヴァイオラ</p><p>記憶の中の顔はもっと恐ろしかったよ</p><p>それは寧が、頭の中でヴァイオラのことを思い出すうちにどんどん記憶に付け加えてしまっていたんだよ恐怖の記憶っていうのは、そういうものだから</p><p>ドアの方では、バンディーニがこちらは問題無く、取り押さえられていた</p><p>Hey、ミスター・バンディーニ今日のヴァイオラは、誰に変装していたんだい</p><p>シザーリオ・ヴァイオラには、仕事の時に映画のキャラクターに変装する趣味があったんだっけ</p><p>レット・バトラーさ</p><p>数人掛かりで押さえ込まれたバンディーニは、口惜しそうにマルゴさんに答えた</p><p>クラーク・ゲーブルってこと</p><p>そういうこった</p><p>ふんそこそこ、いい線行っているけれど、そっくりさんもどきって感じだね</p><p>マルゴさんがそう言うのだから、何となく面影があるくらいには似ているのだろう</p><p>オレとロサンゼルスで再会する前はそいつ、チャイニーズシアターの前で、レット・バトラーの仮装をして、観光客から小銭を巻き上げていたらしいぜもっとも、妹の仮装したワンダー・ウーマンの方が稼ぎが良かったらしいがな</p><p>若き日のヴァイオラとロザリンドは、そんなことをしていたんだ</p><p>それでそいつは頭にきて自分は仮装を止めて、観光客が妹と写真を撮っている間に、観光客の荷物を盗むことに専念するようになったんだそうだ</p><p>そして悪の道へ</p><p>白目を剥いたままのヴァイオラは、転がったまままったく動かない</p><p>死んだ殺したまた、殺したのねっあんたたち</p><p>雪乃が、憤怒の形相でオレたちを見る</p><p>こっちへ来ないでっ</p><p>泣き喚く雪乃</p><p>もう嫌よ、あたし、もう、うんざりよこんなの嫌ここから、あたしを出してよっ</p><p>壁際に逃げようとする雪乃</p><p>そこには床に倒れたヴァイオラの肉体があった</p><p>雪乃ちょっと待て</p><p>関さんから預かっていた、ピストルを向ける</p><p>な、何よあ、あんたあたしも殺す気なの</p><p>そうじゃないっ動くなって言ってるんだっ</p><p>あたしに命令しないでっ</p><p>雪乃の足が後ろに下がる</p><p>そっちはダメだ</p><p>寧さんと美智が、オレに声を掛ける</p><p>マルゴさんが、突進する</p><p>しかしオレは</p><p>それでは、間に合わないと気付く</p><p>いやぁぁ、殺さないでぇぇっっっ</p><p>何かがおかしいと思った</p><p>変だという実感があった</p><p>ドギュゥゥッ</p><p>オレは、銃を撃った</p><p>弾丸は、真っ直ぐに飛び</p><p>一瞬にして、床に倒れたヴァイオラの身体に穴が開きグワンッと身体が跳ね上がる</p><p>血が、ヴゥワッと噴き上がった</p><p>硝煙の匂いが鼻につく</p><p>きゃああああああああッッ</p><p>雪乃の絶叫が轟く</p><p>マルゴさんが、雪乃を抱き締めて保護する</p><p>いやぁぁ、いゃぁぁ、ぁぁ</p><p>半狂乱状態の雪乃</p><p>その雪乃を、マルゴさんがパンと平手打ちするッ</p><p>落ち着くんだッ</p><p>フロア中の視線が集中していた</p><p>撃たれたヴァイオラの遺体と</p><p>撃ったオレに</p><p>雪乃が、ハッと我に返る</p><p>恭子さんが、スッと来てくれた</p><p>ヴァイオラの遺体を調べる</p><p>あんた、よく気が付いたね</p><p>恭子さんが、ヴァイオラの握りしめた手の中から、小さなカプセルの様なものを取り上げた</p><p>神経ガスじゃないかなこのフロアに居る人間全員は無理だけれど近くに居るやつぐらいまでは余裕で殺せるタイプの死なばもろともってことなんだろ気の弱い男のやりそうなことさ</p><p>ヴァイオラは毒ガスのカプセルを持って居た</p><p>こいつは死んだフリをして、自分の周りに人が近寄って来たところで、このカプセルを使うつもりだったんだろうよ</p><p>恭子さんは、雪乃を見る</p><p>あんたの位置なら確実に死んでいた坊やに助けられたね</p><p>あんたが殺した</p><p>恐ろしい物を見る眼でオレを見る</p><p>あんたが殺したんだ</p><p>オレが殺した</p><p>オレが撃った</p><p>この手で</p><p>この銃で</p><p>オレ、オレ</p><p>あれどうしたんだろう</p><p>身体が、鉛のように重く感じる</p><p>力が入らない</p><p>気持ち悪い</p><p>胃液が逆流してくる</p><p>眼の前がクラクラする</p><p>オレもう、立っていられない</p><p>しまったこういう可能性に気付いておくべきだったんだ</p><p>マルゴさんの声が遠くで聞こえる</p><p>自分の命にこだわりがないのなら人の命を奪うことにだって、ためらいが無いっていうことじゃないかっ</p><p>えそれって</p><p>オレのことなのか</p><p>人殺し人殺し人殺し</p><p>雪乃の声が聞こえてくる</p><p>遠くで遥か遠くから響いてくる</p><p>うああぁぁ</p><p>そのまま気を失った</p><p>この展開は、かなり早い段階から考えていました</p><p>犯罪組織の一員となるということは、当然それなりの負い目を背負うということですから</p><p>ここだけはシリアスに描写しないといけないと考えていました</p><p>長かった五月二日の章が終わり</p><p>次話から五月三日に突入します</p><p>338．ワン・モア・キス</p><p>おはよっおはよっ</p><p>よしだくんよしだくん</p><p>よしだくんおはよっ</p><p>お、はよう</p><p>もう、朝なのか</p><p>身体が重い</p><p>胃がぐえってなっている</p><p>体調が悪すぎる</p><p>このまま眠っていたいのに</p><p>おきてくださいっよしだくん</p><p>そうだそれは、オレの名前</p><p>あさですよっおきてくださいっよしだくんっ</p><p>耳元でうるさいなあ</p><p>オレは重い瞼をこじ開けた</p><p>眼の前に居たのは</p><p>えへへへっやっと起きましたっ</p><p>天使の様な３歳の幼女の笑顔がオレの視界いっぱいに</p><p>おはよっよしだくんっ</p><p>あー、にどねはダメですよっメッですからねっ</p><p>いや、すっかり眼が覚めたよ</p><p>どうしたんだ、こりゃあ</p><p>ふかふかのベッドの上に居た</p><p>何か凄い豪華な部屋に居る</p><p>窓はカーテンが閉じられているから外の景色は見えないけれど</p><p>隙間から朝の光が射している</p><p>うんもう夜は明けたんだ</p><p>ママがねっ昨夜はお風呂に入らないまま、おネムしちゃったから、お風呂に入りなさいって</p><p>真緒ちゃんが、オレに言った</p><p>判ってるぅよしだくんっ</p><p>オレに風呂に入れって</p><p>よしだくんだけじゃないよぉっ真緒も一緒だよっ</p><p>ああ２人で</p><p>ね真緒ちゃん渚は</p><p>渚だけじゃない</p><p>他のみんなはどこだ</p><p>っていうかこの部屋は何なんだ</p><p>そんな疑問がオレの中に湧き上がった瞬間</p><p>ギィと部屋のドアが開いて渚本人が現れる</p><p>ああ眼が覚めた良かったわ</p><p>渚は、優しく微笑んでくれた</p><p>見ると、オレの寝ているベッドの脇に椅子が一つある</p><p>渚ずっとオレを看ていてくれたのか</p><p>ここは</p><p>まだホテルの中よ最上階に近いわシゲちゃんに、３つあるスイートルームを全部貸して貰ったのここはその一つよ</p><p>他のみんなは、別の部屋に居るということか</p><p>真緒お風呂にお湯を入れてきてちょうだい</p><p>えー、ママぁ</p><p>真緒ちゃんは、オレの側を離れたくないようだった</p><p>すぐに行くからお手伝い、できるわよね</p><p>オレは、真緒ちゃんを見る</p><p>頼むよ真緒ちゃん</p><p>真緒ちゃんは、ニカッと微笑んで</p><p>はぁーい</p><p>と言って、トコトコと浴室へ向かう</p><p>走らなくていいから転ぶと危ないでしょ</p><p>へっちゃらちゃらちゃらだもーんっ</p><p>騒がしい天使が退室する</p><p>部屋の中はオレと渚だけだ</p><p>渚はベッド脇の椅子に腰掛ける</p><p>あの後すぐに地下から出られたの</p><p>オレはあいまいになっている記憶を探る</p><p>あなたが倒れてから、２時間以上は掛かったわエレベーターの復旧が終わるまでそれでも、みんな気力と体力の限界だったから脱出通路を時間を掛けて開いて行くルートを使うのは無理だったわそっちだと、外からの支援は得られないしね</p><p>中から、一つ一つ手間の掛かるロックを外していくんじゃ</p><p>地下に残った人たちで、体力のありそうな子はメグしか居ないし</p><p>みんな無事</p><p>ええ大丈夫よみんな心配しないで</p><p>ニコッと渚が微笑んでくれる</p><p>うん心が少し軽くなる</p><p>瑠璃子は</p><p>みすずと美子さんが付き添って、先に帰ったわお父様のお通夜の支度があるから</p><p>そうだよね</p><p>警護には、関さんと美智ちゃんが付いているわイーディちゃんも一緒に行きたがったんだけれど恭子さんが押さえていてくれたから</p><p>シスター・イーディは、美智にすっかり懐いているから</p><p>でも香月家の葬儀の席に、あの子が居るのは心配すぎる</p><p>焼香に来た他家の警護役にケンカを売って歩くとか、平気でしそうだもんな</p><p>だいたい、日本のお葬式の雰囲気とか知らないだろうし</p><p>今、このホテルの下の方は警察が実況見分しているからでも、シゲちゃんが１９階より上の階には、警察を入れないようにしてくれているのだから、ここに居る限りは平気よ外に出る時は、谷沢さんに連絡すれば香月セキュリティ・サービスの車で送って下さるって</p><p>警察って</p><p>ちょうど今、朝のワイドショーでやっているはずよ</p><p>渚が、テレビのリモコンを押す</p><p>画面にオレたちの居るホテルの全景が映った</p><p>ああ、水浸しでメチャクチャになった１階フロアが望遠レンズでアップにされている</p><p>ロシア・マフィアの殺人グループが１２０人お台場の高級ホテルを襲撃</p><p>そんな文字スーパーが出ている</p><p>ヘリコプターで取材している局もあるからカーテンは開けないでね</p><p>そうか、それで窓を閉め切っているんだ</p><p>渚がチャンネルを変えると、別の局では司会者とコメンテイターが話していた</p><p>しかし、白坂守次氏ともあろう人が、何だって自分の敵対勢力を潰すためにロシア・マフィアの力を借りようとしたんでしょうかねぇ</p><p>それだけ焦っていたんでしょう失脚の危機だったわけですから</p><p>しかしペンは剣より強しの新聞人が、テロリストを雇うというのは論外じゃあありませんか</p><p>まあ、白坂家内部のことはよく判りませんがね</p><p>渚はテレビを消す</p><p>シゲちゃん全部、白坂守次さんのせいってことにしちゃったのよ</p><p>実際、白坂家の反対勢力の方々は昨夜ここに居らしたわけだし</p><p>白坂守次からの殺人要請は、あくまでもミス・コーデリアがついでに営業して取って来た案件でホテル襲撃の一番の目的では無かったはずだけれど</p><p>白坂本家の人たちは、裏の事情は何も知らないからしかも、当主を強制引退させたばかりでしょシゲちゃんが、全部、お前たちのせいだって言い切って、こうやってマスコミにもシゲちゃんの言うままに報道させているからホテルの修繕費も、休業中の補償金もみんな白坂家に支払わせるつもりらしいわ</p><p>酷いな</p><p>ジッちゃんらしいけれど</p><p>今回ばかりは、白坂家のテレビ局も他の局と同じ論調でこのホテルのことを報道しているわ白坂家の新聞社・テレビ局支配もこれで終わりね白坂の名前が企業のトップになることを、もう世間が許さないでしょうから</p><p>そして、いずれはジッちゃんに近い人物が、新聞社とテレビ局を押さえる</p><p>まあ、本家はそれでも大株主の一人として細々とやっていくんだろう</p><p>しかし、今後、グループ企業に勤めている白坂の一族は出世できないだろうな</p><p>あははは</p><p>乾いた笑いが、溢れ出した</p><p>とにかく、これで当面の心配はなくなったんだね</p><p>メグやマナの命は狙われない</p><p>寧さんだってもう襲われない</p><p>シザーリオ・ヴァイオラは死んだのだから</p><p>オレが撃ち殺したのだから</p><p>あなたは本当によく頑張ってくれたわ</p><p>オレはみんなの役に立つようなことは何もしていないよ</p><p>そんなことないわあなたは、特別な訓練は受けていないただの高校生なのに、あたしたちはあなたが優しくて一生懸命な子だからって無理をさせてしまったわ倒れるまで限界まで、頑張ってくれて</p><p>限界、だったのかな</p><p>身体がダルい</p><p>内臓が、ムカムカする</p><p>全身が悲鳴を上げている</p><p>昨夜ずっと死地の中にいたんだもんな</p><p>生きるか死ぬかの瀬戸際で</p><p>昨夜は緊張していたから、判らなかったけれど</p><p>心にも身体にも、無理をさせていたのかな</p><p>そうだよなオレ普通の人間だもんないや、むしろ普通の人よりも劣る力しか持っていないもんな</p><p>実際に闘ったのは、マルゴさんや美智や関さんや麗華だ</p><p>オレは護られていただけで</p><p>危機を救ってくれたのは、恭子さんだし</p><p>あたふたしていただけで結局は、ジッちゃんの計画の邪魔をしていただけだった気がする</p><p>オレ何の役にも立たなかったな</p><p>劣等感と敗北感がオレを包み込む</p><p>そんなオレを渚が、ギュッと抱き締めた</p><p>温かくて柔らかい身体</p><p>あなたは本当に頑張っていたあたしは見ていたわあなたを誇りに思う</p><p>むしろダメだったのは、あなたに頼り切りだったあたしたちよあなたに限界を越えさせて重荷まで背負わせてしまった</p><p>オレは人を殺した</p><p>御名穂さんからの伝言を伝えるわ</p><p>渚が、ジッとオレの眼を見る</p><p>まず、あなたは自由だということあたしたちに対して、何も負い目に感じることは無いっていうことを判っていて</p><p>自由</p><p>そうよ御名穂さんの一つ目の提案はね</p><p>渚は、悲しそうに話し続ける</p><p>もし、あなたがあたしたちの家族を抜けたいと思うのならこれは仮の話よ御名穂さんは、あなたの新しい戸籍を用意するそうよまとまったお金もねあたしたちと離れた場所で新しい名前で、新しい生活を送ることができるわもし、あなたがあたしたちには二度と会いたくないというのならあたしたちは、外国へ移住してもいいわ一生、あなたの前に姿を見せないあたしたちは、あなたの人生と生活を一番にしたいと思うから</p><p>そんなことオレが望むはずないじゃないか</p><p>今は、あたしたちのことを考えないであなた自身の人生を優先して考えてあなたにはまだ、普通の高校生として人生をやり直すことができるってことを理解してもう、自分の人生はおしまいだなんて思って欲しくないのよっ</p><p>だからって、オレが家族を捨てられるわけないじゃないか</p><p>みんなのいない人生なんて</p><p>御名穂さんの二つ目の提案はねあなた、一緒に住む家族を選びなさいって</p><p>選ぶ</p><p>今のまんまだとあなた、全員を一人で背負って潰れてしまうわだからそれなら、あなたが一緒に居て生きやすい家族だけ限定して選んだ方がいいんじゃないかって</p><p>御名穂さんはしばらく、あたしの家であたしと真緒と三人で暮らすのが、あなたの精神安定には一番良いって言ってくれたけれど克子たちと暮らしてもいいのよ克子とメグちゃんと、マナちゃんと一緒に四人で暮らす家を借りて</p><p>家を借りる</p><p>どうしてお屋敷じゃダメなんだ</p><p>みすずさんのところでもいいのよシゲちゃんが、家を一つ用意してくれるそうだからあの子は気の利く優しい子だしシゲちゃんがバックアップしてくれる場所で、みすずさん、瑠璃子さん、美子さん、美智ちゃんたちと一緒に暮らすのも良いと思うわ</p><p>とにかくあなたが、いっぱいいっぱいにならない範囲の人数に絞るべきだって、御名穂さんは言うの常に全員の心配をしていたら、心労で倒れてしまうってもちろん、あなたの好きで住む場所を変えていってもいいのよ例えばあなた、今、瑠璃子さんのことが心配でしょ</p><p>だから、瑠璃子さんが落ち着くまでは一緒に居てあげて大丈夫だと思ったら、克子のところに行くとかそういうのでもいいのよ</p><p>そして、最後の提案だけれど御名穂さんは、あなたは犯罪組織としての黒い森には二度と近付かない方が良いと言うのだからお屋敷にはもう立ち入らないで、マルゴちゃん、恭子さん、そして御名穂さん本人とは二度と合わない方がいいんじゃないかって</p><p>そんなのって無いだろ</p><p>御名穂さんが、一番落ち込んでいるのよ今御名穂さんは、ずっとあなたの先生でいたかったからあなたを危険に追い込んだことを後悔しているの</p><p>ちくしょうどうすりゃあいいんだ</p><p>あの、寧さんは</p><p>オレは、渚に尋ねる</p><p>寧さんの名前が出て来きていないぞ</p><p>寧ちゃんの事は保留よ寧ちゃん、今、ショック状態だから</p><p>現実のヴァイオラは死んだけれど寧ちゃんの心の中にずっと浸食していたヴァイオラの恐怖はまだ消えていないから現実と心のバランスが、取れていないのよ</p><p>うん時間を掛けて、ゆっくりと安定させてあげるしかないわね何もかもが、急に変わってしまったから</p><p>オレが寧さんの前で、ヴァイオラを射殺してしまったから</p><p>あなた、しばらく寧ちゃんと二人で旅行に行くとかっていうのはどう一ヶ月ぐらい掛けてそういう選択肢もあるわよ</p><p>渚は、そう言った</p><p>とにかく御名穂さんの提案は、遠回しすぎて判りづらいけれど御名穂さん、あなたにもう仕方が無いとか自分が何とかしなくちゃいけないとか考えて欲しくないんだと思うわそんなの人生を諦めるのと同じことだもの</p><p>オレが人生を諦めないように</p><p>あたしだってあなたには、あなたのしたいことを選択して欲しいのあなたが選んだことなら、あたしたちはどんなことだって支持するわその結果、寂しい思いをしたって構わないあたしたちはあなたに幸せになって欲しいから</p><p>あなたがこの先どうするのか時間を掛けて構わないから、ゆっくりと考えなさい</p><p>真緒ちゃんが、ひょっこりとドアから顔を出す</p><p>いひひっお湯、いっぱいだよっ</p><p>お願い真緒と入ってあげて</p><p>渚がオレに微笑む</p><p>もう３歳だから溺れないようにだけ気を付ければ平気よ</p><p>そして言う</p><p>あの子お父さんとお風呂に入るのが、ずっと夢だったのよ</p><p>お風呂っお風呂っるるるーっ</p><p>真緒ちゃんは、脱衣所で楽しそうに衣服を脱ぎ散らかしていく</p><p>オレも脱ぎながら考える</p><p>渚の最後の言葉</p><p>渚は、オレが渚たちを見捨てると思っているのだろうか</p><p>だから、真緒ちゃんに最後の思い出を作ってあげるために</p><p>オレと入浴させようというのだろうか</p><p>うわっ、おちんちん</p><p>真緒ちゃんがオレの股間を覗き込む</p><p>いや、そういうところは見なくていいから</p><p>あの真緒ちゃんだって、裸を見られるのは恥ずかしいだろ</p><p>平気だよっよしだくんだもんっ</p><p>よしだくん、真緒のパパになってくれるんだもんねっ</p><p>嬉しそうに、真緒ちゃんは微笑む</p><p>そうだオレはこの子に約束した</p><p>確かに約束したんだ</p><p>はいはーい、お風呂に入る前には、ちゃんと身体を洗い流してからでないといけませーんっ</p><p>真緒ちゃんが、ニコニコしながらオレに言う</p><p>シャワー取って</p><p>お水出して</p><p>うわっちべたい</p><p>すぐにお湯になるよ</p><p>うんほかほかになってきましたはい、よしだくん、ここに座って下さぁい</p><p>真緒ちゃんが、オレを座らせる</p><p>シャワーを掛けますよぉぅ</p><p>いつも渚にして貰っていることをオレにしたいんだ</p><p>オレは黙って、真緒ちゃんのやりたいようにさせる</p><p>はーい、お尻もよく洗いましょうね</p><p>小さな手が、オレのお尻をむにむにした</p><p>ほら、真緒ちゃんはオレがシャワーしてあげるよ</p><p>オレは、真緒ちゃんの身体に温かいシャワーを掛けて</p><p>もういいですよっお尻も洗いましたっお風呂にザブンしましょうっ</p><p>どうすりゃいいんだ</p><p>よしだくんが、先に入るのっそれで、真緒のことを抱っこしてくれればいいのっ</p><p>オレは湯船の中で真緒ちゃんを抱きかかえる</p><p>小っちゃい手だね</p><p>改めて見ると真緒ちゃんの手は、本当に小さい</p><p>大人の手のミニチュアみたいだ</p><p>手だけじゃないのですっ真緒は、全部小っちゃいよっ</p><p>真緒ちゃんは、ぷんぷんする</p><p>あ、そういやそうだね</p><p>よしだくんは、大きいね</p><p>いや、大きくないよクラスでも真ん中ぐらいだし</p><p>真緒よりは、大きいよっ</p><p>それはまあその通りだ</p><p>ねぇ、そう言えば、どうして真緒ちゃんはオレのことよしだくんて呼んでいるの</p><p>それはねっ先生がそうしなさいって言うからっ</p><p>ミナホ姉さんが</p><p>あの子はもう一度、自分の原点に立ち返らせてあげないといけないのよっって言ってた</p><p>黒森の家に囚われないように</p><p>オレが心を一旦リセットできるように</p><p>ねえねえ、こういうのできる</p><p>真緒ちゃんが、お湯の中にタオルを沈めてアブクを作る</p><p>ぶくぶくぶくぶくっきゃはは</p><p>もっと大きなアブクを作ってあげるよ</p><p>オレはタオルに可能な限り空気を含ませてジュワワワッとアブクを出した</p><p>うはははっ、すごいすごいっ</p><p>ニコニコ笑う、真緒ちゃん</p><p>ねえねえ、よしだくん楽しいねっ</p><p>えアブクが</p><p>違うよっ吉田くんと、お風呂に入っているのが楽しいんだよっ</p><p>ママとのお風呂も楽しいけれどでも、ママ、疲れている時もあるから</p><p>そういう時は、どうするの</p><p>真緒がママのこと、マッサージしてあげたりするよっ</p><p>母娘２人で色々あるんだ</p><p>あっ、吉田くん耳の後ろも洗わないとダメですよっ</p><p>真緒ちゃんは、オレの身体の上を登ってさっきまで遊んでいたタオルで、オレの耳の後ろをグリグリ擦る</p><p>あのねよしだくん真緒ねお願いがあるのっ</p><p>そして、オレと真っ正面になって恥ずかしそうに言った</p><p>今度ね、真緒の幼稚園で運動会があるの他の子は、パパもママもお祖父ちゃんもお祖母ちゃん来るのに、真緒はママだけでしょだから</p><p>うん行くよオレも行くから</p><p>本当約束してくれるっ</p><p>ああ嘘はつかないよ約束する</p><p>オレはまた約束してしまった</p><p>うっひぃやったぁぁ</p><p>嬉しそうに真緒ちゃんは、笑った</p><p>んどうしたのよしだくん</p><p>何でもないよ</p><p>結局、オレは</p><p>オレは、これまでにたくさんの約束をしてきた</p><p>その約束からは逃げるわけにはいかない</p><p>約束は守るんだ</p><p>オレの中で、オレがそう言っている</p><p>お腹痛いの</p><p>真緒が、ギュッとしてあげるから</p><p>真緒ちゃんが小さな手で、オレを抱き締める</p><p>良い子だ</p><p>そんな真緒ちゃんをオレは抱き締める</p><p>この子は一生オレが護る</p><p>オレは、この子のパパになるって約束したんだから</p><p>オレ、真緒ちゃんの良いパパになるからなっ</p><p>甘えた事なんてもう言ってられない</p><p>死ぬ気で守るんだ</p><p>約束を果たすんだ</p><p>オレはミナホ姉さんの弟になる</p><p>克子姉の弟であり、男でもある</p><p>渚の男で真緒ちゃんのパパだ</p><p>寧さんの弟になる</p><p>みすずの男で飼い主だ</p><p>メグの恋人で夫になる</p><p>マナのお兄ちゃんで、主人になる</p><p>美智のご主人様だ</p><p>瑠璃子のお兄様でもある</p><p>麗華の主でもある</p><p>ジッちゃんの孫になると約束した</p><p>あの子たちを、幸せにすると</p><p>約束した以上は命懸けで頑張るしかないんだ</p><p>オレが何者だろうと</p><p>人を殺したことだって、関係無い</p><p>そんなことに落ち込んでいる時間は、オレにはもう許されないんだ</p><p>オレの家族の笑顔を護るためには</p><p>入るわよっ</p><p>渚も裸になって、浴室に入ってきた</p><p>ママ、ママ大変っ吉田くんが、泣いちゃったの</p><p>真緒ちゃんが、母親に報告する</p><p>そういう時はね、チューしてあげなさいそして、好き好きって言ってあげるのよ</p><p>好き好き</p><p>真緒はこの人のこと好き</p><p>大好きっ真緒のパパだもんっ</p><p>そう思ったら、言葉で教えてあげて、チューするの思っているだけだと、相手には伝わらないからねっ</p><p>真緒ちゃんがニコッと笑って、オレを見上げる</p><p>よしだくん、好き好きっチュッ</p><p>小さな唇が、オレの唇に触れる</p><p>オレも好きだよ真緒ちゃん</p><p>オレも、真緒ちゃんの頬にキスを返した</p><p>幼女には誰も勝てません歴史が証明しています</p><p>うう体調がまだ完全でないです</p><p>週初めなのに、金曜日ぐらいの疲労度</p><p>339．グッド・モーニング</p><p>真緒、もうちょっと詰めてママ入れないわ</p><p>うふふ、スイートルームのお風呂は広くていいわね３人で入れるんだもの</p><p>温かいお湯</p><p>柔らかな肉体</p><p>渚、オレ、真緒ちゃん</p><p>背中から渚に抱きかかえられるオレが、真緒ちゃんを真っ正面に抱いている</p><p>ちゃぷん、ちゃぷんと真緒ちゃんは、お湯を揺らして遊んでいる</p><p>やっぱり、身体がまだ緊張したまんまね</p><p>渚の長い指が、オレの背中に伸びる</p><p>緊張しているオレが</p><p>ええ、全身、ガチガチに強ばったまんまよ</p><p>そう言って、渚はオレの肩の辺りを揉んでくれた</p><p>ほら、大きく深呼吸して</p><p>ママ、真緒も深呼吸する</p><p>ええ真緒も一緒になさい</p><p>真緒ちゃんがニカッと微笑んで、オレを見上げる</p><p>はーい、では深呼吸しますよおっ吸ってぇぇーっ</p><p>すぅぅ</p><p>吐いてぇぇぇ</p><p>はぁぁ</p><p>もっと、ゆっくり長い息で吸ったり吐いたりしましょうねっ</p><p>真緒ちゃんは、先生の様にそう言った</p><p>幼稚園で習ってきたみたいなのよ気にしないで相手してあげてね</p><p>渚が、くくくと笑う</p><p>はい、吸ってぇぇぇぇーっ</p><p>すぅぅ</p><p>はい、吐いてぇぇぇぇ</p><p>はぁぁっ</p><p>そうよお湯の中に溶け込んでいくイメージよあたしにもっと体重を掛けてくれて構わないから</p><p>重くない</p><p>大丈夫だからもっと、寄り掛かってきて</p><p>耳元に、渚が囁く</p><p>後ろからオレの胸に手を廻して、キュッと抱き締める</p><p>怖くない怖くないからね</p><p>渚の豊満な胸が、オレの背中に当たる</p><p>乳首の感触も、はっきりと判る</p><p>あたしも真緒もここに居るわあなたを拒絶したりはしない受け入れている</p><p>はーい、深呼吸続けますよおっ</p><p>そうやって母娘に挟まれて、深呼吸していくうちに</p><p>オレの心と身体がゆっくりと解れてくる</p><p>大分、柔らかくなってきたわ</p><p>渚の指が、オレの腕や胸を撫でる</p><p>どれどれ、真緒も調べるぅぅ</p><p>真緒ちゃんの小さな手も、オレを胸をぺたぺた触る</p><p>真緒ちゃん、くすぐったいよ</p><p>オレは真緒ちゃんを抱き締めて、チュッとキスをした</p><p>真緒の身体と髪の毛、洗ってあげて</p><p>これからも、真緒とお風呂に入るんでしょ女の子の髪の毛の洗い方、覚えてね</p><p>オレは、真緒ちゃんのパパなんだ</p><p>渚が居ない時に、洗ってあげなきゃいけない場合もあるだろう</p><p>小さな女の子の世話覚えなきゃいけないことがたくさんあるはずだ</p><p>うんうんよしだくん、洗って</p><p>ああ真緒ちゃん</p><p>そして、オレは真緒ちゃんを洗う</p><p>女の子の髪も、慎重に</p><p>眼を閉じてて、眼にセッケンが入ると痛いよ</p><p>わーっ、よしだくん、いつものママと同じこと言ってる</p><p>真緒ちゃんがお返しに、オレの身体を洗ってくれた</p><p>髪の毛は力がないから、ぐしゃぐしゃしてるだけなので、途中から渚が代わってくれた</p><p>渚はオレの毛根まで揉みほぐすように、気持ち良く洗ってくれる</p><p>それから、オレと真緒ちゃんで渚の身体を洗った</p><p>真緒ちゃんが、きゃぴきゃぴと笑う</p><p>真緒、朝からそんなにはしゃぐと、くたびれちゃうわよっ</p><p>だって、楽しいんだもんっ</p><p>オレは、渚の背中のセッケンの泡をシャワーで流している</p><p>ママ真緒、何かすっごくすっごく楽しいのっ</p><p>それはね、幸せな気持ちって言うのよ</p><p>真緒しあわせ</p><p>真緒ちゃんは、ちょっと考え込んでオレを見る</p><p>うん真緒、幸せかもしんないよっよしだくんっ</p><p>続いて、渚の髪を洗う</p><p>女の人の髪って水に濡らすと、こんなにペタッとまとまるんだ</p><p>濡れた長い髪を、顔の真横に垂らして渚は両手で揉み込むように、シャンプーしていく</p><p>そうやって洗うんだ</p><p>そうよ真緒も、あなたも手伝って</p><p>シャンプーを流したら、次はトリートメント</p><p>オレも渚の髪をマッサージする</p><p>艶やかで不思議な触感がするな</p><p>ママの髪の毛、コンブみたいだよねっ</p><p>ほら、海でユラユラ揺れている方の</p><p>真緒何回も言うけれど、海の中で揺れている昆布と、お味噌汁に入っている昆布は同じものなのよ</p><p>違うよぉっお味噌汁のコンブは、海のコンブみたいに大きくないもんっ</p><p>真緒ちゃんは、屈強に言い張る</p><p>この間、幼稚園の遠足で海の水族館へ行ったのよどのお魚が一番面白かったって聞いたら、この子、昆布って言うの</p><p>それで昆布に思い入れがあるのか</p><p>っていうか、この独特の個性は喜ぶべきものなんだろうか</p><p>そんな心配そうな顔しないで変な事を言うのは、子供の特権なんだから一々気にしていたらダメよ</p><p>渚は、オレを見て笑う</p><p>そうそう、気にしていたらダメだよ吉田くんっ</p><p>ぬひひと、真緒ちゃんは笑った</p><p>お風呂から出る</p><p>着替え、そこにあるわ夜の内に、麗華お姉さんが用意してくれたの</p><p>下着とシャツの替えがあった</p><p>麗華が買って来てくれた</p><p>ホテルの１階は、水浸しだから近くのコンビニまで行って来てくれたらしいわ</p><p>後で礼を言わないと</p><p>ついでに食材も買ってきているはずよ克子が朝ご飯を作ってくれているはずだから</p><p>朝ご飯</p><p>克子たちが居る方のスイートルームには、キッチンが付いているのよ外国からのお客様だと、滞在中に自分で料理したがる人も居るから</p><p>今は、ホテル内の施設に問題がなくても係の人が居ないからね現場検証が終わるまで、休業だしあたしたちが泊まっていることは警察には内緒だからルーム・サービスとか頼めないのよ</p><p>オレの服はホテル内の劇場で脱いだものを誰かが回収してきてくれたらしい</p><p>克子姉がオレのサイズに直してくれた、ミナホ姉さんのお祖父さんの服</p><p>全部ちゃんと、ある</p><p>ホテルのランドリーも使えないから脱いだのは持ち帰ってから、お洗濯ね</p><p>渚は取りあえず、バスローブ姿だ</p><p>真緒ちゃんはバスタオルを巻いている</p><p>待っててね女はここからが時間が掛かるのよ</p><p>そう言って、渚は真緒ちゃんの髪にドライヤーを掛けていく</p><p>ちゃんと乾かさないとね</p><p>うん、風邪引いちゃうもんな</p><p>オレの言葉に、渚は笑って</p><p>それもあるけれど自然乾燥だと、ぼわんって爆発したみたいになっちゃうからこの子やあたしの髪質だと</p><p>オレはロン毛にしたことなんてないから、よく判らない</p><p>退屈だったら、テレビでも見ていて</p><p>ううんここで見ているよ</p><p>真緒ちゃんの髪を乾かす渚</p><p>次は渚の髪</p><p>真緒ちゃんもお手伝いする</p><p>オレは、それをずっと見ていた</p><p>全然退屈じゃ無い</p><p>面白い</p><p>うん、とっても</p><p>こんなのいつもしていることなのよ</p><p>いや、オレこういうの見るの初めてだから</p><p>オレは小さい頃、バァちゃんと風呂に入ったけれど</p><p>バァちゃんは、ドライヤーとか使ってなかったしな</p><p>オレの母親は</p><p>オレが絶対に立ち入り禁止の母親の部屋の中に、風呂とトイレと化粧部屋があるから</p><p>こういう場面は、見たことが無かったし</p><p>ね、後ろお願い</p><p>渚がバスローブを脱ぎ、フラジャーを付ける</p><p>豊かな胸をカップに収め、オレに背中を向けて</p><p>オレは背中のホックを留める</p><p>あたしや克子はいつもの癖で、替えの下着を持ち歩いているからいいけれどメグちゃんやマナちやんは、大丈夫かしら</p><p>いつもの癖</p><p>２人とも娼婦だったから</p><p>あたしはパンティ自分で履いてもいい</p><p>みすずさんやメグちゃんのパンティは、あなたが履かせているんでしょ</p><p>それはあのどっちかっていうと、２人の希望だからオレは別に、そんなにパンティにこだわりがあるわけじゃないよ</p><p>ああ、そうなの</p><p>それでも、渚は腰をくねらせて、オレの眼を楽しませるように下着を付けた</p><p>よしだくぅんっ服着せてっ</p><p>バスタオルを脱いだ裸の真緒ちゃんが、走って来る</p><p>真緒の服は、そこにあるわ真緒の下着は昨夜のうちに、洗って干して置いたの正解だったわね</p><p>うわ何て小さなパンツ</p><p>これなら確かに乾きが早いだろう</p><p>真緒ちゃん、片方ずつ足を上げて</p><p>素直に真緒ちゃんは、従ってくれる</p><p>本当に良い子だな</p><p>オレは真緒ちゃんのよそ行きのドレスを、何とか着せてあげる</p><p>違うよ、よしだくんボタン、一個っつズレてる</p><p>いいから、いいからちょっとずつ、覚えていってねきししっ</p><p>真緒ちゃんは、そう言って笑った</p><p>子供の世話って大変だな</p><p>でも、頑張んなきゃ</p><p>この間に、渚も昨日と同じスーツ姿に着替えている</p><p>軽くお化粧しちゃうみんなに会うだけだけどすっぴんのまんまだと、克子に笑われそうだし</p><p>そう言ってポーチからファンデーションを取り出した</p><p>ママ、真緒も真緒も</p><p>真緒ちゃんの顔にも、ちょこんとファンデーションを塗るフリをする</p><p>それから、眉をちょっと足して</p><p>唇もちょこっと色を足す</p><p>ほんのちょっとのお化粧で大人の女の顔ができあがる</p><p>朝ご飯食べたらあたしはお店に行かないといけないの今朝の仕入れはお花市場から直接配送にしてもらったけれど、開店前の準備はしないといけないし</p><p>そうだ今日はまだゴールデン・ウィークの最中だけれど</p><p>渚のお店は、休みじゃない</p><p>うちはお花関係のお客様も多いからお節句の菖蒲のお花とかも結構売れるのよ</p><p>オレもお店、手伝おうか</p><p>あたしよりも他の子の相手をしてあげてみんな、あなたのことを心配しているでしょうし落ち込んじゃっている子もいるだろうからだから、取っといてあげたのよ</p><p>そう言って、真緒ちゃんに見えないように、そっとオレの股間を触る</p><p>あたしはあなたの寝顔が見れて一緒にお風呂に入れただけで、充分よ今日も元気に働いてくるわっ</p><p>子作りは、今度またゆっくりね</p><p>渚とのセックスは本気の子作りだ</p><p>渚は、妊娠したがっている</p><p>あ、そうだ真緒は、みんなと一緒でもいい幼稚園、今日、お休みなのよ家の中に１人だけで閉じ込めておくのも可哀想だから</p><p>うんオレが面倒を見るよ</p><p>あなた１人でなくていいのよ克子やマルゴちゃんにも頼むから</p><p>渚はしゃがんで、真緒ちゃんと視線を合わす</p><p>真緒今日は一日、夕方までママと離れていられる</p><p>真緒ちゃんは</p><p>はーい、よしだくんと一緒に居るぅぅっ</p><p>ホテルの廊下を挟んだ、隣のスイートルームへ行く</p><p>ベルを鳴らすとメグとマナが出て来た</p><p>お早う、お兄ちゃんっ</p><p>お早う、ヨシくん</p><p>２人とも、お早うのキスをオレに求める</p><p>オレは順番にキスした</p><p>あ、あたしも、お早うのキスはまだだったわ</p><p>真緒は、いっぱいチュッチュしたもんっ</p><p>キスしちゃうとしたくなっちゃうから、我慢していたのよ</p><p>渚とも、濃厚なキスをする</p><p>メグとマナは、ホテルのレストランのウェイトレスの制服を着ていた</p><p>オレンジ色のエプロンドレスだ</p><p>あ、これずっとドレスのままでいるのも困るから麗華お姉さんに相談したら、ホテルの制服を借りてきてくれたの</p><p>メグが説明してくれた</p><p>ほら、この後、警察が実況見分している脇を抜けて、ホテルの外に出ることになるでしょドレスのまんまだと、目立ちすぎるからって</p><p>確かに、ホテルの従業員ぽくしていれば目立たない気はするけれど</p><p>でも、高１と中３のウェイトレス姿は</p><p>どうしたの変</p><p>マナが心配そうに、オレを見上げる</p><p>いや、可愛い可愛すぎて、目立ってしまう気がする</p><p>まあ、何とかなるわよ</p><p>渚が笑って、そう言った</p><p>良かったヨシくん</p><p>メグが、オレに寄り添う</p><p>心配していたんだから</p><p>マナもだよっ</p><p>マナが、背中からオレに抱きつく</p><p>オレも、２人を抱いてやる</p><p>ぬぬぬ</p><p>この感触は</p><p>マナ、お前、下着付けて無いだろ</p><p>恥ずかしそうにマナは微笑む</p><p>こいつオレに犯されるのを待っている</p><p>開けっぴろげに求めてこなくなっただけ、成長したんだろうけれど</p><p>ヨシくん、良い匂いお風呂入ったんだ</p><p>ああ、渚と真緒ちゃんと３人でね</p><p>教育的によくないことは何もしてないから安心して</p><p>渚が笑って答える</p><p>そういうのは、真緒がお年頃になってからガンガンする予定だから</p><p>とにかくみんなの顔が早く見たいよ</p><p>奥の部屋にみんないるわ</p><p>すっごいんだよスイートルームだからっ</p><p>メグとマナが、左右からオレを挟み込む</p><p>ほらぁ、昔の日本の小説にさ好きな女を諦めるには、どうしてもその女のウンコを見るしか無いって、おまるみたいのを盗み出す話があったろで、中を覗き込んで見ると女の方に気付かれていて、香りの良い木でできた作り物のウンコが入って居て、男がそのまま悶死するっていう</p><p>恭子さんの大きな声が聞こえてくる</p><p>つーか、朝から何て話をしているんだ</p><p>そんな小説、あるわけないじゃない</p><p>あるわよ芥川龍之介の好色よね</p><p>さらにこの声はミス・コーデリアか</p><p>え何で、ここに居るの</p><p>おっ、お早ううん、顔色はいいわね眼に生気が戻ってるよしっ</p><p>恭子さんは、オレの顔を見てそう言った</p><p>さて男が来たから、あたしは帰るわ</p><p>ミス・コーデリアは、椅子から立ち上がる</p><p>わ、女のヴァイオラたちまで居る</p><p>そんなに警戒しなくてもいいわあなたも恭子の家族なんでしょそれなら、男でも生かしておいてあげるわ</p><p>ミス・コーデリアは、苦笑してそう言った</p><p>あなたには、度胸のあるところも見せて貰ったしねこれからもよろしく</p><p>あたしのパートナーなんだからちょくちょく遊びに来ると思うから、頼むね</p><p>きょ、恭子さん</p><p>ミス・コーデリアが、ちょくちょく来るって</p><p>あなたも直接、話をするのは初めてねカタガイ・ナギサさん</p><p>ええ初めまして、ミス・コーデリア</p><p>そうか、昨夜は渚は地下に居たからミス・コーデリアとは会っていない</p><p>でも、オレたちに対する調査の段階で、渚のことは調べ上げているんだ</p><p>あなたは、マオちゃんね</p><p>ミス・コーデリアは、真緒ちゃんに話し掛けるが</p><p>真緒ちゃんも、この女性の危険性は何となく判るのだろう渚の後ろに隠れてしまう</p><p>あらあら、恥ずかしがり屋さんなのね可愛いわ</p><p>真緒の名前は、マルゴが付けたんだよ</p><p>恭子さんが、ミス・コーデリアに言う</p><p>へえ、マルゴ・スタークウェザーには、そういう思想があるの</p><p>思想</p><p>毛沢東語録とか、読みそうな感じには見えないんだけれど</p><p>コーデリアその毛《マオ》とは、違うよ</p><p>困り顔で、恭子さんは言った</p><p>もう行きなこれ以上、あんたがここに長居していると谷沢のオッサンが困るだろうし</p><p>判ったわ後でまた連絡するわ</p><p>うん待ってる今夜は多分無理妹の１人が塞ぎ込んだままだから</p><p>そうねでも、帰国前には会いたいわ</p><p>ちゃんと時間を作るよ寝かせないんだから</p><p>楽しみにしているわ</p><p>ミス・コーデリアは、出口に向かおうとする</p><p>じゃあね、皆さんメグちゃんもマナちゃんもまたね</p><p>さようなら、コーデリアさん</p><p>ご苦労様です</p><p>マナとメグが返事する</p><p>２人ともオレのいない間に、ミス・コーデリアと会話していたらしい</p><p>あなたも元気でね雪乃さん</p><p>あたしは二度と会いたくないわ</p><p>雪乃はそっぽを向いたままだ</p><p>ではみなさんごきげんよう</p><p>ミス・コーデリアは、部下を引き連れ退室していく</p><p>マナが、大きな溜息を吐く</p><p>ご苦労さん</p><p>恭子さんが、笑って言った</p><p>あの子が不機嫌にならないように、気を遣ってくれてたんだよねメグちゃんと２人で</p><p>う、うん怖かった</p><p>大丈夫だよ礼儀は弁えている子だからマナちゃんたちの気持ちは感じ取ってくれたと思うよ</p><p>特にそっちにずっと不機嫌を噴き出しているお子ちゃまが居たから</p><p>恭子さんの眼が、雪乃を見た</p><p>ていうかどうしてこいつ、ここに居るんだろう</p><p>いや、よく考えると</p><p>確かに、ここ以外居場所が無いんだろうけれど</p><p>それにしては、偉そうな態度で座っているな</p><p>勘違いしないでよねあたしは、こんな場所には居たくないのよ本当は</p><p>そこまで言って一瞬、雪乃は言葉を探す</p><p>でも、何て言うかあんたが眼を覚ました時に、あたしはここに居るべきなんじゃないかって思ったのよだから、ここに居るのそれだけよ</p><p>だから、無視することにする</p><p>お台所よ朝ご飯の準備をしているわ</p><p>みすずと瑠璃子と美子さんと美智は瑠璃子のお父さんの葬儀の準備で先に帰った</p><p>関さんも付いていったはずだ</p><p>麗華は香月セキュリティ・サービスの仕事があるんだろう</p><p>イーディを呼んであげないとねあの子、コーデリアが帰るまでは隠れているって、そっちの部屋に行ったんだよ</p><p>恭子さんが立ち上がり、シスター・イーディを探しに行こうとする</p><p>ミナホ姉さんとマルゴさんは</p><p>寧さんのところよ</p><p>さっき、恭子さんは</p><p>妹の１人が塞ぎ込んだままだと言っていた</p><p>こっちの奥の部屋に居るよあんたも様子を見に行ってあげて</p><p>恭子さんは、オレにそう言った</p><p>風邪、流行っていますねえ</p><p>私も体調がまだ完全でないですが</p><p>それでも働きに行くのです</p><p>皆様、ご自愛下さいませ</p><p>では、仕事にいきます</p><p>340．We shall overcome</p><p>マルゴもあんたのことを心配していたしね</p><p>恭子さんが、オレに言う</p><p>ああ、気絶とかしちゃったからなオレ</p><p>判りました、すぐ行きます</p><p>オレは寧さんたちの居るという部屋の方へ行こうとする</p><p>ちょっと待ちなさい</p><p>部屋のドアが開いてミナホ姉さんが現れる</p><p>あお早う、ミナホ姉さん</p><p>お早う顔を見せて</p><p>ミナホ姉さんは、オレの顔をジッと見る</p><p>問題は無いようね</p><p>問題</p><p>安定はしているよさすが渚ちゃんと言うべきか真緒ちゃんもかな</p><p>恭子さんは、ニカッと微笑む</p><p>幼女は万病に効くからね</p><p>否定はしない</p><p>真緒ちゃんにがんばってぇと言われたらフルマラソン走った後で、もう42.195キロ走れる気がする</p><p>あなた自分がどれだけ危険な状態に居たか、判っている</p><p>両手をオレの肩に置いて、ミナホ姉さんがオレに言った</p><p>危険</p><p>マルゴが恐れていたことよ</p><p>何を恐れるっていうんだ</p><p>オレは別に</p><p>マルゴはねあなたが、人を傷付けたり、殺したりすることに躊躇いの無い人間になってしまう危険性をずっと考えていたの</p><p>人間はね慣れればどんなことにもマヒしてしまうのよ人の死でさえもね</p><p>家族を護るためなら、暴力の使用も躊躇わないそれは仕方の無いことかもしれないけれど、暴力に馴れ過ぎてしまうとおかしなことになるわちょっとしたことでも、人に過剰な暴力を振るったり気軽に、人を殺すようになったり</p><p>あたしの業界には多いよ歯止めが無くなっちゃったやつはそういうやつは、一緒には仕事ができないからね何かしら理由を付けて、処分されるよね置いとくだけで、危なっかしいからさ</p><p>あんたが特に危なかったのはあれが特殊過ぎる状況だったからさ</p><p>特殊過ぎる状況</p><p>あんたが、シザーリオ・ヴァイオラをあのタイミングで撃ち殺さなかったらあのフロアに居た人間の半分近くは死んでいただから、あんたがあいつを殺したのは正しかったこれが状況１</p><p>そもそも、シザーリオ・ヴァイオラは寧の仇だし、誰が殺してもどこからも文句が出ないようなホンモノのクズ野郎だっただから、別にあんたが殺しても構わないはずだこれが状況２</p><p>そして、あの場は非常識なメチャクチャな空間だったその直前に香月のジィさんが殺人依頼をし、コーデリアが人を殺したにも関わらず、ジィさんもコーデリアも、日本の司法機関には裁かれないらしい裏社会のアウトローと、超法規的な大権力の持ち主が一緒に居て犯罪が見過ごされる空間だったそこで、人を救うための行動として、あんたもヴァイオラを殺したんだからあんただって裁かれることは無いはずだこれが状況３ね</p><p>改めて言われるとそういうことなんだな</p><p>普通の人間なら以上の理由から、自分のやった行為を正当化しようとする自分がヴァイオラを殺したことに間違いは無いってねでも頭は正当化の方に働くけれど、心の方はそうはいかない</p><p>人殺しは、人殺しだ他者の命を奪うということ赤い血を噴き出させるということに対し、どうしたって生理的な拒絶感はある普通の人間だったらね</p><p>普通の人間</p><p>確かに、ヴァイオラに弾丸を撃ち込んで赤い血を見た時</p><p>もう一度言うけれどあの場は、本当に特殊な状況だったあんたが人を殺したことに対して、精神的なショックを受けたのは、人間として当たり前なことだけどそのショックを状況が打ち消してしまう可能性があった</p><p>可能性</p><p>例えば誰かが、いち早くこれは仕方の無いことだから、あんたは悪くないって、あんたの殺人行為を擁護したりするヴァイオラなんだから、殺してもいい、このホテル内は治外法権だから、問題無いそんなことを言われているうちに、あんたもそうかもしれないと思ってくる心が救われると感じてでも、その結果自己正当化が、罪の意識を忘れさせ人を殺したという事実が、あんたの中で軽くなってしまう</p><p>家族を護るために人を殺したという記憶だけが、頭の中にメモリーされその時に感じた、嫌悪感や心のショックを忘れてしまうすると、どうなるか</p><p>恭子さんは、オレの反応を観察しながら話を続ける</p><p>次にまた何かしらのトラブルが起きた時に必要以上の暴力を振るい出すような人間になってしまう暴力で問題を解決する傾向に陥って、歯止めが利かなくなる</p><p>あなたの中で、人を傷付けることに対する恐怖心がなくなってしまうから</p><p>暴力的な人間になってしまう可能性がある</p><p>あなたにとって幸いだったのはあの場に、雪乃さんが居たことよ頭がカチカチな上に、周りの空気を読まずに自分の感情のまま喚き散らす女の子がね</p><p>何よ、それまるであたし、馬鹿みたいじゃない</p><p>雪乃はプンスカ起こる</p><p>自覚が無いんだから、ホンモノだね</p><p>恭子さんが呆れた様子で言った</p><p>ほんの少しでも他人に対して優しさを持っている人間ならあの場で、あなたにあんな酷いことは言えないわあの時の状況は、どうしょうもないぐらい危険で非日常的な世界だったんだからそこに日常世界の常識を持ち込んで、自分の心の感情のまま喚き散らす雪乃さんは、はっきり言ってキチガイよもう、どうにも救いようがないくらい自己中心的でどうしようもない小娘だけれど彼女が日常世界の常識をあなたにぶつけたことが、あなたにとって幸いだったわ</p><p>雪乃がムッとする</p><p>何かあたし、メチャクチャな言われようなんですけれど</p><p>恭子さんもミナホ姉さんも雪乃を無視する</p><p>結果的にあなたを日常世界に引き戻したから人は殺してはいけないし、人を暴力で傷付けることは恐ろしいことだという意識を最優先に持ってこれたから</p><p>だから、あんたはラインを踏み越えずに済んだ</p><p>ライン</p><p>非合法なアウトローな世界が当たり前になっちゃいけないんだよあたしみたいにね</p><p>恭子さんは、寂しそうに笑う</p><p>でも、オレは犯罪組織黒い森の人間ですもう、こちら側の人間です</p><p>犯罪組織に所属していることとラインのどちら側に居るかは別のことだよあんたは、普通の人たちと同じ側にまだいるよちゃんと、常識の世界の中にいる</p><p>常識常識って何よそれが大切なものなわけ</p><p>雪乃が、尋ねた</p><p>そういう質問をするってのはホント、あんたは、ごく普通の甘やかされて育った馬鹿お嬢さんそのものなんだねまあ、いいや教えてあげる</p><p>恭子さんは苦笑して言った</p><p>人間てのは、群生動物なんだよ社会という名の群れを作っていかないと生存できない生き物なんだなのに、一人一人個別に意志があるという困った生き物だ</p><p>この話は前にも聞いたことがあるな</p><p>群れとしての社会は常に最適な状態を模索して変化していく同時に、個としての人間も、常に最適な状況を目指していく普通は、これを幸福の追求って呼ぶけどねしかしながら社会にとっての最適化と、個としての最適化が正面衝突することが多々ある企業に例えると判りやすいと思うんだけれど群れとしての会社は、人件費を削減した方が身軽になれるのに個としての社員は少しでも給料が上がって欲しいと思っているとかね</p><p>社会と個は常に対立しているわけではないけれど最適化が相容れない箇所は常にあるでも、人間の場合個（個人）は群れ（社会）を構成しなければ、生存し続けられないし、群れ（社会）が個（個人）の集合体である以上、群れ（社会）が個（個人）を圧殺することも許されないそこには、妥協が必要なわけ</p><p>だから、群れ（社会）と個（個人）が共存を図るためにここは群れが我慢するここは個人が我慢する、という細かいルールを作っておくわけそれが常識よそれぞれの群れの中での群れと個の関係性の中で決められていくものなのだから、常識は常に一定では無い群れによって、変化するわ</p><p>でも、人を殺しちゃいけないとか、盗んじゃいけないとかそう言う常識は、世界共通じゃない</p><p>そりゃそうよそういうのは、人間の生物としての根源的な生存本能から来る常識だからその変の常識が守られなければ、群れの構成そのものが不可能になるでしょう</p><p>確かに人殺しと泥棒しが野放図に暮らしていたら、社会なんて形勢できない</p><p>さて、群生動物はどんな種類のものでも必ず、はぐれものを産み出すわ働きアリの何パーセントかは、全然働かないっていう話は知っているわよねあれは、社会環境の突然の変化などの対応のために用意されているのよ揺らぎの存在ね猿山からは、毎年必ず群れを追われたはぐれものが出るわライオンの群れのボスは、メスを独占して、若いオスを群れから追い出すどっちも、群れの外で強く成長したオスが年老いたボスを倒し、群れを引き継ぐ群れにおいてはぐれもの存在は、どうしても必要なものなのよ</p><p>はぐれもの</p><p>人間社会においてはあたしたち、アウトサイダーがそういう役割を果たしているわ社会常識から逸脱しているあたしたちだからこそ、社会の患部を直接切り取ることもできる</p><p>犯罪は犯罪よ犯罪者の自己正当化よそんなの</p><p>雪乃は、恭子さんに嚙み付く</p><p>ま、常識的な眼で見たらそうなんでしょうけれどね</p><p>恭子さんは、笑う</p><p>あたしが言いたいのはねいずれにせよ、常識世界の方が大きいし、ベースなんだってことアウトサイダーの世界は、一般常識の世界があるからこそ、必要なわけでアウトサイダーだけで、生存はできないってことねあ、この場合のアウトサイダーってのは、あたしたちアウトローや犯罪組織の人たちだけじゃないわ香月家みたいな権力者だって、一般常識の世界から逸脱している以上はアウトサイダーだからね</p><p>ミナホ姉さんが、優しい眼でオレを見る</p><p>あなたは一般常識の世界に居ていいのよううん居てちょうだいそして、もしあたしたちが道を踏み外したり、何が大切なのか判らなくなってしまったら、教えて欲しいの</p><p>あたしたちはとっくにラインを越してしまったから</p><p>そしてメグとマナを見る</p><p>あなたたちも、彼と一緒にそっちに居てあなたたちを見ていることであたしたちは、非常識の世界に溺れ死にせずに済んでいるんだから</p><p>ミナホ姉さん、オレはもう</p><p>オレはシザーリオ・ヴァイオラを殺してしまった</p><p>オレだってもう引き返せないよ</p><p>あなた、シザーリオ・ヴァイオラが憎くて殺したの</p><p>違うでしょみんなを助けようと思って結果的に、殺してしまったのよね</p><p>あれを事故だとは言わないしあなたにとって辛いことだったのは判るわでも、したくてしたことではないでしょ</p><p>ミナホ姉さんが、オレを抱いてくれた</p><p>あたしも、あなたと一緒に背負うわ一生</p><p>オレの中から感情が湧いてくる</p><p>あたしもいるわよ</p><p>渚が、後ろからオレを抱いてくれた</p><p>あたしもいるよヨシくん</p><p>メグとマナもオレに寄り添ってくれる</p><p>よしだくーんっ元気になーれっ</p><p>辛かったら泣いていいのよいっぱい泣きなさい</p><p>あなたの涙は全部、あたしたちが飲んであげるから</p><p>涙が噴き出した</p><p>堪えていた感情がオレの中で爆発する</p><p>うううっうううっううううっ</p><p>うなり声しか出て来ない</p><p>身体が、震える</p><p>もうまだ、こんな溜め込んでいたのね</p><p>渚が、ペロッとオレの涙を舌で掬う</p><p>あたしたちも</p><p>メグとマナが、オレの顔をペロペロ舐めた</p><p>声が出ない</p><p>ただ涙が零れ落ちる</p><p>安心なさいあたしたちは、もうあなたからは離れないわ絶対に</p><p>ミナホ姉さんが、そう言ってオレの涙を呑んでくれた</p><p>真緒もペロペロするぅぅ</p><p>渚が、真緒ちゃんを抱き上げる</p><p>真緒ちゃんの小さな舌が、オレの涙を舐める</p><p>しょっぱいねっ吉田くんっ</p><p>スッキリしたかい</p><p>恭子さんが、笑ってオレに言う</p><p>ようやく声が出た</p><p>Overcome　したみたいだね</p><p>オーバーカム</p><p>日本語だと乗り越えたってことかな</p><p>恭子さんは微笑む</p><p>生きていればどうしたって色んなことを体験するからね辛いことも悲しいことも、心に傷のできるようなこともでも、ぶち当たってしまったことを、ちゃんと受けとめて、理解して、自分の経験にしていくちゃんと、乗り越えて《オーバー・カム》いかない限り、体験は体験のままで、いつまでも心の中に障害として残ってしまう自分の体験を経験に帰る過程を経ないと、どんな記憶も消化することはできないからね</p><p>オレはヴァイオラのことを乗り越えられたんだろうか</p><p>うんそうだねこの子の場合は心の中のマイナスは、こんな風に完全に消化させた方が良かったんだね寧に会う前に</p><p>恭子さんが、ミナホ姉さんを見る</p><p>あたしはちょっと粗雑なところがあるからね御名穂の細やかさには勝てないよ</p><p>恭子さんだって、充分繊細です</p><p>ただ、恭子さんはいつも、アウトサイダーとしての立場で物事を考えているから</p><p>囚われているよね発想がさこの子が心に爆弾抱えたまま、寧に会うのもショック療法で、両者に取って良いかもとか思ってたしこれって、戦場の考え方だね確かに</p><p>今は、ゆっくり時間を掛けても、確実な方法を選ぶべきです</p><p>うん御名穂の冷静さは正しい</p><p>恭子さんは、そう納得した</p><p>ヨシくんどんなことがあっても、あたしはヨシくんのことが好きよこの気持ちは、変わらないからね</p><p>マナだって</p><p>メグとマナは、オレにしがみつく</p><p>でも、オレはシザーリオ・ヴァイオラを</p><p>オレは人殺しなんだぞ</p><p>あたしヨシくんと一緒に引き金を引いたからだから、ヨシくんの辛さは、あたしのものなのよ</p><p>うんマナもお兄ちゃんの辛さは、一緒に受けとめるよ</p><p>御名穂さんに言われていたのヨシくんが、ちゃんと感情を吐き出すまでは、いつも通りの顔をして普通にしてなさいって</p><p>だから、今までメグお姉ちゃんと遠くから我慢していたんだよ</p><p>この子たちが最初に、あなたは、何も悪く無いって言ったら、あなたの心が混乱するでしょだから、この子たちから先にヴァイオラのことに触れないようにさせていたのよ</p><p>会って早々に、ヴァイオラを殺したことを二人に擁護されたら</p><p>オレは、心を閉ざしていたと思う</p><p>違うそうじゃない悪いのはオレなんだって</p><p>とっころでさ、何であんたは縋り付かないわけ</p><p>恭子さんが、雪乃に尋ねた</p><p>雪乃はツンとして</p><p>はあ何であたしが</p><p>あんただって、この子のことLOVEなんだろ</p><p>そんなわけないわよっ</p><p>切れる雪乃</p><p>本当はあたし雪乃がここに居るの、とっても嫌なのよ</p><p>でも、ヨシくんがこの部屋に来た時に、雪乃もここに居た方が嬉しいだろうなって思ったから我慢しているのよ</p><p>何言ってんのよっあたしは、自分の意志でここに居るのよっ</p><p>やっぱり、追い出そうよこんな人</p><p>相変わらず、マナは実の姉に酷い</p><p>まあ、そう言うなよもうすぐ、朝ご飯なんだろ</p><p>克子さんに言って、雪乃さんの分は要りませんて伝えてくる</p><p>おいおい、マナ</p><p>そんなことより二人とも、克子姉を手伝って来いよ</p><p>うんそうだね、ヨシくんヨシくんのことが心配で、あたしたちこっちの部屋に来させて貰ったんだった</p><p>そうだよね克子さんがいいから、いいからって言ってくれて</p><p>克子は信じているのよ渚に任せれば、大丈夫だ癒やしてくれるって</p><p>みすずさんもすっごく大人だったよね</p><p>みすずが</p><p>うんあたしの旦那様なら、絶対にご自分で立ち直って下さいますみすずには判っていますからって</p><p>今は、瑠璃子さんのことが心配だから美子さんと一緒に側についていてあげたいって言っていたわ</p><p>美智ちゃんも今、ここでみすず様たちの警護に付かないと、ご主人様に後でお叱りを受けますって言ってたわ</p><p>今、ご主人様がわたくしに何を望んでいるのかわたくしには、はっきりと判っていますからって</p><p>確かに美智が警護に付いてくれたから、みすずたちのことは安心できている</p><p>オレの気持ちを先回りして美智は動いてくれたのか</p><p>二人とも凄いよねあたしは、ただ右往左往してヨシくんが元気になるのを待っていただけなのに</p><p>メグとマナの顔が暗くなる</p><p>いいんだよ、あんたたちは急ぎの用の無い人間は、ボーとしていていいんだのんびり生きてっていいんだから日本人は、すぐに何かやんなきゃって、心が先走りし過ぎなんだよ</p><p>恭子さんは、そう言ってくれた</p><p>とにかく、二人は克子姉のお手伝いいいねオレは、寧さんのところに行くから</p><p>メグ・マナは、台所へ向かう</p><p>で寧さんの様子は、どうなんですか</p><p>オレの問いに、ミナホ姉さんは</p><p>それがね</p><p>何か深刻なことがあるのか</p><p>恭子さんが、代わりに答えてくれる</p><p>簡単に言うとヤスコに戻ってしまったんだ</p><p>奈島寧《ナトウ・ネイ》ではなく</p><p>奈島寧子《ナジマ・ヤスコ》に</p><p>お風呂が、吉田くんの個人の克服なら</p><p>今度は、家族と一緒の克服です</p><p>この作品では、段階を踏んでいくようにしています</p><p>１回で全部変わるとか治るとかはしません</p><p>毎日更新な分だけ、丁寧にやろうと思っています</p><p>昨日はハロウィンだったので</p><p>電車の中に、ゾンビメイクをしていた女の子が居たのですが</p><p>ほっぺたに腐肉のような拵えものを付けていたのですが</p><p>ワンピースの、ほっぺたにハンバーグを付けて歩いている軍人さんにしか見えませんでした</p><p>髪型のせいでしょうか</p><p>ブギーマンが来るぞ</p><p>風邪、なかなか完治しないですねえ</p><p>今は、お腹がゴロゴロしています</p><p>フェラーリエンジンみたいです</p><p>341. おとうと</p><p>シザーリオ・ヴァイオラの恐怖が監禁されていた時代のトラウマが、ずっと寧の心を抑圧していたからねヴァイオラが死んだってことで、心のバランスが取れなくなっているんだろう</p><p>奈島寧《ナトウ・ネイ》というのは、寧子《ヤスコ》が自分の心を壊さないために作った人格だってことは、あんたも知っているよね</p><p>はい、それは知っています</p><p>本当の寧さん寧子さんは、おとなしくて繊細すぎる少女だ</p><p>学校の校長室下の部屋に泊まった時に、本当の寧さんが自分の過去を喋るのをオレたちは見ている</p><p>日本に連れて帰って来た時に色々あったのよ</p><p>ミナホ姉さんが、悲しそうに言った</p><p>寧をうちの学校に入れたんだけれどその時は、もう名前はナトウ・ネイよ奈島寧子《ナジマ・ヤスコ》の名前は使えなかったら</p><p>何故です</p><p>ナジマ・ヤスコは、戸籍上は今でも、アメリカで行方不明のままなのよ日本には、ロサンゼルスで作った偽造パスポートで帰って来たから中国系カナダ人メイ・リンの名義のねナジマ・ヤスコのパスポートの再発行申請をしたら、ヴァイオラに居場所がバレてしまうでしょだからよ</p><p>でも学校は</p><p>うちの学校内の書類は、あたしが全部誤魔化したわだから学籍はあるけれど奈島寧という人間は、日本には存在しないことになっているのただメイ・リンというカナダ人が、たまたま日本に滞在しているだけで</p><p>もしかして寧さんが留年したのは</p><p>卒業させられないからというのも理由の一つよ学籍はあるけれど本来は入学させることのできない子だからカナダ人として留学させるにも寧にはカナダで暮らしてきたという過去は無いから写真の付いた書類を、あちこちに残すわけにはいかなかったのよ判るでしょう</p><p>寧さんの写真が、犯罪者たちの裏ネットワークに上がっただけで、すぐに日本に居るってヴァイオラに特定されたもんな</p><p>だから、カナダ人メイ・リンは短期滞在のビザで日本に居るのよ90日に一度、ビザを取るために国外へ出ないといけないのよ</p><p>まあ、カナダ大使館のある国ならどこでもいいんだけれどあたしの顔の利く大使館員がいるのがアメリカだったから、アメリカへ行くことが多かったね気を付けないと偽造パスポートだってバレるし向こうへ行く時は、プライベート・ジェットで行って税関職員以外は、顔を合わせないようしてさ金持ち用の完全に閉鎖された別荘みたいなところにずっと滞在させてたんだそこからは絶対に出ないようにしてねまあ、マルゴと車の運転の練習とかしていたみたいだけれどああ国際免許は、カナダの田舎町で取らせたよ</p><p>恭子さんが、そう説明してくれた</p><p>ヴァイオラが居るにも関わらず何度もアメリカに行っていたのも、それが理由か</p><p>それで寧さんは、学校を休むことが多かったんだ</p><p>それだけが理由じゃ無いのよ</p><p>寧をうちの学校に入れたのはあの子に、普通の高校生の生活をさせて、明るさを取り戻して欲しかったからなんだけれど寧も入学当初は合唱部に入ったりもしたんだけれど</p><p>何が起きたんです</p><p>オレが知っているのは剣道場が全焼したことと、その放火犯が寧さんだと言われていることだけだ</p><p>あの子は、その頃はまだ黒髪でね男が誰でも振り返るほどの美少女でしょどうしたって、学内で目立ってしまってでも、あの子の本質は内気な子だから</p><p>うん男子生徒たちにに猛アタックとかされたら、混乱しちゃうだろうな</p><p>その上、その頃は学校の中には、白坂創介の息の掛かった職員が多かったから色々と嫌がらせをされてね</p><p>白坂創介はうちの学校の女生徒から、娼婦候補者を探していた</p><p>克子姉と渚岩倉先輩が、そうやって娼婦に堕とされた</p><p>あいつロサンゼルスで寧をあたしたちに横取りされたのを恨んでいたんだよそれで、自分の子飼いに男子教師に、寧を襲わせた</p><p>それが寧さんが、一年生の時の事件の発端</p><p>まあ、当時はマルゴも生徒だったから何とか、寧を守ることができたんだけれど寧を襲った教師は、半身不随そいつが根城にしていた剣道場は、全焼っていう結果になったんだ</p><p>それで、とにかく寧とマルゴを、一般生徒から離しておかないといけなくなってねとばっちりで、寧の友達とかに白坂創介の災いが降り掛かるのも困るからあの男は、そういうことを平気でするから</p><p>白坂創介が、寧さんの友人を襲ったりされたら対応しようが無い</p><p>その子を人質に、寧さんやミナホ姉さんを脅迫してきたりしたら</p><p>それで、あの子は自分から校内に友人を作るのを避けるようになったのよ合唱部にも行かなくなって籍は、まだあるのよ正式な退部届けは出していないから</p><p>校内にマルゴさんしか友人がいないで</p><p>ずっと寂しかったんだ</p><p>学籍はあるけれど偽造の書類だから、卒業はできない</p><p>友達は作れない</p><p>ずっと校舎の屋上で一人で寂しく、歌っていたんだろうな</p><p>でも寧が拒絶していても、他の生徒の方から寧に寄って来るでしょ特に男の子たちがそれでマルゴとセットにして、普通の生徒が近付かない、危険過ぎる不良生徒のイメージを作らせることにしたのそれで、寧の髪を金髪に染め、ブルーのコンタクトをさせたのよ</p><p>寧みたいな美少女過ぎる子は、金髪で青い眼にすると、さらに特異さが際立つからね良い感じに、普通の子が近づけない雰囲気になったでしょ</p><p>恭子さんはそう言うが現実は、寧さんの孤立が深まっただけなんだ</p><p>寧が、今みたいな人格を作ったのは不良少女のイメージに合わせるためなんだろうけれど孤独に立ち向かうためには、本当の寧子の性格じゃあ耐え切れないって思ったからだろうね</p><p>みんなが思い込んでいる今の寧さん</p><p>金髪の不良少女、奈島寧の外見と人格はそうやって誕生したのか</p><p>それは違いますよ、恭子さん</p><p>寧さんは恭子さんみたいな、強い性格の女の人になりたいって憧れているんですだから、恭子さんの人格を真似して今の寧さんになったんです</p><p>恭子さんみたいな女の人ならどんな境遇でも、平気でいられるだろうと思って</p><p>寧が、あたしをまっさかぁ</p><p>恭子さんは笑う</p><p>いいえ、あたしも彼の言う通りだと思います寧は、恭子さんみたいになりたいんだと思います</p><p>ずっと話を聞いていた渚がそう答えた</p><p>だってあたしはガサツなだけの筋肉女だよ</p><p>いいえ、恭子さんの竹を割ったみたいにサッパリしてて、カラッとしているところオレは魅力的だと思いますよ</p><p>おいおい、あたしを持ち上げても、何も出ないからねだいたい、あたしはレズだし</p><p>オレだって、女の子の方が好きですそういうことじゃなくって恭子さんの自分の考えをしっかりと持って自信を持って生きている姿に、寧さんは憧れているんだと思います</p><p>寧は自分はどうしようも無く無力で、一人では何もできない子だと思っているから自分のことを</p><p>ミナホ姉さんは、悲しそうに言った</p><p>うん結局は、自分の殻に閉じ籠もったままなんだよね</p><p>恭子さんも、困ったなという顔をする</p><p>渚も黙り込んでいた</p><p>メグとマナは、真緒ちゃんと遊んであげながらオレたちの話を邪魔せずに聞いている</p><p>あのオレに考えがありますちょっと聞いて貰えますか</p><p>オレの考えを実現するためには</p><p>ミナホ姉さんと恭子さんの協力が要る</p><p>何だい話してごらん</p><p>オレは静かに話し始める</p><p>寧さんは、このスイートの中に幾つかあるベッドルームの一つに居た</p><p>これは、マルゴさんの声だ</p><p>ずっと、寧さんに付き添っているんだろう</p><p>オレです</p><p>ドアが開く</p><p>マルゴさんが、心配そうな顔でオレを見下ろす</p><p>オレは平気です</p><p>まあ入って</p><p>部屋の中に入る</p><p>ベッドの中に寧さんが居た</p><p>寧さんはオレを見るなり</p><p>あの大丈夫ですか</p><p>寧さんじゃない</p><p>これは寧子さん</p><p>あたしのせいでごめんなさい</p><p>ほろっと、涙を零す</p><p>いや、悪いのは寧じゃないあたしだよあたしが不注意だったんだ</p><p>君が銃を持ったらどんなことになるのか想像はしていたんだなのにあの状況の中で、つい関さんが君に銃を預けるのを見過ごしてしまった</p><p>そう言えば前にも、オレに銃を持つなつて言っていたよな</p><p>オレが銃を持てば、ためらわなく撃つっていうことにマルゴさんは前から気付いていたんだ</p><p>ええっとあの</p><p>オレは穏やかに笑う</p><p>何か問題なんですか</p><p>だって、君に人を殺すという十字架を背負わせてしまった</p><p>はい背負いましたこれで、やっとみんなと同じになりました</p><p>二人が、ハッとしてオレを見る</p><p>娼婦だった過去のある、ミナホ姉さんや克子姉や渚自分を襲った相手を殺したマルゴさん弟さんを助けられなかった寧さんやっと、オレ、同じところに立つことができました</p><p>オレはもう乗り越えてきている</p><p>そして体験してしまったことは、もう変えられませんこのまま前に進むだけです顔を上げて前を向いて</p><p>寧さんに届け</p><p>マルゴさん今日から、オレに格闘技を教えて下さい強くなるためじゃないですもしまた、オレが暴力を振るわないといけないような機会が起きた時オレは、家族を護るためなら、何でもしますその覚悟は変わりませんオレの振るった暴力で、相手に過剰な怪我をさせるわけにはいかないから、歯止めができるようになっておきたいんです</p><p>マルゴさんが、オレに持たせてくれたブン殴り棒は相手を殴っても、殺すほどの致命傷にはならない武器なんでしょそういう程度の破壊力しか無い武器を、マルゴさんは、わざわざオレに持たせてくれていたんですよね</p><p>ブン殴り棒はゴルフクラブを短く詰めて、切り落としたものだ</p><p>柄が長いままなら、遠心力が加わって殴った相手の頭蓋骨を砕くこともできるかもしれないけれど</p><p>あの短さで振り回しても、そこまでの破壊力は出ない</p><p>人を傷付けても殺すまでには至らないオレが暴走して、間違って相手に深刻な怪我をさせないようにああいう武器を選んでくれたんですよねマルゴさんは、オレの心の問題をずっと前から心配してくれていたんですねありがとうございます</p><p>今のオレは本当に、色んな事が判ってきている</p><p>マルゴさんや、ミナホ姉さんたちがオレにしてくれた気遣いの数々が</p><p>その考えを徹底的に、身体に仕込みませたいんですいや、できれば相手を傷付けなくても制止しさせられる技術を身に付けるのがベストなんでしょうね教えて下さいお願いします</p><p>前に進む</p><p>立ち止まったままでは、いられないから</p><p>オレには、護るべき家族がいる</p><p>進むしかないのなら、積極的に貪欲になるしかない</p><p>うん、判ったあたしも、あたし自身を鍛え直すよ徹底して、殺さないで済ませる技術を磨く</p><p>ええ、オレたちは犯罪組織ですけれど殺し屋じゃ無いんですから</p><p>家族を護ることができればそれでいい</p><p>いいんですか本当に</p><p>寧子さんが、気弱な声でそう言った</p><p>今更、何を言うんだよ寧さん</p><p>オレは、微笑む</p><p>寧子さんの中から寧さんを、引きずり出してやる</p><p>オレたち、一生一緒に居るんだよオレが寧さんを護るから</p><p>寧子さんがオレを、見ている</p><p>ところでさアメリカって、どんな所です</p><p>オレは、平然と話し始める</p><p>今すぐは無理みたいですけれど夏休みになったら、一緒に行きますからね寧さん</p><p>寧さんは、驚く</p><p>あ行きは一緒じゃないのかでも、向こうに着いて帰りは、一緒ですよ</p><p>何の話なんですか</p><p>オレはニコッと寧さんに微笑む</p><p>オレ恭子さんに頼んで、日本から密出国しますどうやるんだか、よく判らないんだけれど漁船で海に出て、海上で貨物船に乗るのかなそれで、どっかの島からボロッチィ飛行機で別の島まで行ってそこから、また船とかとにかく、ルートは恭子さんが組んでくれるそうです</p><p>どうして君が、隠れて出国いるんだい普通に、パスポートを持って空港から飛行機に乗ればいいじゃないか</p><p>マルゴさんも、意味が判らないという顔をしている</p><p>パスポートって言えば、寧さんはいつものカナダのパスポートで出国ですよねそれで、とにかくアメリカまで行って貰いますあ、マルゴさんも付いていってあげて下さいで、マイアミの日本領事館に恭子さんの親しい人がいるらしいんで、マイアミで待ち合わせです恭子さんとミナホ姉さんにも来て貰います</p><p>マイアミ</p><p>寧さんは、まだ判っていない</p><p>そこで奈島寧子のパスポートを再発行して貰うんですアメリカで行方不明になっていた少女が帰って来るんですもう、あなたのことを狙っている恐ろしい犯罪者はいないんですよ、寧さんマイアミでカナダの偽造パスポートは、燃やしてしまいましょう奈島寧子として帰国するんです</p><p>寧さんの眼に生気が蘇ってくる</p><p>アメリカから戻って来れば元の戸籍が使えます高校にだって、偽造書類じゃなくってちゃんと通えます卒業だってできます良いことずくめじゃないですか</p><p>寧さんは、正式な手続きを踏んで帰国するべきだ</p><p>そして、失われた人生を取り戻す</p><p>うん、それは賛成だねそうした方が良いよ、寧</p><p>マルゴさんも、オレの話に喜んでくれる</p><p>でも寧のことは判るけれど、何で君が密出国しなくちゃいけないんだい</p><p>それを聞かれるのを待っていた</p><p>オレのパスポートも、マイアミの日本領事館で作って貰うからです</p><p>寧さんオレは、絶対に約束を果たしますからね</p><p>約束</p><p>そうですオレ寧さんの本当の弟になるって約束したじゃないですか</p><p>前に進もう</p><p>より前に</p><p>自分から、積極的に</p><p>オレは、マイアミの日本領事館で奈島恵人《ナジマ・ケイト》になりますアメリカで行方不明になったままの姉弟は一緒に帰国するべきでしょ</p><p>ケイさんの戸籍を引き継ぐ</p><p>それが、オレの選んだ道だった</p><p>ケイちゃんに、なる</p><p>驚いている、寧さん</p><p>もちろん、亡くなったケイさんのことを抹消してしまうということではありませんケイさんは、ずっと寧さんの心の中に生きていればいい</p><p>そうだ、ケイさんの身代わりじゃない</p><p>オレは、オレのまま寧さんの弟になりたいんだ</p><p>帰国したら、すぐにミナホ姉さんが養子縁組の手続きをしてくれるそうですだから、オレは、黒森恵人になります亡くなったケイさんのためには奈島恵人の名前のお墓を建てようって、ミナホ姉さんが言ってくれています</p><p>寧さんは、ジッとオレを見ている</p><p>だから、オレはただケイさんの戸籍と名前を引き継ぐだけですいや、オレみたいな男が引き継ぐのは亡くなったケイさんにも、本当に申し訳ないけれどでも、オレ、決めたんですもう、絶対に寧さんから離れません本気で寧さんと一生一緒にいるためには、もうこれしかないって</p><p>戸籍上の弟になってしまえば絶対に離れられない</p><p>死んでも離れない</p><p>マルゴさんが、オレの眼を見て言った</p><p>でもいいのあなたの人生はそれでいいの</p><p>寧子さんが、オレに尋ねる</p><p>オレの今までの人生なんて、何でもないですから</p><p>でも、あなたはあたしのために、自分の過去を捨ててしまうつもりなの</p><p>過去なんてどうでもいいんです寧さん、あなたと一緒に生きていく未来の方が、よっぽど大事です</p><p>寧子さんの中に、寧さんが蘇る</p><p>オレは、今までずっと寧子さんではなく、寧さんとだけ関係してきたから</p><p>これからも、オレが寧さんと関わっていくのなら</p><p>寧子さんは、自分の中の寧さんの要素《ファクター》を目覚めさせるしかない</p><p>そうすることで</p><p>寧子さんと寧さんは、少しずつ融合していく</p><p>時間を掛けて、ゆっくり</p><p>それが、オレが寧さんの弟にならなくてはいけない本当の理由だ</p><p>寧子さんのままでは、脆すぎる</p><p>寧さんという人格は本人は演技だと、思い込んでいる</p><p>何とか、二つの人格を融合させて</p><p>どこででも生きていける、強い寧さんを産み出すしかない</p><p>今からは、恵人ですあ、でもケイちゃんは、亡くなったケイさんの呼び名ですもんね何か、新しい呼び名を考えて下さい</p><p>ああ、もうメンドくさいケイでいいです呼び捨てで</p><p>オレは、そう提案する</p><p>オレは、寧さんの弟です弟なんだから、寧さんはオレにどれだけ甘えてもいいんです何してもいいんです全部許されますし、許します</p><p>後、何を言えばいいんだ</p><p>とにかくオレは、姉ちゃんが大好きなんだよっ</p><p>寧さんの眼から、ぽろぽろと涙が零れる</p><p>まるで真珠の粒のように</p><p>好きあたしも好き</p><p>マルゴさんが、オレの背中をトンと押す</p><p>オレは寧さんの前に行く</p><p>ヒシッとオレたちは抱き締め合った</p><p>ずっとずっと出遭った時から、大好きだよ姉ちゃん</p><p>うんありがとうありがとうケイ</p><p>もう離さないからね</p><p>あたしだってあたしだって、離れないよ</p><p>オレたちは恋人にはなれない</p><p>寧さんに必要なのは家族で弟だから</p><p>だから、弟として、オレは姉ちゃんを愛する</p><p>ごめんね、あたし多分、本当にもう、ケイから離れられなくなるよ</p><p>いいんだよ、それで</p><p>オレが、それを望んだんだから</p><p>ずっと側に居るケイの子供を産んで、ケイと育てて一緒に年を取るそれでもいい</p><p>いいに決まっているじゃないか</p><p>ケイのお嫁さんに悪いよ</p><p>オレは、笑って寧さんを見る</p><p>オレの女にそんなことを気にする子はいないよみんな、喜んで受け入れてくれる</p><p>いいんだよね、あたし</p><p>オレが一緒だから自信を持ってよみんなのお姉さんになってよ姉ちゃん</p><p>寧さんは、オレに身を預けて</p><p>できるかなあたしに</p><p>できるってオレのお姉ちゃんだもの</p><p>うんあたしの心も身体もみんなケイに委ねるケイトなら何も怖くない</p><p>寧さんは、もう一度、ギュッとオレを抱き締めた</p><p>ねケイセックスしようか</p><p>寧さん編、続きます</p><p>このまま、すぐに初体験にはなりません</p><p>場所替えします</p><p>342．朝食の席で</p><p>お姉ちゃんとセックスしよう</p><p>双子の弟のケイさんと、シザーリオ・ヴァイオラに拉致監禁され</p><p>ホモで美少年好きのヴァイオラに、ケイさんが犯され続けることで生存を許されていた</p><p>寧さんだって、もの凄い美少女なのに人間としての価値を、ヴァイオラに徹底的に無視され</p><p>ヴァイオラが、ケイさんを責め苦しめるための道具として使われた</p><p>そのことが寧さんの心に、底知れないトラウマとなっている</p><p>寧さんが、ケイさんに自分の処女を捧げようとしたのは</p><p>監禁されていた寧さんには、他に差し出すものが無かったからだ</p><p>しかし、ケイさんは寧さんを身体を抱くことは無く</p><p>ヴァイオラの妹、ロザリンドと相打ちになって死んだ</p><p>寧さんの無力感はその時のままになっている</p><p>ケイとセックスしないとあたしの中の時間は、動き出さない気がするの</p><p>寧さんは、悲しそうに笑った</p><p>ケイは、あたしとするの嫌</p><p>そんなのもちろん嫌じゃないけど</p><p>けど</p><p>寧さんが、真剣な眼でオレを見る</p><p>ここじゃあ、嫌かも</p><p>そして、寧さんはぷっと噴き出す</p><p>何よそれケイ女の子みたいなこと言って</p><p>寧さんは、大きく笑う</p><p>でも、そうだね急ぐことはないもんねお屋敷に戻ってから、ゆっくりしようか</p><p>あの、姉ちゃん</p><p>オレ姉ちゃんを連れて行きたいところがあって</p><p>え、どこ</p><p>ケイは、そこであたしと初エッチしたいんだね</p><p>いいよあたしはどこでもケイのしたいところなら</p><p>でどこなのそこは</p><p>オレは小さな声で答えた</p><p>オレの家</p><p>オレ吉田の家へ戻るのは、これが最後にするからもう、二度とあの家には帰らないからだから、最後に姉ちゃんにオレの家を見せたい</p><p>オレの育った家</p><p>オレの寝床あのボロいソファ</p><p>ケイ</p><p>寧さんが、オレを見つていめる</p><p>オレ今日限りで過去を捨てるからこれからは、姉ちゃんとみんなとの未来のことだけを考えて生きていくから</p><p>だから、寧さんだけには見て欲しい</p><p>オレの過去オレが捨てて行く世界を</p><p>判ったケイ</p><p>寧さんの手がオレの顔を撫でた</p><p>お姉ちゃんが、一緒に行ってあげる</p><p>それまでジッとオレたちを観察していたマルゴさんが口を開く</p><p>そうと決まったら寧は、顔を洗ってきて軽くシャワーを浴びた方がいいかもね克子さんが朝ご飯の準備をしているし、みんな待っているから</p><p>ニコッと微笑むマルゴさん</p><p>家族みんな、寧が元気な顔で現れるのを待っているんだからね</p><p>そうだよ、姉ちゃん早く起きてほらっ</p><p>オレは、寧さんをベッドから引き起こす</p><p>判った、判ったから</p><p>笑いながら、寧さんが起き上がる</p><p>洗面所とシャワールームは、そっちのドア</p><p>マルゴさんが笑顔で示す</p><p>このスイートは、ベッドルームごとに浴室が付いているらしい</p><p>うん５分でパパッと浴びてくるねっ</p><p>寧さんは、小走りでドアの向こうに消える</p><p>君のおかげで何とか上手くいきそうだね</p><p>大変だと思うけれど寧のこと、頼むよ</p><p>はい、一生側に居ます</p><p>君のことを、寧にケイって呼び捨てにさせるのグッド・アイデアだと思うよ</p><p>寧って、すぐに知り合った子に仇名でちゃん付けするよね</p><p>あれって、相手と親しくなるためみたいに見えて実は、そうじゃないんだよ</p><p>親しさを示すためでは無い</p><p>自分から相手に近付いて、ちゃん付けして仲良くするように見せ掛けて実際は、そこから先には自分の方に踏み込まないでくれっていうサインなんだ寧は、誰かが自分の心に踏み込むことを、心の底から拒絶しているから</p><p>そう、あたしのこともマルちゃんて呼んでいるよねあたしに対しても、寧は心の中でファイア・ウォールを張っているよ</p><p>御名穂のことも、寧は先生って呼んでいるでしょ克子さんのことを克っつんて呼んでいるのは、あたしよりも親しく感じているからだと思う</p><p>克子さんは、ずっと娼婦で白坂創介に虐げられている存在だったからヴァイオラにずっと監禁されていた寧からすれば、自分に近い存在だったんだと思うよあたしや恭子さんみたいに自分で自分を護る力のある人間は自分とはタイプが違うと思っていたんじゃないかな</p><p>ずっと寧さんを見てきたマルゴさんがそんな寂しい分析をする</p><p>今、君が寧に自分のことを呼び捨てにさせることに成功したってことは寧にとって、君が一番の身内になったってことなんだと思う身内っていうか自分の心に直接繋がる存在だよねもう</p><p>オレは別にそういうつもりで言ったわけじゃないんですけれど</p><p>マルゴさんは、クスッと笑う</p><p>判っている判っているよ君は、ずっと寧には心をオープンにしているものね</p><p>オレは寧さんに幸せになって欲しいんですいえ幸せにしたいんですそうじゃないや幸せにするんですオレが</p><p>一生掛けてオレが</p><p>うん君ならきっとできるよううんきっと幸せにしてあげて</p><p>はぁこれでもう、あたしはお役御免かな寧はずっと弟を欲しがっていたんだし君なら、寧を悲しませるようなことは絶対にしないからね</p><p>寂しそうにマルゴさんは言った</p><p>マルゴさんは寧さんから離れようとしている</p><p>いいえマルゴさんだって、寧さんにはまだまだ必要ですよ</p><p>オレの口から、そんな言葉が滑り出した</p><p>マルゴさんは驚く</p><p>これからの寧さんの人生には、オレみたいな弟でないと解決できないこともあればマルゴさんみたいな姉にしか、相談できないことだってあるはずです</p><p>あたしみたいな姉</p><p>ええマルゴさんはオレたちみんなのお姉さんですから</p><p>オレははっきりと、そう言った</p><p>オレは、寧さんよりも年下で男ですからもちろん年下で男だからこそ、力になれることもあるんでしょうけれど年上で女でないと、判ってあげられないことも多いと思うんです</p><p>それぞれの持ち分があるはずだ</p><p>だから、頼りにしていますよマルゴお姉さん</p><p>マルゴさんは、きょとんとした顔をしてオレを見ている</p><p>それから、不意にククッと笑い出した</p><p>どんどん強くなるんだね君は</p><p>オレもう前に進むしかないですから</p><p>後ろを振り返ったり、立ち止まっている余裕は無い</p><p>家族のために、やらなくてはならないことが山ほどある</p><p>そうだねじゃあ、寧はあたしが連れて行くから君は、先にみんなに寧が元気になったことを伝えてあげてみんな、心配していると思うから</p><p>みんながさっき居た部屋に戻ると</p><p>あれ、誰もいない</p><p>お兄ちゃん、こっちこっち</p><p>隣の部屋のドアを開けて、マナが顔を出す</p><p>居間は、そっちらしい</p><p>隣の部屋に行く</p><p>見るとテーブルの上には、ベーコン・エッグやサラダが用意されていた</p><p>ミナホ姉さんも、克子姉も、メグも、マナも、渚も、真緒ちゃんも、恭子さんも、シスター・イーディーでさえオレたちが来るまで、食事しないで待ってくれている</p><p>ミナホ姉さんは恭子さんと話していた</p><p>克子姉がお茶を煎れてくれて、メグがオレに持って来てくれた</p><p>マナとシスター・イーディは、渚と一緒に真緒ちゃんと遊んでいた</p><p>雪乃だけが真剣な顔で、ジッとテレビを観ている</p><p>オレが入って行くと雪乃と真緒ちゃんとシスター・イーディを除いた全員が、オレに注目する</p><p>もう平気だよ寧さんも、すぐにこっちに来るから</p><p>みんなホッとした様だ</p><p>あなたも座りなさいお腹空いていたら、先に食べる</p><p>ううんオレも、寧さんが来るまで待つよ</p><p>オレがそう答えると</p><p>ほら、やっぱり我慢しきれずに食べ始めるのは、あんただけだよ</p><p>恭子さんが、テーブルの下に向かって声を掛けた</p><p>テーブルの下に工藤父が、あぐらをかいて座って居る</p><p>工藤父は、牛乳をたっぷりかけたシリアルを大きなスプーンで食べていた</p><p>ここに来たら朝食にありつけるって聞いたんでな</p><p>と、いうのは嘘だ香月のジィさんにお前らの護衛を頼まれたんでなで、ここへ来たら、食い物があったんで</p><p>あんまりお腹をキューキュー鳴らしていらっしゃるから先に食べていただいたの</p><p>克子姉が、笑って言った</p><p>悪ぃな昨夜から、全然食ってなかったから</p><p>工藤父は、蒸気機関車に石炭をくべる様に自分の口の中にシリアルをワッシワッシ投げ込んでいく</p><p>食材は、みんなホテルの厨房から分けて貰ったの良い物ばかりよ時間があったらパンも焼きたかったんだけれどさすがにオーブンを借りるわけにはいかなかったから、今朝はシリアルで我慢してね</p><p>うん勝手に厨房の機器を使うわけにはいかないもんな</p><p>このホテルの現状では、しばらくは休業だろうからコックさんたちは不在だろうし</p><p>ところでオレたちの護衛って</p><p>何で必要なんだ</p><p>ヴァイオラの脅威は無くなったし</p><p>白坂家も殺人要請を取り下げた</p><p>いや、別に大したことはねぇんだ今、下に警察の連中が来ているだろそいつらに接触しないで、ホテルの外に出るのにオレが必要だってことさ</p><p>そうか実況見分をやっているんだっけ</p><p>マスコミの連中もたくさん来ているしな</p><p>工藤父の言葉に合わせて、メグがテレビの音を大きくしてくれた</p><p>朝のワイドショーか</p><p>うんここのホテルだな</p><p>今朝は、快晴なんだお台場の海に沿って建てられた、高層ホテルの外観</p><p>外から望遠レンズで、メチャクチャになった１階ロビーを撮影している</p><p>画面に映し出されている文字スーパーは</p><p>白坂守次氏、大暴走身内を殺害するために、テロリストを雇う</p><p>ロシア・マフィアが、一流ホテルを襲撃</p><p>昨夜のジッちゃんの命令が、実行されている</p><p>ヴァイオラの戦闘部隊１２０名が、このホテルに侵攻して来たのは</p><p>白坂守次氏が、白坂家内の自分の反対派を殺害するためということで報道されているんだ</p><p>オレたちや、このホテルの持ち主香月家のことは、全て秘匿されたまま</p><p>マスコミ人としての白坂守次氏は、完全に終わりましたね言論の世界の人間が、身内の反対勢力に対してテロ行為をするなんてそれも、ロシア・マフィアですよ外国の犯罪組織ですよ言語道断というか絶対に許されない行為です</p><p>コメンテーターのオッサンが、適当なことを言っている</p><p>白坂守次氏は、緊急入院をして新聞社の会長職を辞任し、全ての役職から退いて、引退するという発表がありましたが</p><p>いや、当然でしょうというより、これを機に白坂家そのものがグループ企業の経営から離れるべきだと思いますあの一族が、マスコミ業界に巣くっているという状態そのものが、不健全ですよ実に嘆かわしい</p><p>世論は操作され白坂家は、自分の新聞社・テレビ局から追われることになるだろう</p><p>その放送を雪乃だけが、真剣に見ている</p><p>工藤さんの呼んだフリーの人たちは、どうしたんですか</p><p>確か、谷沢チーフにホテル内の防火扉を下ろされて、みんな孤立したんじゃなかったっけ</p><p>みんな、もうとっくに帰ったぜ</p><p>工藤父は、食いながら答える</p><p>みなさん大丈夫でしたか</p><p>そりゃ、大丈夫だよみんな、プロだからな</p><p>そうじゃなくって仕事の途中で、閉じ込められたわけでしょ</p><p>いよいよ、ヴァイオラの本隊を潰すという段階で</p><p>理由も無しに、谷沢チーフに閉じ込められんだし</p><p>ミス・コーデリアなんて、さっき笑い顔で帰って行ったし</p><p>工藤さんだって閉じ込められていたじゃないですか</p><p>工藤父は、オレの顔を睨んで</p><p>あ、そうかお前らは、オレの知らない裏のことを、色々知っているんだな</p><p>それ、オレに話すなよオレは知りたくないし知ったら、きっと頭にくることなんだろうしな</p><p>知らなくていいことは、一生知らないままでいるそれも、オレたちの仕事の内だからな</p><p>工藤父は、スプーンを置く</p><p>確かに突然閉じ込められて、解放された時には谷沢のオッサンから作戦終了の指示が出ていたオレたちには、何がなんだか判らないさ何の説明も無いからカチンとくることもあるでもなオレたちは、雇われている人間だ香月のジィさんなり、谷沢のオッサンなりが作戦終了って言ったら、それで終わりなんだ後は、約束の報酬を貰って家に帰って、クソして、寝るだけさ</p><p>バンバルビー３の皆さんとか、ダダドムゥおじ様とかもですか</p><p>あいつらは全員、喜んで帰って行ったよ最初に約束した報酬に加えて、特別ボーナスまで出ることになったからな</p><p>オレたちは別に、シザーリオ・ヴァイオラとその愉快な仲間とか、ロシア人のチンピラ連中が憎くて闘ったわけじゃないからな仕事として闘ったんだだから、雇い人が約束通りの報酬をくれた以上この事件についての詳細や、経過、結果至るまで、すべて興味は無ぇ雇い人が隠していることを、わざわざ調べる気にはならないよみんな大きな怪我も無く撤収できて、万々歳なんじゃねぇかな</p><p>それがプロの警護人</p><p>あ、ダダドムゥのやつだけは、救急車で運ばれたけれどな</p><p>あいつ帰り際に、番場ちゃんのお尻を触ろうとして、バービーのやつに制裁されたんだどういうわけだか、バービーにだけは、あいつの異次元闘法が通じねえんだよバービーの鳳凰幻魔拳から、鳳翼天翔のコンボでフッ飛ばされた</p><p>それで病院行きか</p><p>あいつも運が悪いというか馬鹿だよな、まったく</p><p>再び工藤父は、食事に戻る</p><p>というかこの人、シリアルしか食ってないよな</p><p>お前らをホテルの外に連れ出したら、オレも今日は仕事は無しだオフってことにして貰った遙花の病院に行ってやらないといけないからな</p><p>詳しいことは知らないけれど劇場で美智とやりあって、怪我したんだろ</p><p>美智は、姉の遙花さんを工藤流の技で倒した</p><p>一応、父親らしいこともしねぇといけないからなそれから、息子の真一とも話さないといけない悦子のことでな</p><p>美智の母親、工藤母は山岡部長と一緒に、香月セキュリティ・サービスをクビになった</p><p>真一は、香月セキュリティ・サービスの正社員だからな母親の不祥事を起こしたことで、会社に居づらくなると思うがあいつ自身で、今後どうするか決めさせるよ</p><p>山岡部長とのこともう、知れ渡っているんですか</p><p>会社ってのは、人間の集まりだからなそういう話は、すぐに伝わるましてや、あいつらのしでかしたことは、香月セキュリティ・サービスの社員にとって絶対に許されないことだからな</p><p>香月セキュリティ・サービスは、要人警護の会社だぜ社の人間は、昨夜このホテルに香月のジィさんだけじゃなく、香月グループの重役のほとんどが居たことを知っているんだ緊急事態のための警護要員が敵の侵攻中に、職場放棄と命令違反でクビになったんだぜ役立たずのクズっていう評価をされるのは、仕方ねぇじゃないか</p><p>役立たずの息子じゃ、真一の立場が無い遙花だって、これで香月セキュリティ・サービスへの正式採用はなくなるだろう悦子は自分のしたことが、家族にどういう影響を与えるのか、ついに理解してくれなかったよな</p><p>工藤父は、口惜しそうに言った</p><p>山岡と不倫しようが、別に構やしねえオレと離婚したかったら、ちゃんと言ってくれりゃあ何時でもハンコ押してやったよだが、何でよりによってこんな時にに命令違反と職場放棄なんだあいつら、いい年して馬鹿すぎるよまったく</p><p>工藤父は、言葉を荒げる</p><p>いや判っているオレがだらしなくて頼りがいの無い男だから、こんなことになったんだ悪いのはオレだってことは判っているしかししかしだな</p><p>工藤父は、悔やみきれないようだった</p><p>今あの人たちが、どこに居るのか判っているんですか</p><p>山岡とホテルの外に出たことは知っているそこから先は知らないし、調べる気も無い出て行った家族よりも、今はいる家族をフォローするのが先だあいつらの将来を、オレは一緒に考えてやらねぇといけない</p><p>美智のことだけ頼むぞあいつのことは、もうお前に任せたからな</p><p>はいオレに任せて下さいいえオレたちに</p><p>オレたち</p><p>美智はオレたちの家族の一員です</p><p>いつの間にか部屋の中の全員が、オレたちの話に注目していた</p><p>克子姉が、渚が、メグが、マナが</p><p>オレを見て、うんと頷いてくれる</p><p>美智さんはあたしたち全員が護ります</p><p>家族を代表して、ミナホ姉さんが工藤父に言った</p><p>そういうことだからあんたは、心配しなくても平気だよ</p><p>恭子さんが、ニヤッと微笑む</p><p>あの子は良い素質を持っているそこの子と二人で組ませたら、良い戦士になる</p><p>恭子さんにとって、美智はシスター・イーディとセットらしい</p><p>いやあなたみたいな女戦士になられても困るんですけれどオレとしては</p><p>工藤父が、ちょっとビビり気味に答えた</p><p>恭子さんの度を超えた戦闘力はこの人にとっても、脅威らしい</p><p>そりゃそうだあたしみたいになるのは、良く無いでもあんたみたいに、中途半端な能力で終わらせたくは無いねきっちりとあたしが教育してやるよ</p><p>嬉しそうに、恭子さんはニヒヒと笑う</p><p>大丈夫ですマルゴさんも付いてますし無茶なことはさせませんから</p><p>オレは間に入って、そうフォローした</p><p>真緒ちゃんと遊んでいたシスター・イーディが、突然、恭子さんに英語で何か言う</p><p>うんとねイーディちゃんは、真緒ちゃんのことがとっても気に入ったんだって</p><p>えマナ</p><p>お前、英語判るのか</p><p>当たり前じゃん学校で習っているんだから</p><p>いや、オレも中１から英語を習っているけど</p><p>今のイーディの言葉、全然聞き取れないぞ</p><p>マナのところとは、普通の学校とは違うのよ</p><p>マナの学校も、みすずたちの学校よりもステイタスは下がるが</p><p>かなり有名な名門女子中学校だった</p><p>英会話の授業は実践的で、レベルが違う</p><p>そんな間にも、シスター・イーディの話は続く</p><p>あのねイーディちゃんは、真緒ちゃんが渚さんの娘だって知ってねで、渚さんにとって、美智ちゃんは妹分だって聞いたらしいのねそれで、イーディちゃんにとって、美智ちゃんは同格の姉妹分でしょだから、総合すると自分は真緒ちゃんの叔母さん分になっちゃうのかって、聞いているよ</p><p>＊＊分の多い会話だ</p><p>ねえ、マナちゃんあたしの言うことを通訳してくれる</p><p>渚が、マナに言う</p><p>マナが英語で、シスター・イーディに話し掛ける</p><p>自分が、渚の言うことを伝えると言っているらしい</p><p>イーディさん、真緒のこと好きになってくれてありがとうでもね誰が誰の姉妹分だとか、そういう人間関係を気にしないでいいわイーディさんが気に入ったのなら、直接、真緒のお姉ちゃんになってあげてくれないかしら</p><p>マナが通訳するとシスター・イーディの顔がもパッと明るくなる</p><p>判った、真緒ちゃんのお姉さんになるっって言っているよ</p><p>マナの言葉に、渚は真緒ちゃんを見る</p><p>真緒、このお姉ちゃんも真緒のお姉ちゃんになってくれるって</p><p>やったぁ今日は、お姉ちゃんがいっぱいできましたっきしししっ</p><p>嬉しそうに、微笑んだ</p><p>目覚めたら、夕方先週の土曜も、こんなだった</p><p>でも、寝たのでかなり体調は戻りました</p><p>今月の1日から、職場に新しい人がきました</p><p>新しいとは言っても四十過ぎの人です</p><p>で、初日からメモ帳とか持ってないし、何もメモしていないので</p><p>多分、すぐにいなくなるんだろうなあ</p><p>新しい仕事に就いて、メモを取らない人は信用できません</p><p>などと書いていますが</p><p>そんな私は、今月末で今の仕事を退職することになりました</p><p>まあ家庭の事情とか父が倒れたことで、色々と人生を考え直さないといけないことになりまして</p><p>母が店をやっているので、そっちを手伝うというか</p><p>母がもう店を続けられないので、店を閉めるのを手伝わないといけないというか</p><p>今年は、色んな事があるなあ</p><p>せめて、吉田くんたちには幸せになって欲しいと思っています</p><p>343．良い兆し</p><p>お早うみんな</p><p>寧さんが、マルゴさんと部屋に入って来る</p><p>さっぱりとした顔で</p><p>遅いよっみんな待っていたんだからねっ</p><p>マナの言葉に、寧さんは</p><p>ごめんなさいね、マナ</p><p>もう、寧さんは妹たちにちゃん付けはしない</p><p>寧お姉さんお茶です</p><p>メグが、すぐにお茶を持って来る</p><p>寧さんの変貌に、工藤父以外の全員が気付く</p><p>しかし、誰もそれを口にはしない</p><p>家族のことは、家族の中だけで判っていればいい</p><p>さあ、ご飯にしましょうか</p><p>ミナホ姉さんの号令で、朝ご飯が始まる</p><p>笑い声の絶えない、食卓だった</p><p>寧さん、マルゴさん、恭子さん、マナは英語でシスター・イーディと会話している</p><p>たまに恭子さんが、シスター・イーディをからかったりしているみたいだけれどマルゴさんたちが上手にフォローしているらしい</p><p>まあイーディも、恭子さんとの実力差はよく判っているので、ツンと怒ったりはするけれど反抗はしない</p><p>玉子は、焼けばまだあるからいっぱい食べてね</p><p>克子姉が、オレにそう言ってくれた</p><p>ヨシくん、飲み物のお代わり要る</p><p>メグが気を利かせてくれる</p><p>すっかり、家族の委員長になってくれている</p><p>ありがとうもう一杯、欲しいな</p><p>嬉しそうにメグはティーポッドを持って、オレのカップにお茶を注いでくれた</p><p>オレは、寧さんを見る</p><p>寧さんは、オレが黒森恵人になるということをまだ誰にも話していない</p><p>オレのことを、ケイとも呼ばない</p><p>今はまだ公表すべき時ではないと思っているらしい</p><p>お屋敷に戻って家族だけになった時に言うつもりなのか</p><p>それともオレとセックスするまでは、言わないつもりなのか</p><p>まあ何でもいい</p><p>時間なら、たっぷりあるんだから</p><p>部屋のベルが鳴る</p><p>誰か来た</p><p>あ、あたし見て来るねっ</p><p>マナが食卓を離れて、見に行く</p><p>そして、すぐに戻って来た</p><p>麗華お姉さんが、来たよっ</p><p>麗華は昨夜のままの黄色いジャージ姿のままだった</p><p>手には、撲殺ステッキを抱えている</p><p>恥ずかしそうに、顔を赤らめてマナの後ろから、部屋に入って来る</p><p>おはようございます、麗華お姉さん</p><p>寧さんの朝の挨拶を、年少組全員で復唱する</p><p>おはようございますっ麗華お姉さんっ</p><p>麗華は、うつむいて答えた</p><p>ちょっと待っていて下さい麗華お姉さんのベーコン・エッグすぐに焼いてきますね</p><p>麗華お姉さん、こちらに座って下さい今、お茶を煎れます</p><p>メグが、空いている席に麗華を誘う</p><p>いえあの、わたくしは</p><p>どうしたの、麗華お姉さんそんなに緊張して</p><p>マルゴさんが、麗華に尋ねた</p><p>そのわたくし</p><p>いいから座ってよ立ったままだと、話もできないよ</p><p>麗華は椅子に座る</p><p>恭子さんが、ニタッと笑って麗華を見る</p><p>いいからさ何でも話してごらん</p><p>麗華は、うつむいたまま</p><p>わたくし、自分が恥ずかしいんです</p><p>わたくし、ずっと井の中の蛙でした自分には力があると過信していました</p><p>そのことに自分で気付けたんだろなら、良かったじゃないか</p><p>恭子さんは、麗華に言う</p><p>まだ若いんだ自分が間違っていたと判ったら、何度だってやり直せる</p><p>麗華は、素直に礼を言った</p><p>でも、わたくしこのままでいいのかどうか判らなくて</p><p>何のことだい</p><p>わたくし昨夜は、みなさんの家族に入れていただきましたでも、わたくしの様な半端な未熟者がみなさんの仲間になって、本当にいいのか朝になって、自分の顔を鏡に映して見たら、本当に怖くなったんです</p><p>ふーんあたしには、よく判らないわねその辺の過程を知らないからあんた、何とかして</p><p>恭子さんは、オレの顔を見る</p><p>麗華はオレたちの家族になるのを、やっぱり取り消したいの</p><p>いえ、そういうことではないんですただ昨夜のわたくしは、身の程知らずの愚か者でしたから皆さんの家族になるということは、みすず様とも家族となることではありませんか香月家の本家の方と、そういう大それた関係になるなんてよく考えたら、自分には許されないんじゃないかと</p><p>ああ、朝になってみたらゾッとしたってことなのね</p><p>オレたちは、何も無理強いはしないよ全て、麗華が自分で決めてくれればいい</p><p>いいんでしょうかそんな身勝手なことで</p><p>麗華は、上目遣いでオレを見る</p><p>麗華の人生なんだし、オレには何も決定する権限は無い</p><p>ダメだよ麗華お姉さん一度、あたしたちの家族になるって約束した以上は、もう取り消せないからね</p><p>ほら、あなたも勝手なことは許さないって、怒らないとダメよ</p><p>そう言って、強い眼でオレを見る</p><p>もう家族なんだから</p><p>麗華お姉さんはね今、あたしたちと離れたらダメになっちゃうよだから、絶対に離さない、解放してあげない諦めて、みんなと一緒にご飯を食べて</p><p>寧さんの言葉に麗華は、困惑している</p><p>あんたって確か、警護人なんだよね</p><p>恭子さんが尋ねた</p><p>はい谷沢チーフの下で、トップ・エリートの1人ということになっています一応</p><p>恭子さんという超人級の能力者と出会って麗華は、本当に自信をなくしたらしい</p><p>得物は、そのステッキかいちょっと、構えてみな</p><p>恭子さんは、麗華に命じる</p><p>いえ、わたくしは</p><p>いいから、構えてみなって言っているんだよ</p><p>麗華恭子さんの言うとおりにしろ</p><p>オレも麗華に命じる</p><p>麗華は、席から立ち上がって</p><p>恭子さんに向かって、正眼の構えでステッキを向ける</p><p>もういいや判ったよ</p><p>それだけで、充分、判ったから</p><p>恭子さんは、ギロッと麗華を見上げる</p><p>あんた剣の修行しかしてこなかった人なんだね</p><p>ははいそうです</p><p>恥ずかしそうに、答えた</p><p>恭子さんは、食卓の上のベーコン・エッグの皿を示し</p><p>これ、克子ちゃんが作ってくれたんだけれどあんた、こういう料理作れる</p><p>麗華は、皿をジッ見て</p><p>卵焼きくらいは焼けますけれどこんなに綺麗に仕上げる自信はありません</p><p>うん他の料理やパンと同じく</p><p>克子姉のご飯は、そのままお店で出せるクオリティを持っている</p><p>見た目も、味も</p><p>克子ちゃんは、どうしてこんなに美味しそうなものが作れると思う</p><p>やっぱりお料理の才能ですか</p><p>恭子さんの問いに、麗華は答えた</p><p>そうじゃないよ食べる相手のことを考えているからだよどうせなら、見た目も綺麗で、美味しい物を食べて欲しいって願っているからだよ</p><p>恭子さんは、言った</p><p>そうだねあんたの剣技を、ラーメン屋に例えるとする</p><p>恭子さん、いきなりどうしたんです</p><p>ほら、ラーメン屋にもいるだろう自分の作るラーメンの味だけにこだわって、他のことには何も気付かなくなっちゃってるオッサンがさ</p><p>恭子さんは、真顔で話している</p><p>でもさどれだけ、その店が出すラーメンが美味くても丼に傷が入っていたら、お客は食いづらいだろ椅子がガタついていたり、テーブルが斜めっていたら店の中が小汚かったら、どうだいそんな店で、良い気分でラーメンが食えるかい美味しいラーメンを食った気になれるかい</p><p>なれないと思います</p><p>麗華は、答えた</p><p>そうさラーメン屋だからラーメンだけ拘っていればいいわけじゃないんだ椅子もテーブルも良い物の方がいい店の中だって清潔にしておくべきだラーメン以外にも、ちゃんとやらなきゃいけないことがあるんだよ</p><p>みんな、真剣に恭子さんの話を聞いている</p><p>オレは剣の道とラーメン屋の関係が、今ひとつ判らない</p><p>一流の店は料理の味だけじゃない器にも気を遣っているし、店の内装だって綺麗だそこまで気を配らないと、お客さんには本当に悦んでは貰えない良い評価は、得られないんだよいや、もちろん店の綺麗さとかにばっかり気を取られて、味が全然ダメな店は論外だよでも、味さえ良ければいいっていうのは、間違っているってことは判るよね</p><p>あんたは、そこそこ剣の腕はあるんだろうそれは構えただけで、判るでも、それだけだそこから先の拡がりがあんたには無い</p><p>恭子さんは、そう言い切った</p><p>あんたもあたしも闘う人間だ剣を向けるということは、そのまま戦闘に入ることもありえるっていうことは判っているね</p><p>判っていますですから、その覚悟でわたくしは恭子様に剣を向けました</p><p>全然判ってないよ</p><p>恭子さんは、麗華を叱責する</p><p>この部屋で、あんたとあたしが戦闘行為に突入したとしてあんたは、他の子たちのことは想定したかいマルゴはどう動くと思うそこの工藤のとっつぁんはイーディはメグちゃん、マナちゃんの安全は確保できるのかい真緒ちゃんが、間違って戦闘領域に飛び込んで来たらどうするつもりだい</p><p>そういうことは、何も考えていませんでした</p><p>そうだろうあんたは、あたしにだけ集中してあたしが次に取る行動に合わせて、反射的に対応すればいいって決め込んでいた自分で考えることを、投げ捨ててしまっていたんだよ</p><p>麗華は後悔している</p><p>あんた一人ならそれでいいさでも、そういう発想で、あんた警護人なんてやってられるのかい今のあんたには、誰も護ることなんかできないよ自分だけ生き残って、護るべき人間を殺しちまうのがオチだろうね</p><p>へなへなと麗華は、床にへたり込む</p><p>ずっと自分一人で闘ってきたから、そんなことになっちまうんだよっホント、腕は良くても流行らないラーメン屋だよっあんたはさ</p><p>ぶるぶると震えて麗華は、涙を流す</p><p>本当にわたくしダメな女ですこのままでは、わたくし生きている値打ちは無い</p><p>そうさっだから、今日からあんたは克子ちゃんに家事を習いなっ</p><p>あんたが護るべき家族と常に一緒に居て家族の中で、自分のできることを見極めていくんだね今のまんま一人で居たって、あんたみたいな女は成長できないよ</p><p>ご飯の支度に、掃除、洗濯みんなのために、何ができるかどうしたら、家族のみんなは悦んでくれるのか一つ一つ、克子ちゃんから教わるんだその経験が、きっとあんたを強くしてくれる</p><p>真っ直ぐに恭子さんは、麗華を見つめている</p><p>自分の幸せを、家族の幸せと重ね合わせるんだそうすれば、あんた自身も幸せになれる</p><p>泣きながら麗華は頷いた</p><p>もちろん、真緒ちゃんの育児も手伝うんだよそれから、あたしは毎晩必ず寝酒をやるからね忘れずに、酒とつまみを用意しておくれ</p><p>一見良い話のようだけど</p><p>恭子さんは、麗華に家事を押しつけようとしている</p><p>大丈夫です麗華お姉さん、あたしも一緒に克子姉さんに教わりますから</p><p>マナもマナも教わるから</p><p>いいのわたくし、みんなのお姉さんのままで</p><p>麗華は、涙目で二人を見る</p><p>あったり前じゃんねえ、お兄ちゃん</p><p>ああしょうがねえな</p><p>麗華みたいな面倒な人は、オレたちと一緒じゃないとダメだよだから、このまま家族で居ればいいんだよねえ</p><p>オレは、ボールを寧さんに渡す</p><p>そうそうもう、諦めてあたしたちのお姉さんで居て下さいっ</p><p>そうね歓迎するわ</p><p>寧さんの言葉に、ミナホ姉さんも笑ってくれた</p><p>ほら、真緒麗華お姉ちゃんにようこそって言ってあげなさい</p><p>ようこそっ麗華お姉ちゃん</p><p>真緒ちゃんの満面の笑み</p><p>麗華は、感激しながらまた泣いた</p><p>はい、玉子焼いてきたわあら、どうしたの</p><p>新しいベーコン・エッグのお皿を持って来た克子姉が、麗華の様子に驚いている</p><p>まあ、床にへたりこんで泣いているんだから</p><p>麗華お姉さん、そんなところで泣いていないでほらほら、席に戻って下さいね</p><p>メグが、麗華の背中を撫でる</p><p>はぃぃぃ</p><p>泣きじゃくりながら、麗華お姉さんは席に戻る</p><p>何か、よく判らねえんだけどよお前ら、毎回こんな大騒ぎをしながら仲間を増やしているのか</p><p>ええまあ</p><p>そうよ毎回毎回、馬鹿騒ぎをして仲間だ、家族だってやってんのよこの人たちホント、馬鹿みたい</p><p>雪乃が、横から口を出す</p><p>雪乃は、まだ一人だけ食卓に着かずにテレビを観ている</p><p>それでも腹は減っているのか、シリアルだけをムシャムシャ食べていた</p><p>オレのミッチィくんも、この手で引き込まれたのか</p><p>そういうことよねっ</p><p>引き込まれたなんて、言葉が悪いですよ</p><p>マルゴさんが、苦笑して言う</p><p>とにかくオレ一人だけじゃないですからここにいる家族全員で、美智のことは護ります絶対に、みんな美智を見捨てたりはしませんから</p><p>オレは、工藤父にそう約束した</p><p>へっならいいんだけどなまあいいオレも、お前らのことは信用するよ</p><p>と、答えると工藤父の携帯が鳴る</p><p>ん、オレだ判った、すぐ行く</p><p>工藤父は、携帯を切ると</p><p>あんたたちを乗せる車の支度ができたそうだオレは、ちょっと谷沢のオッサンと警察との対応のことで話があるから先に行くぜ外に出る準備ができたら、内線の９９３に電話してくれノーマくんが出るはずだから</p><p>判りました９９３ですね</p><p>ああ、そんじゃあ、また後でなっ</p><p>そう言うと工藤父は、そそくさと部屋から出て行った</p><p>あの人美智ちゃんのことが心配で、あたしたちの様子を見に来たんだね</p><p>オレたちが、本当に信頼できる人間かどうか</p><p>美智が居ない時を狙って、確認に来たんだ</p><p>いいお父さんですよね</p><p>うん美智お姉ちゃんが羨ましい</p><p>メグとマナの父親は</p><p>そう言えば恭子さんは、オーストラリアから</p><p>オレがそう言った瞬間マナがシッと唇に指を立てる</p><p>この部屋にはまだ敵がいるんだからその話は、ここでしちゃダメだよっ</p><p>敵って雪乃は、お前の実姉だぞ</p><p>ソースケなら、あたししか知らない場所に監禁してあるよ</p><p>雪乃がこっちに注目している</p><p>全身縛り上げて、猿轡して耳にはヘッドフォンで、大音量の音楽を聴かせているからまあ、一睡も出来ないでぐったりしている頃だと思うよ</p><p>何の音楽を聴かせているんです</p><p>んミラクル少女リミットちゃんと風船少女テンプルちゃんの歌をエンドレスでね</p><p>リミットちゃんとテンプルちゃん</p><p>何なんだそれは</p><p>家庭用品の名前だってことは、判るけれど</p><p>テンプルちゃんは、多分、てんぷら油を固めるやつだな</p><p>リミットちゃんは、クッキング・タイマーか</p><p>何で、そんなのに歌があるんだろう</p><p>コマーシャル・ソングか</p><p>まあ、この後、回収してくるよ</p><p>恭子さんは、ぐふふと笑った</p><p>早く、家に帰りたいなあ</p><p>お兄ちゃんの部屋で、一緒にお昼寝しようよねっ</p><p>マナにとって、家はもう白坂家では無い</p><p>黒森のお屋敷なんだ</p><p>あっ、そうそう麗華お姉ちゃん</p><p>マナが、笑顔で麗華に話し掛ける</p><p>あたしたちの家事にはお兄ちゃんの夜伽も入っているからね</p><p>大丈夫お兄ちゃんを、エッチなことで満足させてあげればいいんだからっ麗華お姉ちゃんがよく判らなかったら、マナと寧お姉ちゃんで教えてあげるからねっ</p><p>マナは、寧さんにニコッと微笑む</p><p>そうだよねっ寧さん</p><p>マナ寧さんは、処女なんだよまだ</p><p>よ、よろしくお願いします</p><p>麗華が、オレに言う</p><p>あの嫌なら、いいんですよ別に</p><p>いえ嫌じゃないですからわたくし</p><p>顔を真っ赤にして答える</p><p>こういう機会でないとわたくし、ずっと処女のままだと思いますし体験するのなら、主様にしていただきたいです</p><p>いいいんだ</p><p>あじゃあ、オレ頑張ります</p><p>あのわたくしの身体では、ご満足いただけないと思いますが</p><p>また自分を卑下する麗華に、マナは</p><p>もう、麗華お姉ちゃん１回で満足して貰えなかったら、何回でもすればいいのっ質より量だよ</p><p>ごめん、オレ、マナのこと処女喪失から、もの凄い回数犯しているもんな</p><p>マナなんて、お兄ちゃんのためなら１０回連続だってエッチしちゃうんだからねっテクニックの足りない分は、回数で補うんだからっそうでないと、技術と経験の豊富な克子お姉ちゃんや渚お姉ちゃんに勝てないものっ</p><p>いや麗華</p><p>マナの体験は、特殊というか</p><p>済まん、マナ</p><p>そんなセックスを体験させて</p><p>本当よあたし、本当に一晩で１０回以上犯されたことあるから処女だったのに</p><p>済まん雪乃</p><p>そんなこともあったな</p><p>えっとあたし、連続１０回とかしていないよねヨシくん</p><p>メグしたいのか</p><p>いやあたしだけしないのは、良くないのかなって</p><p>寧お姉ちゃんは、お兄ちゃんに何回して貰ったの最高記録は</p><p>マナが、寧さんに尋ねる</p><p>そんなの、秘密だよっ</p><p>処女の寧さんは、ニコッと笑った</p><p>シスター・イーディが、ギロッと克子姉を見上げる</p><p>どうしたのああ、お代わりが欲しいのね</p><p>シスター・イーディは、日本語での会話を気にすることなくわっしわっしと食事を続けていた</p><p>すっかり、オレたちと一緒に居ることに慣れたらしい</p><p>イヌだったら、思いっきり尻尾を振っているな</p><p>そんな勢いで克子姉から、シリアルのお代わりを貰って悦んでいる</p><p>この子もあたしたちが世話しないと、ダメな子だよね</p><p>まあ戦闘訓練の方は、あたしとマルゴが面倒を見るよ麗華ちゃん、あんたもだよ</p><p>恭子さんが、麗華に言う</p><p>日常生活の方はあなたたちで面倒を見てあげて</p><p>イーディは、あなたや恵美と同い年だからうちの学校に編入させるわ</p><p>本当かよ</p><p>頼んだわよ学級委員長</p><p>オレとメグは二人とも、学級委員だったっけ</p><p>まぐまぐまぐ</p><p>暗殺結社生まれの、戦闘美少女</p><p>褐色の肌に金髪碧眼の小柄な少女は、満足げに食事を続けている</p><p>麗華の方も仕込みは終了です</p><p>次話でホテルを出て、吉田家へ向かいます</p><p>テンプルちゃんというアニメが昔あったんです</p><p>アメリカにシャーリー・テンプルという子役のスターがいまして</p><p>そこから、名前を取ったんだと思いますが</p><p>何でシャーリーちゃんじゃなく、テンプルちゃんにしたんでしょうねえ</p><p>直訳すると寺ちゃんですからね</p><p>ちなみに、ブラッド・テンプルやアシュラ・テンプルは出て来ません</p><p>それからリミットちゃんの方もかなり問題な、少女アニメです</p><p>相変わらず、父に記憶障害が出ています</p><p>今日が何日か判らなくなるなんてのは、普通で</p><p>昨日は、銀行のCD機が使えなくなりました</p><p>さっきもあれ、お前、いつ帰って来たんだとか言っていました</p><p>ほんの３０分前に、一緒に夕食を食べていたんですけれど</p><p>何か、末期症状のガンスリンガー・ガールみたいになっています</p><p>344．猛虎魂</p><p>へえ、スーパー・モデル育成プロジェクトね面白そうじゃない</p><p>恭子さんが、マナの話を聞いてそう言った</p><p>食事も運動も全部、コントロールするんだろ筋肉は付けすぎても、身体の成長は阻害されるしねかといって、適度な運動で刺激することで成長ホルモンの分泌が促進されるしねスーパーモデルの体型になることだけを目標に、育成プログラムを組むっていうのは斬新なんじゃないかなあたしの知り合いの大学教授に、そういうこと詳しい人がいるから手伝って貰えばいいよ</p><p>恭子さんも計画に乗ってくれるらしい</p><p>あたし背が低いけれど、大きくなれるでしょうか</p><p>マナちゃんは今、幾つなんだい</p><p>14歳の中学２年生です</p><p>なら、まだ全然余裕だよあんたは、下地も良いし相当な美人ちゃんになるんじゃない</p><p>恭子さんに褒められて、マナは嬉しそうだ</p><p>食事のプログラムは、あたしが運動のプログラムは、マルゴさんが組みます</p><p>克子姉が、恭子さんに言った</p><p>精神面のバックアップは、あなたと寧と恵美でやってね心理的なチェックは、あたしがするけれど</p><p>スーパーモデルともなると、見た瞬間にグッとくるような、訴えかけてくるものが必要だけれどそれも、あんたなら平気なんじゃないかな１４歳にしては、良い感じに捻れているし</p><p>良い感じに捻れている</p><p>何の問題も無く真っ直ぐに育った人間なんて、面白味が無いからね人ってのは、それぞれの人生で負荷を掛けられて、歪んだり曲がったりしていくもんだよちょっとぐらい陰りのある方がいいのさ</p><p>そういうことだからお兄ちゃん、いっぱいマナとエッチしてね毎日だよっ</p><p>え何でそうなる</p><p>お兄ちゃんが、マナのこと好きだって信じられるからマナは、どんなことだって頑張れるんだもんお腹が空いても平気だよ運動だって、言われた通りに頑張るお兄ちゃんが、毎日マナのこと抱いてくれたら</p><p>マナにとって、愛情の確認行為はセックスだけなんだ</p><p>そう仕向けてしまったのは、オレだ</p><p>だからオレは責任を取らないといけない</p><p>オレは、擦り寄ってきたマナの身体を抱いて頭を撫でてやる</p><p>オレはずっと側にいるから幾らでも応援するからな頑張れよマナ</p><p>うんっお兄ちゃん</p><p>勉強も頑張りなさい英語に加えて、フランス語とイタリア語もできた方がいいわねスーパーモデルになるのなら</p><p>はい頑張りますっ</p><p>そう言うマナを見て、雪乃は</p><p>バッカじゃないのあんたみたいな、お子ちゃまがスーパーモデルなんてなれるわけがないじゃない舞夏は、こいつらにダマされているのよっ</p><p>そういう雪乃さんは、この後、どうするつもり昨夜も言ったけれどね赤ちゃんを産むまではうちで飼ってあげるけれど、その後は知らないわよ女一人で、どうやって生きていくか考えておいた方がいいと思うわよ</p><p>白坂家はもう、雪乃を助けてくれることは無い</p><p>父親は、拉致されたまま母方の親戚筋も、雪乃たちのことは諦めている</p><p>あたしと舞夏は、あんたたちの世話にはならないわよ</p><p>マナさんはもう、あたしたちの家族よあたしたちが一生面倒を見るわ</p><p>そうだよっ雪乃さんは敵なんだからさ</p><p>舞夏、あんたいい加減にしなさいよっ</p><p>いい加減にするのは雪乃の方よ甘えないで</p><p>メグが、雪乃にビシッと言った</p><p>恵美あんた、あたしから舞夏を奪って、嬉しいんでしょうね</p><p>本当に何も判っていないのねマナは、あなたのものじゃないのよ</p><p>あたしのものよっあたしの妹なんだからっあたしの言うことをきくのが当然でしょ</p><p>これまで、雪乃は白坂家の中でお姫様だった</p><p>メグのことも、散々苛めてきた</p><p>しかし、今はもう</p><p>この子、面白いわね捕まっているのに、ここまで偉そうな子って初めて見たわ食欲も旺盛で、ムシャムシャ食べているし</p><p>恭子さんが、興味深そうに笑っている</p><p>お腹の子の分まで、食べないといけないものね</p><p>ミナホ姉さんが、笑って嫌味を言う</p><p>くぅっ</p><p>雪乃は、また泣く</p><p>怒って、喚いて、泣いてこの三拍子のトライアングルをエンドレス・ワルツしていく</p><p>治らないんだろうなこの性格は</p><p>と部屋の電話が鳴る</p><p>はいもしもし</p><p>近くに居た渚が電話に出た</p><p>あなたによみすずさんから</p><p>みすずか</p><p>時計を見るともう９時３０分過ぎだ</p><p>いつもの朝の電話より、２時間以上遅い</p><p>ありがとう渚</p><p>オレは、渚から受話器を受け取る</p><p>もしもしどうした朝のおしっこか</p><p>みすず我慢していたんじゃないのか</p><p>膀胱は、破裂していないだろうな</p><p>お早うございます旦那様おしっこの方は、大丈夫ですこんな時まで、旦那様のお手は煩わせるようなことはしません</p><p>ちゃんと出したのか</p><p>はいあの勝手におしっこしちゃって、申し訳ありません</p><p>いや、みすずが健康ならオレはいいんだちょっと心配だったから</p><p>みすずも心配でした旦那様、お元気そうで安心しました</p><p>オレは平気だよそっちは、どう</p><p>お父さんを突然亡くした瑠璃子は</p><p>今日がお通夜で、明日が告別式ということになりました</p><p>ジッちゃんは、息子の葬式を急いで終わらせるつもりだ</p><p>世間の眼が、白坂家のスキャンダルに注目しているうちに</p><p>瑠璃子は、気丈に振る舞っていますあたしも美子さんも付いていますし関さんも美智も居ますから</p><p>ああ、後でそっちへ行くよ夜になるかもしれないけれどオレも、瑠璃子のお父さんのお葬式には出たいし</p><p>はい、お待ちしております旦那様、あの携帯電話の方は何度かお電話したんですけれど、繋がらなくて</p><p>携帯を鳴らしても、オレが出ないから</p><p>みすずはそれで、ホテルに直接、電話を掛けてきたんだ</p><p>ああえっと、オレの携帯はどこにあるんだろう多分、誰かが回収してくれていると思うんだけど、まだ受け取っていないんだ手に入ったら、連絡する</p><p>もしもの時のために、一応、あたしの携帯の番号をお伝えしておきますね</p><p>そうだな渚、何かメモ用紙とかない</p><p>メグが、ペンと紙を手渡してくれる</p><p>さすが気が利く</p><p>オレはみすずの電話番号と瑠璃子のお父さんのお葬式の場所をメモした</p><p>後でまた連絡するから</p><p>はい、お待ちしています</p><p>青山斎場って、どこにあるの</p><p>オレの問いに、克子姉が</p><p>もちろん青山よ日本で一番大きなお葬式の会場よ</p><p>さすが、香月家</p><p>瑠璃子さんのお父さんのお葬式、あたしも行きたいわ</p><p>あ、マナも行く</p><p>あたしたちは、行かれないわね名家の人たちが集まる場所だから</p><p>克子姉が、寂しそうに言った</p><p>黒い森を知っている人も来る可能性がある</p><p>香月重秋さんは、あたしたちのお客様では無かったのよ香月様は、息子さんたちをお屋敷には連れていらっしゃらなかったからでも、あたしたちがお葬式の場に顔を出したら、変に勘違いされる方もいらっしゃるでしょうから</p><p>ミナホ姉さんや、克子姉、渚は顔を出さない方がいい</p><p>マルゴ後で、子供たちを連れて行ってあげて</p><p>判った、ミナホ夕方以降でいいんだよね</p><p>ええお通夜だからあんまり早く行っても、迷惑でしょうし</p><p>あたしも行きます</p><p>あたしたちは、制服で行けばいいのよね</p><p>あ、あたしはどうしよう</p><p>マナが、困った顔をする</p><p>制服だと白坂舞夏だって、バレちゃうかもしれないし</p><p>うんマナと同じ学校の子も来るかもしれない</p><p>マナさんは、帰りに喪服を買いましょう</p><p>ほんじゃまそろそろ、懐かしの我が家に帰るとしますかっ</p><p>恭子さんが、豪快に言った</p><p>あたしは、ソースケの回収もあるしね</p><p>その言葉を雪乃がジッと聞いている</p><p>工藤父に言われた内線に電話するとノーマさんではなく、トニーさんがすぐに来てくれた</p><p>何です、これ</p><p>トニーさんは、人数分の黒マントと虎のマスクを持って来ていた</p><p>あ、申し訳ないんですけれど全員、これで変装して下さい警察の居るところを強行突破しないといけないんで</p><p>いや、誰だか判らないように変装するってのは理解できるけれど</p><p>何で、虎のマスク</p><p>うちのボスの趣味です</p><p>黒マントは</p><p>ホンモノは誰だって知りません</p><p>知らないです</p><p>何で、あたしだけ虎のマスクが黒いのよ</p><p>なぜか雪乃に手渡されたマスクだけ黒い虎だった</p><p>あ、ブラックタイガーの正体はローラーボール・マーク・ロコですミスター高橋によると、現在はスペインのカナリア諸島に住んでいるらしいです</p><p>トニーさんの話は、わけが判らない</p><p>とにかく、皆さんマスクを付けて、マントを羽織って下さい</p><p>とにかく言われた通りにする</p><p>わーお、みんなおんなじ顔っ</p><p>真緒ちゃんが、面白がっているがそんな真緒ちゃんも、虎のマスクを被っている</p><p>幼児用のマスクなんて、よくあったな</p><p>シスター・イーディは</p><p>マスクを付けて興奮したのか、シャドー・ボクシングを始めている</p><p>マルゴさんが、落ち着くようにイーディに英語で話し掛けている</p><p>えっと、警察のゾーンにはうちのボスが居ますんでみなさんは、絶対に口を開かないで下さいそれから、指紋とか残さないように髪の毛とかも注意して下さいあいつら、こっそりサンプルを採るのを狙っていますから</p><p>何なんだ、警察って</p><p>それじゃあ、ご案内しますんで付いて来て下さい</p><p>トニーさんは、三角の旗を持って先頭に立つ</p><p>その旗には虎の穴ご一行様と書かれていた</p><p>エレベーターホールまで、虎のマスクに黒マントの一団でゾロゾロと行く</p><p>トニーさんの旗に続いて恭子さん、ミナホ姉さん、マルゴさん、克子姉、渚、真緒ちゃん、寧さん、シスター・イーディ、オレ、マナ、メグ、麗華、そして雪乃</p><p>１３人の虎マスクが続く</p><p>シュールだ</p><p>一人だけブラックタイガーだし</p><p>そんでは、エレベーター２機で下に降ります地下２階です地下の駐車場から出ますからあ、エレベーターは、こっちで制御してますんでノンストップで降ります途中の階で停まることはありません</p><p>トニーさんが、そう説明する</p><p>うん誰とも顔を合わせずに降りられるのは助かる</p><p>トニーさんが、エレベーター前のカメラに手を振ると</p><p>エレベーターが２機、同時に扉を開いた</p><p>ああ本部にノーマさんが居て、全てコントロールしているんだな</p><p>はい、乗って下さぁい</p><p>オレたちは、エレベーターに乗る</p><p>年長組と年少組に別れて</p><p>もっとも、真緒ちゃんとシスター・イーディは年長組の方だ</p><p>代わりに、寧さんと麗華がオレたちの方のエレベーターに乗った</p><p>麗華は、一応、オレたちの護衛のつもりなんだろう</p><p>エレベーターのボタンは、改めて押さなくても、もう地下２階のところが光っていた</p><p>何か、ドキドキするねっ</p><p>虎マスクの寧さんが、楽しそうに言った</p><p>いや、オレも虎マスクだけど</p><p>馬鹿みたいよこんなの、本当に馬鹿みたい</p><p>雪乃黒い虎のお前が、一番馬鹿みたいだぞ</p><p>地下２階に到着ドアが開く</p><p>工藤父が、待っていた</p><p>おっし、全員居るな行くぞ</p><p>先頭がトニーさんから工藤父に変更</p><p>１５人の大集団になってゾロゾロとエレベーターホールを出る</p><p>地下２階の駐車場には、明らかに警察関係者と判る人たちが居た</p><p>おい、工藤何なんだ、その集団は</p><p>ちょっと高圧的な四十過ぎの灰色のスーツのオッサンが、工藤父に声を掛ける</p><p>見りゃわかるだろザ・タイガースだよ</p><p>大阪かデトロイトか</p><p>そのタイガースじゃねえ</p><p>工藤父は、ニヤッと笑う</p><p>こいつがジュリーで、こいつがサリー、こいつはトッポで、こいつがタロー、こいつはピー残りは全員、キシベ・シローだ</p><p>全員</p><p>ああ全員、キシベ・シローだ</p><p>刑事らしい男もハハっと笑う</p><p>でこいつらを引率しているお前は何なんだウチダ・ユウヤか</p><p>タイガースの引率だワタナベ・ミサに決まっているだろ</p><p>クックックと笑い合う二人</p><p>中年男２人の会話は、わけが判らない</p><p>そこを開けてくれやオレもタイガースも、今日はもうオフなんだ家へ帰って、クソして寝るからよ</p><p>工藤父が、刑事を睨む</p><p>いつの間にか近くに居た警察官たちが、オレたちの周りに集まって来ている</p><p>現場検証が終わるまでは、誰も外に出すなってのが上からの命令なんだがな</p><p>刑事が、工藤父に言った</p><p>オレは、そんな命令聞く必要は無いと思うがな</p><p>工藤父は、強気で言葉を返す</p><p>工藤お前、国家権力を舐めるなよ</p><p>お前こそ一般市民を舐めるなよ</p><p>香月家のイヌが、ずいぶんと偉そうな口をきくじゃねぇか</p><p>吠えるな、吠えるなお前こそ、給料安いんだろ下手に突っぱねると、大火傷するぜ</p><p>お前こそ香月家には手を出せなくても、お前ぐらいはいつでも潰せるんだからなオレたちは</p><p>工藤父と警察の睨み合いが続く</p><p>お楽しみのところ悪いんだけどさぁ</p><p>恭子さんが、するっと虎のマスクを脱ぐ</p><p>マランドロのキョーコ・メッサーだあんたも公安の人間なら、名前ぐらい聞いたことはあるだろ</p><p>刑事が、ハッとする</p><p>マランドロって南米の犯罪組織かあ、キョーコ・メッサーって、ファイルにあった</p><p>警察の一団が、ワッと集まって来る</p><p>待ちなあたしの国際指名手配は、今は全部取り消されているんだあんたたちには、あたしを捕まえることはできないよっ</p><p>そんなことは、後からどうにでもなる</p><p>公安の刑事の指示で警察官たちが恭子さんの周りを固める</p><p>別件逮捕とかするつもり</p><p>とりあえずは、職務質問だ全員、所持品を検査させて貰う誰か一人でも、カッターナイフでも持っていたら、署までご同行していただく</p><p>そんなん持ってないさ</p><p>判らないぞどこかから、コロッと転がり出してくるかもしれん</p><p>無理矢理、オレたちが危険物を持っていたことにするつもりか</p><p>ふーんやっぱり、公安の人間は、どこの国でもやることがセコいねえ</p><p>恭子さんは、平然と笑う</p><p>何とでも言えこっちはこれが仕事なんだ</p><p>おいこれは香月家が絡んでる一件だぞ下手に手を出すと、お前らのクビが飛ぶぞ</p><p>工藤父が、そう刑事に言うが</p><p>国際犯罪組織の名前を出したのは、そっちだろうそっちがその気なら、我々もトコトンやってやる</p><p>刑事は、すっかり頭に血が昇っている</p><p>そんならさ、もう一つ教えてあげるよ</p><p>今のあたしは、ガモン共和国の外交官という立場でこの国に来ているんだけれどこれって、国際問題になるけど構わないよね</p><p>日本国の警察官僚が、国連加盟国の在日大使館の職員に不当な圧力を掛けるんだそれなりの覚悟はしてもらうよ</p><p>大使館</p><p>外交官て</p><p>あんたのクビ一つじゃ終わらないね日本の公安のトップと外務大臣のクビが飛ぶね間違いなく</p><p>あんた、最近、新聞読んでいるかいガモン共和国と日本政府は、現在、決して良好な関係では無いからねこれを機会に国交断絶いや、宣戦布告もありえるかもね国家を代表する外交官が、日本の警察官に不当な扱いをされたわけだからねうちの国の人間は、何よりもメンツを大事にするからねこりゃあもう大変なことになるよ</p><p>ニヤニヤと笑う、恭子さん</p><p>脅すつもりか</p><p>警告だよ下っ端が、あんまり突っ張らない方がいいんじゃないの</p><p>警察官たちは、動揺する</p><p>何なら上司にお伺いを立ててみればビックリすると思うよあたしみたいな国際的なユーメージンにはなかなか会えないからね</p><p>本当にホンモノなのか</p><p>嘘かもしれんぞ</p><p>どうする</p><p>だが、下手にしょっぴいて本当に外交官だったら、トンデモないことになるぞ</p><p>警官たちが小声で話している</p><p>公安の刑事は</p><p>いや、工藤が連れて来ているんだホンモノなんだろう判ったオレの権限で、ここは通してやる</p><p>物分かりが良くて助かるよ</p><p>虎のマスクの人間は、全員あたしの身内だ指一本触れるんじゃないよっマジで国際問題にするからねっ</p><p>警察官たちを恫喝する</p><p>車はそこのマイクロバスかい</p><p>恭子さんが、工藤父に尋ねる</p><p>ああ、そうだ</p><p>ほら、みんな早く乗りなとっとと撤収するよっ</p><p>恭子さんの号令でオレたちは、バスに乗り込む</p><p>工藤父とトニーさんも、運転席に乗って来る</p><p>警官たちは、遠巻きにオレたちを睨んでいる</p><p>トニーさんが、工藤父に虎のマスクを手渡す</p><p>それから自分もマスクを被った</p><p>バスの中は虎マスクの人間しかいない</p><p>マスクは、ずっと付けたままだよあたしがいいって言うまではね</p><p>恭子さんが叫ぶ</p><p>シスター・イーディには、寧さんが通訳する</p><p>姐さんが出張らなくても今回は、香月のジィさんのお墨付きがあるんだゴリ押しで通れたのに</p><p>工藤父が、恭子さんにそう言うが</p><p>ハッこれだから、男ってのは</p><p>呆れた顔で、工藤父を見る</p><p>あんたも香月のジィちゃんも警察の下っ端なんてのは、力押しでどうにでもなるって思っているんだろだけど、上の人間に全部情報を握りつぶされて、あいつらが一番焦れているんだガス抜きの一つもやってやらないとおかしな方に暴発するよっ</p><p>ガス抜き</p><p>そうさ、昨夜のこのホテルでの事件に国際犯罪組織のあたしが関わっているとなりゃあ、あいつらだって何で自分たちが捜査から外されているのか、勝手に想像してくれるだろ納得できそうな理由が一つでもあれば、諦めも付く何も知らされないままで、あんたみたいなのに力押しをやられたら、あいつらだってこの野郎って反抗してくんのは当たり前じゃないか</p><p>恭子さんが事件に関わっていて</p><p>しかも、その恭子さんが外交官の身分で来日しているとなれば</p><p>下っ端レベルでは、どうすることもできないんだと納得してくれる</p><p>公安の人間なんて、どこまでも蛇みたいにしつこく追っ掛けて来るんだから適当に情報を流してやって、満足させちまった方がいいんだよこれでしばらくは、マランドロの組織とガモン共和国の調査に集中してくれるだろうしね</p><p>黒い森には、気が付かない</p><p>国際犯罪組織とか日本と仲の悪いならずもの国家とかの調査の方が、ロマンがあるからね</p><p>まったく本当に、男ってのは男が分かっていないよね</p><p>恭子さんは、工藤父を小馬鹿にしてそう言った</p><p>トニー、車を出せ</p><p>いたたまれない顔で、工藤父が指示を出す</p><p>地下２階の駐車場からオレたちのバスが出発する</p><p>すぐに１階へ</p><p>さっきの刑事から連絡が行っているのだろう</p><p>ホテルの出口の検問はオレたちのバスを一時停止させずに、そのままスッと通してくれた</p><p>ホテルの敷地外ではマスコミのカメラが、ズラッと並んでいる</p><p>平然としてなっ変に顔を隠したりしちゃダメだよっ</p><p>虎のマスクの一団を乗せたバスがマスコミの前を通過する</p><p>フラッシュの光が、眼に眩しい</p><p>尾行は、５台だね</p><p>虎マスクのマルゴさんが、そっと呟いた</p><p>警察の車輌が２マスコミが３だ</p><p>虎マスクの恭子さんが、虎マスクの工藤父を見る</p><p>尾行を巻く準備は、もちろんできているんだろうね</p><p>当たり前だろオレだってプロだぜ</p><p>虎の穴編は、これで終わりで</p><p>すぐに寧さん編に戻ります</p><p>タイガーマスクは、交通事故死して行方不明というマンガ版も好きですが</p><p>マスクを剥がされたショックで、高笑いしたあげく、虎の穴で習ったありとあらゆる反則技を使って相手選手を惨殺した後、その日の飛行機で国外逃亡するというアニメ版も大好きです</p><p>345．それぞれの岐路</p><p>お台場から羽田にかけての湾岸には、大きな貨物の集積場が幾つもある</p><p>尾行してくる５台の車を引き連れて、オレたちのバスは疾走する</p><p>そういうところは、私有地扱いだからな警察の車だって、簡単には入れない入構許可証が無ければ、入り口で止められる</p><p>工藤父が、ニヤッと笑いながらファイルを取り出す</p><p>ところが、オレはこの辺の施設の入構証はあらかた持っているからなトニー</p><p>トニーさんが、近くの物流ターミナルにバスを突っ込ませる</p><p>工藤父が、ガッと警備員に入構証を提示するからオレたちのバスは、そのまま進入を許される</p><p>後ろの車は止められている</p><p>こっちの入り口から入って向こうから出る</p><p>そのままバスはターミナル内を突っ切って、反対側の出口から外へ</p><p>もちろん、追跡車は１回では振り切れねえ上から見ているやつもいるしな</p><p>工藤父が指差す方を見上げるとあ、ヘリコプターがいる</p><p>なるほど空からオレたちの行方を監視しているやつもいるのか</p><p>そいつらからさっきの追跡車に指示が出る</p><p>尾行の鉄則としてオレたちを追っ掛けて来ているのは、見えていた５台の他にも、何台か追跡車が用意されていると思った方がいいだろうということで</p><p>バスがまた、別のトラック・ターミナルに突っ込む</p><p>何回か、私有地内の横断を続けてみるわけだ</p><p>今度のターミナルは、大きくて屋根がある</p><p>ヘリから見下ろせない場所でターンして出口から外へ</p><p>そしてまた、別の入構証を提示して別の集積場へ</p><p>今度は巨大な建物の屋内に、バスを走らせる</p><p>内部をぐるぐる廻って、別の出口から出る</p><p>ん目的地に大分近付いて来たな</p><p>また別のターミナルへ飛び込む</p><p>屋内の施設にバスが進入すると</p><p>そこにはオレたちの乗っているのと同型のバスがあった</p><p>しかもそのバスの乗員も、オレたちと同じ虎のマスクを被っている</p><p>はいトニーくん、停車</p><p>工藤父の指令通り、トニーさんがオレたちのバスを停める</p><p>同時に、先に停まっていたバスが発進する</p><p>あれ、運転しているのはノーマくんね乗客の虎さんたちは、みんなマネキンだよあのまましばらく、オレたちが今して来たみたいに物流ターミナルをあっちゃこっちゃ走り回って貰う警察もマスコミも、そのうちにバスがすり替わったことに気付くだろうがどの段階でそうなったのかは、永遠に判らねぇだろうな</p><p>ということだから全員、そっちのトラックに乗ってくれ</p><p>マスクも、もう外していいよ</p><p>ふう、恭子さんのお許しが出た</p><p>オレたちは虎マスクとマントを脱ぐ</p><p>でここから、どこへ行くんだい</p><p>恭子さんの問いに、工藤父は</p><p>ここまで来るともう羽田空港は、すぐそこなんだぜ</p><p>ニヤッと微笑む</p><p>あそこには、VIP用の特別駐車場っていう便利な場所があるからなあんたたちの車は、昨夜のうちに劇場からそこへ移しておいた空港の駐車場なら、車の出入りは多いしあんたたちの車みたいに高級外車が並んでいても目立たないからな</p><p>工藤父とトニーさんは、すぐ運送会社の制服に着替える</p><p>オレたちはアルミの扉を開けて、荷室の中へ</p><p>２トンロングの荷室に、この人数じゃ狭いだろうが我慢してくれ</p><p>椅子とかあるわけじゃないから、オレたちは荷室の中に直接座る</p><p>真緒ちゃんは、渚に抱きかかえられてでも、楽しそうに笑っている</p><p>シスター・イーディも何か嬉しそうだ</p><p>麗華は、渚と克子姉の間に座っている</p><p>ミナホ姉さんは、恭子さんとマルゴさんに護られて</p><p>メグとマナが緊張しているので、オレと寧さんで抱き締めてやった</p><p>何でお前、まだブラックタイガーのまんまなの</p><p>だってあたしが白坂雪乃だって、知っている人に会うかもしれないじゃない空港なんて人でいっぱいなんだから</p><p>相変わらず、自意識過剰というか</p><p>黒虎の仮面の方が変だとは、思わないらしい</p><p>道は平坦だし、スピードも出さないから、そんなに揺れないと思うぜすぐに着くから辛抱してくれ</p><p>そう言って、工藤父は荷室の扉を外から閉めた</p><p>トラックの荷室に押し込められて、１０分ほど我慢する</p><p>まあ確かに思ったほどは揺れなかったがそれでも、トラックの荷室ってのは人間が乗るべき場所でないことはよく判った</p><p>やがて、トラックは停車する</p><p>再び、荷室の扉が開く</p><p>着いたぜって、すげぇ女の匂いが充満しているな</p><p>荷室内の匂いを嗅いで、工藤父が言った</p><p>そりゃあまあ１０人も女性が押し込められているんだから</p><p>お前、よく平気だね</p><p>ハハ慣れました</p><p>そうだオレはすっかり女だらけの生活に慣れてきている</p><p>トラックの外は立体駐車場の中らしい</p><p>眼の前に、見覚えのある車が停まっている</p><p>マルゴさんの青いマセラッティ</p><p>隣はミナホ姉さんのベンツ</p><p>それから、白いバン</p><p>これ、あたしの車よっ</p><p>渚がその横の車を指差す</p><p>赤い車</p><p>プジョーよフランス車なの</p><p>へえ渚によく似合っている</p><p>まだ触っちゃダメだよ、渚ちゃん</p><p>ちょっとみんな離れていて</p><p>そして、工藤父を見る</p><p>あんたらを信用していないわけじゃないんだけれどね職業病なんだよ他人が触った車は、必ず調べてからでないと怖くてね</p><p>発信器と爆発物がね</p><p>恭子さんは、ミナホ姉さんのベンツからチェックし始める</p><p>マルゴは自分の車を頼むよ</p><p>了解、恭子さん</p><p>マルゴさんもマセラッティの足回りから調べ始める</p><p>あ、わたくしも手伝います</p><p>麗華も、作業に加わる</p><p>はい爆弾は無いけれど発信器を発見</p><p>マルゴ、それ多分１個っきりってことは無いね</p><p>はいこれを見つけるところまでは、向こうの想定内でまだまだ仕掛けていると思います</p><p>１個も見落とすんじゃないよ</p><p>あ、ここにもありました</p><p>麗華も発信器を見つける</p><p>結局、４台の車から発信器が１２個出てきた</p><p>これってどういうことなのかなぁ</p><p>恭子さんが、工藤父に詰め寄る</p><p>オ、オレは知らねぇよこんなの</p><p>判ってるよこんなことをやるのは、谷沢のオッサンだろうさ</p><p>恭子さんは、クスクスと笑う</p><p>あのオッサン、あたしたちの首に鈴を付けておきたいんだろ</p><p>ていうか恭子さんだけです谷沢さんが、野放しにすることに脅威を感じているのは</p><p>まあ、何でもいいさあたしは首輪を付けられるのは大嫌いだからね谷沢のオッサンには、そう言っておいて</p><p>恭子さんは、発信器の山を工藤父に手渡す</p><p>あら、もうこんな時間完全に遅刻だわ、あたし</p><p>渚が、時計を見てそう言う</p><p>もう10時30分近い</p><p>あたし、先に行きますお店を開けないといけませんから</p><p>待って、渚</p><p>メグ、今日は部活か</p><p>本当はそうだけれど今日はお休みしますって、朝、ホテルから竹柴キャプテンにお電話したの</p><p>昨夜の大騒ぎで、みんな全然休んでいないでしょお屋敷の中のこと、克子お姉さんだけにお任せするのは悪いし</p><p>メグは、すっかり家族の委員長になっている</p><p>竹柴キャプテンも白坂の本家があんなことになって、テレビで凄いことになっているから今日は部活に出ないでいいって言ってくれたわ</p><p>メグが白坂家の遠縁だってことは、みんなに知られているもんな</p><p>白坂家の当主押し込めの大クーデターは、昨日の白坂創介のセックス・スキャンダルよりも大々的に報道されている</p><p>白坂創介の方は、ただの興味本位での取り上げ方しかされなかったが</p><p>当主の方は、新聞社とテレビ局を有するマスコミ・ネットワークのボスの失脚だ</p><p>人気球団のオーナーとしても知られていたし</p><p>社会に及ぼす影響は、段違いなんだろう</p><p>判ったじゃあ、メグはお屋敷の方を頼むそしたら、マナお前、渚のお店の手伝いに行け</p><p>そうだこれからは家族なんだから手伝うのは当たり前だろ</p><p>マナは、納得してくれる</p><p>それから、麗華もだ</p><p>わたくしがお花屋さんのお手伝いですか</p><p>昨日の今日だから一応、渚のお店にも警護要員を置いておいた方がいい麗華は、お店の手伝いをしながら、渚たちを護ってくれ</p><p>いやオレの本心は</p><p>麗華は、少し剣以外のことに触れた方が良い</p><p>もちろん、お店に来たお客さんたちに変に思われないように、店の手伝いもしっかりやってくれ</p><p>渚いいだろ</p><p>手伝いというよりマナと麗華を、渚に預けるようなものだけれど</p><p>渚なら、二人を指導してくれるだろう</p><p>ええ、助かるわ</p><p>渚は、にっこりと微笑む</p><p>じゃあ、車に乗って真緒もいらっしゃいお店が終わったら、夜にでもまたお屋敷へ行くわ</p><p>渚、真緒ちゃん、マナ、麗華が赤い車に乗り込む</p><p>wooo、MAO</p><p>あんたは、こっち</p><p>真緒ちゃんが行ってしまうことに、イーディは納得いかないようだが</p><p>恭子さんが、力で抑え付ける</p><p>あたしたちは、一度お屋敷に戻りましょうもう白坂家やヴァイオラに雇われていた監視者はいなくなっていると思うけれどちゃんと確認しないと、怖いから</p><p>お屋敷の安全が確認された後で、あたしは恭子さんとターゲットの回収に行きます</p><p>ターゲットとは白坂創介のことだ</p><p>ブラックタイガーの雪乃が、ハッとしてミナホ姉さんを見る</p><p>ミナホあたしたちは別行動でいいかな</p><p>あたしと寧と彼の三人なんだけれど</p><p>そうねそっちの件は、あなたたちに任せるわ</p><p>そう言ってくれた</p><p>じゃあ、先に行くわまた後でね、あなた</p><p>お兄ちゃん頑張ってくるねっ</p><p>渚の車が走り去る</p><p>この子もあたしたちの車かい</p><p>ええ常に監視していないと、何をするか判らないですから</p><p>イーディよりは安全なんじゃないのまあ、見た目が面白いからいいかほら、乗りな</p><p>黒虎マスクの雪乃は、ミナホ姉さんの黒い車の後部座席に乗せられる</p><p>隣に、シスター・イーディ</p><p>それでも、キャッキャと悦んでいる</p><p>これから行く場所のことについて、ワクワクが止まらないのだろう</p><p>克子姉とメグは、白いバンに乗り込む</p><p>工藤さん、今回は色々とありがとうございました</p><p>ミナホ姉さんが、車に乗り込む前に礼を言う</p><p>気にしないで下さいオレっちは、仕事でやってるだけですから</p><p>工藤父は、笑ってそう答える</p><p>今回は、まあ味方側だったけれどそのうち１回、敵対してみようか</p><p>恭子さんが、そんなことを言う</p><p>勘弁して下さい姐さんの相手をするのは、身体が幾つあっても足りねぇッスよ</p><p>百戦錬磨の恭子さんには工藤父も、軽口は叩かない</p><p>それにオレは美智の居るところとは、ケンカはしませんよ</p><p>工藤父は真顔になって、ミナホ姉さんと恭子さんを見る</p><p>美智のことよろしくお願いします</p><p>スッと、頭を下げる</p><p>娘さんは、あたしの弟がいただきました幸せになれるようあたしたち年長者がしっかり監視・指導して参りますどうか、ご心配なさらないで下さい</p><p>ミナホ姉さんも、工藤父に頭を下げる</p><p>オレ、しっかりやりますから</p><p>オレも深く頭を下げた</p><p>頼みます本当に</p><p>工藤父の美智への愛情が心に染みる</p><p>ほんじゃあ、またな頑張れよ、少年</p><p>工藤父は、オレにそう言ってくれた</p><p>はいオレ、頑張ります</p><p>よろしくな</p><p>フッと笑って、工藤父はトラックに乗り込む</p><p>トニーさんに指示して、そのまま発進した</p><p>じゃああなたたちは、あなたたちでしっかりやりなさい</p><p>ミナホ姉さんは、そう言ってベンツに乗り込む</p><p>マルゴ、こっちのことは気にしなくて良いから寧ちゃんの事、頼んだよ</p><p>恭子さんが助手席から、そう言った</p><p>雪乃はオレと眼が合った瞬間、ツンと顔を背ける</p><p>黒虎のマスクのまま</p><p>そんな雪乃を、シスター・イーディがケラケラ笑っている</p><p>エンジンがトゥルルルと始動し</p><p>黒いベンツが走り出す</p><p>あたしたちも先に行くわ早く、帰ってらっしゃいね</p><p>ヨシくん、待ってるからねっ</p><p>ミナホ姉さんたちの車を追って克子姉とメグの白いバンも、走り出す</p><p>駐車場に残ったのは</p><p>オレとマルゴさんと寧さんの３人</p><p>そして、マルゴさんの青いマセラッティ</p><p>さあ、あたしたちも行こうか</p><p>オレたちはこれからオレの家に行く</p><p>口には出さないけれどそのことは３人とも判っていた</p><p>行こう、ケイ</p><p>そうだねお姉ちゃん</p><p>はい、これ寧も</p><p>マルゴさんは、車のダッシュボードを開けて</p><p>中から電話機を二つ取り出した</p><p>プリペイドカード式の携帯電話だよとりあえず、これを使っていて番号は、後ろにシールで貼ってあるから何かにメモして、そのシールは剥がして捨ててしまって</p><p>うん確かにシールにナンバーが書いてある</p><p>昨日まで使っていた携帯は、全機破棄することにしたから裏社会に、番号とかが漏れている可能性があるからね今渡した電話機は、あくまでも新しい携帯を手に入れるまでの繋ぎとして使っていて明日までには、新しい電話を用意するから</p><p>それで前の電話は回収して来なかったんだ</p><p>さあそれじゃあ、行こうか</p><p>マルゴさんが、始動キーを廻す</p><p>高出力のマセラッティのエンジンが、軽やかに動き出す</p><p>うん行こう</p><p>寧さんの手は緊張しているのか少し冷たかった</p><p>オレはこれから</p><p>寧さんの処女を奪うんだ</p><p>出すよ</p><p>マセラッティが、大地を蹴って荒々しく駆け出して行く</p><p>寒いです体調悪いです</p><p>次話から吉田家で寧さんとのエッチとなります</p><p>346．車の色は空の色</p><p>午前中の街を疾走する、青いマセラッティ</p><p>空は快晴ゴールデンウイークも中盤</p><p>街には、緊張感の緩んだ連休の雰囲気が漂っている</p><p>マルゴさんが、車内に音楽を流す</p><p>穏やかでゆったりとした美しい女性の英語の歌が聞こえる</p><p>あこれ、あたし好き</p><p>何て歌なんです</p><p>ブラジル</p><p>寧さんは、オレにニコッと微笑む</p><p>BRAZILっていうタイトルの映画があってねその中の夢の場面で流れる歌なんだよこれはケイト・ブッシュが歌っているバージョンなんだけれどね</p><p>BRAZILは、原題で日本では未来世紀ブラジルっていうんだよ</p><p>寧さんも教えてくれる</p><p>もちろんオレは知らない</p><p>やっぱりいいよねケイト・ブッシュはあたし大好き</p><p>うんケイト・ブッシュに嵐が丘っていう歌があってねあたしは、曲も歌詞も大好きなんだけれど、日本では長いことバラエティ番組のオープニングに使われちゃっててたんだってそれでお笑いのイメージが付いちゃって、頭に来るんだよね</p><p>寧さんが、そんなことを話し出す</p><p>日本に戻って来て、高校に入ったばかりの頃にさあたし、合唱部だったでしょ友達ができて、その子にあたし、この曲が好きなのって言って嵐が丘を聞いて貰ったら笑われたのよすっごい、ショックだったな</p><p>寧さんにも、そんな時期があったんだ</p><p>すぐに白坂創介の配下の男教師に眼を付けられて寧さんは、金髪不良少女路線になる</p><p>マルゴさんとペアで、身を守る代わりに校内の友人を失う</p><p>みんな悪い子じゃなかったけれどあたしと仲良くしていて眼を付けられたら、あの人たちに娼婦に堕とされたかもしれないしね</p><p>オレたちの高校は、長いこと黒い森の娼婦の供給源になっていた</p><p>今のところ、岩倉会長が最後の娼婦ということになっているけれど</p><p>あたしは、シザーリオ・ヴァイオラのこともあったし日本に来てからも、ずっとお屋敷の中での娼婦たちの生活を見てきたしセックスって、あんまり良いイメージが無かったんだよね本当、ごく最近あなたが来てからだよセックスって、優しくて楽しい行為なのかもしれないって思えてきたのは</p><p>寧さんはオレをあなたと呼んだ</p><p>マルゴさんの前でもケイとは呼んでくれないんだ</p><p>それってオレが、みすずや克子姉とセックスしているのを見てからですか</p><p>ううん最初の雪乃さんのレイプの時から感じていたよあなた白坂創介のレイプとは、全然違う雰囲気だったから</p><p>そう白坂創介が、女の子をレイプする時は、薄ら笑いを浮かべて楽しそうなのよそして気持ち悪い自分勝手で、女の子の身体と心を痛めつけることしかしないから</p><p>レイプって、そういうものだろう</p><p>男の性欲を女に叩き付けるだけだから</p><p>でもあなたの雪乃さんのレイプは最初の時から、感じが違ったよあなたは真剣で、カメラ越しに見ているだけでも痛々しかった悲しそうで雪乃さんの身体に、心の底から縋り付いているみたいで</p><p>オレそんなんでした</p><p>ていうか君のセックスは、いつもそうだよ誰が相手でも</p><p>運転席から、マルゴさんが言う</p><p>自分の心の中の虚無感を埋めようとしているのと同時に相手の心の中の寂しさも、埋めてあげようと必死で頑張るから痛々しさと、いじましさを感じるよね本当、面白い子だよ君は</p><p>恭子さんが驚いていたよ君のことを</p><p>オレのことを驚いていたってマルゴさん</p><p>いや、恭子さんには、途中の経過をあたしが逐一報告していたんだけどねそれでも、実際にあたしたちを見て、驚いていたあれだけ不安定だったミナホや克子さんの心が安定しているし渚さんや、寧や、あたしまでもね</p><p>マルゴさんもってマルゴさんは、オレが最初に会った時から、どっしり落ち着いてたじゃないですか</p><p>君には、そう見えるの違うよあたしだってみんなと同じで不安定だよただ寧の方が、不安定さが際立っていたから、気が付かなかっただけなんじゃないかな</p><p>そうだよこの人、結構、気分屋さんなんだから</p><p>寧さんは、マルちゃんという呼称も使わない</p><p>やっぱり、今この車の中に居る人は寧さんと寧子さんの間の人</p><p>人格が固定されていない</p><p>恭子さんは、あたしたちだけを残してオーストラリアに行くのをかなり心配していたんだよでも向こうで、白坂創介を捕獲するのは、恭子さんに任せるしか無かったしミナホが、かなり計画の実行を急いだからね</p><p>連休明けに、メグちゃんが白坂創介に娼婦に堕とされる予定だったろミナホは、それを何としても防ぎたかったんだだから、このタイミングで慌てて復讐計画をスタートするしかなかった</p><p>ミナホ姉さんにとって、メグは世話になった娼婦の先輩の忘れ形見だ</p><p>絶対にメグを白坂創介の娼婦にさせたくは無かったんだ</p><p>恭子さんやあたしは、渚さんの時のことで、とっても後悔しているからね</p><p>渚の時</p><p>渚さんが、無理矢理妊娠させられて真緒ちゃんを生むことになった時あの時は、恭子さんがお屋敷に居なかったんだどうしても所属組織のマランドロの仕事で日本を離れなくてはいけなくて恭子さんが居ないから、白坂創介が無茶をやったんだよだけどあたしもミナホも、まだ力が無くて、あの男の暴虐を止められなかったあたしたちにとっては、辛い思い出さ</p><p>真緒ちゃんが３歳だから渚の妊娠は、４年前</p><p>マルゴさんは１５歳で、アメリカから日本に来たばかり</p><p>ミナホ姉さんも、まだ黒い森の運営を掌握してはいなかった時期か</p><p>白坂創介がヤクザ組織と接近していたしこのままじゃ、黒い森と関係無く、メグちゃんが拉致監禁されるのは時間の問題だったからねだから慌てて白坂創介に顧客リストの情報をリークして</p><p>オーストラリアに誘き出したのか</p><p>日本国内じゃあの時に白坂創介とツルんでいたヤクザ組織と全面戦争になる恐れがあったからねあたしたちには、そこまでの戦闘力は無いし白坂創介とヤクザを分断するためには、海外へ連れ出す必要があったんだそれに、そっちの方が恭子さんは自由に行動できるしね</p><p>国際派の恭子さんからすれば日本国内の方が動きづらいのだろう</p><p>であたしたちだけで大丈夫かと、ずっと心配してくれていたんだよあたしは毎日、定期的に連絡していたからよく知っているんだけれどあたしたちって、本当にメンタルの弱い人間ばかりだから</p><p>そんなことありませんよマルゴさんだって、ミナホ姉さんだって、克子姉だって、渚だって年長組の人たちは、みんなしっかりしているじゃないですかいつも、オレや年少組の人間は助けて貰うばかりで</p><p>そうじゃないそうじゃないんだよそれはさ</p><p>マルゴさんはまっすぐに正面を見たまま、言う</p><p>君のおかげなんだよ全部</p><p>いや、オレは何もしていませんよ</p><p>君の存在があるからあたしたちは、自分を律していられるんだよ君の信頼を損ねたくないから君にとっての、良きお姉さんでいたいから</p><p>オレのお姉さん</p><p>みんな必死だよでも、無理はしていないみんな楽しんでいるんだ君のお姉さんでいることを君が、あたしたちを信じてくれているからあたしたちは、生まれて初めて自分自身を許すことができたと思う自分自身を好きになれた君のお姉さんになろうと頑張っている自分をね</p><p>オレにはよく判りません</p><p>寧さんが、オレの手を取る</p><p>自分では判らないことかもしれないねでもあなたが、あたしたちを良い方向に変えてくれたことは確かだよ</p><p>あたしたちだけじゃないよ年少組の子らみすずさんや、メグちゃん、マナちゃん、美智ちゃんだって、君と触れ合うことでどんどん成長している麗華お姉さんや関さんですら</p><p>さっき恭子さんが、麗華お姉さんのことを叱ったでしょ</p><p>あんなこと珍しいんだよ恭子さん、よっぽど見込みのある相手でないと人を叱ったりしない人だから</p><p>うんたいていは茶化して、笑い話にするだけだよあんなに真剣に叱ってあげている恭子さん、あたしは初めて見た</p><p>恭子さんは、頭が良すぎる人だから怒るなんて、体力の消耗になるだけのことはしないんだよすぐに、対応策を思い付いちゃうから怒る前に次の行動に出ているさっきの警察官みたいに、脅しが利く相手ならためらわずに脅すし話の判らない、どうしようも無い馬鹿相手には、速攻で実力行使するし</p><p>頭が良い上に、メチャクチャ強いわけだから</p><p>怒ることに時間を取られる前に、相手を力で排除するのか</p><p>麗華お姉さんの中に残っていた余計なプライドを完全に壊したものね</p><p>男装していた頃の麗華お姉さんて、傷つきやすい心とプライドを、あの外見で徹底的に隠していたわけじゃないそれが今、心のヨロイが全部剥がれたわけだからさ</p><p>うんあたしたちに心を開いて丸裸になってくれたものね今日は、渚さんのお店に行かせたの正解だと思うよ</p><p>そうだよ今の麗華お姉さん丸裸過ぎて、警護人の仕事はできないもの一日、たっぷり渚さんや真緒ちゃんたちと家族の雰囲気に馴染んだ方が良いって</p><p>自分の護るべきものが判ったら麗華お姉さんは、もの凄く強くなると思うよ</p><p>いや、本当にさ君が起きてくる前に、恭子さんが言っていたんだよあたしたちが精神的に安定していたことも驚いたけれど君が連れて来る人たちが、みんな良い資質の人ばかりだって</p><p>いや、オレが別に連れてきているわけではないですよ</p><p>そうかなあたしは、君がキーマンだって思っているけれど</p><p>そうだよあなたがいなかったらみすずさんも、美智さんも、マナさんも、麗華お姉さんも家族にはなっていないわよ</p><p>やっぱり寧さんの言葉にちゃん付けは無い</p><p>まさかの香月さんまでが、家族入りしてくれたしね</p><p>それはオレも驚いた</p><p>ホント、君の能力は驚異的だって、恭子さんが言っていたよ</p><p>いや、オレなんて</p><p>みんなに引っ張られているだけで何の役にも立っていないのに</p><p>君は恭子さんのこと、ちょっと苦手</p><p>うんとそうですねまだ、ちょっとどういう人なんだか、よく判らないですから</p><p>恭子さんはね黒い森のあたしたちのお父さんなんだよっ</p><p>女性なのに、お父さん役だからあなたには、判りづらいんだと思う</p><p>そうだね恭子さんは男役だから</p><p>ああレズとしても</p><p>女性的な感性と、男性的な思考がゴッチャになっている人だからだから、普通にあの人の言動を理解するのは難しいんだと思うこの人は、みんなのお父さんなんだって割り切ると、とっても判りやすくなるんだけど</p><p>そうかオレが、恭子さんに感じる違和感はそれが原因か</p><p>黒い森の一番上のお姉さんて、感じではないもんな</p><p>ミナホ姉さんは、まちがいなく一番年上の姉だけれど</p><p>恭子さんはお父さんか</p><p>そのお父さんが、ちゃんとあなたの存在を認めてくれたのよあたしたちに、必要不可欠な弟だって</p><p>寧さんがニコニコして、オレに言う</p><p>他にも、恭子さんが君のことを褒めていたよ特に雪乃さんのことを家族にしないで、ちゃんとラインを引いて区別していることだね</p><p>あの子だけはどうしようも無いものね</p><p>寧さんにとっても雪乃の評価は、低いらしい</p><p>普通の男だとさそれでも、一緒に居るとだんだん情にほだされてくるから、雪乃さんみたいな子だって、仕方無く身内にしようって言い出したりするんだけど君の場合は、ちゃんと明確に区別している</p><p>雪乃さんが、絶対にあたしたちの身内にはならない気を許すことはできない女の子だってこと、判っているんだよねそういうことがキッチリできるのは、男の人としては珍しいし、優秀だって恭子さんが、君のことを褒めていたよ</p><p>オレは判っているだけです雪乃とは、解り合えないってこと</p><p>三次元における２本の直線の関係だね</p><p>数学的にはね三次元世界では、２本の直線には４種類の関係が考えられる１つめは、完全に重なる、２つめは平行に伸びていく、３つめは一点だけ交わる、４つめはねじれの位置絶対に交差しない</p><p>人間の人生を一本の直線だと考えたらちょっと面白いだろ誰かの人生と自分の人生が完全に重なることは、なかなかないよね平行なら、お互いの姿をずっと見ていられるだろう一点だけ交わって、そのまま離れて行く人生もある平行だと思っていても、実はほんの少しだけ角度が付いていてしだいに遠ざかって行くねじれの関係の人生なのかもしれないし</p><p>人と人の人生の巡り会いは、様々だ</p><p>オレと雪乃は本当なら、最初から最後まで交わることのないねじれの関係だったんですそれがたまたま偶然で、今、一点だけ交わることになりましたでも、この先は次第に遠ざかっていくしかない</p><p>オレたちの人生は重なることも、平行になることも無い</p><p>一度交われば後は別れるだけだ</p><p>さよならだけが、人生だか</p><p>マルゴさんが、溜息を吐く</p><p>昔、そういうことを言った人がいるんだよ人との出会いは毎日、意識していなくてもどんどん起きているからねだから、人間が意識できるのは別れの方ばかりだってこと</p><p>そっか別れることを前提にしているから、あなたは雪乃さんに優しいんだ</p><p>あたしとはどう</p><p>やっぱり、いつかは別れていく人だと思っている</p><p>別れたくないよずっとずっと一緒に居たい</p><p>あたしもだよ</p><p>だから、一緒にいよう一緒に居て下さい</p><p>それは、あたしがあなたにお願いすることだよ</p><p>寧さんが、オレの手にキスをする</p><p>あたし離れたくない死が２人を分かつ時まで</p><p>やがて車は、オレたちの住む街に到着する</p><p>あ、コンビニか何かで停めて下さいうち、飲み物とか何も無いですから</p><p>あの家には、しばらく帰っていないし</p><p>お茶の葉とか、紅茶のパックとかも無いんです家、お客さんとか来たこと無いんで</p><p>お父さんやお母さんは、お茶飲まないの</p><p>あ知らないです</p><p>知らない</p><p>親父や母親の住んでいるゾーンには、オレ、立ち入り禁止なんで</p><p>え、お台所は一緒でしょ</p><p>うんとバァちゃんが死んでから、２人ともずっと外食で家では食事しないんで２人とも自分の部屋に冷蔵庫とか持っているんじゃないですかね部屋の中、見たことないから判らないですけれど</p><p>じゃあ、お台所はあなた１人で使っているの</p><p>水道とコンロは借ります鍋も、アルミのやつ、自分用のを一つ持っていますからでも、それ以外は、オレは使用禁止なんで</p><p>使用禁止</p><p>台所の冷蔵庫は、使ってないからもったいないってんで、コンセントを抜かれているんで使えないんです食器棚とかは、全部、鍵が掛かっていますんでオレは、百均で買った自分用のコップとお皿とお箸をずっと使っています</p><p>だって、冷蔵庫が使えないと困るじゃない</p><p>寧さんが、驚異の眼でオレを見る</p><p>困らないですよこの春から１ヶ月、家で１人で暮らしてきましたけれど食事は、ほとんどパンかカップ麺なわけですし水道の水、飲み放題ですしたまには、お湯にして飲んだりもしています</p><p>だけどジュースとか買ったら、冷やすでしょ</p><p>買わないですから飲み物に、１００円とか１２０円とか払えないですよオレ、お金は節約しないと生きて行かれないって思っていましたから</p><p>オレの身体を寧さんが、ギュッと抱き締める</p><p>そうだったあなたは、そういう子だったんだよね</p><p>そこに大きなドラッグストアがあるから寄っていくよ</p><p>マルゴさんが、車を停めてくれた</p><p>へえ、薬局なのに飲み物も豊富に売っているんだ</p><p>あたしは、それ人工甘味料と刺激物の入っているものは避けているから</p><p>マルゴさんはそう言って、麦茶のボトルを取る</p><p>あたし、そこの紅茶でいい冷えても美味しいものでないとね</p><p>寧さんは、ストレートティを選ぶと、店の奥へ行く</p><p>ごめん、あたし他に買い物があるから</p><p>何を買うんだろう</p><p>オレはミネラルウォーターのボトルを取った</p><p>それがいいの</p><p>ええ安いし、温くても飲めますし、水道水より美味しいですから</p><p>よく水道の水なんて飲めるよね日本は水が良いけれど、東京の水だけは例外だからね</p><p>他は違うんですか</p><p>外国じゃ、水道の水なんて飲んだら病気になる国も多いよシャワー浴びる時ですら、しっかり眼を瞑っていないと、眼にバイ菌の入る国もあるしね</p><p>日本は東京から離れたら、水道水だって美味しい所も多いよとにかく、東京の水道水は酷い</p><p>オレは他の場所の水の味は知らないな</p><p>さて、そのボトル、先に買って車の中で待っていよう</p><p>え、寧さんを待っていてあげた方がいいんじゃないんですか</p><p>男の子はね女の子の薬局での買い物は、見ないであげた方がいいんだよ</p><p>あ、うん</p><p>薬局って、色々とプライベートに関わる物が売っているもんな</p><p>特に女性にとって</p><p>そうですね判りました</p><p>寧先に外で待っているよ</p><p>マルゴさんが、店の奥の寧さんに声を掛ける</p><p>うんっすぐ行くから、ちょつと待っていてね</p><p>お待たせぇ</p><p>寧さんが小さなビニール袋を下げて、車の中に入って来る</p><p>何を買ったのかは聞かない方がいいな</p><p>カー・コンポも再始動する</p><p>ビョーンという音の後さっきとは違う、日本語の歌が流れる</p><p>何だフォークソングか</p><p>これ、誰の曲</p><p>あたしもよく知らないんだ昔の日本のバンドらしいけれど克子さんが貸してくれたんだよ</p><p>ふーん、面白い歌だね何て言うタイトル</p><p>花・太陽・雨だってさ</p><p>ゆるやかな音楽に包まれてマセラッティは、オレの家へと向かう</p><p>そこの角を曲がって下さい３軒先が、オレの家です</p><p>帰って来た</p><p>しばらくぶりに</p><p>最後に家を出てから、何日経つんだろうか</p><p>あの頃オレはまだ童貞だった</p><p>あれから、まだ１週間も経っていないのに</p><p>何十年も経過したみたいな気がする</p><p>はい、到着</p><p>家の前にマルゴさんは、車を停める</p><p>じゃあ、２人行っておいで</p><p>あたしは、ここで待っているよ</p><p>あたしのロスト・ヴァージン見てくれないの</p><p>寧君は、もうあたしから自立するべきだよ</p><p>寧さんがハッと息を呑む</p><p>アメリカで出会ってからあたしたちは、ずっと寧のことを１人にしないようにしてきたあたしか、恭子さんか、ミナホか、克子さんが常に、寧の近くに居るようにしてきたみんな、ずっと心配だったんだよ寧のことが</p><p>心が不安定な寧さんのために</p><p>常に誰かが、側に居た</p><p>そうやって、いつも寧の近くに誰かがいたわけだけれどその代わり、寧はあたしたちに何一つ秘密を作れなかったよね</p><p>秘密</p><p>マルゴさんが寧さんを見る眼はとても優しい</p><p>君たちには君たち２人だけの秘密が必要なんだと思う</p><p>マルゴさんは、オレのことも見る</p><p>君もそうこれまでずっと、君のセックスは誰かに監視され続けてきたからねそろそろそういう状況から脱するべきだよ</p><p>誰にも見られないで</p><p>オレと寧さんは、二人きりで</p><p>セックスをする</p><p>大人になるということは、秘密を持つことだよさあ</p><p>ニャッとマルゴさんは、微笑む</p><p>２人で、秘密を作っておいで</p><p>これはネット小説なので、興味を持たれた方がすぐに検索できるようなネタを色々とブチ込んでいます</p><p>ケイト・ブッシュはガンダムの登場人物では無く、実在の歌手です</p><p>さなならだけが人生だは、寺山修司の言葉です</p><p>花・太陽・雨は、帰って来たウルトラマンで流れていましたね</p><p>詳しく書きたいのですがもう仕事に行きます</p><p>347．空気の澱んだ部屋</p><p>マルゴさんが、オレにカメラを手渡す</p><p>黒い森では、初めてのセックスの時は記録するのがルールだけれど君と寧は、好きにしてくれていいよ撮っても、撮らなくてもいいし撮った写真は、あたしたちに見せなくていいから</p><p>本当にいいの</p><p>寧さんが、マルゴさんを見る</p><p>言ったろ寧には秘密が必要だって</p><p>この道に停車しておくには、この車は派手過ぎるねあたしは、近くに居るよ確か、そっちの通りにファミレスがあったから全部終わったら、携帯で呼んですぐに迎えに来るあ急がなくてててからねゆっくり３時間ぐらいは、時間を掛けていいよ</p><p>３時間寧さんと二人きり</p><p>さあ行っておいで</p><p>オレと寧さんが、車から降りると</p><p>マルゴさんは、すぐにマセラッティを発進させる</p><p>オレたちに微笑んだまま</p><p>二人だけで取り残される、オレたち</p><p>さあ、行こうかケイ</p><p>二人きりになった途端寧さんは、オレをケイと呼ぶ</p><p>うんお姉ちゃん</p><p>オレも寧さんに合わせて、呼び方を変える</p><p>うわっすっごいねジャングルみたい</p><p>オレの家の庭を見て寧さんが言った</p><p>うちの庭は、バァちゃんが死んでから誰も手入れしていないから</p><p>樹は茂りまくり、草は生えまくりの大変なことになっている</p><p>一応、玄関まで敷石のところは草が生えていないから通り抜けられるが</p><p>まあ、外から見たらグッチャグチャだな</p><p>住人のダメさ加減がよく判る</p><p>うちは親父も母親も、誰も家に呼んだりしませんからここは夜、寝に帰るだけの家だから家の手入れとか、誰もしないんです</p><p>オレも、今年の春まで中学は寮生活だったし</p><p>この家に帰って来てからも、庭をどうにかしようとは思わなかった</p><p>というか勝手に何かしたら、母親に叱責されることになるし</p><p>とにかく中に入ろうよ</p><p>オレは鉄の門を開けて中に入る</p><p>母親の車がいつも停められていた、駐車場は空いている</p><p>まああの人は、もう実家から戻って来ないつもりだろうから</p><p>ジャングル庭を抜けて玄関へ</p><p>あ、この入り口は母親専用なんでオレと親父は、勝手口からでないと入っちゃいけないことになっているから</p><p>よく判らないよオレが子供の頃から、そういうルールだから</p><p>ケイは、玄関から家に入ったこと一度も無いの</p><p>うん記憶には無いなあ</p><p>寧さんを連れて、家の外を廻り込む</p><p>ここはコンクリートが敷き詰められているから、ジャングル化はしていない</p><p>勝手口のドアの前に出る</p><p>オレは勝手口の脇に、無造作に積まれたコンクリート・ブロックを持ち上げる</p><p>確か、上から三つ目のブロックの隙間に</p><p>うんあった</p><p>キャンディの入っていた、小さな金属の箱が出て来る</p><p>錆びの浮いた箱を開けると鈍く光る鍵が出て来る</p><p>勝手口の鍵は、オレが小学生の頃からここに隠してある</p><p>オレはドアに鍵を差し込む</p><p>中へ入る</p><p>空気が澱んでいる</p><p>しばらく、家に帰っていなかったから</p><p>この家は元から、空気が澱んでいる</p><p>この家から離れてみて克子姉によって、ちゃんと生活感が保たれたお屋敷での生活を知って</p><p>吉田家の異常性に、オレは初めて気が付いた</p><p>この家はダメだ腐っている</p><p>娼婦たちの館よりも生命感に欠けている</p><p>家の中が、オレが最後に出掛けた時のままなら</p><p>どうしたの中、入らないの</p><p>不思議そうに、寧さんがオレを見る</p><p>あのちょっと待ってて貰える</p><p>いやちょっと、中を掃除してくるから</p><p>やだっ</p><p>お掃除なら、お姉ちゃんと一緒にしよう</p><p>でも何て言うか</p><p>恥ずかしいの</p><p>恥ずかしいというかオレのこと、嫌いになっちゃうと思う</p><p>うん多分</p><p>ならないよ嫌いになんて</p><p>でも、本当に汚いままですから</p><p>寧さんは、笑って</p><p>平気だよ</p><p>そして、言った</p><p>あたしケイのことは、何でも知りたいから</p><p>勝手口から家の中へ</p><p>うん、埃っぽいな</p><p>こんなだったんだオレの家</p><p>オレは急いで、台所のゴミをチェックする</p><p>ゴミ入れにはパンの袋とかしか入っていないし、カップ麺の容器も水で洗ってあるから</p><p>悪臭は発生していない</p><p>まあ生ゴミの元になるような、肉や野菜は買わないからなあ</p><p>オレ一人だけの生活だったし</p><p>冷蔵庫、使用禁止だし</p><p>ここが台所で隣が、居間です居間って言ってもオレの寝起きしていたソファがあるだけで、他は何も無いんだけれど</p><p>家族は来なかったの居間には</p><p>うん親父も母親も自宅には居る時は、自分の部屋に入ったきりだったしそれでも親父は、コーヒーとかを煎れにたまに台所に来たりはしたけれど２階の母親の部屋には、全部揃っているらしいから</p><p>揃っている</p><p>キッチンも、風呂場もトイレも母親専用のがあるらしいんです中へ入ったことがないから、よく知らないんですけれど</p><p>とにかく、同じ家の中に居ても、姿を見掛けないから</p><p>母親の部屋には、何でもあると思うべきなんだろう</p><p>親父の方は風呂やトイレに１階に降りて来るものなあ</p><p>オレ１階のことしか知らないから２階へは、上がっちゃいけないって言われてきたし</p><p>ね、見に行ってみない２階</p><p>無理ですよ鍵掛かってますから</p><p>鍵</p><p>はい、母親はとても疑り深い性格なんでとにかく、この家は家中鍵だらけだから</p><p>オレは、台所の食器棚を示す</p><p>この食器棚にあるお皿やカップは全部、母親専用なんだオレや親父は、使うことは許されてないんだよ</p><p>食器棚には全て、大きな南京錠で扉が開かないように施錠されている</p><p>この台所と隣の居間と１階のトイレと風呂場くらいかな母親が鍵を掛けていないのは後の部屋は、全部母親の持ち物で埋まっているから全部の部屋に鍵が掛かっているよ玄関の下駄箱とかもねあそこには、母親の靴しかないから</p><p>あなたやお父様の靴は</p><p>寧さんが、呆れ顔で尋ねた</p><p>オレの靴は、そこの勝手口に脱ぐことになっているまあ、通学用の靴だけだから親父は、毎回、コンビニのビニール袋に靴を入れて自分の部屋まで持って行ってた</p><p>玄関そのものが母親専用なんだからそうするしか無い</p><p>オレが居ていいのは、鍵の掛かっていない部屋だけなんだよつまり、台所と居間だけ玄関に出る廊下も、基本的にはダメなんだよね</p><p>子供の頃から、ずーっとそうなの</p><p>いや小学校の頃には、オレの部屋もバァちゃんの部屋が１階にあったんだけれど中学の寮生活から戻って来たら、なくなっていた</p><p>なくなっていた</p><p>うん鍵が掛けられていて母親の新しい荷物置き場になっちゃったらしい</p><p>詳しくは知らない</p><p>親父も母親も何もオレには言わないし</p><p>でも鍵が掛かっているということは、立ち入り禁止ってことなわけだし</p><p>いいも悪いもここはオレの生まれ育った家だけれどオレの持ち物ではないから仕方無いよ</p><p>オレは部屋の澱んだ空気が、息苦しくなる</p><p>窓を開けて、換気した</p><p>うわこの窓、とんでもなく汚れているな</p><p>最後に大掃除したのは、バァちゃんが生きてた頃だものな</p><p>家じゃないわねここは</p><p>こんなの家じゃないわよ</p><p>ケイは、そう思わない</p><p>うんと</p><p>オレここしか知らないから</p><p>他の家のことはよく判らない</p><p>黒森のお屋敷は、普通の家とは違うだろうし</p><p>そうだったねごめん</p><p>寧さんが、背中からオレを抱き締める</p><p>あたし全然判ってなかった</p><p>あたしはヴァイオラにケイちゃんと拉致される前は、幸せだったものパパもママも優しくて良い人だったあたしの家は家だったあたしには、ちゃんとそういう幸せな記憶があるのに自分は可哀想な人間だって、思い込んでた周りの人たちに甘えていたんだねあたし</p><p>お姉ちゃんはいっぱい悲しい思いをしたんだから、甘えていいんだよ</p><p>じゃあ、ケイはあたしに甘えて</p><p>寧さんの豊かな胸が、オレの背中にギュッと押しつけられる</p><p>ケイだって悲しい思いをたくさんしてきたのに自分が可哀想だってことすら、気付かせて貰えなかったんだから</p><p>オレは、別に可哀想なんかじゃないですよ</p><p>オレにはこうやって、寝起きする場所があったしご飯だって、何とか食べられたし</p><p>でもケイは、ずっと一人ぼっちだったんじゃないお父さんやお母さんに、無視されていて</p><p>ずっとじゃないですバァちゃんが居た頃もあるし</p><p>オレは、寧さんに振り向く</p><p>今は、お姉ちゃんやみんなも居てくれるから</p><p>寧さんは、オレを力強く抱いてくれた</p><p>それから居間の方へ行く</p><p>台所から廊下を出て、最初の部屋だ</p><p>廊下もこうやって見ると、埃が凄いな</p><p>親父が失踪していなくなる前は親父自身で掃除機を掛けていたんだろうか</p><p>母親がやるわけないからそうなんだろうな</p><p>ホントに他の部屋には、鍵が掛かっているんだね</p><p>寧さんが、廊下の他の部屋のドアを見てそう言う</p><p>各部屋のドア後付けで取り付けられた鍵に、でっかい南京錠で封印されている</p><p>ドアの入り口には、冬物とコート類とかバッグ類とか張り紙が貼ってある</p><p>この部屋がそれぞれ母親の荷物で埋まっているんですあの人、買い物キチガイで絶対に自分の物は捨てないですから、溜まる一方で</p><p>あの部屋は何</p><p>寧さんが指差した部屋のドアには</p><p>いらないものと書かれていた</p><p>だから捨てないんですよ買った物は、全部</p><p>あの人はそういう女だ</p><p>居間に入る</p><p>う</p><p>据えた匂いがする</p><p>やっぱりダメちょっと待って</p><p>止めて遅い</p><p>寧さんが、入って来てしまう</p><p>うわっ何の匂い、これ</p><p>あのこの家から出掛けた前の晩に、オレ、一人エッチしてそのままだったんで</p><p>居間の床に、使用済みのティッシュが落ちている</p><p>えっ、一晩だけでこんなにティッシュを使うの</p><p>オレの寝床のソファの周りは</p><p>使い終わった後のティッシュが、散乱していた</p><p>いえ親父がいなくなっちゃって家の中に一人きりになっちろゃってから、オレ、ちょっと自暴自棄で一人エッチばかりしていたから</p><p>全然掃除していなかったんだ</p><p>はい済みません</p><p>オレは、慌ててゴミ袋を引っ掴んで落ちているティッシュを拾って捨てる</p><p>あたしも手伝うよ</p><p>寧さんはそう言って床に手を伸ばす</p><p>いいですよ汚いですから</p><p>いいから、いいから</p><p>寧さんは、そう言ってオレの精液の臭う紙くずを、拾って捨ててくれた</p><p>掃除機も掛けようこの部屋も、埃っぽいから</p><p>寧さんは、窓を開けて部屋の据えた匂いを外に出す</p><p>オレは、掃除機を抱えてきてガーガーと床とソファの周りを掃除した</p><p>いや、あのオレ、本当に一人エッチばかりしていたんです入学式からずっと</p><p>親父が失踪したのが、入学式の当日だ</p><p>それから約一ヶ月</p><p>オレはこの部屋の中でオナニーばかりしていた</p><p>うん、このティッシュの量は、ちょっとやりすぎだね</p><p>ゴミ袋を見て、寧さんがそう言う</p><p>もうしちゃダメだよこういうのはさ</p><p>ケイのセックスの相手はあたしたちが、するんだから</p><p>ケイこの部屋で、自分がセックスすることって、想像したことある</p><p>無いよこの家には誰も呼んではいけないって、ずっと言われて来たから</p><p>小学校の頃でも</p><p>オレが暮らすの友達の家に遊びに行くことはあっても</p><p>家に誰かを呼んだことはない</p><p>それなのにケイここで、あたしのヴァージンを破るんだ</p><p>寧さんが、掃除したソファに腰掛ける</p><p>ボロボロのソファの表面を、撫でるように触る</p><p>ここがケイのベッドだったんだね</p><p>ちょっと狭くないこれじゃあ、身体を伸ばして寝られないでしょう</p><p>だから、丸まって寝るんだよ猫みたいに</p><p>寧さんの魅力的な肉体がオレがいつも寝起きしているソファに横たわる</p><p>そして、寧さんはソファの横の段ボール箱に気が付いた</p><p>この箱は</p><p>あ、それはオレの私物入れオレの持ち物が全部入っているんだ</p><p>寧さんは箱の上に乗せられていた写真に気付く</p><p>それは入学記念のクラスの集合写真</p><p>ふふーん、この位置にこの写真があったってことは</p><p>寧さんが写真をジッと見る</p><p>もしかしてケイこの写真に映っている雪乃さんを見て、一人エッチしていたの</p><p>ドキリとする</p><p>そ、そうだよ</p><p>それがオレのオナニーのネタだった</p><p>この部屋で最後に過ごした夜もオレは、雪乃でオナニーした</p><p>それは、雪乃を実際にレイプする前の晩だった</p><p>こんな小さく映っている雪乃さんでも興奮したの</p><p>したよあの時は</p><p>オレはまだ、童貞だったし</p><p>寧さんが、意地悪そうな眼でオレを見る</p><p>見せて</p><p>ケイが自分でするところ見てみたいの</p><p>あたしを見ながらしてみて</p><p>そして、寧さんは</p><p>ソファの上で、大きく開脚する</p><p>寧さんの白い下着が見える</p><p>ケイの頭の中から雪乃さんの記憶、全部フッ飛ばしてあげるんだから</p><p>寧さん、もしかして</p><p>オレが、雪乃をネタにオナニーしていたことに</p><p>嫉妬している</p><p>ケイの恥ずかしいところは、全部あたしに見せてっ</p><p>いい全部だからねっ</p><p>昨日書いた、後書きに間違いがありました</p><p>さなならだけが人生だは、井伏鱒二先生の文だそうです</p><p>寺山修司の言葉は、それを受けたさよならだけが人生ならばで歌にもなっているらしいです</p><p>寺山修司のこと</p><p>演劇の裏方の仕事をしている頃生前の寺山を知っている先生に何人も会いました</p><p>驚いたのはどの人も、寺山修司のことを悪く言わないんです</p><p>一人だけでも、寺山さんは本質的には田舎者だったと思うと言った演出家の先生もいらっしゃいましたがそれでも懐かしそうに、寺山との思い出を話されるのです</p><p>そのうちの一人の先生の言葉</p><p>寺山さんは凄いんだよ若い子たちに会って、その子の才能を見抜くんだよ君は編集者に向いていると言われた子は本当に編集者になったし君は写真家になるべきだと言われた子もプロの写真家になったんだ</p><p>当時は、へぇと思って聞いていましたが</p><p>後に、寺山氏に見出された人たちの文章を読んでみると</p><p>寺山氏が、才能があると感じた子には、次々と仕事を依頼したり自分の人脈を紹介しているんですね</p><p>写真家志望の子に、自分の本の写真を頼んだり</p><p>ただ予言するだけじゃなくて本当に、面倒見の良い人だったから、見出された人がプロになっていたわけです</p><p>そういう人だったからこそ生前の寺山氏を知っている人からは、悪口が出て来ないのだと思います</p><p>さて今度は母が入院しました</p><p>元から、ぜんそく持ちなので</p><p>いやはや今年は大変です</p><p>では仕事に行きます</p><p>348．ブルー＆ブロンド</p><p>あ、待ってその前に、今、お掃除したから手を洗いに行こうっ</p><p>寧さんは、元気に立ち上がる</p><p>ほらっ早くおいでっ</p><p>二人で洗面所に向かう</p><p>あ、ここの鏡も全然磨いていないでしょ曇っているよ</p><p>ええっと家の鏡なんて、顔が映ればいいと思っていた</p><p>確かに、鏡の端の方は長年の汚れで曇っている</p><p>ケイ雑巾とかある</p><p>えっとこれとか</p><p>オレは、洗面所の脇にあった雑巾を取るが</p><p>そんなの汚すぎてもう雑巾じゃないよっ捨てなさいっての</p><p>確かにもう真っ黒だし、ずっと干したまんまでパリッパリッに固まっているし、埃が積もっている</p><p>じゃあ、取って来ますオレが使っていいタオルって、決まっているんで</p><p>そういうのは、もういいからっ一番手近にあるタオルは</p><p>オレは洗面所内を見渡す</p><p>あ親父のタオルだよな、あれ</p><p>あるじゃない</p><p>寧さんは、そのタオルを取り上げた</p><p>いや、それはあの親父のだから</p><p>失踪した人のタオルのことなんて、心配しなくて良いのっ</p><p>寧さんは、そのタオルを蛇口の水で濡らし</p><p>絞って、鏡を拭く</p><p>どうせ、鏡とかガラスとかを磨く用のスプレーなんて無いよね</p><p>あ、ここに何かありますけれど</p><p>洗面台の下に、幾つか洗剤類が並んでいる</p><p>ガラス磨きもあった様な</p><p>全部埃被っているじゃないいつからそこにあるの</p><p>オレが小学校低学年の頃には、もうここに並んで居たような記憶が</p><p>うちでガラス掃除用のスプレーを買って来てくれる人なんて</p><p>バァちゃんしか考えられないもんな</p><p>この家の生活感は、バァちゃんの死とともに停まっている</p><p>そうだと思った</p><p>もう、いいよ力入れて、ゴシゴシ拭くから</p><p>あ、オレも手伝います</p><p>鏡を濡れタオルで拭く寧さんの手にオレは、自分の手を重ねる</p><p>うんケイ、力を込めてねいっくよおっ</p><p>ゴシゴシ</p><p>キュキュキュ</p><p>タオルの面を変えて、何度も拭いていく</p><p>年々も掛けて張り付いた汚れが消えて行く</p><p>ほらっ、鏡は綺麗な方が気持ちいいでしょ</p><p>うんピカピカの鏡の中に寧さんの明るい顔が映っている</p><p>さあ、手を洗おうっ</p><p>ね、このボロボロの何年前のセッケン</p><p>洗面所のセッケンはちびたのが幾つも合体して、へなっと萎びていた</p><p>あ済みません普段は、洗面所で手を洗う習慣とか無いから</p><p>オレは洗面所から風呂場に入って、セッケンを取ってくる</p><p>こっちのセッケンは大丈夫</p><p>ダメだよ、ケイ外から帰ってきたら、必ずセッケンで手を洗いなさいお姉ちゃんと、約束だからねっ</p><p>どうしたの、ケイ</p><p>いや昔、バァちゃんにも、ここで同じことを言われたなって思って</p><p>オレにとっての家族はバァちゃんだけだったんだな</p><p>親父も母親も血は繋がっていても、家族じゃなかったんだ</p><p>当たり前よ家族なら、そう言ってくれるものよあたしも死んだママに、よく言われたわ子供の頃に</p><p>寧さんは、ニコッと笑ってそう言った</p><p>さあ、手を出しなさいお姉ちゃんが洗ってあげるからちゃんと清潔にしていないと、女の子にもてないわよっ</p><p>寧さんが洗ってくれる</p><p>寧さんは、まず自分の濡らした手の中でセッケンを滑らせてシャボンを作る</p><p>それからオレの手を取って</p><p>長くて白い指がオレの手を洗っていく</p><p>ゾクゾクする</p><p>はい、指と指の間も綺麗にしましょうね</p><p>寧さんの指がオレの指の谷間を擦っていく</p><p>女の人に手を洗って貰うことって、こんなにエッチなことだったんだ</p><p>オレのすぐ横にいる寧さん</p><p>その美しい横顔</p><p>首筋に汗の玉が浮いている</p><p>大きな胸もこの角度からだと、形がはっきり判る</p><p>はーい、流しまーすっ</p><p>寧さんが泡だらけの手で、蛇口を捻り</p><p>流れ出した水にオレの手を浸す</p><p>水の冷たさにヒヤッとする</p><p>寧さんの手がオレの手の泡を丁寧に洗い落としていく</p><p>うん綺麗綺麗になったっ</p><p>お、お姉ちゃん</p><p>オレは、思わず寧さんを抱き締めてしまう</p><p>どうしたの興奮しちゃった</p><p>うふふ見て鏡の中で、ケイがあたしを抱き締めている</p><p>オレは鏡を見る</p><p>鏡の中の寧さんとオレ</p><p>あたし、ケイにキスしちゃおっ</p><p>寧さんが鏡を見たままオレの唇に自分の唇を重ねる</p><p>ぷっくりとした柔らかい唇</p><p>寧さんにキスされているオレをオレと寧さんが、見ている</p><p>ケイはあたしに全然似ていないねっ</p><p>そこがいいんだけれどねっ</p><p>どういう意味だ</p><p>あたしはケイちゃんのことが、怖かったんだと思う</p><p>あたしとケイちゃんは双子で同じ顔をしていたから</p><p>鏡の中の寧さんが、オレを抱き締めたまま言った</p><p>なのに、ケイちゃんは男の子でしかも、心が綺麗すぎたケイちゃんは、とっても敬虔なクリスチャンだったし優しい子だったから</p><p>そういう人がシザーリオ・ヴァイオラに陵辱され続けた</p><p>でも、あたしはあたしは、本当は悪い子なんだよねっ悪いことがしたくて、仕方がないの</p><p>そうだよあたしの本質は黒い森に来てから、先生や恭子さんが暴き出してくれたんだと思うあたしは、本質的にはとっても悪い子でしかも、悪いことをしてもいい悪いことをするのは、楽しいことなんだって</p><p>金髪で青いコンタクトの不良少女</p><p>マルゴさんと二人で、夜な夜な不良やチンピラを狩り続けた</p><p>ケイちゃんと一緒の頃はあたしも、ケイちゃんみたいにならないといけないって思っていたからケイちゃんの清らかさが、眼に眩しくてケイちゃんに、嫌われたくなくて</p><p>鏡越しに寧さんは、話し続ける</p><p>でも、あたしはケイちゃんじゃないんだね</p><p>ギュッと力を込めてオレを抱き締める</p><p>ケイちゃんみたいにならなくていいんだあたしは</p><p>お姉ちゃんはお姉ちゃんの好きに生きればいいんだよ</p><p>いいのあたし、本当に悪い子でいいのかな</p><p>今更だよオレたち犯罪組織の人間じゃないか</p><p>オレにはもう、覚悟はできている</p><p>この人と、生きていくことに</p><p>あたし、悪い子で悪い子で、本当に悪い子だからケイにきっと、たくさん迷惑掛けると思うよ</p><p>全然オッケーだよ大好きなお姉ちゃんと、ずっと一緒にいられるのなら</p><p>寧さんは、もう一度オレにキスをする</p><p>これからは、ずっと笑って過ごそうね楽しいことをいっぱいしよう</p><p>当たり前じゃんか</p><p>あはどうしたんだろ、あたし</p><p>いいんだよね、あたしケイにはあたしを何もかもさらけ出していいんだよねっ</p><p>何でも、ドンときやがれだよっ</p><p>ね、あたしコンタクト外すね</p><p>そう言って寧さんは眼から、ブルーのカラー・コンタクトを外し</p><p>洗面台の脇に乗せる</p><p>うふふケイって、こういう顔をしているんだね</p><p>冗談だってば度の入っていないレンズだもん、見え方は変わらないよただ、今までは世界がずっと青味がかって見えていたから</p><p>寧さんは、大きな眼でオレを見る</p><p>寧さんの本当の眼の色はダーク・ブラウン</p><p>うん眼の色が違うだけで、雰囲気が変わるね</p><p>金髪ブルー・アイだったころの華やかさからしっとりとした、大人の雰囲気に変わる</p><p>いや本当の寧さん、寧子さんは元々温和な人だったっけ</p><p>これがあたしだよっもっともっと、見て</p><p>そう言って、寧さんは</p><p>ブラウスの前のボタンを開けていく</p><p>黒いブラジャー</p><p>そのフロントホックを開ける</p><p>大きなおっぱいが、弾ける</p><p>ピンク色の乳首が揺れる</p><p>ケイ舐めて</p><p>オレは寧さんの乳首にむしゃぶりつく</p><p>舌で廻す様にねぶり転がす</p><p>あんっケイが、あたしのおっぱいペロペロしてるぅぅ</p><p>鏡の中に映る自分の姿を見て寧さんが呟く</p><p>あたし、あたしね</p><p>エッチなことケイとしたいのいっぱい</p><p>オレは手で大きな乳房を揉み上げながら、左右の乳首を吸う</p><p>エッチなことってさとっても、いけないことでしょ</p><p>寧さんの声が、耳元に響く</p><p>セックスをしたらとっても、悪い子になれるような気がするの</p><p>あたしをいけない子にしてねえ、ケイ</p><p>うんオレと二人で、悪いことをしようよ</p><p>背徳感と罪悪感を感じながら二人で愛し合いたい</p><p>あんっ本当に、ケイがケイちゃんに似ていなくて良かったケイはケイだあたしの</p><p>悪いこと仲間</p><p>パートナーだよ、一生の世界で一番大切な人愛してる愛しているよ、ケイ</p><p>弟が好きなんてヘンタイなお姉ちゃんでゴメンね</p><p>オレもヘンタイだよお姉ちゃんが大好きなんだもの</p><p>鏡の前でオレたちは、お互いの身体をまさぐり合う</p><p>オチンチン出して</p><p>さっき約束したでしょあたし、ケイが自分で触っているところ、見たい</p><p>ズボンのベルトを緩めペニスを露出させる</p><p>わもう大きくなっている</p><p>お姉ちゃんが、エッチなことばかり言うからだよ</p><p>さあ自分でしてみて</p><p>オレは自分で勃起をしごく</p><p>いつも、そうやっているの</p><p>鏡の中オナニーしているオレ</p><p>それを熱い眼で見ている寧さん</p><p>そうだよいつもこうやっている</p><p>雪乃さんのことを考えて</p><p>今は、お姉ちゃんのことしか考えられないよお姉ちゃん、オレの眼の前にいるんだもの</p><p>そうよ、ここにはあたししかいないのよ</p><p>寧さんが、オレの背後に廻り込み後ろからオレを抱く</p><p>オレの耳を、チロチロと舐めた</p><p>どうお姉ちゃんの前でオナニーして恥ずかしい</p><p>恥ずかしいよ</p><p>ケイのこんな姿お姉ちゃんにしか見せちゃダメだからね</p><p>みすずさんにも、恵美ちゃんにもマナちゃんや、美智さん、克子さんや渚さんにだって見せちゃダメよお姉ちゃんだけ</p><p>うんお姉ちゃんの前でしかオナニーは見せない</p><p>いい子ねケイ</p><p>寧さんの手がオレのペニスに近付く</p><p>お姉ちゃんが触ってあげる</p><p>白い指が亀頭に触れる</p><p>こうでいいのかな＿</p><p>オレのオナニーを手本にして寧さんの指が動いていく</p><p>ケイ気持ちいい</p><p>気持ちいいよ、お姉ちゃん</p><p>見てみて鏡の中のケイ、気持ち良さそうだよっ</p><p>鏡の中のオレ</p><p>寧さんにしごかれて感じている</p><p>オレの後ろの寧さんも、おっぱい丸出しで興奮して、真っ赤な顔をしている</p><p>自分でするのと、あたしが触るのどっちが気持ちいい</p><p>お姉ちゃんの手の方が気持ちいいよ</p><p>そうなら、いつでもしてあげるからねして欲しくなったら、言うんだよ</p><p>あたしも言うから</p><p>ケイお姉ちゃんのアソコ、触って</p><p>オレは、寧さんの股間に指を這わす</p><p>服の上からグリグリと秘部を触る</p><p>ああんっ本当だ自分で触るよりも、気持ちいい</p><p>お互いの一番感度の高い部分をオレたちは、まさぐり合い続ける</p><p>寧さんの股間は温かい液が染み出している</p><p>ね、ケイ</p><p>なあに、お姉ちゃん</p><p>あっちの部屋に戻ろうケイのソファへ</p><p>オレのソファ</p><p>ケイのソファの上でもっともっと悪いことをしようケイと、いけないことがしたいの</p><p>オレだって</p><p>勃起は、もうビンビンになっている</p><p>二人で半裸のまま、居間に戻る</p><p>身体を寄り添って抱き合って、何度もキスしながら</p><p>ケイ、脱がせてあたしも、ケイのことを脱がせてあげるから</p><p>オレたちは、小鳥のようにキスを重ねながら</p><p>立ったままお互いの服を剥ぎ取っていく</p><p>生身の肌が外気に触れる</p><p>お姉ちゃんパンツ脱がすよ</p><p>ちょっと、恥ずかしいね</p><p>それがいいんでしょ</p><p>あんすっごい、悪いことしている気がする</p><p>オレは、寧さんの黒いパンティに手を掛けゆっくりと引き下ろす</p><p>お尻の山を越え白いふとももから、ふくらはぎ、細い足首へ</p><p>片足ずつ、パンティを抜く</p><p>寧さんの秘部は、とろとろと熱い液を滴らせている</p><p>ふとももまで濡れていた</p><p>ケイも脱がせてあげる</p><p>寧さんが半脱ぎ状態だったオレのパンツを足から抜く</p><p>ビンビンの勃起が、寧さんの前にある</p><p>可愛いねチュッ</p><p>寧さんが、ペニスの先にキスをした</p><p>可愛くないてすよ、こんなの</p><p>オレの勃起は、激しく怒張しているのだから</p><p>可愛いよ、ケイのだもの</p><p>お姉ちゃんのだよ</p><p>ううんこれはみんなの物独り占めはしないよあたしはみんなのお姉ちゃんだし、妹だから</p><p>寧さんは家族の中の自分をそう位置づける</p><p>でも今だけは、あたしが気持ち良くしてあげるのっ</p><p>そう言って、オレの前に膝立ちになったままペニスをしごき、亀頭を舐める</p><p>温かい舌が、亀頭の周りをぐるっと舐め上げた</p><p>あっ、それ気持ちいいよ</p><p>そうじゃあ、もっとやってあげるっ</p><p>寧さんは、オレを見上げて微笑んでくれた</p><p>また赤い舌の感触が亀頭を擦る</p><p>ねえ、ケイ写真撮ろうか</p><p>無理に撮らなくてもいいよオレとお姉ちゃんのエッチはオレたちだけが覚えていればいいんだから</p><p>無理じゃないよあたし、欲しいの今の姿を撮ってきたいケイにしか見せないからね</p><p>お姉ちゃんが、そう言うのなら</p><p>オレは、マルゴさんに手渡されたカメラを取り出す</p><p>寧さんは、オレからカメラを奪い</p><p>はい、ケイこっち向いて</p><p>オレを撮るの</p><p>あたし今のケイの姿を記録しておきたいの丸裸のケイをこれから、お姉ちゃんを大人の女にしてくれるケイの姿をね</p><p>そう言って寧さんはオレの写真を何枚も撮った</p><p>勃起している姿を写真に撮られるのは何だか気恥ずかしい</p><p>ケイはどうする今のあたしの裸、撮っておきたい</p><p>そう言われたら</p><p>撮っておきたいよ</p><p>寧さんが、オレにカメラを手渡す</p><p>オレは興奮して、すっかり肌の上気した寧さんの裸身を、カメラに収める</p><p>寧さんは、色々とポーズを撮ってくれた</p><p>はい、交代また、あたしがケイを撮るから</p><p>今度は、寧さんが色々とポーズに注文を付ける</p><p>自分で自分のペニスをしごいている姿も写真に撮られた</p><p>オレのペニスのアップから肛門まで</p><p>ほら、ケイも撮っていいよ</p><p>寧さんは、ソファに腰を下ろして開脚する</p><p>これからケイがメチャクチャにするところ見ておいて</p><p>オレはぴっちりと閉じた処女の秘裂を指で開く</p><p>愛液が湧き出ている泉</p><p>てらてらと輝く寧さんの内側</p><p>その奥にピンク色の処女膜が見える</p><p>お姉ちゃん、このまま拡げていて</p><p>寧さんが両手の指で、割れ目を開いている</p><p>オレは、その前人未踏の秘裂を写真に撮った</p><p>アップも</p><p>寧さんの巨乳や、顔もはっきり判る全身像も</p><p>何枚も、何枚も</p><p>オレの性欲が、オレの中でたぎっている</p><p>お姉ちゃん、オレ、もう</p><p>ケイ、我慢できないの</p><p>あたしこのままでいいの</p><p>さっき、ドラッグストアであたし、髪染めを買ってきたんだよ</p><p>髪染め</p><p>ほらケイに処女を捧げる時は、黒髪に戻すって約束していたでしょ前に</p><p>黒髪のお姉ちゃんとセックスしたいそれとも、このまま金髪のお姉ちゃんを犯す</p><p>お姉ちゃんは、ケイの好きな方でいいよあたしの処女は、ケイにあげるんだからううんお姉ちゃん、一生、ケイとしかセックスしないんだから</p><p>土日分は、ずっとエッチシーンになる予定です</p><p>さて、昨日、母が緊急入院しました</p><p>前から、ぜんそく持ちだったのですが</p><p>ここ数日で体調を崩したらしいです</p><p>病院で点滴を受けたら、楽になったらしいですが</p><p>父が一人で見舞いに行くというのですが</p><p>まず駅へ向かうという段階で、話が噛み合いません</p><p>えあそこの駅にそんな出口はないだろ</p><p>父よそれは昭和の頃の話だ</p><p>駅ビルが建ったのは、２０年も前だぞ</p><p>ということで一緒に付いて行きました</p><p>昨日、銀行で金を下ろして、封筒に入れておいたんだがな帰宅したら、見つからないんだ</p><p>それ、まずいじゃないか</p><p>うん風呂に入る時にみつかった</p><p>どこにあったんだよ</p><p>ももひきと、パンツの間から出て来たズボンの尻ポケットにしまったつもりで、ズボンの中に突っ込んでしまっていたんだな</p><p>絶句</p><p>最近、よく物がなくなって困るさつきも、顔の半分だけヒゲ剃りをしたら、ヒゲ剃り機が行方不明になった</p><p>それでどうしたの</p><p>うん、もう半分は見つけてからやることになった</p><p>なったってまだ未定かよ</p><p>ということで、顔の半分だけ沿った状態で、母の病院へ</p><p>何だかなあ</p><p>母の方は、来週には退院できるし、心配はいらないらしいですが</p><p>父のボケッぷりは、日ごとに酷くなります</p><p>349．マイ・ラブ</p><p>ソファ上の寧さんが、真剣な眼でオレを見ている</p><p>金髪のままのあたしと、黒髪のあたしどっちがいい</p><p>お姉ちゃんの中では金髪と黒髪で、違いがあるの</p><p>寧さんは、うつむいて答える</p><p>金髪なのは寧で黒髪は寧子だよ</p><p>そうだよあたし</p><p>濡れた瞳が、オレを見つめる</p><p>あたしずっと、みんなを騙していた誤魔化していたんだ、あたし</p><p>ケイは、もう知っているでしょ奈島寧《ナトウ・ネイ》って言う女の子は、実際には存在しないの寧は、あたしがううん、恭子さんが作ってくれた人格であたしの恭子さんみたいな強い人になれたらいいなっていう憧れだけで演じていた人格で</p><p>演じていた</p><p>そうだよ演じていたお芝居だよ嘘なの全部、嘘この金髪もブルーのコンタクトも、演技に没入するためのメイクなんだよ本当のあたしとは、違うの</p><p>じゃあ、本当のお姉ちゃんはどんな人</p><p>本当のあたしは昔の寧子は、大人しくて暗くて、あんまり喋らない子でいつも、部屋の中で本を読んでいる子だったお友達も、ほとんどいなくて何かあると、ケイちゃんに守ってもらってばかりで</p><p>オレは寧さんに、微笑む</p><p>それは昔のお姉ちゃんでしょ今のお姉ちゃんとは違うよ</p><p>今のお姉ちゃんは、どんな人なの</p><p>寧さんは、深く考え込む</p><p>判らないそれが判らないのあたしはもう、奈島寧《ナトウ・ネイ》の演技を続けてはいけないそれは判っているのでも、昔の奈島寧子《ナジマ・ヤスコ》に戻れるわけでもない今、昔の自分に戻ろうとすると昔の自分を演じるだけになるから昔のあたしだったら、こうしたはずだって</p><p>寧さんは、正直な心を吐露する</p><p>だから、ケイに決めて欲しいのあたし、ケイが好きなあたしになる何でも、ケイが悦ぶことをしてあげるケイの望むお姉ちゃんになるから</p><p>この人は、この人で必死なんだ</p><p>オレと、同じ様に</p><p>オレはお姉ちゃんとケイのロールプレイを一度ストップする</p><p>ソファの寧さんの隣に、座る</p><p>寧さんと裸の身体を寄せ合って</p><p>オレねこの何日かの体験で、学んだことがあるんです</p><p>オレは、横から寧さんを見つめる</p><p>寧さんも一度、ただの寧に戻る</p><p>寧さんの中でこんがらがった糸を解きほぐすためには</p><p>オレたちが出会った原点寧さんとヨッちゃんに戻るしかない</p><p>人はねずっと、同じままじゃいられないんです</p><p>変わっていくんです良くも悪くも生き続けている限り、人は変わっていくんですずっと、同じ場所で同じ人間のままではいられないんです</p><p>オレはたくさんの人たちが、変わっていく姿を見た</p><p>ミナホ姉さんが克子姉が渚が</p><p>メグがマナが</p><p>みすずが美智が</p><p>麗華や、関さんジッちゃんまでも</p><p>そして、何よりオレ自身が</p><p>生きている限り変わっていくことは止められないんです多分</p><p>オレには、実感がある</p><p>だから、寧さんオレにとっては、いつもオレの眼に前にいるのが、寧さんです前の寧さんに戻って欲しいとは思わないしオレの望み見通りの寧さんになって欲しいとも思いません寧さんは、いつだって寧さんですから</p><p>そうです寧さんは、いつもオレをドキドキさせてくれますいつだって、今現在のこの瞬間のあなたが最高に素敵なんです</p><p>でも今のあたしは、自分で自分がよく判らないんだよ</p><p>シザーリオ・ヴァイオラというトラウマが排除された今</p><p>寧さんは、自分自身を見失っている</p><p>なら、混乱している寧さんが今の寧さんですそんな寧さんも素敵ですすっげぇ、可愛いと思います</p><p>どうならなきゃいけないとかどうしなくちゃいけないとかそんなことは、考えなくてもいいんですどうせまた、変わってしまうんですから生きていれば、変わっていくしかないんですからだから寧さん</p><p>今のこの瞬間の寧さんの心を教えて下さい</p><p>あたしの心</p><p>寧さんはオレとどうなりたいですか寧さんの本当の希望を教えて下さい</p><p>言葉を繰り出して途中で止める</p><p>何でも言って下さいここには、オレたちしかいないんですよ何を言っても全部、オレたちだけの秘密です</p><p>寧さんは秘密を作るべきだとマルゴさんは言った</p><p>その意味がよく判る</p><p>寧さんは何々しなければいけないという思考で、自分を縛りすぎです</p><p>根っからいい子過ぎる人なんですよねだからケイさんの悲劇だって、全部何から何まで自分のせいだと思い込んでいた</p><p>だって、あたしケイに何もしてあげられなかったから</p><p>そうじゃないそうじゃない</p><p>今のオレには一つ一つが見えてくる</p><p>ヴァイオラに捕まったことは、寧さんのせいじゃない相手は、犯罪組織の人間でどうしょもなかったことですそして、ケイさんはケイさんだって、寧さんがいたから頑張れたんです一人だけだったら、途中で挫けて死んでしまっていたかもしれない</p><p>でもケイちゃんは</p><p>ケイさんが亡くなったのだって寧さんのせいじゃないでしょう</p><p>ダメです何でも自分のせいにしたらそんなんじゃあ、亡くなったケイさんが可哀想です</p><p>ケイさんは寧さんに、笑って生きていて欲しいって思っているはずですから</p><p>寧さんの眼から涙が零れる</p><p>そしてケイさんが亡くなった後、内面に閉じ籠もっていく心を、少しでも開くために恭子さんは、彼女に奈島寧というファンキー過ぎる女の子を演じさせんですね</p><p>そうだよ寧はあたしじゃないんだよあたしは、あんな子じゃないもの</p><p>寧さんは、ボロボロと泣く</p><p>オレは、寧さんの手を取り抱き締める</p><p>眼から零れる涙を吸い取る</p><p>恭子さんは寧さんに少しでも、色んな人と交流を持って欲しくてそれであんなに明るくて、よく騒ぐ女の子を演じさせたんだと思います</p><p>うんあたしも、そう思う</p><p>寧さんは、そう呟く</p><p>でも、もう終わりもうあたし、寧は続けられないもの</p><p>だから前に恭子さんに指示されたように今度は、オレに次に演技すべきキャラクターを決めて欲しいんですね</p><p>オレは、寧さんの背中を擦って緊張を解す</p><p>ヨッちゃんは、ケイちゃんの代わりに、あたしの弟になってくれるって言ったけれどヨッちゃんはケイちゃんとは違うからあたし、どんなお姉ちゃんになったら良いのか判らないし</p><p>本当にこの人は</p><p>根が真面目なんだな</p><p>いや真面目過ぎる</p><p>またしなければいけないっていう発想になっていますよ</p><p>でもあたし、本当に嬉しいんだよヨッちゃんが、本当にあたしの弟になってくれるって約束してくれたことケイちゃんの戸籍を継いでくれるって言ってくれたこともこれで、本当にずっとずっと、ヨッちゃんと離れ離れにならずにいいんだって思ったら嬉しくて、あたし</p><p>寧さんのその言葉に嘘は無い</p><p>寧さん本当のことを言って下さい</p><p>オレ、判りますよ寧さん、何か焦っている言葉と心に、ズレているところがある何です寧さんの今の本当の心を教えて下さい</p><p>口籠もる寧さん</p><p>どんなことを言われても、オレは平気ですオレは寧さんが好きです寧さんのためなら、何でもはますこの気持ちは変わらないですから</p><p>やっぱり、オレじゃあケイさんの代わりは務まりませんか寧さんの弟は、無理ですかこうなったから仕方無い、そうするしかないんだではなくって寧さんの本当の気持ちを教えて下さい</p><p>ああたしはね</p><p>はっきり言って下さいオレ、どんなことだって受けとめますから</p><p>ギュツと寧さんの手を握りしめる</p><p>あたしも、ドキドキしているの</p><p>ずっとドキドキしているのあなたに</p><p>寧さんがオレを</p><p>もう、いつからか判らないけれどあなたと一緒に居ると、ドキドキするの側に居ると胸がキュンとするの昨夜、ずっとホテルの中をあなたと一緒に居てドキドキが止まらなかったあなたと一緒だったから、あたしは何でもできたのヴァイオラの前に立っても心が壊れずにいたわ</p><p>そしてあなたが、ヴァイオラを殺してくれたあたしの家族の仇を取ってくれたあたしは、もうヴァイオラの幻影に苦しめられることは無いあなたと一緒に居る限り</p><p>今度は寧さんがオレの手をギュッと掴む</p><p>オレのことを真剣な眼で見つめている</p><p>あたしはヨッちゃんが好き弟としてでなくあなたを男として見ているの愛している愛している愛しているの大好き</p><p>オレの唇に情熱的なキスを何度も繰り返す</p><p>あなたが好きヨッちゃん</p><p>弟じゃなくていいんですか</p><p>だって好きになっちゃったんだもんっこんなに好きになったのは、生まれて初めてなんだものっ</p><p>寧さんがオレに恋をしている</p><p>今朝もヴァイオラを殺したことを、平然と受けとめてくれたあなたは、格好良かったよすっごい愛おしいって思ったでも、あなたはあたしの弟にケイちゃんの代わりになってくれるって言うから</p><p>その選択は間違っていたのか</p><p>あたし凄く嬉しかったヨッちゃんが、本当にあたしのことを好きでいてくれて、大切にしてくれているって判ったあなたに愛されていることが、本当に幸せに思えたでもあたし、弟じゃ嫌なの</p><p>オレもそうだ</p><p>弟になることケイさんの戸籍を引き継ぐことを、頭では納得していても</p><p>心では踏ん切りが付いていなかった</p><p>口では寧さんをお姉ちゃんと呼んでいながら</p><p>心の中では、寧さんを寧さんと呼んでいた</p><p>オレだって一人の男として、この人を愛している</p><p>じゃあ結婚しようかオレたち</p><p>バカッ</p><p>寧さんは、怒った</p><p>でも、寧さんが、それを望むならオレは</p><p>そんなことできるわけないじゃない</p><p>オレも寧さんが好きだし寧さんも、オレのことを好きでいてくれるなら</p><p>ダメよあなたには、他の子たちもいるんだもの</p><p>寧さんの眼から、また涙が零れる</p><p>あたしは黒い森のお姉さんなのそれは絶対に、やめたくはないのだって、黒い森のみんなは、あたしの大切な家族だから</p><p>寧さんは苦しんでいる</p><p>あたしには、妹たちからあなたを取り上げることなんてできないよそんなことは、絶対にしないわ</p><p>オレも家族を捨てるわけにはいかない</p><p>多分あなたの申し出通りにするのが一番なんだと思うあなたはあたしの弟であたしは、姉としてあなたを愛するずっとずっとそれなら、家族も守れるし、あたしたちも離れずにいられるから</p><p>また、寧さんの思考が</p><p>＊＊しなければいけない方に向かっている</p><p>それじゃあ、ダメだよそれじゃあ寧さんの心にとって、何の救いにもなっていない</p><p>だけど、ヨッちゃん</p><p>オレに一つのアイデアが浮かぶ</p><p>いやそうか</p><p>だからマルゴさんは</p><p>ううん、マルゴさんだけじゃない</p><p>ミナホ姉さんたちも</p><p>オレたちを、黙って送り出してくれたのは</p><p>結婚しよう、寧さんみんなに内緒で</p><p>いや、オレ多分他のみんなとも結婚するもちろん、法律的な結婚じゃないよでも、一人一人と結婚するよ克子姉とも、渚とも、メグやみすずとも美智もだなあいつはオレが横にいないとダメだからマナは、そのうち心変わりして他の男と結婚するかもしれないから、今すぐにはしない</p><p>瑠璃子や麗華たちは今後の流れ次第だ</p><p>望まれたらするし望まれなければしない</p><p>オレは、寧さんとも結婚するただしそのことは、他の人たちには言わない</p><p>オレは覚悟を決める</p><p>他の家族の前ではオレたちは姉弟だオレは、寧さんのことをお姉ちゃんて呼ぶよそれから、ケイさんの戸籍を受け継ぐのは予定通りにするから寧さんは、オレのことはケイでもヨッちゃんでも好きな方で呼んで</p><p>寧さんは、呆然としている</p><p>でも二人きりになった時は、寧さんはオレの女だからああ、寧さんじゃおかしいよな、もうこれからは寧って呼ぶ恋人だし、結婚相手だからもちろん、オレの子供も産んで貰うから</p><p>みんなには、内緒なの</p><p>ああ、秘密だオレたちだけの</p><p>そんなのみんなに悪いよみんなに嘘を吐いていくなんて</p><p>いいんだよ寧オレたち、どうせ犯罪者なんだから</p><p>オレは、寧に微笑む</p><p>一緒に悪いことしようぜっ</p><p>寧の背筋が、ゾクッと震える</p><p>悪いことしたいんだろオレと二人でさみんなを騙すんだよ一生</p><p>寧は</p><p>あたしたちだけの秘密</p><p>ああ、オレたち二人だけで一生、秘密にすんだ</p><p>オレは寧の乳首に、チュッとキスをする</p><p>大丈夫だよ、寧ずっと、オレが支えていてやるから</p><p>寧は、ジッとオレの顔を見ている</p><p>オレは、笑って寧に微笑む</p><p>判ったあたし</p><p>寧の眼に元気が蘇ってくる</p><p>あなたの秘密の奥さんになるっ</p><p>実際のところ</p><p>オレの姉であろうが妻であろうが黒い森の家族たちは、別に気にしないだろう</p><p>オレはすでに複数の妻を持っているしみんなそのことに納得した上で、家族に加わってくれている</p><p>寧のことだって年少組は、まだ処女だってことを知らないし</p><p>オレの女の一人だって、認識している</p><p>結局は寧の心の問題だ</p><p>寧にとって、弟とか家族というものは、心の中で複雑にこんがらがって意味を持っている</p><p>だから、彼女は弟か恋人かを明確に区別しなければいけなかったわけだけど</p><p>そんなのは、他の人たちには判らないことだ</p><p>寧は、ずっと罪悪感を持って、この秘密を守り続けるだろう</p><p>多分他の家族は、そんな寧の様子を温かく見守ってくれる</p><p>これまでと同じ様に</p><p>というかマルゴさんたちは、こういう展開になることを予想しているだろう</p><p>これからはずっと、寧のために気付かないふりをしてくれる</p><p>こうやって見ると本当に美少女だな</p><p>寧が、オレを見ている</p><p>ううん呼んでみただけ</p><p>オレは、可愛い寧に頬ずりする</p><p>嬉しいんだよこんなに綺麗な人が、オレの奥さんだなんてうん、お姉ちゃんより奥さんの方が嬉しいな、やっぱり</p><p>オレのものだ</p><p>この身体も心も</p><p>うふふやっぱり、甘えん坊さんだねっ</p><p>豊かな胸に顔を埋めるオレを寧さんは、優しく抱いてくれる</p><p>奥さんだけれどあたしの方が、ちょっと年上なんだからっお姉さんは、お姉さんなんだからねっ</p><p>やっぱりお姉ちゃんプレイもしてみたいな</p><p>え、何それ</p><p>そういうゴッコだよ禁断の姉弟エッチっていうシチュエーションでするやつ</p><p>いいよ恋人同士の遊びでしょお姉ちゃん役でも妹役でもやってあげるっ</p><p>結局は、寧さんの心次第</p><p>オレの秘密の奥さんということに納得して、精神が安定すれば</p><p>後は、どんなことでも受け入れられる</p><p>でも今は</p><p>寧が言った</p><p>恋人として、エッチして欲しいなっ</p><p>もう一度寧の姿を、写真に撮りたい</p><p>弟に処女を捧げる前の姉じゃなくてオレの奥さんになってくれた、今の寧の姿を記録しておきたいんだ</p><p>寧は、ニコッと笑う</p><p>うんいいよっ</p><p>二度目の裸身の撮影</p><p>さっきとは全然、表情が違う</p><p>さっきの寧には義務感とか、悲壮感とかがあった</p><p>＊＊しなくてはいけないという重さが</p><p>今の寧にはそういうものは無い</p><p>写真を撮られながら寧はよく笑った</p><p>大きな声で笑った</p><p>あたし何か、すごく自由な気持ち</p><p>寧</p><p>自分の好きな人が恋人だってこんなに楽しい気持ちなんだねっ</p><p>寧の表情は、どこまでも自然だ</p><p>あたしねあなたの前だと、何でも自分をさらけ出せそうだって、あなた、どんなことでも受けとめてくれるんだんっ</p><p>カメラを持つ、オレの身体に飛びつく寧</p><p>うっふふっあなた、あたしのこと好き</p><p>うん、好きだよ</p><p>あたしもぉっ大好きっ好き好き、チュッ</p><p>オレにキスの雨を降らせる、寧</p><p>ギュッと抱き締めてっ</p><p>寧は、甘えん坊だな</p><p>そうだよあたしたち、甘えん坊コンビなんだもんっ</p><p>オレはカメラを横に置いて寧と身体をまさぐり合う</p><p>オレのソファの上で</p><p>このソファ雨に濡れたイヌの匂いがするねっ</p><p>臭う</p><p>あなたの匂いでしょここでたくさん、一人エッチしたの</p><p>したよ親父がいなくなってからは、毎晩だから</p><p>ふーん、こんな感じ</p><p>寧が、オレのペニスをしごく</p><p>あっそうだよ</p><p>これからは一人エッチ禁止だからねしたくなったらあたしに言うんだよいい</p><p>あたしも、もうオナニーしないしたくなったら、あなたとするもんっ</p><p>うふふふと、寧は笑う</p><p>こういうのとか、どう</p><p>寧は、オレの亀頭を親指と人差し指でこねくり廻す</p><p>き、気持ちいいよ</p><p>あたし、お屋敷の監視カメラでお姉さんたちが、お仕事しているところずつと見てきたからやり方は色々と知っているんだっ</p><p>寧さんの指が、オレの玉筋から肛門に向かってツツツと滑っていく</p><p>それも気持ちいいよ</p><p>嬉しいな</p><p>あたしが、あなたを気持ち良くさせているんだよねっ</p><p>そうだよ寧は気持ちいいよ</p><p>可愛いうふっ、もっと可愛くしてあげるっ</p><p>寧は、オレにキスをし舌を絡めてくる</p><p>それから、自分の手に唾を垂らしてオレのペニスをしごく</p><p>こっちの方がいいでしょグチュグチュで</p><p>ああ寧</p><p>あなたも好きに触って、あたしの身体</p><p>オレも寧の胸を揉む</p><p>ふとももの感触を楽しむ</p><p>それから熱く濡れた股間を</p><p>そこは丁寧にねまだ、ヴァージンなんだから</p><p>オレは、割れ目の入り口を丁寧に触る</p><p>うんいいよおっ好きだよおっ好きなのっ</p><p>裸でソファの上でもつれあう二人</p><p>ここでセックスするなんて想像してなかったよ</p><p>でも、するんだよっあなたが、ずっと一人エッチしていたこのソファで</p><p>寧は、ニコッとオレを見つめる</p><p>女にして、あたしを</p><p>あなたの女に</p><p>処女を破る</p><p>ごめんねずっと待たせてて</p><p>そんなの気にしなくていいから</p><p>あなた、立って</p><p>オレは立ち上がって、ソファに向き合う</p><p>寧はオレの前で大きく開脚した</p><p>とろとろの秘部が露わになる</p><p>いいよきてっ</p><p>ロスト・ヴァージンは明日で引っ張って、こめんなさい</p><p>今日も、父を連れて母の病院へ</p><p>一緒にうどん屋で昼食を取ってから、行きました</p><p>来週の月曜か火曜には退院できるみたいです</p><p>まあ、元気というか機関銃の様に喋っていました</p><p>そして、来週末には前から予定していた友達との京都旅行にも行くそうです</p><p>緊急入院した人とは思えない元気っぷりでした</p><p>父のヒゲ剃りはまだ見つかりません</p><p>350．寧の誓い　（ヴァージン・ブレイク）</p><p>あらためて、寧の裸身を見る</p><p>本当に、ヨーロッパのアート写真に出て来るような、完璧な体型</p><p>おっぱいを大きく、腰はキュッとくびれていて</p><p>豊かさと、スマートさがギリギリの配分で協調している</p><p>そして美しい顔</p><p>大きな眼と端正な顔立ち</p><p>まるで海の泡から生まれたばかりの美神</p><p>寧が、オレに微笑む</p><p>オレを見ている</p><p>オレを愛し合う対象として</p><p>寧は綺麗だ</p><p>ううん世界で一番、綺麗だと思う</p><p>こんなに美しい人がホモのシザーリオ・ヴァイオラに無視され続けた</p><p>双子の弟のケイさんを犯すためのそれもケイさんの心を傷付けるためだけの道具として使われ</p><p>寧の美しさは、価値の無い物として扱われた</p><p>それが寧のコンプレックスだ</p><p>女であること、人としての価値を取り戻すために</p><p>寧は、弟に純潔を捧げようとした</p><p>しかし、ケイさんは敬虔なキリスト教徒で、寧の申し出を拒絶した</p><p>優しく、愛を込めて</p><p>だから、寧はさらに歪んでしまい</p><p>ケイさんの不幸な死とともに普通の恋愛のできない女になってしまっていた</p><p>オレこそありがとうだよ</p><p>こんな綺麗な人がオレの奥さんになってくれるなんて嬉しいよ</p><p>そう言って、寧はクスクスと笑う</p><p>あなたって呼び方、変かなあたしらしくないよね</p><p>寧は言った</p><p>うんと寧は、ちょっと勝ち気な姉さん女房な感じがするから</p><p>そうだよねあんまり、しおらしいのはあたしらしくないよね</p><p>あたしらしいという言葉</p><p>ようやく、寧の中で寧と寧子が融合する</p><p>今、この瞬間の寧はオレの寧になろうとしている</p><p>寧は、言った</p><p>あたしにとって、あなたはやっぱり、ヨッちゃんだヨッちゃんて呼ぶよいい</p><p>いいよオレは、寧って呼ぶけれど</p><p>うんそれでいい</p><p>寧は、ニコッと微笑む</p><p>一周して、元の場所に戻った</p><p>前のヨッちゃんは、親しさの中に心の壁があったけれど</p><p>今度のヨッちゃんには、壁は無い</p><p>オレたちは夫婦になるんだから</p><p>ずっとずっと、そう呼ぶからねママになった後でも、おバァちゃんになっても、ひ孫の前でもヨッちゃんて呼び続けるからね</p><p>長生きするつもりなんだ</p><p>当ったり前じゃんっ今までの分まで、幸せになるんだもんっ</p><p>あのさっ</p><p>寧が、オレの手を取る</p><p>指切りして</p><p>今は二人とも裸で、何も持っていないからせめて、指切り</p><p>オレたちは、小指と小指を絡ませ合う</p><p>で何の約束をするのオレ、何でも誓うよ寧のためなら</p><p>誓うのは、あたしだよ</p><p>そして、寧は言った</p><p>健やかなる時も、病める時も、喜びの時も、悲しみの時も後、何だっけとにかく、どんな時でも、ずっとずっと生きている限りずっと、ヨッちゃんを愛し、敬い、慰め、助け、真心を尽くすことを誓います</p><p>オレも誓うよ寧</p><p>小指を絡めたまま、オレたちはキスをする</p><p>何度も何度もキスをする</p><p>そのうちにみんなに内緒で、二人だけで旅行しよう</p><p>それでどこか遠くの教会で、ちゃんと結婚式を挙げよう</p><p>別にいいよ式なんて生涯の誓いなら、今したから</p><p>オレは、寧のウェディングドレス姿が見たいんだよっ</p><p>寧は、クスッと笑って</p><p>ウェディングドレスなら、お屋敷にあるからいつでも着てあげる毎晩だっていいよ</p><p>そんなあれは、白坂創介が変態プレーに使っていた</p><p>そうだミナホ姉さんに、雪乃も着せられた</p><p>ウェディングドレス姿で犯された娼婦は自分が幸福な結婚をする希望を、精神的に打ち砕かれるという</p><p>だから、あれを着たいのお屋敷に居たお姉さんたちの無念を、あたしが少しでも晴らしてあげたいのあたしがヨッちゃんと幸せになることで</p><p>寧もまた行き場を失くして、お屋敷に転がり込んだ女の一人だ</p><p>娼婦にはならなかったけれどお屋敷の女たちの悲劇は見てきている</p><p>それでもいいけれどでも、やっぱり、オレはどこかの教会で寧の花嫁姿が見たいな二人きりで</p><p>そうね、二人で旅行には行きたいなじゃあ、考えとくよっ旅行の時のオプションとしてねっそうだな南の島とかがいいかな</p><p>うんいいね青い空と光る海白亜の教会に純白のドレスを着た寧が居てさ</p><p>もちろん、ヨッちゃんも居るんだよっ</p><p>そりゃいるさオレたちの結婚式だもの</p><p>ヨッちゃん大好きっ</p><p>寧がガバッとオレに抱きつく</p><p>オンボロのソファの上で</p><p>オレたちは、裸でお互いを抱き締め合う</p><p>そろそろヨッちゃんのお嫁さんにして</p><p>オレは、ソファに寧を浅く座らせる</p><p>腰を突き出させるようにして</p><p>足はもっと拡げて</p><p>寧のそこはすっかり準備ができていた</p><p>処女の割れ目は、ほんの少し緩んで開きしとしとと愛液を零している</p><p>ちょっと、怖いな</p><p>大丈夫大丈夫だから</p><p>オレは、寧の秘部に顔を寄せる</p><p>寧の味を知りたいんだ</p><p>ううん優しく優しくね</p><p>オレは舌で秘部を舐め上げる</p><p>寧の味は酸味がした</p><p>敏感な部分を舌先で転がす</p><p>ああああっき、気持ちいいっ</p><p>寧が身を震わせる</p><p>オレは、一旦、割れ目から離れふとももの内側や、可愛いおへそに舌を這わす</p><p>よ、ヨッちゃん</p><p>自分でするのより、全然いいっ</p><p>じゃあ、毎日する</p><p>するっして欲しいっ</p><p>寧は、欲望に素直だ</p><p>それがまた、たまらなく可愛い</p><p>寧、オレ、もう</p><p>挿れたいあたし、ペロペロとかしなくていいの</p><p>それは次の時でオレ、早く寧の中に入りたいよっ</p><p>もう我慢ができない</p><p>寧は、グッと眼を瞑って身体に力を込めて、開脚する</p><p>オレはそんな寧を抱き締め、耳の後ろをペロッと舐める</p><p>性感帯を舐められて寧の身体の緊張が緩む</p><p>そんなに身体に力を入れていたら、挿らないよ力を抜いて</p><p>寧はさんざん他の人のセックスは見学してきているけれど</p><p>処女なんだ</p><p>オレがリードしなくちゃ</p><p>眼を開けてオレを見て</p><p>寧が、眼を開ける</p><p>綺麗な瞳</p><p>金髪のままだけれど瞳には、偽りの青いコンタクトレンズは入っていない</p><p>ダークブラウンの瞳が、まっすぐにオレを見ている</p><p>愛してる、寧</p><p>オレの言葉に寧は、スウッと空気を吐く</p><p>身体の固さが、また和らぐ</p><p>オレは、優しくマッサージする様に寧の全身を揉みほぐす</p><p>寧は柔らかくて、あったかいな</p><p>腕を首筋を豊かな胸を細し腰をふとももも触る</p><p>さあ力を抜いて</p><p>寧はオレに全身を委ねた</p><p>オレは寧と眼を合わせながら勃起したペニスを、寧の秘部に合わせていく</p><p>直接、接合部を見なくてももう、それぐらいのことはできる</p><p>亀頭が温かく濡れた部分に、当たる</p><p>寧が、怯える</p><p>怖がらないで平気だから</p><p>中に溢れた愛液を押し出すように亀頭が少しずつ、寧の中に埋没していく</p><p>よ、ヨッちゃんあたしっ</p><p>オレは寧の肩をしっかりと掴む</p><p>寧もオレの腕をギュッと掴む</p><p>ああんっい、痛いッ裂けちゃうっ</p><p>亀頭が、壁にぶつかる</p><p>この肉の壁は薄くて破れやすい</p><p>オレはそのことを知っている</p><p>いい寧</p><p>いいよ、ヨッちゃんのモノにしてっ</p><p>寧が濡れた眼でオレを見ている</p><p>行くよ寧ッッ</p><p>スズッ</p><p>亀頭が処女地に進入する</p><p>純潔の扉を打ち砕いて</p><p>ぎゃあっ痛いィィイッッ</p><p>寧の眼からボロボロと涙が零れる</p><p>本当に痛いんだろう</p><p>でも、ここでやめるわけにはいかない</p><p>破れちゃった、破れちゃったよおっヨッちゃん</p><p>まだだまだだからっ</p><p>見つめ合ったままオレは叫ぶ</p><p>まだ半分しか入っていないからっ</p><p>しかし寧の処女は、狭い</p><p>オレのペニスをきつく締め上げている</p><p>ぐっちょりと湿ったそこは熱い</p><p>オレのペニスは半分だけが、高温の温泉に浸かったような感触だった</p><p>寧の痛みが和らぐまで、少し待つことにした</p><p>寧は、ハァハァと大きく息をしている</p><p>おでこには、大きな汗の玉が浮いていた</p><p>寧、大丈夫か</p><p>う、うんとりあえずは</p><p>大きな胸が、呼吸の度に上下するピンクの乳首が揺れている</p><p>これでまだ半分なのッ</p><p>うん、後半分こらえてっ、寧</p><p>そんなそんなに入ったら、あたしの身体を突き抜けちゃうよっ</p><p>処女地を侵されている寧にはオレのペニスは、実物の何倍もの大きさに感じられているらしい</p><p>だけどごめん、寧</p><p>オレは、この剛直を、何としても根元まで、寧の中にブチ込みたいっ</p><p>そんなことないからっ寧の中にぴったり収まるからっ</p><p>嘘っ今でも満杯だよっ</p><p>大丈夫だから寧の中に全部入るからっ</p><p>当たり前だろっオレと寧のなら、ぴったりサイズになっているはずだっ絶対に神様がそういう風に設計しているはずだっ</p><p>オレもメチャクチャな論理になっている</p><p>うんっそうだねっ絶対そうだ</p><p>寧は、苦しそうな顔のまま、納得してくれた</p><p>いいよっヨッちゃん全部突っ込んであたし、我慢するからっ</p><p>しかし言葉と裏腹に、寧の身体はまた力が入っている</p><p>この状態で強行突破するのは寧の身体によくないだろう</p><p>寧オレと、呼吸を合わせてオレも、寧に合わせるから</p><p>オレは美智に習った方法を試してみる</p><p>すう、はぁすぅ、はぁ</p><p>二人で息を合わせる</p><p>眼を見たまま</p><p>性器で繋がったまま</p><p>呼吸を合わせていくうちに寧の身体がリラックスしていく</p><p>ヨッちゃんあのね</p><p>すぅ、はぁじゃなくって、すぅ、すぅ、はぁの呼吸にした方が良いと思うのっ</p><p>うん、テレビでやってた</p><p>テレビで処女とのセックスでの呼吸法とか、教えているのか</p><p>あ、違う違うテレビでやっていたのは、便秘の時の呼吸法</p><p>便秘</p><p>すう、すう、はぁのはぁの時に、お尻の筋肉が緩むんだよ</p><p>いや、でもえ</p><p>知らないのお尻の穴の筋肉と女の子の穴の周りの筋肉は繋がっているんだよ数字の８の字の形になっているのだから、お尻が緩めば、女の子の穴の力も緩むはずだって</p><p>筋肉が八の字って、どういうことだ</p><p>とにかく、やって見ようすう、すう、はぁだよそれで、あたしの身体が緩んだなって思ったらはぁの時に、突撃してみてっいいわねっ</p><p>う、うんっ</p><p>よく判らないが</p><p>寧の言うとおりにやってみよう</p><p>行くよっすう、すう、はぁ</p><p>すう、すう、はぁ</p><p>真面目な顔で、見つめ合いながら</p><p>オレたちは、呼吸を合わせる</p><p>オレの額からも汗が零れる</p><p>寧の眼は、すっかり潤んでいる</p><p>うん大分、身体が解けてきた</p><p>オレは、ズンッと腰を突き込むッッ</p><p>いああああっっ</p><p>全ての障壁を押し壊して</p><p>オレのペニスが完全に寧の膣の中に収まる</p><p>オレたちの下腹部がぴったりと重なる</p><p>亀頭がゴールである子宮口にタッチする</p><p>入った全部入ったよ寧</p><p>寧が結合部を触る</p><p>ホントだ全部入っている</p><p>ああ、寧の中にそっくりそのまま入り込んでいるんだっ</p><p>やっぱり、神様はあたしたちがセックスできるようにして下さっていたんだねっ</p><p>当ったり前じゃないか</p><p>それから寧は</p><p>オレの顔を見て</p><p>クスクスと笑い出した</p><p>どうしたの、寧</p><p>ヨッちゃんて最高だよ</p><p>すっごい一生懸命で、すっごい真面目ででも、すっごいバカで、すっごい優しいの</p><p>あたしヨッちゃんに出会えて本当に良かった</p><p>寧は、オレを見たまま涙を流す</p><p>どうしたの痛いのか</p><p>バカっ幸せなんだよっ</p><p>そして、オレに向かって大きく手を開く</p><p>このまま抱っこして</p><p>オレは、腰を結合させたまま寧の身体を抱き締める</p><p>好き好き大好きヨッちゃん</p><p>オレ、絶対に幸せにするから大切にするから</p><p>もう幸せだし大切にして貰っているよ</p><p>そう言って寧は、オレにキスをした</p><p>さあ、動いてもう平気だから</p><p>大丈夫痛いのなら、いいんだぞもう抜いても</p><p>そういうこと言わないのあたしにもちょうだいよ</p><p>ヨッちゃんの赤ちゃんの種あたしの子宮にも撒いて欲しい</p><p>じゃあ、ゆっくり動くから</p><p>痛いのか</p><p>痛くていいんだよこの痛みだって、ヨッちゃんに愛されているからなんだもん痛いのだって楽しむよあたし</p><p>ヨッちゃんは、あたしの身体を楽しむことだけ考えてヨッちゃん、あたしの中に出したいあたしをママにしたい</p><p>し、したいよ</p><p>それだけ考えてあたしに、ヨッちゃんの性欲を全部吐き出してお願い</p><p>オレは、寧の舌を求める</p><p>おっぱいをまさぐり尖った乳首を擦る</p><p>ゆっくりと腰をピストンを深くする</p><p>寧は愛液が豊富だ</p><p>狭い膣の中で、オレのペニスがとろとろに溶かされていく</p><p>寧寧寧</p><p>すう、すう、はぁだよ、ヨッちゃん</p><p>オレに犯されながら、寧は言った</p><p>すう、すう、はぁの呼吸で抱いて</p><p>すう、すう、はぁ</p><p>はぁのタイミングで、ドンッと深く腰を押し出す</p><p>ぷっくりとした子宮口をノックする</p><p>あっあああっああああっ</p><p>寧は、オレの背中に手を廻しギュッと背中を抱き締める</p><p>やっぱり痛いのだろう、辛いのだろう</p><p>時々、オレの背中に、爪を立てる</p><p>オレもその痛みに耐える</p><p>寧寧オレ、もう</p><p>出ちゃいそうなの</p><p>寧が、痛みに耐える表情でオレを見ている</p><p>うんもう漏れちゃいそうだよ</p><p>いいよ全部、漏らしちゃってあたしの中に、吐き出して</p><p>あああぁぁ</p><p>で、出るよ寧寧寧</p><p>ね、寧愛してるぅぅ</p><p>ドぉククッッ</p><p>ドクッ</p><p>ドクドクドクッッ</p><p>ああ、熱い出てるよっヨッちゃんあたしも好きぃぃ愛しているぅぅ</p><p>力一杯抱き締め合ってオレは寧の子宮に射精する</p><p>寧は、全身でオレの精を受けとめてくれた</p><p>射精するオレの顔を寧が見ている</p><p>受精する寧の顔をオレが見ている</p><p>幸せだ、オレ</p><p>幸せだ、オレたち</p><p>全部吐き出し終わってオレは、ぐったりと脱力する</p><p>お疲れ様っ大丈夫</p><p>寧が、無理に微笑んでくれた</p><p>何か魂まで射精したみたいな感じだよ</p><p>うん魂まで子宮で受け取ったもんっ</p><p>そう言うと、寧はくふふふと笑った</p><p>何寧</p><p>うふふ呼んだだけぇっ</p><p>そう言って、寧はオレの唇にチュッとキスをする</p><p>ヨッちゃん、ヨッちゃん、あたしのヨッちゃーん</p><p>オレの顔にぐりぐりと頬ずりする</p><p>こんなに幸せであたし、いいのかなっ</p><p>いいんだよどんどん幸せになろう</p><p>うむ、なろうそうだね、ヨッちゃん</p><p>寧は、笑った</p><p>あ、もちろん、ヨッちゃんは他の女の子たちも幸せにするんだからねあたしは、みんなの後でいいから</p><p>その代わりあたしとのセックスは、二人きりでねたっぷりと充実した時間を送ろうほら、あたしは、みんなには秘密の奥さんなんだから</p><p>寧はオレの秘密の奥さんになることに拘っている</p><p>寧が、それでいいのなら</p><p>いや、黒い森の家族との共棲を、寧がそういう形で望んでいる以上</p><p>あ、でもお姉ちゃんキャラで、他の子とのセックスには乱入するかも</p><p>そうしてよマナとか、寧と一緒にセックスしたがっていたから</p><p>あたしは、みすずさんがいいなあヨッちゃんと一緒に、あの子をとことん、よがり啼かせてみたい</p><p>寧は、そんなことを言う</p><p>みすずさんだけは、あたしのことをお姉ちゃんて認識していないからねそりゃ同学年だけどあたしはタブリだから</p><p>どっちも高校２年生だけれど</p><p>寧の方が一つ年上だ</p><p>きっちりと誰がお姉ちゃんなのかを判らせてあげないとねみすずさんを押さえれば、あの変の女の子たちも全部押さえられるしぎっしっし</p><p>寧は家族を楽しんでいる</p><p>ならみすずにさんはいらないんじゃないかな</p><p>そうだねみすずさんでも、ミィちゃんでもなくこれからはみすずって呼ばないとね</p><p>うん心の壁は壊していかないと</p><p>何か、すっごく楽しみになってきたっうふふっ痛ッ</p><p>寧は、身体を起こそうとして悲鳴を上げる</p><p>オレは、寧との結合部分を見て</p><p>オレたちの股間は寧の処女血で真っ赤になっていた</p><p>うわっ、ごめんオレ、セックスに夢中になっていて</p><p>オレは、急いで身体を離そうとする</p><p>いや、待ってまだ抜かないで</p><p>そうは言っても</p><p>こんなに出血していたら、苦しいだろう</p><p>オレは半勃ちのペニスを慌てて引き抜く</p><p>スポンと膣から抜いた途端</p><p>白い精液と赤い処女血がとろろろっと零れ落ちる</p><p>あーん、繋がったままのところを写真に撮っておきたかったのに</p><p>寧は、そう言った</p><p>いや、そんな痛々しい写真残さなくていいよ</p><p>あたしは欲しかったの処女喪失の記念写真だよっ老後の楽しみに、ヨッちゃんと見たかったのに</p><p>じゃあ、事後写真だけでもいいやヨッちゃん、撮って</p><p>寧は、オレにねだる</p><p>ヨッちゃんとのハメ撮りは、また今度しようねうん確かにそうだなセックスしている写真は、出血していない方がいいかもね</p><p>やれやれオレは、カメラを取る</p><p>はーい、撮して</p><p>全裸の寧</p><p>処女を失ったばかりの寧</p><p>割れ目から処女血と精液を溢れさせている寧は本当に幸せそうだった</p><p>この幸福そうな姿は、確かに残しておきたい</p><p>じゃあ、撮るよ</p><p>オレは、シャッターを切る</p><p>何枚も何枚も寧の姿を</p><p>Ｍ字開脚で、ダブルピースとかした方がいい</p><p>寧は、笑ってそう言った</p><p>そうだね、あんまり派手な写真だと、処女喪失記念って感じじゃないものね</p><p>けらけらと寧は笑う</p><p>うんそういうエッチなのも、今度ねそうだ、アヘ顔ダブルピースはみすずにやらせよううんうん、もちろん写真も撮ってうひひひっ</p><p>これまで家族の年長組は、マルゴさんや、渚や、克子姉と、優しい大人の女性ばかりだった</p><p>ミナホ姉さんだって、敵に対してはとことん酷いけれど自分の家族には、際限なく優しいし</p><p>しかし新しい寧は</p><p>今までの寧は、心の壁を作っていたから年少組には、深く関係してこなかったけれど</p><p>この悪戯っ子のファンキー姉ちゃんは多分、凄いぞ</p><p>みすずメグマナ瑠璃子</p><p>きっとみんなを翻弄し驚かせきりきり舞いさせ</p><p>そして、楽しく、幸せにしてくれる</p><p>お姉ちゃん頑張っちゃうんだからっ</p><p>凄くて素敵なお姉ちゃんがここに誕生した</p><p>うん、やっぱり寧さんは、こうでないと</p><p>色々ありましたが、こういう形で安定しました</p><p>みすずが、黒い森の正妻で</p><p>メグが、学校生活での正妻なら</p><p>寧は影の正妻ということで</p><p>まあ、美智もだんだん正妻っぽくなってきていますが</p><p>さて、今日は母が病院から一時帰宅したのですが</p><p>昼過ぎに、父がお尻から血が出ると言い出し</p><p>入れ違いで、病院に</p><p>まあ色々と検査した結果多分、痔だろうということなんですが</p><p>付き添いには兄が行ってくれたのですが、家には母がいるので</p><p>またしても土日の休みが飛んでしまいました</p><p>父は無事に帰ってきましたが、日曜日は専門医がいないので</p><p>もし、明日具合が悪いようならばまた行かないといけないみたいです</p><p>大動脈の手術をしていますからちょっと怖いです</p><p>父母、ダブル入院だけは避けて欲しいですね</p><p>ちなみに父のヒゲ剃りは、まだ行方不明です</p><p>351．甘い生活　（ドルチェ・ヴィータ）</p><p>寧と裸のまま、お風呂場へ</p><p>とにかく、股間の精液と処女血を洗い流さないといけない</p><p>待って、すぐにお湯になるから</p><p>幸い、まだガスは止められていない</p><p>銀行引き落としで親父の口座には、まだ金が残っているから</p><p>ほら、お湯になったよ</p><p>オレは、寧の前に跪いて足先からお湯を掛ける</p><p>いきたり熱いお湯を引っ掛けたら、びっくりしちゃうだろうし</p><p>ゆっくりと足の舌から上へ、シャワーヘッドを上げていく</p><p>そして秘部へ</p><p>やっぱり、浸みる</p><p>処女膜が裂けて出血したんだから</p><p>傷になっているはずだ</p><p>ううん、大丈夫</p><p>寧は、上からオレに微笑んでくれた</p><p>やっぱり、優しいねっヨッちゃんはうん、あたしは良い旦那さんを手に入れたぞっあははは</p><p>オレにお湯を掛けられながら、寧は大きく笑った</p><p>ヨッちゃんのは、あたしが洗ってあげるねっ</p><p>そう言うと、寧はオレからシャワーを受け取り、オレの股間に向ける</p><p>おちんちんの下も洗わないと</p><p>寧はオレのペニスを指で持ち上げ、裏側にもお湯を掛ける</p><p>そんな風にしたら、また勃っちゃうよ</p><p>いいんじゃないどうせヨッちゃんが、１回の射精で満足するとは思ってないもんっ</p><p>あたし、ヨッちゃんのエッチはずーっと見てきているんだからっ</p><p>そう言えば最初の雪乃のレイプから、監視カメラの映像を観られているんだっけ</p><p>寧の出血は酷かった</p><p>今日は、もう挿入するのは止めた方がいい</p><p>美智ちゃんとか、連続２回戦いけたのにね</p><p>女の子それぞれで体質が違うから仕方無いよ</p><p>あたしの方が、あの子より成熟しているはずなんだけどなあ</p><p>確かに、美智は小柄で寧は、大人のプロポーションをしている</p><p>しかし、それが女性器の成熟状況と同じとは限らないわけで</p><p>というより美智はマゾっ気があるからな</p><p>痛い方がいいって言ってたし</p><p>お口でいい</p><p>寧が、ニコッと微笑む</p><p>それより、触って寧の手でイキたい</p><p>寧の白くて細い指で</p><p>うん、いいよっでも、最後は飲むから</p><p>というか、飲みたいのヨッちゃんの精子だもん全部、あたしの身体の中に吸収したいっ</p><p>オレは、シャワーを壁に固定する</p><p>上から振ってくる温かいシャワーの飛沫を浴びながら</p><p>寧とお風呂場のタイルの壁に背を付けて、床に座る</p><p>足を投げ出して</p><p>うん、じゃあ触るね</p><p>右手で、寧がオレのペニスを撫でる</p><p>左の腕は、オレの身体をギュッと抱いた</p><p>１８歳のグラマーな肉体が、オレに押しつけられる</p><p>ヨッちゃんも、あたしの身体好きに触って</p><p>それより寧、キスしたい</p><p>いいよおっ</p><p>寧にペニスを弄ばれながらキスをする</p><p>舌と舌を舐め合う吸い合う</p><p>ああ、勃起がどんどん大きくなる</p><p>すっごーい大きく硬くなっていくぅうふふご奉仕しますねぇあなたぁーんっ</p><p>寧寧</p><p>なあにどうしたの</p><p>好きだよおっ好きなんだぁ</p><p>あたしもだよっヨッちゃあんっ</p><p>硬くなったペニスを、寧の手がサワサワとしごく</p><p>もっと、こうして</p><p>オレは寧の手の上に、自分の手を重ねて剛直のしごき硬くなったペニス教える</p><p>そうもっと力を入れて握っても平気だから</p><p>こんな感じかなっ</p><p>どうしたらいいのか、いっぱい教えてねヨッちゃんの気持ち良くなる方法これから、一生、ご奉仕するんだからっ</p><p>好き、好き愛してるからねっ</p><p>おれは寧のおっぱいを揉む</p><p>こりこりとした乳首を摘む</p><p>寧のおっぱい気持ちいいよ</p><p>幾らでも触ってヨッちゃんの好きにして</p><p>ああ、オレ、オレ寧</p><p>オレ、もう出ちゃいそうだ</p><p>寧は、ニンマリと笑った</p><p>我慢しなくていいよいっぱい出して</p><p>あああっオレ、オレ</p><p>寧の手を上から掴んで、オレは激しく上下する</p><p>熱情のリズムを刻む</p><p>もうすぐ爆発するぅぅッ</p><p>出るよ出るよ出るよ、寧</p><p>待って今、おしゃぶりするからっ</p><p>寧が、オレの前に身を屈めて</p><p>オレの亀頭を含む</p><p>ペニスが、寧の温かい口の中に</p><p>ああ唇の感触が、気持ちいい</p><p>イクよっイクよっ寧っ</p><p>寧の名前を叫びながら</p><p>オレは寧の口の中に、放出する</p><p>あああ出てるぅぅ止まらないよおっ</p><p>全身を痙攣させながら、最後の一滴まで放出する</p><p>寧は、精液を全て受けとめて</p><p>チュポンと唇をペニスから離した</p><p>そして、オレにニッと微笑み</p><p>オレに向けて、大きく口を開く</p><p>寧の綺麗な白い歯の奥ピンクの舌の上に、白い精液が見える</p><p>寧は、再び口を閉じると口中の精液を、自分の唾液と混ぜてクチュクチュして、ゴクンと呑み込んだ</p><p>うはぁ克っつんが精液は苦いって言ってたけれど、本当だねっ</p><p>そして、シャワーのお湯でうがいをする</p><p>ガラガラガラペッ</p><p>でも、好きになるねっヨッちゃんのだもんっ</p><p>たまらない愛しさを感じる</p><p>オレは、寧をギュッと抱き締める</p><p>んどうしたの甘えん坊さんなの</p><p>ああ寧に甘えたくなったんだよっ</p><p>寧の胸に、顔を埋める</p><p>うむっ、正直でよろしいっいっぱい、お姉ちゃんに甘えなさいっ</p><p>寧は、オレを優しく抱いてくれる</p><p>あたしも、ヨッちゃんに甘えちゃうんだからっ</p><p>オレの顔に、頬ずりをした</p><p>寧、寧、寧</p><p>何でだか涙が出て来た</p><p>何か判らないけれどオレ</p><p>寧が、オレの頭を撫でてくれる</p><p>ここのところ、ずっと頑張っていたもんねヨッちゃんは</p><p>そうだよいいんだよ、あたしの前なら泣いても、喚いてもどんな、ヨッちゃんも受けとめてあげるから</p><p>オレは、寧に縋り付く</p><p>そうだよねヨッちゃんが一番大変だったんだよねみんなの未来を、１人で背負っちゃってさ</p><p>ヨッちゃんは優しくて、良い子過ぎるんだよみんなの心の渇いているところが判っちゃうから、体当たりで潤してあげちゃうんだよね自分自身のキャパシティとか、全然関係無く</p><p>バカだよね、オレ弱くて、本当にバカなのに</p><p>いいんだよヨッちゃんは、それで</p><p>寧がオレにチュッとキスをする</p><p>それに、もう大丈夫ヨッちゃんには、あたしがついてるから</p><p>一緒に家族を守っていこうねっあたしたちの家族をさ</p><p>寧の優しい笑顔に</p><p>オレの心は、救われる</p><p>オレはもう１人じゃない</p><p>家族で姉で妻である、この人がいるから</p><p>愛してる愛してるよ</p><p>あたしも愛している</p><p>もう一度、オレたちは熱いキスを交わす</p><p>脱衣所でお互いの身体をバスタオルで拭き合う</p><p>オレが使っていいバスタオルは１枚しかないから</p><p>ねあたしやっぱり、黒髪にしていい</p><p>オレが、寧美しい背中を拭いていると彼女が言った</p><p>いいけどオレは別に金髪のままでも、気にしないよ</p><p>でも、ほらみんなに対してさ、あたしが変わったっていうのをアピールするには、一番効果的じゃないっ</p><p>効果的</p><p>今までのさ不良少女・寧ちゃんのキャラが必要な時は、金髪のカツラを被るよでも、ほらヨッちゃんの貞淑な妻としては、黒髪の方がイメージがいいでしょ</p><p>ムフフと寧は笑う</p><p>また何か頭の中で画策しているらしい</p><p>それともヨッちゃんは、黒髪のあたしは嫌い</p><p>金髪に青いコンタクトだったから寧の美しさは、派手派手しさに相殺されて、何となくイメージが固定されていたけれど</p><p>黒髪に戻したらこれは、もう、とんでもない可憐な美少女だぞ</p><p>寧本来の美しさだけが際立つことになる</p><p>黒髪にしたら、何か、他の男が放っておかなくなるような気がする</p><p>平気だよもう、ヨッちゃんのなんだから何なら、売約済みって張り紙して歩こうか</p><p>自信を持ってよあたしは、絶対にヨッちゃんから離れないんだからねっ</p><p>そして、オレにキスをする</p><p>寧は、キスとスキンシップが大好きだ</p><p>もちろん、オレも大好きだけれど</p><p>あたしは、変な男には付いていかないからヨッちゃんだって、守ってくれるんでしょ</p><p>オレは、心から誓う</p><p>だったら、平気だよあたし、これからはなるべく綺麗になるように頑張るからあなたのために</p><p>また寧はオレにキスをした</p><p>オレからも、寧にキスを求める</p><p>じゃあ、どうする今から毛染めやる</p><p>寧は、さっきドラッグストアで毛染め薬を買ってきたと言っていた</p><p>今ここでは止しとくあれは、ヨッちゃんが黒髪のあたしでセックスしたいかなあって思ったことだから</p><p>家で毛染めするって、結構、大変なんだよムラになっちゃうこともあるからもう、ロスト・ヴァージンしたんだもん黒髪には、お店でして貰うよこのまま、優花さんの美容室へ行こうかな</p><p>優花さんは元、お屋敷の娼婦で今は美容室を経営している</p><p>その前に池田先生のとこだな一応、診察して貰わないと</p><p>ピル貰った方がいいあたし、いつ妊娠する</p><p>高校を卒業するまでは寧にも、もっと学生時代を楽しんで欲しいし</p><p>判ったじゃあ、ピルも貰って来るねっ</p><p>寧は、ニッコリと微笑んで納得してくれた</p><p>それでね、確認なんだけれどヨッちゃんが、ケイちゃんの戸籍を引き継ぐのは、そのままやって貰っていいよね</p><p>うん、それはもう、ミナホ姉さんにお願いしちゃったし</p><p>だけどヨッちゃんは、吉田の家の戸籍も持っていた方がいいと思うのケイちゃんの戸籍と二つともねあたしも、奈島寧子の戸籍は取り戻すけれどカナダの偽名のパスポートも、そのままにしておくわ</p><p>黒森の家は、犯罪組織なんだよ使えるものは、何でも取っておいた方がいいって</p><p>確かにそうかもしれない</p><p>吉田の名前もここで、すっぱり捨ててしまうより、何かの機会を待って捨てた方がいいのかも</p><p>でね先生とマルちゃんには、あたしたちは姉弟になったという話のままにしておくからねっあたしたちが本当は夫婦なんだってことは秘密なんだから</p><p>また呼称が、マルちゃんに戻った</p><p>前の寧を上手く統合して、現在の寧は安定してくれたみたいだ</p><p>だから、先生とマルちゃんの前ではあたしはケイって呼ぶからねそういう姉弟関係になったんだって、２人には思わせておこうっ</p><p>楽しそうに、寧は悪巧みする</p><p>ケイって呼んだら、お姉ちゃんて返事するんだよっオッケイ</p><p>オッケイ</p><p>よしよし他のみんなが居るところではあたしは、今まで通りヨッちゃんて呼ぶからヨッちゃんは、あたしのこと何て呼ぶ</p><p>今まで通り、寧さんてのは変だよね</p><p>うんあたしたちの間にさんはもういらないよね</p><p>だからって寧と呼び捨てにするのもマズい</p><p>じゃあ姉さんて呼ぶよそれなら、一瞬では寧さんだか姉さんだか区別が付かないだろうから</p><p>ナイスアイデアだよっヨッちゃん</p><p>ニヒヒと寧は笑う</p><p>じゃあ、確認ね先生とマルちゃんの前では、ケイとお姉ちゃん他の子たちの前では、ヨッちゃんと姉さんあたしたち２人きりの時は</p><p>ヨッちゃんと寧</p><p>約束だよ指切りしよっ</p><p>オレたちは、また指と指を絡ませる</p><p>ヨッちゃん、あたしのヨッちゃん</p><p>寧オレの寧</p><p>うふふ好きっ</p><p>またオレたちは、キスをする</p><p>裸のまま居間に戻る</p><p>２人で１枚のバスタオルを掛け合ってソファに座る</p><p>それからさっき店で買った飲み物を開けた</p><p>ヨッちゃんあーんして</p><p>オレたちは、口移しで互いの飲み物を交換する</p><p>うふふ幸せだなあ</p><p>あたしは、ヨッちゃんと居る時が一番幸せなんだよー</p><p>変な声を作って、寧がおどける</p><p>何なの、それ</p><p>あっヨッちゃんは、知らないのか</p><p>知らないけれどオレも幸せだ</p><p>また、寧にキスする</p><p>もう、ヨッちゃんはキスが大好きなんだねっ</p><p>寧だって</p><p>あたしは、ヨッちゃんが大好きなのっ</p><p>寧がオレにキスを返す</p><p>このソファ、持って帰ろうかこれ、２人でイチャイチャするのにはちょうどいいよっ</p><p>この間までは、オレが１人で悶々としていたんだけれど</p><p>それがまたいいんじゃないっあ、でも、このソファはあたし専用にしたいなああたしの部屋に置こうか今日はマセラッティじゃ、乗せられないよねマルちゃんの白いバンで取りに来るしかないねいつがいいかな</p><p>寧は、どんどん計画を練り出す</p><p>そんでソファだけ回収したらさこの家は、燃やしちゃおうよ</p><p>寧は放火癖があったんだっけ</p><p>燃やした方がいいよここは空気が澱みすぎているから</p><p>心残りがあるの</p><p>うんここには、バァちゃんの思い出があるしそれに</p><p>この家を燃やしたら近所に延焼しちゃうよ裏の家とは、ブロック塀１枚しか無いし</p><p>そうかご近所さんを巻き込んじゃいけないか</p><p>ただでさえ、町内会の会費とか払ってないし近所の人には、迷惑を掛けているから</p><p>うちの母親ゴミを出す日とか、全然守らないから</p><p>ああそんな感じだよね</p><p>オレはオレの私物入れの段ボールに向かう</p><p>見せたいものがあるんだ</p><p>オレは中から一枚の写真を取り出す</p><p>これオレのバァちゃん</p><p>うん優しそうな人だね</p><p>優しかったよオレには</p><p>写真の中のバァちゃんは、微笑んでいた</p><p>この人がいてくれたからヨッちゃんは、良い子に育ったんだね</p><p>オレ良い子じゃないよ</p><p>良い子だよっ撫で撫でしちゃうっ</p><p>寧が、オレを撫でる</p><p>人から、ちゃんと愛情を受けた子でないと真っ直ぐな子には成長しないんだよヨッちゃんは、おバァちゃんから一杯愛情を注いで貰ったんだね</p><p>親父や母親の分まで</p><p>オレの本当の肉親はバァちゃんしかいない</p><p>ああたしも、そうなんだ</p><p>お父さんやお母さんが、ちゃんとあたしに愛情を注いでくれていたからケイちゃんが、あたしのこと愛していてくれたからだから、あたし今まで、狂わないでこれたんだ</p><p>寧がオレを見る</p><p>今判ったよあたしもみんなのお陰で、生きてこられたんだ</p><p>これからは、オレもいるからずつとずっと愛しているから</p><p>ヨッちゃんにだって、あたしがいるよっずっとずっと愛しているからね</p><p>オレたちは、寄り添い合う</p><p>おバァちゃんありがとう今日からは、あたしにとっても、おバァちゃんだからねっ</p><p>寧は、バァちゃんの写真にそう言ってくれた</p><p>ねえ、他には写真は無いのヨッちゃんの子供の頃とか</p><p>無いようちは家庭でのイベントとか、全然無かったし家族で写真を撮る機会なんて無かったから</p><p>家族旅行とか、クリスマスとか、誕生日とか何も無かったし</p><p>中学の卒業アルバムとかは</p><p>買ってない</p><p>そんな物にお金を払うのは嫌だって母親が学校にクレームを付けたから</p><p>メチャクチャな話だが、本当にオレの母親は中学にケンカを売った</p><p>その結果</p><p>オレにだけ、卒業アルバムは配布されなかった</p><p>まあ、私立だし全寮制の男子校だから、そんな無茶も通ったみたいで</p><p>寧はソファから立ち上がり、床に置いたままだったカメラを取り上げる</p><p>じゃあ、ヨッちゃんの写真は、これからあたしが撮るよ</p><p>パシャっと、シャッターを切る</p><p>いや、オレ今、裸だし</p><p>そこがいいんだよっ</p><p>さらに、写真を撮る</p><p>あたしの処女を奪った記念写真なんだからっ</p><p>どう、あたしの処女は気持ち良かった</p><p>うんすごく良かった</p><p>だったら、もっとニヤけた顔しなくちゃほら、笑って</p><p>あたしとセックスした時のこと、思い出してっ</p><p>寧がオレにカメラを向け続ける</p><p>そんなまた勃起しちゃうよっ</p><p>いいよ何度でも</p><p>寧は、怪しく微笑む</p><p>何度でも、相手をしてあげるから</p><p>また、むくむくとオレのペニスに熱い血が流れ込む</p><p>うっふふっ今度は、最初っからフェラチオねっ</p><p>はいカメラ</p><p>寧が、ソファのオレに前に跪きカメラを手渡す</p><p>あたしがおしゃぶりするところ撮って</p><p>いいんだよあたしたちしか見ない秘密の写真なんだからさっ</p><p>寧がオレのペニスを舐める</p><p>亀頭を舌でれろれろと</p><p>オレはその姿を、カメラに収める</p><p>オレの亀頭を咥えている</p><p>その下で、寧の大きな乳房が揺れている</p><p>寧すごい、エッチだよ</p><p>ヨッちゃんだけだよこんなエッチな寧は、ヨッちゃんだけにしか見せないんだからっ</p><p>明日になったら、またセックスしようねまた、寧のお腹の中にいっぱい出してくれるっ</p><p>ああ、出すよどくどく出す</p><p>妊娠しちゃうくらい</p><p>うふふ楽しみだっ</p><p>寧寧寧</p><p>今は寧のお口で我慢してね</p><p>ああっ愛してるっ寧っ</p><p>また寧の口の中に射精した</p><p>寧がブラジャーを付けている</p><p>ん寧の裸が見えなくなるのが、残念なんだよ</p><p>バカねヨッちゃんが望むんなら、いつでもまた脱ぐから</p><p>寧は、またキスした</p><p>キスし過ぎだね唇の周りがヒリヒリしてきた</p><p>あ、オレも</p><p>２人で笑い合う</p><p>服を着てオレは、私物の段ボールの中から、お屋敷に持っていくべきものを取り出す</p><p>バァちゃんの写真は当然として</p><p>学校関係のものとか</p><p>この下着とかはいいよもっと良いのを買い直した方がいいから</p><p>やっぱり百均のパンツは却下された</p><p>それから、オレは箱の一番底に手を伸ばし</p><p>オレは小さな小箱を差し出す</p><p>箱の中には小さな指輪が入っている</p><p>これ、バァちゃんの遺品なんだ亡くなる前に、バァちゃんがオレにくれたんだもし、何かの時には、これを売ってお金にしなさいって</p><p>そうは言ってもどう見ても、この指輪は高価そうじゃない</p><p>デザインもシンプルだし小さな石が一つ付いているだけだし</p><p>それもダイヤモンドじゃない</p><p>赤黄色い本当に小さな宝石が一つきり</p><p>ガーネットだね、これ</p><p>寧にあげるよ</p><p>寧はオレを見て</p><p>あたしだけ貰うのは悪いよ</p><p>みすずや、メグたちには将来、働いて自分のお金で指輪を買うよでも、このバァちゃんの指輪は、寧に持っていて欲しいんだ</p><p>じゃあ、預かるだけそれでもいい</p><p>寧が小箱から、指輪を取り出す</p><p>ヨッちゃん填めて</p><p>オレは指輪を受け取り、寧の手へ</p><p>人差し指には入らない</p><p>中指にも</p><p>バァちゃんも、小柄な人だったからなあ</p><p>指も細かったんだ</p><p>薬指なら入るぞ</p><p>うわっ薬指に填められちゃった</p><p>薬指だとマズイの</p><p>マズくないよ結婚指輪だなって、思って</p><p>うふふあたし、完全にヨッちゃんの物になっちゃったって、気がするよ</p><p>寧は、指輪を撫でながらそう言った</p><p>いいのかなこんなに幸せで</p><p>そんなの気にしなくて、いいんだよもっともっと幸せになろう</p><p>はい、あなたっ</p><p>寧は、嬉しそうにそう微笑んだ</p><p>サブタイトルはメルシー・ラヴィでも良かったかも</p><p>シャルロット・ゲーンズブールの変な映画でした</p><p>シャルロットの映画は、変なの多いですけれど</p><p>シャルロット・フォーエバーとか（サントラ持ってます）</p><p>僕の妻は、シャルロット・ゲーンズブールも面白かったけれど</p><p>上が父親が監督・主演で娘に対して、エロ妄想を持っている話</p><p>下が旦那さんが監督・主演で奥さんが寝取られる描写を、わざわざ入れているという</p><p>この作品では、処女喪失と同時に女の子がイクという展開は基本的には避けています</p><p>リアルに考えたら、無いことなので</p><p>美智ぐらいですね</p><p>美智はまあ、マゾですから</p><p>というか、よくあるエロ小説でのパターンになっている、処女喪失したらその女の子が空気になるというのを避けたくて</p><p>二度目、三度目でだんだん、セックスの感じ方も変化していくから味があるのだろうと、個人的には思っています</p><p>ということで、寧とのエッチもこれきりではありません</p><p>しかしここまで、バカップルになるとは思いませんでした</p><p>気軽にセックスできるという雪乃の唯一の長所が消えましたね</p><p>本編内での攻略のノルマは、アニエスと瑠璃子までだと考えています</p><p>美子さんと麗華は展開次第ですね</p><p>急ぎ足で一気に終わらせる必要は無いと思うので、じつくりとといきます</p><p>他の子ら（遙花とか、関さんとか）は、ゴールデンウィーク期間には収まらないので、番外編に廻す予定です</p><p>352．One Hand, One Heart</p><p>寧が電話をするとマルゴさんは、すぐに迎えに来てくれた</p><p>家の前にシュルルと到着した青いマセラッティその後部座席に乗り込む</p><p>寧はオレにぴったりくっついて離れない</p><p>済みませんお待たせしちゃって</p><p>オレは、運転席のマルゴさんに頭を避ける</p><p>いいんだよずっとファミレスに居たしやらなきゃいけない仕事もあったからね</p><p>車の助手席にはノートパソコンが置いてある</p><p>情報操作とか世論誘導とか白坂守次氏は、失脚したけれどあたしたちの復讐はまだ完遂していないからね</p><p>そうだ、全ての元凶である白坂創介にトドメを刺さない限り</p><p>ミナホ姉さんたち黒い森の娼婦たちの復讐は終わらない</p><p>それに黒い森の今後のこともある</p><p>それで君たちの方は、どううまくいった</p><p>マルゴさんが、ニコッと微笑んで寧さんに尋ねる</p><p>寧さんは、ムヒヒと笑って</p><p>もう、バッチリ女にして貰ったからっ</p><p>そうだよねぇケイ</p><p>オレの胸に頭をもたれかける</p><p>うん、お姉ちゃん</p><p>甘えてくる寧を、そっと抱き締めた</p><p>オレたちは、マルゴさんの前では、姉弟の演技を続ける</p><p>オレたちが本当は夫婦だという秘密を守るために</p><p>寧は、薬指の指輪を愛しげに触っている</p><p>それは良かったところで、寧</p><p>マルゴさんが、寧に言う</p><p>寧のことだから彼の家に火を付けるとか言い出すんじゃないかと思っていたんだけれど</p><p>マルゴさんは、寧さんの放火癖を誰よりもよく知っている</p><p>そもそもは亡くなったケイさんの遺体を、家ごと燃やしたことがトラウマになっているんだろう</p><p>あ、それは考えたんだけれどねいいの、いいのっ燃やしちゃうなんて、いつでも簡単にできるしっ</p><p>寧は、ニコニコと微笑んでいる</p><p>あっ、そうだマルちゃん、今度、白いバンでまたここまで連れて来てよケイのソファを持って帰りたいのっ</p><p>寧は自分が処女を喪失したソファが、本当に欲しいらしい</p><p>ソファ</p><p>うんケイがベッド代わりにずっと寝起きしていたソファあたしが貰うことになったから</p><p>あ、でもあのソファを運び出すんなら、勝手口からじゃ無理だよ玄関からじゃないと</p><p>裏の戸は小さいし家の外をぐるっと運び出すのも大変だ</p><p>いいじゃない、玄関から出せばさ</p><p>玄関を使ってはいけないと言われている</p><p>もう、ケイいいことあそこは、そりゃ確かにあなたが所有権を持っているわけじゃないけれど、でも、あなたの家なんだよ思い出がいっぱいあるんでしょっ</p><p>それはそうだけれど</p><p>だから、いいんだよ次は正々堂々と玄関を通るからねっあたしが許すっ</p><p>お姉ちゃんが、一緒に通ってあげるからっねっ</p><p>寧は、優しく笑ってくれる</p><p>うーん、良い子、良い子大好きっ</p><p>そして、オレをギュッと抱き締めてくれた</p><p>ねえねえ、マルちゃんあたし、今、とっても幸せなのっあたし、生きてきて良かったっ</p><p>そう良かったね、寧</p><p>マルゴさんが、寧に微笑む</p><p>ありがとう、マルちゃんっ</p><p>ううん、ありがとうお姉ちゃん</p><p>いっぱい、感謝しているいつも、ありがとうずっと、ありがとうマルゴお姉ちゃんは、あたしの恩人だよっ大好きっマルちゃん</p><p>高ぶる感情寧は顔を紅潮させ、眼から涙を零す</p><p>どうしたんだい、突然</p><p>マルゴさんは、すっかり戸惑っている</p><p>あたしマルゴお姉ちゃんや、先生ううん、ミナホお姉ちゃんや、恭子お姉ちゃん、克子お姉ちゃんたちに、いっぱいいっぱい優しくして貰ってた今、すっごく判るのみんながあたしを、とっても大事にしてくれていたってこと</p><p>オレは、泣いている寧の背中を抱いてやる</p><p>ありがとう本当にありがとうっ</p><p>寧気にしなくていいんだよ君は、あたしたちの大切な妹なんだから</p><p>マルゴさんは、優しくそう言った</p><p>うんっずっと妹だよっだから、マルゴお姉ちゃんも、ずっとずっとあたしのお姉ちゃんでいてねっ</p><p>心配しなくても平気だから</p><p>ううんあたし、判っているから</p><p>ねえ、ケイ</p><p>何お姉ちゃん</p><p>あたしね高校は、後１年しかいかない一年間は、ケイと一緒に学生生活を送る</p><p>寧は、タブッているからまだ高校２年生だ</p><p>今は５月</p><p>後１年ということは卒業はしないっていうこと</p><p>どうせ元々、卒業することは無理だったんだし</p><p>寧は偽の学籍で、高校に居る</p><p>本当の戸籍が使えなかったから奈島寧子《ナジマ・ヤスコ》は、まだアメリカから帰国していないことになっている</p><p>だから、奈島寧《ナトウ・ネイ》の偽名のままでは、卒業はできない</p><p>それは元の戸籍を取り戻して、奈島寧子《ナジマ・ヤスコ》で再入学すればいいじゃないか</p><p>今は、まだ５月の始めだしカナダの高校から、編入したことにすれば</p><p>恭子さんのツテを使えば、そんな工作は簡単だろう</p><p>それでまた、１年生からやり直すの</p><p>そんなの、カナダの方の記録を操作すれば、どうにでもなるよミナホと克子さんが、学校の書類上だけ途中編入したということにしておいてくれるから寧は、今まで通り学校へ通えば、そのまま卒業できるよ卒業証書の名前を、寧から寧子に書き換えるだけで済む</p><p>マルゴさんは、そんなことを考えていたのか</p><p>確かに、うちの学校の運営はミナホ姉さんと克子姉が牛耳っているんだ</p><p>どんな無茶な工作だって、その気になればできるだろう</p><p>いいの、あたしそうまでして、卒業したくない</p><p>それよりあたし、マルゴお姉ちゃんの夢のお手伝いがしたいの</p><p>マルゴさんの夢</p><p>マルゴお姉ちゃんミナホお姉ちゃんの復讐が終わったら、１人だけで行動するつもりだったでしょ</p><p>寧が、真っ直ぐにマルゴさんを見る</p><p>顔は穏やかに微笑んでいるが眼は、真剣だ</p><p>ダメだからねあたしも一緒だからコンビでしょ、あたしたち</p><p>マルゴさんと寧はお揃いの黒い革ジャンを着て、街のチンピラや不良を狩り続けた、悪名高き二人組だ</p><p>でも寧は</p><p>大丈夫よっケイとあたしにはもう、絶対に壊れない絆があるんだもんっそれに、マルゴお姉ちゃんの計画だって、ずーっとお屋敷から離れて、どっか遠くに行っちゃうわけじゃないでしょ基本的には、お屋敷をベースにして行動するんだよねっ</p><p>マルゴさんは、黙って寧を見る</p><p>何か考え込んでいるようだ</p><p>マルゴさんの夢って、何なんですか良かったら、教えて下さい</p><p>まだ、夢っていうほど具体的なものには、なっていないんだけれどね</p><p>あたしはあたしみたいな女の子を増やさないために、何かできないかって思っているんだ</p><p>インディアン居留地に生まれながら、金髪に青い眼の持ち主だったために酷い差別を受けた</p><p>そして、１２歳で実の父親を含む、男たちにレイプされ</p><p>自分の身を守るために相手を射殺した</p><p>今はあたしには、自分の身を守る技術があるから、大抵のことは怖くないあの頃のあたしが、闘う力を持っていたらあいつらだって、あたしを襲って来なかったろうし、あんなことにはならなかったと思うんだ</p><p>父親を殺したこと</p><p>それが、マルゴさんのコンプレックスになっている</p><p>だから世界中の悩んでいたり、大人に苦しめられていたりする女の子たちに闘う技術を教えてあげることができればいいなって思っているちょっとした護身術でも、知っていれば自信に繋がるから女の子たちが、おどおどせずに、胸を張って生きて行けるようになるんだよあたしがそうだったからマーシャル・アーツに出会って、あたしは本当に変わることができたから</p><p>そんな夢が</p><p>それって、道場とかジムを作りたいってことですか</p><p>それもあるけれどただの格闘技ジムじゃ、ダメだよねお金が無い子でも、通えるようにしないといけないし東京に一つだけジムを建てたって、みんなが来られるわけないしあたしは、世界中の子供たちみんなに届く活動にしたいから</p><p>世界的な夢なんだ</p><p>だから、まずはマルゴお姉ちゃんの知名度を高めないとね世界的に名前を売って寄付を集めるんでしょ国際的なムーブメントにしないとさ</p><p>女の子たちに力をマルゴお姉ちゃんの夢は、あたしの夢だよっあたしだって男の暴力で、家族を殺されたんだから</p><p>寧もまたシザーリオ・ヴァイオラという男によって、家族を殺されている</p><p>自分に闘う力があればってずっと思っていたよ</p><p>ケイだから、あたしマルゴお姉ちゃんのお手伝いがしたいのいいでしょ別にケイの側からいなくなるわけじゃないからあたしの家は、お屋敷だもん</p><p>うんお姉ちゃんが、そうしたいのならオレは応援するよでも、一年間だけでも高校生活は楽しんでよお姉ちゃんは、もっともっと幸せになって良い人なんだから</p><p>オレは寧の夫だ</p><p>寧が望むのならどんなことでも受けとめる</p><p>オレは克子姉とパン屋をやることに決めている</p><p>オレはこの街に根を下ろそう</p><p>そして、いつでも寧やマルゴさんが帰って来た時にくつろげる様に</p><p>オレたちの家を守り続けよう</p><p>マルゴさん、その夢の話ミナホ姉さんたちにはしました</p><p>まただよ復讐が終わるまでは余計なことは言わない方が良いと思って</p><p>時期を見て、話すべきだと思いますきっと、みんな協力してくれますよアイデアも出してくれるでしょうしそれに</p><p>オレたちの家族には、マルゴさんの夢に役立つ人材が揃っていると思いますよ</p><p>人材って</p><p>マルゴさんが、驚いた顔でオレを見る</p><p>例えば美智とか</p><p>国際的にアピールするなら、工藤流古武術は効果があると思いますよ</p><p>でも、美智ちゃんは</p><p>やらせますいえあいつは喜んで協力してくれますそういう子ですから</p><p>オレには、確信がある</p><p>美智は義の女だ</p><p>マルゴさんの夢の趣旨に賛同すれば人前で工藤流の技を晒すことは厭わないだろう</p><p>剣道なら、麗華だって教えられるじゃないですか頼んでみましょうかシスター・イーディの暗殺術は、ちょっと趣旨に反するかもしれないけれどとにかくマルゴさん一人で頑張る必要は無いんですマルゴさんの夢は、オレたち家族全員の夢ですから</p><p>オレは、ニコッと微笑む</p><p>そうだねっ美智ちゃんならニンジャ・ガールとして世界中で大人気になると思うよっ麗華お姉ちゃんだって、サムライ・レディだしマルゴお姉ちゃん一人よりも、インパクトがあるって</p><p>寧も、賛成してくれた</p><p>それはそうだろうけれど</p><p>マルゴさんは、深く考え込んでいる</p><p>とにかく、じっくり考えてみて下さい別に急いで答えを出さなきゃいけないことじゃないでしょ美智や麗華には、いつでもオレが話しますから</p><p>だけど、あたしがマルゴお姉ちゃんとのコンビをこれからも続けるっていうのは、もう決まりだからねっお姉ちゃんには、あたしみたいな可愛いマネージャーが居た方がいいんだからっ</p><p>寧が言う</p><p>寧の提案は嬉しいけれどあたしのマネージメントは、あたし自身でやった方が効率がいいよ</p><p>マルゴさんは強いだけでなく、頭も良い</p><p>確かに、個人マネージャーなんて必要無いのかもしれないけれど</p><p>判ってないなあ女豹みたいに鍛え上げられた、凛としたマルゴお姉ちゃんの横に、ゴージャスでエレガントなあたしが居るから絵になるんじゃない</p><p>寧は、クスクスと笑う</p><p>そうかそういう考えもあるね</p><p>とにかくコンビ解消はしないからね</p><p>寧は、強くマルゴさんに言った</p><p>それでこの後は、池田先生のところへ行けばいいのかな</p><p>うん足の間に、まだ何かが刺さっているみたいなのヒリヒリするんだあたしの大切な弟が、無茶なことをしたからっ</p><p>大丈夫、お姉ちゃん</p><p>寧は、オレを見て笑う</p><p>もおっ、ちょっと大げさに言っただけだよそんなに心配しないでっ</p><p>だって、お姉ちゃんの身体のことだから</p><p>寧は、オレを抱く</p><p>豊かな胸が、オレに押しつけられる</p><p>大事にしてくれて、ありがと</p><p>それから、マルゴさんに</p><p>あたしの大好きな弟がね妊娠するのは、まだ早いって言うのお姉ちゃんとしては、いつでも弟の性欲を満たしてあげないといけないから、身体のメンテナンスは怠れないよねっだから、やっぱり池田先生に診察して貰うっ</p><p>マルゴさんは苦笑して</p><p>了解じゃあ、車をそっちに向かわせるね</p><p>エンジンを始動させる</p><p>寧は、池田先生に電話して診察の予約をして</p><p>はーいあ、そうだついでに優花さんのお店にも電話して、今日予約できるかどうか聞かなきゃ</p><p>優花さんて美容室</p><p>あ、マルゴお姉ちゃんあたし、髪の毛、黒に戻すからケイが、黒い方か好きなんだってでも、大丈夫だよお姉ちゃんとのコンビの時は、ちゃんと金髪のカツラを被るからさっ</p><p>寧は、黒髪に戻す件をオレのせいにする</p><p>まあいいけれど</p><p>ちなみに、カラーコンタクトは外したままだ</p><p>ケースに入れて、持って来ている</p><p>やっぱりさ黒い森(ブラック・フォレスト)のコンビは、金髪同士でないとねっ</p><p>そう言って、携帯電話を取り出す</p><p>あ、ちょっと待って、マルゴさん</p><p>池田先生の医院に行くなら美智も連れてって貰えませんか</p><p>さっき美智の話をしたから思い出した</p><p>あいつも昨夜、処女喪失したばかりで</p><p>しかも、危険日なのに膣内射精しちゃってる</p><p>急いで診て貰わないと妊娠しちゃうぞ</p><p>ああ、そうだったねじゃあ、美智ちゃんを途中でピック・アップしよう美智ちゃん、今、青山斎場だっけ</p><p>多分、そうです今、みすずに電話して確認します</p><p>急いで取りあえず、青山方面に向かうから</p><p>青いマセラッティが、始動する</p><p>オレも急いでみすずに電話を掛ける</p><p>はい、もしもし</p><p>さっき貰ったばかりの携帯電話だ</p><p>みすずは、誰からの電話か判っていないようだった</p><p>もしもし、オレだみすず</p><p>ああ、旦那様っ</p><p>声が途端に柔らかくなる</p><p>あ、今使っているこの電話も臨時の携帯電話機だから昨日までの機械は、悪い奴らに調べられる可能性があるから廃棄することになったんだお前の電話も、換えた方がいい</p><p>かしこまりましたあたしと美智の分は、香月セキュリティ・サービスに処理させます</p><p>みすずは、反応が早くて助かる</p><p>その美智のことなんだけれど池田先生に連れて行きたいんだ</p><p>そうですねその方がいいですわね</p><p>今、どこに居るみすずの側に居るのか</p><p>はいここにいます瑠璃子たちも一緒ですわ</p><p>もう会場に居るのか</p><p>そこから美智だけ連れ出しても平気か</p><p>ええ、あたしたちの警護には関さんが付いてくれていますし隣の控え室には、お祖父様がいらっしゃいますから、谷沢さんや大徳さんたちもいらしています</p><p>香月セキュリティ・サービスの中枢部が、そのまま移動して来ているのなら心配は無いだろう</p><p>判ったそっちに付いたら、また連絡する</p><p>みすずの声が、小さくなる</p><p>美智と入れ違いでこちらの会場に残ってはいただけないでしょうか</p><p>瑠璃子と美子さんの状態が、不安定なんですあたし一人では</p><p>うわわ寧が安定したと思ったら、今度は瑠璃子か</p><p>まあ実の父親が亡くなったんだし</p><p>というか美子さんのお父さんを殺したのが、自分の父親だってことも判明してしまったんだっけ</p><p>瑠璃子の心は複雑だろう</p><p>長年姉妹の様に育った美子さんとの関係も微妙になってしまっているに違いない</p><p>判ったオレに任せろ</p><p>オレが何とかするしかないな</p><p>ああ、すぐに行くから</p><p>お待ちしております愛しています、旦那様</p><p>電話を切る</p><p>どうしたのケイ</p><p>青山で、オレは降ります瑠璃子が、落ち込んでいるらしいんです</p><p>寧も心配そうな顔をする</p><p>あ、でも、お葬式なんでしたっけオレ、こんな格好でいいのかな</p><p>オレは、昨夜ホテルに着ていったスーツにＹシャツのまんまだ</p><p>克子姉が直してくれた、ミナホ姉さんのお祖父さんの</p><p>生地や仕立てが良いという話だったけれど</p><p>やっぱりお葬式用の黒服じゃないと、入れて貰えないですかね</p><p>大丈夫だよ今日は、お通夜でしょお通夜は、礼服じゃなくてもいいことになっているから</p><p>寧が、教えてくれた</p><p>急に知らせを聞いて、慌ててやって来たっていう設定だから派手派手しいスーツじゃなければ、問題無いはずだよ</p><p>うん、君の着ているスーツはクラシック・スタイルだし</p><p>運転中のマルゴさんが、ミラー越しにそう言った</p><p>クラシックって</p><p>男の人のスーツには、大きく分けて、クラシックとモードの二つの種類があるのさクラシック・スタイルも、ブリティッシュとコンチネンタルとアメリカンに別れるけれどねで、このコンチネンタルというのも、フレンチとイタリアンでは全然違うし</p><p>そういうのは、渚さんが詳しいから、教えて貰うといいよ男の子は、知っておいて損は無いから</p><p>渚お姉ちゃんは、お花の世界の人だからねえ服装とかについての知識も必要なんだよ服って、礼儀作法に通じるからね</p><p>寧も、そう教えてくれた</p><p>でも、ネクタイだけは地味な物をした方がいいよねっ</p><p>うん、そこのコンビニで買おうかお葬式用のネクタイとかって置いてあるだろ</p><p>え、あるかなあ</p><p>コンビニによっては置いてあるよ</p><p>マルゴさんが、車をコンビニの駐車場に入れる</p><p>待ってて、あたしが買ってくるから</p><p>寧が一人、車から飛び降りる</p><p>あ、オレも行きます</p><p>いいからあたしに任せてっケイは、ここで待っていてねっ</p><p>寧はそのまま、店の中に突進した</p><p>ふふふ、姉さん女房がやりたいんだよ、寧は君の世話がしたくて、仕方がないみたいだね</p><p>姉さん女房という言葉にドキッとする</p><p>マルゴさんにはオレたちの秘密は見抜かれているのか</p><p>どんな魔法を使ったんだい</p><p>マルゴさんが、オレの眼をジッと見る</p><p>寧がコンタクトを外してきたんで、びっくりしたよあれは、寧の心のガードの一つだからね</p><p>マルゴさん判っている</p><p>寧は心の壁を一つ壊すと、すぐ先に次の壁があるどこまで行っても、壁があって、他人には本当の心を中々見せてくれないそういう子だったあたしやミナホ、恭子さんにもね</p><p>この数年ずっとそうだったんだ</p><p>どんなに人当たりが良く見える時だって、他人との間に大きな壁を作っていたそんな寧が君には素直だ今の寧は、君に対しては、心の壁が完全になくなっちゃったみたいに見えるよ</p><p>オレは自分の心を、ありのままに伝えたんです</p><p>君の心</p><p>オレは、寧さんが大好きです大好きです大好きですって寧さんも、オレの気持ちを受け入れてくれて</p><p>要約するとそうしか言えない</p><p>オレたちは愛し合っている</p><p>それを確認した</p><p>人生を上手くやっていくコツは三つある一つ目は、人に親切にすること二つ目は、人に親切にすること三つ目は、人に親切にすることだ</p><p>昔、イギリスの貴族でそういうことを言った人がいるらしいよ君の場合は、愛することと親切にすることが一緒なんだね</p><p>寧のことありがとうこれからも、大切にしてあげて</p><p>もちろんですオレの大事な人ですから</p><p>大事な人愛している人</p><p>大好きな人</p><p>オレの奥さん</p><p>あったよっマルちゃんの言う通りだったぁっ</p><p>寧が、黒いネクタイを買って飛び出して来る</p><p>その表情は、とっても明るく幸せそうだった</p><p>ほらっ、ケイ</p><p>車の中に乗り込んで、オレの首にネクタイを当ててみる</p><p>うんっ、可愛いっ</p><p>可愛いのは寧の方だよ</p><p>オレと寧は、もう離れない</p><p>身体の距離は離れても</p><p>心と心は、くっついたままだ</p><p>ということで、次話は青山へ行きます</p><p>ボリス・ヴィアンの小説にうたかたの日々というのがあります</p><p>今は、日々の泡というタイトルで翻訳し直されて出版されているのですが</p><p>日々の泡の方が、原題の直訳であるとはいえ</p><p>うたかたの日々というタイトルには、惹かれるものがあります</p><p>うたかたの日々、とても詩的で比喩的なイマジネーションで書かれていますが</p><p>愛する人が、植物化していく悲しみについて書いた小説です</p><p>映画版は、低予算過ぎて今ひとつでしたが</p><p>岡崎京子先生のマンガ版もあります</p><p>父が手術してから、あまり笑わなくなりました</p><p>表情がまったく消えてしまう時もあります</p><p>呆けるということは、心が消えることなのでしょうか</p><p>悲しいですね</p><p>ちょっとうたかたの日々のことを思い出します</p><p>もう父は、私の子供時代の家族旅行のことなどは一切覚えていません</p><p>自分の子供時代の話ばかりします</p><p>いずれは私のことも忘れてしまうのかもしれません</p><p>私の祖母たちが、そうであったように</p><p>写真を撮っておきなさいどうせみんな忘れてしまうのだから</p><p>と行ったのは、写真家のアラーキーさんです</p><p>ここ数年、その言葉に従って、父の写真を撮っておいて良かったなと思います</p><p>353．弔いの地へ</p><p>青山へ向かう車の中不意に運転席のマルゴさんが言った</p><p>白坂創介への復讐の件なんだけれどね</p><p>寧は、オレにぴったり寄り添ったままオレの手を擦っている</p><p>あたしたちは、自分たちが間違っているということは、よく判っているんだその上で、君に頼みたいことがある</p><p>言って下さいオレは何でもしますよ</p><p>アニエスを犯して欲しい</p><p>君も知っていると思うけれどアニエスは、白坂創介が自分の性的な嗜好を満たすために産ませた子だ生まれてからずっと、お屋敷の地下室に閉じ込められていて白坂創介に尽くすことしか教えられていない</p><p>12歳になるまで友達もいなく、学校にも通っていない</p><p>ミナホの復讐は白坂創介から何もかも全てを奪い取って、絶望のどん底に突き落とすことだすでに、社会的な地位を一族の後ろ盾を家族を、やつから奪った</p><p>国辱的ハレンチ野郎として日本中のマスコミに晒された</p><p>勤めていた広告代理店もクビだろう</p><p>白坂の一族は、白坂創介を見捨てた</p><p>妻とその実家も</p><p>二人の娘は、オレたちと一緒に居る</p><p>後は、アニエスだけだ白坂創介の眼の前で、アニエスを犯せばミナホの復讐は最後のステージに向かうことができる</p><p>何の罪も無い12歳のハーフ美少女を</p><p>オレが無理矢理レイプするのか</p><p>マナを最初にレイプした時と同じ葛藤が</p><p>オレの中に起こる</p><p>頼むよミナホの心を救ってあげてくれそこまで徹底的にやらなければ彼女の心の闇は晴れないと思うんだ</p><p>マルゴさんの気持ちはよく判るけれど</p><p>白坂創介によって、人生を狂わされた娼婦たちはみな</p><p>そこまでしなければ、許さないだろう</p><p>自分の家族の処へ、二度と帰れなくなった人もたくさんいる</p><p>ミナホ姉さんみたいに、家族を殺された人も</p><p>マルゴお姉ちゃんそうじゃないよ</p><p>寧が、オレの手を握ったまま言った</p><p>もう、そういうアプローチをしなくてもいいんだよケイにはね</p><p>ニコッと笑って、オレを見る</p><p>ケイアニエスのことも、幸せにしてあげてっ</p><p>どうせ、あの子だってケイが何とかしてくれないと、幸せになれない子なんだからっ</p><p>オレの手に、チュッとキスをする</p><p>オレにできるのかな</p><p>自信を持って、みんなを幸せにしてきたケイじゃない</p><p>類にそう言われると何とかしなければという気持ちになる</p><p>大丈夫だよあたしたちも、付いているからケイ、一人で頑張らなくていいからねっ</p><p>オレの一番新しい奥さんは、そう言ってオレを鼓舞してくれた</p><p>うんとにかく、やれることからやって見るよお屋敷に戻ったら、とにかくアニエスに会ってみる</p><p>それがいいよマルゴお姉ちゃん白坂創介の最終処分て、そんなに急ぐ必要は無いんでしょ</p><p>ゴールデンウィーク一杯は、時間を掛けられるよマスコミの注目が、少し収まるのを待つから</p><p>白坂創介のスキャンダルが報道されたのが一昨日</p><p>白坂守次氏の強制引退が昨日の夜報道は、今朝</p><p>ミナホ姉さんが白坂創介をどう最終処分するのかは、判らないけれど</p><p>あんまり立て続けじゃあ、警察やマスコミの追求が厳しくなる</p><p>数日、沈静期間を置くつもりなんだな</p><p>連休が終われば、通常のニュースも増えるから報道の取り上げ方も変わるだろうし</p><p>今日が５月３日だから今年のゴールデンウィークは、６日までだよねっ</p><p>今日を入れて残りは、３日と半日</p><p>それで、決めないといけない</p><p>まっ、何とかなるでしょっ</p><p>何でそんなに余裕なの</p><p>あなた自分がどれぐらいの時間で女の子を変えちゃっているか判っているの美智ちゃんなんて、１日ちょいだよっ</p><p>そうだ美智と会ったのは１日のお昼が初めてで</p><p>２日の夜には、思いっきり心月セックスしていた</p><p>メチャクチャだなオレ</p><p>だっから３日もあれば、ケイなら充分だって</p><p>寧は、笑ってオレの手に頬ずりする</p><p>寧が一番変わったよ</p><p>呆れた様子で、マルゴさんが言った</p><p>変わってないよあたしは、最初っからずーっとケイのことが大好きだもんっ</p><p>それは彼の方だよ</p><p>出会った初日からずっと、寧にメロメロだったものね</p><p>マルゴさんには、そう見えていたのか</p><p>何か、顔から火が出そうなくらい、恥ずかしい</p><p>そうだよっケイは、お姉ちゃんのこと、ずーっとずーっと好き好きでいてくれるんだもんっ</p><p>幸せそうに寧が微笑む</p><p>さて青山の葬儀場に着く</p><p>お葬式の会場としては日本一の広さというだけあって、なかなか凄い</p><p>もちろん、香月セキュリティ・サービスの制服組が警備をしている</p><p>山岡部長がクビになっちゃったのに制服の人たち、大丈夫なんですかねえ</p><p>その辺は、谷沢さんが何とかしているんでしょまあ制服の人は、上から言われたことをそのまま自分のアレンジを加えずにするのが仕事だからトップが有能なら、何とかなるものだよ</p><p>トップ・エリートの管理もして、制服組の指揮も執るんじゃ大変ですよね</p><p>仕方無いよ山岡部長に色々と問題があるのを知りながら、それでもあの人に期待をして、ずっと使い続けてきたのは谷沢さんなんだから昨夜、ああいう形で山岡部長を解雇したのも、谷沢さんだしね同情しちゃダメだからね</p><p>そうだよ責任ある立場の人が、責任を持って対処するのは当然だよ</p><p>そういう風にドライに考えないといけないのか</p><p>池田先生の医院、２時半に来て下さいってそれから、優花さんの美容室は、夕方４時の予約になったからだから、ちょっと時間あるしあたしたちも、みすずたちに会いに行こうよ</p><p>寧が、マルゴさんに言う</p><p>そうだねちょっと、様子を見に行こうか</p><p>ケイ、着きましたって、みすずに連絡してっ</p><p>寧に言われて、オレはすぐに携帯を掛ける</p><p>寧さんとマルゴさんも、オレと一緒にそっちへ向かうと告げる</p><p>みすずは、関さんを寄越してくれると言った</p><p>マルゴさんは、車を正面入り口に着ける</p><p>失礼致しますどちらへ行かれますか</p><p>受付の警備員が、運転席のマルゴさんに尋ねた</p><p>昨日の劇場の入り口を警備していた制服組より、ビッとしている</p><p>トップが変わると、こんなに違うのか</p><p>正面受付は、会場の顔だから谷沢チーフが信頼できる有能な警備員を抜擢したんだろう</p><p>君のとこのトップ・エリートの関さんに連絡してみてすぐに指示をくれるはずだから</p><p>どちらの部署の関でございましょうか</p><p>警備員は、聞き返す</p><p>仕事に熱心なのは判るけれど、あたしに対して、そういう探り方をすると、あなたのクビが飛ぶよ</p><p>マルゴさんは、冷ややかに警備員を見つめる</p><p>自分の眼の前に居る人間が、どういう立場の相手なのかきちんと洞察できる眼を見に付けたら</p><p>制服警備員は、すぐに</p><p>申し訳ございませんすぐに関に連絡致します</p><p>車から離れて、無線機で通話する</p><p>確認致しました正面からお入りになって、３番の駐車エリアにお進み下さい関がお待ちしているそうです</p><p>ご苦労様</p><p>マルゴさんは、車を葬祭場の敷地へ入れる</p><p>覚えておいて着ているものとか、乗っている車とか、そういうのが大事だってこと</p><p>やっぱり、そういうのは相手の格を知るための目安だからねこの車がマセラッティじゃなかったら、こんなにすんなりとは通してくれないよ</p><p>ベンツでもフェラーリでもなくもマセラッティを選ぶセンスとこれを日常の足として乗り回している雰囲気をちゃんと相手に伝えればねあたしたちが、特殊な階層に属している人間だってことは、おのずと想像できるはずだよ</p><p>ベンツなら、小金持ちでも乗っているし</p><p>日常でフェラーリを乗り回しているのは、ちょっとバカっぽい感じがする</p><p>このマセラッティは風格もあるし相当なお金持ちでないと乗り回せないのは、誰が見ても判る</p><p>しかも、マルゴさんはボディも車内も綺麗にしているし</p><p>それなのにあの人が探りを入れてきたのは、運転しているのがあたしだったからだよこれが、渚さんだったら、迷いなく、すぐに関さんに連絡してくれたろうね</p><p>やっぱり品かなあ渚さんなら、この車に合った気品が出せるから、上流階級の女性に扮することもできるけれどあたしには、無理だからねまだまだ車の格に負けているんだなあだから、あの警備員に舐められた</p><p>マルゴさんは、反省しているようだ</p><p>先生、ううん、御名穂お姉さんだったら、どうだった</p><p>寧が尋ねる</p><p>ミナホには貫禄があるからね</p><p>じゃあ、マルゴお姉さんも貫禄路線を目指せばいいんじゃないっ</p><p>そっちの路線は、突き詰めると恭子さんになっちゃうよ</p><p>マルゴさんは、笑う</p><p>もっとも、恭子さんならわざと警備員とトラブルを起こして楽しむんだろうねそういうイタズラが大好きだからあの人</p><p>うんよく判る</p><p>指示された駐車区画にはすでに関さんが来ていた</p><p>マセラッティは停車し、オレたちは車を降りる</p><p>わざわざ済みません</p><p>オレは、関さんに頭を下げた</p><p>あなた、大丈夫なの</p><p>開口一番、関さんはオレに尋ねる</p><p>はいもう平気ですみんなのお陰で、立ち直りました</p><p>オレはニコッと微笑んでみせる</p><p>そうごめんなさいね、あたしの不注意で</p><p>関さんは、オレにピストルを預けたことを後悔しているらしい</p><p>その銃でオレは、シザーリオ・ヴァイオラを射殺した</p><p>気にしないで下さいもう、済んだことです</p><p>オレはそう言い切る</p><p>あの時は、あれがベストの選択だったと信じています後から考えれば、他にもっと良い手があったのかもしれませんがあの瞬間のオレには判らなかったんだし、結果として家族が無事だったのなら、それで良かったんだと割り切ることにしました</p><p>そう言って貰うと助かるわ</p><p>関さんは、ホッとした顔をする</p><p>でも、覚えて置いてあたしは、あなたに借りがあるのよこの借りは、一生掛けて返していくから</p><p>いや、大げさですよ関さん</p><p>いいえ人を殺すということは、それぐらい重いことなのよ故意だろうが、無意識下の事故だったとてもあなたの心に黒い染みを作ってしまったことに代わりはないわ</p><p>関さんの言葉にマルゴさんは</p><p>そうだね乗り越えたつもりでも、じわじわと心に染み込んでくるよ突然、フラッシュ・バックしたりもするからね君は、完全に克服したとは思い込まずに気を付けた方がいいあたしたちも、注意するから</p><p>マルゴさん自身、12歳の時の正当防衛の殺人が今でもトラウマになっている</p><p>オレも暢気でいてはいけないな</p><p>大丈夫よあたしたちが、ずっと側にいるからねっ</p><p>寧が、オレの手を握ってそう言ってくれた</p><p>オレのことより瑠璃子は、どうなんです</p><p>カメラの映像とはいえ瑠璃子は実の父が、ミス・コーデリアに殺害される瞬間を見てしまった</p><p>ショックは大きいだろうと思う</p><p>控え室にいらっしゃるわよくない感じよ</p><p>心配そうに、関さんは言う</p><p>判りましたとにかく、そこへ向かいましょう</p><p>オレたちは、葬祭所の親族控え室に向かう</p><p>ところであたしの同僚は、どうしているの</p><p>廊下を歩きながら関さんが言った</p><p>えっと麗華のことですか</p><p>そうよあたしが、瑠璃子様やみすず様の警護に付かないといけないから藤宮さんをホテルに残したのにその後、連絡が無いんだけれど</p><p>えっと麗華がいないと困りますか</p><p>元々、あの人はトップ・エリートの中でも外れていて自分の担当する警護対象者が居なかったでしょだから、別にあの人がするって決まっている仕事は無いんだけれどこういう突然の事態には、フリーで動ける人がいると助かるのよあちこち、フォローに廻って貰えるから</p><p>そもそも、昨日、劇場で麗華がみすずたちの警護をすることになったのだって</p><p>トップ・エリートの中でフリーな立場だったからだろう</p><p>その上、女性だから女の子たちの警護に最適だったわけだ</p><p>みんな忘れているみたいだけれどあたしは、本来は閣下の専任警護人なんだからまあ、そっちは化け物二人が揃っているから心配は無いんだけれど</p><p>今の状況では、関さんはジッちゃんの警護人から降格させられて、みすずたちの警護をさせられているみたいに見えるのだろう</p><p>確かに、ちょっと問題だな</p><p>麗華は今は、ちょっと手が離せない状態で</p><p>何でどこにいるの彼女</p><p>渚のお花屋さんの手伝いをしているとは言えないなあ</p><p>でも、今日一日ぐらいは警護人の仕事から離れて欲しいし</p><p>麗華お姉さんはみすずちゃんの代わりに、どうしてもしないといけない仕事があって、そっちへ行ったよ</p><p>マルゴさんが、関さんに言う</p><p>みすず様の</p><p>ああ詳細は、ちょっと言えないけれど</p><p>みすずは渚の店で、アルバイトしていたから</p><p>忌引きでお店に来られないみすずの代わりに、渚の花屋で仕事していると言えないこともない</p><p>かなり、ツライ言い訳だけれど</p><p>そうなら、しょうがないわね</p><p>関さんは、納得してくれた</p><p>控え室に行くまでの経路には、何人もの警備員が立っていた</p><p>検問所のようなところが幾つもある</p><p>まあ、関さんと一緒だから、どこも顔パスで通して貰えたけれど</p><p>さすが、ジッちゃんの専任警護人</p><p>香月セキュリティ・サービスの職員には、よく知られているらしい</p><p>こちらの部屋よ</p><p>関さんはご親族控え室・３という部屋をオレたちに示す</p><p>ジッちゃんは</p><p>他のご親族の皆様たちと、控え室・１の方にいらっしゃるわ</p><p>そうか今日は、香月家の親族やグループ企業の人たちも来ているんだ</p><p>香月家の当主であるジッちゃんの息子が死んだんだもんな</p><p>あなたたちは、そちらには行かない方がいいわお通夜は夜からだけれど、もうかなりたくさんのご親族の皆様がいらっしゃっているから</p><p>そのうち、香月操や、香月仁たちや、その家族も来るんだろうし</p><p>オレが顔を出したら、また面倒なことになるかもしれない</p><p>この控え室・３は、あちらの控え室からは少し離れているから</p><p>関さんが、位置関係を説明してくれる</p><p>閣下が、他の方たちにこちらの控え室には来ないように厳命して下さっているわご親族の皆様も、瑠璃子様が重いショックを受けられて塞ぎ込まれていることはご存じだしあなたたちが部屋に入っても、誰にも気づかれずに済むと思うわ</p><p>それは助かる</p><p>みすずたちも、この部屋にいるんですね</p><p>ええいらっしゃるわみすず様も美子様も美智さんもこの中よ</p><p>そして、関さんはドアの脇に立てかけられていたパイプ椅子を取る</p><p>あたしは、ここで監視しているからゆっくり、お話していいわよ大丈夫、閣下以外の人は、絶対に通さないから</p><p>そう言って、関さんはオレたちに微笑む</p><p>オレは、礼を言って控え室のドアをノックする</p><p>みすずの声だ</p><p>オレだ</p><p>ギイとドアが開く</p><p>現れたのは、美智だった</p><p>お待ちしておりました、ご主人様マルゴお姉様も、寧お姉様もよく来て下さいました</p><p>ぺこりと頭を下げる美智</p><p>どうぞ中へお入り下さい</p><p>青山葬祭場は、大学時代の友人のお父様が著名な方だったので</p><p>お葬式に行ったことがありますが</p><p>さすがに控え室とかは知らないので</p><p>自分の祖父母の時の、別の地方の葬祭場を元に書いています</p><p>あんまり気にしないで下さい</p><p>お通夜なのに、会場入りが早過ぎる気もしますが</p><p>まあ、昼頃には親族は準備に入りますから</p><p>特殊なケースなので、遺体もすでに葬祭場にあると言うことにして下さい</p><p>354．第一次正妻戦争</p><p>控え室の中は、和室になっていて、襖で手前と奥に区切られていた</p><p>その入り口側に、みすずが居る</p><p>来たぞ、みすず</p><p>お待ちしておりました、旦那様わざわざ、申し訳ございません</p><p>畳に正座をして、三つ指を付いてスッと頭を下げる</p><p>マルゴお姉様、寧お姉様もありがとうございます</p><p>今日のみすずはいつもの制服姿ではなく、黒い喪服のワンピースを着ていた</p><p>美智の方は、制服なのに</p><p>今日は、あたし、あんまり目立ってはいけないと思いましたので</p><p>オレの視線を感じて、みすずはそう答える</p><p>今日は、瑠璃子の父親の葬儀だ</p><p>親族席に同じ制服を着た瑠璃子とみすずが並ぶとまるで、姉妹みたいに見えてしまう</p><p>だから、みすずの方が普通の喪服を着て、自分は他の親族の参列者の中に埋没しようという考えらしい</p><p>どうぞ、皆様お上がり下さい</p><p>オレたちは靴を脱いで、和室に上がる</p><p>あたしたちも様子を見に来たから、みすず</p><p>畳に上がった寧が、みすずを呼び捨てにする</p><p>それを聞いて、みすずはハッとする</p><p>寧の変化に気付いたらしい</p><p>寧はまだ、オレの手をギュッと握っているオレに身を寄せている</p><p>美智は、ドアの前に立ったまま何も言わずにオレたちをジッと見ていた</p><p>マルゴさんは、おかしな緊迫感の漂う空間に苦笑している</p><p>それで瑠璃子は</p><p>みすずの差し出してくれた座布団に座りながらオレは取りあえず、瑠璃子の様子を尋ねる</p><p>奥に、美子さんと一緒におりますすっかり、塞ぎ込んでしまって</p><p>そうか襖の向こうに居るのか</p><p>心配だな</p><p>無理に呼び出すのはよくないなちょっと、待とう</p><p>先に、話しておかないといけないことを</p><p>美智お前、これからすぐマルゴさんにお医者さんに連れて行って貰え女医さんが診てくれることになっているから</p><p>ええ、あたしも初めての時に診ていただいたわ池田先生は、とっても良い方よ</p><p>みすずも、美智に言う</p><p>しかし、わたくしにはみすず様の警護の仕事があります</p><p>美智は、何か妙に緊張している</p><p>お通夜は、夕方からだろう今は、まだお昼ぎ過ぎださっと行って、診て貰って、戻ってくればいい</p><p>ああ、あたしが車で送るよ</p><p>オレの言葉に、マルゴさんがそう付け足す</p><p>わたくし、このまま妊娠してはいけませんか</p><p>美智は、オレにそう言う</p><p>美智はまだ中学３年だろ</p><p>出産する頃には、高校生になっておりますっ</p><p>ならないよ今すぐ妊娠したら、出産は３月だから</p><p>美智の言葉に、寧さんが答える</p><p>どっちにしても早過ぎるよオレが許可するまでは、妊娠は許さないからな</p><p>ちょっと強めに言ってみる</p><p>昨夜は、もっと聞き分けが良かったのにどうしたんだろう</p><p>そうそうヨッちゃんのオッケーが出るまではダメだからね美智</p><p>寧さんをジロッと美智は見る</p><p>オレにベッタリくっついている寧さんに脅威を感じているんだ</p><p>判りましたでは、お医者様に診ていただき避妊処置をしていただきます</p><p>美智は、暗い顔で答える</p><p>それだけじゃないぞ美智</p><p>オレは、立ち上がる</p><p>あれ寧が手を離してくれない</p><p>姉さんちょっと離して</p><p>あ、ごめーんっ</p><p>みんなの前では、ヨッちゃんと姉さんそういう設定だったうん</p><p>オレは、そのまま美智の方へ行く</p><p>美智こっちに来い</p><p>美智は、靴脱ぎの縁に居るオレの前へ</p><p>オレは、膝立ちになって、美智を迎える</p><p>美智お前、あの後、身体の具合はどうだ</p><p>すこぶる元気でございます</p><p>でも、診て貰わないとダメだお前は我慢強いし、痛みにも耐えられるがそれで、身体を悪くしてしまうこともある</p><p>オレは、そのまま美智の小さなお腹を触る</p><p>お前の身体は、一生大切にしたいんだちゃんと処女膜は綺麗に破れたのか、膣の中が傷ついたりしていないか、きちんと診て貰え</p><p>お前の身体が心配なんだ大切にしろ美智の身体は、もう美智一人のものじゃないからな</p><p>美智が、身体を震わせる</p><p>はいわたくしの身体は、全てご主人様のものです</p><p>そうじゃないオレだけじゃないんだよ</p><p>美智が、えという顔で、オレを見る</p><p>美智の身体は将来のオレたちの子供にとっても大切なものだろう</p><p>オレは美智を抱き寄せその可愛いお腹を撫でてやる</p><p>オレだって美智には、オレの赤ちゃんを産んで欲しいでも、それは今すぐじゃない今はまだ早い</p><p>早くはございません美智の身体は、もう大人です</p><p>処女を失い、女になったばかりの美智は、そう言うが</p><p>身体だけじゃない心もだそれから、知識も知恵もいる美智、ゆっくりでいいから、ママになるための準備をしろお前の中に、たくさん積み重ねるんだ</p><p>ママになるための準備</p><p>そうだオレは、オレの両親は、親になる準備をしないまま、オレを産んでしまったんだと思う</p><p>さっきまで寧といたオレの家が、フラッシュ・バックする</p><p>多分オレの死んだバァちゃんは、親になるための積み重ねがしっかりできていた人なんだと思うそういうバァちゃんに、幼い頃育てられたからオレは、おかしくならないで生きてこられたんだと思うんだ</p><p>それはわたくしにも、覚えがありますわたくしも、祖父母に育てられましたからそれに</p><p>美智が、悲しそうな眼でオレを見る</p><p>わたくしの両親も親になるための積み重ねが足りないまま、子供を産んでしまった人間だと思いますから</p><p>美智の両親はできちゃった結婚だっけ</p><p>それで工藤父は、工藤流の修行途中だというのに、裏稼業を始めるしかなかった</p><p>その上、次々と子供を作り</p><p>一番年下の美智は、祖父母に預けるしかなかった</p><p>そうですね、わたくしと同じ様な悲しみを、ご主人様の赤ちゃんに味わせてはいけませんね</p><p>わたくしは母のような女には、なりたくありませんから</p><p>美智の母はいい年をして、夫以外の男と不倫をし</p><p>しかも、その浮気相手を甘やかせてダメにしてしまい</p><p>二人とも、会社を解雇された</p><p>全て、ご主人様のおっしゃる通りに致しますわたくしご期待に沿えるよう、頑張りますご主人様が、わたくしに母親となれるだけの資質を充分身に付いたとご判断いただけるようにわたくしがその域にまで達した暁には、どうぞわたくしを懐妊させて下さいよろしくお願い致します</p><p>美智が、潤んだ瞳でオレに言う</p><p>美智愛しているぞ</p><p>オレの心が溢れて零れる</p><p>お前は可愛いいい女だな、美智</p><p>オレは美智とキスをする</p><p>ご主人様わたくし</p><p>紅潮した顔で、美智が言った</p><p>嬉しくて濡れてしまいました</p><p>子宮がご主人様の精子を呑みたいって言っております</p><p>それってあの</p><p>ご主人様があんまりにも、優しいお言葉を下さるから、わたくし</p><p>美智は、オレの口に舌を差し込む</p><p>オレの舌と絡めてお互いの粘膜の感触を楽しむ</p><p>抱いて下さいませ今すぐ</p><p>美智の眼が熱く、濡れている</p><p>でもお前これから、婦人科のお医者さんに行くんだから</p><p>今、セックスしたら</p><p>診てもらっている最中に割れ目から、精液が零れ出て来るぞ</p><p>わたくしは構いませんむしろ、はっきり見ていただきたいぐらいです</p><p>美智はちょっとマゾっ気が強い</p><p>池田先生なら大丈夫ですわあたしの時も、旦那様に処女を捧げた直後でしたから垂れてきましたが、先生は平然としていらっしゃいましたから</p><p>みすずが、笑ってそう言う</p><p>そりゃ、娼館の黒い森と提携しているお医者さんだから</p><p>そういう状況には、慣れているんだろうけれど</p><p>というか何か、オレの方が恥ずかしくなってきた</p><p>オレはまだ池田先生というお医者さんには会っていないのに</p><p>オレの精液だけは、何度も見られているというのは</p><p>しかも、毎回別の女の子だし</p><p>あ寧もさっきしたばかりだから</p><p>下手をしたら、二人連続で性器から精液が垂れるのを診察されることになる</p><p>ヨッちゃん、凄いねモテモテだねっ</p><p>寧が、ジトッとした眼でオレを見ている</p><p>ていうか膣内射精以外、頭の中に無いのが偉いっすっごいね、ヨッちゃん</p><p>何か、この感じは</p><p>寧は、オレが美智と抱き合っていることに嫉妬しているの</p><p>今までずっと家族の中で一人だけ離れた位置に居たというか冷めた眼で状況を見ていた寧が、みんなの中に入ると</p><p>こんなにも、素直に自分の感情を露わにするようになった</p><p>それはそれで、とても良いことだけれど</p><p>いや、でもあのとにかく、今はダメだ</p><p>オレは、美智に言った</p><p>どうしてですか、ご主人様</p><p>美智は、オレに小さな胸を擦り擦り押しつけながら言う</p><p>だってここは葬祭場で、もうすぐお葬式なんだろこんな処じゃあ</p><p>わたくしは構いません</p><p>まだ式にまでは時間がありますしここには、絶対に誰も入って来ませんよ旦那様</p><p>美智の次に、あたしもお願いします、旦那様</p><p>え美智の発情が、みすずにも飛び火している</p><p>美智だけは、ズルいですっ</p><p>じゃあ、ヨッちゃん、あたしもっ</p><p>寧が、みすずと美智を見てニターリと微笑む</p><p>あんたたちばかりに良い思いはさせないんだからねっ</p><p>あら寧お姉様こそ、今まで旦那様とお楽しみでいらしたんではございませんかっ</p><p>みすず見抜いている</p><p>寧お姉様匂いが変わられました</p><p>随分とご主人様との距離を縮められたようでございますね</p><p>気を測れる美智には完全にお見通しだろう</p><p>オレと寧との関係が、大きく変わったことは</p><p>そうだよーんっヨッちゃんとあたしは、もうベットベトにくっついて離れないんだからっ</p><p>寧がそう言って、二人に牽制する</p><p>いえ、現在物理的にご主人様とくっついているのは、わたくしです</p><p>美智はそう言って、オレをギュッと抱き締める</p><p>あっ、美智、ずっるーい</p><p>あたしも、旦那様とくっつきますっ</p><p>寧とみすずが、オレの処にドカドカと集結する</p><p>ヨッちゃぁーんっ</p><p>旦那さまぁっ</p><p>ご主人様っ</p><p>あ、マルゴさんが呆れた眼でオレたちを見ている</p><p>で、誰からするあたし、あたし、あたしぃっ</p><p>順番を守って下さいっ美智、あたし、寧お姉様の順ですっ</p><p>そんなのヨッちゃんに決めて貰おうよっ</p><p>寧とみすずの間に、火花が飛ぶ</p><p>ヨッちゃんは誰からしたい</p><p>いやいやいや</p><p>誰ともしないってダメだよこんなのダメに決まっているだろみんな、ちょっとは瑠璃子の気持ちを考えろよ</p><p>これから、お父さんのお葬式だってのに</p><p>控え室で、セックスなんて始められたらたまらないだろう</p><p>変な感情の盛り上がりと対抗心で、みんなおかしな方向にいっちゃってるぞ</p><p>わたくしは、気に致しませんわお兄様</p><p>スーッと奥の襖が開いて、瑠璃子が顔を出す</p><p>いつもの名門女子校の中等部の制服姿だ</p><p>やはりちょっと元気が無い</p><p>タオルケットと枕があるから畳の上に横になっていたんだろう</p><p>瑠璃子の後ろには、美子さんが控えている</p><p>美子さんは、みすずと同じくシンプルな黒の喪服を着ていた</p><p>やはり、葬儀の席で瑠璃子を際立たせるために同じ学校の制服を着るのは、避けたのだろう</p><p>皆様ご挨拶が遅れまして、申し訳ございません</p><p>瑠璃子は、スッと頭を下げる</p><p>いや、あのこちらこそ</p><p>オレは瑠璃子の方を向いて、頭を下げる</p><p>寧とみすずが、スススとオレの方に寄ってくるというか、ぴったりくっつく</p><p>右が寧左がみすず</p><p>オレの背中には、美智が身体をくっつけている</p><p>何だオレは、押しくらまんじゅうの中心か</p><p>原子核か</p><p>瑠璃子、起きても平気なのか</p><p>オレは寄って来た女たちを無視して、瑠璃子に尋ねる</p><p>はい特に身体の具合が悪いわけではございません少し、気持ちが沈んでいるだけでございますわ</p><p>瑠璃子は、答えた</p><p>お兄様こそ、お元気で何よりですわたくしも、みすずお姉様も、とっても心配しておりました</p><p>瑠璃子たちはオレが、シザーリオ・ヴァイオラを射殺して、気を失ったところまでしか知らないんだな</p><p>壊れたエレベーターの制御ユニットを直して地下の緊急避難室から外に出るのには、相当に時間が掛かったろうし</p><p>脱出後は、すぐに父の家に戻ったはずだ</p><p>香月重秋は、あのホテルではなく、自宅で急死したことになっているのだから</p><p>オレも朝は、精神的にダウンしていたんだけれど、色んな人が助けてくれて何とか立ち直った</p><p>そうでしたかそれは、よろしゅうございました</p><p>あ、本当に元気が無い生命力が尽きかけている</p><p>後ろの美子さんも、心配そうな顔をしている</p><p>こりゃ真緒ちゃんを連れて来るべきだったかもしれない</p><p>幼女は、万病に効くからな</p><p>瑠璃子お父さんのことは、本当に残念だったな</p><p>オレには、そんな風にしか言えない</p><p>父のことは仕方ございません</p><p>瑠璃子はうつむいて、そう答えた</p><p>香月の家を守るためにはお祖父様のご選択は正しいと思います家やお祖父様に対して、裏切る同然の行為を働いていたのは父ですから</p><p>シザーリオ・ヴァイオラを使っての、兄の暗殺</p><p>香月昇や角田の父を配下にして、香月グループの中でも色々と画策していた</p><p>香月セキュリティ・サービスの中におかしな連中を紛れ込ませていたのも、瑠璃子の父だ</p><p>それにわたくしは、子供の頃から父とはそんなに接してきておりませんからわたくしが日常の生活を共にしてきたのは、美子でございます</p><p>ジッちゃんはずっと、次男の野心に気付いていた</p><p>だから、孫娘たちは自分が直接教育すると言って、親から引き離した</p><p>みすずお姉様は、ご両親と一緒の家に住んでおられますがわたくしは美子と、お祖父様のおられる本家の屋敷で暮らして参りました</p><p>そこまでして、ジッちゃんは瑠璃子に香月重秋が接触しないようにしていたのか</p><p>ですからわたくし、父が亡くなったことについては、あまりショックではないのですあの方は、わたくしの生物学上の父ですが個人的な思い出は、ほとんどございませんから自分の父親でありながら、何だかとても遠くの存在に感じて参りました</p><p>たまに父に会って、話をしても父とは感覚が合わないんです言葉が噛み合わないというか、心が合わないというか父が本当はどういうつもりで話をしているのかお顔の裏に、どんな感情が隠されているのか少しも判らないんですただただ、あの人の品の無さが気持ち悪く感じられて</p><p>瑠璃子と父親の関係は完全に破綻していた</p><p>さっき襖越しに、お兄様と美智さんのお話を聞いておりました</p><p>えっとどの話だ</p><p>今すぐセックスするとか、しないとかかロクでもないことしか話していないと思うんだけれど</p><p>わたくしの父も人の親になる準備のできていない方だったと思います</p><p>ああその話か</p><p>そして昨夜、父の本性をまざまざと見せられて改めて、情けない方だったと思います父の死は、自業自得です香月グループを混乱させ結果的に、お祖父様に、司馬さんや多くの方たちの前での処刑を選択するしかない無い状況に追い込んだのも、父自身です</p><p>香月重秋は昨夜、羽田空港で、司馬沖達氏を襲わせた</p><p>次代の香月グループのトップになりそうな、司馬氏を暗殺するつもりだったんだ</p><p>香月重秋の方から先に仕掛けた以上ジッちゃんとしたら、司馬氏の眼の前で重秋を殺さなければ、グループの長として示しが付かない</p><p>ジッちゃんも辛かったろうと思う</p><p>わたくしはあんな男の娘なのですね</p><p>ぽつりと瑠璃子が呟く</p><p>わたくしは父とは違う人間です父とは離れて暮らしてきましたし父の生き方、考え方に何一つ影響されてはおりません</p><p>なのにわたくしは、自分の中に流れる父の血を強く感じるのです</p><p>血</p><p>父は謀略好きで、人を陥れることばかり考えていてそういう人だったと思いますそして、わたくしも人をどう動かすか、自分の言動がどう人に影響を与えるかいつも、そんなことばかり考えている心の醜い女です</p><p>瑠璃子は自分の心の中に、父に似た部分を感じている</p><p>ですから、わたくしは怖いんですこのままでは、わたくしきっと皆様に害を与えますみすずお姉様や、美子お兄様や、黒森家の皆様にもきっと</p><p>瑠璃子は、ブルッと身を震わせる</p><p>わたくしが原因で香月家の中に乱を起こすわけには参りませんでも、わたくしの中の血が心の醜さが皆様に迷惑を掛けるのではないかと瑠璃子は、それが恐ろしいのです</p><p>瑠璃子はそんなに、いつも頭の中で画策しているのか</p><p>はいわたくしは、いつもほとんど他人に本心を語りません何をどう話せば、相手が自分にとって有利に動くかそんなことばかりを考えています</p><p>確かに瑠璃子の言動は、いつもつかみ所が無い</p><p>そうかあれは、本心を語らず</p><p>常に相手の言動に対して、相対的に反応しているからか</p><p>じゃあオレたちの家族になってくれるって約束したのは嘘だったのか</p><p>いいえそれは、そうした方が香月家にとっても、わたくし自身にとっても良いことだろうと判断したからですその決意は、今も変わりませんただ</p><p>瑠璃子は、オレを見る</p><p>何でもかんでも利だけを見て、行動する自分が情けないのです</p><p>ああこの子は</p><p>まだ、心からオレたちの家族になっていない</p><p>いや瑠璃子は、まだ一人ぼっちなんだ</p><p>世の中に、自分と他人しかいない</p><p>だから自分にとっての利だけで、反応する</p><p>相手との相対的な関係だけに注目し、場の状況を見て発言する</p><p>そういう子なんだ</p><p>わたくし、今後、自分がどう生きていくべきなのかこのままでいいのか、それが判らなくて恐ろしいのです</p><p>このままではいずれ、みすずお姉様との間で後継者争いを引き起こすことになりますわたくしが望まぬともわたくしを担ぎ上げようとする人々は、次々に現れるでしょうし、わたくし自身も権力闘争を楽しみだすかもしれません</p><p>瑠璃子の言葉は、止まらない</p><p>そういう邪な心がわたくしにはありますわたくし自身の時には抑えきれるかもしれませんが子供の代になったらわたくしは自分の子供を当主にするために、みすずお姉様のお子様に酷い仕打ちをするかもしれません</p><p>瑠璃子はまだやってもいない自分の罪を恐れている</p><p>瑠璃子は瑠璃子なんだお父さんとは違うんだぞ</p><p>でもわたくしの血は</p><p>瑠璃子は、ジッと手を見る</p><p>わたくしの中には、そういう汚い血が流れているんですお父様の</p><p>瞬間寧が叫んだ</p><p>そんなもの無いってーのっ</p><p>瑠璃子が寧を見る</p><p>邪な血バッカじゃないの、あんた</p><p>あなたにはお判りにならないのです</p><p>瑠璃子が反発する</p><p>ああ、判らないよねっあんたみたいな夢の世界に居るお姫様の夢の話には付き合ってらんないよっ</p><p>遅刻しそうなので、もう行きます</p><p>355．ざ・らいばる</p><p>血が何だって言うんならあんたの家は、お祖父さんの段階から陰謀・裏工作大好きっ子じゃないっ</p><p>そうだ、寧の言うとおりだ</p><p>香月重秋が、どれだけ邪な計画を遂行していたとしても</p><p>ジッちゃんには敵わないいや、敵わなかった</p><p>全てにおいて、香月重秋の上を行き司馬沖達氏は助かったし、重役会の中の裏切り者も炙り出した</p><p>陰謀家としてはジッちゃんの方が、遙かに上だ</p><p>確かに、おっしゃる通りですそういうお祖父様がいらしたから、父の様な人間が生まれ、また、わたくしにもその血が引き継がれているのです</p><p>瑠璃子は、そう答える</p><p>そうじゃないってのっこのバカ娘っ</p><p>寧が、激しく瑠璃子を叱りつける</p><p>お父さんとかお祖父さんのせいにするんじゃないわよっ単純に、あんた自身が悪巧みが大好きってだけでしょ血がどうのって話じゃないわよっあんた自身の問題じゃないっ</p><p>寧の言葉に瑠璃子は大きく眼を開く</p><p>それにねあんたはもの凄ーく自分自身の評価が高いみたいだけれどあんたの悪巧みなんて大したレベルじゃないのよ腹黒さだったら、あたしの方が全然上だからねっあんたみたいな、お嬢様がどんなに悪ぶってみたところで、あたしたちからしたら悪者ごっこをしている幼稚園児にしか見えないんだから悪いんだけれどあんたが思っているほど、世の中は甘く無いんだよっ世間知らずのお嬢様が、ナマイキなこと言っているんじゃないってのっ</p><p>寧は、凄い剣幕だった</p><p>何でこんなに怒っているんだ</p><p>瑠璃子は、すっかりうろたえている</p><p>色んな事がいっぺんにバタバタと起こったからね気持ちが不安定になっているのは判るよでもね</p><p>ずっと話を聞いていたマルゴさんが、瑠璃子に言った</p><p>君は、君自身の心を保つためにメチャクチャな理屈を持ち出しただけだよ君は少しも陰謀家じゃないし人の反応に合わせて、対応することなんて誰でも普通にやっていることだ血がどうのとか言ってたけれどじゃあ、君も誰かを陥れるために、殺人依頼とかしたことがあるわけ</p><p>ございません</p><p>そうだあるわけがない</p><p>君は、人の顔色を見て対処することがいけないことみたいに言ったけれどあたしが見てきた限り、君はいつも相手の気持ちを理解して、あいてが喜ぶように応対していたと思うよ心の汚い悪い人間どころかとっても良い子だと思っているけど</p><p>マルゴさんの言葉に、瑠璃子は</p><p>いいえ、わたくしは悪い女です出来の悪い娘です</p><p>だっからさあ、そういう態度で人の気を惹こうとするのやめてくんないっ</p><p>寧がまた、瑠璃子を責める</p><p>つーか、こんなの子供に言っても無駄かみすず、あんたが甘やかすからいけないんだよっ</p><p>寧はギロッとみすずを見る</p><p>あんたがちゃんと叱ってあげないといけない時に、叱らなかったらこういう甘ったれた子になっちゃっているんだそれから、そこの女もっ</p><p>寧の視線が、美子さんを射貫く</p><p>わたくしでございますか</p><p>あんたさあ自分も香月のお祖父ちゃんの孫の一人だって、もう知ってるわけでしょみすずや瑠璃子とは、同じ立場だよね</p><p>いいえわたくしは、あくまでも瑠璃子様のお付きですから</p><p>寧がジトーッと、美子さんを見る</p><p>だから何</p><p>子供の頃から、ずっとそういう立場で生活して参りました今更、香月家の血筋と知らされましてもわたくし自身には、関係ございませんこれまで通り、瑠璃子様にお仕えしていくだけです</p><p>あーん、本当に</p><p>寧がさらに、突っ込む</p><p>は、はいわたくしの本当の父を重秋様が謀殺なさったことなど、少しも気にはしておりません</p><p>寧は、ハッと鼻で笑う</p><p>してるじゃんしてるから、そんなことを言うんでしょ</p><p>いえ、わたくしは瑠璃子様が、そのことでお心を痛めていらっしゃるのではないかとそれが心配で</p><p>そういうのを気にしているって言うんだよっ</p><p>寧が、グサッと言葉を投げ掛ける</p><p>瑠璃子と美子さんを睨んで</p><p>あんたも、あんたも自分の方が世の中の誰よりも聡明だと勘違いしてさっ大人を舐めんなよっ</p><p>寧の怒りが炸裂する</p><p>わ、わたくしは別に</p><p>そうですそんな風には、思っておりません</p><p>瑠璃子と美子さんは、反論しようとするが</p><p>瑠璃子さんはね世の中の色んなことを深読みしようとし過ぎているだけなんだよそれでいて、他の人たちのことを信用していないから自分から、自分の立ち位置を定めようとアプローチしているんだただそれだけのことだよ</p><p>確かに香月家のお嬢さんなら、悪い人も寄って来るだろうし、色々と警戒はしなくちゃいけないだろうけれど世の中、悪い人ばかりでもないよ信頼できる人は、信用するべきなんだろうね</p><p>それだけじゃないよこの子、お嬢様として自分は高い身分に居るって思っているから他人が自分の人生の行く末に影響を与えるのではなく、自分が自分の人生の全ての選択権を握っていると思っているだから、考え方が高飛車なんだよっ一人っきりで生きていると勘違いしているから、こんなバカな考え方になるんだ</p><p>寧の言葉は、厳しい</p><p>いいかい、どんな人だってね他の人たちと、アクセスして繋がって生きているんだよっお互いに影響し合って生きているんだっあんたみたいな子供の悪巧みに唆される様なバカは、そうはいないから世の中の人たちは、あんたが考えているよりずっと利口だし、強(したた)かなんだからねっ</p><p>マルゴさんが、割って入る</p><p>一例を挙げよう例えば香月さんは、君の性格をよく理解しているだから、香月さんは、遺産の配分でみすずさんにだけ、香月グループを実効支配する株式を残すことにしたんだ君には、金銭や土地が残されるが香月グループへの影響力を持つような資産は無いだから、君がお得意の考えすぎで、香月グループに何らかの陰謀工作を行うことはできないわけだ君が、受け継いだ資産を悪い人の口車に乗って、失うことがあったとしてもそれはあくまでも、君の自己責任での問題香月グループには、波及しないグループ企業で働く人たちに迷惑が及ばないならば、それでいい香月さんは、そこまで考えていると思うよ</p><p>わたくしには、企業経営は向いていないと</p><p>向いていないね君は、あんまり人の話を聞かないで、自分の見知った範囲の判断だけで、独断専行するタイプでしょいや、君が頭が良いのは知っているし、分析力も判断力もあるのは判っているただ、圧倒的に自分から、物事の実態を知ろうと対象に近寄って行く能力が不足している君は、いつだって自分の居るところから一歩も動こうとはしない上から見下ろしてそこから見えることだけで、物事を判断しようとする傾向が強いね</p><p>君と知り合ったばかりのあたしにだって、それぐらいのことは見えているんだよ君は、自分の本性は隠しているつもりみたいだけれどほとんどの大人には、お見通しさ君がどんな子が判っている上で君に応対している君が人の顔色を見て、相手に合わせている様に相手だって君に合わせてくれているそのことに、気付くべきだと思うな</p><p>それから、美子さん君は思考停止し過ぎ瑠璃子さんにお仕えする云々はいいけれど本当は、どうしたらいいのか判らないんでしょ心の中では混乱しているのにとりあえず今まで通りのポジションに居れはいいって思考停止しちゃっているんだよねそのうちに自分の行く末は誰かが決めてくれるだろうそれまでは、何も考えないで待つっていうのは、あんまり褒められた態度じゃないと思うよ</p><p>わ、わたくし</p><p>マルゴさんの言葉に、美子さんは困惑する</p><p>だから香月さんは、君には何一つ遺産を残さないことにしたんだ君に何か残しても君は自分でどうにかしようっていう意志は無いから、誰かに奪われるだけだろうからね多額な資産や香月家の家名は、君を幸せにはしない君がそういう性格だって判っているから香月さんは、君を自分の正統な孫として法的に認知はしないし、遺産も残さないんだ</p><p>そうか、だからジッちゃんは</p><p>大丈夫だよ美子さんのことは、一生、みすずさんが支援するだろうからみすずさんが、香月さんから引き継ぐ遺産の中には美子さんの保護も入っているはずだよ当主を継ぐということは、一族に対する全ての義務も引き継ぐということだからね</p><p>はい美子さんのことは、あたしが全て良いように致します</p><p>いえ、みすずお姉様美子は、わたくしのお付きです美子のことは、わたくしが致します</p><p>瑠璃子が、反射的にそう答えるが</p><p>違うよっ美子さんは、あんたの従姉だよあんたの家来じゃないんだからねっ</p><p>寧が、強い声で言う</p><p>あんたがそういう風にしか、美子さんのことを見られないからだから、香月のお祖父さんは、美子さんをみすずに託すしかないんだっ</p><p>寧の言葉に、打ちのめされる瑠璃子</p><p>もう１回言うけれどやっぱり、みすずがいけないよこういうのは、あたしたちが来る前に年長者の姉であるあんたが優しく諭しておいてあげることじゃないか</p><p>寧が、みすずを見る</p><p>申し訳ございません寧お姉様の、おっしゃる通りだと思います</p><p>みすずは、あっさりと自分の非を認める</p><p>何でもかんでも、ヨッちゃんに背負わせちゃダメだよあたしたちでできることは、どんどんやっていかないとヨッちゃん、倒れちゃうよっ</p><p>あたしちゃんと、みんなの姉をやることにしたから憎たらしいって思ってくれていいよだけど家族の年長者として、言うべきことは言っていくしやるべきことは、やっていくからね</p><p>寧は、そう覚悟を示す</p><p>はい本当に申し訳ございません</p><p>みすずが、寧に頭を下げる</p><p>うん罰として、みすずにはしばらく、変な仇名を付けることにするからっ</p><p>うんと恵美押勝(えみのおしかつ)とアバデデ・グリマデとアルベオ・ピピニーデンと偉大なるワンドゥードル最後の一匹の中から、好きなのを選んでっ今日からその名前で呼ぶからねっもう家族全体で徹底させるからっ</p><p>ニタァーっと、寧はみすずに微笑む</p><p>あの寧</p><p>何ですか、その仇名は</p><p>あの寧お姉様</p><p>みすずが、真剣な顔で尋ねる</p><p>なあに、決まったのっ</p><p>いえあたし、恵美押勝以外は、良く知らない名前ばっかりなのですが</p><p>あらそっあたしが言い出しておいて何だけどあたしは、恵美押勝だけ、何だか判っていないから多分、教科書で見た名前だと思うんだけれど</p><p>姉さん恵美押勝、知らないの</p><p>寧は、ギョッとして</p><p>えっヨッちゃん、知っているの</p><p>知ってるよ恵美押勝って、藤原仲麻呂のことじゃないか</p><p>それって中国へ留学へ行ったまんま帰って来れなかった人</p><p>それは、阿倍 仲麻呂</p><p>ヨッちゃん、何でそんなこと知っているの</p><p>いや、だってオレ、ついこの間まで受験生だから</p><p>今の高校は、ちゃんと入学試験を受けて入ったんだ</p><p>受験勉強ぐらいは、やっている</p><p>うそぉっ、ヨッちゃんて勉強とか全然できない子だと思っていたぁっ</p><p>おい、おい、おーい</p><p>姉さんこそ、学校の勉強とかちゃんとやっているの</p><p>何か、すごい不安になってきた</p><p>寧は帰国子女だしシザーリオ・ヴァイオラに監禁されていた時期もあるし</p><p>あたしはほら、授業サボってることが多いから</p><p>寧が、高校を卒業しないと言った理由が判った</p><p>卒業しないじゃなくって、卒業できないんだ</p><p>もう、そんな眼で見ないでよおっ判ったわよヨッちゃんに心配掛けないように、勉強するからぁっ</p><p>寧が、擦り擦りとオレに身体を押しつける</p><p>豊満な胸が、オレの腕に当たる</p><p>あ、当たってますよ</p><p>へへっ、当ててるんだもーんっ</p><p>そんな寧を見てみすずは</p><p>寧お姉様あの</p><p>ん何よ</p><p>寧が、みすずに振り向く</p><p>寧お姉様どうして、あたしに厳しくなさることになされたのですか</p><p>なあにみすず、不満なの</p><p>いいえただ、突然、変わられたので戸惑っています</p><p>寧は、ニコッと微笑んで答える</p><p>みすずは、ライバルだと思っているからあたしっ</p><p>そうヨッちゃんの正妻の座を狙う強力なライバルよね、あたしにとっては</p><p>寧が、そう宣言する</p><p>だから、正々堂々と真っ正面からぶつかることにしたの切磋琢磨しましょうっヨッちゃんのためにはあたしたちは、あたしたちでお互いを磨き上げていくべきだと思うのよっ</p><p>みすずが、ジッと寧を見る</p><p>そういうことで、ございますか</p><p>そうよっ昨日までの状態だとあたしたちが、ヨッちゃんにフォローして貰うばかりでしょこのままだとヨッちゃんに甘えるだけの女の集団になってしまうわそれだと、ヨッちゃんが可愛そうでしょあたしたち、協力し合うことはもちろん大事だけれど競い合うことも必要だと思うのっ</p><p>誰が、旦那様の正妻に相応しいかということですね</p><p>うっふふーんっそういうことだよんっ</p><p>申し訳ございませんが、それはわたくしでございます</p><p>オレの背中で、美智が呟く</p><p>美智お前ずっと、オレの背中にしがみついているけれど</p><p>ご主人様の正妻はわたくしがなります</p><p>みすずが、美智に微笑む</p><p>いいえっ、許しませんからねっ旦那様の正妻の座は、わたくしが手に入れますっ</p><p>克子お姉ちゃんや渚お姉ちゃんも、思いっきりアオるからねマナとメグもスーパー正妻戦争スタートだからねっ</p><p>ちょっと、待ってそんなこと、家族の中で争わなくても</p><p>正妻とかオレは、区別するつもりは無いし</p><p>いや、良い考えだと思うよ家族の中が活性化して</p><p>マルゴさんは、寧の提案に賛成のようだ</p><p>みんな気心が知れてきたしそういうアクションが起こるのは、良いことだよ</p><p>でも、それでケンカとかになって険悪な関係になったら</p><p>ならないよそんなことになったら、君が悲しむことは、みんな判っているから君を困らせない範囲で、お互いに研鑽していくことになるんじゃないかな</p><p>マルゴさんは、そういう分析する</p><p>じゃ、そういうことでいくからね恵美押勝ちゃーん</p><p>さっそく寧は、みすずを仇名で呼ぶ</p><p>そういう仇名は止めて下さいっそういうのは、違うと思いますわお姉様</p><p>何が違うのーん</p><p>せめて、恵美押勝が何時代の人で、どんなことをした人か調べてからにして下さい</p><p>あそりゃ、確かに正論だあたしの負けぇぇっ</p><p>というより変な仇名で呼ぶというのは、明らかに妹イジメですお姉様</p><p>キッと睨むみすずに、寧はニコッと微笑み</p><p>うん、ごめんねこれからも、あたしが間違っていると思ったら、どんどん文句を言ってきてっ</p><p>あたしみすずとは、隠し事の無い活発な姉妹になりたいんだっ</p><p>はい判りましたっお姉様</p><p>二人の様子を見ていたマルゴさんが、クククと笑い</p><p>ところでいいの下の妹くんが、置き去りになっているけれど</p><p>瑠璃子が、呆然とした顔で、こっちを見ている</p><p>その後ろから、美子さんも</p><p>あ、ごめんごめーんすっかり、忘れていたよで何の話だったっけ</p><p>寧が、わざとそう言った</p><p>あの、わたくし</p><p>泣きそうな顔で、瑠璃子が言う</p><p>なあに思っていることがあったら、何でも言いなさいあたしたち、どんなことでも聞いてあげるから</p><p>みすずが、優しく瑠璃子に言った</p><p>お姉様あたし、この先、どうすればいいのでしょうか</p><p>それが、瑠璃子の本音か</p><p>実の父が、裏切り者であったということ</p><p>その父を、祖父が処刑したこと</p><p>美子さんとの、今後の関係</p><p>本当は、何をどうしたら良いのか悩んでいたんだ</p><p>どうするも、こうするもないよ今、眼の前にあることを、一つ一つ解決していけばいいんじゃないのっ</p><p>寧が、笑って言った</p><p>そうやって悩んだフリをしているのは、ただの思考停止だからね甘えないでよねあたしたちだって、これからやらなきゃいけないことがたくさんあって、忙しいんだから</p><p>でも、わたくし</p><p>今度は、みすずが答える</p><p>瑠璃子は、考えすぎですあなたの将来のことなんて、お祖父様やあたしたちに任せなさいみんな家族なんですからあなたの悪いようにするはずがないでしょあたしたちを信頼なさい</p><p>オレも、みすずの言葉に付け足す</p><p>一人で悩んだって、何の解決策も出てこないだろ</p><p>でも、わたくし自分が、何を今するべきなのか、それが判らないんです</p><p>瑠璃子に、寧が答える</p><p>バッカだねえあんたが、今、しなくちゃいけないのは、自分から家族に溶け込もうとすることあたしたち、必要以上は手を貸さないからねあんたが、あたしたち家族と打ち解けたいと思うのなら自分から寄ってこないと</p><p>そして、ニヤッと微笑む</p><p>具体的な方法としてはねまず</p><p>瑠璃子が、寧の言葉に集中する</p><p>ヨッちゃんに処女を捧げなさい瑠璃子の最初のハードルは、それだからねっ</p><p>月曜まで入院していたと言うのに</p><p>母は、前から予定していた友人との京都旅行に行ってしまいました</p><p>母は強し</p><p>１５、１６、１７と京都だから、お父さんのことよろしくね</p><p>と、出掛ける前に何度も言っていました</p><p>１５、１６、１７だから</p><p>１５、１６、１７よ</p><p>あんまり何度も言うので、話私の頭の中では、ずっと夢は夜開くの歌が流れ続けています</p><p>同じ歌が、頭の中でずっとヘビー・ローテーションで流れ続けるということ私には、よくあります</p><p>ちなみに、父ですがリハビリの散歩の途中に、デジカメで近所の公園の紅葉の写真を撮っていました</p><p>うん、上手く撮れたら、来年の年賀状に使おう</p><p>父よ紅葉の写真を年賀状に使うのは</p><p>季節感が合ってないのでは</p><p>まさか、この年でサイド６でテム・レイに再開した、アムロの気分を理解するとは思いませんでした</p><p>356．抱き合いセックス</p><p>それで本当に何かが変わるのでしょうか</p><p>瑠璃子は、尋ねた</p><p>あたしの場合は、変わったわ旦那様に初めて抱いていただいた時、あたしはまだ旦那様のことについて何も知らなかったけれど旦那様は、あたしを優しく満たして下さったわあの頃のあたしは、今の瑠璃子と同じだったと思うの自分の境遇に悩んでいるつもりで実際は思考停止していた渚様に、自分の全てを委ねるだけでだから、渚様は、あたしを旦那様に引き合わせて下さったのよ</p><p>みすずが、優しく年下の従妹に語る</p><p>渚様との関係は、あたしがただただ渚様に甘えるだけだったけれど今のあたしは、旦那様に甘えるだけでなく、旦那様のことを支えたいと願っているから旦那様と旦那様が護って下さっている家族全員の役に立ちたいと思っているの自分から、アクティブに旦那様と家族のために働きたいと思っているわあたしもう、一人じゃないんですから</p><p>旦那様が、あたしを愛して下さっている愛されているという自覚があるから、あたしも思いっきり、旦那様を愛して差し上げたいのあたし恋をしています今、とっても幸せよ充実しているの自分が、旦那様と家族のために何をすればいいのか判っているから自分のためだけに生きるのなら、こういう充実感は感じられないと思うわ一緒に生きてくれる人が居るからあたしは変われたのこの気持ちを、瑠璃子にも判って欲しい</p><p>瑠璃子は、困惑している</p><p>でも、お兄様は</p><p>心配そうに、オレを見る</p><p>本当にわたくしのことが好きでいらっしゃいますか</p><p>好きだよ瑠璃子は、可愛いからな</p><p>わたくしが可愛い</p><p>うんお前は、可愛いと思う外見だけじゃなく、心も</p><p>わたくしは心の綺麗な人間ではございません</p><p>まだ、そんなことを言うのか</p><p>あのな瑠璃子は、理想が高すぎるんだよ</p><p>世の中の人間はみんな、そもそもそんなに心が綺麗じゃない自分の心は汚いって思い込んでいる瑠璃子の方が、よっぽど綺麗な心をしていると思うよ</p><p>ね、ヨッちゃん今の瑠璃子にとって、何が問題だと思う何が原因で、この子は停滞しちゃっているんだと思う</p><p>寧が、オレに聞く</p><p>そんなの決まっているよ</p><p>香月家だ</p><p>香月家の本家の嫡流の娘だという意識が強いから</p><p>瑠璃子は、常に高いところからの目線で物事を考えてしまう</p><p>香月家の本家の娘というのが、悪い意味で瑠璃子を縛っているまあ、しょうがないんだろうけれど</p><p>昨日、劇場でオレは見た</p><p>香月家の娘であるが故に、瑠璃子の素晴らしい舞踊に対して、観客は誰も賞賛しようとしなかった</p><p>うかつに褒めることすら憚れる特別な存在香月家</p><p>日本を代表する名家長い伝統と強大な権力の両方を持つ家</p><p>瑠璃子は幼いときから、その象徴となっていた</p><p>瑠璃子はそれでも、真っ正面から香月家を引き継ぐ覚悟をしていたんだろ</p><p>瑠璃子はジッちゃんに、謀殺された長男がいることを知らなかったんだよなそれは、もちろんジッちゃんが徹底的に隠していたからだけれど</p><p>ロサンゼルスで、シザーリオ・ヴァイオラに殺された香月重春氏</p><p>美子さんの実の父親</p><p>だから、瑠璃子は自分の父香月重秋が、香月家の嫡男だと思っていたんだよなつまり、ジッちゃんが死ねば、自分の父が次の当主となるってそして、その次は瑠璃子自身が香月家を受け継がなくてはならなくなる</p><p>子供の頃から、そう覚悟して瑠璃子は、継承者としての矜持を持って生きてきた</p><p>昨夜、瑠璃子は最悪な形で真実を知ってしまった</p><p>香月重春氏の暗殺を企んだのは自分の父親だった</p><p>ジッちゃんは、そのことを知っていて家の名誉のために、自分の次男を処刑した</p><p>つまり、香月重秋には、香月家の時期当主となる資格が無かった</p><p>瑠璃子のお父さんが、こんなことになってしまったから瑠璃子の中で、自分自身の存在意義がグチャグチャになってしまったんだろ自分も、香月家を継ぐ資格は無いんじゃないかって不安になったんだだから血がどうのとか、訳の判らないことを言い出したんだよ</p><p>お兄様のおっしゃる通りだと思いますわたくし、自分を見失っておりました</p><p>そっと呟くように答える</p><p>瑠璃子は、自分は、香月家の継承者だから、それに相応しい人間にならなくてはいけないって思い込んで生きてきたんだだから、色んなことも我慢しなくちゃいけないって、心を押さえ込んでそれなのに、突然、自分には後継者としての資格は無いのではないかっていう疑問が湧いてきてしまったからこの先、どうして良いのか判らなくなって、思考停止してしまったんだよ</p><p>瑠璃子お前、香月家を捨てちまえ</p><p>瑠璃子の驚きの顔</p><p>オレは裸のお前が欲しいんだよ香月家なんて見捨てて、素っ裸でオレのとこに来い</p><p>瑠璃子を救うには、それしかないと思う</p><p>瑠璃子は、香月家という家の重さに囚われている</p><p>わ、わたくしは香月家の後ろ盾がなければ、何もありませんただの無力な少女です</p><p>その無力な少女だけでいい大丈夫だお前のことは、オレとオレの家族が一生護るから</p><p>ああ、もうじれったい</p><p>昨日の夜に約束した通りにするみすず</p><p>瑠璃子を誘拐する無理にでも、こいつはオレの女にする</p><p>誘拐するベストのタイミングはいつだと思う</p><p>明日の告別式の後火葬場からの帰りの精進落としの時が良いと思いますお父様とも、きちんとお別れした後ですし瑠璃子は体調が悪くなったので、先に帰ったということにすれば誰も不思議には思いません</p><p>よし、じゃあ、そのタイミングで瑠璃子を掻っ攫う</p><p>じゃあ、具体的な作戦はあたしがマルゴお姉さんと組むわいいわよねっ</p><p>了解だよ</p><p>寧とマルゴさんが、すぐに反応してくれた</p><p>ではわたくしは、香月セキュリティ・サービスの牽制をします</p><p>オレの背中に引っ付いたままの美智が言う</p><p>明日は麗華にも動いて貰おう関さんは、こっちに付いてくれるかな</p><p>それは、お祖父様次第です</p><p>ああジッちゃんには、オレから話すよ瑠璃子は、オレたちが誘拐するって</p><p>ジッちゃんだって家族なんだ</p><p>この誘拐劇は、何としても承認して貰う</p><p>本気なのですか、お兄様</p><p>瑠璃子は、言った</p><p>当たり前だもう、瑠璃子の意志なんて聞かないからなお前は、オレが誘拐する力尽くでオレの女にするから香月家のことは、もう忘れろ</p><p>しかし、わたくしは香月の</p><p>大丈夫だよお前一人いなくなったって、香月家は潰れないから香月操とか、香月仁とか分家もいっぱいるじゃないか</p><p>あの人たちでは、家は守れません</p><p>だから、ジッちゃんは香月グループの経営の実権を司馬さんに預けることにしたんだろ大丈夫だよ司馬さんなら香月の分家たちに口出しさせずに、立派にグループ企業をまとめ上げてくれるさ</p><p>今の私塾のやつらはイマイチでもそのうちに、分家の中から有能な人材が出て来るかもしれないそうしたら、そいつが司馬さんの次に香月グループのトップになればいいし一人一人は弱くても、私塾の連中が一つにまとまれば、将来的にはそれなりに強い団結力を持った集団になるんじゃないかなジッちゃん、ああ見えて、２０年後、３０年後のために布石を打っているんだと思うよ</p><p>オレは段々、ジッちゃんの意図が読めてきた</p><p>あらゆる可能性を考えて家を存続させるための努力をしている</p><p>瑠璃子かみすずが、香月家を継いで香月グループをまとめ上げるなんてジッちゃんからすれば、たくさんある想定の中の１つのプランでしかないんだジッちゃんは、同時並行でありとあらゆる可能性を探っているその中で時代の流れに沿って、最終的にベストな選択をすればいいと思っているんじゃないかな</p><p>多分そうだ</p><p>だから瑠璃子が、何もかも我慢して、無理に香月家を継ぐ必要なんか全然無いんだ</p><p>ていうか、その可能性はオレが摘み取るから瑠璃子は、もう香月家のことなんか考えなくて良いからな</p><p>それではわたくしは、この先、何をすればいいんですか</p><p>瑠璃子は、ヨッちゃんを幸せにすることだけ考えていればいいんだよっ</p><p>そうね旦那様が、瑠璃子を幸せにして下さるのだから瑠璃子は、旦那様を幸せにして差し上げないとね</p><p>幸せですよご主人様に抱いていただくのは</p><p>美智も、恥ずかしそうにそう言う</p><p>本当の家族になろう瑠璃子</p><p>そうだ今の瑠璃子に必要なのは、家族だこっちへ来いよ</p><p>わ、わたくしには、ちゃんと家族がおります美子が</p><p>美子さんの手を握る</p><p>美子さんも、後ろから瑠璃子の背中を抱いてあげている</p><p>残念だけれど主従関係のまんまなら、家族にはなれないよ</p><p>寧が、言った</p><p>美子さんは、瑠璃子を庇うだけで厳しいことを言ってくれたりはしないでしょ</p><p>美子さんがうつむく</p><p>それにね今の瑠璃子に必要なのは、護ってくれる男の人だと思う香月家の男の人たちは、みんなだらしないからヨッちゃんみたいな人に護られないと、瑠璃子は安心できないと思うよ</p><p>寧が言うほど、オレはできた人間では無いけれど</p><p>とにかく、瑠璃子はオレが護るいや、護るためにまず香月家から奪う明日には、身も心もオレのものになってもらうからな</p><p>瑠璃子は、ブルッと身体を震わせる</p><p>ゾクゾクするでしょっ瑠璃子っ</p><p>ヨッちゃんが、あなたを誘拐してくれるんだよっ</p><p>瑠璃子は、大きく眼を見開く</p><p>口だけじゃないんだ、この子はヨッちゃんは、いつも本当に身を張って、あたしたちのために行動してくれるだから、ゾクゾクするのっあたし、ヨッちゃん大好きっ</p><p>オレのことを、ギュッと抱き締める</p><p>あたしだって、大好きですっ旦那様ぁんっ</p><p>みすずも、オレにしがみつく</p><p>わたくしもお慕いしております</p><p>美智も背中からオレを抱き締める</p><p>瑠璃子は、迷っている</p><p>よしでは、トドメを刺そう</p><p>とにかく、そういうことになったからっジッちゃん、聞いているんだろっ</p><p>あのスケベジジィが</p><p>オレたちが瑠璃子を訪ねてきたことを知って、盗聴していないはずがない</p><p>ああ、聞いていたよ</p><p>スピーカーから、声がする</p><p>やっぱりな</p><p>今、話した通りだよ瑠璃子は、オレが誘拐して、オレの女にする構わないよね</p><p>好きにしろただし香月セキュリティ・サービスには、私からは何も言わんぞお前たちの力で、警備の連中を出し抜け関くんは、お前たちの味方で構わん</p><p>判っているよジッちゃんが、簡単に瑠璃子を誘拐させてくれるとは思っていない</p><p>欲しければ、自らの力で道を開け勇気を持って、闘って勝ち取ったものでなければ、価値は無いからな</p><p>勝ち取るんじゃない奪い取るんだよオレたちは、黒い森(ブラック・フォレスト)だからね</p><p>ふん楽しみにさせて貰うただし瑠璃子の処女喪失は、私が見ている時にしてくれよ</p><p>ああ、その約束は守るよ</p><p>そうだジッちゃん、音声だけでなくて、映像も見えているの</p><p>お前の正面の壁に絵が掛かっているだろうそこの額縁にカメラを仕掛けてある</p><p>なんだずっと見ていたんだ</p><p>いや、単に瑠璃子たちのことが心配だったのかもしれないけれど</p><p>ジッちゃん今は、ヒマなの</p><p>葬儀社との打ち合わせは済んだ１０分ぐらいなら、時間がある</p><p>そうじゃあ、いいものを見せてやるよ</p><p>美智セックスしてやる１０分しかないぞ</p><p>美智の顔が、紅潮する</p><p>あたしがサポートします</p><p>みすずが、さっそく美智のスカートの中に手を伸ばす</p><p>じゃあ、あたしはヨッちゃんの方をっ</p><p>寧は、オレのベルトを外す</p><p>ズボンを脱がせて</p><p>あっ、もうヨッちゃん、元気になっちゃってるねっ</p><p>美智もグッショリ濡れているわ</p><p>抱いていただけると思ったら溢れて止まらないです</p><p>寧が、オレのパンツを脱がせて勃起を取り出す</p><p>見ろよ、瑠璃子明日には、これをお前に突っ込むんだからな</p><p>瑠璃子は、怯えた眼で剛直を見つめている</p><p>その後ろから美子さんも</p><p>瑠璃子も、こういうことをするんだからねっ</p><p>寧が、はむっとオレのペニスにしゃぶりつく</p><p>瑠璃子によく見えるようにぺろぺろと舌を使う</p><p>美智は制服を全て脱ぎ捨てて、全裸になった</p><p>ふとももにまで、愛液が垂れている</p><p>挿入を待ち望んでいる</p><p>来いよ、美智</p><p>美智が、オレにキスをする</p><p>舌と舌を絡め合うオレたち</p><p>オレは、平たい胸の上のピンクの突起を舐め転がす</p><p>ああはんっ</p><p>美智が、身震いする</p><p>好きですご主人様に、乳首を舐めていただくのわたくし</p><p>オレも好きだよ</p><p>あたしも舐めてあげるわ</p><p>もう一つの乳首を、みすずが舐める</p><p>ああっみすず様ぁぁっ</p><p>美智可愛いわよ</p><p>その間に、寧がオレの服を脱がせてくれた</p><p>オレも、全裸になる</p><p>美智上から乗ってこいだっこしてやるから</p><p>和室に全裸であぐらをかいて座るオレ</p><p>その上に、美智が乗ってくる</p><p>あ、待ってヨッちゃんのオチンチン、美智の中に入るように誘導してあげるっ</p><p>寧が、オレのペニスの根元を掴んで美智の割れ目に誘導する</p><p>亀頭の先が熱気のある濡れた秘肉に接触する</p><p>美智まだ痛いかもしれないぞ</p><p>２回目のセックスだ</p><p>しかも、１５歳の美智は小柄だし</p><p>大丈夫よ、あたしも２回目の時には、気持ち良かったから</p><p>みすずが、明るく美智に微笑む</p><p>痛くても平気ですわたくし、痛いのが好きですから</p><p>そのままヨッちゃんに腰を落として</p><p>寧がオレのペニスを掴んだまま、美智に指示した</p><p>はぁぁっ</p><p>ズズッと、亀頭が美智の胎内に入り込む</p><p>美智の方が上の位置にいる緊張しているのか、身体が硬い</p><p>美智力を抜けそのままじゃあ、入らないぞ</p><p>はい、判っているのですが</p><p>オレは美智のお尻を掴む</p><p>うん、筋肉に力が入って、キュッと締まっている</p><p>これじゃあ、入らない</p><p>オレは、美智の可愛いお尻を揉む</p><p>よし、少し緩んできた</p><p>美智にらめっこしよう</p><p>美智が、びっくりした顔をする</p><p>別に変な顔とかしなくていいから見つめ合うだけでいい先に、笑った方が負けだからな</p><p>問答無用だ、ほらスタートだ</p><p>そう言って、オレは真顔でギッと美智を見る</p><p>美智も、真剣な顔でオレを見る</p><p>うん美智は、真剣な時の顔が一番良い</p><p>凛とした美少女だ</p><p>きっと、これからますます綺麗になる</p><p>この小柄な美少女が</p><p>あたしのご主人様</p><p>美智が小さな声で、呟いた</p><p>美智も、オレを見て同じようなことを思ったらしい</p><p>くふふっ</p><p>何の邪念も無い幸せそうな笑顔だった</p><p>ご主人様、好きっ</p><p>オレもだよ美智</p><p>強ばっていた美智の全身が、そっと柔らかくなる</p><p>あっあああーっ</p><p>美智の中にじゅるじゅるとオレのペニスが侵入していく</p><p>やがて根元まで、ぴっちりと埋まる</p><p>オレは対面座位のまま改めて、美智を抱き締める</p><p>わたくしご主人様を全部呑み込んでしまいました</p><p>うん呑み込んだよ</p><p>オレは美智の背中をさわっと撫でる</p><p>美智の身体がビクッと跳ねる</p><p>美智動くぞ</p><p>はいご主人様のお好きにして下さい</p><p>美智が、濡れた眼でオレを見る</p><p>だっこしていただきながらのセックスとても、素敵です</p><p>オレは、美智のお尻を下から掴んで</p><p>自分のペニスに打ちつけるように、ピストンする</p><p>はぁぁっ、ああっああっ</p><p>美智痛いのか大丈夫か</p><p>痛いっ痛いですぅもっと、痛くして下さいっ</p><p>美智の割れ目から、ドクドクと潤滑油が溢れる</p><p>オレのペニスを包んでいく</p><p>そらっもっと、突き上げてやるッ</p><p>オレは腰を使って、美智の奥にグイグイ突く</p><p>ああっそれいいっ痛いですっ痛くて、いいのっ</p><p>美智も、腰を動かせくねらせるんだっ自分の中の良いところにオレのペニスを当てるようにして</p><p>はぁんぁぁこ、こうですかっ</p><p>美智の腰が、いやらしく蠢く</p><p>う、上手いぞ美智ぃぃっ</p><p>美智がオレの膝の上で、淫らに踊る</p><p>オレの舌を求める</p><p>オレたちはキスし舌と舌を絡ませる</p><p>好き、好き、大好きぃぃ大好きなのっご主人様ぁぁっ</p><p>美智は、すっかりセックスに陶酔している</p><p>ご主人様ぁぁわたくしいぃ</p><p>判っている判っているから</p><p>オレたちは、欲情しきった眼を見つめ合う</p><p>そして、呼吸を合わせて</p><p>美智とのセックスは心月の奥義へと向かう</p><p>あああっあああっご主人様ぁぁっ</p><p>うううっうううっ美智ぃぃぃぃっ</p><p>オレの中の高ぶりを美智は、感じる</p><p>もうすぐ胎内で爆発が起こる</p><p>その予感に、美智の心も盛り上がっていく</p><p>あうあああああっクルんですねご主人様ぁっ</p><p>ううううっううっイクぞ、もうイクぞ美智ぃぃ</p><p>判るぅぅ判るのぉっ美智は、美味しいですかご主人様美智の身体、美味しいですかっ</p><p>ああっ、気持ちいいよっ温かで、グチョグチョで、それなのにキュッと締まっていて美味しいよ、美智の身体、とっても美味しいよっ</p><p>食べて下さい全部、差し上げますっ美智は、ご主人様のものなのおっ</p><p>美智、美智、美智ぃぃぃっ</p><p>出して、出してぇっ美智の中に、温かいの下さいっ</p><p>出るぞ、出るぞっ美智ぃぃ</p><p>あああーっご主人様ぁぁッッ</p><p>美智の子宮に噴き上げるッ</p><p>噴水みたいに、精液が吐き出されるっ</p><p>あああっ熱いですっご主人様の出ていますっ</p><p>美智は身体を硬直くさせながら、ギュッとオレにしがみつく</p><p>オレも、ガシッと美智を抱いて離さない</p><p>最後の一滴まで美智の胎内に流し込むっ</p><p>入ってるっわたくしの一番奥に届いていますっ</p><p>どっくぅぅ</p><p>どくぅぅ</p><p>どくぅ</p><p>全部、出ましたか</p><p>美智が、ニコッとオレに微笑む</p><p>はぁ、はぁうん、全部出た</p><p>ご主人様ぁぁ</p><p>ごめんオレ、先にイッちゃって</p><p>いいんですご主人様、とっても気持ち良さそうでしたから</p><p>いやもうちょっと頑張ったら、美智も一緒にイケたろ</p><p>心月で心が繋がっていたから、美智の状態が良く判った</p><p>わたくしはよく判りませんイクという状態を、まだはっきりと体験していませんから</p><p>いや、オレがもうちょっと耐えていたら美智はイケていたよオレには判った</p><p>美智は、オレのほっぺたにキスをして</p><p>では、それは次の時に</p><p>わたくし、楽しみです抱いていただく度に、新しい体験をしています旦那様に、わたくしの女を磨いていただいているのがよく判ります</p><p>美智は、またオレにキスをする</p><p>いっぱい抱いて下さい少しずつ、学ばせて下さい一気に、奥義に達してしまうのはもったいないです</p><p>美智は、可愛らしく微笑んだ</p><p>わたくしはご主人様と、ゆっくり学んでいきたいのです</p><p>うんそうだなそうしよう</p><p>急ぐことはないものな</p><p>ずっと一生、一緒に居るんだから</p><p>何て可愛いんだこの１５歳は</p><p>美智の胎内で、オレのペニスがまた硬くなっていく</p><p>耳元で、みすずの声がする</p><p>みすずは、オレたちのセックスを見ながら自分を慰めていた</p><p>それとっても良さそうですあたしも、してみたい</p><p>えみすず</p><p>旦那様にだっこされてみすずも、セックスしたいですっ</p><p>急に寒くなりましたね</p><p>皆様、どうかご自愛下さい</p><p>私は、一昨日ぐらいから、また体調を壊しています</p><p>精神的にも、色々と厳しいことが続いておりまして</p><p>済みません、感想欄の返信が滞っております</p><p>何とか、今夜中には全て返信しようと思っています</p><p>357．トイレで （その１）</p><p>あたしとも、お願いします旦那様っ</p><p>みすずは、すっかり欲情している</p><p>交代致しますみすず様</p><p>美智が、オレから身体を離す</p><p>ペニスが狭い膣口からスポンと抜ける</p><p>どうした、痛いのか</p><p>オレが、美智の身体を案じると</p><p>ご主人様がお腹の中からに感じられないとちょっと、寂しい感じになります</p><p>美智が、恥ずかしそうにそう言った</p><p>でもまだここに余韻が残っておりますから</p><p>美智はそう言って、自分のつるんとした下腹部を擦る</p><p>オレは、もう一度美智を引き寄せてキスをした</p><p>幸せですわたくし幸せにして下さって、ありがとうございますご主人様</p><p>美智は、嬉しそうにそう言った</p><p>旦那様みすずのことも、幸せにして下さいませ</p><p>美智に替わって、みすずがオレに抱きついて来る</p><p>はむっ</p><p>強引にオレにキスしてくる</p><p>みすずのキスは、荒々しい</p><p>激しくオレの舌を求める</p><p>みすずも、抱っこして下さいっ</p><p>あのみすず</p><p>この体勢でセックスするの、結構、腰に負担が掛かってツライんだ</p><p>２連続は、体力的に厳しい</p><p>それにみすずには言えないが</p><p>小柄な美智だから、お尻から抱きかかえてセックスができたけれど</p><p>みすずは、美智よりも背が高いから</p><p>多分、ちょこっとばかし、重いのではないかと</p><p>みすずを持ち上げてするのは、今のオレには、ちと大変かもしれぬ</p><p>だから連続で、この体勢はちょっとカンベンして欲しい</p><p>さっき、寧に３回射精して今また、射精</p><p>オレにも限界というものが</p><p>も、申し訳ございません旦那様のご負担を考えずにあたし</p><p>みすずが、オレに詫びる</p><p>いや、別にいいんだけど今度、もっと元気な時にやろうなっ</p><p>それまでに、腕の筋肉をもっと付けないといけない</p><p>バーベルとか持ち上げて、特訓しないとな</p><p>いやみすずはまだいい</p><p>どっちかというとスレンダーなボディだから</p><p>これが豊満ボディで身長もある、克子姉や寧だったら</p><p>同じことを望まれたらどうする、オレどうなる、オレ</p><p>では旦那様がお疲れにならないように、あたしが上になって動きますっ</p><p>ええっとみすず</p><p>今すぐセックスしたいという気持ちは、変わらないのね</p><p>さて、残念だが私は、そろそろ仕事に戻らねばならぬお前たちは、時間の許す限り自由に楽しんでいてくれたまえ</p><p>ジッちゃんの声が、スピーカーから聞こえる</p><p>その部屋には、しばらく誰も入らせないようにしておくもっとも、部屋の外で関くんがガードしているんだったな</p><p>ジッちゃんは、オレたちがここに居る方が、瑠璃子たちにとって良いと判断してくれたらしい</p><p>お祖父様、わたくしは</p><p>当の瑠璃子が、祖父に声を掛ける</p><p>悪いが、今はお前の話を聞いてやるわけにはいかんこんな葬儀の席まで、私の決裁を求めて書類を持って来る連中が列をなしているのでな</p><p>うわ大変そうだ</p><p>昨夜、私は司馬くんに香月グループの経営のトップの座を譲ると宣言したが実権の委譲など、そんなにすぐにができるわけがないからなもうしばらくは多忙な日々が続くことになるだろうそうだな、秋の株主総会が司馬くんのお披露目の場ということになるだろう</p><p>まだ、３ヶ月以上ジッちゃんは、最高経営者でいなけれはならない</p><p>待って下さい、お祖父様わたくしは</p><p>瑠璃子お前のことは、そこにいる家族たちに任せた私は何もしてやれんそう思ってくれ</p><p>ジッちゃんは、瑠璃子を突き放す</p><p>美子もだ私は、お前たちを見守るだけだ助けてはやらん全て黒森の家族の決定に従うことにする私自身も、家族の一員だからな</p><p>ジッちゃんの言葉に、美子さんは怯え震えている</p><p>おい、お前頼むぞ</p><p>ジッちゃんは、オレにそう言った</p><p>オレは、ジッちゃんの期待に応えないといけない</p><p>ああ、判っている</p><p>ではなみすず、瑠璃子、美子の三人は、後ほどな通夜の式の前に、食事をしよう</p><p>オレたちも、参列するよ</p><p>いや、お前たちは明日の告別式の方に来てくれ今夜の方が混雑する香月グループ各社の従業員や取引企業からも人が来るだろうしマスコミの取材も来る</p><p>黒い森が、うろついていると問題を引き起こすかもしれないもんな</p><p>判ったじゃあ、オレたちは明日来るよ</p><p>なるべく目立たない格好で来てくれいいな</p><p>うん、その辺は克子姉に相談するから</p><p>それなら安心だでは、そろそろ失礼する</p><p>ああ、ありがとう、ジッちゃん</p><p>そして、スピーカーの声は途切れた</p><p>瑠璃子が、嘆息する</p><p>美子さんも、真っ青な顔をしている</p><p>二人とも、ジッちゃんに見捨てられたような気分なんだろう</p><p>さてとヨッちゃん、みすずとセックスしておいでよっ</p><p>えしておいでって</p><p>この部屋でみんなが見ている前でするんじゃないのか</p><p>みすずさあヨッちゃんと、二人きりでセックスしたくない誰にも見られずに</p><p>寧の言葉に、みすずは</p><p>それは、あのしてみたいですけれど、でもどこで</p><p>ああ、この部屋の外は葬儀の準備の人がいっぱいいる</p><p>どっかで隠れてセックスしていて、もし誰かに見つかったらみすずの破滅だ</p><p>何言ってるのさみすずには、大好きな場所があるでしょ</p><p>寧がニタッと笑って部屋の隅のドアを示す</p><p>ここの葬祭場は日本一大きい施設だから大きな会社の社長さんとか、芸能人とか政治家しか使わないんだよねっだから、控え室にはそれぞれ専用のおトイレが付いているってわけ</p><p>この控え室用のトイレ</p><p>おトイレの中で旦那様と</p><p>そうだよっそういう、レイプっぽいシチュエーション、みすずは好きでしょっ</p><p>えっと、あの好きですあたし</p><p>じゃあ、してらっしゃいあ、ちゃんとヨッちゃんにお願いしてからだよっ</p><p>寧に言われて、みすずがオレを見る</p><p>顔を赤らめて大きな瞳が潤んでいる</p><p>旦那様お、おトイレで、みすずを犯して下さいませお願い致します</p><p>畳に手を付いて、頭を下げるみすず</p><p>わ、判ったしよう</p><p>もう、しょうがない</p><p>ちゃんと勃起するかどうか、自信が無いけれど</p><p>ヨッちゃん、安心してこの子たちは、あたしとマルゴお姉ちゃんと美智が相手しているから</p><p>寧が、オレたちにそう言ってくれた</p><p>いいよね、美智っ</p><p>はい、寧お姉様わたくしは、すっかり満足させていただきましたから</p><p>美智は全裸のまま、オレに微笑む</p><p>割れ目から、愛液と精液を滴らせたまま</p><p>うんっ、では行っておいでっ</p><p>みすずが、オレの手を取って立ち上がる</p><p>さあっ、行きましょうっ旦那様っ</p><p>オレたちが、トイレに入ろうとすると</p><p>待って下さいっ</p><p>声を掛けたのは美子さんだった</p><p>オレは、穏やかに尋ねる</p><p>わたくしにヒントを下さいませ</p><p>ヒント</p><p>わたくしと瑠璃子様はどうするべきなのでしょうか黒森様のご意見をお聞かせ下さいませ</p><p>美子さんはずっと悩んでいるんだな</p><p>まあ、そうだろう</p><p>オレも、ジッちゃんも徹底敵に、美子さんを突き放している</p><p>美子さんは瑠璃子の何になりたいの</p><p>何ってわたくしは、瑠璃子様のお付きです</p><p>じゃあ、オレもジッちゃんも美子さんに話すことは何も無いよ</p><p>美子さんは、青ざめる</p><p>美子さんが、瑠璃子の姉いや、せめて、ちゃんと血の繋がった従姉をやる覚悟をしてくれない限り、オレたちは美子さんの手助けはしないから</p><p>オレは、厳しく言い切った</p><p>そして、瑠璃子を見る</p><p>瑠璃子美子さんが、お前の家来だっていうのなら、これからはお前が責任をもって美子さんの面倒を見ろよ</p><p>瑠璃子は、ギョッとする</p><p>オレたちは、瑠璃子の面倒だけは見る一生なだって、瑠璃子はもうオレたちの家族なんだから絶対に、ひもじい思いはさせないし、幸せにしてやるでも、美子さんは違う美子さんは、オレたちの家族に入っていないからな</p><p>ここは、きっちり二人に諭してやらないといけない</p><p>お前が、美子さんとの主従関係を解消するのなら美子さんの将来は、みすずが香月家の後継者として責任を持つでも、主従関係をこれからもキープしていくっていうんなら、美子さんのことは主人であるお前が責任を持たないといけないそうだろう</p><p>瑠璃子は苦しそうに</p><p>でも、美子はずっとわたくしの子供の頃からの</p><p>そんな理由だけで、美子さんを縛っていいわけが無いだろうお前たちの主従関係っていったって、実際には今まではジッちゃんが、瑠璃子と美子さんの生活の面倒を見てきたんだろ瑠璃子は、美子さんに対して、主人としての責任は何も果たしてきていないってことじゃないか</p><p>わざと意地悪に、オレは言った</p><p>それはあんまりです黒森様瑠璃子様は、わたくしにとって、いつでもお優しくして下さいました</p><p>美子さんが、キッとオレを睨んで反論する</p><p>優しくするのなんて、主人なら当然だ瑠璃子を甘やかすなよっ美子さんが、そんなじゃ、こいつは成長できないままになっちゃうだろ</p><p>オレは、強い言葉を美子さんに叩き付ける</p><p>明日、誘拐した後瑠璃子の生活費は、オレが払うしばらくは、ミナホ姉さんに肩代わりして貰うことになるだろうけれど、将来働いて絶対に返済する瑠璃子の生活は、オレが護るでも、美子さんの分は出さないからな美子さんが瑠璃子に付いてくるのは勝手だし、瑠璃子がそう命令するのかもしれないでも、オレたちは絶対に美子さんの面倒は見ないからどうしても一緒にいたいのなら、瑠璃子が自分のご飯を美子さんに分けてやるんだなそういう覚悟でいてくれ</p><p>瑠璃子が、オレを睨む</p><p>どうしてどうして、そんな酷いことをおっしゃるんですお兄様</p><p>バッカじゃないのっ</p><p>寧が、横から口を挟む</p><p>あんたたちさあ自分が、色んな人のお陰で生かされているってことに、いい加減気付くべきだよヨッちゃんは、そう言っているのずっとお嬢様として生きてきて、人に何かして貰うことが当たり前になっちゃっているから、大人になれないんだよっあんたたちは</p><p>自分で、自分が選んだ人生に責任を取るということだからね大人になるということは君たちは、幼い時からずっと香月さんに護られてその状態が、当たり前だと思い込んでいるでも、そうじゃないから香月さんの後ろ盾無しに、君たちの主従関係は成立しないわけだし</p><p>どうであれ、瑠璃子は明日、オレが誘拐する美子さんは、明日までに自分の身の振り方を考えて置いて</p><p>オレは、そう告げた</p><p>わたくし誘拐されません</p><p>瑠璃子が、オレに反発する</p><p>美子と離れるくらいなら</p><p>いや、ダメだお前は、オレに誘拐されるオレの女になるんだよ瑠璃子</p><p>わたくし大声で叫びます泣き喚いて、助けを呼びますから</p><p>ああ、何でもやれお前が泣こうが、暴れようが、関係無く誘拐してやるから</p><p>睨み合う、オレたち</p><p>美子さんは、おろおろとしている</p><p>ほらほら、時間がもったいないよっ二人は早く、エッチして</p><p>この分からず屋は、あたしたちが見ているからさっ</p><p>オレとみすずはトイレに入る</p><p>トイレは洋式便器が一つあるだけの、狭い部屋だった</p><p>オレたちは、抱き合うしかない</p><p>あれで良かったのでしょうか旦那様</p><p>みすずが、心配そうにオレに言う</p><p>オレは、みすずの唇にキスして</p><p>あれでいいんだよ落ち込んで、ぐったりしているよりはぷりぷり怒っている方が、まだ元気だから</p><p>とにかくあの頑固な娘は、徹底的に凹ませないと今のままでは、ねじ曲がった子になっちゃう美子さんという絶対に自分の味方になってくれると判っている人が、いつも側に居ることで瑠璃子は、悪い方向へ向かっているよ美子さんとの主従関係は、止めさせないといけない</p><p>そうですわね</p><p>オレの唇をぺろぺろ舐めながらみすずは言った</p><p>美子さんが、瑠璃子の姉にならないといけないことを自覚してくれればいいんですけれど</p><p>うん、そうじゃなかったら本気で、二人を引き剥がすことを考えないと</p><p>みすずがオレの舌を求める</p><p>オレは、可愛い舌を吸ってやった</p><p>あたし、今日の寧お姉様がよく判りません</p><p>あたしにとても厳しく当たられるかと思うとこうやって、旦那様と二人きりになることを許して下さいますし</p><p>寧お姉さんはみすずのことを気遣っているんだよ</p><p>みすずの前ではオレは寧を、そう呼ぶことにした</p><p>あのどういうことですか</p><p>昨夜までの寧お姉さんはオレたちの様子を、少し離れたところから観察していてくれたから何が今、一番問題なのか、よく見えているんだよ</p><p>問題</p><p>みすずは、自分から率先して年少組のリーダーになろうとしてくれているだろもちろん、みすずが献身的にそうしてくれていることで、オレたちは助かっているんだけれどでも、悪いこともある</p><p>どんなことですか</p><p>一つは、みすずが何もかも一人で背負おうとして無理をしているということ</p><p>無理なんてしていませんよ</p><p>うんと無理っていう、我慢しているだろ</p><p>我慢</p><p>オレや家族のために我慢しなくちゃって思うこと何回もあったろ</p><p>それは自覚があります</p><p>みすずは、認めた</p><p>そういう我慢は、みすずの心によくないから寧お姉さんが、みすずの心を掻き混ぜてくれたんだよ</p><p>そうじゃなかったら瑠璃子のお父さんのお葬式の前に、みすずからオレにセックスしたいって求めて来ないだろまんまと、寧お姉さんの作った雰囲気に乗せられたんだよみすずは</p><p>顔を赤らめるみすず</p><p>お前、今日最初に顔を見た時には、瑠璃子たちと同じくらい青ざめていたんだから全然、楽しくセックスしようなんて気分じゃなかったろ</p><p>みすずは、納得する</p><p>第２にみすずがリーダーだと、みすずの我慢が他の子に伝わるんだよ何か、みんなオレに気を遣って、自分の気持ちは抑えて我慢しないといけないみたいな雰囲気になっているだろ</p><p>そういう傾向は、ありますね</p><p>でも、それだとみんなの心の中に、色んな感情が沈殿して溜まっていってしまうからメグやマナだと、そのうち暴発するぞ</p><p>はい確かに</p><p>本当は、みすずが我慢しきれなくなって暴発するのが一番怖いんだけれど</p><p>そのことは、黙っている</p><p>寧お姉さんはオレたちに積極的に関わる覚悟をしてくれたんだだから、現状のオレたちに対して、自分がどういうポジションに付けは最適かを考えてくれた</p><p>それであたしにライバル宣言をなさったのですね</p><p>ライバルになってくれたんだよ寧お姉さんの方から</p><p>実際は寧や姉さんの方が、みすずより大人だよどっちかっていうと、年少組の最年長というより、年長組の最年少というポジションだったろ寧お姉さんは</p><p>確かに、そうですわね</p><p>寧お姉さんの方から、みすずのレベルに下りて来てくれたんだよそして、みすずやメグや美智やマナと競い合うことで、年少組を活性化させようとしているんだと思う</p><p>これも、みすずには言えないけれど</p><p>みすずが年少組のリーダーのままなら、メグとマナが辛い</p><p>美智や瑠璃子の様に、元々香月家系の子なら抵抗が無いだろうけれど</p><p>メグもマナも、みすずに対してコンプレックスがあるから</p><p>みすずがリーダーだと、みすずに対して萎縮してしまう</p><p>内面に不満を溜め込んで、また暴発してしまうことになる</p><p>寧の乱入は、年少組の現況をシャッフルするのに有効だと思う</p><p>あたし全然、ダメですね寧お姉様のこと、何も判っていませんでした</p><p>みすずが、反省する</p><p>気にするなよみすずはみすずで、一生懸命考えて、やってくれていたじゃないかオレは、全部見てきたから判っているよ</p><p>一生懸命やったことなんだから仕方無いだろ間違っていたと気付いた時に、すぐに反省して修正すればいいんだよどんなことだって、失敗を繰り返しながら、少しずつ修正して、ちょっとずつ前に進むしかないんだから</p><p>みすずが、良いやつだってことはオレが一番知っているそれでいいだろ</p><p>大好きです、旦那様ああっ</p><p>オレの身体をギュッと抱き締める</p><p>あなたで良かったあたし、あなたが大好きよ</p><p>みすずは、本当に感極まった時だけオレをあなたと呼ぶ</p><p>みすずみすずのおっぱいが舐めたい</p><p>オレは、みすずに甘える</p><p>はい、今すぐ</p><p>みすずは、自分で喪服の前ボタンを外してくれた</p><p>今日は下着も黒なんだ</p><p>はい、旦那様に見ていただきたくて</p><p>うん、可愛いよ大人っぽくて、素敵だ</p><p>オレは、黒いブラの上からみすずの胸を揉む</p><p>あ、コリコリした乳首が布地の下に勃起しているのが判る</p><p>旦那様あたしのおっぱいお好きですか</p><p>好きだよ手の中にぴったり収まってぷるぷるしてて</p><p>もっと、もっと触って</p><p>オレは、みすずの背中に手を廻して、ブラジャーのホックを外す</p><p>ぷるんっと弾ける乳房</p><p>旦那様は、そこに腰掛けて下さいませ</p><p>みすずは、全裸のオレを便器に座らせる</p><p>はいおっぱいですよ</p><p>喪服の前から飛び出した生乳を、オレの眼前に差し出す</p><p>桜色の乳首をペロペロと舐める</p><p>ああんっ気持ちいいです乳首良いです</p><p>右の次は左の乳首も</p><p>空いた方の乳首は、親指の腹でコネコネする</p><p>旦那様、好き</p><p>オレは、みすずの足を触る</p><p>今日のみすずは喪服のスカートの下に、黒いストッキングを穿いていた</p><p>旦那様、ストッキングは予備を持って来てありますから</p><p>ビリビリにしちゃって下さいませ</p><p>ハアハァと、みすずはすでに興奮している</p><p>あたしここで犯されたい</p><p>ほら、見て鏡にあたしたち映っています</p><p>狭いトイレの中には、小さな手洗い場と鏡が付いていた</p><p>みすずは、そこを覗き込む</p><p>みすずは、レイプ願望とかあるのか</p><p>旦那様だけです</p><p>熱い眼で、オレを見る</p><p>今朝も夢に見ました旦那様に、無理矢理犯される夢</p><p>オレに、犯されるのか</p><p>はい、旦那様ですみすずは、旦那様じゃないとダメですから</p><p>オレは、ストッキングの上からみすずの秘部を触る</p><p>ストッキングとパンティ二つの布越しでも、そこが潤っていることが判った</p><p>どんな夢だったんだみすず</p><p>いや恥ずかしいです</p><p>みすずは、顔を赤らめる</p><p>いいから、教えろ知りたいんだ</p><p>もう旦那様のエッチ</p><p>エッチなのは、みすずだろ</p><p>オレは秘部を撫でながらチュッチュとみすずの乳首を吸う</p><p>ああんっはい、エッチですエッチなのぉみすずは旦那様のことを考えると、エッチになっちゃうんです</p><p>ブルブルと身体を震わせて、みすずは告白する</p><p>次話に続きます</p><p>たっぷりやります</p><p>トイレで、レイプごっこです</p><p>トイレなので、放尿もします</p><p>瑠璃子の処女喪失は、久々に陵辱系でいこうと思っています</p><p>この子はガツンとやらないと、目が醒めません</p><p>ただし、誘拐は翌日なので</p><p>この日は、この後はお屋敷に戻ってアニエス編に突入します</p><p>母が、京都から戻ってきました</p><p>私はまだ体調が治らないので、今日は早めに寝ます</p><p>358.トイレの中で（その２）</p><p>で今朝の夢は、どんな夢だったんだ</p><p>オレに問われ、みすずは淫夢の内容を語る</p><p>朝の電車の中で</p><p>電車の中で</p><p>みすずは一番混む時間は避けて早めに登校しているので、乗ったことは無いんですけれど満員電車の一番凄い時って、ギュウギュウ詰めなんですよね</p><p>ああそうらしいな</p><p>オレは中学は全寮制だし、今の高校まではバスだったから満員電車というのは、よく知らない</p><p>夢の中で旦那様とみすずは、一緒に満員電車に乗っているんですよそれで、旦那様が突然ここでしたいってみすずの耳元で囁かれるんです</p><p>それでどうなるんだ</p><p>周りにみんな居るのに電車の中は、みんな、みすずの学校のお友達ばかりなんですみんな良いお家のお嬢様ばかりです自動車で送迎されている子もいっぱいいるのにどうしてだか、みんなその電車に乗っているんです</p><p>みすずは、興奮している</p><p>オレは、みすずの乳首をペロリと舐め上げ</p><p>それでみすずが恥ずかしいから、許して下さいって、お願いするのに旦那様は、無理矢理みすずのアソコをお触りになって</p><p>どんな風にだ</p><p>後ろからみすずの背中に立たれて、後ろからお触りになるんです</p><p>みすず実際にやってみようか</p><p>みすずは、顔を真っ赤にして</p><p>オレは、便器から立ち上がりみすずを背後から抱く</p><p>このトイレは、高齢者が使うことも考慮されて壁にバーが設置されている</p><p>みすずは、それを電車の中の手すりに見立ててギュッと握りしめる</p><p>こんな風でいいのか</p><p>オレは後ろから右手を廻してみすずの、はだけた胸を揉む</p><p>勃起したペニスを可愛いお尻に押しつける</p><p>左手で、みすずの尻を擦る</p><p>はいそうです旦那様ああ</p><p>みすずの息が荒くなる</p><p>みすずは痴漢されたいのか</p><p>後ろから耳元に、そっと囁く</p><p>違いますみすずは、そんな女の子じゃありません</p><p>でも、オレに痴漢される夢を見たんだろ</p><p>興奮におっぱいが張ってくる秘部の湿り気も増えている</p><p>それは旦那様だからです旦那様は、みすずのこと痴漢してみたいですか</p><p>ううん電車の中は嫌だ</p><p>オレのみすずはオレだけのものだから家族じゃない人間の前で、みすずを抱くのは嫌だよ</p><p>人前で知らないオッサンとかに、みすずの痴態を見せるのは嫌だ</p><p>みすずのエッチな顔は、ずっとオレだけのものにしておきたい</p><p>みすずは見て貰いたいんです他の人に</p><p>あ、全然知らない人の前では嫌ですみすずが見せたいのは学校のお友達たちです</p><p>みすずが通っているのは日本一のお嬢様女子校だ</p><p>みすずの学校はとても校則が厳しいですから、お友達はみんな男の方とお付き合いしたことはありません</p><p>はい少なくとも、みすずの親しくしているお友達はみんなううんっ</p><p>オレの指が、みすずのクリトリスを刺激する</p><p>みんな処女です</p><p>ストッキングに、ねっとりとした染みが拡がっていく</p><p>みんなみすずのことも、処女だと思っています清純で、エッチなことなんか何も知らない女の子だって思い込んでいるんですああっ</p><p>みすずの乳首は、コリコリと固く尖っている</p><p>あたし、あの子たちの前で旦那様に犯されたい</p><p>はいみすずが、メチャクチャに犯されるところを見て欲しいんですお友達たちに</p><p>電車もいいですけれど学校でみすずの教室でも、犯されたいです</p><p>エッチだな、みすずは</p><p>はい、エッチです旦那様に、いやらしいことをしていただいている姿を見せ付けたいんです</p><p>あ、でもみすずからじゃなくって、旦那様に無理矢理レイプされたいんです旦那様が、荒々しくみすずを求められる姿を、みんなに見せたいんですあたし、旦那様に犯されたいんです</p><p>ストッキング、破るぞ</p><p>はい破って下さい</p><p>オレはみすずの黒ストッキングのお尻の部分を両手で引っ張る</p><p>何度がやつているうちにビリッと破けた</p><p>ストッキングの破れた隙間から黒いパンティが見える</p><p>愛液に濡れて、ベトベトだ</p><p>指を突っ込んで、パンティをずらす</p><p>みすずの底は、熱い泉が湧き出していた</p><p>オレは、勃起ペニスを擦り付ける</p><p>亀頭に、熱気のある愛液を纏わせて</p><p>はいそのままそのまま、貫いて下さい</p><p>みすずは、両手で左右のバーを握りしめて、後ろ向きのまま、オレの方に尻を突き出す</p><p>開いた膣口に、亀頭がキスをする</p><p>そうじゃないそうじゃないよ、みすず</p><p>みすずが、物欲しそうな顔でオレに振り向く</p><p>犯されたいんだろセリフはやめて下さいだ</p><p>みすずの眼が、妖しく潤う</p><p>オレは、いきなり入れずにもう一度、みすずの身体を両手で抱く</p><p>おっぱいと秘部を触る</p><p>ああっやめてやめて下さい</p><p>みすずが痴漢ごっこを開始する</p><p>したいんで我慢できないんだみすずいいだろ</p><p>オレもみすずの耳に、囁く</p><p>いけません旦那様、ああ</p><p>ほら、みすずの身体すっかり、セックスしたいって言っているよ</p><p>そんなことないですああっ</p><p>だって、みすずこんなに濡れているじゃないか</p><p>違います違うんです、旦那様</p><p>何が違うんだみすず</p><p>ここではここでは許して下さいみんながお友達が見ていますから</p><p>誰が見ているんだ</p><p>オレはみすずの耳の後ろをペロッと舐める</p><p>ひやんっそれはあの</p><p>誰がオレたちを見ているんだ</p><p>クラスメイトの吾妻さんと里見さんと後輩の千鶴さんです</p><p>みすずはレズっ気が強い</p><p>もちろん、学校の友達の中でも気になっている子たちが、いるんだろう</p><p>みんな、みすずを見てどんな顔をしている</p><p>恥ずかしそうな顔をしていますでも、眼をそらさずに、ジッとあたしと旦那様を見ています千鶴さんは、あたしのことを呆れて、軽蔑していますそんな眼で見ないでぇ千鶴さぁん</p><p>その千鶴さんていうのは、どんな子なんだ</p><p>同じ美化委員会の子であたしのことを慕ってくれているんですあたしを純真な女の子だと思っているみたいなんですあたし千鶴さんの期待を裏切って、セックスを覚えてしまいましたエッチな女の子になっちゃいました</p><p>みすずがオレに処女を捧げてまだ何日も経っていない</p><p>ああんっ見ないでぇぇあたし、本当はエッチな子なのおっ旦那様に、力尽くで犯されるのが大好きなのぉ淫らなみすずを見ないでぇぇ</p><p>みすずはすっかり、妄想の中にいる</p><p>ほらみすず入れるぞオレとみすずが、繋がっているところを、その子たちに見せてやるんだ</p><p>改めて、オレはペニスをみすずの秘部に当てがう</p><p>ああんっ嫌ぁぁっやめてやめて下さい旦那様</p><p>ダメだ、どうしてももう、みすずの中にブチ込みたいんだよっ</p><p>オレもすっかり興奮していた</p><p>いやぁぁ見ないで見ないで、千鶴さん恥ずかしいみすずの姿を見ないでぇぇ</p><p>オレは、立ちバックでみすずの中にペニスをネジ込むッ</p><p>狭い膣口に、ヌヌヌッと亀頭が押し入るッ</p><p>膣の中の愛液が押し出されて、ペニスの茎にジュワッと垂れていく</p><p>ああんっ嫌ぁぁやめて、やめて下さい旦那様ぁぁっ</p><p>オレは、ズンと突き込むッ</p><p>みすずの柔らかいお尻の感触を感じてペニスは根元まで押し込まれる</p><p>ああっ繋がってるぅぅみすず、旦那様と繋がっていますぅぅっ</p><p>そうらっ</p><p>オレは、ぬぷっ、ぬぷっとピストンを開始する</p><p>嫌あっ嫌、嫌、嫌ぁぁっみすず、旦那様にレイプされていますっ犯されているところ、みんなに見られてるぅぅ</p><p>ほうら、みすずの可愛いおっぱいもオレたちが繋がっているところも、しっかりと見てもらえよっ</p><p>オレは、みすずの喪服の前をさらに拡げ二つの肉球を完全に露出させる</p><p>ストッキングも、さらにビッと破いて繋がっている秘所を露呈させる</p><p>恥ずかしい恥ずかしいです旦那様ぁぁっ</p><p>恥ずかしいのが好きなんだろみすずは</p><p>美智は、ちょっと痛いのが好きだが</p><p>みすずは、恥ずかしいのが好きだ</p><p>それぞれの好みが何となく判ってきた</p><p>違う違うのおっみすずは、そんなにエッチな子じゃないのおっ</p><p>オレに後ろから、激しく揺らされながらみすずは叫んだ</p><p>でも見られたいんだろ、みすずは</p><p>ああっ、見ないでぇぇエッチなみすずを見ないでぇぇ</p><p>みすずが、高ぶっていく</p><p>オレは今日はすでに５発目だ</p><p>そう簡単には射精しない</p><p>ああっあたし旦那様っ、みすずみすず、飛んじゃいますっ</p><p>いいぞっ、ほらっみんなに見られて、イッちまえっ</p><p>そんな恥ずかしいっ恥ずかしいのっ嫌ぁぁ嫌ぁぁ</p><p>オレにレイプされてイク顔をお友達たちに見て貰えっ</p><p>恥ずかしいっ見ないで、みんな見ないでっ千鶴さん見ないでぇぇっああっああっあっ、キちゃうっクルのおっ</p><p>オレは、スパートを掛けるっ</p><p>みすずの細い腰をしっかりと掴んで</p><p>全身汗だくで、みすずの中に突き込むっ</p><p>ああっ、当たってるぅ旦那様の、みすずの一番奥まで届いてるぅセックス、セックスしているのおっ、あたしぃぃ</p><p>セックスじゃないレイプだぞっ</p><p>旦那様にレイプされてイッちゃうあああっ</p><p>みすずの身体が、キュウッと締まるぅぅっ</p><p>イクぅぅ、イクぅぅ、イクぅぅ</p><p>オレは、思いっきり突き上げたっ</p><p>あああっみ、見ないでぇぇみすずのイク顔を見ないでぇぇぇっ</p><p>絶叫しながら、みすずは全身を痙攣させた</p><p>はぁ、はぁ、はぁ、はあ</p><p>オレは、汗まみれで息をする</p><p>みすずはしばらく、絶頂の世界に飛んでいる</p><p>オレは、繋がったままみすずの身体を抱き締める</p><p>おっぱいや、お尻やふとももを優しく撫で回す</p><p>後ろから、みすずの頬にキスをする</p><p>みすずみすず愛しているぞ</p><p>思わず呟いた言葉に、みすずはハッと我に返る</p><p>ごめんなさいあたし気持ち良くって、一人だけイッちゃいました</p><p>申し訳なさそうに、オレに言った</p><p>いいんだよ気持ち良かったか</p><p>はい旦那様あの</p><p>恥ずかしそうに、顔を背ける</p><p>あたし、エッチでごめんなさい</p><p>何言っているんだよ</p><p>オレは、みすずをギュツと抱く</p><p>みすずは、ちょっとエッチなところが可愛いんじゃないか</p><p>みすずは、頭の良すぎる子だから</p><p>肉体よりも、精神派妄想チックなセックスが大好きだ</p><p>ごめんなさい、いつもみすずの、ヘンタイっぽいエッチに付き合っていただいて</p><p>だから、気にするなってオレも楽しんでいるんだしみすずのしたいことは、何でも言ってくれ何でも付き合ってやるから</p><p>みすずは、オレの手を握ってチュッとキスをした</p><p>何だ何か、思い付いたのか</p><p>あたし本当に、吾妻さんや里見さんや、千鶴さんの前で、旦那様に犯されたいです</p><p>その子らは、お嬢様女子校の普通の生徒だろ</p><p>そんな子の前でセックスしたらみすずは退学になっちゃう</p><p>例えばマジックミラーの部屋を作って、鏡の向こうに千鶴さんたちを呼んでセックスするとか</p><p>みすずは妄想を開始する</p><p>秋の学園祭までに何か方法を考えておきます</p><p>みすず本気なのか</p><p>いいですよね旦那様</p><p>ああ、みすずがしたいのなら</p><p>しょうがねえなっ</p><p>その代わり、絶対にバレない方法を考えてくれよそんなことで、みすずの将来を台無しにするわけにはいかないんだからな</p><p>香月家の令嬢が、名門女子校の校舎で、男とセックスしていたことが発覚したら大スキャンダルになる</p><p>最悪の場合は、千鶴さんたちも巻き込んじゃえばいいんです</p><p>それもダメだみすずの学校の子なんだからその子らも、どっかの名家のお嬢さんなんだろ</p><p>千鶴さんの家は、名家では無いですあのクオリティアって会社がありますよね</p><p>ああ、家電メーカーだろ</p><p>コンピューターや、テレビや、オーディオ機器を作っている技術力の高さでは、世界的に有名な会社だ</p><p>千鶴さんは、そこの創業者のお孫さんです</p><p>名家じゃないかっ</p><p>思わず突っ込む</p><p>いいえ千鶴さんのお家は、昭和になってからですから名家ではありません</p><p>名家って</p><p>いや、考えても始まらない</p><p>とにかく、ダメだからな</p><p>これ以上、無闇矢鱈に家族を増やすのは</p><p>一度、お会いしてみて下さい旦那様</p><p>みすずの親しいお友達たちですもちろん、会って下さいますよね</p><p>恵美さんのお友達とは、お会いしていらっしゃるのでしょう</p><p>メグとの付き合いについて女子陸上部まで行って、メグの部活仲間や竹柴キャプテンにも挨拶したんだ</p><p>普段、みすずがお世話になっている人たちなら挨拶ぐらいはしないといけない</p><p>会うだけなら、会うけれど</p><p>何か、みすずのペースに誤魔化されている気がする</p><p>まあ、オレがしっかりしていれば問題は無いだろう</p><p>旦那様、まだ気持ち良くなっていらっしゃらないですよね</p><p>別に射精しなくてもいいんだけれど</p><p>それじゃあ、みすずが納得しないか</p><p>今度は、みすずが動きますお顔を見ながらしましょう</p><p>旦那様がお出しになる瞬間の気持ち良さそうなお顔が見たいんです</p><p>一度、みすずの中からペニスを引き抜き</p><p>オレは、便器に座る</p><p>みすずが、座ったオレに跨がってくる</p><p>対面座位になるんだろうけれど</p><p>さっきは畳の上で、オレが胡座をかいているところに美智を抱き寄せたからオレが美智の身体を下から抱きかかえるような体位になってしまった</p><p>今度はオレもみすずも足がしっかり床に付いている</p><p>身体をしっかり保持するためのバーもあるし</p><p>みすずが、動きますから旦那様は、そのままでいて下さいね</p><p>そして、みすずは自ら、破れたストッキングの中にオレの勃起を入れようとする</p><p>あっ、さっきよりもちょっと柔らかくなってますね</p><p>みすずは、細い指先でオレの亀頭をしごく</p><p>同時に、オレの口にキスをする</p><p>みすずの中にドクドク出して下さいませ</p><p>黒い喪服のみすず</p><p>はだけた胸の桜色の乳首</p><p>破れたストッキングの中の黒い下着</p><p>それを無理矢理にズラして愛液の滴る膣口を晒している</p><p>今度はみすずが、旦那様をレイプしちゃうのおっ</p><p>みすずが、潤んだ眼で微笑む</p><p>旦那様の食べさせてぇっ</p><p>ああ、オレは</p><p>あ、硬くなってきましたぁ</p><p>みすずか、右手でオレのペニスを持って、自分の割れ目に当てる</p><p>左手は、しっかりとバーを掴んでいる</p><p>うふふっ食べちゃいますっ旦那様を犯すのおっ</p><p>熱いうねりのの中に亀頭が囚われていく</p><p>あっあっあっ入って来るぅぅ美味しいよぉっ旦那様あっっ</p><p>みすずは、ゆっくりと腰を落とした</p><p>オレの全てがみすずの胎内に格納される</p><p>キスしちゃいますねっ</p><p>根元まで呑み込まれたままみすすがオレの唇を吸う</p><p>あんっあたしの旦那様っ絞っちゃうんだからっ</p><p>キュッと、みすずが膣に力を入れる</p><p>ああっ、ペニスが絞られる</p><p>き、気持ちいいよみすず</p><p>じゃあ動きますねぇ</p><p>みすずが、腰を動かす</p><p>ピストンではなく、まずは腰を廻すように</p><p>オレの亀頭を膣の内壁に押し当てて擦る</p><p>あっこれもいいっ</p><p>それからＺの字を描く様に、腰をグイグイと</p><p>あっ、ここ良いです気持ちいいっ</p><p>膣内の気持ち良いポイントを探っていく</p><p>旦那様のオチンチン気持ちいいですっこれいいこれ欲しいですあたしのものにしたい毎日、毎晩、セックスしたいですっ</p><p>旦那様だけですっ旦那様だけが、みすずとセックスして良い人なのおっあたし、旦那様以外の人に襲われたら舌を噛み切って死にます絶対に死ぬんだからっ</p><p>大丈夫だそんなことには、絶対にならないから</p><p>オレは、みすずの腰をそっと掴む</p><p>一生、愛して下さいますずっと、みすずのご主人様でいて下さいますか</p><p>みすずは、腰を揺らしながらオレの眼を見て尋ねる</p><p>ああみすずは誰にも渡さない絶対に、他の男とはセックスさせないからな</p><p>オレも、みすずの眼を見てそう言った</p><p>みすずの腰の動きが少しずつ派手になる</p><p>みすずのお腹の中に下さい</p><p>みすずが、絞り出してくれよオレのこと、レイプするんだろ</p><p>えへへそうでしたじゃあ、思いっきり犯して差し上げますねっ</p><p>みすずは、両脚をしっかり床に踏ん張って</p><p>オレの上で腰を振り始める</p><p>弾力のあるお尻がオレの上でバウンドする</p><p>可愛い胸が、くるんくるんと揺れていた</p><p>オレの亀頭が一番、感じやすい部分が</p><p>みすずの湿った膣肉に磨き上げられていく</p><p>みすずすう、すう、はぁの息でやってみろ</p><p>オレは、寧に習ったことを言ってみる</p><p>すう、すう、はぁですか</p><p>ああ、そういう息遣いで動いてくれ</p><p>はぁで力が抜けるからペニスの先が、ズンッと子宮口に突き刺さる</p><p>ああっ、これいいですっこのリズムだと、深い深くまで、みすずの中を抉っていますっああんっ</p><p>みすずは汗をかき出している</p><p>暑くないか脱いだ方が良いんじゃないか</p><p>いいえ、このままの方が良いです犯してる、犯されている感じがして</p><p>狭いトイレの中の窮屈なセックス</p><p>オレは全裸で、みすずは半脱ぎ</p><p>そういう異様なシチュエーションが妄想派のみすずの性感を刺激しているらしい</p><p>ああっあんっひやあっんああっ</p><p>みすずのよがる声が高くなっていく</p><p>オレは、みすずのおっぱいを掴んだ</p><p>握りつぶすように、キュッと揉む</p><p>それ、いいですっもっと、力を込めてぇぇっ</p><p>玉の汗を滴らせるみすず</p><p>狭い個室の中に女の子の甘いフェロモンが籠もっていく</p><p>ミルク菓子の様な匂い</p><p>女の子の汗の匂いは、どうしてこんなに良い香りがするんだろう</p><p>みすずみすずみすずぅぅっ</p><p>どう出ちゃいそうですか旦那様ぁぁ旦那様ぁぁ</p><p>ああ眼の前のみすずの顔が、快感に溶けていく</p><p>オレが、みすずを蕩かせている</p><p>みすずが、オレを蕩かせている</p><p>オレたち、繋がっている</p><p>ああんっ旦那様ぁあたしあたしぃぃ</p><p>みすずみすずぅぅ</p><p>旦那様ぁぁあたしまたぁ</p><p>オレももうすぐだっ</p><p>早くぅぅ早くして下さぁい</p><p>もうすぐもうすぐなんだぁっ</p><p>オレの中に快感が溜まっていく</p><p>身体の奥に爆発の種が</p><p>ああっ早く出してぇぇみすずの中に旦那様の熱いの、出してぇぇ</p><p>みすずが、激しく腰を振るっ</p><p>オレも、もう我慢できないっ</p><p>下からグイグイッと突き上げるっ</p><p>二人のリズムが噛み合う</p><p>組み上げられた、一個の機械のように</p><p>欲しいですっ精液っ旦那様の精をみすずの子宮に注いでっお願いしますっお願いしますからっ</p><p>みすずは、もう泣き出している</p><p>お願いっ意地悪しないでっ</p><p>みすずみすず、もう出るうっイクよおっ</p><p>みすずもイキますっイキますからっ</p><p>先に跳んだのは堪えていた、みすずの方だった</p><p>んぁぁっイクぅぅっっ</p><p>みすずの膣が、キュキュツと締まるッ</p><p>その瞬間オレも</p><p>ああああっみすずっみすずぅぅっっ</p><p>白濁が噴き出すッッ</p><p>ドッピュッッ</p><p>あぅんっ熱いぃぃぃいッッ</p><p>子宮で男の精の熱さを感じる、みすず</p><p>ドビュュッ</p><p>２撃目３撃目</p><p>オレは、腰をグイグイと押し込んで子宮に届けと、精を吐き散らかす</p><p>あああっみすず、ママになっちゃうううっっ</p><p>みすずの中の女が、そう叫んだ</p><p>旦那さまぁぁ、好き好き愛してるのっ大好きぃぃぃ</p><p>みすずは、オレの背中に爪を立てて、ギュッとオレを抱き締めた</p><p>みすずの中からニュポンとペニスを引き抜く</p><p>途端に、愛液と精液がツツッと溢れた</p><p>トローッと尾を引いて便器の水の中に、零れ落ちる</p><p>透明な水の中に、白い精液が浮いた</p><p>気持ち良かったですかいっぱい出ました</p><p>ニコニコして、オレを見る</p><p>ああ、気持ち良かったいっぱい出たよ</p><p>旦那様のも気持ち良かったですみすず、いっぱいイッちゃいました</p><p>憑き物が落ちた様に、みすずはサッパリとした顔をしていた</p><p>やっぱり、旦那様は最高です旦那様のいない生活なんて、もう考えられませんっ</p><p>みすず幸せです</p><p>オレもだよ、みすず</p><p>オレたちはまた、唇を重ねる</p><p>どうしたんだ、みすず</p><p>あたし身体がすっかり緩んじゃってますおしっこしたくなっちゃいました</p><p>うん、しろよ見ていてやるから</p><p>みすずとポジションを入れ替える</p><p>みすずは、ビリビリのストッキングとパンティを脱いで</p><p>便器に座って大きく開脚する</p><p>オレは、そんなみすずの局部を見つめる</p><p>出ます、ああっ</p><p>シャアァァァァ</p><p>みすずの中から、湯気を出して水が零れる</p><p>ああ、見えるよみすず</p><p>みすずは、また顔を赤らめる</p><p>意地悪しないでぇ見ていて、最後まで見ていて下さいぃぃ</p><p>オレは、みすずが出し切るまで見ていた</p><p>それから、トイレットペーパーを持って、みすずの割れ目を拭いてやる</p><p>あんっありがとうございます</p><p>みすず、オレも小便したくなった</p><p>みすずは、ワクワクした眼でオレを見上げる</p><p>旦那様、みすずに見せていただけますか</p><p>うんいいぞ</p><p>またポジションを交換して</p><p>オレは便器に向かって、放尿する</p><p>うわぁ、男の人のオシッコって初めてみました</p><p>みすずは、興味深そうにオレのおしっこする姿を見ていた</p><p>出し終わるとオレのペニスを紙で拭こうとするから</p><p>いや、男は拭かないんだこうやって振れば、水気は切れるから</p><p>みすずの前でチンコを揺らす</p><p>馬鹿みたいだなオレ</p><p>みすずが、オレを優しい眼で見ている</p><p>本当に旦那様は、あたしの前では裸になって下さるんですね</p><p>いや確かにオレは全裸だけれど</p><p>だから、みすずも旦那様の前では、全て裸になれますっ</p><p>ニコニコと笑っていた</p><p>大好きっ旦那様</p><p>みすずは、服装を整えて</p><p>二人で、トイレの外へ出る</p><p>１５分ぐらいは、二人でイチャイチャしていたと思う</p><p>みんな、どうしているだろう</p><p>瑠璃子は、まだ落ち込んでいるかな</p><p>トイレのドアを開けると</p><p>寧と美智が、ドアのすぐ前に居た</p><p>ドアに耳を付けて、中の様子を伺っていた</p><p>ど、どういうこと</p><p>どういうことも、へったくれも無いわよっ</p><p>寧が、吠えた</p><p>瑠璃子と美子さんは、真っ赤な顔をしている</p><p>マルゴさんは、苦笑していた</p><p>コホンと咳払いをして、寧は言った</p><p>みすず、声、大きすぎっ</p><p>寧が、さっきのみすずの叫びを真似する</p><p>横で、美智が真剣な顔でうんうんと頷いていた</p><p>全部聞こえてました</p><p>レイプごっこから、おしっこ見せ合いまで、丸聞こえだよっ</p><p>その瞬間みすずは耳まで真っ赤になる</p><p>この、ヘンタイ娘っ</p><p>まあ、人の欲望に歯止めは効かないということで</p><p>みすずたちの欲求を、常に晴らしていかないと</p><p>大変ですね、吉田くん</p><p>359．ブレイク・タイム</p><p>でみすず、気持ち良かったのっ</p><p>寧の問いに、みすずは</p><p>はい、とっても気持ち良かったですいっぱい、満たしていただきましたっ</p><p>笑顔でそう答え、自分の下腹部を押さえる</p><p>いっぱいというのは子宮の中の精液のことだよな</p><p>うん何かスッキリした顔をしているよねっそれに比べ</p><p>ヨッちゃんは、随分お疲れみたいだねっ</p><p>知ってるくせに</p><p>ここへ来る前に、オレに３回も射精させたのは寧じゃないか</p><p>みすずお姉様、セックスというものは、そんなに心地良いものなのですか</p><p>瑠璃子が、尋ねる</p><p>瑠璃子、迷っているな</p><p>明日には、オレに誘拐される</p><p>もちろん、その後にはオレに犯されるということは理解している</p><p>だから、セックスについて知りたいのだろう</p><p>セックスが気持ちいいのではないわ旦那様とするのが良いのよ</p><p>みすずは、晴れやかな笑顔でそう答えた</p><p>どういうことなのです</p><p>旦那様は、セックスの間ずっと、あたしだけを見ていて下さるからどうしたら、あたしが気持ち良いか、一生懸命探ってくださるから香月家の娘ではないただのあたし、裸のみすずを愛して下さるのよっ</p><p>みすずが、オレに身体を寄せる</p><p>だから、あたしもセックスの間は、旦那様の姿だけを見ているわあたしの身体肩書きも何も無い、ただのあたしあたしの裸の肉体それで、旦那様を気持ち良くして差し上げているっていうのが、とっても嬉しいの女に生まれてきて、良かったって思うわ</p><p>みすずは、美しい従姉に答える</p><p>最後にね、旦那様があたしの子宮に赤ちゃんの種を注いで下さる時には、全身がしびれるの旦那様の切なそうな顔を見ていると、愛おしくて、愛おしくて抱き締めて差し上げたくなるわっ</p><p>呆然としている、瑠璃子</p><p>そして、その後ろに控えている美子さん</p><p>マルゴさんが、二人に</p><p>正直、彼は男の人の中でも珍しいタイプなんだよ普通の男の人は、セックスをしている時は自分本位で自分の快感だけを追求して、相手の女性のことなんか気にしない人も多いんだだから、女性も眼を閉じてセックスの間中、相手を見ないで顔を背けていたりする人も多いね</p><p>黒い森の警護役として娼婦たちのセックスを監視カメラで観ていたマルゴさんは、そんな感想を述べた</p><p>まあ、そうなんですか</p><p>ああみすずさんも彼としかしたことないものね彼が、本当に相手の女の子に集中するから女の子の方も、思わず彼に集中してしまうものねみんながみんな、そういうセックスをしているわけではないんだよ</p><p>あたしセックスというのは、ずっとお互いを見つめ合ってするものだと思っていました</p><p>わたくしもです</p><p>ご主人様は必ず、わたくしの状態を感じて下さってわたくしに、合わせて下さろうとしますとっても、献身的にいつも、感謝しておりますご主人様のそのようなお心遣いがなければ、わたくしは心月に到達することはできませんでした</p><p>オレ合わせている</p><p>自分では自覚が無い</p><p>そうだよねヨッちゃんは、自分のことより相手の女の子の方を優先するからいつも、合わせてくれているんだろうね</p><p>寧も、そう言う</p><p>今の若い男の子って自分は、全然相手に合わせる気が無いのに、どうして、オレに合わせてくれないんだって甘ったれている子ばかりだからね彼みたいな子は、貴重だと思うよ</p><p>マルゴさんが、そうまとめた</p><p>さて、そろそろ出発しないといけない寧、美智ちゃん</p><p>マルゴさんが、二人に声を掛ける</p><p>黒い森が懇意にしている女医の池田先生との約束に間に合わせるには、もうここを立ち去らないといけないだろう</p><p>うん行かないとなみすずじゃあ、今夜のお通夜には来ないからな明日のことは、また後で電話するよ</p><p>はい、お待ちしています旦那様</p><p>それから、みすずは寧を見て</p><p>済みません、寧お姉様あたしと美智だけ、旦那様に愛していただいてしまって</p><p>時間切れで、寧の順番が来なかったと、思っているらしい</p><p>うふふふーんっごめんね実は、ここに来る前にあたし、ヨッちゃんに愛して貰って来たのっだから、全然問題無しだからっ気にしないでねっ</p><p>まあ、そうだったんですか</p><p>ていうかみすずの居ない時に、これからもヨッちゃんとイチャイチャするからっ今夜とかねっ</p><p>寧は、みすずの嫉妬心をわざと刺激する</p><p>旦那様、寧お姉様と何回したのかメモしておいて下さいねっ</p><p>あたしも同じ回数、していただきますっ</p><p>えーっ、同じ回数でいいのっじゃあ、ヨッちゃんあたしたちは、たっぷり時間を掛けてしようねっ一晩中、裸で抱き締め合おうっ</p><p>寧お姉様っそれはズルいですっ</p><p>寧のからかいに、みすずはつい本気で釣られる</p><p>みすずさん、大丈夫だよお屋敷には、克子さんもメグちゃんもマナちゃんも居るんだからあの人たちが、寧一人に彼を独占させるわけがないでしょ</p><p>マルゴさんが、優しく間に入ってくれた</p><p>ううっライバルが多いですっ旦那様ぁっ</p><p>みすずが、オレの胸に顔を埋める</p><p>オレは、みすずを抱き締めて</p><p>大丈夫だよみすずのこと、忘れたりしないからちゃんと、他の子と同じだけ時間を作るからなっ</p><p>約束ですよ</p><p>オレは、みすずの唇にチュッとキスする</p><p>うふふ旦那様、大好きっ</p><p>みすずの機嫌が直る</p><p>もう、晴れたり曇ったり大変だ</p><p>美智、お前の時間もちゃんと作るからな</p><p>はいお願い致します</p><p>美智の方が、物分かりが良い</p><p>というか、美智の方が本当に欲求不満になったら、無理にでも襲って来る気がする</p><p>この小柄な美少女の正体は、野獣だから</p><p>本来の、内面のエネルギーを隠すために普段は、大人しく礼儀正しい少女を演じているような気がする</p><p>瑠璃子明日だからな</p><p>瑠璃子は、オレに返答しない</p><p>迷っている</p><p>うつむいたままオレを見ようとはしない</p><p>美子さんが、おろおろしている</p><p>お前の意志は、関係無いオレは、お前を誘拐する絶対に</p><p>オレは、きっちりとそう告げた</p><p>廊下に出るマルゴさん、寧、美智と</p><p>関さんが、さっきのまま待機していてくれた</p><p>ずっとここでみすずと瑠璃子の控え室に、誰も来ないようにしてくれたらしい</p><p>ありがとうございます関さん</p><p>もう、いいの</p><p>はい一通り、話はしました</p><p>オレは廊下の先を伺う</p><p>うん、近くにはオレたちしかいない</p><p>関さん、お話があります</p><p>明日告別式の後、瑠璃子を誘拐します</p><p>ジッちゃんの了解は得ていますだけど、香月セキュリティ・サービスには連絡しないそうですオレたちだけの力で香月セキュリティ・サービスを出し抜いて、瑠璃子を連れ出せということです</p><p>関さんは、一間置いて</p><p>なぜ、そんなことを</p><p>オレは、真っ直ぐに関さんの眼を見る</p><p>瑠璃子には、香月家の庇護下から離れた生活を体験させるべきです香月家の呪縛から解き放ってやらないとあいつの人生は、始まりません</p><p>関さんも、オレの眼をじっと見返す</p><p>判ったわあたし、あなたたちのサポートをすればいいのね</p><p>関さんは、了承してくれた</p><p>詳細は、今晩中に連絡します</p><p>マルゴさんが、関さんに言った</p><p>了解ここにメールをして</p><p>関さんが、メモ用紙を取り出して、メールアドレスを書く</p><p>そのページを引きちぎり、マルゴさんに手渡す</p><p>個人的なアドレスだしこれは、香月セキュリティ・サービスの人には知られていないから</p><p>判りましたよろしくお願いします</p><p>マルゴさんが、メモを見て</p><p>すぐにスタスタと廊下の端の喫煙コーナーへ行き</p><p>灰皿の上で、ライターで火を付ける</p><p>え燃やしちゃうんですか</p><p>うんもう、覚えたから</p><p>マルゴさんは、オレにニヤッと微笑んだ</p><p>ボワッとメモが燃え上がる</p><p>さすがねそれも、キョーコ・メッサーの教え</p><p>関さんの問いに、マルゴさんは</p><p>黒い森の流儀です</p><p>黒い灰になったメモを、確実に粉々にする</p><p>元の道を通って駐車エリアへ</p><p>マセラッティに、戻る</p><p>マルゴさんは、車に乗る前にチェックをする</p><p>うんやっぱりね</p><p>あっという間に、３つも不審な機器が発見される</p><p>それって、あの</p><p>ジッちゃんの指示なんだろうか</p><p>それとも、谷沢チーフの</p><p>今は喋らないでこれとこれは発信器だけどこれは、盗聴器だから</p><p>あはい</p><p>さすがに爆弾とかは仕掛けてないみたいだよ</p><p>はいいいよ、乗って君は、助手席寧と美智ちゃんは、後部座席ね</p><p>よく判らないけれどとにかく、マルゴさんの言うとおりにする</p><p>それじゃあ、行くよ</p><p>マルゴさんは、マセラッティのエンジンを掛け出口の検問へ</p><p>香月セキュリティ・サービスの制服警備員が現れると</p><p>君、悪いけれど、これ返しておいて</p><p>警備員に、さっき見つけた発信器と盗聴器を手渡す</p><p>君の会社の備品だと思うんだよ多分</p><p>慌てる、警備員</p><p>それから、窓から顔を出して、車の後ろへ</p><p>おいっ、何をやっているんだっ</p><p>見ると別の制服警備員が、いつの間にか忍び寄り、マセラッティの後部に触れようとしていた</p><p>下手な真似をすると殺すよ</p><p>マルゴさんの殺気に怯えた警備員は、動きを止める</p><p>ゲートを開けなっ</p><p>寧が叫んだ</p><p>はい、ただ今</p><p>最初の制服警備員が、入り口のゲートを開く</p><p>うんご苦労様</p><p>マルゴさんは、マセラッティを急発進させる</p><p>危ないところでしたね</p><p>いや、発信器を付けられたよ</p><p>後ろに居た警備員顔はビビッた振りをしていたけれど、しっかり発信器は取り付けてる右手をあたしたちによく見えるように強調して左手で車体の下に付けたよ</p><p>これって、ジッちゃんの指示ですか</p><p>違うよ香月さんは、こういうことはしない谷沢さんだよ</p><p>谷沢さん恭子さんが怖いんだよまあ、仕方無いよね東京の街中に、人食いライオンが野放しになっているようなものだから今の恭子さんは、ミス・コーデリアとも繋がっているし谷沢さんとしては、あたしたちの動向を常に監視しておきたいんじゃないかな</p><p>じゃあ、明日、瑠璃子を誘拐するのは難しいですか</p><p>オレたちのことを常に見張っているのならその監視の眼を潜り抜けて、瑠璃子を連れ出すのは</p><p>いや、それは何とかするよさすがにちょっと頭に来るからね谷沢さんには、あたしたちの首に鈴は付けられないことを知って貰わないと、さすがに窮屈だよ</p><p>マルゴお姉ちゃん後ろ、２台、尾行だねっ</p><p>白と青の車です</p><p>美智も、尾行車がはっきり判っているらしい</p><p>ねえ寧と美智は、あたしが責任を持って池田先生の医院に連れて行くから、君は尾行を半分引き受けて</p><p>引き受けるって</p><p>大丈夫そのまま電車で、お屋敷に帰ってくれればいいあいつら、手は出してこないよあたしたちは、香月家と敵対しているわけではないから</p><p>オレたちに危害を加えたら、ジッちゃんに怒られるだろうしな</p><p>とにかくうざったいだけだから気にしないで、真っ直ぐ寄り道せずに帰るんだよお屋敷まで付いたら、恭子さんが何とかしてくれるだろうから</p><p>どっちにしろ池田先生のところへ行ったって、君は診察が終わるのを待っているだけだしその後は、寧を美容院に届けて美智ちゃんをまた葬祭場まで帰してあげないといけないしねあたしがやっておくよ</p><p>いや、別に待つのは構わないですけれど</p><p>尾行を、半分受け持って欲しいだけだよ追尾が半分ならあたしが、追っ手を巻くから</p><p>そうかそれなら</p><p>もしもの場合は、すぐに携帯で電話してあたしでも、克子さんの方でも構わないから</p><p>ええっとさっき渡された、携帯電話はちゃんと持っているよし</p><p>寧と美智ちゃんもいいね</p><p>うん、ヨッちゃんがいなくなるのは寂しいけれどあんなのが、ずっと付いてくるのは嫌だもんね</p><p>仕方ありません</p><p>二人とも、納得してくれる</p><p>地下鉄の青山一丁目の駅の前で、車を停めるから君、帰り方判る</p><p>だいたい判ります</p><p>東京の地下鉄は複雑だけれどまあ、路線図を見ればなんとかなる</p><p>ヨッちゃん、お金持ってる</p><p>上着を確かめると昨日、ミナホ姉さんに渡された封筒が、そのまま入っていた</p><p>一万円だけ持っていきますあんまり大金を持っていると怖いし</p><p>オレは、一万円札を１枚だけ抜いて残りを寧に預ける</p><p>持っててよ、姉さん</p><p>寧が、封筒を受け取る</p><p>車を降りたら、マセラッティの後ろを見て多分、バンパーの下に発信器が付いていると思うから、引き剥がして</p><p>引き剥がして、どうするんです</p><p>その辺に放り捨ててくれればいいよ君を追う尾行者が拾っていくだろうから</p><p>さ停めるよ</p><p>マルゴさんは、大通りの大きな交差で車を停めた</p><p>いや、信号待ちの時間に合わせて普通に停車する</p><p>じゃあよろしくっ</p><p>はい美智ちゃんと診て貰うんだぞ</p><p>かしこまりましたご主人様</p><p>美智は、真剣な顔で頷く</p><p>姉さんもまたね</p><p>うんヨッちゃんまた後でねっ</p><p>寧は、ニッコリとオレに微笑む</p><p>マルゴさんよろしくお願いします</p><p>君も、気を付けるんだよ</p><p>オレは、車を降りる</p><p>マセラッティの後部に廻り込んで</p><p>車体の下を覗き込む</p><p>確かに、小さな機械がくっついている</p><p>オレは、それをむんずと掴んで車から、剥ぎ取る</p><p>後ろの窓越しに、マルゴさんたちに見せた</p><p>寧が、オレに手を振っている</p><p>ドドドドゥゥッ</p><p>マセラッティは、信号が変わったのを確認して</p><p>オレを残して、発進する</p><p>オレは、急いで歩道へ上がって</p><p>発信器は、ガードレールに引っ付けた</p><p>周りを見回す</p><p>あホンダのショールームだ</p><p>祝・優勝の大きな垂れ幕が出ている</p><p>何だか知らないけれどレースでホンダの車が優勝したんだろう</p><p>ふっと、後ろを振り向くと</p><p>オレたちを尾行していた車の片割れ</p><p>青い車が、道の反対側で停車している</p><p>中から、スーツ姿の男が３人下りて来た</p><p>あああいつらが、オレを尾行する担当なのね</p><p>まあいい</p><p>ホンダのビルを背にしてオレは、地下鉄の入り口へ降りて行く</p><p>何の問題も無く、切符を買って地下鉄のホームへ</p><p>休日だから、人はまばらだ</p><p>あ、こんなところに鏡がある</p><p>オレは、何気なく鏡を覗く振りをしながら背後を伺う</p><p>うん尾行者は、付いて来ている</p><p>このままお屋敷まで、ご案内だな</p><p>どうせ谷沢チーフの配下だ</p><p>黒森のお屋敷のことは知っているから、連れて行っても問題は無い</p><p>寄り道しないように</p><p>それとオレの知り合いには、会わないように気を付けよう</p><p>オレの正体は、谷沢チーフもまだ確認していないはずだ</p><p>自分の中に、そういう言葉が浮かんでみて</p><p>あれれと思う</p><p>オレの正体って</p><p>オレは、改めて鏡を見た</p><p>鏡の中に映るオレ</p><p>ちょっと、くたびれた顔をしている</p><p>昨日から、大変なことばかり続いたもんな</p><p>口元を歪めて、無理に微笑んでみる</p><p>はっ相変わらず、冴えない顔だ</p><p>うんでも、これはオレの顔</p><p>これはオレだ</p><p>大きく、溜息を吐く</p><p>しっかりしろ、オレ</p><p>勘違いするんじゃないぞ</p><p>今オレの周りにたくさんの女の子が居てくれる</p><p>みんな、オレを求めてくれる</p><p>みんな美人で、才能溢れる、魅力的な子ばかりだ</p><p>ミナホ姉さんや、マルゴさんたちみたいにオレを助けてくれる人もいる</p><p>本当に、スバ抜けた能力の人たちだ</p><p>そういう人たちに囲まれているからといって</p><p>別に、オレ自身が凄くなったわけじゃない</p><p>オレはマルゴさんや美智たちよりも、弱い</p><p>寧やみすずたちよりも頭が悪い</p><p>あの子らみたいな、魅力は無い</p><p>鏡を見ろ</p><p>情けない顔をした情けない小僧がいる</p><p>これが、オレだ</p><p>オレは両親に捨てられた、ただの高校一年生</p><p>無力な存在だ</p><p>自分が、弱っちぃ人間だっていうことを思い出せ</p><p>忘れるな</p><p>オレは、オレなんだ</p><p>まもなく、電車が参ります</p><p>ホームに、アナウンスの放送が流れる</p><p>自分という人間の小ささを再確認したら、気が楽になった</p><p>尾行のやつらなんか、どうでもいいや</p><p>電車の中は、寝て帰ろう</p><p>そういや、ちょっと眠いや</p><p>ドゥドドドゥゥ</p><p>地下鉄が、ホームに滑り込んでくる</p><p>ああ空いてるこれなら座れるな</p><p>ドアが開くと、オレは車輌の隅っこのシートに座った</p><p>そして眼を閉じる</p><p>地下鉄から、ＪＲへ</p><p>そして、私鉄へ</p><p>私鉄の駅から、バス</p><p>お屋敷へ戻る道中、オレはほとんど眠っていた</p><p>目的の駅に着く度に、慌てて下車するのを繰り返す</p><p>尾行のことは、無視していた</p><p>バス停から、お屋敷へ向かう道すがら</p><p>オレは、ふと気付いた</p><p>この尾行者には殺気が無い</p><p>ヴァイオラの配下に追い掛けられた時には、もっと緊迫感があった</p><p>そういう怖さを感じない</p><p>だから、オレ居眠りできた</p><p>あ、オレマルゴさんに、騙された</p><p>オレの後ろに居るのは尾行者じゃない</p><p>護衛だ</p><p>谷沢チーフは、ジッちゃんに対して気を遣って</p><p>部下に、オレたちの護衛をする様に命じているんだ</p><p>オレがみすずの相手だから</p><p>もちろん大きなお世話だし</p><p>発信器とか付けてくるのは、論外だけれど</p><p>谷沢チーフに悪気があってしていることではない</p><p>って、ことは</p><p>マルゴさんは、尾行者の数を減らして、巻くためにオレをマセラッティから下車させたんじゃない</p><p>オレが、一人きりになる時間を作ってくれたんだ</p><p>一人になって、ゆっくり過ごす時間を</p><p>ここんとこ、ずっとオレは、誰かと一緒に居なくてはいけなかったから</p><p>もしも、不意に何かのトラブルに遭遇したら谷沢チーフの部下が、オレを助けてくれるだろうし</p><p>あ全然、ダメだなオレ</p><p>オレやっぱり、女の子の前だと格好つけているんだな</p><p>さっきの車中みたいに、無防備に居眠りとかできないもの</p><p>あいつらの前では</p><p>あの子らの視線を感じていつも、緊張している</p><p>マルゴさんは、それを知っているから</p><p>オレが一人になって、リフレッシュする時間をくれたんだ</p><p>まだまだダメだなオレ</p><p>道の向こうに、お屋敷のある小高い丘が見えてくる</p><p>あそこへ着いたらまた、キリッとして、心を集中しないといけない</p><p>うんちょっと、まだ気持ちが整っていない</p><p>オレは、一旦、立ち止まる</p><p>道端の自販機で、冷たいコーラを買って飲んだ</p><p>炭酸がシュワッとして眼が冷める</p><p>オレは、自分の頬をパンと叩く</p><p>しっかりしろオレ</p><p>さあ行くぞ</p><p>お屋敷に向かって、再び歩き出す</p><p>ここからは黒森の男に戻らないといけない</p><p>次話から、アニエス編です</p><p>360．二つの監禁室</p><p>しっかし</p><p>よく考えたら、お屋敷に玄関から徒歩で入るのは、これが初めてじゃないか</p><p>いつも、車だし</p><p>メグと登校した時は、裏口からだったし</p><p>どうやって、入ったらいいんだ</p><p>尾行が付いて来ているから、スッと入りたいけれど</p><p>とりあえず、鉄の門の前まで行く</p><p>おこんなところに、呼び鈴がある</p><p>とにかく、スイッチを押してみよう</p><p>ポチっとな</p><p>それだけで、ホッと安心する</p><p>何か、格好悪いが他に返事が思い付かない</p><p>ええ見えているわ</p><p>オレからは判らないけれど監視カメラが、あるんだな</p><p>今開けるからはい、どうぞ</p><p>鉄の扉が、ガチッと鳴り自動的に、キーッと開く</p><p>オレが敷地の中に入ると、扉は自動的に閉まった</p><p>香月セキュリティ・サービスの尾行の人たちとは、ここでお別れだ</p><p>手でも振ってあげた方がいいのか</p><p>いや、無視してあげた方がいいんだろうな</p><p>オレも、あの人たちも余計な気遣いをしなくて済む</p><p>緑の中を、屋敷に向かって歩く</p><p>ここはいつも車で通っているから、よく知っている</p><p>うん、今日も天気がいいな</p><p>空は青空寒くもない、熱くもない</p><p>理想的な五月の休日だ</p><p>身体が、かなり疲労している</p><p>裏庭の芝生にでも引っ繰り返って、日向ぼっこしながら、ゆっくり昼寝でもしたい心境だ</p><p>オレが屋敷の玄関に着くと</p><p>ドアが、ガチャッと開いた</p><p>お帰りなさいませっ</p><p>出て来たのは、メイド服を着たメグだった</p><p>恥ずかしそうに、オレの方を見ている</p><p>後ろから、お揃いのメイド服衣装の克子姉も現れる</p><p>どうメグちゃん、似合うでしょう</p><p>克子姉が、自慢げに言った</p><p>どうかな、ヨシくん</p><p>うんすっごい良く似合っているよ</p><p>メグは長身で、細くて、足が長いからコスプレ衣装が似合う</p><p>うんあたしは、やっぱりお嬢様じゃないから高価なドレスよりも、こういう仕事着の方が似合うよね</p><p>メグは、そう謙遜する</p><p>そうじゃないってすっごい可愛いよっメグ</p><p>オレは、グルッとメグの周りを廻って、じっくり観察する</p><p>うん健康的な溌剌とした肉体が良い</p><p>ヨシくん気に入ってくれた</p><p>もちろんさ</p><p>オレが、そう返事をすると</p><p>ほらっ、あたしが言った通りでしょはいメグちゃん、ご挨拶して</p><p>克子姉が、メグを促す</p><p>でも、恥ずかしいです</p><p>いいから、絶対に喜んでくれるから</p><p>メグは、克子姉の言葉にスカートをちょこんと摘んで、オレに礼をして</p><p>メグは今日から、ヨシくんだけのメイドさんになりますよろしく、お願いします</p><p>違うでしょ、そこはよろしくお願いしますご主人様でしょっ</p><p>だって恥ずかしいしご主人様は、美智さんが使っているから</p><p>じゃあ、英語でMasterとか呼ぶ</p><p>やめてくれよ、克子姉オレがマスターじゃ、田舎の喫茶店みたいだよ</p><p>うんカンベンして欲しい</p><p>ええヨシくんは、ヨシくんです</p><p>メグも、そう答える</p><p>本当のメイドさんじやなくってメグは、オレのお嫁さんなんだから、呼び方まで変えなくていいよ</p><p>そうねメイド嫁でいいか</p><p>克子姉は、納得してくれた</p><p>じゃあ、あたしはメイド長奥さんね</p><p>上機嫌に微笑む</p><p>色々とご指導下さい、メイド長さま</p><p>メグが恭しく、克子姉に頭を下げると</p><p>この克子姉さんに、まっかせなさいっ</p><p>克子姉は、ポンと自分の横腹を叩く</p><p>さ中へ入ってあなた、お昼は食べた</p><p>いや今朝は朝食が遅かったし、缶ジュース一本飲んだだけだよ</p><p>じゃあ、何か用意するわ</p><p>克子姉とメグと一緒にお屋敷の中へ入る</p><p>建物の中を抜けて中庭のテラスに出る</p><p>そこには、ミナホ姉さんが紅茶を飲みながら、ノート・パソコンを拡げていた</p><p>あら、お帰りなさい</p><p>ただ今、姉さん</p><p>家族として、ごく当たり前に挨拶する</p><p>大変だったでしょ尾行されながら、帰って来るのも</p><p>いいや、全然帰りの電車は、ずっと寝てきたよ</p><p>だって、あの人たち護衛なんでしょ</p><p>そうよよく気付いたわね</p><p>フフっと、微笑む</p><p>香月セキュリティ・サービスの情報部の人たちよあたしたちは、香月様のご命令で特別に秘匿・保護すべき集団に認定されることになったから</p><p>特別に秘匿・保護すべき集団</p><p>香月グループにとっての特別な集団ではないわよあたしたちは、日本国家にとってのトップ・シークレットになるわけ</p><p>に、日本の機密</p><p>今回の事件は政財界のご年配の方たちにとって、衝撃だったらしいのつまり、あたしたちの持っている顧客名簿や記録写真がね戦後の日本の政財界の皆様の夜の交友録が全て判ってしまうわけでしょうああいう世界だと、７０代、８０代でも現役でお仕事なさっている方も多いし代替わりしても、息子さんが事業や政治の地盤を引き継いでいらっしゃる方も多いしねあたしたちの持っている記録は、いつでも大きなスキャンダルを引き起こせるわ</p><p>白坂創介は、馬鹿だからそれをすんなり暴力団に渡してしまおうとしたけれど</p><p>ミナホ姉さんのお祖父さんが運営していた頃の、黒森楼の全盛期にはこの屋敷に、日本の大物たちが通い詰めていたんだ</p><p>ただの娼館でなく、一流の社交場であったという</p><p>ならば、政治家や事業家たちによって、ここで多くの裏取引も行われたのだろう</p><p>どうする思い切って、全て公表してみる与党も野党も、大物と言われる政治家は全員ダメージを負うわよ政権交代どころか、歴史のある政党は全て潰れるわね大企業もそうよ世襲の社長さんや会長さんたちが軒並み、引責辞任しなくてはならないことになるわね</p><p>ミナホ姉さんは、意地悪そうに笑った</p><p>止そうよそういうの、オレは興味が無い</p><p>あたしはあなたたちが幸せに暮らしていく場所を護れれば、それでいいわ</p><p>とりあえずは形式上は、あたしたちは香月様の傘下に入ったということになったわだから、今後は黒い森の持っている記録類は、全て香月様が管理するということで政財界の人たちには、そう伝えることになったから</p><p>香月家の威光で、オレたちを護ってくれることになったのか</p><p>それで香月セキュリティ・サービスの警護が付くことになったの</p><p>そうよちゃんと香月家のガードが効いていることを示さないと、抜け駆けする人が現れるでしょ</p><p>黒い森が、スキャンダルの火種を持っていることが広く知られてしまったんだ</p><p>ジッちゃんを出し抜いて、オレたちに直接接触してこようする輩も出る可能性がある</p><p>今後はおかしな連中があたしたちに接触する前に、香月セキュリティ・サービスの方で追い払ってくれるから香月様がご引退なされた後も、その体勢は変わらないわそのために、香月様はあの場に司馬様を呼ばれたんですもの</p><p>ジッちゃんは、香月グループの次のトップになる司馬氏に、オレたちの保護を引き継がせる</p><p>司馬様は、頭の切れる人よこのスキャンダルの火種は、活用しないで秘匿しておいた方が得だということは判っていらっしゃるわ色んな組織の人たちに、恩を売ることができるし脅しにもなるんだから</p><p>本当に、大丈夫</p><p>平気よ香月様は、あたしたちが独立した組織だということを司馬さんにお話になっていないでしょ司馬様は、あたしたちが香月様の支配下にあると思っていらっしゃるんだから香月グループが完全にジョーカーを掌握しているのなら、無茶な勝負に出る必要は無いと思っていらっしゃるはずよ持っていることで、有効に機能するカードなんだから</p><p>むしろ一度、使ってしまったら、それきりで取り返しのつかないことになるカードよ現在の日本の政財界を大混乱に陥れたところで香月グループも司馬さんも、良いことは何もないでしょ</p><p>だから、窮屈だけれど香月セキュリティ・サービスの人たちに追い掛けられる生活をするしか無いわまあ、お屋敷と学校の中には入って来ないからそれに、香月セキュリティ・サービスの警護の人たちが付いていてくれればもう一つの組織の人たちを牽制してくれるしね</p><p>もう一つの組織</p><p>日本の公安警察よ</p><p>ホテルで、恭子さんが自分の素性をバラしてしまったでしょ今夜には、香月セキュリティ・サービスの警護に加えて、公安警察の人たちもあたしたちを見張りに来るわよ</p><p>恭子さんは、有名な国際犯罪組織のメンバーなんだっけ</p><p>多分最終的には、うちの屋敷の前に交番が立つわよそれで、二十四時間、警官があたしたちを見張ることになるでしょうねこの辺の治安は、良くなるでしょうけれど</p><p>もちろん、香月様から日本政府に対して通達が行っているわだから、あたしたちは特別に秘匿・保護すべき集団として承認されることになる公安警察が、やって来るのもあくまでも名目は警護よでも、現場の職員さんたちは、内心ではあたしたちや恭子さんを捕まえたいと思っているでしょうから</p><p>ミナホ姉さんは、苦笑する</p><p>ホント警察の人たちだけは、完全には抑えきれないから公安警察の監視に対して、常に圧力を掛け続けるためにも、香月セキュリティ・サービスの警護がお屋敷の前に常駐することは必要なのよ</p><p>公安警察と香月セキュリティ・サービスに、常に睨み合いをさせ続けることで</p><p>双方の力を削ぐ</p><p>はは恭子さんが、警察官の前で自分の素性をバラしたことで大変なことになっちったね</p><p>いいえあれは、必要なことだったのよ</p><p>恭子さんが、警察官の前で国際犯罪組織マランドロの一員であることを明かし警官が、それを認めたこれで、あたしたちの背後には、マランドロが付いているということが広まるわあたしたちにチョッカイを掛けてくる人間はいなくなるわねどっかの企業家や政治家が、あたしたちに手を出そうとしてもそれなりの規模の裏組織は、絶対に協力しないでしょうからマランドロなりキョーコ・メッサーという名前に近付く危険性は、みんな知っているから恭子さんは、わざとあの場で名乗ってくれたのよあたしたち家族を護るためにね</p><p>恭子さんは肉体派だし、度胸も素晴らしいけれどあの人の一番の凄さは、頭の切れよふざけているフリをして、ピンポイントで状況を有利に導いていくから</p><p>そう言えば、恭子さんは</p><p>確か、ミナホ姉さんと一緒に、白坂創介を連れに行ったんじゃ</p><p>今は学校よ校長室の下の監禁室に、白坂創介を閉じ込めておくことにしたから</p><p>ああ前に、雪乃が捕らえられていた部屋か</p><p>天井が低くて、気が滅入るんだよなあ</p><p>簡単なものだけれど、ご飯を作ってきたわ</p><p>克子姉とメグが、オレのために食事を持って来てくれる</p><p>ホットケーキとベーコン・エッグとサラダ朝ご飯みたいなもので、ごめんなさい</p><p>いや、いいよ全然克子姉が作ってくれるご飯は、いつも美味しいし</p><p>そのホットケーキは、メグちゃんが焼いたのよ</p><p>うん食べてみて、ヨシくん</p><p>オレは、ナイフで切って食べてみる</p><p>うん美味しいよ、メグ</p><p>克子姉もメグも、立ってないで座りなよメイドさんは、今はいいから二人とも、お昼はもう済ませたの</p><p>ええ、１時間ぐらい前に</p><p>オレは玉子を口に放り込みながら、他の子たちのことを考える</p><p>寧と美智はマルゴさんと、途中で何か食べるだろう</p><p>みすずと瑠璃子はジッちゃんが一緒に食事するって言ってたから平気だな</p><p>マナと麗華は渚が何か食べさせてくれるだろう</p><p>うん問題無い</p><p>オレは、サラダの葉っぱをシャリっと噛んでハッとする</p><p>あの雪乃は、どうしてる</p><p>雪乃は今、どこに居るんだ</p><p>雪乃なら、ここの二階に居るわ一応、監禁してあるわご飯食べたら、眠いって言ってグーグー寝ちゃったわ</p><p>メグが、そう教えてくれた</p><p>食事はしたんだじゃあ、いいか</p><p>あなたもご飯を食べたら、少し休んだらどう昨日からずっと大変だったんだし</p><p>克子姉が、オレの身体を気遣ってくれる</p><p>ありがとうでも、オレ</p><p>オレは、ミナホ姉さんを見る</p><p>ミナホ姉さんは、パソコンに向かっていた</p><p>何かの仕事に集中している</p><p>ミナホ姉さんは、パソコンの画面に眼を向けたまま返事をした</p><p>アニエスに会いたいんだ</p><p>オレは静かに答えた</p><p>マルゴさんに聞いたよアニエスのことを何とかしない限りミナホ姉さんの復讐は終わらないって</p><p>ミナホ姉さんは、無言でノート・パソコンを閉じる</p><p>そして、顔を上げてオレを見て</p><p>そのことを、あなたにどう話すかずっと迷っていたのよ</p><p>フッと溜息を吐く</p><p>ご飯が済んだら、行きましょうアニエスに、会わせてあげるわ</p><p>ミナホ姉さんと地下への階段を下りて行く</p><p>克子姉とメグは、台所の仕事があるからと遠慮してくれた</p><p>今は、ミナホ姉さんと二人きりだ</p><p>この地下通路が、ガレージの裏の方に繋がっているのよあなた、ガレージの裏って行ったことある</p><p>ええっとまだないと思うけれど</p><p>行けば監禁室の真上の天窓があるから、すぐに判るんだけれど</p><p>天窓</p><p>人間の身体って、太陽の光を浴びないと具合が悪くなってしまうのよ学校にある監禁室は短期間の監禁にしか使わないけれどこっちの地下監禁室は長期間用よだから、天窓から陽光が入るような設計になっているの</p><p>というより地下の部屋を監禁室にしたのは、白坂創介なのよ元々は、アトリエだった部屋だから</p><p>アトリエ</p><p>お祖父様の黒森楼の頃は、趣味で油絵を描かれるお客様も多かったから娼婦をモデルに、絵を描く部屋だったのあなた、クリムトっていう画家を知っている</p><p>知らないよ</p><p>十九世紀の終わりから二十世紀の始めにウィーンで活躍した画家なんだけれどねクリムトは、秘密のアトリエを持っていてねいつも、そこに裸の女のモデルをウロウロさせていてねハッと思い付いたら、その場でポーズを取らせて絵を描いたの</p><p>そのクリムトのアトリエの様子を見て、エゴン・シーレという若い画家が自分もそうしようと思って、自分のアトリエに若い女の子を裸でうろうろさせてみたんだけれどね</p><p>近所の人にバレて、ハレンチだっていうことで裁判になって負けたわ</p><p>まあ、エゴン・シーレの話はいいんだけれどお祖父様は、ここにクリムトのアトリエみたいな空間を作りたかったのねいつも裸婦がうろうろしていて、思い立ったら絵を描くそれに飽きたら、セックスみたいな</p><p>昔の絵のモデルは、画家と寝るのが普通だったしね</p><p>そういう多少芸術的なことを好む、お客もそれなりにいたってことか</p><p>廊下の突き当たりのドアの前で、ミナホ姉さんが立ち止まる</p><p>本当は、広い部屋だったんだけれど白坂創介が監禁室に改装した時に、中を２分割したのよ</p><p>ドアの鍵穴にキーを差し込み開く</p><p>ドアの向こうにはさらに２つのドアが並んでいた</p><p>そのドアは、入り口のドアよりも新しい</p><p>明らかに後付けのドアだ</p><p>ドアの上には、覗き穴が付いていた</p><p>右の部屋を覗いてみてアニエスが居るはずよ</p><p>オレは、覗き穴を覗いてみる</p><p>部屋の中は天窓からの光が、ぼんやりと差し込んでいた</p><p>うん本当は、本当にバスケット・コートぐらいの広さがある部屋なんだな</p><p>その真ん中に板を立てて部屋を真っ二つに区切ったんだ</p><p>あ部屋の隅に、シャワーも付いている</p><p>お湯が出るんだ</p><p>ええモデルに化粧させたりすることも、あったから今は、アニエスが毎日シャワーを使っているわ</p><p>というかトイレも剥き出しで付いている</p><p>どうなっているんだこりゃ</p><p>元々は、トイレとシャワー室は、壁で囲われていたの白坂創介が、壁を取り払ったのよ監禁した女の子を辱めるために</p><p>そうか拉致してきた、女の子をこの部屋に閉じ込めて</p><p>どうしても我慢できなくなった女の子が、剥き出しの便器で排泄するのを眺めて、楽しんでいたんだな</p><p>シャワーも、そういう使い方をしていたんだろう</p><p>だから壁を取ってしまったんだ</p><p>しかし、アニエスはどこに居るんだろう</p><p>オレは、さらに部屋の中を見廻すが</p><p>覗き穴の範囲には、見えない</p><p>アニエス見えないよ</p><p>じゃあ、ベッドの方に居るんだと思うわその覗き穴からだと、死角になるから</p><p>それじゃあ、しょうがないね部屋の中へ入るしかないのかな</p><p>オレが、覗き穴から眼を離すとミナホ姉さんは、区切られたもう一つの方の監禁室を覗き込んでいた</p><p>酷く、緊張した顔で</p><p>ミナホ姉さんそっちの部屋にも、誰かいるの</p><p>大きなアトリエを板で分けられた、二つの監禁室</p><p>それぞれに誰かが、監禁されているのか</p><p>父よ</p><p>父ミナホ姉さんの</p><p>そうよ黒森公一郎あたしの実の父よ</p><p>ミナホ姉さんのお父さんはオーストラリアに居るんじゃなかったのか</p><p>ヤクザの娘に手を出して、日本に居られなくなって逃亡して</p><p>白坂創介は、黒森公一郎に会いにオーストラリアへ行ったんだろ</p><p>黒森公一郎が黒い森の顧客リストを持っていると聞いて</p><p>父がオーストラリアへ向かったというのは、全部嘘よ白坂創介を、国外へ出すための</p><p>そうだ当時の白坂創介は、日本の暴力団と付き合いがあったから</p><p>白坂創介をガードする勢力を排除するために日本から出国させた</p><p>国外なら、恭子さんが自由に立ち回れるし</p><p>つまりミナホ姉さんの父親は、ずっとここに居た</p><p>白坂創介が、ゴールデンウィーク明けに恵美を娼婦にする計画を立てていたでしょ</p><p>ミナホ姉さんは暗い声で言った</p><p>だからどうしても復讐計画を急ぐ必要があったの</p><p>メグを白坂創介の魔の手から救うために</p><p>父には強い薬を使ったわ</p><p>父はもう一生、眠ったままよ仕方無いでしょ白坂創介に唆されてお祖父様から、黒森楼を奪ったのは父よ</p><p>これまでずっと誰も、黒森公一郎の話をしてこなかった</p><p>そして白坂創介と一緒に、たくさんの女の子たちを地獄に堕としてきたのが、あたしの父黒森公一郎</p><p>何度も何度も、憎しみの言葉で語られる白坂創介とは対照的に</p><p>みんな、黒森公一郎の話を避けていた</p><p>あたしが白坂創介に拉致された時も犯された時も、父は助けてくれなかったそれどころかあの人は、白坂創介の次にあたしを犯したのよ</p><p>奈生実の時もそう父は、あたしたち姉妹を助けてくれなかった娘を奪われて、一人取り残された母を見殺しにしたそして、奈生実が死んだ時だって</p><p>ブルブルと身体を震わせながらミナホ姉さんは、父親の居る部屋を覗き込んでいる</p><p>これは、仕方のないことだったどうしようも無かったんだって自分に言いきかせて自分の罪から逃れようとしたのよあの人は</p><p>ミナホ姉さんが、絶対に白坂創介を許さないのは</p><p>雪乃やマナやアニエス白坂創介の娘まで、復讐に巻き込むのは</p><p>ただ単純に白坂創介が憎いだけじゃない</p><p>あの人は実の父だけれどあたしにはあたしや、お母さんや奈生実にとっては、悪魔でしかなかった人間じゃないわ、あんな人</p><p>自分の父親への、激しい憎悪が根底にあるんだ</p><p>父親に家族ごと地獄に堕とされたという思いが</p><p>父親としての、白坂創介への憎悪に繋がっている</p><p>だから、あたし薬を呑ませたのあの人に</p><p>黒森公一郎はすでに復讐されていた</p><p>一生眼を覚まさずに悪夢の中で苦しんで、苦しんで、死ねばいいのよ</p><p>だからマルゴさんも、克子姉も、恭子さんも</p><p>誰も、ミナホ姉さんの父黒森公一郎について、話さなかったんだ</p><p>あの人にはそうするしか無かったわ他には何も思い付かなかった</p><p>ミナホ姉さんは、ずっと父親の部屋の覗き穴を見たままだ</p><p>オレの方には振り向かない</p><p>憎んでも、憎んでも憎しみ抜いても</p><p>父には黒森公一郎には、苦しませて殺す以上の復讐はできないんですもの</p><p>だって黒森公一郎には、愛する家族がいないんだから</p><p>愛されるべき家族であったはずのあたしたちは</p><p>とっくの昔に、父によって、粉々に打ち砕かれていたんだから</p><p>ミナホ姉さんが、細かく肩を揺らしている</p><p>だから苦しんで、苦しんで死ねばいいのよあの人なんて</p><p>実の父親が自分の家族をメチャクチャにした</p><p>その父親の家族に復讐は出来ない</p><p>ミナホ姉さんの中で、憎しみと怒りがループする</p><p>ミナホ姉さんの憎しみは、愛すべき家族娘をもった白坂創介に、より深く突き込まれた</p><p>雪乃たちに</p><p>ミナホ姉さんはぽろぽろと涙を零す</p><p>自分の呪いの言葉が、自分自身を打ち叩く</p><p>そんな風に見えた</p><p>オレは、背中からミナホ姉さんを抱き締めた</p><p>どうして、あんな男があたしの父親だったのよどうして、あたしたち、あんな男に苦しめられなければならなかったのよ</p><p>人は誰も親を選べない</p><p>ミナホ姉さんの父、黒森公一郎のことはここまで徹底的に隠してきました</p><p>白坂創介は、自分勝手な馬鹿で娼婦たちを悲劇に突き落とした首謀者ですが</p><p>彼にそうすることを許した黒森公一郎は、同じくらい罪深い人物です</p><p>そういう親を持ってしまったこと親に身体も心も徹底的に犯されたと言うことが、御名穂のコンプレックスの原点です</p><p>さて、吉田くんは彼女をどう救うのか</p><p>物語は、佳境に入ります</p><p>今日は、朝から父の検査と検診に付き添って、大学病院まで行ってきました</p><p>術後の状態を見る検査と検診ですね</p><p>まあ、大動脈瘤破裂で手術は５０パーセントの生還率</p><p>手術後も、当初は、このまま寝たきりになるのは避けられないと言われていましたから</p><p>自分の足で、歩いて病院まで行けるだけで幸せなんだと思います</p><p>ボケは治りませんが</p><p>結局、ヒゲ剃りは行方不明のままなので今日、新しいのを買ってあげました</p><p>付き添いも、しばらくは誰かがやらないとマズイみたいです</p><p>黒森公一郎は、お屋敷の地下で薬で植物人間にされているという設定は、父が倒れる前から決めていたのですが</p><p>今となっては、何かとても心苦しいです</p><p>361．傷</p><p>あたし恐ろしい女でしょ実の父を廃人にしたのよ</p><p>力なくミナホ姉さんは呟く</p><p>恐ろしくなんかないよ</p><p>そんなはずないわ</p><p>ミナホ姉さんは、オレの方を見ない</p><p>じっと自分が手を掛けた父の眠る部屋の中を覗き込んでいる</p><p>自分の罪を見据えている</p><p>だってミナホ姉さんは、オレの姉さんだもの</p><p>一生ずっと永遠に姉さんは、姉さんなんだから</p><p>ミナホ姉さんの罪は、オレの罪だオレも一緒に背負っていくよ</p><p>ミナホ姉さんが、ゆっくりとオレを見る</p><p>オレには家族が必要なんだその家族の家長がミナホ姉さんだろだから</p><p>家族を必要としていたのは、あたしの方よ</p><p>オレの言葉を、ミナホ姉さんは遮る</p><p>だから、あたし克子や渚を、ただの娼婦として扱うことができなかったのよマルゴや寧を、拾って来てしまった恵美が、白坂創介の餌食になるのを見過ごせなかったしあなただって</p><p>みんな、家族にしてくれたんだろ</p><p>違うわあたしは、自分自身のために自分が寂しいから、そうしただけよあたしの自分勝手なエゴで憐れみでも、優しさでもないわあたしはあたしのために、あなたたちに近付いたのよ</p><p>ミナホ姉さんは、思いを吐露する</p><p>だから別にいいじゃないかミナホ姉さんが手を差し出してくれたおかげで、みんな、最悪の状態にはならなかったんだからオレたちは、みんな、ミナホ姉さんに感謝しているよ</p><p>あたしは人に感謝されるような人間ではないわあたしは心の薄汚い女よ酷い人間なんだから</p><p>でも、姉さんだオレの</p><p>オレはミナホ姉さんを、抱き締める</p><p>オレは、死んだってミナホ姉さんの弟であることを、やめないからね</p><p>ミナホ姉さんの身体は本当に細い</p><p>12歳で娼婦にさせられ無理な妊娠中絶手術を受けさせられた</p><p>二度とセックスのできなくなった肉体</p><p>順調な第二次性徴を遂げることの出来なかった少女は針金のように細く、痩せた女になるしかなかった</p><p>姉さん</p><p>強く抱き締めたら砕けて粉々になってしまいそうだ</p><p>いいのね本当に、こんなあたしの家族のままで、いてくれるのね</p><p>耳元で、ミナホ姉さんが囁くように言う</p><p>オレはもう、ミナホ姉さんの家族になったんだ家族は、一度なったら辞められないよそうだろ</p><p>ミナホ姉さんは、再び、実父の部屋を見る</p><p>あの人はあたしの生物学上の父親だけれど家族じゃないわあたしは、あの人を家族と感じたことは一度も無いわ</p><p>オレだってそうだよオレの家に居た家族は、死んだバァちゃんだけで親父も母親も、オレの家族にはならなかったんだと思う血が繋がっているとかだけじゃ、ダメなんだよ家族ってのはもっと大切なものだから</p><p>そうかもね</p><p>そこへオレたちの後ろから、声を掛ける人物が現れる</p><p>お嬢様香月セキュリティ・サービスの担当者と打ち合わせ致しました</p><p>年老いた男性の声</p><p>振り向くと黒い背広を着た、森下さんが立っていた</p><p>黒森楼時代からの娼館の番頭さん</p><p>白坂創介に追放されていたのを、ミナホ姉さんが連れ戻したという</p><p>あ、こんにちわ</p><p>オレは、慌てて挨拶する</p><p>このお屋敷に来た初日以来森下さんには会っていない</p><p>その時は、このお屋敷の執事さんかと思っていたから</p><p>ちゃんと、話をするのはこれが初めてだ</p><p>いや優花さんたちが来て、雪乃の妊娠パーティとかをした時にも、会っているな</p><p>でも、とにかくお屋敷の中では、ほとんど姿を見ていない</p><p>すみませんあのオレは</p><p>ご安心下さいわたくしは、全て、存じ上げております</p><p>森下老人は、やんわりとそう言った</p><p>わたくしも監視カメラの映像は、観ております</p><p>そうかこの人も、元祖黒い森だもんな</p><p>オレの雪乃レイプ以来の行動は、全て観られているんだ</p><p>御名穂お嬢様の弟君になられたのですねよろしく、お願い致します</p><p>いや、あの、こちらこそお願いします</p><p>オレは、森下老人に頭を下げる</p><p>森下はずっと、お父様のお世話をしていてくれたのよ</p><p>ここに、昏睡状態の黒森公一郎が居たから</p><p>この部屋ならアニエスと一緒に様子を看ることができるからあたしや克子は、どうしてもずっとお屋敷に居ることはできない状況だったから</p><p>普段はアニエスの食事などの世話は、克子姉が担当しているんだっけ</p><p>でも、この数日はどうしても、お屋敷を出て活動するしかない状況が続いたから</p><p>黒い森は、元々、人手不足だし克子姉は、とても有能な女性だ</p><p>アニエスの世話のためだけに、お屋敷に残って貰うわけにはいかなかったんだろう</p><p>それで</p><p>森下さんが、この２つ並んだ部屋をずっと看ていてくれたんだな</p><p>お坊ちゃまは今夕、香月様の病院へ運び込むことになりました</p><p>お坊ちゃま</p><p>そうか森下さんは、ミナホ姉さんのお祖父さんに仕えていたから</p><p>黒森公一郎は、主人の息子お坊ちゃまなんだ</p><p>はい公安警察が、この屋敷の監視体勢を固める前にということでした</p><p>判ったわありがとう</p><p>白坂創介の身柄は、確保できたわだから、もう、ここにお父様を閉じ込めておく必要はなくなったのよ</p><p>オーストラリアに居るという嘘の設定はもう、いらない</p><p>恭子さんの力を信じていなかったわけではないけれどもし、万が一、白坂創介を白坂本家に奪回された時のことを想定していたのよ</p><p>白坂家の当主だった白坂守次氏は、愛する甥の白坂創介を救出するために、オーストラリアに部下を派遣していた</p><p>もし、何らかのトラブルで白坂創介が、恭子さんの監禁から脱出したとしたら</p><p>それでも白坂創介の目的は、黒森公一郎が持っているという黒い森の顧客リストだ</p><p>黒森公一郎が、オーストラリアに居ると思い込んでいる間は現地に留まったままだろう</p><p>恭子さんなら、再び白坂創介を捕らえるチャンスを見出すはずだ</p><p>しかし黒森公一郎が、日本の黒森家のお屋敷に居ることがバレたら</p><p>白坂創介は、即刻、日本に帰国しただろう</p><p>それは、白坂創介に鉄壁のガードが付くことを意味する</p><p>少人数の組織である黒い森では、白坂創介に手が出せなくなる</p><p>さらに、黒い森は身内に手を出された白坂本家と、白坂創介が関わっていた暴力団組織からの攻撃を、真っ正面から受けとめることになっただろう</p><p>顧客リストを欲しがっていた張本人が、その暴力団なのだから</p><p>その上、シザーリオ・ヴァイオラの一団が、オレたちへの攻撃に加わればまず、護り切ることは不可能だ</p><p>だから、全ての案件が解決するまで黒森公一郎の所在は、徹底的に隠されていたんだ</p><p>お父様は、病院に入っていただくわそして、病院で死んでいただく</p><p>お坊ちゃまのお支度は、わたくしが致しますお着替えをしていただいて、こちらの部屋から、一階のお部屋にお運び致します</p><p>そうね香月セキュリティ・サービスの方に、この地下の部屋をお見せするわけにはいかないわね</p><p>ですのでしばらく、わたくし一人にしていただけますでしょうか</p><p>森下さんは、ミナホ姉さんに頭を下げる</p><p>わたくしはお坊ちゃまがお生まれになった時にはもう、黒森家にお仕えしておりました大旦那様より、お坊ちゃまの教育係を仰せつかったことはございませんがお坊ちゃまが、この様なご性格になられてしまわれたのは、わたくしにも責任があると思っております</p><p>森下</p><p>今では、大旦那様にお仕えした使用人は、わたくし一人になってしまいましたお坊ちゃまの最後のお見送りはわたくしが、しなくてはならないと思います大旦那様のご恩に報いるためには</p><p>産まれた時から知っている主人の息子に森下さんは、お屋敷を追放され</p><p>主人の孫娘であるミナホ姉さんにお屋敷に呼び戻された</p><p>だから、主人の息子をお屋敷から見送るのは自分の仕事だと思っている</p><p>黒森公一郎が、このお屋敷に戻って来ることは、二度と無いのだから</p><p>判りました森下に任せます</p><p>ミナホ姉さんは答えた</p><p>悪いんだけどアニエスのことは、お父様の移送が終わってからにしていいわね</p><p>元来た地下通路をミナホ姉さんと、戻る</p><p>森下さんに声が届かない距離まで離れてからオレは、ミナホ姉さんに尋ねた</p><p>アニエスの居る監禁室にも、監視カメラはあるんでしょ</p><p>ええあるわ</p><p>ミナホ姉さんは、無表情で答えた</p><p>じゃあ、わざわざ部屋の前まで行かなくてもアニエスの様子は、カメラで確認できたんだよね</p><p>というか部屋まで行ったけれど</p><p>アニエスは、扉の覗き窓の死角に居たから姿を見ることは、できなかった</p><p>カメラはどうせ複数あるんだろうから見えないなんてことは無いだろう</p><p>じゃあ、わざわざオレを地下に連れてきた理由は</p><p>ミナホ姉さんはアニエスじゃなくて、黒森公一郎さんをオレに見せたかったんだね</p><p>あたしが、あなたに見せたかったのはあたしよあたし自身の醜い心よ</p><p>黒森公一郎の部屋の覗き穴は、ずっとミナホ姉さんが覗いていた</p><p>オレは黒森公一郎の姿を見ていない</p><p>あなたにあたしの傷を見て欲しかったのよ</p><p>オレは前にミナホ姉さんの身体の傷を見たことがある</p><p>腹部下の大きな手術跡</p><p>絶対に赤ちゃんが産めない証し</p><p>あれと同じぐらい大きな傷がミナホ姉さんの心にも、ある</p><p>傷は癒えていない</p><p>今も疼き、時折赤い血を噴き出す</p><p>うん傷だらけだね、ミナホ姉さんは</p><p>オレは、立ち止まる</p><p>ミナホ姉さんも、オレを見たまま立ち止まった</p><p>でも、オレは好きだよ傷だらけのミナホ姉さんが</p><p>大好きだよミナホ姉さん</p><p>オレはこの傷だらけの魂を、抱いてあげないといけない</p><p>ミナホ姉さんを抱き寄せ</p><p>オレは、その唇にそっと、キスをした</p><p>あたし男の子とキスしたの、初めてよ</p><p>娼婦としてなら男の人となら、何度もあるけれど</p><p>陵辱され尽くしたミナホ姉さん</p><p>心と身体</p><p>ミナホ姉さんは、もう娼婦じゃないよ</p><p>オレは、ミナホ姉さんを見つめる</p><p>そうねあたしは、もう違う</p><p>今度はミナホ姉さんが、オレにキスしてくれた</p><p>あたし好きな人にキスをしたのは、生まれて初めてよ</p><p>何度も何度も唇を交わす</p><p>いいわね、これキスがこんなに素敵なことだって、知らなかったわ</p><p>好きじゃない人にどれだけキスを強要されてきたんだ</p><p>そんな顔しないで全部、昔のことよ</p><p>やっと昔のことになるのよ</p><p>長い長い年月を掛けて練り上げた復讐計画</p><p>これが終わらないとミナホ姉さんは、救われない</p><p>お父様のことも、済んだから後は、アニエスだけよ</p><p>アニエス</p><p>白坂創介が、自分の欲望を満たすために生ませた娘</p><p>そうだね、アニエスだけだね</p><p>オレがアニエスを白坂創介から奪う</p><p>白坂創介に残された最後の娘を</p><p>それで、終わりだ</p><p>頑張るよオレ</p><p>ごめんごめんなさいね</p><p>いいんだよミナホ姉さんのためだから</p><p>それで少しでも、心の傷が癒えるのなら</p><p>オレは、何でもする</p><p>オレはまた、ミナホ姉さんにキスを求める</p><p>一階へ上がる</p><p>ミナホ姉さんは、いつもの冷静な表情に戻っていた</p><p>夕方まで休みなさいあなた、疲れているでしょう</p><p>次の予定は、香月セキュリティ・サービスの人が来てからにするわあたしも少し休むから</p><p>ミナホ姉さんは、スッとオレから距離を取る</p><p>オレは、もう少しミナホ姉さんの温もりを感じていたかったのに</p><p>ごめんなさいこれ以上は、あたしには辛くなってしまうから</p><p>身体の奥が痛むのよ痛むはずの器官は、あたしにはもう無いはずなのに一生、この痛みはなくならないらしいわ</p><p>ミナホ姉さんはセックスができない</p><p>だから許して</p><p>そう言うとミナホ姉さんは、立ち去ろうとする</p><p>待って、ミナホ姉さんオレは</p><p>オレは別にミナホ姉さんとの、セックスを望んでいるわけではない</p><p>あなたの気持ちは判っているわこれは、あたしの問題なの</p><p>あたしは、１２歳で娼婦にさせられて無理矢理、身体を開かれて色々な、薬も使われたわ快感を増幅させるような薬も</p><p>あたしセックスで、イッたことはあるのよ好きでもない相手に犯されて何度も絶頂に達したわ</p><p>ミナホ姉さんは、セックスの快楽を肉体で知っている</p><p>頭の中に、記憶として刻まれている</p><p>オレとのセックスを望んでいるのはミナホ姉さんの方だ</p><p>だけど、あたしこういう身体でしょ</p><p>なのに今のミナホ姉さんは、セックスができない</p><p>身体と心の傷が、今でもジクジクと痛んでいる</p><p>ありがとうあなたのお陰で心が温まったわ穏やかな気持ちで休める２時間ほど眠るわあなたもそうしなさい</p><p>ミナホ姉さんオレ</p><p>ミナホ姉さんは、穏やかな眼でオレを見て</p><p>そんな顔しないで愛しているわあなたを</p><p>オレもだよ、ミナホ姉さん</p><p>ミナホ姉さんが微笑んで、オレを見る</p><p>そしてスッと、廊下の向こうに消えて行った</p><p>しばらく、その場に立ち尽くす</p><p>オレは何て無力なんだ</p><p>不意にメイド服姿のメグが現れる</p><p>どうしたんだ、メグ</p><p>克子姉さんが行きなさいって</p><p>克子姉がメグを寄越した</p><p>あのね克子姉さんが言っていたんだけれど</p><p>メグが、オレに近付いて来る</p><p>男の人には、色んなことでムシャクシャしている時があるからそういう時は、積極的に女の子の方から、ご奉仕しなさいって</p><p>メグの中に吐き出していいのよあたし、ヨシくんの性のはけ口になりたい</p><p>いやそんなのよくないよ</p><p>メグが、オレの手を掴み自分の胸に当てる</p><p>小振りだけれどしっかりと、おっぱいが自己主張している</p><p>高校一年生の弾力のある感触</p><p>しよ</p><p>ここでいいわよ</p><p>だって廊下じゃないか、ここ</p><p>気にしないわ誰に見られたって構わないもの</p><p>メグは、周囲を見廻す</p><p>じゃ、そこの部屋へ行きましょう</p><p>そこって何の部屋</p><p>何でもいいわヨシくんと二人きりになれるのなら</p><p>メグは、ガチャッとドアを開く</p><p>部屋は小さな応接間らしい</p><p>ソファと低いテーブルが置かれている</p><p>窓から、明るい外光が差し込んでいた</p><p>いいじゃないここで</p><p>メグは、オレを引っ張り込みドアを閉めた</p><p>カチッと鍵を掛ける</p><p>これでヨシくんとあたし二人きりだよヨシくんが、あたしを犯してもあたしは、この部屋から逃げられないんだからね</p><p>あぁぁっ</p><p>オレはメグの胸に飛び込む</p><p>なあにどうしたのヨシくん</p><p>メグは、ニコニコ微笑んでくれている</p><p>どうやらオレとミナホ姉さんのやり取りを見ていたのは、克子姉だけらしい</p><p>メグは、何も知らないんだ</p><p>ごめんオレのことじゃないから、勝手には教えられないんだ</p><p>ミナホ姉さんが、実の父親、黒森公一郎にしたことを克子姉は、メグに知らせたくはないのだろう</p><p>克子姉、マルゴさん、寧黒い森の古参メンバーは、おそらく真実を知っている</p><p>この３人は、最初からミナホ姉さんの復讐計画に携わっていたのだから</p><p>渚は判らない</p><p>うん、判ったじゃあ、聞かない</p><p>メグは、笑って受けとめてくれた</p><p>抱いてモヤモヤしている、ヨシくんの気持ちあたしの身体で、吹き飛ばして</p><p>荒々しく、メグの唇を吸う</p><p>メグは舌を絡めてオレの欲求に応えてくれる</p><p>いいよ、服破いちゃっても克子お姉さんが、好きにしていいって</p><p>ということで、次話はメグとのエッチです</p><p>モヤモヤしている気持ちのまま、雪乃を犯すというパターンも考えたのですが</p><p>もっと、モヤモヤしそうなので</p><p>昨夜、父が病院の診察券が無いと大騒ぎ</p><p>どっかに入れてあるんだろうと、家中捜索するが出て来ず、次に行く時に、再発行して貰うという話に</p><p>と今日になって、警察から電話</p><p>落とし物で、父の診察券が届けられたらしい</p><p>で仕事帰りに、私が取りに行く</p><p>どうやら、昨日、病院に検診に行った時にそのまま落としてきたらしい</p><p>拾われた場所が病院のすぐ近くだった</p><p>家に戻ると、父が</p><p>おう、なくなってたヒゲ剃りが見つかったぞ</p><p>というので、ホッとしたら</p><p>父よ、そのヒゲ剃りは無くしたやつじゃなくって、昨日、オレが買ってやったやつだ</p><p>昨日、新しいのを買ったことすら、忘れている</p><p>どうしたもんだか</p><p>362．リング　（メグとセックス）</p><p>克子お姉さんが、ヨシくんのこと心配しているの</p><p>オレを抱き締めながら、メグが言った</p><p>克子姉が</p><p>うん早く元気になって欲しいって</p><p>元気だよオレは</p><p>違うわヨシくん、疲れているわよあたしにだって、判るわ</p><p>さっき、克子姉さんが教えてくれたんだけれどセックスには、人の心の傷を癒やす効果があるんだって</p><p>心の傷</p><p>うんあたしも教わったばかりだから、あんまり上手くは説明できないんだけれどセックスは、究極のスキンシップだからって、克子姉さんは言ってた</p><p>メグの胸にオレは顔を埋めている</p><p>そんなオレの頭を、メグは優しく撫でてくれていた</p><p>人は、みんな孤独で寂しいから抱き締め合って、お互いの体温で温め合うことが大切なんだって</p><p>でもそれがきちんと効力を発するのは、本当に愛し合っている男女同士だけとも言っていたわ好きじゃない人とセックスしても心の中の澱みを吐き出して、気持ち良くさっぱりできることもあるけれど、それは良いことじゃないって</p><p>やっぱり、お互いをいたわり合う心とか信頼関係が大切だって言っていた本当に信頼できる相手じゃないと、心まで裸になれないから</p><p>心まで裸</p><p>克子姉さんが娼婦だった時はお客様が心まで裸になってリラックスできる様に、場を和ませることを大事にしていたって言っていたわ黒い森の御名穂姉さんたちが再建した本当の黒い森の方よお客様は、ただ性欲を満たすために娼館へいらっしゃるわけではないから心穏やかに、安心できる相手に、心の澱みを吐き出して、リフレッシュするために来館なさるんだって</p><p>娼婦としての克子姉の考え</p><p>それは当然、ミナホ姉さんの指示なんだろう</p><p>だから、克子姉さんは細やかな心配りをしてお客様が、心を解放できるようにいつも考えていたって</p><p>克子姉の娼婦時代の話はあまり、聞きたくない</p><p>でも、それはもちろん演技よ娼婦という職業上のだって、克子姉さんは、お客様を愛してはいないんだものどのお客様も、好きにはならなかったそうよセックスに金銭が介在していることは判っているからそれが、白坂創介さんの資金源になっていることもね</p><p>娼婦として人気が出れば大金を稼ぐことができる</p><p>しかし、その金は克子姉を拉致した、白坂創介の手へ</p><p>ミナホ姉さんが娼館の運営に携わるようになって、娼婦の待遇は大幅に改善されたというけれど稼ぎの何割かは、白坂創介に搾取されていたのだろう</p><p>だから克子姉さんは、とても辛かったみたい</p><p>あの通り、克子姉さんてサービス精神の塊みたいな人でしょだから、お客様に対しては、いつも笑顔で気分良くお帰りになられるよう、精一杯頑張ってでも、そういうセックスをしても、克子姉さんの心は満たされないのよ一方的に、克子姉さんが相手に奉仕するだけのセックスだから顔は笑顔でも心は渇いていく表情と心の中がどんどん乖離していったそうよ</p><p>出会った頃の克子姉を思い出した</p><p>いつも、上機嫌で笑っていたメイド服姿の克子姉</p><p>でも、その笑顔は空虚で深い悲しみを秘めていた</p><p>ヨシくんとセックスして救われたって、言っていたわヨシくんとの間には、金銭も利害関係も無いし何より、ヨシくんが自分の欲求に身を任せずに、克子姉さんの心を抱いてくれようとしたからってそう言ってた</p><p>オレは、普通にセックスしただけだよ</p><p>特別なことなんて、何もしていない</p><p>だけど娼婦ではなく、一人の女として愛して貰えたことで、救われたって</p><p>そう言って貰えるのは嬉しいけれど</p><p>だから今ヨシくんと、セックスするのは怖いんだって</p><p>オレは驚いてメグの顔を見上げる</p><p>ヨシくんが、元気な時ならちゃんと、同じだけ与え合うセックスができるだろうけれどヨシくんがくたびれている今だと、克子姉さんの方が与えすぎてしまうんじゃないかって</p><p>与えすぎる</p><p>ついつい、娼婦の頃に培った色んなテクニックを駆使してしまってヨシくんをメロメロにし過ぎてしまうんじゃないかって恐れているのよ</p><p>何で、それが怖いんだ</p><p>だってそれで、ヨシくんが克子姉さんのテクニックだけに溺れてしまったらもう、心の繋がったセックスは、できなくなるかもしれないじゃない</p><p>オレが、克子姉のテクニックにハマッて、セックス中毒になる可能性があるのか</p><p>そしたら克子姉さんとヨシくんの関係は、恋人じゃないでしょそれって、娼婦に戻ったのと同じじゃない</p><p>うんセックス中毒になったオレは、もう克子姉の心を見ようとはしなくなるかもしれない</p><p>ただただ性の快楽だけに溺れて</p><p>克子姉のしてくれることに、身を任せるだけの猿になってしまうかもしれない</p><p>だからヨシくんの心が元気になるまでは、セックスは我慢するってあたしをヨシくんのところに送り出してくれたの</p><p>あたしならまだ、セックスに慣れていないから今の弱っているヨシくんの相手をするのに、丁度良いって</p><p>克子姉さん不安なのよヨシくんと自分の関係は、慎重にしていないと壊れてしまうと思っているの</p><p>そんなことないよ何があったって、オレは克子姉を</p><p>娼婦だった過去に、克子姉さんは怯えているのよ</p><p>過去</p><p>ヨシくんに嫌われるんじゃないかって恐れているの</p><p>そんなことじゃ嫌わないよ、オレ</p><p>克子姉さんの方がヨシくんに見られたくないんだと思うわずっと、隠しておきたい記憶なんでしょうねでも、セックスの時に何かの拍子で、娼婦時代の狂気的な自分が克子姉さん、そう言ってたわ時々、セックスの最中に、狂気的なものが取り憑いていたって娼婦時代はそんな風な姿をヨシくんに晒してヨシくんを壊してしまうんじゃないかって</p><p>克子姉、そんなことを悩んでいたんだ</p><p>渚もだ</p><p>オレは、呟いた</p><p>今朝、ホテルで目覚めた時渚は、オレにセックスを求めてこなかった</p><p>真緒ちゃんと、お風呂に入る様に勧めただけだ</p><p>やっぱりオレの心が、弱っているから</p><p>今のオレとセックスするとオレが、渚のテクニックに溺れてしまうと感じたんだろう</p><p>渚も元娼婦だ</p><p>克子姉と、考え方は同じなんだ</p><p>オレは溜息を吐く</p><p>つまりオレは、ずっと元気じゃないといけないんだな克子姉や、渚が心配せずに、オレにセックスを求められるように</p><p>メグが、チュッとオレの頬にキスする</p><p>そんなに考え込まなくていいわよヨシくんは、昨日、大活躍だったんだから少し休んでまた、明日には瑠璃子さんのために行動するんでしょ</p><p>いや夕方には、アニエスのための計画を始めないと</p><p>アニエスを何とかしないとミナホ姉さんの復讐は、終わらない</p><p>じゃあ、ほんの数時間だけでもここで、あたしとお休みしましょう</p><p>１回、エッチしましょうあたしの中に出してそれで、寝ましょうあたしが、ずっとヨシくんを抱き締めていてあげるから</p><p>モヤモヤしている気持ちあたしの中に吐き出してあたし、まだセックスは上手くないと思うけれど一生懸命、頑張るから</p><p>そう言って、メグはオレの股間を触る</p><p>あたしがするそれとも、ヨシくんがあたしを犯すあたしは、どっちでもいいよ</p><p>可愛いメイドさんが、オレに言う</p><p>いいのかな、オレメグに甘えて</p><p>もおっ、怒るよ、ヨシくん甘えてくれなかったらあたし、困るもんっ</p><p>困る</p><p>メグは、うつむいて言う</p><p>あたし知っているわヨシくんてみすずさんや美智さんとエッチする時は、とってもあの人たちのこと気遣っているでしょ</p><p>マナの時もマナがまだ１４歳で、身体が小さいから、とっても気を付けて大事にセックスしている</p><p>メグにはそう見えるんだ</p><p>ヨシくんあたし、身体は丈夫だよ鍛えているからヨシくんが、少しぐらい乱暴にしたって、壊れないからねっ</p><p>メグは、片手でメイド服の胸元を開いていく</p><p>薄いブルーのブラジャーが見える</p><p>だからあたしの身体、ヨシくんの好きな様にメチャメチャにしていいから</p><p>いやメグ</p><p>だってあたしには、身体の頑丈さぐらいしか取り柄が無いんだもの</p><p>メグも不安なんだ</p><p>克子姉は、克子姉のレベルで</p><p>メグは、メグのレベルで</p><p>オレとの関係をずっとキープしていきたいと願ってくれている</p><p>この関係が壊れてしまわないか心配なんだ</p><p>いやさっきのミナホ姉さんだって</p><p>みんな、それぞれに不安を抱え</p><p>それぞれの方法で、オレにアプローチしている</p><p>みんな必死なんだ</p><p>メグは可愛いよ</p><p>そんなことないわ他のみんなの方が、あたしなんかよりもずっと綺麗よ</p><p>メグは、うつむく</p><p>寧姉さんには、敵わないわ</p><p>寧って</p><p>ヨシくん、寧お姉さんとしたんでしょ</p><p>メグは気付いている</p><p>あんな綺麗な人には、あたしは勝てないわ</p><p>口惜しそうに、そう呟く</p><p>みすずさんは、あたしよりも可愛いし、気遣いの素晴らしい人だし、気品もあるし美智さんみたいに、ヨシくんを護ってあげることはできないし克子姉さんや渚さんみたいに、明るくて綺麗で優しくないしマナみたいに妹として、ヨシくんに甘えられないし</p><p>メグは他の女たちに対してのコンプレックスが深い</p><p>あたしには、この身体しかないから必死で、ヨシくんに尽くすわあたし、何でもするからあたしの身体、使って</p><p>メグにはメグにしかない魅力があるんだよ</p><p>そう言ってくれるのは、嬉しいけれどでも、あたしがあたしの魅力を信じられないんだものみんなより、劣っていると思うから</p><p>言葉では、どうすることもできないんだな</p><p>結局、オレはセックスするしかない</p><p>セックスして、メグに満足している姿を見せなければ</p><p>メグの心は、納得しない</p><p>メグお喋りが過ぎたなするぞ</p><p>メグが、真剣な顔で返事をする</p><p>ああっヨシくん、そんなの恥ずかしいよっ</p><p>オレは、メグをソファに押し倒し</p><p>メグのメイド服のスカートに顔を突っ込んでいる</p><p>白いニーソックスが、ガーターベルトで留められている</p><p>太ももからパンティまでが素肌だ</p><p>オレは、そのメグの太ももの内側を舌でペロペロと舐めた</p><p>ああんっそんなとこ、舐めないでっ</p><p>メグの足気持ちいいよオレ、大好きなんだっ</p><p>そうなの、ヨシくん</p><p>ああメグの足、スラッとしてて細くて長くてなのに、触り心地がとってもいいんだ</p><p>適度に筋肉の付いている足は生ゴムの様な弾力感に富んでいる</p><p>じゃあ、触ってヨシくんの好きなようにしてっ</p><p>オレは、自分の顔を太ももに擦り付ける</p><p>メグおっぱいを舐めたい</p><p>メグは、自らブラをずらしてくれた</p><p>ピンクの乳首が現れる</p><p>オレは、興奮に尖ったそれをチュウチュウと吸う</p><p>舌先で転がした</p><p>んんっあはっ</p><p>快感が、メグを唸らせる</p><p>メグのおっぱい好きだよ感度が良くて</p><p>いいよぉヨシくん、ペロペロしてぇぇっ</p><p>小振りのおっぱいは、手の平にすっぽりと収まる</p><p>それがいい</p><p>おっぱい全体を廻すように、揉む</p><p>そんなに丁寧じゃなくていいよおっ荒々しくして</p><p>あたし平気だからもっと、強くねっ</p><p>オレは、押し潰すように、ギュッとメグのおっぱいを揉みしだく</p><p>ああっいいよっこの方がいいのっ</p><p>ヨシくんいつも大事にしてくれ過ぎなんだよっあたしのことは、もっとぞんざいに扱って酷くしてくれていいんだからっ</p><p>そうか、オレ</p><p>相手を気遣い過ぎてかえって、心の距離が遠ざかっているところもあるんだ</p><p>判ったよメグ</p><p>オレは、メグのお尻をつからを込めてギュッと揉む</p><p>荒々しく、キスする舌を吸う</p><p>ああ、オレも興奮してきた</p><p>あたし、何をしたらいい何がして欲しいの</p><p>メグが、優しい眼でオレを見る</p><p>いいんだよっあたしにはヨシくんの欲望を、思いっきりぶつけてくれてあたしなら、ヨシくんがセックス中毒になるようなエッチはできないから遠慮しないで、お願い</p><p>しゃぶってくれないか</p><p>もっと命令するように言って</p><p>ふ、フェラチオしろよメグ</p><p>メグは、真面目な顔でオレを見て</p><p>はいフェラチオ致します</p><p>オレは、ズボンを脱ぐ</p><p>ソファに浅く座るとメグが、オレの前に跪く</p><p>メイド服の前を大きく開いて、おっぱいがハッキリとオレに見えるようにして</p><p>舐めるね</p><p>オレのパンツから勃起ペニスを出す、メグ</p><p>右手で竿を上下にシゴキながら</p><p>すでに先走り液で濡れている亀頭に、舌を這わす</p><p>亀頭の周りをれろれろれろれろ</p><p>舌で外周を舐め這わせる</p><p>その眼は、オレを顔を見上げていた</p><p>メグの切れ長の大人びた視線</p><p>ここが気持ちいいの</p><p>オレの反応を見ながら亀頭のカリ舌を舐め上げる</p><p>今度は、おしゃぶりするね</p><p>ぱっくりと唇を開いて、亀頭を頬張る</p><p>じゅぼじゅぼと唾液を垂らして、亀頭全体を舐めしゃぶる</p><p>ぷっくりとした唇で、ペニス全体を擦り上げていく</p><p>ああっ気持ちいいよっメグ</p><p>見てぇぇ、ヨシくんメグがフェラチオしているんだよおっヨシくんのオチンチン、食べちゃっているのっ</p><p>メグがオレを見上げている</p><p>美味しいよおっヨシくんのオチンチン、とっても美味しいもっともっと、ペロペロしてあげるからっ</p><p>オレに見えるように、メグは大きく舌を伸ばしてペニスを根元から舐め上げていく</p><p>あたし、ヨシくんのしか舐めないからねっヨシくんが望むのなら、いつでもどこでもするよっ教室でも、グラウンドでもみんなが見ていたって、構わないんだからっ</p><p>だからメグのこと、寂しくしないでっお願いお願いだからっ</p><p>それがメグの本音か</p><p>オレに捨てられるんじゃないかって、怖がっているんだ</p><p>周りの女と比較して自分が劣っていると、感じているから</p><p>判ったしたくなったら、いつでも頼むからな</p><p>そうとしかオレは、言ってあげることができない</p><p>頼まなくていいのっヨシくんは、メグに命令してくれればいいのっメグは、ヨシくんのものなんだからぁっ</p><p>自分に自信の無いメグはそういう形でしか、オレを繫ぎとめられないと感じている</p><p>ならば</p><p>メグそろそろ入れたい犯させろ</p><p>はいっ、ヨシくんっ</p><p>喜々として、自分からパンティを下ろしていく</p><p>へえパンティって、ガーターベルトの上から履くんだ</p><p>メグがパンティを丸めるようにして、足首まで下ろす</p><p>うんと克子姉さんも、正解はよく判らないって言っていたわでも、この方が脱ぎやすいし、ガーターベルトやニーソックスを着けたままアソコだけ丸出しにする方が、絶対にエッチだって</p><p>克子姉は、完全に正しい</p><p>オレは、今居る部屋の中を見廻す</p><p>ここは、少人数用の応接間だ</p><p>ええっと暖炉の上に、鏡があるな</p><p>メグそこの暖炉に手を付いて</p><p>メグは立ち上がって、オレにお尻を向ける</p><p>ああ立ったまましよう後ろから、犯すから</p><p>うんいいよ何でも、ヨシくんの言う通りにするから</p><p>オレは、まず暖炉の上の鏡の位置と角度を直す</p><p>メグの顔が、はっきりと見える様に</p><p>メグ眼の前に鏡があるな何が見える</p><p>あたしの顔ヨシくんの顔も、見えるわ</p><p>後ろからするからメグは、その鏡を見ていろ</p><p>うんヨシくんのお顔が見えないと、寂しいものねっ</p><p>オレは快感に身を震わせる、メグ自身の顔も見て欲しい</p><p>もう少し、お尻を突き出して足をピンと伸ばして</p><p>オレは、メイド服のスカートを捲り上げる</p><p>メグのスラッとした下半身は、この体勢のためにあるようなものだ</p><p>メグの女性器は、すでにとろとろと熱い汁を垂らしていた</p><p>メグいくぞ</p><p>はい犯して下さい</p><p>オレは、亀頭の先を膣口に当てる</p><p>メグは、自分から腰を浮かせて</p><p>男根を受け入れようとする</p><p>ああっ熱いよヨシくんの</p><p>メグのも熱くて、湿っている</p><p>亀頭の先だけが熱気に包まれる</p><p>ああっ焦らさないで一気に突いて殺してお願いっ</p><p>ずぶずぶすぶっと、メグに侵攻するっ</p><p>はぁぁっ入ってくるぅぅっ</p><p>まだ処女を失って数日しか経っていない膣は狭い</p><p>メグ痛く無いか</p><p>オレは、鏡の中の眉を顰めているメグに尋ねる</p><p>そんなの気にしないでっヨシくんの気持ちいいようにしてっ</p><p>メグは、痛くてもいいのっヨシくんが抱いてくれるんならっ</p><p>早く見せてメグを犯して、気持ち良くなっているヨシくんの顔メグに見せてぇぇ</p><p>オレは、メグの腰を掴んでゆっくりと動き始める</p><p>じゅっぽ</p><p>膣内の愛液を掻き出しながら、ピストンする</p><p>ううっあっあああっうんっ</p><p>今日のメグは、快感よりもまだ痛みの方が強い様だった</p><p>ああんっうふふふっ</p><p>痛みに耐える表情で鏡越しのメグが、微笑む</p><p>鏡の中のヨシくんメグを犯して、気持ち良さそうな顔をしているから嬉しくなったの</p><p>オレ気持ち良い顔をしている</p><p>嬉しいわあたしの身体で、ヨシくん、悦んでくれている</p><p>ああ、メグ</p><p>オレは、ドンッと大きくメグに突き込むっ</p><p>立ちバックによる性交</p><p>オレは手を伸ばして、下向きになったメグのおっぱいを触る</p><p>乳首をクリクリする</p><p>うんっ、うんっあっううんっ</p><p>メグが身を震わせる</p><p>ヨシくんこれいいねっ</p><p>立ったまま後ろから犯して貰うのこうやって、鏡があればヨシくんのお顔も見えるから</p><p>気に入ったのか、この体位</p><p>うんだって、これなら学校の中でもできるでしょ</p><p>学校には、鏡のある場所はたくさんあるし</p><p>メグの身体が、ゆさゆさと揺れる</p><p>亀頭の先が、ズンズンと子宮口を押し上げる</p><p>いっぱいしてねメグの中にも、いっぱい出して</p><p>にもって</p><p>メグは、いつでもヨシくんが求めてくれるのを待っているから</p><p>メグがコンプレックスを克服するのは、容易では無いんだな</p><p>自分に自信を持つようになるまでには、かなりの時間が必要だろう</p><p>オレは、急がず慌てず少しずつ、メグを変えていくしかない</p><p>覚悟しよう</p><p>この子には、時間が必要だ</p><p>ああしたくなったら、どこでもさせろよっいいなっ、メグ</p><p>はいヨシくんっ</p><p>結婚式の時はウエディングドレスを着たまんま、やろうなっ</p><p>忘れたのかオレたち、結婚するんだろ</p><p>でも、ヨシくんはみすずさんと結婚するんでしょ香月の家の方々の前で、あんな風に宣言しちゃったんだから</p><p>オレは、腰の動きを加速する</p><p>ああんっううっあああんっヨシくんっ</p><p>そうかメグ、それで自信をなくしちゃっていたんだな</p><p>オレは、ようやく自分のミスに気付く</p><p>メグの卑屈さの原因はそれか</p><p>オレみすずとも結婚するけれど、メグともちゃんと結婚するから約束通り、クラスのやつらを全員招待して、披露宴をやるからっ</p><p>みすずとは黒森の名前で結婚するメグとは吉田で</p><p>どんどん、突き込みのスピードを増していく</p><p>どういうことっ</p><p>ミナホ姉さんに頼んでっ戸籍を二つ手に入れるからっ</p><p>こ、戸籍を二つっ</p><p>みすずは、黒森家の嫁になるメグは、吉田の妻だだって、そうだろ学校の人たちは、オレを吉田だって思っているんだから</p><p>吉田の妻は、メグだけだメグ同じクラスで、一緒に学級委員をやっている男と結婚してくれるかっ</p><p>オレたちセックスしている</p><p>半裸で立ったまま、後ろから繋がり合っている</p><p>二人で一つの機械になったように突き込み、突き込まれ快感に身を震わせている</p><p>そんなセックスをしながらオレは、メグにプロポーズした</p><p>するっするよおっ喜んで喜んでするからぁぁっ</p><p>メグの膣内がキュゥゥッと締まるッ</p><p>愛液が、一気に滴る</p><p>メグ、濡れている</p><p>メグ、感じている</p><p>メグ、オレもう</p><p>いいよっヨシくんいいから中に、中に出してぇぇっ</p><p>メグの身体が、ビクッビクッと震える</p><p>メグに射精してっヨシくんのお嫁さんにしてぇぇぇっっ</p><p>メ、メグぅぅっっ</p><p>高熱が吐き出されるッッ</p><p>あっ、熱いの入ってくるぅぅ</p><p>鏡の中でメグが、オレを見ている</p><p>切ない表情でオレの精を受けとめながら</p><p>ドクドクいってるよおっヨシくんのオチンチン、メグの中で爆発しているよおっ</p><p>オレは、最後の一滴まで絞り出すためにさらにゴツゴツとメグの子宮に突き込むッッ</p><p>メグの膣がオレを締め上げる</p><p>出てるっまだ</p><p>ああああっ光ってるぅぅメグイッちゃううっっあああーっ</p><p>オレから少し遅れて</p><p>メグも、絶頂に達した</p><p>◇　◇　◇</p><p>はあ、はあ、はぁ</p><p>二人とも、汗だくだった</p><p>メグの中から、ペニスを引き抜く</p><p>じゅぽんっ</p><p>後ろ向きに高く突き出されたままの、メグのお尻</p><p>膣口からとろろろっと、白濁液が垂れてくる</p><p>白く糸を引いてつつーっと、床に垂れた</p><p>うふふっ、ヨシくんあたし、幸せ</p><p>鏡の中のメグは笑っている</p><p>それから、身体を起こしてオレに振り向いた</p><p>オレたち、キスを重ねる</p><p>メグは、メイド服のポケットに手を入れる</p><p>お財布を取り出した</p><p>何で、お財布なんか</p><p>あたし、ヨシくんはみすずさんと結婚するっと、思い込んでいたから</p><p>メグは、お財布の中から何かを取り出す</p><p>それは指輪</p><p>オレが、買ったやった安物の</p><p>この指輪は、一生大事に持っているつもりだったけれどみすずさんに悪いと思って、外していたの</p><p>オレそんなこと、気付いていなかった</p><p>ヨシくん、填めて</p><p>オレは指輪を受け取りメグの指に填める</p><p>メグは、オレの婚約者だそれは、絶対に変わらないから</p><p>心配掛けて、ごめんな</p><p>オレはメグの細い身体を、ギュッと抱き締めた</p><p>前も書きましたが、男と女は、ライトも点けずに暗闇の中を疾走する２台の車なので</p><p>常に相手の位置を確認していないと、お互いの距離が判らなくなって見失ってしまったり、ぶつかってクラッシュしてしまったりします</p><p>だから、こういうことは繰り返されていくのだと思います</p><p>みすずに寧が厳しいのも</p><p>あんまり安心していると、ヨッちゃん、誰かに取られちゃうからね</p><p>というメッセージですし</p><p>みすずや美智が、安定しすぎているのは、実際、恋愛初心者だからでしかありません</p><p>克子や、渚や、メグの様に関係をずっと保っていかれるのか不安で、必死でアクセクしている方が普通なんだと思います</p><p>そろそろヱヴァは観に行かないといけないなと思っています</p><p>これは、もう義務ですな</p><p>一方ゴシックなんちゃらは行きません</p><p>もう昔の熱気は、私の中に残っていません</p><p>363．少女はセックスで綺麗になる</p><p>オレは結局、セックスしかできないんだな</p><p>オレたちは、半裸のまま抱き合ってソファに寝転がっている</p><p>ソファから落ちないようにするためにぴったりと身体をくっつけ合って</p><p>メグが心配そうに、オレの顔を見上げる</p><p>オレさ頭悪いし、強くもないしみんなを護るって言ったって結局、セックスしかしていないじゃないか</p><p>何か、情けなくなる</p><p>セックスだけで誤魔化しているみたいな気がする</p><p>ほんの一時抱き合って快感を分かち合って</p><p>でも、オレはそれぞれの女の問題の解決には、役立っていないように思う</p><p>ヨシくんはそれでいいんだよ</p><p>メグか、オレの頬を優しく撫でる</p><p>ヨシくんはどっしり構えて、あたしたちの側に居てくれればいいのあたしたち、ヨシくんに愛されているって感じられることで、元気になれるからそれでも寂しくなったら、セックスして貰うしあ、ヨシくんも求めてね</p><p>ペロペロとオレの顔を舐めるメグ</p><p>黒い森のみんなって辛い思いをしてきた人ばかりだから、基本的に他の人のことを信じていないでしょついつい、相手を試すようなことばかりしちゃうじゃない御名穂姉さんが、そういう人だからみんなそうなんだと思うけれど</p><p>オレは、何度もミナホ姉さんに試された</p><p>寧や、マルゴさんにも</p><p>恭子さんていう人は、もっと直感で生きているよね相手の心とか、能力とか一瞬で見抜いちゃうから試したりしないもの</p><p>確かに、恭子さんはメチャクチャ強くて、頭もスバ抜けているから</p><p>敵だと感じた人には、全く容赦しないし</p><p>受け入れてもいいと思った相手には、とっても優しい</p><p>ミス・イーディとか</p><p>自分に戦闘を仕掛けて来たのに才能を認めて、すぐに弟子にしちゃったし</p><p>ミス・コーデリアのことだってそれまでのオレたちとのイザコザは全て無視して</p><p>再び、恋人になれると確信してあっさり受け入れてしまった</p><p>本当に大変だったんだと思うわ御名穂姉さんは</p><p>あたしは、まだ子供だったけれど白坂創介さんが、一番身勝手に振る舞っていた頃のお屋敷を知っているから</p><p>メグは無理矢理、お屋敷の娼婦にさせられた恵子さんの娘だ</p><p>幼い頃はここに居た</p><p>お屋敷のお姉さんたちは、みんなあたしに優しかったけれど男は絶対に信用するなって言っていたわ</p><p>オレの眼を覗き込む</p><p>あたしもそう思って生きてきた山峰のお義父さんにも、あたしはずっと壁を作っていたし今、考えると、悪いことしちゃったわね</p><p>メグが、ギュッとオレを抱く</p><p>あたしが信じているのは、ヨシくんだけだよヨシくんしか、信じられないだから、ヨシくんにも信じて欲しいと思うのあたし、ヨシくんのためなら何でもするからね</p><p>オレのことはいいからメグは、メグが幸せになることだけを考えればいいんだよ</p><p>オレは、今、この腕に抱いている少女も幸せにしたい</p><p>あたしは、幸せだよ</p><p>メグは、クククッと笑う</p><p>すっごい幸せもう充分幸せだよ</p><p>そして、真っ直ぐにオレを見る</p><p>あたし、本当だったら、連休明けには娼婦になっていたんだもの学校も辞めさせられて</p><p>もう、諦めていた何もかもあたしが白坂創介さんの言うことをきかないと、山峰のお義父さん、お義母さんに迷惑が掛かるし絶望するしかないって覚悟していたのよ</p><p>オレはメグの顔を触る</p><p>すべすべとした綺麗な肌</p><p>この身体が、もう少しで金儲けの道具にさせられていた</p><p>でも、ヨシくんが助けてくれた</p><p>オレは何もしていないよメグを助けたのは、ミナホ姉さんじゃないか</p><p>そうだけどヨシくんは、あたしに勇気をくれたのっ</p><p>メグが、オレのペニスに手を伸ばす</p><p>ヨシくんのお陰であたし、運命と闘うことができたんだから</p><p>優しく陰茎を撫でていく</p><p>あたしもう白坂の一族の機嫌を伺って、小さくなって生きていかなくていいのよっ雪乃の我が儘に振り回されなくていいのっ</p><p>マナみたいな可愛い妹もできたわっお姉さんたちもいっぱい居るあたし、やっと本当の家族と巡り会えたのよっ</p><p>メグにとってお屋敷こそが故郷だ</p><p>何より、今のあたしには大好きな人がいるっその人も、あたしのことを好きって言ってくれるのっこんなに幸せなことはないわっ</p><p>メグは、優しくオレに微笑む</p><p>ペニスに熱い血が流れ込んでいくのを感じる</p><p>ヨシくん、好きよ</p><p>あたしお嫁さんになるんだからっすつごい、幸せ本当に夢見たい</p><p>夢じゃないよ</p><p>メグにまさぐられて勃起してしまう</p><p>ヨシくぅんっ</p><p>メグが、オレの舌を求める</p><p>もう１回しよっ</p><p>朝から、寧とみすずと</p><p>メグのお腹がねヨシくんの精子、ゴクゴクしたいって言っているの</p><p>さっきねすごい気持ち良くなって、ヨシくんが出してくれた後に、子宮がビクビク動いて精液を呑んだんだよメグの身体どんどんエッチになっちゃってるの</p><p>それは感じている</p><p>メグは年少組の中では一番、真面目でエッチなことなんか何も知らなかったのに</p><p>まるで固く閉じていた蕾が大きく花開くようにどんどん、セックスに目覚めていく</p><p>ヨシくんは、エッチは嫌お口の方が良いお口の中にも、出して欲しいけれどできれば、子宮がいいのヨシくんに抱かれてお腹の底がゾクゾクしているの</p><p>こうなったら頑張るしかない</p><p>メグゆっくりしようゆっくりでいいか</p><p>ガンガン、ガシガシというセックスはちょっと体力的にキツい</p><p>うん、メグもゆっくりがいいヨシくんのオチンチンずっとお腹の中に感じていたいから</p><p>メグはソファの上で開脚する</p><p>メイド服のスカートを捲り上げ秘部をオレに晒す</p><p>オレはそのまま正常位でメグにのし掛かる</p><p>メグの膣は、すでにとろとろになっている</p><p>だけど開かれたばかりの穴は、まだまだ狭い</p><p>オレは濡れた隘路を、ペニスで押し広げていく</p><p>ううっはぁっ</p><p>メグは、全身の力を抜いてオレを受け入れる</p><p>スズッと、亀頭が最奥に達する</p><p>オレは、そのままメグを抱き締める</p><p>入ったよ、メグ</p><p>あたしこの体勢が一番好きヨシくんのお顔が、ずっと見ていられるから</p><p>正常位とか体位とかそういう言葉は、知らないんだな</p><p>メグこの体位は</p><p>いい教えないで</p><p>エッチな用語とか覚えちゃうとお友達との会話で口に出しちゃうかもしれないから恥ずかしいよ</p><p>メグはエッチな用語って、どれくらい知っているんだ</p><p>ええっとねセックスとフェラチオとそういうのは部活の先輩が教えてくれたの後は、レイプとわんわんポーズ</p><p>わんわんポーズ</p><p>え女の子が、ワンコみたいに四つん這いになるの、わんわんポーズって言うんじゃないの</p><p>言わないよ</p><p>えーっ、うちの部ではみんなそう言っているよ</p><p>まったく女子陸上部は</p><p>うちの部は、耳年増な子ばかりで実際は、処女の子ばかりだから何か、間違った情報も入ってきちゃうのかもねっ</p><p>うんほら、竹柴キャプテンが硬派だからエッチな話も、キャプテンの前では禁止なの</p><p>そういや、女子陸上部は、恋愛禁止だったっけ</p><p>隠れて彼氏のいる先輩もいるけれど一年生では、あたしだけだと思ううふふっ</p><p>あたしみんなよりも先に経験しちゃったなって</p><p>オレのペニスを包む膣肉が、キュッと締まる</p><p>あたしヨシくんとセックスしていること、みんなに話していい</p><p>オレはクラスの男に話しちゃったし</p><p>みんな、興味津々で聞いてくると思うわっ</p><p>何でも話せよメグの話したいことはさ</p><p>あんっあたしは別にエッチのことを話したいわけじゃないの</p><p>メグの身体が、オレの腰使いに合わせて揺れる</p><p>ただねヨシくんに愛されて幸せだって、みんなに伝えたいのおっ世界中の人に叫びたいくらいっあたし、今、幸せなのっ</p><p>メグぅッ</p><p>気持ちいいヨシくん、メグの中、気持ちいい</p><p>ヨシくんのも素敵だよヨシくんのに、ズブズブされると背筋がゾクッてなるの気持ちいい</p><p>オレは剥き出しのメグのおっぱいを揉む</p><p>乳首を指で、こね回して</p><p>ああっそれもいいいいよおっヨシくぅん</p><p>うっとりとした顔でオレを見つめている</p><p>メグのお腹の中ヨシくんのオチンチンしか、入ったことがないんだよおっこれからも、ずっとそうヨシくんとしか、セックスしない死んでもしないんだからぁ</p><p>身体を揺さぶられながらメグが言う</p><p>もう、メグの中ヨシくんのオチンチンの形になっちゃっているんだからぴったりなのおっヨシくんのしか、入らなくなっているのおっ</p><p>メグがセックスに溺れていく</p><p>あたしねクラスの女の子たちや、クラブのみんなの前でヨシくんとエッチしたいみんなに、見せたいのおっメグのここが、ヨシくん専用になっちゃっていることぉメグは、ヨシくんのなのおっ</p><p>それもまたメグの歪んだ独占欲だ</p><p>家族の中で、オレを独占できないから</p><p>メグは、自分のテリトリークラスや部活では、オレを独占したいと望んでいる</p><p>ヨシくんだけの、メグなんだからぁぁっ</p><p>それは裏返せばメグだけのオレが欲しいということなんだろう</p><p>うん一緒に楽しもうな高校生活</p><p>今、メグを幸せにするとしたら一緒に充実した高校生活を送るしかない</p><p>うん一緒だからねっ学園祭も体育祭も修学旅行も</p><p>ああずっと一緒だミナホ姉さんに頼んで、３年間ずっと同じクラスにして貰おう</p><p>ああんっ幸せだよおっヨシくんと、ずっと一緒なのっ</p><p>オレは、メグとでを重ね合わせる</p><p>ギュッとオレの手を掴むメグ</p><p>メグは、ヨシくんの彼女です恋人です婚約者です奥さんです</p><p>自分に言い聞かせるように呟いていく</p><p>一人じゃないって、いいね幸せだわあたしっ</p><p>より深く強くオレは腰を動かしていく</p><p>ヨシくんヨシくんあたし</p><p>メグが高まっていく</p><p>あたしあたし波が来るのおっ</p><p>怖くないからそのまま、その波に乗っかって大丈夫だよオレがここに居るから</p><p>うんヨシくんヨシくんが居てくれるっああっああんんっ</p><p>メグがオレを見ている</p><p>オレもメグを見ている</p><p>気持ち良さそうな顔をしているぞ、メグ</p><p>ああんっ、恥ずかしいっヨシくんだって、エッチな顔しているよっ</p><p>メグの方がエッチな顔をしているって</p><p>うんエッチなんだもんっメグ、ヨシくんと居ると、エッチになっちゃうんだもんっ</p><p>メグは、セックスしている時はちょっと幼児退行していく癖がある</p><p>普段の真面目な委員長の姿を知っているだけにギャップがいい</p><p>可愛いよ、メグ</p><p>うんもっと、もっと可愛くしてぇぇヨシくんのオチンチンで、メグを変えてぇぇああはぁぁッッ</p><p>ギューッと、メグの身体が弓なりにしなるっ</p><p>もう、ダメぇぇヨシくん、ヨシくぅんっ</p><p>オレも、一気にスパートを掛ける</p><p>どうせならメグと一緒にイキたいっ</p><p>メグぅぅ、メグぅぅ跳べぇぇぇッッ</p><p>うううッッあはっメグ跳ぶのおっ</p><p>メグの全身が痙攣するッ</p><p>膣内が締まるぅぅ</p><p>跳ぶ、跳ぶ、跳ぶぅぅッッイクぅぅッッ</p><p>メグがエクスタシーに達する</p><p>激しく、メグに突き込むッッ</p><p>あああっ出すぞっ、出すぞっ、出すぞっっ</p><p>身体の奥底から魂を絞り出すように</p><p>イッているメグの顔を見ながら射精する</p><p>熱ッッ</p><p>子宮に熱液の放出を感じてメグの身体が、ビュクッと跳ねる</p><p>あああ呑んでるぅぅ呑んでるよおっメグの子宮が</p><p>メグの膣がキュウ、キュウとオレを絞る絞る絞る</p><p>ううっメグぅ</p><p>ヨシくぅぅん</p><p>オレはばったりと、メグの身体の上に覆い被さった</p><p>ぐでっと、脱力する</p><p>その瞬間体内に溜まっていた最後の精液が、ピュッとメグの子宮を犯す</p><p>オレは、メグのおっぱいを優しく触る</p><p>メグの肌は、どこもかしこも上気して火照っていて温かい</p><p>まだ下半身は、繋がったままだ</p><p>自分の身体の上で、荒い息をしているオレにメグが囁いた</p><p>い、いやありがとうを言うのはオレの方だよ</p><p>なかなか息が、戻らない</p><p>ううんお礼を言うのはメグの方よ幸せにしてくれて、ありがとうっ</p><p>メグは満足そうに微笑む</p><p>オレの背中を、擦ってくれた</p><p>うふふ、ヨシくんスッキリした顔をしてる可愛い</p><p>メグだって、そうだよとっても幸せそうな顔している可愛いよ</p><p>だって、本当に幸せだもんっあたし、今、無敵だからっ怖いことなんて何も無いんだからっ</p><p>メグは、クスクスと笑った</p><p>セックスっていいね心配なことがあっても、ヨシくんにお腹の奥にピュッって出して貰ったら、安心できるのそれで、何もかも全部、温かい気持ちでいっぱいになるから</p><p>メグは、自分の下腹部を触る</p><p>ほらあっここに、いっぱい入ってるあたしヨシくんの女なんだよ</p><p>メグは下から、オレを抱き締める</p><p>小振りなおっぱいも、尖った乳首もオレの胸に押しつけている</p><p>だからメグが不安になった時は、また抱いてねお願い</p><p>ヨシくんがメグを欲しくなった時も、我慢しないで言ってねあたし、いつでもどこでも誰の前でもするから</p><p>オレはみんなには見せたくないよメグとのエッチは、オレだけのものだから</p><p>じゃあ、こっそりしようねっ</p><p>うんしような</p><p>オレは、メグとキスをする</p><p>恋人とのセックスを楽しむのも高校生活の一部だろう</p><p>そう、納得することにした</p><p>どうしてのヨシくん</p><p>いやセックス２回で、こんなに距離が縮まるんだなって思って</p><p>そりゃ縮まるよずっとヨシくんのことだけ見ているんだからヨシくんも、あたしのことだけ見ていてくれるし</p><p>見ているだけじゃないよ全身でううん、全身とチンチンで、メグのことを感じているから</p><p>あたしも全身とアソコで、ヨシくんを感じてる愛してる愛してるよ、ヨシくん</p><p>メグは、またオレにキスを求める</p><p>セックスの効力は凄い</p><p>あ今、ヨシくん、他の人のこと考えているっ</p><p>メグが、指摘する</p><p>誰のこと、考えていたのメグの身体と比べたりしていたの</p><p>そんなことしていないよ</p><p>ミナホ姉さんのことを考えていたんだ</p><p>御名穂姉さん</p><p>メグが不思議そうな顔をする</p><p>あ膣口が締まって、オレの小さくなったペニスがニュポンッと押し出される</p><p>ミナホ姉さんセックスのできない身体だろ</p><p>でも娼婦をさせられていた時期が何年もあってセックスの経験があるから</p><p>処女のままそういう身体になってしまったのなら、まだ救いがある</p><p>セックスの経験があって薬を使われて、犯されながら絶頂に達したことがあると言っていた</p><p>でも、それはセックスの本当の良さは知らないままなわけでなのに、経験だけは豊富にあって</p><p>うん好きな人に抱いて貰う幸せを知らないのは、可哀想だわね</p><p>今のミナホ姉さんには家族がいる</p><p>しかし、男女の関係で無いと埋められないものは確かに存在する</p><p>ミナホ姉さんの心を救う方法を、考えてあげたいんだ</p><p>白坂創介に復讐するだけではミナホ姉さんの魂は救われないと思う</p><p>メグが頷く</p><p>あたしも考えてみる</p><p>ああ、頼むよ</p><p>んんっ</p><p>いつの間にか眠ってしまっていた</p><p>うふっ、起きた</p><p>あメグ</p><p>オレはソファの上に寝転がっている</p><p>上からタオルケットを掛けてもらっている</p><p>メグが膝枕をしていてくれた</p><p>可愛いから、ずっとヨシくんの寝顔を見ていたの</p><p>メグは、にこやかにそう言う</p><p>飽きなかった</p><p>オレの顔なんて、そんなに面白げのあるものとは思えないんだけれど</p><p>うんこれからのことをずっと考えていたから</p><p>これからのこと</p><p>ヨシくんと、これからどんな学校生活をするか卒業したら、どうするか子供はいつ、何人産むかとか</p><p>どうしよう幸せなことしか思い付かないのあたし</p><p>メグは、オレの顔を愛しげに撫でる</p><p>あたし他の子たちに負けてると思って、落ち込んで馬鹿みたいヨシくんの学校生活だけは、あたしと一緒だものね高校が終わってからも、ヨシくんはちゃんとあたしとの時間を作ってくれるだろうし心配する必要なんか無かったんだ</p><p>オレが寝ている間にメグは心の整理が付いたらしい</p><p>窓の外は夕方だオレンジ色の陽光が斜めから射している</p><p>この光の中で見るメグは綺麗だ</p><p>オレ、何時間ぐらい寝ていたの</p><p>３時間くらいかなもう、６時近いから</p><p>起きなけりゃ</p><p>シャワー浴びようよこのままだと、みんなに会えないでしょ</p><p>ああオレもメグも、性臭がするかも</p><p>克子姉さんが、ヨシくんとあたしの着替えを持って来てくれたから</p><p>克子姉来たの</p><p>オレが、寝ている間に</p><p>うんヨシくんの寝顔見ていたわ</p><p>ヨシくん次は、克子姉さんを幸せにしてあげてね</p><p>幸せにしないといけない人がオレにはいっぱい居る</p><p>メグと近くのシャワールームへ行って洗いこした</p><p>このお屋敷は、元娼館だから風呂場とトイレは、あちこちにある</p><p>メグの裸は、やっぱり綺麗だよな</p><p>スポーツマンらしく、均整が取れている</p><p>だけど、筋肉モリモリというわけでもない</p><p>メグは元々、長身でスタイルが良くて、手足が長いからモデルさんみたいだ</p><p>でも、あたし胸無いよ</p><p>メグはメグらしい裸をしてして、オレが気に入っているんだからそういうことは言うな</p><p>だいたい、メグで胸無いのなら美智はどうなる平地か</p><p>さすがに、今日は何度もセックスしているからもう勃起しない</p><p>純粋にメグの裸身を眺めて楽しむ</p><p>あたしもヨシくんの足の形好きっ</p><p>足の形</p><p>うんふくらはぎのところ、キュッとしているでしょ後、手も好き</p><p>そんな良い形だと思わないけれど</p><p>えーっ、ヨシくんの手ってセクシーだよあたしには、そう見えるのっ</p><p>メグの感想だからまあ、そうなんだろうな</p><p>シャワーから出て、次はバスタオルで拭きっこをして</p><p>それから下着の着せ合いもする</p><p>克子姉がオレに用意してくれたのは、動きやすいジャージの上下だった</p><p>これブランド物だよ結構高いと思う</p><p>メグは、そう言うがジャージのブランド物とかって、意味があるのか</p><p>運動着でしかないのに</p><p>メグの方はさっきとはまた違うメイド服に着替える</p><p>これは夜用なんだって</p><p>夜用</p><p>ホンモノのメイドさんは、昼と夜とで制服が替わるんだって克子姉さんが言ってたわ</p><p>だから夜は夜のお申し付けをしてくれてもいいからねっご主人様っ</p><p>冗談よこれ以上、ヨシくんを独り占めするのは悪いものそろそろ、みんな帰って来るだろうし</p><p>ああマルゴさんや寧も戻って来るだろう</p><p>さ、食堂の方へ行ってみましょう</p><p>メグと食堂に行ってみると</p><p>おっお邪魔してるわよっ</p><p>ミス・コーデリアが、ズルズルとラーメンを食べていた</p><p>二人の部下女のヴァイオラたちも、控えている</p><p>ええっとあの、何で</p><p>えっああ、夕ご飯前に、ちょっと小腹が空いたから</p><p>えっそのラーメン、繋ぎなの</p><p>この後、さらに夕飯も食っていくつもり</p><p>いや、そうじゃなくって何でここにいるんです</p><p>ミス・コーデリアは、ナルトを食べながら</p><p>ここは、日本でのキョーコの家なんだろだったら、あたしが泊まるのは当たり前のことじゃないか</p><p>泊まるのか</p><p>久しぶりだからね今夜はたっぷり、キョーコに可愛いがって貰うのこの子たちもね</p><p>ミス・コーデリアは、二人の部下を見る</p><p>この人たち全員レズなんだっけ</p><p>あ、一応紹介しておくわねそっちがイーニーで、こっちがミーニー</p><p>イーニー＆ミーニーもコードネームで、本名じゃないんだけれどまあ、便宜上、名前がはっきりしていた方がいいでしょ</p><p>いーにーデス</p><p>みーにーデス</p><p>二人の白い女たちは、たどたどしい日本語で挨拶した</p><p>あ、二人とも日本語はまだそれしか知らないからあんたたちも挨拶しなくていいよこの子たちには、何言っているか判らないから</p><p>眼が覚めた</p><p>台所から、克子姉が入って来る</p><p>克子姉タオルケットと着替え、ありがとう</p><p>オレは礼を言う</p><p>うんちょっと寝て元気になったわね良かったわ</p><p>寝るってSLEEPの方それとも、その子とSEXしたってこと</p><p>ミス・コーデリアが、あからさまに尋ねてくる</p><p>あらま</p><p>ミス・コーデリアは、呆れ顔で笑う</p><p>ところでカツコちょっとスープの味がイマイチよ、これダシが良くないんじゃない魚介系のスープとか、試してみたら</p><p>この人ロサンゼルス在住なのに、何でラーメンに詳しいんだろ</p><p>麺もさあこのスープなら、もうちょっと細麺の方が良いんじゃないかしら</p><p>ミス・コーデリアが、そんなことをネチネチと言うと</p><p>ゴチャゴチャ文句を言うやつには、食べさせなくて良いからね克子</p><p>恭子さんが、帰って来た</p><p>ミス・イーディーも一緒だ</p><p>あれ何か不機嫌そうな顔をしている</p><p>まいっちゃったよそこの学校からの帰り道、この子が突然あたしに決闘を申し込んできたから高校の正門前で、大立ち回りになっちゃってさ</p><p>校門前で闘った</p><p>まさか２回戦になるとは思わなかったのですが</p><p>2回やらないと、メグが満足しなかったので</p><p>まあ、連休ですしこれでいいかなと</p><p>メグのセックス回でしたが、御名穂との比較させるためなので御名穂編のままです</p><p>吉田くんの心のメンテも終わりました</p><p>次話こそはアニエス登場、だといいな</p><p>いや、登場させます</p><p>364．捧げられる美少女</p><p>あ、大丈夫、大丈夫１０秒もしないうちに、ふん捕まえたから</p><p>恭子さんが、ミス・イーディの首根っこをクイッと引っ張り上げる</p><p>学生の何人かには見られたけれど、何が起きたかは判らないと思うよ自分の記憶の方を疑うだろうね普通じゃない、闘いだったから</p><p>ど、どんな闘いだったんだ</p><p>そのまま英語で恭子さんは、ミス・イーディに話し掛ける</p><p>多分まだまだあんたはあたしに敵わないんだから、じっくり修行しなとかだろう</p><p>ミス・イーディは、不機嫌そうだが大人しく受け入れる</p><p>圧倒的な力の差を思い知ったんだろう</p><p>ところで克子、晩ご飯は何</p><p>恭子さんが、克子姉に尋ねる</p><p>クリームシチューにしたんですけれど</p><p>おっ、いいね付け合わせにサラダとか作った</p><p>それは、これからです</p><p>じゃあ、それはあたしがやるわ</p><p>恭子さんが料理を作る</p><p>克子は、ちょっと休みな台所借りるよ</p><p>いえ恭子さんこそ、外から戻られたばかりじゃないですか</p><p>いいんだよ、あたしは体力だけは自信があるから</p><p>いや体力は、もちろんスバ抜けているけれど</p><p>恭子さんは、何から何まで規格外だ</p><p>ええっと恵美ちゃんだっけお手伝いしてくれる</p><p>メグが、恭子さんに呼ばれる</p><p>んお肌、艶々しているねもしかして、エッチしたばかり</p><p>そんなに、緊張しなくて良いよあたしは家族内が円満ならそれでいいんだからいいんじゃない、一夫多妻とか面白いと思うよ</p><p>恭子さんは、オレの方を向いてニヤッと笑った</p><p>ちょっと恵美ちゃんを借りるよ代わりに克子を置いていくから</p><p>克子御名穂は、またお籠もりだろ</p><p>はいちょっと気分が優れないとおっしゃって、お部屋で休んでいらっしゃいます</p><p>オレは、さっきの悲しげな様子を思い出す</p><p>しょうがないね御名穂は、三歩進んで二歩下がるタイプだから</p><p>一々、自分のやったことを細かく思い返して、分析して反省して、自己批判して、客観的な評価を下さないと、次の行動に移れない子だからね</p><p>ああそうなんだ</p><p>オレには、よく見えていなかったけれど</p><p>ミナホ姉さん、何かする度に毎回考え込んでいるんだ</p><p>まあ、ノリでスバズバ突っ走って、脱線して崖から落ちるようなお馬鹿さんじゃないだけいいか</p><p>それあたしのことかしら</p><p>ミス・コーデリアが、ブスッとして言う</p><p>あんたは、猪突猛進なところが可愛いんだよ</p><p>チョトツ何あたしの知らない日本語使わないで</p><p>とにかく可愛いって言ってるんだよコーデリア</p><p>恭子さんの言葉に、ミス・コーデリアは頬を赤く染める</p><p>もうキョーコは、すぐに誤魔化すんだからっ</p><p>あんたも台所に来なっタダメシ食っていくんだみんなのために一品ぐらい、作りなよ</p><p>久しぶりにあんたの作るメキシコ料理が食べたいんだよっ</p><p>もおつしょうがないわねっ</p><p>ミス・コーデリアは、席を立つ</p><p>この子たちにも手伝わせるわ</p><p>二人の部下イーニーとミーニーにも、声を掛ける</p><p>みんな料理とかするんだ</p><p>何か、軍隊食の缶詰とかぶっ太いハムを、そのまま丸かじりするとかそういうワイルドなイメージがあった</p><p>勝手にそう思っていて、申し訳無い</p><p>克子は、この子にアニエスのレクチャーよろしくねっ</p><p>恭子さんが、克子姉に言う</p><p>えっとそれは</p><p>オレとすれば、願ったり適ったりだけれど</p><p>どうせ、御名穂はレクチャーしてくれなかったんだろ</p><p>まあ今日のあの子は、移送のことで頭がいっぱいだったろうからね</p><p>移送</p><p>ミナホ姉さんの父親黒森公一郎の</p><p>薬で廃人になった黒森公一郎を、香月グループの病院で引き取って貰うって言ってたけれど</p><p>移送は、もう終わったの</p><p>克子姉は、ミナホ姉さんの復讐計画に最初から関わっている</p><p>ミナホ姉さんが、実の父親に毒薬を盛ったこともそのまま、この屋敷の地下に拉致監禁したことも知っているはずだ</p><p>あるいは薬を呑ませた実行犯は、克子姉かもしれない</p><p>いずれにせよメグには、このことは伏せておくべきだと思った</p><p>だから移送とだけ言った</p><p>ええあなたが寝ている間に</p><p>やっぱり、ミナホ姉さんは自分が廃人化した父親の姿を、オレには見せたくなかったんだ</p><p>メグにも</p><p>だから、オレたち二人きりで、隔離されていたんだなこの数時間</p><p>メグは勘の良い子だからオレと克子姉の会話を聞いているけれど、詳細を尋ねてはこなかった</p><p>うんこの一件を、メグや他のみんなに話すかどうかは、ミナホ姉さんが決めることだ</p><p>今はこれまでにしておこう</p><p>さっそんじゃあ、あたしたちは台所へ行くからっ後、よろしくねぇーっ</p><p>そして、恭子さんはゾロゾロと他の子を連れて、台所の方へ移動していく</p><p>克子姉と顔を合わせるとちょっと、何を話していいか判らなくなる</p><p>さっき、メグから克子姉が懸念を抱いていることを聞いてしまった</p><p>つまり自分の娼婦時代に培ったテクニックが、オレをセックスに溺れさせて悪い状態に陥れてしまうのではないかという</p><p>あのさ、克子姉</p><p>克子姉も、ちょっと緊張しているみたいだ</p><p>多分考えすぎだよオレ、そんな簡単にエッチ中毒とかにはならないから</p><p>でもあなた、あたしの全テクニック・リミッター解除・フルパワーを知らないでしょ</p><p>それは確かに知らない</p><p>じゃあちょっとずつやってみて</p><p>ちょっとずつ</p><p>うん少しずつ、小出しにして完全版は、慣れてからってことで</p><p>そうねその方がいいわよね</p><p>いきなりじゃあやっぱり怖い</p><p>でも、あたしノリ過ぎちゃうと、ブレーキ効かなくなるから</p><p>いっそのこと誰かに付いていて貰うとか</p><p>克子姉とのセックス中は、必ず、誰かに見ていてもらって克子姉が暴走したら、止めて貰う</p><p>そうねその方がいいかもね</p><p>ええっとマルゴさんとかかな</p><p>いえそれは悪いわ</p><p>そうだなマルゴさんは、男とのセックスに興味がある人じゃないし</p><p>見ていて貰うだけなのは、悪いよな</p><p>あたしの時は、渚が渚の時は、あたしが見ていようかしらしばらくは</p><p>そうだねそれがいいいよあ、そうだ、ついでに年少組の子も何人か呼ぼうよ</p><p>オレは提案する</p><p>年下の子が見ている前なら克子姉だって、簡単に暴走できないだろ</p><p>うん姉としての威厳に関わるものね</p><p>オレたちが、こんな変な会話を続けている横で</p><p>ミス・イーディが、オレたちをジィーっと見ている</p><p>恭子さん、何で、この子も一緒に連れて行ってくれなかったんだろ</p><p>オレの素朴な疑問に、克子姉が答える</p><p>あたしたちを、二人きりにするとお互いに照れちゃって、会話が進まないと思ったんじゃないかしら</p><p>第三者の眼があるからとりあえず、会話ができている</p><p>その上イーディは日本語が判らないし</p><p>克子姉は、台所の戸棚を開けてクッキー缶を取り出す</p><p>ニカッと微笑んで缶を開いて、ミス・イーディに差し出す</p><p>ミス・イーディもニカッと笑って</p><p>クッキー缶ごと、引ったくった</p><p>部屋の壁際へ、ツツツーッと逃げ去り</p><p>ムシャムシャと缶の中のクッキーを食べる</p><p>猿だ</p><p>動物園の猿みたいな行動をする</p><p>まあ、あれでしばらく放っておいても平気だと思うわ</p><p>克子姉は、ミス・イーディを見て、そう言う</p><p>あ、そうだあれもあった</p><p>さらに戸棚をゴソゴソして</p><p>真緒ちゃんにあげるつもりで買ったのよ、これ</p><p>取り出されたのは知恵の輪</p><p>ほいさっ</p><p>克子姉は、組み合った金属輪をミス・イーディの前に放り投げる</p><p>チャリラーン</p><p>キラキラと光る銀色の物体をミス・イーディは何だと見つめる</p><p>そしてクンクンクンと臭いを嗅いで</p><p>ひょいっと、知恵の輪を拾い上げる</p><p>クッキー缶を横に置いて眼の位置まで金属の輪を持ち上げて、両手でカチャカチャやり始めた</p><p>うんこれでしばらくは平気よ</p><p>克子姉は、うふふふんっと微笑む</p><p>ええ、あれをクリアしたら、次はこれがあるから</p><p>克子姉は、オレに戸棚の奥のルービック・キューブを指差した</p><p>アニエスのことよね</p><p>克子姉が、食堂に置いてあったノートパソコンを開く</p><p>お嬢様は地下のお部屋の入り口までは、連れて行って下さったんでしょ</p><p>うん、アニエスの居るっていう部屋を覗き穴から見たんだけれど死角になっていて確認できなかったんだ</p><p>そうねアニエスは、１日のほとんどはベッドのあるコーナーに居るから</p><p>克子姉はノートパソコンに、アニエスの監禁部屋の監視カメラをの映像を映し出そうと操作している</p><p>驚かないでね</p><p>克子姉が、カチカチとマウスをクリックすると</p><p>赤い文字でLIVEと表示された画像が映し出される</p><p>そこは、間違いないさっき行った地下の部屋だ</p><p>床面の赤い色を覚えている</p><p>天窓から夕方のオレンジ色の光線が、ぼんやりと部屋の中を照らしている</p><p>カメラがズーッと移動する</p><p>ベッドに腰掛けている小さな少女の姿</p><p>ぼーっと、何かを見上げている</p><p>淡い乳白色の長い髪の毛</p><p>白い肌</p><p>アニエスは不思議の国のアリスの様な、可愛らしいエプロンドレスを着ていた</p><p>でも、足は素足だ</p><p>母親が白人の彼女は眼が大きい本当に、フランス人形みたいだ</p><p>整った顔で無表情に、部屋の壁の上の方を見上げている</p><p>感情が見えないところが余計に、人形っぽく見えるのだろうか</p><p>しかし、この人形は安っぽくない</p><p>本当に人形だったら恐ろしいほどの価値を持つだろう</p><p>それぐらい少女アニエスの姿は、神々しかった</p><p>痛々しいまでの美しさを感じる</p><p>１２歳という話だけれど見た目は、もう少し幼く見えた</p><p>綺麗だ、アニエス</p><p>見た目は、美少女天使だけれどサキュバスだから、あの子</p><p>サキュバス</p><p>淫魔よ淫らな悪魔まだ、そこまで成長しきっていないけれどね</p><p>うん見た目は、幼い感じだよね</p><p>幼いああ、カメラでこうやって観ると、可愛い子供にしか見えないんでしょうけれどあれで、ちゃんと身体は成長しているのよ、あの子</p><p>もう初潮も来ているしおっぱいだって、張ってきているわもう、充分にセックスできる身体よ</p><p>こうやって映像で観ている限りはただの小学生にしか見えないけれど</p><p>アニエスオナニーだってするから</p><p>なっ</p><p>オナニーは２年前からしているわそういうことを教えた人がいるのよ</p><p>ほら始めるわよ、あの子そろそろ時間だから</p><p>アニエスは、上の方を見上げたまま自分の胸をまさぐり出す</p><p>あっはぁ</p><p>そしてスカートの中にも、手を</p><p>んんんっぬふぅうううっ</p><p>１２歳のハーフ美少女が自分の幼い肉体で一人遊びを始める</p><p>ああっあああっああーんっ</p><p>切なそうに身を震わせて、喘ぐアニエス</p><p>感じている時は、なるべく大きな声でそう教えられているのよ、あの子</p><p>アニエスは恥じらうことなく、声を上げる</p><p>ううっあはぁぁああんっはぁぁっ</p><p>壁の高いところを見上げて</p><p>何を見上げているんだ、彼女</p><p>今、別の画面に映し出すわ</p><p>克子姉は、モニターの画面を分割して喘ぐアニエスを撮す他に、別のカメラを起動させる</p><p>アニエスの見上げる壁が映った</p><p>その壁には等身大のブロンズ像があった</p><p>壁の中に埋め込まれるように像が安置されている</p><p>一人の男の裸像</p><p>オレは、その男を知っている</p><p>それは白坂創介</p><p>アニエスの父親</p><p>ああっパパンパパンッああんっああっ</p><p>ブロンズの白坂創介は全裸で隆々と勃起したペニスを尽きだしていた</p><p>そして、ニカッと笑って娘を見下ろしている</p><p>あれどうして</p><p>白坂創介、本人がああしたのよ娘が毎日、自分の裸の像を見上げてオナニーする様にさせてたのこの夕方の時間は、あの壁に陽の光が射すでしょだから、あの子は必ずオナニーするの日課なのよ後、朝と寝る前に、オナニーするわイクまで止めないように、躾けられているのよ</p><p>そうじゃなくてどうして</p><p>どうして、そんなことを許しているんだ</p><p>何で、止めさせないんだ</p><p>あれがアニエスの知っている唯一の日常生活だからよ</p><p>あたしがあの子の世話をするまでは、あの子はあの部屋で白坂創介の乳母に育てられたの</p><p>乳母</p><p>昌代さんて言うんだけどね元は、白坂創介の父親の愛人の一人だった人よそれが乳母になったの子供の頃から白坂創介に仕えてきてどんな命令でも聞くっていう人だったその昌代さんにアニエスは育てられたの</p><p>思い出したくないという表情で克子姉は言った</p><p>アニエスは、物心付いた時から白坂創介を愛することしか教えられていないわ白坂創介が、この世の神だと思い込んでいるのそういう風に教えられてきたから</p><p>アニエスは白坂創介が、女を犯すところを見せられて成長したわそれも、すでに白坂創介に屈服した女とのセックスだけを白坂創介が、女を家畜のように扱っている姿だけを見せて自分もそうなるのが当たり前だって、思わせたのよ昌代さんと二人で</p><p>画面の中のアニエスが父の裸像を見上げて、自分を慰める</p><p>ああやっているのも半分、宗教的な儀式なのよアニエスにとっては神白坂創介の像の前で、オナニーすることがね</p><p>あふぅぅあふぅぅあふぅぅッッ</p><p>アニエスは自ら、パンティを脱ぎ、スカートを捲る</p><p>高所のブロンズ像に見えるように、大きく足を拡げて秘所を晒す</p><p>み、見て下さいですのぇぇ、パパンっアニエスのいやらしい処を、見て下さいですのぉパパン</p><p>無気の割れ目を開いて幼い指が、感じる場所を刺激する</p><p>あああっああんっパパンっ許してくださいのぉいやらしくて、はしたないアニエスを許して下さいのぉああーっ</p><p>アニエスは少し変な日本語を喋る</p><p>指を奔放に動かして自らの肉体を神である父に捧げようとしている</p><p>アニエスは学校に行ったことがないわ</p><p>お友達もいない</p><p>お屋敷の中でも他の娼婦と隔離されてきたの</p><p>毎日、一緒にいるのが白坂創介の下僕みたいな女で</p><p>白坂創介の性奴隷になることだけを、教えられてきた</p><p>呟くように克子姉が言う</p><p>でもこのままじゃいけないだろ何とか、助けてやらないと</p><p>白坂創介の呪縛から救ってやらないと</p><p>判っているわでも、今までは余裕が無かったのよ判って</p><p>オーストラリアに出発するまで白坂創介は、黒い森の中に一定の影響力を持っていた</p><p>白坂創介を油断させて、オーストラリアに送り出すまではミナホ姉さんや克子姉は、迂闊なことはできなかったんだろう</p><p>変に白坂創介に警戒されれば復讐計画は根本から、失敗することになる</p><p>アニエスを教育していた乳母って、今はどうしているの</p><p>オレは心を抑えて克子姉に尋ねた</p><p>死んだわ病気で癌だったの昌代さんが死んでから、アニエスの食事係をあたしがする様になったの</p><p>白坂創介がよく了承してくれたね</p><p>だってお屋敷の中には、他にそういうことができる人は居なかったし白坂創介にとっては打撃だったのよ昌代さんが死んだことはあの男が、何から何まで甘えられるのは、昌代さんだけだったしそういう人が居たからこそ、あそこまで傲慢なヘンタイ男になったんでしょうけどね</p><p>許す人間がいるから人は、増長する</p><p>人間は、勝手に傲慢にはならない</p><p>環境が周囲の人間の対応が、その人間の性格形成に強く作用する</p><p>あの頃のあたしは、酷くエキセントリックで、クレージーな女だったからわざとお嬢様と仲違いしているようなお芝居もしていたのよ</p><p>そんなことまでしていたんだ</p><p>今はあたしが食事を持って行っても、警戒しなくなったけれどでも、アニエスいまだにあたしとは口をきいてくれないわ</p><p>じゃあ、森下さんとも</p><p>この数日、克子姉が不在の間アニエスの食事は、森下さんが用意していた</p><p>森下さんは部屋の入り口に食事を置いていくことしかできなかったそうよそれで、後で食器を回収する森下さんが部屋に入って来ると、アニエスは警戒してベッドのところから動かなかったそうよ森下さんの眼の前では、絶対に食事しなかったって</p><p>モニターの中のアニエスはそろそろクライマックスを迎えようとしている</p><p>はぁぁッ、パパンッ許して下さいのぉパパンツアニエスが、気持ちよくなるの許して下さいですのぉぉパパぁンッ</p><p>グリグリと中指でクリトリスを擦っている、アニエス</p><p>あの子膣の中には、指は入れないのよそう指導されているの間違って、自分の指で処女膜を破ってしまうのを白坂創介が恐れたから</p><p>どこまでも、自分勝手な父親なんだ</p><p>あの子もそろそろ、白坂創介に犯される予定だった時間切れ寸前だったのよ</p><p>メグと一緒でそれが、ミナホ姉さんの復讐決行の引き金になったのか</p><p>あの男自分の性奴隷として、育て上げた娘を犯すのを、本当に楽しみにしていたわ</p><p>克子姉の眼は怒りに燃えている</p><p>アニエスが生まれて１２年いいえ、白坂創介がアニエスのお母さんを無理矢理レイプした時から計算すれば、１３年よあたしたちは、白坂創介の１３年掛かりの計画をメチャクチャにしてやりたいの</p><p>美しい異国の少女を犯して娘を産ませる</p><p>その娘を自分の性奴隷として育てて犯す</p><p>何て下衆な男なんだ</p><p>お願いアニエスを白坂創介の眼の前で、犯して</p><p>それがミナホ姉さんの復讐の最終ライン</p><p>社会的に抹殺し一族からも追われるようにし</p><p>妻とその一族からは、離縁され</p><p>長女の雪乃はオレに犯され、妊娠させられる</p><p>次女の舞夏も処女を奪われた</p><p>白坂創介が娼婦に堕とす予定だった、隠し娘の恵美は無事に黒い森に救われ、オレの女になった</p><p>そして最後に残った、もう一人の隠し娘がアニエス</p><p>それであの男の全ては、失われるわお嬢様の心も救われる</p><p>アニエスが激しく喘ぐ</p><p>全身を痙攣させる</p><p>ああっパパンっお願いなのぉイッてもいいのですかアニエス、イッてもいいのですかパパンの前でイッちゃってもいいのですかッ</p><p>半泣きの瞳で父の勃起した裸像を見上げる、アニエス</p><p>ああっイグぅぅイグぅぅイグですのぉぉアニエス、イッちゃってますですのぉぉぉぉッッ</p><p>幼い肉体が爆ぜるッッ</p><p>はぁぁんんんっっ</p><p>世界が制止する</p><p>肩で息をしながらアニエスは父親の像を見上げる</p><p>今宵もまた、パパンのお陰でアニエスはイッてしまいましたですのありがとうございます、パパン</p><p>アニエスは、神に感謝する</p><p>早く、アニエスを犯しに来て下さいですのアニエスは、ずっとパパンに犯されることを夢見ています</p><p>心から、そう思っているのか</p><p>そう言うのが、決まりになっているのかオレには判らない</p><p>会いたいですのパパンアニエスは、寂しいですの</p><p>その呟きには、心が感じられた</p><p>アニエスは白坂創介にしか、心を許していない</p><p>パパンアニエスは、シャワーを浴びさせていただきますの</p><p>そして、アニエスは服を脱いでいく</p><p>エプロンドレスを脱いで裸に</p><p>夕方の淡い光の中に、アニエスの裸身が浮き上がる</p><p>まだ肉の付ききっていない、幼い裸身</p><p>しかし、ハーフ美少女のスタイルは純粋な日本人とは違う</p><p>高い腰の位置細く長い足</p><p>腰はくびれ始めている</p><p>胸は膨らみ始めている</p><p>そこには、確かなセックスアピールが感じられた</p><p>アニエスはセックスできる身体に、成長している</p><p>幼いだけの肉体なのにそんな実感が感じられる</p><p>白坂創介が、刈り取る寸前だった処女の身体よ</p><p>この１２歳の肉体はいつ処女を破られても良い段階まで、成長させられている</p><p>ねどうやって、犯す</p><p>克子姉が、オレを見て尋ねる</p><p>その眼はとても悲しそうだった</p><p>陰獣アニエスは、オナニーシーンから</p><p>アニエスの言葉遣いをずっと悩んでいたのですがペルシャでいきます</p><p>もう、これで押し通します</p><p>白坂創介ブロンズ像は某ガンダムの影響ですね</p><p>最終回のラストが、主人公の銅像という</p><p>大昔に、大英博物館へ行ったときにニンフを襲う、サチュロスの石像を見たんですが</p><p>サチュロス像多分、勃起ペニスがあったんでしょうね</p><p>大理石の像なんでチンコ、もげてました</p><p>いや、１体じゃなくて、サチュロス像何体もあったんですが</p><p>みんなことごとく、チンコもげてました</p><p>ローマ時代の古い像なので勝手に折れたと思いたいですが</p><p>キリスト教時代になって、折られたのかもしれません</p><p>何か思い出しました</p><p>ビクトリア朝のポルノに、寄宿学校の少女に勃起ペニスのある像を見せて、その子が興奮したところで襲いかかるっていうのもありましたね</p><p>パール傑作選・１だと思います</p><p>勃起ペニスの男性像というのは、密かに需要があったのかもしれません</p><p>365．晩ご飯はまだ</p><p>ピンポーンッ</p><p>不意に、壁のスピーカーが鳴る</p><p>ミス・イーディが、ブルッと身体を震わせた</p><p>あら誰か来たわね</p><p>克子姉は、手元のパソコンを操作する</p><p>監視カメラが、お屋敷の入り口の様子を映し出した</p><p>画面に映ったのは、青いマセラッティ</p><p>助手席にも人が乗っているのが見える</p><p>寧も一緒らしい</p><p>美容室へ寄ってくるっていう話だったけれど意外と早かったわね</p><p>そう言いながら、克子姉は、遠隔操作で鉄扉を開く</p><p>ブッと、１回だけクラクションを鳴らしマセラッティは、お屋敷の敷地へ</p><p>すぐにこっちへ来るわ夕飯は、みんなで一緒に食べられそうね</p><p>克子姉が、ニコッとオレに微笑む</p><p>マナたちは渚のところで食べて来るのかな</p><p>マナと麗華は、お花屋さんの手伝いに行っている</p><p>そうね渚のお店は、８時半までだから麗華お姉さんには、渚や真緒ちゃんやマナちゃんをここまで連れてきてもらわないといけないし</p><p>渚たちも、こっちへ来るんだ</p><p>しばらくは、警戒していた方がいいわ夜は、なるべく固まっていた方がいいと思うの</p><p>克子姉は、心配そうに答えた</p><p>確かに、シザーリオ・ヴァイオラや白坂本家など直面する危険はなくなったけれど</p><p>香月セキュリティ・サービスや、公安警察の監視も始まったし</p><p>白坂本家のスキャンダルの報道も続いている</p><p>まだ、気を緩めてはいけないよな</p><p>今日は、麗華お姉さんに行って貰ったけれど明日は、また別の人に警護に行って貰うわ渚のお店が、一番狙われそうだからでも、お店を休みにするわけもいかないしね</p><p>今は、どんな相手を警戒しているの</p><p>確か、黒い森はジッちゃんの力で、日本のトップ・シークレットになるんじゃなかったりか</p><p>一番は、白坂創介が提携していた暴力団組織よすでに、香月様の方から組織のトップには話が通っているけれどああいう人たちって、根に持つから白坂創介から黒い森の顧客リストを手に入れて、政財界に脅しを掛けて大儲けするつもりだったでしょ</p><p>それが全部パーになっちゃったんだから腹いせに、あたしたちに何か嫌がらせしてくる可能性があるわけもちろん、トップでなく、末端のチンピラを使ってね組織の下の連中が勝手にやったことだって、言い訳するつもりなのよ</p><p>そういうことが、考えられるんだ</p><p>今までは、あたしたちの正体が向こうには、はっきり見えないようにしてきたから良かったけれど香月様からの裏社会への通達と、公安警察からの情報リークで、色々と伝わってしまうことになるから白坂創介を通じて黒い森を知っていた暴力団の人からすれば、頭にくると思うわよあたしたちが、自分たちのレベルを飛び越えて香月様の庇護下に入ったこととかね何が何でも嫌がらせしてやろうと思うんじゃないかしら</p><p>暴力団は、白坂創介を馬鹿にしていたわけだし</p><p>黒い森は、その白坂創介のものだと思っていたのだから</p><p>いずれは、自分たちが黒い森の運営を奪取するつもりだったんだろうな</p><p>それが娼館の女たちによって、全て覆ったとなれば頭に来るだろう</p><p>まあ昨日の今日で香月様からの通達が正式に出たのは、今日のお昼過ぎくらいだと思うわそれで、今回の事件の概要が、裏の世界の連中に何となく知れ渡って時間の経過から考えると、暴力団のトップの人たちは今頃、会議していると思うわだから、何らかのアクションがあるとしたら今夜からよね</p><p>克子姉は、そう想定する</p><p>そして、嫌がらせなら渚のお店にするのが一番でしょあの子の仕事は、表の商売なんだからお屋敷の方は、現在休業中だし</p><p>この屋敷には、警備も監視も付いているしここを攻撃しても、嫌がらせにはならない</p><p>その点、渚のお店は誰でも入れるんだから鉄砲玉みたいな連中に突っ込むだけで、被害甚大だ</p><p>暴力団の直接の構成員でないチンピラを使えば、ジッちゃんからの手を出すな指令に反したことにもならないし</p><p>まずいね</p><p>もう、お嬢様が情報集めに動き出してていらっしゃるわどの辺のチンピラ連中を使うかは、大体判っているから向こうが嫌がらせに来る前に、こっちから潰しに行くわ</p><p>相変わらず、ミナホ姉さんの仕事は早い</p><p>あっ、克子、それあたしたちでやるわ</p><p>台所から、恭子さんが顔を出す</p><p>ついでに、その元締めの暴力団も丸ごとブッ潰しておくわこういうのは、一罰百戒だから</p><p>いちばつひゃっかい</p><p>香月のジィさんの後ろ盾がなくとも、黒い森はヤバ過ぎて手を出したらマズイっていう評判を作ればいいんだろ</p><p>ええっと恭子さん、何をするつもり</p><p>克子、その暴力団て潰したら困るような組織かい今後の日本国にとって必要な存在</p><p>いえ、そんなことは無いと思いますが</p><p>じゃあ、決まりだねえ、コーデリア、明日、暴力団一つ潰しに行くからっ</p><p>恭子さんは、台所の中のミス・コーデリアに言う</p><p>あんたもどうせヒマでしょ手伝いなさいねっ</p><p>あたしこのままバカンスにするつもりだったんだけど</p><p>ミス・コーデリアも顔を出す</p><p>そう言わないで今夜は、たっぷり可愛がってあげるからさっ</p><p>ニマァと微笑むミス・コーデリア</p><p>もおっ皆殺しにすればいいの</p><p>ううん生まれてきたことを後悔させてやるんだよっ</p><p>恭子、あんたのそういうところ、大好きっ</p><p>この規格外の二人に関しては考えたら、負けだ</p><p>ミーニーとイーニーも連れて行くわこの子らも、退屈していたところだし</p><p>そこのお猿も連れて行くよ少しは元気を発散させないと、あたしに突っかかって来るからね</p><p>恭子さんは、ミス・イーディを見てそう言った</p><p>彼女は部屋の隅で、またカチャカチャと知恵の輪と格闘している</p><p>克子たちは、明日は香月のジィさんの息子の葬式に行くんだろ</p><p>はい、その予定です</p><p>あらあたしも行かなくていいのかしら</p><p>だってあたしが蹴り殺した人のお葬式でしょ</p><p>たははっあたしとあんたが参列したら、警備の人数が３倍になっちゃうっての</p><p>えー、あたし別に騒ぎを起こす気はないわよ</p><p>そうじゃなくってキョーコ・メッサーとミス・コーデリアが二人並んで現れたら、警備担当者はパニックを起こすよちょっと気の毒だろう</p><p>そうねえじゃあ、いっか暴力団潰しの方が面白そうだし</p><p>メグが、お皿の乗ったワゴンを押して台所から出て来る</p><p>すげぇ、緊張している</p><p>まあこの人たちと一緒に台所に居るのは怖いよな</p><p>よ、ヨシくんごはんできたわ</p><p>オレの方に、身を寄せる</p><p>確かに、台所の方から美味しそうな匂いが漂ってきた</p><p>クンクンクンミス・イーディが反応する</p><p>ポイッと知恵の輪を投げ捨てた</p><p>おっベスト・タイミングで帰って来たみたいだねっ</p><p>寧とマルゴさんが、部屋に入って着た</p><p>髪を黒く染めている</p><p>あら、黒に戻したのいいんじゃない可愛いわよっ</p><p>恭子さんが、寧に言った</p><p>でしょ、でしょっねえっ</p><p>寧が、オレにニコッと微笑む</p><p>うん綺麗だよ</p><p>可愛いとかいう、レベルじゃない</p><p>人工的な金髪と、カラーコンタクトが寧の自然な美しさを隠していたんだ</p><p>黒髪に、ダークブラウンの寧はナチュラルに美しい</p><p>とんでもない美少女だ</p><p>懐かしいね、出会った頃のあんたに戻ったねもっとも、あの頃の寧は、そんなにニコニコ笑っていなかったけれど</p><p>恭子さんが、寧の顔をしげしげと見て言う</p><p>うんやっと、心の底から笑えるようになったのヨッちゃんのお陰だよっ</p><p>そう言って、寧は後ろからオレに抱きつく</p><p>うふふっヨッちゃん、だぁい好きっ</p><p>その光景を、恭子さんはミス・コーデリアに指し示し</p><p>あの通り、あの子はヘテロだから手を出すんじゃないよあたしの妹分なんだから</p><p>判っているわよっ</p><p>ミス・コーデリアは、恭子さんに腕を絡める</p><p>ヘテロって何です</p><p>ノンケってことだよ</p><p>恭子さんは答えた</p><p>よく判らんぞ</p><p>メグが、暗い顔をしている</p><p>寧さんが、黒髪の超少女になって帰って来たことにショックを受けているのか</p><p>オレが声を掛けようとすると寧が、オレを制した</p><p>ちょっと恵美っ</p><p>寧から今までのメグちゃんではなく、恵美と呼ばれたことに、メグはハッとする</p><p>あんたさぁまさか、こんなんで負けたとか思っているんじゃないでしょうねっ</p><p>そ、そんなこと思っていないです</p><p>寧は、オレを抱き締めたままふっふふーんと、メグに微笑み</p><p>恵美さあんた、自分が本気になったら、今の何割増しで綺麗になれると思っている</p><p>何割増し</p><p>本気で美容について勉強してファッションセンスとかも磨いて、やれることぜぇーんぶやったら、あんたは今のあんたより何割増しまで綺麗になれると思うわけ</p><p>そんなの、考えたことはありません</p><p>メグは、暗い顔で答える</p><p>じゃあ、今考えなよっ５割増し６割増し２倍とか３倍いける</p><p>せいぜい３割増しぐらいだと思います</p><p>ふーん</p><p>寧が、ジロジロとメグの顔を見る</p><p>今より３割増しには綺麗になれるんだね</p><p>でも、あたしがどんなに頑張ったって寧お姉さんほど、綺麗にはなれません</p><p>メグの言葉に、寧は</p><p>ふざけんなっバーカ</p><p>そういうのはねっ、本気でやってみなけりゃ判らないでしょっ最初からあきらめて、どーすんのよっ、あんたはっ</p><p>寧お姉さん</p><p>クスッと、寧がメグに微笑み掛ける</p><p>今日からあたしか教えてあげるからっ恵美が綺麗になるために、あたしが知っていることは何でも教えてあげるっ美容体操も一緒にやろっそんで、とっとと３割増しになってよ女を磨いて磨いて磨き上げてっグダグダ落ち込んでるヒマなんか無いんだからねっ</p><p>メグは、呆然としている</p><p>みすずにも宣戦布告してきたから、恵美にもするねっあたしたち姉妹は、助け合うだけじゃダメなんだと思うんだっ今のままなら、ヨッちゃんの優しさに、みんなで甘えるだけの怠惰な女になっちゃうよそんなあたしたちなら、ヨッちゃんが疲弊して倒れちゃうっての</p><p>寧は、優しくオレの頭を撫でてくれる</p><p>あたしたち、ヨッちゃんの女は競い合って、磨き合って、どんどんいい女にならなきゃヨッちゃんのためにね</p><p>ヨシくんのために</p><p>そうだよっ落ち込んでいるヒマなんて、無いんだからねっ</p><p>寧が微笑む天使の様な笑みで</p><p>いい女になろ一緒にさっ</p><p>恭子さんが感心して、マルゴさんに言う</p><p>へえ成長したもんだねあたしたちに隠れて、いつも小さくなっていた寧が、こんなことを言うようになって</p><p>寧も成長したんですよ今では、妹が何人も居るお姉さんですから</p><p>オレがやって来るまでは寧は黒い森の最年少の妹だった</p><p>今では年少組の少女たちを束ねる、立派なお姉さんだ</p><p>メグ寧お姉さんによろしくお願いしますって言うんだ</p><p>オレは、メグにそう促す</p><p>それとも闘わずして負けを認めるのかそういうのって、メグらしくないぞ</p><p>よろしくお願いしますあたし頑張ります寧お姉さんみたいに、綺麗にはなれないと思うけれどでも、精一杯、努力しますっ</p><p>うんっかかってきたまえっぬふふふっ</p><p>さてそれじゃあ、ご飯にしましょうか</p><p>克子姉が、席を立つ</p><p>ミナホは</p><p>マルゴさんが、ミナホ姉さんを探す</p><p>お嬢様は、お部屋にいらっしゃいます今はお忙しくしていらっしゃいますからお食事は、後であたしがお運び致します</p><p>そうそう、ここに居るメンバーで食べちゃおうっ</p><p>あのさ克子姉</p><p>オレはちょっと、考えていることがあった</p><p>オレアニエスの部屋で食べたいんだけど</p><p>アニエスの</p><p>克子姉は、びっくりしている</p><p>アニエスはいつも、あの地下室で一人で食事をしているんだろ</p><p>ええそうだけど</p><p>だったら、一緒に食べたいアニエスとは、そういうところから始めないといけないって思うんだ</p><p>アニエスと向き合うには</p><p>日常生活から共にするしかないと思う</p><p>でも他の人が一緒だと、アニエスはご飯を食べないわよ</p><p>だったら、そのままずっとアニエスの部屋に居るよずっと居れば、アニエスもお腹が空くだろうから、食べるだろオレに、攻撃してくる意志が無いって判れば</p><p>何時間もかかるわよ</p><p>構わないさというか明日、お葬式に行く以外は、連休の残りの時間はアニエスの部屋で過ごすつもりだよ、オレ</p><p>一気に片を付けるには、その手しか無いと思う</p><p>一緒に寝起きして食事するそうやって、オレと居ることに慣らしていくしかないよあの子の場合</p><p>克子姉は、心配なようだった</p><p>最初はオレと克子姉の二人で部屋に入って克子姉は、アニエスに食事を届けたら、部屋から出てってくれていいよ後は、オレとアニエスの根比べだ</p><p>オレは覚悟する</p><p>うんいい手を思い付いたねあの子の閉じた世界をブチ壊すには、日常から変えるしかないんだろうからねやっぱり</p><p>恭子さんが何か考え込んでいる</p><p>でもさあの地下室は、いわばアニエスの心の世界なわけだよそこに、君が異物として侵入してそう簡単に、あの子は変わるんだろうか</p><p>それはまず、オレが入っていくことから慣らして行って段々に、他の人とかともアニエスの部屋に入る人を増やしていけば</p><p>オレは、そういうが</p><p>そんな悠長なこと、やってられないだろしかもそれだと、結局、アニエスはあの部屋に閉じ籠もったまま、自分から外へは出て来ないんじゃないかな</p><p>アニエスの地下室に人を増やしてもあの部屋は、アニエスの世界だ</p><p>他の人間が近くに居ることに慣れても部屋からは出て来ないだろう</p><p>むしろ、あの地下室の中に、さらに自分のテリトリーを作って例えば、ベッドの周囲だけとかねそうやって、より狭い自分だけの領域を作ることで、さらに心を閉ざしていくんじゃないのかな</p><p>じゃあ、どうするんです無理矢理、アニエスをあの部屋から引きずり出すんですか</p><p>馬鹿言っちゃいけないよそんな荒療治をしたら、あの子の心はパンクしちまうよ</p><p>どうしたらいいんだ</p><p>あの部屋そのものを変えるしかないね</p><p>アニエスをあの部屋に置いといたまま部屋そのものの意味を変えちまうんだ</p><p>意味を変える</p><p>あんたが、アニエスとあの部屋で食事したいって言ったのは、確かに良いアイデアなんだよそれは間違いないさ</p><p>ただあんた一人じゃあ、ダメだってこと</p><p>コップの中に、透明の水があるとするよねその水に黒いインクを一滴落とす黒い粒は、コップの中に落ちた瞬間拡散してしまって、消えてしまう水は、元の通りの透明のままさ</p><p>だけどコップの透明な水に、黒いインクをドバドバ注ぎ込んだら透明な水は、黒いインクを拡散と切れない水は少しずつ黒く染まっていく</p><p>透明な水が今のアニエスが支配する地下室なら黒いインクは、あたしたちだ変えるなら、一気に注ぎ込まないとね無色透明な地下室を黒い森に染め上げるんだよっ</p><p>恭子さんが、オレたち全員に指示する</p><p>料理もお皿も、みんなアニエスの部屋に運び込むよっ</p><p>アニエスの部屋で</p><p>了解ですわ恭子さん</p><p>克子姉、寧、マルゴさんの三人がさっそく動き出す</p><p>あの部屋って、下は板だよねクッションとか持っていく</p><p>いや、丁度良いサイズのカーペットがあるからそれを敷こう運ぶの手伝って</p><p>そうね後は、クッションをたくさん持っていきましょうカーペットに座って、それでお食事しましょう</p><p>これは克子姉</p><p>うふふんっ、中央アジアの遊牧民みたいだねっ</p><p>寧が笑った</p><p>なら、食事とお皿はあたしとイーニーたちとで運ぼうか</p><p>アニエスのことはよく判らないがとにかく、別の部屋で夕食にするということは理解してくれたらしい</p><p>地下の部屋には、あたしがご案内しますわ</p><p>克子姉が、ミス・コーデリアに言う</p><p>じゃあ、あたしクッション、持って来ます</p><p>ミス・コーデリアたちと一緒よりは、そっちの方が良いな</p><p>うん、あたしに付いて来て、恵美っ</p><p>クッションのある場所は、寧が知っているらしい</p><p>あたしたちも行こう</p><p>マルゴさんが、オレを促す</p><p>オレたちは、カーペットの運搬係だ</p><p>克子あたしは、何をしたらいい</p><p>恭子さんが、克子姉に尋ねた</p><p>恭子さんはあの子を運んで来て下さいっ</p><p>克子姉の指の先にはミス・イーディが転がっていた</p><p>恭子さんは、ササッと動いてミス・イーディの首根っこを引っ張り上げる</p><p>ミス・イーディーは、バタバタ暴れるが</p><p>そのまま平然と肩に担ぎ上げる恭子さん</p><p>ほんじゃあ、さっさと移動するよっ</p><p>オレはこの時大切なことを忘れていた</p><p>白坂雪乃の存在を</p><p>３６５話ですが最初の数話は、同じ日に投稿したので厳密にはまだ１年は経過していません</p><p>終わらないですねえ</p><p>確実に終わりに向かっていますが</p><p>じっと手を見る</p><p>ぴったり３６５話、１年で完結したら格好良かったのになあ</p><p>この感じだと４００話ですかねえ</p><p>何としても、年内には完結させたいと思っています</p><p>別の話も書きたいんですよ</p><p>いや、もう構想はあるんですが</p><p>短期間で、さらっと終わるのがいいですよね</p><p>ここまで長くなっちゃったのは、キャラクターが自己主張してくれるせいです</p><p>イーニーとミーニーは、森薫先生のエマに出て来るインドの女の子たちをイメージしていますマハラジャの王子が連れてきていた、おんなじ顔をした女の子たちですねハキム・ガールズでしたっけ</p><p>何故か、ガチャポンサイズでフィギュア化されてまして３体持っています</p><p>秋葉原の中古屋さんで見掛ける度に買っていますがなかなか見掛けません</p><p>あのガールズは３人じゃ足りないんですが</p><p>代わりに、エレノアさんの頭を他の人形に挿げ替えたりしていますプラグスーツとか</p><p>そういえば、エマ本人を持っていない</p><p>というか、エマ本人の人形は中古屋さんで見たことがありませんね</p><p>366．アニエスとの夕食　（その１）</p><p>オレと克子姉、メグ、寧、マルゴさん</p><p>恭子さんとミス・イーディミス・コーデリアにイーニー＆ミーニー</p><p>１０人でぞろぞろと地下へ向かう</p><p>ミナホ姉さんだけは、参加していないがどうせ、監視カメラで観ているだろう</p><p>克子姉を先頭に、ミス・コーデリアと二人の部下はそれぞれ食事やお皿の乗ったワゴンを押していく</p><p>階段は、どうするんだろうかって思ったら</p><p>ああ３人とも、体力は有り余っているお姉様たちでしたね</p><p>１台ずつワゴンの前後を、イーニーとミーニーの二人でひょいと持ち上げて、そのままスススと階段の下へ下ろしていく</p><p>普段から息の合ったコンビな上に、戦闘術で徹底的に体幹を鍛え上げられている二人だからワゴンは少しも揺れない</p><p>床に対して水平をキープしたまま、何事も無く運ばれていく</p><p>オレはマルゴさんと丸めたカーペットを抱えているけれどマルゴさんが軽々と担いでいるのに、オレの方はヒーヒー言っている</p><p>カーペットって、こんなに重いんだ</p><p>オレの後ろでは、寧とメグがクッションを両腕に抱えていた</p><p>１回だとこれだけしか持てなかったから、場所が判ったらもう一回取りに行くわっ</p><p>片腕に２つずつ、計４つ寧も同じ数持っていて、合計８つ</p><p>うん１０人分だもんな</p><p>いや、後でミナホ姉さんも来てくれるかもしれないし</p><p>麗華や、マナや、渚や真緒ちゃんも合流してくる可能性がある</p><p>クッションは、多めにあった方がいい</p><p>オレたちの列の一番後ろが、ミス・イーディを肩に担いだ恭子さんだ</p><p>イーディは、さっきまで手足をバタバタしていたが、今は不機嫌そうな顔でドベーッと脱力している</p><p>くたくたのぬいぐるみみたいになって、恭子さんの肩にへばりついている</p><p>恭子さん、そんな風にしなくてもちゃんとお話すれば、その子は大丈夫だと思うけど</p><p>寧が、そう尋ねると</p><p>いや、いいんだよっこの子は、このまま異物として連れて行った方がいいアニエスに対してはね</p><p>恭子さんには、何か考えがあるらしい</p><p>ミス・イーディは心の友だと（イーディが勝手に）思っている美智がここにはいないし</p><p>お気に入りの真緒ちゃんもいない</p><p>渚も優しい真緒ちゃんのお母さんとして、イーディは好意的に受けとめているらしいが、やっぱり不在だ</p><p>むしろ作戦行動中に逃げ出すくらい、馬の合わないミス・コーデリアのグループが一緒だし</p><p>全然、武術で敵わない恭子さんもどちらかと言えば、苦手なんだろう</p><p>現在のミス・イーディはとてつもなく、アウェイの状態にある</p><p>あんたたちも、この子優しい顔をしないでねっ寧もマルゴも、英語で話し掛けちゃダメだよっみんなで、この子の理解できない日本語でくっちゃべってどんどん疑心暗鬼にしちゃいなさいっ</p><p>恭子さんは、ニヒヒと笑う</p><p>ああ、コーデリアたちは英語以外の言語で喋ってこの子、多分、スペイン語は判ると思うんだよ</p><p>日本語が喋れないイーニーとミーニーについて、恭子さんはそう指示を出した</p><p>何がなんでも、イーディを情報遮断するつもりらしい</p><p>コーデリアのことだからちゃんとその子らに教育しているだろ</p><p>ええ、もちろん言語は複数喋れるように指導しているわでも、この子、ニューオリンズの暗殺教団の出身でしょフランス語は、何となく教え込まれていると思うのよ</p><p>じゃあ、ロシア語かスワヒリ語だね</p><p>ウルドゥ語でもいいわよ</p><p>それじゃあ、あたしが判らないですせっかくの機会だから、そのお二人とはお友達になっておきたいんですけれど</p><p>マルゴさんが、師匠に言った</p><p>マルゴ、あんた最近、語学は何を勉強しているんだい</p><p>ドイツ語とイタリア語です</p><p>マルゴさんそういう勉強もしているんだ</p><p>じゃあ、ドイツ語にしよう</p><p>恭子さんは、そのままとてつもなく流暢なドイツ語で話し始める</p><p>イーニーとミーニーは、すぐに納得したらしくドイツ語で返事する</p><p>マルゴさんが２人に、ドイツ語で話し掛けた</p><p>何かのジョークが入っていたらしく、ドイツ語の判るメンバーだけが笑う</p><p>くくっあたし、ドイツ語は判らないんだよねっ</p><p>口惜しそうに、寧が言った</p><p>そんなことを言ったらオレは、日本語しか判らないぞ</p><p>ヨシくんは、あたしと日本語でお喋りしようねっ</p><p>メグが、オレにそう言う</p><p>あっ、ズルいよ、恵美っあたしも、ヨッちゃんとお喋りするんだからっ</p><p>寧がツンとして、割り込んで来る</p><p>そんな会話をしながら地下の廊下をみんなで進んでいく</p><p>しかし、こんなにたくさんの人数で押し掛けたらアニエス、びっくりするだろうね</p><p>オレは、克子姉に言った</p><p>そうねあの子の部屋に入ったことのある人間は、本当に少ないからちょっと、心配なのそれに</p><p>克子姉は、料理の乗ったワゴンを見る</p><p>あの子、こういうお料理は初めてだから食べるかしら</p><p>克子姉は、ちょっと暗い顔で</p><p>アニエスは、食事も制限されていたから美しい少女に成長するように、カロリー計算されて、栄養のバランスが良い特別食を食べさせられていたのほとんどが、スープとゼリーとジュースみたいなものばかりよそういう食事と、決められた毎日の運動がセットになっていて人工的に美少女を作る計画が組まれていたのよ</p><p>そんなことまで</p><p>アニエスの育ての親だった昌代さんは、食べ物とかに無頓着な人だったから味オンチというか食べることに全然興味が無い人だったのあの人家族と一緒に、和気藹々と食事をするって経験の無い人だったらだから、アニエスはずっと味気ない病院食みたいなものしか食べてきていないのよ</p><p>克子姉は、ハァと溜息を吐く</p><p>あたしが食事係になってから何度か、普通のお食事を作ってアニエスに出してみたんだけれど食べなかったわあの子にとっては、病院食みたいなものが食べ物なのよそういう風に、刷り込まれているのよ</p><p>そんな克子姉に、恭子さんが</p><p>そりゃあ、克子の食事の出し方が悪かったのさ</p><p>きょとんとする、克子姉</p><p>どうせ一食分だけ盛りつけた皿を、アニエスの前に出してみたんだろ</p><p>ええそうですけれど</p><p>それじゃあ、ダメなのさ</p><p>恭子さんは、ククッと笑って肩に担いだイーディを見る</p><p>アニエスは、見た目は天使みたいだけれどこの子と、おんなじような存在だって思わないといけないよ</p><p>アニエスがミス・イーディと同じ</p><p>この子もアニエスと同じで、閉じ込められて育てられてきただけど、躾のなっていない野生動物だよねそういう生き物だと思って、相手してやればいいんだよ</p><p>野生動物</p><p>ああ、今の話で思い出したけれどマナちゃんて子を、スーパー・モデルみたいな美人さんにするんだろそのための食事や運動のデーターは、そこそこ揃っているんだアニエスの時のデータでね</p><p>恭子さんが、オレを見る</p><p>アニエスの場合は、幼児からのデータだけれど１４歳からの肉体改造のプログラムは、発展系として組めると思うよ病院食みたいなマズい味は、これから克子に改良させればいいし</p><p>そうかアニエスで、すでに美少女育成プロジェクトが進行していたのなら、マナには、それを流用して貰えば良い</p><p>ゼロから計画を始めなくても、確実なプログラムが組める</p><p>現実にアニエスが、とんでもない美少女に成長しているんだから</p><p>マナだって下地は良いし</p><p>きっと、すごい美人になる</p><p>でも、そのことはマナちゃんには、内緒にしておくんだよ</p><p>オレだけでなく寧や、マルゴさん、メグにも</p><p>そうですね元々は、白坂創介がアニエスのために作らせたプログラムだと知ったらマナちゃん、悲しむでしょうから</p><p>実の父親が腹違いの妹を、美しく育てた上で犯すのを目的としたんだもんな</p><p>そんなものを流用して、自分も体験するというのは気分が悪いだろう</p><p>判りましたマナには内緒にしておきます</p><p>うんあくまでもマナちゃんのために、あたしたちがゼロから組んだプログラムっていうことにしておいて</p><p>マルゴさんも、そう言う</p><p>寧も、メグちゃんもいいね</p><p>判ったよマルゴお姉ちゃん</p><p>２人も納得してくれた</p><p>やがて、オレたちの一団はさっきミナホ姉さんと訪れた、並んだ二つの扉の前に到着する</p><p>オレはミナホ姉さんの父親が監禁されていた部屋のドアを見る</p><p>大丈夫よもう運び出した後だから</p><p>薬で廃人になった黒森公一郎はもう、ここにはいない</p><p>それでも、その部屋の中には黒い怨念が残っているような気がした</p><p>さてとそれでは突入するよ</p><p>恭子さんの言葉に克子姉が、アニエスの部屋の鍵を開けようとする</p><p>あ待って、このまま普通にゾロゾロ入り込むのは、面白くないね</p><p>あたしに良い考えがあるんだけれど</p><p>ヌフフと、恭子さんは微笑む</p><p>みんなで歌を歌いながら、登場しまーすっ</p><p>歌</p><p>ミュージカル形式でね</p><p>みゅじかる</p><p>誰か恭子さんを止めてくれ</p><p>オッケーかいみんな、歌詞の確認と、自分が何番目か、覚えたねっ</p><p>恭子さんがオレたち一堂を睨む</p><p>あのっ恭子さんこの歌じゃなくて、普通にHappy Birthday to Youの歌とか歌いながら入って行くとかじゃダメなんですか</p><p>寧が困惑顔で言う</p><p>ダメだよっ</p><p>な、何でですっ</p><p>こういうタイミングで、Happy Birthday to Youとかって、ありがちじゃないか意外性が無いよっそれに</p><p>Happy Birthday to Youの歌は、まだ著作権が切れていないんだよ</p><p>えそうなのか</p><p>いや、恭子さんアメリカでは確かに、著作権保護期間が延長されたので、あの歌は２０３０年まで権利切れにならないんですけれどここは、日本ですから</p><p>マルゴさんが、説明する</p><p>２００７年で、著作権は切れています</p><p>そんじゃあさっ、Happy Birthday to Youでいいじゃんかっ</p><p>と、寧は歌の変更を強く要請する</p><p>ダメダメやっぱり、ここは初志貫徹でしょうあたしのプランで決行しますっいいじゃんか、ちょうどぴったりの人数なんだしさ</p><p>恭子さんは、うひうひ笑っている</p><p>こうなったらダメだよ、キョーコは絶対に、自分の計画を曲げないからあんたたちも、この人の性格はよく判っているだろ</p><p>ミス・コーデリアが、オレたちに言う</p><p>しかしこの歌、あたしにはシャレにならないんですけれど</p><p>マルゴさんが、ギッと師匠を見る</p><p>そう言えば確かに</p><p>そんなの気にしない、気にしないっただの童謡じゃないのっ</p><p>恭子さんは、ガハハと豪快に笑った</p><p>ほらっみんな準備して、リハーサルは無しだからねっ</p><p>覗き穴から部屋の中のアニエスの位置を確認する、恭子さん</p><p>うんアニエスはやっぱり、奥のベッドにいるねということだからみんな、扉を開けたら、順番にアニエスの前まで行くんだよ</p><p>オレも、中の様子を確認する</p><p>扉から５メートルぐらいは、早足で進まないといけないな</p><p>最終確認するよONEがあたしTWOがマルゴTHREEが少年FOURが克子、FIVEが寧、SIXが恵美ちゃんSEVENがコーデリア、EIGHTがイーニー、NINEがミーニー、TENがあたしの肩に乗っかってる小猿だけれど、この子は多分歌わないから全員でいいわねっ</p><p>あたしもう覚悟を決めたわ</p><p>克子姉が、力なくそう呟いた</p><p>よっしいっくよーっ</p><p>恭子さんが扉の鍵をガチャリと開ける</p><p>部屋の奥に居るアニエスは、ビクッと身構えているだろう</p><p>鉄のドアを恭子さんは、開く</p><p>デデデデンッあっ、それデデデデンッあっそれ</p><p>変な合いの手を入れながら恭子さんが、ツツツと部屋の中に入っていく</p><p>肩には、イーディを担いだまんまだ</p><p>アニエスのベッドの正面へ立ってニッと笑って、ポーズを取る</p><p>よし、スタートだ</p><p>オレはマルゴさんと、カーペットを持ったまま、内部に突入する</p><p>このタイミング出ないと歌に合わない</p><p>恭子さんが大きな声で歌い出す</p><p>♫One little,</p><p>慌てて、マルゴさんが</p><p>♫two little,</p><p>オレも続けて、</p><p>♫hree little</p><p>３人で、</p><p>♫Indians</p><p>続いて、克子姉、寧、メグの３人が飛び込んで来て</p><p>♫Four little, five little, six little Indians</p><p>ミス・コーデリアとイーニー、ムーニーは、ゆっくりワゴンを押しながら</p><p>♫Seven little, eight little, nine little Indians</p><p>最後に、恭子さんがイーディーを高く掲げて全員で</p><p>♫Ten little Indian boys</p><p>そして、思い思いにポーズ</p><p>何じゃこりゃあ</p><p>確かに１０人居るけれど</p><p>実際には、マルゴさん以外インディアンじゃないし</p><p>オレ以外、ボーイでもない</p><p>タハッ、決まったねっ</p><p>嬉しそうに、恭子さんは笑う</p><p>オレは改めて、ベッドに腰掛けていたアニエスを見る</p><p>アニエスは</p><p>眼をまんまるにして、驚いている</p><p>突然、歌いながら現れたこの集団は余りにも異様すぎる</p><p>はい、侵入成功フロア内を制圧マルゴと少年、アニエスの正面にカーペットを敷いて</p><p>オレはマルゴさんと、指示された位置に運んで来たカーペットを敷く</p><p>この絨毯、拡げてみると大きいな１０畳ぐらいか</p><p>克子、適当にランチョンマットとかを敷いて寧と恵美ちゃんは、適当にクッションを並べて</p><p>恭子さん、あたし足りない分のクッション取ってくるからっ</p><p>寧が、そう言うと</p><p>今はいいよっドタバタ出入りすると、その度にアニエスが緊張するからあ、ドアは開け放しにしておいてドアが解放されていることを、アニエスに見えるようにしてコーデリアとマルゴ、だからと言って、この小猿が逃げ出さないように監視しておいてね</p><p>アニエスには扉の世界があることを示してやる必要がある</p><p>しかし、そこからイーディが逃げ出してドタバタするのは許してはいけない</p><p>はい、みんな適当に座って克子、料理の覆いを取って美味しそうな匂いが部屋に充満するようにするんだよっ</p><p>はい、恭子さんちょっと温め直しますね</p><p>ワゴンの一台には、克子姉の作ってくれたシチューの大鍋が乗せられている</p><p>そこのコンセントにコードを繋いでこのワゴン、IHヒーターになっているのよ</p><p>オレは言われるまま、ワゴンのコードを壁のコンセントに差し込む</p><p>克子姉が、加熱のスイッチを入れ大鍋の蓋を取って、大きなお玉で掻き混ぜる</p><p>シチューの良い匂いが、ぷーんと漂う</p><p>じゅるり</p><p>ぐーっ</p><p>唾を飲み込む音と、お腹の鳴る音が同時にした</p><p>どっちも、イーディからだった</p><p>ミス・イーディさっき、クッキー食ってたじゃないか</p><p>こっちは、あたしたちの作ったタコスよ</p><p>二つ目のワゴンの上の、大きな丸い金属の覆いをミス・コーデリアが外した</p><p>うん、大皿に何やらいっぱい乗っている</p><p>これは、あたしと恵美ちゃんで作ったサラダねタコス用のトルティーヤが余っているから、挟んで食べても美味しいわよ</p><p>三つ目のワゴンの覆いを開けて、恭子さんが言った</p><p>ワゴンの下の方から、克子姉がシチュー皿やスプーンを取り出す</p><p>克子いいかい、アニエスにはっきりと見せるんだ</p><p>みんな同じ鍋から掬ったシチューを配る様子をきっちりと全員が、同じものを食べるってことを、この子に理解させるんだ</p><p>アニエスは、自分用に盛りつけられている料理しか見たことが無い</p><p>他のみんなが同じ鍋の同じシチューを食べているということが判れば</p><p>アニエスだって、一緒に食事してくれるかもしれない</p><p>今はまだ</p><p>警戒心たっぷりの眼で、オレたちを見ている</p><p>いつでも、ベッドの後ろへ逃げられるように身体を固くして</p><p>はい、シチューのお皿、廻して</p><p>克子姉がお皿に取ってくれたシチューを一人一人に手渡していく</p><p>アニエスにとって、現在の食事係は克子姉だ</p><p>匂いから、これが食べ物だってことは判っているだろう</p><p>克子姉が食べ物を配っているということは、アニエスのイメージを刺激するはずだ</p><p>このアニエスの部屋の外でも、克子姉はみんなに食事を届ける係だという認識</p><p>外の世界のイメージが、少しでも湧き上がってくれれば</p><p>おっし、みんなお皿を持ったね</p><p>恭子さんが言う</p><p>ミス・イーディとアニエスがまだです</p><p>おおっと忘れていたよ</p><p>恭子さんが、担いでいたミス・イーディを下ろす</p><p>わざと、アニエスに近い方へ</p><p>はいイーディさん</p><p>克子姉が、ニコッと微笑んでイーディに、シチューの皿を手渡す</p><p>ビクビクしながら、受け取るイーディ</p><p>ふふふんっコーデリア</p><p>恭子さんとミス・コーデリアが何気なく、イーディに近付いて牽制する</p><p>ンカガッ</p><p>イーディは、二人の接近を嫌ってアニエスのベッドの方へ</p><p>アニエスは、ギョッとするがイーディの素早さに反応できない</p><p>そのまま、ベッドの縁から動けないでいる</p><p>イーディもアニエスに接近しすぎることを嫌う</p><p>結局アニエスのベッドから、ちょっと離れた位置に、どっしりと座る</p><p>そして気付くのだスプーンを持っていないことに</p><p>はい、今、持っていくわ</p><p>克子姉が、イーディに見える様にスプーンを取り出す</p><p>克子姉は、アニエスのためのシチューを大鍋から掬う</p><p>そして、スプーンを付けてアニエスの方へ持っていく</p><p>アニエスは、緊張してジッとこっちを見ている</p><p>克子姉は直接、アニエスにシチュー皿を手渡すことはせずに</p><p>アニエスの足下に、皿とスプーンを置いた</p><p>そのついでにイーディにスプーンを手渡す</p><p>イーデイは、さっそくシチューを食べようとするが</p><p>STAY</p><p>恭子さんが、恐ろしい形相でイーディに叫ぶ</p><p>イーディは、ビクッとして凍り付く</p><p>え、ステイって</p><p>オレの質問に、寧が応えた</p><p>犬の躾けに使う命令だよ日本語だと待てかな</p><p>ミス・イーディ小猿扱いの次は犬か</p><p>あ恭子さんの一喝に、すぐ近くのアニエスも固まっている</p><p>自分が怒られたんじゃないってことは、判っているみたいだけれど</p><p>みんなあたしは、神様ってのが本当に居るのかどうかは判らないただ、何でも神様に感謝するのは嫌だって思っている神様に感謝を捧げる前に感謝しなければいけない人間が、この世にはたくさんいるからね</p><p>恭子さんが、オレたちに言った</p><p>彼女の言葉をミス・コーデリアがドイツ語で、イーニー＆ミーニーに通訳している</p><p>何よりもまず食事を作ってくれた人に感謝だよありがとう克子、ありがとうコーデリア、イーニーとミーニーも恵美ちゃんもありがとう</p><p>恭子さんだってありがとうございますっ</p><p>オレたちは、みんなそれぞれに感謝の言葉を捧げた</p><p>それではいただきますっ</p><p>恭子さんが号令する</p><p>オレたちは、シチューにスプーンを入れ口へ</p><p>うん美味しい</p><p>イーディが、食事を始めたオレたちの様子を眺めている</p><p>恭子さんが、OKを出す</p><p>イーディは、もの凄い勢いでシチューを掻っ込んだ</p><p>そんな姿を、アニエスは呆然と見ている</p><p>アニエス食べてご覧なさい、美味しいわよ</p><p>克子姉が自分もシチューを食べながら、アニエスに言った</p><p>そうか、この子は日本語は判るんだな</p><p>外見が完全に外人だからついつい、イーディと同じで言葉が通じない気がしていたけれど</p><p>うん、美味しいわよっアニエス</p><p>寧も、ニッコリと笑ってアニエスに言う</p><p>アニエスは、ジッと足下の皿を見つめている</p><p>父が倒れる前から行きたがっていましたので、上野のツタンカーメン展に連れて行きました</p><p>人混みが凄すぎて、父も私もくたびれました</p><p>多分、ツタンカーメンの呪いなんでしょうね</p><p>展示は主催のフジテレビの匂いがキツくて</p><p>訳の判らないオープニング映像とか見せられる割りには</p><p>何じゃこりゃということも</p><p>つーか</p><p>ツタンカーメン時代のエジプトの宗教問題を解説するのに</p><p>アメンホテップ4世とイクナートンと同じ人間だっていうのを説明しないとは</p><p>まあ、ミュージアムショップでツタンカーメン麺とか打っているような世界ですから</p><p>フジが絡むと、そういうノリになっちゃうんでしょうね</p><p>367．アニエスとの夕食　（その２）</p><p>あれさどうにかなんないかね</p><p>恭子さんが、天窓に近い壁の上方にある白坂創介裸像を見上げて言った</p><p>あいつの勃起チンコ見上げて、ご飯てのはちょっとね</p><p>あたしが登って、ブチ折ってこようか</p><p>ミス・コーデリアが、平然と言う</p><p>あんな高いところまで、どうやって登るのか判らないけれど</p><p>その上、あれ、一応金属製だと思うし</p><p>そんなに簡単に折れるもんじゃないと思うけれど</p><p>でも、ミス・コーデリアの体術なら、何でもやってのけそうな気もする</p><p>えー、埃とか破片が飛び散るのは困るってのっ</p><p>恭子さんは、眼の前の料理を見てそう言う</p><p>確かに、料理の上にバラバラになった破片とかが落ちてくるのは困るよな</p><p>それじゃあ、取りあえずパンツだけ履かせてくるわ</p><p>ミス・コーデリアは、余っていたランチョン・マットを一枚取り上げる</p><p>これ、借りるわね</p><p>克子姉にそう言って２人の部下にドイツ語で声を掛ける</p><p>イーニーとミーニーが、スッと立ち上がった</p><p>誰か髪留めのゴム輪とか持ってない</p><p>ミス・コーデリアの言葉にメグが</p><p>あ、あたし持ってます</p><p>ポケットから、ゴム輪を取り出す</p><p>サンキューさってと</p><p>ミス・コーデリアは、軽く屈伸して膝を回す</p><p>羽のように軽く舞うわ埃一つ散らさないからね</p><p>イーニーとミーニーが、ミス・コーデリアの指示した場所にスタンバイする</p><p>レデイセット</p><p>うわっと軽やかに助走するミス・コーデリア</p><p>イーニーとミーニーに向かって加速する</p><p>２人の直前で、軽くジャンプしたミス・コーデリアを</p><p>イーニーとミーニーは、２人掛かりで虚空に放り上げるっ</p><p>ここまでの動きにまったく音が無い</p><p>足音を立てずに走り、跳び、２人の部下も無音のまま、主人を跳ね上げるッ</p><p>ぶわぁぁっ</p><p>ミス・コーデリアもイーニーたちも、見た目を遥かに越えた恐るべき身体能力を有している</p><p>宙に飛び上がったミス・コーデリアは軽々と白坂創介像の高さまで、飛び上がる</p><p>ずっと無表情で心を閉ざしていたアニエスが、ハッとする</p><p>大丈夫だよ壊しはしないから</p><p>恭子さんが、アニエスに言った</p><p>ミス・コーデリアは、像の台座に降り立ち白坂創介裸像の勃起ペニスにランチョンマットを被せてゴム輪で留める</p><p>どうかしら</p><p>上から、ミス・コーデリアが尋ねる</p><p>いいんじゃない何かパンツ履いたまま、勃起しちゃってるみたいな、みっとも無い姿だけど丸出しにされてるよりはいいわよ</p><p>恭子さんは、そう返事をする</p><p>そうだ明日、障子を持って来るわ</p><p>逆の発想でさ障子で像そのものは隠してしまって、チンコだけ障子紙を突き破って露出させとこうよ</p><p>キョーコ、それ何か日本のオマジナイか何かなわけ障子っていうのが、日本建築で使う紙製のウインドゥだっていうことは知っているけれど</p><p>高い場所から、ミス・コーデリアが尋ねる</p><p>あ、そっかあんたたちは、そんなの知ってるはずないか</p><p>恭子さんが笑う</p><p>日本人だって、若い人は知らないですよ</p><p>うん、オレには何の話をしているのか全然判らない</p><p>メグも寧もキョトンとしている</p><p>そうだよねえ、大昔のベストセラー小説だからね今の子が知ってるわけないかあたしが知ってるのだって、ブラジルのお祖父ちゃんの本棚にあったからだし</p><p>なに勃起したペニスで障子に穴を開ける小説なんてあったの</p><p>コス・コーデリアが尋ねる</p><p>うん、あったんだわ</p><p>何それ、ヘンタイポルノ小説</p><p>うん、まあそんな感じ</p><p>そんなのがベストセラーになるなんてやっぱり日本人は、ヘンタイっぽいものが好きみたいね</p><p>いやいや、一過性のものだよ見ての通り、この子らは全然知らないみたいだしねえ、克子、あの小説家ってまだ作品書いているのっていうか、生きているの</p><p>生きてますけど今でも小説を書いているかどうかは、知らないです他の仕事を頑張っていらっしゃることは、知っていますけれど</p><p>オレには、誰の話をしているのか全然判らない</p><p>そうですねえ、今ではあの人の小説なんて、若い人たちには全く読まれないですねえ</p><p>ふうんまあ、そんなもんなんだろうね</p><p>克子姉の言葉に、恭子さんは納得する</p><p>降りるわCome on</p><p>ミス・コーデリアが、イーニーたちを呼ぶ</p><p>２人の部下は、落下地点で待ち受ける</p><p>スッ</p><p>ミス・コーデリアは、床に向かって降下する</p><p>２人は、下で待ち構えて</p><p>いや、２人の方から、落下するミス・コーデリアに向かってジャンプする</p><p>もちろん、足音は立てない</p><p>上から落ちてきたミス・コーデリアの肉体を２人は空中で下から押し上げる</p><p>落ちる力と、押し上げる力が相殺される</p><p>そのまま、３人は３方向に散って</p><p>音も無くスッと床に着地する</p><p>うんお見事っ</p><p>恭子さんが、拍手する</p><p>オレやメグ寧やマルゴさん、克子姉も</p><p>アニエスは、父の像が股間に布を掛けられただけで済んだので、ホッとしている</p><p>ミス・イーディは、シチューを食べる手を止めて、ミス・コーデリアをギッと睨んでいる</p><p>どうも口惜しいらしい</p><p>あれぐらい、自分にもできるという眼をしている</p><p>でも、ミス・コーデリアや恭子さんと話をするのは嫌みたいで再び、シチューをガツガツと掻っ込み始めた</p><p>アニエスのお皿は、足下に置かれたままだ</p><p>彼女はまだ一口も食べていない</p><p>イーディは、あっという間に一皿ぺろりと平らげてしまう</p><p>そしてシチューの大鍋の方を見る</p><p>お代わりが欲しいのほら、お皿を貸してよそってあげるわよ</p><p>克子姉が、ニッコリと笑ってお玉を持った手で、イーディにゼスチャーで示す</p><p>恭子さんやミス・コーデリアたちを警戒しながら大鍋に近寄る</p><p>空になった皿を克子姉に差し出した</p><p>克子姉がよそってやる</p><p>皿を受け取るとミス・イーディは再び、元の位置に戻る</p><p>アニエスの近くへ</p><p>どっしりと腰を下ろし再び、シチュー皿と格闘する</p><p>イーディ、タコスもあるのよ</p><p>メグが、タコスを小皿に取り分けてイーディに示した</p><p>イーディは、ジロッと皿を見て</p><p>シチュー皿を一旦、横に置くとそろりそろりと、メグに近寄る</p><p>どこまでも、恭子さんたちを警戒しているんだな</p><p>もっとも、当の恭子さんたちは</p><p>ミス・コーデリアにイーニー＆ミーニーに、マルゴさんまで加えてドイツ語で楽しく談笑している</p><p>時々、笑い声も起きるがもちろん、オレには何の話をしているのか判らない</p><p>イーディは、メグからタコスの皿を受け取るとそそくさと元に位置に戻る</p><p>結局、恭子さんたちが突然イーディを襲撃して来たとしても身を躱して逃げられるポジションがあそこなんだな</p><p>恭子さんたちはわざと、イーディがアニエスの近くに行かざるえないように、わざと彼女にプレッシャーを掛けているんだ</p><p>だからイーディは、あそこに居る</p><p>というか料理を受け取って戻る度に、イーディは少しずつアニエスに近付いている気がする</p><p>これって恭子さんたちが、何気なくイーディへのプレッシャー量を増やしているってことなんだろう</p><p>さっきの、白坂創介裸像へ飛び上がるパフォーマンスだってイーディを刺激するためのものだとは考えられないか</p><p>イーディは、クンクンとタコスの匂いを嗅ぐ</p><p>大丈夫よあたしたちだって、食べているものっ</p><p>寧が、イーディに見えるようにタコスを頬張る</p><p>うんっ美味しいっ</p><p>同じ大皿から、メグが取り分けたタコスだ</p><p>同じものを他のみんなも食べている</p><p>メグがスパイとか工作員の教育を受けていないことは、身のこなしで判るだろう</p><p>イーディに渡したものだけ、毒とかを混入することはできない</p><p>ほらっ、食べなよ、美味しいんだからっ</p><p>ニコッと微笑む寧にイーディは、安心したらしい</p><p>タコスをガブリと食べる</p><p>ンンンンンッ</p><p>思っていたよりも、辛かったらしい</p><p>あ、ここにお水あるわよっ</p><p>メグが、５００ミリのペットボトルの水を取り出す</p><p>イーディは、転がるようにメグに走り寄ると、水のボトルを受け取る</p><p>口を開けて、一気にゴクゴクと飲む</p><p>プハァっ</p><p>そして、ボトルを持って警戒態勢で、元の位置へ帰って行く</p><p>しかし見ていて飽きないわよね、この子</p><p>そうですね表情豊かっていうか</p><p>何か動物の観察をしているみたいだけれどねっ</p><p>寧の言葉はちょっと酷い気もする</p><p>イーディは、元の位置に戻って</p><p>いやまたアニエス寄りになった</p><p>食事に戻る</p><p>シチューを食べタコスを頬張り水を飲む</p><p>辛いのも、どうにか平気みたいだな</p><p>ヨッちゃん、見て、アニエス</p><p>寧が、オレに囁く</p><p>アニエスは、まだ食事に手を付けていない</p><p>しかし、豪快にバクバクと食べ続けるイーディをジッと見ている</p><p>うん、上手くいってるみたいだね</p><p>寧が、オレにニッと微笑む</p><p>ヨッちゃん入学試験とかでさ、アガらないようにする一番良い方法って知ってる</p><p>え知らないです</p><p>メグも、オレたちの話を聞こうと寄って来る</p><p>自分よりも、もっともっとアガっている子を見つけることだよっ人間てさ、自分よりも、もっと切羽詰まっている人を見ると落ち着いて冷静になれたりするんだよねっ</p><p>今の場合はアニエスが、自分の世界に乱入して来たあたしたちに警戒しているのは当然でしょ</p><p>アニエスはずっと、ベットの位置から動かずにいる</p><p>だからアニエスよりも、もっともっと警戒心でいっぱいいっぱいになっている子を用意してみました</p><p>しかも、その子はどうしてだか、恭子さんたちにハブられているみたいですあたしたちの方に近寄らないで距離を取っているアニエスから、すれば自分の立場に近いような気がして来ない</p><p>だから、恭子さんは、わざとイーディを</p><p>あたしたちのリーダーは、恭子さんだってわざと大げさにアピールしているのよ最初からでその恭子さんとイーディの人間関係に隔たりがあることも、最初から示している恭子さんイーディを担いで、現れたんだから</p><p>アニエスから見れば拉致されてきた子にしか見えない</p><p>最初のミュージカルも、イーディだけ強制的に参加させられていたし</p><p>そしてイーディが、恭子さんたちをもの凄く警戒しているでしょアニエス以上に、表情豊かにね</p><p>イーディってそんなに警戒しているんですか</p><p>オレには、彼女の様子はコミカルに見えすぎて実際、どんなものなのか計りようが無い</p><p>もう、すっごい状態よだから、あんなに料理が憎いみたいに、バクバク食べ続けているじゃない</p><p>イーディストレスで大食いしちゃうタイプみたいよねっ</p><p>寧が、悪戯っ子の笑みを浮かべる</p><p>いつでもフルタイム、大食いなわけじゃないんだ</p><p>でイーディが、ああやってムシャムシャご飯を食べているからアニエスも、そろそろお料理に手を付けると思うよっ</p><p>自分と同じように、恭子さんたちから圧迫されている子が平然と食べているんだからお料理に対する警戒は、しなくなるわよほら</p><p>アニエスが自分の足下の皿に近付く</p><p>すぐ横に、ガツガツと食べるイーディ</p><p>２皿目も空になった多度、警戒しながら、克子姉の居る大鍋の前へ行く</p><p>はいお代わりね</p><p>克子姉が、シチューをよそう</p><p>また警戒しながらアニエスに近付く、イーディ</p><p>パクパクと、シチューを掻っ込む</p><p>ふと、アニエスを見る</p><p>イーディとアニエスの眼が合う</p><p>ほら、イーディの眼がアニエスに言ってるよ何で食べないんだって</p><p>寧が、そう解説してくれた</p><p>アニエスが足下に置かれていた、シチュー皿とスプーンを取る</p><p>おそるおそるだが</p><p>シチューの中にスプーンを入れ</p><p>スッと掬う</p><p>イーディは、アニエスを見たままパクッとシチューを食べてみせる</p><p>そしてニッと微笑む</p><p>こいつは美味いんだぜと言わんばかりに</p><p>それを見て</p><p>アニエスも、口にシチューを入れる</p><p>克子姉が作ったシチューだ</p><p>美味いんだってのこれは</p><p>アニエスが口の中のものが、毒では無いと確信する</p><p>これは美味しいものだと</p><p>そうだろという眼で、イーディがアニエスを見る</p><p>イーディーが、パクッとシチューを食べる</p><p>それを見て、アニエスもパクッとシチューを食べる</p><p>これでいいんだよアニエスは、まず、みんなと一緒に同じものを食べるっていうところからスタートしないといけなかったんだから</p><p>アニエスっ</p><p>寧が、アニエスに声を掛ける</p><p>振り向いたアニエスの前で寧がシチューを食べる</p><p>美味しいよねっアニエスっ</p><p>アニエスに見える様にシチューを食べる</p><p>うん、美味しいっ</p><p>メグも続いた</p><p>美味しいわっ</p><p>もっと欲しかったら、ここにいっぱいあるからねっ</p><p>克子姉が、シチューの大鍋をアニエスに示す</p><p>みんな同じ鍋のシチューを食べているんだということを、改めて示す</p><p>アニエスの顔は、まだ警戒しているが</p><p>それでも、シチューを食べる手は止まらない</p><p>これは、彼女が物心付いてから初めて食べる人間的な料理なんだから</p><p>イーディが、ふと何かを思い付いたらしい</p><p>再び、警戒したままメグのところへ行く</p><p>イーディは、メグが英語が喋れないことは知っている</p><p>だから、身振り手振りで意志を伝える</p><p>すなわちあの子の分のタコスを小皿に取ってくれ</p><p>ああ判ったわ</p><p>メグが小皿に、タコスを取り分けてミス・イーディに渡す</p><p>すると、イーディは</p><p>おいおい、水も付けてくれなきゃ困るじゃないかという、アクション</p><p>あ、はいお水ね</p><p>メグはワゴンの下から、ペットボトルを一本取りだして、手渡す</p><p>再び、恭子さんたちを意識して、そろりそろりと戻って行くイーディ</p><p>アニエスの前に、タコスの小皿と水のボトルをスッと置く</p><p>アニエスは、新しい皿に警戒している</p><p>イーディは、自分の小皿のタコスを取ってアニエスの前で、食べて見せる</p><p>こいつは辛いぜということを示すために、ホーッ、ホーッと息を吐く</p><p>いやHOT、HOTと言っているんだな多分</p><p>それでも、アニエスが食べないから</p><p>イーディは、英語で彼女に何か言った</p><p>緊張しているのか、異常に早口だったので</p><p>オレにはホッチャン、ホッ、ホーッ、ホアアーッホアーッとしか、聞こえなかった</p><p>多分、とっても辛いけれど、美味しいから食べてご覧て言っているんだろうと思うけれど</p><p>大丈夫だよっそれも美味しいからっ</p><p>寧が、タコスを食べて見せる</p><p>メグも、オレも</p><p>うわっ、辛っ</p><p>トウガラシに頭を引っぱたかれたような衝撃を受ける</p><p>あ、ヨッちゃん、タコス初めて</p><p>ヨシくん、はい、お水</p><p>メグが、ボトルを開けてオレに手渡してくれる</p><p>オレは、ゴクゴクと飲む</p><p>うふふーんっ辛いものはね、水と交互に食べると止まらなくなるんだよーんっ</p><p>その頃、ついにアニエスがタコスに口を付ける</p><p>パクッと頬張って</p><p>ンンンンムンッ</p><p>ずっと無表情で死んだような顔をしていたのに</p><p>タコスの辛さに驚いて、眼をぱちくりさせる</p><p>イーディが、ペットボトルのキャップを外して彼女に手渡す</p><p>アニエスは、慌てて水を飲む</p><p>そしてイーディを睨む</p><p>何てものを勧めたんだと</p><p>しかし、イーディは平然と彼女の前でタコスを食べ続ける</p><p>自分にとっても辛いんだということを示すために、食べた後にプハァと息を吐く</p><p>そして、水をゴクゴク飲む</p><p>それから、次のタコスへ</p><p>アニエスに向かって、ニコッと微笑みながら</p><p>うんいい傾向だねシチューだけだと、よくないからね世の中には、色んな味覚があるんだっていうことを示すためには、タコスで良かったんじゃないかな</p><p>恭子さんがアニエスの様子を見て、そう言った</p><p>アニエスも、再びタコスに挑戦してみる</p><p>しかしやっぱり、口に合わなかったらしい</p><p>一口で止めてシチューに戻る</p><p>克子、後でデザートで何か甘い物を出してあげてこのまま味覚の刺激を教え込みたいから</p><p>いっそ、アイスクリームとかどうです冷たいのと甘いの、一遍に体験できますから</p><p>おっ、それは良い考えだねっ</p><p>恭子さんと克子姉で、アニエス味覚を高めるプランをどんどん組んでいく</p><p>しっかしあの子たちが、あんなに仲良くなるとは思わなかったよねっ</p><p>寧がそう言った</p><p>いつの間にかミス・イーディとアニエスは、くっついている</p><p>アニエスは、もうイーディに対する警戒心を解いている</p><p>彼女は敵では無いと、理解したらしい</p><p>イーディの方はアニエスが床に零した水を、紙ナプキンで拭いてあげたりしていた</p><p>ミス・イーディって、意外と面倒見がいいんだよな</p><p>野生児みたいに思っていたけれどアニエスが怖がらないように、微妙な距離感を保ってあげているし</p><p>すごく、アニエスに気を遣って対応していることが判る</p><p>オレの呟きに、恭子さんが</p><p>あら、あたしは最初から知っていたけれどね</p><p>あんたもさ、今朝の真緒ちゃんと遊んでいるイーディの姿を見たろあの子は、自分より年下の子には優しいんだよ</p><p>確かにイーディは、真緒ちゃんとずっと遊んでいた</p><p>オレは、真緒ちゃんが気に入ったんだと思っていたけれど</p><p>それだけじゃないんだ</p><p>ミス・イーディからすれば、年下の女の子がいれば、率先して面倒を見てあげなくてはいけないという感覚だったのかもしれない</p><p>あの子は、暗殺教団の中で育ったからね教団の中では、年上の子が年下の子供たちの相手をしてあげていたんだろう</p><p>年長者には、年下を保護する義務があるとかそういう教団の教えが、彼女の根底にあるんだと思うよ</p><p>そう言えば、彼女マナにも優しいですあたしとは、態度が違っていて</p><p>確か最初に、ミス・イーディに年齢を聞かれましたHOW　OLD　ARE　YOUって</p><p>年齢を聞かれた</p><p>ヨシくんが気を失ってた時よあたしたちが、ホテルの地下の部屋から出られた後自己紹介したら、ミス・イーディにそう聞かれたの</p><p>そんなことが、あったんだ</p><p>そうね、最初に年齢を尋ねて年下のマナと、同い年のあたしで違う対応をすることにしたのねそういう考え方で、育てられた人なんだわ</p><p>恭子さんイーディにプレッシャーを掛けたら、自動的にアニエスに近付いていき</p><p>一度近付いてしまったらどう見ても、年下のアニエスを、イーディは面倒見るようになるだろうって</p><p>これは最初から、そういう計画だったのか</p><p>とにかく１人でも心を開く相手ができればいいんだよっ後は、開いたところに手を突っ込んでガタガタ言わせてやればいいんだからさっ</p><p>恭子さんは、ガハガハと豪快に笑った</p><p>色々とバタバタしていて済みません</p><p>溜まっている感想欄への返信は、今夜中にやりたいと思います</p><p>食べ物で釣ったので次話から、エッチシーンに入る予定です</p><p>368．第二次正妻戦争</p><p>うまい</p><p>さて、アニエスが一皿のシチューを食べ終わる</p><p>すると、すかさずイーディが手を差し出した</p><p>アニエスは、お皿を回収するつもりなのかと思いシチュー皿をイーディに手渡した</p><p>イーディは、克子姉の前へソソソと行き、アニエスの分のお代わりを貰う</p><p>そしてさあ、食えとばかりに、アニエスに差し出す</p><p>ニッという、笑顔と共に</p><p>大食いのイーディとしては、アニエスが一杯のシチューで足りるはずが無いと判断したらしい</p><p>アニエスは、仕方無く皿を受け取り食べ出す</p><p>タコスは、最初に一つ食べた切りで小皿の残りには手を付けていない</p><p>これはもう辛いから口に合わなかったんだろうと、イーディは思っているらしい</p><p>タコスの方は、無理に勧めない</p><p>まあミス・コーデリアが作ったものというのもあるんだろうが</p><p>その他にも、アニエスのペットボトルの水が残り少なくなったと思ったらすぐにメグにボトルを貰いに行く</p><p>ホント面倒見が良い</p><p>何か良い感じになってきたよね</p><p>オレは、寧に言った</p><p>うんイーディは、表情豊かだから悪意が全然無くって、さっぱりした感じが、アニエスにも伝わっているんだと思うよっ</p><p>しかし暗殺教団で、暗殺者としての教育を受けてきたんだよねあんなに、開けっぴろげな性格でいいのかな</p><p>オレの疑問に寧は</p><p>だから彼女のお祖母さんは、イーディに体術だけを教えて、暗殺者としての心の教育は一つもしなかったんだよ自分が死んだ後に、孫娘を教団の道具にされるのが嫌だったんじゃないかな</p><p>恭子さんにケンカを売るときも、真っ正面からで絶対に、相手の隙を突くとかしないもんな</p><p>わざとプロの暗殺者としては、落第する様に育てたんだと思うだから、教団はイーディが使い物にならないと判断して、ミス・コーデリアに売り払ったわけでしょ</p><p>一方恭子さん、イーニーとミーニー、マルゴさんの４人はドイツ語で盛り上がっている</p><p>何が可笑しいのか、ガッハガッハと豪快に笑っている</p><p>マルゴさん、楽しそうだね</p><p>うんマルゴお姉さんにとっては、恭子さんは絶対的に信頼できる師匠だしイーニーさんたちも、実際は良い人みたいだねミス・コーデリアも、マルゴお姉さんが恭子さんの恋人じゃなくって妹分だって判ってくれたみたいだし</p><p>ミス・コーデリアが、やたらにマルゴさんに敵対的だったのは勝手な思い込みからの嫉妬だったんだもんな</p><p>姉さんはドイツ語は判るの</p><p>ここはメグと克子姉が居るから姉さんと呼ぶ</p><p>あたしは日本語と英語だけだよっ</p><p>そうなんだマルゴさんが何カ国語も勉強しているって言うから寧も、３カ国語くらいできるのかと思った</p><p>あたしはマルゴお姉さんみたいに、頭良くないもんっ英語だって、ずっとアメリカに住んでいたから話せるだけで難しい言葉を読んだり、書いたりするのは苦手だよっ</p><p>寧は、うつむく</p><p>日本人で日本語喋れるからって、みんな国語の成績がいいわけじゃないでしょ</p><p>確かにそれはそうだ</p><p>普通に生活できる程度の読み書きは、できるけれどほら、あたし、学校へ行っていない時期が長いから</p><p>寧はシザーリオ・ヴァイオラによって監禁されていた時期がある</p><p>だからあたし、あんまり頭良くないのよっ</p><p>寂しそうに、寧は言う</p><p>いや、姉さんは頭良いよすっごく、機転が効くし物分かりが良いしオレなんかより、ずっとずっと頭が良いと思うよ</p><p>そういうことじゃなくってあたし、普通の日本の学生が知っているようなこと、全然知らないのよ高校の入学試験も先生の力で、無理矢理パスしたでしょあたしの本当の学力じゃ、入れないから</p><p>えっ普通の学生が知っていることって</p><p>例えば日本史の知識とか、全然無いから日本の学校に通っていたのは、小学生の時でしょだから、小学生が知っている様なことは判るわよ中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)とか織田信長とかはねでもアリハラ・ギョウヘイとかになると全然良く判らない</p><p>アリハラ・ギョウヘイ</p><p>明治の文豪とかか</p><p>ヨシくん、多分、在原業平(ありわらのなりひら)のことじゃない</p><p>横から話を聞いていたメグが、オレたちの会話に参加する</p><p>そうそう、それっ</p><p>寧が微笑む</p><p>とにかくさあ、漢字の名前の人はよく判らないんだよっあと、世界史とかのカタカナ表記の名前もねアルファベットで答案を書かせてくれればいいのに日本語だと、変になっちゃってるパターンが多いから</p><p>変になっちゃってる</p><p>例えばさどうして、日本人はモザートのこと、モーツァルトって書くの</p><p>それは、アメリカでの英語圏だけでの呼び方だと思います</p><p>メグが、言う</p><p>日本では、なるべく外国の人名は、その人の本国の発音に合わせて表現するっていうルールがあるから英語圏ではモザートでも、ドイツ語ではモーツァルトなのよ</p><p>オレは、世界共通でモーツァルトだと思っていた</p><p>それはいいけどさジュリアス・シーザーがユリウス・カエサルになっちゃうのは納得できないよっ</p><p>確かシーザーも英語読みのはずですカエサルは、ラテン語の発音だったと思います</p><p>ラテン語なんて、今は誰も使ってないじゃんかっ</p><p>そうだけど日本は、そういうルールなんですレーサーのミハエル・シューマッハさんだって、新聞ではミヒャエルになってたりしますからその方が正しい現地の発音らしくて</p><p>えーっ、あの人はマイコー・シューマッカーじゃんか</p><p>寧の発音はマイケルがマイコーになっていた</p><p>それも英語読みです多分</p><p>面白そうな話をしているわね</p><p>克子姉が、オレたちに加わる</p><p>思い出したんだけれど昔、ローマ法王でヨハネ・パウロ２世っていう方がいらしたんだけれどCNNの放送を観ていたら、ジョン・ポール・セカンドって発音していて驚いたことがあるわ</p><p>ヨハネ・パウロ２世がジョン・ポール・セカンドか</p><p>何か、神々しさが消えて、庶民的になったな</p><p>じゃあジョージ・リンゴ３世とかもいるかもねっ</p><p>寧が笑って言うがオレには、よく判らない</p><p>ジョージは、ゲオルギウスだと思うけれどリンゴは聖書に出て来る名前じゃないと思います</p><p>真顔で、メグが答えた</p><p>じゃあ、ジョージ・アップルでいいじゃないっ</p><p>ぐふふふと寧は笑う</p><p>そういうことだからさあたし、教科書とかでカタカナで書かれると全然判らなくなっちゃうんだよね英語のスペルを見たらすぐに判るのにさ</p><p>大変なんだな寧</p><p>物理とか化学の教科書もそう何とか酸化何とかリウムとかさ、言葉で覚えられないんだよね同じ内容の英語の教科書を買って来たら、すっごい良く判ったんだけど</p><p>そうですね、論理的な文章は英語の方が判りやすいかもしれないですね日本語だとすぐに漢字を組み合わせた用語になっちゃいますから</p><p>恵美そういう話は、もういいからさっ</p><p>寧が、メグを見る</p><p>もうちょっと、こっちへ来てヨッちゃんに甘えたら</p><p>あたしに気を遣わなくていいからさ</p><p>でも寧お姉さんが、もうヨシくんの横にいらっしゃるから</p><p>その微妙な敬語もやめてくんないっあたしたち、姉妹でしょ</p><p>それは判っているんですけれど</p><p>寧は処女喪失で変わった</p><p>積極的に、姉として妹たちに関わろうとしている</p><p>急な寧の変化に、ただただ戸惑っているようだ</p><p>ていうかさ今のうち、ヨッちゃんに甘えておかないと大変だよっ</p><p>寧が、わざとオレの腰に手を廻して身体を押しつける</p><p>もうすぐさマナと渚さんが来るんだし麗華お姉さんもね一気にライバルが増えるよっ</p><p>あたしは別に</p><p>メグは下を向く</p><p>どうせ、恵美のことだからマナが帰って来たら、ヨッちゃんの隣の席は譲ってあげちゃうんでしょ</p><p>多分そうなるな</p><p>マナは、遠慮しない子だからそうなったら、今夜はずっとヨッちゃんを独占されちゃうかもねっ</p><p>ぬふふふっと、メグに笑う寧</p><p>別に構いませんよ</p><p>ふーん、そうなんだっ明日になったら、みすずや美智ちゃんていう強敵も現れるよ今日のお昼に会ってきたけれど瑠璃子もかなり手強そうだし</p><p>あたしは大丈夫ですから別に</p><p>メグは、虚勢を張る</p><p>もしかしたら連休が終わって学校が始まっちゃったら、こっちのものとか思ってる恵美はヨッちゃんと同じクラスだから</p><p>お思ってないです</p><p>でもねえあたしだって、おんなじ学校へ通っているんだし恵美は、部活が忙しいんだもんね放課後は、ずーっとヨッちゃんを独占しちゃおうかなっ</p><p>オレを後ろから抱き締め寧は、オレの耳の後ろにキスをする</p><p>慌てるメグ</p><p>それから教室の中だって、恵美の天下じゃないからねっイーディ、多分、あんたたちと同じクラスに編入することになるでしょ</p><p>イーディをうちの学校に入れるって話があったっけ</p><p>イーディはオレやメグと同い年だ</p><p>そしたら学校の中で、彼女の面倒を見るのは誰かしら</p><p>えっとオレかな</p><p>そうだよねヨッちゃんが、手取り足取り教えてあげないといけないよねっ日本の高校のルールをさっ</p><p>悪戯な眼で、寧はメグを見る</p><p>そんなのっあたしがしますヨシくんだけに負担を掛けたくは無いですから</p><p>メグが、少し強い声で答えた</p><p>ふーんじゃあ、今の内から、もっとイーディと交流を深めておけば</p><p>寧は、わざと突き放すような口調で、そう言った</p><p>恵美ってさ気が利かない子だよねっ</p><p>メグは、ハッと息を呑む</p><p>もっとさ、色んなことを先回りして考えて、ガシガシやってかないといけないんじゃないつーかさ、そんなとこに座って、あたしがヨッちゃんとイチャイチャしている姿を憎々しげに見ているぐらいなら、ヨッちゃんの隣に座りに来なよっあたし、あんたのためにわざわざヨッちゃんの右側は開けてあげているんだからねっそんなことも気付かないわけっ</p><p>寧は、カラッとした笑顔でそう言った</p><p>言葉はキツイがトゲは無い</p><p>これもまた、寧の妹に対する愛情表現なんだと思う</p><p>メグは、シュンとうな垂れて寧に頭を下げる</p><p>恵美はさ自分で思っているよりも、ずっと感情表現が豊かなんだよ思っていることが、顔に出ているわけ自分では、セルフ・コントロールして抑えているつもりなんだろうけれど</p><p>寧の分析は正しいと思う</p><p>あんたは、何でも、自分が我慢すればいいって思っているんだろうけれどそれ、我慢じゃないから他の人からは、あんたの心の中は丸見えなんだもの勝手に我慢して、嫌な気分になっている姿を見せられるのはちょっと嫌だよねっ</p><p>あたし、そんなことをしてますか</p><p>してるってのちょっとは、みすずを見習いなよっあの子はあの子で、かなり強引だけれど自分の中の良く無い感情を垂れ流すみたいな下品なことは、絶対にしないから</p><p>みすずさんは香月家のお嬢様ですから</p><p>あんたさバッカじゃないのみすずの何を見ているわけ</p><p>寧が、今までとは違う厳しさでメグを叱る</p><p>みすずの気品は生まれた家とは関係無いよ昨日、ホテルで香月家の一族お兄ちゃんたちを何人も見たでしょみんな、良家のボンボンだったけれど気品はあった</p><p>メグは答える</p><p>みすずは自分の周りの人に対して、ずっと気遣いをしているんだよっ自分のことで、不快な思いをさせないようにってねそういう優しさと分別のある子だから気品があるんだよ</p><p>そうだみすずは</p><p>常に、自分の周りに居る人たちに気を遣っている</p><p>自分の身内であるジッちゃんや、瑠璃子、美智にまで</p><p>ちょっと、強引なところはあるけれど</p><p>みんなにとって、何が一番良い選択なのかを考えて行動している</p><p>みすずっていつも、自分のことを一番にはしない子だよな</p><p>オレはポツリと呟いた</p><p>その言葉にメグは、ハッとする</p><p>そうだよね今日だって、美智や瑠璃子のことを考えて、色んなことを提案してくれたよちょっと思い込みが強いから、先走ったことを言い出したりもするけれどいつだって、みすずは他の子を第一に考えているよ</p><p>だからみすずは、ヨッちゃんと二人きりの時は、徹底的に甘えるんだよヨッちゃんにだけは、心も身体もヌードになれるんだよねヨッちゃんのこと、心から信頼しているし愛しているから普段のセルフ・コントロールを全部、フッ飛ばして全力全霊を込めて、ヨッちゃんに甘えまくるんだ可愛いよねヨッちゃん</p><p>みすずは確かに、オレと二人きりの時だけは、心を全開に解放してくれる</p><p>オレはそんなみすすが可愛くて仕方が無い</p><p>美智もそうでしょ美智にとっては、みすずが全てのお手本だから普段は、キリッとして警護役に徹してヨッちゃんに愛して貰える時には、全開で甘えてるもう、ヨッちゃんに対しては、何の遠慮もしていないよね</p><p>二人とも、素直で可愛いよねっ</p><p>寧は笑う</p><p>だからさっあたしも、そうすることにしたわけっ</p><p>あたしも、もうヨッちゃんの前では素直になることにしたのっだって、あたしヨッちゃんのこと、大好きなんだもんっ</p><p>寧が、自分の豊かな胸をオレに押しつける</p><p>メグは、それを寂しそうに見ている</p><p>だっからさそういう顔をするぐらいなら、とっととヨッちゃんの隣に座んなってのちゃんと、ガチで競い合おうよ恵美だって、おっぱい付いてるじゃんかっ</p><p>あたしのは寧お姉さんみたいに、大きくないですから</p><p>ふーん、ヨッちゃんにそう言われた</p><p>いや、オレはそんなこと言ってないよ</p><p>そうだよねっヨッちゃんなら、恵美のおっぱいは、恵美らしくて可愛いよ気に入っているとか言うもんる</p><p>はいその通りです</p><p>だっからさあ恵美が、劣等感を感じているんだよ一人で勝手に</p><p>オレも、ずっと困っている</p><p>あたしはね恵美に、ちゃんとライバルの位置に立って欲しいの勝手に、コースから外れて、ヨッちゃんの方が気になって恵美を追い掛けるんじゃなくあたしや、みすずや、美智たちと同じでちゃんと正妻の座を競いたいんだよっ</p><p>寧は心の内を吐露した</p><p>寧お姉さんあたしは</p><p>メグが、泣き崩れる</p><p>はい、そこまでよ寧</p><p>振り返るとミナホ姉さんが立っていた</p><p>アニエスの部屋でお食事会というのは、良い作戦を思い付いたわね</p><p>ミス・イーディをアニエスに近づけたのも、良い選択だわ</p><p>それは恭子さんが考えてくれたプランだよ</p><p>そう監視カメラで観ていたけれど良い感じだから、あたしも、こっちへ来てみることにしたのよ</p><p>どうやらミナホ姉さんの心の陰りは、少しは回復したらしい</p><p>克子あたしにもシチューをちょうだい</p><p>克子姉が、ミナホ姉さんにシチューをよそる</p><p>御名穂そのタコスは、コーデリアが作ったんだよっ</p><p>恭子さんが、少し離れた位置から言う</p><p>ええいただくわ</p><p>ミナホ姉さんは、オレとメグの間に座ろうとする</p><p>あ、これ使ってよ</p><p>オレは、自分のクッションを渡す</p><p>ミナホ姉さんは、腰を下ろす</p><p>さてと寧</p><p>まずは、寧を見る</p><p>なあに先生</p><p>寧はちょっと急ぎ過ぎよそれから、恋愛というものに夢を持ちすぎね</p><p>ニコッとミナホ姉さんは、微笑む</p><p>恋ってね別に努力とかしなくていいのよ</p><p>何で恋っていうのは、愛する２人がお互いを磨き合って高め合っていくもんなんじゃないのっ</p><p>寧は反発する</p><p>それは理想よ現実は、そうじゃないわ</p><p>ミナホ姉さんは、ぴしゃりと即答する</p><p>例えばね男女が付き合い始めて、しばらくしたら女の子が男の子に不安を感じてあるいは、不満を溜め込んじゃうとするでしょそれを男の子が一緒に何かして遊んだり、ご飯を食べたり、セックスしたりして解消してあげるだけど、またそのうち女の子は不安と不満を溜め込んでそれを男の子が、解消してあげるそんな繰り返しを、延々と続けるそういうのって、寧はどう思う</p><p>男の子も女の子も、馬鹿だと思うそれって、全然学習能力が無いじゃんか</p><p>寧は答えた</p><p>そうでもね世の中の、９割の恋愛がそんなものよ不安や不満を抱えるのは、女の子だけじゃなくって、男の子の時もあるけれどとにかく、不安と不満は溜まっていくものよそれをお互いにあるいは、男女どちらかが献身的に解消してあげるのそうやつて、２人の関係は維持されていく不安と不満が溜まりすぎて、どうしようもなくなったら破局よ恋は終わり簡単よね</p><p>確かにそんなものかもな</p><p>お互い努力し合って、研鑽し合う恋なんてなかなか無いのかも</p><p>愛ってどんな状態のことだと思う寧なりに、定義してご覧なさい</p><p>ミナホ姉さんの言葉に寧は</p><p>お互いを必要とすることだよっあたしは、そう思う</p><p>必要って例えば全然働かないヒモみたいな男の人を愛しちゃう女の人だっているでしょ</p><p>そういう女の人は、そういう女の人でそんな男でも必要としているんだよっ</p><p>なぜ必要なの</p><p>それは自分の心の中の、何か空虚で空っぽなところを埋めてくれるからだと思う冷たい心を、温かくしてくれるんだよっヨッちゃんは</p><p>寧が、オレの身体をギューッと抱き締める</p><p>そうね、今の寧には彼が必要なのねでも、彼の方は、寧のことを必要としている</p><p>あなたの定義だとあなたが彼を愛しているのは判ったけれど、彼の方があなたを愛しているかどうかは判らないわそうでしょう</p><p>それは判らないけれどでも、あたしはヨッちゃんがいないとダメなのヨッちゃんが、居なくなったらきっと死んじゃうよ、あたし</p><p>それは、あなたが彼に依存しているということでしかないわよ</p><p>ミナホ姉さんは、優しくそう言った</p><p>これは昔あたしが娼婦だった頃に、優花さんから聞いたんだけれど</p><p>優花さんは、お屋敷の元娼婦だ</p><p>かなり古参の</p><p>優花さんは白坂創介が、このお屋敷をメチャクチャにしてしまう前のお祖父様の代からいらした方でしょう娼婦になる前も娼婦になってからも、いっぱい恋をしたっておっしゃっていたわ</p><p>ミナホ姉さんが、懐かしそうに言う</p><p>それでねある時に、こんなことをおっしゃったの愛というのは、どれだけ迷惑を掛けられても、喜んで受けとめることができることだって</p><p>迷惑を掛けられても、喜んで受けとめられる</p><p>子供に対する母の愛がそうでしょどんなに、迷惑なことでもお母さんは、子供のためなら受けとめてあげるわよねまあ、ちょっとは怒るかもしれないけれどでも、男女の愛は違うんだそうよ</p><p>寧が、真剣な顔でミナホ姉さんの話を聞いている</p><p>男女の愛ではねある時から、相手に迷惑を掛けられたことが嬉しく感じるんですって自分を頼ってくれたこと自分が相手を助けてあげられることが、本当に嬉しくて堪らないんだそうよ</p><p>この優花さんの定義に従ったら寧や恵美を愛しているのは、彼の方よね彼は本当に献身的にあなたたちに尽くしてくれているからどんな迷惑を掛けられても受けとめてくれるでしょ、彼</p><p>２人もオレを見る</p><p>良かったわね、あなたたち彼に愛されて</p><p>ところであなたたちは、本当に彼のことを愛しているの</p><p>ドキリとする２人</p><p>依存することと愛することは、別よ</p><p>寧もメグもじっと、自分を顧みる</p><p>はいはい考え込むのは、それまでねそんなの考えても意味が無いことだから</p><p>ミナホ姉さんの言葉に２人は、えっと顔を上げた</p><p>ちょっとまた別の話をするけれど将棋の棋士になりたい人が、一日１０時間、将棋の研究をするのは努力かしら</p><p>ミナホ姉さんは、メグに尋ねた</p><p>それは努力だと思います</p><p>そう本人に聞いたら、そうは言わないと思うわよ棋士になりたいのなら、１日１０時間ぐらい将棋盤の前に向かうのは当たり前だわというか、１０時間ぐらい普通に将棋を指し続けられないと、棋士になんてなれないわ</p><p>例え練習だろうと将棋を指すことを嫌嫌やってる人なら、棋士なんて無理どんな時でも将棋を指すことが当たり前で、日常生活の一部になっているからこそ棋士なわけでしょ</p><p>彼もそうよ彼は、あなたたちの望むことを何でも受け入れるし、どんな時だって全力で頑張ってくれるけれど嫌嫌やっているとか、努力しているとかっていう感覚はないはずよそれが当たり前だと思って、普通にやっているだけよそうよね</p><p>うん別にオレ、努力とかしていないよその時、その時に、そうしたいって思っていることをしているだけで辛いとか、嫌だとか思ったこと無いし</p><p>ていうかみんな、綺麗で優しくて、最高の女ばかりだし</p><p>オレが文句を言ったら、罰が当たる</p><p>ほら彼は、そう言ってるわよ、寧</p><p>ミナホ姉さんは、寧を見る</p><p>だから、あなたはしゃちほこ張って、彼や妹たちのために、自分が努力しようと思うのはやめなさい自然体でいいのよどうせ、なるようにしかならないっていうか最後には、この子がどんなことでも受け入れちゃうから</p><p>恵美も何が起きたって、この子はあなたのことを真っ正面から、受けとめてくれるわそのことは、もう判っているでしょ</p><p>メグは、神妙な顔で答えた</p><p>彼は、あなたに迷惑を掛けられることは全然苦じゃないのむしろ、あなたに迷惑を掛けられることを喜んでいるんだからね</p><p>メグがうんと頷く</p><p>だから後は、あなたの中だけの問題だけなのあなたが彼と他の子たちと、どんな関係になりたいかを考えなさい無理はしなくていいわ寧みたいに、理想を追ったって現実は、そんな風にはならないから恵美はまず、自分がどんな女の子なのかを理解するべきね</p><p>過大評価したら困るけれど、今みたいにやたらと卑下するのも困るわそうね自分が彼のためにできることを箇条書きにしてご覧なさい</p><p>あたしができることですか</p><p>そうよそりゃ、料理とかは克子の方が上手いんでしょうけれど他人との比較は、今はいいから、とにかく自分のできることを書き出しなさい結構あるはずよ彼が喜んでくれそうなことがね</p><p>ミナホ姉さんは、メグに微笑む</p><p>エッチ・シーンまで行かなかった</p><p>私の父は、病気前から母校の大学の社会人講座に通っていました</p><p>友達もいるらしく、残りの授業が少ないので、どうしても行きたいと言います</p><p>まあ、父が倒れたことは、誰にも言って無かったらしいので久しぶりに、友達に会いたいらしいのです</p><p>私が、今日、大学まで付いていくことになりました</p><p>まあ、今日は夜勤だからいいんですけれど</p><p>昨日の段階では、授業は10時半から12時までと言っていました</p><p>なので゛、そのつもりでいたのですが</p><p>今朝になって、父があれ、もしかしたら9時30分だったかもしれないと突然言い出しまして</p><p>どっかに授業時間を書いたものは無いの</p><p>判らん、どっかへやってしまった</p><p>時計を見ると、もうギリギリなので慌てて出掛けました</p><p>大学へ着いてみるとやっぱり10時３０分開始です</p><p>そこの大学は、学食も開いておらず</p><p>父と2人で、ベンチで缶コーヒーを飲んでました</p><p>で時間に父を、社会人講座の教室へ届けて</p><p>私は、自分の母校ではない大学で2時間過ごさないといけないという</p><p>これがなかなか辛い</p><p>勝手が全然判らないですし</p><p>変に女子大生とかを見ていたら逮捕されそうだし</p><p>まあ、大学内に小さな博物館とかあるところだったので</p><p>そういうところで時間を潰しました</p><p>で、授業終了時間に父を拾いに行って</p><p>父と学食で昼食を取りました</p><p>オレが学生だった頃は、ここは＊＊だったんだよ</p><p>ホント、いろんなことは忘れてしまっているのに昔のことは、よく覚えています</p><p>それって、いつ頃のこと</p><p>昭和28年だな</p><p>とにかくくたびれて帰って来ました</p><p>369．白坂雪乃、30円</p><p>ミナホ姉さんの話を聞いていたマルゴさんがオレたちの会話に加わる</p><p>確か有名な作家の先生が書いていたんだけれどさ童話のシンデレラの最後ってさ、その後、シンデレラは幸せに暮らしましたってあるじゃない</p><p>マルゴさんは、オレたちに微笑む</p><p>その幸せって、一体何だろうっていうのをテーマにした文章を読んだことがあるよ</p><p>ガラスの靴を履いて、王子様と結婚したシンデレラは、その後どうなるか王子様の浮気に苦しめられるかもしれない生まれてきた子供たちの育児に追われるかもしれない義父や義母になった王様や女王様と上手くいかないかもしれない自分や家族が、病気になるかもしれない多分その後のシンデレラの人生にも、波乱は続くよ毎日毎日、色々な現実に直面してあくせくしながら、一つ一つ解決していくことになる</p><p>シンデレラのその後の人生か</p><p>でも仕方無いよねそれが、人生だからみんな、そうやって生きているんだから絶対に、良いことばかりじゃないもの生きていれば、どうしたって、悲しみや辛いこと出会わざる得ない</p><p>でも、そういう色んな苦労を経験したとしてもそれでも、シンデレラの残りの人生を一言でまとめたらそれは幸せに暮らしましたという言葉になるんだって、その作家の先生は書いていたよ</p><p>苦労の体験が幸せなんですか</p><p>メグが、マルゴさんに尋ねる</p><p>違うよ自分の家族と一緒に生活して苦労を共にしてそれでも、生き続けていくことが幸せなんだよ</p><p>マルゴさんはそう答えた</p><p>そうですよねオレも、そう思います</p><p>オレは、寧やメグを見る</p><p>オレは家族が家族をやっていない家に育ったから、みんなとはちゃんと家族がやりたいんだ</p><p>このまま、この家族を続けていけば、ずっとずっと大変なことが続いていくのは判っているよ子供だって産まれるだろうし、家族から離れて行く子だって、きっと現れる悲しいことや、落ち込むことだって、きっとあるだろうでも、オレそういうことに立ち向かっていくことを恐れていないよ面倒だとも思わない一つ一つ、みんなと一緒に解決していきたいんだ</p><p>なぜなら</p><p>それがオレの幸せだから</p><p>家族に関わっていくこと</p><p>家族の痛みを理解すること</p><p>家族の傷に手を当てること</p><p>助け合うことは愛し合うことだ</p><p>死ぬまで、ずっとみんなに迷惑を掛けられたいよ、オレ一生懸命、頑張るからさ</p><p>２人が、オレを見る</p><p>そうねだから寧は、こうじゃなきゃいけないとかこうしなければいけないとか思い込みに縛られないでね自然体でいいのよどうせ、ずーっと何かしらトラブルが起き続けて、理想の状態になんかならないんだから</p><p>ミナホ姉さんが、寧に言った</p><p>メグも劣等感を感じることなんてないの慌てず、焦らず、あなたがなりたいと思う大人を目指しなさい彼には、どれだけ迷惑を掛けてもいいんだから</p><p>今度は、メグに</p><p>それから克子、あなたもよ今の関係を壊してしまうのが怖いから、彼に近付くのが躊躇うなんて無意味ですからねあなたたちの関係なんて、どんどん変わっていっているでしょ停滞なんかしないのよ自然体で、思い通りにどんどん彼にぶつかっていきなさい</p><p>ミナホ姉さんは、克子姉にもエールを送る</p><p>大丈夫よあなたとのセックスにマヒして、この子がおかしくなっちゃったってその時は、その時で家族全員でケアするから</p><p>やっぱりミナホ姉さんは、克子姉の懸念に気付いていたんだな</p><p>というより彼のセルフ・コントロールは、凄いからこれだけの数の女の子の相手をしているのに、冷静でいられるのよ</p><p>この子はセックスには、溺れないわこの子は最初のセックスが、トラウマになっているから</p><p>ミナホ姉さんが深刻そうな顔で、そう言う</p><p>最初のセックスって雪乃のレイプか</p><p>あなたは自暴自棄な状態で、雪乃さんをレイプしたわね</p><p>そうだオレは、本当の家族に見捨てられて</p><p>自分の未来が何も見えなくなっていた</p><p>本当に、何をどうしたらよいのか判らなくなっていて</p><p>だから最初の雪乃さんのレイプの時のあなたは、メチャクチャだったわ自分の心の中の絶望や不安を、全て雪乃さんの中に吐き出そうとしていた</p><p>オレが雪乃にしたセックスはサイテイだった</p><p>人間として、恥ずべき行為だ</p><p>あたしは、最初、あなたは精神的に欠陥のあるセックス依存症なのかもしれないと思ったわ</p><p>うん一晩で、１０回以上も、雪乃を犯したもんな</p><p>雪乃は処女だったのに</p><p>異常者としか、思えない</p><p>でもそうではなかったわだって、あなた雪乃さん以外の子とのセックスの時は、普通だったものいえ普通の男の子よりも、何倍も女の子に気遣っているセックスをしているわ</p><p>結局あなたの中の孤独や不安が、雪乃さんの時だけ爆発して、ああなったのよでも、あなたの本質は優しい男の子だからああいう初体験をしてしまったことを、心の中で後悔しているのよだから、他の子とのセックスの時は、とっても相手の女の子に優しいのよ</p><p>雪乃に酷いレイプしたことがトラウマになって他の子には、優しくしているのか</p><p>最近は雪乃さんとのセックスだって、優しいものねあなた</p><p>昨日のホテルでのコーデリアさんに強要されたセックス監視カメラの映像に残っていたから、見せて貰ったわあなた雪乃さんとも、普通にセックスできるようになったじゃない</p><p>ミナホ姉さんそれって、一体</p><p>つい、この間まではあなたにとって、雪乃さんだけが特別だったのよ相手のことを無視して、自分の中に溜まった感情を吐き出す対象としてあなたは、雪乃さんを見ていた雪乃さんとのセックスの時だけは、感情が暴発していたでしょ</p><p>そういえば最初の頃は、そうだった</p><p>雪乃との時だけ何もかも、止まらなくなって</p><p>それが段々雪乃さんとも、普通のセックスができるようになったわのめり込まずに、ほどほどの状態を保ったセックスよねつまり、もう、あなたの中で雪乃さんは特別じゃないのよ</p><p>ああ、あの子が、ヨッちゃんにとってのお気に入りのクマの縫いぐるみじゃなくなったんだねっ</p><p>寧が、嬉しそうに言う</p><p>そういうこと盲目的な愛着は消滅したわ</p><p>じゃあ、もうヨシくんは雪乃と離れられるんですねっ</p><p>というか離れているわよだって、この子アニエスや、あたしたち家族のことに気持ちが集中して、雪乃さんのことすっかり忘れているんだから</p><p>ミナホ姉さんがニッと微笑む</p><p>そうだ、雪乃</p><p>オレは夕食の席に、雪乃を呼ぶことをすっかり忘れていた</p><p>克子姉、雪乃にもご飯食べさせなきゃ</p><p>慌てるオレにミナホ姉さんは</p><p>大丈夫よさっき、雪乃さんにはうまい棒を三本渡して来たから</p><p>うまい棒３本</p><p>雪乃さんの夕ご飯なんて、３０円で充分よ</p><p>いやミナホ姉さん</p><p>うまい棒３本じゃお腹が空くだろ</p><p>いいのよ今夜ぐらいは、お腹を空かせた方があたしたち、今まであの子には優しくし過ぎていたんだから</p><p>あくまでもあなたが望むから、雪乃さんを苦しめる様なことは極力避けてきたのよまあ、変な格好をさせて、笑いものにするぐらいはしてきたけれど今までは、食事の待遇は、あたしたちと同じにしてきたわ</p><p>でも、もうおしまいあなたが、雪乃さんのことを思い出さなかったんだからもう、あなたの中では、雪乃さんは重要な存在ではないのよそれなら彼女には、彼女に相応しい正しい状態に戻って貰うわ</p><p>白坂雪乃は黒い森の復讐の対象に戻ったのか</p><p>もう人間扱いはしないわよ雪乃さんは、あたしたちの敵なんですから</p><p>オレが、雪乃のことを忘れていたことで</p><p>その先は、言わないであなたの気持ちは判るけれどここからは、雪乃さん自身に決めさせるから</p><p>雪乃自身に</p><p>彼女に罠を仕掛けるわそれで彼女があたしたちに対して敵対的な行動を取るのなら父親と一緒に処分します</p><p>処分</p><p>前に話したでしょうあの子は、うまい棒３本で身体を売るような生活に、堕ちて貰うわ</p><p>ああ東南アジアのスラム街に、格安の娼婦として売り飛ばすのか</p><p>そこまで心の腐った女の子だったら妊娠させるのも止めるわそんな人間の赤ちゃんなんて、あたしは欲しく無いもの</p><p>奈生実の身代わりいいえ、もしかしたら流産させられたあたしの子供の代わりかもしれないけれど、赤ちゃんが欲しいという気持ちは今も変わらないわでも、あなたが来てくれたおかげで、状況が変わったでしょう無理に雪乃さんに出産させなくても後、何年か待てば、寧や恵美やみすずさんたちが赤ちゃんを産むんだしああ渚と克子が先ね慌てる必要は無いっていう気持ちもあるのよ</p><p>強制妊娠の計画がなくなれば雪乃は、お払い箱だ</p><p>もちろんあたしが仕組んだ罠に対して、あの子が、分を弁えた行動をした場合は最初の予定通り、来年の出産までは面倒を見るわ学校にも通わせてあげるその後はお母様の家の方にでも、引き取らせるわ</p><p>雪乃はどうなる</p><p>もういいじゃない、雪乃のことなんて御名穂さんに任せて、ヨシくんは忘れてしまえばいいのよっ</p><p>だけどそれでいいのか、メグ</p><p>いいわよあの子はあたし、大嫌いだもの</p><p>メグは雪乃に虐げられて生きてきた子だ</p><p>メグの姉妹なんだぞ</p><p>いらないわよあんな姉妹なんて</p><p>メグは突っぱねる</p><p>あたしには、ヨシくんと新しい家族がいるもの本当の家族が</p><p>そんなメグに</p><p>マルゴさんがふっと囁く</p><p>恵美ちゃん、そういう意固地なところ雪乃さんにそっくりだね</p><p>ゾッとする恵美</p><p>そうね、マルゴの言う通りよ恵美は雪乃さんとよく似ているところがあるわ</p><p>似てないですっあたし、雪乃なんかに</p><p>恵美、必死で否定するが</p><p>ううん似ているよ考え方とか意地っ張りにところとか</p><p>もちろん恵美ちゃんは、雪乃さんみたいに我が儘で、傲慢じゃないし何より、他の人の気持ちがちゃんと判る子だよ雪乃さんは、自分のことしか興味が無い人だからね</p><p>ミナホ姉さんが、さらに続ける</p><p>でもあなたたちは、似ているわよ顔やスタイルは、違うけれど耳や指は、よく似ているわそれに仕草なんかでも、同じ様なことをよくするわよやっぱり、姉妹なのね</p><p>その言葉にメグは、ぶるぶると身体を震わせる</p><p>姉妹父親が同じ</p><p>白坂創介の娘</p><p>ねえ、恵美あなたは、一度、自分と雪乃さんの立場が、もしも逆だったらというこを考えてみるべきだと思うわ</p><p>ミナホ姉さんが、メグに告げる</p><p>もしあなたが、白坂家の正式な娘で雪乃さんの方が、隠し子だったら逆の立場で生まれて、それぞれの環境の中で成長したらあなたは、今の雪乃さんみたいな性格にならない自信はある</p><p>ならないよ</p><p>メグと雪乃は、違うもし、白坂家のお嬢様として生まれたとしても、メグはメグだ優しい子だよ雪乃みたいには、ならないさ</p><p>メグが、オレに縋り付く</p><p>オレも、優しくメグを抱いてやる</p><p>あらどうして、そう言い切れるの</p><p>だってマナっていう前例があるじゃないか</p><p>同じ家の姉妹として暮らしてきても雪乃とマナは、違うマナも確かに、雪乃みたいに自分勝手で自分中心なところはあるけれどでも、マナは人に気遣いができる子だよ雪乃とは違う</p><p>雪乃さんとマナちゃんの違いは優しさだけじゃなくて、知性の差だよ雪乃さん、人の気持ちが判らない上に、馬鹿だからね</p><p>人間は、何から何まで全て環境に左右されるわけじゃないその人本来の持っているもの、もちろん知性も含めてそういう個人の力でも、運命は変わるからね</p><p>自分の運命は、自分自身の力で変えられる</p><p>だから、ミナホは恵美ちゃんをちょっと脅かせ過ぎだね恵美ちゃんと雪乃さんなら、恵美ちゃんの方が断然、頭がいいものその代わり、芸人的な面白さは雪乃さんの方が上だけれど</p><p>マルゴさんは、ジョークを交えて、場を和ませようとしてくれる</p><p>そうね、あたしの言葉が過ぎたわでも、考えてみてね、恵美あなたが、雪乃さんを毛嫌いしているのには、同族嫌悪なところもあるんだってことを</p><p>メグは、オレの腕の中で震えている</p><p>さあさあデザートにしましょうっ</p><p>克子姉が、大きな声でそう言った</p><p>アイスクリーム、持って来ますねっ</p><p>克子、あたしはいいから仕事に戻るわ</p><p>ミナホ姉さんは、そう言うと部屋から出て行った</p><p>ミナホ、本当に恵美ちゃんが大切なんだね</p><p>恵美ちゃんは、恵子さんの娘さんでこの娼館で生まれた子だから、特に気になっているんだと思うよミナホマナちゃんや、みすずさんには、こういう厳しいことはしないものね</p><p>相手がメグだから特に、わざと突き放すようなことを言っている</p><p>ミナホが恵美ちゃんに言っていることは、さっきからずっと一貫しているんだよつまり自分がどんな人間なのかを、ちゃんと見つめ直しなさいっていうことさ</p><p>オレの胸に顔を埋めていたメグが顔を上げる</p><p>自分の過去生まれや育ちは、どうすることもできないんだから否定しても、意味が無いんだよ仕方が無いことだったって、まずは受けとめてみないとね現実にあったことを否定して、無理矢理に忘れようとしたって過去は、いつまでも君を追い掛けてくるからねまず、受け入れないと良い方向に変えていくことだって、できないから</p><p>マルゴさんの言葉を聞いてオレは、メグに尋ねる</p><p>メグは雪乃が嫌いか</p><p>嫌いよ</p><p>メグは、即答する</p><p>どうして嫌いなんだいじめられてきたからか性格が嫌なのか白坂家の娘だからか単純に、雪乃の顔が嫌いなのか</p><p>全部だわ</p><p>それは判ったでも、全部一緒にしちゃダメなんだと思うそれぞれ嫌いな理由を分けて、おかないとただ反射的に雪乃を嫌うだけの人間になってしまうから</p><p>雪乃なんてただ嫌いでいいわよ</p><p>オレは、メグにそんな雑な感性の女の子にはなって欲しくないよ</p><p>雪乃は基本的には、どうしょもないけれどでも、優しいところだってあるんだぜ</p><p>ヨシくんは雪乃が好きなの</p><p>メグが、ジッとオレを見上げる</p><p>だから、そういう感性だけで見ちゃだめなんだって</p><p>高校の入学式の日の朝にオレの親父は失踪したんだ</p><p>思い出す</p><p>どうしょもなく不安でどうしていいか判らなくて、オレは教室で震えていたんだ</p><p>雪乃との、出会いを</p><p>そんなオレにどうしたのって、声を掛けてくれたのは雪乃なんだ</p><p>メグの顔が、強ばる</p><p>ごめんなさいあたし、気が付かないで</p><p>あの日のあの教室にメグも居たんだよな</p><p>そういうことを言っているんじゃないよメグ</p><p>オレが伝えたいのは</p><p>あの日の雪乃は優しかったんだあいつは、そういう優しいところもある子なんだよ</p><p>オレは雪乃を愛していない</p><p>絶対に、雪乃を家族にしたいとは思わない</p><p>雪乃を見捨ててはいけないと思う</p><p>雪乃は、あの日オレに声を掛けたことなんて覚えていない</p><p>雪乃は、その場その場の感覚だけで生きている</p><p>瞬間的に、思ったことを行動するがほとんどのことは、忘れている</p><p>でも、オレはあいつに恩を受けたそのことに、間違いは無いんだ</p><p>克子姉が、台所から自家製のアイスクリームを持って来てくれた</p><p>お皿に丸く乗せてウエハースを突き刺す</p><p>本格的なバニラアイスだ</p><p>はい、みなさん、取りに来て下さい</p><p>克子姉が、皿を配る</p><p>案の定ミス・イーディが、アニエスの分まで取りに来てくれた</p><p>アニエスにこいつは美味いんだぜという表情で手渡す</p><p>イーディが、ニコニコ微笑みながらアイスを舐めている様子を見て</p><p>アニエスもアイスを食べてみる</p><p>そして冷たさと甘さと美味しさに、驚嘆する</p><p>あ、イーディさんに、アイスはお代わり無しって伝えて</p><p>克子姉が寧に言う</p><p>冷たいものを食べ過ぎたら、お腹を壊しちゃうわ</p><p>おっけー</p><p>寧が、英語でイーディに告げる</p><p>イーディは、不満そうだったが恭子さんと、ミス・コーデリアに何か言われて、大人しくなる</p><p>イーディ、何て言われたの</p><p>オレが寧に尋ねると</p><p>アイスのお代わりが欲しいなんて、まだまだ子供だなって言われたんだよっそれで、しょげてるの</p><p>あミス・イーディも、今年１６歳だもんな</p><p>子供って言われると、傷付くんだ</p><p>部屋の入り口の方が、どやどやと騒がしい</p><p>たっだいまぁっ</p><p>マナが、飛び込んで来るっ</p><p>御名穂さんが、みなさん、ここに居るって言うから</p><p>MAO</p><p>ミス・イーディーが、大喜びで真緒ちゃんのところへすっ飛んで行く</p><p>本当に、真緒ちゃんがお気に入りなんだな</p><p>ただ今、戻りました主様</p><p>麗華も、戻って来た</p><p>あら麗華は</p><p>かなり疲れているようだ</p><p>やっぱり、花屋の仕事は勝手が違うんだろうな</p><p>あ、渚みんなご飯は</p><p>ああ、お店の方で軽く食べたわお店の子たちに、順番にお食事させないといけなかったから</p><p>渚は店員さんやアルバイトの子の夕食は、いつも作ってあげているらしい</p><p>良かったシチュー、いっぱい作ったつもりだったんだけれど、今日はよく食べる人たちが多いから</p><p>大鍋には、ほとんど残っていない</p><p>もちろん、一番の大食いはミス・イーディなのだが</p><p>恭子さんとミス・コーデリア、イーニーとミーニーもよく食べている</p><p>戦闘系の人は、どうも大食いらしい</p><p>タコスは、まだ残っているけれど</p><p>あっ、あたし食べるぅぅ</p><p>マナが、手を上げる</p><p>そのまま、オレの膝の上に座ってくる</p><p>えへへっお兄ちゃんっ</p><p>マナ、お行儀悪いわよっ</p><p>メグが、マナを叱るが</p><p>メグお姉ちゃんは、お兄ちゃんとイチャイチャしたんでしょだから、今度は、マナの番っ</p><p>オレにギュッと甘えてくる</p><p>メグお姉ちゃんと、した</p><p>１４歳の少女が、オレの股間にお尻をぐりぐり押しつけて尋ねる</p><p>えっと２回</p><p>ちょっと、ヨシくん</p><p>メグが怒るが</p><p>なーによおっメグお姉ちゃんだけのお兄ちゃんじゃないんだからねっ</p><p>マナは、全然平気だ</p><p>じゃあ、マナとも２回するお兄ちゃん、マナのこと犯したいマナのお腹の中にピュッピュしたい</p><p>小悪魔が、妖しい眼でオレを見る</p><p>したいよ</p><p>いいよ幾らでも犯してマナお兄ちゃんに犯されるために居るんだから</p><p>マナの小さな手が、オレの股間を擦る</p><p>そんなマナを見ながら改めて、考えていた</p><p>マナと雪乃は似ている</p><p>マナとメグも</p><p>もちろんメグと雪乃も</p><p>母親違いの３姉妹だ</p><p>似ていないはずが無い</p><p>３人とも、意地っ張りだし強引なところがある</p><p>思い込みも強いし</p><p>何より</p><p>セックスに貪欲だ</p><p>どうしたのお兄ちゃん</p><p>いや、マナ</p><p>オレは、アニエスを指差す</p><p>あれが、アニエスだよ</p><p>アニエスのところにはイーディが、真緒ちゃんを連れて行っていた</p><p>まるで自分の妹のようにアニエスに紹介している</p><p>アニエスも、さすがに可愛すぎる幼女には警戒していない</p><p>こんにちわっあたし、真緒ですっ</p><p>アニエスは黙ったままだ</p><p>お姉ちゃん、とっても綺麗ですねっ</p><p>真緒ちゃんにとっては１２歳のアニエスも、年上のお姉ちゃんだ</p><p>お前の妹だよ、マナ</p><p>マナはジッとアニエスを見る</p><p>うん本当に可愛い子だね天使みたいだ</p><p>それから、オレを見た</p><p>お兄ちゃんあの子、どうやって犯す</p><p>あたしが両手を押さえておこうかそれとも、足の方が良い</p><p>最初の時はしょうがないもんね</p><p>そうかマナの初めては</p><p>レイプだった</p><p>だから、マナはアニエスの処女喪失も、無理矢理レイプされるものだと思っている</p><p>次話から、久々のマナ・セックスになる予定多分</p><p>交通整理に2話使いました済みません</p><p>父が手術を受けたのは、大学病院ですが</p><p>普段は、その大学病院を紹介してくれた別の病院に通っています</p><p>先日、私が検診に付き添いで行ったのは大学病院の方の術後のチェックでした</p><p>で大学病院の先生は、父に色々と食事制限をしたのですが</p><p>地元の病院の先生の方は、もう高齢なんだから、食事制限なんかしないで、本人の好きなものを自由に食べさせなさいという考えで</p><p>父は、もちろん好きなものを食べたいので地元の医師の方が嬉しいわけです</p><p>でも、母は大学病院の先生の言う通りにしないと、寿命が縮まると思っていて</p><p>家庭内バトルです</p><p>今日は、なぜか父に付き添って、地元の先生に大学病院の先生がこう言っていると主張しに行きました</p><p>あちこちにご迷惑をお掛けしているみたいです</p><p>人生は大変です</p><p>370．動物のもり</p><p>とっころでさあどうだったのお花屋さんのお手伝いはさっ</p><p>寧が、マナに尋ねる</p><p>うん、マナ、一生懸命働いて来たよっお店のお姉さんたちにも、褒められたんだからっ</p><p>渚の店には、４人の店員＆アルバイトの女性がいる</p><p>みんな、渚のペットだ</p><p>渚さんも他の人たちも、とっても優しかったしすっごく、楽しかったよっお兄ちゃん</p><p>マナは白坂家のお嬢様として、生活してきたから</p><p>お店の手伝いをするなんていうのは、とっても新鮮な体験だったんだろう</p><p>渚問題は無かった</p><p>一応、渚に聞いてみる</p><p>とにかく、すぐに調子に乗ることに定評がある、マナだ</p><p>何か、色々としでかしているかもしれない</p><p>大丈夫よ今日は、お店の内側のお仕事だけして貰ったから</p><p>接客はさせてないわマナちゃん、まだ１４歳ですものお店に出したら、あたしが怒られちゃうわよ</p><p>確かに、マナに花を買いに来たお客さんの相手をさせるのは無理だよな</p><p>あたしは、やりたかったんだけれどな</p><p>でも、マナあなた、お花の知識なんてあるの</p><p>メグが、そう尋ねる</p><p>うんとちょっとだけ</p><p>てへっと、笑うマナ</p><p>それじゃあ、ダメよ専門的な知識がちゃんとないとお客様にお花を勧めることなんてできないでしょ</p><p>メグが、マナに厳しく言う</p><p>知識だけじゃないわフラワー・アレンジメントの技術も無いとねお客様の目的とご予算に合わせて、色んな種類のお花を組み合わせないといけないんだから</p><p>渚が、言う</p><p>赤いバラの花だけの花束を下さいなんていうお客様も、いないわけじゃないけれどあたしたちに、お任せになるお客様も多いわそういう時は、なるべく季節の花を使うしお祝いのお花や、お見舞いのお花、お供えのお花とか、それぞれ使うべきお花と使ってはいけないお花があるのよそういうのをちゃんと判っていてお花を組み合わせるのああ、見た目の量があって派手な方がいいのかこじんまりしていても、ゴージャス感を出すかお客様のご希望にも応えないといけないし</p><p>うん大変なんだよねそれは、お店の裏から見ていても判った</p><p>マナちゃんが、お花のやお勉強をしたかったら、あたしが教えてあげるわよ簡単なフラワー・アレンジメントとか、本格的な華道まで</p><p>うん、教えてっ渚さんっ</p><p>マナにとっては渚さんなんだな</p><p>渚お姉ちゃんにはなっていない</p><p>今日一日、お店の手伝いをしたことが影響しているんだと思う</p><p>お店の手伝いでは、渚はオーナー店長だから</p><p>お姉ちゃんと呼ぶと、他の店員さんが気にすると思ったんだろうか</p><p>マナは、そういう人間関係には目ざといし</p><p>渚のペットしかいないところへ入り込んだんだ</p><p>あんまり親しげにすると反感を買うかもしれないしな</p><p>まあ、マナの様子を見ている限りは他の店員さんとトラブルになる様なことは無かったんだろう</p><p>麗華は、どんな仕事をしていんだ</p><p>オレは、麗華に尋ねる</p><p>麗華の方は平気だったのか</p><p>お店の人たちに、上手く受け入れて貰えたんだろうか</p><p>わたくしは力仕事ばかりです他には、取り柄がありませんから</p><p>また、麗華は自分を卑下する</p><p>重い菊の入った段ボール箱の整理とかそういう仕事です</p><p>そんなことないわよ麗華お姉さんには、お店の方にも立って貰ったから</p><p>早速、お客様の中にファンができたのよ麗華お姉さん、格好いいからっ</p><p>マナが笑った</p><p>いやわたくしは失敗続きで、皆さんに迷惑を掛けるばかりで</p><p>反省する、麗華</p><p>仕方無いわよ今日が初めてだったんですもの</p><p>渚は、そう言うが</p><p>でも、わたくしはお店屋さんには、向いていないと思います</p><p>大丈夫よお店の子たちも麗華お姉さんのこと、とっても好きになってくれたみたいだし</p><p>しかしわたくしは</p><p>麗華はもう、花屋に行くのは嫌みたいだ</p><p>麗華気付いていると思うけれど、この屋敷の周りに香月セキュリティ・サービスと公安警察の監視が付いた</p><p>はい主様帰宅時に確認致しました</p><p>麗華はトップ・エリート警護人の顔に戻る</p><p>屋敷の方は、恭子さんも居るし、マルゴさんも居るもし、何者かが襲撃してきても対応できる</p><p>香月セキュリティ・サービスも公安警察も決して、オレたちの敵ではない</p><p>ジッちゃんが、オレたちの庇護を命じているからだ</p><p>しかし味方でもない</p><p>特に、警察は</p><p>オレたちは、犯罪組織なんだから</p><p>みすずや瑠璃子たちには、関さんや美智が付いている谷沢チーフだっている警護は万全のはずだ</p><p>麗華は、うんと頷く</p><p>問題なのは渚の店だしばらくは、夜はこの屋敷で寝泊まりすればいいが日中の警護は誰かがしなくてはいけない黒い森のことを知って、オレたちにちょっかいを掛けてくるやつらが裏社会に居るとすれば渚の店にアプローチしてくる可能性は高い</p><p>何と言ったって渚の花屋は、表の商売だし</p><p>渚のお店は繁盛していて顧客は、安定している</p><p>前にも、ヤクザの花屋に眼を付けられていたこともあったんだその時は、マルゴさんがブッ潰したけれどいつまた、そういうことが起きるか判らない</p><p>あたしの力だけじゃないよ君や寧だって、手伝ってくれたじゃないか</p><p>横から、マルゴさんがそう言ってくれる</p><p>とにかくしばらくは、誰かが渚の店に常駐して警護するべきだと思うんだ</p><p>そうですね主様のおっしゃる通りだと思います</p><p>警護人の仕事としてなら麗華は、これからも渚の花屋に通ってくれるだろう</p><p>ああそうだだから、明日からはいつも通りの、英国紳士の姿でお店に行ってくれ</p><p>あの姿が警護人としての麗華のスタイルなんだろ</p><p>麗華は、顔を赤らめ</p><p>しかし、あの姿はわたくしが他人に壁を作るための、自己防御の姿でした</p><p>彼女は、自分の過去を悔いている</p><p>あんな姿では、他の方との親しい交流はできませんですから、私は</p><p>いやいいんだよ、麗華自分のスタイルを貫け</p><p>麗華は、ハッとオレを見る</p><p>いつでも、どこでも、誰にでも心を開いていたら大変なことになっちゃうよ今日の麗華は、渚のお店でずっとおどおどしていたんだろう様子が、想像できるよ</p><p>ええ麗華お姉さん、みんなに気を遣いすぎてすみんな、お姉さんよりも年下なんですからもっと鷹揚に接して下さっていいのに</p><p>渚が２１歳だから渚のお店の店員さんは、みんな渚よりも年下だ</p><p>麗華は２２歳か、２３歳だったと思う</p><p>だけどみなさん、お店の先輩ですしわたくしは、お花のことは何も判らないわけですから</p><p>おどおど、いじいじとなる麗華</p><p>だから明日からの麗華は、警護人として渚のお店に居るんだそりゃ、お店の仕事も手伝うけれどそれはあくまでも、カムフラージュだ警護人の潜入工作として、花屋の店員を演じているだけだ</p><p>オレは麗華に強く、命じる</p><p>花屋の仕事よりも店の周りに監視者はいないかおかしな客は入って来ないかに集中していろ</p><p>でもわたくしが、警護人の顔付きをしてお店に居ると、お店の雰囲気を悪くしてしまうのでは</p><p>オレは、断言する</p><p>麗華は美人で、格好良くて英国紳士の格好がキマッているんだから店の雰囲気は、むしろ良くなるよ</p><p>ええ、あたしもそう思うわ</p><p>渚が、太鼓判を押してくれる</p><p>麗華を今日心の壁が壊れたまんまの、剥き出しの状態で店の手伝いに行かせたのは、オレのミスだよ悪かった</p><p>麗華心をさらけだすのは、オレたち家族の中にいる時だけでいい家族の外に出る時は今まで通り、英国紳士のスタイルを押し通していいから</p><p>うん悪いことをしたと思う</p><p>今日は、渚の店という渚が、精神的に支配している女の子たちの中だっただけ、まだ良かったと思う</p><p>渚が麗華をお姉さんと呼んでいる以上、渚のペットたちは、麗華に危害を加えようとはしないだろうから</p><p>麗華が徹底的に、心をガードしてきたのはメンタルが弱いからだろ</p><p>麗華は、自分の弱点を認めた</p><p>オレたちに対して、心を開いてくれたことは嬉しいよでも、いきなり世の中の人、全部心を開いていたら麗華の心は、傷だらけになってしまうよ今日みたいに、周りにおどおとするばかりで逆に、他の人たちから孤立してしまうことになるかもしれない</p><p>オレはそれが怖い</p><p>あっ、判る今日なんてさ、お店の人の中には、麗華お姉さんのことを舐めてるとしか思えない様なことを言う人がいたもんっ先輩面してさっ</p><p>マナが、言う</p><p>やっぱりそんなこともあったんだ</p><p>それは店の仕事に、不慣れなわたくしがいけなかったんです</p><p>麗華は、そう自分を責めるが</p><p>麗華お前は何だ</p><p>オレは突き詰める</p><p>お前の仕事は何なんだ</p><p>プロフェッショナルの警護人です</p><p>警護人であることに、誇りを感じているか</p><p>なら麗華は、いつでも、どこでも、誰に対しても警護人でいろ誰にも舐められるな</p><p>麗華が舐められるのは、オレが嫌だよ頭にくる</p><p>渚が、オレを見て</p><p>マナちゃんが今言った子誰だか、もう判っているから明日、きっちりお仕置きする予定でいます安心して下さいね</p><p>渚の言葉に、麗華は驚く</p><p>あたしも自分のお姉さんが舐められるのは、許せませんから</p><p>いやそんなあの子に、悪気は無いと思いますから仕事が上手くできなかった、わたくしの方に非がありますから</p><p>そういうことじゃないんです</p><p>渚は、ニコッと麗華に微笑む</p><p>あのお店は、あたしの世界ですあたしの意志が判らないような子は、お仕置きしないといけませんから</p><p>４人の少女の飼い主としての顔を、渚は見せる</p><p>マナちゃんと麗華お姉さんには、お手伝いに来ていただいたんですそして、２人があたしの大切な家族であることも、あの子らには伝えましたその上で、麗華お姉さんを侮辱する様な態度を見せたことは、許せませんお仕置きするのは、当然です</p><p>オレが間に入る</p><p>そっちは、渚の店の中のことなんだから麗華は、気にしなくて良いんだ麗華は、警護人としての職分だけを果たせ</p><p>は、はい主様</p><p>不承不承、麗華は受け入れる</p><p>というかしばらくは、今みたいな心を開いている状態は、オレたちの前だけしてくれそういう可愛い麗華は、他のやつらには見せたくない</p><p>か、可愛いわたくしが、ですか</p><p>ああ、今の麗華は可愛い可愛すぎるだから、そのままでは外に出したくない外では、今まで通りのスタイルで心を隠していてくれいいな</p><p>うん麗華は、これでいい</p><p>渚の店は、麗華が警護してくれるし</p><p>麗華自身は、渚がチェックしてくれる</p><p>麗華は、慌てず急がず少しずつ、色んな人と交流していけばいいんだ</p><p>今のままのノーガードな状態じゃ逆に良くない結果になりそうだし</p><p>お兄ちゃん判ってないよね</p><p>何がだよ</p><p>麗華お姉さんはあたしたち全員に、心を開いているわけじゃないんだよ</p><p>お兄ちゃんにだけだよ</p><p>だから、お兄ちゃんのこと主様って呼んでいるんだよ麗華お姉さん、お兄ちゃんにだけ素直なんだから</p><p>いや、あのわたくしは</p><p>麗華が、顔を赤くする</p><p>ほらよくさ、イヌ型人間、ネコ型人間て言うでしょ</p><p>マナ何の話だ</p><p>みすずさんとか美智さんは、典型的なイヌ型人間だと思うしマナは、自分はネコ型だと思うんだそんで麗華お姉さんは、多分イヌ型なんだけれどずっと、自分の飼い主が見つからなくて、野良犬だった人なんだと思うんだよねっ</p><p>麗華が野良犬</p><p>お兄ちゃんはね、麗華お姉さんがやっと見つけた飼い主だから主様なんだよっ</p><p>オレは、麗華を見る</p><p>麗華は耳まで真っ赤になっている</p><p>麗華、あの</p><p>いえ主様</p><p>麗華が、オレを見て言う</p><p>主様はどうしていつも、わたくしのことをそんなに真剣に考えて下さるのですか</p><p>もちろん家族の皆様のことを、わたくしは自分の本当の身内だと考えていますとっても、愛おしいんです皆さんが家族に入れていただいたことを、本当に心から感謝しております</p><p>麗華の言葉は、嬉しいし信頼もしているけれど</p><p>敬語で喋っている間は、ホンモノでは無いんだろうな</p><p>麗華は、まだ完全には、家族になり切っていない</p><p>でも、その家族の中でも主様は別格なんですわたくしは一生懸命、わたくしの幸福について考えて下さる主様に申し訳無くてたまらないのですとても、有り難いことだと感じております</p><p>わたくしはこういう性格ですし、世間の人たちからは自由気ままに生きている女どと認知されているようです上司として、谷沢チーフから苦言を言われることはありましたが、ご主人様の様にわたくしの心の奥底まで覗き込まれて、わたくしを理解しようと試みて下さる方はございませんでした</p><p>ああ麗華は</p><p>警護人として、一流の能力を持っているし</p><p>英国紳士スタイルで、他人を排除してきたから</p><p>香月セキュリティ・サービスの中では、自立いや、孤立した状態でいることが許されてきた</p><p>麗華の心に踏み込もうとしたのはオレだけなのか</p><p>わたくし主様の前では、何もかも丸裸にされたような気持ちでいます</p><p>麗華の言葉に、寧がニヒッと笑い</p><p>気持ちだけじゃダメだよ本当に、ヨッちゃんの前で、丸裸にならないとさお尻の穴まで、ちゃんと見せなくちゃあ、あたしは見せてるからねっ</p><p>マナも見せてるよっメグお姉ちゃんもだよねっ</p><p>マナの一言に、メグが真っ赤になる</p><p>見、見せてないわよっ</p><p>さっき、立ちバックでした特にチラチラ見えていたような</p><p>えー、メグお姉ちゃんお兄ちゃんにお尻の穴、見てもらってないのおっ</p><p>マナが、大きな声で言う</p><p>あのこ、今度、見てもらうわ</p><p>メグ何だ、そりゃ</p><p>とにかくさっ心が飼い犬になっちゃったんなら、身体も早く捧げた方がいいよっその方が、楽になれるからさっ</p><p>寧が麗華に言った</p><p>そそうなのですか</p><p>麗華が、オレに尋ねる</p><p>いやオレに聞かれても</p><p>あたしは、そうだったよヨッちゃんとエッチするまで随分かかっちゃったけど捧げて良かったと思うものっすっごい絆を感じるからお腹で</p><p>あっ、マナも判る子宮で感じるんだよねっ女の子に生まれてきて、良かったって思うもんっ</p><p>１４歳の中学生がそんなことを言う</p><p>多分さっ麗華お姉さんは、ヨッちゃんとセックスしちゃったら今の自分から、大きく変わると思うよまあ、無理には勧めないけれどねこういうのは、タイミングが大切だし</p><p>寧がそう言ってマナの方を見る</p><p>ところでさっあたしは何型人間イヌ型ネコ型</p><p>マナは、寧をしげしげと見て</p><p>寧お姉さんはイヌでも、ネコでも無いと思う</p><p>はん</p><p>フラミンゴとか、そういう感じだよねえっ</p><p>フラミンゴ型人間</p><p>何じゃそりゃあ</p><p>怒る、寧</p><p>マナは、テヘヘと笑う</p><p>克子お姉さんは、ライオンで渚さんは、白くて綺麗なお馬さんだと思う</p><p>あたし馬なの</p><p>マナの言葉にキョトンとする、渚</p><p>うんお兄ちゃんには、とっても忠実ででも、変な人が寄って来たら、渚さん、思いっきり後ろ足で蹴飛ばすでしょきっと</p><p>克子お姉さんなら、蹴飛ばす前に嚙み付いて、爪で引っ掻くと思うから</p><p>もう、そんなことしないわよあたし</p><p>克子姉は、苦笑する</p><p>じゃあ、メグは何なんだよ</p><p>オレが尋ねると、マナは</p><p>メグお姉ちゃんはね動物ですらないよね</p><p>あれだね明治の女</p><p>明治</p><p>朝、旦那様を玄関に正座して行ってらっしゃいませって送り出してそのまま夕方に旦那様が帰って来るまで、ずーっと玄関に正座して待っているって感じおっもーい女だよね</p><p>マナお前、明治を何だと思っている</p><p>あたしそんなんじゃないわよ</p><p>メグが、反論するが</p><p>だって、そういうイメージなんだもんマナの中ではさ</p><p>うーん、恵美は明治一代女かぁぁ</p><p>寧が、茶化して笑う</p><p>あたし、そんなんじゃないもんっヨシくん、そうだよねっ</p><p>メグが、泣きそうな眼でオレを見るが</p><p>いや、まあ重い女であることは、間違いないと思う</p><p>ちなみにコーデリアは、ネコですっ</p><p>突然、恭子さんが大声で割り込んで来る</p><p>なぜならあたしが、タチだからっ</p><p>ガッハッハと、豪快に笑う恭子さん</p><p>タチって何</p><p>オレが、小声で寧に尋ねると</p><p>ヒロシってことだよ</p><p>寧は、真顔で答えた</p><p>しんちゃんのパパだよ</p><p>ますます判らない</p><p>さてそろそろお開きにしようよあたしたちは、大人の時間にするからさ</p><p>恭子さんが、オレたちにそう言う</p><p>あんたたちは、まだこの部屋に居座るつもりなんだろ</p><p>居座る</p><p>いや、そうだ</p><p>アニエスの心を早急に開くためには、なるべくこの部屋の中に居た方がいい</p><p>片付けは、あたしたちでやっておくわよっ</p><p>ミス・コーデリアが指示するとイーニーとミーニーが、空の皿をまとめてワゴンに乗せていく</p><p>いいですあたしがやりますから</p><p>克子姉が立ち上がるが</p><p>いいから、やらせておいてお台所のことは、さっき見たから判るわ食後の食器洗いは、この子たちの仕事なの彼女たちも家事は好きだから</p><p>ミス・コーデリアの言葉にイーニーとミーニーは、ニコッと微笑んだ</p><p>本当に根は良い人たちなんだな</p><p>いいから、あたしたちに任せておきなってのっ</p><p>そういや、この部屋って隣の部屋と昔は一続きだったんだよね</p><p>恭子さんは、隣の部屋との壁に近付く</p><p>コンコンコンと、壁を叩いて</p><p>セイヤッ</p><p>コズッと、壁を蹴る</p><p>壁にボコッと穴が開いた</p><p>うん女の子の監禁用の部屋の壁なんて、こんなもんだろうねこの壁、明日になったらブチ壊すわとなりの部屋と繋げちゃおうそしたら、この部屋でできることの幅も拡がるしね</p><p>恭子さんは、ニコッと笑った</p><p>今日は、アニエスはみんなと同じ鍋から取った食べ物を、みんなと一緒に食べることを学んだよねなら次は食事っていうのが、どんな風に作られるのかを見せてやるべきなんじゃないかな</p><p>部屋が広くなったら、コンロや料理の器具を持って来て、アニエスの前で料理をしてみるんだねそういう知識と経験を増やしてやるんだよ</p><p>克子姉、パンも作ろうよオレにパン作りを教えてくれるのアニエスの前でやろう</p><p>克子姉も、オッケーしてくれる</p><p>食欲もいいけれどもう一つの欲の方からも、攻めてみな</p><p>恭子さんが、言った</p><p>克子判っているよね</p><p>アニエスは、寝る前にもまた儀式の時間があるから</p><p>儀式</p><p>白坂創介の裸像を見上げながらの自慰</p><p>それをフッ飛ばすんだよあんな男の裸の像なんかよりも、もっとセクシーなものを見せ付けてね</p><p>ああ、あの子にエッチを見せ付けるのねっ了解っマナとしよっお兄ちゃん</p><p>マナが、オレに囁く</p><p>克子お姉ちゃんもだよっ今日は、まだヨッちゃんとはしていないよねっ</p><p>寧お姉さんは</p><p>マナの言葉に、寧は</p><p>あたしと恵美は、もうしたからいいよね、恵美</p><p>恵美はまだ明治の女の重さが、堪えているらしい</p><p>渚お姉ちゃんも、どうぞ</p><p>寧は、渚に声を掛けるが</p><p>あたしは後でそろそろ真緒が眠そうだから</p><p>ああミス・イーディの横で</p><p>真緒ちゃんが、コックン、コックン居眠りを始めている</p><p>さてとあたしたちは、先に行くよっレズだけ、あたしに付いてきなっ</p><p>恭子さんと、ミス・コーデリア、イーニーとミーニーが出口に向かう</p><p>あら本当に違うのね</p><p>ミス・コーデリアが、マルゴさんを見て言った</p><p>そうだよコーデリアは、考えすぎなんだよ</p><p>恭子さんが、ミス・コーデリアを抱き締める</p><p>今夜は、寝かせないわよキョーコ</p><p>あたしを誰だと思っているわけ</p><p>キスする２人</p><p>ん、じゃあねっお休み</p><p>そしてレズの４人は、退出する</p><p>エッチ・シーンまで届かなかった</p><p>申し気ないです</p><p>次話は、本当にやります</p><p>マナ＆克子が中心です</p><p>アニエス・イーディ、麗華に見せ付けるという形になります</p><p>今週は、色々とドタバタしてました</p><p>結局、残っていた有給は消化させて貰えませんでした</p><p>そして１２月か</p><p>371．夜のセックス大会　（その１）</p><p>さて、あたしも真緒を連れて行くわ</p><p>渚が、眠そうな真緒ちゃんを引き取りに行く</p><p>ミス・イーディはまだ遊び足りないようだが</p><p>寧に何か言われると、シュンとなった</p><p>何て言ったの</p><p>小さい子は、いっぱい眠らないといけないってお姉さんでしょって言ったら、納得したみたい</p><p>寧は、微笑む</p><p>渚さん、何ならあたしが真緒ちゃんを寝かせてきてあげようかあたしも、この場からは退席するつもりだしちょっと、ミナホの様子を見てきたいから</p><p>これからここで、大セックス大会が始まるのなら席を外したいということだろう</p><p>渚さんも彼としたいでしょ</p><p>マルゴさんは、オレを見てニヤッと微笑むが</p><p>せっかくだけど夜中に真緒が眼を覚ました時に、あたしがいなかったら、寂しがると思うのだから、今夜はあの子と一緒に寝てあげたいのよ</p><p>ここは、いつもの家じゃないから変な時間に眼を覚ましたりすると思うのよね</p><p>娘のことを気遣う渚</p><p>渚明日は、しよう絶対に</p><p>オレは、渚に約束する</p><p>あたしね後３日ぐらい経ったあたりが、一番妊娠しやすい日だからお願いよっあなた</p><p>渚は、優しい笑顔でオレに言う</p><p>うん絶対、妊娠させてやるからなっ</p><p>それと明日の朝、真緒をまたお風呂に入れてあげて今日も、お風呂に入る前に、お眠になっちゃったから</p><p>判った渚も、一緒に入ろう</p><p>ええでも真緒の前で、エッチはしないわよまだ、そういうのを知るには、早過ぎると思うから</p><p>そう言う渚に、マナが答える</p><p>大丈夫だよ朝まで、あたしたちが徹底的に絞り取るから渚さんに引き渡す時には、お兄ちゃん、もうオチンチン勃たなくしちゃうんだからっ</p><p>じゃ、あたしたちは行くよ</p><p>マルゴさんと、真緒ちゃんを抱きかかえた渚が退室しようとする</p><p>待って下さいわたくしも、参りますっ</p><p>麗華も、立ち上がるが</p><p>何言ってるの、麗華お姉さんは居残りだってば</p><p>マナが、言った</p><p>ですがあの</p><p>これからここで起こる痴態を想像して麗華は、耳まで真っ赤になる</p><p>麗華お姉さんは、別に参加しなくていいからお勉強として、見ていてくれればいいんだよっ</p><p>寧が、ニフフと笑って言った</p><p>昨日、地下室でオレと美智のセックスを見ていたときも真っ赤になって震えていたもんな</p><p>それにさそっちの子も居残りなんだよもし、その子が興奮しすぎて暴れ出したら麗華お姉さんに止めて貰うしかないんだけど</p><p>寧はミス・イーディを指差す</p><p>きょとんとしている、イーディ</p><p>何の話をしているか、判らないんだろう</p><p>みんなも聞いてね今からのエッチの目的は、アニエスの価値観をブッ壊すことが目的だからねっ</p><p>寧が、みんなに言う</p><p>アニエスはさあ白坂創介のセックスを何度も見せられているし、白坂創介に犯されることがこの世の幸せだと思い込まされているわけだから、これからあたしたちがヨッちゃんとエッチする姿を見せてあげて白坂創介だけが全てじゃないってことを、理解させるんだよっ</p><p>自分勝手なエッチをしちゃダメってことよマナ</p><p>判っているよアニエスちゃんが、自分もお兄ちゃんとエッチしたいって思ってくれるようにしないといけないんでしょ</p><p>えっとそうなんだ</p><p>大丈夫よ白坂創介のセックスは、女の子を無理矢理犯すか完全に、白坂創介に屈服して性奴隷になった女の子に命令するだけだったからどっちにしても、女の子は死んだ眼をして相手をしていたわだからあたしたちは、愛のあるセックスをすればいいのよ</p><p>克子姉が、言う</p><p>そうだねっお兄ちゃんに抱いて貰って、幸せな姿を見て貰えばいいんだよねっ</p><p>でも何で、ミス・イーディも</p><p>オレとしてはできれば、イーディには見ていて欲しくない</p><p>この子、興奮したら何するか判らないし</p><p>しょうがないよっイーディが居ないと、アニエスの警戒心が強くなっちゃうからっ</p><p>確かに食事時間を通して、アニエスにはイーデイへの警戒心は薄れたと思う</p><p>イーディは、開けっぴろげな性格だし</p><p>アニエスに対して、敵愾心が無いことは伝わっている</p><p>当のイーディは</p><p>この人たち、何喋っているんだという顔で、オレたちを見ている</p><p>お気に入りに真緒ちゃんが退席するのはツライが</p><p>それ以上に、恭子さんやミス・コーデリアたちが居なくなったので、気が楽になっているらしい</p><p>そういえばミス・イーディは、昨夜、オレが雪乃とセックスしたのは見ていたんだよな</p><p>ミス・コーデリアに、ホテル内の小劇場に拘束されて</p><p>イーディは、まだマスクを付けていて正体が判らなかった時だ</p><p>え、ヨシくん、昨日、雪乃としたのいつ</p><p>メグが、反応する</p><p>いや、あのミス・コーデリアに捕まった特に、無理矢理しろって命令されて</p><p>そうか、あの部屋の画像はどこにも中継されていないから</p><p>みんな知らないんだ</p><p>そうだよっ無理矢理命令されてしたんだからっヨッちゃんは、被害者だからっ</p><p>寧が、何とかフォローしてくれた</p><p>そうそれならいいんだけれど</p><p>いや、そんなに憤ることはないじゃないか</p><p>雪乃今、うまい棒３本でひもじい思いをしているんだぞ</p><p>じゃあ、あたしたちはこれでね</p><p>オレたちの様子を見ていた渚が温かい眼でそう言った</p><p>克子さん何か、あったら内線で連絡して</p><p>マルゴさんが、壁に取り付けてあった箱に鍵を差し込み開く</p><p>中から、この部屋用の内線電話が出て来た</p><p>アニエスがいじって壊さないように今までは、カバーをして鍵を掛けていたらしい</p><p>ありがとうございます後は、あたしの方でやりますから</p><p>突然、内線電話がルルルと鳴った</p><p>電話の前に居たマルゴさんが出る</p><p>えどうしたの、ミナホそう、判った</p><p>電話を切って、マルゴさんが言う</p><p>麗華お姉さんに、香月セキュリティ・サービスからお届け物だってさ</p><p>うん麗華お姉さんが、香月セキュリティ・サービスの本社に置いておいた着替えとか私物とか全部まとめて、届けてくれたって</p><p>麗華の荷物を全て</p><p>わたくし、香月セキュリティ・サービスをクビになったということでしょうか</p><p>麗華は、ショックを受けている</p><p>逆だと思うよ</p><p>谷沢チーフとしては、このまま麗華お姉さんに黒い森に移籍される方が困るもの完全移籍しちゃったら敵になる可能性もあるからね谷沢さんとしては、香月セキュリティ・サービスに在籍したまま、黒い森の警護担当者になって欲しいんだと思うな</p><p>麗華は谷沢チーフと黒い森を繋ぐラインとして、残して置きたいのか</p><p>多分、荷物と一緒に、谷沢さんの命令書が付いていると思うよいいんじゃない麗華お姉さんは、あたしたちと行動を共にしていても、香月セキュリティ・サービスからはこれまで通り、お給料が出るってことだから</p><p>そんないただけません、わたくし</p><p>麗華は、そう言うが</p><p>いや、貰っておけよ、麗華</p><p>麗華が香月セキュリティ・サービスの所属のまま、ここに居ることが谷沢チーフには保険になっているんだあの人は、ジッちゃんほどオレたちを信用していないと思う疑心暗鬼になるような行動はしない方が良いよ</p><p>オレの言葉に、マルゴさんが付け足す</p><p>それにこちらも、麗華お姉さんのルートで香月セキュリティ・サービスの内部状況をチェックしておきたいからねいずれ、香月さんが完全に引退して、司馬さんがトップになるその時に、香月セキュリティ・サービスの内部がどう変わるか、判らないし</p><p>うん麗華には、このまま在籍していて貰いたい</p><p>判りました主様のおっしゃる通りに致します</p><p>麗華も納得してくれる</p><p>良かったよねっこれで、麗華お姉さん自分の服とかを取りに帰らなくても良くなったじゃんかっ</p><p>嬉しそうに、寧が言った</p><p>そう言えば麗華って、どこに住んでいるの</p><p>香月セキュリティ・サービスの女子寮に部屋を借りています</p><p>はあ堅実なんだ</p><p>わたくしは、高校の時にスカウトされて卒業と同時に、上京しましたから以来、ずっと寮生活です</p><p>じゃあ、引っ越ししないといけませんねっ</p><p>克子姉がマルゴさんを見る</p><p>お嬢様に２階の空き部屋の使用許可をいただいて下さいませんか</p><p>了解あたしから、話しておくよ引っ越しは、あたしたちも手伝うからあたしの白いバンで間に合えばいいんだけれど</p><p>寮なら、そんなにたくさん荷物ないでしょ</p><p>いえ本と洋服が</p><p>本と洋服</p><p>あのわたくし、お給料は全て、英国紳士の研究に使っておりますので</p><p>麗華は、他に趣味は無いみたいだし</p><p>英国紳士の本と紳士服だな後、靴とかステッキとか</p><p>どれぐらいあるの</p><p>マナの問いに、麗華は</p><p>一部屋丸まる本ですそれから、もう一部屋は洋服やアイテムで</p><p>確か関さんが香月セキュリティ・サービスのトップ・エリートは、お給料が良いみたいなことを言っていたと思う</p><p>関さんは大きなアメ車を乗り回していたし、ハワイにクルーザーも持っていると言っていた</p><p>そんな給料を麗華は、英国紳士趣味にだけ、ブチ込んでいる</p><p>まあ、何往復かすれば何とかなるよトラックをレンタルしてもいいし</p><p>うん、オレも手伝うよ</p><p>ヨッちゃんは、外で待っているだけだからねっ</p><p>え何で運び出しするのは、男手の方がいいだろ</p><p>寧は、ニフフフーンと微笑む</p><p>女子寮は男子禁制だよ多分</p><p>今はまだ色々と仕事が残っているからお引っ越しは、連休明けになるけど、いいね</p><p>残っている仕事</p><p>この子の心を開かなければミナホ姉さんの復讐は終わらない</p><p>麗華は、マルゴさんに頭を下げた</p><p>オレたちの家族として生きていくことに、迷いは無い</p><p>マルゴさん、渚、真緒ちゃんが居なくなる</p><p>部屋の中には</p><p>厚手のカーペットの上にオレ、克子姉、寧、メグ、マナ</p><p>ベッドの方にアニエス、イーディ</p><p>どっちとも離れた壁際に麗華</p><p>ドアは、開けたままにしておいて</p><p>アニエスには、少しでも開放感を感じて欲しい</p><p>もちろん、本当にドアから出て行かれたら困るのだけれど</p><p>さてどうしようか</p><p>この間、学校で使った、エアマットがこのお屋敷にもあるのよそれと、毛布は持って来ないといけないわね</p><p>ああ、校長室の下の部屋で、みんなで並んで寝た時のエア・マットか</p><p>じゃあ、先にそれを持って来る</p><p>そんなの後でいいよっあたし、もう待てないもんっ</p><p>マナがシュルシュルと、服を脱ぎ出す</p><p>ほらっしよっお兄ちゃん</p><p>マナの眼は、すでに妖しく潤んでいた</p><p>あっ、ずるいあたしも脱ぐっ</p><p>寧も服を脱ぎ出す</p><p>ほらほら、恵美も早く脱いで脱いで</p><p>えっあはい</p><p>何だか判らないうちにメグも、服を脱ぎだした</p><p>もうしょうがないわねっ</p><p>克子姉も服に手を掛ける</p><p>お嬢様か、マルゴ様か多分、観てらっしゃると思うんですけれどこちらの部屋のエアコンの設定温度を２度ほど上げてくださいませっ</p><p>克子姉は、監視カメラの位置を知っている</p><p>そこに向かって、大きな声で叫んだ</p><p>ブオオオと、エアコンの風量が上がる</p><p>裸で過ごすなら、温かくないと風邪を引きますからね</p><p>そして、克子姉も服を脱ぎだした</p><p>いっちばーんっ</p><p>マナが下着姿になる</p><p>ブラとパンツは、お兄ちゃんが脱がすんだよっ</p><p>お兄ちゃんは、マナが脱がしてあげるからっ</p><p>マナが、オレの服に手を伸ばす</p><p>まっ、待ちなさいマナっヨシくんのお世話は、あたしがするのおっ</p><p>メグが脱いだ服に突っ転びそうになりながら、オレの方へ飛んで来る</p><p>やっぱり下着姿だ</p><p>はいはい、大騒ぎしないでっ</p><p>寧も、下着姿になる</p><p>オレは、マナとメグの２人掛かりで脱がされる</p><p>はーい、整列ぅぅっ</p><p>マナの号令で４人の下着姿の美少女が、オレの前に並ぶ</p><p>うっ何か、克子お姉さんの下着が一番ゴージャスだ</p><p>マナが、克子姉を見て呟く</p><p>確かに克子姉のピンクの下着は、レースが付いていて豪華だ</p><p>あたしのは、高そうに見えても普段使いの安物よ寧様の下着の方が、高級だわ</p><p>寧の淡いブルーの下着はシンプルだが、確かに高級そうだ</p><p>寧お姉さんそれ、シルク</p><p>あははっ、ヨッちゃんに見て貰おうと思って良いのに着替えて来たんだっ</p><p>寧が笑う</p><p>ほらっさっきは、勝負下着じゃなかったからあたし</p><p>そうだ今日の昼間の寧の処女喪失は急に決まったから</p><p>寧は、勝負下着とか用意する余裕は無かった</p><p>ヨッちゃんに見て欲しくて</p><p>寧が、照れている</p><p>うん綺麗だよ、寧</p><p>ヌードも良いけれど下着姿もセクシーだよな</p><p>うっわぁ普通の下着は、あたしとメグお姉ちゃんだけみたいだね</p><p>マナが、しょんぼりする</p><p>いいえ、あのあたしの下着も、良い物なのよこれヨシくんに買って貰った下着だから</p><p>ああ、そうだ</p><p>この間、２人でデパートで買った下着だ</p><p>メグ、さっきセックスした時の下着から履き替えて来たんだな</p><p>うっわー、ずるーいあたしだけ子供下着なのおっ</p><p>マナが騒ぐ</p><p>マナにも買ってやるよ今度</p><p>本当っ</p><p>マナがニコッと微笑む</p><p>それにマナのその下着だって可愛いよ</p><p>何の飾りも無い白い下着</p><p>校則に則った学校指定の下着なんだろう</p><p>でも、１４歳の美少女にはこれが一番、似合うと思う</p><p>可愛くないよおっマナも、レースの付いたのとか欲しいよっ黒いのとかっ</p><p>判った、判った本当に買ってやるから</p><p>下着だけでなくマナの日常用品は、これからオレが全て買ってやらないといけない</p><p>稼がないとな</p><p>うふふっお兄ちゃん、だぁぁい好きっ</p><p>あはっアニエス、びっくりした眼で見ているねっ</p><p>マナが、アニエスの方を見てそう言う</p><p>エッチなことを、みんなでこんなにニコニコしてやっているのを見るのが初めてだからよ</p><p>そのアニエスの横でミス・イーデイは、眼を爛々と輝かせてこっちを見ている</p><p>もっとね、この子は暗殺教団で、どんな性教育を受けてきているのか判らないから</p><p>どう対処して良いのか、ちょっと判らない</p><p>イーディもエッチなことには、興味があるみたいねっ</p><p>ところで麗華は</p><p>オレたちの後ろで、麗華も下着姿になっていた</p><p>いやあのわたくしも、家族である以上、参加しておかないといけないと思いまして</p><p>真っ赤な顔で麗華が言う</p><p>しょ、処女を捧げるとかはまだ、覚悟はできておりませんが皆様に合わせて、服を脱ぐぐらいは</p><p>オレは下着姿の麗華を見る</p><p>スラッとした足</p><p>かっちりとした骨格</p><p>スポーツマンの健康的な肉体がそこにはある</p><p>そんなに見ないで下さいわたくしの身体なんて筋肉ばかりで、面白味は無いでしょう</p><p>そんなことないよ綺麗だよ、麗華</p><p>うん均整が取れていて、美しい</p><p>そうだよっとっても綺麗だよ、麗華お姉さんっ</p><p>寧が、麗華に飛びつく</p><p>ほらっ、もっとこっちにおいでよっ</p><p>そのまま、オレたちの方へ引っ張って来る</p><p>さあって、それじゃあどうしよっかさっきの予定だと今夜は、克子お姉ちゃんとマナが抱いて貰う番だよねっあたしと恵美は、サポートで</p><p>寧さんが、みんなのリーダーとなる</p><p>あ、待って待ってその前に、ほらっ</p><p>マナが、何か言い出す</p><p>メグお姉ちゃん、お兄ちゃんにお尻の穴を見て貰ってないんでしょ先に見てもらっちゃいなよっ</p><p>メグの驚き</p><p>じゃあ、マナが先に見せまーすっ</p><p>マナが、オレの前に立ちお尻を突き出す</p><p>パンティに手を掛け</p><p>お兄ちゃんマナのお尻の穴、見て下さいっ</p><p>そのままするするすると、自らパンティを下ろす</p><p>お尻の穴どころか、すでに濡れている割れ目まではっきりと見える</p><p>あー、あたしも見せるぅぅっ</p><p>続いて、寧がお尻を突き出す</p><p>はいっ、ヨッちゃんっ</p><p>パンティを下ろすと、ぺろんと豊かなお尻が突き出される</p><p>真っ白な柔らかい２つの肉山</p><p>その間に、小さな穴と割れ目が見える</p><p>どーおっ見えてるっ</p><p>うん見えてるよっ姉さん</p><p>寧は、ニコッとオレに微笑んでいる</p><p>となればあたしも出し惜しみはできないわねっ</p><p>うわっ克子姉は、オレの顔のすぐ前にお尻を突き出す</p><p>クローズアップで見せてあげるわんっ</p><p>引き下ろされるパンティ</p><p>どう見えている</p><p>見えているっていうか</p><p>ツンと匂いまで、判る</p><p>ほらっメグお姉ちゃんの番だよっ</p><p>オレの前に、引っ張り出されるメグ</p><p>うわぁぁんっは、恥ずかしいよおっ</p><p>メグは、羞恥に震えている</p><p>ほらっ、メグ見せろよ</p><p>メグは恥ずかしがっている時が、一番可愛いな</p><p>そうだよっ、早くしなよっ恵美っ</p><p>寧が、強く命じる</p><p>わ判ったからぁ</p><p>メグが、自分のパンティに手を掛ける</p><p>オレに、お尻を向けて</p><p>よ、ヨシくんめ、メグのお尻の穴をみ、見て下さい</p><p>震える手がパンティを下ろす</p><p>うわぁぁっ恥ずかしいよっ、もうダメぇぇ</p><p>ダメだ、もっと良く見せろお尻をグッと突き出して</p><p>足をガクガクさせながら、メグはそれでもオレの命令通りお尻を突き出す</p><p>スラッとしたモデル体型の細くて長い手足</p><p>メグの下半身がオレの前に強調される</p><p>その中心にキュッとしたすぼまりが</p><p>は、恥ずかしい恥ずかしいよおっ</p><p>恥ずかしいと言う度に、キュキュツとすぼまる</p><p>あたしもう、お嫁にいけないよおっ</p><p>メグが、半泣きで言った</p><p>それは気にしなくていいんだよオレの嫁になるんだからっ</p><p>オレは、メグの白いお尻をキュっと掴んでやった</p><p>麗華何をしている</p><p>次はわたくしの番ですよね</p><p>わたくしも家族の一員でございますから</p><p>そうだよねっ麗華お姉さんのも、見せて貰おうよっ</p><p>オレが返事をする前に寧が勝手にそう言う</p><p>麗華お姉さんは、背が高いからさっヨッちゃんの前に、四つん這いになってくれる</p><p>こうでございますか</p><p>お尻を向けて四つん這いになる、麗華</p><p>もっと、お尻を高く上げてっ</p><p>麗華の尻がオレの方へと突き出される</p><p>パンティは、あたしが脱がせてあげるねっ</p><p>寧が、麗華のパンティに手を掛ける</p><p>あ、そうだ麗華お姉さんあたしたち、みんなヨッちゃんにお尻の穴を見て貰う前に、誓いを立てているんだけれど</p><p>どんな誓いでしょう</p><p>一度、お尻の穴を見せたら最後一生、ヨッちゃんに身も心も尽くすって他の男には、絶対に心を許してはダメだよ裸も見せちゃダメ死ぬまで、ヨッちゃんだけだからねっ</p><p>うん、あたしも誓ったよっ</p><p>あたしも誓いましたわ</p><p>あ、あたしもです</p><p>あたしもね麗華お姉さんは、どうする</p><p>寧の手か麗華の尻の上で蠢く</p><p>はいじゃあ、誓って</p><p>わ、わたくし藤宮麗華はあなたに一生、身も心も尽くすことを誓います</p><p>お尻の穴を見て下さいは</p><p>れ麗華の、お尻穴をどうぞ、ご覧下さい</p><p>はいご開帳っ</p><p>寧がパンティを引きずり下ろすっ</p><p>麗華の秘部が露わになる</p><p>お尻の穴だけでなく</p><p>その下の女性器まで</p><p>その割れ目からツツーッと、透明な液が、床に垂れていく</p><p>麗華興奮しているのか</p><p>うふふ麗華お姉さんのを見て、興奮しちゃった</p><p>克子姉がパンティを半脱ぎにしたまま、オレの方へやって来る</p><p>マナちゃんお先にいただいて良い</p><p>克子姉の言葉に、マナは</p><p>いいよ克子お姉ちゃんのやり方、見せて</p><p>克子姉が、オレの股間を擦る</p><p>麗華お姉さん、そのままこっちを振り向いて下さい</p><p>麗華が、パンティを下ろしたままオレの方へ振り向く</p><p>見てこれ、麗華お姉さんのを見て、こんなになっちゃったのよ</p><p>パンツの下のオレの勃起を擦りながら、克子姉は言う</p><p>いや、本当はみんなが下着姿になった辺りから、勃起していたのだが</p><p>ほーら、こんなに</p><p>克子姉がオレのパンツから、勃起ペニスを出す</p><p>現れた肉の槍を見て麗華がハッと息を呑む</p><p>いいや、麗華だけではない</p><p>アニエスとイーディも</p><p>オレの勃起ペニスを凝視している</p><p>はいいただきまーすっ</p><p>克子姉のぷっくりとした唇がオレの亀頭を咥え込む</p><p>あん美味しいわぁっ</p><p>じゅぽっじゅぽっじゅぽっ</p><p>わざと、いやらしく音を立ててフェラチオする</p><p>こうすると気持ちいいのよ</p><p>亀頭を舌でぐるっと嘗め回す克子姉</p><p>食い付くように見ているマナ</p><p>べ、勉強になります</p><p>メグも、克子姉のテクニックを必死で覚えようとしている</p><p>克子姉は、誰からも良く見えるようにフェラを続ける</p><p>部屋中の女たちの視線を亀頭の先に感じる</p><p>男の人はね自分のオチンチンをおしゃぶりしている女の顔を見るのが好きなのだから、じっくり見せてあげてそれから、自分も相手の顔をしっかり見上げてどこを舐めた時に、気持ちいい顔をするのか観察するのよ</p><p>舌を使いながら克子姉は、オレを見上げる</p><p>あっそこ、気持ちいい</p><p>つい、声が出てしまう</p><p>うふっ可愛い</p><p>感じるオレの顔を愛しげに克子姉は、見ている</p><p>あたしも、欲しくなっちゃった</p><p>克子姉がオレに甘える</p><p>脱がせて、全部</p><p>またしても、半端なところで済みません</p><p>また土日と体調を壊しまして</p><p>これを書く以外は、ずっと寝込んでいました</p><p>扁桃腺が腫れまくっていまして頭がシャッキリしておりません</p><p>感想欄の返信も滞ってしまっていて、済みません</p><p>なるべく夜の間に、返信致します</p><p>372．夜のセックス大会　（その２）</p><p>オレは克子姉のブラのホックを外す</p><p>いつもながら、爆乳が雪崩のように零れ落ちる</p><p>それでも、普段から鍛えられたバストは、ぽよんと張っている</p><p>絶対に垂れたくないから筋トレ頑張っているのよ</p><p>あたしもだよっ</p><p>寧も克子姉ほどじゃないけれど、豊乳だもんな</p><p>マルゴお姉ちゃんが、おっぱいが垂れないエクスサイズを教えてくれたんだよっ</p><p>ああマルゴさんがトレーニングしている脇で、克子姉と寧は美容体操しているわけか</p><p>いいなああたしも、部活で筋トレするけれど垂れるほどの、おっぱいは無いし</p><p>メグが、自分の胸を見て、そう言う</p><p>メグは、その引き締まった下半身がいいんだよっ</p><p>オレは、すぐにフォローする</p><p>さっきの後ろからのセックスすごい良かったよ</p><p>メグが、オレにキスをする</p><p>こらこら、今はあたしの番よ</p><p>克子姉が、メッとメグを牽制する</p><p>もちろん、笑顔で</p><p>うーんと、お尻もおっぱいも無いマナは、どうしたらいいの</p><p>マナが、両手で下着の上から自分の胸を胸を掴んで言う</p><p>あんたはいいんだよっこれからの子なんだからっ</p><p>ヨッちゃんに気に入って貰えるように、成長すればいいんだからっ</p><p>そっかうん</p><p>マナは、笑顔で納得する</p><p>はいはい、脱線はそこまで下も脱がせて</p><p>その前にさ</p><p>オレは下着の上から克子姉の股間をまさぐる</p><p>ううんっはあぁいいわっ</p><p>克子姉は豊満な肉体を、セクシーにくねらせる</p><p>そう言えばあなたって、あんまり女の子のアソコに直接指を入れないわよね</p><p>オレにまさぐられながら克子姉が、そんなことを尋ねてきた</p><p>うん何か、指は中を傷付けてしまいそうで</p><p>オレは、正直に話す</p><p>もうそんな心配は無いのよああんっでも、いいかっあなたが、あんまりにもエッチが上手になっちゃうのも問題だしああんっ</p><p>えオレは、上手くなりたいけれど</p><p>どうせなら、みんなを気持ち良くしてあげたい</p><p>あああたしが言っているのは、程度の問題ようんっあなたが、セックスのプロみたいな高度なテクニックを身に付けちゃったら相手をする、女の子たちの方もマヒしちゃうでしょ</p><p>マヒ</p><p>毎日、超高級フランス料理ばかり食べていたら逆に舌がバカになっちゃうってこと何でもほどほどがいいのよごく普通の家庭の味っていうかずっと一緒に生活していくためにはね</p><p>確かに、毎回こってり濃厚、フルコースのセックスばかりしていたらオレの身体も保たない</p><p>あたしたちには愛があるんだものセックスは、オーソドックスでいいの変なテクニックなんて、余計よ</p><p>克子姉はセックスに夢中になりすぎて、娼婦時代に身に付けた技を使ってしまうことを恐れている</p><p>人間て欲望にブレーキを掛けておかないと、どんどんエスカレートしてしまうからどんなヘンタイ行為も、慣れてしまうわもっと、刺激的なセックスを求めてしまうあたしたちは、そうなってはいけないわ</p><p>オレは納得する</p><p>オレたち、ずっとずっと一緒に居るんだもんね</p><p>そうよ過激なセックスなんかしなくてもあなたが、ここに居てくれるだけであたしのココはこんなに濡れているわ</p><p>克子姉のパンティはグッショグショに湿っていた</p><p>オレはパンティを引き下ろす</p><p>ツツーッと熱い愛液が、克子姉の太ももの内側に流れていく</p><p>うふふ、でも</p><p>濡れた瞳で、オレを見る克子姉</p><p>過激すぎるのはダメだけれど情熱的なセックスは、いいわよねっ</p><p>ああ、どっちにしたってオレは、まだセックス初心者なんだから普通のセックスだって、よく判っていないんだよっ</p><p>そこに寝てあたしが、本当の騎乗位を教えてあげるっ</p><p>オレはカーペットの上に寝転ぶ</p><p>あ、メグちゃん彼のお尻の下に、クッションを入れてあげて</p><p>メグが、言われた通りに行動する</p><p>横たわる、オレの周りを半裸の美少女たちが、取り囲む</p><p>マナちゃん、見るのはこっち側からにしてそこだと、アニエスたちに見えないから</p><p>あっ、ごめんなさい</p><p>マナが、位置をずらす</p><p>ベッドの方の、アニエスとイーディは</p><p>ああ、2人ともオレを凝視している</p><p>正確には、天を衝いて怒張しているオレのペニスを</p><p>アニエスは、怖々とした顔で</p><p>イーディは、眼を輝かせて</p><p>うふふっもう、充分固いわねっ</p><p>克子姉が、オレのペニスを優しくしごく</p><p>麗華お姉さん、どうです彼の立派でしょう</p><p>克子姉が、麗華に意見を求めた</p><p>あのわたくし、大きくなっている男性の性器は主様のお持ちものしか拝見したことがないので</p><p>麗華は、頬を赤らめながらもオレの張り詰めた亀頭に注目している</p><p>マナだって、そうだよっそれでね一生、お兄ちゃんのしか見ないからっ</p><p>あたしもですっ</p><p>マナ、寧、メグがそんなことを主張し合う</p><p>残念ねあたしは、その仲間には入れないわ</p><p>ちょっと悲しげに、克子姉は言った</p><p>オレの亀頭に、チュッとキスする</p><p>麗華お姉さん、これが女の子の中に、全部入り込むんですよ</p><p>妖しい瞳で麗華を見る、克子姉</p><p>そんな無理です裂けてしまいますそんな大きなもの</p><p>麗華は、自分の股間を触って身体を震わせる</p><p>入るってばマナだって、根元まできっちり入るんだもの</p><p>マナも自分の胸や、股間を擦りながら、そう言う</p><p>ええそこから、見ていて下さいね</p><p>克子姉は、寝そべったオレの上に跨がる</p><p>Ｍ字開脚で、オレの前に自らの秘部を晒した</p><p>いい食べちゃって</p><p>うんいいよ克子姉</p><p>克子姉は右手でオレのペニスを掴んで、自分の膣口に誘導する</p><p>みんな見えるほらっ食べちゃうわよっ</p><p>ぷにゅう</p><p>熱く濡れた柔らかい密壷に、オレの亀頭が入り込む</p><p>あっうむっ</p><p>亀頭がずりゅっと、膣内へ侵攻する</p><p>克子姉の酸っぱい潤滑油が接合部から、ぬぷぷと滴る</p><p>オレの上で、克子姉は大きく深呼吸する</p><p>豊かな胸がゆらりと揺れた</p><p>ううんっあはぁっ</p><p>そのままずぼずぼと呑み込まれていく、オレの分身</p><p>やがて、ペニスの付け根と克子姉の下腹が、接触する</p><p>オレのペニスの袋まで次々に溢れ出る愛液で、ベトベトになっている</p><p>ほーらっ、全部食べちゃったわっ</p><p>繋がったまま克子姉が、オレに微笑む</p><p>本当に入ってしまった</p><p>改めて、男女のセックスを目の当たりにして、麗華が呟く</p><p>昨夜は、遠巻きに恐る恐る覗いていただけだもんな</p><p>じゃあ、動くわね</p><p>克子姉はピストン運動ではなく、腰を廻すように動かした</p><p>んんっんんっこういうのも、いいのよ最初は、激しくなくていいのこれ、女の子の方が気持ちいいかもしれないわね</p><p>克子姉の腰使いを寧、メグ、マナは食い入る様に見つめている</p><p>それから、こうやってキュッて締めるのっセックスすると、女の子のアソコは緩くなるっていうのは嘘だからねそりゃ、何もしなければ、びろーんって拡がったまんまになっちゃうんでしょうけれど女の子のココにだって、筋肉はあるんだから鍛えれば、どんどん締まりが良くなるわよ</p><p>膣の中に吸い込まれる様な、感じだ</p><p>え、克子お姉ちゃん締まりを良くする体操とかあるのっ</p><p>寧が食い付く</p><p>もちろん、あるわよそれも、もちろん教えてあげるけれど一番良いのは、セックスの時に手を抜かないこと脱力したまま、寝っ転がってマグロになっていたらどんどん、ゆるゆるな女になっちゃうんだからっ</p><p>克子姉が、グイッグイッと腰を振る</p><p>柔らかな肉に包まれた亀頭が色々な角度から、刺激される</p><p>えっ、マグロになるって何</p><p>ほら、港に水揚げされたマグロが、デデーンと転がっているのを見たことないあんな風に、死んだみたいに寝転がっているだけで、自分から何もしない人のことをマグロになるって言うのよ</p><p>メグが、説明した</p><p>えメグ、よく知っているな</p><p>オレの驚きの声にメグは</p><p>あっ部活の先輩が言ってたのよっ</p><p>まったく女子陸上部は、みんな耳年増だから</p><p>そろそろ、本格的にいくわねっ</p><p>克子姉は回転運動から、上下運動に切り替える</p><p>最初は、ゆっくりくいっ、くいっと下腹を押しつけてくる</p><p>あんっんんんっんっ気持ちいいわ</p><p>オレもだよ克子姉</p><p>おっぱい揉んで</p><p>揉んで揉んで欲しいのよ</p><p>オレは、下から克子姉の巨乳を揉みしだく</p><p>もっと強く乱暴にしていいから大丈夫よキツくしてくれた方が、気持ちいいのっ</p><p>克子姉の腰使いが加速する</p><p>くちゅっ、くちゅっと結合部から、水音が跳ねる</p><p>ああっいいわっ</p><p>オレの上で克子姉が舞う踊る</p><p>ね、克子お姉ちゃん</p><p>寧が、やるせない声を出す</p><p>いいわよ自分で触りなさいっほらアニエスも、そうしているからっ</p><p>オレは、顔を起こしてアニエスを見る</p><p>アニエスの真っ正面でオレたちは、セックスしている</p><p>オレたちの繋がりオレの硬直したペニスが、克子姉の中に出入りしている様子が、丸見えになっている</p><p>その結合点を凝視していた</p><p>自分の胸と股間をまさぐりがら</p><p>アニエスは自慰をしている</p><p>ああんっああっいいわぁぁいいっ</p><p>アニエスを煽る様に克子姉は、激しく喘ぐ</p><p>一方、アニエスの隣のイーディーは、呆然としてオレたちを見ているだけだ</p><p>イーディセックスについて、何も知らないんじゃないだろうか</p><p>何一つ、性教育を受けていないのかも</p><p>ううっぬはあぁああんっ好きぃぃ、好きよおっあなたぁぁ</p><p>克子姉の腰が、さらに激しくなる</p><p>叩き付けられた下腹部が、オレの下腹と当たって、パンパンパンと音を立てる</p><p>オレもオレも、好きだよ克子姉</p><p>手を手を繋いで</p><p>オレは克子姉と、両手を繋ぐ</p><p>ギュッと握りしめ合う</p><p>ああんっ2人とも、気持ち良さそうだよっ</p><p>オレたちのすぐ脇で、寧もオナニーしている</p><p>マナも、自分の秘部をまさぐっていた</p><p>メグは麗華と寄り添って、オレたちの痴態を見つめている</p><p>部屋の中の全ての視線がオレと克子姉の肉体に集まっていた</p><p>ああっああっもう、すぐキそうキそうなのっ</p><p>克子姉が、潤んだ瞳でオレを見下ろす</p><p>克子姉の肌は全身に、汗を浮かべていた</p><p>克子姉の立体的な裸身が汗の玉に、クラクラと光っている</p><p>ああ、おっぱいの谷間を汗が流れていく</p><p>キキュツと乳首は勃起してツンとロケットの先みたいに尖っている</p><p>か、克子姉お、オレも</p><p>オレの内部でマグマが立ち噴ってきている</p><p>ま、待ってもう少しもう、少しだからねっ</p><p>オレの瞳に切ない笑顔の克子姉が映る</p><p>わかった頑張るからオレ</p><p>お尻の穴にグッと力を入れ暴発しないように耐える</p><p>いい子ね優しい子大好きっああっ大好きなのおっああああっ</p><p>克子姉が一気に高みに駆け上がる</p><p>イクぅぅイッちゃうううっイクぅぅ</p><p>克子姉の身体が、弓なりに反り上がるッ</p><p>繋いでいたオレの手を、力一杯握りしめるッ</p><p>膣の中が、キュキュッッと絞られていくぅぅ</p><p>か、克子姉ッッ</p><p>いいわっ今よっ克子の中に、お漏らししてぇぇぇッッッ</p><p>限界だァァッ</p><p>ドビュゥッッ</p><p>ドドドビュビュッ</p><p>ドビュウ</p><p>精液が迸り出るッッ</p><p>ああっ来てるわあっ届いてるっ子宮が熱いのおっ</p><p>オレの白い液が克子姉の最奥を、犯していく</p><p>克子姉は、そのままオレに上に被さってくる</p><p>オレの頭をギュッと抱いた</p><p>オレは克子姉の乳首を、ちゅうちゅうと吸う</p><p>あたしのあたしのもう、離さないんだからぁぁっ</p><p>克子姉は、力一杯オレを抱き締めた</p><p>オレも歓喜の中に、意識が溶けていく</p><p>オレ克子姉の中に、溶け込んでいく</p><p>耳元に克子姉の吐息を感じる</p><p>オレ1分ぐらい、意識が飛んでいたんだろうか</p><p>ありがとう気持ち良かったわ</p><p>克子姉が、もう一度オレの唇ににキスをした</p><p>オレも克子姉も、汗まみれだ</p><p>克子姉の汗の匂いは寧やメグたちとは違う</p><p>大人の女性の匂いだ</p><p>克子姉の鼻に、汗の玉を見つけた</p><p>オレは、それをペロッと舐め取る</p><p>何をするの</p><p>克子姉の味がする</p><p>克子姉は、オレをギュッと抱き締める</p><p>オレは、克子姉と繋がったまま顔を上げる</p><p>何か、イーディが叫んでいる</p><p>不思議そうな顔で</p><p>その横で、アニエスはまだ自慰を続けていた</p><p>えっとねお前たちは、何をやっているんだだってさ</p><p>寧が通訳してくれた</p><p>オレ、思うんだけれどイーディって</p><p>オレの言葉を、寧が遮る</p><p>多分、そうだと思うよ彼女の居た暗殺教団ていうのが、どういう流れの宗教結社なのか判らないけれどアメリカには、聖書に忠実に生きることをモットーに、男女が完全に離れた生活をしている宗教団体て多いから</p><p>イーディは、セックスということを誰にも教えられていない</p><p>瑠璃子と一緒か</p><p>何の知識も無いままいきなり、オレの性行為を見せられた</p><p>さらに、イーディはキャンキャン叫んでいる</p><p>ええっとこういう場合、何て答えたらいいんだろう</p><p>セックスを知らない相手にセックスと教えてもな</p><p>すると、寧が</p><p>大丈夫、大丈夫英語には、昔から良い表現があるからっ</p><p>そして寧は、ニコッと微笑んで、イーディーに言った</p><p>MAKE　LOVE</p><p>イーディは、へという顔をする</p><p>メイク・ラブっていうのは、セックスの言い換えだからねずっと昔から</p><p>メイク・ラブ愛を作るか</p><p>うふふいっぱい、愛ができちゃったわっ</p><p>克子姉は、嬉しそうに言った</p><p>克子姉、オレのことを心配して、上になってくれたんだろ</p><p>オレは、克子姉の耳に囁く</p><p>オレが今日はもう何度もセックスしていることを知っているから</p><p>身体の負担にならないように、克子姉の方が腰を動かしてくれたんだ</p><p>そういうことは気にしなくて良いのっ</p><p>克子姉は、オレの額にこっつんと自分の額を当てた</p><p>あたしも、あなたの女の1人なんだから</p><p>抱き合って、見つめ合うオレたちにマナが</p><p>ほらっ、そろそろ離れてっ次は、マナの番でしょ</p><p>克子姉がオレの上から身体をどかす</p><p>にゅるっと半勃起状態のペニスが、克子姉の膣内から引き出される</p><p>ほらっ、お兄ちゃんも早く、オチンチン固くしてっ</p><p>マナは、顔が真っ赤だ</p><p>こいつ欲情している</p><p>あたしは、お兄ちゃんに犯される方が好きだから下になるねっ</p><p>カーペットの上に、コロンと転がるマナ</p><p>ほらお兄ちゃん、早くぅぅ</p><p>マナは、すでに汗ばんでいる</p><p>自分で触っていた股間はパンティに、大きく愛液の染みができている</p><p>抱いて、抱いて、犯してぇっ</p><p>中学2年生とは思えない艶っぽさでオレを誘う</p><p>マナの表情が変わる</p><p>何じゃ、あれはっ</p><p>ハッとして、起き上がるマナ</p><p>部屋の壁の上の方を見上げている</p><p>お兄ちゃん、何なのあれっ</p><p>いや、その</p><p>ヨッちゃんに聞いてもダメだよヨッちゃんは、直接あの人に会ったことは無いんだからっ</p><p>みんな上方を見上げている</p><p>本当、よく似ていますね</p><p>メグが、溜息を吐く</p><p>確か特注よ彫刻家に頼んだんじゃなくってレーザーか何かで、立体的にスキャニングして作らせたって話だからすっごいお金掛かってるらしいわ</p><p>あの、布で隠れているところは</p><p>麗華が尋ねる</p><p>もちろん、オチンチンが突っ立っているんだよっ</p><p>寧が答えた</p><p>何て悪趣味誰の像なんです</p><p>麗華は、知らないんだ</p><p>オレも影像でしか、見たことがないけれど</p><p>白坂創介</p><p>マナが、吐き捨てるように言った</p><p>アニエスの心を支配するために、24時間、あの像を見上げさせているんだよあの像を見ながら、1日に何度もオナニーするようにも、教育されているんだ</p><p>寧さんが遅れてきた２人、マナと麗華に説明する</p><p>気持ち悪い</p><p>像を見上げたままマナは言った</p><p>マナの中で、父親に対する思いが完全に踏みにじられた瞬間だった</p><p>ねえ、お兄ちゃん</p><p>もの凄い剣幕でマナが、オレを見る</p><p>あたしは誰っ</p><p>お前はマナだ</p><p>オレは、答える</p><p>ここで間違えてはいけない</p><p>ほんのわずかなミスで、マナの心の傷が深くなる</p><p>マナの苗字は</p><p>吉田だっお前は、吉田マナだっ</p><p>マナが、真剣な眼でオレを見ている</p><p>いいんだよね、あたし本当に、それでいいんだよね</p><p>当たり前じゃ無いかっ</p><p>お兄ちゃぁん</p><p>マナの眼から、一気に涙が零れ出す</p><p>オレの胸に飛び込んで泣きじゃくる、マナ</p><p>好き、好き、好きぃぃお兄ちゃん</p><p>泣きながらオレに何度もキスをする</p><p>ほら大丈夫だからなっマナは、ずっとオレの妹なんだからっ</p><p>オレは、マナを抱き締めてやる</p><p>え違うよ</p><p>突然、泣き止むマナ</p><p>マナは、お兄ちゃんのセックス奴隷だよ</p><p>オレ間違えたか</p><p>そのまま、マナはオレから離れて</p><p>オレの前に、土下座する</p><p>お兄ちゃん申し訳ございませんでしたマナは奴隷なのに、お兄ちゃんに甘えて我が儘ばかり言っていました本当に、ごめんなさいっ</p><p>床に額を擦り付けるマナ</p><p>どうかマナを捨てないで下さいお願いだから、捨てないで下さいマナ、何でもしますから</p><p>オレに捨てられることを、心底から恐れている</p><p>今日一日、渚と一緒に居て家族の匂いを感じて、和らいでいた心が</p><p>実父の像を見て、元に戻ってしまったんだ</p><p>マナは、お兄ちゃんと一緒がいいんですお兄ちゃんじゃないと、もうダメなんですお願いします、お願いします</p><p>これがマナの心の内面</p><p>お兄ちゃんが、マナのことを迷惑だって思っていることは判っているのでも、マナにはマナには、お兄ちゃんしかいないのっ</p><p>もう帰る家の無いマナ</p><p>オレが見捨てたらマナもまた、ミナホ姉さんに処分される</p><p>マナが白坂舞夏であることを、完全に捨て切らないと</p><p>でも、あたしお兄ちゃんの前に行くと、怖いから捨てられたくないからそう思ったら、逆にお兄ちゃんに甘えちゃうの我が儘を言っちゃうのごめんなさいごめんなさい</p><p>今までの甘えた態度は不安の裏返しだったんだ</p><p>これが現在のマナのコンプレックス</p><p>マナじゃあ、これからオレと一緒に、もう一度白坂舞夏を捨てよう</p><p>アニエスの前で</p><p>マナがアニエスを見る</p><p>あの子の前で</p><p>アニエスがお前の何なのか、知っているよなちゃんと、彼女に話すんだ白坂舞夏を捨てたって、お前とあの子の関係は変わらないんだからな</p><p>アニエスはマナの腹違いの妹だ</p><p>まずアニエスにお前の存在を知らせることそして、その上でお前がアニエスの前で、白坂創介を否定しろ</p><p>オレは、アニエスを無理矢理レイプしたいんじゃないあの子の心を開きたいんだ</p><p>さっき、マナはアニエスを見るなり、どう犯すと聞いた</p><p>マナはアニエスが、自分の妹であることを意図的に無視している</p><p>だからいきなり、そんなことを言う</p><p>自分が白坂創介の娘であることを認めたくないから</p><p>今のままでは、マナは自分のコンプレックスから抜け出せなくなる</p><p>マナアニエスのお姉ちゃんになれこれは命令だ</p><p>オレは告げる</p><p>まず自分が、白坂舞夏という過去を持った少女だということを認めろ認めなければ、きちんと捨て去ることはできない今のお前は自分の過去を無理矢理、見ないように眼を閉じているだけだそれじゃあ、永遠に白坂舞夏は、お前を追っ掛けてくる</p><p>マナは、ブルッと震える</p><p>過去の因縁も、しがらみも、一度しっかり認めてしまうしかないんだ認めて捨てろきれいさっぱりした気分で吉田マナに生まれ変われそして、そういうお前の姿をアニエスに見せてやれ</p><p>マナは尋ねる</p><p>アニエスにも、お前と同じ様に白坂創介に押しつけられた過去を捨てさせたいからだ</p><p>アニエスのお手本になれよマナお姉ちゃんだろ</p><p>判ったあたしやるよ</p><p>マナの背中をメグが抱く</p><p>あたしも、一緒よマナ</p><p>メグ、お姉ちゃん</p><p>あたしだってアニエスのお姉さんなんだからあたしも、一緒にアニエスと向き合うわ</p><p>白坂創介の裸像の下で腹違いの姉妹たちが集結する</p><p>こんな状況なのに雪乃は１人、うまい棒を囓っています</p><p>雪乃も白坂の姉妹なのに</p><p>さて次話は、マナが、アニエスの前で姉を名乗り吉田くんとセックスします</p><p>医者へ行って、薬を貰って来ました</p><p>とても眠いです</p><p>ミヤサコ氏のことがあって、健康が怖い今日この頃です</p><p>373．マナと愛し合う</p><p>ミナホ姉さん、観ている</p><p>オレは、壁に向かって叫ぶ</p><p>ミナホ姉さんのことだから、他の仕事をしながらでも、オレたちの様子をモニターしていると思うんだけど</p><p>ごめん、ミナホは今、手が離せないんだ</p><p>スピーカーから、マルゴさんの声がした</p><p>あ、マルゴさんでもいいんですこの部屋って、映像を映し出すことはできますか</p><p>できるよ白坂創介は、そこでアニエスに直接、自分が女性を犯す姿を見せつけるだけでなく自分のセックス映像を見せていたから</p><p>壁の一部が、キギンっと音を立ててスライドして機器が出てくる</p><p>部屋の照明が少し暗くなった</p><p>これで、アニエスの正面の壁に、映像を投影できるよ</p><p>マナ心の準備はいいか</p><p>マナは、ちょっと震えている</p><p>後ろから、メグがマナを抱く</p><p>大丈夫よお姉ちゃんも一緒だから</p><p>オレは、克子姉を見て</p><p>アニエスは日本語は、判るんだよね</p><p>ええ、判るわほとんど他人とコミュニケーションしないから話す方は、上手じゃないけれどこちらの言葉は判るから</p><p>オレは、さっき監視カメラの映像で観た、アニエスの自慰を思い出す</p><p>確かに、日本語で喋っていたよな</p><p>ちょっと、言葉遣いが変だったけれど</p><p>マルゴさんそこに、白坂創介の映像ファイルってあります</p><p>ちょっと待ってどういう映像が欲しいの</p><p>オレは、マナの手をギュッと握る</p><p>白坂創介の、日常の写真はありますか家族で撮した写真は</p><p>マナの手が、ビクッと震えた</p><p>あるよあたしたちは白坂創介を追い詰めるために、ありとあらゆる映像を手に入れたから</p><p>マナの額に、汗が浮く</p><p>オレは、マナの小さな胸に手を当てた</p><p>ブラジャーのカップ越しに、小さな山を包み込む</p><p>マナ、ドキドキしているな</p><p>手の平からマナの鼓動を感じる</p><p>大丈夫だから何があっても、オレはマナを捨てないから</p><p>オレは、マナの前に跪く</p><p>マナのパンティの縁を、そっと捲り上げた</p><p>そこには、オレの文字で宝のタトゥがある</p><p>マナは、オレの宝なんだから</p><p>オレは、タトゥの上にキスをした</p><p>お兄ちゃん、あたし</p><p>マナの眼が潤む</p><p>あたし頑張るから</p><p>そして、マナが壁を見上げる</p><p>そこには、父親の馬鹿げた裸像がオレたちを見下ろしていた</p><p>アニエス</p><p>マナが、アニエスに叫ぶ</p><p>ビクッとするアニエス</p><p>その隣のイーディも、マナの真剣な様子に驚いている</p><p>初めましてアニエス</p><p>改めて下着姿のマナは、アニエスにペコリと頭を下げる</p><p>あたしはあなたのお姉ちゃんです</p><p>寧が、英語でイーディに説明する</p><p>マナとアニエスの関係白坂創介が、どういう人物なのか</p><p>早口で、わーっと一気に話してしまう</p><p>こんな風に言っても、アニエスには信じられないと思うから</p><p>マナは、顔を上げる</p><p>マルゴさん、お願いします</p><p>アニエスの正面の壁に影像が映し出される</p><p>どこかの結婚式場か</p><p>正装した、たくさんの人が、明るい昼間のロビーに集まっている</p><p>茂叔父さんの結婚式だ</p><p>そう今年の３月の白坂茂の結婚披露宴の映像だよ</p><p>マルゴさんの声がする</p><p>ほんの２ヶ月前の映像か</p><p>結婚式場の入り口に、一組の家族が入って来る</p><p>父母と２人の娘</p><p>アニエス判るあれが、あたしだよ</p><p>白坂創介と料理研究家の奥さん</p><p>そして雪乃とマナ</p><p>自信に満ちた笑みを浮かべ娘たちをエスコートする、白坂創介</p><p>雪乃もマナも、綺麗なドレスを着ている</p><p>あの人が、あたしの父親判るわよね、アニエス</p><p>映像の中で、父親がマナを抱き締め頬にキスしている</p><p>幸せそうな笑顔のマナ</p><p>幸福そうな４人家族</p><p>パパン</p><p>アニエスが言葉を漏らす</p><p>白坂創介と家族たちはロビーで出会った人たちに、次々と挨拶していく</p><p>ずっと笑って楽しそうに</p><p>どこから見ても幸せそうな美しい家族にしか見えない</p><p>一組の家族が、白坂創介に挨拶する</p><p>あたしだわ</p><p>それは養父母とメグ</p><p>メグの養父母の山峰夫妻は、地味な礼服を着ている</p><p>雪乃たちがドレス姿なのにメグは、中学の制服を着ている</p><p>ペコペコと頭を下げる山峰父に、白坂創介は横柄な態度で接している</p><p>メグはただ、じっと床を見ている</p><p>ごめんね、メグ、お姉ちゃん</p><p>あたしあんなに態度の悪い子だったんだ</p><p>画面の中のマナはツンとしているだけだ</p><p>別に雪乃みたいに、あからさまにメグを蔑視したりはしていない</p><p>しかし、マナは過去の自分が、許せないらしい</p><p>あたし何も判っていなかったんだね何も、見えていなかったんだパパは立派な人であたしたちを、愛し育んでいるんだって信じていたんだもんっ</p><p>映像は、披露宴の会場内に切り替わる</p><p>家族で同じテーブルを囲んでいる、マナたち</p><p>マナが、父親に甘える</p><p>雪乃が、ツンツンしてマナを叱っている</p><p>笑っている、白坂創介</p><p>母親も、優しく娘たちを見守っている</p><p>全部、嘘だったんだよこんなのパパはあたしたちに内緒であたしたちを裏切っていたんだからさっ</p><p>観てるよね判るよねあたしは、あの人の娘であたしたちだけが、あの人の家族だったんだよっ娘だったんだよアニエスっ</p><p>マナの心が炸裂する</p><p>なのに、何であなたはいるのどうして、あなたみたいな子が、パパにいるのよっ</p><p>アニエスは呆然としている</p><p>あたしはパパの娘だったんだよっ尊敬していた頼りにしていた大好きだったんだ</p><p>画面の中の２ヶ月前のマナは</p><p>父親を心から慕っているようだった</p><p>でも、パパはお外で悪いことや酷いことをいっぱいやっていた汚らしくて、いやらしいことをたくさんの女の人を苦しめて、恥ずかしい思いをさせていたんだあたしたちの前では、立派なお父さんのフリをして</p><p>マナの中で父親への嫌悪が高まっていく</p><p>そしてパパは、家族をあたしたちを、メチャクチャに壊してしまったのっ</p><p>パパが馬鹿だったからパパが身勝手過ぎたからあたしたち、白坂の一族から見捨てられたのよ市川のお祖父ちゃんにもママにも見捨てられてあたしどこにも帰る場所がなくなっちゃったんだからぁ</p><p>映像の中の白坂創介は白坂の一族の中で、悠々としている</p><p>白坂家当主、白坂守次のお気に入りの甥っ子として一族の中で、確固たる地位を築いていた白坂創介は</p><p>その家族である雪乃やマナも一族のプリンセスの様に、輝いていた</p><p>ほんの２ヶ月前の映像だ</p><p>あたしは、もう家には帰れない学校にも戻れないお友達はみんな、もう、お友達ではなくなっちゃってると思う</p><p>白坂創介はワイセツ事件の犯人として、マスコミで槍玉に挙げられ</p><p>庇護者であった白坂守次氏は、失脚した</p><p>白坂家からは、一時期、一家全員の抹殺指令まで出ていた</p><p>あたしパパのせいで、何もかもなくしてしまったんだよおっ</p><p>マナの瞳からワッと涙が溢れる</p><p>白坂舞夏でなく、吉田マナになったと頭では割り切っていたつもりだったのに</p><p>マナの心の中には、いまだに舞夏が生きている</p><p>幸福だった頃を思い出しそれを破壊してしまった父を憎しみ</p><p>舞夏の情念が、暗く渦を巻いている</p><p>舞夏は消えていない</p><p>判るぅアニエスあたしのパパあなたのパパだよっ</p><p>マナが、スタスタとアニエスに近寄る</p><p>恐怖の表情を見せるアニエス</p><p>マルゴお姉さんっあたしとアニエスの顔カメラで撮して、投影できますか</p><p>マナが、大きな声で尋ねた</p><p>できるよ</p><p>隠しカメラの映像が大きく壁に映し出される</p><p>大映しになったマナとアニエスの顔</p><p>マナは、その画面を指差し</p><p>あれ、判るこっちが、あたしよっそっちがアニエスっ</p><p>あれ、アニエス</p><p>自分の顔を撫でるアニエス</p><p>壁の中のアニエスも、同じように顔を触る</p><p>そうよ、あれがアニエスこっちが、あたし</p><p>そして、自分の顔を指差し</p><p>ようく、見てあたしの眼と口、アニエスにそっくりでしょ</p><p>マナは、自分の顔のパーツと画面のアニエスの顔を比較して見せる</p><p>アニエスは、混乱している</p><p>そっくりなのよ姉妹だからっあたし、昔からずっと、眼と口はパパに似ているって言われて来たのっ</p><p>マルゴさんが画面を分割して、さらに白坂創介の顔のアップも映し出す</p><p>それがアニエスも、同じなのよっアニエスの眼と口も、おんなじ形をしているわっ</p><p>半泣きの状態でマナは、言った</p><p>さらにアニエスに近寄りその肩を掴む</p><p>アニエスはあたしの妹なんだよっ</p><p>震えた声で、マナは叫んだ</p><p>後ろから、メグがマナを抱き締める</p><p>あたしとだって耳が似ているじゃないずっと、そう思っていた鼻だって</p><p>そして、メグもアニエスに言う</p><p>あたしも白坂創介さんの娘なの見て、あたしとマナの耳おんなじでしょ</p><p>アニエスは、ただただ呆然としている</p><p>正面からアニエスと向き合って、その肩を掴むマナ</p><p>そのマナを後ろから抱き締めているメグ</p><p>腹違いの３人の姉妹が１つの塊と化している</p><p>イーディを見る</p><p>マナの言葉と状況の解説を、寧が逐一しているからイーディは、ジッとこちらを見ているだけだ</p><p>麗華を見る</p><p>もしイーディが、何か行動を起こしたら、すぐに押さえ込める位置に麗華は移動していた</p><p>マナ、いつまで白坂舞夏を引きずっている</p><p>オレはマナに告げた</p><p>ごごめんなさい、お兄ちゃん</p><p>ハッとなるマナ</p><p>お前結局、どこにでも行き場がないから、仕方無くここに居るのか</p><p>オレは、わざとマナを突き放す</p><p>ち、違いますマナは</p><p>どう違うんだ</p><p>マナが、オレに振り向こうとする</p><p>こっちを向くな、マナ</p><p>オレは、ゆっくりとマナに近付きながら低い声で言う</p><p>オレじゃなくってアニエスに説明しろ</p><p>あ、アニエス聞いて</p><p>アニエスが、マナを見上げる</p><p>お兄ちゃんはねとっても、優しいんだよみんなから見捨てられたあたしを掬ってくれたのマナのこと、とっても大切にしてくれているんだよ</p><p>そんなマナに、横からメグが囁く</p><p>マナ、それだけでは足りないわ</p><p>マナはずっと助けてくれる、ヨシくんに甘えているだけだもの生きていく場所をヨシくんに作って貰って、それだけに安穏としてマナ自身は、ヨシくんに何も返していないんだもの</p><p>そそんなことないよマナ、お兄ちゃんのためなら、どんなことでもするよエッチだって</p><p>判っていないのね</p><p>マナがヨシくんに返していないのは、行為ではないわ心よ</p><p>マナはヨシくんが、マナのことが好きだってこと、判っているでしょ</p><p>うん判っているよ、あたし</p><p>だからヨシくんが、マナのことを好きなんだからマナは、ヨシくんにどれだけ甘えても構わないエッチの相手だけしてあげればいいんだって、思っているでしょ</p><p>そんな風に思ってはないよ</p><p>腹違いの妹を抱いたままメグが言った</p><p>だって、それじゃあマナ、まるで雪乃さんみたいじゃない</p><p>マナは、実姉の名前を出した</p><p>そうよマナは、雪乃みたいなことをしているわ</p><p>メグははっきり言った</p><p>雪乃は自分がヨシくんに好かれていると思って、ずっといい気になっているわマナだってだから、雪乃が嫌いなんでしょ</p><p>うん雪乃さんは、お兄ちゃんに優しくないからマナ、大ッ嫌い</p><p>でも、マナは雪乃と同じことをしているのよ</p><p>マナは、しばらく考え込む</p><p>そうかもしれない</p><p>そうだってば</p><p>克子姉が、オレに近付きそっと耳に囁く</p><p>これとっても良い教育になっているわアニエスにとって</p><p>アニエスは今まで本気で悩んだり、考えたり、相手を気遣って話をする人を見たことがないからアニエス、生まれて初めて直面しているのよ</p><p>何に</p><p>人生に</p><p>この地下室に、生まれてからずっと監禁され</p><p>いつの日にか、父親である白坂創介の性奴隷になるという運命だけを押しつけられてきた</p><p>白坂創介を崇拝することと白坂創介を想って、自慰することしか許されて来なかった</p><p>それが、今</p><p>本気で語り、本気で悩む姉妹たちと出遭った</p><p>マナはすぐに、ヨシくんに犯してって言うでしょ</p><p>それって、自分からヨシくんに与える気が無いってことだと思うの自分には特別な価値があって、それをヨシくんが奪うのを許してあげているっていう感覚でしょヨシくんに対して、上から目線だと思うのよ</p><p>マナは、認める</p><p>いえマナだけじゃないわねあたし、今、客観的にマナのことだって思ったから、そういう風に言ったけれどあたしにも、そういうところがあると思う</p><p>あたしもヨシくんにすぐ犯してって言っちゃうものあたしが、不安になってヨシくんに抱いて貰っているのに</p><p>ああやばい</p><p>このままメグが、自己批判に入るとフォローするのが大変になる</p><p>当たり前じゃないかっ</p><p>オレは、少し強めのテンションで言葉を発した</p><p>メグとマナは姉妹なんだからっ似ているところがあるのは、当然だろっ</p><p>わざと論点をぼかす</p><p>そんなことよりいつまで、オレを待たせるんだっ</p><p>オレ早く、お前とヤリたくてうずうずしているのにっ</p><p>オレはマナの背後に寄る</p><p>メグが、さっとマナの脇に移動する</p><p>オレは、マナを四つん這いにさせた</p><p>マナはまだ両手で、アニエスの肩を掴んだままだ</p><p>マナとアニエスの顔は、接近して向き合ったままだ</p><p>マナヨシくんは、一生あたしたちを大切にしてくれるって約束してくれたわよね</p><p>マナの耳にメグが囁く</p><p>マナはヨシくんに、何を約束するの</p><p>マナは悩んでいる</p><p>ヨシくんあたしは決めたわ</p><p>メグが、オレに振り向いた</p><p>あたしヨシくんの最高のパートナーになるからっ学校でも卒業した後でも、恵美と付き合っていることで、ヨシくんに恥ずかしい思いは絶対にさせないから勉強も部活も頑張るし綺麗にもなるわっ死ぬ気で頑張るもう、みすずさんや他の子に、コンプレックスは持たないわよっ</p><p>そうじゃないとたまたまヨシくんと同い年で、クラスメイトだったから、ヨシくんの隣に居られるっていうだけじゃあたし、嫌だもの</p><p>あたしたまにねヨシくんは、本当はあたしじゃなくって、みすずさんや寧お姉さんが隣に居る方が、嬉しいんだろうなって思っちゃう時があるのそういうことを考える自分が嫌なの今までは、そういうネガティブなことを考えて落ち込んでいたらいつも、ヨシくんが助けに来てくれたわそんなことないよ、愛しているよって、優しくしてくれてあたし、そういうヨシくんに甘えていた</p><p>メグのコンプレックス</p><p>でも、そんなことをずっと続けていたらダメなのよあたし、判った自分が、他の子たちよりも劣っていると感じるのならヨシくんにとって価値のある女になるために、自分を高めるしかないのねっどんなに口惜しくても、食らいついていくしかないのね</p><p>メグは決意する</p><p>だって、あたし絶対に、ヨシくんと離れたくないものっ大好きなんだものっ</p><p>メグが、オレに抱きついて来る</p><p>マナだって、そうだよ</p><p>オレの前で四つん這いになっているマナが、そう呟いた</p><p>マナだって大好きですっお兄ちゃんと、離れたくないっ</p><p>でも、マナまだ、自分がお兄ちゃんのために何ができるか判らないからマナ、まだ子供だからだから</p><p>マナは告げた</p><p>抱いて下さいマナの身体で楽しんで</p><p>ああ抱くぞ、マナ</p><p>マナは、眼の前のアニエスに告げる</p><p>アニエスマナ、これから、お兄ちゃんにセックスして貰うねお兄ちゃんとのセックスは、とっても気持ちいいんだよっお兄ちゃんは、マナのことを愛してくれているし</p><p>メグがオレの眼の前で、マナのパンティを下ろしてくれた</p><p>マナのそこはすでに潤っている</p><p>割れ目が緩んで濡れて光っている</p><p>マナもお兄ちゃんのこと、心の底から愛しているんだものっ</p><p>オレは勃起を膣口に当てる</p><p>ああっお兄ちゃんの熱い</p><p>マナは、アニエスをジッと見ている</p><p>いくぞ、マナ</p><p>来て下さい</p><p>オレはマナの腰を掴んで亀頭を押し込む</p><p>アニエスの肩を掴んだマナの手に力が入る</p><p>ああっ入って来るぅぅ</p><p>１４歳の膣は狭い</p><p>力を込めて割り込んでいくぅぅ</p><p>ああああーっお兄ちゃぁぁん</p><p>マナの背中が、ギュッと反り返る</p><p>オレは、マナの中に亀頭を潜り込ませるっ</p><p>ずるぅぅ</p><p>張り詰めた亀頭が、狭い入り口を越えた瞬間一気に奥へと滑り込んでいく</p><p>ああああーっ、入っているぅぅマナ、お兄ちゃんのものになっちゃってるぅぅ</p><p>ズンッ</p><p>亀頭の先が幼い子宮の入り口に、キスする</p><p>マナ、入ったよ</p><p>オレは、後ろからマナを抱き締める</p><p>うん判るよ、お兄ちゃん</p><p>マナは思い切り背中を捻って、顔をオレに向けキスをせがむ</p><p>オレも身体を伸ばし小さな唇に、そっとキスした</p><p>マナは舌を求める</p><p>絡め合う舌</p><p>舌と秘部上下で粘膜を擦り合わせる、オレたち</p><p>マナとセックスするのお兄ちゃんは、好き</p><p>マナも好きお兄ちゃんとのセックス</p><p>マナは、再びアニエスを見る</p><p>とっても幸せなんだよっお兄ちゃんとのセックスはっ</p><p>しあわせ</p><p>アニエスが呟いた</p><p>アニエスは、今まで一度も幸福を感じたことがないのかもれない</p><p>そうだよっ心と身体の中のね欠けていたところが、あったかいものでいっぱいになるんだよっ</p><p>マナが、アニエスに言う</p><p>お兄ちゃんブラ、外して</p><p>マナが、オレにねだる</p><p>お兄ちゃんに触って欲しいから</p><p>オレは、マナの背中のホックを外す</p><p>四つん這いのバックで挿入したままマナのおっぱいを揉む</p><p>んっ気持ちいい</p><p>マナは、嬉しそうに言った</p><p>お兄ちゃん動いて、動いて下さいマナのお腹の中掻き回して</p><p>あっはっはっはっうんっ</p><p>奥をズンと突く度に、マナが息を漏らす</p><p>どうしよう、気持ちいいよアニエス</p><p>アニエスは眼の前で繰り広げられている痴態を、ジッと見つめている</p><p>アニエスこれが本当のセックスよ</p><p>白坂創介がやっていたのはただの虐待で愛の行為じゃ無かったんだから</p><p>そうだよアニエスあたし、今愛してるのっ愛して貰っているしあたしも、愛しているのっ</p><p>マナは、自分自身でも腰をくねらせる</p><p>マナ、大丈夫か痛く無いのか</p><p>もうセックスは何度もしているけれどやっぱり、小柄な１４歳の肉体だ</p><p>無理をさせてはいけないと思う</p><p>平気っていうか、あたし美智さんの言っていたこと、判っちゃった</p><p>ちょっと痛い方が気持ちいい愛されてるって、感じるのお腹の中が、とろとろに溶けてくるのっ</p><p>マナが悦びの声を上げる</p><p>ああっあっああーっ</p><p>マナ、アニエスを掴んでいる手を離してオレの方に身体を預けろ</p><p>オレはマナと繋がったまま床に座り込む</p><p>座位だ</p><p>後ろから、マナの足を大きく開かせて結合部を、アニエスにはっきりと示す</p><p>見てぇぇお兄ちゃんのが、マナの中に入っているでしょ</p><p>マナが、アニエスに微笑む</p><p>さっきの克子姉とのセックスは遠くから眺めていただけだし</p><p>何より克子姉は、豊満な大人の女性のボディをしている</p><p>しかし、マナは</p><p>１２歳のアニエスと、そう変わらない熟成度の肉体だ</p><p>それが眼の前で、オレのペニスを根元まで受け入れている</p><p>アニエスは、驚きで自慰すらしていない</p><p>ただオレたちのセックスを見ている</p><p>お兄ちゃんチュウ</p><p>マナがまた、キスをせがむ</p><p>唇を交わすオレたち</p><p>好き</p><p>オレの上で、マナがグリグリと腰を廻す</p><p>こんな風にやっていたよね克子お姉さんが</p><p>あんっこれも気持ちいい</p><p>オレは、マナのおっぱいの感触を楽しむ</p><p>乳首をコリコリと指で擦った</p><p>うんっそれもいいよぉっ</p><p>マナの身体が、悦びに震える</p><p>お兄ちゃんマナ、どうしたらいいどうしたら、お兄ちゃん、気持ちいい</p><p>セックスしたら色んなこと、判ってきたよあたし</p><p>お兄ちゃんに心をあげるってどうすれば、お兄ちゃんが喜んでくれるか、考えることなんだねお兄ちゃんが喜んでくれたら、マナも嬉しいううん、お兄ちゃんを喜ばすために、マナは生きているんだよっ</p><p>マナが、キュッとオレの勃起を締め付ける</p><p>ね、マナ、どうしたらいいどうしたら、お兄ちゃん、喜んでくれる</p><p>マナオレ、そろそろ出したい</p><p>うん、出してマナの中に、いっぱい出して妊娠させちゃっても、いいんだからねっ</p><p>だから、オレガンガン、突き込みたい</p><p>座位だと思いきり、腰が使えないから</p><p>判ったマナからも、お願いがあるんだけれど</p><p>お兄ちゃんのお顔を見ながらしたいマナの中で気持ち良くなる、お兄ちゃんの顔を見せてっ</p><p>正常位で、再度、繋がり合う</p><p>マナ、一気に行くぞ</p><p>うん我慢しないでいいからねマナのことメチャクチャにしてぇぇ</p><p>思いっきり、腰を突き込むっ</p><p>出したいマナの中に</p><p>オレの欲情を吐き出したいっ</p><p>あっあっあっはっんんっああっ</p><p>オレの下でマナの小さな身体が揺れる</p><p>小さなおっぱいも、円を描くようにゆらゆらと踊る</p><p>オレの身体から、汗がぽたぽたと落ちマナの白い肌を濡らしていく</p><p>んんっんっんんんっんんっ</p><p>さらに加速するオレの突き込みにマナは苦悶の声を漏らす</p><p>オレも、もう止まらない</p><p>ああっ、マナ、マナっ、マナっ</p><p>お兄ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃん好きぃぃ</p><p>あももうすぐだ</p><p>マナイクよイクよマナぁぁ</p><p>出してぇぇマナの中いっぱいにしてぇぇ</p><p>イクぅぅっっ</p><p>噴流が幼い子宮を侵すッ</p><p>熱いの来たぁぁっ届いているよおっ</p><p>マナが、下からオレをギュッと抱き締めてくれる</p><p>マナぁぁ</p><p>オレは、マナの舌を求める</p><p>中学２年生と深くキスしたまま、オレは射精を続ける</p><p>キュッ、キュッキュッ</p><p>自分の意志と関係無く、何度も尻の穴がすぼまる</p><p>その度に精液が、ビュッビュッとマナの膣に注がれた</p><p>すっかり、汗だくだった</p><p>マナを抱き締めたまま脱力する</p><p>ごめん、マナ</p><p>どうして謝るの</p><p>マナが、オレの下できょとんとしている</p><p>マナはイケなかったろオレだけイッちゃって</p><p>マナは、オレの頬に、チュッとキスして</p><p>そんなの気にしなくていいんだよっ</p><p>マナは今、とっても幸せなんだもんっ</p><p>オレの頬を優しく撫でてくれる</p><p>お兄ちゃんが、マナで気持ち良くなってくれる顔を見ていたらお腹の底が、キュンてなっちゃうのっマナ女の子に生まれてきて良かったよっ</p><p>マナは言った</p><p>ううん生まれてきて良かったお兄ちゃんに遭えて</p><p>こいつはオレの女だ</p><p>一生、守らないといけない</p><p>見てたアニエスこれが、セックスだよこれが、好きな人と愛し合うってことだよそれでね</p><p>マナが、オレの頭を抱き締める</p><p>これが、あたしの愛している人っあたしの大好きな、お兄ちゃんなんだよっ</p><p>うむ、マナはこれで落ち着きそうな気が</p><p>同時進行で、色んな子の心が変化しています</p><p>アニエスの処女喪失は、一気にやらないです</p><p>アニエスが自分から求めるまで焦らします</p><p>そういう方向で</p><p>無理矢理は、もう一人の子の方でやりますので</p><p>（イーディじゃないですよイーディは、無理矢理は不可能です）</p><p>対比させた方が良いと思いますので</p><p>昨日一日休んだら、大分良くなりました</p><p>ご心配をお掛けして、申し訳ありません</p><p>寒い日が続いていますので、皆様、ご自愛下さい</p><p>選挙カーが、うるさいですけれど</p><p>374．家族になっていく、オレたち</p><p>マナが、甘えてくる</p><p>オレたちは、まだ抱き合ったままで下半身は、繋がってる</p><p>キスして下さい</p><p>オレは、マナと唇を合わす</p><p>抜くよ</p><p>うんちょっと寂しいけれど</p><p>オレは、マナの中からペニスを引き抜く</p><p>ぬぽんっと、膣口から亀頭が外れると同時に白い精液が、ダララッと溢れ出る</p><p>こんな量を射精したんだ</p><p>見てぇ、アニエスこんなにたくさん出して貰っちゃった</p><p>マナは、指で精液を掬いペロッと舐める</p><p>苦っ</p><p>無理にそんなことしなくていいんだぞ</p><p>オレがそう言うと、マナは</p><p>お兄ちゃんのだもんっ今度は、お口に出してねマナ、呑むからっ</p><p>マナが呑んだらお兄ちゃん、嬉しいと思うのマナ、お兄ちゃんが喜ぶことは何でもしてあげたいから</p><p>汗ですっかり湿った身体を起こしてマナが、起き上がる</p><p>お掃除するねっ</p><p>半勃起状態のオレのペニスを掴み、はむっと口に含む</p><p>下でペロペロと亀頭を舐めしゃぶり尿道に残った精液を、吸い取ってくれる</p><p>マナは、オレのペニスを大切なもののように愛しげに愛撫する</p><p>そんな様子をアニエスは、呆然と見ていた</p><p>はい、綺麗になりましたお兄ちゃんもっと舐めた方が良いもう１回、大きくするマナ、もっとしても平気だよそれとも、メグお姉ちゃんや寧お姉ちゃんと交代した方がいい</p><p>オレのペニスを握ったまま１４歳の全裸の少女が、ニコッと微笑む</p><p>マナは今のセックスで、大きく変わった気がする</p><p>今までのマナなら</p><p>＊＊してあげたようかとか＊＊したあげた方がいいという、言葉遣いをしていたと思う</p><p>そのしてあげるが消えた</p><p>いやちょっと、休ませてくれよ</p><p>マナは、知らないだろうけれど</p><p>オレは、今日は寧の処女喪失で３回射精して以来美智とみすずとメグと克子姉、そしてマナだ</p><p>そろそろ体力の限界だ</p><p>うん、じゃあ休もうねっ</p><p>マナは、最後にもう一度亀頭をペロッペロッと舐めてくれた</p><p>ミス・イーディが、横から何か叫んでいる</p><p>すぐにマナが、英語で返答する</p><p>ミス・イーディ、何だって</p><p>そんな物体を、お腹に差し込まれてお前は、痛く無いのかだって</p><p>マナは、クスッと微笑む</p><p>だからちょっと、痛いけれどでも、とっても幸せなんだよっ、あたしっって、答えたのっ</p><p>マナがさらに英語で、イーディに言う</p><p>イーディが、信じられないという顔をして、また何か言う</p><p>それを寧とマナが、英語で返事する</p><p>うん、イーディの大好きな、美智さんもお兄ちゃんと、こういうことをしているんだよっって、教えてあげたのっ美智さんは、お兄ちゃんとセックスしてから３倍も強くなったんだよって</p><p>そしたら、ミス・イーディが嘘だ、そんなはずは無いって言うから</p><p>あたしと寧さんで、本当なんだよって教えてあげたのっ</p><p>また、寧が英語で何か言う</p><p>イーディが、不機嫌な顔で返事をする</p><p>次に美智に会った時に、本人に確認してごらんっって言ったら、絶対にそうするっだってさ</p><p>そしてオレに囁く</p><p>ね、ヨッちゃんイーデイも、家族にしちゃうつもりだよね</p><p>あ、違うのイーディ、可愛いじゃん</p><p>いや確かに、イーディは金髪に、大きな青い眼褐色の肌の美少女だけど</p><p>性格というか、性質はともかくとして美少女なのは間違いない</p><p>ミス・コーデリアが、眼を付けるくらいだし</p><p>でも、オレとは、全然、コミュニケーションが取れないし</p><p>だって、ほらイーディが、身内になった方が、ヨッちゃんたちの警護のためにはいいじゃない</p><p>寧なんだよ、それ</p><p>ほら、あたしたち、色々あって今の黒い森には、警護役が不足していることは、判っていたでしょ</p><p>そりゃ前みたいに、マルゴさん一人じゃ問題だったけれど今は、恭子さんたちがいるし、美智も、麗華もいるし</p><p>恭子さんは色々忙しい人だから、お屋敷にずっと張り付いているわけにはいかないんだよ本業もあるから</p><p>本業</p><p>マランドロ</p><p>ああ恭子さんが属している、南米の犯罪組織</p><p>美智はみすずたちの方に、フルタイムで付いているでしょていうか、みすずたちの警護からは、基本的に離れられないよねまあ、あっちは、関さんたちも居るから心配しないで任せられるけれどでも、ヨッちゃんたちの方は</p><p>わたくしがおりますが</p><p>不本意そうに麗華が言った</p><p>あ、ごめーん麗華お姉さんには、まずは渚お姉ちゃんたちの警護を優先して貰いたいのそれにこれから多分、マルゴお姉ちゃんがお屋敷を留守にすることが多くなると思うから麗華お姉さんには、こっちの警護もお願いしたいし</p><p>マルゴさんには、何か大きな夢があるってことは、前にも寧が言っていたな</p><p>それに麗華お姉さんは、学校の中までは入って来られないでしょ</p><p>美智や美智の姉が、同じ学校の生徒として、みすずや瑠璃子を守っているようにはいかない</p><p>それから、ほら、イーディはあたしたちの学校に編入させる予定でしょしかも、ヨッちゃんたちと同い年なんだからクラスも一緒になるんだろうしアメリカからの転校生のイーディの面倒を見るっていう形で、そのまま警護役をやって貰えばいいじゃない</p><p>あの寧お姉さん</p><p>後ろから、メグが言った</p><p>イーディの面倒は、あたしが見ますからでも、家族にするのは</p><p>恵美何が不満なの</p><p>だってぇぇ</p><p>メグは眉を顰める</p><p>あー、あんた学校に居る間は、ヨッちゃんのこと独り占めできるとか思っていたでしょうそんなの最初っから、許さないからねっ学校内のエッチとか、あたしもするんだからっ</p><p>寧がニタッと笑う</p><p>そりゃ放課後の部室とか、シャワー室でのエッチは譲ってあげてもいいけれど授業中の屋上とか、保健室でのエッチはあたしもするからねっ</p><p>あの姉さん</p><p>何よ、ヨッちゃん</p><p>授業は、ちゃんと受けさせてくれよ</p><p>そりゃ、寧は授業をサボッて、屋上に居る方が多いんだろうけれど</p><p>えっ、ヨッちゃん、したくないのっみんなが、一生懸命勉強している時に、二人っきりでモフモフするのが、いいんじゃないっ</p><p>ああっと</p><p>正直授業時間に、校長室で雪乃を犯したことがあるから</p><p>授業中のセックスの背徳感の美味も判る</p><p>じ、じゃあたまになら</p><p>そうこなくっちゃ</p><p>そう言う、オレと寧にメグ</p><p>ダメよ、ダメダメ寧お姉さん、ヨシくんを堕落させないで下さいっ</p><p>えー、ヨッちゃんがいいって言っているんだからいいじゃんかぁぁ</p><p>パンパンパンと、克子姉が手を叩く</p><p>はいはいそこまでよ</p><p>克子姉は、オレとマナにタオルを渡してくれる</p><p>あたしたちは、シャワーを浴びましょう</p><p>うん、オレもマナも克子姉も汗と愛液と精液で匂っている</p><p>寧様は、恵美ちゃんとエア・マットと毛布とタオルケットを取って来て下さいな延長、コードとタップもねこの地下室の奥の倉庫にありますから台車もマットは４つあれば、全員寝られると思うわ</p><p>わたくしも行きましょうか</p><p>克子姉は、ミス・イーディを示す</p><p>うん相変わらず、あの子には監視役が必要だ</p><p>あそうですね</p><p>納得する麗華</p><p>あのさっ克子お姉ちゃんっ</p><p>寧が、ちょっと強い口調で言った</p><p>あたしのこと寧様って、呼ぶのそろそろ辞めてよっ</p><p>あごめんなさい、ずっと癖になっていたから</p><p>寧でいいよっ寧で</p><p>じゃあ、あなたも克子姉とか克姉でいいわ</p><p>あたし克っつんて呼ばれるの、好きだったし</p><p>じゃあ、克姉ねっ</p><p>行くよっ、恵美付いておいでっ</p><p>あ、待って下さい寧お姉さんっ</p><p>寧とメグが開けっ放しのドアから出て行く</p><p>さあシャワーに行きましょう</p><p>克子姉が、オレとマナに手を差しのばす</p><p>シャワーと浴槽は、部屋の一角に備わっていた</p><p>この部屋が娼館のアトリエだった頃からの設備らしい</p><p>裸婦デッサンのモデルになった娼婦がここで身体を洗った</p><p>浴室の設備の周りに、壁は無い</p><p>全て、剥き出しになっている</p><p>換気システムは、万全だから湯気や湿気は、室内に籠もらないから安心して排水も、ちゃんとしているし</p><p>そう言って、克子姉はシャワーを出す</p><p>水は、すぐにお湯になった</p><p>はいマナちゃんを洗ってあげて</p><p>克子姉が、オレにシャワーヘッドを手渡す</p><p>はあい</p><p>オレはマナの身体を洗ってやる</p><p>手の平ですべすべしたマナの肌を擦る</p><p>うふふっくすぐったいよおっ</p><p>マナが、笑った</p><p>くすぐったくって幸せっ</p><p>克子姉は、ボデイソープを出して自分の裸身に付けている</p><p>あなたぁっ</p><p>オレの背中に擦り付ける</p><p>ぬるぬるしてて、柔らかくて気持ちいいっ</p><p>何それ、マナもするぅぅ</p><p>マナもボディソープを自分のおっぱいに垂らして</p><p>オレの胸に押しつける</p><p>２１歳の美女と１４歳の美少女にサンドイッチにされる、オレ</p><p>ええっ、こっちも負けてられない</p><p>オレも、マナのお尻に手を伸ばす</p><p>いやぁんっお兄ちゃんのエッチ</p><p>エッチだぞおっ</p><p>オレは手を泡だらけにして、お尻をこねくり回す</p><p>マナのお尻の穴にも指でタッチした</p><p>ひいぁんっ</p><p>身体をくねらせるマナ</p><p>マナもしちゃうんだからっ</p><p>マナもオレのお尻を洗ってくれる</p><p>スポンジもタオルも使わない</p><p>素手と素肌で、お互いの身体を擦り合う</p><p>ほらほら、二人とも暴れないのっそこに座って背中を洗ってあげるから</p><p>オレは、克子姉の前にしゃがみ込む</p><p>克子姉はスポンジを泡立てて、オレの背中を洗ってくれた</p><p>その間、マナがオレの腕と足を洗ってくれる</p><p>あたしずっと、寧様とかマルゴ様って呼んでいたでしょ</p><p>不意に克子姉が言った</p><p>そう言えばミナホ姉さんのことも、一人だけお嬢様って呼んでいた</p><p>あたしねずっと、二人が羨ましかったの寧様もマルゴ様もこのお屋敷の中に居るのに娼婦じゃなかったから</p><p>心のどっかでここは娼婦の館で、あの人たちはお客様なんだって、気持ちがあったんだと思うわだから、ずっと様を付けて呼んでいたのね</p><p>ミナホ姉さんは娼婦を引退していた</p><p>しかし、この屋敷の実質的な運営者だったからお嬢様か</p><p>もう、いいじゃないか克子姉は、もう娼婦じゃないんだから</p><p>オレは克子姉に振り向いて、そう言う</p><p>ええそうねでも、あなたにだけ話しておきたかったの懺悔として</p><p>克子姉は、そう言ってまた、オレの背中洗いに戻る</p><p>マナはわざと聞いていないフリをしていてくれた</p><p>ね、お兄ちゃん</p><p>あたし本当に、スーパーモデルになれると思う</p><p>オレはアニエスを見る</p><p>アニエスは、自分のベッドの上からこちらをじっと見ている</p><p>オレたちは、ずっと彼女の世界を浸食している</p><p>このシャワーだって今までずっと、彼女が独占して使ってきたものだ</p><p>こいつらは、いつまで、この部屋に居るんだという思いで、いっぱいだろう</p><p>いや、そんなことは今はいい</p><p>アニエスの顔は、あからさまに不機嫌だが</p><p>ここからでも、彼女の美貌ははっきりと判る</p><p>肉体も手足が長く、スラッとしている</p><p>アニエスのお母さんも美しい人だったとは聞いているけれど</p><p>彼女を美少女に育て上げるために様々なプログラムが組まれていたという</p><p>食事と運動の両面で</p><p>黒い森に、そういう育成プログラムが確立しているのならマナを、スーパーモデル級の美少女に育て上げることは可能だろう</p><p>いや待てよ</p><p>寧だって克子姉や、渚だって</p><p>みんな、精神的には、とてつもない苦しみも抱えながら美しい女性になっている</p><p>その美貌をキープしていた</p><p>アニエスだけじゃない</p><p>黒い森のプログラムはすでに完成しているんだ</p><p>マナは絶対に、綺麗になるスーパー・モデルになれるだけの美しい女の子には、必ずなれるよ</p><p>オレは、確信を持ってマナに言った</p><p>でも、スーパー・モデルクラスの美女になることと本当にスーパー・モデルになることは、別のことだろやっぱり、マナの努力が必要なんだと思うよ</p><p>努力するよあたし</p><p>マナは、オレの手を指の間まで洗ってくれる</p><p>あたしね決めたのスーパー・モデルはね、道の途中だよあたし世界で一番可愛い女の子になるからっ</p><p>世界で一番可愛い</p><p>そうだよっ、世界中の男の子が、マナのこと可愛い、付き合いたいって騒ぐんだよっ世界で一番、男の子に人気のある女の子なの</p><p>それは困るな</p><p>マナがそんな人気者になったらオレの側にいるのは、もったいないよ</p><p>もっともっと、世界に羽ばたくべきだ</p><p>でもそれがマナの夢なら、仕方無いな</p><p>オレは、マナの頬を撫でた</p><p>そうやってマナがオレから独り立ちしていくのなら</p><p>我慢しないといけないもんな</p><p>心配しなくていいよお兄ちゃん</p><p>マナの夢はね世界で一番、可愛い女の子になって世界で一番、男の子に人気のある女の子になってでも、そうなったら、マナは世界中の人たちにこう言うのっ</p><p>皆さんごめんなさい、マナにはもう、世界一好きな人がいるんですっって</p><p>ね、お兄ちゃんマナが世界一可愛い女の子になったら嬉しいでしょ世界中の男の子に一番人気の女の子が、お兄ちゃんのものになったら嬉しいでしょ</p><p>マナは必死で</p><p>１４歳の少女の思考で</p><p>自分の夢の先にオレとの幸福を考えている</p><p>オレを喜ばせたいと、思ってくれている</p><p>うん、それは嬉しいなマナ</p><p>よっと、あたし頑張るからねっ</p><p>マナがオレの腕をギッと抱き締める</p><p>それからオレとマナの二人掛かりで、克子姉の豊満な身体を洗った</p><p>克子姉が湯船に入っている間に</p><p>オレは、マナの足を洗ってやる</p><p>足の指の間まで丁寧に</p><p>うふっ前も、そうやって洗ってくれたよね</p><p>それはマナの処女レイプのすぐ後だ</p><p>雨の中庭でマナを犯した後風呂場で、こうやってマナの足の矢尾についた泥を洗ってやった</p><p>今思うとあたし、あの時からお兄ちゃんのこと好きだったんだなあ</p><p>だって、胸がキュンとなったもん大切にされている感じがしてあの時は、よく判らなかったけれど今、思うと、あれが恋の始まりだと思う</p><p>それは錯覚だと思う</p><p>あの時のマナはまだオレに心を開いていない</p><p>しかし、マナがそう思うのなら思わせておくべきだと感じた</p><p>あーっマナ、ヨッちゃんにそんなことまでして貰ってるぅぅ</p><p>台車に色々と乗せて、メグとガラガラ押して来た寧がオレたちを見て、言った</p><p>ヨッちゃん、あたしも洗ってっあたしの足も</p><p>ああ、いいよ姉さんも、メグも順番にみんな、洗ってあげるから</p><p>寧は、大喜びでブラを外す</p><p>さてオレが、女の子たちを洗い終えた頃</p><p>部屋の中央部分では闘いが起きていた</p><p>どうしたんだ、麗華</p><p>メグにバスタオルで拭いて貰っていると</p><p>部屋の真ん中で、麗華とイーディが向き合っている</p><p>どうやらこの子、色々と溜まっているみたいなんで、発散させてあげた方が良いと思うんです</p><p>麗華は英語で何か言う</p><p>イーディが、ギロッと麗華を睨んだ</p><p>麗華何て言ったんだ</p><p>お前は、あたしより弱いんだからあたしの指示に従えっって</p><p>またイーディを逆上させる様なことを</p><p>麗華大丈夫なのか</p><p>ええ、こういう子は力の差をはっきりしてあげないと納得しませんから</p><p>麗華が警護人の顔に戻る</p><p>下着姿だけれど</p><p>あ、でも靴だけは、しっかりと履いている</p><p>問題ありません、この子がアマチュアだってことは、昨夜のホテルでの戦闘で判っていますから</p><p>麗華は言った</p><p>ステッキは使うなよ</p><p>ここで撲殺ステッキを使われたら部屋中、ボコボコになつてしまう</p><p>麗華は、ステッキを手放す</p><p>Come on．Baby</p><p>その一言がイーディに火を付けた</p><p>イーディが、地面を蹴る</p><p>早い</p><p>オレの眼が、追いつかない</p><p>トァァァッ</p><p>空中でくるりんと回転して厚手のカーペットの上に倒される、イーディ</p><p>何でという顔をしている</p><p>受け身は、ちゃんと取れるのねじゃあ、いいわあなたが、納得するまでやりましょう</p><p>麗華はスッと、イーディを離す</p><p>イーディは、麗華から間合いを取り再び、仕掛ける</p><p>しかし、同じだった</p><p>麗華に腕を取られカーペットの上に、投げられる</p><p>それが１０回以上続いた</p><p>この子、心が素直すぎるんですよ行動から攻撃の狙いが読めるから、どんなに素早くても対処できます相手の裏をかいてやろうという、ずる賢さが無いんですよ</p><p>本当に身体能力と才能は素晴らしいんですけれど</p><p>イーディのお祖母さんは、彼女が暗殺者として使われないように、徹底して教育したんだね</p><p>寧が、そう言った</p><p>ヨシくん、はい、バスローブマナも、克子姉さんもどうぞ</p><p>メグが、バスローブをみんなに配ってくれた</p><p>オレが羽織ろうとすると</p><p>あ、待ってヨシくんには、あたしが着せてあげるんだからっ</p><p>メグは、断固としてオレに言う</p><p>仕方無いので、メグに着せて貰う</p><p>もう、運動の時間は終わりねそこ、片付けて、エア・マットを拡げるから</p><p>先にバスローブを纏った克子姉が、麗華たちに言った</p><p>しかし、麗華はステッキがなくても強いんだな</p><p>麗華は、頬を赤らめて</p><p>香月セキュリティ・サービスに入ってから、合気道も習っていますからそれに、相手の間合いを感じ取るのは、剣道と同じですし</p><p>それでも凄いよ</p><p>いいえあたしは、プロですから</p><p>嬉しそうに、麗華は言う</p><p>麗華お姉さんこの子と、お風呂入っちゃって</p><p>克子姉が、まだカーペットの上でハァハァしているイーディを指差す</p><p>汗臭いまま寝るのは、嫌でしょう</p><p>麗華は、オレを見る</p><p>風呂のエリアには、囲いは無い</p><p>そこで入浴すれば、麗華の裸身はオレに丸見えだ</p><p>あオレは、向こう向いてようか</p><p>ヨッちゃん、そういうこと言わないの堂々と麗華お姉さんの裸を、みんなで見ようよ</p><p>そうですよスタイルが良いんだし恥ずかしがることなんて、ありませんわ</p><p>もおっ、さっきはお尻の穴まで見せているのにいまさら、素っ裸ぐらいいいでしょ</p><p>と、寧が言う</p><p>ていうか麗華お姉さん</p><p>マナが、麗華の胸を指差す</p><p>汗かいて、おっぱい透けているし乳首も勃っているよっ</p><p>麗華が慌てて自分の胸を見る</p><p>しっとりと汗で濡れた下着は確かに透けている</p><p>戦闘演習で興奮した肉体は乳首がくっきりと勃起していた</p><p>さっきまでの凛々しさを吹っ飛ばして麗華が胸を隠す</p><p>アニエスが、すっとベッドから立ち上がる</p><p>今は誰もいない浴室エリアへと向かう</p><p>ああ、時間なんだわ</p><p>時間</p><p>アニエスは、毎晩、この時間にシャワーを浴びるのそして</p><p>ふっと、上方の白坂創介の等身像を見上げる</p><p>寝る前にもう一度、儀式をするのよ</p><p>白坂創介の銅像を見上げながらのオナニー</p><p>白坂創介を想いながらの</p><p>それは阻止しないといけないな</p><p>彼女が自慰しそうになったら、オレたちにまた注目させないと</p><p>ホンモノのセックスを何度でも、見せ付けてやる</p><p>次は、寧お姉ちゃんとメグお姉ちゃんの番だね</p><p>マナが、ニコッと笑う</p><p>中村勘三郎さんが、ご逝去なさいました</p><p>勘三郎さんが３０代後半の頃玉三郎さんとの共演なさった歌舞伎を拝見しました</p><p>私にとっては、それが生まれてから観た芝居の中で一番の舞台です</p><p>長谷川伸先生のいれずみ丁半でした</p><p>いや、舞台も歌舞伎もそんなたくさんの数は、観ていないんですが</p><p>なんて面白いんだろうと思って、図書館で長谷川先生の全集を借りたのですが</p><p>一番面白かったセリフのやり取りが、なんと書いてないのです</p><p>どうやら、そこは役者さんのアドリブだったようです</p><p>勘三郎さんではなく、もっと前の役者さんが始めたことなのかもしれませんが</p><p>７年くらい前に、夏の繁忙期に歌舞伎座でバイトをしていまして</p><p>勘三郎さんが座長の月だけは、入れ替えの３部制なんです</p><p>普通は、昼の部と夜の部の２部構成なんですが</p><p>３部だと、朝から夜までずっと芝居浸けです</p><p>それなのに全公演、満席でした</p><p>客入れしたと思ったら、すぐ客出し同時に客入れして、客出しまたまた客入れして</p><p>普通は、昼の部と夜の部の間に少しは息つく間があるのですが</p><p>そんなことも許されない</p><p>嵐の様な一ヶ月だったことを覚えています</p><p>今、歌舞伎座は建て替え中ですが</p><p>前の歌舞伎座は、空襲で焼けてしまったものを何としても歌舞伎座だけは再興したいということで、日本がまだ貧しい時期に無理矢理建てた建築物でした</p><p>色々と無茶な造りになっていました</p><p>劇場入りした後</p><p>照明さんが仕込んでいる間に、練習するスペースが無いので</p><p>客席の脇の売店の廊下に、ゴザを敷いて</p><p>勘三郎さんを始め、全員でお稽古なさっていたりを観たことがあります</p><p>床が平らでない斜めになっている場所なのですが</p><p>ご冥福をお祈り致します</p><p>375．しゃせい見学会</p><p>アニエスがしゅるると衣擦れの音を立てながら、エプロンドレスを脱いでいく</p><p>アニエスはスポーツ用の、ぴっちりとした下着を付けていた</p><p>女の子は、きちんと下着で補正した方が良いスタイルに成長するからああやって、身体を締め付けすぎない物を着せているのよ</p><p>克子姉が、解説する</p><p>アニエスの肉体は１２歳とは思えない</p><p>１４歳のマナぐらいには、成熟している</p><p>１５歳なのに、つるぺたの美智より、胸は盛り上がっているし</p><p>足の長さなんて、メグみたいだ</p><p>お尻に肉が付いていないことと</p><p>お腹がぷっくりしていることだけが彼女の本当の年齢を示している</p><p>何より淡い金髪のその顔は、すでに充分、大人びて美しい</p><p>やっぱり、ハーフだからね成長が早いんだよっ</p><p>寧が、口惜しそうに言う</p><p>アニエスの裸身は美しかった</p><p>本当に、天使の様だ</p><p>あお兄ちゃんのオチンチン、ピクッてなった</p><p>バスローブの下の折れのペニスの反応に、マナが気づく</p><p>どれどれっ、どんな感じかなっ</p><p>寧が、オレのバスローブの合わせ目を捲る</p><p>ぴょこんと半勃ちのペニスが起き上がる</p><p>まあまあヨッちゃん、元気だねぇ</p><p>うふっあたし、舐めるねっ</p><p>マナが、オレのペニスに手を伸ばし亀頭に舌を這わす</p><p>あっ、あたしもするっ</p><p>寧が、横から割り込んで左右から、舐めしゃぶる</p><p>えっあっ、あたしもっ</p><p>出遅れたメグが、そう言うが</p><p>恵美ちゃんは、あたしとエアマットを膨らますのを手伝って下さいなっ</p><p>克子姉に、声を掛けられる</p><p>あなたはお昼間に、彼といっぱいベタベタしたでしょ</p><p>うんメグとは２回セックスして、一緒に昼寝もした</p><p>判りましたぁっ</p><p>メグは、しょんぼりとして克子姉のお手伝いへ</p><p>メグ、また後でな</p><p>さてアニエスは</p><p>一人でシャワーを浴び始める</p><p>無毛の股間</p><p>まるでナイフでそっと線を入れたような、割れ目が見えた</p><p>アニエスちゃんの身体って、えっちぃよねっ</p><p>乳首とかピンク色だし</p><p>あーら、マナだって綺麗な色しているじゃーんっ</p><p>寧が、バスローブの上からマナの乳首をろょんと指で押す</p><p>あんっもうっ</p><p>マナは、寧の豊乳をくにっと掴んだ</p><p>すっごいぷにぷにしているっ</p><p>もっと、力入れても平気だよっ</p><p>何なら直接揉む</p><p>バスローブの紐を緩めようとする寧</p><p>えいいよ自信なくしちゃうからっ</p><p>マナは、顔を赤らめる</p><p>別にさ、大きいから良いってことでもないんだよっ肩凝るしねほら、スーパー・モデルだって、特に巨乳の人はいないでしょ</p><p>うん、そういえばそうだね</p><p>胸の大きさと美しさは、関係ないんだよおっぱいなんて、あればいいの大事なことは、ヨッちゃんが気に入ってくれるかどうかなんだからっ</p><p>寧の言葉にマナは、オレを見る</p><p>マナはまだ１４歳だろだから、そのおっぱいでいいんだよオレは、マナのおっぱい好きだからな</p><p>浴室エリアではアニエスのシャワーが続いている</p><p>オレたちに見られていることを無視して彼女は、平然とシャワーを浴びている</p><p>大分、効いてきたね</p><p>オレの睾丸を撫でながら寧が言った</p><p>ヨッちゃんの、この作戦はとにかく、アニエスの支配空間に浸食して、乗っ取っちゃおうってことでしょ</p><p>この室内はずっと、アニエス一人きりの空間だった</p><p>ここで、アニエスは食事を運ぶ係と、たまに現れる白坂創介以外とは、一切、接触せずに暮らしてきた</p><p>この部屋だけがアニエスの世界だった</p><p>アニエスしかいないアニエスのための世界だ</p><p>この閉ざされた世界からアニエスを、外に連れ出すのは、相当、大変だと思う</p><p>そんな時間は掛けられない</p><p>だったら、オレたちの方から、アニエスの世界に浸食する</p><p>まずは、アニエスにとって身近にオレたちが居ることが、当たり前に思わせないと</p><p>今までは、彼女あたしたちの存在に呆然としているだけだったけれど今は、わざと無視しようとしているわそれってさ、存在を認めたからこその行動だよね間違いなく、ヨッちゃんの作戦は良い方向に進んでいるよっ</p><p>そうなら、いいんだけど</p><p>カーペットに引っ繰り返っていたイーディが、むっくりと起き上がる</p><p>そしてぽいぽいと、自分の服を脱ぎ捨てながら</p><p>アニエスの方へ向かう</p><p>何か言った</p><p>何する気だ</p><p>背中を流してあげるって言っているけれど</p><p>マナが通訳してくれた</p><p>ビクッと警戒する、アニエスにイーディは、ニカッと無垢な微笑みで答える</p><p>そのままむしり取るように、パンティとブラジャーを外す</p><p>怯えるアニエスの前に、ズカズカと進んでシャワーヘッドを奪う</p><p>泡だったスポンジを片手に掴み</p><p>荒っぽく、アニエスの身体を洗っていく</p><p>一人じゃあ、背中は上手く洗えないだろって言っているね</p><p>寧が教えてくれた</p><p>アニエスは仕方無く、洗われている</p><p>本当に、教団では年下の子の面倒を見ていたみたいねあの子</p><p>克子姉が、作業の手を止めて言った</p><p>もおっ、ヨシくんジッと見すぎっ</p><p>あもしかして、イーディの裸身のことか</p><p>いや確かに、しなやかそうな褐色の肉体だけれど</p><p>恵美ぃ何で、アニエスの裸はよくて、イーディだと嫉妬ちゃうわけっ</p><p>寧がジトッとした眼で、メグを見る</p><p>メグお姉ちゃんは、イーディと同い年だからだよっ自分と比べて、色々と思うことがあったんじゃないのっ</p><p>二人ともスポーツマン・タイプで、身体のキャラが被っているからっ</p><p>そ、そんなことないわよっマナっ</p><p>顔を真っ赤にして、怒るメグ</p><p>どうやら、大当たりらしい</p><p>でも、メグは陸上のアスリートの肉体だしイーデイは、格闘に特化した肉体だろ全然違うよ</p><p>オレは、そう言ってメグに微笑む</p><p>そうそう、嫉妬するだけヤボだってどうせ、ヨッちゃん、イーディだって食べちゃうんだからっ</p><p>オレの亀頭に頬ずりしながら寧が言った</p><p>でも同い年の子に対する気持ちって、判るけどね</p><p>そうなの姉さん</p><p>うんほら、美子さんてあたしと同い年でしょだから、美子さんを見たときに、色々考えちゃったものあたしももし、お父さんがアメリカに転勤にならないで、ずっと日本に居たら、どうなっていたのかなって</p><p>瑠璃子の付き人で実は従姉だった、瑠璃子さんは、１８歳</p><p>寧も、ダブつているからまだ高２だけれど年齢は一緒だ</p><p>同い年って言ったら、岩倉さんもいるじゃないか</p><p>オレは生徒会長の名前を思い出す</p><p>あの子は論外だよあの人は淫乱大魔王だからあんな淫乱な子、あたし、昔の克姉ぐらいしか知らないよっ</p><p>寧何か言った</p><p>寧の言葉に、克子姉の眼がキラーンと光る</p><p>いえ別に</p><p>寧は、慌ててオレのペニスを咥えてもう喋りませんという仕草をする</p><p>それよりメグお姉ちゃんの雪乃さんへの対抗意識の方が凄いでしょやっぱり、同い年だからっていうのは大きいんじゃない</p><p>マナがメグを見る</p><p>それはあたしは、ずっと雪乃が姉妹だって知っていたからあっちがお嬢様で、あたしは隠し子じゃあ気が滅入るわ</p><p>マナが頭を下げる</p><p>あたしもメグお姉ちゃんを苦しめていたんだよね</p><p>メグが、マナに近寄りそっと抱き締める</p><p>マナはずっと、あたしに優しかったわよ</p><p>なら、マナこれからは、メグの良い妹になるんだよな</p><p>マナがオレを見てそして、メグを見る</p><p>うんあたし、メグお姉ちゃんの良い妹になる約束するから</p><p>あたしも、良いお姉さんになるから</p><p>抱き締め合う姉妹</p><p>ねえ、そういう同い年の意識って、瑠璃子にもあるのかな</p><p>オレは、寧に尋ねた</p><p>瑠璃子って美智と同い年だろ</p><p>でも、美智はみすずさんの警護役だし本家のお嬢様である瑠璃子さんは、特に何も感じていないんじゃないかなっ</p><p>寧は、そう言うが</p><p>いえ、良い手だと思うわよっ香月家という枠を外して一人の女の子になった時に、瑠璃子さんが比較するのは、まず美智ちゃんだと思うわ</p><p>克子姉が、確信する</p><p>今は何も感じていないとしてもそういうコンプレックスを作ることはできるわ</p><p>コンプレックスを作る</p><p>そうだね瑠璃子さんの良くないところは、他の女の子に対してコンプレックスが無いことだからね</p><p>ほら、瑠璃子さんは最初から、自分は香月家の娘で、普通の子とは違うと思っているからぶっちゃけ、美子さんさえいれば、家族も友達もいらないって思っているでしょっ</p><p>自分を特別な人間だと思っているから他の子に対して、コンプレックスが無い</p><p>ヨッちゃんは瑠璃子さんを香月家から、引きずり出すつもりなんでしょ</p><p>うんだから、誘拐することにしたんだ</p><p>だったら美智を使って、瑠璃子さんにコンプレックスを生じさせる作戦イケると思うよっ</p><p>寧は、そう言ってくれる</p><p>うんちょっと、考えてみるよみんなも良い方法を思い付いたら、教えてくれ</p><p>オレの言葉にメグ、マナ、寧、克子姉が頷く</p><p>そのころイーディは</p><p>アニエスの身体を洗い終えるとスポンジを彼女に手渡す</p><p>そして、自分の背中をビッと指差した</p><p>あたしの背中も洗ってくれって言ってるよ</p><p>マナが、教えてくれる</p><p>ちょっと考え込んでいたがイーディの逞しい背中を見ると、ハァッと溜息を吐いてしずしずと洗い出す</p><p>うんうん、ますます良い傾向だねっ</p><p>喜ぶ、寧</p><p>イーディという、空気の読めない年上の女の子によってアニエスは、オレたち闖入者を無視することすらできない</p><p>さらにイーデイは</p><p>オレたちの後ろに、ずっと控えていた麗華に手招きする</p><p>麗華が驚くとイーディは、うんうんと頷く</p><p>そして大声で話す</p><p>えっとねお前、なかなかやるなお前も汗をかいているだろうこっちに来て、一緒にシャワーを浴びようって言っているよ</p><p>麗華にコテンパンにやられたのになかなかやるなは無いだろう</p><p>しかしイーディが、あれで麗華に対して親近感を深めたことは間違いないらしい</p><p>困っている麗華</p><p>代わりに寧が、英語で返答する</p><p>うんと彼女は、美智のお姉さんだぞその態度は、間違っているんじゃないかイーディの方から、洗って差し上げますと敬意を表するべきだだって</p><p>イーディは納得したらしい</p><p>ええっとこれは失礼しましたお姉様どうか、私にお身体を清めるお手伝いをさせて下さいって</p><p>一々申し訳無いありがとう、マナ</p><p>麗華洗ってもらって来い</p><p>オレは麗華に命じた</p><p>せっかくだから、イーディと仲良くなってこいただし、お前の方が上の立場なんだってことは、はっきりと思い知らせろ舐められるな</p><p>麗華が浴室エリアへと向かう</p><p>そこで、恥ずかしそうにオレの方を振り返る</p><p>主様は見ていらっしゃるのですか</p><p>そりゃあもちろん、見ているよ</p><p>ああ全部、見せろ</p><p>麗華が震える手で、ブラを外す</p><p>そしてパンティも</p><p>綺麗だよ、麗華</p><p>頬を赤らめる麗華</p><p>さあ後は、度胸だよっ麗華お姉さんっ</p><p>寧が囃し立てる</p><p>麗華は、凛とした顔を作ってイーディの元へ</p><p>英語で、毅然と命令をする</p><p>うんと、うなづくイーデイ</p><p>イーディは、アニエスに浴槽に浸かるように身振りで示す</p><p>アニエスは、渋々と浴槽へ</p><p>どうも、イーディの中で、麗華→自分→アニエスという人間関係ができているらしい</p><p>イーディはアニエスの時よりも丁寧に、麗華の背中にシャワーを掛けスポンジで擦る</p><p>あっくすぐったいっ</p><p>麗華の背中がビクッと震える</p><p>敏感なんだな</p><p>アニエスは、呆然としてイーディが麗華を洗う様子を、眺めている</p><p>ね、麗華お姉さんは、見られるのはお嫌いみたいねっ</p><p>克子姉が、オレによって来る</p><p>後ろからオレの背中にぴっちりと身体を付ける</p><p>だったらねあの３人が、こっちに注目しないといけなくしてあげればいいんじゃないかって思うのよ</p><p>克子姉は、そう言ってオレを後ろから抱き締めたまま、オレのペニスを掴む</p><p>両手で勃起をしごく</p><p>あっえっ何をするんだよ克子姉</p><p>しゅるっしゅるっと細い指が、オレの肉茎を上下する</p><p>柔らかいおっぱいが、背中に押しつけられている</p><p>克子姉は、背中からオレの耳を舐める</p><p>うふふ麗華お姉さんも、ミス・イーディも、アニエスも男の子の身体については、詳しくないでしょだから、一度、見せてあげた方がいいと思うの</p><p>だから何を</p><p>ううっ克子姉、巧い</p><p>自分でしごくよりも全然、良い</p><p>男の子が、射精するところ</p><p>多分、セックスを観るよりも衝撃的だと思うの</p><p>克子姉の手が、強くなる早くなる</p><p>あつ、あたしも見たぁーいっお兄ちゃんが、ビュッと出すところっ</p><p>そうだよねっお腹の中に出して貰うばっかりだからどんな風に、出るのか一度見ておきたいよねっ</p><p>寧も言う</p><p>えっとヨシくん、あたしも見たい</p><p>女たちの視線がオレに集中している</p><p>ほらほら、そっちのみんなこっち見てぇっ</p><p>寧が、浴室エリアの３人に呼び掛ける</p><p>これから、すっごいことが起きるんだからっ</p><p>それから、イーディのために英語でも</p><p>３人とも、何事が起きたとオレの方を見る</p><p>ああっ、か、克子姉</p><p>どう気持ちいいっ</p><p>克子姉は、右手でオレのペニスをしごきながら</p><p>左手の指で、オレの玉袋の裏筋から肛門までを撫でていく</p><p>我慢しなくていいのよ</p><p>耳元で、克子姉が囁く</p><p>そうだよっヨッちゃんのビュッと飛び出すところ、見せてっ</p><p>うん、早く早くっお兄ちゃんっ</p><p>気持ち良くなっちゃってヨシくんっ</p><p>ペニス全体がぶわっと大きくなるっ</p><p>克子姉の手が力を込めて、オレを愛撫するっ</p><p>く、くるッ</p><p>オレの奥底から熱いたぎりが込み上げるっ</p><p>出るぅッッ</p><p>亀頭の先から白濁が飛び出すッッ</p><p>ビュルルッ</p><p>スビュッ</p><p>うわっ、すっごーいお兄ちゃんっ</p><p>ヨシくんこんなに飛ぶんだ</p><p>すごいっ偉いよヨッちゃん</p><p>み、みんな</p><p>オレの射精に感動しているんだ</p><p>男の子ってすごいね</p><p>メグが、しみじみと言う</p><p>オレの精液は１メートルぐらい飛んでいた</p><p>いや今日は何回も出した後だから本当なら、距離も量も、もっと出るはずなんだけれど</p><p>オレは、訳の判らない言い訳をする</p><p>いや、凄いわよ普通は、あれだけした後で、こんなに出ないからっ</p><p>克子姉は、褒めてくれるけれど</p><p>あーららあちらの皆さん、固まっちゃった</p><p>寧の言葉に、浴室エリアを見てみると</p><p>麗華も、イーディも、アニエスもオレを見たまま、凍り付いている</p><p>初めて見た男の射精がショックだったらしい</p><p>うふふっ味も確認しておくわねっ</p><p>克子姉は、自分の手に付いた精液をペロッと舐める</p><p>うん、さすがにちょっと薄いかなそんなに苦くないわよ</p><p>あっ、克姉あたしもっ</p><p>克子姉が、指を寧に</p><p>寧は、克子姉の指を舐めしゃぶって精液を啜り取る</p><p>あたしにも下さい</p><p>メグが克子姉に、そう言うが</p><p>あたしは直接もらうからねっ</p><p>マナは、オレの亀頭に舌を這わす</p><p>あっ、マナあたしも、そっちがいいっ</p><p>メグも、オレの亀頭に付いた精液を舐め取る</p><p>そんな少女たちの痴態を麗華、イーディ、アニエスの３人は唖然として眺めている</p><p>マナが、オレの下腹に落ちていた精液を指で掬い取る</p><p>マナ宅配便してきまーすっ</p><p>そのまますたたたたっと、麗華の方へ走っていく</p><p>はい麗華お姉ちゃんっ</p><p>笑顔で麗華の眼前に、精液の付いた指を差し出す、マナ</p><p>えあの</p><p>麗華は困惑している</p><p>お兄ちゃんのだよっお姉ちゃんも舐めてみて</p><p>マナは、ニコッと微笑む</p><p>おずおずとマナの指に唇を近づける</p><p>ペロっ</p><p>オレの精液を舐めた</p><p>イーディとアニエスがゾッとした顔で、見ている</p><p>よく、判りません</p><p>シャァァァァァァ</p><p>眼の前で起きたことの衝撃に</p><p>イーディは、おしっこを漏らした</p><p>結局、アニエスの夜の儀式はなかった</p><p>オレの射精を見てその気がなくなってしまったらしい</p><p>そのまま疲れたように自分のベッドへ横になる</p><p>オレたちも、克子姉とメグが膨らませてくれたエアマットへ</p><p>シーツを被せて、タオルケットと毛布を拡げる</p><p>今夜はこの部屋で、みんなで寝る</p><p>いやこれからずっと、アニエスが心を開くまで</p><p>この部屋には誰かしら居残るつもりだ</p><p>イーディ、大丈夫かしら</p><p>浴室エリアで歯を磨きながら、メグが言った</p><p>おしっこを漏らしたイーディは</p><p>まあ、浴室エリアだったのでシャワーで洗い流したら、それで済んだんだけれど</p><p>かなり、落ち込んでいた</p><p>うん、男の子の射精ってあたしが見ても、衝撃的だったものイーディって、男の子の生理的なこととか全然知らなそうだし</p><p>メグが、心配そうにイーディを見る</p><p>変なトラウマにならなきゃいいんだけれど</p><p>イーデイはとりあえず、一番端の麗華お姉さんの隣に寝かす</p><p>寧が、克子姉に尋ねる</p><p>そうね、そうしましょうか</p><p>寧が、英語でイーディにそう言うが</p><p>イーディは、その言葉を無視して</p><p>アニエスのベッドに、潜り込む</p><p>アニエスは驚くが</p><p>文句は言わずに、我慢している</p><p>そんなアニエスを、抱き枕のようにギュッと抱き締めて</p><p>そのまま、イーデイはスースーと寝てしまった</p><p>ま、いっかこれはこれで</p><p>うんアニエスとイーディが仲良くなるなら</p><p>歯を磨き終わって眠る準備は、オーケーだ</p><p>お兄ちゃんの隣は、あたしっ</p><p>マナが、オレの横に寝そべる</p><p>しょうがないわね、マナは</p><p>じゃあ、あたしは反対側をゲーット</p><p>寧が飛び込んで来る</p><p>わたくしはここで</p><p>麗華は、一番端に</p><p>彼女も、ショックだったんだろうか</p><p>おやすみ、ヨシくん</p><p>おやすみ、ヨッちゃん</p><p>おやすみ、お兄ちゃん</p><p>おやすみ、あなた</p><p>それぞれに、キスをする</p><p>ほら、麗華お姉ちゃんもだよっ</p><p>マナに促されて麗華がやってくる</p><p>おやすみなさいませ、主様</p><p>ああ麗華</p><p>オレは、麗華にもキスをする</p><p>麗華は、身体を強ばらせていたがそれでも、オレのキスを受け入れてくれた</p><p>じゃあ、いいわね電気消すわよ</p><p>克子姉が、部屋の電気を消す</p><p>それでも天窓から入って来る、月の光が明るい</p><p>いい雰囲気だね、ヨッちゃん</p><p>寧とマナに挟まれてオレは、いつのまにか眠ってしまった</p><p>やっぱり疲れていたらしい</p><p>起きて</p><p>耳元にマルゴさんの声がした</p><p>ハッと眼を覚ます</p><p>天窓から見上げる月の位置が違っている</p><p>まだ夜だけれど何時間か経っている</p><p>大きな声を出さないで、みんなを起こしちゃうから</p><p>小声でマルゴさんが囁く</p><p>マルゴさんは、黒い服を着ていた</p><p>ずっと起きていたらしい</p><p>オレは、静かに起き上がる</p><p>白坂雪乃が逃げ出した</p><p>やっぱり、人間、自分に付いていない器官は気になるみたいで</p><p>女の子は、男のチンチンにとっても興味があると思う</p><p>いや多分</p><p>376．恋の終わりに</p><p>雪乃が逃げ出した</p><p>部屋のドアをこじ開けて逃走したみたいなんだ</p><p>マルゴさんが、小声で答える</p><p>みんなを起こさないように</p><p>どう致しました</p><p>スッと、麗華が起き上がる</p><p>さすが、現役のプロ警護人異変が起きた時の対処が早い</p><p>サッと眼が覚めるように、訓練されている</p><p>ちょっと面倒なことになって</p><p>オレは、麗華にあらましを説明しようとする</p><p>あ麗華お姉さんは、そのままこの部屋に居て</p><p>麗華が、マルゴさんを見つめる</p><p>薄闇の中に、麗華の瞳が月光を反射してキラッと光った</p><p>あの子が起きちゃったからさすが、暗殺教団の教育は行き届いているね</p><p>マルゴさんが、アニエスのベッドの方を促す</p><p>うんイーディが、何だという感じで、こっちを伺っている</p><p>変にあの子を刺激したくないこんな夜中に、興奮して暴れられたら、敵わないからね</p><p>この屋敷については、麗華お姉さんはまだ詳しくないでしょだから、逃走者の捜索はあたしたちに任せてお姉さんは、あの子の監視をお願い</p><p>麗華は、マルゴさんを見それから、イーディに振り向いて</p><p>了解したわこっちは、任せて</p><p>じゃあ、オレは雪乃の捜索の方に行きます</p><p>雪乃部屋から脱出して、どこへ行ったんだ</p><p>雪乃さんは白坂創介が、学校の監禁室に捕まっていることを知っている可能性としては、父親を助けに行ったというのが一番だね</p><p>ミナホと恭子さんが打ち合わせしていたのを、横からジッと聞いていたらしいし今、白坂創介が監禁されている場所は、雪乃さんも閉じ込められたことがあるからね</p><p>ああ校長室の地下の奥の天井の低い部屋か</p><p>あるいは、屋敷の外であたしたちを監視している警察関係者に、助けを求めに出たのかもしれない誘拐されましたって言って、保護してもらうために</p><p>マズイな</p><p>それが、一番ヤバイ</p><p>雪乃の誘拐・監禁をネタに、警察がこのお屋敷に乗り込んでくるかもしれない</p><p>警察上層部には、ジッちゃんが話してくれているけれど現場の警官たちは、元・国際指名手配犯の恭子さんを、どんな理由でも逮捕したいと思っているだろうし</p><p>マルゴさんお屋敷の監視システムに、雪乃は引っ掛かって無いんですか</p><p>一昨日の夜マルゴさんたちが、一晩中、学校の警備システムを監視していたことを知っているから</p><p>あれと同じようなシステムがこの屋敷にも、あるはずだ</p><p>あれは外からの侵入者を、探知するためのシステムだからね内側から、外に出て行こうとする人は引っ掛からないよ</p><p>何か釈然としないけれど</p><p>マルゴさんが言うんだから、そうなんだろう</p><p>とにかく雪乃さんは、まだお屋敷の敷地内に居るよ敷地の外に出れば監視システムに引っ掛かるから多分、部屋から脱走したのはいいけれど、出口がどこか判らないんじゃないかな</p><p>雪乃は、この屋敷の構造は、全然知らないもんな</p><p>いつも、車で連れて来られているし</p><p>特定の部屋に、閉じ込められているだけだし</p><p>まだ建物の中に居ると思いますか</p><p>そう願いたいねこんな夜中に、庭の中を探すのは一苦労だから</p><p>じゃあ、行きましょう</p><p>オレが身体を起こすと</p><p>うーんっどうしたの</p><p>マナが眼を覚ます</p><p>ごめん、起こしちゃって</p><p>お兄ちゃん、キス</p><p>起きちゃったから</p><p>オレは、マナの唇にキスする</p><p>マナは、味わうように唇を舐め</p><p>うん雪乃さんが、逃げ出したんだって</p><p>マナ聞いていたのか</p><p>マナの問いに、マルゴさんは、文字盤と針が蛍光塗料の腕時計を見て</p><p>午前２時２０分だよ</p><p>マナは、行った</p><p>行こう、お兄ちゃんあたし、判るから</p><p>マナも、エア・マットから起き上がろうとする</p><p>あ、あたしも行くわ</p><p>あれメグも、起き上がる</p><p>起きてたのか、メグ</p><p>起きちゃったのだから、キス</p><p>オレはメグにもキス</p><p>うん眼が覚めたっ</p><p>ごめん、ヨッちゃん、あたしは眠いからパス</p><p>寧が、横になったままオレに手を振る</p><p>でも、起きちゃったからキスしてって</p><p>オレは寝ている寧に、チュッとキスする</p><p>寧は、パッと眼を開け</p><p>オレを抱き締めて、熱いキスをする</p><p>うへへっ、寧ちゃん、大満足お休みっ</p><p>ええっとあのう</p><p>今度は、克子姉か</p><p>克子姉にも、キスをする</p><p>じゃああなたの夢に戻るわねっ</p><p>克姉</p><p>二人は抱き合って眠る</p><p>ほら、麗華お姉さんも</p><p>マナが、麗華に言う</p><p>起きちゃったんでしょ麗華お姉さんも</p><p>家族のルールなんだから麗華お姉さんも、しなくちゃ</p><p>いやまあ</p><p>そういうことにしておこう</p><p>オレは、麗華に近寄り</p><p>キスするよ麗華</p><p>ど、どうぞ主様</p><p>オレは麗華にキスする</p><p>キスの余韻に、ぽわーんとしている</p><p>わたくし、そろそろ覚悟しないといけませんね</p><p>自分が主様のものであるということを</p><p>そうだよっあたしたちは、身も心もお兄ちゃんに捧げているんだからっ</p><p>さあ、行きましょう、ヨシくん</p><p>うん麗華、この部屋のことは頼む万が一だけど、もしも雪乃がこの部屋に来たら、捕まえておいてくれ</p><p>死なない程度に叩いちゃっていいからねっ</p><p>マナが、とんでもない付け足しをする</p><p>さて、マナを先頭にオレ、メグ、マルゴさんで１階へ上がる</p><p>マルゴさんが持って来てくれた、懐中電灯を頼りに</p><p>あ、こっちだよ</p><p>マナは、確信を持って言う</p><p>どうして判るんだ</p><p>どうしてってあたしはともかく、舞夏さんは雪乃さんと同じ家で暮らしていたから</p><p>マナは白坂舞夏であった過去を、現在の自分とは区別している</p><p>だから、判るのよあの人の生態は</p><p>生態</p><p>とにかく、こっち</p><p>マナは、スタスタと廊下を歩く</p><p>おいおい、待てよ</p><p>オレたちは、マナの後を追う</p><p>マナは、ある部屋の前で立ち止まった</p><p>うん、誰か中に居る</p><p>マルゴさんが、ドアに耳を付けて、中の気配を探っている</p><p>カウント３で、ドアを開けるから恵美ちゃんは、部屋の明かりを点けて、君たち二人は雪乃さんを包囲して、あたしは彼女が裏から逃げ出さないように外から廻り込むから</p><p>マルゴさんの指示に、オレたちは頷く</p><p>じゃあ行くよ</p><p>マルゴさんが、ドアノブを握る</p><p>３２１０</p><p>ドアが、バッと開かれる</p><p>オレとマナが部屋に飛び込むっ</p><p>メグが、部屋の電気を点ける</p><p>マルゴさんは部屋の外を廻り込む</p><p>ビカッ</p><p>暗かった部屋が一瞬にして、目映い光に満たされる</p><p>オレの叫びに部屋の中に居た、雪乃が驚いて振り返る</p><p>口にしゃもじを、咥えたまま</p><p>あん</p><p>お前何やっているの</p><p>白坂雪乃は真夜中の台所で</p><p>床にどっかりと座り込んで</p><p>片手で炊飯ジャーを抱き締め</p><p>しゃもじで直接</p><p>白い飯を食っていた</p><p>ちなみに、パンツ丸見えだ</p><p>口のまわりに米粒を付けている</p><p>な、何よっびっくりするじゃないっ</p><p>雪乃は米粒を吹き飛ばしながら、そう叫んだ</p><p>いやだから何やってんだよお前</p><p>そのみっとも無い姿は何なんだ</p><p>うっさいわねぇお腹空いてるんだから、仕方無いでしょっ</p><p>雪乃は炊飯器を抱き締めたまま、キレる</p><p>あんなチビッこいお菓子３本で、お腹いっぱいになるわけないでしょっ馬鹿なんじゃないのっあんたたちっ</p><p>ええーっと</p><p>こういう人なんですよこの人昔から</p><p>呆れ果てた顔でマナが言った</p><p>ストレスが溜まると、夜中の２時過ぎにお台所へ行って夜食を食べるんです</p><p>それでよく太らないよねえ雪乃</p><p>メグも呆れている</p><p>ちょっとぷっくりしてきたら、死ぬ気でダイエットしますからこの人見た目が第一って女ですから</p><p>ちょっと舞夏余所の家の人に、変なこと言わないでよっ</p><p>雪乃が喋ると米粒が飛ぶ</p><p>えっとこの部屋に居る人で、余所の人は雪乃さんだけですけれど</p><p>マナの姉を見る眼は果てしなく冷たい</p><p>それにしたって何で、ご飯だけ食べてるのよ冷蔵庫の中に、いろいろ入っているでしょ</p><p>あこの人、全く料理できないですからっ</p><p>舞夏、あんたちょっと黙んなさいって</p><p>幾ら料理ができないからって</p><p>炊飯ジャーから、しゃもじで直接飯を食うか雪乃</p><p>ふっふふふふふ</p><p>何か可笑しくなってきた</p><p>あははははあははははははは</p><p>オレは笑う</p><p>お兄ちゃん、どうしたの</p><p>いやだってあははははは、そりゃ可笑しいじゃないかあはははは</p><p>オレは爆笑する</p><p>雪乃を見て</p><p>雪乃は左手で炊飯器を抱え、右手にしゃもじ、顔は米粒だらけで、パンツ丸出しで台所の床にどっしり座っている</p><p>うはははははははっ</p><p>こんなの</p><p>笑うしかない</p><p>ちょっと何、笑っているのよっ失礼でしょ、あんた</p><p>雪乃が、ギッとオレを睨んでそう叫ぶが</p><p>その姿が、さらに可笑しい</p><p>あははははは、あはははははははっ</p><p>笑いが、止まらない</p><p>こんなに笑ったのは、いつ以来だろう</p><p>笑いすぎて、息が苦しくなってきた</p><p>涙が出て来る</p><p>ははははははははははは</p><p>オレ、高校に入学して雪乃のこと、ずっと可憐な美少女だって思ってたんだぜ</p><p>何よあたしが、可憐な美少女じゃないって言うのっ</p><p>それが可憐な美少女の格好か</p><p>ぐぅあっはははははははははっ</p><p>笑いが</p><p>笑いが止まらない</p><p>雪乃お米だけじゃ足りないでしょ何か作ってあげるわ</p><p>メグが、行った</p><p>すたすたと冷蔵庫の前へ行って中の食材を確認する</p><p>ベーコン・エッグとかでもいい</p><p>うっそ、本当に作ってくれるのっ</p><p>雪乃がまた、米粒を飛ばす</p><p>ええ、作ってあげるわよ</p><p>じゃあ、頼むわあ、玉子の黄身は潰さないでよ</p><p>大丈夫よあたし、お料理は得意だから</p><p>メグは、フライパンを取り出しコンロに火を点ける</p><p>あ、メグお姉ちゃんあたしも、手伝う</p><p>マナも料理に加わる</p><p>うわっ、美味しそっ</p><p>雪乃のためだけのベーコン・エッグが出来上がる</p><p>マナが、付け合わせのサラダを作った</p><p>あたしだけあんたたちは、食べないの</p><p>箸を持った雪乃がメグたちに尋ねる</p><p>あたしは夜に間食は絶対にしないから</p><p>あたしも</p><p>二人の言葉は冷たい</p><p>あらそっあたしは、食べたい時に食べる人なのよ食べ過ぎたら、ダイエットすればいいんだし</p><p>雪乃はありがとうもいただきますも言わずに</p><p>メグとマナの料理に、箸を付ける</p><p>あらっあんた、本当に料理できるのねっあたし、こんなの自分で作ったら、黄身はグチャグチャで、白身は真っ黒に焦がしちゃうと思うわよっ</p><p>雪乃はメグのベーコン・エッグに満足している</p><p>あたしお弁当の時は自分で作っているし、夜ご飯だって</p><p>メグが育った山峰家はご両親とも働いている</p><p>メグは、子供の頃から自分で料理を作る機会が多かったんだろう</p><p>ふーん、あんたらしいわよねっあたしは嫌よそういう生活家事なんて、お金を払って誰かにやってもらった方が全然楽だものっ</p><p>一方白坂家は、ずっとお手伝いさんを雇っていた</p><p>お母さん、料理研究家なのに</p><p>家のことは、何もやっていなかったらしい</p><p>あーあ、パパがこんなことにならなかったらあんたを、うちの家政婦に雇ってあげたのにね</p><p>意地の悪い眼で雪乃は、メグを見る</p><p>雪乃は子供の頃から、ずっと立場の弱いメグをいじめてきた</p><p>あら、そうでも、残念だけれどあなたのお父さんは、社会的に抹殺されたのよ判っているでしょ雪乃</p><p>しかし、メグはもう、昔のままのメグじゃない</p><p>しっかりと、雪乃に言い返す</p><p>あたし一生、あんたたちを許さないわ</p><p>雪乃はオレたちに、憎しみの言葉を吐く</p><p>いいんじゃないそれで</p><p>もう一生、会わないんだし</p><p>そうだよねえ雪乃さん、あっちへ行っても元気でねあ、手紙とかいらないから雪乃さんが、この後、死のうとどうしようとあたし、全然興味が無いから</p><p>ちょっと、あんたたちどういう意味よ</p><p>それでも、雪乃は箸を置かない</p><p>ベーコン・エッグを、平然と口の中に放り込んでいる</p><p>ホンモノのお馬鹿さんなのね</p><p>台所の入り口からミナホ姉さんの声がした</p><p>振り向くとマルゴさんと二人、立っている</p><p>ああ、そうか</p><p>オレは、また</p><p>ミナホ姉さんとマルゴさんに現実と直面させられたんだ</p><p>どうして、恵美が大嫌いなあなたのために食事を作ってくれたと思っているの</p><p>そのミナホ姉さんの一言でようやく、雪乃の手が止まる</p><p>恵美はもう、あなたを恋の障壁だとは思っていないのよ</p><p>ミナホ姉さんの言葉に、マナが乗っかる</p><p>雪乃さんは、もうヨシくんにとって、何でもなくなっちゃったのね</p><p>そうそう道端の石っころだよねっお兄ちゃんにとってはさ</p><p>だから最後に、ご飯を作ってあげたのよあたし、もう雪乃に対して、何のコンプレックスもないもの</p><p>マナも雪乃さんはもう、あたしたちには関係無い人だものね</p><p>炊飯器にしゃもじの艶姿を見てオレの心の中の雪乃の幻影は、完全に消えた</p><p>ていうか何もかも、ブッ飛んだ</p><p>そうだよなあ、雪乃</p><p>思わず声が出る</p><p>お前って最初っからずっと、そういう女だったんだよな</p><p>優しくて可憐な美少女だと思っていたのはオレの勝手な思い込みで</p><p>雪乃はずっとこんな女だった</p><p>もう、いいでしょ</p><p>うんでも</p><p>あんまり酷い目には、遭わせないであげて欲しい</p><p>それでも遠い異国のスラム街の売春宿に売られるのは</p><p>可哀想過ぎると思う</p><p>ああそれなら、あたしも止めることにしたわ</p><p>この子の選択があんまりにも、面白かったからうふふふふ</p><p>雪乃を見下ろすミナホ姉さん</p><p>そうよねあなたじゃなくても、笑っちゃうわよねまったくの想定外だったわ</p><p>ぞくりとする雪乃</p><p>な、何よどういう意味よ、それっ</p><p>ミナホ姉さんの代わりにマルゴさんが、答える</p><p>今夜は君に罠を仕掛けてみたんだよ</p><p>罠</p><p>わざと脅すようなことを言って部屋に閉じ込める夕食はうまい棒３本だけ</p><p>そうよ、何なのよあれっ</p><p>だから罠さ雪乃さんに、今後の人生を選択させるためのトラップだよ</p><p>マルゴさんの強い目に雪乃は萎縮する</p><p>あの部屋から雪乃さんは、いつでも抜け出せる様にしておいたんだ君は、本当に注意力に欠けているね普通の子だったら、もっと早く気が付くはずだよ</p><p>すみませんね馬鹿で</p><p>雪乃は怯えながらも、そう言う</p><p>いいえただの馬鹿じゃないわ感服したわよ、白坂雪乃さん</p><p>ミナホ姉さんが笑う</p><p>うん君が部屋を抜け出した後、君の眼に入る場所に、あたしは色んな物を用意しておいたんだ携帯電話普通の電話ファックスナイフにピストル普通の子だったら、そういうものにまず眼が行くよね警察や、白坂家の誰か、あるいは母方のお祖父さんの市川さんでもいい君は、誰かに助けを求めるかと思ったあるいは、武装してあたしたちから逃げようとするかと</p><p>もちろん全部、トラップよ電話は繋がらないし、ピストルは弾なしナイフも刃が殺してあるの</p><p>どれか一つでも君が手にしたらあたしたちは、君を処罰するつもりだった</p><p>つまり処刑するつもりだったわあなたのお父様と一緒に</p><p>雪乃がガタガタと震え出す</p><p>なのに雪乃さん、君はファンタスティックだよ</p><p>眼の前の物に一つも興味を示さずにまっすぐに、お台所へ行くんだもの</p><p>ああ雪乃</p><p>結局あなたって、信じられないぐらいお嬢様なのね</p><p>自分の力で現実を変えていくための想像力に全く欠けているよね</p><p>だからあたし、方針を変えたのよ</p><p>さすがにあんな格好で、ご飯を食べている雪乃さんの姿を見たら百年の恋も醒めるものね</p><p>だから、マルゴさんがわざわざオレを呼びに来て</p><p>そして彼の中の可憐な白坂雪乃像が崩壊する</p><p>恵美やマナさんにとっても、良かったわこれで、もう、雪乃さんに対するコンプレックスは完全に払拭できたでしょうし</p><p>ミナホ姉さんが２人の妹を見る</p><p>多分、寧と克子姉はこうなることを予想していたんだ</p><p>だからメグとマナだけ、オレに付いて行かせた</p><p>さよなら、雪乃あたしたち、ヨシくんと幸せになるから</p><p>ばいばい、雪乃さんもう二度と思い出さないから</p><p>メグとマナは</p><p>雪乃に対して、自分たちが女として上回ったと確信したから</p><p>雪乃に食事を作ってやった</p><p>憐れみとして</p><p>もはや、雪乃のことを完全に見下しているから</p><p>朝になったらお家へ帰してあげるわ、白坂雪乃さん</p><p>家って</p><p>あなたの家よ決まっているでしょう</p><p>白坂創介の家</p><p>あそこには報道陣がいるわ</p><p>そうねできる限りの放送局を集めてあげるあなたは、家の前に裸で放り出すから</p><p>日本中に恥を晒しなさいそうね、一応、市川さんにでも引き取りに来てもらおうかしら</p><p>ミナホ姉さんは、ニッと笑う</p><p>それからあなたも、もちろん判っていると思うけれどあなた、妊娠しているでしょ</p><p>雪乃はビクッと震える</p><p>それは必ず産んでもらうからあたしたちの指定の医院でねあ、判っていると思うけれど、これからのあなたには監視者が付きますから２４時間監視よあなたが、もし赤ちゃんを堕ろそうとした場合は殺しますから</p><p>あなたも、理解しているでしょあたしたちのバックには、香月セキュリティ・サービスが付いています恭子さんに、ミス・コーデリアもね絶対に、逃げられないから</p><p>昨日のホテルで</p><p>雪乃は、組織の恐ろしさを散々見ている</p><p>それと、子供を産むまでは他の男の子とも付き合ったら、ダメよもし、あなたが他の男の子とセックスいいえ、キスでもしようとしたら、殺すわ２人ともできる限り、残忍な方法で</p><p>さあ、ご飯を食べなさい白坂雪乃さん</p><p>雪乃は凍り付いている</p><p>お兄ちゃん、戻ろう眠いよ</p><p>そうね、ヨシくんあたしも、明日こそは朝練に出たいから</p><p>メグもマナももう、雪乃には眼を向けない</p><p>もちろんこれで終わりじゃないのが、雪乃です</p><p>メイン・ヒロインですので、フェード・アウトはしません</p><p>体調が相変わらずなので、昨日、近くの総合病院に行きました</p><p>その喉の痛みは、リンパ腺が腫れているけれど、血液検査の結果は問題無い何かリンパ腺にウィルスが入り込んでいるんだと思うけれど、特に深刻な病気とかじゃないと思うからちなみに、この症状を良くする薬は無いから時間が掛かるけれど、自然治癒しかないから</p><p>そう言われて、帰って来ました</p><p>そしたら母が</p><p>いや、リンパ腺は危ないから、もっと大きな病院で調べて貰いなさいだいたい、薬が無いなんてことはないはずお前は、専門医で無いと判らない病気なんだよ</p><p>なので、今日、父の手術した大学病院へ行って、専門医に診てもらいました</p><p>と、全く同じことを言われました</p><p>なのに、母は</p><p>いや、そんなことは無いお前は、医者に舐められたんだ貧乏っぽい格好で行ったんだろうだいたい、薬が無いなんてことはないはず今度は、近所の耳鼻科へ行きなさい絶対にもっと重い病気なはずだから</p><p>えっと大学病院で検査して貰ったのに</p><p>また、町医者に行くのは嫌です</p><p>つーか、断る</p><p>というか、母はどうしても私を深刻な病気にしたいらしいです</p><p>何なんだろうあの断定は</p><p>とにかく自然治癒するまで、この微熱と喉の痛さは治らないみたいです</p><p>仕方無いですね</p><p>377．恋の終わりに　（続）</p><p>箸をギュッと握りしめたまま、雪乃はうつむいている</p><p>とにかく、それ食べろよせっかくメグとマナが作ってくれたんだぜ</p><p>オレは、雪乃に言った</p><p>ていうか雪乃の場合、次にちゃんとご飯が食べれるのが、いつになるか判らないしな</p><p>わざと脅すようなことを言う</p><p>こうでもしないと、雪乃のことだから、癇癪を起こして料理の皿を投げ捨てたりしかねない</p><p>雪乃は、感情を噛み殺すように再び、食事を始める</p><p>ホント憐れだよね</p><p>雪乃は、無視してベーコンエッグを食べる</p><p>サラダのレタスを、パリパリと噛んだ</p><p>もし、マナが雪乃さんだったら裸で土下座して、許してもらうよこれ以上、酷い目に遭わせないで下さい何でもしますからって</p><p>勝手なこと言わないでよ舞夏には、あたしの気持ちなんて、判らないのよ</p><p>雪乃は、妹の言葉を無視する</p><p>ていうかあたしは、してきたの何度も、何度も、裸で床に頭を擦り付けて許して貰うまで、何度も何度も</p><p>オレは、そんな小さな身体を抱き締める</p><p>それでやっと許して貰ってあたしは、ここにいるんだよ</p><p>何よ許して貰うってあたしたち、何も悪いことなんてしていないじゃないっなのに、こいつらにいいようにされてさっ</p><p>何度も何度もレイプされて、人生をメチャクチャにされたのよっあたしは一晩で、10回以上よっあたしは、ヴァージンだったのにっ</p><p>そんなのあたしだって、そうだよあたしだって、一日で10回以上、エッチしたよ処女だったのに</p><p>マナは寂しげに、笑う</p><p>どうして、雪乃さんいつだって、自分だけが悲劇のヒロインだって思っているの</p><p>すっかり度胸の据わっているマナに雪乃は、絶句する</p><p>むしろ、喜劇のヒロイン(コメディエンヌ)としては、すこぶる優秀だと思うわ雪乃さんの場合</p><p>ミナホ姉さんが、そんな皮肉を言った</p><p>どんな時でも、自分は他の人から優遇されて当たり前だと思っているんでしょ自分を特別な人間だと思ってるだから、雪乃さん、こんな目に遭うんだよっ</p><p>馬鹿にしないでっあたしは、あんたの姉なのよっ</p><p>雪乃が、マナに叫ぶ</p><p>そうだよだから、あたし言ってるんじゃないっ</p><p>あたしも馬鹿だったから雪乃さんと、一緒だよ自分が、白坂の一族の人間だって思っていたから特別だって思ってた依怙贔屓されて当然だってだから</p><p>マナの眼に、涙が溜まる</p><p>そんな悪い人間だったからいっぱい、いっぱいお仕置きされたんだよ雪乃さんあたしだって、最初は、雪乃さんと同じ様に処分されるはずだったんだよっ</p><p>雪乃は呆然とする</p><p>そうよ最初の予定では、雪乃さんは妊娠・出産させてから、海外へ売り飛ばす白坂舞夏は、殺す予定だったわ</p><p>ミナホ姉さんが低い声で、そう言う</p><p>お兄ちゃんが狡くて、身勝手で、他の人を見下してばかりいたあたしを、最後まで見捨てないでくれたからあたしは、ここに居るのお兄ちゃんが馬鹿なあたしを、何度も何度も助けてくれたんだよ自分を犠牲にして</p><p>オレを抱き締めるマナ</p><p>細くて小さな肉体</p><p>体温が、冷たく感じる</p><p>顔色も青ざめていた</p><p>マナ大丈夫だぞお前は、もうオレたちの家族なんだから</p><p>うんありがとう、お兄ちゃん大好きっ大好きだよっあたし、一生、お兄ちゃんに尽くすからどんなことだって、するからねずっとずっと、一緒に居てお願い、お兄ちゃんお願いだからっ</p><p>オレの胸に泣き顔を押しつける</p><p>それは、違うぞマナ</p><p>えお兄ちゃん</p><p>びっくりして、オレを見上げる</p><p>何かをするとか、尽くすとかそんなのは、どうだっていいんだ</p><p>オレは、マナの眼を見て言う</p><p>もう、マナがオレの側に居ることは当たり前になっているんだ家族だからな</p><p>マナの瞳に光が灯る</p><p>居たいだけ、ずっと居ろよオレは、マナが側に居てくれるだけで嬉しいんだから</p><p>うんじゃあ、ずっと側に居るよ一生居る離れない好き好き愛しているよお兄ちゃん</p><p>マナが、キスを求めてくる</p><p>オレは、雪乃の前でマナとキスをした</p><p>何やっているの、舞夏あんた、まだ中学生でしょ</p><p>濃厚なキスを繰り返す妹を見て雪乃は、愕然としている</p><p>あたし、もう女だもんっ大好きな男の人のいる女だよっ</p><p>マナは、勝ち誇った笑みで姉を見下す</p><p>メグも、オレにキスを求める</p><p>重なる、唇</p><p>あたしもずっと側にいるね</p><p>みんな一緒だよ</p><p>身を寄せ合うオレ、マナ、メグ</p><p>あんたたち、本当に頭が変になっちゃっているんじゃないのその男は</p><p>そうね雪乃には、ヨシくんの素晴らしさは判らないんでしょうね</p><p>メグが、オレを抱き締めたまま言った</p><p>雪乃さんは自分のことにしか、興味無いものね</p><p>御名穂さんお願いがあります</p><p>なあに、恵美</p><p>雪乃妊娠していない可能性もありますよね流産することも</p><p>一応、雪乃さんの一番受胎する期間を狙ったつもりだけれどこればかりは、時間が経たなくては判らないわ</p><p>処女喪失から、まだ１週間も経っていないんだ</p><p>確実に、妊娠しているかどうかは今の状態では、判らない</p><p>もし、雪乃が妊娠していなかった場合もう一度、ヨシくんに雪乃とエッチはさせないで欲しいんです</p><p>その時はあたしが妊娠して、赤ちゃんを産みますあたしだって、白坂創介の娘です御名穂さんの復讐のためにあたし、赤ちゃんを産みますから</p><p>白坂創介に、妹の奈生実さんを殺された</p><p>自分のお腹の中にできた赤ちゃんも堕ろさせられた</p><p>その時の無茶な手術で二度と、子供の産めない身体にされた</p><p>白坂創介の娘に代わりの赤ちゃんを産まさせるのが、ミナホ姉さんの復讐だった</p><p>マナが産みますマナだって、あの人の娘です</p><p>マナもそう宣言する</p><p>あなたたちそんなに、彼と雪乃さんがセックスするのは嫌なの</p><p>ミナホ姉さんが、２人に尋ねる</p><p>絶対に嫌ですっ</p><p>はい、マナも</p><p>お前たち</p><p>これ以上、雪乃とエッチしたらヨシくんが、汚れます</p><p>雪乃さんなんかに、もうお兄ちゃんは触らせたくないですっ</p><p>ミナホ姉さんがクスッと笑った</p><p>あなたは、どうもう、雪乃さんとセックスできなくなってもいい</p><p>オレは改めて、雪乃を見る</p><p>雪乃は怒りに眼を吊り上がらせていた</p><p>ああこいつは</p><p>メグとマナが、何を言っているのか全然、理解していない</p><p>理解する気もない</p><p>あたしは、別にどうでもいいわよっあんたなんてさっ</p><p>そう言って再び、食事をする</p><p>ふんっあんたたち、みんなキチガイよっ頭がおかしいのよっあたしは付き合ってられないわよっ馬鹿なんじゃないのっ</p><p>今の雪乃は</p><p>ただ自分の存在が、否定されるということだけに反射的に怒りを感じている</p><p>白坂雪乃は、瞬間瞬間の感情だけで生きている</p><p>論理的に雪乃と、心を交わすことは不可能だ</p><p>雪乃はただ自分の感情を害することがあれば、大声で喚き暴れ</p><p>自分にとって好ましいことだけを要求する</p><p>そうだ要求するだけで</p><p>雪乃は絶対に、自分から努力して得ようとはしない</p><p>自分という特別な存在は、常に与えられて当然だと思っているからだ</p><p>ちょっと味が薄いわよっ、これっ胡椒とか無いのっもおっ</p><p>だから、これだけ言われてなお</p><p>メグとマナの作った食事を食べ続けている</p><p>メグとマナがオレを見ている</p><p>もういいよ雪乃は</p><p>雪乃とは、もうできないよ</p><p>メグとマナの顔が、パッと明るくなる</p><p>雪乃は無視して、ムシャムシャとサラダを食べている</p><p>そう判ったわ</p><p>雪乃さんのことは、あたしたちが監視するわあなたたちは、もう寝なさい</p><p>ミナホ姉さんの言葉に、マルゴさんが小さく頷く</p><p>この後、雪乃はまた監禁されるのだろう</p><p>今度は、絶対に逃げ出すことはできない</p><p>雪乃、食べ終わったら食器は流しに置いておいてあなたでも、それくらいのことはできるでしょ</p><p>さよなら、雪乃さんもう二度と、会えないと思うけれど、清々するよっもし、万が一、街でばったり出遭っても話し掛けてこないでね警察呼ぶからね</p><p>マナは、最後まで雪乃に酷い</p><p>さあ、行こうお兄ちゃんっ</p><p>ええヨシくん</p><p>２人が、オレの両腕を掴む</p><p>ちょっちょっと、待ちなさいよっ</p><p>待たない</p><p>オレは、メグとマナと無言で、部屋を出る</p><p>ありがとう、ヨシくん、あたしたちを選んでくれて</p><p>左右から、オレに抱きつく２人</p><p>オレはそのまま、しばらく廊下を歩く</p><p>ヨシくん、どうしたの</p><p>お兄ちゃん、泣いているの</p><p>オレの眼に涙が溢れてくる</p><p>どうしてだろう</p><p>どうして涙が</p><p>ねえ、大丈夫、ヨシくん</p><p>どうしちゃったのっお兄ちゃん</p><p>ああ立っていられない</p><p>オレは、廊下に跪く</p><p>涙が</p><p>涙が止まらない</p><p>どうして、悲しいことなんて何もないじゃない</p><p>マナの声が耳に響く</p><p>全部、雪乃さんの自業自得なんだからっ</p><p>そうよっそれに、ヨシくんのお陰で、最悪の結末だけは避けられたわ</p><p>うん雪乃さん殺されたり、海外に売り飛ばされることはなくなったんだよっ大丈夫だって、市川のお祖父さんは良い人だから</p><p>そうよもう、ヨシくんは雪乃のことなんて、気にしなくてもいいんだからねっ</p><p>２人が必死に、オレに話し掛けてくれるが</p><p>オレの涙は止まらない</p><p>どうしちゃったんだオレ</p><p>何で泣いているんだオレ</p><p>はいはーい、ここはあたしに任せてっ</p><p>廊下の先から寧の声がした</p><p>ごめんね、２人ともこういう場合だけは、おっぱいの大きいお姉さんの出番なんだよっ</p><p>驚いているメグとマナ</p><p>いいからっ、いいからっそこ開けてっ</p><p>そして寧が、泣いているオレの前にやってくる</p><p>ほらっ、よっこいしょっと</p><p>寧は、オレの身体を引っ張り上げ自分の胸に、オレの顔を押しつける</p><p>寧の柔らくて暖かいおっぱいにオレは、顔を埋める</p><p>はい、どうぞ好きなだけ、あたしの胸で泣きなさいっ</p><p>ワーワーと泣いていた</p><p>寧の胸がオレの涙でグシャグシャに濡れていく</p><p>ホント好きだったんだよね</p><p>その言葉がオレの心を抉る</p><p>違うんですそうじゃ、ないんですオレが好きだったのはオレが勝手に自分の頭の中に創っていた幻想の雪乃であの雪乃じゃないんです</p><p>そんな言葉が零れ落ちる</p><p>うんうん判るよヨッちゃん</p><p>あんな女じゃあんな人間じゃないんです</p><p>そうだよねっそうじゃなきゃ溜まらないものねっ</p><p>寧は、オレの頭と背中を優しく撫でてくれた</p><p>だけどオレでも、でも、でも</p><p>入学式のあの日を思い出す</p><p>あいつは雪乃は、悪いやつじゃないんですっあいつは落ち込んでいるオレに、声を掛けてくれたんです</p><p>どうしたの、君具合、悪いの</p><p>優しい声で雪乃は、オレに</p><p>うん、判るよ白坂雪乃は、悪い子じゃないよね</p><p>オレを抱いたまま、寧がそう言ってくれた</p><p>でもそんなに良い子でも、なかったんだよあの子は</p><p>初対面の最初の一言だけで</p><p>ずっとずっと雪乃に親近感を感じていた</p><p>外面の良い子だからねきっと、ヨッちゃんじゃなくても、人当たりの良いことを言ったんだと思うよ</p><p>でもあの子は、面倒だったら、どんな物でも、どんな人でも、平気で投げ捨てていく子だから</p><p>もし、あの入学式の日</p><p>オレが親父の失踪のショックで、震えていたのではなく</p><p>本当に急病だったとしたら</p><p>やっぱり、雪乃はどうしたの、君具合、悪いのと、声は掛けてくれただろう</p><p>しかし、その後は</p><p>誰が、手近に居る押しつけられそうな人間にオレを任せて、自分は立ち去って行っただろう</p><p>ほら、元気を出してっヨッちゃんには、あたしたちが居るんだからねっ</p><p>寧が、オレをギュッと抱き締めてくれる</p><p>そうだよ、ヨシくん</p><p>あたしはヨッちゃんに恋しているよっ大好き、愛しているっ</p><p>あたしも、恋しているわヨシくんが好き</p><p>マナもお兄ちゃんが、大好きなのっ</p><p>あたしたちは絶対に、ヨシくんを見捨てないからずっと、ずっと一緒に居るんだからね</p><p>そうだよヨシくんっ</p><p>お兄ちゃんが泣き止むまで、ずっとここに居るよ</p><p>涙がスーッと収まる</p><p>家族なんだよあたしたちっ</p><p>そうだオレたちは、家族だ</p><p>オレはもう決して、一人ぼっちじゃない</p><p>本当は、あたしの役は渚お姉ちゃんが、適任なんだけれどね渚お姉ちゃんのおっぱいの包容力には、敵わないから</p><p>地下室へ戻る道すがら寧が、言った</p><p>でも、ほら渚お姉ちゃんは、今の時間は真緒ちゃんから離れられないから</p><p>渚は真緒ちゃんが夜中に目覚めた時、隣に母親がいないと寂しがるだろうと懸念していた</p><p>だから、今は同じベッドで眠っている</p><p>そしたら克姉かあたしのおっぱいの出番でしょうやっぱり、男の子の心を癒やすには、おっぱいが一番だからっ</p><p>マナが、自分の小さな胸を見る</p><p>そう言われるのはちょっと、辛いよ</p><p>まあまあ、こういう時だけなんだから気にしないでっヨッちゃんが、泣くほど落ち込むことなんて、そうは無いんだからさっ</p><p>寧は、そう言ってマナの身体を抱き締める</p><p>おっぱいっていうか姉力が必要だったんだよ今の場合はねっ</p><p>優しい笑顔でマナに言う</p><p>ヨッちゃんに妹力が必要な時は、ちゃんとマナに任せるから</p><p>妹力</p><p>そうそう、ロープレの呪文と同じで使う時と効果が違うんだよっ</p><p>ロープレって何だ</p><p>炎属性には、氷雪系でしょ炎熱に炎熱じゃ、効果無いものね</p><p>寧の言葉は、意味が判らない</p><p>判った妹力の効果のある時もあるってことだよね</p><p>マナ判るのか、今の説明で</p><p>ヨシくんと同い年のあたしは出番はあるんですか</p><p>メグが、おそるおそる尋ねる</p><p>メグちゃんは、ほらっ同級生力とか彼女力があるじゃないっ</p><p>寧は、ニッと微笑む</p><p>姉や妹では解決できないことってのも結構、あるって思うよっ</p><p>そ、そうですよねっありがとうございますっ</p><p>メグは嬉しそうに、答えた</p><p>ヨッちゃん部屋に戻ったら、克姉を慰めてあげて</p><p>克姉が、あたしに姉力を譲ってくれたのは自分には、包容力が足りないって思い込んでいるからなんだよっ</p><p>いや、だってそんなことないよ克子姉だって</p><p>うん、克子お姉さんすっごい、おっぱいしているよ</p><p>マナが、驚く</p><p>おっぱいの大きさは関係ないんだよっ克子姉、自分のこと、刺々しい女だって思い込んでいるとこがあるから</p><p>全然そんなことないじゃないですか</p><p>ああそうか２人とも、今の温和な克姉しか知らないもんね</p><p>ちょっと前まで克子姉は、性獣だった</p><p>前の克姉は自暴自棄のハチャメチャ・クレイジーだったからまた、何かの拍子で、その頃のトゲトゲとした自分が出て来ちゃうんじゃないかって心の中で恐れているんだよ</p><p>みんなそれぞれ、コンプレックスを抱えているんだな</p><p>ある人は他人に</p><p>ある人は自分自身に</p><p>判った何とかするよ</p><p>入り口のドアが開けっ放しのアニエスの部屋に戻る</p><p>お帰りなさいませ</p><p>麗華は、起きていてくれた</p><p>いかがでしたか</p><p>ああ、マナの活躍で雪乃は捕まえたマルゴさんが監視しているから、もう問題はないよ</p><p>こっちは、どう</p><p>問題ありませんあの子は、また起きちゃったみたいですが</p><p>闇の中にイーディの眼が、光っている</p><p>本当に人の気配には、敏感なんだな</p><p>それにアニエスさんも、眠れないみたいです</p><p>イーディに、自分のベッドに潜入され困惑している</p><p>誰かと同じベッドで寝ることなんて、生まれて初めてなんだろう</p><p>いや同じ部屋でみんなと寝ることも</p><p>これだけの人数とこんなに長い時間、一緒に過ごすことも</p><p>寧が、イーディに英語で何か言う</p><p>もう問題は片付いたから、あたしたちは寝るあんたも寝なさいだって</p><p>マナが、通訳してくれた</p><p>むんずと、アニエスの小さな身体を抱き枕みたいに抱えて眠りだした</p><p>アニエスは緊張して身体を硬直させている</p><p>大丈夫だよそのうち、眠くなって寝ちゃうから</p><p>イーディ、全然、アニエスに開けっぴろげなんだから怖くないって判ったら、ストンと眠っちゃうよ</p><p>うんそうだろうな</p><p>２人を見てちょっと、思い付く</p><p>オレはエア・マットの克子姉の横に寝転ぶ</p><p>克子姉、起きているだろ</p><p>オレたちが外に行っているのに１人だけ眠ってしまうような克子姉ではない</p><p>克子姉抱き枕になってよ</p><p>あ、違う、逆だなオレを抱き枕にしてくれよ</p><p>眼をぱちくりさせる克子姉</p><p>そんなことないわ</p><p>克子姉がオレに手を広げる</p><p>克子姉の胸に、顔を埋める</p><p>ああ柔らかくて、あったかくて、良い匂いがするよ克子姉</p><p>このまま、朝まで寝よう</p><p>克子姉はオレ優しく抱いてくれた</p><p>あなた、アニエスのことなんだけれど</p><p>オレの耳に、小声で囁く</p><p>さつきはみんなで、同じお鍋やお皿から、お料理を取り分けてみんなと一緒に食べるということを体験させたでしょ</p><p>だから次はお料理を作る過程を見せるべきだと思うの</p><p>自分が食べるものは誰がどんな風に作っているのかを、あの子には教えてあげるべきだわ</p><p>うんいい考えだと思う明日の朝はアニエスの前で、パンを焼く</p><p>パンは、仕込むのに時間が掛かるから明日の朝、すぐは無理よでも、そのうちにやりましょうこの部屋に、器具を用意して</p><p>明日には、恭子さんたちが壁を取り払って、向こうの部屋と一続きにしてくれるって言ってたもんな</p><p>部屋の広さが２倍になれば色んなことができる</p><p>麗華やマルゴさんのトレーニングも、ここでやって貰おう</p><p>アニエスには、色んな人の生活する姿を見させたい</p><p>それで、明日の朝だけれどホットケーキを焼こうと思うのよあれなら、発酵させたりしなくていいから</p><p>克子姉は言った</p><p>うん、良いアイデアだと思うよ</p><p>それで、上の階からここに下ろさないといけないものは</p><p>そのまま、克子姉は自分のプランを語った</p><p>この部屋の一角を、お料理コーナーにするための</p><p>そう、それからね</p><p>そんな話をしているうちに</p><p>オレはすーっと眠ってしまった</p><p>まあ、こういう失恋もあるということで</p><p>中２の時の英語の教科書に載っていた小説で</p><p>初恋の女の子がいたんだけれどその子が、みっともない男の子と２人で歩いて居るを見たら、恋が醒めたというのがありました</p><p>その時は、そんなことってあるのかなって思っていましたが</p><p>２０代の頃に、好きだった女の子に彼氏ができたと聞いてショックだったのでしたが</p><p>その相手の男を見たら、あんまりにもどうしょもない男だったので</p><p>その女の子への思いが、きれいサッパリ消滅するということを実際に、体験しました</p><p>何かもう、見た目からしてヤリチン男で</p><p>ああ、こういうのと、平気で付き合っちゃう女なんだと思ったらサーッと血の気が引いて</p><p>吉田くんの、雪乃を見て大爆笑もそういうことなんだと思います</p><p>ほんのわずかに残っていた、雪乃の良いイメージが一瞬にして、崩壊したという</p><p>次話から、翌日の朝となります</p><p>朝の場面をやって</p><p>今度は、瑠璃子編ですね</p><p>こっちは、陵辱系でいく予定です</p><p>378．モーニング・セックス</p><p>天窓から、朝の光線が降り注いでいる</p><p>もう朝か</p><p>オレは克子姉の暖かくて、豊かな身体に抱き締められて</p><p>何か、背中の方にも柔らかいものが、グニュと当たっている</p><p>おはよ、ヨッちゃん</p><p>耳元に寧が囁く</p><p>オレを後ろから抱き締めているのは寧か</p><p>あのねあたし、昨日、池田先生に言われたんだよ</p><p>池田先生</p><p>黒い森がお世話になっている、女医の</p><p>明日の朝までは、セックスしちゃダメよって</p><p>寧の手が、オレの股間に伸びてくる</p><p>そして、今がアサーッッ</p><p>朝勃ちしているペニスを寧は、優しく撫で上げる</p><p>しよう、ヨッちゃん</p><p>いや寧、それは</p><p>とオレを抱いていた、克子姉の眼がパッと開く</p><p>ま、しょうがないわよねっ譲ってあげるわっ</p><p>え起きてたの</p><p>参加もするけれど</p><p>克子姉は、寝巻がわりのバスローブの胸を開く</p><p>豊かな胸が乳首が、オレの眼前に</p><p>あ、克姉、ずっるいっ</p><p>寧は、オレの亀頭をシゴキながら克子姉に言う</p><p>いいじゃない、これくらい</p><p>キュッとオレを抱き締める克子姉</p><p>生々しい柔肌に、オレの顔は埋まってしまう</p><p>横からの声に、何とか克子あるのおっぱいから顔を上げると</p><p>マナとメグは、すでに全裸になっていた</p><p>昨夜、寧お姉ちゃんだけが、お兄ちゃんとエッチしていなかったから</p><p>この場は譲りますけれど</p><p>そうりゃあ、ヨッちゃんを引っ繰り返せーっ</p><p>寧の号令で４人の美少女たちが、オレに襲いかかる</p><p>オレは無理矢理に、バスローブを剥ぎ取られ</p><p>仰向きに寝かされ両手両脚を大きく拡げて、抑え付けられる</p><p>うふふ、ヨシくん</p><p>メグが、オレの右手をペロペロと舐める</p><p>指をフェラするように、唇でしごく</p><p>マナは、オレの左手を自分の胸に押し当ててオレのお腹からへその辺りをペロペロと舐めていた</p><p>その頃、克子姉はオレの足の指を舐めている</p><p>ここ、いいでしょう</p><p>的確に性感帯を探して刺激する</p><p>あたしは、ここだよねっ</p><p>寧が天頂を差して隆々と勃起しているペニスを、はむっと咥える</p><p>じゅるじゅると音を立てて舌を這わす</p><p>はーい、アニエス、見えてるぅ</p><p>アニエスに手を振る寧</p><p>アニエスは、朝にも儀式をするのが日課だったんだっけ</p><p>その日課を壊すために、先回りしてオレたちの生セックスを見せ付けるのか</p><p>オレは、顔を起こして、アニエスの方を見る</p><p>見ているオレの勃起を</p><p>怯えた表情で</p><p>アニエスと同じベッドでイーディも</p><p>眼を爛々とさせこっちを見ている</p><p>ちゅぽっ</p><p>寧は、お行儀悪く音を立てながらオレのペニスを、しゃぶっていく</p><p>ヨッちゃあーん</p><p>寧が、バスローブを脱ぎ捨てて、全裸になる</p><p>そしてオレの上でくるっと体勢を変えた</p><p>頭は、オレのペニスをフェラしたままオレの顔の上に、自分の股間を向ける</p><p>寧のそこは割れ目からすでに、透明な液が滴っていた</p><p>舐めてぇ</p><p>オレは舌を伸ばして、寧の女性器を啜る</p><p>あああんっ、気持ちいい</p><p>口の周りが寧の漏らした液で、ベトベトになる</p><p>寧の味は甘酸っぱい</p><p>女のセックスの匂いで、ツンと鼻にくる</p><p>あんっ、すごくエッチだよ、これ</p><p>オレの亀頭が熱く湿った、寧の口の中で擦られる</p><p>オレの舌がやっぱり、熱く湿った寧の秘裂を押し広げて抉る</p><p>うわっ何か凄い</p><p>オレたちの痴態に、マナが声を上げる</p><p>こうやって、お互いにペロペロし合うことをシックスナインていうのよ</p><p>克子姉が、妹たちに教える</p><p>あっ、そう言えば、部活の先輩から聞いたことがあるわ</p><p>メグが、そんなことを言う</p><p>マナも、これやってみたいな</p><p>後ですればいいじゃないあたしも、するから</p><p>うんっ、そうだねメグお姉ちゃん</p><p>パシャ、パシャっとカメラのシャッター音が聞こえてきた</p><p>見ると、克子姉がエア・マットから下りて、デジカメで写真を撮っていた</p><p>もうっ克姉、こんなところ撮らないでよっ</p><p>寧が、恥ずかしがる</p><p>だって黒髪の寧、綺麗なんですもの</p><p>黒髪の寧とセックスするのはこれが初めてだ</p><p>んどうしたの挿入(い)れたくなっちゃった</p><p>寧が、明るくオレに答える</p><p>姉さんの顔を見て、したいよ</p><p>うふふふっ奇遇だねぇっあたしも、今、そう思っていたところっ</p><p>寧が身体を起こす</p><p>ヨッちゃん、上がいい下がいい</p><p>上オレが、姉さんを抱きたいっ</p><p>オッケーっマナ、ちょっとそこ開けて</p><p>あっ、はーいっ</p><p>寧がマットの上にゴロンと寝転ぶ</p><p>この角度ならアニエスたち、よく見えるかな</p><p>うんこれで、大丈夫だと思うわよ</p><p>克子姉が、身体の位置を調整してくれる</p><p>あっ、麗華お姉さんも、そんなところにいないでもっち、近くで見ていてよっ</p><p>寧が、麗華に言う</p><p>麗華は並べたエア・マットの隅っこで、小さくなっていた</p><p>いやわたくしは、その</p><p>麗華見ていてくれ</p><p>ははい、主様</p><p>はーい、ヨッちゃんおいでっ</p><p>マットに横たわった寧が両手と両脚を大きく開いて、オレを招く</p><p>飛び込むように、のしかかるオレ</p><p>慌てないのっあたしは、逃げないからさっ</p><p>オレは、仰向きになっても全然量感の変わらないおっぱいにむしゃぶりつく</p><p>あはっヨッちゃん、おっぱい好きだよねぇ赤ちゃんみたい</p><p>寧の１８歳の肌は瑞々しくて、張りがあって、艶やかで</p><p>その先っぽの桜色の突起をオレは舐める</p><p>あんっゾクゾクするいいよおっヨッちゃん</p><p>寧の感じている顔がとても、可愛い</p><p>お兄ちゃんにおっぱいを舐められると女の子で良かったなあって、思うんだよね</p><p>そうよねおっぱいがあって良かったって、感じるわ</p><p>メグ、マナの言葉に麗華が、ゴクッと唾を飲み込む</p><p>麗華は克子姉よりも、二つ年上だっけ</p><p>２３歳</p><p>この中では、一番成熟した肉体をしている</p><p>何度も、オレたちのセックスを見学させられて</p><p>そろそろセックスは、気持ちいいものだということが、麗華の中に根付いてきている</p><p>もうすぐ、麗華自身から体験することを望んでくるだろう</p><p>いや、麗華の場合はそうなるのを待たなくてはいけない</p><p>命令されてのセックスでは麗華の心は、囚われたままだと思う</p><p>麗華はいまだに、オレのことを主様とか呼んでいるし</p><p>オレたちは家族になりたいのに</p><p>主従の概念を麗華が持ち出すのは</p><p>心を完全に解放するのが怖いからだ</p><p>主からの命令で、仕方なくすることなら麗華は、自分の心を守ることができる</p><p>でも、それじゃあ本当の家族にはなれない</p><p>ヨッちゃん、あのね</p><p>寧の声にオレは乳首から口を離す</p><p>お腹の奥がキュンキュンするの欲しくなっちゃったみたい</p><p>とびきりの黒髪の美少女がオレを求めている</p><p>あっ、判る子宮が熱くなるんだよねっ</p><p>ええ、あたしも判るわ</p><p>メグの言葉に麗華は、そっと自分の下腹を抑えている</p><p>いくよ姉さん</p><p>うんちょうだいっ</p><p>オレは勃起を寧の膣口に当てる</p><p>昨日、破られたばかりのそこは狭い</p><p>痛くしてもいいからっ</p><p>ああ寧っ</p><p>思わず、寧の名前を叫んでしまった</p><p>オレの亀頭がぬめった膣内に侵攻していく</p><p>あうぐっ</p><p>痛そうな顔をする寧</p><p>いいからもっと全部きてぇぇっ</p><p>一番狭い場所を亀頭が、ぬぷっと潜り抜ける</p><p>そのままずずずっと、最後まで押し込むっ</p><p>全部、入ったよ</p><p>うん判るよっ</p><p>寧が汗ばんだ顔で、オレに微笑む</p><p>ちょっと休憩</p><p>オレのを馴染ませるんだよ</p><p>オレは、動かずにそのまま寧を抱き締める</p><p>すっごい全部入っちゃってる</p><p>マナが、結合部を見てそう言った</p><p>あたしもいつも、こんなになっているんだ</p><p>パシャ</p><p>繋がっているオレたちを克子姉は、記録する</p><p>マナちゃん繋がっているところ、舐めてあげてっ</p><p>気持ちいいのよっそうされると</p><p>克子姉が、そんなことを言い出す</p><p>あたしがやります</p><p>メグが、率先してオレたちの結合部に舌を這わす</p><p>どう、ヨシくん気持ちいい</p><p>とってもいいよメグ</p><p>マナもするっ</p><p>マナも舐める</p><p>うん、ゾゾッとして、気持ちいいよっ</p><p>オレたちの繋がっている部分を、メグとマナが様々に舐める</p><p>その様子も克子姉は、写真に収めていく</p><p>お尻の穴を舐めるのもいいのよ</p><p>シャッターを切りながら、克子姉が言った</p><p>ええーっ</p><p>あたしがしますっ</p><p>メグは、ためらわずにオレの肛門をペロペロ舐める</p><p>あっああっ</p><p>そんなに気持ちいいのお兄ちゃん</p><p>マナもする</p><p>メグが、マナに場所を譲る</p><p>うんっありがとう</p><p>今度は、マナがオレの肛門を</p><p>メグは、寧のお尻を舐めていた</p><p>うわっ、これキクっ</p><p>寧の膣が、キュッと締まる</p><p>後で、メグとマナにもしてあげるからねっ</p><p>気持ち良さそうに、寧は言った</p><p>ね、あなたアニエスを見て</p><p>克子姉の言葉にオレは、そっと振り向く</p><p>オレたちの痴態を見て自慰を始めていた</p><p>白坂創介の像ではなく</p><p>熱く潤んだ眼で寧が、オレを見る</p><p>寧が何を望んでいるのかオレには判る</p><p>メグ、マナ離れてくれオレたち、愛し合うから</p><p>うん見てるね</p><p>最初は、ぐりぐりと円を描くように</p><p>それから、ぬっぬっとピストンを始める</p><p>んんっんんっあっ</p><p>寧の息遣いが、段々荒くなる</p><p>喘ぎ声が大きくなる</p><p>うっふっはっはっあんっ</p><p>オレに突かれて、寧の肉体が揺れる</p><p>豊かなおっぱいはぶるるんと、ウェーブとなる</p><p>気持ちいいからって、脱力しちゃダメよ寧の方も、彼に合わせて腰を動かしなさい彼のオチンチンを、キュッと締めるのよ</p><p>写真を撮りながら克子姉が、アドバイスする</p><p>こ、こうかなっ</p><p>寧も下からオレに腰をぶつけてくる</p><p>色々試してみなさい自分が気持ち良くて、彼も気持ち良さそうなところを探すのよ</p><p>うんヨッちゃん、顔をよく見せて</p><p>セックスしながら、見つめ合うオレたち</p><p>オレの寧は本当に</p><p>あんっこ、ここだここ、いいよヨッちゃんも、んて、切なそうな顔になった</p><p>そう言う寧だって切なそうな顔をしている</p><p>綺麗だよ</p><p>うん綺麗で、可愛くて大好きだ愛しているよ</p><p>あたしだってそうだよっヨッちゃん</p><p>腰の加速が止められない</p><p>痛いの</p><p>いいから、気にしないであたしは、痛いのだって、嬉しいんだからっ</p><p>ヨッちゃんとセックスしているんだよっ幸せだよっああっ</p><p>オレ、もう</p><p>いいよっいっぱい出してっ</p><p>寧はまだ絶頂に向かっていない</p><p>いいからっ出して、思いっきり出してっ</p><p>下からぐいぐいと腰を押しあげる、寧</p><p>ヨッちゃんのが欲しいのっ</p><p>何て、可愛いんだ寧</p><p>オレ、オレ、オレ</p><p>いいよっ早くっ早くっちょうだいっ</p><p>寧がオレを見ている</p><p>オレを求めている</p><p>イクよっイクよっイクぅぅッッ</p><p>寧の子宮に熱流が押し寄せる</p><p>あああっ、入って来てるぅぅ熱いの、判るよおっ</p><p>寧っ</p><p>オレは、寧を力一杯抱き締める</p><p>キスする</p><p>舌を押し込むっ</p><p>寧は、身体を震わせながらオレの舌を吸ってくれた</p><p>出てる</p><p>まだ、出る</p><p>朝一番の精液が寧の子宮を満たしていく</p><p>はぁ、はあ、はあ、はあ</p><p>抱き合ったまま見つめ合う、オレたち</p><p>ちゃんとイケた</p><p>寧が、オレに尋ねる</p><p>うんすっごい、気持ち良かった</p><p>うふふっ良かった</p><p>寧が、オレの唇にチュッとキスする</p><p>自分の身体だけで、ヨッちゃんを気持ち良くすることができるって素敵だよねっセックスって、本当にすごい</p><p>本当に裸の身体だけあれば、できるんだもの幸せな気持ちになれるんだもの</p><p>裸の心も必要だよ</p><p>あ、そうだね</p><p>クスクスと笑う、寧</p><p>あたし、ヨッちゃんに心も身体も捧げちゃった</p><p>次にする時は一緒にイキたいよ</p><p>うん次は、頑張る</p><p>ニッと笑う寧</p><p>離れるよ</p><p>うん、ヨッちゃん</p><p>オレは寧から、ずるりとペニスを引き抜く</p><p>寧、アニエスに見せてあげて</p><p>はーい、克姉</p><p>寧が、アニエスたちに向かって、大きく足を拡げる</p><p>すぐに</p><p>とろろろっと膣に出された白濁液が、垂れてくる</p><p>うわっ、いっぱいだね</p><p>朝一番だからね</p><p>アニエスは大きく眼と口を拡げて、寧の割れ目から零れる液体を見ていた</p><p>すっかり自慰の手は、止まっている</p><p>男女のセックスや、精液は白坂創介に散々見せられているのだろう</p><p>ありがとう、寧さん</p><p>こちらこそ、ヨッちゃん</p><p>オレたちは、微笑み合いキスを交わす</p><p>行為の後、こんなに晴れやかな顔で、笑い合う姿は白坂創介のセックスでは、ありえなかったはずだ</p><p>むぎぎーっ</p><p>と、突然</p><p>アニエスの横でイーディが、訳の判んない奇声をあげる</p><p>昨夜のオレの射精と今の、寧の胎内から垂れてくる精液</p><p>それが、彼女の中でようやく、リンクしたらしい</p><p>セックスが男のあの液体を、女の身体に放出することだと理解したようだ</p><p>もちろん、イーディにはこれが子作りの行為だということは判らないだろうが</p><p>人間の根源的な営みの一つであるということは、何となく把握したらしい</p><p>生々しい性の実感が、イーディを襲う</p><p>あれはまあ放っておきましょう</p><p>お兄ちゃんマナが、お掃除するねっ</p><p>全裸のマナがオレのペニスを咥えて、お掃除フェラを始める</p><p>じゃあ、あたしは寧お姉さんを</p><p>同じく、全裸のメグが寧の股間に垂れた、オレの精液を舐め取っていく</p><p>ああ、これも良い絵になっているわねっ</p><p>そんな光景も克子姉は、写真に撮っていく</p><p>しばらく、全員裸のままで遊んでいた</p><p>抱き合ったり、キスしたり笑い合ったり</p><p>オレたちのそんな姿を、克子姉はカメラに収めていく</p><p>もちろん、麗華は一人だけマットの隅で困惑している</p><p>アニエスは、呆然としたままだし</p><p>イーディは、頭を抱えて布団の中に丸くなっている</p><p>メグ、今日は部活の練習に行くんだろ何時から</p><p>オレは、ふと思い出して、尋ねた</p><p>９時からよでも、一年生は８時半までに行っていないと</p><p>そうか、さすがに連休中に、朝練は無いもんな</p><p>今、何時だろ</p><p>６時半です</p><p>麗華が、腕時計を見て教えてくれた</p><p>さすがプロの警護人防水仕様の腕時計は、常に持っているらしい</p><p>じゃあ、まだ平気だね</p><p>このお屋敷は、学校のすぐ近くだ</p><p>後で、お嬢様たちが、車で学校へ向かわれますから一緒に乗せて行っていただけばいいわ</p><p>学校には白坂創介が、監禁されている</p><p>うん、お屋敷の前には、監視の連中が居るから一人は危険だそうした方がいいよ、メグ</p><p>警察と香月セキュリティ・サービスの両方だもんな</p><p>それに、ミナホ姉さんが学校に行かないと、学校の警備システムも機能しないだろうし</p><p>そうだね判ったわ</p><p>メグも、納得してくれた</p><p>そろそろ、服を着ようか</p><p>オレが、そう提案すると</p><p>もうちょっと</p><p>まだ、ダメっ</p><p>寧、メグ、マナそれぞれに返事する</p><p>まあ、朝の光の中で見る美少女ヌードは確かに、格別なんだけれど</p><p>部屋の入り口から、幼女の声がする</p><p>見ると渚と真緒ちゃんだった</p><p>あわわわっみんな裸っ</p><p>あまずかったろうか、教育上</p><p>いいのよ、真緒これから、みんなお風呂に入るんだから</p><p>渚が、フォローしてくれる</p><p>てへへっおふろっおふろっ</p><p>朝になったら、真緒ちゃんをお風呂にに入れてあげる約束だったっけ</p><p>うん入ろうか</p><p>あっ、あたし、湯船にお湯溜めてくるっ</p><p>てけてけと全裸のマナが、お風呂コーナーへ走る</p><p>あいつ自分も一緒に入る気だな</p><p>マナ、ダメだよっあんたは、後渚お姉ちゃんに入ってもらいなさいっ</p><p>寧が、マナを叱る</p><p>そうよ次は、渚お姉さんの番だわ</p><p>メグも、そう言ってくれた</p><p>そっかそうだね</p><p>今のマナは、ちゃんと他の人のことを考えることができる</p><p>あっさりと納得してくれた</p><p>よっし</p><p>オレは、マットから起き上がって裸のまま、真緒ちゃんの方へ向かう</p><p>ウーップスムギギギギーッ</p><p>すると、とんでもない勢いでイーディが、飛んで来る</p><p>そして渚と真緒ちゃんに英語で何か言う</p><p>必死の形相で身振り手振りも交えて、大声で</p><p>何を話しているんだ、マナ</p><p>ええっとねこいつは、危険だオチンチンから、謎の白い液体を出すぞこいつを近づけたら、真緒の身が危ない急いで避難しろだって</p><p>渚はニコッと、イーディに微笑む</p><p>そして、とても流暢な英語で返事をした</p><p>渚英語、できるんだ</p><p>ええ、あの子は娼婦時代に、時間があれば色んな通信講座を受けていたから努力家なのよ、あたしと違って</p><p>克子姉が、笑顔でそう言う</p><p>うんとねこの人は、あたしたちのとても大事な人です真緒には、ずっと、お父さんがいなかったけれど、彼は真緒のお父さんになってくれると約束してくれましただから、大丈夫です心配してくれて、ありがとうだって</p><p>マナが、渚の言葉を伝えてくれた</p><p>ほら、真緒パパって、呼んでいいのよっ</p><p>パパッ</p><p>真緒ちゃんが、笑ってオレの胸に飛び込んで来る</p><p>オレも、真緒ちゃんを抱き締めてだっこする</p><p>よっしお風呂、入ろうなっ</p><p>うんパパっ</p><p>真緒ちゃんの小さな身体を、床に下ろすと</p><p>待っててっ</p><p>急いで、着ている服を脱ぎ捨てていく</p><p>もう、真緒脱ぐのなら、ちゃんとしなさいっ</p><p>渚が、脱ぎ散らかされた真緒ちゃんの服を一つ一つ、拾い上げる</p><p>あのねぇパパ</p><p>ニヒヒと真緒ちゃんが、笑う</p><p>昨日の夜に、ママが言っていたの</p><p>ん何て</p><p>真緒ちゃんは、渚の口真似をして</p><p>早く、あの人抱いてくれないかしらこのままだとあたし、ヨッキューフマンになっちゃうわっ</p><p>渚の顔が、真っ赤になる</p><p>もおっ、真緒っ</p><p>ねえヨッキューフマンてなあに</p><p>オレは、真緒ちゃんの頭を撫でて</p><p>ギュッとして貰えなくて、寂しい気持ちになっちゃうことさ</p><p>オレは渚の前に行き</p><p>渚愛しているよ</p><p>渚の身体を、ギュッと抱き締めた</p><p>もうごめんなさいね</p><p>いいんだよ</p><p>あたしも、愛しているわあなた</p><p>オレたちは、さっとキスをした</p><p>はあ、土日は、ほとんど家に籠もってました</p><p>お陰様で、大分回復してきました</p><p>まだ喉が腫れてるしも微熱と頭痛は残っていますが</p><p>効く薬が無い、自然治癒を待てっていうのはなかなか辛いですね</p><p>しかし、選挙カーがうるさいです</p><p>ちなみに私のところの選挙区の政権与党の候補者は政党名を言いません</p><p>まえは＊＊党の＊＊＊＊ですと連呼していたくせに、</p><p>今は＊＊＊＊ですだけです</p><p>よーく、覚えていますけれどね</p><p>あと、一週間の辛抱か</p><p>379．荒ぶる、雪乃　（その１）</p><p>うふふん、ふんっ</p><p>朝から真緒ちゃんはご機嫌で</p><p>オレにスポンジで身体を洗われている</p><p>そのオレの身体を裸の渚が洗ってくれていた</p><p>わははーいっ、あらいっこあらいっこだねっ</p><p>真緒ちゃんは、ニコニコ笑っている</p><p>子供っていいなあ</p><p>エアマットの上から、オレたちの入浴を見ながら寧が言った</p><p>そうですよねあたしも欲しい</p><p>マナは真緒ちゃんになりたい</p><p>メグがマナに振り向く</p><p>そしたら、マナも思いっきりお兄ちゃんに甘えるもんっ</p><p>ふむそれもいいわねえ今度、赤ちゃんプレーとかやってみる</p><p>克子姉が答える</p><p>どんなのですかそれ</p><p>メグ頼むから、興味を持たないでくれ</p><p>寧やマナだと、まだ遊びで済みそうな気がするけれど</p><p>メグが相手だと、赤ちゃんプレーも本気でやらないといけないような</p><p>まあ、ホントは男の人の方が赤ちゃんになるんだけれどね</p><p>克子姉のトークを、真剣に聞く少女３人</p><p>一方、イーディとアニエスは、警戒しながらこっちを見ている</p><p>イーディが、ベッドから下りこっちにスタスタと歩いて来る</p><p>麗華がスッとオレたちの方に移動する</p><p>あ、大丈夫よお姉さん</p><p>渚が、にこやかに麗華に言った</p><p>そして、英語でイーディに話す</p><p>イーディはもごもごと、何か答えた</p><p>どうしたんだいイーディ</p><p>自分にも真緒を洗わせろですって</p><p>イーディは、お気に入りの真緒ちゃんとどうしても一緒に洗いっこがしたくなってしまったらしい</p><p>オレ（射精お化け）に対する、恐怖と嫌悪を乗り越えて浴室エリアまで、やって来たのだ</p><p>早く脱げって、言ってくれ</p><p>オレは渚に言った</p><p>オレたちは、浴槽に行こう</p><p>ええ、あなた</p><p>渚が英語で話すとイーディは、機嫌を直し</p><p>服をスポポンと脱ぎ捨てる</p><p>オレから、スポンジを受け取り真緒ちゃんに向かう</p><p>真緒、足はお姉ちゃんが洗ってくれるって</p><p>渚が言うと、真緒ちゃんは</p><p>えー、真緒、パパがいいーっ</p><p>と、オレに縋り付いてくる</p><p>そんなこと言わないでお姉ちゃんに、優しくしてあげなさい</p><p>やさしく</p><p>このお姉ちゃん真緒と遊びたくて、仕方がないんだから</p><p>おともだち、いないの</p><p>今、ここにはいないかも</p><p>美智はイーディのことを、どう思っているんだろう</p><p>イーディの方は、親友いや心友と思っているみたいだけれど</p><p>真緒は、昨日もこのお姉ちゃんと遊んでもらったでしょイーディちゃんは、真緒のお友達じゃないの</p><p>だってこのひとなにいってるのか、わからないんだもんっ</p><p>そういう人にこそ、優しくしてあげなさいって、ママ、いつも言っているでしょ</p><p>真緒ちゃんは、うーんと考えて</p><p>わかりましたっまおが、あそんであげますっ</p><p>真緒ちゃんは、イーディに振り向く</p><p>おねえちゃん、あそびましょっ</p><p>そして、イーディと洗いっこを始める</p><p>オレは、渚の身体の泡をシャワーで流して自分の身体も洗い流す</p><p>そして、２人で浴槽へ</p><p>渚を抱きかかえるようにして入る</p><p>おっぱいって、水に浮くんだ</p><p>湯の中で、渚のおっぱいの量感を確かめていたらおっぱいにも浮力があることに気付く</p><p>それはそうよ脂肪なんだから</p><p>渚は、笑う</p><p>脂肪の塊っていう小説があったわねモーパッサンの知ってる</p><p>脂肪の塊っていう仇名の娼婦の話よ</p><p>と克子姉とメグとマナが、服を着てこっちにやって来る</p><p>服って言っても昨夜のバスローブだけれど</p><p>朝食の準備をしてくるわ必要なものを、ここに下ろすから</p><p>えっとホットケーキを焼くんだっけ</p><p>ええ、昨日のIHヒーターのついたワゴンだけじゃあ、みんなの分、焼けないからカセット・コンロを幾つか持って来るわ</p><p>じゃあ、オレも行こうか</p><p>荷物が多いなら男手が必要だろう</p><p>あ、大丈夫よそろそろ恭子さんたちの朝のトレーニングが終わる頃だから手伝って貰うわ</p><p>ああ、だから克子姉は時間を見計らっていたのか</p><p>あの人たち体力だけは、有り余っているからねっ</p><p>寧も、やって来る裸で</p><p>寧は、セックスしたばかりなんだからちゃんと身体を洗いなさいね</p><p>はーい、克姉っ</p><p>真緒ちゃんとイーディが、洗いっこしている横でシャワーを浴び始める</p><p>幼女と褐色肌の金髪武闘娘はいつの間にか、キャッキャ、キャッキャと楽しそうだ</p><p>すっかり、良い友達になっている</p><p>じゃあ、ちょっと行ってくるわねっ</p><p>克子姉たちが、開けっ放しのドアから外へ</p><p>オレは部屋の反対側を見る</p><p>エア・マットの上に麗華</p><p>ベッドの上にアニエス</p><p>２人ともショボーンとした感じで、たたずんでいる</p><p>アニエスは、ともかく</p><p>麗華お姉さんはそろそろ、答えを出してもらわないといけないわね</p><p>オレは、渚に振り向く</p><p>麗華お姉さんは昨日のホテルで、たまたまの流れであたしたちの家族になってしまったでしょ黒い森の家族が、どういうものなのか、ちゃんと理解しないまま</p><p>麗華は黒い森が高級娼館だったということは、香月セキュリティ・サービスの資料で知っていた</p><p>だがそれだけだ</p><p>このまま、麗華お姉さんが家族に居てくれたら、とても助かるけれどそれは、あたしたちの勝手な都合よね麗華お姉さん今なら、まだ引き返せるんだから</p><p>麗華は香月セキュリティ・サービスのトップ・エリートの籍を失っていない</p><p>帰る場所はある</p><p>どうしてあたしたちがセックスを重要視しているかセックスを仲立ちとしてしか、家族を構成できないのかお姉さんは、まだ判っていないわ</p><p>だから昨夜からの、セックス攻勢に戸惑っている</p><p>そうだねはっきりさせてあげないと、いけないんだな</p><p>そうよもし、お姉さんに戻る意志があるのなら無理をしてまで、黒森の家族に入らなくてもいいんだから</p><p>渚は、寂しそうに、そう言った</p><p>オレたちが風呂から上がり服を着ると</p><p>恭子さんたちは凄い</p><p>カセットコンロと食材どころか大型冷蔵庫を抱えて、下りて来たぞ</p><p>ちまちま、台所とここを往復しててもラチが開かないだろどうせ、しばらくはこの部屋で、生活するんだろうから</p><p>恭子さんが、イーニーとミーニーに冷蔵庫の設置場所を指示する</p><p>そこがいいよ電源も持ってこれるしここの一角に、台所ゾーンを作ろうアニエスから、料理している様子がよーく見えるようにね</p><p>何のために、こういうことをやっているかもちゃんと判っている</p><p>さすがだ</p><p>恭子さんも、ミス・コーデリアも、イーニーとミーニーも</p><p>お肌が艶っ艶なんですけれど</p><p>昨夜はお楽しみだったんだよっくふふふふっ</p><p>笑う恭子さん</p><p>あなたたちもそうでしょみんな、スッキリした顔をしているわよっ</p><p>ミス・コーデリアが、寧やメグ・マナの顔を見てそう言う</p><p>あら、あなたどうしたの</p><p>麗華のげんなりした顔を見てミス・コーデリアが声を掛ける</p><p>あのわたくしは</p><p>麗華お姉ちゃんは、まだヴァージンなんですっ</p><p>とマナが余計なことを言う</p><p>あら、どうしてそんな立派な肉体をしているのにっ</p><p>ミス・コーデリアは、そう言うと小さな声で、囁く</p><p>もし、男が苦手だったら、こっちへ来てもいいのよっあなたなら、歓迎するわっ</p><p>いえそれはお申し出は、有り難いのですがそっちの方が、怖いですから</p><p>怖くなんてないわよ優しくしてあげるわっ</p><p>麗華の手を握るミス・コーデリア</p><p>こんなにあっさりと懐に入られるなんて麗華、本当に弱っているな</p><p>コーデリアあたしの眼の前で、堂々と他の女に声を掛けるわけ</p><p>恭子さんが、ジロッとミス・コーデリアを見る</p><p>キョーコ、そういうんじゃないわよっペットにするのもいいかなってそれにこの子なら、あたしたちと一緒の仕事だって組めるだろうし</p><p>ああ見た目だけでなく</p><p>ミス・コーデリアは、麗華の身体能力も評価しているんだ</p><p>だめだめ、その子は生まれつきの正統派(ベビー・フェイス)だからあたしたちみたいに、自分からヒールを演じられる子じゃないよ</p><p>ふんそうね</p><p>値踏みする眼でミス・コーデリアは、麗華を見下ろす</p><p>この子は、この国でお守り役に徹するのが正解だと思うね</p><p>麗華が、その言葉にカッとなる</p><p>ああ、ごめんね別に警護人という職業を貶めるつもりはないんだよ</p><p>警護というのは守ることだけに、特化した仕事だろでも、ほら、あたしたちは守るだけではなく、時には攻めることもしないといけないから</p><p>国際犯罪者ですからねあたしたちは</p><p>主人に付き従って普段は自分の爪と牙を隠すのが、あんたの仕事だろでも、あたしたちは爪と牙を、常に周りの連中に見せ付けないといけないから</p><p>凶暴で、狂ってて、どうにも手の付けられない野獣だって、徹底的に思い知らせないと嚙み付かれるからね</p><p>麗華はふと、考えて</p><p>失礼を承知で、お尋ねしたいのですが</p><p>いいよ、何でもどうぞ</p><p>恭子さんは、明るく答えた</p><p>なぜ犯罪者の道を進まれたのですか恭子さんやミス・コーデリアの能力なら各国の政府機関でも、充分、部隊長クラスの役職に就けると思いますが</p><p>恭子さんは笑った</p><p>ミス・コーデリアは不機嫌になる</p><p>キョーコ、何なの、この子馬鹿なの</p><p>そう言わないで、コーデリアこれが、ニホンジンなんだからさ</p><p>日本人</p><p>だから、あたしは、この国が好きなんだここは、本当にパラダイスだからね</p><p>そして麗華を見下ろす</p><p>あのね犯罪者にしかなれなかったから、犯罪者になったんだ選択肢は無し一本道さ</p><p>もし、犯罪を犯さなければううん、正確にはそうじゃないなもし、何もしなかったら絶対に犯されて、殺されて、埋められるそういう世界で生まれて、育ったんだよあたしたちは</p><p>ニッと微笑む恭子さん</p><p>政府とか警察とか教会とか誰も助けてくれない親も兄弟も大人という大人は誰一人だって信用できない生き残るためには死にたくなかったら、犯罪を犯すしかないそういう世界が、地球上では、あちこちにあるんだよお嬢さん</p><p>同じ年頃の子が、たくさん死んだわあたしは、生き残るだけの力があったから、まだ生きているそれだけのことよ</p><p>ミス・コーデリアは、ふんと鼻を鳴らす</p><p>強くなりたくて、強くなったんじゃないの強くないと、殺されてたずっと、ずっとね今だってそうよ</p><p>生きるためにした犯罪が次の犯罪を呼ぶ最初っから、犯罪者だからね絶対に足抜けはできない気がつきゃ、世界の犯罪組織の中でしのぎを削ってたのさオール・スター・キャストでね</p><p>やられないためには、自分の牙と爪で敵を倒していくしかない弱みを見せたら、やられる強くなりそうなやつは、先に潰す</p><p>そうやって、生まれてからずっと、サバイバルしているのさあたしたちはね</p><p>失礼を致しました</p><p>２人に頭を下げる</p><p>いいんだよあんたは、身内だからね</p><p>恭子さんは、優しく麗華に言う</p><p>身内</p><p>ああ、だからここに居るんだろ</p><p>平然と麗華に告げる</p><p>あたしたちみたいな身の上で一番大事なのは、家族(ファミリー)さ御名穂は、あたしに家族をくれた御名穂、克子、渚、マルゴ、寧みんな、あたしの家族さこの子らが認めた子ならあたしは、どんな子でも受け入れるよ</p><p>あたしもよ仕方ないわキョーコの家族は、あたしの家族だものもっともまさか、弟ができるとは思っていなかったけれど</p><p>ミス・コーデリアが、オレを見る</p><p>す、済みません</p><p>いいのよあなたは普通の男とは違うみたいだしあなたの記録、昨夜観たわ、なかなか面白かったわよ</p><p>オレ面白いのか</p><p>実際 あんたの存在が、御名穂の狂気にブレーキを掛けている感謝しているよ</p><p>ミナホ姉さんの狂気にブレーキ</p><p>あらあたしが、どうかしたのかしら</p><p>と部屋の入り口に、ミナホ姉さんが現れる</p><p>マルゴさんと雪乃も居た</p><p>３人とも、いつでも外出できるような服に着替えていた</p><p>おやおやどうしたんだい</p><p>恭子さんは、何も無かったという顔をしてミナホ姉さんに、微笑む</p><p>雪乃さんの引き取りのことでね市川さんと交渉しているんだ</p><p>市川老人</p><p>雪乃とマナの、母の父親だ</p><p>それで市川さんが、マナちゃんと話したがっていてね</p><p>マナが、ビクッと震える</p><p>とりあえず、掛け直すって言っておいたけれどどうする何なら、断るけれど</p><p>いいえお話しします、あたし</p><p>スッと立ち上がる</p><p>ミナホ姉さんは携帯を取り出して、リダイヤルする</p><p>もしもしお待たせして、申し訳ございませんこちらの条件について、お考えいただけましたかはいわたくしたちは、香月様のご了解を得ておりますありがとうございますでは、そういうことで</p><p>ミナホ姉さんはジッちゃんの名前を使って、市川老人に要求を呑ませたらしい</p><p>白坂雪乃は一時間後に、白坂創介さんの自宅前で解放致しますお手数ですが、そちらまで、お引き取りにいらして下さいはい、では舞夏さんに代わります</p><p>ミナホ姉さんはマナに携帯を手渡す前に、外部スピーカー機能をオンにした</p><p>どうぞ、マナさん</p><p>ミナホ姉さんは改めて、マナの名を呼ぶ</p><p>うん頑張れよ、マナ</p><p>オレも、マナにそう言った</p><p>それがマナに勇気を与えると信じて</p><p>マナが携帯に向かって</p><p>舞夏か</p><p>雪乃は、帰して貰えることになった舞夏も、一緒に戻って来てはくれないか</p><p>いいえあたしは、ここに残ります</p><p>ここに残ってここに居る人たちと、幸せになります</p><p>そっちへ帰ったらあたしは、もう幸せにはなれないから</p><p>どうしてだ僕は僕は、会社を退職することにしたよ東京を引き払って、神戸に住むことにしたあちらには、古い友人がいるお前も雪乃も、白坂の名前を捨てて、神戸でやり直せるんだぞ向こうなら、お前たちを知っている人間は誰もいない</p><p>そんなわけないじゃんか</p><p>これだけテレビで散々取り上げられているんだよっインターネットだってお祖父ちゃんと白坂創介の関係なんて、神戸の人だって知ってるよっ場所を変えて暮らしたって、何も変わりはしないよっ</p><p>マナの言葉に雪乃が、ハッとする</p><p>それに、あたし判っているよお祖父ちゃんもママも、もうあたしはオシマイだって思っているでしょっ</p><p>舞夏僕たちは、お前のためを思って</p><p>あたしのためを思うんならあたしを見捨ててあたしは、ここで生きていくからあたしはもう、ここの人なのここなら、あたしはあたしとして生きていけるんだもの</p><p>話を聞きなさい、舞夏</p><p>舞夏じゃないっあたしは、吉田マナっ吉田マナなのっ</p><p>吉田マナとして、一生生きていくわ幸せになるから</p><p>マナは腹を括る</p><p>市川さん今までありがとうございましたあたしの中の舞夏さんが、あなたにとっても感謝しています</p><p>いつか、赤ちゃんを産んだら吉田マナとして、顔を見せに行きますでも、その時は他人ですいいですね市川さん</p><p>舞夏、ちょっと待ておい</p><p>マナは、電話をミナホ姉さんに差し出す</p><p>もういいですありがとうございます</p><p>ミナホ姉さんは電話を受け取り</p><p>こういうことになりましたので</p><p>待ってくれ、もう少し舞夏と話させてくれ</p><p>無駄ですわ彼女はもう、市川様のお孫様ではございませんから</p><p>彼女はわたくしたちの妹として、育てます</p><p>そんなことは、許さんぞっ</p><p>ミナホ姉さんは静かに答える</p><p>市川様は、もうどうすることもできませんわ</p><p>わたくしたちは香月様に認められた犯罪組織ですので</p><p>広告業界の重鎮だった市川老人も娘婿のスキャンダルで退職が決まれば、ただの人だ</p><p>雪乃さんが生きて帰ることだけで、ご満足いただかなければ困りますもちろん、今からでも、死体の雪乃さんをお返ししたって構わないのですよ</p><p>舞夏を、娼婦にだけはしないでくれ</p><p>当たり前です自分の妹に、そんな惨いことをさせはしません</p><p>では、一時間後に</p><p>ま、待ちたまえ</p><p>ミナホ姉さんは、無視して電話を切った</p><p>お兄ちゃんっ</p><p>マナが、泣きながらオレの胸に飛び込んで来る</p><p>うんマナよく頑張ったぞ</p><p>もう、絶対に離れないからねっ幸せになろっみんなでねえ、お兄ちゃんっ</p><p>なんなのよ、これっ</p><p>舞夏、あんた馬鹿なんじゃないのっこいつら、みんな頭がおかしいのよっこんなやつらと一緒に居て幸せになんかなれるわけがないでしょっ</p><p>マナはキッとした眼で、姉に振り向く</p><p>うるさいよ、あんた</p><p>あんた１人で、とっとと帰りなよあんたなんか、あたしたちは要らないんだからっ</p><p>憎しみの眼で雪乃を射貫く</p><p>何なのよ、それっ帰れるのよっここでの嫌なことは、全部忘れて神戸で、新しく人生をやり直すのよっ</p><p>はんっそんなの無理だよねっ神戸に行ったって、白坂創介の娘だっていう悪名は、一生ついて回るわっ</p><p>それはお祖父ちゃんの力で</p><p>会社を辞める市川さんに、そんな力が残っているわれないでしょ</p><p>白坂の本家の人に頼むわ</p><p>あんた、バッカ過ぎ白坂本家は、あたしたちの殺害要請まで出してたのよっ今更、白坂創介の家族に関わりたいなんて、キトクな人がいるわけないじゃんっ</p><p>じゃあ、国に訴えるわよっ警察にだって</p><p>あのさあ雪乃さん、一昨日のホテルで何を見ていたわけ香月さん以上の権力者なんて、日本にはいないんだよっ</p><p>それだって法律は法律よ正義ってものがあるでしょパパのことは、パパの事よあたしは、あたしに起こったことを訴えるわ</p><p>雪乃がオレを指差す</p><p>あたしは、あの男にレイプされたんだから何度も、何度もっこの怒りと、口惜しさは絶対に公表してやるんだからっ</p><p>公表して、誰が信じるの</p><p>あたしが被害者のあたしが、証言するのよっみんな、信じるに決まっているじゃないっ</p><p>雪乃は力限りの声で、叫んだ</p><p>ベッドの上で、アニエスが怯えている</p><p>イーディが、さっと行ってアニエスを抱いてくれる</p><p>一方、真緒ちゃんはぽかーんとした顔で、雪乃を見ている</p><p>そうかしらあたしは、信じないと思うけれど</p><p>ミナホ姉さんは、冷たく言った</p><p>そうだねっあたしも、信じない方に１００ドル賭けるよ</p><p>何でよっみんなが、あたしを信じないわけないでしょ</p><p>メグが重い口を開く</p><p>雪乃あなた、覚えていないの</p><p>あなた学校の人たちには、校長室の隣の部屋で遠藤君にレイプされたことになっているのよ</p><p>それだってその男じゃないっケンジじゃないわっ</p><p>雪乃は、吠える</p><p>でも学校中の人たちは、遠藤君だと思っているあなたのレイプ事件も、もうインターネットで広まっているのよ</p><p>うちの学校の生徒だってネットぐらい、接続しているもの今、話題の白坂創介の娘のレイプ事件なんて、書き込まないわけがないじゃない</p><p>だから雪乃が、ヨシくんにレイプされたって言ったって、みんな雪乃の頭が変になったとしか思わないわよ</p><p>誰にレイプされたのかみんな、知っているんだから</p><p>それにね彼と恵美が婚約したってことも、うちの学校では知らない人がいないのよその上、２人ともクラスメイトやクラブの人たちの前で、ベタベタとまくったでしょラブラブで学校公認の婚約者の居る男子生徒が、レイプなんかするわけないじゃない</p><p>ミナホ姉さんは、クスクスと笑う</p><p>あなたあたしがクラスで話した時、聞いていなかったの婚約している相手とは、セックスして良いって、教師のあたしが宣言したのよセックスに不自由していない男子が、何だってあなたみたいな子を犯すのよ</p><p>こうしてみるとミナホ姉さんの策略は凄い</p><p>凄いというか酷い</p><p>だから、ここから出て行った後のあなたが、何を言ってもあたしたちは、別に気にしないわ何でもやりなさい弁護士にでも、裁判所にでも、訴えれば</p><p>ミナホ姉さんは、さらに畳み掛ける</p><p>あなたの行く先が、神戸じゃなくって精神病院になるだけだと思うけれどね</p><p>市川さんだって、わずかばかりの世間体は残っているわ頭のおかしいことを大声で喚き続ける孫娘はどうしたって、病院に閉じ込めるしかなくなるわよね</p><p>うふふふと、ミナホ姉さんは笑う</p><p>ホントに馬鹿で想像力が、これっぽっちもないんだね、雪乃さん</p><p>だから、あたしはこっちに残るんだよそっちに帰ったって、地獄しか待っていないもんっ</p><p>こっちならあたしは、幸せになる絶対に、幸せになるから歯を食いしばってどんなことだって耐えるよここには、マナの家族がいるんだもん</p><p>ど、どうしてよ</p><p>雪乃が呟くように言う</p><p>何で、こんなことになるのよ</p><p>ギッと怒りの眼で</p><p>妹を抱き締める、オレを睨む雪乃</p><p>あたし、一晩ずっと考えたわ</p><p>低い声で、オレに言う</p><p>眼に涙を浮かべて</p><p>確かに、あたしのパパは悪いことをしたのかもしれない</p><p>ボロボロと涙を零しながらそれでも、雪乃をオレを睨み続ける</p><p>でもそんなのあたしには、関係無いじゃないっ</p><p>あたしは、何も悪いことはしていないわっなのに、なのに</p><p>なのに、どうしてあたしが、こんな酷い目に合わないといけないのよっ</p><p>今話と次話を使って、黒い森が狂気の犯罪集団なんだってことを、しっかりと書きます</p><p>感想欄で、何人かの方が書かれたとおり</p><p>黒い森の方が社会的・倫理的・論理的に異常な存在で</p><p>雪乃の方が、正常です</p><p>それは、当然です</p><p>これはエロ小説ですしこういう作品によくあるこの作品は、公序良俗に反することを題材としていますが、作者はそれを推奨する意志はありませんという一文が、やはり適用されます</p><p>そもそも、ハーレムそのものが、現在の日本の倫理から逸脱しているわけですし無理矢理、理屈を付けてハーレムを成立させるというこの作品のテーマそのものに、最初から無理があります</p><p>そういう諸々のことを、判っている上で書き続けています</p><p>この作品のメイン・ヒロインが雪乃なのは彼女だけ、正常な倫理観の世界に居るからです</p><p>私は絶対に黒い森の人たちが、正しい人たちだとは思っておりませんので</p><p>とにかく、次話に続きます</p><p>できれば、感想は次話をお読みになってから、お願い致します</p><p>まだ、雪乃の雄叫びの途中ですので</p><p>380．荒ぶる、雪乃　（その２）</p><p>あたしもね何度も、そう思ったわあたしは、何も悪いことはしていないのにどうしてって</p><p>あたしもよどうして、こんな目に遭わないといけないんだって幾晩も泣いたわ</p><p>克子姉も呟く</p><p>あたしもだよどうして、どうして神様、こんなの酷すぎるよって、夜が来る度に泣いていたよっ</p><p>寧も</p><p>あたしもよ涙なんて、枯れるぐらい泣いたわ</p><p>渚はそう言って真緒ちゃんを見る</p><p>真緒ほんのしばらくだけ、静かにしていてねあなたは、あたしたちが何を話しているのか、まだ判らないと思うけれど真緒には、ここに居て欲しいの真緒が今、ここに居てくれたことがいつかきっと、大きな意味を持つはずだから</p><p>真緒ちゃんの髪を優しく、梳る</p><p>あなたは、忘れちゃうかもしれないでも、あたしは覚えているいつか、ちゃんと話してあげるからね</p><p>渚の言葉に、真緒ちゃんはへへっと笑って</p><p>だいじょーぶだよ、ママまお、ちゃんとおぼえているから</p><p>そうありがとうね真緒</p><p>渚は、悲しげに笑った</p><p>ああんたたちが、人生をメチャクチャにされたってことは、判ってるわよ</p><p>でもあたしには、関係無いじゃないっあんたたち、パパを捕まえているんでしょだったら、パパをギッタギタにすればいいじゃないっ何で、あたしなのよっ</p><p>ミナホ姉さんが、冷たい眼で雪乃を見る</p><p>そうねどうして、あなたなのかしらね</p><p>どどういう意味よ</p><p>ミナホ姉さんは、天窓を見上げる</p><p>朝の清らかな光が、柔らかに差し込む</p><p>あたし娼婦にさせられた頃、ずっと考えていたわあたしのお父様はどうして、あたしを白坂創介の好きにさせたんだろうって</p><p>ミナホ姉さんの父親黒森公一郎</p><p>あたしと奈生実はお父様の隠し子でいいえ、お母さんは黒森公一郎から、養育費も慰謝料も、一銭たりとも貰っていなかったから実質は、父なし子だった子供の頃は、お父さんがいないことが本当に寂しかったわ</p><p>部屋の中は、シンと鎮まっている</p><p>アニエスすら、ミナホ姉さんの話を聞いている</p><p>あたしたちのお父さんは、どんな人なんだろうどうして、あたしたちに合いに来ないんだろう夜、布団の中で、奈生実と話したことがあるわ</p><p>父の不在</p><p>きっと、何か理由があるんだろうとっても、重大な外国に居るのかもしれないもしかしたら、悪い人で刑務所に居るのかもしれないでも、きっと理由があるんだろうって思っていたわどうしようもない事情があってそれで、お父さんはあたしたちに会いにはこれないんだって絶対に、お父さんだって、あたしたちに会いたい一緒に暮らしたいはずだってあたしたち、信じていた</p><p>幼い姉妹2人だけの暗い夜</p><p>きっと、ミナホ姉さんの母親は、夜も働いていたのだろう</p><p>なのにあたしは、12歳でお母さんと妹と引き離され拉致され、監禁されて、娼婦にさせられた</p><p>白坂創介が黒森公一郎の隠し子に眼を付け</p><p>無理矢理、ミナホ姉さんを</p><p>犯されて、処女を失った後白坂創介が、あたしに言ったわあっちを見ろよ、あそこに居るのが、お前の親父なんだぜって生まれて初めてお父様に出遭った時あたしは、セーラー服をビリビリに切り裂かれて股から血と精液を垂らしていた</p><p>雪乃がゾゾッと身体を震わせる</p><p>でも、一目見て判ったわお父様だってお父様の顔は奈生実に似ていたからいえ、奈生実はあたしの方が似ているって言ってたわねふふふどっちにしても、あたしたち姉妹は、お父様の遺伝子を受け継いでいたってことよねあはは犯されて、ぐったりとしたあたしを見下ろすお父様は呆然としていたわ死んだ猫を見るような眼で</p><p>グッと、息を呑むミナホ姉さん</p><p>そして地獄の生活が始まったのよ</p><p>白坂創介支配下の黒い森での少女娼婦としての生活</p><p>あたしやっぱり思ったわどうして、お父様はあたしを助けてくれないんだろうって白坂創介の言うなりでなぜ、あたしにお客を取らせるんだろうって毎日、毎晩</p><p>黒森公一郎は父親にコンプレックスを抱いていた</p><p>白坂創介は、それに眼を付け</p><p>黒森公一郎をそそのかし高級娼館黒森楼を支配下した</p><p>父親を追放した、黒森公一郎は白坂創介に弱みを握られ</p><p>白坂創介の横暴を許した</p><p>きっと理由があるはずだとっても、大きな理由がそうじゃなかったら、実の父親が娘にこんな酷いことをするはずがないあたしは、そう信じていたわそうでも思っていなければ絶望で、気が狂ってしまいそうだったあたしは、まだ子供だったんだもの</p><p>ミナホ姉さんはククッと笑う</p><p>そして、そのうちにねあたしは、こう考えるようになったのよお父様が、あたしを娼婦として働かせたいのなら一生懸命、働こうお父様が、そう望むのなら精一杯、娼婦として奉仕しよう血の繋がったお父様のお望みなんだから</p><p>スッと雪乃に振り向く、ミナホ姉さん</p><p>あたしね結構、頑張ったのよ娼館の稼ぎ頭には届かなかったけれどナンバー３ぐらいにはなったわ中学生なのにねええもちろん、あたし、お客様が望むことなら何でもしたものどんなことだってお客様が喜んで下さるなら</p><p>ブラウスの胸元をギギッと掻きむしる</p><p>そうしたらお父様は、あたしを褒めて下さる声を掛けて下さるお話をして下さるそう思っていたもの頑張れば耐えれば、きっと報われるってでも</p><p>残酷な運命は続く</p><p>白坂創介は、奈生実まで拉致して娼婦にした犯して娼婦にしてそして、またお父様はただ見ているだけで</p><p>あたしたち姉妹には一度も、声を掛けてくれなかったわあたしたちはあたしも、奈生実も、お父様に済まないと謝って欲しかったわけじゃないのよっ頑張っているなでも、オレのために働けでもいいどんな言葉でも良かった声を掛けて欲しかった娘だって、認めて欲しかった</p><p>もう、いいから</p><p>結局奈生実は、殺されてあたしは、お腹の子供を堕胎されて二度とセックスのできない身体にさせられたわそれでも、お父様はあたしと会話しようとしなかったあたしが、香月様に拾っていただいて黒い森の運営者になった後も</p><p>あたしが運営者として、黒い森を立て直すのに努力したのもやっぱり、お父様に認めて欲しいと感じていたからだと思うわうふふふふ馬鹿みたいよね向こうはあたしのことなんて何とも思っていなかったのにちょっと、心が痛むだけで娘とも、家族とも、思っていなかったのに</p><p>真緒ちゃんが渚に言う</p><p>せんせー、かわいそう</p><p>渚は、娘を抱き締めて</p><p>そうよ、とっても可哀想なのお父さんがいなかったんだもの</p><p>真緒ちゃんは渚の手を右手で握り、そしてオレに左の手を差し伸ばす</p><p>まおのて、にぎって</p><p>オレは、小さな幼子の手を握る</p><p>真緒ちゃんは、両手に渚とオレの体温を感じてニコッと微笑む</p><p>よかったまおには、ママとパパがいて</p><p>な、何よあんたの言いたいことは、だいだい判ったけれどさ</p><p>雪乃がミナホ姉さんを睨み返す</p><p>結局のところ、あんたが恨んでいるのは、あたしのパパじゃなくって、自分の父親なんじゃないのだったら、お門違いよあたしたちを巻き込まないでよっ勝手に親子で殺し合いでも何でもすればいいじゃないっ</p><p>もうしたわ</p><p>お父様は黒森公一郎は、もう廃人よそういう薬を使ったからしばらくは、人工呼吸器の力で生きているでしょうけれど植物人間状態よあなたのお父様、白坂創介を始末したら人工呼吸器も止めるわそういうことになっているから</p><p>自分の父親を、殺す気なの</p><p>あんな男が、父親なわけないじゃないっ</p><p>雪乃は、その一喝に声を失う</p><p>あたしは勘違いしていたのよ血が繋がっているから何か絆があるとか、庇護してくれるとか、優しくしてくれるとか、そんなことは無いのよあの男はあたしたちにとって災いでしかなかったあたしと家族を地獄に突き落としただけじゃないっ敵よ父親なんかじゃないわっ</p><p>ミナホ姉さんの叫びが地下室に響く</p><p>あの人が、あたしに教えてくれたことはただ一つだけよ誰も信じるな人に期待するだけ無駄よみんな、あたしたちを食い物にしようと思っているだけなんだから薄汚くて、邪な人たちと、自分の力で闘わなくちゃいけないのよ自分の爪と牙を持って嚙み付き合い、殺し合う覚悟であたしたちはいつだって、サバイバルしているんだから</p><p>ああ、そうさあたしたちは、生まれてからずっとサバイバルしている邪悪なものに、いつも付き狙われてそれを排除するために、闘い続けるのさ時には、周りのやつらを、みーんな蹴落とすこともあるでも、しょうがないよねあたしたちは、自分が生き残ることだけで精一杯なんだからさ</p><p>そうよあたしも克子も、娼婦としては優秀だったわ本当になんでもしたわどんなことだって稼ぎの良い娼婦でなければ悲惨な目に遭わされるだけだもの生きるためには、優良な顧客をたくさん作るしかなかったのよ</p><p>忘れないわ稼ぎの悪い子たちが、白坂創介にされたことをセックスだか、人体実験だか判らないことをさせられてたくさんの子が死んだのあたしは死にたくなかっただから、あたしは望まれれば、どんなセックスでもしたわ</p><p>あたしのお母さんはそうやって死んだ娼婦の一人よ白坂創介に拉致され、娼婦にされて遊び半分で、あたしを産ませてわざわざ、雪乃と同じ年に悪趣味よねお母さんは変なクスリを飲まされて、死んだわ苦しんでいるのに病院に連れてって貰えなくてあたしはずっと見ていたわ苦しむお母さんを</p><p>マナがメグを抱き締める</p><p>あたしも、マルゴも、寧も、コーデリアもそこのイーニーとミーニーだって、似たようなもんさみんな、過去にそれぞれ苦いエピソードを持っている酷い目に遭ってきたのさだからあたしたちは、自分の爪と牙を必死になって手に入れたんだ</p><p>そうね、力が無ければ、踏みつぶされても文句は言えないものね</p><p>ミス・コーデリアが、ククッと笑う</p><p>ああそういう思いをしてきて、闘う力を身に付けたからこそ、あたしたちはこうして寄り集まっているのさあたしたちは、そういう家族なんだよ</p><p>本当の家族をロストしてきたからこそ</p><p>そして、一人ぼっちで耐える日々を過ごしてきたからこそ</p><p>オレたちは、今、家族になろうとしている</p><p>弱い人間は、どれだけ集まったって強い奴らに搾取されるだけさお互いの傷を舐め合うだけの、弱い集団なんか作っちゃいけないんだよそれこそ、社会の迷惑だからねあたしたちは強い、あるいは強くなりたいって闘っている女の集団だよそういうやつじゃなきゃあたしの家族に入る価値は無いみんな、判ってるだろうね</p><p>恭子さんが、オレたちを見る</p><p>あたし、頑張ります</p><p>メグとマナが、そう言った</p><p>麗華はうつむいている</p><p>香月のジィさんだって今は、あたしたちに力があるからこそ、味方になってくれているんだもし、あたしたちが力を失えばあのジィさんは、あたしたちを見捨てるよそれを裏切りとか卑怯とか、言っちゃいけないのさ香月のジィさんだってサバイバルしているんだからねっ</p><p>ジッちゃんもサバイバルしている</p><p>香月家という、バトル・フィールドの中で</p><p>みんな、生きていくこと、幸せになることに必死なんだから</p><p>そういうこった白坂創介という男は、どうしたって、あたしたちがいつかはブチ殺さないといけない男だっただから、処分するそういうことで、納得してもらうよ、お嬢ちゃんこれも、あたしたちのサバイバルだからね</p><p>恭子さんが、雪乃に言う</p><p>あたしらハナっから、余裕なんかこれっぽっちも無いんだだから、全力で潰させて貰うよそもそもあたしら家族は、男って生き物をこれっぽっちも信用していないからね</p><p>そうよ男なんて、この地球上から全滅すれば良いのよそうしたら、この星はレズビアンだけの幸せな惑星になるわ</p><p>ちょっと待ちなさいよなら、こいつはこの男は何なのよっ</p><p>雪乃が、オレを指差して叫ぶ</p><p>この男は何の力も無いじゃないっ何で、あんたたちと一緒に居るのよ</p><p>オレには爪も牙も無い</p><p>無力なだけのガキだ</p><p>だってまおのパパだもんっ</p><p>真緒ちゃんが、言った</p><p>そうよあたしの夫よ</p><p>あたしの弟だよんっ</p><p>寧が</p><p>あたしの弟でもあるのよっ</p><p>あたしの婚約者です</p><p>マナのお兄ちゃんだよっ</p><p>あたしにとっても弟だよ</p><p>あたしの家族よ大切な弟よ</p><p>まあ、みんなが、そう言うんだからあたしも、この子は認めるよ家族として</p><p>恭子さんも、そう言ってくれる</p><p>いや、本当にさっき言った通り、あたしたちは根本的に男は信用しないんだ男って生き物には、散々煮え湯を飲まされてきたからねでも、この子は例外中の例外なんだろうね</p><p>ジロッと、オレを見る</p><p>あたしは同性愛者だから、よくは判らないけれどやっぱり、異性愛者の子たちには男のパートナーが必要なんだろ特に、御名穂や克子や渚は、娼婦として男とのセックスの快感を身体が覚えちゃってるからね</p><p>その点、キョーコやあたしは、最初っから女の子LOVEですものね</p><p>ミス・コーデリアが笑う</p><p>まあ、そういうこった</p><p>そうではありません恭子さん</p><p>ミナホ姉さんが反論する</p><p>この子は本当にあたしたちの家族なんですよ</p><p>この子は、あたしたちに対しては、どんなことでも心を開いてくれるだから、あたしたちも、心を開けるこの子は、あたしたちに隠しごとはしないんです一度、家族になった相手は、絶対に裏切らないそう信じられるこの子の心も、壊れているから</p><p>この子も本当の家族に捨てられて、孤独に耐えてきた子ですあたしたちと一緒なんです寂しくて、寂しくて家族を求めていた子ですだから、あたしたちはこの子の前だけでは、身も心も裸になれるんです</p><p>今度は、渚が</p><p>いつも、外の男たちに対して、爪と牙で武装していなければならない、あたしたちが唯一、心を許せる男の子なんです</p><p>うん、あたしも男って大っ嫌いみんな、いなくなればいいのにって思っているでも、ヨッちゃんだけは別ヨッちゃんは、必要なんだよっあたしに</p><p>あたしもこの人と一緒なら、幸せになれるって思いましたヨシくんが居なければ、あたしは生きていけないと思います</p><p>マナもお兄ちゃんが、いないとダメだよ</p><p>そんなマナに、雪乃は</p><p>舞夏っあんた、何を馬鹿なこと言っているのよっ</p><p>姉をギッと睨むマナ</p><p>いい加減にしてよっ雪乃さんっあんた、全然判っていないじゃんかっ</p><p>妹の怒号に雪乃はたじろぐ</p><p>雪乃さん、自分に甘くて、楽観的過ぎるよあたしが、どんな怖い目に遭ったのか、全然判っていないじゃない</p><p>怖い目って舞夏</p><p>マナの代わりにミナホ姉さんが、答える</p><p>マナちゃんは雪乃さんみたいに、神経が図太くて、頭の中がお花畑じゃなかったのよ</p><p>マナに向けられない憎しみを雪乃は、ミナホ姉さんに向ける</p><p>ねえ雪乃さんあなたは、どんな時だってどうせ何とかなるって思っていたんでしょ</p><p>あたしが殺すって言ったって、そんなの本気なわけがない妊娠・出産させるって話だってどこかで、勝手に堕胎させればいいそんな風に、思っているのよね</p><p>ミナホ姉さんが、オレの顔を見る</p><p>あなたは彼が、あなたに好意を抱いているって、思っていたでしょそして、あたしが彼の意志をいつも尊重することに気付いていたから危険な状況になりそうだったら、彼に泣きつけばどうにかなる嘘泣きでも、何でも彼は自分のことが好きなんだから、助けてくれるはずだってそう考えていたのよね</p><p>そんなわけないじゃないこんなやつ</p><p>最初にあなたをレイプした時のこの子のあなたに対する必死さが、ずっとイメージとして残っていたんでしょだから、あなたはいつも、この子に対して自分が優位だと感じていた</p><p>ち違うわよ</p><p>ミナホ姉さんの言うとおりだ</p><p>雪乃をレイプした朝教職員用の駐車場で、オレは雪乃が欲しくてミナホ姉さんに土下座した</p><p>雪乃はそれを見ていた</p><p>だから、オレが自分に好意があることをよく知っていた</p><p>違わないわだから、あなた一昨日のホテルだって、ずっと彼にくっついていたじゃない彼とのセックスだって、どんどん楽しむようになってきてたでしょ彼が、絶対に自分に危害を加えないことを判って彼に頼っていたのよ</p><p>そんなわけないじゃないっ</p><p>雪乃は喚く</p><p>本当に判ってないのなら、あなた、ホンモノの馬鹿よだって、あなた今朝、台所に盗み食いに入ったじゃない</p><p>盗み食い</p><p>炊飯器を抱いて、しゃもじを咥えているみっともない姿を思い出す</p><p>そそれが、何よ</p><p>昨夜マルゴは、あなたに絶対に部屋から出るなって、言ったのよおかしな振る舞いをしたら、殺すって言ったはずだわ</p><p>なのにあなたは、盗み食いに行ったしかも、その様子を彼に見られて、ごめんなさいも言わなかったあなた人の家のご飯を、勝手に食べていたのよ</p><p>その上、恵美とマナさんに食事を作って貰っておきながらありがとうも言わなかったわね</p><p>そんなの言う必要ないじゃないっ</p><p>だってあたしは、お腹が空いていたんだものそれに、あたしは自分で料理が作れないんだから</p><p>あなた生まれてきてからずっと、ご飯を作ってくれる人にありがとうって言ったことがないんでしょ</p><p>だってうちの食事は、いつもお手伝いさんが作っていてあの人たちは、仕事でやっているんじゃないっちゃんと、お金を払っているのよ</p><p>あなたが、自分でお金を出しているわけではないでしょ</p><p>でも使用人に、お礼を言う必要なんて無いじゃないっ</p><p>そういうあなたの本性を見たから彼は、あなたのことが嫌いになったのよ</p><p>ハッとして、オレを見る雪乃</p><p>ああ雪乃みたいな女オレは嫌いだ</p><p>ちょっと待ちなさいよ</p><p>雪乃の顔が青ざめる</p><p>雪乃さん彼に甘えて、彼のことを舐め過ぎたわね</p><p>待ってよそうじゃなくってあたしを助けなさいよっ</p><p>あたし舞夏を連れに、ここに来たのよっあんたに言えばきっと、一緒に帰してくれると思ったからっほら、とっとと、弓槻先生を説得しなさいよっあんた、あたしに借りがあるんでしょっ</p><p>借り</p><p>あんたあたしの処女を無理矢理奪ったじゃないっ何度も、何度も、あたしをレイプしたあたし、あんたと散々、セックスしてあげたでしょっ</p><p>セックスしてあげた</p><p>いいわよあんたが、土下座してお願いするんなら、これからもセックスしてあげるわよっ</p><p>あ赤ちゃんは無理よっあたし、あんたの赤ちゃんなんて、絶対に嫌だからっ神戸に行ったら、すぐに病院に行ってもし出来ていたら、堕ろすわよ当たり前でしょ</p><p>雪乃お前には、監視が付くって話、ミナホ姉さんがしたろ</p><p>出産までは見張り続けているそれを無視したら、殺すって</p><p>そんなの嘘に決まっているじゃないっ神戸よっ東京じゃないんだからっどうにだって、誤魔化せるわよっていうか、そのつもりだからねあたし</p><p>それと、あんたとの結婚も無理だから</p><p>悪いけれど神戸に行ったら、あたしはちゃんとした恋をするわ恋をして結婚するからスポーツマンで、それなりの名家の人とねそう決めているのあんたとは身体だけの付き合いよいいでしょあ、そうだあたしのお腹の文字の消し方を聞いて置いて自分で、病院へ行ってもいいんだけれどやっぱり、恥ずかしいから足で、メールか何かで教えなさいよ</p><p>オレと雪乃の人生は交わらない</p><p>オレたちは永遠に、捻れたままの関係なんだ</p><p>オレたちがずっと、身が凍えるほどの冷たい現実の中に居るというのに</p><p>雪乃は一人だけ、彼女の脳内の暖かい、お花畑の中に居る</p><p>オレお前とは、もうセックスしないよ</p><p>え嘘でしょ</p><p>しない死んでもしない</p><p>あたしがいいって言っているのよ</p><p>もう黙れよ雪乃</p><p>白坂創介に甘やかされ放題で成長したこの娘は</p><p>どうしようもない</p><p>本当に自分だけは、特別に幸運な星の下に産まれてきたって信じているのね</p><p>みなさん、申し訳ありません</p><p>マナが、みんなに謝った</p><p>床に手を付いて土下座して</p><p>舞夏あんた、何をやっているのよ</p><p>雪乃にはオレたちの本気は、判らない</p><p>ミナホ姉さん雪乃は、こいつは本当の地獄を見ないと判らないんだろうか</p><p>ええ、あたしはそう思うわ</p><p>もしかして</p><p>そうよ、だから市川さんのところに帰すのこの屋敷あなたの近くに居る限り、雪乃さんの頭の中はお花畑のまんまでしょうから</p><p>その通りだと思う</p><p>雪乃これまでに、たくさんの人が酷い目に遭ってきたんだよっお前のお父さんのせいで</p><p>だからそんなの、あたしには関係の無いことじゃないっ</p><p>ああダメだ</p><p>では、雪乃さんあなたに、判りやすく話してあげるわ</p><p>あたしね気が狂っているのよ白坂創介とその家族は全員、地獄に堕としてやりたいの</p><p>何でよあたしは関係無いって言ってるでしょ</p><p>しょうがないでしょあたしは、気が狂っているんだから</p><p>ああ、ミナホは狂っているよあたしたちは、みんなそのことに気付いている</p><p>気付いている上でミナホの狂気に手伝おうって決めたんだ</p><p>何言っているのよおかしいんじゃない、あんたたち</p><p>雪乃は震える</p><p>本当だよ、雪乃さんこの人たちは、ずっとずっと本気なんだよ人を殺すとか、人の人生をメチャクチャにするとか平気でできる人たちなんだよこの人たちは、ホンモノの犯罪組織の人なんだから</p><p>舞夏さん死ぬほど怖かったんだよ本当に、殺されるって判ってお兄ちゃんが、助けてくれなかったらあたしだから、あたし舞夏さんを捨てたんだよ舞夏さんのまんまなら絶対に、殺されたから</p><p>だからあたしも、その男に助けてもらえばいいんでしょ</p><p>ほら助けなさいよっあたしがピンチなのよっ</p><p>助けないよ</p><p>雪乃なんて、どうにでもなっちまえばいいんだ</p><p>雪乃さん人から受けた恨みは、人に返さない限り解消しないのよ自分の中では、絶対に消化できないわ</p><p>ミナホ姉さんが雪乃を追い詰める</p><p>はっきり言っておくけれどあたしの憎しみの対象、お父様はもう処分したわあなたのお父様、白坂創介はあたしが思い付く限り、最悪の方法でこの世から抹殺してあげるこの世に産まれてきたことを、後悔させるわ自殺さえさせてやらない真綿でクビを締めるようにじわじわとなぶり殺しにするわあたしたちの、全ての恨みと憎しみを込めて</p><p>あたしには関係無いないって、言ってるじゃないっ</p><p>雪乃さんは白坂創介を苦しめるための、道具の一つよ刺身のつまみたいなものよ白坂創介を究極の絶望に追い詰めるためのあなたには、犠牲になって欲しいのよ</p><p>じょ冗談じゃないわよっ</p><p>ええこれは、冗談ではないわあたしは本気よ</p><p>ミナホ姉さんは悪魔の様な笑みを浮かべる</p><p>仕方無いでしょだって、あたしは狂っているんだもの</p><p>ぶるぶると震え出す雪乃</p><p>狂ってる、本当に、狂ってるわよ、あんたたちっ</p><p>ああオレも狂っているよ</p><p>あたしたちも、狂っているわよ</p><p>舞夏助けなさいよあたしは、あなたの姉なのよっ</p><p>ごめんなさいあたしには、雪乃さんなんて姉妹はいませんから</p><p>マナは、冷酷に言う</p><p>もし居たとしてもこちらから、縁を切りますだって、雪乃さんどうしょも無いんだもの</p><p>雪乃は人の気持ちが判らないし、人の気持ちなんて判らなくてもいいと思っているんだろじゃあ、しょうがないよ</p><p>オレも突き放すしかない</p><p>何よっとにかくあたしは、市川のお祖父ちゃんのところへは帰して貰えるんでしょうね</p><p>それは約束するよ</p><p>じゃあ、早くしてよっあたし、こんなところもう、居たくないんだからっどこだってここよりは、マシよっ</p><p>市川老人のところに帰るということは</p><p>現実と直面するということ</p><p>雪乃の前に待っているのは</p><p>ホンモノの地獄だ</p><p>ここから出られればあんたたちには、手出しできないんだからっせいぜい、いい気になっていればいいわっ</p><p>雪乃は何も判っていない</p><p>うーむ、あんまり巧く書けていないかも</p><p>とにかく、雪乃の温度差の違いだけ、はっきりすれば良いと思うのです</p><p>書棚の整理をして、驚いたこと</p><p>私、手塚治虫先生の紙の砦なんていつ買ったんだろう</p><p>湾岸ミッドナイト、同じ様な表紙絵が多すぎて、同じ巻が2冊ある</p><p>381．ホットケーキ</p><p>ねちょっと、想像してみてよ</p><p>モハベ砂漠のど真ん中に、一人の女の子はピストルを持った強盗と二人きりで居るとする強盗は、女の子に銃を突き付け金を奪って、犯して、殺すって言っているこの女の子は、どうしたらいいと思う</p><p>モハベ砂漠って、どこよ</p><p>それが気になるのか</p><p>ロサンゼルスの先だよまあ、別にどこでもいいんだよ誰もすぐには助けに来られない様な場所ってことさ</p><p>それじゃあ、何をしても無駄じゃないどうしたって、殺されちゃうんでしょその子</p><p>土下座して助けを乞うとか命だけは助けて下さいとか、そういうことをする可能性は無い</p><p>いや、あたしはその子じゃないから判らないわよでも、そんなことをしたって何の意味も無いじゃない殺す気満々なんでしょその強盗は</p><p>じゃあ、もしあんたが、その女の子だったらどうする絶対に命乞いはしない</p><p>そんなのわかんないわよあたしが、そんな目に遭うことなんか、あるわけないんだから</p><p>あたし、モハベ砂漠なんて、一生行かないと思うし</p><p>そ、そこなのかポイントは</p><p>だいたい、そんな強盗と二人きりになるなんて馬鹿なことあたしはしないわあたし、人を見る眼は確かだし慎重な性格だもの</p><p>お、おう</p><p>だからもしもっていう、前提が成立しないわよ</p><p>雪乃は今、国際的に有名な犯罪者と話をしているんだけれど</p><p>いや、お前恭子さんの隣にいる、ミス・コーデリアが瑠璃子の父親を一撃で蹴り殺したのだって、目の前で見てきたろ</p><p>本当に客観的な視点で、自分が今、どんな立場に立たされているのか理解できない女なんだ</p><p>ここまでくるとゾッとする</p><p>どうしょもなく貴族なんだね発想があんたは</p><p>恭子さんは、呆れ顔で笑った</p><p>それ褒めてるのけなしてるの</p><p>皮肉だってことすら雪乃には、判らないらしい</p><p>もちろん、褒めているのさ</p><p>あっそう</p><p>雪乃はミナホ姉さんを見る</p><p>もういいでしょ帰らせてよ</p><p>マルゴ送ってあげて</p><p>マルゴさんが、雪乃の方へ行く</p><p>ばいばい、恵美もう一生、あんたの顔を見なくて済むと思ったら、清々するわ</p><p>雪乃は、メグに言う</p><p>メグは、答えない</p><p>舞夏これが最後のチェンスよあたしと一緒に帰りましょう</p><p>マナも、答えない</p><p>あっそ裏切り者覚えてなさいねいつか、後悔するわよ</p><p>そして、雪乃はオレを見る</p><p>あたし判っているんだからねあんたが、本当はあたしのこと好きだってこと</p><p>雪乃の眼は最後まで、オレを見下したままだった</p><p>あたしのこと、あんなにガッついた眼で見てたじゃないずっとさ</p><p>入学式の日から他にも、あたしに色目を使う男子はいっぱいたけれどあんなに気味の悪い眼で、ジロジロ見続けていたのは、あんただけだった今だから、言うけどずっとずっと、気持ち悪かったんだからね</p><p>雪乃はオレの視線に気付いていた</p><p>いや、そういうものだろう</p><p>これでもう、二度とあたしのことは抱けなくなったのよ一生、後悔なさいよねっ</p><p>雪乃は、自分を世界中の誰よりも価値のある人間だと思っている</p><p>その幻想が、解けない限り雪乃とは、会話できない</p><p>オレも、何も答えなかった</p><p>ふんっ行くわよ</p><p>雪乃が、マルゴさんに言う</p><p>はいはいじゃあ、お姫様を届けてくるよ</p><p>頼むわ</p><p>雪乃は、入り口のドアをバンッと蹴飛ばして出て行った</p><p>さあ、疫病神は出て行ったしご飯にしましょうか</p><p>ずっと、後ろの方に居たイーディが出て来てマナと話している</p><p>ああ、何なんだ、あれはって言っているよ</p><p>マナが、通訳する</p><p>あの女からとても、陰気なオーラを感じただってさ</p><p>イーディも人の気を感じ取ることのできる武闘家だ</p><p>場の空気は、読まないが</p><p>とにかく、あの人は、もう来ないから安心してとだけ、伝えといたからっ</p><p>マナは、そう言う</p><p>まああそこまで、自尊心が肥大している子もなかなかいないよねさすが、ソースケの愛娘だわ</p><p>本当に済みません</p><p>済みませんでした</p><p>雪乃の姉妹であるメグとマナが、みんなに謝る</p><p>あ、ごめんごめん別に、あんたたちのことを言ったわけじゃないんだよ</p><p>恭子さんは謝るが</p><p>いえマナも、舞夏さんの頃は、雪乃さんとおんなじ様に考えていましたから自分は特別な女の子で優遇されているのが、当たり前でお兄ちゃんは、あたしのことが好きなんだから、お兄ちゃんに縋り付けば、どんなことでも許して貰えるって思っていました</p><p>マナはラブ・ホテルで考えを改めて、心の底からオレたちの家族になってくれた</p><p>雪乃さんを見ていてちょっと前の自分を見ているようでした今のあたしはみなさんに、生きていることを許して貰っているだけなんですよね</p><p>そんなこと、気にしなくていいんだよあんたは、もうあたしたちの家族なんだから</p><p>家族の父親役である恭子さんが、マナに言う</p><p>はいありがとうございますあたし家族の一員として、一生懸命頑張りますからまた、あたしが調子に乗って、生意気なことをしたら、すぐに叱って下さいお仕置きして下さいよろしくお願いします</p><p>マナはその場に土下座して、オレたちに頭を下げた</p><p>さっそくだけれどマナちゃんは、今日から特別食だから</p><p>克子姉が優しく笑って、言った</p><p>スーパー・モデルを目指すための肉体改造始めるよっ午後には、マルゴお姉ちゃんの作ってくれた運動プログラムもあるからねっ</p><p>寧が、マナに言う</p><p>はいっよろしくお願いします</p><p>マナはサッと立ち上がって、礼儀正しくお辞儀をする</p><p>ん麗華</p><p>どうしたんです麗華お姉さん</p><p>渚が、笑顔で尋ねる</p><p>いいんでしょうかわたくし</p><p>麗華は、困惑している</p><p>あたしもこのまま家族に入れていただいて</p><p>それは、麗華お姉さんが、ご自分で判断なさることだと思いますわ</p><p>彼は麗華お姉さんを、もう家族だと思っていますだから、今後、お姉さんがどういうお立場になられたとしても彼は、家族としてお姉さんを全力でサポートするでしょうねあたしたちは、彼の意志に従うだけです</p><p>うんもし、今、麗華がやっぱり、家族から抜けると言ってもオレは、それを許すし家族でなくなった麗華を、これからも家族同様に扱っていくと思うだってオレはもう、麗華の人生に踏み込んでしまったから</p><p>人生に、踏み込む</p><p>ああ一生、責任を持たないといけないって思うんだ</p><p>自分でそう言ってハッとする</p><p>では雪乃は</p><p>まあ、慌てて答えを出す必要はないよゆっくり考えな</p><p>恭子さんが麗華に言う</p><p>そうだよいっそ、こっちの組に入ってもいいんだからね同性愛は、楽しいのよっ</p><p>ミス・コーデリアがそう言って、笑った</p><p>そして朝のホットケーキ大会となる</p><p>大きな鉢に、ホットケーキミックスを大量に作って</p><p>複数のコンロで、どんどん焼く</p><p>朝の地下室に、甘ったるくて美味しそうな匂いが立ち込める</p><p>アニエスが、自分のベッドから興味深そうにこっちを見ている</p><p>これまでのアニエスは、できあがった料理しか見ていない</p><p>粉や牛乳や玉子が掻き混ぜられ焼いてケーキになっていくという過程を、驚いた表情で見ている</p><p>これで料理とは、誰かが、自分のために作ってくれていたということを、理解してくれれば</p><p>もう一人イーディの方は、みんなとの共同作業にキャッキャと騒いでいる</p><p>マナや真緒ちゃんと、ホットケーキミックスを掻き混ぜるのが楽しいらしい</p><p>あっという間に大量のケーキの山ができあがる</p><p>蜂蜜やバターや生クリームは、好きに付けて食べて下さいハムとかもありますよそれから、サラダも食べて下さい</p><p>マナちゃんは、ホットケーキは１枚だけねサラダは、どれだけ食べてもいいわ後はお薬とか、サプリメントがいっぱいあるからいいわね</p><p>それでは皆さん</p><p>オレたちは、大皿からケーキを取って食べ始める</p><p>イーディが、アニエスの分を持って行こうとするが</p><p>マナが、イーディに何か言う</p><p>真緒ちゃんあっちのお姉ちゃんに、ケーキを届けるんだけれど、一緒に行こう</p><p>真緒、行ってらっしゃいとっても綺麗なお姉さんでしょ</p><p>渚も娘に言う</p><p>そして、イーディ、マナ、真緒ちゃんの３人でアニエスの処へ</p><p>はーい、おねぇちゃんどおぞっ</p><p>真緒ちゃんが、ケーキの皿を手渡す</p><p>横でイーディーが、うんうんと頷いている</p><p>マナも、ニコニコと笑顔でアニエスに微笑む</p><p>アニエスはおずおずと皿を受け取った</p><p>おねえちゃんっひとにもってきてもらったら、ありがとうっていわないと、いけませんよっ</p><p>真緒ちゃんが言った</p><p>か細い声だが確かに、そう答えた</p><p>えへへっどういたしましてっ</p><p>にっこり、微笑む真緒ちゃん</p><p>おねえちゃんおなまえはっ</p><p>真緒ちゃん、そういう時は、まず自分から名前を言わないといけないのよっ</p><p>マナが、お姉さんらしくそう言う</p><p>あっ、そうでしたっこんにちわっはじめましてっまおですっおねえちゃん、きれいですねっ</p><p>あ、アニエスですの</p><p>小さいが、はっきりとした声だった</p><p>ああにですの</p><p>アニエスっていう名前なのよ、真緒ちゃん</p><p>マナは、そう言って、アニエスを見て</p><p>あたしはマナっよろしくねっ</p><p>そのまま３人は、アニエスを囲んで食事を始める</p><p>イーディには、マナが通訳してやっていた</p><p>うんとっても、良い感じだ</p><p>いい景色だね可愛い女の子たちが、集まって食事しているのはさ</p><p>恭子さんが呟く</p><p>そうねあの子たち、あのまんまみんな同性愛に目覚めないかしら</p><p>ミス・コーデリアは、物騒なことを言う</p><p>まおは、ことりさんがだいすきですっアニエスちゃんは、何がすきですかっ</p><p>真緒ちゃんが、どんどん切り込んでいく</p><p>いいぞ</p><p>ことり</p><p>ことりほら、おそらにいる</p><p>真緒ちゃんは、天窓を指差す</p><p>ちょうど窓の上に、小鳥が下りて来ていた</p><p>ああ小鳥ですのね</p><p>そうそれで、アニエスちゃんはなにが好きなの</p><p>アニエスはしばらく考えて</p><p>ぱぱん</p><p>パパのことよ、真緒ちゃん</p><p>あーっ、そっかぁまおも、パパがすきっでも、ママもすきですっ</p><p>真緒ちゃんはどうして、パパが好きなの</p><p>だってまおのパパだからっ</p><p>そのまま、真緒ちゃんはお皿をベッドの上においてテケテケテケっと、オレの方へ走ってくる</p><p>アニエスちゃんこのひとが、まおのパパっ</p><p>それから、渚の前に</p><p>この人が、まおのママなのっ</p><p>真緒ちゃんは、とっても嬉しそうだった</p><p>朝食が終わったらアレ、引きずり下ろそう</p><p>恭子さんが、フォークで壁の上の白坂創介像を差す</p><p>あんなものがずっとあるのは教育上、よろしくない</p><p>勃起した男の裸像だもんな</p><p>あれの代わりにあんたの像でも乗せるかい</p><p>え、何で</p><p>判っていて欲しいんだけれど一度、洗脳されてしまった人間は、別の思想に洗脳するしか無いんだ脳みその上書きだね</p><p>アニエスは、すでにソースケ至上主義に洗脳されているこれをブッ壊すには、ソースケよりも大切なものを、あの子の頭の中に作ってやるしかないんだ</p><p>そうねアニエスは、この地下室だけが全てだったんですものあの子に、ここから外に出てはいけないって命じたのが、白坂創介である以上彼女の心に、白坂創介より上位の存在が生まれなければ自分の意志で、ここから出て行くことはないわ</p><p>判りやすいだろアニエスの祭壇から、ソースケの像を取り除いて、あんたの像と取り替えたらあの子だって、誰が自分のマスターなのか理解できる</p><p>それで、いいのだろうか</p><p>それだとアニエスは、幸せになれるんだろうか</p><p>オレの像とか、ダメですよ</p><p>みんなで写真を撮りましょう</p><p>写真</p><p>オレの言葉に、恭子さんは怪訝な顔をする</p><p>はいオレたちの家族写真ですその写真を大きく引き伸ばして、あそこに貼りましょう</p><p>それが一番、良いと思う</p><p>もちろんアニエスも一緒に写った写真です</p><p>そうだ家族の中に、アニエスもいなくてはいけない</p><p>今のアニエスが大切に思っているのは白坂創介だけだ</p><p>だけど、これからのアニエスは</p><p>自分自身のことも、大切に思わないといけない</p><p>んいいんじゃない</p><p>そこまでは、思い付かなかったよ結局、あたしも他人を自分の意に従わせることばかり考えているみたいだね</p><p>そして、ミナホ姉さんに</p><p>あんたたちが、この子を大事にしている理由判ってきたよ</p><p>でも、そう言っているこの子自身が一番、自分を大事にしてくれないんですよ</p><p>その辺は、あんたたちが世話してやんなよこの子だって、まだまだ子供なんだからさそれにあんたたちだって、この子の世話が焼きたいんだろ</p><p>渚と克子姉が、同時に返事をした</p><p>じゅあ、いいじゃないか</p><p>恭子さんは、クツクと笑った</p><p>アニエス、イーディ、マナ、真緒ちゃんの４人は仲良く食事を続けている</p><p>今日はこのまま、真緒を置いていくわアニエスの相手をさせておいた方がいいと思うの</p><p>お屋敷には、あたしが残って見ていますわマナちゃんにも、残ってもらった方がいいと思いますあのまま、少しずつ気安く話せる相手を増やしていきましょう</p><p>イーディはダメだよあの子は、あたしたちが連れて行くからあの子には、ちょっと働いて貰うよ外で思い切り身体を動かさないと、暴発するしね</p><p>一度ソースケの様子を見てから、コーデリアたちと一緒に日本のヤクザを一組織、丸ごとブッ潰してくるから今の状況の中で、あたしたちのヤバさを日本の裏社会に強く印象づけて置いた方が、この後で効いてくるからね</p><p>あたしとキョーコが組んでいるってことも全世界に披露しておかないとね</p><p>あたしのバックのマランドロと、コーデリアのとこの組織にとっても、あたしたちが組んだことで何かしら有益な結果を出しておかないといけないし</p><p>日本のミスター香月とコネクションができたっていうだげでも、あたしの組織には言い訳が立つけれどどうせなら、大きな花火を上げたいものね派手に名前を売ってくるわ</p><p>生き残っていくため、仕方無いよね</p><p>恭子さんも、ミス・コーデリアも裏世界で、常にサバイバルしている</p><p>いやオレたちも</p><p>黒い森は、犯罪組織だ</p><p>だから、オレも自分が犯罪者だということを、決して忘れてはいけない</p><p>家族みんなで幸せに暮らすためには、何でもする</p><p>オレは、そう誓ったのだから</p><p>あたしも、恭子さんたちと一緒に学校へ行くわ恵美あたしの車に乗って行きなさい</p><p>悪いけれどしばらくは、自動車通学よ監視の人たちも、今はまだ不慣れでしょうから変な摩擦を作りたくないの</p><p>うん功を焦った下っ端が、オレやメグを拘束しようとするかもしれない</p><p>制服姿の高校生なら脅しが効くと思うかもしれないし</p><p>メグ練習が終わった頃に、迎えに行くよ</p><p>オレは、今日瑠璃子の誘拐に行かないといけないから</p><p>朝から、学校へ行くことはできない</p><p>もっとも運動部員でもないオレが、休みの日に朝から校内をウロウロしているのは変だし</p><p>ヨシくん本当に終わる頃で、いいからね　練習しているところを、ヨシくんがグラウンドの外から眺めているとかしたら竹柴キャプテンに気が散るって怒られると思うの</p><p>竹柴キャプテン硬派だからなあ</p><p>かといって、メグを迎えに行かなかったら、それはそれで何で、自分の婚約者を迎えに来ない心配じゃないのかって、怒られそうだし</p><p>寧はどうするの</p><p>ミナホ姉さんが、寧を見る</p><p>うーん、マルゴお姉ちゃんが帰ってきてから考えるよどうせ、瑠璃子さんの方は、マルゴお姉ちゃんが帰って来てからでないと動けないでしょう</p><p>香月セキュリティ・サービスを出し抜いて、瑠璃子を誘拐するんだ</p><p>マルゴさんの力が要る</p><p>麗華お姉さんは、予定通りにあたしのお店に来てくださいね</p><p>渚が麗華に言った</p><p>色々考えるにしたって、ここよりも、あたしのお店の方がいいでしょう</p><p>麗華は、ニコッと笑う</p><p>麗華渚の警護を頼む</p><p>は主様</p><p>オレは主従でなく早く、本当の家族になりたい</p><p>麗華に、その気持ちが通じてくれるといいのに</p><p>約束通り今日は、お店には、いつも通りの英国紳士のお姿で来て下さいねいつもの自分を取り戻したら色々と、頭の中もスッキリすると思いますわ</p><p>渚は、麗華にそう言った</p><p>ミナホ姉さんのポケットの携帯がぶるぶると振動する</p><p>電話に出るミナホ姉さん</p><p>すぐにオレを見て、電話を差し出す</p><p>あなたによ</p><p>朝のこの時間と言えば</p><p>旦那様漏れちゃうぅぅっ</p><p>えっと、オレの携帯は</p><p>昨夜から、ずっと上の部屋に置きっぱなしだ</p><p>ごめんみすず今、どこに居るんだ</p><p>お、おトイレぇぇおトイレの中ですぅぅ</p><p>いいから、早くしろっ漏らせみすずっ</p><p>はぃぃ失礼致しますぅぅ</p><p>シャァァという水音</p><p>聞こえますかぁぁ旦那様ぁ</p><p>うん聞こえてる</p><p>いっぱい出てますあんっ恥ずかしい</p><p>やがて、水音は小さくなる</p><p>はぁ、はぁ申し訳ありません朝のお忙しい時に</p><p>いや、オレこそ携帯の近くに居なくてごめん</p><p>いいんですっあ、旦那様、代わりますね</p><p>へ代わる</p><p>みすずお前、トイレの中に居るんじゃないのか</p><p>代わりましたご主人様</p><p>今朝からは、お前もなのか</p><p>大変申し訳ないのですがご主人様わたくしに、お小水を排尿することをお許し下さいませ</p><p>許す、許すから早くしろっ</p><p>美智は、我慢強いから言葉はしっかりしているけれど、膀胱が心配だ</p><p>はいそれでは、失礼させていただきます</p><p>シュワワワワっ</p><p>美智の方が排尿音が軽快だった</p><p>何でだか、判らないけれど</p><p>で、出てます凄いです</p><p>うん、聞こえているぞ美智</p><p>ああんっみすず様のおっしゃる通りですこれ、とっても恥ずかしい</p><p>排尿音を聞かれることに美智は、暗い悦びを感じているらしい</p><p>その声がセックスの時の喘ぎを思い出させる</p><p>ふぅ完了致しましたお粗末でございましたご主人様</p><p>普段、言葉の少ない美智がこんなに喋っている</p><p>やっぱり、興奮しているんだな</p><p>あの、美智こんなことまで、みすずに付き合わなくてもいいんだぞ</p><p>いえ、わたくしは自分の意志でしております</p><p>美智は、M度の高い子だった</p><p>いずれは、毎日お目に掛けます</p><p>見ないといけないんだ</p><p>それより、ご主人様わたくし、今朝、大変なことに気付いてしまいました</p><p>何だ何かあったのか、美智</p><p>みすずや、瑠璃子ジッちゃん、美子さん</p><p>香月家の方で、何か起きたのか</p><p>ご主人様美智は、ご主人様に毎日抱き締めていただかないと、寂しくて死んでしまう生き物のようですっ</p><p>おそらく、２４時間以上、ご主人様のぬくもりを感じないとくたっと倒れて、死んでしまいますこれは、もう間違いのない事実だと、先ほど確信致しました</p><p>判ったちゃんと後で、会えるから幾らでも、ギュッと抱き締めてやるな、美智</p><p>はいお声だけでは、とっても寂しいですご主人様ぁっ</p><p>美智の声が真面目一本槍の警護役から１５歳の美少女に変わる</p><p>ちょっと、美智、狡いわっ</p><p>みすずが電話を奪い返したらしい</p><p>旦那様っみすずも、寂しいですっみすずだって、あんまり長い間、旦那様と離れ離れでいると、寂しくて死んでしまいますっ</p><p>判った判ったから、みすず</p><p>早く流した方がいいぞ匂うだろ</p><p>美少女２人は排尿したままの便器</p><p>流していないよな</p><p>あっ、失礼しましたっ美智、流して、早くっ</p><p>ズッジャーッッ</p><p>汚水の流れる音(ウォーター・クラック)</p><p>はい流れましたもう、大丈夫です旦那様</p><p>よかったところで、瑠璃子はどうしている</p><p>瑠璃子はまだ落ち込んだままなんだろうか</p><p>瑠璃子も誘ったんですけれど</p><p>いや別に、オレは瑠璃子の排尿を確認したいわけじゃない</p><p>先ほどお祖父様に呼ばれて行きました</p><p>瑠璃子はジッちゃんに</p><p>あ、あたしたち、昨日から、お祖父様のお家に居るんです今日の本葬が終わるまでは</p><p>というより、一昨日のホテルの一件があったから今しばらくは、孫娘たちを全員、自分の眼の届くところに置いておきたいんだろう</p><p>美子さんは</p><p>美子さんもジッちゃんに呼ばれたんだろうか</p><p>いえ、美子さんは、みすずよりも年上でいらっしゃいますから</p><p>一緒に、旦那様に朝のご挨拶をしましょうとは申し上げられませんでした</p><p>いや排尿はいいんだよ</p><p>美子さんも、ジッちゃんのところか</p><p>いいえ呼ばれたのは瑠璃子だけですわ</p><p>何か、悪い予感がする</p><p>雪乃みたいなものの考え方をする子は実際にいます</p><p>そういう子に出遭ったから、私は、この作品を書いています</p><p>本質的に、悪い子じゃないんです</p><p>でも、どうしようもなく自分の世界だけで完結している</p><p>あの子は、今、どうしているんだろう</p><p>悪い男に騙されるか</p><p>弱くて優しい男を、消化し続けているか</p><p>どっちかなんでしょうけれどね</p><p>ちなみに、私はその子との肉体関係はありません</p><p>恋愛関係にあったことも、ありません</p><p>私は、いつも横から眺めているだけでした</p><p>382.対面式</p><p>さて、朝食が終わるとオレたちは、記念の集合写真を撮ることになった</p><p>アニエスのベッドの前でアニエスを中心に</p><p>アニエスの左右から、マナとイーディ前には真緒ちゃんが居るから、アニエスは動けない</p><p>そのまま、一気にわっと</p><p>はーい、恵美ちゃん、顔が被ってるから少しずれて麗華お姉さん、もうちょっと右に、顔半分しか入ってませんんオッケーちょっと待っててね</p><p>三脚に乗せたデジカメを覗き込む、克子姉がタイマーをセットする</p><p>マルゴさんだけいないのは、残念だね</p><p>オレが、そう言うと、寧が</p><p>まあ、マルゴお姉さんだけは、後で写真の上の方に別枠でハメ込んでおけばいいじゃんかっ</p><p>うーむ、卒業アルバムの写真を撮る日に休んだ生徒みたいだな</p><p>そうじゃなければ、克姉が上手いこと合成してくれるよっ</p><p>合成写真というのもうむむ</p><p>また撮ればいいんだよ別に、これが最初で最後の写真じゃないんだから</p><p>はーい、いきまーす全員、スマイルでお願いしまーすいっくわよっ</p><p>ペチッとカメラのスイッチを入れた克子姉が大慌てでで、オレたちの方へ走ってくる</p><p>チチチと点滅する、カメラのライト</p><p>克子姉は、ミナホ姉さんの隣に飛び込むっ</p><p>カメラのシャッターが切れる</p><p>はーい、オッケーご協力ありがとうございましたーっ</p><p>集合写真が撮り終わるとオレたちは、朝食の片付け</p><p>恭子さんたちは、脚立を持って来て壁の上の白坂創介像を調べる</p><p>あ、こりゃダメだわガッチガチに固めて、台座に溶接されてる簡単には、外れないよ</p><p>恭子さんの声が、壁の上から聞こえる</p><p>いっそのこと、削岩機みたいのを持って来てバラバラにブッ壊すその方が、楽だよ</p><p>削岩機あ、工藤父が持っていたよな確か</p><p>そうね、ガス溶断機をここまで持って来るのは面倒だしいっそ、爆破するってのはどう</p><p>ミス・コーデリアが、また過激なことを言い出す</p><p>ここと、ここに爆薬をセットすればバキッと折れると思うのよ火薬の量は、そんなに必要じゃないわ</p><p>でもさこれ、中に鉄の芯とか入ってると思うよ</p><p>ああサダム・フセインの銅像をブッ倒すニュース映像とかだと、確かに芯が入ってたわね</p><p>とにかく足の部分をブチ壊して中の芯はブチ折るとかかな</p><p>壁の上で、相談する恭子さんとミス・コーデリア</p><p>待って下さい－、恭子さんあんまり派手に壊すとそれは、それでアニエスのトラウマになりますから</p><p>克子姉が、見上げて言った</p><p>アニエスは自分の信奉する神の像を、恭子さんやミス・コーデリアがベタベタ触っている様子を、心配そうに見上げている</p><p>白坂創介の洗脳はとても、濃く深い</p><p>アニエスは、生まれてからずっと白坂創介を崇拝するように、教育されてきたのだから</p><p>うん神像が、バラバラ、メチャクチャになる様子を直接見せられるのは、アニエスにはキツイかもしれない</p><p>ま、どっちにしろ、すぐにはどうにもできないわねシーツか何かちょうだいとりあえず、あの子には見えないように隠すから</p><p>ミス・コーデリアが、言った</p><p>はいえっと</p><p>昨日、持って来たシーツの予備がありますから</p><p>メグがシーツを持って来る</p><p>いや、シーツだけじゃダメだよアニエスが、元の像を想像できなくなるくらい、シルエットが変わらないとそこら辺の毛布とかもじゃんじゃん持って来て克子それと、ガムテープ</p><p>恭子さんが、叫ぶ</p><p>克子姉とメグが、走り回って言われたものを準備する</p><p>それを、イーニーとミーニーがスススッと脚立を上がって、次々と恭子さんたちに手渡していく</p><p>うおっし</p><p>白坂創介蔵は毛布で何重に覆われ、ガムテープでぐるんぐるん巻きにされた</p><p>外からではもはや、何だか判らないものになっている</p><p>ちょっとした梱包芸術だね</p><p>とりあえず隠されて見えなくなっても、像は、まだここにあるってことで、アニエスのストレスは軽減されると思うよ後はアニエスが、ソースケのことをどうでも良いと思うようになるように、みんなで頑張らないとね</p><p>脚立から、下りて来た恭子さんがそう言った</p><p>そうだそこの壁をブチ抜いて、隣の部屋と繋げるんだったよね</p><p>ああ、そういう話もあった</p><p>これは、すぐ終わるからやっとこうか</p><p>恭子さん、工具を持ってきましょうか</p><p>そんなんいらないよあたしたち４人で、蹴り壊すから</p><p>麗華ちゃんだっけあんたも、あのステッキ持って来て、破砕を手伝いなさい</p><p>う、はい</p><p>麗華が、ステッキを取りに行こうとするが</p><p>恭子さん、今は止めて下さい</p><p>ノートパソコンを開いていた、ミナホ姉さんが制止する</p><p>恭子さんの壊し方では破片が飛び散って、子供たちに危険です</p><p>その辺は、まあ、気を付けてやるから</p><p>いいえ今は、壊した壁の残骸を、上の階まで運ぶ時間もありませんから瓦礫が残ったままだと、子供たちが遊んで危ないです</p><p>確かに真緒ちゃんや、イーディが破片をオモチャにしたら、ケガをするかもしれない</p><p>そっかそうだね御名穂の言う通りだこっちの壁は、時間と人手のある時にやろう</p><p>恭子さんは、納得してくれた</p><p>それより雪乃さんが、到着したみたいよ</p><p>ミナホ姉さんは、ノートパソコンの画面を示す</p><p>おおっ、どんな感じだいっ</p><p>みんなミナホ姉さんのノートパソコンの前に集まる</p><p>ミナホ姉さんが、外部スピーカーの音量を上げた</p><p>どうやら朝のワイドショーの映像らしい</p><p>えー、こちら、白坂創介氏の自宅前です先ほど、こちらに暴力団組織に誘拐されていた白坂創介氏の長女、雪乃さんが解放されるという情報が、マスコミ各社に送られてきました</p><p>男のレポーターが雪乃の家の前で、絶叫している</p><p>雪乃の家の前には、１００人を越す報道陣と野次馬が集まっている</p><p>えー、私たちの取材によりますと雪乃さんは、白坂創介氏が懇意にしていた暴力団組織に拉致・誘拐されていたとのことですこの暴力団組織は、一連の白坂創介氏の行動に不満を持ち、雪乃さんを人質にしていたと</p><p>マスコミには、そういう話になっているらしい</p><p>これも、ミナホ姉さんとジッちゃんの情報操作か</p><p>これが誘拐されている雪乃さんの写真です</p><p>レポーターが、雪乃のこれ、入学式の集合写真を拡大したやつだな</p><p>粒子がメチャクチャ粗い</p><p>とにかく、雪乃の写真を出す</p><p>大変に明るく、明朗な少女でご近所での評判の良い少女だそうです</p><p>この写真で見る限りは雪乃は、か弱い美少女だ</p><p>馬鹿な父親の事件に巻き込まれて暴力団に誘拐された、被害者にしか見えない</p><p>あただ今、あちらから雪乃さんのお祖父さんの乗る車が到着致しました</p><p>人だかりの向こうからやって来る大きな黒塗りの車</p><p>市川老人の車か</p><p>車を通らせるために、報道陣と野次馬を押し除けているのは香月セキュリティ・サービスの制服を着た警備員たち</p><p>やっぱり、ジッちゃんも１枚噛んでいるんだ</p><p>えー、これは雪乃さんのお母さん方のお祖父さん市川伸一郎氏ですあっ、車中には、お母さんも乗っているようですね雪乃さんのお母さんは、白坂瑤子さんは、著名な料理研究家として、広く知られています</p><p>現地のヤマシタさん</p><p>テレビ局のスタジオから、ワイドショーの司会者が、レポーターに呼び掛ける</p><p>そちらには、白坂家守次氏は、緊急入院しているとのことですが白坂家の関係者は、どなたかいらしていいますか</p><p>いいえ白坂家からは、どなたも見えていないようです暴力団組織に対しても白坂家は、雪乃さんの引き取りを拒否したという話です</p><p>では雪乃さんの解放については、白坂家はまったくタッチしていない</p><p>はいお祖父さんの市川氏とお母さんの瑤子さんが身代金３億円を支払って、解放にこぎつけたと</p><p>何かすごい、話だ</p><p>白坂創介氏の事件は、最初は海外での暴行事件として報道されていたのですがそれが、芸能界全体に拡がる一大セックス・スキャンダルに発展さらに、白坂創介氏が、特定の暴力団組織と長年に渡って少女の誘拐・拉致・監禁し暴行した上に、殺害していたことが判明しています</p><p>大騒ぎの雪乃の家の前を映したままスタジオのアナウンサーが、事件の概略を語る</p><p>この事件を受けて白坂創介氏の叔父である白坂守次氏が、代表を務めていた新聞社、テレビ局などから全て退くということになりました</p><p>マスコミ界の貴族と呼ばれていた白坂一族だったのですが一族の中の人間から、とんでもない人物が現れたことで、大変なことになっていますね</p><p>司会者が語る</p><p>はいしかも現在もなお、白坂創介の行方は判らない状態ですオーストラリアから、強制退去命令を受け、日本へ帰国する飛行機に乗ったことまでは判っているのですがその後の足取りは、まったく不明です</p><p>そこへ今朝、突然入って来た、娘さんが誘拐されていたというニュースですね</p><p>はいどうやら、白坂創介氏とこれまで組んでいた暴力団組織との間に、何かしらトラブルが起きたものだと思われますそれで長女の雪乃さんは、先日、通っている高校から拉致・誘拐されたと</p><p>公式な場で、雪乃が目撃された最後は</p><p>学校の校長室の隣の部屋でオレに（みんなは、遠藤だと思っている）犯された後に</p><p>学校の校庭からマルゴさんと寧さんに拉致された</p><p>マルゴさんはあの時ヤクザに雇われて、雪乃を連れに来たとみんなに言っていた</p><p>それが身代金３億円で、解放されるということですか</p><p>はい、私たちが確認した情報ではそういうことになっています</p><p>司会者とアナウンサーが、そんな会話をしている</p><p>これってこんなテレビ中継されている場所に、マルゴさんが現れたら、マズくないですか</p><p>確かにここにマルゴさんが顔を出すのは、後々問題になるだろう</p><p>ええだから、雪乃さんの受け渡しは、マルゴじゃなくって、別の人にお願いしたわ</p><p>別の人</p><p>こういう場所にうってつけの人がいるじゃない</p><p>ほら来たみたいよ</p><p>オレたちは、画面を凝視する</p><p>あっ向こうから、何やら車が来たようですっな、何でしょうか何か、音楽を大音量で流しながらこちらへ向かってきています</p><p>スピーカーから、聞こえてくるその音楽は</p><p>ワーグナーのワルキューレの騎行</p><p>そして、その大音量を発している車にオレは、見覚えがあった</p><p>ワンボックスカーの横に、大きく工藤探偵事務所と書いている</p><p>ここで工藤父か</p><p>まあ、適役かもしれないけれど</p><p>人だかりを押しのけて工藤父の車が、雪乃の家の前で止まる</p><p>運転席のドアが開く</p><p>はいはいはいれでぃーす＆じぇんとるまん＋おとっつぁん、おっかさん、みなさん、こんな朝っぱらからよーくお集まりで</p><p>テレビカメラとフラッシュの光を浴びながら工藤父が、そんなことを言う</p><p>はーい、市川さんっいっちかわさんっご要望にお応えして、暴力組織のオッチャンたちから、お孫さんを救出してきましたよはーい</p><p>工藤父に、テレビレポーターが突っ込む</p><p>あの雪乃さんは、雪乃さんは無事なんですかっ</p><p>おいおい、人にものを聞くときは、まず自分の名前を名乗れって言われたことぁないのか母ちゃんに何を習ってきたんだ</p><p>わたしの母のことは、関係ないじゃないですかっ</p><p>そのとおーりっ</p><p>工藤父は、レポーターたちを無視して市川さんの高級車へと歩いて行く</p><p>車を警護していた、香月セキュリティ・サービスの制服組が、一斉にサッと道を開ける</p><p>ホテルでの事件以降警備員たちの再教育が行われたらしい</p><p>市川老人のいる運転席の窓をコンコンと工藤父は叩く</p><p>スーッと、少しだけ開かれる窓</p><p>な何なんだね、君は</p><p>市川老人の怯えた声が、マイクに拾われる</p><p>なあに閣下のイヌの１人ですよ</p><p>それで話は、通じたらしい</p><p>どうすればいい</p><p>別にあなたと娘さんと２人揃って、車から降りて、お孫さんをお出迎えしてあげて下さい</p><p>お孫さん相当、ツライ目に遭われたみたいですから</p><p>マスコミに撮られたくない車を横付けしてくれ、そのまま孫を引き取る</p><p>市川氏は、自分も雪乃も極力、カメラには撮りたくないようだ</p><p>そうはいかねえっすお孫さんには、オレっちの車から、ここまで歩いて来てもらいます</p><p>１０メートルは離れているじゃないかっ</p><p>なあに、ほんの１０メートルですよ</p><p>工藤父はニッと、笑った</p><p>もう２度と会えないかもしれないと思っていた時よりはよっぽど、近いでしょ</p><p>判った瑤子、車から降りよう</p><p>しかしお父様</p><p>今は、雪乃を確実に取り戻す雪乃が帰って来たら、舞夏の行方だって判るだろうしでも</p><p>雪乃のためだ</p><p>老人は雪乃の母親を見つめる</p><p>僕はもう、会社を辞めたんだ守るべきものは無いからな</p><p>わたしは、まだ</p><p>諦めろ華やかな場には、もう立てん僕たちはな</p><p>雪乃の母が、嘆息する</p><p>ではオレは、雪乃ちゃんを引っ張り出して来ますわっ</p><p>工藤父は、再び自分の車の方に向かいながら</p><p>はーい、お集まりいただきましたマスコミ業界の皆さん、これから、白坂雪乃さんを解放しまーすっあっ、そうそう、一応、言っておきますがオレっちは、あそこに車の横にデトデダーンと書いてある通り、探偵です私立探偵しがない町の探偵さんですわっ雪乃さんを、誘拐した暴力団組織とは、なーんの関係も無いですから、そのつもりで</p><p>じゃあ、何でお前がさらわれた娘を連れて来たんだよっ</p><p>記者の１人が、叫ぶ</p><p>おい、ちょっと待て、こらぁ今、お前って言ったのは、お前かあっ、お前のこの口か、こらぁ</p><p>な、何だ暴力かおい</p><p>オレっちはなあ、お前なんかにお前呼ばわりされる様な、安っぽい人間じゃねぇんだよっ</p><p>お前こそ、オレのことをお前って言ってるじゃないかっ</p><p>うるせえっオレがお前で、お前がお前だっ</p><p>記者のクビを、ギュッと締め上げて</p><p>オレはとある方の命を受け、白坂雪乃嬢を暴力団組織さんから助け出してきただけだそれが、どうしした、文句があるかっ</p><p>工藤父は、記者をそのまま人の群れの中にどーんと突き飛ばす</p><p>なんつったって、オレっちは私立探偵・工藤優作車は、これ電話番号とメール・アドレスはこれだっ</p><p>トントントンっと、ワンボックス・バンの車体を叩く工藤父</p><p>浮気調査から、誘拐されたお嬢さんの救出までお仕事、待っているよーんっ</p><p>カメラに向かって、ポーズする工藤父</p><p>うん、何かよく判らないけれど</p><p>とにかく、工藤父のペースで進んでいる</p><p>さあって、まさらわれていたお姫様を、お連れ致しましょう</p><p>ガラガラガラとバンの後部のスライドドアを開ける</p><p>と雪乃が、乗っている</p><p>雪乃は毛布を被って、全身を隠していた</p><p>眼にはアイ・マスク</p><p>耳には、大きなヘッド・フォンをしている</p><p>おおっとお姫様のこの格好については、気にすんじゃねぇぞこの娘さんを誘拐していた暴力団組織との約束でねえどこに監禁されていたか判らないように、眼と耳を塞いだままにしておくっていうことになっていたんだ仕方ないだろうオレっちも、悪の組織とギリギリの交渉をしてきたんだから</p><p>目隠しされ耳には、きっと大音量の音楽が鳴り響いているのだろう</p><p>雪乃は、肩でリズムを取っている</p><p>彼女は今、ここに集まっている報道陣や野次馬たちの存在を気付いていない</p><p>工藤父が、雪乃の腕を掴む</p><p>ほらっ、下りろお祖父ちゃんとママが待ってるぞ</p><p>しかし、眼と耳を塞がれたままの雪乃は</p><p>ちょっと、何よっさわんないでよっヘンタイっ</p><p>それが日本全国に中継された、最初の雪乃の言葉だった</p><p>まさかあんたまで、あたしのことをレイプする気じゃないでしょうねっ</p><p>雪乃の一言に</p><p>集まっていた報道陣がシーンとなる</p><p>いいから、出ろよっ</p><p>工藤父は、無理矢理、雪乃をバンから引きずり下ろした</p><p>ちょっと、やめてよっ、触らないでよっもう、犯されるのは嫌なのよっあたしっ</p><p>工藤父は雪乃の耳のヘッドホンを外す</p><p>ヘッドホンから漏れてくるのはやっぱり、ワルキューレだった</p><p>着いたぞ市川さんも、そこにいる</p><p>工藤父は、今までと違う低い声で雪乃に言った</p><p>ホントでしょうねっ嘘だったら、許さないわよっ</p><p>嘘だったら、どうするんだ</p><p>あんたのチンコ噛みちぎってやるから</p><p>雪乃の声が、電波に乗り全国へ配信される</p><p>ねえこのマスクも外していいの</p><p>ちょっと待て市川さんに合図するから</p><p>工藤父が、市川老人の車に手を振る</p><p>市川さーんっ出て来て下さぁーいっ</p><p>ガチャッ</p><p>黒塗りの高級車から市川老人と雪乃の母親が降りて来る</p><p>雪乃ぉぉッッ</p><p>白坂瑤子が、叫ぶ</p><p>ママッ</p><p>雪乃が、アイマスクを外そうとするが</p><p>まだだっ</p><p>工藤父が、制する</p><p>こういうのはなっ形式的なことが大切なんだよっ</p><p>何でもいいから、早くしなさいよっ馬鹿っ</p><p>いいかオレが色々キャッチフレーズを言うから最後にゴタイメ～ンて言ったら、マスクを外せっ</p><p>何よ、キャッチフレーズって</p><p>いいから、ゴタイメ～ンだけ、覚えていろっ</p><p>判ったわよっとっとと、終わらせなさいよっこのクズっ</p><p>おっカメラは、そっちかそれか赤いライトが点いてるやつかそうなんだな知ってんだぞ、こら</p><p>早くなさいってのっ</p><p>工藤父がテレビカメラを指差し</p><p>一目会ったその日から、恋の花咲くこともある君の飲むお茶、キミノエンボクの飲むお茶、ボクノエンおおっと、違った</p><p>何なんだそれ</p><p>ゴタイメ～ン</p><p>雪乃がアイマスクを外す</p><p>一斉に、素顔の雪乃にフラッシュが焚かれる</p><p>光の洪水に、目が眩む雪乃</p><p>おいおい、カンベンしてやれよポケモンじゃねぇんだぞっ</p><p>工藤父が、そう喚きながら雪乃の纏っている毛布の端を、足で踏む</p><p>さっきまでは、両手で毛布を握りしめていたが</p><p>今の雪乃は、アイマスクを外すために手が、離れている</p><p>雪乃の毛布はズルッと背中側に滑り落ちた</p><p>雪乃はビリビリに引き裂かれた高校の制服を着ていた</p><p>オレが雪乃を犯すときに、メチャクチャにした</p><p>パンツは履いているが</p><p>ブラは付けていない</p><p>ピンク色の乳首も透けている</p><p>下まで丸出しにしたら、中継を打ち切られちゃうから</p><p>ミナホ姉さんがククッと笑う</p><p>ゆっ雪乃っ</p><p>雪乃の母親が、絶句するっ</p><p>早く、こっちに来なさいっ</p><p>市川老人の叫びに雪乃は、我を取り戻す</p><p>きゃあああっ何なのよっこれっ</p><p>雪乃は、慌てて両手で胸を隠し</p><p>撮らないでっ撮るなっ馬鹿っヘンタイっみんな死ねっ大っ嫌いよっ</p><p>ありとあらゆる、罵詈雑言を吐きながら市川老人の車へと走る</p><p>約１０メートルの距離をダッシュで</p><p>ふふふ誰がどう見ても、雪乃さんは暴力団にレイプされてきているわよねそれに、何、あの子のあの態度あれじゃあ、雪乃さんに同情する人は、日本中探してもいないでしょうね</p><p>ちょっと、お祖父ちゃん、何やってんのよっ早く乗ってママももう、みんな嫌いよっ</p><p>慌てて、車に乗り込む市川老人たち</p><p>最後に、雪乃が飛び乗る</p><p>とそれまで車を警備していた、香月セキュリティ・サービスの警備員たちが、一斉にその場から退去する</p><p>カメラや、レポーター、野次馬たちが</p><p>市川老人の車を、取り囲む</p><p>窓を叩く</p><p>声を掛ける</p><p>カメラのフラッシュ</p><p>雪乃たちは逃げられない</p><p>昨日、帰宅した時</p><p>母北がミサイルを発射したわよ</p><p>私え、それでどこへ落ちたの</p><p>母えっとね確か、日本の上は飛び越えちゃって、外国よ</p><p>私外国ってどこ</p><p>母確かねこの間＊＊さんたちが旅行に行ったところだから</p><p>私だからどこ</p><p>母うんとねそうそう、サンフランシスコ</p><p>せ、戦争じゃ</p><p>父フィリピン沖だよ</p><p>母ああ、良く似ているから間違えちゃった</p><p>383．brand new day</p><p>ところでマルゴは、何をしているわけ</p><p>騒乱状態の雪乃の家の画像を見ながら恭子さんは、言った</p><p>全て、あのオッちゃんに任せで現地には、行ってないなんてことは無いよね</p><p>マルゴさんは、どこに居るんだ</p><p>モニター画面の中では、雪乃立ちの車を報道陣が取り囲んでいる</p><p>ちょっとお話を聞かせて下さいっ</p><p>お父さんは、今、どこに居るんですか</p><p>市川さん、社会的な責任について、どう考えていらっしゃいます</p><p>白坂瑤子さん、ご主人について一言</p><p>市川老人は、必死で車を発進させようとしているが人混みに中では、身動きが取れない</p><p>激しく、何度もクラクションを鳴らす</p><p>それでも記者とレポーターたちは黒い高級車から離れようとはしない</p><p>ドンドカと、車の窓ガラスに押し寄せるっ</p><p>中に居る雪乃と祖父と母親にカメラを向ける</p><p>雪乃が、キッと怒ってウインドゥを下げる</p><p>おい、よさんかっ雪乃っ</p><p>市川老人が、孫娘を制止しようとするが</p><p>雪乃の怒りは、すでに爆発寸前だっ</p><p>いいかげんにしなさいよねっあんたたちっこうなったら、もう、何もかもブチまけてやるわよっ</p><p>雪乃、よせっ</p><p>だって、お祖父ちゃんっあたしたちは、何も悪いことはしていないのよっ全部全部、パパのせいじゃないっ</p><p>雪乃の絶叫が電波に乗る</p><p>ということは白坂創介氏に投げられている疑惑は、全て真実なんですねっ</p><p>するっと、リポーターが雪乃にカマをかけるっ</p><p>いまさら、何言ってるのよっそうじゃなかったら、あたしがこんなに酷い目に遭わされるはずがないじゃないっ</p><p>あ認めちゃったよ</p><p>そうですか芸能界スキャンダルも、少女誘拐レイプ・殺人も、全て事実なんですねっそうなんじゃないのっあいつらは、そう言っていたから</p><p>あいつらって誰ですか</p><p>雪乃さーん、こっちにも視線お願いしまーすっ</p><p>こちらも、お願いします</p><p>向けられるマイクとフラッシュの輝きで雪乃は、さらに興奮していく</p><p>あいつらは、あいつらよっあたしを無理矢理レイプした</p><p>レイプ</p><p>誰にレイプされたんですかぁ雪乃さぁーんっ</p><p>あいつよああ</p><p>よせっ、雪乃っ全員、皆殺しにされるぞっ</p><p>市川老人は全ての黒幕は、ジッちゃんだと思い込んでいる</p><p>これは、白坂本家から新聞社とテレビ局を奪取するための香月グループの策略だと</p><p>黒い森なんて、ジッちゃんの配下の１組織としか思っていない</p><p>皆殺しっ</p><p>どういうことなんですっ市川さんっ</p><p>市川老人が、広告業界の重鎮であったということはすでに報道されている</p><p>その市川老人が恐れている相手とは</p><p>報道記者たちは、さらにヒート・アップする</p><p>一方雪乃は</p><p>あたしはあいつに、メチャクチャにされたのよっちくしょうっ</p><p>雪乃が憎んでいるのは</p><p>オレだろう</p><p>雪乃を犯し、心を踏みにじってきたのはオレなんだから</p><p>絶対に許さないわっあいつ</p><p>雪乃が、カメラに向かって叫ぶ</p><p>憎悪に燃える眼グッと歯を食いしばる</p><p>どう見ても可憐でか弱い少女性犯罪の被害者には見えない</p><p>ヒステリーを起こして、喚いているだけの雪乃は、生命感に満ち溢れ過ぎている</p><p>これでは誰も雪乃には、同情しないだろう</p><p>ですから誰なんですかあいつというのは</p><p>どっかの局のレポーターが、雪乃を問い詰める</p><p>今、教えてあげるわよっあたしをメチャクチャにしたのはッ</p><p>雪乃が、カメラに向かって告発しようとする</p><p>よさんかっお前は僕ら全員を路頭に迷わせるつもりかっ</p><p>だって、お祖父ちゃんこんなのここでバラしてやんなきゃ、あたしの気持ちが収まらないわよっ</p><p>もう、雪乃は止まらない</p><p>だから、誰なんですっ</p><p>そうだ、早く教えろよっ</p><p>記者が煽る</p><p>弓槻よっ</p><p>――ドバァァァァンッ</p><p>白坂創介の屋敷の敷地内で何かが、爆発したッ</p><p>ボアッと火の手が上がるッ</p><p>危ないぞっ逃げろっ</p><p>報道陣の上にも火の粉が舞い落ちてくる</p><p>――ズバァァァンッ</p><p>二つ目の爆発がベランダの部分から起こった</p><p>おい、やばいぞっ</p><p>退避だ、退避っ</p><p>蜘蛛の子を散らす様に報道陣たちが、走って避難する</p><p>車の前方が開けると市川老人は、一気にアクセルを踏んだ</p><p>ギャギュギャギャ</p><p>逃げるぞっ</p><p>追い掛けろっ</p><p>それより、消防車だっ</p><p>何なんだよ、この爆発</p><p>白坂創介邸の前は大混乱となる</p><p>屋敷の庭の辺りから、黒い煙が立ちのぼっている</p><p>マナが声を漏らす</p><p>オレは、マナを抱いてやる</p><p>大丈夫だよお兄ちゃんあの家とは、ちゃんとお別れしてきたから</p><p>この間、あの家に行った時に残してきたのよ</p><p>庭とベランダとガレージにね無線式の遠隔操作で、いつでも起爆させられるようになっていたの</p><p>マルゴさんあそこに居るんですね</p><p>そうよ電波の届く距離に居るわ雪乃さんが、何か口走ったら、即座に爆発させるように指示していたのよ</p><p>安心して見た目は派手だけれど、建物に延焼しないようにしてあるから煙も、発煙筒よ家が燃えているわけでは無いわ</p><p>世間の皆様にはこの爆発は、市川さんの自作自演てことにするから</p><p>市川さんが爆発させた</p><p>頭の悪い孫娘が興奮して、自分を誘拐・レイプした犯人を公表しようとしたでも、市川さんは、公表されるわけにはいかなかっただから、あんな騒ぎを起こして逃げ出した</p><p>ミナホ姉さんがニッと笑う</p><p>なぜ、市川さんは公表を嫌がったかそれは、市川さん自身も、雪乃さんを誘拐した組織と繋がっているから</p><p>雪乃を誘拐していたのは白坂創介と懇意だった暴力団組織だと、世間には伝えられている</p><p>白坂創介だけでなく母方の祖父も、暴力団と関係していたまあ、広告業界なんてそういうものだろうだから、名前を出すわけにはいかないんだそういう風に、認識して貰いたいのよ日本の全国民にはね</p><p>そんでまあその暴力団組織ってのは、今日中にあたしたちにブッ潰されるんだわ</p><p>ミナホ姉さんの言葉を受けて恭子さんが、クククと笑う</p><p>えー、現地ではいまだに混乱が続いているようですあ、今、消防車が入ってきましたね</p><p>朝のワイドショーの中継は、まだ続いている</p><p>市川さんは、あのまま真っ直ぐ自宅に戻るだろう会社は辞めちゃうんだし、他に逃げ場が無いからね</p><p>市川のお祖父ちゃんには別荘があります</p><p>無理無理、市川さんの年齢であのまま、マスコミの追跡を受けながら、地方までブッ飛ばす気力も体力も無いよそれに別荘地なんかへ行って、食料の買い出しとかできるのあの３人、これで全国的な有名人になっちゃったんだから都内ならまだ、知り合いに頼んだりとかもできるだろうけれどでも会社を辞めたら、ただの人だからねもう、市川さんのために何かと融通してくれる様な人はいないかもしれないけれどね</p><p>画面の中はヘリコプターによる、空撮の映像に切り替わる</p><p>猛スピードで走る市川さんの車をマスコミ各社の車とバイクが追い掛けている</p><p>まあっちは、マスコミに任せて置いてオッケーだろ</p><p>あたしたちも、そろそろ各自の行動に移りましょう</p><p>あたしと、恵美それから、恭子さんたちは学校へ麗華お姉さんは、渚とお店へ瑠璃子さんのお父さんのお葬式に行く人は、マルゴが戻って来てからにしてね</p><p>マルゴさんが居てくれないと瑠璃子の誘拐には、出掛けられない</p><p>あたしは、マナちゃんとアニエスを見ています</p><p>真緒あなた、今日一日、そこのお姉ちゃんと遊んでいなさい</p><p>渚が、真緒ちゃんにアニエスを示して言う</p><p>えー、なんで</p><p>あのお姉ちゃんはね生まれてから、ずーっとこの部屋に閉じ込められていて、お外に出たことが一度もないの</p><p>ほんと</p><p>そうなのよお友達も、今まで誰もいなかったの</p><p>うわぁっそれは、かわいそーだよ</p><p>そうよ、可哀想なのよ</p><p>真緒ちゃんがアニエスを見る</p><p>ママたちは、アニエスちゃんを早く、お外に出してあげたいけれどアニエスちゃんは、お外のことが何も判らないでしょそれじゃあ、怖いからアニエスちゃん、お外には出たくないんですって</p><p>えー、おそときもちいいのに</p><p>だから、真緒あなたが、あのお姉ちゃんとお友達になって、お外のこと、いっぱいお話ししてあげて欲しいのよお外は、怖くないんだって</p><p>ママ、まお、もうアニエスちゃんとはおともだちだよっ</p><p>じゃあ、仲良くできるわよねっ</p><p>渚が真緒ちゃんの頭を撫でる</p><p>真緒ちゃん、あたしも一緒に居るからっ</p><p>マナが、真緒ちゃんに微笑む</p><p>あの、へんなおねえちゃんは</p><p>真緒ちゃんは、イーディを指差す</p><p>変か</p><p>まあ、普通じゃないよな</p><p>イーデイさんは、お仕事なのだから、今日は真緒とマナお姉ちゃんで遊んであげてママ、夜にはまたここのお家に戻ってくるから</p><p>ほんとう</p><p>ママが、真緒とパパの居るところに、帰って来ないはずがないでしょ</p><p>うんわかったっ</p><p>マナ、頼んだぞ</p><p>真緒ちゃんの前でアニエスが、あのアレを始めないように、見ていてくれ</p><p>こんな幼女の前で自慰とかされたら、教育によくない</p><p>うん、気をつけるよ</p><p>マナが、オレにキスを求める</p><p>真緒ちゃんの前で、キスはまあ、いいか</p><p>オレは、チュッとキスする</p><p>じゃあ、ヨシくんあたしも一度部屋に行って、着替えたらそのまま行くから</p><p>ああ学校へ行くのには、制服じゃないとな</p><p>オレは、メグにもキスをする</p><p>あたしも、そろそろお店に行かないと今日は、頑張ってね、あなた</p><p>渚にもキスをする</p><p>ああっ、あたしも</p><p>克子姉が、やって来るのでキスをする</p><p>寧はいいの</p><p>あたしはみんながいなくなってから、ゆっくりしまーすっ</p><p>寧は、笑う</p><p>あっ寧お姉さん、ずるーいっ</p><p>麗華お姉さんも、したらいいのに</p><p>寧が麗華に、振る</p><p>麗華は色々と悩んでいるらしい</p><p>オレは、麗華の前に行く</p><p>はっきり言っておくけれどオレは、麗華のこと、好きだからな</p><p>それだけは、知っていて欲しいんだオレは、嫌嫌やっているわけじゃない本当に、麗華と家族になりたいって思っている</p><p>だから後は、麗華の気持ちの問題だけだよ</p><p>ありがとうございますあの</p><p>わたくしにもキスして下さいませ</p><p>オレは、麗華にキスをした</p><p>さ、麗華お姉さん玄関で待っていますから、早く用意してきて下さいっ</p><p>渚が、麗華をオレから引き剥がして言う</p><p>今日は、英国紳士でお願いしますからねっ</p><p>ああ、そうだった</p><p>麗華お姉さん届いた、着替えはこっちにあります</p><p>ありがとうでは、行って参ります</p><p>克子姉に連れられて麗華は、久々に英国紳士の心に戻って退出して行く</p><p>あ、待ってお姉さんのメイクは、あたしが手伝うわっじゃあねっ、あなたっ真緒も、大人しくしているのよっ</p><p>渚も、パタパタと退出して行く</p><p>さて先に出発する人たちが、地下室からいなくなる</p><p>残ったのはオレと克子姉と寧とマナと真緒ちゃんとアニエス</p><p>イーディは、真緒ちゃんやアニエスと離れることを嫌がったが</p><p>恭子さんから仕事だと言われると態度を変えた</p><p>暗殺者の眼に変わる</p><p>亡くなったイーディのお祖母さんは彼女を、組織にとっては使い物にならない暗殺者に仕立て上げたけれど</p><p>それでも、イーディの魂は暗殺者らしい</p><p>マルゴお姉ちゃん後、１５分で戻って来るって</p><p>寧が携帯を切って、オレに教えてくれる</p><p>真緒ちゃんとマナはアニエスとベッドの上にいる</p><p>アニエスももう、あの子たちには警戒していない</p><p>むしろ、イーディがいなくなって、気が楽になっているらしい</p><p>イーディ、言葉が通じないし強引なところがあるから</p><p>あなたがお葬式に着ていく喪服どうしましょうか</p><p>途中で買うお屋敷にある服はさすがに、今からじゃ直せないし</p><p>克子姉はミナホ姉さんのお祖父さんの遺した服のことを言っている</p><p>制服で行くよ</p><p>香月家の葬式に名門一流校でない学校の制服で行くのは、場違いだと思う</p><p>今日は大丈夫なんじゃないかなっ</p><p>だって、今日は瑠璃子さんお父さんのお葬式でしょ会社の部下とか、色んな人も来るだろうから上流階級にこだわる必要は無いんじゃない</p><p>うんオレこれ以上、高そうな服を着て行くとボロが出そうだしそれに、色々と動き回るなら、いつもの制服の方が楽だよ</p><p>オレは瑠璃子を誘拐しに行くのだから</p><p>制服か</p><p>寧が考え込む</p><p>そしたら、あたしもヨッちゃんにくっ付いて行こうかなあ</p><p>ほら、あたし黒髪になってから、まだ制服に袖を通していないし</p><p>黒髪天然美少女になって寧の制服姿はまだ見ていない</p><p>ヨッちゃんとお揃いの制服で現れてさみすずに、ジェラシーさせてみようかなってっ</p><p>ククククッと、寧が笑う</p><p>姉さんは本当に、みすずをからかうのが好きなんだね</p><p>だって、しょうがないじゃんかっあたしが遊んであげないとあの子、他の子に気をつかいすぎるからっ</p><p>寧は、みすずさんがお気に入りなのね</p><p>克子姉が笑った</p><p>点けっぱなしのパソコンではまだ、朝のワイドショーが続いている</p><p>雪乃たちは無事に、市川さんの家に到着したらしい</p><p>今は、コメンテーターたちが、それぞれの意見を言っている</p><p>今日は世論誘導は、香月様の方でやってくれているから、楽だわ</p><p>白坂創介を追い込むまでは黒い森の仕事だったが</p><p>今はすでに、香月グループとしての白坂家のマスコミ各社の奪取が始まっている</p><p>一族の人間である白坂創介の悪評が広まるほど白坂家は、新聞社・テレビ局の経営から手を引かざる得ない状況になる</p><p>だから雪乃や市川さんについての情報操作も、ジッちゃんの方でやってくれているんだろう</p><p>もちろん、ミナホ姉さんからの指示に従ってだろうけれど</p><p>そう言えば、美智のお父さんがテレビ・カメラの前で閣下の名前を出していたけれど</p><p>オレはふと、思い出す</p><p>大丈夫なの一応、全国放送だったんだろ</p><p>克子姉は、笑って</p><p>あなた閣下というのが、香月様のことを示す言葉だって、前から知ってた</p><p>知ってるわけないじゃんかオレ、名家とか上流階級とか、全然関係無かったし</p><p>日本の国民の大部分が、あなたと同じよ閣下と聞いて、香月様を想像するのは極一部の特殊な立場の人たちだけよね</p><p>だから、工藤さんが、あそこで閣下という言葉を出したのは正しいのよ知らない人には、何が何だか判らないことだし知っている人には、市川さんが、とんでもない大物に目を付けられてしまったっていうことが判るからあれで、もう政財界・官界・マスコミで、市川さんや白坂創介を擁護する人は完全にいなくなったわよ誰だって、香月家と正面から敵対するのは嫌ですもの</p><p>だから、工藤父はわざと閣下と口を滑らせてみた</p><p>たった一言でジッちゃんの意志が働いていると、有力者たちに示す</p><p>それから雪乃さんが、最後に口にした弓槻だってテレビを観ている人には、何が何だか判らないからねっ</p><p>だいたいさ、あの子、ちょっと早口過ぎるからユヅキなんだかユッキなんだかユッヒだか、聞き取れなかったし</p><p>そうね弓槻という名前を知っている人でないと、何を言っているか判らないと思うわね</p><p>でも、うちの学校の連中はみんな、ミナホ姉さんを知っているわけだし雪乃が、弓槻って言ったら、担任の弓槻御名穂のことだって判ると思うよ</p><p>寧が、ニッと微笑む</p><p>でもさぁ例えば、ヨッちゃんのクラスメイトたちが先生が、雪乃さんを誘拐して、レイプしていた犯人だって、想像する</p><p>あたしとマルゴお姉ちゃんがさヤクザに雇われて、拉致しに来ましたって、学校に現れた時、先生も居たよね</p><p>先生が雪乃さんと仲が悪いってことは、クラスの子たちも知っていたと思うけれど白坂創介と取引していたような、大物ヤクザと繋がっているなんて、想像する生徒は果たしているのかなっ</p><p>さすがに担任の先生が自分のクラスの女生徒に、そこまで凶悪なことをするとは思っていないだろう</p><p>多分さ、ヨッちゃんのクラスの子たちが、さっきの中継を見ていたら雪乃さんは、ギリギリでヤクザの名前を口にするのが怖くなって、普段から仲の悪い先生の名前を出したんだってそう思うんじゃない嫌がらせとして雪乃さんて、そういうことやりそうじゃない</p><p>だからマルゴお姉ちゃんは、雪乃さんが弓槻って名前を出した後に、起爆スイッチを押したんだと思うよ</p><p>それにいい迷彩になっているしね</p><p>迷彩</p><p>ほら、今、テレビでちょうどやっているわよ</p><p>オレは、画面を見る</p><p>ワイドショーの司会者が、フリップを指して話している</p><p>最後に、雪乃さんが語った、このユッキもしくはユスキという言葉の意味は何なんでしょうかね</p><p>コメンテーターの１人のオッサンが、答えた</p><p>私が独自に得た情報なんですがどうも、関西系の暴力団の関係者でユッケと呼ばれている人物がいるらしく</p><p>いやいや、これはね最近、人気になっているマンガの登場人物にユッキというのがいるんですよつまり、これは犯人がフィギュア萌え族だという暗喩だと</p><p>とにかく、犯人は２０代から３０代あるいは、４０代、５０代である可能性が多いですね</p><p>うーむ、確かに迷走している</p><p>オレと寧が、制服に着替えて、地下室に戻った頃マルゴさんが、帰って来た</p><p>監視カメラの映像がお屋敷の門を潜る、マルゴさんの車を映している</p><p>ヨッちゃん、マルゴお姉ちゃん車を代えて、外で待ってるってさっ</p><p>寧が携帯を耳に当てたまま、オレに言う</p><p>じゃあ、行って来るよ克子姉</p><p>気を付けてねっ</p><p>オレは、克子姉にキスをする</p><p>ああーっ、お兄ちゃんあたしも、あたしもっ</p><p>パタパタと走って来たマナにも</p><p>パパいっちゃうの</p><p>真緒ちゃんもやって来る</p><p>うんちょっと、やらないといけないことがあるんだみんなで、仲良く待っていて</p><p>お土産買ってくるからさっ</p><p>わかったまおにも、チューしてっ</p><p>オレは、真緒ちゃんにもキスする</p><p>エヘヘと、真緒ちゃんは嬉しそうに笑う</p><p>アニエスちゃんは、いいの</p><p>真緒ちゃんがアニエスに振り向く</p><p>パパ、おでかけしちゃうよっ</p><p>女たちが、オレと別れる時に、全員キスしていたのを</p><p>いいんだよ、真緒ちゃんアニエスは、まだ誰ともチューしたことがないんだから</p><p>オレは、真緒ちゃんに言った</p><p>そうよだから真緒ちゃんとあたしで、お兄ちゃんとのチューがとっても素敵だってこと、アニエスちゃんに教えてあげようねっ</p><p>マナが真緒ちゃんに、そう言う</p><p>じゃあ、克子姉後、頼むね</p><p>ええ、何かあったら、連絡するわ</p><p>マナも頼むぞ</p><p>アニエスっ行って来るからなっ</p><p>アニエスはもちろん、返事しない</p><p>さっ、ヨッちゃん行こうっ</p><p>オレは、寧と部屋を出る</p><p>階段を上がって</p><p>１階に出ると寧か、オレに言う</p><p>ね、ヨッちゃん手を繋ごう</p><p>オレは、寧と手を繋ぐ</p><p>くっふふ今だけは、あたしだけのヨッちゃんだもんねぇ</p><p>寧は、そう言ってオレに、濃厚なキスをした</p><p>さりげなーく、ヨッちゃんと二人きりになるのに気を遣ったよ</p><p>まったく寧は</p><p>玄関に着くまでのほんの１、２分だけどねっ</p><p>オレは、寧の手のぬくもりを感じながら朝の廊下を歩いて行く</p><p>ヨッちゃんあたし、ヨッちゃんのこと、大好き知ってた</p><p>知ってた</p><p>あたし、ヨッちゃんのこと、愛してる知ってた</p><p>ヨッちゃんはあたしのこと、好き</p><p>好きだよ愛してる</p><p>うん知ってた</p><p>寧が、オレを抱き締める</p><p>もう一度、チュッとキスをする</p><p>二人とも遅いよっ</p><p>玄関でマルゴさんが、ニコニコして待っていてくれた</p><p>さあて今日は、青い車白い車</p><p>寧が、尋ねる</p><p>青はマセラッティ</p><p>白はライトバン</p><p>白い車</p><p>仕方無いだろう今日は、色々と工作をやらないといけないんだからさっ</p><p>マルゴさんが、玄関のドアを開ける</p><p>車寄せにいつもの白いバンが停まっている</p><p>その車体には</p><p>丸子典礼と書かれていた</p><p>今日、駅で見掛けた風景</p><p>４歳ぐらいの幼女と、若いお母さんの会話</p><p>お母さん、何であの人は、あんなに大きい声で自分の名前を何度も繰り返しているの</p><p>何回も自分の名前を繰り返さないと、みんなに覚えてもらえないからよ</p><p>どうして、みんなに名前を覚えてもらわないといけないの</p><p>それはねえ小選挙区制度だからよ</p><p>一番にならないと、意味がないからなのよ</p><p>二番じゃだめなの</p><p>だめだったみたいねえ</p><p>幼女に、小選挙区制度の弊害を語る母親というのが</p><p>昨日、押し入れを片付けていて、驚いたこと</p><p>サイバトロン戦士・通信員ブロードキャストなんて、何時買ったんだろう</p><p>もっと、驚いたこと</p><p>買った記憶のちゃんと残っている、デストロン戦士情報参謀サウンドウェーブは、どうして見当たらないんだろう</p><p>もちろん、当時品です</p><p>384. みっともない大人</p><p>マルゴさんは、運転へ</p><p>寧は、助手席ではなくオレと一緒に後部座席に乗る</p><p>オレに、ぴったりと身を寄せて</p><p>やれやれ寧が、そんなに甘えんぼになっちゃうとは思わなかったよ</p><p>マルゴさんが、ハンドルを持ったまま苦笑する</p><p>いいじゃんっ甘えんぼさんなんだもんっあたしっ</p><p>オレに寄り掛かる寧</p><p>オレの手を握っている</p><p>悪いけれど、そういうことみたいだから寧の面倒を見てあげてね</p><p>今だけだってばちゃんと、向こうに着いたら、みすずや美智の方を優先してくれていいからねっ</p><p>寧がオレを上目遣いで見ながら、そう言う</p><p>あたし、お姉ちゃんだからちゃんと我慢するってば</p><p>寧は姉であることを、とっても大切にしている</p><p>だから今だけねっ</p><p>ニコッと、微笑む寧</p><p>ところで、マルゴさん</p><p>ああ、瑠璃子さんを誘拐するっていう件だろ</p><p>まあ、ジッちゃんの許可は取っていますから実際は誘拐ごっこですけれど</p><p>でも、香月セキュリティ・サービスの警護を出し抜かないといけないんだろ</p><p>うんジッちゃんは、瑠璃子たちの警護の人たちには、何も伝えないと言っていた</p><p>まあ山岡部長が更迭された後の警備部門がどうなっているか、見物だよね</p><p>えっ、谷沢チーフが全部、監督するんじゃないんですか</p><p>オレの驚きにマルゴさんは、笑う</p><p>谷沢さんは、香月セキュリティ・サービスのトップだよ一昨日のホテルは、緊急事態だったし谷沢さんじゃないと、コントロールできないレベルだったから現場で陣頭指揮をしていたけれど普段の日常の業務まで、谷沢さんが現場に立つわけにはいかないよそれにあの人も、基本は裏の部門だし制服組の方は、誰かに任せるしかないよそもそも、制服組の上にいる、要人警護の専門家たちトップ・エリート警護人の監督者だから、谷沢チーフなんだしね</p><p>そっか制服組は、誰か別の人がトップになるんですね</p><p>ああ、今日のお葬式の警備でお披露目になるんじゃないかなどんな人なのか、先に観ておきたいんだよ</p><p>ルーム・ミラーの中のマルゴさんの眼が笑う</p><p>今後の付き合いもあるしね</p><p>今、オレたちのお屋敷は公安警察と香月セキュリティ・サービスの２つの組織から常時見張られている</p><p>現場の人間が個人の判断で、余計なことをしでかすっていうのはよくあることだからねあたしたちをどう思っているのかまあ、別に嫌われててもいいんだけれどそれならそれで、対応の仕方があるからね一応、知っておきたいんだ</p><p>マルゴさんが、車を発進させる</p><p>庭を突っ切って門の鉄扉を無線操作で開く</p><p>は面白いね門前の右が警察の車輌で、左が香月セキュリティ・サービスだ</p><p>マルゴさんの言うとおり門の前には、１０メートルぐらい離れて、車が２、３台ずつ停まっていた</p><p>どうして、見ただけで、それぞれの所属が判るんです</p><p>ま、民間と官僚の違いかな香月セキュリティ・サービスの方が、車も乗っている人もお金が掛かっている感じがするでしょ</p><p>確かに何か、パリっとして見える</p><p>ま、香月セキュリティ・サービスみたいにお金持ちの警護が専門の会社じゃ見た目にお金を使わないと商売にならないしね</p><p>一方公安の方は、決められた予算で遣り繰りしないといけないしあたしたちの監視なんて、急に決まったことでしょ空いている車輌と人員で、慌てて準備したんだと思うよ寧警察のお兄さんたちに、手を振ってあげな</p><p>これからずっと監視されるんだよ愛想良くしておいた方がいいよ</p><p>たまたま学校の外を歩いている時にメチャクチャな理由で補導とかされてもいいのカッターとかハサミを持っているってだけで、逮捕とか</p><p>そんなこと警察がします</p><p>驚いて、オレが尋ねる</p><p>するよそれっくらいはわざと自分から転んで、よくも突き飛ばしたなとかさ</p><p>あたしたちは、犯罪組織だからね根本的に、警察の敵なんだどんなことだって仕掛けて来るって思っておいて</p><p>寧もだよ寧自身じゃなくっても、彼や恵美ちゃんが捕まえられる可能性もあるんだなるべく、現場の人間には反感を買わないようにしないとね</p><p>ムカッとした気分で不当逮捕されることもある</p><p>あっちはオレたちを犯罪者の集団としか思っていないんだから</p><p>少しでも、現場での摩擦は無いようにしておかないと</p><p>判ったわよっ</p><p>寧は、作り笑顔で車の中の監視員たちに手を振る</p><p>あみんな、寧の美しさにびっくりしている</p><p>はい、おしまいもう、行こうよっ</p><p>ああ、ご苦労さん</p><p>マルゴさんが、アクセルを踏む</p><p>あ、香月セキュリティ・サービスと警察それぞれの車が１台ずつ、オレたちを付けてくる</p><p>香月セキュリティ・サービスの方には、愛想を振りまかなくて良かったのかな</p><p>寧が尋ねた</p><p>それこそ新しい警備部長の顔を見てからにしたいんだよ下手に出ると、舐めてくるような相手だったら、逆効果だしそれに、警察と香月セキュリティ・サービスの監視者は、なるべく敵対させておきたいんだよね</p><p>仲良くされて、情報の共有化とかされたら厄介だし警察の方は、どうしたってご機嫌取りをするしかないんだから香月セキュリティ・サービスの監視者とは、あたしたちの応対に差を付けないといけないんだよ</p><p>差を</p><p>うん警察官のプライドってのは、なかなか難しいんだよ警察にも、香月セキュリティ・サービスにも、平等に寧が愛想を振り向いたらオレたちを、民間の警備員と同列に扱いやがってとか、僻むかもしれないしね</p><p>でもさ、逆に香月セキュリティ・サービスの監視員の人たちの方が、警察にばかり、良い顔しやがってとかならない</p><p>寧がそう言う</p><p>それは別にいいんだよ警察と違って香月セキュリティ・サービスの人には、あたしたちを逮捕・拘束する力は無いんだから</p><p>もっとも今日の恭子さんの行動の結果で、全部引っ繰り返っちゃうかもしれないけれど</p><p>恭子さんと、ミス・コーデリアが組んだらどれだけ、危険なことになるのかその実例が示されたら</p><p>ああ恭子さんたちは、今日、暴力団組織をブッ潰すと言っていた</p><p>何をどうやるのか、全然判らないけれど</p><p>もしかしたら、あたしたちに付く監視の数が今の倍になるかもしれないよ</p><p>昨日と同じ様に葬祭場に到着する</p><p>しかし、今日は昨日みたいに押しの利くマセラッティではないから</p><p>いきなり、警備員の立っている入り口にはいかずに一度、場外から関さんに連絡する</p><p>関さんは、裏の業者用の駐車場から入るように、指示してくれた</p><p>そっちにも、もちろん警備員は立っていたが</p><p>関さんからの連絡があったらしく、そのまま中へ入れてくれた</p><p>指定された駐車スペースへ行くと関さんが、来てくれた</p><p>おはよう皆さん</p><p>ニコッと、オレたちに微笑む</p><p>オレは、車を降りて関さんに挨拶する</p><p>今日はまた地味な格好で来たのね</p><p>白い業務用バンとオレたちの制服姿を見て、関さんが言った</p><p>あ、ちなみにマルゴさんは、黒いパンツスーツに着替えている</p><p>こっちが、オレたちの普段通りの格好ですよホテルの時は、背伸びしていたんです</p><p>そうでも、あの時のスーツ姿は、格好良かったわよその制服姿も可愛いけれど</p><p>関さんは笑う</p><p>ほら、聞いたことない男はスーツを着ると、魅力が３割増しになるって</p><p>いや、オレは聞いたことないです</p><p>関さん、彼にはすっかり気軽に話す様になっていますね</p><p>マルゴさんの言葉に、関さんはえっと驚く</p><p>そそうねどうしてかしらやっぱり、一緒に死線を潜り抜けた間柄だから親しみを感じているのかしら</p><p>関さんは、顔を赤らめる</p><p>関さんもさっ、早く、あたしたちの家族になろうよっ</p><p>寧が勧誘する</p><p>寧、強要しちゃダメだよそれは、関さんがゆっくり考えて決めてくれればいいことなんだから</p><p>うん、そうだよねっ関さん、ごめーんっ</p><p>寧は笑って、謝る</p><p>い、いいんですよさあ、行きましょうみすず様たちがお待ちです</p><p>関さんは、そう言ってオレたちを誘導する</p><p>寧が、オレの耳に囁く</p><p>いい感じだよね</p><p>関さん絶対、あたしたちの家族になってくれるよっ</p><p>そ、そうなんだろうか</p><p>もう一押しだね</p><p>マルゴさんが、関さんに尋ねる</p><p>お葬式のスケジュールは、どうなっているんですか</p><p>告別式は、10時からですそれから、出棺して火葬場の方へ向かいますそちらで２時間ほど待機して、初七日と四十九日の法要を済ませて、精進落としです</p><p>精進落としって</p><p>みなさんで、亡くなった方を忍びながら会食することですわ</p><p>それが、お昼ご飯の代わり</p><p>そうですね、予定では２時過ぎですが</p><p>オレとかって、どこまで付いて行っていいんですか</p><p>それが知りたい</p><p>うーん、この告別式の会場から火葬場に移動なさるのは、ご親族と特に故人と親しかった方だけですよ一応、大型バス２台用意していますけれど</p><p>いや、あのみすずや瑠璃子が、寂しがるかなと思って</p><p>あの閣下やみすず様、瑠璃子様には、もちろん別の車を用意しておりますが黒森様たちが一緒にお乗りになるのは、無理だと思いますわ特に瑠璃子さんはお父様のご遺影を持たれて、一番前の席に座っていただく予定ですし</p><p>確かに死んだ人の親や娘だけが乗っている車に、オレや寧が乗るのはおかしい</p><p>大型バスの方なら、乗れないことはないかもしれませんが香月家の一族の皆さんがいらっしゃいますし</p><p>あ私塾の連中とか、その親とかも居るんだ</p><p>みすずやジッちゃんが居ない車内で、あいつらに出遭ったらそれこそ、何を言われるか判らない</p><p>瑠璃子様、みすず様をお慰めしたいというお気持ちは判りますが告別式以降は、付いていらっしゃらない方が良いと思いますわ</p><p>何か別の手を考えないとな</p><p>それであの人たちも、もう来ているの私塾のボンボンたちは</p><p>寧が、サッと話題を変える</p><p>いえ今はまだ、ご親族と関係者しか集まっていませんもうそろそろ、到着なさると思いますが、みすず様たちの控え室には通しませんので、ご安心下さい</p><p>オレたちは、昨日と同じ様に建物の中に入った</p><p>おい、誰がこいつをここに通したっ</p><p>突然の怒声に、オレはビビッた</p><p>慌てて、声の方へ振り向くと</p><p>谷沢チーフだった</p><p>ヤバイ、瑠璃子誘拐のこと、バレているのかっ</p><p>谷沢チーフは、オレたちの方を見ていない</p><p>こいつは、もう部外者だろうっ</p><p>しかしあの、どうしても谷沢チーフにお会いしたいとおっしゃるので</p><p>香月セキュリティ・サービスの制服警備員が、谷沢チーフに言う</p><p>ここは厳重警備区域だぞっ部外者を入れていい場所じゃないっ叩き出せっ</p><p>谷沢チーフの前に、土下座している体格の良い男がいる</p><p>人の影になっていて今まで、気づかなかった</p><p>お願いしますっもう一度、谷沢さんの下で働かせて下さいっ</p><p>山岡（元）部長だった</p><p>山岡氏は、一昨日ホテルで最後に見たままのスーツ姿だった</p><p>いや、スーツは全てヨレヨレになっている</p><p>その顔は真っ青だった</p><p>お前はクビにしたんだなぜ、そうなったのかも、ようく判っているよな</p><p>谷沢チーフが、山岡氏に言う</p><p>はいあれから、頭を冷やして考えてみて、いかに自分が甘い人間であったか、思い知りましたあ、あの自分は</p><p>必死な眼で、谷沢チーフを見上げる山岡氏</p><p>あの女とは別れることにしました</p><p>何だぁ</p><p>ギロッと、谷沢チーフが山岡氏を睨む</p><p>いえよくよく考えてみれば、自分にはすでに家庭があったわけで一時の感情から、あの女と生活していくのは、無理なわけですしいや、あいつにも、家族が子供も居るわけですし全てを丸く収めるためには、自分とあの女は別れるしかないとそう結論付けました</p><p>何が言いてぇんだか、オレには全然判らねぇよ</p><p>谷沢チーフは、怒りを抑えてそう言う</p><p>で、ですから元通り、警備部長としての復職ができるとは、もちろん思っていません係長班長クラスの待遇で構いませんどうか、自分を香月セキュリティ・サービスの社員に復職させてはいただけませんかっ</p><p>床に頭を擦り付ける山岡氏</p><p>自分は命懸けで、お願いに参りましたっ自分には、やっぱり、この道警護の仕事しかできないんですっ</p><p>その話悦子は、納得しているんだろうな</p><p>悦子工藤悦子</p><p>美智の母親であり山岡氏の不倫相手だ</p><p>いえ、あいつはどうしても納得してはくれなかったんで</p><p>それで、どうしたんだ</p><p>自分は逃げて参りました</p><p>逃げた</p><p>工藤悦子は今、どこに居るんだ</p><p>そ、それは、あの</p><p>だから、お前は、どこから逃げて来たんだ悦子を置き去りにして</p><p>谷沢チーフの問い詰めに山岡氏は答える</p><p>新宿のラブホテルです</p><p>はぁん</p><p>いやあの自分も、あいつも自宅には帰れなかったんですこんな、みっともない状態で社内での不適切な関係がバレて、クビになったということを家内や親族に話すことは、どうしてもできなかったので</p><p>お前いい加減にしろよ</p><p>オレは、お前たちの不倫関係なんかには興味がねぇお前がクビになった理由は、命令違反と職場放棄だっしっかりと、そう伝えたろうがっ</p><p>いや、あの表向きは、そういう理由だということは判っておりますいや、あの確かに、あの時、自分はあいつとの関係で頭の中がグチャグチャになっておりまして仕事内容に問題があったことは認めますがその</p><p>この人</p><p>谷沢さんだって、あの時、あいつに言っていたじゃないですかっあいつがオレとくっついていることでオレの仕事の邪魔をしているって</p><p>そうですってだから、別れて来ました別れて来ましたから、もう一度もう一度、働かせて下さいっ</p><p>いやホテルに置き去りにしてきたのを、別れたとは言わない</p><p>谷沢チーフし</p><p>山岡、オレはな決めているんだよどんなダメなヤツに対しても、１度目の時は我慢してやろうってな</p><p>その言葉を山岡氏は、肯定的に捉える</p><p>では自分に２度目のチャンスを下さるんですねっ</p><p>顔を上げて、ニカッと微笑む山岡氏</p><p>アホかっ</p><p>谷沢チーフは、その山岡氏の顔面を思いっきり蹴飛ばしたッッ</p><p>ムギュウッッ</p><p>変な声を上げて山岡氏の巨体が、ブッ飛ぶ</p><p>後ろの壁に、ドシンとぶつかって気絶した</p><p>１度目の時は、我慢したんだ２度目の時は、当然、鉄拳制裁するッッ</p><p>いや、鉄拳じゃなくて足が出たじゃないか</p><p>おい、こいつを捨てて来い二度とオレの前に連れて来るなっいいなっ</p><p>制服の警備員たちがビビリながら、山岡氏の身体を引きずっていく</p><p>まずいところを見られたな</p><p>谷沢チーフが、オレたちの方へ来る</p><p>何だ、お嬢ちゃん金髪は止めたのかうんうん、その方が可愛いぞやっぱり、女の子は黒髪が一番だ</p><p>寧を見て、そう言う</p><p>あたしは金髪だけれど</p><p>マルゴさんが、ニヤリと笑って言う</p><p>日本人はって、話だよお前は、金髪の方が似合っているから、それでいいんだ</p><p>谷沢チーフは言った</p><p>ああ、この人はマルゴさんが、アメリカ人だってことは知っているけれど</p><p>マルゴさんの自分の金髪に対するトラウマは知らないんだ</p><p>今の話工藤の美智ちゃんには、言わないでやってくれ</p><p>自分の父親を捨てて家を出た母が早速、相手の男に愛想を尽かされて逃げられたというのは、確かに聞きたくない話だろう</p><p>ところであたしたちの家の前で、キャンプしている谷沢さんの部下たちのことなんですけれど</p><p>マルゴさんが話を切り出す</p><p>お心遣い、ありがとうございますあの人たちが、警察の人たちを牽制してくれるお陰で警察があたしたちに絡んでこないですから</p><p>わざと香月セキュリティ・サービスの監視者が居ることの、良い部分だけを挙げて感謝する</p><p>そういう皮肉はカンベンしてくれ今のあんたたちはどうしたって、監視せざるを得ない恭子だけじゃねぇからな</p><p>この場ではミス・コーデリアの名前は出せない</p><p>あいつらが、日本で大人しくしている保証がありゃあ、話は別なんだがな</p><p>探るような眼で、マルゴさんを見る谷沢チーフ</p><p>本当に、食えない人だ</p><p>そういう交渉はあたしじゃなくって、恭子さん本人か、組織のボスである御名穂としてよあたしはただの、現場担当者なんだから</p><p>ふんそうだなマルゴお嬢ちゃんに言うのは、筋違いか</p><p>谷沢チーフは、笑った</p><p>あ、そうだ現場担当者で思い出したんだけれど、山岡さんの次の警備部長って、もう決まっているんでしょ</p><p>マルゴさんが、ごく自然に話を変える</p><p>ああ、今日から陣頭指揮を執らせている</p><p>せっかくだから、挨拶しておきたいな現場担当者同士でさ</p><p>今は無理だ制服組トップとしての初仕事が、この葬儀だからな香月セキュリティ・サービスが、香月本家の警備をしくじるわけにいかんからな本部にずっと詰めているよ</p><p>あたしの方から、本部に挨拶に行こうか</p><p>おいおいうちの警備部は表なんだ裏のお前を、堂々と本部に通すわけにはいかんよ一昨日のホテルと違って、ここの本部は丸見えだからな</p><p>すでに、香月家の分家の人間たちが、会場に来ている</p><p>警備本部に黒い森の関係者が出入りするのを見られるのは、よくない</p><p>そのうち紹介するさ</p><p>今日はせっかくだから、告別式には出ようと思っているんだけれど</p><p>あたしが式の会場に居るのもマズイかな</p><p>それは構わない一般の参列者関しては、特に誰が来ようと受け入れるしかないからな何たって、閣下のお子様の葬儀だ実際、裏組織からも、たくさん人が来ることになっている</p><p>そう判った、ありがとう</p><p>マルゴさんは、笑って礼を言った</p><p>おい少年</p><p>谷沢チーフが、オレを見る</p><p>みすず様たちのところへ行くのか</p><p>ええ、そうですけれど</p><p>悪いが、瑠璃子様のことを頼むすっかり塞ぎ込んでおられるらしい</p><p>知ってます昨日も、来ていますから</p><p>そうだってなどうして、お前さんがみすず様のお気に入りなのか、オレにはよく判らないが</p><p>谷沢チーフは、オレを見て、フンと鼻を鳴らす</p><p>とにかく上手くやってくれ</p><p>大丈夫だよっあたしもいるからさっ</p><p>寧がそう言ってくれた</p><p>さあ、行こうお願いします、関さん</p><p>失礼します、谷沢さん</p><p>ばいばーい、またね</p><p>オレと寧は、谷沢チ－フに一礼した</p><p>関さんは、知っているんですか新しい、警備部長</p><p>谷沢チーフの姿が見えなくなると、マルゴさんは関さんに尋ねる</p><p>顔は知ってますけれどわたくしは、入社以来ずっとトップ・エリートですから警備部の人は、よく知らないんですよ</p><p>すぐにみすずの控え室に到着する</p><p>では、わたくしはまたここで待機しておりますね</p><p>入り口の前で、関さんはそう言う</p><p>オレたちが訪問している間中には誰も入らないようにしてくれるんだ</p><p>例え香月家の分家の連中が、やって来たとしても</p><p>ノックをすると</p><p>スッとドアが開く</p><p>お待ちしておりましたご主人様</p><p>喪服姿の美智が現れる</p><p>お早うございます寧様マルゴ様も</p><p>礼儀正しく、挨拶する美智</p><p>うん、お早うっ美智</p><p>お早う、美智ちゃん</p><p>美智っ何をしているのっ早く、旦那様に入っていただきなさいっ</p><p>部屋の中から、みすずの声がする</p><p>部屋の中へオレたちは、進む</p><p>おはようございますっ旦那様寧お姉様マルゴお姉様</p><p>みすずは、昨日とは別の喪服を着ていた</p><p>今日は和服か</p><p>えへへたまには、こういうのもいいかなと</p><p>うん綺麗だよ、みすず</p><p>何か黒い和服って、スッキリしていていいな</p><p>おはよう、みすずさんうん日本の伝統衣装の礼服を若い子が着ているの、初めて見たよいいね</p><p>おはようっ、みすず</p><p>寧も、挨拶する</p><p>ところでさみすずは、ヨッちゃんへの朝のキスはしないの</p><p>あたしたち、みぃーんなしているんだけれど克姉も渚姉も、メグもマナも、麗華お姉さんまで</p><p>するかみすず</p><p>あ、はいお願いします</p><p>オレは、みすずとキスをする</p><p>うふっ大好きです、旦那様</p><p>みすずは、嬉しそうにそう言った</p><p>そうだ、美智にもしてやらないと</p><p>しかし美智、お前</p><p>なあ美智</p><p>オレの背中から声がした</p><p>さっきから、何やっているんだお前</p><p>美智は、オレがこの部屋に入ってからずーっと</p><p>オレの背中にしがみついている</p><p>ほっぺたと胸を、ペタッとオレの背中に押しつけて</p><p>他は、後ろからオレの腰を掴んでいる</p><p>充電をしております</p><p>充電</p><p>ご主人様からエネルギーを充電させていただいております</p><p>なら、仕方無い</p><p>じゃあ、キスはしないか</p><p>します</p><p>美智が、オレの正面に廻り込む</p><p>むしろ唇と唇を重ね合わせた方が、効果的に充電できると言われています</p><p>そうか、じゃあしよう</p><p>オレは美智と唇を合わせる</p><p>私の住んでいる街の駅前は</p><p>西口には、広いロータリーがあるのですが</p><p>東口は、２車線しかない狭い道でなのに、車がいつも渋滞しています</p><p>そこの路肩に街宣車を止めて＊＊党が、街頭演説していました</p><p>いや、そりゃ、自分たちは車で次の演説する場所へピュッと行けるからいいんでしょうけれど</p><p>完全に交通の邪魔ですバスなんて、反対側の車線に飛び越えないと通れないし</p><p>どんな演説をしようとも自分の行動が、みんなの迷惑になっていることが判らない党と候補者じゃ、誰も票は入れないと思います</p><p>あと、うちの前をグルグル走っていた、街宣車</p><p>衆議院候補＊＊＊＊、＊＊＊＊の妻でございます</p><p>というのを連呼していました</p><p>まあ、本当に奥さんなんだと思いますが</p><p>何か平安文学みたいです</p><p>385．DONNA</p><p>で、瑠璃子はどうしている</p><p>オレが尋ねると、みすずと美智は襖で仕切られた、奥の座敷を見る</p><p>まだ、落ち込んでいるのか</p><p>はいお祖父様とお話ししたら、さらに元気がなくなってしまって</p><p>美子さんは、付いていてくれているんだろ</p><p>はい、それはもちろん</p><p>奥の座敷で、二人きりか</p><p>ちょっと心配だな</p><p>美智はさっきと同じで、オレの背中にぺったりとくっついているし</p><p>みすずは前から、オレに抱きついている</p><p>う、動けない</p><p>二人とも何をしているわけ</p><p>ですから充電中です</p><p>みすずも、充電させていただいておりますっ</p><p>二人とも、オレに胸をすりすりさせる</p><p>くんくんくんご主人様の匂いですっ</p><p>ええ、この匂いを嗅いでいると、安心できるんです</p><p>いや何か恥ずかしいぞオレ</p><p>寧お姉様よろしいんですかまだ、旦那様のこの辺のスペースが空いていますよ</p><p>みすずが、寧に気を遣う</p><p>ああ、あたしは大丈夫っここへ来るまでの車の中で、たーっぷり、ヨッちゃんに甘えてきたからっ</p><p>ムフフンと笑う寧</p><p>まさか車内で、エッチなさったんですか</p><p>朝から、カーセックスなんてしないよっ</p><p>みすずの言葉に寧が答える</p><p>だってあたし、昨夜からずっとヨッちゃんと一緒に寝たし朝一番のセックスもしちゃったもんねぇっ</p><p>自分の下腹部を包み込む様に両手で触る、寧</p><p>今、ここに、たっぷんたっぷん入ってるんだもんっ</p><p>う、羨ましいですっみすずも、欲しいです旦那様っ</p><p>いやだって、今日は時間がないだろ</p><p>告別式は、もうすぐ始まってしまう</p><p>また、今度なそうだ、みすず、また車の中でセックスしようあれは、とっても気持ち良かったもんなっ</p><p>はいっみすずも、とっても興奮しましたっ</p><p>えヨッちゃん、みすずとカーセックスしたことあるのっ</p><p>寧が、驚く</p><p>あるよ克子姉が運転してくれて</p><p>ずるいーっあたしもするうっえー、どんなの、どんなの</p><p>ええっと克子姉様に運転していただいたお車の中で後ろのシートを倒して、旦那様に抱いていただきました高速道路を猛スピードで走りながらでカーブでの揺れとかで旦那様があたしをギュッと抱いて下さったり高速道路の継ぎ目の段々とかを乗り越える度に、お腹の奥をゴツゴツ突っついて下さったりすっごく、エッチでスリルがあって、あたし興奮しちゃいましたっ</p><p>みすずそんなに詳しく話さなくても</p><p>うわっ、すっごく楽しそうっあたしもしたいっアメリカのハイウェイで、オープンカーとかでさっ</p><p>ね寧</p><p>わたくしはご主人様のお望みでしたら、場所や車種はこだわりません軽トラックの荷台でも、皇居一周コースでも、喜んでお相手致します</p><p>美智お前が一番、過激だ</p><p>そうだ、美智旦那様に、うちの学校の敷地内で抱いていただく計画、車の中にしましょうか</p><p>でも、車内での性行為は車のサスペンションが、激しく上下して、外から見破られてしまうのでは</p><p>だから、車を走らせながらよそれなら、おかしくないでしょしかも、あたしたちは窓から顔だけ出して学校のお友達に、ご挨拶しながら</p><p>ご主人様に犯していただきながらですか</p><p>そうよやってみない、美智</p><p>みすずが、美智に言うち</p><p>いいっそれ、いいっ</p><p>鼻息荒く寧が、叫ぶ</p><p>ヨッちゃん、それやろう今日は無理だから、明日やろうっ</p><p>そうだ恵美が練習しているグラウンドの横を、それで走ろうあたし、あの子に手を振るからあとできっと悔しがるわよっあの子</p><p>あ、いいですねっあたしもやりたいですっ</p><p>じゃあ、明日ねっ美智もおいでっ</p><p>何か明日は、カーセックス大会らしい</p><p>マルゴお姉ちゃん、車出してっお願い</p><p>まあ別にいいけど、あたしは克子さんの方がいいんじゃない</p><p>克姉だと自分もするって言い出すに決まっているじゃんかこれは、あたしとみすずと美智だけっ渚さんやマナにも内緒にするっ</p><p>はいっ寧お姉様っ</p><p>まあいいか寧－みすず・美智のラインが強化されるのは、悪いことじゃない</p><p>メグやマナのためのイベントは、また考えればいいんだし</p><p>もちろん、克子姉や渚も</p><p>ああ、渚と海辺のホテルに行くって計画もあるんだよなあ</p><p>うふふ旦那様と一緒だと、楽しいことばかり思い付きます</p><p>みすずと美智は、嬉しそうだった</p><p>うん、なら仕方無い</p><p>襖がスーッと開く</p><p>ご挨拶が遅くなり、申し訳ございませんお兄様</p><p>瑠璃子が現れる</p><p>美子さんも、後ろに控えていた</p><p>制服姿の瑠璃子は憔悴しきっていた</p><p>昨日より、酷い</p><p>大丈夫か、瑠璃子</p><p>お兄様お願いがございます</p><p>瑠璃子は、オレの前に三つ指をついて正座する</p><p>お願い</p><p>はい、実は</p><p>そこまでだ瑠璃子</p><p>ジッちゃんまた覗き見してやがったな</p><p>お祖父様わたくしは</p><p>悪いが、瑠璃子私は、お前の意志を尊重する気は、全く無い</p><p>ジッちゃんの声は、厳しかった</p><p>何の話をしているんだ</p><p>今、そっちへ行く待っていなさい</p><p>そのまま、瑠璃子は身体を振るわせて何かに耐えている</p><p>美子さんが、後ろから瑠璃子の背中を撫でてあげる</p><p>どうしたんだよ、本当に</p><p>オレが声を掛けるが</p><p>美子さんが、ギッとオレを睨んだ</p><p>敵意の眼で</p><p>一体ジッちゃんと瑠璃子の間に、何があった</p><p>待たせたな</p><p>１分も経たないうちにジッちゃんがやって来た</p><p>多分、オレたちが到着したと聞いた時からずっと、準備していたんだろう</p><p>ドアの向こうに、警護人の大徳さんと張本さんの姿が見えた</p><p>関さんと合わせて、３人のジッちゃん専属の警護人が勢揃いしたことになる</p><p>もちろん２人はドアの中には入らない</p><p>ジッちゃんは、スッとドアを閉ざした</p><p>おはよう、お祖父ちゃんっ</p><p>おはようございます香月さん</p><p>寧とマルゴさんが、挨拶する</p><p>えっとおはよう、ジッちゃん</p><p>オレも、挨拶する</p><p>うむおはよう</p><p>みすずが上座に座布団を用意すると喪服のジッちゃんは、どっしりと座った</p><p>さて悪いが、たいして時間が取れない私の方から用件だけ伝える構わんな</p><p>ジッちゃんの息子のお葬式なんだ</p><p>忙しいのは、判る</p><p>昨夜、瑠璃子と話をしたそれで、色々と私は考えを改めることにした</p><p>考えを改める</p><p>まず瑠璃子は、香月家の後継者から外す私の遺産は、みすずと美子にだけ遺す瑠璃子には、何もやらんことにした</p><p>そそれって</p><p>瑠璃子が、暗い顔をして身体を震わせる</p><p>美子さんが、そんな瑠璃子を必死で支えているが</p><p>瑠璃子は、美子さんを見ようとはしない</p><p>瑠璃子は香月の家から出す香月の名前も、名乗らせないつもりだ逆に、美子は香月の家に引き取る私の養女ということにして、香月の家名を名乗らせる</p><p>瑠璃子が香月家を追われ</p><p>美子さんが正式な香月家の一員に</p><p>遺産の分配はみすずに、株式など香月グループの経営権を握るための資産を美子には、土地や銀行預金を中心に遺す瑠璃子の様な娘には、何もやらんそう決めた</p><p>ジッちゃんの顔は、厳しかった</p><p>私は瑠璃子の教育を間違えたこいつは、自分こそが香月家の正統な跡取りであり、いずれは香月家を継承するものだと思い込んで成長した</p><p>自分のお父さんが、香月家の嫡男だと思っていたから</p><p>その娘である自分が後継者だと思っていた</p><p>ジッちゃんの三男の娘である、みすずより深刻に</p><p>いや、瑠璃子本人だけじゃない</p><p>瑠璃子の周りの人々香月家の分家たちや、グループ企業の重役たち、他の名家の人たちまで、みんなそう思って来た</p><p>だから瑠璃子は、ずっと特別な存在として扱われ</p><p>お付きの美子さん以外、親しい人間のいない生活を強いられてきた</p><p>昨夜瑠璃子と話をして、私は愕然とした今のままの瑠璃子では香月の家に遺すことはできない叩き出すより他に方法が無い</p><p>瑠璃子は人としての、正しい情に欠けているこれでは、どうしようもない香月家は多くの人間の生活と未来を預かっているのだからな</p><p>ジッちゃんはオレたちを見る</p><p>私は自分が人間として間違っていることを知っている私は自分の息子を殺させた香月家とグループ企業の未来のためには重秋は、あの場で殺すしかなかったそれは、確信しているだが息子を殺さなくてはいけなかったということについては、罪の意識を持っている私は、きっと地獄に墜ちるその覚悟で私は息子を殺した</p><p>高層ホテルを一つ丸ごと犠牲にした香月セキュリティ・サービスという会社自体、重秋の暴走を防ぐために作ったあいつを殺さずに済ませるために息子の殺害を回避するために、私はあらゆる手段を執った金も使ったしかしあいつは、司馬くんを暗殺しようとしたどうしても、自分ではなく、司馬くんが香月グループのトップに就任することが許せなかったんだならば、私は香月家の当主として、重秋を処断するしかない私には、名家との当主として企業グループのトップとしての責任がある</p><p>ジッちゃんの言葉は重かった</p><p>一昨日ホテルの中の私はもう、重秋の殺害を覚悟していたあいつは死ぬいや、私が命じて、殺すのだと腹を括っていたつもりだったそれでも心が揺れた本当に、重秋が司馬くんへ暗殺部隊を送り込むのか重役たちの誰と内通しているかそれが判るギリギリまで、私は決定を保留したその結果、お前たちには、色々と迷惑を掛けた私の決断が早ければお前たちを、あんな危険な目に遭わせることは無かったと後悔している</p><p>それはあたしたちも、シザーリオ・ヴァイオラの件がありましたから香月さんだけの責任ではありませんよ</p><p>そうだよっあれは、あたしの闘いだったんだからっお祖父ちゃんとは、関係無いよっ</p><p>寧も答える</p><p>うんオレたちは、オレたちの意志で、シザーリオ・ヴァイオラと闘ったんだオレたちのことについて、ジッちゃんが責任を感じることはないよ</p><p>そう言ってくれるかありがとう、お前たち</p><p>ジッちゃんが、オレたちに頭を下げる</p><p>しかし瑠璃子は</p><p>暗い顔の瑠璃子をジッちゃんは、見下ろす</p><p>昨夜、瑠璃子と話をしたなぜ、そんなに落ち込んでいるのか私は、この子に尋ねたよこの子の答えは</p><p>ジッちゃんは、ハッと息を吐く</p><p>こいつは自分には、香月家の後継者としての資格が無いかもしれないということについて、ショックを受けているらしい重秋が香月家の内部の和を乱す、不埒者であったということだから、処分しなくてはならなかったということを、この子は当たり前に受けとめているそして、その上で重秋の娘である自分は、重秋の血を引くが故に後継者の資格を失うのではないかとそんな、下らないことで落ち込んでいる</p><p>ジッちゃんは、瑠璃子の悩みを下らないと断じた</p><p>自分の父親が、死んだんだぞそれも、祖父が命じて、殺したんだどうして、そんな暴挙を１５歳の少女が納得できる香月家のためには仕方の無いことだと納得しましただとこれは恐ろしいことだよ</p><p>瑠璃子には情が欠けている私は、この子の情操を教育し損なってしまった痛恨の思いだよ家だの会社だのを守ることより、家族の情の方が大切だろうこの子は、まだ１５歳なんだからなっ</p><p>ジッちゃんは、叫んだ</p><p>いや、全ては私の責任だこの子を、こんな人間にしてしまったのは、私なのだから</p><p>そんなジッちゃんそんなことを言ったらオレたちだって、お葬式の控え室だって言うのにここでイチャイチャしたり、笑い合ったり、セックスしたりしていたし</p><p>お前は違うよ</p><p>へジッちゃん</p><p>お前はいつも、自分の欲望は二の次にしているみすずや、美智を元気付けようとして、お前はこの子らの性的な希望に率先して応えている愛している男と肌を合わせることで、女は安心を得るからな</p><p>確かにみすずたちは、別にセックス中毒ってわけじゃない</p><p>現状の不安から、オレとの交合を求めているだけだ</p><p>みすずたちも自分の欲望に素直すぎる傾向にはあるがお前や周りの人間への気遣いはある昨日、今日と私はお前たちの言動を細かく観察した確かに、行動に逸脱はあるのかもしれないがお前たちには、相手を思いやる心情がしっかりとあるそれは、間違いない</p><p>情</p><p>しかし瑠璃子には、その情が無いこいつは、論理的かつ合理的な計算だけで、行動しているあまりにも、思考がデジタルなのだその彼女の中の怜悧な思考が自分には、もう香月家の後継者の資格が無いと判断したので、落ち込んでいるんだ</p><p>論理的かつ合理的怜悧な、思考</p><p>重秋が裏切り者であったことを司馬くんは知っている私が重秋を処分したということはいずれ、重役たちにも知れる彼らが、勘付かないはずがないそうなれば重秋の娘である自分は、次第に排除されるだろう私が、瑠璃子をみすずと対等に扱っていても重役たちの方が、勝手に気を遣って、瑠璃子から遠ざかっていく腫れ物に触る様に扱いを受けるだろうその司馬くんが、次の香月グループのトップであり私は老齢だいずれ死ぬ瑠璃子が、香月家の後継者に選ばれることはまずあり得ない合理的かつ論理的に突き詰めて考えればな</p><p>一つの論理的な解答だ</p><p>正しいかどうかは、別にして</p><p>正しい認識だ冷静に状況から考えれば、そういうことになる瑠璃子は、そう結論付けたんだそして後継者でなくなった自分は、もう無価値だと思い込んだだから、落ち込んでいる</p><p>ジッちゃんの言う通りだ</p><p>しかし瑠璃子は、判っていない瑠璃子のこの結論には情が欠けている</p><p>瑠璃子、お前自分が何だか、判っていないんだな</p><p>瑠璃子が顔を上げる</p><p>瑠璃子はもの凄く綺麗で、可愛い女の子なんだぞ</p><p>瑠璃子は判っていない</p><p>あのなあ瑠璃子は、とんでもなく可愛い女の子なんだよっそりゃ、香月家の本家のお嬢様ってこともあるけれど可愛すぎて、みんな近づけないってこともあるんだよっ</p><p>お兄様何をおっしゃっているんですか</p><p>お父さんがどうしようと瑠璃子には、関係無いんだよむしろ、お父さんが早くに亡くなってしまった、可哀想な子だって、みんな思っているよ香月グループの重役たちが、瑠璃子を邪険に扱うはずがないだろうっ</p><p>わたくしは慮外者、香月重秋の娘なのですよっ</p><p>だから、そんなの関係無いって</p><p>瑠璃子は、政治的なことにかんしては鋭い</p><p>しかし、人の情が判っていないから</p><p>人間は、合理的や論理的な答えよりも情に従って行動する</p><p>むしろ、今のままなら将来誰かが、瑠璃子を担ぎ上げて利用するかも知れないな</p><p>どうしてです、お兄様</p><p>人の情が判らない瑠璃子は騙しやすいからさ</p><p>そういうことだいずれ私は死ぬ私が死んだら何にせよ、香月グループ内で権力闘争は起きるだろうその時までに、司馬君がグループ内を掌握仕切っていなかったら性根の悪い奴らは、みすずではなく瑠璃子を御輿に担ぐだろう</p><p>そんなお祖父様</p><p>驚く、瑠璃子</p><p>父親がすでに死んでいて、後ろ盾の無い瑠璃子の方が、操りやすいしかも、お前は論理だけの女だから、理屈をこねくり回す、小賢しい男には騙されやすいだろう</p><p>だから今のお前は、香月家から叩き出すしかないのだよ</p><p>ジッちゃんがオレを見る</p><p>お前、今、幾ら持っている</p><p>金だよ三千円ぐらいは、持っているか</p><p>うん持っているけれど</p><p>出せ</p><p>よく判らないけれどオレは、財布から三千円取り出す</p><p>ジッちゃんは、懐から何か紙を取り出し万年筆で、数字を書き込む</p><p>金、三千圓</p><p>そして、その紙をオレに手渡した</p><p>読め</p><p>オレは、紙を読み上げる</p><p>譲渡証香月瑠璃子を、奴隷として金、三千圓にて譲渡する譲渡後の返還は、いかなる理由があっても認めない</p><p>瑠璃子の奴隷譲渡証</p><p>読んだな、じゃあ三千円、私に寄越せそしたら、私が譲渡証にサインするお前は、こっちの受け取りにサインしろ</p><p>ジッちゃんは、オレの出した三千円をビッと奪い取る</p><p>そして、譲渡証にサインをした</p><p>瑠璃子私は、お前には自分で自分の行く末を判断させないこれは、香月家の当主としての命令だお前はたった今から、こいつの奴隷だ奴隷として生きろ、いいな</p><p>瑠璃子は驚きの余り、絶句している</p><p>ほら、早くサインしろサインしたら、瑠璃子はお前の好きにしてくれて構わんお前の奴隷だからなただし香月の名は、もう名乗らせん黒森でも、何でも、お前の好きに名乗らせろ</p><p>寧がオレに言った</p><p>香月のお祖父ちゃんはヨッちゃんに瑠璃子を連れ帰って、人の情を教えてあげて欲しいって言ってるんだよ</p><p>オレに、情を</p><p>今のまんまの香月瑠璃子のままでは、情を理解することはできないから香月の家名を剥奪してヨッちゃんに託そうとしているんだよ</p><p>しかし、ジッちゃんは</p><p>私はそんなことは考えておらんよ瑠璃子は、香月家から叩き出すこの子の存在は、いずれ香月家に災いをもたらすからなしかし、叩き出すにしてもおかしなやつに拾われたら、大変なことになる香月グループへのダメージとなるだから、こいつにくれてやるんだ三千円で瑠璃子、どう思う私の決断は、正しいだろう</p><p>瑠璃子はジッと考え</p><p>はい、お祖父様のご判断は正しいと思います黒森様の奴隷でしたらみすずお姉様の監視下でございますし、黒森御名穂様をはじめ、有能な方々がいらっしゃいますよからぬことを考える人間には手出しができないでしょう</p><p>お前は、三千円で売られたんだそれでいいな</p><p>はい、お祖父様わたくしのつまらないプライドを打ち壊すためには、奴隷として売られるというのは、とても効果的だと思います</p><p>お前はもう奴隷なんだ奴隷として生きていくのなら余計なことは何も考えずに、主人に全てを委ねろ香月家のことなど、もうお前には一切、無縁なんだからな</p><p>祖父の言葉に瑠璃子は</p><p>はい、お祖父様香月家のご当主として、まことに正しいご選択だと思います</p><p>お前が私の立場だったら同じことをすると思うか</p><p>わたくしは奴隷として譲渡するという、アイデアは思い付かなかったと思いますでも、誰かにそうアドバイスされたら間違いなく、この道を選びますわたくし自身の性格のことを考えてもこれが、一番、後顧の憂いの無い選択でございましょう</p><p>本当に瑠璃子は、合理的、論理的にしか物事を考えない</p><p>自分が奴隷として売られていくことを自分で肯定する</p><p>ではおい、早くしろ</p><p>ジッちゃんが、オレに早く署名しろと言う</p><p>大丈夫だよ、ヨッちゃん</p><p>ご安心下さい、旦那様</p><p>みすずも、オレに微笑んでくれる</p><p>ご主人様わたくしたちを信じて下さいませ</p><p>乗っかっちゃって、大丈夫だよこれだって、ミナホの想定の範囲だよ</p><p>受け取りに署名した</p><p>うむでは、これでその娘は、お前の奴隷だ好きにしろそれから、娘判っていると思うが、お前はもう私の孫娘ではないからな</p><p>はい香月様今まで、大変にお世話になりました</p><p>瑠璃子は、祖父に頭を下げる</p><p>そして美子さんにも</p><p>美子様も、ありがとうございましたどうぞ、お元気で</p><p>る、瑠璃子様何をおっしゃっているんですっ</p><p>美子さんは絶句する</p><p>さて、私とお前の契約は済んだがもちろん、これは私たちだけの秘密契約だ</p><p>ジッちゃんはオレに言う</p><p>支払いも、商品の受け渡しも終わったが外の連中は、まだこの子を香月瑠璃子だと思っている</p><p>もう、お前の奴隷なんだから何とかして、連れて帰れ私は協力はしておらんいいな</p><p>ジッちゃんは、オレに、ニッと微笑む</p><p>元々、この子を誘拐するつもりだったんだろ</p><p>ジッちゃんはオレたちを、どこまでも試すつもりだ</p><p>ああ、瑠璃子は連れて帰るよそして、もうジッちゃんには返さないからね</p><p>オレも、笑い返す</p><p>勝負は、これからだ</p><p>当たり前だ返品は認めないからな</p><p>瑠璃子とりあえず、告別式には香月瑠璃子として出ろ</p><p>ジッちゃん、構わないよねこいつに香月瑠璃子の演技をさせても</p><p>ああ、その方が私も助かるよできれば、精進落としまでは居てもらいたいな</p><p>周りの連中の眼もある</p><p>もちろん演技以外は許さんよ瑠璃子くん</p><p>ジッちゃんは、孫娘を他人行儀で呼んだ</p><p>判っております香月様</p><p>瑠璃子ははっきりと答えた</p><p>あたしには甘えてもいいのよあたしは、旦那様のペットですから美智は、玩具なの</p><p>みすずが、瑠璃子に言った</p><p>いや、瑠璃子順列は守れみすずも、美智も、お前より先にオレの女になった今のお前は一番末席だからな</p><p>瑠璃子は答える</p><p>みすずはともかく美智の下になるということは、瑠璃子にとっては大きな意味がある</p><p>瑠璃子は、まだ気付いていないみたいだけれど</p><p>何としても瑠璃子には、現実に、ノックダウンしてもらわないと困る</p><p>そこからしか</p><p>香月家後継者でない、瑠璃子の幸福は生まれないと思うから</p><p>さて、私はそろそろ行こう</p><p>ジッちゃんが、時計を見る</p><p>あ、ジッちゃん美子さんは、連れて行ってくれ</p><p>美子さんがここにいると瑠璃子の教育がやりにくいから</p><p>そうだな美子、私に付いて来なさい</p><p>美子さんは、瑠璃子さんの側から離れない</p><p>美子その子はもう、香月の家の子では無い</p><p>ジッちゃんは冷たく言った</p><p>お前は、しばらく私と行動を共にしろお前が、私の孫であることも、皆に伝える今日は、良いお披露目となるだろう</p><p>美子さんは震えている</p><p>美子様、香月様とお行き下さい</p><p>瑠璃子が、美子さんに言った</p><p>わたくしは大丈夫ですから</p><p>ドナドナ、売られていーくーよー</p><p>ということで、論理的過ぎる瑠璃子さんは、論理的に奴隷になりました</p><p>後は、身体に色々と聞いていきましょう</p><p>いきなり、ヴァージンは奪いませんが</p><p>父を連れて、選挙へ行って来ました</p><p>相変わらず、ボケてまして</p><p>投票所で、私にで、オレは誰に投票すればいいんだとか、大声で聞かないで</p><p>まるで、ボケ老人を無理矢理選挙に連れてきた、＊＊＊みたいじゃないか</p><p>いや、そう思われた多分</p><p>386．おはよう、スパンキング</p><p>行くぞ、美子</p><p>ジッちゃんが、美子さんに命じる</p><p>美子さんは、瑠璃子から離れようとしないが</p><p>美子、私の命令が聞けないのかね</p><p>美子様、本当にわたくしは平気ですから</p><p>香月様をお待たせしてはいけませんわ</p><p>美子さんは、瑠璃子の変貌に絶句する</p><p>論理的な思考で何でも割り切ってしまう瑠璃子はすでに、自分が香月家の娘としての振る舞いを止めている</p><p>今の彼女は、三千円でオレに売り飛ばされた奴隷だ</p><p>後、30分はある時間ギリギリまで、ここに居ろこの子に奴隷としての振る舞いを教えてやれ</p><p>ジッちゃんは、オレに言った</p><p>判ってるそれと、処女はまだ取っておいた方がいいんだろ</p><p>もう、お前の奴隷だ好きにしろ処女喪失のままの身体で、父親の葬式の場に立たせるというのはどうだ</p><p>たくさんの会葬者に見守られ父の遺影を掲げる、１５歳の美少女</p><p>中学校の制服のスカートの中は処女血とオレの精液で濡れている</p><p>それもいいかもしれない</p><p>これはジッちゃんの試しだ</p><p>軽々しく、乗ってはいけない</p><p>もう大切なオレの女だからねたった30分で、慌てて犯したりはしたくないセックスは、時間を掛けて、ゆっくりするよ</p><p>その方が瑠璃子にとっても、いいだろう</p><p>怖くて、痛いだけの初体験にはしたくない</p><p>瑠璃子の性感を目覚めさせる、有意義な儀式にしたい</p><p>もちろん、その様子をジッちゃんにも見ていて欲しい</p><p>そうかでは、今はお前の味だけでも覚えさせておけ</p><p>ジッちゃんは言う</p><p>うんフェラチオと精飲だけは、させよう</p><p>では、行くぞ美子</p><p>美子さんはまだ動けない</p><p>美子さんあなたが、お祖父様に従わないと瑠璃子が可哀想なことになりますよ</p><p>瑠璃子は、旦那様の奴隷そして、あなたは今日から香月家の令嬢ですもう立場が違うのですからあなたがそこに居れば、瑠璃子がますます惨めな思いをするだけですわ</p><p>瑠璃子が、美子さんに土下座する</p><p>どうかわたくしの分まで、香月様にご孝行なさって下さいませ美子様</p><p>それは決別の言葉だった</p><p>よろしいのですか、瑠璃子様</p><p>良いも悪いもありませんわたくしはもう、売り払われた身の上ですから</p><p>本当にこの子は人の情というものを、理解していない</p><p>判りました瑠璃子様の代わりとしてわたくし、香月様にお仕え致します</p><p>美子さんはあくまでも、自分は瑠璃子の代役なんだと思い込むつもりらしい</p><p>香月様ではないお祖父様と呼んでくれ美子</p><p>今日は一日ずっと私の隣に居ろ何があっても、離れるな親族たちへの説明は私がする美子は何も喋るないいな</p><p>はい全て、お祖父様のお言いつけ通りに致します</p><p>うむやれやれ、少し時間が押してしまった急いで会場に行こうお前たちは、式の開始時間まで、ここに居ろいいな</p><p>ジッちゃんが、開始時間ギリギリというのを強調するのは</p><p>みすずや瑠璃子が、会場入りするまでの間に美子さんの一族へのお披露目を済ませてしまうつもりなんだろう</p><p>それに、表面上は平静を保っているけれど奴隷に堕とされたことに、瑠璃子はやっぱりショックを受けているはずだ</p><p>こんな精神状態ではなるべく会葬者たちと接触させない方がいい</p><p>瑠璃子が、香月家の後継者の地位を失いオレの奴隷として売却されたことは、秘密だ</p><p>そんな事情を知らない香月家の分家の中は瑠璃子の後見人となって、一族内での自分の発言権を高めようと画策している人間もいるだろうし</p><p>この告別式の前の時間に、お前と話せて良かった瑠璃子を売却するのはこのタイミングしか無かった</p><p>うん瑠璃子のことはオレに任せて</p><p>任せるも何もお前の奴隷だお前が好きに使え他へ売り飛ばすのも、アリだからな</p><p>ジッちゃんの言葉に瑠璃子と、美子さんがと驚く</p><p>奴隷なんだ当然だろう</p><p>ジッちゃんは、平然と言った</p><p>そうね瑠璃子が旦那様にとって、役に立たない奴隷なら他所へ売り払うしかないかもしれないわね</p><p>みすずが、瑠璃子を見て言う</p><p>そういうことだな</p><p>ジッちゃんは立ち上がりドアへと向かう</p><p>慌てて立ち上がる美子さん</p><p>瑠璃子様を、よろしくお願い致します</p><p>そんなのあなたに言われることではないですもう、オレの奴隷ですから煮て食うか、焼いて食うかオレの勝手にさせていただきます</p><p>美子さんはキッとオレを睨む</p><p>早くしろ</p><p>美子さんは、瑠璃子とみすずに頭を下げてジッちゃんの後を追った</p><p>では後ほど、会場でな</p><p>ドアが閉められる</p><p>控え室内に残ったのはオレと、瑠璃子、みすず、美智、寧、マルゴさんだけ</p><p>瑠璃子今、どんな気持ち</p><p>みすずが、瑠璃子に尋ねた</p><p>覚悟はできておりますわたくしを、香月家から追放するという、香月様のお考えは正しいですし黒森様に奴隷として売却するというのは、いささか突飛な解決策ですが、イタズラ好きな香月様らしいご選択だと思います</p><p>瑠璃子何で、お前は自分で自分の状況を解説しているんだ</p><p>奴隷という身分になりましたがみすず様とわたくしが、共に黒森様にお仕えするというプランは以前からあったものですしこれがベストな選択だと、香月様がご判断なさったのならば、わたくしは粛々と全て受け入れます</p><p>まるで自分に言い聞かすかのように瑠璃子は語る</p><p>もちろん奴隷となりましたからには、誠心誠意、黒森様にお仕え致しますどうぞ、よろしくお願い致しますわたくし、何もかも仕方の無いことと、諦めておりますから</p><p>スッと、オレに頭を下げる</p><p>その物腰は、どこまでも上品で隙が無い</p><p>心が無い</p><p>瑠璃子、全然ダメねあなた何も、判っていないじゃない</p><p>みすずは、瑠璃子を叱る</p><p>瑠璃子は、きょとんとしてみすずを見上げる</p><p>あなたはまだ、心の中が香月家のお嬢様のままよ奴隷なら、奴隷らしく奴隷根性を身に付けなさい</p><p>そう、おっしゃられても</p><p>困惑顔の瑠璃子</p><p>わたくし、奴隷というものがどういうものか今、一つ、よく判っておりませんし</p><p>瑠璃子は、ニコっと笑う</p><p>あこいつ</p><p>オレの奴隷になるつもりは全然無いんだな</p><p>わたくしが黒森様の下で、どのように振る舞えば良いのかどうぞご指導下さいませわたくしは、全て、その通りに致します</p><p>瑠璃子の振る舞いはあくまでも、礼儀正しい</p><p>言葉では、そう言っているが</p><p>これは、つまりオレに、自分は香月家の娘だということを忘れるなと強調している</p><p>奴隷でなく、名家の令嬢として扱えと</p><p>そうなるように指導しろと</p><p>生まれてからずっと、香月家の姫君として隔離されて生きてきた</p><p>特別扱いされただ、与えられ、人々の前に君臨するだけの生活をしてきた</p><p>瑠璃子は、生まれながらの姫君だ</p><p>奴隷の身分に堕とされてもなお、気品でオレに自分の地位を守らせようとする</p><p>お前アニエスと同じなんだな</p><p>オレは思わず、呟く</p><p>今の瑠璃子を見てアニエスを思い出した</p><p>上品ぶって、自分の心を隠そうとしている瑠璃子の表情は地下室のベッドの上で、ツンとしてオレたちを無視しようとしているアニエスの顔によく似ていた</p><p>二人とも心の中に自分しか居ない</p><p>世界から孤立したまま</p><p>瑠璃子が、怪訝な顔をする</p><p>ああ、瑠璃子は知らないんだな</p><p>後で紹介するよそういう子が居るんだ</p><p>判っていると思うけれど今、ここで瑠璃子を甘やかしたら、ダメだからね</p><p>この子箱入りのまんま、ずっと大事にされてきたから判っていないんだよ奴隷になってもヨッちゃんに大事に、優しくして貰えるって思っているみたいだから</p><p>寧は、わざと瑠璃子に聞こえる大きさの声で耳打ちする</p><p>瑠璃子、あなたは旦那様があなたのことを、ずっと大切に扱って下さると信じているのね</p><p>瑠璃子は、にこやかに</p><p>もちろん、信じております黒森様は、香月様からわたくしを譲られたのですから黒森様のお家と、香月様とのご関係もございますし無碍にはなさらないと、信じています</p><p>やっぱり政治的に、考えている</p><p>それに、みすず様と黒森様のご関係もございますわたくしを酷く扱われれば香月様が、お二人のご交際に干渉なさる可能性もございますし</p><p>でも、香月のお祖父ちゃんは、最後に言ってたよね奴隷となったからは、何でも好きにして構わない瑠璃子を他に売り飛ばしても良いぞって</p><p>それは香月様は、とても冗談お好きな方ですから</p><p>瑠璃子は、作り笑顔でそう言った</p><p>瑠璃子心にもない言葉で誤魔化すのは、いい加減にお止しなさい</p><p>あなたはお祖父様が、どれほど厳しいお方か知っているはずです</p><p>瑠璃子の顔が曇る</p><p>お祖父様は、一度口にしたことは絶対に守るお方ですあなたは、もう香月家の娘ではありません旦那様の奴隷ですそう、お祖父様が宣言なさった以上今後、あなたにどんな恐ろしい運命が待ち構えていたとしてもお祖父様は、決して瑠璃子を助けないでしょう例え、あなたが死ぬことになったとしても</p><p>今、あなたがあたしたちに話したことは自分を大切にしないと、香月家との間にトラブルを抱えることになるぞという脅しですそうやって旦那様に、自分を丁重に扱うように、思い込ませようとしたのでしょう</p><p>はいみすず様のおっしゃる通りです</p><p>瑠璃子は、キッとオレを見る</p><p>香月家の後ろ盾をなくした以上わたくしは、わたくしで自分の身を守っていかなければなりませんから</p><p>確かに香月様は、わたくしを黒森様に売却なさいましたしかし、だからと言って黒森様がわたくしをいい加減に扱われれば必ず、香月様のご不興を買いますそれは、間違いありませんからねっ</p><p>瑠璃子は必死に論理(ロジック)で自分を守ろうとする</p><p>わたくしは多くは望みませんただ、わたくしの生まれに相応しい生活を望みます</p><p>それって、贅沢したいってこと</p><p>物質的なことではございませんっわたくしに対し敬意を払っていただきたいだけです</p><p>瑠璃子は答えた</p><p>これって、アレだよね江戸時代とかに、徳川の将軍の娘を側室に貰った大名みたいなものだよね</p><p>自分の奥さんなのにそれも、側室なのに何か、お城の中で一番エバッてて、手が付けられないみたいな</p><p>うん確かに、そういう感じだな</p><p>でも残念だけれどあたしたち、香月家の権威なんて全然怖くないんだよね</p><p>もし、香月さんと全面戦争になってもあたしたち、勝てると思うし負けそうなら、外国へ逃げるしどうしても、日本に居座って、香月さんの庇護を受けなきゃいけない理由なんて、あたしたちには無いんだよ</p><p>そんなわけありませんっ</p><p>瑠璃子は、ビクッと震える</p><p>それがあるんだよあたしたち、ホンモノの犯罪組織だから</p><p>ヨッちゃん、とりあえずこの奴隷にお仕置きしないといけないよねっ</p><p>ニヤッとオレに微笑む</p><p>オレの背中をちょんちょんと誰かが、突っ付く</p><p>何だ美智</p><p>ご主人様提案をお許し下さい</p><p>うん、許す</p><p>こういう場合はお尻が腫れ上がるまで、叩くべきだと思います</p><p>美智お前</p><p>無表情だけれど怒っているのか</p><p>この奴隷は、ご主人様を愚弄しすぎております</p><p>眼の奥がメラメラと怒りの炎で、燃えている</p><p>オレがそこ答えると</p><p>それっ、捕まえろーっ</p><p>みすず、美智、寧が一気に、瑠璃子を抑え付ける</p><p>い、いやぁぁ、や、やめて下さいっ無礼ですよっ</p><p>叫ぶ、瑠璃子</p><p>無礼はあなたの方よ瑠璃子さん</p><p>ほーら、引っ繰り返せっ</p><p>寧の言葉に瑠璃子の身体か、持ち上げられうつぶせになる</p><p>やめてやめて下さいっ大声を出しますよっ</p><p>マルゴさんがスッと瑠璃子の顔面に、ナイフを突き付ける</p><p>殺すつもりはないけれど、あんまり騒ぐと傷を付けるよ一生消えないやつを</p><p>低い声でマルゴさんは、言った</p><p>それにねドアの外は、関さんが守っている香月さんは、関さんに部屋の中から瑠璃子さんの悲鳴が上がったとしても、絶対に中に入るなって厳命しているはずだよ君だって、そう思うだろ</p><p>瑠璃子の眼の前でナイフがキランと鈍く輝く</p><p>お尻を叩くだけだ腰を上げろ</p><p>肝心な命令は奴隷の主人である、オレがしなくてはいけない</p><p>どんな時でも、明確に</p><p>誰が主人なのか判らせないと</p><p>旦那様のご命令です早くなさい</p><p>瑠璃子は従わない</p><p>しょうがないなあ右手の指の骨、折っちゃってもいい</p><p>もう日舞の扇は持てなくなるけれど君が強情なせいだから、仕方無いよね</p><p>強ばっていた身体の力を抜く</p><p>何が判ったんだ瑠璃子</p><p>オレは、追い込む</p><p>黒い森の流儀で</p><p>お、お尻を叩かれます</p><p>叩いていただきますでしょ</p><p>みすず、今はいい瑠璃子は、そんなレベルじゃない</p><p>無理に言葉を強いても心の無い言葉が返って来るだけだ</p><p>まず肌で痛みを覚えさせようこいつの場合は、全部、それからだ</p><p>さあ、腰を上げなっ四つん這いになるんだよっ</p><p>寧が命じる</p><p>制服姿の瑠璃子が畳の上に、四つん這いになる</p><p>本当なら自分でスカートを捲り上げさせて、お尻を露出させるんだが</p><p>今の瑠璃子には、そこまでは望まない</p><p>瑠璃子、スカートを捲るぞっ</p><p>オレは、堂々とスカートを捲り上げるベロッと</p><p>そのまま、純白のパンティの上に手を乗せる</p><p>１５歳の尻は、まだ充分に肉が足りていない</p><p>白くて透けて見えそうな肌だ</p><p>つるんとしていて、弾力がある</p><p>さ触らないで見ないで下さい</p><p>お前は、オレのモノなんだ見るのも触るのも、オレの自由だろ</p><p>わたくしは黒森様のモノではございません</p><p>瑠璃子は、口惜しそうに呟く</p><p>だったら、何でさっき、ジッちゃんがお前をオレに売り飛ばした時に、抗議しなかったんだ</p><p>結局、お前オレのことを舐めているんだろっ</p><p>ぴしゃんと、平手で瑠璃子の尻を叩くッ</p><p>こんなもんじゃないぞっ</p><p>もう一発ッ</p><p>痛い痛いですッ</p><p>瑠璃子が叫ぶ</p><p>旦那様、直接に叩くと旦那様の手が痛いでしょうこれをお使いになられませんか</p><p>みすずが、６０センチくらいのプラスチックの定規を取り出した</p><p>ありがとうでも、いいこいつの尻は、オレの手で直接叩くそうでないと、こいつには伝わらないよ</p><p>だったらさ、パンツ下ろそう生尻に直接の方がいいよっ</p><p>や、やめて下さい</p><p>問答無用だ</p><p>オレは、ペロンとパンティを下ろす</p><p>瑠璃子の膝まで</p><p>瑠璃子の可愛い肛門と割れ目が見える</p><p>オレは、わざと瑠璃子の尻の臭いを嗅いだ</p><p>瑠璃子、ちょっと臭いぞちゃんとトイレに行った時、拭いているのか</p><p>瑠璃子は羞恥に真っ赤になる</p><p>瑠璃子はもう奴隷なんだからこれからは、旦那様にいつでも見ていただけるようにお尻の周りは常に綺麗にしておきなさい</p><p>さてと尻叩き、続けるぞ</p><p>も、もう、止めて下さい痛いんです本当に</p><p>ついに瑠璃子は、泣き出す</p><p>まだだ大丈夫だこれくらいじゃ、死んだりしないっ</p><p>バチィッ</p><p>バシシィッ</p><p>いぎぃぃッッ</p><p>同じところを何度も叩くから</p><p>真っ白な瑠璃子の尻に赤く、オレの手形が付く</p><p>そのまま、瑠璃子の尻を十数発叩く</p><p>まずはこんなものか</p><p>瑠璃子、ご覧なさい</p><p>みすずが、控え室の壁に置いてあった鏡を瑠璃子に見える様に持って来る</p><p>鏡の中の瑠璃子の尻は</p><p>真っ赤な手の痕が、残っている</p><p>ほら、これがあなたが旦那様の奴隷となった証よ見なさい</p><p>瑠璃子が、鏡の中の自分を見る</p><p>あーあ、これ内出血しているからきっと跡が残るねっ</p><p>きっと一生、このまんまだよっ</p><p>瑠璃子が、ポロポロと涙を零す</p><p>別に良いわよね瑠璃子あなたの身体は、もう旦那様のものなんだし一生、旦那様にお仕えするんだものね</p><p>えー、ヨッちゃんが楽しむだけ楽しんで、どっかに売っ払らっちゃえばいいじゃんか</p><p>寧は、わざとそう言う</p><p>ああ、ミナホがアラビアの石油王が、日本人の奴隷を探しているって言っていたよその人は、女の子の身体を切り刻んで殺すのが趣味の人だから、生きては帰って来れないけれどね遺体もサメの餌にされるし前に行った子の遺品は、サンダルを履いた右足だけだって</p><p>え、サンダルの右だけってことっ</p><p>違うよ、寧サンダルを履いた右足部分の肉塊だけ、帰って来たんだって</p><p>へー、瑠璃子さんも、そこへ行く</p><p>瑠璃子は怯えている</p><p>旦那様、どうします瑠璃子に、奴隷としての誓いの言葉を言わせますか</p><p>だからそういうのは、瑠璃子には全然まだ早いよまだ、こいつ心が折れてないから</p><p>心の無い誓いの言葉なんて何の意味も無い</p><p>そうだね、今の瑠璃子はちゃんと屈辱を知らないといけないよねっ</p><p>屈辱は、今、味わっておりますわ</p><p>瑠璃子は、答える</p><p>そんなのはまだ、全然屈辱じゃないんだよっ本当に判っていない子だねっ</p><p>寧も、カチンと来たらしい</p><p>お前を瑠璃子の指導係に任命する</p><p>ああ、お前は瑠璃子と同い年だしお前は、本当に短時間でオレの理想的な女になってくれた</p><p>ご主人様のお力です</p><p>恥ずかしそうに、美智は言う</p><p>だから、美智が瑠璃子の先生役に一番相応しいと思うんだ</p><p>本当は、もう一つ理由がある</p><p>やってくれるな</p><p>ご主人様のお望みでしたら美智は、どんなことでも致します</p><p>ありがとう、美智</p><p>オレは、美智の頭を撫でてやる</p><p>で、美智瑠璃子はまず、何から矯正するべきだと思う</p><p>美智は、瑠璃子を見て</p><p>言葉遣いですそれが、全ての基本ですから</p><p>うん、具体的には</p><p>ご主人様をご主人様と呼ぶように、徹底させるべきかと</p><p>それはオレは、瑠璃子にお兄様と呼ばれるのは、結構気に入っているんだこれからも、お兄様がいい</p><p>そうでございますか</p><p>それより、瑠璃子は指導係である美智を、何て呼ぶべきだと思う先生とか師匠はちょっとおかしいよな</p><p>そうでございますね</p><p>でも、やっぱり美智の方が、オレの女としては先輩なんだ瑠璃子は美智様と呼ぶべきだと思わないか</p><p>おっしゃる通りだと思います</p><p>美智は発想が武士だから</p><p>上下関係には、とてもうるさい</p><p>では、そうしよう美智、早速指導してくれ</p><p>美智が、瑠璃子を見る</p><p>瑠璃子これからは、わたくしを美智様と呼びなさい</p><p>瑠璃子がギョッとする</p><p>瑠璃子にとっては美智は、ずっとみすずの臣下だ</p><p>つまり、香月家の使用人だと、認識している</p><p>その美智に呼び捨てにされなおかつ、美智に様を付けて呼ぶことには、抵抗があるだろう</p><p>早くなさい瑠璃子</p><p>美智の声が、低く響く</p><p>わたくしは、百七通りの方法を知っています</p><p>人の身体に痕跡を残さずただ、苦痛だけを与える技をです瑠璃子は、わたくしが工藤流古武術の継承者であることは知っていますよね</p><p>もちろん知っている</p><p>美智が、どれだけ凄い技能を持つ武術家だと言うことも</p><p>３つ数える間に、返答しなければ最初の制裁を加えます１２</p><p>み、美智様</p><p>美智様も、もう、止めて許して下さい</p><p>瑠璃子は、泣く</p><p>前のオレならこの涙を見ただけで、可哀想に思って、許してやったかもしれない</p><p>しかし、今のオレは雪乃との経験を経ている</p><p>まだ、平気だ</p><p>瑠璃子の心は結構、頑強だ</p><p>まだまだいける</p><p>涙の量がまだ足らない</p><p>では、次の指導を開始します</p><p>瑠璃子の涙を無視して美智は、言った</p><p>瑠璃子は自分の身体が、ご主人様のものであるということを、肉体をもって知るべきだと思います</p><p>ご主人様瑠璃子に、何を教育致しますか</p><p>瑠璃子はまず、オレの精液の味を知るべきだと思う</p><p>では、瑠璃子にはこれから男性器を舌と唇で刺激し、精液を嚥下していただきます</p><p>瑠璃子は蒼然としている</p><p>後、２週間では絶対に終わらないうーん</p><p>粛々と続けます</p><p>ショー・マスト・ゴー・オン重い言葉ですね</p><p>387．追い込みフェラ</p><p>ちょっと、待って美智</p><p>みすずが、美智を止めた</p><p>旦那様まず、瑠璃子に旦那様の匂いを覚えさせましょう</p><p>オレの匂い</p><p>はい今の瑠璃子は躾のなっていない、わがままな子イヌです動物同様に五感で誰がご主人様なのかを理解させないといけません</p><p>それは判るけれど</p><p>オレは自分の着ている制服の袖を、クンクンと嗅ぐ</p><p>オレそんなに匂うか</p><p>あ申し訳ございませんっ</p><p>みすずが、慌てて言う</p><p>汗臭いとかそういうことではございません旦那様は旦那様の匂いがします</p><p>うんあたしは好きだよっ</p><p>寧が、前からオレに抱きついてオレの臭いを嗅ぐ</p><p>うふふっヨッちゃんの匂いだっ</p><p>背中から美智も</p><p>はい、ご主人様の匂いを嗅ぐと、大変安心できます</p><p>ね、旦那様旦那様が、一日着ていらしたシャツを、みすずに下さいませんかあたし、それを枕元に置きます旦那様の匂いを嗅ぎながら、眠りにたい</p><p>そうだねっみすずは、シャツでいいらしいよっあたしは、ヨッちゃん本人を抱き枕にするから、匂いには困らないけれどっ</p><p>寧が、みすずを挑発する</p><p>く、悔しいですっあたしも、一晩中、裸で旦那様を抱き締めたいっ</p><p>みすずが、そんなことを言っている間に美智が</p><p>わたくし、いやらしい気分になってきてしまいました</p><p>背中から、オレに抱きついたまま片手で、オレの股間を擦り擦りする</p><p>やばい、オレの匂いを嗅いで欲情したのか</p><p>美智、ちょっと待て今は、瑠璃子の教育時間だ</p><p>ハッそうでしたっ申し訳ございませんっ</p><p>シャキッとする、美智</p><p>武士娘だけあって、精神は強い欲情に溺れきることはない</p><p>瑠璃子こっちへ来い</p><p>瑠璃子は、動こうとしない</p><p>しょうが無いのでオレの方から、瑠璃子を抱き締める</p><p>瑠璃子は、オレの腕の中で石のように固くなっている</p><p>瑠璃子の心はオレを拒絶している</p><p>オレは、オレの胸板に瑠璃子の鼻を押しつける</p><p>どう瑠璃子いい匂いでしょ旦那様の匂いよあなたのご主人様の匂いきっちりと記憶なさい</p><p>みすずは、そう言うが瑠璃子は、返答しない</p><p>しかし、これでいい</p><p>幾ら、みすずの言葉を無視しようとオレと瑠璃子の身体は、接触しているんだ</p><p>気にならない、はずがない</p><p>瑠璃子の髪の毛は良い香りがするな</p><p>オレは、クンクンと瑠璃子の髪を嗅ぐ</p><p>うん、フローラルの薫り</p><p>瑠璃子の黒髪は、さらさらで艶々で光っている</p><p>他の匂いも嗅がせろ</p><p>オレは瑠璃子の首筋をクンクンする</p><p>１５歳の美少女の健康的な柔肌の匂い</p><p>何か甘い、ミルク菓子の匂いがするな</p><p>オレは瑠璃子の匂いに、そんな感想を述べた</p><p>みすずとは違うなみすずの匂いは、もっとハチミツの入っているミルクっぽい</p><p>ヨッちゃん、あたしは</p><p>姉さんはミルクっぽさが濃いんです値段の高い牛乳って感じ</p><p>それから、オレは美智を見る</p><p>美智は牛乳に、ザラメが入ってるな砂糖の甘さが強い感じがする</p><p>克姉は</p><p>克姉は牛乳じゃなくって、生クリームだよなバニラ・エッセンスとか入ってる感じ渚は、牛乳の他に、玉子とバターも入ってるでも、あれだな脂肪分のカットされてるバターだそんで、２人とも砂糖はそんなに入ってないそんな匂いがするよ</p><p>恵美とマナは</p><p>うーん恵美はクッキーみたいな匂いがする焼きたてのカラっとした感じマナは、ジャムパンだな</p><p>ジャムパン</p><p>うんやっぱり焼きたてでふっくら、すべすべしていてイチゴジャムみたいな甘い匂いがするんだ</p><p>オレは、それぞれの女たちの匂いを言葉で、表現する</p><p>それでもみんな甘い匂いがするよな女の子って</p><p>君は、やっぱりセンスがあるね</p><p>ちゃんと全身で女の子の違いを、理解しようとしているんだ</p><p>理解しようとするとかじゃなくって実際に、違いますよどの子も嗅いでみれば判りますよ</p><p>どれどれっ</p><p>寧が、みすずと美智の匂いを嗅ぐ</p><p>うん確かに、違いはあるねっミルクとか砂糖ってのは、よく判らないけれど</p><p>まあ、彼は男の感性で話しているからね女同士だと、そんなに判らないものかもしれないよ</p><p>寧の言葉に、マルゴさんが答える</p><p>逆に、女の子の方が男の子の匂いの個体差に敏感かもしれない</p><p>そうだね男子の運動部の部室とかの男臭さはたまらないけれどヨッちゃんの匂いは、好きだもんなあたし</p><p>あたしも美智も女子校暮らしですから、そう言うのはよく判らないんですけれど男臭いっていうのが、あるんですか</p><p>あるよおもう、鼻が曲がるね練習が終わったばかりの運動部の男の子たちとか汗臭いとかの数億倍だから完全に異臭毒ガス人を殺す臭さの集団が、歩いてくるんだから動物臭いんだよ</p><p>大丈夫、ヨッちゃんは、そんな匂いはしないからちゃんと、毎日、お風呂に入れてるし</p><p>寧は、自分がオレの世話係のように言う</p><p>そうですね、旦那様はお日様の匂いがしますもの</p><p>お日様</p><p>お天気の良い日に、お洗濯して干して、ふんわり乾いた白いシャツの匂いがします</p><p>みすずは、にっこりと笑って、そう言った</p><p>わたくしはレモン味だと思います</p><p>匂いの話をしているのに味</p><p>ご主人様は、キュッとレモンを搾ったみたいな匂いがします</p><p>オレの背中に顔を当てそう言う</p><p>そうかなあ、あたしは焼きたてのトーストの匂いだと思うけれど</p><p>寧は、そういう意見らしい</p><p>結構、みんな違う意見なんですねもう一度、嗅いでみましょうか</p><p>うんそうしようったら、そうしようっ</p><p>みすずと寧がオレの両脇から、クンクンする</p><p>やっぱり、レモン味です</p><p>お日様です</p><p>トーストだよくっきりキツネ色の</p><p>あ瑠璃子は気になったんだろう</p><p>オレの腕の中でクンクンと、オレの匂いを嗅いでいる</p><p>凄いぞ、寧・みすず・美智の連係プレーは</p><p>本当に、心が和らぎます</p><p>うんポカポカしてくるの</p><p>幸せな気持ちになれるんだよねっヨッちゃんの匂いを嗅いでいると</p><p>４人の美少女に匂いを嗅がれている、オレ</p><p>よく考えるとシュールな光景だ</p><p>仕方無いから、オレも瑠璃子の匂いを嗅ぐ</p><p>クンクン</p><p>ククク、面白いねえ君たち</p><p>そんな、オレたちを見てマルゴさんが笑った</p><p>んしばらく、抱き締めたままになっていたから</p><p>瑠璃子の肉体の緊張が解けてきている</p><p>腕の中の少女はふんわりと柔らかい</p><p>では、また固くなって貰おう</p><p>瑠璃子には緊張と緩和を、何度も繰り返させる</p><p>それで、彼女の心の殻をブチ壊す</p><p>オレは瑠璃子のお尻に、手を伸ばす</p><p>男の手で、尻肉をギュッと摘まれて瑠璃子がビクッとなる</p><p>オレの抱き締めている身体が一気に、硬直する</p><p>な、何をなさるのですっ</p><p>瑠璃子が、オレを見上げる</p><p>忘れたのかお前の身体は、オレのものなんだ好きに触るぞ</p><p>オレから身体を離そうとする瑠璃子</p><p>しかし、オレはそれを許さない</p><p>左腕で、ギュッと瑠璃子を抱き締める</p><p>右手は、瑠璃子のお尻を撫で回したまま</p><p>みすずと寧も、瑠璃子を左右からオレの身体に抑え付ける</p><p>ややめて下さいお願い致します痛いんです</p><p>そうだ１５歳のお尻は、オレの十数発の平手打ちを受けている</p><p>真っ赤に腫れている</p><p>オレに触られると、痛みを感じるのだろう</p><p>瑠璃子が、クッと身体を強ばらせる</p><p>何か痴漢しているみたいだな</p><p>オレは、そんな気持ちになって来た</p><p>ち、チカンとは、何のことですか</p><p>怯えた眼で、オレを見る瑠璃子</p><p>瑠璃子は、祖父によって性的な知識を極端に知らされずに育ったんだっけ</p><p>瑠璃子お前、電車に乗ったこと無いんだっけ</p><p>日本一の名家の箱入り娘だったんだもんな</p><p>じゃあ、判らないよていうか、判らなくていいから</p><p>瑠璃子の身体に痴漢するのは、オレだけでいい</p><p>さらに、ぐいっと尻を揉み上げる</p><p>い、痛いっお尻はもう、許して下さいっ</p><p>そうか、それなら</p><p>オレは尻から右手を離し、瑠璃子の制服の裾へ潜り込ませる</p><p>な、何をなさるのですか</p><p>怯える瑠璃子</p><p>お前のおっぱいを揉むんだよ</p><p>揉むな、なぜです</p><p>オレが、揉みたいからだよっ</p><p>オレの手が瑠璃子の制服の中裸のお腹に触れる</p><p>うん、やっぱり良い肌触りだ</p><p>きめ細かい張りのある肌</p><p>これが、おへそか</p><p>や、やめて下さいませそんなところ、美子にも直接、触られたことがないのに</p><p>そうか、服の上からは触られたことはあっても、直接は初めてか</p><p>オレは、瑠璃子の耳元に囁く</p><p>おへその周りを指でくるんと撫でおへその窪みにも、指を入れる</p><p>ほ、ホントにもう、止めて下さい</p><p>ホテルの地下室では瑠璃子に、セックスが気持ち良いモノだということだけを教えた</p><p>しかし、あの場は</p><p>ジッちゃんの庇護下であった</p><p>瑠璃子は、自分の身に付いては完全に安心していた</p><p>従姉であるみすず、自分の付き人である美子さん、香月家の使用人である、関さんや麗華、美智が居た</p><p>ジッちゃんが見ている前では、オレが瑠璃子の身体を痛めつけるようなことはしないと彼女は、確信していた</p><p>だから、瑠璃子は安心して肉体の快楽を体験できた</p><p>だが、今は</p><p>ジッちゃんは、ここにはいない</p><p>みすずも、美智もオレの味方だ</p><p>瑠璃子はオレという得体の知れない人間に、身体を自由にされることを恐れている</p><p>また肉体を傷付けられるのではないかと、恐怖している</p><p>瑠璃子、可愛いぞ</p><p>オレの手が制服と瑠璃子の肌の間を、這い上がっていく</p><p>瑠璃子は、ゾゾとしている</p><p>おそらく、オレの指が触れた場所は鳥肌になっているに違いない</p><p>ブラジャーのカップの上から、瑠璃子のおっぱいの量感を確かめる</p><p>うん手の中にすっぽりと収まる</p><p>中学３年生らしい、可愛らしいサイズだ</p><p>指で、カップの上をなぞっていく</p><p>瑠璃子ここが乳首か</p><p>瑠璃子は答えない</p><p>そうか、じゃあ、実際に見て確かめよう</p><p>瑠璃子の顔に、恐怖が走る</p><p>後ろから、瑠璃子の制服を捲り上げろ</p><p>みすずが、瑠璃子の制服の裾を掴む</p><p>やめて下さい、みすずお姉様</p><p>美智が瑠璃子の背後にしゃがみ込む、パンッと軽く彼女のお尻を叩く</p><p>痛みに唸る瑠璃子</p><p>わたくしが、本気で叩けばこの十倍の痛みとなります</p><p>や、やめて下さいませ美智様本当に痛むんですお尻が倍の大きさになったみたいなんですっ</p><p>では、ご主人様の命令に逆らうような真似は、お止め下さい</p><p>そうよあなたは旦那様の奴隷なんですからね</p><p>みすずは、そう言いながら瑠璃子の制服を脇の下まで、捲り上げる</p><p>うん可愛いブラだな</p><p>今日の瑠璃子はシンプルなデザインの白いブラジャーをしていた</p><p>まあお父さんのお葬式の当日だもんな</p><p>レースとかの付いた、派手なものは付けられないだろう</p><p>お前下着は毎日、自分で選んでいるのか</p><p>瑠璃子は震えたまま、返事をしない</p><p>瑠璃子が、叫ぶが</p><p>美智は、ペシッと瑠璃子の尻を叩く</p><p>痛いぃぃッッ</p><p>震え上がる瑠璃子</p><p>いい加減にしろ聞かれたことには、即座に答えろ</p><p>瑠璃子は、もう半泣きになっている</p><p>で質問の答えは</p><p>よ、美子に美子に選ばせています</p><p>美子さんに下着を</p><p>下着だけではありませんわたくしは、毎日、美子が用意した服を着るだけでございますから</p><p>そうかお嬢様は、自分で用意しないんだ</p><p>今からは、お前の着るものは、全てオレが選ぶ</p><p>オレは宣言する</p><p>とりあえず、このブラジャーは気に入らないな</p><p>うんっ、じゃあ、脱がすねっ</p><p>寧が、瑠璃子の背中のホックを外す</p><p>ぽよんと零れる美乳</p><p>瑠璃子のピンク色の乳首はまだ陥没していた</p><p>うん、可愛いおっぱいだな気に入ったぞ</p><p>オレは瑠璃子の前に、膝立ちになり</p><p>右手で、瑠璃子の生乳の感触を楽しむ</p><p>瑠璃子は、屈辱に耐える</p><p>舐めるぞ、瑠璃子</p><p>オレは、瑠璃子の返答を待たずに</p><p>瑠璃子の乳首に唇を付ける</p><p>吸う</p><p>乳輪の廻りを、舌でベロベロと舐めた</p><p>瑠璃子は、全身を硬直させたまま耐えている</p><p>奥歯をギュッと噛みしめて</p><p>眼を閉じるなオレを見ろ</p><p>眼を開かないと美智にまた叩かせるぞ</p><p>瑠璃子はオレを見る</p><p>眼に溜まっていた涙がぽろりと頬を流れて行く</p><p>このおっぱいも、オレのものだこの乳首は、オレとお前が生む、オレの子供にしか吸わせないからな</p><p>ハッとなる瑠璃子</p><p>そうだお前は、オレの子供を産むんだここに、オレの子ができるんだぞ</p><p>オレは、瑠璃子の下腹にそっと手を置いた</p><p>オレは、本気だ</p><p>あたしも、本気だよっ</p><p>あたしもよ、瑠璃子そして、お祖父様もね</p><p>みすずが告げる</p><p>もう、覚悟なさいあなたは旦那様の子供を産むの旦那様が望まれるなら、何人でも一生を旦那様に捧げるのよ奴隷なんだから</p><p>瑠璃子の眼から涙が零れる</p><p>お祖父様も、あたしももう、あなたのことは助けないわあなたは、自分で選んだんですものね覚えているでしょお祖父様に言ったわよねもし、自分がお祖父様の立場でも、きっとこうしたって</p><p>ぶるぶると小刻みに、震え出す</p><p>ちゃんと旦那様を見なさい</p><p>この方が、瑠璃子のご主人様なのです</p><p>もう、戻れないからねっ</p><p>瑠璃子はオレを舐めていた</p><p>言葉では奴隷ということになってもジッちゃんの孫娘である自分を、オレは重く扱うと信じていた</p><p>みすずや美智もそうなるように、オレに仕向けてくれると信じていた</p><p>瑠璃子の論理だけでの想定は、そうなるはずだった</p><p>いきなり、オレに尻を腫れ上がるまで叩かれ</p><p>服を捲られ、おっぱいを弄ばれるとは考えていなかった</p><p>ましてやオレの子を孕ませられると、宣言されるとは</p><p>美子、助けて</p><p>小さな声で、瑠璃子は呟く</p><p>美智、瑠璃子を跪かせろ</p><p>また、パンッと美智が、瑠璃子の尻を叩く</p><p>ひ、ひぃいっ</p><p>瑠璃子が、痛みに跳ね上がる</p><p>ボーッとしていてはいけません早く、ご主人様の前に跪きなさい</p><p>わ、判りました判りましたからっ</p><p>瑠璃子が、慌てて跪く</p><p>逆に、オレは瑠璃子の前に仁王立ちになる</p><p>ズボンのベルトを外し</p><p>瑠璃子の眼の前に勃起したペニスを突き出す</p><p>瑠璃子は声も出ない</p><p>本当なら、ここで瑠璃子にお口で、ご奉仕しますと宣言させたいところだ</p><p>しかし、今の瑠璃子は</p><p>こいつは平然と心の無い言葉を吐くから</p><p>本当の痛みと恐怖と快感を覚えるまでは、言葉の教育はしない</p><p>瑠璃子の場合は、まず身体だ</p><p>身体に刻みつけないと心まで通じない</p><p>瑠璃子フェラチオって、判るか</p><p>瑠璃子は、突き付けられたオレのペニスを見たまま呆然としている</p><p>パンッ</p><p>瑠璃子が、尻の痛みに我に返る</p><p>こっちを見ろ</p><p>瑠璃子が怯えた眼で、オレを見る</p><p>これから、お前にはオレの味を覚えて貰う</p><p>瑠璃子震えている</p><p>美智指導係として、手本を見せてやれ</p><p>美智が、オレの横に跪く</p><p>お口にて、ご奉仕させていただきます</p><p>美智は、両手でオレのペニスを持ち亀頭に、チュッとキスする</p><p>舌で先っぽをペロペロと舐め</p><p>口の中に含む</p><p>うんもういい気持ち良かった美智は、どんどん上手くなるな</p><p>はい、ご主人様にいつでも気持ち良くなっていただきたいですから</p><p>ニコッと微笑む美智</p><p>みすず様のやり方を参考に致しましたご主人様のお顔を見て特に、どのポイントを舐めれば良いのか、一つ一つ記憶致しました</p><p>美智は、武闘家としての観察力と応用力を、セックスにも生かしている</p><p>う、ヤバイ美智に負けちゃうっ</p><p>旦那様、あたしもお口ご奉仕致しましょうか</p><p>うんうん、フェラするよっヨッちゃん</p><p>美智の技術の進歩に寧とみすずが危機を感じている</p><p>いや、今は瑠璃子の時間だから</p><p>えー</p><p>じゃあ、あのオレ、瑠璃子の口の中に出したいから、みんな、協力してくれるかな</p><p>そうこなくっちゃっ</p><p>やる気満々の３人</p><p>て、ことだから瑠璃子、舐めろ</p><p>オレは、再び瑠璃子の眼前にぶるんと、勃起を突き出す</p><p>泣き顔の瑠璃子はまた停止している</p><p>何だ、こんなことさえ瑠璃子はできないのか</p><p>オレは、わざと強く瑠璃子に言った</p><p>そうだよオチンチン舐めるのなんて、基本中の基本だよっ</p><p>寧が、ペロッとオレの亀頭を舐める</p><p>そうよこれができなくては奴隷なんて、とても無理ね</p><p>みすずも、オレのペニスを口に頬張る</p><p>ご主人様の生命力を、間近で感じられる素晴らしい時間ですのに</p><p>美智も、チュッと勃起にキスをした</p><p>何だよできないのか、瑠璃子は</p><p>瑠璃子はまた泣き出す</p><p>究極の箱入りお嬢様はこの状況は、本当にキツイだろう</p><p>じゃあ、しょうがないなあジッちゃんに言うしかないなせっかく買った奴隷だけれど、オレに奉仕するつもりは無いみたいだって</p><p>さあとことんまで、追い詰めるぞ</p><p>瑠璃子は、ただエバっているだけで、自分では何もできない女の子なんだよこんな役立たず、どうしょもないよっってさ買い取ったオレとしては、売った人にそれくらいの苦情を言うのは当然だよな</p><p>お、お願いですお祖父様には、言わないで言わないで下さい</p><p>さっきまで香月様と呼んでいたのにお祖父様に戻る</p><p>やっぱり、こいつの本心は香月家のお嬢様のままなんだ</p><p>だって、しょうがないだろう瑠璃子が、こんな役立たずだとはオレ、思っていなかったんだからさお前、奴隷としてオレの役に立つ事なんて何もできないじゃんか自分から、しようとしないだろ</p><p>ご、ご命令とあればな、何でも致します</p><p>現に今、やってないじゃないいかっ</p><p>オレは、勃起チンコを瑠璃子の眼の前で揺らす</p><p>瑠璃子は、口籠もる</p><p>また、涙の粒が床に落ちた</p><p>瑠璃子奴隷に堕ちた人間が、汚れないで済ませようとするなんて間違っているわ</p><p>汚れる</p><p>旦那様を舐めなさいそうしたら、判るわ</p><p>瑠璃子は、オレのペニスを見る</p><p>しかし、怖いのだろう</p><p>固まったまま動けない</p><p>しょうがないなあジッちゃんは、精進落としまでは待てって言ってたけれどみんなに、瑠璃子がオレの奴隷になったことを公表しよう</p><p>もう、ほとんど来ているんだろ香月家の分家の連中会社の重役さんたちも</p><p>はい、いらしています皆さんの前で、瑠璃子が香月家から追放されたことと旦那様の奴隷になったことを公表しましょうその上で、お祖父様に香月に関わる人間は、今後一切、瑠璃子とは縁を切るように命じていただきましょう</p><p>みすずも、言う</p><p>ほ、本気なのですか</p><p>瑠璃子は驚愕する</p><p>うん、それがいいんじゃないっその方が、瑠璃子も覚悟ができるだろうし</p><p>仕方無いです</p><p>寧と、美智も言う</p><p>ていうか彼の奴隷になったと知った時点で、誰も瑠璃子さんのことを相手にしなくなるよ瑠璃子さん価値なんて、香月家の継承者であることしかないんだから</p><p>マルゴさんも瑠璃子を責める</p><p>さ、じゃあジッちゃんに話してくるよジッちゃんも、判ってくれると思うよまさか、瑠璃子がここまで何もできない子だとは思っていないだろうからジッちゃんも、残念に思うだろうね</p><p>オレの言葉に瑠璃子は</p><p>オレは、瑠璃子に鋭く尋ねる</p><p>黒森様のそれを舐め舐めさせていただきます</p><p>黒森様オレは、お前に何て呼ばれたがっていたんだっけ</p><p>瑠璃子は決して、頭の悪い女の子ではない</p><p>むしろ良過ぎる子だ</p><p>さっき聞いた話を忘れているわけがない</p><p>お兄様の</p><p>オチンチンだよっ</p><p>お兄様のお、オチンチンオチンチンを舐め、舐めさせていただきます</p><p>よし、判った</p><p>オレは、三度瑠璃子の眼前に、勃起を突き出す</p><p>さっきの美智の手本は見たなできるな</p><p>瑠璃子の眼から、ぽたぽたと涙が零れ続ける</p><p>ならとっととやれよ</p><p>はい失礼します</p><p>瑠璃子が唇を突き出して、オレの亀頭にキスようとする</p><p>だが、勇気が足りない</p><p>唇は張り詰めた男性器に接触しない</p><p>泣きながら震えながら瑠璃子は固まっている</p><p>オレの方から、腰を突き出した</p><p>ぷちょ</p><p>瑠璃子の唇に亀頭の先が</p><p>たらっと光る、先走りの液が付着する</p><p>んんんっ</p><p>不快そうに、顔をしかめる瑠璃子</p><p>そのまま舐めろ</p><p>もう、そうなったら何をしても同じだよペロペロしなっ</p><p>舐めるのよ瑠璃子</p><p>お舐め下さい</p><p>瑠璃子の舌がオレの亀頭を這う</p><p>口の中がカラカラに乾いているのだろう</p><p>ザラッとした、感触だった</p><p>瑠璃子それを舐めたまま、オレを見ろ</p><p>泣いている瞳がオレを見上げる</p><p>これが奴隷になるっていうことだ</p><p>瑠璃子は、もう一生オレの奴隷だからな</p><p>瑠璃子の眼から、絶望の熱い涙が零れる</p><p>姉さん、みすず、美智とっとと、トドメを刺してしまいたい</p><p>判ったよみすずとあたしが横から舐める美智は、後ろからヨッちゃんのお尻を舐めて</p><p>オレに這う舌が、４つになる</p><p>瑠璃子お前はもう、舌を使うのはいい口を開けて、オレのチンチンを咥えてろ眼は、オレを見るんだ</p><p>絶望の瑠璃子は命令通りにする</p><p>その間に寧とみすずが、横からオレの肉茎を</p><p>美智が、肛門を舐めてくれた</p><p>オレは、自分でペニスの根元を持ってしごく</p><p>瑠璃子、瑠璃子、瑠璃子ぉぉ</p><p>オレは瑠璃子を見下ろしている</p><p>瑠璃子も、命令通りオレを見上げている</p><p>今の瑠璃子には、オレは鬼に見えるだろう</p><p>瑠璃子の眼から、涙が途切れない</p><p>熱い涙がオレの中を高揚させる</p><p>あっという間にマグマがたぎるっ</p><p>瑠璃子、出すからなお前の口に出すからなお前は、大きく口を開けていろ</p><p>瑠璃子には、射精の瞬間も見せたい</p><p>顔面と口内に吐き散らかしてやる</p><p>オレは、瑠璃子の口から、ペニスを引き抜く</p><p>そのまま、オレを見ろ口を開いたまんまだっ</p><p>い、イクぞっっっ</p><p>第一撃が瑠璃子の口内に、飛び込むッ</p><p>第二撃が瑠璃子の顔と黒髪に飛び散る</p><p>第三撃が瑠璃子の口元から、首制服に飛び散る</p><p>白濁液に清純な美少女が汚されていく</p><p>ぃぃぃぃ</p><p>瑠璃子は恐怖に声さえ出ない</p><p>うむ、フェラまでしかいかなかった</p><p>このままイカ臭い状態で、瑠璃子には公式の場に立たせます</p><p>イカ娘ということで</p><p>次話は、告別式です</p><p>瑠璃子の追い込みは、続きます</p><p>388．奴隷教育</p><p>うぐぅぅ</p><p>口の中に入って来た精液を瑠璃子は、吐き出す</p><p>げほっげほげほっ</p><p>咽(む)せている姿も瑠璃子は、愛らしい</p><p>はい、写真を撮るよ</p><p>マルゴさんが、小型のデジカメを撮りだして精液まみれの瑠璃子を撮影する</p><p>制服を捲り上げられて、可愛いおっぱいが剥き出しになった、瑠璃子</p><p>美しい顔から黒髪にまで、精液を受けている</p><p>ダメねぇ、瑠璃子ちゃんと旦那様の味を、感じないと</p><p>みすずが、瑠璃子の鼻筋に付いたオレの精液をペロリ、ペロリと舐めていく</p><p>わたくしも、頂戴致します</p><p>美智は、口元から首筋に付いた精液を舐めていく</p><p>瑠璃子は２人の美少女に舐められることに、また身体を固くする</p><p>その様子も、マルゴさんはカメラに収める</p><p>うふっ美味しい</p><p>はい、大切なご主人様の赤ちゃんの素ですから</p><p>赤ちゃんの素</p><p>瑠璃子が、呆然としたまま呟いた</p><p>そうよこれが瑠璃子のお腹の奥に入って赤ちゃんになるの</p><p>みすずが、ニコッと笑いながら説明する</p><p>その唇には、白濁した液がテラテラと輝いていた</p><p>あたしは、こっちをお掃除するねっ</p><p>寧は、オレのペニスをしゃぶる</p><p>尿道に残った精液を、啜ってくれた</p><p>その様子も瑠璃子に、見せ付ける</p><p>瑠璃子は、完全にオレたちに怯えている</p><p>まずは、痛みと恐怖を</p><p>次は快感だ</p><p>みすず、美智瑠璃子のパンティを脱がせて、仰向けにしろ</p><p>かしこまりました、ご主人様</p><p>２人が、瑠璃子の下半身に襲いかかる</p><p>や、やめて下さいっみすず様美智さんっ</p><p>美智様です</p><p>美智が、ビシッと瑠璃子の尻を叩く</p><p>鋭い痛みに震える、瑠璃子</p><p>その隙に、美智が練り子のパンティを剥ぎ取る</p><p>じっとしていないと、もっと叩きますよ</p><p>美智の言葉に瑠璃子は、ただ泣きじゃくるだけだった</p><p>足を開かせろっ</p><p>オレは、命じる</p><p>両脚を大きく開かせられる、瑠璃子</p><p>右足をみすず左足を美智が抑えている</p><p>オレは、その足の間に入り込む</p><p>床に抑え付けられて瑠璃子は、絶望の表情でオレを見上げる</p><p>お願いですもう、やめて下さいませっ</p><p>ボロボロと涙を零す</p><p>心配するな、舐めるだけだこの間と、一緒だよ</p><p>ホテルでもオレは、瑠璃子の女性器を舐めた</p><p>でも、あの時は瑠璃子は、安心して快感に身を委ねることができる状況に合った</p><p>オレも強要はしなかった</p><p>今回は、無理矢理する</p><p>瑠璃子の意志など、完全に無視して</p><p>瑠璃子は、奴隷になるということを身をもって、理解しなくてはいけない</p><p>ヨッちゃん瑠璃子を抑えている係、みすずと交代するよ</p><p>寧が、笑ってオレに言った</p><p>みすずは渚さんに、教育されているからさっ</p><p>そうかみすずには、女同士の経験と知識がある</p><p>瑠璃子絶対に、イかせないといけないでしょ</p><p>ヌフフフーンと、寧は笑った</p><p>うん、オレの舌だけではなくみすずにも、参戦して貰おう</p><p>みすず瑠璃子を責めろ</p><p>はーい、旦那様っ</p><p>みすずと寧が、ポジションを変える</p><p>瑠璃子舐めるぞ</p><p>オレは、大きく拡げられた足の中心瑠璃子の秘部へと手を伸ばす</p><p>割れ目を、くぱぁと拡げた</p><p>今日は、恐怖しか感じていないだろう</p><p>ピンク色の内側は、全然濡れていない</p><p>だからオレが舌で湿らせていく</p><p>唾液をたっぷり付けて瑠璃子の秘部を舐め上げる</p><p>じゅるりじゅるり、と</p><p>うふふどう気持ちいい瑠璃子旦那様が、あなたのアソコを舐めて下さっているのよ</p><p>みすずが、瑠璃子の耳に囁きながら可愛いおっぱいを揉んでいく</p><p>陥没した乳首の周りを、指でコリコリと刺激する</p><p>ひぃっやめてもう、やめて下さいっここんなこと</p><p>判ってないのね瑠璃子あなたには拒否する権利は無いのよそれどころか、もうどんな権利もあなたには無いの奴隷なんだから</p><p>みすずが囁く</p><p>そのことを、あなたは、身体で理解しないといけないのよもう、香月家の娘じゃないって</p><p>その言葉に、また瑠璃子の眼からぽたぽたと涙が零れる</p><p>悔しい情けない辛いでも、仕方が無いでしょうお祖父様の前で、旦那様の奴隷になることを受け入れたのは、あなたよ自分で決めたことなんだから</p><p>オレは瑠璃子のクリトリスを舌で、剥く</p><p>そこはっひぃぃっ</p><p>チロチロと湿った舌で舐めているうちにクリトリスは、大きくなっていく</p><p>うふふ、やっぱり瑠璃子にも、香月の家の血が流れているのねエッチなことが、大好きなのよほーら、早く、堕ちちゃいなさい旦那様に</p><p>みすずも、瑠璃子の乳首をペロペロと舐める</p><p>やめてぇやめてぇぇお願いしますお願いしますからぁぁ</p><p>言葉とは、裏腹に瑠璃子の奥底から、泉が湧いてくる</p><p>瑠璃子濡れてきたぞああ、瑠璃子の味は酸っぱいな</p><p>オレは、わざと聞こえるようにぴちゃぴちゃと、音を立てた</p><p>そんなそんなこと言わないでぇぇ恥ずかしい恥ずかしいですぅぅ</p><p>瑠璃子は身体の奥底から湧き上がる快感に、混乱していく</p><p>こいつにはもう、政治的なことを考える余裕は与えない</p><p>頭の中の論理だけでは割り切れない世界肉体によって感じられる世界を教えてやる</p><p>自分には、血肉があり肌や粘膜で感じる領域があるということ</p><p>それを理解しなければ人間の情なんて、判りはしない</p><p>いゃぁぁ、いゃぁぁこんなの嫌ですぅぅ許して堪忍して下さいませぇぇ</p><p>ほんの数日まで、セックスの存在を知らなかった少女は怯えながらも、快感に屈していく</p><p>いゃぁぁいゃぁぁっ</p><p>それでも肉体は快楽の階段を昇って行ってしまう</p><p>ダメぇぇいけませんっいけないのおっこんなの嫌なのにぃぃ</p><p>オレは、小刻みに舌を振るわせてクリトリスを責める</p><p>あああっあああっかはぁぁッ</p><p>身体を弓なりに、ググッと反らせて</p><p>瑠璃子が飛翔する</p><p>ひぃぃぃっっっっ</p><p>最後まで責め続けるッ</p><p>絶頂に達した瑠璃子の秘部をさらに舌で攻め込むッッ</p><p>だめっだめっいはぁぁッッ</p><p>びゅくんっびゅくんっと、瑠璃子の膣が痙攣し</p><p>とぷとぷとぷっと、愛液を滴らせる</p><p>あがぁぁうっ、うっああああっ</p><p>瑠璃子のエクスタシーは、一分近く続いた</p><p>瑠璃子は控え室の畳の上に、だらんとして横たわっている</p><p>おっぱいも秘部も剥き出しだ</p><p>顔には精液、股間からは自らの愛液の匂いを全身は、びっしょりと汗をかいていた</p><p>身体を洗いたい</p><p>瑠璃子は、そう呟いた</p><p>ダメだ、瑠璃子お前はそのまま、式へ出るんだ</p><p>さあ、拭いて上げるわ</p><p>みすずが脱がされていた、瑠璃子のパンティで彼女の顔を拭いてやる</p><p>それ、もう穿けないよな瑠璃子、今日はそのまま下着無しで過ごせ</p><p>ブラジャーも外しますか旦那様</p><p>ああ、頼む</p><p>オレの言葉に、みすずと美智が瑠璃子の制服の上を脱がしブラジャーを剥ぎ取る</p><p>瑠璃子は、脱力したままされるがままになっている</p><p>わたくし、こんなことをこれからずっとされるのでしょうか</p><p>ぽつりとそんなことを呟いた</p><p>お祖父様の命とはいえこんなの、あんまりですあんまりですわ</p><p>瑠璃子の眼は、涙で潤んだままだ</p><p>瑠璃子あたしは、あなたはもっと賢い女の子だと思っていたけれど違ったみたいね</p><p>はいここまでお馬鹿さんだとは思いませんでした</p><p>美智も言う</p><p>今のはただの教育よ旦那様は、わざわざ瑠璃子のために、色々と教えて下さったというのに</p><p>そうだよ瑠璃子は、ヨッちゃんのために、まだ何も奴隷らしいことをしていないじゃんか</p><p>ギョッとする瑠璃子</p><p>ヨッちゃん、瑠璃子の教育期間はいつまでにする</p><p>寧が、尋ねた</p><p>こんなに物覚えの悪い子教育するだけ無駄かもしれないよっ</p><p>そうですわ奴隷として何をするべきか、自分から学ぶ意志を示さないのなら処分することを、考えるべきかもしれませんね</p><p>瑠璃子は言葉の意味が判らないらしい</p><p>瑠璃子お前、今日からどこで暮らすんだ</p><p>ジッちゃんは、お前をオレに売り払ったんだもう、香月の家には帰れないそれは判っているな</p><p>瑠璃子は黙っている</p><p>オレの奴隷になったんだからオレが、お前を引き取るで、お前、どうするつもりだ</p><p>瑠璃子判らないのか</p><p>お前食事だってするだろ風呂だって入るだろ寝床だって必要だろお前の食事代とか、お前が使う水とかガスとか電気代とか、誰が払うんだ生きていくっていうのは、タダじゃないんだぞ</p><p>この箱入りの美少女に生まれて初めて、現実と向き合わせる</p><p>それも、まあオレが払うんだろうなっていうか、ミナホ姉さんにツケにしておいて貰うしかないんだろうけれどとにかく、借金してでも、オレが払うそうじゃないと、お前、死んじゃうからな</p><p>瑠璃子は呆然としている</p><p>日々の生活のための費用なんて今まで、考えたことはないんだろう</p><p>で、お前はオレに何をしてくれるんだ言っておくが、お前はオレの奴隷だぞ奴隷のお前を生かしておくために主人のオレがアレコレしてで、お前は何をするんだ</p><p>死にます</p><p>そんな風に、人に頼って生きるぐらいならわたくしは死を選びます</p><p>これが香月家の娘のプライドか</p><p>美智が、瑠璃子の身体を引っ繰り返す</p><p>な、何をするのですっ</p><p>腫れたお尻を、こちらに向けさせて</p><p>３発だ</p><p>ひぃぃっ</p><p>むぎいっ</p><p>痛いぃぃぃっもう、やめてぇぇ</p><p>尻の痛みに震える、瑠璃子</p><p>瑠璃子、お前は奴隷なんだよお前の命もオレのものなんだ勝手に死んだら、ジッちゃんが悲しむぞジッちゃんは、オレに不良品を押しつけたことになるからな</p><p>あなたが自殺したらお祖父様の名誉を汚すことになります許しませんよ、瑠璃子</p><p>みすずの言葉が、瑠璃子に突き刺さる</p><p>それ以前ですお尻を叩かれただけで、こんなに泣き喚くような子供に自殺なんか、できるはずがございません</p><p>さてとで、瑠璃子はオレの奴隷なんだが瑠璃子、お前、オレのために何ができるんだ</p><p>瑠璃子はうつむいている</p><p>瑠璃子お前、料理は何か作れるか</p><p>答えなさい、瑠璃子</p><p>みすずの声に渋々と</p><p>洗濯は洗濯機を使ったことは洗濯物を干したことは</p><p>そうよねあなたは、みんな、家の人にやっていただいているものね</p><p>じゃあ、お前何ができるんだ</p><p>そうよ、旦那様のために何ができるのあなたを生かしておくために、旦那様が支払わなければいけないものに対してその対価として、あなたは何ができるの</p><p>みすずの言葉が瑠璃子に浸みていく</p><p>何もできないと思います</p><p>日本一の箱入り娘は、答えた</p><p>そう瑠璃子は、それでいいわけあなた、誇りは無いの</p><p>また、ぽろぽろと瑠璃子は、涙を零す</p><p>その顔を、マルゴさんはカメラで撮る</p><p>泣いたって、何の解決にもならないよ奴隷なんだからさ、せめて生かして貰っている分くらいは、ヨッちゃんにお返ししないといけないとは思わないのっ</p><p>だから肉体を使って、奉仕しろとおっしゃるのですね</p><p>泣きながら、瑠璃子は言った</p><p>彼女の論理思考はそういう結論に達したらしい</p><p>あのさあヨッちゃん、肉体奉仕の相手には、全然困っていないんだけれど</p><p>そうよお相手なら、あたしがするわ</p><p>わたくしもいつでも、ご主人様の赤ちゃんを産む準備はできています</p><p>３人の美少女が瑠璃子を見下ろす</p><p>瑠璃子さあ自分が、あたしたちよりも魅力的な女の子だって自信があるわけ</p><p>香月家の後ろ盾を失くしたあなたにどんな価値があるって言うの</p><p>はっきり申し上げますがわたくし、負ける気は致しません</p><p>３人、絶妙のチームワークで瑠璃子を責める</p><p>瑠璃子は、何もできないんでしょだから、せめて肉体で旦那様にご奉仕する方法を教えてあげようとしているのにさっ</p><p>そうですわそれぐらいしか、今の瑠璃子にはできないんですから</p><p>本当に何も無いんですねあなたは</p><p>瑠璃子は泣く</p><p>ビシャリッ</p><p>また、尻を叩く</p><p>泣くな泣いたって、思考が停止するだけだからなっ甘ったれるんじゃないっ</p><p>オレは、瑠璃子に告げる</p><p>どうしたの返事は</p><p>みすずが、瑠璃子を問い詰める</p><p>か細い声で瑠璃子は、答えた</p><p>はい、お兄様でしょ</p><p>気持ちが籠もってないな美智</p><p>待って、待って下さい</p><p>ビシィィ</p><p>ひぃぃっ、申し訳ございませんっ申し訳ございませんでしたお兄様ぁぁ</p><p>美智が、お尻を抑えて、泣きながら返事する</p><p>瑠璃子お前は、これからオレを喜ばすことだけを考えろ</p><p>奴隷になるっていうのは、そういうことだろ</p><p>オレは、ジッと瑠璃子を見る</p><p>瑠璃子も、泣き腫らした眼でオレを見ている</p><p>他のことは何も考えなくていいっていうか、お前にはもう、他のことを考える資格が無い奴隷なんだから香月家のこととか政治的なことは、もう何も考えなくていいんだ</p><p>瑠璃子は真っ直ぐに、オレを見ている</p><p>その代わりお前の幸福については、オレが考えるオレだけじゃない、オレの家族がオレがもし、突然死んだとしてもオレの家族が、オレの意志を引き継いで、お前を守るだろう</p><p>約束するよっ</p><p>それ以前にご主人様は、わたくしがお守り致しますが</p><p>３人が答えた</p><p>あたしもだよミナホや黒い森は、彼の意志を尊重する彼が瑠璃子さんを大切に扱う限り、あたしたちもあなたを大切にする保証するよ</p><p>その上で理解して欲しいんだがオレは、瑠璃子にオレの子を産ませたいと思っている</p><p>瑠璃子はドキリとする</p><p>それはご自分の子を、将来の香月家の後継者にするためですか</p><p>瑠璃子はまた政治に走る</p><p>マジで馬鹿なんでしょ、あんたみすずが、もう居るのにそんな理由で、ヨッちゃんが、あんたを孕ませる必要はないじゃないのっ</p><p>はいあたしは絶対に旦那様の赤ちゃんを産みますから</p><p>みすずが、ニコリと微笑む</p><p>ですがわたくしとみすず様の双方を妊娠させれば、確実に後継者のお父様となることが</p><p>あのさああんたは、もう香月のお祖父ちゃんに、後継者候補から外されたの判ってないなあすぐにそうやって、政治的にしか物事を考えない女だから、家の中に置いとけないって、処分されたのに</p><p>そうよどっちにしても、瑠璃子の赤ちゃんはもう関係無いのよ</p><p>ていうか、瑠璃子、美子さんのことを忘れている</p><p>ああどうしょもなく、瑠璃子にとっては、美子さんは自分のお付きでしかないんだな</p><p>美子さんの子が、後継者になるという可能性は考えられないんだ</p><p>あくまでも、自分よりも低い身分の娘だと思っている</p><p>ではなぜ、お兄様は、わたくしを妊娠させたいと思われるのですか</p><p>お前が、可愛いと思うからさ</p><p>一生、可愛がってやるもう、オレのものだしな</p><p>瑠璃子は信じられないという顔をして、オレを見ている</p><p>うん、第１ラウンドは、ここいら辺までにしておこう</p><p>とにかく、今からはオレのことだけを考えろ</p><p>返事は</p><p>みすずが、そう言った瞬間に美智が尻を叩く</p><p>返事遅いわよっ</p><p>済みませんお兄様</p><p>旦那様のお言葉に、答えなさいっ</p><p>判りましたお兄様のお兄様のことだけを、考えます</p><p>また、ボロボロと涙を流す</p><p>マジック無いかな</p><p>ここにあるよっ</p><p>寧が、オレに黒の太マジックを手渡してくれた</p><p>オレは、キャップを外し</p><p>瑠璃子の裸の腹に売却済みと書いた</p><p>うんこれでいい</p><p>瑠璃子は、呆然としてその文字を、眺めている</p><p>そろそろ式の開始時間だ</p><p>急いで、瑠璃子の支度をさせる</p><p>はい、タオル濡らしてきたよっ</p><p>顔だけは、綺麗にしないといけない</p><p>寧が、瑠璃子の顔を拭いていく</p><p>汗や、涙やオレの精液を</p><p>これ、染みになっちゃうわね</p><p>瑠璃子の制服の胸元に垂れた精液を、濡れタオルで擦りながらみすずが、言った</p><p>まあ、遠くから見ている分には判らないでしょうけれど</p><p>みすずは、自分の着物を直してずいぶん、動き回ったから、着崩れているよっ</p><p>確かに、みすずの黒の和服は胸元か開いて、色っぽくなっている</p><p>はい帯から、締め直しますわ</p><p>みすず、自分で着付けできるの</p><p>みすずは、しゅるしゅると帯を解いて改めて、着物を着直す</p><p>だからいつでも襲って来て下さいませ旦那様っ</p><p>オレに、ウインクする</p><p>瑠璃子の方は、寧と美智が服を直す</p><p>美智、ブラシ持ってるっ</p><p>櫛でしたら</p><p>それでいいわっ</p><p>こちらに</p><p>美智が寧に櫛を手渡す</p><p>寧は、丁寧に瑠璃子の乱れた髪を梳いてやった</p><p>瑠璃子はただ、人形の様にされるがままになっている</p><p>もう、泣いていない</p><p>まこんなもんでしょっ</p><p>うん泣き腫らした顔は、そのままだけれど</p><p>取りあえず、元の箱入り美少女の外見に戻った</p><p>とても、男の熱い精液を顔に引っ掛けられたばかりには見えない</p><p>ノーパン・ノーブラだけどねっ</p><p>寧が、クククッと笑う</p><p>瑠璃子、あんた今、ちょっと匂うから他の人には近付いちゃだめよっ</p><p>寧の言葉に、瑠璃子は自分の匂いを嗅ぐ</p><p>あんた今、ヨッちゃんの精液の匂いと、自分の愛液の匂いがツンとするから近付くと、いやらしいことをして来たばかりってバレるからねっ</p><p>この後は、ずっとあたしの隣に居なさいいいわね</p><p>美智瑠璃子が勝手な行動を取るようなら、いつでも尻を叩け誰が見ていようが、構わない</p><p>美智が、返事をする</p><p>お尻を叩く時は、あたしがスカートを捲り上げて、瑠璃子の裸のお尻を皆様に披露しますいいですね</p><p>美智が、瑠璃子に言う</p><p>小さな声で、瑠璃子は答えた</p><p>今日はもう、ジッちゃんとも美子さんとも話をしてはいけない２人から、話し掛けられてもだいいな</p><p>ここからは、時間差で出た方が良いあたしたちが先に出るからみすずさんたちは、１分後に</p><p>じゃあ、頼むよみすず、美智</p><p>瑠璃子お前も、いいな</p><p>じゃあ、あたしは参列者の席で、ヨッちゃんとイチャイチャしているからみすずと美智は、壇上からヤキモキしててねぇ</p><p>寧が、笑う</p><p>くーっ仕方無いです</p><p>ご命令通りヤキモキさせていただきます</p><p>じゃあ、行こう</p><p>マルゴさんを先頭にオレと寧は、控え室から出る</p><p>関さんが、待っていた</p><p>みすずたちも、すぐに出て来ますから</p><p>ええ、そろそろ時間ですものね</p><p>じゃあ、オレたち先に会場に行きます</p><p>ええあ、待ってこっちから廻ってその方が近道だから</p><p>関さんは、そう言いながらオレの手に、何かを握らせる</p><p>あなたたちが通ることは、制服組の人たちに伝えてあるからわたくしは、このまま瑠璃子様、みすず様をお連れするわ</p><p>関さんに会釈して通路を行く</p><p>オレは、そっと声を掛ける</p><p>今はダメまだ監視されているからね会場まで、待って</p><p>小声で、マルゴさんは答えた</p><p>ここは香月セキュリティ・サービスのど真ん中だもんな</p><p>さっきの控え室みたいに、香月家のプライベート空間ならともかく</p><p>こんな廊下じゃ誰がチェックしているか、判らないな</p><p>オレたちは、そのまま会場へと入る</p><p>うわっすっごいねっ</p><p>巨大な祭壇山のように飾られた花</p><p>たくさんの企業や個人名の書かれた札が並んでいる</p><p>そして高さ５メートルはある、香月重秋の遺影</p><p>その前に安置された棺</p><p>さすが香月家だね突然の葬儀なのにこんなに人が集まっている</p><p>会場内には、まるで卒業式みたいにパイプ椅子が並べられている</p><p>そのほとんど全てに喪服を着た会葬者たちが座っていた</p><p>あの辺が空いているよっ</p><p>寧が、オレの手を引く</p><p>何だ、お前も来ていたのかよ</p><p>どっかで聞いた声がした</p><p>振り向くと香月仁と角田文和</p><p>ジッちゃんの私塾の女好きコンビか</p><p>お前、いい女連れているなみすず様だけじゃなくって、こんな女にも手を付けているのかよ</p><p>香月仁が、寧をジロジロと見る</p><p>いや、この人はオレの姉さんだ</p><p>みすずに迷惑を掛けるわけにはいかない</p><p>変な想像をされる前に、はっきりと言う</p><p>姉さんだぁ</p><p>香月仁は、改めて寧をとくに、豊満な胸を見る</p><p>仁さんオレ、思うんですけれど</p><p>うん、角田もか</p><p>たまには制服姿の女子高生って、いいですよね</p><p>ああ、自分が高校生の時は何とも思わなかったけれど卒業して１年も経つと、色々懐かしく思えてくるもんだよなっ</p><p>この大学生たちは</p><p>なあ、確かお前には、貸しがあったよな</p><p>貸し</p><p>みすず様の件でオトシマエを付けて貰うってさ</p><p>ああそのことか</p><p>貸しでも、何でもないじゃないか</p><p>つーことでよこの女、オレたちに貸せ</p><p>まさか、嫌とは言わねえよな</p><p>こいつらまったく</p><p>はーい、オレ、香月仁うん、お気づきの通り香月の一族の人間です</p><p>オレは、角田って言うんだわこの式が終わったらさ、オレたちと飯でも食いに行こうぜ</p><p>ああ、六本木に良い店知っているんだよ</p><p>こいつも行って良いって言ってるしよ</p><p>オレたちと、遊ぼうぜ</p><p>オレたちの遊びゼッタイ、面白いからよっ</p><p>ナンパ・モードで格好つける、２人</p><p>何よ、あんたたち髪の毛が黒くなったら、あたしが誰だか判んなくなったわけ</p><p>あたしだよ、あたし一昨日のホテルでも会ってるじゃんかっ</p><p>ようやく、角田が気付く</p><p>あっ、この女あん時の金髪女です</p><p>ああっ、お前か</p><p>２人とも寧を思い出す</p><p>うわぁじゃあ、ダメだ</p><p>ええ、萎えちまいますね仁さん</p><p>寧は、ホテルで私塾の連中がやり込められる様子を見ている</p><p>自分たちのカッコ悪い姿を見られているから</p><p>なあに、あんたたち高校生と遊びたいわけ</p><p>ならさ良い子を紹介してあげようか</p><p>寧誰を紹介するつもりなんだ</p><p>瑠璃子の教育は1話で終わらせるはずだったのに</p><p>3話もやっている</p><p>こうやって、伸びていくんですねこの作品は</p><p>寧が紹介するのは多分、ご想像通りの人物です</p><p>389.ご出勤でーす</p><p>えっとさ、この子なんだけどっ</p><p>寧が、自分の携帯を操作しメモリー内の写真画像を探す</p><p>ブサイクじゃねぇだろうな</p><p>香月仁が言う</p><p>そうだぜ、あんたみたいな綺麗な子がいいなあ</p><p>角田も</p><p>あ、あったあったこの子だよっ</p><p>へえいいじゃん</p><p>うん、清純女子高生って感じっすね</p><p>いやそれは</p><p>売春大好き淫乱女子高生岩倉幸代だ</p><p>いや、携帯画面の写真は真面目な生徒会長モードの制服姿で写っているけれど</p><p>あ、あのお姉さんをこいつらに仕向けるのか</p><p>うちの学校の生徒会長なんだよねえっ</p><p>ニタァと、寧は微笑む</p><p>この子だったら紹介してもいいけれど</p><p>マ、マジかよ</p><p>現役女子高生かぁ</p><p>食い入る様に、寧の携帯を見る寧</p><p>多分さ、今日はヒマしてると思うんだけどマルゴお姉ちゃん、聞いてみてくれるっ</p><p>寧は、マルゴさんに振り向く</p><p>何で、自分で岩倉会長に連絡しないんだ</p><p>マルゴさんが、自分の携帯を取り出す</p><p>もしもしナンバー４あたしは、ナンバー３そういうこと今日はヒマかなできれば、今すぐ出て来て欲しいんだけど</p><p>完全に、お仕事の依頼だなこれ</p><p>そうか、だから寧じゃなくてマルゴさんが電話しているのか</p><p>相手は名家のお坊ちゃん２人君の今後のためにも、知り合っておいた方がいいと思うけれど</p><p>大丈夫よ絶対来るからその子、あたしたちの命令には、逆らえないからさっ</p><p>何だよまさか、同級生に売春とかさせてるんじゃないだろうな</p><p>大学生の坊ちゃん２人は心配そうに、オレたちを見る</p><p>そんなわけないでしょ岩倉さん、うちの学校の生徒会長様だよっあたしは、デートの相手を紹介してあげてるだけだよっ</p><p>寧は、とぼける</p><p>へえ、生徒会長真面目っ子なんだ</p><p>うーん、ガチガチの優等生でもないよあたしみたいな、不良娘とも、ちゃんと交流のある子だし話が判るって言うか</p><p>なら、いいか</p><p>でもこの子は、普通のお家の子だからさ香月家の人とデートするなんて知ったら、舞い上がっちゃってどこにでも、フラフラ～って、付いてっちゃうかもしんないなあっ</p><p>なになにそういうタイプなのか</p><p>うん、割りとミーハーかもでも、全然遊んでいる子じゃないから仕事熱心だし</p><p>確かに岩倉会長は、遊んでいる女の子ではない</p><p>プロだから</p><p>彼女が男と寝るのは遊びでなく仕事だ</p><p>そして売春という職業に関しては、とても熱心だ</p><p>うん、相手の1人は、香月家の一族の子だよそれと、香月グループの重役の息子さんどう、悪く無い相手だと思うけれどこれを機に長いお付き合いができるかもしれないよ</p><p>マルゴさんが、電話に向かってそう言う</p><p>長いお付き合いってこいつらを顧客にしちまえってことか</p><p>うんうん、この子だったらオレ、付き合ってもいいかもなぁ</p><p>角田が、写真画面を見て呟く</p><p>この写真絶対、商売用の宣伝写真だよなあ</p><p>彼女、すぐ来るって</p><p>おっし</p><p>じゃあ、すぐに支度して女子高生らしい、清楚な格好が良いらしいよいっそ、制服の方がいいかも準備が出来たら、折り返し連絡して場所と時間を指定するから</p><p>そう言うとマルゴさんは、ササッと電話を切る</p><p>何で切るんだよそこから先は、オレたちが直接話したのによ</p><p>そうだ、そうだすぐ、かけ直せよっ</p><p>仁も角田も喚き出す</p><p>ダメダメ、この子普通の女子高生なんだからウブなんだよいきなり、君たちと話なんかしたら、怖がってこないかもしれないよだから、ちゃんとあたしたちが君たちと顔合わせさせるから</p><p>マルゴさんと寧は、そう言った</p><p>そうかじゃあ、いいやあんたに、任せるぜ</p><p>ああ、しっかり頼むぜオレたちのこと、悪く言うんじゃねぇぞ</p><p>香月仁も角田もオレたちも、どっかの名家の一員で、マルゴさんはそこの警護役だと思っている</p><p>使用人だと思っているから気安く、命令する</p><p>うんうん、話を合わせてあげるしアシストしてあげるってば</p><p>あれでもさっあんたたちって、本当に今日、この後、空いているのっ</p><p>大学生2人が、顔を見合わせる</p><p>そうだね角田さんはともかく、仁さんは香月家の一族だから、告別式が終わった後、火葬場とか精進落としとか参加しないといけないんじゃないの</p><p>それは別にいいよそんなの告別式が終わったら、逃げるから</p><p>香月仁は、不機嫌に言った</p><p>マジで言ってるの香月閣下がいらっしゃる席でしょサボったら、ヤバイんじゃないの</p><p>寧が意地悪そうに言う</p><p>どうしよう彼女には、もう家を出るように言っちゃったしじゃあ、取りあえず角田さんにだけ紹介することにしようか</p><p>マルゴさんの言葉に角田は、香月仁を見て</p><p>いやあの仁さんを差し置いて、オレだけ、女に会うわけにはいきませんよ</p><p>このナンパ大学生たちの主従の絆は意外と太い</p><p>角田の父が失脚してしまった今角田は、もう仁にくっついていくしかない</p><p>ジッちゃんの私塾香月グループのエリート候補としての道を進むのなら</p><p>角田そこまでオレのことを気にしてくれるのかよっ</p><p>やだなあ、オレは仁さんの一番の舎弟っすから</p><p>ああ何か、気持ち悪い</p><p>じゃあ、こうしよう岩倉さんは、直接、火葬場か精進落としの会場に連れて行くよそこで顔合わせして君たちに引き渡すよ</p><p>え、マジかよ</p><p>あたしたち、車で来ているし岩倉さんを最寄りの駅で拾って、連れて来るつもりだったからここじゃなくって、別の場所に連れて行くぐらいはしてもいいよあたしたちだって、君たちとは仲良くしておきたいからね</p><p>彼とみすずさんの関係もあるし私塾の皆さんとは、友好関係を築いておきたいのさ</p><p>ああ、そういうことか</p><p>マルゴさんの言葉を仁は、あっさりと納得する</p><p>この男は自分たちの価値を高く評価しているから</p><p>火葬場はともかく精進落としなんて、最初の献杯さえ付き合ったら、途中抜けして帰ったって問題ないだろ閣下は、その後はお忙しいだろうし</p><p>まあそうだな</p><p>遺骨を持って、家に帰らないといけないもんな</p><p>じゃあ、それで行こう</p><p>よし、じゃあ角田は、精進落としまでオレに付き合え角田も行くって、伝えておくから</p><p>親族じゃないけれどまあ、いいだろう</p><p>仁とセットみたいな関係だし</p><p>あ、ちょっと待てよてことは、女は火葬場じゃなくて、精進落としの店の方に連れて来るんだよな</p><p>角田が尋ねる</p><p>それはちょっと待って岩倉さんの到着が、何時頃になるか判らないからもしかしたら、火葬場の方へ連れて行っちゃうかも</p><p>えっ、火葬場で顔合わせってのは無いだろ</p><p>そう別に気にしないよ、そんなの</p><p>寧が否定する</p><p>それよりさ火葬場って、待ち時間が長いんだよっ確か</p><p>待ち時間</p><p>ああ、焼いて骨になる時間か</p><p>2時間ぐらいどうせヒマでしょだから、その間に火葬場のロビーか何かで顔合わせしてで、岩倉さんはそっちに引き渡すから</p><p>確か精進落としの会場は、火葬場の眼の前のお店だよねだったら、岩倉さんには店の前で待っていて貰って君たちが献杯して、抜け出してきたら合流すればいいじゃないか</p><p>マルゴさん火葬場の位置も、精進落としの会場も、もう知っているんだ</p><p>オッケー、それでいこう</p><p>仁が、言った</p><p>じゃ、そういうことでこれ、あたしの名刺、何か変更があったら、ここに連絡して</p><p>マルゴさんが、電話番号の書かれた名刺を手渡す</p><p>何だよ、あんたは教えてくれないのかよ</p><p>角田が、寧に絡むが</p><p>あったり前じゃんあんたたちみたいな人には、教えてあげませんっ</p><p>ベーッと舌を出す寧</p><p>しょうがねえな連絡は警護役とするのが、常識だもんなオレたちの世界じゃ</p><p>香月仁が、名刺を取り出す</p><p>オレの連絡先は、これだから一応、渡しておくぜ</p><p>あ、オレも渡すわ</p><p>角田も、名刺を出す</p><p>こいつらどうして大学生なのに、自分の名刺を持っているんだ</p><p>２人とも、寧に名刺を差し出すが</p><p>あいよはい、マルゴお姉さん持ってて</p><p>寧は、受け取った名刺をそのままマルゴさんに渡す</p><p>そういうものらしい</p><p>じゃあ、連絡、待ってるからな</p><p>しくじるんじゃねーぞ</p><p>偉そうな態度で２人は立ち去って行く</p><p>ふふ面白いねえ、これ</p><p>マルゴさんが、２人の名刺をオレに見せてくれた</p><p>それには、こう書かれていた</p><p>インカレサークル・スーパーフリーダム　副リーダー　＊＊大学政治経済学部　２年　香月仁</p><p>インカレサークル・スーパーフリーダム　副リーダー　＊＊大学政治経済学部　２年　角田文和</p><p>インカレサークルって、何です</p><p>色んな大学の学生を集めたサークルってことINTER　COLLEGEの略だよ</p><p>マルゴさんが教えてくれる</p><p>ほら、あの子たち割りと頭の良い方の大学に通ってるだろだから、自分の大学だけでなく、色んな学校の女の子をナンパしているんだよ＊＊大学の学生ってだけで、引っ掛かって来る子もいるから</p><p>いやあの、サークルって何なんです</p><p>そもそも、それが判らない</p><p>ああ同好会とか、そういうのだよクラブほど厳しくなく、みんなで集まって何かする</p><p>しかしスーパーフリーダムって、何の同好会だ</p><p>彼らの場合は飲み会とか、テニス合宿とか、海へ行くとか、バーベキュー大会とかとにかく、女の子と仲良くなるためには何でもする会なんじゃないのかな意味不明な名前のサークルは、たいていそうだからちゃんとしたサークルは、放送文化研究会とか映画研究会とか、名前を聞いただけで会の目的が判るし</p><p>そう言えばマルゴさんも、一応は大学生なんだっけ</p><p>籍を置いているだけで全然、通ってないらしいけれど</p><p>でも２人とも、副リーダーなんですね</p><p>香月仁なんて、そんなナンパ・サークルなら、率先してリーダーになりたがりそうなのに</p><p>いや２人ともまだ２年生なんだから、副リーダーってのは凄いのかもしれない</p><p>これは多分ね本物のリーダー以外の男の子は、全員副リーダーなんだと思うよ</p><p>まあ、一年生は違うだろうけれど後々、就職活動をする時に有利なんだよ大学では、サークルの副リーダーをやっていましたって、アピールするのが</p><p>そろそろ座ろう始まっちゃうよっ</p><p>しかし広々とした会場は、すでに人で埋め尽くされている</p><p>でも思ったより、人が少ないね</p><p>え、マルゴさん</p><p>いや香月さんの息子さんのお葬式だよ本当だったら、この３倍くらいは人が来るよ</p><p>政財界の重鎮から裏社会の人間まで</p><p>やっぱり急な訃報だったしねしかも、昨日の今日で慌てて本葬だみんな、これが凶事だっていうことに気付いているんだろうね</p><p>ヨッちゃん香月家くらいの名家になると、普通だったら、亡くなってから何日かしてからお葬式するよ</p><p>香月重秋氏は昨日の未明に、自宅で急死したことになっているその日のうちにお通夜で、翌日が告別式なんて急ぎすぎだよ何か、裏で問題があったってことは、みんな判っている</p><p>マルゴさんはぐるっと周囲を見渡す</p><p>だから政治家なんかは、みんな代理を寄越しているよねまあ、連休中だからほとんどの政治家は地元に帰るか、外遊中なんだろうけど財界の人たちは、半々だなトップが自ら来ている会社もあるし重役で済ませているところもある一番出席率が良いのは、裏社会の人たちだね</p><p>瑠璃子の父が変死だということは、みんな判っている</p><p>だからあえて、トップが参列しているところもあるし</p><p>部下に代行させているところもある</p><p>その辺はケース・バイ・ケースか</p><p>それでもまあ、みんなお香典だけは、ちゃんと届けに来るんだろうけど</p><p>香月家に不義理をしたらこの国では、生きていけないからね</p><p>そんな家の大切な箱入り娘をオレは、折檻した</p><p>裸の尻を叩き、精液を浴びせた</p><p>あ、来たよあの子たち</p><p>壇上の親族席に向かってみすずたちが現れる</p><p>ああ、壇上に座れるのは本家の人だけなんだねっ</p><p>寧の言うとおり香月家の人間でも、仁たち分家は、段の下の一番前に座らされている</p><p>そして棺を安置した祭壇の左右に、それぞれ親族席はあるのだが</p><p>向かって左側にジッちゃんと、美子さんと、女性が１人座っている</p><p>右側にみすずと瑠璃子それから、品の良さそうな夫婦が一組</p><p>美智は、少し離れたドアのところに立っている</p><p>美子さんの隣の人が、瑠璃子さんのお母さんだよ</p><p>じゃあ、みすずたちと一緒に居るのが、みすずのご両親だねっ</p><p>何か、変だぞ</p><p>瑠璃子と、美子さんの座る位置が逆なんじゃないか</p><p>瑠璃子のお父さんのお葬式なんだから</p><p>瑠璃子は、ジッちゃんと自分のお母さんと並んで座るべきなんじゃないのか</p><p>そして、美子さんはみすずの隣に居るべきなんじゃないか従姉なんだから</p><p>香月のお祖父ちゃん、本当に徹底しているねぇこれは、キクわ</p><p>見ている方は、何か変だなあって思っても文句の付けようがないことじゃんかでも、これ当事者は辛いよ</p><p>本当に、後継者候補から外された香月家を追い出されたということを、今、瑠璃子は実感しているだろう</p><p>お尻、痛いんだろうねさすっているよっ</p><p>瑠璃子は、オレと美智に腫れ上がるほどお尻を叩かれしかも、ノーパンだ</p><p>壇上の席に座っているのは、辛いのだろう</p><p>顔は真っ青で今にも泣きそうな顔をしている</p><p>あみすずが、瑠璃子の耳に何か囁く</p><p>すると、瑠璃子はしずしずと泣き出す</p><p>ヨッちゃんみすずが、何て言ったか判った</p><p>うんだいたい</p><p>みすずは、おそらくこう言ったんだろう</p><p>瑠璃子これが、あなたが香月家の娘として公の場に立つ最後の機会ですからねこの壇上からの眺めを、しっかり見ておきなさい</p><p>瑠璃子はこの大観衆が、自分をまだ香月家の娘だと信じていることに泣いたんだ</p><p>本当のことを、誰にも言えない悲しみに</p><p>まあ、お可愛そう瑠璃子様、泣いていらっしゃるわっ</p><p>どこかの上品そうなオバサンが、大きな声で言った</p><p>本当、可哀想ねぇ</p><p>別のオバサンも</p><p>昨夜のお通夜の時は、お父様が亡くなったばかりで呆然となさっていたのかただ暗い顔でうつむいていただけだったけれど</p><p>ええ、ちょっとご心配でしたわよね</p><p>落ち込んでいらっしゃるというより無表情でいらっしゃいましたものね</p><p>ああやっぱり、昨夜の瑠璃子はそうだったんだ</p><p>父の死は当然だと判断し自分のことだけに悩んでいたから</p><p>でも今日は</p><p>ええ、瑠璃子様やっぱり、悲しくて泣いていらっしゃるのね</p><p>そりゃそうよ、１５の子が父親をなくしたのよ</p><p>可哀想ね</p><p>ほんと可哀想に</p><p>でもわたくし、瑠璃子様があんなに素直に感情を表現なさっている姿を見るのは初めてですわ</p><p>そう言えば、そうですわね</p><p>他の参列者の意見も、おおかた同じ様だった</p><p>みんな瑠璃子の涙を</p><p>父を失った悲しみからくるものだと勘違いしてくれている</p><p>香月のお祖父ちゃんの作戦うまくいっているねっ</p><p>寧がオレの耳に、囁く</p><p>だから、ヨッちゃんも瑠璃子に容赦しなかったんでしょ</p><p>瑠璃子が、人の情を知るためには肉体の痛みと、心の痛みの両方をまず知らないといけないと思っただけだ</p><p>まあ、こうなるだろうってことは想像できていたけれど</p><p>今日の告別式も、昨夜のお通夜と同じく瑠璃子が父親の死を悼まずに、自分のことだけで落ち込んでいたとしたら</p><p>その異様さはこの参列者の全員に目撃されたろう</p><p>おそらく、瑠璃子の情の無さに気付く人もいたはずだ</p><p>ジッちゃんは、それをマズイと感じた</p><p>だから、昨夜帰宅後に、瑠璃子を呼んで、尋問したんだ</p><p>それで今のままの瑠璃子では、危険だと判断した</p><p>みすずも、判っているみたいねまた、瑠璃子に何か囁いているわ</p><p>瑠璃子は自分が香月家から追われることの実感に、悲しみを感じているだけだ</p><p>尻の痛みが下着を奪われた屈辱が、その悲しみを増幅している</p><p>お腹に文字を書かれた憎しみとそんなことをした男の舌で絶頂に達してしまった羞恥心</p><p>さらに、これからずっとその男の奴隷として生きていかなければならない現実</p><p>身体の痛みと心の痛みが、融合して瑠璃子を責める</p><p>しかも、この大観衆を前にして誰にも助けを呼べない</p><p>ジッちゃんも、美子さんも、お母さんも棺の向こう側にいる</p><p>みすずが瑠璃子を言葉で責めるし何かすれば、美智に叩かれることも判っている</p><p>瑠璃子は八方ふさがりだ</p><p>もう泣くしかない</p><p>お可哀想に瑠璃子様</p><p>その涙が観衆には、違ったメッセージを送る</p><p>ずっと、高いところにいらっしゃるお嬢様だと思っていたけれど</p><p>ええ、あたしたちとは別の世界に住んでいらっしゃる方だと思っていましたわ</p><p>瑠璃子様も普通の女の子でいらしたのね</p><p>みんなでお守りしていかないとね</p><p>ええ、あたしたちのお姫様ですもの</p><p>香月家を追放された今になって</p><p>瑠璃子は、香月家の本当の姫君として人々に受け入れられていく</p><p>ねえさっき、関さんから渡されたものをちょうだい</p><p>今なら、チェックしていても変じゃないから</p><p>マルゴさんは、コンピューターの端末機を取り出す</p><p>式が始まるギリギリの時間に携帯を見たり、コンピューターを開いている人、結構居るでしょ</p><p>確かに、廻りにはそういう人が多い</p><p>オレは、ポケットから取りだした小さなものをマルゴさんに渡した</p><p>それをマルゴさんは、コンピューター端末に接続する</p><p>日本じゃあ、火葬にする場所は自治体の認可が居るからね場所は限られている例え、香月家の人間だとしても一般人と同じ火葬場を使うしかないんだ</p><p>マルゴさんが、小さな声でオレに言う</p><p>昨夜のうちに、関さんから火葬場の場所は、教えて貰った精進落としの会場もねどうしたって、火葬場の近くになるし団体で行くわけだから、部屋も料理も、前もって予約しておかないといけないということで、それも昨夜のうちに判っていたんだ</p><p>だから、知っていたんだ</p><p>問題は今日の警備態勢だよこればっかりは、ギリギリにならないと判らないからね人数配置とか現場責任者が誰かってことはね</p><p>それを記したメモリーを関さんは、オレにこっそりと手渡した</p><p>マルゴさんは、端末機の画面を見ていく</p><p>えでもさっき、関さんは今日の制服組の責任者のことは知らないって言ってましたよね</p><p>あれは嘘だよあそこではあたしたちは、監視されていたから</p><p>ホテル内では、関さんはずっとあたしたちと行動を共にしていたからねあたしたちと繋がっているんじゃないかって、考える人もいるだから、関さんはわざと知らないって言ったんだよアリバイ作りのためにね</p><p>つまり本当は、知っている</p><p>みすずさんたちの控え室の中はその人には、盗聴されていないあそこは、香月家のプライベートルームだからねそんなことをしてバレたら香月さんに処分されるからでも、駐車場からこの葬祭場の建物の中に入って、通ってきた廊下なんかには、みんな盗聴器が仕掛けてあったんだと思うよ</p><p>待って下さい昨日来た時には</p><p>無かっただから、今日から就任した新しい警備部長さんが仕掛けさせたんだと思う</p><p>関さんが視線で教えてくれていたんだよそれで、あたしは気付いたし新しい警備部長のことも、話に振ってみたんだ</p><p>え、今は大丈夫なんですか</p><p>そりゃ、控え室廻りの廊下とかならともかくこの馬鹿広い会場内の、それもいっぱい人がいるところに盗聴器を仕掛けるのは無意味だよそれに今、あたしたちは、ひそひそ話をしているんだし</p><p>そっか、こんな小声なら聞こえないか</p><p>えっとああ、これだ</p><p>新しい警備部長さんは浅見麻美さんか</p><p>そして、警備員の配置図からマルゴさんは、右側の壁を見る</p><p>あの人だね</p><p>それは、香月セキュリティ・サービスの制服を着た２０代後半の女性だった</p><p>母による父への食事制限が、過激なので</p><p>というか、母の献立にレパートリーが無さ過ぎるので</p><p>ちょっと可哀想なので、先日、父を連れて母に隠れてこっそり外食に連れ出しました</p><p>カプリチョーザのスパゲッティを美味しい、美味しいと食べていました</p><p>いや、健康も大事なんですけれど生活の潤いは必要だと思います</p><p>今日帰宅すると、父が腰を抜かして倒れていました</p><p>椅子に座ろうとして、そのまま尻餅を付いて動けなくなったらしいです</p><p>５時間ぐらい、そのままでおしっこを漏らしていました</p><p>手術で大きく開腹したので、腹筋が全部切断されているのです</p><p>尻餅をつくとも１人では起き上がれない</p><p>なかなか、大変です</p><p>母は、また今すぐ救急車を呼べと喚いたのですが</p><p>とりあえず、外傷も無いし、意識もはっきりしているので</p><p>明日、私が父に付いて病院に行くことになりました</p><p>390．お葬式</p><p>浅見新部長は縁無しの眼鏡を掛けた、生真面目そうな女性だった</p><p>香月セキュリティ・サービスの制服が全然似合っていない</p><p>要人警護の警備員というより大企業の秘書課の課長という感じだ</p><p>うん、背が低くて強そうじゃ無いけれど貫禄だけはある</p><p>あんまりジロジロ見ないで、気付かれるから</p><p>マルゴさんが、オレに囁く</p><p>オレは、急いで視線を変える</p><p>浅見麻美さん、２８歳へえ東大を首席で出て、香月グループのシンクタンクである香月総研へ入社経済政策についての研究をした後、去年、香月セキュリティ・サービスに籍を移すなかなか、異色な経歴の持ち主だね</p><p>マルゴさんが、画面の情報を読む</p><p>野心のある人ってことだねっ</p><p>寧が、オレに小声で言う</p><p>将来的に政治家とかになりたいんじゃないかな経済政策が専門なのに、国家官僚にはならなかったんだし研究者を目指すのなら、そのままシンクタンクに残ったでしょ多分、香月セキュリティ・サービスの仕事をしながら、上流階級の人たちとコネクションを作って、将来的には国政にとか、そういうことを考えているんだと思うよっ</p><p>ま、何かしら挫折があったんだろうねそうじゃないと、こういう経歴の人が、こんな思い切った転進はしないから</p><p>マルゴさんは、浅見部長のデーターの先を読む</p><p>あ、判った彼女野党の大物代議士だった人の娘なんだよ</p><p>お父さんは３年前に、政治資金規正法違反で裁判になって、その途中で亡くなっているああ、あんまり突然に亡くなったんで、暗殺されたんじゃないかっていう噂もあるみたいお父さんの地盤地元の後援会なんかの組織は、全部、個人秘書だった人に奪われていて今は、その人が国会議員になっているらしいそれで、浅見さんは、その元秘書の人が、お父さんを裏切って殺した犯人なんじゃないかって、思っているらしい</p><p>そんでお父さんの仇を取って、政治家になろうってしてるわけっ</p><p>まあ、そうだろうね元秘書の人が居る限りは、同じ政党の候補者にはなれないし政治資金も、地盤も、後援者も、有力者とのコネクションも、今の彼女には無いわけだから一か八かの賭に出ないと、仇は取れないって思ったんだろう</p><p>確かに、すっごく頭の良さそうな顔をしているけれどどんなことでも、自分の思い通りにしてやるという、意志の強そうな眼をしている</p><p>一昨日のホテルは現場には、付いてないね山岡前部長が、外したんだろうけど</p><p>どうみても、シザーリオ・ヴァイオラみたいな人間と対峙する様な武闘派じゃないしでも、能力は高いんでしょ山岡さんの次に部長に推されるくらいだから山岡さんとしては、自分のライバルになりそうな子が活躍しないようにホテルの現場からは除外したんだと思うよ</p><p>うん心が小さいからなあ、山岡前部長</p><p>しかし多分、谷沢チーフの趣味だと思うけれど制服組のトップは、毎回、頭の固そうな人を選ぶね</p><p>そりゃ、しょうがないよっ裏部隊の工藤さんたちが、スチャラカなんだから制服組の方は、ド真面目な人にしておかないとさっ</p><p>マルゴさんに、寧が微笑む</p><p>そうだね制服組の方は、常識的な人でないと勤まらないよね</p><p>マルゴさんは画面を読みながら、呟く</p><p>その辺に付けいる隙があると思ううんこの関さんの資料、よく調べてくれているよ例えば浅見新部長が決めた警備員の配置図だけで、浅見さんていう人の考え方が透けて見えてくる山岡さんよりも、遥かに細やかだでも、残念ながら経験値が足りていない危ういポイントが幾つかあるね</p><p>マルゴさんは、攻略法を考えているようだ</p><p>と言っても浅見新部長の底力は、実際に当たってみないと判らないからあたしたちも、なるべく手堅い方法で攻めるしかないか</p><p>そんな会話をしているうちに</p><p>告別式が始まる</p><p>お坊さんが何人も現れて読経を始めた</p><p>寧が呟く</p><p>さすが、美智この大観衆の中で、ヨッちゃんを見つけたみたい</p><p>おお、確かに美智が、こっちを見ている</p><p>オレが、うんと頷くと遠く、壇上の隅に立っている美智もうんと頷く</p><p>うわ、本当にオレが見えて、判っているんだ</p><p>鷹みたいな眼だねあの子</p><p>寧が、そう言ってオレに身体を寄せてくる</p><p>オレの手をギュッと握って</p><p>ならイチャイチャして、見せ付けてやろうっぐっしっし</p><p>そんな、後で不機嫌になった美智の相手をするのは、オレなんだよ</p><p>いいじゃん相手してあげなよっ</p><p>オレの首筋に、寧はチュっとキスをする</p><p>寧の甘い匂いがする</p><p>今はあたしの相手をしてっ</p><p>オレは、寧の手を優しくさすった</p><p>美智は、無表情でオレたちを見ている</p><p>まあ、その無表情が一番怖いんだけれど</p><p>一方、みすずは泣いている瑠璃子の相手をしている</p><p>この数百人の会葬者の中からオレの姿を見つけることよりオレの命令を守って、瑠璃子を監視することに全力を注いでくれている</p><p>うんうんみすずも、後でたっぷり可愛がってやろう</p><p>というかオレのみすずは、本当に可愛い</p><p>あっちは、相変わらずだねっ</p><p>寧の見ている方は</p><p>喪服のジッちゃんは数珠を握りしめて、黙祷している</p><p>その隣の美子さんは泣いている瑠璃子が気になって仕方がないようだ</p><p>しかし、壇上の二人の席は棺を挟んで、離れている</p><p>美子さんには、どうすることもできない</p><p>ねこのキトウ、どれぐらい続くの</p><p>亀頭</p><p>いや、ほら仏教の僧侶が、呪文を唱えているじゃないか</p><p>ああ祈祷か</p><p>つーか、仏教の僧侶って</p><p>いや、マルゴさん的には、色んな宗教の僧侶がいるのか</p><p>マルゴお姉さん、あれはお経</p><p>オキョーごめん、あたし、仏教の形式のお葬式は、初めてだから</p><p>そりゃアメリカ人で、インディアンの血筋の人だもんな</p><p>あれはね、お釈迦様の話したこととか、やったことのストーリーを読み上げているんだよっ</p><p>キリスト教の儀式での、聖書朗読みたいなもの</p><p>そうそうただ聖書の朗読は、一節だけだけどお経は、長いんだよねえ</p><p>寧が、うんざりした顔をする</p><p>そんなに長いの</p><p>えっと、２０分から３０分ぐらいだと思いますよオレの祖父さんの時は、そうでしたから</p><p>母方の祖父さんは香月家ほどではないけれど、一応は会社の社長だったから</p><p>それなりにお葬式の規模も大きかった</p><p>もっとも、オレと親父は親族席には座らせて貰えなくて</p><p>受付とかの仕事をしていたんだけれど</p><p>オレの母親は祖父さんの棺の横に、ずっと座っていて</p><p>もう、思い出したくないな</p><p>バァちゃんの時は</p><p>お葬式らしい、式はやってないし</p><p>ああ、聖書朗読よりもchantなんだね音楽性が感じられるなるほど、判ったよ興味深い</p><p>そのマルゴさんの言葉の意味はオレには、判らない</p><p>では、ご焼香をお願い致します</p><p>司会者のアナウンスで、焼香が始まった</p><p>まずは、ご遺族・ご親族様、どうぞ</p><p>ジッちゃんが、一番に焼香する</p><p>それから、瑠璃子の母親</p><p>美子さんが３番目</p><p>会葬者たちの中から、小さなどよめきが出る</p><p>本当なら故人の娘である、瑠璃子が先に焼香するべきだ</p><p>続いて、みすずの父母</p><p>瑠璃子は、遺族の最後に焼香した</p><p>抹香を香炉に落とした瞬間に瑠璃子は、わっと、泣き出す</p><p>やばい、そのままへたり込んだらノーパンのお尻が、観衆に丸見えになる</p><p>美子さんが、慌てて飛び出そうとするが</p><p>ジッちゃんが、サッと手を出して制する</p><p>代わりに、みすずと美智が飛び出す</p><p>参列者席からは仲の良い従妹と、そのお付きが、瑠璃子を助けに来たようにしか見えないだろう</p><p>だが、実際は強制連行だ</p><p>美智が、こっそり瑠璃子のお尻をポンと叩いている</p><p>瑠璃子は、腫れた尻の痛みに耐えながら自分の席へと連れ戻される</p><p>続きましてご親族様、お願い致します</p><p>まずは、香月家の分家筆頭香月操の父親から焼香する</p><p>あれ、何をやっているわけ</p><p>マルゴさんは、お葬式の作法に興味を持ったらしい</p><p>えっとお香を、火の上に落としているのかなっ</p><p>１回きりじゃ無く、何度もやっているよねどうして</p><p>うんと良く知らない</p><p>オレも知りません</p><p>理由なんて</p><p>そうなんだこんなことなら、昨夜のうちに日本のお葬式について詳しく調べておけば良かったな昨夜は、ちょっと忙しかったから</p><p>そう言うマルゴさんに、寧は</p><p>何言ってるの、マルゴお姉ちゃんもやるんだよあれ</p><p>ていうかここに列席している人、全員やるんですそういうルールなんです</p><p>やらないと宗教儀式的にマズイとか、そういうこと一人でもやらない人間が出ると、死体がゾンビ化するとか</p><p>そういうのはちょっと判らないですでも、みんなやることになっています</p><p>マルゴさんは、困った顔をする</p><p>あれかなその儀式に参加すると、あたしも仏教徒って認定されちゃうのかな</p><p>そんなことないから大丈夫だよ多分</p><p>寧が、答える</p><p>いいのかなあたし、アメリカ人だけど</p><p>気にしなくていいと思いますよ</p><p>ていうかあたし、できるかなあれ、何をどうやっているわけ</p><p>あははあたしは、前の人のすることを見て、真似するだけだから</p><p>オレもそうです</p><p>そんなんでいいのホントあたしが儀式の手順を間違えて、それでゾンビになっても知らないからね</p><p>大丈夫ですよ誰かの焼香の仕方が変で、それが原因でゾンビ化してたら日本中、ゾンビだらけになってますから</p><p>うん平気だって日本には、ゾンビ居ないから見たことないもんねっ</p><p>オレと寧で、そう断言した</p><p>続きましてご会葬の方々のご焼香となります</p><p>アナウンスと共に、順番に焼香となる</p><p>ほらっ、あたしたちも行こうっ</p><p>寧が、オレたちを引っ張る</p><p>あ大丈夫みたいあたし以外にも、外国人の人来ているわ</p><p>焼香の列の中に白人の顔を見つけて、マルゴさんは安堵する</p><p>そう言えばさ、遺体には刃物を持たせておくんだよね</p><p>あバァちゃんの遺体は、何か持っていた気がする</p><p>あれってさ、刃物を持っていないと悪魔が遺体に取り憑くからだってさ</p><p>寧は言う</p><p>後、ネコも遺体に取り憑くって言うよね遺体を、踊らせるとか</p><p>ってことはそれが日本版のゾンビなのかもしれないねっ</p><p>焼香の順番が近付いて来る</p><p>さすがにこれだけの人数だから大きな香炉に、一度に５人ずつ焼香している</p><p>ジッちゃんや、瑠璃子やみすず遺族たちは、その度ごとに焼香者に頭を下げる</p><p>うん大体判ったよ</p><p>前の数人の焼香する様子を見てマルゴさんが、そう言った</p><p>さて、オレたちの番だ</p><p>寧はそれまで繋いでいたオレの手を離す</p><p>みすずが、ギロッと睨んだからではない</p><p>故人とご遺族に礼をして焼香</p><p>また、礼をする</p><p>ジッちゃんたちも頭を下げる</p><p>瑠璃子は、泣きすぎてもう、心が半分飛んでいってしまっている</p><p>その姿がまた、会葬者たちの憐れみを誘っている</p><p>美子さんが、オレをもの凄い形相で睨んでいる</p><p>瑠璃子さんと引き離された恨みはジッちゃんには、ぶつけられない</p><p>だからオレに</p><p>寧が、オレの腕を引っ張る</p><p>あ、いかんいかん</p><p>次の人たちに場所を譲らないと</p><p>オレたちは元の席へ戻る</p><p>見ているね、彼女</p><p>マルゴさんの言う彼女とは浅見新部長か</p><p>うん、オレたちを見ているな</p><p>まああたしたちは要注意人物だもんねっ</p><p>寧がそう呟く</p><p>小柄な眼鏡っ子のお姉さんがオレたちを注視している</p><p>瑠璃子の誘拐は、あのお姉さんを出し抜かないといけない</p><p>私の長男は、異国の地で亡くなりましたそして、今度は次男が父親である私よりも先に逝ってしまいました</p><p>全員の焼香が終わるとジッちゃんの喪主挨拶となる</p><p>どんな理由であろうとも親不孝なことであることに代わりはありません</p><p>そのまま、ジッちゃんは死んだ香月重秋との思い出と重秋氏が、香月グループの中で果たした功績について、簡潔に述べた</p><p>こうやって、こんなにたくさんの皆さんに見送っていただいて息子は、とても幸せだと思います</p><p>実際は会葬者のほとんどは、ジッちゃんを目当てに来ている</p><p>日本有数の名家・香月家の当主香月重孝の息子の葬儀だから、これだけの人が来ている</p><p>香月重秋自身の知人・友人は、１０分の１も居ないだろう</p><p>今回のことで、私もいささかくたびれました今すぐというわけにはいかないでしょうが来年度の株主総会をめどに、私は香月グループの会長の座から退こうと思います</p><p>会場全体に激震が走る</p><p>後任には司馬沖達くんを推薦していますすでに、重役会の諸君の賛同を得ています</p><p>香月重孝、経済界引退の意向明日の新聞には、大きく記事が載るだろう</p><p>ところで、私の隣におります、美子はこれまで、事情があり伏せておりましたが、私の長男、香月重春の忘れ形見です私の孫です</p><p>瑠璃子が、大きな声で号泣した</p><p>美子さんはもう瑠璃子のお付きではない</p><p>私は、この美子もみすず、瑠璃子と同様、香月家の娘として育てていくつもりです皆さんも、そう接してやって下さい美子</p><p>美子さんは無表情で、一礼する</p><p>言葉は、発さない</p><p>本当は、こんな形で発表されるのは不本意なのだろう</p><p>瑠璃子は、激しく泣いている</p><p>もっとも、会場内はジッちゃんの引退宣言の余波に、まだ揺れている</p><p>美子さんに注目する人はそう多くは無い</p><p>むしろ、親族の方にどよめきが拡がっていた</p><p>て、ことはこれってさ、オレが美子と結婚したら、本家の後継者になれるってこと</p><p>香月仁声がでかいぞ</p><p>馬鹿者、これからは美子様と呼びたまえっ</p><p>ほーら、香月操に怒られている</p><p>皆さん、今日は私の息子のために、来て下さって本当にありがとうございます出来の悪い息子でしたが私は、あいつを愛していました本当に残念です情けないお友達の皆さん、どうか、あいつのことを忘れないでやって下さいお願いします</p><p>淡々と語るその言葉の中にジッちゃんの心情がある</p><p>しかし、会葬者たちのほとんどは気付いていない</p><p>いや、だからこそジッちゃんは、本心を語っている</p><p>重秋はコニャックを好んで飲んでいました私は、もう死ぬまでコニャックを飲みませんあいつはもう、コニャックが飲めないんですなのに、どうして私に飲むことが許されましょうか</p><p>それはジッちゃんが、自分に課す罰だ</p><p>いやウイスキーも、ブランデーも、私は断ちます重秋が愛していた酒は、全て</p><p>ジッちゃんの眼に、光るモノが見えた</p><p>本日は本当に、ありがとうございました</p><p>そして告別式は終わる</p><p>会場の外に、霊柩車が用意される</p><p>ジッちゃんや瑠璃子、遺族と親族それから、本当に香月重秋と親しかった友人たちが最後のお別れをする</p><p>棺が運ばれる</p><p>葬送の音楽に合わせて</p><p>香月操と昴の兄弟、香月仁ああ、香月健思もいるな</p><p>香月一族の男たちが、みんなで棺を担いでいる</p><p>そのまま壇上の祭壇から外へ</p><p>ヨッちゃん、隠れて</p><p>あの子、見つかるとメンドくさいからさ</p><p>ああ、香月健思か</p><p>確かに、あいつは面倒だ</p><p>ていうか、君はそろそろ行動開始だよ</p><p>えはい</p><p>会場内は、今が一番混乱している浅見新部長も、ここから香月さんたちを送り出すことの方に集中しているから</p><p>棺と一緒にジッちゃんたちも、火葬場に移動だ</p><p>今の内にあそこの出口から外に出て関さんが待っているから</p><p>あたしと寧はこれから、岩倉さんをピックアップしてくる合流は、火葬場の予定だけれど浅見さんの出方次第では、精進落としのお店の方にするかもしれない</p><p>とにかく慌てたり、急いだりしないでトイレにでも行くフリをしてゆっくり向かって</p><p>棺がオレたちの脇を通って行く</p><p>ヨッちゃんみすずたちに、よろしくねっ</p><p>今度は、あたしの方がヤキモキする番だからさっ</p><p>よし作戦開始だよ</p><p>マルゴさんの言葉に背中を押されて席から立ち上がる</p><p>会場内は棺の葬送に集中している</p><p>オレは、ごく普通の足取りでマルゴさんの示した出口に向かう</p><p>あ、壇上から美智が、オレを見ている</p><p>みすずは、泣き止まない瑠璃子の世話で手一杯のようだ</p><p>美子さんは、うつむいている</p><p>ジッちゃんは、遠ざかる棺を眺めていた</p><p>待ってたわよ</p><p>出口から外に出ると関さんが、待っていてくれた</p><p>さ、急いであたしの車へ行くわよ</p><p>えっとどこに</p><p>呆れた火葬場に決まっているじゃない</p><p>火葬場って</p><p>親族以外は、行かれないんじゃ</p><p>今、ちょうど香月セキュリティ・サービスの先乗りの警護員が向かっているところだから</p><p>飛ばすわよ閣下やみすず様、瑠璃子様たちが到着する前に、潜入するわ</p><p>香月家の親族でないオレが、ジッちゃんたちと一緒に火葬場へ行くのは変だけれど</p><p>だったら、先回りして会場内に入り込んでしまえばいいんだ</p><p>手はずは、あたしが組むからとにかく、向かいましょう</p><p>関さんが小走りで、駐車場へ向かう</p><p>大丈夫よ新部長の浅見さんは、どうせ恭子さんの弟子であるマルゴさんにしか注目していないからマルゴさんが、上手く牽制してくれるわよ</p><p>オレはただの高校生だ注目すべき、相手だとは思われていない</p><p>まさか、エロ小説のために、お葬式を調べることになるとは</p><p>自分の祖父の葬式の時は人が足りないので、私は駅前で看板を持って立っていました</p><p>＊＊家　→の</p><p>祖母の時は親族席に居ましたけれど</p><p>391.バニシング・イン</p><p>これが、わたくしの車よ</p><p>今日の関さんの車は黒塗りの大きな車だった</p><p>仕事でお葬式に来ているのだから、派手なスポーツカーとかではダメなんだろう</p><p>でも、やっぱりやたらと大きいし、角張っているし見た目は古そうだけど</p><p>これ、やっぱりアメリカの車なんですか</p><p>ええ、1974年型のダッジ・チャージャーSE外側だけはね中身は、別物に交換しているわエンジンも、足回りもごっそりとね</p><p>関さんは、自慢げに微笑む</p><p>姉妹車のクライスラー・コルドバとどっちを買うか迷ったんだけれどこの車、昔のアメリカの有名なアクション映画に出て来るのよそれで、こっちにしたの</p><p>へえこんな、でっかい車でカー・アクションとか、迫力ありそうですね</p><p>スティーブ・マックィーンとか知らないでしょ</p><p>いいのよ、昔のスターだからマックィーンのブリットっていう映画で主人公が、初代のマスタングでこの車を追っ掛けるシーンがあるのよ追われる方だけれど、何か印象が強くて、気に入ったのよあたしは、マスタングも持っているけれど２代目のマッハ１だからしかも、レモンイエローに黒ストライプのエレノアカラーにしているから、今日みたいな場には乗ってこられないわそれにマッハ１の方は、中身もオリジナルのまんまだし</p><p>今度、実車を見せてあげるわマックィーンの映画も、ディスクを持っているから、一緒に観ましょう</p><p>そこまで言って関さんは、赤面する</p><p>あ別に二人きりでって、そういう意味じゃ無いわよ他の子も、一緒でいいから</p><p>あ、はい判りました</p><p>オレなんかと、二人きりで映画を観たって面白く無いもんな</p><p>とにかく乗って</p><p>関さんは、運転席に乗り込む</p><p>オレは、助手席に</p><p>いえ、後部座席に隠れてて毛布があるでしょ、それ被ってて</p><p>わたくしが、あなたを連れ出したところを見られたくないのここは、警備員の配置で駐車場内の死角になっているポイントだから特に、今は閣下や香月家の皆様の移動準備で制服組の人たちは、そっちにかかり切りになっているわだから、わたくしの車に、あなたが乗ったことを確認できる人はいないのよでも、駐車場の出口のゲートには、当然、警備員が立っているから</p><p>ああ、ゲートから葬祭場の外に出るまでは隠れていた方がいいのか</p><p>オレは、助手席のシートを倒して、後部座席へ</p><p>頭から毛布を被る</p><p>その上に、関さんが適当に上着なんかを被せてカムフラージュする</p><p>いいわね出るわよ</p><p>エンジンが点火される</p><p>ああ、確かに昔の車のエンジンじゃない</p><p>振動とかが、そんなに無いし音もでかくない</p><p>あーん、やっぱりアメ車は荒々しいエンジンじゃないとこういう温和しいのは、つまんないんだけどねでも、オフィシャルなお仕事用に、一台はこういう車が無いと困るし</p><p>車を始動させながら関さんは言う</p><p>まあ、ベンツとか日本車でも、レクサスなんかでもいいんだけれどね本当はでね、嫌なのよあたしだからって、わざわざ古いアメ車を大改造して乗るってのは、どうかしているって自分でも判っているんだけど</p><p>自嘲気味に、関さんは呟く</p><p>でも、そういう拘りが、関さんらしいですよ</p><p>毛布の下から、オレは言った</p><p>そうありがとう</p><p>黒塗り1973年型ダッジ・チャージャーSE（改）は広い駐車場内を抜けて、ゲートに到着する</p><p>ご苦労様次のポイントに、先乗りするわ閣下には、大徳さんと張本さんが付いていますから</p><p>了解ですっ</p><p>関さんはジッちゃんの専任警護人の１人だ</p><p>香月セキュリティ・サービスのトップ・エリートの中でも一番、顔が知られている</p><p>ゲートの警備員は車内のチェックなどせず、顔パスで通してくれる</p><p>ちょっと待っててね尾行を確認するから</p><p>外の道に出ると関さんが言った</p><p>３分ぐらい、オレは毛布の下に隠れたまま</p><p>関さんは、何度か車を左折させる</p><p>うん尾行車は、無しね</p><p>関さんが、呟く</p><p>浅見さん、やっぱりデスクワークの人なのかしら想像力が足りていないのかそれとも、まだ制服組の人たちを掌握し切れていなくて、わたくしを尾行者する人員が割けないのかああ、もう出て来て良いわよ</p><p>オレは、毛布から這い出る</p><p>そこに紙袋があるでしょ中に入っている服に着替えて</p><p>紙袋ってああ、この高島屋のか</p><p>これ香月セキュリティ・サービスの制服ですか</p><p>ええでも、衿が黄色いでしょそれ通常の警備部の制服じゃ無くって、トップ・エリートのアシスタント用の制服なの</p><p>トップ・エリートは、個人アシスタントを付けることができるから君は、今からあたしの個人アシスタントになるのよ</p><p>そういう芝居をするんですか</p><p>いいえ、谷沢チーフに申請書も出してあるわもっとも、メールじゃなくって、今朝、本社に書類で提出してきたからチーフが申請書を見るのは、夕方以降になるでしょうけれど</p><p>谷沢チーフはジッちゃんの警護があるから、今日は直接、葬儀会場に入っている</p><p>こんなの別に、急ぐ必要の無い案件だし、谷沢チーフの秘書さんが連絡してくることもないわそれに、トップ・エリートの警護人が個人アシスタントを持つことは、よくあることだしね</p><p>バック・ミラー越しに、関さんはニッと笑う</p><p>だから、わたくしがその制服を着たあなたを連れていても谷沢チーフには、通知済みですって言い切れるわけ</p><p>申請書類を見ていないのだから、まだ知らないし認可してくれるかどうか、判らないけれど</p><p>とりあえず、火葬場の警備を正面突破することはできる</p><p>谷沢チーフは、当然、閣下たちと同じ車列で移動してくるからあたしたちは、先に、火葬場に潜り込まないといけないわまあ、向こうは車数台とバス２台に分乗してだからスピードも出せないでしょうし現場の警備員たちも、閣下たちの方に注目しているから、わたくしが見知らぬ個人アシスタントを連れて来たことなんて、チーフに一々報告しないわよ</p><p>ていうか、これは新警備部長の浅見さんの仕事だし今回の葬儀の警備は、浅見さんの新部長としての初仕事でしょだから、閣下たちに直接危険が及ばないような案件は、今回は、全部、浅見さんに任せているはずよそれで、後でチェックして浅見さんの適性を確認するチーフは、そういう人だから</p><p>オレは、シートの影で着替えながら聞いている</p><p>浅見さん警備一筋の人じゃないそうですね</p><p>ええ、ちょっと異色の経歴よねでも、本質的には、前の山岡さんと変わらないわよ谷沢チーフは、香月セキュリティ・サービスの警備部門のトップは、真面目でお堅いタイプの人の方がいいって思っているから</p><p>それはやっぱり、工藤さんたちが、スチャラカだからですか</p><p>オレは、寧の言葉を思い出して言った</p><p>そうねまあ、制服組は会社の顔だから、顧客の上流階級の人たちに受けの良さそうな手堅い雰囲気の人の方が良いのよそういう意味でもタイプは違うけれど、山岡さんと浅見さんは同じよ根っからの警備畑エリート男性と高学歴、政治通エリート女子でしょ名家の人たちには受けが良さそうって意味では</p><p>ていうか谷沢さん、どうせフォローは自分がするから、浅見さんでいけるって踏んだんでしょうね参ったわね</p><p>それってチーフは、現場から退く気が全く無いってことだから</p><p>ジッちゃんは次の株主総会での引退を表明したのに</p><p>谷沢チーフは、これからも現役バリバリで第一線に立ち続けるつもりなんだ</p><p>だから、わざと警備部門のトップを２８歳の女性にした</p><p>あと５年、いえ１０年は今の役職に留まるつもりね谷沢チーフ</p><p>嫌なんですか</p><p>とんでもないっ良い上司よ谷沢チーフが引退したら、あたしも退職するわよそういう人、多いと思うわ</p><p>きっとそれには、ジッちゃんの意志も入っているんだと思います</p><p>ジッちゃんが、引退して司馬さんが、香月グループ全体のトップになるじゃないですかだから、グループ内に影響力を残すために谷沢さんが、香月セキュリティ・サービスの全権限を抑えたままにしたんじゃないですか</p><p>香月セキュリティ・サービスを抑えていれば、香月グループ内の状況は常に監視できるし他の名家との繋がりも維持できる</p><p>わたくしは、そうは思わないわ閣下は別に、香月セキュリティ・サービスに拘る必要はないものこんな肥大した組織じゃなくってそれこそ、私的なボディガードと諜報要員を雇えばいいんだから香月セキュリティ・サービスと繋がっていることで、逆に閣下側の動きが相手に知られる可能性もあるしねスパイ活動って、そういうものよ一方的に、相手側の情報だけを抜き出すことなんてできないんだから</p><p>例えば今日の、警備員の配置状況なんかもそうなんだけれど警備員がどのゲートに数多く配置されているかで、閣下の通るルートが割り出せるわそれから、来場者の各駐車場の振り分け方で香月グループが、どの名家のどの人物を優遇しているかが判るしていうか、今日の配置は落第点よ浅見さん、あからさまに区別しすぎまあ、元々政治をやりたい人だから、仕方無いんでしょうけれど浅見さんが優遇すべき価値がある判断した人だけ、警備員の多い駐車場に集めているから</p><p>そういうことも、あるんだ</p><p>でも、香月家みたいな名家だと今は、ちょっと社会的な地位を落としているけれど、いずれはまた盛り返しそうな人との付き合いとかもあるでしょ本当に盛り返せるかどうかは別にして気を遣わないといけない家がねそういうのも勘案しておかないと香月家は、我が家を落ちぶれた思っているとか逆恨みされたり逆に、香月家が見放したから、あの家はもう終わりだみたいな、悪いメッセージを広める結果になっちゃったり大変なのだから、名家の人たちはあからさまに区別していないように、でも適度に差を付けてその時、その時の状況に合わせて、微妙な振り分けをしないといけないのよ</p><p>大変なんですね</p><p>そうよただのお金持ちじゃなくて、伝統とプライドがある人たちですもの名家の人たちは</p><p>話を戻すけれど香月セキュリティ・サービスの実権を握ったままにしておきたいのは、谷沢チーフご自身のお考えだと思うわ</p><p>ジッちゃんとは無関係で</p><p>多分、谷沢チーフみすず様や瑠璃子様たちのことが、心配なのよだからお二人が成人するまでは、自分が第一線で踏ん張ってお守りする覚悟でいらっしゃるんだと思うの</p><p>わたくしとしては谷沢チーフには、社長になっていただいて細かい作業は、もっと若くて信頼できる人に任せて欲しいけれどね現場がお好きなのは判るけれどやっぱり、谷沢チーフが前に出て行かれると、下の人は育たないわ山岡さんのケースなんて、本当にそうだと思うし</p><p>オレは、一昨日のホテルのことを思い出す</p><p>確かにホテルでの制服組の警備は、山岡前部長に任されていたけれど</p><p>工藤父を始め、ミス・コーデリアとの交渉とか全部、谷沢チーフがやっていたし</p><p>あのホテル内のビックリからくりシステムも谷沢さんの命令でやってたもんな</p><p>山岡部長が、ダメダメだったのは確かなんだけれど</p><p>でも、何でもかんでも谷沢チーフが掌握していて、本当のことは知らされないんじゃ山岡部長が成長しなかったのも、判る</p><p>まあ香月セキュリティ・サービスみたいな組織を束ねる人材なんて、なかなかいないから仕方無いんでしょうけれどでも、浅見さんの起用は、山岡さんの二の舞になると思うわ</p><p>浅見新部長にも谷沢チーフは、全ての情報は公開していないだろう</p><p>ちゃんとオレのことを知らせていれば浅見さんは、オレに尾行を付けていたはずだ</p><p>ホント誰か、良い人がいればいいのにね</p><p>くふふふっ</p><p>笑い出す</p><p>いえ今日はあたし、随分、お喋りだなって思って知ってると思うけれど、あたし、普段はこんなに喋らないのよ人と話をしてエネルギーを使うの、好きじゃないから</p><p>信号待ちで、車が停まる</p><p>関さんが、オレに振り向く</p><p>どうしてかしらねあなたが相手だと、色んなことを教えてあげたいって思うのよていうか、あなたに話ながら、自分の考えをまとめているのかもしれないとにかく何でも話したくなるのよ</p><p>オレでよかったら何でも話して下さいオレ、馬鹿だしモノ知らずなんで関さんの話は、とっても勉強になりますありがとうございます</p><p>ありがとうは、わたくしの方よあなたの前だと、色んな事がバイアスが掛からずに、フラットに見えてくるの谷沢チーフのことだって今、あなたと話していて、ハッと理解したことがたくさんあるわ</p><p>信号が、青になる</p><p>ダッジ・チャージャーは、再び、加速する</p><p>今日は、これから火葬場へ行って、みすず様たちの控え室に先に入り込んでしまうわ閣下たちが、到着する前に今日のわたくしは、閣下ではなく、みすず様・瑠璃子様たちの警護役担当っていうことになっているから先乗りして、控え室を調べるのは変ではないわで、あなただけ控え室に残して行く</p><p>うんそこに、後からみすずたちが合流する</p><p>上手い、潜入作戦だ</p><p>マルゴさんたちは、何か自前で潜入してくるって話だけれど</p><p>ああ、岩倉会長を使って</p><p>ええ、何か色々と進行中みたいです</p><p>わたくしは知っていたほうがいい知らない方がいい</p><p>陰獣生徒会長は知らない方がいいよな</p><p>知らない方がいいと思いますすぐに判りますよマルゴさんらしい、いかにもって作戦ですから</p><p>それならいいけれど</p><p>人の意表を突くのが、マルゴさん流だから</p><p>ていうか、関さんに知らせておいた方が有効なら、マルゴさん自分で知らせていますよ</p><p>そうねあの子の判断は、信頼できるものね</p><p>一緒に闘った中だから関さんは、マルゴさんを高く評価しているようだ</p><p>ところであのさ</p><p>えっとね</p><p>関さんはちょっと口籠もる</p><p>しかし、勇気を出して</p><p>火葬場へ行ったら１～２時間、控え室で待っていなければいけないのよ</p><p>ああ焼かれて、骨になるまで</p><p>オレの祖父さんやバァちゃんの時も、待たされた気がする</p><p>祖父さんの時は焼く施設も豪華だった気がする床とか大理石で</p><p>バァちゃんの方はあんまり綺麗じゃなくて、古い施設だった</p><p>焼き場の施設にもお金によって差があるんだよな</p><p>いや、あの時親父が言ってたな</p><p>市によっては普通とか上等とかの区別が無くて、みんな同じ形式で焼いてくれる施設もあるんだけれど</p><p>多分、オレの母親はわざわざ、差がある火葬場へ運ばせたんじゃないかな</p><p>火葬場とか、好きに選べるのかどうか判らないけれど</p><p>でも、あの母親は自分の父親を格別に崇拝しているから、豪華なところの最上等でないとダメだって、葬儀社にネジこんだかもしれない</p><p>でその待ち時間に</p><p>あなたするの</p><p>あのセックス</p><p>多分、しますみすずが、和服セックスしたがってましたしあいつ、それで今日は和服を着てきたって言ってましたから</p><p>黒い喪服の</p><p>そうなったら美智だって、したがるでしょうし</p><p>あいつも、火が付いたら止まらない</p><p>瑠璃子様とも</p><p>瑠璃子とは状況次第です一気にするより今は、あいつの心の殻を確実に壊していくことの方が大切ですし</p><p>無理にやりすぎると心そのものが壊れてしまう</p><p>オレは、瑠璃子にセックスを恐ろしいモノだと思って欲しくないんです気持ちよさも知って欲しいから</p><p>どうしてセックスなの</p><p>それは他の人の存在を感じて、しかも、お互いを受け入れることができるからじゃないですかね</p><p>瑠璃子は自分の中の世界でしか、世の中を見ていません人と人の関係、心のぬくもりとか判らなくなっているからちゃんとセックスが、できればそういう殻から出て、他人の心の温度も判る様になると思うんです</p><p>ちゃんと</p><p>そこに、関さんは引っ掛かる</p><p>はい、セックスなら何でもいいんじゃないんですちゃんとしたセックスじゃないとかえって、殻に閉じ籠もるだけになっちゃいますから</p><p>オレは雪乃を思い出す</p><p>誰としているのかちゃんと見ることができなければ、セックスだって人間の身体を使ったマスターベーションになってしまいます相手にただ、自分の欲求をぶつけるだけじゃなくって自分の心を与えて、相手の心を受けとめることができなければ幸せなセックスにはなりません</p><p>関さんは、前方を見ている</p><p>わたくしね、前から思っていたんだけれどあなた、本当にあの子たちとセックスしたいと思っている</p><p>うんともしかしたらなんだけれど、あなたはしなくちゃいけないって思って、義務としてセックスしているんじゃないかって思ったのもし、そうなら</p><p>オレはセックスしたいと思った相手としか、今までセックスしてきていません確かに、今は、相手が増えちゃってセックスしたいって言われて、することの方が多いけれどでも、オレ、あの子たちにそうやって求められるの好きですから</p><p>はい、必要とされているていうの嬉しいしそういう風に迫られると、オレも興奮してあの</p><p>勃起しちゃいますし</p><p>関さんが赤面する</p><p>そ、そうそれならいいのよあなたが、心の中でセックスが重荷になっていたら、可哀想だなって思っていただけだから</p><p>いえ、大丈夫ですオレは</p><p>何か、とっても変ていうか普通じゃ無いことになっているのは、自分でもよく判っているんですけれどでも、黒い森は、関さんもご存じな様に売春組織がベースですから</p><p>だからセックスが全ての基盤になっているの</p><p>違います、そういうことではありません</p><p>うちの家族たちはセックスで、みんな酷い目に合っているから他人、それも男は全然信用しないでしょ</p><p>そうねあなただけが例外になっているわね</p><p>そういう人たちの集まりだから最初のセックスから、やり直さないといけないんですよ</p><p>セックスからやりなおす</p><p>はい、セックスがお互いに愛し合い、癒やし合うことだっていのをもう一度、最初っからやり直さないと</p><p>セックスって回数じゃないし、どれだけ色んなバリエーションのセックスをしたかとかじゃないんですよちゃんと心の許せる相手と、リラックスして愛し合えるかなんだと思います</p><p>うん何となく、判ったわ黒い森の人たちが、あなたに何を求めているのかを</p><p>関さんは、呟く</p><p>いえ、あの子たちだけじゃありませんオレだって、あの子たちを必要としています</p><p>必要</p><p>家族ですからオレたち</p><p>でも、本当の血の繋がりは、オレたちには無いでしょうだから、セックスするんですみんなオレの子供を産んでくれるって約束してくれていますオレも一生懸命、育てますオレたち、これからずっと愛し合って１０年、２０年、３０年いや、一生掛けて、本当の家族になるんですそう、誓ったんです</p><p>瑠璃子にも誓わせますどんな手を使っても、オレはあいつを家族にします</p><p>どんな卑怯な方法を使っても</p><p>あいつもオレの女本当の家族にする</p><p>今は全部で、何人いるんだっけあなたの女は</p><p>克子姉と、渚と、寧と、みすずと、美智と、メグと、マナで７人です</p><p>それにアニエスと瑠璃子が加わる予定だ</p><p>藤宮さんは</p><p>麗華は今、迷っています</p><p>そんなに好きじゃないのあなた</p><p>いえ、迷っているのは麗華の方です本当に、オレたちと家族になってもいいのか</p><p>ああ、あの人一昨日のホテルの中では、その場のノリで決めちゃったものね</p><p>はい麗華自身が、自分で心を決めるまではオレは、動かないです</p><p>どうして瑠璃子様には、随分、積極的じゃない</p><p>瑠璃子はもう、帰る場所がありませんからオレが、捕まえますでも、麗華はオレたちのところでなくても、生きていけるかもしれないですし</p><p>そうかしらあの人には、あなたみたいな人が必要だと思うわ</p><p>ま藤宮さんのことなんて、わたくしはどうでもいいんだけれど</p><p>ねえあの雪乃って女の子はあの子は、どうしたの</p><p>あいつはもういません家に帰らせましたもう二度と会うことは無いと思います</p><p>はいあいつとだけは、結局、どうしても理解し合えませんでしたあいつは最後まで、オレをちゃんと見てくれなかったと思います</p><p>見てなかった</p><p>あいつはオレのチンコしか見てなかったですそう思います</p><p>一人の人間としては判ってくれようとはしなかった</p><p>雪乃は最初から最後まで、オレを馬鹿にしていたいえ、オレだけじゃなくって、メグやマナやオレの家族全員をそういう女なんだって、判ったらあいつとは、解り合うのは無理なんだなってオレ、笑っちゃいましたよいるんですね、世の中には絶対に、解り合えない人ってあんなに何度もセックスしたのに</p><p>雪乃のことを思うと、心の中に暗くなる</p><p>そう切り捨てたんだ、あの子は</p><p>良かったじゃないうん、あんな子とは別れられた方が、あなたにとって正解だと思うわ</p><p>関さんの声は、妙に明るかった</p><p>そうよあたしの眼から見ても、あんまり良い子じゃなかったもの</p><p>女性からの雪乃の評価はいつも低い</p><p>あのさあ</p><p>あなたまだ何人か、女の子を抱え込む余裕はある</p><p>まあ、実際にアニエスと瑠璃子は抱え込むんだし</p><p>はい、大丈夫です</p><p>そう、判ったわ</p><p>嬉しそうに、関さんは言った</p><p>一人予約しておいて</p><p>ちょっと寂しがりやのお姉さんが１人いるのよ予約しておいて、そんなに長くは待たせないから</p><p>誰のことを、言っているんだろう</p><p>あなたと二人きりで話せて、本当に良かったわ</p><p>本当に、あなたって真面目で、一生懸命で、優しくて</p><p>ルームミラーの中の眼が、オレに微笑む</p><p>そして可愛いわ</p><p>土曜日なのに朝から、父が具合が悪いと</p><p>動脈瘤の手術をした辺りを抑えているので、心配となり</p><p>氷雨の中、病院へ付き添う</p><p>が病院まで着くと、ケロリとしている</p><p>どうも、普通に胃腸の具合が悪かっただけらしい</p><p>帰りのバスの中で</p><p>おい、明日の午前中に新しくなった東京駅の写真を撮りに行きたいから、付き合ってくれ</p><p>年賀状に使うんだ</p><p>まだ年賀状やっていなかったのか</p><p>元気なのか、元気じゃ無いのかよく判らない</p><p>392．はたらく関さん</p><p>見えてきたわあそこよ</p><p>オレたちを乗せた車が、火葬場に近付く</p><p>でかい煙突はない</p><p>最近は、煙が出ないような仕組みになっているのよ</p><p>お葬式の会場の方は、セレブ専用の大きな施設だったから、香月家で丸まる借り切ることができたけれど火葬場の方は、そうはいかないから当然、他のお家の方もお使いになるし</p><p>うん、火葬場の貸し切りは無理だな</p><p>それでも、施設の４分の１は借り切ったわそのラインで、香月セキュリティ・サービスの私服警備員を配置しているはずよ</p><p>私服</p><p>他の人たちも使っている公共施設だから勝手に、制服の警備員を配置するわけにはいかないでしょう</p><p>施設には常駐の警備員も居るんだろうし</p><p>別会社の制服着た警備員が敷地内をうろついていたら他の家の人が、混乱する</p><p>だからこの火葬場が、今日の警備の中では一番の問題箇所なの</p><p>私服の警備員で、香月家の借りている場所だけ完全に封鎖するのは難しいものね他の家の人が、封鎖区域内に入り込もうとしてもあたしたちには食い止める権限は無いでしょ向こうのトイレをどうしても使いたいって言われたら、どうしようもないもの</p><p>なるほどいかつい制服姿での威圧はできないし</p><p>公共施設の中である以上、利用者の１人である香月家が、他の利用者に強制することは許されない</p><p>廊下部分までが共有スペースだからね本当なら、借りているお部屋の前だけで警護するしかないんだけれどでも、それじゃあ襲撃を受けた時には、間に合わないでしょ</p><p>襲撃</p><p>爆弾テロとか重火器で武装してくるとかこっちは、他の利用者の荷物検査なんてできないんだから閣下の居る部屋の前まで侵入されたら、防ぎようがないわ</p><p>じゃあどうするんです</p><p>一応、敷地と館内には、爆発物探知機を担いだ私服警備員に歩き回らせているわトイレなんかも、誰かが使った度にチェックね大きな荷物を持っている人は、老若男女構わず、マンツーマンで追うし地道にやっていくしかないのよこういうところの要人警護は</p><p>まあねもうちょっと、時間的に余裕があれば、色々対策を講じるんだけれど今回は、亡くなってすぐにお葬式だから事前準備は何もできていないわ</p><p>一昨日というか、昨日の未明に、瑠璃子の父親が死ぬことは誰も予想していなかったわけだし</p><p>ジッちゃんと、谷沢チーフを除いては</p><p>でも、香月セキュリティ・サービスが要人警護の会社だからこういうケースは、そんなに珍しいことでもないのよ仕切りが新任警備部長だっていうことだけが心配だけれど</p><p>浅見さんの力は、未知数だもんな</p><p>車が、斎場の駐車場に入る</p><p>さっきの葬祭場と違って、警備員の居るチェック・ゲートは無い</p><p>その代わり、黒い服の男たちが何人もたむろしている</p><p>肩に大きな機械を担いでいるのが爆発物探知班か</p><p>ってことはオレ、こんな格好していていいんですか</p><p>オレは今衿が黄色の、香月セキュリティ・サービスの制服を着ている</p><p>トップ・エリートのアシスタント用の服だって言うけれど</p><p>ああ、大丈夫よあなたが着ているんだもの制帽を被るのを止めましょうね制帽無しなら、一般の人たちはただのコスプレにしか見えないわよ</p><p>関さんは笑った</p><p>コスプレは言い過ぎだけれどあなた自身は、どう見ても普通の高校生なんだから、ちょっと変わった学校の制服だなぐらいにしか、廻りの人は思わないでしょうし</p><p>そそうだろうか</p><p>そのアシスタント用の制服は、階級章とか部隊章が付いてないから、特にね</p><p>確かに、飾りが無い分警備員の制服らしさは半減しているけれど</p><p>でも、衿が黄色だしなあ</p><p>最近は、突飛な制服の高校も多いから、平気よ</p><p>関さんは、平然とそう言う</p><p>むしろ、その制服はここに居る香月セキュリティ・サービスの人たちに、あなたのことを認識させるためのものだから堂々としていてあ、そうだ</p><p>関さんは、車のダッシュボードから、太い黒縁の眼鏡を取り出す</p><p>これ掛けてて少しは、理知的に見えるでしょうから</p><p>ついでに、オレの髪の毛を七三に分けた</p><p>オッケー、行きましょう</p><p>オレたちは、車から降りる</p><p>早速、体格の良い黒服の男がやって来る</p><p>ご苦労様先乗りで来たわ</p><p>香月セキュリティ・サービスの中では、誰もが顔を知っている関さんだ</p><p>ここまでは、問題無い</p><p>了解です警備部・場外担当西３班のリーダーの関口ですそちらは</p><p>案の定男は、オレを見て怪訝な顔をする</p><p>それは、あなたが気にすることでは無いと思うわよ</p><p>し、失礼致しました</p><p>トップ・エリートの権限は、一般の警備員よりも遥かに高いらしい</p><p>香月セキュリティ・サービスの制服を着せて連れ歩いているということだけで関さんは、オレの存在を現場の警備員たちに認めさせる</p><p>閣下の移動は順調何分後の到着になるかしら</p><p>葬祭場の出発が、２５分遅れだそうです</p><p>あら随分、掛かったのね</p><p>車列の形成に、予想よりも時間が掛かったそうです</p><p>そうしょうがないわ浅見さん、初仕事だし</p><p>ああいう場所で、閣下やみすず様たちをお車に乗せる時は特に注意しなくてはいけないのよこれまであった要人の暗殺事件でも、車の乗り降りの瞬間を狙ったケースはとても多いから覚えておいてね</p><p>まるで講義するように、オレに語る関さん</p><p>それで関口警備員にオレを、トップ・エリート候補生か何かと思わせる作戦らしい</p><p>車列もね閣下のお車を守る様に組まないといけないし巧い人なら、最初から車列が組みやすいように、初めから護衛車を配置しておくんだけれどさっき見た感じでは、浅見さんは指示していなかったみたいね後で、谷沢チーフから大目玉を食らうことになると思うわ</p><p>関さんは、関口警備員に振り向く</p><p>２５分のロスはちょっとマズイわよね</p><p>はいこれで、ここまでの道が混んでいたりして、さらにタイム・ロスになると厄介ですね</p><p>大丈夫よ連休中だからここまで来る道は、スムーズだったわ予定ルートを走ってきたけれど、何も問題は無かったし</p><p>オレと会話しながら運転していたのに</p><p>関さんは、この後、ジッちゃんたちが走って来るルートをチェックしていたんだ</p><p>もっとも、ここがまた浅見さんのチェック・ポイントになるのよ出発時間が２５分遅れたのを取り戻そうと車列のスピードを速めたりしなければいいけれど</p><p>関さんは、またオレを見る</p><p>他の名家の警護をする時は別だけれど閣下の警護の場合は、時間厳守よりも、安全重視よ２５分遅れで出発したのなら、２５分遅れで到着しないといけないわ交通事情で遅くなるのは、仕方無いけれど早く着くのは、減点対象よ</p><p>こうやって、あなたたちみたいに先乗りしている人たちにも失礼ですものね到着時間が、明瞭じゃないのは</p><p>ニコッと関口警備員に微笑む関さん</p><p>はいその通りであります</p><p>警備員は、関さんの微笑に舞い上がる</p><p>無線で、わたくしの到着を伝えて施設内の警備責任者は、石井くん</p><p>はい、石井課長です</p><p>判ったわ、ありがとう</p><p>関さんは、施設の入り口へ向かう</p><p>オレも追う</p><p>ガラス張りの自動ドアを潜って中へ</p><p>ああ、ここにも大きな機械を持った、体格の良い男たちが</p><p>みんな、一応黒スーツに黒ネクタイだけれど</p><p>制服を着ていなくてもみんな体格と髪型がおんなじなんだよな</p><p>ご苦労様です関さん</p><p>スッと黒服の１人が、近付いて来る</p><p>そんな顔しないで、監察じゃないわあなたのボーナスの査定とかには、影響しないわよ今日のあたしは、あくまでも先乗りだから</p><p>関さんは、そう言って苦笑する</p><p>石井くんのことだから、警備態勢の方は信頼するわ自分でアレンジした</p><p>はい、多少は</p><p>新しい上司の配置計画はやっぱり、ダメ</p><p>ダメじゃないですけれど現場を知らない人の計画ですよねしかも、カチッカチに固めすぎているから予備人員とか、全然考慮していないんですよ</p><p>そうね、ちょっと頭でっかちよねあたしも計画プランを見て、そう思ったわねえ、石井くん</p><p>あなたが現場でアレンジしたこともし、浅見さんがグチグチ言うようなら、あたしが許可したってことにしていいわよ</p><p>関さん、それは</p><p>いいのよそのための先乗りなんだから浅見さん、あたしが現場の声を聞いて変更承認したってことなら、文句は言えないから</p><p>済みません助かります</p><p>関さんは、ジッちゃんの専任警護人だ</p><p>専任警護員が、ジッちゃんの安全を確保するために、事前のプランから変更した方が良いと承認したのなら警備部長の浅見さんでも、覆すことはできない</p><p>先乗りが、関さんで良かったです</p><p>どうして大徳さんだって、張本さんだって、話の判る人よ</p><p>いえ、あのお二人はその</p><p>うちの若い部員にその</p><p>二人とも若い男の子好きなんだっけ</p><p>見栄えの良い青年をご自分の近くに配置し直したりなさいますから</p><p>ああ、判ったわその件は、谷沢さんに相談しておきます</p><p>助かります</p><p>ほんとお二人とも、基本的には、良い人たちなんだけれど</p><p>ええ、別に実害は無いんですけれどただ、とにかく若いやつらに不評で</p><p>セクハラになるんだろうかこういうのも</p><p>それじゃあ、わたくしたちは閣下とみすず様たちの控え室の方を下見します担当責任者は、誰</p><p>小石川です</p><p>ああ、あの子判ったわありがとう</p><p>オレたちは施設の奥へと進む</p><p>今の石井くん、あなたのことはあたしに何も聞かなかったでしょ</p><p>関さんが、オレに囁く</p><p>出世する子は、ちゃんと判っているのよだから、余計なことは言わないの</p><p>頭の悪い人ほど、お喋りだからね口を開くのが多ければ、余計なことを言ってしまう危険も高まるわだから、言葉は極力少なく</p><p>そこまで言って、関さんはオレを見る</p><p>あなたは、そんなことはもう判っているわね</p><p>あなた無駄なお喋りはしないもの人の話を聞くのが、上手だし</p><p>そ、そうかな</p><p>だから、ついつい、わたくし喋ってしまうんだわ参ったわ</p><p>関さんは、スッと眼を伏せる</p><p>あなたのそういうところ好きよ</p><p>スタスタと、早足になる</p><p>ああ、あそこのラインから向こうが一応、香月家で借りているエリアなのね</p><p>なるほど、廊下の前に黒服の男たちが集まっている</p><p>ご苦労様先乗りよ控え室担当の警備員は、全員集合して小石川さんは、どこにいるの</p><p>はい、今参ります</p><p>控え室の一つから、黒スーツの女性が飛び出して来る</p><p>ここの警備担当責任者は、この女性らしい</p><p>関さんの廻りに、１０人ほどの黒服警備員が集まる</p><p>この人たちが、控え室を守る担当者なんだ</p><p>でどういう感じになっているの</p><p>はい、建物のこちらのブロックの控え室、七室を全て借りています閣下には第五控え室を、みすず様・瑠璃子様には第六控え室を香月家の皆様には、第二控え室をご用意してあります</p><p>部屋を変更するわ閣下を第二、みすず様・瑠璃子様を第三、香月家は第七にしなさい</p><p>何が問題</p><p>関さんは、ニッと笑う</p><p>もう、時間がありません</p><p>何言ってるの２０分はあるじゃない</p><p>それに浅見部長のプランを変更することになりますし</p><p>小石川警備員は、そう言う</p><p>あのさ浅見さんのプランが提出されたのは、いつ</p><p>関さんは尋ねる</p><p>今朝の８時です警備本部で配布されました</p><p>そうよねということは、この計画書はもう外に流出していると考えた方がいいわよね</p><p>ハッとする、小石川さん</p><p>だから、このタイミングで変更するのよ浅見さんと谷沢チーフには、こちらに到着した後の事後報告で構いませんこれでもし、閣下やみすず様のいらっしゃるお部屋を特定して襲撃する輩が現れたら、犯人はここに居る人間と繋がっているってことになるわよ</p><p>部屋の変更を知っているのは今、この場に居る１０人の担当警備員だけだ</p><p>でも、浅見部長から何があっても、プランを変更するなと指示されています</p><p>小石川さんが、そう言う</p><p>だから、変更するんじゃない</p><p>みんな浅見さんの計画は、絶対厳守だって言われているんでしょそのことは当然閣下を襲撃しようとしている相手にも伝わるわよ敵に、確実な情報を与えてどうするのよ</p><p>うん、前もって、絶対そこに居ると判っているのなら</p><p>襲撃者の方は、楽になる</p><p>ね、もし今日の仕切りが、浅見さんじゃなくって、谷沢チーフだったらって考えてご覧なさい</p><p>谷沢さんならこんなガチガチな計画を作る</p><p>いえ多分、大枠だけで細かいことは、現場で直接指示なさると思います</p><p>小石川さんは、答えた</p><p>谷沢さんのそういうやり方が現場が大変になるからって、あなたたちに好かれていないことは知っているわでも、あたしたちは要人警護の専門家なんですから、手間を惜しんではいけないわよ</p><p>並んでいる警備員たちの顔を１人１人見ていく関さん</p><p>責任は、全てわたくしが取ります大変だと思うけれど、今から変更してちょうだい</p><p>小石川さんは</p><p>そして、彼女は部下たちに告げる</p><p>部屋の変更は、関さんのおっしゃった通りに室内担当者は、もう一度、全ての部屋に爆発物、盗聴器、カメラなどが設置されていないか、もう一度確認して下さい外回りの人は、狙撃される可能性のあるポイントの確認を</p><p>あ、外の人は部屋の変更がバレないように、元の予定の部屋の方のチェックに時間を掛けるのよでも、本物の部屋のチェックも怠りなく警備員に一番大切なのは、演技力だからね</p><p>小石川さんみすず様・瑠璃子様のお部屋の最終確認は、わたくしがやるから</p><p>今日は、瑠璃子様がナーバスになっていらっしゃるのこちらにも告別式の映像は、届いていると思うけれど</p><p>とても、お嘆きでいらっしゃいましたね</p><p>閣下も気になされているから今日は、わたくしが瑠璃子様の方に付きます閣下のお部屋には、小石川さんが付いて専任警護人の化け物みたいなオジサンが２人付いてくるから男の子たちは、敬遠したいでしょ</p><p>大徳さん、張本さんが居るから室内の警護は問題無い</p><p>むしろ、大徳さんたちによる被害を減らすために女性の小石川さんを表に立たせたい</p><p>た、助かります</p><p>若い男の警備員から、声が上がる</p><p>じゃそういうことでお願いねあ、この班でインカム余っていたら、一つ貸してくれないかしら</p><p>インカム</p><p>はい、これをどうぞ</p><p>警備員の１人が、関さんに四角いラジオみたいな機械を手渡す</p><p>イヤホンと、マイクの付いた</p><p>無線機か</p><p>ありがとうみんな判っていると思うけれど、今日の作戦は浅見新部長の査定を兼ねているから浅見さんが到着したら、わたくしからは直接、あなたたちに指示することはないわただ、情報だけわたくしにも送ってくれるかしら</p><p>了解しました</p><p>小石川警備員が、そう返事をした</p><p>関さんとみすずや瑠璃子が来る予定の第三控え室に入る</p><p>ちょっと待っててねすぐチェックするから</p><p>関さんは、小型の機械を取り出す</p><p>これは、盗聴器の電波なんかをチェックする機械よ</p><p>控え室の壁廻りを、ゆっくりと歩いて行く</p><p>録音機だけ置いておいて、後で回収するっていう手もあるからゴミ箱の中とか、押し入れの裏なんかも見るわ</p><p>開く場所は、どんどん開けて中を覗いていく、関さん</p><p>隣の部屋から壁越しに盗聴する可能性もあるから１部屋、無人の部屋を作ってあるのそれは定番なんだけれど浅見さん、どこまでも教科書通りだから閣下とみすず様・瑠璃子様の部屋は隣同士でいいわけじゃない警備的にもねそういうことが気付かない人みたいね</p><p>関さん凄いんですね何か、ホテルの時と全然違います</p><p>オレは、すっかり感心していた</p><p>それはだって、わたくしの専門は、こっちだものヨーロッパで、テロ対策の専門教育を受けていたことは話したわよね</p><p>そりゃあ、この間のホテルみたいな実戦だっていつでも、こなせるように訓練はしているけれどああいう立ち回りは、本来、藤宮さんの担当よ</p><p>うん、麗華は戦闘特化の人だから</p><p>あたしは、トップ・エリートの中でも閣下の専任警護人だから警備計画の立案や、現場指揮もするわよ閣下の行かれる場所には、全部付いていくんだから他の企業や名家の警護人との交渉もするし外国に行かれる場合は、そこの警察関係者とも協力して貰わないといけないから総合力が必要なのよ</p><p>関さんは、微笑む</p><p>まあ何でも屋ようん、OK</p><p>関さんは、室内のチェックを完了する</p><p>関さんのインカムが、ビーッと鳴る</p><p>正面入り口に閣下が到着致しました</p><p>オレにも聞こえるように、外部スピーカー・モードにしてくれたらしい</p><p>関さんが、時計を見る</p><p>２５分遅れで出発して２０分遅れで到着浅見麻美、その程度の女か</p><p>あなたは、ここに居て小石川さんには、伝えておくから</p><p>わたくしは一応、閣下と谷沢チーフに顔を見せておかないとあなたと一緒じゃないところを見せておけばわたくしが、あなたを連れてきていることには２人とも気付かないままにしておけるわ</p><p>他の警備員たちが谷沢さんと接触する前に親しく話している様子を、みんなに見せておくわけそうすれば、誰もわたくしと一緒に居たあなたのことを谷沢チーフに報告しないわ谷沢チーフは知っているものだと、思い込むでしょうから</p><p>す、すごい</p><p>そうね２０分ぐらいは、１人で待っていて閣下たちは、先に焼き場の方へ行かれるはずだから最後のお別れをしてお棺を炉に入れてそれから、この控え室にいらっしゃるはずよ</p><p>ここで待っていればみすずも、瑠璃子も、美智も、やって来る</p><p>じゃあ、１人でゆっくりしていて</p><p>関さんは、１人で部屋から出て行こうとする</p><p>あの関さん</p><p>色々とありがとうございます</p><p>オレは、頭を下げる</p><p>いいのよ、気にしないで</p><p>関さんは笑顔で退出して行く</p><p>一人きりの控え室</p><p>オレは、靴を脱いで畳の上に上がる</p><p>ゴロンと寝転がる</p><p>一人っきりってしばらくぶりな気がする</p><p>少し休もう</p><p>ここのところずっと気を張っていたから</p><p>ちょっと、くたびれている</p><p>オレは軽く眼を閉じる</p><p>そのまま、少し休憩するだけのつもりだった</p><p>なのに、オレは</p><p>スーッと眠ってしまって</p><p>ドアの開く音で、ハッと眼を覚ます</p><p>みすず、美智、瑠璃子が立っていた</p><p>オレは、香月セキュリティ・サービスの制服だし</p><p>ダテ眼鏡をしているし</p><p>髪の毛は七三だし</p><p>旦那様、どうしてここに</p><p>みすずは、すぐにオレが判ったらしい</p><p>いや、あの先回りして、お前たちを待っていた</p><p>嬉しいです</p><p>旦那様が、待っていて下さるなんて</p><p>急いで、草履を脱いで畳の上へ</p><p>一方、瑠璃子は</p><p>どーんと暗い顔をしている</p><p>一気に、絶望のどん底に突き落とされたような</p><p>お上がり下さいませ</p><p>そんな瑠璃子を、美智が強制的に部屋に上げる</p><p>旦那様今、お茶を煎れますねぇっ</p><p>和服のみすずが、パタパタと働く</p><p>瑠璃子を部屋の奥へ座らせてから</p><p>美智が、オレの方にやって来る</p><p>もの凄く、真剣な顔をして</p><p>美智何も問題はないな</p><p>それが現在進行形で、とても大きな問題が発生しております</p><p>な、なんだって</p><p>サプライズです、サプライズが起きてしまいましたのでわたくし</p><p>サプライズ</p><p>ここに来るまでの間に、何があったんだ</p><p>それにしては、みすずはルンルンした顔で、お茶を煎れているが</p><p>不覚ですまさか、ご主人様が、このお部屋にいらっしゃるとは思いませんでしたので</p><p>ご主人様のお姿を確認した瞬間わたくし、漏らしてしまいました</p><p>美智、美智さん</p><p>いえ、お小水の方ではございません</p><p>わたくしの秘裂からドッと泉が湧き出しております</p><p>美智発情しているのか</p><p>♫はたらく関さん、はたらく関さん、こ～んにちわっ♫</p><p>知っている人は、もうオジさんです</p><p>エヌエチケー教育</p><p>昔、お仕事した劇団の俳優さんが、やっぱりNHK教育の学習番組に出ていらして</p><p>夏の放送界で暑い日に、浴衣でダラッと寝ているところに、ヌイグルミのキャラがやって来て</p><p>お兄さん、お兄さん</p><p>どうしたんだい＊＊くん</p><p>という、ありがちな始まり方をする回があったそうなのですが</p><p>その時、お兄さんは浴衣から、片方の金玉がはみ出ていたらしく</p><p>女の先生から、NHKにお兄さんがハミ金していましたという抗議の手紙が届いたそうです</p><p>だからオレ多分、NHK教育で金玉を晒した、唯一の男なんだと思う</p><p>と、そんなことを自慢していらっしゃいました</p><p>今朝は、父のリクエスト通り東京駅の写真を撮るのに、付き添ってきました</p><p>寒かったです</p><p>天皇誕生日なので東京駅前は、皇居帰りの日の丸の旗を持った人手混雑していました</p><p>黒い街宣車も、いっぱいいました</p><p>私は、風邪を引いて帰って来ただけです</p><p>393．ラウンド２</p><p>美智はしたないわよ</p><p>みすずが、オレの前に湯飲みを置く</p><p>はい、どうぞ旦那様</p><p>オレは、みすずの煎れてくれたお茶を飲む</p><p>みすずが、オレの顔を覗き込む</p><p>いや、お茶は美味しいよ、全然問題無いそうじゃなくって</p><p>オレは、壁際に立ったままの瑠璃子を指差す</p><p>瑠璃子が驚いた顔をしたから</p><p>うん、みすずがオレにお茶を煎れてくれたことに</p><p>ああ、それは</p><p>みすずが、瑠璃子を見る</p><p>瑠璃子の基準ではこういう仕事は、美智がやるものだと思っているんですよ</p><p>瑠璃子の基準</p><p>あたしがお茶を煎れてそれを美智が、自分がやりますとか、あたしに気遣いしないで、そのままにしたことにビックリしているんですよ</p><p>みすず様が、なさりたくてなさっていることですから</p><p>美智が、答える</p><p>しかしみすず様は、香月家の娘ですその様なことは、臣下にさせるのが筋ですわ</p><p>不機嫌そうに、瑠璃子は小声で言った</p><p>みすずお姉様と呼ぶのも、止めてしまっている</p><p>やはり、葬祭場からずっと責められ続けていることに、不満らしい</p><p>ほんと人の情の判らない子ね</p><p>みすずは、呆れた様に呟いた</p><p>とにかく、お茶でも飲みましょう美智、あなたのも煎れてあげるわ</p><p>ありがとうございます謹んで、いただかせていただきます</p><p>美智は主人からのお茶を、恭しく受け取る</p><p>瑠璃子も飲む</p><p>結構です</p><p>瑠璃子は、相変わらず立ったまま座ろうとしない</p><p>一応、言っておくけれど関さんは、オレの味方だから外の、香月セキュリティ・サービスの警備員は全て関さんが抑えているこの部屋から逃げだそうとしても、無駄だよ</p><p>オレはそう言ってみる</p><p>逃げたりは致しませんこんな状態で逃げても、わたくしには行く場所がございませんから</p><p>今の瑠璃子は一銭も持っていない</p><p>ジッちゃんの保護は、受けられない</p><p>廻りは、香月セキュリティ・サービスの人員に固められている</p><p>その上ノーパンだ</p><p>だったら、取りあえず座ったらどうだ</p><p>オレが、そう言うと瑠璃子は</p><p>いいえこのままで結構です</p><p>お尻が腫れていて、痛いんですわ</p><p>告別式の最中も、移動の車内もずっと、辛そうにしていましたから香月家の娘として、公式な場でお尻を浮かせて、貧乏揺すりとかはできませんから</p><p>ノーパンの裸のお尻のままどっしりと、椅子に座って居続けなければならない</p><p>そうか、それは大変だったな</p><p>オレは、瑠璃子に言う</p><p>どんな具合か、ちょっとスカートを捲って見せてみてくれ</p><p>瑠璃子、早くなさい</p><p>みすずの声に、美智がスッと瑠璃子に近付く</p><p>あなた一々、美智にお尻を叩かれないと、何もできないの</p><p>さすがに、もう叩かれるのは嫌なのだろう</p><p>瑠璃子は、オレたちに背を向け</p><p>スカートを持ち上げる</p><p>この様になっておりますわ</p><p>ヤケクソになった口調で裸のお尻を突き出す</p><p>オレは、思わず声を漏らす</p><p>瑠璃子の尻は、真っ赤に腫れ上がっている</p><p>これは痛そうだ</p><p>さて、旦那様これから、どうなさいますこちらの控え室には、1時間３０分から２時間程度、待機してなければならないそうですが</p><p>それは瑠璃子の父親の遺体が、骨になるまでの時間</p><p>また、わたくしに酷いことをなさって、楽しまれるおつもりなんですね</p><p>お尻を捲り上げたまま瑠璃子が、暗い声で言った</p><p>何でやらないよ、そんなこと</p><p>瑠璃子が、オレに振り向く</p><p>何回も言っているけれど瑠璃子は、勘違いをしているよ</p><p>オレは座ったまま、瑠璃子を見上げて告げる</p><p>オレは、瑠璃子に酷いことをする気は無いし瑠璃子をいじめたって、全然楽しくないんだ</p><p>抗議する瑠璃子にみすずは</p><p>旦那様が、あなたのお尻を叩いたのはあなたが身の程知らずで、分別の無い娘だったからですあたしの旦那様は、あなたのお尻を叩いて喜ばれる様な、ヘンタイではありません</p><p>わたくしに男の方の肉体の一部を舐めさせ、白い液体を浴びせられたではありませんか</p><p>嫌だったのか</p><p>オレは、突っぱねる</p><p>嫌ですあんな生臭いモノあんなものを、舐めるのはもう嫌ですその上わたくしの顔に、あんな気持ちの悪いモノをかけるなんて</p><p>瑠璃子は、性行為についてきちんとは理解していない</p><p>ただ、舐めさせられたペニスや、浴びせられた精液に生理的な嫌悪感を感じたようだ</p><p>あんなことをこれからも、しなくてはならないなんて</p><p>自分の運命を嘆く瑠璃子</p><p>そうかじゃあ、もうしなくていいや</p><p>オレは、軽く言い放った</p><p>だから、いいって嫌がる女の子に、無理矢理する気はないよメンドくさいし</p><p>みすず、美智が先でいいか</p><p>はい、旦那様あたしもその方が良いと思いますわ</p><p>さすがみすずは、判っている</p><p>第１ラウンドは痛みと恐怖を与えた上で、絶頂を経験させた</p><p>そして、オレに屈服するしかない現実を理解させた</p><p>それに対し、瑠璃子は告別式と、ここまでの移動の時間の間に</p><p>オレを受け入れるか、拒絶するかの葛藤に苦しんだはずだ</p><p>もちろん、恐怖と痛み怯えもある</p><p>また、女性器をオレに舐められて達したエクスタシーもはっきりと、瑠璃子の記憶と肉体に刻まれている</p><p>その上で、瑠璃子は瑠璃子なりに現状を変えるためにどう行動するか、必死に考えた似違いない</p><p>例えばジッちゃんが急に考えを変えて、瑠璃子を救済するように仕向ける方法や</p><p>オレとみすずたちを分離すればどうにか、オレだけなら事態を自分の有利な方にコントロールすることができるんじゃないかとか</p><p>香月セキュリティ・サービスを利用して、自分を保護させる方法とか</p><p>とにかく色んな可能性を、考えたはずだ</p><p>瑠璃子の発想の斜め上に、飛ぶ</p><p>瑠璃子は、もういいやこんな、自分勝手な女の子だとは思わなかったよもう、相手をするのも面倒くさいや</p><p>瑠璃子が、大きく眼を見開く</p><p>わたくしを解放して下さるのですか</p><p>解放何のことだ</p><p>オレは、わざと不機嫌に答える</p><p>お前は、最初っから自由じゃないかだから、もっと自由にしてやるよ、みすず</p><p>瑠璃子は裸で放り出す本当に、文字通り素っ裸で場所は、そうだなあ南の島とかにしようか</p><p>香月家の所有している無人島がございますわ</p><p>じゃあ、そこに放り出そう瑠璃子、１人で頑張って生きてくれよな</p><p>瑠璃子は真っ青になる</p><p>そんな死んでしまいますっ</p><p>人間が居るところの方がいいのかじゃあ、どっかの繁華街に放り出すよまあ、頑張れば一週間で東京まで歩いて帰って来られるくらいの場所にしてやるよ</p><p>瑠璃子想像しているな</p><p>みすず瑠璃子は、自分で切符を買って、電車に乗ったことはあるのか</p><p>無いと思います</p><p>地図を見て自分の居場所を理解して、家まで帰ることは</p><p>できないと思いますそれどころか</p><p>瑠璃子は自分でお店に入って、食べ物を買うことさえできないと思います</p><p>瑠璃子、あなたも知っていると思うけれど世の中には、恐ろしい悪人がいっぱいいるのよ瑠璃子が街中で１人で怯えながら、うろうろしていたらあっという間に誘拐されて、殺されてしまうでしょうねそれは、もちろん香月家の恥辱となるわ</p><p>あなた、自分が何もできない人間だっていうことをきちんと理解なさい</p><p>そして、くふっと笑う</p><p>そう言うあたしもあなたと変わらないけれどだから、お祖父様はあたしを渚様に託されたし渚様は、旦那様に今なら、よく判るわ自分がどんなに世間知らずのお姫様だったかあの頃のことを思い出すと、恥ずかしくて、顔から火が出てしまいそうよ</p><p>それから、みすずは瑠璃子を見る</p><p>これまでのあたしたちはお祖父様の庇護下にいただけですお祖父様が、あたしたちをお守り下されていたのであってあたしたち自身には、何の力もありません</p><p>それは、判っております感謝致しております</p><p>瑠璃子は、そう主張するが</p><p>いいえ、判っていないわお祖父様はご自分が亡くなった後の、あたしたちの行く末を案じていられるのよ今</p><p>みすずの真剣な眼に瑠璃子は戸惑う</p><p>瑠璃子もし、今すぐに、お祖父様が亡くなられたとしたら、あたしたちはどうなると思う</p><p>それはおそらく、香月家の分家の方たちと司馬さんの政争の道具となります双方の力関係の中で、政略結婚の道具になるでしょう</p><p>瑠璃子の政治的な頭脳がそう、判断する</p><p>うん、一昨日のホテルで香月家と新興グループの対立は、取りあえず落ち着きそうな雰囲気になったけれど</p><p>それは、あくまでもジッちゃんが健在だからだ</p><p>司馬さんにトップの座を譲ると決まったけれど司馬さんが、本当にグループ全体を掌握するまでには時間が掛かるだろう</p><p>今、突然ジッちゃんが急死したとしたら</p><p>何もかもがご破算になって香月グループ内は、内戦になる</p><p>そうなったら瑠璃子は、どうするの</p><p>政争を勝ち抜かれた方のご意志に従って黙って従いますそれが香月家の娘の義務ですし少なくとも、わたくしを迎える嫁ぎ先は、わたくしに相応しい生活を保証してくれると思いますので</p><p>それ本心から、そう言っているわけではないわよね</p><p>もちろん、お祖父様には長生きをしていただいて、香月グループにとって最善の道をお示しいただきたいと願っています</p><p>みすずは瑠璃子を笑った</p><p>残念だけれど、もし、お祖父様にご不幸があったとしてもあたしは、瑠璃子の様にはならないわあたしには、もう旦那様がいるから</p><p>瑠璃子はギロっとみすずを睨む</p><p>確かに、お祖父様はみすず様のと黒森様の仲をお許しになられましたがお祖父様がいらっしゃなくなれば、みすず様だって香月グループ内の争いに</p><p>巻き込まれないわもっと言うと、あなたの言う様な政争も起こらないから</p><p>きっぱりと、みすずは言う</p><p>あたしの家族がそんなことはさせないわ</p><p>黒森家に、そんな力があるとは思えません</p><p>瑠璃子は言い返す</p><p>黒森家だけではないわ香月セキュリティ・サービスは、谷沢チーフはお祖父様のご意志を守るために動いて下さるでしょう黒森家の家族と香月セキュリティ・サービスが組めば香月グループの中は、抑えきることができるわお祖父様は、そのことを理解していらっしゃるだから、ご自分もあたしたちの家族にご参加なさったのよ</p><p>家族になることでもし、ご自分が倒れられた時の香月グループというより、あたしたちの身の上ねそれを、黒森の皆様に託されたのよ</p><p>そうかそういうことだったんだ</p><p>だから、あたしはもう何が起こっても平気旦那様のお側で、一生幸せに暮らします</p><p>そういうことだから、お祖父様は、瑠璃子も旦那様に託された託すというより、売り払ったわあなたの所有権を香月家から黒森家に移されたのよこれであなたの安全も、黒森家が保証してくれるお祖父様の決断は、そういうことよ判るですから、お祖父様の気が変わられることは、絶対にありませんからね</p><p>瑠璃子は、絶句する</p><p>逆を言うとね瑠璃子が今みたいに旦那様に対して、反抗的な態度を取っているということはお祖父様の決定に対する反抗と同じですからねよく、考えなさいね</p><p>さてそろそろ、オレの番か</p><p>で、オレは瑠璃子を買い取ったけれど我が儘なだけの瑠璃子なら、要らないよ迷惑だし、面倒だしオレには、大切にしないといけない女がいっぱい居るんだから瑠璃子の相手だけ、しているわけにもいかないからな</p><p>瑠璃子の政治脳が必死で、計算している</p><p>現在の自分の状況を</p><p>瑠璃子は自分が香月家の直系の娘であるということをベースにして、全てを計算している</p><p>だからその前提を破壊する</p><p>前も言ったけれどオレは、香月家なんてどうでもいいんだ名家とか、血筋とか、会社とか全然、興味が無いしオレが、そういう人間だってことは、もう判っているだろ</p><p>瑠璃子が、ジッとオレの眼を見る</p><p>オレが、ジッちゃんから瑠璃子を買ったのは可愛い女の子だったからだでも、その女の子が、オレに対して可愛くない態度ばかり取るのなら捨てるよ道端で、野良猫みたいに生きて行けよ誰にも助けられずに、一人きりで</p><p>オレも、瑠璃子の眼を見てきっぱりと言う</p><p>本気だって、思わせないと</p><p>美智が、オレに抱きついて来る</p><p>わたくしはご主人様に可愛がっていただくためには、何でもしますずっとずっと可愛がって下さいませ</p><p>本当に可愛いなあ、美智は</p><p>お前とセックスがしたい</p><p>はいわたくしも、そう願っておりました</p><p>美智は、頬を赤らめる</p><p>はい、失礼致します</p><p>美智は、オレのズボンを脱がし</p><p>ペニスを、露出させる</p><p>ご奉仕致しますはむっ</p><p>小さな唇がオレの肉欲を頬張る</p><p>うふふ、美智は可愛いわね</p><p>みすずが、美智に優しく微笑む</p><p>瑠璃子は、美智と同い年なのにどうして、美智みたいに可愛くはなれないのかしら</p><p>さて、第２ラウンドだ</p><p>今度は、同じ１５歳中学３年生の美智を</p><p>瑠璃子に、自分と比較させる</p><p>今までの瑠璃子の思考なら香月家の自分と、護衛役の美智は別の世界の人間だ</p><p>比較対象ではない</p><p>その思考を、何としてもここで破壊する</p><p>美智いいぞ、気持ちいい</p><p>ご主人様ここもお舐め致しますね</p><p>ぺちょ、ぺちょつと美智は、子猫がミルクを飲むように、オレの亀頭を刺激する</p><p>フェラオしながら自分の股間をまさぐっている</p><p>自分で触っているのか、美智</p><p>はい、ご主人様がお求めになられたらいつでも、受け入れられるようにしております</p><p>それくらい、オレがするよお尻にこっちに向けろ</p><p>オレは、畳の上に寝転がる</p><p>美智と６９の体勢になる</p><p>美智もう、グッショリ濡れているな</p><p>愛液で、パンティの上から女性器の形が、はっきり判るほど透けている</p><p>わたくし通学用の純白の下着か、戦闘用の黒い下着しか持っておりません</p><p>うん、それで</p><p>ご主人様どんな下着をお好みですか</p><p>し、縞パンとかか</p><p>美智今度、旦那様と３人で買いに行きましょう実際に、履いて見ていただいた方がいいわ</p><p>みすずが、助け船を出してくれた</p><p>はいお願い致しますわたくし、もっとご主人様に悦んでいただける女になりたいんです</p><p>オレは、下着の上からクリトリスを刺激する</p><p>ああっそれ、いいですっ</p><p>美智の身体が、ビクッと跳ねる</p><p>瑠璃子あなたも一昨日の美智の初体験は、見ていたでしょほんの数日で、美智はこんなに献身的な女になったのよ</p><p>そうだ同い年の美智を、意識させるんだ</p><p>美智がセックスを楽しむ様子を見せてセックスに対する、恐怖感を和らげる</p><p>それが、第２ラウンドの目的だ</p><p>オレは、指を激しく動かす</p><p>あんっあああんっあんっ</p><p>ますます美智の下着が、湿り気を増す</p><p>ご主人様、ご主人様、お願いです</p><p>どうした、美智</p><p>もう欲しいです</p><p>熱い眼で、美智がオレを見る</p><p>ご主人様にお腹の中をいっぱいにしていただきたいんです</p><p>よし、やろう</p><p>オレは下半身だけ裸になる</p><p>美智も下だけ脱げ</p><p>美智は胸が無い</p><p>今は、瑠璃子に美智に対するコンプレックスを作るためにセックスしようとしている</p><p>これから、美智とのセックスの中で瑠璃子と比較するようなことを、たくさん言わないといけない</p><p>なのに逆に、美智がおっぱい量の不足のことで、瑠璃子に対してコンプレックスを抱いてしまったらマズい</p><p>だから胸は露出させない</p><p>オレ自身は美智のつるぺたの胸は、美智らしくて気に入っているんだけれど</p><p>はい脱ぎました</p><p>しかし、日本人形みたいに可愛らしい美智が</p><p>下半身だけ裸だというのも良いっ</p><p>小柄な身体の未成熟なお尻と太もも</p><p>股の内側は愛液が滴って濡れている</p><p>何か、すっげぇ興奮するぞ</p><p>あ、そうだみすず、ハンカチ持ってないか</p><p>はい、持ってますが</p><p>みすずが、白いハンカチを取り出す</p><p>それで、美智に猿轡を咬ましてくれ</p><p>ここ壁が薄いんだ美智の声だと、外に漏れるかもしれない</p><p>さっき関さんが盗聴器の探索をした時に見た</p><p>告別式の会場の控え室は、VIP用だからそれなりに壁が厚かったけれど</p><p>ここは普通の公共施設だ</p><p>オレは、お前たちに恥をかかせたくはないんだ</p><p>そのオレの発言に瑠璃子の表情が、変わる</p><p>はい、みすず様お願い致します</p><p>みすずが、美智の口にハンカチを咬ませる</p><p>美智、お前が上だ瑠璃子に、オレのモノがお前の中に入る様子を、しっかりと見せてやれ</p><p>美智は、コクッと頷く</p><p>瑠璃子の前で、座位で結合する</p><p>女性上位なら瑠璃子も、セックスに恐怖感を抱かないだろう</p><p>見て、瑠璃子美智は、あなたと同い年なのに旦那様のあんなに大きなモノを全部呑み込むのよ</p><p>オレは下から、美智の膣口に亀頭の先を当てる</p><p>美智そのままだ、腰を落とせ</p><p>ずりゅりゅりゅっ</p><p>狭い隘路に潜り込むッ</p><p>ほら、瑠璃子よりも小さな身体なのに</p><p>瑠璃子はジッと結合点を見下ろしている</p><p>美智、ゆっくりゆっくりだ</p><p>美智の中に奥に呑まれていく</p><p>んふぅっ</p><p>亀頭がぷにぷにしている子宮口にタッチする</p><p>どう旦那様の、気持ちいい</p><p>猿轡の美智がみすずに頷く</p><p>とっても、幸せな気分でしょ</p><p>んふっ</p><p>美智が、うんうん頷く</p><p>判るわあたしも、そうだから旦那様とセックスすると満たされた気持ちになるの</p><p>瑠璃子はオレたちを見下ろしている</p><p>くふっくふっ</p><p>美智が、腰を使い始める</p><p>美智とはもう何度かセックスしているけれど今日は、とっても積極的だ</p><p>ああ気持ちの良いところを探しているのね美智</p><p>美智は膣内の色んなポイントにオレの亀頭を擦り付ける</p><p>んんっんっ</p><p>美智が、切なそうな声を上げる</p><p>そうそこが良いのあたしも次に試してみるわ</p><p>んんっんんっんふっ</p><p>猿轡から漏れる声がまるでレイプしているみたいで、興奮する</p><p>実際は、上になっている美智が激しく腰を振っていてオレの方がレイプされているみたいなんだけれど</p><p>どう瑠璃子美智、気持ち良さそうでしょ本当に気持ちいいのよ、旦那様とのセックスは旦那様は、あたしたちをとっても優しく愛して下さるからあんっ</p><p>旦那様みすずも、濡れてきちゃいました</p><p>和服の裾から股に指を入れる、美智</p><p>んんっんんんっ</p><p>美智が何か言いたいらしい</p><p>座位で繋がったまま美智が、オレに振り向く</p><p>美智の顔を見ると</p><p>ああ顔を見合って、セックスしたいんだな</p><p>座位のままだと、互いの顔が見えないから</p><p>うんっうんっ</p><p>嬉しそうに、美智が頷いた</p><p>どうして、判るの</p><p>瑠璃子が、唖然として呟く</p><p>判るさ美智が何を思っているかぐらいは、眼を見れば判る</p><p>美智が、一旦、オレと離れる</p><p>じゃあ正常位でやろうオレが上になるよ</p><p>床に仰向けになに、大きく足を開く美智</p><p>その足の付け根に剛直を押し入れる</p><p>ぐふっ</p><p>１５歳の肉体は、何度入れても狭い</p><p>狭くてキッチキチでオレを包み込む</p><p>ううっううっううっ</p><p>だがオレを歓迎している</p><p>求めている</p><p>美智気持ちいいぞお前、最高だずっとずっと、抱いていたい</p><p>ぬっぐっうっふっ</p><p>オレは、ピストンを加速させる</p><p>美智は旦那様をあんなにご奉仕しているわ旦那様も、美智のことを本当に大切に愛しく思って下さっている見ていれば判るわよね、瑠璃子</p><p>美智にできることがどうして、瑠璃子にはできないの</p><p>そろそろ、スパートだ</p><p>美智が、うんと頷く</p><p>オレと美智は、何も言わなくても、お互いの呼吸を合わせていく</p><p>２人で快楽の絶頂に飛ぶために</p><p>ああっ美智美智</p><p>ううっうっくぅ</p><p>オレたちは、リズミカルな一つの機械になっていく</p><p>呼吸と鼓動と快感が重なっていく</p><p>くぅぅんっ</p><p>あ美智の眼がオレに伝える</p><p>判ってるオレも、一緒に一緒にイクから</p><p>くぅぅんっ</p><p>美智が、ニコッと微笑む</p><p>伝わっている</p><p>いいえ、繋がっているのよ今、旦那様と美智は</p><p>判るぞ美智</p><p>美智が快感のカタパルトに乗った</p><p>くぅぅうううんっくぅぅくうううううんっっっ</p><p>美智が空中に飛ぶっ</p><p>全身を弓なりに、ギュッと振り絞って</p><p>膣の中が締まるぅぅ</p><p>イクぞ、イクぞオレもイクぞっ美智ぃぃぃっ</p><p>オレもまた熱い液体を、撃ち出すッッ</p><p>子宮の奥に熱を受けて美智の身体が、痙攣するッ</p><p>す、すごい</p><p>瑠璃子が呟く</p><p>ふふふ、気持ち良さそうね、美智</p><p>オレの精液を受けとめながら美智は、満足そうな眼でオレを見ていた</p><p>愛している可愛いぞ、美智</p><p>オレは美智の中に、吐き出し続ける</p><p>自分へのクリスマスプレゼントに枕を買いました</p><p>これで肩こりが改善されるといいんですけれど</p><p>子供の頃に、サンタさんに頼んだのと全然違う玩具が、2年連続で届いて</p><p>それでサンタさんのことは嫌いでした</p><p>田舎の叔母さんは、頼んだ通りのモノをくれるので、サンタさんより好きでした</p><p>最近、元サンタに、あれはどういうことだったのかを尋ねたら</p><p>そりゃ、お前会社の帰りに、アメ横の安売り店でテキトーに買って来たからだよ</p><p>と、白状しました</p><p>だったらサンタさんに手紙を書くから今年は、何が欲しいとか聞かないでくれ</p><p>そんな父の年賀状は、東京駅の写真となりました</p><p>394．ともだち</p><p>全てを美智の胎内に吐き出し切ってオレは脱力する</p><p>美智が、そんなオレの頭をギュッと抱き締める</p><p>足の付け根にも力を込めもう一度、オレのペニスを締め付ける</p><p>尿道の中に残っていた精液がとろりと美智の子宮に滴る</p><p>大丈夫、美智今、猿轡を解いてあげるわ</p><p>みすずが、美智の口を封じていたハンカチを外す</p><p>美智は、荒い息で肩を上下させる</p><p>顔も真っ赤に上気させおでこと鼻に玉の汗をかいていた</p><p>オレは、美智の鼻の汗玉をペロっと舐め取る</p><p>抜くぞ</p><p>あまだ</p><p>また、すればいい</p><p>美智の中から勃起を抜く</p><p>んんっあっ</p><p>亀頭が抜ける時、美智が残念そうに声を出した</p><p>少し遅れて割れ目から、とろーりと精液が滴り落ちる</p><p>畳の上に、白い水溜まりを作っていく</p><p>瑠璃子が、そんな光景を呆然として見下ろしている</p><p>大分、セックスに慣れてきたみたいね</p><p>まだ処女喪失から２日目だ</p><p>なのに、確実にセックスでイク身体になってきている</p><p>セックスに慣れてきたのでは、ございません</p><p>ご主人様に慣れて参りました美智の胎内は、もうご主人様の形になっておりますご主人様のものだけが、ぴったりと収まるようになっておりますご主人様しか、入りませんし入れさせません</p><p>オレにしがみつく美智</p><p>それなら、あたしもそうよあたしのここも、旦那様の形になっています</p><p>みすずが、自分の下腹部を触る</p><p>ご主人様ぁ</p><p>美智がオレに甘えてくる</p><p>キスキスして下さいませ</p><p>オレは、美智の柔らかい唇に接吻する</p><p>幸せです、わたくしこんなに、幸せでいいのでしょうか</p><p>まだ、仰向けの状態で床に寝ている美智がオレとみすずを見上げる</p><p>ご主人様とみすず様わたくしの一番大切な方々に見守られて、絶頂に達してしまいました</p><p>幸せでいいのよ</p><p>みすずが、笑顔で答える</p><p>これからも、ずっと一緒ですからね一緒に、旦那様を愛し愛され、赤ちゃんも産みましょう美智の赤ちゃんを、あたしも可愛がるわだから、美智はあたしの赤ちゃんも守ってね</p><p>もちろんでございますみすず様ご主人様のお子様は、全て、わたくしが命を賭けてお守り致します</p><p>そうね、みんな家族ですものねあなたの子供は、あたしの子供あたしの子供は、あなたの子供</p><p>２人のやり取りを聞いて瑠璃子が、驚く</p><p>みすず様何をおっしゃっているのです</p><p>あら、何がおかしいの</p><p>みすずが、瑠璃子に振り返る</p><p>みすず様は香月家の本家の血筋です例え、父親が同じ人物であっても、みすず様の子供と美智さんの子供は違います</p><p>おんなじよみんな、黒森の家の赤ちゃんですもの</p><p>平然と、みすずは答える</p><p>みすず様は、香月家をお捨てになられるおつもりですか</p><p>瑠璃子の言葉に、みすずは笑う</p><p>香月家の本家は黒森家に吸収されましたお祖父様が、あたしたちの家族へのご参加を表明なさった時に</p><p>そんなこと香月の分家たちが許しません</p><p>あの人たちには内緒にしておくわそれにもし知られたところで、あの人たちに何ができるの香月の資産は、全てお祖父様が抑えていらっしゃるのに</p><p>わ、わたくしが納得できません</p><p>ギッとみすずを見下ろす</p><p>みすず様が、黒森様と関係を持たれるのはご自由ですが香月家の娘としての義務と責任から逸脱しない範囲で、お願い致しますわたくしたちは、特別な血筋の家系なのですから</p><p>瑠璃子今のあなたには、それを言う資格はありません</p><p>ぴしゃりと、みすずは言い切る</p><p>今の瑠璃子はもう、香月家の娘ではないのですから家の問題を、売り払われたあなたが意見するなど、笑止千万です違いますか</p><p>口籠もる瑠璃子</p><p>あなたが売り払われる、その現場にあなた自身も居たでしょうあなたは、お祖父様に抗議しなかった納得して、香月の家を出たのでしょう</p><p>瑠璃子には、反論する資格は無い</p><p>あの時はわたくしは、それがどういうことなのかよく判っていなかったのですわ</p><p>そんな言い訳が通用するとでも</p><p>みすずが、軽蔑の視線で瑠璃子を見上げる</p><p>ずいぶん軽く見られたものですね</p><p>わたくしはみすず様を軽く見てなどおりません</p><p>あたしが言っているのは、お祖父様のことです瑠璃子あなたは、香月家当主、香月重孝の決定を何だと思っているのです</p><p>瑠璃子は、世間知らずだが愚かではない</p><p>自分がもう、取り返しの付かないところに来てしまったことを受け入れる</p><p>オレは現実を受け入れて、素直に謝ることのできる瑠璃子に感心する</p><p>これが雪乃なら</p><p>あいつは、絶対に現実を受け入れない</p><p>何もかも、誰かのせいにして徹底的に、現実を拒否する</p><p>そして、少しでも自分に都合の良い妄想に逃げ込む</p><p>決してくじけない雪乃の生命力は、正直、凄いと思う</p><p>オレは、これ以上あいつに関わりたくはない</p><p>あいつはいつも、自分だけしか見ていない</p><p>瑠璃子、頭が高いわよ</p><p>それが、場を弁えない奴隷が人に謝る態度</p><p>大変、申し訳ございませんでした</p><p>床に手を付く</p><p>瑠璃子の正座は、とても綺麗だ</p><p>そのまま額を畳に擦り付けて、土下座をする</p><p>あなた自分の何が悪かったか、判っているの</p><p>みすずは、さらに追い打ちを掛ける</p><p>わたくしは香月の家より売り払われた身でありながら本家のお嬢様である、みすず様にご意見をしてしまいました大変、申し訳ございません</p><p>みすずは、瑠璃子の論理的過ぎる思考を利用して、彼女の特権階級意識を破壊しようとしている</p><p>これは悪い手ではないけれど</p><p>でも、このままだと逆に、瑠璃子に奴隷根性が付いてしまう</p><p>頭を上げなさい、瑠璃子</p><p>あなたは旦那様の何ですか</p><p>瑠璃子は、オレを見て口籠もる</p><p>旦那様お祖父様からいただいた譲渡証はお持ちですか</p><p>大切なものだから、肌身離さず持って来た</p><p>香月重孝の自筆のサインが入っているのだ</p><p>こんなモノなくすわけにはいかない</p><p>ここにあるよ</p><p>オレは、みすずに手渡す</p><p>見なさいお祖父様のサインも入っていますここにこれがあるようにお祖父様も、旦那様のサインの入った受け取りをお持ちですここに何と書いてあるか読めますね</p><p>瑠璃子が指した箇所には奴隷譲渡証の文字が</p><p>もう一度、聞きますあなたは、旦那様の何です</p><p>瑠璃子は観念する</p><p>奴隷です奴隷として、譲渡されました</p><p>その答えに、みすずはニッコリと微笑み</p><p>そうよあなたは奴隷もう、奴隷なの</p><p>瑠璃子の眼にまた、涙が溜まる</p><p>そして、あたしは旦那様のペットです美智は、玩具知っているわよね</p><p>瑠璃子は、ホテルの地下の緊急避難室でみすずたちが、オレに全裸土下座した様子を見ている</p><p>それは、お遊びでのことでしょうわたくしの様に、香月様のご命令でそうなられたわけでは</p><p>瑠璃子は、香月家が第一だから</p><p>みすずのペット宣言もオレとのごっこ遊びだと思っていたらしい</p><p>香月家の姫君が本気で、下賤な男のペットになるはずが無いと</p><p>だから自分の奴隷譲渡も、ジッちゃんは本気で無いと信じていた</p><p>また、瑠璃子を譲渡されたオレが本当に、香月家の娘を奴隷として扱うはずがないと、高をくくっていた</p><p>あら、あたしは本気よあたしは、旦那様の愛玩動物です一生、可愛がっていただくつもりだしお仕えするつもりです</p><p>わたくしもご主人様の玩具でございますずっと、玩んでいただけるように、努力致しますご主人様の所有物として、この身と心をお捧げ致しております</p><p>美智も答えた</p><p>判る瑠璃子あなたは、奴隷あたしは、ペット美智は、玩具つまり、あたしたち、ほとんど似たような存在なの</p><p>今のあたしははっきり言うわ旦那様が全てですもし、あたしの存在が旦那様にとって不利益をもたらすのなら死んでもいいと思っています</p><p>冗談でもそんなことは言うな</p><p>はい申し訳ございません</p><p>もし、そんなことになったらオレが先に死ぬ美智も、聞いてくれ</p><p>お前たちオレより長生きしろよ一日でも長く</p><p>２人の眼が、大きく見開かれる</p><p>オレはお前たちを幸せにしたいんだオレのためなんかに、絶対死ぬないいな</p><p>その代わり一生、側において下さいませ</p><p>旦那様もあたしたちのためだと思われて、ご自分が犠牲になるようなことは、絶対になさらないで下さい</p><p>ご主人様よりも長く生きよという、ご命令確かに、承りました美智は、何があろうともご主人様より、１分だけ長生きすることをお誓い致します</p><p>１分だけ</p><p>ご主人様のいらっしゃらない世界に、未練はございません</p><p>あたしもです旦那様の後を追います</p><p>お前ら何を言っているんだよ</p><p>ですからお命を大事になさって下さい</p><p>あたしたち全員旦那様のことを、いつも心配しているんですからね</p><p>みすずが、オレの背中を抱く</p><p>美智が、下からオレを抱き締める</p><p>ご主人様がいらっしゃらなくなったらみんな、また迷子になります</p><p>２人とも</p><p>さて瑠璃子あなたは、いつまで迷子でいるつもり</p><p>わたくし迷子ですか</p><p>ええお祖父様に、香月の家から放り出されて行き先を見失った、あなたはまるで迷子の様です</p><p>瑠璃子は、自分自身を振り返る</p><p>でもそろそろ気が付きなさいあなたの首には、もう大きな首輪が付いていますしそこには頑丈なリードの鎖も付いています鎖の先を握っていらっしゃるのは旦那様あなたは、とっくに旦那様に捕らえられています旦那様の愛情に包まれていることに気が付きなさい</p><p>オレの愛情</p><p>みすず様どういうことでございますか</p><p>瑠璃子は尋ねる</p><p>あなたは、少し想像力が足らないわ考えてご覧なさいお祖父様が、あなたを売り渡したのが旦那様ではなくそうね、例えば、香月の分家それも、仁さんだったら、どうなっているかを</p><p>みすずの問い掛けに、瑠璃子はブルッと身震いする</p><p>恐ろしいことになると思いますあの様な、下品で分別の無い男性の奴隷となるなんて</p><p>香月仁まともな人間になれ</p><p>でもそんなことは起こりませんお祖父様いえ、香月様が、あんな下劣な方にわたくしを譲渡なさるはずがございませんもの</p><p>では、なぜお祖父様は、旦那様を瑠璃子の譲渡の相手にお選びになったのかしら</p><p>黒森様が信頼できるお方だと、ご判断なさったからだと思います</p><p>そうね瑠璃子にも旦那様が、あたしや美智たちを、とっても大切に愛して下さっていることは判るわね</p><p>はいそして、みすず様たちも、黒森様を愛していらっしゃることも判っております</p><p>そして旦那様は瑠璃子のことも愛して下さっているのよ</p><p>瑠璃子にとっては、納得しかねることもあるかと思いますが旦那様は、ずっと、どうしたらあなたを幸せにできるかそればかりを考えて下さっています</p><p>あなたのお尻を叩いたことだってあなたが、分からず屋だからお仕置きしなくてはならなかったからです</p><p>いやええっと</p><p>うんと瑠璃子は、きちんと誰かから叱って貰って来てないって思ったんだ</p><p>きちんと叱って貰う</p><p>ああ、瑠璃子は香月家のお姫様だから何か、悪いことをしても遠回しに言葉で非難されるだけでちゃんと、直接叱られてきていないんだなって、感じたいや、もちろん瑠璃子は、とっても頭が良くて、分別のある子だから普段は、そんな叱られるようなお行儀の悪いことはしないんだろうけれど</p><p>元々、おかしなことはしでかさないタイプなんだよな</p><p>だから、余計叱られた経験が無い</p><p>瑠璃子は、一昨日の劇場とホテルでの体験で、旦那様のことをすっかり信頼していたのよ香月家の敵では無いお祖父様にも認められているし、あたしの大切な相手だし信じられる人だと感じていたから甘えが出たのね</p><p>みすずが、そう分析する</p><p>今日のお祖父様との奴隷譲渡のやり取りの時のあなたは、とても態度が悪かったわ旦那様は香月家の家臣ではないわお祖父様は、ちゃんと身内として旦那様に対していらっしゃっていたなのに、瑠璃子は甘えから、旦那様を自分よりも目下の人間として扱っただからお仕置きされたのよ</p><p>瑠璃子がハァと溜息を吐く</p><p>今のお言葉で合点がいきましたみすず様のおっしゃる通りですわたくし、一昨日の様子で黒森様を心の許せる相手だと判断し気が緩んでいました甘えていましたお祖父様に奴隷として売り払われるということの意味すら理解せずに確かに、全てわたくしに責がございますわたくしが、黒森様のことを軽んじたから</p><p>お尻を叩かれる様な、悪い態度だったことは判るわね</p><p>瑠璃子は、頷く</p><p>大変申し訳ございませんでした</p><p>今まではとは違う心の籠もった謝罪の言葉だった</p><p>瑠璃子もう、はっきり言うけどさ</p><p>今の瑠璃子なら、判ってくれる</p><p>お前、もう香月家のことは、忘れろ</p><p>お前が、色々考え込んであたふたすればするほど、逆に香月家の未来は混乱するジッちゃんは、そう思って覚悟して、オレにお前を売っ払ったんだ</p><p>そうなのでしょうか</p><p>そうだよだから、絶対に元には戻れない奴隷としての譲渡なんだ少しでも、香月家に戻れる可能性があったらお前は、また政治的なことを色々と考え込むから</p><p>そうかも、しれません</p><p>素直になった瑠璃子はオレの言葉を受け入れる</p><p>でも、それで香月家の未来は、どうなるのでしょうか</p><p>そんなのは、美子さんに任せておけ</p><p>美子に</p><p>放逐した瑠璃子の代わりにジッちゃんは、美子さんを香月家に復帰させた香月家の跡取りは、美子さんだよさっきの告別式でジッちゃんが、みんなに示していたじゃないか</p><p>ジッちゃんは、自分の隣の席に美子さんを座らせていた</p><p>みすずと瑠璃子は、離れた席で</p><p>焼香の順も自分の次</p><p>つまり美子さんが、後継者だ</p><p>そ、そうですね確かにおっしゃる通りです</p><p>瑠璃子は、今まで自分こそが香月家の後継者だと思い込んでいた</p><p>美子さんは自分のお付きだと</p><p>美子さんが、自分の血の繋がった従姉だと知った後でも</p><p>だから、後はジッちゃんに任せろジッちゃんが、美子さんのことを悪く扱うはずがないだろ</p><p>そうよ、もう香月家のことは全て、お祖父様にお任せしなさい瑠璃子には、もう無関係なことなんですから</p><p>みすずも、瑠璃子に言う</p><p>そうですわねお二人の、お言葉に従います</p><p>瑠璃子の眼から、ぽろぽろと涙が零れる</p><p>でも、それならわたくしは、この先、何を考えて生きていけばいいのでしょうか</p><p>そんなこともお判りにならないのですか</p><p>美智が口を開く</p><p>瑠璃子は、もうご主人様の奴隷なのですからご主人様の幸せだけを考えれば良いのです</p><p>奴隷の指導者として美智は、答える</p><p>大丈夫ですわたくしたちの幸せはご主人様が、常に考えて下さっていますから</p><p>昔も今もオレは、自分のことなんてどうでもいいんだけれど</p><p>でもオレは、オレを愛してくれている人たちは、何が何でも幸せにしたいんだみんなが幸せでいてくれないと、困るんだ</p><p>はい、人間は愛している人のためなら、自分のための何倍も頑張れますからね</p><p>瑠璃子ももうオレの愛している人の中に入っている</p><p>お兄様よそう呼ぶ、約束だったでしょ</p><p>はいお兄様そしてみすずお姉様</p><p>美智様もこれから、よろしくお願い致します</p><p>美智で構いません</p><p>瑠璃子は、奴隷わたくしは、玩具立場は、一緒ですわたくしたちは、同い年のクラスメイトです敬称を付ける必要は無いと思います</p><p>ご主人様美智は、そう判断致しましたいかがでしょうか</p><p>美智お前は、いつもオレの望んでいることを先回りしてやってくれるな助かる</p><p>美智は、ご主人様の忠実な玩具でございますから</p><p>頬をポッと赤く染めて美智は答えた</p><p>これで瑠璃子に上下関係の無い、友達が初めてできた</p><p>これは、素晴らしいことだと思う</p><p>瑠璃子家族は、みんなで助け合うことお前のことを考えて、意見してくれる子との話は大切に聞くことお前も、他の家族のことで気になったことがあれば、声を掛けてやれ助けを求めていても、自分からは声が出せないこともあるそうだろ</p><p>はい判りました、お兄様</p><p>瑠璃子もう一度、聞くわよあなたは、旦那様の何</p><p>みすずの問いに、瑠璃子は</p><p>わたくしは、お兄様の奴隷です</p><p>オレの大切な奴隷だ</p><p>はいお兄様に、とても大切にしていただいている奴隷です</p><p>あたしも、あなたを大切にします約束するわ</p><p>わたくしもです仲良く、協力し合って、幸せにりましょう、瑠璃子</p><p>はい、みすずお姉様み、美智、よろしくお願い致します</p><p>瑠璃子は、二人に礼をする</p><p>さて、後はセックスだけね</p><p>みすずが、ニコッと笑う</p><p>旦那様の奴隷なんですものセックスのお相手は、しなくちゃいけないわよ</p><p>瑠璃子は、怯えた表情になる</p><p>わたくしにできるでしょうか</p><p>できますわたくしにも、できましたから</p><p>美智が、胸を張る</p><p>わたくしは瑠璃子と同い年ですが瑠璃子よりも、小柄ですでも、ご主人様を受け入れることができます毎回、とても気持ち良くしていただいております</p><p>ほ、本当に気持ち良いのですか</p><p>瑠璃子は、心配そうに尋ねる</p><p>あんなに大きなものを体内に押し込まれるなんて</p><p>ええ天国に昇るようです</p><p>みすずも、答える</p><p>わたくしは、毎日でもしていただきたいと思っております</p><p>あたしは、本当に毎日、していただいています</p><p>では、わたくしも</p><p>そうよ、瑠璃子もこれから、毎日するのよセックスは、愛の義務ですからね</p><p>オレ、毎日するのか</p><p>では、これからあたしが旦那様に抱いていただきますから瑠璃子は、自分もすることだという意識を持って見学なさい</p><p>はい判りました、お姉様</p><p>いや、まあみすずが、和服セックスをしたがっていたことは判っていたから</p><p>やるか</p><p>旦那様、帯を引っ張ってあーれーとか、やりたいですか</p><p>みすずが、立ち上がって帯を緩めながら、言う</p><p>ええっとそれは、今度にしよう</p><p>いや、ほらあんまりドタバタすると、外の警備の人が心配するし</p><p>ここは、壁が薄いから</p><p>そうですねでは、少し声を抑えて致しましょう</p><p>みすずが、納得してくれる</p><p>みすずも、猿轡をするか</p><p>あたし、それより</p><p>旦那様に、縛られたいです</p><p>み、す、ず</p><p>ここに着物用の腰紐がありますから</p><p>お前、和服セックスって</p><p>はい、旦那様に縛られたくて持ってきました</p><p>みすずは、最初から縛りプレイがしたかったのか</p><p>ということで、瑠璃子は素直になりました</p><p>瑠璃子の最初のコンセプトは、セックスについての知識が皆無な女の子に、信頼をたてに、平然とエッチなことを教え込むなので、そっちの路線に戻ります</p><p>というか、みすずや美智のセックスを見せて、セックスは気持ちがいいものだと思い込ませて初体験は、ハードに</p><p>上げて落としての今はまた上げの部分に入りました</p><p>まあ、当初の予定に沿った展開なので仕方ありません</p><p>陵辱展開が好評だったので申し訳ないのですが</p><p>これ以上、引っ張ると他に影響しますし</p><p>陵辱も本当は、ハードなのを書きたいんですけれど</p><p>これが終わったら</p><p>それとも、１話だけ書こうかな</p><p>クリスマス何も無かったので</p><p>何か、とても陵辱物が書きたい気分ではあります</p><p>395．陵辱ごっこ</p><p>ちょっと待って下さいね帯を緩めますから</p><p>しゅるしゅると、みすずは帯を緩める</p><p>これで胸元も裾も、旦那様の自由にしていただけます</p><p>うん和服の胸に、隙間ができている</p><p>足も足袋の上に、地肌がちょっぴり見えている</p><p>みすず様、こちらへ</p><p>美智が、座布団で褥を作ってくれた</p><p>そこへ、みすずはごろんと転がる</p><p>旦那様縛って</p><p>オレに赤い腰紐を手渡す、みすず</p><p>どんな風に、縛られたいんだ</p><p>両手を頭の上で縛って下さい</p><p>みすずは、頭の上に手を伸ばす</p><p>この腰紐は縛った相手の身体から、抵抗する力を失わせる魔法の腰紐なんです</p><p>恥ずかしそうに、縛りプレイの設定を話すみすず</p><p>オレは、みすずの細い手首を重ね赤い布の紐で、Ｘ字に縛っていく</p><p>あーん、みすず力が抜けていきますもう、旦那様に抵抗できないのぉ</p><p>興奮して潤んだ眼で、みすずはオレを見上げる</p><p>旦那様このままこのまま、あたしを犯して</p><p>旦那様にメチャクチャにされたいんですみすずのこと、ケダモノみたいに犯して</p><p>みすずの身体にのし掛かるッ</p><p>胸元をガッと開いた</p><p>黒い喪服と肌襦袢その下から、白い乳房が露出する</p><p>下着、付けて無いのか</p><p>はい早く、犯していただきたかったから</p><p>オレは、和服の間から零れる乳房に唇を這わす</p><p>みすずの乳首は、すでに鋭く尖ってオレの舌に転がされるのを待っている</p><p>桜色の乳首を吸われ、みすずが声を上げる</p><p>大きな声を出すな外に聞こえるぞ</p><p>では、あたしにも猿轡を猿轡をして下さい</p><p>みすずが、熱い息を吐く</p><p>その方が犯していただいている感じが出ますから</p><p>はい、こちらに</p><p>美智は清潔なハンカチを取り出す</p><p>さっきは、みすずのハンカチで美智に猿轡を咬ました</p><p>だから、今度は美智のハンカチで、みすずを</p><p>あ、ちょっと待って</p><p>両手を縛り上げられたみすずが言う</p><p>その前に、キスキスして下さい</p><p>オレは、みすずにキスする</p><p>みすずが、オレの舌を求める</p><p>オレたちは、舌を絡め合い</p><p>みすずが、オレを見つめる</p><p>お願い、本気で犯して</p><p>みすずが、オレに敬語で喋らないのは</p><p>心の底から、正直に求めている時だけだ</p><p>あなたに求められているって感じたいの犯してみすずを奪ってみすずの身体、全部あなたのものにして欲しいの</p><p>瑠璃子、見ている</p><p>みすずが、瑠璃子に声を掛ける</p><p>乾いた声で、瑠璃子が答える</p><p>あたしたちは、香月の家に生まれた娘だけれどあたしたち自身は、別に何の力も無い、普通の女です</p><p>あたしの旦那様はあたしに纏い付いている香月家の名誉も財産も、求めてはいらっしゃいませんただ、あたしただけを求めて下さっています</p><p>それはよく判っておりますお兄様は、そういう世俗的な要求を一切なさっていらっしゃりませんから香月様にも、みすずお姉様にも</p><p>瑠璃子の政治脳はなかなか、治らない</p><p>そういう旦那様に対してあたしが捧げることのできるのは、この身と心だけです</p><p>旦那様あのね</p><p>恥ずかしそうに、みすずは言う</p><p>あたし雪乃さんみたいに、犯されたいの</p><p>旦那様が雪乃さんとなさっている時みたいに旦那様の性欲を、みすずに全部、吐き出して欲しいの</p><p>もう雪乃さんは、いらないんでしょ</p><p>どうしてそれを</p><p>朝に恵美さんから、お電話をいただきました</p><p>いつの間に、そんなホットラインが</p><p>だったら、雪乃さんを犯す時みたいに荒々しく、力尽くで犯して痛くしてもいいですからみすずのこと蹂躙して欲しい</p><p>みすずの眼が、濡れている</p><p>オレ勃起が、どんどん硬度を増していく</p><p>オレ、我慢できなくなっちゃうかもしれないぞ</p><p>我慢なんかしないでみすずのこと、好きにして下さい</p><p>でも、みすずのことを傷付けるようなことは</p><p>雪乃なら、何でも平気でできるけれど</p><p>みすずはオレの大切な女なんだ痛めつけるようなことは</p><p>ご主人様これは、ごっこですから</p><p>どうぞ、みすず様のお望みを叶えて差し上げて下さいませ</p><p>本気のレイプでしたらいつでも、わたくしがお相手致しますわたくしの身体は、そう簡単には痛んだりは致しませんので</p><p>お前、何を言っているんだよ</p><p>ご主人様はわたくしたちに対し、寛容過ぎでございます</p><p>みすずも、そう思います</p><p>オレの下で、みすずが言った</p><p>あたしたちの我が儘に付き合って下さって、いっぱい我慢して下さっているのは有り難いですけれど今のままでは旦那様がのお心が、破裂してしまいます</p><p>いや、オレは</p><p>だから今までは、雪乃さんとのセックスが旦那様の良い気分転換になっておられたのですわ</p><p>雪乃とのセックスは、気を遣わずにお互いの性欲をぶつけ合うだけだった</p><p>それがあたしたちは、ずっとずっと口惜しかったんです</p><p>あたしたち</p><p>ええ、みすずも恵美さんもマナちゃんもそう感じておりましたわ</p><p>確かに、恵美とマナはオレと雪乃のセックスを監視カメラで観て嫉妬したことがある</p><p>ホテルでミス・コーデリアの前でご主人様が、雪乃様となさっているのを見た時、嫉妬でこの身が張り裂ける様な思いをしましたわたくしはご主人様の他の女性たちには嫉妬致しませんしかし、雪乃様は大嫌いです</p><p>ここまで女性陣に嫌われるってある意味、凄い才能だと思うぞ、雪乃</p><p>でも、やっと旦那様が、雪乃さんを捨てて下さいました</p><p>はい、ですから</p><p>これからは、旦那様の暗い欲求もあたしたちに吐き出して下さい</p><p>オレの暗い欲求</p><p>みすずも、告白します</p><p>あたしあなたにレイプされたいあたしの身体のことなんか、全然無視して欲望を思いっ切り吐き出されたい</p><p>わたくしもですそろそろ、本当にセックスの玩具にしていただきたいんです</p><p>二人の気持ちは、嬉しいけれど</p><p>何を恐れていらっしゃるのですかただのごっこでございます</p><p>あの２人とも、知らないと思うけれど</p><p>オレブレーキが利かなくなったら、本当に止まらなくなるから</p><p>オレは、自分が最初に雪乃をレイプした時のことを覚えている</p><p>本当に止まらなくなった</p><p>オレは、狂ったケダモノみたいだった</p><p>なるほどそれがご主人様のトラウマなのですね</p><p>一度、ブレーキが止まらなくなったことがおありだからわたくしたちとなさる時のご主人様は、いつも安全運転なのですね</p><p>多分そうなんだろう</p><p>ではわたくしが、そのトラウマを破壊致します</p><p>思わず、オレは美智の眼を見てしまう</p><p>美智が、自分とオレの心をリンクさせる</p><p>旦那様、あたしを見て</p><p>オレは、自動的にみすずを見下ろした</p><p>縛られて、胸を露出したままの美少女を</p><p>どうぞ欲望のままに</p><p>美智に心の掴まれたままで</p><p>自制心を働かすことが、できない</p><p>うわわぁっ</p><p>オレは、みすずのおっぱいにしゃぶりつく</p><p>お兄様おっぱい好きなのですね</p><p>瑠璃子が、荒々しくみすずのおっぱいを玩ぶオレを見下ろして呟く</p><p>美智、あたしに猿轡を</p><p>みすずが、指示する</p><p>あたし、犯されるのを嫌がりますから美智も、あたしの身体を押さえつけて</p><p>美智が、みすずの口にハンカチを押し込む</p><p>ご主人様解放です</p><p>耳元で美智に囁かれた瞬間オレは、全ての理性を失った</p><p>うううっううっうううっ</p><p>みすずが、わざと身体を揺すってオレを拒絶する演技をする</p><p>眼には涙を浮かべ手は縛られ、美智に肩を抑えられている</p><p>まるで、本当にレイプしているみたいだ</p><p>どうぞレイプなさって下さいお心のままに</p><p>美智の声が、オレに響く</p><p>オレは、みすずの和服の裾に手を伸ばす</p><p>みすずは、わざとじたばたする</p><p>オレの手を、股の間に入れられないように</p><p>オレは強引に無理矢理、みすずの足を開かせるッ</p><p>みすずの太ももは、つるんとしていて弾力がある</p><p>肌は、火照っていて熱い</p><p>み、みすずやらしてくれっ</p><p>みすずは、首を大きく振って拒絶のサインを示す</p><p>それがまた、オレの興奮に火を付ける</p><p>右足は、わたくしが押さえております</p><p>美智が、みすずの右足を押さえる</p><p>オレは、左足を</p><p>着物の裾が大きく開いて生足の肌の中心に濡れた秘部が現れる</p><p>腰には帯を巻いているがみすずは、おっぱいも割れ目も剥き出しだ</p><p>白くて長い足の先に、白い足袋はそのまま履いている</p><p>みすずい、入れるぞ</p><p>ううっうううっううーっ</p><p>みすずは、やめて、やめてと顔を振る</p><p>眼から涙が、ぽろぽろ零れる</p><p>オレは、腰を押しつける</p><p>うくくぐぅぅっ</p><p>挿入の瞬間、みすずは大きく呻いた</p><p>ずっちゅ</p><p>みすずの熱く湿った胎内を、激しくピストンする</p><p>みすずの肉奥を貫く</p><p>瑠璃子が、呟く</p><p>今、ご主人様にはオスになっていただいています</p><p>瑠璃子もいずれご主人様のメスになるのです</p><p>オレはみすずの背中に手を廻し、身体を密着させて犯す</p><p>みすずの和服は、大きくはだけて細い首筋から胸まで、全て露出している</p><p>オレは、みすずの首から耳にかけて、ペロペロと舐めた</p><p>みすずの身体が、ゾクッと震える</p><p>膣が、キキュッと締まった</p><p>みすずいいぞすっごく、いい</p><p>オレに揺さぶられて、みすずが前後に揺れている</p><p>みすずの可愛いおっぱいが、踊る</p><p>尖った乳首が、くるるんと廻る</p><p>片手で、おっぱいを揉むギュッと握りつぶす</p><p>乳首をコリコリと指で擦る</p><p>みすずは、悦びに泣いている</p><p>だが、その涙はレイプされた屈辱の涙にも見える</p><p>オレの中に射精の欲求が、湧いて来る</p><p>みすず出そうだ中で出すぞ</p><p>ううううっ、ううううっ、ううーっ</p><p>いつもなら、自ら膣内射精を望む、みすずが</p><p>今は、わざと拒絶する</p><p>全身で、オレを跳ね除けようと暴れる</p><p>オレは、そんなみすずの身体をギュッと抑え付けて</p><p>出、出るぅぅ</p><p>ううううっーっっ</p><p>射精の瞬間も、みすずは必死でオレから逃れようと身体を動かす</p><p>オレはそんなみすずを、思いっきり抱き締めながらみすずの子宮にねっとりとした液体で満たしていく</p><p>あああっああっうううっ</p><p>亀頭をゴツゴツと子宮口に押しつけながら射精を続ける</p><p>腰を振る度に、みすずの膣口が締まってオレの勃起の根元を締め上げる</p><p>また、びびゅっ、びびゅっと精液が胎内へ</p><p>うううーっうううっううーっ</p><p>脱力しながら、みすずは泣いている</p><p>可愛い可愛いぞ、みすず</p><p>みすずの涙をオレは、唇で吸い取る</p><p>それから、みすずの口のハンカチを外してやる</p><p>みすずは、大きく荒い息を続けている</p><p>これいいですっ</p><p>みすずが、潤んだ眼でオレに言った</p><p>レイプごっことっても、いいのっ</p><p>もっと、犯してメチャメチャにして赤ちゃん出来ちゃってもいいの旦那様に犯されたい</p><p>みすずは、身も心もとろとろに溶けている</p><p>残念ですが次は、わたくしです</p><p>振り向くと、美智が畳に四つん這いになってオレに尻を向けている</p><p>もちろん、さっきセックスしたままの裸のお尻だ</p><p>まだご満足にはなっていらっしゃらないと思います</p><p>美智が、尻を振る</p><p>小柄な身体の小さなお尻割れ目から、愛液と精液が垂れている</p><p>ご主人様、わたくしを犯して下さい</p><p>美智はそう言って、ハンカチを咥える</p><p>旦那様どうぞ、美智を食べて</p><p>もう、我慢しなくていいのあたしたち全員、好きに食べ散らかして</p><p>犯したいでしょう美智のことも</p><p>ずるりとみすずの胎内から、勃起を引き出す</p><p>激しく射精したというのに、オレのペニスは萎えていない</p><p>ああ、美智ももう一度犯してやるっ</p><p>美智っ</p><p>オレは、美智の腰を掴んでバックから、膣口にペニスをあてがうっ</p><p>ぬぐぅぅっ</p><p>狭い中に突き入れるっ</p><p>入れ比べて、判る</p><p>美智の方が、みすずよりも体温が高い熱い</p><p>みすずの中は、とろとろに溶けている感じだが美智の中は、きっちりと締まっていて、オレを締め上げる</p><p>ぐっ、ぐぅぅ、ぐぅぅ</p><p>美智は、わざとレイプされている様な声を出してくれた</p><p>両手両脚を踏ん張って、必死に耐えている</p><p>ずんっずんっずんっ</p><p>オレの剛直が、小さな女性器を容赦無く、突き上げる</p><p>繋がっている部分が、丸見えだ</p><p>その上の美智の可愛い、肛門も</p><p>瑠璃子見えるか</p><p>瑠璃子の声は、すっかり乾いている</p><p>自分と同い年の少女の割れ目が、男のペニスを根元まで咥え込んでいるのだ</p><p>しかも、ぐいぐいっ激しく抜き差しされている</p><p>こんな平気なのですか</p><p>大丈夫よ美智のそこは、旦那様を受け入れるためにあるのだから</p><p>縛られて、肌を露出して転がされたままみすずが答えた</p><p>そして瑠璃子のそこもね</p><p>瑠璃子は、自分の下腹を抑えている</p><p>わたくしもこんなことをしなくてはならないのですね</p><p>そうよあなたも旦那様に犯されるのよ</p><p>オレは、美智を後ろから激しく責めながら瑠璃子を見る</p><p>瑠璃子が、オレを見ている</p><p>美智を犯しているオレを</p><p>もう、すぐ美智の中に吐き出すお前、オレの顔を見ていろ</p><p>お前の顔を見ながら射精する</p><p>オレは、腰を加速させる</p><p>ぐっうううっうううっ</p><p>美智の唸りが、大きくなる</p><p>瑠璃子はいい女だな</p><p>オレは、美智を犯しながら瑠璃子を視姦する</p><p>お前、とっても抱き心地が良さそうだ</p><p>そ、そうでございましょうか</p><p>ああ早く、お前とセックスしたいよ</p><p>中学の制服姿の清楚な瑠璃子</p><p>発達途中の胸は美智よりもある</p><p>本当のことを言うとお前の日舞を見た時から、抱き締めたいって思っていた</p><p>和服は身体のラインが出るし瑠璃子は、スタイルがいいんだよなお前が踊っているところを見ていたら柔軟で、柔らかそうで</p><p>オレは、美智の膣奥をえぐる</p><p>ぐぅっ</p><p>美智が喘いだ</p><p>瑠璃子の身体、抱き締めたいと思った裸にして全身、舐め回したいと思ったああ瑠璃子の中に、射精したい</p><p>じゅっぷ、じゅつぷ、じゅっぷ</p><p>美智の割れ目から、さっき射精した精液が白く泡だって滴っていく</p><p>精液と愛液を潤滑油にして、オレはスパートを掛ける</p><p>オレ、瑠璃子をメチャクチャにする赤ちゃんができるようなことを毎日するいつでも、どこでもオレが求めたら、裸になれセックスさせろ</p><p>はい、瑠璃子はどんなことでもお兄様のお求め通りに致します</p><p>怯えた眼で、瑠璃子はオレを見ている</p><p>激しく、美智を犯すオレを</p><p>一生、オレだけだからなお前を抱いていいのは、オレだけだお前とセックスするのも、お前の中に射精して、孕ませるのもオレだけだからな</p><p>美智によって解放された心がオレに欲求を素直に語らせる</p><p>はい何でも従います</p><p>瑠璃子の処女はオレのものだからな</p><p>ショジョショジョって、何でございますか</p><p>ああ、瑠璃子は性的な知識が、全然無いんだっけ</p><p>一昨日まで、セックスの存在を知らなかったし</p><p>いきなり生本番を見学させられている</p><p>いいから瑠璃子の処女を差し上げますって言え</p><p>は、はいる、瑠璃子の処女をお兄様に差し上げます</p><p>ああ、また出そうだ</p><p>瑠璃子はオレの何なんだ</p><p>瑠璃子はお兄様の奴隷です</p><p>ただの奴隷じゃないセックス奴隷だセックス奴隷になりますって言え</p><p>はい、瑠璃子はお兄様のセックス奴隷ですセックス奴隷になりますセックス奴隷にして下さいませ</p><p>瑠璃子また、出そうだ見ていてくれ</p><p>オレが美智の中に射精するところを見ていてくれ</p><p>はい拝見させていただきますっ</p><p>くぅぅ</p><p>で、出るぞイクぅっっっ</p><p>瑠璃子が見ている</p><p>オレも、瑠璃子を見ている</p><p>瑠璃子の美しい瞳を見たままオレは、射精するぅぅ</p><p>どおっぷ</p><p>３度目とは思えない量を噴き出す</p><p>まるで美智の中に、小便する様に腰をぐいぐい押し込みながら</p><p>オレは、熱い欲望を吐き散らかす</p><p>ぐぬぬぬぅっ</p><p>美智が子宮で熱液を受けとめて身体を反らす</p><p>そんなオレたちの痴態を清純なままの１５歳の美処女が、見つめている</p><p>瑠璃子いっぱい出ているぞ</p><p>男が自分の眼を見つめたまま別の女に射精している</p><p>そんな倒錯的な状況に瑠璃子は、震えている</p><p>うっ、うっううっ</p><p>最後の一滴まで、美智の中に注ぎ込むッ</p><p>ほら、よく見ろ、瑠璃子</p><p>オレは、瑠璃子によく見える様に美智からペニスをずぼっと引き抜く</p><p>愛液と精液に塗れたオレのペニス見て瑠璃子は小さく声を上げる</p><p>オレの亀頭の先から白い精液が糸を引いて美智の膣内に繋がっている</p><p>美智捻り出せっ</p><p>故知の小さなお尻に、キッと力が込められる</p><p>お尻の穴が、ピクッとすぼまる</p><p>濡れてテラテラに光っている割れ目から白い精液が、とろとろーりと垂れてくる</p><p>四つん這いで、腰を瑠璃子に向けた美智</p><p>美智の胎内から溢れた精液が、ぽたり、ぽたりと畳の上に垂れ落ちる</p><p>そんな様子を、瑠璃子は見つめている</p><p>瑠璃子も、こうなるんだからな</p><p>熱い</p><p>まるで全力ダッシュを何度も繰り返したみたいだ</p><p>オレは、そのままぱたりと畳に倒れる</p><p>あ、オレ</p><p>限界だ</p><p>ぷつんと、糸が切れるみたいな</p><p>旦那様美智早く</p><p>みすずの声に四つん這いになっていた美智が飛び起きる</p><p>咥えていたハンカチも、取り払ったらしい</p><p>倒れたオレの顔を覗き込む</p><p>ご主人様わたくしの眼を見て下さいっ</p><p>美智の大きくて綺麗な瞳</p><p>その瞳に吸い込まれる</p><p>ハァァッ</p><p>美智が気を発した</p><p>あれ</p><p>大丈夫ですか、ご主人様</p><p>美智が、オレの顔を覗き込んでいる</p><p>心月のリンクを切りましたご気分はどうです</p><p>ああ何か、今まで荒々しい海流の中に居たみたいでその流れに逆らえなくて、どんどん暗い海底に沈んでいく感じだったんだけど</p><p>今はどうです</p><p>海の上に顔を出した感じだちゃんと息ができる</p><p>オレは、大きく深呼吸する</p><p>美智、これを外して</p><p>みすずは手を縛られたままで和服は、着崩れているしそのままでは、自力で起き上がれない状態になっている</p><p>美智が、みすずの元に行く</p><p>旦那様は平気</p><p>もうしわけございませんわたくし、ご主人様の欲求に惹かれて</p><p>美智は言う</p><p>わたくしは、ご主人様のご様子を常に確認できるようお顔を見ていなければいけなかったのに、つい後ろから犯していただいてしまいましたので</p><p>美智は、オレが限界に近付いたことに気づかなかったのか</p><p>今度からは、もう１人監視役をして下さる方をお願いしましょう</p><p>あオレ</p><p>オレは、自分が行った痴態にハッとなる</p><p>み、みすず平気か傷はできていないか</p><p>オレ、かなり強引にみすずを犯した</p><p>大丈夫ですどこも跡は付いていません</p><p>手を自由にされたみすずは、ニッコリと微笑んで起き上がる</p><p>また、しましょうとっても、気持ち良かったです旦那様</p><p>美智もごめん</p><p>何のお話でございますか</p><p>きょとんとした顔で、美智が答える</p><p>オレ、美智とセックスしていたのに美智を無視して、瑠璃子の顔を見ながら射精したから</p><p>女の子に対して、とても失礼なことをしたと思う</p><p>美智が、きつい顔でオレを見る</p><p>ご主人様は、ようやく、わたくしをセックスの玩具として使って下さったのではございませんか</p><p>わたくしはとても、興奮致しましたはっきり、申し上げて、今までで一番、興奮致しましたわたくしは、ご主人様の玩具ですからこれからも、今の様に、ぞんざいにお使い下さいもっと、もっと玩んで下さいませ</p><p>さっきも申し上げましたけれど旦那様は、あたしたちに優しく接しすぎです大丈夫ですわ何があろうとあたしたちは、旦那様から離れませんからもっと、気楽にあたしたちを求めて下さい</p><p>心の中の暗い欲求はちゃんと、あたしたちで解消して下さいあたしたちも、旦那様に解消していただきますどんな恥ずかしいことでも、いやらしいことでも旦那様となら、したいです女の子だって、エッチなんですから</p><p>そう言って、みすずは笑った</p><p>わたくしは本当に、お望みのことは何でも致しますからあんまり、ご主人様がお心の中に暗い思いを溜め込んでいらっしゃるようならまた、引っ張り出します</p><p>美智との心月のリンクがある限り</p><p>オレの暗い欲求は、美智に自在に引き出される</p><p>とにかく旦那様の心の解放は、時々やるべきだわね</p><p>はいわたくしたちの心の解放も、させていただかないといけませんし週に一度くらいは</p><p>いいえ三日に一度よ旦那様、まだ溜まっていらっしゃるもの</p><p>そうですねわたくしたちだけでなく、寧様や克子様たちにも解放に参加していただかないといけませんし</p><p>克子姉の心の解放なんかしたら</p><p>陰獣が、目覚めてしまう</p><p>寧だって怖い</p><p>とにかく、我慢しちゃダメですからねあんまり、ご自分の心を抑え込まないようにして下さいませ</p><p>溜め込んだ感情はいずれ、問題を引き起こします</p><p>みすずと美智が、オレを見る</p><p>オレ自身オレの中に、こんな陵辱欲求が溜まっているとは、気付かなかった</p><p>今までは、たまに雪乃とセックスすることで解消していたんだ</p><p>その雪乃はもういない</p><p>これからは、みんなに頼むよ確かにオレ色んなことを溜め込みやすい性格みたいだから</p><p>はいいつでも、お相手致しますわ</p><p>みすずが、ニコッと笑った</p><p>あたしたちも暗い思いが溜まったら、メチャクチャにして下さい</p><p>そういう気持ちになることってよくあるのか</p><p>はいもちろん旦那様に、優しく抱いていただきたい時の方が多いんですけれど今日みたいな日は</p><p>今日</p><p>昨日今日は、つらいですあたしたち、ずっと嘘を吐いているのですから</p><p>気付かなかった</p><p>みすずも、美智も瑠璃子の父の、本当の死因を知っている</p><p>通夜と告別式で香月家の一族や、たくさんの会葬者の前に立ち続けることは、苦痛なんだ</p><p>激しく罪の意識がある</p><p>重秋叔父様のご遺体を見ていると心苦しくて</p><p>だからあたしも美智も、旦那様に激しく犯していただきたかったんです</p><p>陵辱風味を増量してみました</p><p>今度から、この言い訳で陵辱シチュエーションが使えます</p><p>瑠璃子とか、本人の意志に関係無く</p><p>学生時代に2年半付き合った彼女はなぜか</p><p>クリスマスに会うのは恥ずかしいから、26日か、27日に会おう</p><p>と、私に言い</p><p>それで2年連続で、クリスマスには彼女と会わなかったです</p><p>今、思うと</p><p>あの子は、クリスマスには誰と会っていたのでしょう</p><p>一つ判っていることは</p><p>2年半も付き合っていたのに</p><p>あの子は、私のことは本当は好きではなかったんだろうなあ</p><p>ただ、彼氏が欲しかっただけなんでしょうね</p><p>396．パンティ＆</p><p>すっかり着崩れた着物姿のみすずが、オレに抱きついて来る</p><p>下半身だけ裸の美智が、背中から</p><p>大好きです</p><p>みすずが、オレの唇にキスする</p><p>続いて、美智も</p><p>廊下に通じるドアが、ノックされた</p><p>みすずは、おっぱいも股間も丸出しだし美智だって</p><p>２人とも割れ目から、じっとりと愛液と精液を滴らせている</p><p>みすずが、小声でオレに囁く</p><p>今、少し取り込んでます中へは入って来ないで</p><p>毅然とした声で、外に向かって叫ぶ</p><p>外の声は女性だったさっき会った、警備の小石川さんだろう</p><p>御用は何ですか</p><p>そろそろ、お時間だそうですお支度をお願い致します</p><p>判りました、５分ほど時間をちょうだい</p><p>お急ぎにならなくても結構ですごゆっくり、お支度下さい火葬場の方へ行かれましたら、こちらのお部屋には戻りませんのでお荷物は全て、持ってお出になって下さい</p><p>小石川さんは、立ち去ったようだ</p><p>関さんがお気遣いして下さったみたいですわ</p><p>こちらのお部屋に入る前に関さんにお会いしましたから</p><p>ああ、関さんはジッちゃんやみすずたちの車列を出迎えに行ったから</p><p>関さんの方で外の警備の方に、一言お話して下さったんだと思いますあたしたちが到着したら、中には入らないように</p><p>だって警備の方たちは、このお部屋に旦那様がいらっしゃることは、知っていらっしゃったのでしょう</p><p>そう言えば、そうだ</p><p>関さんとオレでこの部屋に入ってオレだけ出て来ないのを、小石川さんは知っているはずだ</p><p>中で、わたくしと旦那様が密会しているから、邪魔をしないようにと一言、おっしゃって下さったんだと思います</p><p>この建物に入る過程では関さんは、オレを自分のアシスタントに仕立てたけれど</p><p>直接、この控え室を警護する小石川さんの部隊にだけオレがみすずの恋人であると、連絡した</p><p>小石川さんの班のメンバーとしか交信できない通信機を借りたのも、そのためだ</p><p>しかも、あらかじめ小石川さんたちの関さんに対する信頼感を高めておいたからみんな、黙って関さんの指示を受け入れてくれた</p><p>だから小石川さんは、部屋の中の確認には来なかった</p><p>つまり、オレとみすずたちの密会は小石川さんたちのレベルまでしか知らない</p><p>上の人たち現場責任者の浅見新部長は、気付いていない</p><p>ですからあたしたちが火葬場に向かった後、ゆっくり旦那様は部屋の外に出て下さい警備の方たちは、皆さん、あたしたちと一緒に移動しますからここには、誰も残らなくなります</p><p>そのことを示唆するため小石川さんは、改めて部屋には戻らないので、荷物は全て持って出るように言ったんだ</p><p>だってそもそも</p><p>みすずも瑠璃子も、荷物なんて持ってきていない</p><p>美智が、小さな布袋を一つ持って来ているだけだ</p><p>みすず様お支度をお急ぎ下さい</p><p>美智は、その布袋から、手ぬぐいを取り出す</p><p>これで、お股をお拭い下さい</p><p>ありがとう美智は</p><p>わたくしの分もございます</p><p>別の手ぬぐいを取り出し美智は自分の股間を拭う</p><p>どうしましょう中から、旦那様のものが溢れてくるわ</p><p>わたくし、予備のパンティを用意してございます</p><p>美智が、純白のパンティを２枚取り出す</p><p>１枚は、自分用だろう</p><p>でも、パンティはお尻に、ラインが見えてしまうわ</p><p>今はそんなことを言っている場合ではございませんお早く、お穿き下さい</p><p>うんまだ、このあとも初七日法要とか、精進落としとかスケジュールが詰まっている</p><p>和服にノーパンで、垂れてくる精液を気にしながらでは、大変だろう</p><p>生理用のナプキンを貼り付けます垂れてくるものは、これに吸い取らせましょう</p><p>美智用意がいいな、お前</p><p>仕方無いわねあなたの言う通りにするわ</p><p>みすずが、オレの前に立つ</p><p>オレが穿かせるのかやっぱり</p><p>美智からナプキンを貼ったパンティを受け取り片足ずつ、みすずの細い足首に通してやる</p><p>そのままつるつるした足に、するっとパンティを持ち上げぷにっとしたお尻を越えて、穿かせる</p><p>みすずが、オレにキスする</p><p>いいから、ほら早く、着物を着直せみすずの身支度が最優先だろ</p><p>はい、かしこまりましたっ</p><p>みすずが、ササッと和服の乱れを直していく</p><p>振り向くと、下半身裸のままの美智がパンティを持って立っている</p><p>お前もか</p><p>いいよ、穿かせてやるから</p><p>お手数をお掛け致します</p><p>美智にも、パンティを穿かせてやる</p><p>高２のみすずは、それなりに成長した肉体だけれど美智は小柄だから</p><p>何か、子供の世話をしてやっているような錯覚を覚える</p><p>いや、さっきこの肉体で、あんなに甘美な快感を味わさせてもらったんだけれど</p><p>ほら、パンティは穿かせてやったから後は自分で着ろよ</p><p>美智が、満足げにオレを見下ろす</p><p>では、ご主人様失礼します</p><p>いや、オレは自分でパンツ穿けるから</p><p>いいえ、下着を履かれる前にお清め致します</p><p>美智は、そう言ってオレのペニスを舌で舐める</p><p>愛液と精液の残滓を丁寧に</p><p>あ、美智あたしもしますっ</p><p>いいえ、みすず様はご自分のお支度をお急ぎ下さい</p><p>うーん、もおっ瑠璃子、手伝って</p><p>オレたちの様子を眼を丸くして見ていた瑠璃子がみすずの着物の着付けを手伝う</p><p>本当に、仲がおよろしいのですね</p><p>瑠璃子が、呟いた</p><p>あたしたちの旦那様は、お優しい方なのよ世界でただ１人、甘えて良い殿方なのですから、思いっきり甘えさせていただきましょう</p><p>甘えて良い</p><p>例えば、あたしが突然病気になって寝たきりの生活になったとしてあたし、旦那様にでしたら、あたしの全てをお任せできますこんなこと、お祖父様にだってお願いできませんでも、旦那様なら</p><p>オレを見るみすず</p><p>旦那様、もし、そんなことになったらお願いできますよね</p><p>ああ、ご飯とか日常生活の世話だろうん、オレがするよ</p><p>あたし、毎日あーんて口を開いて、旦那様に食べさせていただきます</p><p>判ってるよ、みすずは甘えん坊だからな</p><p>お風呂も入れて下さいます</p><p>下のお世話も</p><p>オレがする全部やるから心配するな</p><p>どうしてですお兄様</p><p>みすずは、オレの家族なんだからこいつの面倒は、一生見るって約束したんだもちろん、美智だって、瑠璃子だって</p><p>わたくしも</p><p>当たり前だ、お前の下の世話を、赤の他人にやらせられるか</p><p>でも、なるべくいや、できる限りみんな元気で居てくれ本当に具合が悪くなったら、看病もするし、世話もするでも、健康なのが一番だから</p><p>はいおかしな例を持ち出して、申し訳ありませんでした</p><p>美智、もういいからお前もスカートを履けよ</p><p>もうちょっとです</p><p>ダメだ早くしろ</p><p>では瑠璃子にやらせますか</p><p>オレは、瑠璃子の唇を見る</p><p>今はダメだ今、瑠璃子にしゃぶらせたら、また大きくなってしまう</p><p>それでしたら、また飲精させれば</p><p>今は、そんな時間はないだろっ早く、服を着ろ</p><p>最後に、ちゅぱっと音を立てて美智は、オレのペニスから口を離す</p><p>オレは、急いでパンツを穿く</p><p>いいのよ、美智瑠璃子には、これからじっくり学ばせますから時間はたっぷりあるのよ</p><p>瑠璃子の誘拐が上手く行けば時間は、幾らでもある</p><p>オレは、そそくさとズボンを履く</p><p>男の支度は、早くていい</p><p>美智、このタオルを借りるぞ</p><p>オレは、美智が股間を拭っていたタオルを拾う</p><p>何をなさるのですか</p><p>掃除だ畳が汚れているだろここにセックスの痕跡を残していくわけにはいかないじゃないか</p><p>オレは、部屋の備え付けの洗面台でタオルを濡らす</p><p>ギュッと搾ってゴシゴシと畳を拭く</p><p>愛液と汗と精液を拭っていく</p><p>わたくしも、お手伝い致します</p><p>美智が、そう言うが</p><p>美智は、みすずと自分の支度が優先だほら、髪の毛が乱れてるぞ一分の隙も無い姿で、香月一族の前に戻れいいなっ</p><p>ほら、美智あたしの前に来て、髪の毛直してあげるわ</p><p>みすずが、美智を呼ぶ</p><p>お兄様、わたくしがお手伝い致します</p><p>瑠璃子が、みすずが使っていた方のタオルを拾って濡らして搾る</p><p>オレのやったのを真似しているんだろう</p><p>うまくタオルが絞れない</p><p>貸して見ろ</p><p>オレは、瑠璃子からタオルを受け取って、ギギュッと絞る</p><p>凄い</p><p>凄くないこんなの普通だよ瑠璃子学校で、掃除とかしないのか</p><p>香月家の屋敷なら判るけれど</p><p>旦那様、あたしたちの学校では、お掃除は全て業者の方がなさいますから</p><p>瑠璃子の代わりに、みすずが答えた</p><p>生徒にお掃除をさせたら学校が父兄に訴えられてしまいますわ</p><p>さすが、超お嬢様校オレの理解を超えている</p><p>ほら、瑠璃子</p><p>ありがとうございますお兄様</p><p>瑠璃子は、オレから濡れタオルを受け取り</p><p>畳の上に四つん這いになって床拭きする</p><p>やっぱり、上手くないな</p><p>瑠璃子、畳の目に合わせて、擦るんだ</p><p>だからさ</p><p>オレも、四つん這いになると</p><p>オレの眼に</p><p>瑠璃子の赤く腫れた生尻と無毛の割れ目と肛門が飛び込んで来る</p><p>美智パンティの予備は、まだあるか</p><p>オレは溜息を吐いて、美智に尋ねる</p><p>ございます</p><p>瑠璃子に渡してくれ瑠璃子も、大分素直になってくれたパンティぐらい、穿かせてやってもいいだろう</p><p>美智が、瑠璃子でなくオレにパンティを差し出す</p><p>瑠璃子も、家族でございます</p><p>美智が、オレをジッと見る</p><p>今はどんなことも仲間はずれにしてはいけない</p><p>瑠璃子、穿かせてやるオレの前に立て</p><p>畳の上に膝立ちになっているオレの前に、瑠璃子が立つ</p><p>スカート、捲ってろ</p><p>細くて白い指がスカートの裾を優雅に持ち上げる</p><p>瑠璃子の処女の女性器が、オレの眼の前に露出する</p><p>右足から行くぞ</p><p>オレは、瑠璃子にもパンティを穿かせてやる</p><p>瑠璃子の肌を滑らせるようにパンティを引き上げる</p><p>パンティのゴムが、腫れたお尻に触れた瞬間、瑠璃子は痛そうに眉を顰めた</p><p>膝立ちのまま瑠璃子の足を抱き締めた</p><p>瑠璃子の下腹に、頬ずりする</p><p>ごめんな大好きだからな、瑠璃子</p><p>お尻は痛いだろうから、太ももをギュッと抱き締めた</p><p>一生守るから</p><p>お兄様はとっても、不思議なお方です</p><p>オレは、瑠璃子を見上げる</p><p>わたくしにはお兄様という方が、よく判りません</p><p>瑠璃子は、明らかに困惑していた</p><p>そうね人の情の判らない瑠璃子には、旦那様のお心は、まだ理解できないかもしれないわね</p><p>すっかり身支度のできたみすずが、答えた</p><p>旦那様はとっても、シンプルなお方よね、美智</p><p>はい、こんなに判りやすいお方は、いらっしゃいません</p><p>２人は、笑う</p><p>そうでしょうかわたくしには判りません</p><p>損得だけじゃあないのよ人間は、動物だから情というものが、人間の行動の基盤になることもあるのよ</p><p>ごめんなさい判りませんわたくし</p><p>でも、瑠璃子にだって旦那様が、魅力的な男性だってことは判るわよね</p><p>オレが魅力的かぁ</p><p>みすずそれは、ちょっと</p><p>はいそれは、判ります</p><p>え瑠璃子</p><p>何故なんでしょう黒森様には、親しみを感じますわたくし</p><p>なぜなのでしょう判りませんわたくし</p><p>香月家の娘として生まれた瑠璃子は</p><p>右も左も、周囲にいるのは瑠璃子たちの後ろに、香月家の権力を感じて、擦り寄ってくる者ばかりだ</p><p>他家どころか、香月家の一族さえ、瑠璃子たちを政治的な道具としてしか見ていなかった</p><p>特に瑠璃子の実の父、香月重秋は、ジッちゃんにとって、気を許すことができない要注意人物だった</p><p>だから、孫娘たちを利用されないようにジッちゃんは、瑠璃子たちを世の中から隔離した</p><p>そうするしか、無かった</p><p>香月重秋の元に瑠璃子を置いていたら彼は、自分の地位を築くために、平気で瑠璃子を利用していただろう</p><p>今になってみれば、ジッちゃんの選択はどうしょもないものだったことがよく判る</p><p>自分が香月家の後継者になろうとして実の兄を家族ごと謀殺した男だ</p><p>娘にだって何をするか判らない</p><p>狭い世界に閉じ込められて暮らしてきた瑠璃子は</p><p>家臣である美子さんと、二人きりだけの生活を強いられてきた瑠璃子は</p><p>お前に色んなこと、教えてやるからないっぱい、楽しいことをしような</p><p>きょとんとしている瑠璃子</p><p>オレは、そんな彼女を見上げている</p><p>それは、セックスということですか</p><p>セックスも楽しいけれど、もっとたくさん楽しいことが、いっぱいあるのよ</p><p>みすずが、従妹に言う</p><p>そうだ、オレさ克子姉から、パン作りを習うんだ瑠璃子も一緒に習わないか</p><p>パンですか</p><p>パンだけじゃない、ケーキとか、お菓子とかそういうのも習うぞ</p><p>それは面白そうですねわたくしも、習ってみたいですでも</p><p>でも何だ</p><p>いいのでしょうかわたくしが、習っても</p><p>瑠璃子は、これまで日常生活の全てに、規制を受けていたから</p><p>日舞だけ許されていたのは紺碧流の家元の日舞教室が、完璧な警護体勢だからだろうあそこには、セレブの子女たちしかいないし各家の警護人が何重にもガードしている</p><p>学校も超セレブ校だから、同じだ</p><p>あたしは、瑠璃子に比べてずいぶん、楽をさせていただきました</p><p>みすずが、呟く</p><p>あたしの父は、国家官僚です大学を卒業した時から、香月グループとは一線を画していますから、重秋伯父様の標的にはなりませんでしたそもそも、父は野心家ではありませんし重秋伯父様は、このまま父に政府の役人を続けさせるか、いずれ政治家に転身させるつもりだったんだと思います</p><p>兄弟でもライバル視されなかったから</p><p>香月重秋の標的に、みすずの一家はならなかった</p><p>それでもあたしも、香月家本家の血筋ですから瑠璃子と同じですずっと世間知らずのまま、一部の人たちだけに囲まれて成長しましたでも、あたしの場合はあたしが、そんな閉ざされた世界で窒息しそうになっていることを、お祖父様がお気づきになって下さいましたから</p><p>それで、みすずは渚と引き合わされた</p><p>あたしも昔は、瑠璃子や美智の様に、自分のことをわたくしって呼んでいたんですよでも、渚様にそんな喋り方では、普通のお友達ができないって注意していただいて</p><p>ええ、実際わたくしをあたしに直しただけで、学校でも紺碧流のお稽古場でも、お友達が増えました渚様のお店のお手伝いの時でも、言葉使いを改めたら、先輩の皆様があたしに親しくして下さるようになりましたし</p><p>天下の香月家のお嬢様が、わたくしって言ってたらみんな、引くよな</p><p>自分から、近付いて来るのは香月家の権威を取り込みたい人ばかりになる</p><p>逆に、あたしって言ってたら親しみが湧く気がする</p><p>香月家のお嬢様だって、自分と同じ年頃の女の子だって</p><p>今でも、みすずの喋り方は、固苦しいって叱られることもありますがわたくしと言っていた頃には、そんな風に叱って下さるようなお友達はいませんでしたから</p><p>判る気がする</p><p>瑠璃子そういうのも、人の情の世界だ小さなことで、人との関係が変わるんだ</p><p>まあいいゆっくり、覚えていけばいいさ</p><p>オレは、もう一度瑠璃子の柔らかい足を抱き締める</p><p>みすず様、瑠璃子様よろしいでしょうか</p><p>外から、小石川さんの声がする</p><p>時間ですか</p><p>はい、お願い致します</p><p>今、参りますちょっと待って下さい</p><p>みすずも、美智も支度は、整っている</p><p>タオルは、オレが処分しておくからあ、お前ら全員、手を洗っていけ</p><p>みすず、美智、瑠璃子みんな手を洗う</p><p>では、行きます</p><p>うん、多分、どこかで瑠璃子を奪取することになると思う</p><p>マルゴさんと関さんで作戦を立てているはずだ</p><p>いいわね、瑠璃子あなたは、旦那様に誘拐されるのよ</p><p>はい判っております</p><p>瑠璃子も、覚悟はできているらしい</p><p>サポートは、わたくしが致します</p><p>頼む、美智</p><p>それでは、旦那様</p><p>オレの三人の美少女は優雅に、部屋から退出して行く</p><p>お待たせ致しました参りましょう</p><p>部屋の外から、みすずの声が聞こえてくる</p><p>さて、また部屋に一人きりだ</p><p>警備の人たちは、みすずたちと移動とは言うけれどすぐには、出ない方が良い</p><p>時間差を作るために、ここで静かに待つ</p><p>オレは、畳の上に大の字に寝そべる</p><p>やっぱり、ちょっとくたびれた</p><p>じゃじゃじゃーぁんっ</p><p>部屋のドアが、ガチャッと開いて</p><p>寧と、マルゴさんが入って来る</p><p>もう大丈夫香月セキュリティ・サービスの人たちは、このフロアには居ないから</p><p>あれれ、どうしたのっヨッちゃん、ちょっとお疲れ気味</p><p>靴を脱いで、寧が畳の上へ</p><p>そのまま、オレに抱きついて来る</p><p>うふふっ、ヨッちゃーん</p><p>ど、どうしたの姉さん</p><p>どうしたも、こうしたも無いよっヤキモキしてたんだからっ!あたしっ</p><p>寧は、自分の大きな胸をオレの顔に押しつける</p><p>どーせ、みすずと美智に絞り取られたんでしょっ</p><p>あ、やっぱし何回何回やったのっ</p><p>おっぱいがおっぱいが、弾力でオレを攻めてくる</p><p>さ、３回</p><p>美智が２回で、みすずが１回</p><p>むむむっ美智、やるわねっ</p><p>も、もしかして姉さんも、したいの</p><p>すると、寧はくくくーっと笑って</p><p>大丈夫っあたしは、あの子たちみたいに飢えてないからっ</p><p>ほら、あの子たちはお上品に育てられすぎて、今はヨッちゃんとのエッチでしか心の解放ができないから</p><p>今はしょうがないよねヨッちゃんも、愛してあげてね心に不安や寂しさが湧き上がったら、ヨッちゃんに抱かれないとダメな身体になっちゃっているのよ</p><p>さっき、みすず自分は瑠璃子よりマシみたいなことを言っていたけれど</p><p>みすずだって、常に強いセルフコントロールを強いられている</p><p>オレとのセックスで、硬直しきった心を解きほぐしているのは間違いない</p><p>美智も警護人としての美智は、セルフコントロールの塊だからなあ</p><p>だから、セックスにハマっているのか</p><p>ほらッ、姉さんがヨッちゃんの抱き枕になってあげるからあたしにいっぱい甘えなさーいっ</p><p>そう言って、オレをギュッと抱き締める寧</p><p>あたしは、あの子たちよりも、安定しているもんねぇヨッちゃんとの絆は、深いんだからーっ一々セックスしなくたって、こうやって抱き合っているだけで満足なんだからっ</p><p>寧はそう言うけれど</p><p>でも、今朝寝起きのオレを襲ってきたの、姉さんだよねぇ</p><p>ぐふふふふっ女はね、どうしても我慢できなくなる時があるんだよっヨッちゃんの寝顔、とっても可愛かったんだからっ</p><p>って結局、姉さんだってエッチしたくなったら、我慢できなくなるんじゃないかっ</p><p>そうだよーんっヨッちゃんも、我慢しなくていいからねっしたくなったら、いつでもどこでもあたしは、襲われまーすっ</p><p>どうして、オレの廻りはみんな同じ様なことを言うんだろう</p><p>実際はオレより先に、求めてくる</p><p>はいはい、そこまで寧この部屋には、長くはいられないんだから</p><p>マルゴさんが、寧を制する</p><p>もう、そろそろ施設の係の人が、掃除と確認に来るよあたしたちも、外に出よう</p><p>ああ、そうでしたっ</p><p>寧は、オレを抱き締めたまま笑う</p><p>やっぱり、みすずと美智とここでセックスしていたことに、嫉妬しているんだな</p><p>いつもよりも、ちょっとテンションが高い</p><p>それで、マルゴさん岩倉さんは</p><p>そうだ、岩倉さんの姿が見えないけれど</p><p>彼女はお仕事中</p><p>仕事中って</p><p>生徒会長、岩倉幸代の正体は黒い森の娼婦だ</p><p>うん、もうあの男の子たちに、引き渡してきたよ</p><p>作戦は、順調だよ</p><p>ブックオフで、プロのせどりの人を見ました</p><p>でっかいタイヤ付きのバッグを引っ張ってて</p><p>左手にｉＰｈｏｎｅ</p><p>右手にスキャナーを持って</p><p>本棚の端から、順に本のバーコードをスキャンしてネット上の価格を確認</p><p>価値がありそうなら、次々とカゴに投げ込んでいく</p><p>まあ他の客の迷惑でした</p><p>何か眼が血走っていて、ちょっと怖かったです</p><p>50歳近そうな、迷彩服を着たオッサンでしたけれど</p><p>397．ミルク</p><p>とりあえず、部屋から出る</p><p>ヨッちゃん、これ着て</p><p>寧が、薄っぺらいビニールのジャンパーをオレに手渡す</p><p>ちょっと暑いけれどね</p><p>オレは、急いで香月セキュリティ・サービスの制服の上からジャンパーを羽織る</p><p>これで、取りあえずはオレは、香月セキュリティ・サービスとは無関係の人間になる</p><p>ズボンが、そのままだけれどまあ、誰かに突っ込まれたら、寧とマルゴさんが上手くフォローしてくれるだろう</p><p>喉渇いていないコーヒーでも、飲みにいこう</p><p>でも、そんなことしてて大丈夫なんですか</p><p>スケジュール通りの進行なら今は動きようがないんだよ</p><p>火葬場から、場所を変えて初七日と四十九日法要それから、ここの斎場の駐車場の向こうにある、レストランを借り切って精進落としの食事会だからさっ</p><p>寧は、この後のスケジュールを暗記していた</p><p>そのレストランへの移動が、チャンスだと思うんだていうか、そこまでは手を出すなって寧が言うから</p><p>うん瑠璃子が亡くなったお父さんのお骨を拾って、法要が済ませるまではあたしたちは動いちゃダメだよそれは、とてもいけないことだから</p><p>寧は、そう言う</p><p>そうですねオレも、そう思います</p><p>あたしは、日本の仏教形式のお葬式はよく判らないから精進落としっていうのは、別にいいんだね</p><p>うんそれは、単に家族で集まってお食事する会だからて、言っても、本当は香月のお祖父ちゃんと瑠璃子とみすずの家族だけでした方がいいんだと思うよ香月家の分家の人たちとか、会社の人たちが一緒だと気が休まらないだろうし</p><p>寧はお葬式の体験があるんだ</p><p>うん小５の時に、父方のお祖父ちゃんとお祖母ちゃんが交通事故で二人一緒に亡くなったからよく覚えている式の流れとか</p><p>そうなんだオレは去年、母親の方のジィさんが死んだから</p><p>それなりに覚えている</p><p>自分のバァちゃんの時は、まだ小さかったからうろ覚えだけれど</p><p>寧が、オレの腕に自分の腕を絡める</p><p>とにかく、行こうね、ヨッちゃん</p><p>オレたちは、施設のロビーに移動する</p><p>香月セキュリティ・サービスの黒服たちはすでに移動していた</p><p>気を付けて建物の外には、見張りが居るから</p><p>マルゴさんが、オレたちに囁く</p><p>一般のお客さんの迷惑にならないようにとりあえず、この建物からは撤収しただけだよ</p><p>火葬場と法要をする場所は隣の建物なんだねっ</p><p>寧が、視線で示す</p><p>ガラス張りのロビーから見える隣の建物</p><p>渡り廊下で、こちらの建物と繋がってはいるけれど</p><p>赤茶けた大理石で覆われた建物の内部に黒服たちが見える</p><p>つまりジッちゃんや、みすず、瑠璃子たちは、今はあそこにいる</p><p>利用者用の出口は、あそこだけ精進落としの会場のレストランは、あの出口から出てまっすぐ正面のあそこのお店だよ</p><p>マルゴさんの視線を追うとああ、確かに和食レストランがある</p><p>本来なら、香月家が使うようなお店じゃないんだろうけれど今日のお葬式は、大っ平にならないように、やっているからね火葬場の前で、サッと済まして解散したいんだろう</p><p>香月グループとしては瑠璃子の父、香月重秋の急死は、なるべく隠したい</p><p>マスコミの関心が、白坂家のスキャンダルで揺れている間に世間の注目を集めないように</p><p>だから、お葬式も慌てて急いで済ませた</p><p>移動は、最短の直線ルートを選択するはずだよ新しい警備部長の浅見さんならねだから、ここのロビーから監視していれば大丈夫さ</p><p>裏口とか、施設の従業員出口からってことは無いんですか何か、浅見さんて人は頭でっかちな人みたいだから裏の裏をかいて、そういうことをしそうに思うんですけれど</p><p>あたしも、そう思うよていうかあたしは、昨夜、関さんから浅見さんの立てた警備計画を見せて貰っているから</p><p>浅見さんの計画だと正面からは出ない裏の非常口の前に、リムジンを廻して香月さんと、みすずさん、美子さん、瑠璃子さんだけ、この短い距離を車で移動その他の人は、歩きってことになっているんだ</p><p>じゃあここで監視していたってダメじゃないですか</p><p>誘拐ターゲットの瑠璃子が、車でササッと移動じゃあ手が出せない</p><p>オレのスットンキョな声にマルゴさんは、クスっと笑う</p><p>慌てないでそれは、あくまで昨日の浅見さんの計画そんなの、絶対に谷沢さんに蹴られているはずだから</p><p>谷沢チーフに</p><p>今日はさ浅見新部長の初仕事なわけでしょだから、当然谷沢さんが、浅見さんのやることを詳細にチェックしているまあ、大したことじゃなけりゃあ現場では眼をつぶって、実際にやらせてみて、後であそこは良くなかったって指導するんだろうけれど香月さんやみすずさんたちの安全に直接影響のあることなら、口を挟まざるを得ないでしょ</p><p>確かに告別式会場を出発するのに、手間取ったり</p><p>遅れを取り戻そうと、車列を急がせたり</p><p>すでに浅見さんの失点は出ている</p><p>浅見さんの計画の問題点は３つ１つ目は、警備の人員を分割しなくちゃいけないってこと香月さんたちを乗せるリムジンの警備と歩いて、移動する香月家の人たちの警備とね全員一緒の移動なら、全ての警備員を集中させられるのに分けるのは、良くないよねしかも、リムジンと歩きではスピードが違うから浅見さんは、ここに居る黒服の警備員たちを香月さんたちをリムジンに乗せる班、リムジンを警護する班、向こうのレストランに先乗りして、リムジンを出迎える班さらに、一般の香月家の人たちを歩いて警護する班の４つに分ける必要が出て来るそんなことをしていたら、一番大切な香月さんの警備要員の人数が足りなくなるよね</p><p>２つ目がリムジンの香月さんと孫娘たちと歩きのその他の香月家に分けたら、さすがに香月家の分家の人たちは気分が悪いよね</p><p>あの人たち、結構、メンドくさいプライドの持ち主だから</p><p>しかも、浅見さんの計画ではどうしたもんだか、瑠璃子さんのお母さんとみすずさんのご両親も歩き組なんだよ</p><p>亡くなった人の奥さんは、歩きって何、それ訳判んないよねっ</p><p>寧が、ご立腹だ</p><p>理由は、想像できるよ移動が一台の車で済まなくなるからだよ、きっと</p><p>運転手はさすがに、香月セキュリティ・サービスの人でしょそれに、香月さん、みすずさん、美子さん、瑠璃子さんで５人警備の人が乗って、６人</p><p>でもリムジンなら、詰めればもっと乗れるでしょ</p><p>オレが尋ねるとマルゴさんは</p><p>あのさ香月家の当主の乗る車が、ギュウギュウ詰めってアリだと思う</p><p>そりゃあ、ナシだ</p><p>リムジンだから、６人乗っても余裕があるわけっていうか、運転席と助手席が警備員で香月さんたちの乗る席とは、透明な板で隔てられている感じかな</p><p>なら、移動車を２台にすればいいじゃないですかそれなら、瑠璃子やみすずの親も車で行けますよね</p><p>そしたら香月家の分家の人も、車で行かせろと言い出すよ</p><p>今度は空いている席に、誰が乗るかで分家の中で、揉めることになる単純な順列なら、香月操のお父さんなんだろうけれど今日は、お年寄りも来ているからね血縁の濃さとかだけでは決められないし乗せたら、乗せたであの人は、閣下に目を掛けられているとか、変な勘繰りをする人も出るだろうし</p><p>本当にどうしょもないなあ、名家の付録の人たちは</p><p>浅見さんて、そういう政治的なことにだけは頭が廻るから計画では、リムジン一台香月さんと孫娘たちだけっていうことにしたんだろうと思うよ</p><p>ところがここで、３つめの問題</p><p>そもそもさ香月さんが、そういうことを喜ぶと思う自分と孫たちだけ、あからさまな特別扱いなんて</p><p>いいえジッちゃんは、嫌がると思います</p><p>それに、この施設は公共の物だよね名だたる名家・香月家の当主だからって施設の人に、普段は閉鎖されている出入り口を開けさせるとか</p><p>マズイですよねそんなことで、反感を持たれたりネットに書き込まれたりしたら、ヤバイことになるかもしれないし</p><p>それがキッカケになって瑠璃子の父親の死が、大きく取り上げられて</p><p>変死したのではないかと、疑うような人が現れたりしたら</p><p>だから、香月さんは絶対に、浅見さんの計画を受け入れないそうなることが判っているのなら、谷沢さんは香月さんに警備計画を見せる前に浅見さんに変更を命じる</p><p>うんジッちゃんに見せてからじゃ、遅い怒らせるだけだし</p><p>そうなると、浅見さんも意固地な性格だから</p><p>計画を見れば、立てた人の性格が見えるよ谷沢さんに、事前にダメ出しされた浅見さんは、判りました、言う通りにすればいいんでしょっって、カチンとくるだから</p><p>あの正面出口から、向こうのレストランまで最短距離を一直線、全員警護で向かうってことになるわけさ</p><p>というのが、あたしの推理まあ、大丈夫だよもし、全然違う計画に変更になったら、関さんが教えてくれることになっているから</p><p>当ったり前でしょっいつでも、臨機応変に対処できないとねっ</p><p>寧は、マルゴさんといつも一緒に黒い森の実行部隊をやってきたからこういうことには慣れているらしい</p><p>あ、売店で何か買ってるよっ</p><p>パタパタとロビーの売店へ行く</p><p>オレは瑠璃子たちのいる、火葬場の方を見る</p><p>焼いて、骨にしてそれから、どうするの</p><p>お箸で二人一組になって一つずつお骨を、壷の中に納めていくんです</p><p>何か、結構ショックですよさっきまで、人の形をしていた肉体が焼けて、骨だけになっちゃってるのって</p><p>そうだねちょっと想像できないよ</p><p>マルゴさんは、考え込む</p><p>アメリカだと、多くの人は、遺体を焼いたりはしないからねせいぜい、２割ぐらいじゃないかな</p><p>ああ、そのまま棺に入れて土葬なのか</p><p>キリスト教の考え方だと全ての死者は、最後の審判の時にお墓から蘇って、復活することになっているから亡くなった時以上に、肉体を損傷するべきではないという考えがあるんだよ</p><p>まあイギリスみたいに、キリスト教徒でも火葬にする割合が多い国もあるけれどね</p><p>本当に、マルゴさんは色んなことを知っているなあ</p><p>君は神様を信じている</p><p>マルゴさんのブルーの眼が、オレを見る</p><p>ええっと居るような、居ないようなでも、もし居るとしたらオレには、神様は優しくないと思います</p><p>優しくない</p><p>ええ、神様ってオレに、試練ばっかりくれている気がします</p><p>面白いことを言うね君は</p><p>そして、また考え込む</p><p>ねえ民族や、住んでいる地域によって、その地で信仰されている神様の性格は変わるんだよ</p><p>うん例えばさユダヤ教などは、砂漠で生まれた宗教だからさ神様は、人間にとても厳しいんだよすぐに人に試練を与えるしもの凄く、理不尽だったりもするだから、人間にとって神様は、とても怖い存在なんだ</p><p>マルゴさんは、話し続ける</p><p>それは、やっぱり砂漠という環境が人間にとっては、とても苛酷でどんなに気を付けていても、すぐに死んでしまうような乾いた土地だったからだと思うそれに対して、キリスト教は元々は、ユダヤ教から分かれて発展していったけれどヨーロッパに入って、やっぱり変化したんだと思うよ中世までのヨーロッパは、気候が温暖でとても住みやすかったから神様は、とても人間を愛して下さっているという考えが強い</p><p>これがアジアの南の島の宗教とかになるとねそこは、とても生活しやすいんだ海に行けば、魚が豊富に居るし、山に行けば食べられる木の実がいっぱいある生きていくということに、不自由はないそういう環境だとね、神様は人間に対して甘々な性格だと信じられているだから、その南の島ではみんな神様に対するお祭りよりも、悪魔のためのお祭りばかりしているんだ</p><p>悪魔の</p><p>別に、悪魔信仰ってわけではないなんだよその島では神様は、特にお祭りなんかしなくても、人間に幸福を与えて下さるだけど、悪魔はいつ人間に不幸をもたらすか判らないだから、とにかく悪魔を一生懸命お祭りして、少しでも機嫌を損ねないようにしないといけないそんなことをしても、神様は怒らないだって、神様は底抜けに人間を愛しているのだからそういう信仰なんだよ</p><p>面白いですねそれ</p><p>日本人はどう思っているのかな神様について</p><p>うーん、人間には優しい存在なんだと思いますよでも、人間が自分で努力しないと、願い事は叶えてくれない神様は、そういうものだって、みんな感じていると思います</p><p>そうか確かに、そんな感じはするよね</p><p>マルゴさんは、ますます考え込む</p><p>ちょっと、これをテーマにレポートを書こうかな</p><p>そう言えば一応は、大学生なんだよな</p><p>ほーい、買って来たようっ</p><p>寧が、売店から戻って来る</p><p>ごめんねぇ牛乳なかったから、コーヒー牛乳で許してちょっ</p><p>寧は、オレとマルゴさんに四角い紙パックを手渡す</p><p>え何で、牛乳</p><p>オレがそう尋ね終わる前に</p><p>アーンド、あんパンこれは、置いてあったっ</p><p>あんパンと牛乳</p><p>張り込みだからっ</p><p>ニヒヒと、寧は笑う</p><p>どうして、張り込みだとあんパンとコーヒー牛乳なの</p><p>違うのっマルゴお姉ちゃん、本当は白い牛乳なのよっ</p><p>だからどうして</p><p>ああマルゴさんが、日本の文化についておかしなレポートを書きませんように</p><p>それから４０分ぐらい、ロビーから監視を続けた</p><p>パブリック・スペースだし色んな家の人が、訪れている</p><p>それこそ、火葬が終わるのを待っている他の家族の人たちもいるし</p><p>だから、オレたちがロビーに居座っても気にする人はいなかった</p><p>動いた</p><p>確かに向こうの建物の中の黒服警備員たちが、動き出している</p><p>移動が近いね警備態勢を移行させているんだ</p><p>マルゴさんは、そう分析した</p><p>君と寧は、ここに居て</p><p>あたしは、岩倉さんの方へ行くから</p><p>そういえば岩倉会長は</p><p>一騒ぎ起こすからそれで、瑠璃子さんだけ警備の中から外れさせる</p><p>どうやって</p><p>マルゴさんは、オレに微笑む</p><p>もう瑠璃子さんは君の言うことは聞くようになった</p><p>はい、一応は</p><p>一応</p><p>あいつも、もの凄く頭がいいですけれど頭でっかちですから頭では、もうオレに付いてくるしかないことは判っていると思いますでも、心はまだ完全ではないと思います</p><p>さらに言うと身体も</p><p>セックスして、快感を感じられるようになるまでは</p><p>瑠璃子の肉体は、オレに受け入れてはくれないと思う</p><p>ま、青い果実だからねっ瑠璃子は</p><p>寧が、そういう感想を述べた</p><p>まあ、心配しなくても平気だよみすずさんや美智さんもいる上手く、フォローしてくれるよ</p><p>オレたちが、瑠璃子・誘拐の口火を切ったらみすずたちは、空気を読んで協力してくれるだろう</p><p>香月さんだって助けてくれるだろうし</p><p>いえ、ジッちゃんはオレたちの力だけで、がんばれって言ってました</p><p>でもわざわざ邪魔をしてはこないだろう</p><p>それはそうだ</p><p>元々、瑠璃子を香月家から切り離して、オレに売り払ったのはジッちゃんなんだから</p><p>このまま、瑠璃子が香月家の中に閉じ込められ続けることをジッちゃんは、望んでいない</p><p>瑠璃子は殻を破って、外界の空気に触れないといけない</p><p>となると問題は、あの子だけだねっ</p><p>うん美子さん</p><p>美子さんは、オレたちの誘拐を邪魔するかもしれない</p><p>まあ、それはあたしが何とかするよ</p><p>よしあたしは、岩倉さんの方へ行くから、君と寧はそうだな、あそこの入り口の辺りに居てお喋りをしているフリをしていればいいから大丈夫、公共施設の中なんだから、敵意を示さない限り香月セキュリティ・サービスは、君たちを排除したりはできないよ</p><p>携帯持ってて何かあったら、すぐ連絡するから</p><p>そして、マルゴさんが小走りで出て行く</p><p>あたしたちも、行こうっ</p><p>寧は、あんパンを囓りながら、立ち上がった</p><p>さて、あちら側の建物の方は、いよいよざわついている</p><p>まもなく、ジッちゃんたちが出て来るな</p><p>外警護の黒服警備員たちも出口から、レストランへ向かう道に集まって来る</p><p>ここに、みんな集まって来るそこが、ミソなんだよっ</p><p>ほらっ、ヨッちゃんもっと、あたしにくっついて恋人のフリをしよっ</p><p>フリなんかしないよ</p><p>な、何でよっ作戦中なんだからねっ</p><p>だって、恋人じゃんかオレと寧</p><p>二人だけだから、姉さんでなく寧と呼ぶ</p><p>怒ってるの寧</p><p>違うヨッ照れてるのっっ</p><p>寧が、オレの耳に小声で囁く</p><p>好き好き大好き</p><p>オレも</p><p>オレも囁く</p><p>キスしたいがこうも、ゾロゾロと黒服が集まって来ると</p><p>あ、さっき駐車場で関さんと一緒に会った人もやって来る</p><p>ごめん、今はオレ、関さんのアシスタントだと思わせておいた方がいいから</p><p>オレは駐車している車の影に隠れて、寧に言う</p><p>あの人さっき、関さんと会っているんだ</p><p>了解むしろ、その方が小回りが利くかもね</p><p>オレは、ささっと、ビニール・ジャンパーを脱いで寧に手渡す</p><p>寧は、その匂いを嗅いで</p><p>うーん、ヨッちゃんの匂いっ</p><p>そして、自分でジャンパーを着た</p><p>さっきの黒服警備員がオレに気付いて、こっちにやって来る</p><p>あのここから＊＊＊駅の方に出るには、どこのバス停が一番良いんでしょうか</p><p>寧は、満面の笑みで黒服に尋ねる</p><p>ああ、それでしたら</p><p>黒服は、オレがたまたま寧に道を聞かれただけだと勘違いしてくれた</p><p>ピーッ</p><p>建物の入り口で、黒服の一人が笛を吹いた</p><p>閣下がいらっしゃるすみません、お嬢さん、もう少し、こちらに寄っていただけますか今、ここを団体が通りますから</p><p>自動ドアが開いてまず、関さんが現れた</p><p>すぐに、オレに気付いて</p><p>あ、オレ、呼ばれているんで行きます</p><p>黒服は、オレを関さんのアシスタントだと思っている</p><p>オレは堂々とした歩みで関さんの方へ</p><p>今年は本当に、運が良くないので</p><p>年が変わる前に、どっかの神社にお参りにでも行こうかと思いました</p><p>でも、明治神宮だと、明治天皇がいるし</p><p>乃木神社は、乃木大将だし</p><p>どこの神社がいいのだろうと思っていて</p><p>と、そこにちょうど母が着たので</p><p>どっかお参りでも行こうかと思うんだけれど</p><p>いいんじゃない</p><p>どこの神社へ行けばいいと思う</p><p>箱根神社がいいんじゃない</p><p>は、こ、ね</p><p>私は、都内というか近郊で済ませるつもりだったのですが</p><p>え、何で箱根</p><p>何か、ナガシマ監督がよく行ってるんだって</p><p>何で、ナガシマ監督終身名誉</p><p>いや、何かメチャメチャだなあと思ったのですが</p><p>これも何かの縁かなあと思い</p><p>行ってきました</p><p>朝9時に家を出て箱根神社に着いたのが、お昼</p><p>で、お参りして芦ノ湖を歩いて</p><p>帰宅したのは午後の5時過ぎ</p><p>判ったこと日帰りで行くところではない</p><p>温泉も入ってません</p><p>されど、引いたおみくじは末吉</p><p>書いてある内容は、暗いことばかりでした</p><p>一番、面白かったのは、</p><p>待ち人来ないが、連絡だけくる</p><p>なんだ、それ</p><p>そんな夢のような一日でしたまる</p><p>398．ガントレット</p><p>関さんの前に行くと</p><p>わたくしの横に居て状況に変化があり次第、対応して</p><p>小声で、オレに囁く</p><p>何が起こるんです</p><p>さあわたくしには、判らないわ</p><p>一応、ここの段階で、マルゴさんが何かをするということは事前に聞かされているらしい</p><p>しかし、どういうことが起きるかまでは伝えられていないのか</p><p>下がって、本隊が来るわ</p><p>建物の正面入り口の自動ドアが、開く</p><p>まずは、黒服の一団が出て来る</p><p>その後から香月家の分家の人たち</p><p>香月グループの瑠璃子の父親と関係の深かった重役たち</p><p>それから、また黒服部隊</p><p>一際、大きな身体が現れるジッちゃんの専任警護である、大徳さんだ</p><p>それからジッちゃんと美子さん</p><p>ジッちゃんは、自らお骨の入った桐箱を抱えていた</p><p>谷沢チーフも、ジッちゃんのすぐ脇に居る</p><p>その後ろから遺影を抱えているのは瑠璃子のお母さんだ</p><p>そして、みすずの両親</p><p>みすずと、瑠璃子、美智</p><p>その後ろに専任警護人の張本さんこれまた、でかい</p><p>そして、また黒服たち</p><p>全部で、５０人以上はいる、大行列だ</p><p>その行列を囲むように数メートル感覚で、黒服たちが並ぶ</p><p>オレたちも含めて大人数が、ゆっくりと歩いて移動する</p><p>こちらの火葬場の建物から、向こうのレストランまでは</p><p>通りを挟んで、おおよそ１００メートルというところか</p><p>やりすぎよこの場に来ている警備員の九割を終結させてるわ</p><p>歩きながら関さんが言った</p><p>警備の分割計画を、谷沢チーフに却下されたから浅見さんは、逆に全警備員をここに集めている</p><p>でも、みんな一応、礼服に黒ネクタイだから遠目には、大家族が、たまたま法要に集まっただけに見えるんじゃないですか</p><p>と、オレも歩きながら、一応言ってみる</p><p>関さんが、あんという眼でオレを見た</p><p>ハハそんなわけないですよね警備の人たち、みんな体格と髪型が一緒ですもんね</p><p>誰が見ても私服警備員にしか見えない連中ばかりだ</p><p>全員、周囲を警戒しながらのっしのっしと歩いている</p><p>もちろん、パッと見でガードだって、すぐに判別できる人も必要なんだけれど襲撃者対策にはねでも、誰が警護員で、誰が一般人か判らないように、混ぜておかないと効果無いわ</p><p>関さんは、呆れていた</p><p>警備の人たちの礼服もあれ、みんな同じメーカーの同じ物でしょ多分、前部長の山岡さんの指示なんでしょうけど</p><p>うん、衿の形も、布地のてかり具合も同じ</p><p>これではわざわざ私服で、警護している意味が無い</p><p>髪型の統一と一緒に、変更させないとね後で、谷沢チーフに提案するわまったくまさか、山岡さん、礼服の会社からリベート貰ったりはしていないでしょうね</p><p>ここまで全員同じだとそんな疑問さえ湧いてくる</p><p>そうですよね、体格はしょうがないけれど髪型と服は、替えられますよね</p><p>これではクローン人間部隊みたいだ</p><p>体格だって別に、香月セキュリティ・サービスの警備員が全員あんな柔道体型をしているわけがないんだから</p><p>そうなんですか警備の訓練をすると、みんな同じ様な体型になっちゃったりとかしないんですか</p><p>そんなことないわよ今日の人たちは、みんな柔道体型でしょ香月セキュリティ・サービスでも、空手メインの人は、細身の人だって居るわ似たような柔道系の人ばかり起用したのは、浅見新部長よあの人のイメージでは、警護要員はみんな柔道体型なんでしょやっぱり、現場を判っていない人はダメね</p><p>そう言えばその浅見さんは</p><p>行列の斜め後ろ、ちょっと小高くなったところから全体を見下ろしながら付いて来ている</p><p>一人きりで</p><p>何か目立ってますね、浅見さん</p><p>柔道体型の体格の良い警備員たちの上から見下ろして立っている、一人の女性警備員</p><p>耳にイヤホン、手に無線機を持っているし</p><p>颯爽と無線機や声や手振りで指示を出している</p><p>うん、目立つなあ</p><p>あの人、馬鹿なんじゃないのかしらそりゃあ、少し高い位置から全体を俯瞰して見下ろしたい気持ちは判るけれど一人で、あんなところに居てどうするつもりかしら</p><p>確かに、副官とか側近の人はいない</p><p>え部下の人たちとの連絡は、無線機でするつもりなんじゃないですか</p><p>よく判らないけれど命令の伝達には支障がないだろうと思う</p><p>上から大声で、何か指示しているし</p><p>そうじゃなくって警備担当責任者が、一人であんなところに立っていて、真っ先に襲撃されたらどうするつもりなのかってことよ</p><p>あの人閣下の方ばかり注目して、自分の周りを警戒していないでしょ襲撃者だって、一人きりとは限らないんだから先に、浅見さんを襲って、警備部隊の頭を潰すって手もあるでしょ命令系統に混乱が出たところで、敵の本隊が襲撃を掛けてくるとか</p><p>だから、谷沢チーフが閣下のすぐ後ろに入っていらっしゃるのよ本当だったら、今日の警備は浅見さんに任せているんだからチーフは直援警護じゃなくって、今、わたくしが立っている辺りから、全体を見ていて下さるべきなのよ</p><p>うん現場の最前線でなく、一歩退いて、状況を監視するのが谷沢チーフの本来の立ち位置だろう</p><p>そうですね、谷沢さんと浅見さんの居場所が逆なんですね</p><p>本当の現場責任者の浅見さんが、ジッちゃんたちの行列を見下ろす位置に居て</p><p>浅見さんの仕事を監視するだけのはずの谷沢さんが、ジッちゃんのすぐ脇を守っている</p><p>違うわ浅見さんみたいに閣下たちよりも高い場所に居るのは、大問題なの全体監視をするなら今、あたしが居る辺り警護対象者よりも低い場所からよ</p><p>それが要人警護の鉄則よ警備の人間が、守るべき人たちよりも目立ってしまってどうするのよ</p><p>関さんの言葉を聞いて、オレはもう一度それぞれの位置を確認する</p><p>確かに、浅見さんの位置だと、浅見さんばかりが、よく目立つ</p><p>無線機で話したり身振り手振りで、部下の黒服警備員たちに指示を出している浅見さんは誰がみても、この場のリーダーだ</p><p>一方関さんとオレの居る場所は</p><p>ジッちゃんたちの行列からは、離れているけれど行列を取り囲む、他の黒服警備員たちの配置の中に、自然に紛れていた</p><p>誰が警備のトップかなんて警備員だけが、判っていればいいのよなのに、あの人、わざと目立とうとしているから</p><p>あの人は閣下や香月グループの方たちに、自分の売り込みをしている最中だからよ</p><p>浅見さんの目的は有力者と知り合って、将来、自分が政治家として立候補する時の後援者になって貰うことだ</p><p>全然警護には向かない人なんですね</p><p>そうなのよどうして、あんな人を谷沢チーフが抜擢したのかまさか、ここまで向いていない人だとは思わなかったわ</p><p>谷沢チーフの眼が、曇っていたってことなんだろうか</p><p>そう言えば、関さん専任警護人なのに、ここに居ていいんですか</p><p>本来なら大徳さんや張本さんと一緒に、ジッちゃんの側に居なくてはいけないはずだ</p><p>さっき外されたのよ</p><p>外された</p><p>あたしがガードに入るとあなたたちに有利になるだろうからって</p><p>オレたち黒い森に</p><p>谷沢チーフもあなたたちが、何か仕掛けて来るとしたら、このポイントだって判ってらっしゃるのよあたしが、あなたたち側に付いていることもね</p><p>マルゴさんが何か仕掛けて来た時に瑠璃子のすぐ横に、関さんがいたら</p><p>誘拐はスムーズに行える</p><p>だからこの場は、見ているだけにしろって</p><p>その代わり浅見さんの手伝いもしないけどね</p><p>浅見さんの手伝いをしないということは</p><p>オレたちの瑠璃子の誘拐を黙って見過ごしてくれるということだ</p><p>オレは、みんなの位置を確認する</p><p>ジッちゃんの脇の美子さん</p><p>後ろの瑠璃子の様子を見ようと、時々振り返っている</p><p>しかし、瑠璃子と美子さんとの間には、何人もの人が居る</p><p>距離的にも離れているし何より、ジッちゃんが美子さんに瑠璃子とのコミュニケーションを禁じている</p><p>そんな瑠璃子を、みすずが抱えるように歩いている</p><p>廻りから見れば、父を失って傷心状態の従妹を、みすずが支えているようにしか見えないだろう</p><p>その後ろの美智</p><p>美智は、どんなに離れていてもオレの居場所は判るらしい</p><p>一度だけ、眼が合った</p><p>それで、あいつの心は判った</p><p>何が起きても、すぐに対応できるように準備している</p><p>それから寧は、どこだ</p><p>寧はさっきの警備員から離れて、まるで野次馬のように、オレたちの行列を眺めていた</p><p>自然な感じで</p><p>あ、オレを見てニコッと微笑む</p><p>それで、オレも覚悟を決める</p><p>ここが正念場であることは、間違いない</p><p>さてここが、ルビコン川よ</p><p>行列の先頭が通りを渡ろうとする</p><p>ここは火葬場の前閑散としいる</p><p>車の通りなんて、全然ない</p><p>信号も横断歩道も無いから香月セキュリティ・サービスの警備員が、ガードする形で行列が車道を横切る</p><p>あたしならこのタイミングを外さないわ</p><p>行列が車道に出る</p><p>ちょうどその時</p><p>来たみたいね</p><p>オレは、関さんが見ている方向に視線を向ける</p><p>バス</p><p>火葬場の駐車場から大型バスが出て来る</p><p>あれって</p><p>さっき、香月家の皆さんを乗せてきたバスよ</p><p>ああ、告別式の会場からここまでの移動に使った</p><p>精進落としのお食事会が終わった後また、皆さんを運ぶことになっているから、あっちの駐車場から、レストランの駐車場の方に移動するのは予定通りよただ</p><p>閣下の移動中に、行うべき作業ではないけれどね</p><p>全警備員がジッちゃんの移動に集中している時にわざわざ、バスを移動させたりするだろうか</p><p>でも、もう火葬場には戻らないわけだからこのタイミングで、バスがレストランの方に移動するのはおかしなことではないのよ</p><p>うん、荼毘も法要も終わっている</p><p>もう、火葬場の利用者ではないのだからいつまでも、火葬場の駐車場にバスを止めておくのは、施設側に対して迷惑だろう</p><p>次に利用する、レストランの方へ移動させるのは変ではない</p><p>ここで、どう判断するかそれが、浅見さんの適性検査になるわね</p><p>浅見新部長は</p><p>あ、気にしていない</p><p>自分たちと関係の無いバスなら警戒するんでしょうけれどあのバスも、香月セキュリティ・サービスが保有しているバスなの運転手も、当然、身内の警備員だから担当者が、自発的にやっているんだと判断したみたいね</p><p>それでも黒服の警備員の何人かが、バスを気にしている</p><p>様子を見てこようかと、警護の配置から離れようとする人もいたが</p><p>浅見さんが、無線に何か叫んでいる</p><p>すぐに、乱れた隊列は元通りになる</p><p>今は閣下の警護列が道を渡ることを最優先にするから、動くなって指令しているわ</p><p>関さんは無線機のイヤホンをしている</p><p>浅見さんの指示を、リアルタイムで聞いている</p><p>誰か、予備の人員をバスの方へ行かせましたか</p><p>それもしていないわ閣下が道を渡って、向こうのレストランの中に入ってから、確認すれば良いと思っているんでしょ</p><p>それでは遅い</p><p>なぜなら駐車場から車道へ出た観光バスは</p><p>大きくターンをして</p><p>オレたちの方へ向かって来るから</p><p>どうして、こっちに来る</p><p>警備員たちが、声を上げる</p><p>バスは、ブワッとスピードを上げる</p><p>急いで、全員、道を渡らせなさいっ</p><p>浅見さんが、絶叫する</p><p>無理ですっ</p><p>そんなこと言ったって５０人を越える行列は、すでに車道を塞いでいる</p><p>ジッちゃん以外にも、高齢の人がいるし</p><p>全員が走って道を渡り切ることなんかできるはずがない</p><p>運転手は無線機を持っていないのっ</p><p>浅見さんが部下に怒鳴る</p><p>持っているはずですけれど返答がありません</p><p>誰だ、あれ誰が運転している</p><p>車両部の杉浦じゃないのか</p><p>違う杉浦じゃない</p><p>バスの運転席に居るのは</p><p>香月セキュリティ・サービスの制服を着ていて制帽で顔は見えないけれど</p><p>あれはマルゴ・スタークウェザー</p><p>オレの最も信頼する仲間の１人だ</p><p>おい、止まれぇぇぇっ止まれぇぇぇっ</p><p>黒服警備員が、そう言ってバスの方へ飛び出そうとした瞬間</p><p>大型バスは、ブオオオとエンジンを唸らせてさらに加速する</p><p>このままでは、バスごと行列に飛び込んで大惨事だ</p><p>うわわわぁぁっ</p><p>気でも狂ったのかっ</p><p>すでに若い人たちは、道を渡りきっている</p><p>老人たちには、警備員たちが付いて前に進ませる</p><p>失礼致します、閣下</p><p>大徳さんが、ジッちゃんを抱きかかえる</p><p>そのまま、後ろへ走る</p><p>ジッちゃんたちの位置なら、前に進むより後ろに戻った方が近い</p><p>みすずや瑠璃子たちも走って、元の歩道へ上がる</p><p>張本さんがガードに付いてくれていた</p><p>一つの塊だった、５０人の行列が真っ二つに、分かれる</p><p>キキキキキーィッ</p><p>急ブレーキを掛けると同時にマルゴさんは、思いっきりハンドルを廻した</p><p>バスは車体のお尻を大きく振って、側面を向けて止まる</p><p>ボアアアアアッ</p><p>バスの前に、白煙が上がる</p><p>運転席から、発煙筒が投げられた</p><p>誰か、逃げたぞ</p><p>逃がすな</p><p>バスの窓から飛び降りた人影が白煙の中を駆けていく</p><p>今は良いそんなことより、今は皆さんの安全を確保しろ</p><p>谷沢チーフの怒号が響いた</p><p>何が最重要なのかを、考えろっ</p><p>慌てて黒服たちが、二つに分かれた警護対象のガードに付く</p><p>谷沢チーフ、オレを見てニヤリと笑った</p><p>今の混乱に乗じてあなたが、瑠璃子様たちを連れ出すと思ったのよ</p><p>警備員が前後に分断され、手薄になった上にバスの運転手の方に、注目が集まっているからこの隙を付いてね</p><p>なるほどそういう手か</p><p>だけど、オレはマルゴさんに、何の指示も受けていない</p><p>谷沢さんあなたたちのこと、舐めているわね判っていないわ</p><p>え関さん</p><p>本当に、現場を混乱させるのだけが目的なら発煙筒の量が少なすぎるわよ</p><p>発煙筒の白い煙は、もう消えかかっている</p><p>ギシッ</p><p>ギシギシッ</p><p>完全停止したはずのバスが揺れている</p><p>これ、サスペンションが上下している音か</p><p>あはぁーんっ</p><p>バスの中から女の喘ぐ、声がする</p><p>いいわぁっもっとよっもっと、もっと狂わせてぇぇぇぇっっ</p><p>ギシッギシッギシッ</p><p>眼をこらすとバスの最後尾の座席に全裸の女が乗っている</p><p>自分で自分のおっぱいを鷲掴みにしながら激しく、腰を上下させている</p><p>いいわぁぁ、いいわぁぁ中で出してぇぇ、また、中で出してぇぇぇぇっ</p><p>な、何をしているんです岩倉さん</p><p>な、何をしているんだっそこで</p><p>１人の黒服警備員がオレの心を代弁して岩倉さんに怒鳴った</p><p>何しているかってぇ見れば、判るでしょナニしているのよっっ</p><p>バスの窓をこじ開けて岩倉さんが、顔を出して言う</p><p>欲情しきった眼で</p><p>ダイナミックに腰をうねらせる岩倉会長</p><p>バスがまた、ギシギシと揺れていく</p><p>も、もうカンベンしてくれぇぇ</p><p>ダメよおっ満足させてくれる約束でしょもうすぐもうすぐだから</p><p>岩倉さんが、情欲に濡れた眼でバスの外の集団を見下ろしている</p><p>あたしイキそうまた、イッちゃうあなたのご親戚の皆さんの前で、またイッちゃうううっ</p><p>バスの外の人間は全員、ただ唖然としていた</p><p>あのお姉さん、どこへ行っちゃうの</p><p>香月家の分家の低学年ぐらいの男の子が、親に尋ねる</p><p>み、見ちゃいけませんっあんなものっ</p><p>眼の前に現れた痴情の女を見せないように、母親は子供の眼を手で覆う</p><p>いいからあんな汚いものは、見なくていいのよっ</p><p>汚い綺麗なお姉さんだよハダカンボだけれど</p><p>もういいからっ</p><p>あああっ、イク、イク、セレブの人たちと警備の皆様の前で、あたし、イッちゃう、イッちゃう爆発、ポンしちゃううううっっ</p><p>伸び上がり、身体を弓なりに反らす岩倉さん</p><p>ヤベェ、オレも出る、出る出ちゃうっ</p><p>出しちゃいなっあたしも、イッちゃうううっ</p><p>ああああああっ</p><p>出てるっ、出てるっ、子宮が熱いのっ熱いのまた、来てる、入ってるあああんっ、イク、イクあたしイっクぅぅッッッ</p><p>壮絶に岩倉幸代が、絶頂に飛ぶ</p><p>イクながら、グイグイと腰を振って男のペニスを締め上げる</p><p>最後の一滴まで、絞り取るように</p><p>ふうはぁうきゅーんお腹イッぱぁいっくふふふっ</p><p>岩倉さんは、満足そうに微笑んだ</p><p>ねえ、みんな見てくれたぁあ・た・しのエクスタシーっうっふん</p><p>痴女丸出しだなホント</p><p>な、何者なのあなた</p><p>浅見さんがバスの中の岩倉さんに言った</p><p>ええっとねねえ、あなた、皆さんに何て説明すればいい</p><p>岩倉さんは、自分が跨がっている男の身体を力尽くで、引っ張り起こす</p><p>男の顔がバスの窓に現れる</p><p>な、何やっているの、仁</p><p>姿が見えなくなったと思ったら仁</p><p>ちなみに、角田文和くんもその辺にいまーすっ仁ちゃんとは、６回目、角田くんとは５回エッチしちゃってまーす</p><p>痴女は、笑う</p><p>うちの息子から、離れなさい</p><p>離れるも何も仁ちゃんのオチンチン、まだあたしの中に入ってまーすっ</p><p>岩倉さんは、絶好調だった</p><p>これで赤ちゃんができた場合仁ちゃんと角田くん、どっちが責任取ってくれるのかなぁ楽しみだなあっ</p><p>岩倉さんの痴女劇場は続く</p><p>お祖父様瑠璃子が、気分が悪いそうです</p><p>困惑する、香月家一族と警備員たちの中で</p><p>みすずが祖父に声を掛ける</p><p>ガントレットは、イーストウッドの映画の方で</p><p>済みません、体調不良です</p><p>昨日、山は寒かったので</p><p>もの凄く、具合が悪い</p><p>そしたら、母が</p><p>お参りするとそういうことがあるのよ次は、宇都宮の神社に行きなさいそこもあらたかなんだって</p><p>あらたかは、霊験あらたかの略らしい</p><p>前も書きましたが私の母は、同年齢ぐらいの老女向けの洋服屋をやっています</p><p>お店に来るお客さんとは、病気と病院と旅行と御利益の話ばかりみたいです</p><p>＊＊さんのお母さんが入院した時に、そこの神社へ行ったら病院のお母さんの枕元に、神社の宮司さんが来たんだって</p><p>それで治ったの</p><p>ううん、病気は治らずに亡くなったそうだけどとにかく、枕元までは来たのよ</p><p>老女たちの会話は、よく判らないです</p><p>399．出世しまーす</p><p>大丈夫、瑠璃子</p><p>大きな声で、みすずが言う</p><p>そうだぞ、こんなモノを見せられては瑠璃子様が、気分を害されるのは当然だ</p><p>真面目でお堅いことに定評のある、香月操が叫ぶ</p><p>オレは関さんの影に隠れる</p><p>香月セキュリティ・サービスの制服を着ているし関さんの貸してくれた、変装用の眼鏡も掛けているから、気付かれていないと思うけれど</p><p>私塾の連中は、オレの顔を知っている</p><p>お祖父様瑠璃子は、このまま帰宅させた方が良いと思いますわ</p><p>みすずが、瑠璃子を抱きかかえて祖父に言った</p><p>そうなのか瑠璃子</p><p>瑠璃子は少し間を置いてから</p><p>はい体調が芳しくございません誠に申し訳ございませんが、ここで失礼させていただきたいと思います</p><p>瑠璃子は、すでにオレに誘拐されることを納得している</p><p>ここに居てあたしに付いて来ないでね</p><p>関さんが、オレの耳に囁くとスッと、オレから距離を取る</p><p>そうか、それならば仕方無いな</p><p>ジッちゃんが、そう言った瞬間</p><p>わたくしがお連れ致します</p><p>関さんが、名乗りを上げる</p><p>人々の視線が、関さんに集中する</p><p>うむ関くん、頼むぞ</p><p>当然の様に、ジッちゃんは答えた</p><p>この場に居る誰もが知っている、ジッちゃんの専任警護人の1人だ</p><p>それが変だと思う人間はいない</p><p>では、瑠璃子様をお預かり致します</p><p>頼みます、関さん</p><p>みすずが、瑠璃子の身体を関さんに託す</p><p>心配そうに、美子さんが瑠璃子を見て</p><p>わ、わたくしも瑠璃子様と</p><p>瑠璃子がいなくなるのが、心配なんだろう</p><p>いつもの様に、瑠璃子に側に付いていたいと願っている</p><p>ダメだ関くんに任せなさい</p><p>冷たく、そう言い切る</p><p>この後の食事会は、お前のお披露目を兼ねているのだからな</p><p>そして、まだ何か言いたげな美子さんを無視して、谷沢チーフに振り向く</p><p>おい、私たちはこのまま、向こうの店に入っていいのかねそれとも、元の火葬場の建物に戻った方がいいのか</p><p>香月家と警備員たちの50人の行列は大型バスの乱入で、二分されたままだ</p><p>申し訳ございません、閣下浅見部長、早く指示をしないかっ</p><p>谷沢チーフは、浅見新部長を叱る</p><p>は、はいええっと</p><p>浅見さんは、すっかりパニックに陥っているらしい</p><p>頭が回転していない</p><p>もういい、オレが指示を出す</p><p>一瞬で、谷沢チーフは、浅見さんを切り捨てる</p><p>閣下と皆様をあちらのお店にお連れするのが最優先だ警備部員隊列を組み直せ各班、周辺監視異常を見落とすな湯河原</p><p>お前の班の予備の人員を連れて、駐車場に残した車を全てチェックし直せこのバス以外の車も、細工をされているかもしれん</p><p>黒服警備員が５人ほど、火葬場の駐車場へ走る</p><p>真田と高橋の班は、向こうの店の内部を再点検だ安全が確認されるまでは、閣下たちを中にはお通しできん急げ</p><p>さらに１０人ほどの警備員が、ダッシュでレストランへ向かう</p><p>そもそも、この場に警備員を集中させすぎなんだよ浜北っ</p><p>お前の班で、このバスを移動させろこのまま、車道に残しておくべきではないだろ大型バスの運転が出来るやつはいるな</p><p>自分と柳田ができます</p><p>では、大至急レストラン側の駐車場へ移せ</p><p>浜北警備員は、他の警備員のような電光石火の動きはしない</p><p>バスの中のあの方々は、どうなさいますか</p><p>バスの中には、まだ全裸の岩倉会長が、ヘナヘナになった香月仁を襲っている</p><p>ニタニタと面白そうに、バスの外の様子を見下ろしている</p><p>女はどうせ、売春婦か何かだ騒ぎを起こした賊に雇われただけだろう大した情報は得られんだろうよ</p><p>不埒者、２人はわたくしに渡していただきたい徹底的に、こらしめてやるっ</p><p>一族の青年部を代表して、香月操が谷沢チーフに叫ぶ</p><p>操後にしなさいまずは食事だ</p><p>しかし、閣下</p><p>今はまだ、死んだ重秋のための時間だみんなで、重秋の思い出を語り合ってはくれないか</p><p>ジッちゃんは両手で抱えた、桐の箱を見て、そう言う</p><p>も申し訳ございません</p><p>香月操は、頭を下げる</p><p>仁と角田は谷沢の方で、面倒を見てくれしばらくは、顔も見たくない</p><p>了解です浜北、お二人はセキュリティ・サービスの車に移せその女も見張っていろ尋問はしなくていいオレの到着を待て</p><p>了解であります</p><p>浜北警備員が、自分の班員を連れてバスに取り憑く</p><p>うわっ、臭っな、何だ</p><p>バスに乗り込んだ黒服が、異臭に気付く</p><p>おしっこよーんっ仁ちゃんが、あたしのおしっこ飲みたいって言うんだもの</p><p>岩倉会長が、クククと笑う</p><p>そんなの言ってねぇ</p><p>香月仁は、すっかりくたくたでシオシオのパーだ</p><p>でも、飲んだでしょ仁ちゃん</p><p>飲んだ、飲まされたぁぁ</p><p>どういうプレイをやっていたんだ</p><p>その様子を見て、谷沢チーフは</p><p>おい、浅見くん</p><p>現場の指揮権を取り上げられて、気落ちしていた浅見さんが谷沢チーフに、急に声を掛けられて、ビクッとする</p><p>お食事会が終わるまでに、香月家の皆様のお帰りになるための車を確保しておけ</p><p>あのバスは、清掃しないと使えんそんなことも判らないのかね</p><p>あはいバスをバスをチャーターするんですね</p><p>馬鹿かね、君はタクシーで構わないそれぞれの御家庭で、どの様にお帰りなるのかをお尋ねして、必要な数のタクシーを呼びたまえそれくらいは、君にもできるだろうそれと、タクシーチケットを用意しておけ</p><p>谷沢チーフが香月家の人々を見る</p><p>皆様のお帰りのお車代は、当然、香月セキュリティ・サービスがお支払い致します</p><p>谷沢チーフの笑顔に、香月家の一族はホッとする</p><p>どうだ、周辺監視異常は無いか茂木</p><p>異常ありませんっ</p><p>斉藤</p><p>小林</p><p>異常無しですっ</p><p>樺島</p><p>前後左右の警備員たちが、大きな声で返答する</p><p>皆様、大変、お待たせ致しましたでは、参りましょう隊列、進めっ</p><p>先頭の警備員から歩き出す</p><p>ではわたくしたちも参りましょう</p><p>関さんが、瑠璃子に言う</p><p>それから、チラッとオレを見た</p><p>オレは、スッと関さんたちの方へ向かう</p><p>顔を私塾の連中に見られないように背中を向けて</p><p>さ行くわよ</p><p>当たり前のように、関さんがオレに声を掛ける</p><p>香月セキュリティ・サービスの一般警備員たちには、オレは関さんのアシスタントだと紹介している</p><p>実際、トップ・エリートのアシスタント用の黄色い衿の制服を着ているし</p><p>だから、警備員たちはオレが、関さんに合流することを変だとは思わない</p><p>瑠璃子、行くぞ</p><p>小声で囁くと、瑠璃子は</p><p>関さんを先頭に、瑠璃子、オレの３人で</p><p>ジッちゃんたちと警備員の集団から離脱する</p><p>うふふっ上手くいったねっ</p><p>ジッちゃんたちの行列が、完全に見えなくなったところで寧が、オレたちに合流する</p><p>いや、でもこれって、誘拐になるのか</p><p>みんなが見ている前で、堂々と瑠璃子を合法的に連れ出したんだから</p><p>いいんだよ、これでっあたしたち、別に香月のお祖父ちゃんと対立しているわけじゃないんだからっ</p><p>それは、そうだけれど</p><p>でも、関さんいいんですか</p><p>だって、このままオレたちが瑠璃子を連れて行ったら香月セキュリティ・サービスでの関さんの立場がなくなっちゃうんじゃ</p><p>誘拐に手を貸したことが、バレたら大変なことになると思う</p><p>いいのよ、わたくしもこのまま、君たちに誘拐されちゃうんだから</p><p>面倒見てね人質なんだから</p><p>関さんは、オレにウフッと微笑む</p><p>昨夜、関さんがマルゴさんと話し合った誘拐計画は</p><p>香月セキュリティ・サービスはともかく瑠璃子様がいなくなることに、香月家の皆様が不審に思わない様な方法を取るべきだと思ったのよそうじゃないと、またご一族の中で色々と揉められるでしょ</p><p>香月家の分家たちは、色々とメンドくさいからな</p><p>瑠璃子様が誘拐されたことにあの方々は気付かないできれば、永久にそういう方法を考えたら、こういう手になったのよ</p><p>関さんは、言う</p><p>もっとも移動に使ったバスを利用するというのは、わたくしの立てた作戦だけれどあのハレンチな女の子は何</p><p>ごめーんっあれは、あたしたちの秘密兵器ピンク色の核弾頭岩倉幸代ちゃんでーすっ</p><p>びっくりしたでもさ瑠璃子が、急に気分を悪くなさるという展開には、あれが最適かなって思って</p><p>いや、むしろよく、瑠璃子以外脱落しなかったというか</p><p>オレには、そっちの方がびっくりだ</p><p>香月操の家みたいに、モラルに厳しい人もいるだろうに</p><p>それはみんな、この後のお食事会には絶対に出ないといけないって思ってらっしゃるからよ万難を排してね</p><p>閣下がいらっしゃる席よしかも重秋様が亡くなって、美子様がお孫様として認知されて、閣下の引退についても発表された直後だもの香月家の皆様としては、何が何でも閣下とお話ししたいと思っているわ</p><p>香月家の分家たちは、今後の将来が不安なんだ</p><p>こんな状況でお食事会を欠席して早退できるのは、瑠璃子様とみすず様だけだと思うわ</p><p>何があろうと瑠璃子とみすずが、ジッちゃんの孫であることは変わらない</p><p>香月家内での地位は、不動だ</p><p>今後は、美子さんを含めて誰を自分たちの神輿として担ぐかで、分家の連中たちは争うだろうけれど</p><p>瑠璃子には、もう関係の無い話だ</p><p>関様わたくしのことは、瑠璃子と呼び捨てにして下さい</p><p>わたくし香月の家を出されてしまいました今のわたくしは、お兄様の所有物ですもはや、香月家とは関係の無い女ですから</p><p>うん、まぁ</p><p>でも、まあそれも、閣下と瑠璃子様との間でのお取り決めなのでしょうわたくしども、下々の者の関知することではございませんこれからも、瑠璃子様とお呼び致しますわ</p><p>関さんは、優しく微笑む</p><p>いえ今のわたくしは、卑しい身分に堕ちてしまいました恭しく扱っていただくのは、分不相応でございます</p><p>瑠璃子そろそろ判れ</p><p>お前香月家の人間だと、他の人よりも身分が高いとか、偉いとかそういうこと、思っているわけ</p><p>瑠璃子の中の身分幻想は、破壊しないといけない</p><p>香月家のお嬢さんであろうがオレの奴隷だろうが瑠璃子は、瑠璃子なんだよ何も変わらないんだよ</p><p>でも、今のわたくしは何の取り柄も無い、無力な小娘です</p><p>火葬場での控え室の会話から瑠璃子は、自分の現実を知った</p><p>香月家の後ろ盾がなければ、何の生活力も無い、世間知らずの女の子であることを</p><p>それ前もおんなじだったろ</p><p>今の瑠璃子だけでなく香月家のお嬢様だった瑠璃子だって、何の力も無い女の子だったってこと</p><p>はい、おっしゃる通りだと思います</p><p>ほら、変わらないじゃないか瑠璃子は、瑠璃子のまんまだ</p><p>そうでございますねわたくしが、勝手に香月家の力を、自分の力と思い込んでいただけなのですね</p><p>力だけじゃない家の伝統とか、名誉まで自分に重ね合わせていたろ</p><p>瑠璃子は、うつむく</p><p>判ったか</p><p>わたくし、ずっと卑しい女だったのでございますね</p><p>どうして、今度は思いっきり卑下する方へ行くんだよっジェットコースターか、お前っ</p><p>そりゃ、確かに生まれた家が高貴だから、瑠璃子も高貴だってのは間違っているんだよっでもさ、だからって高貴じゃなけりゃあ、卑しいのかよ瑠璃子の頭の中に、普通は無いのか</p><p>でもわたくし、本当に心の卑しい女ですし自分１人では何もできない、無価値な女でございます</p><p>瑠璃子に価値が無いわけないだろっ</p><p>お前がニコニコしていてきれたら、オレは嬉しい楽しい気分になれる瑠璃子はすげぇ美人なんだから、側に居てくれるだけでも幸せだよ</p><p>わ、わたくしが</p><p>うまく言葉で表現できないけれど、とにかく瑠璃子は無価値じゃない瑠璃子には、価値がある少なくても、オレは瑠璃子に価値を感じているだから、自分を卑下するな瑠璃子は、可愛いんだよ</p><p>わたくし今まで、ほとんどの方の前では存在していなかったように思います</p><p>一族の皆様も、学校のお友達も、日舞のお稽古場の皆様もわたくしを見ているようで、いつも見ていらっしゃいませんでした眼をわたくしに向けてはいても、心の眼は背けていらっしゃるみたいで</p><p>一昨日の日舞の発表会の時に、特にそれを感じましたわたくしは、皆様の前で踊りを披露しているのに皆様は、わたくしを見ては下さらない</p><p>数日前の劇場の瑠璃子の日舞を、オレは思い出す</p><p>見事な踊りだった</p><p>しかし、観客たちはこの香月家の娘に対して</p><p>拍手しなかった</p><p>瑠璃子には、褒めることすら香月家本家に対する冒涜に感じられたから</p><p>あの時、お兄様は瑠璃子にお花を下さいました</p><p>うん、オレは</p><p>オレ瑠璃子だけが、花束を貰えないのは可哀想だと思ったから</p><p>瑠璃子は、ハッとする</p><p>お兄様は最初から、わたくしを香月家の娘としては、見ていらっしゃらなかったのですね</p><p>だから言ってるじゃないか瑠璃子は、瑠璃子だオレにとっては、ずっと可愛い女の子だって</p><p>瑠璃子は、頬を赤く染める</p><p>寧が、オレたちを見て言う</p><p>ヨッちゃん、瑠璃子手を繋いで欲しいみたいだよ</p><p>瑠璃子の可愛い手がオレの方に伸びている</p><p>うん、手を繋ごう瑠璃子</p><p>オレは、瑠璃子と手を繋ぐ</p><p>そしてっこっちの手は、あたしが繋ぐぅぅっ</p><p>もう片方の手を、寧が握る</p><p>ホント、あなたたち仲が良いわね</p><p>うらやましい関さんも、繋ぐ</p><p>寧は、関さんに手を差し出す</p><p>そうね、そうしようかしら</p><p>関さんは、寧と手を繋ぐ</p><p>４人で手を繋ぎ合って並んで歩く</p><p>関さん、ホントはヨッちゃんと手を繋ぎたい</p><p>今はいいわあなたが居ない時を狙うことするから</p><p>何でヨッ</p><p>だってあなたが近くに居ると、手を繋ぐよりも先へは進めないでしょ</p><p>ぐぬぅそうかもあははは</p><p>笑う寧</p><p>とにかく、今は４人</p><p>４人で、前に進む</p><p>駐車場の関さんのダッジ・チャージャーの前に到着する</p><p>ここは、香月セキュリティ・サービスの他の車が置かれた駐車場とは離れている</p><p>浅見さんの計画書を見て関さんは、わざと、ここに駐車したんだな</p><p>周りに警備員たちの姿は、見えない</p><p>でこの後は、どうするんですか</p><p>オレは、関さんに尋ねた</p><p>このまま、わたくしの車に乗ってこの場を離れます外でマルゴさんと合流そういう計画よ</p><p>そのまま、瑠璃子を連れてお屋敷へ戻るのか</p><p>でもさ岩倉さんは、どうなる</p><p>このまま、置いていくわけにはいかないし</p><p>それは先生から、谷沢さんに交渉して貰って、後で回収ってことになるんじゃないかなっあたしたちが無事に脱出するまでは、どうすることもできないし</p><p>確かに今の段階だと、瑠璃子を取り戻すための交渉カードに使われるかもしれない</p><p>とにかく、瑠璃子を連れ去るのが先か</p><p>まあ、平気だよ、あの子は天下の香月家の皆様の前で、ヘンタイ露出プレイができただけで満足していると思うっていうか、あの子今の段階でも、真っ裸だと思う警備員さんたちに取り囲まれても、むしろ見て見てって自分から見せ付けてると思う</p><p>寧の想像は多分、正しい</p><p>どういう方なんですの</p><p>瑠璃子が、オレに尋ねる</p><p>ああ、淫乱星の淫乱王女なんだ</p><p>岩倉さんのことはあんまり知って欲しくない</p><p>もうすぐ淫乱の国へ帰るから瑠璃子は、気にしないでやってくれ</p><p>まあ、とにかく大丈夫だよあの子は楽しんでやっているから</p><p>寧が、そう言ってくれた</p><p>それより関さんも、あたしたちと一緒に来るんだよねっ関さんも、瑠璃子と一緒に誘拐されるんだからっ</p><p>寧が、うまく話を変える</p><p>そうね取り得合えずは、そうするわその後は、谷沢チーフの動き次第ね</p><p>谷沢チーフ</p><p>ジッちゃんは、いいのか</p><p>閣下は、瑠璃子様があなたたちに連れて行かれることに納得なさっているんでしょだから、問題無いわ谷沢さんの方だけよこれって、ある意味香月セキュリティ・サービスにケンカを売っている行為でしょ</p><p>うん香月セキュリティ・サービスの警備陣の中から、堂々と瑠璃子を誘拐したんだし</p><p>岩倉さんの淫乱特急バスは小馬鹿にしていると思われても、しょうがない</p><p>関さん、首になっちゃうかもしれないの</p><p>覚悟はしているわ谷沢さんの、裏をかいたんだしね</p><p>いいよ、首になっちゃいなよっそれで、うちにおいでよねっ、ヨッちゃん</p><p>寧は、そう言うけれど</p><p>さあ、どうしようかしら黒森家は、香月セキュリティ・サービスほどお給料が良くないと思うけれど</p><p>そんなことないってあたしから、先生に頼んであげようか</p><p>そいつは、こっちが困る今、関くんに辞められるのは痛い</p><p>車の影からぬっと、谷沢チーフが現れる</p><p>谷沢さんどうして</p><p>警備の指揮をオレが執っているから閣下の側から、動けないと思ったのか</p><p>谷沢チーフは、ニヤッと微笑んだ</p><p>閣下をレストランの中にお連れした段階で現場の指揮は、大徳に任せたここ数年は、閣下の身辺警護だけをやらせているが、あいつは指揮能力も高いんだ関くんは知らないだろうがねオレは、さっきの女を尋問してくると言って、抜けて来たんだよ</p><p>これってマズイかも</p><p>まんまとしてやられたよ香月家のご高齢者たちには気の毒だったが、死傷者ゼロ香月セキュリティ・サービス所有のあのバスも、ちょっとタイヤが摩耗しただけで済んだああ、あのお嬢さんの小便の清掃と消毒はしないといけないけどね</p><p>請求書送ってよっ</p><p>気にするなそれぐらい、こっちの経費で何とかする色々と、オレの方も助かることになったからな</p><p>とにかく香月セキュリティ・サービスのメンツを潰さない形にしてくれたことは感謝するこのまま、瑠璃子様が連れ去られても香月家の人間は、誰も気づかない本当に、よく考え抜かれた、良い手だ関くんのプランか</p><p>わたくしとマルゴさんの共同で考えました</p><p>谷沢チーフは、笑ったままだ</p><p>お陰で無理矢理押しつけられた、新部長も更迭できた香月家の面々の前で、ああも失態を見られたらあの娘も納得して、退職してくれるだろう</p><p>それって浅見さんのこと</p><p>山岡の代わりに、あの子を部長にしろって香月家のお偉いさんの１人から、ネジ込まれたんだよ政治家だったあの子の親父が、友人だったとかで</p><p>浅見さんの起用は谷沢チーフの選抜ではなかったんですか</p><p>関さんが、驚く</p><p>当たり前だろうオレが、あんな役立たずを選ぶわけがないだろう重秋様の死去と、司馬さんのトップ就任で香月家の中は、今、混乱しているんだようまくバランスを取って、色んな派閥の連中にポストをやらないと内部闘争が激化するからな閣下も悩んでおられる</p><p>いいんだよあの女は１日だけでも、香月セキュリティ・サービスの警備部長だったという経歴があればいいんだから後は、自分で何とかするだろう政治家になりたいんなら、とっとと出てって貰った方がいい</p><p>谷沢チーフは、吐き捨てるように言った</p><p>で関くん、君に話がある</p><p>君には閣下の専任警護人を離れて、別のポストに就いてもらいたい</p><p>緊張する関さん</p><p>もしかしてわたくしを</p><p>そんなわけが無いだろう次の警備部長には、袴田を選ぼうと思っているどう思う</p><p>チーフの言葉に、関さんはホッとする</p><p>良いご選択だと思いますわ袴田さんなら、立派に任務を果たされるでしょう</p><p>オレもそう思うところで、関くん君の次のポストだが</p><p>谷沢チーフは、フンと鼻を鳴らす</p><p>香月セキュリティ・サービスのトップをやってくれないか</p><p>浅見さんをお馬鹿に設定したのは、関さんを出世させるための伏線です</p><p>この作品で、人って、割りとこんなもんだよねという流れでやっています</p><p>天才同士の化かし合いとか、本当は中々ないですからね</p><p>何で、こんな馬鹿なことにというのに、巻き込まれ続けるのが、人生の様に思います</p><p>さてあかんです</p><p>今年最凶に、体調悪いです</p><p>箱根で何か拾ってきたみたい</p><p>体調が良かったら、岩倉さんのエロ描写とか増やしたんですけれど</p><p>今は、無理です</p><p>今日は雨でしたが、氷雨の中、みんなコミケに行ったのでしょうか</p><p>大昔に、雪の降った日のコミケで延々と並んでいたことを思い出しました</p><p>明日、少しは快癒していたら、行ってみようかな</p><p>400．現状確認</p><p>絶句する、関さん</p><p>もちろん、1人で全部やれとは言わんトップ・エリートのやつらは、関くんでは抑えられんだろうしなそっちの方は、オレが受け持つ関くんに、貫禄が付いてくるまではな</p><p>谷沢チーフは、笑顔で言った</p><p>そ、そんなな、なぜわたくしなのですか</p><p>関さんは、驚きの余り、ろれつが回っていない</p><p>わわわ、わたくしは若輩者の、一警護人ですよ</p><p>何言ってるんだ、君は最初っから幹部候補生として採用したんだぞ</p><p>か、幹部</p><p>ヨーロッパの専門機関で要人警護を学んで来た、スペシャリストだろう君は</p><p>いや、そのたた、確かに、そうでございますけれど</p><p>そもそも入社したばかりの君が、閣下の専任警護人に選抜された理由が判っているのかね</p><p>え、え、え</p><p>関くん君は、大徳と張本あの2人の化け物と、自分が並び立つ様な警護人だと思っているのかね</p><p>大徳さんも張本さんも恐ろしい戦闘力を秘めた、ボディ・ガードだ</p><p>ホモだけど</p><p>いえそれはでも、閣下はご高齢ですし内外の様々な重要人物とご歓談なさいますから、わたくしの様な女の警護人も必要なのではないかと</p><p>その通りだどこへ行くにも、あの筋肉の塊みたいな大男２人だけでは、見栄えが悪い君のような、知性的な美人が居てくれるお陰で大徳たちの男臭さが和らぐ</p><p>はい、わたくしの役割などそんなようなものだと思っておりましたわたくしは、あくまでも大徳さん、張本さんをフォローする存在だと</p><p>実際一昨日の劇場で、関さんはジッちゃんの警護を離れて、みすずと瑠璃子の警護をする様に命じられている</p><p>関さんも、それに従っていた</p><p>ジッちゃんの専任警護人なのに</p><p>つまり、あくまでもジッちゃんに常にびったり貼り付いているボディ・ガードは、大徳さん、張本さんの仕事で</p><p>関さんは、常に貼り付いている２人にはできない仕事をする係例えば、今日、火葬場に到着した時にやっていた先乗りなんかをする係なんだろう</p><p>あるいは、ジッちゃんの指示で、あちこち飛び回るとか</p><p>だから、何でそういう仕事を、君にさせてきたと思う</p><p>関さんは、口籠もる</p><p>この数年君は閣下のガードとして、様々な人たちとお会いして来たろう他家の警護人との打ち合わせも、大徳たちでなく、君が担当して来たはずだ君は、香月セキュリティ・サービスの中では、もちろん知らない者がいないほどのエリート社員だが今では、国内外の警護業界でも顔の知れた存在になっているはずだ</p><p>は、はい閣下が外遊なさる時の各国の警察機関との交渉も、わたくしがやっておりますから</p><p>ああつまり、君にはすでに香月セキュリティ・サービスのトップになる資質は充分に備わっているということだ</p><p>谷沢チーフは、ニッと微笑む</p><p>というよりもトップになる人材として、閣下とオレは君を鍛えてきたそう理解して、欲しい</p><p>関さんは開いた口がふさがらなくなっている</p><p>もちろん、オレも閣下もこれまで何度も、君を試してきた君がトップを担えるほどの胆力を見せなければ、いつでも普通の警護人に降格させるつもりだっただが、君は見事に閣下とオレの期待に応えてくれた</p><p>一昨日の劇場から、ホテル</p><p>関さんが、ずっとオレたちと一緒に行動していたのも</p><p>ジッちゃんたちのテストの一環だったのか</p><p>比較対象として、一緒に送り込んだ藤宮は場の流れに囚われて、自分の立場を見失ってしまったしかし、君は自分が、香月セキュリティ・サービスの警護人であるということを最後まで忘れなかった</p><p>麗華はオレたちの家族になるという提案に、あっさり乗ってしまった</p><p>しかし、関さんは最後まで返事を保留にしたまま、香月セキュリティ・サービスの警護人として闘った</p><p>だからホテルの事件の後も、ずっとオレたちと一緒に居る今の香月セキュリティ・サービスには、麗華の戻れる場所は無い</p><p>一方関さんは、ホテルの現場の後始末にも立ち会っていたし、昨日、今日のお葬式の警備にも参加している</p><p>香月セキュリティ・サービスの一員として</p><p>今日も見事だった浅見くんの行き届かないところを、関くんが的確にフォローしてくれた</p><p>谷沢チーフは、さっきの火葬場での黒服警備員たちとのやり取りを言っているのだと判った</p><p>浅見さんの警備計画のマズいところを現場レベルで修正する</p><p>技量のあるやつには、裁量権を増やしてやり警備計画の根幹を引っかき回すことなく、修正の必要があるものだけを最低限修正させる浅見くんは、君が閣下たちの控え室を入れ替えたことに気付いていなかったよ全て、自分の立てた計画通りに、下の人間が動いていると思っているようだ</p><p>必要最低限の変更だから浅見新部長は、気付かなかった</p><p>そもそも、あの人は自分の眼で、現場確認を細かくするような性格じゃないもんな</p><p>あれ、閣下の部屋、ここだったっけと、思っても改めて、計画書を見て確認したりしなかったんだろう</p><p>それも君が、担当警備員たちに責任は自分が取ると言ってやったからだ彼らは、堂々と胸を張って変更した部屋に閣下を迎え入れたから浅見くんも変だとは思わなかったんだろう</p><p>ところで関くんが今日した仕事は、オレがいつもやっている仕事だって気付いたかね</p><p>谷沢さん</p><p>現場責任者ってのは、どっしりしていないと、下のやつらが不安になるからな山岡が警備部長だった時はオレが今日の君みたいに、現場へ先乗りして、警備態勢に状況に合った修正を施してきたまあオレの場合は、やり過ぎたんだろうな結果として、山岡のやつの成長を阻害してしまったんだと思う</p><p>谷沢さんが、現場に出張り過ぎたから山岡さんは、頭でっかちな警備部長として、現場での臨機応変な対応ができない人になってしまった</p><p>うん何か問題が起きたら、山岡さんが気付く前に、谷沢チーフが配下のトップ・エリートや、工藤父たちを使って解決しちゃうんだもんな</p><p>山岡さんには、問題対処の経験値は溜まっていかない</p><p>いずれにせよ今日の関くんは、オレと同じ立場香月セキュリティ・サービスのトップとしての思考が働いていたことは間違いない個人の実績でなく香月セキュリティ・サービスの仕事として、何をすればいいかという判断だ</p><p>浅見さんは自分の栄達にしか興味が無かったから、要人警護の現場責任者としては失格なことばかりしていた</p><p>一方、関さんは自分個人のことは考えず、警護を最優先にして、現場の人たちに働きかけていた</p><p>はっきり言おう関くんは、今日の警備で浅見くんの新警備部長としての審査が行われていると思っていたのだろうが今日の審査対象は、関くん君だったんだよ閣下もオレも今日は、君を見ていた</p><p>下を向いてうつむく</p><p>マルゴさんと瑠璃子様の誘拐を画策致しました香月家の皆様に暴走バスを</p><p>何も、問題は無いさ</p><p>怪我人はいないし、物損も無いさっき言った通りバスの消毒とタイヤの摩耗ぐらいだ</p><p>しかし警護対象者の皆様を危険に晒したことに間違いはありません</p><p>ジッと関さんは、谷沢チーフを見る</p><p>わたくしは警護人を引退しようと思っております</p><p>そういう覚悟でわたくしは、黒森の皆様に協力致しました</p><p>そこがちょっと違うんだな</p><p>谷沢チーフが、ニヤッと微笑む</p><p>君がただの警備員ならその通りだと思うでも、お前は警護人だろ関</p><p>関さんが、ハッとする</p><p>警備員なら対象者の身だけ守ってればいいだが、警護人は警護対象者の心まで守らないといけないだから、オレたちのギャラは警備員たちよりも遥かに高いんだ</p><p>こころ</p><p>オレは詳しいことは知らん詮索するつもりもないだが閣下の警護人として、閣下が瑠璃子様を香月家から避難させその小僧にお預けになろうとなさっていることは判っている</p><p>谷沢さんは、オレと瑠璃子を見る</p><p>重秋様がこんなことになり司馬をトップに据えて、新体制を作るったってしばらくは、香月グループの中は大荒れになる特に、みすず様、瑠璃子様、美子様の３人のお孫様には今まで以上に、まとわりついて来ようとする輩が出るだろう</p><p>ジッちゃんが引退を表明した以上</p><p>香月家や重役会の面々は、次の世代に注目する</p><p>まずは、美子様だ今までは、注目されていなかったがもし、誰かが先に美子様が亡くなった重春様の忘れ形見であることに気付いて動き出したら危ないだから、閣下は先手を打って、美子様を今日、公の場で認知なさったしばらくは、このままずっとお側に置かれるだろう誰も、美子様に手出しできないようになるまで</p><p>今まで、香月家の娘だと認知されていなかった美子さんは香月家の分家も、重役会の連中も、舐めた態度で扱おうとするだろう</p><p>例えばジッちゃんが、美子さんのことを公表した直後に</p><p>香月仁が、平然と美子と結婚したら、香月家の後継者になれると放言したのが、その証拠だ</p><p>これがみすずや瑠璃子のことなら、あんな大人数の前で大声で話したりはしない</p><p>みすずや瑠璃子よりも、気楽に墜とせるターゲットとして美子さんは、狙われる</p><p>だから、ジッちゃんは真っ先に、保護をした</p><p>続いて瑠璃子様については、価値を下げるしかない重秋様の急死と、異常にあわだたしい葬儀の進行で皆様、重秋様の死が凶事であることには気付いていらっしゃるご葬儀での閣下のお言葉からも重秋様が、何かしら不祥事を起こされて、謀殺されたことは、広く伝わっている</p><p>全てに、ジッちゃんのメッセージが込められている</p><p>特にご葬儀の席で、閣下が瑠璃子様をぞんざいに扱われたことは瑠璃子様が香月家の後継者の資格を失ったことを強く印象づけることとなりました</p><p>はい谷沢さんのおっしゃる通りです</p><p>わたくしは香月の家から放逐されました</p><p>そういうことにしておいた方が今の瑠璃子様には、よろしいというご判断なのでしょう</p><p>瑠璃子様が、閣下のご不興を買ったということになれば誰も、瑠璃子様に接触しようとはしないでしょうから閣下がご健在の間は、瑠璃子様にアプローチしてくる輩はいないはずです</p><p>ジッちゃんに嫌われている瑠璃子に手を差し伸ばせば、ジッちゃんの怒りを買う　ジッちゃんが、瑠璃子が香月家を継がせる可能性がゼロだとすれば悪い連中は、瑠璃子に近付かない</p><p>やっと、ジッちゃんの本心が判った</p><p>谷沢さん、そういうことではないのです</p><p>瑠璃子は、力なく言う</p><p>わたくしは本当にお祖父様に捨てられたのです</p><p>さっきまでの瑠璃子なら</p><p>谷沢さんの言葉を聞いて政治脳を働かせて</p><p>なるほどジッちゃんは、瑠璃子の今後を考えてわざわざ、こういう回りくどいことをしてくれたのだと理解するだろう</p><p>オレやみすずが、徹底的に脅しつけた後だ</p><p>発想が自分は捨てられたという方向に、大きく傾いている</p><p>お祖父様は美子をいいえ、美子様を選ばれたのだと思います</p><p>自分の跡を継ぐ後継者として</p><p>わたくしはお祖父様に不要な存在なのです</p><p>オレは、瑠璃子の手を握る</p><p>オレはお前が必要だだから、そういうことは言うな</p><p>はい申し訳ございませんお兄様</p><p>瑠璃子の手は血の気を失って、冷たかった</p><p>オレは正直黒森家が、瑠璃子様を預ける場所に相応しいとは思えないだがこれで、香月家内部や重役会、それに他の名家など香月家の跡継ぎを狙っている連中は、瑠璃子様から手を引くだろうがもっと下賤なやつら香月家と関係が持てれば何でもいいという様な人間が、瑠璃子様を襲う可能性は強いいや、閣下の庇護から外れたと知れば、無茶なことをやってくる馬鹿も出るだろう</p><p>何より、瑠璃子は美少女だ</p><p>これまで究極の箱入り娘だって女の子が一人で巷に放り出されたら</p><p>どんな酷いことになるか、想像がつく</p><p>本当ならオレが、誰か力のある警護人をお付けするべきなんだが香月セキュリティ・サービスのトップ・エリートが、瑠璃子様をお守りすれば閣下が瑠璃子様をお見限りになったという前提が崩れるかといって、工藤やフリーの連中を付けたんじゃ、瑠璃子様の評判が傷付くだけだ</p><p>そうか香月セキュリティ・サービスは、動けない</p><p>工藤父たちは、エキセントリック過ぎるし</p><p>だから、お前たちに瑠璃子様を託すというのは苦肉の策なんだ恭子の腕は信用できるし、マルゴ嬢ちゃんも良い警護人になる資質があるお前たちは、閣下と対立しているわけではないし瑠璃子様を大事に扱ってくれるだろう何より女だけというのが良い</p><p>いやオレがいますけど</p><p>お前は、みすず様のお相手じゃないか</p><p>みすず様がいらっしゃるのにみすず様のご親戚である、瑠璃子様に手を出そうとはしないだろう</p><p>何よりみすず様が、そんなことを許されるはずがないみすず様は、とてもご意志の強いお方だこういっちゃなんだが独占欲の強い方だだから、お前にべったりだろうもし、お前が瑠璃子様を口説こうとしてもみすず様が、阻止なさるよそれに、お前だって、みすず様のご不興を買ってまで危ない橋を渡るつもりは無いだろ</p><p>そう見えているのか</p><p>谷沢チーフ的には、オレがみすずの尻に敷かれている風に</p><p>え、違うのか</p><p>いくらお前でもみすず様に嫌われたら、香月家を敵に廻すってことは判っているよなとにかく、日本にはいられなくなるぞ</p><p>そ、そうですね</p><p>まあ、みすず様の方が、一つ年上でいらっしゃるし日本有数の名家のお嬢様だから、お前も大変だと思うがまあ、とにかく頑張ってくれ</p><p>は、はぁ頑張らせていただきます</p><p>ここが谷沢チーフの発想の限界か</p><p>この人もジッちゃんや名家の人たちの警護をしているというだけで</p><p>一般常識の中に生きているものなあ</p><p>ジッちゃんもみすずも瑠璃子にオレと性的な関係を結ぶように勧めているとは、思っていない</p><p>いや、想像できない</p><p>オレたちのモラルが、メチャクチャなんだけれど</p><p>あの、それで思い出したんですけれど美子さんと瑠璃子の今後の状況は、今の説明でよく判ったんですけれど</p><p>そうだ、ついでに聞いておかないと</p><p>みすずはどうなるんです</p><p>みすずも狙われるのか</p><p>谷沢チーフは、呆れている</p><p>まず、一昨日の劇場で日本中の名家に、みすず様とのご交際を披露したのは誰だ</p><p>オレだ</p><p>それを閣下が黙認する様子も見せたホテルでは、私塾の連中を通して、お前とみすず様の仲を閣下が認めていることを、はっきりと示された判るか</p><p>もはや、お前とみすず様の仲を裂こうとすれば、閣下のご不興を買うそういう認識になっている誰ももう、お前たちに手を出そうとはしないよ</p><p>そうか告別式の会場でも</p><p>オレたちに絡んできたのは、香月仁と角田の馬鹿二人組だけだったもんな</p><p>他の私塾の連中はわざと近付かないようにしていたのか</p><p>その代わり皆様、みすず様が後継者になることは無いと考えているみすず様は、後継者の資格よりもお前との恋を取られたのだとそれを閣下は、微笑ましく感じられて、受け入れられたという認識になっている</p><p>みんな、勝手に思い込んでいるのか</p><p>元々、みすず様はお父様が国家官僚でいらっしゃるから、香月グループ内には勢力を持っていないだからみすず様が、後継者になるためには、グループの人間の子供と結婚して勢力を固める必要があると思われていたんだ</p><p>そもそも、みすずにはジッちゃんの決めた婚約者が居た</p><p>司馬沖達氏の長男</p><p>みすずにとっては、司馬家との縁談は司馬氏のグループの勢力と結びつくことになるし</p><p>司馬家としては香月家と血縁になる</p><p>司馬さんに、グループを託そうとしていたジッちゃんとしては一番、都合の良い選択だったんだろう</p><p>しかし、みすず様はお前を選んだそれはつまり、香月家の後継者争いから降りられたということを意味するそして、そのことを閣下がお認めになったと</p><p>だから、今後のみすずは誰にも狙われずに、安泰なのか</p><p>閣下のお許しがある以上オレたち、香月セキュリティ・サービスは、これからもみすず様をお守りすることができるだから、心配はするな</p><p>いや、まあ</p><p>美智もいるし、みすずのことは大丈夫だと思っているけれど</p><p>ちょっと、待って下さい</p><p>オレは、頭を整理する</p><p>瑠璃子はジッちゃんに、見限られたということになっていて</p><p>みすずはオレと付き合っているんで、後継者候補から脱落となると</p><p>もしかして、美子さんすっげぇ、大変なことになるんじゃないですか</p><p>美子さんがたった一人で</p><p>香月家の後継者候補として狙われることになる</p><p>谷沢チーフは、肯定した</p><p>美子様</p><p>瑠璃子が、ギュッとオレの手を握る</p><p>瑠璃子様の安全を確保するためにも今は、そうするより他に手はございませんとにかく、閣下もわたくしも、美子様を全力でお守り致します</p><p>さて話が随分、脱線してしまいました元に戻しましょう</p><p>谷沢チーフは、関さんを見る</p><p>関お前は、閣下が何を望んでいらっしゃるかを、理解して今回の行動に出たそうだな</p><p>いや、細かいことはどうだっていいんだ瑠璃子様を、黒森家に預けるっていうのが閣下のご意志で、お前はそれを実現するために行動したんだ閣下の警護人としては、何の問題も無いオレは、そう思うぞ</p><p>関さんは、納得していないようだった</p><p>しかもお前とマルゴお嬢ちゃんが選んだ方法は、結果として香月セキュリティ・サービスに何の悪影響も及ぼしていない怪我人ゼロ、物損無し役立たずの、新警備部長は更迭できた現場の士気は、むしろ上がっている</p><p>それは結果論です</p><p>結果論、上等じゃねぇかだいだい、警護人の仕事ってのは、結果さえ良ければいいんだよっ</p><p>良い結果を生むために過程を大切にするのではないのですか</p><p>途中の過程がどれだけ良かったって結果がマズけりゃ、アウトだろう違うか</p><p>その辺のゴチャゴチャした気持ちを、引きずったまんまで構わないとにかく、お前っていう人材が、香月セキュリティ・サービスには必要なんだ</p><p>谷沢チーフは、きっぱりと言った</p><p>それともどうしても、香月セキュリティ・サービスを辞めて、黒森家に行きたいのか</p><p>関さんが、オレの顔を見る</p><p>わたくし自分で自分が、よく判りません</p><p>オッケーじゃあ、関さんの気持ちをまとめてみようっ</p><p>関さん今さ、何が何でも、香月セキュリティ・サービスを辞めたい</p><p>そんなことは、ありません</p><p>警護人の仕事好きなんでしょ</p><p>じゃあ、まだ辞めなくていいじゃん</p><p>でも、わたくしは</p><p>引っ掛かっている心をさちょっとナナメにしてみようよっそしたら、スルッと抜けるかもしれないよっ</p><p>関さんオレたちが瑠璃子を誘拐するために、香月家の行列にバスを突っ込ませたことそんなに後悔しているの</p><p>後悔というより覚悟していたわ警護人を辞める</p><p>本当に、真面目なんだこの人は</p><p>警護人なのにそういう選択をしてしまった、自分が許せないってこと</p><p>オレの問いに、関さんは答えた</p><p>許せないわ自分で自分が</p><p>じゃ、許さなくて良いから</p><p>オレの言葉に、ハッとする関さん</p><p>許さないまんま今後も、警護人を続ければいいじゃないか</p><p>オレも、今いっぱいあるんだ自分で自分が許せないことオレ、本当だったら、今すぐここで腹を切って死なないといけないぐらいろくでもないことをしでかしまくってる</p><p>ここ数日のこと雪乃のこと他の子たちのこと</p><p>でも、オレ死ぬわけにいかないし生きていかなきゃ</p><p>今のオレには家族がいる</p><p>だから、オレは自分を許せない自分を抱えたまま、生きていくよ</p><p>オレは、瑠璃子の手をしっかりと握る</p><p>この子の運命だってオレは、変えてしまった</p><p>関さんは自分を許せない自分を抱えたままじゃ、警護人は続けられない</p><p>ジッと関さんの眼を見る</p><p>ううん我慢すればできると思うわ</p><p>できることなら、警護人は続けたいんだよね</p><p>じゃあ、我慢しなくちゃ</p><p>オレは、関さんに微笑む</p><p>関さんは、答えた</p><p>あなたのために頑張ってみる</p><p>あたし、あなたの前では誰にも恥ずかしくない自分でいたいの</p><p>あけました</p><p>おめでとうございます</p><p>結局、寝込んだままでコミケも行けませんでした</p><p>お台場まで、乗り換え1回、30分の場所に住んでいるのですが</p><p>えー、今まで通り、お正月とか、400回突破とか、関係無くこれからも、淡々と進めて参ります</p><p>というか、丸一年365話で終わったらカツコ良かったのに</p><p>でも、確実にラストには向かっていますので</p><p>どうぞ、今年もお付き合い下さい</p><p>401．マイクロ</p><p>では、いいな関くんには、香月セキュリティ・サービスの役員現場部門のトップに就任して貰う立場的には、警備部とトップ・エリートたちを統括する役職だ</p><p>つまり現在の谷沢チーフの仕事を、関さんが引き継ぐ</p><p>閣下はオレに、社長をやれと言っているよそういう柄じゃあ、ねえんだが勇退するには、まだ若すぎるし変な形で身を引いたら、香月セキュリティ・サービスの内部で権力闘争があったと邪推されるだから、昇進するしかないらしい</p><p>でも、いいじゃんお給料も上がるんでしょっ</p><p>寧が、ククっと笑う</p><p>それが現場と接している今の方が、手当が付くからな社長に徹すると、給料は下がるんだうちの会社は、現場重視だからな</p><p>谷沢チーフは、苦笑した</p><p>だから谷沢さんは、ずっと現場に拘っていたわけっ</p><p>そういうことじゃないんだが結局、閣下が香月セキュリティ・サービスを設立したのは、重秋様の暴走を恐れたからだ身内が身内を虐げる香月家内での殺し合いを防ぐために、私的な警備組織を作ったあくまでも香月家内を見張ることが本来の任務で、他の名家の警護も引き受けたのはカムフラージュのはずだった</p><p>だった</p><p>ところが名家専門の警護会社っていうのは、思った以上に需要があったんだ</p><p>谷沢チーフは言う</p><p>まあ、昔から警察崩れの連中なんかで、そういうボディガードの会社を作るヤツは居たんだがなどこも、あんまり上手くはいかないんだ</p><p>名家ってのは色々と、知られたら困る裏があるそういう細かい事情は、普通の民間企業には中々判らないだろう名家には、名家のルールがあるそれを勘案せずに自分たちの指示に従って下さいと、警護役の方が突っ走るその結果、他の名家の機嫌を損ねるようなことになったりな</p><p>例えばそんなに力の強くない名家が、ボディ・ガードを雇って</p><p>そのガードが、自分の雇い主の安全だけを優先して香月家の様な、有力な名家の人たちをないがしろにしたら</p><p>雇い主の立場が無い</p><p>その上警護の過程で知った、名家の情報を基に、脅迫事件を起こした様なゲスなやつらも居たしな</p><p>うわ、最悪だ</p><p>いやボディ・ガードだ警護人だといっても、所詮は脚光を浴びる職業では無い人の影に徹する仕事だ裏の世界に限りなく近い実際犯罪組織に属しながらから、こっちの仕事もするキョーコみたいなやつもいるしこっち側から、犯罪者に堕ちていったやつらもいるこの仕事をしている人間に、聖人君子は望めないまともな人間がする仕事じゃないからな</p><p>自嘲気味に、谷沢さんは言う</p><p>香月セキュリティ・サービスはまず、何より、香月家の組織だ名家中の名家、香月家の運営ということなら、信頼も厚い当然、名家同士の細かいバランスには詳しい</p><p>家と家の力の差を知らないで粗相をすることはない</p><p>それどころか長い歴史のある名家だが、今は力の衰えている家と、今はいいが、成り上がったばかりの家が揉めた様な場合、香月家の名前で調停ができる香月家の判断なら、仕方が無いと、双方に矛を収めさせることができるこれは、香月家が後ろ盾であり、閣下のご意志の下に機能している警備会社だからこそ、できることだろうだから、現在では多くの名家が、オレたちの会社を利用している</p><p>これが、それぞれの家が別々のボディ・ガード会社と契約していたりしたら</p><p>雇い主の家同士の抗争がエスカレートして、警備会社同士のケンカに発展しかねない</p><p>むしろ、現在では各名家に対して、政治的な介入手段として、香月セキュリティ・サービスの力はしばしば利用されることも多いその辺の、ただの警備会社とは違うんだ</p><p>そういう組織の運営トップに関さんが加わる</p><p>香月セキュリティ・サービスは、表の警備部と裏のトップ・エリートに分けられる表の部門は普通の警備会社と変わらないこっちは、真面目で固いやつに任せておけばいい本当に、要人の身辺を守り綺麗事では済まない任務を果たすのは、トップ・エリートだあいつらこそが、香月セキュリティ・サービスの財産だまた、工藤たちの様に会社に所属する気が無いが、能力のあるやつらも、個別に抑えておかないといけないもし敵に廻られたとしても面識があると無いとでは、対応手段が変わる香月セキュリティ・サービスの名を使わずに、他家と交渉するのにも使えるからな社内のトップ・エリートと、社外の工藤たちあいつらには金を惜しまない実際、人数は警備部門の10分の１もいないが、支払額は１００倍近い</p><p>あの谷沢さん</p><p>関さんが尋ねる</p><p>そういうことは全てわたくしは、知っておりますが</p><p>関さんは、香月セキュリティ・サービスのトップ・エリートで</p><p>３人しかいない、ジッちゃんの専任警護人の一人なんだから</p><p>香月セキュリティ・サービスの内部の事情なんて、全部判っている</p><p>当たり前だ君に話しているわけではない</p><p>瑠璃子にか</p><p>まさか寧</p><p>お前だよ、お前お前に話しているんだ</p><p>香月セキュリティ・サービスがどれだけ恐ろしい組織なのか何となく判ったな</p><p>いや、まあだいたいは</p><p>すでにお前たちの屋敷を、２４時間監視させていることも知っているな</p><p>谷沢さんは、オレをギロっと見る</p><p>そういうことだから瑠璃子様のことは、お前に託すが監視は怠らんからな</p><p>ああそういうことですか</p><p>失礼の無いように、丁重にお守りするんだぞ</p><p>大丈夫だよっあたしたちは、この子を香月家のお嬢さんじゃなくって妹として受け入れるんだからさっ</p><p>寧が笑って答える</p><p>ヨッちゃんは、あたしの弟だと思っているしそのヨッちゃんの相手なんだから、みすずだってあたしの妹だよみすずも、あたしのことお姉さんて呼んでくれているし瑠璃子は、みすずの従妹でしょだったら、あたしの妹だよっていうか、うちの家族はみんなそう思っているよっ</p><p>寧の言葉に嘘は無い</p><p>そうかそれなら、いいんだが</p><p>いや、谷沢さん</p><p>寧の妹とか家族という言葉に、誤魔化されてはいけない</p><p>姉や妹とセックスするのがオレたちの家風なんだから</p><p>とにかく香月セキュリティ・サービスを侮るなよいいな</p><p>谷沢さんが強く言うからオレは、うんうんと頷く</p><p>谷沢チーフそろそろ</p><p>関さんが、谷沢チーフの話に区切りを付けてくれた</p><p>マルゴさんとの約束がありますこの子たちを連れて行かないと</p><p>大型バスで突入したマルゴさんは、香月セキュリティ・サービスに追われている</p><p>だからこの現場の近くからは、すでに移動しているんだ</p><p>判った瑠璃子様たちをお送りして、すぐに返って来い関くんの役員就任について他のやつらとも話さないといけないしな</p><p>あの大徳さんと張本さんは、もう知っているのですか</p><p>あいつらには事前に打診した二人とも、推薦書を書いてくれるようだ</p><p>関さんは、ホッとする</p><p>いや、もちろんあいつらは、関くんの能力を高く評価しているんだがぶっちゃけ、君の代わりの専任警護人に若い男を欲しがっているだけだ</p><p>はぁ強いんだけど、ホモなんだなぁ</p><p>だから、君の後任もまた、若い女の子をブチ込んでやる正直、若い男が近くにいない時の方が、あいつらは動きが良い気に入った男の前では、あいつらはお互いに格好良いところを見せようと気張るし、チームワークも悪くなる</p><p>まあ、あいつらのコントロールの仕方も、ゆっくり伝えていくよ全てのトップ・エリートにアメとムチのポイントがあるんだその点、関くん君は一番楽だった</p><p>谷沢チーフは、関さんの黒いダッジ・チャージャーを見る</p><p>君は、アメリカ車の趣味だけで済んだからなピンクのキャデラックは驚いたが、今日みたいな公式な場では、ちゃんと黒い車を選ぶ良識を持っているし</p><p>藤宮くんとか、本当に困るからなどれだけ能力があっても、あの英国趣味は警護対象者よりも、高級な仕立てのスーツを着てきたりするしな社会的地位のある男性の警護は任せられなかった逆に名家のお嬢様たちには人気があるんだが</p><p>お母様方にもなだが、藤宮くんの趣味を毛嫌いなさる、顧客は多い</p><p>藤宮君の逆のパターンもあるトップ・エリートの好野くんなんて、美人だが普段の格好がセクシー過ぎるからな男性には大人気だが、奥様方には不評だ</p><p>色々と大変なんだ</p><p>関くんは、トップ・エリートとしては常識人なんだだから、君が幹部候補に選ばれたということもある</p><p>いえ、あたしだって割りとエキセントリックですよ</p><p>恥ずかしそうに、関さんは答えた</p><p>いや、少し前まではそうだったしかし、今は安定している</p><p>谷沢さんは、しげしげと関さんを見る</p><p>だから、このタイミングで閣下が君の昇進を決めたんだ</p><p>それからオレを見て</p><p>閣下はお前と知り合ったことで、関くんは安定したと言っていたぞ</p><p>オレと</p><p>はい、わたくしもそう思います</p><p>関さんも、オレを見る</p><p>閣下は、お前には女の心を安定させる力があると、おっしゃっていただから、みすず様も瑠璃子様も、お前に預けるのだと</p><p>オレの力</p><p>そうだな実際、オレは黒森の連中とは、昔から面識があるがお前らのボスにしたって、他の女の子たちにしたって、前より落ち着いている気がするマルゴ嬢ちゃんやキョーコまでな</p><p>いや、キョーコさんは、まだ会ったばかりですし</p><p>オレが否定すると</p><p>ううん、ヨッちゃんキョーコさんにも、影響は出てるよやっぱり、先生や克子お姉さんやあたしが大きく変わったから、あたしたちを通じてキョーコさんにも伝わっていることってあると思う</p><p>ヨッちゃんは、あたしたち全体をほんわかさせてくれてるんだってば</p><p>お兄様には不思議なお力があるように感じられます</p><p>ええお兄様と一緒に居ると、ドキドキすることもありますが怖くはありません</p><p>いや、そんなことないだろう</p><p>さすがに谷沢チーフの前では</p><p>瑠璃子のパンツを脱がせて、腫れ上がるまで尻打ちしたことは言い出せない</p><p>あの色々とお叱りをいただくことがあっても、お兄様にはきちんとしたお考えがあることが判りますから</p><p>うん、ヨッちゃんは逸脱しないからねっ</p><p>逸脱</p><p>人間として大切な枠を守ってくれているから安心できるんだよっ</p><p>寧は微笑む</p><p>さあ、そろそろ行こうっあたし、お腹空いちゃった</p><p>そう言えばもう昼過ぎだ</p><p>ジッちゃんたちは、食事会で昼食を摂っている</p><p>瑠璃子にも、何か食べさせないと</p><p>では、参りましょう谷沢チーフ、後ほど連絡を入れます</p><p>うん、谷沢さん色々ありがとねっ</p><p>お気遣い、感謝しますあの</p><p>瑠璃子が、谷沢さんに深く頭を下げる</p><p>お祖父様と美子様のこと、よろしくお願い致します</p><p>この谷沢に、全てお任せ下さいそれより瑠璃子様は、ご自身のことを第一にお考え下さい</p><p>そして、オレをちらりと見て</p><p>もし、こやつが瑠璃子様に不埒なことを強要するようでしたらすぐに、谷沢にご連絡下さい</p><p>その時は、トップ・エリート部隊を引き連れて救出に向かいますこいつは、大徳と張本にくれてやりますから</p><p>オレ、ホモの餌食になっちゃうの</p><p>大丈夫だって心配しすぎだよ、谷沢さんっ</p><p>それよりさっ</p><p>関さんの黒いマッスルカーが５月の晴れた午後の道を疾走する</p><p>新緑の季節</p><p>ドライブには、絶好の天気だ</p><p>克子お姉ちゃんから聞いたことがあるんだけれど</p><p>寧が、オレに言う</p><p>谷沢さんて香月のお祖父ちゃんのお供で、お屋敷に来たことは何度もあるんだけれどお祖父ちゃんに誘われても、自分は警護の任務中ですからって、ずっとお祖父ちゃんの車の中に待機して、絶対にお屋敷の中には入って来なかったんだって</p><p>黒い森が娼館であることは知っているが</p><p>娼婦を買ったことはない</p><p>また、ジッちゃんたちが屋敷の中で、どんなインモラルな行為をしていたかも知らない</p><p>先生やマルゴお姉ちゃんとは、警護の打ち合わせで会っているしキョーコさんとは、昔から知り合いみたいだけれどお屋敷の内側は見たことがないんだよねあの人</p><p>だからオレに瑠璃子を預けられる</p><p>オレが瑠璃子に手を出すことは無いと思い込んでいる</p><p>でも、あたしたち常識外れなんだよね最初っからさ</p><p>寧が、オレに自分の胸を擦り付けながら言った</p><p>オレたちの話を聞いて、瑠璃子は心配そうにうつむく</p><p>あ、居たわあそこね</p><p>運転席の関さんの言葉に、オレたちは前方を見る</p><p>見慣れたマルゴさんの白いバンが停まっている</p><p>車体の側面に貼られた文字は丸子酒店</p><p>遅かったね、どうしたの</p><p>車を停めると、マルゴさんが下りて来て言った</p><p>谷沢さんに見つかっちゃったわお見通しだったみたい</p><p>ああ、まあ想定内だけどね香月さんが、見逃してくれることは判っていたんだし</p><p>ジッちゃんは、瑠璃子の誘拐を望んでいた</p><p>そのことを折り込んで、マルゴさんは計画を立てた</p><p>マルゴお姉ちゃん関さん、今度から香月セキュリティ・サービスの現場部門のトップになるんだってっ</p><p>寧が、窓を開けて言う</p><p>へえ、それは凄いね大出世じゃないおめでとうございます</p><p>そんな苦労が増えるだけよ</p><p>っていうことだから香月セキュリティ・サービスも、ヨッちゃんのものになるからねっ</p><p>え寧</p><p>ホント、谷沢さんて良い人なんだけれどそういうところ、ニブイよねっ</p><p>寧はニコッと微笑む</p><p>いや、あのそれって、香月セキュリティ・サービスが黒い森と連携するってこと</p><p>そうじゃないってば黒森は関係無いのヨッちゃんだけのものになるんだよっ</p><p>よ、よく判らないんですけれど</p><p>すると、関さんは運転席からオレに微笑み</p><p>そうね寧さんの言う通りね</p><p>香月セキュリティ・サービスは、丸ごとあなたにあげるわあたしが</p><p>いや、関さん</p><p>眼がキラーンとかしていますけれど</p><p>ヨッちゃんは、凄いねえうっふふふふっ</p><p>ていうことでさ別れ際に、谷沢さんには岩倉さんの釈放をお願いしてきたから</p><p>判った後で回収して来ればいいんだね</p><p>寧が最後に話していたのは、岩倉さんのことか</p><p>午後３時過ぎまではさっきのレストランでお食事会の予定ですその時間が、狙い目だと思うわ</p><p>その岩倉さんて子が、送迎のバスを使えなくしてくれたから浅見さんが掻き集めてきたタクシーで、会葬者の皆様をお返しするから</p><p>現場が立て込んでいるうちに岩倉さんを引き取ってくればいいのか</p><p>そっちはあたしが行くよできれば、車も代えた方が良いしね</p><p>でも、大丈夫かな放っておくと岩倉さん、尋問係の若い警備員さんとかに襲いかかっちゃうかもしれないしっ</p><p>それは平気だよ谷沢さん、自分が行くまで尋問するなって言ってたから</p><p>谷沢さんも、岩倉さんの底抜けの淫乱パワーを恐れているんだろう</p><p>とにかくさ先にお昼にしないっ</p><p>寧が、提案する</p><p>そうだねそうしようか関さんも行くでしょ</p><p>マルゴさんは、関さんを誘う</p><p>残念だけれどわたくしは戻るわお食事会の会場の外で、他の警備員の子たちと仕出しのお弁当を食べるわあたしの分、多分、取っておいてくれていると思うの</p><p>そっか次の現場トップとしては、そういう機会はなるべく顔を出さないといけないか</p><p>また今度誘ってちょうだい</p><p>誘うも何もいつでもご飯を食べに来てよっいいよね、ヨッちゃん</p><p>ええ、いつでも来て下さい関さんなら、もうみんな顔見知りだし大歓迎ですよ</p><p>うちで関さんを知らないのはアニエスぐらいか</p><p>うん寄らせて貰うわ</p><p>あのねマルゴさん</p><p>わたくし警護の計画プランを作ったことは何度もあるけれど誘拐のプランを考えたのは、今回が初めてよ</p><p>うん楽しかったでしょ</p><p>マルゴさんは、ニカッて笑う</p><p>何かちょっと悪いことをしているというのは、心苦しかったのですけれど</p><p>でも、楽しい</p><p>そうねプランを立てて実行するドキドキもしたし楽しかったわ</p><p>関さんも微笑む</p><p>うんまたやりましょう</p><p>関さんももう、あたしたちの仲間ですから</p><p>関さんとマルゴさんが見つめ合う</p><p>逆に、関さんのお仕事にいつでも、あたしたちを使ってくれて構いません身内なんですから、遠慮無く何でも言いつけて下さい</p><p>ありがとう頼りにするわ</p><p>関さんは、そう答える</p><p>谷沢さんの知らないところで香月セキュリティ・サービスと黒い森が連結する</p><p>まあ、これだってジッちゃんは想定しているはずだ</p><p>谷沢チーフはずっと光の側からだけで、物事を見てきた方なのね</p><p>あたしはあの夜のホテルの戦闘で、あなたたちと行動を共にして良かったわ闇の側から、光の側がどう見えるか実地で学べたから</p><p>香月セキュリティ・サービスあたしの代で、大きく変わるわよ</p><p>関さんの車を見送って</p><p>寧たちは、マルゴさんのバンに乗り込む</p><p>しかし、この辺は人通りが無いな</p><p>周りの道に車は見えないし人も歩いていない</p><p>オレは、車の影で関さんの車から回収してきた元の学生服に着替える</p><p>ササッと着替えて香月セキュリティ・サービスのアシスタントの服は、関さんに変えそうと思ったんだけど</p><p>関さんは、しばらく持っててと言って、行ってしまった</p><p>ホント、今日は暖かくて気持ちがいいなあ</p><p>オレは、道端でどんどん着替えていく</p><p>ヨッちゃん、瑠璃子も着替えさせてっ</p><p>バンのスライドドアをガラッと開けて、寧が言う</p><p>瑠璃子のその制服じゃあ目立ちすぎるでしょ</p><p>ああ、瑠璃子はいつもの超お嬢様校の制服を着ている</p><p>これじゃあ確かに目立つな</p><p>着替えあるの</p><p>今、車の中を適当に見たら幾つか見つかったんだけど</p><p>寧が、いくつかの紙袋を出してくる</p><p>これとかどう</p><p>前に雪乃に着せたレースクイーン衣装</p><p>克子姉お手製の胸にGAVINて書いてある</p><p>これは別の機会に着せます</p><p>こんなの、今着せても連れて歩けない</p><p>１５歳の美少女レースクイーンなんて警察に通報される</p><p>こっちは何です</p><p>もう一つの紙袋は</p><p>ああ、オレも着たことがあるツナギだ</p><p>渚のお店の名前が背中に入った</p><p>これでいいじゃないですか手と足を捲ればそんなに変じゃないだろうし</p><p>ぶかぶかのオーバーサイズでも瑠璃子なら、可愛いだろう</p><p>でも、これだと靴が合わないですよね</p><p>瑠璃子は今、革靴を履いている</p><p>これがまた、かなり高級そうでツナギには似合わない</p><p>あ、ここにあたしのビーサンがあるわっこれ履いてたらっ</p><p>寧が、バンの隅っこに落ちていたビーチサンダルに手を伸ばす</p><p>ビーサンて何ですか</p><p>ビーチサンダルほら、海水浴で浜辺に行った時に履くだろう</p><p>ふーん、瑠璃子って海水浴だとどこへ行くの葉山とか</p><p>サンダルを手渡してくれながら、寧が尋ねる</p><p>いえ、国内のビーチは危険だそうなので</p><p>え、ハワイとかってこと</p><p>いいえあの、ハワイもとても危ないと聞いています</p><p>じゃあ、どこへ行くのよ</p><p>あのお祖父様が、南洋ポリネシアにプライベートビーチを持っていらっしゃいますから</p><p>プライベートビーチって何だよ</p><p>はい、ビーチが丸まる私有地になっています他の方は、入れません</p><p>香月家って</p><p>そこは奥まった入り江になっていますので、高波は来ませんし外部から盗撮されることもありませんから</p><p>みすずも、そこへ行くの</p><p>はいわたくしたち、海はそこへしか参りませんから学校の水泳の授業も楽しいですけれど完全に閉鎖された屋内プールですしお外で泳ぐのは気持ちいいですわ</p><p>まあ瑠璃子たちみたいにお嬢様校で、外にプールがあったら大変なことになるよな</p><p>美子様もあの浜はとても気に入っていらっしゃったんですがもう、わたくしが訪れることは無いのですね</p><p>また行けるよオレが、ジッちゃんに交渉するからみんなで行こう</p><p>約束するから</p><p>オレたちが、そんな話をしている間に</p><p>ね、ヨッちゃん瑠璃子にこれ着せない</p><p>え、何です</p><p>ほらただツナギを着せるだけじゃ、面白くないでしょツナギの下に、これだけ着せてさ</p><p>寧が取り出した物は</p><p>何なのこの黒い紐</p><p>紐じゃないよマイクロビキニ</p><p>マイクロ</p><p>ブラジル製のマイクロビキニだよ乳首と局部だけは隠せるから一応</p><p>オレは、瑠璃子を見る</p><p>瑠璃子にこの扇情的な水着を着せて</p><p>その上から、ツナギ</p><p>何か、エロいかも</p><p>じゃあ、瑠璃子これ着るか</p><p>はい、お兄様のお望みでしたらでも</p><p>わたくし、これどういう風に着るものなのか、判りません</p><p>すると寧が</p><p>そんじゃあさっヨッちゃん、着せてあげなよっぐふふふふっ</p><p>あけまして、おめでとうございます</p><p>昼過ぎに、父と近所の神社に初詣に行きました</p><p>今度のおみくじは、大吉でした</p><p>テレビ見なくなったら、正月だか何だか判らないですねえ</p><p>最近は、お店も普通にやっていますし</p><p>12月28日に銀行でお金を下ろすのを忘れたら、正月明けまでお金が下ろせないというネタを、昔、高野文子先生のるきさんで見たような気がします</p><p>ああいうのって、今では信じられないですね</p><p>ちなみに、私は高野文子先生の黄色い本というマンガが大好きです</p><p>402．裸の瑠璃子</p><p>スカッと晴れた初夏の空</p><p>暑くもなく、寒くもなく穏やかな風が、気持ちいい</p><p>人通りの全く無い、道路の路肩</p><p>駐められた白いバンの影で瑠璃子は裸になっていく</p><p>まずはスカートを下ろし</p><p>さっき美智に借りた、白いパンティが見える</p><p>ほら、足上げて靴下を脱がすぞ</p><p>というか、オレが脱がしていく</p><p>わたくしお外で裸になるの、初めてです</p><p>瑠璃子の眼は、ちょっとトロンとしてきている</p><p>みすずといい、瑠璃子といい香月の血筋の娘は、淫らだ</p><p>お上品で、気高い外観の下に淫蕩な肌を、隠している</p><p>瑠璃子の足の指可愛いな</p><p>オレは素足に触れる</p><p>はい、足の爪はいつも美子様に、お手入れしていただいておりましたから</p><p>美子さんは、そんなことまでしていたのか</p><p>じゃあ瑠璃子が、美子さんの足の爪を切っていたのか</p><p>いいえ、わたくしはいつも、していただくだけで</p><p>そうか美子さんは、瑠璃子を主と思っていたから一方的に、瑠璃子の世話をしていたんだな</p><p>これからは、オレがしてやるよ爪を切って、やすりをかけるのか</p><p>やり方を教えてくれどうせ、瑠璃子の爪の手入れをしたら、他の子たちもやって欲しいって言ってくるだろうから</p><p>頭の中に女たちが、オレに素足を突き出してくる映像が浮かぶ</p><p>克子姉に渚に寧にみすずにメグに美智にマナみんなそれぞれ、違う足だ</p><p>ああ、オレ足だけで、ちゃんと誰だか判るなあ</p><p>そうだ真緒ちゃんの足のお手入れも、してあげないといけない</p><p>それは、お兄様が大変なのではございませんか</p><p>何でみんな、オレの女なんだからオレが世話をするのは、当たり前だろ</p><p>瑠璃子は、安心してヨッちゃんに愛されていればいいのっ</p><p>そう言う寧がバンの車内で、服を脱ぎ出す</p><p>え、どうしたの姉さん</p><p>んツナギがもう一着あったから、あたしも着替えるっ瑠璃子とあたし、二人が同じツナギを着ていたら同じお店のバイトの帰りみたいに見えるでしょっ</p><p>これから、どこかのお店に入って昼飯を食う予定だ</p><p>オレたちの中で、瑠璃子が一人だけツナギ姿なのは変だけれど</p><p>寧と瑠璃子、二人が同じコスチュームならそんなに変じゃない</p><p>じゃあ、車の側面の文字も変えておこうか</p><p>自分の携帯を見ていたマルゴさんが運転席から降りる</p><p>渚さんのお店の名前は確か、積んであるはずだから</p><p>マルゴさんは、後ろのドアを跳ね上げて車内に積んである箱を引き出す</p><p>丸子印刷とか丸子不動産とかたくさんの種類のマグネット・シートの中から、マルゴさんは渚の店シュヴァルツ・ヴァルトのシートを取り出した</p><p>これに貼り替えれば、この車は花屋の車</p><p>背中に店名の入ったツナギを寧と瑠璃子が着ていても、変ではない</p><p>高校生のバイトにしか見えないだろう</p><p>二人とも、とびっきりの美少女なんだよな</p><p>お兄様お願いします</p><p>オレは、瑠璃子の制服の上を脱がす</p><p>さっきブラは奪ったから可愛いおっぱいが、丸見えになる</p><p>小ぶりな山桜色の乳輪</p><p>乳首は陥没している</p><p>恥ずかしそうに瑠璃子は言う</p><p>瑠璃子今の気持ち、忘れちゃダメだからねっ</p><p>羞じらいを無くしたらヨッちゃんは、瑠璃子のこと嫌いになってしまうかもよっ</p><p>寧は、ぐふふと笑う</p><p>そういう寧さんはオレの前で、平気で裸になるじゃないか</p><p>うんだって、あたしの裸を見て、ドギマギしているヨッちゃんの顔を見るのが楽しいんだもんっ</p><p>何だ羞じらっているのは、オレの方か</p><p>あたしの裸を見ても、ヨッちゃんが何の反応もしてくれなくなったらとっても悲しいなっ</p><p>そう言いながら寧は、下着姿をオレに晒す</p><p>相変わらず美神級のプロポーションだ</p><p>そんなことないよ姉さん</p><p>オレは、ゴクッと唾を呑む</p><p>うふふありがとう、ヨッちゃん可愛いねっ</p><p>寧はそのまま、オレの唇にキスをした</p><p>瑠璃子のことも可愛いって思ったら行動で示してあげてっ</p><p>瑠璃子おっぱい、舐めるぞ</p><p>瑠璃子のおっぱいが可愛いから舐めたいんだ</p><p>オレは、瑠璃子の返事を待たずに</p><p>可愛い胸に、顔を埋める</p><p>ピンクの乳輪を丸く舌で舐められて、瑠璃子は声を出す</p><p>そんな、お兄様恥ずかしいですここはお外です</p><p>そんなの関係無いよ瑠璃子が可愛いと思ったら、オレはどこでも瑠璃子を可愛がるんだから</p><p>15歳、中学3年生の柔肌を貪る</p><p>恥ずかしい、恥ずかしいです</p><p>これから、もっともっと恥ずかしいことをいっぱいするんだからな</p><p>瑠璃子は、オレのものだ</p><p>瑠璃子の張り詰めた青い乳房をオレは、揉みしだく</p><p>はい瑠璃子はお兄様の奴隷です奴隷ですから</p><p>瑠璃子は、切なそうに呟く</p><p>はーい、そこまでっ</p><p>寧が、オレにストップを掛ける</p><p>それ以上すると我慢できなくなっちゃうからさっ</p><p>いや、大丈夫だよまさか、この場で瑠璃子を押し倒したりはしないよ</p><p>瑠璃子の処女喪失は</p><p>それに相応しい状況で行うべきだと思っている</p><p>こんな道の路肩なんて可哀想だし</p><p>ジッちゃんの見ている前でするっていう、約束もあるし</p><p>そうじゃなくってさっ</p><p>ヨッちゃんじゃなくってあたしが欲しくなっちゃうからっ</p><p>赤い顔で、寧は言った</p><p>だから今はストップねっ</p><p>そういう理由なら仕方が無い</p><p>うん瑠璃子、着替えるぞ</p><p>瑠璃子のやつもっと、して欲しいという眼をしている</p><p>うん、このお預け状態は</p><p>多分、少しずつ効いてくるはずだ</p><p>よし、じゃあパンティ脱がすぞ</p><p>オレは瑠璃子のパンティに手を掛ける</p><p>すでに、大きな染みが出来ていた</p><p>瑠璃子は濡れている</p><p>オレは、両手でパンティを脱がす</p><p>瑠璃子の太ももに、愛液の滴がツツツーと滴り落ちていく</p><p>瑠璃子の顔は、真っ赤だった</p><p>瑠璃子、お前は今素っ裸だぞ外なのに</p><p>５月の新緑の風が瑠璃子の素肌を撫でていく</p><p>はいわたくし、裸です外なのに</p><p>熱い眼で、瑠璃子がオレを見つめる</p><p>瑠璃子さん、マリー・アントワネットの輿入れの話、知っている</p><p>車体の店名のシートを交換し終わったマルゴさんが、瑠璃子に尋ねた</p><p>ほら、マリー・アントワネットはそんなに仲の良くないオーストリアの王室から、フランスへお嫁に行ったでしょ</p><p>はいそれは存じております</p><p>全裸の中学生美少女は、答えた</p><p>マリー・アントワネットは、国境でフランス側に、着ているもの全てを脱ぐように命じられたんだよオーストリアから着てきたものは、全て脱ぎ捨てるようにって自分自身の肉体以外は、フランスには持ち込まないフランス製の服に着替えさせられてマリー・アントワネットは、フランス王家に嫁いだんだ</p><p>今の瑠璃子さんも同じだよ香月の家から着てきたものは、全て脱ぎ捨てたね今の君は、生まれたままの姿自分の肉体しか無い</p><p>瑠璃子、オレは裸のままのお前が欲しいんだ裸のまま、オレのとこに来い</p><p>そうだね今まで着ていた制服とか靴とかはまとめて、紙袋に入れておいてあげるっでも、これはもう過去の瑠璃子のものだからねっ</p><p>先に、ツナギを着た寧が瑠璃子の服をまとめてくれる</p><p>着たと言っても胸元のジッパーを大きく開いたのままだ</p><p>水色のブラジャーに包まれた豊かな胸は、丸見えのままなんだけれど</p><p>じゃあ、瑠璃子黒森の服を着ようか</p><p>オレはまるで紐みたいな、マイクロ・ビキニを取る</p><p>うん、この扇情的なだけの服は</p><p>実に黒い森らしい</p><p>まずは下から</p><p>黒い紐でできたビキニの下を瑠璃子の華奢な足に潜らせる</p><p>えっと向きは、これで合っているんだよな</p><p>うん、合ってるよ、ヨッちゃん</p><p>寧が、確認してくれる</p><p>お尻の方はTバックになっているからあれ、どうしたの瑠璃子のお尻、マッカッカだよっ</p><p>お兄様に、お仕置きしていただきました</p><p>瑠璃子が言う</p><p>はいわたくしが、余りにも聞き分けが無かったものですから</p><p>へえ、愛されているねえ瑠璃子</p><p>ヨッちゃんどうしても、瑠璃子に判ってもらいたいことがあったんでしょヨッちゃんが、こんなに腫れ上がるまで女の子のお尻を叩くなんてまずないことだものホントに、ヨッちゃんは瑠璃子のことが大好きなんだね</p><p>そう言われて悪い気がするはずがない</p><p>寧は瑠璃子の心を緩和してくれている</p><p>今の瑠璃子は、割りとオレに従順だけれど</p><p>こういう時の瑠璃子の方が、怖いから</p><p>内心では香月の家の庇護から外れたことで、心の中は心配で張り裂けそうなんだろう</p><p>でも、瑠璃子はセルフコントロール能力が強すぎるから</p><p>顔だけは、平然としていようとする</p><p>その心の殻を壊すために</p><p>寧は、瑠璃子を道端で全裸にすることを提案した</p><p>オレの手で着替えさせることで</p><p>肌の感触からオレの庇護下にいることを実感させようと</p><p>そして、今</p><p>言葉でも、瑠璃子の心の隙間を突く</p><p>ねえ、瑠璃子あたし、ホントのことを言うと瑠璃子のことは心配なんだよねヨッちゃんが受け入れてはいけない子なんじゃないかって思っているんだ</p><p>寧が笑顔で、言った</p><p>瑠璃子の心が緩和から緊張に移行する</p><p>瑠璃子は自分が、セックスについての知識がほとんど無いことは判っているよねっ</p><p>寧が切り込む</p><p>瑠璃子は、素直に認めた</p><p>セックスというのが赤ちゃんを作るために必要なことだっていうのは、もう判っているよねっ</p><p>はいお兄様の精液を、わたくしの胎内に受け入れることで赤ちゃんに結びつくのでございますね</p><p>うんはっきり言うけれど瑠璃子には、ヨッちゃんの赤ちゃんしか産んで欲しくないのもっと言うと、ヨッちゃんとしかセックスして欲しくないんだよね</p><p>わたくしお兄様としか、致しません</p><p>キッとした顔で、黒のティーバッグだけを身に付けた瑠璃子は答えた</p><p>ホントヨッちゃんより、格好いい男の子とかに出遭ったらセックスしてみたいって、思うかもよ</p><p>そんなこと、ありません</p><p>瑠璃子の本性は淫蕩だ</p><p>いずれセックスの快感を覚えれば</p><p>他の男ともしてみたいと考えるようになるだろう</p><p>ホントかね</p><p>でもさあ例えば、瑠璃子が変な男にダマされて無理矢理セックスさせられるかもしれないしさ</p><p>意地悪な笑みで、寧は言う</p><p>無理矢理にでも瑠璃子に子供を産ませたら、その男は香月家に対して強い影響力を持つことが出来る瑠璃子はもう香月家から外れたけれど香月家の名誉は担っているあんたがおかしな男に子供を産ませられたそれは、香月家の不名誉になるってことは判っているよね</p><p>ほら、さっき香月家の仁くんがバスの中で、おかしなお姉さんとセックスしているのを見たでしょ岩倉さんて言うんだけどあの子あれでさあの人前でセックスしちゃう様な下品なお姉さんが、仁くんの赤ちゃんを産んでこれで自分も香月家の一員になったって言い出したらどうする</p><p>そんなこと香月様がお許しになりません</p><p>そりゃ、香月のお祖父ちゃんは許さないだろうけれど本当に子供が生まれてしまったら、世間の皆様には好き勝手言えるよね香月家の分家である仁くんの子供であることは、間違いないんだからさっ</p><p>ははい確かに香月家の不名誉になると思います</p><p>世の中にはさそういう悪いことを狙って襲ってくるような連中は、幾らでもいるよっそれこそさありとあらゆる手を使って、瑠璃子にセックスしようとして襲いかかってくると思うよでももう、香月セキュリティ・サービスは、瑠璃子を守ってはくれないよね</p><p>これからの瑠璃子はある程度は、自分で自分の身を守っていかないといけないと思うんだけれど</p><p>でどうするの具体的に</p><p>もう１回言うけれど向こうは、ありとあらゆる手を使ってくるよ例えばさ、お医者さんとかに化けて診察をするフリをして、無理矢理セックスされちゃったりしたらどうするの</p><p>寧さんの問いに、瑠璃子は絶句する</p><p>あたしはよく、そういうことを考えるよあたしは、高一の時に、学校の先生に襲われたことがあるからその時は、マルゴお姉ちゃんが助けてくれたから赤ちゃんができるようなことは何もされずに済んだけれど</p><p>その男性教師は白坂創介の配下で</p><p>御名穂姉さんによって、半身不随にされたはずだ</p><p>だから、あたしはいつも気を付けているのお医者さんは、主治医の女の先生のところしかいかないどんな時でも、男とは二人っきりにならないし家族の眼の届く範囲から、外に出ないヨッちゃんだけだよあたし、ヨッちゃんが好き愛してるヨッちゃんとしかセックスしたくないし、ヨッちゃんの赤ちゃんしか産みたくない他の男は大嫌いだし近寄りたくないのだから、徹底的に、自分を守っているんだっ</p><p>寧が濡れた眼で、オレを見る</p><p>この身体は、もうヨッちゃんに捧げたんだもんっ騙されて、無理矢理他の男に玩ばれるとか嫌だよあたしは嫌だそれよりも、そんなことになってヨッちゃんを苦しめるのが嫌だよ</p><p>オレが抱き寄せると、寧はオレの身体をギュッと抱き締める</p><p>あたしは髪の毛の先から、足のつま先まで、全部ヨッちゃんに捧げているあたしが好きなのっ今のあたしは、心も身体も全部、ヨッちゃんに捧げているのっこの幸せを絶対に、他の男なんかに壊されたくないのっ</p><p>だから、あたしはあたしを守るよ他の男の魔の手からあたしの身体を守るんだ</p><p>瑠璃子は、すっかり唖然として寧を見ている</p><p>そう言う覚悟がさ瑠璃子にはあるの</p><p>ずっと誰かに身を守ってもらってそれが当たり前だと思っていたでしょ瑠璃子は</p><p>そりゃさヨッちゃんは、約束は絶対に守る人だから瑠璃子のこと大切にしてくれると思うよでも、もし瑠璃子が自分の失敗で、他の男にセックスされていや、それでもきっとヨッちゃんは瑠璃子を責めないと思うけれどもし、そうなったら、瑠璃子はどう思うの</p><p>お兄様に、申し訳無いと思います</p><p>お兄様以外の方に無理矢理セックスされたら瑠璃子は、自ら命を断ちます</p><p>馬鹿なこと言ってんじゃないわよっ</p><p>寧が切れた</p><p>あんたが死んだら、ヨッちゃんが悲しむでしょうもう、メチャクチャ悲しむわよあんたの後を追って、自分も死んじゃうかもしれないっ</p><p>ねえ、いい加減さ自分がどれくらい、ヨッちゃんに大事にされているか気付きなよっ瑠璃子は、愛されているんだよっ</p><p>瑠璃子はオレの顔を見る</p><p>まあ、姉さんそう、一気にワッと言っても、瑠璃子は混乱しちゃうだけだから</p><p>オレは、寧の勢いを止める</p><p>瑠璃子もとにかく、これからゆっくり考えようオレはできる限り、瑠璃子を守るけれどもちろん、瑠璃子もある程度は自分で自分を守らないといけないだろうしどういうところを気を付けるか、どう対策を立てるかはみんなと相談していこうなっ</p><p>いや、寧の言うとおりなんだ</p><p>これからの学校とか病院とかまで含めて瑠璃子の将来を考えないといけない</p><p>瑠璃子は、まだ中学生だ高校生のオレでは、守りきれない場所も時間もある</p><p>それから一応、言っておくけどさ、瑠璃子</p><p>寧が、さらに瑠璃子に言う</p><p>瑠璃子は、セックスについての知識が乏しいから知らなかったと思うけれど</p><p>な、何の話をするつもりだ</p><p>女はさずっと同じ人とセックスしないと頭がおかしくなってくるから</p><p>さっきのバスの中にいた岩倉さんあの子なんか、色んな人とセックスし過ぎちゃった典型だからたくさんの男の精液を身体に受けた女は、頭が変になっちゃうのよ</p><p>そんで産まれてくる赤ちゃんも、パーになる確立が多いからはっきり言うけれど、産まれて最初にセックスした人とだけ一生、同じ男の人とセックスするのが、女の身体には一番なのよっていうか、それしか道が無いから判った</p><p>は、はぁ</p><p>瑠璃子は、戸惑っている</p><p>あたしはね、ヨッちゃんが初めてだったしだから、もう一生ヨッちゃんとしかセックスしないできないのよ他の男の人とはもう、身体がそうなっちゃっているから</p><p>もうね、お腹の中がヨッちゃんの形になっちゃっているからヨッちゃんのオチンチンしか入らないし、もし他の人のオチンチンが入ってきたら苦しくてショック死するからそういうことになっているのよみすずや美智だって、そうよあの子らも、そう言ってたでしょ</p><p>はいお兄様としか、一生セックスしないとおっしゃっていました</p><p>当たり前よヨッちゃんじゃないとダメなんだから本当に、身体がヨッちゃん専用になっちゃってるんだから</p><p>寧の笑みは、妖艶だった</p><p>あたしや、みすずや、美智がそうなのにまさか、瑠璃子は他の男の子とセックスしたいなんて思わないよねっ</p><p>そして、寧はふふーんと瑠璃子の顔を覗き込む</p><p>そもそもさ瑠璃子あなたは、本当にヨッちゃんとセックスする覚悟があるわけっ</p><p>もう一生この人だけよヨッちゃんのための身体になる自信があなたにはあるの</p><p>瑠璃子は、混乱している</p><p>もう、それぐらいにしておきなよ</p><p>マルゴさんが、優しく寧に言った</p><p>瑠璃子さんにも、考える時間が必要だろ</p><p>寧は論理の女である瑠璃子を、論理的に責めた</p><p>香月家の娘である瑠璃子が、これからも不埒な輩に肉体を狙われる可能性</p><p>これは確かに正しい指摘だ</p><p>そのための対策を、オレたちは考えないといけない</p><p>と、同時にこの問題提起は、瑠璃子に自分の意志に反して肉体を犯されることの恐怖を強く刻みつけた</p><p>続いて女の身体は、初体験の男以外とセックスすると問題が起きる</p><p>これは、明らかに嘘だ</p><p>しかし、この話の直前までの寧の言葉が余りにも赤裸々な真情を語っていたから</p><p>瑠璃子には、嘘か本当か区別がつかなくなっている</p><p>こちらは、自分の意志で、新しい男とセックスしたいと思う欲求に強烈なブレーキを掛けることになるだろう</p><p>ましてや、寧やみすずや美智が、オレとしかセックスしないことを厳守しているのにプライドの高い瑠璃子に、他の男とのセックスができるはずがない</p><p>寧は、巧妙に瑠璃子を追い込んでいく</p><p>身も心もオレのセックス奴隷となるために</p><p>ほら、瑠璃子寒くないか早く、服を着よう</p><p>いつまでも裸じゃ、身体によくない</p><p>オレは、マイクロ・ビキニのブラを付けてやる</p><p>しかし、何だこりゃ</p><p>ギリギリ、乳輪が隠れるだけの黒紐だな、本当に</p><p>いいね、ちょっと写真に撮っておこうか</p><p>マルゴさんが、黒のマイクロ・ビキニ姿の瑠璃子を見て、デジカメを取り出す</p><p>あ、ちょっと待ってどうせなら、髪型も変えようっ</p><p>寧は、大きな赤いリボンを取りだした</p><p>ヨッちゃんツインテールとか、どう</p><p>瑠璃子にツインテール</p><p>うん、いいかも</p><p>今までのお上品なお嬢様路線ではなく</p><p>アイドル路線というのも、良いかもしれない</p><p>オッケー、瑠璃子こっちに来て</p><p>寧が、ササッとゴム紐とリボンで瑠璃子の髪をツインテールにまとめる</p><p>うん、じゃあ写真を撮るよ</p><p>マルゴさんが、シャッターを切る</p><p>卑猥な水着に、ツインテールの瑠璃子は今までと印象が違った</p><p>顔さえ隠せば中学生アイドルだ</p><p>ただ瑠璃子の顔は余りにも気品があり、美少女過ぎる</p><p>ほら、見てごらん</p><p>マルゴさんが、撮った映像を瑠璃子に見せた</p><p>わたくしこんな、はしたない格好をしているのですね</p><p>瑠璃子は、震えた声で感想を述べた</p><p>オレの前だけだぞ</p><p>オレの前だけは瑠璃子は、どんな瑠璃子になってもいいんだ</p><p>そうだよっヨッちゃんの前だけだからねっ</p><p>寧が、ダメ押しをする</p><p>もっと裸になれよ瑠璃子</p><p>裸はお望みになられましたら、いつでもお見せします</p><p>そうじゃない</p><p>オレは、瑠璃子の耳に囁く</p><p>早く心も裸になれ</p><p>マイクロ・ビキニ姿の瑠璃子に、ツナギを着せる</p><p>ただし、前は開けたまま</p><p>オレの横からだと、瑠璃子の胸の谷間が丸見えだ</p><p>そんなにジロジロ見ないで下さい</p><p>見るさオレのだもの</p><p>オレは、瑠璃子を抱き寄せる</p><p>もおっ、ヨッちゃんのものなら、こっちにもあるよっ</p><p>バンの後部シートでオレは寧と瑠璃子、二人のツナギ姿の美少女に挟まれていた</p><p>さて、ご飯だけれどファミレスとかでもいい</p><p>運転席に乗ったマルゴさんが、言った</p><p>この辺だとそういうお店しかないみたいだから</p><p>カーナビを見ながら、そう言う</p><p>何でもいいよっお腹減った</p><p>瑠璃子はファミレスって、行ったことあるのか</p><p>お兄様、ファミレスとは何ですか</p><p>あそういうレベルか</p><p>そうだよな、知っているわけがないよな</p><p>うん、じゃあ行ってみよう</p><p>チンがメインだから、あんまり美味しくないけれどメニューが豊富だよ</p><p>チン</p><p>あのさっファミレスっていうのは、ファミリー・レストランの略で、大衆的なチェーン店ことなんだけどそこの料理は、主に冷凍食品を使っているものが多くてね、電子レンジでチンして出すからあ、判る</p><p>冷凍食品</p><p>大変だこりゃ</p><p>ヨッちゃん今度、瑠璃子を連れて、一緒にスーパーへ行こうそこで、山ほど冷凍食品を見せてあげるから</p><p>寧、スーパーだけでなくデパートの上から下まで、全部案内した方がいいんじゃない</p><p>そうだねホームセンターとかもいいかも</p><p>うん瑠璃子は、色んな場所へ社会科見学に連れて行かないといけないよな</p><p>オレは、寧に言う</p><p>え、瑠璃子だけなのっ</p><p>あたしは、みすずと美智も、結構危ういと思っているよ</p><p>確かに、あの二人も</p><p>世間知らずな気がする</p><p>まあ、アニエスとかイーディも居るからねぇそういう見学会は、企画しておいた方がいいよねっ</p><p>寧の言うとおりだ</p><p>いずれはアニエスもお屋敷の外へ連れ出さないといけないし</p><p>イーディも、今のままじゃなあ</p><p>何、言ってるの寧だって、そんなに外の世界を知っている方じゃないだろ</p><p>マルゴさんが、運転しながら苦笑する</p><p>今まではあたしか、ミナホか、克子さんが一緒じゃなかったら、外に出なかったんだからさ寧だって</p><p>寧もずっと、黒い森の年長組に守られてきた</p><p>一人で外を出歩いたりはしてきていなんだっけ</p><p>じゃあさっ、みんなでみんなで行けばいいんだよっ</p><p>うちのガチャポンのマイクロビキニの白井黒子さんは</p><p>頭が、あずにゃんにすげ替えてあります</p><p>しかし、寝正月です</p><p>数年前に、母が亡くなった祖母の遺産問題で親戚の皆様と大ケンカしまして</p><p>行かなくてはいけない親戚も、来る親戚もありません</p><p>まあ、楽でいいんですけれど</p><p>親しかった従妹とも、音信不通です</p><p>結婚したらしいのですが、いつ結婚したのかも今、どこに住んでいるのかも判りません</p><p>小さいときから、面倒を見てきた従妹だったんですけどねえ</p><p>年賀状も来ませんでした</p><p>403．スカイラーク３号</p><p>ほら、着いたよっ</p><p>寧が瑠璃子に微笑む</p><p>マルゴさんの運転する車が、ガガガッとファミレスの駐車場に入り込む</p><p>郊外の店だから、駐車場も広い</p><p>ああ、ファミレスというのは、こういうお店のことですかいつも、車の中から見ていますが中へ入ったのは初めてです</p><p>瑠璃子は、興味深そうに見ている</p><p>ほら、ヨッちゃん瑠璃子の胸のジッパーを上げてあげて</p><p>他の人たちがいっぱいいるところへ行くんだからさっ</p><p>瑠璃子の胸の谷間は、他のやつらには見せたくない</p><p>オレは瑠璃子の胸元をもう一度凝視して、それからジッパーを引き上げる</p><p>判ってるって</p><p>続いて寧のツナギの胸元も</p><p>寧の方が豊乳だからジッパーを引き上げるのに、コツがいる</p><p>ぐいっ、ぐいっと</p><p>あ、君はこれ着てあたしも羽織るから</p><p>マルゴさんがオレに｜黒い森《BLACK　FOREST》のロゴの入った革ジャンを手渡す</p><p>寧のだから、ちょっと小さいかもしれないけれど</p><p>いえ、着れると思います</p><p>オレは、革ジャンを羽織る</p><p>うん、それなら、君の制服がどこの学校か判らないしこの辺りは、あたしと寧で何回か遠征したこともあるから</p><p>この革ジャンはマルゴさんと寧が、不良狩りをしていた頃に着ていたものだ</p><p>えここら辺まで来たっけ</p><p>２回ぐらいは来たと思うけれど</p><p>うーん、じゃああんまり知られてないんじゃない</p><p>まあお守り代わりだよ</p><p>寧と瑠璃子は渚の店の名前が入った、ツナギ</p><p>オレとマルゴさんは黒い森の革ジャン</p><p>そんな出で立ちで車を降りる</p><p>ツナギの足の裾を幾重にも折って、素足にビーチサンダルの瑠璃子</p><p>髪の毛は、ツインテール</p><p>歩く度に、髪の毛が揺れる</p><p>うん瑠璃子は可愛い</p><p>しかも、このツナギの下は黒の極小マイクロビキニしか身に付けていない</p><p>そのことをオレは知っている</p><p>ビーサン、歩きにくくないか</p><p>サンダルの上の、桜色の足の指が小さくて綺麗だ</p><p>いえ、わたくし草履には慣れていますから素足で履くのは、初めてですけれど</p><p>瑠璃子は、スススと上品に摺り足で歩幅を狭くして歩いている</p><p>あ、ダメだよ、瑠璃子ビーサンは、草履みたい引きずって歩くと、引っ掛かって転ぶよもっとペタペタ歩かなきゃ</p><p>寧が注意する</p><p>ペタペタですか</p><p>そうだよ、もっと大股で足を持ち上げて</p><p>そうは言っても瑠璃子だと、どうしてもお上品になってしまう</p><p>ほら、駐車場と店の入り口の段差に躓いた</p><p>オレと寧で、抱き留める</p><p>ペタペタだよ、瑠璃子っ</p><p>そういう寧を見て、マルゴさんが笑った</p><p>寧は本当にお姉ちゃんをするのが好きだね</p><p>本質的にとっても面倒見がいい</p><p>そうじゃないって、瑠璃子が危ないからっ</p><p>ご心配をお掛けして、申し訳ございません</p><p>恥ずかしそうに、うつむく瑠璃子</p><p>ツナギ姿に、頭はツインテールだけれど良家のお嬢様として育った気品は、消えない</p><p>いらっしゃいませ何名様でいらっしゃいますか</p><p>４人だよ</p><p>ウェイトレスさんの声に、マルゴさんが答える</p><p>禁煙席と喫煙席がございますが</p><p>ああ、そういうのはどうでもいいからそっち側の窓の席にしてくれないかな</p><p>マルゴさんは、空いている席を指差す</p><p>えっと一応、禁煙側の席だな</p><p>はい、構いませんが</p><p>ウェイトレスさんは、オレたちをその席に誘導してくれる</p><p>メニューをテーブルに置いて</p><p>お決まりでしたら、お声をお掛け下さい</p><p>一旦、立ち去る</p><p>ここの席からだと、あたしたちの車が見えるよね</p><p>マルゴさんが、小声で言った</p><p>車を離れている隙に変な細工とかされたくないからねできるだけ、自分の眼で確認できる場所に居たいんだ</p><p>マルゴさんは、この状況でも臨戦態勢らしい</p><p>瑠璃子、何にするっ</p><p>寧が、メニューを拡げる</p><p>まあ、全部、お料理の写真が付いているんですねっ</p><p>そ、そんなことに驚くのか</p><p>わたくしが行ったことのあるレストランでメニューを見せていただく場合は、文字しか書いてありませんから</p><p>あのこれは、つまり、食べたい物を自分で選ぶということなのでしょうか</p><p>わたくしお祖父様とご一緒にレストランへ行く場合は、ほとんどがコースですので</p><p>自分でお料理を選ぶことは、あまりありません そういう場合でも、同席なさった方が、お祖父様にここの土地では、これが美味しいんですとかこれが今は旬ですとかお話になられたらそれを選ばなくてはなりませんし</p><p>せっかく勧めていただいた物を食べなくては失礼になってしまいますから</p><p>名家は、大変なんだな</p><p>瑠璃子はもう香月家じゃないんだからさっそういうのは、忘れなっ何でも、食べたい物を食べなよっ</p><p>はいでも、こんなにたくさん種類があると</p><p>選択肢の多さに、瑠璃子は戸惑っている</p><p>瑠璃子そんじゃあさ、和食、洋食、中華、イタリアン今は大雑把に考えて、どれが一番食べたいっ</p><p>うーんそうですね和食だと思います本当は、今日のお昼は和食の予定でしたから</p><p>ああ、精進落としの会場は和食のレストランだったっけ</p><p>それならさここの和食のページだけ見ればいいんだよっ</p><p>そうですねっありがとうございますっ</p><p>あたしも和食にしよっさっきも言ったけれどファミレス、洋食はほとんどチンだからヨッちゃんは</p><p>じゃあ、オレも和食にします</p><p>あたしは蟹クリームコロッケ</p><p>えっ、冷凍食品だよマルゴお姉ちゃん</p><p>いいんだよ蟹クリームコロッケ</p><p>マルゴさん蟹クリームコロッケが好きなんですか</p><p>うーん、蟹とコロッケは割りと好きかなクリームは、ぼちぼち</p><p>ぼちぼち</p><p>こういう時はさ、普段、克子さんが作らない様な料理を食べることにしているんだよ</p><p>あ、判る克子お姉ちゃん、以外と保守的なお料理しか作らないから</p><p>パンもそうだけどさ街のベーカリーのパンじゃなくって、一流ホテルのパン屋さんのパンなんだよ克子お姉ちゃん、理想が高いからついつい、何でも一流の味を目指しちゃうんだよね</p><p>ああ、そんな感じはする</p><p>３流グルメ嗜好は、克子姉にないな</p><p>克子さんも、お客さんのお付きで美味しい物ばかり食べて来たからね舌が高級になっているんだよ</p><p>うんだから、うちに来ても、瑠璃子は食事の味で困ることはないと思うよっ克子お姉ちゃん、変なものは作らないから</p><p>だけどあたしとかは、たまに変な物が無性に食べたくなるんだよねそれこそ、キョーコさんと一緒に南米のジャングルとか行くと毎日、変なものばかりだからさ</p><p>マルゴお姉ちゃんその話は、今はやめてね</p><p>美味しくご飯が食べられなくなるからジャングル・サバイバル体験の話でしょ</p><p>あ確かに、それはキツイ</p><p>了解この話はしまっておくよ</p><p>マルゴさんは、申し訳なさそうに言った</p><p>料理を注文するとオレたちは、ドリンクバーへ向かった</p><p>マルゴさんだけ、席に残して</p><p>えっ、これ全部好きに飲んでもいいのですか</p><p>あ、やっぱり瑠璃子も驚いている</p><p>そうだよ何杯飲んでも、何種類飲んでも同じ料金だからっ</p><p>まあ、本当に</p><p>いや、オレも数日前に驚いたから</p><p>瑠璃子の驚きは、よく判る</p><p>瑠璃子、コーラとか飲んだことあるのっ</p><p>あ、ここに書いてあります、ジンジャーエールは飲んだことがあります</p><p>じゃあ、それから飲んでみる</p><p>ここにコップを置いてね瑠璃子、そのジンジャーエールのボタンを押してみてっ</p><p>トトトトト</p><p>わあ、すごい</p><p>そんなことが凄いのか</p><p>いや、今までは</p><p>何でも、人にやってもらっていたんだもんなあ</p><p>いいのですかわたくしのような者が、勝手に機械を操作しても</p><p>いいんだってドリンクバーを注文した人は、誰でも自由にドリンクサーバーを使うことが許されているんだからっ</p><p>お兄様、お兄様は何になさいますっ瑠璃子が注いで差し上げますっ</p><p>じゃ、じゃあオレもジンジャーエールで</p><p>瑠璃子は、オレの分も注いでくれた</p><p>面白いか、瑠璃子</p><p>はい、とっても</p><p>ならいいんだけれど</p><p>瑠璃子は、普段、昼ご飯はどうしているんだ</p><p>ちょっと聞いてみた</p><p>学校に行っている時は、お弁当です美子といいえ、美子様と一緒に学校のミルクホールで食べます</p><p>感情が高ぶっているから美子さんをつい、いつもの調子で美子と言ってしまった</p><p>みすず様や美智様とも、ご一緒することもあります美智様は、みすず様としかお食事なさいませんから</p><p>前なら美智さんだったんだよな</p><p>香月家を出された今は美智も様を付けて呼ばないといけない</p><p>それにしても</p><p>美智、やっぱりクラスに友達がいないんだな</p><p>みすずのお付きとは言えべったり過ぎるってのは、どうなんだろうか</p><p>お弁当は誰が作っているのさ</p><p>香月の家の厨房の方で作っていただいていました</p><p>ああ、瑠璃子も美子さんも料理は全然ダメなんだ</p><p>学校の無い時は、昼食は家で摂りますしお祖父様のお供をすることが無ければ、外には出ませんから</p><p>あれ、一昨日は劇場では、仕出しのお弁当があったけれど</p><p>わたくしと美子は家から持参したお弁当をいただきました</p><p>そういや、お弁当が余っているっていう話を聞いたような気がする</p><p>今考えるとお祖父様は、お父様を油断させるために、わたくしを特別に優遇して下さったんだと思います</p><p>そうだろうね</p><p>瑠璃子とみすずに差を付けて瑠璃子の方を徹底的に、大事に囲い込むことで、香月家の後継者として大切にしているって風に見せていたんでしょ自分の娘の瑠璃子が後継者なら瑠璃子のお父さんは、無茶な暴走はしないだろうからさっ</p><p>それだけじゃないよ</p><p>オレは、口を開く</p><p>やっぱり、ジッちゃんは瑠璃子が心配だったんだよ香月重秋から完全に遮断するために、瑠璃子と美子さんは完璧に隔離していたんだと思う</p><p>香月重秋が勝手に瑠璃子を連れ出して、重秋の都合だけで、他家との婚約を誓わせたりするようなことを恐れたんだろう</p><p>前の瑠璃子なら父親の命令に背いたりはしなかっただろうし</p><p>オレたちが、ドリンクバーのコーナー前で、そんな話をしていると</p><p>君たち、可愛いねぇどっから来たのお</p><p>大学生ぐらいのニヤけた男が、二人やって来る</p><p>ねえ、何ならさオレたちと同じテーブルに来ない</p><p>振り向くと、同じような品の無さそうな男が５人ほどこっちを見て、気色悪い笑顔で笑っている</p><p>瑠璃子は、ツインテールの髪を揺らして、オレの後ろに隠れる</p><p>お兄様なんだ、お前この子のお兄ちゃんなわけ</p><p>男の一人が、オレに言う</p><p>そんなのさっ、あんたたちに教える必要はないでしょっ</p><p>寧が、ぷんぷんと怒る</p><p>いいじゃん、いいじゃん、いいじゃんかぁ教えてくれたってよなあ</p><p>わー、怒った顔も可愛いじゃんお前、何て名前</p><p>初対面の女の子に、お前と来たもんだ</p><p>あのこの子たち、嫌がっていますから、そこをどいて下さい</p><p>嫌がってるオレには、そうは見えないけどなあ</p><p>ああ、オレたちに声を掛けられて、嬉しいって顔しているぜ</p><p>大学生たちは、いい気になって言う</p><p>嫌だよ、嫌っとっとと、どきなよっこのっ</p><p>寧が、喚く</p><p>ほらほら、言葉では嫌嫌言っててもなあ</p><p>ああ、顔の方はまんざらでもないって表情しているぜっ</p><p>こいつら</p><p>なあ、オレたちのテーブル行こうぜ</p><p>つーかさ、お前ら連れてかないと、石清水センパイに怒られちゃうんだよオレたち</p><p>人助けだと思ってさ</p><p>なあいいだろ</p><p>大学生２人は、気持ちの悪い笑顔で迫る</p><p>その後ろでテーブル席の５人の男は、瑠璃子と寧を無遠慮にジロジロと見ている　と</p><p>うちの子たちに、何か用なわけ</p><p>マルゴさんが、来てくれた</p><p>マルゴさんは、革ジャンを脱いできている</p><p>シャツの袖もまくって</p><p>マルゴさんの筋肉質の肉体が、はっきりと判る様にしている</p><p>え、何すか</p><p>オレたち、ちょっとお喋りしていただけですけど</p><p>大学生２人は、小馬鹿にした態度でマルゴさんに対する</p><p>君たち２人と、後、あそこの５人か</p><p>マルゴさんは、ギロッと大学生たちを見る</p><p>体育部拳法か何か</p><p>え、そうだけど何で判るんだよ</p><p>筋肉の付き方を見れば、大体判るよ</p><p>あそこにいる石清水さんは、全国大会で３位になった人だからな</p><p>そういう人が、お友達になってくれるって言ってんだからさ</p><p>嘘だね</p><p>マルゴさんは、言い切った</p><p>あれが全国大会とかに出られる肉体なわけないでしょ君たち、もうちょっとマトモに練習した方がいいと思うよ</p><p>ぐッとなる、大学生たち</p><p>な、何だよ、てめぇ</p><p>そうだぞ、ふざけたこと言ってると、ブッ飛ばすぞ</p><p>アハハとマルゴさんは、笑った</p><p>あたしをブッ飛ばす君たちの方が、よっぽどふざけているじゃないか</p><p>あそこにいるセンパイに伝えてよあんたたち７人掛かりだって、あたしは負けないからってさ</p><p>２人は、マルゴさんに言い返そうとするがマルゴさんの強い視線に威圧される</p><p>そうだよ、あんたたちなんて、マルゴお姉ちゃん一人でペッチャンコにされるからねっ</p><p>さあ、戻ろうヨッちゃん、瑠璃子、行くわよっ</p><p>あ、待って寧あたし、コーヒーを貰って行くから</p><p>それぞれに飲み物を持ってオレたちは自分の席へ戻る</p><p>瑠璃子はすっかり怯えてオレに、しがみついて来る</p><p>大丈夫だ心配するな</p><p>オレは、瑠璃子の背中をさすってやった</p><p>ツナギの布地の下マイクロビキニの背中の紐が、感触で判る</p><p>あいつら、まだこっちを見ているよ</p><p>気にしないで今は、食事をすることに集中しよう</p><p>すぐに、オレたちの食事が届いた</p><p>さ、食べよう</p><p>平然と食べるんだよビビッてると思われたら、あいつらを喜ばすだけだからね</p><p>うん、そうだねっ楽しく食べよういっただきまーすっ</p><p>マルゴさんとペアで修羅場に慣れている寧が、そう言う</p><p>そうだな瑠璃子、心を落ち着けて、笑って食べよう</p><p>瑠璃子は、心配そうにオレを見る</p><p>オレは、ここに居るお前のすぐ隣に姉さんも居る、マルゴさんも瑠璃子が怖がる理由は、何も無いだろ</p><p>背筋を伸ばして食事に向かった</p><p>あー、あいつらが居るから飲み物のお代わりができないーっ</p><p>だいたい食べ終わったところで、寧が言った</p><p>せっかく、お代わり自由のドリンクバーなのにさっ</p><p>あたしが行って来てあげようか</p><p>マルゴさんが、そう言ってくれる</p><p>ダメだよ、マルゴお姉ちゃんがドリンクバーに行ったら、あいつらこっちに直接来るよ</p><p>じゃあ、またみんなで揃って行く</p><p>それも何かビビッてるみたいで、嫌だなあ</p><p>オレが行って来ます</p><p>マルゴさんは、コーヒーですか</p><p>うん、アイスの方を頼むよブラックでいいから</p><p>姉さんは</p><p>ヨッちゃん、危ないよ</p><p>いいからオレ男だからさ</p><p>こういうところで頑張らないとね</p><p>じゃあ、あたしアイスティ</p><p>レモンミルク</p><p>ストレートでいい</p><p>瑠璃子は驚きの顔で、オレを見ている</p><p>何がいい</p><p>わ、わたくしもアイスティのストレートを</p><p>オレは、ドリンクバーのコーナーへ向かう</p><p>歩いている途中で、気付いた</p><p>みんな、オレがササッと帰れるように飲み物を選んでくれた</p><p>ドリンクサーバーの機械を使うものは、ボタンを押してからコップを満たすまで時間が掛かるけれど</p><p>アイスコーヒーやアイスティーなら、大きなポットに煎れて置いてある物を注ぐだけで済む</p><p>しかも、ブラックにストレートだからシロップやミルクを取る手間もいらない</p><p>みんなオレに気を遣ってくれた</p><p>おい、お前</p><p>ドリンクバーの前に行くと、案の定さっきの二人が出て来る</p><p>オレは、無視してトレイを取り、飲み物を順に注いでいく</p><p>無視するんじゃねーぞ、こらぁ</p><p>オレたちを舐めてんのかぁ</p><p>あんたたちこそ、オレたちが何なのか判ってないじゃないですか</p><p>携帯持っているんでしょオレたちの背中に書いてあるのが何か調べてみればいいじゃないですか</p><p>黒の革ジャンに、｜黒い森《BLACK　FOREST》の文字</p><p>それだけ検索すれば夜の街で暴れるマルゴさんと寧の情報に行き着くはずだ</p><p>あの二人が、どれだけ凶暴なのかも</p><p>何も知らないで、オレらにケンカを売るなんて馬鹿げていますよ</p><p>オレは、そう言うとススッと飲み物を持って、テーブルに戻った</p><p>サンキュ、ヨッちゃん</p><p>マルゴさんと寧は笑顔で瑠璃子は、心配顔でオレを出迎えてくれた</p><p>大学生たちのテーブルに振り向くとあ、必死になって検索している</p><p>お兄様は素晴らしいです</p><p>小声で、瑠璃子は言った</p><p>とても勇気のあるお方なのですね</p><p>単に、ドリンクバーから飲み物を取って来ただけだし</p><p>そうか、瑠璃子は</p><p>超お嬢様校の中でも、特別扱いにされていたから</p><p>美子さんと二人きりで誰からも、触れられずに来た</p><p>こういうプレッシャーを感じる様な状況に陥ったのは、初めてなんだ</p><p>安心していいんだよっこれからも、ずーっとヨッちゃんが瑠璃子を守ってくれるからねっ</p><p>寧が、微笑む</p><p>はいよろしくお願い致します</p><p>瑠璃子が、オレに身を寄せる</p><p>あの人たち動くね</p><p>全員で携帯電話を睨んで検索していた７人の大学生たちは</p><p>ギロッとオレを睨むと、立ち上がって会計に向かう</p><p>あれれ、出てってくれるのかなっ</p><p>うん黒い森の噂を知って、逃げ出すことにしたのかな</p><p>違うよ外で、あたしたちを待ち伏せするつもりだよ</p><p>コーヒーを飲みながら、マルゴさんは言った</p><p>さあああいう人たちの思考は、よく判らないからね</p><p>そして、マルゴさんは瑠璃子を見る</p><p>瑠璃子さん、おトイレはいいもし行きたかったら、寧と一緒に行っておいであの人たちが店からいなくなったうちに</p><p>会計を終えた大学生が、店から出たのを確認して寧と瑠璃子はトイレに</p><p>二人が帰ってくるのを待って</p><p>じゃあ、あたしたちも出ようか</p><p>マルゴさんを先頭にオレたちも、会計に向かう</p><p>あ、オレが払います</p><p>今日は、瑠璃子の誘拐のために来て貰っている</p><p>オレが支払うべきだ</p><p>そう、じゃあ頼むよ</p><p>オレがお金を払うところを、寧は瑠璃子に見せる</p><p>いい、これからはこうやってヨッちゃんが瑠璃子のために、お金を払うんだよ</p><p>真剣な眼で、瑠璃子は見ている</p><p>瑠璃子は、そんなヨッちゃんに何を返せるのか考えないとね</p><p>マルゴさんが、スッとオレの後ろに立つ</p><p>オレの耳に囁く</p><p>君は、寧と瑠璃子さんを抱き締めていてあげてすぐに済ますから</p><p>オレは、オレの役割を果たす</p><p>ファミレスの玄関から、外に出ると</p><p>７人の大学生が、待っていた</p><p>５人ぐらいが待ち構えていて、２人ぐらいが伏兵とかしないんだ</p><p>おいおいおい、馬鹿にしやがってよう、この野郎</p><p>さっきの大学生の１人が、オレに言う</p><p>何が、オレたちの背中に書いてあるものを調べてみろだこらぁ</p><p>相変わらず、喚くのは同じ２人だな</p><p>リーダー格の石清水センパイは、後ろの方で腕を組んで、ケケッと笑っている</p><p>シュヴァルツ・ヴァルトって、可愛らしいお花屋さんじゃねえかっ</p><p>こいつら、オレの背中の｜黒い森《BLACK　FOREST》じゃなくって</p><p>寧と瑠璃子のツナギに書いてある、シュヴァルツ・ヴァルトの方を調べたのかよっ</p><p>お前らの車にも、おんなじ店の名が書いてあるしなっ</p><p>渚の店シュヴァルツ・ヴァルトは、確かに可愛らしいお花屋さんだ</p><p>こけにしやがってよおっ</p><p>どう、オトシマエを付けるつもり</p><p>大学生はそこまでしか、喋れなかった</p><p>マルゴさんの拳が、男の急所を打ち抜く</p><p>ニヤッと微笑んだままマルゴさんは、大学生たちを次々と一撃で倒していく</p><p>なっ</p><p>のっ</p><p>凄まじい速度で、一発で昏倒させられていく大学生たち</p><p>ゲッ</p><p>ゴッ</p><p>問答無用で打ち倒されていく</p><p>さて、残ったのは君だけだ</p><p>１人残ったのは石清水センパイと呼ばれていた男だ</p><p>男は、眼の前で何が起きたかすら理解していない</p><p>ただ、ぽかーんとしている</p><p>覚えておいてね《犯罪結社・黒い森(ブラック・フォレスト)</p><p>ツツッと男の前に、踏み込む</p><p>あたしたちは、アンタッチャブルなんだよ</p><p>シュッ、と急所に突きが入る</p><p>７人の大学生が地面に転がる</p><p>ほら、逃げるよっ</p><p>マルゴさんの声に、オレたちは走って車に向かった</p><p>箱根で貰って来たウィルスで、結構、風邪っぴきが長引いています</p><p>母は、今度は宇都宮へお参りに行けと言いますが断りました</p><p>そんな体調じゃないです</p><p>何か、合わないところにお参りに行くと、逆に体調を崩すらしいですし</p><p>これでもし宇都宮が合わないところだったら死んでしまいます</p><p>スカイラークは、スミスのＳＦ小説の方で</p><p>昔、筒井康隆先生の乱丁文学大事典に、スカイラーク→美空ひばりのこととありましたが</p><p>このスカイラークがファミレスではなく、スミスの小説の方だと気付いたのは最近です</p><p>404．中毒症状</p><p>しかし、これって渚の店に迷惑が掛かったりしないかな</p><p>猛スピードで、ファミレスの駐車場を発進したバン</p><p>５分ほど、思いっきり街を疾走した後でマルゴさんは、スピードを緩めてクルージング状態に入る</p><p>誰も追い掛けてこないことを確認したのだろう</p><p>大丈夫だよ携帯電話で渚さんのお店を検索しただけでしょう</p><p>でもさああいうやつらは、すぐに警察とか呼びそうだと思うんですよ</p><p>そもそも大の大人が７人も集まって、オレたちを待ち伏せしていたということは無視して</p><p>自分たちが、マルゴさんに昏倒させられたことだけを通報したり</p><p>だから平気だってば渚さんのところに、警察が調べに行ってもあたしたちは、渚さんのお店の店員じゃないし、この車だって渚さんのお店の車として登録されていない渚さんと暴力事件を結びつける証拠は、一つも無いんだから</p><p>渚さんのお店の店員さんたちは、みんなアリバイがあるだろうしあそこに、金髪で青い眼のアメリカ人はいないしね</p><p>うん、渚が知らないと言い張れば問題無いか</p><p>それより｜黒い森《BLACK　FOREST》の方を検索すれば、あたしたちの悪評が判るだろうしよほどの馬鹿じゃない限り、警察に届けたりしないよあたしたちが、ヤクザやチンピラも狩り倒しているからね</p><p>でもよほどの馬鹿だったら</p><p>かなり頭の程度の低そうな大学生たちだったし</p><p>警察は動かないよ黒い森の名前が出た以上は</p><p>バックミラーの中の、マルゴさんの口元が微笑む</p><p>そうだね人が死ぬとか以上の事件にならない限り、あたしたちの行動は全部不問だよ</p><p>ジッちゃんの香月家の後ろ盾と</p><p>恭子さんの国際犯罪者としての恐るべき実績</p><p>それが、警察の捜査を打ち切らせる</p><p>君が心配なら、連絡しておこうかミナホと渚さんへ</p><p>渚に連絡するのは判るけれど何で、ミナホ姉さん</p><p>ミナホからうちの門の外で見張っている公安警察の人に、ファミレスでうちの人間が事件を起こしましたって、話して貰えばいいんだよそして、公安の人が地元の警察に連絡して被疑者不明で、この件は終了だよあの大学生には、お前たちを殴ったヤツは、見つからなかったってことでさ</p><p>それでいいんじゃないマルゴお姉ちゃん、あの子ら全員気絶させただけでしょ</p><p>そうだよみんな昏倒してるけど命には別状ないし、すぐに気が付くから</p><p>じゃあ、問題ないじゃん</p><p>オレたちの話を震えながら、瑠璃子は聞いている</p><p>バンの後部座席でオレに、しがみついて</p><p>瑠璃子、もう平気だからな</p><p>そうだよ、瑠璃子うかつに外を出歩くと、ああいう変な男たちが寄って来るってこと、判ったでしょっ</p><p>寧が、瑠璃子に微笑む</p><p>若い男なんて気持ち悪くて、怖い奴らばっかしなんだからっみんな、瑠璃子に襲いかかろうと、狙っているんだよっ</p><p>瑠璃子を怖がらせる</p><p>瑠璃子のことを本気で守ってくれるのはヨッちゃんだけなんだからねっ</p><p>はい瑠璃子はもう、お兄様のお側を離れません</p><p>瑠璃子はオレの腕に、頬を擦り付ける</p><p>ヨッちゃん以外の男は、信用しない付いていかない話もしないいいね</p><p>はい全て、お兄様だけです</p><p>うんよしよしっ</p><p>寧が笑った瞬間オレは、あれっと思った</p><p>もしかして、マルゴさんは</p><p>瑠璃子に、若い男に対するトラウマを植え付けるためにわざわざ、あのレストランを選んだんじゃないだろうか</p><p>例えば、外から見て駐車場に、柄の悪い学生が乗っていそうな車が並んでいたとか</p><p>最初に座席を選んだのもあの大学生たちのテーブルと適度な距離を取るためとか</p><p>あいつらからは、寧や瑠璃子がよく見えていたとか</p><p>ちょっとゴメン、そこで一度停めるよ</p><p>マルゴさんは、ブレーキを掛ける</p><p>また人気の無い道の路肩にバンは停車する</p><p>一応通報されているかもしれないから、車の車体の文字とナンバープレートを交換するよ寧、選んで</p><p>寧が丸子家具のマグネット・シートと、替えのナンバープレートを取り出す</p><p>同じ年式の同じ色の車でさ廃車になる予定の車を探すんだよそれでナンバーを手に入れるそういうことをしているわけ</p><p>それなら詳しく調べられても、大丈夫だ</p><p>マルゴさんは、運転席から外に出てそれぞれの付け替えをする</p><p>マルゴさんの携帯が鳴る</p><p>マルゴお姉ちゃん先生からだよっ</p><p>寧が携帯の画面表示を見て、言う</p><p>マルゴさんは、前面のナンバープレートを付け終わったばかりだった</p><p>寧代わりに出て</p><p>寧が電話に出る</p><p>もしもーし、あ、もしもし先生寧でーすっうん</p><p>寧の顔が、暗くなる</p><p>マルゴお姉ちゃん先生、どうしてもマルゴお姉ちゃんと話したいみたい</p><p>ちょっと怒ってる感じ</p><p>マルゴさんが、窓から携帯を受け取る</p><p>はい、もしもし、ミナホうんそうだねミナホの言いたいことは判っているよこっちに向かっているのちょうど良かったあたしも、一度お屋敷に戻るか、このままターンするか迷っていたところなんだ本当なら、車を代えて戻るべきなんだけれど時間的に厳しくなってきたから</p><p>OKじゃあ、そこで待ち合わせようか１５分後ね了解じゃあ、後ほど</p><p>マルゴさんは、電話を切った</p><p>オレは、恐る恐る尋ねてみる</p><p>こうなることは判っていたんだよ</p><p>岩倉さんを、あたしが勝手に使ったからさ</p><p>１５分後市民公園の大駐車場に、オレたちは到着する</p><p>すぐにミナホ姉さんの運転するベンツが入って来た</p><p>ベンツを駐車させるとミナホ姉さんが、オレたちのバンへやって来る</p><p>ガチャリと、助手席のドアを開けると中へ入ってきた</p><p>あ、何か、すごく不機嫌だ</p><p>黒森様この度は、ご面倒をお掛けすることとなりました</p><p>まず、瑠璃子が丁寧に挨拶する</p><p>詳細は聞いています香月様からも、ご通知をいただきました</p><p>冷たい声で、ミナホ姉さんは答えた</p><p>はいわたくしは、お兄様の奴隷にしていただきましたもう、香月の家とは縁の無い女でございます</p><p>判っていますですから、あなたのことは彼の奴隷としか扱いません</p><p>奴隷の仕事判っていますよね</p><p>はいわたくしは、お兄様に悦んでいただくことだけを考えて生きていきます他のことはもう、一切関係ありません</p><p>彼の赤ちゃんを産むのよ</p><p>はい精一杯、頑張ります</p><p>そしてミナホ姉さんは、オレを見る</p><p>この子のことは、絶対に甘やかさないいいわね</p><p>もう、香月家のお嬢様では無いことは徹底的に、思い知らせないと</p><p>今はまだ、頭で判っているだけだから</p><p>気を許したら瑠璃子は甘えるだろう</p><p>心の底から、お嬢様根性は吐き出させないといけない</p><p>この子のことは、何よりもまずセックス奴隷として扱いなさいあなたの思い通りに、玩びなさいそれで、あなたとしかセックスできない身体にするのよ</p><p>ミナホ姉さんも瑠璃子の淫蕩な血を恐れている</p><p>下手に奔放なセックスを覚えたら瑠璃子は、色んな男に平気で身を任せるだろう</p><p>ジッちゃんは香月の血は、淫らなことが好きだと気付いている</p><p>だから、みすずも瑠璃子もできる限り、年頃の男を遠ざけて育てられた</p><p>みすずは父親の不倫を見せて男嫌いにし、渚とレズビアンの体験をさせ</p><p>瑠璃子は美子さんと二人きりで周りから完全隔離し、セックスについての知識を一切教えなかった</p><p>はい、お兄様お望みでしたら、どんなことでも致しますどうか、わたくしをお使いになって下さいませ</p><p>瑠璃子は、殊勝な態度でそう言う</p><p>瑠璃子は、これまでみすずや美智のセックスを見てきてはいるが</p><p>実際に、自分の身体でセックスを体験したわけではない</p><p>瑠璃子はセックスの本質を理解していない</p><p>そしてできる限り早く、彼女を妊娠させなさい</p><p>えミナホ姉さん</p><p>それがあたしたちには、一番良いのよ</p><p>瑠璃子はまだ中学３年生だ</p><p>香月様は、もうご高齢よすぐに、ひ孫が産まれることになれば、とてもお喜びになると思うわ</p><p>確かに瑠璃子が、オレの子を孕めばそりゃ、ジッちゃんは喜ぶだろう</p><p>みすずさんは、すぐに妊娠はできないでしょ大学へ進んで国家官僚を目指すんだから</p><p>うんそれが、みすずの選んだ道だ</p><p>だからこのセックス奴隷に孕んでもらうのよ香月家とあたしたちの関係を固めるためにも香月様がご健在なうちに、妊娠・出産するべきだわ</p><p>それも判るけれどだけど</p><p>かしこまりましたわたくし、可能な限り急いで、お兄様の赤ちゃんを産みます</p><p>どうか、わたくしに赤ちゃんを作るための行為を、いっぱいいっぱいして下さいませ</p><p>お前はまだ、セックスが何だか判っていないじゃないか</p><p>さて瑠璃子さんの挨拶は済んだみたいだから、本題に入ろうよ</p><p>マルゴさんが、話を変えてくれる</p><p>でミナホは、何が不満なわけ</p><p>どうして幸代に、客を取らせたの</p><p>客</p><p>ああ確かに、今回の作戦はあたしが、岩倉さんを雇ったよ香月家の男の子と寝たら、お金を支払うって</p><p>マルゴ何でそんなことをしたの</p><p>ミナホ姉さんは、本気で怒っている</p><p>あれ、この間学校で、雪乃さんと雪乃さんの彼氏いや、元彼かあの子たちを、ハメた時の作戦だって、岩倉さんを使ったじゃない</p><p>遠藤を薬でおかしくして、校長室の隣の部屋で雪乃を襲わせた</p><p>その時も、岩倉さんに色々と動いてもらった</p><p>あの時は幸代を作戦に加えたけれど、幸代に客を取らせたりはしていないわ</p><p>あの時の岩倉さんは、売春はしていない</p><p>おんなじだよだって、岩倉さんあの時に作戦に協力してくれた、生徒会の部下とか野球部の子たちに、お礼だって言ってセックスしてあげてるんでしょ</p><p>岩倉さんなら、そうだろうなあ</p><p>違うわよそれは、幸代の意志でやっていることで客を取らされるのとは別のことよ</p><p>おんなじだって今日だって、あたしはあの子に強要はしていないよあの子は自分の意志で、香月仁くんたちとセックスしたんだから</p><p>そういうことを言っているんじゃないわよ</p><p>じゃあ、どういうことを言っているわけ</p><p>バンの運転席と助手席の間に険悪な空気が漂う</p><p>あたしはもう、幸代にいいえ、幸代だけじゃなくて、うちの全ての女の子たちにお客を取らせたくはないのよ</p><p>その気持ちは判るけどさじゃあ、今の岩倉幸代がやっていることは何</p><p>黒い森の仕事が停止してから岩倉幸代の行状は、酷くなる一方じゃないか生徒会の連中を初めとしてさどんどん学校内に岩倉さんのセックス・キングダムができているよねいいの、あれ</p><p>岩倉さんの毒牙に掛かって、セックス中毒になっている男子学生が増えているんだよミナホが、岩倉さんに仕事をあげないから</p><p>あたしのせいだって言うの</p><p>ミナホ姉さんは、キッとマルゴさんを見る</p><p>先生あたしも、マルゴお姉ちゃんに賛成したのこの間の時にさ岩倉さんの男ハーレムが拡大していることに気付いちゃったからあれ、やっぱりマズイよあたしは、タブって一つ学年が下がっちゃったけれど昔のクラスメイトも、大分食われちゃってるし</p><p>寧も、言う</p><p>この間、岩倉さんが作戦に参加した時はこれで、いいガス抜きになるとか言ってたけれど岩倉さんを現状を見てみたら、深刻なことになっていたものっ</p><p>それでも客を取るよりはマシだわ</p><p>ミナホ姉さんは、寧の言葉を突っぱねる</p><p>ミナホは、判ってないよ岩倉幸代は、セックス中毒なんだよ</p><p>判っていますそれくらいのことは</p><p>いいや中毒っていうのが、何なのかミナホは、判っていないよ</p><p>あたしはアメリカ時代に、色んな中毒を見てきたからあたしの父親だって、アルコール中毒だったし</p><p>今の話には、関係無いじゃない</p><p>関係あるんだだから、よく聞いて</p><p>キッと、マルゴさんはミナホ姉さんを見る</p><p>中毒というものが、良く判ってない人は、みんな勘違いをしているんだけれど何かの中毒患者はねそれに溺れていたら、幸せな気分になって現実から逃避できるんじゃないんだよ</p><p>オレたちは、マルゴさんの話に注目する</p><p>瑠璃子もジッと聞いている</p><p>ほら、例えばアルコール中毒の人は、お酒に浸っている間は、幸せな気分でいっぱいになっているってそんな風に思っているでしょそうじゃないんだよ</p><p>本当に中毒になるとねアル中なら、アルコールが身体に入っていない時は、心も身体もメチャクチャになっている自分の思った通りに、心も身体も動かせなくなって不安や恐怖に襲われるだからと言ってアルコールを摂取したら、それが全て改善されるわけじゃないんだよほんのちょっと改善されるだけで身体も心も、相変わらずマイナスのままなんだよお酒を飲んだからって、気分が良くなるわけじゃないんだ飲んでないときより、ちょっとはマシになるだけで相変わらず、本人は地獄の苦しみの中にいるただ、飲んでない時よりはマシだからでも、それが本人にとっては大きいんだろうね、だから飲むでも、身体はシャンとしないし、心は晴れないずっとずっと、苦しいだけなんだよ</p><p>ハァと、マルゴさんは溜息を吐いた</p><p>あたしのお父さんがそうだったアルコールが入っていない時は、死体みたいで入っている時は、怒れる死体だった美味しそうじゃないんだよお酒がいつもゲホゲホ苦しそうにまるで、ドス黒い憎しみを無理矢理呑み込んでいるみたいだった</p><p>マルゴさんは、そんなお父さんに</p><p>中毒になると楽しむことも、味わうこともできなくなるんだよ苦しみから逃れるために、その行為に没頭してでも、苦しみは消えない気分が悪いだけなんだ今の岩倉幸代のセックスってそんな感じだと思わない</p><p>オレはさっきの岩倉さんの姿を思い出す</p><p>香月仁や角田と、貪るようにセックスしているのに</p><p>岩倉さんは、全然満足していないようだった</p><p>むしろ、セックスすればするほどより渇いていくみたいで</p><p>だったらどうするべきだというの</p><p>ミナホ姉さんはマルゴさんに尋ねる</p><p>中毒患者を中毒から脱させるのはいきなり断つんじゃなくって、少しずつ量を減らすしかないんだよそれは前も話したよね</p><p>だからどうすればいいのか聞いているのよ</p><p>岩倉幸代の場合は今は、まだお客を取らせるしかないと思うよ客に買われている時は、あの子は求められた仕事をこなすからねまだ、枠がある</p><p>え、今日のアレで</p><p>今日だって最初にあたしが依頼した以上のことはしていないから仕事でやっているという意識で、ブレーキが利くんだよまだ</p><p>学校の方は岩倉さんが好き勝手にやっている方は、ホント、ブレーキ利いてないみたいだよ最近</p><p>あたしはちゃんとチェックしているわよ</p><p>ミナホ姉さんは学校内の監視網で、岩倉さんを監視していたはずだ</p><p>うん、そうだけれど黒い森で客を取るよりは、学校内で男ハーレムを作っている方がいいって考えだったでしょミナホは</p><p>だから先生は、公正な眼で見てないんだと思う</p><p>戸惑うミナホ姉さんにマルゴさんは言う</p><p>ミナホはさ自分の好きな子と、他の子と判断基準が違うんだよいや、別に悪いことじゃないよそれはそれで、ミナホの考え方なんだし、生き方なんだしあたしは尊重する</p><p>それから瑠璃子を見る</p><p>でも自分がダブルスタンダードな物の考え方をする女だってことは、自覚した方が良いよさっき、ミナホが瑠璃子さんに言っていたのは瑠璃子さんを娼婦に堕とせというのと同じだからね</p><p>セックス奴隷をセックス浸けにしろっていうのはセックス中毒にしろって意味だよね</p><p>岩倉幸代は娼婦を辞めさせて、セックス中毒から抜け出させたいと思っているのに瑠璃子さんを彼専用の娼婦にして、セックス中毒にしようとしているんだよその矛盾をミナホは自覚した方がいいよ</p><p>ミナホ姉さんは、絶句する</p><p>あのわたくしショーフというのが何なのか判らないのですがわたくしは、奴隷ですお兄様のそして、あの奴隷であることに、不満はございません</p><p>ニコッと、オレを見る</p><p>むしろお兄様の奴隷にしていただいたことで、今までよりも幸せになれるような気がしていますセックスというものについては、まだよく判りませんしわたくしに、上手くできるのかお兄様にご満足していただけるか自信はありません中毒になるほど、夢中になれるかも</p><p>瑠璃子はセックスについて、何も理解していない</p><p>でも、お兄様</p><p>瑠璃子の微笑みは無邪気だった</p><p>お兄様の赤ちゃんを産んで、この手に抱いたらきっと、とっても幸せな気持ちになれるって思いますセックスって赤ちゃんを作るための行為なんですよね</p><p>でしたら、わたくし一生懸命、セックス致します頑張ります、わたくしお兄様のセックス奴隷にしていただいて本当に良かったですわ</p><p>瑠璃子は、オレの奴隷だけれどオレたちの家族だよそれは構わないよね</p><p>ミナホ姉さんは、もう一度瑠璃子を見る</p><p>そうね改めて、受け入れるわねえ</p><p>この子ホテルで会ったときは、こんな子じゃなかったわもっとお高くとまっていて高いところから、人を見下している子だったわ頭が良くて、観察力も判断力もあるけれど生まれながらにして、特権階級に属している人間特有の優越感に浸って人を見ていた大嫌いだったわ</p><p>なのにどうして、こんなに変わってしまったの</p><p>オレの代わりに寧が答える</p><p>先生はヨッちゃんの凄さを、もっと認めるべきだよっ</p><p>うん、彼はどんどん成長しているミナホの知らないうちにね</p><p>マルゴさんが、ニッと微笑んだ</p><p>あたし先生は、今年限りで辞めるわ</p><p>判ったわあたしは、いつも自分にとって大切な子しか見ていないってこと学校の先生には、不向きな性格なのね</p><p>その代わり一度、自分の子だと認めた相手には、徹底的に優しいじゃないか</p><p>そうよだから、娼館の主には相応しいけれど学校の先生には、向いていないのよ</p><p>そしてマルゴさんを見る</p><p>ずっと悩んでいたけれど娼館の完全閉鎖は無理なのね</p><p>結局セックス中毒の娼婦たちを癒やすためには</p><p>ミナホ姉さんが、少しずつコントロールしながらセックスへの依存度を減らしていくしかない</p><p>娼婦たちに適度に客を取らせながら</p><p>情けない話だが娼館に縛り付けて売春させる方が、セックスの回数も内容も自在にコントロールできる</p><p>今はまだ、黒い森は閉館できない</p><p>ああ、岩倉幸代だけじゃないからね黒い森の元娼婦で、セックス中毒のままになっている子たちは</p><p>先生は岩倉さんが、あんまりにも馬鹿で淫乱すぎるので庇護してあげることにしたんだろうけど去年の営業停止でお屋敷からお暇を貰ったお姉さんたちの中にも、危うい人はいたしさっ</p><p>あたしが場を作ってあの子たちのセックスをコントロールしてあげないと</p><p>うんみんな、岩倉さんみたいに、周りの人たちに迷惑を掛けていると思うよ</p><p>娼婦としては精神的に安定している方だった渚でさえ</p><p>お店の店員の女の子を囲って、ハーレムを作っていたんだから</p><p>みんなセックスのテクニックだけは、身に付けているからね経験も豊富だし</p><p>瑠璃子、さっき言った通りなのよ下手にセックスにハマりこむと、女はおかしくなっちゃうのそれを治すのは、本当に大変なんだからねっだから、瑠璃子はヨッちゃんだけにしなさいっ</p><p>最後のまとめに寧が言う</p><p>はい瑠璃子は、お兄様とだけですお兄様の奴隷ですから</p><p>そして、オレの眼を見る</p><p>あの、お兄様</p><p>わたくしは、今の皆様のなさっていたお話はあまりよく、理解はできなかったのですが</p><p>いや、それはいいんだ別に瑠璃子が判らなくてもいいことだし</p><p>でもわたくし、一つ、気付いたことがありますわ</p><p>お兄様、我慢していらっしゃいますね</p><p>な、何が</p><p>わたくしお兄様が、みすず様や美智様とセックスなさっているところを何度か拝見致しましたがお兄様は、いつも何かをセーブしておられます</p><p>おっ、瑠璃子、いいところに気付いたねっそれは、あたしもずっと気にしているんだよっ</p><p>寧まで</p><p>あのわたくしは、お兄様の奴隷ですから我慢なさらなくていいんですよ</p><p>そうだねヨッちゃんの殻を打ち壊すためには瑠璃子を利用するのがいいのかも</p><p>ちょっと姉さん</p><p>ヨッちゃんあたしたちが相手だと、気を遣うでしょ</p><p>ホントはもっとさ変態チックなセックスとか、してみたいんじゃないの</p><p>ヨッちゃんは忘れてるかもしれないけれどさあたしや、克姉は、ヨッちゃんが最初に雪乃さんを襲った時の映像リアルタイムで見ているからさ</p><p>ヨッちゃんが、本当はもっとエロエロなことしたいの知ってるし全然、オッケーだよ</p><p>まあ確かに、恵美やマナやみすずや美智が見たら、引くかもしんないけれどね</p><p>その点、瑠璃子はいいんじゃない</p><p>瑠璃子セックスについて、よく判ってないんだしさ</p><p>はい、全部お兄様に教えていただきます一生、お兄様としかしないのですから何もかも、お兄様のおっしゃる通りに致します</p><p>瑠璃子は、ニコニコ笑っている</p><p>うんヨッちゃんのしたがるセックスは、普通とはちょっと違うイレギュラーなものかもしれないけれど瑠璃子は、全然構わないよね何が普通か判らないんだからさっ</p><p>はい瑠璃子には、お兄様とのセックスが普通です他は知りませんから</p><p>瑠璃子さんとの最初のセックスは、クローズドにしてあげるわ</p><p>ヨッちゃん、判らないのみすずや、美智や、恵美や、マナたちには見せないってこと</p><p>好きなだけ欲望のままに、瑠璃子さんを犯しなさい</p><p>あのミナホ姉さん</p><p>あたしもさクローズドの初体験で良かったと思うもんっヨッちゃんが、我慢しすぎになったのも、見られながらするのが多すぎたからだと思うし</p><p>は、はあ</p><p>あ、もちろん記録は取るわよ隠しカメラででも、部屋の中は二人だけそうするわ</p><p>ああメグの初体験の時と、同じか</p><p>じゃあ、今晩いいわね</p><p>お願い致します、お兄様</p><p>瑠璃子は、そっとオレに身を寄せる</p><p>どんな風に瑠璃子を犯したいかよーく考えておいてねっうっしっし</p><p>ということで、瑠璃子の処女喪失は今夜です</p><p>その前に、メグの学校編が一つ入りますが</p><p>アルコール中毒と、その克服について描いた映画は国民の創世やイントレランスで有名なグリフィス監督がすでに撮っているそうなので、映画の創生期にはすでにあったということになります</p><p>西部劇でもリオ・ブラボーでしたっけ、アルコール中毒から保安官助手が立ち直る話がありましたし</p><p>アメコミでは、アイアンマンことトニー社長が、アル中から脱却する素晴らしいストーリーがあります（その後、また飲んでヤバくなる時期もあるけど）</p><p>日本でも時代劇の酒さえ止めてくれれば、おとっつぁんは、良い職人なのにと、アル中の克服話は定番だったんですけどね</p><p>今は、お酒のメーカーがスポンサーなので日本のテレビでは、まず流れません</p><p>こういうのって、恐ろしいと思います</p><p>私の高校の時の後輩のお父さんがアル中でした</p><p>とっても身近にある問題なのに</p><p>適度の飲酒は、もちろん何の問題もないのですが</p><p>世の中には、アルコール中毒というものがあり</p><p>そういう患者を家族に抱えて苦しんでいる人がいるということは伝えた方がいいのではないかと思います</p><p>ちなみに、私はこの作品が終わるまで、お酒を飲まないと願を掛けているので</p><p>このお正月も酒抜きです</p><p>ワインとかビールとか、早く飲みたい</p><p>405．終結に向かって</p><p>それじゃあね、ヨッちゃん</p><p>結局マルゴさんと寧が、ミナホ姉さんの乗ってきたベンツで、岩倉さんを回収しに行くことになった</p><p>寧は、渚の店のツナギから元の制服に着替えている</p><p>ま、岩倉さんに声を掛けたのはあたしたちだからねちゃんと連れて帰って来るよ</p><p>谷沢さんとは、交渉済みだからねっ</p><p>正直岩倉さんを瑠璃子と一緒にするのは、ヤバイと思っていたから</p><p>これは、これで助かる</p><p>あの淫乱帝国の女王と出遭ってしまったら、どんなヘンタイ行為も正当化されて話し出すだろうし</p><p>特に、瑠璃子が香月家の出身でセックスについての知識が欠けていることに気付いたら</p><p>わざと、キョーアクに話しかしないだろうな</p><p>岩倉さんはかなり、人が悪いし</p><p>純真な少女の心を汚すことに全力を掛けて来るだろう</p><p>姉さんも、気を付けて</p><p>オレは、バンの窓越しに寧に言う</p><p>あたしあたしは平気だよ岩倉さん、あたしには弱いから</p><p>岩倉さんの昔の不良行為売春やヤクザたちとの付き合いなんかは、全て、寧のものということになっている</p><p>寧の校内での悪い噂は、全て岩倉さんから引き継いだものなのだ</p><p>だから、岩倉さんは平然と、今は生徒会長という地位にいる</p><p>それで、岩倉さんは寧に頭が上がらない</p><p>逆を言えば岩倉さんは、寧が本当は悪い娘ではないことを知っている</p><p>本当に、信用していいのだろうか</p><p>すでに、岩倉さんは一度オレたちを罠にはめているし</p><p>あたしが、１年生の時にあたしを襲った先生をマルゴお姉ちゃんが半殺しにして、あたしが学校の武道場に火を付けて全焼させたでしょそれを岩倉さん、見ているから</p><p>寧は、さらりと恐ろしいことを言う</p><p>あたしが本当にキレると、何をしでかすか判らない女だってこと岩倉さんは、ちゃんと理解しているよマルゴお姉ちゃんと、夜の街で暴れ回っていることもね</p><p>ニッと、寧は微笑む</p><p>ヨッちゃんのお陰であたしも、随分、安定してるんだよちょっと前のあたしは、エキセントリックで、メチャメチャにハイパーで、すぐに何でも火を付ける女だったじゃないっ忘れた</p><p>確かにそうだったけれど</p><p>大丈夫だよ岩倉さんは、確かに危険な子だけれど本当に、アブナいのは寧の方だから</p><p>岩倉さんは、頭に血が昇ったら想像力が働かなくなるタイプだけど寧は興奮すればするほど、頭の中が冴えて冷静沈着になるから岩倉さんは、お金でコネのあるヤクザに人殺しを依頼することしかできなかったけれど寧だったら、確実に、自分の手を汚さずに相手を抹殺するよ社会的にも、肉体的にも</p><p>そうだ、寧も</p><p>ミナホ姉さんの、白坂創介に対する復讐の実行メンバーの一人だ</p><p>ミナホ姉さんはマルゴさん、克子姉、寧を実行メンバーに選んだけれど</p><p>岩倉さんや、渚は選ばなかった</p><p>そりゃ、渚はすでにお屋敷から引退して表の生活があったけれど</p><p>それ以上に復讐の実行犯としての適性を考慮したんだろう</p><p>岩倉さんは想像力に欠けるし、軽率すぎる</p><p>渚は相手に非情に成り切れない優しすぎる</p><p>じゃあ、岩倉さんを送って晩ご飯までには帰るから</p><p>また、後でねえっ</p><p>二人を乗せた、ベンツが火葬場前のレストランへ戻って行く</p><p>白いバンの中はミナホ姉さんと、オレと、瑠璃子の３人だけだ</p><p>じゃあ帰るわよ</p><p>少しくらい声で、ミナホ姉さんは言った</p><p>エンジンを始動させ車が走り出す</p><p>瑠璃子は心配そうにぴったりと、オレにくっついている</p><p>瑠璃子の肉体</p><p>１５歳の中学３年生の美少女</p><p>小柄で胸もつるぺたの美智より瑠璃子の方が、成熟している</p><p>しかし、みすずやメグと比べると明らかに、幼い</p><p>胸を膨らみだしているし、腰もくびれている</p><p>しかし、何もかもがスタートラインを切って、今まさに成長しているまっただ中だ</p><p>どうしたんです、お兄様</p><p>瑠璃子が、オレに囁く</p><p>顔が近い</p><p>瑠璃子の吐息を、オレは肌で感じている</p><p>いや、オレは瑠璃子とどんな風にセックスしたいんだろうって思って</p><p>心の中に浮かんでいたことを、オレは素直に語った</p><p>どんな風でも構いませんわどんなことでも、喜んでいたします</p><p>瑠璃子は、頬を赤らめて、そう言う</p><p>でも何か、この数日メチャクチャ色んなことがあったからオレ、自分がどんなセックスをしたのか、判らなくなっちゃったよ</p><p>実際雪乃のレイプから始まって</p><p>異常なセックスばかりしてきた</p><p>自分の意志に反して、無理矢理させられたセックスもあったし</p><p>そういうモヤモヤとしたお気持ちも含めて全て、わたくしにぶつけて下さいませ</p><p>わたくしお兄様の奴隷ですから遠慮なさらないで</p><p>オレの奴隷</p><p>むしろ、遠慮なさったら瑠璃子は、悲しく思います</p><p>そうだオレが、瑠璃子に遠慮したら</p><p>それは、オレがまだ瑠璃子を香月家の娘だと思っていて手加減しているということになる</p><p>お兄様のものなのですからお兄様のなさりたい様になさって下さい</p><p>瑠璃子はセックスについて、よく判っていない</p><p>どんなヘンタイ的なセックスもそういうものなんだと受け入れてくれるだろう</p><p>オレは、もう一度瑠璃子の顔と身体を見る</p><p>セックスの対象として</p><p>これから花咲く寸前の蕾のような美少女</p><p>清純無垢な処女の肉体</p><p>瑠璃子可愛いなオレ、瑠璃子を抱きたいオレだけの女にしたい</p><p>他の男には、抱かせたくない</p><p>オレが一生独り占めにしたい</p><p>もう、お兄様のものでございます</p><p>そうじゃない違うんだ</p><p>オレは、瑠璃子の身体を抱き寄せて囁く</p><p>オレの男性器が、瑠璃子のお腹の奥に入って赤ちゃんの素の精液を、瑠璃子の赤ちゃんを作る場所に吐き出して初めて、瑠璃子はオレの女になるんだ</p><p>瑠璃子の身体が緊張する</p><p>言葉では覚悟しているけれど身体は、恐怖を感じている</p><p>それがまた可愛らしいと思う</p><p>そっちは、話がまとまった</p><p>運転席からミナホ姉さんが、言った</p><p>そして、ハァと溜息を吐く</p><p>どうしたの姉さん</p><p>オレが尋ねるとバックミラー越しに、ミナホ姉さんはオレを見る</p><p>さっきのマルゴの話聞いてたわよね</p><p>岩倉さんのセックス中毒と娼館の再開の件</p><p>マルゴが何で今、ああいう話をしたのか判る</p><p>もう、そろそろあたしの復讐が終わるからだから、あの子はあたしに、復讐が終わった後のことを考え始めろって、急かしているのよ</p><p>復讐</p><p>ミナホ姉さんの自分自身と、殺された妹さんのための</p><p>前も言ったけれど復讐が終わったら、あたしは死ぬつもりだったのよだから、お屋敷は閉鎖したんだし後のことは、恭子さんにお任せすれば大丈夫だろうって思っていたわ最初は克子とマルゴと寧と幸代とアニエスだけのことだったし</p><p>オレが黒い森に入って来る前のメンバーたち</p><p>克子には、店を持たせてマルゴは、恭子さんに預けて寧はマルゴと一緒に居るだろうし幸代は、引退したお屋敷のお姉さんにお願いするつもりだったわアニエスは</p><p>ミナホ姉さんは、口籠もる</p><p>復讐が終わったら一緒に死ぬつもりだったあの子を幸せにすることは、誰にもできないって思っていたから</p><p>１２年間地下室の中で育てられた少女</p><p>父親である白坂創介への崇拝しか、教えられなかった</p><p>ミナホ姉さんは、アニエスの社会復帰は無理だと思っていたんだ</p><p>全部あなたのせいよ</p><p>あなたが、あたしたちの前に現れたから色んなことに希望が見えてきてしまったのよ</p><p>希望って</p><p>あんなに不安定だった克子や寧が安定したわ寧なんて、ずっと自分のことだけで精一杯だったのに、今は自分よりも年下の子の面倒まで見るようになっている克子も一週間前が嘘みたいに、幸せそうな顔をしているわ</p><p>寧と克子姉</p><p>渚もそうよ前は、辛い過去を忘れられないでいたけれど今は、すっきりした顔をしている一昨日、あの子が劇場で昔の顧客の皆様にご挨拶している様子を見た時はびっくりしたわあの子にとって娼婦の時代が、やっと過去になってくれたのね全て、あなたのお陰よ</p><p>いや、オレは何もしていないよ</p><p>ううん恵美のことだってあたしは、あの子のことがずっと心配だったんだけれど白坂家の因縁から解き放ってあげることができたわ</p><p>例え、白坂創介に無理矢理娼婦にさせられることが無かったとしても</p><p>あのまま山峰家にいる限りは、生涯、白坂の家から干渉され続けただろう</p><p>ミナホ姉さんだってマナを受け入れてくれたしオレは感謝しているよ</p><p>マナは白坂創介の娘本来ならば、敵だ</p><p>そのマナさん真緒ちゃんと一緒に、アニエスの相手をしてくれているわ大分、アニエスの心が開けてきたみたい真緒ちゃん、一人だけでは上手く行かなかったと思うわ</p><p>そうあいつ、空気は読めるし、気遣いもできる子だから</p><p>マナは、ちょっといい気になるクセはあるけれど優しくて、頭の良い子だ</p><p>最初はひねくれていて、こっちの顔色ばかり伺う、嫌な小娘だと思っていたわ絶対に、酷い目に合わせて捨ててやろうって思っていたそれがあなたの手に掛かると、あんな素直で可愛い子に変わってしまって</p><p>よしてよオレは別に、何もしていないって</p><p>強いて言えば、マナとセックスしたぐらいだ</p><p>何度も何度もマナの心が変わるまで、マナの中に射精した</p><p>だから瑠璃子さんのことも、受け入れるわよきっと、あなたも可愛い女の子に変わってしまうだろうから</p><p>瑠璃子は、オレにしがみつく</p><p>それでアニエスのことなんだけれど</p><p>不意にミナホ姉さんは、言った</p><p>少し、急がないといけなくなったわ</p><p>白坂創介が大分、へばってきているのよあたしあの男が、まだ正気の内に最後の復讐を果たしたい</p><p>最後の復讐</p><p>ね、どうしてあたしがそもそも、あなたに眼を付けたか、判る</p><p>あたしね最初から、プランがあったの白坂創介に対する復讐のクライマックスは、絶対にこうしてやろうっていう計画が</p><p>車が、ブワワッとスピードを増す</p><p>正気なうちの白坂創介の眼の前であの男の全ての娘を、レイプする犯して見せ付ける愛する愛娘である雪乃さんたちも白坂創介が個人的に楽しむつもりだったアニエスもあの男の眼の前で、犯してやるのよ</p><p>それがミナホ姉さんの最終計画</p><p>あの男には本物の絶望を教えてあげたいのあたしたちが味わった絶望の味をねあの男が発狂したり、息絶える前に</p><p>自分は数多くの女たちを、無理矢理犯し女たちの運命を狂わせてきた白坂創介だ</p><p>自分は特権階級の人間で他の人間には、何をしても許されると思い込んできたのだろう</p><p>そんな男に眼の前で、自分の娘たちが犯される姿を見せる</p><p>あの男は、娘も自分の所有物だと思っているからさぞかし、悔しがるだろう</p><p>だから、雪乃さんは生かしておいてあげたのよどうせなら、白坂創介には淫乱のセックス狂いになってしまった長女を見せてやりたかったから</p><p>父親はまだ、雪乃を処女だと思っている</p><p>白坂一族の娘としてどこかの名家と縁組みする計画もあったろう</p><p>清らかなはずの長女は男の精液を肉体に受けとめることに悦びを感じる淫乱と化している</p><p>マナさんにも参加してもらうわ悪いけれど</p><p>１４歳のマナは雪乃以上に、セックスとは無縁だと信じているだろう</p><p>あの幼い肉体が、今はオレのペニスから何度も精を絞り取る</p><p>それは、大丈夫だと思うマナにとって、白坂創介はもう敵だから</p><p>白坂舞夏の名を捨て、オレの女になった瞬間にマナにとっては、過去の家族は全て唾棄すべき物に変わってしまった</p><p>オレが命じればマナは、父親の前でオレとの交合を披露する</p><p>恵美も参加させるわ</p><p>白坂創介は、メグを客に売るつもりだったのだからオレに抱かれるメグを見るのは、口惜しいだろう</p><p>それは、メグにとっては、自分を苦しめ続けた父への復讐となる</p><p>あいつはミナホ姉さんが言えば、喜んでやってくれると思うよ</p><p>そして、もう一人</p><p>アニエスなんだけれど昨日までは、白坂創介への崇拝が消えて、あなたを受け入れている姿を見せてやりたかったのそれが、一番あの男には打撃になるでしょうから</p><p>生まれてからずっと自分を崇拝するように仕向けてきた、ハーフの美少女</p><p>それを１３歳の誕生日に犯すのが、白坂創介の計画だった</p><p>だから、ミナホ姉さんはアニエスから、白坂創介への心服を奪いたかった</p><p>自分を敬わなくなったアニエスを見るのは白坂創介には、相当応えるだろう</p><p>でももう、そんなには時間が無いわあたしたちが予想していよりも、あの男の消耗が激しいのよ</p><p>だからアニエスのことは、白坂創介の眼の前で、力尽くでレイプして欲しいの</p><p>ミナホ姉さんのミラーの中の眼が、オレを見る</p><p>そうしないともう、間に合わないわ</p><p>せっかく、ここまで来たのに</p><p>イーディや、真緒ちゃんや、他のみんなの力を借りて大分、アニエスの閉ざされていた心が開かれてきたというのに</p><p>今、ここで</p><p>アニエスをレイプしなくてはいけないのか</p><p>１２歳の少女を力尽くで犯す</p><p>そんなことをしたらアニエスの心は、閉ざされたままになってしまうのではないか</p><p>他人や、オレたちに恐怖を感じて</p><p>タイム・リミットはいつ</p><p>オレは、ミナホ姉さんに尋ねた</p><p>なるべく、明日の夜までには今夜は、ダメでしょう</p><p>ミナホ姉さんの眼が、瑠璃子を見る</p><p>今夜は瑠璃子の処女喪失がある</p><p>その映像はジッちゃんにも、届けないといけないし</p><p>それに雪乃さんが、戻って来るのを待たないといけないし</p><p>雪乃が何で</p><p>あいつはお屋敷を出て、母方の祖父に引き取られたはずだ</p><p>昨日までの、雪乃さんの映像全部、ネットに流したわ</p><p>あなたの顔は、写っていないわ全部、編集済みよ最初の処女喪失レイプから学校での公開レイプまで動画も写真も全て、プロフィール入りで公開したわ</p><p>プロフィール</p><p>ええ、住所、氏名、年齢、携帯電話のナンバー、メールのアドレス今までの通って来た学校の名前と成績、クラブ活動の写真、もう雪乃さんのことは何もかもね</p><p>海外版も作ったわよ英語も、中国語も、ロシア語もポーランドや中南米のいかがわしいエロサイトにも投稿しておいたわ</p><p>全世界に雪乃の痴態が、拡散していく</p><p>特にね雪乃さんの処女喪失直後の写真股間から、処女血と精液を垂らしているの前に克子が白坂雪乃　１６歳　あたし、レイプされましたってタイトルでポスター調に加工してくれたじゃないあれが大人気よもう、ありとあらゆる画像掲示板に貼られまくっているわ</p><p>雪乃の処女喪失から、淫乱化までの過程を、みんなに見られる</p><p>みんなに知られる</p><p>もういいんでしょあなたは、あの子は要らないのよね</p><p>オレの中に喪失感が起こる</p><p>もう全てやってしまった後よどうすることも、できないわ</p><p>雪乃はもうオレだけの雪乃じゃない</p><p>だけどだからって、どうして雪乃が戻って来るんだよ</p><p>雪乃にとっては、オレたちは自分を酷い目に遭わせた連中だ</p><p>普通なら戻って来るはずがない</p><p>雪乃さんのお母さんの実家市川さんだって、そこそこの名家なのよ</p><p>すでに雪乃さんの痴態が世間に流出していることは、知っているわそれがもう、どんな手を使っても消せないってことも</p><p>一度ネットに出回ってしまったものは回収できない</p><p>市川さん神奈川県にある、精神病院の理事に電話を掛けたわ</p><p>市川さんの電話悪いけれど、盗聴させて貰っているの</p><p>精神病院てどういうこと</p><p>最初の処女レイプの動画はともかく後の方の雪乃さんは、完全にセックス・マニアの淫乱女だからね一族にあんな娘が居るんじゃあ親戚の人たちに迷惑が掛かるでしょ</p><p>だから病院へ入れるのか</p><p>そうよこの子は、レイプされたショックで頭がおかしくなったっていうことにして精神病院へ押し込めるつもりのようよ</p><p>雪乃は、知っているの</p><p>教えてあげたわあたしがさっき</p><p>鏡の中のミナホ姉さんがニヒッと微笑む</p><p>後はあの子次第ね自分でお祖父さんの家から抜け出してくるのが先かお祖父さんが、精神病院の車を手配するのが先か</p><p>雪乃には、もう祖父の家でも、居場所が無い</p><p>もし、病院の車に無理矢理乗せられるようだったらマルゴに途中で、奪取させるわ多分、雪乃さんは大暴れするだろうから拘束具とか着せられていると思うのよ</p><p>うん無理矢理、精神病院へ閉じ込められると知れば雪乃は暴れるな、きっと</p><p>あたしとしては自分から家を抜け出して、あたしたちのところに戻って来てくれる方を願うわねそっちの方が、面白いものさすがに、あの子の心も折れているでしょうし</p><p>どうしてうちに戻って来るんだよ</p><p>だって、仕方無いじゃない市川さんの家を出たらあの子にはもう、あなたしか頼れる人がいないんだから</p><p>地球の上に全人類で、あなたしか頼れないそこまで、追い込んでやるわあの娘は</p><p>心の底から屈服させて全てのプライドを奪い去って人間としての尊厳を踏みにじってその上で、父親の前でのセックスを強要するのよ</p><p>ミナホ姉さんは誰よりも、雪乃に対して憎しみを抱いている</p><p>もしかしたら、全ての元凶白坂創介よりも</p><p>悪いけれどそうさせてもらうわいいわね</p><p>ああそれで、ミナホ姉さんが満足するのなら</p><p>そこまでしてミナホ姉さんは、満足するのか</p><p>より深い憎しみが、生まれるだけなんじゃないのか</p><p>ミナホ姉さんは、そう呟いた</p><p>お屋敷に戻って来た</p><p>オレは、瑠璃子を毛布で隠す</p><p>入り口で監視している２班のうち、片方は香月セキュリティ・サービスだ</p><p>当然瑠璃子の顔は知っている</p><p>オレたちの車に瑠璃子が乗っているのを見たら大騒ぎになる</p><p>ササッと遠隔操作で、門内へ入り</p><p>お屋敷の中へ</p><p>あたしは、自分の部屋で仕事をしているから夕方に、恵美を迎えに行くんでしょ</p><p>そうだ部活の終わりの時間を狙ってメグを迎えに行かないといけない</p><p>あたしも学校の方へ行く用があるから、送って行くわ</p><p>うん、頼むよ姉さん</p><p>ミナホ姉さんは、そのまま自分の部屋へと向かう</p><p>まず、アニエスたちの様子を見に行かないと</p><p>瑠璃子は、まだツインテールにツナギ姿でいる</p><p>ああ、瑠璃子さっきは、よく黙っていてくれたな</p><p>オレとミナホ姉さんの会話を瑠璃子は、邪魔せずにジッと控えていてくれた</p><p>これが、雪乃やマナならどんどん勝手に、会話に乱入してきたはずだ</p><p>この辺が香月家と白坂家の違いか</p><p>はいわたくしには、よく判らないお話でしたし</p><p>今の瑠璃子には黒森の娼館の歴史は、話せないな</p><p>拉致・監禁・レイプ強制売春</p><p>変態セックスに違法な堕胎手術での死だ</p><p>どれもこれも瑠璃子には、ショックが強すぎる</p><p>それで、セックスや娼婦だった克子姉や渚たちに嫌悪感を抱くようになっては困るし</p><p>お客だった、ジッちゃんに対しても</p><p>ごめん瑠璃子も、話を聞いていて感じたと思うけれどこれは、黒森の家にとっての凶事なんだあんまり、世間には知らせたくないことだし</p><p>判っております今のわたくしは、知らない方が良いことなのでございますね</p><p>瑠璃子は聡明な少女だ</p><p>うんいつか、ちゃんと説明するでも、今は何も聞かないでくれ</p><p>アニエスのことは、話さないと</p><p>あのさこの屋敷に、一人の女の子がいるんだけれど</p><p>その子は、頭のおかしい父親に生まれてからずっと監禁されていて一度も、この屋敷の地下室から出たことがないんだ</p><p>一度も、ですか</p><p>ああ、もちろん学校にも行ったことがないし、友達もいなかった</p><p>うん、それでそんな子だから、誰とも心を開かなくて外の人を信用していないんだだから、オレたち何とか、その子の友達になってあげたくて</p><p>アニエスという方のことですね</p><p>さっきのお話の中で一人だけ、うかがったことの無いお名前でしたから</p><p>そうだアニエス１２歳の女の子だ</p><p>それでわたくしも、その方の心が開かれるように行動すればよろしいのですね</p><p>瑠璃子は、本当に理解が早い</p><p>かしこまりましたお兄様</p><p>さて地下室は、どうなっているだろう</p><p>上手くやっていてくれるといいのだけれど</p><p>瑠璃子を連れて、地下への階段を降りる</p><p>アニエスの部屋に到着すると</p><p>あ、お帰りお兄ちゃん</p><p>マナが、エプロンと三角巾を被って出迎えてくれた</p><p>あははっパパ、お帰りなさいっ</p><p>真緒ちゃんも、オレに飛びついて来る</p><p>みんな何やっているの</p><p>お菓子作り克子お姉さんに教えて貰って、ケーキを作っているのっ</p><p>見ると上の階から下ろしたらしい、オーブンの前に克子姉が立っている</p><p>ちょうど、スポンジケーキが焼けたところよこれから、クリームでデコレートしていくところロールケーキにして、さらにブッシュ・ド・ノエルにしようかなって</p><p>オレを見て、ニコッと微笑む</p><p>アニエスは</p><p>そこにいるじゃん</p><p>マナが指差す</p><p>とアニエスは、しゃがみ込んでボールの中のクリームを泡立てようと、掻き回していた</p><p>鼻の頭に、跳ねた白いクリームを乗せて</p><p>お姉ちゃん、もっともっとアワがツノになるまでっ</p><p>真緒ちゃんが、パタパタとアニエスのところへ駆けていって声を掛ける</p><p>真緒ちゃんを残したの、正解よアニエス、すっかり真緒ちゃんには心を開いているから</p><p>真緒ちゃんの応援に、アニエスは必死で泡立て器をカシャカシャ動かしている</p><p>電動の泡立て器も本当はあるんだけどあの子たちが、楽しめるようにしないとね</p><p>克子姉が、ニコッと笑った</p><p>お料理と言うより遊びだ</p><p>でも、アニエスにとってはこれが同年配の友達との最初の遊びとなる</p><p>あ、アニエス疲れたでしょあたし、替わる</p><p>マナが、アニエスからボールを受け取る</p><p>マナちゃんにも、助けられているわイーディみたいに、威圧的なところが無いから、アニエスには受け入れやすいみたい</p><p>ね、お兄ちゃんどうして、瑠璃子さんを連れてきたの</p><p>ボールを掻き回しながら、マナが尋ねた</p><p>あ、申し遅れました</p><p>瑠璃子が、姿勢を正して深く頭を下げる</p><p>わたくしこの度、お兄様の奴隷にしていただくことになりましたふつつか者ではございますが、よろしくお願い致します</p><p>あ、そうなんだじゃあ、マナと一緒だねっ</p><p>ニコッと、瑠璃子に微笑む</p><p>マナもお兄ちゃんの奴隷だもんっ</p><p>マナ奴隷としては、お前の方がセンパイだけれど、瑠璃子の方が年上なんだぞ偉そうにしたりしたらダメだからな</p><p>マナは、微笑む</p><p>うんともう、お兄ちゃんとエッチはしたの</p><p>エッチ</p><p>セックスのことだ</p><p>オレは、瑠璃子に説明する</p><p>いえ、まだです</p><p>今夜するよ</p><p>そう最初は痛いけれど、お兄ちゃん優しいから、すぐに気持ち良くなるよっ</p><p>痛いのですか</p><p>そうだ、瑠璃子が今まで見学してきたセックスでは処女の痛みのことは判らない</p><p>まあ最初だけだよルリお姉ちゃん</p><p>瑠璃子の眼が、大きく見開かれる</p><p>もう家族なんだからルリお姉ちゃんでいいでしょっ</p><p>瑠璃子が、感激している</p><p>ああ、ここに居るのはみんな、瑠璃子の妹だからな</p><p>アニエスにも、挨拶してこい</p><p>瑠璃子が、アニエスの前に行く</p><p>上品にしゃがんで床にぺたんと座っているアニエスと視線の高さを合わせて</p><p>初めましてわたくし、瑠璃子と申しますよろしくお願い致します</p><p>アニエスは新しく現れた侵入者に、警戒している</p><p>さあ、ルリお姉ちゃんも一緒にケーキを作ろうよっ</p><p>マナが誘う</p><p>瑠璃子ケーキとか、作ってことはあるのか</p><p>学校の授業だけですわ</p><p>お嬢様学校だからそんな授業もあるんだろう</p><p>じゃあ、克子姉に教えて貰え</p><p>はい克子お姉様お願い致します</p><p>うん、いいわよ</p><p>このまま少女たちで一緒にケーキを作れば、どんどん仲良くなっていくだろう</p><p>瑠璃子もとりあえずは、緊張していないし</p><p>アニエスも</p><p>この調子でいけば、無理矢理レイプしなくても大丈夫になるかもしれない</p><p>後は、時間との勝負だ</p><p>オレ、見ていていい</p><p>克子姉に尋ねる</p><p>ええ疲れているんでしょケーキができたら、おやつにするからちょっと休んでいなさい</p><p>克子姉の言葉に甘えてオレは、昨夜寝た、エアマットに座る</p><p>もう、アニエス、それはこうやるのよっ</p><p>あはは、アニエスちゃん</p><p>えっとこうでございますか</p><p>うん、手際いいわよ瑠璃子さん</p><p>瑠璃子とお呼び下さい</p><p>雪乃のことは心配だけれど</p><p>天窓から、５月の陽光が差してくるこの地下室には</p><p>希望の光が、見えていた</p><p>今後のラインを示してみました</p><p>突発的に、神田明神へ行って来ました</p><p>今度のおみくじは温かい内容でした</p><p>神田明神は、私に優しいみたいです</p><p>帰りに、秋葉原の中古屋さんで12分の1のアイルトン・セナのヘルメットのミニチュアが200円だったので買って来たのですが</p><p>フィグマの横にでも置いておこうと思って、買ったんですけれど</p><p>他のレーサーのヘルメットもシリーズが出ているのかとネットで調べたら、これ低下は2800円もするものなんですね</p><p>セナの色んな時代のヘルメットが並んでいたので、91年のホンダ時代のを買ったのですが</p><p>うーん今年の運は使い切ったかもしれません</p><p>406．ボストン・ティー・パーティ</p><p>パパ、起きて</p><p>んああ</p><p>いつの間にか、眠っていた</p><p>ほらほらあんまりお昼寝しすぎると、夜眠れなくなっちゃうよっ</p><p>瞼を開くと、オレの眼の前に真緒ちゃんの笑顔がある</p><p>起きた</p><p>おはよっケーキできたよっ</p><p>真緒ちゃんたちは、克子姉の指導でケーキを作っていたんだっけ</p><p>さあ、おやつにしましょう</p><p>克子姉が、オレを呼ぶ</p><p>寝起きにケーキか胃がもたれそうだけれど、しょうがない</p><p>起き上がって折りたたみのテーブルの方へ行く</p><p>このテーブルも、上から持って来たんだ</p><p>違うわ、これは隣の部屋から</p><p>ミナホ姉さんの父親が、監禁されていた</p><p>今は、昏睡状態のまま病院に搬送された</p><p>お兄様、どうぞこちらへ</p><p>早く、お兄ちゃん</p><p>アニエスだけ、相変わらず喋らない</p><p>さてテーブルの上には、似たようなケーキが何皿も並んでいた</p><p>どれもロールケーキの上に、チョコレートクリームを被せて、デコレートされている</p><p>ブッシュ・ド・ノエルって言うのよ木の丸太みたいでしょ本当は、クリスマス用のケーキなんだけれど最初に作るケーキだから、味よりも見た目が面白いものの方が良いと思って</p><p>うん克子姉の考えは正しいと思う</p><p>幼児の真緒ちゃんもいるし</p><p>アニエスが興味を持つようにするにも</p><p>どう、どれが誰の作品か判る</p><p>この丸太というより何か、全体的にグニグニになっていて、その上クリームにイチゴ・ポッキーが花火の様にブッ刺さっているのは</p><p>これ、真緒ちゃんの作ったケーキだろ</p><p>あったりー</p><p>さすがに幼児の作品は、すぐに判る</p><p>えっとこれ、アニエスの</p><p>次にあんまり、形の良くないケーキをオレは指差す</p><p>アニエスはコクンと頷いた</p><p>ちょっと、出来に納得いってないようだ</p><p>しょうがないよ、アニエスは本物の丸太を見たことがないんだからそれに、ケーキ作りは初めてでしょあたしとかは、前にもやったことがあるから最初なのに、こんなに手際よくできるのって凄いんだよっアニエス、凄いって</p><p>マナが、ニコニコ笑顔でフォローを入れる</p><p>お前そういうことが、できる子だったんだ</p><p>いや、寧の時も思ったけれど</p><p>自分より年下の妹ができると女は変わる</p><p>お姉さんになると、ホント、しっかりするよな</p><p>アニエス、ケーキ作るのとっても面白いってもっと、いっぱい作りたいって、言ってたよ</p><p>マナが、オレに報告する</p><p>アニエス喋ったのか</p><p>今まで、全然誰とも口を利かなかったのに</p><p>うん、そう言ってたぁ</p><p>真緒ちゃんが、うっしっしと笑う</p><p>今気付いたがこれ、寧の真似なんだな</p><p>がんばるですの</p><p>小さな声でアニエスは、呟いた</p><p>そうね、まだまだ色んな種類のケーキがあるからたくさん、教えてあげるわねっ</p><p>見るとテーブルの脇に、たくさんのケーキの本が置かれている</p><p>ああ、最初は本に載っている写真を見せて興味を持たせて</p><p>それから、実際にみんなで作ることにしたのか</p><p>さて後、残りは３皿だよっ</p><p>もう、見ただけで見本という様な完成されたケーキが一つある</p><p>これ克子姉のだよね</p><p>そりゃ、そうだ</p><p>問題は、残りの２皿</p><p>一つはそこそこの出来映え</p><p>もう一つは克子姉の見本に、とても近いよくできている</p><p>どっちが、マナでどっちが瑠璃子の作だ</p><p>瑠璃子は、ケーキ作りは初めてだったよな</p><p>マナは、前にも作ったことがあるとたった今、話していた</p><p>オレは出来の良い方を指差し</p><p>こっちがマナ</p><p>ブッブブー残念そっちは、ルリ姉さんのっ</p><p>瑠璃子初めてだったんじゃないのか</p><p>はい、ですから克子様のなさる通りに、何もかも致しました</p><p>マジか</p><p>料理は全然やってきていないって言っていたけれど</p><p>いや、でも瑠璃子はジッちゃんと、美味いものをたくさん食べて来ているし</p><p>日舞なんかで、師匠の踊りを再現することに慣れているから</p><p>意外と、料理に向いているのかし知れない</p><p>お前、才能あるかもな</p><p>いいえ、お兄様これは、克子様がお上手なんですわ</p><p>いや、このケーキ瑠璃子が作ったんだろ</p><p>克子姉の作った見本はこっちにあるし</p><p>瑠璃子さんが、言っているのはね自分は、あたしの作るのをそのままトレースして再現しただけだってことよ</p><p>克子姉が、説明してくれる</p><p>いや、だって再現できたら、それだけで凄いじゃんか</p><p>でも、出来上がったものは、あたしがイメージして作り上げたものでしかないでしょ瑠璃子さんは、自分の考えやイメージが入っていない作品は、自分の物ではないって思っているのよアーティスト思考なのよね</p><p>ケーキ職人としてなら親方の作ったケーキと同じものを製産するのが目的なら、今でも能力が高いと言えるけれどねでも、瑠璃子さんは、職人になるのは嫌なのよどうせなら、自分のケーキが作りたいっていう子なのね</p><p>はい、その通りでございます</p><p>瑠璃子はそういう女の子なんだ</p><p>克子姉のケーキを、そのまま再現したケーキでなく味もデザインも、自分の考えでアレンジして、初めて自分の作品か</p><p>でも、これでブッシュ・ド・ノエルの作り方は覚えたから、次からは瑠璃子さん自身の作品が作れるわね</p><p>克子姉は、優しくそう言う</p><p>いえ、わたくしは最初のケーキの下地を焼くところは拝見しておりませんので改めて、ご教授下さい</p><p>いいわよ、そんなの幾らでも教えてあげる</p><p>瑠璃子は、克子姉の良い弟子になりそうだ</p><p>一方、アニエスは自分の作ったケーキと、瑠璃子の作ったケーキを見比べている</p><p>アニエス、気にしないのっアニエスは、１２歳ルリお姉ちゃんは、１５歳なんだからっ後、３年の内に追い越せばいいんだからねっ</p><p>マナが、アニエスの心を読んで声を掛ける</p><p>がんばるです</p><p>あさっきより、声が小さい</p><p>わたくしは、お兄様の奴隷ですからお兄様に喜んでいただけるよう、何でも覚えなくてはなりませんどうか、克子様これからも、瑠璃子をご指導下さいませ</p><p>瑠璃子は、スッと克子姉に頭を下げる</p><p>ええ、あたしが知っていることなら何でも一緒に、この子のためのご飯を作りましょうね</p><p>よろしく、お願い致します</p><p>あっ、ずるーいルリお姉ちゃんだけ、お料理上手になるのはダメぇぇマナにもマナにも、教えてよっマナだって、お兄ちゃんの奴隷なんだから</p><p>はいはいビシビシしごくから、付いて来なさいよっ</p><p>ドレイなんだからぁ</p><p>真緒ちゃんが、マナの真似をする</p><p>あ、みんな真緒ちゃんの前では、言葉に気を付けるようにしてくれよ</p><p>オレは言う</p><p>え、どうしてお兄ちゃん</p><p>真緒ちゃんも保育園とか、幼稚園とか通うんだから外で変なことを喋ったらマズイだろ</p><p>あっ、そうか真緒ちゃんくらいの年だと、ふざけて大きな声で騒ぎそうだもんね</p><p>だからそういう関係の会話は禁止な</p><p>オレは、マナに言う</p><p>うわ、どうしよっさっき、アニエスやルリお姉ちゃんと、かなり話してたよそういう話</p><p>マナが、動揺する</p><p>お兄様に後ろからしていただく方が、奥まで突いていただけて気持ちいいけれどお顔を見ながらの方が幸せな気持ちがするというお話ですか</p><p>マナ、そんな話をしていたのか</p><p>中出しは、お腹の底に温かいお湯を注がれたみたいに、ほんわかする</p><p>アニエスも、呟く</p><p>フェラチオの時は、必ずおっぱいを見せるんだよねっ</p><p>ごめんなさーい</p><p>克子姉も何で止めないのその場にいたんでしょ</p><p>だって４人で仲よさそうに、話しているんだものっ</p><p>だけどさ真緒ちゃんの教育に良くないよっ</p><p>他の人たちの教育には良かったわよ</p><p>そうだ瑠璃子は、今夜、処女喪失のセックスをする</p><p>アニエスも明日には、犯されるオレに</p><p>年の近いマナからセックスについての話を聞かされるのは、悪いことではない</p><p>年が離れていて、体型も大人の克子姉や寧から話されるより</p><p>まだ１４歳で成長途中のマナの体験談の方が遥かに受け入れやすいはずだ</p><p>だから克子姉は</p><p>とにかく真緒ちゃんのことは、気を付けてあげて</p><p>はい、判ったわ</p><p>ごめんね、お兄ちゃん</p><p>わたくしも、気を付けますわ</p><p>うっしっし気を付けまーすっ</p><p>とにかく、この件はこれで終わりにしよう</p><p>さあ、食べましょうお茶を煎れるわ</p><p>あお手伝い致します</p><p>マナも、するぅぅ</p><p>克子姉の見本も入れて極太のケーキが、５本もある</p><p>まあ、フルサイズで作らないと、勉強にならないのは判るけれど</p><p>ちょっと多過ぎないか</p><p>残ったら、夕食の後のデザートに出すから気にしなくていいわよ</p><p>オレの顔色を見て克子姉が言った</p><p>はぁ５本全部、食べないといけないのかと思った</p><p>あたしの作った見本は、切らないで取っておくわ</p><p>でしたら、わたくしのも</p><p>瑠璃子が、気を遣ってくれる</p><p>マナのは食べてねっお兄ちゃん</p><p>ああ、真緒のもっパパ</p><p>こういう２人がいるからだ</p><p>とにかく、真緒ちゃん、アニエス、マナの３本をナイフで切り分ける</p><p>どうパパ美味しい</p><p>まずは、真緒ちゃんのから</p><p>うん美味しいよ</p><p>うひひっやったぁ</p><p>続いて、マナの</p><p>どうどうお兄ちゃん</p><p>うん、美味い</p><p>下地のケーキを焼いたのは、克子姉なんだし</p><p>クリームなんかも、全て、克子姉が味をチェックしたわけで</p><p>この子らはクリームを付けてロール・ケーキの形に巻くのと、その上にチョコレートクリームでデコレートしただけなわけだから</p><p>正直、ケーキの味はそんなに変わらない</p><p>まあ、厳密にはロールケーキの中のクリームの厚さがムラになっているとか</p><p>巻かれた時に変に力が入って、潰れているところがあるとか差はあるんだけれど</p><p>アニエスのも食べてあげて下さいませ</p><p>瑠璃子が、アニエスのケーキをオレに差し出す</p><p>アニエスは無表情で、オレを見ている</p><p>まだオレが、敵なんだか味方なんだか判断が付かないままなんだろう</p><p>アニエスいただくよ</p><p>オレはパクリとケーキを食べる</p><p>うん、美味しいよアニエス</p><p>オレは、アニエスの眼を見て微笑む</p><p>良かったね、アニエスお兄ちゃんが、美味しいって</p><p>良かったですわ</p><p>良かったねっ</p><p>少女たちが、みんなでアニエスに語りかける</p><p>さあ、お茶も飲んで</p><p>ケーキと紅茶でささやかなパーティが始まった</p><p>しかしマナは、よく喋る</p><p>１４歳の女の子ってこれが普通なのかな</p><p>オレは中学は男子校だからよく判らない</p><p>とにかく、話題が尽きない</p><p>克子姉、瑠璃子、アニエス、真緒ちゃんにどんどん話し掛けていく</p><p>一方、瑠璃子は本当に聞き上手だな</p><p>相手の眼を見て、一生懸命、話を聞いてあげている</p><p>アニエスは、大人しく座っている</p><p>とりあえず、この少女たちが自分を身内として扱ってくれているということは、判ってきたらしい</p><p>マナもうちょっと、ゆっくり喋ってあげろよそれじゃあ、早口過ぎてアニエスには判らないよ</p><p>あっ、ごめーんごめんね、アニエス</p><p>とにかく、アニエスの人生には同年代の子と話をするという経験が無かった</p><p>だから、マナの話のスピードとテンションに付いていけなくなっている</p><p>それでも、アニエスがジッと座っているのは</p><p>アニエスもマナたちを理解したいと望んでいるからだろう</p><p>昨夜までのアニエスなら自分のベッドに、逃げ出しているはずだ</p><p>ここまでは良い感じで来ているわ</p><p>克子姉が、オレに囁く</p><p>本当に、もっとゆっくり時間が掛けられればいいのに</p><p>残念そうな克子姉</p><p>オレもそう思うよ</p><p>せっかく、アニエスの心が解れてきたというのに</p><p>ここで力尽くのレイプなんてしたら</p><p>もう二度と誰のことも信じなくなってしまうかもしれない</p><p>できる限りのことは、してあげたいわね</p><p>みんな、ちょっと静かにして</p><p>ああ真緒ちゃんが、うとうとしている</p><p>みんなと大騒ぎして、お腹が一杯になったから眠くなったのね</p><p>克子姉が立ち上がり真緒ちゃんを抱きかかえる</p><p>そのまま、エアマットに運ぼうとするとアニエスが、克子姉の肘を引っ張る</p><p>そして自分のベッドを指差した</p><p>あっちの方が、ふかふかですの</p><p>ありがとう、アニエス</p><p>克子姉は、真緒ちゃんをベッドに寝かせる</p><p>可愛いね、真緒ちゃん</p><p>マナも、あんな子を産むんだっルリ姉ちゃんは</p><p>わたくしも、欲しいです</p><p>２人は、そんな話をしている</p><p>アニエスは、トコトコと真緒ちゃんの寝顔を見に行く</p><p>瑠璃子、アニエスに付いて行ってあげてくれないか</p><p>ちょっと、マナに話があるんだ</p><p>オレの可愛い奴隷はアニエスと真緒ちゃんの方へ行く</p><p>入れ違いに、克子姉が帰ってくる</p><p>マナが、オレに顔を寄せる</p><p>こいつ、本当に眼が大きいな</p><p>エッチしたいのマナはオッケーだよっ</p><p>マナは、いきなりスカートの中に手を入れてパンティを脱ごうとする</p><p>いや、そうじゃなくって</p><p>オレはマナに、雪乃の現状のことを話しておかないといけない</p><p>雪乃は、マナの実の姉だし市川さんのこともある</p><p>マナちゃんマナちゃんの年なら、そういう軽いノリでパンティを脱ぐのも、しばらくは新鮮な感じがするけれどそういうの、すぐに飽きられるわよ</p><p>克子姉が、キツいダメ出しをする</p><p>うへ</p><p>男の子の方が、女の子よりもムードに敏感なんだからもうちょっと、やり方を考えなさい</p><p>うんロリビッチも可愛いけれど</p><p>ずっと、このノリのままで通されるとキツイよな、やっぱり</p><p>それで、マナ実はああ、克子姉ノートパソコン貸してくれる</p><p>ええいいわよ</p><p>克子姉のパソコンをマナと見る</p><p>ミナホ姉さんの攻撃はいつも、全面的でエグイ</p><p>雪乃の痴態はありとあらゆるサイトに、バラ撒かれていた</p><p>これなんて、お菓子板なのに</p><p>その画像掲示板にも雪乃のあられもない裸身が貼られていた</p><p>局部まで、モザイク無し</p><p>割れ目から、精液を滴らせている</p><p>でも、まああたしを食べてって書いてあるし</p><p>どうぶつ板にも、貼られている</p><p>雪乃さん、動物だからいいんだよどっちかって言うと、ケダモノかもしれないけれど</p><p>グロ板にも、貼られている</p><p>確かに、グロいじゃん</p><p>壁紙板にも</p><p>壁紙っていうよりすっかり、踏みつけられて玄関マットみたいになっているよね、雪乃さん</p><p>もちろん、無修正写真ばかりだから、管理人がどんどん削除しているのだろうけれど</p><p>それ以上のスピードで、新しい雪乃の痴態が貼られていく</p><p>その作業はおそらく、この屋敷の上の階で行われている</p><p>そして外国の動画投稿サイトのアドレスも</p><p>しょうがないよ雪乃さんあたしたちを完全に怒らせちゃったんだしこれぐらいやられるのは、当然でしょ</p><p>マナは、ケロッとした顔で言う</p><p>また別の写真が貼られる</p><p>あ、これいいね何か、たった今、レイプされたばかりって感じでさ</p><p>それは雪乃が最初のレイプの時に撮られた写真だった</p><p>それ、あたしが撮ったのよ</p><p>克子姉が画面を覗き込んで言う</p><p>うわ、さすが克子お姉ちゃん上手だね</p><p>それ、印刷してポスター・サイズのも作ったのよあなた、見たでしょ</p><p>あああったなあ</p><p>雪乃に対する、嫌がらせの一環として本人に見せ付けたっけ</p><p>ええ、いいなああたしのも作って</p><p>そうね、しばらくマナちゃんの写真、撮ってないわよね</p><p>あたしも、裸の写真とお兄ちゃんとエッチしているところの写真が欲しいポスターサイズのも</p><p>お兄ちゃんの部屋に貼っておくのそしたら、いつもマナの裸を見て貰えるでしょマナとしたくなったら、すぐに呼んで裸でお兄ちゃんの胸に飛び込むからっ</p><p>そう言えば、あたし自分の写真が無いのよねそしたらさ、マナちゃんが彼としているところの写真は、あたしが撮ってあげるからマナちゃんは、あたしと彼の写真を撮ってくれる</p><p>オッケーイ</p><p>いや、克子姉今は、そういう話じゃなくって</p><p>あ、お兄ちゃん大きくなってきたよ今から、する</p><p>マナは、オレの股間に手を伸ばす</p><p>今はダメよマナちゃん</p><p>克子姉が、マナを制してくれた</p><p>ほら今は、アニエスが彼とセックスしたくなる様に仕向けている最中だから</p><p>あなたたちが、アニエスと親しくなったところで順番に、アニエスの眼の前で彼とセックスするのよそしたら、アニエス自分もしないといけないって思うでしょ</p><p>ああ、仲間外れにされないようにって</p><p>そういうことよ</p><p>克子姉とマナは微笑む</p><p>そうだねそれなら、もう少しアニエスと仲良くなってからだよね今だと、アニエスの方が引いちゃうだろうし</p><p>瑠璃子さんの初体験も、終わっていないから</p><p>瑠璃子やアニエスから見えないようにマナは、サッとオレの唇にキスする</p><p>でも１日１回は、絶対にセックスしてくれないと嫌だからね約束だよっ</p><p>マナは、オレに抱きつく</p><p>しかし、マナは本当にセックスが好きになったな</p><p>えあたし、そんなにセックス好きじゃないよ</p><p>別にお兄ちゃんがいなかったら、もうこのまま一生しなくてもいいしつーか、他の男とは死んでもしないから</p><p>マナはねお兄ちゃんが好きなんだよお兄ちゃんがね、マナのお腹の底に、ピュッピュッて射精する時ねとっても気持ち良さそうな顔をするのその顔を見るのが好き</p><p>セックスってね、本当に愛の行為なんだよお兄ちゃんとセックスしてる時って、本当に愛している、愛されているって感じるもの毎日、一日一回は感じたいのその気持ちをそれが、マナとお兄ちゃんの絆だもの</p><p>マナとオレは他人だ</p><p>他人同士が家族でいるために肉の繋がりがいる</p><p>だからオレたちは納得するまで、セックスする</p><p>本当は、一日一回どころか何十回だってしたいけれど、みんながいるからねお兄ちゃんは家族みんなのものだから</p><p>マナの笑顔はさわやかだった</p><p>雪乃さんて、ほーんとバカだよねえお兄ちゃんと何回もエッチしたのにお兄ちゃんの良さに気付かなかったんだから</p><p>マナは、画面の中の雪乃の裸体の股間を指で弾く</p><p>でも、雪乃市川さんに、無理矢理精神病院に閉じ込められるかもしれないんだぞ</p><p>仕方無いんじゃない雪乃さんの自業自得なんだから</p><p>そしてオレの手を握る</p><p>ダメだよ、お兄ちゃんあんな人に惑わせられたら</p><p>お兄ちゃんが、どれだけあの人を助けて上げたいって思ってもあの人には、届かないんだから自分のことしか眼に入らない本物のバカなんだから</p><p>マナが動画をスタートさせる</p><p>パソコン画面の中で、全裸の雪乃がセックスに溺れていく</p><p>自ら、腰を振って</p><p>この動画では消されているが</p><p>雪乃と繋がっているのはオレだ</p><p>オレのペニスに雪乃は、よがり狂っている</p><p>ほら自分のことしか見ていない自分が気持ちいいだけで相手のことは、どうでもいいと思っているこの人は、こういう人だよ</p><p>雪乃の妹はそう言う</p><p>迷っちゃダメだよ惑わせられたらダメだよこの人は、家族じゃないんだから</p><p>雪乃は家族じゃない</p><p>お兄ちゃんにはあたしたちがいるでしょねえ</p><p>なぜだか、涙が込み上げてきた</p><p>もう泣くことなんてないじゃない</p><p>マナが、オレの涙を唇で吸う</p><p>可愛いなあお兄ちゃんは</p><p>あたしも、そう思うわ</p><p>お兄様、どうなさったんです</p><p>瑠璃子と、アニエスが帰って来る</p><p>お兄ちゃん、優しい人なの雪乃さんを助けてあげられないからって、泣いているのよ</p><p>マナが瑠璃子に言った</p><p>ルリお姉ちゃんも、慰めてあげて</p><p>瑠璃子がオレの手を取り自分の頬に当てる</p><p>お兄様瑠璃子は、ここにおりますから</p><p>正面のマナ</p><p>背中の克子姉</p><p>オレの手を取る瑠璃子</p><p>アニエスはそんなオレたちを、不思議そうに見ている</p><p>ああ、オレにはもう守らなくてはいけない家族がいる</p><p>雪乃はもう、助けられない</p><p>次話から学校編です</p><p>ああ、ケーキ食べたい</p><p>こーじーこーなーのでいいから</p><p>407.上級生命令</p><p>わたくし、何も判っておりませんでした申し訳ございません</p><p>オレには言葉の意味が判らない</p><p>お兄様も堪えていらっしゃるのですね</p><p>そうだよ、ルリお姉ちゃんお兄ちゃんは、あたしたちのためにいっぱい、色んなことを我慢してくれているんだよ</p><p>マナが、瑠璃子に言う</p><p>いやオレは、別に</p><p>我慢なんてしていないぞ</p><p>この子は、絶対に逃げ出さないからいつも、あたしたちのために、現実に体当たりしてくれているのよ</p><p>オレを背中から抱き締めている克子姉がそう言う</p><p>うん、お兄ちゃんあたしたちのためなら、絶対にあきらめないもんいつも、いつも助けてくれたよ</p><p>マナが、オレの顔に頬ずりする</p><p>そんなお兄ちゃんが雪乃さんのことは、あきらめてくれたんだねっ</p><p>だってもう、雪乃さんはどうすることもできないって、あきらめたからお兄ちゃん、泣いているんでしょ</p><p>マナの大きな瞳が、オレを覗き込む</p><p>もしこれが、雪乃でなくマナやメグだったら</p><p>オレは、何とか助けられないかと必死になって考える</p><p>何だってする</p><p>雪乃さんは、家族じゃないんだからさもう、忘れようよあんな人のことはさ</p><p>マナは、実の姉を切り捨てる</p><p>申し訳無いけれど、雪乃さんにはもう１ステージ勤めて貰わないと困るのよ</p><p>ミナホ姉さんが、部屋に入ってくる</p><p>え、何でもう、いいじゃないですか</p><p>マナが、強くそう主張するが</p><p>ごめんなさいあたしの復讐のクライマックスに必要なのよ</p><p>そこから先は</p><p>ミナホ姉さんでなく、オレから言うべきだと思う</p><p>マナミナホ姉さんは、愛する家族を全て奪われただからあの人からも、愛する家族を全て奪い取らなければ姉さんの復讐は終わらないんだ</p><p>アニエスが居るから白坂創介の名前は出さない</p><p>だから、あの男の前で</p><p>オレの言葉を遮って、マナは言う</p><p>ああ、判った淫乱になっちゃった雪乃さんを見せ付けてやりたいのねうん、いんじゃないあたしも、それぐらいやった方がいいと思う</p><p>マナは白坂舞夏だった時の人間関係を完全に放棄している</p><p>ていうか雪乃だけでなくって</p><p>白坂創介に全ての娘たちが犯されるのを見せ付けるというのが、ミナホ姉さんの最終計画だ</p><p>そっか、そういうことかうん、メグお姉ちゃんは、オッケーなんじゃないメグお姉ちゃんも、あの人のこと、とっても憎んでいると思うし</p><p>メグにとっての白坂創介は自分の父親である前に、生母の仇だ</p><p>マナはどうなんだ</p><p>マナは、ケロッとして</p><p>お兄ちゃんあたしだけ、２回してくれる</p><p>２回</p><p>１回は、あたし、舞夏さんのフリして嫌嫌エッチされるからパパ、助けてぇとか叫んじゃうその方があの人にとっては、ショックでしょ処女のフリもしちゃおうかなあ</p><p>で２回目は、いつものあたしで、お兄ちゃんとラブラブ・エッチねっものすごく、エッチになっちゃうお兄ちゃん無しじゃ、いられなくなったところを見せ付けるのその方が、ダメージが強いと思うんだあの人舞夏さんには、とっても好かれていると思っているし素敵なパパのつもりでいたと思うし</p><p>でもお前</p><p>自分の父親なんだぞ</p><p>お兄ちゃんマナは、大丈夫だよ</p><p>ニコッと、マナは微笑む</p><p>あたしは、吉田マナお兄ちゃんの奴隷だよ</p><p>いいのかも何もないってばお兄ちゃんが、悪い子だったあたしをずっと信じてくれて何度も、見捨てるチャンスがあったのに、守り続けてくれたからだから、今のあたしが、ここに居るんだものそんな顔しないでよマナには、お兄ちゃんが居るんだもの家族も姉妹もいっぱい居るんだよ全然、平気だって</p><p>そして、マナは瑠璃子を見る</p><p>ルリお姉ちゃんも、全然心配しないで大丈夫だからねっお兄ちゃんの奴隷になって、ラッキーだよだって、これからみんなで幸せになるんだもんっ</p><p>そうよこの人は、優しくて良い人よみんな、この人に会って幸せになれたんだから</p><p>克子姉も、瑠璃子に言う</p><p>そっか、お兄ちゃんじゃあ、後はアニエスなんだね</p><p>マナがアニエスを見て言う</p><p>白坂創介の眼の前で、娘たちが全員犯されるのなら隠し子の一人であるアニエスも参加しなければならない</p><p>アニエス本人は言葉の意味が判らず、キョトンとしている</p><p>えっと急ぐの</p><p>ミナホ姉さんやオレが、今、この話をするということは</p><p>当然、タイムリミットのあることなのだろうと、マナは察してくれた</p><p>明日の夜までには</p><p>判ったあたしも、そのつもりで頑張ってみる</p><p>マナは本当に、勘が良い</p><p>やり過ぎるなよお前、すぐに暴走するから</p><p>できればアニエスが、自らオレとのセックスを望むように仕向けたい</p><p>リミットまでに、アニエスの心が開かれなければ</p><p>無理矢理のレイプになる</p><p>お兄様、わたくしが何かお手伝いすることはございますか</p><p>話の内容を理解してはいないだろうが瑠璃子が、そう言ってくれた</p><p>ルリお姉ちゃんは、まず自分のことを頑張らなきゃ</p><p>マナが微笑む</p><p>いいから、あたしと克子お姉さんが教えてあげるからさっ</p><p>マナだって処女喪失から、まだ何日も経っていないくせに</p><p>もっとも、マナとは回数だけはしている</p><p>膣内射精した回数は、雪乃の次くらいに多いはずだ</p><p>ほとんどが、マナがオレに心を開く前のレイプだったけれど</p><p>克子姉マナが暴走しないかどうか監視していて</p><p>判ったわ目に余るようなら、お仕置きしておくから</p><p>うん、頼むよ</p><p>マナは、オーケイみたいだよ次は、メグだね</p><p>ええそろそろ迎えに行きましょうか</p><p>オレは、椅子から立ち上がる</p><p>瑠璃子みんなと、ここで待っていてくれマナやアニエスと仲良くな</p><p>お兄ちゃん、帰って来たらエッチしようねっ</p><p>マナが、ニコニコ微笑む</p><p>ルリお姉ちゃんとアニエスに見せてあげたいのっ</p><p>瑠璃子には一つ年下のマナのセックスを見せれば、セックスに対する恐怖も和らぐだろうし</p><p>アニエスには一番年の近いマナがセックスする姿を見れば、自分もやってみたいと思うかもしれない</p><p>判った後でなミナホ姉さん、行こう</p><p>オレはアニエスの地下室を出る</p><p>空が午後から夕方の色になろうとしている</p><p>午後４時３５分か</p><p>マナさんが、あんなに協力的になってくれるとはね</p><p>ベンツに乗り込むとミナホ姉さんが言った</p><p>オレも驚いているよ</p><p>もう依存じゃなくなっているわねあなたのことを、ちゃんと気遣っているし</p><p>マナは安定してきている</p><p>みんなで家族になるっていうのがこんなに心を癒やすことになるとは、思わなかったよ</p><p>いいえ、家族という前にあなたよ</p><p>あなたへの信頼が、揺るぎないものになっているのよあなた、今、死ねないわよ</p><p>みんな、あなたが居るから心を穏やかにいられるのよ今のあたしたちの家族システムは、あなた無しには成立しないわ</p><p>そう、言われても</p><p>オレは別に、何か意図してやっていることではないし</p><p>あそこで、あなたが泣いたのも良かったわ</p><p>やっぱり監視していたのか</p><p>オレとしてはみっともないところを見せたと思う</p><p>あれでマナさんは、あなたのために自分の方から何かしたいって、積極的になったんだと思うわ</p><p>ミナホ姉さんは、そう分析する</p><p>瑠璃子さんと、アニエスにも効果的だったいい揺らぎになったと思うわ</p><p>揺らぎ</p><p>今までは、ずっとこちら側から積極的に発信するアプローチだったでしょそれが一旦、ああいう形で途切れたから自分の状況を、見つめ直す良い機会になったのよ</p><p>いずれにせよ良い方向へは、向かっているわ</p><p>それなら、良いのだけれど</p><p>ミナホ姉さんは、車を発進させる</p><p>学校の職員用駐車場から地下通路で、校長室の下の隠し部屋へ</p><p>白坂創介は監禁室</p><p>前に、雪乃も閉じ込められた天井が低くて、立ち上がれない部屋だ</p><p>圧迫感が凄い</p><p>薬で眠らせているの</p><p>いいえ、あんまり眠らせると意識が混濁するから夢と現実の区別がつかなくなるのよだから、今は寝かさないようにしているわ</p><p>コンピューターの端末を渡してネット・ニュースだけは、見られるようにしてあるわもっとも、こちらが選択した過去のニュースだけだけれどね</p><p>恭子さんが、オーストラリアから、ここへ白坂創介を運んでくる間に３日間ほど、薬で眠らせたのよそして、目覚めた彼には３日間、飛んでいることは教えていないわ</p><p>３日の、記憶のズレ</p><p>だから今、白坂創介が見ているのは３日前のニュース記事よ今頃は、白坂創介の隠れ家が炎上している頃じゃない今夜には、白坂守次氏の記者会見よ</p><p>つまり現在の白坂創介の脳内では</p><p>まだ自分の悪行がネットに拡散されたばかりで</p><p>白坂家の当主も、自分を可愛がってくれている、守次氏のまま</p><p>オレたちと、ジッちゃんとの繋がりも知らない</p><p>まだ状況を逆転させる目は、残っていると思い込んでいる</p><p>もっとも、本人はニュースを見るのも飽きたみたいで今は、マイン・スイーパーとスパイダー・ソリテイアで遊んでいるわ</p><p>つくづくどうしょもねえなあ</p><p>まあ、自殺とかされたら困るから元気な方がいいわ大分、消耗しているから</p><p>ミナホ姉さんは、溜息を吐く</p><p>オーストラリアで、恭子さんが色々と追い込んだからやりすぎたのよ</p><p>オーストラリア一周、地獄巡りの旅だっけ</p><p>あの図太い神経の持ち主があそこまでヘロヘロになっちゃうとは思わなかったわ</p><p>そりゃ、雪乃の父親だから神経は、登山ロープよりも太いはずだ</p><p>そんな男を参らせてしまうなんて</p><p>恭子さん、恐るべし</p><p>だから今は、無理をさせないようにしているの最後の復讐を果たすまでは、正気でいてもらわないと発狂した人を責めたって、意味がないもの</p><p>３日前のニュースを見せてまだまだ、自分にも打つ手があるきっと、白坂本家は助けてくれると、信じさせておいた方が良いと思って</p><p>地下の部屋に出ると森下さんがいた</p><p>黒い森の番頭さんミナホ姉さんの祖父の時代から、仕えてくれている</p><p>森下、ありがとう</p><p>お嬢様何も、異常はございません</p><p>森下さんが、答える</p><p>ずっと、こっちで白坂創介を見張っていてくれたのか</p><p>交代するわあなたは、休んでいて</p><p>森下老人は、席を立つ</p><p>オレは一礼する</p><p>森下老人は、穏やかに微笑んで</p><p>と、だけ答えた</p><p>そのまま、奥のシートを倒して横になる</p><p>毛布を被って</p><p>相当、疲れているらしい</p><p>オレも白坂創介の監視をしようか</p><p>あなたは、あなたの仕事をして</p><p>今日の昼の瑠璃子さんの件だってあなたにしかできない仕事でしょ今は、それに集中して</p><p>瑠璃子の処女喪失に</p><p>アニエスの心の解放が先か</p><p>いや、まずメグを迎えに行って</p><p>白坂創介の前で、セックスすることに了承して貰わないといけないし</p><p>あ、そうだ今夜香月様がいらっしゃるそうよ</p><p>ジッちゃんが</p><p>美子様をお連れになって</p><p>美子さんに、瑠璃子の初体験を見せるつもりなのか</p><p>美子さんの付き人根性を破壊するにはセックス奴隷になった瑠璃子さんを見せるのが一番でしょう</p><p>さっきも言った通り瑠璃子さんとのセックスは、二人きりでさせてあげるわ瑠璃子さんの方に、おかしなトラウマができないようにね香月様と美子様には、中継の映像をお見せするわ</p><p>その方が良いよな</p><p>祖父や美子さんが見ていたら瑠璃子は、オレとのセックスに集中できないだろうし</p><p>だから、あなたは遠慮無くなさいね</p><p>セックス奴隷として瑠璃子を犯す</p><p>思いのままに</p><p>うちの屋敷にあるものは、何を使ってもいいわよ後で、克子に見せてもらいなさいそしたら、色々と思い付くかもしれないし</p><p>ミナホ姉さんは、そうアドバイスをしてくれた</p><p>あたしはこのまま今日は、学校に泊まるわ夕飯後には、恭子さんが来てくれることになっているしそしたら、森下もゆっくり休んでもらえるわ</p><p>うん恭子さんが来てくれるなら、白坂創介の監視は心配要らない</p><p>あなた恵美と、６時半ぐらいまで時間を潰していてくれるそしたら、学校の校門の前を渚たちの車が通るからピック・アップして貰って</p><p>渚と麗華か</p><p>今日は、麗華はお店で上手くやっているんだろうか</p><p>判ったよミナホ姉さん</p><p>そろそろ５時だ女子陸上部のグラウンドの方へ、行ってみようか</p><p>いや、何でもないよ</p><p>オレはここから出発する時に、置いていったブン殴り棒を回収する</p><p>うんちゃんとあった</p><p>制服の下にしまい込む</p><p>ああ、そんな物もあったわね</p><p>だったらこれも持って行って</p><p>ミナホ姉さんは小型のデジカメを取りだした</p><p>そして、自分の耳を指差す</p><p>そこにはイヤホンが差し込まれていた</p><p>学校にいる時には、もうクセになっちゃっているのよ隠しマイクの音を、ザッピングしながら聞いているのが</p><p>そうだミナホ姉さんは</p><p>この学校の影の主人であり</p><p>監視カメラと隠しマイクで学校全体を常にチェックしていた</p><p>そのデジカメきっと必要になるわよ</p><p>そうまで言うのなら</p><p>うん、じゃあ借りていくよ</p><p>オレは、カメラを制服の内ポケットに入れる</p><p>それから何か問題の起きた場合は</p><p>あなたも、もう判っているでしょうけれど黒森の人間として対処なさい</p><p>黒森</p><p>裏の世界の人間として</p><p>判っているよ姉さん</p><p>２階の校長室のドアから廊下へ</p><p>相変わらず、ここは全然人気が無い</p><p>休み期間中で部活の生徒しか登校していないから</p><p>外が薄暗くなってきているのに、廊下の電気は点いていなかった</p><p>玄関から外へ</p><p>もう、ゴールデンウィークの後半だ</p><p>こんな時間は、練習熱心な運動部しか残っていない</p><p>女子陸上部のグラウンドへ向かう</p><p>練習は</p><p>まだ終わっていない</p><p>オレはメグの姿を見つける</p><p>メグは、短距離走のスタートの練習をしていた</p><p>ランニングに短パン姿</p><p>クラウチングのポーズが凛々しい</p><p>おっ、旦那が迎えに来たのですなっ</p><p>女子部員の一人が、オレに気付く</p><p>恵美、旦那来てるよっ旦那</p><p>ホント、アツアツですなっ</p><p>茶化す、トレパン姿の女子たちに</p><p>集中しなッまだ、練習中だよッ</p><p>竹柴キャプテンの怒声が轟く</p><p>陸上は、武道だよ気を許すなっもし、ここが戦場だったら、あんたたちみんな死んでるんだからねッ</p><p>相変わらすハチャメチャな持論を展開する</p><p>あ、メグがオレに気付く</p><p>オレは、うんと小さく頷いた</p><p>ちょっと心配そうな顔をしている</p><p>何か、あったんだろうか</p><p>はい、みんな集合最後に、全員でダッシュ２０本それから、柔軟やって、今日は上がりにするよッ</p><p>竹柴キャプテンの指示が飛ぶ</p><p>オレは、グラウンドの土手に座って見ていた</p><p>こうやって、距離を置いてメグを見るのもいい</p><p>遠くから見るとメグのスタイルの良さが、はっきりと判る</p><p>スリムで、足が長くて</p><p>本当に、モデル体型なんだよな</p><p>ああホント、綺麗だな</p><p>メグは、いつも姿勢が綺麗だ</p><p>走っている姿が美しい</p><p>カモシカのように地面を蹴っていく</p><p>オレはメグの肉体の感触を思い出す</p><p>柔らかいけれどピンッと張り詰めた肌の触り心地</p><p>特にお尻が違うスポーツをやっている子じゃないと、あの生ゴムみたいな感触は感じられない</p><p>今は、短パンに覆われている丸いお尻</p><p>それから可愛いおへそのある、引き締まったお腹</p><p>メグの女性器その内側の熱さや、湿っぽさ</p><p>そして、キュウキュウとオレを締め付ける締まり具合も思い出す</p><p>男の精子って、女性の胎内で一週間くらい生きるんだっけ</p><p>あのメグの細い腰の中で今も、オレの精子は生きている</p><p>そんなことをオレは、考えていた</p><p>お疲れ様でした解散ッッ</p><p>お疲れ様です</p><p>ようやく、練習が終わる</p><p>メグが、オレの方を向いて</p><p>ごめんなさい、後片付けがあるから</p><p>ああ、一年に雑用があることは判っている</p><p>大丈夫だ、ちゃんと待っている</p><p>どうせ、渚の車が迎えに来るのは、６時３０分だ</p><p>まだまだ時間は、ある</p><p>ヒューヒューヒュー</p><p>女子部員たちの中で、歓声が上がる</p><p>待ってるだって</p><p>いいなあっ恵美</p><p>でも、ちょっと男がエラソーな感じしない</p><p>もしかして、いい気になってる</p><p>なってんじゃないのぉ</p><p>学校公認カップルだもんね</p><p>あ、そっか女子陸上部は、基本として男女交際禁止だから</p><p>オレとメグは、例外中の例外なんだっけ</p><p>あのホントにオレ、ちゃんと待っていますから</p><p>急に、緊張してしまった</p><p>学校とかこういう、普通の場所での感覚、しばらく味わっていなかったから</p><p>女子部員たちが、一斉に大爆笑する</p><p>ますから、だって</p><p>腰が引けてるよね</p><p>もっと、堂々としていた方がいいよー</p><p>どうも、騒いでいるのはみんな上級生だな</p><p>ほら用が無い者は、早く部室へ行って着替えなっ</p><p>不機嫌そうに竹柴キャプテンが叫ぶ</p><p>山峰そこで待っていられると邪魔だからどこか、別の場所で待っててもらえ</p><p>竹柴キャプテンの命令にメグが、オレの方へ走ってくる</p><p>いや、別にいいんだけれど</p><p>オレは上級生にからかわれるぐらい平気だけれど</p><p>メグは、辛そうだ</p><p>ちょっとこっちへ来て</p><p>オレは、そのままグラウンドのフェンスの影に連れて行かれる</p><p>どうしよう、ヨシくん</p><p>メグは泣きそうな顔をした</p><p>何があったんだ</p><p>あたしが悪いのあたしが、ヨシくんとのこと幸せすぎて、ついみんなに話しちゃったから</p><p>話した</p><p>みんなあたしが、白坂家と関係があることは無視してくれて普通の部員として扱ってくれたことが、すごく嬉しくて</p><p>それで、お昼の時にみんなに、ヨシくんとのことを聞かれて</p><p>オレとのこと</p><p>その時は、一年生ばかりだったからあたし、つい話しちゃって</p><p>あたしがヨシくんと、毎日エッチしていること</p><p>そしたら、一年の子の一人がその子は、冗談のつもりだったんだろうけれど、上級生に話しちゃったらしいの</p><p>それで、さっきあたし２年生のちょっと怖いセンパイに呼ばれて</p><p>何か、されたのか</p><p>メグは顔を真っ赤にする</p><p>見せろっていうの</p><p>ヨシくんとあたしがエッチしているところを覗かせろって</p><p>その２年のセンパイ、１人だけか</p><p>一人なら脅して、納得させるしかない</p><p>ううん２年と３年のセンパイ、たくさん</p><p>たくさん</p><p>ていうか竹柴先輩以外、ほぼ全員</p><p>ほぼ</p><p>竹柴先輩は知らないんだ</p><p>うん、多分</p><p>知っていたら止めてくれるだろうけれど</p><p>どうしよう、こんなこと竹柴キャプテンには、相談できないし</p><p>え、相談すればいいじゃないか</p><p>だって、そんなことしたら部の中の空気が最悪になっちゃうよあたし、居られなくなっちゃうせっかく白坂の家のことは、無視して貰っているのに</p><p>女子陸上部は耳年増の巣だったっけ</p><p>竹柴キャプテンに、徹底して男女交際禁止を命じられているけれど</p><p>部の中に居るのは恋愛やセックスに興味津々の女の子ばかりだ</p><p>そりゃ、新入生のメグが毎日オレとセックスしているって聞いたら</p><p>上級生は、見せろって言うよなあ</p><p>メグは、すっかり困惑している</p><p>ということで、久々の学校編です</p><p>明日はまた、父の付き添いで一緒に大学病院へ行かないといけません</p><p>何か、認知症の認定をくれるらしいです</p><p>おいおい、お昼ご飯はまだかい</p><p>お父さん、お昼はさっき食べたでしょ</p><p>の、定番の会話を今日、普通にしてしまいました</p><p>はあ明日はどっちだ</p><p>408．あたし呑んでます</p><p>えっと、ちょっと整理しよう</p><p>だいたい何で、そんな話になったんだ</p><p>オレは、メグに尋ねる</p><p>それはほら、あたし昨日は部の練習をお休みしたでしょうそれは、センパイの皆さんも白坂家のことで、色々あったからって判って下さっているんだけど</p><p>夕方のグラウンド</p><p>その隅っこのフェンスの影で、メグはオレに話す</p><p>でもそれなら、昨日は一日何していたのっていう話になってヨシくんとは一緒だったのかって聞かれたから</p><p>まあ、それはオレと一緒だったって答えるしかないよな</p><p>もう婚約して、メグの親にも認めて貰っているとクラスの連中にも、女子陸上部の部員たちにも話しているんだし</p><p>そしたら２年のセンパイが、ヨシくんとエッチしたって聞くから</p><p>メグは、顔を赤らめる</p><p>ちょうど、竹柴キャプテンが顧問の先生に呼ばれていてそういう話を止めてくれる人がいなかったのよそれに、あたしセンパイたちに対して、嘘を付くのもいけないなって思って</p><p>確かにメグとセックスしている昨日も</p><p>というかここんとこ、毎日している</p><p>必ずしている</p><p>ほらうちの部に、あたしたちと同じクラスの子がいるでしょだから御名穂さんが、うちのクラスで話した高校生同士でも、正式に婚約していたらエッチしても問題にならないって話部のセンパイに伝えたの</p><p>それと雪乃の例の校内放送でのエッチ中継があったでしょみんな遠藤くんに襲われていると思っている</p><p>実際はオレが雪乃を犯した</p><p>そして、雪乃はレイプされているうちに、淫乱モードに火が付いてしまって</p><p>部のセンパイたちもみんな、あれを見ているから</p><p>全ての原因はオレじゃないか</p><p>元々、耳年増でエッチなことに興味のある女子高生たちが</p><p>硬派の竹柴キャプテンの男女交際禁止令で、ずっと悶々としていたわけだし</p><p>そこに、オレとメグの婚約のニュースが飛び込んできて</p><p>なおかつオレたちが、自由にセックスし放題だという情報から女子部の部員たちの妄想が一気に膨れあがってしまっていた</p><p>その上雪乃のセックス中継を、見せ付けられてしまって</p><p>そりゃ悶々とした頭が、大変なことになる</p><p>それでオレとメグのセックスが見たいって、言い出したのか</p><p>うんあたしに言ってきたのは、２年のセンパイだけれど３年の中谷さんに命令されてると思うの竹柴キャプテンとそんなに仲良くない人なのよキャプテンは、短距離で中谷さんは、長距離専門だから長距離やっている子は、みんな中谷さんのグループだし</p><p>女子陸上部の中で派閥があるんだ</p><p>メグは泣きそうな顔でオレを見る</p><p>オレは見たいっていうのなら見せてやったって構わないけれどでも</p><p>それをネタにメグが部の中で、ずっとイジメられたりする可能性があるだろ</p><p>セックス見学者が、２年３年の上級生たちばかりなら</p><p>それに元から、裏でエッチな話ばかりしている人たちなんだからオレとメグのセックスを見た感想を、陸上部以外の生徒にも喋りまくると思うよ</p><p>そんなことされたらあたし、もう学校へ来られないよ</p><p>何か上手い作戦を考えないとな</p><p>オレは頭を働かせる</p><p>とりあえずメグが２年生のセンパイにセックスを見せろって言われたのを知っている部員はどれくらいいる</p><p>それはその場に居たのは、８人ぐらいだけみんな、長距離の２年と３年のセンパイたちだけあたし、そっちのグループに呼ばれて行ったから</p><p>メグは短距離グループなんだな</p><p>グループ同士の確執も絡んでいるんだな</p><p>その場に居た人たちから、さらに情報が拡散した可能性はあるか</p><p>無いと思うあたしは、その場では曖昧に返事しかしなかったし他の部員に話したら、竹柴キャプテンに伝わるでしょそれは、中谷先輩も嫌だと思うから</p><p>短距離の竹柴キャプテンに、部の運営の全てを抑えられている中谷センパイとしては</p><p>竹柴キャプテンに隠れて短距離派閥のメグをイジメて、溜飲を下げようって思っているんだな</p><p>オレとのセックスを見せろというのはただの言い掛かりだ</p><p>できないことを要求してメグの困る顔が、見たいだけなんだ</p><p>このままだとメグは、長距離派閥のセンパイたちにずっとイジメ続けられることになる</p><p>早くセックスを見せろ、いつなら見せられるんだとか、延々と</p><p>まいったな</p><p>かといって、今のこの状況で竹柴キャプテンに相談すれば</p><p>短距離派と長距離派の確執が深まるだけだ</p><p>長距離のセンパイたちから、メグが睨まれることは変わらない</p><p>心配するな絶対に、何とかする</p><p>オレの胸に身体を寄せる</p><p>それでオレの胸ポケットの中のデジカメのことを、ハッと思い出した</p><p>そうかミナホ姉さんは、知っていたんだ</p><p>隠しマイクで</p><p>今日みたいな部活の子しか登校していない日に</p><p>ミナホ姉さんがチェックしているのは、メグに関することだけだろう</p><p>多分、昼に家で仕事している時からメグの周りの様子を監視していたんだ</p><p>メグのピンチを知ったからオレに、カメラを</p><p>ミナホ姉さんは黒森らしく解決しろって言っていたよ</p><p>黒森らしく</p><p>それならやることは、決まっている</p><p>メグセンパイたちに、見せてやろう</p><p>メグは、驚く</p><p>要は普通の女子高生たちが想像できないくらい、濃厚なセックスを見せ付ければいいんだ</p><p>竹柴キャプテンの男女交際禁止令があるから</p><p>センパイたちは、みんな処女だろう</p><p>経験があるとしても大したものであるはずがない</p><p>オレは何も知らないことにするメグは中谷センパイたちに、オレとセックスするから隠れて見ろって伝えるんだ</p><p>隠れて</p><p>えっと盗み見している人たちが、逃げ出せないような場所がいいなあオレとメグがセックスを始めたら、終わるまでは出て来られないような</p><p>それなら、女子シャワー室がいいわあそこの奥は窓も無いし今日みたいに、シャワー室を使う運動部が少ない日は、カーテンで区切っちゃって、奥は電灯も点けないの</p><p>うん、ならそこに中谷センパイたちを、おびき出そう</p><p>オレの中で黒森の男としての作戦が立てられていく</p><p>とにかくメグがセックスを見せろと言われたことを知っている子は、全員呼んじゃえ一年生や短距離の子もだ</p><p>後顧の憂いは、一気に刈り取るその方が良い</p><p>悶々としている部員たちにメグを玩具にはさせない</p><p>でも中谷センパイに、あたしがじゃあ、エッチをしているところを見せますって言ってもさっきのは冗談だったんだって、誤魔化されるかもしれないわそしたら、あたし自分からエッチを見せようとした、露出狂の女の子みたいに噂されちゃう</p><p>だから、そうならないように長距離の子たちが、集まっている場所で言うんだみんな、エッチなことで頭の中が悶々としているんだから、中谷センパイがスルーしようとしても、絶対に他のセンパイが乗ってくるそしたら、ケンカ腰で対応するんだ長距離の人たちは、エッチを観る度胸が無いのかとか言ってやれ</p><p>大丈夫だ絶対に上手くやるメグが、陸上部の中で困るようなことにはさせない</p><p>オレの決意にメグは</p><p>判ったやってみるわ</p><p>じゃあまず</p><p>オレは、作戦の詳細を伝える</p><p>オレは、そのまましばらく、女子陸上部の部室の見える場所で時間を潰す</p><p>ベンチに座って缶コーヒーとか飲んで</p><p>メグは、１年生たちと一緒に後片付けを</p><p>それじゃあ、後は頼んだよ</p><p>竹柴キャプテンと短距離の３年生の数人が先に帰宅する</p><p>竹柴キャプテンは、今日は自転車通学らしい</p><p>校門でなく駐輪場の方へ向かっている</p><p>キャプテンが部室を出たことで短距離グループの子は、みんな部室から出て来る</p><p>中には、長距離グループの子ばかりとなる</p><p>長距離派のボス中谷センパイを避けて、おのずとそうなるのだろう</p><p>まだ短パン姿のままのメグが、チラッとオレを見た</p><p>オレは５０メートルは、離れている</p><p>メグに判るようにうんと頷く</p><p>メグはそのまま、部室の中へ</p><p>しばらくして</p><p>部室から、ぞろぞろと女子たちが出て来る</p><p>まだ着替えていない子が多いな</p><p>１年生も入れて１２人くらいか</p><p>あ、１年生の子が、外に居た短距離の１年生にも声を掛ける</p><p>これで、１５人になった</p><p>残っている短距離派の１年生に、上級生らしい人が偉そうに何か言っている</p><p>多分あれが中谷センパイだな</p><p>そして、長距離グループ＋短距離の１年生３人は女子シャワー室の方へ向かう</p><p>あれが全員、オレたちのセックスのギャラリーになるのか</p><p>メグが部室から出て来る</p><p>そのまま、部室の管理を他の短距離の１年生に頼んで</p><p>オレの方へ歩いてくる</p><p>ヨシくんの言う通りにしてきたわ</p><p>ヨシくんは、気付いていないだから、シャワー室の奥に隠れて見てって</p><p>よくやったな</p><p>オレは、メグに微笑む</p><p>今日はもう、他の女子部は残っていないって短距離の１年生で残っている子は、もうシャワーを使わずに帰れって命令されたわだから、シャワー室はあたしたちだけよ</p><p>邪魔は入らないと中谷センパイは、思っている</p><p>５分後にヨシくんを連れて来いって</p><p>メグ、竹柴センパイにメールして</p><p>あ、メールの送信はオレたちがシャワー室に入る直前でいいから</p><p>竹柴キャプテンはオレたちがセックスし終わった頃に、駆けつけて欲しいんだそうじゃないと事前に阻止じゃあ、遺恨が残るだろ</p><p>中谷センパイが、メグにセックス披露を強制している現行犯でないと</p><p>竹柴センパイは、今日は自転車みたいだしメールに気付くのに、時間が掛かるかもしれないけれどとにかく、すぐに戻って来られるのは困るんだ</p><p>メグは、ポーチから携帯を取り出しオレの指示通りに、メールの文を打つ</p><p>オレは、メグと手を繋いで</p><p>ギャラリーたちの待つ、女子シャワー室へ向かう</p><p>メグ、緊張している</p><p>メグの手が冷たい</p><p>うん、ちょっと</p><p>さて悶々としている処女女子高生たちの度肝を抜くような、セックスを見せ付けないといけない</p><p>どうするか</p><p>メグシャワー室に入ったら、メグじゃなくなってくれ</p><p>そうだなオレのことは、みすずみたいに旦那様って呼んでくれそれで、頭の中は、美智になってくれ</p><p>美智さんに</p><p>美智になったつもりでオレとセックスするんだそれなら、恥ずかしくないだろう</p><p>自分では、無いのだから</p><p>そういう遊びのセックスだよ演技だよそれならみんなが見ていても、思いっきりできるだろ</p><p>そうね美智さんならみんなが見ていても、平気でエッチするよね</p><p>でも、完全に美智じゃないんだだから、オレの呼び方は旦那様そういう、キャラクターをメグの中に作ってくれ</p><p>ちょっと待ってあ、判ったあたしはヨシくんの妻だから旦那様なのねそれで美智さんみたいにちょっと、ヨシくんにイジメられたいタイプで古風な奥さんで</p><p>すごいマゾっ気があってセックスの時の声が大きいんだ</p><p>うんそっか美智さんのフリをしろっていうんじゃないのね新しく、そういう女の子を想像して演じればいいのね</p><p>そうだいいよな</p><p>ヨシくんできるよあたし</p><p>ニコッと、オレに微笑む</p><p>すっごいエッチになれるか</p><p>うん、なれるよいつものメグじゃないんだもんっ</p><p>いやメグは</p><p>オレとセックスする時は、いつもエッチだけれどな</p><p>メグ本人にとっては、そうじゃないんだな</p><p>メグの手が、温かく和らいでいく</p><p>全身の緊張がスーッと抜けていくのを感じた</p><p>どうしたんだよ、メグこんなところへ連れてきて</p><p>女子シャワー室の中に、入る</p><p>我ながら下手くそな芝居だ</p><p>シャワー室の奥はメグの話し通り、電気が消され、カーテンが引かれている</p><p>みんな息を殺しているが隠れているのは、丸わかりだぞ</p><p>何より部屋の奥から、女の匂いが漂ってくる</p><p>トレパン姿のままだった子は、まだシャワーを浴びてないんだもんな</p><p>申し訳ございません、旦那様わざわざ、お呼び立て致しまして</p><p>大きな声でメグは言う</p><p>カーテンの中の子たちは、驚いているだろう</p><p>だからどうしたんだって聞いているんだよっ</p><p>オレも、大きな声で威圧する</p><p>はい旦那様あの恵美に恵美に、お仕置きして下さいませ</p><p>お仕置き</p><p>はい、恵美は悪い子です今日の練習中も、旦那様のことを思ってエッチな想像をしてしまいましたどうか、はしたない恵美をお仕置き下さい</p><p>判った恵美、尻を出せ</p><p>恵美はシャワー室の壁に手を付いて、短パンの尻をオレに向ける</p><p>カーテンの向こうは、シンとしている</p><p>みんな普段の優等生な恵美を知っているしオレとの様子も見ている</p><p>１６歳の高校一年生同士のカップルだと思って舐めていたはずだ</p><p>オレたちのセックスだって、たどたどしくて不器用なものだと思っていたはずだ</p><p>だから見物して笑おうと思っていたんだろう</p><p>まさかのＳＭチックな濃厚セックスが始まってしまった</p><p>それも、オレもメグも全く迷いがなくやっている</p><p>堂々と大きな声で</p><p>脱がすぞ恵美</p><p>オレは、当たり前の様に恵美の短パンとパンティを引き下ろす</p><p>玉子の様につるんとした恵美のお尻がシャワー室のライトの光に照らされる</p><p>どうしたんだ、もう濡れているじゃないか</p><p>大きな声で、オレは言う</p><p>恵美の股間はすでに湿っていた</p><p>旦那様のことを考えると恵美は、トロトロになってしまうんです</p><p>恵美も、絶好調だ</p><p>というかメグは元からＭっ気が強い</p><p>火を点ければ一気に燃え上がる</p><p>でオレに、どうして欲しいんだ</p><p>叩いて下さいいけない恵美のお尻を、叩いて</p><p>オレは、メグの白いお尻を叩く</p><p>ピシャンッ</p><p>ピシッ</p><p>ビシャンッ</p><p>メグは、細い長身の身体をセクシーにくねらせる</p><p>どんどんいやらしい汁が垂れてきているぞ</p><p>あん恥ずかしいです言わないで</p><p>次は、どうして欲しいんだ</p><p>入れて、入れて下さいっ恵美のこと、犯して犯してぇぇ</p><p>ダメだ</p><p>オレは、ぴしゃりと跳ねつける</p><p>恵美が、オレに奉仕する方が先だろ</p><p>はい申し訳ございません旦那様</p><p>オレは全裸になる</p><p>平然と</p><p>ズボンだけ脱ぐとか、ペニスだけ出すとかそういう、みみっちいことはしない</p><p>完全に全裸だ</p><p>カーテンの奥の連中はこれで、もう出るに出られなくなる</p><p>一方、メグの方は下だけ脱がして、上のランニングは着たままにさせた</p><p>これで見た目的には、オレが女子シャワー室でメグを襲っているようには見えない</p><p>二人とも半裸だったり、女の子の方が脱いでる分量が多いとレイプっぽいけど</p><p>男が全裸で、女が半裸だと合意っぽい感じが出る</p><p>何より半裸にされたメグは、セクシーだ</p><p>もう、大きくなっていますね</p><p>全裸のオレのペニスは隆々と天を衝いている</p><p>その形を、しっかりとカーテンの奥から除いている連中に見せてやる</p><p>勃起ペニスを出した瞬間に、カーテンの奥から息を呑む声が聞こえたぞ</p><p>みんな、本物を見るのは初めてなんだろう</p><p>ご奉仕致します</p><p>半裸のメグが、オレの前に跪き手慣れた手つきで、オレのペニスをしごく</p><p>ああっあたしのあたしのです、これ</p><p>メグは、勃起に頬ずりする</p><p>いつもみたいにおしゃぶりしてもいいですか、旦那様</p><p>いつもだったら、恥ずかしくて言わないような言葉を</p><p>作ったばかりのキャラクターを被っている、メグは言う</p><p>奥の人たちによく見えるように恵美は、オレの亀頭にキスする</p><p>舌の先でペロペロと舐める</p><p>旦那様の味大好き</p><p>唇でしゃぶる</p><p>じゅぱっじゅぱつちゅっ</p><p>もう、すっかりフェラチオが上手くなったな</p><p>旦那様に毎日しているんですものもっと、もっと気持ち良くなって下さいああいいよ、恵美</p><p>あたし処女も、旦那様に捧げたしお口もファーストキスだって、旦那様ですメグの身体は、全部旦那様のものなのあたし、一生、旦那様としかエッチしないわ旦那様に毎日愛していただいて旦那様の赤ちゃんを産むの</p><p>メグの言葉は部屋の奥に隠れている、女子部員たちに向けられたものだろう</p><p>あたし、とっても幸せです一生掛けて愛する人に、出遭えたんですもの愛してる、愛してるわああん、好き好きなの大好きあたしの心と身体と全部使ってヨシくん</p><p>メグの感情が、大きなうねりについ、零れてしまう</p><p>オレも、愛しているよ一生、一緒にいような</p><p>うん大好きヨシくん</p><p>メグが、ペニスを舐めながらオレを見上げる</p><p>ヨシくんじゃないだろ</p><p>えっと旦那様えへっ</p><p>微笑むメグ</p><p>もう、我慢できないのメチャクチャにして</p><p>判った後ろからしよう四つん這いになれ</p><p>メグが、シャワー室の床に四つん這いになる</p><p>女子陸上部の処女の皆さんにはこの女にとって屈辱的なポーズから、見て貰おう</p><p>お、お願い</p><p>オレは、カーテンの奥の連中に見える様に勃起をメグの股間に当てる</p><p>自分の指で、割れ目を拡げろ</p><p>メグは、片手で秘部を開帳する</p><p>早く、早く</p><p>ああ、行くぞ</p><p>オレは、グイッと押し込むッ</p><p>あんっ入ってきたぁぁ</p><p>そのまま、じゅぶじゅぶととろけた胎内に押し進む</p><p>ほーらゴールだ</p><p>うん、トンて突いたよおっメグの子宮の入り口をノックしてるのぉぉ</p><p>ここからは、ハードに</p><p>オレは、メグの腰を掴み</p><p>荒々しく、腰を突き込むっ</p><p>あっあっはふんっはぁん気持ちいいよおっ</p><p>動物的な男女の肉の交わりを見るがいい</p><p>人間は、ここまでエッチに蕩けるんだぞ</p><p>メグメグメグぅぅ</p><p>ああっいいよおっもっとグチャグチャにしてぇぇ犯してぇぇ</p><p>オレは、メグのランニングを捲り上げておっぱいを露出させる</p><p>腰を送り込みながらうしろから、胸を力一杯揉み上げるっ</p><p>あっもっと痛くしていいからっいいのっおっぱいも、いい</p><p>メグは快感に溺れていく</p><p>ダメよまだ、ダメぇぇ出すときは、メグの顔を見ながらにしてぇぇ</p><p>あたしもヨシくんのお顔みたいよおっ</p><p>オレは１回、ペニスを抜く</p><p>シャワー室の床は、固いし冷たい</p><p>ここにメグを寝かすのは、可哀想だし</p><p>ペニスを抜いたからメグの中で、またヨシくんから旦那様に戻る</p><p>メグは、シャワー室の脇のベンチを指差す</p><p>オレは、ベンチに浅く腰を掛ける</p><p>失礼しまぁす</p><p>メグが、座ったオレの膝の上に</p><p>対面座位の体勢になろうとする</p><p>あはっこれから、お顔を見ながらできるねっ</p><p>メグの可愛いおっぱいも、舐められるよ</p><p>オレは、メグの乳首を舐める舌で転がす</p><p>あん気持ちいいあたし、女に生まれてきて良かった</p><p>あたし、あなたの奥さんになるために生まれてきたんだからねっ</p><p>そして自分の手でオレのペニスを掴み割れ目に、当てる</p><p>入れて良い旦那様</p><p>いいよオレの奥さん</p><p>じゅぽりっ</p><p>熱く溶けた泉に勃起ペニスが包まれる</p><p>あっまた、来た来てくれたああんっ</p><p>メグは、自らグリグリと腰を動かす</p><p>これはあたしのお腹の中にずっとあるべきなのずっと、ここに居てぇぇ</p><p>気持ち良くなってね</p><p>メグが、リズミカルに腰を動かす</p><p>あたしここが気持ちいいの旦那様のがあたしの中の気持ちの良いところに当たっている擦れている</p><p>メグの動きが、激しくなる</p><p>オレも、下からグイグイと突き上げる</p><p>恵美ああっ</p><p>うふふ気持ちいい</p><p>もう、出ちゃいそうなの</p><p>ああ出そうだ</p><p>恵美のお腹の中にいっぱいくれる</p><p>ああ、恵美の中で中で射精するからな</p><p>赤ちゃんできちゃうよいいの</p><p>ああ、産んでくれよオレの赤ちゃん</p><p>うん産むわ絶対に産むから、あたしあたしも欲しい</p><p>ヨシくんの赤ちゃん欲しいから恵美の中に中にちょうだい</p><p>欲しいよおっヨシくんの熱いの恵美の中に注いで</p><p>恵美恵美</p><p>あああたしも、イキそうイキそうだよヨシくん</p><p>一緒にイこうメグぅぅ</p><p>うん大好き大好きキスして</p><p>オレたちは、見つめ合ったまま舌と舌を絡め合う</p><p>ディープキスを繰り返す</p><p>ああ感じるヨシくんがメグのこと愛してくれてる嬉しい嬉しいよおっ</p><p>あっあっもう、クルメグ、飛びそうヨシくん、メグイッてもいいイッちゃってもいいですか</p><p>いいからイクんだイケよメグ</p><p>オレも限界だぁぁ</p><p>いいのイッちゃったら、赤ちゃんできちゃうよヨシくん、いいの</p><p>いいからオレの子を産めよ恵美っ</p><p>ああっ産みますっあたし、産むっ産んじゃうのっあああああっ</p><p>シャワー室の壁をビリビリと響かせて恵美がクライマックスの声を挙げる</p><p>出してぇぇメグの中に出してぇぇイクぅぅメグ、いっちゃううううっっ</p><p>メグ出すぞっ</p><p>じゅわわわわっ</p><p>オレの熱い白濁液がメグの子宮の中に、浸透していく</p><p>あ、熱い温かいの、お腹の底に拡がっていくようヨシくんの温かいっこれ、好きっ気持ちいいよおっ</p><p>オレの眼を見ながら、メグは身体をビクンビクンと痙攣させる</p><p>呑んでる呑んでるよおっメグの子宮がヨシくんの精液、ゴクゴク呑んでるよおっ</p><p>じゅわっ</p><p>じゅわわわっ</p><p>何度も脈動しながらメグの胎内で、射精が続く</p><p>メグの胎内は、オレを締め上げ最後の一滴まで、絞り取ろうとする</p><p>あああっ出てるぅぅどうしよう赤ちゃんできちゃうメグのお腹の中に命を授かっちゃうよおっ</p><p>メグは、オレの上で半裸の身体をセクシーにうねらせていく</p><p>愛してる、愛してるキスしちゃう旦那様ぁぁあたしの旦那様ぁぁ</p><p>メグが、オレにキスをした</p><p>ガラガラガラッ</p><p>女子シャワー室の扉が、開く</p><p>悪鬼の様な顔をした、竹柴キャプテンが仁王立ちで立っていた</p><p>ちゃんと、避妊しろっ馬鹿者おおおッッ</p><p>オレの上で、トロンとしていたメグが</p><p>あっ竹柴キャプテン、これは大丈夫なんです</p><p>山峰何が大丈夫なんだぁぁ</p><p>メグは、オレと繋がったままキャプテンに言う</p><p>あたしちゃんと毎日、ピル呑んでます</p><p>父の動脈瘤破裂の方の、術後診断は良好でした</p><p>食事制限も、取りあえず終了と言うことで</p><p>何か、好きなものを食べられないというのもボケの進行に影響するらしいです</p><p>やっぱり、生きている楽しみが減るのは、良いことではないらしいです</p><p>まあ、来月には心臓カテーテルの方の術後検診があるのですが</p><p>しかし毎回、付き添いで大学病院まで行くのは疲れます</p><p>409．女子陸上部始末控</p><p>ピ、ピルって何だ</p><p>竹柴キャプテンは、困惑して引きつったままメグに尋ねる</p><p>避妊薬です</p><p>避妊薬</p><p>はい、ですからお腹の奥に、精液を出してもらっても、妊娠はしません</p><p>ケロッとした顔で、堂々と答える</p><p>いや、オレの女たちは、みんなそうしているからメグにとっては、当たり前なことなんだろうけれど</p><p>正直メグのセックス観は、相当偏っていると思う</p><p>でも、山峰、お前赤ちゃん、産みたいとか、叫んでたじゃないか</p><p>竹柴キャプテンの言葉にメグは、顔を赤らめる</p><p>あれは、勢いです</p><p>勢いだと</p><p>驚愕する、キャプテン</p><p>はいあたしは、本気でいつでも、ヨシくんの赤ちゃんを産みたいって思っていますからでも、高校生である間は、妊娠しないというのが約束ですから</p><p>だから気持ちだけは、毎回、お腹の中で受精させるつもりでエッチしていますあたし</p><p>それに、せっかくヨシくんがあたしにくれた精液子宮で受けとめなければ、もったいないじゃないですか</p><p>し、子宮で受けとめる</p><p>はいお腹の奥が、ポアッと熱くなるんです子宮の奥まで、精液が届いているのが判るんですとっても、温かいんですよ</p><p>メグの言葉に、竹柴キャプテンはハッとして</p><p>いい加減、お前たち離れろっ</p><p>オレたちはまだ繋がっていた</p><p>メグ抜くよ</p><p>オレは、腰を引く</p><p>メグの胎内からちゅぽんと、ペニスが抜ける</p><p>もちろんまだ1回しか射精していないから</p><p>オレのペニスは、隆々とフル勃起したままだ</p><p>亀頭が、精液と愛液でテロテロに光っている</p><p>一方</p><p>メグの割れ目からは</p><p>ツツーと、オレの白い精液がシャワー室の余暇のタイルに垂れていく</p><p>お前たち早く、隠せそれをっ</p><p>竹柴キャプテンは、慌てて叫ぶ</p><p>生で勃起した男性器を見るのは、生まれて初めてなんだろう</p><p>男に射精されたばかりの女性器も</p><p>メグが脱いだパンティを拾って、履こうとするが</p><p>このままだ、メグ</p><p>オレはメグに、言った</p><p>怪訝な顔で、竹柴キャプテンがオレに尋ねる</p><p>あのそれはですね</p><p>オレは、床に落ちていた制服の胸ポケットからデジカメを取り出す</p><p>そして勃起したままのペニスを露出させたまま</p><p>全裸で、シャワー室の奥へと向かう</p><p>閉ざされていたカーテンを一気に、バッと開いた</p><p>オレたちのセックスを盗み見ていた１５人の女子陸上部員たちは</p><p>全員、腰を抜かしていた</p><p>オレたちのセックスのあまりの濃厚さに、力が抜けてしまったらしい</p><p>すでに、制服に着替えていた上級生の中には後ろに尻餅をついて、パンツが丸見えになっている人もいた</p><p>オレは、そのままその１５人を写真に撮る</p><p>おい、何をやっているんだ</p><p>背後から竹柴キャプテンが、オレに怒鳴る</p><p>あれを見て下さい</p><p>オレは上級生の何人を、キャプテンに示す</p><p>そいつらは手に、携帯電話を握りしめていた</p><p>な、何だどういうことだ</p><p>オレは、キャプテンに振り向き</p><p>メグが、キャプテンにメールした通りですメグは、陸上部の上級生にオレとのセックスを見せるように強要されましたその上セックスの光景を、携帯で撮そうと思っていたんでしょう</p><p>オレは再び、携帯を持っている上級生を見る</p><p>センパイ、お名前は</p><p>腰を抜かしたままの上級生は、答えない</p><p>オレは、その先輩の眼前に勃起ペニスを突き付ける</p><p>お名前は</p><p>た田島よ</p><p>オーケイ、田島先輩オレとメグの写真を撮りましたかそしてどっかに送信したりしていないでしょうね</p><p>田島先輩は、ブルブルと震えながら</p><p>さ、最初の方に２、３枚撮ったわでも、どこにも送ってないわ</p><p>本当でしょうね</p><p>だってあんたたちのエッチが凄いから、そんなことしているヒマがなくて</p><p>そっちの携帯を持っているセンパイは</p><p>あ、あたしもどこにも、送ってないわよ</p><p>オレは、勃起を近づける</p><p>き、きゃあ近づけないでよっ</p><p>ガタガタ、騒ぐなっ</p><p>オレは女子部員たちを、恫喝する</p><p>勃起ペニスの先から射精した白濁液の残滓が、ツツーと垂れる</p><p>あんっヨシくん、お掃除するね</p><p>裸のままのメグが、オレの前に廻り込んで女子部員たちの眼の前で、オレの亀頭をぱくっと咥える</p><p>尿道の中に残った精子を、吸って</p><p>１５人の女子部員たちは、その様子を慄然として、眺めている</p><p>山峰、お前、何やっているんだ</p><p>唖然とする竹柴キャプテンの問いにメグは</p><p>セックスの後のお掃除は、妻の仕事ですから</p><p>いつものように、お掃除フェラを続ける</p><p>うん、オレの女たちはみんな、こうするからな</p><p>えそんなこと、しなくちゃいけないのか</p><p>はい、キャプテンこれはエッチした後の義務ですし権利です</p><p>権利</p><p>エッチの後のこういう時間が、一番幸せな気持ちになれますからね、ヨシくん</p><p>亀頭をチュパチュパ舐めしゃぶりながら、オレを見上げる</p><p>オレは、メグにフェラさせたまま</p><p>とにかくこのセンパイたちは、メグを脅しただけでなくオレたちの写真も撮りましたそれを何に使おうとしたのかは判りませんけれどとにかく、オレたちにとっては、とても不快な状況であることに変わりはありません</p><p>オレは竹柴キャプテンに告げる</p><p>多分クラスの親しい人たちに、送信するつもりだったんだんだと思いますそれで仲間内で、オレたちを笑うつもりだったんと</p><p>お前たちを笑う</p><p>竹柴キャプテンが、部員たちを見る</p><p>オレとメグは高校生なのに、婚約していて学校公認で、セックスの自由が認められているそういう下級生のカップルの存在が疎ましかったんだと思いますその気持ちは判ります確かに、オレたち普通じゃないですから</p><p>もちろんこの人たちは、オレとメグの写真を撮ったからといって、それでオレたちを脅すとかそういう、犯罪目的で写真を使うつもりは無かったんだと思いますこの人たちは、不良じゃないですしメグも女子陸上部員ですから大事になって、女子陸上部全体の問題になったら困るわけですし</p><p>大会への出場自粛どころか下手すりゃ、廃部だ</p><p>だけど、もし写真が流出したらそりゃ、センパイたちは仲の良い友達に送るだけだから、きちんと口止めしておけば大丈夫だと思ったんでしょうけれどでも、こういうものは、どこから拡散するか判りませんし、それこそ不良生徒の手に入ったら大変なことになりますオレとメグは退学になっても構いませんけれど、女子陸上部の方は</p><p>竹柴キャプテンが、大きく溜息を吐く</p><p>そうだなお前の言う通りだ</p><p>そして自分の部員たちを見る</p><p>全員携帯を出せ写真のメモリーを全部消すんだ</p><p>ぜ全部ですか</p><p>部員の一人が、キャプテンに言う</p><p>あの大事な写真もありますし</p><p>キャプテン、あたしは写真を撮っていません</p><p>竹柴キャプテンは、ギッと部員たちを睨み付ける</p><p>いいから、消しな全部だ消し終わったら、一人ずつあたしに携帯を見せに来な写真のメモリーが、きっかりゼロになっているのを確認する</p><p>そんなキャプテン</p><p>あんたたちは、自分がどれだけ恥ずかしいことを人に強要したのか判っているのかい</p><p>一喝するキャプテン</p><p>こいつらが、まだ裸のままでいるのは抗議だよあんたたちに対する</p><p>でも、あのあたしは、中谷さんに誘われただけで</p><p>そうですあたしも、中谷センパイに誘われたから</p><p>あたしたちも、そうです</p><p>部員たちは中谷センパイに、罪を押しつけようとする</p><p>何で、誘われたら付いて行くんだいどうして、誰も中谷の行動を止めなかったんだ</p><p>キャプテンは言った</p><p>山峰は、女子陸上部員だよあんたたちは、自分の身内にメチャクチャ酷いことを要求したんだ判っているのかいっ</p><p>シンとなる女子部員たち</p><p>人前で裸になってセックスするなんてことが、どれだけ恥ずかしくてつらいことかちょっと、考えれば判るだろ</p><p>うなだれる１５人の女子の中で一人の上級生が、キッとメグの顔を見上げる</p><p>でも、見せてくれると言ったのは山峰よ</p><p>そう言ったのは３年の中谷センパイ本人だ</p><p>長距離グループのボスである</p><p>山峰が見せてくれるっていうから、あたしたちは来たのよ強要なんてしていないわよっ</p><p>上下関係の厳しい、女子陸上部の中で３年生の派閥のボスと、入学したばかりの新入生だ</p><p>その言い訳が、通るわけは無い</p><p>でもオレたち、写真を撮ってもいいなんて言ってませんよなあ、メグ</p><p>うん言ってませんあたし</p><p>メグが、キャプテンに言う</p><p>写真はあたしは知らないわよそこの何人かが、勝手にやったことなんだからその子たちだけ、ペナルティを与えればいいじゃない</p><p>中谷さん携帯、貸して下さい</p><p>こういう性格のこういう上級生が</p><p>写真を撮っていない、わけがない</p><p>い、嫌よどうして、あんたなんかに、あたしの携帯を貸さないといけないのよ</p><p>中谷、渡しな</p><p>キャプテンが、低い声で命じる</p><p>嫌って言ったでしょだいたい、こんなの竹柴さんが首を突っ込む問題じゃないわよっもう、部活の時間は終わっているしシャワー室は、別に陸上部と関係無いじゃないだから、これはあたしたちと山峰の</p><p>貸せって言ってるんだよ</p><p>竹柴キャプテンの静かな怒りに、中谷センパイは口籠もる</p><p>貸して下さい</p><p>オレは、勃起ペニスを中谷さんに突き付ける</p><p>きゃあっ、その汚いものをあたしの前に近づけないで</p><p>うるさいよ早く、渡せって言ってるんだよオレ</p><p>オレは穏やかに、そう言った</p><p>はっきり言うけどさオレ、怒っているんだぜ</p><p>オレはペニスで、ペンペンと中谷さんの顔を叩く</p><p>ひぃぃと声を上げる中谷センパイ</p><p>中谷さんは、震える手で携帯を差し出す</p><p>オレは、それを奪い取る</p><p>画面を見ると</p><p>竹柴キャプテンやっぱり、撮ってますこの人</p><p>シャワー室に入って来てメグの裸尻を叩いているオレの姿が、映っている</p><p>写真は、４枚だけか</p><p>それ以降は撮っていられなくなったんだろう</p><p>画像が、送信された記録は無い</p><p>よこしな</p><p>オレは、竹柴キャプテンに中谷さんの携帯を手渡す</p><p>キャプテンも写真画像を確認して</p><p>中谷この携帯、いつ買ったんだい</p><p>今月、買い換えたばかりよ</p><p>そう、結構高そうな機械だねこれ</p><p>そんなのあなたには、関係無いじゃない</p><p>竹柴キャプテンは、携帯を床に思いっきり叩き付け</p><p>靴の踵で、踏みつぶすッッ</p><p>いやぁぁっ</p><p>粉々に砕け散る中谷センパイの携帯</p><p>他の子も携帯を砕かれたくなかったら、早くメモリーを消しな全部、スッカラカンに消すんだッッ</p><p>キャプテンの怒声に残りの女子部員たちが、一斉に携帯を操作する</p><p>消し終わったやつから見せにきなっズルしたやつは、ブチ殺すよっ</p><p>順番に部員たちは写真のメモリーが完全消去されたことを、キャプテンに見せに来る</p><p>竹柴キャプテンは、一人一人の携帯を丹念にチェックする</p><p>全員確認したよあんたたちの恥ずかしい写真は、もう消えた</p><p>竹柴キャプテンがそう言うとメグは、ホッと安堵する</p><p>これでカンベンしてくれるかい</p><p>そんなわけがないじゃないですか</p><p>オレの答えに、メグが驚く</p><p>恥ずかしい写真は消えても恥ずかしい記憶は残りますオレたちだけ、恥ずかしい思いをさせられたままなのは、不公平です</p><p>どういうことさ</p><p>こいつら絶対今、ここであったことを、他のやつらに言いますそれも、尾ひれを付けてオレとメグは、色情狂のハレンチ・カップルで、無理矢理セックスを見せ付けてきたとか言いますよ口でなら、なんとでも言えますからね</p><p>おそらく、そうなる</p><p>オレたちだけでなく、キャプテンのことも悪く言うだろう</p><p>自分たちには落ち度は無いのに、一方的にオレたちの肩を持った</p><p>中谷センパイを脅して、携帯を壊したって</p><p>こいつらは、陸上部だよそこまで腐っちゃいないよ</p><p>オレは女子陸上部とは、関係無いですから</p><p>オレは、強い目で竹柴キャプテンを見返す</p><p>睨み合うオレたち</p><p>あんた変わったね</p><p>キャプテンが言った</p><p>いつの間にそんな、眼の出来る男になったんだい</p><p>前は、竹柴キャプテンのことは怖かったけれど</p><p>恭子さんや、ミス・コーデリアほどじゃない</p><p>あの人たちの発するプレッシャーに比べたら</p><p>だったらどうする</p><p>オレは１５人の女子部員たちを、見る</p><p>この人たちにもオレとメグが味わったのと同じ恥ずかしさを体験して貰います</p><p>えまさか</p><p>いや、別にセックスを見せろとまでは、言いません裸になって、写真を撮らせて貰います</p><p>写真も</p><p>はい、撮った写真はカメラごと、竹柴キャプテンにお預けします自分たちも恥ずかしい思いをすればオレとメグのことだけ、人に話したりはしないでしょうああ、そうだ誰か一人でも喋ったら撮った写真を流出させますそういうことにしましょう全体責任ですそうでないと秘密は、守れないでしょうから</p><p>オレは部員たちに、言った</p><p>竹柴キャプテンは、少し考えて</p><p>ふん、それぐらいのペナルティはしょうがないね</p><p>キャプテン</p><p>女子部員たちは口々に騒ぐ</p><p>黙んなっただしこちらの条件も、聞いて貰うよ</p><p>竹柴キャプテンの出した条件はこうだった</p><p>盗み見をした女子部員たちの裸の写真を撮るが</p><p>部員一人ずつの裸の画像は、撮らない</p><p>必ずオレとメグと３人で、並んで撮す</p><p>これなら、同じ画像に山峰たちも写っているんだから山峰たちも、脅しには使えない</p><p>竹柴キャプテンの理屈は、そうだけれど</p><p>女２人に男１人で、並んで撮られた全裸の写真は</p><p>まるで、３人でセックスを楽しんだようにしか見えないだろう</p><p>オレのペニスは、勃起したままだし</p><p>最初は中谷からだ</p><p>とっとと脱ぎな</p><p>中谷センパイは、キャプテンに携帯を砕かれてすっかり、心が折れていた</p><p>悄然として服を脱いでいく</p><p>こ、これも</p><p>下着姿になったセンパイが、キャプテンに言う</p><p>当たり前だろう山峰たちと、同じ格好になるんだ</p><p>他のやつらも、今のうちに脱いでおきなっ</p><p>中谷センパイが裸になる</p><p>ほら、３人並んで</p><p>キャプテンは、オレのカメラを持つてカメラマン役を引き受けてくれる</p><p>全裸の３人</p><p>オレとメグの間に中谷センパイ</p><p>センパイは、手で胸と秘部を隠している</p><p>中谷隠すな</p><p>キャプテンが、叱責する</p><p>お前は、山峰たちのを見たんだろ</p><p>その言葉に中谷センパイは、震えながら手を下ろす</p><p>そのまま並ぶんだもっと、寄って</p><p>裸の肩と肩が触れ合う</p><p>見、見ないでよ</p><p>センパイがオレに言う</p><p>うん中谷さん、結構良いプロポーションをしている</p><p>乳首もピンクだしまだ、誰にも舐められていないんだな</p><p>その秘部は、ぐっしょりと濡れていた</p><p>中谷センパイ濡れているんですね</p><p>見ないでって、言っているでしょ</p><p>いつからですああ、オレとメグのセックスを見ている時から、ずっとこうなっていたんですね</p><p>言わないで</p><p>羞恥に顔を真っ赤に染める中谷センパイ</p><p>ほら、撮すよカメラを見て</p><p>カシャ</p><p>キャプテンは、連続して３回、シャッターを切った</p><p>中谷判っていると思うけれど</p><p>キャプテンは、言った</p><p>この写真どう見ても、あんたが山峰たちと浮気している様にしか見えないよね</p><p>中谷センパイが、ギョッとなる</p><p>例の、北高のオトコとは、どこまでいっているわけキスとかした</p><p>ブルブルと、震え出す中谷センパイ</p><p>してないわよ</p><p>部のルールは、知っているよね恋愛厳禁特に他校の男子生徒とは、御法度だよ</p><p>別れろっていうの</p><p>そこまでは言わないけれど夏の大会が終わるまでは、オトコに会わないでもらいたいね</p><p>キャプテンは言う</p><p>山峰みたいに、正々堂々と、学校公認で婚約しちまうとかならまだしも３年が、コソコソ隠れてオトコと付き合ってるなんて、みっともないだけだからね</p><p>中谷センパイは、絶句する</p><p>大会が終わって部を引退しちまえばルールも御法度も無いその後はもう、知ったこっちゃないあたしも関知しないでも、それまでは、しっかりとルールを守ってもらわないと困るんだよ３年生が、ウワついていると下級生まで浮かれるからね今回の騒ぎみたいなことになる</p><p>そうか中谷センパイ</p><p>自分に彼氏ができたから余計、セックスに興味を持ったんだ</p><p>あんまり分からず屋だとこの写真、北高のオトコに送るよ</p><p>中谷センパイの彼氏は、彼女がオレやメグたちと乱交していると思うだろう</p><p>まだキスもしていない処女だと思っているのに</p><p>や、やめてタケヒトには、見せないでっ</p><p>じゃあ、あたしと約束するね</p><p>するわするからっ</p><p>全裸の中谷さんは屈服する</p><p>次三国</p><p>スレンダーで短髪のセンパイが、前に出る</p><p>やっぱり手で、胸と股間を隠して</p><p>三国、あんたの家お父さん、市の教育委員会だっけ</p><p>キャプテンが、言う</p><p>この写真を見たらお父さん、どう思うだろうね</p><p>キャプテン、父は父には見せないで下さい</p><p>そう思うんなら、さっさと手を下ろしな写真が撮れないじゃないか</p><p>慌てて、三国センパイは両手を下ろして直立する</p><p>何だあんたも、あそこがぐっしょりじゃないか</p><p>だって、すっごくエッチだったんですよ山峰たち</p><p>知ってるよあたしも、外から聞いてた</p><p>キャプテンが、シャッターを切る</p><p>ほら次</p><p>全裸のオレとメグの間の女子部員が交代する</p><p>次々に、３人並んだ裸体写真を撮り続けられる、オレたち</p><p>さてと、１年はまとめて撮ろう</p><p>最後に１年生たちが、並ぶ</p><p>みんな、裸で</p><p>あんたたち上級生に言われたからって、上手いこと言って逃げ出す方法は幾らでもあったはずなんだ</p><p>裸の1年生たちが成長途中の胸を隠しながら、落ち込む</p><p>それに山峰は、あんたたちと同学年じゃないか身内を見捨てるみたいな真似をしたのは、感心しないね</p><p>全員裸の付き合いをしたってことで、お互い水に流すんだね山峰もいいね</p><p>ほら、隠すななんだい、あんたたちも濡れ濡れじゃないか</p><p>1年女子たちもみんな、愛液を漏らしていた</p><p>内ももが、ライトに照らされて光っている</p><p>ほら撮すよ</p><p>オレとメグと1年女子の全裸写真が、記録される</p><p>これで全員、終わったな</p><p>さて、じゃあ、あたしの番だね</p><p>え竹柴、キャプテン</p><p>あたしだってあんたたちの裸を見たセックスして、繋がっているところもねアンアン叫んでる声も聞いているあたしも、裸にならないと不公平だろ</p><p>そして竹柴キャプテンも、裸体を晒す</p><p>堂々と</p><p>トレーニングで、キュッと引き締まった鍛え上げられた肉体</p><p>キャプテンは、何も隠そうとはしない</p><p>見ての通りだよあたしも、濡れてる何か問題はあるかい</p><p>いえ何も無いです</p><p>オレは長身の褐色の裸身を見て、そう答えた</p><p>山峰、お前が撮ってくれお前の携帯で</p><p>ほら、早くこの子と2人だけで撮るから</p><p>いいんだよあたしの裸の写真はあんたと山峰に、預けるんだから</p><p>竹柴キャプテンは、オレの横に並ぶ</p><p>しかしこれ、凄いね苦しくないのかい</p><p>オレの勃起を見て、キャプテンはそう言った</p><p>いえ、大丈夫です</p><p>メグが、自分の携帯を取り出す</p><p>ではあの、撮ります</p><p>カシャリ</p><p>メグはオレと竹柴キャプテンの裸身を撮す</p><p>竹柴キャプテンは、部員たちを見る</p><p>それからオレを</p><p>部を代表してオレと話すという形を作る</p><p>うちの部員たちとあんたたちの裸の写真を撮ったカメラはあたしが預かるよそして、あたしの裸の写真は、山峰が持っている管理は、あんたがしてくれていい</p><p>あたしは一応、公平な立場のつもりだけれどでも、あたしは女子陸上部の部長だからねあんたには、あたしのことが信用できないかもしれないだろだからお互いに、相手のカードを持ち合うことにするんだよ</p><p>カードを持ち合う</p><p>まずもし、うちの部員たちが山峰たちのことについて、他所で余計なことを話したら今撮ったあの子たちの裸の写真が入ったこのカメラは、あんたに返すあんたは、それをどう使ってくれようと構わない結果、うちの部員や女子陸上部に、重大な問題が起きたとしても仕方無いと諦めるよ</p><p>キャプテンは、自分の部員たちを見る</p><p>それは、うちの部員たちが約束を守れなかったってことなんだからあんたがさっき言った通りさ連帯責任だからね1人がマヌケで、そいつがペラペラ喋ったとしてもそこで、失われるのは女子陸上部の誇りだその結果全員の写真が流出したって、仕方のないそれはもう女子陸上部の最後だからね</p><p>そして、ククッと笑う</p><p>もっともあたしたちの代で、しかもそんな下らない理由で部を潰したとなったら歴代の卒業生のセンパイたちにドヤされるけどねあたしたち全員</p><p>それから、真顔になって再び、オレを見る</p><p>そうは言っても問題が起きた時に、あたしがあんたに本当にカメラを返す保証は無いだろだからあたしの裸の写真だけは、先にあんたに預けておく信頼の証としてね</p><p>もしあたしが裏切ったと思ったら今、山峰の携帯で撮ったあたしの写真は、どうでも好きな様に使ってくれていいそれをネタに、あたしを脅してくれてもいい何でも言うことを聞くよそういう保険としてあんたに、預けておくよ</p><p>竹柴キャプテンは、オレにそう言った</p><p>自分自身もリスクを負うことで</p><p>女子陸上部員たちの心配を払拭してくれたんだ</p><p>写真は撮られたが持って居るのは、竹柴キャプテン</p><p>オレは、キャプテンの裸しか持っていない</p><p>そういう、相互安全のシステムを作ることで</p><p>だから、キャプテンは自分も全裸になった</p><p>別にキャプテンが裸になる必要は、無かったのに</p><p>自分の写真をオレたちに、預けてくれた</p><p>別にキャプテンが、裸の写真を撮られるようなことはしていないのに</p><p>部員たちの保証として</p><p>これで手打ちだみんな、文句は無いね</p><p>全裸のまま、堂々とキャプテンは言う</p><p>わざわざ一緒になって裸になり写真を撮った、キャプテンの侠気に</p><p>女子部員たちはみんな、感銘している</p><p>山峰カメラをそいつに渡して最後に、女子部員全員で写真を撮ろう山峰も、入りな</p><p>メグが、オレにカメラを手渡す</p><p>ほら、並びなみんな裸だし、あそこは濡れてるし恥ずかしいのは、おんなじだよっ</p><p>全裸の女子陸上部員たちが並ぶ</p><p>ほら、前列屈んで</p><p>いえ、キャプテン屈んだら、あそこが丸見えになっちゃいます</p><p>もういいじゃないかあたしたち全員、あいつに裸を見られちゃったんだからさ</p><p>竹柴キャプテンは、笑う</p><p>でも、いいだろあたしたちだって、あいつのチンコをガン見してるんだお互い様だよッ</p><p>プッと1人の女子が、笑い出す</p><p>あはははは</p><p>みんな、唖然とするが</p><p>その子は</p><p>恵美ちゃん、ごめんね</p><p>笑い止むと</p><p>笑顔で、メグに謝罪の言葉を述べる</p><p>どうやら1年生の部員らしい</p><p>悪かったよ山峰</p><p>うん、あたしたちが間違ってた</p><p>他の部員上級生も、メグに声を掛ける</p><p>でも、山峰と彼本当に愛し合っているんだな</p><p>うん、アダルトビデオとかで見たエッチと、全然違ってたわ</p><p>えー、青葉、アダルトビデオとか見るの</p><p>お、お兄ちゃんが隠してたやつよ</p><p>でも、エッチってよく判らないけれど愛されてるんだなあってのは、判った</p><p>山峰も、愛しちゃってるよねー</p><p>どうやら、これで全て、水に流すことになりそうだ</p><p>全員恥ずかしい思いをしたということで</p><p>オレは、メグが脅されたってことで対決姿勢で当たってきたけれど</p><p>竹柴キャプテンが結局、上手い感じにまとめてくれた</p><p>すごいな、この人</p><p>ほら、山峰の彼早く、撮ってよ</p><p>表情の和らいだ上級生が、オレに言う</p><p>じゃあ、撮ります</p><p>オレはシャッターを切る</p><p>うんみんな、打ち解けた顔をしている</p><p>裸の付き合いで</p><p>1人だけ笑顔でない、女子がいる</p><p>３年生の中谷さん</p><p>この作品の作り方なんですが</p><p>とにかくこの先、どうするのという内容を先に書いてしまい</p><p>次の日に、何とか必死に悩んで収拾を付ける</p><p>昨日の段階で、これ、どうまとめようと本気で悩んでました</p><p>ありがとう、竹柴キャプテン</p><p>まさか、キャプテンも脱いでくれるとは思わなかった</p><p>昨夜の構想では、全員脱がないでスカート捲るだけだったのに</p><p>何で、全裸記念写真大会になったんだろう</p><p>まあ、毎日更新だと色々あるんです</p><p>瑠璃子の誘拐も</p><p>書いた後にこれ、どうやって誘拐するんだよて頭を抱えましたし</p><p>毎日前の日の自分に、苦しめられています</p><p>410．裏と表と</p><p>よし、お前らは服を着て、部室に戻ってろ</p><p>竹柴キャプテンは、部員たちに言う</p><p>あたしは、山峰たちに話があるすぐに終わるから、あたしが戻るまで掃除でもしてな勝手に帰るんじゃないよ</p><p>強い眼でギロッと、シャワー室内の女の子たちを威圧する</p><p>いいね</p><p>女子陸上部員たちは返事をする</p><p>お前らは、シャワーを浴びなそのまんまじゃ、匂って話ができない</p><p>キャプテンは、オレとメグを見て言う</p><p>オレたちの股間からは愛液と精液の淫臭が漂っている</p><p>あ、はいヨシくん、こっちへ来て</p><p>メグがオレを、シャワーの前に引っ張る</p><p>他の子が着替えるのをみちゃダメだよあたしだけ、見ていて</p><p>ここまでは、勢いで全員が裸でいることが、正当化されていたけれど</p><p>再び、服を着るという時に</p><p>1人だけオトコのオレが、女の子たちをジロジロ見ていたら</p><p>また、新しい遺恨が生じる</p><p>キスして、おっぱい舐めててもいいよあたしが、洗ってあげるからヨシくんは、あたしだけ見ていてね</p><p>メグが、シャワーの蛇口を捻る</p><p>温かいお湯が、上から降り注ぐ</p><p>水流の中で、オレはメグと抱き合いキスする</p><p>とにかく、オレたちがもの凄く愛し合っていて</p><p>オレはメグのことしか見ていないという様子を示しておかないと</p><p>後々、山峰の彼氏は、あの時、あたしたちの着替えをジロジロ見ていたとか、インネンをつけられることになる</p><p>はぁい、ヨシくん</p><p>メグが、指でオレの身体を優しく、擦る</p><p>オレも、メグの身体を触る</p><p>好きだよヨシくんと、一緒だと何も怖くない</p><p>メグが、オレにキスした</p><p>これも、まだ大きいね固いよ</p><p>勃起したままのペニスを、メグが手でしごいてくれた</p><p>やりすぎか</p><p>こうしていればこの勃起は、オレがメグに対して欲情しているからということになる</p><p>そうでないとお前の彼氏は、あたしたちのヌードを見て勃起したと、言い張られるかもしれない</p><p>だから、また濃厚なラブシーンを見せ付けてやらないといけない</p><p>ほら、何やってんだ小柳、保科突っ立って、山峰たちを見てるんじゃないよっ服を着たら、とっとと部室へ行くんだっ</p><p>竹柴キャプテンが部員を叱責する</p><p>ガラガラと、戸を開け今、名を言われた部員たちが慌ててシャワー室から飛び出して行く</p><p>それをキッカケに次々と、部員たちが外へ出て行く</p><p>オレはあの子たちの着替えを見ていない</p><p>あの子たちは、オレの前で裸になったがオレは、全然気にしていない</p><p>オレにはメグという婚約者が居て性的に満足しているからだ</p><p>だから、メグの肉体だけに溺れている</p><p>そういう風に納得させないと</p><p>田中、オトコのチンコを横目で見ているんじゃないよっそれは、山峰のだからねっ</p><p>早く着替えろっ</p><p>むしろ女子部員の方が、オレたちを盗み見ているということを、キャプテンの叱責が明確化してくれる</p><p>きっと、後々この部員たちの間であの時、山峰の彼氏のチンチンを盗み見ていたんだよねという、笑い話で語られることになるだろう</p><p>でも、オレが彼女らの裸を見ていたという話はされないはずだ</p><p>そういう印象だけが残るように</p><p>オレは、メグだけを見る</p><p>メグは、オレと抱き合いながらオレの身体を洗ってくれる</p><p>そんなことをしているうちに</p><p>失礼します部室に戻ります</p><p>最後の部員も女子シャワー室から出て行った</p><p>残っているのはオレとメグとキャプテンの３人だけだ</p><p>もういいよお湯を止めな</p><p>竹柴キャプテンも、もう制服を着ている</p><p>メグが、シャワーを止める</p><p>ヨシくん先使って</p><p>メグは、自分のバスタオルを取り出す</p><p>オレは運動部員でないし今日、ここでシャワーを浴びる予定なんか無かったから</p><p>自分用のバスタオルなんて、持って来ていない</p><p>ああ、山峰あたしんで良かったら、使いな</p><p>キャプテンが、スポーツバッグからバスタオルを取り出して、メグに差し出した</p><p>あたしもさっきシャワーを浴びてそん時、拭いたから少し湿ってるけれど気にならないから</p><p>メグは、タオルを借りる</p><p>ほら、急いでとにかく、服を着てくれそうでないと、落ち着いて話ができないよ</p><p>キャプテンの言葉に、オレたちは慌てて身体を拭く</p><p>えっと脱いだパンツは</p><p>それ、そのままで平気なのかい</p><p>キャプテンが、勃起したままのオレのペニスを指して言った</p><p>オトコのそれって１回デカくなったら、出さないと小さくならないんじゃないのかい</p><p>うん、あたしもそう思ってた違うのヨシくん</p><p>女子陸上部の耳年増世界の常識では、そうなっているのか</p><p>あたしが、お口でしょうかヨシくん</p><p>いや、メグの申し出は嬉しいが</p><p>今夜は、この後まだまだセックスしないといけないことになっている</p><p>瑠璃子の初体験が控えているし</p><p>マナとも、するって約束した</p><p>渚とも昨日していないから、したいし</p><p>克子姉や寧が、したがるかもしれない</p><p>大丈夫だよ頭を冷やせばそのうち、治まるから</p><p>オレは、パンツを穿いた</p><p>そうですよそうでないと授業中に勃起しちゃった時とか、どうしようもないじゃないですか</p><p>オレは、キャプテンに答えた</p><p>授業中に勃起するのか</p><p>驚くキャプテン</p><p>しますよオトコは、何かの拍子についつい勃っちゃうことがあるんですから</p><p>え何で授業中は、授業に集中するものだろ</p><p>竹柴キャプテンにオトコの生理を理解して貰うのは、難しいかもしれない</p><p>何か、自分でもよく判らないんですけれど突発的に勃起することとかもあるんですよちょっと、疲れている時とかあの、別に、性的な刺激物が近くになくても</p><p>実際には同じ教室の中にいる女生徒が、充分刺激的だけれど</p><p>窓の外で体育をやっている姿なんて見たら</p><p>ああ、判る疲れている時に、悶々とすることはあるものな</p><p>た、竹柴キャプテン</p><p>とにかくオレのチンコは、ご心配いただかなくても平気ですから</p><p>オレは、急いでズボンを穿く</p><p>メグも、下着を付け終わりスカートを履いている</p><p>あの竹柴キャプテン、色々とありがとうございました</p><p>オレは、まず頭を下げて、お礼を言う</p><p>竹柴さんが来てくれなかったらこんなに上手くは解決しなかったと思います</p><p>キャプテンはジッとオレを見て</p><p>何で、こうなる前にあたしに相談しなかった</p><p>中谷たちが山峰を脅したんだろその段階で、あたしに相談してくれたらこんなメンドくさいことをする必要は無かったんだよ</p><p>それはあのその場合は、今日は何とかなると思いますがメグに対して、中谷センパイたちは、ずっとプレッシャーを掛けてくるでしょうしそれなら、いっそのこと</p><p>ずっとプレッシャーを掛けてくるのは、当たり前だろそんなことぐらい、あんたたちはとっくに覚悟していたんじゃないのかい</p><p>キャプテンは、オレを睨んだ</p><p>ハナっから、他の部員たちから突出した存在なんだよあんたたちは高校に入ったばかりなのに婚約しちまったんだからね陰口を言われたり何かと、メンドウを押しつけられたりするのは、仕方無いことだと割り切るべきだったんじゃないか</p><p>そ、そうですねいえ、その通りだと思います</p><p>キャプテンヨシくんは、中谷センパイたちがあの人たちは、長距離の人たちなんであたしは、短距離ですしあたしのことで、陸上部の中がゴタゴタするのは、いけないって考えてくれたんです</p><p>そういうのは、お前らが考えることじゃない部をまとめる、あたしの考えることだ</p><p>竹柴キャプテンの言葉は正しい</p><p>部の中がゴタつくんなら、あたしが力尽くで解決するよ</p><p>キャプテンが、オレを見る</p><p>もちろん、今回の件は下級生にメチャクチャなことを要求した中谷たちが悪いだが、お前らはまず最初に、あたしに相談するべきだったんだ違うかい</p><p>いえキャプテンのおっしゃる通りだと思います済みません</p><p>間違っていた</p><p>どうしてオレこんな過激な方法を選択してしまったんだろう</p><p>ちょっとさどういう考えで、こうしたのか説明しな</p><p>は、はいあの、オレとしてはあの人たちが、オレたちのセックスがどうしても見たいっていうのなら、見せてやろうとその代わり、思いっきり濃厚なセックスをしてあの人たちが、腰を抜かすぐらいのセックスをしようってそしたら、あの人たちビビッてしまって、何も言えなくなるだろうしそうなったところに、キャプテンが来て下さればそれで、口止めもできるかなって</p><p>キャプテンは</p><p>どうして、そういう思考になるのかあたしには、全然判らないね確かに、あんたたちのエッチは、エロエロだったけれど</p><p>あれキャプテン</p><p>もしかして、割りと早くからオレたちのセックスを見ていた</p><p>まあこの間、校内で変な事件があったばかりだからあんたたちが、そんな発想をしたりするんだろうけれど</p><p>変な事件て</p><p>雪乃のレイプ生放送か</p><p>まあ、中谷たちもそれで、気持ちが浮わっついているんだろうしねだけど</p><p>ギッとオレの眼を見る</p><p>お前ら、何があった</p><p>キャプテンが、オレたちに尋ねる</p><p>色々あって山峰が、練習を休んだことも判っているけれどこの数日の休みの間に、お前ら何があったんだ</p><p>休み前のお前は勇気と根性はあったけれど、普通の一年の男子だった今日のお前とは、違うぞ</p><p>オレ違っている</p><p>腹の括り方が尋常じゃない上級生に、自分の彼女がイジメられたからって、ここまでやるか山峰も</p><p>キャプテンの眼が、メグを見る</p><p>自分の男に提案されたことを躊躇わずに、やっている幾ら、婚約しているからってここまで男のことを信頼できるものなのか</p><p>お前ら何か、ヤバイことに巻き込まれていないかそれで、何とかしなくちゃって、いつも感じているんじゃないのかだから、することが過激だしそれでいて、迷いが無い</p><p>中谷さんのことなんてただの日常のことで</p><p>セックスを見せろなんて、言われてもメグが笑って誤魔化せば、それで済むことで</p><p>その結果、嫌がらせを受けたとしても耐えられないことじゃなんったんだ</p><p>そういう普通の、女子高校生の世界のことに</p><p>オレは、白坂本家や、シザーリオ・ヴァイオラと闘う時の発想で対処してしまった</p><p>つまり黒森の人間としての考え方で</p><p>だから、こんな</p><p>歪で異常で過激なことをしてしまった</p><p>あたしだって、テレビくらいは観るから山峰の親戚の家、白坂だっけそれが、今、とんでもないことになっていることは知っているこの間の事件だって襲われた女は、その白坂の家の娘だよねまあ、あの娘は、襲われて喜んでいたみたいだったけれどお前らも、何か大変なことに巻き込まれているんじゃないか</p><p>ああ、オレ</p><p>ずっと脳みその中が戦闘態勢のまんまなんだ</p><p>あたしで良かったら、相談に乗るぞあたしのお父さんは、弁護士だ警察の知り合いもいる何でも、話してくれていいんだぞ</p><p>話すわけには、いかない</p><p>話しても理解しては、貰えないだろう</p><p>黒い森の娼館や白坂創介という男の悪行</p><p>香月家という名家の闇</p><p>そして、シザーリオ・ヴァイオラという犯罪者</p><p>そのヴァイオラをオレが射殺したということ</p><p>常識外れだ</p><p>普通の高校生である竹柴キャプテンに、理解して貰える話では無い</p><p>今回のことを見る限りあんたの発想力や、行動力思い切りの良さも、状況を判断する力も、凄いことになっていると思うよでも、異常だこんなの高校に入ったばかりの新入生が、することじゃない</p><p>それでもお前一人だけの行動なら、お前個人が突出して異常だということだけで理解できるでもそんなお前に、山峰が何の迷いもなく行動を共にしている</p><p>メグをキャプテンは見る</p><p>こいつのことは、部活の様子で何となく判っている頭がいいし、根性もあるが気が弱いし、なかなか一歩前に出ることに躊躇する性格だそういう基本的な性格が、この数日で覆るはずがない</p><p>キャプテンはメグの性格を、良く理解してくれている</p><p>お前と山峰２人揃って、こんな過激なことをしでかすって言うのはお前たちが、今現在、何かヤバイことに直面しているからだって、あたしは感じるんだよ</p><p>この人凄いな</p><p>キャプテンが、ご推察されていることは正しいと思いますですが</p><p>あたしには、言えないのかい</p><p>キャプテンは、不満げにオレを睨む</p><p>山峰は、どうなんだい</p><p>あたしは、ヨシくんに従うだけです</p><p>メグは、即答した</p><p>ふん何でも旦那の良いなりだと、思考停止になっちまうよ</p><p>竹柴キャプテンは、何かしら納得のできる解答が無い限り</p><p>オレたちを解放してくれないと思う</p><p>女子シャワー室の入り口の戸が開く</p><p>はい、ごめんよおっ失っ礼～っ</p><p>ニコニコと笑った制服姿の寧が、入って来る</p><p>誰だいあんた</p><p>ギロッと睨むキャプテンに寧は</p><p>なあに酷いなあ忘れちゃったの１年の時に、同じクラスだったじゃんっ今は、あたしは学年下になっちゃったけれど</p><p>キャプテンは、ハッとする</p><p>あんた、奈島か</p><p>そういうことっ</p><p>だって金髪だったろ、お前</p><p>寧は、黒髪をぶるんと振って</p><p>更正したんだよっヨッちゃんのお陰でさっ</p><p>寧は、オレとメグの間に飛び込んで来る</p><p>あんたたちどういう関係なんだ</p><p>関係んーあたしは、ヨッちゃんと恵美の姉貴分になったのつーか、お姉さんそのものだねヨッちゃんは、あたしの弟で、恵美は妹一生変わらない契りを交わしたんだよっ</p><p>寧はニッと笑う</p><p>それじゃあ、全然判らないね</p><p>竹柴キャプテンは、寧を睨む</p><p>うん、判らなくていいよ竹柴さんに知っていて欲しいのはこの子たちが、二人っきりじゃないってことこの子たちには、あたしみたいな子供だけじゃなくたくさんの大人がちゃんと付いているから</p><p>だからあたしが心配するのは、筋違いだって言いたいわけ</p><p>そうじゃないって心配してくれるのは有り難いけれど、これ以上は踏み込んで欲しくないだけ</p><p>あたしは、山峰の部活の部長だよ</p><p>クククと、寧は笑う</p><p>ごめんそういうレベルじゃないんだあたしたちが、今、直面していることは本当に人が死んでいる様なことだから</p><p>山峰たちを巻き込んだのかい</p><p>メグがすっと、キャプテンを見る</p><p>いいえ、これはあたしが、生まれた時からずっと続いていることですから</p><p>あたしの母は殺されていますあたしは母が男に無理矢理に犯されてその結果産まれた娘です</p><p>お、お前</p><p>キャプテンは戸惑う</p><p>済みませんあたしのことしかお話できませんが色々なことが、今のあたしたちの周りには起きています</p><p>あたしもさっ両親と弟を殺されているんだっもっとも、ヨッちゃんが仇を取ってくれたけれどっ</p><p>寧もキャプテンに告げる</p><p>仇を取った</p><p>オレはピストルの感触を思い出す</p><p>気持ちの悪い思い出</p><p>ジッと、自分の手を見る</p><p>詳しくはお話しできません</p><p>人間を撃ち殺した記憶なんて</p><p>まあ、色々と納得できないことばかりだと思うけれど今日は、ここまでにしてくれないかなっ部室で、みんなを待たしているんでしょ</p><p>日を改めたら真実を話してくれるってこと</p><p>キャプテンは、寧を睨む</p><p>その前に真実を聞くべきかどうか、竹柴さん自身がゆっくり考えるべきだと思うよっ</p><p>判るでしょあたしたち本当にヤバイんだからさっ</p><p>寧は髪を掻き上げる</p><p>耳にイヤホンをしていた</p><p>そのイヤホンを外し竹柴キャプテンに差し出す</p><p>ほーら、竹柴さんの帰りがあんまり遅いからみんな、ブーブー言ってるよ</p><p>イヤホンを耳に差してギョッとする、キャプテン</p><p>そう、盗聴器が仕掛けてあるの女子陸上部の部室にねっ</p><p>もちろん、この部屋にもだから、あたしはタイミング良く入って来たんだよっ</p><p>寧を寄越してきたのはミナホ姉さんか</p><p>何なんだ、お前</p><p>そんなことよりほら、さっきの中谷さんが、竹柴さんの批判をしているよっまあ、しょうがないよねっさっきここに居た子らは、ほとんどみんな長距離の子で中谷さんの派閥だもんねっ</p><p>だから喉元過ぎればで</p><p>竹柴キャプテンの不在を良いことに批判を始めたのか</p><p>チッ、あたしが山峰たちと組んで、あの子らの裸の写真をバラ撒くかもしれないとか言ってるよ</p><p>わざと、キャプテンの悪口を言ってみんなが心配になるようなことを言っているのか</p><p>キャプテンは、席を立つ</p><p>ダメダメ、竹柴さんそんな怖い顔して突撃したら、中谷さんの思うツボだっての</p><p>姉さん何か、考えがあるんだね</p><p>と、寧は</p><p>当ったりぃぃヨッちゃん、冴えてるぅぅっ</p><p>そう言って自分のバッグを開ける</p><p>恵美こっち来てっ</p><p>あたしの前に座ってうんっ</p><p>寧の前にメグは座る</p><p>５分ちょうだい５分で何とかするから</p><p>寧は次々に、化粧道具を取り出す</p><p>何するつもり</p><p>竹柴キャプテンは、寧に尋ねる</p><p>それは、できてのお楽しみぃぃ</p><p>寧は、パフにファンデーションを塗る</p><p>ずっと思ってたんだよ恵美は、ちゃんとお化粧を覚えたら、トンデモない美人さんになるってねっ</p><p>だからさ、キャプテンが戻ってきたらみんなで抗議するわよっ</p><p>自分の写真が、変なことに使われてもいいわけ</p><p>いや、だってキャプテンが約束してくれたじゃないですか</p><p>あんな人、信用できないわよっ今、多分あの男から、自分の写真だけ消去させてるんじゃないのだから、１人だけ残ったのよズルいんだからあの人は、そういう子なんだから</p><p>中谷さん、言いたい放題だ</p><p>それならいっそのこと、顧問の先生に報告しますか</p><p>あたし嫌よみんなと裸の写真を撮ったことを、先生に知られるなんて</p><p>そうですよそれはマズイですって</p><p>だからさキャプテンが帰ってきたら、みんなで抗議してあたしたちの写真を、あたしたちの見ている前で消去して貰うのよ写真を撮ったカメラは、キャプテンが持っているんだからそれでいいでしょ</p><p>中谷さんは、そう言う</p><p>でもあたしたちの写真は、キャプテンが持っていてもキャプテンの写真は、山峰の彼氏が持っているんですよキャプテンが、写真を全部消したってバレたらキャプテンの写真だけ、バラ撒かれるかもしれないじゃないですか</p><p>いいじゃないそういうリスクを選んだのは竹柴さんなんだし</p><p>それは、あんまりですよキャプテン、あたしたちのために自分も脱いで、写真を撮られてくれたのに</p><p>そうかしら元々、露出嗜好があったんじゃないの竹柴さん男に見られたくて、脱いだのかもよ</p><p>本当に言いたい放題だな</p><p>というかさ、今は他人の心配じゃなくって自分の心配でしょ何としても、自分の写真を消去して貰うべきよっ</p><p>うん、あたしも中谷さんの意見に賛成だなあキャプテンが帰ってきたら、写真を消して貰おうよ</p><p>山峰の彼の方は、どうするのよ</p><p>あんな子さみんなで脅かせば、何とかなるよ山峰のこと、徹底的にイジメるぞとか言えばさ</p><p>そうだよキャプテンの対応が甘いんだよ元々、５分５分の取引をいるような相手じゃないんだから下級生だよ</p><p>ああ少しずつ、中谷さんの意見に引きずられているな</p><p>よし行こうかっ</p><p>寧がオレたちに言う</p><p>オレは、寧にイヤホンを返し</p><p>はいメグ行くぞ</p><p>うん、ヨシくん</p><p>メグは、ちょっと緊張している</p><p>ほら、笑って笑わないと、くすぐるぞ</p><p>まず、オレたち２人が女子陸上部の部室に突入する</p><p>山峰です遅くなりましたっ</p><p>ガラガラガラッとアルミの戸を開く</p><p>中にはさっきの１５人しかいない</p><p>他の部員は、もう帰った後だ</p><p>女子シャワー室から戻って来た段階で自分たちだけで協議できるように、中谷さんが帰らせたんだろう</p><p>三年生で、長距離派のボスだそれぐらいの力はある</p><p>１５人の部員たちも自分の意見に従うように、すでにまとめている</p><p>女子部員たちはみんな、メグの顔を見たまま</p><p>あの変ですかあたし</p><p>ど、どうしちゃったのよっ恵美ちゃん</p><p>１年の女子が、メグに尋ねる</p><p>えお化粧しているの</p><p>あのううん</p><p>メグは寧に言われた通りに、答える</p><p>していないわよ竹柴キャプテンが、見ている前だもん</p><p>そうだよねえ竹柴キャプテンが居るのに下級生が、メイクできるわけないもんね</p><p>寧のメイクはナチュラル・メイクというやつで、はっきりと化粧したとは判らないようになっているらしい</p><p>しかしメグの容貌は、格段に綺麗になっている</p><p>誰が見ても気付くぐらい</p><p>でも山峰さん、本当に綺麗になっちゃってるわよ一体、どうちしゃったの</p><p>もう、みんな中谷さんの抗議の提案なんか、すっかり忘れている</p><p>そ、それはねた、多分ヨシくんと、エッチしたからだと思うわ</p><p>言われた通りにメグは答える</p><p>え、エッチ</p><p>ほらエッチすると、綺麗になるって言うでしょ昔から</p><p>がんばれ、メグ</p><p>ああ、言うねえ</p><p>あたしも聞いたことがある</p><p>あれ、本当だったんだ</p><p>食い付いてくる女子高生たち</p><p>うんあたしもね、会心のエッチをした後は、身体も心もスッキリするのだから顔もスッキリして見えるんじゃないかなぁ</p><p>会心のエッチ</p><p>そうよとっても、愛して貰って気持ち良くなった時だけよ</p><p>そっか山峰、さっきすっごく気持ち良さそうだったもんねえ</p><p>うんエッチって、そんなに気持ちいい</p><p>気持ちいいわよ好きな人とするんだもんどうでもいい人だったらこんなに気持ち良くはならないと思うわ</p><p>それでね本当に、この人の赤ちゃんが産みたいって思えてくるのそういう時に、お腹の中に射精されるとすっごく幸せ女の子で、良かったなって思うの</p><p>メグはオレに、身を寄せる</p><p>愛しているわ、ヨシくん</p><p>オレもだよ、メグ</p><p>オレたちは、キスを交わす</p><p>わー、本当にラブラブなんだ</p><p>あたしも、恋をして綺麗になりたい</p><p>エッチしないといけないのよ</p><p>うーむ、それは問題だなぁ</p><p>よし場の雰囲気は、こっちが掴んだ</p><p>あ、竹柴さんはそこで、生徒会長と出会ったんで、ちょっと話をしていますもう少し、待ってて下さいって言ってました</p><p>そう言いながらオレはデジカメを取り出す</p><p>あー、そのカメラっ</p><p>中谷さんが食い付く</p><p>何で、あんたが持っているのよっ</p><p>それはこれは、元々、オレのカメラですし部室までは持っててくれって、竹柴さんに言われたんで</p><p>か、貸しなさいよっあたしの写真、消去するから</p><p>グワッと中谷センパイが、オレに手を伸ばすッ</p><p>ぬっふっふ写真て、何の話っ</p><p>寧が部室の外に、現れる</p><p>ちょっと聞きたいなあ、今の話そのカメラに、何が映っているのっ</p><p>裸を撮られた女子部員たちは、みんなビクッと震える</p><p>あんた何なのよっここは、女子陸上部の部室よ部外者は、覗き込まないで</p><p>中谷さんは、そう言うが</p><p>何さ女子部なのに、男の子がいるじゃないっ</p><p>そうだオレがいる</p><p>何なのよあなた</p><p>そういう中谷さんに寧は</p><p>あらあら、何だかなあ髪の毛を黒くしただけで、みんな、あたしが誰だか判らなくなるのっ</p><p>もしかして、あんた</p><p>寧はニコッと笑う</p><p>中谷さんともクラスメイトだった時があるよねっ１度目の２年生の時</p><p>あんた奈島</p><p>寧は低い声で言う</p><p>奈島じゃないっしょっ奈島さんでしょ</p><p>奈島寧は現在、この学校最凶の不良として知られている</p><p>あんまり舐めた口きくとブッ殺すよっ</p><p>中谷センパイに寧は、ニイッと微笑む</p><p>物語のインフレ化というか</p><p>ヴァイオラとか、香月家とかのストーリー展開をやってしまうと</p><p>学校での日常的なトラブルはどうしても、小さなものに見えてしまいます</p><p>その辺の感覚のズレを基に今回の女子陸上部の顛末を書いています</p><p>全然、関係無いですが霊王とかが出て来る状態で、チャドを活躍させるのは難しいんだろうな</p><p>こういう毎日更新で、長期で書いていると色んな作家先生のことを考えます</p><p>辻褄が合わなくなったり、設定が変更になったり</p><p>元から考えていた流れよりも、突発的に思い付いたことの勢いの方が面白いとか</p><p>411．ウーマン・イン・ザ・ミラー</p><p>で写真がどうとか言ってたけどさっそのデジカメが、どうかしたわけっ</p><p>寧が意地悪そうな笑みで、オレの手の中のカメラを見る</p><p>それは何でもないわよっあなたには、関係無いでしょ</p><p>中谷センパイが、そう言うが</p><p>あっそ何でもないなら、あたしに見せてよっ</p><p>すっかり、寧のペースに乗せられている</p><p>嫌よな、何であなたに見せないといけないのよっ</p><p>中谷さんは、拒絶するが</p><p>ふーん、そんなに嫌がるってことはつまり、あんたの写真なんだね</p><p>どんな写真もしかしてちょっと、エッチな写真とか</p><p>ニヒヒと笑う寧</p><p>だったら、助かるなあ今さ、丁度、知り合いから女子高生のエッチな写真が手に入らないかって言われているんだぁその人、1枚1万円で買ってくれるってさ</p><p>寧は暴力団相手に売春しているという設定になっている</p><p>実際は1年生の時の岩倉会長がそうだったんだけれど</p><p>岩倉会長がしでかした数々の不良行為と悪い噂を寧は、引き継いでいる</p><p>何枚あるの２０万ぐらいになると助かるなああ、もちろん中谷さんにも、１枚３００円ぐらいキャッシュ・バックするから</p><p>それはワイセツ写真販売の共犯になれということだ</p><p>もちろん写真を売った相手の人は、中谷さんの写真をマニアの人たちに売りまくると思うから中谷さん、女子高生マニアの間で人気者になると思うよ街を歩いていたら声を掛けられるかもしれないねっぐっしっしっ</p><p>とにかく見せてよっ下着姿より、ヌードの方がいいなあ上も下も丸出しだったら、１万円以上で売れるしあ、もちろん中谷さんの学校名と住所と名前と電話番号も足しておくね何なら、売春希望って書いて置いてあげようか</p><p>エッチな写真だけじゃないんだっ今ね、女子高生売春婦も募集中なんだよっ大丈夫、大丈夫あたしの知り合いは、みんなホンモノのプロだから中谷さんだって、すぐにベテランの売春婦にしてくれるよ</p><p>女子部員たちが息を呑む</p><p>一週間で、４０人ぐらいお客を取ればセックスも上手くなるし、お金も稼げるよ１回５万で、中谷さんの取り分が２万ねあたしは仲介だけだから、１万でいいやだけど、ノルマとして週に１０万はあたしに払ってねいいでしょっ</p><p>つまり最低でも、週に１０人を相手に売春しないといけない</p><p>お客はちゃんとプロの人たちが、斡旋してくれるからあ、研修としてその人たち全員とエッチしないとダメよそれがルールだから７人ぐらいかな一晩で済むよみんな、女の子一人を寄ってたかって乱暴するのが大好きだから輪姦てやつ最初はキツイけれど、３人目ぐらいから気持ち良くなるからまあ、７人全部終わった時は、アソコがガバガバになっているし、お腹の中は精液だらけでタップタプになってるけどねっ</p><p>寧の言葉に</p><p>や、やめてよっ</p><p>中谷さんは、恐怖に震え上がる</p><p>大丈夫だって輪姦だと、妊娠する確率は下がるんだってさ色んな男の人の精液が混ざると、精子同士が殺し合いをするんだって前にテレビのトリビアでやっていたよっ</p><p>そんなわけがない</p><p>つーことだからさっまずは、中谷さんのエッチな写真、あたしに見せてよっ</p><p>寧は、無邪気な笑顔で微笑む</p><p>い、嫌よそんなのできない絶対に嫌ぁっ</p><p>中谷さんは、泣き喚く</p><p>あー、やっぱりエッチな写真なんだぁホントにあるんだねそれも、多分、裸の写真なんでしょうふふっ中谷さん、自分からどんどん白状してくれるから、とっても助かるなあ</p><p>そして寧は、オレを見る</p><p>ねっそこの１年男子、さっさとあたしにカメラを渡してっ渡さないとあんたのことも潰すよっ</p><p>中谷さんと女子陸上部女子たちは、おろおろしている</p><p>今はまだ中谷さんの話だけになっているが</p><p>もし、寧がカメラの中の画像を見れば自分たちの身も危ない</p><p>寧に、答えた</p><p>あんあんた、あたしが誰だか判ってんのっ</p><p>寧がオレを睨む</p><p>うーん、怖い顔をしていてもやっぱり、寧は可愛いなあ</p><p>センパイ綺麗ですね</p><p>オレは、思わず本心を言う</p><p>すっごい美人さんですね見とれちゃいますよ、オレ</p><p>寧は顔を赤らめて</p><p>そ、そうあ、ありがと</p><p>あのこのカメラの中の写真は、申し訳ないんですけれど、センパイには見せられません</p><p>それは、そのこれは、センパイが思っていらっしゃるような内容の写真じゃないんです</p><p>確かに、この中には高校生の裸の写真が入っていますけれど</p><p>中谷センパイや女子部員たちがゲッという顔で、オレに注目する</p><p>だったら、見せなさいよっあたしに早くっ</p><p>寧が、オレに手を差し出す</p><p>オレの裸の写真ですけれどそれでも見たいですか</p><p>だから全部、オレの裸の写真ですけれど</p><p>嘘でしょ</p><p>嘘ではない</p><p>どの写真にも必ず、全裸のオレが映っている</p><p>メグと全裸の女子部員たちと一緒だけれど</p><p>ホントです全部、ヨシくんの写真です</p><p>メグが、寧に答える</p><p>そうですよねセンパイ</p><p>部の上級生たちにメグは、話を振る</p><p>あうん本当だよ</p><p>マジでその男の裸の写真だから</p><p>そうそうそうだった</p><p>慌てて上級生たちは、メグの言葉に追随する</p><p>ということですオレの裸の写真１万で売れますか男の高校生売春夫も、募集したりしています</p><p>オレの言葉に寧は</p><p>今は、募集してないよあたしの知り合いはホモ相手のビジネスはやってないから</p><p>そうですかじゃあ、しょうがないですよね</p><p>それで、はい、そうですかって、あたしが引き下がるって思うわけっ</p><p>再び空気が、張り詰める</p><p>でも今日のところは、大人しく引き下がってあげるわっ</p><p>気に入ったわよっあんたの勇気と度胸にねっあんた、名前はっ</p><p>一年の吉田です</p><p>なんだ、この茶番芝居は</p><p>吉田じゃあ、これからはヨッちゃんって呼ぶからっ</p><p>ええっと今、残っている女子部員に、うちのクラスの子がいなくて良かった</p><p>寧は、前にオレたちのクラスに怒鳴り込みに来ているから</p><p>オレのクラスメイトは全員オレと寧との間に、繋がりがあることを知っている</p><p>幸いここには一人もいない</p><p>まあ、うちのクラスの子なら、中谷センパイのメグに対する強要に参加するはずがないよな</p><p>メグはクラスの女子たちと、仲が良いから</p><p>ヨッちゃんあんた、あたしの男になりなっ</p><p>寧が悪ふざけで暴走する</p><p>いいよねっあたしのこのナイスバディな身体を、好きなだけ蹂躙させてあげるからっ</p><p>と、メグがオレの前に出て</p><p>済みません、センパイヨシくんは、あたしとお付き合いしているんですっ</p><p>えー、あんたより、あたしの方が良い女じゃん</p><p>あのお付き合いというか、あたしたち婚約しているんですっ</p><p>じゃあ、あたしもヨッちゃんと婚約してあげるっそんならいいでしょっ</p><p>あのその話は、また今度にしていただけませんか</p><p>オレはとりあえず、そう言ってみた</p><p>判ったわよっそこのあんた、名前は</p><p>や、山峰恵美です</p><p>オッケイ、恵美これから、ヨッちゃんを巡って、あたしと勝負だからねっ</p><p>ええっと寧の茶番劇は続く</p><p>とにかく今回は、ヨッちゃんに免じて見逃してあげるわっラッキーだったわね、中谷さんっ</p><p>寧は中谷さんに、微笑む</p><p>女子部員たちも、全員ホッと息を吐く</p><p>つーことだからヨッちゃん、恵美、またねっ他のみなさんもバイバーイスクランブル・ダーッシュ</p><p>そして寧は、嵐のように立ち去って行った</p><p>はぁ助かったわ</p><p>恵美の彼機転が聞くね</p><p>つーか、いい度胸してるよ本当に</p><p>うん奈島は、クレイジーだから</p><p>不良を越えた不良だもんね</p><p>寧何か、メチャクチャ言われてるぞ</p><p>とにかく助かったわ</p><p>うん、カメラ渡さないでくれて、ありがとう</p><p>女子部員たちは、口々に礼を言ってくれた</p><p>中谷センパイ以外は</p><p>しょうがないなあ</p><p>中谷センパイ、ちょっといいですか</p><p>オレは中谷センパイに声を掛ける</p><p>な、何よっ</p><p>中谷センパイは、すでに不機嫌だ</p><p>あのはっきり言いますけれど、今後、オレのメグにおかしな真似はしないって、約束して下さい</p><p>はあな、何であたしが、下級生なんかに約束しないといけないのよ</p><p>中谷センパイは、対決姿勢だが寧から受けた、心理的ダメージが残っている</p><p>トドメを刺すのなら、今だ</p><p>約束してくれないのならオレ、奈島センパイに、中谷センパイのこと話しますよ</p><p>ギョッとする中谷さん</p><p>つーか話だけで済んだら、ラッキーですよね</p><p>オレは、手に持ったカメラを示す</p><p>あんたあたしを脅す気</p><p>中谷センパイは、オレを睨むが</p><p>オレとメグだって自分の身は、守らないといけないですからね</p><p>オレも、勝負に出る</p><p>オレは、メグにクラブ活動を楽んで欲しいんですよ中谷センパイにいつ嫌がらせされるかって、始終ビクビクし続けなきゃいけないってのは、可哀想でしょ一応言ってきますけれどオレ、約束は守りますからね相手が、約束を破らない限りは</p><p>ジッと、中谷センパイの眼を見る</p><p>中谷さん、約束してあげなよこの子、筋は通す子だよ</p><p>うん、さっきの奈島さんとのやり取りを見てたでしょ</p><p>信じられる子だよ</p><p>三年のセンパイたちが中谷さんに言う</p><p>ていうか裏切ったら、かなり怖い子だと思う</p><p>うん山峰と、あんなエッチしてる子だからね</p><p>奈島も一目置いていたし</p><p>中谷センパイは</p><p>わ、判ったわよ山峰には、もうチョッカイ出さないわよ</p><p>山峰山峰さんだろっ</p><p>寧の言葉を借りてダメ押しをする</p><p>や山峰さんには、もう手を出さないわや、約束します</p><p>よし心を折った</p><p>そこへ竹柴キャプテンが、戻って来る</p><p>遅くなって悪かったね途中で、生徒会長に呼び止められちゃったから</p><p>平然とキャプテンは、そう言った</p><p>実際には、寧から借りた盗聴器の音声を部室のすぐ近くで、ずっと聞いていたのだろう</p><p>竹柴キャプテン今、中谷センパイから提案があったんですけれど</p><p>中谷さん自分の裸の写真をオレに預けるから、他の部員の写真は消去して欲しいって言うんですよ</p><p>えという顔の中谷センパイ</p><p>あ、そう中谷がいいんなら、それでいいんじゃないもちろん、あたしの写真はあんたに預けたままにしておくよ</p><p>キャプテンは、そう答えた</p><p>じゃあ中谷さんの写真以外は、全部、消去しますね</p><p>わっ と、中谷センパイ以外の上級生たちが喜ぶ</p><p>ここまでの流れで中谷さん以外の部員たちは、オレたちを裏切ることはないと確信できた</p><p>むしろオレに対して、畏敬の念を持っている</p><p>ここで彼女たちの裸の写真を消す方が良いだろう</p><p>待ちなよ</p><p>デジカメのスイッチを入れるオレを竹柴キャプテンが止める</p><p>消しちゃう前に一度、みんなで見ないかい</p><p>キャプテンは、ニッと微笑む</p><p>みんなもさ、見てみたいだろ自分の裸の写真とかさ</p><p>陸上部の部室の奥にあった中古のテレビ・モニターを引っ張り出す</p><p>デジカメと繋ぐケーブルも出て来た</p><p>これは、部員のフォームとかを確認するのに使っていたから</p><p>キャプテンは、そう言った</p><p>カメラ、貸しなあたしが操作するよ</p><p>オレは、キャプテンにカメラを手渡す</p><p>１枚目は中谷だよね</p><p>モニターに、オレとメグと中谷センパイの裸体が映る</p><p>なあに、これ中谷、顔真っ赤</p><p>キャプテンは、笑う</p><p>他の部員たちも</p><p>えっとこの写真は、キープで</p><p>中谷センパイが、あああと手を伸ばすがキャプテンは無視する</p><p>さて、次は三国だねなあに、また顔が真っ赤だよ</p><p>あ、あたしだ</p><p>ふーん、こうして裸にして見ると三国、腹筋がまだまだだね</p><p>まあ、いいや消去するよ</p><p>三国さんの写真がデータ消去される</p><p>次田島うん、あんた良い身体してるじゃん</p><p>えあたし、胸が全然無いじゃないですか</p><p>バーカ陸上選手として良い身体だって言ってんだよ</p><p>竹柴キャプテンは笑う</p><p>長距離やってる女らしい良い身体じゃないか</p><p>うーん、そうだよね</p><p>田島さん、鍛えてますもんねここんとこ、タイムも良くなってますし</p><p>これ、意外と使えるね裸を写真で見るって、鏡で見るよりも客観的になれるし全員毎月、撮影することにしようか</p><p>あの男子が見ないんなら、構わないですけれど</p><p>上級生の一人が、オレを見る</p><p>えー、そいつならいいんじゃない山峰とのエッチに満足しているから全然、ガッついてないし</p><p>そう言えばあたしたちの身体も、エッチな眼で見てないですよね</p><p>あんたの身体は、魅力的じゃないからじゃないの</p><p>部屋の中に笑いが起きる</p><p>次々と裸の写真を再生し、みんなで好きなことを言う笑い合う</p><p>そして、写真を消去し次の写真に</p><p>最後に、５人の１年生とオレたちの写真が再生される</p><p>ほら、１年たち上級生たちの身体と見比べて判るだろ自分たちが、まだまだ鍛えられてないってことが</p><p>竹柴キャプテンは、そう言った</p><p>でも、その分初々しいヌードですよねえ</p><p>上級生の一人が、笑う</p><p>さてじゃあ、これも消去するよ</p><p>キャプテンが、そう言うと</p><p>１年の女子が引き止める</p><p>ねえいいよね</p><p>うんあたしも、そう思っていた</p><p>あたしたちも、それでいいと思う</p><p>１年生同士でこそこそと話し合う</p><p>キャプテンその写真は、恵美ちゃんの彼に預けます</p><p>ええ中谷センパイの写真だけ預けるのは、悪いですし</p><p>あたしたち、山峰さんの同学年ですから</p><p>助けてあげなかったの悪かったと思いますし</p><p>山峰さんと彼を信じます</p><p>キャプテンは、ニコッと微笑み</p><p>そうかい、じゃあこれもキープだね</p><p>そして本当のオーラスは</p><p>オレが撮ったから、オレが映っていない</p><p>総勢１７人の女子陸上部員たちのヌード集合写真だ</p><p>なら、キャプテンこれも残しておきましょうよ</p><p>三国という３年生が言った</p><p>この写真は女の子だけだから、悪ふざけで撮ったって言えますし</p><p>うん、オレが入っている写真は乱交している様にしか見えないが</p><p>女の子だけのこの写真は、みんな笑っているし</p><p>あ、中谷さんだけ笑っていないけれど</p><p>集合写真だから、一人一人の姿も小さくしか撮られていない</p><p>みんなは、どう思う</p><p>キャプテンは、部員たちに尋ねる</p><p>残すで良いと思います</p><p>うん、あたしも中谷センパイと１年の写真だけ残るのは、悪いし</p><p>いいよ、山峰の彼に預けちゃう</p><p>あ、あたしの裸でシコシコしてもいいからねっ</p><p>馬鹿、そんなの山峰が許さないだろっ</p><p>すっかり部員たちは、リラックスしていた</p><p>よしなら、キープだ</p><p>キャプテンは、デジカメとモニターを繋ぐケーブルを外す</p><p>ほらカメラを返すよみんな、あんたを信用して写真を預けるんだからね</p><p>はい、お預かりします</p><p>オレは、カメラを受け取った</p><p>それと山峰の携帯で撮った、あたしの写真も、もちろん持っててくれて構わない</p><p>キャプテンはそう言った</p><p>はぁ、何か面白かったね、みんなのヌード写真鑑賞会</p><p>自分のヌードとかこうやって撮っておくのもいいかも</p><p>つーか、あんた本当は、自分の身体なんて見ていなかったろ</p><p>えー、何のこと</p><p>ずっと山峰の彼氏のチンコばっかり見てたろあたし、判ってんだからね</p><p>だ、だってあんなに大きいんだもんっ</p><p>山峰あんなの突っ込まれて、痛くないの</p><p>上級生の問いに、メグは</p><p>最初は痛かったけれど今は、気持ちいいです</p><p>あ、やっぱそうなんだ</p><p>というか、痛い時も幸せでした好きな人のを受け入れるんですから</p><p>はあラブラブだもんね、あんたら</p><p>いいなああたし、このままずっと処女かもしんない</p><p>キャプテンうちの部、どうしても男女交際禁止ですか</p><p>悔しかったら、あんたたちも婚約してくれる男を見つけてきなよその男の子供を産む覚悟をして、セックスできる相手をね山峰の腹が据わっているのは、あんたたちも見ただろ</p><p>うん凄いよね１年なのにさ</p><p>その代わり山峰は、もう他の選択肢は無しだからね一生、この男と添い遂げるしかないんだから</p><p>あの済みませんオレみたいのが相手で</p><p>正直申し訳無いと思う</p><p>いや、山峰は見る眼があるよ当たりを引いたんだと、あたしは思うね</p><p>キャプテンは、そう言ってくれた</p><p>はい、じゃあ解散だよ</p><p>部室の外はすっかり暗くなっていた</p><p>また明日練習に、遅刻すんじゃないよっ</p><p>とオレとメグのところに、三国センパイが来る</p><p>あたし多分今晩、あんたたちのエッチを思い出して、オナニーしちゃうと思う</p><p>あたしもしちゃうと思います</p><p>こういう時は、どう返事をすればいいのか</p><p>とりあえずお礼を言ってみた</p><p>ぷぷぷっ何だよ、それっ</p><p>おっかしいのっ</p><p>女子部員たちは、笑い出す</p><p>何か、妙に打ち解けてくれたみたいだけれど</p><p>女子運動部のノリは、よく判らない</p><p>中谷はどうすんのあんたも、オナニーする</p><p>３年の別のセンパイが中谷さんに話を振った</p><p>中谷さんは</p><p>わ、判ったわよっするわよっあたしも、すればいいんでしょっもおっ</p><p>訳の判らないキレ方をした</p><p>ま、大丈夫だろう</p><p>この感じなら</p><p>よし、みんな帰るよっ</p><p>竹柴キャプテンは、自転車に跨がる</p><p>あ、竹柴さんオレたちはここで失礼します</p><p>うんと渚と麗華が、迎えに来るんだっけ</p><p>陸上部の人たちと一緒に、校外へ出るわけにはいかない</p><p>えー、どうしたの</p><p>一緒に帰ろうよ山峰も彼もさ</p><p>みんな、そう言ってくれるが</p><p>ふんそろそろ二人きりになりたいんだろ気を利かせてやんなよ</p><p>キャプテンが、そう言ってくれた</p><p>そっか、そうだね</p><p>んじゃあまたね、山峰</p><p>さよなら、恵美ちゃん彼も</p><p>あ、失礼します</p><p>部員たちと、オレたちは別れの挨拶を交わす</p><p>中谷さんもやって来た</p><p>さよなら山峰さん</p><p>中谷センパイはメグをさん付けで呼んでくれた</p><p>ところでその内、喋ってもらうよ色々と</p><p>竹柴キャプテンは小声でオレに、そう言った</p><p>女子陸上部の人たちと別れて</p><p>どうしようか取りあえず、校長室の地下へ向かうか</p><p>オレは、メグに言う</p><p>ヨシくん手</p><p>オレに手を差しのばす</p><p>手繋いで</p><p>オレたちの手と手が触れ合う</p><p>今日はありがとうごめんねあたし、いつも迷惑ばかり掛けて</p><p>いいんだよこんなの全然、迷惑じゃないし</p><p>メグのトラブルはオレが解決する</p><p>オレは、メグの夫なんだから</p><p>竹柴キャプテンにも言われたけれどさ</p><p>オレちょっと、感覚がおかしくなっていたと思うシザーリオ・ヴァイオラとか、香月家とか普通じゃ無いものの相手をしていてごく普通の、日常的な感覚がなくなっちゃってたと思うよ</p><p>そんでさメグも、そうなってるんだよ</p><p>メグが、驚く</p><p>うん、メグも黒い森の常識を基本とした世界で、ずっとオレとセックスしていたからセックスについて、普通じゃない感覚になっていたんだよだから中谷さんたちに、オレと毎日セックスしていることを話しちゃったんだと思う</p><p>普通の感覚なら</p><p>実際にセックスしていてもしていませんと誤魔化すはずだ</p><p>でも、メグはセックスが日常になっちゃっている生活をここんとこずっとしているから</p><p>正直にはい、毎日セックスしていますと答えてしまった</p><p>今までは、ずっとギリギリの世界でバタバタしていたからあんまり、そういうことを考えて来なかったけれどこれから、ちゃんと学校生活とお屋敷での生活を両立させていくなら感覚のズレを常に気にしていないといけないんだ</p><p>メグのところに行く前にミナホ姉さんに黒森の人間として、問題に対処しろって言われたんだよオレはそれをヴァイオラたちと闘った時みたいな戦闘モードで立ち向かえってことだと勘違いした</p><p>それで、本当に中谷さんたちにセックスを見せ付けるような過激なことをしてしまったんだあの人たちは普通の感覚を持った、普通の人たちなのに</p><p>オレは、反省する</p><p>つまりさミナホ姉さんの言った黒森の人間としてって言葉は、裏と表をきちんと使い分けろってことだったんだよそして、裏の連中には裏の連中向けの対応を表の人たちには、表の人に合った対応を、ちゃんとしろって</p><p>うんそうだね、ヨシくん</p><p>メグが、頷く</p><p>あたしも間違えちゃってたんだ</p><p>まったくダメだなオレ全然なってねえよ</p><p>結局竹柴キャプテンと寧に助けられた</p><p>二人のフォローが無ければ大変なことになっていたと思う</p><p>それが判ったんだから、それでいいんだよっ</p><p>暗がりから寧が現れる</p><p>先生はヨッちゃんたちに、それを判らせたくてこうしたんだからさっ</p><p>もし、竹柴さんが助けてくれなくてヨッちゃんたちを追い詰める様なら、先生が登場するシナリオになっていたのっ学校教師が介入すれば、何とかなるでしょ</p><p>だけど、竹柴さんがヨッちゃんたちに優しかったからでも、中谷さんを抑え付けるには、まだ足りないかなって感じだったからあたしが派遣されたんだよ</p><p>姉さんたちはいつも、オレを助けてくれる</p><p>でもヨッちゃんも、上手くやってたよ結果オーライでいいんじゃない</p><p>うんこういうのは、百点満点は出せないことなんだよそこそこのところで、満足しないとね</p><p>ありがとう、姉さん</p><p>オレは寧に言った</p><p>ミナホ姉さんもありがとう</p><p>オレたちを盗聴しているであろうミナホ姉さんにも</p><p>ヨッちゃんと恵美は普通の感覚を忘れないでねそうでないとせっかく学校に通わしてもらっていても、あたしみたいな存在になっちゃうから</p><p>寧が校内でアンタッチャブルな存在になったのは</p><p>白坂創介の手下の男性教師に、狙われたからだ</p><p>つまり裏の世界からの魔の手が、寧の表の世界を壊してしまった</p><p>大事にしなよ普通の友達とか、普通の学生生活とか本当に、貴重なものなんだからさ</p><p>ミナホ姉さんや、克子姉、渚は拉致されて、学校生活を奪われた</p><p>寧は不遇で孤独な学生生活を送らざるを得なかった</p><p>オレとメグは</p><p>みんなの気持ちを受けてこの学校に通わせて、貰っている</p><p>犯罪組織黒い森の一員となってなお</p><p>ごめんなさい寧お姉さん</p><p>メグは泣いた</p><p>この作品は、エロ小説なので</p><p>もちろん、エッチなシチュエーションを描くことを第一に考えないといけないわけです</p><p>だから、今回の一連のストーリーとしては</p><p>まず女子高生たちのエッチな撮影会というアイデアが先にありました</p><p>でそのアイデアを実行するのに、準備に２話使ってます</p><p>そして、実際に撮影会の話を書いて</p><p>エロ話は、もうリミッターを外して、とことんエロを追求します</p><p>破綻しないギリの範囲で</p><p>だから今回の場合だと、ヌード撮影会はするけれどそこから、乱交になったりしたら、作品としては破綻です</p><p>どこまでが破綻ギリギリなのかを見極めて</p><p>元のストーリーラインに戻るリカバリーに、３話使いました</p><p>なかなか難しいですね</p><p>竹柴キャプテンが、うまく機能しなければ作中で、寧が言ったとおり、ミナホを登場させる予定でした</p><p>その場合は、２話でリカバリーできたと思います</p><p>ところが、竹柴キャプテンが、上手くハマッたのでミナホじゃなく、寧を登場させて３話必要となりました</p><p>そういう変な頭脳ゲームをしながら</p><p>日々、書き続けています</p><p>明日から、またお屋敷に戻ります</p><p>瑠璃子編とアニエス編、どっちを先に片付けるかは、これから考えます</p><p>412．ピンクのロリータ</p><p>校長室の下の隠し部屋へ戻るとすでに、渚と麗華は来ていた</p><p>遅かったわね</p><p>ごめんなさい時間までに戻れなくて</p><p>最初の約束は、６時３０分という話だったのに今はもう、７時近い</p><p>済みませんあたしのせいです</p><p>メグが謝る</p><p>判っているわずっと見ていたから</p><p>ミナホ姉さんは優しく、微笑む</p><p>あたしが、あなたたちに何を学んで欲しかったかちゃんと伝わったようね</p><p>うん姉さん</p><p>黒森の人間として生きるなら裏と表の使い分けが、きちんとできないといけない</p><p>裏のテンションに引きずられて、表の世界で過剰に振る舞えば大変なことになる</p><p>普通の世界の人たちの、常識的な感覚を常に、感じていないといけない</p><p>それならいいわ早く、お屋敷へ戻りなさい克子たちが、ご飯の支度をして待ってるわよみんな揃わないと、食べられないって</p><p>はぁ克子姉たちにまで、迷惑を掛けている</p><p>御名穂さんは</p><p>あたしは、ここに残るわあの男の監視をしないといけないし高齢の森下に、随分無理をさせちゃったからしばらくは、奥さんと一緒に休養させてあげないと</p><p>森下さん奥さん、いらっしゃるんですか</p><p>うんお屋敷の敷地の隣の家に住んでいるんだよっお屋敷とは、地下トンネルで繋がっているの</p><p>寧が、笑って説明してくれた</p><p>ああ、前にもそんな話をしていたな</p><p>ホントか嘘があの時は、判らなかったけれど</p><p>うちのお屋敷の周囲の家は、みんなあたしが持っているわ名義は、様々だけれど実質的にはね欲しかったら、一軒あげるわよ</p><p>というより一軒は、恵美の家にしないといけないわよねクラスのお友達とか、部活の仲間とか、お招きしたいでしょ</p><p>うんお屋敷には、連れて来られないもんな</p><p>そんな学校のすぐ近くに家があったら、みんなの溜まり場にされちゃいます</p><p>いいじゃない溜まり場で楽しそうよあなたには、楽しい高校生活を送って欲しいの友達をたくさん作りなさいみんなで、パーティとかすればいいわ陸上部の人たちを誘って</p><p>ミナホ姉さんは自分が体験できなかった充実した高校生活を、オレたちに託してくれている</p><p>そうだよどんどんみんな、呼んじゃえばいいんだよっ</p><p>寧も、そうメグに言う</p><p>はい判りましたありがとうありがとうございます御名穂さん</p><p>メグはまた、泣いた</p><p>ご飯が終わったら、恭子さんたちがこっちに来てくれるそうです御名穂さんの夕食は、その時に持って来てもらうって、克子が言ってました</p><p>渚がミナホ姉さんに、言った</p><p>恭子さんここのシステムを、ミス・コーデリアに見せたいのよ</p><p>よろしいのですか黒森様</p><p>麗華が、心配そうに答える</p><p>ミス・コーデリアは、アメリカの犯罪組織の重鎮だ</p><p>恭子さんの身内ならあたしたちの身内よ恭子さんが、ミス・コーデリアを裏切ることは無いでしょうし受け入れるしか無いわむしろ、あの人たちに、あたしたちの財産は何でも見せてあげないと信頼を失うことになるかもしれないから</p><p>だからミス・コーデリアは、黒い森の全てを開陳しなくてはいけない</p><p>それにあの人たち夜の学校で、楽しみたいんだってさっ</p><p>ああ真夜中のレズビアン大会は続くのか</p><p>しかし、ミス・コーデリアがこの学校の裏の仕組みを知ったら、マズイことになるんじゃないの</p><p>オレは麗華に判らないように、言葉を選ぶ</p><p>まあ、麗華も黒い森が犯罪売春組織だったことは知っているから大方の予想は付いているだろうけれど</p><p>黒い森は、昔からこの学校を娼婦たちの供給源にしていた</p><p>それは平気よあの人たちの組織は、もっと安価な供給源をいっぱい知っているから</p><p>こんな日本の普通の高校から、無理矢理人材を掻き集めなくても世界には、幾らでも貧困地区があるんだからアメリカ国内だって、色々と狩り場があるしミス・コーデリアの組織では、英語の喋れないような人材をわざわざ極東から誘拐していくメリットは無いわ</p><p>むしろ、アジアの方が日本人の女の子の需要があるわよ日本のアダルトビデオの映像が、あっちに流れているからでも、高くは売れないから先進国の犯罪組織は、まず手を出さないわよコスト割れする上に、リスクが高いもの</p><p>ミナホ姉さんは雪乃を東南アジアのスラム街の娼館に売り飛ばす計画を持っていたから</p><p>そういうことについて、詳しく調べたんだろう</p><p>まあ、怖いのはミス・コーデリアが、自分の好みのタイプの女生徒を見つけて、ペットにしたいとか言い出すことぐらいよね</p><p>渚が、そう言うが</p><p>でも、あの人無理強いはしないから、大丈夫なんじゃない</p><p>寧は、そう答える</p><p>ほらあの人は、相手にもちゃんと同性愛嗜好のある人でないと口説いたりしないと思うんだよっ異性愛者(ヘテロ)の人に対して変に意識してないしでしょちゃんと、相手の嗜好を尊重してくれてるよねっ</p><p>確かにオトコのオレに対しても、普通に対応してくれるし</p><p>オレの女たちにも、手を伸ばしてきたりはしない</p><p>だからさ、心配なのはミス・イーディだけよっ</p><p>でも、ミス・イーディは同性愛じゃないですよ</p><p>うんだから、あの子は、ミス・コーデリアたちのことを嫌っていたんだし</p><p>でもさミス・コーデリアが、ミス・イーディに眼を付けたってことはイーディの中に、同性愛になりそうな因子を感じたからなんじゃないかなっ</p><p>そういえばイーディ、女の子とばかり接触しているみたいね</p><p>ずっと監視している、ミナホ姉さんが言う</p><p>いやいや、待てよ</p><p>でも、それは今、イーディの周りにいる男はオレだけだからだしイーディって、元々、アメリカの暗殺結社の中で、女性たちだけの居住施設で育ったんだよねだから、年下の女の子たちの面倒をよく見てくれるんだし</p><p>オレが、そう言うが</p><p>共学と女子校レズビアンになる可能性が大きいのは、どっち</p><p>女子校かな</p><p>そういうことだよっ</p><p>あたしは別にイーデイが同性愛でも構わないわよむしろ変なオトコに騙されたりすることの方が怖いわあの子の能力を考えると</p><p>確かに、イーディは祖母譲りの暗殺術を持っている</p><p>ただ今までの経緯でミス・コーデリアとは上手くいってないわよね恭子さんが、あの子を育てるって言っていたけれど</p><p>渚が、そう言う</p><p>でも、恭子さんともそんなに上手くはいってないよなあ</p><p>恭子さんが、楽しく飼っているていうような感じだし</p><p>少なくともイーディの方が慕っているという風には見えない</p><p>イーディが一番慕っているのは美智だし</p><p>あ美智も、そもそもみすずに対する同性愛嗜好があったっけ</p><p>やっぱり、同性愛的な嗜好が強いのかな</p><p>まあ、ミス・イーディに関しては、ちょっと様子を見ましょう今日一日、恭子さんたちと一緒に過ごして、また関係が変わったかもしれないし</p><p>今日のイーディは恭子さん、ミス・コーデリア、ミーニー、イーニーと、暴力団を潰しに行っている</p><p>みんな、もうお屋敷に帰って来ているそうよお腹空かせているみたいだから</p><p>ああ、じゃあ急いで帰らないとね</p><p>あの肉体派グループを空腹のままににしておくのは危険だ</p><p>メチャクチャ、危険だ</p><p>御名穂さんでは、失礼します</p><p>黒森様失礼致します</p><p>オレの言葉に渚と麗華が、ミナホ姉さんに挨拶する</p><p>御名穂さん、あたしも戻ります</p><p>先生っほんじゃあねっ</p><p>うん、またねミナホ姉さん</p><p>オレとメグと寧も</p><p>ええ、また明日明日には、全ての決着を付けないといけないから</p><p>ミナホ姉さんは、溜息を吐き眼の前のモニターを見る</p><p>そこには、復讐の相手監禁中の白坂創介が映っているのだろう</p><p>みんなで、教職員用駐車場に出る地下通路を歩く</p><p>ここは、校内で隠しマイクの付いていない数少ない場所の一つだ</p><p>渚が、小声でオレに話し掛ける</p><p>今晩、御名穂さんと恭子さんたちが学校に居るようにしたの、克子なのよ克子が、恭子さんにお願いして</p><p>御名穂さん年下のあたしたちが近くに居ると、ついつい心配して下さるからさっきのイーディちゃんのことみたいにね</p><p>渚は穏やかに微笑む</p><p>今夜の御名穂さんには、自分のことについて考える時間を持って欲しいから</p><p>ミナホ姉さんは１０年以上もずっと、白坂創介に対する復讐を練り上げていた</p><p>その復讐が、明日ついに果たされる</p><p>これまでのことを、見つめ直すだけでなくこの先のこともね</p><p>ミナホ姉さんは復讐が終わったら、死ぬつもりだった</p><p>でも、今のミナホ姉さんにはオレたち、家族がいる</p><p>年上の恭子さんなら、御名穂さんの相談相手になれるしどうしても、あたしたちだと気を遣ってくれるから、本当の気持ちは話せないと思うのよ</p><p>ミナホ姉さんは、いつでもオレや妹たちの前では良い姉であろうと、心を砕いてくれる</p><p>第三者の眼で、ミス・コーデリアたちが話を聞いてくれるのも良いことだと思うしとにかく、今夜は恭子さんにお任せするつもりよ</p><p>いつも、何も判っていない</p><p>渚や克子姉恭子さんたちが、こんなにミナホ姉さんのことを心配しているのに</p><p>だから、あなたは御名穂さんが心配しないように、お役目をしっかりと果たしてね</p><p>閣下は、夜の９時にいらっしゃることになっているわ</p><p>オレは、ジッちゃんに瑠璃子の処女喪失を見せないといけない</p><p>御名穂さんの居ないお屋敷で閣下をお迎えしないといけないわ粗相の無いように、頑張りましょう御名穂さん、きっと回線を使って状況を見ていると思うわだから、一生懸命あたしたちだけで、やらなくちゃ</p><p>やがて、通路を抜けて渚の車へ</p><p>麗華普通の私立高校に、こういう秘密施設があったりするの驚いたりしなかったの</p><p>さっきから、麗華があんまりにも静かだからオレの方から、声を掛ける</p><p>いえ、もう黒森の家のことに関しては、驚くことばかりですので一々驚くのは止めました</p><p>麗華ずいぶん、疲れているみたいだな</p><p>今日はどうだったの渚のお店の手伝い、２日目は</p><p>初日と違い今日の麗華は、いつもの英国紳士の服でビシッとキメている</p><p>それが何と言いますか</p><p>上手くいかなかったの</p><p>逆よ</p><p>渚が、笑ってオレたちの会話に参加する</p><p>麗華お姉さん、大人気今日一日だけで、麗華お姉さんファンがたくさんできたんだから常連のお客様の中にも、大評判よ</p><p>わ、わたくしは別に何もしておりません</p><p>麗華は、顔を赤らめる</p><p>うん、昨日はいきなりお手伝いをお願いして失敗しちゃったから今日は、麗華お姉さんは、お店の護衛係ですって、開店前に宣言したの</p><p>渚は、ニコニコしている</p><p>ついでに麗華お姉さんに、ステッキでコンクリートの塊を一つ、粉々に砕いてもらったのそれで、みんなオッケイ昨日、麗華お姉さんのことを馬鹿にしていた子も、すっかり態度を改めたわまあ、それとは別にきっちり、お仕置きしておいたけれど</p><p>渚は、普段はニコニコやんわりしているが時々、怖い</p><p>護衛係のお姉さんに、お店の手伝いもしていただいているて理解したら、みんな、麗華お姉さんのことを慕ってくれたし何よりやっぱり、その姿が良いのよね凛々しくてもう、みんな麗華お姉さんにメロメロなんだから</p><p>渚のお店は女の子ばかりだからなあ</p><p>それからあたしのお店にも、案の定、公安と香月セキュリティ・サービスの監視の人が来たんだけれど今日は、香月セキュリティ・サービスの方は、男装の麗華お姉さんが一言ピシッと言ったら、帰っちゃった</p><p>ここは、わたくしがいるのだから、警護は必要無いと言ったんです</p><p>麗華は香月セキュリティ・サービスのトップ・エリートとしても有名だから</p><p>監視係が、言うことを聞いてくれたのか</p><p>わたくしが誰ともチームを組まないことは、有名ですしステッキをちらつかせたら、納得して帰ってくれました</p><p>というか撲殺ステッキを振るう男装の変人としても、有名なんだよな</p><p>英国紳士の男装姿だと、威圧感が凄いし</p><p>昨日の黄色いジャージ姿の麗華は、一日元気が無かったけれど</p><p>やっぱり英国スーツに袖を通すと、気合いが入るんだろう</p><p>迫力が違う</p><p>公安の方は、あたしと麗華お姉さんの二人で行ってその人たち、あたしのお店の眼の前に車を停めているのよ営業妨害だから、もっと遠くに車をどかせって言ってやったわついでにうちは客商売なんだからこんなゴツイ顔のオッチャンたちじゃなくって、明日からは可愛い顔の婦警さんを連れて来てってね</p><p>それで、お店の子たちはますます麗華お姉さんに懐くしお客様にも、大好評なのあの格好いいお姉さんは、ずっとお店にいるんですかって、高校生ぐらいの女の子たちが聞きに来たわ</p><p>なら、しばらく麗華は、渚のお店に行ってくれ</p><p>護衛だよ誰かしら、渚たちにも付いていないといけない状況がしばらく続くんだから</p><p>そういう言い訳でオレは、麗華にも普通の生活を体験させたい</p><p>しかし、わたくしは谷沢チーフにも、そろそろお話しなければなりませんし</p><p>香月セキュリティ・サービスのトップ・エリートとして</p><p>今後、自分をどうするのかどうなるべきなのか</p><p>麗華は迷っている</p><p>あ香月セキュリティ・サービスの方は、大丈夫だと思うよっ</p><p>渚さんさ麗華お姉さんの一言で、香月セキュリティ・サービスの監視係が撤収したのって、今日の何時頃っ</p><p>えっとお昼過ぎだったから２時半ぐらいだったと思うわ</p><p>あ、やっぱりねっ</p><p>ぬふふーんと、寧は麗華を見る</p><p>今日さ、香月セキュリティ・サービスの中で人事異動があったんだよそれで多分、新しいトップの人に、監視係が藤宮さんがこう言ってますが、どうしますかってお伺いを立てたんだよでっそこは、彼女に任せて撤収しろって命令が来たんだと思うなっ</p><p>新しいトップですか</p><p>麗華はまだ知らないんだよな</p><p>関さんだよ関さんが、新しいトップになったんだ</p><p>オレは伝える</p><p>え関さんが、新しい警備部長になれたのですか</p><p>麗華は、驚く</p><p>違う違うって警備部長じゃなくって、香月セキュリティ・サービスの現場部門の全てを任されたんだよ谷沢さんが、オレが今やっている仕事を、全部引き継いで貰うって言ってたからっ</p><p>では谷沢チーフは</p><p>谷沢さんは、もっと偉くなるんだって社長とか、そういう役職に付くみたいよだから、関さんが現場を統括するトップになるんだってさっ</p><p>麗華は、暗い顔をする</p><p>どうしたの、麗華お姉さん関さんが、先に出世しちゃったのがショックなのっ</p><p>いえわたくしは、ただの警護人ですし関さんが、幹部候補として入社された方だということは知っていましたからそのことには、驚いておりません</p><p>渚が麗華を見る</p><p>自分は、あたしのお店でお花と格闘していたりして、いいのかなとか思っているんですか</p><p>いえ、あのそういうことでは</p><p>いや思っているんだな麗華は</p><p>関さんと自分を比較して</p><p>自分はこのままでいいのかって悩み出している</p><p>麗華お姉さんあたしは、以前、娼婦でした</p><p>渚が静かに語る</p><p>自分で選んだ道ではありませんあたしも、かつてこの学校に通っていて高校一年生でした突然悪い人たちに、誘拐されて、無理矢理に娼婦にさせられました</p><p>ハッとして、渚を見る麗華</p><p>その頃とは黒い森は運営者が違うんです今のあたしたちは、そういう黒い森をどうにかして壊そうと頑張ってきたメンバーですそのことは、判って下さいね</p><p>ニコッと、渚は笑う</p><p>娼婦として働かされていた時は希望なんて、何もありませんでした抜け出せない可能性の方が大きかったし実際、肉体や精神を病んで、死んでしまう娼婦もいましたみんな誘拐されてきた子ばっかりだったんです</p><p>ジッと、麗華は渚の話を聞いている</p><p>あたし何とかして、夢を持とうと思いましたどんなことでもいいから夢を持っていなければ心が折れてしまいそうだったからだから、あたしお花屋さんの勉強を始めたんです何で、お花屋さんだったか自分でも、よく判りませんでも、あたしは将来、絶対に自分のお花屋さんを持つんだって決めたんです夢を</p><p>そしたら辛いことも、耐えられました本もいっぱい読んだし御名穂さんにお願いして、フラワー・アレンジメントの通信教育も受けさせて貰いましたあと、実際にお店をするための経理とか、法律のこととか毎日、必死で勉強しましたお仕事をさせられている時以外は夢のことばかり、考えていました</p><p>渚の眼に涙が、溜まる</p><p>オレは、渚の身体を抱く</p><p>渚もオレの肩をギュッと強く、抱き寄せる</p><p>それであたしは、運が良くて本当に運が良くて娼婦から足を洗って、お花屋さんを始められたんです</p><p>運が良いって</p><p>渚は、白坂創介に誰が父親だか判らない子を孕まされて</p><p>お屋敷から追放されたんだ</p><p>人気のある娼婦であることを妬まれて</p><p>あたしは本当に運が良い夢を見ることもできないまま死んでいった子が何人もいたんですから</p><p>メグが背中から、オレに抱きつく</p><p>メグのお母さんは夢を奪われて死んだ娼婦の一人だ</p><p>だから、あたしは絶対に、あのお店を守るんですあたしの夢のお店で幸せになるんですあたしだって幸せになるために、生まれてきたんですから</p><p>ポロポロと、大粒の涙が零れる</p><p>オレは、渚を抱き締める</p><p>うん大丈夫今は、あなたがいるもん真緒もいる幸せよあたし</p><p>大変な思いをしてきたのですねわたくしよりも年下なのに</p><p>そういう麗華に、寧は</p><p>年齢は関係無いんだよ麗華お姉さん</p><p>寂しそうに、ニッと微笑む</p><p>こういう渚さんのお店を警護するのはつまらない仕事だと思う</p><p>いえわたくしが、間違っておりました</p><p>スッと、渚に頭を下げる</p><p>ありがとう麗華お姉さん</p><p>ヨッちゃん、あたしも寂しくなっちゃったチューしてっ</p><p>オレは、寧にキスをする</p><p>あたしたちはね、寂しくなったらヨッちゃんに、慰めてもらうのヨッちゃん、温かいんだもの</p><p>さらにキスを交わす</p><p>ほらっ、恵美もしてもらいなっ</p><p>寧、お姉さん</p><p>お母さんのこと思い出して寂しくなっちゃったんでしょ</p><p>寧は、メグに微笑み掛ける</p><p>あたしもそうだからアメリカで、ヴァイオラに監禁されていた頃のこと、思い出しちゃったよ</p><p>寧の眼にも、涙が溜まっていた</p><p>オレは、その涙をペロッと掬い取る</p><p>オレは、メグに腕を伸ばす</p><p>メグとも長いキスをした</p><p>あなたもう１回</p><p>そして、渚と再度キスをする</p><p>あたしたちの気持ちが落ち着くまでヨッちゃんは、相手をしてくれるあたしたちの心を抱いてくれるのだから、あたしたちヨッちゃんのいない生活は、もう考えられないんだ</p><p>また寧の、ぷつくりとした唇が</p><p>オレたちは、心ゆくまでキスをした</p><p>未熟ですどこまでも、未熟です</p><p>未熟でいいんだよ</p><p>完成した麗華なんてオレたちは、全然求めていないし</p><p>麗華お姉さんさ今の自分自信を認めてあげないと、お姉さん自身が可哀想だよっ</p><p>今のわたくし</p><p>ああ麗華は、今だってとっても魅力的なんだから</p><p>そうでしょうかわたくしには、よく判りません</p><p>そうなんだよオレには、よく判っている</p><p>麗華が苦しんでいるのは自分自身の殻、自意識の問題だ</p><p>自意識</p><p>だから英国紳士の男装をした時理想的な自分に変装した時、心が解放されるんだ普段よりも大胆になるし強くなる</p><p>はいわたくしは、この姿に依存しています</p><p>麗華は英国紳士の時の自分は、本当の自分じゃないって思っているんだろただ理想の自分を演じているだけだって</p><p>主様のおっしゃる通りだと思います</p><p>でも、違うんだよ英国紳士の格好をしていようが、普段着だろうが麗華は、麗華なんだ全部、麗華の本当の姿で麗華の実力なんだ</p><p>麗華は殻を打ち破れない</p><p>あ、判ったよヨッちゃん、逆なんだよ</p><p>不意に寧が、何かを思い付いた</p><p>麗華お姉さんは、今心と身体がズレているんだよ</p><p>心と身体のズレ</p><p>今の麗華お姉さんに必要なのは英国スーツじゃなくってさ</p><p>むしろ、幼い子の着る可愛い、ピンクのロリータな服なんだと思うよっ</p><p>やっと、麗華のコンプレックスと、その対処法が判ってきました</p><p>何か、全部のキャラのカウンセリングをしているみたいです</p><p>問題児ばかりで、困っています</p><p>はふぅぅ</p><p>413．レイちゃんのバカ</p><p>オレは寧に尋ねる</p><p>うんあたしたち勘違いしていたんだよ麗華お姉さんのことっ</p><p>寧はにこやかに、そう言う</p><p>麗華お姉さんは、もう立派な社会人だしあたしたちよりも年上だから、お姉さんなんだって思っていたでしょっ</p><p>いやお姉さんじゃないか</p><p>麗華お姉さんは長身だから、オレよりも背が高いし</p><p>スポーツマンらしい、凛としたプロポーションをしている</p><p>その上</p><p>特殊合金製の撲殺ステッキで、何でも砕くんだぞ</p><p>その破壊力は、今まで何度も見てきたじゃないか</p><p>ああたしも、判った</p><p>メグが口を開く</p><p>麗華お姉さん女の子なのね</p><p>何だよ女の子って</p><p>そりゃ麗華は、処女だから確かに、まだ女の子なんだろうけれど</p><p>なるほどそういうことなのね女の子も女の子本当に、まだ小さな女の子ね</p><p>渚まで納得している</p><p>判っていないのはオレと麗華本人だけらしい</p><p>あの何の話をなさっているんです</p><p>あのさ麗華お姉さんて、女子校出身でしょう</p><p>はいそうですが</p><p>もしかして中学から</p><p>いえ小学校からです</p><p>わたくしは、両親を早く亡くしまして祖父に育てられましたから祖父は、剣道の師範として有名で、家で道場もやっていましたからお弟子さんの知り合いの方の紹介で、私立の女子校に通わせていただきました小中高１２年間</p><p>寧が大きく頷く</p><p>剣道はお祖父様に教わったんでしたよね</p><p>今度は、渚が尋ねる</p><p>はい、幼い頃より祖父と共に、鍛錬をして参りました</p><p>お祖父さんの道場には、麗華お姉さんと同じ世代の子とかも通っていました男の子でも、女の子でもいいんですけれど</p><p>いいえわたくしが生まれた時には、祖父はもう高齢でしたから道場と言っても建物があるだけで若いお弟子さんは、もう取っていませんでした</p><p>じゃあ、稽古はお祖父様と二人だけでやっていたのっ</p><p>寧が聞く</p><p>そうですね小学生の頃は時々は、祖父の昔からのお弟子さんたちが家の道場へいらっしゃることもありましたから稽古を付けていただきましたが、皆さん、壮年以上のお年でいらっしゃいましたから</p><p>麗華の小学生時代は老齢の祖父か、自分の父親と同じくらい年の離れた方たちとしか稽古していない</p><p>麗華お姉さん小学校の時は、友達と遊んだりしたっ</p><p>いえ祖父が心配ですから学校が終わったらすぐに帰宅します途中で、夕食の買い出しもしないといけませんし祖父は、わたくしと稽古をするのをとても喜んでくれましたし</p><p>中学は中学はどうだったの</p><p>中学の時はもちろん、剣道部に入部しました顧問の先生は、女性だったんですけれど祖父の昔のお弟子さんの一人でしたからたっぷり、稽古を付けて下さいました</p><p>他の部員の女の子たちとは、どうだったのっ</p><p>それはわたくしは、すでに小学校時代から剣を習っておりましたが他の皆さんは、中学からですしそれに</p><p>他の方たちは、スポーツとしての剣道をなさっておられましたがわたくしは、剣士を目指す修行中の身でしたから</p><p>剣士</p><p>その頃から、すでに</p><p>わたくしいずれは、己の剣の技で糊口を凌ぐしかないと決めておりましたから</p><p>そういう場合は剣道の先生とかを目指すんじゃないのか</p><p>普通は</p><p>祖父が亡くなれば天涯孤独の身の上になることは、判っていましたから</p><p>麗華は言う</p><p>じゃあ部活の子たちとは、あんまり上手くいかなかったでしょ</p><p>寧が、そう尋ねる</p><p>そうでもありませんよわたくしは、少し変わった人間として有名でしたが、剣の道に邁進していることは皆さんご存じでしたし確実に、結果を出していましたから１年次より全国大会の常連となれば誰からも後ろ指を指されることはございません</p><p>いやそういうことでなく</p><p>それでは、ますます友達を遠ざけるんじゃ</p><p>高校もそんな感じでしたの</p><p>ええ同じ学校の高等部ですから高校も、顧問は女性ですこの時の先生は、祖父のお弟子さんではありませんが地元の指導者は、どなたも祖父のことを知っておりますし</p><p>やっぱり麗華は、孤立して</p><p>一人で、剣だけに集中していたんだろう</p><p>それで全国大会で優勝して、谷沢さんにスカウトされたんだねっ</p><p>はいわたくしは、剣士として腕を認めていただいて香月セキュリティ・サービスの護衛人に採用されましたありがたいと思っています</p><p>オレにも何となく、見えてきたぞ</p><p>麗華お姉さんちょっと、変なことを聞いてもいい</p><p>寧が苦悩顔で尋ねる</p><p>ええどうぞ</p><p>お姉さん剣とか、剣道とか好き</p><p>うーんそういうのは、考えたことがないですね</p><p>好きだからやっているわけじゃないよねっ</p><p>はい剣は、私の生業ですから生きるために、身に付けた技です好きとか嫌いとかそういう感情を持ってはいけないものだと思います</p><p>麗華にとって剣の道は、神聖すぎるんだ</p><p>自分の人生の中で他の物事とは、別格になっている大きな柱だから</p><p>好き嫌いの感情は無い</p><p>それじゃあ、もう一つお姉さん、誰か男の子のこと、好きになったことはある</p><p>平然と、麗華は答えた</p><p>恋愛とか男の子と付き合うとか、してみたいって思ったことは</p><p>それも無いですね男の人たちは、皆さん、わたくしのことは好きではないでしょうから</p><p>サバザバとした顔で、麗華は言う</p><p>みなさん、わたくしの剣の力護衛人としての能力を評価して下さっているのであって、女としてのわたくしには魅力は無いことは、判っていますから肝に銘じています</p><p>どうしてそう思うのっ</p><p>悲しげな顔で、寧は尋ねた</p><p>だって、あたし女なのに、こんなに背が高いですし筋肉質です小学校の高学年から、ぐんぐん背が伸びました中学の頃に、剣道の大会に行くと男の子たちが、あたしを見てデカッとか言うんですよ男がスカート穿いてるぜって言われたこともあります</p><p>オレたちは、麗華のコンプレックスの起点に到着した</p><p>それで男っぽい格好をする様になったのっ</p><p>寧が核心に切り込む</p><p>特に、それが原因ということではありません部の子たちも、わたくしにそういうイメージを求めていましたし</p><p>剣道部の人が麗華お姉さんに男の子っぽくしろって言ったの</p><p>驚く、寧</p><p>麗華は、フッと微笑んで首を振る</p><p>わたくしは大会では、部の皆さんを引っ張っていかなければならない存在でした１年の時から、団体戦の代表に選んでいただきましたし先鋒として、ポイントゲッターとして働かなくてはいけませんそうなると外見も、相手を威圧する様なものに変えた方が効果的ですわたくしの長身の背丈と体格を生かさないと</p><p>２年生の後半からは、主将に任じていただきましたしそれなら、部の皆さんから信頼していただかなければなりませんし皆さんが、わたくしに対して抱いていらっしゃった、強さと凛々しさを具現化しようとしたら何となく、一つの方向性が見えてきて</p><p>この人は孤立している自分を、周囲の人たちに受け入れてもらうために、必死だったんだ</p><p>それで男性的なイメージを醸し出そうと、色々、やってみたんです髪も運動部の男の子みたいに、丸刈りにしてみたこともありますよ全国大会の準決勝で負けた時後に周りの子は、根性入ってるって言って下さいましたけれど</p><p>本当はそうじゃない</p><p>麗華は何としても、自分の剣士としてのイメージを確立したかったんだ</p><p>敵に対しては姿形から、威圧するために</p><p>部活の子たちには頼れる、強い主将と思ってもらうために</p><p>でも丸刈りの頭は、不評でしたあのその頃には、学校にわたくしのファンクラブができていまして</p><p>麗華のファン・クラブ</p><p>女子校ですからボーイッシュなセンパイがいると、そういうのがすぐ作られるんですあたしの場合は剣道部の子が半分と、後は文化部の子でしたそれでその文化部の子が、センパイ、こういう髪型にして下さいってタカラヅカの男役の方の写真集を持って来てくれまして</p><p>最初はそういうのでしたねそれから少女漫画の執事さんですか執事さんが活躍するような作品を、いっぱい見せてくれて</p><p>藤宮センパイ、こういうイメージになって下さいって、言われたのね</p><p>渚がハッと、呆れる</p><p>そういうことです</p><p>タカラヅカ→執事ときて</p><p>じゃあもしかして、英国紳士もっ</p><p>寧が尋ねると</p><p>いや、それはまた色々あったんです執事さんまではわたくしも、何となくあの子らの気持ちが判ったんですけれどその後、あの子たちはあたしに、新撰組とか戦国武将とかの本を持って来まして</p><p>あそっちへ行ったか</p><p>でも、わたくしは剣士を目指しておりましたが、別に時代劇がやりたいわけではないんですそれにそういう過去の武士に関する書物は、小学生時代に祖父の蔵書でほとんど読み尽くしていたはずなんですが</p><p>麗華は暗い顔をする</p><p>あの子たちが持って来たのとは中身が違うんですあの子たちの本は歴史的にちょっと変というか戦国武将が女性だったり、新撰組が吸血鬼だったりするんです</p><p>それで、まあその路線には、付き合えないなとそう感じていた時にファンクラブの子の一人が、イギリスのビクトリア朝の画集を持って来まして</p><p>やっと英国紳士が出て来たねっ</p><p>いえそれは、メイドさんの本でした１９世紀末のイギリスのメイドさんの衣装や、生活についての本だったんですけれど、メイドさんがお客様にお茶のサービスしているイラストが載っていてああ、こういう世界の方がいいなって</p><p>それで、英国紳士路線に</p><p>渚が唖然とする</p><p>はい変な武将や、新撰組よりは良いですから</p><p>まあそうだろうけれど</p><p>それであたしのファンクラブの子たちは、試合の応援に来る時は、みんなメイドさんの格好で来てくれるようになったんです</p><p>まさか麗華お姉さんはっ</p><p>わたくしは学校の制服です高校時代には、まだ男装はしていません</p><p>ああ良かったっ</p><p>寧はそう言うが</p><p>全然良く無いぞ</p><p>応援の子たちがメイド服ってことになったから</p><p>麗華は心の中で、メイドに傅かれる英国紳士になってしまったんじゃないのか</p><p>みんなわたくしのことをご主人様と呼んでくれましたしわたくしはボクの可愛いメイドくんたちと、呼んでいました</p><p>それで、わたくしどんどん、世紀末イギリスの文化や風俗について調べるようになりましてハマっちゃったんです紳士の世界にだから、キッカケは、ファンクラブの子なんですけれどヴィクトリア朝時代のことは、本当に好きなんです１９世紀末の風俗と文化を調べるのはわたくしのライフワークだと思っていますから</p><p>剣道ばかりやってきて</p><p>趣味が何も無かったからなあ</p><p>そして高校を卒業して、香月セキュリティ・サービスからいただいた最初の契約金で、本物の英国式の紳士服を仕立てたんですわたくし</p><p>谷沢さんは、驚いたろうな</p><p>高校剣道ナンバーワンの子をスカウトしたら</p><p>入社した途端に、英国紳士になっちゃったんだから</p><p>うんこれで、麗華お姉さんが、どうして英国紳士好きになったのかはよく判ったんだけれど</p><p>でも、お姉さんメイド服の方も着てみたいとは思わなかったの</p><p>だって、似合わないですから</p><p>いや、似合わないかどうかは着てみないと判らないじゃないか</p><p>わたくしこんな体型なんですよ似合うはずがございません</p><p>麗華は、そう言い切る</p><p>ごめん、ちょっと矛先を変えるねっ麗華お姉さんメイド服を着ている女の子のことは、可愛いと思う</p><p>ええ可愛いと思いますわ</p><p>そこが多分ポイントなんだと思う麗華お姉さんはつまり、タカラヅカの男役にも、執事さんにも、戦国武将にも、新撰組にも反応しないでメイドさんに反応したってことでしょ</p><p>周りの人は、麗華お姉さんに凛々しくて、ボーイッシュなものを押しつけているけれど麗華お姉さん自体は、女の子らしい可愛いものが好きなんじゃないかって思うのっ</p><p>そんなはずは、ありませんわたくしは、剣士です</p><p>そこへメグが口を挟む</p><p>ううんあたしも、麗華お姉さんは可愛いもの好きだと思うだって、ホテルの地下室で、麗華お姉さんずっと真緒ちゃんと遊んでいたもの</p><p>そうねさっきから、お話を聞いていると麗華お姉さんは、周りの人が自分に対して抱いているイメージを壊さないようにって一生懸命、応えようとし過ぎなんだと思うわ</p><p>渚が、言った</p><p>ていうか周りの人だけでなく、麗華お姉さんも自分の思い込んでる自分自身のイメージを守ろうとしてそれで、バタバタしているんじゃないかな</p><p>麗華お姉さん英国紳士以外に、もう一つくらい趣味があるでしょっ何か、集めているとかっ</p><p>ええ猫の小物を集めているわ</p><p>でもほんのちょっとです１０個もないんだから</p><p>やっぱりこの人は、可愛い物が好きで</p><p>英国紳士趣味の方は男っぽく生きていかないといけないという思い込みが、変な形で昇華精錬されてしまった結果なのではないだろうか</p><p>だとしたら</p><p>麗華いっぺんメイド服、着てみないか</p><p>オレはカードを切る</p><p>いえあの本当に、似合いませんから</p><p>それは麗華が着た姿を見て、みんなで判断するよ</p><p>だっておかしいだけですよ</p><p>そんなことないよっ何なら、あたしがコーディネートするからっ</p><p>はい、あたしも似合うと思います</p><p>寧とメグが麗華に言う</p><p>うんお屋敷に帰ったら、一度試してみよう</p><p>とにかく、可愛い物は自分には似合わないと思っているのをブチ壊さないと</p><p>ああ、するすると麗華の抱えている問題が、見えてくる</p><p>麗華はギャップに苦しんでいるんだよ</p><p>ギャップですか</p><p>子供の頃からの最初は、お祖父さんの期待に応えなきゃってことだったんだろうけれど自分は、こうならないといけない、自分は、こうなる様に求められているって気持ちが、いつも優先していたんだよ麗華はねでも麗華自身の心には、それとは別に普通の女の子としての欲求もあるから理想と欲求が、麗華の中でいつもケンカをしているんだよ相容れないはずの、二つのものが無理矢理バランスを取った形が英国紳士の男装なんだと思う</p><p>英国紳士の姿はシックでエレガントだが</p><p>女性の麗華が、警護人の仕事の時に衣装として着るのは余りに、エキセントリック過ぎる</p><p>その上日本の剣道で学んだ技は、撲殺ステッキに変わっているし</p><p>落ち着きと狂乱相反する物を、同時に受け入れることで、仕事中の麗華は安定している</p><p>今更だけれど現在の麗華は、英国紳士の格好をしないと警護人として機能しないんだよね</p><p>オレは麗華を見る</p><p>昨日、ジャージ姿で渚の店に手伝いに行ったら、失敗ばかりで今日は紳士姿で行ったら、颯爽とエレガントに警護役としての任を果たせたんだから</p><p>麗華は、真剣な眼でオレを見ている</p><p>だけどずっと、このままというわけにはいかないよこんなの全然自然じゃないんだからそのうち、破綻をきたすよ</p><p>麗華はうつむく</p><p>英国紳士の衣装を纏っている限りは、問題が無いのならわたくしは、このままでも良いと思います</p><p>それって結局、その衣装に逃げているだけじゃないかそこで思考停止をしたら何も変わらないよ</p><p>変わらなくても、構いません</p><p>オレは、嫌だねオレは、麗華と幸せになりたいっ</p><p>ハッと、麗華がオレを見る</p><p>変わらなきゃ幸せにはなれないよっ麗華麗華は、もっともっと幸せになっていいんだっオレが、麗華を幸せにするっ</p><p>みんな、聞いてくれ</p><p>渚、寧、メグ、麗華がオレを見る</p><p>麗華のことはもう、お姉さんだと思わないでくれ</p><p>えそれって、ヨッちゃん</p><p>まさかヨシくん、麗華お姉さんを家族から外すつもりなの</p><p>いえ確かに、わたくしは皆様の家族にしていただける様な人間では無かったと思います主様が、そうご判断なさるのも</p><p>早まるな</p><p>オレは、麗華の言葉を遮る</p><p>麗華のことはみんな、年下の妹だと思ってくれ</p><p>麗華があんぐりと口を開ける</p><p>確かに、麗華の方が年齢は上だけれどでも、妹なんだ</p><p>オレは、麗華に言い切る</p><p>そういう感覚を徹底しないと麗華の問題は、改善しない</p><p>渚たちは、黙ってオレを見ている</p><p>だからさみんなで麗華お姉さんと呼んでいる間は、麗華の方が格が上っぽくなっちゃうからさ、渚や寧の話だってちゃんと受けとめくれないと思うんだよ</p><p>オレは必死に言う</p><p>今は、麗華の年上としてのプライドが悪い形で働いて麗華がさらに劣等感を感じる原因になっているし</p><p>何より、麗華は心の中は、子供の時のまんまだと思うんだ一生懸命、背伸びをして大人ぶった姿が、英国紳士になっちゃうんだから本当は、すっごく子供なんだと思うよだから本当に一度、小さな子供の頃にまで戻してあげないといけないと思うんだ</p><p>麗華例えば、渚は麗華よりも、二つ年下だけどでも、３歳の女の子を育てているわけだし、そういう意味では麗華よりも、人生経験を積んでいるだろ</p><p>ははい、確かに</p><p>だったら渚を、人生の姉だと思ってくれ</p><p>自分よりお姉さんに思えてきたか</p><p>はい思えました</p><p>そしたらそれと同じ様に、寧のこともお姉さんだと思ってくれ自分よりもお姉さんらしい何かを持っていると思い込むんだそうしたら、お姉さんに思えてくるから</p><p>無茶苦茶な論理だがオレは、麗華に強いる</p><p>とにかく年上だから姉っていうのは止める麗華はそうだな、真緒ちゃんよりもちょっとだけ年上ぐらいの気持ちになってくれいいな</p><p>が、頑張ってみます</p><p>麗華は不承不承、約束してくれる</p><p>みんなもいいな</p><p>と渚と寧とメグは、あんぐりとした顔でオレを見ている</p><p>えダメか</p><p>ダメじゃ無いけれどそれ、あたしがヨッちゃんに提案していたアイデアだから</p><p>あたし、最初に言ったじゃん麗華お姉さんには、ピンクのロリータ服を着せないといけないって</p><p>麗華お姉さんは、まだ女の子それも、小さな女の子だって渚さんとメグも、言ってたよね</p><p>ジトっと、寧がオレを見る</p><p>も、もしかしてオレだけ、全然判ってなかった</p><p>うん、うんと寧、渚、メグが頷く</p><p>その上遅れて気が付いて、ドヤ顔でみんなに話した</p><p>再びうん、うん</p><p>あ、オレカッコ悪</p><p>寧が、プッと笑い出す</p><p>渚とメグも</p><p>ま、いいけどね最終的に、同じ意見に到達したんならさっ</p><p>ああ良かった</p><p>じゃあ今から、麗華お姉さんのことは、レイちゃんと呼びますっ</p><p>異議無しっ</p><p>あ、あたしも良いです</p><p>じゃあオレも</p><p>麗華だけが、眼をパチクリさせている</p><p>でお屋敷に戻ったら、レイちゃんには可愛いメイド服を着せますっ</p><p>ああ、寧が進行役をやってくれると話が、早い</p><p>ブルルルル</p><p>渚の携帯が振動する</p><p>あら、何かしら</p><p>電話に出る渚</p><p>電話のスピーカーから聞こえてくる声は</p><p>ママー、お腹空いたぁぁ</p><p>あ、いっけねぇ</p><p>早く、戻らないとみんな、晩ご飯を待っていてくれているんだっけ</p><p>やっと麗華がどんな子で、どう対処したら良いのか判りました</p><p>これで大問題なのは、雪乃と美子さんだけです</p><p>414．かいわれ、まきまき</p><p>慌てて、車を飛ばして５分でお屋敷へ</p><p>学校のすぐ近くで、良かった</p><p>門の前の香月セキュリティ・サービスの監視車の連中が、敬礼したのは助手席に麗華が乗っていたからだろう</p><p>やっぱり、男装姿の麗華は目立つ</p><p>もおぉぉおそい、おそいよおっ</p><p>玄関まで、真緒ちゃんと克子姉が出迎えてくれた</p><p>ごめんなさいねっ</p><p>渚が、娘を抱き締める</p><p>さぁっ、みんな待っているよ</p><p>母の胸に抱かれて、真緒ちゃんは微笑む</p><p>えっと晩ご飯も、アニエスの部屋だよね</p><p>オレが克子姉に尋ねると</p><p>ええ、きっとビックリすると思うわ</p><p>恭子さんたちがあっという間に、工事しちゃったのよ</p><p>工事</p><p>行ってみれば、判るわ</p><p>とにかく、みんなをこれ以上待たせてはいけない</p><p>オレたちは制服を着替えたりもしないで、そのままアニエスの地下室に向かう</p><p>おっやっと、到着だね</p><p>恭子さんやミス・コーデリアたちが出迎えてくれた部屋は</p><p>２倍の広さになっていた</p><p>隣の部屋と仕切っていた壁が取り払われて</p><p>帰りに、チェーン・ソウを買って来たんだよそれで、一気にやっまった大きなブロックで切り出したから、廃材ももうそのまま上の階へ運んじまったよその辺に転がしておくと、小さな子には危ないからね</p><p>さすが恭子さん仕事が早い</p><p>というかチェーン・ソウって、そんなに気軽に買って来ちゃうものなんだ</p><p>これだけ広くなったらここで、トレーニングもできるしね</p><p>うん、確かにバスケットボールができそうなくらいの広さになった</p><p>ていうかこれが、元々の部屋の大きさだ</p><p>この地下室はお屋敷に来るお客のためのアトリエだったそうだから</p><p>美術好きの人が娼婦をモデルに絵を描くための</p><p>アニエスは、急に拡大した部屋に戸惑っているようだ</p><p>ぴったりと、マナと瑠璃子にくっついている</p><p>そこに、真緒ちゃんが加わる</p><p>一緒にケーキを作った仲間として、もう仲良しになったようだ</p><p>イーディが、グループに加わろうとするが</p><p>アニエスは、イーディが苦手だからマナの後ろでモジモジしている</p><p>イーディは何でという顔をしている</p><p>さて、皆さん大変、お待たせいたしましたでは、ご飯にしましょっ</p><p>お屋敷の主婦である克子姉が宣言する</p><p>今日は、手巻き寿司でーすっ</p><p>上の階から下ろしてきた、冷蔵庫を開けてお刺身や貝類や野菜類を取り出す、克子姉</p><p>マグロ、鯛、しめ鯖、海老に蛸、貝類、貝割れ大根にサラダ菜それから</p><p>それぞれ、かなりの量ある</p><p>ここのところ、外に買い出しに行けなかったから今日は、久々に新鮮な具材ばかりよっ</p><p>海苔はそこねご飯は</p><p>あ、あたしがやるわ</p><p>渚が腕まくりして大きな炊飯器から、炊きたてのご飯をお櫃に移す</p><p>手巻き寿司とはどういう物ですの</p><p>うんうん良い質問だねえっ</p><p>寧が前に出る</p><p>まずねこうやって、海苔の上にご飯を乗せて</p><p>寧の白くて長い指が器用に動く</p><p>それでお魚とか貝とかお野菜とか、自分の好きなものを乗せて巻きまーすっ</p><p>くるくると綺麗に巻きあげる、寧</p><p>そんで、お醤油を付けてお先に失礼、いただきまーすっ</p><p>パクッと、齧り付く</p><p>うんっ美味しいッ</p><p>マルゴさんが、オレの耳元に囁く</p><p>ケーキ作りが好評みたいだったから、克子さんがこうしたんだよ</p><p>なるほどいつも、出来上がった食事を出されるだけだったアニエスには</p><p>自分で作る手巻き寿司は、興味深いだろう</p><p>わたくしにも、上手くできるでしょうか</p><p>大丈夫だよっ一緒に作ろうっアニエスちゃんもねっ</p><p>心配そうな瑠璃子にマナが、声を掛けるアニエスにも</p><p>何か、どっしりと安定してきたなあ</p><p>しかし、こうやってみんなで交流しながら作るのはとても効果的だと思う</p><p>さすが、克子姉判っている</p><p>他に、玉子スープとシーザーサラダも作ってあるからみんな食べてねっ</p><p>ニコニコとみんなに、そう言ってくれた</p><p>克子その前に</p><p>恭子さんが、口を挟む</p><p>今日の魚介類は全部、コーデリアのオゴリだから</p><p>そうよキョーコとの賭けに負けたのっみなさん、いっぱい食べてねっ</p><p>ちょっと口惜しそうにミス・コーデリアは言う</p><p>その代わりワインは、あたしが特別のを出してあげるさっ</p><p>そう言ってマルゴさんは、白ワインを数本取り出す</p><p>あら結構な銘柄ばかりじゃない</p><p>お屋敷のワイン倉から、出して来たんだ克子お客に出す時の値段でいいから、あたしの口座から落としておいて</p><p>いえ、仕入れの時の値段で構いませんよ</p><p>いいから、いいからそういうのは、御名穂がうるさいから</p><p>恭子さんは、最初のボトルにスクリューを刺す</p><p>子供たちは、ジュースかお茶にしなさいね</p><p>あたし、一口だけ欲しい</p><p>こいつも白坂家の娘だからワインを飲んだこともあるんだろう</p><p>お祖父さんの市川さんと、高級レストランへ行った話もしていたし</p><p>今日は、ダメだよアニエスたちが、真似するから</p><p>マルゴさんが、優しくマナに言う</p><p>ああ、そうかしょうがないね</p><p>マナは、笑って納得してくれた</p><p>あたしは飲むよーんっもう、大人だからっ</p><p>寧が、くふふと笑う</p><p>大人ってどこの国の法律で</p><p>マルゴお姉ちゃんこの部屋の中は、今だけフランスね</p><p>なら、仕方無いか</p><p>法律上は、ともかくアニエスから見れば、寧は大人だからいいか</p><p>あイーディは、飲みたがったりしないのかな</p><p>大丈夫さ彼女の暗殺教団は、宗教儀式以外では飲酒しないから</p><p>恭子さんが、教えてくれた</p><p>アル中になっちまったら、暗殺者なんてできないだろそれに最近のアメリカ人は保守的だから、成人前の子供に飲酒させることはそうないよ</p><p>そんな話をしている間にメグが、オレの分のお茶をグラスに注いでくれた</p><p>他の子たちの分も</p><p>黙って、どんどんこういう仕事をしてくれるのが、メグという女の子だ</p><p>みんなグラス持ったね</p><p>こういう時に音頭を取るのは家長である、恭子さんだ</p><p>それじゃあ、乾杯</p><p>いっただきまーすっ</p><p>そして食事が、始まる</p><p>こうだよこうするの、アニエスちゃん</p><p>マナが、早速アニエスに、手巻き寿司を指導してあげている</p><p>イーディは、それを横から見て真似している</p><p>瑠璃子、上手いな</p><p>何をさせても、品が良く綺麗に仕上げる</p><p>お兄様こういうお食事、あたし生まれて初めてです</p><p>いやオレも初めてなんだよ</p><p>そりゃ手巻き寿司という存在は、テレビで見たことがあったけれど</p><p>実際に食べるのは</p><p>ああ瑠璃子と、一緒だよ</p><p>瑠璃子は、嬉しそうに微笑む</p><p>楽しいです、わたくし</p><p>お食事の時間が、こんなに楽しいなんてわたくし、初めて</p><p>香月家のお嬢さんだもんな</p><p>家では使用人たち外では、様々な人たちに注目される</p><p>いつも、美子さんと二人で堅苦しい思いをしてきたんだろう</p><p>いいから、どんどん食べろ</p><p>瑠璃子はお上品に、口を小さく開いて食べる</p><p>違う、違うよ、瑠璃子こういうのは、口を大きく開けて、パクッといくんだよっパクっと</p><p>寧が、大口を開けてガブリと食べる</p><p>瑠璃子は、驚きそして、笑う</p><p>ここには、瑠璃子の家族しかいないんだからさっ上品ぶらないで、パクパク食べるのっいいねっ</p><p>はい寧お姉様</p><p>イーディは、一口食べて眼を白黒させている</p><p>あ、もしかしたらイーディは、生魚、初めてかもしれないっ</p><p>寧がハッとして英語で、イーディに話す</p><p>イーディが、困惑顔で返事をする</p><p>彼女、何だって</p><p>うんやっぱり初めてみたい日本食を食べるのはっ</p><p>じゃあ、イーディちゃんにだけ、何か別のお食事を用意しましょうかお肉とか焼いた方がいい</p><p>ううんアニエスやマナたちが、美味しそうに食べているから、自分もトライしてみるって</p><p>寧が、イーディの言葉を伝えてくれた</p><p>それを聞いた、マナが</p><p>アニエスちゃんイーディちゃんのために、お寿司を作ってあげて</p><p>アニエスがですの</p><p>そうよ、アニエスちゃんのは、マナが作ってあげるから</p><p>では、わたくしはマナさんのお寿司を作りますわ</p><p>瑠璃子も参加する</p><p>じゃあ、真緒はパパにつくってあげるっ</p><p>みんなで、手巻き寿司をプレゼントし合うことになった</p><p>アニエスが、イーディにできたお寿司を差し出す</p><p>マナが、英語で何か言う</p><p>多分アニエスが、あなたのために作ったのよということだろう</p><p>イーディは感激して</p><p>醤油も付けずに、カブッと食べる</p><p>Good</p><p>こういうところは、良い子なんだよなあ</p><p>はい、パパ</p><p>真緒ちゃんが、オレに手巻き寿司を差し出す</p><p>ご飯がちょっぴりで、具だくさん海苔は、上手く巻けていない</p><p>まあ、小さいからな</p><p>うん、ありがとう</p><p>オレは、笑顔で受け取り醤油を付けて、パクッと食べる</p><p>おいしい</p><p>心配そうに、真緒ちゃんがオレを見る</p><p>うん、美味しい</p><p>でへへよかった</p><p>お兄ちゃん、次、あたしの食べて</p><p>お兄様わたくしも、お兄様に食べていただきますわ</p><p>あっ待ってあたしも、ヨッちゃんに餌付けするっ</p><p>餌付けって何だよ</p><p>寧お姉ちゃんこっちは、子供だけで集まっているんだから</p><p>マナが、抗議する</p><p>あたしも子供っ子供になっちゃうからさぁっ</p><p>もおっ、大人になったり子供になったり寧お姉ちゃん、ズルいっ</p><p>そう言うマナにメグが</p><p>マナ怒らないのご飯中よ</p><p>克子お姉さんがね、マナはお寿司はそろそろ控えなさいってサラダは、食べてもいいからって後、ジュースはダメよお茶だけね</p><p>メグが、克子姉からの伝言を小声で伝える</p><p>マナはスーパーモデルになるための肉体改造を始めている</p><p>今日は、ケーキも食べちゃったもんねでも、みんなで作ったんだからあたしだけ、口にしないわけにはいかなかったし</p><p>マナも気にしていたらしい</p><p>じゃあ、いいやあたしは、お兄ちゃんにお寿司を作る係になるからっ</p><p>マナは、笑ってそう言う</p><p>アニエスたちとの、手巻き寿司作りには参加していたいらしい</p><p>いや、マナが居てくれないと</p><p>アニエスも瑠璃子も真緒ちゃん、マナを手本にしているし</p><p>みんながそうだからイーディも、マナに頼り始めている</p><p>マナは英語もできるし</p><p>子供組のキーマンになっている</p><p>マナ、すっかり落ち着いたねえ</p><p>寧が、オレに言った</p><p>やっばり、お姉ちゃんになるとどっしり落ち着くものなのかしらっ</p><p>何言ってんの寧だって、そうじゃない</p><p>彼が来てお姉さんになってからだよ、寧が安定してきたのは</p><p>寧が、オレを見る</p><p>みなさん、お茶のお代わりはいかがですか</p><p>メグがオレたちに気を遣ってくれる</p><p>あ、マルゴお姉さんと寧お姉さんはワインの方でした</p><p>ううんあたしは飲まないんだアルコールは、一滴も</p><p>マルゴさんのお父さんはアルコール中毒患者だった</p><p>オレは、慌てて会話を変える</p><p>マルゴさんは生魚とか平気なんですか</p><p>あたしは慣れたよほら、ここにお客さんがいっぱい来ていた頃は日本のお金持ちは、お刺身が大好きだろ必然的に、ご相伴しないといけないこともあったから</p><p>娼館の警護役として宴席に立ち会うこともあったんだ</p><p>ミス・コーデリアたちは</p><p>オレは大人組の方を見る</p><p>ああ、平然とパクパク食べている</p><p>ミス・コーデリアは、恭子さんのパートナーだから日本食にも慣れているんだよアメリカじゃあ、日本食はもうポピュラーだしそれに</p><p>あの人たちは、仕事でジャングルとかも行くからサバイバル訓練で、魚も獲るし生で食べるのも慣れているんだと思うよ</p><p>それでイーニー、ミーニーも</p><p>マルゴさんが、二人に英語で何か聞く</p><p>イーニーもミーニーも笑いながら、何か答える</p><p>二人とも、手巻き寿司はヘルシーで気に入ったってさ何より、手掴みで食べられるのが良いって</p><p>ミス・コーデリアに連れられて、日本食のレストランへ行くことがあるらしいんだけれどどうしても、お箸が苦手なんだってさ</p><p>そう言えば今日の食材は、全部ミス・コーデリアが買ってくれたそうですけれど</p><p>うんそのことね</p><p>マルゴさんは、恭子さんに話し掛ける</p><p>恭子さん、彼がどうしてミス・コーデリアが賭けに負けたか知りたいそうですよ</p><p>恭子さんは、ニヤッと笑う</p><p>ふふふ面白い賭けだったんだよ</p><p>というかあたし、日本という国にはとことん驚かされたわっ</p><p>日本というより日本の暴力組織にだろ</p><p>恭子さんは、楽しそうに笑う</p><p>あたしたちさ今日は、日本の暴力団をブッ潰しに行ったんだけどさ</p><p>ああ、そう言えばそうだった</p><p>上手くいったんですか</p><p>当たり前だろ上手く行かなきゃ今、ここでみんな揃って晩ご飯なんて食べられないよ</p><p>失敗していていたら、警察に捕まっているか死んでいるかだ</p><p>恭子さんたちどうやって、暴力団を潰したと思う</p><p>いや、そんなの判らないですよ何か、凄い方法を使ったんですか</p><p>オレに判るはずがない</p><p>うんにゃ正面から、殴り込んで来た</p><p>暴力団のトップがそこの暴力団は、１１階建てのビルの７階から最上階までの５フロアを全部借り切っていたんだよで、最上階の会長室にターゲットが居ることを確認して、真っ正面から突撃してみた</p><p>正確には、正面じゃないかそこのビルには、出入り口が３箇所あったからあたしとイーディ、コーデリア、イーニーとミーニーの３グループで同時に突っ込んだんだ中に居るやつは、一人も見逃さない全員、殴って昏倒させるっていうプランで</p><p>それプランなのか</p><p>もしかして誰が一番先に会長室に到着するかで、賭けていたんですか</p><p>オレの言葉に恭子さんは、笑う</p><p>そんなのは、賭けないよ慌てる必要なんて無いもの確実に一人一人倒していくことの方が大切だからね</p><p>じゃあ</p><p>いつ、銃が出て来るかで賭けていたんだ</p><p>銃</p><p>ほら、日本はアメリカと違って銃の携帯が違法だろでも、さすがに犯罪組織なら、銃ぐらい持っているだろうだからさ正面玄関から殴り込んだら、暴力団のやつらが何分ぐらいで銃を持ち出して来るかその時間を賭けていたのさ</p><p>ミス・コーデリアは突入から、１０分以内に銃が出て来るって賭けたあたしは、１０分以上は掛かるだろうって思ってたそれで実際は</p><p>くははははと、恭子さんは大笑いする</p><p>会長室に着いても最後まで、銃なんて出て来なかったんだよ</p><p>そうよ、どうなっているのこの国は下から順に５フロア全て占拠しても、銃を持った敵が一人も出て来ないのよ犯罪組織の人間なら普通は、みんな銃の２、３丁は持っているでしょう</p><p>多分恭子さんたちの進行が早過ぎたんだよ</p><p>多分、事務所の中に銃も何丁かあったんだろうけれど暴力団の事務所って、警察の捜索を受けることも予想しているから、銃なんてみんなどこかに大事に隠しているんだよ恭子さんたちの襲撃が、あんまりにも早いんで隠し場所から出すタイミングが無かったんじゃないかな</p><p>何よそれそれじゃあ、銃を持っている意味が無いじゃない</p><p>ミスコーデリアは、怒る</p><p>まあ、日本の場合暴力団が銃を使うのは、自分たちから攻撃を仕掛ける時だからね自分たちの総本部の事務所に、真っ正面から攻め込まれるとか想定していないんだよ抗争事件とかだって事務所の外で、車に乗る時とか、お店の中とか相手が無防備なところを狙って銃撃するのがほとんどだし外から、弾丸だけ撃ち込むだけとか本部事務所の襲撃なんて、この数十年の間には起きていないんじゃないかな</p><p>ったくタルんでるわよ日本の暴力団は</p><p>で、結局中に居た人間は全員、ブッ飛ばして気絶させたで、会長さんなんだけれど全裸にして、ロープで縛って、窓から外に逆さ吊りにしてみたよ</p><p>あ、吊したのは８階の窓からねあんまり高いところだと、下から見たときのインパクトが、かえって薄くなるから７階とか８階が地面から見上げた時に、一番ゾッとするからこれは、何回もやってみて、科学的に統計を取ってみた結果だから間違いないよ</p><p>そうよね昔はキョーコと一緒に、何人も逆さ吊りにしたわよねぇ</p><p>ミス・コーデリアは懐かしそうに言う</p><p>でも、ここは日本だから本当は、全身白く塗って、それから逆さ吊りにしないといけないのよね</p><p>えー、日本の伝統芸能でしょ真っ白に塗った人を、高いビルから逆さ吊りにするのは</p><p>ミス・コーデリアは何と勘違いしているんだろう</p><p>コーデリア暗黒舞踏は、伝統芸能じゃないんだよ</p><p>それに、最近は流行っていないからその子の年齢だと、知らなくて普通だと思うよ</p><p>全身白塗りするのに何で暗黒舞踏って言うのか、あたしにはよく判らないけれど</p><p>な、何なんですか暗黒舞踏って</p><p>本当の日本の伝統は全身白塗りじゃなくって、確か、身体全体にお経を書くんだよね</p><p>あの恭子さん</p><p>それで、耳だけ書き忘れる必ずだよそれが日本の伝統だから</p><p>判ったわ、恭子教えてくれてありがとう</p><p>ミス・コーデリアは納得する</p><p>いや、多分それ、違うでしょ</p><p>まずいよ、日本についての変な知識が伝わっちゃう</p><p>オレは、克子姉や渚の顔を見るが</p><p>あ、二人とも眼を反らす</p><p>だれか、間違ってるって訂正してよ</p><p>もちろん、オレにはできないけれど</p><p>寧とか、麗華は</p><p>麗華なんて、剣道やっていたんだから日本の伝統には、うるさいんじゃないのか</p><p>二人ともいない</p><p>あの身体にお経を書くのは、昔話です伝統では無いです</p><p>メグ偉いぞ</p><p>それに、耳だけ書かなかったのは、ただの失敗で本当は耳まで書かないといけなかったんです</p><p>あら、そうだったっけ</p><p>あ、わざとミス・コーデリアに、嘘を教えようとしていたんだ</p><p>あたしラフカディオ・ハーン読んでますから</p><p>ラフカディオ何</p><p>メグの言葉に、ミス・コーデリアが反応する</p><p>１００年前にギリシャ生まれのイギリス人が、アメリカへ行ってジャーナリストになったのに、なぜだかその後、日本で学校の先生になったんだよそして、日本の昔話を集めて本を書いて日本で死んだそういう男がいたのさ</p><p>ミス・コーデリアは、特に興味を持たなかったらしい</p><p>はいはいはーい、みなさーんこっち見てぇぇ</p><p>寧が、部屋の入り口で叫ぶ</p><p>これから皆さんに、新しい仲間を紹介しますっ!</p><p>それっと、もしかして</p><p>はーい可愛いレイちゃんの登場でーすっ</p><p>戸口に恥ずかしそうに、長身の女性が現れる</p><p>ピンク地のメイド服を着ているが</p><p>ロングスカートなのに、足が長すぎて脛から下の生肌が露わになっている</p><p>手も袖が足りないなあ</p><p>メイドキャップを被った彼女は赤面して、震えていた</p><p>ほらっレイちゃん、みんなにご挨拶は</p><p>香月セキュリティ・サービスのトップ・エリートにして、撲殺剣士の異名のあるプロ護衛人、藤宮麗華は</p><p>寧に、練習させられたのだろう両手でスカートを掴んで、ひょいっと腰を折って頭を下げる</p><p>レ、レイですみなさんの仲間になりますっ</p><p>しかし、毎回食事シーンだけは必ず書いているような</p><p>恭子さんたちは、このまま学校へ行きますので</p><p>次話から、エッチ方向へ</p><p>作中の午後９時から、瑠璃子の処女喪失なので</p><p>多分、その前にマナかな</p><p>東京は雪で、寒くてたまりません</p><p>成人式の日ですが私は、なぜか自治体の呼んだゲストがアイドル歌手だったので、行きませんでした</p><p>何で、年下の子に壇上から祝われないといけない</p><p>ってこれ、去年も書きましたね</p><p>415．次のステージへ</p><p>わたくし変ですよね</p><p>ピンクの可憐なメイド服を着せられた麗華は恥ずかしそうに言う</p><p>そんなことない可愛いよ</p><p>恭子さんは真顔で、そう言う</p><p>問題無しよとっても、可愛いわ</p><p>ミス・コーデリアも</p><p>イーニーとミーニーも、頷いている</p><p>こういう時は、本当にチームワークがいい</p><p>戸惑っている麗華に、寧は</p><p>ダメダメ、これからはわたくしは、使用禁止ね自分のことは、レイちゃんて呼ぶこと</p><p>それからレイちゃんは、大人組じゃないからあっちの子供組に参加ねマナ</p><p>はい、寧お姉ちゃん</p><p>レイちゃんのこと、よろしく面倒見てあげてっ</p><p>レイちゃんも、あの子たちと仲良くすること自分も１０代だって、思い込んでねっ喋り方とかも、丁寧語じゃなくていいからなるべく、マナの真似をするよーにっ</p><p>寧が、命じる</p><p>さあさあ、こっちおいでレイちゃん</p><p>早速マナが、麗華を招き寄せる</p><p>いいからいいからっ真緒ちゃん、レイちゃんを連れてきてっ</p><p>真緒ちゃんが、トコトコと麗華の前に行き</p><p>レイちゃんあっちで、みんなとあそぼっ</p><p>この幼女の笑顔には麗華も従わざる得ない</p><p>真緒ちゃんに手を引かれて子供組の中へ</p><p>それじゃあさっ、今からは、みんな自分のことは、自分の名前で呼ぶことにしまーすいいですねっ</p><p>早速、マナがそう言い出す</p><p>うんとマナは、お寿司の具だったら、玉子が好きだけれど、レイちゃんは何が好き</p><p>わたくしとか言わないのっ</p><p>マナが、麗華をメッと叱る</p><p>レイちゃんは、レイちゃんでしょ</p><p>れ、レイちゃんはウニが好きです</p><p>真緒、ウニにがていくらがすき</p><p>瑠璃子は、桜エビが好きですわ</p><p>うんみんな、上手く合わせてくれる</p><p>アニエスは、どれが一番好き</p><p>マナが笑顔で尋ねる</p><p>うんとアニエスも、あれが一番好きですの</p><p>アニエスは、いくらの皿を指差す</p><p>わーい、真緒とおんなじっおんなじだねっ</p><p>はいですの</p><p>うん良い雰囲気だ</p><p>それじゃあ、レイちゃん果物だったら、何が好きマナはね</p><p>マナはまず食べ物から、麗華に自分のことをどんどん話させようとする</p><p>それに真緒ちゃんが、ノリノリで乗っかって来るし</p><p>瑠璃子が、気を遣ってフォローする</p><p>アニエスも、このメンバーとなら話す様になってきているから</p><p>何となく、仲良しグループが形成されていく</p><p>えっと、あのレイちゃんとしましては</p><p>麗華が、みんなに答える</p><p>まだ、たどたどしいがいつの間にか、麗華は一人称のレイちゃんに慣れていく</p><p>結局さレイちゃんは、マナたちの年まで精神年齢を戻さないといけないと思ったんだっ</p><p>寧がオレに言う</p><p>レイちゃん子供の頃から、お祖父さんや周りの人の期待に応えようとし過ぎで周りの人たちのイメージを壊さないようにってそれで、本当の自分が判らなくなっちゃったんだと思う</p><p>だからさ一度、可愛い女の子に戻らないといけないんだよっあの子たちの仲の良いお友達になってさっ</p><p>寧が、姉の眼で麗華を見ている</p><p>ああ実年齢とか、関係無いんだな</p><p>麗華の方が年上だし社会人として立派に働いているのに</p><p>今は、寧が麗華のお姉さんになっている</p><p>ということでレイちゃんは、しばらく子供組ねっ</p><p>寧は、むふふふーんと笑う</p><p>だけど一人、ご不満な子がいるみたいだよ</p><p>日本語の判らないイーディが一人だけ、蚊帳の外に出された感じでムスッとしている</p><p>お気に入りの真緒ちゃんを麗華に獲られた気分なんだろう</p><p>しょうがないなあっ</p><p>寧が、英語でイーディを呼ぶ</p><p>こっちにやって来るイーディ</p><p>寧とマルゴさんが英語で、どんどん話し掛ける</p><p>イーディの相手は、この二人がしてくれるみたいだ</p><p>ヨシくん、食べてる何か、持って来ようか</p><p>メグがオレに寄って来る</p><p>大丈夫だよメグこそ、食べているか</p><p>さっきから、ずっと克子姉と一緒に、配膳やお皿の片付けをしている</p><p>うん、あたしは平気</p><p>オレ一つ、巻いてやるよ</p><p>オレは、海苔を取ってメグのために、手巻き寿司を作る</p><p>食べられない具材とか無いよな</p><p>大丈夫、あたし、好き嫌い無いから</p><p>メグは、オレから寿司を受け取りパクッと食べる</p><p>ニコッと微笑む寧</p><p>あメグちゃん、作って貰ったの</p><p>渚が来る</p><p>渚も欲しいか</p><p>ええお願い</p><p>オレは、渚のためにも一つ巻いてみる</p><p>食べる渚</p><p>うふふ、こういうのって素敵</p><p>渚の豊満な肉体が、オレの隣に</p><p>あなたのために何かをするのも楽しいけれどあなたにしてもらうのは、とっても嬉しい</p><p>渚あの</p><p>オレたちしばらく、してないよな</p><p>他の女たちとは、毎日の様にセックスしているけれど</p><p>渚とはここのところ、していない</p><p>したい</p><p>渚の身体に溺れたい</p><p>今なら真緒ちゃんの面倒は、みんなが見ているし</p><p>こっそり、この部屋を抜け出して</p><p>あ、でも今はダメね</p><p>残念そうに、渚は言った</p><p>この後瑠璃子さんとの初エッチでしょ</p><p>それはそうだけど</p><p>精力を温存しておいた方がいいわ瑠璃子さんの中へ、たっぷりと出してあげて</p><p>渚は、笑顔でそう言う</p><p>男の人が、いっぱい射精してくれる方が女は嬉しいのよ精液がちょっとしか出ないと、寂しい気持ちになるし</p><p>大丈夫だよ瑠璃子は、初めてのセックスなんだし精液の量なんて、判らないだろうし</p><p>最初のエッチなんだから万全の態勢でしてあげて女の子にとっては、一生に一度のことなんだから</p><p>渚の初体験はレイプだった</p><p>素敵な初体験にしてあげて</p><p>オレは、渚に答える</p><p>閣下が見にいらっしゃるからちょっと大変だけれどね</p><p>だから、御名穂さんと恭子さんはミス・コーデリアたちを学校へ移すのよ</p><p>白坂創介の監視のためだけじゃ無いんだ</p><p>あたしたちはもう、あの人たちを身内だと思っているけれど香月セキュリティ・サービスは、そうじゃないからミス・コーデリアが居るのなら、谷沢さんは閣下がこのお屋敷に来ることに反対するでしょう</p><p>だから、あらかじめミス・コーデリアたちを、学校へ送る</p><p>それで、恭子さんも監視のために一緒に行くのよ御名穂さんも、白坂創介が居るからあっちから動けないだからあたしたちだけで、閣下をお迎えしないといけないのよ</p><p>こっちの館内警護は、マルゴちゃんに任せてまあ、閣下には大徳さんと張本さんが付いてらっしゃるしお屋敷の周囲の香月セキュリティ・サービスの警備員も増強されるでしょうから、問題は無いでしょうけれど</p><p>ジッちゃんが来るっていうのはなかなか、大変なことなんだな</p><p>だから、あなたも今のうちに休んでおいて瑠璃子さんとのエッチが上手くいかなかったらそれも、あなたのオチンチンの勃ちが悪かったせいでなんてことになったら、シゲちゃんが怒るわよっ</p><p>渚は、そう言って笑う</p><p>今は、瑠璃子とのことに集中した方がいいんだな</p><p>さっき、シャワー室でメグに射精したばかりだけれど</p><p>晩ご飯を食べたエネルギーで睾丸が精子を増産してくれることを祈ってみる</p><p>夕食の時間が終わる</p><p>ん、じゃああたしたち、学校へ行くから</p><p>恭子さんたちが立ち上がる</p><p>これ、お願いしますお嬢様の夕食海鮮丼にしましたからスープとサラダは、こちらに</p><p>克子姉が、幾つものタッパーを一つのバッグにまとめる</p><p>判った届けるよ後、飲みかけのワインも持っていくから</p><p>すでに数本のワインを空にしているのに恭子さんは、全然酔っているように見えないアルコールに強いんだな</p><p>一方ミス・コーデリアは、すっかり赤い顔になっている</p><p>うふふふ今夜は、お酒が美味しいわんっ</p><p>恭子さんに抱きついてキスをする</p><p>もおっコーデリアは、酔うとキス魔になるんだからっ</p><p>苦笑する恭子さん</p><p>もっとも、まだ第１段階だからキス魔だけれど第２段階だと、脱ぎ出すからね、この子は</p><p>キョーコそんなこと言わないでよっ</p><p>で第３段階になると</p><p>はいはい内緒にしておくよ</p><p>恭子さんは、酔ったコーデリアを抱きかかえる</p><p>ほんじゃあ、行こうか</p><p>イーニーとミーニーが、二人に従う</p><p>この人たちは全然酔っている様に見えない</p><p>確かに、飲んでいたけれど</p><p>恭子さん、あたしが車で送りますよ</p><p>確かにアルコールが入ったままの運転はよくない</p><p>大丈夫車は使わないよ歩いて行くから</p><p>歩いて行く</p><p>外には公安警察と香月セキュリティ・サービスの監視車がいるのに</p><p>その方がはっきりするだろ</p><p>ミス・コーデリアたちの退去をはっきりと知らせるためにか</p><p>急いでいくよ道の途中で、コーデリアが第２段階になっちゃったら大変だから</p><p>ましてや第３段階になったりしたら</p><p>早くぅぅ行くなら早く行きましょうよキョーコ</p><p>ミス・コーデリアがまた、恭子さんにキスをする</p><p>あたし早くしたい</p><p>ミス・コーデリアの眼は、欲情していた</p><p>あたしもだコーデリア</p><p>今度は、恭子さんの方からキスをする</p><p>つーことだから、こっちのことは頼んだよマルゴ</p><p>マルゴさんが、返答する</p><p>こっちがお嬢様のご飯でこっちは、みなさんのお酒のおつまみに食べて下さい</p><p>克子姉から手渡されたバッグをイーニーとミーニーが受け取る</p><p>喋らないけれど日本語、判ってるみたいだな</p><p>いや、ペラペラ喋り出されても困るけれど</p><p>さてでは、みなさん楽しい夜をね</p><p>そして、恭子さん、ミス・コーデリア、イーニーとミーニーの４人が退出する</p><p>ミス・コーデリアの第３段階って、どんなことだと思う</p><p>姿が見えなくなった途端にマルゴさんが、オレに言う</p><p>全然、判りません</p><p>国際的犯罪者のお酒を飲んだときのクセなんて判るわけがない</p><p>前に恭子さんに聞いた話だとピストルを撃つらしいよいろんなものを標的にして</p><p>うげっ</p><p>部下の頭にリンゴを乗せて、ウイリアム・テルごっこをしようとした時には、恭子さんが力尽くで止めたらしいけれどバロウズみたいになっちゃうぞってそれで、代わりにあの標識を撃ってみろとかあそこの看板の文字を狙えとか、恭子さんが人に当たらない様に標的を指定しているんだって恭子さんはナスノヨイチ作戦って言ってたけれど</p><p>はあそりゃ、大変だ</p><p>恭子さんと再会できて、嬉しいんだよミス・コーデリアはだから、普段よりも酔いが廻るのが早いんだと思う</p><p>判るわ心から安心できる人の側でないと自分を見失うほど、お酒を飲んだりはできない人でしょうからね浮き浮きしているのが、よく判るもの</p><p>本当に、恭子さんのことが大好きなんですねあの人</p><p>今は、恭子さんと暴力団の事務所に殴り込みに行ったりするのが楽しくて仕方ないんだろう</p><p>さてお片付けするわよメグちゃんと、マナちゃんと、瑠璃子ちゃんは、お皿を洗うの手伝って寧たちはお掃除いいわね</p><p>克子姉が、号令を掛ける</p><p>あのわ、わたくしは何を致しましょうか</p><p>ギロッと寧が、麗華を見る</p><p>れレイちゃん、何をしましょうか</p><p>レイちゃんは真緒ちゃんとアニエスを見ていて</p><p>渚あなたも、レイちゃんたちと一緒よ</p><p>判ったわ克子</p><p>渚が、真緒ちゃんたちの方へ行く</p><p>さっ、あっちでみんなの迷惑にならないように遊びましょうねっ</p><p>レイちゃん、アニエスちゃんいこうっ</p><p>真緒ちゃんに手を引かれて２人は部屋の奥へ</p><p>うん渚が監督してくれるのなら、問題は無い</p><p>マナさん、これはどうやって洗えばいいのですか</p><p>瑠璃子は生まれて初めての、皿洗いに挑戦している</p><p>もっともこの地下室の水場は、あんまり食器洗いには適してはいないのだけれど</p><p>シャワーの横の水道で洗うしかないから</p><p>えっとごめん、実はマナもそんなにやったことが無いんだメグお姉ちゃん</p><p>うん、じゃあ見ていて</p><p>マナも今までは、お手伝いさんの居た家のお嬢さんだもんな</p><p>一方メグは、山峰家が貧乏だったから、家事は一通りできる</p><p>こうやって、お皿の裏もね慌てないでいいから、お皿を落として割ってしまわないように注意するのよ</p><p>さっきの子供組だけの関係から</p><p>今度はちょっとだけ年上のお姉さんから、習うという関係</p><p>瑠璃子にとっては、良い経験だろう</p><p>できれば、アニエスにも体験して欲しいけれど</p><p>まだ、ちょっと無理か</p><p>今は、真緒ちゃんというカードを使って、少しずつ人の輪を拡げた方が良い</p><p>このカードは夜の部になると、使えなくなるのだから</p><p>幼すぎる真緒ちゃんは男女のセックスの場には、置いておけない</p><p>ヨッちゃん、その辺、掃除機掛けて</p><p>一方こっちでは、寧が掃除機を抱えてくる</p><p>マルゴさんは、イーディーに指示を出しながら、すでに掃除を開始していた</p><p>ああ、任せてよ</p><p>オレは掃除機を受け取る</p><p>皿洗いも掃除も大体終わった</p><p>真緒ちゃんが、アニエスのベッドの上で、キャッキャと飛び跳ねている</p><p>渚に見守られてアニエスも笑っている</p><p>マナが、やって来た</p><p>オレは床に立て膝で、掃除機のコードをまとめる</p><p>ん、何でもない</p><p>そう言って、マナはしゃがんでいるオレの背中に抱きつく</p><p>小振りのおっぱいを、オレに押しつけてくる</p><p>ああ判っている</p><p>マナとはセックスする約束をしている</p><p>マナあのさ</p><p>オレは今すぐは無理だと言おうとした</p><p>判ってるってルリお姉ちゃんの初エッチが終わるまでは、精液溜めているんでしょっ</p><p>でも、約束は約束だからマナとは、その後でねっ</p><p>ニヒッと笑う１４歳</p><p>そうだな悪いけれど待っててくれ</p><p>うんっ待ってるようっ</p><p>マナは、さらにおっぱいをオレに押しつけてくる</p><p>オレの耳の後ろにチュッとキスして</p><p>ね、お兄ちゃんさダブル・フェラって知ってる</p><p>克子お姉ちゃんから教えて貰ったんだけどさオチンチンを、女の子２人でペロペロ舐めるんだって</p><p>マナの息が耳に当たる</p><p>お兄ちゃんそういうの、してみたい</p><p>マナはしてみたいな</p><p>この子は、すっかり小悪魔になっている</p><p>マナと誰がいいマナはルリお姉ちゃんとしたいな</p><p>マナが淫靡に微笑む</p><p>ルリお姉ちゃんはマナとおんなじ、お兄ちゃんの奴隷だもんセックス奴隷だよ</p><p>瑠璃子はメグに何か家事のことを習っているらしい</p><p>真剣な顔でメグの話を聞いている</p><p>お兄ちゃんはマナとルリお姉ちゃんには、何をしてもいいんだよセックス奴隷なんだもんもっともっと、エッチなことをしてっマナのこと、泣かしてもいいからマナ、可愛い奴隷になるからね、お兄ちゃん</p><p>そしてマナは、オレから身体を離す</p><p>ルリお姉ちゃんには今のうちに、エッチな話をたーっぷりしておくからねっお兄ちゃんのことしか、もう眼に入らないようにしっかり、教育しておくから</p><p>おい、マナ</p><p>マナが、お兄ちゃんにして欲しいことお兄ちゃんは、マナに遠慮してて、してくれないからだから、ルリお姉ちゃんを、マナがなりたい様なセックス奴隷にしちゃうのそしたら、お兄ちゃんもう、遠慮とかしなくなるでしょマナのことも、ルリお姉ちゃんみたいにしてくれるよね</p><p>お前はどうなりたいんだ</p><p>オレはストレートに尋ねた</p><p>マナはもっと、お兄ちゃんに束縛されたい</p><p>うん身も心も完全に奴隷になりたいの</p><p>そしてペロッとスカートを捲る</p><p>マナは当然の様に、パンツを穿いておらず</p><p>無毛の割れ目は、愛液で濡れていた</p><p>じゃあ待ってるからねルリお姉ちゃんの次だよ</p><p>マナは言う</p><p>今夜もマナのこと、犯して下さい</p><p>ワンクッション、置いて瑠璃子にマナとのセックスを見せて</p><p>それから、瑠璃子の初体験にしようかと思っていたのですが</p><p>精力的にもったいないので瑠璃子の初体験を、先にすることにしました</p><p>やっぱり、みなぎる精力でするべきなので</p><p>というわけで、次話から瑠璃子・初体験編です</p><p>ジッちゃんが、美子さんを連れて来ますし</p><p>美子さんに、憎しみの眼で見下されたりしないといけないので</p><p>すぐにはエッチ・シーンにならないと思いますが</p><p>瑠璃子の後が、マナの３Pですね</p><p>渚だけエッチするタイミングが、なかなか</p><p>とにかく、まずは瑠璃子に集中します</p><p>雪乃も、これが終わらないと再登場しません</p><p>東京は昨日の大雪が残ってまして</p><p>今日、雪かきしました</p><p>シャベルとか、家には無いので転がってた、コンパネの板でガリガリと</p><p>腰が痛いです</p><p>昔、仕事で冬に長野に行った時に</p><p>雪がしんしんと降り積もる中生足・ミニスカートの女子高生を見ました</p><p>寒くないのか気合いなのか</p><p>まあ、雪の中で見る生足は最高でした</p><p>416．熱情　（パッション）</p><p>アニエスの地下室では夕食の片付けと、掃除が終わっている</p><p>真緒ちゃんとアニエスとイーディ、麗華と渚はベッドの方で、遊んでいる</p><p>渚の持って来た折り紙を、みんなで折って</p><p>すっかり、アニエスはみんなに溶け込んでいる</p><p>もう隠された白坂創介の像の方を見ない</p><p>定時のオナニーも、白坂創介に言われたからやっていただけでアニエスが自分の意志でしていたことではなかったみたいね</p><p>でもあの子も、もう12歳だし自慰での性感は、充分に感じていたと思うのそろそろ、そっちの方も刺激しないといけないわね</p><p>どんなに遅くても明日の夜には</p><p>白坂創介の眼の前で、アニエスを犯さないといけない</p><p>ただ痛いだけのレイプより少しでも、快感を感じて貰いたい</p><p>一方もう１つのグループは</p><p>瑠璃子を中心に寧、マナ、メグが集まっている</p><p>こっちは瑠璃子に、セックスについての知識を吹き込んでいる</p><p>これから始まる瑠璃子の初体験に少しでも、恐怖を感じないように</p><p>とにかく、最初は痛いけれど何回かしていれば、お兄ちゃんが気持ち良くしてくれるから</p><p>うんあたしの時も、２回目くらいから気持ちよくなったわヨシくんが、優しくしてくれたからだと思うけれど</p><p>まっ、最初の何回かは我慢だよっ痛みに我慢するのが何か、嬉しいんだよねっ</p><p>マナ、メグ、寧と自分の体験談を語っていく</p><p>そうなのでございますかそう言えば、美智様も痛い方が、気持ちが良いっておっしゃってました</p><p>瑠璃子が、答える</p><p>それはあの子は、ちょっとMっ気が強いからっ</p><p>エムッケ</p><p>寧の言葉をマナが、復唱する</p><p>あっ、でも、マナは凄い判るぅぅマナも、ちょっと痛い方が好きお兄ちゃんに、力尽くでされる方がすっごく、マナのこと求めてくれているって感じがするんだもん</p><p>そうねあたしも、そうかも</p><p>なあにメグもマナも、マゾっ子なの</p><p>寧お姉さんはそういう気持ちは無いの</p><p>マナの問いに、寧は</p><p>無いよあたしは、楽しい方が好きだもんヨッちゃんと、イチャイチャ、ダラダラする方が好き日曜日の午後から、エッチして途中で、ベッドの中で２人で裸のまんま、冗談言って笑ったり、お菓子を食べたりしてで、またエッチ日が暮れるまでそういうのが、いいなあっ</p><p>ああオレも、そういうのんびりとしたエッチがしたい</p><p>ルリちゃんヨッちゃんと裸で抱き合うのって、とっても気持ちがいいんだよヨッちゃんを抱くのもヨッちゃんに抱き締められるのもねっ</p><p>そんなエッチ寧お姉ちゃん、いつしたの</p><p>そうですあたしたち、全然知らないわ</p><p>メグ＆マナが寧を問い詰める</p><p>うるさいなあ、マゾっ子たちはっ</p><p>寧は、一瞬不機嫌になるが</p><p>ふと、何かを思い出したようにニターリと笑う</p><p>ぬふふマゾッ子メグちゃん</p><p>キョトンとするメグ</p><p>いいからあたしが、マゾッ子メグちゃんて呼んだら、あんたはシャランラって応えて</p><p>しゃらんら</p><p>いいから、いくよっマゾッ子、メグちゃーんっ</p><p>しゃ、しゃらんら</p><p>寧はガハハと大爆笑した</p><p>マルゴさんがやって来る</p><p>克子さん関さんから、今連絡があったよ閣下予定よりも少し早く到着なさるって</p><p>そうどれぐらい</p><p>３０分くらいだそうだよ</p><p>そしてマルゴさんは、オレを見る</p><p>君に話があるみたいだ</p><p>瑠璃子とセックスする前に</p><p>瑠璃子も一緒にですか</p><p>いいや、君だけだってだから、瑠璃子さんには、閣下の到着が早まったことを知らせないで欲しいそうだ</p><p>ジッちゃんは、今瑠璃子をわざと、突き放している</p><p>それでも孫娘のことが、心配なんだろう</p><p>だから、瑠璃子の初体験の前にオレに話したいことがあるんだろう</p><p>瑠璃子のことを案じて</p><p>オレは返事する</p><p>じゃあ、急いで準備をしないといけないわね</p><p>克子姉が嘆息する</p><p>悪いけれど今日は、克子さんがお屋敷の女主人役だから頼むよ</p><p>マルゴさんが、克子姉に微笑む</p><p>マルゴ様が、お嬢様を怒らせてしまわれるからですよ</p><p>克子姉が、唇をとんがらせて言う</p><p>怒らせたってどういうこと</p><p>ほら、あたしが今日の作戦で、岩倉さんを使ったよね</p><p>岩倉会長を娼婦として、仕事をさせた</p><p>あれで、ミナホも今すぐに、娼館を廃業することはできないってことは、判ってくれたけれどミナホは、本心では、もう娼館の主はやりたくないんだよね</p><p>娼館を継続せざるを得ないのは黒い森の現実だけれど</p><p>ミナホ姉さんの個人的な望みとしてはもう、売春ビジネスには関わりたくないと、思っているんだろう</p><p>だから今後のことは、なるべくミナホ抜きで、あたしたちだけでやらないといけない</p><p>マルゴ様ったら今夜の段取りは、自分たちでするから、お嬢様はお屋敷の仕事から外れていてくれって、おっしゃったんですよ</p><p>それでミナホ姉さんは、今夜は学校に居るのか</p><p>ああミス・コーデリアたちの監視なら、恭子さんだけで良い</p><p>なのに、ミナホ姉さんは学校に残っている</p><p>香月さんは、今夜は黒い森のお客としていらっしゃるわけじゃないけれど香月セキュリティ・サービスの人たちは、そうは思ってないだろ</p><p>香月セキュリティ・サービスの人たちはオレたちとジッちゃんの関係を知らない</p><p>ジッちゃんが、この屋敷を訪問するということは</p><p>当然黒い森に娼婦を買いに行くんだと思っている</p><p>本当なら香月家当主であるジッちゃんのお出迎えは</p><p>黒い森の現在の代表者である黒森御名穂がしなければならない</p><p>なのにミナホ姉さんは、すぐそこの学校からは戻って来ない</p><p>今後のシミュレーションには、最適だと思うんだあたしたちが、ミナホ抜きでやっていけるかどうかの</p><p>マルゴさんはどんどん、先のことを考えているんだ</p><p>黒い森が、いますぐに売春ビジネスを止められないからといって</p><p>ミナホ姉さんに娼館の主人の仕事を続けさせるのは酷だ</p><p>だからマルゴさんと克子姉は、ミナホ姉さん抜きで娼館の運営ができないかと</p><p>お屋敷の周りは香月セキュリティ・サービスが、勝手に固めてくれるから心配は無いお屋敷内に入ってくるのは、香月さんのリムジンだけだからね</p><p>森下さん、来て下さるって</p><p>大丈夫連絡したから、もうすぐいらっしゃるよリムジンの運転手と秘書の接待は、森下さんがして下さるって閣下の直衛多分、大徳さんと張本さん、もしかしたら谷沢さんもいらっしゃるかもしれないけれど警護人の皆さんの相手は、あたしがするよ</p><p>渚にも、手伝って貰った方がいいんじゃない</p><p>渚さんは関わらせない方がいいよ現役じゃないんだから</p><p>克子姉もマルゴさんもまだ、現役の娼館の人間なんだ</p><p>足を洗った渚に助けて貰うのはいけないことだと考えている</p><p>応接室も貴賓室も、昼間のうちにお掃除してあるから大丈夫よ特等室もね</p><p>特等室</p><p>このお屋敷の中で、一番上等のお部屋よ瑠璃子さんが処女を失うのに、相応しいお部屋は、あそこしかないわ</p><p>その克子姉の言葉でオレは、理解した</p><p>瑠璃子は今は、香月家を追放されて、オレの奴隷となっているけれど</p><p>それは、フェイクだ</p><p>現在でもなお、瑠璃子は日本有数の名家、香月家の後継者なんだ</p><p>みすずでも、美子さんでもなく瑠璃子が、香月家の次の当主になると</p><p>克子姉は思っている</p><p>ちょっと、上へ行こう今のうちに、部屋の中を見て置いて</p><p>そうですね、前もって下見しておきます</p><p>あ何か、急にプレッシャーを重く感じる</p><p>オレが思っていたよりも瑠璃子の処女を、オレが奪うということは大きな意味があるんだ</p><p>ジッちゃんの三男の娘のみすずは一応、両親と暮らしている</p><p>瑠璃子と美子さんは両親から離され、ジッちゃんの手の中で大切に育てられた</p><p>やっぱり瑠璃子こそが、ジッちゃんに直に帝王学を教え込まれた後継者の本命なんだ</p><p>君、瑠璃子さんのこと好きかい</p><p>オレの顔を見てマルゴさんが言った</p><p>そりゃ好きですよ</p><p>セックスしたいって、思ってる</p><p>思ってます誰にも、渡したくないです</p><p>ニコッとマルゴさんは、微笑む</p><p>なら、それだけでいい君は、君のしたいようにするんだ政治的なことは、一切気にしなくて良いから</p><p>大人の世界の話はねあたしたちがするからその時には、ミナホにも出て来てもらう心配しないで</p><p>そうよそれぞれの役目を果たしましょう</p><p>あなたは瑠璃子さんに、素敵な初体験を経験させてあげてそして、あなたも楽しむのよそれだけに集中して</p><p>ああ、君たちのセックスは香月さんだけが観るあたしたちも、中継映像は観ないよ完全に、クローズドにするから</p><p>本当にみすずとは、違うんだ</p><p>観ないではなく本当に、観てはいけないんだろう</p><p>香月家の後継者の処女喪失は</p><p>現当主であるジッちゃん以外は</p><p>そういう現実を誤魔化すために</p><p>マルゴさんは、今日、瑠璃子本人にわざと二人きりにしてあげると言ったんだ</p><p>瑠璃子に自分が特別な存在であることを悟らせないために</p><p>とにかくあたしたちだけ、先に上に行こうここは、渚さんに任せておけばいい</p><p>マルゴさんが、渚に手を振る</p><p>渚は、笑顔で頷いた</p><p>事前に、話は通っているらしい</p><p>あれ、お兄ちゃんどこへ行くの</p><p>部屋から出ようとするオレたちにマナが、目ざとく気付く</p><p>オレが返答に困ると</p><p>ちょっと衣装合わせよ面白い服を見つけたから</p><p>克子姉が、笑顔でフォローしてくれる</p><p>うんちょっと、彼を借りるよ</p><p>と、瑠璃子がこっちにやって来る</p><p>明るい笑顔で</p><p>わたくしまだ拙い奴隷ですけれど一生懸命、致しますから</p><p>マナさんたちのお話を伺っているとお兄様は、とてもお優しい方でいらっしゃいますから、瑠璃子に対して手加減して下さるおつもりかもしれないって思いまして</p><p>手加減</p><p>瑠璃子は小さく、息を吐き</p><p>あのこんなことを申し上げるのは、失礼かもしれませんが</p><p>わたくしが香月の娘だということで、手加減をなさることだけはお止め下さい</p><p>瑠璃子、お前</p><p>わたくしは香月家を追放された身の上ですもう、この先はお兄様の奴隷として生きていくしか許されない女です</p><p>いや瑠璃子</p><p>わたくしは三千円というお金で、お兄様に買われました売られてしまった以上は、お兄様の所有物です我が儘は申しませんむしろこうなったからは、お兄様のお役に立ちたいのです</p><p>瑠璃子の眼は真剣だった</p><p>わたくしは何もできない女ですお兄様に喜んでいただくような能力を、何も持っていません香月の家に生まれたことに胡座をかき家事もお料理も、何も学んで参りませんでした愚かな娘です</p><p>そんなことこれから覚えればいいんだよ</p><p>はい、覚えます学びますお兄様のためにでも、それでは今のわたくしは、余りにも惨めです</p><p>そして瑠璃子は、オレの手を取る</p><p>セックスも、本当は自信がありませんでも、女性が男性を悦ばせるのはセックスが一番なのだと、マナさんから教わりましたみすず様や美智様が、お兄様となさる姿も拝見しましたしセックスというものが、とても大切なことであるということは、すでに理解しております</p><p>マナさんも、恵美さんも、寧さんもみんな、なさっていることですお兄様を悦ばせ自分も女としての悦びを感じることができる行為だそうですわたくし、頑張りますきっと、お兄様に満足していただけるセックスができる様な女になりますですから</p><p>瑠璃子は、ギュッとオレの手を掴む</p><p>絶対に手加減なさらないで瑠璃子をお兄様の奴隷として、扱って下さい瑠璃子は、お兄様のセックス奴隷です奴隷にしていただいたことに、誇りを感じております</p><p>強く強く、１５歳の美少女はオレに言う</p><p>どうぞわたくしの身体を、お兄様のお好きなようにわたくし、お兄様のお望みになられることは、何でも致します恥ずかしいことだって、平気です</p><p>オレは瑠璃子を抱き締める</p><p>瑠璃子の身体は小さく、震えていた</p><p>瑠璃子震えているじゃないか</p><p>武者震いですわ</p><p>瑠璃子は、そう応える</p><p>本当はセックスが、怖くてたまらないんだろう</p><p>本当に、良いんだな</p><p>オレが、そう尋ねると瑠璃子は</p><p>はいわたくし香月の家から追われたことを、今は感謝しております</p><p>あのまま香月家の娘として自分は将来、香月家の後継者になるものだと、さもしい思い違いをしたままならわたくしは、無味乾燥とした、情けない生涯を送ったと思います</p><p>もし、本当に当主に推挙されたとしても香月グループの方々に対して思いやりの無い、心の冷たい当主となったと思いますわたくしは自分を特別な人間だと勘違いし、他の皆様たちを小馬鹿にしておりました自分は、生きるための手段を何も知らないのに無力なただの小娘であったのに香月家の将来について意見するなんて本当に、わたくしは身の程知らずの愚かな娘でした</p><p>オレにしっかりと縋り付きながら瑠璃子は語る</p><p>香月様に見捨てられ、売り払われたのも当然ですやっと理解できました</p><p>世の中には色んな方々がいて皆様、必死に生きていらっしゃるということを自分の生まれに血筋や環境に苦しんでいるのは、わたくしだけではないということ優しい皆様がわたくしに、教えてくださいました</p><p>瑠璃子が後ろを振り向く</p><p>寧が、笑っている</p><p>マナも、笑っている</p><p>メグはおろおろしている</p><p>遠くでは、アニエスや真緒ちゃんたちも</p><p>何があったんだろうと、キョトンとしてこっちを見ている</p><p>わたくし、本当に皆様の家族になりたいんですそして、何より</p><p>瑠璃子の湿った眼がオレを見上げる</p><p>ちゃんと、お兄様の奴隷になりたいです早くセックス奴隷として、お兄様に悦んでいただける様になりたい</p><p>皆様何もできない奴隷女に、優しくして下さって色々と、親身になって教えて下さってわたくし、本当に何も知らない何も出来ない皆様の優しさが、心に染みて自分が、情けなくて、情けなくて</p><p>これは瑠璃子のプライドなんだろう</p><p>瑠璃子は、今のみんなに優しくされるだけの状況が、嫌なんだ</p><p>わたくし、奴隷なんですもの今のままじゃ、嫌嫌なんです</p><p>オレの胸で瑠璃子は、泣く</p><p>オレは、ジッちゃん香月重孝の恐ろしさを知る</p><p>瑠璃子を普通に、オレに預けるのではなく</p><p>わざわざ３０００円で、オレに奴隷として売り払ったのは</p><p>最終的に、瑠璃子をここまで追い込むためだったのか</p><p>名家のお嬢様として育てられたプライドが</p><p>瑠璃子に自ら優しくされるのは嫌だきちんと奴隷として扱われたいとまで、言わせている</p><p>奴隷志願をしているのに</p><p>このプライドは間違いなく、香月家の娘のプライドだ</p><p>オレの奴隷はやはり、究極のお嬢様なんだ</p><p>オレは瑠璃子に言う</p><p>オレも瑠璃子に優しくし過ぎたと思うオレの奴隷なんだものな</p><p>そうです、瑠璃子はお兄様の奴隷です</p><p>うんこれからは、瑠璃子を好きなように使う瑠璃子が嫌がることも、求めるかもしれない</p><p>どんどんお求め下さいその方が、瑠璃子も嬉しいです</p><p>酷いこともするぞ</p><p>お兄様のためなら、何でも耐えます</p><p>痛いことも</p><p>はい瑠璃子にして下さい</p><p>オレは、瑠璃子の柔らかい頬を撫でてやる</p><p>よしじゃあ、準備してくるから</p><p>瑠璃子の震えは止まっていた</p><p>瑠璃子も身体と心の準備をしておいてくれみんなの話をよく聞いて</p><p>はい皆様のお話を、伺っておきますきちんと、お役目を果たせますように</p><p>大丈夫だ瑠璃子なら、ちゃんとできるから</p><p>オレは、もう一度瑠璃子を抱き締める</p><p>寧たちを見る</p><p>みんな瑠璃子のこと、頼むもう少しだけ、相手をしていてくれないか</p><p>おっけい</p><p>ヨシくん任せておいて</p><p>寧、マナ、メグの三人は笑顔で返事してくれた</p><p>ほら、瑠璃子、こっちへ来てっ</p><p>うん、あたしたちがもっとお話してあげるからっ</p><p>そうよ、ヨシくんは準備があるらしいから</p><p>先にオレの女になった３人が瑠璃子を招き入れる</p><p>瑠璃子についてはもう迷いは無い</p><p>次は</p><p>ジッちゃんの方だ</p><p>克子姉に連れられて特等室へ行く</p><p>そこは本当に何もかもが、ゴージャスな部屋だった</p><p>部屋の調度品は高そうな木製の家具を中心に、壁紙やカーテンがあざやかな赤、それに金の金具や刺繍でアクセントが付けられている</p><p>ベッドも、天蓋付きのキングサイズだ</p><p>本当はシーツも、赤いベルベットなんだけれど今日は白ね</p><p>ちゃんと処女の血で、赤く染めてね</p><p>克子姉、この部屋ってもちろん</p><p>ええ監視カメラは、あちこちに付いているわ</p><p>ジッちゃんに観られながらここで、瑠璃子とセックスする</p><p>それとセックスの前後の瑠璃子さんの写真撮影は、どうする</p><p>いつも通りなら、あたしが撮るけれどもちろん、セックスが始まる前にあたしは退席するし、終わった後も呼ばれるまでは来ないわ記念写真は撮る</p><p>頼むよ克子姉みんなと同じ方が、瑠璃子は嬉しいと思うし</p><p>克子さん、関さんから連絡到着１０分前だって</p><p>部屋の隠しスピーカーからマルゴさんの声がする</p><p>あら大変急がなくちゃ</p><p>オレは、どうしたらいい</p><p>あなたは応接室で待っていて玄関で、お出迎えするのは、あたしと森下さんで充分だから</p><p>応接室ってどの</p><p>オレはまだこの屋敷の全ての部屋を知らない</p><p>あっこっちよ、付いて来て</p><p>克子姉が、オレを誘導してくれた</p><p>この部屋で待っていて閣下が来たら、椅子から立ち上がってご挨拶できるわよね</p><p>この応接室も良い部屋なんだろう</p><p>何かアメリカの大統領の部屋を思い出す雰囲気だ</p><p>あのでっかい優勝旗みたいのは無いけれど</p><p>判った、待ってるよ</p><p>オレはソファの一つに座る</p><p>あ、ダメよあなたは、そっちのソファ一応、上座と下座があるのよ</p><p>そうよこのお屋敷では、あなたも歓待する側なんだから気を付けてね</p><p>じゃあまた、後でね</p><p>そして克子姉は、出て行く</p><p>一人きり残された応接室</p><p>少し緊張する</p><p>ふう</p><p>大きく、深呼吸した</p><p>瑠璃子が、腹を括っているんだオレだって</p><p>香月さんが到着したそのまま、待っていて</p><p>この部屋の隠しスピーカーは、暖炉の上か</p><p>あの暖炉フェイクで、実際は火は焚けないんだな</p><p>さらに数分の沈黙</p><p>部屋のドアがノックされた</p><p>乾いた声でオレは、応える</p><p>こちらへどうぞ</p><p>克子姉が頭を下げる</p><p>手にはジッちゃんのだろうか、大きなバッグを持っている</p><p>ジッちゃんが部屋の中に入って来る</p><p>オレは、スッと立ち上がる</p><p>よ、ようこそようこ</p><p>口が上手く廻らない</p><p>何を緊張しておる</p><p>ジッちゃんが、ニッと笑う</p><p>さあ入りなさい</p><p>外のもう一人の人物に声を掛ける</p><p>か細い声で美子さんが、入って来た</p><p>美子さんは、白いワンピースを着ていた</p><p>この屋敷には、昔から何度も来ているが孫娘を同伴してきたのは初めてだ</p><p>ジッちゃんは苦笑した</p><p>ほら、美子そこに座りなさい</p><p>美子さんは、心をすっかり閉ざしている</p><p>オレの方を、見ようとはしない</p><p>香月様お飲み物は、紅茶にブランデーでよろしいですか</p><p>紅茶だけでいいブランデーの方は、医者に止められている</p><p>かつて、ジッちゃんがこの屋敷の常連だった頃は、ブランデー入りの紅茶を飲むのが決まりだったんだな</p><p>そして、今ブランデーを断ったのは</p><p>次男を殺したことでお酒を断ったからだ</p><p>すぐにご用意致しますわ</p><p>克子姉は、ジッちゃんに微笑み</p><p>おカバンは、こちらに置いておきます</p><p>克子姉が置いたカバンを見てジッちゃんは、そう返事をする</p><p>では、失礼いたします</p><p>克子姉は、スッと一礼し退席する</p><p>ドアが静かに、閉められる</p><p>おい、お前も座らんか</p><p>オレ、立ったまんまだった</p><p>慌ててソファに座る</p><p>さて瑠璃子は、元気か</p><p>ジッちゃんは探るような眼で、尋ねる</p><p>ああ、元気だよ昼はみんなでケーキを作ってたし今も、みんなと楽しそうに話している</p><p>晩飯はちゃんと食べていたか</p><p>うん大丈夫食欲はあるみたい</p><p>というか手巻き寿司を、楽しそうにパクパク食べていた</p><p>ここには、瑠璃子と同じくらいの年の子が、いっぱいるからみんな、瑠璃子に優しくしてくれているし</p><p>そうか、ならいい</p><p>ジッちゃんはオレをギロッと見る</p><p>おいお前に、２つ頼みがある</p><p>ジッちゃんの眼がさっきのカバンに、向かう</p><p>という感じでゆったりスタートです</p><p>済みません</p><p>417．犠牲　（パッション）</p><p>１つめは、だなその衣装を使ってくれんか</p><p>衣装</p><p>はっきり言うがもし、私が５歳若ければ、いや３年前なら私は自分の手で、瑠璃子の破瓜を行っていた</p><p>ジッちゃんは瑠璃子の処女を奪うつもりだった</p><p>だが、私の身体は残念ながら、もうセックスを行える様な状態ではない今の私は、この子らのため少しでも長生きをしなければならない無理はできん</p><p>そう言って、ジッちゃんは美子さんを見る</p><p>みすずも本当は、自分でするつもりだったの</p><p>いや、瑠璃子だけだ瑠璃子という名は私の初恋の女性の名だ</p><p>白坂創介のことを、私は笑えんのだよ自分の孫娘に、初恋の人の名を付け犯すことを楽しみにしていたのだからな</p><p>私は初恋の女性とは結ばれることはなかった私は、私の父の命令で他の名家の娘を嫁に貰うしかなかったのでなその女性は、他家に嫁ぎ娘を産んだだから、私はその娘を重秋と結婚させた</p><p>瑠璃子は私の初恋の女性の孫娘であり、その女性の名を受け継いでいるあの子は、私の７０年に渡る思いの集大成だ</p><p>白坂創介のアニエス育成計画を、遥かに超えている</p><p>自分でも狂っていると思うよだが、全て真実だその衣装は私が、瑠璃子の処女を破る日のために用意させたものだ</p><p>香月家当主、香月重孝はそう言った</p><p>済まんがあの子に、着せてやってくれないか</p><p>他に何か、リクエストはある</p><p>ジッちゃんに尋ねる</p><p>正直、オレどういう風に、瑠璃子を抱いたらいいのか、よく判らないんだジッちゃんはどうするつもりだったの</p><p>私の瑠璃子に対する思いは私だけのものだそれは、お前には託せない</p><p>オレはジッちゃんの初恋の人を知らない</p><p>ジッちゃんが、その人をどれくらい思い焦がれていたのかも</p><p>そんなんでは、ジッちゃんの気持ちを受け継ぐことはできない</p><p>私は衣装だけでいい頼む</p><p>判った使わせて貰うよ</p><p>ジッちゃんの用意した衣装を瑠璃子に着せる</p><p>それで、ジッちゃんの気が済むのなら</p><p>２つ目の頼みだが</p><p>瑠璃子には絶対に、手加減をせんでくれお前の欲望のまま、徹底的にあの子を犯し尽くして欲しい</p><p>瑠璃子が、どんなに嫌がっても痛がっても、構わずにお前の性欲の全てを、あの子の中に吐き出してくれ</p><p>ジッちゃんの眼は、真剣だった</p><p>香月の血筋は淫蕩だ男はまだいいしかし、瑠璃子は女だ私は、あの子が精の魔力に負け、男漁りをするような姿を見たくない瑠璃子の底知らずの性欲を、どうかお前一人で受けとめてやってはくれないかみすずの様に</p><p>美子さんが、青白い顔で祖父の話を聞いている</p><p>色々と本当は、言いたいこともあるのだろう</p><p>しかし、ジッちゃんに発言することを禁止されているみたいだった</p><p>お前が、瑠璃子とみすずの性欲を受けとめてくれれば２人とも、外では聖少女のままでいられる香月家にとっては、それが一番望ましい形だ</p><p>カードを切る</p><p>ジッちゃん何か、勘違いしているんじゃないの</p><p>ジッちゃんの眼が、大きく見開かれる</p><p>瑠璃子はジッちゃんから、３０００円でオレが買い取ったんだもう、オレのものだよ香月家とは、何の関係も無いんだからね</p><p>美子さんが憎しみの眼で、オレを見る</p><p>瑠璃子はオレのセックス奴隷だからオレがいつでも、好きに犯すよもちろん、他の男には、一切手出しさせない瑠璃子にも、他の男とは会話もさせない生涯、オレだけだオレ一人しか、知らない身体のままにする</p><p>ジッちゃんは、ジッとオレを見ている</p><p>美子さんの眼は憎悪の色が増していく</p><p>オレの子供を産ませるからもちろん、ジッちゃんに文句は言わせないよオレの奴隷なんだからね</p><p>何よりジッちゃんは、瑠璃子を舐め過ぎだよここへ来る前オレは、瑠璃子に言われてきたんだ絶対に、手加減しないでくれ香月の娘であることは忘れて、セックス奴隷として扱ってくれって</p><p>ハッと驚くジッちゃん</p><p>瑠璃子は、馬鹿じゃない今、ジッちゃんが言った様なことはあいつ自身、もう充分判っているんだよだからあいつはもう、セックス奴隷としてオレに人生を捧げることを覚悟してくれている</p><p>口を開くジッちゃんをオレは制する</p><p>ジッちゃんは本当は、逆を狙っていたんだろ瑠璃子を、オレのセックス奴隷にするんじゃなくって実際は、オレを瑠璃子のセックス奴隷にしようとしていた瑠璃子の性欲を、外に出さずに封じ込めておくためにね</p><p>ジッちゃんは黙り込む</p><p>そして、いずれ瑠璃子は、香月家に戻すつもりだったんだろ後継者としてそりゃ、その頃にはオレとの間に隠し子の２人や３人はいるかもしれないがそんなのは無視して、どっかの名家からムコを見つけてきて、香月家を継がせるつもりだったんだろ</p><p>今は晩婚だから瑠璃子が、３０代になるまで待ってもいい</p><p>母になれば、少しは性欲も抑えられるだろうし</p><p>そうなってから瑠璃子にムコ取りをさせても、遅くはない</p><p>今は瑠璃子を遠ざけておいて、美子さんを引き立てておくそして、香月家内部の連中や他の名家には、後継者候補が美子さんの様に見せ掛ける瑠璃子には、光が当たらないようにしておいてオレたちに、面倒を見せるでも、いずれは瑠璃子に家を継がせる計画なんだろジッちゃんは</p><p>オレの問いに</p><p>ジッちゃんは問いで答える</p><p>今、ジッちゃんが自分で言ったじゃないか瑠璃子っていう名前は、ジッちゃんにとって特別な名前なんだろ最初っから、ジッちゃんの中でみすずや、美子さんとは別格の存在じゃないか</p><p>そんなことあるってだって、みすずが処女を喪失した時には、ジッちゃん、こんな風に騒がなかったろその後も、みすずがオレたちのところへ来ることを妨げなかったし今の瑠璃子の時と、全然反応が違うよ</p><p>じゃあ、聞くけどみすずの名前は、誰が付けたの意味は</p><p>みすずの名も私が付けた詩人の金子みすずから名前を貰った</p><p>そうじゃあ、美子さんは</p><p>ジッちゃんは口籠もる</p><p>美子のことは知らん</p><p>美子さんはうなだれる</p><p>この子は重春の隠し子だ私が、この子の存在を知った時には、もう命名されていた</p><p>お父様が、母に寬美(ひろよし)という偽名を使っておられたからです母は、わたくしのことを認知していただけるか判らなかったのでお父様の名前を一文字取って、わたくしに名付けて下さったのです産院にも役所にもお父様は、いらしては下さらなかったそうです</p><p>美子さんが重い口を、開く</p><p>やはり香月様は、わたくしを孫娘としては愛して下さっていらっしゃらないのですね</p><p>そ、そんなことはないぞ美子</p><p>しかし、わたくしは瑠璃子様を、隠すための道具なのでございましょう</p><p>悲しそうに美子さんは、言う</p><p>それでも構いませんわたくしが犠牲になることで、瑠璃子様が幸せになるのでしたら</p><p>長年、瑠璃子のお付きだった美子さんは瑠璃子のことを一番に考えている</p><p>美子さんが、キッとオレを見る</p><p>それってさ瑠璃子が、いずれ香月家に戻って家を継ぐってのが前提でしょでも、悪いけれどオレは、瑠璃子を返す気は無いし瑠璃子だって、死ぬまでオレの奴隷で居てくれるって約束してくれているんだぜ</p><p>無礼者瑠璃子様は、香月家のお嬢様ですよっあなたの様な下賤な人間の奴隷になんてなってはいけないのですわっ</p><p>ああ、オレが下賤な男だってのは認めるでも、瑠璃子はもうオレの奴隷だオレは、これからあいつとセックスするセックスするっていうことの意味美子さんも、もうそろそろ判ってきているだろ</p><p>美子さんは黙り込む</p><p>セックスというのは子供を作るための行為だオレの子種を瑠璃子の身体の中に流し込む瑠璃子は妊娠するんだ</p><p>そんなの嫌ぁぁっっ</p><p>美子さんは、絶叫する</p><p>香月様お願いです止めさせてくださいませ瑠璃子様を汚さないで</p><p>美子さんは、ジッちゃんに泣きつく</p><p>わたくしは何でも致します命だって差し上げますですから</p><p>困惑するジッちゃん</p><p>瑠璃子様はまだ、１５歳でいらっしゃいますわっ</p><p>オレは鋭く言う</p><p>ああ、１５歳だもう、セックスもできるし子供だって産めるオレの子供を</p><p>キッと、オレを見る美子さん</p><p>あなたなんて大嫌いですわ死んでしまわれればいいのにっ</p><p>１８歳の美しい顔がオレを罵る</p><p>美子さんあなたには、もうどうすることもできないんだよ</p><p>ジッちゃんとにかく、今からオレが瑠璃子とセックスすることについては反対しないんだろ</p><p>美子さんが縋るような眼で、ジッちゃんを見る</p><p>ジッちゃんが、瑠璃子を取り返しに来るにしても何年か先のことだろ今すぐじゃないよね</p><p>ジッちゃんは答えない</p><p>それまでに瑠璃子が子供を産んでいるのも、構わないよね瑠璃子の性欲を安定させるには、それが一番なんだから</p><p>美子さんはゾッと背筋を振るわせる</p><p>いつか瑠璃子のことについて、ジッちゃんと闘うことになるかもしれないオレは絶対に、瑠璃子を手放す気は無いけれどその時に、瑠璃子がどういう気持ちでいるかは判らないしねとにかく、何でもジッちゃんの思惑通りにはいかないしさせないから、それは覚えておいて</p><p>ジッちゃんは、小さく答えた</p><p>で今からのことだけど、オレは瑠璃子を抱くよジッちゃんの意志とは、関係無くそれでいいよね</p><p>好きにしろ</p><p>香月様っ</p><p>瑠璃子の性欲を封じ込めるのにはこいつが最適だそれは事実だこいつに、瑠璃子を任せる</p><p>任せるじゃないよ瑠璃子は、オレのものなんだから</p><p>ああ、そうだったなでは、遠慮無しに徹底敵に、犯せお前の好きにしろ</p><p>低い声でジッちゃんは、言う</p><p>絶望する美子さん</p><p>当たり前だろ瑠璃子も、オレにそうして欲しいって、願っているんだから</p><p>ドアが、ノックされる</p><p>克子姉だろう</p><p>紅茶が届くはずだ</p><p>オレが応える</p><p>失礼致しますわ</p><p>入って来たのは</p><p>申し訳ございませんがお話は、全て伺ってしまいました</p><p>みすずと美智</p><p>お前たち、どうして</p><p>関さんにお願いして連れてきていただきました</p><p>私はそんな報告は、受けておらんぞ</p><p>はい関さんは、もうあたしたちの家族ですから</p><p>みすずは、ニッと笑う</p><p>香月セキュリティ・サービスのお仕事よりも家族を大切にして下さいますわ</p><p>みすずと美智の後ろから克子姉が、ワゴンを押して現れる</p><p>さあ、二人も座ってお茶にしましょう</p><p>はい、克子お姉様</p><p>祖父を無視してみすずたちは、オレの隣のソファに座る</p><p>お前たちも、私よりもそいつを選ぶのか</p><p>ジッちゃんの嘆きにみすずは</p><p>はい、あたしは旦那様のペットですし</p><p>わたくしは、玩具にしていただきました</p><p>美智も答える</p><p>愛していますし、愛されていますしとっても、幸せですから</p><p>みすずは、微笑む</p><p>ジッちゃんは、うなだれる</p><p>でも、お祖父様のことも、もちろん好きですよですから、今夜はお諫めに参りました</p><p>私を諫める</p><p>はい、お祖父様は今の瑠璃子に、不安を感じられて、それで急遽旦那様に託されることになさったのですよね</p><p>自分のお父様の葬儀だというのに瑠璃子の頭の中は、今後の香月家のことでいっぱいなっていましたそんなこと瑠璃子が考えても、どうにかなるような問題ではないのにまるで、自分が香月家の当主であるかのように香月家の未来について、悩んでいました</p><p>ジッちゃんは、みすずの言葉に頷き</p><p>その通りだ瑠璃子は自分こそが、後継者だと思い込む余り香月家の未来についてばかりを気にしていた自分自身や周りの人々をまるでゲームのコマの様に、自由に動かせるものだと思い込んでいたそういうゲーム的な思考に逃げ込むことで父の死や自分の未来に対する恐怖から逃れようとしていた</p><p>ジッちゃんは数日前の瑠璃子を、そう分析する</p><p>そんな思考に逃げ込んだままの瑠璃子を、このまま香月家の中に置いておいたらそれこそ、色んなやつらに利用されるそれが、香月家のためだと言われたら碌でもない男に身を任せるかもしれないそういうことにならないようにするには、瑠璃子を一度、香月家から出すべきだと考えた</p><p>だからジッちゃんは</p><p>瑠璃子は一度、外から客観的に香月家を見るべきだそのためには、私の庇護や香月家からの援助が完全に断ち切られた場所に、瑠璃子を送り込むしかない</p><p>オレに瑠璃子を売り払った</p><p>こいつは無茶をしない男だということは知っている野心も無いそれでいて、女たちを満足させ、安定させる能力だけはある瑠璃子も年頃だ私が、どんなに制しても瑠璃子の中の性欲は目覚めるならば、こいつに瑠璃子を託してしまうのが、得策だろうと考えた</p><p>旦那様のお側には、あたしもおりますものね</p><p>ああこいつの正妻には、みすずが就くだろうから瑠璃子には、いずれ別にムコを取ることも可能だろうと考えたなに、形だけの結婚でも良い名家から貰ったムコではなくこいつと瑠璃子の子供が、将来、香月家を継ぐことになったとしても、私は構わないのだ</p><p>ジッちゃんは言葉を続ける</p><p>かつて、オスマン・トルコという国があったその皇帝は、正式な后の他にハーレムにたくさんの寵姫を囲っているハーレムの女は身分は女奴隷だオスマン・トルコでは、トルコ人の女を奴隷にすることはできないつまりハーレムの女たちは、みんな異民族だ</p><p>みすずは、ニコニコ笑いながら祖父の話を聞いている</p><p>そして、正妻の后よりもハーレムの女たちの方が、皇子を懐妊する可能性は高いすると、どうなると思うオスマン・トルコの皇帝は、代を重ねるにつれどんどん、トルコ人からはかけ離れた容貌を持つようになるトルコ人の皇帝と異民族のハーレムの女から生まれた皇子は皇帝となって、また異民族のハーレムの女と契り皇帝はどんどんトルコ人の血を薄めていくこととなる</p><p>一方美子さんは、暗い表情のままだ</p><p>私たちの名家も同じだ名家の血筋とは言うが時代ごとに、その時の勢力者の血を受け入れている一代限りの成り上がり者もいたこの地上には、清らかで純粋な血筋などない香月家の血筋も、決して尊いものではないのだいまさら、そいつの血が交じったところで、どうということは無い</p><p>美智は、いつものままの無表情だ</p><p>克子姉は、飄々とそれぞれの人に、お茶を出して行く</p><p>長々とご演説ありがとうございました</p><p>お祖父様も瑠璃子と同じ病気ですわ</p><p>何だと</p><p>考えすぎです香月家の行く末などお祖父様が考えることではございません</p><p>私は当主だぞ</p><p>あたしたちの未来はあたしたちが、決めますわ</p><p>みすずは、祖父に微笑む</p><p>その結果香月家が、潰れてしまったとしてもですこの地上には、絶対に続いていかなければならない名家など１つも無いのですから</p><p>ジッちゃんは絶句する</p><p>一番大切なのはみんなが、幸せに生きていくことができるかどうかですわたくしは美子様にばかり負担を掛けるような、お祖父様の現在の計画には反対です</p><p>みすずははっきりと言う</p><p>美子さんをまるで後継者の第１候補であるかの様に押し立てて、世間の注目を集めて</p><p>その隙に、瑠璃子をオレに預けて、外部から客観的に香月家を見る眼を養わせ</p><p>そして成人するのを待って、瑠璃子を後継者に据える</p><p>それがジッちゃんの計画だった</p><p>実際のところ美子さんが、一番ツラいだけの役目を負わされることになる</p><p>香月家のことなんて、どうでもいいではありませんかわたくしや、瑠璃子、美子さんそれに、お祖父様が幸せで健康に暮らせることを考えるべきですわ</p><p>しかし多くの人間たちの生活を預かっている、香月グループの当主としては</p><p>ですからだからといって、そのためにあたしたちが犠牲になるのは間違っていると申し上げているんです</p><p>みすずは譲らない</p><p>というより香月グループのことは、司馬さんにお任せしたのでしょうお祖父様は、経営のお仕事からは引退なさるのではないのですか</p><p>それはそうだが</p><p>でしたらもう、お諦めて下さい先のことは、あたしたちで考えますしやりますから</p><p>先</p><p>そうですあたしたちのこと少しは、信頼して下さってもよろしいと思いますわ</p><p>ジッちゃんオレにとっても、ジッちゃんは香月家の当主じゃないんだよジッちゃんは、オレの家族なんだ</p><p>あの時ホテルの地下の部屋で、ジッちゃんはただの思いつきで言っただけなのかもしれないけれどオレたちの家族に入ってくれるって言ったろだからオレは、ジッちゃんをオレの家族だと、思っている</p><p>オレの眼をジッちゃんが見ている</p><p>オレの言葉が、真実かどうか見極めようと</p><p>だからさ、こんな回りくどいことをしなくてもいいんだよ瑠璃子は、オレが死んでも幸せにするみすずも、幸せにするだって、オレの家族だからだからといって、瑠璃子やみすずを特別扱いはしないよここにいる克子姉や、美智とおんなじくらいに大切にする差を付けたりはしない家族なんだからオレには香月家とか、全然関係無いしどうでもいいんだよオレの家族のことだけで、手一杯なんだから</p><p>いつもお手数をお掛けして申し訳ございません</p><p>美智がポツリと言う</p><p>そんでジッちゃんもだよオレには、ジッちゃんもメグやマナやアニエスたちと同じくらい大切なんだだからさ、少しはオレたちのことを信用してくれよ大丈夫だよオレは、瑠璃子にもみすずにも、酷いことはしないよ</p><p>いいんですのよ酷いことをしても</p><p>大切なのはあたしたちが、何を幸せな思うかっていうことですわあたしは、旦那様になら、どんな酷いことをされても幸せですわ</p><p>むしろ酷くして下さい</p><p>あたしたちは、あたしたちの意志で生きています自分で選んだことで、失敗したとしても後悔は致しませんお祖父様の孫娘たちは、とっても強いんですわよっ</p><p>みすずの言葉にジッちゃんは</p><p>私も、瑠璃子と同じかいつの間にか、頭でっかちになっておったか</p><p>そうですわそもそも孫娘に初恋の女性の名前を付けて、犯す計画を立てる段階で相当頭でっかちです</p><p>大丈夫です瑠璃子には、言いませんから</p><p>みすずは、ニヤッと微笑む</p><p>お祖父様は旦那様と瑠璃子の初めてを、微笑ましく見守っていらっしゃればいいんですおかしなご要望などなさらないでぎこちなくて、あたふたするセックスでもいいじゃないですか瑠璃子の初体験なんですから</p><p>う、うむ</p><p>大体瑠璃子の大切な場に、あたしと美智がいないなんてことはありえません</p><p>何でしたら、あたしの初体験の映像だって瑠璃子に見せましたし瑠璃子に色々教えてあげましたのにっ</p><p>いや、そういうのは寧姉さんやマナたちがやっているから</p><p>わたくしは瑠璃子のセックス指導係ですっ</p><p>まだ間に合うわよ瑠璃子さんは、身体を清めるためにお風呂に入って貰うから、あなたたちも行ったら</p><p>克子姉がみすずと美智に、言う</p><p>あなたも違う場所で、シャワーを浴びてきて</p><p>オレにも</p><p>それならあたしは、旦那様のお背中を流しますわっ</p><p>美智は瑠璃子の方へ行くか</p><p>オレが尋ねると美智は、顔を赤くして</p><p>わ、わたくしもご主人様のお身体を清めさせていただきたいです</p><p>ホント２人とも、彼のこと大好きなんだから</p><p>香月様何もご心配なさることはございませんよこの子たちは、みんなとても賢いですし逞しく育っていますわどうか、笑って見守って下さいませ</p><p>克子姉の言葉にジッちゃんは</p><p>私はもう、見守ることしかできないのか</p><p>寂しそうに言った</p><p>ふん、そうだな後、何年生きられるか判らんし私の死んだ後、どうせお前たちは自分たちの好きな様に生きていくんだろうなふふふ</p><p>暗く微笑む</p><p>あの大人しく人形の様に自分の意志を示さなかった、みすずがこんなにも表情豊かに、私に意見するようになるとはなこれも、こいつのせいか</p><p>はいみすずは旦那様に愛されて、生まれ変わりましたから</p><p>瑠璃子も、どんどん変わっていますわ旦那様が幸せにして下さいますから</p><p>美子さんが悲しげにうつむく</p><p>判った、判った私も瑠璃子と同じにするもう、香月家の未来なんかをウジウジ考えたりするのは止める</p><p>ジッちゃんは、そう約束してくれた</p><p>しかし、そうなったら私は何をしたらいい</p><p>と克子姉が、微笑む</p><p>香月様先ほど、お屋敷にいらっしゃいました秘書の方すでに、眠らせて調教室に運んでありますわ</p><p>綺麗な方ですわねあたしが仕上げます香月様直接のセックスができないとしても、女が男を楽しませる方法は幾らでもあるんですよ</p><p>ジッちゃんの生意気な女秘書を調教するって約束</p><p>前にしていたっけ</p><p>次話で、お風呂へ行って</p><p>セックス開始は、それからになります</p><p>418．欲情　（パッション）</p><p>さあ脱がせてさしあげますわっ</p><p>オレはみすずと美智と、シャワー・ルームに来ている</p><p>美智も手伝ってね</p><p>脱衣所で、２人がかりで服を脱がせられる</p><p>みすずが、オレの前からシャツのボタンを外していく</p><p>美智は、背中からシャツを抑えている</p><p>うふふ、旦那様のシャツ旦那様の匂いがします</p><p>みすずが、クンクンとオレのシャツの襟元の匂いを嗅ぐ</p><p>美智も嗅ぐ</p><p>みすずにそう言われた美智は</p><p>いえ、わたくしはもう、堪能させていただいております</p><p>背後からオレの耳の後ろの匂いを嗅いでいる</p><p>うっとりとした声で美智が囁く</p><p>わたくしご主人様の匂いを嗅ぐだけで、濡れてしまいます</p><p>うふふあたしもです旦那様っ</p><p>みすずが服を脱ぎ出す</p><p>スカートをストンと落として下着姿になる</p><p>みすずの下着の股間はすでに湿っていた</p><p>でも、美智あたしたちは我慢よ瑠璃子より先に、旦那様に抱いていただくことはできないわ</p><p>２人は、脱衣所に付けられたモニターを見上げる</p><p>こことは別の風呂場の映像</p><p>裸のメグとマナが裸の瑠璃子を、優しく洗っている</p><p>３人とも泡まみれで</p><p>あちらの方が進み具合が早いですわねあたしたちも、急ぎましょう</p><p>みすずが、オレのズボンに手を掛ける</p><p>ズボンを下ろして</p><p>パンツの下のペニスは、もう勃起している</p><p>美智旦那様のパンツを脱がして差し上げて</p><p>後ろから、美智の白い指ががオレのパンツを下ろす</p><p>みすずは、オレの前に跪き反り返る勃起と対面する</p><p>ちょっとだけ失礼します</p><p>そのまま、ペロッと亀頭を舐める</p><p>うふっピクンてなった可愛い</p><p>１つ年上のお姉さんがオレのペニスを舌で玩ぶ</p><p>その頃美智は</p><p>ご主人様の背中大好きです</p><p>オレの背中にキスをし舌を這わす</p><p>うっううっ</p><p>２人ともほら、早くしないと</p><p>オレは、２人に言う</p><p>ブレーキを掛けないとこのまま、３人でセックスしてしまう</p><p>ああ、申し訳ございませんそうでしたわね</p><p>ほら、脱がしてやるから</p><p>お願いします旦那様</p><p>オレはみすずのブラの背中のホックを外す</p><p>ぽろんと可愛いおっぱいが弾ける</p><p>オレは、この瞬間を見るのが好きだ</p><p>みすずの胸元から甘いミルクの様な匂いがする</p><p>みすずのおっぱいお好きですか</p><p>オレはついみすずのおっぱいを揉んで、乳首を舐めてしまっていた</p><p>ああみすずの身体は、全部好きだよ</p><p>と、オレの背中に美智が抱きつく</p><p>無い胸をすりすりと擦り付ける</p><p>無言の抗議だな</p><p>美智美智の身体だって、好きさ</p><p>オレは、美智に振り返り美智のぴっちりとしたスポーツブラを脱がしてやる</p><p>平たくて申し訳ございません</p><p>オレは、美智の胸を手の平でごりごりまさぐる</p><p>いやちゃんと芯みたいなのがあるのは感じるよきっと、これから大きくなる</p><p>オレは、乳首の周りを廻す様に揉む</p><p>早く大きくなあれ</p><p>それ毎日、お願い致します</p><p>判った毎日、揉んでやるから</p><p>そして、美智の可愛いおへその辺りの匂いを嗅ぐ</p><p>ご主人様何を</p><p>うん美智も、砂糖菓子みたいな匂いがするな可愛いよ</p><p>うぎゅう</p><p>美智は、変な声を上げる</p><p>旦那様に可愛いなとどと言われると、背筋がゾクッとするんです</p><p>赤い顔で、美智は答えた</p><p>じゃあ、もっと言ってやる可愛いぞ、美智</p><p>うぎゅうう</p><p>美智は、身体を震わせる</p><p>美智の下着の股間からとろとろっと、愛液が垂れる</p><p>ああんっわたくし、立ってられません</p><p>ほら下も脱がしてやるから</p><p>オレは湿ってずっしり重くなったパンティを脱がしてやる</p><p>小柄な美智の白くてつるつるした生足に、パンティを滑らせる</p><p>太ももに、温かい汁がとくとくと滴っていく</p><p>やっぱり乳製品の匂いがした</p><p>ほら、片足ずつさあ</p><p>美智の足からパンティを抜く</p><p>その間も、緩んだ割れ目からは、泉が湧き続ける</p><p>今度は、みすずだ</p><p>みすずが淫靡に微笑む</p><p>細い腰</p><p>日舞で鍛えているからだろうみすずのお尻は丸く、キュッと引き締まっている</p><p>セックスの時の締まり具合の良さが見た目からも判る</p><p>みすずの下着も、愛液を吸って重くなっていた</p><p>みすず、下ろすから太ももの間を開いて</p><p>キュッと閉じていた太ももが、わずかに開かれる</p><p>その瞬間とろっと一筋の愛液が、ふとももの内側を下っていく</p><p>みすずの股間は美智よりも、獣の匂いが強い</p><p>１７歳の張り詰めた白い肌</p><p>オレはゆっくりと、みすずのパンティを脱がしていく</p><p>全裸になるとみすずは、正面からオレに抱きつきキスをする</p><p>みすずの柔らかい胸すでに固く尖った乳首が、オレの胸に押しつけられる</p><p>背中から美智もオレを抱き締める</p><p>後ろから手を伸ばしオレのペニスを、優しくしごく</p><p>ほら２人とも、落ち着けってば今は、瑠璃子のために身体を清める時間だろ</p><p>ごめんなさいだって、大好きなんだもんっ旦那様が</p><p>わたくしも愛しております</p><p>２人は、左右からオレの頬に、チュッとキスした</p><p>さあシャワーを浴びよう</p><p>はいわたくしたちが、洗ってさしあげますわっ</p><p>モニターの中の瑠璃子たちはせっけんの泡を洗い落としている</p><p>こっちは、遅れているな</p><p>大丈夫ですわ瑠璃子は、この後、お化粧の時間がありますから</p><p>みすずが、心配そうなオレに言った</p><p>お化粧</p><p>あ、別に顔に何かを塗ったりとかではございません寧お姉様が産毛を剃ったり、眉を整えたりして下さるそうです旦那様に、一番美しい状態で瑠璃子を捧げられるように</p><p>うんそういうのは、寧に任せておけば良い</p><p>それにお祖父様が持っていらっしゃった衣装がありますから</p><p>そうだあのカバンの中身</p><p>どんな衣装なんだろう</p><p>さああたしには判りませんわ</p><p>みすずは、シャワーの蛇口を捻る</p><p>温かい湯が、ザーと流れ出る</p><p>旦那様こちらへ</p><p>みすずが、オレの背中にお湯を掛けてくれる</p><p>美智が手で、オレの背中を優しく擦る</p><p>前も</p><p>ほら、お前たちもオレが洗ってやるよ</p><p>みすずから、シャワーヘッドを受け取り</p><p>まずは、みすずにお湯を掛ける</p><p>背中や、柔らかい胸お腹にお尻、股間、太ももとオレは手で擦っていく</p><p>次は美智だ</p><p>美智の身体にも、全身くまなく温かい湯を流す</p><p>そして、オレの手が流れるように、白い肌を擦って</p><p>うっぎゅううっ</p><p>また美智が、ゾクゾクゾクッと身体を震わせる</p><p>ご主人様意地悪です</p><p>オレに意地悪されるのは大好きなんだろ</p><p>美智は耳まで赤くして</p><p>はい好き好きです</p><p>その間にみすずは、ボディソープを自分の胸から股間にかけて拡げていく</p><p>旦那様今日は、みすずがスポンジになります</p><p>そのままオレに抱きついて来る</p><p>おっぱいやお腹を使ってオレの肉体を磨いていく</p><p>美智もスポンジになります</p><p>慌てて美智も、自分の身体を泡まみれにする</p><p>そして、オレの背中に抱きついて来る</p><p>前からみすず後ろから美智</p><p>２人の美少女がオレをサンドイッチにする</p><p>どうです気持ちいいですか</p><p>ああ、気持ちいいよ天国みたいだ</p><p>うん、少女たちの柔肌がぬるぬるでオレの全身の肌を、刺激する</p><p>天国ではごさいません現実です</p><p>美智が囁く</p><p>そうですわあたしたちは、ここにいますし旦那様がお望みでしたら、毎日でも致しますわよ</p><p>今日はあたしたちは、お祖父様のお家に泊まっていることになっていますから</p><p>ニッと嬉しそうに笑う</p><p>旦那様と、ようやく夜をご一緒できます</p><p>そうか２人とも、今夜は泊まっていくんだ</p><p>今夜は、大変なことになるな</p><p>瑠璃子の初体験の後</p><p>マナとの約束もあるし</p><p>そんなことは、いってられないか</p><p>明日の夜までにアニエスに、オレとのセックスを承諾させないといけない</p><p>そのためには</p><p>アニエスの眼の前でアニエスが仲良くなった、マナや瑠璃子や克子姉や渚とセックスして見せないといけないだろう</p><p>セックスに対して興味を抱かせ自分もしてみたいと思わせるために</p><p>今夜から、明日に掛けてはオレは、セックス浸けになることを覚悟しないといけない</p><p>オレは、溜息を吐く</p><p>どうなさったんです</p><p>いや何でもないよ</p><p>最悪の場合は、克子姉に薬を貰えばいい</p><p>最初に、雪乃を犯した時に飲んだ薬</p><p>あれを飲めば、いくらでも射精できる</p><p>雪乃はどうなったろう</p><p>市川老人は、雪乃を精神病院に送り込もうと手配をしたらしい</p><p>まあ、確かにキレまくっている時の雪乃は</p><p>誰にも止められないくらいのヒステリーを起こすからなあ</p><p>一度ああなると市川老人では、どうにもならないだろう</p><p>荒れてる時の雪乃をコントロールできるのは、ミナホ姉さんだけだもんなあ</p><p>ミナホ姉さんヒステリーを一気に沈下させるぐらいのとてつもない恐怖を、雪乃に叩き付けるから</p><p>改めて考えると雪乃のことを一番理解していて、操縦法を心得ているのは、ミナホ姉さんの様な気がする</p><p>旦那様そんなに、ご心配にならなくても平気ですわ</p><p>みすずが、オレの顔を覗き込んで言った</p><p>香月家のことはあたしたちで、何とかしますから</p><p>みすずはそのことをオレが悩んでいると、勘違いする</p><p>いや、雪乃のことを考えていたとは言えないな</p><p>お祖父様も色々なことが一遍に片付いてしまって、ちょっと焦っておられるんですわ</p><p>ジッちゃんの次男香月重秋の謀殺によって、香月家内の諸問題は一気にケリが付いた</p><p>企業グループのトップは、司馬沖達氏に譲る</p><p>ジッちゃんは、現役引退</p><p>美子さんを孫として認知することもできた</p><p>みすずは瑠璃子が、本当にオレの女になることに賛成しているのか</p><p>もちろんですわあの子は旦那様に引き取っていただくより他に道はございません</p><p>あたしも瑠璃子もお祖父様によって、歪められて成長した娘です</p><p>２人とも世間の男たちから隔離され、性的に抑圧されてきた</p><p>旦那様盆栽とか、ご興味はありますか</p><p>鼻の頭に白い泡を付けてみすずが、オレに尋ねる</p><p>盆栽いや、全然判らないよ</p><p>そんなの知っているわけがない</p><p>良い盆栽を作ると言うことは自然なままの草木を歪めるということですわ自然なままの木は、決して美しいものばかりではございません美しいものを作ろうとすれば、自然なものを人為的に歪めるしかないんです歪んだものの中に、美があるんです</p><p>歪みと美</p><p>もちろん歪みというものが、全て美しいわけではございません歪みの中に美が存在するのは元々の自然に手を加えた人間の美意識が作用しているからです</p><p>人間の美意識</p><p>あたしは瑠璃子は、美しいと思いますお祖父様はただ、ご自分の欲望のために、あたしたちを育てられたわけではございませんお祖父様は、あたしたちを美しく育てて下さろうとお心を砕いて下さったあたしも、瑠璃子も歪んだ存在ではございますがこの歪みは、香月重孝という人間の確固たる美意識に裏打ちされていますだから、瑠璃子の歪みは美しいとあたしは断言できます</p><p>みすずも、美しいよ</p><p>ありがとうございますですが人間の美意識によって歪められた美が、ずっと美しいままでいるためには、永遠に誰かの世話が必要なんです</p><p>誰かの世話</p><p>はい国宝級の盆栽が、その美しさを保つためには毎日、専門の人間が世話をし続ける必要があります自然を歪めて作った美はほんの少し眼を離しただけで、醜悪なものに変化してしまいますそして、一度醜く変貌してしまえばもう、元には戻りません</p><p>自然な姿から歪められて美しくなったものならば急に、元の自然に戻せば、歪められた箇所がおかしな方向に成長しグロテスクなものになってしまうだろう</p><p>あたしも瑠璃子も性的に抑圧されてきましたから、一度タガが外れれば、救いようのない淫蕩な女に堕ちてしまうかもしれません</p><p>うんそのことは、ジッちゃんもずっと心配していたよ</p><p>だから旦那様に、一生ケアしていただくより方法はないのですわ</p><p>旦那様のように自分を犠牲にしてまで、必死にあたしたちのことを考えてそして、愛して下さる男性は、他にはいませんから</p><p>みすずや瑠璃子が、ジッちゃんによって作られた美しい盆栽なら</p><p>その美しさを守るために、毎日世話をし続ける係なんだ</p><p>みすずにも瑠璃子にも旦那様しかおりません</p><p>そう言う、みすずに</p><p>美智がつるぺたの胸をオレの背中に擦り付けながら、言う</p><p>わたくしも自分がかなり歪んだ人間であることは自覚していますそんなわたくしを愛して下さりまた、わたくしが一生を捧げる価値のある殿方は、ご主人様しかいらっしゃいません</p><p>恵美さんやマナさんもそうですよいえ、克子お姉様や、渚お姉様、寧お姉様だって</p><p>だから自信を持って、瑠璃子のことを抱いてあげて下さい</p><p>みすずはオレの股間をシャワーで流し</p><p>勃起した亀頭に、そっとキスする</p><p>あたしたちみんな旦那様の赤ちゃんを産むんですから</p><p>赤い舌で、カリ舌をペロペロと舐め上げる</p><p>美子さんは、どうなんだ</p><p>オレは思いきって尋ねてみる</p><p>あの方はまだ、歪みきってはいないですから</p><p>美子様はずっと瑠璃子のお付きでしたからあたしたちほどは、歪んでいませんわ</p><p>香月家の娘として生きるということは常に、色んな方々の眼に晒されるということですから美子様は、今日、ようやくあたしたちと同じ立場に立たれたばかりですこの後、どうなるのかはお祖父様と美子様自身によって、様々に変わっていきますわ</p><p>変わるって</p><p>美子様は庶子でいらっしゃいますしこれまでずっと、使用人の身分でしたからお祖父様の孫娘として認知されても、香月家の内部や他の名家の人たちからは、あたしたちよりも低く見られます</p><p>ですが、それはいいことでもあるんです美子様が香月家の後継者に選ばれる可能性はありませんから</p><p>今はお祖父様が、瑠璃子から周りの人たちの注目を反らすために、美子様を引き立てておられますが現実に相続の場となれば、瑠璃子とあたしがいるのに、美子様を押される方はいません相続の席には、お祖父様はいらっしゃらないのですから</p><p>後継者に香月家の財産を相続させるのはジッちゃんが死んだ後だ</p><p>美子さんは殺されたジッちゃんの長男、重春氏の隠し子だ</p><p>重春氏は殺されてからもう、１０年以上が経つ</p><p>つまり現在の香月グループの中に、重春氏の派閥は残っていない</p><p>ジッちゃんが生前、どれだけ美子さんを引き立てたとしても</p><p>香月グループの人間は美子さんは、選ばない</p><p>後継者は、瑠璃子です結果的に、そうなるでしょう香月家に関わる人たちは、基本的に保守的ですから</p><p>今現在の香月グループは瑠璃子を推すグループと、みすずを推すグループに分かれていた</p><p>しかし、そんなに交流の無かった瑠璃子とみすずが仲良しになってしまえば</p><p>対立を煽っていた連中も大人しくなるしかない</p><p>そうなれば自動的に、瑠璃子が後継者となる</p><p>もちろん前に、お祖父様にお話した様に、香月グループの実権はあたしが握りますあたしが経営の指示をして、瑠璃子が当主として君臨するそれが一番良い形になると思いますお祖父様も、それを狙っているのだと思います</p><p>ああ瑠璃子とみすずの対立が無いのなら</p><p>それがベストの形だろう</p><p>しかし今、瑠璃子にはそのことを気付かせるわけにはいきません自分が後継者だと思えばあの子は、また頑なになって心を閉ざすでしょうから</p><p>だから、ジッちゃんはわざと瑠璃子を香月家から追放した</p><p>外から、客観的に香月家を見る時間を作るために</p><p>それが、お祖父様の瑠璃子に施す帝王学の集大成なんですわこれからの数年いえ、１０年以上になるかもしれません瑠璃子が旦那様の奴隷として愛し愛される時間を得るんですそれが、きっと瑠璃子が当主となった後で、大きな財産となります</p><p>みすずの話でオレはようやく、ジッちゃんの計画の全貌を知る</p><p>もちろん香月家の当主となった後も、瑠璃子は旦那様の奴隷です一生、可愛がってあげて下さいませ</p><p>それはいいけれど</p><p>でも美子さんは</p><p>美子様はお祖父様がご健在の間は、もしかしたら、後継者に選ばれるかもしれないという雰囲気をキープし続けることになると思います瑠璃子に対する注目を消すためにでもあの方が、実際に後継者になることは無いのですから美子様は、自由に恋愛して、自由に結婚相手を決めることができます</p><p>だけど瑠璃子のために盾になるなんて、大変なんじゃないのか</p><p>それはお祖父様が、いずれ美子様にお話になられると思います瑠璃子様のためならば、美子様は喜んで引き受けられると思いますし</p><p>そうかもしれないけれど</p><p>しばらくは旦那様は、美子様にとても酷く恨まれることになると思いますが</p><p>美子様の大切なお姫様を自分一人のためのセックス奴隷にするんだから</p><p>うん覚悟するよ</p><p>オレが、そう言うとみすずは</p><p>もおっ、そんな顔なさらないで可愛いですわっ</p><p>恨まれてもいいんですよあたしと美智が、いっぱいお慰め致しますから</p><p>ぬへっ</p><p>おい、美智お前、何をやっているんだ</p><p>ご主人様のお尻の穴を舐めさせていただいております</p><p>いや汚いだろ</p><p>だってじゃないだろ</p><p>舐めたいんだもん</p><p>なら仕方ないか</p><p>さあ、旦那様髪を洗いますよぉっ</p><p>みすずは、オレの頭にシャンプーを垂らす</p><p>両手で、アワアワと泡立てる</p><p>オレの眼の前でみすずのツンとしたおっぱいが、踊る</p><p>かゆいところは無いですか</p><p>ないけれど</p><p>乳首、吸わせてくれ</p><p>うふふはい、どうぞ</p><p>みすずが、オレの顔に胸を突き出す</p><p>みすずの乳首はせっけんの味がした</p><p>でも、固くシコっていて舌触りがいい</p><p>わたくしも失礼します</p><p>美智が前に廻り込んでオレの亀頭を舐めしゃぶる</p><p>美智射精させてはだめよあたしたちは、瑠璃子の後だからねっ</p><p>承知しておりますっ</p><p>美智は、巧みに緩急を付けて</p><p>オレが、絶頂にいかないように制御する</p><p>ちくしょうこいつ、オレの気を感じ取っているから</p><p>どこら辺が我慢の限界か心得ている</p><p>でも瑠璃子の処女喪失が、こんな風に儀式的にやれるのは良いことだと思いますわ家族がみんな参加できるわけですし</p><p>瑠璃子の清めと化粧の儀式にマナとメグと寧が付き添っている</p><p>オレにはみすずと美智</p><p>マルゴさんはジッちゃんの護衛の人たちの歓待をしている</p><p>ジッちゃんの秘書の人ってホテルで見た人だよなあ</p><p>ジッちゃんの若い女の秘書さんを調教している</p><p>気にしちゃダメですよ旦那様</p><p>みすずが、オレを抱き締める１７歳の弾力のあるおっぱいが、オレの顔を包み込む</p><p>あたしたちは肉食動物なんです他の動物を倒して、その肉を食べることが必要なんですから</p><p>オレは自分が、肉食動物なのかどうか判らないよ</p><p>正直自信は無い</p><p>旦那様も、相当の肉食動物ですよ眼の前にあるお肉には、絶対に食らいつくじゃないですか</p><p>オレは、またみすずの乳首をペロペロと舐める</p><p>ねえ、旦那様処女喪失の時に、みんなが参加するこの儀式これからは、必ずすることにしましょうよっ</p><p>だけどこんなことは、もう</p><p>みすずは、くすくすと笑う</p><p>旦那様旦那様は、この先、まだまだ何人もの処女を奪っていかれますよ</p><p>確かに、明日にはアニエスを犯さないといけないんだけれど</p><p>１０人や２０人じゃないですから</p><p>旦那様が犯してみたい女の子が見つかりましたらあたしたちにお知らせ下さいあたしたちも、旦那様に犯していただきたい女の子が見つかったら、お知らせ致しますから</p><p>あたしたち肉食ですから</p><p>みすずの微笑は聖母の様だった</p><p>あたしたち、男性は一生旦那様だけですが可愛い女の子が大好きですからね、美智</p><p>美智は、オレのペニスを舐めしゃぶったまま答えた</p><p>この二人は女の子も好きなんだ</p><p>さあ、髪の毛を流しますよ眼をつむっていて下さぁい</p><p>そしてみすずは、オレの頭にシャワーをかける</p><p>シャンプーの泡が流れ</p><p>髪が濯がれ</p><p>地肌が洗われる</p><p>旦那様が気持ちの良いことなら、あたし何でもしてあげますからねっ</p><p>耳元にみすずの声が囁かれる</p><p>あたし香月家の実権を握るんですから</p><p>なるべくエッチ・シーンは、土日や祝日に持っていきたいという考えがあるので</p><p>ペース配分が難しいです</p><p>明日・明後日で、いよいよ瑠璃子との初エッチとなります</p><p>もっとも、この展開だとその後も、エッチが続きますね</p><p>イーディと麗華の仕込みまでいけるかどうか</p><p>香月家の後継者問題は、これで終わりです</p><p>後は、みすず主導でゆっくり時間を掛けて、進行するということで</p><p>美子さんの未来は今、考え中です</p><p>瑠璃子の初体験を見た、美子さんの反応次第ですね</p><p>はふぅ</p><p>419．処女破瓜　（その１）</p><p>シャワーを浴び終わると、みすずと美智がオレの身体を拭いてくれた</p><p>うふふ頑張って下さいね</p><p>バスローブを纏う前にみすずが、もう一度、オレの亀頭にキスする</p><p>わたくしも、ご挨拶致します</p><p>美智もチュッとペニスの先にキスした</p><p>興奮しきったそこは、透明な先走り液が染み出している</p><p>美智は、その滴をペロッと舐めた</p><p>瑠璃子を前にしたら、その場で襲ってしまいそうなくらいオレは、性欲がみなぎっている</p><p>みすずと美智も全裸の上に、バスローブを纏っただけの姿だ</p><p>しかも、そのバスローブは極端に裾が短い</p><p>まるでミニスカートだ</p><p>二人の風呂上がりでつるつるした太ももが丸見えになっている</p><p>美智が、オレたちを誘導する</p><p>事前に受けた、克子姉からのレクチャーだけでこの複雑な構造の屋敷の間取りを、頭の中に叩き込んでしまっているらしい</p><p>あれ、そこの部屋じゃないはずだよ</p><p>美智がオレを導いたのは瑠璃子を犯す予定の特別室でなく</p><p>その隣の部屋だった</p><p>いえまずは、こちらのお部屋へわたくしたちは、こちらまでです愛の部屋には、瑠璃子とお二人だけでお入りいただきます</p><p>そういう手はずになっているのなら仕方無い</p><p>みすずが、コンコンと部屋のドアをノックする</p><p>中から今夜の捧げもの瑠璃子の声がする</p><p>ガチャリとみすずが、ドアを開ける</p><p>オレたちは中へ</p><p>待ってたよんっヨッちゃん</p><p>ワインレッドのビロード張りの椅子に座った、瑠璃子を中心に寧とマナ、メグがオレを出迎えた</p><p>マナとメグはみすずたちと同じ、ミニスカ仕様のバスローブを着ている</p><p>寧は姉妹会の時の古代ギリシャ風の白い衣装を着ていた</p><p>胸の大きな寧にはよく似合う</p><p>そして瑠璃子は</p><p>真っ赤な絹の肌襦袢を身に纏っている</p><p>首と手首そして、足首には</p><p>輝く金の装飾具を付けていた</p><p>金地に赤い宝石が埋め込まれている</p><p>これがジッちゃんの用意した衣装か</p><p>そして寧によって、整えられた顔は</p><p>いつも以上の最高の美少女に磨き上げられていた</p><p>お待ちしておりました、お兄様</p><p>赤と金に輝く瑠璃子がオレに一礼する</p><p>お兄ちゃんルリお姉ちゃん、綺麗でしょ</p><p>ああとっても綺麗だ瑠璃子</p><p>さて付き添いのみなさんは、ここまでねっ</p><p>寧がバスローブの少女たちに、言う</p><p>最後に瑠璃子に何か一言あるっ</p><p>まずはメグが</p><p>最初は痛いけれど、でもヨシくんが優しくしてくれるわがんばってね</p><p>はい恵美お姉様ありがとうございます</p><p>続いて美智</p><p>処女喪失は、まだ最初の一歩ですご主人様をお悦ばせするためには、これより先たくさんの研鑽を積まねばなりませんそのおつもりでご主人様の奴隷としての義務をお果たし下さい</p><p>美智は瑠璃子の指導役だ</p><p>はい美智様今後とも、よろしくご指導を下さいませ</p><p>同い年でもオレの女の先輩として、瑠璃子は美智を立てる</p><p>最初は数をこなさないとダメだからとにかく、お兄ちゃんにいっぱいして貰ってお腹の中が、とっぷんとっぷんになっちゃうぐらい射精して貰うんだよっ今晩だけは、痛いの我慢しないとね</p><p>自分の処女喪失はオレに何度もレイプされ尽くしたマナが、そう言う</p><p>はいマナさん色々と教えて下さって、ありがとうございます全て、教わった通りに致します</p><p>マナのことだから相当偏ったセックス知識を教えていることだろう</p><p>ちょっと心配だ</p><p>最後にみすずが、瑠璃子に言う</p><p>旦那様に抱いていただいて女にしていただいて、ようやくあたしたちは本当の家族になれるんですよいいですね</p><p>はい、みすずお姉様瑠璃子は、全て心得ております</p><p>香月家本家の血を引く従妹同士が微笑み合う</p><p>瑠璃子あたしたちは、香月の当主の家系に生まれましたお祖父様が、いつもおっしゃっていた言葉を、覚えていますか</p><p>はいわたくしたちは、香月家の娘ですが香月家の財産は、香月の家を支えて下さる全ての人々のものですゆめゆめ、自分のものだと思ってはならないと</p><p>瑠璃子は言う</p><p>そうですあたしたちは何一つ、自分が所有していると考えてはなりませんでした着ているものも、持ち物も香月の家からお借りしているだけのものであり香月家の名誉と威信を示すために、使わせていただいているものです大事に、大切に扱いいつかは、家にお返ししなければならない</p><p>はいいかなる時間、いかなる場所でも、香月の娘として正しい態度で振る舞わなくてはならないわたくしたちは、香月の家の象徴なのだからと</p><p>その香月家の娘としての戒めはもう、あなたには適用されません</p><p>はいわたくしは、もはや香月の人間ではございませんお兄様の奴隷でございますから</p><p>そうよそして旦那様の奴隷であるということは、あなたが旦那様の所有物であるということと同時に旦那様があなたにとって特別な存在であるということを示すの</p><p>みすずは優しく語る</p><p>この方があなたのご主人様おめでとう瑠璃子あなたは、ついに自分のものを手に入れたのよ</p><p>わたくしのもの</p><p>そうよ家からの借り物ではないわあなたのものあなたが、生涯を懸けて愛情を注ぐことが許されているただ1つの存在なのよ</p><p>ああわたくしのご主人様</p><p>瑠璃子が、ワッと花が咲いたような笑顔でオレに微笑む</p><p>あたしにとってもそう世界でただ1つ、あたしが愛している、あたしの旦那様よ身も心も捧げているわ</p><p>オレの奴隷になることは、オレの所有物になるということ</p><p>そうなって、初めて</p><p>瑠璃子は、香月の家の呪縛から解放される</p><p>オレのものになるということは瑠璃子も、オレを手に入れるということ</p><p>オレも瑠璃子のものとなる</p><p>瑠璃子も、もう心は旦那様に捧げているのね次は、身体よ身体の結びつきは、心よりも大切よしっかり、努めなさい</p><p>はいみすずお姉様、ありがとうございます</p><p>瑠璃子は、みすずにスッと頭を下げる</p><p>瑠璃子の立ち振る舞いは優雅で美しい</p><p>はい、そんじゃあ皆さんは、地下室へ戻って渚さんが一人で困っているだろうから、イーディとアニエスとレイちゃんの相手をしててっ</p><p>真緒ちゃんが、そろそろおネムの時間だから最終兵器幼女は、ベッドに連れて行かないとねっ</p><p>はい、あたしたちもアニエスさんとお話したいですし</p><p>イーディさんは、美智に会いたいんじゃないかしら</p><p>わたくしは、正直、少し苦手ですが</p><p>美智は答える</p><p>だけど、イーディの方は美智を、勝手に親友だと思っているんだよな</p><p>お兄ちゃんとルリお姉ちゃんの初エッチは、本当は横で見ていたいけれど初体験は、やっぱり二人きりにしてあげないといけないもんねっ</p><p>あたしもさっ、お兄ちゃんと二人きりで情熱的に愛して貰って、良い思い出になったって思うし</p><p>お前の初体験はレイプだ</p><p>しかも、外で小雨の降る中、芝生の上で３度も犯されたんじゃないか</p><p>お兄ちゃんまたしようねっ</p><p>オレの表情を見てマナが、ニッと微笑む</p><p>あたし知っているよお兄ちゃん、ああいうエッチ、もっとしたいんでしょ</p><p>あのあたしもしたいていうか、して欲しい</p><p>マゾッ子のメグがぽつりと言う</p><p>当然わたくしもです</p><p>Mであることに定評のある美智も</p><p>あたしもですわ</p><p>んじゃ、あたしもっぐふふふっ</p><p>まあ、それは横に置いておいてルリお姉ちゃん後で、あたしとルリお姉ちゃんの二人でお兄ちゃんにご奉仕したいんだけれど一緒にしてくれる</p><p>二人っきりのエッチもいいけれどみんなで、一緒のエッチも楽しいんだよっ</p><p>はいわたくしでよろしければ</p><p>笑顔で、マナの申し出を受け入れた</p><p>うん、約束だからねっ</p><p>はいはいそれじゃあ、皆さんは退場ねっ</p><p>そして寧は、デジタルカメラを取り出す</p><p>本当は克子姉が撮影係をするはずだったんだけれど他に仕事ができちゃったっていうから、あたしがやりまーすっ</p><p>克子姉はジッちゃんの若い女の秘書を、調教している</p><p>あ、姉さんこのメンバーで、１枚撮っといてくれない</p><p>オレはみすずたちを返す前に、記念写真を撮っておきたいと思った</p><p>瑠璃子の初体験がこの少女たちによって、祝福されたことの証として</p><p>うんじゃあ、みんな瑠璃子の周りに集まって</p><p>みんな集合する</p><p>はい、撮るよぉ笑って</p><p>うんみんな、笑顔だ</p><p>瑠璃子は一人じゃない</p><p>みすずたちが退室し</p><p>部屋にはオレと瑠璃子と寧だけが、残る</p><p>さてじゃあ、今度は瑠璃子の記念写真だっ</p><p>処女喪失前の姿を写真に撮っておくのが黒い森の流儀だ</p><p>瑠璃子それ、脱いで</p><p>瑠璃子が立ち上がって、恥ずかしそうに肌襦袢の腰紐を解く</p><p>その羞じらいの姿も寧は、写真に収める</p><p>シュルルル</p><p>絹は衣擦れの音が鋭い</p><p>肌襦袢の前が開く</p><p>真っ白い形の良い乳房と無毛の恥部が露わになる</p><p>瑠璃子の胸元の金と紅玉の首飾り細いお腹廻りにも、金の紐を巻いていた</p><p>両手の金の腕輪両脚の金の足輪も輝いている</p><p>どれも素晴らしい細工に宝石が埋め込まれている</p><p>ギュスターブ・モローのサロメだね</p><p>シャッターを切り続けながら寧が言った</p><p>香月のおジィちゃんなかなかの趣味だわ</p><p>本当なら赤い絹の肌襦袢だけじゃなくって、七つのヴェールを瑠璃子に着せたかったんだよ退廃的だなあ</p><p>ヨッちゃん、気を付けないと瑠璃子に、首を切られちゃうよヨカナーンみたいにさっ</p><p>わたくしはそんなことは致しません</p><p>瑠璃子が、恥ずかしげに答える</p><p>そうだね首を切られたかったのは、香月のおジィちゃんの方なんだろうね孫娘にそういう感情を抱いていたわけだから</p><p>寧は、パシャパシャと写真を撮る</p><p>ホントヒヒジジイだよねぇ</p><p>寧ジッちゃん、この映像も見ているぞ</p><p>昔ねサロメっていうお姫様が居てね年老いた父親の王様の前で、ストリップ・ダンスを踊って、そのご褒美に聖者の生首を求めるっていう話があるんだよ</p><p>原典は聖書の中に書かれている話ですでも、聖書にはサロメという名前は出て来ませんしオスカー・ワイルドの戯曲によって、形作られたイメージも大きいですわ</p><p>寧と瑠璃子が解説してくれる</p><p>そうだ瑠璃子ちょっと踊って踊りながらその肌襦袢を脱ぎ捨ててっ</p><p>瑠璃子が赤い肌襦袢の裾を翻して、舞う</p><p>１５歳の少女の裸体は輝いている</p><p>全身の金の装身具がシャンシャンと揺れて、鈴のような音色を立てる</p><p>おっ、上手い上手いそうらっ、脱ぎ捨てろっ</p><p>寧の合図で瑠璃子は、肌襦袢を脱ぎ捨てる</p><p>ふわぁっと宙に舞う、赤い絹が、キラキラと輝く</p><p>裸身に金のアクセサリーだけを纏った瑠璃子が軽やかに舞う</p><p>うんうんいいよ、いいよっ</p><p>寧はどんどん、写真を撮る</p><p>日舞を心から愛している瑠璃子はうっとりとした、優しい顔で舞い続ける</p><p>まるで天女の様な、微笑みで</p><p>ああ瑠璃子の身体にあった堅さが、抜けていく</p><p>このために寧は、わざと瑠璃子を踊らせたのかもしれない</p><p>はーい、オッケイ</p><p>踊りが止む</p><p>綺麗だったよ瑠璃子</p><p>ありがとうございます、お兄様いあんっ</p><p>瑠璃子は、自分が裸身であることに気付きハッと羞じらう</p><p>腰をくねらせて、胸と股間を手で隠した</p><p>隠しちゃダメだよっ今度は、瑠璃子のそこを撮るんだからっ</p><p>寧がニヒヒっと笑う</p><p>はいそこの椅子に浅く腰掛けて、大きく足を開くぅぅ</p><p>耳まで赤くなって１５歳の美処女が、オレを見る</p><p>見せろ、瑠璃子</p><p>瑠璃子は開脚する</p><p>顔を背けるなオレを見ろ</p><p>ヨッちゃん瑠璃子のあそこ、指で開いて</p><p>処女膜撮っとかないとね</p><p>瑠璃子触るぞ</p><p>はい、お手柔らかにお願いします</p><p>オレは、恥ずかしそうな瑠璃子の足の間にしゃがみ込む</p><p>瑠璃子の処女の割れ目はぴっちりと唇が閉じていた</p><p>もっと足を開いてこうするんだ</p><p>オレは、瑠璃子の太ももを掴んでさらに開脚させる</p><p>秘部が上になるように腰の位置を変えさせる</p><p>開くぞ</p><p>オレは、瑠璃子の割れ目に沿わした指をVの字に開く</p><p>くぱぁぁ</p><p>熱い汁が、とろとろっと滴る</p><p>あんっそんなところご覧にならないで</p><p>違うぞ、瑠璃子見て下さいって言うんだ</p><p>瑠璃子の一番大切なところだからなしっかり見ておきたいんだ</p><p>瑠璃子はうんと頷いて、オレを見る</p><p>はいどうぞ、ご覧になってお兄様わたくしのご主人様</p><p>また瑠璃子の内部からとくとくと泉が湧く</p><p>この温かさは温泉か</p><p>この温泉に早く、根元まで埋まりたい</p><p>ヨッちゃん、もっとグイッと拡げて瑠璃子のそこ、小さいから処女膜が見えないよっ</p><p>瑠璃子の裸身と羞じらいの表情を撮影しながら寧が言う</p><p>うん、判った瑠璃子、いくぞ</p><p>オレは、力を込めて、ガバッと瑠璃子の秘部を開く</p><p>あっ、見えたピンク色っ</p><p>瑠璃子の処女膜を寧は、アップで撮影する</p><p>うーん、ぴったり塞がっているねえこれ破るの、結構痛いかもしんないなっ</p><p>寧が瑠璃子の処女膜をを見て、そんな感想を述べる</p><p>痛いのは覚悟しています</p><p>瑠璃子処女とか、処女膜のことについて、みんなから教わったか</p><p>はいマナさんや克子様から</p><p>あたしも、教えたよっ</p><p>一度破ったらもう二度と元には戻らないんだぞ</p><p>はいそして、処女膜を破って下さった男性としか、もう一生セックスすることは許されないのですよね</p><p>そんな嘘を吐くのは、マナか</p><p>そうだよ処女膜を破って、最初に子宮に精子を注ぎ込んでくれた人としか、一生セックスできないからねっしかも、相手の人がセックスしたいって言ったら、いつでも、どこでもセックスするそれが、この世の決まりだからっ</p><p>寧か</p><p>いや、きっとマナと二人でどんどん嘘がエスカレートしたな</p><p>瑠璃子にはそう思わせておいた方がいい</p><p>瑠璃子はいいのか</p><p>何でございましょうか</p><p>そのオレが、この瑠璃子の処女膜を破って</p><p>破るだけでは困りますきちんと、瑠璃子のお腹の底に精液を注いで下さいませ</p><p>秘部を大きく晒したまま瑠璃子が、言う</p><p>だから一生、オレだけでいいのか</p><p>はい、お兄様お兄様の方こそ</p><p>本当にわたくしの様な、未熟な女を受け入れて下さいますか</p><p>真摯な眼でオレを見る</p><p>うんお前が好きだよ瑠璃子</p><p>オレは瑠璃子の唇に、キスをする</p><p>ああわたくしも、お慕い致しております</p><p>チュッチュと小鳥のように、キスを繰り返す</p><p>うんうん、いいねぇ良い絵が撮れてるよーんっ</p><p>寧はそんなオレたちを撮していく</p><p>はーい、じゃあヨッちゃんも裸になって２人で裸で抱き合っているところを撮ろう</p><p>わたくしが致しますわ</p><p>瑠璃子が、オレのバスローブを脱がしてくれる</p><p>オレたちは全裸で抱き合う</p><p>キスをする</p><p>オッケー、そんじゃ、最後に瑠璃子はヨッちゃんのオチンチンにキスしてっ</p><p>それで、写真タイムはおしまいにしよっ</p><p>瑠璃子は恐る恐る、オレの勃起を見る</p><p>さっきからみすずや美智に、さんざん興奮させられている</p><p>いつも以上に、固く強張り天を衝く勢いになっている</p><p>瑠璃子触ってみろ</p><p>怯える瑠璃子にオレは、無理矢理ペニスを触らせる</p><p>大きい熱い</p><p>これが、瑠璃子の中に入るんだぞ</p><p>本当に入るのでしょうか</p><p>入るよっあたしの中にだって入ったし瑠璃子よりも小柄な、美智の中に入ったのも見たでしょ年下のマナだって、全部入るんだし</p><p>瑠璃子はオレのペニスに恐怖を感じている</p><p>いいから、ほらっ先っぽにキスして、瑠璃子そうすると、ヨッちゃん悦ぶんだから</p><p>全裸の瑠璃子がオレの前にしゃがむ</p><p>おそるおそる震える両手で、ペニスを掴み</p><p>そっと、亀頭の先にキスをする</p><p>寧がカメラに納める</p><p>はい、オッケー事前撮影、終了っ</p><p>そしたらさ２人には、隣の部屋に行って貰ってむふふふふっ、後は２人でお楽しみねっ好きなだけヤッちゃっていいからで、終わったら枕元の電話を取ってあたしに直通で繋がるようになっているからそしたら、今度は事後の撮影をするからさっ</p><p>処女血とオレの精液にまみれた、瑠璃子の裸身を撮る</p><p>はい寧お姉様、色々とありがとうございました</p><p>瑠璃子は、肌襦袢を羽織って寧に、礼儀正しく一礼する</p><p>つーことでさ瑠璃子は、先にそっちの部屋に入っていて</p><p>ヨッちゃんは３分後に行くから</p><p>あのどうしてです</p><p>お部屋でお出迎えするのが、奴隷の仕事でしょうが</p><p>寧は、またあっけらかんと嘘を吐く</p><p>は、はあ</p><p>いいからっ瑠璃子は、先に行ってるほらほら、早くHURRY　UP</p><p>わ、判りましたでは、お兄様、お先に行かせていただきます</p><p>寧が、ここまで言うからには何か理由があるんだろう</p><p>うん、待っててくれすぐに行くから</p><p>オレは、笑って瑠璃子に言う</p><p>はいお待ちしております</p><p>ぺこりと頭を下げて瑠璃子は、１人、特等室へ</p><p>さて、ヨッちゃん</p><p>寧が、真顔でオレを見る</p><p>さすが、香月家のお嬢様みすずよりも、手強いねっ</p><p>あの子すっごい無理しているから、今</p><p>本当は怖くて仕方無いんだよヨッちゃんの奴隷になることもセックスも</p><p>ああ頭では納得しているが</p><p>気持ちが、いつも置いてきぼりになっている</p><p>瑠璃子はそういう女の子だ</p><p>最後のオチンチンへのキスで判ったでしょ身体は、拒否している怖くて怖くて仕方無いんだよ</p><p>だから絶対に、手加減しちゃダメだよ本気でレイプするつもりで、犯してあげてねっ</p><p>そうでないとあの子のプライドが保たなくなるから</p><p>瑠璃子のプライド</p><p>あの子は自分で、この運命を受け入れたって信じているそのことだけが、香月家の娘の呪縛から逃れられた証なんだ</p><p>だからどんなにあの子の身体が拒絶しても、犯しきってあげてここで手加減してセックスができなかったら、あの子の心に傷を残すから</p><p>あの子は、まだ我慢している耐えている心に嘘を吐いて、笑顔でいようとしているそんなもの、みんなブッ壊しちゃいなよっ</p><p>寧がオレに微笑む</p><p>丸裸にして泣かしちゃえっただの娘に戻してあげてっ</p><p>そう答えたオレに寧は、キスをする</p><p>そして、勃起したペニスを優しく撫でて</p><p>あーあ、こんなに固いのあたしの中に欲しいよっ</p><p>さわさわっと刺激する</p><p>みすずたちも、相当ペロペロしたんでしょあたしの中で、ドピュッと出して欲しい</p><p>寧もチュパチュパとフェラチオする</p><p>でも、しょうがないねお姉ちゃんは、我慢しますっ</p><p>瑠璃子のお姉ちゃんも頼むよ</p><p>当然っあたしは、みんなのお姉ちゃんだからねっ</p><p>そして、オレのお尻をポンと叩く</p><p>はい、３分経った瑠璃子を仕留めてきなっ</p><p>ああ判った</p><p>ノックもせずにオレは、部屋の中に入った</p><p>瑠璃子は赤い肌襦袢のまま、ベッドの端にちょこんと座っている</p><p>３分間の間が瑠璃子をすっかり、緊張させている</p><p>ど、どうぞ、お兄様</p><p>その声は強ばっていた</p><p>あのお茶でも煎れましょうか</p><p>この部屋には一通りのものは揃っている</p><p>いやすぐに始めよう</p><p>さっきからずっと瑠璃子を抱きたくて、我慢していたんだから</p><p>それは申し訳ございません</p><p>オレは瑠璃子の隣に座る</p><p>瑠璃子は、スッとオレとの距離を取るため座り直した</p><p>無意識でやっているのだろうが</p><p>やっぱり、オレと二人きりの空間</p><p>これから始まる初体験が怖いんだ</p><p>どうした怖いのか</p><p>そんなことはございません</p><p>強がる瑠璃子</p><p>瑠璃子最初に言っておくけれど</p><p>ゴクッと唾を呑んで瑠璃子が、オレを見る</p><p>男は一度、セックスを始めたら、もう止まらなくなるんだどんなに、瑠璃子が痛がろうが、泣き喚こうが絶対に、最後まで止まらないから</p><p>泣き喚いたりは致しませんわたくし</p><p>そういう瑠璃子の身体はぶるぶると震えている</p><p>いや、瑠璃子正直になろうここには、オレたちしか居ないんだし</p><p>正直</p><p>大きな瞳が、オレを見上げる</p><p>怖かったり、痛かったりしたらはっきり、そう言おう思っていることは、何でも口に出してくれ心を丸裸にするんだ</p><p>意味が判らないという顔を瑠璃子はする</p><p>瑠璃子はすでに、お兄様に心を開いておりますわ</p><p>瑠璃子自身の感覚としては、そうなんだろう</p><p>頭で割り切っている範囲では</p><p>それは判っているオレが言っているのはもっと生々しく、心の底から湧き上がる言葉をぶつけ合おうっていうことだ</p><p>瑠璃子これを握ってくれ</p><p>オレは瑠璃子の前に、勃起ペニスを突き出す</p><p>いいから早くっ</p><p>瑠璃子の震える手がオレの勃起を包み込む</p><p>もっと強く</p><p>固くなってるだろ熱いだろ</p><p>オレの眼をちゃんと見ろ</p><p>はい、申し訳ございません</p><p>困惑した大きな瞳が、オレを見上げる</p><p>お前に、オレの子供を産ませる</p><p>オレははっきり言った</p><p>判るかこれは、そのためのものでこれからするのは、そのための行為だ</p><p>瑠璃子はガタガタと震え出す</p><p>今までは頭で納得したつもりになっていたセックスという行為が</p><p>生々しい情欲に満ち溢れた、ケダモノの行為であることに</p><p>瑠璃子は気付く</p><p>さっき、お前が言ったとおりオレは、絶対に手加減はしない</p><p>瑠璃子がどんなに痛み、苦しみ、泣き喚こうともオレの精液をお前に注ぎ込むオレが満足するまで、何度もだ</p><p>瑠璃子の瞳が、恐怖に震える</p><p>始めるぞ、瑠璃子</p><p>ということで、陵辱気味にスタートします</p><p>１発目は</p><p>瑠璃子は、１発では済まされません可哀想に</p><p>梶島正樹先生の本が出たので、買いに行きました</p><p>アニメイトとか行くのは、年に一度この時期だけですね</p><p>だって普通の本屋で置いてないんだもの</p><p>私は９０年代は、色々と忙しかったので、オタクカルチャーには全然触れていません</p><p>なので天地無用も、全盛期のことは全く知りません</p><p>１０年くらい前のGXPは、深夜アニメだったので見ていたんですれど</p><p>それが、何で毎年新刊を楽しみにするようになったのか</p><p>というか、ここのところ年１冊ペースで新刊が出るのを楽しみにするしかない作品が多すぎです</p><p>みんなペースが上がらないんだろうな</p><p>とにかく、ひらこー先生には頑張っていただきたいと思っています</p><p>420．処女破瓜　（その２）</p><p>オレは、瑠璃子をベッドに押し倒す</p><p>肌襦袢の前を開き可愛いおっぱいを露出させる</p><p>こ怖いです、お兄様</p><p>オレは、瑠璃子の乳首を舐める</p><p>まだ陥没したままの乳首の奥底から、芽のように固いものが起き上がってくる</p><p>性に対する恐怖の中で蒼い瑠璃子の肉体は、興奮の炎を燃え上がらせる</p><p>ひいあん</p><p>二人きりの部屋だからついつい、瑠璃子は感じている声を漏らす</p><p>オレは、瑠璃子のおっぱいをパクッと甘噛みする</p><p>白い柔肌にオレの歯形を付ける</p><p>い痛いですぅお兄様</p><p>恐怖と恥ずかしさと痛みで瑠璃子は、すっかり涙目になっていた</p><p>痛くていいんだ怖くていいんだ</p><p>瑠璃子の湿った眼が、オレを見上げる</p><p>瑠璃子はセックスは、初めてなんだから怖いのは当たり前だし痛いのも当たり前なんだ</p><p>オレは、瑠璃子の首から耳をペロペロと舐める</p><p>ひぃあんっそんなところ、舐めないで</p><p>これから、もっと色んなところを舐められるんだぞ瑠璃子の身体中、全部、オレの舌で舐めてやる</p><p>そんな恥ずかしいです、お兄様ぁ</p><p>もっと恥ずかしい顔をオレに見せろ怖がっている顔も、痛そうな顔も</p><p>どんな顔もオレのものだ全部、オレにさらけ出せ</p><p>お前の心も身体も完全に食らい尽くしてやる</p><p>オレの腕の中で瑠璃子が、ビクッと震える</p><p>それがオレの女になるっていうことだ、瑠璃子</p><p>オレは瑠璃子の足を開かせる</p><p>女にしてやるからな</p><p>瑠璃子は、ガタガタと震え出す</p><p>本当に怖いのだろう恐ろしいのだろう</p><p>だが、オレは</p><p>瑠璃子の股間に舌を這わす</p><p>瑠璃子のここは酸っぱいな</p><p>わざと音を立てて、愛液を啜りながらオレは、言った</p><p>いやぁんそんなこと、おっしゃらないで</p><p>美味しいよ瑠璃子</p><p>いやぁぁ恥ずかしい恥ずかしいですわぁ</p><p>瑠璃子の身体が火照ってくる</p><p>オレは瑠璃子のクリトリスを剥き出し、ペロッと舐める</p><p>いつも大人しい瑠璃子が大きな声を上げる</p><p>だめですぅぅそこは、変になっちゃうのぉ</p><p>オレは、唾を多めにぴちゃぴちゃと舐め上げる</p><p>だめですのにぃぃお兄様ぁぁ</p><p>瑠璃子の芯を舐めながらオレは身体の体勢を変える</p><p>瑠璃子オレのも舐めてくれ</p><p>瑠璃子の眼の前に勃起ペニスを突き出す</p><p>眼の前の男性器に瑠璃子は、恐怖する</p><p>舐めろ瑠璃子の唾で濡らすんだそうしないと、瑠璃子の中に入る時の痛みが増すぞ</p><p>オレは軽い嘘を吐く</p><p>お前の唾をまとわりつかせろ</p><p>ははい、お兄様</p><p>瑠璃子は諦めたようだ</p><p>亀頭に舌を伸ばす</p><p>そうだ、唾でびちょびちょにするんだ</p><p>ぺちょぺちょ</p><p>可愛い赤い舌がオレのペニスを舐めていく</p><p>瑠璃子は緊張している</p><p>ぷるぷると震えながら恥ずかしそうに、フェラチオする</p><p>オレも濡らしてやるから</p><p>再び、オレも瑠璃子の割れ目を舌で攻撃する</p><p>はぁんっ</p><p>感じた声を上げて思わず、瑠璃子はオレのペニスから舌を外す</p><p>止めるな、続けろ</p><p>オレたちはシックスナインの相互愛撫を、続ける</p><p>あああお兄様この格好</p><p>どうした気に入ったのか瑠璃子</p><p>いえ、あの恥ずかしいとっても、恥ずかしいです動物みたいです</p><p>瑠璃子の熱い愛液は、どくどくと溢れる一方だった</p><p>そうかなら、これからずっとやってやる</p><p>これからずっとこういうことをするんだ、瑠璃子</p><p>動物みたいでいいんだもっと、もっと、動物に帰れ</p><p>瑠璃子だってケダモノなんだぞ</p><p>さあケダモノの行為をしよう</p><p>オレは、身体を起こす</p><p>いよいよ挿入だ</p><p>瑠璃子お尻を浮かせろ</p><p>腰を高くした方が、角度が合って挿入しやすい</p><p>オレは枕元のクッションを、瑠璃子の腰の下に押し込もうと思った</p><p>瑠璃子はまだ心の準備ができていないのだろう</p><p>身体を固くして、震えるだけで動かない</p><p>しょうがないなあ</p><p>オレは強引に瑠璃子のお尻を浮かせてクッションを当てる</p><p>ついでに肌襦袢を剥ぎ取る</p><p>瑠璃子は黄金と宝石に飾られた裸体を、オレの前に晒す</p><p>待って待って下さい</p><p>オレは、瑠璃子の足を掴む</p><p>力を込めてグイッと大きく開かせる</p><p>いやっ待っていやぁぁお兄様</p><p>そのまま瑠璃子の中心に、オレのペニスを向ける</p><p>恐怖に眼をつぶる</p><p>眼を閉じるなっオレを見ていろっ</p><p>オレは、瑠璃子を怒鳴りつけるっ</p><p>オレがお前の主人になる瞬間だぞっオレの顔を見ていろっ</p><p>１５歳の美少女</p><p>日本有数の名家の後継者である瑠璃子が</p><p>大きな瞳を、オレに向ける</p><p>その表情は怯えと恐怖に曇っている</p><p>カチ、カチカチカチッ</p><p>何の音かと思ったら</p><p>瑠璃子の白い歯が、恐怖に震えて鳴っている音だった</p><p>大丈夫だ瑠璃子一人じゃないから</p><p>オレは、瑠璃子を見下ろして言った</p><p>一人じゃ無い</p><p>ああ、オレがここにいるセックスっていうのは、二人でするものなんだ</p><p>瑠璃子と見つめ合ったままオレは、ペニスの先を瑠璃子の入り口に近づける</p><p>さあ瑠璃子の中に入るぞ</p><p>瑠璃子はオレを見上げて</p><p>む、無理ですそんな大きいの入らないです入るわけがないわ</p><p>瑠璃子の処女の膣口は本当に小さかった</p><p>これだけ愛撫して、愛液も滴ったているというのにぴったりと閉じている</p><p>オレは指で、くぱぁと拡げる</p><p>亀頭の先をくっつける</p><p>あ、熱いです</p><p>膣口で粘膜と粘膜の接触に、瑠璃子は震える</p><p>瑠璃子の眼が、恐怖に染まる</p><p>やっぱり、嫌ですっ怖い怖いのぉぉぉっやめて、やめて下さぁい</p><p>ヌゥンッッ</p><p>い、いやぁぁっっ</p><p>亀頭が瑠璃子の中に、押しつけられる</p><p>い、痛いですっさ、裂けちゃう怖いぃぃぃ</p><p>すぐにペニスの先が、固い壁に阻まれる</p><p>これは処女膜の触感</p><p>押し破るぞ瑠璃子</p><p>いやぁぁ、死んじゃいます死んじゃいますからやめて下さいませ、お兄様ぁっ</p><p>瑠璃子が、ぷるぷると首を振る眼から、涙がポロポロ零れている</p><p>お前が死ぬんなら、一緒に死んでやるっ</p><p>今は、オレに破って下さいって言え言うんだっ、瑠璃子</p><p>瑠璃子は覚悟する</p><p>や破って下さいませ、お兄様</p><p>オレは体重を掛け、一気に瑠璃子の中へ突き込む</p><p>きゃあああああっっ</p><p>瑠璃子は、絶叫した</p><p>痛いぃぃぃ痛い痛いのぉっっっ</p><p>処女膜が押し裂かれていくッッ</p><p>入ってこないでっそれ以上、瑠璃子の中に入らないでぇぇぇっ</p><p>瑠璃子の膣は狭い</p><p>狭すぎる</p><p>それを無理矢理オレのペニスの形に、押し広げていく</p><p>痛いぃぃぃ痛い身体に穴が開いちゃうっっ</p><p>瑠璃子は、シーツをキュッと握りしめて痛みに耐える</p><p>眼を閉じるなっしっかりとオレを見ていろっ</p><p>涙で湿った瞳がオレを見る</p><p>もう少しだもう少しだから</p><p>お兄様ぁぁ</p><p>ついに、オレのペニスが根元まで、瑠璃子の中に侵入する</p><p>入ったぞ全部、瑠璃子</p><p>オレは、ハァハァと大きく息をしながら瑠璃子に告げた</p><p>全部</p><p>ああ、オレとお前のお腹がぴったりくっついている</p><p>オレは、瑠璃子のためにしばらく動かないでいることにした</p><p>ほ、本当ですわあんな大きなものか、全部わたくしの中に</p><p>触ってみろ</p><p>オレは瑠璃子の白い手を掴み結合点に導く</p><p>まあ、本当だわ</p><p>瑠璃子の身体はオレとこうなるようにできているんだよ</p><p>お兄様と</p><p>そうだお前は、オレとセックスするために生まれてきたんだ</p><p>オレは繋がったまま、優しく瑠璃子にキスをする</p><p>ああ、お兄様瑠璃子はもう、お兄様のものなんですね</p><p>瑠璃子はオレを見上げて、言う</p><p>まだだ瑠璃子の中に射精するまでは</p><p>ああ腰がむずむずする</p><p>早く、瑠璃子の中に吐き出したい</p><p>いいか、瑠璃子ここから先は、お前がどんなに泣こうと喚こうと、最後まで止めない</p><p>また、瑠璃子が恐怖に身体を固くする</p><p>だから、お前はいっぱい泣け大声で喚け暴れたっていいだけど、絶対に眼を閉じるな最後まで、オレを見ていろ</p><p>お兄様を</p><p>ああ命令だ</p><p>オレは、瑠璃子の瞳を見る</p><p>瑠璃子の瞳の中にオレの顔が映っている瑠璃子と繋がったままの</p><p>きっと瑠璃子も</p><p>オレの瞳の中に、オレに犯されている自分の姿を見ているだろう</p><p>瑠璃子は真剣な表情で、そう答えた</p><p>オレは腰を動かす</p><p>ひぃっ痛い痛い痛ぁいぃぃぃ</p><p>ズンズンズンと瑠璃子の中へ突き込む</p><p>だんだん早く力強く</p><p>痛いっ痛いですぅぅやっぱり、無理ですもう無理ですっ</p><p>それでも、オレは</p><p>ピストンを止めない</p><p>瑠璃子の内側を最大に勃起したペニスで、擦っていく犯していく</p><p>もう抜いてぇぇ抜いて下さいませぇぇ痛いんですっ本当に痛いのおっ</p><p>涙を零しながら大きな瞳の瑠璃子が、オレに懇願する</p><p>それでも止めるものか</p><p>瑠璃子の中に精を吐き出すまでは</p><p>いやぁぁもう、いやぁぁこんなの耐えられないですもう、やめてぇぇ許してぇぇ許して下さいませぇぇぇ</p><p>１５歳の少女が泣く</p><p>涙を零しながらオレを見ている</p><p>瑠璃子を犯しているオレを</p><p>る、瑠璃子もう出そうだオレ</p><p>散々、みすずや美智や寧に刺激されてきたんだ</p><p>オレの限界は早かった</p><p>出すぞ、瑠璃子の中に出すぞ</p><p>出してぇぇ早く、終わりにして下さいませ</p><p>瑠璃子は現在の痛みと苦しみから逃れることで、精一杯のようだった</p><p>出したらもう、戻れないんだぞいいんだな、瑠璃子</p><p>もう一生オレのセックス奴隷だからな戻れなくなるんだぞ</p><p>瑠璃子の瞳が震える</p><p>オレの赤ちゃんが、瑠璃子のお腹の中にできるからなっ</p><p>その瞬間、瑠璃子は</p><p>今までの姿をかなぐり捨てる</p><p>本当の１５歳の少女の本心が露わになる</p><p>やっぱり、嫌ぁぁ怖いぃぃぃぃ怖いのおっ</p><p>怖いぃぃ 怖いのぉぉぉっっやめてやめて下さぁい</p><p>イクぞっ</p><p>どおおおっくっ</p><p>第一波が瑠璃子の子宮を侵すッ</p><p>あ、熱ぅぅッッッ</p><p>瑠璃子の膣内を白く汚していく</p><p>いやぁぁっっっ</p><p>オレの眼を見たまま瑠璃子は、絶望に絶叫する</p><p>どおおおっくくくっ</p><p>出てる出てるぞ瑠璃子</p><p>やめてぇぇぇわたくしわたくしぃぃぃ</p><p>妊娠するんだ瑠璃子ぉっっ</p><p>どおくくっ</p><p>オレは、腰をくねらせて最後の一滴まで、瑠璃子に注ぎ込む</p><p>いやぁぁっっっ</p><p>瑠璃子は、大声で喚き泣く</p><p>オレと繋がったままオレに抱かれたまま</p><p>わぁぁっっ</p><p>夏の豪雨の様に</p><p>処女を失った瑠璃子は泣いた</p><p>ひっひっうううっうううっ</p><p>５分ほど、泣いている瑠璃子を抱き締めていた</p><p>オレの勃起は、萎えていない</p><p>まだ、瑠璃子の中を犯している</p><p>それでも、オレは瑠璃子を抱き頭を撫でてやる</p><p>ううううううう</p><p>瑠璃子の涙を、舌で舐め取る</p><p>その可愛い唇にも何度もキスをした</p><p>うううっお兄様ぁぁ</p><p>ようやく瑠璃子が眼を開く</p><p>泣いて腫れた眼が、オレを見ている</p><p>瑠璃子は瑠璃子は、どうなってしまうのでしょうか</p><p>そんなこと、もう瑠璃子は考えなくていいんだ</p><p>お前のこれからはオレが決める瑠璃子はもう、オレのものなんだからな</p><p>オレは、瑠璃子にキスする</p><p>それで、瑠璃子は</p><p>何もかも諦めが付いたらしい</p><p>かしこまりました全て、お兄様の言いつけに従います</p><p>それより瑠璃子</p><p>瑠璃子の身体、とっても気持ちいいぞ</p><p>オレは、瑠璃子のおっぱいを揉む乳首を、指の腹で擦る</p><p>一生大切にするからな</p><p>瑠璃子はとりあえず、そう答えた</p><p>うんお前はすっごく良い</p><p>ああ見ていたろ、オレがお前の中に射精する時の顔すっごく気持ち良かったぞ</p><p>いえあのあんまりよく、覚えていません</p><p>瑠璃子は、射精を受ける瞬間の恐怖でいっぱいいっぱいになっていたから</p><p>そうか、じゃあ、今度はちゃんと見ていてくれ</p><p>まだ、痛むか</p><p>大丈夫ですもうセックスが、どんなことなのか、身体で理解しましたから!</p><p>瑠璃子は相変わらず、意地っ張りだ</p><p>ああ瑠璃子の中、気持ちいいよ</p><p>もうオレだけの瑠璃子だからな</p><p>はいもう、お兄様だけの奴隷です</p><p>瑠璃子はもう自分は、オレとしかセックスできない身体になってしまったと思い込んでいる</p><p>オレもその勘違いを解く気はない</p><p>瑠璃子の中がどんどんオレの形になっていくぞ</p><p>わたくしの身体こうしていただくように、できているのですね</p><p>男と女はセックスするようにできている</p><p>瑠璃子は、実体験でそれを学んでいる</p><p>あのな瑠璃子</p><p>瑠璃子の中を突き廻している内にオレの中に、熱い感情が溜まっていく</p><p>はい、何でしょう、お兄様</p><p>瑠璃子は痛いのだろう眉を顰めながらオレに言う</p><p>愛しているぞ、瑠璃子</p><p>オレ心に溜まった思いを言葉にするとそうなった</p><p>お前が大好きだ</p><p>はい、お兄様のお気持ちが伝わってまいりますお兄様は、本当にわたくしを愛して下さっているのですね</p><p>また瑠璃子の眼から涙が零れる</p><p>うんこれからは、ずっと一緒だからな</p><p>オレの腰の動きに合わせて瑠璃子が揺れる</p><p>オレの眼の前で、可愛いおっぱいも</p><p>オレたちは、同じリズムで踊っている</p><p>あまた、出そうだ瑠璃子</p><p>２発目が高まってくる</p><p>ちょっと、激しくするぞ</p><p>亀頭を瑠璃子のぷっくりとした膣口に何度もキスさせて</p><p>瑠璃子は痛みに耐えてくれていた</p><p>うううっうううっ</p><p>瑠璃子もうすぐだからもうすぐだから</p><p>瑠璃子、好きだぁっ</p><p>オレは、瑠璃子の身体にしがみつき</p><p>どぴゅっと、瑠璃子の胎内に放出する</p><p>あっ温かい、温かいのが入って来ます</p><p>瑠璃子は、オレの顔を見つめている</p><p>オレも膣奥に精を受け、切なそうな顔をしている瑠璃子を見ている</p><p>お兄様、とっても可愛いお顔をなさっています</p><p>射精しきったオレを見て瑠璃子は言った</p><p>オレは脱力して瑠璃子の上に、ぐったりとなる</p><p>瑠璃子は、そんなオレを下から優しく抱き締め</p><p>オレの耳元に囁く</p><p>お兄様わたくしも好きです</p><p>愛しています一生、お仕え致しますわたくしのお兄様</p><p>こうして瑠璃子は身も心も、オレの奴隷となり</p><p>瑠璃子はオレという、永遠の主人を得た</p><p>しばらく、休憩して</p><p>それから、オレは寧を呼んだ</p><p>ちなみに２発放出して、まだ勃起は萎えていない</p><p>まだギンギンと勃ったまま瑠璃子の中に収まっている</p><p>そうオレは、抜いていない</p><p>はーい、呼ばれて飛び出て、じゃじゃじゃじぁぁーん</p><p>デジカメを持った寧がオレたちの部屋に入ってくる</p><p>おっ、繋がったままなんだ早速、いただきますっ</p><p>ベッドの上で抱き合うオレたちを、寧は撮影する</p><p>ヨッちゃん、何回したの</p><p>まだ２回だよ</p><p>なぁーんだ、ヨッちゃん、もう２、３回はできるでしょ</p><p>お兄様はわたくしの身体を気遣って下さったんだと思います</p><p>挿入されたまま、瑠璃子が答えた</p><p>瑠璃子そういう時は、お口でして飲むんだよ</p><p>ヨッちゃんの精液を飲むのあたしはそうしたよっ</p><p>あ、申し訳ございませんでは、今すぐ</p><p>瑠璃子は、身体を起こそうとする</p><p>ああっ、ダメダメ今は、瑠璃子のヴァージン・ブレイクの血が付いているでしょ人間の血って、舐めるとよくないんだよだから、フェラチオ飲精は、お風呂に入った後ね</p><p>寧は、そう言って笑う</p><p>さらに、色んな角度から繋がっているオレたちを撮る</p><p>瑠璃子そのまま、片足を上げてそううん、繋がってるところがバッチリだよ顔もしっかり入っているし</p><p>こんな泣き腫らした顔で恥ずかしいですわ</p><p>ハメ撮りの陰部よりも瑠璃子は、泣き顔を撮られることの方が恥ずかしいらしい</p><p>そんなことないって、可愛いよ瑠璃子</p><p>隣の部屋にいたあたしにまで聞こえたよ瑠璃子の泣き声</p><p>まあ申し訳ございません</p><p>いいんだよ、瑠璃子は泣いたり、大きな声で喚いたりすることが必要な子だったんだから</p><p>寧お姉様</p><p>あんたはすぐに我慢するし頭で物事を割り切って、納得するフリをするからさったまには、ヨッちゃんの前で身も心も裸になって、ワーワー泣き叫ぶべきなんだよっもう、ヨッちゃんになら裸になれるでしょ</p><p>はいお兄様になら、わたくし</p><p>瑠璃子が、優しくオレの頬を撫でる</p><p>心から愛しておりますから</p><p>おーおー、お熱いことで</p><p>オレは姉さんのことだって、愛してるよ</p><p>知ってるよ、そんなことっあたしだって、ヨッちゃんのこと、とーっても愛してるもんっ</p><p>オレだって知ってるよそんなこと</p><p>オレたちは、ふふっと笑い合った</p><p>じゃ、そろそろヨッちゃん、抜いてあげてあっ、ここは動画で記録しておこうっ</p><p>寧が、デジカメの設定を変える</p><p>はい、いいよ</p><p>ん、じゃあ抜くよ、瑠璃子</p><p>オレは瑠璃子から、ペニスを引き抜く</p><p>１テンポ遅れて瑠璃子の割れ目から、オレの白濁した液が、たらららっと零れて来る</p><p>その様子を寧は、動画で撮影する</p><p>抜いてみて判ったけど瑠璃子、かなり出血している</p><p>白いシーツに、真っ赤な染みができていた</p><p>ごめん、瑠璃子痛かったろう</p><p>痛いのは当たり前です瑠璃子は、初めてだったんですから</p><p>そう言って、にっこりと微笑んでくれた</p><p>まあ、まあとにかくさ</p><p>瑠璃子の裸身を撮影する寧の手が止まる</p><p>おめでとう瑠璃子っ</p><p>これで、瑠璃子も正式にあたしたちの家族だよっおめでとうっ</p><p>寧は笑顔で瑠璃子を祝福する</p><p>ありがとうございます寧お姉様</p><p>瑠璃子はスッと身体を起こして、ベッドの上で正座する</p><p>寧に深々と頭を下げる</p><p>あたしはいいけどそれ、ヨッちゃんにもした</p><p>瑠璃子が、改めてオレに向かう</p><p>いたらない奴隷ではございますがどうか、一生、お側にいさせて下さいませお兄様</p><p>オレに、頭を下げる</p><p>勃起がさらに強ばる</p><p>もう１回、したくなったけれど</p><p>うんずっとずっと一緒だからなっ瑠璃子</p><p>オレは、瑠璃子にキスしその胸に手を伸ばす</p><p>ちょっとちょっと今はダメだよっヨッちゃん</p><p>寧がオレを止める</p><p>ああ風呂で血を洗い流してから、フェラチオさせるんだっけ</p><p>それとも寧も入る</p><p>とにかく処女喪失の事後撮影は、これで終わりだからさっ</p><p>寧は、ニッと微笑んでカメラをベッドサイドのテーブルに置く</p><p>ちょっと待っててね</p><p>寧は、スタスタと部屋のドアへと向かう</p><p>ドアを開けて</p><p>済みません、お待たせしましたどうぞっ</p><p>ドアの外に居た人を招き入れる</p><p>５０歳過ぎくらいの眼鏡をかけた小柄なオバサンだった</p><p>何か、大きな黒いカバンを持っているけれど</p><p>姉さんこの人誰</p><p>寧ではなく、オバサン本人が口を開いた</p><p>池田だけど</p><p>池田</p><p>あれどっかで聞いたことがあるような</p><p>じゃっ、先生診察お願いしますっ</p><p>あ黒い森と提携している女医さんかぁ</p><p>え、その池田先生が何で、ここに</p><p>あたしも長いこと、ここの子たちを診ているけれど処女破瓜後の検診のために、ここまで来させられたのはこれが初めてだよ</p><p>さすが瑠璃子は、香月家の後継者</p><p>ジッちゃんが手配したのか、ミナホ姉さんか判らないけれど</p><p>わざわざ先生の方からお屋敷まで来て貰ったのかよ</p><p>処女破瓜＆２発目、終了</p><p>すぐに３発目になります</p><p>セックス奴隷に、容赦はありません</p><p>その後は、マナがウォーミングアップしているし</p><p>421．初体験　Reboot</p><p>池田女医は、大きな黒革のドクターバッグから、マグライトと金属製の検査器具を取り出す</p><p>ほらそこに寝て、足を開きな</p><p>ギロッと瑠璃子を見て低い声で告げる</p><p>大丈夫だよっ、あたしたちみんな検診して貰ってる先生だからっ</p><p>ああ、平気だから、先生に診てもらえ</p><p>瑠璃子は、ベッドに横たわり大きく開脚する</p><p>池田先生はLED電球のマグライトを点灯させ、瑠璃子の膣内を覗き込む</p><p>鈍い銀色に輝く器具で巧みに瑠璃子の膣口を拡げて</p><p>ああ、また随分たっぷり出されたね腹の中、ぐっちょぐっちょじゃないか</p><p>池田先生が、細い器具を瑠璃子の中に差し込む</p><p>また、とろろろっとオレの精液が零れ出す</p><p>あ済みません</p><p>オレは裸のまま先生に謝った</p><p>ここんとこ毎日のように、あたしの医院に処女膜の破れた女の子を送り込んでるのはあんたかい</p><p>池田先生は、瑠璃子の中を覗き込んだまま尋ねる</p><p>何か面目ない</p><p>みすずに始まってメグ、マナ、美智、寧そして、瑠璃子</p><p>みんな、池田先生に処女破瓜で女性器にダメージを負ってないか診ていただいて避妊ピルを貰って帰って来ている</p><p>雪乃だけは処女喪失後の検診さえ受けさせて貰ってない</p><p>雪乃は、避妊もしていないからピルも飲んでいないし</p><p>この子らは、みんな娼婦にするわけじゃないんだね</p><p>池田先生の言葉が、オレを刺す</p><p>はい生涯、オレの女として守ります愛していきます</p><p>ふん言葉だけなら、何とでも言えるさね</p><p>それは、確かにそうだ</p><p>この子の変な格好このキンキラの飾りは、あんたの趣味かい</p><p>そうだろうねあんたの年で女の子にこんな格好をさせてたらかなりのド変態だ変態業界の新人王が狙えるよ</p><p>変態業界の新人王って</p><p>てことはこれは、香月さんの趣味かい</p><p>はい、そうでございます</p><p>オレの代わりに瑠璃子が答えた</p><p>まあ、そうだろうねてことはあんたも巻き込まれた口なんだね</p><p>池田先生は、オレに振り向く</p><p>うん、そういうことっ先生っ</p><p>寧がオレの代わりに答えてくれた</p><p>そうだね見たところ、あんたも若そうだしまあ、色々あるんだろう別に答えなくて良いよあたしも知りたくないこの世界じゃトンデモないことが平然とまかり通っているもんだからね</p><p>先生はハァと呆れた様に、溜息を吐く</p><p>あたしは、ちゃんとした国家資格の医師免許は持っているけれど基本的に、保険の利かない儲け仕事しかしないからね</p><p>池田女医は長年、裏の世界で仕事してきたお医者さんだ</p><p>裏社会のルールとして</p><p>自分が知らなくて良いことにはなるべく興味を持たないようにしているのだろう</p><p>うんまあ、巧くなってるよ</p><p>処女食いがね処女膜は、綺麗に破けているしちょっと膣口が腫れているが切れたり、裂けたりしている箇所は無い男が欲望に身を任せて、無茶をした様には見えないちゃんと女の子の身体を気遣ってる</p><p>器具で膣を拡げられた瑠璃子の胎内を、ライトの光で覗き込みながら先生は、そう言った</p><p>はい、お兄様はわたくしに優しくして下さいました</p><p>お腹の奥を覗き込まれている瑠璃子は羞恥に顔を赤く染めている</p><p>あたしん時だって、ヨッちゃんは優しかったもんっ</p><p>寧がすねる</p><p>そうだねそこの男は、あんたたちに対してちゃんと愛情を持っているそこんとこはあたしが、保証してあげるよ処女膜が破れた後の状態を見れば、一目瞭然だからね</p><p>池田先生は、そう言った</p><p>うん全然、問題なしだよオッケーだお嬢ちゃん足を閉じて良いよ</p><p>池田女史は、自分のバッグの中を覗き込む</p><p>痛み止めといつもの薬を出しとくからさ</p><p>いつもの薬とは緊急避妊薬のことだろう</p><p>ああ、ピルの飲み方は、あたしが詳しく教えておくからっていうか、毎日、あたしと一緒に飲めばいいんでしょ</p><p>寧が、笑いながら言った</p><p>まあそうだね</p><p>瑠璃子は足を閉じ先生に言う</p><p>わたくし赤ちゃんはいつ頃、産むのでしょうか</p><p>驚く池田先生</p><p>え、あんた出産したいのかい</p><p>たった今避妊についての話をしていたのに、瑠璃子は真逆のことを言う</p><p>そっとまだオレの精液の溜まっている下腹部を抑えて</p><p>はいわたくしとお兄様の愛の結晶ですから</p><p>いやでもね</p><p>お兄様の精液をわたくしのお腹の中に注いでいただきましたこれで後、どれくらいの期間で赤ちゃんが産まれるのでしょうか</p><p>真剣な顔で瑠璃子は、尋ねた</p><p>そりゃ普通は、受精してから</p><p>オレは先生の言葉を遮る</p><p>先生瑠璃子は、性的な知識が全く無いんです</p><p>性的な知識が無いこの年であんた幾つだい</p><p>普通、それぐらいの年なら、そういうことはもう全部知っているだろう学校だって、小学校から性教育しているだろうし</p><p>あの瑠璃子は、そういう教育は一切受けていないんです</p><p>性教育を受けてない</p><p>いや、だからつまりそれが、この子のお祖父さんの考えだったのっ</p><p>寧の言葉に、池田医師は</p><p>もしかして、あんた香月さんとこの娘さんかい</p><p>す、鋭い</p><p>というか、やっぱり知っているんだジッちゃんのこと</p><p>はいわたくしの生まれはそうですしかし、今のわたくしは香月の家から出されました現在のわたくしは、お兄様の奴隷です香月様とは、何の関係もございません</p><p>ニコッと微笑む瑠璃子</p><p>瑠璃子の答えに池田女医は、そう言う</p><p>あのもしかして、池田先生をこの屋敷に呼んだのは香月のジッちゃんですか</p><p>オレは思わず尋ねる</p><p>ああそうだあのジィさんが、自分で電話してきたよだから、あたしも往診に来る気になったんだ</p><p>ということなら</p><p>ここの屋敷が商売をやっていた頃は毎日のように来ていたけれどねここの娘たちの検査に</p><p>検査、ですか</p><p>商売女は病気持ちの男にいつ感染させられるか判らないからねああ、良い機会だから、あんたたちに教えておくけれど新しい男とセックスする時には、男のペニスの先にうがい薬をかけるんだ男とシャワー室へ行った時に、クチュクチュやるだろうあのうがい薬でいいそれで男が、ジンと浸みるってペニスを押さえて痛がったらそいつは病気持ちだからね絶対にセックスしちゃダメだよすぐに係の人この屋敷だったら、恭子ちゃんかマルゴちゃんを呼んで、その男を叩き出して貰うんだ</p><p>池田女医は寧も瑠璃子も、いずれは娼婦になるものだと思っているらしい</p><p>まあ、今までの黒い森のことを考えれば無理は無い</p><p>新しい男となんてセックス致しませんわたくしは生涯、お兄様としか致しませんから</p><p>瑠璃子はオレに縋り付く</p><p>あ、あたしもヨッちゃんとしかしなーいっ</p><p>寧も、オレにくっついてくる</p><p>それで、あの先生わたくし、お兄様とセックス致しました赤ちゃんは、いつ</p><p>池田先生はオレを見るちょっと、呆れ顔で</p><p>瑠璃子今すぐは、ダメだ</p><p>どうしてです瑠璃子はすぐにでも産みたいです１ヶ月後ですか３ヶ月後</p><p>何て言おう</p><p>セックスして受精から出産までは、１０月１０日間というのは、オレでも知っているけれど</p><p>あのねっ瑠璃子今すぐ、赤ちゃんを産めるようにはならないんだってばだって、あんたの身体がまだ準備できていないんだからっ</p><p>わたくしの身体</p><p>瑠璃子の１５歳裸身を、オレは見る</p><p>成長途中の蒼い肉体</p><p>小振りなおっぱい</p><p>陥没したままの乳首</p><p>お尻の肉もまだ薄い</p><p>中学生の未完成の肉体だ</p><p>今の成長度合いでは、まだ産めないし無理に産んだら、お嬢ちゃんの肉体も産まれてくる赤ちゃんも、命の危険があるんだよっそれでもいいのっ</p><p>寧は瑠璃子に、そう言ってくれた</p><p>瑠璃子身体が大人になるまで、もうちょっと待て</p><p>オレも、瑠璃子を説得する</p><p>ちょっとって何歳ぐらいまで待つのでしょうか</p><p>オレは池田先生を見る</p><p>１９歳とか２０歳とかですかね先生</p><p>まあ、そんなもんでないの</p><p>先生は、何とかオレに話を合わせてくれた</p><p>４年も５年も待たないといけないのですか</p><p>オレは瑠璃子を、そっと抱き締める</p><p>馬鹿だな５年なんてすぐだよ一緒に待とうなオレがずっと一緒に居るから瑠璃子</p><p>瑠璃子もオレを抱いてくれた</p><p>判りましたお兄様が、そうおっしゃるのなら</p><p>ヨッちゃん、ヨッちゃんあたしもっ</p><p>オレは寧も抱き寄せてキスする</p><p>うふふっあたしも、産むからねっ楽しみにしててっ</p><p>だっからさっ瑠璃子身体が出来上がるまでの５年間は、いっぱいいっぱいヨッちゃんのこと、気持ち良くしてあげようねったくさん、セックスいるのっ</p><p>はい寧お姉様っ</p><p>うんっ良い返事っ</p><p>寧が、瑠璃子の手の平にパンっとタッチする</p><p>まあ、いいやとにかく、事後検診は終了何も問題無しだよあ、でもお嬢ちゃん今夜は、もう男性器の挿入は止めた方がいいねなるべく、明日まではセックスしない方がいいだろう出血はもう止まってるけれど少し腫れているから</p><p>池田先生はそう言った</p><p>先生もう１回だけ、瑠璃子とセックスしたいんですけれど</p><p>したいんなら、あたしでもみすずでも他の子が相手をするよっいや、もちろん、瑠璃子にフェラチオ飲精は教え込むけれど今日はもう無理して、セックスすることは無いじゃんか</p><p>オレは首を振る</p><p>いや、もう一度瑠璃子とセックスして、瑠璃子の中に射精しないと</p><p>お兄様がお望みならばわたくしは、いたします</p><p>いやいや、瑠璃子無茶しないでっヨッちゃん、どうしちゃったのっ</p><p>オレは瑠璃子と寧に言う</p><p>あの人には中継映像なんか見せてるだけじゃ、ダメなんだよ</p><p>二人はハッとする</p><p>オレやっと判った全ての問題の原点が</p><p>わざわざ池田先生を呼び出したことで</p><p>瑠璃子の初体験は瑠璃子の意志によって、行われたものでないといけないんだあの人の思惑じゃなくって</p><p>あの人は延々と、瑠璃子の方に問題があると言っていた</p><p>しかし違う</p><p>オレはベッドの上の瑠璃子を、もう一度見る</p><p>脱ぎ捨てられた赤い絹の肌襦袢</p><p>ギュスターヴ・モローのサロメの絵を模したという金の装身具</p><p>宝石の埋め込まれた首飾りに腕輪と足輪</p><p>柔らかいお腹の上の金の帯</p><p>これらは全てあの人が用意したものだ</p><p>あの人の望む瑠璃子の処女喪失のために</p><p>ああそういうこと</p><p>オレの視線に寧が気付く</p><p>瑠璃子を苦しめている本当の元凶は</p><p>あの人の瑠璃子に対する執着は、余りにも深い深すぎるよだからそれを、今日オレたちは、オレたちの手で、完全に断ち切らないといけないんだ</p><p>うん判ったヨッちゃんは大手術をするつもりなんだねっ</p><p>ごめんなさい瑠璃子には、お兄様のお言葉の意味がよく判りません</p><p>判らなくていいよ黙って、オレに付いてこい</p><p>オレは瑠璃子の瞳を見る</p><p>オレとずっと、一緒に生きていってくれるんだろう</p><p>瑠璃子はニコッと微笑む</p><p>はい瑠璃子は、お兄様に従います</p><p>良い子だ、瑠璃子</p><p>はい、瑠璃子はお兄様の瑠璃子ですからっ</p><p>そんな、オレたちを見て、池田先生は</p><p>何かよく判らないけれどまあ、もう１回ぐらいは、平気だろうとは思うよただ、今のこの子の身体だと、痛いだけだろうから早めに終わらせてあげるんだね</p><p>オレはバスローブを羽織る</p><p>瑠璃子にも赤い肌襦袢を着せてやる</p><p>さあ移動の準備だ</p><p>姉さんあの人は、まださっきの部屋</p><p>ううん第３監視室に居るよっ案内するねっ</p><p>寧はニコッとオレに微笑む</p><p>あっ、でもあたし、池田先生をお見送りしないといけないかっ</p><p>池田先生はニヤッと笑って</p><p>大丈夫だよあたしは、あんたが生まれる前から、この屋敷に出入りしているんだ帰り方ぐらい判ってるよちゃんと途中で森下のおっちゃんに挨拶して出て行くからそういや、マルゴちゃんだって居るんだろ</p><p>済みません、じゃあお言葉に甘えちゃいますっ</p><p>寧が、ぺこりと池田先生に頭を下げるからオレも、あわてて頭を下げる</p><p>本当に、今日は来て下さって、ありがとうございました</p><p>瑠璃子も頭を下げる</p><p>まあ、いいよあたしはちゃんと、香月のジィさんから特別料金貰うからねそれよりまさか、明日も処女膜の破れた女の子の検診があるとかは無いわよね</p><p>ギロッと池田先生が、オレを見る</p><p>ええっと、あの</p><p>申し訳無いですけど、多分明日か明後日にも</p><p>どういうことよっ</p><p>一応予定というか、何というか</p><p>アニエスの処女を奪うことになっている</p><p>ごめんね、先生っそっちは、黒い森の計画っていうか先生の指示だから、ヨッちゃんをイジメないでっ</p><p>寧が、オレを庇ってくれた</p><p>そんならまあ苦情は、御名穂ちゃんの方に言うわ</p><p>でも、それで最後ですからあと一人だけです</p><p>オレが先生にそう言うと</p><p>違うよ、ヨッちゃん１人は絶対だけど、もしかしたら、もう２人でしょ</p><p>アニエスと誰と誰のこと</p><p>とにかくよろしくお願いしますっ池田せんせっ</p><p>寧が、頭を下げる</p><p>本日はありがとうございましたーっ</p><p>平伏するオレたち</p><p>池田先生はプッと噴き出して</p><p>まあ、いいわあんたたち、面白いから</p><p>そして、改めてオレを見る</p><p>何で、こんなバカ真面目な男の子が、ここの屋敷に居るのよ</p><p>だってあたしたちには必要なんだもんヨッちゃんが</p><p>池田先生の問いに、寧は答えた</p><p>ああ確かに処女食いには、いいのかもね</p><p>オレの額を、指でピンと弾く</p><p>まあとにかく、あんたが処女を破った子たちは、これからもあたしがずっと診てあげるから</p><p>うんこれからも、避妊ピルを貰わないといけないし</p><p>定期検診もしてもらわないと</p><p>セックスにまつわることは、池田先生に診察して貰うしかない</p><p>せいぜい、稼いでおきなさいねっ男の子っ</p><p>池田先生がニッと微笑む</p><p>あたしは高いんだからねっ</p><p>オレの女たちの医療費も</p><p>オレが払わないといけないんだな</p><p>池田先生は、ドクター・バッグを抱えてスタコラと退室していった</p><p>さて、こっちも移動だ</p><p>瑠璃子立てるか</p><p>オレは、ベッドの上の瑠璃子に言う</p><p>はい、お兄様痛ッ</p><p>ああ瑠璃子は、股間が痛むらしい</p><p>あのまだお兄様のものが、ズブッと刺さっているみたいな感じなんです</p><p>処女喪失のダメージが残っているのか</p><p>さてどうする</p><p>オレは裸身に赤い肌襦袢を羽織った瑠璃子の肉体を改めて見る</p><p>瑠璃子はそんなに背が高くないし</p><p>割かしスレンダーな身体だ</p><p>まだ１５歳だから胸にもお尻にも、まだ肉が付ききっていない</p><p>これならいけるか</p><p>瑠璃子、いいか</p><p>オレは瑠璃子を、お姫様抱っこで持ち上げる</p><p>あ軽い</p><p>思ったよりも全然、軽い</p><p>オレ、こんな女の子を犯してしまったんだ</p><p>いいから、しっかり捕まってろ</p><p>オレに抱きかかえられて</p><p>瑠璃子は、恥ずかしそうに頬を赤らめる</p><p>うわっ、いいなあ、瑠璃子あたし、やって欲しいっ</p><p>寧が、オレに言うが</p><p>いや、多分姉さんは無理っ</p><p>ど、どうしてよっヨッちゃん</p><p>だって瑠璃子は、軽いから</p><p>うーっあたしは重いってこと</p><p>そうじゃなくって姉さんは、ほら、厚みがあるからっ</p><p>量感の有る、おっぱいとかお尻とか</p><p>なんじゃ、アツミってあたしはキヨシかっ</p><p>寧は、叫んだ</p><p>判った、する姉さんにも、今度するからっ</p><p>うん約束するっ</p><p>ならばよしっ</p><p>寧は、ニコニコ顔になる</p><p>うふふ♫ヨッちゃんに、お姫様だっこ～♫ヨッちゃんに、お姫様だっこ～♫恵美には、ナイショ～♫</p><p>何か、変な歌を歌い出すし</p><p>ああ、筋トレするしかないな</p><p>この豊満な肉体を、抱きかかえ続ける体力を身に付けないと</p><p>そんじゃあ、行くよっヨッちゃん♫みすずにも、ナイショ～♫</p><p>オレたちも部屋を出る</p><p>あのお兄様、どこへ行くのですか</p><p>オレに抱えられたまま瑠璃子が、言った</p><p>行けば判るよ</p><p>瑠璃子に、香月家を外から客観的に見つめさせたいって言ってた人が一番、瑠璃子のことを客観的に見ていなかったのさ</p><p>瑠璃子がオレを見上げる</p><p>はーい、ヨッちゃん＆瑠璃子ちゃんここの部屋だよーんっ</p><p>寧が部屋のドアを示す</p><p>ありがとう姉さん</p><p>どういたしましてっそれではREADY</p><p>寧はドアノブに、手を掛ける</p><p>ノックもせずに、いきなり部屋のドアを明けてくれるっ</p><p>オレは瑠璃子を抱いたまま部屋に侵入する</p><p>８畳ぐらいの部屋に</p><p>ジッちゃんと美子さんが居る</p><p>美子さんが、反射的に瑠璃子に近付こうとするっ</p><p>こっちへ来るなぁっ</p><p>オレの女だぞっ</p><p>美子さんは立ち止まる</p><p>何をしに来たんだ</p><p>オレたちが、この部屋へ向かう過程もジッちゃんは、見ていたんだろう</p><p>ああ壁に大きなモニターがある</p><p>さっきまでオレたちが居た部屋の中のベッドが、映し出されていた</p><p>なあに借りたものを返しに来ただけだよ</p><p>オレはジッちゃんに言った</p><p>瑠璃子今、下ろしてやるからな</p><p>うんさすが、香月重孝を招き入れた部屋だ</p><p>床には、ふんわりとした絨毯が敷き詰められている</p><p>ここなら、瑠璃子もお尻が痛くないだろう</p><p>オレは、慎重に瑠璃子を下ろす</p><p>借りたものだと</p><p>ジッちゃんの問いを、オレは無視して</p><p>瑠璃子脱がすぞ</p><p>その絹の肌襦袢も金の首輪や腕輪、足輪だって全部外す丸裸になろう</p><p>オレは、有無を言わさず瑠璃子の肌襦袢を剥ぐ</p><p>慌てる美子さん</p><p>騒ぐんじゃないっオレの女を、オレが脱がして、何が悪いっ</p><p>オレは美子さんを威嚇する</p><p>はいどうぞ、お兄様</p><p>祖父と、最愛の従妹の前で</p><p>瑠璃子は裸身を晒す</p><p>よし、一つずつ外していくぞ</p><p>オレは、まず瑠璃子の右の腕輪を取り去る</p><p>ストッパーの金具を、カチャリと外して</p><p>おい何をやっているんだ</p><p>全部外してジッちゃんに返すよこれ高いんだろ宝石だって、全部本物みたいだし</p><p>それは全て、瑠璃子のために作らせたものだそのまま、持っていって構わないんだぞ</p><p>ジッちゃんは明らかに、動揺している</p><p>オレは、いらないよ瑠璃子は</p><p>わたくしもいりません</p><p>両手の装身具が外れた</p><p>次は足だ</p><p>いいから黙って持っていけ</p><p>いらないって言っているんだよ</p><p>そのまま持っていろと言っているんだ</p><p>ジッちゃんがオレを怒鳴りつける</p><p>オレは何も怖くない</p><p>スッとジッちゃんを見上げる</p><p>いらないよオレは、裸の瑠璃子だけでいい</p><p>瑠璃子も</p><p>はい、わたくしも生まれたままの姿で、お兄様に嫁ぎます</p><p>瑠璃子は嫁ぐと言った</p><p>瑠璃子の肉体と真心をお兄様に捧げます</p><p>いやオレたちは</p><p>もう一度やり直さないといけない</p><p>ジッちゃんの思い描いたジッちゃんの意志に沿ったままの初体験セックスでなく</p><p>オレたち自身の初めてを</p><p>お兄様瑠璃子にも、お兄様のお心が判りました</p><p>瑠璃子が涙目で、オレを見ている</p><p>うんもう一度だ</p><p>さっきの初体験では瑠璃子は、ジッちゃんの敷いたレールに乗ったままだ</p><p>だからジッちゃんの計画通り、池田先生が往診に来た</p><p>これでは瑠璃子は、いつまでたってもジッちゃんの掌の上に居るだけで</p><p>独り立ちできない</p><p>はいお兄様を受け入れますどうか瑠璃子の身体を、存分にお楽しみ下さいませ</p><p>オレは、ここで</p><p>ジッちゃんの眼の前で</p><p>もう一度、瑠璃子の初めてを奪い直す</p><p>いつのまにやら、感想欄が3000件を越しました</p><p>皆様に、感謝致します</p><p>1年を越える毎日更新とか400話突破よりも</p><p>感想欄3000件の方が、凄いことだと思っています</p><p>うーん、感慨深いですね</p><p>一番最初の感想をいただいた日のことは、今でもはっきり覚えています</p><p>もっとも感想の8割は、誤字脱字のご指摘なのですが</p><p>いや、もちろんご指摘いただくことも、とても感謝しております</p><p>ただ私が、こんなに誤字脱字の多い人でなければ</p><p>3000件を越えることは、無かったですよね</p><p>422．モデラート・カンタビーレ</p><p>美子さんが叫ぶ</p><p>黒森様は、あんまりですわっさっきだって瑠璃子様が、あんなに苦しんでおられたというのに</p><p>この人も、ジッちゃんと瑠璃子の初体験を観ていた</p><p>瑠璃子様に、もう酷いことをなさらないでっ</p><p>泣きながらオレを睨む</p><p>それはできないね</p><p>オレは、瑠璃子の裸の胸を揉みしだきながら答えた</p><p>オレは瑠璃子の身体が気に入っているんだ</p><p>美子さんとジッちゃんの見ている前で</p><p>瑠璃子の乳首を、オレは舐める</p><p>やめて下さいそれ以上、瑠璃子様を汚さないで</p><p>泣き喚く美子さんを見ながらオレは、瑠璃子にキスをする</p><p>瑠璃子と、舌と舌を絡め合う</p><p>二人の親族によく見える様に</p><p>瑠璃子触ってくれ</p><p>オレは、バスローブの前を開いて</p><p>まだ瑠璃子の破瓜血のついたままのペニスを握らせる</p><p>瑠璃子は、一瞬ビクッとするが</p><p>覚悟して触ってくれる</p><p>張り詰めた亀頭を、優しく撫でる</p><p>お兄様もう、こんなに大きくなっている</p><p>ああまた、瑠璃子の中に潜り込みたいんだ</p><p>瑠璃子の頬と首筋にキスしながらオレは囁く</p><p>そしてまた瑠璃子のお腹の中に、オレの精液を注ぎ込みたい</p><p>瑠璃子の身体が、緊張に強ばるが</p><p>彼女は、大きく深呼吸して心を落ちつかせる</p><p>瑠璃子の身体から、スゥッと力が抜ける</p><p>はいご存分になさって</p><p>処女喪失の涙に腫れたままの眼で、瑠璃子はオレを見つめる</p><p>お兄様の瑠璃子ですから</p><p>瑠璃子様どうして、そんなことをおっしゃるのですその男から、離れて下さいませっ</p><p>美子さんは苦悶の表情で、叫ぶ</p><p>しかし瑠璃子は、美子さんには答えない</p><p>美子さんに振り向くことさえ</p><p>切ない瞳で、ただオレのことだけを見つめている</p><p>瑠璃子様っ美子の言葉に、耳を傾けて下さいませっ</p><p>無駄だよ、美子さんっ</p><p>瑠璃子はもう、ヨッちゃんの奴隷なんだっヨッちゃんの命令がなければ、絶対に美子さんには返事したりしないからねっ</p><p>絶句する美子さん</p><p>瑠璃子様は香月家のお嬢様であらせられるのですよっこんなことあってよいことではございませんっ</p><p>美子さんはジッちゃんを見る</p><p>香月様どうか、瑠璃子様をあの方の魔の手からお救い出し下さいませっお願い致しますわたくしはわたくしは、この身がどうなっても構いませんから</p><p>ジッちゃんは無言でオレたちを見ている</p><p>こんなの酷すぎます瑠璃子様がお可哀想です</p><p>オレは、瑠璃子に</p><p>瑠璃子お前は、可哀想らしいぞそうなのか</p><p>瑠璃子は、オレを見上げ</p><p>いいえ、わたくしは幸せですお兄様の奴隷にしていただいて</p><p>瑠璃子、愛している</p><p>わたくしもお兄様お兄様が好きです</p><p>眼の前の光景に美子さんは、絶望に突き落とされる</p><p>さあ、お兄様こんなに熱く、固くなっていらっしゃいますよどうぞ瑠璃子の身体をお楽しみになられて</p><p>瑠璃子の手の中でオレのペニスが、硬度を増す</p><p>よし瑠璃子、足を開け</p><p>ふかふかの絨毯の上に横たわった１５歳の白い裸身</p><p>瑠璃子が大きく開脚する</p><p>ほら、ジッちゃん見えるだろ瑠璃子のここ処女の血と、オレの精子が付いたまんまなんだ見えるかい</p><p>オレはジッちゃんに見えるように、瑠璃子の割れ目を指で開く</p><p>瑠璃子また、濡れているなとっても、温かいのが溢れてくるぞ</p><p>開いた割れ目から愛液が、とぽっと溢れる</p><p>瑠璃子は、この状況に興奮している</p><p>透明なはずの愛液は、オレの２回分の精液が混じって少し白い泡立っている</p><p>入れるぞ、瑠璃子</p><p>オレは、張り詰めた亀頭を瑠璃子の割れ目の隙間に当てる</p><p>瑠璃子は、グッと奥歯を噛みしめる</p><p>ダメだよっ身構えちゃっ</p><p>寧が瑠璃子に指導した</p><p>瑠璃子深呼吸だ</p><p>すぅ</p><p>瑠璃子の方からさっヨッちゃんを受け入れるって、気持ちにならないとダメだよっ無理矢理力尽くで、串刺しにされるイメージじゃなくって</p><p>瑠璃子はさらにグワッと足を開く</p><p>オレのものが入りやすいように腰を少し浮かせて</p><p>お兄様どうぞ</p><p>１５歳の美少女が、オレに身体を解放する</p><p>だめだめそんな、悲壮な顔のまんまじゃ</p><p>オレは、瑠璃子の乳首を指の腹で、ぐりぐりする</p><p>あんっはぁぁっお兄様ぁ</p><p>気持ちいいかこれ</p><p>くすぐったいですくすぐったくて、力が抜けるの</p><p>よし緩んできた</p><p>瑠璃子深呼吸を続けろ</p><p>瑠璃子が、オレを見たまま深呼吸する</p><p>彼女はもう祖父と最愛の従妹を見ない</p><p>オレだけだ</p><p>瑠璃子が、息を吸い込むのに合わせて</p><p>オレは、侵攻する</p><p>はぁうッッ</p><p>一気に裂けた処女膜を通り抜ける</p><p>ペニスの半分が瑠璃子の中に</p><p>息を止めるな瑠璃子</p><p>はぁぁ</p><p>瑠璃子が息を吐くのに合わせて</p><p>ぐぐぐっと、突き入れる</p><p>柔らかくなった肉壷に</p><p>オレのペニスが破れたばかりの膜を巻き込んだのか</p><p>あるいは、１度目目のセックスで腫れてしまった箇所を擦ってしまったのか</p><p>男の生殖器を挿入されて瑠璃子は、パクパクと口で息している</p><p>お気になさらないでっ瑠璃子が痛がっても、最後までねっ、お兄様</p><p>オレはズンッと腰を突き入れる</p><p>ひぃぎゃっ</p><p>オレと瑠璃子の下腹が接触する</p><p>オレのペニスの全てがこの蒼い少女の胎内に納まる</p><p>全部入ったぞ今、瑠璃子の赤ちゃんの部屋の入り口にキスしている</p><p>瑠璃子はお腹の中がジンジンして、よく判りません</p><p>まだ、痛いのだろう</p><p>膣内を押し広げられ異物を挿入されたショックだけが、瑠璃子を襲っている</p><p>おでこに玉の汗が浮く</p><p>瑠璃子は耐えている</p><p>ジッちゃん見えてるかいオレ、瑠璃子と繋がっているよ瑠璃子とセックスしているんだっ</p><p>オレはジッちゃんに叫ぶ</p><p>ジッちゃんは暗い眼で、オレたちを見下ろしている</p><p>もう止めてっ瑠璃子様が苦しんでいらっしゃいますわっ</p><p>美子さんが、金切り声を上げる</p><p>オレは、ジッちゃんと話しているんだよ</p><p>オレは、美子さんを突き放す</p><p>ゆっくりと、ピストンを開始する</p><p>うっああっぐぅっ痛ぁっ</p><p>瑠璃子は犯されながら、耐えている</p><p>しかし、彼女の眼はオレを見ている</p><p>ただオレだけを</p><p>うっんっ痛ッあああっ</p><p>お止め下さいっ瑠璃子様が痛がっていらっしゃりますっ</p><p>美子さんは涙と共に絶叫する</p><p>瑠璃子痛いか</p><p>オレは、腰の動きを止めない</p><p>瑠璃子の身体がオレの突き込みに合わせて、揺れる</p><p>痛いです、お兄様</p><p>瑠璃子は正直に答えた</p><p>でも痛くていいの</p><p>瑠璃子を痛くしていいのはお兄様だけですから</p><p>瑠璃子が、下からオレに手を伸ばす</p><p>オレの顔に両手で触れる</p><p>オレの頬を優しく撫でた</p><p>お兄様と一つになっているんですね</p><p>ああ瑠璃子の身体は、気持ちいいよ</p><p>うん何も身に付けていない、裸の瑠璃子がオレを気持ち良くしてくれているんだ</p><p>わたくし、お兄様のお役に立っているんですね</p><p>うんお前のいない人生なんて、もう考えられないよ</p><p>わたくしもわたくしもです一生、可愛がって下さい</p><p>約束するよ瑠璃子</p><p>オレは腰の動きを加速する</p><p>瑠璃子のためにも早めに射精した方が良い</p><p>激しくするぞ</p><p>はい、もっと痛くしても構いません瑠璃子に、お兄様を打ち込んで</p><p>ズンッズンズンズンッ</p><p>ぬっちょぬっぬっぬっ</p><p>瑠璃子は、よく濡れる</p><p>オレたちの結合部が、ちゃぷちゃぷと水音を立てていく</p><p>あっああっいっうっいやぁんっ</p><p>瑠璃子の全身からじんわりと汗が浮かんでくる</p><p>オレの激しい猛攻に瑠璃子の可愛いおっぱいが、廻ったり、踊ったりする</p><p>よしそろそろだ</p><p>る、瑠璃子ジッちゃんと美子さんに挨拶しろ</p><p>瑠璃子はドキリとして、オレを見上げる</p><p>もうお別れなんだから</p><p>その一言で賢い瑠璃子は、全てを察する</p><p>このままですね</p><p>ああこのままだ</p><p>オレに身体を犯されたまま</p><p>絨毯の上で、オレに組み伏せられて男のペニスで突き上げられながら</p><p>瑠璃子は祖父と美子さんを見上げる</p><p>ここの様な姿でご挨拶する、はしたなさをど、どうかお許し下さいませ</p><p>美子さんが、悲しみと絶望に身体を震わせる</p><p>ジッちゃんは暗い深淵の中に居る</p><p>こ、香月様美子様今まで、瑠璃子をお慈しみ下さいまして、あ、ありがとうございました</p><p>オレは瑠璃子を揺さぶる</p><p>射精が、近い</p><p>ああんっ瑠璃子はお兄様のセックスセックス奴隷になって幸せ幸せなのおっうっ痛いッあぐぅっうううっ</p><p>瑠璃子の子宮口をオレはグリグリと突き押すッ</p><p>だからさ、さようならもう、さよならでございますあああっいやんっどうかお達者であっあっあっああんっ</p><p>瑠璃子、もうイキそうだっ出るぞっ</p><p>オレは、渾身の力で瑠璃子を犯すっ</p><p>いやあっああっ出してっ出して下さいっお兄様の赤ちゃんの素瑠璃子の中に出してぇぇっっ</p><p>いやぁぁっ瑠璃子様っ</p><p>美子さんが、絶叫する</p><p>わたくしにそんなお姿を見せないでぇぇぇぇっっ</p><p>うぐぅぅッッ</p><p>出るっ出るぅぅ瑠璃子ぉぉぉっっっ</p><p>来てぇぇぇぇっ</p><p>オレは瑠璃子の顔を見ながら</p><p>瑠璃子もオレの顔を見上げている</p><p>最初の迸りが、瑠璃子の胎内を汚すッ</p><p>ああっ、熱いぃぃぃぃっ</p><p>２射めっ</p><p>お、お兄様ぁぁんっ</p><p>３射めっ</p><p>オレは、グイッグイッと、腰を突き動かしながら</p><p>瑠璃子の膣奥に大量の精を流し込む</p><p>入ってくるぅぅ染み込んでくるのおっお腹の底が熱いのおっ</p><p>瑠璃子は、身体をよじる切り開かれたばかりの狭い膣が、オレのペニスを締め上げる</p><p>あっあっ、あっ、あーっ瑠璃子赤ちゃんが、できちゃうぅぅ</p><p>興奮の渦の中で瑠璃子は絶叫した</p><p>瑠璃子様瑠璃子様ぁぁ</p><p>美子さんは、泣き崩れる</p><p>はぁはぁはぁああんっ</p><p>瑠璃子は、熱い息を吐きながらオレを見つめている</p><p>オレも瑠璃子も、全身汗まみれだ</p><p>瑠璃子の火照った身体上気した顔が、可愛い</p><p>オレの瑠璃子</p><p>わたくしの旦那様</p><p>オレたちは熱い接吻を繰り返す</p><p>下半身で繋がったまま</p><p>そろそろ、いいかね</p><p>オレたちの息が落ち着いてきた頃</p><p>ジッちゃんが、口を開いた</p><p>美子さんは、声もなく泣き続けている</p><p>いい加減、身体を離せお前たち</p><p>オレはニコッと微笑み、首を振る</p><p>瑠璃子は、うんと頷き下から、オレの身体をギュッと抱き締める</p><p>何があっても、オレから離れないという意志表示で</p><p>このままだよ、ジッちゃんこのままだって話はできるだろ</p><p>断固として、瑠璃子の中にペニスを挿入したままオレは言った</p><p>ジッちゃんは、不機嫌そうに答える</p><p>では、そのままでいい答えろなぜだ</p><p>なぜこんなことをする</p><p>ジッちゃんの前で素っ裸の瑠璃子をもう一度犯したことか</p><p>ジッちゃんに示すためだよ</p><p>何をだ</p><p>瑠璃子は、もうオレのものでジッちゃんのものではないっていうことを</p><p>オレはジッちゃんをまっすぐに見上げる</p><p>瑠璃子が、自分の手をオレの手に絡めた</p><p>オレたちはお互いの手をギュッと握り合う</p><p>瑠璃子は二度とジッちゃんの意志に従うことはない一生、オレの女だ絶体に返さないから</p><p>オレは、ジッちゃんを見ている</p><p>オレの下の瑠璃子はオレを見ている</p><p>ジッちゃんの方を、向こうとはしない</p><p>そんなことは判っているそのつもりで、私はお前に瑠璃子を売り払ったのだから</p><p>いいや、判ってないねジッちゃんは、無意識的にまだ瑠璃子は自分の支配下にいると思い込んでいる</p><p>オレは反論する</p><p>そんなことはない私は瑠璃子は、私の庇護下から離れるべきだと判断しただから</p><p>瑠璃子の心は、とっくに香月家から離れているよ問題なのは、ジッちゃんの心の方だ</p><p>私の</p><p>ジッちゃんは息を呑む</p><p>そうだよジッちゃんは瑠璃子に対する執着から、抜け出していない</p><p>執着だと</p><p>ああ、執着だジッちゃんは、自分でも本当に危険なのは、瑠璃子の方ではなく、ジッちゃん自身なんだって気付いているんだろだから、瑠璃子を香月家から離すことにしたううん自分から遠ざけることにしたんだ</p><p>オレは断言する</p><p>このまま瑠璃子を自分の近くに置いておくとヤバイって思ったんだろ</p><p>瑠璃子はジッちゃんの初恋の女性の名前と血を受け継いでいる</p><p>瑠璃子だけが、ジッちゃんにとって特別なんだ</p><p>みすずや、美子さんは</p><p>３人の孫娘たちを、みな同じ様に世間から隔離したのは</p><p>瑠璃子に対するジッちゃんの気持ちを隠すためのカムフラージュでしか無かった</p><p>瑠璃子こそが、ジッちゃんの夢の女だったんだ</p><p>さっきジッちゃん本人が言っていた通り</p><p>ジッちゃんが、もう少し若ければ瑠璃子を自分の手で犯していたにちがいない</p><p>しかしジッちゃんは、すでに８２歳だ</p><p>女性とセックスする体力も能力もすでに無い</p><p>そうだだから、私はお前に瑠璃子を託したのだ</p><p>ジッちゃんは正直に答える</p><p>そうじゃないよそういうことになっていないじゃないか</p><p>オレは、ジッちゃんに告げる</p><p>今のジッちゃんは自分で自分が何をしているのか、判っていないんだよ</p><p>ジッちゃんはオレを自分の道具にしようとした</p><p>瑠璃子がジッとオレを見つめている</p><p>瑠璃子にジッちゃんの用意した衣装を着せてあの特等室を使うのだって、ジッちゃんがミナホ姉さんに指示したんじゃないのか瑠璃子の処女喪失のシチュエーションを、全てジッちゃんが企画してそして、ジッちゃんはこの部屋からオレたちのセックスを監視していた</p><p>その上池田先生の往診だ</p><p>全部ジッちゃんの思惑の下で侵攻している</p><p>これが意味することは</p><p>カメラで撮影されたセックスを、離れた部屋のモニターで観るのは眼の前で行われているセックスを見るのと、全然違うよねジッちゃんは、オレに眼の前で瑠璃子の初体験を見せろと命令することもできたなのにジッちゃんは、この部屋で中継映像を観る方を選んだ</p><p>それは瑠璃子の初体験を邪魔したくなかったからだそれに美子には、眼の前で行われるセックスは、生々しいだろうと思ったから</p><p>ジッちゃんは反論する</p><p>そうじゃないってばジッちゃんは、そう思い込みたいんだろうけれど本当は違う違うんだ</p><p>ジッちゃんはオレの身体を使って、瑠璃子を抱こうとしたんだ</p><p>映像で観るセックスになら自分の思いを乗せられるモニターに映っているオレのセックスを見ながらジッちゃんは、自分がオレになったつもりで心の中で、瑠璃子を抱いたんだ</p><p>ジッちゃんはハッとする</p><p>やっぱり自分では、気付いていなかったんだ</p><p>だって、映像の中の瑠璃子はジッちゃんのよく知っている特等室で、ジッちゃんが用意した衣装を着ているんだもんな全てジッちゃんのイメージ通りだよ瑠璃子とセックスしていたオレもジッちゃんのイメージのための道具になっていたんだ</p><p>モニターの映像を通してジッちゃんは心の中で瑠璃子を支配し、犯していた</p><p>これじゃあ何の解決にもならないよ瑠璃子をオレに託したって言いながらジッちゃんの心は、オレを通して瑠璃子を支配しているつもりになっているジッちゃんの瑠璃子に対する執着は、全然解消されていないむしろ強化されている</p><p>ジッちゃんの顔色がスーッと青ざめる</p><p>だから、オレはここへ来て、ジッちゃんの眼の前でもう一度瑠璃子を抱いたんだ見ていたろ、ジッちゃん瑠璃子がオレとセックスしたのは、ジッちゃんの意志とは全然関係無い瑠璃子自身が決心したことだオレだって、自分の意志で生きているジッちゃんの支配下にはいないオレは、ジッちゃんのチンコじゃないんだ</p><p>眼の前で生々しいセックスを見れば、判るだろう</p><p>オレはオレでジッちゃんの一部では、無いということが</p><p>もう一度言うよ瑠璃子はもう、オレのものだジッちゃんには、返さない一生、オレが大事にする</p><p>瑠璃子が絡め合っているオレの手に、ギュッと力を込める</p><p>ジッちゃんが香月グループの力を全て使って、瑠璃子を取り戻そうとしたらオレは、恭子さんに頼んで国外へ脱出する絶対に、ジッちゃんの力には屈しない瑠璃子はオレの女だ</p><p>ジッちゃんは低い声で、言った</p><p>そんなことはせんよ私は、香月重孝だこれ以上、みっともないことはしない</p><p>お前の言う通りだ私は、自分が何をしているのか、判っていなかったようだな瑠璃子のために良かれと言いながら自分の欲望に従順だった瑠璃子はこのまま、お前に預けておくのが得策なんだろう</p><p>そうじゃないってのっ預けるとか預かるとかじゃねぇもう、オレの瑠璃子なんだよっジッちゃんのじゃねぇっ</p><p>オレは怒鳴る</p><p>いい加減、頭をシャッキリさせろよっ瑠璃子も、みすずも、美子さんだってジッちゃんの所有物じゃないっ</p><p>あああそうだなそうなんだな判っている判っていたつもりなのに</p><p>ジッちゃんは、うな垂れる</p><p>お兄様、よろしいですか</p><p>香月様に、申し上げます</p><p>瑠璃子は祖父を見上げる</p><p>香月家の当主が、孤独であり家の全てを相続しながら、何一つ個人の所有物を持ち得ないということをわたくしは存じ上げております香月様にとってはわたくしたちだけが、親近感を覚える唯一の存在であったことも</p><p>ジッちゃんにとって香月家の分家たちは、臣下でしかない</p><p>名家の嫡男として生まれ子供の頃から、弟たちとも離されて成長したと聞いた</p><p>息子たちとの関係も決して良好では無い</p><p>後継者であった長男は暗殺され</p><p>その殺人の首謀者は次男であり自らの手で謀殺するしか無かった</p><p>ジッちゃんにとってはみすず、瑠璃子、美子さんの三人の孫娘だけが</p><p>唯一、心から親しみを感じ、愛することのできる存在だったのだろう</p><p>孤独で孤高な香月重孝は</p><p>自らの寂しさを慰めるためみすずと瑠璃子という孫娘を、作らせた</p><p>強制的に</p><p>特に自分の初恋の女性の名を付けた瑠璃子は</p><p>最初から、自分の後継者として育てるつもりだったしジッちゃんにとって、特別な存在だった</p><p>しかしわたくしは、わたくしの道を行きます</p><p>私よりもそいつが良いのか</p><p>ジッちゃんは、寂しげに瑠璃子に尋ねる</p><p>はいお兄様は最後まで、わたくしにセックスを強制は致しませんでしたそういう機会は、何度もございましたのにわたくしが、自分で心を決めるまで、待ち続けて下さいましたわたくしの歪んだ心を、根気よく時間を掛けて修正して下さったのです</p><p>わたくし、この方を愛しています</p><p>瑠璃子は、オレを見て</p><p>お身体をお離し下さいませ</p><p>オレは、ようやく瑠璃子の胎内から、ペニスを引き抜く</p><p>瑠璃子は、痛む身体を起こして</p><p>祖父に向かって、大きくM字に白い足を開いて見せる</p><p>小さな割れ目からオレの精液が、とろりと滴る</p><p>わたくし、お兄様の赤ちゃんの種を受け入れましたいずれ妊娠します</p><p>美子さんが嘆息する</p><p>そして喜びをもって、出産致しますこの方に抱かれこの方の赤ちゃんを産むことは、わたくしの誇りであり、喜びです</p><p>全裸の中学生が祖父に宣言する</p><p>ふっ身も心も、そいつに捧げたか</p><p>はい瑠璃子は、お兄様の奴隷セックス奴隷です自ら選んだ運命に、後悔はありません幸せですわわたくし</p><p>ニコッと瑠璃子は、微笑む</p><p>決意のこもった凛とした笑顔だった</p><p>悪いが、一つだけ受け入れてもらいたいことがある</p><p>ジッちゃんがオレに言った</p><p>お前に売り払った瑠璃子だが養育費だけは、私に支払わせてもらいたい</p><p>養育費</p><p>２億出そう</p><p>２億円</p><p>瑠璃子が２０歳になるまで毎年２億円だそれでどうだ</p><p>なに、お前が気にすることではない御名穂くんに預けておけば、勝手に増やしてくれるだろう</p><p>せめてそれだけは、させてくれもう、瑠璃子には何も言わんし、求めないだから</p><p>ジッちゃんは、それでも</p><p>瑠璃子との間に、どんな形でも絆を残しておきたいんだ</p><p>じゃあ、オレからもジッちゃんに、頼みがある</p><p>瑠璃子には今のままの学校に行かせてやりたい学校で、香月の名前を使い続けることを、許してやって欲しい</p><p>うむそれは私も望むことだ</p><p>もう一つ撫子先生の日舞教室も、今まで通り通わせてあげて欲しい</p><p>オレの言葉に瑠璃子が、振り向く</p><p>オレは、瑠璃子に微笑み</p><p>日舞を踊らない瑠璃子なんて考えられないよ</p><p>そして改めて、ジッちゃんに</p><p>撫子先生の教室は名家の子じゃないと、居られないんだろだから、申し訳無いけれどそれも香月家の名前を使わせてやって欲しい</p><p>オレは、正座して頭を下げる</p><p>お願いしますジッちゃん</p><p>オレの女のために</p><p>それには、条件がある</p><p>条件</p><p>今まで通り私は、発表会を観に行くそれを許してくれるのなら</p><p>瑠璃子は笑顔でうんと、首を縦に振る</p><p>ああ、来てくれよオレの瑠璃子の踊りを、見てあげてくれよっ</p><p>ジッちゃんは微笑む</p><p>ああ、見せて貰おうお前の瑠璃子の晴れ姿をな</p><p>部屋のスピーカーから、克子姉の声がする</p><p>閣下ようやく、彼女の心が折れました</p><p>彼女</p><p>克子姉はジッちゃんの女秘書の調教をしている</p><p>恐れ入りますがこちらのお部屋にお出で下さい誰か主人なのかきっちりと、心と身体に刻みつけなければなりませんので</p><p>ジッちゃんは返事する</p><p>心の中に溜め込んだ暗い欲望は、私の秘書で解放することにするよ</p><p>ということで、瑠璃子の処女喪失編は終了です</p><p>秘書の人と同時刻に、ジッちゃんの心も折れたということで</p><p>さて、美子さんはどうなるのでしょう</p><p>まあ、それとは関係無く</p><p>次話から、夜のセックス大会へ</p><p>マナやみすずや美智欲情しきっている女の子たちが、いっぱいいますので</p><p>423．リフレイン・ブルー</p><p>ふふっお前のお陰で、全てが吹っ切れそうだ感謝する</p><p>ジッちゃんはオレに、そう言った</p><p>ジッちゃんの瑠璃子への執着は、これで全て解消されるのだろうか</p><p>瑠璃子をしっかり捕まえて置いてくれ私がまた、おかしな気を起こさないように</p><p>オレが捕まえておかなくても瑠璃子は、オレの側にずっといるよなっ、瑠璃子</p><p>瑠璃子は、オレに微笑む</p><p>ジッちゃんは全てを、そんなオレたちを見て、寂しそうに頷く</p><p>これでいいのだなこれで</p><p>ジッちゃんは寂しそうに瑠璃子のために作った、赤い襦袢と金の装身具を見ている</p><p>それ、やっぱり瑠璃子に貰っていいかな</p><p>オレは、ジッちゃんに言った</p><p>瑠璃子の処女喪失の大切な思い出の品だから</p><p>そうしてくれると私も嬉しい</p><p>はい大切にしまっておきます香月様</p><p>瑠璃子は、ジッちゃんにそう答えた</p><p>さっ、おジィちゃんは、あたしが案内するからさっ付いて来てっ</p><p>寧がジッちゃんに言う</p><p>ヨッちゃんたちはまずは、シャワーだねヨッちゃん、さっきのシャワー室の位置、判る</p><p>えっとみすずと美智に、身体を洗って貰ったシャワー室は</p><p>うん、判るよここの部屋からの行き方は</p><p>じゃあ、瑠璃子と二人で行ってあたしは、おジィちゃんを案内するからっ</p><p>今のこの屋敷は、娼館じゃないしジッちゃんも客ではない</p><p>でも、ジッちゃんは高齢だし誰かがちゃんと付いてあげるべきだろう</p><p>頼むね姉さん</p><p>うふふっヨッちゃん、とっても逞しくなったよねっあたし、惚れ直しちゃったまだ、ドキドキしてるよっ</p><p>大好きっヨッちゃんは、あたしのヒーローだよっ</p><p>そう言ってオレの頬に、そっとキスしてくれた</p><p>瑠璃子がオレに囁く</p><p>あの方はどうしていただきますか</p><p>あ美子さんか</p><p>美子さんは、絶望にうちひしがれてぐったりとしている</p><p>美子さんを、ジッちゃんと一緒に女秘書さんの調教現場へ行かせるのはマズイよなやっぱり</p><p>かといってオレと瑠璃子のシャワーに連れて行くのも</p><p>瑠璃子がオレのものになってしまったことに美子さんは、絶望しているわけだし</p><p>ドアがコンコンとノックされる</p><p>オレが、返事をすると</p><p>入って来たのはメグとみすずだった</p><p>二人ともギリシャ神話風の白いフワッとした衣装に着替えている</p><p>あの御名穂さんが、香月さんがあちらのお部屋へ行かれている間、美子さんのお相手をするように言われました</p><p>お祖父様、どうぞ美子様のことは、あたしたちにお任せ下さい</p><p>ああやっぱり、ミナホ姉さんは学校から、こちらの様子を監視しているんだ</p><p>そしてこの場は</p><p>家族の中で一番庶民派で、行儀の良い対応ができるメグと</p><p>美子さんのことを昔からよく知っている、みすずに</p><p>美子さんのお世話係を任せることにしたのか</p><p>美子様、応接室にお茶の準備ができているわあたしたちと一緒に行きましょう</p><p>みすずが、にっこりと微笑む</p><p>みすず様わたくしに、様を付けるのはお止め下さい</p><p>美子さんは、暗い声でそう言う</p><p>わたくしは瑠璃子様の臣下です</p><p>結局、美子さんは自分が、ジッちゃんの孫娘であるという現実を、どうしても受け入れたくないらしい</p><p>それならそれで構いませんわあたしは別にあなたが、どんな人生をお選びになっても、あたしには関係の無いことですから</p><p>みすずは、きっぱりと言い切る</p><p>お祖父様よろしいですわね</p><p>私は、お前たちを信用してはいるが手荒なことはしないでくれ美子は、色々とショックを受けているようだから</p><p>手荒なことって</p><p>まさか、オレが美子さんまで犯すとか</p><p>その様なことは、一切致しませんわそういう野心は、あたしたちにはありませんもの</p><p>やんないよするわけないだろオレは、この子たちだけで精一杯なんだから</p><p>オレも、ジッちゃんにそう言う</p><p>お祖父様がお戻りになるまであたしと恵美さんだけで、別室でお待ち致します他の者とは接触させません旦那様と瑠璃子は、少し休憩していただきたいですし</p><p>うむそれなら良い美子みすずたちと待っていなさい</p><p>ジッちゃんのの命令に</p><p>はい香月様</p><p>美子さんは今日、世間に公開されたジッちゃんの孫娘の一人という役を放棄する</p><p>あくまでも香月家の使用人として、ジッちゃんの命令に従うのだろう</p><p>瑠璃子という主人を失ったことを彼女は、どうしても認めたくないらしい</p><p>じゃあ、頼むよみすず、メグ</p><p>大丈夫よ、ヨシくん</p><p>まあ、この二人の取り合わせなら問題は起こらないだろう</p><p>んじゃおジィちゃんは、あたしに付いて来てっ</p><p>寧が、ジッちゃんを誘導する</p><p>ジッちゃんは、寧と共に退室する</p><p>まだ瑠璃子に対しての気持ちが残っているのだろうけれどわざと、瑠璃子を見ないようにして出て行った</p><p>では、旦那様わたくしたちも行きます瑠璃子良かったわね</p><p>これからは、本当の姉妹ですからね助け合っていきましょうね</p><p>はい、みすずお姉様恵美お姉様も未熟な妹でございますがどうぞ、よろしくご指導下さいませ</p><p>歓迎するわ瑠璃子さん</p><p>メグも、瑠璃子を受け入れてくれた</p><p>じゃっ、行きましょう美子さん</p><p>メグが、美子さんに声を掛けるが</p><p>瑠璃子は、美子さんを見て</p><p>わたくしにこそ、様はやめて下さいませわたくしは、もう香月の家の娘ではありません美子様こそ香月家のご令嬢なのですそんな顔はなさらないで</p><p>その言葉が美子さんの心をさらに傷付ける</p><p>いいえ、わたくしはわたくしは、生涯瑠璃子様のお付きです臣下ですわたくしの様な者に香月家の令嬢は勤まりません</p><p>でも頑張って下さいわたくしにはもう、香月様のお側に行くことはできないのですから</p><p>なぜなのです、瑠璃子様どうして、そんな殿方に心を奪われるのです瑠璃子様は、高貴なお生まれなのですよ</p><p>心を奪われたのではありませんお兄様が、わたくしを受け入れて下さりわたくしも、お兄様を受け入れたのです一生を捧げるべきお方に、巡り会ったそれだけのことです</p><p>そんなはずがございませんっ瑠璃子様も香月様も間違っておられますわっ</p><p>美子さんは、必死になって瑠璃子を説得しようとする</p><p>わたくしはわたくしの人生を選択しただけですこの道を行きます美子様本当に今まで、ありがとうございました</p><p>まだ全裸のままの瑠璃子は</p><p>絨毯に手を付いて美子さんに頭を下げる</p><p>そんなことなさらないでっ</p><p>絶句する、美子さん</p><p>ごめんなさいわたくしとあなたの道は、すでに離れてしまいましたわたくしは、お兄様たちと先へ進みますどうか、美子様もご自分の人生を前に向かって、お進み下さい</p><p>瑠璃子はそう言った</p><p>叫ぶ美子さんにみすずが</p><p>美子様今は何を言っても無理です少し、頭を冷やして心を落ちつかせる時間を取りなさい</p><p>命令ですあたしは、香月みすずですよ</p><p>頑なな美子さんの心を挫くために</p><p>みすずは、最後の手に出る</p><p>あたしの命令が聞けないのですか</p><p>わたくしからもお願い致しますどうか、みすずお姉様たちに付いて行って下さい</p><p>瑠璃子も美子さんに依頼する</p><p>しばらくわたくしとお兄様の二人だけにして</p><p>ジッと、美子さんを見る</p><p>か、かしこまりました瑠璃子様</p><p>あくまでも、瑠璃子の臣下として返答した</p><p>では、行きますよ美子様</p><p>後はあたしたちに任せてヨシくん</p><p>メグとみすずに挟まれる様な形で意気消沈した美子さんが、部屋を出る</p><p>最後にもう一度、瑠璃子に振り向くが</p><p>瑠璃子は、美子さんに振り返らなかった</p><p>パタンッ</p><p>ドアが閉じる</p><p>瑠璃子は溜息を吐く</p><p>美子様は今、悩んでおられるのですわね自分が何者でありこの先、どう生きれば良いのかを</p><p>昨日の瑠璃子と一緒だよ</p><p>昨日の瑠璃子はそんなことを悩んで、落ち込んでいたろ</p><p>オレには今の美子さんが、葬祭場の控え室で落ち込んでいた時の瑠璃子の姿に重なって見える</p><p>そうかも、しれませんわね</p><p>瑠璃子は呟く</p><p>あの時のわたくしも自分のアイデンティティを失って、心が空虚になっていました</p><p>だから、美子さんも瑠璃子みたいに、自分の力で立ち上がらないといけないんだ</p><p>でも、わたくしの場合はお兄様が助けて下さいましたから</p><p>美子さんにだって瑠璃子が居るじゃないか</p><p>オレは、瑠璃子に微笑む</p><p>今すぐは無理かもしれないけれどいや、ゆっくり時間を掛けたっていいんだよ美子さんが、自分の進む道を見つけることができるならオレたちが、美子さんのために何ができるか考えてみようよきっとあるはずだよ、美子さんをサポートする方法が</p><p>瑠璃子は、大きく頷いた</p><p>お兄様えいっ</p><p>オレの腕を引っ張って飛びついて来る</p><p>自分から、オレにキスをする</p><p>お兄様好き、好き、大好きっ</p><p>瑠璃子が、オレにしがみついて来るからオレも部屋の絨毯の上に、転がる</p><p>瑠璃子のキスは終わらない</p><p>ねお兄様</p><p>濡れた瞳がオレを見る</p><p>何だ瑠璃子</p><p>もう一回下さい</p><p>瑠璃子氏、裸のおっぱいをオレの胸に押しつける</p><p>自分からオレのペニスに手を伸ばす</p><p>でも痛いだろ瑠璃子</p><p>処女喪失から連続３回、膣内射精を受けとめている</p><p>膣の中は、ヒリヒリして痛いはずだ</p><p>痛くてもいいんです</p><p>瑠璃子は、ゆっくりとオレのペニスを擦る</p><p>ううん、痛い方が良いわたくし、美智様がおっしゃってたこと、今ならよく判りますわ</p><p>いや美智は、マゾだから</p><p>どうしても、欲しいのお兄様</p><p>だって、わたくしたち二人っきりじゃありませんか</p><p>もう、ジッちゃんの監視は無い</p><p>瑠璃子は、ミナホ姉さんがオレたちをモニターしていることは知らないから</p><p>今のオレたちのことは、誰も見ていないって思っているんだ</p><p>お兄様瑠璃子に、赤ちゃんができるようなことをして下さいませ</p><p>瑠璃子オレの前では、思いっきり淫らになってくれるか</p><p>はいお兄様のお望みなら、どの様なことでも</p><p>オレのペニスに赤い血がどくどくと流れ込んでいく</p><p>ああっお兄様の大きくなっていきますわっ</p><p>膨らんでいく亀頭を１５歳の少女の指が、愛しげに触る</p><p>また性欲に火が点く</p><p>オレは、瑠璃子の胸に顔を埋める</p><p>左右の乳首をペロペロと舐める</p><p>お兄様おっぱい好きなのですか</p><p>うん好きだ</p><p>わたくしもお兄様に舐められるの、好きです</p><p>陥没乳首を、オレは吸い出そうと試みる</p><p>芯は硬くなるんだけれど乳輪から起き上がってはこない</p><p>瑠璃子の乳首は、まだ成長途中なんだな</p><p>乳首から腹へ舌を這わす</p><p>可愛いおへそを舐めてやる</p><p>あんっお兄様ぁんっ</p><p>ちくしょう、可愛いな</p><p>もう挿入したくなった</p><p>瑠璃子四つん這いになれ</p><p>四つん這い</p><p>ああ、こうだ</p><p>オレは、瑠璃子の身体を起こして</p><p>絨毯の上に、四つん這いにする</p><p>足は、もうちょっと開いてそうだ、お尻を突き出すんだ</p><p>恥ずかしいです瑠璃子、ワンちゃんみたいです</p><p>ああイヌみたいに、犯してやる</p><p>オレは、瑠璃子の後ろに廻り込み</p><p>勃起を膣口に当てる</p><p>こんな格好で</p><p>入るぞ瑠璃子</p><p>入れていいのかちゃんと、返事をしろ瑠璃子</p><p>瑠璃子は、ククッとお尻を振りながら</p><p>入れて下さいお兄様ぁっ</p><p>オレは瑠璃子の腰を掴んで</p><p>グヌッと瑠璃子の胎内に潜り込むっ</p><p>きやあんっ</p><p>痛いでも、いいんです痛くていいの</p><p>じゃあ、突いて下さいって言え瑠璃子を犯してって言うんだ</p><p>突いて突いて下さい瑠璃子のこと犯して</p><p>オレはぬっちょぬっちょと、瑠璃子の中を掻き回していく</p><p>すでに瑠璃子の膣内は、精液と愛液で熱く溶けている</p><p>ああっあああっひゃあんやぁんあんいやぁんっ</p><p>瑠璃子は喘ぎ声まで、可愛い</p><p>また犯している</p><p>この美少女をその膣奥を</p><p>ぬぁんっはむっううっいやぁっいやぁぁんっ</p><p>瑠璃子の火照ったままの肉体欲情の種火は、消えていなかったらしい</p><p>初めてのドッグスタイルでのセックスに、じわじわと燃えていく</p><p>お兄様ぁぁお兄様ぁぁんっ</p><p>瑠璃子ぉぉ瑠璃子ぉぉ</p><p>オレは、腰を振る背後から、瑠璃子の胸を揉む固くシコった乳首を</p><p>セックスしながら、瑠璃子の白い背中をペロペロと舐めた</p><p>ひぃあああんっ</p><p>背中が性感帯だったらしい</p><p>瑠璃子が、ゾクゾクッと身体を震わせる</p><p>お兄様このままじゃ嫌ですこのままだとお兄様のお顔が見えないのぉっ</p><p>瑠璃子が、ぷるぷると首を振る</p><p>そんなの嫌ぁお兄様のお顔が見たいお兄様にも、瑠璃子の顔を見ていただきたいですぅ</p><p>ああ瑠璃子</p><p>オレは、ペニスを瑠璃子から引き抜き瑠璃子の身体を仰向けに横たえる</p><p>そのまま、瑠璃子の身体覆い被さる</p><p>瑠璃子は自分から、大きく足を開いてくれた</p><p>来てぇっお兄様ぁんっ</p><p>オレは、瑠璃子の中に飛び込むッ</p><p>瑠璃子の切なそうな顔</p><p>やっぱり、痛いんだろう胎内に異物感があるんだろう</p><p>処女地を無理矢理、オレのペニスで拡げられて苦しいに違いない</p><p>でも、オレは容赦無く、瑠璃子の中を犯していく</p><p>ひぃひぃぃんっあぐぅぅ</p><p>膣奥に届く度に、瑠璃子は苦しそうな顔をする</p><p>早めに終わらせた方がいいな</p><p>瑠璃子、激しくするぞっ</p><p>オレは、腰の動きを早くする</p><p>荒々しく、瑠璃子を犯す</p><p>あんっ、ああああっ、あんっ、あんむっ、ううっ、あん、あん、はぁん</p><p>耐えている瑠璃子は愛おしい</p><p>どんなに苦しくても、最初の時のオレの命令を守って</p><p>大きな瞳で、オレを見つめている</p><p>ひぃやぁん、やぁん、あんっ、あああん、あんっ、ああっお兄様ぁぁ</p><p>瑠璃子のおっぱいをオレは、激しく踊らせる</p><p>オレと瑠璃子のダンスが佳境を迎える</p><p>ああっイキそうだっ出るよ瑠璃子ぉっ</p><p>下さいっ瑠璃子の中にお兄様の熱いのまた欲しいのおっ</p><p>オレは我慢しない</p><p>当たり前のように膣奥で、漏らすッッ</p><p>る瑠璃子ぉっ</p><p>あっ出てます、今熱いのが、瑠璃子の奥に入ってくるのおっ</p><p>四度目だ量は、そんなに出ない</p><p>オレは、そのまま瑠璃子の上に重なる</p><p>瑠璃子は、疲れ果てたオレの身体をきゅうっと抱き締めてくれた</p><p>お兄様が好きぃぃぃ</p><p>ごめんなさい、お兄様</p><p>二人きりのセックスが果てると</p><p>瑠璃子は、腰を抜かして立てなくなっていた</p><p>やっぱり処女喪失から、無茶をしすぎた</p><p>えっと荷物は、とりあえずここに置いておいて、後で取りに来よう</p><p>荷物ったってジッちゃんの用意した、瑠璃子の絹の肌襦袢と黄金の装身具だけだ</p><p>これは瑠璃子には、もう着せない付けさせないから</p><p>まとめて、部屋のテーブルの上に置いておく</p><p>瑠璃子、オレのバスローブを着ろよ</p><p>オレは、瑠璃子にバスローブを羽織らせる</p><p>でも、お兄様はわたくしは、裸のままで構いません</p><p>バカ言うなお前に風邪を引かれる方が困る</p><p>オレは、瑠璃子の腕をバスローブの袖に通していく</p><p>またお姫様だっこかな</p><p>このまま、瑠璃子をバスルームまで運ぶのなら</p><p>おんぶでもいいですわお兄様のお楽な方で</p><p>おんぶはダメだ</p><p>だって、瑠璃子をオレの背中に担いで瑠璃子の膝をオレが両手で抱え持つわけだろ今、そんなことしたら瑠璃子の中から、オレの精液が</p><p>まあそうでございますわね</p><p>割れ目から滴り落ちて、オレの背中も廊下も汚してしまう</p><p>だから、やっぱりお姫様だっこだな</p><p>オレは、まず部屋のドアを開いておく</p><p>それから、瑠璃子の身体を抱き上げて</p><p>廊下へ出る</p><p>オレは素っ裸瑠璃子は、バスローブ1枚だけだ</p><p>あたしこれ、大好きです</p><p>オレに抱っこされて、瑠璃子は嬉しそうに言った</p><p>じゃああんまり体重を増やさないでくれそしたら、またやってやるから</p><p>瑠璃子ぐらいの体格だから、オレにも抱きかかえられるのであって</p><p>寧、克子姉、渚の豊満ボディだと自信が無い</p><p>メグも、スレンダーだけど割かし長身だからバランスを取るのが、難しいだろうし</p><p>マナや美智なら、大丈夫だな</p><p>そんなことを考えながら、瑠璃子をバスルームに運ぶ</p><p>お兄ちゃん、おっそいっ</p><p>仁王立ちで、マナが待っていた</p><p>どうしたんだ、お前</p><p>待ってらんないから上がってきたんだってばっ</p><p>もう、ルリお姉ちゃんの初体験は終わったんでしょ堪能した、お兄ちゃん</p><p>う、うんまあ</p><p>ルリお姉ちゃん何回、出して貰ったのっ</p><p>えっと４回ですわ</p><p>瑠璃子は正直者だ</p><p>じゃあ、しばらくお休みでいいよねっ</p><p>マナが、挑戦的な眼でオレを見る</p><p>お兄ちゃん、約束したよねっあたし、今日はまだセックスしてもらってないよっ</p><p>お、おう</p><p>さあさっさとシャワー浴びて、マナとしよっ</p><p>マナが、エヘヘっと微笑む</p><p>オレにはお休みは、無いのか</p><p>さあ、こっち来てっ</p><p>そしてオレたちは３人でシャワーを浴びることに</p><p>下は、どうなっているんだ</p><p>渚お姉ちゃんが、見てくれているから心配ないよ</p><p>マナが、着ているものを脱ぎ散らかしながら答える</p><p>アニエス、イーディ、麗華の３人を渚１人で相手しているのか</p><p>みんな問題児だからな早く行ってやりたいな</p><p>真緒ちゃんは</p><p>もう寝ちゃったよ１０時過ぎだもんっ</p><p>そうか、幼児は寝る時間だ</p><p>ほら、ルリお姉ちゃん、そこに下ろしてシャワーを出すよ</p><p>オレは、シャワールームのタイルの上に、瑠璃子を横たえる</p><p>すみませんお兄様</p><p>気にするなこれから、ずっと一緒なんだから一々、そういうことを言うなよ</p><p>はい、このご恩は一生掛けてお返し致しますわ</p><p>だからそういうことを言うなっての</p><p>マナが、ジロッとオレを見る</p><p>お兄ちゃん、デレデレしてるぅ</p><p>してないよオレは</p><p>ううっマナにも、デレデレしてよおっ</p><p>オレは、マナを抱き締めキスする</p><p>マナの小さなおっぱいを、揉む</p><p>そうだよマナにもいっぱいしてくれないと嫌だよっ</p><p>うん大好きだぞマナ</p><p>あたしだってお兄ちゃん</p><p>マナの方からオレの口の中に舌を入れてくる</p><p>好き、好き大好きなんだからねっ</p><p>ようやく、マナの機嫌が直ったようだ</p><p>じゃ、まずルリお姉ちゃんから洗ってあげるっ</p><p>マナがシャワーの蛇口を捻る</p><p>シュバッサササザーッ</p><p>すぐに水がお湯に変わる</p><p>瑠璃子の顔に、お湯が掛からないようにするんだぞ</p><p>判ってまーすっ</p><p>温かいシャワーが、瑠璃子の身体を清めていく</p><p>ああ、気持ちいいですありがとう、マナさん</p><p>瑠璃子が、微笑む</p><p>ほら、お兄ちゃん、セッケンで擦ってあげてっ</p><p>そっか処女血とかが付いているんだもんな</p><p>オレは、慌ててボディソープをスポンジに塗す</p><p>瑠璃子洗ってやるからな</p><p>オレは、アワアワにしたスポンジで瑠璃子の柔らかい裸体を洗っていく</p><p>うん、本当に艶やかで</p><p>傷一つ無い白い肌だ</p><p>１５歳の裸は、ぷにぷにと弾力が凄い</p><p>水を弾く若い素肌とは、正しくこれのことだろう</p><p>うふふうふふふ</p><p>瑠璃子は笑い出す</p><p>どうした、くすぐったいのか</p><p>いいえ幸せなんですっ</p><p>瑠璃子は無邪気な笑顔でオレに言った</p><p>お兄様幸せって、こういう気持ちなんですわねっ</p><p>わたくし満たされていますお兄様の愛でああ、わたくしは、なんて果報者なんでしょうっ</p><p>瑠璃子は、そう言ってまた、くふふと笑った</p><p>リフレイン・ブルーて、生まれて初めてやったエロゲーですね</p><p>今夜の吉田くんは大変かも</p><p>マナだけで、済むはずが無いので</p><p>まあ、大セックス大会ですね</p><p>物語は、いよいよ大詰めに向かいます</p><p>今朝は、変な寝起きを体験しました</p><p>私は、朝方夢を見ていたのですが</p><p>夢の中で私は何かイタズラをしていまして</p><p>それが大成功を納めたのです</p><p>具体的には、どんなイタズラだったのか覚えていないのですが</p><p>それで、思わず大爆笑をしてしまいまして</p><p>その瞬間に目覚めました</p><p>爆笑しながら</p><p>ＺＺＺぐぅわっはははっ</p><p>みたいな感じで</p><p>爆笑起きというのは、生まれて初めてです</p><p>何か目覚めた後に、恥ずかしくなりました</p><p>昔は、目覚まし代わりに、色んなCDをタイマーでセットしてみたのですが</p><p>一発で、眼が覚めるのは</p><p>ベートーベンの運命ですね</p><p>眼が覚めるというか心臓が止まるかと思います</p><p>一発目のジャジャジャジャーンで</p><p>あんまり、お勧めは致しません</p><p>424．中学生シスターズが、ご奉仕しまーすっ</p><p>瑠璃子、足を開け</p><p>破瓜したばかりの秘部も、洗ってやらないといけない</p><p>瑠璃子が、頬を赤らめて開脚する</p><p>無毛のそこは、連続４回のセックスによって、腫れていた</p><p>うん痛いかもしれないけど、我慢しろよ</p><p>オレは、マナからシャワー・ヘッドを受け取ってお湯で洗い流す</p><p>指をV字にして、瑠璃子の割れ目も拡げ中まで</p><p>瑠璃子が、声を上げる</p><p>ちょっと浸みただけです</p><p>処女膜の裂けたところが、傷になっているのかもしれない</p><p>オレは指で優しく洗ってやる</p><p>お兄様の手優しくて気持ちいいですわ</p><p>瑠璃子が、オレに微笑む</p><p>でしょマナも、初めてエッチした後は、お兄ちゃんに洗ってもらったんだ</p><p>もっともマナの時は屋敷の中庭での、屋外レイプで</p><p>小雨も降っていて、泥だらけになってしまったから</p><p>マナもレイプ後の放心状態で、オレが一生懸命身体を洗ってやるしかなかったし</p><p>お兄ちゃん、すっごく優しくしてくれたのっ</p><p>マナの記憶はもしかしたら、その前のレイプの恐怖は、消されてしまっているのかもしれない</p><p>オレと２人で風呂に入ったところからしか記憶が蘇らないのかも</p><p>お兄ちゃん好きっ</p><p>裸のマナが、オレの背中に抱きつく</p><p>オレの耳の後ろに、キスをした</p><p>マナの可愛いおっぱいが、オレの背中に押しつけられる</p><p>ねルリお姉ちゃんとのセックス、気持ち良かった</p><p>オレは裸でシャワールームのタイルの上に横たわる、瑠璃子の裸体を見下ろす</p><p>１５歳の健康的な美少女ヌード</p><p>小振りだけど、形の良いおっぱい陥没したままの桜色の乳輪</p><p>４度も男の精を注ぎ込まれたのに秘裂は、またぴったりと閉じている見た目は、処女のままだ</p><p>細くて長い手足</p><p>いつもは、とても白い肌がシャワーの湯を浴びて、赤く上気している</p><p>瑠璃子は、心配そうにオレを見上げている</p><p>うん気持ち良かったありがとう、瑠璃子</p><p>オレは、処女を捧げてくれた瑠璃子に礼を言う</p><p>わたくしの方こそお兄様に感謝しておりますわたくし、ちゃんとできていましたか</p><p>ああ、ちゃんとセックスできていたよオレたち</p><p>あのお兄様にしていただくばかりで、申し訳ございません</p><p>瑠璃子はみすずや美智のセックスを見ているから</p><p>自分のセックスが未熟だと感じているらしい</p><p>気にするな瑠璃子は、初めてだったんだからさ</p><p>そうだよっこれから、いっぱいお勉強すればいいんだからさっ</p><p>マナはそう言ってオレのペニスを触る</p><p>さすがの４連戦で裸の美少女２人に挟まれていても、勃起はしていない</p><p>お兄ちゃん、マナが綺麗にしてあげる</p><p>マナは、自分の手にセッケンを付けオレのペニスを洗ってくれた</p><p>はーい、綺麗綺麗にしますねぇーっ</p><p>１４歳のマナは、嬉しそうに微笑む</p><p>あ、わたくしが致しますわわたくしのせいで、汚れてしまったのですから</p><p>瑠璃子は、オレのペニスに付いている自分の愛液や処女血を気にして、そんなことを言う</p><p>ダーメッルリお姉ちゃんは、もういっぱいエッチして貰ったんでしょ次は、マナの番だよっ</p><p>マナは、玉袋から亀頭の先まで丁寧に洗ってくれる</p><p>うふふっ大きくなあれっ、大きくなあれっ</p><p>マナは、シャワーでセッケンの泡を丁寧に洗い流す</p><p>マナ、すぐは無理だよ瑠璃子としたばかりだから</p><p>正直、少し休ませて欲しい</p><p>それにできたら、マナとのセックスは、アニエスの前でしたいんだ</p><p>今日一日で、マナはかなりアニエスと仲良くなった</p><p>年も近いし、優しいお姉さんであるマナが、オレとセックスする姿を見れば</p><p>自分もしてみたいと思うかもしれない</p><p>うん、そうだねっアニエスちゃんの前でもしようねっ</p><p>も</p><p>でも、その前にここでしょっマナ、もう待ちきれないよっ</p><p>あのマナさん</p><p>ここでもして、アニエスの部屋でもするのか</p><p>うんっ♡</p><p>マジかよマジですか</p><p>しようよっていうか、するのっ</p><p>マナが、オレの亀頭をツンとつつく</p><p>でも、オレもう４回もしているんだぞ</p><p>まだ４回でしょ全然、オッケーじゃん</p><p>オレ、マナの眼の前で一晩で１０回とかしてるんだっけ</p><p>大丈夫、いけるいけるお兄ちゃんは、凄いんだからっ</p><p>ほらっ、大きくなってきた</p><p>不覚にもマナの愛撫に、オレのペニスが強ばってくる</p><p>うふふっいっただきまーすっ</p><p>まるで、ソフトクリームを舐めるように</p><p>１４歳の少女が、オレの亀頭をペロペロと舐める</p><p>唇で、ちゅぱちゅぱと</p><p>マナフェラチオ好きかもしれないな</p><p>マナがオレを上目遣いで、オレに言う</p><p>だってさこうやってペロペロしてると、マナのお口の中でお兄ちゃんが大きくなっていくのが判るんだもんっ</p><p>亀頭の先にキスしカリ裏を舐め上げる</p><p>マナのお口気持ちいいお兄ちゃん</p><p>オレのペニスを両手で捧げ持ち舐めしゃぶる、マナ</p><p>マナお兄ちゃんの役に立ってるよね</p><p>オレは、マナの頬を撫でてやる</p><p>オレの手はせっけんが付いたままだった</p><p>マナの鼻の頭に白い泡が付いてしまう</p><p>うん気持ちいい気持ちいいぞマナ</p><p>マナのこと捨てないでね</p><p>馬鹿なことを言うなよ</p><p>うんお兄ちゃんが、そういう人じゃないことは判っているけれどでも、心配になっちゃうんだよ時々</p><p>裸のマナがオレの勃起を両手で掴んだまま、言う</p><p>だからねマナといっぱいエッチして、お兄ちゃんマナのこと、メチャクチャにしてくれていいんだからねマナはねお腹の中に、お兄ちゃんを受け入れていると心が落ちつくのたくさん、精液を出してくれると、もっと嬉しい</p><p>マナにとってセックスは、オレとの絆の確認なんだ</p><p>オレが、マナの身体を求めなくなったらマナは、オレに捨てられると思い、恐怖に震えることになる</p><p>あのね、今日、克子お姉ちゃんから聞いたんだけれどね普通の人たちはね、セックスしている時に、男の人も女の人も眼を閉じていることが多いんだって</p><p>マナはまた、オレの亀頭をペロペロしながら語る</p><p>でも、ほらお兄ちゃんは、エッチの間、ずーっとマナのことを見ていてくれるでしょだから、マナもお兄ちゃんのことを見ているんだよっ</p><p>そっか、オレはそれが普通だと思っていたけれど</p><p>眼を瞑って、セックスしている人たちもいるんだ</p><p>それでねお兄ちゃんが、マナの中で射精する時のうっていう顔が、とっても可愛いんだよすっごく、気持ち良さそうであの顔を見ると、何かすごーく安心するのあたしとお兄ちゃん、愛し合ってるって実感できるんだ</p><p>オレだって、エッチしている最中のマナの気持ち良さそうな顔を見るのは好きだぞ</p><p>良さそうじゃないよホントに気持ちいいんだからっ</p><p>ああ、オレも愛しているよ、マナ</p><p>もう恥ずかしなあ胸がキュンとしちゃうじゃんかぁ</p><p>マナは、フェラチオに戻る</p><p>ああまた、勃起が蘇る</p><p>ルリお姉ちゃん起き上がれる</p><p>瑠璃子は、オレとマナのやり取りを静かに控えて聞いていた</p><p>一緒にご奉仕しようよっねっ</p><p>瑠璃子は今はマナの時間で、自分は見守るだけにしようと思っていたらしい</p><p>マナは、お姉ちゃんと一緒にしたいの</p><p>それでも、マナは言う</p><p>マナはねお兄ちゃんが好きお兄ちゃんが愛しているものは、マナも大好きになるのっだからねルリお姉ちゃんとも、仲良くしたいのっ</p><p>マナさん</p><p>もう、我が儘なことはしないよお兄ちゃんに、お仕置きされちゃうもんっ美智お姉ちゃんなら、お仕置きの方が好きかもしれないけれどマナは、ニコニコ笑って愛し合う方が好きなのっだからね、一緒にしようよっ</p><p>判りましたわたくしで、よろしければ</p><p>そう言ってタイルの上から、起き上がろうとする</p><p>瑠璃子大丈夫か</p><p>瑠璃子は、処女破瓜のダメージで腰が抜けていた</p><p>はい、シャワーで身体が温まりましたからお兄様、お手をお貸し下さい</p><p>瑠璃子が、オレに手を差し出す</p><p>オレは、その手を掴み引き上げる</p><p>よいっしょ</p><p>ではっ、中学生シスターズがご奉仕しまーすっ</p><p>マナが、宣言する</p><p>これで、美智お姉ちゃんが居れば完璧なんだけどねっ</p><p>まあいいやっ３人でご奉仕は、また今度ねまずは、２人でご奉仕から始めます</p><p>３人バージョンもするのか</p><p>するんだろうな</p><p>ルリお姉ちゃんも、あたしの横に立て膝でね</p><p>裸の２人の中学生美少女がオレの股間の前に、並んで跪く</p><p>下からオレを見上げている</p><p>オレは２人を見比べる</p><p>背は１学年上の瑠璃子の方が、少しだけ高い</p><p>でも、胸はマナの方があるな</p><p>瑠璃子は、陥没乳首のままだけどマナのは、オレに何度も吸い出されているから、もう完全に鋭く尖って勃起している</p><p>オレの女には、もう１人美智という中学生がいるけれど</p><p>こうなると、中３の美智が一番、身体の成長が遅れているかもしれない</p><p>もっとも、美智はとてつもなく引き締まって、柔軟性に富んだ肉体の持ち主なんだけれど</p><p>どう２人とも、良い身体してるでしょお兄ちゃんのなんだよっいつでも、押し倒して良いんだからねっ</p><p>マナが、オレの心を読んでそんなことを言う</p><p>ルリお姉ちゃんこれから、あたしたちはダブル・フェラをしまーすっ</p><p>だぶる</p><p>えっとね、マナがお兄ちゃんのオチンチンの下の方をペロペロしますからっ、お姉ちゃんは先っぽの方をお願いしますっ</p><p>えっと、舐めれば良いのですね</p><p>そう２人でペロペロするのっそれが、タブル・フェラ</p><p>マナそれを最初に説明してやれ</p><p>はーい、ではスタートっ</p><p>マナの舌がオレの玉袋の縫い目を、舐める</p><p>瑠璃子の舌がオレの亀頭を</p><p>今、洗ったばかりだしマナが舐めていたから、瑠璃子も抵抗なくフェラチオしてくれる</p><p>うわっ、あっ</p><p>舌の感触も体温も、違う</p><p>女の子って、こんなに違うんだ</p><p>うふっ、ルリお姉ちゃん見てお兄ちゃん、気持ち良さそうだよっ</p><p>はい可愛いですお兄様</p><p>美少女２人による攻撃が続く</p><p>はい、そろそろ交代マナが先っぽで、お姉ちゃんが下の方ね</p><p>うんマナの舌使いは、少し荒っぽいけれどそれはそれで良い</p><p>亀頭の先を躊躇なく、吸い上げてくれたりする</p><p>ペニスから染み出た先走り液も舐め取ってくれる</p><p>一方、瑠璃子の舌は繊細で、丁寧だ</p><p>オレの顔を下からジッと見上げどこを刺激すると、どんな反応をするのか、逐一確認している</p><p>きっと、いずれは一流のフェラチオ・マスターになってくれると思う</p><p>ルリお姉ちゃんオチンチンお願い</p><p>マナはオレの亀頭から唇を離すと、オレのお尻側に廻り込む</p><p>まっさか</p><p>これも、克子お姉ちゃんから聞いたんだけどオチンチンとお尻の穴の間って、とっても気持ちいいらしいよ</p><p>玉袋の縫い目のラインから肛門に続く辺りをマナの舌がペロッと舐める</p><p>うわっ、大当たりだねっそれからお尻の穴も、舐めてあげるっ</p><p>中学２年生のピンクの舌がオレの肛門を舐める</p><p>うひぃっ</p><p>うへへっそんなに気持ちいいのお兄ちゃん</p><p>マナぁっ</p><p>そろそろ反撃に出てやるっ</p><p>マナもお尻を出せっおんなじことをしてやるからっ</p><p>ええっマナは、いいよっそんなことしなくていいからっ</p><p>命令だっほらっ</p><p>マナはオレの何なんだ</p><p>奴隷ですセックス奴隷なの</p><p>だったら早く言うとおりにしろっ</p><p>恐る恐るマナが立ち上がる</p><p>壁に手を付いて足を少し開け</p><p>マナは、言われた通りにする</p><p>足を真っ直ぐにピンと張って尻を高く突き出すんだ頭は、心持ち低めにそうだ</p><p>オレは、マナのお尻の前にしゃがみこむ</p><p>オレの眼前にマナの恥ずかしい箇所の全てが晒される</p><p>フーツと、オレは息を掛けてやる</p><p>ああんっ恥ずかしいよお兄ちゃん</p><p>マナは、肌を撫でる息にお尻を可愛くククッと振った</p><p>瑠璃子マナのおっぱいを舐めてやれ</p><p>赤ちゃんみたいに、乳首をペロペロして気持ち良くしてやれ</p><p>瑠璃子は、マナの胸の下へ頭を移動させる</p><p>マナさん失礼致します</p><p>そして子牛が母牛のおっぱいを吸うように、下からマナの乳首をちゅうちゅうと吸う</p><p>ああんっくすぐったいよ、お姉ちゃん</p><p>その隙にオレは、マナの割れ目と股間の間を舌で責める</p><p>うわっ何これ、ゾクゾクするぅぅ</p><p>マナは、ピクッと背中を反らせる</p><p>次は、肛門も</p><p>いやぁぁん恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしいよこれっ</p><p>オレは、ベロベロと舐め上げる</p><p>唇で吸って白い肌にキスマークを残していく</p><p>ぽたっ</p><p>ぽた、ぽたっ</p><p>マナの割れ目から温かい液が、滴っていく</p><p>マナ濡れてるな</p><p>うん濡れてるよ、あたし</p><p>オレは、マナの尻肉をギュッと掴んで 開く</p><p>ああんっっ</p><p>マナの割れ目に舌を差し入れる</p><p>そこはじゅぷじゅぷになっていた</p><p>ミルク製品の匂い甘い酸味がする</p><p>マナお前のここ、美味しいぞ</p><p>言わないで恥ずかしいよおっ</p><p>マナは、羞恥に顔を染める</p><p>お兄ちゃん、もう欲しい</p><p>マナがつぶやく</p><p>犯してマナのこと、犯してマナ、お兄ちゃんにレイプされたいの</p><p>オレのセックス奴隷として</p><p>オレを高ぶらせる言葉を必死に探す</p><p>下さいお兄ちゃんのマナを貫いて</p><p>オレのペニスは完全に回復していた</p><p>マナ、壁じゃなくてそっちの鏡の方に手を付け</p><p>マナが、鏡に向かう</p><p>鏡の前での立ちバックだ</p><p>瑠璃子は、見ていてくれ</p><p>瑠璃子は、眼を爛々とさせている</p><p>マナのセックスから、少しでも何かを勉強しようと</p><p>瑠璃子は、本当に優等生だ</p><p>ほら、鏡越しにオレの顔が見えるだろ</p><p>オレたちが繋がっている姿も、よく見えるぞ</p><p>うん早く、早くマナの中に来てぇっ</p><p>オレは、マナの小さなお尻を掴み</p><p>亀頭をマナの割れ目に押し込む</p><p>ふわぁぁっ</p><p>マナが声を上げるとともに</p><p>オレのペニスが、ぐっしょりと熱く湿った柔肉の中へ潜り込んでいく</p><p>ぬぷぷぷぷっ</p><p>は入ってくるよぉぉ</p><p>ぬんっ</p><p>オレの剛直がマナの胎内に格納される</p><p>あふっあふっあっ</p><p>異物を押し込まれて鏡の中のマナが、パクパクと口を開く</p><p>見えるか繋がっているんだぞ、オレたち</p><p>うん見えるよお兄ちゃんの気持ちよさそうな顔もああんマナ、すっごいエッチな顔してるルリお姉ちゃんが見ているのに</p><p>瑠璃子の視線が熱い</p><p>瑠璃子、どうだ見えているな</p><p>はいお兄様のあんなに大きなものがマナさんの小さなあそこに全部</p><p>処女を喪失する前の瑠璃子無理矢理、セックスを見せられてきただけだから、きちんと観察できていなかったらしい</p><p>今は大きな瞳で、しげしげと興味深そうに見ている</p><p>瑠璃子だって、さっきはこうだったんだぞ</p><p>そ、そうなのですよね驚きでいっぱいですわたくし</p><p>あーんっそんな眼で見ないでよっルリお姉ちゃん</p><p>そんな眼で、思いっきり見てやってくれマナは、見られながらするセックスが大好きなんだから</p><p>オレの言葉にマナの股間から、熱い液がとろろと溢れる</p><p>こいつも少しマゾっ気が強いから興奮しているな</p><p>ほらっ動くぞ</p><p>うんずぼずぼしてっ</p><p>肉の薄いでも、弾力溢れた肌の尻をギュッと掴んで</p><p>オレは、ゆっくりとマナを揺らす</p><p>感じる内側の肉を擦られて鏡の中のマナが、切なそうな表情を浮かべる</p><p>オレの動きに合わせてマナのおっぱいも揺れている</p><p>ああすごい、あたし犯されてるお兄ちゃんに犯されてるよぅ</p><p>マナは、両脚をピンと張って尻を突き出して、オレを迎え入れている</p><p>すごい、あたしとんでもないことしてるセックスしちゃってる</p><p>シャワールームでの立ちバックでのセックス</p><p>セックスする自分の姿を自分で見ている</p><p>自分を見ている瑠璃子の姿も</p><p>ああっあたしヘンタイさんになっちゃうよおっ</p><p>なれよオレが、許可するからっ</p><p>オレは、単純な前後運動だけでなくペニスを廻すようにして、マナの内壁のあちこちに擦り付ける</p><p>ああっそれいいっ</p><p>マナが悦ぶ</p><p>気持ちいいかマナ</p><p>うん気持ちいいよお兄ちゃん</p><p>鏡の中の切ない瞳がオレを見ている</p><p>お兄ちゃんお兄ちゃんねえ</p><p>どうしたマナ</p><p>オレは腰のリズムを変えないまま、マナに尋ねる</p><p>この鏡を見ながらの立ったままの後ろからのセックス前にも誰かとしたことある</p><p>オレは驚きながらも、リズムをキープする</p><p>ここで、セックスを止めてしまったらマズイと思った</p><p>マナは、オレにズンズン押し突かれながら鏡の中のオレを見ている</p><p>うんしたことあるよ</p><p>マナには嘘は吐けない</p><p>雪乃さんでしょ</p><p>マナは勘が良い</p><p>マナとどっちが良い</p><p>雪乃はマナにとって、永遠にコンプレックスの対象なのか</p><p>いや、それは仕方が無いことなんだろう</p><p>二人きりの実の姉妹なんだから</p><p>マナの方が気持ちいいよ</p><p>ああマナは、オレの女だから</p><p>オレは後ろからマナの背中にキスする</p><p>背筋を舐め上げる</p><p>あんんっ</p><p>雪乃はオレの女じゃない</p><p>自分が、口にした言葉にブルッと震える</p><p>この一言が全てだ</p><p>オレは、オレの女たちを一生守っていかないといけない</p><p>雪乃みたいな女に関わり続けるわけにはいかない</p><p>そうだよねお兄ちゃんそうだよねっ</p><p>鏡の中のマナが微笑む</p><p>お兄ちゃんもっと激しくしてマナのこと壊しちゃってもいいから</p><p>ああ、マナ</p><p>オレはマナを犯すこと没頭することにした</p><p>ただ、この１４歳の美少女とセックスすることだけに集中する</p><p>オレは、マナのお尻を掴んでいた手を外し後ろから抱き締めるように、マナのおっぱいをギュッと握りしめる</p><p>ああんっそれいいっ犯してつマナのこともっと</p><p>オレは加速する</p><p>マナはお兄ちゃんだけだから好きだよ好きお兄ちゃんが好きなのぉ</p><p>見てぇぇルリお姉ちゃんマナちゃんと、セックス奴隷できているよねマナの奴隷姿見えるお姉ちゃん</p><p>瑠璃子は自分で自分のおっぱいを揉んでいた</p><p>さすがに、腫れた秘部には触れていない</p><p>上気した顔に荒い息</p><p>オレとマナのセックスに瑠璃子は、興奮している</p><p>はいマナさん、奴隷ですこれがセックス奴隷の姿なのですね</p><p>そうだよっマナは、お兄ちゃんのセックス奴隷ですいつでも、どこでも、犯してぇぇしたくなったら、マナを使ってぇぇ</p><p>マナの若い肉体からじとっと汗が染み出してくる</p><p>火が付いて燃える身体はもうすぐ、起爆するだろう</p><p>オレはスパートを掛ける</p><p>お兄様激しすぎますああっわたくしも、こんなセックスをするのですね</p><p>瑠璃子も燃えている</p><p>そうだ瑠璃子もするんだぞやらせろっいいなっ瑠璃子っ</p><p>はい、しますして下さい瑠璃子も、こんな風にされたいお兄様に、メチャクチャにしていただきたいですぅっ</p><p>オレも全身から滝の様に、汗をかく</p><p>オレの額から垂れた汗がマナの背中に、ぽたぽたと零れていく</p><p>あっあああっどうしよおっお兄ちゃん気持ちいいのきちゃうかも</p><p>鏡の中のマナの顔が快感に戸惑っている</p><p>来るの波が大きな波がきそうなのっどうしよおっどうしよおっ、お兄ちゃん</p><p>一緒にイこういいなマナ</p><p>オレの中でも熱いものが湧き上がりそうだ</p><p>うん一緒だよ一緒だからねあああっ今、上がってくる上がってくるよぉぉぉぉ</p><p>マナの切ない瞳がオレを見ている</p><p>お兄ちゃんお兄ちゃんあたしのお兄ちゃんあっあああーっいイクぅぅ</p><p>マナの中がキュウキュウと締まるぅぅ</p><p>イクッイクイクイクぅぅマナ、イッちゃってるよおぅぅ</p><p>オレも限界だッ</p><p>出るぞ出るぞ出るぞ出るぞマナぁぁ</p><p>出してぇぇマナの中で、おもらししてぇぇぇ</p><p>はぁぁッッッ</p><p>あんっ熱いの来たぁぁっっっ</p><p>マナの膣内に射精する</p><p>ぐいっ、ぐいっと腰を突き動かしながら</p><p>子宮口に亀頭を押し込んで小袋に熱液を、注ぎ込むッッ</p><p>これ好きぃぃ拡がっていくぅぅお腹の中、熱いのぉぉぉもっとマナにトドメを刺してぇぇお兄ちゃん</p><p>最後の一滴まで残らずマナの中で出し切ってやる</p><p>ひぃぃぃマナ、気持ちいい気持ちいいよぉぉぉぉぉ</p><p>そのまま、マナは鏡に身体を預けて、ずるずるとしゃがみ込んでいく</p><p>お尻を突き出したまま沈み込むように</p><p>オレも、マナと繋がったまま脱力する</p><p>ああんあんっあんっ</p><p>マナは、絶頂の余韻にひたっている</p><p>マナの狭い膣内がうねうねと収縮する</p><p>その中でさすがに５回目の射精をしたオレのペニスは、急速に萎えていく</p><p>１４歳の膣の痙攣に耐えきれずぬぽんと膣口から外に押し出される</p><p>あんっ抜けちゃった</p><p>オレの亀頭が抜け出た割れ目からとろりとろりと、精液が溢れ出る</p><p>その様子を瑠璃子は見ていた</p><p>凄いですわ</p><p>客観的にオレとマナのセックスを観察して瑠璃子が、感想を述べる</p><p>本当のセックスはこんなにも、大きなお声で叫ばないといけないものなのですね</p><p>ええっと</p><p>い、いや瑠璃子、それはマナが、騒ぎ過ぎてるだけで</p><p>オレは、はぁはぁと肩で息しながら瑠璃子に言った</p><p>でもお兄様も、叫んでいらっしゃいましたわ最後の方で</p><p>それはマナに合わせただけだよ</p><p>とりあえず、そう言ってみる</p><p>というか苦しい</p><p>息が</p><p>オレは、ごろんとシャワールームの床に転がる</p><p>ちょっと、休ませてくれ</p><p>やっぱり連続５回は、厳しいぞ</p><p>何を叫んでもいいんだよっ思ったこと、心に浮かんだこと何でもかんでも、大きな声で叫んでいいんだよっ</p><p>マナがゆっくりと身体を起こして、瑠璃子に振り向く</p><p>湧き上がった感情のままにですか</p><p>うん全部、思いっきり吐き出していいんだよっううん吐き出さないといけないのっ大丈夫だよどんなことだって、全部、お兄ちゃんは受けとめてくれるもんっだから、あたしたちは自分の心に正直になっちゃわないといけないんだよっ</p><p>マナは瑠璃子に微笑む</p><p>それがあたしたちのセックスなんだもんっ</p><p>明日は、さすがにワンクッション、置きます</p><p>アニエスの部屋の方へ移動します</p><p>ジッちゃんの秘書の調教ですが</p><p>感想欄の方で、ご要望が多いのですが</p><p>残念ながら、そっちまでは書いている余裕がありません</p><p>申し訳ないのですが</p><p>いや、秘書さんについて、詳細に書きすぎると今後もストーリーに出さないといけなくなりますし</p><p>割愛させて下さい</p><p>何より、この作品は吉田くんの１人称なので</p><p>調教場面を描写するためにはそっちへ移動するか、モニターで観ることになります</p><p>そうするとストーリーの展開が、遅れます</p><p>タイムスケジュールに影響が出ます</p><p>今は、アニエス、イーディ、麗華のストーリーを進めないといけませんし</p><p>渚もしばらくご無沙汰なので</p><p>（関さんは、番外編に廻します美子さんもこの日はもう、心の変化は起こらないと思いますので、翌日以降まで進展はありません）</p><p>ちょっと入りきらないですね</p><p>ジッちゃんと克子姉と寧と秘書さんの調教部屋</p><p>美子さんとみすず、メグの応接室</p><p>アニエス、麗華、イーディ、渚、真緒ちゃん、美智に吉田くん、マナ、瑠璃子の加わる地下室</p><p>お屋敷の中は、現在、三つの部屋に別れて、同時進行でドラマが続いていきますが</p><p>私たちには吉田くんの体験しか、見えませんので</p><p>申し訳ありませんがご了承下さい</p><p>425．ルリとミチ</p><p>はぁはぁ、はぁ</p><p>ああまだ心臓がドクドクいっている</p><p>汗が引かない</p><p>オレは、シャワー室の床に、ゴロンと横になったまま天井を見上げている</p><p>お兄様、大丈夫ですか</p><p>心配そうに、瑠璃子がオレを覗き込む</p><p>ああ、下から見上げても瑠璃子は、可愛い美少女だ</p><p>ツンとした発達途中のおっぱいが眼の前にある</p><p>首を少し上げて、桜色の乳首をペロッと舐めてやりたい気分だけれど</p><p>今は、身動きが取れない</p><p>大丈夫もう少しすれば</p><p>少しずつ呼吸を整える</p><p>お兄ちゃんとっても、良かったよ</p><p>マナの方は、ニッコリ微笑んでオレの頬にキスする</p><p>オレの額の汗の玉を、ペロッと舐めた</p><p>マナの細い裸体も、全身、汗でテラテラと光っている</p><p>克子お姉ちゃんに教わったのセックスの後は、感謝の気持ちを込めて、良かったよって言ってあげるのが礼儀だって</p><p>無邪気に、１４歳の少女は笑う</p><p>あのそういうことを言うのは、男が女に対してじゃないのか</p><p>というか克子姉は、マナに何てことを話しているんだ</p><p>まあ、マナは白坂舞夏時代から、克子姉のことを格好いい大人の女性として崇拝していたから</p><p>何でもかんでも、克子姉に意見を聞いているんだろうけど</p><p>瑠璃子が、マナの言葉に反応する</p><p>お兄様わたくしも、とっても良かったですわ</p><p>マナの真似をして、オレの頬にチュッとキスする</p><p>ああ、瑠璃子の弾力のあるおっぱいが、オレの胸をツンツンする</p><p>いや瑠璃子は、まだ痛いだけだろう</p><p>処女破瓜をしてそのまま、４回のセックス</p><p>処女膜が裂け、無理に拡げられた膣内は腫れている</p><p>今の瑠璃子は、まだセックスの快感を知るところまでは、到達していない</p><p>でも幸せですわたくし</p><p>瑠璃子は自分の下腹部を触る</p><p>ここに、お兄様を受け入れてうふふっ、今もお兄様が入っているみたいな感じなんです</p><p>痛むのか</p><p>痛いというより、温かいです</p><p>そりゃ、そうだよお兄ちゃんの精液が、いっぱい入っているんだからさっ</p><p>マナも自分のお腹を触る</p><p>マナも、お腹いっぱいとっても、幸せな気持ちだよっ</p><p>マナは微笑む</p><p>わたくしみすずお姉様や、美智様のセックスを拝見してから自分自身の身体で、セックスを体験し今また、マナさんのセックスを拝見致しましたこうやって段階を経てみますと、色々なことが判って参ります良い勉強をさせていただきました</p><p>瑠璃子は、マナに言う</p><p>本当に、セックスというのは人間の営みなのでございますねこういうことをする様にわたくしの身体は、できていたのだと理解致しました</p><p>うんあたしもルリお姉ちゃんも、お兄ちゃんにセックスしてもらうために生まれてきたんだよっこういう運命だったんだよっ神様に感謝だねっ</p><p>それでいいのかお前たち</p><p>セックスしていただいたことでお兄様との間に、親族以上の絆が結ばれたように思います</p><p>当たり前だよあたしたち、お兄ちゃんの赤ちゃんを産むんだからっ</p><p>ええ楽しみですわわたくし</p><p>瑠璃子は微笑む</p><p>あっ、そうだルリお姉ちゃんお兄ちゃんとセックスしていることは、よその人には内緒にしないとダメだよ</p><p>どうしてですわたくしは、お兄様のセックス奴隷にしていただいたのですし人様がお尋ねになられたら、胸を張ってお答えするつもりでしたのに</p><p>おい瑠璃子</p><p>あのね、ルリお姉ちゃんセックスっていうのはね、人間の根源的な営みの一つなんだよだから、家族以外の人には、話しちゃいけないのっそういうものなんだからねっ</p><p>マナが告げる</p><p>そう食事とか、睡眠とか、排泄とかと同じで、人間が生きていく上で絶対に必要なものごとなんだよいっぱい愛して貰った結果が、赤ちゃんになるんだから</p><p>それは判りますが大切なことならばこそ人様と会話すべき事柄なのではないのでしょうか</p><p>瑠璃子はマナにそう言う</p><p>だからさお姉ちゃん、他所の人に昨日、おトイレに行った回数のこととか、話さないでしょ自分が出したウンチが、どれだけ大きかったかとか</p><p>いや、排泄のこととかは、一番極端な例だけれど昨日食べたご飯の内容とか、睡眠時間がどれくらいだったのかとかそういうことだって、そんなに親しくない人には話さないでしょ自分が今まで掛かった病気とかさ</p><p>それはそうですね</p><p>セックスっていうのはそういう、もの凄ーくプライベートなことの一つなんだよよその人には、絶対に話すべきじゃないんだよ話して良いのは、家族とお医者さんぐらいじゃないかな</p><p>マナは、笑顔でそう言う</p><p>それにセックスは、お兄ちゃんと２人ですることだからお兄ちゃんのプライベートだって、大切にしてあげないといけないでしょ</p><p>確かにマナさんのおっしゃる通りですわね</p><p>うんだからよその人には、セックスのことは絶対に話しちゃダメだよルリお姉ちゃんは今まで通りセックスのことなんて何も知りませんて顔をしてなくちゃ</p><p>そこまでしないといけませんか</p><p>あのね礼儀正しい人たちは、みんなそうしているのっルリお姉ちゃんの学校のお友達を思い出してみてよ多分、ルリお姉ちゃんのクラスの子たちだって、もうセックスしている子は何人もいると思うよ</p><p>瑠璃子の学校は日本一のお嬢様校だ</p><p>しかも、中学生</p><p>セックス経験者は、そうはいないと思うけれど</p><p>ルリお姉ちゃんだけが、特別に他の子たちより早くセックスしているとかそんなわけないってば</p><p>瑠璃子は、半信半疑だ</p><p>ほらお姉ちゃんの学校の子は、みんな名家の人たちだから許婚のいる人だって多いでしょう</p><p>瑠璃子の従姉みすずが、そうだったんだし</p><p>他にも思い当たる子が居るらしい</p><p>そういう子たちは、もうセックスしているよ相手が決まっているんだもんっもう、愛し合っているのに決まってるじゃんかっ</p><p>ルリお姉ちゃんは、これから毎日お兄ちゃんが望むだけ、セックスするんだよ相手が決まっている女の子だったら、ルリお姉ちゃんと同じくらいセックスする子もいるって思わない</p><p>マナの理論に瑠璃子は騙される</p><p>確かにそうかもしれないですわ</p><p>でも、みんな毎日、セックスしているような素振りは見せないでしょ</p><p>うん、まあ相手がいなくて、セックスしていない子も居るからねだから、学校とかルリお姉ちゃんの場合は、日舞の教室もそうだけれどそういうお友達の前では、絶対にセックスのことは話しちゃダメみんな、話さないようにしているんだから</p><p>瑠璃子はオレの方を見る</p><p>うん、オレもそうした方が良いと思うセックスのことは、本当にオレと瑠璃子のプライベートなことだから誰にも話すな</p><p>よしこれで、口封じはできた</p><p>お兄ちゃん、苦しいの治まった</p><p>ああ、マナと瑠璃子の話を聞いている間に脈も元に戻った</p><p>汗も、もう出ていない</p><p>うん、もう大丈夫だ</p><p>はい、起こしてあげる</p><p>マナが、オレに手を差しのばす</p><p>オレはその手を掴んで起き上がる</p><p>お兄ちゃんギュッとして</p><p>ここは、マナの頭を撫で撫でしてくれるところだと思うよ</p><p>うふふっお兄ちゃん、大好きっ</p><p>そして、マナは瑠璃子に</p><p>そうだっルリお姉ちゃん、お兄ちゃんに髪の毛を洗ってもらおうよっ</p><p>そしてあたしたちが、お兄ちゃんの髪の毛を洗ってあげるのっ</p><p>はいそうしましょうマナさん</p><p>瑠璃子も、ニッコリとマナに微笑む</p><p>さて洗髪合戦が終わって</p><p>身体も、全て綺麗になった</p><p>バスタオルと新しいバスローブはあ、ここにあった克子お姉ちゃんの言ってた通りだ</p><p>マナが、かいがいしくオレたちのタオルとバスローブも出してくれる</p><p>瑠璃子は何とか中腰にはなれるが、腰が痛むようだ</p><p>無理しなくて良いから</p><p>オレとマナで、床に座ったままの瑠璃子を拭いてやる</p><p>オレの身体はマナがマナの身体は、オレが拭いてやった</p><p>マナが裸のままオレに抱きつく</p><p>身体が濡れている時と、また肌触りが違うでしょう</p><p>マナは、裸身をオレに擦り付ける</p><p>１４歳の肉体弾力のあるまだ少し固い乳房</p><p>おい、早くバスローブを着ろよ</p><p>なーに勃っちゃいそういいよマナは何度でも</p><p>いや、今シャワーを浴びたばかりだぞ</p><p>このまま６ラウンド目に突入したら一生、アニエスたちの部屋に戻れなくなる</p><p>とにかく向こうの部屋に行かないとさ</p><p>オレにはマナが着せてくれた</p><p>さてまた抱っこして運ぶしかないな</p><p>いえ、大丈夫ですわ自分で立って、歩きます</p><p>ルリお姉ちゃん、無理しないの平気だよお兄ちゃんに甘えちゃいなよっ</p><p>そうだぞ、瑠璃子</p><p>今日は、ルリお姉ちゃんの処女喪失記念日なんだからさっ</p><p>瑠璃子は、頬を赤らめて</p><p>それでは甘えさせていただきますわ</p><p>オレは瑠璃子をまた、お姫様抱っこで持ち上げる</p><p>お兄ちゃん今度それ、マナにもしてね</p><p>えっとマナなら軽そうだから、いいか</p><p>ああ、いいぞ</p><p>うふふ約束だからね</p><p>そのまま廊下に出る</p><p>地下室までの道程はうん、オッケーだ</p><p>オレは、進む</p><p>瑠璃子寒くないか</p><p>オレは、抱き上げている少女に尋ねた</p><p>ああ瑠璃子の服も買いにいかないといけないよなこのまま、ずっとこの屋敷で暮らすんだから学校や撫子先生の教室にも、ここから通うんだぞ</p><p>瑠璃子は、不意に涙を零す</p><p>わたくしこんなに、幸せでいいのでしょうか</p><p>瑠璃子がオレを見上げている</p><p>いいんだよっ、ルリお姉ちゃんそれにまだまだこんなもんじゃないよっあたしたちは、もっともっと幸せになるんだからっ</p><p>こんな幸福な気持ちを美子様にも、感じて欲しいですわ</p><p>ああ瑠璃子は</p><p>美子さんのことが、心配なんだな</p><p>そのことはまた、様子を見て考えよう</p><p>今日のところはどうすることもできない</p><p>美子さんはオレたちの家族ではないし</p><p>ジッちゃんだって孫娘の最後の１人まで、黒い森に託すのはマズイと思っているだろう</p><p>みすずとメグが話し相手になっている大丈夫だよ</p><p>アニエスの地下室へ戻ると</p><p>部屋の中は、シンと静まり返っていた</p><p>いや、別に人がいないわけではない</p><p>渚、真緒ちゃん、アニエス、麗華</p><p>ちゃんとみんな、そこに居た</p><p>しゅぅぅ</p><p>美智とイーディが向かい合って</p><p>同じポーズで、ゆっくりと動いていく</p><p>工藤流古武術奥義心月の稽古か</p><p>渚たちは黙って、２人の様子を見守っている</p><p>あ真緒ちゃんは、もう寝ちゃっているみたいだけど</p><p>しゅわぁぁ</p><p>同時に息を吸い息を吐く</p><p>呼吸を合わせ鼓動を合わす</p><p>それが心月に入り込むための最初の動作だ</p><p>２人はすっかり集中してお互いに見つめ合っている</p><p>オレは瑠璃子をエアマットの上に寝かせた</p><p>オレも、隣に座る</p><p>マナは、オレにくっついて床に体育座りで座った</p><p>しゅるるるるる</p><p>すさぁぁ</p><p>あ始まる</p><p>美智と、心をリンクしたことのあるオレには判る</p><p>２人同時に加速するッ</p><p>まるで鏡に映っている様に</p><p>まったく同じ動作で次々に、素早いアクションを続ける</p><p>二つの心が重なっている</p><p>宙を蹴る突く</p><p>これは武術の型なんだろうか</p><p>身体を捻って連続技を放つ</p><p>日米の２人の少女は武神のごとき、動きを繰り返す</p><p>ここまでは上手くいっている</p><p>不意に、２人の動きがズレる</p><p>美智が遅れる</p><p>いやイーディが、先走ったんだ</p><p>それが証拠に美智はしっかりと立っているが</p><p>イーディは、勢い余って床につんのめる</p><p>そこまで</p><p>低い声で美智が言った</p><p>またハヤりましたね</p><p>ジロッと、イーディを見る</p><p>イーディは、申し訳なさそうに美智を見上げる</p><p>どうして、あなたはセッカチなのです</p><p>美智の怒りを感じてイーディは、震え上がる</p><p>You　Are　Impatient</p><p>ガクガク、ブルブル震えるイーディ</p><p>どうやら、オレたちが来る前も何度も試してみてことごとく、イーディの方が崩れて失敗しているようだ</p><p>もういいです今夜はここまでに致しましょう</p><p>そこまで言うと美智は、イーディを無視してオレに振り向く</p><p>修行の途中でしたので、ご挨拶が遅れましたお帰りなさいませ、ご主人様</p><p>スッと、オレに一礼する</p><p>うん美智</p><p>瑠璃子も無事に、ご主人様のものになったようですね</p><p>はい美智様ありがとうございます</p><p>瑠璃子は、美智に頭を下げる</p><p>これからも、わたくしはあなたのセックス指導係を続けるつもりですが同じ立場になった以上、わたくしに様はいりません</p><p>では、何とお呼び致しましょう</p><p>美智で構いません瑠璃子わたくしたちは、同い年ではありませんか</p><p>本来ならばそんなことは許されない</p><p>瑠璃子は、香月家の令嬢であり美智は、同じく香月家の娘であるみすずの臣下だ</p><p>自分の臣下なら瑠璃子の方が、呼び捨てにすることもあるだろうが</p><p>従妹の臣下なら敬称を付けて呼ばざるを得ない</p><p>だから、かつては瑠璃子は美智を、美智さんと呼んでいた</p><p>それがオレに３０００円で売り払われた後は、香月家の人間ではなくなったことを理由に美智様と呼んでいた</p><p>それは美智を自分とは縁の無い、他人として認知していたからだろう</p><p>ところが今や美智も瑠璃子も、完全にオレの女となった</p><p>こうなった以上はお互いを呼び捨てにするしかない</p><p>それが、美智の考えらしい</p><p>いいえ呼び捨てでは、美智様に失礼に当たると思いますわ</p><p>そんなことは無いと思いますが</p><p>いえわたくしは前に、美子様がわたくしの臣下だと思い込んでいた時分に美子様のことを呼び捨てにさせていただいておりました</p><p>ああ確かに、そうだった</p><p>ですから呼び捨ては、よくありませんよその方に聞かれたら、美智様がわたくしの臣下になられたと勘違いなさるかもしれませんし</p><p>うんそういうこともあるな</p><p>うーんどうしたものか</p><p>美智も、考え込む</p><p>そんなの簡単だよっ</p><p>お互いのこと、仇名で呼べばいいんだよっそれなら、親しくて対等な関係なんだって、みんな判ってくれるよっ</p><p>美智が、マナを見る</p><p>うんそれは良い考えだと思うマナ妹(イモウト)</p><p>美智その変な呼び方、まだしていたのか</p><p>わたくしのことはミッチィと呼んでいただきたい</p><p>はいあ、でもわたくしは、今まで仇名で呼ばれたことなどありませんから</p><p>瑠璃子は、困った顔をする</p><p>瑠璃子のことはルリルリあるいは、ルリタン、もしくはルリータ男爵と呼ぶことにするどれが、よろしいか</p><p>しかし、美智</p><p>お前、どうして対等の立場の人間と喋ると話し方の武士化が進行するんだ</p><p>ではルリルリで</p><p>うむ早速、練習してみようルリルリ</p><p>ルリルリ</p><p>２人ともどうして、そこまで真剣な顔で見つめ合っている</p><p>美智も瑠璃子も、どっちも底抜けに真面目な性格なんだ</p><p>ある意味似たもの同士だ</p><p>だからこんな大真面目なコントになる</p><p>しばらくすれば慣れるだろう</p><p>頼むから真顔でやらないでくれ</p><p>あのよろしいかしら２人とも</p><p>渚が声を掛ける</p><p>疲れてるでしょ、あなたみんなで、お茶にしない</p><p>ああ、そうしてくれよ</p><p>正直喉が渇いているし</p><p>甘い物も食べたい</p><p>はーい、じゃあ、みんな手伝って</p><p>渚の声でみんな動き出す</p><p>紅茶にハチミツを入れてあげる</p><p>渚は判っている</p><p>ああ、身体にエネルギーが補充される</p><p>随分、消耗していたものな</p><p>ご主人様わたくしは今、ネコですネコになってしまいました</p><p>美智が、オレにじゃれついてくる</p><p>って美智は、どっちかと言ったらイヌだろう</p><p>オレは、美智ほどのイヌ型人間を他に知らない</p><p>ネコなのですにゃあ</p><p>オレの膝に頭を乗せてくる</p><p>可愛いことは、素直に認める</p><p>美智が、お茶を飲んでいる瑠璃子を見上げる</p><p>はい、何でしょうミッチィ</p><p>うらやましいですか</p><p>間</p><p>では、ルリルリもネコになったらどうです</p><p>お兄様にゃあ</p><p>瑠璃子も、オレの肩に寄り添って来る</p><p>ちくしょう可愛いじゃねぇか</p><p>お兄ちゃんマナだにゃぁーん</p><p>マナまでネコ化する</p><p>オレの足をペロペロ舐めた</p><p>克子なら、当たり前に参戦するんだろうけれどあたしには無理だわ</p><p>渚は、ズズズとお茶を飲む</p><p>アニエスと麗華は困った顔をして、こっちを見ている</p><p>イーディはまだ震えていた</p><p>ところで、ルリルリご主人様には、何回していただきました</p><p>４回ですわ、ミッチィ</p><p>初めてなのに</p><p>はいそれで腰が抜けてしまいました</p><p>では、今夜はもう</p><p>はい、わたくしは、また明日ですわ</p><p>それなら、いいのです</p><p>この中３同士の会話は</p><p>うふふふっ２人とも仲良くなれそうね</p><p>仲良くも何もルリルリとは、もう仲良しです</p><p>ええその通りですわねミッチィ</p><p>こいつらは元々友達を作るのが苦手な子だったっけ</p><p>わたくしは、ご主人様の玩具でルリルリは、セックス奴隷一番近い関係でございますから</p><p>そうです仲良くしないといけませんもの</p><p>えマナだって、お兄ちゃんのセックス奴隷だよ</p><p>そう言うマナに美智は</p><p>マナはわたくしたちの妹です大切に慈しみ、愛する対象です</p><p>わたくしはマナさんは、セックス奴隷の先輩だと思っています色々と教えていただいておりますし</p><p>そうですねルリルリにとっては、その方が良いと思います</p><p>結局のところ仲がいいのか悪いのか、よく判らん</p><p>ところで、美智さっきのミス・イーディとの練習のことだけど</p><p>オレは話を変える</p><p>はい、ある程度までは上手く行くのですがどうしても、彼女の方が先走るのですそれで心のリンクが壊れてしまうのです</p><p>美智は、うなだれているイーディを見る</p><p>正直、彼女の方がわたくしよりも、筋力や俊敏性では勝っていますしかし、イーディは心に落ち着きがありません何かと、すぐに前に行こうとしてしまうセッカチなんですそれで周りの気を感じることを忘れてしまうのです</p><p>ああホテルでの戦い振りを思い出したよこの子、猪突猛進なんだよな気持ちが逸ると、相手に向かって真っ直ぐに突撃するから</p><p>それで相手に動きを読まれる</p><p>もう少し、心を抑えて引いた視線で、状況を俯瞰できればいいのに</p><p>ご主人様のご批評は、的確だと思います今、本人に伝えます</p><p>美智は、英語でイーディに言う</p><p>イーディは驚いてオレを見てそしてまた、落ち込む</p><p>武人でないご主人様にまで、自分の欠点を見抜かれたことがショックの様ですどうやら、今日の昼間、恭子様たちに相当搾られたようですから</p><p>ああ、イーディは今日の昼間は、恭子さんやミス・コーデリアたちと暴力団事務所の襲撃に行った</p><p>その時も先走った行動をして、怒られたんだろう</p><p>ミス・イーディが何か言う</p><p>ミッチィが自分よりも年下なのに、どうしてそんなにどっしりと落ち着いているのか不思議だとおっしゃってますわ</p><p>瑠璃子が、通訳してくれた</p><p>美智がイーディに答える</p><p>イーディが、非常なショックを受けた顔でオレを見る</p><p>美智は何て答えたんだ</p><p>はいわたくしはご主人様に、何度もセックスしていただくことで心の平穏を身に付けることができるようになりましたあなたも、落ち着きたいのならわたくしのご主人様とセックスするべきだと、申しました</p><p>ああ、それは良い考えかもしれませんね、ミッチィ</p><p>えー、イーディさんの場合はお兄ちゃんと１００回ぐらいしないと、落ち着かないんじゃないかなあ</p><p>ぐりとぐらみたいな</p><p>瑠璃子とマナというコンビから</p><p>今度は、瑠璃子と美智</p><p>少しずつ人間関係が化学反応を起こしていきます</p><p>426．パパと呼ばないで　／　お兄ちゃまへ</p><p>ということですのでご主人様、お願い致します</p><p>と、美智がオレに襲いかかってくる</p><p>オレのバスローブの仲に、白い指先を潜り込まそうとするが</p><p>ちょっとちょっと待て、美智</p><p>待てません性教育のお時間ですっわたくしが、お手本とならなくてはなりませんっ</p><p>美智の手が、バスローブの胸元を開く</p><p>そりゃ、確かにアニエスにはセックスを見せないといけない</p><p>それは、最初からの予定だったけれど</p><p>ダメだっての真緒ちゃんが居るだろ</p><p>幼女の前で、セックスはできない</p><p>寝ています</p><p>起きちゃうだろ</p><p>静かに致せば、問題はありませんっ</p><p>だから、暴れるなって</p><p>ご無礼致しますっ</p><p>おいっ美智</p><p>美智は小柄で、見た目は華奢で人形みたいに可愛いのに</p><p>オレよりも力がある</p><p>何より、素早い</p><p>ていうかオレは、セックスの連戦したばかりで、体力が消耗している</p><p>あっという間に、美智に裸に剥かれて、組み敷かれてしまった</p><p>さあ、お覚悟下さいませご主人様</p><p>美智はスカートに手を入れて、パンティを脱ぐ</p><p>いつも、無表情のクールガールなくせに</p><p>こういう時だけ、眼がキラーンと輝いている</p><p>はい、そこまで</p><p>渚が美智の首根っこを捕まえる</p><p>お放し下さいませ</p><p>ダメよいい加減になさい</p><p>いつも穏やかな渚が美智を叱る</p><p>まだお茶を飲んでいる途中でしょちゃんと休ませてあげないと可哀想だとは思わないの</p><p>美智の力が弱まる</p><p>嬉しくて浮き浮きしているのは判るけれど自重しなさい</p><p>あなたが、そんなに頑張る必要はないでしょ今は</p><p>メッと、渚は美智を睨む</p><p>ああやっぱりそうなんだ</p><p>美智は、ずっと同年代の女の子たちとは仲良くできなかったから</p><p>瑠璃子やマナが、自分の姉妹になったことが嬉しいし</p><p>イーディという、一緒に武術を鍛錬できる友達ができたことも嬉しいんだ</p><p>確かに度が過ぎておりました申し訳ございません</p><p>美智はショボーンとなる</p><p>少しぐらい、自分が他の子よりも進んでいるからってみんなの先生気取りは、よくないわよあたしたちから見たら、美智さんだって、まだまだ子供なんだから</p><p>大人として渚は叱る</p><p>美智はマナに対しては、一つ年上の姉であり</p><p>瑠璃子に対しては、オレの女としての先輩であり</p><p>イーディに対しては、先に心月をマスターした先達だ</p><p>中学生シスターズの中では自分こそが、先頭に立ってみんなを導く存在だと感じていたのだろう</p><p>だからちょっとばかし、いい気になっていた</p><p>大変、お見苦しい姿をお見せ致しました猛省致します</p><p>美智が、オレに頭を下げる</p><p>あ、落ち込んでるまずいな</p><p>このままだと、1人で外へ行って一晩中、反省のために腕立て伏せとかやりねない</p><p>一々、やることが極端なんだよな美智は</p><p>ほら、美智来い</p><p>オレは、裸のまま美智を抱き締める</p><p>後でまたしてやるから今は、ちょっと休ませてくれ</p><p>だから、しばらくお前は、オレの抱き枕な</p><p>美智が、恥ずかしそうにオレに答えた</p><p>ご主人様あったかいです</p><p>うん、よしよし美智は可愛いぞ</p><p>と、美智はきゅうううーんと、子犬の様に身体を震わせる</p><p>セックスよりもいいだろ</p><p>セックスもいいですが抱き枕にしていただくのも、大変気持ちいいです</p><p>そんな美智を見てマナが</p><p>もう、美智お姉ちゃん、いいなあほら、イーディちゃんが呆れているよ</p><p>イーディは呆れるというよりぽかーんと、大口を開けてこっちを見ていた</p><p>さっきまで武術の稽古で凛々しい姿を見せていた美智がオレの腕に抱かれて、デレデレしているのに驚いているようだ</p><p>彼女にはいきなり、あなたと美智さんのセックスを見せるより、この方が効いていると思うわ</p><p>美智さんが、信頼しきっているご主人様だものね</p><p>ああ結果的には、これで良かったんだな</p><p>そら、マナもこっちに来いよ瑠璃子も手を伸ばせ</p><p>瑠璃子は、腰が痛くて動けないから手だけ繋ぐ</p><p>マナは、オレの背中側に引っ付く</p><p>オレの裸の首筋にキスして</p><p>お兄ちゃんの背中好き</p><p>お兄様の手あったかいです</p><p>中学生シスターズは、オレを介して接触し合っている</p><p>３人で、仲良くしろ誰がリーダーとか無いからなマナが年下だからって、オレの女になったのはマナの方が先だし、オレとのセックスの回数だって多い</p><p>瑠璃子だってお前とは違う魅力のある女の子だいいか誰が先とか、誰が後だとか、誰に力があって、誰には無いとかそういうことは考えるなお前たちは、みんなそれぞれ別の魅力と美しさを持っている女の子だオレは、そう思うオレは３人とも大好きだ</p><p>ぽろりと美智の眼から、涙が零れる</p><p>美智お姉ちゃんマナも美智お姉ちゃんのこと、大好きだよっできの悪い妹だけれど、これからずっと仲良くしてねっ</p><p>わたくしも世間知らずな女ですから、ミッチィに助けていただくことになると思いますどうか、よろしくお願い致します</p><p>瑠璃子も美智にそう言う</p><p>わたくしは生意気でしたごめんなさいどうか、仲良くして下さいっ</p><p>ほら、泣くな美智</p><p>オレは美智に頬擦りしてギュッと抱き締めてやる</p><p>ご主人様ぁぁ</p><p>こんなに泣く抱き枕は無いぞ美智</p><p>申し訳ございません申し訳ございません</p><p>泣かないでよ、美智お姉ちゃん</p><p>ミッチィ大丈夫ですからね</p><p>うん、これでこの３人はさらに仲良くなる</p><p>オレは、そう確信した</p><p>うん、さすがね</p><p>渚がそんなオレたちを見て、言った</p><p>それじゃあ、その３人はもうオッケーということでこっちの２人を紹介するわね</p><p>こっちの２人って</p><p>渚はアニエスと麗華を、オレたちの方に連れて来る</p><p>はい、アニエスちゃんご挨拶なさい</p><p>穏やかに優しく渚は言う</p><p>アニエスは、緊張してモジモジしている</p><p>さっき話した通りあたしたちは、みぃーんなこのお兄さんの家族なんだからアニエスちゃんも家族にならないとみんな、もうアニエスちゃんに会いに来なくなっちゃうわよ</p><p>昨日、今日とアニエスのこの監禁部屋に、オレたちが押し掛けて</p><p>最初は、ただ警戒しているだけだったけれど</p><p>今日のアニエスはもう、真緒ちゃんを始めとして何人もの人たちに心を開くようになってきている</p><p>真緒ちゃん、マナ、瑠璃子、克子姉そして、渚</p><p>イーディと美智は、よく判らないけれど敵でないことは、もう理解してくれているだろう</p><p>特に渚は母性が強いから、アニエスの心を掴んだみたいだ</p><p>いよいよアニエスをオレと結びつけようというのか</p><p>渚だって、ミナホ姉さんの薫陶を受けている女だ</p><p>目的のためには手段を選ばないしタイミングを逃さない</p><p>こんにちは、アニエスちゃん</p><p>だから、オレも</p><p>先にオレから、アニエスに声をかける</p><p>こ、こんにちわですの</p><p>アニエスは、恥ずかしそうにうつむいて言った</p><p>それではダメよちゃんとお兄ちゃんの眼を見て、ご挨拶なさい真緒は、いつもちゃんとしているわよ</p><p>真緒ちゃんのママという立場を、渚は最大限に利用する</p><p>はいわたし、アニエスですのこんにちわ</p><p>アニエスは、上目遣いでオレを見てご挨拶してくれた</p><p>はい、よくできたわねっ</p><p>渚が笑顔でアニエスを抱き締める</p><p>アニエスの頭を撫で撫でしてあげる</p><p>アニエスは、とっても嬉しそうだ</p><p>ああこういう、母的な存在に、アニエスは飢えているんだな</p><p>思わずオレも真似して、美智の頭を撫で撫でする</p><p>うん可愛いね、アニエスちゃんは</p><p>日本人と白人のハーフで乳白色の金髪が美しい目の色は、濃いブルー</p><p>１２歳のアニエスは、天使の様に美しい</p><p>ほら、可愛いですってアニエスちゃん、パパにありがとうって言わなきゃ</p><p>渚が、アニエスを抱き締めて言う</p><p>パパ</p><p>真緒のお姉ちゃんになってくれるんでしょ真緒が、アニエスちゃんに何度もお願いしていたものね</p><p>うんアニエス、真緒ちゃんのお姉ちゃんになりますの約束しましたの</p><p>だったら真緒のパパは、アニエスちゃんのパパでしょ</p><p>白坂創介から、アニエスを奪うということはそういうことなんだ</p><p>あたしがママでこの人が、アニエスちゃんの本当のパパなのよ</p><p>うんオレがパパだパパになるよアニエス</p><p>アニエスの心はずっと渇いたままだった</p><p>生まれてからずっと、この地下室に監禁されていたアニエスは</p><p>食事係の人間としか接触せず</p><p>友達も家族も居らずただ、白坂創介への崇拝だけを求められていた</p><p>その白坂創介だってたまにアニエスに会いに来るだけだ</p><p>そこへオレたちが乱入した</p><p>真緒ちゃんが、アニエスの心に最初の潤いを与えた</p><p>こうなってしまったらアニエスの心は、もう止まらない</p><p>渇いた砂漠に、雨が染み込むように</p><p>潤いを求めて心が加速する</p><p>はいパパありがとうですのパパ</p><p>アニエスの顔は、まだ強ばっている</p><p>オレは、アニエスに手を伸ばす</p><p>怖くないわ、怖くないからね</p><p>渚に抱き締められているからアニエスは、動けない</p><p>オレはアニエスの頭を撫でてやる</p><p>よしよし、可愛いよアニエス</p><p>頭からほっぺたを撫でる</p><p>うん、１２歳の肌はぷるぷるしている</p><p>アニエスは、不思議そうにオレを見ていた</p><p>オレがアニエスのパパだ</p><p>そうなんですの</p><p>そうよ、アニエスちゃん</p><p>渚が、肯定する</p><p>はふっと、アニエスが息を吐く</p><p>明日朝になったら、この部屋から出よういいね、アニエス</p><p>オレはアニエスに言った</p><p>アニエスは、ショックを受けている</p><p>それはダメですのいけないですのパパンが</p><p>アニエスのパパは、オレだよ</p><p>オレは、アニエスの頬に触れたまままっすぐに、アニエスの眼を見て言った</p><p>だから何も心配することは無いんだ</p><p>そうよパパとママが守ってあげるからね</p><p>渚も、アニエスをギュッと抱き締める</p><p>わたしは</p><p>アニエスは混乱している</p><p>彼女の中の常識では白坂創介が神で神の命として、アニエスはこの部屋からは出られないことになっている</p><p>大丈夫だよっあたしも、一緒に行ってあげるから</p><p>わたくしも付いて行ってあげますアニエスさん</p><p>瑠璃子も微笑む</p><p>おそらく、わたくしも</p><p>美智がそう言うのはみすずの警護人としての使命があるからだろう</p><p>２人とも、今夜はここに泊まることになっているが</p><p>明日の朝、何時に帰宅するのかまだ決まっていない</p><p>アニエスの儀式には、なるべくたくさんの家族が立ち会って欲しいから</p><p>部屋から出るのは、早い時間の方がいいな</p><p>大丈夫だ全部、上手くいくオレたちが、アニエスに付いているんだからな</p><p>オレは、アニエスにそう告げた</p><p>アニエスは、まだ不安そうな顔をしている</p><p>今は、ここまでだな</p><p>はーい、じゃあアニエスのご挨拶は終了ね続いて、レイちゃんでーす</p><p>麗華は別に</p><p>今さら挨拶してくれなくてももう、よく知っているけれど</p><p>はい、レイちゃん前に来て</p><p>麗華はピンクのメイド服のまんまだ</p><p>メイド服といっても本物でなく、コスプレ用の衣装なんだろう</p><p>ちょっとスカートが短い</p><p>いや麗華が長身過ぎるんだな</p><p>スリムだから、ウエストは入っているけれど丈が足りていない</p><p>麗華がオレに言う</p><p>真っ赤な顔で</p><p>どうしたんだ麗華</p><p>オレが尋ねると麗華は</p><p>あ、主様あの</p><p>主様じゃないでしょレイちゃん</p><p>渚がジロッと麗華を見る</p><p>さっさとキメちゃいなさいそしたら、心も軽くなるわよ</p><p>麗華がオレを見る</p><p>あのお兄ちゃま</p><p>ちゃま</p><p>わわたくしのお兄ちゃまになって下さい</p><p>麗華ってオレよりも５歳以上年上のはずだよな</p><p>さっきねレイちゃんとね、いっぱいお話ししたの徹底的にカウンセリングしたわ</p><p>で結論を言うとねレイちゃん、小さいときからずっと、お兄さんが欲しかったんだってだから、あなたレイちゃんのお兄さんになってね</p><p>レイちゃん、庇護してくれる存在がずっといなかったから男装の麗人というキャラクターを作って、自分で自分を庇護していたのよでも、よくないでしょそういうのってレイちゃんも、女の子なんですものちゃんと守ってくれる男の子が必要だわ</p><p>渚は、微笑む</p><p>いやその理屈は、判ったけれど何でお兄ちゃま</p><p>別に兄でなくたっていいだろう</p><p>弟に頼ってくれたって、いいんだし</p><p>しかもちゃまって</p><p>それは仕方無いのよレイちゃん幼児期から、やり直さないとダメみたいだから昼間は、お仕事があるからダメだけれど夜の時間は、幼児言葉で喋って貰うわそこまでして、今の麗人キャラを壊さないとレイちゃん、直らないと思うわ</p><p>ああ永年、男装の麗人を演じてきたから</p><p>身体に染みついちゃっているんだな</p><p>自分のことは、レイちゃんこの人のことはお兄ちゃままずは、それから徹底して貰うわ</p><p>しかし、あの</p><p>麗華は戸惑っている</p><p>あのさ、レイちゃんよーく考えてみてねレイちゃん、今のあなたは確かに、英国スーツの男装の麗人が似合っているわよ格好いいと思うわ</p><p>だけどさこのキャラ、いつまで続けるわけ</p><p>４０歳、５０歳を過ぎても紳士服で通すそんなことしてたら、元気やる気＊＊＊の人みたいになっちゃうわよ</p><p>オレには、何とも言えない</p><p>今の内にちゃーんと矯正しましょう</p><p>でもちゃまとか幼児言葉は</p><p>その恥ずかしさを克服することが大事なんですっ</p><p>渚は、きっぱりと言い切る</p><p>大丈夫よさっき、真緒とアニエスちゃんと、ずっと話していたじゃないなるべく、真緒の話し方を真似するようにしてすっごく、上手だったわよ</p><p>そんなことを始めていたんだ</p><p>さあ、さっきの感じを思い出してご挨拶して、ほらっ、レイちゃん</p><p>麗華はハァと溜息を吐き</p><p>こんにちわ、あたし、レイちゃんよろしくね、お兄ちゃま</p><p>半分涙目でそう言った</p><p>レイちゃんの方が、ちょっと年長さんだけどお兄ちゃま、可愛がってくださいっ</p><p>オレはそんな麗華に微笑み</p><p>うん、麗華オレの方こそ、年下だけれど麗華のお兄ちゃんを頑張るよよろしく頼むな</p><p>麗華はハッとしたまま、オレを見ている</p><p>ほら彼は笑わないでしょこういう人なのあたしたちの彼は真剣に、レイちゃんの申し出を受けとめてくれたわよ</p><p>渚が、胸を張って言う</p><p>ご主人様レイちゃんを抱き締めてあげて下さいませ</p><p>美智が、ササッとオレから離れる</p><p>ああ、麗華おいで</p><p>オレは麗華を招く</p><p>レイちゃん幼児言葉</p><p>あのお兄ちゃま、ハダカンボなんだもんっ</p><p>ああ、ごめんそうだった</p><p>さっき、美智に脱がされたままだっけ</p><p>何かもう、家族の前だと、裸でも全然平気になってきた</p><p>オレは、慌ててバスローブを着る</p><p>よし、麗華来い</p><p>麗華が、おずおずとオレに寄って来る</p><p>オレは、抱き締める</p><p>ああ、身体に力が入りまくっているな</p><p>麗華力を抜け</p><p>でもお兄ちゃま</p><p>いいから、大きく深呼吸するんだ</p><p>怖くないだろ</p><p>怖い怖いです、お兄ちゃま</p><p>武人であることを忘れた麗華は</p><p>全然、男性と接触してこなかったまま、成人した１人の女だ</p><p>男に対しては、潜在的な恐怖感があるんだろう</p><p>レイちゃんご主人様の命を感じなさい</p><p>レイちゃんが、本気になったら一撃で、打ち砕ける命です</p><p>うん、オレなんて</p><p>撲殺ステッキでやられたら即死だ</p><p>麗華、本当は麗華の方がオレより、遥かに強いんだオレを怖がる理由なんて、何もないじゃないか</p><p>オレは微笑む</p><p>お兄ちゃま</p><p>麗華の身体の緊張が和らいでいく</p><p>はかない命だと感じて大切に抱きかかえるのです</p><p>美智の言葉に麗華が、オレを抱き留める</p><p>ああ、お兄ちゃま</p><p>拒絶でも、強制でもない抱擁</p><p>オレたちは、互いの心と命を抱き締め合う</p><p>ね怖くないでしょレイちゃんにとって、お兄ちゃまはとっても大切な存在になるわよっあたしが保証してあげる</p><p>ほらレイちゃん、渚お姉ちゃまにありがとうは</p><p>マナが笑って言った</p><p>え、あたしもお姉ちゃま</p><p>そうだよだって、レイちゃんまだ子供なんだもんっ</p><p>そうね子供でいいのよ、レイちゃん</p><p>渚が優しく、麗華に言う</p><p>いいのかしらレイちゃんどんどん幼児退行していくかもしれない</p><p>麗華は、不安そうにそう呟いた</p><p>大丈夫よちゃんと、あたしたちが見ているし、危険な領域には落とさないから</p><p>だから、どんどん、あたしたちに甘えなさいレイちゃんは、思いっきり子供の心に戻って家族には、甘えてもいいんだからね</p><p>子供の頃から剣道家の祖父の期待に応えようとして、自分を見失ったのが麗華だ</p><p>それが男装の麗人キャラという歪みになってしまった</p><p>これまでの麗華は家族にも友人にも、絶対に心を開かなかった</p><p>ずっと心を閉ざしたままだったから</p><p>それでも外面上はみんなの期待に応えるキャラクターを演じ続けていたから</p><p>いつの間にか自分でも、自分の心が判らなくなってしまった</p><p>心の扉の鍵を見失ってしまった</p><p>だから誰ともチームを組まない、英国心身の撲殺剣士という、困った人間に練り上がってしまった</p><p>子供でいいんだよ麗華</p><p>オレは、そう囁き抱き締める</p><p>うん、お兄ちゃま</p><p>麗華はオレに答えた</p><p>年上の妹というものを思い付いた、Zガンダムは凄い</p><p>ロザミアのお兄ちゃんはティターンズのやつら、頭がおかしいんじゃないかって思うような作戦でした</p><p>つーか、まあカミーユの中の人がひろしお兄ちゃんだったからなわけで</p><p>トミノ監督酷すぎる（褒め言葉として）</p><p>今、気付いたんですけれど日本初のエロアニメのお兄ちゃん声優なんですね</p><p>427．渚のお手本セックス</p><p>さて、じゃあそういうことだからあなた、エッチしましょうか</p><p>と、渚が突然、裸のオレに襲いかかってくる</p><p>おいおいこれじゃあ、さっきの美智と同じじゃないか</p><p>ちょっとちょっと待て、渚</p><p>待てないわっうふふっ性教育のお時間よっあたしが、みんなにセックスの奥深さを教えてあげるわ</p><p>渚の手が、自分の服の胸元を開く</p><p>バボンッと柔らかそうな巨乳が、現れる</p><p>だ、ダメだっての真緒ちゃんが居るだろ</p><p>娘の眼の前で、セックスはできないよな</p><p>大丈夫よ、寝ているわ</p><p>起きないように、上手くやるからっ</p><p>うまくって</p><p>男の子は、ガタガタ言わないのっ</p><p>渚が瑠璃子と美智に、言う</p><p>瑠璃子ちゃんは、この人の右手を掴んでて美智ちゃんは、左手ね</p><p>瑠璃子とは、さっきから手を繋いだままだったからその手がギュッと握られる</p><p>わたくしは、こちらですね</p><p>美智は、オレの左側にゴロンと寝そべり左手を掴む</p><p>オレはエアマットの上に仰向けで、両腕を伸ばしたまま磔にされる</p><p>渚お姉ちゃんマナは</p><p>マナちゃんはアニエスちゃんとレイちゃんが怖がらないように、付いていてあげて</p><p>マナが、2人の間に入る</p><p>はいマナと手を繋ごうっ</p><p>判りましたの</p><p>３人は寄り添い合って、オレの方を見ている</p><p>イーディは、少し離れたところで、オレたちを見ていた</p><p>あえて触れないのか、渚の作戦らしい</p><p>さぁーて、盛り上がってきたわねるんるんっ</p><p>渚は下着姿になる</p><p>淡いブルーのレースの付いた、ゴージャスでセクシーな下着だった</p><p>むーんと、渚の匂いが漂う</p><p>中学生シスターズたちの甘いミルクのような体臭でなくもっと、熟成された女の匂いだ</p><p>いやでも、オレ、もう何度もしたばかりだから</p><p>だけどオレのペニスは、勃起しない</p><p>まだ賢者タイムだよ</p><p>だいじょーぶっママが全部してあげるから</p><p>渚はブラも外しオレの上にのし掛かってくる</p><p>あなたは、何もしなくていいわ</p><p>渚の豊かな乳房がオレの胸に触れる</p><p>オレの唇に、チュッとキスをした</p><p>あたしに身を任せて</p><p>女豹のようにオレの上に四つん這いに鳴りオレの乳首を舐める</p><p>うふふっ気持ちいいでしょ男の子も、乳首は感じるのよ</p><p>くすぐったいよ渚そこは、舐めなくていいから</p><p>ダメもっともっと、快感に溺れなさい</p><p>渚は明るくて陽気なお母さんから、１人の女に戻る</p><p>あたし、もう出し惜しみしないからあたしの持っているテクニックの全てを使ってあなたを気持ち良くしてあげるわ</p><p>かつて黒い森最高の娼婦であった渚がその本領を発揮する</p><p>天使の様な笑顔でオレの乳首を責めてくる</p><p>あうっ</p><p>そうよ声を出していいのここには、あなたの女しかいないんだから恥ずかしいことなんて、無いでしょあなたの可愛い顔、いっぱい見せて</p><p>そして周りで呆然としている、少女たちに微笑む</p><p>よく見ているのよあなたたちっ</p><p>うんうんと頷く美智たち</p><p>渚の妖艶さにみんな、呑み込まれていた</p><p>さあ、お覚悟してねあなた</p><p>渚がオレのペニスに触れる</p><p>赤ちゃんの素はねここのタマタマの中で作られるのよだから、何度も射精した後は、このタマタマから刺激してあげるの</p><p>そう言って、オレの玉袋を渚は長い舌で舐めていく</p><p>前に、早朝のラブホテルでも、やられたっけ</p><p>あの時も何度も射精して出がらしになっていたのに</p><p>渚のテクニックで、復活できた</p><p>あ、そうだみんなに先に言っておくけれどね</p><p>渚が周囲の少女たちに言う</p><p>あたしは、もう大人だからすぐに彼の赤ちゃんを妊娠するから真緒にも妹を作ってあげたいし</p><p>渚は微笑む</p><p>この人の最初の赤ちゃんは、あたしが産みたいのいいわよね、みんな</p><p>渚の艶やかさにみんな声が出ない</p><p>だからあたしと彼とのセックスは、本当に赤ちゃんを作るためのセックスだからあたしの中に、新しい命を宿すためにするのよそういう眼で、みんな見ていて</p><p>本気の子作りセックス</p><p>そして将来、産まれてきた子に教えてあげて欲しいのあなたのパパとママは、本当にあなたのことを望んでいたあなたは祝福された子供なんだって</p><p>真緒ちゃんは白坂創介に無理矢理、産まされた子だ</p><p>父親は、誰だか判らない</p><p>一人目の娘が、そういう運命だったからこそ</p><p>二人目の娘は祝福されて産みたいのだろう</p><p>渚、オレがちゃんと話すからパパはママを愛していてお前に産まれてきて欲しいって、心から願っていたって</p><p>あなたありがとう</p><p>渚はオレの亀頭を口に含む</p><p>さあ愛し合いましょう赤ちゃんができるくらい、あたしのこと愛して</p><p>愛撫されたオレのペニスが少しずつ、強ばっていく</p><p>渚はありとあらゆるフェラ・テクニックを駆使する</p><p>下から竿を舐め上げたり</p><p>カリ下をチロチロと舐めたり</p><p>ちゅぱちゅぱと音を立てて吸ったり</p><p>根元を優しく掴んでしごいてくれたりもする</p><p>これ手コキっていうんだけれどみんな覚えてねオチンチンを握る力加減が難しいのよ練習しないと、上手く出来ないから</p><p>渚の手は凄い</p><p>オレの快感のポイントを完全に押さえている</p><p>あなたはもう、一人エッチはしちゃダメなんですからね出したくなったら、周りの女の子たちにして貰うのよみんなに、どうしたらあなたが気持ちいいのか、教えてあげていいわね</p><p>うんこんな快感を知ったら</p><p>もう、オナニーはできない</p><p>渚の手は自分でするオナニーより、何倍も気持ち良かった</p><p>手でシゴキながら亀頭を舐める</p><p>舐めながら、渚はまっすぐにオレの顔を見つめている</p><p>渚の巨乳の先で、ピンクの乳首が揺れていた</p><p>うふふはい、大きくなりましたっ</p><p>渚がオレの身体に跨がってくる</p><p>見ていてあたしが、この人のオチンチンを食べちゃうところ</p><p>オレのペニスの根元を持って渚は、自分の膣口に当てがう</p><p>騎乗位で結合しようというのか</p><p>渚のそこはすでに熱い液で、潤っていた</p><p>愛液が亀頭の先から、陰茎へと滴ってくる</p><p>まるでバナナにシロップを塗しているようだ</p><p>周囲の少女たちの視線が接触点に集中する</p><p>ゴクッと喉を鳴らしたのは瑠璃子か</p><p>渚は亀頭と膣口を馴染ませるように、擦り付ける</p><p>渚の秘部は、出産経験があるとは思えないほど美しい</p><p>ぬぷぬぷぷっ</p><p>オレのものが埋没していく</p><p>周囲から息が漏れる</p><p>オレのペニスが呑み込まれていく</p><p>うふふっ全部入ったわよ</p><p>渚が、上半身を倒してオレにキスする舌と舌を絡めた</p><p>あたしの中気持ちいい</p><p>渚の身体はふんわりと柔らかい</p><p>中学生シスターズたちの様な固くて蒼い弾力性はない</p><p>まるで、ふかふかの羽毛布団のように、オレを全身で包み込む</p><p>好きよ、あなた</p><p>オレもだよ渚</p><p>あなたの赤ちゃん欲しいの</p><p>オレも渚に産んで欲しい</p><p>渚は、幸福そうに微笑んだ</p><p>あたしが動くからあなたは、そのままでね</p><p>そして渚が、オレの上で腰を振る</p><p>ぬっちゅっ、ぬつちゅっと、結合部分から水音がする</p><p>渚の胎内は温かい</p><p>まるで、チンチンだけ温泉に浸かっているようだ</p><p>オレを肉襞が、優しく包み肉壁が陰茎全体を磨き上げてくれる</p><p>いい、腰の動きはバリエーションを付けてねこんな動きだってあるのよ</p><p>渚は、少女たちにそう言って腰を廻したり、うねらせたりする</p><p>どうあなた</p><p>気持ちいいよ渚の中の、色んな部分に当たって</p><p>うん、もっと感じてあたしの身体を、味わって</p><p>今度は上下に</p><p>渚は、しなやかにオレを責める</p><p>そう、これがいいのうふふじゃあ、こういうのも好きでしょう</p><p>ぐいぐいっと、左右に腰を振る</p><p>ううっはっ</p><p>快感に、オレは身もだえる</p><p>瑠璃子と美智と繋いだ両手にギュッと力が籠もる</p><p>ご主人様そんなに</p><p>お兄様震えていらっしゃるわ</p><p>感じまくるオレを見て、二人が驚く</p><p>うふふ、やっぱりここが良かったのね可愛いわよ、あなた</p><p>渚がオレの鼻を、ペロッと舐めた</p><p>いつでも、あたしの中でお漏らししちゃっていいからねっもっと、もっと可愛くしてあげる</p><p>うっし、締まるっ</p><p>まるで渚の中に吸い込まれるような感覚</p><p>女の子のここは鍛えれば鍛えるほど、良くなるのよ逆に鍛えないとダラーッと拡がったままのつまらない穴になってしまうわ</p><p>渚がみんなに言う</p><p>だから、ちゃんと鍛えるっていう意識を持ってセックスなさいそうでないと、彼に気持ち良くないって、飽きられてしまうわよ</p><p>鍛えるというのはどうすればよろしいのですか</p><p>まあ、具体的な方法は色々あるから、教えてあげるけれどそれより、彼をどうしたら気持ち良くできるか自分も気持ち良くなれるか自分なりに考えて、試行錯誤してみなさいそれも自分の身体の持ち味を生かすようにねあんっ</p><p>渚は、腰の動きを止めないで話している</p><p>たまたまオレの亀頭の先が感じるポイントを触れたらしい</p><p>あたしはあんっここが感じるみたいっ</p><p>切なそうに眉を顰める</p><p>あなたはここがいいんでしょ</p><p>渚は、また腰の動きを変化させる</p><p>思わず、声が出てしまう</p><p>オレのツボにハマっている</p><p>わたくしもご主人様に、こんな風に感じていただきたいです</p><p>あら、美智ちゃんなんて、あたしより身体が柔らかそうだしもっと、色んなことができるはずよ</p><p>とにかく工夫まずは臆さずに、試してみることいいわね</p><p>ご助言、ありがとうございます</p><p>な、渚、オレ</p><p>オレの限界が近い</p><p>うふふどうしたの出したくなっちゃった</p><p>激しくオレの上で腰を振る渚の額に汗が浮いている</p><p>うんオレオレ渚</p><p>あちょっと待ってあたしもイクから</p><p>渚が、また腰の動きを変化させる</p><p>自分の感じるポイントを一気に刺激して絶頂に登ろうというのだろう</p><p>ああっ気持ちいいわっあなたのあたしにぴったりよ</p><p>な渚ぁぁ</p><p>可愛い可愛いわぁぁあなたぁぁ</p><p>オレオレもう</p><p>待ってもうすぐなの置いていかないでぇぇ</p><p>待ってるから待ってるから渚渚渚ぁぁ</p><p>ああっクルわ上ってくるああっもうすぐよもうすぐ</p><p>渚あああっあああっ</p><p>必死で堪えるオレ</p><p>渚は、腰の動きを加速してスパートを掛ける</p><p>渚の豊かなおっぱいが、オレの上で激しく揺れる</p><p>固く尖った乳首の先から、汗の玉が飛び散った</p><p>ああっイクわあたしイクのイク、イク、イクぅぅ</p><p>渚の中がキュゥゥと痙攣するッッ</p><p>お、オレも渚ぁっ</p><p>出してぇぇ孕ませてぇぇ妊娠させてぇぇあなたぁぁ</p><p>で、出るぅぅッッ</p><p>瑠璃子と美智と繋いだ手をギュギュギュッと握りしめて</p><p>下から上へ噴水みたいに、精液が迸るぅぅッッ</p><p>あはぁぁんっっ</p><p>熱い１撃目を子宮に感じた渚がぐりぐりと腰をうねらせるッ</p><p>赤ちゃんの部屋が、熱いのおっ</p><p>白濁液の放出が続く</p><p>渚の膣内はうねうねと蠢く</p><p>飲んでるわあたしの子宮ゴクゴク、あなたのを飲んでるの</p><p>渚の腰の動きは止まらない</p><p>最後の一滴まで絞り取ろうとしている</p><p>あなたぁぁあなたぁぁ大好き大好きぃぃ</p><p>オレに何度もキスしたオレの舌を吸う</p><p>ペニスと舌上と下で、渚に吸い込まれていく</p><p>ようやく渚が鎮まる</p><p>オレと繋がったまま、オレの上に脱力する</p><p>凄く良かったわあなた</p><p>ニコッと微笑んで渚が言った</p><p>あのね多分今のでできたと思う赤ちゃん</p><p>汗まみれのお腹をそっと撫でる、渚</p><p>そんな予感がするわ本当に、気持ち良かったもの</p><p>うんできてるといいな</p><p>オレも、渚のお腹を見る</p><p>触りたいけれど瑠璃子も美智も、オレの手を離してくれない</p><p>オレと渚のセックスを見て固まっている</p><p>いいなあ渚お姉ちゃん、とっても幸せそう</p><p>マナが、そう呟いた</p><p>ええ、幸せよ大好きな人とセックスしているんだもの</p><p>渚は笑顔で答える</p><p>あなたたちも、幸せにして貰いなさいこの人は、あたしたちみんなのものなんだからっ</p><p>そう言って、起き上がりオレのペニスを引き抜いた</p><p>膣口からたっぷり精液が零れ出す</p><p>オレのペニスは愛液と精液でベトベトだ</p><p>では誰か、お掃除フェラしないやりたい人はいる</p><p>渚の言葉に、美智が</p><p>わたくしが致します</p><p>はーいそれじゃあ、美智ちゃんにお願いするわ</p><p>渚と美智が位置を交換する</p><p>ご主人様ご奉仕させていただきます</p><p>美智がオレのペニスを舐めしゃぶって清めていく</p><p>イーディが、驚いて騒ぎ出す</p><p>マナが、英語で何か言った</p><p>うんイーディちゃんが、そんなものを舐めるのは汚いって言うから、あたしが大好きな人の身体の一部なんだから、汚くなんてないって言ったのそしたら、美智お姉ちゃんがこれは大切な儀式だから、邪魔をするなって</p><p>マナが、そう解説してくれた</p><p>イーディは、美智に叱られて凹んでいる</p><p>いじけて、真緒ちゃんが寝ている方のベッドへ歩いて行く</p><p>あっ、そっちは真緒がいるから</p><p>渚がそう言い終わる前にイーディは、真緒ちゃんの寝ている脇にドスンと座った</p><p>ヤバイ真緒ちゃんが、眼を覚ますぞ</p><p>渚が慌てて裸のまま、真緒ちゃんの方へ行く</p><p>真緒、起きちゃった</p><p>ニコッと愛娘に微笑む渚</p><p>真緒、ねむい</p><p>ああ、それでも</p><p>真緒ちゃんは今日一日、アニエスたちといっぱい遊んだから</p><p>相当、眠いらしい</p><p>いいのよそのまま寝なさい</p><p>うんママ</p><p>そして、真緒ちゃんは</p><p>パパは</p><p>オレは、美智にフェラされたまま</p><p>ここに居るよ</p><p>声だけ返事した</p><p>よかった</p><p>真緒ちゃんは、安心したらしい</p><p>真緒、ママ、少しの間、この部屋から居なくなるけれどパパが居てくれるから、いい</p><p>渚どういうことだ</p><p>パパがいてくれるならへいき</p><p>そう言って、またクークーと寝息を立てていく</p><p>イーディ</p><p>美智が、オレのペニスを咥えたままイーディを睨む</p><p>SORRY</p><p>イーディは、恐縮して小さくなる</p><p>渚は、真緒ちゃんの布団を直してあげながら</p><p>この子、寝る前にあなたとお風呂に入りたいって待っていたのよ</p><p>ああオレが瑠璃子の初体験をしている間に、そんなことがあったんだ</p><p>ああ、ごめん知らなかったよ</p><p>明日の朝入ってあげて</p><p>判ったよ、渚</p><p>オレはもう、真緒ちゃんのパパなんだ</p><p>真緒ちゃんの期待を裏切ってはいけない</p><p>ところで、渚この部屋からいなくなるって</p><p>ああそろそろ多分、あたしの出番だと思うのよ</p><p>タイミングよく寧が部屋に入って来た</p><p>おほほーい渚さーんご指名だよーんっ</p><p>オレは、寧に振り向き</p><p>姉さんご指名って</p><p>寧はジッちゃんを連れて行ったまま、帰って来なかった</p><p>ということは秘書さんの調教部屋にずっと居たってことだ</p><p>そこからご指名ってことは</p><p>そろそろムチばっかりの時間は、オシマイにしないといけないってことよね</p><p>ムチ</p><p>アメとムチって言うでしょ人の支配には、丁度良いバランスで、その両方が必要なのよ</p><p>克姉が、良い感じでムチに徹して秘書さんの心も、ブチ折ったからだからそろそろ、アメ担当の人が現れないとねっ</p><p>寧がニヒッと微笑む</p><p>ここで渚さんみたいな人に、優しくされるのがキクんだよっ</p><p>アメ役とムチ役の人は別々の人間がしないといけないのか</p><p>こればっかしはさ調教中の克姉が、渚さんを呼び出すところを見られると、相手に不審に思われるからさっあたしが伝令役として、呼びに来たわけ</p><p>後は渚が、秘書さんのことなど何も知らない、たまたま通りかかったという顔で調教現場に現れる</p><p>そういう作戦か</p><p>そうだあなたのバスローブ借りるわね</p><p>と渚は、オレの着ていたバスローブを纏う</p><p>あたしは克子に調教されている女という設定で行くから自分以外にも、そういう身の上の人が居るって思ったら、一気に心が楽になるからねしかも、女として一番恥ずかしいところを見られてねこれで、あの秘書さんも完全に堕ちるんじゃないかなっ</p><p>同じ境遇の女に優しくされるそれが、アメ</p><p>しかも、心を折られる過程には居なくて調教が進行して、一番恥ずかしい状態にされたところを目撃される</p><p>それなら、アメ役の人は恨まれない</p><p>むしろ恥ずかしいところを見られたことが負い目になる</p><p>なるほどそういうチーム・プレーをするんだ</p><p>では、行ってきます真緒のこと頼むわねもし、また起きて寂しがるようなら、すぐに呼んでちょうだい飛んで帰ってくるから</p><p>そして渚は、スリッパを履いて、パタパタと退室していく</p><p>でこっちはみんなで何していたのっ</p><p>寧が、オレたちに尋ねる</p><p>うんと渚お姉ちゃんのエッチ教室かな</p><p>あれ、どうしたの瑠璃子、暗い顔して</p><p>寧が、瑠璃子を見て言う</p><p>確かに、瑠璃子の顔は暗かった</p><p>それは渚お姉様が、とってもセックスがお上手でしたので</p><p>お上手</p><p>あんなにセックスがお上手な方が、お兄様のお側に居らっしゃるのならわたくしなど、お兄様には不要なのではないかと</p><p>ああそれで意気消沈しているんだ</p><p>ふーん、瑠璃子は闘わずして負けを認めるんだ</p><p>寧がニヤリと微笑む</p><p>闘わずして</p><p>そうでしょ瑠璃子は、１５歳渚さんは、２１歳年だって違うしセックスだって、瑠璃子は今日が初めてでしょ経験も技量も無いのは、当たり前じゃんかっ</p><p>それはそうでございますが</p><p>なんだ、瑠璃子って、その程度の子なんだ渚さんを追い越してやろうとか、思わないんだ</p><p>瑠璃子を挑発する</p><p>そもそもさヨッちゃんの気持ちを、全然考えてないよ</p><p>オレは瑠璃子が必要だし、ずっとセックスしたいと思っているだから、上手くなれ瑠璃子なりの方法で良いし、慌てなくて良いから</p><p>渚が、娼婦だったことを知らない</p><p>セックスの経験や技術で負けるのは当たり前なんだ</p><p>逆にマナあんたは、渚さんがセックスが上手いのは当たり前だから、負けても仕方が無いって思っているでしょ</p><p>えっとあたしは</p><p>マナは心を見抜かれて、ドギマギしていた</p><p>そうだマナは黒い森のことを知っている</p><p>だから、渚にはセックスで負けると、最初から諦めている</p><p>ダメだよ、二人とも良い意味で、ちゃんとライバル心を燃やさないとつまんない女になっちゃったら、ヨッちゃんに見捨てられるよっ</p><p>いや、見捨てないよオレは</p><p>じゃ、前言撤回ヨッちゃんの優しさに縋って生きるだけの女になるのは嫌でしょ</p><p>マナも、そんなのは嫌です</p><p>瑠璃子とマナが答えた</p><p>じゃあ食らいついてでも頑張るしかないよね</p><p>こっちの二人と違って美智は、たくましいねえ</p><p>美智はさっきからひたすら、オレのペニスを舐めている</p><p>さっき見た渚のフェラ・テクを基に色々と独自の工夫を加えている</p><p>渚を追い越すための努力を、すでに開始していた</p><p>闘争心を無くしたら、わたくしはわたくしでなくなってしまいますから</p><p>見よう見まねで、オレの陰茎をシゴキながら美智は答えた</p><p>ご主人様手コキの力加減は、これでよろしいのでしょうか</p><p>こいつは強い</p><p>久々の渚回でした</p><p>渚→OUT　寧→IN</p><p>ということで、セックス大会はまだまだ続きます</p><p>428．三位一体</p><p>正直もう何も出なそうなくらい、消耗しているけれど</p><p>美智そんなにしたいのか</p><p>美智は、真剣な眼でオレを見る</p><p>はい今の渚お姉様のセックスを拝見してわたくしは、開眼しそうなのでございます</p><p>開眼て何をだ</p><p>いや、まあ問い詰めても仕方無い様なことなんだろうけれど</p><p>お疲れのところ、大変申し訳ございませんがご主人様、どうか、わたくしともう一度セックスしていただけませんか</p><p>そこまで言われたら頑張らなきゃいけないな</p><p>といってもチンコの方は、全然反応が鈍いんだが</p><p>お前の気持ちは良く判ったけれど</p><p>むぐぅ</p><p>美智は、悲嘆に暮れる</p><p>美智一人でヨッちゃんを独占しちゃダメだってば</p><p>みんなの助けを借りてみたらっ</p><p>ほら、左右に強力な姉妹が揃ってるじゃないっ</p><p>そう言って瑠璃子とマナを見る</p><p>可愛い妹３人の合体攻撃ならヨッちゃんのオチンチンも蘇るんじゃないかなっ</p><p>その言葉に、マナが</p><p>しょうがないなっ一肌脱ぎますかっ</p><p>服を脱ぎ出す</p><p>瑠璃子は、恥ずかしそうに顔を赤らめる</p><p>あっ、ルリお姉ちゃんは、まだあそこが痛いんでしょだから、お兄ちゃんの顔だけ担当してくれればいいよっ美智お姉ちゃんが、オチンチン担当でマナは、遊撃手(リベロ)をやるからっ</p><p>マナが、笑顔で指示する</p><p>わたくしお顔の担当ですか</p><p>うんっお兄ちゃんにキスしたり、ルリお姉ちゃんのおっぱいを舐めて貰ったりして赤ちゃんにおっぱいをあげる時みたいに</p><p>あはい、判りました</p><p>美智お姉ちゃんそういう配分でいい</p><p>かたじけない</p><p>２人に、ススッと頭を下げる</p><p>オッケーということだから、ルリお姉ちゃんも裸になってねそうだ、美智お姉ちゃんも半脱ぎじゃなくて、全裸ね</p><p>マナの指示で、瑠璃子は、バスローブを脱ぎ全裸になる</p><p>美智も服を脱ぎ捨てていく</p><p>あれ、寧お姉ちゃんは、参加しないの</p><p>マナが、寧に尋ねる</p><p>うーんと、あたしはいいや今は、あんたたちが、どんな風にするのか見ていたいなそうだ、写真撮ろう、写真</p><p>寧はカメラを取りだし、オレの周りで裸になる中学生３人を撮影していく</p><p>あたしが記録写真撮ってあげるから３人で頑張ってヨッちゃんも負けるなっ</p><p>負けるなって寧</p><p>見てっ、お兄ちゃんみんな、ハダカンボだよっ</p><p>そして、オレの眼の前に</p><p>３人の裸の少女たちが、現れる</p><p>つるぺたの美智は一番、幼い体型をしている</p><p>マナと瑠璃子ではああ、やっぱり瑠璃子の方が大人の身体に近付いているんだな</p><p>でも、胸の大きさは同じくらいだ</p><p>マナの方が、ツンとトンがったおっぱいをしている</p><p>瑠璃子のはまーるい感じだ陥没乳首ってことも、あるんだろうけれど</p><p>瑠璃子は雪のように肌が白いな</p><p>美智も、色白だけれど瑠璃子ほどじゃない</p><p>もっとも、裸になった時に人形の様な美しさを感じるのは美智だ</p><p>みんな綺麗だ</p><p>うんじゃあ、それぞれ作業開始だよっ</p><p>マナの号令で３つの若い裸体が、オレに抱きついて来る</p><p>まずは、瑠璃子がキスしてくる</p><p>ん瑠璃子</p><p>アップで見ると本当に、飛びっ切りの美少女だな瑠璃子は</p><p>どうしたのです</p><p>いや瑠璃子は、眼が大きいなまつげも長い</p><p>眼の大きい子は、お嫌いですか</p><p>ううん、大好きだ</p><p>オレの頭に自分の胸を近づける</p><p>お兄様瑠璃子のおっぱい、舐めて下さいませ</p><p>オレは張り詰めた蒼い胸に、顔を埋める</p><p>渚お姉様みたいに大きくなくて、ごめんなさい</p><p>何言ってるんだこれはこれで良いんだよ</p><p>オレは、ペロペロと乳首を舐める</p><p>ああんっ気持ちいいのは、瑠璃子の方ですわ</p><p>乳首を舐められるの好きなのか</p><p>はいお兄様は瑠璃子のおっぱいお好きですか</p><p>好きだよ可愛くてぷりぷりしててずっと、舐めてたい</p><p>どうぞ、お兄様</p><p>一方、その頃美智は、フェラを続けていた</p><p>さっきの渚の技法を自分なりにマスターとようとしている</p><p>申し訳ございません痛かったですかご主人様</p><p>そうじゃない気持ち良くって、ゾクッとなったんだ</p><p>やはりここがツボではないかと、見抜いておりました</p><p>美智の舌が、そのポイントを執拗に刺激する</p><p>うわっ、美智美智っ</p><p>背筋にゾクゾクッとくる</p><p>まあ、お兄様可愛らしいお顔をなさって</p><p>眼の前の瑠璃子が微笑む</p><p>ミッチィどこを舐めるのが良いのです</p><p>はい、ルリルリどうやら、ここを下からペロリと</p><p>美智の舌が玉袋の縫い目から、肛門の方へ這っていく</p><p>うひゃひゃひゃひゃぁー</p><p>今度、瑠璃子もして差し上げますわ</p><p>美智も瑠璃子も、元々頭が良いし、応用力もある</p><p>こんな調子で、セックスを学んでいったらとんでもない技巧派になるんじゃ</p><p>いや、まあオレとしかしないんだから、別にいいんだろうけれど</p><p>さぁって、お兄ちゃんいくよーんっ</p><p>オレの足の方でマナの声がする</p><p>マナ何をする気だ</p><p>オレの足の小指が温かくて湿ったものに包まれる</p><p>ぬぐぅ</p><p>マナ、オレの足の指を舐めているのか</p><p>マナ、知ってるよっここを舐められると気持ちいいってこと</p><p>足の小指から指と指の谷間へ</p><p>中学２年生の舌が丹念に、舐めていく</p><p>これまた気持ちいいっ</p><p>うんっ面白い絵になっているねっどんどん撮っちゃうよっ</p><p>寧は、楽しそうにオレたちの様子を撮りまくる</p><p>ああオレ</p><p>今、全裸の中学生の美少女３人に襲われているんだ</p><p>オレも全裸で</p><p>お兄様好きです瑠璃子は、お兄様が大好きです</p><p>頭は瑠璃子のおっぱいに覆われ</p><p>わたくしもお慕いしておりますご主人様</p><p>股間は美智の舌の攻撃に遭い</p><p>お兄ちゃんマナも大好きだよっ幾らでもペロペロしてあげるからねっ</p><p>足の指はマナが舐めしゃぶってくれている</p><p>お兄様、揉んで下さい瑠璃子の胸</p><p>瑠璃子が、オレの右手を取って自分の胸に当てる</p><p>ああ柔らかい</p><p>じゃあ、お兄ちゃんこっちの手は、マナのお尻ね</p><p>マナは、シックスナイン気味にお尻をオレに向けオレの左手に掴ませる</p><p>ああ、違う</p><p>瑠璃子の胸と、マナの尻は</p><p>弾力があって、柔らかくて温かいことは変わらないけれど</p><p>肌触りの触感が全然違う</p><p>女の肌って人それぞれで、こんなに違うんだ</p><p>３人の少女の躍動する生命感にオレは呑み込まれていく</p><p>むふふ復活</p><p>オレの股間で美智の声がする</p><p>ご主人様、復活ご主人様、復活</p><p>いや、嬉しがってくれるのは、ありがたいが</p><p>その表現は、どうだろう</p><p>まあ、お兄様お元気になられて</p><p>瑠璃子、それじゃあ病気からの生還だ</p><p>おっ、勃ったお兄ちゃんが、勃った</p><p>マナオレのチンコは、クララじゃない</p><p>見てみて、アニエスちゃんまた、こんなに大きくなったよ</p><p>マナが振り向く</p><p>あ、忘れていた</p><p>アニエスと麗華は寄り添って、怖々とオレたちの痴態を見ている</p><p>怖くないでしょ、お兄ちゃんのだからあたしたちは、みんなこれで気持ち良くして貰っているんだよっ</p><p>はいわたくしも、何度か刺し貫いていただきましたがとっても、幸せな気持ちになりました</p><p>アニエスちゃんも、レイちゃんも、早くお兄ちゃんにして貰えば良いのに</p><p>一方、硬直したままのイーディには寧が、無言でVサインを示す</p><p>それでは失礼させていただきます</p><p>美智が、オレに跨がってくる</p><p>さっきの渚の真似をして騎乗位でセックスしてみたいらしい</p><p>あ、見てみて美智お姉ちゃんみたいに、小柄な女の子でも、ちゃんと全部入るんだからねっ</p><p>マナが、アニエスたちに解説する</p><p>イーディが、びっくりして何か言う</p><p>Don’t worry</p><p>ビシッと一言、イーディに言い放つ</p><p>ああっオレの亀頭が、美智の膣口を押し広げていく</p><p>あぅうぅんっ</p><p>濡れやすい美智のそこは、もうトロトロに溶けていた</p><p>ぬぷっと、亀頭が胎内に呑み込まれる</p><p>ぬぅぅ</p><p>美智が体重を掛けて、腰を落としてくる</p><p>勃起が、じゅるじょると美智の柔らかい膣壁を擦っていく</p><p>はんっご主人様ぁぁんぐぅぅ</p><p>美智大丈夫か</p><p>この体勢深くわたくしの中に深く、入ってきまぁす</p><p>美智は、オレの腰に手を置いて調節しながら、ゆっくりと腰を揺すっていく</p><p>あっ一番奥にツンって突きました全部、入ったのぉ</p><p>オレの下腹部に美智の恥骨が、コリコリと感じられる</p><p>オレたちは、限界までドッキングを果たした</p><p>はぁぁはぁぁはぁぁ</p><p>オレを胎内に呑み込んで美智は、大きく深呼吸をする</p><p>寧が、すかさずシャッターを切る</p><p>OHＭＩＣＨＩ</p><p>自分の親友のセックスを見せ付けられてイーディは、困惑している</p><p>ミッチィお兄様と一つになっておられます</p><p>うへへマナが、気持ち良くしてあげるねっ</p><p>すでに３Pの経験のあるマナが動き出す</p><p>オレと美智の結合点に頭を入れ美智のクリトリスを、ぺちょぺちょと舐める</p><p>あああぅ</p><p>美智の膣が快感に締まるッ</p><p>それ良いですぅあああっ</p><p>ぺちょぺちょキュウッ</p><p>こいつは溜まらない</p><p>お兄様気持ち良さそう可愛い</p><p>瑠璃子が、オレの顔や首筋を子猫のようにペロペロ舐める</p><p>その舌の感触がまたオレの性感を高ぶらせる</p><p>マナ妹《イモウト》もういいですから顔をどかしてわたくし、腰を動かしますから</p><p>マナが、オレたちの股間から顔を離す</p><p>じゃあ、マナはお兄ちゃんの乳首を舐めてるねっ</p><p>本気か</p><p>あマナの小さい頭が、オレの胸の上で</p><p>うふふお兄ちゃん、可愛いもっと、鳴いて</p><p>ロリビッチ・マナがオレに微笑む</p><p>わたくしも参ります</p><p>美智がオレの上で、オレを受け入れたまま、大きくＭ字開脚する</p><p>オレたちの結合は丸見えだ</p><p>そして、腰をくねらせるッッ</p><p>ぬぐぅぅみ、美智ぃぃ</p><p>美智の腰の動きは単調な上下運動では無かった</p><p>ぬっふっぬっふっあぅぅご主人様ご主人様ぁぁ</p><p>リズミカルでダイナミックな腰使い</p><p>渚の腰使いを観察して学んだことを最初から、全開でオレにブツケてくる</p><p>武闘家として鍛えられた、美智のしなやかで柔軟な肉体を存分に駆使している</p><p>ぬっふっぬっふっああっ気持ちいいご主人様の美智の気持ちいいところにズンズン当たってますぅぅ</p><p>美智の体の奥からドクドクと熱い潤滑液が湧き出している</p><p>美智の腰は右に左に、荒馬を乗りこなすようにオレの身体の上で、踊る</p><p>ご、ご主人様ぁっ</p><p>美智が、オレの手を求める</p><p>オレは手を伸ばし美智と手を掴む指と指をしっかり絡め合う</p><p>美智は、その手をバランスの支点としてさらに大胆に腰を振る</p><p>美智さん気持ちいいですかお兄様</p><p>瑠璃子の舌が、オレの耳の中をチロチロと舐めた</p><p>すっごーいこんなに、ずぼずぼしても平気なんだマナもやってみよう</p><p>そう言ってマナは、乳首からオレの脇の下を舐めていく</p><p>あお兄ちゃん、汗が出て来たよ息も荒いしそんなに興奮しているの</p><p>興奮しているに決まっている</p><p>中学生３人との４Ｐセックスなんだぞ</p><p>ミッチィもお顔が真っ赤ですよ白いお肌が、上気して</p><p>うん、とってもエッチな顔しているよお姉ちゃん</p><p>美智も全身が汗で光っている</p><p>ダイナミックな腰の動きに、汗の粒が飛び散っていく</p><p>オレも我慢できない</p><p>んんんっ、ご主人様ぁぁ</p><p>オレも下からズンズンと美智を突き上げる</p><p>あはぁ気持ちいい気持ちいいのぉぉ</p><p>オレたちは一つの蒸気機械(スチーム・マシン)になったように２人で複雑な動きをする</p><p>蒸気の様に熱い息と汗と、性臭を撒き散らす</p><p>ご主人様美智に美智に息を合わせてっ</p><p>美智はオレと心月で繋がったセックスがしたいんだ</p><p>わかった、美智ぃぃ</p><p>すぅすぅはぁーっ</p><p>オレと美智の息が合致する</p><p>うううくるぞ</p><p>美智の気がオレに飛び込むッッ</p><p>オレたちは心と身体が繋がる</p><p>美智の快感が、オレの中へ</p><p>オレの快感が、美智の中へ</p><p>男と女の快感に蕩け合う、オレたち</p><p>いやオレたちだけじゃない</p><p>みぎゃあっ</p><p>イーディが短く叫んで、痙攣する</p><p>そうだイーディは</p><p>つい、さっきまで美智と心月の特訓をしていた</p><p>心のリンクがまだ残っている</p><p>むぎぎぎぎぎぃぃ</p><p>オレと美智の感じる性感がイーディの中にも、流れ込むッッ</p><p>やっひひひひひひひひひっ</p><p>生まれて初めて知る、性の快感にイーディが、のたうち回る</p><p>オレたちと接触していないのに</p><p>イーディは、心と身体をレイプされている</p><p>うわっ、すっごい面白いから、これも撮っておくねっ</p><p>寧が、パシャパシャと写真を撮った</p><p>ご、ご主人様わたくし、もう</p><p>美智が絶頂へのカタパルトに乗った</p><p>ああいいからいつでも、いいから</p><p>オレの中にも欲望のマグマが上昇してきている</p><p>はいはい愛しています愛しています大好き大好きなのぉわたくしのご主人様ぁぁ</p><p>ああ美智美智ぃぃ</p><p>見てて下さい美智の飛ぶところご主人様見ていてぇぇ</p><p>ああ、見て居るぞ美智美智ぃぃ</p><p>ご主人様あああああっ</p><p>そして、美智はエクスタシーに到達する</p><p>イクイク、イッちゃうのぉぉぉ</p><p>美智、出、出るぅぅ</p><p>美智の子宮にビュゥッと熱い液を迸るッッ</p><p>みぃぎゃああああああああっっっ</p><p>オレと美智の２人の快感を受信してイーディが、絶叫する</p><p>ブルブルと身体を痙攣させ</p><p>両手で股間を押さえている</p><p>むひぃぃぃぃっっ</p><p>イーディは、まるで自分が膣内射精されたみたいに激しく身体を震わせる</p><p>眼からは、ドクドクと涙を零していた</p><p>あああ熱いの、来ています幸せです、わたくし</p><p>膣奥に精液を注ぎ込まれながら美智が、オレに言った</p><p>そのまま、オレの身体に重なってくる</p><p>わたくしのご主人様ぁぁ</p><p>オレにチュッとキスをした</p><p>ミッチィ幸せそうですわたくしもお兄様のキスが欲しい</p><p>どうぞ、ルリルリ</p><p>美智が、瑠璃子のために顔を上げてくれる</p><p>オレは、瑠璃子とキスをした</p><p>あっ、マナもマナも</p><p>マナとも唇を合わす</p><p>３人一緒にするのって、とっても良いねっまたしようよ</p><p>マナが、２人の姉に微笑む</p><p>そうですわねみなさんと一緒だと、とっても楽しいですわ</p><p>瑠璃子も、うふふと笑う</p><p>わ、わたくしだけ申し訳ありません</p><p>美智が、はぁはぁと荒い息で言う</p><p>オレとのセックスを独占したことを反省しているらしい</p><p>いいじゃん、それは次の時から順番にすればいいんだから今日は、ルリお姉ちゃんは腰が痛いしお兄ちゃんも、しばらく無理だよね</p><p>む、無理ぃ</p><p>オレも、心臓がバクバクしていてそれ以上は、喋れなかった</p><p>次はさ３人順番に、オチンチン入れたりしてみてよお兄ちゃんも、そういうのしたいでしょ</p><p>女子中学生３人の密壷比べか</p><p>いや、そりゃしてみたいけれど</p><p>そんなことして天罰が下ったりしないのか</p><p>みぎぃぃみぎぜぎぎぎぃぃ</p><p>イーディも、奇声を上げダウンする</p><p>もう、うるさいなあ</p><p>これはヤバイ</p><p>イーディちゃん、さわががしいよっもおっ</p><p>真緒ちゃんが、起きちゃった</p><p>真緒ちゃんは、まだ布団を被ったままだけれど</p><p>真緒、ねむいんだからっ夜はしずかにしてくださいっ</p><p>ぷんぷん怒っている</p><p>ああーん、真緒ちゃん、ごめーん、起きちゃった</p><p>慌てて寧が真緒ちゃんのところへ飛んでいく</p><p>とりあえず、寧はちゃんと服を着ているから</p><p>一方、オレと中学生シスターズは素っ裸のままで</p><p>特にオレは勃起はまだ、美智の胎内に入ったままだ</p><p>マナと瑠璃子も裸のまま、ぴったりとオレを覆っている</p><p>こんな姿を見たら絶対に、トラウマになる</p><p>寧ちゃんママは</p><p>布団の中から、真緒ちゃんは尋ねた</p><p>あ、まだ帰って来ない呼べばすぐ来るけれどっ</p><p>はーい、パパはここにいるよっ</p><p>オレは、大声で真緒ちゃんに叫ぶ</p><p>パパがいるならいい</p><p>いるよ、ずっと真緒ちゃんの側にいるからな</p><p>布団の中から、幼女の声が聞こえた</p><p>ねむいよふわわわわぁぁっ</p><p>真緒ちゃんは大きくあくびする</p><p>さあ、真緒ちゃんまたネンネしようねっ</p><p>寧が、そのまま真緒ちゃんを寝かしつけてくれた</p><p>美智、離れて</p><p>真緒ちゃんのところへ行ってくるから</p><p>今はダメです</p><p>わたくし、今腰が抜けております</p><p>美智が申し訳なさそうに、オレに言った</p><p>無理して腰を動かしすぎてしまいました</p><p>思いっきり、あんなに激しくやるから</p><p>まあノリノリだったから仕方無いけれど</p><p>しばらく、このままでお願いします</p><p>美智は、オレの身体にしがみつく</p><p>お兄様瑠璃子が行って参りますわ</p><p>マナが、添い寝して上げるよ</p><p>２人が気を遣って、真緒ちゃんの様子を見に行ってくれた</p><p>ということで、イーディのフラグを立てて置いて</p><p>次話は、アニエスの方へ</p><p>大会は、まだ続きます</p><p>429．第一次アニエス攻略戦　（その１）</p><p>瑠璃子とマナが、真緒ちゃんの方へ行った隙に</p><p>寧が、スッとオレに近付いて来る</p><p>大変だと思うけれど今が正念場だからね</p><p>真剣な眼でオレに言う</p><p>美智はとりあえず、落ち着いた</p><p>今度は、美智にそう囁く</p><p>あんたが求めればヨッちゃんは、どんな時だって絶対に応えてくれるメンドくさがったり、嫌がったりはしないいつだって真っ正面から、あんたのことを抱き留めてくれる</p><p>美智が、寧を見上げて答える</p><p>それが判ったらもう、無闇矢鱈にヨッちゃんを求めたりしないいいね</p><p>姉が妹を諭す</p><p>マナやメグにも、こんな時があったっけ</p><p>最初はセックスするだけで、いっぱいいっぱいだけど慣れてくると、ついつい色んなことを求めちゃうもんねそれは、判るんだヨッちゃんの優しさが、とっても心に嬉しいんだけどずっとずっと、この幸せが続くかどうか不安になるから、ついつい過剰に求めちゃう</p><p>寧がそう解説した</p><p>確かにそうだと思います</p><p>美智が反省する</p><p>美智はさみすずが一緒にいると、心にブレーキを効かせるけれどみすずがいなくなると、アクセル踏みっぱなしになるみたいだね</p><p>寧お姉様のおっしゃる通りでございます</p><p>まあ、美智も自分が不在だと、あんたがどうなるのか不安でわざわざ、あんたをここに残したんだと思うよ</p><p>みすずは美子さんの相手役をするのに、メグを連れて行った</p><p>確かに、この屋敷内では護衛役は必要無いけれど</p><p>それでも、いつものみすずなら、美智を自分の側から離さないはずだ</p><p>美智がここに残ったのはイーディに対する押さえ役かと思ったけれど</p><p>みすずは、もっと深いことを考えていたのか</p><p>案の定瑠璃子やマナに対しては、先輩ぶって偉そうにしていたよねっ</p><p>面目ございません</p><p>それだってさヨッちゃんの気持ちが、新しい子の方へ向かっちゃうんじゃないかって心配になっちゃってそれでついつい、偉そうな態度で接しちゃったんでしょ</p><p>寧の言葉にオレは、納得する</p><p>確かに、ここのところずっと美智は、瑠璃子に対して偉そうだった</p><p>オレが、瑠璃子の教育係に任命したせいだと思っていたけれど</p><p>そうか、美智は瑠璃子という、新しいオレの女に嫉妬していたのか</p><p>ヨッちゃんは、全ての女を公平に愛してくれているわそのことは、判っているわよねっ</p><p>だから、あたしたちもヨッちゃんに、1人だけ突出して愛して貰おうとしないそういうルールでいきたいんだけれど</p><p>寧が、美智に迫る</p><p>いや姉さん、今のセックスは美智だけじゃなくって３人一緒にしてくれたんだよ</p><p>オレは、美智をフォローする</p><p>実際３対１のセックスだったし</p><p>それはマナと瑠璃子が、大人だったからよ実際に、ヨッちゃんのオチンチンを独り占めしていたのは美智だけでしょ</p><p>それはそうだったけど</p><p>次にまた、ヨッちゃんの身体のことを考えないで無理にエッチを要求したり、妹たちに対して偉そうな態度を取ったりしたらあたしたちお姉様ズがお仕置きするからね</p><p>寧が、怖い顔で美智に言う</p><p>申し訳ございませんこのようなことは、二度と</p><p>美智は深々と頭を下げる</p><p>自分自身が情けないのだろう眼には涙を溜めていた</p><p>マナやルリルリには、謝罪します</p><p>それはダメよあの子たちは、わざわざ美智に気を遣ってくれたんだからあんたの心の中だけにしまっておきなさい</p><p>２人とも真緒ちゃんに添い寝して、抱き締めてあげている</p><p>ああ、寧の美智に対する厳しい視線に気付いて自分から、外れてくれたのか</p><p>それに、マナも同じ様にヨッちゃんに対して暴走したことがあるのよあんただけじゃないから、安心なさい</p><p>深夜の学校でメグと一緒にオレを求めて来た特のマナは、今の美智みたいに暴走していた</p><p>あれも、セックスの慣れと雪乃に対する嫉妬から、セックス中毒気味になってしまっていたんだっけ</p><p>セックスは慣れてきた頃が、一番危うい</p><p>とにかくさヨッちゃんのことを、もっと信用なさいヨッちゃんがどんな男の子なのか、ちゃんと判っていたらこんな暴走は起こさないんだからねっ</p><p>オレはオレ自身がどんな男なのか、よく判っていない</p><p>はいご主人様のご慈愛を疑うようにことは、二度と致しませんどうかお許し下さいませ</p><p>美智の言葉に寧は、微笑む</p><p>まあ、いいわあんたみたいな子は、一度は暴走してみないと学ばないって判っているからあたしだけじゃないわ克姉も先生もマルゴお姉ちゃんも、そう言ってたからだから、今回は見逃してあげたのでももう、これっきりよ</p><p>美智の眼から涙が零れる</p><p>美智大丈夫だから</p><p>オレは、美智の流れる涙の粒を、唇で吸い取る</p><p>オレは美智が、オレをどうしても必要としているのなら、いつだって相手をしてやる絶体に見捨てたりしないし愛している、大好きだから</p><p>だからさっ本当に、ヨッちゃんを必要とするギリギリになるまでは、なるべくガマンするっいいね、美智</p><p>はいはいはい</p><p>美智は、泣きじゃくりながら答えた</p><p>あらそっだったら、そろそろ離れなさいっ</p><p>オレと美智はまだ繋がったままだった</p><p>も、申し訳ございませんっ</p><p>美智は、オレの上から離れる</p><p>美智の狭い膣から、オレのペニスが引き出される</p><p>白い精液が、とろろと溢れた</p><p>滴る精液を拭おうともせずそのまま美智は、エアマットの下の床に正座する</p><p>そして全裸で土下座した</p><p>ご主人様のお情けをいただきました美智は、とても堪能致しましたありがとうございました</p><p>今後はご主人様の玩具としての本分を全う致します</p><p>うん良いんじゃないっ</p><p>寧が笑って、そう言った</p><p>美智のことだからこれで、もう横道にはそれないと思うよっ</p><p>うん今回の暴走を恥辱と感じて</p><p>今後の美智は、きちんと節度を持って行動してくれると思う</p><p>きっとオレの素晴らしい女となってくれるだろう</p><p>とにかく美智のためにはさっ、一度、こういう過程を経る必要だったんだと思うよっ</p><p>オレの心に一抹の不安がよぎる</p><p>もしかしてどの子も、こういう過程を経ないといけないのかな</p><p>セックスに慣れてきて</p><p>他の女たちに、対抗心が湧いてきたら</p><p>例えば瑠璃子とか</p><p>オレは、真緒ちゃんの横に横たわる瑠璃子を見る</p><p>大丈夫だよみんながみんな、こうなるってわけではないからさっ</p><p>みすずは、ちゃんと節度のブレーキが効いている方だし瑠璃子も多分、平気やっぱりさ、香月家のお嬢様として、いつもプレッシャー晒されて成長して来た子は、自制心が強いし、周りへの配慮を忘れないんだと思う</p><p>家族の中での自分の立ち位置を見失わない</p><p>みすずは、香月家の人間なのに家族の中では、いつも謙虚だもんな</p><p>礼を失するような言動は、絶対にしない</p><p>瑠璃子もそうだ</p><p>姉さんもだね</p><p>寧だってセックスを覚えたばかりだ</p><p>だけど今朝の</p><p>オレが一番体力が回復している時に、１回求めて来ただけでそれ以上は、欲さないでくれている</p><p>あたしも、まっガマンの利く方だからっ</p><p>寧はシザーリオ・ヴァイオラの犯罪組織に監禁されていた過去がある</p><p>だからいつでも、周りの人たちの気を観察しているし、自分の我を無理に通そうとしたりはしない</p><p>おちゃらけたり、笑っていたりしても自分の心は常に、セーブしている</p><p>ヴァイオラたちとの生活その中では、何か一つでも相手の気を損じる振る舞いを行えば寧もケイさんも、すぐさま処分されていただろう</p><p>寧は、セルフ・コントロールに長けている</p><p>それにさあたしは、ほらっお姉ちゃんだからっ</p><p>ヨッちゃんや、妹たちのためならあたしのことは、二の次でいいんだよっヨッちゃんだって、そうでしょ</p><p>あたしたち家族のためなら自分のことは、後回しにしてくれているじゃないっ</p><p>いや、後回しじゃなくってオレは、オレ自身のことなんてどうでもいいから</p><p>オレには守るべきオレが無い</p><p>だから全部、家族たちに捧る覚悟をしている</p><p>まそこが、ヨッちゃんの今後の課題だね</p><p>寧が、ふはっと溜息を吐く</p><p>さて美智へのお説教は済んだから、次のターンへ突入だね</p><p>次のターン</p><p>ヨッちゃん体力的に厳しいと思うけれど、もうちょっとだけ頑張ってこっちは、時間との勝負だから</p><p>寧がそういうのならターゲットは、1人に絞られる</p><p>アニエスか</p><p>マナそこは、瑠璃子に任せて、こっちへ来て</p><p>寧が、マナに声を掛ける</p><p>マナが、真緒ちゃんの添い寝から戻って来る</p><p>美智も頼むよっ</p><p>はいどんなことでも、ご命令下さい</p><p>さいくよーんっ</p><p>オレたちは、アニエスに向かう</p><p>アニエスは麗華と一緒に、自分のベッドの上に居た</p><p>オレと渚、それから美智たちとの４Ｐを見て腰が抜けたらしい</p><p>一方、イーディは美智のエクスタシーを追体験して、失神している</p><p>みんな、見てアニエスをさっ</p><p>寧が、オレたちに囁く</p><p>アニエスは、顔を真っ赤に紅潮させていた</p><p>そろそろ、アニエスの中にリビドーが溜まりまくっている頃なんだよ</p><p>リビドー</p><p>ああ、性衝動ってやつのことねアニエスは、白坂創介に１日３回、必ず自分の像を見ながらオナニーすることを強要していたでしょ</p><p>ああそれが、アニエスの日課になっていた</p><p>それをあたしたちが、この部屋に押し入って、丸２日、制止しているよねっ</p><p>うんアニエスは</p><p>昨日、今日とオナニーをしていない</p><p>で今、ヨッちゃんのセックスをたーっぷり見せ付けられた</p><p>そうかアニエスは</p><p>身体が火照っているのか</p><p>そしてこれが、とても大事なんだけれど白坂創介は、アニエスにオナニーを強要したけれど、彼自身はまだ手を出していないんだよっ</p><p>オナニーのやり方は映像を見せて、真似させただけあいつは、ほらメンドくさがりだからその上、女を気持ち良くしてあげたいなんて気持ちは、これっぽっちも持っていない男でしょ自分が良ければ、それでいいっていう人だから</p><p>それが、白坂創介</p><p>白坂創介は、アニエスの次の誕生日の日に、あの子を犯すことしか考えていないんだもんオナニーは、犯す時までに少しでも女性器を発達させたいのと自分のことをアニエスに崇拝させたいっていう、それだけの理由でしょだから</p><p>白坂創介は、今まで自分から、アニエスに愛撫してあげたり、舐めてあげたりしたことは一度も無いのよっ</p><p>だからオレが、アニエスを</p><p>もちろん、まだセックスはしなくていいからそれよりも、性的な快感に溺れさせるだけでいいよ自分でするオナニーよりも、ヨッちゃんにして貰った方が気持ちいいってことを心に刻みつけるんだよっ生まれて初めて、アニエスが他人の手によって達したエクスタシーが、ヨッちゃんによってもたらされたものにするの</p><p>オレの指と舌でアニエスをイカせればいいのか</p><p>マナたちはどうしたらいいの</p><p>マナには、アニエスがもう心を開いているからあんたが、アニエスを誘ってヨッちゃんと</p><p>寧お姉様わたくしは</p><p>美智は、イーディの監視起きてきたら、邪魔するかもしれないでしょ</p><p>イーディは、自分をアニエスの保護者だと思っているから</p><p>オレたちが、アニエスをイジメていると勘違いして暴れ出しかねない</p><p>かしこまりましたお任せ下さい</p><p>あたしはレイちゃんの相手をするから</p><p>寧がオレたちを見る</p><p>そんじゃあ行くよっ作戦開始っ</p><p>イーディ監視の美智だけを残してオレたちは、アニエスの方へ向かう</p><p>３人並んでズッズッと歩いて行く</p><p>はぁいアニエス、レイちゃん</p><p>寧が２人に声を掛ける</p><p>アニエスに警戒心を抱かせないようにここは、２人一緒に話し掛ける</p><p>もっとも、２人ともオレたちの接近にすでに緊張している</p><p>この部屋、ちょっと暑くないあたしたち以外の人は、みんな裸だよっ</p><p>そうだ寧とアニエスと麗華以外は、みんな全裸になっている</p><p>ああ、暑いなぁあたしも脱いじゃおうっ</p><p>寧が服を脱ぎ出す</p><p>部屋は心地よい室温に保たれている</p><p>もし、暑さを感じるとすればそれは興奮して、身体が上気しているからだろう</p><p>寧の魅惑のプロポーションが、外気に晒される</p><p>白い肌と豊かな量感のある、胸と尻</p><p>でも、腰はキュッとくびれていてヨーロッパのアート系のヌード写真を思い出させるような、完璧な裸身だ</p><p>ああ裸は気持ちいいなぁ</p><p>寧の言葉に、マナが乗る</p><p>うん、ハダカンボ、気持ちいいよっ２人も、脱いじゃおうよ</p><p>アニエスと麗華が、ビクッと身体を震わせる</p><p>大丈夫だよっここには、あたしたちしかいないじゃん</p><p>マナが、ニコニコと微笑んでアニエスのベッドに飛び乗る</p><p>ほらっ、アニエスちゃんも脱ごうっ</p><p>ああのアニエスは</p><p>恥ずかしがるばかりだ</p><p>もおっアニエスちゃんたらっ</p><p>マナが、アニエスに抱きつく</p><p>驚くアニエス</p><p>マナアニエスちゃんのこと大好きだよっアニエスちゃんは</p><p>戸惑っている</p><p>うふふっあたしも、アニエスちゃん好きぃぃ可愛いんだもんっ</p><p>裸の寧がベッドの上のアニエスと麗華の間に飛び込む</p><p>これでアニエスと麗華は、分断された</p><p>アニエスは全裸のお姉さん２人に、挟まれる</p><p>アニエスちゃんっチュッ</p><p>あたしもチュッ</p><p>左右から、アニエスを抱き締めて頬にキスする</p><p>あわわわっ</p><p>ほらっ寧お姉ちゃん、おっぱい大きいでしょ</p><p>うん、触って良いよ、アニエス</p><p>寧が、自分の胸にアニエスの顔を埋める</p><p>あっぷにぷにしてますの</p><p>母性に飢えているアニエスが、寧の肉体の柔らかさに抱かれる</p><p>ほーら、大丈夫だからね怖くないでしょっ</p><p>寧に抱えられアニエスの緊張が、解けていく</p><p>お兄ちゃん来て</p><p>マナが、ベッドの上からオレを招く</p><p>足を大きく開いて</p><p>マナのことペロペロして、お願い</p><p>オレは、マナの身体に向かう</p><p>うひっ</p><p>オレの接近に、アニエスがビクッとなるが</p><p>大丈夫っ大丈夫だから、ねっ</p><p>寧の豊満な身体に抱き締められてアニエスの危機感覚は、鈍ってしまう</p><p>うんお兄ちゃんにペロペロして貰うだけだからっ</p><p>気持ちいいんだよ、お兄ちゃんの舌自分でするより、全然良いのっ</p><p>わざと、アニエスの心を惹くように囁く</p><p>オレはまずマナの可愛いおっぱいを揉み、乳首を舐める</p><p>あっいい乳首、もっとペロペロして舌で転がして</p><p>オレは、マナのリクエストに応える</p><p>右ばっかりじゃ嫌左もお兄ちゃんあんっ</p><p>オレの舌が左右の乳首を交互に責める</p><p>ほーら、マナ気持ち良さそうでしょヨッちゃんにしてもらうのって、本当に気持ちいいんだよっ</p><p>アニエスを後ろから抱き締めて寧が耳に囁く</p><p>ああ、アニエスは見ている</p><p>視線を感じる</p><p>アニエスの眼が、オレの舌の動きに集中している</p><p>次は下へ下をお願いっ</p><p>オレの舌がマナの１４歳の肌を這っていく</p><p>おっぱいの谷間から柔らかい、お腹へ</p><p>あむっ</p><p>おへそをペロッと舐めてやる</p><p>そこからまた下降</p><p>マナのそこは、まだ無毛だから</p><p>舌にジャリッという陰毛の感触は、感じない</p><p>雪乃だともう、ジャリジャリなんだけれど</p><p>マナも、もう数年したら、あんなにボワボワになるのだろうか</p><p>マナは持病があって、静岡で療養していた時代がある</p><p>今はもう完治して健康になったっていうから、これから一気に成長するかもしれない</p><p>まだ１４歳の中学２年生だもんな</p><p>中学２年生なのに</p><p>その女性器はすっかり濡れていた</p><p>オレの舌がネコがミルクを飲むように、マナの泉をぺちゃぺちゃと啜る</p><p>乳製品の匂いと舌先に感じる酸味</p><p>マナの淫部の味だ</p><p>気持ちいいっ気持ちいいよおっお兄ちゃん</p><p>マナが、太ももでオレの頭を挟み付ける</p><p>まだ肉の付いていない細い足だ</p><p>太ももの内側の薄い肌がオレの顔に触れる</p><p>オレは、指でマナのそこを開く</p><p>内側に、舌を差し入れる</p><p>あああっアニエスちゃっすっごく気持ちいいよっ</p><p>うふふ、アニエスちゃん、自分で触りたいダーメ、触らせてあげなーいっ</p><p>そんな、寧の声が聞こえる</p><p>どうやら、興奮したアニエスが自分の秘部を指で触ろうとしたのだろう</p><p>そのアニエスの自慰行為を、寧が止めた</p><p>アニエスには、性衝動を極限まで溜め込んでもらう</p><p>ああっお兄ちゃんお兄ちゃん</p><p>オレは、ついにマナのクリトリスを剥き舐める</p><p>うひぃぃんっこれ、気持ち良すぎるよおっ</p><p>マナの身体が快感に反り上がるッ</p><p>オレの頭を、両手でギュッと掴んでいる</p><p>オレは舌先で、赤い豆のような女芯を刺激する</p><p>あああっあああっいいっいいよおっ</p><p>たっぷりと唾を付けてペロペロと舐め上げるッ</p><p>いいっお兄ちゃんいいよおっお兄ちゃんっ</p><p>ビュッとマナの股間から、愛液が噴き上がる</p><p>オレの鼻から口にかけてをベトベトに汚していく</p><p>だからオレはマナの尻をギュッと掴んで</p><p>さらに、荒々しく舌を暴れさせるッ</p><p>はぁぁっいいのっ気持ちいいっあっあっ、あーっ</p><p>マナは快感に身悶えするッ</p><p>はぁ、はぁお兄ちゃん、もういいよこれ以上されるとマナ、イッちゃうから</p><p>大きく荒い息をしながらマナが言った</p><p>マナがイクとアニエスちゃんが、怖がるでしょ</p><p>マナは、こんな状況できちんとブレーキが効くようになった</p><p>確かに、絶頂に達して痙攣したり、放心状態になってしまうマナをアニエスに見せるのは良くないかもしれない</p><p>はいもういいからありがとうとっても、気持ち良かったよお兄ちゃん</p><p>マナが、オレにそう言ってオレの唇にキスしてくれる</p><p>さっきまで自分の股間を舐めていた口にキスするということ</p><p>それだってアニエスに対する、教育になっているはずだ</p><p>本当に、お兄ちゃんにしてもらうのは気持ちいいんだよっアニエスちゃんも、してもらいなよっ</p><p>じんわりと快感の汗に濡れるマナがアニエスに言う</p><p>オレもアニエスに振り向く</p><p>アニエスは、すでに半裸に剥かれていた</p><p>寧が、アニエスの自慰を阻止しながらアニエスの服を、少しずつ脱がしていた</p><p>白く透き通った肌</p><p>１２歳の未成熟なおっぱいと桜色の乳首が、丸見えになっている</p><p>オレは、マナからアニエスの身体に向かう</p><p>いっダメですのっ来ないでっ</p><p>アニエスは、オレの接近に恐怖するが</p><p>大丈夫だよ怖くない、怖くないってアニエス</p><p>寧がアニエスの耳に、囁く</p><p>そうだよ、お兄ちゃんは気持ち良くしてくれるだけだからっ</p><p>マナもそう、アニエスに言う</p><p>ダメダメですのっ</p><p>アニエスは、ぷるぷると頭を振る</p><p>アニエスの身体はパパンのものですのっ他の男の人には、触らせてはいけないんですのっ</p><p>ああそういう風に教育されているんだ</p><p>そういうのは、もういいんだよアニエス</p><p>アニエスのパパは、オレなんだから</p><p>そうだ白坂創介ではない</p><p>オレがアニエスの</p><p>アニエスの眼が、オレを見つめる</p><p>そうだよヨッちゃんはアニエスのパパなんだからアニエスを気持ち良くしていいんだよっ</p><p>寧が囁く</p><p>白坂創介はアニエスを生まれてからずっと、１２年間監禁している</p><p>そして自分のことを崇拝する様に、教育してきた</p><p>この教育で培われたものは簡単には、壊せない</p><p>無茶をすればアニエスの精神の中のアイデンティティを破壊してしまう</p><p>破壊ではなく上書きする</p><p>そうだよっ、ヨッちゃん、パパだもんっ</p><p>うん、パパだから気持ち良くしてもらって、いいんだよっ</p><p>寧とマナもフォローしてくれる</p><p>オレはアニエスのパパン白坂創介を否定しない</p><p>否定しないでアニエスの中の白坂創介・信仰ごと丸呑みしてやる</p><p>それならオレは、アニエスの心の中で、白坂創介以上の存在になる</p><p>家族そしてパパに</p><p>アニエス、お前を気持ち良くしていいのはパパであるオレだけなんだ</p><p>オレの言葉が魔法のように、アニエスの心に染みていく</p><p>オレが、アニエスのパパだみんなは、アニエスの家族だこれから、ずっと一緒に暮らすんだぞ</p><p>ずっと、一緒ですの</p><p>アニエスが、ぽつりと呟く</p><p>当たり前だろパパなんだから</p><p>オレの言葉にアニエスの心は、揺れる</p><p>ここ数日、忙しくて感想欄の返信が遅れています</p><p>申し訳ありません今夜にでも、まとめてやります</p><p>前にも書きましたが私の母は、老人向けの小さな用品店をやっていまして</p><p>これまでは、その経理を父がやっていたのですが</p><p>父がすっかりボケてしまいましたので</p><p>今日は、父と一緒に税務署に書類を出しに行きました</p><p>私は法人の方は全然素人なのでボケてはいても、毎年やっていた父が一緒の方が良いかなと思ったのですが</p><p>いやあ、父は税務署の場所すら判らなくなっていましたはぁ</p><p>ついでに、我が家の住所と電話番号も</p><p>国の方の税務署が終わって、次は都の方の税務署へ行こうとしたら</p><p>いや、そんなところへは行ったことが無い</p><p>無いわけないよ去年までは、あんたが提出していたんだから</p><p>入院するまでは、父が全部１人でやっていたので</p><p>謎なことがいっぱいあります</p><p>父のパソコンも本人がパスワードを忘れているし</p><p>430．第一次アニエス攻略戦　（その２）</p><p>ほら、アニエスちゃんちゃんと脱ぎ脱ぎしようねっ</p><p>マナが、寧によって半脱ぎになったアニエスの衣服を脱がしていく</p><p>背後から寧に抱きすくめられているアニエスはどうすることもできない</p><p>服の合間から、おっぱいだけが見えている時は、そんなに意識しなかったけれど</p><p>こうやって見るとアニエスの身体は、余りに幼い</p><p>いや、１２歳の少女の肉体は胸だって、ぷっくり盛り上がってきているし、つるぺたの美智より、よっぽど発達しているとも言えるのだけれど</p><p>それ以前に肉体のベースが、まだまだ子供だ</p><p>肩幅も狭いし腰もくびれていない</p><p>お腹はぷっくりと、柔らかそうだ</p><p>手足も、まだ肉が付いていなく細い</p><p>何とか表現しようとすると薄い印象がある</p><p>前に、寧の肉体をオレは厚いと表現したことがある</p><p>いや、今、眼の前で裸体の寧が、半裸のアニエスを後ろから抱えているから、特に比較してしまうんだろうけれど</p><p>寧は、巨乳でとってもグラマラスだが決して、太ってはいないむしろ、締まった身体をしている</p><p>身体そのものが、もう大人のプロポーションになっているから肩幅もあるし、腰骨も発達しているおっぱいが垂れないように、筋トレを欠かさないというから胸そのものが張っていて、厚みがある</p><p>さらにツンとロケットみたいに尖った、大きなおっぱいや、きゅんと丸いお尻</p><p>とにかく肉体の造形が、立体的な感じがする</p><p>一方アニエスは</p><p>おっぱいが、すでに膨らんでいるのに平たい感じがする</p><p>とにかくこれは、子供の身体だ</p><p>ああオレはずっと、美智の身体は小柄で幼いと思っていたけれど</p><p>アニエスと比較するとよく判る</p><p>美智は美智で充分に１５歳の少女の肉体として、成長しているんだな</p><p>ヨッちゃんそこで躊躇わない</p><p>もう立ち止まっている余裕は無いよっ</p><p>アニエスの１２歳の肉体が、どれだけ幼くても</p><p>オレは、この子を白坂創介の前で、犯さないといけない</p><p>復讐が果たされない限りミナホ姉さんの心の解放は無いのだから</p><p>オレは、アニエスに言う</p><p>可愛いよとっても綺麗な身体をしているね</p><p>オレは改めて性的な視線だけで、アニエスを見る</p><p>処女の割れ目は、もちろんぴったりと閉じている</p><p>ハーフのアニエスの肌は白いというより、青白い</p><p>普段、この地下室の天窓からしか日光を浴びてないからな</p><p>アニエスちゃんのお腹可愛いねつ生まれたばかりの、ウサギのお腹みたい</p><p>マナ、生まれたばかりのウサギなんて見たことあるのか</p><p>あるよ静岡の小学校で、あたし飼育係だったから</p><p>マナ、どいてヨッちゃんと場所を変わってっ</p><p>あ、うんこの先はマナが、触っちゃだめだもんね</p><p>マナが、退く</p><p>そうだアニエスに性的な快感を教えるのは、オレでなければならない</p><p>他人から与えられる性感で、イカせられるという経験を与えないと</p><p>オレは、マナに代わってベッドの上のアニエスに接近する</p><p>アニエスはビクッと身体を震わせる</p><p>怖いんだな</p><p>青い瞳を大きく開いてオレを見ている</p><p>大丈夫だ心配しなくていいから、アニエス</p><p>もう、何回こういう体験をしただろう</p><p>男に抱かれた体験の無い少女を怯えている少女をなだめるのは</p><p>過去の経験の記憶に乗っかってはダメだ</p><p>慣れてはいけない</p><p>前のことは、全て忘れろ</p><p>アニエスはアニエスだ</p><p>他の子とは違うアニエスという、個性を持った少女だ</p><p>女の子たちはみんな同じじゃない</p><p>個別に違うんだ</p><p>アニエス、もっとよく顔を見せてくれ</p><p>それから身体も</p><p>よく見ろ感じろ</p><p>アニエスはどんな女の子だ</p><p>全身全霊を懸けて感じ取れ</p><p>そーら、アニエス怖くない怖くないよっ</p><p>寧が後ろからアニエスに囁く</p><p>寧に抱かれてアニエスの緊張が、僅かに緩んだ</p><p>この子は人に抱かれた記憶が、全然無いんだ</p><p>アニエスオレにも、アニエスを抱かせてくれ</p><p>オレは、笑顔でアニエスに腕を開く</p><p>アニエスは、怖がるが</p><p>大丈夫抱き締めるだけだよ</p><p>そうだよっ大丈夫、ヨッちゃんは優しいんだからっ</p><p>オレは、後ろからアニエスを抱いている寧ごと彼女を前から抱き締める</p><p>アニエスは、オレと寧に前後からサンドイッチにされた状態だ</p><p>アニエスが、声を漏らす</p><p>３人とも裸だ</p><p>生身の肌と肌をぴったりと重ね合わす</p><p>しばらく、そのままでいる</p><p>３人が３人の体温を感じ合って</p><p>アニエスの心の動揺の波が治まるまで待つ</p><p>ああ、アニエスの方が体温が高いんだ寧よりも</p><p>大丈夫か苦しくないか重くないか</p><p>しばらくしてオレは、アニエスに尋ねた</p><p>なるべく、体重を掛けないようにはしているけれど</p><p>大丈夫ですの</p><p>アニエスは、小さな声で答えた</p><p>あたたかいですの</p><p>後ろから寧が</p><p>アニエスちゃん、判る後ろから抱いているのがあたしの女の身体前から抱き締めているのが、ヨッちゃんの男の身体だよ</p><p>アニエスは寧の言葉を聞いている</p><p>男の子の身体は、逞しいでしょアニエスのことを守ってくれるんだよ感じるよね判るよねっ</p><p>アニエスは答えない</p><p>アニエスドキドキしてるんだな</p><p>オレは、アニエスに微笑む</p><p>アニエスの心臓がトックン、トックン鳴っているのオレに伝わってくるよ</p><p>オレは身体を起こして自分の胸をアニエスの顔の前に出す</p><p>オレの心臓の音も聞いてくれよ</p><p>耳を当てて効いてごらんよっ</p><p>寧に言われてオレの胸に耳を付ける</p><p>どうだアニエス</p><p>ドックンドックン、音がしますの</p><p>そうだよオレも緊張しているんだアニエスと一緒だ</p><p>アニエスが、キョトンとしてオレを見る</p><p>一緒なんだよ、オレたち</p><p>一瞬の隙を突いてアニエスの唇にキスをする</p><p>はふっ</p><p>驚くアニエスの頭を押さえて何度も何度も、繰り返し唇を重ねる</p><p>そのうちアニエスは諦めたのか脱力する</p><p>可愛いよ、アニエスオレのアニエス</p><p>オレは、呪文のようにアニエスの耳に囁く</p><p>一生離さないずっと一緒だよアニエス</p><p>アニエスの耳の性感帯を唇で責める</p><p>はおぅっ</p><p>アニエスは、くすぐったそうに身体を捩るが</p><p>後ろから抱いている寧が逃がさない</p><p>大丈夫気持ち良くなるだけだからね</p><p>耳の中を舐める</p><p>くぅんっ</p><p>アニエス可愛いぞ</p><p>首筋に舌を這わすと身体を反らして、身悶える</p><p>くすぐったいですの</p><p>潤んだ眼でオレに言った</p><p>それは、くすぐったいんじゃない感じているんだよ</p><p>感じる</p><p>そうだもっともっと、気持ち良くしてやるから</p><p>オレの舌は首筋から胸に下降していく</p><p>ぺろぺろと張っていく</p><p>え、そこは</p><p>アニエスのおっぱいは、小さいから</p><p>口を大きく開いて乳輪ごとパクッと吸い上げる</p><p>口の中で舌を尖らせて陥没している乳首を探す</p><p>ベロベロと舐め上げる</p><p>い、いやぁんああんっ</p><p>オナニーで自分で触ったことはあるんだろうけれど</p><p>粘膜で舐められるのは初めてだろう</p><p>初めての感覚にアニエスは、震える</p><p>あ脇の下や首に汗が浮いてくる</p><p>アニエスの興奮に火が点いたようだ</p><p>オレは、左右のおっぱいを交互に責める</p><p>アニエス右と左、どっちの方が気持ちいいっ</p><p>寧がアニエスの耳に囁く</p><p>左左ですの</p><p>アニエスは、頬を赤らめて答えた</p><p>やっぱりね心臓がある方が、感じるんだね</p><p>マナが、オレたちを見てそんなことを言った</p><p>じゃあ、左をもっと舐めてやるよ</p><p>オレは舌にたっぷり唾を付けて舐める</p><p>ああ、陥没した乳輪の中に固くしこった突起を感じる</p><p>まだ、埋もれたままだけれど乳首が勃起しているんだ</p><p>ああんっあんっ</p><p>アニエスは感じやすい身体をしている</p><p>さあさらに侵攻するぞ</p><p>オレの舌はなだらかな、おっぱいの山を越えてぷっくりとしたお腹の平原へ</p><p>何じゃ、これすごい柔らかい</p><p>小さな女の子のお腹って、こんなに柔らかくてすべすべしているんだ</p><p>もちろんおへそにも、ご挨拶する</p><p>そこははふっ</p><p>おへそを舐められるのもくすぐったいらしい</p><p>さらにオレの舌は扇状地の三角地帯へ</p><p>アニエス足を開いて</p><p>大丈夫だってヨッちゃんに任せて</p><p>寧に言われてもアニエスは、躊躇している</p><p>平気だよさっき、マナもして貰ってたでしょお兄ちゃんに、ペロペロ舐めて貰うだけだよとっても気持ちいいんだからっ</p><p>さっきのマナへのクンニリングスをアニエスは、すぐ横で見ている</p><p>マナの気持ち良さそうな様子を</p><p>大丈夫だよマナのお兄ちゃんだもんアニエスのパパなんだよっ</p><p>ほら、アニエス足を開いてごらん</p><p>アニエスは、マナとオレの顔を見て</p><p>ようやく覚悟する</p><p>細くて長い１２歳ハーフ美少女の足が開かれていく</p><p>うんアニエスは、ここも可愛いな</p><p>アニエスの女陰は小さい</p><p>本当にここにオレの勃起を打ち込めるのだろうか</p><p>オレは指で割れ目を開く</p><p>中はすっかり潤っていたとろりと透明の液が滴る</p><p>ふーっ</p><p>オレはまず、息を吹きかける</p><p>アニエスが声を漏らした瞬間</p><p>ペロッと舌で舐め上げる</p><p>うぎっ</p><p>アニエスは、慌てて足を閉じようとするが</p><p>オレは、そのまま太ももをガッと押さえて</p><p>アニエスの股間を舌で犯していくっ</p><p>ああんっあっああんっ</p><p>声を上げて悶えるアニエス</p><p>どう自分で触るより、全然良いでしょお兄ちゃんだから、気持ちいいんだよっ</p><p>マナがアニエスに囁く</p><p>いいから気持ち良くなっていいんだよっ身体をヨッちゃんに預けて怖くない、怖くないからね</p><p>オレは、必死に舌を使う</p><p>本当に小さな身体だ子供の身体だ</p><p>オレの力で、簡単に押さえ込めてしまう</p><p>お尻も、足も、太もももぷにぷにしているだけで、弱い</p><p>オレは今、１２歳のまだ小さな女の子のヴァギナを、舐めている</p><p>あんんっあはんっあああっ</p><p>アニエスは喘ぐ</p><p>毎日３回もオナニーを義務づけられていたんだ</p><p>１２歳でも性感だけは、鍛えられている</p><p>一度、火が点けば絶頂まで昇っていくのだろう</p><p>ほら、ダメよ、アニエス眼を瞑ってはダメヨッちゃんの顔を見て</p><p>切なそうな幼い少女が眼を開く</p><p>青い瞳が自分の股間を舐める、オレを見下ろしている</p><p>そうだよお兄ちゃんが、アニエスちゃんを気持ち良くしてくれているんだよちゃんと見てあげてアニエスちゃんのパパなんだから</p><p>ぱ、パパはむんっ</p><p>オレはアニエスのクリトリスを剥き出す</p><p>マナのより小さくて、赤い</p><p>小粒の紅玉のように愛液にてらてらと光っている</p><p>それでも固くしこっている</p><p>アニエス一番気持ちいいところを、いくぞ</p><p>小さなクリトリスを舌で転がす</p><p>あああああはんっ</p><p>アニエスは、オレの頭をギュッと鷲掴みにする</p><p>気持ちいい気持ち良いでしょアニエスちゃん</p><p>ううう気持ちいい</p><p>アニエスが快感の波に、溺れていく</p><p>ちゃんとヨッちゃんに言わなきゃパパ気持ちいいって、言ってあげてっ</p><p>アニエスは連続する快感に、眼を細めたまま</p><p>パパ気持ちいい気持ちいいですのぉあんっ</p><p>パパ、自分でするより良いって、言ってあげて</p><p>マナもアニエスにそう囁く</p><p>ぱ、パパぁあ、アニエスね気持ちいい自分で触るより気持ちいいパパにペロペロされるのいいよおっ</p><p>オレはさらに舌使いを激しくするッ</p><p>はぁぁんっあああっいやぁぁんあっあっはぁ</p><p>アニエスの身体がどんどん熱くなり湿っていく蕩けていく</p><p>アニエスちゃんパパ、イかせてって言って</p><p>マナが、ニンマリと微笑んで告げる</p><p>いいからパパ、イかせてって言うのほらっ</p><p>ぱ、パパいっイかせてイかせてぇぇぇ</p><p>オレはスパートをかけるッッ</p><p>あっあああっアニエスアニエス飛んじゃう</p><p>アニエスはいつものオナニーの時の癖で</p><p>上空を見上げる</p><p>イク時はいつも白坂創介の裸像を見上げていたからだ</p><p>しかし、今そこに像は見えない</p><p>アニエスパパを見て、イクんだよっ</p><p>寧が、囁く</p><p>そうだよパパを見てアニエスちゃんを気持ち良くしてくれているのは、パパなんだからねっ</p><p>ぱパパ</p><p>オレとアニエスの眼が合う</p><p>パパぁぁ</p><p>アニエスはエクスタシーに包まれる</p><p>あああっあああっあはぁぁくふぅ</p><p>ビクビクビクッと腰を悶えさせる</p><p>細い太ももが、ギューッとオレの頭を挟み込む</p><p>オレの髪の毛を、ギュギュッと握りしめた</p><p>オレの顔に股間を押しつける</p><p>オレの鼻がグリグリとアニエスの女陰に擦り付けられる</p><p>くっぅぅんくぅぅくふぅぅん</p><p>アニエスは喘ぎ声だけは、すでに大人の女性だった</p><p>肉体はこんなにも、幼いのに</p><p>はぁぁあああくぅぅん</p><p>そしてアニエスの長い絶頂が終息する</p><p>くふぅぅはぁぁはぁはぁ</p><p>じんわりと汗をかいてアニエスは全身で息をする</p><p>はい、お兄ちゃんタオルマナが拭いてあげるねっ</p><p>マナが、清潔なタオルを持って来てくれた</p><p>アニエスの愛液と汗に濡れたオレの顔を拭いてくれる</p><p>オレは、身体を起こし脱力しているアニエスを、もう一度抱き締める</p><p>アニエスの眼は、焦点が合ってない</p><p>ボーツとしている</p><p>アニエスアニエス大丈夫か</p><p>オレが声を掛けても返事しない</p><p>アニエスちゃん、起きて</p><p>マナが、アニエスのほっぺたをトントンとつつく</p><p>あふぅ</p><p>アニエスの眼に生気が蘇る</p><p>アニエス大丈夫か</p><p>アニエスの青い瞳がオレの顔を捕らえる</p><p>ぱ、ぱ</p><p>そうだぞアニエスのパパだぞ</p><p>パパっ</p><p>アニエスは自分から、オレをギュッと抱き締めた</p><p>パパ、パパ、パパぁぁ</p><p>うわわわぁ、と泣き出すアニエス</p><p>うん大丈夫だからオレは、ここに居るから</p><p>オレもアニエスを抱き締める</p><p>この子他の人とのスキンシップが全然無かったから</p><p>スキンシップを与えられていないのに白坂創介のセックス映像を見せられて白坂創介の姿を見上げながら、オナニーすることを強要されてきたから</p><p>だから、アニエスは</p><p>オナニーで性感だけは、発達したれどでも、本来、セックスって、スキンシップの塊みたいな行為じゃんかセックスは男も女も裸で肌と肌を合わせてするんだから</p><p>なのに、アニエスは誰にも抱き締められていないのにオナニーだけ覚え込まされて、自分のぬくもりしか知らなかったから</p><p>改めて、考えれば何て酷いことなんだろう</p><p>この子ずっとあたしたちに壁を作っていたんだよううん、どうやってあたしたちと接触したらいいのか判らなかったんだと思うイーディやマナたちが、この子の身体に触れるようになってこの子も大分、心を許してくれていたけれど心の奥底の一番大事なところは閉ざされたままだったんだと思う</p><p>１２年間の孤独が暗闇がそんなに簡単に晴れるはずが無い</p><p>でもさぁアニエスの中ではアニエスの中だけでは、ずっと色んな感情が空廻っていたんだよでも、この子はそれを誰にどう表現したらいいのか判らないから</p><p>アニエスが、泣きじゃくりながらオレに縋り付く</p><p>オレはそんな、アニエスの背中を優しく擦ってやる</p><p>うんアニエスオレは、ここに居るぞ</p><p>何度も何度もアニエスの泣き顔にキスをしてやった</p><p>アニエスの溜め込まれっぱなしだった感情はヨッちゃんに愛撫されてイクことで、一気に吐き出されたんだと思うよイク瞬間にはヨッちゃんに、自分の全てを委ねたんだ心が完全に無防備になったんだよ</p><p>だから、アニエスはオレの胸で泣いている</p><p>もう大丈夫だぞ、アニエスオレは、ここに居るここに居るからな</p><p>パパぁぁ</p><p>あオレも、アニエスと一緒だ</p><p>オレにもずっとスキンシップを与えてくれる人がいなかった</p><p>バァちゃんが、死んでしまってからは</p><p>オレは母親に抱き締められた記憶は無い</p><p>親父にも</p><p>アニエスオレを見ろ、ちゃんと見るんだ</p><p>アニエスは泣き腫らした眼を開く</p><p>うん、オレがパパだアニエスのパパなんだ</p><p>パパパパぁぁ</p><p>オレが、いつでも抱き締めてやるこれからは、ずっとオレがアニエスの側に居るからな</p><p>オレはアニエスに微笑む</p><p>パパぁっ</p><p>またオレの胸に飛び込んで泣く</p><p>オレは必死でアニエスの身体を抱き締めていた</p><p>同時にオレも、アニエスに抱き締められていた</p><p>オレたちは抱いて抱かれる</p><p>この子にオレが必要なようにオレにもアニエスが必要だ</p><p>オレは一生、この子を離さない</p><p>幸せにしてやる</p><p>いつの間にかオレも、泣いていた</p><p>泣くだけ泣いてアニエスは、そのまま眠ってしまった</p><p>それでも、オレの腕を握ったまま離さない</p><p>うーん、思ってた以上にパパっ子になっちゃいそうだなあっ</p><p>いいよ、パパっ子で</p><p>オレは、アニエスの頭を撫でてやる</p><p>うんうん、いいと思うよマナは、お兄ちゃん子だし</p><p>そうだねあたしも、弟大好きっ子だもんね</p><p>マナの言葉に、寧は微笑む</p><p>わたくしもご主人様大好きっイヌです</p><p>美智せめて人間になれ</p><p>イーディはどうしてる</p><p>眼を回したまま、眠ってしまったようです</p><p>瑠璃子、真緒ちゃんは</p><p>エアマットの方の瑠璃子に声を掛ける</p><p>ぐっすり眠ってます可愛いです</p><p>瑠璃子も早く、お兄様の赤ちゃんが欲しいです</p><p>おい、瑠璃子</p><p>お兄様瑠璃子もお兄様大好きっ子ですわお兄様がお寂しい時は、いつでもハグして差し上げますわ</p><p>ルリお姉ちゃん、抜け駆けダメぇぇ</p><p>マナが、瑠璃子を制する</p><p>えっと、それから</p><p>あれ、レイちゃんは</p><p>オレは、麗華を探す</p><p>どこに行った姿が見えないけれど</p><p>ここに居ります</p><p>オレの背中の後ろから声がする</p><p>あんまりにも近いのでびっくりした</p><p>あずっとオレの真後ろに立っていたのね</p><p>お兄ちゃまあたし、感激してしまいました</p><p>麗華は、抱き合って泣き合う、オレとアニエスをずっと見ていたらしい</p><p>レイちゃんこっちへ来い</p><p>レイちゃんもスキンシップが不足して成長した子だろ</p><p>オレは、麗華に微笑む</p><p>抱き締めてやるから抱き締めてくれ</p><p>はい、お兄ちゃま</p><p>恥ずかしそうに麗華は、オレの腕に飛び込んで来る</p><p>まさか感動話になるとは</p><p>次話で、日付が変わります</p><p>克子たちも戻って来るかな</p><p>そして、噂のあいつも還ってくるはず</p><p>431．セックスに関する注意事項</p><p>んんんっ</p><p>ヤバイいつの間にか、眠ってしまっていたみたいだ</p><p>しょうがないか瑠璃子の処女破瓜以来、連続でセックスしてたし</p><p>くたびれていたもんな</p><p>まぶたが重い</p><p>眼が、開けられない</p><p>あオレ、誰かを抱き締めている</p><p>誰かの身体を、抱き枕にしちゃっているんだな</p><p>温かい体温が伝わって来る</p><p>人を抱き締めているのって心が穏やかになる</p><p>癒やされる</p><p>この抱き枕ちょっと、大きくないか</p><p>ハッとして眼を開く</p><p>眼の前に女の顔があった</p><p>二重の大きな眼がオレを見ている</p><p>眼の前の麗華は言った</p><p>オレ麗華の長身の肢体を、抱き締めていた</p><p>う、うんお早う</p><p>つい、そう答える</p><p>麗華は顔を赤らめる</p><p>そんなに見ないで下さいお兄ちゃま</p><p>だってレイちゃんが、オレを見ているから</p><p>はいずっと、見ていました</p><p>ってオレの寝顔をか</p><p>だってとっても、可愛かったから</p><p>１６歳高校一年生男子としては可愛いと言われることには、抵抗がある</p><p>そりゃ麗華は、オレよりずっと年上だけれど</p><p>うん、可愛いっ可愛かったよっヨッちゃん</p><p>え上の方から、声がする</p><p>オレは、首を声の方に傾けると</p><p>寧とマナ、美智さらに瑠璃子までがオレを見下ろしていた</p><p>うんお兄ちゃんの寝ているお顔、とっても可愛かったよっ</p><p>可愛くて、食べてしまいたくなりました</p><p>うふふお兄様</p><p>みんなオレを見ていたのか</p><p>うんピーピー寝息を立てていて、とっても面白かったよっ</p><p>寝姿を面白いと言われても</p><p>あたしのヨッちゃん</p><p>マナのお兄ちゃん</p><p>４人が順番にオレの頬にキスする</p><p>いや美智は舐めたオレの顔をペロっと舐めた</p><p>眼の前の麗華が、恥ずかしそうに言う</p><p>麗華には、オレの方からほっぺたにキスしてやった</p><p>えっと他の子は</p><p>真緒ちゃんは、ぐっすり眠っているよっ</p><p>と、マナ</p><p>イーディもです</p><p>と、美智</p><p>オレが尋ねると、瑠璃子が</p><p>お兄様のお背中にしがみついていますわ</p><p>オレは思い切り首を後ろに向けて、覗き込む</p><p>アニエスは、オレにしがみついてクークーと寝息を立てている</p><p>うんと今何時</p><p>オレは、天窓を見上げる</p><p>外は暗い夜のままだ</p><p>そんなに長い時間、眠ってしまったわけではない</p><p>午前２時過ぎだよっ</p><p>そう克子姉たちの方は</p><p>克子姉は、ジッちゃんの秘書さんの調教を行っている</p><p>渚もサポートに向かった</p><p>みすずとメグはジッちゃんを待つ美子さんの相手をしている</p><p>マルゴさんもジッちゃんの警護役をもてなしている</p><p>今さっき、片が付いたところ香月のおジィちゃんたちは、そろそろお帰りだと思うよっ</p><p>これも寧が答える</p><p>じゃあ見送りに行った方がいいのかな</p><p>うーんヨッちゃんと瑠璃子は、今夜はもう顔を見せない方が良いと思うよおジィちゃん、色々と思うところがあるだろうし</p><p>オレは瑠璃子をジッちゃんから奪った</p><p>ジッちゃんの心情からするとそういう風に感じているはずだ</p><p>美子さんも居るしねお見送りは、克姉たちとみすずに任せて置いた方が無難なんじゃないかなっ</p><p>わたくしも、そう思いますわ</p><p>瑠璃子も、そう言う</p><p>そうだなもし、オレが顔を出した方が良いのなら克子姉の方から、連絡してくるだろうし</p><p>信頼して任せてしまった方が良い</p><p>お見送りが済んだら、みんな、こっちへ戻って来るだろうからお茶の準備でもして、待っていてあげようかっ</p><p>そうだね、姉さん</p><p>わたくしもお手伝い致しますわ</p><p>では、わたくしはカップを用意します</p><p>あマナも</p><p>みんな、いそいそと動き出す</p><p>何でみんな裸のままなんだ</p><p>寧も瑠璃子も美智もマナも一糸も纏っていない丸裸だ</p><p>だって夜だから</p><p>マナが、答えた</p><p>あ着ていて済みません</p><p>眼の前の麗華が恥ずかしそうに言う</p><p>ぬ、脱ぎましょうかわたくしいえ、レイちゃんも</p><p>顔を真っ赤にしてそう言う</p><p>そうだね、レイちゃんも脱いじゃいなよっ</p><p>レイちゃんだけ、服を着ているのは変だもんねっ</p><p>オレの背中のアニエスも全裸のままだ</p><p>真緒ちゃんは、着ているじゃないか</p><p>オレが呟くと</p><p>子供は勘定しないのっ</p><p>自分も子供のくせにマナが、そう言う</p><p>イーディだって</p><p>あ、イーディ可哀想に、床に引っ繰り返ったまんまだ</p><p>布団も掛けて貰っていない</p><p>彼女は、問題外です</p><p>美智は、イーディに厳しい</p><p>あの脱ぎますお兄ちゃまが、ご覧になりたいのでしたら</p><p>でもわたくしのレイちゃんの裸は、決して面白くはないと思います</p><p>いや、裸に面白いとか、面白くないとかは無いだろ</p><p>それでもよろしければ</p><p>オレは見たいよレイちゃんの身体</p><p>麗華は恥ずかしそうに、微笑む</p><p>では、お見せします</p><p>麗華はオレから離れて、ベッドの脇に立つ</p><p>オレも身体を起こそうとしたけれどアニエスがしがみついていて、離れない</p><p>仕方無いから、そのまま横になっている</p><p>麗華はふんっ、と覚悟して息を吐き</p><p>震える手で、服を脱いで行く</p><p>家族以外の異性の前で肌を晒すのは、これが初めてなんだろう</p><p>まずは下着姿になる</p><p>あレイちゃん、下着はスポーティなんだねっ</p><p>お茶の準備をしながら、寧が言った</p><p>上下ともシンプルなデザインのスポーツ用の下着だった</p><p>下着までは、英国紳士じゃないんだ</p><p>麗華は恥ずかしそうに</p><p>これでないと、仕事になりませんから</p><p>ああ、警護人として撲殺ステッキを振るうためには</p><p>こういう下着じゃ無いと、動きづらいのか</p><p>それにこれ素材が防刃になっているんです香月セキュリティ・サービスのトップ・エリートはみんなこの下着を付けています</p><p>ってことは、関さんも</p><p>はい服装については、特に社内規定はありませんがみな、下着だけはこれに統一しているはずです</p><p>まあ、関さんもスポーツ好きの溌剌お姉さんだからこういう下着も似合うだろうけれど</p><p>えー、レイちゃん、もっと可愛い下着が似合うよっ</p><p>そうだよね今度、買いに行こうよお兄ちゃんにも、付いて来て貰ってさ</p><p>うん、いいんじゃないっあ、そうだ瑠璃子の下着も買わないといけないもんねっ</p><p>寧が振り向く</p><p>はい、わたくし今着るものが何もございませんから</p><p>ああ、オレが香月家への未練を捨てさせるために、火葬場から脱出した後で着ていた学校の制服も下着も全部脱がせてしまったから</p><p>車の中であたしがあげたアレがあるでしょ</p><p>ああ渚の店のロゴが入った、ツナギのことか</p><p>ほら黒のマイクロ・ビキニしばらくは、あれを着てなさいっ</p><p>黒の極小ビキニだけって全裸並みにエッチだぞ</p><p>しかも身のこなしが優雅で気品のある瑠璃子に、そんなハレンチな格好をさせるなんて</p><p>それならお兄様に、いつでも抱いていただけますものね</p><p>瑠璃子は、まんざらでもないようだった</p><p>みすずもそうだけど香月の血は淫蕩だというジッちゃんの言葉は、正しいのかもしれない</p><p>そんでっレイちゃんは、いつまでその格好のままなわけっ</p><p>下着姿のままおどおどしている麗華を寧が煽る</p><p>は、はいただ今</p><p>麗華は、腹を括ったらしい</p><p>せぇい、ハッ</p><p>気合いの掛け声を吐いてスポーツブラを脱ぎ捨てる</p><p>そのままの流れでパンティも、下ろす</p><p>ど、どうですかっ</p><p>足首に下ろしたパンティを引っ掛けたまま、麗華がオレを見下ろす</p><p>レイちゃんすっごいんだな</p><p>オレの感想に、麗華は戸惑う</p><p>いやレイちゃん、すっごく頑張ったんだな身体を見ると判るよ</p><p>同じ警護役でも美智とは、違う</p><p>美智は古武術の天才のミラクル少女だ工藤父が、美智の天性の才能を褒めていたのを思い出す</p><p>だから、美智は見た目は、小柄でお人形さんの様な美少女で</p><p>裸になっても武闘家らしさは、微塵も感じさせない</p><p>ある種の化け物だ</p><p>それに比べて麗華は</p><p>鍛え上げられた肉体が積み重ねられた努力の全てを物語っている</p><p>オレもっと早く、レイちゃんの裸を見ておくべきだった</p><p>思わずそう言ってしまう</p><p>レイちゃん、凄いよオレ、尊敬する</p><p>麗華のプロポーションは長身で背が高く、手足が長い頭も小さい</p><p>いわゆるモデル体型だ</p><p>マルゴさんや恭子さんの格闘家体型とは違う</p><p>それなのに、しなやかで強靱な筋肉がバランス良く付いている</p><p>麗華がいかに日頃から肉体を鍛え上げ節制を心掛けているかが、よく判る</p><p>これは天才の肉体では無い</p><p>レイちゃん努力家なんだ</p><p>裸を見なければ判らなかった</p><p>あんな撲殺ステッキを軽々と振り廻しているから美智のような、天才タイプなんだと思っていた</p><p>そんな風に言われたのは初めてです</p><p>麗華が真顔で、オレに言う</p><p>そりゃそうだよっレイちゃん、今まで誰にも裸の自分を見せなかったんでしょチームも誰とも組まなかったって言ってたもんね</p><p>マナが、麗華に微笑む</p><p>そうですけれどあのわたくし</p><p>麗華の眼に熱いものが込み上げていく</p><p>お兄ちゃまにそういう風に言われてとても嬉しいです</p><p>レイちゃん</p><p>慌てて、寧と瑠璃子が飛んで来る</p><p>ほら、泣かないのレイちゃん</p><p>全裸の美少女２人に慰められて長身の女警護人は</p><p>ありがとうお兄ちゃま</p><p>泣きべそ顔で、オレに微笑む</p><p>レイちゃんねお兄ちゃまみたいな、兄弟がずーっと欲しかったのっ</p><p>ああ兄弟になるよ、オレレイちゃん</p><p>麗華の弟なのか、兄なのかよく判らないけれど</p><p>レイちゃんには家族が必要だ</p><p>麗華は、ベッドの前にしゃがみ込んで</p><p>よろしくお願い致しますお兄ちゃま</p><p>と今度は、自らオレにキスしてくれた</p><p>はぁくったびれたぁ</p><p>克子姉たちが、このアニエスの部屋に戻って来たのはそれから１５分後だった</p><p>克子姉に渚みすずとメグも、帰って来た</p><p>マルゴさんは</p><p>今夜は疲れたから、自分の部屋でもう寝るってそりゃ、そうよ大徳さんたちの相手をしてたんだから</p><p>ジッちゃんの専任警護人大徳さんと、張本さんは、香月セキュリティ・サービスの手練れの中でも化け物中の化け物だ</p><p>その上、２人ともホモだし</p><p>マルゴさんも、相当神経を使ったんだろう</p><p>森下さんにも、上がって貰ったわ香月様のような方が、このお屋敷にいらっしゃるのは久しぶりだったから森下さんが居て下さって助かったわ</p><p>黒い森の番頭さんとして、長年、ミナホ姉さんに仕えてくれた人だ</p><p>とても、有り難いと思う</p><p>お茶の用意ができているから休憩してっ</p><p>寧が、笑顔でティーカップを手渡す</p><p>ありがとっあら、みんな裸なのねあたしも、これ脱ごうっと</p><p>克子姉は、緑色の派手なボンテージ衣装にムチを持っていた</p><p>ＳＭの女王様、そのままの格好だ</p><p>久しぶりだったからすっかり、肩凝っちゃったわ</p><p>久しぶりというのは調教のことか</p><p>克姉、背中のジッパー下ろしてあげるよっマナ、克姉の肩を揉んであげてっ</p><p>寧とマナが、克子姉に取り付く</p><p>あら真緒はぐっすりね途中で、起きちゃったりしなかった</p><p>渚は裸の上に、オレの着ていたバスローブを羽織ったままだ</p><p>一度起きたけれどマナと瑠璃子が、添い寝してくれて大人しく寝てくれたよ</p><p>やっと、背中のアニエスが外れた</p><p>アニエスを起こさないようにベッドから、起き上がる</p><p>そうありがとう、２人とも</p><p>渚が、マナと瑠璃子に微笑む</p><p>しっかしやっぱ、渚は凄いわよねあたしが、あんなに調教に手こずってたのにさ</p><p>ボンテージ衣装を脱ぎながら克子姉が言う</p><p>渚はひらめきが違うよねまさか、あそこでバイブレーターを縦にして使うなんてさっ</p><p>バイブレーターを縦に</p><p>何がどう縦なんだ</p><p>しかも、３穴同時でしょあたしだけでなく、香月様もビビッてたわよよくあんなこと思い付くわね</p><p>克子姉の豊満なバストが服の中から、弾けるように飛び出して来る</p><p>調教の経験は、あたしの方があるはずなのに渚の発想は凄いわキレが違うわよあんた、ホント天才エロ事師だと思うわっ</p><p>エロ事師って克子姉</p><p>あのバイブレーターとは何ですか</p><p>瑠璃子が不思議そうな顔をして、尋ねる</p><p>調教というのもどういうことを意味するのか、わたくし、よく判らないのですけれど</p><p>その言葉に渚は</p><p>怖い顔をしてキッと、克子姉を睨む</p><p>香月様がお帰りになって、気が緩んでいるのは判るけれど言葉が軽いわよ</p><p>克子姉は謝る</p><p>バイブレーターというのは、セックスに使う道具だけれどそういう物に頼っていくと、愛のあるセックスはできなくなっていくのだから、みんなは使わないようにして</p><p>渚が全員に言う</p><p>それは女の身体に機械的に安易に、快感をもたらせてくれる物なのでも、一度そういう機械を使う快感に溺れてしまうと誰としているのかセックスしている相手のことを感じる力が衰えてしまうから</p><p>渚の声は、真剣だった</p><p>あたしたちわざと、あなたにバイブやローターを使ったセックスを教えないようにしているの本当は、これだけ相手にする女の子がいるからそういう機械に頼った方が、あなたにとっては負担が減ることは判っているんだけどでも、あたしたちあなたを、エロ事師にはしたくないのよ</p><p>あなたにはずっと、女の子を真っ正面から愛する男の子でいて欲しいのだから機械じゃなくて、あなたのオチンチンだけを使って、あたしたちを愛して</p><p>うんオレも、みんなの中に機械なんか入れたくないよずっと、オレのチンコだけだ</p><p>確かにバイブとかの使い方を覚えたら、オレの精力の消耗は減るんだろうけれど</p><p>それじゃあエロ事師だ</p><p>この子たちを、愛しているとは言えなくなる</p><p>きちんと１回１回オレのペニスで愛して、子宮に精液を放出しないと</p><p>愛のあるセックスにはならない</p><p>女の子たちもよ彼のオチンチン以外は、女性器に入れてはダメよ自分の指とかも、入れないようにして</p><p>えじゃあ、１人エッチできないじゃん</p><p>オナニー経験者の寧が言う</p><p>しなくていいわしたくなったら彼にしてもらえばいいんだから</p><p>渚はそう言う</p><p>この際だから、はっきり言うけれど他にもね今はまだ、あなたに教えていないセックスの技法がいっぱいあるの</p><p>克子や御名穂さんとも相談したんだけれどあなたも、本当はまだセックスを覚えたばかりでしょそれに処女だった子ばかりを相手にしているからだから、覚えたての子がすると、ケガをしそうなことは、なるべく教えないようにしているのよ</p><p>そこまで考えてくれていたんだ</p><p>渚は、女の子たちを見渡す</p><p>あなたたちにもアクロバティックなセックスは、見せないようにしてきたのマナちゃんとか、美智ちゃんはすぐに真似をしたがるでしょ</p><p>精神的にヘンタイっぽいシチュエーションのセックスは、してもいいけれど肉体的にヘンタイな体位のセックスは、まだダメよ美智ちゃんの身体が、どんなに柔軟でも彼の方は、普通の男の子なんですからね</p><p>うん判ったよそういうことは、全部、渚と克子姉に任せるから</p><p>オレは、２人に言った</p><p>ミナホ姉さんも相談に乗ってくれたらしいけれどミナホ姉さんとはセックスできないから</p><p>オレたちのセックスの現場監督はこの２人のお姉様たちだ</p><p>まあ克子が口を滑らせたから、こういう話をすることになったけれど結果的には、良い機会になったわね</p><p>ごめーん、渚</p><p>克子姉は、もう一度ペコッと頭を下げる</p><p>そんじゃあついで、あたしからも言っておくわ</p><p>あなたさ今はまだ、女の子のアソコの中に指とか入れてないでしょ女の子の性器の外側を、舌で舐めるだけで指では、そんなに弄くらないでそのまま、オチンチンよね</p><p>うんまあ</p><p>何か、そんなことを具体的に言われると困る</p><p>しばらくは、そうやってて女の子の膣の中を指で触るのは、まだやらないで女の子の中は繊細だし、とっても傷付きやすいからそれにね男が指のテクニックだけ上達するのは、とってもよくないことだから</p><p>克子姉は、嘆息する</p><p>指使いが異常に上手いってのは、エロ事師の特徴なのよ</p><p>だから、今は女の子をイカせることに集中しないで自分が気持ち良くなることを第一に考えてあなたみたいな人はそういうテクニックを覚えると、自分のことは放っとして、女の子を気持ち良くすることしかしなくなると思うから</p><p>ウッ</p><p>痛いとこを突かれた</p><p>確かにオレが、指だけで女の子をイカせる技術を身に付けたら</p><p>そればっかし、やりそうだな</p><p>男の子なんだからあたしたちを押し倒して、あたしたちの膣に射精したいって気持ちを大事にしてそうやって抱いて貰う方が、あたしたちは嬉しいのよそうよね、みんな</p><p>克子姉が尋ねる</p><p>うん今は、ヨッちゃんがあたしで気持ち良くなってくれる方が嬉しい</p><p>マナもお兄ちゃんに犯される方が好きかな</p><p>わたくしは常にご奉仕したいと思っております</p><p>寧、マナ、美智が返事する</p><p>わたくしは全て、お兄様に従います</p><p>あたしも旦那様に可愛がっていただくだけで幸せですわ</p><p>あたしもよヨシくん</p><p>瑠璃子、みすず、メグも</p><p>あたしも自分が気持ち良くなるより、あなたに気持ち良くなって欲しい</p><p>渚も、そう言ってくれた</p><p>快感に溺れたいんじゃないのよあたしたちは、あなたと愛し合いたいセックスしたいんだから</p><p>ええっとわ、わたくしは</p><p>１人だけ取り残された麗華がスットンキョな声を上げる</p><p>いや、レイちゃんは、返事しなくて良いから今はねっ</p><p>寧が、優しい笑顔で麗華をなだめる</p><p>セックスについての注意は、以上よ</p><p>あれ、みすずとメグは元気ないけれど</p><p>戻って来てから、あんまり喋らない２人にオレは話し掛ける</p><p>どうだったんだその美子さんは</p><p>瑠璃子がこちらに注目する</p><p>まあ、その</p><p>２人は、揃って大きく溜息を吐いた</p><p>恵美さんに来て貰って助かりましたあたしだけでは、正直</p><p>ええ美子さん、とっても落ち込んじゃっていて</p><p>真面目な恵美さんだから根気よく、励まして下さいましたでも</p><p>瑠璃子と離れたことが、ショックなんだ</p><p>子供の頃からずっと二人きりで、暮らしてきたんだもんな</p><p>みすずお姉様に、お伺い致します</p><p>瑠璃子がみすずに、尋ねる</p><p>美子様はこのまま、香月家の娘として生きていかれると思われますか</p><p>いいえ、無理だと思うわ</p><p>もう一度、大きく嘆息する</p><p>美子様はずっと、あなたのお付きとして暮らしてこられたから</p><p>瑠璃子は、真っ直ぐにみすずの眼を見つめている</p><p>香月家のそれも本家の後継者として生きていくのは、難しいと思うわ美子様には、名家の令嬢が受けるプレッシャーを、一人で真っ正面から耐え切るだけの精神力は持っていらっしゃらないと思うの</p><p>この作品で、バイブとかがあんまり使われないのは、今話の様な理由からです</p><p>バイブを使った途端に純愛っぽさが消えてしまうので</p><p>それと、指マンが出て来ないのは小説で書くと、あんまり表現しようが無いからです</p><p>Ｇスポットを触ったって書いてもＧスポットが何なのか知らない方には、全然判らないわけですし</p><p>某ＡＶ男優の方の、フィンガー・テクニックも女優さんによっては、ただただ痛いだけだそうです</p><p>処女喪失直後の子には、良く無いと思います</p><p>そう言えば、エロ動画ではよく使っているテクニックですけれどエロマンガとかでは、指を突っ込むことはほとんどありませんし</p><p>なかなか、難しいものです</p><p>人に舐められるのは、仕方がないと思っています</p><p>決して、人様に褒められないような人生を送ってきたのですから</p><p>舐められるのは私が悪いのです</p><p>だけど舐められた以上は、きちんと、舐めた相手を蹴飛ばし返さないといけない</p><p>舐められたままでは、次には踏みつけられ、潰されることは判っているのですから</p><p>ちょっと、面倒なことに巻き込まれています</p><p>まあ、いつものことですけれど</p><p>432．そして、帰ってきた</p><p>このまま美子様が一人きりで、お祖父様のお側に居るというのはとてもお辛いことになると思うわ</p><p>じゃあさっ美子さんも、あたしたちの家族に入ってもらえばいいじゃない</p><p>そういうわけにはいかないよ前の、瑠璃子のお付きだった時なら、それでも良かったけれど今の美子さんは、香月家の本家のご令嬢だもの</p><p>寧が、マナにそう答えた</p><p>瑠璃子の父親の葬儀の席でジッちゃんは、美子さんを自分の孫娘であると公式に認め、お披露目をした</p><p>ジッちゃんの長男の忘れ形見だという、美子さんの身の上はすでに、広く知れ渡っている</p><p>あたしと瑠璃子お祖父様の血を受け継いだ３人の娘のうち、２人までが旦那様の女になってしまいました美子さんまで、旦那様に託すということはさすがに、お祖父様もならさないと思います</p><p>オレたち、黒い森は犯罪組織だ</p><p>オレたちと香月家が、連携するのは良いけれど香月という名家が、犯罪組織に呑み込まれるというのは好ましくないだろう</p><p>あたしは自らの意志で、旦那様の元に参りましたけれど</p><p>ジッちゃんが、オレに瑠璃子を託した本当の理由は</p><p>ジッちゃんが、瑠璃子に長年抱いていた邪恋を断ち切るためだ</p><p>瑠璃子のためというより真実は、自らを律するための選択だった</p><p>だから、ジッちゃんは瑠璃子を３０００円でオレに売り払った</p><p>いえわたくしも、自分の意志でお兄様の奴隷にしていただきましたわ</p><p>瑠璃子が、にっこりとみすずに微笑む</p><p>あらそれはごめんなさい</p><p>みすずも、微笑んで瑠璃子に謝る</p><p>何の後悔も、思い残しもございませんわたくしは、今、とっても幸せですみすずお姉様と同じですわ</p><p>瑠璃子は、そう答えた</p><p>せめてわたくしの今のこの気持ちを美子様にお伝えしたいのですが</p><p>美子さんは瑠璃子が、オレに騙されているとしか思っていないだろう</p><p>オレが瑠璃子の処女を奪い何度も何度も膣内射精する姿を見せられたんだ</p><p>瑠璃子は不幸のどん底に居ると感じているはずだ</p><p>今だから言えることですけれど</p><p>みすずが、口を開く</p><p>あたしも瑠璃子も香月の家に生まれたことで、普通とは違う歪んだ感性の娘に成長してしまったと思います</p><p>それは常に、周りの人々から注目される、香月家という名家に生まれたということだげでなく</p><p>ジッちゃん香月家当主、香月重孝が、自分の趣味嗜好で孫娘たちの成長に深く関わったからだ</p><p>みすずも瑠璃子も男からは、徹底的に隔離されてきたし</p><p>瑠璃子と美子さんはセックスについての知識も、与えられなかった</p><p>本当に旦那様に巡り会っていなければ、不幸な結果に陥っていたと思います旦那様だからこそこんな歪みきったあたしたちを、真っ正面から受けとめて下さいました</p><p>いやオレは</p><p>そんなことを言われたって</p><p>みすずお姉様のおっしゃる通りですこのご恩は、一生、お仕えすることでお返し致します</p><p>瑠璃子もそう言ってくれる</p><p>でも美子様は、あたしや瑠璃子ほどは、歪んでいないと思うんです</p><p>うんあたしも、そう思うなみすずや瑠璃子は確かにちょっと歪んでいたけれど、心は骨太なんだよ香月家のプレッシャーに、生まれてからずーっと耐えきってきたわけだから</p><p>でも、美子さんはお付きとして、瑠璃子の影に隠れていたわけだからそんなに強く無いんだよねっ</p><p>あたしも、そう思うわさっき、ずっと同じ部屋に居て感じた印象だけど</p><p>メグもそう言った</p><p>そりゃそうだよお付きなんて立場なら、別に香月家の将来を背負うことなんて考えなくてもいいんだしずっと、瑠璃子にくっ付いていることしか考えていなかったんでしょ自分の未来とかも、何もかも自分では考えていなかったんだろうし</p><p>美子さんは自分の将来は、ジッちゃんが良い様に決めると思っていただろう</p><p>瑠璃子がどこかの名家に嫁ぐ日までは一生懸命、お付きを勤め</p><p>自分自身は、ジッちゃんの命で香月家の臣下の誰かと結婚させられる</p><p>それでも一生、瑠璃子の臣下として、関わり続けられれば、それで良いと覚悟していたはずだ</p><p>良く言えば腹を括っていたってことなんだけれど</p><p>悪く言えば自分の将来について、思考停止に陥っていたということだ</p><p>でも香月家の後継者の一人となるってことは、自分からアクティブに行動していかないと周囲の人にブッ潰されちゃうよねっ</p><p>香月家の分家や臣下グループ企業の連中</p><p>さらには、香月家と縁続きになりたいと願っている他家の人々まで</p><p>一気に美子さんに群がってくる</p><p>みすずお姉様の相手は、お兄様だとすでに、香月家の臣下たちには伝えられておりますしわたくしは、父の件で香月様から見捨てられたということになっております</p><p>オレとみすずの仲は日舞発表会の舞台上のキスで、世間にアピールした</p><p>瑠璃子が遠ざけられていることは葬儀の席で、ジッちゃんの近くに座らせられなかったことで示されている</p><p>このままですと様々な方々の思惑が、全て、美子様お一人に向けられることになりますわ</p><p>瑠璃子の言葉は、重かった</p><p>何とかしないといけないですわね</p><p>みすずも、嘆息する</p><p>香月家の二人の孫娘は同じ運命を背負っている、もう一人の従姉を心から案じているようだ</p><p>はいはい、この話はそこまでねっ</p><p>渚がパンパンと手を叩く</p><p>今夜は、これ以上話し合っても、何も出て来ないわよ</p><p>明るい笑顔でみすずと瑠璃子に微笑む</p><p>ここのところバタバタと色んなことが起きたでしょだから、みんな少し考える時間を持つべきなんじゃないかしら</p><p>この一週間余りにも慌ただしく色々なことが起きている</p><p>少しさ考え方を変えてご覧なさい</p><p>渚が、瑠璃子を見る</p><p>例えば瑠璃子ちゃんて、美子さんがお付きになってから、離れ離れで夜を過ごすのは初めてなんじゃない</p><p>はい、おっしゃる通りですわ</p><p>こうやって離れて別々に夜を過ごすことは、寂しいかもしれないけれどお互い離れてみることで、見えてくることもあるんじゃないかしら</p><p>どんなことでも自分に起きたことを、肯定的に捉えてこの先、生きていくことに役立たせていかないとね今日、明日ぐらいは今までの自分たちを振り返ってみることと、これからの自分たちの関係を考えることだけに使った方がいいと思うわ</p><p>つまり結論を急ぐなということか</p><p>ありがとうございます渚お姉様のお言葉通りに、させていただきます</p><p>瑠璃子は、渚に深々と頭を下げた</p><p>みすずちゃんもしばらくは、状況を見ることいいわね</p><p>明日は、どうしたって白坂創介の件に、一日を費やさないといけない</p><p>美子さんのことまでは、手が回らないし</p><p>ジッちゃんが、瑠璃子を失ったことから立ち直るのにも、時間が要る</p><p>慌てちゃダメだ</p><p>あのささっき、瑠璃子今まで、一度も美子さんと離れて過ごしたことは無いって言っていたけれど</p><p>同じ家に暮らしていたし</p><p>学校も同じ</p><p>そりゃ瑠璃子は中等部で、美子さんは高等部だけれど</p><p>学校の行き帰りは、いつも一緒に香月セキュリティ・サービスの護衛に車で送迎されていたんだろうから、離れずに済む</p><p>学校で泊まりがけの旅行とか無かったのか修学旅行は</p><p>学年が違うんだから学校行事での宿泊は、別々のはずだろう!</p><p>わたくしたちの学校は中高が繋がっていますから、修学旅行は今年の秋ですわ</p><p>ああ、瑠璃子は中３で受験勉強が無いから</p><p>でもわたくしは、お休みする予定でした</p><p>実は、今までも小学生の時にも、移動教室の様な行事があったのですが全て、欠席しています</p><p>そういう行事では先生方は、全ての生徒を平等に扱わなければなりませんよね</p><p>そりゃ当たり前だ</p><p>つーか、それが学校教育というものだ</p><p>ですが香月家の娘が、皆様と同じ生活をするわけには参りませんから</p><p>そうね食べ物は良いとしても他の生徒と相部屋というわけにはいかないわね本来なら瑠璃子ちゃんだけ、他の子たちよりもグレードの高いお部屋できれば、最上階のスイート・ルームに泊まらないといけなくなるものね</p><p>香月家は、名家中の名家ってことよ常に他の家に対して格の違いを示さないといけないのそういうことが、許されない状況なら学校行事でも何でも、最初から参加しない方がいいのね</p><p>みすずもか</p><p>オレは、みすずに振り向く</p><p>もちろんですわ中学の時は、行ってません</p><p>げげっマジなのか</p><p>いや、でも前にオレに、修学旅行に一日だけ顔を出してくれとか言ってなかったけ</p><p>確か高校の修学旅行先は、イタリアだ</p><p>それは夢として、申し上げました</p><p>みすずは答える</p><p>夢</p><p>はい現実には修学旅行へは行けませんから</p><p>何でそうなる</p><p>オレの疑問にみすずではなく、克子姉が答えた</p><p>みすずちゃんも、瑠璃子ちゃんも誰かに守られない状態で、外泊したことが無いのよ</p><p>オレはみすずと瑠璃子を見る</p><p>２人とも真剣な眼をしていた</p><p>いつもは彼女たちの公式な行事には、香月セキュリティ・サービスの警護役が付く</p><p>学校の旅行では個人の警護人は付けられませんから</p><p>なるほどみすずや瑠璃子の学校に通ってくる子は、みんな名家の子女ばかりだ</p><p>生徒の一人が、修学旅行に個人の警護人を派遣したら他の家も、同様に警護人を派遣しなくてはいけなくなる</p><p>だが、そんなことになったら修学旅行の団体の後ろに、ばらばらな所属の警護人たちがぞろぞろ追っ掛けることになる</p><p>みっともないというかとんでもない光景だ</p><p>だから、学校側は警護人の派遣は禁止しないといけない</p><p>ですが香月家の娘が、警護人無しで海外に行くことはありえません</p><p>それはもう、家の格とかっていうような問題じゃないんだな</p><p>本当に危険なんだろう</p><p>香月家は、世界的に有名なんだろうし</p><p>そういう理由もあってあたしたちは、修学旅行へ行ってないんです</p><p>うんそれは、判った</p><p>でも美子さんは、どうなんだ美子さんは、瑠璃子よりも年上だしもう、修学旅行とかあったろだから、瑠璃子と離れ離れになったことだってあるだろう</p><p>美子さんは今年高３の１８歳だ</p><p>美子さんは、これまでは臣下という扱いだったんだから香月家が、どうのという話は無いだろう</p><p>普通の生徒として学校行事の修学旅行に参加できるはずだ</p><p>美子様は私の世話があるということで</p><p>あの方もこれまでは一度たりとも、わたくしの側を離れて外泊なされたことはございません</p><p>お付きの仕事のために修学旅行に行かなかったのか</p><p>仕方のないことですわ香月の家は</p><p>瑠璃子の言葉をオレは遮る</p><p>いや、よくないっ全然、よくないっ</p><p>危険は判るけれど修学旅行だぞ</p><p>学生にとっては、一生の思い出になる大イベントだぞ</p><p>瑠璃子秋の修学旅行は、絶対に行け必ず参加しろ</p><p>でもお兄様</p><p>お前はもう香月家の娘じゃないっオレの奴隷なんだから他の子たちと同じ部屋に泊まっていいんだっ</p><p>瑠璃子が、修学旅行を体験できないなんて絶対によくない</p><p>警備のことは、何とか考えるとしても</p><p>修学旅行には絶対に行かせてやる</p><p>すると瑠璃子は</p><p>判りました、お兄様でも、それならば一つ、お願いがあります</p><p>お兄様も付いて来て下さいませ</p><p>だ、だって瑠璃子の学校は、女子校だろ</p><p>それも、日本一のお嬢様学校のはずだ</p><p>女子校の中学の修学旅行にオレが付いて行く</p><p>もちろんこっそり、隠れてで構いませんわ</p><p>いや、大っぴらに付いていけるか</p><p>それじゃあ、変質者だストーカーだと思われる</p><p>それでしたらわたくし、怖くないですから</p><p>こ、怖いって</p><p>宿泊も、わたくしたちの学校と全日同じホテルに泊まって下さい</p><p>全日</p><p>つまり、旅行の最初っから最後まで瑠璃子に付いていく</p><p>お兄様が近くに居て下さらないと瑠璃子は、不安で堪りませんっ</p><p>寧が、ジトッとオレを見る</p><p>だってさどうするヨッちゃん</p><p>まあ、どうせ香月セキュリティ・サービスのトップ・エリートの人を何人かお忍びで護衛につけるしかないと思うけれどヨッちゃんも、一緒に行った方が心配は減るよね</p><p>判った判ったから行けばいいんだろっ</p><p>瑠璃子は感激する</p><p>お手数をお掛けして、申し訳ありません</p><p>いいんだよっオレは中学の修学旅行に行っていないから</p><p>だから、なおさら瑠璃子には、行かせてやりたいんだ</p><p>ということは、もちろん瑠璃子だけでなく、あたしの修学旅行にも付いて来て下さいますわよね</p><p>それも１日だけで無く全日</p><p>こうなれば全部、受け入れるしか無い</p><p>ああ判った、そうするよっみすずのの修学旅行も、こっそり付いてってやるからだから、必ず行けよっ</p><p>あ、ちょっと待て</p><p>みすずは修学旅行て、いつなんだ</p><p>あのあたしは来年の春ですけど</p><p>みすずは高校２年生</p><p>こっちは大学受験があるから春のうちに済ませてしまうんだな</p><p>確かみすずの修学旅行先って</p><p>はい、イタリアですわ</p><p>中等部は、カナダです</p><p>うん長期欠席、確定だな</p><p>恵美さんごめんなさい</p><p>みすずが、メグに謝る</p><p>旦那様に学校をお休みさせてしまうことになってしまうわね</p><p>ううんあたしはヨシくんと自分の修学旅行に行けるからだから、気にしないで下さいこういうことも平等にしないといけないから</p><p>ニッコリ微笑んで、納得してくれた</p><p>ヨシくんがお休みしている間の授業は、あたしがノートを取っておくし勉強が遅れた分は、後で一緒に勉強するわ</p><p>素晴らしいです</p><p>美智がポツリと呟く</p><p>旅行中は毎晩、わたくしがお世話致します</p><p>わたくし瑠璃子と同学年ですから</p><p>あ、瑠璃子の修学旅行に付いてくともれなく美智も居るのか</p><p>くふふふふふ楽しみです</p><p>美智が微笑む</p><p>いや、だってお前夜、オレの泊まっている部屋に忍んでくる気か</p><p>そのための工藤流古武術です</p><p>っておいっ</p><p>じゃあさ、渚あたしたちはどっちの時の修学旅行に付いて行こうか</p><p>克子姉が渚に尋ねる</p><p>そりゃ両方付いてくわよ</p><p>２人ともそれ、どういうこと</p><p>おそるおそる聞いてみる</p><p>ほら、だってあなたが一人で、この子たちの修学旅行を追っ掛けて行ったらそれこそ怪しすぎて、ストーカー行為で逮捕されちゃうでしょ</p><p>それはうん</p><p>確かにオレが女子校の子たちの後ろをずっと付いて行くのは、気持ち悪いだろうな</p><p>バレたら確実に警察を呼ばれる</p><p>だからさ、あたしと渚が一緒に付いてってあげるのよ</p><p>そうね、この際だから真緒も連れて、付いてっちゃうわ</p><p>美女２人に幼女連れならまず、怪しまれないでしょ</p><p>いや、克子姉それは、そうかもしれないけれど</p><p>それにほら、あたしたち高校の修学旅行行ってないし</p><p>克子姉と渚は高１で拉致・誘拐されたから</p><p>あたしたちも後ろから付いていくだけでも、参加してみたいわ</p><p>そう言われたら答えようが無い</p><p>大体あなた１人で行くのは無理だと思うわよ</p><p>あなた、カナダは英語よケベック州だけフランス語よその上イタリアなんてどうするの</p><p>オレは語学は苦手だ</p><p>いや、特異な教科なんて全然無いけれど</p><p>そして、あたしはどっちの国にも、行ったことがあるわよっ</p><p>渚が勝利の笑みを浮かべる</p><p>あのよろしくお願いします</p><p>はーい頼まれたわよっ克子</p><p>うっふふ楽しみだわねっ渚</p><p>克子姉と渚が、ニコニコ微笑む</p><p>まあ２人の行けなかった修学旅行の代わりだと思えば</p><p>ちなみに、メグうちの学校の修学旅行ってどこ</p><p>オレは入学早々、高校を続けられるかどうか判らなかったから、よく知らないけれど</p><p>メグなら、部活の先輩から聞いているだろう</p><p>確か今年は、北海道だと思ったけれど</p><p>あ、沖縄にしましょっせっかくだから、沖縄の方がいいわっあたしが決めてきてあげるっ</p><p>克子姉が、浮かれてそう言う</p><p>あたしほらあなたたちの学校の理事長だからっ</p><p>そっちも付いてっちゃおうかなあっ</p><p>ダメだよっ、克姉そっちは、あたしが付いてくからっ</p><p>寧が、乱入する</p><p>ちょっと待って姉さんは、自分の修学旅行があるだろ</p><p>だって、あたし、今の学年に友達いないしいっそのこと、もう１年留年してヨッちゃんと一緒に行こうかなって克姉、ヨッちゃんとあたし、おんなじ部屋にしてぇぇっ</p><p>ちょ寧お姉さん</p><p>メグが、慌てる</p><p>そんなのダメよおっヨシくんとは、あたしが泊まるのっ</p><p>いや、男女同室は無理だろ</p><p>いいなあみんな</p><p>あたしそういうの、どうなっちゃうんだろう</p><p>マナは今後、学校をどうするかとか何もまだ決まっていない</p><p>やっぱり、日本の法律があるから中学だけは、どっかに紛れ込まないといけないよね</p><p>マナが、今まで通っていた学校はもう通えない</p><p>白坂舞夏の過去は、捨てたのだから</p><p>それに、父親白坂創介の悪行は、一大スキャンダルとして現在もマスコミに流れている</p><p>うちの学校に転校するというのも無理ですわね</p><p>名家の世界は狭いからみすずのお嬢様学校には、白坂家のことをよく知っている生徒はいるだろう</p><p>香月仁が、雪乃の顔を知っていたように</p><p>名前を吉田マナに変えたとしても誰か一人でも、マナの正体に気付く者が現れたら、全て台無しになる</p><p>大丈夫よあたしとお嬢様でマナちゃんの新しい学校は探してあげるから</p><p>克子姉が、マナに言った</p><p>でも黒い森は、うちの高校とは深い繋がりがあるけれど</p><p>中学校とは、付き合いがあるんだろうか</p><p>しかも、マナは過去を色々と操作しないといけないから</p><p>公立でなく、こちらに融通を利かせてくれる私立校を探さないといけない</p><p>わたくしの母校でしたら話してみましょうか</p><p>ずっと黙っていた麗華が言った</p><p>私立ですし祖父がずっと剣道の指導をしておりましたので、理事の方とも面識がありますわたくしが、香月セキュリティ・サービスに就職したことも知っておられますので特殊な事情がある娘だということで、受け入れて下さると思いますここからも、そう遠くはありませんし</p><p>麗華は、レイちゃんのキャラを忘れていつもの調子で話す</p><p>あら、有り難いわね明日でいいから、詳しいことを教えてちょうだい資料を集めて、お嬢様と相談するわ</p><p>ありがとう、レイちゃん</p><p>オレの言葉に麗華は、ハッとして</p><p>うんお兄ちゃま</p><p>また、レイちゃんに戻る</p><p>レイちゃん、びっくりしたのみんな、本当に真剣に一人一人のことを考えてあげているから</p><p>みんな、ハダカンボなのにっ</p><p>確かに、オレたちみんな全裸で</p><p>ずっと、こんな真面目な話をしていた</p><p>そうねおかしいわね</p><p>渚の言葉にみんな顔を見合わせて、くすくすと笑い出す</p><p>壁の内線電話の上の赤いランプが点滅する</p><p>真緒ちゃんたちが寝ているから、コールの音が出ないようにしてくれたみたいね</p><p>克子姉が電話に向かう</p><p>あれ内線電話だからマルゴお姉ちゃんか、学校にいる先生からだよねっ</p><p>恭子さんやミス・コーデリアたちも、今夜は学校に居る</p><p>森下さんは、お屋敷に隣接しているご自宅へ帰ったし</p><p>マルゴさん以外の人間は、みんなこの部屋の中に居る</p><p>ああ、マルゴ様はいあ、待ってみんなにも聞こえるようにするわ</p><p>克子姉は、マルゴさんの言葉を聞いて通話を外部スピーカーに切り替えてくれた</p><p>もう寝ようかと思ったのに本当に、あの子はいつもタイミングが悪いよね</p><p>寧様正面玄関の監視カメラの映像を出して</p><p>寧が、ノートパソコンを起動させお屋敷の監視システムに繋げる</p><p>ええっと、正面玄関て門のことっ</p><p>ああうちの鉄の大きな門だよ</p><p>香月セキュリティ・サービスの監視員と公安警察の車が、停まっている</p><p>よりによってあそこへ来るんだものこんな時間に</p><p>マルゴさんが、こんなに嫌そうに話すなんて珍しいな</p><p>おっし、繋がったよっ</p><p>寧の言葉にオレたちは、パソコンのモニターを覗き込む</p><p>そこに映っていたのは</p><p>ねえ、開けなさいよっ中にいることは判っているんだからねっ</p><p>真夜中２時過ぎだというのに、大きなサングラス</p><p>口には、白いマスク</p><p>頭から、灰色のウインドブレイカーのフードを被っているが</p><p>ウインドブレイカーが大柄な男性用で、彼女のサイズに合っていない</p><p>丈は膝まで届いているし袖もぷらぷらしている</p><p>まるで、てるてる坊主みたいな外観だ</p><p>あるいは警察に捕まり、頭から上着を被って手錠をかけられて連行されていく犯人の様な</p><p>もしくは棲星怪獣ジャミラ</p><p>いやウインドブレイカーが白っぽい灰色だから</p><p>全然、身体のプロポーションが見えないのに</p><p>オレたちには、それが誰なのかよく判った</p><p>早く中に入れなさいよっ聞こえているんでしょっバカぁぁ</p><p>インターフォンに向かって、怒鳴っている彼女は</p><p>やっぱり怪獣だ</p><p>公安と香月セキュリティ・サービスの人が見ているからそろそろ行かないとマズいよね</p><p>マルゴさんが、苦笑する</p><p>やっぱり、あたしが回収して来ないといけないのかな</p><p>何やってんのよっバカ、バカ、バカぁぁあんたたち、絶対に許さないんだから</p><p>そして真夜中に、彼女は帰って来た</p><p>雪乃お前は</p><p>サブタイトルは、明日のジョー２より</p><p>私は１より、２の方が好きです</p><p>433．雪乃の帰還</p><p>わたくしが、回収して参りましょうか</p><p>麗華が、スッと警護人の顔に戻って言う</p><p>レイちゃんは、いいからみんなとここに居てくれ</p><p>オレは、裸の麗華を抱き締める</p><p>寝ている時と違って立っている麗華を抱くと、麗華の乳房にオレの顔が埋もれる</p><p>麗華は、長身だから</p><p>ですが香月セキュリティ・サービスの人たちを抑えるのは</p><p>いいから夜の間は、レイちゃんで居てくれよ</p><p>オレは、ペロッと麗華の乳首を舐めた</p><p>麗華が、感じた声を上げる</p><p>可愛いよ、レイちゃんっ</p><p>寧も微笑む</p><p>まあ、外の監視の連中とは、今後の付き合いもあるからあたしが行ってくるよさっきまで閣下が来ていた時に、向こうの責任者とも顔合わせしたし</p><p>てことだからさマルゴさんに任せよう</p><p>オレは、麗華の胸に頬を擦り擦りしながらそう言った</p><p>はいお兄ちゃま</p><p>麗華も、大人しく従ってくれる</p><p>では、マルゴ様第７応接室の方へお願いしますあの部屋なら、そのまま監禁もできますから</p><p>了解克子さん</p><p>ミナホ姉さんが不在の今この屋敷の指導者は、克子姉だ</p><p>行動を開始するよ</p><p>マルゴさんとの通話回線が、切れる</p><p>しっかし、あの人ずいぶん慌てて逃げてきたみたいだねっ</p><p>モニターに映っている、正門前の雪乃を見てマナが言う</p><p>ちなみに、雪乃の罵詈雑言が騒がしいから音声の方は、寧がミュートした</p><p>どうせ、意味のあることは何も言ってないんだし</p><p>あいつの感情の垂れ流しに付き合うと、気が滅入る</p><p>あの、全然サイズの合っていないウインドブレイカーは、市川さんのだよ前に見たことがあるからああ、足に履いているの、市川さんの家のおトイレのスリッパだ</p><p>マナが、一つ一つ確認していく</p><p>雪乃は母方の祖父の市川さんの家に引き取られた</p><p>そこのトイレから逃げ出して来たのか</p><p>えっと明日は、雪乃も必要なんだよね</p><p>明日っていうかもう今日だけれど</p><p>夜までには白坂創介に最終的な復讐を行う</p><p>その場で白坂創介の眼の前で娘たちをオレは犯す</p><p>雪乃は、白坂創介が最も愛している娘だ</p><p>そうよ市川さんが、雪乃さんを精神病院に押し込もうとしているという情報があったから移送の途中で、奪取する予定だったのよ恭子さんに動いて貰って</p><p>そういう計画だったんだ</p><p>市川さんの通話は、お嬢様が全て盗聴しているから病院への搬送は、明日の朝のはずだったし</p><p>しかし、雪乃は</p><p>自分の危機に気付いて夜のうちに祖父の家を脱出して来たのか</p><p>ホント、あの子行動力だけは、凄まじいのよねえあれでバカさえ直ればねえ</p><p>渚が、残念そうに言った</p><p>見た目だって悪く無いし学校の成績だって良いんじゃないの</p><p>見た目は良く無いですし学校の成績は、そこそこですあの人、真面目に勉強する気が無いから</p><p>渚の言葉に、マナが答える</p><p>自分の見た目を良くすること以外に、向上心が無いんですよだから、バカが直らないんですっ</p><p>マナはいつも、実の姉には手厳しい</p><p>さて雪乃さんは、マルゴ様が回収してきてくれるけれど誰が、相手する</p><p>克子姉が、オレたちを見る</p><p>もちろんオレが行くよ</p><p>雪乃とコンタクトするならオレが居ないとマズイだろう</p><p>あっ、もちろんマナも行くよ</p><p>マナも手を上げる</p><p>悪いけれどメグとマナは、来ないでくれ</p><p>えー、どうして、お兄ちゃん</p><p>二人とも、不満の表情を見せる</p><p>メグもマナも雪乃に対しては、気持ちがはいりすぎているからそれにメグとマナだと、雪乃にプレッシャーが掛けられない</p><p>実の妹であるマナと永年に渡って虐げてきたメグでは</p><p>雪乃が、こちらを舐める</p><p>今はあいつをビビらせて、大人しくさせないと今夜も、ぐっすり寝られなくなるよ</p><p>また夜中に台所を荒らされたりしたら、たまらない</p><p>雪乃の件は、さっさと終わらせて今夜はもう平和に眠りたい</p><p>明日も忙しいんだから</p><p>ええっと雪乃が苦手な人って言ったら</p><p>克子姉と、寧姉さんか</p><p>克子姉には処女喪失レイプ以来、さんざんな目に遭わされている</p><p>寧にもハイテンションで、何度も叩き潰されているし</p><p>お二人だけでは、足りないと思いますわ</p><p>あたしと瑠璃子も参ります雪乃さんの特権階級意識は、それで挫けるはずです</p><p>ああ白坂一族の娘であるという優越感は</p><p>日本一の名家、香月家の二人の後継者の優雅さには、敵わないだろう</p><p>わたくしも参りましょうか</p><p>美智が控え目に尋ねる</p><p>いや、美智はここでイーディを見ていてくれ何かの拍子で眼を覚ましたら、取り抑えられるのは、お前だけだ</p><p>美智のエクスタシーに同調して気絶したままだ</p><p>ハッと目覚めたら、パニックを起こすかもしれない</p><p>こちらには、藤宮様もいらっしゃいますが</p><p>美智は食い下がる</p><p>オレとみすずの側に居たくて仕方無いんだろうけれど</p><p>夜の間はレイちゃんだ美智よりも年下の女の子だと思ってくれ</p><p>オレは、麗華の裸の背中を擦ってやる</p><p>今は麗華の心を、警護人に戻したくはない</p><p>美智レイちゃんも、お前が守ってあげてくれ</p><p>オレに一礼する</p><p>レイちゃん夜のレイちゃんは守る人でなく、守られる女の子でいてくれ</p><p>レイちゃんには、そういう時間が必要なんだから</p><p>麗華が、オレに答えた</p><p>こっちの部屋のことは、渚に任せる真緒ちゃんとアニエスが眠っているしよろしく頼むよ</p><p>最後にもう一度、メグとマナを見る</p><p>雪乃の処理が済んだら、すぐに帰って来るから寝る前に、もういっぱいお茶を飲みたいな頼むよ2人とも</p><p>オレの言葉に2人の表情が、和らぐ</p><p>判ったわ準備しておくから、ヨシくん</p><p>うん待ってるからね、お兄ちゃん</p><p>オレとみすず、瑠璃子寧と克子姉で、アニエスの地下室を出る</p><p>とりあえず、全員バスローブだけを纏っている</p><p>普通の服は、シャワーを浴びた時に、脱いできちゃったんだよなあ</p><p>一応、スティックタイプのスタンガンを持っていきましょうあの子、激高すると何をしでかすか判らないから</p><p>１階へ上がると廊下で、克子姉がそう言った</p><p>あ、克子お姉様あたし、自分の荷物を取りに行きたいんですけれど</p><p>荷物って</p><p>首輪ですわ</p><p>あの人にはきちんと旦那様のペットとしての正装で、お目に掛からないといけませんから</p><p>みすずの赤い首輪か</p><p>首輪うん、いいかもっ克姉、あたしたちも欲しくない</p><p>そうねみすずさんの荷物は、第１応接室よ</p><p>あたしが連れてってあげるよっ</p><p>その間にあたしは、スタンガンとあたしたちの分の首輪を持って来るわあなたたち、ここで待っていて</p><p>みすずは寧と克子姉は一人で小走りで駆けていく</p><p>薄暗い廊下に、オレと瑠璃子が残される</p><p>瑠璃子怖くないか</p><p>オレは、瑠璃子に声を掛ける</p><p>いいえ心臓がドキドキしていますけれど、とっても楽しいですわ</p><p>瑠璃子が微笑む</p><p>お兄様と一緒ですから</p><p>スッと、オレに抱きついて来る</p><p>二人っきりですよ、お兄様</p><p>オレは、そっと瑠璃子にキスをする</p><p>ここにも欲しいです</p><p>瑠璃子は、自分のバスローブの胸元を解きおっぱいをさらけ出す</p><p>瑠璃子のおっぱいもペロペロして下さいませ</p><p>オレは、瑠璃子の乳首を舐めてやった</p><p>瑠璃子もその性は淫蕩</p><p>オレのためだけのセックス奴隷だ</p><p>はいはーい、そこまでーっ</p><p>まったく瑠璃子も大人しそうな顔をして、隙を狙ってくるんだからっ</p><p>瑠璃子を睨む寧</p><p>みすずは、オレと瑠璃子の痴態を無視してオレに赤い首輪を差し出す</p><p>オレは、みすずの首にそれを填める</p><p>みすずは、うっとりとした表情だ</p><p>こいつは心の底から、オレのペットであることに幸せを感じている</p><p>はーい、持って来たわよっ</p><p>克子姉も、ドタドタとやって来る</p><p>両手で、大きなバスケットを運んで来た</p><p>首輪とスタンガンとあと、面白そうだから、揃いの衣装を持って来たわ</p><p>ほら、あの子ウインドブレイカーを着ていたでしょそれに対抗しようかと思って</p><p>対抗するって克子姉</p><p>うふふーん、どう、ヨッちゃーんっ</p><p>裸パーカーって言うのよ、確か、こういうスタイル</p><p>克子姉も、楽しそうに言う</p><p>ちょっと、恥ずかしいですわね</p><p>でも、可愛いわよ瑠璃子</p><p>瑠璃子とみすずも、お互いの姿を見て感想を述べ合う</p><p>オレは全員に首輪を填めてやった</p><p>彼女たちは全裸に首輪その上に、薄地のパーカーを１枚だけ羽織っている</p><p>いわゆる裸パーカー状態</p><p>このパーカーがピチピチサイズだ</p><p>しかも、丈が短いから下半身は剥き出しだ</p><p>上半身だけを灰褐色のパーカーで覆っている前は、胸元の肌を強調するように大きく拡げている</p><p>そこに首輪から垂れた銀色の短いチェーンが揺れている</p><p>まるで胸の谷間を強調するように</p><p>これ、フードは被った方が良いんですか</p><p>人それぞれでいいんじゃないあたしは被るけれどっ</p><p>スタンガンを持っている人は、フード被ってた方が雰囲気が出そうだからさっ</p><p>寧は警棒型のスタンガンを振り回して、言った</p><p>じゃあ、あたしもフード被るわ</p><p>スタンガン装備は寧と克子姉だけだ</p><p>みすずと瑠璃子は、ヨッちゃんの左右に付いてイチャイチャしていて今だけは許すからっ</p><p>寧の言葉に二人がオレの左右に</p><p>旦那様失礼します</p><p>お兄様お手を</p><p>オレだけはバスローブ姿のままだ</p><p>みすずと瑠璃子と腕を組んで廊下を進む</p><p>克子姉は、オレたちの前を</p><p>寧は、後ろから付いてくる</p><p>ここの部屋よ</p><p>克子姉が雪乃を連行した部屋を示す</p><p>ノックの音にマルゴさんの声がする</p><p>克子姉がドアを開きオレたちは、中へ</p><p>遅くなって済みません</p><p>オレはマルゴさんに言った</p><p>マルゴさんはスポーティなジャージ姿だった</p><p>それが彼女の部屋着というか寝間着なのかもしれない</p><p>いや、構わないよ</p><p>雪乃はすっかり、ムスッとして部屋のソファにどっしりと座っていた</p><p>まだ、ウインドブレイカーを頭から被ったジャミラ状態だ</p><p>眼にもサングラスを填めたまま</p><p>口のマスクだけは、息苦しいのか外していた</p><p>あマナの言っていた通りだ</p><p>足に履いているスリッパには、Ｗ．Ｃの文字が輝いている</p><p>ちょっと何していたわけ</p><p>ひどく不機嫌そうに、雪乃は言った</p><p>遅いじゃないっ遅いわよっ遅すぎるってーのっ</p><p>本当にこいつは何様なんだろう</p><p>ごめんねっみんなで、今年の幸運な方向を向いて、ヨッちゃんのオチンチンを丸かぶりするっていう儀式をやっていたからっ</p><p>寧が、平然とそう言った</p><p>どっちが恵方だか判らなくてそれで時間が掛かっちゃったんだよっ</p><p>オレのチンコは恵方巻きか丸かぶり寿司か</p><p>ええ、とっても美味しかったわよね瑠璃子</p><p>意味が良く判っていないだろうに瑠璃子は、みすずと話を合わす</p><p>ああ、そう言えば</p><p>この二人は、飛びきり賢い上に、度胸も満点な完璧美少女だった</p><p>すっかり雪乃も呆気に取られている</p><p>わたくしもお兄様にセックスしていただきましたこれからは、お兄様のセックス奴隷として、一生ご奉仕させていただきますわ</p><p>にっこりと、優雅に瑠璃子は雪乃に告げる</p><p>もちろんこのことは、お祖父様のお許しを得ていますあたしと瑠璃子は、二人ともお兄様に可愛がっていただくことになりましたから</p><p>みすずも雪乃の機先を制す</p><p>それがどういう意味か雪乃さんなら、お判りになりますよね</p><p>みすずは、オレの後ろには香月家が付いていると遠回しに告げる</p><p>て、ことだからもう、ヨッちゃんは、雪乃さんが気軽に話し掛けて良い様な人じゃなくなっちゃったんだよ頭の良い雪乃さんなら、よーく判るよねっ</p><p>寧が、手でスタンガンの棒をパンパンと叩きながら言った</p><p>雪乃はうっと、声を詰まらせる</p><p>マルゴ様、ありがとうございます後は私たちでやりますもう、お休みになって下さい</p><p>克子姉が、マルゴさんに言う</p><p>マルゴさんは、わざと大きくあくびをして</p><p>じゃあ、頼むよあたしは、もう眠いからさっ</p><p>それは演技だ</p><p>お屋敷の警護人であるマルゴさんは雪乃の件が方付くまで、寝てしまうはずがない</p><p>おそらく別室でこの部屋の様子を監視してくれるのだろう</p><p>今夜は今後、ミナホ姉さんが居なくなっても黒い森の運営ができるかのテストになっている</p><p>克子姉とマルゴさんのツートップが、屋敷内の全てを正常にコントロールしないといけない</p><p>もちろん、学校からミナホ姉さんは、オレたちの様子を逐一観ているだろう</p><p>ありがとうございました、マルゴ様</p><p>お休みなさい、マルゴさん</p><p>お休みなさいませ</p><p>お休み、マルゴお姉ちゃんっありがとねっ</p><p>ご苦労様でしたマルゴお姉様</p><p>オレたちは、口々にマルゴさんに言う</p><p>うん、じゃあ、また明日</p><p>マルゴさんは、部屋から出て行く</p><p>さて、ここからが勝負だ</p><p>で雪乃さんあなた、こんな時間に何をしにいらしたのかしら</p><p>克子姉が尋問を開始する</p><p>あ、あたしはさっちょっと、あんた、こっち向きなさいよっ</p><p>苦手な克子姉を避け雪乃は、オレに向かって怒鳴る</p><p>ヨッちゃんに話し掛けないでっ</p><p>寧が、ビッとスタンガン棒を雪乃の眼の前に突き出す</p><p>これの威力覚えているわよね</p><p>雪乃は前にこのスタンガンでさんざん嬲られたことがある</p><p>ええあなたの話は、あたしたちが聞きます</p><p>克子姉が、穏やかに言う</p><p>寧が突っ込み役で、克子姉が抑え役そういうチームプレイで行くつもりらしい</p><p>とにかくさ人と話をする時は、サングラスは外しなよっ常識でしょ</p><p>寧の言葉に雪乃は、おずおずとサングラスを外す</p><p>ああ、寧と克子姉のペースに、填まっているんだ</p><p>ヨッちゃんは、そっちのソファに座っててよみすずと瑠璃子の身体でも楽しんでればっこの子の尋問は、横から聞いているだけでいいからさっ</p><p>克子姉も、うんと頷いた</p><p>寧お姉様が、ああおっしゃって下さっていますし旦那様</p><p>お兄様こちらへ</p><p>オレは、二人の美少女に引っ張られて雪乃の眼の前の長ソファに座る</p><p>オレの左右に、みすずと瑠璃子がくっついて座る</p><p>二人とも、オレに抱きついてきて</p><p>左右から、オレの頬にキスする</p><p>その様子を雪乃は、悔しそうな眼で見ている</p><p>はーい、みすずのおっぱい触って下さい</p><p>みすずがパーカーの前を開いて小振りだけど形の良い胸を露わにする</p><p>瑠璃子のおっぱいもお兄様のものですわ</p><p>瑠璃子もジジーッと、パーカーのジッパーを下げる</p><p>あんた、何を見てるわけっ今は、あたしたちと話をしているわけでしょっ</p><p>寧が、雪乃に鋭く言う</p><p>雪乃は、すっかり面食らっている</p><p>だいたいさ、あんた、あたしたちにもの凄い捨て台詞を言って、この屋敷から出て行ったんじゃないのそれが何でどのツラ下げて、戻ってこれたってわけ</p><p>雪乃は、メチャクチャにオレたちを小馬鹿にする発言をして市川老人のところへ向かったはずだ</p><p>それはそのていうか、あたしの映像をネットに流したの、あんたたちでしょっ</p><p>雪乃は何とか自分にペースに持ち込もうと、切り込む</p><p>何なのあれっふざけているわよっ肖像権の侵害よっていうか、基本的人権に反しているわよっ何で、あたしの恥ずかしい姿が全世界に公開されているのよっ</p><p>雪乃が、市川さんに引き渡されて後ミナホ姉さんは、今まで記録した雪乃の痴態の全てをネットに流した</p><p>処女喪失以降の、雪乃の全てを</p><p>破瓜の痛みの苦しみから、最初に膣内射精されたときの涙</p><p>そこから、セックスに慣れ、ハマっていき自ら腰を振って、喘いでいる姿まで</p><p>オレの姿だけを巧妙に編集加工し雪乃の裸体は、無修正だ</p><p>そうみたいねあなたのオマンコから精液が滴ってくるところ全世界の男たちが観られちゃったみたいねもの凄い回数、再生されているしみんなダウンロードしてるみたいだから</p><p>平然と克子姉は答える</p><p>まあ、あなたの映像は、一応は児童ポルノということになるから日本だと、アップしたらすぐに消されているけれどこっちは、どんどん別のサイトにアップしているし日本国外のいい加減なサイトにもアップしたわもう、マニアや好事家たちが独自に広めだしているからあなたの映像は、永遠にネット世界に残っていくわよ</p><p>うん日本よりも、中国とかロシアでの方が人気みたいだよねっ良かったわね、国際的な人物になれてさっ</p><p>寧も、雪乃を嘲笑う</p><p>ふざけないでよっ</p><p>どうするつもりよっこんなんじゃあたし、生きていけないわよっ</p><p>雪乃は全身を振るわせるっ</p><p>怒りの瞳に涙が浮いていた</p><p>そうじゃあ、死ねば</p><p>克子姉は答えた</p><p>なんですってぇぇぇぇッッ</p><p>そこで意気消沈しないで怒りの炎を燃やすのが、雪乃という女だ</p><p>生命力だけは、有り余っている</p><p>こいつだけは、絶対に自殺したりはしないと思う</p><p>ふざけないでよッあんたたちのせいじゃないっ</p><p>あたしたちのせいだけとしてだから、何っ</p><p>寧がさらりと答える</p><p>あのさっあんた、ホント、判ってるのあたしたち、敵なんだよっ</p><p>小馬鹿にしたような微笑みで雪乃に言う</p><p>あんたここを出て行く時に、あれだけ大口を叩いていったんだからさっあたしたちに、徹底的に攻撃されるのは、当然覚悟していたわけだよねっ</p><p>雪乃はあわあわと口をパクパクさせる</p><p>それはだってあんたたちは</p><p>そして、いきなりオレを見て</p><p>ちょっと、あんた何で黙っているのよっあたしは、あんたがいれば、あんなことはしないって思っていたからっ</p><p>雪乃が、オレをそこまで信用しているはずがない</p><p>どうして、あんた止めてくれなかったのよっ</p><p>オレにそれを言うのか雪乃</p><p>おっぱい、舐めて下さい</p><p>オレは雪乃を無視してみすずの乳首を舐める</p><p>ちょっと何やってんのよっこっちを向きなさいよっあたしが話しているのよっ</p><p>お前はバカだ</p><p>とにかくさあたしたちは、雪乃さんを敵としてコテンパンにブッ潰しただけだからっ何か文句ある</p><p>つーか、それで何であんた今さら、その敵の本拠地にやって来たわけっここにはさ、あんたの居場所なんて無いんだよっ</p><p>雪乃は、寧の嘲笑の言葉を聞きながらジッとオレを見ている</p><p>オレに自分の方に振り向けと、睨んでいる</p><p>ここに来ればヨッちゃんが、あんたを助けてくれるとでも思ったそんなわけないじゃんちょっと考えれば判ることでしょあんた、バカじゃないのっつーか、バカでしょ、あんたバカ、バカ、バーカ</p><p>あんたが、悪いのよ</p><p>絞り出すような声で雪乃が呟く</p><p>あんたが、あたしを無理矢理犯したからそれが全ての始まりだったじゃない</p><p>ポロポロと涙を零しながら雪乃は、オレを見つめている</p><p>オレは雪乃に振り向いてはいけない</p><p>瑠璃子の首筋に唇を這わす</p><p>全部、あんたよあんたが悪いのよあたしは悪くないんだからっ</p><p>雪乃は挫けない</p><p>強靱すぎる心が雪乃の人生を、いつもねじ曲げていく</p><p>あんたっ、あたしを助けなさいよっ</p><p>雪乃は絶叫した</p><p>あたしのこと好きなんでしょッッ</p><p>サブタイトルはＺガンダムより</p><p>最初のガンダムの２６話は、復活のシャアで</p><p>ゼータガンダムの２７話は、シャアの帰還</p><p>復活のシャアは、格好いいシャアの復活にワクワクするけれど</p><p>シャアの帰還は、情けないシャアの帰還にどんよりする</p><p>ガンダムの魅力の半分は、シャアという面白人間の挙動なのに</p><p>434．アイデンティティの崩壊</p><p>雪乃が、オレに叫ぶが</p><p>オレは、雪乃に振り向かない</p><p>みすずと瑠璃子がギュッと、オレの手を握りしめているから</p><p>浮かび上がりそうなオレの魂に二人の美少女が重い錨となって、鎮めてくれている</p><p>こっちを向きなさいよっこのバカァっ</p><p>バカは、お前だ雪乃</p><p>と心の中で言ってみる</p><p>あのさぁいつまで、幻想に囚われているわけっ</p><p>寧がヤレヤレという表情で、雪乃に言う</p><p>ヨッちゃん、とっくにあんたのことなんて好きじゃなくなってるよっどっちかっていうと、嫌いなんじゃないのかなっ</p><p>そんなことないわよっ</p><p>雪乃は絶叫する</p><p>そんなことあるってのだって、雪乃さん、ずっとヨッちゃんに嫌われるようなことばかりしてきたじゃんかっ</p><p>やっぱ、この前の真夜中に、勝手に人の家の台所に忍び込んで</p><p>炊飯ジャー抱えて、直接、しゃもじで飯を食っていたのは引いた</p><p>ドン引きだ</p><p>あの姿は酷すぎた</p><p>そんなことしてないわよっ</p><p>大体ねこの男は、無理矢理、あたしの処女を奪ってそれから、何度も何度もあたしをレイプしたんだからっその罪を、一生背負っていくべきなのよっ一生、あたしに跪いて、あたしの言うことを何でも聞くべきなのよっあたしは、一生許さないんだからねっ</p><p>雪乃はオレを奴隷にしたいらしい</p><p>というか奴隷になるべきだと、一方的に決めているようだ</p><p>はーん、それでヨッちゃんを頼って、ここへ逃げて来たわけっ</p><p>そうよ当たり前でしょっこの男にはあたしのために役に立って貰わないと困るもの</p><p>雪乃はどんどん興奮していく</p><p>あんたに香月家とのコネができたんなら、丁度良いわあんたから香月さんに言って、白坂家への攻撃を止めさせなさいよっそれから、もちろんあたしの映像は、全部、回収してっ</p><p>無茶な要求をしてくる</p><p>白坂家への攻撃なら、もう終わっているわ白坂守次氏は、失脚して別の人が当主になることになったんでしょなんだっけ、変な名前の若い人</p><p>ヒステリックなオバサンの息子だったよな確か38歳の</p><p>そんなのダメよっ守次叔父様を、元通りに当主に戻しなさいっ白坂家は、守次叔父様じゃないとダメなのよっ</p><p>それはお前が、守次氏に可愛がられていたってだけだろ</p><p>それから、パパのことも全部、間違いでしたってことにするのよっ</p><p>はぁ何言ってんの</p><p>寧が呆れる</p><p>これだけ、写真だの動画だので白坂創介さんの悪行の証拠が巷に溢れているっていうのにさ今さら、どうしようもないってのっ</p><p>全部ＣＧだったのよっ</p><p>シージー</p><p>ああいうのは、全部コンピューターで合成した偽の画像で本当はパパの映像じゃないのよっみんな、あんたたちが仕組んでパパを陥れるために、勝手に作ったものなのよっそれが真実だったって、今すぐ公表しなさいよっ</p><p>これが雪乃の考えてきた、逆転ホームランなのか</p><p>あたしの映像もよっみんな間違いで、誤りで作られた映像なのよっあんなのは全部、あたしじゃないっすでにあったエッチ動画にあたしの顔をハメ込んだだけなのよっそういうことにしなさいってば</p><p>ふーんあれが雪乃さんでないとしてじゃあ、誰の映像なわけ</p><p>寧が小馬鹿にしたように、雪乃に尋ねる</p><p>そうねすでにあった映像なら、元になった人が必要よねなら恵美でいいじゃないあれは、恵美の映像だったってことにしなさいよっ</p><p>いいのよっあの子は、今までパパが生かしておいてあげたんだからっあたしやパパのために、自分を犠牲にするのは当然でしょ</p><p>雪乃にとっては恵美は、白坂家に隷属する娘のままだ</p><p>というより雪乃は</p><p>ここまで、状況が変化しているというのに彼女の頭の中は、断固として何も変わっていない</p><p>自分は白坂家のお嬢様で特権階級でメグには、何をしても許されると思っている</p><p>えっとさぁ雪乃さん、あんた校長室の隣の部屋でのレイプを、学校中に生中継されているんだけれど、あれも恵美だったって言い張るわけ</p><p>そうよ全部ＣＧで顔だけあたしにすり替えたのよっそういうことにするのよっ命令だからねっ</p><p>いや、あのライブ映像の顔だけ、挿げ替えるとかさそんなのスーパーコンピューターを使っても無理だと思うんだけれどっ</p><p>できたのよっそんなの勢いで誤魔化せるでしょ最新型のOSで、ブラウザのマウス・パッドで、シリアルインターフェースのACアダプターをデフラグしたら、テラバイトでキャッシュバックしたからだって言えば、みんな納得するわよッッ</p><p>そういう雪乃が一番、勢いだけでものを言っている</p><p>大丈夫よっ恵美を連れて来て、ごめんなさい、あれは全部あたしの映像でしたって土下座の記者会見をさせれば、それで済むわよっバリカンで頭を丸めて、丸坊主にさせてさっ</p><p>さあ今すぐ、やんなさいよっこれは命令よっ</p><p>雪乃が、オレを指差して命令する</p><p>雪乃が電撃に痺れる</p><p>まあこうなるよな</p><p>克子姉が雪乃の首筋に、警棒型スタンガンをお見舞いした</p><p>な、何するダぁぁ</p><p>雪乃は、電気ショックに口が廻らなくなる</p><p>うるさいわよ、バーカっ</p><p>まぴっ</p><p>今度は、寧がスタンガンの一撃を浴びせる</p><p>つーかさ自分が不利なことは何一つ認めないで、絶対的に強気のままでいられるってのは凄いとは思うけれどさっ</p><p>ええここまでくると、精神的に何か疾患があるんじゃないかと思えてくるわ</p><p>寧と克子姉はすっかり呆れ返っていた</p><p>さてあんたのお喋りは、ここまでよこれ以上、あなたの馬鹿げた妄想話を聞かされるのはゴメンだから</p><p>ここからは、あたしたちがあんたに質問するから素直に答えるんだよっ</p><p>寧は、雪乃の前にスタンスティックの先を突き付ける</p><p>大丈夫ですよ、お兄様</p><p>旦那様には、あたしたちが付いていますですから</p><p>みすずが、オレの胸に頬擦りする</p><p>はいずっと一緒ですそうお約束致しましたから</p><p>この二人が、オレに肌を寄せてくれているからオレは、落ち着いていられる</p><p>温かいぬくもりを感じているから</p><p>じゃ、最初の質問雪乃さん、ここにはどうやって来たのっ</p><p>寧が尋問する</p><p>はい、遅いっ</p><p>克子姉が、後ろからスタン棒を接触させる</p><p>むききゅうっ</p><p>こういうので人体の急所を狙わせたら克子姉は、天下一品だ</p><p>雪乃はエビのように身体をビクッと反らせて引っ繰り返る</p><p>ほらっ早く答えなさいよっ</p><p>寧が雪乃に迫る</p><p>た、タクシーで</p><p>タクシー市川さんの家は、何時頃に抜け出したの</p><p>じゅ十一時半ぐらい</p><p>恐怖に身を震わせながら雪乃は答えた</p><p>それっておトイレの窓からかなっ</p><p>寧が、ニヒヒーンと微笑む</p><p>そ、そうよよく判ったわね</p><p>雪乃お前の履いているスリッパに、W.Cって書いてあるぞ</p><p>ここまで幾らぐらい掛かったの</p><p>い、一時間ぐらいよ</p><p>時間じゃなくってお金の方よ</p><p>深夜増しで８７００円ぐらいだったと思うわよ</p><p>苦々しい表情で、雪乃は答える</p><p>まだ闘志は失っていない声だ</p><p>あらそあなた、よく金を持っていたわね</p><p>市川さんのことだからあなたを精神病院に押し込む前に、余計な現金は持たせないと思ったけれど</p><p>ああ雪乃が逃げ出さないようにか</p><p>そうよお祖父様にはお金は一円も持たせて貰えなかったわだから盗んできたのよ</p><p>お祖母様のハンドバッグから一万円盗んだのそれで、お祖父様の上着を被って、トイレの窓から外に出てここまで、逃げて来たのよっ</p><p>タクシーで</p><p>仕方無いでしょもう夜だしうろうろお祖父様の家の近くを歩いていたら、警察に補導されちゃうでしょそれに</p><p>声に憎しみの色が強くなる</p><p>あんたたちのせいでユーメーになっちゃったから、あたしっ</p><p>それでサングラスとマスク</p><p>タクシーに乗る前に、コンビニで買ったのよ</p><p>へえコンビニの店員さんにはバレなかったのあなたが白坂雪乃だってこと</p><p>それは変顔したから</p><p>変顔</p><p>こう、顰めっ面をして両手で、顔の肉をくいっと持ち上げて、吊り目にしてそれで、声もいつもより甲高くして話したからだから、バレてないわよっ</p><p>雪乃にはお笑いの神が憑いていると思う</p><p>天性の素質がある上に天然だ</p><p>はぁ、それ現場で見てみたかったわね</p><p>見ないでも大体想像がつくよ克姉っ</p><p>うんオレも、いささか食傷気味だ</p><p>てことはタクシー代に変装小道具で、所持金はほぼゼロね</p><p>そうよお金が足りるかどうか判らなくて、ハラハラしたんだからねっ</p><p>判ったわじゃあたしが、１万円あげるから帰って</p><p>克子姉が、さらりと言った</p><p>ここに居られても迷惑だからとっとと帰って</p><p>ちょちょっと待ってよ</p><p>雪乃は慌てる</p><p>あたし市川のお祖父様の家には戻れないわよっあそこに戻ったら</p><p>知ってるよ明日の朝には、精神病院からお迎えが来るんでしょっ</p><p>寧が答える</p><p>あなたたちの動向は、ずっと見張っていますからさっきも言ったわよねあたしたちは、あなたたちと敵対している最中なのよ</p><p>まあ、いいんじゃない精神病院への入院なんて、なかなか体験できないことだと思うしもっとも永遠に退院できないかもしれないけれどっ</p><p>寧が、嘲笑う</p><p>そうね雪乃さんの存在は、白坂一族にとっても、市川さんにとっても恥辱でしかないからそのまま、一生、閉じ込められることになるかも</p><p>そんなの嫌よっあたしは</p><p>雪乃は、絶叫する</p><p>でも、仕方無いでしょあなたのお祖父様やご親戚の皆様が決めたことなんだからあたしたちには関係無いことだわ</p><p>克子姉は、雪乃を突き放す</p><p>た助けなさいよっ</p><p>何であたしたちは、あなたの敵だって言っているでしょあなたを助けてあげる義理なんて無いわ</p><p>雪乃がオレに振り向く</p><p>何とかしなさいよっあたしがピンチなのよっ</p><p>あんたが、あたしを助けなかったらあたしが大変なことになるのよっどうにかしなさいよっバカぁぁ</p><p>雪乃は泣く</p><p>いつも通りに</p><p>雪乃は、自分の心が抑えきれなくなると感情を爆発させて泣く</p><p>泣くだけで自分からは、何もしない</p><p>いつだって誰かが助けてくれると思っている</p><p>それが雪乃という女だ</p><p>いい加減にして下さい雪乃さん</p><p>みすずが雪乃に言った</p><p>あなたが泣こうと喚こうとあたしたちの旦那様は、あなたを助けません</p><p>雪乃がハッとする</p><p>もちろん、あたしもお祖父様に、あなたのことで何かしらお願いをするつもりはありません</p><p>香月家は動かない</p><p>じゃああたしは、どうなるのよっ</p><p>さあそんなこと、あたしたちの知ったことではありませんわ</p><p>みすずは、ギュッとオレを抱き締める</p><p>あなたが、ここで素直に、旦那様に頭を下げて助けを求めたのならまた違う結論になったかもしれません精神病院への送致だけはしないように、お祖父様から市川様にお話ししていただくことも可能だったと思います</p><p>じゃあ、そうしてよっ今すぐしなさいよっ</p><p>嫌ですわ</p><p>キッパリとみすずは言う</p><p>あなたのような、礼節を知らない方にあたしは何もしてあげたくはありませんから</p><p>雪乃さんは失礼とか無礼とかというレベルを超えています傍若無人です余りにも卑しいです</p><p>雪乃は、みすずを睨んで</p><p>あ、あなたにあたしの何が判るのよっ</p><p>ええ、判りませんし、判りたくもありませんどうぞ、精神病院で余生をお過ごし下さいさようなら</p><p>あーあ、雪乃の不用意な一言がみすずとの対話を閉ざしてしまった</p><p>白坂雪乃様</p><p>今度は瑠璃子が雪乃に話し掛ける</p><p>瑠璃子は、先ほどお兄様にセックスしていただきましたもう、４回もお腹の中に射精していただいたんですよ</p><p>優雅な微笑で瑠璃子は微笑む</p><p>最初は、痛かったですけれどお兄様が優しくして下さいました瑠璃子は今、とっても幸せですああわたくし、正式にお兄様のセックス奴隷にしていただいたんですよ</p><p>雪乃は１５歳の香月家令嬢の言葉に、呆然となっている</p><p>あんた何を言っているのよ</p><p>今すぐは、無理なようですがいずれは、お兄様の赤ちゃんを産みます今は、それがとっても楽しみなんですセックスという行為も、とっても気に入りましたこれから毎日、お兄様にいっぱいセックスを教えていただくんですっわたくし、お兄様と一緒に暮らすことになりましたし</p><p>瑠璃子はオレに、ぴったりと寄り添う</p><p>わたくし愛しておりますお兄様が大好きですわ</p><p>あたしも愛してます旦那様</p><p>みすずも、オレに抱きつく</p><p>つまりヨッちゃんは、もう雪乃さんのことなんてどうでもいいんだよっ</p><p>ね、見てご覧ヨッちゃんの左右に、香月家のお嬢さんが２人２人ともヨッちゃんのことが大好き赤ちゃんだって、産みたいって思ってる</p><p>産みますわもちろんお祖父様にも、ご承認いただいております</p><p>みすずが、ダメ押しする</p><p>あんたのとこの白坂家なんてメじゃないような名家中の名家のお嬢さんが、ヨッちゃんのことを愛している香月のおジィちゃんも、認めている２人とも、雪乃さんとは比べ物にならないくらい、気品があって物腰も優雅だ何よりとっても美人で可愛いときているっ</p><p>寧お姉様の方がお綺麗ですわ</p><p>ありゃりゃっ照れるなありがとっ</p><p>もちろん、克子お姉様も、とってもお美しいです</p><p>ありがとう、瑠璃子ちゃん</p><p>克子姉も、微笑む</p><p>多分今この部屋の中で、いちばーんドンヨリとした顔をしていて、お肌がカッサカサで、眼の下にクマができてて、髪の毛がバッサバサの不美人ちゃんは雪乃さんだと思うけれどっ</p><p>寧の言うとおり雪乃の顔は、青ざめている</p><p>そこの鏡を覗いてご覧よそんな酷い顔をした子、ヨッちゃんは要らないってのがよーく判るからっ</p><p>寧は雪乃に応接室の鏡を示す</p><p>今の雪乃さんは何の価値も無いのよあたしたちには、あなたを助けるメリットは何も無い元々敵なんだから、むしろもっと苦しめばいいのにって思っているわ</p><p>これで、せめて可愛ければねえひたすら、みっともなくて憎ったらしいだけだもんねぇ</p><p>寧の言葉に雪乃は</p><p>みっともないあたしが</p><p>ああ、本当に判っていないんだ</p><p>寧お姉様のご忠告に従って、鏡を覗いて見ることをお勧め致しますわ、雪乃さんそうしたらあなたにも判るはずですから</p><p>ほらっ、鏡はそこだよっ</p><p>雪乃はおそるおそる立ち上がって</p><p>壁際の鏡を見る</p><p>これがあたし</p><p>ね酷い顔しているでしょ生きているんだよ、それでもっ</p><p>雪乃は小刻みにぶるぶると震える</p><p>ついでにさ今の自分の着ているものとかも見てみなよ何それみっともないおトイレのスリッパ履いたまんまとか、信じられないってのっ</p><p>ようやく雪乃は現実に直面する</p><p>家族に見捨てられておバァちゃんのお財布からお金を盗んでそれでも、今、所持金は数百円でしょ何も無い、何も無い、まったく何も持っていないこの先の行き場さえ決まっていない、スッカラカンの小娘それが、今の雪乃さんだよねっ</p><p>雪乃の身体の震えが強くなる</p><p>ガチガチと歯が鳴る</p><p>そうねあなたはもう帰る家が無い友達もいない市川さんのご指示通りに、精神病院へ行く方がまだ幸せだと思うわよ少なくとも、暖かいベッドと３食は保証されているでしょうから</p><p>克子姉が、低い声で告げる</p><p>そうだねこのまま家出して逃げたってどこにも、雪乃さんの居場所は無いよだって、日本中の人間が雪乃さんのことを知っているんだからねっお父さんが、どんなに酷いことをしてきたかも雪乃さんが、今までどんなセックスをしてきたのかもっ</p><p>まあ、雇ってくれる人なんて居ないでしょうね売春婦にでも、なるしかないでしょうけれどお店は無理ねみんな、あなたのことだけは敬遠すると思うわ雪乃さんを雇ったら、どんなトラブルに巻き込まれるか想像できないからあなたのお父さんが、暴力団と関係していたことは知っているわよね</p><p>もっとも、その組織は恭子さんたちが、すでに壊滅させた</p><p>そのことを雪乃は知らない</p><p>個人で売春業をやってくしかないんじゃないっ夜の街で、酔っ払いのオジサンに声を掛けたりしてさっでも、普通のホテルもラブ・ホテルも、雪乃さんだけはお断りになるからその辺の路地裏とか、土手とかで商売するしかなくなるね冬は大変だぁ</p><p>ガタガタと雪乃は、震える</p><p>で雪乃さん精神病院と、立ちんぼの売春婦どっちを選ぶのさっ</p><p>雪乃は口をパクパクさせながら涙を零す</p><p>答えなくていいわ雪乃さんがどうなろうと、あたしたちは別に興味が無いからとにかくあなたはあたしたちの敵なんだからさっさと出てってちょうだい</p><p>克子姉は冷たく言う</p><p>警察に助けを求めても無駄だよっ市川さんの家に、連れ戻されるだけだろうし</p><p>あたしはあたしは</p><p>雪乃のアイデンティティが、崩壊しようとしている</p><p>克子お姉様、寧お姉様今夜はもう遅いですし、今晩だけは、雪乃さんを泊めてあげてはいただけませんか</p><p>みすずが済ました顔をして、言う</p><p>屋敷の外には香月セキュリティ・サービスの護衛の方々も、公安警察の方たちもいらっしゃいますこんな夜更けに、女の子を閉め出すのは世間体がよく無いと思いますわ</p><p>うーん、みすずの言うことももっともだねぇ</p><p>寧がニンマリとする</p><p>克姉朝までだったら、置いてあげることにする</p><p>そうねどうしようかしら</p><p>雪乃がハッとして、オレを見る</p><p>朝までは、置いてやろうでも、その後は叩き出す</p><p>オレはジロッと雪乃を見る</p><p>雪乃の心をドン底まで突き落とすためには</p><p>大ッ嫌いだお前なんて</p><p>雪乃が、驚いた顔をしてオレを見る</p><p>雪乃なんて二度と顔も見たくないっ</p><p>結局、雪乃はオレのことなんて、ゴミだとしか思っていなかった</p><p>オレを１人の人間男としては、認識していなかった</p><p>じゃあ、そういうことで行きましょう</p><p>あなたはうちのお客でも何でも無いんだからお茶も食事も出さないわよ昨日のうまい棒が残っているから、それと水道水だけあげるわそれ以上は、何もあげないからね</p><p>うまい棒は幾らでも食べていいよっ水道水も飲み放題だからっ</p><p>この前のことがあるからあなたの居る部屋には、鍵を掛けるわ朝になるまでは、外には出さないからいいわね</p><p>雪乃は、力なく鏡の前に立っている</p><p>鏡の中の自分を見たまま震えている</p><p>さあ、行こうヨッちゃんまったく、時間の無駄だったよね、こんな子の相手をしたってさっ</p><p>参りましょう旦那様っ今日は、みすずが抱き枕になります</p><p>では、お兄様は瑠璃子の抱き枕になって下さいませ</p><p>オレたちは、雪乃を残して部屋を出る</p><p>ドアが閉じられる</p><p>部屋の中に、ただ１人取り残された雪乃は</p><p>昔から、父は節分の豆まきだけは、喜々としてやっていたのですが</p><p>それこそ、一部屋ずつ廻って豆を撒くのを楽しみにしていて</p><p>私の靴の中に、豆を入れたり</p><p>子供の頃から、ずっとそうしていました</p><p>今年も、母が豆を買って来たのですが</p><p>豆まきいいよ別に</p><p>と、寝てしまいました</p><p>ディックの小説に、宇宙飛行士のお父さんが宇宙人と入れ替わって帰宅してくる話がありますが</p><p>今、そんな心境です</p><p>彼は本当に、私の父なのだろうか</p><p>435．クサい関係</p><p>雪乃を残した応接室から出ると克子姉が、すぐ近くの部屋にオレたちを手招きする</p><p>入って</p><p>中へ入ると自室に帰ったはずのマルゴさんが居た</p><p>監視モニターを見ている</p><p>もちろん画面に映っているのは、雪乃</p><p>いかがですマルゴ様</p><p>８０パーセントと、言いたいところだけれど、７０パーセントってとこじゃないかな完全に心が折れるってところまではいってないよ</p><p>モニターの中の雪乃はジッと鏡の中の自分の姿を見ている</p><p>くぅぅちくしょう</p><p>奥歯をギュッと噛みしめて泣いている</p><p>自分の泣き顔を見ながら</p><p>あたしは何も悪く無いのよ全部、あの男のせいなのよそうなのよそう</p><p>全てを、オレのせいだと思い込もうとしている</p><p>心の防衛機構が働いて、またおかしな方向に向かっているね彼女の場合自分の現在の状況を認めると心がパンクしてしまうから自分自身や父親に問題があるという風は、絶対に考えないようにしているんだろう</p><p>マルゴさんが、分析する</p><p>あの男絶対、絶対、許さないんだからっ</p><p>ああ雪乃は</p><p>単純に、神経が図太いだけじゃないんだ</p><p>子供の頃からずっと悪いことは、全て人のせいにしてきて</p><p>父親も、周囲の大人たちも、そういう雪乃を許してきてしまったから</p><p>本当に現実を直視し、真っ正面から問題に取り組むという能力に欠けている</p><p>ただ人のせいにして、人を憎んで、呪って</p><p>そこから、一歩も外に出て来ない</p><p>そんな少女に成長してしまっている</p><p>あの性格は直らないわね</p><p>よっぽど愛情を持った人が親身に、あの子の相手をしてあげれば別かもしれないけれど</p><p>どうかなあそんな人が居たら、甘えまくるだけなんじゃないっあの子の場合さ</p><p>今夜だってもう、ヨッちゃんしか頼る人が居なくて、それでここまで逃げて来たのにあんな有様だったしさっ</p><p>そうですわね助けて貰いに来た人の態度では、ありませんものね</p><p>みすずが、そう感想を言う</p><p>自分で判ってないんだよヨッちゃんなら、きっと助けてくれるって勝手に思い込んでいたのは雪乃さんなんだよあの子の中で、ヨッちゃんが最後の希望だったのにさっ</p><p>それが自分の望み通りに、無条件で助けてくれなかったからって今度は、ヨッちゃんだけを恨み、憎んでいるどうしようもない、バカっ娘だよねっ</p><p>恵美ちゃんやマナちゃんを連れて来なかったのは、正解だったと思うよあの子の憎しみの標的が増えるだけだから</p><p>ああ当たり散す人を、選んでいらっしゃるわけですね</p><p>瑠璃子がそう言う</p><p>うんあたしか克姉は、苦手だし怖いと思っているのよだから、頭の中から消そうとしているもちろん、先生のこともね</p><p>それで鏡を見ながら、オレだけに怒りを集中させているってこと</p><p>克姉が溜息を吐く</p><p>ホント判りやすいって言うか、底が浅い子よねっ嫌になっちゃう</p><p>克子姉だけでなく全員が、そう思っているらしい</p><p>端から観察している分にはかなりの面白人間だけどね正面から関わるのは、メンドくさい子だよね</p><p>でどうしますか</p><p>さっきマルゴさんは、雪乃ままだ７０パーセントのダメージしか与えられていないって言っていた</p><p>別に今夜はここまで無事に、雪乃さんの身柄を確保できたし今の段階で、完全に心を折ってしまうわけにはいかないからね</p><p>雪乃さんの心をポキッてヤるのは白坂創介の眼の前でだよっそれが一番白坂創介に対する復讐になるでしょ</p><p>ああだから、克子姉と寧は</p><p>雪乃に手加減していたのか完全に、心を砕かないように</p><p>マルゴ様雪乃さんに尾行は付いてました</p><p>何も無し外の香月セキュリティ・サービスの人たちも、調査に協力してくれたよ雪乃さんがここまで乗って来たタクシーも特定したし尾行車が付いていないことも確認した市川さんが、何か企んでいるってことは無いと思うよ本当に彼女一人でトイレの窓から逃げ出して来たんだと思う</p><p>マルゴさんたちは雪乃が、何か別の目的で送り込まれてきた可能性を考えていたのか</p><p>だからさっきの様な尋問をした</p><p>市川さんには</p><p>ミナホから、連絡してもらうしかないねここに居るってことだけは、伝えておかないと</p><p>あたしたちが、雪乃さんを誘拐したとそう思われることにはなりませんか</p><p>その辺は、ミナホが上手くやってくれるよ真夜中に突然、訪問してきて迷惑だって言って、向こうの失点にして恩を売ると思う</p><p>結局、お嬢様に助けていただくしかないのですね</p><p>克子姉は、とても残念そうだった</p><p>今夜はミナホ姉さん不在のまま、克子姉中心でお屋敷をまとめる予定だったのに</p><p>仕方無いよ対外的なことはミナホじゃないとね</p><p>黒い森の裏社会での信用も、敵に廻すと恐ろしいというイメージも全て、ミナホ姉さんが個人で築き上げたものだ</p><p>市川老人との交渉は今の克子姉では、勤まらない</p><p>まあプラス思考で考えようよ元々の予定では、明日の朝、精神病院に送られる雪乃さんを横から掻っ攫ってくる手はずだったんだから作戦行動の手間が省けたんだから後は、ミナホに任せよう</p><p>マルゴさんが、オレたちに微笑む</p><p>克子姉も心を落ちつかせる</p><p>でも、雪乃さん心が不安定になっているから水と食事は、あたしが持っていくよ克子さんや寧だと、隙を見て暴れ出すかもしれないから</p><p>お願いします、マルゴ様</p><p>そして克子姉は、オレたちを見る</p><p>あなたたちは、もう寝なさい明日も色々と忙しいんだから寧あなたが、みんなを連れて行って</p><p>え克子姉は</p><p>あたしはお嬢様への報告があるし、マルゴ様の交代で、もう一度白坂家の動向を調査するわもう、一つ二つ、打っておきたい手もあるし</p><p>明日いよいよ白坂創介への復讐が、果たされる</p><p>その前に不安の残っていることへの対処を、全て終わらせてしまいたいのか</p><p>大丈夫だよあたしと克子さんで、交代で仮眠を取るから</p><p>マルゴお姉ちゃん、あたしも交代要員に入ろうか</p><p>寧は、みんなと戻って寧まで帰って来ないと、恵美ちゃんたちが気にするだろあの子たちも、勘が鋭いから</p><p>君も頼むよ明日は、みんな最高のコンディションでいてくれないと困るんだから</p><p>ミナホ姉さん、克子姉、マルゴさんの３人は</p><p>復讐の計画の当初から関わっている</p><p>何年も時間を掛け白坂創介を陥れるために、たくさんのものを犠牲にしてきた</p><p>それが明日、完遂する</p><p>判りましたでも、２人とも無理はしないで下さいね</p><p>後、一日だもの全然平気だよ明日の夜は、ぐっすり眠れるんだから</p><p>ありゃ、みんな凄い格好だねっ</p><p>オレだけは、部屋を出たときのままバスローブ姿だが</p><p>寧とみすずと瑠璃子は</p><p>上半身は、裸パーカーで下半身は何も身に付けていない</p><p>首輪からは、鎖をじゃらじゃらさせている</p><p>それでどうだったヨシくん</p><p>メグも起きていて待っていたくれた</p><p>もちろん、美智と渚に麗華も</p><p>何て言うかいつもの雪乃だった</p><p>市川さんに精神病院に入れられちゃうからって、逃げて来たのにあんまり偉そうだから、克姉と一緒に成敗してきたよっ</p><p>それで雪乃は</p><p>とりあえず監禁してる今、克姉が先生に報告しているよっ先生から、市川さんに電話して貰うことになると思う</p><p>電話</p><p>マナが、心配そうな顔をする</p><p>雪乃さんが勝手に家出して来たのに、あたしたちが誘拐したみたいに思われると困るでしょだから</p><p>雪乃さん、ずっとここに居るの</p><p>マナとメグにとっては雪乃は、もはや天敵だ</p><p>それは無いんじゃない明日中には、出てって貰うことになると思うよっ</p><p>寧はそう言って２人に微笑む</p><p>そうだよねっよかった</p><p>マナに明るい笑顔が蘇る</p><p>さあ、お茶飲んで寝ようお兄ちゃん</p><p>ヨシくんに言われた通り、用意しておいたわっ</p><p>寝る前に、お茶を飲むのは良くないかもしけないけれど</p><p>もう一つ、そういうイベントが無いとみんな、気分が落ち着かないだろう</p><p>みすずさんも、瑠璃子さんもどうぞ</p><p>メグがポットにお湯を注ぐ</p><p>むきゅう</p><p>お茶の香りを嗅ぎ付けたのか床に引っ繰り返っていたイーディが、ピクッと目覚める</p><p>美智眠らせて</p><p>はいえいはっ</p><p>美智が、イーディに念を送るッ</p><p>もげっ</p><p>再び、床にコロンとなるイーディ</p><p>凄いな</p><p>はい、彼女のコントロールは、もう完璧に行えます先ほどの、セックス時のリンクで彼女の心は、掌握致しましたので</p><p>美智は平然と恐ろしいことを言う</p><p>ただイーディは、ああいう大雑把な人格ですから、今のようなスイッチ・オフか、スイッチ・オンしかできませんが</p><p>つまり気絶させることと、意識を覚醒させることしかできない</p><p>でもさ、それだけ相手の心に入り込んでいるのなら逆に、美智の方がイーディの意識に引っ張られることは無いのか</p><p>それが心配だ</p><p>それは大丈夫です未来は判りませんが現在のイーディの気の力は、わたくしよりも劣っていますからわたくしの方が引きずられることはございません</p><p>なら、いいけど</p><p>え、現在のって</p><p>未来は判りませんイーディの方が、わたくしよりも気力が優るようになるという可能性も微粒子レベルでは存在致します</p><p>ああイーディに負けるつもりは、全く無いんだな</p><p>はい、渚さんもお茶をどうぞ</p><p>メグが、渚を誘う</p><p>ありがとうそれを飲んだら、あたし</p><p>寝ている真緒ちゃんを、見る</p><p>真緒を連れて上の部屋で寝るわ</p><p>だって明日は、朝から頑張らなきゃいけないでしょ、あなた</p><p>アニエスちゃんもう一回ぐらい、気持ち良くしてあげないとね</p><p>渚が、寝ているアニエスを見下ろす</p><p>アニエスは性の絶頂を感じたまま、眠り込んでしまった</p><p>つまりまだ、きちんと性の快楽を理解していない</p><p>もう一度、オレと肌を合わせることは気持ちいいことだと、判らせないと</p><p>そうでないと処女を奪うところまでは、進めない</p><p>朝の真緒は目覚めが良いし、とっても元気だから</p><p>それはホテルの時に見て、知っている</p><p>真緒が居たらできないでしょ</p><p>アニエスちゃんを無理矢理、レイプするのは嫌よね</p><p>ここまできたら力尽くで犯すことだけは避けたい</p><p>あたしたちもどうせなら、アニエスが完全にあなたに心と身体を許している様子を、白坂創介に見せ付けたいわ</p><p>渚は笑う</p><p>確かにその方が復讐のレベルは上だと思う</p><p>白坂創介はアニエスを、楽しみに取っておいた自分のセックス人形だとしか思っていない</p><p>アニエスの処女をオレに奪われるのは口惜しいだろうが、それだけのダメージしか与えられない</p><p>しかし幼い時から、自分だけを崇拝する様に育ててきたアニエスが</p><p>オレに懐いているのを見るのはショックだろう</p><p>もうそんなに時間は残っていないもんねっ</p><p>タイムリミットは明日の夕方</p><p>いや、もう夜中の３時を廻っているから半日しかない</p><p>精一杯、頑張ってね</p><p>オレ、真緒ちゃんと朝、お風呂に入る約束をしてるだろそれは、守りたいな</p><p>オレは、真緒ちゃんのパパだろ一度約束したことは絶対に破りたくないんだ</p><p>だったらさっ</p><p>寧がとある提案をする</p><p>あら、それはいい考えね</p><p>じゃあ、そうしましょ</p><p>うん、あたしが早めに起きて、準備しとくよっ克姉は、忙しいと思うから</p><p>寧は、そう言ってニンマリと微笑む</p><p>マナも手伝うよレイちゃんも、一緒に行こうっ</p><p>マナが、言葉の少ない麗華を誘う</p><p>麗華は、両手でお茶のカップを持ってスズっと啜る</p><p>ちょっと猫背で</p><p>ああ、麗人剣士ではなく大分、１人の少女に心が戻って来ているな</p><p>じゃああたしは、これで</p><p>お茶を飲み終わると渚は、寝ている真緒ちゃんを抱き上げる</p><p>むぅま、ママ</p><p>うん、ママよさあ、行きましょうね</p><p>寝惚けている真緒ちゃんは、渚に抱かれていることを確認すると再び、眠ってしまった</p><p>オレは、渚にキスする</p><p>お休み渚</p><p>お休みなさい、あなた真緒にもしてあげて</p><p>お休み、真緒ちゃん</p><p>真緒ちゃんのぷっくりした頬にもチュッとキスする</p><p>それじゃあね</p><p>渚が部屋を出て行く</p><p>それでは旦那様</p><p>ああ、お休みのキスか</p><p>いえその前に</p><p>みすずは地下室の中の水場の方を見る</p><p>ああ、顔を洗わないとな歯も磨かないと</p><p>その前に</p><p>みすずが、うふふっと微笑む</p><p>おしっこが先ですわ旦那様っ</p><p>うんそうだな</p><p>この子の場合は</p><p>はい、美智、瑠璃子参りますよっ</p><p>みすずが、２人に声を掛ける</p><p>ご相伴致します</p><p>スッと立ち上がる、美智</p><p>あの何をすればよろしいのですかみすずお姉様</p><p>ああ、瑠璃子にはまだ教えていなかったけれどあたしたちは、お小水をする時は可能な限り旦那様に許可をいただかないといけないしその姿も、お見せしなければいけないの</p><p>そうよおしっこは、健康の印ですからねその色と匂いと量と出具合を、しっかりと旦那様に観察していただかないといけないのよっ</p><p>見てご覧なさい、美智を</p><p>美智は、すでにサパッとバスローブを脱ぎおしっこの出が良いように、自分の下腹部を手でゴシゴシ擦っている</p><p>腰もくねらせて</p><p>やる気満々だ</p><p>あ、もちろん学校の用とかがあって、連絡するのが無理な時は、どんどん勝手におしっこしてくれガマンする方が、身体に悪いから</p><p>瑠璃子は、優雅に微笑む</p><p>うんとなら、あたしもしないといけないみたいねっ</p><p>ね、寧も参戦か</p><p>当然マナも捻り出すからっ</p><p>マナ捻り出すのはいいから</p><p>別のモノが出て来そうだ</p><p>じゃあたしも</p><p>恥ずかしそうにメグが言う</p><p>もちろん、レイちゃんもするよねっ</p><p>寧の言葉に麗華は</p><p>お、お兄ちゃまの前でおしっこをするのですか</p><p>顔を真っ赤にして羞じらう</p><p>そうだよっ</p><p>ど、どうしてです</p><p>どうしてってみんなもするんだから、レイちゃんもしようよっ</p><p>というか旦那様に放尿姿をお見せするのは、国民の義務ですから</p><p>みすずがまた、大きく出る</p><p>大丈夫だよっみんなで見せ合ってそれで、また仲良くなるんだからっ</p><p>マナが、レイちゃんの手を取る</p><p>さあ行こう、レイちゃん</p><p>どうやら精神年齢では、マナの方がレイちゃんよりも年上の姉ということになっているらしい</p><p>はーい、では、みんなでシャワー・コーナーへ移動ねっいっくよーん</p><p>寧に先導されオレたちは、移動する</p><p>麗華は、一番後ろをマナに引かれて付いてくる</p><p>では、まず言い出しっぺから、やってもらいましょうっ</p><p>寧に促されてみすずが、前に出る</p><p>旦那様どうかあなたのペットであるみすずに、おしっこすることをお許し下さいませ</p><p>うん許可する</p><p>みすずはシャワーコーナーの床に、Ｍ字開脚して、しゃがみ込む</p><p>裸パーカーの胸元のジッパーを下げ、乳首を露出させる</p><p>首輪といい全裸よりも、いやらしい姿だ</p><p>ジョロロロロ</p><p>熱い水が弧を描いて放出される</p><p>見ていて、旦那様ぁ</p><p>うん、見ているぞみすず</p><p>うふふとっても、幸せです見ている、旦那様があたしを見て下さっている</p><p>オレに見られて放尿することにみすずは興奮している</p><p>ああずっと、この時間が続けばいいのにっ</p><p>しかし膀胱内の液体には限りがある</p><p>やがて、みすずのおしっこは止まった</p><p>残念ですわ</p><p>また明日があるわよったくさん水飲んで寝なっ</p><p>寧が、わけの判らないアドバイスをする</p><p>シャワーの水で股間を洗い流しみすずが立ち上がる</p><p>続いてわたくしが致します</p><p>美智は全裸で、床に四つん這いになる</p><p>わたくしは、ご主人様のイヌですからイヌらしく、排尿させていただきます</p><p>そして片足を上げ、オレに股間がよく見えるようにする</p><p>しゅわわわわわわわっ</p><p>美智のそこからもおしっこが迸る</p><p>わたくし、ご主人様のお望みなら何でも致します何でも致しますから</p><p>うん、判っている判っているから</p><p>オレは、排尿する美智の頭を撫でてやった</p><p>美智は嬉しそうにうっとりとした顔で、オレを見上げている</p><p>美智のおしっこも終わった</p><p>次は瑠璃子、する</p><p>寧のコールに、瑠璃子は</p><p>みすずの真似をして床にしゃがみ込む</p><p>しかし、１５歳の美少女の裸パーカーに、Ｍ字開脚は破壊力がある</p><p>瑠璃子は、メチャクチャ可愛いし</p><p>瑠璃子は、踏ん張るが</p><p>緊張しているのか、尿は出ない</p><p>そ、そんなに見つめないで下さいませ</p><p>ついつい、瑠璃子の秘部をガン見していた</p><p>瑠璃子、ごめんな</p><p>やっぱりずいぶん腫れているな</p><p>処女だったのに４回もセックスしたから</p><p>いいえわたくしも望んだことですし</p><p>オレは腫れているそこに、指を這わす</p><p>お兄様はぁんっ</p><p>やっぱりちょっと熱を持っているな</p><p>さ、触らないで下さいわ、わたくし</p><p>力が抜けたのか瑠璃子のそこから、熱いおしっこが漏れ出す</p><p>ぷしゅっ</p><p>お兄様お手がお手が汚れます</p><p>瑠璃子のおしっこだろ全然、汚くないよ</p><p>オレは自分の手を濡らす水の熱さを感じる</p><p>これからずっと一緒に暮らしていくんだ瑠璃子が病気になったら、オレがおしっこの面倒だって看るんだし</p><p>家族が排泄するものを汚いなんて、思っていられない</p><p>お兄様あそこがちょっと、浸みます</p><p>ああ、やっぱり処女膜が破れて、傷になっているのかもしれないな</p><p>瑠璃子は、顔を真っ赤にしながら放尿する</p><p>それでもオレの顔を見上げている</p><p>明日は、セックスするのは止そうか</p><p>瑠璃子の膣が治癒するまでは</p><p>いいえしたいです明日も、セックスしたいお兄様と、わたくし</p><p>大好きわたくしも、お兄様がお病気になられたら、お世話致します誠心誠意お世話させていただきますから</p><p>そして、瑠璃子の排泄が終わる</p><p>オレは、瑠璃子の股間をシャワーで清めてやった</p><p>ついでに自分の手も洗う</p><p>じゃあ、次レイちゃん行こうかっ</p><p>寧に引っ張られて麗華が、前に</p><p>あのわ、わたくしは</p><p>レイちゃんはでしょ</p><p>マナに言葉遣いを直される麗華</p><p>藤宮さんなさった方が良いです瑠璃子は、この儀式を通してお兄様との絆を深めましたこれ、いいですっとっても、いいわたくし、これからは毎日、お兄様の前で排尿致しますわ</p><p>瑠璃子はちょっとテンションが高くなっていた</p><p>ね、あなたにも、おしっこの大切さが判ったでしょ</p><p>みすずが、鼻高々で中学生の従妹に言った</p><p>はい、ありがとうございますみすず様</p><p>さあ、早くしてよレイちゃんがしてくれないと、マナとメグお姉ちゃんが、おしっこ漏らしちゃうよっ</p><p>マナに急かされて麗華は、恥ずかしそうに屈む</p><p>もっとも、バスローブを着たまま</p><p>秘部も隠している</p><p>それじゃあ、レイちゃんREADY　GO</p><p>寧がそう叫ぶが</p><p>緊張しているのか麗華の股間からは、何も出て来ない</p><p>顔を真っ赤にしてあたふたしている</p><p>ありゃりゃ全身カチンコチンだねこりゃ、無理かなっ</p><p>いえっ、頑張りますっはむっ</p><p>麗華が気張るッ</p><p>ぬむむ</p><p>麗華の発した気を察知したのかイーディが、またむくりと起き上がる</p><p>オレの命に、美智がイーディに気を打ち込むッ</p><p>ハイヤァッ</p><p>もげげげっ</p><p>イーディは、また眼を回してパタンと倒れる</p><p>お粗末</p><p>美智が、イーディの気絶を確認すると同時に</p><p>ぷぅぅ</p><p>間の抜けた音が部屋の中に轟く</p><p>も、もしや</p><p>放屁</p><p>麗華が耳まで真っ赤にして、オレたちに謝る</p><p>気張りすぎておならが出ちゃったのかよっ</p><p>ぷっあはははは</p><p>もう、レイちゃんたらっ</p><p>マナも笑う</p><p>気にしないで下さい気を張り詰めれば、そういうこともあります</p><p>美智が、真顔で麗華を慰める</p><p>お顔を真っ赤にして可愛いですわ、藤宮さん</p><p>でも、ちょっと匂わない</p><p>そういうこと言わないのマナ</p><p>メグが、マナを叱る</p><p>いいんだよ、どんどんしろよおならでもおしっこでも何だって変わらないよオレたち、どんなことでも見せ合える関係なんだからさ</p><p>麗華の股間が緩んだらしい</p><p>ちょろちょろと温かいおしっこが排泄されていく</p><p>まさか、おしっこ披露と放屁で仲良くなるとは</p><p>キン肉マンは、最初の頃、おならで空を飛んでましたね</p><p>まだ怪獣倒していた頃</p><p>70年代末に第3次怪獣ブームというのがありまして</p><p>キン肉マンも、最初はウルトラ兄弟という設定でしたね</p><p>ジャンプのマンガとかにも、普通にウルトラ怪獣が出て来たりしていましたし</p><p>すすめ、パイレーツの売寅満太郎（うるとら・まんたろう）と、ばるたん星児とか</p><p>どなたの作品か忘れましたがウルトラ兄弟が、ヤマトの森雪を輪姦するという、シュールなものもあっと思います</p><p>今では絶対に無理ですね</p><p>436．第二次アニエス攻略戦</p><p>でも、良かったじゃん、レイちゃんみんなと仲良くなれて</p><p>マナが放尿しながら、麗華に言う</p><p>おならの音なんて、本当に仲良しの家族じゃないと笑えないもん</p><p>笑えない</p><p>雪乃さんなんてさ舞夏さんが、一緒に居間に居るのに、いつもプープーやってたんだよソファの上に、寝っ転がってさデリカシーが無いっていうか舞夏さんのこと舐め過ぎだと思う</p><p>白坂舞夏時代のことをマナは思い出して、怒る</p><p>そうか、雪乃は妹の前では、平気で放屁していたか</p><p>いっつも頭にきて、怒って文句言うんだけれどあの人は、舞夏さんのこと小馬鹿にしていたから、あら、ごめんなさーいとか言ってさ大っ嫌いだった</p><p>うんその光景が、眼に浮かぶ</p><p>雪乃は本当にマナやメグには意地悪だったんだなあ</p><p>だからさ、こうやってケラケラ笑えるってのは、いいことなんだよあたしたち、みんなレイちゃんのこと大好きなんだもんっ</p><p>麗華は、恥ずかしそうに答える</p><p>そんなのありがとっで、いいってば家族でしょ、レイちゃん</p><p>マナの明るさが家族の潤滑油になりつつある</p><p>マナ変わったな</p><p>人のことを思いやれる子になった</p><p>はい、おしまいっお兄ちゃん、マナのここ洗って</p><p>おしっこの止まった股間を、マナはオレに示す</p><p>オレはマナのそこを、シャワーで洗い流す</p><p>うふふ寝る前に、もう一回エッチするお兄ちゃん</p><p>今したら明日は、もう無しだぞ</p><p>えー、お兄ちゃん、マナとは毎日セックスするって約束してくれたじゃないっ</p><p>だからもう日付が変わっているんだから今したら、明日の分はもう終わりにするぞ</p><p>そんなのないよう今もして眼が醒めたら、またしよっマナ、お兄ちゃんとセックスするの大好きなんだもんっ</p><p>ダメだよっ明日は、大変なんだからするんなら、アニエスが起きている時にしないとねっ</p><p>うん、今夜はもう体力温存でいきたいな明日は、朝から頑張るつもりだし</p><p>雪乃は、確保できた</p><p>後はアニエスの心だけだ</p><p>白坂創介への最後の復讐を果たすためには</p><p>そっか残念じゃあ、また明日ねっ</p><p>マナは、笑って納得する</p><p>もうマナの心は、大分判ってきた</p><p>本当に何が何でもがむしゃらに、オレとセックスしたいわけじゃないんだ</p><p>マナは、セックスにオレとの絆を感じているから</p><p>とりあえず、次のセックスの約束が欲しいんだ</p><p>うんアニエスの心を開かせるタメのセックスは、マナも参加してくれよ</p><p>嬉しそうに、マナは答える</p><p>マナはこれでいい</p><p>あっ、そうだお兄ちゃん明日は、白坂創介さんの前で、マナのことを犯してくれるんでしょ</p><p>マナは、わざと明るく言う</p><p>自分の父親の復讐儀式のことを</p><p>その時はさあたし、舞夏さんの制服を着るからねお兄ちゃん、あれ、ビリビリに破いちゃっていいよもう着ないんだから</p><p>マナは今まで通っていた学校には、もう戻れない</p><p>そういうエッチをしようよ本気でレイプしてマナも、思いっきりワーワー泣き喚くからメチャクチャに犯してねっみんな観ててねっ!もう、すっごいエッチなことしてもらうんだからっ</p><p>実の父親を完全に葬るためのセックスだ</p><p>マナは、白坂舞夏という存在も完全に葬り去りたいんだろう</p><p>オレもマナももう、元へは戻れない</p><p>前に進むだけだ</p><p>ええ、楽しみにしていますわ</p><p>瑠璃子は、レイプというのがどんなことか判っていない</p><p>その後寧とメグも放尿した</p><p>これで寝る前の儀式は、終了だ</p><p>さあ、歯を磨いて顔も洗ってっ</p><p>克子姉が用意して置いてくれた歯ブラシで各自が歯を磨く</p><p>ヨッちゃん、レイちゃんの歯を磨いてあげてっ</p><p>いいんだってばレイちゃん、まだ自分で歯が磨けないくらいの、小さな女の子なんだから</p><p>ああ今夜の麗華は、徹底的に小さな女の子として扱わないといけない</p><p>うん、オレが磨いてやるよ</p><p>しかしアップで見ると、本当に知的で、整った大人の顔をしている</p><p>眼が涼やかだし綺麗な上に、格好いい</p><p>オレより、ずっと年上のお姉さん</p><p>そんな麗華を幼稚園児のように、扱う</p><p>ほら、口を開けて</p><p>ゴシゴシゴシ</p><p>オレは、麗華の歯を丹念に磨いていく</p><p>麗華は恥ずかしさで、耳まで真っ赤になっていた</p><p>いいなあ、レイちゃんマナもやって欲しい</p><p>ダメダメマナはもう、大人だろ</p><p>そうだね、マナ、もうとっくに処女じゃないもんねっオトナのオンナだもんねっ</p><p>その言葉に今まだ起きている女の中で、唯一の麗華がまた赤面する</p><p>レイちゃんも早く女にしてもらおうねっ</p><p>マナの言葉にオレは苦笑する</p><p>さってと今日は、どういう感じで寝るっ</p><p>歯磨き、洗顔が終わると寧が、みんなに尋ねる</p><p>ヨッちゃん、明日のことがあるからアニエスの隣に寝てよで、明日は目覚めたらすぐに攻撃開始ね</p><p>アニエスは、性の絶頂のまま眠ってしまったから</p><p>目覚めと同時に、また性感を高めてやる</p><p>それで前夜と朝が一つに繋がる</p><p>そうだね、判ったよ、姉さん</p><p>ということでヨッちゃんの左側はアニエスねはい、ヨッちゃん寝て</p><p>オレはアニエスの隣に、入り込む</p><p>で右は、誰がいく</p><p>寧が、ふふーんと微笑む</p><p>みすずさんがいいと思うわ</p><p>ずっと控え目にしていた、メグが言った</p><p>みすずさんは、いつもヨシくんと一緒に寝られないから</p><p>ああ、今日はたまたまジッちゃんの外泊許可が出ているが</p><p>父母と暮らしているみすずは、普段は自宅で寝起きしている</p><p>いいんですの恵美さん</p><p>いいんだよっ恵美やあたしは、いつでもヨッちゃんと寝られるから</p><p>メグの代わりに、寧が答えた</p><p>瑠璃子も、これからはずっとオレと暮らすことになる</p><p>もちろん、マナも</p><p>では失礼致します</p><p>みすずがオレの隣に横たわる</p><p>うふふっ旦那様と一緒に夢が見られますっ</p><p>オレを見て微笑む</p><p>あれ、でも美智お姉ちゃんは</p><p>ああ、美智もみすずの警護役だからオレと毎日眠ることはできない</p><p>わたくしはこちらに失礼致します</p><p>と美智は、オレの足下に潜り込み</p><p>オレの足を抱きしめて、丸まる</p><p>わたくしは、ここがいいですご主人様のオチンチンもすぐそこですし</p><p>オレの膝にしがみつく美智見上げたところに、オレのペニスがある</p><p>この位置でしたら不測の事態にも、備えられます</p><p>いや、もうこいつは放っておくしかない</p><p>でも、美智そこにいて毛布を掛けたら暑くないか</p><p>一人だけ、頭まですっぽり毛布の中に覆われるわけだし</p><p>じゃあ、頑張れ</p><p>瑠璃子お姉ちゃんは、マナと寝よっレイちゃんも</p><p>一番年下のマナが気を遣って新参の２人に声を掛ける</p><p>じゃあ、あたしは恵美とだ</p><p>みんなそれぞれマットに横たわる</p><p>じゃ、電気消そうかっ</p><p>寧が、壁際の電灯のスイッチへと向かう</p><p>ちょっと、待ってイーディは、それでいいの</p><p>オレは、イーディを指差す</p><p>イーディは、さっきからずっと床に引っ繰り返っている</p><p>布団も掛けずに</p><p>あ、毛布だけでも掛けておこうか</p><p>寧が、無造作に毛布を掛けた</p><p>床で寝ていて、身体が痛くならないかなあ</p><p>痛くなったら、眼を覚ましてエアマットの上へ上がってくるって</p><p>克姉や渚さんや真緒ちゃんが居ないから、今夜はマットのスペースに余裕があるし自分で起きてきて、空いてるところで寝るってば</p><p>つーか、あんまり起こしたくないでしょこの子寝起きも悪そうだし</p><p>確かに下手に眼を覚まして、暴れられても困る</p><p>その度に、美智に気で抑え込んでもらわなくなるし</p><p>ということで放っておくで、ケッテーイ</p><p>寧が、パチンとスイッチを消す</p><p>部屋の中は天窓から降りて来る、月の光だけとなる</p><p>はい、みんな寝て寝てっお休み、ヨッちゃん</p><p>お休みなさい、ヨシくん</p><p>お休み、お兄ちゃん</p><p>お休みなさいませ、お兄様</p><p>お休み、お兄ちゃま</p><p>失礼致しますご主人様</p><p>薄暗がりの中で、それぞれがオレに就寝の挨拶を言う</p><p>うん、お休み</p><p>うふふ旦那様のお顔、見えます</p><p>お休みなさい旦那様</p><p>パチンと、再び、部屋の明かりが点く</p><p>そうなると思ったんだよね</p><p>寧が、ツカツカとオレの方へ寄って来る</p><p>他の女たちも、むっくりと起き上がる</p><p>ヨッちゃん、あたしたちもお休みのチューするからっ</p><p>そしてオレは</p><p>全員と、お休みのキスをする</p><p>寧、メグ、マナ、瑠璃子おい、美智、お前は何で亀頭を舐めている</p><p>美智お休みのキスはあるけれど、お休みのフェラは無いよっ</p><p>寧に叱られた</p><p>フェラは、お目覚めの時でしょ</p><p>おっしゃる通りでございます</p><p>ほら、レイちゃんもするのっ</p><p>麗華とも、キスをする</p><p>最後に、美智とも</p><p>うむっ全員、満足したねっじゃあ、撤収</p><p>みんなまた、ゾロゾロと自分の寝場所へ戻って行く</p><p>では、お休みっまた明日っ</p><p>再び寧が電灯を消す</p><p>オレはやっぱり、疲れていたらしい</p><p>そのまま、スーッと寝てしまった</p><p>左に、アニエスのぬくもりを</p><p>右に、みすずの吐息を</p><p>足に、美智の体温を感じて</p><p>違和感にハッと眼を覚ます</p><p>朝の柔らかな光線が、天窓から降り注いでいる</p><p>オレの感覚だと一瞬にして、夜から朝に時間跳躍したみたいだ</p><p>お早う、お兄ちゃん</p><p>お早うございます、お兄様</p><p>お早うお兄ちゃま</p><p>オレの枕元に彼女たちは、全員、立っていた</p><p>まるで、オレが今まさに臨終間近みたいな感じで</p><p>みんなで、オレのことを見下ろしている</p><p>お兄ちゃんが、なかなか起きないからみんなで、寝顔を見ていたのっ</p><p>アニエスちゃんもねっ</p><p>オレは、すぐ横に振り向く</p><p>ほんの３０センチの距離にアニエスの大きなブルーの瞳があった</p><p>ほら、アニエスちゃんも朝のご挨拶をしてっ</p><p>マナに言われてアニエスは</p><p>お、お早うございますですのパパ</p><p>うん、お早う</p><p>しかしまだ足りないぞ、数人</p><p>というかオレの股間のこの性的刺激は</p><p>おはひうままいまふごふひんままっ</p><p>オレの股間でペニスを咥えたまま、美智が言った</p><p>みすずは玉袋を舌で舐めている</p><p>二人とも何をしているんだ</p><p>はふるへはれす</p><p>美智お姉ちゃん、ダブルフェラですって言ってるみたいだよっ</p><p>だって勃ってたから</p><p>朝立ちか</p><p>勃っていたのなら仕方ないな</p><p>まあ、朝勃起のオチンチンをしゃぶるのは国民としての義務だからねっ</p><p>あたしたちみんな、ヨッちゃん国の国民だもんっ</p><p>お兄ちゃん、王様なんだから、マナたちに何でも命令していいんだよっ</p><p>瑠璃子も、お兄様にお仕え致しますわ</p><p>寝起きからそういうプレイをするのは、ちょっとキツイ</p><p>イーディさんも、そんなところに居ないで、こっちに来ればいいのに</p><p>マナの見る方に、オレは視線を向ける</p><p>イーディは、一人で体操みたいなことをしていた</p><p>美智が、朝のトレーニングに付き合ってくれないからってすねているんですわ</p><p>ふひまへん</p><p>美智、口にモノを入れたまま喋るな</p><p>さってと下の方は、二人がペロペロしているから、あたしたちは上のお口にキスしちゃおうっ</p><p>寧が、オレにキスをする</p><p>そして、メグ、マナ、瑠璃子麗華</p><p>ぐっすり眠っていたからお休みのキスが、デジャブーになって蘇る</p><p>はい、アニエスちゃんの番だよ</p><p>マナが、アニエスに促す</p><p>アニエスは、恥ずかしがっている</p><p>ほら、早くキスしないとアニエスちゃん、みんなの仲間になれないよ</p><p>マナはアニエスを追い詰める</p><p>ダメだよ、マナ</p><p>オレは、マナを制する</p><p>今はまだアニエスに、プレッシャーを掛けてはいけない</p><p>アニエスには、オレの方からキスしてやった</p><p>んパパ</p><p>アニエスは、戸惑っている</p><p>アニエス昨夜のこと、覚えているか</p><p>大きな瞳が、ドキリとしてオレを見る</p><p>覚えてないのなら思い出させてやる</p><p>オレはアニエスに、のし掛かる</p><p>スッと、美智とみすずがオレのペニスから離れてくれた</p><p>まずはキスだ</p><p>オレは、何度も何度もアニエスにキスする</p><p>小鳥のように</p><p>それから、鼻の頭にもチュッと</p><p>あああパパ</p><p>昨夜のこと思い出してきたか</p><p>周りの女たちはみんなニコニコと笑顔で、オレたちを見ている</p><p>アニエスを安心させるために</p><p>マナ、瑠璃子アニエスの手を握ってあげていてくれ</p><p>この場で、アニエスと一番仲の良い二人が左右から、アニエスの手を握る</p><p>怖くないからね</p><p>わたくしたちが一緒に居ますわ</p><p>２人の少女の微笑みにアニエスは、少しリラックスしたようだ</p><p>はんむっ</p><p>オレに首筋を舐められてアニエスが、ビクッと身体を震わせる</p><p>アニエス可愛いよ</p><p>今は、オレ一人でアニエスに快感を与えないといけない</p><p>みんなそれが判っているから見ているだけにしてくれている</p><p>さあ、次はおっぱいだアニエス、おっぱい舐められるのは好きか</p><p>オレの問いに１２歳のハーフ美少女は</p><p>判らない判らないですの</p><p>そうか、じゃあ、もう一回体験してみろ</p><p>オレは陥没乳首の乳頭に舌を這わす</p><p>うっはうっ</p><p>アニエスが感じやすいことは、昨夜でよく判っている</p><p>ここが、いいんだろ</p><p>なだらかなおっぱいを、指で摘んで乳輪ごと吸い上げる</p><p>今度は揉むぞちょっと、力を入れてギュッと揉むからな</p><p>オレの言葉にアニエスは怖がる</p><p>大丈夫よちょっと痛いぐらいが、気持ちいいんだから</p><p>みすずが、アニエスに優しく言う</p><p>アニエスの小さな胸をホイップクリームを混ぜるように、揉み廻す</p><p>１２歳の今から膨れようとしている、おっぱいは固い</p><p>コリコリとした芯のようなものが感じられる</p><p>この子はまだ子供だ</p><p>それでもオレは夕方には、この子を犯さないといけない</p><p>オレにまさぐられる、痛みと快感にアニエスは、戸惑っている</p><p>まずいな恐怖感が高まると、トラウマになる</p><p>そんな顔しないでくれほらっ、くすぐっちゃうぞ</p><p>オレは、アニエスの脇の下をグリグリとやる</p><p>途端に</p><p>アニエスは、身悶えしてバタバタ暴れる</p><p>ほら、ほらっどうだっ</p><p>クスッ</p><p>アニエスの顔に笑いが浮かぶ</p><p>もっと、くすぐっちゃうぞっほーら、アニエスっ</p><p>オレは、アニエスの両脇をコチョコチョする</p><p>くふふくふふふふふっパパっ</p><p>アニエスが笑う</p><p>どうだっどうだっくすぐったいかほらぁっ</p><p>くすっぐったいくすぐったいですのくふふふっパパぁ</p><p>しばらく、脇の下限定でコチョコチョ大会に徹する</p><p>ふははははっうはっははパパ</p><p>アニエスは、大笑いとなる</p><p>オレは、アニエスの可愛い脇の下を舐める</p><p>ひぃあむっ</p><p>そ、それダメくすぐったいですのパパあうふっ</p><p>やっぱり、ここも感じるんだ</p><p>よーし、アニエス、今度は背中を向けろ</p><p>オレは、アニエスをうつぶせにする</p><p>大丈夫よ大丈夫だからね</p><p>メグが、アニエスの前にしゃがみ込んで優しく言う</p><p>背中を舐めるぞ</p><p>オレはアニエスの背筋を、ペロペロとやる</p><p>ふんぐっ</p><p>アニエスは、背中を反らす</p><p>１２歳の白い肌は本当に柔らかい</p><p>つやつや、つるるんと舌触りも良い</p><p>くぅぅんくぅぅっ</p><p>背中と脇腹を、オレは舐めていく</p><p>あ、これ気持ちよさそう今度、あたしもやって貰おう</p><p>寧が、呟いた</p><p>ヨッちゃんの舌エステだね</p><p>次はアニエスのお尻だ</p><p>オレは両手で、アニエスの尻を掴み揉む</p><p>はうううっ</p><p>何だこれは</p><p>アニエスのお尻はマシュマロみたいに柔らかい</p><p>ぷにぷにしている</p><p>寧や美智の、生ゴムのような柔軟な柔らかさとも違う</p><p>ふんわりと温かい</p><p>オレは、アニエスのお尻を左右に押し広げる</p><p>可愛い肛門とそして、一本の筋が見えた</p><p>その筋はすでに潤んでいる</p><p>アニエス舐めるぞ</p><p>オレは、うつぶせのアニエスの足をカエルのように開脚させ</p><p>自分の顔を差し込む</p><p>まだ肉の付いていない細い太ももを掴んで</p><p>アニエスの肛門と筋に、舌を這わせる</p><p>うっはぁぁ</p><p>アニエスは快感に震える</p><p>舌先に酸味を感じた</p><p>これが、アニエスの愛液</p><p>１２歳の成長途中の少女なのにアニエスの汁は、すでに女の味がした</p><p>すっごい、エッチだ</p><p>後ろから、アニエスの秘部を舐めるオレを見てマナが、ゴクリと唾を呑み込む</p><p>あたしも、これして欲しいお外で</p><p>マナの言葉に、瑠璃子が反応する</p><p>お外ですか</p><p>うん、お外で公園とか、緑のあるところで、お兄ちゃんに舐められたい</p><p>マナの初体験は小雨の降る、中庭の芝生の上だった</p><p>だから初夏の草の匂いが、マナの性感を高ぶらせるのかもしれない</p><p>瑠璃子もしてみたいです</p><p>瑠璃子もお外でしたいの</p><p>お外もしてみたいですけれど瑠璃子は、図書館でしたいです</p><p>図書館</p><p>ご本のインクの匂いを嗅ぎながら他の生徒たちに隠れて、お兄様に後ろから愛して欲しい</p><p>他の生徒ってことは瑠璃子の学校の図書館をイメージしているのか</p><p>ああ、何か判るなあ、それあたしもさプールの更衣室の、塩素の匂いとかがプンプンするところで、ヨッちゃんに抱かれたいもん</p><p>恵美は、そういうのある</p><p>寧が、メグに振る</p><p>あたしは５０メートルダッシュを何本もして、全身汗だくで、もう一歩も動けなくなって、ハァハァしてグラウンドに寝転がっているところをヨシくんに襲われたいです真夏で、お日様がギラギラしているところで土と汗にドロドロになりながら、グラウンドの第一コーナーの手前辺りで</p><p>場所まで限定かよ</p><p>美智は</p><p>縛られたいです縛って犯していただいてそれを写真に撮って、残して置きたいです</p><p>やっぱり、Mだ美智は</p><p>レイちゃんも、お兄ちゃんにしてもらいたいことってある</p><p>マナが、麗華にも尋ねる</p><p>場の雰囲気は、すっかり打ち解けて、ぶっちゃけモードになっている</p><p>あのお尻を</p><p>レイちゃん、お尻を叩いて欲しいです</p><p>レイちゃんのお祖父ちゃま小っちゃい頃は、レイちゃんのことを叱って、お尻を叩いてくれたのにレイちゃんの身体が大きくなったら、もう叩かなくなっちゃったから</p><p>身体は、もう大人だしこんなに長身で、凛々しいのに</p><p>心の中は、小さな女の子のまんまなんだな</p><p>麗華の外見が、彼女を撲殺剣士の麗人にならざるをえないように仕向けてしまったけれど</p><p>本当の麗華は小さな少女として、扱われたがっている</p><p>うん叩いてやる後で、叩いてやるよレイちゃん</p><p>オレは、麗華に言った</p><p>あんっああああっ</p><p>しばらく舐めているうちに大分、アニエスの割れ目が緩んできた</p><p>そろそろ引っ繰り返そうちゃんと、アニエスにヨッちゃんが、気持ち良くしてくれているってことを見せないといけないから</p><p>後ろからの愛撫はオレの姿が見えないことで、アニエスの性感を刺激した</p><p>でもイクのは</p><p>オレに舐められているということを、眼で確認しながらでないといけない</p><p>オレは、アニエスをセックス中毒にしたいのではない</p><p>男なら快感を与えてくれるのなら、誰でも良いではマズイ</p><p>オレが相手だってことを大前提として、心と身体に刻みつけてやらないと</p><p>よし仰向けにしよう</p><p>オレの女たちが一斉に、アニエスに手を伸ばす</p><p>大学２年の時に</p><p>４年の先輩たちの卒論提出日に、たまたま学校へ行ったら</p><p>何日も徹夜続きで、やっと卒論から解放された女の先輩たちが、みんなポケーッとして学部校舎のベンチに居ました</p><p>そこへ、３年の悪い先輩がやって来て</p><p>ポケーッとしている人たちに、上手く誘導尋問をして</p><p>美人の女の先輩たちに、初体験の話から、好きな体位最近のセックス事情について、ことごとく聞き出してしまいました</p><p>みんな何であたし、こんな話しているんだろという顔をしているのですが</p><p>頭の回転が追いつかないので、聞かれたまま喋る喋る</p><p>横で聞いていましたが綺麗な先輩たちのあんなエグイ告白を聞くことになるとは</p><p>心の隙を突かれるって、本当に怖いですねぇ</p><p>トラブルが片付きません</p><p>こっちは、早く終わらせたいのに</p><p>向こうは来週辺りに、説明と謝罪をかねて、上司と一緒にお会いしたいとか言い出しました</p><p>何で、そんな話になってんだよ</p><p>もちろん、絶対に会わないですわけわかんないですし</p><p>こっちは、謝罪も賠償も求めてません</p><p>早くきちんと終わらせて欲しいだけなんですけれど</p><p>437．チキチキ</p><p>あうふふっ</p><p>１２歳のハーフ美少女、アニエスの小さな肉体が性感に震える</p><p>怖くないよ昨夜もしたろアニエスのここを舐めるだけだから</p><p>オレは細くて白い足を、こじ開ける</p><p>ぱ、パパぁパパぁ</p><p>アニエスは、より強い快感への期待と恐怖に首をプルプルと振る</p><p>大丈夫よ怖くないわ</p><p>瑠璃子が優しい笑顔で、アニエスに言う</p><p>そうだよあたしたち、みんなして貰っていることだから</p><p>１４歳と１５歳の少女たちがアニエスの小さな手を握りしめている</p><p>寧、みすず、美智、麗華、メグたちもアニエスを見守っている</p><p>スッと、ナイフで切り込みを入れたような、シンプルな筋</p><p>もちろん無毛でつるつるだ</p><p>そんなアニエスの割れ目を指でＶの字に開く</p><p>くぱぁ</p><p>外気に内壁が触れる</p><p>思い切り全開にはしない</p><p>女性器を開かれることに慣れていないアニエスを苦しめたくはない</p><p>だから、アニエスの処女膜は目視確認できなかった</p><p>フッ</p><p>息を鋭く吹き込んだ</p><p>みいぁむっ</p><p>小さな少女は、ビクッと震える</p><p>さあいくぞ</p><p>舌先に酸っぱさを感じる</p><p>オレは、ミルクを飲む子猫のように</p><p>ぴちゃぴちゃと、アニエスの秘部を舐め上げる</p><p>あふっはふっはふぅぅ</p><p>アニエス感じている</p><p>とろとろとした熱い液が滴り出す</p><p>ほら、アニエスちゃんちやんとお兄ちゃんを見てお兄ちゃんが、アニエスちゃんを気持ち良くしてくれているんだよ</p><p>マナの言葉に、アニエスがオレを見る</p><p>オレは、アニエスの股間を持ち上げて</p><p>オレが舐めている姿が、よく見える様に調整する</p><p>気持ちいいでしょ気持ちいいって言ってみて</p><p>瑠璃子も、アニエスに囁く</p><p>き、気持ちいい気持ちいいですの</p><p>熱病に罹ったように小さな身体を火照らせて、アニエスが呟く</p><p>誰に舐めていただいて、気持ち良くなっているの</p><p>瑠璃子が誘導する</p><p>瑠璃子は意外と、調教役に向いているのかもしれない</p><p>穏やかで優雅で優しい口調だが確実に、アニエスの心を捕らえている</p><p>パパパパに舐め舐めされるの気持ちいいですの</p><p>アニエスの白い肌がピンク色に紅潮する</p><p>はぁ、はぁと息が荒くなる</p><p>アニエス、その体勢だと苦しいでしょあたしが、クッションになってあげるっ</p><p>寧が、その豊満な胸をアニエスの枕に提供する</p><p>渚さんほど、安定感は無いと思うけれどガマンしてねっ</p><p>いや、寧のおっぱいだってかなりの破壊力だ</p><p>おっぱいによる母性的な肉感が、アニエスの心をさらにリラックスさせてくれた</p><p>はうううっはううっはむむうつ</p><p>アニエスの喘ぎ声は、小動物の様で可愛い</p><p>四つん這いになって、アニエスの股間に顔を埋めているオレの背後に美智がやって来る</p><p>何するつもりだ</p><p>親ネコは、産まれたばかりの子ネコのお通じをよくするために子ネコのお尻の穴をペロペロと舐め続けるということは、皆様もご存じの通りであります</p><p>何を言い出すんだ</p><p>同様の理由でわたくしも、ご主人様のお尻の穴を舐めなくてはいけません</p><p>おい、美智っ</p><p>ちろっ</p><p>むくぅ</p><p>美智の熱くて湿った舌がオレの脱出口に触れる</p><p>こいつオレの感じるポイントを、どんどん覚え込んでいる</p><p>今度は玉袋を大きく口を開いて、パクッと咥える</p><p>美智がそっちならあたしは、こっちを</p><p>みすずが、くすりと微笑んでオレの勃起ペニスに触れる</p><p>うふふっ牛のお乳絞りみたいですっ</p><p>キュッキュツと細い指が、オレのペニスをしごいていく</p><p>じゃあ、あたしヨシくんの背中を舐めて上げる</p><p>メグが、オレの背中をペロペロと舐める</p><p>申し訳なさそうに、麗華が言った</p><p>レイちゃんはいいから今は、見てるだけねっ</p><p>寧が優しい笑顔で言った</p><p>は役立たずで済みません</p><p>レイちゃんまだ、大人に戻るのには早いよっ</p><p>麗華に寧が、牽制する</p><p>レイちゃんは、まだ子供なんだからっゆっくり、覚えていけばいいんだからねっ</p><p>うんレイちゃん判ったの</p><p>心が幼児に還る</p><p>レイちゃん、あたしの肩に手を置いて</p><p>みんな一つになるんだよ肌と肌を触れ合わせて</p><p>麗華の手が寧の肩へ</p><p>あううっはううっはああっあうう</p><p>その間にもオレの舌の刺激が、アニエスに浸透していく</p><p>ほーら、アニエスちゃんみんな一緒だよ判る、みんな一つになっている</p><p>マナが優しい声で囁く</p><p>マナと瑠璃子はアニエスと手と手で繋がっている</p><p>寧はおっぱいを、アニエスの頭に当てて</p><p>その寧の肩に、麗華の細くて長い手が</p><p>オレはアニエスの秘部に舌で接している</p><p>オレの背中にメグの舌</p><p>肛門に美智の舌</p><p>オレのペニスをみすずの指が巧みにしごいている</p><p>みんな一つでしょねえ</p><p>うん、一つですの</p><p>アニエスが呟く</p><p>その真ん中にアニエスのパパがいるんだよっ</p><p>ぱ、パパぁアニエスのパパぁ</p><p>涙目でアニエスが、オレを見下ろす</p><p>さあ、パパに舐めていただいて、気持ち良くなってしまいましょうねわたくしたちみんなで、見守っていますから</p><p>瑠璃子がアニエスの耳に、そっと囁く</p><p>はうううっパパぁぁパパぁっパパぁぁパパぁっ</p><p>オレはいよいよ、アニエスのクリトリスを剥き出し</p><p>舌先で攻める</p><p>きゅうううんっ</p><p>ビュッと、アニエスの愛液が溢れる</p><p>アニエスの秘核は赤いサンゴのビーズのように、つやつやと輝いている</p><p>それを唾液を塗した舌で舐めしゃぶる</p><p>はうぐっはうぐっはむんっ</p><p>小さな身体が快感にうねる</p><p>もうまもなくだ</p><p>アニエスちゃん、気持ちいい飛んじゃいそう</p><p>はむぅぅもうすぐもうすぐですのっむひぃ</p><p>だったら、パパにちやんと言わないとねっアニエス、もうイッちゃいますパパって、伝えるんだよっ</p><p>オレは舌と頭の動きを加速させる</p><p>いよいよ、スパートだ</p><p>ひぃぃぃんっくぅんイッちゃいますのっアニエス、イッちゃいますのっパパ、パパ、パパぁぁ</p><p>ちゃんとパパの顔を見てっ</p><p>マナの声に大きな青い瞳が、オレを見据える</p><p>切なそうに眉を顰めて</p><p>小さな身体をプルブルと痙攣させて</p><p>アニエスがエクスタシーに飛び立つ</p><p>きゃうううーんっ</p><p>１２歳の太ももが、オレの顔をギュッと挟み悶える</p><p>クイッ、クイッ、クイッっと腰をオレの顔に押しつける</p><p>オレの顔は、アニエスの愛液でドロドロになっていた</p><p>くぅぅんっくぅぅんっくぅぅんっ</p><p>アニエスが快感に吠える</p><p>多分、今まで一番スゴいアクメだったんじゃない</p><p>と、寧が笑った</p><p>くふぅくふぅくふぅ</p><p>全身に汗をじっとりとかいてアニエスが、肩で息をしている</p><p>まだ絶頂が続いているらしい</p><p>ビクッ、ビクッと時折、身体を痙攣させている</p><p>はい、アニエスちゃんパパにありがとうは</p><p>マナの教育は続く</p><p>ぱ、パパ、ありがとうですの</p><p>アニエスは、オレにそう言った</p><p>はい、よくできました良い子、良い子</p><p>寧が、アニエスの頭を撫でてやる</p><p>じゃあ次は、旦那様が気持ち良くなる番ですね</p><p>だって、旦那様の出したい、出したいってこんなに固くなっちゃっていますわ</p><p>みすずの手が、オレのペニスを包み込む</p><p>オレの亀頭は、先走り液でてろてろに光っていた</p><p>わたくしのここも出されたい、出されたいと、疼いております</p><p>美智お前は</p><p>いや、玉袋の縫い目をちろちろ舐めないで</p><p>美智、その前にさその子、何とかして</p><p>寧が、美智に言う</p><p>振り向くと、イーディが呆然とした顔で立っていた</p><p>何やっているんだ、お前ら</p><p>という顔だ</p><p>みんな優しい顔でアニエスに接していたから</p><p>アニエスがイジメられているとは、思わなかったらしい</p><p>ただ呆然としている</p><p>美智が、何か言う</p><p>心配するな今、いいところなんだから引っ込んでいろと申しました</p><p>美智はイーディには、厳しい</p><p>イーディは、シューンとしょげている</p><p>それじゃあ、第一回チキチキ・セックス耐久サバイバル選手権バニシング５００始めるよーんっ</p><p>寧が開会宣言をする</p><p>一人持ち時間１ラウンド３分ね３分で交代ヨッちゃんをイカせた子が、勝ち</p><p>基本、ヨッちゃんには寝ていてもらって女の子が上になりまーす騎乗位ってやつね</p><p>騎乗位</p><p>瑠璃子が寧に尋ねる</p><p>ほら、お馬さんに跨がっているみたいでしょ</p><p>向きはさ、それぞれ好きな方にしてっ</p><p>向きって</p><p>今度は、メグが尋ねる</p><p>あ、ほらヨッちゃんと真っ正面に向いて合体するか、背中を向けて合体するか騎乗位って、向きによって２種類あるんだよっ</p><p>つい最近まで、処女だったのに</p><p>お屋敷の中で娼婦たちの行為を監視モニターで観ていた寧は詳しい</p><p>そんなのさ、お兄ちゃんの顔が見えないと嫌だよっ</p><p>はいお顔が見えないのは、寂しいですわ</p><p>マナとみすずが言う</p><p>だからまあ、それは好き好きでいいからさっほんじゃ、順番を決めようっ</p><p>少女たちのじゃんけん大会が始まる</p><p>アニエスは、呆然と楽しそうな少女たちを見ていた</p><p>イーディは、ふてくされて抗議の腕立て伏せを始めた</p><p>はーい、１番はあたし２番がみすず、３番美智で、４番恵美、５番瑠璃子、６番マナねっマナの番まで廻るかなヨッちゃんが、イッちゃったら終了だからねっ</p><p>お兄ちゃん、マナの番のまで堪えてよっ</p><p>１番のあたしの段階で、イッちゃうかもねっ</p><p>そんなことないもんっマナまで、お兄ちゃんは頑張ってくれるんだもんっ</p><p>そのマナの番でもイケなくて、２周目に突入したらぐっしっし、やっぱり、あたしが有利じゃんっ</p><p>ヨッちゃんのことだから、みんなに均等にって、1周目は堪えてくれるはずだもんねっ勝負は２周目良い感じで、高ぶったところをあたしがいただいちゃうよっ</p><p>させるかぁぁ</p><p>寧とマナが楽しそうにじゃれあっている</p><p>一方、美智は黙々とストレッチをしている</p><p>闘志を燃やして</p><p>みすずと瑠璃子は、あっけらかんと笑っていた</p><p>何か、オレに相談無くどんどん進行しているんですけれど</p><p>いいのかこれで</p><p>あ、キッチンタイマーがありましたっ</p><p>メグが、自分の番以外は時計係をしてくれるらしい</p><p>よーし、じゃあ、始めようかっヨッちゃんは、あたしたちの食べ比べをしてねこういう機会だから、思いっきり楽しんじゃってそれからいつでも、誰にでも射精しちゃっていいからねっ</p><p>寧が、オレに跨がってくる</p><p>あ、それからあんまりにも、ヨッちゃんが早くイッちゃった時は、２回戦、３回戦もやるからね</p><p>オレ干涸らびるかも</p><p>ところで、寧お姉ちゃんこれ、勝った人には何か特典はあるの</p><p>勝った人というのは自分の膣内に、オレに射精させた子のことか</p><p>そうだね勝者には、ヨッちゃんと豪華お泊まりデートっていうのはどうホテルとかに二人っきりで</p><p>死ぬ気で頑張ります</p><p>美智お前は、そんなに気張らなくていいから</p><p>もちろん、わたくしが勝った場合はみすず様と３人で</p><p>あ、妄想している妄想しているな、お前</p><p>みすず、ちょっと濡らして</p><p>あ、はーい</p><p>寧の指示でみすずが、オレのペニスを舐めしゃぶる</p><p>まんべんなく、唾液を付けて</p><p>よし、強度も良いし１番、奈島寧、いっきまーす</p><p>寧が、騎乗位でオレを呑み込むッ</p><p>温かく、ぐっちょりとオレを包み込む</p><p>あうううっ奥まで、きたぁぁっ</p><p>寧の奥底を衝き上げる</p><p>ロデオ・ターイムいっくよぅっヨッちゃんは、あたしのおっぱい掴んでて</p><p>寧の腰が、激しく揺れるっ</p><p>ゆっさゆつさと豊満な肉体が、オレを上で踊る</p><p>ダンシングダンシングハアッ</p><p>寧の肉体にオレは、圧倒される</p><p>お兄ちゃん、まだ早いよっ頑張って</p><p>マナが、オレの枕元で叫ぶ</p><p>あんんんっ気持ちいい気持ちいいヨッちゃん、気持ちいいよおぅ</p><p>寧は、もう痛みは無いらしい</p><p>セックスの快楽に、ただ溺れていく</p><p>ああ、いいっうっああんっヘーイッ</p><p>寧は、ロデオ・マシーンに乗っているカウガールの様にオレの上で、ダイナミックに腰をうねらせる</p><p>はーい、１ラウンド終了です</p><p>メグが、３分が経過したことを伝える</p><p>ありゃりゃ、しまった最初っから飛ばしすぎたかもヨッちゃん、２周目まで保ってよ</p><p>じゅぶりとペニスを抜く</p><p>では、次あたしです</p><p>みすずが、やって来る</p><p>失礼しまーす、旦那様</p><p>寧みたいに豊満ではないが健康的な白い肉体が、オレに跨がる</p><p>ぬぷぅ</p><p>みすずは、大きくＭ字開脚して自分の中に、オレのものが入っていく姿を示す</p><p>ああっ入りますっ</p><p>亀頭がみすずの狭い入り口に押し入り、滑り込むように胎内へ</p><p>ああっ気持ちいいわ</p><p>ゆっくりと、ペニスの全てを受け入れオレの上に体重を乗せる</p><p>オレたちの下腹が、ぴったりと合わさる</p><p>結合部からは、みすずの漏らした潤滑油が、トロトロと溢れた</p><p>うふふ、旦那様ぁぁ</p><p>みすずは、そのまま上半身を倒してオレにキスする</p><p>みすずお姉ちゃん、勝負は騎乗位だよっ</p><p>こういうのだって、騎乗位だと思いますよおっ</p><p>みすずは、何度もオレにキスしながらゆっくりと腰を動かしていく</p><p>寧の様に、激しく上下にでは無く</p><p>廻すように、ぐりぐりと</p><p>旦那様のって、みすずにぴったりなんですふふっ、気持ちいい</p><p>みすずは、オレの耳に囁く</p><p>アニエスちゃん、あたしたち家族は、みんなお兄ちゃんとこれをするんだよ</p><p>そろそろ、頃合いだと思ったのかマナがアニエスに言う</p><p>もちろん、セックス耐久大会というのは、カムフラージュだ</p><p>実際はアニエスに、オレとのセックスを踏み切らすためにやっている</p><p>セックスが怖くなく楽しいものだということを伝えるために</p><p>１番手の寧が、わざとゲームっぽく、激しい交合をしたのも</p><p>２番目のみすずが、しっとりセックスをしているのも</p><p>セックスの持っている奥深さをアニエスに教えるためだろう</p><p>あああっ、旦那様ぁぁあたしの旦那様ぁぁ好きぃぃ大好きぃ</p><p>みすずは、ねっとりと腰を蠢かせる</p><p>あ、感じているんですね旦那様も嬉しいっ</p><p>みすずは、そのままオレの首筋や耳を舐める</p><p>もちろん、腰をぬぷぬぷさせながら</p><p>はーい、終了です</p><p>恵美がコールする</p><p>ああんっ残念っ</p><p>みすずは、微笑むもう一度、オレにキスする舌を求める</p><p>ほら、みすず、早く離れるっ</p><p>寧から教育的指導が入る</p><p>しっとり、ねっとりセックスもいいけれど３分だと短いよねっ</p><p>マナが、そんな感想を言った</p><p>３番手どうぞ</p><p>メグに呼ばれて美智が、立つ</p><p>くっふっふついに、わたくしの番が参りましたね</p><p>不敵な笑みを浮かべた美智はオレの上に</p><p>こいつ空気を読めているのか</p><p>わたくしはこちらに挑戦致します</p><p>美智はオレに背を向けた、背面騎乗位を選択した</p><p>しからば、いたたきますっ</p><p>一際小柄なつるんとしたフラットな裸体が、オレの上にしゃがみ込む</p><p>くうっ</p><p>小さな割れ目にオレの亀頭を差し込むっ</p><p>ぬぷぷぷぷりっ</p><p>も、潜り込むっ</p><p>こ、これ何か違うっ</p><p>思わずオレは、そう言ってしまった</p><p>膣にペニスが入り込む角度が違うし</p><p>擦り付けられる肉襞の位置も普通の騎乗位とは異なる</p><p>新鮮な感覚</p><p>やはり勝機はここにありっ</p><p>オレの上で美智が、ぐりぐりと可愛いお尻を廻す</p><p>それもいいっ</p><p>美智の身体は小さいけれど柔軟性に富んでいる</p><p>中身の詰まったキュッと締まった肉体</p><p>オレの肉棒を締めるッ</p><p>美智の中熱いな</p><p>美智は寧やみすずよりも、体温が高いらしい</p><p>ご主人様への思いで燃えておりますから</p><p>ぬっちょ、ぬっちょ</p><p>美智が小柄な美少女が、自ら腰を振る</p><p>ああ、その小さなお尻と可愛い背中のラインが綺麗だ</p><p>んっんっんんっ</p><p>美智は、もうオレの気持ちいいリズムを知っている</p><p>んんんっくぅん</p><p>知っていてわざとリズムを変えて、意表を突いたりする</p><p>テンポが狂っているのではないいわゆる裏打ちというやつだ</p><p>間違いなく、美智は古武術の呼吸を、セックスに流用している</p><p>でも、やっぱりお兄ちゃんの顔が見えないのは寂しくない</p><p>マナが、そう言うと</p><p>いえ、わたくしには可能ですが</p><p>美智は、オレに背を向けたまま思い切り、身体を捻ってオレに振り向く</p><p>はい、ご主人様のご尊顔を拝しました</p><p>そのまま、腰の動きをキープする</p><p>すごいホントに身体が柔らかいんだ</p><p>身体が思いっきり捻られているから美智の胎内のオレの勃起も</p><p>搾るように締められているッッ</p><p>み、美智お前の身体、スゴイ</p><p>当然ですそして、さらに精進致しますかううっ</p><p>美智が、腰をグイグイとオレに押しつけてくる</p><p>ああっ、ご主人様のがわたくしの子宮の入り口に刺さって、刺さっておりますっ</p><p>ヤバイ、恵美残りどれくらいっ</p><p>あと、２５秒です</p><p>ヨッちゃん、堪えてっ</p><p>かんばれっ、お兄ちゃん</p><p>お兄様っ頑張って下さい</p><p>フレーフレー、ヨシくんっ</p><p>旦那様ファイトですっ</p><p>くくく</p><p>さんし、じゅうにさぶろく、じゅうはち</p><p>こうなったならば</p><p>ダメだ、美智っ心月を使うのは反則だぞ</p><p>イーディにも、影響が出てしまうし</p><p>はーい、タイムアップでーす</p><p>メグがコールする</p><p>助かった</p><p>無念</p><p>さすが武士娘諦めは良い</p><p>ささっと、ペニスを抜いてくれる</p><p>や、やばかった</p><p>イーディが、ちらちらとこちらを盗み見ております</p><p>小声で美智が囁く</p><p>大分、セックスに興味が湧いてきたようです</p><p>何を考えている</p><p>次の機会では一気に攻めます</p><p>美智が、みすずを見る</p><p>みすずもうんと頷く</p><p>美智の少し強引なセックスも美智なりに、空気を読んでやっていたことなのか</p><p>彼女は、ご主人様と同学年です警護役として最適です</p><p>美智はみすずの警護役だし、オレたちとは学校が違う</p><p>その点、イーディは、すでにオレたちの学校に転校させるという話が出ている</p><p>わたくしも彼女のことは気に入っております表裏の無い、清々しい技の</p><p>使い手ですから</p><p>美智は、武術でイーディの本質を捕らえている</p><p>態度はそっけないが、本当はイーディのことが好きなんだ</p><p>わたくしは、彼女もご主人様の寵愛を受けるべきだと信じております</p><p>美智は真顔でそう言う</p><p>トラブル継続中</p><p>結局、向こうのミスでトラブルになっているのに向こうの会社の上の人には、トラブルが起きていないという形ですでに書類を提出してしまったから</p><p>私の方に、向こうの都合の良い方で、ねつ造した新しい書類を出し直させようという魂胆だったという</p><p>つーかそれって普通に私文書偽造だし</p><p>実態と違う上に書類を出し直したら、トラブルのペナルティは、私の方にだけ降り掛かる</p><p>こちらの得は、一つも無い</p><p>上司と２人で、お詫びに伺いたいと言ってきたのも２人かがりで、私にプレッシャーを掛けて、偽造書類にサインすることを納得させようというそういう姑息な作戦だったらしい</p><p>っていうかもしかして＊＊＊っていうことですかと尋ねたら</p><p>あっさり認めました</p><p>結局、上司の人に電話を替わって貰って、話をしました</p><p>トラブルの原因は向こうだし、こちらには向こうを立てる義理も無いし何より、これまでの過程が余りにも酷いので</p><p>早急に対応して欲しいと伝えました</p><p>上司の方はええ、すでに会社の上の人には話してありますので、対応はすぐに致します申し訳ありませんでしたと言ってくれましたが</p><p>こいつも大嘘吐き</p><p>最初の担当者が、ギリギリまで上司と一緒に、直接会ってお話ししたいって言ってたわけなんだから</p><p>まだ上の人になんて報告してないだろっ</p><p>その上司の人のレベルで留めて私に偽造書類にサインさせようとしていたんだから</p><p>姑息作戦を命じていたのは、お前だろ</p><p>上の人に伝わっていたら、会って話したいなんてなるはずがない</p><p>はあされど人生は続く</p><p>438．セックスと、セックスと、やっぱりセックス</p><p>はーい、美智ちゃん、早く交代して</p><p>メグが、美智に言う</p><p>恵美さん、時計係、交代しますわ</p><p>みすずが、メグからキッチンタイマーを受け取る</p><p>あたし、ちっと抜けるからみすず、後、お願いねっ</p><p>さりげなく寧が、みすずに囁く</p><p>そろそろ上の準備をしておかないとさ</p><p>最初から、寧はこの段階で退室するつもりだったんだろう</p><p>つまり、このセックス大会の勝敗には拘っていない</p><p>やっぱり、これはアニエスにセックスを進めるためのパフォーマンスなんだ</p><p>さっ、がんばるわよっ</p><p>メグが元気いっぱいで、オレの上に乗ってくる</p><p>それで、みんなの視線はオレたちに</p><p>あ、ちょっと湿らせるねっ</p><p>まずはオレのペニスをペロペロと舐める</p><p>どうヨシくん</p><p>その間に寧は、スッと部屋を出て行く</p><p>うん気持ちいいよありがとう</p><p>あたしは、やっぱりヨシくんのお顔を見ながらしたいから</p><p>メグがオレの亀頭を自分の膣口に当てる</p><p>いくわよいい</p><p>すっかり待たされてそこは、ぐじゅぐじゅに滴っていた</p><p>熱い汁が、オレの陰茎に垂れていく</p><p>うんメグの中に入りたいよ</p><p>来てぇぇ</p><p>スポーティな細い裸身が腰を落とす</p><p>ずぬぬぬっ</p><p>鍛えられているメグの下半身は中身が詰まって、締まっている</p><p>その柔肉を押し広げてオレの肉槍が、突き刺さっていく</p><p>あああ来るわっ</p><p>メグは、歓喜に顔を顰める</p><p>気持ちいいよっ、ヨシくん</p><p>オレたちの恥骨と恥骨が、合わさる</p><p>ぴつたりと結合した</p><p>メグの息が、荒くなる</p><p>全部食べちゃったヨシくんの</p><p>メグは、一番奥まで挿入したまま腰をぐりぐりと廻す</p><p>うううっ締め付けられるっ</p><p>ヨシくんメグのお尻、触って</p><p>潤んだ瞳で、メグが言う</p><p>オレは手を伸ばしてメグのお尻を掴む</p><p>むにっむにっっと、尻肉を揉む</p><p>メグのお尻は生ゴムの様な弾力性がある</p><p>触っていて手が吸い付くようだ</p><p>ヨシくんもっと、力を込めてもいいよお尻にヨシくんの手の痕が付くくらい、思い切り握りしめてっ</p><p>痕が付いたらマズイだろ</p><p>メグは今日も、女子陸上部の練習があるはずだ</p><p>いいわだって、みんな、あたしがヨシくんとシテいるの、知っているんだからっ</p><p>まあ女子部員たちの前で、公開セックスもしちまったしな</p><p>身体中にキスマークも付けてメグが、ヨシくんの女だってこと、みんなに伝えたいの</p><p>メグは、ゆっくり腰をくねらせる</p><p>オレもメグのお尻を手で押したり、引いたり</p><p>ああいいっヨシくんに、エッチされてるわっ</p><p>メグが上になっているのにオレがメグのお尻を掴んで、メグの身体を操作している</p><p>あっんんっあっあっ</p><p>同い年で、クラスメイトという関係は良い</p><p>メグとのセックスは何の気負いもなくできる</p><p>年上の女ならついつい、オレの方が甘えてしまう</p><p>年下の女には甘えさせてあげないといけないという気持ちが入り込む</p><p>メグにはそういう感情は無い</p><p>等身大で背伸びせずに、お互いの姿だけを見ながら、セックスだけに集中する</p><p>うふふあんっ楽しいね、ヨシくん</p><p>メグの長身が、オレの上で跳ねる</p><p>小振りな胸の上に汗が滲んでくる</p><p>うん楽しいよ、メグ</p><p>オレも、ズンズンと下からメグを突き上げる</p><p>ヨシくんヨシくんあああっ</p><p>メグは、腰の動きを激しくする</p><p>ああっ、どうしようあたし</p><p>うんいいからメグいいから</p><p>あっという間にメグは、悦びに昇っていく</p><p>今までずっと、他の子のセックスを見てきて興奮が溜まっていたのだろう</p><p>ごめんねっ、ごめんねっヨシくんごめんねっ</p><p>先にイッてしまいそうなことをメグは、オレに謝る</p><p>いいからっメグいいからっ</p><p>いつもなら、オレも相手の絶頂に合わせて射精するが今は堪える</p><p>まだ、メグの後に2人残っている</p><p>ここで終わってしまうわけにはいかない</p><p>あっヨシくん、好きっ好きよあっああっあううっ</p><p>メグの身体が内側で、収縮するッ</p><p>ヨシくん、見ててあたしの見ててねっ</p><p>ああ、見ているよメグ</p><p>オレと眼を合わせてメグは安心したように、飛ぶ</p><p>イクぅぅ</p><p>オレは、キュッとメグの尻肉を絞り上げるッ</p><p>メグの胎内がびゅくっ、びゅくっ、とオレのペニスを締め上げるッ</p><p>細い背筋を、反らしてメグはエクスタシーに蕩けていく</p><p>あああーっ</p><p>熱い息を漏らすメグ</p><p>みすずお姉ちゃん、ちょっと長くない</p><p>メグが達したことを確認してからマナが、時計係のみすずに言う</p><p>うんすでに３分はオーバーしているんだけど</p><p>みすずは、苦笑する</p><p>恵美さんがイキそうだったから途中で止めるのは、何だか申し訳なくて</p><p>そりゃ、まあ確かに</p><p>武士の情けです</p><p>美智は、手厳しい</p><p>はぁ、はぁ、はぁご、ごめんなさい</p><p>メグは息苦しそうに詫びる</p><p>そうだよお兄ちゃんをイカせる大会なのに、自分がイッちゃうなんて本末転倒だよ</p><p>みんな非難囂々だ</p><p>でも、恵美お姉様、とっても気持ち良さそうでしたわ</p><p>瑠璃子だけが、のほほんと微笑んでいる</p><p>身体に力が入るようになったら、旦那様から離れて下さい次は、瑠璃子ね</p><p>寧から大会委員長の座を預かったみすずが指示を出す</p><p>瑠璃子が、立ち上がろうとするが</p><p>ルリお姉ちゃんマナと順番、替わってくれない</p><p>一生のお願いだからっ</p><p>手を合わせて頼み込む、マナ</p><p>スッと、みすずを見る</p><p>瑠璃子が良いのなら、構わないわ</p><p>大会委員長より、審判が下る</p><p>よっし、じゃあマナが先ねっ</p><p>元気よく、マナが立ち上がる</p><p>美智がイーディに、何か言っている</p><p>そんなところに居ないで、見たいならもっと近寄って見ろと申しました</p><p>美智のお許しが出たので、イーディは子犬のようにオレたちに駆け寄ってくる</p><p>さらに美智が、英語で喋る</p><p>今やっている行為は、我が家族の親愛を深めるためのものであたしたちは、この行為を家族以外とはしないし、この行為をしない者は家族ではないと、美智は言っていますわ</p><p>英語の判らないオレのために、みすずが解説してくれた</p><p>見よ自分よりも年下のマナだって、この行為をするのだですって</p><p>その言葉通りマナが、えへへと笑って、オレの身体に跨がってくる</p><p>イーディが、美智に何かを尋ねる</p><p>みんな、こんなことをして痛くないのかだってさ</p><p>オレの上で、マナが通訳した</p><p>本当に愛し合っている家族なら、痛みは感じないむしろ、気持ちいいだそうですわ</p><p>瑠璃子も英語が判る</p><p>イーディは、ふんふんと頷いて聞いている</p><p>マナはずっと黙ってオレたちを見ている、アニエスと麗華の方を見る</p><p>アニエスちゃん今、美智お姉ちゃんが言っていた通りなんだよっ</p><p>アニエスちゃんはあの変なオジサンに、おかしな知識を植え込まれちゃっているけれど今、あたしたちがしているセックスっていうのは、愛し合っている家族がするものなんだよこんな風に、みんなニコニコしながらっ</p><p>マナが言った変なオジサンというのは</p><p>マナの実の父だ</p><p>アニエスちゃんが、あのオジサンに観せられてきたセックスは女の人が、いつも痛そうで、辛そうで、苦しそうだったんじゃないあのオジサンばっかりが、気持ち良さそうで</p><p>白坂創介は、自分のセックスをアニエスに見せていた</p><p>将来的に、アニエスを自分のセックス奴隷とするために</p><p>アニエスは生まれてから今まで、白坂創介の性の玩具になるため以外の教育を受けていない</p><p>でも、それは違うんだよ本当のセックスは今、アニエスちゃんが見ている通り男の人も、女の人も、楽しくて、気持ち良くて、心が温かくなるものなんだよっ見てて</p><p>アニエスは大きな青い眼を見開いて、オレたちを見ている</p><p>お兄ちゃんのマナの中に入れるねっ</p><p>マナは、小さな身体をオレの上でＭ字開脚させて、オレのペニスを導き入れようとする</p><p>接触ポイントはアニエスの眼に、はっきりと見える様に</p><p>いや、アニエスだけじゃない</p><p>麗華も、イーディも１４歳の小柄な少女が、勃起ペニスを受け入れる姿をジッと凝視している</p><p>はぐぅっ</p><p>小さすぎるスリットにオレの亀頭が潜り込もうとする</p><p>マナは、自分で腰を使ってゆっくりと沈んでくる</p><p>亀頭の形に、マナの肉唇が拡げられていく</p><p>くぅぅっ</p><p>亀頭が何とか全て、マナの胎内に入った</p><p>後は子宮口まで押し込むだけだ</p><p>ぬぬぬぬぬぬぬぬぬっ</p><p>マナの膣は体温が高い</p><p>まるで勃起したペニスだけ熱い湯の中に包まれていくような感覚</p><p>狭い肉道に締め付けられる</p><p>は、入った</p><p>ようやく、全てを挿入してマナが、オレの上で脱力する</p><p>はぁはあううっ</p><p>マナの膣がオレを締めるッ</p><p>マナの呼吸がダイレクトに伝わって来る</p><p>息を吸うと締まる</p><p>吐くと弛緩する</p><p>中学２年生とのセックスは何もかもが、刺激的だ</p><p>見えてるマナ、お兄ちゃん全部呑み込んじゃった</p><p>グリグリと、腰を押しつける</p><p>あっ深いところに、当たってるよおっ</p><p>ぷっくりとした子宮口に、亀頭でキスされる感覚をマナは楽しんでいる</p><p>本当に、入っていますの</p><p>ぽつりとアニエスは、呟いた</p><p>今までの女たちとのセックスはみんな、アニエスよりも、かなり年上だったから</p><p>アニエスにとっては、そんなにショックでは無かったのだろう</p><p>でも、マナはアニエスと２歳しか違わないし</p><p>白人とのハーフで発育の良いアニエスは、マナとそう体格も変わらない</p><p>何より真緒ちゃんを除いては、マナと瑠璃子がアニエスの一番仲の良い娘になっている</p><p>マナとオレのセックスをこんな近くから見せられるというのは、衝撃に違いない</p><p>はぁぁ、はぁぁううっ</p><p>オレの剛直を胎内に受け入れているだけで</p><p>マナの息は、荒くなる</p><p>白い肌は紅潮し全身が汗ばんでくる</p><p>騎乗位で、オレと繋がったまま</p><p>マナは、上半身を倒してオレに重なる</p><p>ギュッと抱き締めて</p><p>オレは、マナのリクエスト通り下から抱き締めてやる</p><p>うんありがとう大好き、お兄ちゃん</p><p>マナが、オレの唇にキスする</p><p>オレの胸板にマナのおっぱいと、こりこりとした乳首を感じる</p><p>マナの乳首は固く勃起している</p><p>お兄ちゃん、こういうのどう</p><p>そのままマナはオレの上で、足を後ろにまっすぐ伸ばす</p><p>開いていた足を閉じて後ろに伸ばしきる</p><p>性器では、結合しているまま</p><p>マナの小さな身体は、オレの上に完全に重なる</p><p>動くね</p><p>マナが、前後にぬっ、ぬっと動く</p><p>どうこれ</p><p>気持ちいいよマナ</p><p>足が閉じられているから膣内が絞られている</p><p>マナの身体が前後するたびにペニスが、雑巾絞りの様にギュッと締め付けられる</p><p>コリコリの乳首が、オレの胸に擦り付けられる</p><p>こういうの気持ちいいんじゃないかってマナ、一生懸命考えたんだよ</p><p>お礼なんか言わないでよ、マナだって気持ちいいんだから</p><p>これからも、いっぱい色んなことを開発するからね</p><p>１４歳の美少女が一番、セックスに貪欲だ</p><p>あっあっあああお兄ちゃぁん</p><p>マナが悦楽に踊る</p><p>マナそろそろよ</p><p>時計係は、メグに戻っている</p><p>ああ、もうちょっと１分だけ</p><p>マナの言葉に、メグはみすずを見る</p><p>仕方無いわね、１分だけよ</p><p>マナは、再び足を開いて腰をオレにゴリゴリ押しつけてくる</p><p>オレの恥骨に、自分のクリトリスを擦り付けているんだ</p><p>気持ちいいっ気持ちいいよっお兄ちゃん</p><p>好き好き大好き愛してるっ愛しているのおっお兄ちゃん</p><p>オレも愛しているぞ、マナ</p><p>もう離れないっ捕まえていて、お兄ちゃんっ</p><p>そしてマナは</p><p>うぐぅぅっ</p><p>オレの上で痙攣する</p><p>オレの腕を力の限り、ギュッと握り続ける</p><p>あふっイッちゃったマナ、軽くイッちゃったよお兄ちゃん</p><p>マナは、腰の動きを止める</p><p>今は、ここまでにするね</p><p>にっこりと微笑んでオレに、またキスする</p><p>また後でいい</p><p>もちろんだマナ</p><p>ああんっ愛してるっ</p><p>オレの身体を抱き締め自分の汗と匂いを、オレに擦り付ける</p><p>マナは、すでにオトナの女だメスの本能に従っている</p><p>はい、もう離れなさいマナ</p><p>はーい、メグお姉ちゃん</p><p>オレと身体を離す時にマナが言った</p><p>お兄ちゃんルリお姉ちゃんに、いっぱい出して上げて</p><p>マナはオレが、みんなを平等に愛するため、一巡するまでは必死に射精を堪えることを知っていたから</p><p>そろそろ出しちゃいたいでしょっ</p><p>マナは優しく微笑む</p><p>最後のトリを瑠璃子に譲ったのは瑠璃子に、オレの射精をプレゼントするためか</p><p>はーい、ルリお姉ちゃんお待たせぇぇっ</p><p>マナは、オレにのし掛かってきた時と同様に元気よく、オレから離れる</p><p>失礼致します、お兄様</p><p>瑠璃子がやって来る</p><p>瑠璃子は昨夜、処女を失ったばかりだ</p><p>４回セックスしたが、全部オレが上で瑠璃子は、一方的に犯されていただけだ</p><p>瑠璃子の方から率先して、勃起を受け入れる騎乗位はこれが初めてだ</p><p>瑠璃子も大きくＭ字開脚して自分の局部にオレの亀頭を招き寄せる</p><p>昨日、無理してこじ開けられたばかりの膣口は閉じている</p><p>瑠璃子、まずはオレのを自分のそこに擦り付けるんだ</p><p>オレはアドバイスする</p><p>擦り付けるですか</p><p>ああ、お前の中から出て来る愛液をオレのに付けていくつもりで、やってみろ</p><p>瑠璃子は、器用に腰を動かす</p><p>最初から挿入するのではなくまずは、性器同士を擦り付けるだけ</p><p>ああ気持ちいいですお兄様の熱い</p><p>亀頭の熱さを膣口で感じたらしい</p><p>瑠璃子の入り口がだんだん蕩けて、ほぐれていくのをイメージしろそうしたら、すんなり入るから</p><p>瑠璃子は、素直に従ってくれる</p><p>オレの上で一生懸命に、腰を動かす</p><p>瑠璃子の可愛いおっぱいが、オレの眼の前で揺れている</p><p>まるで、もぎたての桃のようだ</p><p>オレは頭を起こして、ピンクの乳輪をペロッと舐める</p><p>突然の攻撃に、瑠璃子は身体をくねらせる</p><p>ああ、わたくし何だか、閉じていたものが開いて来たみたいです</p><p>瑠璃子は興奮に顔を赤らめている</p><p>よし入れてみろ</p><p>瑠璃子が片手でオレのペニスを掴み</p><p>膣口に誘導する</p><p>ピッタリと閉じていた秘唇を開いて内側へ</p><p>潜入する</p><p>瑠璃子、力を抜け深呼吸だ</p><p>はぁ、はぁ、すぅだオレに合わせてやってみろ</p><p>美智との経験で学んだ技術だ</p><p>オレは、瑠璃子と呼吸を合わせる</p><p>はぁ、はぁ、すぅ</p><p>何度か繰り返しているうちに瑠璃子の肉体の緊張が、取れてくる</p><p>また息を吸って吐いた</p><p>オレは、瑠璃子の腰を掴んで下から、ドズンッと突き上げる</p><p>きゃんっ</p><p>瑠璃子は、オレの不意打ちに甲高い声を上げる</p><p>瑠璃子、全部入ったぞ</p><p>そのまま、ゆっくり脱力しろ</p><p>瑠璃子の体重が全て、オレの腰に</p><p>はぁ、はぁ、すぅ</p><p>瑠璃子はまだ、深呼吸を続けている</p><p>おでこから、タラッと汗の玉が零れて来る</p><p>男性器の挿入が１５歳の肉体に影響を与えている</p><p>わたくしのすごい奥のところまで、お兄様を受け入れてますわ</p><p>正常位よりも、騎乗位の方が奥まで届く</p><p>大丈夫か瑠璃子</p><p>はいわたくしの身体は、お兄様を受け入れるようにできていますから</p><p>瑠璃子は、無理をして微笑んでくれた</p><p>それに、この形も気に入りましたこれでしたら、わたくしがお兄様を気持ち良くして差し上げられます</p><p>騎乗位も気に入ってくれたらしい</p><p>瑠璃子、腰を動かせる</p><p>みすずが、瑠璃子に尋ねる</p><p>はいやってみます</p><p>瑠璃子は、見よう見まねで腰を使う</p><p>元々、日舞で鍛えているから人の動きを覚えて真似するのは得意らしい</p><p>みすずお姉様の動きは、こう恵美お姉様は、こうでした</p><p>見事に再現してみせる</p><p>瑠璃子は、きっとセックスも上手くなる</p><p>ごめんなさい寧お姉様の動きは、再現できません</p><p>あれはダイナミック過ぎたから</p><p>それに瑠璃子の１５歳の肉体と寧の１８歳のグラマラスなボディでは、下地が違う</p><p>焦らなくていいよ少しずつ、覚えていけばいい</p><p>瑠璃子は、自分の身体に負担の無い範囲で腰を動かす</p><p>ああ、お兄様を感じますわたくしお兄様を愛している愛されています</p><p>おっぱいの先から、ぽたぽたと汗を垂らしながらみすずが言う</p><p>見て、アニエスちゃんルリお姉ちゃんはね、昨日、初めてお兄ちゃんとセックスしたんだよああやって、セックスしてあたしたちの家族になったの</p><p>マナが、アニエスに寄り添って囁く</p><p>アニエスちゃんも、早く家族になろうお兄ちゃん、とっても優しいんだよほら、全然怖くないでしょう</p><p>寧が、オレが下になる騎乗位をこの大会の基本方針にしたのは</p><p>アニエスを、怖がらせないため</p><p>あの変なオジサンのは、見ていて怖かったでしょ嫌だったでしょあんなの全部、間違っているんだよこれが本当のセックス愛し合っている家族のセックスだよほら、ルリお姉ちゃん幸せそうでしょ</p><p>はいわたくし、幸せですお兄様とセックスできて</p><p>瑠璃子の眼が濡れていく</p><p>ああこれが、幸せなんですね</p><p>瑠璃子がオレの手を求めた</p><p>オレたちは、両手を絡め合う</p><p>藤宮さん藤宮さん、見て下さっていますか</p><p>瑠璃子が麗華を呼ぶ</p><p>驚いて返答する麗華</p><p>わたくし、もう考えすぎることから卒業致しました</p><p>オレの手を握りしめたまま大きく身体を反らす、瑠璃子</p><p>魅惑的な裸身が、オレの上で揺れている</p><p>だってわたくしが、どんなに将来について悩み考え込もうともお兄様たちが、先回りして解決して下さるんですもの</p><p>わたくしたち、もう幸せになるしかないんですどうしたところで、わたくしたち幸せになる以外の道は無いのですから</p><p>瑠璃子は、晴れ晴れとした顔をしている</p><p>ようやく、瑠璃子はその境地に達しましたこの身も心も、お兄様に捧げています藤宮さんも、早く、お兄様の胸に飛び込めばよろしいのに</p><p>愛しています愛していますわたくし、お兄様の赤ちゃんが欲しいいっぱい、お兄様とセックスしたいですみなさんと一緒にわたくし家族の皆様全てが好きっみなさんの赤ちゃんも、可愛がってあげたい</p><p>ああオレの</p><p>限界が近付いている</p><p>わたくし、もう独りじゃないんですわたくしには、お兄様がいます家族のみなさんが居ますここが、わたくしの生きていく場所でわたくしは、幸せです幸せです幸せですこんなに幸せな気持ちでいいのかしら</p><p>瑠璃子は優雅に腰を廻す</p><p>オレの感じるポイントをもう、覚えている</p><p>だから、藤宮さんもアニエスちゃんもイーディさんだって、早くこちらへお出で下さい</p><p>る、瑠璃子オレ</p><p>お兄様出ちゃいそうなんですか瑠璃子の中に、出ちゃうんですか</p><p>出るよもうすぐああ</p><p>どうぞ、お出し下さいませ瑠璃子に、赤ちゃんを下さい</p><p>ああ産ませるからな絶対、瑠璃子を孕ませてやる</p><p>嬉しいお兄様ぁあああんっ、あたしのお兄様</p><p>ううううううっ</p><p>熱いですぅ</p><p>ずっとガマンしていた灼熱が濁流となって、噴き上がるッッ</p><p>ああっ、出てますぅ瑠璃子の中に赤ちゃんの素が入ってくるぅぅ</p><p>もうダメだ</p><p>瑠璃子っ、瑠璃子っ瑠璃子ぉっ</p><p>オレは、下からグイッグイッと腰を突き上げて</p><p>さらに、瑠璃子に種付けする</p><p>あんっあああっあああっー</p><p>子宮の中をオレの精液で洗われる</p><p>わたくし幸せになっちゃうっ</p><p>精液を胎内で受けることがもはや、瑠璃子には幸福の行為になってしまっている</p><p>はぁぁっううっ</p><p>オレは、最後の一滴まで噴き上げた</p><p>瑠璃子がオレのペニスを締め上げて、絞り取ってくれる</p><p>瑠璃子が、脱力してオレの身体にのし掛かる</p><p>身体も息も</p><p>お兄様の心臓トックントックン言ってます</p><p>オレの胸に耳を当てて、瑠璃子が言った</p><p>瑠璃子の心臓だって</p><p>オレは、瑠璃子を抱き締める</p><p>中学生の身体は、こうして抱き締めると本当に華奢だ</p><p>愛してますお兄様</p><p>瑠璃子はオレの唇に、情熱的なキスをする</p><p>ああどうしてここに、美子がいないのかしら</p><p>事後の興奮に瑠璃子は、つい心の中の言葉を漏らす</p><p>美子</p><p>瑠璃子の心の中では美子さんは、まだお付きの少女なんだ</p><p>美子にもこの幸せを教えてあげたい</p><p>子供の頃から、二人っきりで隔離されて育った瑠璃子の最も親しい家族</p><p>お兄様、お兄様、お兄様ぁぁ</p><p>瑠璃子は、オレの唇を貪る</p><p>書き忘れていましたが、感想欄の方でみすずの修学旅行の話が、前と被っているというご指摘を受けましたので、修正致しました</p><p>ホント読み返す時間が、取れなくて済みません</p><p>毎日、多くて３時間半という執筆時間で規定量を書き上げることだけで精一杯です</p><p>毎日更新と絶対に完結させるということだけが、目標の作品ですので</p><p>お見苦しい点は、ご容赦下さい</p><p>間違いは、ご指摘いただきましたらそのつど、訂正してします</p><p>毎度毎度、ありがとうございます</p><p>439．卵の殻を破らねば、</p><p>とにかくセックス大会は終わった</p><p>瑠璃子動けるか</p><p>オレの身体の上で脱力している瑠璃子に言う</p><p>瑠璃子が、ゆっくりと身体を起こす</p><p>あっあんっ</p><p>じゅるりと瑠璃子の割れ目から、オレのペニスが排出される</p><p>恵美さん旦那様のお掃除をお願いします</p><p>みすずが、メグに言う</p><p>メグは、オレにニコッと微笑んでお掃除フェラをしてくれる</p><p>ルリお姉ちゃんの方は、マナが綺麗にするね</p><p>マナは瑠璃子の女性器に舌を這わす</p><p>まマナさん</p><p>大丈夫っお掃除するだけだから</p><p>ペロペロと、割れ目の周囲を舐め取り</p><p>膣の中から垂れてくるオレの精液を吸い上げる</p><p>うふふっお兄ちゃんの味がするっ</p><p>マナは、唇の周りに付いた白濁液をピンクの舌で舐める</p><p>美智さんもあたしと一緒に、ねっ</p><p>メグが、美智を誘う</p><p>お心遣い感謝致します</p><p>美智もオレのペニスに</p><p>ヨシくんの中に溜まっているの、吸い出してあげて</p><p>美智がオレの亀頭を咥えて尿道に溜まった精液を吸い取ってくれる</p><p>苦くて、美味しいです</p><p>毎日味わっても飽きない味でございます</p><p>オレは、自分では味わいたいとは思わないな</p><p>イーディが、美智にまた何か言っている</p><p>そんなことをして、大丈夫かって行っていますわ</p><p>みすずが、解説してくれた</p><p>美智は好きでやっているのだから、放っておいてくれと答えています</p><p>美智はドヤ顔でイーディを見つめてオレへのフェラを続けている</p><p>イーディは、まだ何か言う</p><p>それをすると、美智のように強くなれるのかですって</p><p>美智は何か答える</p><p>ま美智さん</p><p>美智お姉ちゃんたら</p><p>英語の判る、瑠璃子とマナが反応する</p><p>守るべき家族がいるからこそ、わたくしは闘っているわたくしは、決して強くは無いただ、絶対に負けられないだけだわたくしは愛する家族を、命に替えて守りきる</p><p>みすずが、通訳する</p><p>その言葉に麗華が、ハッとする</p><p>今しているのは、愛の行為だ愛しい人に、愛を注いでいるそれは、わたくしにとって人生で一番大切なことだだから、邪魔をするな</p><p>美智の舌使いが激しくなる</p><p>イーディは、呆然と美智のフェラを見ている</p><p>恵美お姉様も、もっとお舐め下さい</p><p>一緒にフェラしているメグに気遣って、美智が言う</p><p>オレの亀頭から唇を外しメグに譲る</p><p>うん、ありがとう美智ちゃん</p><p>メグが、オレの亀頭へ</p><p>美智は竿から玉袋に舌を這わす</p><p>うふふみんな、仲良しだっ</p><p>そうよほら、みんな楽しそうでしょあたしたち、みんな旦那様にご奉仕するのが大好きなのよ</p><p>みすずが、今度はアニエスに言う</p><p>寧に代わって、この場のリーダーを任された以上オレへの奉仕は、他の子たちに譲って、本来の目的アニエスの教育に集中してくれる</p><p>あ、そうだルリお姉ちゃんが、お兄ちゃんと二人きりの時はセックスしてもらった後のオチンチンは、自分のお口で綺麗にしてあげないとダメなんだからねっお掃除フェラまでが、セックスだからねっ</p><p>マナが瑠璃子に言う</p><p>あっはいお掃除の仕方も、教えていただきますわうんっ</p><p>マナに女性器を舐められながら瑠璃子が答えた</p><p>うんルリお姉ちゃんは、勘が良いからすぐに舐めるのも上手くなると思うマナ、負けないからねっ</p><p>そう言ってマナは、瑠璃子に微笑む</p><p>さっきまでセックスの競い合いをしていたはずなのに</p><p>オレの女たちは、すっかり和やかな雰囲気になっている</p><p>で、でもお兄様のまだ大きいですわはんっ</p><p>瑠璃子がメグと美智がダブルフェラしているオレのペニスを見て、言う</p><p>わたくしは、もう充分ですからどなたか、していただいたらいかがですか</p><p>1人だけ膣内射精を独占したことを申し訳無いと感じているらしい</p><p>それに瑠璃子は、昨夜、オレに連続で４回も犯された</p><p>オレの体力なら、このまま２、３発連戦しても平気だと思っているんだ</p><p>今はダメよまた、後でしましょうね</p><p>みすずが、瑠璃子に優しく微笑む</p><p>恵美さんは、これからクラブの練習に行かれるし渚様もお店に行かれるわセックスは、ちょっとお休みにして、朝の支度をしないといけないわ</p><p>うんこのまま、だらだらとセックスを続けることはできない</p><p>ていうか、今、この部屋に居ない人たちは、どうしているんだろう</p><p>そっちは、一段落付いたっ</p><p>壁のスピーカーから、寧の声がした</p><p>はい、寧お姉様</p><p>みんなを代表してみすずが答える</p><p>そっじゃあ、上へ上がってきてっ</p><p>上</p><p>お風呂の準備をしておいたからっ</p><p>オレは昨夜渚と、真緒ちゃんを朝風呂に入れる約束をしていた</p><p>大浴場の場所判るよねっ</p><p>寧がセックス大会の途中で抜けたのは浴場の準備をするためか</p><p>うん、オレは判るよ</p><p>あたしも、判ります</p><p>オレとメグが答える</p><p>あたしも、知っているわ</p><p>マナも知ってる</p><p>ああ、みすずやマナとも入浴したっけ</p><p>じゃあ、早く来てっ渚さんと真緒ちゃんが、待っているから</p><p>それなら、急がないといけない</p><p>では、参りましょう皆さん</p><p>みすずが、声を掛ける</p><p>このままハタカンボで行っちゃっていいよね</p><p>大丈夫ですお風呂場の方に、新しい清潔なバスローブがいっぱいありましたから</p><p>メグは一昨日、克子姉にお屋敷の中のことを色々と教わっている</p><p>瑠璃子もう、身体は平気か</p><p>はい、お兄様大丈夫です</p><p>昨日は腰が抜けて、立ち上がれなかったけれど今日は、平気そうだ</p><p>今朝はお兄様には、アニエスちゃんを連れて行っていただかないといけませんから</p><p>瑠璃子がアニエスを見る</p><p>これも昨日からの宿題</p><p>いよいよ、アニエスをこの部屋の外へ連れ出す</p><p>アニエスこの部屋を出て、みんなでお風呂に入ろう</p><p>ぱ、パパ</p><p>瞬時に怯えた表情を見せる</p><p>大丈夫だ何の心配も無い</p><p>でもアニエスはここから出てはいけませんの</p><p>物心付いた時から、ずっとアニエスは、この部屋に閉じ込められている</p><p>いいんだよもう</p><p>アニエスは虚空を見上げる</p><p>そこには白坂創介の裸像があるはずだった</p><p>いつもなら、３割増しに美化された理想の白坂創介が、アニエスを見下ろしているはずだった</p><p>アニエスは、２４時間白坂創介像に監視され</p><p>アニエスもまた、白坂創介像を見上げて成長した</p><p>しかし、今</p><p>白坂創介蔵は、隠されて見えなくなっている</p><p>もういいんだよ、アニエスちゃんあの変なオジサンのことなんて、気にしなくていいんだから</p><p>マナが実父のことを言う</p><p>そうよアニエスちゃんには、ヨシくんとあたしたちが居るわあの人のことなんて、もう忘れてしまっていいのよ</p><p>マナとメグはアニエスの母親違いの姉でもある</p><p>アニエスちゃんこの部屋にあたしたちが来るようになって、もう随分経つでしょ</p><p>前だったらあの人が、エバッていた頃なら、あたしたちがアニエスさんのお部屋に入り込んで一緒に寝たり、ご飯を食べたりすることなんて許されなかったと思わない</p><p>アニエスは青い眼を見開いて、ジッと聞いている</p><p>でも、あたしたちはここに居るわ</p><p>そうだよマナたちとケーキ作ったじゃないっ美味しかったよね楽しかったよね</p><p>どんどん状況が変わっているのよアニエスちゃんは、もうあの人の言うことなんて聞かなくていいのよ</p><p>美智も参戦する</p><p>あそこのドアはずっと開いたままです誰でも自由に出入りしていましたこの部屋だって、昨日、壁を取り払って広さが２倍になりましたそんなことをしてもあの像の人からは、苦情が来ていません</p><p>着々と侵攻していった</p><p>アニエスの心の中の白坂創介という虚像を破壊するために</p><p>あの像を隠してしまってもこの部屋に色んなものを持ち込んで、みんなで寝泊まりしても何も起きていませんあの像の人は、ここに現れません</p><p>もし、白坂創介に今まで通りの力があるのなら</p><p>今の状況なんて、一つも許されているはずがない</p><p>しかしオレたちがアニエスの部屋に現れて、すでに３日</p><p>白坂創介はアニエスの前に現れない</p><p>オレたちはずっと、やりたい放題のままだ</p><p>アニエスパパの言うことをよく聞いてくれ</p><p>オレは乳白色の髪のハーフ美少女に告げる</p><p>今から、アニエスはオレたちとこの部屋を出る一緒に行こう、アニエス</p><p>アニエスは震えている</p><p>大丈夫だってみんなが一緒だもんっ</p><p>そうですわわたくしたちも一緒です</p><p>アニエスと一番仲の良い２人マナと瑠璃子が、アニエスを抱き締める</p><p>上で真緒ちゃんが待っているのよ</p><p>もう一人の姉メグも</p><p>あ、アニエスはこ、困りますの怖いですの</p><p>みすずが、そっとオレの背中を押してくれる</p><p>ああ、判っているよ</p><p>オレは立ち上がり、アニエスの前へ</p><p>そのまま怯える１２歳をお姫様抱っこで、抱え上げる</p><p>パパぁッ</p><p>怖がらなくていいよパパだからアニエスのパパだからな</p><p>アニエスが落ち着くまで、しばらく抱いたまま待つ</p><p>小柄な少女だ昨夜の瑠璃子より、さらに軽い</p><p>ぱぱ</p><p>うんアニエスの震えが、取れていく</p><p>裸のアニエスを、裸のオレが抱き上げているのだ</p><p>肌と肌の接触しているところから生の体温が伝わる</p><p>オレの体温でアニエスの心が、溶けていく</p><p>さあ、行こうみんな</p><p>オレは、ドアに向かって歩き出す</p><p>みんなも裸のまま、オレに続く</p><p>レイちゃんもだぞ</p><p>麗華は、暗い顔でうつむいたままだった</p><p>麗華の心の中の葛藤は大体想像が付く</p><p>だから、先回りして答えを言う</p><p>レイちゃんだって、オレたちの家族なんだからな</p><p>もう遅いよレイちゃんが心の中で、どう思ってようとオレたちは、レイちゃんを家族だと思っているし絶対に手放すもんかって決めている</p><p>麗華の方で、踏ん切りが付かないのなら</p><p>オレの方で引導を渡してやる</p><p>あ主様</p><p>お兄ちゃま、だろ</p><p>麗華の心が揺れている</p><p>どうしたらいいんでしょうわたくし</p><p>セックスさせろよ</p><p>オレは、レイちゃんとセックスしたいずっと、そう思っている</p><p>真っ直ぐに麗華の眼を見る</p><p>オレとセックスしていや、一生、オレとだけセックスしろオレの赤ちゃんを産めレイちゃんが満足するまで、セックスしてやるから</p><p>麗華にストレートに欲望を叩き付ける</p><p>そうよレイちゃんも、早くあたしたちと同じになりましょう</p><p>はい同じ立場家族です</p><p>藤宮さんのお気持ちは、よく判っていますあなたも家族になりたいんでしょうでしたら、勇気を持って飛び込んで来て下さい大丈夫ですわたくしにもできましたから</p><p>セックスすれば、本当にみなさんの家族になれるのでしょうか</p><p>当たり前です旦那様に抱かれたら、後は幸せになるだけですみんな、そうやって救っていただいたのですから</p><p>マナが、アニエスを見る</p><p>アニエスちゃんもお兄ちゃんとするんだよそしたら、あたしたち、本当の家族になれるからね</p><p>家族ですの</p><p>オレの腕の中でアニエスが囁く</p><p>そうだよずーっと一緒に居られるってことみんなで、幸せになるんだよっアニエスちゃん</p><p>オレはアニエスを抱えて、部屋の入り口へと向かう</p><p>大丈夫だ怖くない怖くないから</p><p>ドアの敷居を越える</p><p>ほら何も起こらないだろ</p><p>オレは、アニエスに微笑んだ</p><p>ぱ、パパぁぁっ</p><p>アニエスは、オレにしがみつく</p><p>さあ、行こうアニエスちゃん</p><p>すぐにマナと瑠璃子が追って来る</p><p>他の子たちも</p><p>レイちゃんも行きますよ</p><p>みすずが、再度麗華に言う</p><p>麗華は立ち上がる</p><p>部屋の中にはションボリとしたイーディだけが残る</p><p>Hey</p><p>美智が声を掛ける</p><p>イーディが、顔を上げる</p><p>Follow　After　Me</p><p>イーディが子犬の様に、美智の後ろに走って来る</p><p>おーそーいー、おーそーいー、おーそーいーよー</p><p>大浴場の脱衣所では、真緒ちゃんがぷんぷん怒って待ち受けていた</p><p>ごめんごめん</p><p>オレは、真緒ちゃんに謝る</p><p>おくれてきたのにぃみんな、もうハダカンボなんて、ずるいよおっ</p><p>オレたちは全裸で登場したが</p><p>真緒ちゃんは、また服を着ている</p><p>はやく、真緒もぬがせてよパパ</p><p>オレは、アニエスを脱衣所の椅子に下ろす</p><p>アニエス真緒ちゃんを脱がせるから、ここで待っていてくれ</p><p>アニエスは、オレを見ている</p><p>初めての外界</p><p>同じ屋敷の中なのにアニエスにとっては、全てが新しい場所だ</p><p>警戒している</p><p>平気だよっほら、マナが手を握っていてあげるからっ</p><p>マナが、アニエスに触れる</p><p>瑠璃子も、アニエスの肩に手を置く</p><p>それで、アニエスの緊張がほぐれる</p><p>さあ、真緒ちゃん脱がせるぞぉぉ、ガオー</p><p>きゃっははっパパ面白ーいっ</p><p>オレは、真緒ちゃんを裸にする</p><p>もう、あんまり騒いじゃダメよ真緒</p><p>渚も、その横で脱衣する</p><p>はーい、お早うみんな</p><p>克子姉とマルゴさんも来た</p><p>ミナホから指令が来てさ朝のお風呂は、全員で入れって</p><p>マルゴさんが、そう言いながら服を脱ぎ出す</p><p>ミナホ姉さんが</p><p>せっかくの機会だからみんなで親睦を深めなさいって</p><p>克子姉も、苦笑しながら裸になる</p><p>お屋敷の警備システムは、学校の方からミナホが監視しててくれるってさ何か起きても、外の香月セキュリティ・サービスの人たちと公安警察が対応してくれるし</p><p>昨夜の香月さんの訪問で、監視の連中の態度がすっかり一変しちゃったんだよまあ、こっちも事前打ち合わせをしたりして、仁義を通したからねあの人たちとは、これから良い関係が築けるんじゃないかな</p><p>恭子さんとミス・コーデリアが、変なことをしなければね</p><p>マルゴさんの言葉に、克子姉が溜息を吐く</p><p>ところで姉さんは</p><p>寧の姿が見えないけど</p><p>ここだよっ、ここっ</p><p>浴場の戸が、ガラララッと開き寧が現れる</p><p>お風呂にお湯を張ってさっついでに、お掃除もしていたんだよっ</p><p>寧は手に長柄のブラシを持ち、そして何故か白いビキニを着ていた</p><p>姉さん何で水着</p><p>オレの問いに、寧はクックックと笑い</p><p>だって、みんな裸なんだからっここでは、１枚でも着ている子の方が、むしろセクシー・アピールできるでしょっ</p><p>しかも、この水着お湯を掛けたら、透け透けになりまーすっどうエロエロ係数が２倍になるでしょっ</p><p>寧は、勝利のVサインを示す</p><p>２バーイ、２バーイ</p><p>それは何の物真似なんだろう</p><p>二つで充分デスヨ</p><p>その真似は、もっと判らない</p><p>ほら、みんなっとっとと風呂に入っちまいなッ</p><p>寧の号令でオレたちは浴室の中へ</p><p>ほら、アニエスちゃん入ろうっ</p><p>マナの誘いにアニエスは、チラッとオレの顔を見る</p><p>大丈夫だよここには、オレの家族しかいないから</p><p>アニエスは、安心したのかトコトコとマナを追っていく</p><p>パパパパ</p><p>真緒ちゃんは、オレにしがみついてくるから</p><p>とにかく、まず身体をシャワーで洗ってあげて</p><p>それから、浴槽へ</p><p>うふふパパ</p><p>しばらくは、オレにくっついている</p><p>昨夜から、ずっとオレとお風呂に入りたがっていたんだもんなあ</p><p>ああ、克子姉、マルゴさん、渚、麗華は、固まって入っている</p><p>みすずは、メグと</p><p>アニエスは、瑠璃子と、マナと寧も一緒か</p><p>美智は、イーディと</p><p>嫌嫌そうな顔をしながら、面倒を見ている</p><p>やっぱり、イーディのことが気に入っているんだな</p><p>ふふ、みんなあなたに気を遣ってくれているのね</p><p>しばらくすると渚が、オレの方に近付いて来た</p><p>あなたが疲れていると思ってしばらく、休めるように離れていてくれているのよ</p><p>ああ、そういうことか</p><p>真緒もアニエスちゃんと遊んであげて</p><p>渚が、幼い娘に言う</p><p>えーっ、ママぁ</p><p>不平を言う真緒ちゃん</p><p>アニエスちゃん、大きいお風呂、初めてなのよ真緒が優しくしてあげなきゃねパパとは、いつでもお風呂に入れるでしょ</p><p>真緒ちゃんがオレを見る</p><p>そうだよ真緒ちゃんとは、これからもずーっと入るからさ</p><p>あ、マナを呼んできてくれ話があるからって</p><p>真緒ちゃんは、アニエスたちの方へ行く</p><p>瑠璃子もメグも一緒だからまあ、大丈夫だろう</p><p>じゃ、あたしも向こうに戻るわ</p><p>レイちゃんのこと、あたしたちもフォローしておくから</p><p>あオレたちの地下室での様子を、監視していたな</p><p>大人に任せてもう少しだと思うから</p><p>年齢は、麗華の方が上でも精神は、渚やマルゴさんの方が年上だと思うから</p><p>それともう少ししたら、渚もアニエスの方へ行って子供たち同士もいいけれど、あの子はママも求めているから</p><p>ええ、判ったわ</p><p>渚は戻って行く</p><p>入れ替わりにマナがやって来た</p><p>いや、大したことじゃないんだけれど</p><p>マナは、浴槽の中のオレにくっついてくる</p><p>お兄ちゃんの方から呼んだんだからおっぱいぐらい、揉んでよね</p><p>オレは、マナを後ろから抱き締め小さな胸を揉む</p><p>でどうしたの</p><p>お前さっき、瑠璃子に順番を変えさせたろ</p><p>セックス大会のトリを自分ではなく、瑠璃子に任せた</p><p>あれどうしてなんだ</p><p>だってほらお兄ちゃんが、最後の子まで頑張るのは判っていたしだからって、２巡目に入るのは、お兄ちゃんが辛いでしょ</p><p>一人３分で、６人ずっとオレはセックスしっ放しなんだから</p><p>最後の子で、お兄ちゃんがイッちゃうのが一番いいわけだしそうしたら、エッチ大会の勝利者も最後の子ってことになるじゃない</p><p>エッチの順番でルリお姉ちゃんとあたしが、最後になるようにしたのは寧お姉ちゃんなんだよアニエスちゃんへのアピールとして</p><p>一番大人の身体の寧から、オレとのセックスを初めて</p><p>アニエスと年が近くて、仲の良い瑠璃子とマナが最後になる</p><p>それは、アニエスにみんな、セックスしているし、あなたにもできるよというメッセージとなる</p><p>でも、ルリお姉ちゃんは、昨日、ロスト・バージンしたばかりだからまだイケないでしょ寧お姉ちゃん的には、最後にマナがお兄ちゃんと一緒にイク姿を、アニエスちゃんに見せたかったんだろうけれど</p><p>なのに何で、瑠璃子にトリを譲ったんだ</p><p>ん勝利の特典がさ</p><p>マナは、苦笑する</p><p>お兄ちゃんと、二人きりのお泊まりデートでしょもちろん、マナもしてみたいけれど今は、ルリお姉ちゃんに譲ってあげるべきだと思ったの</p><p>ルリお姉ちゃん、まだエッチでイクってことを知らないし全部吐き出しきってないと思うから</p><p>全部、吐き出す</p><p>ルリお姉ちゃん、本物のお嬢様だからセルフ・コントロールが効きすぎているんだよだからさあたしたちが見ていないところで、お兄ちゃんと二人っきりにならないと全部、吐き出しきれないって思う</p><p>オレは、マナに頬擦りする</p><p>お前そこまで考えてくれたんだな</p><p>当ったり前だよルリお姉ちゃんは、マナのお姉ちゃんだもんっ一生、一緒に居るんだからさっ助け合っていかなきゃね</p><p>マナは成長している</p><p>はい、マナとのお話しはおしまいねっアニエスちゃんのこと、見てないといけないから</p><p>マナは、オレから身体を離す</p><p>地下室を出るのには、お兄ちゃんがアニエスちゃんを抱いてあげることが必要だったけれどこのお風呂でも、お兄ちゃんにベッタリだと、アニエスちゃんが大人になれないでしょなるべく、あたしたちが相手をするからお兄ちゃんは、休んでいて</p><p>にっこりと、１４歳の美少女は微笑む</p><p>了解あ、ルリお姉ちゃん呼んでくるね</p><p>マナは、言った</p><p>あたしの次はルリお姉ちゃんでしょ</p><p>マナは判っている</p><p>あ、でもマナもお兄ちゃんのセックス奴隷だからね生意気だと思ったら、いつでもお仕置きしてね</p><p>むしろ何かご褒美をあげたいくらいだよ</p><p>だったらレイプしてよ</p><p>マナねお兄ちゃんに、レイプされたいんだもん</p><p>さて久々に、次の展開を考えついていない</p><p>まあ、１２時間以内には、何か思い付かないといけないのですが</p><p>夕方から、白坂創介への復讐編が始まるとして</p><p>昼の部をどうするか</p><p>アニエスに使うか</p><p>麗華かイーディーか</p><p>それとも雪乃か</p><p>他の子の掘り下げをするか</p><p>メグは学校渚と麗華は、お店に行くことは決まっているけれど</p><p>はっちゃけ明日までに</p><p>まあ、今までもこういうピンチに、何度も直面してきていますので</p><p>何とかなるとは思っています</p><p>440．女の平和</p><p>お呼びですか、お兄様</p><p>マナに声を掛けられて今度は、瑠璃子がやってくる</p><p>瑠璃子は、タオルと手で胸と股間を隠していた</p><p>あの肌を晒していた方が、お兄様には楽しんでいただけると思っていたのですけれど寧お姉様から、瑠璃子は羞じらいを忘れない方が良いとアドバイスしていただきましたので</p><p>顔を赤らめて、瑠璃子は言う</p><p>うん、そうだなあっけらかんに裸で歩き回るのは、マナだけでいい瑠璃子は、羞じらいのある方が可愛いよ</p><p>こっちへ来いよ</p><p>瑠璃子は、オレの居る浴槽の中へ</p><p>あ風呂の中にタオルを浸すのは、マナー違反だぞ</p><p>オレは、慌てて言う</p><p>瑠璃子は集団生活で入浴した経験が無い</p><p>ああ、タオルは外して浴槽の外に置いておくんだ</p><p>瑠璃子は、タオルを几帳面に畳んで空の湯桶の中に入れる</p><p>改めて、手で乳首と股間を隠しながらオレの隣へ</p><p>普段は風呂は、美子さんと入っていたのか</p><p>昔はそうでしたけれど瑠璃子は、もう大人です入浴は一人でできます</p><p>お嬢様だからって、一々誰かに身体を洗ってもらう必要は無い</p><p>お風呂の後の髪のお手入れは、美子様にしていただいていましたが</p><p>髪の手入れ</p><p>ちゃんとドライヤーを掛けて、梳らないと女の子の髪は、ボアボアになってしまいますから</p><p>小学校までは美子様に、身体も洗っていただいておりました今、考えると申し訳無いことを致しました</p><p>瑠璃子と美子さんの年齢差は３歳</p><p>物心が付いたときから、美子さんは瑠璃子のお付きとして世話をしている</p><p>だが美子さんは、実は瑠璃子の従姉だった</p><p>同じ血を引いた従妹に、ずっと世話係をさせてきたことを瑠璃子は、心苦しく思っているらしい</p><p>だったら今度は、瑠璃子が美子さんの背中を洗ってあげればいいまた、一緒にお風呂に入ってさ</p><p>今まで美子さんにしてもらったことを今度は、瑠璃子がしてあげればいいんだよ別にさ、もう二度と美子さんに会えなくなるわけじゃないんだからさ</p><p>はいそうですね</p><p>お兄様お隣に行っても、よろしいですか</p><p>瑠璃子が、オレの隣に来る</p><p>つるつるとした肩を、オレにぴたっと押しつけて</p><p>わたくしお兄様が好きですお兄様にお会いできて、本当に良かった</p><p>今、わたくし何もかもが、楽しくて楽しくてたまらないんですびっくりすることばかりが、次々に起こってこんな風に、皆さんと裸でお風呂に入れるなんて、想像もしていませんでした男の方と入浴してこんなに安らかな気持ちになるなんて</p><p>瑠璃子が、オレの胸にチュッとキスをする</p><p>それでわたくしにお話しって、何ですか</p><p>ニコニコと微笑んで１５歳のお嬢様が、オレを見上げる</p><p>ああ、瑠璃子良い機会だからさ、今はなるべく苦手な人たちと仲良くなってこいよ</p><p>この風呂場にはミナホ姉さんと恭子さんたち以外の全員が揃っている</p><p>苦手な方ですか</p><p>瑠璃子は怪訝な顔をする</p><p>わたくし、ほとんどの方とはもうお話ししておりますが</p><p>寧とマルゴさんとは誘拐の時に、ずっと一緒だった</p><p>マナと真緒ちゃんとアニエスとは、克子姉の指導で一緒にケーキを作った</p><p>みすずと美智とは、当然、昔からの知り合いだし</p><p>イーディさんのことですか</p><p>いや、イーディのことは美智に任せておこう</p><p>正直あの武闘派のアメリカ人少女の発想は、オレにはよく判らない</p><p>いや、美智の思考回路だって、時々不安になるけれど</p><p>美智は、言えば判る子だしオレ以外に、みすずたちも見ていてくれる</p><p>イーディのことは、美智が何か考えているみたいだからしばらくは、様子を見よう</p><p>では、恵美お姉様や渚様のことですか</p><p>そらきた</p><p>どうして、メグはお姉様で、渚は渚様なんだ</p><p>いや、単純に親しく話をして、お互いを理解する時間が足りていないだけだろ</p><p>瑠璃子は、認めた</p><p>いえ、お兄様がおっしゃった通りちょっと、苦手にしているのかもしれません</p><p>わたくし母性的な方とは、これまでお付き合いが無かったので</p><p>母性的も何も渚は、真緒ちゃんのママだ</p><p>ああ瑠璃子、お母さんが苦手だったんだな</p><p>オレは、瑠璃子の心を理解する</p><p>みすずは、父母の元で成長したが</p><p>瑠璃子は、ジッちゃんによって両親から離され美子さんと、二人だけで隔離され育てられた</p><p>それは、もちろん香月家当主であるジッちゃんの厳命だったからなんだろうけれど</p><p>それでも、命じられたからと言って愛娘を手放す親なんて</p><p>父親の香月重秋も問題のある人物だったし</p><p>心配するなオレも、そうだから</p><p>自慢じゃないが生まれてからこの方、母親とまともに会話したことは無い</p><p>向こうから、一方的に命令されたことばかりで</p><p>いや、それも違うな</p><p>あの人は、直接オレには話さない</p><p>バァちゃんや親父に、オレのことについて命令するだけで</p><p>オレとは、眼だって合わさない</p><p>オレのことはみすずや、メグや、寧姉さんから話してもらえよその方が、瑠璃子がみんなと仲良くなるのに役立つと思うし</p><p>そっかオレは、自分が真緒ちゃんのパパだって思っているし渚の夫になろうと思ったからだから、渚の母性を嫌ったりはしていないんだな</p><p>瑠璃子から自分の心を知るための新しい視点を貰った</p><p>ていうことはさ今の瑠璃子には、渚を真緒ちゃんのママというイメージが強いんだなそれをさ、覆さないとダメだよ</p><p>渚は真緒ちゃんのママである前に、オレの女だし、大切な瑠璃子の家族の一人なんだよ瑠璃子のお姉さんなんだ</p><p>一人の女性として見てみて明るくて、優しくて、素敵なお姉さんだから</p><p>判りました、お兄様</p><p>レイちゃんのことも瑠璃子だけ、まだ藤宮さんて呼んでいるだろそりゃ、瑠璃子にとっては、ずっとレイちゃんは香月セキュリティ・サービスの警護人だったんだから、すぐには直せないんだと思うけれど</p><p>あ、そっちは違います</p><p>え、瑠璃子</p><p>藤宮さんの方はわたくし、わざとそう話し掛けています</p><p>わざと</p><p>はい藤宮さんの心の中の捻れを修正するために幼児期までに退行させるという、お兄様のお考えは正しいと思うのですが</p><p>幼児化しても藤宮さんの身体は、大人のままですご本人が、一番違和感を感じておられると思います</p><p>うん麗華は長身だし、鍛え上げられた素晴らしい肉体をしている</p><p>ですからわたくしたち全員が、藤宮さんをレイちゃんと幼児化したキャラクターで話し掛けていくと藤宮さん自身が、自分自身の違和感と板挟みになられると思ったんですしかも、その違和感を感じているのが、自分だけだと思い込んだら藤宮さんは、自分の感性が、間違っていると自己否定の方へ傾いていかれるかもしれませんから</p><p>そ、そうかだから</p><p>それで、わたくしは時々、藤宮さんとお声掛けすることで違和感を感じている人間が、他にもいることを示していますそれが、藤宮さんの精神の安全装置として必要ではないかと</p><p>瑠璃子はそこまで考えてくれていた</p><p>いえ、お兄様のお考えを否定するわけでは無いのです藤宮さんは確かに幼児期に立ち返って、他者との関係を構築し直す経験をした方が良いと思いますでも、完全に幼児退行してしまうのは、危険ですやっぱり、どこかに歯止めを付けておかないと</p><p>うん瑠璃子の言うとおりだ</p><p>今の藤宮さんは、幼児と大人の間を何度も行き来していますその振れ幅の大きさが、藤宮さんに良い影響を与えていると思いますですから</p><p>判った瑠璃子は、瑠璃子の思った通りに接してくれ</p><p>麗華をレイちゃんと呼ぶオレたちと</p><p>藤宮さんと呼ぶ瑠璃子がいるから</p><p>麗華の心は、幼児と大人の間を行ったり来たりする</p><p>心が、揺すぶられる</p><p>幼児の方だけで固定されるのは、確かに危険だ瑠璃子は正しい</p><p>本当に人のお心のことだと、よく判りますよね</p><p>外から、客観的に観察できるからだと思います冷静に</p><p>ずっと湯に浸っていて、赤くなった瑠璃子の肌</p><p>鼻の頭に、汗の玉が浮いている</p><p>これが、自分の心となると途端に、よく判らなくなります</p><p>美子さんのことか</p><p>はい、わたくしこれから先、自分が美子様とどうなりたいのかどうしたら良いのか答えが見えないんです</p><p>未来への見通し答えが、見えない</p><p>お兄様はこれから先のことを、どう考えていらっしゃいます</p><p>はい、お兄様は今、とっても大きな力を持っていらっしゃいますこの力を、何にお使いになられます</p><p>力</p><p>いや、オレは力なんて、何も無いよ</p><p>オレは頭は悪いし</p><p>運動能力も無い</p><p>いえ、今のお兄様は知恵と勇気、権威と資産と暴力全てをお持ちです</p><p>黒森様や克子お姉様たちの知力香月家の権威と財産恭子様たちの戦闘力表の世界にも、裏の世界にも深く影響を与えられる力を、お兄様はもっていらっしゃるのですよ</p><p>それは黒い森のミナホ姉さんが持っている力で、オレとは関係無いよ</p><p>何をおっしゃるんです全ての力と繋がっている中心人物は、お兄様ですわお兄様が真ん中にいらっしゃるからわたくしたちは、安定しているんじゃありませんか</p><p>オレはただの高校生だ</p><p>それも人よりもかなり劣った</p><p>オレは今自分がしなくちゃいけないことだけで、精一杯だよ</p><p>瑠璃子に微笑む</p><p>しなくちゃいけないことですか</p><p>うんまずはマナの転校する中学を探すこととかメグと陸上部の人たちのことも、心配だし美智とイーディのことも心配だそれから、もちろんアニエスのことレイちゃんのことだって心配だそれと</p><p>今ここにいない雪乃はどうしているだろう</p><p>神経のブッ太いあいつのことだから、布団を被って大イビキで寝ているか</p><p>ミナホ姉さんのことも、心配だ</p><p>一晩お屋敷を離れたことが、良い結果になっていればいいんだけれど</p><p>ミナホ姉さんの復讐は今日の夜には決行される</p><p>それと瑠璃子と美子さんのことも、もちろん心配している</p><p>瑠璃子は、顔を赤らめる</p><p>ジッちゃんのこともだよなあ気落ちしてないといいけれど</p><p>ジッちゃんだってオレの家族だ</p><p>一個一個、解決していかないとな</p><p>今のオレはそれだけで精一杯だよオレには、それしかできないから</p><p>先の事なんて考えている余裕は無い</p><p>お兄様は人生の夢や目的は、お持ちではないのですか</p><p>とにかくパン屋になる</p><p>オレは、断言した</p><p>パン屋さんですか</p><p>うん、克子姉と約束したしとにかく、オレは急いで働いて、お金を稼がないといけないから</p><p>だってマナやメグの学費とか、食費とか必要じゃないか</p><p>お兄様が、パンをお作りになって</p><p>瑠璃子はひどく驚いている</p><p>ああ、パンを作って売って今は、それしか思い付かないしどうせ、克子姉が店を出すことは決まっているんだからオレが手伝わないとあ、渚の店を手伝うけれど</p><p>あ、勘違いするなよマナやメグは、今、保護者がいないから、だから学費と生活費をオレが稼がないといけないってだけでちゃんと、瑠璃子の分も稼ぐからな</p><p>わたくしの分</p><p>うん、当たり前だろお前は、オレの女なんだから</p><p>ですがわたくしの養育費は、香月様が</p><p>ああ、そんなことをジッちゃんが言っていたっけ年間、何億か払うって</p><p>それはそれでまあ、ミナホ姉さんと克子姉に預けておけばいいよでも、オレはオレで、ちゃんとお前のためにもお金を稼ぎたいから</p><p>そうでないと男でない</p><p>いずれはオレが働いて稼いだお金は、均等に分けてみんなに渡すよオレは、趣味も無いし、欲しいものも無いし</p><p>問題はオレがパン屋で働く賃金だけで、みんなを養っていけるかどうかなんだけれど</p><p>まあ、パン屋の経営は、克子姉がやってくれるんだし</p><p>オレはとにかく必死に頑張るだけだ</p><p>いいのですか、それでお兄様は</p><p>いいに決まっているだろみんなと一緒に暮らすっていうのは、そういうことじゃないか幸せになるってことは</p><p>オレの目的はそれだけだよみんなで幸せに暮らすそのために、やらなきゃいけないことを一つ一つやっていくオレには、それしかできないしやるしかないもんな</p><p>オレはオレの家族を受け入れたのだから</p><p>絶体に手放したくないのだから</p><p>わたくし感動しています</p><p>こういう、お兄様だからこそ克子お姉様や、渚様、黒森様が、お兄様に付いておられるのですね</p><p>そうだろうなオレ頼りないから</p><p>姉さんたちが居てくれなければ何もできない</p><p>感謝しているよ姉さんたちには</p><p>そんなことありませんわお兄様は力強いです</p><p>瑠璃子は、オレに微笑んでくれた</p><p>ほら、そろそろ彼を解放してあげないと他の子たちに怒られるわよ</p><p>克子姉がやって来て瑠璃子に言った</p><p>瑠璃子もさ何かやりたいことがあったら教えてくれオレ、何でも手伝うから</p><p>オレのためにガマンとかするなよ瑠璃子の人生なんだからな</p><p>オレはお前のことも、幸せにするから絶対</p><p>瑠璃子がオレを抱き締める</p><p>ギュッと力強く</p><p>もう幸せですわたくし</p><p>それならもっともっと幸せになろう</p><p>瑠璃子は、オレの額に優しくキスしてくれた</p><p>この人は、基本が守りの人だからあたしたちは、どんどん外に攻めていっていいのよ</p><p>克子姉が、瑠璃子に言う</p><p>くたびれて帰って来たらこの人が癒やしてくれるこの人は、あたしたち家族を決して裏切らないいつも笑って抱き締めてくれるのよ</p><p>はい克子お姉様</p><p>瑠璃子は、オレを見て微笑む</p><p>お兄様には、どっしりと家の中心に居ていただきましょう</p><p>そういうことこの人が家に居てくれれば、あたしたちは安心して外で闘えるもの</p><p>どういうこと、克子姉</p><p>克子姉の言葉の意味はオレには、よく判らない</p><p>うんとねあたしとパン屋さんをやってくれるとしても、あなたは製造の方に専念してもらうってことよ</p><p>だから、ほらパン屋さんの店頭で、売り子をするのはあなたよりも、他の子の方が良いでしょ</p><p>いや、オレだってやるよ</p><p>あのねパン屋さんて、一日中、どんどんパンを作って焼いていかないといけないのよ</p><p>朝は、朝食用のパンを売るし昼はお昼用午後は、おやつ用夜は家庭用の食パンとか、フランスパンとか時間帯によって、違う種類のパンを出さないといけないから作って、焼いて、作って、焼いての繰り返しになるのよ</p><p>そっか、コンビニのパン売り場とかとは違うんだな</p><p>焼きたてのパンで勝負しないといけないし</p><p>だから、あなたはお店の中でパンを作っててていうか、可愛い売り子さんは、うちにはいっぱい候補者がいるんだし</p><p>まあ確かに</p><p>オレよりもメグやマナや寧やとにかく、みんな美少女なんだから</p><p>女の子の方が、売れるだろう</p><p>あなたは、パンを作って空いている時間に、真緒ちゃんや子供たちの相手をしてくれればいいわビジネスのことは、あたしたちがするから</p><p>うんそういうのはもちろん、克子姉たちに任せるよ</p><p>オレに、ビジネスのセンスがあるとは思えないし</p><p>克子姉が、瑠璃子を見る</p><p>という具合にこの人には、家を守って貰うからあたしたちの帰る場所は、この人のところなんだからこれがベストだって判るでしょ</p><p>確かに、そうかもしれません</p><p>真っ直ぐで、良い人過ぎるのようかつに外に出したら、危ないから</p><p>オレそんなにダメな男か</p><p>ダメじゃないわでも、ほら、変な女に引っ掛かったりしたら困るから</p><p>克子お姉様はもう、具体的なプランをお考えになっていらっしゃるのですね</p><p>瑠璃子が、感嘆している</p><p>そりゃそうよあたしたち自身の将来のことだから</p><p>克子姉は、ふふんと微笑む</p><p>ちなみに、あたしのパン屋さんと渚のお花屋さんは同じビルに入れるわビルごと一棟、丸ごと買うから上の階に、あたしたちは住むのよここみたいな、大きなお風呂も作るわみんなで入れるようにね今も、渚と話し合っていたところなの場所をどこにするかとかね</p><p>前から話していた計画を克子姉は、推進しているようだ</p><p>で瑠璃子さん、あなたは何をする</p><p>瑠璃子は驚く</p><p>香月様からのお金出資金にしない</p><p>あなたは、みすずさんよりもビジネス寄りの子だと思うわ</p><p>ドキリとする瑠璃子</p><p>あたしたちが買うビルにはパン屋とお花屋さん以外のお店が入っても構わないのよ</p><p>あたしたちや、この人に養われるよりも瑠璃子さんは、自分のビジネスがやりたいタイプよね</p><p>克子姉がフフッと笑って、瑠璃子の眼を覗き込む</p><p>瑠璃子は認めた</p><p>じゃあ、考えておいて今すぐってことじゃないからそうね、準備期間やビルの改装のことも考えて、１年ぐらい先をメドにしましょう</p><p>ではみなさんの方へ戻ります</p><p>瑠璃子は、そう言ってアニエスたちの方へ戻って行った</p><p>あの子は根本的に野心家なのよ香月家の後継者になる気、満々だった子なんだから</p><p>克子姉が、瑠璃子の後ろ姿を見て言う</p><p>だから、あの子はあの子で打ち込めるビジネスをさせてあげないと息が詰まっちゃうと思うわ</p><p>瑠璃子は、ジッちゃんと一番性格が似ているもんな</p><p>香月家のことで思い悩むことが無くなったんだからその分、自由にやりたいことをさせてあげればいいのよ</p><p>ああだから</p><p>オレに将来の目的とかを聞いたんだ</p><p>本当はオレでなく瑠璃子自身が、自分の将来を模索している</p><p>うちの家族はセックス奴隷になった子の方が、対外的にアクティブなのよね</p><p>マナは、スーパー・モデルになりたいって言っているし</p><p>ペットのみすずだって、東大を出て高級官僚になるって言っている</p><p>まあ、そういう快活な子だからこそセックスでは、束縛されたいんでしょうけれどね</p><p>いや、克子姉メグも、束縛される方が好きだと思うよ</p><p>それは恵美ちゃん、家庭的だから普段とは逆にというのがなくって、そのままストレートに束縛されたいってタイプでしょあの子の場合は、外で仕事とかしないで、家の中に入るのもいいと思うわ</p><p>克子姉はみんなの将来のことを考えてくれているんだ</p><p>家の中って言ったら、アニエスもよねあの子は、どうやったって、基本インドアな子だからあの子のことを考えると悪いけれど、あなたにはやっぱり、なるべく家に居て欲しいのよ</p><p>だからオレは、店の中でパン作りか</p><p>自宅も同じビルの上階にあるのなら問題は無い</p><p>それで、アニエスが大人になって、あなたと一緒にパンを作ってくれたら一番良いんだけれどまあ、それは望み過ぎよね</p><p>克子姉は、苦笑した</p><p>もう１０年以上先のことまで、考えているんだ</p><p>あの子は可愛いからうちのお花屋さんの看板娘って手もあるわよ</p><p>渚もやって来る</p><p>渚のお店の看板娘は、真緒ちゃんがいるでしょ</p><p>いいじゃないっ、２枚看板だって</p><p>でも、その前にあの子の場合は、戸籍のこととか、教育のこととか、これから考えないといけないことがいっぱいあるわよね</p><p>とりあえず帰国子女ってことにする一応、顔が外人顔だし</p><p>ダメよ、渚アニエス、日本語しか話せないし</p><p>ああ、ずっと白坂創介の乳母だった人が食事の面倒を見ていたんだっけ</p><p>それは、これから外国語を教えればいいじゃないどうせ、初等教育だけは、あたしたちの手で教え込まないと</p><p>アニエスは、今まで一度も学校へ行っていない</p><p>読み書き、算数、理科社会か</p><p>今、１２歳でしょ来年中学に入るのに合わせて、普通の子たちと合流させればいいんじゃない</p><p>それまでに、初等教育と適当な外国語を教え込んで帰国子女として、入学させるしかないわね</p><p>それしか無いわね</p><p>やることはいっぱいあるな</p><p>お兄ちゃん真緒ちゃんが、お兄ちゃんに身体を洗って欲しいって</p><p>マナが、オレを呼ぶ</p><p>判った、今行くよ</p><p>オレもそろそろ、のぼせてきたし</p><p>その次、マナねっ</p><p>次、あたしっ</p><p>マナと寧が手を上げる</p><p>きっとそのまま、全員の身体を洗うことになるだろう</p><p>やれやれ忙しいなまったく</p><p>とりあえず、会話回で乗り切った</p><p>というか、今までも会話回の時は、次の展開に困っている時です</p><p>朝食シーンをやって次は、どうしよう</p><p>女の平和というのは、ギリシャ喜劇のタイトルですが</p><p>この作品の凄いところは、アテネの女たちが神殿に閉じ籠もって、セックス・ボイコットをして戦争を終わらせるという物語では無く</p><p>その物語を演じていた役者が、全員男だったということにあります</p><p>当時、女優はいないので</p><p>あと、その当時にアテネで小馬鹿にされていた人物が、実名で登場して笑いものにされます</p><p>古代ギリシャから、現代まで続いている壮大なイジメです</p></section></body></FictionBook>